(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】抗トリプターゼ抗体の投薬
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20221116BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20221116BHJP
C07K 16/40 20060101ALI20221116BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20221116BHJP
【FI】
A61K39/395 P ZNA
A61P11/06
C07K16/40
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517860
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 US2020051416
(87)【国際公開番号】W WO2021055694
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リン, ジョセフ ホー-リン
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン, ライアン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】リムト, シャロン マリー
(72)【発明者】
【氏名】スクマラン, シダールス
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、とりわけ、抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を患者に投与することによって喘息を有する患者を治療する方法、喘息を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)、及び例えば喘息を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用を特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼベータ抗体を投与することを含み、前記投薬サイクルが、300mgの静脈内(IV)、450mgのIV、750mgのSC、900mgのIV、1350mgのIV、1800mgのIV、又は3600mgのIVから選択される前記抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、前記抗トリプターゼベータ抗体が、以下の6つの相補性決定領域(CDR):
(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び
(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3、を含む、方法。
【請求項2】
前記抗体が、(a)配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%若しくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)のVHドメイン及び(b)のVLドメインを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記VHドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記VLドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記VHドメインが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記VLドメインが、配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記抗体が、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体が、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖と、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記C1D1が300mgのIVである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記C1D1が450mgのIVである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記C1D1が750mgのSCである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記C1D1が900mgのIVである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記C1D1が1350mgのIVである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記C1D1が1800mgのIVである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記C1D1が3600mgのIVである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記投薬サイクルが、前記抗トリプターゼベータ抗体の第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)を更に含み、前記C1D2及び前記C1D3がそれぞれ前記C1D1に等しい、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記投薬サイクルの前記用量が、4週間毎(q4w)に前記対象に投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記投薬サイクルが約57日間の長さを有する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記C1D1が前記投薬サイクルの1日目に投与され、前記C1D2が前記投薬サイクルの29日目に投与され、前記C1D3が前記投薬サイクルの57日目に投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記投薬レジメンが1つの投薬サイクルからなる、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼベータ抗体を投与することを含み、前記投薬サイクルが、1800mgのIVの前記抗トリプターゼベータ抗体を前記患者に4週間毎(q4w)に投与することを含み、前記抗トリプターゼベータ抗体が、以下の6つのCDR:
(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び
(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3、を含む、方法。
【請求項21】
前記喘息が、中等症喘息、重症喘息、アレルギー性喘息、又はアトピー性喘息である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記重症喘息が、標準治療療法にもかかわらず制御されていない、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記喘息が、中等症~重症喘息である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記患者が、毎日の吸入コルチコステロイド療法及び以下の長期制御薬療法:長時間作用型βアゴニスト(LABA)、ロイコトリエンモジュレータ、長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)、又は長時間作用型テオフィリン製剤の少なくとも1つを受けている、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ロイコトリエンモジュレータがロイコトリエン修飾薬(LTM)又はロイコトリエンレセプターアンタゴニスト(LTRA)である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
抗トリプターゼベータ抗体と、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法に従って喘息を有する患者に前記抗トリプターゼベータ抗体を投与するための説明書とを含む、キット。
【請求項27】
喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼベータ抗体であって、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、前記投薬サイクルが、300mgのIV、450mgのIV、750mgのSC、900mgのIV、1350mgのIV、1800mgのIV、又は3600mgのIVから選択される前記抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、前記抗トリプターゼベータ抗体が以下の6つのCDR:
(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び
(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3、を含む、抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項28】
前記抗体が、(a)配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%若しくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)のVHドメイン及び(b)のVLドメインを含む、請求項27に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項29】
前記VHドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項30】
前記VLドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項31】
前記VHドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含み、前記VLドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項32】
(a)配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項33】
(a)配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖と、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項34】
前記C1D1が300mgのIVである、請求項27~33のいずれか一項に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項35】
前記C1D1が450mgのIVである、請求項27~33のいずれか一項に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項36】
前記C1D1が750mgのSCである、請求項27~33のいずれか一項に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項37】
前記C1D1が900mgのIVである、請求項27~33のいずれか一項に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項38】
前記C1D1が1350mgのIVである、請求項27~33のいずれか一項に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項39】
前記C1D1が1800mgのIVである、請求項27~33のいずれか一項に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項40】
前記C1D1が3600mgのIVである、請求項27~33のいずれか一項に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項41】
前記投薬サイクルが、前記抗トリプターゼベータ抗体の第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)を更に含み、前記C1D2及び前記C1D3がそれぞれ前記C1D1に等しい、請求項27~40のいずれか一項に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項42】
前記投薬サイクルの前記用量が、4週間毎(q4w)に前記対象に投与される、請求項41に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項43】
前記投薬サイクルが約57日間の長さを有する、請求項41又は42に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項44】
前記C1D1が前記投薬サイクルの1日目に投与され、前記C1D2が前記投薬サイクルの29日目に投与され、前記C1D3が前記投薬サイクルの57日目に投与される、請求項43に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項45】
前記投薬レジメンが1つの投薬サイクルからなる、請求項41~44のいずれか一項に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項46】
喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼベータ抗体であって、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、前記投薬サイクルが、1800mgのIVの前記抗トリプターゼベータ抗体を前記患者に4週間毎(q4w)に投与することを含み、前記抗トリプターゼベータ抗体が、以下の6つのCDR:
(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び
(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3、を含む、抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項47】
前記喘息が、中等症喘息、重症喘息、アレルギー性喘息、又はアトピー性喘息である、請求項27~46のいずれか一項に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項48】
前記重症喘息が、標準治療療法にもかかわらず制御されていない、請求項47に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項49】
前記喘息が、中等症から重症の喘息である、請求項27~48のいずれか一項に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項50】
前記患者が、毎日の吸入コルチコステロイド療法及び以下の長期制御薬療法:LABA、ロイコトリエンモジュレータ、LAMA、又は長時間作用型テオフィリン製剤の少なくとも1つを受けている、請求項27~49のいずれか一項に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項51】
前記ロイコトリエンモジュレータがLTM又はLTRAである、請求項50に記載の使用のための抗トリプターゼベータ抗体。
【請求項52】
喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼベータ抗体の使用であって、前記医薬が、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、前記投薬サイクルが、300mgのIV、450mgのIV、750mgのSC、900mgのIV、1350mgのIV、1800mgのIV、又は3600mgのIVから選択される抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、前記抗トリプターゼベータ抗体が以下の6つのCDR:
(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び
(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3、を含む、抗トリプターゼベータ抗体の使用。
【請求項53】
喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼベータ抗体の使用であって、前記医薬が、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、前記投薬サイクルが、1800mgのIVの前記抗トリプターゼベータ抗体を前記患者に4週間毎(q4w)に投与することを含み、前記抗トリプターゼベータ抗体が、以下の6つのCDR:
(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び
(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3、を含む、抗トリプターゼベータ抗体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式にて電子的に提出されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2020年8月14日に作成された上記ASCIIコピーの名称は50474-204WO2_Sequence_Listing_08.14.20_ST25であり、サイズは26,856バイトである。
【0002】
発明の分野
本開示は、喘息を治療する方法並びに関連する組成物及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
喘息は、世界中で発生率が増加している気道の慢性炎症性疾患である。喘息の結果として、毎年約25万人が早期に死亡する。疾患の病態生理学は、多彩な気流閉塞(variable airflow obstruction)、気道炎症、粘液過剰分泌、及び上皮下線維症を特徴とする。臨床的には、患者は、咳、喘鳴、及び息切れを呈することがある。
【0004】
実質的な証拠は、喘息が一様な症状ではなく、臨床的特徴、疾患の重症度、及び基礎となる生物学にかなりの不均一性があることを示している。最もよく特性評価されたサブタイプは、その疾患が、2型Tヘルパー細胞及び2型自然リンパ球系細胞によって発現されるIgE及びサイトカイン、すなわちインターロイキン(IL)-4、IL-5及びIL-13によって駆動される疾患の患者からなり、アレルギー性疾患及び末梢好酸球増加症を一般的な特徴する。
【0005】
吸入コルチコステロイド、長時間作用型ベータアゴニスト及び他の長期制御薬を含む喘息のための効果的な長期制御療法の開発にもかかわらず、かなりの割合の患者は、制御されていない症候、気道閉塞及び増悪を有し続けている。喘息のための改善された治療法が依然として求められている。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本発明は、とりわけ、喘息(例えば、中等症の喘息(例えば、標準治療療法にもかかわらず制御されないままである中等症の喘息)、重症喘息(例えば、標準治療療法にもかかわらず制御されないままである重症喘息)、アレルギー性喘息、又はアトピー性喘息(例えば、軽症アトピー性喘息))を有する患者を治療する方法、喘息を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)、例えば喘息を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用、並びに関連するキット及び製造品を特徴とする。
【0007】
一態様では、本開示は、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼベータ抗体を投与することを含み、投薬サイクルが、300mgの静脈内(IV)、450mgのIV、750mgのSC、900mgのIV、1350mgのIV、1800mgのIV、又は3600mgのIVから選択される抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下の6つの相補性決定領域(CDR):(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、方法を特徴とする。
【0008】
別の態様では、本開示は、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼベータ抗体であって、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが、300mgのIV、450mgのIV、750mgのSC、900mgのIV、1350mgのIV、1800mgのIV、又は3600mgのIVから選択される抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が以下の6つのCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、抗トリプターゼベータ抗体を特徴とする。
【0009】
別の態様では、本開示は、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼベータ抗体の使用であって、医薬が、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが、300mgのIV、450mgのIV、750mgのSC、900mgのIV、1350mgのIV、1800mgのIV、又は3600mgのIVから選択される抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が以下の6つのCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、使用を特徴とする。
【0010】
別の態様では、本開示は、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼベータ抗体を投与することを含み、投薬サイクルが、1800mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体を患者に4週間毎(q4w)に投与することを含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下の6つのCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、方法を特徴とする。
【0011】
別の態様では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼベータ抗体であって、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが、1800mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体を患者に4週間毎(q4w)に投与することを含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下の6つのCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、抗トリプターゼベータ抗体を特徴とする。
【0012】
いくつかの態様では、抗体は、(a)配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)のVHドメイン及び(b)のVLドメインを含む。
【0013】
いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。
【0014】
いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0015】
いくつかの態様では、VHドメインは配列番号7のアミノ酸配列を含み、VLドメインは配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0016】
いくつかの態様では、抗体は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0017】
いくつかの態様では、抗体は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖と、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0018】
いくつかの態様では、抗トリプターゼ抗体はMTPS9579Aである。
【0019】
いくつかの態様では、C1D1は300mgのIVである。
【0020】
いくつかの態様では、C1D1は450mgのIVである。
【0021】
いくつかの態様では、C1D1は750mgのSCである。
【0022】
いくつかの態様では、SC投与はポンプを使用して行われる。
【0023】
いくつかの態様では、ポンプはパッチポンプである。
【0024】
いくつかの態様では、C1D1は900mgのIVである。
【0025】
いくつかの態様では、C1D1は1350mgのIVである。
【0026】
いくつかの態様では、C1D1は1800mgのIVである。
【0027】
いくつかの態様では、C1D1は3600mgのIVである。
【0028】
いくつかの態様では、投薬サイクルは、抗トリプターゼベータ抗体の第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)を更に含み、C1D2及びC1D3はそれぞれC1D1に等しい。
【0029】
いくつかの態様では、投薬サイクルの用量は、4週間毎(q4w)に対象に投与される。
【0030】
いくつかの態様では、投薬サイクルは約57日間の長さを有する。
【0031】
いくつかの態様では、C1D1が投薬サイクルの1日目に投与され、C1D2が投薬サイクルの29日目に投与され、C1D3が投薬サイクルの57日目に投与される。
【0032】
いくつかの態様では、投薬レジメンは、1つの投薬サイクルからなる。
【0033】
いくつかの態様では、喘息は、重症喘息、アレルギー性喘息、又はアトピー性喘息である。
【0034】
いくつかの態様では、重症喘息は標準治療にもかかわらず制御されていない。
【0035】
いくつかの態様では、喘息は中等症~重症の喘息である。
【0036】
いくつかの態様では、患者は、毎日吸入コルチコステロイド療法及び以下の長期制御薬療法:長時間作用型βアゴニスト(LABA)、ロイコトリエンモジュレータ、長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)又は長時間作用型テオフィリン製剤の少なくとも1つを受けている。
【0037】
いくつかの態様では、ロイコトリエンモジュレータは、ロイコトリエン修飾薬(LTM)又はロイコトリエンレセプターアンタゴニスト(LTRA)である。
【0038】
別の態様では、本開示は、抗トリプターゼベータ抗体と、本明細書に記載の方法のいずれか1つに従って喘息を有する患者に抗トリプターゼベータ抗体を投与するための説明書とを含むキットを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、GA40396の第I相臨床研究の研究設計の概略図である
a全ての単回投与漸増試験(SAD)コホートにおいて、センチネル投薬を使用した。
b任意のSADコホート又は複数回投与漸増試験(MAD)コホートの説明については実施例1を参照されたい。PK、薬物動態;PD、薬力学、ADA、抗薬物抗体。
【
図2】
図2は、研究GA40396のSAD部分における1日目の30、100若しくは300mgのMTPS9579Aの皮下(SC)投与、又は300、900、1800若しくは3600mgのMTPS9579Aの静脈内(IV)投与後の健康対象における平均(±標準偏差(SD))血清MTPS9579A濃度-時間プロファイルを示すグラフである。LLOQ、定量下限。
【
図3】
図3は、研究GA40396のMAD部分における、1、29、及び57日目の150、300、又は750mgのMTPS9579AのSC投与後、又は1350若しくは3600mgのMTPS9579AのIV投与後の健康対象における平均(±SD)血清MTPS9579A濃度-時間プロファイルを示すグラフである(N=8;全用量コホート)。Q4W、4週間毎。
【
図4】
図4は、研究GA40396のSAD部分における1日目の30、100、又は300mgのMTPS9579AのSC投与、又は300、900、1800、又は3600mgのMTPS9579AのIV投与、又はプラセボ投与後の各健康対象における経鼻活性トリプターゼ濃度-時間プロファイルを示す一連のグラフである。
【
図5】
図5は、研究GA40396のMAD部分における、150、300若しくは750mgのMTPS9579AのSC投与、又は1350若しくは3600mgのMTPS9579AのIV投与、又はプラセボQ4W後の各健康対象における経鼻活性トリプターゼ濃度-時間プロファイルを示す一連のグラフである。
【
図6】
図6は、研究GA40396のSAD部分における1日目の30、100、又は300mgのMTPS9579AのSC投与、又は300、900、1800、又は3600mgのMTPS9579AのIV投与、又はプラセボ投与後の各健康対象における経鼻総トリプターゼ濃度-時間プロファイルを示す一連のグラフである。
【
図7】
図7は、研究GA40396のMAD部分における、150、300若しくは750mgのMTPS9579AのSC投与、又は1350若しくは3600mgのMTPS9579AのIV投与、又はプラセボQ4W後の各健康対象における経鼻総トリプターゼ濃度-時間プロファイルを示す一連のグラフである。
【
図8】
図8は、研究GA40396のSAD部分における1日目の30、100、又は300mgのMTPS9579AのSC投与、又は300、900、1800、又は3600mgのMTPS9579AのIV投与、又はプラセボ投与後の各健康対象における血清総トリプターゼ濃度-時間プロファイルを示す一連のグラフである。
【
図9】
図9は、研究GA40396のMAD部分における、150、300若しくは750mgのMTPS9579AのSC投与、又は1350若しくは3600mgのMTPS9579AのIV投与、又はプラセボQ4W後の各健康対象における血清総トリプターゼ濃度-時間プロファイルを示す一連のグラフである。
【
図10】
図10A~10Dは、研究GA40396のSAD部分のSCコホート(
図10A)、研究GA40396のSAD部分のIVコホート(
図10B)、研究GA40396のMAD部分のSCコホート(
図10C)、及び研究GA40396のMAD部分のIVコホート(
図10D)についての経時的な平均(±SD)血清MTPS9579A濃度(ログスケール)を示す一連のグラフである。
【
図11】
図11は、GA41003第Ic相臨床研究の研究設計の概略図である。ICS、吸入コルチコステロイド;R、無作為化。
a気管支鏡検査2のタイミングは、予備データの検討後に修正することができる。
【
図12】
図12は、GB41149第IIa相臨床研究の研究設計の概略図である。EOS、研究終了;EOT、治療の終了;F/U、安全性のフォローアップ;PBO、プラセボ。
aスクリーニング期間は12~28日間である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
発明の態様の詳細な説明
I.序文
本発明は、喘息(例えば、中等症の喘息(例えば、標準治療にもかかわらず制御されないままである中等症の喘息)、重症喘息(例えば、標準治療にもかかわらず制御されないままである重症喘息)、アレルギー性喘息、又はアトピー性喘息(例えば、軽症アトピー性喘息))の治療方法及び組成物を提供する。本発明は、MTPS9579Aを含む抗トリプターゼ抗体が、ヒトへの投与時に予想外に低い最大血清濃度(Cmax)及び短い平均半減期値を有し得るという発見、更にMTPS9579Aを含む抗トリプターゼ抗体が、比較的高い抗体用量の投与を含む投薬レジメンでヒトに安全に投与され得るという発見に少なくとも部分的に基づく。さらに、本明細書で実証されるように、本明細書に開示される投薬レジメンは、例えばヒトの上気道において活性トリプターゼを阻害する。本明細書に開示される投薬レジメンは、喘息の治療に有効であると予想される。
【0041】
II.定義
本明細書で使用される「約」という用語は、この技術分野の当業者であれば容易に理解する、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書において、値又はパラメータについての「約」の参照は、それ自体がその値又はパラメータに向けられた側面を含む(及び説明する)。
【0042】
本明細書で使用する場合、「トリプターゼ」という用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然トリプターゼを指す。トリプターゼは、肥満細胞トリプターゼ、肥満細胞プロテアーゼII、皮膚トリプターゼ、肺トリプターゼ、下垂体トリプターゼ、肥満細胞中性プロテイナーゼ、及び肥満細胞セリンプロテイナーゼIIとしても当該技術分野で公知である。「トリプターゼ」という用語は、トリプターゼアルファ(TPSAB1によってヒトにおいてコードされる)、トリプターゼベータ(TPSAB1及びTPSB2によってヒトにコードされる;下記参照)、トリプターゼデルタ(TPSD1によってヒトにおいてコードされる)、トリプターゼガンマ(TPSG1によってヒトにおいてコードされる)、及びトリプターゼイプシロン(PRSS22によってヒトにおいてコードされる)を包含する。トリプターゼアルファ(α)、ベータ(β)及びガンマ(γ)タンパク質は可溶性であるが、トリプターゼイプシロン(ε)タンパク質は膜固定されている。トリプターゼベータ及びガンマは活性セリンプロテアーゼであるが、それらは異なる特異性を有する。トリプターゼアルファ及びデルタ(δ)タンパク質は、典型的な活性セリンプロテアーゼとは異なる重要な位置に残基を有するので、大部分が不活性プロテアーゼである。例示的なトリプターゼアルファ全長タンパク質配列は、NCBI GenBankアクセッション番号ACZ98910.1の下で見出すことができる。例示的なトリプターゼガンマ全長タンパク質配列は、Uniprotアクセッション番号Q9NRR2又はGenBankアクセッション番号Q9NRR2.3、AAF03695.1、NP_036599.3又はAAF76457.1の下で見出すことができる。例示的なトリプターゼデルタ全長タンパク質配列は、Uniprotアクセッション番号Q9BZJ3又はGenBankアクセッション番号NP_036349.1の下で見出すことができる。いくつかのトリプターゼ遺伝子は、ヒト染色体16p13.3上にクラスターを形成している。この用語は、「完全長」の、未処理トリプターゼ、及び、細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のトリプターゼを包含する。トリプターゼベータは、肥満細胞で発現される主要なトリプターゼであり、トリプターゼアルファは、好塩基球で発現される主要なトリプターゼである。トリプターゼアルファ及びトリプターゼベータは、典型的には、約30アミノ酸のリーダー配列及び約245アミノ酸の触媒配列を含む(例えば、Schwartz,Immunol.Allergy Clin.N.Am.26:451-463,2006を参照されたい)。
【0043】
本明細書で使用する場合、「トリプターゼベータ」という用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然トリプターゼベータを指す。トリプターゼベータは、肥満細胞分泌顆粒の主要成分であるセリンプロテアーゼである。本明細書で使用される場合、この用語は、トリプターゼベータ1(トリプターゼアルファ1もコードするTPSAB1遺伝子によってコードされる)、トリプターゼベータ2(TPSB2遺伝子によってコードされる)、及びトリプターゼベータ3(TPSB2遺伝子によってもコードされる)を包含する。例示的なヒトトリプターゼベータ1配列を配列番号12(GenBankアクセッション番号NP_003285.2も参照されたい)に示す。例示的なヒトトリプターゼベータ2配列を配列番号13(GenBankアクセッション番号AAD13876.1も参照されたい)に示す。例示的なヒトトリプターゼベータ3配列を配列番号14(GenBankアクセッション番号NP_077078.5も参照されたい)に示す。トリプターゼベータという用語は、「完全長」の未処理トリプターゼベータ並びにタンパク質分解プロセシングを含む翻訳後修飾から生じるトリプターゼベータを包含する。全長プロトリプターゼベータは、2つのタンパク質分解工程でプロセシングされると考えられている。第1に、R-3での自己触媒的分子間開裂が、特に酸性pH及びポリアニオン(例えば、ヘパリン又は硫酸デキストラン)の存在下で起こる。次に、残りのプロジペプチドを除去する(おそらくジペプチジルペプチダーゼIによって)。完全長ヒトトリプターゼベータ1の場合、下記の配列番号12を参照すると、下線を引いたアミノ酸残基が天然のリーダー配列に対応し、太字を付したアミノ酸残基がプロドメインに対応し、これが切断されて成熟タンパク質が形成される(例えば、Sakai et al.J.Clin.Invest.97:988-995,1996を参照されたい)。
MLNLLLLALPVLASRAYAAPAPGQALQRVGIVGGQEAPRSKWPWQVSLRVHGPYWMHFCG
GSLIHPQWVLTAAHCVGPDVKDLAALRVQLREQHLYYQDQLLPVSRIIVHPQFYTAQIGA
DIALLELEEPVNVSSHVHTVTLPPASETFPPGMPCWVTGWGDVDNDERLPPPFPLKQVKV
PIMENHICDAKYHLGAYTGDDVRIVRDDMLCAGNTRRDSCQGDSGGPLVCKVNGTWLQAG
VVSWGEGCAQPNRPGIYTRVTYYLDWIHHYVPKKP(配列番号12)。
【0044】
成熟した酵素的に活性なトリプターゼベータは、典型的にはホモ四量体又はヘテロ四量体であるが、活性モノマーが報告されている(例えば、Fukuoka et al.J.Immunol.176:3165,2006を参照されたい)。トリプターゼベータ四量体のサブユニットは、サブユニット間の疎水性及び極性相互作用によって一緒に保持され、ポリアニオン(特にヘパリン及び硫酸デキストラン)によって安定化される。トリプターゼという用語は、トリプターゼ四量体又はトリプターゼ単量体を指すことができる。成熟ヒトトリプターゼベータ1、ベータ2、及びベータ3の例示的な配列を、それぞれ配列番号15、配列番号16、及び配列番号17に示す。各サブユニットの活性部位は、四量体の中心孔に面しており、これは約50×30オングストローム(例えば、Pereira et al.Nature 392:306-311,1998を参照のこと。)である。中心孔のサイズは、典型的には、阻害剤による活性部位のアクセスを制限する。トリプターゼベータの例示的な基質には、PAR2、C3、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、及びキニノーゲンが含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
「障害」又は「疾患」とは、本発明の方法による治療から恩恵を受ける任意の症状である。これには、哺乳動物を問題の障害に罹りやすくする病理学的症状を含む慢性及び急性障害又は疾患が含まれる。本明細書で治療される障害の例としては、喘息(例えば、重症喘息(例えば、標準治療にもかかわらず制御されないままである重症喘息)、アレルギー性喘息、又はアトピー性喘息(例えば、軽症アトピー性喘息))が挙げられる。
【0046】
「投与する」という用語は、患者(例えば、喘息を有する患者)への組成物の投与を意味する。本明細書に記載される方法及び使用で利用される組成物(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、例えば、非経口、腹腔内、筋肉内、静脈内、皮内、経皮内、動脈内、傷害内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、髄腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、腹膜内、皮下(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))、結膜下、膀胱内(intravesicularly)、粘膜内、心膜内、臍帯血内(intraumbilically)、眼内、眼窩内、経口、局所、経皮、硝子体内、眼周囲、結膜、テノン嚢下、前房内、網膜下、眼球後、視神経管内、吸入、注射、移植、注入、持続注入、局所灌流浴下の標的細胞により直接、カテーテル、洗浄、クリーム剤、又は脂質組成物によって投与することができる。非経口投与としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が挙げられる。本明細書に記載の方法で利用される組成物はまた、全身に投与されてもよいし、又は局所投与されてもよい。投与方法は、様々な因子(例えば、投与される化合物又は組成物、及び治療される症状、疾患、又は障害の重症度)に応じて変わり得る。
【0047】
「治療薬」又は「薬剤」という用語は、疾患、例えば喘息(例えば、重症喘息(例えば、標準治療にもかかわらず制御されないままである重症喘息)、アレルギー性喘息、又はアトピー性喘息)を治療するために使用される任意の薬剤を指す。治療薬は、例えば、ポリペプチド(例えば、抗体、イムノアドヘシン、又はペプチド体)、アプタマー、タンパク質に結合することができる小分子、又は標的(例えば、siRNA)をコードする核酸分子に結合することができる核酸分子等であり得る。
【0048】
「抗トリプターゼ抗体」、「トリプターゼに結合する抗体」、及び「トリプターゼに特異的に結合する抗体」という用語は、抗体がトリプターゼを標的とする際の診断薬及び/又は治療薬として有用であるように、十分な親和性でトリプターゼに結合することができる抗体を指す。一態様では、非関連非トリプターゼタンパク質への抗トリプターゼ抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合に、トリプターゼへの抗体の結合の約10%未満である。特定の態様では、トリプターゼに結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。いくつかの態様では、抗トリプターゼ抗体は、異なる種由来のトリプターゼの中で保存されているトリプターゼのエピトープに結合する。例示的な抗トリプターゼ抗体は、米国特許出願公開第2018/0230233号及び国際公開第2018/148585号に記載されており、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0049】
「肥満細胞」は、顆粒球免疫細胞の一種である。肥満細胞は、典型的には、身体全体の粘膜組織及び上皮組織に存在する。肥満細胞は、トリプターゼ(特にトリプターゼベータ)、ヒスタミン、ヘパリン、及びサイトカインを含む炎症性メディエーターを貯蔵する細胞質顆粒を含有する。肥満細胞は、抗原/IgE/FcεRI架橋によって活性化され得、脱顆粒及び炎症性メディエーターの放出をもたらし得る。肥満細胞は、粘膜肥満細胞又は結合組織肥満細胞であり得る。例えば、Krystel-Whittemore et al.Front.Immunol.6:620,2015を参照されたい。
【0050】
本明細書で互換的に使用される用語「患者」、「対象」、及び「個体」は、治療が望まれる任意の単一の動物、より具体的には哺乳動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ヒツジ、動物園の動物、及び非ヒト霊長類等の非ヒト動物を含む)を指す。更により具体的には、本明細書の患者はヒトである。
【0051】
「有効量」という用語は、哺乳動物、例えばヒト等の対象又は患者において疾患又は障害(例えば、喘息(例えば、重症喘息(例えば、標準治療にもかかわらず制御されないままである重症喘息)、アレルギー性喘息、又はアトピー性喘息))を治療するのに有効な薬物又は治療薬(例えば、抗トリプターゼ抗体)の量を指す。
【0052】
本明細書で使用される場合、「治療、療法」又は「治療」は、治療されている個体又は細胞の自然経過を改変することを目的とした臨床介入を指し、予防のために、又は臨床病理過程中に行うことができる。治療の望ましい効果としては、疾患の発症又は再発の予防、症候の軽減、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の減弱、疾患進行率の低下、病状の回復又は緩和、及び寛解又は予後の改善が挙げられる。治療が必要なものとしては、障害を既に有するもの、並びに障害を有する危険にさらされているもの、又は障害を予防する必要があるものを挙げることができる。例えば、喘息治療を受けた後、患者が、以下:再発性喘鳴、咳、呼吸困難、胸部圧迫感、夜間に発生又は悪化する症候、冷気、運動又はアレルゲンへの曝露によって引き起こされる症候の1つ以上の観察可能及び/又は測定可能な減少を示す場合、患者は喘息の「治療」に成功し得る。
【0053】
治療、例えば抗トリプターゼ抗体を含む治療に対する患者の「応答」又は患者の「応答性」は、治療から又は治療の結果として喘息のリスクがあるか又は喘息を有する患者に与えられる臨床的又は治療的利益を指す。当業者であれば、容易に、患者が応答性であるかどうかを決定する立場となるであろう。例えば、抗トリプターゼ抗体を含む治療に応答性の喘息を有する患者は、1つ以上の喘息の症候、例えば、再発性喘鳴、咳、呼吸困難、胸部圧迫、夜間に発生又は悪化する症候、冷気、運動又はアレルゲンへの曝露によって引き起こされる症候の観察可能及び/又は測定可能な減少を示し得る。いくつかの態様では、応答は肺機能の改善であり得る。
【0054】
「抗体」という用語は、本明細書では最も広い意味で使用され、限定されるものではないが、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含めた、様々な抗体構造を包含する。
【0055】
「親和性成熟」抗体とは、1つ以上のHVR及び/又はフレーム領域に1つ以上の改変を有する抗体であって、それらの改変(複数可)を有しない親抗体と比較して抗原に対する抗体の親和性の改善をもたらす抗体である。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又は更にはピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該技術分野で既知の手順によって産生される。例えば、Marks et al.Bio/Technology 10:779-783,1992は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和性成熟について記載している。HVR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、Barbas et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3809-3813,1994;Schier et al.Gene 169:147-155,1995;Yelton et al.J.Immunol.155:1994-2004,1995;Jackson et al.J.Immunol.154(7):3310-3319,1995;及びHawkins et al.J.Mol.Biol.226:889-896,1992によって記載されている。
【0056】
本明細書の目的において「受容体ヒトフレームワーク」とは、以下に定義するように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「由来の」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでいてもよく、又はアミノ酸配列の変更を含んでいてもよい。いくつかの態様では、アミノ酸変更の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。いくつかの態様では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
【0057】
「親和性」は、分子(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との単一の結合部位の間の非共有性相互作用の合計の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(KD)によって表し得る。親和性は、本明細書に記載するものを含め、当該技術分野で一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための特定の例証的及び例示的な態様は、以下に記載される。
【0058】
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」とは、参照抗体と比較して抗原の重複する組のアミノ酸残基と接触するか、又は競合アッセイにおいて参照抗体のその抗原への結合を50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上遮断する抗体を指す。いくつかの態様では、抗体が接触するアミノ酸残基のセットは、参照抗体が接触するアミノ酸残基のセットと完全に重複していてもよく、又は部分的に重複していてもよい。いくつかの態様では、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体は、競合アッセイにおいて、参照抗体のその抗原への結合を50%以上、60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上遮断し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて、抗体のその抗原への結合を50%以上、60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上遮断する。例示の競合アッセイが本明細書に提供される。
【0059】
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部分、好ましくは、インタクトな抗体の抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)2;ダイアボディ;線状抗体(米国特許第5,641,870号の実施例2;Zapata et al.Protein Eng.8(10):1057-1062,1995)を参照されたい);一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一な抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映して表記される残りの「Fc」断片とが得られる。Fab断片は、L鎖全体と共にH鎖の可変領域ドメイン(VH)、並びに1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。抗体のペプシン治療は、2価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィド連結Fab断片におおよそ対応する単一の大きなF(ab’)2断片を産出し、抗原を架橋することができる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端に追加のいくつかの残基を有している点でFab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が、遊離チオール基を持つFab’の本明細書での呼称である。F(ab’)2抗体断片は、元々、間にヒンジシステインを有するFab’断片のペアとして産生されたものであった。抗体断片の他の化学的カップリングも公知である。
