(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】ワンタイム・プライミングIV注入エクステンション・セット
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20221116BHJP
A61M 39/20 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
A61M5/14 582
A61M39/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517785
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 US2020050560
(87)【国際公開番号】W WO2021055255
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジャーグイ
(72)【発明者】
【氏名】リャン、ロンジエ
(72)【発明者】
【氏名】マンスール、ジョージ マイケル
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066JJ02
4C066JJ10
4C066MM03
4C066NN04
4C066QQ15
(57)【要約】
複数管静脈内IVエクステンション・セットは、一端で一次複数管コネクタに流体結合され、反対端で血管装置に流体結合された出口管と、プライミング流体又は医療用流体を含んだシリンジに接続するためのアダプタを有する近位端及び一次複数管コネクタに結合された遠位端を有する一次入口管とを含むことができる。IVエクステンション・セットは、医療用流体を受容するためのアダプタを有する近位端と、一次複数管コネクタに選択的に流体結合された遠位端とを有する、少なくとも1つの二次入口管をさらに含むことができる。スライド・クランプは、出口管上に位置し、出口管の近位端と遠位端との間の流れを制限し、複数管コネクタを経由して出口管に流入するプライミング流体の方向を反転させ、少なくとも1つの二次入口管内に流入させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次複数管コネクタに流体結合された近位端と、患者の血管装置に流体結合されるように構成された遠位端とを備える出口管と、
プライミング流体又は医療用流体を含むシリンジに接続するためのアダプタを有する近位端と、前記一次複数管コネクタに結合された遠位端とを備える一次入口管と、
医療用流体を受容するためのアダプタを有する近位端と、前記一次複数管コネクタに選択的に流体結合された遠位端とを備える少なくとも1つの二次入口管と、
前記出口管上に配置され、閉鎖形態で前記出口管の前記近位端と前記遠位端との間の流体の流れを制限して、前記複数管コネクタを経由して前記出口管に流入するプライミング流体の方向を反転させ、前記一次複数管コネクタを経由して前記少なくとも1つの二次入口管に流入させるように構成されるスライド・クランプと
を備える、複数管静脈内(IV)エクステンション・セット。
【請求項2】
前記少なくとも1つの二次入口管が、二次複数管コネクタを経由して前記一次複数管コネクタに流体結合された複数の二次入口管を備える、請求項1に記載の複数管IVエクステンション・セット。
【請求項3】
前記複数の二次入口管のそれぞれが、前記二次複数管コネクタに流体接続された遠位端を有する、請求項2に記載の複数管IVエクステンション・セット。
【請求項4】
前記二次複数管コネクタが、中間管を経由して前記一次複数管コネクタに流体結合され、
前記中間管が、
前記二次複数管コネクタの遠位端に流体接続された近位端と、
前記一次複数管コネクタの前記近位端に流体結合された遠位端と
を備える、請求項2に記載の複数管IVエクステンション・セット。
【請求項5】
前記二次入口管が、前記一次複数管コネクタに直接流体結合された単一の入口管を備える、請求項1に記載の複数管IVエクステンション・セット。
【請求項6】
前記少なくとも1つの二次入口管の前記アダプタが管状本体を備え、前記管状本体が、
外面、及びその中を通る管腔を画定する内面と、
前記管状本体上に配置され、前記内面から前記外面に延在する少なくとも1つの通気孔であって、前記管腔を前記管状本体の外部と流体連通させる、少なくとも1つの通気孔と
を有する、請求項1に記載の複数管IVエクステンション・セット。
【請求項7】
前記通気孔を覆って配置された透過膜をさらに含み、前記透過膜が、空気を前記管腔から前記管状本体の前記外部へ放出できるように構成されている、請求項6に記載の複数管IVエクステンション・セット。
【請求項8】
前記透過膜が、前記管腔と前記管状本体の前記外部との間の液体の流れを遮断するように構成された疎水性膜を備える、請求項7に記載の複数管IVエクステンション・セット。
【請求項9】
前記少なくとも1つの二次入口管の前記アダプタが、前記医療用流体を受容するための近位端と、前記少なくとも1つの二次入口管から空気を放出するための遠位端と、その中を通る管腔を画定する内面とを備え、
前記複数管静脈内(IV)エクステンション・セットが、
前記アダプタの前記遠位端に結合された近位端と、遠位端と、それらの間に延在する通気管腔とを有する通気管であって、前記通気管腔が前記アダプタの管腔と流体連通する、通気管と、
前記通気管の遠位端に配置された通気キャップであって、前記通気管腔を前記アダプタの外部と流体連通させる通気キャップと
をさらに備える、請求項1に記載の複数管IVエクステンション・セット。
【請求項10】
前記通気キャップの管腔を覆って配置され、又は前記通気キャップの管腔上に配置され、又は前記通気キャップの管腔の内部に配置される透過膜をさらに備え、前記透過膜が、空気を前記アダプタの管腔から前記通気管腔を通って前記管状本体の前記外部へ放出することができるように構成されている、請求項9に記載の複数管IVエクステンション・セット。
【請求項11】
前記透過膜が、前記通気管腔と前記管状本体の前記外部との間で前記空気を通気させると同時に液体の流れを遮断するように構成された疎水性膜を備える、請求項10に記載の複数管IVエクステンション・セット。
【請求項12】
前記少なくとも1つの二次入口管の前記アダプタの前記近位端に配置された通気キャップをさらに備え、
前記少なくとも1つの二次入口管の前記アダプタが、その中を通る管腔を画定する内面を有し、
前記通気キャップが、その中を通って画定される通気管腔を有する本体を有し、前記通気管腔が、前記アダプタの管腔を前記管状本体の外部と流体連通させる、請求項1に記載の複数管IVエクステンション・セット。
【請求項13】
前記通気管腔を画定する前記通気キャップの内面に配置され且つ結合された透過膜をさらに備え、前記透過膜が、空気を前記管腔から前記管状本体の前記外部へ放出できるように構成されている、請求項12に記載の複数管IVエクステンション・セット。
【請求項14】
前記透過膜が、前記管腔と前記管状本体の前記外部との間の液体の流れを遮断するように構成された疎水性膜を備える、請求項13に記載の複数管IVエクステンション・セット。
【請求項15】
一次複数管コネクタに流体結合された一次入口管と、前記一次複数管コネクタに流体結合された少なくとも1つの二次入口管と、血管装置に前記一次複数管コネクタを流体結合する出口管とを有する複数管静脈内(IV)エクステンション・セットの複数の管枝を同時にプライミングする方法であって、
前記一次入口管のアダプタにシリンジを接続するステップと、
前記出口管の近位端と遠位端との間の流体の流れを遮断するために、前記出口管上に位置するスライド・クランプを挟み、曲げ、さもなければ折りたたむステップと、
前記シリンジから前記一次入口管を通って下流へ、前記一次複数管コネクタを経由して前記出口管内にプライミング流体を押し込むために、前記シリンジのプランジャを押し下げるステップと、
前記プライミング流体の流れを逆流させて、前記一次複数管コネクタを通って上流に戻し、前記少なくとも1つの二次入口管内へと流入させるステップと、
前記少なくとも1つの二次入口管内に存在する空気を、前記少なくとも1つの二次入口管から、それを通って前記プライミング流体を流すことによって放出するステップと
