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特表2022-549183車両用積層グレージングおよび関連する近赤外線ビューイングシステムを備えた装置
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  • 特表-車両用積層グレージングおよび関連する近赤外線ビューイングシステムを備えた装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】車両用積層グレージングおよび関連する近赤外線ビューイングシステムを備えた装置
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20221116BHJP
   C03C 17/25 20060101ALI20221116BHJP
   C03C 17/06 20060101ALI20221116BHJP
   C03C 3/078 20060101ALI20221116BHJP
   B60J 1/02 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
C03C27/12 L
C03C27/12 R
C03C17/25
C03C17/06
C03C3/078
B60J1/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517712
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2020076099
(87)【国際公開番号】W WO2021053138
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】1910385
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ヤヴァリ,ケイアン
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィ,クレール
(72)【発明者】
【氏名】ジラール,ポーリーヌ
【テーマコード(参考)】
4G059
4G061
4G062
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AB05
4G059AC06
4G059AC11
4G059DA01
4G059EA05
4G059EB07
4G061AA04
4G061BA02
4G061CA05
4G061CB19
4G061CD03
4G061CD18
4G062AA01
4G062BB01
4G062DA06
4G062DA07
4G062DB01
4G062DB02
4G062DB03
4G062DC01
4G062DC02
4G062DC03
4G062DD01
4G062DE01
4G062DF01
4G062EA01
4G062EB03
4G062EB04
4G062EC01
4G062EC02
4G062EC03
4G062ED01
4G062ED02
4G062ED03
4G062EE03
4G062EE04
4G062EF01
4G062EG01
4G062FA01
4G062FA10
4G062FB01
4G062FC01
4G062FD01
4G062FE01
4G062FF01
4G062FG01
4G062FH01
4G062FJ01
4G062FK01
4G062FL01
4G062GA01
4G062GA10
4G062GB02
4G062GC01
4G062GD01
4G062GE01
4G062HH01
4G062HH03
4G062HH07
4G062HH09
4G062HH12
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK03
4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM01
4G062NN12
4G062NN33
(57)【要約】
本発明は、エクストラクリアの第一のガラスシート(外側グレージング)、積層体中間層、および第二のガラスシート(内側グレージング)ならびにこれらの中を貫通する孔をもつ車両用積層グレージング(100)に関している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の厚さの、特に凸形の、特にフロントガラス、リヤウインドである、とりわけ道路車両用または鉄道車両用グレージング(100、200)であって、
-外側の第一の主面F1(11)と車室の方へ方向づけられる内側の第二の主面F2(12)とをもち、外側グレージングであることを目的とした、第一のガラスシート(1)
-F2の方へ方向づけられる主面FaとFaとは反対側の主面Fbとをもち、高分子材料製の、積層体中間層(3)
-F2側の第三の主面F3(13)と車室の方へ方向づけられる内側の第四の主面F4(14)F2とをもち、内側グレージングであることを目的とした、第二のガラスシート(1’)
を有し、
第一のガラスシートが、F2面に、反射防止コーティング(2)を有し、該反射防止コーティングが、800nm~1800nmに及ぶ範囲内の赤外線における動作波長と呼ばれる少なくとも1つの波長でのものであり、積層体中間層の厚みの中かつ第二のガラスシートの厚みの中の貫通孔(4)による自由表面(20)をもち、
第一のガラスシートが、最大0.05%の総酸化鉄の重量含有率を有し、
第二のガラスシートが、少なくとも0.4%の総酸化鉄の重量含有率を有することを特徴とする車両用グレージング(100、200)。
【請求項2】
第一のガラスシート(1)と前記反射防止コーティング(2)とのアッセンブリが、90°でまたはさらには好ましくは60°であるいはまた90°および60°で測定される、とりわけ905±5nmおよび/または1550±5nmの動作波長での、少なくとも90.0%、91.0%、または92.0%の全透過率を示すことを特徴とする、請求項1に記載の車両用グレージング(100、200)。
【請求項3】
貫通孔(4)が、周縁領域内にあり、好ましくは上部長手方向縁にしかも周縁中央領域内にあり、また反射防止コーティングが、前記周縁領域内に局所的にあることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両用グレージング(100、200)。
【請求項4】
貫通孔(4)が、とりわけ台形もしくは長方形または円盤状もしくは卵形の断面を有し、そのより小さい寸法が少なくとも5cmであり、また好ましいそのより大きい寸法が最大30cmまたは25cmであり、また好ましくは反射防止コーティングが、最大40cmまたは30cmの長さの表面積を占めることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載の車両用グレージング(100、200)。
【請求項5】
貫通孔(4)が、閉じており、とりわけ最も近いグレージングのへりから少なくとも2cm間隔がおかれていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載の車両用グレージング(100、200)。
【請求項6】
とりわけ高分子材料製で好ましくは最大1.5cmの幅のインサート(90)が、少なくとも貫通孔の一部分を画定する第二のガラスシートの壁(40)において貫通孔に、また場合によっては貫通孔の別の部分を画定するガラスの中間層の壁にも取り付けられることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一つに記載の車両用グレージング(200)。