【0061】
本明細書において、「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部分を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。本用語は、ネイティブ配列Fc領域と変異体Fc領域とを含む。一態様では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在していてもよく、又は存在していなくてもよい。本明細書で特に明記されない限り、Fc領域又は定常領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載される、EUインデックスとも呼ばれる、EUナンバリングシステムに従う。
【0062】
「Fv」は、密接な非共有結合にある1つの重鎖可変領域ドメイン及び1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みにより、抗原結合のためのアミノ酸残基を提供し、かつ抗原結合特異性を抗体に与える6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖から各3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)であっても、しばしば結合部位全体よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
【0063】
「sFv」又は「scFv」とも略される「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に接続されたVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、sFvが抗原結合に所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをVHドメインとVLドメインとの間に更に含む。scFvに関する概説については、例えば、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315,1994を参照されたい。
【0064】
「ダイアボディ」という用語は、Vドメインの鎖内ではなく鎖間の対合が達成され、二価断片、すなわち、2つの抗原結合部位を有する断片をもたらすように、VHドメインとVLドメインとの間にsFv断片(前段落を参照のこと)を短いリンカー(約5~10個の残基)で構築することによって調製された小さい抗体断片を指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVH及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する2つの「交差」sFv断片のヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号;国際公開第93/11161号;及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)に更に詳細に記載されている。
【0065】
「遮断」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害又は低減する抗体である。特定の遮断抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を実質的に又は完全に阻害する。例えば、抗トリプターゼ抗体に関して、いくつかの態様では、活性はトリプターゼ酵素活性、例えばプロテアーゼ活性であり得る。他の例では、活性は、気管支平滑筋細胞増殖及び/又はコラーゲンに基づく収縮のトリプターゼ媒介刺激であり得る。他の例では、活性は肥満細胞ヒスタミン放出(例えば、IgEによって引き起こされるヒスタミン放出及び/又はトリプターゼによって引き起こされるヒスタミン放出)であり得る。いくつかの態様では、抗体は、結合する抗原の生物学的活性を、少なくとも約1%、約5%、約10%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%又は約100%阻害することができる。
【0066】
抗体の「クラス」は、その重鎖によって保有される定常ドメイン又は定常領域の型を指す。抗体の5つの主要なクラスがあり、即ち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのいくつかは、更にサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。
【0067】
抗体「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因する生物学的活性を指し、抗体アイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例としては、以下のものが挙げられる:C1q結合及び補体依存性細胞傷害性、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介細胞傷害性(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、並びにB細胞活性化が挙げられる。
【0068】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」又はADCC」は、ある特定の細胞傷害性細胞(例えばナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合した分泌Igが、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原保有標的細胞と特異的に結合して、続いて細胞毒を用いて標的細胞を死滅させることができるようにする細胞傷害性の形態を指す。抗体は細胞傷害性細胞を「武装」させ、そのような殺傷には絶対に必要なものである。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現させるのに対し、単球はFcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現させる。造血細胞でのFcR発現は、Ravetch et al.Annu.Rev.Immunol.9:457-492,1991の464頁に記載の表3に概説されている。目的の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号又は同第5,821,337号に記載されているようなin vitroADCCアッセイを実施することができる。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cell:PBMC)及びナチュラルキラー(Natural Killer:NK)細胞が挙げられる。代替的又は追加的に、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:652-656,1998に開示されているin vivoにての動物モデルで評価することができる。
【0069】
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を表している。好ましいFcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合し、かつFcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含むFcRであり、これらには、これらの受容体の対立遺伝子変異体及び選択的スプライスされた形態が含まれる。FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「抑制受容体」)が含まれ、これらは、その細胞質ドメインが主に異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン中に免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を含む(Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234,1997の総説Mを参照されたい)。FcRは、例えば、Ravetch et al.Annu.Rev.Immunol.9:457-492,1991;Capel et al.Immunomethods 4:25-34,1994;及びde Haas et al.J.Lab.Clin.Med.126:330-41,1995に総説がある。将来的に同定されることになるものを含め、他のFcRは、本明細書においては用語「FcR」に包含される。この用語はまた、母体のIgGの胎児への転移を担う新生児受容体である、FcRnも包含する(例えば、Guyer et al.J.Immunol.117:587,1976;及びKim et al.J.Immunol.24:249,1994を参照されたい)。
【0070】
「ヒトエフェクター細胞」は、1つ以上のFcRを発現し、かつエフェクター機能を実行する白血球である。好ましくは、これらの細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を果たす。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞毒性T細胞、及び好中球が挙げられ、PBMC及びNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は、天然源、例えば、血液から単離され得る。
【0071】
「補体依存性細胞毒性」又は「CDC」とは、補体の存在下で標的細胞を溶解することを指す。古典的補体経路の活性化は、補体系の第1成分(C1q)が(適当なサブクラスの)抗体と結合することにより開始され、抗体にはそれらの同族抗原が結合する。補体活性化を評価するには、例えば、Gazzano-Santoro et al.J.Immunol.Methods 202:163,1996に記載されているようなアッセイを行うことができる。
【0072】
「エピトープ」は、抗体が選択的に結合する抗原の部分である。ポリペプチド抗原の場合、線状エピトープは、約4~15アミノ酸残基(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12アミノ酸残基)のペプチド部分であり得る。非直鎖状立体構造エピトープは、タンパク質の三次元(3D)構造において、近接したポリペプチド配列の残基を含み得る。いくつかの態様では、エピトープは、抗体の任意の原子の4オングストローム(Å)内にあるアミノ酸を含む。特定の態様では、エピトープは、抗体の任意の原子の3.5Å、3Å、2.5Å、又は2Å以内にあるアミノ酸を含む。抗原と接触する抗体アミノ酸残基(すなわち、パラトープ)は、例えば、抗原と複合した抗体の結晶構造を決定することによって、又は水素/重水素交換を行うことによって決定され得る。
【0073】
「完全長抗体」、「インタクト抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書で、ネイティブ抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、又は本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すように同義に使用される。
【0074】
「ヒト抗体」とは、ヒトによって産生された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有し、及び/又はヒト抗体を作製するための技術のうちのいずれかを使用して作製された抗体である。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。
【0075】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において、最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD,vols.1-3,1991におけるようなサブグループである。一態様では、VLについて、サブグループは、上記Kabat et al.におけるようなサブグループカッパIII又はカッパIVである。一態様において、VHの場合、サブグループは、上記Kabat et al.におけるようなサブグループカッパIIIである。
【0076】
非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の「ヒト化」形態とは、非ヒト抗体に由来する配列を最小限含むキメラ抗体である。大部分は、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の抗体特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、又は非ヒト霊長類等の非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基によって置き換えられる、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一態様では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基で置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体には見られない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体性能を更に洗練させるためになされる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインのうちの実質的に全てを含み、HVR(例えば、CDR)のうちの全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FRのうちの全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである。ヒト化抗体はまた、任意に、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含むことになる。更なる詳細については、Jones et al.Nature 321:522-525,1986;Riechmann et al.Nature 332:323-329,1988;及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596,1992を参照されたい。
【0077】
本明細書で使用される「超可変領域」又は「HVR」という用語は、抗体可変ドメインの各領域のうち、配列が超可変性である領域(「相補性決定領域」又は「CDR」)を指す。一般的に、抗体は、6個のCDRを含み、VHに3個(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)、VLに3個(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)含む。本明細書における例示的なCDRとしては、以下が挙げられる:
(a)アミノ酸残基26~32(L1)、50~52(L2)、91~96(L3)、26~32(H1)、53~55(H2)、及び96~101(H3)に存在するCDR(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917,1987);
(b)アミノ酸残基24~34(L1)、50~56(L2)、89~97(L3)、31~35b(H1)、50~65(H2)及び95~102(H3)に存在するCDR(Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991));並びに
(c)アミノ酸残基27c~36(L1)、46~55(L2)、89~96(L3)、30~35b(H1)、47~58(H2)、及び93~101(H3)で発生する抗原接触(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732-745,1996)。
【0078】
別段の指示がない限り、HVR残基及び可変ドメイン内の他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書において、上記のKabatらに準じてナンバリングされている。
【0079】
「イムノコンジュゲート」とは、細胞毒性剤を含むがこれらに限定されない、1つ以上の異種分子に接合された抗体のことである。
【0080】
「単離された」という用語は、本明細書に開示される様々な抗体を説明するために使用されるとき、抗体が発現された細胞又は細胞培養物から特定され、分離及び/又は回収された抗体を意味する。その天然環境の混入成分は、典型的にはポリペプチドの診断的又は治療的使用を妨害する材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を含み得る。いくつかの態様では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)法によって決定される場合、純度が95%より大きく、又は99%より大きくなるまで精製される。抗体純度の評価のための方法の総説については、例えば、Flatman et al.J.Chromatogr.B 848:79-87,2007を参照されたい。好ましい態様では、抗体は、(1)スピニングカップシークエネーター(spinning cup sequenator)を使用してN末端若しくは内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るのに十分な程度まで、又は(2)クマシーブルー若しくは好ましくは銀染色を使用して非還元条件又は還元条件下でSDS-PAGEによって均質になるまで精製される。単離された抗体としては、組換え細胞内のin situの抗体が挙げられるが、これは、ポリペプチド天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないためである。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製工程により調製される。
【0081】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、同一であり、及び/又は同じ抗原上のエピトープに結合するが、例えば、自然発生突然変異を含有するか、又はモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる、起こり得る変異体抗体は例外であり、かかる変異体は一般的に少量で存在する。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、モノクローナル抗体製剤のそれぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向する。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集合から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするように解釈すべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むが、これらに限定されない多様な技法によって作製することができ、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法が、本明細書に記載されている。特定の態様では、「モノクローナル抗体」という用語は二重特異性抗体を包含する。
【0082】
「二価抗体」という用語は、抗原に対する2つの結合部位を有する抗体を指す。二価抗体は、限定されないが、IgG形式又はF(ab’)2形式であり得る。
【0083】
「多重特異性抗体」という用語は最も広い意味で使用され、1つの抗原上の2つ以上の決定基若しくはエピトープ、又は2つ以上の抗原上の2つ以上の決定基若しくはエピトープに結合する抗体を包含する。このような多重特異性抗体としては、全長抗体、2つ以上のVL及びVHドメインを有する抗体、抗体断片、例えば、Fab、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ及びトリアボディ、共有結合又は非共有結合した抗体断片が挙げられるが、これらに限定されない。「ポリエピトープ特異性」とは、同じ又は異なる標的(複数可)上で2つ以上の異なるエピトープと特異的に結合する能力を指す。特定の態様では、多重特異性抗体は二重特異性抗体である。「二特異性」又は「二重特異性」は、同じ又は異なる標的(複数可)上の2つの異なるエピトープに、特異的に結合することができる能力を指す。しかしながら、二重特異性抗体とは対照的に、二特異性抗体は、アミノ酸配列が同一である2つの抗原結合アームを有し、各Fabアームは、2つの抗原を認識することができる。二特異性により、抗体は、高い親和性で単一のFab又はIgG分子として2つの異なる抗原と相互作用することが可能になる。一態様によれば、多重特異性抗体は、5μM~0.001pM、3μM~0.001pM、1μM~0.001pM、0.5μM~0.001pM又は0.1μM~0.001pMの親和性で各エピトープに結合する。「単一特異性」は唯一のエピトープに結合する能力を指す。
【0084】
「ネイキッド抗体」とは、異種部位(例えば、細胞毒性部位)又は放射性標識に結合していない抗体を指す。ネイキッド抗体は、医薬組成物中に存在していてもよい。
【0085】
抗体の標的分子への結合に関して、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド標的上のエピトープに対する「結合する」若しくは「結合すること」、又は「特異的結合」若しくは「特異的に結合する」又は「特異的に」という用語は、非特異的相互作用とは測定可能に異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、分子の結合を対照分子の結合と比較して判定することによって測定され得る。特異的結合は、例えば、標的と類似の対照分子、例えば過剰な非標識標的との競合により決定され得る。この場合、特異的結合は、標識標的のプローブへの結合が、過剰な非標識標的により競合的に阻害される場合に示される。本明細書で使用される特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド標的上のエピトープに対する「特異的結合」又は「特異的に結合する」又は「特異的に」という用語は、例えば、標的に対して10-4M以下、あるいは10-5M以下、あるいは10-6M以下、あるいは10-7M以下、あるいは10-8M以下、あるいは10-9M以下、あるいは10-10M以下、あるいは10-11M以下、あるいは10-12M以下であるKDを有するか、又は10-4M~10-6M、若しくは10-6M~10-10M、若しくは10-7M~10-9Mの範囲のKDを有する分子によって示され得る。当業者によって理解されるように、親和性とKD値は逆相関する。抗原に対する高い親和性は、低いKD値により測定される。一態様では、「特異的結合」という用語は、分子が、いずれの他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープにも実質的に結合することなく、特定のポリペプチド上の特定のポリペプチド又はエピトープに結合する場合の結合を指す。
【0086】
「Kabatにおけるような可変ドメイン残基ナンバリング」又は「Kabatにおけるようなアミノ酸位置ナンバリング」という用語、及びそれらの変形は、上記Kabat et al.における抗体の編集物の重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに使用されるナンバリングシステムを指す。このナンバリングシステムを使用しても、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFR若しくはHVRの短縮、又はそれへの挿入に対応するより少ないアミノ酸又は追加のアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入(Kabatに従った残基52a)を含み、重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatに従った残基82a、82b、及び82c等)を含み得る。残基のKabatナンバリングは、所与の抗体に対して、抗体の配列と「標準の」Kabatによってナンバリングされた配列との相同領域におけるアライメントによって決定され得る。
【0087】
Kabatナンバリングシステムは、一般に、可変ドメインにおける残基(大体、軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)について言及する際に使用される(例えば、上記のKabat et al.)。「EUナンバリングシステム」又は「EUインデックス」は、一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域における残基について言及するときに使用される(例えば、上記のKabat et al.で報告されるEUインデックス)。「KabatにおけるようなEUインデックス」とは、ヒトIgG1 EU抗体の残基ナンバリングを指す。本明細書で別途示されない限り、抗体の可変ドメイン中の残基番号への言及は、Kabatナンバリングシステムによる残基ナンバリングを意味する。本明細書で別途示されない限り、抗体の定常ドメイン中の残基番号への言及は、EUナンバリングシステムによる残基ナンバリングを意味する(例えば、米国仮出願第60/640,323号、EUナンバリングに関する図を参照されたい)。
【0088】
本明細書で特定されるポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」とは、最大の配列同一性パーセントが得られるように、配列をアライメントし、必要に応じてギャップを導入した後に、いずれの保存的置換も配列同一性の一部とはみなさずに、候補配列内のアミノ酸残基が、比較されるポリペプチド内のアミノ酸残基と同一である割合として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のための整列は、当該技術分野における技術の範囲内にある種々の方法において、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを用いて達成され得る。当業者であれば、比較されている配列の完全長にわたって最大の整列を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、整列を測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて生成している。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって作成され、ソースコードは、米国著作権庁、ワシントンD.C.、20559にユーザードキュメントと共に提出され、ここでは、米国著作権登録番号TXU510087に基づいて登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Californiaから公的に利用可能である。ALIGN-2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX V4.0Dで使用するために編集されるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定されており、変わらない。
【0089】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、ある特定のアミノ酸配列同一性%を有する又は含む、所与のアミノ酸配列Aとして記述され得る)は、以下のように計算される:
100×分数X/Y
式中、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、そのプログラムのAとBのアラインメントにおいて同一のマッチとしてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、A対Bのアミノ酸配列同一性%は、B対Aのアミノ酸配列同一性%に等しくないことが理解されよう。特に明記しない限り、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性%値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して直前の段落に記載されているように得られる。
【0090】
「パッケージ添付文書」との用語は、治療製品の市販パッケージに通常含まれる指示を指すために用いられ、このような治療製品に関する適応症、使用、投薬量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告に関する情報を含む。
【0091】
「薬学的製剤」及び「医薬組成物」という用語は、本明細書において互換的に使用され、内部に含まれる活性成分の生物学的活性が有効になることを許すような形態であり、かつ製剤が投与される対象が受け入れられない程度に毒性のあるいかなる追加の成分も含まない調製物を指す。このような製剤は、無菌である。
【0092】
「滅菌」医薬製剤は、無菌であるか、又は全ての生存微生物及びそれらの胞子を含まないか、又は本質的に含まない。
【0093】
「薬学的に許容され得る担体」は、対象に対して非毒性である、活性成分以外の医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容され得る担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、又は防腐剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
「キット」は、少なくとも1つの試薬、例えば、喘息の治療のための医薬(例えば、抗トリプターゼ抗体)を含む任意の製造物(例えば、パッケージ又は容器)である。製品は、好ましくは、本開示の方法を実行するためのユニットとして、奨励、流通、又は販売される。
【0095】
III.本発明の治療方法、使用のための組成物及び使用
本発明は、喘息を有する患者を治療する方法、喘息を有する患者を治療するのに使用するための組成物(例えば、抗トリプターゼ抗体)、及び例えば喘息を有する患者を治療するための医薬の製造又は調製における抗トリプターゼ抗体の使用を特徴とする。
【0096】
一態様では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、約300mg~約3600mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。C1D1は、例えば、静脈内(IV)又は皮下(SC)に投与され得る。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0097】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約300mg~約3600mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0098】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約300mg~約3600mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0099】
例えば、一態様では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、約25mg~約450mg(例えば、約300mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。C1D1は、例えば、IV又はSCで投与され得る。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0100】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約25mg~約450mg(例えば、約300mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0101】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約25mg~約450mg(例えば、約300mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0102】
例えば、前述の態様のいずれかにおいて、抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)及び/又は抗トリプターゼ抗体の任意の追加用量は、約25mg~約450mg、約25mg~約425mg、約25mg~約400mg、約25mg~約375mg、約25mg~約350mg、約25mg~約325mg、約25mg~約300mg、約25mg~約275mg、約25mg~約250mg、約25mg~約225mg、約25mg~約200mg、約25mg~約175mg、約25mg~約150mg、約25mg~約125mg、約25mg~約100mg、約25mg~約75mg、約25mg~約50mg、約50mg~約450mg、約50mg~約425mg、約50mg~約400mg、約50mg~約375mg、約50mg~約350mg、約50mg~約325mg、約50mg~約300mg、約50mg~約275mg、約50mg~約250mg、約50mg~約225mg、約50mg~約200mg、約50mg~約175mg、約50mg~約150mg、約50mg~約125mg、約50mg~約100mg、約50mg~約75mg、約75mg~約450mg、約75mg~約425mg、約75mg~約400mg、約75mg~約375mg、約75mg~約350mg、約75mg~約325mg、約75mg~約300mg、約75mg~約275mg、約75mg~約250mg、約75mg~約225mg、約75mg~約200mg、約75mg~約175mg、約75mg~約150mg、約75mg~約125mg、約75mg~約100mg、約100mg~約450mg、約100mg~約425mg、約100mg~約400mg、約100mg~約375mg、約100mg~約350mg、約100mg~約325mg、約100mg~約300mg、約100mg~約275mg、約100mg~約250mg、約100mg~約225mg、約100mg~約200mg、約100mg~約175mg、約100mg~約150mg、約100mg~約125mg、約125mg~約450mg、約125mg~約425mg、約125mg~約400mg、約125mg~約375mg、約125mg~約350mg、約125mg~約325mg、約125mg~約300mg、約125mg~約275mg、約125mg~約250mg、約125mg~約225mg、約125mg~約200mg、約125mg~約175mg、約125mg~約150mg、約150mg~約450mg、約150mg~約425mg、約150mg~約400mg、約150mg~約375mg、約150mg~約350mg、約150mg~約325mg、約150mg~約300mg、約150mg~約275mg、約150mg~約250mg、約150mg~約225mg、約150mg~約200mg、約150mg~約175mg、約175mg~約450mg、約175mg~約425mg、約175mg~約400mg、約175mg~約375mg、約175mg~約350mg、約175mg~約325mg、約175mg~約300mg、約175mg~約275mg、約175mg~約250mg、約175mg~約225mg、約175mg~約200mg、約200mg~約450mg、約200mg~約425mg、約200mg~約400mg、約200mg~約375mg、約200mg~約350mg、約200mg~約325mg、約200mg~約300mg、約200mg~約275mg、約200mg~約250mg、約200mg~約225mg、約225mg~約450mg、約225mg~約425mg、約225mg~約400mg、約225mg~約375mg、約225mg~約350mg、約225mg~約325mg、約225mg~約300mg、約225mg~約275mg、約225mg~約250mg、約250mg~約450mg、約250mg~約425mg、約250mg~約400mg、約250mg~約375mg、約250mg~約350mg、約250mg~約325mg、約250mg~約300mg、約250mg~約275mg、約275mg~約450mg、約275mg~約425mg、約275mg~約400mg、約275mg~約375mg、約275mg~約350mg、約275mg~約325mg、約275mg~約300mg、約300mg~約450mg、約300mg~約425mg、約300mg~約400mg、約300mg~約375mg、約300mg~約350mg、約300mg~約325mg、約325mg~約450mg、約325mg~約425mg、約325mg~約400mg、約325mg~約375mg、約325mg~約350mg、約350mg~約450mg、約350mg~約425mg、約350mg~約400mg、約350mg~約375mg、約375mg~約450mg、約375mg~約425mg、約375mg~約400mg、約400mg~約450mg、約400mg~約425mg、又は約425mg~約450mgであり得る。
【0103】
一態様では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、約300mg~約750mg(例えば、約450mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。C1D1は、例えば、IV又はSCで投与され得る。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0104】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約300mg~約750mg(例えば、約450mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0105】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約300mg~約750mg(例えば、約450mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0106】
例えば、前述の態様のいずれかにおいて、抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)及び/又は抗トリプターゼ抗体の任意の追加用量は、約300mg~約750mg、約300mg~約725mg、約300mg~約700mg、約300mg~約675mg、約300mg~約650mg、約300mg~約625mg、約300mg~約600mg、約300mg~約575mg、約300mg~約550mg、約300mg~約525mg、約300mg~約500mg、約300mg~約475mg、約300mg~約450mg、約300mg~約425mg、約300mg~約400mg、約300mg~約375mg、約300mg~約350mg、約300mg~約325mg、約325mg~約750mg、約325mg~約725mg、約325mg~約700mg、約325mg~約675mg、約325mg~約650mg、約325mg~約625mg、約325mg~約600mg、約325mg~約575mg、約325mg~約550mg、約325mg~約525mg、約325mg~約500mg、約325mg~約475mg、約325mg~約450mg、約325mg~約425mg、約325mg~約400mg、約325mg~約375mg、約325mg~約350mg、約350mg~約750mg、約350mg~約725mg、約350mg~約700mg、約350mg~約675mg、約350mg~約650mg、約350mg~約625mg、約350mg~約600mg、約350mg~約575mg、約350mg~約550mg、約350mg~約525mg、約350mg~約500mg、約350mg~約475mg、約350mg~約450mg、約350mg~約425mg、約350mg~約400mg、約350mg~約375mg、約375mg~約750mg、約375mg~約725mg、約375mg~約700mg、約375mg~約675mg、約375mg~約650mg、約375mg~約625mg、約375mg~約600mg、約375mg~約575mg、約375mg~約550mg、約375mg~約525mg、約375mg~約500mg、約375mg~約475mg、約375mg~約450mg、約375mg~約425mg、約375mg~約400mg、約400mg~約750mg、約400mg~約725mg、約400mg~約700mg、約400mg~約675mg、約400mg~約650mg、約400mg~約625mg、約400mg~約600mg、約400mg~約575mg、約400mg~約550mg、約400mg~約525mg、約400mg~約500mg、約400mg~約475mg、約400mg~約450mg、約400mg~約425mg、約425mg~約750mg、約425mg~約725mg、約425mg~約700mg、約425mg~約675mg、約425mg~約650mg、約425mg~約625mg、約425mg~約600mg、約425mg~約575mg、約425mg~約550mg、約425mg~約525mg、約425mg~約500mg、約425mg~約475mg、約425mg~約450mg、約450mg~約750mg、約450mg~約725mg、約450mg~約700mg、約450mg~約675mg、約450mg~約650mg、約450mg~約625mg、約450mg~約600mg、約450mg~約575mg、約450mg~約550mg、約450mg~約525mg、約450mg~約500mg、約450mg~約475mg、約475mg~約750mg、約475mg~約725mg、約475mg~約700mg、約475mg~約675mg、約475mg~約650mg、約475mg~約625mg、約475mg~約600mg、約475mg~約575mg、約475mg~約550mg、約475mg~約525mg、約475mg~約500mg、約500mg~約750mg、約500mg~約725mg、約500mg~約700mg、約500mg~約675mg、約500mg~約650mg、約500mg~約625mg、約500mg~約600mg、約500mg~約575mg、約500mg~約550mg、約500mg~約525mg、約525mg~約750mg、約525mg~約725mg、約525mg~約700mg、約525mg~約675mg、約525mg~約650mg、約525mg~約625mg、約525mg~約600mg、約525mg~約575mg、約525mg~約550mg、約550mg~約750mg、約550mg~約725mg、約550mg~約700mg、約550mg~約675mg、約550mg~約650mg、約550mg~約625mg、約550mg~約600mg、約550mg~約575mg、約575mg~約750mg、約575mg~約725mg、約575mg~約700mg、約575mg~約675mg、約575mg~約650mg、約575mg~約625mg、約575mg~約600mg、約600mg~約750mg、約600mg~約725mg、約600mg~約700mg、約600mg~約675mg、約600mg~約650mg、約600mg~約625mg、約625mg~約750mg、約625mg~約725mg、約625mg~約700mg、約625mg~約675mg、約625mg~約650mg、約650mg~約750mg、約650mg~約725mg、約650mg~約700mg、約650mg~約675mg、約675mg~約750mg、約675mg~約725mg、約675mg~約700mg、約700mg~約750mg、約700mg~約725mg、又は約725mg~約750mgであり得る。
【0107】
一態様では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、約450mg~約900mg(例えば、約750mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。C1D1は、例えば、IV又はSCで投与され得る。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0108】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約450mg~約900mg(例えば、約750mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0109】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約450mg~約900mg(例えば、約750mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0110】
例えば、前述の態様のいずれかにおいて、抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)及び/又は抗トリプターゼ抗体の任意の追加用量は、約450mg~約900mg、約450mg~約875mg、約450mg~約850mg、約450mg~約825mg、約450mg~約800mg、約450mg~約775mg、約450mg~約750mg、約450mg~約725mg、約450mg~約700mg、約450mg~約675mg、約450mg~約650mg、約450mg~約625mg、約450mg~約600mg、約450mg~約575mg、約450mg~約550mg、約450mg~約525mg、約450mg~約500mg、約450mg~約475mg、約475mg~約900mg、約475mg~約875mg、約475mg~約850mg、約475mg~約825mg、約475mg~約800mg、約475mg~約775mg、約475mg~約750mg、約475mg~約725mg、約475mg~約700mg、約475mg~約675mg、約475mg~約650mg、約475mg~約625mg、約475mg~約600mg、約475mg~約575mg、約475mg~約550mg、約475mg~約525mg、約475mg~約500mg、約500mg~約900mg、約500mg~約875mg、約500mg~約850mg、約500mg~約825mg、約500mg~約800mg、約500mg~約775mg、約500mg~約750mg、約500mg~約725mg、約500mg~約700mg、約500mg~約675mg、約500mg~約650mg、約500mg~約625mg、約500mg~約600mg、約500mg~約575mg、約500mg~約550mg、約500mg~約525mg、約500mg~約900mg、約500mg~約875mg、約500mg~約850mg、約500mg~約825mg、約500mg~約800mg、約500mg~約775mg、約500mg~約750mg、約500mg~約725mg、約500mg~約700mg、約500mg~約675mg、約500mg~約650mg、約500mg~約625mg、約500mg~約600mg、約500mg~約575mg、約500mg~約550mg、約500mg~約525mg、約525mg~約900mg、約525mg~約875mg、約525mg~約850mg、約525mg~約825mg、約525mg~約800mg、約525mg~約775mg、約525mg~約750mg、約525mg~約725mg、約525mg~約700mg、約525mg~約675mg、約525mg~約650mg、約525mg~約625mg、約525mg~約600mg、約525mg~約575mg、約525mg~約550mg、約550mg~約900mg、約550mg~約875mg、約550mg~約850mg、約550mg~約825mg、約550mg~約800mg、約550mg~約775mg、約550mg~約750mg、約550mg~約725mg、約550mg~約700mg、約550mg~約675mg、約550mg~約650mg、約550mg~約625mg、約550mg~約600mg、約550mg~約575mg、約575mg~約900mg、約575mg~約875mg、約575mg~約850mg、約575mg~約825mg、約575mg~約800mg、約575mg~約775mg、約575mg~約750mg、約575mg~約725mg、約575mg~約700mg、約575mg~約675mg、約575mg~約650mg、約575mg~約625mg、約575mg~約600mg、約600mg~約900mg、約600mg~約875mg、約600mg~約850mg、約600mg~約825mg、約600mg~約800mg、約600mg~約775mg、約600mg~約750mg、約600mg~約725mg、約600mg~約700mg、約600mg~約675mg、約600mg~約650mg、約600mg~約625mg、約625mg~約900mg、約625mg~約875mg、約625mg~約850mg、約625mg~約825mg、約625mg~約800mg、約625mg~約775mg、約625mg~約750mg、約625mg~約725mg、約625mg~約700mg、約625mg~約675mg、約625mg~約650mg、約650mg~約900mg、約650mg~約875mg、約650mg~約850mg、約650mg~約825mg、約650mg~約800mg、約650mg~約775mg、約650mg~約750mg、約650mg~約725mg、約650mg~約700mg、約650mg~約675mg、約675mg~約900mg、約675mg~約875mg、約675mg~約850mg、約675mg~約825mg、約675mg~約800mg、約675mg~約775mg、約675mg~約750mg、約675mg~約725mg、約675mg~約700mg、約700mg~約900mg、約700mg~約875mg、約700mg~約850mg、約700mg~約825mg、約700mg~約800mg、約700mg~約775mg、約700mg~約750mg、約700mg~約725mg、約725mg~約900mg、約725mg~約875mg、約725mg~約850mg、約725mg~約825mg、約725mg~約800mg、約725mg~約775mg、約725mg~約750mg、約750mg~約900mg、約750mg~約875mg、約750mg~約850mg、約750mg~約825mg、約750mg~約800mg、約750mg~約775mg、約775mg~約900mg、約775mg~約875mg、約775mg~約850mg、約775mg~約825mg、約775mg~約800mg、約800mg~約900mg、約800mg~約875mg、約800mg~約850mg、約800mg~約825mg、約825mg~約900mg、約825mg~約875mg、約825mg~約850mg、約850mg~約900mg、約850mg~約875mg、又は約875mg~約900mgであり得る。
【0111】
一態様では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体を投与することを含み、抗トリプターゼ抗体が投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが、約750mg~約1350mg(例えば、約900mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。C1D1は、例えば、IV又はSCで投与され得る。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0112】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約750mg~約1350mg(例えば、約900mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0113】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約750mg~約1350mg(例えば、約900mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0114】