を含む、方法。
【請求項16】
前記プライミング流体の前記逆流が、前記出口管上にスライド・クランプを配置し、閉鎖形態で前記スライド・クランプを配置して前記出口管に制限を形成することを含み、
前記制限に到達すると、前記プライミング流体の流れは、前記少なくとも1つの二次入口管に向かって、前記下流方向から前記上流方向へと転換される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの二次入口管が、二次複数管コネクタ及び中間管を経由して、前記一次複数管コネクタに流体結合された複数の二次入口管を備え、前記少なくとも1つの二次入口管内に存在する空気の前記放出が、前記主要及び前記二次入口管を通って同時に前記プライミングを流すことによって、複数の二次入口管内に存在する空気を放出することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
各二次入口管がアダプタを備え、前記アダプタが、内腔から前記アダプタの外面へと延在する少なくとも1つの通気孔を有し、前記複数の二次入口管内に存在する空気の前記放出が、前記二次入口管を通って上流に前記プライミング流体を同時に流して、前記内腔及び前記通気孔の疎水性フィルタを経由して前記二次入口管の外部に前記空気を押し出すことを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
各二次入口管が、それぞれの前記二次入口管と流体連通する通気管腔を有する通気管と、前記通気管の遠位端に流体結合された通気キャップとを有するアダプタを備え、前記複数の二次入口管内に存在する空気の前記放出が、前記二次入口管を通って上流に前記プライミング流体を同時に流して、前記通気管腔及び前記通気キャップの疎水性フィルタを経由して前記二次入口管の外部に前記空気を押し出すことを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
各二次入口管が、それぞれの前記二次入口管と流体連通する通気管腔と、前記通気管腔に配置された疎水性フィルタとを有する通気キャップを含むアダプタを備え、前記複数の二次入口管内に存在する空気の前記放出が、前記二次入口管を通って上流に前記プライミング流体を同時に流して、前記通気管腔及び前記通気キャップの疎水性フィルタを経由して前記二次入口管の外部に前記空気を押し出すことを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、少なくとも2つの医療用流体を互いに独立して患者に輸送するためのIVエクステンション・セットに関する。より具体的には、本開示は、同時にプライミングできる複数の管枝(tubing branch)を有するIVエクステンション・セットに関する。
【背景技術】
【0002】
注入IVセットは、一般に、予め充填された容器、例えば所望の薬剤を含んだIVバッグから薬剤を患者に送達するために、注入療法において使用される。一般に、IV管は、治療対象の局所領域内に挿入されたカテーテルに接続される。場合によっては、投与量が異なる可能性がある複数の薬剤を患者に送達する必要があり、それにより、複数の薬剤を患者に投与できる複数の管枝を有するIVエクステンション・セットが必要となる。
【0003】
背景セクションで提供される説明は、それが背景セクションに記載されている、又は背景セクションに関連しているという理由だけで先行技術であると想定すべきではない。背景セクションは、主題技術の1つ又は複数の態様を記載した情報を含んでいてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IVエクステンション・セットを介して薬剤を投与する前に、送達されるべき薬剤中に気泡を生成する可能性のある管の内側から空気を除去するために、IVエクステンション・セットの複数の管のそれぞれをプライミングすることが望ましい。空気が気泡として医療用流体中に閉じ込められ、それによって、不適切な(例えば少なすぎる)投与量の薬剤が管を通って患者に投与される原因となる可能性があるため、管の内側から空気を除去することが望ましい。
【0005】
多くのIVエクステンション・セット、例えば、以下に記載の
図1に示すIVエクステンション・セット内の複数の管枝によって、施術者(practitioner)は、複数の管のそれぞれを(一度に1つずつ)プライミングするために、管枝のそれぞれのアダプタに一度に1つずつシリンジを接続する。従来のIVエクステンション・セットの管枝のそれぞれが個別に(一度に1つずつ)プライミングされるので、特にエクステンション・セットがいくつかの分枝を有する場合は、プライミング・プロセスに時間がかかる可能性がある。その結果、いくつかの複数管IVエクステンション・セット(例えば下記の
図1に示す)の全体的なプライミング・プロセスは、いくらか非効率的である可能性がある。
【0006】
したがって、エクステンション・セットのすべての管枝を同時にプライミングするために、プライミング流体を有するシリンジを複数の管枝の1つに接続するだけでよいように構成されたワンタイム・プライミング(one-time priming)IVエクステンション・セットが現場で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の様々な実施例によれば、複数管静脈内(IV)エクステンション・セットは、出口管と、一次入口管と、少なくとも1つの二次入口管と、出口管上に配置されたスライド・クランプとを含み得る。出口管は、一次複数管コネクタに流体結合された近位端と、患者の血管装置に流体結合されるように構成された遠位端とを有することができる。一次入口管は、プライミング流体又は医療用流体を含んだシリンジに接続するためのアダプタを有する近位端と、一次複数管コネクタに結合された遠位端とを有することができる。少なくとも1つの二次入口管は、医療用流体を受容するためのアダプタを有する近位端と、一次複数管コネクタに選択的に流体結合された遠位端とを有することができる。スライド・クランプは、閉鎖形態で出口管の近位端と遠位端との間の流体の流れを制限し、複数管コネクタを経由して出口管に流入するプライミング流体の方向を反転させ、一次複数管コネクタを経由して少なくとも1つの二次入口管に流入させるように構成することができる。
【0008】
いくつかの実施例によれば、一次複数管コネクタに流体結合された一次入口管と、一次複数管コネクタに流体結合された少なくとも1つの二次入口管と、血管装置に一次複数管コネクタを流体結合する出口管とを有する複数管静脈内(IV)エクステンション・セットの複数の管枝を同時にプライミングする方法が開示されている。この方法は、一次入口管のアダプタにシリンジを接続することと、出口管の近位端と遠位端との間の流体の流れを遮断するために、出口管上に配置されたスライド・クランプを挟むか、曲げるか、さもなければ折りたたむこととを含み得る。この方法は、一次入口管を通ってシリンジから下流へ一次複数管コネクタを経由して出口管内にプライミング流体を押し流すためにシリンジのプランジャを押し下げることと、プライミング流体の流れを逆流させて一次複数管コネクタを通って上流に戻し、少なくとも1つの二次入口管内へと流すこととをさらに含み得る。したがって、少なくとも1つの二次入口管に存在する空気は、プライミング流体を流すことによって、少なくとも1つの二次入口管から放出され得る。
【0009】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、ともに例示的且つ説明的なものであり、特許請求の範囲に記載された主題技術のさらなる説明を提供することを意図していることを理解されたい。また、他の態様を利用してもよく、主題技術の範囲を逸脱することなく、変更が可能であることも理解されたい。
【0010】
以下の図面は、実施例の特定の態様を示すために含まれており、排他的な実施例としてみなされるべきではない。開示される主題は、当業者及び本開示の利益を有する者に想到されるように、形態及び機能においてかなりの修正、変更、組み合わせ、及び同等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示のいくつかの実施例による、複数管IVエクステンション・セットを示す図である。
