(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】自動投球マシンを使用してボール軌道を再現する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A63B 69/40 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
A63B69/40 501V
A63B69/40 501D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517441
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(85)【翻訳文提出日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 CA2020051246
(87)【国際公開番号】W WO2021051196
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522106226
【氏名又は名称】トラジェクト スポーツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェラビー、ローワン
(72)【発明者】
【氏名】ポープ、ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ロウランド、ロバート
(57)【要約】
本開示は、例えば野球に関して、ボール軌道を再現するための、自動物体発射のシステム及び方法を対象とする。システムは、軌道情報を含むユーザからの入力を受けた後、その軌道に基づいて物体を発射する。システムは、発射される物体の方向とシステム自体の位置とを制御するサブシステムを含む。また、システムは、ユーザに分析などを提供するための結果追跡データベースを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールの軌道を再現するためのシステムにおいて、
投球マシンであって、
ボール状態感知装置と、
ボール方向制御装置と、
マシン位置特定・位置制御装置と、
ボール速度・スピン制御装置と
を含む投球マシンと、
前記投球マシンを制御するためのコントローラであって、
マシン状態からボール解放状態へのマッピング又はボール状態から軌道へのマッピング或いはそれらの組み合わせと、
前記投球マシンによって生成されるボール解放状態又はボール軌道を表わすボール発射入力をユーザが入力するための前記コントローラと関連付けられるインタフェースと
を含むコントローラと、
処理ユニットと
を備えるシステム。
【請求項2】
結果追跡装置を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
閉ループ制御・エラー補正装置を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ボール状態感知装置は、
カメラのセットと、
センサのセットと
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ボール状態感知装置が測定デバイスのセットを更に備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ボール方向制御装置は、
コンベア・システムと、
前記コンベア・システムを制御するためのモータ制御ユニットと
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ボール方向装置がテンショナのセットを更に備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記マシン位置特定・位置制御装置は、
位置感知デバイスのセットと、
アクチュエータのセットと、
駆動ユニットと
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記マシン位置特定・位置制御装置は、動き制御システムを更に備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
自動物体投げ方法において、
ユーザ入力を受信するステップと、
前記ユーザ入力を処理して物体発射命令を生成するステップであって、前記物体発射命令が、発射された物体に関する軌道経路の軌道特性又はボール発射条件を含み、前記軌道特性が、前記軌道経路の始点と前記軌道経路の終点とを含み、前記ボール発射条件が、速度、スピン速度、スピン軸、解放位置、最終位置、ボール方向、解放角度のうちの少なくとも1つを含む、物体発射命令を生成するステップと、
前記物体発射命令を実行して、前記物体の発射の準備をするステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記物体を発射するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
発射後の物体軌道を監視するステップと、
発射後の物体軌道を予想物体軌道と比較するステップと、
発射後の物体軌道と予想物体軌道との比較に基づいてエラー補正を実行するステップと
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記物体発射命令を実行して、前記物体の発射の準備をするステップは、前記物体発射命令に基づいて前記物体を実際の方向から所望の方向に再配向するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記物体発射命令を実行して、前記物体の発射の準備をするステップは、前記物体発射命令に基づいて物体発射マシンを実際の姿勢から所望の姿勢に再配向するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記物体発射命令を実行して、前記物体の発射の準備をするステップは、前記ボール発射命令に基づいて前記物体が必要な速度及びスピンで発射される準備をするステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
請求項10に記載される自動物体投げ方法を実行するステップと、
発射された物体とユーザとの相互作用を追跡するステップと、
ユーザとの相互作用の結果をデータベースに記憶するステップとを含む、ユーザをトレーニングする方法。
【請求項17】
ユーザとの相互作用の結果に基づいてレポートを生成するステップ、前記ユーザとの相互作用の結果に基づいて分析を実行するステップ、又は、前記ユーザとの相互作用の結果に基づいてトレーニングを推奨するステップのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記インタフェースを介してユーザが選択し、所定の基準をシミュレートするための軌道をアルゴリズム的に生成する装置を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
ユーザが軌道のセットをキュレートするための装置を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
必要な速度、3次元のスピン、及び、ボール方向でボールを発射することにより、ユーザにより見られるときに所望のボールモーションブラーを生成するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記軌道特性は、前記始点と前記終点との間の前記軌道経路上に少なくとも1つのポイントを更に備える、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、スポーツ・マシンに関し、より詳細には、自動投球マシンを使用してボール軌道を再現する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
投球マシンは、プレーヤーの育成に使用される一般的なツールであり、野球、クリケット、テニス、ホッケー、サッカー、ソフトボールなどのスポーツで使用され、プレーヤーが試合中の流れを体験できるようにする。投球マシンから投げられたボールを使うことは、プレーヤーが練習を行い、ボールの経路をより効果的に予測する方法を学び、筋肉の記憶を改善するのに役立つ。
【0003】
投球マシンは、一般に、スポーツ・トレーニングの分野で使用されるが、レクリエーションとして、研究目的やその他の使用例でも使用される。投球マシンから投げられる一般的な物体には、野球のボール、テニスボール、クリケットボール、及びその他のスポーツボールが含まれる。
【0004】
ボール追跡システムがスポーツでもよく使用される。例えば、レーダーテクノロジー、視覚システム、及びその他のシステムは、多くの場合、ゲームボールの近く又は内部に設置される。ボール追跡技術は、スポーツの中でも特に、ゴルフ、テニス、クリケット、サッカー、バレーボール、バドミントン、ビリヤード、ハーリング、野球など、ボールの発射を伴うスポーツでよく見られる。最先端のボール追跡システムは、ボールの軌道を追跡するための信頼できる精度を実現してきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存の投球マシンはボールを発射又は投げることができるが、ボールの発射経路を制御することは困難であり、及び/又は現在の投球マシンがターゲットの発射経路全体を再現することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、自動投球のための新規な方法及びシステムを提供する。
【0007】