例えば、前述の態様のいずれかにおいて、抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)及び/又は抗トリプターゼ抗体の任意の追加用量は、約750mg~約1350mg、約750mg~約1325mg、約750mg~約1300mg、約750mg~約1275mg、約750mg~約1250mg、約750mg~約1225mg、約750mg~約1200mg、約750mg~約1175mg、約750mg~約1150mg、約750mg~約1125mg、約750mg~約1100mg、約750mg~約1075mg、約750mg~約1050mg、約750mg~約1025mg、約750mg~約1000mg、約750mg~約975mg、約750mg~約950mg、約750mg~約925mg、約750mg~約900mg、約750mg~約875mg、約750mg~約850mg、約750mg~約825mg、約750mg~約800mg、約750mg~約775mg、約775mg~約1350mg、約775mg~約1325mg、約775mg~約1300mg、約775mg~約1275mg、約775mg~約1250mg、約775mg~約1225mg、約775mg~約1200mg、約775mg~約1175mg、約775mg~約1150mg、約775mg~約1125mg、約775mg~約1100mg、約775mg~約1075mg、約775mg~約1050mg、約775mg~約1025mg、約775mg~約1000mg、約775mg~約975mg、約775mg~約950mg、約775mg~約925mg、約775mg~約900mg、約775mg~約875mg、約775mg~約850mg、約775mg~約825mg、約775mg~約800mg、約800mg~約1350mg、約800mg~約1325mg、約800mg~約1300mg、約800mg~約1275mg、約800mg~約1250mg、約800mg~約1225mg、約800mg~約1200mg、約800mg~約1175mg、約800mg~約1150mg、約800mg~約1125mg、約800mg~約1100mg、約800mg~約1075mg、約800mg~約1050mg、約800mg~約1025mg、約800mg~約1000mg、約800mg~約975mg、約800mg~約950mg、約800mg~約925mg、約800mg~約900mg、約800mg~約875mg、約800mg~約850mg、約800mg~約825mg、約825mg~約1350mg、約825mg~約1325mg、約825mg~約1300mg、約825mg~約1275mg、約825mg~約1250mg、約825mg~約1225mg、約825mg~約1200mg、約825mg~約1175mg、約825mg~約1150mg、約825mg~約1125mg、約825mg~約1100mg、約825mg~約1075mg、約825mg~約1050mg、約825mg~約1025mg、約825mg~約1000mg、約825mg~約975mg、約825mg~約950mg、約825mg~約925mg、約825mg~約900mg、約825mg~約875mg、約825mg~約850mg、約850mg~約1350mg、約850mg~約1325mg、約850mg~約1300mg、約850mg~約1275mg、約850mg~約1250mg、約850mg~約1225mg、約850mg~約1200mg、約850mg~約1175mg、約850mg~約1150mg、約850mg~約1125mg、約850mg~約1100mg、約850mg~約1075mg、約850mg~約1050mg、約850mg~約1025mg、約850mg~約1000mg、約850mg~約975mg、約850mg~約950mg、約850mg~約925mg、約850mg~約900mg、約850mg~約875mg、約875mg~約1350mg、約875mg~約1325mg、約875mg~約1300mg、約875mg~約1275mg、約875mg~約1250mg、約875mg~約1225mg、約875mg~約1200mg、約875mg~約1175mg、約875mg~約1150mg、約875mg~約1125mg、約875mg~約1100mg、約875mg~約1075mg、約875mg~約1050mg、約875mg~約1025mg、約875mg~約1000mg、約875mg~約975mg、約875mg~約950mg、約875mg~約925mg、約875mg~約900mg、約900mg~約1350mg、約900mg~約1325mg、約900mg~約1300mg、約900mg~約1275mg、約900mg~約1250mg、約900mg~約1225mg、約900mg~約1200mg、約900mg~約1175mg、約900mg~約1150mg、約900mg~約1125mg、約900mg~約1100mg、約900mg~約1075mg、約900mg~約1050mg、約900mg~約1025mg、約900mg~約1000mg、約900mg~約975mg、約900mg~約950mg、約900mg~約925mg、約925mg~約1350mg、約925mg~約1325mg、約925mg~約1300mg、約925mg~約1275mg、約925mg~約1250mg、約925mg~約1225mg、約925mg~約1200mg、約925mg~約1175mg、約925mg~約1150mg、約925mg~約1125mg、約925mg~約1100mg、約925mg~約1075mg、約925mg~約1050mg、約925mg~約1025mg、約925mg~約1000mg、約925mg~約975mg、約925mg~約950mg、約950mg~約1350mg、約950mg~約1325mg、約950mg~約1300mg、約950mg~約1275mg、約950mg~約1250mg、約950mg~約1225mg、約950mg~約1200mg、約950mg~約1175mg、約950mg~約1150mg、約950mg~約1125mg、約950mg~約1100mg、約950mg~約1075mg、約950mg~約1050mg、約950mg~約1025mg、約950mg~約1000mg、約950mg~約975mg、約975mg~約1350mg、約975mg~約1325mg、約975mg~約1300mg、約975mg~約1275mg、約975mg~約1250mg、約975mg~約1225mg、約975mg~約1200mg、約975mg~約1175mg、約975mg~約1150mg、約975mg~約1125mg、約975mg~約1100mg、約975mg~約1075mg、約975mg~約1050mg、約975mg~約1025mg、約975mg~約1000mg、約1000mg~約1350mg、約1000mg~約1325mg、約1000mg~約1300mg、約1000mg~約1275mg、約1000mg~約1250mg、約1000mg~約1225mg、約1000mg~約1200mg、約1000mg~約1175mg、約1000mg~約1150mg、約1000mg~約1125mg、約1000mg~約1100mg、約1000mg~約1075mg、約1000mg~約1050mg、約1000mg~約1025mg、約1025mg~約1350mg、約1025mg~約1325mg、約1025mg~約1300mg、約1025mg~約1275mg、約1025mg~約1250mg、約1025mg~約1225mg、約1025mg~約1200mg、約1025mg~約1175mg、約1025mg~約1150mg、約1025mg~約1125mg、約1025mg~約1100mg、約1025mg~約1075mg、約1025mg~約1050mg、約1050mg~約1350mg、約1050mg~約1325mg、約1050mg~約1300mg、約1050mg~約1275mg、約1050mg~約1250mg、約1050mg~約1225mg、約1050mg~約1200mg、約1050mg~約1175mg、約1050mg~約1150mg、約1050mg~約1125mg、約1050mg~約1100mg、約1050mg~約1075mg、約1075mg~約1350mg、約1075mg~約1325mg、約1075mg~約1300mg、約1075mg~約1275mg、約1075mg~約1250mg、約1075mg~約1225mg、約1075mg~約1200mg、約1075mg~約1175mg、約1075mg~約1150mg、約1075mg~約1125mg、約1075mg~約1100mg、約1100mg~約1350mg、約1100mg~約1325mg、約1100mg~約1300mg、約1100mg~約1275mg、約1100mg~約1250mg、約1100mg~約1225mg、約1100mg~約1200mg、約1100mg~約1175mg、約1100mg~約1150mg、約1100mg~約1125mg、約1125mg~約1350mg、約1125mg~約1325mg、約1125mg~約1300mg、約1125mg~約1275mg、約1125mg~約1250mg、約1125mg~約1225mg、約1125mg~約1200mg、約1125mg~約1175mg、約1125mg~約1150mg、約1150mg~約1350mg、約1150mg~約1325mg、約1150mg~約1300mg、約1150mg~約1275mg、約1150mg~約1250mg、約1150mg~約1225mg、約1150mg~約1200mg、約1150mg~約1175mg、約1175mg~約1350mg、約1175mg~約1325mg、約1175mg~約1300mg、約1175mg~約1275mg、約1175mg~約1250mg、約1175mg~約1225mg、約1175mg~約1200mg、約1200mg~約1350mg、約1200mg~約1325mg、約1200mg~約1300mg、約1200mg~約1275mg、約1200mg~約1250mg、約1200mg~約1225mg、約1225mg~約1350mg、約1225mg~約1325mg、約1225mg~約1300mg、約1225mg~約1275mg、約1225mg~約1250mg、約1250mg~約1350mg、約1250mg~約1325mg、約1250mg~約1300mg、約1250mg~約1275mg、約1275mg~約1350mg、約1275mg~約1325mg、約1275mg~約1300mg、約1300mg~約1350mg、約1300mg~約1325mg、又は約1325mg~約1350mgであり得る。
【0115】
一態様では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、約900mg~約1800mg(例えば、約1350mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。C1D1は、例えば、IV又はSCで投与され得る。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0116】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約900mg~約1800mg(例えば、約1350mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0117】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約900mg~約1800mg(例えば、約1350mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0118】
例えば、前述の態様のいずれかにおいて、抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)及び/又は抗トリプターゼ抗体の任意の追加用量は、約900mg~約1800mg、約900mg~約1775mg、約900mg~約1750mg、約900mg~約1725mg、約900mg~約1700mg、約900mg~約1675mg、約900mg~約1650mg、約900mg~約1625mg、約900mg~約1600mg、約900mg~約1575mg、約900mg~約1550mg、約900mg~約1525mg、約900mg~約1500mg、約900mg~約1475mg、約900mg~約1450mg、約900mg~約1425mg、約900mg~約1400mg、約900mg~約1375mg、約900mg~約1350mg、約900mg~約1325mg、約900mg~約1300mg、約900mg~約1275mg、約900mg~約1250mg、約900mg~約1225mg、約900mg~約1200mg、約900mg~約1175mg、約900mg~約1150mg、約900mg~約1125mg、約900mg~約1100mg、約900mg~約1075mg、約900mg~約1050mg、約900mg~約1025mg、約900mg~約1000mg、約900mg~約975mg、約900mg~約950mg、約900mg~約925mg、約925mg~約1800mg、約925mg~約1775mg、約925mg~約1750mg、約925mg~約1725mg、約925mg~約1700mg、約925mg~約1675mg、約925mg~約1650mg、約925mg~約1625mg、約925mg~約1600mg、約925mg~約1575mg、約925mg~約1550mg、約925mg~約1525mg、約925mg~約1500mg、約925mg~約1475mg、約925mg~約1450mg、約925mg~約1425mg、約925mg~約1400mg、約925mg~約1375mg、約925mg~約1350mg、約925mg~約1325mg、約925mg~約1300mg、約925mg~約1275mg、約925mg~約1250mg、約925mg~約1225mg、約925mg~約1200mg、約925mg~約1175mg、約925mg~約1150mg、約925mg~約1125mg、約925mg~約1100mg、約925mg~約1075mg、約925mg~約1050mg、約925mg~約1025mg、約925mg~約1000mg、約925mg~約975mg、約925mg~約950mg、約950mg~約1800mg、約950mg~約1775mg、約950mg~約1750mg、約950mg~約1725mg、約950mg~約1700mg、約950mg~約1675mg、約950mg~約1650mg、約950mg~約1625mg、約950mg~約1600mg、約950mg~約1575mg、約950mg~約1550mg、約950mg~約1525mg、約950mg~約1500mg、約950mg~約1475mg、約950mg~約1450mg、約950mg~約1425mg、約950mg~約1400mg、約950mg~約1375mg、約950mg~約1350mg、約950mg~約1325mg、約950mg~約1300mg、約950mg~約1275mg、約950mg~約1250mg、約950mg~約1225mg、約950mg~約1200mg、約950mg~約1175mg、約950mg~約1150mg、約950mg~約1125mg、約950mg~約1100mg、約950mg~約1075mg、約950mg~約1050mg、約950mg~約1025mg、約950mg~約1000mg、約950mg~約975mg、約975mg~約1800mg、約975mg~約1775mg、約975mg~約1750mg、約975mg~約1725mg、約975mg~約1700mg、約975mg~約1675mg、約975mg~約1650mg、約975mg~約1625mg、約975mg~約1600mg、約975mg~約1575mg、約975mg~約1550mg、約975mg~約1525mg、約975mg~約1500mg、約975mg~約1475mg、約975mg~約1450mg、約975mg~約1425mg、約975mg~約1400mg、約975mg~約1375mg、約975mg~約1350mg、約975mg~約1325mg、約975mg~約1300mg、約975mg~約1275mg、約975mg~約1250mg、約975mg~約1225mg、約975mg~約1200mg、約975mg~約1175mg、約975mg~約1150mg、約975mg~約1125mg、約975mg~約1100mg、約975mg~約1075mg、約975mg~約1050mg、約975mg~約1025mg、約975mg~約1000mg、約1000mg~約1800mg、約1000mg~約1775mg、約1000mg~約1750mg、約1000mg~約1725mg、約1000mg~約1700mg、約1000mg~約1675mg、約1000mg~約1650mg、約1000mg~約1625mg、約1000mg~約1600mg、約1000mg~約1575mg、約1000mg~約1550mg、約1000mg~約1525mg、約1000mg~約1500mg、約1000mg~約1475mg、約1000mg~約1450mg、約1000mg~約1425mg、約1000mg~約1400mg、約1000mg~約1375mg、約1000mg~約1350mg、約1000mg~約1325mg、約1000mg~約1300mg、約1000mg~約1275mg、約1000mg~約1250mg、約1000mg~約1225mg、約1000mg~約1200mg、約1000mg~約1175mg、約1000mg~約1150mg、約1000mg~約1125mg、約1000mg~約1100mg、約1000mg~約1075mg、約1000mg~約1050mg、約1000mg~約1025mg、約1025mg~約1800mg、約1025mg~約1775mg、約1025mg~約1750mg、約1025mg~約1725mg、約1025mg~約1700mg、約1025mg~約1675mg、約1025mg~約1650mg、約1025mg~約1625mg、約1025mg~約1600mg、約1025mg~約1575mg、約1025mg~約1550mg、約1025mg~約1525mg、約1025mg~約1500mg、約1025mg~約1475mg、約1025mg~約1450mg、約1025mg~約1425mg、約1025mg~約1400mg、約1025mg~約1375mg、約1025mg~約1350mg、約1025mg~約1325mg、約1025mg~約1300mg、約1025mg~約1275mg、約1025mg~約1250mg、約1025mg~約1225mg、約1025mg~約1200mg、約1025mg~約1175mg、約1025mg~約1150mg、約1025mg~約1125mg、約1025mg~約1100mg、約1025mg~約1075mg、約1025mg~約1050mg、約1050mg~約1800mg、約1050mg~約1775mg、約1050mg~約1750mg、約1050mg~約1725mg、約1050mg~約1700mg、約1050mg~約1675mg、約1050mg~約1650mg、約1050mg~約1625mg、約1050mg~約1600mg、約1050mg~約1575mg、約1050mg~約1550mg、約1050mg~約1525mg、約1050mg~約1500mg、約1050mg~約1475mg、約1050mg~約1450mg、約1050mg~約1425mg、約1050mg~約1400mg、約1050mg~約1375mg、約1050mg~約1350mg、約1050mg~約1325mg、約1050mg~約1300mg、約1050mg~約1275mg、約1050mg~約1250mg、約1050mg~約1225mg、約1050mg~約1200mg、約1050mg~約1175mg、約1050mg~約1150mg、約1050mg~約1125mg、約1050mg~約1100mg、約1050mg~約1075mg、約1075mg~約1800mg、約1075mg~約1775mg、約1075mg~約1750mg、約1075mg~約1725mg、約1075mg~約1700mg、約1075mg~約1675mg、約1075mg~約1650mg、約1075mg~約1625mg、約1075mg~約1600mg、約1075mg~約1575mg、約1075mg~約1550mg、約1075mg~約1525mg、約1075mg~約1500mg、約1075mg~約1475mg、約1075mg~約1450mg、約1075mg~約1425mg、約1075mg~約1400mg、約1075mg~約1375mg、約1075mg~約1350mg、約1075mg~約1325mg、約1075mg~約1300mg、約1075mg~約1275mg、約1075mg~約1250mg、約1075mg~約1225mg、約1075mg~約1200mg、約1075mg~約1175mg、約1075mg~約1150mg、約1075mg~約1125mg、約1075mg~約1100mg、約1100mg~約1800mg、約1100mg~約1775mg、約1100mg~約1750mg、約1100mg~約1725mg、約1100mg~約1700mg、約1100mg~約1675mg、約1100mg~約1650mg、約1100mg~約1625mg、約1100mg~約1600mg、約1100mg~約1575mg、約1100mg~約1550mg、約1100mg~約1525mg、約1100mg~約1500mg、約1100mg~約1475mg、約1100mg~約1450mg、約1100mg~約1425mg、約1100mg~約1400mg、約1100mg~約1375mg、約1100mg~約1350mg、約1100mg~約1325mg、約1100mg~約1300mg、約1100mg~約1275mg、約1100mg~約1250mg、約1100mg~約1225mg、約1100mg~約1200mg、約1100mg~約1175mg、約1100mg~約1150mg、約1100mg~約1125mg、約1125mg~約1800mg、約1125mg~約1775mg、約1125mg~約1750mg、約1125mg~約1725mg、約1125mg~約1700mg、約1125mg~約1675mg、約1125mg~約1650mg、約1125mg~約1625mg、約1125mg~約1600mg、約1125mg~約1575mg、約1125mg~約1550mg、約1125mg~約1525mg、約1125mg~約1500mg、約1125mg~約1475mg、約1125mg~約1450mg、約1125mg~約1425mg、約1125mg~約1400mg、約1125mg~約1375mg、約1125mg~約1350mg、約1125mg~約1325mg、約1125mg~約1300mg、約1125mg~約1275mg、約1125mg~約1250mg、約1125mg~約1225mg、約1125mg~約1200mg、約1125mg~約1175mg、約1125mg~約1150mg、約1150mg~約1800mg、約1150mg~約1775mg、約1150mg~約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【0119】
一態様では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、約1350mg~約3600mg(例えば、約1800mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。C1D1は、例えば、IV又はSCで投与され得る。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0120】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約1350mg~約3600mg(例えば、約1800mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0121】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約1350mg~約3600mg(例えば、約1800mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0122】
例えば、前述の態様のいずれかにおいて、抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)及び/又は抗トリプターゼ抗体の任意の追加用量は、約1350mg~約3600mg、約1350mg~約3550mg、約1350mg~約3500mg、約1350mg~約3450mg、約1350mg~約3400mg、約1350mg~約3350mg、約1350mg~約3300mg、約1350mg~約3250mg、約1350mg~約3200mg、約1350mg~約3150mg、約1350mg~約3100mg、約1350mg~約3050mg、約1350mg~約3000mg、約1350mg~約2950mg、約1350mg~約2900mg、約1350mg~約2850mg、約1350mg~約2800mg、約1350mg~約2750mg、約1350mg~約2700mg、約1350mg~約2650mg、約1350mg~約2600mg、約1350mg~約2550mg、約1350mg~約2500mg、約1350mg~約2450mg、約1350mg~約2400mg、約1350mg~約2350mg、約1350mg~約2300mg、約1350mg~約2250mg、約1350mg~約2200mg、約1350mg~約2150mg、約1350mg~約2100mg、約1350mg~約2050mg、約1350mg~約2000mg、約1350mg~約1950mg、約1350mg~約1900mg、約1350mg~約1850mg、約1350mg~約1800mg、約1350mg~約1750mg、約1350mg~約1700mg、約1350mg~約1650mg、約1350mg~約1600mg、約1350mg~約1550mg、約1350mg~約1500mg、約1350mg~約1450mg、約1350mg~約1400mg、約1400mg~約3600mg、約1400mg~約3550mg、約1400mg~約3500mg、約1400mg~約3450mg、約1400mg~約3400mg、約1400mg~約3350mg、約1400mg~約3300mg、約1400mg~約3250mg、約1400mg~約3200mg、約1400mg~約3150mg、約1400mg~約3100mg、約1400mg~約3050mg、約1400mg~約3000mg、約1400mg~約2950mg、約1400mg~約2900mg、約1400mg~約2850mg、約1400mg~約2800mg、約1400mg~約2750mg、約1400mg~約2700mg、約1400mg~約2650mg、約1400mg~約2600mg、約1400mg~約2550mg、約1400mg~約2500mg、約1400mg~約2450mg、約1400mg~約2400mg、約1400mg~約2350mg、約1400mg~約2300mg、約1400mg~約2250mg、約1400mg~約2200mg、約1400mg~約2150mg、約1400mg~約2100mg、約1400mg~約2050mg、約1400mg~約2000mg、約1400mg~約1950mg、約1400mg~約1900mg、約1400mg~約1850mg、約1400mg~約1800mg、約1400mg~約1750mg、約1400mg~約1700mg、約1400mg~約1650mg、約1400mg~約1600mg、約1400mg~約1550mg、約1400mg~約1500mg、約1400mg~約1450mg、約1450mg~約3600mg、約1450mg~約3550mg、約1450mg~約3500mg、約1450mg~約3450mg、約1450mg~約3400mg、約1450mg~約3350mg、約1450mg~約3300mg、約1450mg~約3250mg、約1450mg~約3200mg、約1450mg~約3150mg、約1450mg~約3100mg、約1450mg~約3050mg、約1450mg~約3000mg、約1450mg~約2950mg、約1450mg~約2900mg、約1450mg~約2850mg、約1450mg~約2800mg、約1450mg~約2750mg、約1450mg~約2700mg、約1450mg~約2650mg、約1450mg~約2600mg、約1450mg~約2550mg、約1450mg~約2500mg、約1450mg~約2450mg、約1450mg~約2400mg、約1450mg~約2350mg、約1450mg~約2300mg、約1450mg~約2250mg、約1450mg~約2200mg、約1450mg~約2150mg、約1450mg~約2100mg、約1450mg~約2050mg、約1450mg~約2000mg、約1450mg~約1950mg、約1450mg~約1900mg、約1450mg~約1850mg、約1450mg~約1800mg、約1450mg~約1750mg、約1450mg~約1700mg、約1450mg~約1650mg、約1450mg~約1600mg、約1450mg~約1550mg、約1450mg~約1500mg、約1500mg~約3600mg、約1500mg~約3550mg、約1500mg~約3500mg、約1500mg~約3450mg、約1500mg~約3400mg、約1500mg~約3350mg、約1500mg~約3300mg、約1500mg~約3250mg、約1500mg~約3200mg、約1500mg~約3150mg、約1500mg~約3100mg、約1500mg~約3050mg、約1500mg~約3000mg、約1500mg~約2950mg、約1500mg~約2900mg、約1500mg~約2850mg、約1500mg~約2800mg、約1500mg~約2750mg、約1500mg~約2700mg、約1500mg~約2650mg、約1500mg~約2600mg、約1500mg~約2550mg、約1500mg~約2500mg、約1500mg~約2450mg、約1500mg~約2400mg、約1500mg~約2350mg、約1500mg~約2300mg、約1500mg~約2250mg、約1500mg~約2200mg、約1500mg~約2150mg、約1500mg~約2100mg、約1500mg~約2050mg、約1500mg~約2000mg、約1500mg~約1950mg、約1500mg~約1900mg、約1500mg~約1850mg、約1500mg~約1800mg、約1500mg~約1750mg、約1500mg~約1700mg、約1500mg~約1650mg、約1500mg~約1600mg、約1500mg~約1550mg、約1550mg~約3600mg、約1550mg~約3550mg、約1550mg~約3500mg、約1550mg~約3450mg、約1550mg~約3400mg、約1550mg~約3350mg、約1550mg~約3300mg、約1550mg~約3250mg、約1550mg~約3200mg、約1550mg~約3150mg、約1550mg~約3100mg、約1550mg~約3050mg、約1550mg~約3000mg、約1550mg~約2950mg、約1550mg~約2900mg、約1550mg~約2850mg、約1550mg~約2800mg、約1550mg~約2750mg、約1550mg~約2700mg、約1550mg~約2650mg、約1550mg~約2600mg、約1550mg~約2550mg、約1550mg~約2500mg、約1550mg~約2450mg、約1550mg~約2400mg、約1550mg~約2350mg、約1550mg~約2300mg、約1550mg~約2250mg、約1550mg~約2200mg、約1550mg~約2150mg、約1550mg~約2100mg、約1550mg~約2050mg、約1550mg~約2000mg、約1550mg~約1950mg、約1550mg~約1900mg、約1550mg~約1850mg、約1550mg~約1800mg、約1550mg~約1750mg、約1550mg~約1700mg、約1550mg~約1650mg、約1550mg~約1600mg、約1600mg~約3600mg、約1600mg~約3550mg、約1600mg~約3500mg、約1600mg~約3450mg、約1600mg~約3400mg、約1600mg~約3350mg、約1600mg~約3300mg、約1600mg~約3250mg、約1600mg~約3200mg、約1600mg~約3150mg、約1600mg~約3100mg、約1600mg~約3050mg、約1600mg~約3000mg、約1600mg~約2950mg、約1600mg~約2900mg、約1600mg~約2850mg、約1600mg~約2800mg、約1600mg~約2750mg、約1600mg~約2700mg、約1600mg~約2650mg、約1600mg~約2600mg、約1600mg~約2550mg、約1600mg~約2500mg、約1600mg~約2450mg、約1600mg~約2400mg、約1600mg~約2350mg、約1600mg~約2300mg、約1600mg~約2250mg、約1600mg~約2200mg、約1600mg~約2150mg、約1600mg~約2100mg、約1600mg~約2050mg、約1600mg~約2000mg、約1600mg~約1950mg、約1600mg~約1900mg、約1600mg~約1850mg、約1600mg~約1800mg、約1600mg~約1750mg、約1600mg~約1700mg、約1600mg~約1650mg、約1650mg~約3600mg、約1650mg~約3550mg、約1650mg~約3500mg、約1650mg~約3450mg、約1650mg~約3400mg、約1650mg~約3350mg、約1650mg~約3300mg、約1650mg~約3250mg、約1650mg~約3200mg、約1650mg~約3150mg、約1650mg~約3100mg、約1650mg~約3050mg、約1650mg~約3000mg、約1650mg~約2950mg、約1650mg~約2900mg、約1650mg~約2850mg、約1650mg~約2800mg、約1650mg~約2750mg、約1650mg~約2700mg、約1650mg~約2650mg、約1650mg~約2600mg、約1650mg~約2550mg、約1650mg~約2500mg、約1650mg~約2450mg、約1650mg~約2400mg、約1650mg~約2350mg、約1650mg~約2300mg、約1650mg~約2250mg、約1650mg~約2200mg、約1650mg~約2150mg、約1650mg~約2100mg、約1650mg~約2050mg、約1650mg~約2000mg、約1650mg~約1950mg、約1650mg~約1900mg、約1650mg~約1850mg、約1650mg~約1800mg、約1650mg~約1750mg、約1650mg~約1700mg、約1700mg~約3600mg、約1700mg~約3550mg、約1700mg~約3500mg、約1700mg~約3450mg、約1700mg~約3400mg、約1700mg~約3350mg、約1700mg~約3300mg、約1700mg~約3250mg、約1700mg~約3200mg、約1700mg~約3150mg、約1700mg~約3100mg、約1700mg~約3050mg、約1700mg~約3000mg、約1700mg~約2950mg、約1700mg~約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【0123】
一態様では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、約1800mg~約4000mg(例えば、約3600mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。C1D1は、例えば、IV又はSCで投与され得る。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0124】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約1800mg~約4000mg(例えば、約3600mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0125】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約1800mg~約4000mg(例えば、約3600mg)の抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0126】
例えば、前述の態様のいずれかにおいて、抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)及び/又は抗トリプターゼ抗体の任意の追加用量は、約1800mg~約4000mg、約1800mg~約3900mg、約1800mg~約3800mg、約1800mg~約3700mg、約1800mg~約3600mg、約1800mg~約3500mg、約1800mg~約3400mg、約1800mg~約3300mg、約1800mg~約3200mg、約1800mg~約3100mg、約1800mg~約3000mg、約1800mg~約2900mg、約1800mg~約2800mg、約1800mg~約2700mg、約1800mg~約2600mg、約1800mg~約2500mg、約1800mg~約2400mg、約1800mg~約2300mg、約1800mg~約2200mg、約1800mg~約2100mg、約1800mg~約2000mg、約1800mg~約1900mg、約1900mg~約4000mg、約1900mg~約3900mg、約1900mg~約3800mg、約1900mg~約3700mg、約1900mg~約3600mg、約1900mg~約3500mg、約1900mg~約3400mg、約1900mg~約3300mg、約1900mg~約3200mg、約1900mg~約3100mg、約1900mg~約3000mg、約1900mg~約2900mg、約1900mg~約2800mg、約1900mg~約2700mg、約1900mg~約2600mg、約1900mg~約2500mg、約1900mg~約2400mg、約1900mg~約2300mg、約1900mg~約2200mg、約1900mg~約2100mg、約1900mg~約2000mg、約2000mg~約4000mg、約2000mg~約3900mg、約2000mg~約3800mg、約2000mg~約3700mg、約2000mg~約3600mg、約2000mg~約3500mg、約2000mg~約3400mg、約2000mg~約3300mg、約2000mg~約3200mg、約2000mg~約3100mg、約2000mg~約3000mg、約2000mg~約2900mg、約2000mg~約2800mg、約2000mg~約2700mg、約2000mg~約2600mg、約2000mg~約2500mg、約2000mg~約2400mg、約2000mg~約2300mg、約2000mg~約2200mg、約2000mg~約2100mg、約2100mg~約4000mg、約2100mg~約3900mg、約2100mg~約3800mg、約2100mg~約3700mg、約2100mg~約3600mg、約2100mg~約3500mg、約2100mg~約3400mg、約2100mg~約3300mg、約2100mg~約3200mg、約2100mg~約3100mg、約2100mg~約3000mg、約2100mg~約2900mg、約2100mg~約2800mg、約2100mg~約2700mg、約2100mg~約2600mg、約2100mg~約2500mg、約2100mg~約2400mg、約2100mg~約2300mg、約2100mg~約2200mg、約2200mg~約4000mg、約2200mg~約3900mg、約2200mg~約3800mg、約2200mg~約3700mg、約2200mg~約3600mg、約2200mg~約3500mg、約2200mg~約3400mg、約2200mg~約3300mg、約2200mg~約3200mg、約2200mg~約3100mg、約2200mg~約3000mg、約2200mg~約2900mg、約2200mg~約2800mg、約2200mg~約2700mg、約2200mg~約2600mg、約2200mg~約2500mg、約2200mg~約2400mg、約2200mg~約2300mg、約2300mg~約4000mg、約2300mg~約3900mg、約2300mg~約3800mg、約2300mg~約3700mg、約2300mg~約3600mg、約2300mg~約3500mg、約2300mg~約3400mg、約2300mg~約3300mg、約2300mg~約3200mg、約2300mg~約3100mg、約2300mg~約3000mg、約2300mg~約2900mg、約2300mg~約2800mg、約2300mg~約2700mg、約2300mg~約2600mg、約2300mg~約2500mg、約2300mg~約2400mg、約2400mg~約4000mg、約2400mg~約3900mg、約2400mg~約3800mg、約2400mg~約3700mg、約2400mg~約3600mg、約2400mg~約3500mg、約2400mg~約3400mg、約2400mg~約3300mg、約2400mg~約3200mg、約2400mg~約3100mg、約2400mg~約3000mg、約2400mg~約2900mg、約2400mg~約2800mg、約2400mg~約2700mg、約2400mg~約2600mg、約2400mg~約2500mg、約2500mg~約4000mg、約2500mg~約3900mg、約2500mg~約3800mg、約2500mg~約3700mg、約2500mg~約3600mg、約2500mg~約3500mg、約2500mg~約3400mg、約2500mg~約3300mg、約2500mg~約3200mg、約2500mg~約3100mg、約2500mg~約3000mg、約2500mg~約2900mg、約2500mg~約2800mg、約2500mg~約2700mg、約2500mg~約2600mg、約2600mg~約4000mg、約2600mg~約3900mg、約2600mg~約3800mg、約2600mg~約3700mg、約2600mg~約3600mg、約2600mg~約3500mg、約2600mg~約3400mg、約2600mg~約3300mg、約2600mg~約3200mg、約2600mg~約3100mg、約2600mg~約3000mg、約2600mg~約2900mg、約2600mg~約2800mg、約2600mg~約2700mg、約2700mg~約4000mg、約2700mg~約3900mg、約2700mg~約3800mg、約2700mg~約3700mg、約2700mg~約3600mg、約2700mg~約3500mg、約2700mg~約3400mg、約2700mg~約3300mg、約2700mg~約3200mg、約2700mg~約3100mg、約2700mg~約3000mg、約2700mg~約2900mg、約2700mg~約2800mg、約2800mg~約4000mg、約2800mg~約3900mg、約2800mg~約3800mg、約2800mg~約3700mg、約2800mg~約3600mg、約2800mg~約3500mg、約2800mg~約3400mg、約2800mg~約3300mg、約2800mg~約3200mg、約2800mg~約3100mg、約2800mg~約3000mg、約2800mg~約2900mg、約2900mg~約4000mg、約2900mg~約3900mg、約2900mg~約3800mg、約2900mg~約3700mg、約2900mg~約3600mg、約2900mg~約3500mg、約2900mg~約3400mg、約2900mg~約3300mg、約2900mg~約3200mg、約2900mg~約3100mg、約2900mg~約3000mg、約3000mg~約4000mg、約3000mg~約3900mg、約3000mg~約3800mg、約3000mg~約3700mg、約3000mg~約3600mg、約3000mg~約3500mg、約3000mg~約3400mg、約3000mg~約3300mg、約3000mg~約3200mg、約3000mg~約3100mg、約3100mg~約4000mg、約3100mg~約3900mg、約3100mg~約3800mg、約3100mg~約3700mg、約3100mg~約3600mg、約3100mg~約3500mg、約3100mg~約3400mg、約3100mg~約3300mg、約3100mg~約3200mg、約3200mg~約4000mg、約3200mg~約3900mg、約3200mg~約3800mg、約3200mg~約3700mg、約3200mg~約3600mg、約3200mg~約3500mg、約3200mg~約3400mg、約3200mg~約3300mg、約3300mg~約4000mg、約3300mg~約3900mg、約3300mg~約3800mg、約3300mg~約3700mg、約3300mg~約3600mg、約3300mg~約3500mg、約3300mg~約3400mg、約3400mg~約4000mg、約3400mg~約3900mg、約3400mg~約3800mg、約3400mg~約3700mg、約3400mg~約3600mg、約3400mg~約3500mg、約3500mg~約4000mg、約3500mg~約3900mg、約3500mg~約3800mg、約3500mg~約3700mg、約3500mg~約3600mg、約3600mg~約4000mg、約3600mg~約3900mg、約3600mg~約3800mg、約3600mg~約3700mg、約3700mg~約4000mg、約3700mg~約3900mg、約3700mg~約3800mg、約3800mg~約4000mg、約3800mg~約3900mg、又は約3900mg~約4000mgであり得る。
【0127】
一態様では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、300mg、450mg、750mg、900mg、1350mg、1800mg、又は3600mgから選択される抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む方法が本明細書で提供される。C1D1は、例えば、静脈内(IV)又は皮下(SC)に(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与され得る。
【0128】
いくつかの態様では、本明細書に開示される用量のいずれかをIV投与することができる。注射(例えば、ボーラス注射)又は注入を含む、IV投与のための任意の適切なアプローチが使用され得る。いくつかの例では、抗トリプターゼ抗体を注入によってIV投与することができる。例えば、IV注入は、重力によって供給される圧力(例えば、点滴注入法)を使用してもよいし、ポンプ(例えば、輸液ポンプ)を使用してもよい。いくつかの例では、IV注入は連続的又は断続的であり得る。いくつかの例では、中心静脈カテーテル、末梢静脈カテーテル、末梢挿入中心カテーテル(PICC)、正中カテーテル、又は植込み型ポートをIV投与に使用することができる。いくつかの例では、抗トリプターゼ抗体は、ポンプを使用してIV投与され得る。任意の適切なポンプ、例えば、注入ポンプ(例えば、携帯型注入ポンプ又は固定式注入ポンプ)、シリンジポンプ、パッチポンプ、又は大容量ポンプ(LVP)をIV投与に使用することができる。
【0129】
他の態様では、本明細書に開示される用量のいずれかをSC投与することができる。注射(例えば、ボーラス注射)又は注入を含む、SC投与のための任意の適切なアプローチが使用され得る。例えば、抗トリプターゼ抗体は、ポンプ(例えば、パッチポンプ、シリンジポンプ(例えば、注入セットを備えるシリンジポンプ)、又は注入ポンプ(例えば、携帯型注入ポンプ又は固定式注入ポンプ))、プレフィルドシリンジ、ペン型注射器、又は自動注入装置を使用してSCに投与され得る。
【0130】
例えば、本明細書に開示される方法又は使用のいずれかにおいて、抗トリプターゼ抗体は、ポンプを使用してSC投与され得る。いくつかの例では、ポンプは、患者若しくは医療提供者(HCP)の利便性、改善された安全性プロファイル(例えば、薬物の作用機序又はIV関連感染のリスクに関して)、及び/又は併用療法のために使用され得る。任意の適切なポンプ、例えば、パッチポンプ、シリンジポンプ(例えば、注入セットを備えるシリンジポンプ)、注入ポンプ(例えば、携帯型注入ポンプ又は固定式注入ポンプ)、又はLVPを使用することができる。特定の例では、抗トリプターゼ抗体は、パッチポンプを使用してSC投与され得る。いくつかの例では、ポンプ(例えば、パッチポンプ)は、装着型又はオンボディ(on-body)ポンプ(例えば、装着型又はオンボディパッチポンプ)、例えば、Enable ENFUSE(登録商標)オンボディインフューサ又はWest SMARTDOSE(登録商標)装着型インジェクタ(例えば、West SMARTDOSE(登録商標)10装着型インジェクタ)であってもよい。他の例では、抗トリプターゼ抗体は、シリンジポンプ(例えば、注入セットを備えるシリンジポンプ)を使用してSC投与され得る。
【0131】
例えば、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、約300mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0132】
別の例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、約450mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0133】
更に別の例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、約750mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0134】
更なる例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、約900mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0135】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、約1350mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0136】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、約1800mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0137】
別の例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが、約3600mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む、方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0138】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは300mg、450mg、750mg、900mg、1350mg、1800mg、又は3600mgから選択される抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0139】
例えば、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約300mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0140】
別の例では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約450mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0141】
更に別の例では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約750mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0142】
