IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 深▲セン▼市韶音科技有限公司の特許一覧

<>
  • 特表-音響出力装置 図1
  • 特表-音響出力装置 図2
  • 特表-音響出力装置 図3
  • 特表-音響出力装置 図4
  • 特表-音響出力装置 図5
  • 特表-音響出力装置 図6
  • 特表-音響出力装置 図7
  • 特表-音響出力装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】音響出力装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/26 20060101AFI20221116BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20221116BHJP
   H04R 1/28 20060101ALI20221116BHJP
   G10K 11/178 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
H04R1/26
H04R3/00 310
H04R1/28 310B
G10K11/178
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517898
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 CN2020116319
(87)【国際公開番号】W WO2021052485
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】201910888067.6
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910888762.2
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SMALLTALK
3.VISUAL BASIC
4.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】514156013
【氏名又は名称】深▲セン▼市韶音科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SHOKZ CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Floors 1-4,Factory Building 26,Shancheng Industrial Park,Shiyan Street,Bao’an District,Shenzhen,Guangdong 518108,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】付 峻江
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
【テーマコード(参考)】
5D018
5D061
5D220
【Fターム(参考)】
5D018AC02
5D061FF02
5D220AA11
(57)【要約】
本願は、音響出力装置を開示し、該音響出力装置は、第1の振動板を含む第1の音響ドライバと、第2の振動板を含む第2の音響ドライバと、それぞれ前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバに電気的に接続され、前記第1の振動板を振動するように駆動する第1の電気信号と前記第2の振動板を振動するように駆動する第2の電気信号とを提供する制御回路であって、前記第1の電気信号と前記第2の電気信号とは位相が逆である制御回路と、前記第1の音響ドライバ及び前記第2の音響ドライバを載置する筐体構造体であって、前記第1の振動板の振動により発生する音が前記筐体構造体上の第1の音誘導孔から外部に放射され、前記第2の振動板の振動により発生する音が前記筐体構造体上の第2の音誘導孔から外部に放射される筐体構造体と、を含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の振動板を含む第1の音響ドライバと、
第2の振動板を含む第2の音響ドライバと、
前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバに電気的に接続され、前記第1の振動板を振動させるように駆動する第1の電気信号と前記第2の振動板を振動させるように駆動する第2の電気信号とを提供する制御回路であって、前記第1の電気信号と前記第2の電気信号とは位相が逆である、制御回路と、
前記第1の音響ドライバ及び前記第2の音響ドライバを載置する筐体構造体とを含み、
前記第1の振動板の振動により発生する音が前記筐体構造体の第1の音誘導孔から外部に放射され、前記第2の振動板の振動により発生する音が前記筐体構造体の第2の音誘導孔から外部に放射される、音響出力装置。
【請求項2】
前記第1の音響ドライバが第1の磁気回路構造体を含み、前記第2の音響ドライバが第2の磁気回路構造体を含み、前記第1の振動板が前記第1の電気信号の駆動で前記第1の磁気回路構造体に向かって振動すると、前記第2の振動板が前記第2の電気信号の駆動で前記第2の磁気回路構造体から離れて振動する、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記筐体構造体が、連通しない第1のキャビティ及び第2のキャビティを少なくとも含み、前記第1の音響ドライバが前記第1のキャビティ内に位置し、前記第2の音響ドライバが前記第2のキャビティ内に位置する、請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記第1のキャビティが前記第2のキャビティと同じであり、前記第1の音響ドライバのフロントキャビティが前記第2の音響ドライバのフロントキャビティと同じであり、前記第1の音響ドライバのリアキャビティが前記第2の音響ドライバのリアキャビティと同じである、請求項3に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記第1の音誘導孔が前記第1のキャビティに連通し、前記第2の音誘導孔が前記第2のキャビティに連通し、前記第1の音響ドライバが前記第1の音誘導孔から音を発し、前記第2の音響ドライバが前記第2の音誘導孔から音を発し、前記第1の音響ドライバにより前記第1の音誘導孔から発する音と前記第2の音響ドライバにより前記第2の音誘導孔から発する音とは位相が逆である、請求項3に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記第1の音誘導孔と前記第2の音誘導孔とが前記筐体構造体の隣接又は対向する側壁に位置する、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記制御回路がオーディオ信号を生成し、前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバとが逆極性の方式でそれぞれ前記オーディオ信号を受信することによって、それぞれ前記第1の電気信号と前記第2の電気信号を取得する、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバが同じ極性の方式でそれぞれ前記制御回路に電気的に接続され、前記第1の音響ドライバ又は前記第2の音響ドライバと制御回路との間が位相反転回路を介して電気的に接続されている、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバとの間の中高周波数範囲での振幅周波数応答の差分値が6dB以下である、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記中高周波数範囲が200Hz~20kHz以内にある、請求項9に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバとの間の少なくとも一部の低周波数範囲での振幅周波数応答の差分値が10dB以上である、請求項9に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバのうち、低周波数範囲での振幅周波数応答値が大きい方の音響ドライバからユーザの耳までの音響経路がより小さい、請求項11に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記第1の音響ドライバのリアキャビティ及び前記第2の音響ドライバのリアキャビティに少なくとも1つの調音孔が設けられている、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項14】
第3の振動板を含む第3の音響ドライバを更に含み、
前記制御回路が前記第3の振動板を振動させるように駆動する第3の電気信号を提供し、前記筐体構造体の第3の音誘導孔及び第4の音誘導孔から外部に放射される低周波音を発生させる、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項15】
前記第3の音誘導孔と前記第4の音誘導孔とが前記筐体構造体の隣接又は対向する側壁に位置する、請求項14に記載の音響出力装置。
【請求項16】
前記第3の音誘導孔と前記第4の音誘導孔とがそれぞれ前記第3の音響ドライバのフロントキャビティとリアキャビティの音を誘導する、請求項14に記載の音響出力装置。
【請求項17】
前記第3の音誘導孔及び前記第4の音誘導孔のうちユーザの耳に近い一方から発する音の位相が、前記第1の音誘導孔及び前記第2の音誘導孔のうちユーザの耳に近い一方から発する音の位相と同じである、請求項16に記載の音響出力装置。
【請求項18】
前記第3の音誘導孔及び前記第4の音誘導孔から発する音のユーザの耳までの音響経路差が、前記第1の音誘導孔及び前記第2の音誘導孔から発する音のユーザの耳までの音響経路差より大きい、請求項14に記載の音響出力装置。
【請求項19】
前記第3の音響ドライバの物理的なサイズが、前記第1の音響ドライバ又は第2の音響ドライバの物理的なサイズより大きい、請求項14に記載の音響出力装置。
【請求項20】
前記第3の音響ドライバの第3の振動板の面積は、前記第1の音響ドライバの第1の振動板の面積又は第2の音響ドライバの第2の振動板の面積より大きい、請求項14に記載の音響出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権情報]
本願は、2019年9月19日に出願された出願番号201910888762.2の優先権、及び2019年9月19日に出願された出願番号201910888067.6の優先権を主張し、その全ての内容が参照により本明細書に本文に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、音響の分野に関し、特に音響出力装置に関する。
【背景技術】
【0003】
