(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】フィールド装置の単方向のデータ転送
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20221116BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20221116BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
G05B23/02 301T
G06F3/0484
G06K19/06 037
G06K19/06 112
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517746
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 US2020049879
(87)【国際公開番号】W WO2021055198
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】シアーズ,ブレット・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】スウィート,ジャレッド・イー
(72)【発明者】
【氏名】ラモット,ロス・シー
【テーマコード(参考)】
3C223
5E555
【Fターム(参考)】
3C223BA01
3C223BB02
3C223BB08
3C223BB12
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(57)【要約】
フィールド装置(100)は、プロセス通信モジュール(122)、画像表示部(106)、及び、制御装置(126)を含む。プロセス通信モジュール(122)は、プロセス産業標準通信プロトコルに従って通信するように構成される。制御装置(126)は、プロセス通信モジュール(122)、及び、画像表示部(106)に動作可能に結合され、画像表示部(106)に機械可読表示出力を、応答的に生成させるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス産業標準通信プロトコルに従って通信するように構成されたプロセス通信モジュール、
画像表示部、及び、
前記プロセス通信モジュール及び前記画像表示部に動作可能に結合された制御装置であって、前記画像表示部に、機械可読表示出力を、応答的に生成させるように構成される、前記制御装置、
を備えるフィールド装置。
【請求項2】
前記画像表示部、及び、前記制御装置を収容する筐体をさらに備える、請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項3】
前記筐体は、防爆仕様に準拠するように構成される、請求項2に記載のフィールド装置。
【請求項4】
前記制御装置は、ボタンの押下を受けた場合に、前記画像表示部に、前記機械可読表示出力を、応答的に生成させるように構成される、請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項5】
前記制御装置は、プロセス通信を介してコマンドを受信した場合に、前記画像表示部に、前記機械可読表示出力を、応答的に生成させるように構成される、請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項6】
前記制御装置は、装置故障の発生時に、前記画像表示部に、前記機械可読表示出力を、応答的に生成させるように構成される、請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項7】
前記機械可読表示出力は、前記装置故障を示すものである、請求項6に記載のフィールド装置。
【請求項8】
前記画像の表示出力は、複数のピクセルを含む、請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項9】
前記画像表示部は、液晶表示部である、請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項10】
前記表示部は、e-インク表示部である、請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項11】
前記機械可読表示出力は、バーコードである、請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項12】
前記バーコードは、二次元バーコードである、請求項11に記載のフィールド装置。
【請求項13】
前記フィールド装置の回路は、本質安全仕様に準拠するように構成される、請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項14】
前記フィールド装置は、プロセス変数送信機である、請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項15】
前記フィールド装置は、プロセスアクチュエータである、請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項16】