【
図2A】本開示のいくつかの実施例による、複数管IVエクステンション・セットの管のアダプタの本体内に疎水性フィルタを含むワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セットを示す図である。
【
図2B】本開示のいくつかの実施例による、
図2Aのワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セットのすべての管枝を同時にプライミングする方法を示す図である。
【
図3A】本開示のいくつかの実施例による、通気管を介して複数管IVエクステンション・セットの管のアダプタに接続された通気キャップ内に疎水性フィルタを含むワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セットを示す図である。
【
図3B】本開示のいくつかの実施例による、
図3Aのワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セットのすべての管枝を同時にプライミングする方法を示す図である。
【
図4A】本開示のいくつかの実施例による、複数管IVエクステンション・セットの管のアダプタの近位端に接続された通気キャップ内に疎水性フィルタを含むワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セットを示す図である。
【
図4B】本開示のいくつかの実施例による、
図4Aのワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セットのすべての管枝を同時にプライミングする方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記の詳細な説明は、主題技術の様々な構成を記載しており、主題技術が実施され得る唯一の構成を表すことを意図するものではない。詳細な説明は、主題技術を十分に理解するための具体的詳細を含む。したがって、非限定的な実例として特定の態様に関して、寸法が提供され得る。しかしながら、これらの具体的詳細がなくても主題技術が実施され得ることは、当業者には明らかであろう。いくつかの例において、主題技術の概念を曖昧にしないようにするために、周知の構造及び構成要素がブロック図の形式で示される。
【0013】
本開示は、主題技術の実例を含み、添付の特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。ここで、主題技術の様々な態様は、特定であるが非限定的な実例に従って開示されることとなる。本開示において説明されている様々な実施例は、異なる方法及び変形例で、且つ、所望の用途又は実装態様に従って実施され得る。
【0014】
本発明は、一般に、通常は血管内(「IV」)エクステンション・セットと呼ばれる、患者への流体の投与に使用される管エクステンション・セットを対象とする。より詳細には、本開示の様々な実施例は、エクステンション・セットのすべての管枝を同時にプライミングするために、プライミング流体を有するシリンジを複数の管枝の1つに接続するだけでよいように構成された、ワンタイム・プライミングIVエクステンション・セットを対象とする。さらに、本開示の様々な実施例は、気泡がIVエクステンション・セットの複数の管枝に蓄積することを防ぐために、IVエクステンション・セット内に含まれるか、さもなければIVエクステンション・セットに取り付けることができる空気停止膜を有するIVエクステンション・セットを対象とする。本開示の様々な実施例によるIVエクステンション・セットは、本明細書において管セットを説明するために広く使用され、流体の動脈投与、静脈内投与、血管内投与、腹膜投与、及び非血管内投与に使用することができる。さらに、本明細書に記載の様々な実施例のIVエクステンション・セットは、患者の体内の他の場所に流体を投与するために使用されてもよい。
【0015】
患者の血流内に複数の流体を投与する1つの一般的な方法は、
図1に示すように、複数の管枝を有するIVセットを介することである。
図1に示すように、IVセット10は、一般に、医療用流体を含む流体IVバッグ(図示せず)と患者との間に接続を提供するための複数の管枝18、19、21及び22を含む。管枝18、19、21及び22のそれぞれは、様々な医療用流体を所望の量で患者に送達するために使用することができる。IVセット10は、患者の静脈内に配置され得るカテーテル(図示せず)に取り付けるためのコネクタ12をさらに含み得る。
図1に示すように、IVエクステンション・セット10はまた、IVセットの個別の管枝18、19、21及び22内に流体(例えば、IVバッグからの医療用流体、又はシリンジからのプライミング流体)の投与を可能にするアダプタ30、32、34及び36を含み得る。
【0016】
IVエクステンション・セットを介した薬剤の注入の前に、患者の血流にアクセスするIVエクステンション・セット10などのIVセットから空気を除去するために、IVエクステンション・セットの複数の管のそれぞれをプライミングすることが望ましい。これが望ましいのは、例えば、管枝の内側からの空気が、送達される薬剤中に気泡を発生させてしまい、それによって、管を経由して不適切な投与量の薬剤が患者に投与される原因となる可能性があるためである。これは、動脈血にアクセスする際に懸念されることであると同時に、静脈側にアクセスする際にも懸念されることである。具体的には、流体の静脈内投与を受けている間に気泡が患者の血流に入ることができる場合、気泡は空気塞栓を形成して、患者に重大な傷害をもたらす可能性がある。
【0017】
成人集団(adult population)の大多数では、右心房と左心房とは互いに完全に分離されているため、血液及び気泡が右心房から右心室へ移動し、次に、気泡が安全に放出され得る肺へと移動することができる。次に、気泡を含まない血液(bubble-free blood)は左心房に戻ることができ、血液が左心室に移された後、全身へと送られる。しかしながら、幼児や一部の成人集団などでは、場合によっては、右心房と左心房とが完全には分離されていない。その結果、各管枝18、19、21及び22内の医療用流体とともに移動する気泡は、患者に移送される可能性があり、右心房から左心房内に直接移動された後、全身に分散され得る。その結果、これらの気泡は、脳卒中、組織損傷及び/又は死をもたらす可能性がある。したがって、IVエクステンション・セットの管枝をプライミングすることによって、患者の血流に気泡が入るのを防ぐことが重要である。
【0018】
流体の静脈内投与に使用するためのIVセットをプライミングしながら気泡を除去することが重要であるにもかかわらず、気泡の完全な除去は、時間がかかるプロセスであり得る。従来のIVエクステンション・セット、例えば、以下に記載の
図1に示されたIVエクステンション・セット内の複数の管枝によって、例えば、施術者は、複数の管枝のそれぞれをプライミングするために、シリンジを各管枝18、19、21及び22のアダプタ30、32、34、36のそれぞれに一度に1つずつ接続する。従来のIVエクステンション・セット10の管枝18、19、21及び22のそれぞれは、個別に(一度に1つずつ)プライミングされるので、プライミング・プロセスは、特にエクステンション・セットがいくつかの分枝を有する場合には時間がかかることがある。その結果、従来の複数管IVエクステンション・セット10の全体的なプライミング・プロセスは、いくらか非効率的である可能性がある。
【0019】
IVエクステンション・セット10などの従来のIVセットを使用するプライミング・プロセスは、IVセットの滅菌済み端部に不注意に接触することによって、IVセットの汚染を引き起こす可能性がある。典型的には、IVセット10がプライミングされているとき、クランプ27は、流体がドリップ・チャンバ(IVバッグに取り付けられている)から個々の管枝18、19、21及び22を通って移動するのを防ぐように閉じられていてもよい。典型的には、透き通った可撓性プラスチックでできたドリップ・チャンバを圧搾することで、IVバッグ又はボトルから流体をドリップ・チャンバ内へ引き込むことができる。次いで、ドリップ・チャンバは、所定量に充填することができ、ドリップ・チャンバ及びIVバッグに接続された各管枝18、19、21及び22上のクランプ27は、流体が個々の管18、19、21及び22を通ってIVセット10の端部14へ流れることを可能にするために、開放することができる。