両耳を塞がない音響出力装置は、特定の範囲で音響伝導を実現する携帯型音出力装置である。従来のカナル型イヤホン、ヘッドホンに比べて、両耳を塞がない音響出力装置は、耳道を塞がず、カバーしないという特徴を有し、ユーザが音楽を聴くと同時に、外部環境における音情報を取得し、安全性及び快適性を向上させることができる。開放型構造の使用により、両耳を塞がない音響出力装置の音漏れは、一般的に従来のイヤホンより深刻である。現在、業界内の一般的なやり方は、スピーカの正面及び裏面の音響放射を利用して二重音源を構築し、特定の音場を構築し、音圧分布を調整することにより、音漏れを低減することである。該方法は、ある程度で音漏れを低減する効果を達成できるが、依然として一定の制限が存在する。例えば、スピーカから発する音波が振動板の正面と振動板の裏面の放射音波であり、振動板の裏面から放射された音波がまず振動板と電磁構造(例えば、磁気伝導板)で形成されたキャビティを通過し、次に電磁構造上の開孔を通過して外部に放射する必要があるため、スピーカの正面の音響インピーダンスと裏面の音響インピーダンスとがマッチングしないことをもたらすことにより、正面及び裏面の音響放射が効果的な二重音源(特に、中高周波で)を形成することができず、更に音漏れの増加をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、ユーザの聴音音量を増加させると同時に音漏れを低減するという効果を達成できる、より効果的な二重音源を提供できる音響出力装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施形態に係る音響出力装置は、第1の振動板を含む第1の音響ドライバと、第2の振動板を含む第2の音響ドライバと、それぞれ前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバに電気的に接続され、前記第1の振動板を振動するように駆動する第1の電気信号と前記第2の振動板を振動するように駆動する第2の電気信号とを提供する制御回路であって、前記第1の電気信号と前記第2の電気信号とは位相が逆である制御回路と、前記第1の音響ドライバ及び前記第2の音響ドライバを載置する筐体構造体であって、前記第1の振動板の振動により発生する音が前記筐体構造体の第1の音誘導孔から外部に放射され、前記第2の振動板の振動により発生する音が前記筐体構造体の第2の音誘導孔から外部に放射される筐体構造体と、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記第1の音響ドライバは、第1の磁気回路構造体を含み、前記第2の音響ドライバは、第2の磁気回路構造体を含み、前記第1の振動板が前記第1の電気信号の駆動で前記第1の磁気回路構造体に向かって振動する場合、前記第2の振動板は、前記第2の電気信号の駆動で前記第2の磁気回路構造体から離れて振動する。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記筐体構造体は、連通しない第1のキャビティ及び第2のキャビティを少なくとも含み、前記第1の音響ドライバは、前記第1のキャビティ内に位置し、前記第2の音響ドライバは、前記第2のキャビティ内に位置する。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記第1のキャビティと第2のキャビティとは、同じであり、前記第1の音響ドライバのフロントキャビティが前記第2の音響ドライバのフロントキャビティと同じであり、前記第2の音響ドライバのリアキャビティが前記第2の音響ドライバのリアキャビティと同じである。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記第1の音誘導孔は、前記第1のキャビティに連通し、前記第2の音誘導孔は、前記第2のキャビティに連通し、前記第1の音響ドライバは、前記第1の音誘導孔から音を発し、前記第2の音響ドライバは、前記第2の音誘導孔から音を発し、前記第1の音響ドライバにより前記第1の音誘導孔から発する音と前記第2の音響ドライバにより前記第2の音誘導孔から発する音とは、位相が逆である。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記第1の音誘導孔と第2の音誘導孔は、筐体構造体の隣接又は対向する側壁に位置する。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記制御回路は、オーディオ信号を生成し、前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバは、逆極性の方式でそれぞれ前記オーディオ信号を受信することにより、それぞれ前記第1の電気信号と前記第2の電気信号を取得する。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバは、同じ極性の方式でそれぞれ前記制御回路に電気的に接続され、前記第1の音響ドライバ又は前記第2の音響ドライバと制御回路との間は、位相反転回路を介して電気的に接続される。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバとの中高周波数範囲での振幅周波数応答の差分値は、6dB以下である。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記中高周波数範囲は、200Hz~20kHz以内にある。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバとの少なくとも一部の低周波数範囲での振幅周波数応答の差分値は、10dB以上である。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバのうち、低周波数範囲での振幅周波数応答値が大きい1つの音響ドライバからユーザの耳までの音響経路がより小さい。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記第1の音響ドライバのリアキャビティ及び前記第2の音響ドライバのリアキャビティに少なくとも1つの調音孔が設けられる。
【0018】