前記制御装置は、前記画像表示部に、一連の機械可読表示出力を生成させるように構成される、請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項17】
前記制御装置に結合された感光性センサをさらに備え、前記制御装置は、前記感光性センサからの信号に基づいて、前記画像表示部に、前記一連の機械可読表示出力を、ステップ実行させるように構成されている、請求項16に記載のフィールド装置。
【請求項18】
フィールド装置から情報を転送する方法であって、
前記フィールド装置の表示部に、機械可読表示出力を生成させるステップ、
前記機械可読表示出力の少なくとも一つの画像を取得させるステップ、
前記機械可読表示出力の画像を処理させ、抽出されたデータを取得するステップ、及び、
前記抽出されたデータを表示させるステップ、
を含む方法。
【請求項19】
前記機械可読表示出力は、二次元バーコードである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記抽出されたデータを使用して、補足情報を取得させるステップ、をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記補足情報は、リモート接続を介して取得される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも一つの画像は、一連の画像を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記一連の画像は、前記フィールド装置の表示部上に順次表示される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記表示部は、防爆型の筐体内に配置される、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
フィールド装置との無線通信セッションを確立する方法であって、
前記フィールド装置の表示部に、機械可読表示出力を生成させるステップ、
前記機械可読表示出力の画像の取得させるステップ、
前記機械可読表示出力の画像を処理させ、抽出された認証情報を取得するステップ、
前記抽出された認証情報を前記フィールド装置に提供させるステップ及び、
前記抽出された認証情報を受信した場合に、前記フィールド装置に、双方向無線通信セッションを提供させるステップ、
を含む方法。
【請求項26】
前記抽出された認証情報は、前記フィールド装置によって生成され、一度だけ使用可能なキーである、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
プロセス制御産業において、プロセス変数送信機のようなフィールド装置は、プロセス変数を遠隔地で感知するために使用される。プロセス制御産業において、アクチュエータのようなフィールド装置は、プロセスの流量、温度、等の物理的なパラメータを遠隔制御するために使用される。プロセス変数は、プロセスに関する情報を(例えば、制御室内の)制御装置に提供するために、プロセス変数送信機のようなフィールド(野外の、現地の)装置から制御室に送信される。次いで、制御装置は、プロセスのパラメータを変更するために、アクチュエータのようなフィールド装置に制御情報を送信する。例えば、プロセス流体の圧力に関する情報が制御室に送信され、石油精製などのプロセスを制御するために使用される。
【0002】
通常、フィールド装置は、比較的厳しい環境の屋外に設置でき、温度、湿度、振動、機械的衝撃などの気候学的に極端な状態に耐えることができるようにフィールドで強化された筐体(ハウジング、カバー)を備えている。また、これらの装置は、一般的に、比較的低い電力で動作させることができる。例えば、現在、既知の4-20mAループから全ての動作電力を受け取るフィールド装置が利用可能である。
【0003】
プロセス変数送信機のようなフィールド装置は、化学、パルプ、石油、ガス、医薬品、食品、及び、その他の流体処理プラントにおけるスラリー、液体、蒸気、及び、気体(ガス)のような流体に関連するプロセス変数を監視するために使用される。プロセス変数は、振動、粘度、速度、体積、質量、エネルギー、圧力、温度、流量、レベル、pH、導電率、濁度、密度、濃度、化学組成、及び、その他の流体特性などを含むが、これらに限定されるものではない。プロセスアクチュエータのようなフィールド装置には、制御弁、ポンプ、ヒーター、攪拌機(アジテーター)、冷却器、ソレノイド、ベント、及び、その他の流体制御装置が含まれる。
【0004】
フィールド装置の中には、有線プロセス通信プロトコルのいくつかに従って通信を行うものがある。例えば、いくつかのフィールド装置は、プロセス制御電流ループを流れるアナログ電流信号に重畳されるデジタル信号を使用して制御装置と通信するデジタル回路を使用する。このような技術の一例として、HART(登録商標:Highway Addressable Remote Transducer)通信プロトコルがある。HART(登録商標)プロトコル、及び、その他のそのようなプロトコルは、一般的に、装置の制御、又は、問い合わせのような所望の応答を引き出すために、フィールド装置に送ることができるコマンド、又は、命令のセットを含む。