【請求項7】
反射防止コーティング(2)が、局所的で、F2面とFa面との間に、好ましくは最大100mm、貫通孔(4)を越えてはみ出すことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一つに記載の車両用グレージング(100、200)。
【請求項8】
反射防止コーティングが、多孔質シリカ層を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一つに記載の車両用グレージング(100、200)。
【請求項9】
反射防止コーティングが、とりわけゾルゲルの多孔質シリカ機能性層が上に乗った、とりわけゾルゲルによる、とりわけ高密度シリカ層である化学的保護用下地層を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一つに記載の車両用グレージング(100、200)。
【請求項10】
F2面とFa面との間に、特に、好ましくはグレージングとりわけフロントガラスの長手方向縁に沿った周縁ゾーンしかも中央ゾーンにある、F2面とFa面との間の貫通孔の縁に沿って存在するマスキング層である、F2面上かつ/またはFa面(31)上の不透明のマスキング層(5)とりわけエナメルを有し、反射防止コーティングが、不透明のマスキング層と接触しており、不透明のマスキング層が、前記貫通孔に沿ってギャップ(51’)を有し反射防止コーティング(2)の自由表面を残していることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一つに記載の車両用グレージング(100、200)。
【請求項11】
マスキング層(5)が、F2面にあり、また反射防止コーティング(2)が、マスキング層の上またはマスキング層の下にあり、かつ/またはマスキング層が、Fa面上にあり、とりわけインキであり、また反射防止コーティングが、マスキング層と接触していることを特徴とする、請求項10に記載の車両用グレージング(100、200)。
【請求項12】
F2面とFa面との間に、特に、好ましくはグレージングとりわけフロントガラスの長手方向縁に沿った周縁ゾーンしかも中央ゾーンにある、F2面とFa面との間の貫通孔の縁に沿って存在するマスキング層である、F2面上かつ/またはFa面(31)上の不透明のマスキング層(5)とりわけエナメルを有し、反射防止コーティングがマスキング層から間隔がおかれるか、または少なくともそれを覆わないことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一つに記載の車両用グレージング。
【請求項13】
Fb面側に、とりわけFb面上に定着し、また好ましくは前記孔の中にない、とりわけ加熱用である金属線を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一つに記載の車両用グレージング。
【請求項14】
F2面上に、とりわけ導電性で、場合によっては加熱用で、特に銀を含む積み重ねであり、少なくとも中央ゾーン内の前記貫通孔にはなくてF2面とFa面との間の貫通孔の縁に沿って存在するアサーマル機能性層を有し、反射防止コーティングが場合によっては、とりわけアサーマル機能性層の上または下で機能性層と接触していることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一つに記載の車両用グレージング。
【請求項15】
積層体中間層が、PVB(3)を有し、場合によってはPVB/アサーマルコーティングを伴う高分子フィルムのような機能性フィルム/PVBを有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一つに記載の車両用グレージング(100、200)。
【請求項16】
-請求項1から15のいずれか一つに記載の前記グレージング(100、200)
-第一のガラスシートを前記貫通孔のところで通過した後の放射を受信および/または送信するように前記グレージングの後ろの車室内に配置される、前記動作波長におけるさらには可視域におけるマルチスペクトルの、赤外線ビューイングシステム(7)
を含むことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外線におけるビューイングシステムと連携した、とりわけ道路車両、鉄道車両における、特にフロントガラスである、積層グレージングに関する。本発明はまた、前記グレージングとビューイングシステムとを組み合わせる装置も説明する。
【背景技術】
【0002】
自律走行車用グレージングおよび関連する科学技術は、とりわけ安全性向上のために絶えず進展している。
【0003】
レーザーリモートセンシングまたはLIDARは、英語による表現「light detection and ranging(光による検知と測距)」または「laser detection and ranging(レーザーによる検知と測距)」の頭字語であり、自律走行車においてヘッドライトのところで利用可能である。
【0004】
より最近では、国際公開第2018/0153012号が、750nm~1050nmの近赤外線において機能するLIDARを、2枚のエクストラクリアガラスと赤外線フィルタとを有する積層フロントガラスの裏側に配置することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/0153012号
【発明の概要】
【0006】
このビューイング装置(LIDARと結びついたグレージング)の性能は、改善の余地がある。
【0007】
より広くは、本発明はまた、赤外線および可視域におけるすなわちマルチスペクトルのビューイングシステムを用いた装置も対象とする。
【0008】
より具体的には、本発明は、とりわけ道路車両(乗用車、トラック、公共交通機関:バス、長距離バス等)または鉄道車両(特に最大90km/hまたは最大70km/hの最高速度の、特に地下鉄、路面電車)用の、とりわけ凸形の、特にフロントガラス、あるいはまたリヤウインド、さらにはサイドウィンドである、例えばサブセンチメートルで、とりわけ道路車両用フロントガラスについては最大5mmである所定の厚さE1の、積層グレージング(かつ/または凸形グレージング)に関しており、
グレージングは以下を有する:
-外側の第一の主面F1および車室の方へ方向づけられる内側の第二の主面F2をもち、外側グレージングであることを目的とし、とりわけ凸形の、第一のガラスシートであって、自動車の場合、好ましくは最大4mm、またさらには最大3mmまたは2.5mm、とりわけ2.1mm、1.9mm、1.8mm、1.6mmそして1.4mm、また好ましくは少なくとも0.7mmまたは1mmの厚さである第一のガラスシート、
-好ましくは熱可塑性高分子材料製またさらにより良くはポリビニルブチラール(PVB)製の、場合によってはニュートラル、クリア、エクストラクリア、またはとりわけ灰色もしくは緑色に着色された、積層体中間層(単層または複層)であって、道路車両の場合、好ましくは最大1.8mm、より良くは最大1.2mmまたさらには最大0.9mm(またより良くは少なくとも0.3mmまたさらには少なくとも0.6mm)の厚さで、積層体中間層は、場合によっては遮音のかつ/または場合によってはヘッドアップディスプレイ(英語でHead Up Displayを表わすHUD)のために積層グレージング(特にフロントガラス)の上から下の方へくさび形に減少する横断面を有し、積層体中間層は、F2の方へ方向づけられる主面FaおよびFaと反対側の主面Fbを有する、積層体中間層、
