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特表2022-549216浸透促進剤を含有する脂質ベシクル組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】浸透促進剤を含有する脂質ベシクル組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/107 20060101AFI20221116BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 31/196 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20221116BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20221116BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
A61K9/107
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/14
A61K47/06
A61K47/12
A61K47/22
A61K31/192
A61K31/196
A61P17/00
A61P29/00
A61P35/00
A61P31/10
A61P31/12
A61K9/10
A61K9/127
A61K45/00
A61P17/02
A61P29/00 101
A61P25/04
A61K9/70
A61K47/44
A61K8/04
A61K8/39
A61K8/37
A61K8/86
A61K8/60
A61K8/34
A61K8/31
A61K8/36
A61K8/49
A61Q17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517858
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 CA2020051275
(87)【国際公開番号】W WO2021056106
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】62/904,584
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/904,606
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522108666
【氏名又は名称】ディーディーエス リサーチ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】フォルドヴァリ,マリアンナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076AA17
4C076AA19
4C076AA72
4C076AA95
4C076BB31
4C076CC05
4C076CC18
4C076DD08
4C076DD19
4C076DD34
4C076DD37
4C076DD41
4C076DD45
4C076DD46
4C076DD60
4C076DD63
4C076EE23
4C076FF34
4C083AA082
4C083AA112
4C083AA122
4C083AC031
4C083AC061
4C083AC062
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC311
4C083AC312
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC811
4C083AC812
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD492
4C083AD531
4C083AD571
4C083AD572
4C083BB04
4C083CC03
4C083DD12
4C083DD31
4C083EE11
4C084AA17
4C084MA22
4C084MA24
4C084MA63
4C084NA11
4C084ZA201
4C084ZA202
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB151
4C084ZB152
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB311
4C084ZB312
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA24
4C206FA31
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA42
4C206MA83
4C206NA13
4C206ZA89
4C206ZB11
4C206ZB15
4C206ZB26
(57)【要約】
書本出願は、ベシクル形成脂質を含む脂質二重層、1以上の界面活性剤によって安定化された水中油型エマルジョン、1以上の化合物、および、1以上の浸透促進剤を含む、二相性脂質ベシクル医薬組成物に関する。1以上の浸透促進剤は、約10以下の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1以上の非イオン性界面活性剤を、単独で、または、テルペン、アルカロイド、サリチレート誘導体、およびポリカチオン性界面活性剤、ならびにそれらの組み合わせの1以上から選択される、1以上の浸透促進剤と組み合わせて、含む。本出願はまた、脂質二重層を含む二相性脂質ベシクルを含む医薬組成物に関し、前記二相性脂質ベシクルは、ベシクル形成脂質、1以上のポリカチオン性界面活性剤によって安定化された水中油型エマルジョン、および1以上の化合物を含む。
【選択図】図1A-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ベシクル形成脂質を含む脂質二重層を各々含む、脂質ベシクル、
b)二相性脂質ベシクル中に捕捉され、および1以上の界面活性剤によって安定化された、水中油型エマルジョン、
c)脂質二重層および/または水中油型エマルジョンの中に捕捉された、1以上の化合物、
d)脂質二重層および/または水中油型エマルジョンの中に捕捉された、1以上の浸透促進剤を含む、二相性脂質ベシクル組成物であって、ここで、1以上の浸透促進剤は、約10以下の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1以上の非イオン性界面活性剤である、二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項2】
前記二相性脂質ベシクル組成物は、化粧品組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項3】
前記二相性脂質ベシクル組成物は、医薬組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項4】
前記二相性脂質ベシクル組成物は、前記1以上の化合物の局所送達のためのものであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項5】
前記二相性脂質ベシクル組成物は、前記二相性脂質ベシクルの懸濁液を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項6】
前記1以上の浸透促進剤は、前記二相性脂質ベシクルの前記水中油型エマルジョン中に捕捉されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項7】
前記水中油型エマルジョンは、約0.5wt%~約9wt%、約0.5wt%~約8wt%、約0.5wt%~約7wt%、約1wt%~約6wt%、約1wt%~約5wt%、約1wt%~約4wt%、約1wt%~約3wt%、または、約1wt%~約2wt%の、前記1以上の浸透促進剤を含む、請求項6に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項8】
前記1以上の浸透促進剤は、前記脂質二重層中に捕捉されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項9】
前記脂質二重層は、約10wt%、約9wt%、約8wt%、約7wt%、約6wt%、約5wt%、約4wt%、約3wt%、約2wt%、約1wt%、約0.5wt%、または、約0.1wt%の、1以上の皮膚浸透促進剤を含むことを特徴とする、請求項8に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項10】
前記1以上の浸透促進剤は、前記二相性脂質ベシクルの、前記脂質二重層と前記水中油型エマルジョンとの両方の中に捕捉されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項11】
前記1以上の浸透促進剤は、約10以下の親水性-親油性バランス(HLB)を有するとともに、脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、ソルビタンエステル、およびポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ならびにそれらの組み合わせの1以上から選択される、1以上の非イオン性界面活性剤である、請求項1から10のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項12】
脂肪アルコールの前記ポリエチレングリコールエーテルは、Ceteth-2(登録商標)(ジエチレングリコールヘキサデシルエーテル)、Steareth-2(登録商標)(2-(2-オクタデコキシエトキシ)エタノール)、Oleth 2(登録商標)(ジエチレングリコールモノオレイルエーテル)、Oleth-3(登録商標)(ポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル)、および、Oleth-5(登録商標)(ポリオキシエチレン(5)オレイルエーテル)ならびに、それらの組み合わせから選択される、請求項11に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項13】
前記ポリエチレングリコールエーテルは、Oleth 2(登録商標)(ジエチレングリコールモノオレイルエーテル)であることを特徴とする、請求項12に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項14】
前記ポリエチレングリコール脂肪酸エステルは、1以上のPEG-8ジラウレート、PEG-4ジラウレート、PEG-4ラウレート、PEG-8ジオレアート、PEG-8ジステアレート、PEG-8ジステアレート、PEG-7グリセリルココエート、およびPEG-20アーモンドグリセリド、ならびにそれらの組み合わせのから選択されることを特徴とする、請求項13に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項15】
前記ポリエチレングリコール脂肪酸エステルは、PEG-4ジラウレートであることを特徴とする、請求項14に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項16】
前記1以上の浸透促進剤は、1以上のテルペン、アルカロイド、サリチル酸誘導体、およびポリカチオン性界面活性剤、ならびにそれらの組み合わせから選択される1以上の浸透促進剤と組み合わされる、約10以下のHLBを有する1以上の非イオン性界面活性剤であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項17】
前記1以上の浸透促進剤は、約10以下の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1以上の非イオン性界面活性剤であり、前記1以上の浸透促進剤は、請求項11から15のいずれか1つに記載の、約10以下の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1以上の非イオン性界面活性剤である、請求項16に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項18】
前記1以上のテルペンは、オイゲノール、d-リモネン、メントール、メントン、ファルネソール、neridol、樟脳、ネロール、およびチモール、ならびにそれらの組み合わせの1以上から選択される、請求項16または17に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項19】
前記1以上のテルペンは、メントール、樟脳、ネロール、およびチモール、ならびにそれらの組み合わせの1以上から選択される、請求項18に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項20】
前記1以上のサリチル酸誘導体は、サリチル酸エチル、サリチル酸、アセチルサリチル酸、およびサリチル酸トロラミン、ならびにそれらの組み合わせのうちの1以上から選択される、請求項16または17に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項21】
前記サリチル酸誘導体は、サリチル酸メチルであることを特徴とする、請求項20に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項22】
前記1つ以上のアルカロイドは、ピペリン、ロベリン、カフェイン、テオブロミン、テオフィリン、ニコチン、コルヒチン、N-メチルピロリドン、ヒグリン、カプサイシン、ベルベリン、サンギナリン、ヒスタミン、および/またはピロカルピンから選択される、請求項16から21のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項23】
前記1以上のアルカロイドは、ピペリンであることを特徴とする、請求項22に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項24】
前記ポリカチオン性界面活性剤は、1以上のゲミニカチオン性界面活性剤であり、および、前記1以上のゲミニカチオン性界面活性剤は、四級アンモニウム型であることを特徴とする、請求項16から23のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項25】
前記ポリカチオン性界面活性剤は、ポリカチオン性アミノ酸であることを特徴とする、請求項16から22のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項26】
前記浸透促進剤は、約9以下、約8以下、約7以下、または約6以下のHLBを有し、および随意に1以上、2以上、3以上、または4以上のHLBを有する、あるいはそれらの任意の組み合わせのHLBを有する、1以上の非イオン性界面活性剤であることを特徴とする、請求項1から25のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項27】
前記浸透促進剤は、Oleth-2(登録商標)であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項28】
前記浸透促進剤は、メントール、樟脳、ネロール、またはチモール、あるいはそれらの組み合わせの1以上と組み合わされた、Oleth-2(登録商標)であることを特徴とする、請求項16に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項29】
前記浸透促進剤は、サリチル酸メチルと組み合わされたOleth-2(登録商標)であることを特徴とする、請求項16に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項30】
前記浸透促進剤は、ピペリジンと組み合わされたOleth-2(登録商標)であることを特徴とする、請求項16に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項31】
約10以下のHLBを有する1以上の非イオン性界面活性剤が、脂質二重層中に捕捉され、および、前記1以上のテルペンまたは前記1以上のアルカロイドは、前記脂質二重層、前記水中油型エマルジョン、またはその両方の中に捕捉される、請求項30に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項32】
前記1以上の浸透促進剤は、PEG-4ジラウレートであることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項33】
前記1以上の浸透促進剤は、ピペリジンと組み合わされたPEG-4ジラウレートであることを特徴とする、請求項16に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項34】
前記1以上の浸透促進剤は、サリチル酸メチルと組み合わされたPEG-4ジラウレートであることを特徴とする、請求項16に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項35】
前記1以上の浸透促進剤は、Oleth-2、PEG-4ジラウレート、またはソルビタンモノパルミテート、またはそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項36】
前記二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、1以上の界面活性剤、またはCeteth-10(登録商標)(ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル)およびTween80(ポリソルベート80)から選択される、1以上の界面活性剤によって安定化される、請求項1から34のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項37】
前記ベシクル形成脂質は、リン脂質、糖脂質、レシチン、ならびに/あるいは、ホスファチジルエタノールアミン、リソレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、カルディオリピン、ホスファチジン酸、および/またはセレブロシドなどのセラミドの、1以上から選択される、請求項1から35のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項38】
前記ベシクル形成脂質は、リン脂質であることを特徴とする、請求項36に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項39】
前記1以上の化合物は、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョン、二相性脂質ベシクルの脂質二重層、または水中油型エマルジョンと脂質二重層の両方の中に捕捉されることを特徴とする、請求項1から37のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項40】
前記1以上の化合物は、小分子、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸、ワクチン抗原、および/または植物抽出物から選択される、請求項1から38のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項41】