更なる例では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約900mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0143】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約1350mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0144】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約1800mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0145】
別の例では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約3600mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0146】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは300mg、450mg、750mg、900mg、1350mg、1800mg、又は3600mgから選択される抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0147】
例えば、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは300mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0148】
別の例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは450mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0149】
更に別の例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは750mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0150】
更なる例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは900mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0151】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは1350mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0152】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは1800mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0153】
別の例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは3600mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0154】
本明細書に開示される態様のいずれかでは、投薬サイクルは、抗トリプターゼ抗体の1つ以上の追加用量を更に含み得る。投薬サイクルは、任意の適切な数の追加用量(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16 26、17、18、19、20、21、22、23、24、25、36、27、28、29、30、31、32、33、34、35、46、37、38、39、40、41、42、43、44、45、56、47、48、49、50、51、52、53、54、55、66、57、58、59、60、61、62、63、64、65、76、67、68、69、70、71、72、73、74、75、86、77、78、79、80、81、82、83、84、85、96、87、88、89、90、91、92、93、94、95、97、98、99、100、又はそれ以上の追加用量)の抗トリプターゼ抗体を含み得る。例えば、いくつかの態様では、投薬サイクルは第2の用量(C1D2)を含み得る。別の例では、いくつかの態様では、投薬サイクルは、C1D2及び第3の用量(C1D3)を含み得る。1つ以上の追加用量は、C1D1と等しいか又は等しくなくてもよい。例えば、いくつかの態様では、投薬サイクルは、抗トリプターゼ抗体の第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)を含み、C1D2及びC1D3はそれぞれC1D1に等しい。1つ以上の追加用量は、任意の適切な投与経路、例えば、IV又はSCによって(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与され得る。
【0155】
例えば、一態様では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3が300mg、450mg、750mg、900mg、1350mg、1800mg、又は3600mgから選択される、方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0156】
例えば、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3がそれぞれ300mgである方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0157】
別の例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3がそれぞれ450mgである方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0158】
更に別の例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3がそれぞれ750mgである方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0159】
更なる例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3がそれぞれ900mgである方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0160】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3がそれぞれ1350mgである方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0161】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3がそれぞれ1800mgである方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0162】
別の例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を投与することを含み、投薬サイクルが初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3がそれぞれ3600mgである方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0163】
別の態様では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3は300mg、450mg、750mg、900mg、1350mg、1800mg、又は3600mgから選択される。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0164】
例えば、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3はそれぞれ300mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0165】
別の例では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3はそれぞれ450mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0166】
更に別の例では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは約750mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0167】
更なる例では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3はそれぞれ900mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0168】
なお更なる例では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3はそれぞれ1350mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0169】
なお更なる例では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3はそれぞれ1800mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0170】
別の例では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3はそれぞれ3600mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0171】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2及びC1D3は、300mg、450mg、750mg、900mg、1350mg、1800mg、又は3600mgから選択される。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0172】
例えば、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2及びC1D3はそれぞれ300mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0173】
別の例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2及びC1D3はそれぞれ450mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0174】
更に別の例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2及びC1D3はそれぞれ750mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0175】
更なる例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2及びC1D3はそれぞれ900mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0176】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2及びC1D3はそれぞれ1350mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0177】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2及びC1D3はそれぞれ1800mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0178】
別の例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2及びC1D3はそれぞれ3600mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0179】
各投薬サイクルの用量は、任意の適切な時間間隔で対象に投与され得る。例えば、いくつかの態様では、投薬サイクルの用量は、4週間毎(q4w)に対象に投与される。
【0180】
例えば、一態様では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を300mgのIV、450mgのIV、750mgのSC、900mgのIV、1350mgのIV、1800mgのIV、又は3600mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に投与する工程を含む方法が本明細書で提供される。
【0181】
例えば、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を300mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に投与する工程を含む方法が本明細書で提供される。
【0182】
別の例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を450mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に投与する工程を含む方法が本明細書で提供される。
【0183】
更に別の例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))750mgのSCの用量で4週間毎(q4w)に投与する工程を含む方法が本明細書で提供される。
【0184】
更なる例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を900mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に投与する工程を含む方法が本明細書で提供される。
【0185】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を1350mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に投与する工程を含む方法が本明細書で提供される。
【0186】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を1800mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に投与する工程を含む方法が本明細書で提供される。
【0187】
別の例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を3600mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に投与する工程を含む方法が本明細書で提供される。
【0188】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)が本明細書で提供され、抗トリプターゼ抗体は、300mgのIV、450mgのIV、750mgのSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))、900mgのIV、1350mgのIV、1800mgのIV、又は3600mgのIVから選択される用量で4週間毎(q4w)に投与するためのものである。
【0189】
例えば、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)であって、300mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に喘息を有する患者に投与するための抗トリプターゼ抗体が本明細書で提供される。
【0190】
別の例では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)であって、450mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に喘息を有する患者に投与するための抗トリプターゼ抗体が本明細書で提供される。
【0191】
更に別の例では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)であって、750mgのSCの用量(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))で4週間毎(q4w)に喘息を有する患者に投与するための抗トリプターゼ抗体が本明細書で提供される。
【0192】
更なる例では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)であって、900mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に喘息を有する患者に投与するための抗トリプターゼ抗体が本明細書で提供される。
【0193】
なお更なる例では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)であって、1350mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に喘息を有する患者に投与するための抗トリプターゼ抗体が本明細書で提供される。
【0194】
なお更なる例では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)であって、1800mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に喘息を有する患者に投与するための抗トリプターゼ抗体が本明細書で提供される。
【0195】
別の例では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)であって、3600mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に喘息を有する患者に投与するための抗トリプターゼ抗体が本明細書で提供される。
【0196】
別の態様では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、喘息を有する患者に、4週間毎(q4w)に300mgのIV、450mgのIV、750mgのSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))、900mgのIV、1350mgのIV、1800mgのIV、又は3600mgのIVから選択される用量で投与するためのものである。
【0197】
例えば、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、喘息を有する患者に4週間毎(q4w)に300mgのIVの用量で投与するためのものである。
【0198】
別の例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、喘息を有する患者に4週間毎(q4w)に450mgのIVの用量で投与するためのものである。
【0199】
更に別の例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、喘息を有する患者に4週間毎(q4w)に750mgのSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))の用量で投与するためのものである。
【0200】
更なる例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、喘息を有する患者に4週間毎(q4w)に900mgのIVの用量で投与するためのものである。
【0201】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、喘息を有する患者に4週間毎(q4w)に1350mgのIVの用量で投与するためのものである。
【0202】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、喘息を有する患者に4週間毎(q4w)に1800mgのIVの用量で投与するためのものである。
【0203】
別の例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)の使用が本明細書で提供され、医薬は、喘息を有する患者に4週間毎(q4w)に3600mgのIVの用量で投与するためのものである。
【0204】
各投薬サイクルは、任意の適切な長さを有し得る。
【0205】
例えば、いくつかの態様では、各投薬サイクルは約57日間の長さを有し得る。
【0206】
各投薬サイクルの用量を、投薬サイクルの任意の適切な日(複数可)に投与することができる。例えば、いくつかの態様では、C1D1が投薬サイクルの1日目に投与され、C1D2が投薬サイクルの29日目に投与され、C1D3が投薬サイクルの57日目に投与される。
【0207】
他の態様では、投薬サイクルは約48週間の長さを有し得る。例えば、いくつかの態様では、投薬サイクルの用量は、48週間にわたって4週間毎(q4w)に投与される。例えば、いくつかの態様では、C1D1は投薬サイクルの0週目に投与され、C1D2は投薬サイクルの4週目に投与され、C1D3は投薬サイクルの8週目に投与され、C1D3は投薬サイクルの12週目に投与され、C1D4は投薬サイクルの16週目に投与され、C1D5は投薬サイクルの20週目に投与され、C1D6は投薬サイクルの24週目に投与され、C1D7は投薬サイクルの28週目に投与され、C1D8は投薬サイクルの32週目に投与され、C1D9は投薬サイクルの36週目に投与され、C1D10は投薬サイクルの40週目に投与され、C1D11は投薬サイクルの44週目に投与され、C1D12は投薬サイクルの48週目に投与される。
【0208】
本明細書に記載の投与レジメンは、任意の適切な数の投薬サイクルを含み得る。例えば、いくつかの態様では、投薬レジメンは、1つの投薬サイクルを含むか、又は1つの投薬サイクルからなる。他の態様では、投薬レジメンは、2つ以上の投薬サイクル(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれ以上の投薬サイクル)を含み得る。
【0209】
本開示の方法、使用のための組成物(例えば、使用のための抗トリプターゼ抗体)、及び使用は、任意の適切なタイプの喘息を治療するために使用され得る。例えば、いくつかの態様では、喘息は中等症の喘息である。いくつかの態様では、中等症の喘息は、標準治療にもかかわらず制御されていない。いくつかの態様では、喘息は重症喘息である。いくつかの態様では、重症喘息は標準治療にもかかわらず制御されていない。他の態様では、喘息はアレルギー性喘息である。他の態様では、喘息はアトピー性喘息である。
【0210】
いくつかの態様では、患者は、吸入コルチコステロイド療法及び/又は長期制御薬療法を受けている。いくつかの態様では、患者は吸入コルチコステロイド療法を受けている。いくつかの態様では、患者は、長期制御薬療法を受けている。いくつかの態様では、患者は、吸入コルチコステロイド療法及び長期制御薬療法を受けている。
【0211】
任意の適切な吸入コルチコステロイド(例えば、フルチカゾン、ムデソニド、モメタゾン、フルニソリド、ベクロメタゾン、又はシクレソニド)及び/又は長期制御薬(例えば、長時間作用型βアゴニスト(LABA)、ロイコトリエンモジュレータ(例えば、ロイコトリエン修飾薬(LTM)又はロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA))、長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)、長時間作用型テオフィリン製剤、又はそれらの組合せ)を使用してもよい。いくつかの態様では、患者は、毎日吸入コルチコステロイド療法及び以下の長期制御薬療法:LABA(例えば、サルメテロール、ホルモテロール、又はLABAと吸入コルチコステロイドとの組合せ(例えば、フルチカゾン及びサルメテロール、ブデソニド及びホルモテロール、モエタゾン及びホルモテロール、又はフルチカゾン及びビランテロール))、ロイコトリエンモジュレータ(例えば、LTM(例えば、モンテルカストナトリウム、ザフィルルカスト又はジロートン)又はLTRA(例えば、モンテルカスト又はザフィルルカスト))、LAMA(例えば、アクリジニウム、グリコピロニウム、チオトロピウム、又はウメクリジニウム)、又は長時間作用型テオフィリン製剤の少なくとも1つを受けている。
【0212】
いくつかの態様では、吸入されるコルチコステロイドは、100μgのプロピオン酸フルチカゾン又は同等物である。
【0213】
いくつかの態様では、患者はアレルゲン免疫療法を受けている。
【0214】
いくつかの態様では、患者は、維持経口コルチコステロイド(例えば、毎日又は1日おきに)を投与されている。
【0215】
いくつかの態様では、患者は全身コルチコステロイド(例えば、経口、IV又はIM全身コルチコステロイド)を投与されている。
【0216】
いくつかの態様では、患者は気管支サーモプラスティを受けている。
【0217】
いくつかの態様では、患者は、バイレベル気道陽圧治療を受けている。
【0218】
いくつかの態様では、患者は肥満細胞安定剤(例えば、クロモリン)を受けている。
【0219】
任意の適切な抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を、本明細書に記載の態様のいずれかで使用することができる。例えば、下記のIV欄、小項目Aに記載されている抗トリプターゼ抗体のいずれかを使用することができる。いくつかの態様では、抗トリプターゼ抗体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2018/148585号に記載されている任意の抗トリプターゼ抗体であり得る。
【0220】
例えば、抗トリプターゼ(例えば、抗トリプターゼベータ)抗体のいずれかは、以下の相補性決定領域(CDR)の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ全てを含み得る:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3。
【0221】
例えば、一態様では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼベータ抗体を投与することを含み、投薬サイクルが、300mgのIV、450mgのIV、750mgのSC、900mgのIV、1350mgのIV、1800mgのIV、又は3600mgのIVから選択される抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下の相補性決定領域(CDR):(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む方法が本明細書で提供される。
【0222】
例えば、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼベータ抗体を投与することを含み、投薬サイクルが、300mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む方法が本明細書で提供される。
【0223】
別の例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼベータ抗体を投与することを含み、投薬サイクルが、450mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む方法が本明細書で提供される。
【0224】
更に別の例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼベータ抗体を投与することを含み、投薬サイクルが、750mgのSCの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む方法が本明細書で提供される。
【0225】
更なる例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼベータ抗体を投与することを含み、投薬サイクルが、900mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む方法が本明細書で提供される。
【0226】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼベータ抗体を投与することを含み、投薬サイクルが、1350mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む方法が本明細書で提供される。
【0227】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼベータ抗体を投与することを含み、投薬サイクルが、1800mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む方法が本明細書で提供される。
【0228】
別の例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼベータ抗体を投与することを含み、投薬サイクルが、3600mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む方法が本明細書で提供される。
【0229】
別の態様では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼベータ抗体であって、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが、300mgのIV、450mgのIV、750mgのSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))、900mgのIV、1350mgのIV、1800mgのIV、又は3600mgのIVから選択される抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体が本明細書で提供される。
【0230】
例えば、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼベータ抗体であって、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが300mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体が本明細書で提供される。
【0231】
別の例では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼベータ抗体であって、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが450mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体が本明細書で提供される。
【0232】
更に別の例では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼベータ抗体であって、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが750mgのSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))の抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体が本明細書で提供される。
【0233】
更なる例では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼベータ抗体であって、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが900mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体が本明細書で提供される。
【0234】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼベータ抗体であって、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが1350mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体が本明細書で提供される。
【0235】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼベータ抗体であって、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが1800mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体が本明細書で提供される。
【0236】
別の例では、喘息を有する患者を治療するのに使用するための抗トリプターゼベータ抗体であって、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが3600mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体が本明細書で提供される。
【0237】
別の態様では、喘息を有する患者の治療のための医薬の製造における抗トリプターゼベータ抗体の使用であって、医薬が、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが、300mgのIV、450mgのIV、750mgのSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))、900mgのIV、1350mgのIV、1800mgのIV、又は3600mgのIVから選択される抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体の使用が本明細書で提供される。
【0238】
例えば、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼベータ抗体の使用であって、医薬が、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが300mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体の使用が本明細書で提供される。
【0239】
別の例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼベータ抗体の使用であって、医薬が、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが450mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体の使用が本明細書で提供される。
【0240】
更に別の例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼベータ抗体の使用であって、医薬が、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが750mgのSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))の抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体の使用が本明細書で提供される。
【0241】
更なる例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼベータ抗体の使用であって、医薬が、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが900mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体の使用が本明細書で提供される。
【0242】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼベータ抗体の使用であって、医薬が、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが1350mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体の使用が本明細書で提供される。
【0243】
なお更なる例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼベータ抗体の使用であって、医薬が、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが1800mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3の1、2、3、4、5、又は6つ全てを含む抗トリプターゼベータ抗体の使用が本明細書で提供される。
【0244】
別の例では、喘息を有する患者を治療するための医薬の製造における抗トリプターゼベータ抗体の使用であって、医薬が、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが3600mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体の初回用量(C1D1)を含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下のCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む抗トリプターゼベータ抗体の使用が本明細書で提供される。
【0245】
別の例では、喘息を有する患者を治療する方法であって、喘息を有する患者に、投薬サイクルを含む投薬レジメンで抗トリプターゼベータ抗体を投与することを含み、投薬サイクルが、1800mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体を患者に4週間毎(q4w)に投与することを含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下の6つのCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、方法が提供される。
【0246】
更に別の例では、喘息を有する患者の治療に使用するための抗トリプターゼベータ抗体であって、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり、投薬サイクルが、1800mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体を患者に4週間毎(q4w)に投与することを含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下の6つのCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、抗トリプターゼベータ抗体が本明細書で提供される。
【0247】
更なる例では、喘息を有する患者の治療のための医薬の製造における抗トリプターゼベータ抗体の使用であって、抗トリプターゼベータ抗体が、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に投与するためのものであり投薬サイクルが、1800mgのIVの抗トリプターゼベータ抗体を患者に4週間毎に(q4w)投与することを含み、抗トリプターゼベータ抗体が、以下の6つのCDR:(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、抗トリプターゼベータ抗体の使用が本明細書で提供される。
【0248】
本明細書に提供される態様のいずれかにおいて、抗体は、(a)配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)のVHドメイン及び(b)のVLドメインを含み得る。
【0249】
例えば、いくつかの態様では、抗体は、(a)配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメインを含み得る。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。
【0250】
別の例では、いくつかの態様では、抗体は、(b)配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメインを含み得る。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0251】
本明細書に記載される態様のいずれにおいても、VHドメインは配列番号7のアミノ酸配列を含み得、VLドメインは配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0252】
別の例では、本明細書に記載される態様のいずれかにおいて、抗体は、(a)配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する重鎖、及び(b)配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する軽鎖を含み得る。例えば、いくつかの態様では、抗体は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖、及び(b)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。
【0253】
別の例では、本明細書に記載される態様のいずれかにおいて、抗体は、(a)配列番号11のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する重鎖、及び(b)配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する軽鎖を含み得る。例えば、いくつかの態様では、抗体は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖、及び(b)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。
【0254】
本明細書に開示される態様のいずれかは、1つ以上の追加の治療薬を患者に投与することを含み得る。1つ以上の更なる治療薬は、喘息の標準治療であり得る。喘息のための任意の適切な標準治療、例えば吸入コルチコステロイド、長時間作用型ベータアゴニスト及び他の長期制御薬療法が使用され得る。当業者は、適切な標準治療を適宜選択することができるであろう。併用療法は、「相乗効果」を提供し、「相乗的」であることを証明し得、これは、すなわち、共に使用された活性成分が化合物を別々に使用することから生じる効果の総和を上回る場合に達成される効果である。相乗効果は、活性成分が、(1)複合単位用量製剤中で同時製剤化され、同時に投与又は送達されるか、(2)別個の製剤として交互に又は並行して送達されるか、あるいは(3)何らかの他のレジメンによるときに獲得され得る。併用投与としては、別個の製剤又は単一の薬学的製剤を使用する共投与、及びいずれかの順番での連続投与が挙げられ、好ましくは、両方の(又は全ての)活性剤が同時にその生物学的活性を発揮する時間があることが好ましい。交互療法で送達される場合、相乗効果は、例えば、別個のシリンジ中の異なる注射によって逐次的に投与又は送達されるときに獲得され得る。概して、交互療法の間、各活性成分の有効な投薬量は、逐次的に、すなわち、連続的に投与され、一方、併用療法においては、2つ以上の活性成分の有効な投薬量は、一緒に投与される。逐次的に投与される場合、組み合わせは、2つ以上の投与において投与される。
【0255】
上記のそのような併用療法は、併用投与(2つ以上の治療薬が同じ又は別個の製剤に含まれる)及び別個の投与を包含し、その場合、薬剤(例えば、抗トリプターゼ抗体)又はその医薬組成物の投与は、追加の治療薬(複数可)の投与の前、投与と同時及び/又は投与後に行うことができる。一態様では、薬剤(例えば、抗トリプターゼ抗体)又はその医薬組成物の投与、及び更なる治療薬の投与は、互いに、約1ヶ月以内;又は約1、2若しくは3週間以内;又は約1、2、3、4、5若しくは6日以内;又は約1、2、3、4、5、6、7、8若しくは9時間以内;又は約1、5、10、20、30、40若しくは50分以内に行われる。逐次投与を含む態様では、薬剤(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、追加の治療薬(複数可)の投与の前又は後に投与され得る。
【0256】
本明細書に記載される態様のいずれかにおいて、抗トリプターゼ抗体及び任意の追加の治療薬は、非経口、腹腔内、筋肉内、静脈内、皮内、経皮内、動脈内、傷害内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、髄腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、腹膜内、皮下、結膜下、膀胱内(intravesicularly)、粘膜内、心膜内、臍帯血内(intraumbilically)、眼内、眼窩内、経口、局所、経皮、硝子体内、眼周囲、結膜、テノン嚢下、前房内、網膜下、眼球後、視神経管内、吸入、注射、移植、注入、持続注入、局所灌流浴下の標的細胞により直接、カテーテル、洗浄、クリーム剤、又は脂質組成物を含む、任意の適した手段によって投与され得る。投与は、全身又は局所であり得る。加えて、アンタゴニストは、例えば漸減用量のアンタゴニストを用いて、脈注入によって好適に投与されても良い。
【0257】
本明細書に記載の任意の態様では、抗トリプターゼ抗体及び任意の追加の治療薬を静脈内投与することができる。
【0258】
本明細書に記載の態様のいずれかでは、抗トリプターゼ抗体及び任意の追加の治療薬は、皮下に(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与することができる。
【0259】
任意の治療薬、例えば抗トリプターゼ抗体、任意の更なる治療薬、又はそれらの医薬組成物は、臨床試験の実施の基準(good medical practice)と一致する様式で製剤化され、投薬され、投与されるであろう。抗トリプターゼ抗体の投与量を本明細書に開示する。追加の治療薬の投与量は、当該技術分野で公知である。これに関連して考慮すべき要因としては、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床症状、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療従事者に既知である他の要因が挙げられる。治療薬(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、問題の障害(例えば、喘息)を予防又は治療するために現在使用されている1つ以上の薬剤とともに製剤化される必要はないが、任意に製剤化される。このような他剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、疾患の種類又は治療等、上述した他の要因に依存する。これらは、一般に、本明細書に記載のものと同じ投薬量及び投与経路によって、又は本明細書に記載の投薬量の約1~99%、又は適切であると経験的/臨床的に判断される任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
【0260】
一例として、疾患の予防又は治療について、抗体の適切な投薬量は単独で、又は1つ以上の他の追加の治療薬と組み合わせて使用される場合、治療される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体が予防目的又は治療目的で投与されるかどうか、以前の療法、患者の病歴及び抗体への応答、並びに主治医の裁量に依存するだろう。本発明の抗体は、好適には、患者に一度に又は一連の治療にわたって投与される。疾患の種類及び重篤度に応じて、約1μg/kg~15mg/kg(例えば0.1mg/kg~10mg/kg)の抗体を、例えば、1回の又は複数回の別個の投与によるか、又は連続的な注入によるかにかかわらず、患者に投与するための初期の候補投薬量とすることができる。典型的な1日投薬量は、上述の因子に依存して、約1μg/kg~200mg/kgの範囲であってもよい。数日間又はそれ以上にわたる反復投与において、症状に応じ、治療は通常、疾患症候の所望の抑制が生じるまで続けられる。抗体の1つの例示的な投与量は、約0.05mg/kgから約10mg/kgの範囲であろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、又は10mg/kg(又はこれらの任意の組合せ)のうちの1つ以上の用量が、患者に投与され得る。例えば、用量は、1ヶ月に1回投与され得る。より高い初回負荷用量、それに続く1つ以上の量の少ない用量を投与してもよい。しかしながら、他の投薬レジメンが有用であってもよい。この療法の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易に監視される。いくつかの態様では、約50mg/mL~約200mg/mL(例えば、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL又は約200mg/mLの用量の抗体が投与され得る。
【0261】
IV.組成物及び医薬製剤
任意の適切な組成物(例えば、抗トリプターゼ抗体)又はその医薬製剤を、本明細書に記載の方法、使用のための組成物及び使用において使用することができる。本明細書に記載の方法、使用のための組成物及び使用に適した非限定的な例を以下に更に記載する。
【0262】
A.抗トリプターゼ抗体
任意の適切な抗トリプターゼ抗体を、本発明の方法、使用のための組成物及び使用において使用することができる。例えば、抗トリプターゼ抗体は、国際公開第2018/148585号に記載されている任意の抗トリプターゼ抗体であり得る。
【0263】
いくつかの態様では、抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)は、(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、若しくは6つ全てのCDR、又は1つ以上の上記CDRと、配列番号1~6のいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有する、1つ以上のその変異体との組合せを含むことができる。例えば、一句塚の態様では、抗トリプターゼ抗体は、(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0264】
いくつかの態様では、抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)は、(a)配列番号7のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号7のアミノ酸配列の配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)配列番号8のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号8のアミノ酸配列の配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)のVHドメイン及び(b)のVLドメインを含み得る。例えば、VHドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。特定の態様では、VHドメインは配列番号7のアミノ酸配列を含み、VLドメインは配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0265】