-F2側の第三の主面F3および車室の方へ方向づけられる内側の第四の主面F4をもち、好ましくは凸形のまた特に着色され、内側グレージングであることを目的とした、第二のガラスシートであって、道路車両の場合、好ましくは第一のグレージングの厚さよりも薄く、さらには最大3mmもしくは2mmとりわけ1.9mm、1.8mm、1.6mmそして1.4mm、またはさらには最大1.3mm、また好ましくは少なくとも0.7mmの厚さで、第一のガラスシートと第二のガラスシートとの厚さは、好ましくは厳密に5または4mm未満、さらには3.7mm未満である、第二のガラスシート。
【0009】
第一のガラスシートは、F2面に、反射防止コーティングを有し、該反射防止コーティングは、好ましくは局所的で、800nm~1800nm特に850nm~1600nmに及ぶ範囲内の赤外線における動作波長と呼ばれる少なくとも1つの波長でのものであり、中間層の厚みの中かつ第二のガラスシートの厚みの中を貫通する孔による自由表面(積層体中間層および第二のガラスシートで覆われない表面)をもつ。
【0010】
第一のガラスシートは、とりわけシリカ、ソーダ石灰、ソーダ石灰シリカ(好適)、またはアルミノケイ酸塩、またはホウケイ酸塩をベースとしており、最大0.05%(500ppm)、好ましくは最大0.03%(300ppm)また最大0.015%(150ppm)またとりわけ0.005%以上の総酸化鉄(Feの形態で表される)の重量含有率を有する。
【0011】
第二のガラスシートは、とりわけシリカ、ソーダ石灰、(また第一のガラスシートのように)好ましくはソーダ石灰シリカ、さらにはアルミノケイ酸塩、またはホウケイ酸塩をベースとしており、少なくとも0.4%また好ましくは最大1.5%の総酸化鉄(Feの形態で表される)の重量含有率を有する。
【0012】
このように本発明によると、高い透過レベルに達するために、以下が選択される:
1)対象にされた近赤外線においてエクストラクリアの外側ガラス、
2)対象にされた近赤外線においてより吸収力があり、また必然的にえぐれた内側ガラス、
3)対象にされた近赤外線においてF2面上の反射防止コーティングを利用可能にするためのえぐれた積層体中間層。
【0013】
この解決案は、完全な2枚のエクストラクリアガラスに基づいた先行技術の解決案より高性能である。
【0014】
この解決案はそのうえ、第二のエクストラクリアガラスの使用を避けることによって、快適さ(車両内の暑さ)、美しさを向上させ、またより経済的である。
【0015】
本発明は特に、レベルL2+、L3、L4およびL5(「完全な」自律性)の自律走行車または半自律走行車、ならびにロボットタクシーやシャトルタイプなどの車両における、グレージング(フロントガラス、リヤウインドなど)に適している。
【0016】
酸化鉄は、ガラス製品で使用される天然原料(砂、長石、石灰岩、ドロストーンなど)の大半において不純物として存在するものであり、可視領域および近紫外線の領域において吸収する(第二鉄イオンFe3+に起因する吸収)と同時に、またとりわけ可視領域および近赤外線の領域において吸収し(第一鉄イオンFe2+に起因する吸収)、それゆえに第一のガラスシートにおける酸化鉄は減らされる。
【0017】
第二のガラスシートにおいては、したがってより高い酸化鉄含有率を選択することができる。
【0018】
有利には、第一のガラスシートと前記反射防止コーティングとのアッセンブリは、以下を示す:
-第一のシート例えばF2面側および/またはF1面側の(局所的)平面に対して法線(90°)でまたはさらには好ましくは60°でもまたはさらには60°までで測定される、とりわけ905±5nmおよび/または1550±5nmの動作波長での、少なくとも90.0%、91.0%、またはさらには92.0%もしくは92.3%の全透過率
-かつ/または反射防止コーティングは、第一のシート例えばF2面側および/またはF1面側の(局所的)平面に対して法線(90°)でまたはさらには好ましくは60°でもまたさらには60°までで測定される第一のガラスシートの全透過率を、動作波長で、少なくとも1%、2%または2.5%またはさらには3.0%増加させる。
【0019】
グレージングとりわけ道路車両のフロントガラスの角度は典型的には、地面に対して21°~36°また平均して30°であり得る。したがって、60°での高透過率は特に有利であり、というのも、もしフロントガラスが地面から30°であれば、それはフロントガラス上のLIDARのビームの入射角であるからである。
【0020】
赤外線における透過率は、例えばBrukerVertex-70のようなフーリエ分光計を用いて測定される。
【0021】
必然的に、もしマルチスペクトルビューイングシステムを使用するならば、第一のガラスシートと前記反射防止コーティングとのアッセンブリが以下を示すことが、同様に望まれる:
-第一のシート例えばF2面側および/またはF1面側の平面に対して、法線でまたはさらには好ましくは90°から60°までで測定される、とりわけ500nm~600nmの可視域における別の動作波長での、少なくとも90%、91%、またはさらには92%の全透過率
-かつ/または反射防止コーティングは、第一のシート例えばF2面側および/またはF1面側の平面に対して、法線でまたはさらには好ましくは90°から60°までで測定される第一のガラスシートの全透過率を、第二の動作波長で、少なくとも1%、2%または2.5%またはさらには3.0%増加させる。
【0022】
可視領域におけるガラスの透過率を数量にして表すために、多くの場合、しばしば「T」と略記される、光透過率と呼ばれる光透過係数が定義され、該係数は、規格ISO 9050:2003に準じて、つまり規格ISO/CIE 10526によって定義されるようなD65光源と、規格ISO/CIE 10527によって定義されるようなCIE1931測色標準観測者とを考慮に入れて、380~780nmで計算されて、3.2mmまたは4mmのガラスの厚さに戻される。
【0023】
必然的に、孔のないゾーン(フロントガラスの中央ゾーン)における積層グレージングの光透過率Tは、好ましくは少なくとも70%もしくは75%、80%もしくは85%、88%である。
【0024】
第二のガラスシートは、とりわけ緑色、青色、灰色である。第二のガラスシートは、Feによって緑色、あるいはまたCoOおよびSeを用いて青色、またはSeおよびCoOを用いて灰色であることができる。
【0025】
例えば緑色である、TSAnx(0.5~0.6%の鉄)TSA2+、TSA3+(0.8~0.9%の鉄)、TSA4+(1%の鉄)、TSA5+と呼称される、本出願人のガラスをとりわけ挙げることができる。
【0026】
TSA3+(2.1mm)は例えば、905nmでおよそ40%の全透過率、また1550nmでおよそ50%の全透過率を有する。
【0027】
第二のガラスシートは、FeO(第一鉄)の重量含有率と総酸化鉄(Feの形態で表される)の重量含有率との間での割合であると定義されるレドックスを、0.22と0.35もしくは0.30との間で示すことができる。
【0028】
前記第二のガラスシートは、以下のように定義される重量制限の中で変化する含有率における以下の成分を含む化学組成を有することができる:
SiO 64~75%
Al 0~5%
0~5%
CaO 2~15%
MgO 0~5%
NaO 9~18%
O 0~5%
SO 0.1~0.35%
Fe(総鉄) 少なくとも0.4%またさらには0.4~1.5%
場合によってはレドックス 0.22~0.3%
そしてとりわけ0.1%未満の不純物。
【0029】
貫通孔はつまり、以下で構成される:
-幅D1の、積層体中間層(単層または複層)の中を貫通する第一の孔
-および幅D2の、第二のガラスシートの中を貫通する第二の孔。第一および第二の孔は、一体となったまたは近い対称軸、および好ましくは同一の幅をもつ(積層前またさらには積層後)。
【0030】
貫通孔(第一および第二の孔)は、以下で有り得る:
-(第二のガラスシートの壁によって囲まれている)閉じている孔、つまりグレージングの内部にあり、とりわけ最も近いグレージングのへりから、少なくとも3cmまたは5cm間隔をおいた孔
-(周縁)ノッチを形成し、開通しているか開いている。
【0031】
貫通孔は、好ましくは積層グレージングの周縁ゾーン内にあり、好ましくは上部長手方向縁にかつ/または周縁中央領域内にあり、また反射防止コーティングは、この周縁領域内に局所的にある。
【0032】
貫通孔は、例えば台形または長方形または丸形または卵形の、とりわけ凸状断面をもつ所定の形状を有する。反射防止コーティングは、相似形を有することができる。
【0033】
必要であれば、同一の形状および/または寸法の、中間層および第二のガラスシートの中に、例えば特にこの周辺ゾーンにおいて並んだ、複数の貫通孔(2、3個の孔)を想定することができる。F2面はそのとき、全ての孔に自由表面を伴う共通の反射防止コーティングを有するか、または各孔ごとに別個の局所的な反射防止(AR)コーティングを有し、また例えば局所的なARコーティングは異なる厚さを有する。
【0034】
貫通孔の形状および寸法は、グレージング(フロントガラス、リヤウインドなど)を貫通する放射の全体を、とりわけLIDARの場合において、車両の外にありかつLIDARを通して捕らえようとしている車両の前方のゾーンを起源とする立体角の範囲に由来する反射光の全体を効果的にまた選択的に集めるように、先行技術にしたがって設定される。
【0035】
例えば孔は、LIDARのような赤外線ビューイングシステムと同じ形状である。
【0036】
孔(開いている孔または閉じている孔)は、特に好ましくは台形、あるいはまた円形もしくは卵形もしくは楕円体あるいはまた長方形、正方形などの、とりわけ凸状断面であることができる。
【0037】
もし孔がノッチであるならば、このノッチの一部は、グレージングの枠によって覆い隠され、つまりビューイングシステムのために機能しないことになる。孔が閉じていて縁に近すぎる場合も、同様である。
【0038】
もし孔が閉じているならば、グレージング(好ましくは上部長手方向にありかつとりわけ中央ゾーン内の縁)のへりに最も近い孔の縁は、(第二のシートの)グレージングのこのへりから、好ましくは少なくとも2cmまたは3cmまたより良くは5cm離れている。
【0039】
孔は、フロントガラスの上部長手方向縁の中央ゾーン、すなわち室内のバックミラーの通常のゾーン(孔に隣接しているかまたは車両によってはルームミラーは取り外される)、F2および/またはFa面のマスキング層が、上部縁に沿っている側方ゾーン(乗客、運転手など)上より概してより厚いゾーン、の中にあることができる。
【0040】
好ましくは、孔は、とりわけ台形または円盤もしくは卵形タイプの断面を有し、-そのより小さい寸法は少なくとも5cmであり(例えば赤外線ビューイングシステムの大きさに適合する)、-また好ましくはより大きい寸法(特に大きな辺もしくは直径)は最大40cm、30cm、25cm、20cmであり(機械的見地のため)
-また好ましくは反射防止コーティングは、孔を包含する表面積を占め、最大40cmまたは30cmの長さである。
【0041】
特に、断面は四辺形、とりわけ長方形または台形であり、以下を伴う:
-(グレージングの上部長手方向縁のへりに最も近い)いわゆる上部の第一の(大きな)辺すなわち上部長手方向縁であって、それは、好ましくはグレージングの上部長手方向縁のへりに平行で、また好ましくは最大30cm、20cmまたは15cmまたは12cmの長さであり、またとりわけ(グレージングの上部長手方向縁の)へりから少なくとも5cmまたは6cm間隔がおかれている
-(グレージングの上部長手方向縁のへりから最も遠く、中央ゾーンにより近い)いわゆる下部の第二の(大きな)辺すなわち下部長手方向縁であって、それは、好ましくはグレージングの上部長手方向縁のへりに平行で、また好ましくは最大35cmまたは30cmまたは25cmまたは20cmの長さであり、また好ましくは第一の大きな辺の長さよりも長い
-好ましくは少なくとも5cmまたさらには最大15cmである、(これらの第一および第二の大きな辺の間の)高さ。
【0042】
選択的に、貫通孔は、側方縁に沿っている。
【0043】
リヤウインドの場合、貫通孔は、(とりわけ上部)長手方向縁または側方縁に沿って周辺にあることができる。
【0044】
必然的に、貫通孔は、空の空間であるか、または少なくとも、反射防止コーティングと赤外線ビューイングシステムとの間にあり得たであろう、対象にされた近赤外線において吸収力のある任意の材料で(その中央部分が)満たされていない空間である。
【0045】
しかしながら、例えば柔軟な高分子材料(ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリプロピレンなど)製の、とりわけ最大1.5cmの幅の、環タイプの(モノリシックまたは複数の分離もしくは連結した断片などでできている)インサート(閉、開)を準備することができ、該インサートは:
-孔を(上部で)画定する第二のガラスシートの壁に(とりわけ接着によりまたは力ずくで)取り付けられ
-さらにはまた、積層体中間層の壁とも接触し、またさらにはF2面の上にある。
【0046】
このインサートは、孔を越えて、とりわけF4面上に広がることができる。
【0047】
このインサートは、以下のために使用される:
-孔の中に、赤外線ビューイングシステムの全部かもしくは一部または、反射防止コーティングと赤外線ビューイングシステムとの間の中間光学部品を配置するため
-孔の中に、赤外線ビューイングシステムの固定手段の全部かもしくは一部を配置するため。
【0048】
もし中間層の孔が積層前に作られ、またインサートが積層前に中間層のところに(とりわけ最大150℃またとりわけ加圧して)配置されるならば、このインサートは、反射防止コーティングの自由表面上での中間層のクリープを避けるまたは減らすために役立つ。
【0049】
とりわけ局所的な反射防止コーティングは、F2面とFa面との間で、好ましくは最大100mm、50mm、30mmまたは20mmまたは10mmはみ出すことができる。
【0050】
反射防止コーティングは、(動作波長での)屈折率を高低交互に繰り返す(例えば金属もしくはシリコンの酸化物および/または窒化物の)誘電体薄層の積み重ねを含むことができる。
【0051】
反射防止コーティングは、多孔質シリカ(機能性)層、好ましくはゾルゲルを好ましくは有する。
【0052】
第一の実施形態において、細孔は、とりわけシリカの、ナノメートルのビーズの緻密でない積み重ねの間隙であり、この層は、例えば米国特許出願公開第2004/0258929号明細書中に記述されている。
【0053】
第二の実施形態において、多孔質層は、NHタイプの蒸気によって高密化される、縮合したシリカゾル(シリカオリゴマー)の堆積によって得られ、この層は、例えば国際公開第2005/049757号中に記述されている。
【0054】
第三の実施形態において、多孔質層はまた、欧州特許出願公開第1329433号明細書中に記述されているような、ゾルゲルタイプであることもできる。多孔質層はまた、以下のような別の既知の発泡剤を使って得ることもできる:溶液中のまた場合によっては加水分解された形態の陽イオン界面活性分子のミセル、もしくは陰イオン界面活性剤のミセル、非イオン界面活性剤のミセル、または両親媒性分子、例えばブロック共重合体。