前記小分子は、プロスタグランジン、イブプロフェンおよび/またはジクロフェナクなどの麻酔剤;ブプレノルフィン、フェンタニル、サフェンタニル、アルフェンタニル、および/またはレミフェンタニルなどの、オピオイドを含む鎮痛剤および/または鎮静剤;ニトログリセリン、二硝酸イソソルビド、および/または一硝酸イソソルビドを含む有機ニトレート、硫酸キニジン、プロカインアミド、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、および/またはヒドロクロロチアジドなどサイアザイド、ニフェジピン、ニカルジビンなどの、心臓作用性の薬剤;チモロールおよび/またはプロプラノロールなどのアドレナリン遮断薬、ベラパミル、ジルチアゼム、カプトプリル、クロニジン、プラゾシン、テストステロン、メチルテストステロン、および/またはフルオキシメステロンなどの、アンドロゲンのステロイド;吉草酸エストラジオール、エキリン、メストラノール、エストロン、エストリオール、17.ベータ.-エチニルエストラジオール、および/またはジエチルスチルベストロールなどの、エストロゲン;プロゲステロン、19-ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、クロルマジノン、エチステロン、エトノゲストレル、酢酸メドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ノルエチノドレル、ノルエルゲストロミン、17.アルファ.-ヒドロキシプロゲステロン、ジドロゲステロン、ジメチステロン、エチニルエストレノール、ノルゲストレル、デメゲストン、プロメゲストン、および/または酢酸メゲストロールなどのプロゲストゲン;ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ペルフェナジン、トリプロリジン、ピリラミン、クロルサイクリジン、プロメタジン、カルビノキサミン、トリペレナミン、ブロムフェニラミン、クロルプレナリン、テルフェナジン、および/またはクロルフェニラミンなどの、抗ヒスタミン剤;抗ウイルス剤、ビタミン、アセメタシン、アセトアミドカプロン酸、ベンダザック、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン(bermoprofen)、ブクロキシ酸、ブチブフェン、シンメタシン、クリダナク、クロピラク、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロジン酸、フェノプロフェン、フェンティアザック、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパック、ケトプロフェン、ロナゾラク、ロキソプロフェン、メチアジン酸、モフェゾラク、ナプロキセン、オキサプロジン、ピラゾラク、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スリンダック、スプロフェン、スキシブゾン、チアプロフェン酸、トルメチン、および/またはトロペシン、ベルモプロフェン、ブクロキシ酸、イソキセパック、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ザルトプロフェン、アンピロキシカム、ブコローム、セレコキシブ、ジフェンプラミド、モフェブタゾン、ニメスリド、パランライン、パレコキシブ、パサルミド、ピケットプロフェン、タルニフルメート、テニタプ、テロフェナマート、バルデコキシブ、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、ベタメタゾン、アルファビサボロール、ブデソニド、クロベタゾン、シクロスポリン、デフラザコート、デキサメタゾン、ジフロラゾン、デソニド、デソキシメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、ジタゾール、エベロリムス、フラザコート、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノロン、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルプレドニデンアセテート、グルカメタシン、ハルシノニド、ハロベタゾールプロピオネート、ハロメタゾン、ハロプレドンアセテート、ハイドロコーチゾン、イブプロキザム、ロテプレドノールエタボネート、マジプレドン、メメタゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾンフロエート、オキシフェンブタゾン、ペリソキサール、ピメクロリムス、プレドニゾロン、プレドニゾン、リメキソロン、シロリムス、トリアムシノロン、およびタクロリムスなどの、抗炎症剤;抗真菌剤、コルチコステロイド、ビタミン、ペニシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、スルファセタミド、スルファメタジン、スルファジアジン、スルファメラジン、スルファメチゾール、および/またはスルフイソキサゾールを含む、抗生物質などの、抗感染症薬;抗ウイルス剤;エリスロマイシンおよび/またはクラリスロマイシンなどの、抗菌剤、および/またはニトロフラゾンなどを含む、他の抗感染症薬;ビタミンAおよび/またはビタミンEなどの、外皮用剤;クロルプロマジン、グラニセトロン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、プロメタジン、チエチルベラジン、トリフルプロマジン、および/またはトリメプラジンなどの、悪心および/または吐き気の処置のための薬剤;アミノ酸、短いペプチド(最大1000Da)、炭水化物、および/または天然化合物であることを特徴とする、請求項36に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項42】
前記二相性脂質ベシクル製剤は、随意に、脂肪物質、浸透促進物質、界面活性剤、および/または溶媒、ならびにそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、1以上の他の脂質ベシクル成分をさらに含む、請求項1から41のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項43】
a)ベシクル形成脂質を含む脂質二重層を含む、脂質ベシクル、
b)二相性脂質ベシクル中に捕捉され、および1以上のポリカチオン性界面活性剤を含む、水中油型エマルジョン、および、
c)脂質二重層および/または水中油型エマルジョンの中に捕捉された、1以上の化合物を含む、二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項44】
前記二相性脂質ベシクル組成物は、化粧品組成物であることを特徴とする、請求項43に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項45】
前記二相性脂質ベシクル組成物は、医薬組成物であることを特徴とする、請求項44に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項46】
前記二相性脂質ベシクル組成物は、1以上の化合物の局所送達のためのものである、請求項43から45のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項47】
前記二相性脂質ベシクル組成物は、二相性脂質ベシクルの懸濁液を含むことを特徴とする、請求項43から46のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項48】
1以上のポリカチオン性界面活性剤は、四級アンモニウム型の1以上のゲミニカチオン性界面活性剤であることを特徴とする、請求項43から47のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項49】
前記1以上のゲミニジカチオン性界面活性剤は、12-7NH-12、12-7NCH-12、16-3-16、12-4(OH)-12、および12-EO1-12から成る群から選択される、請求項48に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項50】
1以上のポリカチオン性界面活性剤は、ポリカチオン性アミノ酸であることを特徴とする、請求項43から47のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項51】
二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、約0.01%~約5%、0.05%~約5%、0.1%~約5%、約1%~約5%、または約2%~約5%の、1以上のポリカチオン性界面活性剤を含む、請求項43から50のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項52】
前記1以上の化合物は、負電荷の小分子、炭水化物、核酸、例えば、RNAまたはDNAあるいはそれらのハイブリッド、プラスミドDNA、合成オリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド、ウイルスDNA、DNAワクチンなど、タンパク質、ワクチン抗原などのペプチド抗原を含むペプチド、免疫グロブリン、免疫修飾物質、ホルモン、毒素、および/または酵素、ならびに植物抽出物、そしてビタミンを含む、小分子から選択される、請求項43から51のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項53】
請求項1から52のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクルを調整する方法であって、該方法は、
a)水中油型エマルジョンの油性成分を水中油型エマルジョンの水性成分と混合することによって1以上の界面活性剤を含む水中油型エマルジョンを調製する工程であって、ここで、水中油型エマルジョンの油性成分および/または水性成分は、1以上の界面活性剤を含む、工程、
b)ベシクル形成脂質を水以外の許容可能な溶媒中に可溶化する工程、
c)1以上の化合物と1以上の浸透増強剤とを工程a)の油性成分および/または水性成分、および/または、工程b)の可溶化されたベシクル形成脂質に添加する工程、
d)可溶化されたベシクル形成脂質に水中油型エマルジョンを添加する工程、および、
e)脂質形成ベシクルを含む脂質二重層と、二相性脂質ベシクル中に捕捉された水中油型エマルジョンとを含む二相性脂質ベシクルを形成するのに効果的な混合条件下で、水中油型エマルジョンと可溶化されたベシクル形成脂質とを混合する工程を含む、方法。
【請求項54】
前記二相性脂質ベシクル組成物は、経皮送達システムに含まれることを特徴とする、請求項43から51のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項55】
前記経皮送達システムは、パッチまたはマスクシートであることを特徴とする、請求項54に記載の二相性脂質ベシクル組成物。
【請求項56】
請求項1から52のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物を、対象の皮膚または粘膜に局所的に投与することによって、1以上の化合物を対象に送達する方法。
【請求項57】
必要とする対象の皮膚または粘膜に、請求項1から52のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物の有効量を投与する工程を含み、それにより1以上の化合物の局所送達を改善する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
必要とする対象に、請求項1から52のいずれか1つに記載の脂質ベシクル化粧用組成物の有効量を投与する工程を含み、それにより対象における過度または不完全なコラーゲン産生に関連する皮膚疾病を処置または予防する、請求項56または57に記載の方法。
【請求項59】
過度または不完全なコラーゲンに関連する皮膚疾病は、皮膚老化、皮膚弾性、脈理、妊娠線、しわ、皮膚の強皮症、斑状強皮症、狼瘡、関節リウマチ、側頭動脈炎などの膠原血管病、あるいは、エーラース・ダンロス症候群、またはマルファン症候群などの遺伝性膠原病である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
請求項1から52のいずれか1つに記載の二相性脂質ベシクル組成物を治療有効量で皮膚または粘膜に局所的に投与することによって1以上の治療化合物を必要とする対象に送達することによって処置可能な、疾患、障害、または疾病を処置するための、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
二相性脂質ベシクル組成物の治療有効量を、皮膚または粘膜に局所的に投与することにより、1以上の治療化合物を送達することによって、処置可能な疾患、障害、または疾病は、過度または不完全なコラーゲン産生に関連する皮膚疾病、炎症、疼痛、真菌感染症、ウイルス感染症、皮膚/皮膚科の疾病、リウマチ性の疾病、間接の疾病、皮膚老化、または癌である、請求項60に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、同時係属中の2019年9月23日に提出されたアメリカ合衆国仮特許出願62/904,606号、および2019年9月23日に提出されたアメリカ合衆国仮特許出願62/904,584号の優先権の利益を主張し、これら両方の内容は、引用によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の技術は、全般的に、治療化合物の局所送達のための脂質ベシクル製剤に関連し、ここで脂質ベシクル製剤は、HLBが10以下の1以上の界面活性剤など、1以上の浸透促進剤を含む。
【背景技術】
【0003】
皮膚のバリア特性は、ほとんどの外部物質が身体の中へと浸透することを防ぐ。ほとんどの薬物の特性は、浸透性の好適範囲外にあり、従って、治療上有用であるためには、何らかのタイプの促進剤を必要とする。皮膚のタンパク質送達を制御している主なバリアは、皮膚の最外層、角質層(SC)である。哺乳類の皮膚において、SC(10~20μm厚)は、二重層に組織された架橋ケラチンと細胞間脂質を含む、死んだ角質細胞から成る。SCの下は、生きている上皮(50~100μm)であり、および、より深くは、真皮(1~2mm)であり、真皮は、真皮表皮接合部のすぐ下に、薬物吸収のための豊かな毛細血管床を含有している。皮膚を通る受動的な送達にとって許容される分子のサイズ限界は、一般的に、500Da未満である。この分子量以上の分子が無傷の皮膚から単独で浸透することは、極めて稀である。
【0004】
皮膚の中への、または皮膚を通る薬物拡散を容易にするために、様々な送達アプローチが開発されてきた。皮膚を通る促進された浸透は、物理的方法(例えば、マイクロニードル、熱アブレーション)、電気的方法(例えば、エレクトロポレーション、イオントフォレシス)または、化学的方法(例えば、化学的促進剤)によって達成される場合があった。皮膚を通る薬物浸透を促進するための物理的および電気的な方法の使用は、大小の分子の送達を促進することにある程度の成功を示したが、認められるまでには、まだ大きなハードルがある。タンパク質送達のためにいくつかの非侵入的な送達ビヒクルが、主として脂質ベースで、開発されており、リポソーム、トランスファーソーム、ニオソーム、および固体脂質ナノ粒子などがある。しかし、他の侵略的な技術と比較して、これらの送達システムは、様々な皮膚層の中へ限られた量のタンパク質しか送達することができなかった。
【0005】
米国特許第5,853,755号と米国特許第5,993,851号は、二相性脂質ベシクル組成物およびそれらの調製の方法を記載する。米国特許第5,993,852号は、免疫抗原の経皮投与のための二相性脂質ベシクル組成物を記載する。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、
a)ベシクル形成脂質を含む脂質二重層を各々含む、脂質ベシクル、
b)二相性脂質ベシクル中に捕捉され、1以上の界面活性剤によって安定化された、水中油型エマルジョン、
c)脂質二重層および/または水中油型エマルジョンの中に捕捉された、1以上の化合物、および、
d)脂質二重層および/または水中油型エマルジョンの中に捕捉された、1以上の浸透促進剤を含み、ここで、1以上の浸透促進剤は、親水性‐親油性バランス(HLB)が約10以下の、1以上の非イオン性界面活性剤である、二相性脂質ベシクル組成物を含む。
【0007】
本出願は、また、
a)ベシクル形成脂質を含む脂質二重層を含む、脂質ベシクル、
b)二相性脂質ベシクル中に捕捉され、および1以上のポリカチオン性界面活性剤を含む、水中油型エマルジョン、および、
c)脂質二重層および/または水中油型エマルジョンの中に捕捉された、1以上の化合物を含む、二相性脂質ベシクル組成物を含む。
【0008】
本出願は、また、本開示の二相性脂質ベシクルを調製する方法をさらに含み、該方法は、
a)水中油型エマルジョンの油性成分を水中油型エマルジョンの水性成分と混合することによって1以上の界面活性剤を含む水中油型エマルジョンを調製する工程であって、ここで、水中油型エマルジョンの油性成分および/または水性成分は、1以上の界面活性剤を含む、工程、
b)ベシクル形成脂質を水以外の許容可能な溶媒中に可溶化する工程、
c)1以上の化合物と1以上の浸透促進剤とを工程a)の油性成分および/または水性成分、および/または、工程b)の可溶化されたベシクル形成脂質に添加する工程、
d)可溶化されたベシクル形成脂質に水中油型エマルジョンを添加する工程、および、 e)脂質形成ベシクルを含む脂質二重層と二相性脂質ベシクル中に捕捉された水中油型エマルジョンとを含む二相性脂質ベシクルを形成するのに効果的な混合条件下で、水中油型エマルジョンと可溶化されたベシクル形成脂質とを混合する工程を含む。
【0009】
本出願はまた、本開示の二相性脂質ベシクル組成物を皮膚または粘膜に局所的に投与することによって、1以上の化合物を対象に送達する方法をさらに含む。
【0010】
本出願はまた、本開示の二相性脂質ベシクル組成物の有効量を、それを必要とする対象の皮膚または粘膜に投与する工程を含む、1以上の化合物の局所送達を改善する方法を含む。
【0011】
本出願は、本開示の脂質ベシクル化粧用組成物の有効量を対象に投与する工程を含む、対象における過度または不完全なコラーゲン産生に関連する、皮膚疾病の処置または予防のための方法をさらに含む。
【0012】
本出願は、本開示の二相性脂質ベシクル医薬組成物の治療有効量を皮膚または粘膜に局所的に投与することによって、1以上の治療化合物を対象に送達することによって処置可能な、疾患、障害、または疾病を処置する方法をさらに含む。
【0013】
本出願の他の特徴と利点は以下の詳細な記載から明らかになる。しかしながら、詳細な説明および具体例は、本開示の実施形態を示しながら、例示のためにのみ与えられており、特許請求の範囲は、これらの実施形態によって限定されるべきではなく、全体として説明と一致する最も広い解釈を与えられるものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1A図1Bは、処置されたヒト皮膚の共焦点顕微鏡画像を示し、図1Aは、ローダミンレッドで標識された12merペプチド(分子量約1200のペプチド)、FITCインシュリン(分子量約6,000のインシュリン)、およびFITC-IgG(分子量約150,000のIgG)を含有している、例示的なペプチド脂質ベシクル製剤1~4を示す。
図1B図1A図1Bは、処置されたヒト皮膚の共焦点顕微鏡画像を示し、図1Bは、二相性ベシクルに組み込まれたAlexa 647で標識されたIgG(赤の蛍光)を伴う別個の対照試験を示し(比較用の製剤)、皮膚断面は、赤色チャネル、つまり、第1のパネルで、上皮と真皮の全体にわたって最小限の蛍光を示し(3つのパネル:第1のパネルはAlexa IgGに対する赤色チャネルであり、第2のパネルは一般的な組織染色(青色核染色Syto 60)であり、第3のパネルは統合した画像である)、最後のパネルは、タンパク質送達の解析のために使用されたセッティングにおいて蛍光バックグラウンドがないことを示している、プラセボ製剤で処置された皮膚(赤色チャネルと一般的な組織染色とを統合した画像)である。
図2】核酸脂質ベシクル製剤F-TOM-1-5で処置されたマウス皮膚の共焦点顕微鏡画像を示す。各製剤について、3枚のパネルが示されており、第1のパネルは、RFP発現についての赤色チャネル(上皮と真皮において明るい着色領域として見られた)であり、第2のパネルは、一般的な組織染色(青色核染色Syto 60)であり、第3のパネルは、統合された画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
I.定義
他に示されない限り、本項および他の項に記載された定義および実施形態は、当業者によって理解されるように、それらが適している本明細書に記載された本出願のすべての実施形態および態様に適用されることを意図している。
【0016】