【0005】
別のプロセス通信プロトコルは、FOUNDATION(登録商標)フィールドバス(Fieldbus)プロトコルとして知られている。このプロトコルは、プロセス制御ループに関する情報を送信するための通信層、又は、プロトコルを定義することを目的とする。フィールドバスのプロトコル仕様は、1992年にInstruments Society of America(米国計測器協会)によって公表されたISA-S50.01-1992である。別の周知の有線プロセス通信プロトコルは、Profibusとして知られている。さらに別の周知の有線プロセス通信プロトコルは、Modbusとして知られている。追加の有線プロセス通信プロトコルも知られている。
【0006】
最近では、無線技術は、フィールド装置との通信に使用されている。無線動作により、フィールド装置の配線やセットアップが簡素化される。無線プロセス通信の一つの特定の形態は、IEC62591(無線HART(登録商標))に記載されている。しかしながら、公知のワイファイ(WiFi:Wireless Fidelity)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、及び/又は、赤外線(IrDA)プロトコルによる通信のような、さらなる無線通信機能をフィールド装置に提供することも望まれるようになってきている。
【0007】
フィールド装置が動作する環境には、揮発性の高いガスや爆発性のガスさえ含まれることがある。従って、そのようなフィールド装置には、そのような環境に対して不用意に発火源を発生させないことを確実にするために、重要な要件が要求される。この安全性を確保する一つの方法は、フィールド装置の回路を、防爆仕様のハウジングに配置することである。防爆仕様の一例としては“Approval Standard for Explosion-Proof Electrical Equipment General Requirements, Class Number 3615, promulgated by Factory Mutual Research March 1989.”(「Factory Mutual Research(工場相互研究所)により1989年3月に公布された、防爆電気装置に対する一般要求の認定基準、クラス番号3615」)に規定されているものがある。上記されたような防爆仕様への準拠(適合)は、フィールド装置内の回路が過度に高温になったり火花を発生させたりしても、フィールド装置のハウジング内で発生した発火がより大きな揮発性のプロセス環境に逃げ込むことができないこと、を確実にするのに役立つ。プロセス環境の安全性を確実にする別の方法は、電子回路自体が本質安全の要件に準拠(適合)していることである。本質安全仕様の一例は、“Approval Standard Intrinsically Safe Apparatus and Associated Apparatus for Use in Class I, II and III, Division 1 Hazardous (Classified) Locations, Class Number 3610, promulgated by Factory Mutual Research, October 1988.” (「Factory Mutual Research(工場相互研究所)により1988年10月に公布された、クラスI、II及びIIIに使用される本質的に安全な装置、及び、関連装置の認定基準、ディビジョン1、危険(と分類された)場所、クラス番号3610」)に記載されている。防爆仕様、及び/又は、本質安全仕様に従って動作するフィールド装置を提供することは、そのようなフィールド装置と相互通信(対話)作業する人々のための安全性だけでなく、プロセス環境の安全性を確保するのに役立つ。
【0008】
安全性は、プロセス環境における非常に重要な事項であるため、技術者がフィールド装置内のコンポーネントと相互通信作業する必要がある場合(例えば、フィールド装置を構成したり診断したりするためにテストリードを取り付けることのような)、筐体を開ける(すなわち、カバーを取り外す)作業は、そのような作業を行う前に特定の認可(火気使用(ホットワーク)の許可のような)を取得する必要がある可能性を有する。場合によっては、危険なガス雰囲気中で爆発を引き起こす潜在的な電気火花を防止するために、フィールド装置の作業を行う前に、プロセス制御環境におけるプロセス制御動作を停止する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
概要
フィールド装置は、プロセス通信モジュール、画像表示部及び制御装置を含む。プロセス通信モジュールは、プロセス産業標準通信プロトコル(process industry standard communication protocol)に従って通信するように構成される。制御装置は、プロセス通信モジュール及び画像表示部に動作可能に結合され、画像表示部に、機械可読な表示出力を、応答的(responsively)に生成させるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の各実施形態において特に適用可能なフィールド装置の概略斜視図である。