【0055】
第四の実施形態において、多孔質層はまた、国際公開第2008/059170号中に記述されているような、ゾルゲルタイプであることもできる。多孔質層はこのように、好ましくは高分子ビーズである発泡剤を使って得ることができる。
【0056】
本発明によるとりわけ多孔質シリカの反射防止コーティングは、有利には10nm~10μm(これらの境界値は含まれる)、特に50nm~1μmまたさらにより好適には70~500nmの厚さを有することができる。
【0057】
多孔質シリカ層は、少なくとも20nm、50nmまたは80nmの閉じた細孔を有することができ、機能性層は場合によっては、自由表面に向かって密集度の増す細孔を有することができる。
【0058】
細孔は、細長い形状、とりわけ米粒状の形状であることができる。さらにより好適には、細孔は、ほぼ球形または卵形の形状であることができる。
【0059】
閉じた細孔の大多数、さらにはそれらのうちの少なくとも80%が、とりわけ細長い、ほぼ球形または卵形である、ほぼ同一の所定の形状を有することが好まれる。
【0060】
多孔質シリカは、例えば、優れた耐性が必要な用途(正面、外面など)の場合において、その加水分解挙動をさらにいっそう改善するために、ドープされることができる。ドーパント元素は好ましくは、Al、Zr、B、Sn、Znの中から選択されることができる。ドーパントは、Siの原子を、好ましくは10%、さらにより好適には5%までに達することができるモル百分率において替えるために導入される。
【0061】
反射防止コーティングは、化学的保護用下地層を有することができ、それはとりわけ例えば最大200nmの厚さの、とりわけゾルゲルによる高密度シリカ層であり、その上にゾルゲル多孔質シリカ機能性層が乗る。
【0062】
下地層は、シリカをベースとすることができ、または二酸化ケイ素、準化学量論的酸化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、シリコンオキシニトリド、またはシリコンオキシカーボニトリドの中から選択される、少なくとも部分的に酸化したケイ素の誘導体をベースとすることができる。
【0063】
下地層は、下にある表面がソーダ石灰シリカガラス製であるときに有益であることが明らかになっており、というのも下地層がアルカリに対するバリアの役割を果たすからである。
【0064】
この下地層はつまり、有利にはSi、O、場合によっては炭素および窒素を含む。しかしこの下地層はまた、ケイ素と比べて少数の材料、例えばAl、ZnまたはZrのような金属も含むことができる。下地層は、ゾルゲルによってまたは熱分解、とりわけ気相熱分解(CVD)によって被着されることができる。
【0065】
直前に示されたこの技術は、とりわけガラス基板の場合においてフロートガラスリボン上に直接被着することによって、十分簡単にSiO層またはSiO層を得ることを可能にする。しかしまた真空技術による被着、例えば(場合によってはドープした)Siターゲットからまたはシリコン亜酸化物ターゲットからの(例えば酸化反応性雰囲気および/または窒化反応性雰囲気における)陰極スパッタリングによる被着を実行することもできる。この下地層は好ましくは、少なくとも5nmの厚さ、とりわけ10nm~200nm、例えば80nm~120nmの厚さを有する。
【0066】
反射防止コーティングはまた、反射防止特性を損ねるものでなければ、被覆層を有することもできる。
【0067】
また反射防止コーティングを、F2面の反射防止コーティングの正面のF1面に置くこともできる。
【0068】
反射防止コーティングは、例えば台形あるいはまた長方形などの、孔の断面と同じ形状をもつことができる。
【0069】
先験的にあまり好ましくはないが、反射防止コーティングは、前記貫通孔の正面の中央ゾーン内にのみあることができ、それは貫通孔からはみ出すことなく、しかも貫通孔の縁から好ましくは最大1cm間隔がおかれる。例えば貫通孔内の自由表面は、少なくとも5cm、10cm、15cmまた好ましくは最大30cmの長さおよび/または辺を有する。
【0070】
グレージングは、F2面とFa面との間に、特に、好ましくはグレージングの長手方向縁に沿った周縁ゾーンしかも中央ゾーンにある、F2面とFa面との間の貫通孔の縁に沿って、F2面上かつ/またはFa面上の不透明のマスキング層とりわけエナメル(黒色など)(特にFa上にはとりわけ黒色のインキなど)を有することができ、反射防止コーティング(とりわけ多孔質シリカ層または任意の高密度シリカ下地層)は、不透明のマスキング層と接触している。
【0071】
マスキング層は例えばF2面にあり、また反射防止コーティングはマスキング層の上またはマスキング層の下にあり、かつ/またはマスキング層はFa面上にあり、また反射防止コーティングはマスキング層と接触している。
【0072】
マスキング層は、前記貫通孔に沿った(少なくとも中央ゾーン内に)ギャップを有し、また好ましくは当該貫通孔の中に最大30mmまたは20mmまたは10mmまたは5mmはみ出し、かつ/または孔に自由表面を伴う反射防止コーティングを残し、(マスキング層でコーティングされない)自由表面は、少なくとも5cm、10cm、15cmまた好ましくは最大30cmの長さを有する。
【0073】
このマスキング層は、赤外線ビューイングシステムおよび、例えばそのケースを覆い隠すことになる。
【0074】
マスキング層は、積層体中間層の上、例えばPVBの上に印刷された層であり得る。
【0075】
反射防止コーティング(とりわけ多孔質シリカ層または任意の高密度シリカ下地層)はまた、(例えばF2面にあり、とりわけエナメルである)マスキング層から間隔がおかれることもでき、または少なくともそれを覆わない。
【0076】
不透明のマスキング層は、好ましくは連続層である(全面単色で、ソリッドな縁または変形例ではグラデーションの縁を伴う(パターンの集合体))。
【0077】
マスキング層は、グレージングの(最も近い)へりから2mmまたは3mm(5mm未満)のところにあり得る。
【0078】
マスキング層は、とりわけ黒色のエナメル製の、グレージング(フロントガラスなど)を縁どる目隠しであり得る。したがって、このマスキング層内にギャップが作り出される。
【0079】
別のマスキング層(とりわけ黒色であるエナメルなど)が、F3またはF4面に、とりわけマスキング層と向かい合っている(しかも同一の性質、例えばとりわけ黒色のエナメルである)ことができる。
【0080】
グレージングは、Fb面側に、とりわけFb面上に定着した、また好ましくは前記孔の中にない、とりわけ加熱用である金属線を有することができる。
【0081】
孔の正面の加熱線を回避することが望まれる得る。
【0082】
加熱線はとりわけ、好ましくは銅、タングステン、金、銀またはアルミニウムまたはこれらの金属のうちの少なくとも2つの合金でできた、0.1mm以下の厚さを有する。
【0083】
一実施形態において、グレージングの加熱ゾーンは、「加熱用金属線」と呼ばれる、複数の個別の金属線を有し、これらの金属線は互いの間で「母線」(「ブス」バー)を結ぶ。加熱電流は、これらの個別の金属線を通る。線は有利には、グレージングの透明度を損なわなようにまたは非常にわずかしか損なわないように、非常に細い。好ましくは金属線は、0.1mm以下の厚さ、特に0.02~0.04mm、また理想的には0.024mm~0.029mmの厚さを有する。金属線は好ましくは銅、タングステン、金、銀またはアルミニウムまたはこれらの金属のうちの少なくとも2つの合金を含む。合金は同様に、モリブデン、レニウム、オスミウム、イリジウム、パラジウムまたはプラチナを含むこともできる。