本明細書に例示的に記載された実施形態は、本明細書に特に開示されていない要素(複数可)または限定(複数可)がない場合にも、好適に実施することができる。従って、例えば、用語「含む(comprising)」は、「~が挙げられる・含む(including)」、「含有する(containing)」などは、拡張的に、および制限されることなく読まれるものとする。さらに、採用される用語と表現は、限定するものではなく、記載上の用語として使用され、示され記載された特徴のあらゆる同等物またはその一部を除くこうした用語や表現を使用することを意図していないが、請求される技術の範囲内で様々な修正が可能であることが理解される。さらに、「本質的に~からなる」という表現は、具体的に記載された要素と、請求される技術の基本的かつ新規な特性に重大な影響を与えない追加的な要素を含むと理解されることになる。句「~からなる」は、明示されない任意の要素を排除する。
【0017】
例えば、本出願および特許請求の範囲で使用されるとおり、単語「含んでいる(comprising)」(および「含む(comprise)」と「含む(comprises)」などの「(含んでいる)comprising」の語形)、「有している(having)」(および「有する(have)」と「有する(has)」などの、「有している(having)」の語形)、「含んでいる(including)」(および「含む(includes)」と「含む(include)」などの、「含んでいる(including)」の語形)、または「含有している(containing)」(および「含む(contain)」と「含有する(contains)」などの「含んでいる(containing)」の語形)は、包括的または無制限であり、および追加の列挙されていない要素または処理工程を除外しない。
【0018】
本明細書で使用される用語「構成している」およびその派生語は、記載された特徴、要素、成分、グループ、整数、および/または工程の存在を特定し、また他の記載されていない特徴、要素、成分、グループ、整数、および/または工程の存在を除外する、閉鎖的な用語であると意図される。
【0019】
句「本質的に~からなる」は、具体的に記載された要素、および請求される技術の基本的かつ新規な特性に重大な影響を与えない追加的な要素を含むと理解されることになる。句「~からなる」は、明示されない任意の要素を排除する。
【0020】
本明細書で使用されている「および/または」という用語は、列挙された項目が個別に、または組み合わせで存在すること、あるいは使用されることを意味する。実質的に、この用語は、挙げられた項目の「少なくとも1つ」または「1つ以上」が使用されるか、または存在することを意味する。エナンチオマー、プロドラッグ、塩および/または溶媒和物に関する「および/または」という用語は、個々のエナンチオマー、プロドラッグ、塩および水和物、ならびに、例えば、本開示の化合物の溶媒和物の塩などの組み合わせとして存在することを意味する。
【0021】
付加的な、または第2の化合物などの、「付加的な(additional)」または「第2の(second)」成分または効果を含む実施形態では、本明細書に使用される第2の化合物は、他の化合物または第1の化合物とは異なる。「第3の」化合物は、他の、第1の、および第2の化合物とは異なり、および、さらに列挙される、または「追加の」化合物も、同様に異なる。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「約」は、当業者であれば理解できるものであり、および使用される文脈によってある程度異なる。当該用語が使用されている文脈から当業者にとって明確でない用法がある場合、「約」は当該用語のプラスマイナス10%までを意味するものとする。
【0023】
用語「ひとつの(a、an)」、「その(the)」、および要素の記載に照らして(特に、以下の請求項に照らして)同様の指示物は、本明細書に他に示されない限り、あるいは内容によって明確に否定されない限り、単数形および複数形の両方を含むと解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で特に指示されない限り、範囲内に入る各個別の値を個別に参照するための省略法として役立つことを意図しているだけであり、各個別の値は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書で他に示されない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、本明細書に記載される全ての方法は、任意の適切な順で実行することが出来る。本明細書に提供される、全ての例、または例示的な言語(例えば、「~など(such as)」)の使用は、単に実施形態をより良く解明するように意図されるものであり、他に明記されない限り、請求される例示的な実施形態の範囲に対する制限を提起しない。本願明細書のいかなる文言も、非請求の要素を必須とするものとして解釈されるべきではない。
【0024】
本明細書に使用される用語「親水性の」は、実質的に水溶解性か、水分散性か、または一般に水を透過および/または吸収することができる化合物または添加剤を指す。
【0025】
使用される用語「疎水性(の)」は、実質的に水中に溶解も分散もしない化合物または添加剤を指す。
【0026】
「核酸」、「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書において使用される際、2つ以上の共有結合でリンクしたヌクレオチドを意味する。文脈が他に明確に示さない限り、これらの用語は、限定されないが、一般にデオキシリボ核酸(DNA)とリボ核酸(RNA)含み、単鎖(ss)の場合も二重鎖(ds)の場合もある。例えば、本開示の核酸分子またはポリヌクレオチドは、単鎖および二本鎖DNA、単鎖領域と二本鎖領域の混合であるDNA、単鎖と二本鎖のRNA、および、単鎖領域と二本鎖領域の混合であるRNA、一本鎖、またはより一般的には二本鎖、あるいは一本鎖領域と二本鎖領域の混合であり得るDNAとRNAを含む、ハイブリッド分子で構成され得る。さらに、核酸分子は、RNAまたはDNA、あるいはRNAとDNAの両方を含む3本鎖領域で構成され得る。用語「オリゴヌクレオチド」は、本明細書において使用される際、一般に長さが200塩基対までの核酸を指し、単鎖の場合も二重鎖の場合もある。本明細書に提供される配列は、DNA配列またはRNA配列または、ハイブリッド配列であり得るが、提供される配列は、文脈が他に明確に示さなない限り、DNAとRNAの両方、ならびに相補的なRNAとDNAの配列を包含することが理解されるであろう。例えば、配列5’-GAATCC-3’、は、5’-GAAUCC-3’、5’-GGATTC-3’、および、5’GGAUUC-3’を含むと理解される。核酸またはオリゴヌクレオチドは、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、およびウラシルを含む天然に存在する塩基を含み得る。配列はまた、修飾塩基を含有する場合がある。そのような修飾塩基の例としては、アザおよびデアザアデニン、グアニン、シトシン、チミジン、およびウラシル;ならびにキサンチンおよびヒポキサンチンなどがある。本明細書で使用されている「単離された核酸配列」という用語は、組換えDNA技術によって製造された場合には細胞材料や培養液、化学的に合成された場合には化学前駆体などを実質的に含まない核酸を意味する。単離された核酸は、また、その核酸が由来する核酸の脇に自然にある配列(すなわち、核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)を実質的に含まない。核酸としては、例えば、プラスミドDNA、ウイルスベクター、ネイキッドDNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド、合成核酸などがあり得る。
【0027】
本明細書で使用されるとき、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」は、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)にかかわらず、2つ以上の天然または非天然アミノ酸残基の任意の鎖を指す。開示の二相の小胞に組込まれたポリペプチドは3~3500の自然か不自然なアミノ酸残基を例えば含むことができる。単一のポリペプチド鎖であるタンパク質や、(例えば、2つ以上のポリペプチドからなる)マルチサブユニットタンパク質などが含まれる。
【0028】
用語「アミノ酸」は、修飾されたL-アミノ酸と同様に、自然発生のアミノ酸もすべて含む。アミノ酸の原子は、例えば、異なるアイソトープを含み得る。例えば、アミノ酸は、水素に置換される重水素、窒素14に置換される窒素15、および炭素12に置換された炭素13、ならびに他の同様の変化を含み得る。
【0029】
本明細書に使用する「免疫原」は、対象に投与されたとき、免疫応答を刺激し、抗体の生成を引き起こし、免疫原の抗原部分に向けられたリンパ球または他の反応的な免疫細胞を活性化する物質を意味する。
【0030】
本明細書で使用されている「抗体」という用語は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単鎖抗体、ヒト化抗体、および、その他のキメラ抗体、ならびにそれらの結合断片を含むことを意図している。抗体は、形質転換動物において生成された組み換えの供給源に由来するか、および/または、形質転換動物中で産生され得る。また、生化学的手法で作製した抗体やライブラリーから単離されたヒト抗体も含まれる。ヒト化抗体またはキメラ抗体は、1以上のアイソタイプまたはクラス由来の配列を含み得る。
【0031】
本明細書で使用されている「結合断片」という用語は、無傷または完全な抗体または抗体鎖よりも少ないアミノ酸残基を含む抗体または抗体鎖の一部または部分であって、抗原と結合するか無傷の抗体と競合するものを指す。例示的な結合断片は、限定することなく、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、dsFv、ds-scFv、二量体、ナノボディ、ミニボディ、ダイアボディ、およびそれらの多量体を含む。断片は、無傷あるいは完全な抗体または抗体鎖の化学的または酵素の処置によって得ることができる。断片はまた、組換えによって得ることも可能である。例えば、F(ab’)2断片は、ペプシンで抗体を処置することにより生成され得る。結果として生じるF(ab’)2断片を処置してジスルフィド架橋を還元し、Fab’断片を生成することができる。パパイン消化は、Fab断片の形成を生じ得る。Fab、Fab’およびF(ab’)2、scFv、dsFv、ds-scFv、二量体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体断片および他の断片も、組換え発現技術により構築することができる。
【0032】
さらに、特定の項に記載された定義および実施形態は、当業者によって理解されるように、本明細書に記載されるそれらが適している他の実施形態に適用可能であることを意図している。例えば、以下の文章では、様々な態様がより詳細に定義される。このように定義された各態様は、明確に反対の指示がない限り、他の態様と組み合わされ得る。特に、好ましいか有利なように示された任意の特徴は、好ましいか有利なように示された他の特徴(複数可)と組み合わされ得る。
【0033】
本明細書において使用される用語「本開示の組成物」は、本明細書に記載される二相性脂質ベシクルを含む組成物を指す。
【0034】
本明細書で使用される用語「浸透促進剤」は、親水性-親油性バランス(HLB)が約10以下の、1つ以上の非イオン性界面活性剤またはポリカチオン性界面活性剤を意味する。一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、1つ以上のテルペン、アルカロイド、サリチル酸誘導体、およびポリカチオン性界面活性剤、ならびにそれらの組み合わせから選択される1以上の浸透促進剤と組み合わされる、約10以下の親水性-親油性バランスを有する、1以上の非イオン性界面活性剤である。
【0035】
本明細書に使用される用語「捕捉された」は、言及された薬剤と、二相性脂質ベシクルの脂質二重層(複数可)、二相性脂質ベシクルの中心コア、および/または、二相性脂質ベシクルの隣接した二重層間の空間(複数可)との非共有結合のつながりを指す。
【0036】
本明細書で使用されている用語「二相性脂質ベシクル」は、中心コア区画が、水性の連続相と分散した疎水性、親水性、または油相で構成される水中油型エマルジョンで占められるベシクルを指す。一実施形態では、二相性脂質ベシクルの隣接した二重層間の空間も、エマルジョンによって占められる場合がある。
【0037】
本明細書で使用されている用語「エマルジョン」は、2つの非混和性物質の混合物を意味する。
【0038】
本明細書で使用される用語「二重層」は、2分子の層中で配置された両親媒性の脂質分子で構成される構造を指し、内部の疎水性尾部と外面の水溶性頭部とを有する。
【0039】
本明細書で使用される用語「局所的投与」または「局所送達」は、皮膚および/または粘膜に対して化合物(複数可)を含む組成物を投与することにより、化合物を皮内で、経皮で、および/または口腔粘膜で送達することを意味する。
【0040】
本明細書で使用されている用語「ジェミニ界面活性剤」は、1つ以上の疎水性尾部を含み、かつ各疎水性尾部が親水性頭部を有し、ここで、疎水性尾部または親水性頭部がスペーサー部分によってともにリンクされている、界面活性剤分子を意味する。疎水性尾部は、同一でも異なっていてもよい。同様に、親水性頭部は同一でも異なっていてもよい。親水性頭部は、アニオン性、カチオン性、または中性であってもよい。
【0041】
用語「HLB」または「親水性-親油性バランス」の値は、Griffin, J. Soc. Cosm. Chem., vol. 5, 249 (1954)による標準HLBを指し、それは界面活性剤の親水性と親油性の程度を示す。
【0042】
本明細書で使用される用語「対象」は、哺乳類を含む動物界の全てのメンバーを含み、好適にはヒトを指す。従って、本出願の方法および用途は、ヒトの治療および化粧品用途と獣医用途の両方に適用可能である。
【0043】
本明細書で使用され、当技術分野でよく理解されているように、用語「処置すること」または「処置」は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチを意味する。有益なまたは所望の臨床結果は、限定されないが、1つ以上の症状または疾病の緩和または改善、疾患の範囲の減少、安定化された(すなわち、悪化していない)疾患の状態、疾患の広がりを予防すること、疾患進行の遅延または鈍化、疾患状態の改善または緩和、疾患の再発生の減少、および、寛解(部分的か全体的かは問わず)を含み、検知可能か検出不可能かは問わない。「処置すること(Treating)」および「処置(treatment)」は、治療を受けなかった場合の予想生存期間と比較して、生存期間を延長することを意味する場合もある。本明細書で使用されている「処置すること」および「処置」は、さらに予防処置を含むこともある。例えば、皮膚の疾患、障害、または病気を抱える対象が、進行を防ぐために治療され得る。処置方法は、対象に1つ以上の本開示の化合物の治療有効量を投与することを含み、および、随意に一回投与から成るか、または代替的に一連の投与を含む。
【0044】
本明細書において使用されている用語「有効量」または「治療有効量」は、所望の結果を達成するのに必要な用量および期間の、有効な量である。本明細書で使用され、および当技術分野でよく理解されているように、用語「処置すること(to treat)」、「処置すること(treating)」、および「処置」は、臨床結果を含む有益な又は所望の結果を得るためのアプローチを意味する。「処置すること(to treat)」、「処置すること(treating)」、および「処置」は、治療を受けなかった場合の予想生存期間と比較して、生存期間を延長することも意味し得る。本明細書で使用されている「処置すること(to treat)」、「処置すること(treating)」、および「処置」は、予防処置も含む。
【0045】
本開示の特徴あるいは態様がマーカッシュ群の観点から記載されている場合、当業者は、その記載により本開示がマーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループの観点からも記載されることを認識するであろう。
【0046】
さらに、特定の項で説明された定義および実施形態は、当業者によって理解されるように、本明細書に記載されたそれらが適している他の実施形態に適用可能であるように意図される。例えば、以下の文章では、様々な態様がより詳細に定義される。このように定義された各態様は、明確に反対の指示がない限り、他の態様と組み合わされ得る。例えば、任意の分類群の員の任意の組み合わせは、組み合わされ得るか、または任意の員の他の部分群と随意に組み合わされ得る。特に、好ましいまたは有利であると示された特徴は、好ましいまたは有利であると示された他の特徴または機能と組み合わされ得る。
【0047】
当業者には理解されるように、あらゆる目的、特に文章による説明の提供の観点から、本明細書に開示されるすべての範囲は、その範囲のあらゆる可能な下位範囲およびそれらの下位範囲の組み合わせも包含する。挙げられる範囲はどれも、少なくとも二等分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解されるのと同じ範囲を十分に説明し、可能にしていると容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下の3分の一、中央の3分の一、上の3分の一などに、容易に分割され得る。また当業者によって理解されるように、などのすべての言語「まで」「少なくとも」、「超」、「未満」などの言葉は、列挙される数を含み、かつ上に論じられたような下位範囲に後で分割され得る範囲を指す。最終的に、当業者による理解されるように、範囲は各々の個別の要素を含む。
【0048】
II.本開示の組成物
出願人は、リン脂質二重層を有する二相性のリン脂質ベシクルであって、前記リン脂質二重層が、安定化された水中油型エマルジョンとある化合物とを隔離し、ここで前記化合物が、送達システム(例えば、本明細書に記載される二相性ベシクルを含む組成物および/または他の生成物)のリン脂質二重層または安定化された水中油型エマルジョン、あるいはその両方の部位に添加された1以上の浸透促進剤を含む、二相性のリン脂質ベシクルが、前記化合物の促進された皮膚浸透を提供することを示した。
【0049】
出願人は、ある浸透促進剤、および浸透促進剤と化合物との組合わせが、他の組合わせに比べて、ある量の皮膚(例えば、グラム単位で)の中へより高い量の化合物(例えば、ミリグラム単位で)をより効果的に送達するために使用することができることを示した。
【0050】
浸透促進剤化合物は、それ自体が浸透促進物質として広く知られている多様な化合物から選択することができる。一実施形態では、出願人は、浸透促進剤は、親水性-親油性バランス(「HLB」)が10以下の非イオン性界面活性剤が、単独で、あるいは、テルペン、アルカロイド、サリチル酸塩誘導体、ゲミニ陽イオン界面活性剤、またはポリカチオン性アミノ酸などのポリカチオン性(例えば、ジカチオン性、トリカチオン性など)の界面活性剤、またはその組み合わせなどの、1以上の浸透促進剤との組み合わせにおいて、1以上の浸透促進剤の欠如以外では同一か同様の組成物との比較において、化合物の促進された皮膚浸透を提供することを示した。
【0051】
別の実施形態では、出願人は、ゲミニジカチオン性界面活性剤などのポリカチオン性界面活性剤またはポリカチオン性アミノ酸が、ポリカチオン性界面活性剤の代わりにモノカチオン性界面活性剤を有する以外は同一か同様の組成物との比較において、化合物の皮膚浸透を促進することを示した。
【0052】
従って、本出願は、
a)ベシクル形成脂質を含む脂質二重層を各々含む、脂質ベシクル、
b)二相性脂質ベシクル中に捕捉され、1以上の界面活性剤によって安定化された、水中油型エマルジョン、
c)脂質二重層または二相性ベシクルの水中油型エマルジョン中に捕捉された1つ以上の化合物;および、
d)脂質二重層または二相性ベシクルの水中油型エマルジョン中に捕捉された1以上の浸透促進剤を含み、ここで、1以上の浸透促進剤は、約10以下の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1以上の非イオン性界面活性剤である、二相性脂質ベシクル組成物を含む。
【0053】
一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は、化粧品組成物である。一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は、医薬組成物である。
【0054】