いくつかの実施形態では、音響出力装置は、第3の振動板を含む第3の音響ドライバを更に含み、前記制御回路は、前記第3の振動板を振動するように駆動する第3の電気信号を提供し、かつ前記筐体構造体の第3の音誘導孔及び第4の音誘導孔から外部に放射される低周波音を発生させる。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記第3の音誘導孔と第4の音誘導孔とは、筐体構造体の隣接又は対向する側壁に位置する。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記第3の音誘導孔と第4の音誘導孔とは、それぞれ前記第3の音響ドライバのフロントキャビティとリアキャビティの音を誘導する。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記第3の音誘導孔及び前記第4の音誘導孔のうちユーザの耳に近い一方から発する音の位相は、前記第1の音誘導孔及び前記第2の音誘導孔のうちユーザの耳に近い一方から発する音の位相と同じである。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記第3の音誘導孔及び前記第4の音誘導孔から発する音の、ユーザの耳までの音響経路差は、前記第1の音誘導孔及び前記第2の音誘導孔から発する音の、ユーザの耳までの音響経路差より大きい。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記第3の音響ドライバの物理的なサイズは、前記第1の音響ドライバ又は第2の音響ドライバの物理的なサイズより大きい。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記第3の音響ドライバの第3の振動板の面積は、前記第1の音響ドライバの第1の振動板の面積又は第2の音響ドライバの第2の振動板の面積より大きい。
【0025】
例示的な実施形態によって本願を更に説明するが、これらの例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。これらの実施形態は、制限的なものではなく、これらの実施形態では、同じ番号が同じ構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。
図2図1に係る音響ドライバのファーフィールドでの音漏れ図である。
図3】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置のモジュールフレームの概略図である。
図4】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の例示的な構造概略図である。
図5】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置における2つの音響ドライバが同じである場合の周波数応答グラフである。
図6】いくつかの実施形態に係る音響出力装置における2つの音響ドライバが異なる場合の周波数応答グラフである。
図7】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。
図8】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の他の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本願の実施形態の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施形態の説明に使用する必要がある図面について簡単に説明する。明らかに、以下に説明する図面は、本願のいくつかの例又は実施形態に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、更に、これらの図面に基づいて本願を他の類似状況に適用することができる。言語環境において明らかでないか又は別に説明しない限り、図における同じ番号は、同じ構造又は操作を表す。
【0028】
理解すべきことは、本明細書に使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」が、異なるレベルの異なるアセンブリ、素子、部材、部分又は組み立てを区別する方法であることである。しかしながら、他の単語が同じ目的を達成することができれば、他の表現により上記単語を置き換えることができる。
【0029】
本願及び特許請求の範囲に示されるように、コンテキストには例外な状況を明らかに示さない限り、「一」、「1つ」、「1種」及び/又は「該」などの単語は、単数を特に指すことではなく、複数を意味することができる。一般的には、用語「含む」及び「含有する」は、既に明らかに識別されたステップ及び要素を含むことを示すものに過ぎないが、これらのステップ及び要素は、排他性の羅列を構成せず、方法又はデバイスも他のステップ及び要素を含む可能性がある。
【0030】
本願では、フローチャートを使用して本願の実施形態に係るシステムが実行する操作を説明する。理解すべきことは、前又は後の操作が必ずしも順序に応じて正確に実行されないことである。逆に、逆の順序で、又は同時に各ステップを処理してもよい。同時に、他の操作をこれらのプロセスに添加してもよく、これらのプロセスからあるステップ又は複数のステップの操作を除去してもよい。
【0031】
図1は、本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。音響出力装置100は、内部が中空の筐体構造体110と、筐体構造体110の内部のキャビティに設けられた音響ドライバ120とを含んでもよい。音響ドライバ120は、振動板121と及び磁気回路構造体1220を含んでもよい。音響ドライバ120は、ボイスコイル(図1には図示せず)を更に含んでもよい。上記ボイスコイルは、振動板121の磁気回路構造体1220に向かう側に固定され、かつ磁気回路構造体1220で形成された磁界内に位置してもよい。上記ボイスコイルは、通電した後、磁界の作用で振動し、かつ振動板121が振動するように駆動することにより、音を発生させる。説明を容易にするために、振動板121の磁気回路構造体1220に背向する側(すなわち、図1における振動板121の右側)は、音響ドライバ120の正面であると考えることができ、磁気回路構造体1220の振動板121に背向する側(すなわち、図1における磁気回路構造体1220の左側)は、音響ドライバ120の裏面であると考えることができる。振動板121の振動により、音響ドライバ120は、それぞれ、その正面と裏面から外部に音を放射してもよい。