いくつかの態様では、抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)は、(a)配列番号9のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号9のアミノ酸配列の配列を含む重鎖、及び(b)配列番号10のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号10のアミノ酸配列の配列を含む軽鎖を含み得る。例えば、いくつかの態様では、抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖及び(b)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0266】
他の態様では、抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)は、(a)配列番号11のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号11のアミノ酸配列の配列を含む重鎖、及び(b)配列番号10のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、又は配列番号10のアミノ酸配列の配列を含む軽鎖を含み得る。例えば、いくつかの態様では、抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖及び(b)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0267】
いくつかの態様では、抗トリプターゼ抗体は、前述の抗体のいずれか1つと同じエピトープに結合する抗体である。いくつかの態様では、抗体が同じエピトープに結合するか、又はヒトトリプターゼベータ1への結合について競合するかは、エピトープビニングアッセイによって決定される。いくつかの態様では、エピトープビニングアッセイは、OCTET(登録商標)エピトープビニングアッセイ(例えば、国際公開第2018/148585号の実施例3のC欄に記載されるアッセイ等)である。いくつかの態様では、ヒトトリプターゼベータ1単量体タンパク質は、NHS-PEG 4-ビオチンと反応することによってLys残基でビオチン化される。ビオチン化モノマーをカイネティクス緩衝液(ForteBio,Inc.)で5μg/mlに希釈し、ストレプトアビジンセンサーチップ(ForteBio,Inc.)に固定化する。固定化工程の後、ヒトトリプターゼベータ1固定化センサーを第1の抗体で飽和させ、10~20μg/mlに希釈し、続いて2.5μg/mlに希釈した第2の抗体で結合させる。いくつかの態様では、エピトープビニングアッセイを30℃で実施する。
【0268】
いくつかの態様では、抗トリプターゼ抗体は、先行する抗体のいずれか1つと結合について競合するか、交差遮断するか、又はそれによって交差遮断される抗体である。
【0269】
本明細書に列挙した態様のいずれかで使用するための任意のそのような抗トリプターゼ抗体は、以下の1~7欄に記載されている特徴のいずれかを単独で又は組み合わせて有し得ることが明確に企図される。
【0270】
1.抗体親和性
特定の態様では、本明細書に提供される抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、≦1pM、又は≦0.1pM(例えば、10-6M以下、例えば、10-6M~10-9M以下、例えば、10-9M~10-13M以下)の解離定数(KD)を有する。例えば、いくつかの態様では、抗トリプターゼ抗体は、約100nM以下(例えば、100nM以下、10nM以下、1nM以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、又は0.1pM以下)のKDでトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えばヒトトリプターゼベータ)に結合する。いくつかの態様では、抗体は、10nM以下(例えば、10nM以下、1nm以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、又は0.1pM以下)のKDでトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えばヒトトリプターゼベータ)に結合する。いくつかの態様では、抗体は、1nM以下(例えば、1nm以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、又は0.1pM以下)のKDでトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えばヒトトリプターゼベータ)に結合する。いくつかの態様では、上記又は本明細書に記載される抗トリプターゼ抗体のいずれかは、約0.5nM又はそれ未満(例えば、0.5nm以下、400pM以下、300pM以下、200pM以下、100pM以下、50pM以下、25pM以下、10pM以下、1pM以下、又は0.1pM以下)のKDでトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えばヒトトリプターゼベータ)に結合する。いくつかの態様では、抗体は、約0.1nM~約0.5nM(例えば、約0.1nM、約0.2nM、約0.3nM、約0.4nM又は約0.5nM)のKDでトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えばヒトトリプターゼベータ)に結合する。いくつかの態様では、抗体は、約0.4nMのKDでトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えばヒトトリプターゼベータ)に結合する。いくつかの態様では、抗体は、約0.18nMのKDでトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えばヒトトリプターゼベータ)に結合する。本明細書に記載の他の抗体のいずれも、抗トリプターゼ抗体に関して上記の親和性でその抗原に結合し得る。
【0271】
一態様では、KDは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。一態様では、RIAは、目的の抗体及びその抗原のFabバージョンを用いて実施される。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、標識されていない抗原の滴定系列の存在下で、最小濃度の(125I)標識された抗原でFabを平衡化し、次いで、抗Fab抗体でコーティングされたプレートで結合した抗原を捕捉することによって測定される(例えば、Chen et al.J.Mol.Biol.293:865-881,1999を参照されたい)。アッセイのための条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸塩(pH9.6)中5μg/mlの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、続いて、室温(およそ23℃)で2~5時間、PBS中2%(w/v)のウシ血清アルブミンによってブロッキングする。非吸着性プレート(Nunc#269620)中で、100pM又は26pMの[125I]-抗原を、関心のあるFabの連続希釈物と混合する(例えば、Presta et al.Cancer Res.57:4593-4599,1997における抗VEGF抗体Fab-12の評価と一致する)。次いで、関心のあるFabを一晩インキュベートする;しかしながら、平衡に達することを達するために、インキュベーションをより長い期間(例えば、約65時間)継続してもよい。その後、混合物は、室温でのインキュベーションのためのキャプチャプレートに移される(例えば、1時間)。次いで、溶液を除去し、プレートを、PBS中の0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したときに、150μl/ウェルのシンチラント(MICROSCINT-20(商標);Packard)を添加し、プレートを10分間TOPCOUNT(商標)ガンマカウンター(Packard)でカウントする。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイでの使用のために選択する。
【0272】
別の態様によれば、KDは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000又はBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を用いたアッセイは、固定化抗原CM5チップを用いて25℃で約10応答単位(RU)で実施する。一態様では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)は、供給業者の指示に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化される。抗原を10mM酢酸ナトリウム、pH4.8で希釈し、5μl/分の流量で注入する前に5μg/ml(約0.2μM)に希釈して、結合タンパク質のおよそ10応答単位(RU)を達成する。抗原の注入後、1Mのエタノールアミンを注入して、未反応基をブロックする。動態測定のために、Fabの2倍連続希釈物(0.78nM~500nM)が、25℃の0.05%ポリソルベート20(TWEEN(登録商標)-20)界面活性剤を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(PBST)中におよそ25μL/分の流量で注入される。会合速度(kon)及び解離速度(koff)を、単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Softwareバージョン3.2版)を使用して、会合センサーグラム及び解離センサーグラムを同時に適合することによって、計算する。平衡解離定数(KD)は、比koff/konとして計算される。例えば、Chen et al.(J.Mol.Biol.293:865-881,1999)を参照されたい。上記の表面プラズモン共鳴アッセイによる会合速度が106M-1s-1を超える場合、会合速度は、ストップフローを備えた分光光度計(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを有する8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計で測定されるように、増加する抗原濃度の存在下、25℃で、PBS中20nMの抗-抗原抗体(Fab形態)(pH7.2)の蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nmバンドパス)の増加又は減少を測定する蛍光消光技術を使用して決定することができる。
【0273】
いくつかの態様において、KDは、BIACORE(登録商標)SPRアッセイを使用して測定される。いくつかの態様では、SPRアッセイは、BIAcore(登録商標)T200又は同等の装置を使用することができる。いくつかの態様では、BIAcore(登録商標)Series S CM5センサーチップ(又は同等のセンサーチップ)をモノクローナルマウス抗ヒトIgG(Fc)抗体で固定化し、続いて抗トリプターゼ抗体をフローセルに捕捉する。Hisタグ付きヒトトリプターゼベータ1モノマー(配列番号128)の連続3倍希釈液を30μl/分の流速で注入する。各試料を3分間の会合及び10分間の解離で分析する。アッセイは25℃で行う。各注入後、3M MgCl2を使用してチップを再生する。結合応答は、同様の密度で無関係なIgGを捕捉するフローセルから応答単位(RU)を減算することによって補正される。konとkoffの同時フィッティングの1:1ラングミュアモデルを動態解析に使用する。
【0274】
2.抗体断片
特定の態様では、本明細書で提供される抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は抗体断片である。抗体断片としては、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、及びscFv断片、及び以下に記載する他の断片が挙げられるがこれらに限定されない。特定の抗体断片の総説としては、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFv断片の参照には、例えばPluckthuenのThe Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたい;また、国際公開第93/16185号を参照されたい;及び米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、in vivo半減期が長くなったFab及びF(ab’)2断片の説明については、米国特許第5,869,046号を参照のこと。
【0275】
ダイアボディは、二価又は二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、欧州特許第404,097号、国際公開第1993/01161号、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134,2003;及びHollinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448,1993を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディはまた、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134,2003においても説明されている。
【0276】
シングルドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全て又は一部又は軽鎖可変ドメインの全て又は一部を含む抗体断片である。特定の態様では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(例えば、米国特許第6,248,516号B1を参照されたい)。
【0277】
抗体断片は、本明細書に記載されているように、インタクトな抗体のタンパク質分解消化、及び組換え宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)又はファージ)による生産を含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製することができる。
3.キメラ抗体及びヒト化抗体
【0278】
特定の態様では、本明細書で提供される抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)はキメラ抗体である。特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855,1984)に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又はサル等の非ヒト霊長類に由来する可変領域)とヒト定常領域を含む。更なる例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のそれらから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
【0279】
特定の態様では、キメラ抗体はヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体が、親の非ヒト抗体の特異性及び親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低下させるためにヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、1つ以上の可変ドメインを含み、そのHVR(又はそれらの部分)は、非ヒト抗体に由来し、そのFR(又はそれらの部分)は、ヒト抗体配列に由来する。任意に、ヒト化抗体はまた、ヒト定常領域の少なくとも一部を含む。いくつかの態様では、ヒト化抗体におけるいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性又は親和性を復元又は向上させるために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基の由来となった抗体)に由来する対応する残基で置換される。
【0280】
ヒト化抗体及びその作製方法については、例えば、Almagro et al.Front.Biosci.13:1619-1633,2008で総説され、更に例えば、Riechmann et al.Nature 332:323-329,1988;Queen et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029-10033,1989;米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号;Kashmiri et al.Methods 36:25-34,2005(特異性決定領域(SDR)グラフトに関する記述);Padlan,Mol.Immunol.28:489-498,1991(「リサーフェシング」の記述);Dall’Acqua et al.Methods 36:43-60,2005(「FRシャフリング」の記述);and osbourn et al.Methods 36:61-68,2005 and Klimka et al.Br.J.Cancer,83:252-260,2000(FRシャフリングのための「誘導選択」アプローチの記述)に記載されている。
【0281】
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域には、以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない:「ベストフィット」法を用いて選択されたフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296,1993を参照されたい);軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285,1992;及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623,1993を参照されたい);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域又はヒト生殖細胞フレームワーク領域(例えば、Almagro et al.Front.Biosci.13:1619-1633,2008を参照されたい);並びにFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.J.Biol.Chem.272:10678-10684,1997 and Rosok et al.J.Biol.Chem.271:22611-22618,1996を参照されたい)。
【0282】
4.ヒト抗体
特定の態様では、本明細書で提供される抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)はヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で公知の様々な技術を使用して作製することができる。ヒト抗体は一般的に、van Dijk et al.Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74,2001及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459,2008に記載されている。
【0283】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答して、インタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製することができる。そのような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座に取って代わるか、又は染色体外に存在するか、又は動物の染色体にランダムに組み込まれるヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有する。そのようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般的に不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125,2005を参照されたい。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載する米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号;HUMAB(登録商標)技術を記載する米国特許第5,770,429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載する米国特許第7,041,870号;及び、VELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載する米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。このような動物によって生成されたインタクトな抗体からのヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、更に改変されてもよい。
【0284】
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法によっても作製することができる。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫細胞株及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.133:3001,1984;Brodeur et al.Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987);及びBoerner et al.J.Immunol.147:86,1991)を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体もまた、Li et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562,2006に記載されている。更なる方法は、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載する)、及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268,2006(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載する)を含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はまた、Vollmers et al.Histology and Histopathology 20(3):927-937,2005及びVollmers et al.Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology 27(3):185-91,2005にも記載されている。
【0285】
ヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても作製され得る。その後、そのような可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わせられ得る。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技術を以下に記載する。
【0286】
5.ライブラリ由来の抗体
抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、所望される活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリをスクリーニングするための様々な方法が当該技術分野で知られている。そのような方法については、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)で概説され、例えば、McCafferty et al.Nature 348:552-554,1990;Clackson et al.Nature 352:624-628,1991;Marks et al.J.Mol.Biol.222:581-597,1992;Marks et al.in Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003);Sidhu et al.J.Mol.Biol.338(2):299-310,2004;Lee et al.J.Mol.Biol.340(5):1073-1093,2004;Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472,2004;及びLee et al.J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132,2004に更に記載されている。
【0287】
ある特定のファージディスプレイ法では、VH及びVL遺伝子のレパートリは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別個にクローニングされ、ファージライブラリ中でランダムに再結合され、次いで、Winter et al.Ann.Rev.Immunol.,12:433-455,1994に記載されているように抗原結合ファージのスクリーニングを行うことができる。ファージは、典型的には、抗体断片を一本鎖Fv(scFv)断片又はFab断片のいずれかとしてディスプレイする。免疫源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。代替的に、ナイーブレパートリは、Griffiths et al.EMBO J.12:725-734,1993によって記載されているように、免疫化を行わずに、広範囲の非自己抗原及びまた自己抗原に対する抗体の単一の供給源を提供するために、(例えば、ヒトから)クローン化することができる。最後に、ナイーブライブラリを、Hoogenboom et al.J.Mol.Biol.,227:381-388,1992に記載されているように、幹細胞からの再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用して高度可変HVR3領域をコードさせ、in vitroで再配列を達成することによって、合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリについて記載する特許公報としては、例えば:米国特許第5,750,373号、並びに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
【0288】
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書ではヒト抗体又はヒト抗体断片とみなされる。
【0289】
6.多重特異性抗体
特定の態様では、本明細書で提供される抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。例えば、抗トリプターゼ抗体に関して、特定の態様では、二重特異性抗体はトリプターゼの2つの異なるエピトープに結合し得る。特定の態様では、結合特異性の一方はトリプターゼに対するものであり、他方は任意の他の抗原に対するものである(例えば、第2の生物学的分子)。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、トリプターゼの2つの異なるエピトープに結合してもよい。他の態様では、結合特異性の一方はトリプターゼに対するもの(例えば、ヒトトリプターゼ、例えばヒトトリプターゼベータ)であり、他方は任意の他の抗原に対するもの(例えば、第2の生物学的分子、例えば、IL-13、IL-4、IL-5、IL-17、IL-33、IgE、M1プライム、CRTH2又はTRPA)である。したがって、二重特異性抗体は、トリプターゼ及びIL-13;トリプターゼ及びIgE;トリプターゼ及びIL-4;トリプターゼ及びIL-5;トリプターゼ及びIL-17、又はトリプターゼ及びIL-33に対する結合特異性を有し得る。特に、二重特異性抗体は、トリプターゼ及びIL-13又はトリプターゼ及びIL-33に対する結合特異性を有し得る。他の特定の態様において、二重特異性抗体は、トリプターゼ及びIgEに対する結合特異性を有し得る。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片として調製され得る。
【0290】
多重特異性抗体を作製する技術には、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(Milstein et al.Nature 305:537,1983;国際公開第93/08829号;及びTraunecker et al.EMBO J.10:3655,1991を参照されたい)、及び「ノブ・イントゥ・ホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照されたい)が含まれるが、これらに限定されない。多重特異性抗体はまた、抗体Fcヘテロ二量体分子を作製するための静電ステアリング効果の操作(国際公開第2009/089004A1号);2つ以上の抗体又は断片の架橋(例えば、米国特許第4,676,980号明細書、及びBrennan et al.Science,229:81,1985を参照されたい);二重特異性抗体を作製するためのロイシンジッパーの使用(例えば、Kostelny et al.J.Immunol.,148(5):1547-1553,1992を参照されたい);二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術の使用(例えば、Hollinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448,1993を参照されたい);及び単鎖Fv(sFv)二量体の使用(例えば、Gruber et al.J.Immunol.152:5368,1994を参照されたい);及び例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60,1991に記載される三重特異性抗体の調製によっても作製され得る。
【0291】
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能性抗原結合部位を有する設計された抗体もまた、本明細書に含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576号A1を参照されたい)。
【0292】
本明細書の抗体又は断片はまた、トリプターゼに結合する抗原結合部位並びに別の異なる抗原(例えば、米国特許出願公開第2008/0069820号を参照されたい)を含む「二重作用(Dual Acting)Fab」又は「DAF」を含む。
【0293】
ノブ・イントゥ・ホール
多重特異性抗体を産生する方法としてのノブ・イントゥ・ホール(knobs-into-hole)の使用は、例えば、米国特許第5,731,168号、国際公開第2009/089004号、米国特許出願公開第2009/0182127号、米国特許出願公開第2011/0287009号、Marvin and Zhu,Acta Pharmacol.Sin.(2005)26(6):649-658、及びKontermann(2005)Acta Pharmacol.Sin.26:1-9に記載されている。簡潔な非限定的考察が、以下に提供される。
【0294】
「隆起」は、第1のポリペプチドの界面から突出し、したがって、隣接界面(すなわち、第2のポリペプチドの界面)の補償空洞内に位置付け可能となることで、例えば、ヘテロ多量体を安定させ、それによりホモ多量体形成よりもヘテロ多量体形成が好都合になる、少なくとも1つのアミノ酸側鎖を指す。隆起は、元の界面に存在し得るか、又は合成的に(例えば、界面をコードする核酸を改変することによって)導入され得る。いくつかの態様では、第1のポリペプチドの界面をコードする核酸は、隆起をコードするように変化する。これを達成するために、第1のポリペプチドの界面の少なくとも1つの「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基よりも大きい側鎖体積を有する少なくとも1つの「移入」アミノ酸残基をコードする核酸で置き換えられる。2つ以上の元の残基及び対応する移入残基が存在し得ることが理解される。様々なアミノ残基の側鎖体積は、例えば、米国特許出願公開第2011/0287009号の表1又は米国特許第7,642,228号の表1に示される。
【0295】
いくつかの態様では、隆起の形成のための移入残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びトリプトファン(W)から選択される天然に存在するアミノ酸残基である。いくつかの態様では、移入残基は、トリプトファン又はチロシンである。いくつかの態様では、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、トレオニン、又はバリン等の隆起の形成のための元の残基は、小さい側鎖体積を有する。例えば、米国特許第7,642,228号を参照されたい。
【0296】
「空洞」は、第2のポリペプチドの界面から凹んでおり、したがって、隣接する第1のポリペプチドの界面上の対応する隆起を収容する少なくとも1つのアミノ酸側鎖を指す。空洞は、元の界面に存在し得るか、又は合成的に(例えば、界面をコードする核酸を改変することによって)導入され得る。いくつかの態様では、第2のポリペプチドの界面をコードする核酸は、空洞をコードするように変化する。これを達成するために、第2のポリペプチドの界面の少なくとも1つの「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基よりも小さい側鎖体積を有する少なくとも1つの「移入」アミノ酸残基をコードするDNAで置き換えられる。残基2つ以上の元の残基及び対応する移入残基が存在し得ることが理解される。いくつかの態様では、空洞の形成のための移入残基は、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、及びバリン(V)から選択される天然に存在するアミノ酸残基である。いくつかの態様では、移入残基は、セリン、アラニン、又はトレオニンである。いくつかの態様では、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、又はトリプトファン等の空洞の形成のための元の残基は、大きい側鎖体積を有する。
【0297】
隆起は、空洞内で「位置付け可能」であり、これは、それぞれ、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの界面の隆起及び空洞の空間的位置、並びに隆起及び空洞の大きさが、界面での第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの正常な会合を著しく乱すことなく隆起が空洞内に位置し得るようなものであることを意味する。Tyr、Phe、及びTrp等の隆起は典型的には、界面の軸から垂直には延びず、好ましい立体構造を有さず、隆起と対応する空洞との整列は、いくつかの態様では、X線結晶学又は核磁気共鳴(NMR)によって得られるもの等の三次元構造に基づいて隆起/空洞の対をモデル化することに依存し得る。これは、当該技術分野で広く受け入れられている技術を使用して達成され得る。
【0298】
いくつかの態様では、IgG1定常領域内のノブ変異は、T366Wである。いくつかの態様では、IgG1定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vから選択される1つ以上の変異を含む。いくつかの態様では、IgG1定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vを含む。
【0299】
いくつかの態様では、IgG4定常領域内のノブ変異は、T366Wである。いくつかの態様では、IgG4定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vから選択される1つ以上の変異を含む。いくつかの態様では、IgG4定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vを含む。
【0300】
7.抗体変異体
特定の態様では、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列変異体が企図される。例えば、抗体構築物の結合親和性及び/又は阻害活性等の他の生物学的特性を改善することが望ましくあり得る。抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適正な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製されてもよい。このような修飾としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組合せは、最終的な構築物が所望の特性、例えば抗原結合性を有することを条件として、最終的な構成体に到達するために行うことができる。
【0301】
a)置換、挿入、及び欠失変異体
特定の態様では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換による変異導入のための目的の部位には、HVR(例えば、CDR)及びFRが含まれる。保存的置換は、表Aに「好ましい置換」の見出しの下で示される。より実質的な変化は、表Aに「例示的な置換」の見出しの下に示され、アミノ酸側鎖クラスを参照して以下に更に記載される。アミノ酸置換が目的とする抗体に導入され、生成物が所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の低減、又はADCC又はCDCの改善についてスクリーニングされ得る。
【表A】
【0302】
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従って分類され得る。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0303】
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴うであろう。
【0304】
ある種の置換変異体は、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを含む。一般的に、更なる研究のために選択された結果の変異体は、親抗体と比較して特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低下)において修飾(例えば、改善)を有し、及び/又は親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持しているであろう。例示的な置換型変異体は、例えば、本明細書に記載の技術等のファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を使用して簡便に生成され得る親和性成熟抗体である。要するに、1つ以上のHVR残基が変異され、変異体抗体がファージにディスプレイされ、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0305】
変更(例えば、置換)は、抗体親和性を改善するために、例えば、HVRにおいて行われてもよい。そのような改変は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196,2008を参照されたい)、及び/又は抗原と接触する残基内で行われ得、結果として得られる変異体VH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリからの構築及び再選択による親和性成熟化は、例えば、Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に記載されている。親和性成熟のいくつかの態様では、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指向性変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択される可変遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリが作製される。その後、このライブラリがスクリーニングされて、所望の親和性を有する任意の抗体変異体を特定する。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6個の残基)をランダム化する、HVR指向性アプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニン走査突然変異誘発又はモデリングを使用して、具体的に特定されてもよい。特にHVR-H3及びHVR-L3がしばしば標的とされる。
【0306】
特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗体の抗原に結合する能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のHVR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的変更(例えば、本明細書に提供される保存的置換)が、HVR中に作られてもよい。そのような変化は、例えば、HVR内の抗原接触残基の外側であり得る。上述の変異体VH及びVL配列の特定の態様では、各HVRは、改変されていないか、又は1つ、2つ、又は3つ以下のアミノ酸置換を有するかのいずれかである。
【0307】
変異導入の標的とし得る抗体の残基又は領域の同定のための有用な方法は、Cunningham et al.Science 244:1081-1085,1989に記載されるように、「アラニンスキャニング変異導入」と呼ばれる。この方法では、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、残基又は標的残基群(例えば、帯電した残基、例えば、Arg、Asp、His、Lys及びGlu)が同定され、中性又は負に帯電したアミノ酸(例えば、Ala又はポリアラニン)によって置き換えられる。更なる置換が、初期置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入されてもよい。あるいは、又は加えて、抗体と抗原との間の接点を特定するための抗原-抗体複合体の結晶構造。そのような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的とされるか、又は除去されてもよい。変異体を、所望の特性を有するか否かを判定するためにスクリーニングしてもよい。
【0308】
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに1個又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体には、抗体のN末端又はC末端と酵素(例えば、ADEPTの場合)又は抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドとの融合が含まれる。
【0309】
b)グリコシル化変異体
特定の態様では、本明細書で提供される抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少させるように改変される。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作り出されるか、又は除去されるようにアミノ酸配列を改変させることにより好都合に達成され得る。
【0310】
抗体がFc領域を含む場合、それに結合した炭水化物が改変され得る。哺乳動物細胞によって産生された天然抗体は、典型的には、N結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26-32,1997を参照されたい。オリゴ糖には、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、並びに二分岐型オリゴ糖構造の「幹」のGlcNAcに結合したフコースが含まれ得る。いくつかの態様では、本発明の抗体中のオリゴ糖の修飾が、特定の改良された特性を有する抗体変異体を生成するために行われてもよい。
【0311】
一態様では、Fc領域に結合した(直接的に又は間接的に)フコースを欠く炭水化物構造を有する抗体変異体が提供される。このような抗体中のフコースの量は、例えば、1%~80%、1%~65%、5%~65%、又は20%~40%であってもよい。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI-TOF質量分析法によって測定されたように、Asn297(例えば、複合体構造、ハイブリッド構造、及び高マンノース構造)に付着した全ての糖鎖構造の合計に対するAsn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297とは、Fc領域内の約297位(Fc領域残基のEuナンバリング)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297は、抗体内のわずかな配列変異のため、297位から約±3アミノ酸上流又は下流に、すなわち、294位と300位との間に位置し得る。このようなフコシル化変異体は、ADCCの機能を改善している可能性がある。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号、同第2004/0093621号を参照されたい。「脱フコシル化」又は「フコース欠乏」抗体変異体に関する刊行物の例としては以下:米国特許出願公開第2003/0157108号;国際公開第2000/61739号;同第2001/29246号;米国特許出願公開第2003/0115614号;同第2002/0164328号;同第2004/0093621号;同第2004/0132140号;同第2004/0110704号;同第2004/0110282号;同第2004/0109865号;国際公開第2003/085119号;同第2003/084570号;同第2005/035586号;同第2005/035778号;同第2005/053742号;同第2002/031140号;Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249,2004;Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614,2004が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化を欠損するLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545,1986;米国特許出願公開第2003/0157108号;及び国際公開第2004/056312号A1、特に実施例11)、及びα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614,2004;Kanda et al.Biotechnol.Bioeng.94(4):680-688,2006、及び国際公開第2003/085107号)等のノックアウト細胞株を挙げることができる。
【0312】
例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている二分オリゴ糖を有する抗体変異体が更に提供される。そのような抗体変異体は、低減されたフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有していてもよい。かかる抗体変異体の例は、例えば国際公開第2003/011878号;米国特許第6,602,684号;及び米国特許出願公開第2005/0123546号に記載される。Fc領域に付着したオリゴ糖の少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体変異体も提供される。そのような抗体変異体は、CDCの機能を改善している可能性がある。かかる抗体変異体は、例えば、国際公開第1997/30087号、同第1998/58964号、及び同第1999/22764号に記載されている。
【0313】
c)Fc領域変異体
特定の態様では、1つ以上のアミノ酸修飾を本明細書で提供される抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)のFc領域に導入し、それによってFc領域変異体を生成することができる。Fc領域変異体は、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0314】
特定の態様では、本発明は、全てではないが、いくつかのエフェクター機能を有することにより、in vivoでの抗体の半減期が重要ではあるが、特定のエフェクター機能(補体及びADCC等)が不要又は有害である用途に望ましい候補となる抗体変異体を企図する。CDC及び/又はADCC活性の低下/消失を確認するために、In vitro及び/又はin vivoの細胞毒性アッセイを実施することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を欠いている(そのため、ADCC活性を欠いている可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持することを確認することができる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞は、Fc(RIIIのみを発現するが、一方で単球は、Fc(RI、Fc(RII、及びFc(RIIIを発現する。造血細胞でのFcR発現は、Ravetch et al.Annu.Rev.Immunol.9:457-492,1991の464頁に記載の表3に概説されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:7059-7063,1986及びHellstrom et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:1499-1502,1985を参照されたい;米国特許第5,821,337号(Bruggemann et al.J.Exp.Med.166:1351-1361,1987を参照されたい)に記載される。あるいは、非放射性アッセイ法が用いられ得る(例えば、フローサイトメトリのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA;及びCYTOTOX 96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照されたい))。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。これに代えて、又はこれに加えて、目的の分子のADCC活性は、in vivoで、例えば、Clynes et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:652-656,1998に開示されるような動物モデルにおいて評価されてもよい。また、抗体がC1qに結合することができず、CDC活性を欠いていることを確認するために、C1q結合アッセイを実施してもよい。例えば、国際公開第2006/029879号及び同第2005/100402号のC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを実施してもよい(例えば、Gazzano-Santoro et al.J.Immunol.Methods 202:163,1996;Cragg et al.Blood 101:1045-1052,2003;及びCragg et al.Blood 103:2738-2743,2004を参照されたい)。FcRn結合及びin vivoクリアランス/半減期決定も、当該技術分野で既知の方法を使用して行われ得る(例えば、Petkova et al.Intl.Immunol.18(12):1759-1769,2006を参照されたい)。