一実施形態では、医薬組成物(脂質ベシクル組成物として本明細書に記載される)が、局所送達を達成するための、治療化合物の局所的な投与のために提供され、前記組成物は、脂質ベシクル、水中油型エマルジョン、治療化合物、および1以上の浸透促進剤を含み、ここで脂質ベシクルは、外側の脂質二重層を含み、水中油型エマルジョンは、外側の脂質二重層によってコーティングされ、治療化合物は、例えば、小分子ペプチドまたはタンパク質であり、および1以上の浸透促進剤は、1以上の浸透促進剤がない状態における組成物との比較において、ある量の皮膚の中へと吸収する治療化合物の量を増加させる。
【0055】
出願人は、脂質ベシクルは化合物および/または浸透促進剤を有するように製剤化することができ、前記脂質ベシクルは化合物および/または浸透促進剤は、二相性脂質ベシクルの様々な産生段階において、脂質二重層および/または水中油型エマルジョンの中へと選択的に組み込まれ得ることを示した。化合物は、二相性脂質ベシクルを産生する間に、例えば、水中油型エマルジョンにのみ、脂質二重層の成分にのみ、または水中油型エマルジョンと脂質二重層の両方に、添加することができる。同様に、1以上の浸透促進剤は、二相性脂質ベシクルを産生する間に、水中油型エマルジョンにのみ、脂質二重層にのみ、または水中油型エマルジョンと脂質二重層の両方に、添加することができる。
【0056】
一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は、1以上の化合物の局所送達のためのものである。一実施形態では、局所送達は、皮内、経皮、粘膜、または経粘膜の送達のためのものである。
【0057】
一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は、二相性脂質ベシクルの懸濁液を含む。
【0058】
一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョン中に捕捉される。一実施形態では、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、約0.01wt%~約20wt%の、1以上の浸透促進剤を含む。一実施形態では、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、約0.1wt%~約10wt%の、1以上の浸透促進剤を含む。一実施形態では、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、約0.5wt%~約9wt%、約0.5wt%~約8wt%、約0.5wt%~約7wt%、約1wt%~約6wt%、約1wt%~約5wt%、約1wt%~約4wt%、約1wt%~約3wt%、約1wt%~約2wt%の、1以上の浸透促進剤を含む。
【0059】
一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、脂質ベシクルの脂質二重層中に捕捉される。一実施形態では、脂質ベシクル組成物の脂質二重層は、0.1wt%~20wt%の、1以上の浸透促進剤を含む。一実施形態では、脂質二重層は、0.1wt%~10wt%の、1以上の皮膚浸透促進剤を含む。一実施形態では、二相性脂質ベシクルの脂質二重層は、約7wt%の、1以上の皮膚浸透促進剤を含む。一実施形態では、脂質ベシクルの脂質二重層は、約10wt%、約9wt%、約8wt%、約7wt%、約6wt%、約5wt%、約4wt%、約3wt%、約2wt%、約1wt%、約0.5wt%、または、約0.1wt%の、1以上の皮膚浸透促進剤を含む。
【0060】
一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、二相性脂質ベシクルの、脂質二重層と水中油型エマルジョンとの両方の中に捕捉される。
【0061】
一実施形態では、浸透促進剤は、1以上の非イオン性界面活性剤であり、親水性-親油性バランス(HLB)が約10以下であり、脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、ソルビタンエステル、およびポリエチレングリコール脂肪酸エステル、およびそれらの組み合わせの1以上から選択される。
【0062】
一実施形態では、脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテルは、Ceteth-2(登録商標)、Steareth-2(登録商標)、Oleth 2(登録商標)、Oleth-3(登録商標)、およびOleth-5(登録商標)、ならびに、これらの組み合わせから選択される。一実施形態では、脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテルは、Oleth-2(登録商標)、Oleth-3(登録商標)およびOleth-5(登録商標)から選択される。一実施形態では、脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテルは、Oleth 2(登録商標)である。
【0063】
一実施形態では、ソルビタンエステルは、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート(sorbitan sesquioleate)、およびソルビタンイソステアレート、ならびにそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、ソルビタンエステルは、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、およびソルビタンモノステアレート、ならびにそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、ソルビタンエステルは、ソルビタンモノパルミテートである。
【0064】
一実施形態では、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルは、PEG-8ジラウレート、PEG-4ジラウレート、PEG-4ラウレート、PEG-8ジオレエート、PEG-8ジステアレート、PEG-8ジステアレート、PEG-7グリセリルココエート、およびPEG-20アーモンドグリセリド、およびそれらの組み合わせの1以上から選択される。一実施形態では、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルは、PEG-4ジラウレート、およびPEG-4ラウレート、ならびにそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルは、PEG-4ジラウレートである。
【0065】
一実施形態では、約10以下の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1以上の非イオン性界面活性剤が、プロピレングリコールイソステアレート、グリコールステアレート、グリセリルステアレート、グリセリルステアレートSE、グリセリルラウレート、グリセリルカプリレート、PEG-30ジポリヒドロキシ-ステアレート、グリコールジステアレート、およびそれらの組み合わせから、さらに選択される。
【0066】
一実施形態では、約10以下の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1以上の非イオン性界面活性剤は、表1中の界面活性剤、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0067】
【表1】
【0068】
一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、約10以下のHLBを有する1以上の非イオン性界面活性剤であり、1以上のテルペン、アルカロイド、サリチル酸誘導体、およびジ-またはポリカチオン性界面活性剤、ならびにそれらの組み合わせから選択される1以上の浸透促進剤と組み合わされている。
【0069】
一実施形態では、約10以下のHLBを有する1以上の非イオン性界面活性剤は、上に記載された通りである。
【0070】
一実施形態では、1以上のテルペンは、1以上の、オイゲノール、d-リモネン、メントール、メントン、ファルネソール、neridol、樟脳、ネロール、およびチモール、ならびにそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、1以上のテルペンは、メントール、樟脳、ネロール、およびチモール、ならびにそれらの組み合わせの1以上から選択される。
【0071】
一実施形態では、1以上のサリチル酸誘導体、サリチル酸エチル、サリチル酸、アセチルサリチル酸、およびサリチル酸トロラミンから選択される。一実施形態では、サリチル酸誘導体は、サリチル酸メチルである。
【0072】
一実施形態では、1つ以上のアルカロイドは、ピペリジン誘導体(例えば、ピペリンとロベリン)、プリン誘導体(例えば、カフェイン、テオブロミン、およびテオフィリン)、ピリジン誘導体(例えば、ニコチン)、コルヒチン、ピロリジン誘導体(例えば、N-メチルピロリドンおよびヒグリン)、ベンジルアミン(例えば、カプサイシン)、イソキノリン誘導体(例えば、ベルベリンとサンギナリン)、またはイミダゾール誘導体(例えば、ヒスタミンとピロカルピン)から選択される。一実施形態では、1以上のアルカロイドは、ピペリジン誘導体である。一実施形態では、1以上のアルカロイドは、ピペリンまたはロベリン、あるいはそれらの組み合わせである。一実施形態では、1以上のアルカロイドは、ピペリンである。
【0073】
一実施形態では、ポリカチオン性界面活性剤は、1以上のゲミニ界面活性剤である。
【0074】
ゲミニ界面活性剤は、1を超える疎水性尾部を含有する界面活性剤分子である。各疎水性尾部は、親水性の頭部を有する (Menger and Keiper, 2000; Kirby et al., 2003)。疎水性尾部または親水性頭部は、スペーサーによってともにリンクされる。疎水性尾部は、同一でも異なっていてもよい。同様に、親水性頭部は同一でも異なっていてもよい。さらに、親水性の頭部は、アニオン性(例えば、ホスフェート、硫酸、またはカルボキシレート型)、カチオン性(例えば、四級アンモニウム型)、または、中性(例えば、ポリエーテル、ペプチド、または砂糖型)であり得る (Menger and Keiper, 2000)。水溶液中では、ゲミニ界面活性剤は、形状およびサイズがスペーサーの長さおよび疎水性または親水性の性質に特に敏感なミセルへと、自発的に集合する。スペーサーは可変であり得、すなわち、短いか(例えば、2メチレン基)長いか(例えば、12を超えるメチレン基)、硬いか(例えば、スチルベン)可撓性か(例えば、メチレン鎖)、および、極性か(例えば、ポリエーテル、エトキシル、またはポリエトキシル)非極性か(例えば、脂肪族、芳香族)(Menger and Keiper, 2000)である。疎水性尾部、親水性の頭部、およびスペーサーが上記の態様に関して変更され得るため、無数の様々な分子が設計され得る。
【0075】
一実施形態では、疎水性尾部の型は、線状または分岐鎖状の、飽和または不飽和の、C-C30アルキル基である。一実施形態では、親水性頭部は、アニオン性、カチオン性、または中性であってもよい。実施形態では、親水性のヘッドはカチオンである。
【0076】
一実施形態では、ゲミニ界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、または中性である。一実施形態では、ポリカチオン性界面活性剤は、1以上のゲミニジカチオン性界面活性剤である。
【0077】
一実施形態では、ゲミニ界面活性剤は、線状の炭化水素尾部基および四級アンモニウム頭部基を含む。ある型のゲミニカチオン性界面活性剤の一般構造は、正電荷を持つ2つのチッ素原子で構成される頭部基を含み、該頭部基は、(n)が3、4、6、8、10、12、または16の炭素原子のスペーサーによって分離され、および、2つのメチル基を各々含有しており、ならびに、それぞれ2つの飽和した12炭素原子鎖または16炭素原子鎖からなる尾部(m=10または14)を含む。
【0078】
一実施形態では、1以上のゲミニジカチオン性界面活性剤は、四級アンモニウム型である。一実施形態では、1以上のゲミニジカチオン性界面活性剤は、12-7NH-12、12-7NCH-12、16-3-16、12-4(OH)-12、および12-EO1-12から成る群から選択される。一実施形態では、1以上のゲミニカチオン性界面活性剤は、12-7NH-12、12-7NCH-12、および16-3-16から成る群から選択される。
【0079】
一実施形態では、1以上のポリカチオン性界面活性剤は、ポリカチオン性アミノ酸である。一実施形態では、ポリカチオン性アミノ酸はポリリシン、ポリアルギニン、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0080】
一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、約10以下のHLBを有する1以上の非イオン性界面活性剤であり、1以上のテルペン、アルカロイド、およびサリチル酸誘導体から選択された、1以上の浸透促進剤と組み合わされている。
【0081】
一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は、1~6の浸透促進剤を含む。一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は、1~4の浸透促進剤を含む。一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は1~3の浸透促進剤を含む。
【0082】
一実施形態では、浸透促進剤は、約9以下、約8以下、約7以下、または約6以下のHLBを有し、および随意に1以上、2以上、3以上、または4以上のHLBを有する、あるいはそれらの任意の組み合わせのHLBを有する、例えば、約7以下かつ約3以上である、1以上の非イオン性界面活性剤である。一実施形態では、浸透促進剤は、約1~約10、約1~約9、約2~約8、約3~約7、または約4~約7のHLBを有する、1以上の非イオン性界面活性剤である。一実施形態では、浸透促進剤は、約3~約7、または約4~約7の親水性-親油性バランス(HLB)を有する、1以上の非イオン性界面活性剤である。一実施形態では、浸透促進剤は、約4~約7のHLBを有する、1以上の非イオン性界面活性剤である。
【0083】
一実施形態では、浸透促進剤は、Oleth-2(登録商標)(ジエチレングリコールモノオレイルエーテル)である。一実施形態では、浸透促進剤は、1以上のテルペンと組み合わされたOleth-2(登録商標)である。一実施形態では、浸透促進剤は、メントール、樟脳、ネロール、またはチモール、あるいはそれらの組み合わせの1以上と組み合わされた、Oleth-2(登録商標)である。一実施形態では、浸透促進剤は、メントールまたは樟脳、あるいはそれらの組み合わせと組み合わされた、Oleth-2(登録商標)である。一実施形態では、浸透促進剤は、メントールおよび樟脳と組み合わされたOleth-2(登録商標)である。一実施形態では、浸透促進剤は、ネロールと組み合わされたOleth-2(登録商標)である。一実施形態では、浸透促進剤は、チモールと組み合わされたOleth-2(登録商標)である。一実施形態では、浸透促進剤は、ネロールと組み合わされたOleth-2(登録商標)である。一実施形態では、浸透促進剤は、サリチル酸メチルと組み合わされたOleth-2(登録商標)である。一実施形態では、浸透促進剤は、1以上のアルカロイドと組み合わされたOleth-2(登録商標)である。一実施形態では、浸透促進剤は、ピペリジンと組み合わされたOleth-2(登録商標)である。
【0084】
一実施形態では、約10以下のHLBを有する1以上の非イオン性界面活性剤が、脂質二重層中に捕捉され、および、1以上のテルペンまたは1以上のアルカロイドは、脂質二重層、水中油型エマルジョン、またはその両方の中に捕捉される。
【0085】
一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、PEG-4ジラウレートである。一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、1以上のアルカロイドと組み合わされたPEG-4ジラウレートである。一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、ピペリジンと組み合わされたPEG-4ジラウレートである。一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、サリチル酸メチルと組み合わされたPEG-4ジラウレートである。
【0086】
一実施形態では、PEG-4ジラウレートは、脂質二重層中に捕捉され、および、1以上のアルカロイドまたはサリチル酸メチルは、脂質二重層、水中油型エマルジョン、またはその両方中に捕捉される。
【0087】
一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、Oleth-2、PEG-4ジラウレート、またはソルビタンモノパルミテート、またはそれらの組み合わせである。一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、組み合わされたOleth-2とソルビタンモノパルミテートである。一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、組み合わされたPEG-4ジラウレートとソルビタンモノパルミテートである。
【0088】
一実施形態では、Oleth-2(登録商標)、PEG-4ジラウレート、またはソルビタンモノパルミテート、あるいはその組み合わせは、脂質二重層、水中油型エマルジョン、またはその両方中に捕捉される。
【0089】
一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、ある量の皮膚の中へと吸収するある量の化合物を、1以上の浸透促進剤の欠如以外では同一か同様の組成物に対して、少なくとも10%、20%、30%、40%あるいは50%だけ増加させる。一実施形態では、1以上の浸透促進剤は、ある量の皮膚の中へと吸収するある量の化合物を、1以上の浸透促進剤の欠如以外では同一か同様の組成物に対して、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、あるいは50%だけ増加させる。
【0090】
一実施形態では、二相性脂質ベシクルは、約0.1wt%~約5wt%のアルカロイドを含む。一実施形態では、二相性脂質ベシクルは、約0.1wt%~約4wt%のアルカロイドを含む。一実施形態では、二相性脂質ベシクルは、約0.1wt%~約3wt%のアルカロイドを含む。一実施形態では、二相性脂質ベシクルは、約1wt%~約3wt%のアルカロイドを含む。一実施形態では、脂質ベシクルの脂質二重層は、1wt%~5wt%のアルカロイドを含む。いくつかの実施形態では、アルカロイドは、二相性脂質ベシクルの脂質二重層中に捕捉される。
【0091】
一般的に、二相性脂質ベシクルは、1以上の内部の脂質二重層をさらに含む、多層状の脂質ベシクルである。多層状の二相性脂質ベシクルは、水中油型エマルジョンを捕捉する複数の同心性脂質二重層シェルを有する。
【0092】
一実施形態では、水中油型エマルジョンは、1μm未満の平均径を有する液滴を含む。一実施形態では、水中油型エマルジョン液滴の平均径は、0.5μm未満、0.25μm、0.1μm、または、0.01μmであり得る。一実施形態では、水中油型エマルジョン液滴の平均径は、約0.5μm未満、約0.25μm未満、約0.1μm未満、または、約0.01μm未満であり得る。水中油型エマルジョンが水性および非水性の領域を含むため、これらのミクロン以下の水中油型エマルジョン液滴は、親水性および疎水性の化合物および賦形剤を組み込むために調整することができる。
【0093】
一実施形態では、水中油型エマルジョンは、40wt%~99.9wt%の水を含む。一実施形態では、水中油型エマルジョンは、10wt%~95wt%の水を含み、10wt%~25wt%の水、25wt%~50wt%の水、50wt%~75wt%の水、95wt%~75wt%の水などが挙げられる。一実施形態では、水中油型エマルジョンは、約10wt%~約99.9wt%の水、約15wt%~約99.9wt%の水、約25wt%~約99.9wt%の水、約25wt%~約50wt%の水、約40wt%~約99wt%の水、約50wt%~約95wt%の水、約50wt%~約75wt%の水、約75wt%~約95wt%の水を含む。
【0094】
一実施形態では、水中油型エマルジョンは、0.1wt%~60wt%の油を含む。一実施形態では、水中油型エマルジョンは、約0.1wt%~約60wt%の油、約0.5wt%~約50wt%の油、約1wt%~約40wt%の油、または、約1wt%~約20wt%の油を含む。