音響ドライバ120の正面又は振動板121と筐体構造体110とは、フロントキャビティ111を形成し、音響ドライバ120の裏面と筐体構造体110とは、リアキャビティ112を形成する。音響ドライバ120の正面からフロントキャビティ111に音を放射し、音響ドライバ120の裏面からリアキャビティ112に音を放射する。いくつかの実施形態では、筐体構造体110は、第1の音誘導孔113及び第2の音誘導孔114を更に含み、第1の音誘導孔113がフロントキャビティ111に連通し、第2の音誘導孔113がリアキャビティ112に連通する。音響ドライバ120の正面で発生する音は、第1の音誘導孔113により外部に伝播し、音響ドライバ120の裏面で発生する音は、第2の音誘導孔114により外部に伝播する。いくつかの実施形態では、磁気回路構造体1220は、振動板に対向して設けられた磁気伝導板1221を含んでもよい。磁気伝導板1221には、振動板121の振動により発生する音を音響ドライバ120の裏面から誘導し、かつリアキャビティ112により外部に伝播する少なくとも1つの音誘導孔1222(圧力逃がし孔とも呼ばれる)が開設される。該音響出力装置100は、第1の音誘導孔113及び第2の音誘導孔114の音響放射により双極子構造に類似する二重音源(又は多音源)を形成し、一定の指向性を有する特定の音場を生成する。音響ドライバ120の正面で発生する音がフロントキャビティ111での第1の音誘導孔113を直接通過して外部に放射され、音響ドライバ120の裏面で発生する音がまず振動板121及び磁気回路構造体1220で形成されたキャビティを通過し、次に磁気回路構造体1220(例えば、磁気伝導板1221)の音誘導孔1222及びリアキャビティ112での第2の音誘導孔114を順に通過して外部に放射される必要があるため、音響ドライバ120の正面の音響インピーダンスと裏面の音響インピーダンスに大きな差が存在することを引き起こすことにより、音響出力装置100の第1の音誘導孔113及び第2の音誘導孔114から発する音の振幅値の差が大きくなり、効果的な二重音源(特に中高周波で)を形成することができないことで、音漏れの増加をもたらす。図2は、図1に係る音響ドライバのファーフィールド音漏れ図である。図2に示すように、該音響出力装置100内に設けられたフロントキャビティ111及びリアキャビティ112と、振動板121及び磁気回路構造体1220で形成されたキャビティとにより、それぞれ、音響出力装置100のフロントキャビティ111(図2における「フロントキャビティ」)とリアキャビティ112(図2における「リアキャビティ」)での音が中周波又は中高周波(例えば、2000Hz~4000Hz)で1つの共振ピークを生成することをもたらす。共振ピークの後に、フロントキャビティ111及びリアキャビティ112での周波数応答の弱め程度に差異(リアキャビティ112での周波数応答がより速く弱める)が発生することがあることにより、音響出力装置100で形成された双極子に類似する構造は、高周波での周波数応答が悪く(例えば、第1の音誘導孔113及び第2の音誘導孔114から大きな振幅値の差異を有する音を放射する)、音響出力装置100のファーフィールドでの音漏れをよく抑制することができなくなる。
【0032】
音響出力装置100の音出力効果を更に向上させるために、本明細書は、少なくとも2つの音響ドライバを含む別の又は複数種の音響出力装置を説明する。ユーザが上記音響出力装置を着用する場合、上記音響出力装置は、少なくともユーザの頭部の一側に位置し、ユーザの耳に近接するがユーザの耳を塞がない。該音響出力装置は、ユーザの頭部(例えば、メガネ、ヘッドバンド又は他の構造方式で着用された非カナル型の開放型イヤホン)に着用されてもよく、ユーザの身体の他の部位(例えばユーザの頚部/肩部領域)に着用されてもよく、他の方式(例えば、ユーザが手持ちする方式)によりユーザの耳の近傍に着用されてもよい。いくつかの実施形態では、音響出力装置は、第1の音響ドライバ、第2の音響ドライバ、制御回路及び筐体構造体を含んでもよい。第1の音響ドライバは、第1の振動板を含んでもよく、第2の音響ドライバは、第2の振動板を含んでもよく、制御回路は、それぞれ第1の音響ドライバと第2の音響ドライバに電気的に接続されてもよく、第1の振動板を振動するように駆動する第1の電気信号と第2の振動板を振動するように駆動する第2の電気信号とを提供する。いくつかの実施形態では、第1の電気信号と第2の電気信号とは振幅値が同じで、位相が逆である(例えば、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバがそれぞれ逆極性の方式で上記制御回路に電気的に接続され、かつ制御回路で提供された同じ電気信号を受信する)場合、第1の振動板と第2の振動板とは、位相が逆である1組の音を発生させることができる。更に、筐体構造体は、第1の音響ドライバ及び第2の音響ドライバを載置してもよく、第1の振動板の振動により発生する音が筐体構造体の第1の音誘導孔から外部に放射されてもよく、第2の振動板の振動により発生する音が筐体構造体の第2の音誘導孔から外部に放射されてもよい。説明を容易にするために、第1の振動板の振動により発生する音とは、第1の音響ドライバの正面で発生する音を指してもよく、第2の振動板の振動により発生する音とは、第2の音響ドライバの正面で発生する音を指してもよい。第1の振動板の振動により発生する音と第2の振動板の振動により発生する音とが対応する第1の音誘導孔及び第2の音誘導孔により外部に直接的に放射される場合、該第1の音誘導孔及び第2の音誘導孔は、ほぼ二重音源(例えば、二点音源)と見なされてもよい。図1に記載の構造と比較して、第1の振動板により発生する音と第2の振動板により発生する音とがいずれも音響ドライバの磁気回路構造体により外部に放射される必要がないため、第1の音響ドライバの正面の音響インピーダンスと第2の音響駆動ドライバの正面の音響インピーダンスとが実質的に一致することを確保することができることにより、第1の音誘導孔及び第2の音誘導孔から発する音は、効果的な二重音源を形成する。いくつかの実施形態では、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバとは、中高周波での周波数応答が同じであるか又は近く、第1の振動板を駆動する第1の電気信号と第2の振動板を駆動する第2の電気信号とは位相が逆であるため、ファーフィールド(例えば、ユーザの耳から遠い位置)で、特に中高周波数帯域(例えば、200Hz~20KHz)で、第1の音誘導孔から発生した音と第2の音誘導孔から発生した音とが互いに相殺され、一定の程度で音響出力装置の音漏れを抑制すると同時に、音響出力装置により発生する音が該ユーザの近傍の他人に聞こえることを防止することができる。