【
図2】本発明の各実施形態を実施することができるフィールド装置のブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るフィールド装置からの単方向データ転送を示す概要図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係るフィールド装置から得られた機械可読画像を処理するユーザーの可搬型(モバイル)装置を示す図である。
【
図4B】本発明の一実施形態に係るから得られた機械可読画像を処理するユーザーの可搬型装置を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るフィールド装置からデータを転送する方法のフロー図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る無線フィールド装置との双方向無線通信を確立する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施形態の詳細な説明
本発明の各実施形態は、一般に、フィールドで動作するフィールド装置と、ユーザー、又は、技術者との相互通信作業を簡素化し、且つ、迅速化する。技術者がフィールド装置のハウジングを開くことを要求される場合、そのプロセス自体が比較的煩雑で時間がかかる。場合によっては、技術者は、火気使用の許可を取得する必要がある場合がある。その後、技術者は、フィールド装置のハウジングを開け、リード線を取り付け、デジタルプロトコルを介して情報をダウンロードし、カバーを取付けなければならない。火気使用の許可を取得するために必要な時間を除いても、これらのプロセス全体で何分もかかる場合がある。最近では、カバーを取り外す必要性や火気使用の許可を取得する可能性を回避するために、無線通信能力を有するフィールド装置と相互通信作業をすることが有益になってきている。例えば、米国特許出願公開第2019/0103914号では、フィールド装置(バルブ制御装置として示される)との低消費電力ブルートゥース(BLE:Bluetooth(登録商標)Low Energy)通信の利用が検討されている。フィールド装置と無線通信することは、一般的に、カバーを取り外す必要性を回避することができるが、無線通信自体が、他の課題を提起することがある。例えば、一部のユーザーは、そのような無線通信のセキュリティ上の懸念に敏感である場合がある。
【0012】
現在のフィールド装置の相互通信作業に関する別の困難さは、フィールド装置が一般的に比較的低電力の装置であり、比較的小さなデジタル表示部を使用することである。例えば、現在のフィールド装置のいくつかは、比較的低い解像度を有し、画面上には、一度に、人間が読むことができる12個、又は、その程度の単語、及び、数字しか表示できないようなサイズの液晶表示部を使用している。このため、ユーザー、又は、技術者が探しているすべての情報を簡潔な方法で提供することが困難である。したがって、現在の(フィールド)装置は、プロセスの安全性、及び、セキュリティを確保しながら、現場のフィールド装置でユーザー、又は、技術者に大量のデジタルデータを提供する能力についてはやや限界がある。
【0013】
本明細書に記載された各実施形態は、一般的に、フィールド装置上の機械可読表示出力と、技術者、又は、ユーザーの可搬型(モバイル)装置などのカメラと組み合わせて活用し、動作中のフィールド装置から技術者の可搬型装置に、大量のデジタルデータを、迅速、且つ、安全に転送するものである。したがって、(フィールド)装置は、十数個程度の人間が読める単語、又は、数字を提供する代わりに、ユーザー、又は、技術者の(可搬型)装置によって取得されることができる機械可読画像(例えば、QRコード(登録商標)、バーコード、又は他の適切な画像)を表示することができる。
【0014】
プロセス設備におけるスマート装置(スマートデバイス)の普及が進んでいる。これらのスマート装置は、一般的に、機械可読である符号化された画像をキャプチャ(取り込む)ことができる高解像度のカメラを備えている。これらの符号化(エンコード)された画像の処理により、有線接続を使用する場合よりも高速なデータ転送が可能になる。また、フィールド装置のいかなるカバーも取り外す必要なく転送を行うことができることから、時間の短縮が図れると考えられる。また、このデータ転送は、ポイントツーポイント(2地点間)の単方向である。このため、現在の無線方式で懸念されるセキュリティ上の問題のいくつかも軽減される。一実施形態において、フィールド装置上での符号化画像の表示は、ローカル(フィールド装置の局所的)なボタンの押下、又は、他の適切な技術によって開始される。
【0015】