【0095】
一実施形態では、水中油型エマルジョンは、二相性脂質ベシクルの最大約95wt%を占める場合がある。換言すると、一実施形態では、二相性脂質ベシクルは、約1wt%~約95wt%の水中油型エマルジョンを含む。一実施形態では、脂質ベシクル組成物は、1wt%~10wt%、20wt%~30wt%、30wt%~40wt%、40wt%~95wt%の水中油型エマルジョンを含み得る。一実施形態では、脂質ベシクルは、約1wt%~約10wt%の、約20wt%~約30wt%の、約30wt%~約40wt%の、約40wt%~約95wt%の、約50wt%~約95wt%の、約60wt%~約95wt%の、または約70wt%~約95wt%の、水中油型エマルジョンを含み得る。
【0096】
一実施形態では、水中油型エマルジョンにおける油は、植物油、モノ-、ジ-、およびトリグリセリド、シリコーン流体、鉱油、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される。水中油型エマルジョンは、任意の所与の化合物、化合物、浸透促進化合物、界面活性剤、および/または乳化剤などの溶解度を最適化するために、様々な分量の水および油を有するように調節され得ることは理解されよう。
【0097】
二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、1以上の界面活性剤によって安定化される。一実施形態では、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、約0.01wt%~40wt%の、1以上の界面活性剤を含む。理論によって束縛されることなく、水中油型エマルジョンの安定性を変更するために、界面活性剤が水中油型エマルジョンに添加され得ることは、考慮に入れられる。一実施形態では、油中水形エマルジョンは、0.01wt%~10wt%、10wt%~20wt%、または、20wt%~40wt%の、1以上の界面活性剤を含む。一実施形態では、油中水形エマルジョンは、約0.01wt%~約40wt%、約0.01wt%~約10wt%、約10wt%~約20wt%、約20wt%~約30wt%、約20wt%~約40wt%、または、約30wt%~約40wt%の、1以上の界面活性剤を含む。
【0098】
一実施形態では、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート、およびソルビタンエステルからなる群から選択される1以上の界面活性剤によって安定化される。一実施形態では、1つ以上の界面活性剤は、10以上を超える平均親水性-親油性バランス(HLB)数を有する。一実施形態では、水中油型エマルジョン中の1以上の界面活性剤は、10超またはそれ以上、約11以上、約12以上、約13以上、約14以上、約15以上、約16以上、約17以上、約18以上、約19以上、または、約20以上、あるいは、それらの組み合わせの、HLBを有する。一実施形態では、水中油型エマルジョン中の1以上の界面活性剤は、10超~約20、約10~約18約、約10~約16、または約10~約15のHLBを有する。一実施形態では、水中油型エマルジョン中の1以上の界面活性剤は、約10~約16のHLBを有する。一実施形態では、水中油型エマルジョン中の1以上の界面活性剤は、10~20または10~16のHLBを有する。
【0099】
一実施形態では、10以上の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1以上の非イオン性界面活性剤は、表2の界面活性剤、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0100】
【表2-1】
【0101】
【表2-2】
【0102】
一実施形態では、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、1以上の界面活性剤によって安定化され、該界面活性剤は、Ceteth-10(登録商標)およびTween80(登録商標)(ポリソルベート80(グリコール)/ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート)から選択される。
【0103】
浸透促進剤の約10以下の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1以上の非イオン性界面活性剤は、水中油型エマルジョンの安定化および乳化のためには使用されないが、むしろ、浸透促進剤の約10以下の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1以上の非イオン性界面活性剤は、浸透促進効果を提供するために、安定化界面活性剤への付加的な界面活性剤として使用される。
【0104】
また、脂質ベシクルが水中油型エマルジョンを生成するための安定化する構造的な成分として界面活性剤を含有する、既知の二相性ベシクル組成物に比べて、本開示は、ベシクル構造(脂質二重層または水中油型エマルジョンのいずれか)の中へ合併された時、一連の化合物に対する促進された送達能力を提供する1以上の浸透促進剤を使用することも、理解されよう。
【0105】
一実施形態では、水中油型エマルジョンは、10wt%~99wt%の水、0.5wt%~60wt%の油を含み、および、水中油型エマルジョンを安定化するための、0.01wt%~20wt%の1以上の界面活性剤をさらに含む。
【0106】
一実施形態では、ベシクル形成脂質は、水中で二重層ベシクルへと自発的に形成することができる疎水性尾部基と頭部基を有する、両親媒性の脂質である。一実施形態では、ベシクル形成脂質は、アシル鎖などの2つの炭化水素鎖を含み、ここで頭部基が極性か無極性のどちらかである。一実施形態では、ベシクル形成脂質は、リン脂質、糖脂質、レシチン、ならびに、ホスファチジルエタノールアミン、リソレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、カルディオリピン、ホスファチジン酸、およびセレブロシドなどのセラミドの、1以上から選択される。これらの脂質は、商業的に入手することができるか、または公表された方法によって調製することができる。
【0107】
一実施形態では、ベシクル形成脂質は、リン脂質である。一実施形態では、リン脂質は、1または2の(等しい、または異なる)脂肪酸の残基を有し、およびリン酸を有する、グリセロールの1つ以上のエステルであり、ここでリン酸残基は、次には、例えば、コリン(ホスファチジルコリン--PC)、セリン(ホスファチジルセリン--PS)、グリセロール(ホスファチジルグリセロール--PG)、エタノールアミン(ホスファチジルエタノールアミン--PE)、またはイノシトール(ホスファチジルイノシトール)などの、親水基に結合される。脂肪酸の残基を1つだけ有するリン脂質のエステルは、一般に当該技術分野で、リン脂質の「リゾ」形態または「リゾリン脂質」と呼ばれる。リン脂質中に存在する脂肪酸残基は、一般に、12~24の炭素原子、または14~22の炭素原子を典型的に含有する、長連鎖脂肪酸であり、脂肪鎖は、1以上の不飽和を含有しているか、または完全飽和である。リン脂質に含まれる適切な脂肪酸の例として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸が挙げられる。ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、およびアラキン酸などの、飽和脂肪酸が使用される場合がある。
【0108】
一実施形態では、リン脂質は、ホスファチジン酸すなわち、脂肪酸を有するグリセロール-リン酸のジエステル;スフィンゴミエリンなどのスフィンゴリピド、すなわち、脂肪酸を有するグリセロールジエステルの残基がセラミド鎖と置換されるホスファチジルコリンアナログ;カルディオリピン、すなわち脂肪酸を有する1,3-ジホスファチジルグリセロールのエステル;ガングリオシドGM1(またはGM2)またはセレブロシドなどの糖脂質;糖脂質;スルファチド、およびグリコスフィンゴリピドである。
【0109】
一実施形態では、リン脂質は、単独で、または混合物として、使用することができる、自然発生の、半合成の、または合成的に調製された、生成物である。一実施形態では、自然発生のリン脂質(ホスファチジルコリン(PC)誘導体)は、典型的に、大豆または卵黄のレシチンなどの、天然のレシチンである。
【0110】
一実施形態では、半合成のリン脂質は、部分的または完全に水素添加された、自然発生のレシチン誘導体である。一実施形態では、リン脂質は、ホスファチジルコリンの脂肪酸ジエステル、エチルホスファチジルコリン(ethylphosphatidylcholine)の脂肪酸ジエステル、ホスファチジルグリセロールの脂肪酸ジエステル、ホスファチジン酸の脂肪酸ジエステル、ホスファチジルエタノールアミンの脂肪酸ジエステル、ホスファチジルセリン、またはスフィンゴミエリンの、脂肪酸ジエステルを含む。一実施形態では、リン脂質は、例えば、ジラウロイル-ホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイル-ホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイル-ホスファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドイル-ホスファチジルコリン(diarachidoyl-phosphatidylcholine)(DAPC)、ジステアロイル-ホスファチジルコリン(distearoyl-phosphatidylcholine)(DSPC)、ジオレオイル-ホスファチジルコリン(dioleoyl-phosphatidylcholine)(DOPC)、1,2ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(エチル-DSPC)、ジペンタデカノイル-ホスファチジルコリン(DPDPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(MPPC)、1-パルミトイル-2-ミリストイル-ホスファチジルコリン(PMPC)、1-パルミトイル-2-ステアロイル-ホスファチジルコリン(PSPC)、1-ステアロイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(SPPC)、1-パルミトイル-2-オレイルホスファチジルコリン(POPC)、1-オレイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(OPPC)、ジラウロイルホスファチジルグリセロール(dilauroylphosphatidylglycerol)(DLPG)とそのアルカリ金属塩、ジアラキドイルホスファチジルグリセロール(diarachidoylphosphatidylglycerol)(DAPG)とそのアルカリ金属塩、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(dimyristoylphosphatidylglycerol)(DMPG)とそのアルカリ金属塩、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(dipalmitoylphosphatidylglycerol)(DPPG)とそのアルカリ金属塩、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(distearoylphosphatidylglycerol)(DSPG)とそのアルカリ金属塩、ジオレオイル-ホスファチジルグリセロール(DOPG)とそのアルカリ金属塩、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)とそのアルカリ金属塩、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)とそのアルカリ金属塩、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ジアラキドイルホスファチジン酸(DAPA)とそのアルカリ金属塩、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(dimyristoylphosphatidylethanolamine)(DMPE)、ジパルミトイルホスファシジルエタノールアミン(dipalmitoylphosphatidylethanolamine)(DPPE)、ジステアロイルフォスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(dioleylphosphatidylethanolamine)(DOPE)、ジアラキドイルホスファシジルエタノールアミン(diarachidoylphosphatidylethanolamine)(DAPE)、ジリノレイルホスファシジルエタノールアミン(dilinoleylphosphatidylethanolamine)(DLPE)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジアラキドイルホスファチジルセリン(DAPS)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジオレオイルホスファチジルセリン(dioleoylphosphatidylserine)(DOPS)、ジパルミトイルスフィンゴミエリン(DPSP)、および、ジステアロイルスフィンゴミエリン(distearoylsphingomyelin)(DSSP)、ジラウロイル-ホスファチジルイノシトール(DLPI)、ジアラキドイルホスファチジルイノシトール(diarachidoylphosphatidylinositol)(DAPI)、ジミリストイルホスファチジルイノシトール(dimyristoylphosphatidylinositol)(DMPI)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(dipalmitoylphosphatidylinositol)(DPPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(distearoylphosphatidylinositol)(DSPI)、ジオレオイル-ホスファチジルイノシトール(DOPI)である。
【0111】
一実施形態では、リン脂質は、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ホスファチジルエタノールアミン(ケファリン)(PE)、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルコリン(PC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、またはホスファチジルセリン(PS)である。
【0112】
一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物の二相性脂質ベシクルは、一般的に、0.1wt%~30wt%、リン脂質を含む。いくつかの実施形態では、脂質ベシクルは、1wt%~10wt%、10wt%~20wt%、20wt%~30wt%、リン脂質を含む。いくつかの実施形態では、二相性脂質ベシクルは、9wt%~13wt%、リン脂質を含む。いくつかの実施形態では、二相性脂質ベシクルは、10wt%、リン脂質を含む。いくつかの実施形態では、二相性脂質ベシクルは、12wt%、リン脂質を含む。いくつかの実施形態では、二相性脂質ベシクルは、約1wt%~約10wt%、約10wt%~約20wt%、約20wt%~約30wt%、約9wt%~約13wt%、約13wt%、約12wt%、約11wt%、または、約10wt%のリン脂質を含む。
【0113】
一実施形態では、1以上の化合物は、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョン中に捕捉される。一実施形態では、水中油型エマルジョンは、1ng/g~1,000ng/gの、化合物/水中油型エマルジョンを含む。一実施形態では、水中油型エマルジョンは、1ng/g~10ng/gの、10ng/g~100ng/gの、または100ng/g~1,000ng/gの、化合物/水中油型エマルジョンを含む。
【0114】
一実施形態では、水中油型エマルジョンは、0.0000001wt%~0.0001wt%の、0.0001wt%~0.1wt%の、0.1wt%~1wt%の、または、1wt%~10wt%の、化合物を含む。一実施形態では、水中油型エマルジョンは、約0.0000001wt%~約0.0001wt%の、約0.0001wt%~約01wt%の、約0.1wt%~約1wt%の、または、約1wt%~約10wt%の、化合物を含む。一実施形態では、水中油型エマルジョンは、0.0000001wt%~10wt%の、化合物を含む。
【0115】
一実施形態では、1以上の化合物は、二相性脂質ベシクルの脂質二重層中に捕捉される。一実施形態では、脂質ベシクル組成物の脂質二重層は、1以上の化合物を有するように調剤され得る。一実施形態では、脂質ベシクル組成物の脂質二重層は、0.0000001wt%~10wt%の、化合物を含む。一実施形態では、脂質二重層は、約0.0000001wt%~約0.0001wt%の、約0.0001wt%~約01wt%の、約0.1wt%~約1wt%の、または、約1wt%~約10wt%の、化合物を含む。一実施形態では、脂質ベシクルの脂質二重層は、1wt%~3wt%の、化合物を含む。
【0116】
一実施形態では、1以上の化合物は、脂質ベシクルの、脂質二重層と二相性水中油型エマルジョンとの両方の中に捕捉される。一実施形態では、脂質二重層中に捕捉される1以上の化合物は、二相性脂質の水中油型エマルジョン中に捕捉される1以上の化合物と同じである。一実施形態では、脂質二重層中に捕捉される1以上の化合物は、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョン中に捕捉される1以上の化合物とは異なる。
【0117】
例えば、水中油型エマルジョン中に捕捉される1以上の化合物が、脂質二重層中に捕捉される同じ1以上の化合物よりも速い放出速度を有するであろうことは、理解されよう。
【0118】
一実施形態では、1以上の化合物は、限定されないが、小分子、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸、ワクチン抗原、および/または植物抽出物から選択される。
【0119】
一実施形態では、1以上の化合物は、治療化合物である。従って、本開示の組成物は、医薬組成物である。
【0120】
一実施形態では、小分子は、プロスタグランジン、イブプロフェンおよびジクロフェナクなどの麻酔剤、例えば、ブプレノルフィン、フェンタニル、サフェンタニル、アルフェンタニル、およびレミフェンタニルなどのオピオイドを含む、鎮痛剤または鎮静剤、心臓作用性の薬剤、アンドロゲンのステロイド、エストロゲン、プロゲストゲン、抗ヒスタミン剤、抗ウイルス剤、ビタミン、抗炎症剤、抗真菌剤、コルチコステロイド、ビタミン、抗感染症薬、外皮用剤、悪心および吐き気の処置ための薬剤、アミノ酸、短いペプチド(最大1000Da)、炭水化物、または天然の化合物、およびそれらの組み合わせである。
【0121】
一実施形態では、心臓作用性の薬剤は、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、および/または一硝酸イソソルビドなどの有機ニトレート、硫酸キニジン、プロカインアミド、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、および/またはヒドロクロロチアジドなどのサイアザイド、ニフェジピン、ニカルジビン、チモロールおよび/またはプロプラノロールなどのアドレナリン遮断薬、ベラパミル、ジルチアゼム、カプトプリル、クロニジン、またはプラゾシンである。
【0122】
一実施形態では、アンドロゲンのステロイドは、テストステロン、メチルテストステロン、またはフルオキシメステロンである。
【0123】
一実施形態では、エストロゲンは、吉草酸エストラジオール、エキリン、メストラノール、エストロン、エストリオール、17.ベータ.-エチニルエストラジオール、またはジエチルスチルベストロールである。
【0124】