【0315】
エフェクター機能が低下した抗体としては、Fc領域の残基238、265、269、270、297、327及び329の1つ以上の置換を有する抗体が挙げられる(米国特許第6,737,056号)。かかるFc突然変異体としては、アミノ酸位置265、269、270、297及び327のうち2つ以上での置換を有するFc突然変異体が挙げられ、残基265及び297がアラニンに置換されている、いわゆる「DANA」Fc突然変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。
【0316】
FcRへの結合が改善又は減少した特定の抗体変異体が記載されている。(例えば、米国特許第6,737,056号;国際公開第2004/056312号,及びShields et al.J.Biol.Chem.9(2):6591-6604,2001を参照されたい。)
【0317】
特定の態様では、抗体変異体は、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、及び/又は334位(残基のEUナンバリング)での置換を有するFc領域を含む。
【0318】
いくつかの態様では、例えば米国特許第6,194,551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184,2000に記載されているように、C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)の変化(すなわち、向上又は低下のいずれか)をもたらすFc領域内で変化が起こる。
【0319】
半減期が増大し、胎生Fc受容体(FcRn)への結合が向上した、母体IgGを胎児に移行する役割を果たす抗体(Guyer et al.J.Immunol.117:587,1976及びKim et al.J.Immunol.24:249,1994)は、米国特許出願公開第2005/0014934号に記載されている。それらの抗体は、Fc領域とFcRnとの結合を改善する1つ以上の置換をその中に有するFc領域を含む。このようなFc変異体としては、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434のうちの1つ以上での置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有する変異体を含む(米国特許第7,371,826号)。
【0320】
Fc領域変異体の他の例に関して、Duncan et al.Nature 322:738-40,1988、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及び国際公開第94/29351号も参照されたい。
【0321】
d)システイン操作抗体変異体
特定の態様では、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されているシステイン操作された抗体、例えば、「thioMAb」を作製することが望ましい場合がある。特定の態様では、置換された残基は、抗体の利用しやすい部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基は、それによって抗体のアクセス可能な部位に配置され、本明細書に更に記載されるように、抗体を薬物部位又はリンカー薬物部位等のような他の部位に複合して免疫複合体を作成するために使用することができる。特定の態様では、任意の1つ以上の以下の残基をシステインで置換してよい:軽鎖のV205(Kabatナンバリング)、重鎖のA118(EUナンバリング)、及び重鎖Fc領域のS400(EUナンバリング)。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されるように生成され得る。
【0322】
e)抗体誘導体
特定の態様では、本明細書に提供される抗体は、当該技術分野で既知であり、容易に入手可能な追加の非タンパク質性部分を含有するように更に修飾してもよい。抗体の誘導体化に適した部位としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、限定するものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、並びにそれらの混合物が挙げられる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。このポリマーは、任意の分子量を有していてもよい、分岐していてもよい、又は分岐していなくてもよい。抗体に接続するポリマーの数は、様々であってもよく、2つ以上のポリマーが接続する場合、ポリマーは、同じ分子であってもよく、又は異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又はタイプは、改善されるべき抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が定義された条件下にてある療法で使用されるか等を含むが、これらに限定されない考慮すべき事項に基づいて決定され得る。
【0323】
別の態様では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る抗体と非タンパク質性部分との抱合体が提供される。一態様では、非タンパク質性部分はカーボンナノチューブである(Kam et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600-11605,2005)。放射線は、任意の波長であってもよく、通常の細胞に害を与えないが、抗体非保護性部位に近位の細胞が死滅する温度まで非保護性部位を加熱する波長を含むが、これらに限定されない。
【0324】
B.医薬製剤
本開示に従って使用される治療薬(例えば、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体のいずれかを含む抗トリプターゼ抗体)を含む治療製剤は、所望の純度を有する治療薬(複数可)を、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態の任意の薬学的に許容され得る担体、賦形剤、又は安定剤と混合することによって、貯蔵用に調製される。製剤に関する一般的な情報については、例えば、Gilman et al.(eds.)The Pharmacological Bases of Therapeutics,8th Ed.,Pergamon Press,1990;A.Gennaro(ed.),Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.,Pennsylvania,1990;Avis et al.(eds.)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dekker,New York,1993;Lieberman et al.(eds.)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets Dekker,New York,1990;Lieberman et al.(eds.),Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems Dekker,New York,1990;及びWalters(ed.)Dermatological and Transdermal Formulations(Drugs and the Pharmaceutical Sciences),Vol.119,Marcel Dekker,2002を参照されたい。
【0325】
許容され得る担体、賦形剤、又は安定剤は、レシピエントに対し、使用される用量及び濃度で非毒性であり、これらにはリン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸等の緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジン等のアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);並びに/又はTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、若しくはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0326】
本明細書の製剤は、2つ以上の活性化合物、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものも含有し得る。かかる医薬の種類及び有効量は、例えば、製剤中に存在する治療薬(複数可)の量及び種類、並びに対象の臨床的パラメータに応じる。
【0327】
活性成分はまた、例えばコアセルベーション技法又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタチレート)マイクロカプセル中に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロ乳濁液、ナノ粒子、及びナノカプセル)中に、又はマクロ乳濁液中に取り込まれても良い。そのような技術が、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0328】
徐放性製剤を調製してもよい。徐放性調製物の好適な例としては、アンタゴニストを含有する固体の疎水性ポリマーの半透性マトリクスが挙げられ、このマトリクスは、成型品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態にある。徐放性マトリクスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγ-L-グルタミン酸エチルとのコポリマー、非分解性エチレン酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)等の分解性の乳酸-グリコール酸コポリマー(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドから構成される注射用ミクロスフェア)、並びにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0329】
in vivo投与に使用される製剤は、滅菌されなければならない。これは、滅菌濾過膜による濾過により容易に達成される。
【0330】
V.製造品及びキット
別の態様では、本明細書に記載される方法及び使用に有用な物質を含有する製品又は「キット」が提供される。製品は、本明細書で提供される任意の組成物(例えば、抗トリプターゼ抗体又はその組成物(例えば、医薬組成物))を含み得る。製造品及びキットは、容器、及び容器上の又は容器に関連するラベル又は添付文書を含んでもよい。好適な容器としては、例えば瓶、バイアル、シリンジ、IV輸液バッグ等が挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成され得る。容器は、それ自体で、又は別の組成物との組合せで、障害(例えば、喘息)の治療、予防、及び/又は診断に有効である組成物を保持し得、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、静注溶液袋又は皮下注射針によって穿孔可能な栓を有するバイアルであり得る)。いくつかの態様では、本組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、抗トリプターゼ抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物が、選択される症状を治療するために使用されることを示す。製造品又はキットは、本明細書に記載される任意の組成物(例えば、医薬組成物)を含むことができる。製造品又はキットは、例えば抗トリプターゼ抗体又はその抗原結合断片の皮下投与のためのポンプ(例えば、パッチポンプ)を含み得る。本明細書に記載されている、又は当該技術分野で公知の任意の適切なポンプが含まれてもよい。
【0331】
例えば、本明細書に記載のいずれかの抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)及び本明細書に記載の任意の方法に従って重症喘息(例えば、標準治療にもかかわらず制御されないままである重症喘息)を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書を含むキットが本明細書で提供される。
【0332】
例えば、本明細書に記載のいずれかの抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは、300mg、450mg、750mg、900mg、1350mg、1800mg、又は3600mgから選択される抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0333】
例えば、本明細書に記載のいずれかの抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは300mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0334】
別の例では、本明細書に記載のいずれかの抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは450mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0335】
更に別の例では、本明細書に記載のいずれかの抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは750mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0336】
更なる例では、本明細書に記載のいずれかの抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは900mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0337】
なお更なる例では、本明細書に記載のいずれかの抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは1350mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0338】
なお更なる例では、本明細書に記載のいずれかの抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは1800mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0339】
別の例では、本明細書に記載のいずれかの抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは3600mgの抗トリプターゼ抗体の初回用量(C1D1)を含む。いくつかの態様では、C1D1はIV投与される。他の態様では、C1D1はSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0340】
本明細書に開示される態様のいずれかでは、投薬サイクルは、抗トリプターゼ抗体の1つ以上の追加用量を更に含み得る。投薬サイクルは、任意の適切な数の追加用量(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16 26、17、18、19、20、21、22、23、24、25、36、27、28、29、30、31、32、33、34、35、46、37、38、39、40、41、42、43、44、45、56、47、48、49、50、51、52、53、54、55、66、57、58、59、60、61、62、63、64、65、76、67、68、69、70、71、72、73、74、75、86、77、78、79、80、81、82、83、84、85、96、87、88、89、90、91、92、93、94、95、97、98、99、100、又はそれ以上の追加用量)の抗トリプターゼ抗体を含み得る。例えば、いくつかの態様では、投薬サイクルは第2の用量(C1D2)を含み得る。別の例では、いくつかの態様では、投薬サイクルは、C1D2及び第3の用量(C1D3)を含み得る。1つ以上の追加用量は、C1D1と等しいか又は等しくなくてもよい。例えば、いくつかの態様では、投薬サイクルは、抗トリプターゼ抗体の第2の用量(C1D2)及び第3の用量(C1D3)を含み、C1D2及びC1D3はそれぞれC1D1に等しい。1つ以上の追加用量は、任意の適切な投与経路を用いて投与され得る。例えば、1つ以上の追加用量は、IV又はSCで(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与され得る。
【0341】
例えば、一態様では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3は、300mg、450mg、750mg、900mg、1350mg、1800mg、又は3600mgから選択される。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0342】
例えば、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3はそれぞれ300mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0343】
別の例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3はそれぞれ450mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0344】
更に別の例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3はそれぞれ750mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0345】
更なる例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3はそれぞれ900mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0346】
なお更なる例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3はそれぞれ1350mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0347】
なお更なる例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3はそれぞれ1800mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0348】
別の例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、投薬サイクルを含む投薬レジメンで喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供され、投薬サイクルは初回用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)、及び第3の用量(C1D3)の抗トリプターゼ抗体を含み、C1D1、C1D2、及びC1D3はそれぞれ3600mgである。いくつかの態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3はIV投与される。他の態様では、C1D1、C1D2、及びC1D3は、SC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))投与される。
【0349】
各投薬サイクルの用量は、任意の適切な時間間隔で対象に投与され得る。例えば、いくつかの態様では、投薬サイクルの用量は、4週間毎(q4w)に対象に投与される。
【0350】
例えば、一態様では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、4週間毎(q4w)に300mgのIV、450mgのIV、750mgのSC(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))、900mgのIV、1350mgのIV、1800mgのIV、又は3600mgのIVの用量で抗トリプターゼ抗体を喘息を有する患者に投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供される。
【0351】
例えば、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、300mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供される。
【0352】
別の例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、450mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供される。
【0353】
更に別の例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、750mgのSCの用量で(例えば、ポンプによって(例えば、パッチポンプによって))4週間毎(q4w)に喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供される。
【0354】
更なる例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、900mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供される。
【0355】
なお更なる例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、1350mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供される。
【0356】
なお更なる例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、1800mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供される。
【0357】
別の例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)のいずれかと、3600mgのIVの用量で4週間毎(q4w)に喘息を有する患者に抗トリプターゼ抗体を投与するための説明書とを含むキットが本明細書で提供される。
【0358】
各投薬サイクルは、任意の適切な長さを有し得る。例えば、いくつかの態様では、各投薬サイクルは約57日間の長さを有し得る。
【0359】
各投薬サイクルの用量を、投薬サイクルの任意の適切な日(複数可)に投与することができる。例えば、いくつかの態様では、C1D1が投薬サイクルの1日目に投与され、C1D2が投薬サイクルの29日目に投与され、C1D3が投薬サイクルの57日目に投与される。
【0360】
本明細書に記載の投与レジメンは、任意の適切な数の投薬サイクルを含み得る。例えば、いくつかの態様では、投薬レジメンは、1つの投薬サイクルを含むか、又は1つの投薬サイクルからなる。他の態様では、投薬レジメンは、2つ以上の投薬サイクル(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれ以上の投薬サイクル)を含み得る。
【0361】
製造品及びキットは、任意の適切なタイプの喘息を治療するために使用され得る。例えば、いくつかの態様では、喘息は中等症の喘息である。いくつかの態様では、中等症の喘息は、標準治療にもかかわらず制御されていない。いくつかの態様では、喘息は重症喘息である。いくつかの態様では、重症喘息は標準治療にもかかわらず制御されていない。他の態様では、喘息はアレルギー性喘息である。他の態様では、喘息はアトピー性喘息である。
【0362】
いくつかの態様では、患者は、毎日吸入コルチコステロイド療法及び以下の長期制御薬療法:長時間作用型βアゴニスト(LABA)、ロイコトリエンモジュレータ、長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)又は長時間作用型テオフィリン製剤の少なくとも1つを受けている。
【0363】
いくつかの態様では、ロイコトリエンモジュレータは、ロイコトリエン修飾薬(LTM)又はロイコトリエンレセプターアンタゴニスト(LTRA)である。
【0364】
任意の適切な抗トリプターゼ抗体(例えば、抗トリプターゼベータ抗体)を、本明細書に記載の製造品及びキットのいずれかで使用することができる。例えば、上記のIV欄、小項目Aに記載されている抗トリプターゼ抗体のいずれかを使用することができる。いくつかの態様では、抗トリプターゼ抗体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2018/148585号に記載されている任意の抗トリプターゼ抗体であり得る。
【0365】
例えば、製造品又はキットのいずれかは、以下の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ全ての相補性決定領域(CDR):(a)DYGMV(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)RNYDDWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む抗トリプターゼ抗体を含み得る。
【0366】
本明細書に提供される態様のいずれかにおいて、抗体は、(a)配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)のVHドメイン及び(b)のVLドメインを含み得る。
【0367】
例えば、いくつかの態様では、抗体は、(a)配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメインを含み得る。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。
【0368】
別の例では、いくつかの態様では、抗体は、(b)配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメインを含み得る。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0369】
本明細書に記載される態様のいずれにおいても、VHドメインは配列番号7のアミノ酸配列を含み得、VLドメインは配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0370】
別の例では、本明細書に記載される態様のいずれかにおいて、抗体は、(a)配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する重鎖、及び(b)配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する軽鎖を含み得る。例えば、いくつかの態様では、抗体は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖、及び(b)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。
【0371】
別の例では、本明細書に記載される態様のいずれかにおいて、抗体は、(a)配列番号11のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する重鎖、及び(b)配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する軽鎖を含み得る。例えば、いくつかの態様では、抗体は、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖、及び(b)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。
【0372】
本明細書中に開示される製造品又はキットのいずれかは、1つ以上の更なる治療薬を含み得る。1つ以上の更なる治療薬は、喘息の標準治療であり得る。喘息のための任意の適切な標準治療、例えば吸入コルチコステロイド、長時間作用型ベータアゴニスト及び他の長期制御薬療法が含まれ得る。当業者は、適切な標準治療を適宜選択することができるであろう。
【実施例】
【0373】
以下の実施例は、本明細書で特許請求される発明を例示するために提供されるのであって、限定するものではない。
実施例1:健康成人対象における抗トリプターゼ抗体MTPS9579Aの単回及び複数回投与漸増試験での安全性、忍容性、薬物動態を評価し、薬力学的効果及び免疫原性を調べるための第I相単一施設無作為化観察者盲検プラセボ対照研究
【0374】
1.研究設計
GA40396は、男性及び女性の健康成人対象におけるMTPS9579Aの単回投与漸増試験(SAD;A部分)及び複数回投与漸増試験(MAD;B部分)の安全性、忍容性、薬物動態を評価し、PD効果及び免疫原性を調べるための第I相単一施設観察盲検プラセボ対照研究である。およそ114人の対象が研究に登録され、最大でおよそ88人の対象がMTPS9579Aを受けた。
図1は、研究設計の概要を示す。
【0375】
A.A部単回投与漸増試験(SAD)
A部は、漸増する単回用量の連続コホートを含んだ。合計で、約40人の対象を最初の5つのコホート、コホートA~Eで調べた。各コホートは8人の対象(有効成分6人:プラセボ2人)からなった。安全上の予防措置のため、全てのSADコホートはセンチネル投薬を使用した。各コホートの最初の2名の対象を、MTPS9579A又はプラセボのいずれかを受けるように無作為に割り当てた(各1名の対象)。臨床的に有意な安全性の懸念がない限り、それぞれのコホートの残りの対象に、センチネルペアの投薬の24時間後に投薬した。
【0376】
合計で約30人の対象が、コホートA~EにおいてMTPS9579Aによる積極的治療を受けた。しかしながら、入手可能なPK/PD及びSADコホートA~Eの安全性データの累積審査により、MTPS9579AのPK、PD、又は安全性プロファイルの更なる特性評価が必要であることが明らかになった場合、任意のコホートを追加することを可能にした。各任意のコホートの用量は、以前に評価された十分に忍容された用量レベルの2倍以下であり、投与された用量は、事前に指定された3600mgのIVの最大用量を超えなかった。更なる高用量を探索する提案は、これまでの予備的な安全性及び忍容性によって裏付けられた。最大用量を3600mg(IV)に増加させた。この用量レベルでは、60kg対象におけるMTPS9579Aの安全域は、優良試験所基準(GLP)3ヶ月反復用量カニクイザル研究において、最大濃度(Cmax)に基づいて2.3倍、曝露(AUCss)に基づいて1.2倍、又は試験された最高用量である100mg/kg IVの無毒性量(NOAEL)に基づく用量に基づいて1.7倍である。
【0377】
潜在的な対象をスクリーニングして、登録前35日以内に研究に参加する適格性を評価した。適格対象を研究に登録し、盲検様式でMTPS9579Aの単回のSC若しくはIV用量又はプラセボ対照(1日目)を受けるために無作為に割り当てた(全てのコホートについて6:2)(表1参照)。900mgのIVを超える用量を調査した任意のコホートに登録するためにスクリーニングする対象は、スクリーニング時に60kgの最小体重を有する必要があった。
【表1】
【0378】
対象は、-1日目にクリニックにチェックインする必要があり、2日目まで臨床施設に拘束される。その後、対象は、研究終了(85日目(±4日間))までのその後の来院時に必要なフォローアップ評価のため臨床研究ユニットに戻った。研究を早期に中止した対象は、試験薬投与後30(±3)日目の早期終了来院のためクリニックに戻るように求められ、試験薬投与後30日目から最後に予定された来院までの間に研究を中止した対象は、できるだけ早く早期終了来院のためにクリニックに戻るように求められた。
【0379】
B部での複数回投薬の開始前に、コホートA、B及びCからの29日目までの全ての利用可能な薬物動態(PK)及び安全性データの累積審査を行った。コホートEの後、利用可能なPK/PD、安全性、及び抗薬物抗体(ADA)データを再検討して、任意のSADコホートを投与すべきかどうか、及びどの用量を調査すべきかを決定した。
【0380】
B.B部:複数回投与漸増試験(MAD)
B部は、漸増する複数回投与の連続コホートを含んでいた。合計で、約30人の対象を3つの初期コホート、コホートF~Hで調べた。各コホートは10人の対象(有効成分8人:プラセボ2人)からなった。約24人の対象が、コホートF~HにおいてMTPS9579Aによる積極的治療を受けた。しかしながら、入手可能なPK、PD及びMADコホートF~H又は他の以前に投薬されたコホートの安全性データの累積審査により、MTPS9579AのPK、PD、又は安全性プロファイルの更なる特性評価が必要であることが明らかになった場合、任意のB部のコホートを追加することを可能にした。
【0381】
任意のB部のコホートにおける投薬は、静脈内又は皮下のいずれかに投与された。任意のB部コホートの投薬は、A部の全ての用量漸増コホートの完了後にのみ開始することを許可し、IV等価用量が、投与後少なくとも10日間追跡した対象でA部において十分に忍容されると決定されたことのみを条件とした。
【0382】
B部の任意のコホートに投与された用量は、表2に列挙されたものを超えてはならなかった。900mgのIV(又はSC用量当量)を超える用量を評価する任意のコホートは、スクリーニング時に少なくとも60kgの体重を有する対象にのみ投与することが許可された。
【0383】
複数回投与コホートの初回用量で新たな有害事象が観察されるとは予想されなかったことを考慮して、B部ではセンチネル投薬は実施されず、交互投与は有用な安全性情報を提供しない。各MADコホートの公称用量に関連する曝露(安全性及び忍容性と共に)は、A部で既に調査されている。
【0384】
潜在的な対象をスクリーニングして、登録前35日以内に研究に参加する適格性を評価した。適格対象を研究に登録し、盲検様式で合計3用量(1、29、57日目)のMTPS9579A又はプラセボ対照の用量を4週間毎(Q4W)に受けるように無作為に割り当てた(全コホートについて8:2)(表2を参照されたい)。B部への移行時のA部からの利用可能なPKデータに基づいて、各コホートに対してより低い用量を選択することを可能にした。例えば、予想される曝露よりも高い曝露がA部で観察された場合、B部に対してより低い用量を選択することを可能にした。
【表2】
【0385】
対象は、各投薬の1日前に臨床研究ユニットにチェックインする必要があり、投薬後1日まで臨床施設に拘束された。拘束期間とその後の研究終了(141日目(±4日間))までの間に、対象は必要なフォローアップ評価のために臨床研究ユニットに戻った。研究を早期に中止した対象は、試験薬投与後30(±3)日目の早期終了来院のためクリニックに戻るように求められ、試験薬投与後30日目から最後に予定された来院までの間に研究を中止した対象は、できるだけ早く早期終了来院のためにクリニックに戻るように求められた。第3のMADコホートに対する2回目の用量投与後、A部及びB部からの利用可能なPK/PD、安全性及びADAデータを検討して、任意のMADコホートを投与すべきかどうか、及びどの用量(複数可)を調査すべきかを決定した。
【0386】
C.用量漸増段階
約40人の対象がA部(SAD)コホートA~Eに登録され、約30人の対象がB部(MAD)コホートF~Hに登録された。追加の任意のコホートをA部及びB部で評価した。コホートを、以下に記載の用量漸増規則に従って漸増用量で治療した。A部の全てのSADコホートは、センチネル投薬を使用した。各コホートの最初の2名の対象を、MTPS9579A又はプラセボのいずれかを受けるように無作為に割り当てた(各1名の対象)。臨床的に有意な安全性の懸念がない限り、それぞれのコホートの残りの対象に、センチネルペアの投薬の24時間後に投薬した。
【0387】
各用量漸増の前に、全ての対象を、SADでの投薬後最低10日間、及びMADでの2回目の投薬後最低10日間、安全性について監視した。これは、計画されたコホート(A~H)及び任意のコホートの両方に当てはまる。次の用量に漸増する決定は、有害事象、バイタルサイン、及び臨床検査結果(並びに該当する場合はPK及び探索的PDデータ)を含む全ての利用可能な臨床データ及び安全性データを検討した後に決定された。
【0388】
患者を無作為化したが、治療とは無関係の理由で早期に中止された場合(例えば、追跡調査に失敗)、更なる患者を関連する治療コホートに割り当てることを可能にした。主要な安全性及び/又はPK評価のため活性薬物への十分な曝露を可能にするように、用量漸増安全性審査中にA部の8人までの追加の対象又はB部の10人の対象の追加コホートを加えることを可能にした。
【0389】
D.用量漸増規則
A部については、MTPS9579Aの開始用量は30mgのSCであった。用量は、300mgのSCの用量に達するまで、又は安全性閾値が観察されるまで、各連続コホートについて直前の用量レベルの3.33倍まで増加させた。300mgのSCの用量に達したら、A部の投与経路をIVに変更し、300mgのIVの用量を投与した。安全性事象が発生しなかった場合、IV用量を先行用量レベルの最大3倍(最大900mgのIV)増加させた。A部については、3600mgまでのIV用量を評価するために任意のコホートを追加した。900mgのIVを超える用量を探索する任意のコホートは、以前に投与された十分に忍容性の高い(IV)用量の2倍を超えなかった。PK、PD及び安全性の目的がまだ満たされていない場合、追加のSCコホートをA部に追加することも可能にした。SC用量は、IV投与された最高の忍容性用量に関連する曝露を超えない推定曝露を有していた。対象内用量漸増は許容されなかった。
【0390】
コホートCの後、A部からの利用可能な累積PK/PD及び安全性データを評価して、B部の開始を決定した。B部について、MTPS9579Aの開始用量は150mgのSC Q4W(コホートF)であった。コホートGは、300mgのSC Q4Wまでの用量を調査した。コホートHは、450mgのIV Q4W又は750mgのSC Q4Wまでの用量を調査した。安全性閾値が観察されず、PK及びPDの目的がまだ満たされていない場合、A部の全ての用量漸増コホートの完了後にのみ追加の任意のB部コホートを開始させ、1)IV等価用量が、投薬後少なくとも10日間追跡した対象でA部において十分に忍容されると決定された場合;及び2)IV等価用量が表2に示す用量を超えなかった場合に、静脈内又は皮下のいずれかで投与した。そのより低いバイオアベイラビリティのため、IV用量レベルに対するSC等価用量は、表2に示される公称IV用量を超えた。対象内用量漸増は許容されなかった。
【0391】
E.中止規則
対象は、以下のいずれかを経験した場合、研究の治療を恒久的に中止する必要があった:
● 治験責任医師又は治験依頼者が決定した任意の医学的症状は、対象が研究治療を受けることを継続した場合、対象の安全性を危険にさらす可能性がある。
● 重篤な有害事象(試験薬との関連性にかかわらず)
● 試験薬に関連する有害事象グレード3以上
● 治験責任医師又は治験依頼者が、対象にとって最も有益であると判断した場合
● ヘイの法則
● フリデリシアの式(QTcF)を使用して補正したQT間隔の変化がベースライン又は多形性心室頻拍(torsade de pointes)のエピソードから>500ms又は>60msの変化である
● 妊娠
● 試験薬に対する過敏症又はアナフィラキシー反応の疑い
● 同時疾病又は禁止薬の必要性
【0392】
試験薬物関連有害事象による対象離脱の場合、対象はフォローアップ手順を完了するものとする。試験薬関連有害事象又は研究の終了のために研究を早期に離脱又は中止した対象は、研究を完了したとみなされ、置き換えられなかった。
【0393】
F.コホート中止規則
コホートにおける全ての対象の投薬を、その発生がコホートにおける他の対象に対する顕著な安全性リスクが存在することを示唆したか、又は毒性の臨床的に顕著なパターンが複数の対象において明らかであった(個々の対象が有害事象のために中止されなかったとしても)任意の事象の場合に中止するものとした。さらに、以下が発生した場合、コホートにおける投薬を中止すべきであった:
● コホート内の他の対象が同様の薬物有害反応のリスクがあることを示すパターン(妊娠を除く)を示唆する同じコホート内の2名の対象について個別の中止規則が満たされた
● 有効なMTPS9579Aを投与された対象において生じる試験薬物に関連する重篤な有害事象
● 重症(グレード3以上)の有害事象、試験薬物に関連しているとみなされ、同じコホートにおいて活性MTPS9579Aを受けた2人以上の対象において生じる
【0394】
上記の中止規則がいずれかの時点で満たされた場合、そのコホートの全ての患者について投薬を中断する一方で、より低い公称用量でのコホートの継続又は開始を考慮するものとする。研究データを更に検討した後、中止規則が満たされなかったか、又は有害事象の明確な代替原因(複数可)が同定された(したがって、有害事象が試験薬と無関係であると判定された)と判定した場合、コホートの投薬を再開した。
【0395】
2.研究設計の理論的根拠
MTPS9579Aの効果を安全に評価するため、喘息を有する患者集団の代わりに健康ボランティアをこのFIH研究に選択した。患者ではなく健康ボランティアが以下の理由でこの研究に登録された:
● 健康ボランティアは、過敏反応等のMTPS9579Aに対する任意の予想外の反応に応答するための最良の全身の予備力を有するものとする。
● 患者は、MTPS9579A単独の安全性、忍容性、PKプロファイル、免疫原性及び探索的バイオマーカー効果を評価するという研究の目的を達成することができるように、標準治療を中止する必要があり得るため、この研究に参加していない。
【0396】
MTPS9579Aの提案された開始用量及び最大用量は、健康ボランティア及び喘息患者におけるトリプターゼ生物学の本発明者らの理解、MTPS9579Aの特性、作用機序、非臨床活性及び安全性、並びにトリプターゼを標的とする以前の臨床経験を含むデータ全体に基づいて選択された。概要:
● 活性トリプターゼは、炎症反応又はアレルギー反応中の活性化時にのみ肥満細胞から分泌される。四量体形態の活性トリプターゼは、一般に、全身循環には存在せず、組織内であっても、活性トリプターゼは肥満細胞の内部に保持されている。さらに、トリプターゼは、恒常性機能において必須の役割を果たすのとは対照的に、刺激に応答して分泌プロテアーゼとして作用する。正常な生理学的条件下では、肥満細胞の数が少なく、一般に脱顆粒しないため、トリプターゼの薬理学的阻害は、健康ボランティアに生理学的効果をもたらすことは予想されない。
● MTPS9579Aは、可溶性タンパク質を標的とする拮抗性IgG4抗体であり、T細胞活性化又はサイトカイン産生に直接影響を及ぼさず、免疫系に対するいかなるアゴニスト活性も有さない。MTPS9579A関連有害事象は、T細胞、B細胞及びNK細胞に対する効果を含む非臨床毒物学的評価において観察されなかった。
● トリプターゼを標的とする小分子阻害剤、APC366(吸入)及びAPC 2059(経口)を用いた公開された臨床経験は、トリプターゼの阻害に関連する有害事象を伴わずに薬理活性を実証した。
【0397】
健康ボランティアにおける提案される開始用量は、皮下投与される30mgである。この用量は、100mg/kg IVの無毒性量(NOAEL)でカニクイザル(カニクイザル)毒物学研究から決定された曝露、Cmax、及び用量ベースの非臨床安全域(表3参照)より98倍超低い。PK/PDモデリングに基づいて、MTPS9579Aによる健康ボランティアの肺における活性トリプターゼの最大標的阻害は、この用量レベルで60%~75%であると予測された。しかしながら、活性トリプターゼは、炎症応答又はアレルギー応答中の活性化時に肥満細胞から分泌されるため、開始用量は、健康ボランティアにおいていかなる生理学的効果も生じると予想されなかった。既往歴又はアレルギー又はアナフィラキシーを有する健康ボランティアは、この研究から除外した。上記の全ての理由から、30mgのSCがMTPS9579Aの適切な開始用量であった。
【0398】
有効性に必要な標的阻害の程度は、トリプターゼレベルに依存する可能性があり、これは対象間で非常に変動的であり得、疾患状態及び重症度によって影響を受け得る。健康ボランティアにおいて提案される最大用量は、静脈内投与される3600mgである。この最大用量は、進行中の研究のA部からの予備臨床PKデータの評価後に選択された。A部から入手可能なデータは、Cmaxがより低く、MTPS9579Aの半減期が非臨床モデルによって最初に予測されたものよりも短かったことを示した。喘息患者は健康ボランティアよりも高いトリプターゼレベルを有し、MTPS9579Aは標的媒介クリアランスを受ける可能性があり、したがって、理論に拘束されることを望むものではないが、十分な標的阻害を達成するために必要な用量は、健康な対象と比較して患者において実質的に高くなり得る。これらのデータに基づいて、理論に拘束されることを望むものではないが、肺内で標的を飽和させるためには3600mg IVもの高用量が必要とされ得る。
【0399】
この3600mg IVの最大用量では、少なくとも60kgの体重の対象について、100mg/kg IVのNOAELでのGLP、反復投与、毒性研究に基づいて、1.2倍を超える曝露、Cmax及び用量に基づく安全域が確立された(表3を参照されたい)。毒性研究ではMTPS9579A関連の有害作用は観察されず、100mg/kgが試験された最高用量であった。研究のFIH SAD部では、5つの初回用量コホートを計画し、各コホート間で900mgのIVまで用量を3~3.33倍増加させて(サルGLP毒物学研究の無毒性量の3倍を超える安全域)、曝露の適切な分離を可能にした。適切な安全性及び忍容性に基づいて、900mgのIVを超える用量及び最大3600mgのIVの用量を任意のSADコホートで調査した。A部の用量レベルを増加させる間の用量工程は、以前の最高忍容性SAD用量の2倍を超えることは許容されず、900mgを超えるIV(又はSC等価物)の用量レベルを評価する任意のコホートに入る対象は、少なくとも1.2倍の安全域を可能にするために、60kgの最小体重を有する必要があった(表3を参照されたい)。
【0400】
各SADコホートは、2人のセンチネル対象を有していた(1人は活性薬物を受けていた)。30mgの用量で開始することにより、健康ボランティアでは300mgのSC~900mgのIVであると推定される予想治療用量範囲に達する前に用量漸増を行うことが可能になった。広範囲の肥満細胞脱顆粒が可能であり、標的器官において阻害されなければならないより広い範囲の活性トリプターゼをもたらすことから、疾患における予想される治療範囲は広い。
【0401】
SAD部分内及びMAD部分内の用量漸増は、安全性情報によって誘導された。血清中の薬物レベルによって測定される薬物動態は、循環血液中のトリプターゼモノマーが不活性であるため、活性曝露範囲の定義にはさほど関連しないと考えられる。SADのコホートCの後、第1のMADコホートへの移行は、利用可能な累積PK/PD及び安全性データによって導かれた。3つの初期コホートを研究のMADについて計画し、コホート間で用量を2~3倍増加させた。追加の任意のMADコホートを、A部において十分に忍容されるようにSMCによって評価及び決定された用量以下で評価した。調査した用量当量は、表2に示すものを超えなかった。900mg超のIV(又はSC等価物)の用量レベルを評価する任意のMADコホートに入る対象は、少なくとも1.2倍の安全域を可能にするために、60kgの最小体重を有する必要があった(表3を参照されたい)。
【0402】
安全域の推定については、表3を参照されたい。
【表3】
AUC=濃度-時間曲線下面積;C
max=観察された最大血清濃度;
TK=毒物動態学。
注:対象の体重範囲は、最大900mg IVのコホートについて40~120kgである。対象は、900mgを超えるIVの用量を評価する(任意の)コホートについて少なくとも60kgの体重を有しなければならない。
a曝露量に基づく安全域;
AUC
ss(AUC
70-84);AUC
all(AUC
0-87)を使用して計算されたMAD安全域のAUC
cyno。
b濃度に基づく安全域;研究85日目(TK 84日目)の最終投与後の
Cmax-cyno。
c投与量に基づく安全域;100mg/kgの単回用量を使用して計算されたSAD安全域の用量
cyno、100mg/kg×7用量(700mg/kg)を使用して計算されたMAD安全域の用量
cyno。
【0403】
この研究は、実施中のデータの収集及び評価におけるバイアスを回避するためにプラセボ対照であった。観察された効果又は安全性転帰が治療関連であるか、又は単に研究条件を反映しているかどうかを評価するために、プラセボを対照治療として選択した。
【0404】
バイオマーカーを血清中で測定し、経鼻吸着と呼ばれる技術を使用して、対象におけるMTPS9579Aの生物学的活性の証拠を観察し、MTPS9579Aに対する応答を予測するバイオマーカーを同定し、PK/PD関係を定義し、推奨用量レジメンの選択を支援した。経鼻吸着は、鼻から鼻粘膜内層液を収集するために合成吸収性マトリクスを使用する非侵襲的サンプリング方法である。
【0405】
3.材料及び方法
A.対象
18歳~55歳のおよそ114人の男性及び女性の健康ボランティアを1つの治験施設で登録した。
【0406】
B.組み入れ基準
対象は、研究参加のための以下の基準を満たす必要があった:
● 署名付きの同意書
● 署名時年齢が18歳以上55歳以下
● 治験責任医師の判断で研究プロトコルを遵守する能力
● 肥満度指数が18.0以上32.0kg/m2以下、又は範囲外である場合、治験責任医師によって臨床的に有意でないとみなされ、医療モニターによって承認される
〇 >900mgのIV(又はSC等価物)の用量を評価するA部又はB部のいずれかの任意のコホートについて:スクリーニング時に体重60kg以上でなければならない
● 病歴、12誘導心電図(ECG0、及びバイタルサインから臨床的に有意な所見がないことによって決定される、健康状態が良好である。スクリーニング時の安静時のバイタルサインは以下の範囲内でなくてはならない:
〇 口腔体温≧35℃~≦37℃
〇 収縮期血圧≧90~≦140mmHg
〇 拡張期血圧≧50~≦90mmHg
● スクリーニングでのQuantiFERON(登録商標)TB Gold陰性結果
【0407】
C.除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、研究登録から除外した:
● 妊娠中若しくは授乳中、又は研究中若しくは試験薬の最後の投与後110日以内に妊娠することを意図している
〇 妊娠可能な女性は、スクリーニング時に尿妊娠検査が陰性であり、-1日目に血清妊娠検査が陰性でなければならない。
● スクリーニング前の3ヶ月以内又は5つの薬物半減期のいずれか長い方での治験療法による治療
● 研究中の計画された外科的介入
● スクリーニング時にC型肝炎ウイルス(HCV)抗体、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、B型肝炎コア抗体(HBcAb)又はヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体が陽性
● Calmette-Guerinワクチン未経験である対象におけるツベルクリン皮膚試験陽性の既往歴、インターフェロン-ガンマ放出アッセイ陽性の既往歴、又は潜在性若しくは活動性結核の既往歴若しくはスクリーニング前8週間以内の流行地域への曝露
● スクリーニング前2年以内の治験責任医師の判断による不正薬物又はアルコール乱用、又はスクリーニング時の乱用検査結果の陽性薬物
● 男性>15単位/週及び女性>10単位/週の定期的なアルコール摂取(1単位=8オンスのビール、1オンスの40%スピリット又は4オンスのグラスワイン)
● タバコ、マリファナ、電子タバコ(すなわち、ベイピング)の使用、又はニコチン代替製品を含む現在の喫煙者、及び過去12ヶ月以内にこれらの製品を喫煙又は使用したことがある者、又は尿コチニン検査で陽性となった者
● スクリーニング時に治験責任医師又は代理人によって評価された末梢静脈アクセス不良