【0084】
金属線は好ましくは、電気的に絶縁されている。
【0085】
第一のガラスシートおよび/または第二のガラスシートのガラスについて、それは好ましくはソーダ石灰シリカタイプのガラスである。
【0086】
内側ガラスおよび/または外側ガラスは、(とりわけより優れた機械的強度のために)硬化、焼きなましもしくは強化処理タイプの化学的もしくは熱的処理を受けているか、または半強化処理されていることができる。
【0087】
第一のガラスシートおよび/または第二のガラスシートのガラスは、好ましくはフロートタイプであり、すなわち溶融ガラスを溶融スズ浴上(「フロート」バス)に流すことにある方法によって獲得されたものでありうる。「雰囲気」面および「スズ」面とは、フロートバス中に行き渡る雰囲気と接触していた面および溶融スズと接触していた面を、それぞれに意味する。スズ面は、ガラスの構造の中に拡散後のスズを、表面に少量含む。
【0088】
反射防止コーティングを伴うF2面は、「スズ」面でもあり得るし「雰囲気」面でもあり得る。
【0089】
第一のガラスシートは例えば、Saint-Gobain GlassのDiamant(登録商標)、もしくはPilkingtonのOptiwhite(登録商標)、もしくはSchottのB270(登録商標)、もしくはAGCのSunmax(登録商標)のガラスようなソーダ石灰シリカガラスであり得、または国際公開第04/025334号中に記述されている他の組成物のガラスであり得る。Saint-Gobain Glass社のPlaniclear(登録商標)を選択することもまたできる。
【0090】
ありふれた天然原料を用いて、酸化鉄の総重量含有率は、およそ0.1%(1000ppm)である。酸化鉄含有率を低下させるために、特に純粋な原料を選択することができる。
【0091】
本発明において、ガラスの近赤外線透過率を上げるために、第一のガラスシートのFe(総鉄)含有率は、好ましくは0.015%未満、さらには0.012%以下、とりわけ0.010%である。ガラスの費用に不利益を与えすぎないために、Fe含有率は、好ましくは0.005%以上、とりわけ0.008%である。
【0092】
赤外線における第一のガラスシートの透過率をよりさらに上げるために、第二鉄含有率のほうが有利になるように第一鉄含有率を減らすこと、つまりガラス中に存在する鉄を酸化させることができる。このように可能な限り低い、理想的にはゼロまたはほぼゼロの「レドックス」をもつガラスを目ざす。この数は、0~0.9の間で変化することができ、ゼロのレドックスは、完全に酸化したガラスに相当する。
【0093】
とりわけ200ppm未満さらには150ppm未満である、少量の酸化鉄を含むガラスは、0.4超、さらには0.5超の、高いレドックスを有する自然な傾向がある。この傾向はおそらく、酸化鉄含有率に応じた鉄の酸化還元平衡の調整に起因している。
【0094】
第一のガラスシートのレドックスは、好ましくは0.15以上、またとりわけ0.2~0.30、とりわけ0.25~0.30である。低すぎるレドックスは、炉の寿命の減少の原因になるからである。
【0095】
本発明によるガラス(第一および第二のシート)において、シリカSiOは概して、以下の理由のために狭い範囲内にとどめられる。75%を上回ると、ガラスの粘度および失透に対するその適性が大いに増し、このことはその溶融および溶融スズ浴の上へのその流し込みをより難しくする。60%、とりわけ64%を下回ると、ガラスの耐加水分解性が急速に衰える。好ましい含有率は、65~75%、とりわけ71~73%である。
【0096】
前記第一のガラスシートは、以下のように定義される重量制限の中で変化する含有率における、以下の成分を含む化学組成を有することができる:
SiO 60~75%
Al 0~10%
0~5%、好ましくは0%
CaO 5~15%
MgO 0~10%
NaO 5~20%
O 0~10%
BaO 0~5%、好ましくは0%
SO 0.1~0.4%
Fe(総鉄) 0~0.015%
そしてレドックス 0.1~0.3。
【0097】
本明細書の全体において、パーセンテージは重量百分率である。
【0098】
ガラスシートは好ましくは、スズ浴へのフローティングによって形成される。引き上げ法、「ダウンドロー」法(下からの引き上げ法)、ロールアウト法、フルコール法などのような、別のタイプの成形方法が用いられることができる。
【0099】
第一のガラスシートのガラス組成は、とりわけ原料の中に含まれる不可避不純物の他に、低い割合(1%まで)の他の成分、例えばガラスの溶融または清澄に役立つ物質(Clなど)、あるいはまた炉の構築に役立つ耐火物の溶解に由来する構成要素(例えばZrO)を含むことができる。既に言及された理由のために、本発明による組成物は好ましくは、Sb、AsまたはCeOのような酸化物を含まない。
【0100】
第一のガラスシートの組成物は好ましくは、(とりわけ800~1800nmの波長についての)いかなる赤外線吸収剤も含まない。特に、本発明による組成物は、好ましくは次の物質のうちのいずれも含まない:CoO、CuO、Cr、NiO、MnO、Vのような遷移元素の酸化物、CeO、La、Nd、Erのような希土類の酸化物、あるいはまたSe、Ag、Cuのような元素の状態での着色剤。好ましくは除外される他の物質の中に、次の元素の酸化物も存在する:Sc、Y、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Tm、Yb、Lu。これらの物質は、非常に低い含有率、ときにはおよそ数ppmまたはそれ未満(1ppm=0.0001%)で出現する、非常に強い好ましくない着色効果をとても頻繁に有する。それらの存在はこのように、ガラスの透過率を非常に大幅に低下させる。
【0101】
好ましくは、第一のガラスシートは、以下のように定義される重量制限の中で変化する含有率における、以下の成分を含む化学組成を有する:
SiO 60~75%
Al 0~10%
0~5%、好ましくは0%
CaO 5~15%
MgO 0~10%
NaO 5~20%
O 0~10%
BaO 0~5%、好ましくは0%
SO 0.2超~0.4%
Fe(総鉄) 0~0.015%
そしてレドックス 0.2~0.30。
【0102】
第一のガラスシートは、以下のように定義される重量制限の中で変化する含有率における、以下の成分を含む化学組成を有することができる:
SiO 60~75%
Al 0~10%
0~5%、好ましくは0%
CaO 5~15%
MgO 0~10%
NaO 5~20%
O 0~10%
BaO 0~5%、好ましくは0%
SO 0.1~0.4%
Fe(総鉄) 0~0.02%
そしてレドックス 0.15~0.3。
【0103】
本発明において、Fe(総鉄)含有率は、好ましくは0.015%未満、さらには0.012%以下、とりわけ0.010%であり、これはガラスの近赤外線透過率を上げるためである。ガラスの費用に不利益を与えすぎないために、Fe含有率は、好ましくは0.005%以上、とりわけ0.008%である。
【0104】
レドックスは、好ましくは0.15以上、またとりわけ0.2~0.30、とりわけ0.25~0.30である。低すぎるレドックスは、炉の寿命の減少の原因になるからである。
【0105】
本発明によるガラスにおいて、シリカSiOは概して、以下の理由のために狭い範囲内にとどめられる。75%を上回ると、ガラスの粘度および失透に対するその適性が大いに増し、このことはその溶融および溶融スズ浴の上へのその流し込みをより難しくする。60%、とりわけ64%を下回ると、ガラスの耐加水分解性が急速に衰える。好ましい含有率は、65~75%、とりわけ71~73%である。