一実施形態では、抗ヒスタミン剤は、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ペルフェナジン、トリプロリジン、ピリラミン、クロルサイクリジン、プロメタジン、カルビノキサミン、トリペレナミン、ブロムフェニラミン、クロルプレナリン、テルフェナジン、および/またはクロルフェニラミンである。
【0125】
一実施形態では、抗感染症薬は、ペニシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、スルファセタミド、スルファメタジン、スルファジアジン、スルファメラジン、スルファメチゾール、および/またはスルフイソキサゾールを含む、抗生物質、抗ウイルス剤、エリスロマイシンおよび/またはクラリスロマイシンなどの抗菌剤、および/または、ニトロフラゾンなどを含む他の抗感染症薬である。
【0126】
一実施形態では、外皮用剤は、ビタミンAおよび/またはビタミンEである。
【0127】
一実施形態では、悪心および/または吐き気の処置のための薬剤は、クロルプロマジン、グラニセトロン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、プロメタジン、チエチルベラジン、トリフルプロマジン、および/またはトリメプラジンである。
【0128】
一実施形態では、プロゲストゲンは、プロゲステロン、19-ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、クロルマジノン、エチステロン、エトノゲストレル、酢酸メドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ノルエチノドレル、ノルエルゲストロミン、17.アルファ.-ヒドロキシプロゲステロン、ジドロゲステロン、ジメチステロン、エチニルエストレノール(ethinylestrenol)、ノルゲストレル、デメゲストン、プロメゲストン、および/または酢酸メゲストロールである。
【0129】
一実施形態において、小分子は抗炎症剤であり、該抗炎症剤は、アセメタシン、アセトアミドカプロン酸、ベンダザック、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン(bermoprofen)、ブクロキシ酸、ブチブフェン、シンメタシン、クリダナク、クロピラク、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロジン酸、フェノプロフェン、フェンティアザック、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパック、ケトプロフェン、ロナゾラク、ロキソプロフェン、メチアジン酸、モフェゾラク、ナプロキセン、オキサプロジン、ピラゾラク、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スリンダック、スプロフェン、スキシブゾン、チアプロフェン酸、トルメチン、および/またはトロペシン、ベルモプロフェン、ブクロキシ酸、イソキセパック、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ザルトプロフェン、アンピロキシカム、ブコローム、セレコキシブ、ジフェンプラミド、モフェブタゾン、ニメスリド、パランライン、パレコキシブ、パサルミド、ピケットプロフェン、タルニフルメート、テニタプ、テロフェナマート、バルデコキシブ、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、ベタメタゾン、アルファビサボロール、ブデソニド、クロベタゾン、シクロスポリン、デフラザコート、デキサメタゾン、ジフロラゾン、デソニド、デソキシメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、ジタゾール、エベロリムス、フラザコート、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノロン、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルプレドニデンアセテート、グルカメタシン、ハルシノニド、ハロベタゾールプロピオネート、ハロメタゾン、ハロプレドンアセテート、ハイドロコーチゾン、イブプロキザム。ロテプレドノールエタボネート、マジプレドン、メメタゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾンフロエート、オキシフェンブタゾン、ペリソキサール(perisoxal)、ピメクロリムス、プレドニゾロン、リメキソロン(rimexolone)、シロリムス、トリアムシノロンおよび/またはタクロリムスから成る群から選択される。
【0130】
一実施形態では、小分子は、イブプロフェンおよび/またはジクロフェナクである。
【0131】
【化1】
【0132】
一実施形態では、小分子は、創傷治癒化合物である。一実施形態では、創傷治癒化合物は、ボセンタンである。一実施形態では、小分子は抗生物質である。一実施形態では、抗生物質は、バンコマイシンである。
【0133】
一実施形態では、タンパク質は、サイトカインまたはペプチドである。一実施形態では、医薬組成物のペプチドは、2~900のアミノ酸を有する。
【0134】
一実施形態では、アミノ酸、ペプチド、またはタンパク質は、50ダルトンから300,000ダルトンの分子量を有する。いくつかの実施形態では、治療化合物は、50~5Mダルトンの間の分子量を有する炭水化物または核酸分子である。
【0135】
一実施形態では、ペプチドは、インシュリン、サイトカイン、ワクチン抗原、成長ホルモン放出因子、または抗体などの、ポリペプチドである。一実施形態では、ポリペプチドは、1000ダルトンから300,000ダルトンの分子量を有する。
【0136】
上記されるように、本明細書に記載される医薬組成物は、時に脂質ベシクルまたは脂質組成または製剤と呼ばれているが、限定されることなく、小分子、ペプチド、タンパク質、炭水化物、核酸、ワクチン抗原、および/または植物抽出物を含み、治療化合物を送達するために使用され得る。脂質ベシクル製剤は、水中油型エマルジョンを中に持つ1以上の脂質(例えば、リン脂質)二重層を含む。水中油型エマルジョンは、脂質ベシクルの水性の内部において通常1μm未満の液滴を含み、ここで脂質ベシクルは、通常多層状であり、複数の脂質二重層を有している。二相性脂質ベシクル製剤はまた、限定的に、コレステロールなどの脂肪物質、浸透促進物質、界面活性剤、および溶媒などの、1以上の他の脂質ベシクル成分を含み、これにより、前記脂質ベシクル製剤を標的の皮膚に関する物理化学的性質に応じて適合させ得る。治療化合物、浸透促物質、界面活性剤、および/または他の脂質ベシクル成分は、脂質二重層の中へと、および/または水中油型エマルジョン内に、組み込まれ得る。
【0137】
一実施形態では、脂質ベシクルは、化合物、浸透促進剤、界面活性剤、および/または他の脂質ベシクル成分を有するように調剤され得、様々な産生段階において、脂質二重層および/または水中油型エマルジョンの中へと選択的に組み込まれる。それにより、脂質ベシクル内の化合物、浸透促進剤、および/または他の脂質ベシクル成分が組み込まれる位置に関して、かなりの程度の制御が維持され得る。化合物は、脂質ベシクルを産生する間に、例えば、水中油型エマルジョンの成分にのみ、脂質二重層の成分にのみ、または、水中油型エマルジョンと脂質二重層との両方に、添加され得る。
【0138】
これらの脂質ベシクル製剤の構造体および組成物は、1以上の化合物が深く皮膚に浸透することを可能とするように調整され得る。脂質ベシクル製剤の脂質二重層および水中油型エマルジョンは、化合物の安定性強化と持続性放出を提供するために、1以上の化合物および他の薬学的賦形剤を封入する。一実施形態では、二相性脂質ベシクル製剤は、随意に、限定的に、コレステロールなどの脂肪物質、浸透促進物質、界面活性剤、および溶媒、ならびにそれらの組み合わせなどの、1以上の他の脂質ベシクル成分を、さらに含む。
【0139】
一実施形態では、脂質ベシクルの脂質二重層は、例えば、脂質二重層の強さをさらに増大させるための脂肪物質をさらに含む。一実施形態では、脂肪物質は、コレステロール、コレステロール誘導体、コプロスタノール、コレスタノール、コレスタン、または長鎖脂肪酸、あるいは、それらの組み合わせである。一実施形態では、脂質ベシクル組成物の脂質二重層は、0.1w%~10wt%、コレステロールおよび/またはコレステロール誘導体をさらに含む。いくつかの実施形態では、脂質二重層は、1wt%~5wt%、コレステロールおよび/またはコレステロール誘導体を含む。
【0140】
脂質ベシクル組成物の脂質二重層は、0.1w%~5wt%、コレステロールまたはその誘導体を含み得る。いくつかの実施形態では、脂質ベシクル組成物の脂質二重層は、0.1w%~3wt%、コレステロールまたはその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、脂質二重層は、2wt%、コレステロールまたはその誘導体を含む。
【0141】
一実施形態では、脂質ベシクル組成物の脂質二重層は、随意に、1以上の浸透促進剤に加えて1つ以上の浸透促進物質をさらに含む。前記1以上の浸透促進剤を含まない前記皮膚浸透促進物質は、Adrian C. Williams and Brian W. Barry Advanced Drug Delivery Reviews 64 (2012) 128-137、または、Majella E. Lane Int. J. Pharm. 447 (2013) 12- 2に記載されたものなどの、任意の既知の皮膚浸透物質を含む。
【0142】
本明細書に記載された浸透促進剤に加えて、1以上の追加の浸透促進物質を製剤に添加することができることは理解されよう。
【0143】
いくつかの実施形態では、皮膚浸透促進物質は、エタノールまたはイソプロピルアルコールなどの、1以上のアルコール;アゾン(azone)などのアミド;エチルアセテート、パジマートO、エチルオレエート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノカプレート、グリセリルトリカプリラート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、プロピレングリコールモノラウレート、またはプロピレングリコールモノカプリレートなどの、エステル;Transcutol(登録商標)(例えば、Transcutol P,2-(2-エトキシエトキシ)エタノール)などの、エーテルアルコール;ラウリン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、またはイソステアリン酸などの、脂肪酸;ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1、2-ブチレングリコール、または1、3-ブチレングリコールなどの、グリコール;N-メチル-2-ピロリドンまたは2-ピロリドンなどの、ピロリドン;デシルメチルスルホキシドまたはジメチルスルホキシドなどの、スルホキシド、から選択される。
【0144】
一実施形態では、1つ以上の浸透促進物質は、モノラウロイルリシン(monolauroyllysine)および/またはジパルミトイルリシン(dipalmitoyllysine)などの、脂肪のアシル化アミノ酸である
【0145】
一実施形態では、脂質二重層は、例えば、ベシクル形成脂質を可溶性にするために、随意に、親水性溶剤をさらに含む。一実施形態では、親水性溶剤は、限定されないが、プロピレングリコール、グリセロール、分子量が300と8000との間の範囲に及ぶポリエチレングリコール、エタノール、およびそれらの組み合わせを含む。
【0146】
一実施形態では、水中油型エマルジョンは、水および随意に1以上の脂肪親和性の添加剤を有する水性媒体を含み、前記添加剤として、防腐剤(パラベン、フェノキシエタノール類、ベンズアルコニウム塩など)、酸化防止剤(アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、BHA、BHT、αトコフェロール)、ワックスおよび粘度増強剤(長鎖脂肪アルコールおよびそれらのエステル、脂肪酸、蜜蝋、オリーブ油、グリセリルステアレート)、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルミリステート、およびセチルパルミテート、ステアリルヘプタノエート、および/またはステアリルパルミテートが挙げられる。
【0147】
一実施形態では、水中油型エマルジョンは、0.1wt%~25wt%の、1以上の脂肪親和性の添加剤を含む。
【0148】
出願人は、また、ポリカチオン性界面活性剤などの浸透促進剤が、ポリカチオン性界面活性剤の代わりにモノカチオン性界面活性剤を有する以外は同一か同様の組成物との比較において、化合物の皮膚浸透を促進することを示した。
【0149】
従って、本出願は、
a)ベシクル形成脂質を含む脂質二重層を含む、脂質ベシクル、
b)二相性脂質ベシクル中に捕捉され、および1以上のポリカチオン性界面活性剤を含む、水中油型エマルジョン、および、
c)脂質二重層および/または水中油型エマルジョンの中に捕捉された、1以上の化合物を含む、二相性脂質ベシクル組成物をさらに含む。
【0150】
一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は、化粧品組成物である。一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は、医薬組成物である。
【0151】
一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は、1以上の化合物の局所送達のためのものである。一実施形態では、局所送達は、皮内、経皮、および/または経粘膜の送達のためのものである。
【0152】
一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は、二相性脂質ベシクルの懸濁液を含む。
【0153】
一実施形態では、ポリカチオン性界面活性剤は、1以上のゲミニ界面活性剤である。
【0154】
ゲミニ界面活性剤は、1を超える疎水性尾部を含有する界面活性剤分子である。各疎水性尾部は、親水性の頭部を有する(Menger and Keiper, 2000; Kirby et al., 2003)。疎水性尾部または親水性頭部は、スペーサーによってともにリンクされる。疎水性尾部は、同一でも異なっていてもよい。同様に、親水性頭部は同一でも異なっていてもよい。さらに、親水性の頭部は、アニオン性(例えば、ホスフェート、硫酸、またはカルボキシレート型)、カチオン性(例えば、四級アンモニウム型)、または、中性(例えば、ポリエーテル、ペプチド、または砂糖型)であり得る(Menger and Keiper, 2000)。水溶液中では、ゲミニ界面活性剤は、形状およびサイズがスペーサーの長さおよび疎水性または親水性の性質に特に敏感なミセルへと、自発的に集合する。スペーサーは可変であり得、すなわち、短いか(例えば、2メチレン基)長いか(例えば、12メチレン基超)、剛性か(例えば、スチルベン)可撓性か(例えば、メチレン鎖)、および、極性か(例えば、ポリエーテル、エトキシル、またはポリエトキシル)非極性か(例えば、脂肪族、芳香族)(Menger and Keiper, 2000)である。疎水性尾部、親水性の頭部、およびスペーサーが上記の態様に関して変更され得るため、無数の様々な分子が設計され得る。
【0155】
一実施形態では、疎水性尾部の型は、線状または分岐鎖状の、飽和または不飽和の、C-C30アルキル基である。一実施形態では、親水性頭部は、アニオン性、カチオン性、または中性であってもよい。一実施形態では、親水性頭部はカチオン性である。
【0156】
一実施形態では、ポリカチオン性界面活性剤は、1以上のゲミニジカチオン性界面活性剤である。
【0157】
一実施形態では、ゲミニ界面活性剤は、線状の炭化水素尾部基および四級アンモニウム頭部基を含む。ある型のゲミニカチオン性界面活性剤の一般構造は、正電荷を持つ2つのチッ素原子で構成される頭部基を含み、該頭部基は、(n)が3、4、6、8、10、12、または16の炭素原子のスペーサーによって分離され、および、2つのメチル基を各々含有しており、ならびに、それぞれ2つの飽和した12炭素原子鎖または16炭素原子鎖からなる尾部(m=10または14)を含む。
【0158】
一実施形態では、1以上のゲミニジカチオン性界面活性剤は、四級アンモニウム型である。一実施形態では、1以上のゲミニジカチオン性界面活性剤は、12-7NH-12、12-7NCH-12、16-3-16、12-4(OH)-12、および12-EO1-12から成る群から選択される。一実施形態では、1以上のゲミニカチオン性界面活性剤は、12-7NH-12、12-7NCH-12、および16-3-16から成る群から選択される。
【0159】
一実施形態では、1以上のポリカチオン性界面活性剤は、ポリカチオン性アミノ酸である。一実施形態では、ポリカチオン性アミノ酸はポリリシン、ポリアルギニン、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0160】
一実施形態では、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、約0.01%~約5%、0.05%~約5%、0.1%~約5%、約1%~約5%、約2%~約5%、1以上のポリカチオン性界面活性剤を含む。一実施形態では、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、約0.01~約5%、1以上のポリカチオン性界面活性剤を含む。
【0161】
一実施形態では、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、(ポリカチオン性界面活性剤以外の)1以上の付加的な界面活性剤を随意に含む。一実施形態では、1以上の付加的な界面活性剤は、上に記載されたとおり、1以上の付加的な安定化界面活性剤である。一実施形態では、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、約0.1%~約10%の、1以上の界面活性剤を含む。一実施形態では、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、約0.01%~約10%、0.05%~約10%、0.1%~約10%、約1%~約10%、約2%~約10%、0.01%~約7%、0.05%~約7%、0.1%~約7%、約1%~約7%、約2%~約7%、1以上の界面活性剤を含む。
【0162】
1以上の付加的な界面活性剤と共に使用されるとき、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、約0.1%~約10%、1以上のポリカチオン性界面活性剤を含む。一実施形態では、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョンは、約0.01%~約10%、0.05%~約10%、0.1%~約10%、約1%~約10%、約2%~約10%、0.01%~約7%、0.05%~約7%、0.1%~約7%、約1%~約7%、約2%~約7%、1以上のポリカチオン性界面活性剤を含む。
【0163】
一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は、さらに1以上の浸透促進剤を含み、ここで1以上の浸透促進剤は、約10以下のHLBを有する1以上の非イオン性界面活性剤であり、単独か、あるいは、上記されるように、テルペン、アルカロイド、サリチル酸誘導体、およびポリカチオン性界面活性剤、ならびにそれらの組み合わせから選択される1以上の浸透促進剤と組み合わされる。
【0164】
一実施形態では、水中油型エマルジョン中の、wt%の水および油は、上に記載された通りである。
【0165】
一実施形態では、ベシクル形成脂質は、上に記載された通りである。
【0166】
一実施形態では、1以上の化合物は、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョン、脂質二重層の中に、捕捉される。
【0167】
一実施形態では、1以上の化合物は、上に記載されるように、脂質二重層、二相性脂質ベシクルの水中油型エマルジョン、またはその両方の中に捕捉される。
【0168】
一実施形態では、脂質二重層中の、および水中油型エマルジョン中の1以上の化合物の量は、上に記載された通りである。
【0169】