【0020】
しかしながら、この従来のプライミング・プロセスは、典型的に、前述の気泡が管枝18、19、21及び22内に閉じ込められることになり、それは除去されなければならない。例えば、IVセットの管枝18、19、21及び22を通る流体の流れは、乱流である可能性があり、流体と管18、19、21及び22との間の境界層がせん断されるときに、管18、19、21及び22のそれぞれの内部に空気を閉じ込めることができる。さらに、ドリップ・チャンバから出る流量は、ドリップ・チャンバに入る流体の流量よりも多くてもよい。これにより、空気がドリップ・チャンバから各管18、19、21及び22内へ引き込まれるときに、バブル・ラダー(bubble ladder)が形成される可能性がある。
【0021】
さらに、液滴がドリップ・チャンバ内の流体のプールの表面に当たるときに、気泡が発生する可能性がある。これらの気泡は、ドリップ・チャンバからIVセットの管内へ引き込まれ得る。ドリップ・オリフィス(drip orifice)がより小さいことによって、乱流を増加させる可能性がある小児科での用途においては、この問題はさらに悪化する可能性がある。
【0022】
IVセットから気泡を除去するために、看護助手(attendant)が管を軽くたたいて気泡をIVセットの端部の外へと促す間に、IVバッグ又はボトルからの流体は、管18、19、21及び22を通って流れることができる。管18、19、21及び22から気泡を取り除くために流体をIVセットから流出させると、流体は、一般に、廃棄物入れ又は他の容器に流入することができる。この手順の間、管の端部は、廃棄物入れに接触したり、看護助手に触れられたりして、汚染される可能性がある。この気泡除去(debubbling)プロセスのさらなる欠点は、患者にとって価値があり得る他の作業を実行するために使えたはずの注意力と時間とを必要とすることである。
【0023】
別の気泡除去方法は、IVセットから気泡を直接除去することである。例えば、IVセットがコネクタ、例えば管18、19、21及び22の長さに沿ったコネクタ25を含む場合、気泡は、シリンジを使用してコネクタ25で除去することができる。
【0024】
いくつかの実例では、IVセットから泡を除去する困難に対処するために、様々な先行技術のIVセットの設計には、流体がIVセットを通って流れるときに流体から空気を濾過するための膜を使用してきた。例えば、ドリップ・チャンバから流出する流体が膜を通過しなければならないように、膜は、しばしば、ドリップ・チャンバの底部に配置することができる。膜は、空気の通過を遮断しながら、流体の通過を可能にするように構成することができる。このようにして、気泡は、患者につながっている管内へ進むことを制限又は防止される。同様に、膜は、管内に存在するいかなる空気も患者の血管系内へと進まないようにするために、管をカテーテルに結合するコネクタ内に含めることができる。
【0025】
これらの先行技術のIVセットの設計における空気濾過膜の使用は、有益であった。しかしながら、これらの膜を使用しても、いまだに様々な欠点がある。例えば、IV流体バッグが空にされる場合、IVセット内のすべての流体は、IVセットを通過して患者に流入し、IVセットは空気で満たされる。このことが起きると、IVセットは、新しい流体バッグが投与され得る前に、IVセットからの空気を除去するために再プライミングされなければならない。したがって、IVセットを再プライミングする必要がないように、臨床医は、ドリップ・チャンバが空になる前に確実に流体バッグを交換できるように、流体バッグが空になりつつあるときに立ち会う必要がある。また、臨床医が、管内に空気が入り込んだことに気づかない場合、新しい流体バッグを接続するときにIVセットを再プライミングし損なう可能性がある。これにより、新しい流体バッグが投与されると、空気が患者の体内に流入してしまう可能性がある。
【0026】
本明細書に記載の様々な実施例のワンタイム・プライミングIVエクステンション・セット100、200及び300、並びに、関連する方法は、上述のIVエクステンション・セット10などの伝統的な又は従来のIVセットの欠点を克服する。例えば、本開示の様々な実施例は、エクステンション・セットのすべての管枝を同時にプライミングするために、プライミング流体を有するシリンジを複数の管枝の1つに接続するだけでよいように構成されたワンタイム・プライミングIVエクステンション・セットを対象とする。したがって、管のすべての分枝は同時にプライミングすることができ、より迅速で効率的なプライミング・プロセスにつながる。さらに、本開示の様々な実施例は、気泡がワンタイム・プライミングIVエクステンション・セットの複数の管枝に蓄積することを防ぐために、IVエクステンション・セット内に含まれるか、さもなければIVエクステンション・セットに取り付けることができる空気停止膜を有するIVエクステンション・セットを対象とする。したがって、本明細書に記載の様々な実施例のIVエクステンション・セット100、200及び300によって、伝統的な又は従来のIVエクステンション・セットをプライミングすることに関して、上述のように発生する管の汚染という不利な可能性のある結果を伴うことなく、複数の管枝に存在し得る気泡を有利に放出できる。
【0027】
図2Aは、本開示のいくつかの実施例による、複数管IVエクステンション・セット100の二次管122、124のアダプタ120の本体に疎水性フィルタ110を含むワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セット100を示す。
図2Aで示すように、少なくとも2つの医療用流体を互いに独立して輸送するための複数管静脈内(IV)エクステンション・セット100は、プライミング流体又は医療用流体などの流体を含んだシリンジ150(
図2Bに示す)に接続するためのアダプタ140に結合された近位端を有する一次入口管126を含み得る。一次入口管126は、一次複数管コネクタ118に結合された遠位端をさらに含み得る。本明細書に記載の様々な実施例における一次複数管コネクタ118は、一次入口管126及び任意の追加的な二次入口管、例えば、入口管122及び124を、患者につながっている共通の出口管128に流体接続するという目的にかなう。特に、いくつかの実施例では、出口管128は、一次入口管126と二次入口管122及び124とが結合された端部とは反対側にある一次複数管コネクタ118の端部に結合された近位端を有することができる。出口管128はまた、患者の血管装置(図示せず)に流体結合されるように構成された遠位端を有することができる。したがって、出口管128は、遠位端アダプタ130、例えば医療用流体の送達のために患者の体の標的領域に挿入されるIVカテーテル(図示せず)に接続するルアー・アダプタに結合することができる。
【0028】
図2Aは、2つ以上の二次入口管122及び124を有する構成を示す。これらの実施例では、二次入口管122及び124は、二次複数管コネクタ116を経由して一次複数管コネクタ118に流体接続することができる。特に、二次入口管122及び124は、二次複数管コネクタ116を経由して中間管117に流体結合することができる。中間管117は、二次複数管コネクタ116の遠位端に結合された近位端と、一次複数管コネクタ118の近位端に結合された遠位端とを有することができる。特に、図示のように、二次入口管122及び124の遠位端は、二次複数管コネクタ116を経由して中間管117の近位端に接続することができる。
【0029】
しかしながら、本明細書に記載の様々な実施例は、前述の構成に限定されない。代わりに、いくつかの実施例では、複数管IVエクステンション・セット100は、1つの二次入口管のみを含み得る。これらの実施例では、ただ1つの二次入口管は、出口管128に流体連通するために、一次複数管コネクタ118に直接結合されてもよい(すなわち、二次複数管コネクタ116が間に介在する必要はない)。
【0030】