本開示は、自動で物体を投げるための方法及びシステムを対象とする。一実施例では、物体がスポーツボールである。システムは、ユーザからの入力に基づいて物体を発射する物体発射部分を含む。入力は、発射された物体がユーザの望む軌道を表わすことが好ましい。入力された軌道(及び他の基準)に基づいて、本開示のシステムは、物体投げマシン内の物体を方向付ける、その環境内でマシンを制御する、又は、発射される物体にスピン又は速度を与える、或いは、これらの組み合わせを行なうことができる。
【0008】
一実施例において、本開示は、そのマシンから投げられる物体の軌道を制御するための方法及びシステムを含む。本明細書に記載の方法及びシステムは、ボール、ホッケーパック、フリスビー及び弾丸などの非球形の物体、及びマシンから発射されるときに軌道を制御できる任意の他の物体の発射に適用できることが理解される。
【0009】
ボール発射条件、ボール軌道、又はそれらの任意の組み合わせを制御することができるマシンの新規のシステム、方法、及び例示的な実施例を提供することが本開示の一態様である。軌道という用語は、ボールが発射後にたどる経路と、ボールが前記経路をたどるときのボールの外観との任意の組み合わせを指す。本開示により、ユーザは、開始位置及び終了位置への限定を伴うことなく、追跡された軌道を再現することができる或いはボール移動経路に沿う1つ又は複数の所望のボール位置を選択することができる。軌道仕様の一実施例において、ユーザは、軌道の始点及び終点を選択又は入力することができる。他の実施例において、1人又は複数人のユーザは、発射されたボールがその経路を通過することを望む軌道上の少なくとも1つの中間点を選択することもできる。或いは、ユーザは、軌道の始点、軌道の終点、及び始点と終点との間の軌道経路上の複数の点を入力することができる。本開示は、軌道又は発射の一部又は全部の自由度を制御するとともに、発射条件制御、ボール経路制御及びボール外観制御の前述の能力に関してより高い精度を達成するためのシステム及び方法を含む。また、本開示は、再現された軌道との人間及び環境の相互作用を追跡するための方法も含む。
【0010】
また、本開示は、スポーツにおけるデータ分析の分野にも関する。プレーヤーのパフォーマンスの分析は、ゲーム内戦略、トレーニングの決定、プレーヤーの獲得など、スポーツの多くの分野での意思決定に使用される。これらの分析は、ゲーム内及びトレーニングの両方で収集できる。以下に説明する方法は、ゲーム内での使用に限定されることなく、トレーニング中にデータを収集し、そのデータに関する分析を提供する方法に関連している。
【0011】
一態様では、ボール状態感知装置;ボール方向制御装置;マシン位置特定・位置制御装置;ボール速度・スピン制御装置;投球マシンを制御するためのコントローラを含む投球マシンと、投球マシンを制御するためのコントローラであって、マシン状態からボール解放状態へのマッピング又はボール状態から軌道へのマッピング或いはそれらの組み合わせ、ボール解放状態又は投球マシンによって生成されるべきボール軌道を表わすボール発射入力をユーザが入力するためのコントローラと関連付けられるインタフェースを含むコントローラと、処理ユニットとを含むボール軌道を再現するためのシステムが提供される。
【0012】
別の態様において、システムは結果追跡装置を更に含む。更に別の態様において、システムは、閉ループ制御・エラー補正装置を更に含む。他の態様では、ボール状態感知装置は、カメラのセットと、センサのセットとを含む。更に別の態様では、ボール状態感知装置は測定デバイスのセットを更に含む。
【0013】
一態様では、ボール方向制御装置は、コンベア・システムと、コンベア・システムを制御するためのモータ制御ユニットとを含む。別の態様では、ボール方向装置は、テンショナのセットを更に含む。更に別の態様では、マシン位置特定・位置制御装置は、位置感知デバイスのセットと、アクチュエータのセットと、作動ユニットとを含む。他の態様では、マシン位置特定・位置制御装置は動き制御システムを更に含む。
【0014】
別の態様では、システムは、インタフェースを介してユーザが選択する際に所定の基準をシミュレートするための軌道をアルゴリズム的に生成する装置を更に含む。更に別の態様では、システムは、ユーザが軌道のセットをキュレートするための装置を更に含む。
【0015】
本開示の別の態様では、ユーザ入力を受信するステップと、ユーザ入力を処理して物体発射命令を生成するステップであって、物体発射命令が、発射された物体に関する軌道経路の特性を含むステップと、物体発射命令を実行して、物体の発射の準備をするステップとを含む自動物体投げ方法が提供される。
【0016】
別の態様では、方法は、物体を発射することを更に含む。更に別の態様では、この方法は、発射後の物体軌道を監視するステップと、発射後の物体軌道を予想物体軌道と比較するステップと、発射後の物体軌道と予想物体軌道との比較に基づいてエラー補正を実行するステップとを更に含む。
【0017】
他の態様において、物体発射命令を実行して、物体の発射の準備をするステップは、物体発射命令に基づいて物体を実際の方向から所望の方向に再配向するステップを含む。更に別の態様では、物体発射命令を実行して、物体の発射の準備をするステップは、物体発射命令に基づいて物体発射マシンを実際の姿勢から所望の姿勢に再配向するステップを含む。更に別の態様では、物体発射命令を実行して、物体の発射の準備をするステップは、ボール発射命令に基づいて物体が必要な速度及びスピンで発射される準備をするステップを含む。
【0018】
本開示の別の態様では、自動物体投げ方法を実行するステップと、発射された物体とユーザとの相互作用を追跡するステップと、ユーザとの相互作用の結果をデータベースに記憶するステップとを含む、ユーザをトレーニングする方法が提供される。
【0019】
他の態様では、方法は、ユーザとの相互作用の結果に基づいてレポートを生成するステップ、ユーザとの相互作用の結果に基づいて分析を実行するステップ、又は、ユーザとの相互作用の結果に基づいてトレーニングを推奨するステップのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0020】
ここで、添付の図に関連して、本開示の実施例を単なる実例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1a】自動投球のためのシステムの概略図である。
【
図1b】ボール状態感知サブシステムの概略図である。
【
図1c】ボール方向制御サブシステムの概略図である。
【
図1d】マシン位置特定・位置制御サブシステムの概略図である。
【
図2】ボール発射命令の方法を概説するフローチャートである。
【
図3】所望の軌道又はボール発射状態のユーザ入力が与えられたサブシステム通信の方法を概説するフローチャートである。
【
図4】ボール発射の閉ループ制御のためのサブシステム通信の方法を概説するフローチャートである。
【
図5】ボール発射命令を実行するためのサブシステム通信の方法を概説するフローチャートである。
【
図6】ボール状態情報を抽出することができるカメラの取り得る配置を示す図である。
【
図7】野球ボールを使用したボール位置と速度抽出の実施を示す図である。
【
図8】特徴としてステッチを含む野球ボールの仮想3Dモデルを示す図である。
【
図9】観測点を3Dモデルと照合することによりボールの向きを抽出するプロセスを示す図である。
【
図10a】3つのベルトを伴うコンベア・ベルト・ユニットを示す図である。
【
図10b】3つのベルトを伴うコンベア・ベルト・ユニットを示す図である。
【
図11a】野球ボールの任意の向きの変更の一例を示す図である。
【
図11b】野球ボールの任意の向きの変更の一例を示す図である。
【
図11c】野球ボールの任意の向きの変更の一例を示す図である。
【
図11d】野球ボールの任意の向きの変更の一例を示す図である。
【
図12】一般的にボールを再配向するために使用されるプロセスを示す図である。
【
図13】ボールとコンベアとの間の力を制御する要素を示す図である。
【
図14】様々な方向及びスピンにおけるモーションブラーによる野球ボールの外観の変化を示す図である。
【
図15】投球マシンにおけるカメラの構成を示す図である。
【
図17a】ジンバル・ガントリー・システムを示す図である。
【
図17b】ジンバル・ガントリー・システムを示す図である。
【
図17c】ジンバル・ガントリー・システムを示す図である。
【
図17d】ジンバル・ガントリー・システムを示す図である。
【
図17e】ジンバル・ガントリー・システムを示す図である。
【
図18】マシンの姿勢を制御するプロセスを示す図である。
【
図19】ボールに3Dスピン及び任意の出力速度を与えることができる具現化されたシステムを示す図である。
【
図20a】アルファ回転角が変化する3ホイールシステムを示す図である。
【
図20b】アルファ回転角が変化する3ホイールシステムを示す図である。
【
図21】マシン状態をボール状態に関連付ける理論物理モデルを示す図である。
【
図22】過去の投球から収集されたエラー・データを使用してマシン・パラメータを更新するプロセスを示す図である。
【
図23】収集されたエラー・データが与えられたマシン・パラメータ更新の数式を示す図である。
【
図24】ユーザが発射するボール軌道に関するパラメータを選択するインタフェースを示す図である。
【
図25】ユーザが再現される仮想3D空間に軌道を作成することができるインタフェースを示す図である。
【
図26a】ユーザが以前に追跡された軌道を選択して再現することができるインタフェースを示す図である。
【
図26b】ユーザが以前に追跡された軌道を選択して再現することができるインタフェースを示す図である。
【
図27】ユーザが、速度、スピン速度、スピン軸、解放位置、最終位置、及び方向を含む様々なパラメータを選択して入力できるインタフェースを示す図である。
【
図28】野球のトレーニングにおいて軌道のキュレートされたリストを示す図である。
【
図29】特定の人間によって生成され得る軌道のセットをシミュレートすることを目的とした軌道のキュレートされたリストを示す図である。