一実施形態では、1以上の化合物は、負電荷の小分子、炭水化物、RNAまたはDNAあるいはそれらのハイブリッド、プラスミドDNA、合成オリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド、ウイルスDNA、DNAワクチンなどの核酸、タンパク質、ワクチン抗原などのペプチド抗原を含むペプチド、免疫グロブリン、免疫修飾物質、ホルモン、毒素、および/または酵素、ならびに植物抽出物、および/またはビタミンを含む、小分子から選択されるが、これらに限定されない。
【0170】
一実施形態では、1以上の化合物は、ペプチド、炭水化物、核酸、ワクチン抗原、プラスミドDNA、DNAワクチン、ペプチドワクチン、免疫グロブリン、免疫修飾物質、オリゴヌクレオチド、ホルモン、毒素、および酵素から選択されるが、これらに限定されない。一実施形態では、1以上の化合物は、核酸、プラスミドDNA、DNAワクチン、および/またはオリゴヌクレオチドから選択される。一実施形態では、1以上の化合物は、核酸、プラスミドDNA、DNAワクチン、および/またはオリゴヌクレオチドから選択される。
【0171】
一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は、随意に、上に記載されたとおり、限定的に、コレステロールなどの脂肪物質、浸透促進物質、界面活性剤、および/または溶媒、ならびにそれらの組み合わせなどの、1以上の他の脂質ベシクル成分を、さらに含む。
【0172】
一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は、1以上の化合物の局所送達のためのものである。一実施形態では、局所送達は、皮内、経皮、または経粘膜の送達のためのものである。
【0173】
上に留意されるように、一実施形態において、本明細書に記載された本開示の二相性脂質ベシクル組成物は、化粧用組成物であり得る。
【0174】
一実施形態では、本開示の二相性脂質ベシクル化粧用組成物は、例えば、モイスチャライザー、酸化防止剤、油状成分、紫外線吸収剤、乳化剤、増粘剤、アルコール、粉末成分、着色剤、水性成分、水、および/または様々な皮膚栄養素などの、化粧用生成物に通常使用される成分を、本発明の組成物の効果およびシステムを害さない範囲内で必要に応じて、適切に随意に含む。化粧品組成物は、酸化防止剤、安定化剤、可溶化剤、ビタミン、顔料、および/または香料などの、従来のアジュバントおよび担体を含有する場合がある。
【0175】
一実施形態では、本明細書に記載される本開示の二相性脂質ベシクル組成物は、クリーム、トニック、軟膏、ペースト、ローション、ゲル、油、液体スプレー、ファウンデーション、またはパウダーとして調剤され得る。
【0176】
一実施形態では、軟膏またはクリームは、適切な増粘剤および/またはゲル化剤を添加することにより、水性か脂性の基剤を用いて調剤することができる。そのような基剤は、水、および/または流動パラフィンまたは落花生油またはヒマシ油などの植物油、などの、油を含む場合がある。典型的な基剤は水である。基剤の性質によって、使用することができる増粘剤は、アルミニウムステアレート、水素添加されたラノリンなどを含む。さらに、ローションは水性基剤を用いて調剤することができ、一般的に、以下のうちの1つ以上を含むことになる。安定化剤、乳化剤、分散剤、沈殿防止剤、増粘剤、着色剤、香料など。軟膏とクリームはまた、スターチ、トラガント、セルロース誘導体、カーボポル、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、Veegum(マグネシウムアルミニウムシリケート)、ケイ酸、およびタルクなどの添加剤、またはそれらの混合物を含有することができる。ローションは、水性または油性基剤を用いて調剤される場合があり、一般に、安定化剤、乳化剤、分散剤、沈殿防止剤、増粘剤、着色剤、および香料などのうち、1つ以上を含むことになる。泡もまた、既知の泡立剤または表面活性剤で成形される場合がある。
【0177】
一実施形態では、ゲルは、送達システム(例えば、本明細書に記載された二相性ベシクル)を混合することにより形成される場合があり、用いられるゲル化剤として、コラーゲン、ペクチン、ゼラチン、アガロース、キチン、キトサン、およびアルギン酸塩などが挙げられる。送達システムは、液体に組み込まれ、局所用の溶液、エアロゾル、ミスト、スプレー、滴、および体腔のための滴下溶液として調剤される場合がある。例えば、粘膜への送達システムの投与は、局所エアロゾルスプレーポンプ、またはアクチュエータによって生成することができるエアロゾルによって、あるいは、滴下によって行われてもよい。
【0178】
本明細書に記載された組成物を含む容器もまた提供される。容器は、随意に、スプレー容器であり、随意に、エアゾルスプレーポンプ容器である。
【0179】
一実施形態では、本明細書に記載される本開示の二相脂質ベシクル組成物は、包帯、パッキング、フィルム、またはメッシュなどの被覆基材中に含まれ、該被覆基材は、二相脂質ベシクル組成物にコーティングされ、および皮膚または粘膜上で直接使用される。
【0180】
一実施形態では、本明細書に記載される本開示の二相脂質ベシクル組成物は、経皮送達システムの中に含まれる場合があり、例えば、パッチ、またはマスクシートなど、様々な形態のうちの1つをとる。
【0181】
一実施形態では、経皮送達システムは、本明細書に記載の二相脂質ベシクル組成物を含んでいる裏打ち層およびマトリックス層を含み、裏打ち層上に配置され、ここでマトリックス層は、皮膚に接触するように構成される。
【0182】
一実施形態では、裏打ち層は、ポリマーであるか、またはポリマーを含み、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリカーボネート、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー、またはエチレン-酢酸ビニル-コポリマーなどのコポリメリゼートからなる群から選択される。裏打ち層の好ましい材料は、ポリエステルから選択され、特に好ましくはポリエチレンテレフタレートから選択される。このタイプの裏打ち層は、例えば、3M社(米国)からScotchpak 1109という商品名で入手することができる。
【0183】
一実施形態では、裏打ち層は、閉塞性の裏打ち層である。
【0184】
裏打ち層、例えば、ポリエステルから生成され得る。
【0185】
別の実施形態では、裏打ち層は、マトリックス層の端を越えて横に突出するオーバーテープを含み、経皮送達システムの、皮膚への接着性またはよりよい接着性を可能にする。オーバーテープは、活性成分を含まない接着剤の層、およびオーバーテープフィルムを含み得る。オーバーテープフィルムは、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、ポリエステル、コポリエステル、ポリアミド、コポリアミド、ポリウレタン等によって形成される群から選択されるポリマーであり得る。列記され得る適切な材料の例として、ポリエステル、およびこれらの、特にポリエチレンテレフタラート、ならびに、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンオキサイド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化イデン、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー、またはエチレン-酢酸ビニル-コポリマーなどのコポリマー酸塩が挙げられる。
【0186】
一実施形態では、接着剤は、例えば、ポリイソブチレン(PIB)接着剤であり得る。
【0187】
一実施形態では、裏打ち層は、少なくとも約5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約15μm、少なくとも約20μm、少なくとも約25μm、少なくとも約50μm、少なくとも約75μm、少なくとも約100μm、少なくとも約125μmの厚みを有し、あるいは、最大約250μm、最大約200μm、最大約150μm、最大約100μm、または最大約50μmの厚みを有し、または、前述のものの任意の組み合わせの厚みを有する。裏打ち層は、例えば、5μmと200μmを含む、またはその間の厚み、または5μmと200μmの間の任意の0.1μmのインクリメントの厚みを有し得る。
【0188】
経皮送達システムがパッチであるとき、裏打ち層の厚みは、少なくとも約75μmまたは少なくとも約100μmであり得、および例えば、200μm、または、例えば、150μm未満であり得る。
【0189】
経皮送達システムがマスクであるとき、裏打ち層の厚みは、少なくとも10μmまたは少なくとも20μmであり得、および例えば、100μm未満で、または例えば、75μm未満であり得る。
【0190】
マトリックス層は、皮膚に配置されることを意図された表面を有し、貼付面と呼ぶことができる。貼付面は、その全表面にわたって、例えば、表面の自己接着性の接着剤などの圧感接着剤を含むように構成される場合があり、または、その表面の一部だけにわたって粘着性であるように構成される場合がある。
【0191】
一実施形態では、経皮送達システムは、剥離ライナーとして知られている保護層をさらに含み、それはマトリックス層を含む組成物に適用され、および経皮送達システムの接着に先立って除去される。保護層の除去を容易にするために、いくつかの実施形態では、保護層は、裏打ち層、例えば残パッチの端を越えて突出する。
【0192】
一実施形態では、経皮送達システムは、パッチである。
【0193】
一実施形態では、1以上の化合物は、治療化合物である。従って、本明細書に記載の本開示の二相性脂質ベシクル組成物は、医薬組成物であり得る。従って、本開示の二相性脂質ベシクルは、対象への投与のために、薬学的に許容可能な担体を含みながら、局所的な投与のために適している生物学的に適合する形態で、医薬組成物へと適切に調剤される。一実施形態では、1以上の化合物は、本明細書に記載された1つ以上の治療化合物から選択される治療化合物である。
【0194】
III.本開示の組成物を調製する方法
上に記載されるような開示の組成物は、水中油型エマルジョンの油性成分と水中油型エマルジョンの水性成分とを混合することにより調製され、ここで水中油型エマルジョンの油性成分または水性成分のいずれかは、水中油型エマルジョンの水性成分を有する油性成分の乳化のための1つ以上の界面活性剤を含む。一実施形態では、界面活性剤は、水性成分と混合され、そしてエマルジョンを形成するために、油に添加される。その後、水中油型エマルジョンは、二相性脂質ベシクルを形成するのに効果的な混合条件下で、可溶化されたベシクル形成脂質、および、場合により追加の他の脂質成分と混合される。
【0195】
1以上の浸透促進剤および1以上の化合物は、水中油型エマルジョンの油性成分に、水中油型エマルジョンの水性成分に、またはその両方に、添加される。代替的に、または付加的に、1以上の浸透促進剤および1以上の化合物が、脂質成分に添加され得る。
【0196】
従って、本出願は、二相性脂質ベシクル組成物を調製する方法を含み、該方法は、
a)水中油型の油性成分を水中油型エマルジョンの水性成分と混合することによって1以上の界面活性剤を含む水中油型エマルジョンを調製する工程であって、ここで、水中油型エマルジョンの油性成分および/または水性成分は、1以上の界面活性剤を含む、工程、
b)ベシクル形成脂質を水以外の許容可能な溶媒中に可溶化する工程、
c)1以上の化合物と1以上の浸透促進剤とを工程a)の油性成分および/または水性成分、および/または、工程b)の可溶化されたベシクル形成脂質に添加する工程、
d)可溶化されたベシクル形成脂質に水中油型エマルジョンを添加する工程、および、
e)脂質形成ベシクルを含む脂質二重層と二相性脂質ベシクル中に捕捉された水中油型エマルジョンとを含む二相性脂質ベシクルを形成するのに効果的な混合条件下で、水中油型エマルジョンと可溶化されたベシクル形成脂質とを混合する工程を含む。
【0197】
一実施形態では、医薬組成物、すなわち、脂質ベシクル組成物は、化合物の局所的な投与のために提供され、ここで前記組成物は、外側の脂質二重層、水中油型エマルジョン、および治療化合物を含む脂質ベシクルを含み、前記組成物は、(a)水中油型エマルジョンを形成するために油を水と混合する工程、(b)水中油型エマルジョンが外側の脂質二重層によってコーティングされるように、(a)の水中油型エマルジョンを少なくとも1つのベシクル成形脂質と混合する工程、および、(c)工程(a)および/または(b)の間に、治療化合物と浸透促進物質を添加する工程を含み、ここで、前記化合物は、5~50Mダルトンの間の分子量を有する分子であり、および前記1以上の浸透促進剤は、前記1以上の浸透促進剤がない状態における同じ組成物との比較において、ある量の皮膚の中へと吸収される治療化合物の量を増加させる。
【0198】
一実施形態では、水中油型エマルジョンの油性成分と水中油型エマルジョンベシクルの水成分とを混合する工程a)、および/または、工程e)の混合条件は、均質化または乳化などの撹拌を用いる方法、または撹拌を伴わないマイクロエマルジョン技術を含む。一実施形態では、混合する工程は、高圧均質化を含む。高圧均質化は、脂質ベシクルの組成物に対する比較的正確な制御を提供する。高圧均質化は、せん断に耐性がある小分子およびペプチドまたはタンパク質に適している。一実施形態では、形成される組成物は、本明細書に記載される脂質ベシクル組成物のうちのいずれか1つである。
【0199】
一実施形態では、他の脂質成分が、工程a)からe)のいずれか1つに加えられる。
【0200】
一実施形態では、1以上の界面活性剤は、本明細書に記載された1以上の安定化界面活性剤および/または1以上のポリカチオン性界面活性剤から選択される。
【0201】
一実施形態では、1以上の浸透促進剤、1つ以上の化合物、水中油型エマルジョン、ベシクル成形脂質、許容可能な溶媒、および/または他の脂質成分は、上に記載されるとおりである。
【0202】
本開示の脂質ベシクル組成物はまた、当該技術分野において既知の方法によって、によって、調製することができ、例えば、米国特許第5,993,852号、米国特許第5、853,755号と、および米国特許第5,993,851号に開示された方法が挙げられ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0203】
一実施形態では、本明細書に記載された本開示の二相性脂質ベシクル組成物は、例えば、パッチまたはマスクシートなどの、様々な形態のうちの1つをとる、経皮送達システムに含まれる場合がある。一実施形態では、二相性脂質ベシクル組成物は、経皮パッチである。
【0204】
一実施形態では、経皮パッチは、経皮パッチの技術分野において既知の手法を使用して調製することができる。調製のためのプロセスは、通常、二相性を含むマトリックス層を調合する(すなわち、粘着剤、二相性脂質ベシクル、およびもしあれば添加剤を混合する)工程、裏打ち層または剥離ライナー層上へとマトリックス層を流し込む工程、およびマトリックスから溶媒を除去する工程を伴うことになる。
【0205】
IV.本開示の方法と使用
二相性脂質ベシクルは、リポソーム、すなわち、単一のリン脂質二重層、または水中油型乳剤を囲む、複数の同心のリン脂質二重層からなる、微視的なベシクルである。これらの脂質ベシクルは、疎水性または親水性であり得る化合物の局所送達のための化合物担体として役立つ。脂質ベシクルは、薬物送達のために、一般的に、生物学的適合の媒体、生物分解性の媒体、および無毒な媒体である。
【0206】
本開示の組成物は、1以上の化合物の局所送達のために使用することができる。従って、本出願は、皮膚または粘膜に本開示の二相性脂質ベシクル組成物を局所的に投与することにより、1以上の化合物を対象に送達する方法を含む。
【0207】
本出願はまた、皮膚または粘膜に1つ以上の化合物を局所的に送達するための、本開示の脂質ベシクル組成物の使用、ならびに、皮膚または粘膜に1つ以上の化合物を局所的に送達するための医薬の調製のための、本開示の脂質ベシクル組成物の使用を含む。本出願は、1以上の化合物を皮膚または粘膜に局所的に送達するための、本開示の脂質ベシクル組成物をさらに含む。
【0208】
本明細書に記載された1以上の浸透促進剤を含んでいる本開示の二相性脂質ベシクル組成物は、1以上の浸透促進剤が欠如する以外は同一または同様の組成物に比べて、1以上の化合物の皮膚浸透を改善すると示してきた。本明細書に記載された1以上のポリカチオン性界面活性剤を含んでいる本開示の二相性脂質ベシクル組成物と本開示の二相性脂質ベシクル化粧用組成物は、ジカチオン性またはポリカチオン性の界面活性剤の代わりにモノカチオン性界面活性剤を有すること以外は同一か同様の組成物に比べて、1以上の化合物の皮膚浸透を改善することを示してきた。
【0209】
従って、本出願はまた、必要とする対象の皮膚または粘膜に、本開示の、開示された二相性脂質ベシクル組成物の有効量を投与する工程を含む、1以上の化合物の局所送達を改善する方法を含む。
【0210】
本出願はまた、1以上の化合物の、皮膚または粘膜への局所送達を改善するための、本開示の脂質ベシクル組成物または本開示の脂質ベシクル化粧用組成物の使用、ならびに、1以上の化合物の、皮膚または粘膜への局所送達を改善するための薬剤の調整のための、本開示の脂質ベシクル組成物または本開示の脂質ベシクル化粧用組成物の使用を含む。本出願は、皮膚または粘膜への、1以上の化合物の局所送達を改善するための、本開示の脂質ベシクル組成物または本開示の脂質ベシクル化粧用組成物をさらに含む。
【0211】
一実施形態では、本出願は、対象における過度または不完全なコラーゲン産生に関連する皮膚疾病を処置または予防する方法を含み、該方法は、必要とする対象に本開示の脂質ベシクル化粧用組成物の有効量を投与する工程を含む。
【0212】
本出願はまた、過度または不完全なコラーゲンに関連する皮膚疾病を処置または予防するための、本開示の脂質ベシクル化粧用組成物の使用、ならびに、過度または不完全なコラーゲンに関連する皮膚疾病の処置または予防のための薬剤を調製するための、本開示の脂質ベシクル化粧用組成物の使用を含む。本出願はまた、過度または不完全なコラーゲンに関連する皮膚疾病を処置または予防するための、本開示の脂質ベシクル化粧用組成物をさらに含む。
【0213】
一実施形態では、過度または不完全なコラーゲンに関連する皮膚疾病は、皮膚老化、皮膚弾性、脈理、妊娠線、しわ、皮膚の強皮症、斑状強皮症、狼瘡、関節リウマチ、側頭動脈炎などの、膠原血管病、エーラース・ダンロス症候群、マルファン症候群などの、遺伝性膠原病、である。
【0214】
一実施形態では、1以上の化合物は、1以上の治療化合物である。従って、二相性脂質ベシクル組成物は、二相性脂質ベシクル医薬組成物である。
【0215】
従って、本出願はまた、本開示の二相性脂質ベシクル医薬組成物の治療有効量を皮膚または粘膜に局所的に投与することにより、必要とする対象に1以上の治療化合物を送達することによって処置可能な疾患、障害、または疾病を処置する方法を含む。一実施形態では、本開示の二相性脂質ベシクル組成物は、皮膚に局所的に投与される。
【0216】
本出願はまた、本開示の1以上の治療化合物を皮膚または粘膜に局所的に送達することにより処置可能な疾患、障害、または疾病を処置するための、本開示の脂質ベシクル組成物の使用、ならびに、必要とする対象に、皮膚または粘膜に局所的に、1以上の治療化合物を送達することにより処置可能な疾患、障害、または疾病を処置するための、薬剤の調製のための、本開示の脂質ベシクル組成物の使用を含む。本出願は、1以上の治療化合物を皮膚または粘膜に局所的に送達することにより処置可能な疾患、障害、または疾病を処置するための、本出願の脂質ベシクル組成物をさらに含む。
【0217】
一実施形態では、治療有効量の本開示の二相性脂質ベシクル医薬組成物を皮膚または粘膜に局所的に投与することにより1以上の治療化合物を送達することによって処置可能な疾患、障害、または疾病は、過度または不完全なコラーゲン産生に関連する皮膚疾病、炎症、疼痛、真菌感染症、ウイルス感染症、皮膚/皮膚科の疾病、リウマチ性の疾病、間接の疾病、皮膚老化、または癌である。一実施形態では、疾患、障害、または疾病は、皮膚老化である。一実施形態では、疾患、障害、または疾病は、過度または不完全なコラーゲン産生に関連する皮膚疾病である。
【0218】
一実施形態では、疾患、障害、または疾病は、皮膚疾病である。一実施形態では、皮膚疾病は、強皮症、アトピー性皮膚炎、乾癬、何らかのサイトカイン欠損によって特徴づけられる疾病、IFNγ欠損によって特徴づけられる疾病、表皮の脆弱性障害、角質化障害、毛髪障害、色素障害、ポルフィリン症、多重系統障害、および癌障害を含む、遺伝性皮膚疾患 (遺伝子原因の皮膚疾患)である。一実施形態では、疾患、障害、または疾病は、いくつかの型の遺伝する表皮水泡症(接合部のEBおよび異栄養症のEBなど)、層状魚鱗癬および/またはX染色体性魚鱗癬、ならびに色素性乾皮症である。