● 治験責任医師の判断で、研究への対象の安全な参加及び試験の完了を不可能にする、臨床検査における任意の重篤な医学的症状又は異常
● スクリーニング前2ヶ月以内の血液製剤の受領
● 適切に治療された子宮頸部の上皮内癌、非黒色腫皮膚癌、又はステージI子宮癌を除く、悪性腫瘍の既往歴
● 以下のような血液の提供又は喪失(スクリーニング手順中に採取される血液の量を除く):スクリーニング前の30日間以内に50~499mLの血液又は2ヶ月以内に499mL超の血液
● 治験責任医師が判断した臨床的に重要な心血管、腎臓、肝臓、慢性呼吸器若しくは胃腸疾患、又は精神障害の病歴
● 慢性腎臓病疫学共同研究(CKD-EPI)の式を用いた70mL/分未満の推定クレアチニンクリアランス(推定糸球体濾過率(eGFR))によって示される、スクリーニング時の腎機能障害の証拠
● 完全な左脚ブロック、第2度若しくは第3度の心ブロック、又は以前の心筋梗塞の証拠を含む、治験責任医師の見解で臨床的に重要な異常なECGの既往歴又は存在。
● 対象が男性である場合、QTcF≧450ms、又は対象が女性である場合、QTcF≧470ms(スクリーニング時の三連のECGの平均で示される)
● QT間隔を延長させることが広く知られている薬物による現在の治療
● アナフィラキシー、過敏症、又は重大な薬物アレルギーの既往歴
● 治験責任医師が判断した、治療を必要とする臨床的に有意なアレルギーの有無又は既往歴
〇 花粉症の既往歴は、活動性でない限り許容される。
● 過去12ヶ月間に治療を必要とした喘息の臨床診断
● スクリーニング前4週間以内の上下気道感染
● スクリーニング前4週間以内に経口抗生物質を受けた、又はスクリーニング前8週間以内にIV/筋肉内(IM)抗生物質を受けた
● スクリーニング前4週間以内の入院
● スクリーニング前の14日間又は5半減期のいずれか長い方の期間中に任意の処方薬若しくは市販薬又はハーブ療法を服用しているか、又は服用したことがある対象
〇 研究の目的を妨げないと考えられる場合には、例外が場合によって適用されてもよい。
● スクリーニング前30日以内に生ワクチン又は弱毒化ワクチン(限定されないが、FluMist(登録商標)ブランドインフルエンザワクチンを含む;はしか、おたふく風邪、風疹;水痘帯状疱疹/水痘;経口ポリオ;等。)を受けている
● 許容され得るとみなされない限り、スクリーニング前14日以内に死菌ワクチン(季節性インフルエンザ及びH1N1ワクチンを含む)を受けている
● 研究プロトコルを遵守することができない
【0408】
D.治療の割り当て及び盲検化の方法
これは、無作為化観察者盲検プラセボ対照研究である。およそ114人の対象を無作為化し、試験薬(MTPS9579A又はプラセボ)で治療した。研究対象及び施設スタッフは、試験薬療法を調製及び調剤し、無作為化コードを知っていた研究薬剤師(複数可)を除いて、常に治療の割り当てを知らされていないままであった。非盲検施設の薬剤師は、対象がA部(SAD)のコホートについては6:2の比で、B部(MAD)のコホートについては8:2の比でMTPS9579A又はプラセボのいずれかを投与されることを確実にするために、治療割り当てのリストを維持する。
【0409】
E.研究治療及び研究設計に関連する他の治療
この研究のための治験薬製品(IMP)はMTPS9579Aである。MTPS9579Aを滅菌液体として2ccガラスバイアルに供給した。MTPS9579Aは、単回用量、USP/Ph.Eurの注入用のI型無色ホウケイ酸バイアルで提供される。バイアル中のMTPS9579Aのおおよその濃度は150mg/mLであった。MTPS9579Aプラセボは、単回用量2mL、USP/Ph.Eurの注入用のI型無色ホウケイ酸バイアルで提供される。治療レジメンを上(例えば、表2及び表3に)及び
図1に要約する。
【0410】
SC投与のため、シリンジを用いたSC注射によって未希釈の試験薬(150mg/mL濃度)を投与した。30mg用量(0.2mL容量)及び100mg用量(0.67mL容量)の投与には、1.0mLシリンジを使用すべきである。300mg用量(2.0mL容量又は2×1.0mL容量)以上の投与には、より大きなシリンジ(最大5.0mL)を使用することができる。十分な精度を確保するために、10mL以上のシリンジサイズは使用しなかった。より高い用量レベルでは、複数回の注射が必要とされている場合がある。全てのSC注射は、可能であれば、腹部に投与されることになっていた。IM注射ではなくSC注射を確実にするために、必要に応じて代替の注射部位の使用が検討され得る。好ましい代替の注射部位は上腕の背部であった。
【0411】
IV投与では、試験薬を生理食塩水で希釈することによって用量を調製した。希釈すると、試験薬を1.5mL/分の速度でIV投与した。300mg用量(約3.0mg/mL濃度で約100mL)では、注入に約67分を要し、用量はその全体が与えられると予想した。900mg用量(約9.0mg/mL濃度で約100mL)では、注入に約67分を要し、用量はその全体が与えられると予想した。900mgを超える用量を評価する任意のコホートについては、用量あたり約100mLの総体積(例えば、3600mgの可能な最高用量は、約36mg/mL濃度で約100mLであった。)を送達するように濃度を調整した。軽症の注入関連の徴候又は症候(グレード2未満)を経験した対象については、注入時間を変更することができた。治療を必要とする注入関連の徴候又は症候を有する対象については、注入を中止するものとした。対象は、試験薬物のIV投与に耐えるために、投薬又は前投薬されないものとした。
【0412】
F.研究評価
研究を通して、対象を安全性及び忍容性について厳密に監視した。対象は、各投薬の前に毒性について評価されることになっていた。臨床評価及び局所臨床検査値が許容され得る場合にのみ投与を行った。
【0413】
臨床的に重要な疾患、外科手術、癌の既往歴(以前の癌治療及び処理を含む)、生殖状態、喫煙歴、並びにアルコール及び乱用薬物の使用を含む病歴をベースラインで記録した。さらに、研究治療の開始前7日以内に対象によって使用された全ての薬物(例えば、処方薬、市販薬、ワクチン、ハーブ療法又はホメオパシー療法、栄養補助食品)を記録した。各フォローアップの身体検査時に、インターバルの既往歴を得るものとし、薬物及びアレルギーのあらゆる変化を記録するものとした。
【0414】
人口統計データには、年齢、性別、及び自己申告による人種/民族が含まれた。
【0415】
スクリーニング時及び他の指定の来院時に行われる完全な身体検査は、頭部、目、鼻、及び喉、並びに心臓血管系、皮膚科学系、筋骨格系、呼吸器系、消化器系、及び神経系を含むものとした。限定的には、指定のベースライン後の来院時及び臨床的に示されているように、症候に応じた理学的検査を行うことができた。ベースライン異常からの変化を記録した。新たな又は悪化した臨床的に有意な異常が、適切な供給源における有害事象として記録された。
【0416】
バイタルサインには、呼吸数、脈拍数、パルスオキシメトリ、並びに対象が座っている間(少なくとも5分間安静)の収縮期及び拡張期血圧の測定値、また口腔温が含まれ、バイタルサインを、試験薬投与中及び投薬直後の最初の1時間、連続的に(15分毎(±3分))モニターした。バイタルサインを投薬前20分以内、及び投薬終了時から投薬後6時間まで1時間毎(±10分)に実施した。
【0417】
経鼻吸着は、NASOSORPTION(商標)FX-i装置(Hunt Developments、CEマークの装置として入手可能な)を使用して鼻粘膜内層液をサンプリングする低侵襲技術である。この装置はヒトに使用されている。無菌剤(aseptic)を鼻孔に挿入し、吸収性ストリップを下鼻甲介の表面に対して平らに60秒間保持する。
【0418】
以下の臨床検査のための試料を、分析のために研究施設のローカル検査室に送った。
● 血液学:白血球(WBC)数、赤血球(RBC)数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数、分画数(好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球、他の細胞)
● 化学パネル(血清又は血漿):ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、グルコース、血中尿素窒素(BUN)又は尿素、クレアチニン、クレアチンホスホキナーゼ、総タンパク質、アルブミン、リン、カルシウム、マグネシウム、総ビリルビン及び直接型ビリルビン、アルカリホスファターゼ(ALP)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、eGFR(慢性腎臓病疫学共同研究(CKD-EPI))
● 凝固:国際標準化比(INR)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、プロトロンビン時間(PT)、フィブリノーゲン、フィブリノーゲン分裂生成物(アッセイの利用可能性を条件とする)
● ウイルス血清学:HIV、HBsAg、総HBcAb、HCV抗体
● 結核(TB)試験:QuantiFERON(登録商標)-TB Gold
● 妊娠試験
〇 妊娠可能な全ての女性は、スクリーニング時に尿妊娠検査を受けた。その後の指定の来院時に血清妊娠検査を実施した。
● 尿検査(pH、比重、グルコース、タンパク質、ケトン、ビリルビン、白血球、亜硝酸塩、血液);顕微鏡検査(沈殿物、RBC、WBC、円柱、結晶、上皮細胞、細菌)を評価した。
● 尿中薬物スクリーニング
● アルコール試験
〇 全ての対象は、投薬日の前日のチェックイン時に最近のアルコール摂取を検出するために呼気検査(又は呼気分析装置)を受けた。
● 尿コチニン試験
● PK分析のための血清試料
〇 試料中のMTPS9579Aを、検証されたアッセイを使用して定量した。
● 免疫原性評価のための血清試料
【0419】
〇 ADAを測定することによってMTPS9579Aの免疫原性を評価するために血清試料を収集した。ADA血清試料を投薬日の試験薬の投与前に収集し、ADAを、検証されたアッセイを使用して検出し、特徴付けた。
● PK分析のための経鼻吸着試料
● バイオマーカーの探索研究のための血清、経鼻吸着、及び血液DNA試料
【0420】
探索的バイオマーカー研究には、活性トリプターゼ、総トリプターゼ、及び尿素が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0421】
対象は、有害事象の性質、頻度及び重症度の評価を含む、研究中の安全性監視を受けた。一般に、有害事象重症度を評価するためにWHO毒性等級スケールを使用した。安全性評価は、有害事象(重篤な有害事象及び特に関心のある有害事象を含む)のモニタリング及び記録、プロトコル指定の安全性臨床検査評価の実施、プロトコル指定のバイタルサインの測定、及び研究の安全性評価にとって重要であると考えられた他のプロトコル指定の試験の実施を含んだ。臨床試験の実施の基準(Good Clinical Practice)ICHイドラインによれば、有害事象は、原因の属性にかかわらず、医薬品を投与された臨床試験対象における何らかの不都合な医学的事象である。したがって、有害事象は、以下のいずれかであり得る:
● 医薬に関連すると考えられるか否かにかかわらず、医薬品の使用に一時的に関連するあらゆる好ましくない意図しない徴候(異常な検査所見を含む)、症候又は疾患
● 新規疾患又は既存疾患の増悪(既知の症状の特徴、頻度、又は重症度の悪化)
● ベースラインに存在しない間欠的な医学的症状(例えば、頭痛)の再発
● 症候に関連した、又は研究治療若しくは併用治療の変更、又は試験薬からの中止をもたらす、実験値又は他の臨床試験(例えば、ECG、X線)の低下
● 治験実施計画書に規定された介入に関連する有害事象、例えば研究治療の割り当て前に発生したもの(例えば、生検等の侵襲的手順のスクリーニング)
【0422】
有害事象に対する投薬量の減少は許可しなかった。試験薬に関連すると考えられる特定の有害事象を経験した対象は、治療を中止するものとした。
【0423】
G.臨床薬力学分析のためのバイオマーカー法
ヒト血清及びnaso総トリプターゼジャイロアッセイ(Gyros assay):
血清及び経鼻吸着試料中のヒト総トリプターゼの検出のためのアッセイは、Gyros GYROLAB(登録商標)(xP又はワークステーション)システムを使用して行った。これは、試薬及び試料を処理する微細構造も含む使い捨てマイクロ流体コンパクトディスク(CD)内に隔離されたストレプトアビジン被覆ビーズを含有する小型カラムを利用するフロースルーイムノアッセイプラットフォームである。まず、ビオチン化捕捉抗体(クローン:E88AS)を各カラム内のビーズに固定化した。次に、抗トリプターゼMTPS9795Aを含有するアッセイ希釈剤内で予備希釈した標準、対照及び試料を添加し、それぞれのカラムに結合させた。最後に、ALEXA(登録商標)-647標識検出抗体(クローン:E82AS)をカラムに添加した。構造当たりの蛍光量(すなわち、捕捉されたタンパク質の量)を決定するため、各CDをGYROLAB(登録商標)に組み込まれたレーザー誘起蛍光(LIF)検出器に自動的に移動した。5%光電子増倍管(PMT)設定での検出を使用して、試料分析データを生成した。このアッセイでは、蛍光シグナルは、各カラムに結合した総トリプターゼの量に比例する。総トリプターゼ濃度は、「応答による重み付け」のオプションを選択して(1/y2重み付け)、5パラメータロジスティック曲線フィッティングプログラムを使用して、応答(蛍光)対濃度をプロットすることによって標準曲線から決定した。この方法の検量線範囲は800~0.122ng/mlであった。しかしながら、アッセイの報告可能な範囲、ULOQ~LLOQは267~0.366ng/mlであった。
【0424】
ヒト活性トリプターゼSIMOA(登録商標)アッセイ手順:
SIMOA(登録商標)活性トリプターゼアッセイは、標識及び解離されたトリプターゼをビーズ上に捕捉するためにモノクローナル抗体E88ASを使用して、QUANTERIX(登録商標)マニュアルに記載されているようなHomeBrewプロトコルに基づいた。簡潔には、捕捉ビーズ及び抗体を、AMICON(登録商標)Ultra-0.5遠心フィルタを使用してQUANTERIX(登録商標)推奨ビーズコンジュゲーションバッファーに緩衝液交換することによって調製した。捕捉抗体のビーズへのコンジュゲーションは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)化学に基づき、QUANTERIX(登録商標)手動プロトコルに従って実施した。ビーズを、推奨されるように、ビーズ数及び凝集レベルについて、SIMOA(登録商標)HD-1 ANALYZER(商標)(QUANTERIX(登録商標))のビーズ凝集プロトコルによって更に特徴付けた。ビーズの特徴付けは、生成されたビーズ混合物の95%超がモノマーであることを示した。検出試薬は、試料調製中に酵素の活性部位に結合するために使用されたビオチン化活性ベースのプローブ(ABP)分子(米国特許出願公開第2018/0230233号を参照されたい)であった。試料を捕捉ビーズ及び検出試薬と(30分間)一段階で共インキュベートし、続いてストレプトアビジン-βガラクトシダーゼ(SBG 100 pM)及びシグナル発生のための蛍光基質RGP(レゾルフィン-β-D-ガラクトピラノシド)を順次添加及び洗浄する二段階プロトコルを利用した。ビオチン化ABPを使用して検出のためにSBGに結合したため、検出抗体は必要なかった。SIMOA(登録商標)分析ソフトウェアを使用して、1/Y2の重み付けで標準の4-PLフィットを使用して、全ての試料を定量化した。
【0425】
H.PK分析
血清PK:
健康(正常な)個体及び喘息患者のヒト血清中のMTPS9579Aを検出するために、定量的アッセイを設計した。標準曲線を、標準希釈液(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.4+0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)+0.25% 3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)、5mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、350mM NaCl、0.05%TWEEN(登録商標)20+0.05%PROCLIN(商標)300+0.5%NHS(正常ヒト血清)+50μg/mLマウスIgG(MuIgG))において使用日に新たに作成した。品質管理基準(QC)及び未知の試料を、50.0μg/mLのMuIgGを含有するアッセイ希釈剤でアッセイ最小必要希釈(MRD)1/200まで希釈した。プレートを組換えウサギモノクローナル抗体(mAb IgG)クローン12D10で16~72時間コーティングし、次いで洗浄し、ブロッキング緩衝液(PBS、pH7.4+0.5%BSA+0.05% TWEEN(登録商標)20+0.05% PROCLIN(商標)300)で2~3時間ブロッキングした。更なる洗浄工程の後、マトリクスブランク、キャリブレータ、及び希釈対照及び未知試料をプレコートし、ブロッキングしたプレートに移し、室温で16~20時間インキュベートした。このインキュベーション中に、試料中のMTPS9579Aを、MTPS9579AのCDR領域を特異的に認識する抗イディオタイプ抗体である固定化ウサギmAb IgGクローン12D10に結合させた。未結合材料を洗浄工程で除去した。次いで、マウス抗ヒトIgG4 Fc-ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を検出用プレートに添加し、1時間インキュベートした。次いで、未結合物質を最終洗浄工程で除去した。最後に、テトラメチルベンジジンペルオキシダーゼ(TMB)基質をプレートに添加して発色させる。約10~20分後、1Mリン酸を添加して基質発色を停止した。プレートを、検出吸光度は450nmで、参照吸光度は630nmでプレートリーダーで読み取った。
【0426】
経鼻吸着薬物レベル(Naso PK):
健康(正常な)個体及び喘息患者からのヒト経鼻吸着溶出液中のMTPS9579Aを検出するための定性的アッセイを設計した。標準曲線を、標準希釈液での使用日に新たに作成した。品質管理基準(QC)及び未知の試料を、50.0μg/mLのMuIgGを含有するアッセイ希釈剤でアッセイMRD 1/200に希釈した。プレートを組換えウサギモノクローナル抗体(mAb IgG)クローン12D10で16~72時間コーティングし、次いで洗浄し、ブロッキング緩衝液で2~3時間ブロッキングした。更なる洗浄工程の後、マトリクスブランク、キャリブレータ、及び希釈対照及び未知試料をプレコートし、ブロッキングしたプレートに移し、室温で16~20時間インキュベートした。このインキュベーション中に、試料中のMTPS9579Aを固定化ウサギmAb IgGクローン12D10に結合させた。未結合材料を洗浄工程で除去した。次いで、マウス抗ヒトIgG4 Fc-ALEXA(登録商標)FLUORを検出のためにプレートに添加し、1時間インキュベートする。次いで、未結合物質を洗浄工程で除去し、溶出緩衝液を全てのアッセイウェルに15分間添加した後、Tris塩基の添加によって中和した。最後に、溶出したフルオロフォアをガラス底板に移し、SMCxPRO(商標)イムノアッセイ機器で蛍光を定量した。
【0427】
I.ADA分析
血清試料を、ブリッジングイムノアッセイを使用してADAの存在について評価した。試験に対する段階的アプローチを実施した。最初に、スクリーニングアッセイを実施して、MTPS9579Aに対するADAを検出した。スクリーニングアッセイで陽性と試験された試料を、続いて、過剰なMTPS9579Aとの競合による確認アッセイに供して、ADAが治療用タンパク質産物に特異的であることを実証した。全ての陽性ADA試料を滴定した。スクリーニング及び確認アッセイは、それぞれ5%及び1%の未治療陽性率を目標とした。次いで、陽性であると確認された試料を更に希釈して、log10(希釈係数)として定義される力価単位の値を得た。
【0428】
ADAアッセイは、ヒト血清中のMTPS9579Aに対する抗体を検出するように設計された定性的アッセイであり、MTPS9579Aに対して向けられた抗体を捕捉するために2つのコンジュゲート化試薬:ビオチンコンジュゲート化MTPS9579A及びジゴキシゲニン(DIG)コンジュゲート化MTPS9579Aを使用する。これらの2つのコンジュゲート化試薬を、希釈した対照及び試料と共に室温で一晩共インキュベートした。多量体タンパク質であり、ADAアッセイにおいて干渉し得るトリプターゼの高用量後レベルのために、コンジュゲート化MTPS9579Aを架橋することにより、ブロッキング抗体をアッセイ希釈剤に添加した。ブロッキング抗体試薬は、トリプターゼ分子上の同じエピトープに結合することが示されたが、異なるCDRに起因して、試料中のADAへの結合を妨害しなかった。洗浄工程に続いて、対照(又は試料)/ビオチン/ジゴキシン溶液をストレプトアビジン被覆高結合プレートに移し、室温でインキュベートする。更なる洗浄工程の後、マウス抗ジゴキシン抗体にコンジュゲートしたHRPの溶液を検出のためにストレプトアビジン被覆高結合プレートの適切なウェルに添加し、室温でインキュベートした。最終洗浄工程の後、ペルオキシダーゼ基質(テトラメチルベンジジン)を発色のためにプレートに添加し、1Mリン酸を添加することによって反応を停止させた。プレートを、630nmの参照フィルタを用いて450nm(検出)でプレートリーダーで読み取った。
【0429】
このアッセイは、スクリーニング(Tier 1)及び力価(Tier 3)分析のための最小10.0μLのヒト血清アリコート、及び確認(Tier 2)分析のための20.0μLのヒト血清アリコートを利用した。試料を分析前に約-80℃でポリプロピレンチューブに凍結保存した。このアッセイのMRDは、対照/試料希釈液(CSD)で1/20であると決定された。
【0430】
実施例2:研究GA40396の結果
実施例1に記載されているように、研究GA40396は、MTPS9579Aの単回及び複数回投与漸増IV及びSC試験の安全性、忍容性、PK、免疫原性及びPDを評価している第I相無作為化プラセボ対照観察盲検研究である。この研究は、重篤及び非重篤なAEの性質、頻度及び重症度、並びに検査値、バイタルサイン測定値、ECGパラメータ及び他の安全対策に対する試験薬治療の効果に焦点を当てている。
【0431】
2019年4月19日の安全性データベースカットオフ日の時点で、研究GA40396のSADコホート及びMADコホートの両方において、合計106人の対象が投薬及び安全性追跡調査を完了している。
【0432】
研究GA40396のSAD部分は、6:2のMTPS9579A:プラセボ比でそれぞれ8人の対象(合計56人の対象)の7つのコホートの評価を完了している。全てのSADコホートは、完全コホートを投与する24時間前のセンチネル投薬(1つの活性物質、1つのプラセボ)を含んでいた。
【0433】
研究GA40396のMAD部分は、8:2のMTPS9579A:プラセボ比でそれぞれ10人の対象(合計50人の対象)の5つのコホートを評価した。MADの対象には、Q4Wで間隔を置いて3回の累積用量を投与した(1日目、29日目及び57日目に投薬)。
【0434】
A.臨床薬物動態
中間PKデータを表4に要約し、PK分析には、単回用量コホート(30mgのSCから3600mgのIV)及び複数回用量コホート(150mgのSCから3600mgのIV)から得られた試料が含まれた。SC投与の8日後にピーク血清濃度が観察された。C
max値は、300から3600mgのIVの間で用量を比例的に増加させた。研究のSAD部分の平均半減期値は、低用量では一般に短く、低抗トリプターゼ血清濃度での標的媒介クリアランスのため、潜在的に(及び特定の理論に束縛されることを望まない)より低かった。飽和用量(1800~3600mgのIV)では、線形範囲の最終t
1/2は、非コンパートメント分析(NCA)によって29~34日であると計算され、コンパートメントモデリング分析によって予測されたt
1/2と一致した(約30日間)。
【表4】
AUC
0-t=時間0から時間tまでの濃度-時間曲線下面積(28d);AUC
inf=無限大に外挿した時間0からの濃度-時間曲線下;C
max=観察濃度;N=対象の人数;CV=変動係数;t
1/2=半減期;t
max=C
maxが観察された時間;V
z=見かけの分布容積。
a中央値(最小-最大範囲)
b特に明記しない限り、各用量群の薬物動態パラメータを6人の対象に基づいて計算した。
cN=2
dN=5
eN=4
【0435】
入手可能な暫定データに基づいて、MTPS9579Aを受けた健康対象からPKデータを得た。SAD及びMAD研究からの時間プロファイルに対するMTPS9579Aの平均血清濃度を、それぞれ
図2及び
図3にプロットした。定量下限(LLOQ)は、MTPS9579A血清濃度を測定する生物分析アッセイについては250ng/mLであった。LLOQ未満の血清濃度を有する個体をNCAから除外した。GA40396研究のSAD部分及びMAD部分からのPKパラメータ推定値をそれぞれ表4及び表5に示す。
【0436】
単回用量のSC及びIV PKデータが、MTPS9579Aを受けた41名の健康対象から入手可能であった。利用可能なSADデータの審査は、SC投与後8日の中央値tmaxでMTPS9579Aの吸収が起こったことを実証した。900~3600mgのIVの用量から、Cmax及び時間0から時間t(28日)までの濃度-時間曲線下面積(AUC0-t)値は用量に比例して増加し、用量の4倍の増加はCmax及びAUC0-tの約4倍の増加をもたらした。この研究で投与された最高用量である3600mgの単回IV投与後、Cmax及びAUC0-tはそれぞれ1010μg/mL及び12,500μg日/mLであった。
【0437】
30~300mgのMTPS9579Aの単回SC投与後、平均見かけクリアランス推定値は0.57~0.35L/日の範囲であった。900~3600mgのMTPS9579Aの単回用量IV投与の場合、クリアランス値は0.19~0.13L/日の範囲であった。用量の増加に伴うクリアランス推定値の減少は、おそらくより低い抗トリプターゼ血清濃度(<15,000ng/mL)での標的媒介クリアランスに起因する非線形PKを示唆した。MTPS9579A 3600mgの単回IV投与後、平均最終t1/2は、NCAによって34日間であると推定され、区画モデリング分析によって予測されたt1/2とほぼ一致した(約30日間)。血清PKにおいて観察された非線形性のために、NCAを使用してバイオアベイラビリティを推定することは不可能であった。
【0438】
複数回用量のSC又はIV投与後、PKデータは、MTPS9579Aを受けた40人の健康対象から評価可能であった。PKパラメータは、血清濃度データが不十分であるため、研究のMAD部分から制限された。MTPS9579A曝露は、1350及び3600mgのIV Q4Wコホートを比較した場合、ほぼ用量比例的に増加し、初回用量後にC
max及びAUC
tauのそれぞれ2.93倍及び3.19倍の増加が観察された。これらのコホート(1350mgのIV及び3600mgのIV)の3回目及び最終用量投与後、C
maxの3.29倍の増加が観察された。複数回のSC Q4W用量後の平均蓄積率(AR)は1.04~1.40の範囲であり、複数回のIV Q4W用量コホート後も同様であった(AR=1.36~1.53)。
【表5】
【0439】
臨床薬力学
PD効果を、MTPS9579A又はプラセボ投与SC若しくはIVの単回又は複数回投与後の全てのSAD及びMADコホートにおいて評価した。プラセボ群と比較して、MTPS9579Aは、投薬後の経鼻吸着試料において活性トリプターゼレベルの用量依存的減少を示し、トリプターゼ活性は、健康対象において300mgのSCの用量で検出限界未満に低下した(
図4及び5)。これらのデータは、MTPS9579Aが薬理学的に活性であり、健康ボランティアの上気道において標的(活性トリプターゼ)を阻害するという証拠を提供する。
【0440】
MTPS9579Aがin vivoでトリプターゼに結合することができることを更に実証するため、本発明者らは、投薬後のいくつかの時点で総トリプターゼの血清及び経鼻吸着レベルを測定した。経鼻吸着及び血清の両方における総トリプターゼレベルは、MTPS9579Aを受けた対象において経時的に増加し、トリプターゼへの抗体結合を反映し、その半減期を増加させた(
図6~9)。総トリプターゼレベルは、プラセボを投与された対象の経鼻吸着又は血清において増加しなかった。各コホート内で、投薬後の総トリプターゼレベルのピークは個体間で変動し、増加の大きさはベースライントリプターゼレベルと相関するようであった。一般に、血清総トリプターゼレベルは上昇し、4mg/L未満でプラトーに達した。低用量コホート(すなわち、コホートA~D)の上昇した血清総トリプターゼは、用量依存的に減少し始めた。まとめると、これらのデータは、健康ボランティアにおけるMTPS9579Aの標的関与の証拠を提供する。
【0441】
B.臨床的安全性
安全性データのカットオフ日(2019年4月19日)の時点で、研究GA40396からの完全な盲検データが全てのコホートについて利用可能である。これらには、30、100及び300mgのSC;並びに300、900、1800及び3600mgのIVのMTPS9579A(又はプラセボ対照)の単回投薬コホートと、150、300及び750mgのSCと並んで1350及び3600mgのIV(3用量の場合はQ4W)のMTPS9579A(又はプラセボ対照)の複数回用量コホートとが含まれる。
【0442】
データカットオフ日の時点で、82名の対象(77%)が合計412のAEを報告した。死亡、重篤な有害事象(SAE)、報告されたWHOグレード3(重症)以上のAE、及び報告された特別な関心のあるAEはなかった。
【0443】
研究のMAD部分の1名の対象は、研究56日目の血中CPKのグレード2の非重篤な増加のため、研究治療から離脱した。治療割り当てが盲検のままである25歳の男性である対象は、スクリーニング時(264U/L、正常値の上限[ULN]195U/L)及び投薬前(214U/L)にCPKが軽度に上昇していた。研究56日目に、150mgのMTPS9579A又はプラセボ対照の3回目の投与前に、対象は1627U/L(8.3×ULN)のCPKを有することが判明し、血中CPK上昇のグレード2AEが報告され、治療が中止された。AEは、調査者によってMTPS9579A/プラセボに関連すると評価された。対象は筋痛又は筋肉痛を有していなかった。5日後、研究61日目に、CPKレベルはスクリーニング結果に匹敵するほぼ正常値である286U/Lに戻り、AEは消散したと考えられた。
【0444】
全てのAEはWHOグレード1又は2であり、最高グレードのAEは30人の対象についてはグレード2(28%)、及び52人の対象についてはグレード1(49%)であった。合計72人の対象(68%)が、MTPS9579A/プラセボに関連すると治験責任医師が判断したAEを経験した。
【0445】
最も一般的なAE(因果関係にかかわらず、対象の少なくとも5%に見られる)は、頭痛(32人の対象、30%)、注射部位紅斑(31人の対象、29%)、鼻咽頭炎(18人の対象、17%)、注射部位発赤(12人の対象、11%)、紅斑(10人の対象、9%)、注射部位皮下出血(6人の対象、6%)、背部痛(6人の対象、6%)、及び血中クレアチンホスホキナーゼ増加(6人の対象、6%)であった。注射部位紅斑の事象率は予想よりも高かったが、全ての事象は軽度であり、局所的であり、注射後1~3時間以内に治療なしで消散した。
【0446】
2019年4月19日現在入手可能な盲検安全性データに基づいて、試験薬のベネフィット-リスクプロファイルに影響を及ぼす、又はMTPS9579Aの継続的な臨床開発を妨げる安全性の懸念はない。
【0447】
C.免疫原性
ベースライン時のADAの有病率を、ベースライン時点でADA陽性であった研究における評価可能な患者集団の割合として定義した。全体として、GA40396内のADAの有病率は0%(106人中0人)であった。(ベースライン後の時点での)ADAの発生率を、抗体陽転が認められた研究集団の割合(すなわち、発症した治療誘発性ADA)として定義した。ADA発生率は、研究のSAD部分内で9.5%(42人中4人)、研究のMAD部分内で5%(40人中2人)であった。
【0448】
D.投薬の正当性
計画された第IIa相研究(1800mgのIV Q4W)におけるMTPS9579Aの用量は、以下のデータの全体に基づいて選択された:健康ボランティア及び喘息患者におけるトリプターゼ生物学の理解、第Ia/b相SAD/MAD臨床試験データ、MTPS9579Aの特性、作用機序、非臨床活性及び安全性、並びにトリプターゼを標的とする以前の外部臨床経験。選択された第IIa相用量は、第Ia/b相研究(GA40396)で以前に評価された用量範囲内であり、これは忍容性が高かった。この研究では、MTPS9579A 3600mgまでの用量を単回用量として、又は試験した最大用量であるQ4Wレジメン(3用量)として静脈内投与した。第IIa相研究(1800mgのIV Q4W)で試験される用量及びレジメンは、これまでに利用可能な全データに基づいて臨床的利益の可能性を最大化すると予測される。定常状態のトラフ濃度では、この用量は活性トリプターゼレベルを95%低下させると予想され、患者の安全性を確保しながら喘息患者の気道に存在し得る活性トリプターゼの最大濃度を説明する。
【0449】
E.結論
これらのデータは、MTPS9579Aが比較的高用量、例えば1800mgのIV Q4W及び3600mgのIV Q4Wで安全に投薬され得ることを実証している。さらに、健康対象におけるPD評価は、MTPS9579Aが薬理学的に活性であり、上気道の標的(活性トリプターゼ)を阻害するという証拠を提供する。これらのデータを考慮すると、本明細書で提供される投薬レジメンは、標準治療にもかかわらず制御されないままである重症喘息を含む喘息の治療に有効であると予想される。
【0450】
実施例3:研究GA40396の更なる結果
この実施例は、実施例1及び2に記載のGA40396研究の最終データからの結果を記載する。合計339人の男性及び女性の健康対象をこの研究のためにスクリーニングした。これらのうち、166人の対象が登録され、合計106人の対象がMTPS9579A又はプラセボを受けるように無作為化された。合計56人の対象にA部(SAD;MTPS9579Aを用いる42名の対象及びプラセボを用いる14名の対象)を投与し、50人の対象にB部(MAD;MTPS9579Aを用いる40名の対象及びプラセボを用いる10名の対象)を投与した。少なくとも1用量の試験薬(MTPS9579A又はプラセボ)を投与された全ての対象が、安全性集団を構成した(N=106)。これらのうち、104名(98.1%)の対象が研究を完了した。
【0451】
上記のように、対象には、以下のようにMTPS9579A又はプラセボを投与した:A部では、コホートA、B及びCの対象は、1日目にそれぞれ、30mg、100mg及び300mgのMTPS9579A又はプラセボの単回SCを受けた。コホートD、E、I及びJの対象は、1日目にMTPS9579A又はプラセボの300mg、900mg、1800mg及び3600mgの単回IV注入をそれぞれ受けた。
B部では、対象は、1、29、及び57日目に各コホートで3回の用量(同じ用量レベル)を受けた。コホートF、G及びHの対象には、それぞれ150mg、300mg及び750mgのSC用量のMTPS9579A又はプラセボを投与した。コホートL及びMの対象は、それぞれMTPS9579A又はプラセボの1800mg及び3600mgのIV注入用量を受けた。
【0452】
1.薬物動態の結果
A.A部(SAD)
図10A及び
図10Bは、研究GA40396のSAD部分におけるSCコホート(
図10A)及び研究GA40396のSAD部分におけるIVコホート(
図10B)についての経時的な平均血清MTPS9579A濃度を示す。
【0453】
健康対象へのMTPS9579Aの単回投与後、Cmax及びAUC0-infは、IV用量に対するMTPS9579A用量の増加と共に増加した。Tmaxは、用量レベルにかかわらず、コホートD、E、I及びJについて同時に観察された(Tmaxの中央値約1.05日)。用量群にわたる平均t1/2はおよそ24.3日であった(平均(+/-SD)は、300mgのIV用量で11.8(4.30)日から3600mgのIV用量で35.1(5.60)日に増加)。クリアランス値(CL)は、3600mgのIV用量では140(28.5)mL/日の範囲であり、900mgのIV用量では203(45.6)mL/日に増加した。
【0454】
分布体積(Vd)は、300mgのIV用量で2937(896)mLから増加して3600mgのIV用量で6929(959)mLの範囲であった。Cmax及びAUC0-infは、SC用量の場合、MTPS9579A用量の増加と共に増加した。Tmaxは、用量レベルにかかわらず、コホートA、B及びCについて同時に観察された(Tmaxの中央値約6.9日)。用量群にわたる平均t1/2はおよそ9.5日であった(平均(+/-SD)は、100mgのSC用量で7.25(0.737)日からの範囲で、30mgのSC用量で11.3(1.89)日に増加)。見かけのクリアランス値(CL/F)は、300mgのSC用量で362(55.5)mL/日からの範囲で、30mgのSC用量で576(42.7)mL/日に増加した。見かけ上の分布容積(V/F)は、300mgのSC用量で5211(696)mLからの範囲で、30mgのSC用量で9300(878)mLに増加した。
【0455】
バイオアベイラビリティ:MTPS9579A後のクリアランス値は、単回用量のSC投与後362mL/日~576mL/日及び単回用量のIV投与後140mL/日~203mL/日の範囲であった。
【0456】
用量の増加に伴うクリアランス推定値の減少は、おそらくより低い抗トリプターゼ血清濃度での標的媒介クリアランスに起因する非線形PKを示唆する。広い範囲のクリアランス値に起因して、コホートC及びDと共にNCAを使用してバイオアベイラビリティを推定することは不可能であった。
【0457】
B.B部(MAD)
図10C及び
図10Dは、研究GA40396のMAD部分におけるSCコホート(
図10C)及び研究GA40396のMAD部分におけるIVコホート(
図10D)についての経時的な平均血清MTPS9579A濃度を示す。
【0458】
57日目の用量投与後、Cmax及びAUC0-tauはSC用量のためのMTPS9579A用量の増加と共に増加した。Tmaxは、用量レベル(Tmaxの中央値約70.0日)にかかわらず、コホートF、G及びHについて同時に観察された。用量群にわたる平均t1/2はおよそ19.5日(平均(+/-SD)は150mgのSC用量で11.2(3.65)日からの範囲で、750mgのSC用量で29.9(14.6)日に増加)であった。反復投薬後、蓄積率は150mgのSC用量で1.22(0.153)からの範囲で、750mgのSC用量AUCで2.11(0.714)に増加し、コホート間で弱い蓄積から比較的中程度の蓄積を示唆した。
【0459】
Cmax及びAUC0-tauは、IV用量の場合、MTPS9579A用量の増加と共に増加した。Tmaxは、用量レベルにかかわらず、コホートL及びMについて同時に観察された(Tmaxの中央値約56.1日)。用量群にわたる平均t1/2はおよそ29.8日であった(平均(+/-SD)は、1350mgのIV用量で25.5(6.31)日からの範囲で、3600mgのIV用量で34.1(4.82)日に増加)。反復投薬後、蓄積率は1350mgのIV用量で1.88(0.311)からの範囲で、3600mgのIV用量AUCで2.30(0.241)に増加し、コホート間で弱い蓄積から比較的中程度の蓄積を示唆した。
【0460】
2.安全性
全体でSAD及びMADを組み合わせたコホートにおいて、合計413の治療下で出現した有害事象(TEAE)が、少なくとも1用量の試験薬物療法を受けた106名の対象のうち82名(77.4%)によって報告された(安全性集団):MTPS9579Aを受けた82名の対象のうち63名(76.8%)によって339件のTEAEが報告され、プラセボを受けた24名の対象のうち19名(79.2%)によって74件のTEAEが報告された。SAD及びMADコホートは、コホート間、及び活性薬物を投与されたボランティアとプラセボを投与されたボランティアとの間で、TEAEの頻度及び程度が類似していた。研究中に死亡、重篤又は生命を脅かす有害事象(AE)はなかった。B部(MAD)中にTEAE(血中クレアチンホスホキナーゼの増加)のために中止した対象は1名のみであった。これは、試験薬の用量レベルが安全性の懸念なく良好に忍容されたことを示している。
【0461】
SADコホートでは、MTPS9579A又はプラセボを投与された対象間で、TEAE率及び重症度が用量レベルコホートにわたって同等であった。観察されたTEAEの大部分は重症度がグレード1であり、試験薬に関連しないと判断された。MADコホートでは、MTPS9579A又はプラセボを投与された対象間で、TEAE率及び重症度が用量レベルコホートにわたって同等であった。観察されたTEAEの大部分は重症度がグレード1であり、試験薬に関連しないと判断された。
【0462】
合計7名の対象(A部(SAD)の4名の対象及びB部(MAD)の3名の対象)は、8つのTEAEを引き起こした研究中の著しい検査異常を有した。これらの検査異常の大部分はクレアチンホスホキナーゼの増加であった。これらのTEAEは全てグレード1の重症度であり、研究の終了までに回復した。MTPS9579A若しくはプラセボを投与されたコホート間又はボランティア間で、検査異常の発生又は大きさのパターンはなかった。予定された測定中に観察された3つのバイタルサイン異常(A部(SAD)に1、パートB部に9 MADに2)をTEAEとみなした。これらはいずれも重症度がグレード1であり、研究の終了までに消散した。
【0463】
ECG結果に関して臨床的に有意な異常は観察されなかった。平均値及び変化に関して治療群間で臨床検査結果、バイタルサイン、及びECG結果についてのベースラインからの関連する差は認められなかった。
【0464】
全体では、7名の対象(A部で4名及びB部で2名の活性薬物を投与された対象、並びにA部のプラセボコホートでは1名の対象)が、試験薬投与後にADA応答を発症した。しかしながら、免疫原性に関して安全性の懸念は予想されなかった。
【0465】
要約すると、MTPS9579Aの投与は、30mg~3600mgの範囲にわたる単一のSC用量又はIV用量いずれかとして、及び150mg~3600mgのQ4Wの複数のSC用量又はIV用量の後に投与された場合、健康な対象において十分に忍容性であった。
【0466】
3.バイオマーカー評価
A.A部(SAD)
MTPS9579Aを受けた全ての対象について2、5、15及び29日目のMTPS9579A投与後に報告された活性トリプターゼの絶対値は、300mg以上のSCで投与されたコホートの定量下限(LLOQ)を下回った。プラセボを受けた対象について-1、2、5、15及び29日目に報告された活性トリプターゼの絶対値は、概して、変化しないままであった。
【0467】
B.B部(MAD)
MTPS9579Aを受けた全ての対象について57、71、及び85日目のMTPS9579A投与後に報告された活性トリプターゼの絶対値は、300mg以上のSCで投与されたコホートのLLOQを下回った。プラセボを受けた対象について-1、57、71及び85日目に報告された活性トリプターゼの絶対値は、概して、変化しないままであった。
【0468】
4.結論
● 合計82人の対象(A部(SAD)の42人の対象及びB部(MAD)の40人の対象)をMTPS9579Aで治療した。
● 全体として、MTPS9579Aは、30mg~3600mgの範囲にわたってMTPS9579Aの単回のSC用量又はIV用量として投与された場合、健康な対象において十分に忍容性であった。
● 報告されたTEAEのいずれも重症又は重篤ではなく、大部分は強度が軽症であった。
● TEAEを報告した対象の発生率は、SAD部分及びMAD部分の両方についての全てのコホートで概して同等であり、コホート間で傾向は観察されなかった。臨床検査、ECG、及びバイタルサインに関する安全上の懸念は、生じなかった。
● 全身曝露(Cmax及びAUC)は、MTPS9579Aの用量の増加と共に増加した。
● MTPS9579Aの反復投薬後、AUCについて得られた蓄積率は、SCコホート全体での弱い~中程度の蓄積及びIVコホート全体での比較的中程度の蓄積を示唆する。
● 用量の増加に伴ってクリアランス推定値が減少すると、おそらくはより低い抗トリプターゼ血清濃度での標的媒介クリアランスに起因する非線形PKが示唆された。
● クリアランス値の範囲が広いため、TPS9579AについてNCAを使用して、バイオアベイラビリティを推定することができなかった。
● 全体として、7名の対象(A部では5名及びB部では2名)が、試験薬投与の後にADA応答を発症し、全ての実験対象において2人の対象が治療誘発性ADAを報告した。
● 全体として、単回投与及び複数回投与漸増試験として投与されたMTPS9579Aは、プラセボで治療された対象と比較した場合の投与後の経鼻吸収試料中の健康ボランティアの上気道における活性トリプターゼレベルの用量依存的減少を示した。
【0469】
実施例4:吸入コルチコステロイド及び第2の長期制御薬を必要とする喘息患者における単回用量のMTPS9597Aの安全性、忍容性、薬物動態及び薬力学的効果を評価するための第Ic相多施設無作為化観察者盲検プラセボ対照研究
【0470】
1.目的及びエンドポイント
この研究は、安全性、薬物動態、薬力学、免疫原性を評価し、
吸入コルチコステロイド(ICS)及び第2の長期制御薬を必要とする喘息患者におけるMTPS9579Aの単回用量の活性。研究の具体的な目的及び対応するエンドポイントを以下に概説する。
図11は、研究設計の概要を示す。
【0471】
A.安全目標
この研究の安全目標は、以下のエンドポイントに基づいてMTPS9579Aの安全性及び忍容性を評価することである:
● WHO毒性スケールに従って決定された重症度を有する有害事象の発生率及び重症度
● 標的とした生命徴候におけるベースラインからの変化
● 標的とした臨床実験室試験結果における、ベースラインからの変化
● ECGパラメータのベースラインからの変化
【0472】
B.薬物動態学の目的
この研究の薬物動態(PK)の目的は、以下のエンドポイントに基づいてMTPS9579Aの血清PKプロファイルを特徴付けることである。
● 指定の時点におけるMTPS9579Aの血清濃度
【0473】
この研究の探索的PKの目的は以下の通りである:
● 以下のエンドポイントに基づいて、薬剤暴露と、MTPS9579Aの安全性との潜在的関係を評価する:
〇 MTPS9579Aの血清中濃度又はPKパラメータと、安全性評価項目との関係
● 鼻粘膜内層液及び気管支粘膜内層液におけるMTPS9579A PKプロファイルを以下のエンドポイントに基づいて特徴づけること:
〇 指定の時点における鼻粘膜内層液及び気管支粘膜内層液中のMTPS9579Aの濃度
【0474】
C.活動目的
この研究の活動目的は、以下のエンドポイントに基づく下気道におけるMTPS9579A活性の証拠を提供することである:
● 指定の時点での気管支粘膜内層液試料中の活性トリプターゼ及び総トリプターゼレベルのベースラインからの相対変化
【0475】
この研究のための探索的活動目的は、以下のエンドポイントに基づく上気道におけるMTPS9579A活性の証拠を提供することである:
● 指定の時点での鼻粘膜内層液試料中の活性トリプターゼ及び総トリプターゼレベルのベースラインからの相対変化
【0476】
D.免疫原性目的
この研究の免疫原性の目的は、以下のエンドポイントに基づいてMTPS9579Aに対する免疫応答を評価することである:
● ベースライン時の抗薬物抗体(ADA)の有病率及び研究中のADAの発生率
【0477】
この研究のための探索的免疫原性の目的は、以下のエンドポイントに基づいてADAの可能性のある影響を評価することである:
● ADAの状態とPK、安全性、活性、及びバイオマーカーエンドポイントとの関係
【0478】
E.バイオマーカーの目的
この研究のための探索的バイオマーカーの目的は、以下のエンドポイントに基づいてMTPS9579A活性(すなわち、薬力学的(PD)バイオマーカー)の証拠を提供することができるバイオマーカーを同定することである:
● 鼻粘膜内層液、気管支粘膜内層液、気管支内生検、上皮ブラッシング、尿及び血液試料におけるバイオマーカーレベルのベースラインからの相対変化
● 鼻粘膜内層液、気管支粘膜内層液、気管支内生検、上皮ブラッシング、尿及び血液試料におけるバイオマーカーレベル間の関係
● 組織、尿及び血液におけるバイオマーカーとPKエンドポイントとの関係
【0479】
2.研究設計
A.研究の説明
これは、ICS及び第2の長期制御薬を必要とする喘息患者におけるMTPS9579Aの単回投薬の安全性、忍容性、薬物動態及びPD効果を評価するための第Ic相、多施設、無作為化、観察者盲検、プラセボ対照研究である。
【0480】
この研究は、英国全土の最大約8箇所の経験豊富な気管支鏡検査部位で行われる。約42人の患者が研究に登録され、無作為化され、約28人の患者がMTPS9579Aを受け、約14人の患者がプラセボ対照を受ける。研究を完了していない患者は、主催者の裁量で交換することができる。
【0481】
患者をスクリーニングし、2:1:2:1の比で4つの研究群:活性化MTPS9579 A(用量レベルA、1800mg)をIV投与、用量レベルAのプラセボ対照、活性MTPS9579A(用量レベルB、300mg)をIV投与、用量レベルBのプラセボ対照のうちの1つに無作為化する適切な安全性スクリーニングの後、患者は、気管支内生検、上皮ブラッシング、及び気管支吸着サンプリングからなるバイオマーカーサンプリングを用いてベースライン気管支鏡検査評価を受ける。患者はまた、ベースライン経鼻吸着サンプリング手順、並びに血液及び尿の収集を受ける。最初の気管支鏡評価の1~5日後に、患者は試験薬治療を受ける。治療は、1日目の1回のIV用量の試験薬(活性MTPS9579A又は活性MTPS9579Aのプラセボ対照)からなる。
【0482】
各患者は、1つのベースライン及び1つのフォローアップ気管支鏡検査治療のみを受ける。患者は、1日目の用量投与の3週間後にフォローアップの気管支鏡検査来院のために戻る。フォローアップの気管支鏡検査訪問時のバイオマーカーサンプリングには、気管支内生検、上皮ブラッシング、気管支吸着、尿、経鼻吸着、及び血清試料の収集が含まれる。血液及び経鼻吸着試料の安全性監視及び収集のための定期的な評価がある。評価は、安全性フォローアップ訪問を伴っておよそ78日目に終了する。試験依頼者は、PK、PD及び利用可能な安全性データを一定の間隔でレビューし、それぞれ12~15人の患者がフォローアップ気管支鏡検査を受けた後に開始される。データを検討すると、治験依頼者は、試験薬群の1つ以上をSC投与経路に変更することを選択することができ、これに対応する変更は、プラセボ対照を有する1つ以上のプラセボ群に対して行われる。さらに、試験依頼者は、用量レベルA及び/又は用量レベルBで公称用量を変更することを選択することができる。フォローアップの気管支鏡検査来院のタイミングは、利用可能なPK/PDデータに基づいて試験依頼者によって更新され得るが、ベースラインの気管支鏡検査の来院から1週間後までは起こらず、ベースラインの気管支鏡検査治療後に十分な回復が可能である。フォローアップ気管支鏡検査の柔軟なタイミングは、MTPS9579AのPKプロファイル全体にわたって気道薬力学を特徴付ける可能性を可能にすることを意図している。
【0483】
さらに、治験依頼者の裁量により、データを検討すると、約14人の追加の患者が登録され、MTPS9579A又はプラセボを受けるように無作為化され得る。
【0484】
B.患者数
年齢が18~65歳のICS及び第2の長期制御薬を必要とする喘息を有するおよそ42人の男性及び女性の患者が、英国にある最大およそ8カ所の治験施設で登録され、無作為化される。
【0485】
3.標的集団
A.組み入れ基準
患者は、次の研究登録基準を満たさなければならない:
● 治験責任医師の判断による、研究プロトコルを遵守する能力
● 同意書の署名時年齢18歳~65歳
● スクリーニング時の肥満度指数18~35kg/m2及び体重40kg以上
● 喘息、以下の基準のうちの1つ以上による研究登録の12ヶ月以内の可変気流閉塞又は超応答性の証拠によって確認される:
〇 1秒間強制呼気容量(FEV 1)/強制呼気容量(FVC)<70%であり、自発的に(例えば、クリニック来院の間)又は経口コルチコステロイドに反応したFEV 1の変動≧12%
〇 ベースライン(メタコリンPC20)≦8mg/mL(記録された既往歴)からFEV 1を20%減少させるのに必要なメタコリンの濃度