【0033】
なお、いくつかの実施形態では、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバとは、同じであるか又は近い音響ドライバであってもよく、このように、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの全帯域の振幅周波数応答は、同じであるか又は近い。いくつかの実施形態では、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバとは、異なる音響ドライバであってもよい。例えば、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバとの中高周波での周波数応答は、同じであるか又は近く、低周波数帯域で、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの周波数応答は、異なる。第1の音響ドライバ及び第2の音響ドライバの具体的な内容については、本願の図3図4及びその関連説明を参照することができる。いくつかの代替的な実施形態では、上記第1の/第2の振動板の振動により発生する音とは、第1の/第2の音響ドライバの裏面で発生する音を指し、2つの音響ドライバからそれぞれ対応する音誘導孔までの音響インピーダンスが同じであるか又は実質的に同じであることを保証すればよい。
【0034】
図3は、本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置のモジュールフレームの概略図である。図3に示すように、音響出力装置300は、信号処理モジュール310及び出力モジュール320を含んでもよい。
【0035】
信号処理モジュール310は、制御回路311を含んでもよい。制御回路311は、初期音響信号を受信し、初期音響信号を処理し、かつ対応する制御信号(オーディオ信号とも呼ばれる)を出力するように構成されてもよい。すなわち、音波の発生と出力の信号を制御する。いくつかの実施形態では、上記初期音響信号は、1つ以上の音響電気変換装置(例えば、マイクロフォン)により外部環境の音を変換した電気信号であってもよい。例えば、音響出力装置300は、1つ以上の空気伝導又は骨伝導マイクロフォンを含み、空気振動又は他の感知可能な機械的振動を収集し、かつ電気信号に変換した後に信号処理モジュール310に送信してもよい。いくつかの実施形態では、音響出力装置は、1つ以上の信号源から上記初期音響信号を取得してもよい。上記1つ以上の信号源は、音響出力装置300の内部装置(例えば、メモリ)であってもよく、音響出力装置300の外部装置であってもよい。上記外部装置は、音情報を含む信号を有線又は無線の方式で音響出力装置300に送信してもよい。
【0036】
出力モジュール320は、1つ以上の電気音響変換装置(すなわち、音響ドライバ)を含んでもよい。出力モジュール320内の音響ドライバは、制御回路311に電気的に結合され、かつ制御信号に応じて音波を発生させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、出力モジュール320は、第1の音響ドライバ321と、第2の音響ドライバ322とを含み、制御信号は、第1の音響ドライバ321が音を発するように駆動するように構成される第1の電気信号と、第2の音響ドライバ322が音を発するように駆動するように構成される第2の電気信号とを含んでもよい。具体的には、第1の音響ドライバ321は、第1の電気信号によって振動するように駆動される第1の振動板と、第1の磁気回路構造体とを含み、第2の音響ドライバ322は、第2の電気信号によって振動するように駆動される第2の振動板と、第2の磁気回路構造体とを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の電気信号と第2の電気信号とは位相が逆であり、第1の振動板が第1の電気信号の駆動で第1の磁気回路構造体に向かって振動する場合、第2の振動板が第2の電気信号の駆動で第2の磁気回路構造体から離れて振動することにより、第1の音響ドライバ321と第2の音響ドライバ322により発生する音の位相が逆である。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1の音響ドライバ321と第2の音響ドライバ322とは、逆極性の方式で、それぞれ制御回路311に電気的に接続される。この時、第1の音響ドライバ321と第2の音響ドライバ322とは、並列接続された後に制御回路311に直列接続される。理解を容易にするために、上記逆極性の方式は、第1の音響ドライバ321の正極が制御回路311の出力端に接続され、第2の音響ドライバ322の負極が制御回路311の出力端に接続されると記述されてもよい。制御回路311は、1組のオーディオ信号を生成してもよく、該オーディオ信号がそれぞれ2つの音響ドライバの入力端(すなわち、第1の音響ドライバ321の正極と第2の音響ドライバの負極)に伝送される場合、2つの音響ドライバは、それぞれ逆極性の第1の電気信号及び第2の電気信号を取得することができる。いくつかの代替的な実施形態では、第1の音響ドライバ321と第2の音響ドライバ322とは、同じ極性の方式で、それぞれ信号処理モジュール310に電気的に接続される。2つの音響ドライバが、位相が逆である2組の音を発生させるために、信号処理モジュール310は、位相が逆である2組のオーディオ信号を出力してもよい。具体的には、制御回路311と第1の音響ドライバ321又は第2の音響ドライバ322との間に位相反転回路を追加してもよい。上記位相反転回路は、オーディオ信号の位相を180°反転するように構成される。このとき、制御回路311により生成されたオーディオ信号がそれぞれ正相と逆相の方式で第1の音響ドライバ321及び第2の音響ドライバ322に伝送されることにより、2つの音響ドライバは、それぞれ逆極性の第1の電気信号及び第2の電気信号を取得する。