【0106】
本発明による別の好ましい組成が、以下に再現される:
SiO 65~75%
Al 0~3%
CaO 7~12%
MgO 2~5%
NaO 10~15%
O 0~5%
SO 0.1~0.3%
Fe(総鉄) 0~0.015%未満
そしてレドックス 0.1~0.3。
【0107】
本発明による別の好ましい組成が、以下に再現される:
SiO 65~75%
Al 0~5%
CaO 7~12%
MgO 1~5%
NaO 10~15%
O 0~5%
SO 0.2~0.4%
Fe(総鉄) 0~0.015%未満
そしてレドックス 0.1~0.3。
【0108】
本発明の範囲から逸脱することなく、中間層は当然、例えば米国特許第6132882号明細書中に記述されているように、性質の違う、例えば遮音の機能を保証するために硬度の異なる、複数の熱可塑性材料製シート、とりわけ硬度の異なるPVBシートのアッセンブリを含むことができる。同様に、ガラスシートのうちの1つを、従来利用されている厚さと比べて薄くすることができる。
【0109】
中間層は、本発明によると、とりわけHUD(ヘッドアップディスプレイを表わすHead Up Display)適用のために、くさび形を呈することができる。同様に、中間層のシートのうちの1つは、全体として着色されることができる。
【0110】
PVB以外によく使われる積層体中間層として、柔軟に使用されるポリウレタンPU、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーのような可塑剤を使用しない熱可塑性樹脂、アイオノマー樹脂を挙げることができる。これらのプラスチックは、例えば0.2mm~1.1mm、とりわけ0.3~0.7mmの厚さを有する。
【0111】
積層体中間層は、例えば導電性のアサーマル層を担持するポリ(エチレンテレフタラート)PET製フィルムである、(透明、クリアまたは着色された)別の機能性プラスチックフィルムなどを含むことができ、例えばF2面とF3面との間にPVB/機能性フィルム/PVBがある。
【0112】
透明なプラスチックフィルムは、10~100μmの厚さであり得る。透明なプラスチックフィルムはより広くは、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン(PE:ポリエチレン、PP:ポリプロピレン)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)であり得る。クリアなフィルムとりわけPETが好まれる。
【0113】
例えばEastman社のXIRであるコーティングされたPETクリアフィルム、例えばSRF 3M(登録商標)タイプのPET-PMMA製の複合押出成形フィルムを例えば使用することができるように、また、可能な限り視覚的に透明で、表面および粘性に関してオートクレーブ内で変性しない、(例えばPC、PE、PEN、PMMA、PVC製の)多数の他のフィルムも使用することができる。
【0114】
車室内の温度上昇を制限するためまたはエアコンの使用を制限するために、少なくともガラスシートのうちの1枚(好ましくは外側ガラス)は着色され、また積層グレージングは、好ましくはF4面にまたはF2もしくはF3面に太陽放射を反射または吸収する層、特にTCO層と呼ばれる透明導電性酸化物層(F4面上)もしくはさらには少なくとも1つのTCO層を含む薄層の積み重ね、または少なくとも1つの銀層を含む薄層の積み重ね(F2もしくはF3上)も有することができ、この銀層または各銀層は、誘電層間に配置される。
【0115】
F2面および/またはF3面上の(銀含有)層とF4面上のTCO層とを併せ持つことができる。
【0116】
TCO(透明導電性酸化物)層は、好ましくはフッ素ドープ酸化スズ(SnO:F)層または酸化インジウムスズ(ITO)層である。
【0117】
やはり、最も求められる適用は、グレージングが道路車両(自動車)またはさらには(低速度の)鉄道車両のフロントガラスであることである。
【0118】
グレージングはしたがって、F2面上に、とりわけ導電性で、場合によっては加熱用で、特に銀の積み重ねであり、少なくとも中央ゾーン内の前記貫通孔にはなくてF2面とFa面との間の貫通孔の縁に沿ってあるアサーマル機能性層を有することができ、反射防止コーティングは場合によっては、とりわけアサーマル機能性層の上または下で機能性層と接触している。
【0119】
本発明はまた、以下を含む装置にも関する:
-先に記述されたようなグレージング
-第一のガラスシートを前記貫通孔のところで通過した後の放射を受信および/または送信するように前記グレージングの後ろの車室内に配置される、前記動作波長におけるさらにはとりわけ500~600nmの可視域におけるマルチスペクトルの、赤外線ビューイングシステム。
【0120】
有利ではあるが非限定的な、本発明の特定実施形態が以下に記述されており、それらは当然必要であれば、互いに組み合わされることができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
図1】LIDARのような赤外線ビューイングシステムを用いた本発明の第一の実施形態におけるフロントガラス100を断面図で示している。
図2図1のフロントガラス100を正面図(車室側)で示している。
図3】本発明の第二の実施形態におけるLIDARのような赤外線ビューイングシステムを用いた断面で、本発明によるフロントガラス200を断面図で示している。
図4図3のフロントガラス200を正面図(車室側)で示している。
【発明を実施するための形態】
【0122】
図1は、本発明によるフロントガラス100を、905nmまたは1550nmのLIDARのような赤外線ビューイングシステムを伴った断面図で示している。それはまた、1800nmまでの可視域において動作することができるマルチスペクトルシステムであることもできる。
【0123】
このビューイングシステム7は、フロントガラスの後ろに、フロントガラスの上部および中央部分に好ましくは位置するゾーンに面して配置される。このゾーンにおいて、赤外線ビューイングシステム7は、フロントガラスの表面(F2面)に対して特定の角度をもって方向づけられる。特に、LIDARは、地面に対する平行線に近い方向に沿って、すなわち道路の方へわずかに傾いた方向に沿って、画像収集ゾーンの方へ直接に方向づけられることができる。換言すれば、LIDAR7は、その機能を果たすために適合した視野を伴うわずかな角度に沿って道路の方へ方向づけられることができる。
【0124】
フロントガラスは、以下を含む従来の積層グレージングである:
-外側面F1および内側面F2をもつ、外側ガラスシート1
-および、外側面F3および車室側の内側面F4をもち、例えばあるいはさらに1.6mmあるいはさらに薄い厚さの、内側ガラスシート1’
-2枚のガラスシートは、例えば、およそ0.76mmの厚さのPVB(SolutiaまたはEastmanのRC41)または必要であれば変形例として例えばおよそ0.81mmの厚さの遮音のPVB(3層または4層)、例えば3枚のPVBシ-トでできた中間層である積層グレージングの上から下の方へくさび形に減少する横断面を場合によっては有する、サブミリメートルの厚さで、好ましくはクリアな、一般的にポリビニルブチラール(PVB)製の熱可塑性材料製中間層3によって互いに接合している。
【0125】
よく知られている従来の仕方で、フロントガラスは、構成要素1、2および3の熱ラミネート加工によって得られる。0.76mmのクリアなPVBが選択される。