〇 最大400mcgのアルブテロールヒドロフルオロアルカン又は2.5~5mgの噴霧サルブタモールによるFEV 1気管支拡張薬応答≧12%及び≧200mL
● 喘息制御療法:スクリーニング前の3ヶ月以上にわたって毎日ICS及び少なくとも第2の長期制御薬(LABA、LAMA、LTRA)、スクリーニング前の4週間以内又はスクリーニング期間中に変化はなく、研究全体を通して長期制御薬の投薬レジメンに予想される変化はない
● スクリーニング時に予測される気管支拡張剤使用前のFEV 1≧50%
● スクリーニング時の喘息制御のアンケート(ACQ-5)≧0.75
● 妊娠の可能性のある女性の場合:禁欲(異性間の性交を控える)又は避妊手段を使用することの合意、及び卵の提供を控えることの合意
● 男性の場合:禁欲(異性との性交を控える)又はコンドームの使用の同意、及び精子の提供を控える旨の同意
【0486】
B.除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、研究の参加から除外される:
● 妊娠中若しくは授乳中、又は研究中若しくはMTPS9579Aの最終投与後110日以内に妊娠することを意図している。
● 妊娠可能な女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査が陰性であり、1日目に尿妊娠検査が陰性でなければならない。
● 声帯機能不全、反応性気道機能不全症候群、パニック発作に関連する過換気、又は他の喘息の模倣の診断
● 治験責任医師によって決定される、職業性喘息、アスピリン感受性喘息(スクリーニング前2週間以内の慢性アスピリン療法又は研究の経過中の慢性アスピリン療法の必要性が予想される場合)、喘息-慢性閉塞性肺疾患(COPD)重複症候群又は細気管支炎の診断
● 間質性肺疾患、COPD(喘息による固定性気流閉塞は例外である)、又は喘息以外の他の臨床的に重要な肺疾患の既往歴
● 現在の喫煙者は、1日目の前の24ヶ月間に30日間以上、1日当たり少なくとも1本のシガレット(又はパイプ、葉巻、「ベイピング」又はマリファナ)を喫煙した者と定義される。
〇 時折(すなわち、1日目の前の24ヶ月以内の30日間以上の1日当たり少なくとも1本の紙巻きタバコ(又はパイプ、葉巻、又はマリファナ))喫煙し、10パック年以下の総喫煙歴を有する患者は許可され得るが、研究中の全ての喫煙を控えることに同意しなければならず、また過去6ヶ月以内に吸入又はマリファナ製品を控えなければならない。
□ パック年は、1日当たりの紙巻たばこのパックの平均数×喫煙年数として定義される。
● 10パック年超の喫煙歴を有する元喫煙者
● 研究中の計画された治療(この研究のために計画された気管支鏡検査以外)又は手術
● 陽性QUANTIFERON(登録商標)検査(QFT)として定義される、スクリーニング中の結核(TB)の陽性検査、
● カルメット・ゲラン桿菌(Bacille Calmette-Guerin)(BCG)ワクチン接種歴のある患者は、QFTのみを用いてスクリーニングすべきであり、QFTには以下の基準が適用される:
〇 不確定のQFTを繰り返すべきである
〇 陽性のQFT又は2つの連続する不確定のQFT結果は、陽性の診断TB検査とみなされるべきである。
〇 不確定QFTとそれに続く陰性QFT試験は、陰性診断TB試験とみなされるべきである。
〇 陽性QFTを有する患者(上記の基準を参照されたい)は、以下の基準の全てを満たす場合に適格である:
□ TBと一致する症候なし
□ スクリーニング前の十分な予防の完了した経過の記録された既往歴(WHOガイドラインに記載されている治療選択肢ごとの潜在性TBに対する完了した治療)
□ 直近の予防後の活動性TBの症例への既知の曝露なし
□ スクリーニング前3ヶ月以内の胸部X線写真で活動性TBの証拠なし
● 任意の適応症に対する任意の生物学的療法に対するアナフィラキシーの既往歴
● モノクローナル抗体投与に対する記録された免疫複合体病の既往歴(III型過敏反応)
● 投薬中に投与される活性物質又はそれらの賦形剤のいずれかに対する既知の感受性
● HIV感染症を含むがこれに限定されない任意既知の免疫不全障害の既往歴
● スクリーニング前12ヶ月以内の喘息による呼吸不全のための挿管
● スクリーニング前3ヶ月以内又はスクリーニング期間中の任意の疾患に対するアレルゲン免疫療法の開始又は変更
● スクリーニング前4週間以内又はスクリーニング期間中のホスホジエステラーゼ-4阻害剤(例えば、ロフルミラスト)による治療、又は一連の研究中のホスホジエステラーゼ-4阻害剤の予想される必要性
● スクリーニング前2週間以内又はスクリーニング期間中の維持経口又はSC βアゴニスト療法(例えば、テルブタリン)による治療
● スクリーニング前3ヶ月以内若しくは5つの薬物半減期(いずれか長い方)以内、又はスクリーニング期間中の免疫調節、免疫抑制(例えば、メトトレキサート、トロレアンドマイシン、経口金、シクロスポリン、アザチオプリン)若しくは実験的抗炎症療法による治療、又は研究の経過中のこれらの薬物の予想される必要性
● スクリーニング前2週間以内及びスクリーニング期間中の維持経口又は吸入抗生物質による治療
● スクリーニング前2週間以内及びスクリーニング期間中のβ遮断薬(局所、経口、又は他の全身)による治療
● スクリーニング前2週間以内及びスクリーニング期間中のホメオパシー薬、喘息の治療を目的としたハーブ療法、鍼灸、又は催眠療法
● スクリーニング前3ヶ月以内若しくは5つの薬物半減期(いずれか長い方)以内、又はスクリーニング期間中の認可された生物学的薬剤(例えば、オマリズマブ、メポリズマブ、又はスプラタスト)による治療
● スクリーニング前の3ヶ月以内若しくは5つの薬物半減期(いずれか長い方)以内、又はスクリーニング期間中の治験療法による治療
● スクリーニング前3ヶ月以内の毎日又は隔日の経口コルチコステロイド維持療法として定義される経口コルチコステロイド療法の維持
● 急性増悪事象(パルス治療)を含む何らかの理由によるスクリーニング前4週間(又はIMの場合は12週間)以内又はスクリーニング期間中の全身(経口、IV、又は筋肉内(IM 0)コルチコステロイドによる治療(又は
● スクリーニング前4週間以内又はスクリーニング期間中の関節内コルチコステロイドによる治療、又は研究の経過中の関節内コルチコステロイドの予想される必要性
● スクリーニング前2週間以内又はスクリーニング期間中の間欠的陽圧換気理学療法の維持、又は研究の経過中の予想される必要性
● スクリーニング前2週間以内又はスクリーニング期間中のバイレベル気道陽圧治療の維持、又は研究の経過中の予想される必要性
● スクリーニング前又はスクリーニング期間中の気管支サーモプラスティの既往歴、又は研究の経過中の予想される必要性
● スクリーニング前28日以内の経口又はIV抗生物質を必要とする重篤な感染症
● スクリーニング前4週間以内又はスクリーニング期間中の免疫グロブリン又は血液製剤による治療、又は研究の経過中の免疫グロブリン若しくは血液製剤の予想される必要性
● スクリーニング前の4週間以内若しくはスクリーニング期間中の任意の生ワクチン若しくは生弱毒化ワクチンによる治療、又は研究の経過中の生弱毒化ワクチンの予想される必要性
● 治験責任医師の判断により、スクリーニング前12ヶ月以内の違法な薬物又はアルコールの乱用
● 末梢静脈アクセス不良
● 治験責任医師の判断で、研究への患者の安全な参加及び研究の完了を不可能にする、臨床検査における任意の重篤な医学的症状又は異常
● 適切に治療された子宮頸部の上皮内癌、非黒色腫皮膚癌、又はステージI子宮癌を除く、悪性腫瘍の既往歴
● 以下のような血液の提供又は喪失(スクリーニング手順中に採取される血液の量を除く):試験薬投与前30日以内の50~499mLの血液又は56日以内の499mL超の血液
● 以下のいずれか1つに起因して、随意柔軟気管支鏡検査を安全に受けることができない:
〇 治療に使用される局所麻酔薬(例えば、リドカイン)に対するアレルギー反応の既往歴
〇 スクリーニング用凝固試験における臨床的に有意な異常の存在
〇 治験責任意思の意見では、患者が選択的気管支鏡検査に適さなくなる可能性がある臨床的に重要な併存症(例えば、制御されない糖尿病、制御されない冠動脈疾患、急性又は慢性腎不全、及び制御されない高血圧)の存在
● 第1又は第2の気管支鏡検査前7日以内のアスピリン、抗凝固剤(例えば、ワルファリン)又は抗血小板剤(例えば、クロピドグレル)による治療
● 非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の使用が許容される。
● 完全左脚ブロック、第2度又は第3度房室心ブロック、又は以前の心筋梗塞の証拠房室ブロックを含む治験責任意思の意見で、臨床的に重要な異常なECGの既往歴又は存在
● 患者が男性の場合フリデリシアの式を用いて補正したQT間隔(QTcF)>450ms、患者が女性である場合QTcF>470であり、少なくとも2つのECGが30分超離れていることによって示される
● QT間隔を延ばすことが十分に知られた投薬による現在の治療
【0487】
4.研究の終了
この研究の終了は、最後の患者、最後の来院が行われた日付、又は最後の患者に対して安全性のフォローアップが行われた日付のうちの遅い方として定義される。研究の終了は、最後の患者が無作為化された約3ヶ月後になるものとする。
【0488】
5.研究の長さ
最初の患者のスクリーニングから研究終了までの研究の全期間は、およそ16ヶ月と予想される。
【0489】
6.治験薬製品
この研究のための治験薬製品(IMP)はMTPS9579Aである。
【0490】
7.試験品(治験薬)及びコンパレータ
患者をスクリーニングし、2:1:2:1の比で4つの研究群:活性化MTPS9579 A(用量レベルA、1800mg)をIV投与、用量レベルAのプラセボ対照、活性MTPS9579A(用量レベルB、300mg)をIV投与、用量レベルBのプラセボ対照のうちの1つに無作為化する最初の気管支鏡評価の1~5日後に、患者は試験薬治療を受ける。治療は、1日目の1回のIV用量の試験薬(活性MTPS9579A又はプラセボ対照)からなる。
【0491】
8.統計的方法
A.一次分析
この研究の主な目的は、MTPS9579Aに関連する安全性プロファイルを特性評価することである。統計学的概要は本質的に記述的である(例えば、発生率、平均、及びパーセンタイル)。この研究の主な活動目的は、MTPS9579AのPK/PDプロファイルを特性評価することである。一次PD転帰は、気管支吸着フォローアップ来院時のベースラインからの気管支粘膜内層液中の活性及び総トリプターゼレベルの相対的変化である。
【0492】
B.試料サイズの決定
合計で約42人の患者を、2:1:2:1比でMTPS9579A用量レベルA、用量レベルAのプラセボ対照、MTPS9579A用量レベルB、及び用量レベルBのプラセボ対照の4つの群に無作為化する。この試料サイズは、ベースラインと比較して気管支粘膜内層液中の活性トリプターゼレベルの50%の変化を検出するための80%の出力を提供する。計算は、両側有意水準を0.05と仮定し、9.2の平均logバイオマーカーレベルと、総トリプターゼ粘膜内層液からの内部研究データ(研究GB29260)から導出された1の標準偏差とに基づく。目標とする効果サイズは、内部の意思決定基準に基づいて選択されている。しかしながら、主要な目的は、下気道の所望の集団における薬物の作用様式及び活性レベルを特徴付けるための仮説試験ではなく推定である。
【0493】
現在のところ、喘息を有する患者において気管支吸着法を用いた活性トリプターゼレベルに関する利用可能なデータはない。
【0494】
したがって、下気道における活性トリプターゼの変動及びレベルをよりよく理解するために、少なくとも1回の累積データ審査を行う。例えば、累積審査データが活性トリプターゼレベルのほぼ完全な阻害を示す場合、PK/PDをより良好に特徴付け、用量選択を支援するために、より低い用量を評価することができる。同様に、累積審査データが想定よりも変動しやすい場合、推定効果サイズの周りの精度を改善するために試料サイズを増加させることができる。
【0495】
C.定期的なデータ審査
体循環並びに上気道及び下気道(鼻及び気管支粘膜)のMTPS9579AのPK/PDプロファイルを評価するため、データの定期的な審査を行う。
【0496】
全ての利用可能なPK/PD及び安全性データは、フォローアップ気管支鏡検査を経た12~15人の患者が受けた後に再検討される。
【0497】
分析は、盲検化されていないデータへの完全なアクセスを有する治験依頼者の研究チームの職員によって実施及び解釈される。治療割り当て情報へのアクセスは、治験依頼者の標準的な手順に従うものとする。
【0498】
累積データ審査後にとることができる行為としては以下が挙げられる:
1.用量及び/又は投与経路の変更
2.追加患者の登録(最大14人の追加の患者)
3.フォローアップの気管支鏡検査来院のタイミングは、投薬後2若しくは4週間(IV投与の場合)又は投薬後1、4若しくは5週間(SC投与の場合)に更新することができる。
【0499】
9.研究及び用量の根拠
ICSを必要とする喘息患者及び第2の長期制御薬においてMTPS9579Aのこの第Ic相気管支鏡検査研究を実施するための理論的根拠は、関連する患者集団における薬物動態及び器官特異的薬力学(肺における標的阻害)を評価することである。この研究の目的は、鼻粘膜内層液及び気管支粘膜内層液中のトリプターゼ濃度及びMTPS9579Aレベルを決定し、関連組織におけるMTPS9579A及びトリプターゼのPK/PD関係を理解し、MTPS9579Aの用量範囲の第IIb相研究のための用量選択を導くことである。
【0500】
喘息患者のこの集団におけるMTPS9579AのPK特性及び標的阻害の程度を更に評価するため、2つのMTPS9579A群及び2つのプラセボ群をこの第Ic相研究について評価することとする。この研究で投与される用量は、MTPS9579Aの安全性、PK及びPD活性を最もよく特徴付けるために治験依頼者によって決定されるが、健康ボランティアにおける進行中の第I相SAD/MAD研究(研究GA40396)で忍容性が高いとみなされた曝露量を超えない。
【0501】
群1の患者に、1800mgのIV MTPS9579A(用量レベルA)の単回用量を投与する。群3の患者に、300mgのIV MTPS9579A(用量レベルB)の単回用量を投与する。これらの用量は、新たに出てきたデータに基づいて増加又は減少させることができるが、3600mg IVを超えることはない。群2及び4の患者は、それぞれ群1及び3の用量と一致するようにプラセボの単回用量を受ける。予備データを検討すると、治験依頼者は、第1群又は第3群の活性薬物の用量を変更し得る。治験依頼者はまた、投与の容易さ、作用の長さ、及び血漿薬物濃度の変動の大きさの減少の可能性を含む、将来の開発に対する潜在的な利点のために、SC薬物投与に変更してもよい。試験薬物用量が3600mg SCを超えることはない。
【0502】
MTPS9579Aの提案された用量範囲は、健康ボランティア及び喘息を有する患者におけるトリプターゼ生物学の理解、MTPS9579Aの特性、作用機序、非臨床活性及び安全性、並びにトリプターゼを標的とする以前の臨床経験を含むデータ全体に基づいて選択された。臨床的有効性に必要な用量及び曝露に関する予測は、喘息患者の気道に存在し得る活性トリプターゼの最大濃度を考慮に入れる。用量選択は、現在記載されている研究からの安全性、PK及びPDデータの進行中の分析に基づく。
【0503】
この研究で選択された用量範囲は、健康ボランティアで以前に評価された用量範囲内である。進行中のSAD/MAD研究である研究GA40396では、最大3600mgのMTPS9579Aの単回用量をIV投与し、最大750mgの単回用量をSC投与した。
実施例5:吸入コルチコステロイド及び第2の長期制御薬を必要とする喘息患者におけるMTPS9579Aの有効性、安全性及び薬物動態を評価するための第IIa相多施設無作為化プラセボ対照二重盲検研究
【0504】
1.目的及びエンドポイント
この研究は、吸入コルチコステロイド(ICS)及び第2の長期制御薬の使用にもかかわらず、喘息が制御されていない患者において、プラセボと比較したMTPS9579Aの有効性、安全性及び薬物動態を評価する。
【0505】
研究の具体的な目的及び対応するエンドポイントを以下に概説する。
図12は、研究設計の概要を示す。
【0506】
A.主要な有効性の目的
この研究の主要な有効性の目的は、以下のエンドポイントに基づいてプラセボと比較したMTPS9579Aの有効性を評価することである。
● 最初のCompEx事象までの時間、48週間の二重盲検治療期間(無作為化来院(2週目)から治療終了(50週目)まで)の間の無作為化から最初の喘息増悪又は日誌悪化までの時間として定義される複合エンドポイント。CompExエンドポイントに関する追加情報については、Fuhlbrigge et al.Lancet 5(7):577-590,2017を参照されたい。喘息の悪化及び日誌悪化は、以下のように定義される。
〇 喘息増悪は、治験責任医師によって評価され、以下の1つ又は両方をもたらす新たな又は増加した喘息症候(喘鳴、咳、呼吸困難、胸部圧迫、及び/又はこれらの症候による夜間覚醒)として定義される。
□ 全身コルチコステロイド治療の投与を必要とする入院又は救急科又は救急外来
□ 3日間以上の全身(IV、筋肉内(IM)、又は経口)コルチコステロイド又は3日間以上の治療有効性を有する長時間作用型デポーコルチコステロイド調製物による治療
● 日誌悪化は、以下の6つのパラメータ:朝のピーク呼気流量(PEFR)、夜のPEFR、朝の症候スコア、夜の症候スコア、朝の短時間作用型救助療法の使用、及び夜の短時間作用型救助療法の使用のサブセットにおける事前に指定された変化(悪化)の発生に基づく。
【0507】
B.副次的な有効性の目的
この研究の副次的な有効性の目的は、以下のエンドポイントに基づいてプラセボと比較したMTPS9579Aの有効性を評価することである。
● 48週間の二重盲検治療期間中の喘息増悪の割合(主要な有効性の目的で定義され、治験責任医師によって評価される)
● 48週間の二重盲検治療期間中の最初の喘息増悪までの時間
● 50週目の気管支拡張剤使用前の1秒間強制呼気容量(FEV1;リットル)における無作為化からの絶対的及び相対的変化
● 50週目の呼気一酸化窒素(FeNO)割合の無作為化からの絶対的及び相対的変化
【0508】
C.探索的有効性の目的
この研究の探索的な有効性目的は、以下のエンドポイントに基づいてプラセボと比較したMTPS9579Aの有効性を評価することである。
● 48週間の二重盲検治療期間中の重症喘息増悪の割合(入院を必要とする喘息症候又は喘息に起因する死亡と定義される)
● 50週目の気管支拡張剤使用前のFEV1の無作為化からの絶対変化(予測パーセンテージ)
● 50週目における、(主要な有効性の目的で定義される)毎日の症候の日誌によって測定される、患者が報告した日中の喘息症候の重症度の無作為化からの絶対変化
● 50週目における、(主要な有効性の目的で定義される)毎日の症候の日誌によって測定される、患者が報告した夜間の喘息症候の重症度の無作為化からの絶対変化
● 50週目に患者が報告した短時間作用型救助吸入器のパフ回数又はネブライザの使用回数の無作為化からの絶対変化
● 選択された部位でのこの任意の評価に同意した患者における、30週目の気道過敏性の尺度としてFEV1(PC20)を20%低下させるメタコリンの誘発性濃度の無作為化来院からの絶対的及び相対的変化
【0509】
D.安全性目標
この研究の安全性目的は、以下のエンドポイントに基づいて、プラセボと比較したMTPS9579Aの安全性を評価することである:
● WHO毒性等級尺度に従って決定された重症度を有する有害事象の発生率及び重症度
● 理学的検査所見における無作為化来院からの変化
● バイタルサインの無作為化来院からの変化
● ECGパラメータの無作為化来院からの変化
● 臨床検査結果の無作為化来院からの変化
【0510】
E.薬物動態学の目的
この研究の薬物動態(PK)の目的は、以下のエンドポイントに基づいてMTPS9579A PKプロファイルを特性評価することである:
以下のエンドポイントに基づいてADAの可能性のある影響を評価することである:
● 指定の時点におけるMTPS9579Aの血清濃度
【0511】
この研究の探索的PKの目的は、鼻粘膜内層液におけるMTPS9579Aの濃度を特性評価すること、並びに薬物曝露とMTPS9579Aの有効性及び安全性との間の潜在的な関係を以下のエンドポイントに基づいて評価することである:
● MTPS9579A及び有効性又は薬力学(PD)エンドポイントに対する血清濃度、鼻粘膜内層液濃度又はPKパラメータの関係
● MTPS9579Aの血清濃度、鼻粘膜内層液濃度又はPKパラメータと安全性エンドポイントの関係
【0512】
F.免疫原性の目的
この研究の免疫原性の目的は、以下のエンドポイントに基づいてMTPS9579Aに対する免疫応答を評価することである:
● 無作為化来院時のADAの有病率に対する研究中の抗薬物抗体(ADA)の有病率
この研究の探索的免疫原性の目的は、以下のエンドポイントに基づいてADAの潜在的効果を評価することである:
● ADAの状態と有効性、安全性、又はPKエンドポイントとの関係
【0513】
G.バイオマーカーの目的
この研究のための探索的バイオマーカーの目的は、以下のエンドポイントに基づいて、MTPS9579Aに対する応答を予測することができ(すなわち、予測バイオマーカー)、MTPS9579A活性の証拠を提供することができ(すなわち、PDバイオマーカー)、又は疾患生物学及び薬物安全性の知識及び理解を高めることができるバイオマーカーを同定及び/又は評価することである。
● 鼻粘膜内層液、尿、及び血清試料中のバイオマーカーレベルの無作為化来院からの変化
● 鼻粘膜洗浄液、尿及び血清試料中のバイオマーカーレベル間の関係
● 鼻粘膜内層液、尿、及び血清中のバイオマーカーと、有効性、安全性、PK及び免疫原性エンドポイントの関係
● 48週間の二重盲検治療期間中の血中好酸球によって定義されるサブグループ内の喘息増悪の割合
● 48週間の二重盲検治療期間中の血中好酸球によって定義されるサブグループ内の最初のCompEx事象までの時間(主要な有効性の目的で定義される通り)
● 48週間の二重盲検治療期間中のトリプターゼをコードする遺伝子(TPSAB1及びTPSB2)の突然変異によって定義されるサブグループにおける喘息増悪の割合
● 48週間の二重盲検治療期間中のトリプターゼをコードする遺伝子(TPSAB1及びTPSB2)の突然変異によって定義されるサブグループにおける最初のCompEx事象までの時間(主要な有効性の目的において定義される通り)
【0514】
2.研究設計
A.研究の説明
これは、毎日のICS療法と以下の追加の長期制御薬療法:長時間作用型β作動薬(LABA)、ロイコトリエンモジュレータ(ロイコトリエン修飾薬(LTM)又はロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA))、長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)、又は長時間作用型テオフィリン製剤の少なくとも1つとを受けている制御されていない中症度から重症の喘息を有する患者におけるアドオン療法として、プラセボと比較したMTPS9579Aの第IIa相、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、多施設、2群研究である。この研究は、世界中の約55の施設で約160人の患者を無作為化する。
【0515】
この研究は、12~28日間のスクリーニング期間、2週間の単盲検プラセボ導入期間、48週間の二重盲検治療期間及び52週目の安全性フォローアップ来院からなる。スクリーニング期間中、患者は、喘息症候、PEFR、及び短時間の救助療法の使用に関する質問に回答するために必要な1日2回の電子日記(eDiary)の使用の遵守に加えて、許容され得る吸入器、ピークフローメーター、及び肺活量測定技術を示さなくてはならない。スクリーニング期間中に適格基準を満たさない患者は、1度再スクリーニングすることが許可される。
【0516】
導入期間の登録基準を満たす患者は、喘息制御の変動の評価を可能にするため、プラセボの(0週目)の1回の単盲検用量を受ける。無作為化来院(2週目)時、患者は、要求される1日2回のeDiaryの使用の継続的遵守を含む二重盲検治療期間のための追加の適格基準を満たさなければならない。
【0517】
MTPS9579A(4週間毎に1800mgのIV)又はプラセボを受けるため患者を1:1の比で無作為化する。
【0518】
試験薬は、無作為化来院(2週目)、6週目、及びその後46週目まで4週間毎にIV注入によって投与される。
【0519】
治療期間中、喘息関連症候、PEFR、及び短時間作用型救助療法の使用の1日2回の評価は、家庭で引き続き行われ、eDiaryに記録される。肺活量測定及びFeNO測定を含むより詳細な評価は、予定された施設来院中に実施される。全ての患者がPK、バイオマーカー及びADAサンプリングを受ける。追加の探索的有効性評価、気道反応性を評価するためのメタコリン誘発試験は、この選択肢に同意し、追加の適格基準を満たす患者のサブセット(約20人の患者/研究群)の選択部位で行われる。
【0520】
48週間の二重盲検治療期間においておよそ51人の患者がCompEx事象経験すると、計画された中間解析を行う。
【0521】
この計画された中間解析の予想されるタイミングは、最初の患者が無作為化されてから約60週間後である。この中間解析は、管理目的(すなわち、今後の研究の計画)のためだけに行われる。
【0522】
B.スクリーニング期間
最大4週間のスクリーニング期間は、患者が全ての適格要件を満たすのに十分な時間を可能にすることを意図している。患者は、eDiaryの遵守を実証するために、少なくとも12日間のスクリーニング期間を完了しなければならない。スクリーニング期間中に評価を完了することができないか又は適格要件を満たすことができない患者は、以下の例外を除いて、合計2回まで1度再スクリーニングされることが許可される:40%~80%の朝の気管支拡張剤使用前のFEV1、又は12%以上及び200mL以上のFEV1(リットル)気管支拡張剤使用後の可逆性の要件を満たさない患者は、スクリーニング期間内にこれら2つの適格基準を満たすための2回までの更なる試みが可能であるが、朝の気管支拡張剤使用前のFEV1が35%~85%であった場合に限る。
【0523】
インフォームドコンセント用紙の完了後6週間以内に再スクリーニングを受けた患者は、スクリーニング失敗を誘発した評価のみを繰り返す。インフォームドコンセント用紙の完了後6週間を超えて再スクリーニングした患者は、同意プロセス、並びに結核(TB)スクリーニング及び肝炎血清学を除く全てのスクリーニング評価を繰り返す必要がある。しかしながら、再スクリーニングが最初のスクリーニングから6ヶ月を超えて行われる場合、又は曝露のリスクがある場合、TBスクリーニング及び肝炎血清学を繰り返さなければならない。
【0524】
C.導入期間
導入期間に登録された患者は、導入来院時(0週目)にプラセボの1回の単盲検用量を受ける。
【0525】
eDiaryの遵守は、導入期間の連続する2週間の各々の間の7日のうちの少なくとも5日において実証され続けなければならない。二重盲検治療期間の適格基準を満たさない患者は、研究を中止し、再スクリーニングに適格ではない。
【0526】
D.患者数
中等症~重症の喘息を有する約160人の患者がこの研究では無作為化される(2つの治療群のそれぞれに80人の患者)。
【0527】
3.標的集団
A.組み入れ基準
i.導入期間中の登録のための選択基準
● 署名したインフォームドコンセントフォーム
● 治験責任医師の判断による、研究プロトコルを遵守する能力
● 同意書の署名時年齢18歳~75歳
● スクリーニング時の肥満度指数18~38kg/m2及び体重40kg以上
● スクリーニング前の少なくとも12ヶ月間の医師が診断した喘息の記録
● スクリーニング時に予測される気管支拡張剤使用前のFEV1 40%~80%
● スクリーニング時の気管支拡張剤使用後のFEV1(リットル)の可逆性12%以上及び200mL以上
● FEV 1/努力肺活量(FVC)70%未満
● スクリーニング前4週間以内又はスクリーニング期間中に変化がなく、研究全体を通して長期制御薬投薬レジメンに予想される変化がない、スクリーニング前3ヶ月以上の喘息制御療法による治療(毎日のICS(100 μg以上のフルチカゾン又は等価物)及び少なくとも1つの追加の長期制御薬療法(LABA、LAMA、LTM/LTRA))
〇 500μg未満のフルチカゾンプロピオン酸塩又は同等物の総1日ICS用量を受けている患者については、その追加の長期制御薬治療の1つはLABAでなければならない。
〇 500μg以上のフルチカゾンプロピオン酸塩又は同等物の総1日ICS用量を受けている患者については、患者は以下の追加の長期制御薬治療の1つ以上を受けなければならない:LABA、LTM/LTRA、LAMA、又は長時間作用型テオフィリン製剤。
● 喘息制御アンケート、スクリーニング時5項目バージョンスコア≧1.5
● 以下の少なくとも1つをもたらす新たな又は増加した喘息症候(これらの症候による喘鳴、咳、呼吸困難、胸部圧迫、及び/又は夜間覚醒)として定義される、毎日のICS維持療法(スクリーニング時と同じ又はより高い用量)を受けている間のスクリーニング前12ヶ月以内の≧1の喘息増悪の記録された既往歴(例えば、治験責任医師によって評価された医療報告書、薬局処方箋):
〇 全身コルチコステロイド治療を伴う入院又は救急科又は緊急治療の来院
〇 3日間以上の全身(IV、IM、又は経口)コルチコステロイド又は3日間以上の治療有効性を有する長時間作用型デポーコルチコステロイド調製物の使用
● スクリーニングにおける許容され得る吸入器、ピークフローメーター、及び肺活量測定技術の実証
● スクリーニング期間(12~28日間)内の連続する2週間の各々の間の少なくとも7日のうちの5日に全ての必要な評価(喘息症候、PEFR測定、及び短時間救助療法の使用に関する質問への回答)を完了することとして定義される、eDiaryの必要な使用の遵守の実証。
● 妊娠の可能性のある女性の場合:禁酒(異性間の性交を控える)又は避妊を使用することの同意
● 男性の場合:禁欲(異性との性交を控える)又はコンドームの使用の同意、及び精子の提供を控える旨の同意
【0528】
ii.二重盲検治療期間への登録のための組み入れ基準
導入期間の完了後、患者は、二重盲検治療期間への登録のための追加基準を満たさなければならない:
● 導入期間中の連続する2週間の各々の間に、7日のうちの少なくとも5日に全ての必要な評価(喘息症候、PEFR測定、及び短時間救済療法の使用に関する質問への回答)を完了することと定義される、eDiaryの必要な使用の遵守の実証
● 導入期間中のICS療法又は許容される長期制御薬療法の変更なし
● 導入期間中の新たな喘息の増悪又は感染なし
【0529】
iii.任意のメタコリン負荷試験のための組み入れ基準
二重盲検治療期間に登録された患者は、任意のメタコリン負荷試験への登録のための追加基準を満たさなければならない:
● 任意のメタコリン負荷試験のための署名済みインフォームドコンセント用紙
● 無作為化におけるメタコリン負荷(PC20≦8mg/mL)
● FEV1 60%~80%の予測
【0530】
B.除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、研究の参加から除外される:
● 声帯機能不全、反応性気道機能不全症候群、パニック発作に関連する過換気、又は他の喘息の模倣の既往歴又は証拠
● 職業性喘息、アスピリン感受性喘息、喘息-慢性閉塞性肺疾患(COPD)重複症候群、細気管支炎、間質性肺疾患、又はCOPDを含む、喘息以外の有意な呼吸器疾患の病歴又は証拠
● 現在の喫煙者、喫煙歴が10パック年超の元喫煙者、又は同意時から研究の完了まで喫煙を控えることを望まない元喫煙者
〇 現在の喫煙者は、来院1前の24ヶ月以内の少なくとも30日間にタバコ又はマリファナ製品を喫煙した者と定義される。
〇 時折喫煙し(来院1の前の24ヶ月以内に30日未満でタバコ又はマリファナ製品を喫煙し)、10パック年以下の総喫煙歴を有する患者は、許可され得るが、研究中の全ての喫煙を控えることに同意しなければならない。
〇 パック年は、1日当たりの紙巻たばこのパックの平均数×喫煙年数として定義される。
● 治験責任医師の判断において、研究に参加する患者の能力に影響を及ぼし、患者の安全性にリスクをもたらし、研究の実施を妨げ、又は研究結果に影響を及ぼすであろう物質の乱用の既往歴又は証拠
● 臨床的に重要な医学的症状/疾患(例えば、精神医学的、神経学的、心血管、腎臓、肝臓、胃腸、内分泌、自己免疫)の既往歴若しくは証拠、又は治験責任医師の判断で患者の安全な参加及び研究の完了を妨げるか、又は研究の実施及び解釈を妨げる臨床検査の異常
〇 スクリーニング前4週間の安定した治療レジメンで良好に制御された併存疾患を有する患者は研究に適格である。
● スクリーニング時のヘモグロビンA1c(HbA1c)>8.5%、又は治験責任医師の意見では、制御されていない糖尿病を定義し得る任意の他の臨床的に重要な所見
● スクリーニング前12ヶ月以内の心筋梗塞、不安定狭心症、又は脳卒中
● スクリーニング前12ヶ月以内の慢性心不全の増悪又は治験責任医師の見解で心不全の増悪のリスクがある慢性心不全の増悪
● 完全な左脚ブロック、第2度若しくは第3度の房室心ブロック、又は以前の心筋梗塞の証拠を含む、治験責任医師の見解で臨床的に重要な異常なECGの既往歴又は存在。
● 患者が男性である場合、フリデリシアの式使用することによって補正されたQT間隔(QTcF)>450ms、又は患者が女性である場合、QTcF>470であり、少なくとも2つのECGが30分超離れていることによって実証される。
● 適切に治療された非黒色腫皮膚癌、上皮内子宮頸癌、上皮内乳管癌、又はI期子宮癌を除いて、スクリーニングから5年以内の活動性悪性腫瘍又は悪性腫瘍の既往歴
● スクリーニング時にHCV RNA<15IU/mL(又は検出不能)でない限り、及びHCV抗ウイルス治療の完了に成功した場合は6ヶ月間、スクリーニング時にC型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性
● スクリーニング時のB型肝炎表面抗原(HBsAg)陽性、又はHBsAg陰性、B型肝炎コア抗体(HBcAb)陽性
● スクリーニング時の陽性HIV抗体
● スクリーニング中のTB陽性は、陽性精製タンパク質誘導体(PPD)試験(注射後48~72時間で5mm以上の硬結)又はスクリーニング中の陽性QUANTIFERON(登録商標)TB Gold(QFT-G)試験のいずれかと定義される
● BCGワクチン接種歴のある患者については、QFT-Gについての以下の基準が適用される:
〇 不確定のQFT-Gを繰り返すべきである
〇 陽性のQFT-G又は2つの連続する不確定のQFT-G結果は、陽性の診断TB検査とみなされるべきである。
〇 不確定QFT-Gとそれに続く陰性QFT-G試験は、陰性診断TB試験とみなされるべきである。
〇 陽性PPD試験又はQFT-Gを有する患者は、以下の基準の全てを満たす場合に適格である:
■ TBと一致する症候なし
■ スクリーニング前の十分な予防の完了した経過の記録された既往歴(WHOガイドラインに記載されている治療選択肢ごとの潜在性TBに対する完了した治療)
■ 直近の予防後の活動性TBの症例への既知の曝露なし
■ スクリーニング前3ヶ月以内の胸部X線写真で活動性TBの証拠なし
● スクリーニング前4週間以内に外科的介入(例えば、ドレナージ)又は医学的治療(例えば、抗生物質)のいずれかを必要とする急性感染症
● スクリーニング前6ヶ月以内の活動性寄生虫感染
● 研究の経過中の計画された外科的介入
● 任意の既知の免疫不全障害の既往歴
● モノクローナル抗体投与に対する実証された免疫複合体疾患(III型過敏反応)の既往歴
● 任意の適応症に対する任意の生物学的療法に対するアナフィラキシーの既往歴
● 投薬中に投与される活性物質又はそれらの賦形剤のいずれかに対する既知の感受性
● スクリーニング前3ヶ月以内、スクリーニング期間中のアレルゲン免疫療法の開始又は変更、又は研究の経過中に予想される必要性
● スクリーニング前4週間以内、スクリーニング期間中の免疫グロブリン又は血液製剤による治療、又は研究の経過中に予想される必要性
● スクリーニング前4週間以内、スクリーニング期間中の任意の生ワクチン又は生、弱毒化ワクチンによる治療、又は研究の経過中に予想される必要性
● スクリーニング前の3ヶ月以内又は5つの薬物半減期以内(いずれか長い方)、スクリーニング期間中の任意の認可された生物学的薬剤(例えば、オマリズマブ、メポリズマブ、レスリズマブ、デュピルマブ)による治療、又は研究の経過中の予想される必要性
● スクリーニング前の3ヶ月以内又は5つの薬物半減期以内(いずれか長い方)、スクリーニング期間中の意の治験療法による治療、又は研究の経過中の予想される必要性
● スクリーニング前3ヶ月以内又はスクリーニング期間中の、毎日又は1日おきの経口コルチコステロイド維持療法として定義される経口コルチコステロイド療法の維持
● スクリーニング前の4週間(経口又はIV)若しくは12週間(IM)以内、又は急性増悪事象の治療を含む何らかの理由によるスクリーニング期間中の全身コルチコステロイドによる治療
● スクリーニング前4週間以内、スクリーニング期間中の関節内コルチコステロイドによる治療、又は研究の経過中に予想される必要性
● スクリーニング前2週間以内、スクリーニング期間中の経口又はSCのβアゴニスト療法の維持、又は研究の経過中に予想される必要性
● スクリーニング前4週間以内、スクリーニング期間中のホスホジエステラーゼ-4阻害剤(例えば、ロフルミラスト)による治療、又は研究の経過中に予想される必要性
● スクリーニング前3ヶ月以内若しくは5つの薬物半減期(いずれか長い方)以内、又はスクリーニング期間中の免疫調節、免疫抑制(例えば、メトトレキサート、トロレアンドマイシン、経口金、シクロスポリン、アザチオプリン)、実験的抗炎症療法による治療、又は研究の経過中のこれらの薬物の予想される必要性
● スクリーニング前2週間以内、スクリーニング期間中の経口又は吸入抗体療法の維持、又は研究の経過中に予想される必要性
● スクリーニング前2週間以内、スクリーニング期間中の肥満細胞安定剤(例えば、クロモリン)による治療、又は研究の経過中に予想される必要性
● スクリーニング前2週間以内、スクリーニング期間中のホメオパシー薬、ハーブ薬、鍼灸若しくは催眠による治療、又は研究の経過中に予想される必要性
● スクリーニング前12ヶ月以内の喘息による呼吸不全のための挿管
● スクリーニング前2週間以内、スクリーニング期間中の間欠的陽圧換気の維持、又は研究の経過中に予想される必要性
● スクリーニング前2週間以内、スクリーニング期間中のバイレベル気道陽圧治療の維持、又は研究の経過中に予想される必要性
● スクリーニング前24ヶ月以内、スクリーニング期間中の気管支サーモプラスティ治療、又は研究の経過中に予想される必要性
● 妊娠中若しくは授乳中、又は研究中若しくはMTPS9579Aの最終投与後42日以内に妊娠することを意図している。
〇 妊娠可能な女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査が陰性であり、無作為化来院時に尿妊娠検査結果が陰性でなければならない。
【0531】
4.研究の終了
この研究の終了は、全ての患者が研究完了若しくは早期終了来院を完了したか、又はそうでなければ研究を中止した日付として定義される。各患者に対するこの研究の総期間は、スクリーニング、導入、治療及びフォローアップを含めて約56週間である。さらに、治験依頼者は、研究をいつでも終了することを決定することができる。
【0532】
5.研究の長さ
最初の患者のスクリーニングから研究終了までの研究の全期間は、約25ヶ月とされる。
【0533】
6.治験薬製品
A.MTPS9579A及びプラセボ
導入期間中、患者は、喘息制御の変動性の評価を可能にするためプラセボの1回の単盲検用量(0週目)を受ける。
【0534】
二重盲検治療期間中、MTPS9579A又はプラセボは、無作為化来院(2週目)、6週目、及びその後46週目まで4週間毎にIV注入によって投与される。
【0535】
B.非治験薬製品
全ての患者は、ICS療法と少なくとも1つの追加の長期制御薬療法からなる安定した喘息治療レジメンを服用していなくてはならない。これらの医薬の製剤、包装、及び取り扱いについては、局所処方情報を参照されたい。患者は、喘息の治療のための全身(経口、IV、又はIM)コルチコステロイド、生物学的薬剤、又は実験的治療薬を服用していなくてもよい。
【0536】
7.統計的方法
A.一次分析
有効性の主要評価項目は、最初のCompEx事象までの時間であり、無作為化から
48週間の二重盲検治療期間中の最初の喘息増悪又は日誌悪化までの時間として定義される。喘息の悪化及び日誌悪化は、以下のように定義される。
● 喘息増悪は、治験責任医師によって評価され、以下の1つ又は両方をもたらす新たな又は増加した喘息症候(喘鳴、咳、呼吸困難、胸部圧迫、及び/又はこれらの症候による夜間覚醒)として定義される。
〇 全身コルチコステロイド治療の投与を必要とする入院又は救急科又は救急外来
〇 3日間以上の全身(IV、IM、又は経口)コルチコステロイド又は3日間以上の治療有効性を有する長時間作用型デポーコルチコステロイド調製物による治療
● 日誌悪化は、以下の6つのパラメータにおける事前に指定された変化(悪化)の発生に基づく:朝のPEFR、夕方のPEFR、朝の症候スコア、夕方の症候スコア、朝の短時間作用型救助療法の使用、夕方の短時間作用型救助療法の使用ベースラインからの変化(閾値)又は連続5日間にわたる特定の大きさ(傾き)の悪化のいずれかとして定義される悪化基準が、プロトコルの各パラメータについて提示される。日誌悪化は、以下のシナリオのいずれか1つ又は両方の発生として定義される:
〇 患者は、2日連続でPEFR(朝及び/又は夕方)及び少なくとも1つの他のパラメータ(すなわち、朝の症候スコア、夜の症候スコア、朝の救助療法の使用、及び/又は夜の救助療法の使用)の閾値悪化基準(すなわち、ベースラインからの事前に指定された変化)を満たす。
〇 患者は、2日連続の1つのパラメータについて閾値悪化基準(すなわち、ベースラインからの事前に指定された変化)を満たし、6つのパラメータ全てについて勾配悪化基準(すなわち、単変量線形回帰を介して計算された5連続日にわたる事前に指定された変化)を満たす。
【0537】
閾値劣化基準が満たされているかどうかを判定する目的で、6つのパラメータの各々のベースライン値は、無作為化の日の直前に終了する10日間にわたる平均として各患者について計算される。
【0538】
第1の日記悪化シナリオが満たされた場合(すなわち、2つのパラメータで閾値を満たす)、日記悪化事象は、連続する2日のうちの1日目(事象の0日目及び1日目として定義される)に開始する。
【0539】
第2の日記悪化シナリオが満たされた場合(すなわち、1パラメータ、6つのパラメータ全てにおいて傾きを満たす)、日誌悪化事象は、閾値を満たした2つの連続した日のうちの最初の日(事象の0日目及び1日目)に始まり、6つのパラメータの傾き基準は、0日目及びその日の前の連続した4日間(すなわち、事象の4日目から事象の0日目まで)に満たされなければならない。
【0540】
第2の日誌悪化シナリオに適格とするため、各パラメータの傾きの計算に利用可能な連続する5日間の少なくとも3つのデータが各パラメータの傾きの計算に利用可能でなくてはならない。分析は、観察された喘息の悪化及び日記の悪化に基づいており、早期の中止又は日記のエントリの欠落についての補完は行わない。
【0541】
主要エンドポイントは、ベースライン共変量を調整して、最初のCompEx事象までの時間に関してMTPS9579Aをプラセボと比較するCox比例ハザード回帰モデルを使用して分析される。推定ハザード比及びそれらに関連する95%信頼区間を提供する。
【0542】
B.試料サイズの決定
この試験の主な目的は、仮説検定ではなく推定である。これは主に、プラセボ群におけるCompExの特徴づけられていない分布によるものである。51の事象に基づく中間解析は、真の基礎となるハザード比を推定するための妥当な精度をもたらす。例えば、0.55の観察されたハザード比は、0.32~0.95の95%信頼区間に対応する。160人の患者を無作為化することにより、最初の患者が登録されてからおよそ60週間後に51のCompEx事象を観察することが可能になり、指数分布、22.6週間のプラセボの最初のCompEx事象までの時間中央値、及び0.55のハザード比を仮定する。これは更に、月あたり部位あたり0.25人の患者の想定される登録率に基づいており、10%の部位が研究開始時に準備ができており、75%の部位が最初の患者が登録された後6ヶ月までに活性である。
【0543】
C.中間分析
この研究では、約51人の患者がCompEx事象を経験した後に中間解析を行う。中間解析の予想されるタイミングは、最初の患者が無作為化されてから約60週間後である。暫定分析の結果について、正式な中止規則又は決定基準は定義されていない。
【0544】
治療割り当て情報へのアクセスは、治験依頼者の標準的な手順に従うものとする。研究の仮説生成の性質を考慮すると、治験依頼者は、最大2つの追加の中間有効性分析を実施することを選択してもよい。
【0545】
8.治療の割り当て及び盲検化の方法
導入期間の完了に成功した後、2週目の来院時に、患者は、MTPS9579A又はプラセボによる治療に、対話型音声又はウェブベースの応答システムを介して1:1の比で無作為に割り当てられる。無作為化を、研究群間で患者のバランスをとるために過去12ヶ月間の全身コルチコステロイドの使用を必要とする以前の喘息増悪(1対2以上)の領域(米国/西ヨーロッパ対東ヨーロッパ対南半球)及び数によって層別化する。無作為化中の1層あたり35%の血中好酸球レベル(来院1<150対150~300対>300細胞/μL)の登録キャップを利用して、両方の研究群における患者の自然な分布を確実にする。順列ブロック無作為化法を用いる。
【0546】
9.許容される喘息治療
全ての患者は、以下に概説するように、安定した喘息治療レジメンを継続する:
● スクリーニング前の4週間以内又はスクリーニング期間中に変化がなく、研究全体を通して、長期作用薬投薬レジメンに予想される変化のない、スクリーニング前の3ヶ月以上にわたる毎日のICS療法+少なくとも1つの追加の長期制御薬療法(LABA、LAMA、LTM/LTRA)
〇 500μg未満のフルチカゾンプロピオン酸塩又は同等物の総1日ICS用量を受けている患者については、その追加の長期制御薬療法の1つはLABAでなければならない。
〇 500μg以上のフルチカゾンプロピオン酸塩又は同等物の総1日ICS用量を受けている患者については、患者は以下の追加の長期制御薬療法の1つ以上を受けなければならない:LABA、LTM/LTRA、LAMA、又は長時間作用型テオフィリン製剤。
【0547】
血清テオフィリンレベルに基づいて適切に調整され得るテオフィリン用量を除いて、ICS又は任意の追加の長期制御薬療法の製剤又は用量へのいかなる変更も回避されるべきである。ICSブランド又は製剤の変更が避けられない場合、患者は、患者が研究登録時に受けていたICS用量と同等の用量で別のICSブランド又は製剤に切り替えることができる。
【0548】
安定した長期制御薬療法の投与量を維持するために、患者は、救助療法としてICS/LABA併用吸入器(すなわち、1回の維持及び緩和療法)を使用しない場合がある。注:これは救助用途にのみ関係し、安定な長期制御薬療法としてのICS/LABAが許容される。
【0549】
患者の大部分は、既存の治療ガイドラインに従って、制御されていない喘息の症候に対して短時間作用型β作動薬(SABA)又は短時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(SAMA)療法を使用すると予想される。SABA又はSAMA吸入器(例えば、アルブテロール/イプラトロピウム)の組合せも可能である。短時間作用型救助療法は、患者の処方された吸入器又はネブライザを介して投与されなければならない。
【0550】
スクリーニング前の4週間(経口又はIV)若しくは12週間(IM)以内、又はスクリーニング期間若しくは導入期間中に何らかの全身コルチコステロイドを必要とする患者は、試験に適格ではない。全身性コルチコステロイドの使用は、無作為化後の急性喘息管理のために許容される。
【0551】
10.自宅で患者が完了した評価
最初のスクリーニング来院時に、患者は、PEFRを測定するためにeDiary及びピークフローメーターを受ける。患者は、eDiaryの使用を指示され、eDiaryを1日2回(午前/午後)使用して喘息関連の症候、PEFR、及び短時間作用型救助療法の使用を記録するように依頼される。eDiaryは、入力を完了するように患者に1日2回注意喚起し、入力が毎日ほぼ同じ時刻に完了しなければならない時間枠を提供する。患者はスクリーニング中及び50週目までeDiaryを使用する。
【0552】
eDiary及びPEFR測定の必要な使用の遵守は、スクリーニング期間中及び2週間の導入期間中の連続する各2週間の7日間のうち5日に実証されなければならない。スクリーニング期間中のeDiaryの遵守が70%未満(7日間/週のうち5日間未満)であると、スクリーニング失敗となる。導入期間中のeDiaryの遵守が70%未満(7日間/週のうち5日間未満)であると、研究を中止することになる。施設スタッフは、その後の各来院時に毎日の日記の遵守を審査し、遵守が研究来院間で一貫して70%未満である場合、リフレッシャートレーニングを提供する。
【0553】
上記の毎日の日誌は以下を含む:
● 日中/夜間の喘息症候
● 夜間覚醒
● 短時間作用型レスキュー療法の投薬回数
【0554】
11.研究及び用量の根拠
喘息における現在の満たされていない高い医学的ニーズは、ガイドラインに基づく標準治療を遵守しているにもかかわらず、疾患が制御されていない患者に対するものである。この研究では、標的集団は、ICS療法及び少なくとも1つの追加の長期制御薬療法の毎日の使用にもかかわらず疾患が制御されていないままである中等症~重症の喘息を有する患者である。患者は喘息の診断を受けていなければならず、喘息制御アンケート、5項目バージョン(ACQ-5)スコア≧1.5でなければならず、制御されていない疾患の証拠としてスクリーニング前の12ヶ月以内に少なくとも一回の喘息増悪を経験していなければならない。
【0555】
ICSを必要とする喘息及び第2の長期制御薬を有する患者においてMTPS9579Aのこの第IIa相活性証明研究を実施するための理論的根拠は、関連する患者集団における有効性、安全性、薬物動態及び薬力学を評価することである。MTPS9579Aでトリプターゼを阻害すると、全ての喘息タイプにわたって肥満細胞活性化の下流の気道炎症が遮断されると予想される。この研究の目的は、患者が報告した尺度と増悪の機能的尺度との組合せを使用して、喘息の患者の徴候及び症候に対するMTPS9579Aによる毎月の治療の影響を決定し、MTPS9579A及びトリプターゼの安全性及びPK/PD関係を理解し続けることである。任意のメタコリン負荷試験の理論的根拠は、気道平滑筋細胞束内の肥満細胞の微局在化が気道過敏症に寄与すると考えられることである。気道過敏性の尺度であるメタコリン負荷試験を使用して、患者におけるMTPS9579Aの生理学的活性を実証することになる。
【0556】
この研究(1800mgのIV Q4W)におけるMTPS9579Aの用量は、以下のデータの全体に基づいて選択された:健康ボランティア及び喘息患者におけるトリプターゼ生物学の理解、第Ia/b相SAD/MAD臨床試験データ、MTPS9579Aの特性、作用機序、非臨床活性及び安全性、並びにトリプターゼを標的とする以前の臨床経験。選択された第IIa相用量は、第Ia/b相研究(GA40396)で以前に評価された用量範囲内である。その研究では、試験した最大用量である単回用量又はQ4Wレジメン(3用量)として静脈内投与されたMTPS9579Aの最大3600mgの用量が十分に忍容された。この研究(1800mgのIV Q4W)で試験される用量及びレジメンは、これまでに利用可能な全データに基づいて臨床的利益の可能性を最大化すると予測される。定常状態の濃度では、この用量は活性トリプターゼレベルを95%低下させると予想され、患者の安全性を確保しながら喘息患者の気道に存在し得る活性トリプターゼの最大濃度を説明する。
【0557】
他の態様
上述の発明を、理解を明確にする目的で、説明及び実施例によって、ある程度詳細に説明してきたが、説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。本明細書に引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりその全体が明示的に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】