【
図30a】手動結果追跡のための例示的なインタフェースを示す図である。
【
図30b】手動結果追跡のための例示的なインタフェースを示す図である。
【
図31】結果追跡サブシステムの例示的なインタフェースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、ボールなどの物体のための、自動物体投げのための方法及びシステムを対象とする。一実施例では、システムは、ユーザからボール発射入力を受け、次に、ボール発射入力に基づいてボール又は物体を発射又は投げる。これに限定されないが、ボールの軌道、ボールの速度、ボールのスピン、向き、解放位置(高さと側面)、解放角度(水平と垂直)などのボールの発射の特性は、ボールの発射命令においてユーザが指定できる。ユーザは、以前に追跡したボールの発射を選択して再現したり、キュレートされたリスト又はアルゴリズムで生成されたリストからボールの発射を選択したり、又は、システムのインタフェースによって個々のボールの発射を提案されたりすることもできる。別の実施例では、ボール発射入力は、発射された物体がたどることをユーザが望む軌道を含み得る。
【0023】
図1aを参照すると、自動投球システムの概略図が示される。マシンは、フリスビーやホッケーパックなどの他の物体、又は軌道を持って発射できる任意の物体を発射することもできると理解される。この実施例では、システム10は、コントローラ12に接続される投球マシン11を含む。コントローラ12は、インタフェース13を介してユーザからボール発射入力を受け、次にこの入力をボール発射状態の仕様に変換し、ボール発射状態の仕様は、その後、ボール発射命令として投球マシン11に送信される。命令により、ユーザが選択又は入力したとおりに投げられる、発射される、又はピッチングされるボールの望ましい特性が可能になる。次に、投球マシン11は、命令に基づいてボールをピッチングしたり投げたりする。
【0024】
一実施例では、投球マシン11は、ボール発射サブシステム20、ボール方向制御サブシステム24、マシン位置特定・位置制御サブシステム28、ボール速度・スピン制御サブシステム22、及びプロセッサ26を含む。この実施例では、コントローラ12は、閉ループ制御・エラー補正サブシステム30、マシン状態-ボール状態マッピング・サブシステム33、ボール状態-軌道マッピング・サブシステム32、及びデータベース31を含む。システム10は、結果追跡デバイス38及びデータベース40を含む結果追跡サブシステム15を更に含むことができる。それ自体のデータベースの代わりに、結果追跡サブシステムは、データベース31を使用することができる。システム10によってボール状態感知サブシステム14も使用できる。システムのインタフェース13は、ユーザが発射すべき特定の軌道を選択できるようにする軌道選択インタフェース34を含むことができる。また、インタフェース13は、投球マシン11及び結果追跡サブシステム15からのデータを組み合わせてマシンとの相互作用の結果のデータをユーザに提供する結果追跡インタフェース36も含むことができる。
【0025】
上記のように、投球マシン11はプロセッサ26を含む。また、コントローラ12は、それ自体のプロセッサ(図示せず)も含み得る又は投球マシン11内でプロセッサ26を利用することができる。コントローラ12は、投球マシンで以前発射した際のデータ自体のデータベース31も含むことができる。
【0026】
ボール発射サブシステム20は、投球マシン11がボールを発射できるようにする構成要素と見なすことができる。ボール発射サブシステム20の一実施例は、フライホイール及びモータがボール発射に使用される実施例を提示する
図19に概略的に示される。他の実施例では、ボール発射サブシステム20は、機械的発射装置、フライホイール及びモータの変形構成、又は空気圧キヤノン・システムを含み得る。
【0027】
ボール状態感知サブシステム14は、ボールが発射される前、発射中、及び/又は発射された後、ボールの異なる状態及び/又は位置を監視するのを支援する。このサブシステムの利点は、発射されるボールの軌道制御を改善できるという点である。一実施例では、ボール状態感知サブシステム14は、閉ループ制御・エラー補正サブシステム30と通信することによってエラー補正を支援することができる。ボール状態感知サブシステム14の別の利点は、ボール又は物体の検出された発射状態をユーザに表示することができることを含む。更に、ボール状態感知システム14は、以下で説明するように、ボールがマシンの発射機構に入力される前にボールの状態を制御することを可能にするボール方向制御サブシステム24によって使用され得るフィードバックを提供することによって、ボール方向制御を自動化するのを支援する。上記の目的のために又はこれら及び他の特徴の追加を容易にするために、そのサブシステム14を投球マシン11に組み込むことは、現在の投球マシンに優る少なくとも1つの利点を本開示のシステム及び方法に与える。
【0028】
ボールの状態は、ボールの以下のパラメータ、すなわち、ボールの位置、向き、速度、及び/又は角速度の少なくとも1つを含むと見なすことができる。或いは、ボールの状態は、これに限定されないが、その軌道、加速度、スピンの大きさなどのボールの他の特徴又は特性を直接測定してそれらの特徴からその状態を推測することによって決定又は抽出することができる。
【0029】
図1bを参照すると、ボール状態感知サブシステム14の一実施例の概略図が示される。この実施例では、ボール状態感知サブシステム14は、投げられる又は発射される物体の既知の対象領域又は特徴を観測するために較正される少なくとも1つのカメラ52のセットを有する視覚システム50を含む。これが
図6に更に詳細に示される。
図1bの視覚システム50は、センサ54及び/又は測定デバイス56のセットも含み得る。ボール状態感知サブシステム14は、プロセッサ26と同じであり得るプロセッサ58を更に含み得る。この実施例では、ボール状態感知サブシステム14は、投球マシン11に組み込まれるが、投球マシン11と相互作用する独立した構成要素であってもよい。
【0030】
較正プロセス中、定規及び既知の寸法の他の物体などの測定デバイス56が、カメラ52及び撮影された画像のそれぞれの視野に配置される。これらの画像は、視覚システム50によって使用され、撮影された画像内の異なる物体の位置がマシンのローカル基準フレーム又はマシンが存在するローカル又はグローバル基準フレーム内の物体の位置とどのように相関するかを決定する。カメラ52は、ボールの画像を捕捉して、ボールの位置及び方向を決定することができる。発射されるようになっているボール又はボールが発射された後のボールの複数の画像が既知の時間間隔で撮影され、各時間間隔でのボールの位置がボールの位置を与え、一方、単位時間あたりの位置の変化を使用してボールの速度を決定できる。同様に、ボールの向きは、カメラ52からの画像内で検出されたボールの向きから決定することができ、単位時間あたりのボールの向きの変化を使用して、ボールの角速度を決定することができる。各カメラは、その視軸に垂直な状態の寸法に関する正確な情報を抽出できることが好ましいため、異なる角度に配置された複数のカメラは、3次元の位置と速度の全てを正確に抽出できる。
【0031】
好ましい実施例では、ボール状態感知システム14は、ボールが発射された後、ボールの位置、向き、速度、及び角速度を抽出する。これらの各特性は、完全な形の3次元(3D)構成要素を有する。システムは、ピッチング・マシン内に組み込まれる又はマシンに隣接する領域に配置される単一のカメラ又は複数のカメラを使用して、ビデオデータからこれらの特性を抽出することができる。
【0032】
図6は、この情報を抽出できるカメラの1つの配置を示す。
図7は、1台のカメラの視点から野球ボールを使用した抽出の実施を示し、この場合、1台のカメラが、既知の時間に複数の写真を撮り、ボールの位置を抽出し、位置の変化を使用して速度を決定する。別の実施例では、複数のカメラを使用して、より多くの寸法を通知し、ロバスト性を向上させることができる。
【0033】
ボールの向きを抽出するために、投げられるボールの3Dモデルがデータベース31から検索される。3Dモデルは、これに限定されないがボールのテクスチャの視覚的に異なる特徴及び/又はボールの形状の特徴などのボールの既知の特徴を含む。これらの特徴は、ボール上の唯一のマーキングなどの固有のものであってもよく、或いは、ボールにおいて何度も発生する特徴などの一般的なものであってもよい。1つの実施で使用される特徴の実例は、野球ボールのステッチである。
【0034】
図8は、特徴としてステッチを含む野球ボールの仮想3Dモデルを示す。ボール状態感知サブシステム14のこの実施では、分析ベース(ハリス特徴検出)又は用例ベース(機械学習)の特徴抽出アルゴリズムが、カメラ52のセットによって捕捉されたボールの画像から特徴を抽出し、仮想3Dモデルの特徴を画像の抽出された特徴と位置合わせすることにより、ボールの向きを決定する。位置合わせは、発射前とボールが発射されているときの両方で実行できる。次に、例えばブルート・フォース・マッチャーやFLANNマッチャーなどの特徴マッチング・アルゴリズムは、3Dモデルが1つ又は複数の発射ボール画像に見られるようにカメラのセットに特徴を観察させるためにどの向きを有するべきかを決定する。一実施例では、1つ又は複数のアルゴリズムは、3Dモデルの特徴のレンダリングを多くの方向で取得し、次に、レンダリングを画像と照合して、ボールが画像内でどの方向にあるかを決定する。
図9は、単一のカメラを使用して、既知の特徴(野球ボールのステッチ)を抽出することによって、ボール(野球)の方向を抽出するとともに、抽出された特徴を伴う画像とそれらの特徴のレンダリングとを様々な角度で比較した後、最適一致のレンダリングの3D方向を抽出する1つのプロセスを示す。この例では、最適一致は3Dモデルのレンダリングとして定義され、これにより、レンダリングされた画像の特徴は、抽出された画像の特徴とピクセル単位で最も高度に重なり合う。