様々な実施例によれば、少なくとも1つの二次入口管122及び124は、その近位端に、医療用流体を受容するためのアダプタ120を含み得る。例えば、二次入口管122及び124のそれぞれは、前述したように、アダプタ120を介してIVバッグ又は針に接続することができる。このようにして、医療用流体は、IVバッグ又はシリンジからアダプタ120を通って二次入口管122、124に投与され得る。いくつかの実施例では、少なくとも1つの二次入口管122及び124の各アダプタ120は、外面123と、その中を通る管腔を画定する内面とを含む管状本体121を有する。したがって、アダプタ120は、中空の管状本体121の形態であってもよい。図示のように、アダプタ120の本体121は、本体の上に配置され本体の内面から外面123に延在する少なくとも1つの通気孔110を含み得る。少なくとも1つの通気孔110は、管腔を管状本体121の外部と流体連通するように、本体121の内部から外部へ延在することができる。
【0031】
いくつかの実施例では、透過膜111は、通気孔110を覆って、又は通気孔110内に配置され、空気が管状本体121の管腔から管状本体121の外部へ通気することが可能であるように構成される。例えば、いくつかの実施例では、透過膜111は、管腔と管状本体121の外部との間で空気が通気するのを可能にすると同時に液体の流れを遮断するように構成された疎水性膜であってもよい。このようにして、管122及び124がプライミング流体でプライミングされるとき、その中に存在するいかなる空気も、プライミング流体によって、管122及び124から通気孔110内の疎水性膜を通って、管状本体121の外部に押し出され得る。
【0032】
本開示の様々な実施例によれば、スライド・クランプ114は、出口管117上に位置し、閉鎖形態になるように配置されたとき、出口管117の近位端と遠位端との間の流体の流れを制限するように構成され得る。例えば、スライド・クランプ114は、閉鎖形態になるように挟まれるか、さもなければ曲げられ、出口管117に制限を生じさせて出口管117の近位端と遠位端との間のいかなる流体連通も遮断し、その結果、プライミング流体は、方向を反転せざるを得なくなり、一次複数管コネクタ118を経由して少なくとも1つの二次入口管124内に逆方向に(又は上流に)流れる。IVエクステンション・セット100が2つ以上の二次入口管122及び124を含む
図2A及び
図2Bに示される実施例では、プライミング流体は、方向を反転せざるを得ず、一次複数管コネクタ118と、中間管117と、二次複数管コネクタ116とを経由して、二次入口管122及び124内に流入する。
【0033】
図2Bは、本開示のいくつかの実施例による、
図2Aのワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セットのすべての管枝を同時にプライミングする方法を示す。図示のように、一次入口管126と二次入口管122及び124とを同時に(ワンタイム)プライミングする方法は、シリンジ150を一次入口管126のアダプタ140に接続することと、出口管128の近位端と遠位端との間の流体の流れを遮断するために、スライド・クランプ114を挟むか、曲げるか、さもなければ折りたたむこととを含み得る。この方法は、プライミング流体、例えば生理食塩水をシリンジ150から一次入口管126の中へ押し込むために、シリンジ150のプランジャを押し下げることをさらに含む。シリンジ150からのプライミング流体の連続的な流れによって、プライミング流体が一次複数管コネクタ118を通って出口管128内へ流入する。
【0034】
プライミング流体は、スライド・クランプ114が出口管114の近位端と遠位端との間の流体連通を遮断する制限に到達すると、方向を反転せざるを得なくなり、一次複数管コネクタ118を通って上流に戻り、中間管117及び二次複数管コネクタ116を経由して複数の二次入口管122及び124内へと流入する。プライミング流体が二次入口管122及び124内へと上流に流れるとき、二次入口管122及び124のそれぞれに存在するいかなる空気も、流体の流れによって二次入口管122及び124から押し出され、管腔と管状本体121の外部との間に位置する通気孔110を経由して外部に出て行く。管枝122、124及び126のそれぞれがプライミング流体でプライミングされた後、出口管128上に位置するスライド・クランプ114は、開いた形態に操作することができ、それにより、出口管128の近位端と遠位端との間の流体連通を回復させることができる。いくつかの実施例では、この方法は、さらにシリンジ150のプランジャを押し下げて、一次入口管126、一次複数管コネクタ118を通って遠位アダプタ130内へとプライミング流体を流し、出口管128及び遠位アダプタ130の適切なプライミングを確実にすることをさらに含んでいてもよい。
【0035】
したがって、本明細書に記載のIVエクステンション・セット100の構成によって、すべての管枝122、124及び126を同時にプライミングすることができ、複数の二次管122及び124のそれぞれを別々にプライミングするために、アダプタ120のそれぞれにおいてシリンジ150を別々に接続する必要性が排除される。二次入口管122及び124に存在するいかなる空気も放出するために、二次入口管122及び124のそれぞれの近位端に配置されたアダプタ120上に通気孔110を組み込むことによって、本明細書に記載の様々な実施例のIVエクステンション・セット100は、有利には、気泡が二次管122及び124内に閉じ込められることを防ぐ。したがって、患者への不適切な投与量の投薬と、患者に重大な傷害をもたらす可能性がある空気塞栓を形成する気泡と、IVセットの滅菌済み端部に不注意に接触することによるIVセットの汚染とを含むが、これらに限定されない従来の又は伝統的なIVセットに関連する前述の問題は、回避することができる。
【0036】
図3Aは、本開示のいくつかの実施例による、通気管210を通って複数管IVエクステンション・セット200の二次管122、124のアダプタ220に接続された通気キャップ211内に疎水性フィルタ215を含む、ワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セット200を示す。
図3Aに示すように、そして
図2Aの実施例と同様に、少なくとも2つの医療用流体を互いに独立して輸送するための複数管静脈内(IV)エクステンション・セット200は、プライミング流体又は医療用流体などの流体を含んだシリンジ150(
図3Bに示す)に接続するためのアダプタ140に結合された近位端を有する一次入口管126を含むことができる。一次入口管126は、一次複数管コネクタ118に結合された遠位端をさらに含むことができる。
図2A及び
図2Bに関して前述したように、本明細書に記載の様々な実施例の一次複数管コネクタ118は、一次入口管126及び任意の追加的な二次入口管、例えば、入口管122及び124を、患者につながっている共通の出口管128に流体接続するという目的にかなう。特に、いくつかの実施例では、出口管128は、一次入口管126と二次入口管122及び124とが結合された端部とは反対側にある一次複数管コネクタ118の端部に結合された近位端を有することができる。出口管128はまた、患者の血管装置(図示せず)に流体結合されるように構成された遠位端を有することができる。したがって、出口管128は、遠位端アダプタ130、例えば医療用流体の送達のために患者の体の標的領域に挿入されるIVカテーテル(図示せず)に接続するルアー・アダプタに結合することができる。
【0037】
図3Aは、2つ以上の二次入口管122及び124を有する構成を示す。これらの実施例では、二次入口管122及び124は、二次複数管コネクタ116を経由して一次複数管コネクタ118に流体接続することができる。特に、二次入口管122及び124は、二次複数管コネクタ116を経由して中間管117に流体結合することができる。中間管117は、二次複数管コネクタ116の遠位端に結合された近位端と、一次複数管コネクタ118の近位端に結合された遠位端とを有することができる。特に、図示のように、二次入口管122及び124の遠位端は、二次複数管コネクタ116を経由して中間管117の近位端に接続することができる。