【0126】
第一のガラスシートは、F2面に、反射防止コーティング2を有し、該反射防止コーティングは、800nm~1800nmとりわけ850nm~1600nmの赤外線における動作波長と呼ばれる少なくとも1つの波長でのものであり、中間層の厚みの中かつ第二のガラスシートの厚みの中を貫通する孔4、つまり壁40および40’によって画定される孔による自由表面(積層体中間層および第二のガラスシートで覆われない表面)をもつ。
【0127】
第一のガラスシート1はとりわけ、シリカ、ソーダ石灰、ソーダ石灰シリカ(好適)、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩をベースとしており、最大0.05%(500ppm)、好ましくは最大0.03%(300ppm)また最大0.015%(150ppm)またとりわけ0.005%以上の総酸化鉄(Feの形態で表される)の重量含有率を有する。第一のガラスシートは、0.15以上、またとりわけ0.2~0.30、とりわけ0.25~0.30のレドックスを有することができる。
【0128】
とりわけ1.95mmのOPTWHITEガラスが選択される。
【0129】
第二のガラスシート1’はとりわけ、シリカ、ソーダ石灰、(また第一のガラスシートのように)好ましくはソーダ石灰シリカ、さらにはアルミノケイ酸塩、またはホウケイ酸塩をベースとしており、少なくとも0.4%また好ましくは最大1.5%の総酸化鉄の重量含有率を有する。第二のガラスシートは、0.22~0.35または0.30のレドックスを有することができる。
【0130】
例えば緑色である、TSAnx(0.5~0.6%の鉄)TSA2+、TSA3+(0.8~0.9%の鉄)、TSA4+(1%の鉄)、TSA5+と呼称される、本出願人のガラスをとりわけ挙げることができる。
【0131】
例えば1.6mmのTSA3+ガラスが選択される。
【0132】
1.95mmのOPTWHITEガラス、110nmの反射防止コーティングを使って、以下のようなF2面側の全透過率が得られる:
-90°で、905nmで92.5%、また1550nmで92.0%
-60°で、905nmで91.7%、また1550nmで91.5%。
【0133】
本発明によると、上部長手方向縁に沿った周縁中央領域において、フロントガラスはしたがって、積層体中間層3の厚みの中かつ第二のガラスシート1’の厚みの中を貫通する孔4、つまりそれらのそれぞれの側壁40’および40によって画定される孔を有する。
【0134】
図1および図2で示されているように、孔はここでは、とりわけ-台形断面の-閉じられた孔(ガラスシートの壁で取り囲まれた孔)、つまりグレージング内の孔であり、孔は以下を有する:
-グレージングの上部長手方向縁のへり10に最も近い、いわゆる上部の第一の大きな辺すなわち上部長手方向縁であって、それは、このへりに平行で最大20cm例えば10.6cmの長さであり、また(この大きな辺の)へりから少なくとも5cmまたは6cm間隔がおかれている、
-(上部長手方向縁のへり10から最も遠く、中央ゾーンに近い)いわゆる下部の第二の大きな辺すなわち下部長手方向縁であって、それは、第一の大きな辺に平行で最大25cmまたは20cmでまた好ましくは第一の大きな辺の長さよりも長く例えば17.5cmの長さである、-少なくとも5cmここでは10cmである、(これらの大きな辺の間の)高さ。
【0135】
赤外線ビューイングシステム7は、貫通孔4と向かい合っている。
【0136】
貫通孔4は選択的に、ノッチ、つまり、好ましくはルーフ側に開通する貫通孔であることができる。
【0137】
貫通孔4は、フロントガラス100の別の領域内にあることもできるし、またはさらには車両の別のグレージング特にリヤウインド内にあることもできる。
【0138】
反射防止コーティング2もまた局所的である。ここでは、それはこの周縁領域において長方形の形状であり、またその縁20は、面12と面Faとの間に、孔4を画定する壁から最大10mmはみ出している。
【0139】
フロントガラス100は、F2面12上に、フロントガラス(またはリヤウインド)の周縁枠を形成する、エナメル層またはラッカーのような、例えば黒色である不透明のマスキング層5を有し、またフロントガラスは周縁ゾーン内の貫通孔を伴うところに、LIDAR7の性能を妨げないほどに十分に大きいがLIDAR7のケース8(プラスチック、金属など)を覆い隠すのに適したギャップ51’を有する。ケース8は、接着剤6によってF4面にまたルーフ9に接着されることができる。
【0140】
ここでは、反射防止コーティングはF2面上にあり、またマスキング層を少し覆っている
【0141】
フロントガラス100は、積層体中間層3のF3面側のFb面上に(表面の全体にわたって)設置される、直線の形であるかまたは直線の形ではない、例えば50μmの、ほぼ目に見えない金属線のセットを有することができる。これらの線は、貫通孔4にはない。
【0142】
図3は、本発明の第二の実施形態におけるLIDARのような赤外線ビューイングシステムを用いた断面で、フロントガラス200を断面図で示している。
【0143】
図4は、図3のフロントガラス200を正面図(車室側)で示している。
【0144】
第一の実施形態との相違点だけが、以下に説明される。
【0145】
F2面上の反射防止コーティング2は、今回はマスキング層の下にある。
【0146】
反射防止コーティング2は、孔の断面の形状と相似した形状、つまりここではこの周縁領域における台形(目に見えないため図4では点線で示されている)を有し、またその縁20は、面12と面Faとの間に、孔4を画定する壁から10mmはみ出している。
【0147】
貫通孔の中に、インサート90が収められ、それは、孔を(上部で)画定する第二のガラスシートの壁40に(とりわけ接着によりまたは力ずくで)取り付けられ、また、積層体中間層の壁40’とも接触しまた反射防止コーティングに接しており、例えば柔軟な高分子材料(ポリカーボネートなど)製の、最大1.5cmの幅の、環タイプである。
【0148】
このインサート90は、機械的補強のためかつ/またはLIDARの固定のために使用されることができる。それは、第一の実施形態において使用されることもできる。
【0149】
このインサートは、孔を越えて、とりわけF4面上に広がることができる。
【0150】
示された実施形態と関連して、可能な変形例は(完全ではないが)以下の通りであり、それらは場合によっては組み合わせることができる:
-反射防止コーティングは、貫通孔からはみ出すことなく、しかも貫通孔の縁から好ましくは最大1cm間隔がおかれる
-反射防止コーティングは、(例えばF2面にありとりわけエナメルである)マスキング層から間隔がおかれ、または少なくともそれを覆わない。
-反射防止コーティングは、化学的保護用下地層を有し、それは、ゾルゲル多孔質シリカ機能性層が上に乗った、とりわけゾルゲルによる、とりわけ高密度シリカ層である。
-F2面は、エナメルの下または上にアサーマル機能性層を有し、反射防止コーティングは場合によっては、とりわけアサーマル機能性層の上または下で、機能性層と接触している。
【符号の説明】
【0151】
1 第一のガラスシート
1’ 第二のガラスシート
2 反射防止コーティング
3 中間層
4 貫通孔
5 マスキング層
7 赤外線ビューイングシステム
8 ケース
9 ルーフ
10 上部長手方向縁のへり
51’ ギャップ
90 インサート
100 フロントガラス
200 フロントガラス
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】