図9は、1台のカメラを使用した方向抽出を示すが、システムが複数のカメラを含んでもよい。システムが方向情報を独立して抽出する複数のカメラを含む場合、ボール状態感知サブシステム14は、ボールの方向のよりロバスト性が高い知識又は理解を提供し得る。角速度の抽出は、
図7に示す方程式を使用して、時間の幾つかのインスタンスでボールの向きを抽出し、単位時間あたりの向きの変化を決定することを伴うだけである。
【0035】
別の実施例では、ボールの表面は、ボールの既知の形状又はボールタイプを使用して、ボールの画像から抽出することができる。次に、画像上の特徴を3D特徴としてボールの表面に投影することができる。次に、これらの3D特徴は、ボールの仮想3Dモデルの特徴と照合される。
図9に示すように、画像内の特徴と仮想3Dモデルの特徴との間の向きの変化は、画像内のボールの向きを決定するのに役立つ。
【0036】
本開示のシステムの別の実施例では、システム10は、2つのボール状態感知サブシステム14を含むことができる。一方のボール状態感知サブシステムは、投球マシン11に挿入されるボールの向きを決定し、他方のボール状態感知サブシステムは、ボールがマシン11から発射される際のボールの状態を決定する。幾つかの実施例では、1つのボール状態感知システム14のみが、いずれか又は両方の機能のために使用され得る。
【0037】
ボール状態感知システム又はサブシステム14が、投球マシン11内に組み込まれるのではなくマシンとは別個の少なくとも1つの視覚システムを使用して実装されてもよいことが理解される。レーダーシステム、モーションセンサなどの他のシステム、又は、軌道上のあるポイントでボールの状態を抽出できる能力を備えた任意のセンサシステムを視覚システムの代わりに使用することもできる。
【0038】
ボール方向制御サブシステム24に関して、
図1cに概略的に示されるように、サブシステム24は、ボールが投球マシン11に出入りするときにボールの向きを制御するのを助けることができる。ボール方向制御サブシステム24の利点は、ボールを発射するたびにユーザがボールを予想される方向に配置することは非常に時間がかかる可能性があるため、そのようなことをする必要なく、ボールの方向の制御を自動化できるという点である。ボールの向きを制御することにより、投球マシンがより正確になり、ボールの軌道を改善された方法で制御することができる。
【0039】
図1cを参照すると、ボール方向制御サブシステム24の一実施例の概略図が示される。この実施例では、サブシステム24は、少なくとも2つのコンベア・ベルトを含むコンベア・ベルト・ユニット60、モータ制御ユニット62、及び投球マシン11のプロセッサ26であってもよいプロセッサ64を含む。別の実施例では、ボール状態感知システム14は、ボール方向制御サブシステム24の一部であってもよく、又は、ボール方向制御サブシステム24と一体化されてもよい。一実施例では、ボール方向制御サブシステム24は、ボールの向きをプログラムで制御し、ボール発射サブシステム20へのボール送達速度をプログラムで制御する機能を与える。
【0040】
システム10のこれらのパラメータを制御することは、ボールの特定の向きがその空気力学的特性に影響を及ぼすとともにボールがボール発射サブシステム20に入るときのボールの入力方向及び速度に影響を及ぼし、それにより、投球マシン11がボールとどのように相互作用するのかに影響を与えるため、軌道再現に有益である。投球マシン11のこれらの態様を制御できないと、ランダムエラーが発生し、予測不可能性が生じ、最終的に軌道の制御性が制限される可能性がある。様々な方向及びスピン軸でのモーションブラー(動きボケ)に起因する野球ボールの外観を示す
図11に例示されるように、軌道全体にわたるボールの外観も、入力方向の影響を大きく受ける。
【0041】
ボール方向制御サブシステム24を用いて、本開示のシステムは、ボールをその初期方向とは無関係に所望の方向に方向付けることができ、正確な配向及び位置決めを可能にする。自動配向の重要性は、マシンとボールとの間の制御可能な相互作用と、マシンを離れた時点での制御可能なボールの軌道の両方において、投球マシンの望ましい再現性に関連している。自動化の他の重要性は、ボールを投球マシン11に繰り返し送達することができる容易さ及び速度に関する。
【0042】
ボール制御方向サブシステム24の別の概略的な実施例は、
図10a及び
図10bに示される。図示のように、システム24はマルチコンベア・システム60を含み、このマルチコンベア・システム60は、本実施例では、3つのコンベア・ベルト及び関連するマウント(図示せず)を含む。任意の数のベルト及び対応するモータ又はモータ制御ユニットが企図されることが理解される。ボールの任意の3次元方向を可能にするために、3つ未満のベルトモータ・システムを回動機構と組み合わせて使用することができる。他のベルトモータ・システムを使用して、ボールの任意の3次元方向を達成することもできることが理解される。
【0043】
動作中、システム又は投球マシン11は、ホッパ、バスケット、又は他の何らかの容器などの供給源から、不特定の方向で1つ以上のボールを受け入れる又は受ける。供給源は、一度に1つのボールを能動的に通過させてもよく、又は、制御されない態様でボールが受動的に通過できるようにしてもよい。方向制御サブシステム24においてボールを前方に動かすために、全て又は幾つかのコンベア・ベルト60が前方に動き、摩擦によってボールを引き込む。ボールがマルチコンベア・ベルト・ユニット60内に入ると、ボール状態感知システム14はボールの向きを抽出する。次に、コンベア・ベルト60を相互に動かすことによって、ボールの向きを、プロセッサ64による決定に基づいて変更又は操作することができる。サブシステム24は、一般に、ボールの向きを検出し、ターゲット又は所望の方向を受け入れる又は受けるとともに、現在の方向と所望の方向との間の方向の必要な変化を決定することによってボールを再配向する。次に、プロセッサ又は処理ユニット64は、コンベアの動きについて必要な向きの変化を与えることができる組み合わせを決定し、コンベアの動きを与えるようにモータ制御ユニット62に命令を送る。システムは、必要に応じて、ボール状態感知システム14を使用して、ボールが正しく方向付けられたかどうかをチェックすることができる。
図12は、ボールを再配向するために一般的に使用される1つのプロセスを示す。
図10bは、方向制御システムのための座標系の実例を示す。
【0044】
図12に示されるように、所望の方向は、プロセッサ64によって受けられ又は決定される(1200)。この所望の方向は、ボール発射状態の仕様に基づいてもよい。次に、システムは、供給源から受けたボールの現在の向きを決定する(1202)。次に、システムは、ボールを現在の方向から所望の方向に向けるために必要なコンベアの動きを決定する(1204)。特定の例では、ターゲット又は所望の方向は、四元数、オイラー角のセット、又は方向を記述する別の方法としてユーザによって入力される。ターゲット又は所望の方向は、軌道選択インタフェース34を介して以前に軌道が追跡されたボールの方向を再現することによって入力することもできる。
【0045】
次に、コンベアの動きは、ボールが発射される前に所望の向きになるようにボールを現在の向きから所望の向きに移動又は方向付けるべく信号としてボール方向サブシステム24に送信される(1206)。
【0046】
コンベアの動きがボール上で伝達された後、システムは、ボールの更新された方向をチェックして(1208)、ボールの方向が所望の方向に十分に近いかどうかを確認する(1210)ことができる。そうでない場合、ボールを再び移動させてボールを所望の方向に近づけることができるように(1204)、他のコンベアの動きがプロセッサによって決定され得る。ボールが所望の方向に十分に近い場合、ボールは、ボール発射サブシステム20によって送達又は発射され得る。
【0047】
実例が
図11a~11dに示され、野球ボールの所望の方向が
図11dに示されると想定される。入力の方向又は現在の方向が
図11aに示される場合、プロセッサ64は、野球ボールを現在の方向から所望の方向に再配向するために必要なコンベアの動きを決定する。例えば、プロセッサ64では、野球のボールが発射前に所望の方向に向けられるように、コンベア・システム64が野球ボールをX軸を中心に回転させ(
図11b)、その後、野球ボールを再びX軸を中心に回転させる(
図11d)前に、野球ボールをZ軸を中心にで回転させ(
図11c)る必要があると決定し得る。
【0048】
図11a~
図11dのシステムの場合、一実例では、コンベア1(1)を静止させ、コンベア2(2)及び3(3)を反対方向に動かすことによって、Z軸周りの回転を実行することができる。X軸周りの回転は、コンベア1(1)を一方向に動かし、コンベア2(2)及び3(3)を一緒に反対方向に動かすことによって実行され得る。X-Z-Xコンベアの動きのこの例は、単なる例であり、ボール方向サブシステム24がボールを再配向することができる唯一の方法ではない。また、野球ボールは、このシステムを使用して再配向され得る物体の実例として使用されているにすぎない。
【0049】
別の実施例では、ボール方向システムは、コンベア・ベルトではなく、吸引カップのセットを含み得る。上記と同じコンベアの動きを与えるために、X軸(ボールの横)上の1つの吸引カップがボールをつかんでX方向に回転させ、Z軸(ボールの下)上の別の吸引カップがボールをつかんでZ方向に回転させる。次に、ボール状態感知サブシステム14及びプロセッサ64は、上記と同じ方法を使用して、ボールをその初期の任意の方向から任意の所望の方向に移動させるために必要なX及びZ回転の組み合わせを決定することができる。これには、回転におけるX-Z-Xの組み合わせ又は回転におけるZ-X-Zの組み合わせを含むことができる。最後に、第3の(空気圧又は電気)線形アクチュエータは、ボールを(ボールの後ろから)つかみ、制御された速度でボール発射サブシステム20へとボールを前方に押し込むことができる。