図1は、本発明の各実施形態において特に適用可能なフィールド装置の概略斜視図である。フィールド装置100は、プロセス104に結合するように構成されたプロセス流体入口102を有するプロセス流体圧力送信機として図示されている。プロセス流体圧力センサは、センサ本体105内に配置され、プロセス流体圧力に関連する電気信号を提供する。この電気信号は、マイクロプロセッサのような制御装置によって作動され、表示部106によって表示され、及び/又は、制御室のような遠隔装置に伝達されることができるプロセス流体圧力に変換される。表示部106は、一般的に、文字、数字、又は、アイコン、の形態の表示出力を生成するために係合させることができる多数の画素(ドット、又は、ピクセル)を有するという点で、典型的には、画像表示部(グラフィックディスプレイ)である。プロセス流体圧力送信機は、フィールド装置100の内部にアクセスするために取り外し可能な少なくとも一つのカバー110を有する、堅牢な筐体108を有する。さらに、フィールド装置100は、ユーザーがフィールド装置と相互通信作業をすることを可能にするボタン112,114のような一つ以上のローカルユーザーインタフェース要素を含むことができる。注意すべきこととしては、フィールド装置100は、本明細書に記載する各実施形態を実施することができる無数の異なるフィールド装置の単なる一例であることである。
【0016】
図2は、本発明の各実施形態を実施することができるフィールド装置のブロック図である。回路120は、筐体108内に配置され、ループ通信モジュール122、電力モジュール124、制御装置126、ローカルオペレーターインターフェース128、変換器インターフェース回路130、及び、変換器(トランスデューサ)132を含む。
【0017】
プロセス通信回路122は、HART(登録商標)プロトコル、FOUNDATION(登録商標)フィールドバス、又は、無線HART(登録商標)(IEC 62591)プロトコルのようなプロセス産業通信プロトコルに従って通信するように構成される。プロセス通信は、フィールド装置100が、プロセス通信ループを介して、プロセス変数を報告するか、又は、プロセスコマンドを受信することを可能にする。プロセス通信回路122は、制御装置126に結合されて、制御装置126が、プロセス通信ループ、又は、セグメントを介して、プロセス制御装置、及び/又は、他のフィールド装置と相互通信作業することを可能にする。
【0018】
制御装置126は、そのフィールド装置の機能を提供するために、プログラムステップを実行することができる、任意の適切な装置である。一例として、制御装置126は、フィールド装置の出力を提供するためか、又は、フィールド装置コマンドを受信して、プロセスアクチュエータ出力を生成するために、プログラムステップを実行するマイクロプロセッサ及び、関連するメモリ、及び、タイミング回路を含む。制御装置126は、ローカルオペレーターインターフェース回路128に結合される。
【0019】
ローカルオペレーターインターフェース回路128の1例では、表示部106、及び、入力部112、114とを含む。表示部106は、発光ダイオード表示部(OLEDディスプレイ、又は、AMOLEDディスプレイなど)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、量子ドット(QLED)ディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、電子インク(e-インク)ディスプレイ、又は、機械可読画像をレンダリングすることができる任意の適切な技術を含むが、これらに限定されない任意の適切なディスプレイ技術を含むことができる。入力部112、114は、ボタンとして示されているが、本明細書に記載する各実施形態に従って、任意の適切な入力要素を使用することができる。例えば、そのような要素としては、磁気スイッチ、ホールスイッチ、リードスイッチ、容量性タッチスクリーン、抵抗性タッチスクリーン、ロータリーエンコーダ、感光性ダイオードなどの感光性センサ、音響センサ、又は、ユーザーの相互通信作業を感知して、そのような相互通信作業を示す信号を制御装置126に提供することができる任意の他の適切な要素を含むことができる。
【0020】
変換器インターフェース回路130は、制御装置126が、変換器132と相互通信作業することを可能にする。フィールド装置がプロセス変数送信機である実施形態では、変換器インターフェース回路130は、温度、又は、圧力のセンサのようなプロセス変数センサの形態で、変換器132に結合された、アナログ-デジタル変換器(コンバータ)を含む。フィールド装置がプロセスアクチュエータである実施形態では、変換器インターフェース回路130は、モータ、又は、バルブの動きを生成するためのバルブポジショナのような変換器、のような変換器と係合させるための適切な電流駆動回路を含むことができる。
【0021】
図3は、本発明の一実施形態に係るフィールド装置からの単方向データ転送を示す概要図である。図示の例では、フィールド装置200は、表示部206とボタン212,214とを有するプロセス変数送信機である。一実施形態では、表示部206は、防爆型であり得るハウジング/筐体208内に配置される。表示部206は、ハウジング208を開くことなく表示部206を見ることができるように、ハウジング208内の窓を通して見ることができる。
【0022】
図3から分かるように、ユーザー、又は、技術者のスマートフォン(スマート装置)230は、スマートフォン230のカメラ232が、表示部206上に提示される機械可読表示出力234の画像を取得できるように、フィールド装置200の近傍に持ち寄られる。図示された例では、機械可読表示出力(機械可読画像)234は、QRコード(登録商標)のような二次元バーコードである。しかしながら、任意の適切な機械可読画像を使用することができる。一実施形態では、プロセス変数送信機200は、技術者がボタン212,214の一方、又は、両方と相互通信作業することによって、機械可読画像234を生成させる。しかしながら、別の実施例では、プロセス変数送信機は、プロセス通信を介して適切なコマンドを受信すると、機械可読である表示出力234を生成させることができる。