【0038】
しかしながら、本明細書に記載の様々な実施例は、前述の構成に限定されない。代わりに、いくつかの実施例では、複数管IVエクステンション・セット200は、1つの二次入口管のみを含み得る。これらの実施例では、ただ1つの二次入口管は、出口管128に流体連通するために、一次複数管コネクタ118に直接結合されてもよい。
【0039】
一次及び二次入口管126、122及び124と、一次複数管コネクタ118と、二次複数管コネクタ116と、中間管117と、互いに対するそれらの接続及び流体連通とが、
図2A及び
図2Bのワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セット100に関して上述したように同一であるため、ワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セット200に関して、さらなる詳細な説明は省略する。
【0040】
様々な実施例によれば、少なくとも1つの二次入口管122及び124は、その近位端に、医療用流体を受容するアダプタ220を含むことができる。例えば、二次入口管122及び124のそれぞれは、前述のように、アダプタ220を介してIVバッグ又は針に接続することができる。このようにして、医療用流体は、IVバッグ又はシリンジからアダプタ220を通って二次入口管122、124に投与され得る。いくつかの実施例では、少なくとも1つの二次入口管122及び124の各アダプタ220は、外面223と、その中を通る管腔を画定する内面とを含む管状本体221を有する。したがって、アダプタ220は、中空の管状本体221の形態であってもよい。図示のように、アダプタ220の本体221は、医療用流体を受容するための近位端212と、少なくとも1つの二次入口管122及び124から空気を放出するための遠位端214と、その中を通る管腔を画定する内面とを含むことができる。各アダプタ220は、アダプタ220の遠位端214に結合された近位端217を有する通気管210と、遠位端219と、それらの間に延在する通気管腔213とを含むことができる。通気管腔213は、アダプタ管腔(管腔本体221の内部に配置される)と流体連通することができる。
【0041】
図示の実施例では、通気キャップ211は、通気管腔213を管状本体221の外部と流体連通するために、通気管210の遠位端に配置することができる。透過膜215は、通気キャップ211の管腔を覆って配置されるか、又は管腔上に配置されるか、又は管腔の内部に配置されて、空気をアダプタ管腔から通気管腔213を通って管状本体221の外部へ放出することができる。例えば、いくつかの実施例では、透過膜215は、通気管腔213と管状本体221の外部との間で空気を通気させると同時に液体の流れを遮断するように構成された疎水性膜であってもよい。このようにして、二次管122及び124がプライミング流体でプライミングされるとき、その中に存在するいかなる空気も、プライミング流体によって、管122及び124からアダプタ220の管腔を経由して通気管腔213内に入り、通気キャップ211の疎水性膜を通って、管状本体221の外部へ押し出され得る。
【0042】
上述の
図2A及び
図2Bの様々な実施例と同様に、スライド・クランプ114は、出口管117上に位置し、閉鎖形態になるように配置されたとき、出口管117の近位端と遠位端との間の流体の流れを制限するように構成され得る。例えば、スライド・クランプ114は、閉鎖形態になるように挟まれるか、さもなければ曲げられ、出口管117に制限を生じさせて出口管117の近位端と遠位端との間のいかなる流体連通も遮断し、その結果、プライミング流体は、方向を反転せざるを得なくなり、一次複数管コネクタ118を経由して少なくとも1つの二次入口管124内に流入する。IVエクステンション・セット200が2つ以上の二次入口管122及び124を含む
図3A及び
図3Bに示される実施例では、プライミング流体は、方向を反転せざるを得ず、一次複数管コネクタ118と、中間管117と、二次複数管コネクタ116とを経由して、二次入口管122及び124内に流入する。
【0043】
図3Bは、本開示のいくつかの実施例による、
図3Aのワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セット200のすべての管枝122、124及び126を同時にプライミングする方法を示す。図示のように、一次入口管126と二次入口管122及び124とを同時に(「ワンタイム」)プライミングする方法は、シリンジ150を一次入口管126のアダプタ140に接続することと、出口管128の近位端と遠位端との間の流体の流れを遮断するために、スライド・クランプ114を挟むか、曲げるか、さもなければ折りたたむこととを含み得る。この方法は、プライミング流体、例えば生理食塩水をシリンジ150から一次入口管126の中へ押し込むために、シリンジ150のプランジャを押し下げることをさらに含む。シリンジ150からのプライミング流体の連続的な流れによって、プライミング流体が、一次複数管コネクタ118を通って出口管128内へ流入する。
【0044】
プライミング流体は、スライド・クランプ114が出口管114の近位端と遠位端との間の流体連通を遮断する制限に到達すると、方向を反転せざるを得なくなり、一次複数管コネクタ118を通って上流に戻り、中間管117及び二次複数管コネクタ116を経由して複数の二次入口管122及び124内へと流入する。プライミング流体が二次入口管122及び124内へと上流に流れるとき、二次入口管122及び124のそれぞれに存在するいかなる空気も、流体の流れによって二次入口管122及び124から押し出され、通気管210と通気キャップ211内の疎水性膜215とを経由して外部に出て行く。管枝122、124及び126のそれぞれがプライミング流体でプライミングされた後、出口管128上に位置するスライド・クランプ114は、開いた形態に操作することができ、それにより、出口管128の近位端と遠位端との間の流体連通を回復させることができる。いくつかの実施例では、この方法は、さらにシリンジ150のプランジャを押し下げて、一次入口管126、一次複数管コネクタ118を通って遠位アダプタ130内へとプライミング流体を流し、出口管128及び遠位アダプタ130の適切なプライミングを確実にすることをさらに含んでいてもよい。
【0045】
したがって、本明細書に記載のIVエクステンション・セット200の構成によって、すべての管枝122、124及び126を同時にプライミングすることができ、複数の二次管122及び124のそれぞれを別々にプライミングするために、アダプタ220のそれぞれにおいてシリンジ150を別々に接続する必要性が排除される。二次入口管122及び124のそれぞれのアダプタ220の近位端に、通気管210と、疎水性膜を有する通気キャップ211とを組み込むことによって、本明細書に記載の様々な実施例のIVエクステンション・セット200は、有利には、気泡が二次管122及び124内に閉じ込められることを防ぐ。したがって、患者への不適切な投与量の投薬と、患者に重大な傷害をもたらす可能性がある空気塞栓を形成する気泡と、IVセットの滅菌済み端部に不注意に接触することによるIVセットの汚染とを含むが、これらに限定されない従来の又は伝統的なIVセットに関連する前述の問題は、回避することができる。
【0046】
図4Aは、本開示のいくつかの実施例による、複数管IVエクステンション・セット300の二次管122、124のアダプタ320の近位端に接続された通気キャップ313内に疎水性フィルタ311を含む、ワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セット300を示す。
図4Aに示すように、そして
図2Aの実施例と同様に、少なくとも2つの医療用流体を互いに独立して輸送するための複数管静脈内(IV)エクステンション・セット300は、プライミング流体又は医療用流体などの流体を含んだシリンジ150(
図3Bに示す)に接続するためのアダプタ140に結合された近位端を有する一次入口管126を含むことができる。一次入口管126は、一次複数管コネクタ118に結合された遠位端をさらに含むことができる。
図2A及び