【0050】
コンベアの正確な位置決め制御は、ボールの正確な再配向をもたらす。この実施例において、これは、標準的なモータ制御ユニット62で達成することができる。より具体的には、ステッピング・モータ・ドライバを備えたステッピング・モータを使用して、コンベア位置を高精度で制御することができる。
【0051】
ボール送達速度の制御に従って、ボールがボール発射マシンに送達される速度の制御は、以下に説明するように実施され得る。全てのコンベアを同時に動かすことにより、ボールを既知の速度でマシン内において並進的に前後に動かすことができる。
図10aに示される実施例では、全てのコンベアが等しい速度で動かされる場合、ボールは、コンベアの速度と等しい速度で前進する。この方法により、ボールをマシンに挿入する速度を制御することができる。コンベアの正確な速度制御は、上記のようにモータ制御ユニット62を使用して達成することができる。
【0052】
更に、ボールとコンベアとを接続することで、システム全体の精度が向上する。ボール方向制御サブシステム24は、コンベア60とボールとの間の接触力を制御して、コンベアとボールとの間の滑りを防止又は低減するためのテンショナ65及び支持体を更に含んでもよく、これは精度に影響を与える。理解されるように、ボールとコンベアとの間の力は、投球マシンへのボールの送達に影響を与える。ボールとコンベアとの間の力を制御する要素が
図13に示される。
図10a及び10bに示されるホイールの相対位置は、ボールへのコンベアの力とコンベア自体の張力の両方を決定する。更なる張力のために、他のテンショナをコンベア・システム60に追加することができる。図示の支持体の位置は、コンベア・システムとボールとの間の力にも影響を与える。
【0053】
ボール方向制御サブシステム24は、上記のようにベルト供給システムによって又はロボットアーム、人間による挿入、機械的工具、又は別の装置によって実装され得る。本実施例は、本開示又はその適用又は使用を何らかの方法で制限することを意図するものではない。説明されている方法は、潜在的な用途又は使用を制限することも意図されていない。
【0054】
図1dに概略的に示されるように、マシン位置特定・位置制御サブシステム28に関して、ボール方向制御システム24は、ボールの初期方向を制御する装置をもたらすが、発射時のボールの全体状態は、その位置、方向、速度、及び角速度の組み合わせを含む。発射時の投球マシン11内のボールの局所位置は機械的に制御されるので(ボール方向制御サブシステム24に関して上で説明したように)、その環境内のマシンの位置がその環境内のボールの発射位置を決定する。更に、マシン11に対するボールの局所的な向きは、ボール方向制御システム24によって制御されるので、環境に対するボールの向きは、マシンの向きに依存する。
【0055】
ここで、マシンに対するボールの姿勢を制御し、環境に対するマシンの姿勢を制御することによって、環境に対するボールの発射姿勢を制御する方法について説明する。ここでの姿勢という用語は、物体の位置と向きの両方の組み合わせを指す。
【0056】
一実施例では、マシン位置特定・位置決め制御サブシステム28は、位置感知デバイス70、環境の空間モデル72、プロセッサ74、又はプロセッサ30、アクチュエータ76、及びアクチュエータ制御ユニット78を含む。システム28は、特徴を示すためのマーカー80含むこともできる。マシン位置特定・位置決め制御サブシステム28は、投球マシン11の位置を制御することによって、環境内のボール位置を制御する機能を果たすことができる。
【0057】
最初に、位置感知デバイス70又はセンサを投球マシン11に配置して、環境又は環境特徴に対するピッチング・マシン(又はセンサ自体)の相対位置を検出することができる。これらのセンサは、ピッチング・マシンに近接する特徴又は構造(支柱やツリーなど)までの距離を読み取る測距デバイス及び/又はイメージ・センサの視野に対する特徴の位置を検出するイメージ・センサを含むことができるが、これらに限定されない。マーカー80は、特徴を示す又は特徴として作用するために環境内に配置することができ、又は自然環境の特徴を使用することができる。次に、プロセッサ74は、環境の空間モデル72を活用して、空間モデルを位置センサ・データと比較し、環境内の投球マシンの位置を決定することができる。
【0058】
位置特定の別の方法では、位置センサ70を既知の環境特徴の位置に配置することができ、位置センサ70は投球マシン11の特徴を検出することができる。次に、プロセッサ74は、これらの位置読み取り値を環境の空間モデル72と比較してマシンの姿勢を決定できる。別の代替方法では、全地球測位(GPS)データ及びGPS、コンパス、及び加速度計データなどのマシン上の他のセンサ・データを、プロセッサ74によって環境の空間モデル72と組み合わせて、その環境に対するマシンの姿勢を決定することができる。
【0059】
特定のピッチング・マシンの実施例では、位置感知デバイス70は、マシン11上の既知の位置に配置されるカメラとして具体化される。
図15は、投球マシン上のカメラの構成を表す。エイプリル・タグとして具体化されたマーカー80は、ホームベース、一塁、三塁などの既知の環境機能に配置され、投球マシンはピッチャーのマウンドに配置される。マーカー80の配置の一実例は、
図16a及び
図16bに示される。これらのマーカーがカメラ又は測位感知装置70の視界にあるとき、カメラは、ピッチング・マシンとマーカーとの間の相対位置に関する情報を取得する。一実施例では、立体視は、カメラからマーカーまでの距離を決定するために使用され、カメラの画像内のマーカーの位置は、カメラの視線に垂直な平面に沿ったマーカーの位置を決定するために使用される。環境の空間モデルは、環境の座標系のマーカーの既知の座標として具体化される。プロセッサは、カメラによって読み取られたマーカーの位置を空間モデルと相関させて、この観測データを最もよく表すマシンの位置を決定する。
【0060】
その環境におけるピッチング・マシンの位置及び向きの正確な測定値を取得すると、これらのパラメータは、アクチュエータ76及びアクチュエータ制御ユニット78などによって物理的に制御され得る。マシンの位置及び向きの制御は、ユーザ(又はプレーヤー)に向かうボールの発射条件を更に制御し、ボールの軌道を更に制御できるようにする。マシンの位置及び方向を制御するために、マシン位置特定・位置方向サブシステム28は、ピッチング・マシンを並進及び回転的に動かすことができる装置をもたらす。
【0061】
図17a~
図17eは、投球マシン11の位置が1軸、2軸、又は3軸ガントリーによって制御され、マシンの向きがジンバルによって制御される、ジンバル・ガントリー・システムの一実施例を示す。これらはまた、マシン位置特定・位置決め制御サブシステム28の構成要素であり得る。本実施例では、アクチュエータ制御ユニット78と見なされ得る標準位置モータ制御ユニットは、ガントリーの位置及びジンバルの方向に影響を与える。ジンバル及びガントリーを動かす制御ユニット78は、マシン位置特定・位置決め制御サブシステム28のアクチュエータ76を含む。或いは、システムは、ロボットアームによって又は別の方法又は装置によって実装することができ、それにより、アクチュエータ76は、アクチュエータ制御ユニット78によって制御されつつ、システムを物理的に動かす。
【0062】
一般に、位置特定サブシステム28は、投球マシンの実際の姿勢を決定し、ユーザから所望の姿勢を受信する。実際の姿勢から所望の姿勢に移動するための姿勢の変化は、プロセッサによって計算される。所望の姿勢は、ユーザが入力することも、ユーザの入力によって決定することもできる。次に、ガントリー・システムのモータが必要な位置の変更を実行し、ジンバル・システムのモータが必要な向きの変更を実行する。次に、位置特定システム28は、実際の姿勢が所望の姿勢に十分に近いことをチェックする。十分に近くない場合、システムはこのプロセスを繰り返す。十分に近い場合、プロセスは完了する。
図18は、上記のプロセスの実施例を示す。
【0063】
図18に示すように、最初に、投球マシンの望ましい姿勢が決定される(170)。所望の姿勢は、ユーザからの入力に基づいて決定される。次に、投球マシンの実際の姿勢が決定される(172)。マシンを実際の姿勢から所望の姿勢に移動するために必要なジンバルとガントリーの動きが決定される(174)。次に、この動きは、信号の形などで、それぞれのジンバル・ガントリー・システムに送信される(176)。次に、マシン・ポストの動きの更新された姿勢が決定される(178)。更新された姿勢が所望の姿勢に十分に近いと見なされる場合、投球マシンの動きは完了したと見なされてもよく(180)、そうでない場合は、新たなジンバルとガントリーの動きが決定さる(174)。
【0064】
マシン位置特定・位置制御サブシステムの別の実施例では、マシンは、その環境内の既知の開始位置に対してより簡単に較正することができる。次に、位置特定システム28は、アクチュエータ制御ユニット78、アクチュエータ76、及びプロセッサ74を使用して、その既知の較正された開始位置に対して移動し、位置制御を達成することができる。超音波又は誘導近接センサなどのセンサを、環境内の既知の開始位置にマシンを較正するこの方法に更に追加することができる。これらのセンサが既知の信号を与える位置にマシンの位置を較正することにより、位置特定システム28がそれ自体を再較正して、これらのセンサからの読み取り値を使用してマシンの位置を決定できるようになる。
【0065】
ボール速度・スピン制御サブシステム22に関して、ボール方向制御システム24及びマシン位置制御システム28は、発射時のボールの位置及び方向を制御する一方で、ボールの発射速度及びスピンは、ボール速度・スピン制御サブシステム22とボール速度・スピン制御サブシステムに関連する方法とを使用して制御され得る。また、ボール速度・スピン制御サブシステムがボール発射サブシステム20の一部であってもよい。