【0039】
いくつかの実施形態では、音響出力装置300は、筐体構造体を更に含んでもよい。筐体構造体は、第1の音響ドライバ321及び第2の音響ドライバ322を載置してもよく、筐体構造体に少なくとも1つの第1の音誘導孔及び少なくとも1つの第2の音誘導孔が開設される。第1の音響ドライバ321の第1の振動板の振動により発生する音は、少なくとも1つの第1の音誘導孔により外部に放射されてもよく、第2の音響ドライバ322の第2の振動板の振動により発生する音は、少なくとも1つの第2の音誘導孔により外部に放射されてもよい。上記第1の音誘導孔と第2の音誘導孔とは、それぞれ第1の音響ドライバ321と第2の音響ドライバ322のフロントキャビティに位置するか、又はそれぞれ第1の音響ドライバ321と第2の音響ドライバ322のリアキャビティに位置する。第1の電気信号と第2の電気信号とは位相が逆であり、第1の音誘導孔での音と第2の音誘導孔での音とは位相が逆であるため、ファーフィールド(ユーザの耳から遠い位置)で、第1の音誘導孔での音と第2の音誘導孔での音とが互いに相殺されることにより、音響出力装置300の音漏れ音量を低減することができる。
【0040】
音響ドライバは、電気信号を受信し、かつ該電気信号を音信号に変換して出力することができる素子である。いくつかの実施形態では、第1の音響ドライバ321及び/又は第2の音響ドライバ322は、空気伝導音波を出力するスピーカであってもよい。他の代替的な実施形態では、第1の音響ドライバ321及び/又は第2の音響ドライバ322は、固体を媒介して伝導された音波(例えば骨伝導音波)を出力するスピーカであってもよい。いくつかの実施形態では、出力音の周波数に応じて区別すると、音響ドライバのタイプは、低周波(例えば、20Hz~200Hz)の音響ドライバ、中高周波(例えば、200Hz~8kHz)の音響ドライバ又は高周波(例えば、8Kよりも大きい)の音響ドライバ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。当然のことながら、ここで言う低周波、高周波などは、周波数の概略範囲のみを示し、異なる応用シーンでは、異なる区分方式を有してもよい。例えば、1つのクロスオーバー波長を確定してもよく、低周波は、クロスオーバー波長以下の周波数範囲を示し、高周波は、クロスオーバー波長以上の周波数を示す。該クロスオーバー波長は、人の耳の可聴範囲内の任意の値、例えば、500Hz、600Hz、700Hz、800Hz、1000Hzなどであってもよい。いくつかの実施形態では、原理に応じて区別すると、音響ドライバは、ムービングコイル式、ムービングアイアン式、圧電式、静電式、磁歪式などのドライバを更に含むが、それらに限定されない。 いくつかの実施形態では、第1の音響ドライバ321と第2の音響ドライバ322とは、完全に同じ音響ドライバであってもよい。例えば、第1の音響ドライバ321と第2の音響ドライバ322とは、同じ製造業者によって製造された同じタイプの音響ドライバであってもよい。また、例えば、第1の音響ドライバ321及び第2の音響ドライバ322は、いずれも中高周波スピーカであってもよく、かつ同じ中高周波数帯域の振幅周波数応答を有する。このような状況で、第1の電気信号と第2の電気信号とは位相が逆であるため、第1の音響ドライバ321と第2の音響ドライバ322の正面(又は裏面)から出力された音の位相は、逆である。ここで、第1の音響ドライバ321及び第2の音響ドライバ322の正面で発生する音波は、対応する音誘導孔(例えば、第1の音誘導孔及び第2の音誘導孔)により外部に放射され、対応する音誘導孔から発する音は、二点音源と見なされてもよい。二点音源は、位相が逆である中高周波音を発生させ、ファーフィールドで逆相に相殺されることにより、ファーフィールドにおける高周波数帯域での音漏れ音量を低減する。いくつかの実施形態では、音響出力装置の低周波音響ドライバから発する低周波音が歪まないことを防止するために、低周波音響ドライバの物理的なサイズは、中高周波音響ドライバの物理的サイズより大きくてもよい。ここで、低周波音響ドライバの振動板の面積は、中高周波音響ドライバの振動板の面積より大きいと理解されてもよい。なお、ここでの振動板の面積とは、振動板の振動過程における効果的な振動板の面積を指す。他の実施形態では、振動板の構造又は振動板の材料を変更することにより低周波音響ドライバの低周波での出力効果を保証することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、音響出力装置をより多くのシーンに適用するために、第1の音響ドライバ321と第2の音響ドライバ322とは、異なる音響ドライバであってもよい。例えば、第1の音響ドライバ321と第2の音響ドライバ322とは、低周波数帯域で異なる振幅周波数応答を有し、中高周波数帯域で同じであるか又は近い振幅周波数応答を有する。中高周波数帯域で、第1の音響ドライバ321と第2の音響ドライバ322とは振幅周波数応答が実質的に同じであるため、上記第1の信号及び第2の信号に基づいて、中高周波数帯域の位相が逆である二重音源を構築し、中高周波数帯域のファーフィールドでの音漏れ音量を低減するという効果を達成することができる。低周波数帯域で、第1の音響ドライバ321と第2の音響ドライバ322との振幅周波数応答が異なるか又は大きい差異を有し、上記第1の信号及び第2の信号の駆動で、第1の音響ドライバ321及び第2の音響ドライバ322により発生する低周波音は、位相が逆であるが、強度が大きく異なるため、音を相殺する効果が弱く、依然としてユーザの耳が大きな低周波数のニアフィールド音を聞こえる。