【0219】
一実施形態では、疾患、障害、または疾病は、感染症である。一実施形態では、感染症は、ウイルス感染症、細菌感染症、または真菌感染症である。
【0220】
一実施形態では、疾患、障害、または疾病は、性機能不全である。一実施形態では、性機能障害は、勃起障害または性交不能症である。
【0221】
一実施形態では、疾患、障害、または疾病は、尖圭コンジローマである。
【0222】
一実施形態では、疾患、障害、または疾病は、疼痛または炎症である。一実施形態では、疼痛は、急性の疼痛または慢性の疼痛である。
【0223】
一実施形態では、対象は哺乳類である。一実施形態では、対象はヒトである。
【0224】
本開示の組成物の投与量は、化合物の薬力学的特性、投与の方法、レシピエントの年齢、健康状態、および体重、症状の性質および範囲、処置の頻度およびもしあれば併用処置のタイプ、ならびに処置される対象における化合物のクリアランス率などの、多くの因子に大いに依存して、変化し得る。当業者は、上記の因子に基づいて適切な投与量を決定することができる。本開示の組成物は、適切な投与量で最初に投与され、前記投与量は、臨床反応により、必要に応じて調節され得る。本開示の投薬量は、化合物の血中濃度を維持するために、通常、約0.01μg/mL~約1000μg/mL、または、約0.1mg/mL~約100mg/mLから選択されることになる。典型的な量は、約0.001mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約0.01mg/kg~約1mg/kg、または、約0.1mg/kg~約1mg/kgである。本開示の化合物は、1回の日投与量、週投与量、月投与量で投与される場合があり、または、全日投与量は、2、3、または4つの日投与量に分割される場合がある。
【0225】
一実施形態では、本開示の組成物は、少なくとも週に1回投与される。しかし、別の実施形態では、化合物は、2週ごとに約1回から、3週または1か月ごとに約1回、対象に投与される。別の実施形態では、化合物は、1週ごとに約1回から、毎日1回、投与される。別の実施形態では、化合物は、毎日2回、3回、4回、5回、または6回、投与される。処置期間の長さは、疾患、障害、または疾病の重症度、対象の年齢、本開示の化合物の濃度および/または活性、および/または、それらの組合わせなどの、多様な因子に依存する。処置のために使用される化合物の有効投与量は、特定の処置レジメンにわたって増加または減少し得ることも、認識されよう。投与量の変化は、当該技術分野で既知の標準の診断アッセイにより結果として生じ、かつ明白となり得る。いくつかの例において、長期投与が必要とされ得る。例えば、化合物は、ある量で、対象を治療するのに十分な期間、対象に投与される。
【実施例
【0226】
以下の非限定的な例は、本出願の例証となる。
【0227】
実施例1:典型的な脂質ベシクル組成物
A.方法
方法1:インビトロ拡散セル研究:
Royal University Hospital, University of Saskatchewan(カナダ、サスカチュワン州、サスカトゥーン)にて、選択的乳房形成手術を受ける女性のドナーから、全厚みのヒト乳房皮膚を得た。University of SaskatchewanのHuman Ethics Committeeにより、皮膚採取に対する承認が与えられた。外科手術の後、2時間以内に皮膚を採取し、皮下脂肪を取り除き、使用するまで-20℃にて保管した。オリフィス径9mm(0.63cm)のインラインBronaughフロー型拡散セルを水的に隔離されたセル加熱器(PermeGear, Inc., Hellertown, PA)上に載置し、および、32℃の一定温度に設定した。プリカットされた1cmの皮膚切片は、角質層側を上にして拡散セル中に置いた。37℃の灌流バッファー(0.05%のアジ化ナトリウムを伴う100mMリン酸緩衝液)を、蠕動ポンプを使用して、1mL/hの速さで、拡散セルの下半分を通して、循環させた。皮膚の表面に、製剤を0.1mL投与した。24時間のインキュベーション後、皮膚サンプルをセルから取り出し、それらの表面を3回、毎回10mLの水で、洗浄した。各皮膚サンプルをブロット乾燥 し、および、透明の文具テープを使用して2回テープストリップし、表面の過剰な製剤を除去した。皮膚ホモジネートのUPLC、または凍結切片の共焦点顕微鏡法により、皮膚サンプルを解析した。
【0228】
方法2:UPLC解析のための皮膚ホモジネート調製
皮膚サンプルを、gentleMACS(商標) Dissociator(Miltenyi Biotec Inc., オーバーン、カリフォルニア州)を使用して、個別にホモジネートした。各皮膚切片を、1mLのメタノール中で(ジクロフェナク・サンプルのために)、または1mLのアセトニトリル中で(イブプロフェン・サンプルのために)もどし、gentleMACS(商標) M管 Miltenyi Biotec, Inc.)に加え、そしてタンパク質抽出プログラムを使用してホモジネートした(10×55秒)。その後、0.2μmのAcrodisc(登録商標)GH Polypro膜シリンジフィルタ(Pall Corp., Ville St. Laurent, QC,カナダ) を使用して、2mLのLC/GC認定クリアガラス最大リカバリバイアル(Waters Corp., ミルフォード、マサチューセッツ州)の中へサンプルを濾過した。
【0229】
bioQuaternary Solvent Manager、オートサンプラー(bioSample Manager-Flow Through Needle)、可変波長UV検出器(ホトダイオードアレイ eλ)、およびColumn Managerからなり、Empower3ソフトウェア(Waters Corp.)によって制御される、 ACQUITY H-クラス UPLCクロマトグラフィーシステムを、この研究の目的のための解析および方法妥当性検証に使用した。
【0230】
解析は、30℃まで(ジクロフェナク実行用)および35℃まで(イブプロフェン実行用)加熱した1.7μm BEH300 C18 50mmx2.1mm i.d.カラム (Waters Corp.)上で、5μL注射容積で実行した。移動相(溶媒A -ジクロフェナク解析用にリン酸を使用してpHを2.5に調整した0.65メタノール:0.35ミリQ水、およびイブプロフェン解析用に0.67ミリQ水:0.34アセトニトリル)を、アイソクラティックモードにおいて、0.45 mL/分(ジクロフェナク解析)および0.55mL/分(イブプロフェン解析)にて、送液した。ランタイムの合計は、ジクロフェナク解析とイブプロフェン解析について、それぞれ5分と10分だった。移動相、標準、およびサンプル溶液を、0.2μm Acrodisc(登録商標)GH Polypro膜シリンジフィルタ(Pall Corp.)を通して濾過し、室温で使用した。ジクロフェナクについては、UV検出範囲を200~260nmにセットし、および収集したデータを254nmでグラフ化した。イブプロフェンについては、UV検出範囲を200~250nmであり、および、収集したデータを220nmでグラフ化した。較正と定量化(合計ピーク面積)はすべて、Empower 3ソフトウェアを使用して計算した。
【0231】
方法3:インビボ研究
動物実験は、動物管理と使用プロトコールに関し、University of Waterloo Committeeによって承認された。インビボ送達について、CD1マウス(Charles River)を使用した。すべての動物(対照を含む)は、イソフルランで麻酔をかけられ、処置の1日前にしっかりと毛を削られた。剃られた領域を、滅菌ガーゼを使用して蒸留水で清潔にし、乾燥させた。ネイキッドプラスミドDNA溶液またはプラスミドDNA製剤を(各動物に対して25μgのtD-tomato赤色蛍光タンパク質(RFP)コーディングプラスミドを含有する50μLを)剃られた領域に塗布し、パラフィルム/Opsite閉塞性ドレッシングで覆い、プラスチックテープを用いて24時間固定した。皮膚の処置部位を処置の24時間後に切除した。
【0232】
方法4:共焦点顕微鏡法
マウスまたはヒトの皮膚サンプルを、Zeiss LSM 710共焦点顕微鏡を使用した共焦点顕微鏡法を使用して特徴づけた。サンプルをすべてOCTコンパウンドマトリックスに埋め込み、凍結切片化のために冷凍した。Leica CM1850 cryostatを用いて皮膚サンプルを10μmの切片に凍結切片化した。tdTomato (546/579)とRhodamine(570/590)のためのHeNeレーザー(543および633nm)ライン、FITCインシュリンとFITC-IgGのための488nmレーザー、およびPlan-Apochromat 20x/0.80 ドライ対物レンズまたは 63x/1.40 オイル浸漬型対物レンズのどちらかを使用する、Zeiss LSM 710 CLSM を使用して、皮膚切片の共焦点顕微鏡画像を取得した。光学ズーム選択は、選択されたケースで適用された。レーザー光量、ピンホール、および利得設定をサンプルセット間で一定にすることで、様々な処置間の相対的な蛍光強度測定の照合を可能にした。Zen 2009ソフトウェアを使用して、画像をキャプチャーし、処理した。
【0233】
「無処置」サンプルは、後の処置サンプルについて、ノイズと自己蛍光バックグラウンドを排除するための利得とピンホールの設定を確認するために使用された。

B:例示的な脂質ベシクル製剤組成物
1.例示的なイブプロフェン脂質ベシクル製剤
工程1:システムA(水中油型エマルジョン)の調製:
例示的なイブプロフェン脂質ベシクル製剤IB1-IB-6(油-水中のサブミクロンエマルジョン)のためのシステムAは、以下とおりである:
【0234】
【表3】

工程2:システムAの調製手順(水中油型サブミクロンエマルジョン)調製(すべての製剤に適用可能):
1.油相および水相成分を別個のビーカー中に量り分けた。
2.両方のビーカーを70℃まで加熱して、すべての成分を完全に溶かし、および統合させた。
3.スパチュラで力強く撹拌する間に、水相を、1回の迅速な添加で、油相に添加して、o/w粗エマルジョンを形成し、70℃の水浴中で、効果的に均質の乳様の溶液を得た(~2分)。
4.LV1 MicrofluidizerまたはZ5モジュールがあるNano DeBeeホモジナイザーを3回、20,000psiにて使用することにより、製剤をバッチ処理した。
【0235】
工程3:ベシクルの調製:
【0236】
【表4】
【0237】
ベシクル形成のための手順(すべての製剤に適用可能):
1.脂質相成分を20mLガラスバイアル中へと量り取った。
2.バイアルを水浴中で70℃まで加熱し、すべての成分を完全に溶かし、および統合させた。
3.水相(システムA)を、1回の迅速な添加で、液相に添加した。
4.その混合物を8~10サイクルにわたり、断続的に5秒/5秒ずつ撹拌および加熱し、均一なクリーム状のローションを形成させた。
【0238】
以下の例示的な脂質ベシクル製剤を、イブプロフェン製剤IB1について上に記載されたプロセスを使用して、調製した。
【0239】
【表5】
【0240】
注:メントールと樟脳をガラスバイアル中で、スパチュラを使用して、加熱なしで事前に混合し、共融混合物を形成させた。混合物を完全に混合して液体状態にし、システムAを添加してよく撹拌した。その後、この混合を、上記のように、脂質フェーズに添加した。
【0241】
【表6】
【0242】
【表7】
【0243】
【表8】
【0244】
【表9】
【0245】
【表10】
【0246】
【表11】
【0247】
【表12】
【0248】
【表13】
【0249】
2.例示的なジクロフェナク脂質ベシクル製剤
工程1:システムA(水中油型サブミクロンエマルジョン)の調製
例示的なジクロフェナク脂質ベシクル製剤DF1およびDF2のためのシステムAは、以下のとおりである:
【0250】
【表14】
【0251】
システムAは、イブプロフェン製剤IB1について上に記載されたプロセスを使用して調製された。
【0252】
工程2:ベシクルの調整
以下の例示的なジクロフェナク脂質ベシクル製剤は、イブプロフェン製剤IB1について上に記載されたプロセスを使用して調製された。
【0253】
【表15】
【0254】
【表16】
【0255】
3.例示的なペプチドおよびタンパク質脂質ベシクル製剤
以下の例示的なペプチドおよびタンパク質脂質ベシクル製剤を、例示的なイブプロフェン製剤IB1について上に記載されたプロセスを使用して、調製した。
a)例示的な、12merペプチド(mwt1200)、インシュリン(mwt6000)、およびIgG(150,000)の、脂質ベシクル製剤1(ペプチド脂質ベシクル製剤1)
【0256】
【表17】
b)例示的な、12merペプチド(mwt1200)、インシュリン(mwt6000)、およびIgG(150,000)の、脂質ベシクル製剤2(ペプチド脂質ベシクル製剤2)
【0257】
【表18】
【0258】
【表19】
【0259】
【表20】
c)例示的な、12merペプチド(mwt1200)、インシュリン(mwt6000)、およびIgG(150,000)の、脂質ベシクル製剤3(ペプチド脂質ベシクル製剤3)
【0260】
【表21】
【0261】
【表22】
d)例示的な、12merペプチド(mwt1200)、インシュリン(mwt6000)、およびIgG(150,000)の、脂質ベシクル製剤4(ペプチド脂質ベシクル製剤4)
【0262】
【表23】
【0263】
【表24】
【0264】
4)核酸脂質ベシクル製剤
以下の例示的な核酸脂質ベシクル脂質ベシクル製剤を、例示的なイブプロフェン製剤IB1について上に記載されたプロセスを使用して、調製した。
a)比較用のプラスミド脂質ベシクル製剤F-TOM-1
【0265】
【表25】
【0266】
【表26】
【0267】
b)例示的なプラスミド製剤脂質ベシクルF-TOM-2
【0268】
【表27】
【0269】
【表28】
【0270】
c)例示的なプラスミド脂質ベシクル製剤F-TOM-3
【0271】
【表29】
【0272】
【表30】
【0273】
d)例示的なプラスミド脂質ベシクル製剤F-TOM-4
【0274】
【表31】
【0275】
【表32】
【0276】
e)例示的なプラスミド脂質ベシクル製剤F-TOM-5
【0277】
【表33】
【0278】
【表34】
【0279】
C.結果と考察
イブプロフェンとジクロフェナクの皮膚送達
インビトロのセル拡散および皮膚ホモジネート分析の結果(下記の表3および表4参照)は、例示的な二相性脂質ベシクル製剤に浸透促進物質成分を組み込むことによって、IBとDFの送達の改良が達成されたこと示す。<10のHLBを有する疎水性非イオン性界面活性剤、例えば、Oleth-2などの、HLB 4~7を有するものを添加することは、生きている上皮の中への送達を促進した。テルペン(メントール、樟脳など)、サリチル酸メチル、またはアルカロイド(ピペリンなど)などの付加的な浸透促進物質が添加されたとき、さらなる促進を達成することができた。Oleth-2などの、疎水性非イオン性界面活性剤の効果による促進された透は、製剤中の濃度を増加させることにより(例えば、1%~2%)、さらに促進することができた(表3)。
【0280】
【表35-1】
【0281】
【表35-2】
【0282】
【表36】
【0283】
ペプチドおよびタンパク質治療剤の皮膚送達
蛍光で標識されたペプチドおよびタンパク質を含有している局所用の製剤をインビトロで処置したヒト皮膚サンプルの凍結切片を、蛍光タンパク質の存在について評価した。タンパク質およびペプチド化合物の送達の促進を、分子量の大きさ順に3つの化合物について示す(図1)。浸透促進物質であるHLB<10を有する疎水性非イオン性の界面活性剤(例えば、Oleth-2、ソルビタンモノパルミテート[Span40]、またはPEG-4ジラウレート)の組み込みは、これらのタンパク質およびペプチドの送達を増加させたことが示された(図1)。表5は、生きている表皮層において測定された、相対的な蛍光強度を示す。HLB<10を有するこれらの疎水性非イオン性の界面活性剤のすべては、二相性ベシクルの送達の促進に効果があったが、促進のレベルは、以下のとおりであった(最高から最低へ):PEFA/Oleth-2 > Tween80/Span40/Oleth-2 > Tween80/Span40/PEG-4-ジラウレート > PEFA/PEG-4-ジラウレート。(イタリック体で記載の界面活性剤(PEFA、Tween80)は、乳化作用のために比較用の二相性ベシクルの油および水エマルジョン成分中に存在する);ボールド体で記載の界面活性剤(Oleth-2、Span40、PEG-4-ジラウレート)は、浸透促進作用のための付加的な浸透促進物質を示す)。
【0284】
【表37】
【0285】
核酸の皮膚送達
赤tdTomatoレポーター遺伝子をコードするプラスミドDNAを含有する局所用製剤で処置されたマウス皮膚サンプルを、tdTomato赤蛍光タンパク質の発現について評価した。比較用の二相性ベシクル(モノカチオン性界面活性剤PEFAを含有するF-TOM-1)との比較では、PEFAの置換、つまり、負電荷のプラスミドDNAのための錯化剤としてジカチオン性ジェミニ界面活性剤を含有している他の製剤は、プラスミドDNAの送達と皮膚の遺伝子発現を、マウスのインビボで増加させた。使用したすべてのジカチオン性ジェミニ界面活性剤は、二相性ベシクル構造の中へ組み込まれた時、プラスミドDNAの送達に効果的だった。促進は、以下のとおりであった(最高から最低へ):F-TOM-5ジカチオン性ジェミニ界面活性剤12-7NH-12/リン脂質乳化剤 > F-TOM-4 ジカチオン性ジェミニ界面活性剤12-7CH-12/リン脂質乳化剤 > F-TOM-3 ジカチオン性ジェミニ界面活性剤12-3-12/リン脂質乳化剤 > F-TOM-2 Tween80/ジカチオン性ジェミニ界面活性剤 16-3-16(イタリック体で記載の界面活性剤(ジカチオン性ジェミニ界面活性剤 12-7NH-12、Tween80)は、二相性ベシクルによる高い負電荷の核酸のカプセル化を改善ための、改善された作用性界面活性剤である;ボールド体で記載の界面活性剤(リン脂質乳化剤、Tween80)は、添加されたHLB<10の相乗的な浸透促進作用(を示す)(表6.)。FTOM-2は、対照製剤用の変種であり、ここでTween80/PEFAで調製された元の二相性ベシクルは、Tween80/ジェミニ界面活性剤に変更された。
【0286】
すべての盲験試料は、背景蛍光をほとんど、あるいは全く示さなかった(図2)。皮内のネイキッドpDNAで処置されたサンプルは、有意な量のtdTomato発現を示す(図なし)。各製剤について、3枚のパネルが示されており、第1のパネルは、RFP発現についての赤色チャネル(上皮と真皮において明るい着色領域として見られた)であり、第2のパネルは、一般的な組織染色(青色核染色Syto60)であり、第3のパネルは、統合された画像である。
【0287】
【表38】
【0288】
本開示は、本出願に記載される特定の実施形態に関して制限されるものではない。多くの改変および変形は、その精神と範囲から外れずに、当業者に明白であるようになされ得る。本開示の範囲内の、機能的に等価な方法および組成物は、本明細書に列挙されたものに加えて、先の記載からの当業者にとって明白であろう。そのような改変と変形は、添付される請求項の範囲の内にあることが意図される。本開示は、そのような請求項が権利を与えられる等価物の完全な範囲と共に、添付の請求項の事項によってのみ制限されるものである。開示が、当然変化し得る特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物系に制限されていないことは、理解されるべきである。さらに、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的のみで使用され、限定を意図していないことが理解されよう。
【0289】
本明細中に引用される刊行物、特許出願、交付された特許、および他の文書はすべて、あたかも、それぞれの刊行物、特許出願、交付された特許、または他の文書が、参照によってその全体が組み込まれことが具体的かつ独立に示されるように、参照によって本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる文章に含まれる定義は、本開示における定義と矛盾する場合は除外される。
【0290】
一定の実施形態が例示されかつ記載されるものの、以下に示す特許請求の範囲に定義される、より広い態様における技術から逸脱することなく、当業者の通常の技術によって、そこに変更および改変がなされ得ることは理解されるべきである。
図1A-1】
図1A-2】
図1A-3】
図1B
図2
【国際調査報告】