【0066】
図19は、ボールに3Dスピンと任意の出力速度とを与えることができるシステムを示す。このシステムは、それぞれが独立した速度で回転することができる一組の、好ましくは3つのホイールを含む。各ホイールは、ボールの出口方向とホイールのスピン方向に垂直な軸を中心に回転するように設計される。この回転は、アルファ回転と呼ばれることがある。3ホイールシステムは
図20a及び
図20bに表示されており、各図はホイールの異なるアルファ回転角を持つマシンを示す。3つの独立したホイール速度は共に、トップスピンとサイドスピンだけでなく、ボールに出力速度を与える。アルファ回転の量は、ホイールの速度と連動して、ライフル・スピンとして知られる3次元のスピンをボールに与える。ボールの必要な発射条件は、この実施例のように、ホイールベースのシステムを介して、又はロボットアーム、空気圧アクチュエータなどを介して与えることができることが理解される。
【0067】
動作中、投球マシン11は、ボール速度・スピン制御サブシステム22を介して、ボールに3次元の角速度を与えるとともに、ボールがボール状態の仕様又はボール発射命令に従って発射されるときにボールに1次元の線速度を与える。上記のシステムによって制御される投球マシンの向きは、ボールの発射速度の方向を決定する。ボールの3次元配向は、上記のボール方向制御システムによって制御され、最後に、発射位置は、位置制御システム28によるマシンの位置の制御を介して制御される。したがって、ボールの発射状態の殆ど又は全ての構成要素、すなわち、位置、向き、速度、及び線速度は、本開示のシステムを使用して制御することができる。
【0068】
閉ループ制御・エラー補正サブシステム30に関して、このサブシステム30は、マシン状態-ボール状態マッピング・サブシステム33を使用して、発射時のボールの状態を更に制御するのを支援するために使用され得る。サブシステム30は、これに限定されないが、マシンの摩耗、外部環境要因、及び/又はボールとマシンとの相互作用の不完全なモデルなどの要因を考慮した、ボール発射状態のエラー補正の実行を支援し得る。これらの各要因は、ボールの発射に関して確率的又は系統的なエラーに寄与する場合がある。
【0069】
一実施例では、エラー補正サブシステム30の使用は、ボール状態感知サブシステム14が投球マシン11と一体化されることを必要とする。この開示では、マシンを評価するために投球マシンと関連してボール追跡技術が使用されてきたが、ボール状態感知サブシステム14は、一態様では、エラー補正のために使用される。エラー補正及び閉ループ制御のために、究極的には正確な軌道制御の目的で、ボール状態感知を投球マシンに組み込む方法がこれにより議論される。
【0070】
特定のボール状態を付与又は生成するためにマシンの状態を設定できる方法の初期モデルが最初に定式化される。このモデルは、マシン状態-ボール状態マッピング・サブシステム33の初期状態を構成する。このモデルのパラメータは、実験データ、理論物理学モデル、又はそれらの組み合わせによって通知することができる。一実施例では、理論物理学モデルを構築して、投球マシンの状態がどのようにして出力ボール状態をもたらすか又は出力ボール状態に影響を与えるかを決定する。一実施例では、初期モデルの幾つかのパラメータは可変であり、マシンの寿命を通して、閉ループ制御システム30は、統計的回帰法又は勾配降下法などのいずれかによってエラーを最小化又は低減するためにこれらのパラメータを更新する。このプロセスは、他の方法で具体化することができる。マシン状態-ボール状態マッピング・サブシステム33は、所望のボール状態が与えられた場合のマシン状態の制御と、マシン状態が与えられた場合のボール状態の予測との両方を可能にする双方向モデルであってもよい。マシン状態-ボール状態マッピング・サブシステム33が単方向であることも可能である。
【0071】
次に、マシンに組み込まれる又はマシンと関連して使用されるボール状態感知システム14は、このモデルのエラーを検出するために使用される。ボールが発射されると、モデルは予想される出力ボール状態を決定し、ボール状態サブシステム14は実際の出力ボール状態を決定し、エラーは実際の出力ボール状態と予想される出力ボール状態との差として定義される。次に、閉ループ制御・エラー補正サブシステム30は、このエラーを最小化又は低減する目的で、初期モデルのパラメータを変更する。
【0072】
システムの以下の例示的な実施例では、本開示は、野球ボールに発射を与える3ホイール・マシン・野球ピッチング・マシンを対象とする。
【0073】
理論モデルは、ホイール速度及びホイール角度をボールの出力速度及びスピンに関連付けるために開発される。このようなモデルの実例が
図21に示される。
【0074】
マシンが稼働していて、予想される出力ボールの状態及び実際の出力ボールの状態のデータが記録されると、エラーがメモリに記憶される。次いで、操作全体を通して、モデルのパラメータは、エラーを最小化又は削減する方法でデータに再適合される。この回帰プロセスの使用は、現在の投球マシンに優る利点をこのシステムに与える。
【0075】
一実施例では、これは最小二乗回帰法によって達成できる。或いは、これは、データでフィードフォワード・ニューラル・ネットワークをトレーニングし、勾配降下法又は他の最適化手法によってニューラル・ネットワークのパラメータを連続更新することによって決定することもできる。
図22は、過去の投球から収集されたエラー・データを使用してマシン・パラメータを更新するプロセスを示す。
図23は、プロセスの数式を示す。
【0076】
図22のフローチャートに関して、最初に、マシン状態-ボール状態マッピング・モデル33内の調整可能なパラメータのセットPが選択される(210)。次に、発射の投球の予想される結果と実際の結果とを測定する(214)ことなどによって、発射されるボールからデータが収集される(212)。次に、エラーEを計算でき、このエラーは、実際の出力(実際の投球のボール状態)と予想される出力(投球の所望のボール状態)との間の差と見なすことができる。エラーの勾配がパラメータに関して決定される(216)。これは、dE/dPと見なされてもよい。最後に、パラメータPは、エラーの勾配でパラメータを処理することによって更新される。例えば、b(dE/dP)の値をパラメータPから減算できる。ここで、bは任意の定数である。
【0077】
ボール状態-軌道サブシステム32は、出力ボール状態及び結果として生じる軌道をマッピングする機能を与える。この機能の利点の1つは、軌道制御を改善することである。
【0078】
ボール状態-軌道サブシステム32によって生成されたボール状態から軌道へのマッピングは、その状態が与えられたボールの軌道を予測する、その軌道が与えられたボールの状態のインスタンスを予測する、又は、それらの任意の組み合わせを行なうことができる。このマッピングは、ボールの動きの空力モデル、ニューラル・ネットワーク、又はその他の方法の形をとることができ、物理モデルを使用して理論的に決定でき、ニューラル・ネットワークの場合と同様に、ボールの動きの一連の観測に適合させることができ、或いは、これらの幾つかの組み合わせを成すことができる。一実施例では、ボールの状態を軌道に関連付けるモデルは、ボールの動きの多くの観測に適している。一実施例におけるマッピングは、ボールの状態を入力として受け入れてボールの軌道を出力する又はボールの軌道を入力として受け取ってボールの発射状態を出力するニューラル・ネットワークの形式をとる。ボール状態-軌道サブシステム32によって生成されるボール状態から軌道へのマッピングは、双方向モデルであってもよい。このサブシステムは、ボールの状態と環境パラメータとの組み合わせが与えられた場合に軌道を予測することができる。また、このサブシステムは、軌道と、ボール状態と環境パラメータとの任意の組み合わせとが与えられた場合に、ボール状態を予測することができる。ボール状態-軌道マッピング・サブシステム32が単方向であることも可能である。
【0079】
一実施例では、ボールの状態をその軌道に関連付けるための異なるモデルが、使用されている全ての異なるタイプのボールについて学習される。このマッピングはマシンの状態に依存しないため、マシンの摩耗やその他の要因にも依存せず、時間の経過とともによりロバスト性が高くなり得る。この開示の1つの利点は、モデルがボールタイプごとに一度学習され、再学習されることはめったにないことである。
【0080】
軌道・ボール発射選択インタフェース34に関して、インタフェースは、ユーザが投球マシンから発射されるボールに関して所望の軌道を選択できるようにする。このインタフェースは、ユーザが、ボールの発射条件、発射後にボールがたどる経路、ボールが発射経路をたどるときのボールの外観など、発射されるボールの所望の構成要素又は特性を指定する方法を容易にする。本明細書で使用される場合、軌道という用語は、ボールが発射後にたどる経路と、ボールが発射経路をたどるときのボールの外観との任意の組み合わせを指す。このインタフェースを実装するための幾つかの方法について説明する。
【0081】
一実施例では、ボール発射に対する所望の特性に関してユーザから入力を受け取った後、インタフェース34は、再現されるべき軌道を表わす仮想3D空間に軌道を生成する。また、インタフェース34は、データベースに記憶されているものなど、以前に追跡された軌道を選択することによって仮想軌道を生成することができる。このデータベースは、過去に追跡された軌道又はマシンが再現できるシミュレートされた軌道を含む外部データベースとして具体化することができる。その後、必要に応じて、これらをユーザに表示できる。インタフェース34のこれらの実例は、開示、又はその潜在的な用途又は使用を何らかの方法で制限することを意図するものではない。これらの含まれているインタフェースにより、ユーザは、ボールの出力状態の制御を選択したり、出力経路のパラメータを選択したり、以前に再現するために追跡された軌道を選択したり、任意のボールタイプのそれらの組み合わせを選択したりできる。