【0023】
別の実施形態では、フィールド装置200が感光性ダイオードを含む場合、フィールド装置は、機械可読画像234を表示するためのトリガとしてのフラッシュ(閃光)信号を本質的に検出するために、ユーザーのスマートフォン(スマート装置)から発せられる光のフラッシュ(閃光)を検出することができる。カメラが搭載されたスマート装置の多くは、写真を撮るためのフラッシュを提供することができる光源も備えている。このフラッシュは、フィールド装置に機械可読画像234を表示させるために使用することができる。さらに、フラッシュ信号は、ユーザーのスマート装置が機械可読画像234の読み取りを終了し、フィールド装置200が機械可読画像のシーケンスにおいて、次の機械可読画像を表示することができることを、フィールド装置にシグナリング(信号送信)するために使用することもできる。このようにして、多くの画像が、画像表示を進めるか、又は、その他の方法で制御するために、ユーザーによる操作(アクション)を必要とせずに、ユーザーのスマート装置によって処理されることができる。
【0024】
さらに別の例では、プロセス変数送信機200は、上限値違反、又は、測定された限界値が境界を外れることのようなイベントの発生時、又は、プロセス変数送信機200内の構成要素(コンポーネント)の故障時に、機械可読画像234を生成させることができる。例えば、プロセス変数送信機200の故障の発生時に、e-インク表示部(一般的に、その表示状態を維持するために電力を必要としない)を使用する実施形態では、診断、又は、トラブルシューティングの画像を、表示部206上に生成することができ、プロセス変数送信機内で、完全に電力が失なわれた場合でさえ、表示をその上に維持することができる。
【0025】
ユーザー、又は、技術者の(スマート)装置が、機械可読表示出力234の一つ以上の画像を取得すると、スマート装置は、そこからデータを抽出するために、自動的に、又は、ユーザーの命令で、機械可読画像からデータを抽出するために機械可読画像(複数可)を処理することができる。
図4Aに示すように、技術者の(スマート)装置230上で実行されるアプリケーションは、そのような処理中であることの指示を提供してもよい。処理の完了後、抽出されたデータは、
図4Bにおいてユーザーに提示される様々なグラフに示されるように、技術者に示されることができる。注意すべきこととしては、単一の機械可読画像が、ユーザーの(スマート)装置に情報を提供するために処理されてもよいし、複数の機械可読画像が、フィールド装置から連続して(シーケンスで)取得され、ユーザーの装置に情報を提供するために処理されてもよいことである。
【0026】
本発明の各実施形態は、一般的に、多くの異なるシナリオにおいて、フィールド装置との相互通信作業を改善すると考えられる。
【0027】
第1のシナリオでは、機械可読表示部を使用して、個々のフィールド装置に関する詳細情報を提供することができる。例えば、この情報は、限定されるものではないが、フィールド装置の注文コード、又は、オプションを含むことができ、それによって、ユーザーは、全く同じフィールド装置、又は、スペアパーツを容易に再注文することができる。この情報には、フィールド装置のすべての構成パラメータの状態も含むことができる。このような機械可読コードを使用することは、既存のRFIDタグを付与する技術の代替となる可能性がある。
【0028】
別のシナリオでは、機械可読情報は、(フィールド)装置の種類に関する表示を提供するのに役立つ場合がある。この場合は、フィールド装置の特定のモデルのための製品文書に役立つURL、又は、リンクであり、ユーザー、又は、技術者が、自分で情報を検索する時間を節約できる。
【0029】
さらに別の例では、機械可読画像は、プロセスデータ履歴、診断ログ、又は、他の大きなデータのかなりの量(チャンク)を比較的迅速に提供することができる。上記のローカル表示部は、例えば、大きな形式の表示部で表示できるような非常に長い文字列、又は、グラフを表示するための典型的な方法ではない。その代わりに、フィールド装置のプロセス値の履歴、及び/又は、診断/較正ログを、特定のフォーマットで含む、符号化画像を表示することができ、これは、ユーザー、又は、技術者のスマート装置によって捕捉され、処理されることができる。最後に、そのようなデータは、
図4Bに示されるグラフ、又は、表のような、ユーザーフレンドリーな方法で提供されることができる。
【0030】
上記の例は、フィールド装置上の比較的限られた表示部領域を介した、フィールド装置とユーザー、又は、技術者のスマート装置との間の、改善された情報伝達を単に例示したものである。本明細書に記載される符号化された画像は、多くの形態をとることができる。一般的な例としては、2次元バーコード、又は、標準バーコードが挙げられる。これらの画像は、画面上の唯一の項目として表示することができ、又は、いくつかの人間が判読できるテキストに加えて表示することもできる。