図2Bに関して前述したように、本明細書に記載の様々な実施例の一次複数管コネクタ118は、一次入口管126及び任意の追加的な二次入口管、例えば、二次入口管122及び124を、患者につながっている共通の出口管128に流体接続するという目的にかなう。特に、いくつかの実施例では、出口管128は、一次入口管126と二次入口管122及び124とが結合された端部とは反対側にある一次複数管コネクタ118の端部に結合された近位端を有することができる。出口管128はまた、患者の血管装置(図示せず)に流体結合されるように構成された遠位端を有することができる。したがって、出口管128は、遠位端アダプタ130、例えば医療用流体の送達のために患者の体の標的領域に挿入されるIVカテーテル(図示せず)に接続するルアー・アダプタに結合することができる。
【0047】
図4Aは、2つ以上の二次入口管122及び124を有する構成を示す。これらの実施例では、二次入口管122及び124は、二次複数管コネクタ116を経由して一次複数管コネクタ118に流体接続することができる。特に、二次入口管122及び124は、二次複数管コネクタ116を経由して中間管117に流体結合することができる。中間管117は、二次複数管コネクタ116の遠位端に結合された近位端と、一次複数管コネクタ118の近位端に結合された遠位端とを有することができる。特に、図示のように、二次入口管122及び124の遠位端は、二次複数管コネクタ116を経由して中間管117の近位端に接続することができる。
【0048】
しかしながら、本明細書に記載の様々な実施例は、前述の構成に限定されない。代わりに、いくつかの実施例では、複数管IVエクステンション・セット200は、1つの二次入口管のみを含み得る。これらの実施例では、ただ1つの二次入口管は、出口管128に流体連通するために、一次複数管コネクタ118に直接結合されてもよい。
【0049】
一次及び二次入口管126、122及び124と、一次複数管コネクタ118と、二次複数管コネクタ116と、中間管117と、互いに対するそれらの接続及び流体連通とが、
図2A及び
図2Bのワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セット100に関して上述したように同一であるため、ワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セット300に関して、さらなる詳細な説明は省略する。
【0050】
様々な実施例によれば、少なくとも1つの二次入口管122及び124は、その近位端に、医療用流体を受容するアダプタ320を含むことができる。例えば、二次入口管122及び124のそれぞれは、前述のように、アダプタ320を介してIVバッグ又は針に接続することができる。このようにして、医療用流体は、IVバッグ又はシリンジからアダプタ320を通って二次入口管122、124に投与され得る。いくつかの実施例では、少なくとも1つの二次入口管122及び124の各アダプタ320は、外面323と、その中を通る管腔を画定する内面とを含む管状本体321を有する。したがって、アダプタ320は、中空の管状本体321の形態であってもよい。いくつかの実施例では、通気キャップ313は、各二次入口管122及び124のアダプタ320の近位端312上に形成されるか、さもなければ近位端312内に一体的に組み込まれていてもよい。他の実施例では、通気キャップ313は、各二次入口管122及び124のアダプタ320の近位端312に結合されるように構成され得る。
【0051】
図示のように、通気キャップ313は、本体335を有することができ、通気管腔345はその中を通って画定されている。通気管腔345は、アダプタ管腔を管状本体321の外部と流体連通させることができる。いくつかの実施例では、疎水性フィルタは、通気管腔345を画定する通気キャップ313の内面347内に配置され、且つ、内面347に結合された透過膜311であってもよい。透過膜は、空気が、二次入口管122及び124からアダプタ320の管腔を通って通気管腔345内へ入り、管状本体320の外部へ放出することができるように構成され得る。
【0052】
図2A~
図3Bの実施例と同様に、透過膜311は、通気管腔345と管状本体320の外部との間で液体の流れを遮断するように構成された疎水性膜であってもよい。このようにして、二次管122及び124がプライミング流体でプライミングされるとき、その中に存在する空気が、プライミング流体によって、管122及び124からアダプタ320の管腔を経由して通気管腔345内に入り、通気キャップ313の疎水性膜311を通って、管状本体321の外部へ押し出され得る。
【0053】
上述の
図2A~
図3Bの様々な実施例と同様に、スライド・クランプ114は、出口管117上に位置し、閉鎖形態になるように配置されたとき、出口管117の近位端と遠位端との間の流体の流れを制限するように構成され得る。例えば、スライド・クランプ114は、閉鎖形態になるように挟まれるか、さもなければ曲げられ、出口管117に制限を生じさせて出口管117の近位端と遠位端との間のいかなる流体連通も遮断し、その結果、プライミング流体は、方向を反転せざるを得なくなり、一次複数管コネクタ118を経由して少なくとも1つの二次入口管124内に流入する。IVエクステンション・セット300が2つ以上の二次入口管122及び124を含む
図4A及び
図4Bに示される実施例では、プライミング流体は、方向を反転せざるを得ず、一次複数管コネクタ118と、中間管117と、二次複数管コネクタ116とを経由して、二次入口管122及び124内に流入する。
【0054】
図4Bは、本開示のいくつかの実施例による、
図4Aのワンタイム・プライミング複数管IVエクステンション・セット300のすべての管枝122、124及び126を同時にプライミングする方法を示す。図示のように、一次入口管126と二次入口管122及び124とを同時に(「ワンタイム」)プライミングする方法は、シリンジ150を一次入口管126のアダプタ140に接続することと、出口管128の近位端と遠位端との間の流体の流れを遮断するために、スライド・クランプ114を挟むか、曲げるか、さもなければ折りたたむこととを含み得る。この方法は、プライミング流体、例えば生理食塩水をシリンジ150から一次入口管126の中へ押し込むために、シリンジ150のプランジャを押し下げることをさらに含む。シリンジ150からのプライミング流体の連続的な流れによって、プライミング流体が、一次複数管コネクタ118を通って出口管128内へ流入する。
【0055】
プライミング流体は、スライド・クランプ114が出口管114の近位端と遠位端との間の流体連通を遮断する制限に到達すると、方向を反転せざるを得なくなり、一次複数管コネクタ118を通って上流に戻り、中間管117及び二次複数管コネクタ116を経由して複数の二次入口管122及び124内へと流入する。プライミング流体が二次入口管122及び124内へと上流に流れるとき、二次入口管122及び124のそれぞれに存在するいかなる空気も、流体の流れによって二次入口管122及び124から押し出され、通気管腔345と通気キャップ313内の疎水性膜311とを経由して外部に出て行く。管枝122、124及び126のそれぞれがプライミング流体でプライミングされた後、出口管128上に位置するスライド・クランプ114は、開いた形態に操作することができ、それにより、出口管128の近位端と遠位端との間の流体連通を回復させることができる。いくつかの実施例では、この方法は、さらにシリンジ150のプランジャを押し下げて、一次入口管126、一次複数管コネクタ118を通って遠位アダプタ130内へとプライミング流体を流し、出口管128及び遠位アダプタ130の適切なプライミングを確実にすることをさらに含んでいてもよい。
【0056】