【0082】
別の実施例では、軌道選択インタフェース34は、制御すべき軌道パラメータを選択する方法を実施又は実行する。この実施例は、ユーザが理解できる方法で軌道をパラメータ化し、選択のためにこれらのパラメータをユーザに提示することを含む。
【0083】
一実施例では、これらのパラメータは、1つ以上のリストで又は別々の段階で次々に選択することによって、ユーザに提示することができる。
図24は、軌道を記述するパラメータに、ボールが経路を指定するために通過すべき3つのポイントと、ボールが移動するときの外観を指定するために開始すべき方向とが含まれるインタフェースを示す。一実施例では、3つのポイントは、軌道の始点、軌道の終点、及び始点と終点との間の軌道経路に沿った点を含み得る。任意の数のポイントを使用できることが理解される。軌道を完全に指定するのに十分なデータが提供されていない場合は、仕様に適合する幾つかの軌道の1つを使用できる。
【0084】
過度の入力制約が与えられる場合には、仕様を満たす軌道がない場合がある。この場合、特定のボールタイプに対して軌道が無効であることをユーザに通知するか、同様の仕様のより実現可能な軌道を使用することができる。この例では、ユーザは、3つのポイント全ての3次元座標と、最初のボールの向きのロール、ピッチ、ヨーとを指定する。次いで、計画された軌道は、ユーザが確認できるように、発射前にユーザに表示される。
【0085】
出力速度やスピンなど、ボール発射の任意のパラメータ、発射後の特定の時点での位置など、経路の任意のパラメータ、或いは、ボールがその経路をたどるときのボールの視覚的特徴の向きなど、その外観の任意のパラメータは、所望の投球の仕様の一部として選択できるパラメータを構成することができる。
図27は、ユーザが生成するボール発射条件の様々なパラメータを選択できるインタフェースの実例も示す。この例では、これらのパラメータは、速度、スピン速度、スピン軸、解放位置、最終位置、ボール方向、解放角度(ロールに限定されることなく、ピッチ及びヨー)を含むが、これらに限定されない。インタフェースは、発射前にユーザに軌道のいかなる態様も表示する必要はないが、本実施例では、経路及び外観は、ユーザに独立して表示される。軌道全体をユーザに表示して、ボールが軌道を移動するときのボールのアニメーションで確認することもできる。
【0086】
軌道選択インタフェース34の別の実施例では、ユーザは、投球マシンによって発射される軌道を選択する前に、仮想3D空間内の軌道をシミュレートする機能を提供される。この実例では、ユーザは、タッチスクリーン、スタイラス、マウス、タッチパッドなどを介して、3D入力ボックス内でボールがたどる所望の経路を描くことができる。使い易さのために、3D入力へ複数の2Dウィンドウを実装することもできる。また、軌道選択インタフェース34は、ボールが指定された経路をたどるときにボールの所望の外観を視覚的に制御するための機能をユーザに提供する。これは、ユーザがボールの入力方向を移動して、結果のボールの外観を表示できるようにすることで実現できる。この実施例の軌道選択インタフェース34の概略図が
図25に示される。
【0087】
他の実施例では、軌道選択インタフェース34は、再現されるべき以前に追跡された軌道、又はボール発射を選択するための機能をユーザに提供することができる。この実施例では、インタフェース34は、以前に追跡されたボールの軌道をユーザに表示する。これらはデータベースに記憶されてもよい。一例では、ユーザは、データベース全体を見て、ボールを発射するための過去の軌道を選択するだけで済む。また、インタフェースは、ユーザが軌道の様々なパラメータを選択できるようにしてもよく、それにより、インタフェースは、ユーザ選択に適切な一致をデータベースで検索する。次に、ユーザは、それらの検索と一致する軌跡のサブセットから選択するように促される。検索パラメータの例としては、軌道の初期位置、中間位置、又は最終位置、軌道を作成した人、組織、又はマシン、軌道が追跡された日時、任意のポイントでの軌道の速度、角速度、又は外観が挙げられるが、これらに限定されない。この実例では、ユーザは、発射する単一の軌道を選択するか、任意の順序で発射する軌道のセットを選択するか、ランダムな軌道を発射できる軌道のセットを選択することができる。
図26aは、ユーザが以前に追跡した軌道を選択して再現できるインタフェースを示す。
図26bは、ユーザが追跡された軌道のデータベースを再現のためにフィルタリングできるようにするインタフェースを示す。
【0088】
また、軌道・ボール発射インタフェースは、ユーザに、キュレートされた軌道のセットから1つ以上の軌道を選択する能力を提供することができる。これらのキュレートされた軌道のセットは、人間(対戦相手のアスリートなど)によって生成され得る軌道のセットをシミュレートすること又は発射されたボール又は物体と相互作用できるユーザの特定の能力の改善を目的とすることを含むが、これらに限定されない目的のために、手動又はアルゴリズムで生成され得る。
図28は、野球のトレーニングにおいて、軌道のキュレートされたリストを示す概略スクリーン・ショットである。この実例の軌道は、レクリエーション、運動トレーニング、又はその他の目的のためにキュレートすることができる。
図29は、野球トレーニングの特定の場面において特定の人間により生成され得る軌道のセットをシミュレートすることを目的とした、キュレートされた軌道のリストを示す概略スクリーン・ショットである。
【0089】
アルゴリズムによって生成されたリストは、既知の条件(つまり、既知のゲーム条件、既知の対戦相手、又は他の条件)下で人間が生成したシミュレートされたピッチ又は過去の追跡ピッチを集計して、どれが将来投げられる可能性が高いかをシミュレートすることで実現できる。アルゴリズムによって生成されたリストは、軌道の一連の条件に一致するシミュレートされたピッチ又は過去に追跡されたピッチを集計することによっても実現できる。一実例では、野球の分野では、そのようなアルゴリズムは、特定の打者、特定のピッチカウント、又は他の条件などの特定のゲーム条件で投球のセットを集計することによって、人間のピッチャーをシミュレートする。野球の分野における別の実例では、そのようなアルゴリズムは、特定の投球タイプ(速球、カーブボールなど)、ストライクゾーンの周囲の特定の場所、特定の解放位置、又は他の軌道条件或いはそれらの組み合わせなど、打者が改善したい条件に一致する投球を集計することによって、打者の能力の特定の改善を対象とする。
【0090】
結果追跡サブシステム15は、システムによって生成された軌道又は発射されたボールとの相互作用の結果を追跡する能力をユーザに提供する。サブシステム15は、1つ以上の発射されたボールとユーザとの相互作用の結果に基づいてレポートを生成すること、1つ以上の発射されたボールとユーザとの相互作用の結果に基づいて分析を生成すること、1つ以上の発射されたボールとのユーザ相互作用の結果に基づいてトレーニングを推奨することのうちの少なくとも1つを実行することができる。
【0091】
これらの相互作用又は結果は、手動で、又は外部の自動測定システムを使用して追跡できる。その後、結果をデータベースに記憶して、結果の集計と分析とを行うことができる。結果追跡と、システム10によって生成される制御された軌道相互作用との統合は、投球マシンを使用する経験の改善を構成する。ユーザと生成された軌道(又は発射されたボール)との間の相互作用は、結果追跡デバイス38によって追跡され、結果追跡サブシステム15のデータベース40に記憶される。結果追跡デバイスは、軌道又は発射されたボールと相互作用するように準備しているとき、ボールとの相互作用中、及びボールとの相互作用後に、生成された軌道又は発射されたボールとユーザとの相互作用として、ユーザのバイオメカニクスなどを測定する任意の感知デバイスとして具現化され得る。また、結果追跡デバイスは、ユーザとボールとの相互作用の結果が何であったか(すなわち、ユーザがボールを打ったか逃したか、そしてボールがその後どこに行ったか)を測定する感知デバイスとして具現化することもできる。最後に、結果追跡デバイスは、軌道とユーザとの相互作用の結果に関する情報を人間が入力できるようにするインタフェースとして具現化され得る。結果追跡システム15は、インタフェース13内に組み込むことができ、又はこのインタフェースから独立させることができる。結果追跡サブシステムの一実施例では、インタフェース13は、軌道がマシンから生成された後、ボールの相互作用の結果を入力するように人間に促す。
図30a及び
図30bは、この実施例の概略のスクリーン・ショットを与える。
図30aは、人間がインタフェースの「発射」ボタンを押して、選択された軌道又は発射されたボールを生成するようにマシンに促すことができることを示し、それから、その後、
図30bに概略的に示されているポップアップ画面は、ボールがユーザによって打たれた、逃された、ファウルされた、又はスイングされなかったかどうかを入力するように人間に促す。この例は、野球トレーニングの特定の場面を示している。この例では、結果追跡サブシステム15はインタフェース13内にあるが、センサなどの自動結果追跡デバイスは、人間が結果を入力する必要をなくし、それによって人間による入力方法の必要性を取り除く。
【0092】
また、結果追跡サブシステム15は、マシンの使用及び既知のボール軌道との相互作用に関する分析をユーザに提供することによってシステムがユーザの経験を改善できるようにする。結果追跡インタフェース36は、結果追跡サブシステム15からの情報を利用して、マシンによって生成された軌道とユーザとの相互作用に関連するユーザ情報を示す。一実施例では、結果追跡インタフェース36は、ユーザがマシンを使用するときに軌道とユーザとの相互作用に関するユーザ統計をリアルタイムで示す。