【0031】
さらに、本明細書に記載する各実施形態は、ユーザーの(スマート)装置とフィールド装置との間の双方向無線通信についてのセキュリティの改善を促進するために利用することができる。例えば、機械可読画像から抽出されたデータは、無線通信ハンドシェイクプロトコル、又は、認証の一部として、フィールド装置によって要求されることができる。一例では、画像内にエンコードされたデータは、ユーザーが、ワイファイ(WiFi)、又は、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))のような別の無線プロトコルを介して接続するためのスマート装置を認証するためである、スマート装置で取り込む(キャプチャする)必要があるパスワード、又は、キーであってもよい。従って、ユーザーがセキュリティを懸念し、フィールド装置に近接していることで認証を確認するのに十分なセキュリティを提供できるという状況がある場合に、符号化された画像を二要素認証の一形態として使用することで、セキュリティ上の懸念を緩和することができる。
【0032】
図5は、本発明の一実施形態に係るフィールド装置からデータを転送する方法のフロー図である。方法300は、ブロック302で始まり、ユーザー、又は、技術者は、カメラを有するスマート装置を、フィールド装置の表示部の近傍に配置する。そのようなスマート装置の例には、携帯型(ハンドヘルド)のフィールド保守ツール304が含まれる。しかしながら、技術者の(スマート)装置は、ブロック306に示すようなパーソナルデジタルアシスタント(PDA:personal digital assistant)、スマートフォン308、又は、ブロック310に示すような表示部の画像を取得することができるカメラを有する他の任意の適切なスマート装置であってもよい。そのカメラがフィールド装置の表示部に近接した場合、ブロック312に示されるように、フィールド装置は、その表示部上に機械可読画像を生成させ、ユーザーのスマート装置が、フィールド装置の表示部の画像を取得する。
【0033】
ブロック314において、画像が取得されると、機械可読画像から符号化データを抽出するために、適切な既知の画像処理技法に従って処理される。次に、任意(オプション)のブロック316において、抽出された情報は、抽出情報自体を使用して補足されてもよい。例えば、そのような補足は、ユーザー、又は、技術者の(スマート)装置が、抽出されたURLを使用して、インターネット318から情報を取得することを含むことができる。別の例では、ブロック320に示すように、フィールド装置に関する抽出された情報を、フィールド装置の装置記述(DD:Device Description)を参照するために使用することができる。
【0034】
さらに、ブロック322に示されるように、抽出された情報に基づいて情報を補足するために、任意の他の適切な情報源を使用することができる。最後に、ブロック324において、抽出されたデータだけでなく、任意の適切な補足データが、ユーザーのスマート装置上で、ユーザーに対して表示される。そのような表示の一例が、上記した
図4Bに示されている。
【0035】
図6は、本発明の一実施形態に係る無線フィールド装置との双方向無線通信を確立する方法のフロー図である。方法400は、ブロック402から始まり、フィールド装置がその表示部上に機械可読画像を提供し、ユーザー、又は、技術者のスマート装置が、その画像を取得する。機械可読画像は、上記に示したいずれかの例に従った画像とすることができる。次に、ブロック404において、ユーザー、又は、技術者のスマート装置は、使用される特定の機械可読画像技術に適したデータ抽出技術に従って、機械可読画像からデータを抽出する。次に、ブロック406において、抽出されたデータは、フィールド装置との双方向無線通信を開始するために使用される。任意の適切な双方向無線通信プロトコルを使用することができる。例としては、ブロック414でされるように、ワイファイ (WiFi:wireless fidelity)408、低消費電力ブルートゥース(BLE:Bluetooth(登録商標)Low Energy)410のようなブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、無線HART(登録商標)412、又は、現在知られているか、又は、将来的に開発される任意の他の適切な無線通信技術が挙げられる。
【0036】
抽出された情報を使用して双方向無線通信を確立する例には、フィールド装置によって生成され、機械可読画像に符号化されたワンタイムパスワードのようなパスワードを抽出することを含む。そして、機械可読画像からのパスワードの抽出に成功すると、ユーザーは、ブルートゥースペアリング(Bluetooth(登録商標) pairing)のような無線通信開始プロセスを介して、抽出されたパスワードをフィールド装置に入力し直すことができる。この認証要素は、二要素認証(ユーザー名やパスワードなど)に加えて使用することができ、ユーザー、又は、技術者がフィールド装置に物理的に近接していることを確認することができる。これにより、多くの場合に、双方向無線通信を使用する能力をさらに促進することができる追加の無線情報セキュリティを提供することができる。
【国際調査報告】