したがって、本明細書に記載のIVエクステンション・セット300の構成によって、すべての管枝122、124及び126を同時にプライミングすることができ、複数の二次管122及び124のそれぞれを別々にプライミングするために、アダプタ320のそれぞれにおいてシリンジ150を別々に接続する必要性が排除される。二次入口管122及び124のそれぞれのアダプタ320の近位端に疎水性膜311を有する通気キャップ313を組み込むことによって、本明細書に記載の様々な実施例のIVエクステンション・セット300は、有利には、気泡が二次管122及び124内に閉じ込められることを防ぐ。したがって、患者への不適切な投与量の投薬と、患者に重大な傷害をもたらす可能性がある空気塞栓を形成する気泡と、IVセットの滅菌済み端部に不注意に接触することによるIVセットの汚染とを含むが、これらに限定されない従来の又は伝統的なIVセットに関連する前述の問題は、回避することができる。
【0057】
本開示は、当業者が本明細書に記載された様々な態様を実施することを可能にするために提供されている。本開示は、主題技術の様々な実例を提供し、主題技術はこれらの実例に限定されない。これらの態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、他の態様に適用され得る。
【0058】
単数形の要素への言及は、特にそのように記載されていない限り、「1つ及び1つだけ」を意味するのではなく、むしろ、「1つ又は複数」を意味することを意図している。特に明記しない限り、「いくつかの」という用語は、1つ又は複数を指す。男性の代名詞(例えば、彼の)は、女性及び中性(例えば、彼女の及びその)を含み、その逆もまた同様である。見出し及び小見出しは、もしあるならば、便宜上使用されるだけであり、本発明を限定するものではない。
【0059】
「例示的な」という用語は、本明細書では「実例又は例証として役立つ」ことを意味するために使用される。「例示的な」として本明細書に記載されるいかなる態様又は設計も、他の態様又は設計よりも好適又は有利なものとして必ずしも解釈されない。一態様では、本明細書に記載の様々な代替的な構成及び動作は、少なくとも同等であると考えられ得る。
【0060】
本明細書に使用されているように、一連の項目の前につく「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、項目のいずれかを分離するための「又は」という用語とともに、リストの各項目ではなく、リスト全体を修飾する。「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、少なくとも1つの項目の選択を必要としない。むしろ、この表現は、項目の任意のもののうちの少なくとも1つ、及び/又は、項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、及び/又は、項目のそれぞれのうちの少なくとも1つを含む意味を許容する。実例として、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という表現は、Aだけ、Bだけ若しくはCだけ、又は、A、B、及びCの任意の組み合わせを指すことが可能である。
【0061】
「態様」のような表現は、そのような態様が主題技術に不可欠であること、又はそのような態様が主題技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。一態様に関する開示は、すべての構成、又は1つ若しくは複数の構成に適用することができる。一態様は、1つ又は複数の実例を提供してもよい。一態様のような表現は、1つ又は複数の態様を指す可能性があり、その逆もある。「実施例」のような表現は、そのような実施例が主題技術に不可欠であること、又はそのような実施例が主題技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。一実施例に関する開示は、すべての実施例、又は1つ若しくは複数の実施例に適用することができる。一実施例は、1つ又は複数の実例を提供してもよい。一実施例のような表現は、1つ又は複数の実施例を指す可能性があり、その逆もある。「構成」のような表現は、そのような構成が主題技術に不可欠であること、又はそのような構成が主題技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。一構成に関する開示は、すべての構成、又は1つ若しくは複数の構成に適用することができる。一構成は、1つ又は複数の実例を提供してもよい。一構成のような表現は、1つ又は複数の構成を指す可能性があり、その逆もある。
【0062】
一態様では、特に明記しない限り、以下の特許請求の範囲を含めて、本明細書に記載されるすべての測定値、値、等級、位置、大きさ、サイズ、及び他の仕様は、近似であり正確ではない。一態様では、それらは、それらが関係する機能及びそれらが関連する技術分野で慣例になっていることと一致する合理的な範囲を有することが意図されている。
【0063】
開示されているプロセス又は方法におけるステップ又は動作の特定の順序又は階層は、典型的な手法の例示であるということが理解される。実装態様の選好又はシナリオに基づいて、ステップ、動作、又はプロセスの特定の順序又は階層は、再配置され得るということが理解される。ステップ、動作、又はプロセスのうちのいくつかは、同時に実施され得る。いくつかの実装態様の選好又はシナリオでは、特定の動作が実施されてもよく、又は実施されなくてもよい。ステップ、動作、又はプロセスのうちのいくつか又はすべては、ユーザの介入なしに自動的に実施され得る。添付の方法の請求項は、様々なステップ、動作、又はプロセスの要素をサンプル順序で提示しており、提示されている特定の順序又は階層に限定されることを意味していない。
【0064】
当業者に知られている、又はこれから知られることになる、本開示全体を通して記載された様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的な等価物は、参照により明示的に本明細書に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。さらに、本明細書に開示するものはいずれも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に述べてあるかどうかに関わらず、公衆に提供されるように意図されていない。「~のための手段」という表現を用いて要素が明示的に述べられていない限り、又は方法の請求項の場合には、「~のためのステップ」という表現を用いて要素が述べられていない限り、特許請求の範囲のいずれの要素も、米国特許法第112条(f)項の規定の下に解釈されるべきではない。さらに、「含む(include)」、「有する(have)」などの用語が使用される限り、そのような用語は、「備える(comprise)」が移行句として特許請求の範囲において使用されるときに解釈されるように、「備える(comprise)」という用語と同様の方法で包括的であるように意図されている。
【0065】
本開示の名称、背景技術、概要、図面の簡単な説明、及び要約書は、本開示に組み込まれ、本開示の例示的な実例として提供され、限定的な説明として提供されるわけではない。請求項の範囲又は意味を限定するために用いられないことが理解された上で、それらは提示される。さらに、発明を実施するための形態では、説明によって例示的な実例が提供され、本開示を合理化することを目的として、様々な特徴が様々な実施例においてともにグループ化されていることが理解されよう。本開示の方法は、特許請求される主題が、各請求項に明示的に言及された特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映しているものと解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範囲に反映されるように、本発明の主題は、単一の開示された構成又は動作のすべての特徴よりも少ない特徴にある。これにより、添付の特許請求の範囲は、発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は別個に特許請求される主題として独立している。
【0066】
特許請求の範囲は、本明細書に記載の態様に限定される意図はなく、特許請求の範囲の文言と一致した全範囲を与えられ、すべての法的等価物を包含するものである。それにもかかわらず、いずれの請求項も、米国特許法第101条、102条、若しくは103条の要件を満たさない主題を包含しないものとし、又はいずれの請求項もそのようには解釈すべきではない。
【国際調査報告】