図31は、野球のトレーニングにおけるそのインタフェースの実例を示し、この場合、ユーザには、生成された軌道の数(投球数)、バットと接触した軌道の数、ユーザが逃した軌道の数、並びに、より多くの情報が示される。この実例は、ユーザに、ストライクゾーンの様々な場所での投球に対する打率と様々な投球タイプに対する打率も示す。このインタフェースは、マシンを使用した後に生成された軌道との相互作用に関する情報についてユーザに表示するレポートを生成することもできる。
【0093】
結果追跡サブシステム15は、他のレビュー又は処理のための分析データ又は他の情報のセットを生成するために、ボール発射の一部又は全てを追跡する機能を提供し得る。一実施例では、サブシステム15は、選択されたボール発射軌道に対してバッター・ゲームプレイの結果(ヒット、ファウル、ボール)を追跡することができる。このサブシステムの他の実施例は、人間のバイオメカニクス(軌道相互作用の前、最中、及び後)、物体の物理的な相互作用(例えば、バットボールの相互作用の追跡)、及び/又はゲームプレイの結果などの他の基準を追跡することを含み得るが、これらに限定されない。結果追跡サブシステムは、手動又は自動のセンシング技術について任意の組み合わせを使用できる。この情報は、その後、ユーザ・データベースに記憶される。
【0094】
図3を参照すると、ユーザ入力が与えられた場合のサブシステム通信の方法のフローチャートが与えられる。一実施例では、ユーザは、軌道選択インタフェース34と相互作用して、所望の軌道又はボール発射状態のパラメータ又は特性を入力する。
図3には、ユーザが所望のボール発射出力を選択、入力、及び/又は決定し得る方法の2つの実例が含まれる。両方の例示的な方法は、軌道選択インタフェース34を利用し、これにより、ユーザは、ボールが投球マシン11から投げられるときにボール発射の所望の特徴を指定することができる。一実例では、これは、解放後にボールの経路を選択すること、ボールの経路全体にわたってボールの外観を選択すること、上記で概説したボールの発射条件を選択することのうちの少なくとも1つを含み得る。これらのパラメータ又は特性をインタフェース34から直接選択する又はデータベース軌道を選択して上記で開示されたように再現することができる。
【0095】
1つの方法(
図3、実例Aに見られる)では、ユーザは、システム10によって受信される軌道選択インタフェース34を介して軌道仕様を提出する。次に、システムは、ボール状態-軌道マッピング・サブシステム32を介して軌道仕様を(プロセッサ26又はコントローラ(図示せず)内のプロセッサのいずれかを介して)処理し、ボール発射状態仕様を決定又は生成して、発射されたボールを、ユーザによって入力又は選択された所望の仕様に従わせる。次に、これらのボール発射状態の仕様は、マシン状態-ボール状態マッピング・サブシステムにより送信され、投球マシン11に、必要なボール発射を生成するようにそれ自体を構成する方法を通知する。次に、構成され方向付けられたボールは、投球マシン(又はボール発射サブシステム)によって発射される。或いは、別の方法(
図3、実例Bに見られる)では、ユーザは、ボール発射状態仕様を軌道選択インタフェース34に直接入力し、次に、これらのボール発射状態仕様は、マシン状態-ボール状態マッピング・サブシステムを介して投球マシン11に送信される。
【0096】
図2を参照すると、ボールを発射する方法の概要を示すフローチャートが示される。
図4は、本実施例内におけるその方法のサブシステム通信を示す。軌道選択インタフェース34を介するなど、ユーザからボール状態仕様、軌道仕様、又は入力を受け取った(300)後、その仕様は、コントローラ12によってボール発射命令(マシンのターゲット状態を含む)へと処理される(302)。次に、これらのボール発射命令は、ボール状態仕様に基づいてボールを発射する準備をするために、コントローラ12を介して装置の様々なサブシステムに送信される(304)。
【0097】
次に、投げられる予定のボールは、好ましくは軌道情報を含むボール発射命令に従ってシステムにより操作される(306)。例えば、ボール方向制御サブシステム24は、ボール発射命令を受信し、次いで、供給源からのボールを操作して、上記に開示されたような所望の方向にボールを方向付けることができる。また、マシン位置特定・位置制御サブシステムは、ボール発射命令を受け取り、ボール発射命令に基づいてマシンを再配向することができる。また、ボール速度・スピン制御サブシステム22は、ボールが発射されるときにボールに必要な速度及びスピンを理解するためのボール発射命令を受けることができる。
【0098】
次に、ボールは、ボール速度・スピン制御サブシステム22の支援を受けて、ボール発射サブシステムを介して発射される(308)。
【0099】
必要に応じて、システムにエラー補正を与えるため又は将来の軌道選択に向けて軌道をデータベースに記憶するために、上記のように、ボール軌道及び他の発射後基準を監視することができる(310)。更に、他の結果ベースの基準がシステムに記憶されて(312)結果追跡インタフェース36を介してユーザに表示され得る。
【0100】
図5は、ボールの発射を実行する別の方法を示し、ボールの発射は、コントローラが受けたマシン状態の仕様に基づく。投球マシン11は、ボール発射命令を受け、所望の仕様のマシン状態を生成する。ボール状態の仕様又はユーザ入力を受けた後、システムはボールの状態、又はボールの発射、1つ以上の仕様を処理して、ボール発射命令と見なされ得る投球マシンに送信するための信号を生成する。
【0101】
一実施例では、ボール発射制御システムは、所望の発射条件を与えるために必要なマシン・パラメータを決定する閉ループ制御・エラー補正システム30を含む。ボール状態仕様に従ってボールを発射できるようにするためのマシン・パラメータを決定した後、これらのパラメータは、ボール発射命令のセットを介してプロセッサ26に送信される。
【0102】
ボールがマシンによって発射された後、ボール状態感知サブシステム14は、実際の出力を測定し(ボール発射)、発生する可能性のあるエラーを修正するためにそれ自体を更新することができる。
【0103】
次に、
図4に示されるように、マシンの物理的構成要素は、閉ループ制御システム30によって指定される必要なマシン・パラメータ又はボール発射命令を実現する。動作中、ピッチング・マシン11は、位置特定・位置決めシステム28を使用して、物理的に移動し、それ自体を必要な又は望ましい態様で方向付ける。ピッチング位置に方向付けした後、ピッチング・マシン又はシステムは、ボールを受け取り、それによって、ボール方向制御システム24は、ボールを所望の向きに再配向する。次に、ボール速度・スピン制御システム22は、ボールが発射されるときに、必要な速度及びスピンをボールに与える。
【0104】
上で概説したように、ボール状態感知システム14は、それが二重の機能を有し得るようにピッチング・マシンによって受けられるボールの向きを検出及び制御するために使用されてもよい。また、上で概説したように、ボール状態感知システム14は、発射時にボールの状態を決定して、閉ループ制御システム30に通知することもできる。
【0105】
これらのサブシステムの提示された構成は、説明されたシステムを具体化することができる唯一の方法を構成する。この例は、そのようなシステムの潜在的な実施例を制限することを意図するものではなく、説明された構成要素の可能な使用又は用途のいずれかを制限することを意図するものでもない。各構成要素には、上記のシステムで使用されているものとは独立した用途がある場合がある。更に、投球システム全体は、上記の構成要素のサブセット又は再配置を使用して実施することができる。
【0106】
本開示を好ましい実施例及びその特定の実例を参照して本明細書に例示及び説明されてきたが、他の実施例及び実例が同様の機能を実行し、及び/又は同様の結果を達成し得ることは当業者には容易に明らかである。その同等の実施例及び実例は全て、本開示の思想及び範囲内にある。
【0107】
前述の説明では、説明の目的で、実施例の完全な理解を提供するために多くの詳細が示されている。しかしながら、当業者であれば容易に分かるように、これらの特定の詳細が必要とされない場合がある。他の例では、理解を曖昧にしないために、周知の構造がブロック図の形で示される場合がある。例えば、本明細書で説明される実施例の要素が、ソフトウェア・ルーチン、ハードウェア回路、ファームウェア、又はそれらの組み合わせとして実装されるかどうかに関して、特定の詳細は提供されない。
【0108】
本開示の実施例又はその構成要素は、機械可読媒体(コンピュータ可読媒体、プロセッサ可読媒体、又は、コンピュータ可読プログラムコードを実装したコンピュータ使用可能媒体とも呼ばれる)に記憶されたコンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供又は表現することができる。機械可読媒体は、フロッピーディスク、コンパクトディスク・リード・オンリー・メモリ(CD-ROM)、メモリデバイス(揮発性又は非揮発性)、又は同様の記憶機構を含む磁気、光学、電子記憶媒体を含む、任意の適した有形の非一時的媒体であってもよい。機械可読媒体は、実行されるときに本開示の一実施例に係る方法のステップをプロセッサ又はコントローラに実行させる命令、コードシーケンス、構成情報、又は他のデータの様々なセットを含むことができる。当業者であれば分かるように、記載された実装を実施するために必要な他の命令及び操作もまた、機械可読媒体に記憶され得る。機械可読媒体に記憶された命令は、プロセッサ、コントローラ、又は他の適切な処理デバイスによって実行することができ、説明されたタスクを実行するために回路とインタフェースすることができる。
【国際調査報告】