【0042】
いくつかのシーンで、信号処理モジュール310は、フィルタ/フィルタバンク(フィルタリングシステムとも呼ばれる)を含んでもよい。フィルタ/フィルタバンクは、実際の状況に応じて、第1の音響ドライバ321及び/又は第2の音響ドライバ322に入力された第1の信号及び/又は第2の信号を適応的に変化させてもよい。例えば、フィルタ/フィルタバンクは、第1の電気信号のうちの低周波信号をフィルタリングすることにより、第1の音響ドライバ321に中高周波数帯域の音のみを出力することができる。このとき、第2の音響ドライバ322が第2の電気信号に基づいて発生した低周波音がユーザの耳で相殺することができないため、該方式は、音響出力装置の低周波数帯域での音響出力効果を向上させることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、音響出力装置の低周波数帯域での音響出力効果を向上させるために、出力モジュール320は、第3の音響ドライバ323を更に含んでもよい。第3の音響ドライバ323は、第3の電気信号の駆動で振動する第3の振動板を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第3の音響ドライバ323は、低周波音響ドライバであってもよい。フィルタ/フィルタバンクは、制御信号のうちの中高周波数帯域信号をフィルタリングし、かつ残りの低周波信号を第3の音響ドライバ323に送信してもよく、このように、第3の音響ドライバ323に低周波数帯域の音のみを出力することにより、音響出力装置300の低周波数帯域での音響出力効果を向上させることができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置が高ノイズ環境において高い音響出力効果を有するために、第3の音響ドライバ323は、第1の音響ドライバ321又は第2の音響ドライバ322の位相と同じであるか又は特定の位相差(例えば、位相差の絶対値が90°より小さい)を有する音を出力してもよい。このとき、第3の音響ドライバ323から出力された低周波又は中高周波音を、ユーザの耳に聞こえる低周波又は中高周波音の補償とすることができることにより、ユーザは、高ノイズ環境において音響出力装置の音をより聞こえやすい。
【0044】
いくつかの実施形態では、制御回路311は、フィルタ/フィルタバンク、位相反転回路及び/又は音響ドライバのスイッチング状態を制御するスイッチを更に含んでもよい。上記スイッチは、音響出力装置を制御して、異なるシーンに基づいて音の調整を行うことができる。例えば、高ノイズ環境で、ファーフィールドでの音漏れがユーザの近傍の他人に聞こえにくく、第1の音響ドライバ321及び第2の音響ドライバ322がいずれも中高周波音響ドライバである場合、位相反転回路をオフにして第1の電気信号及び第2の電気信号の位相を同じに調整することにより、第1の音響ドライバ321及び第2の音響ドライバ322は、中高周波数帯域で位相が同じである音を発生させ、かつ出力し、音響出力装置の中高周波数帯域での出力音量を増加させることができる。また、例えば、高ノイズ環境で、第1の音響ドライバ321及び第2の音響ドライバ322が中高周波音響ドライバであり、第3の音響ドライバ323が低周波音響ドライバである場合、低周波音響ドライバに電気的に接続されたフィルタ/フィルタバンクをオフにすることにより、低周波音響ドライバも制御信号に基づいて中高周波数帯域の音波を発生させて、音響出力装置から出力された中高周波数帯域の音量を増加させることができる。他の実施形態では、第3の音響ドライバ323のフィルタ/フィルタバンクを制御することにより、第3の音響ドライバ323を制御する制御信号(例えば、第3の電気信号)を分周し、信号処理モジュール310は、分周して得られた低周波信号の位相を調整することにより、第3の音響ドライバ323により発生する低周波音波と外部ノイズにおける低周波ノイズとの位相が逆であることにより、低周波ノイズを能動的に低減する効果を達成し、また、分周して得られた中高周波信号により第3の音響ドライバ323に中高周波音を発生させることができ、該中高周波音と第1の音響ドライバ321及び第2の音響ドライバ322により発生する中高周波音とは、位相が同じであるか又は位相差が小さい(例えば、90°以下である)ことにより、低周波数帯域でノイズを低減し、中高周波数帯域の出力音量を増加させるという効果を同時に達成する。
【0045】
いくつかの実施形態では、音波の出力特性(例えば、周波数、位相、振幅値など)を調整するために、信号処理モジュール310において対応する制御信号を処理することにより、各音響ドライバにより出力された音波は、それぞれ特定の周波数成分を含んでもよく、出力モジュール320において各部品の構造又は各部品の配置方式を設定し最適化することにより、各音響ドライバにより出力された音波は、それぞれ特定の周波数成分を含んでもよい。信号処理モジュール310を調整することにより出力された音波の性質を変更する場合、いくつかのフィルタ/フィルタバンクを設けて信号を処理することにより、異なる周波数成分を含む信号を出力し、更に該信号を対応する出力モジュール320に出力して音を出力してもよい。フィルタ/フィルタバンクは、アナログフィルタ、デジタルフィルタ、パッシブフィルタ、アクティブフィルタなどを含むが、これらに限定されない。
【0046】
なお、本明細書の実施形態では、低周波とは、約20Hz~200Hzの周波数帯域を指してもよく、中高周波とは、約200Hz~20kHzの周波数帯域を指してもよい。好ましくは、中高周波とは、約400Hz~10kHzの周波数帯域を指してもよい。より好ましくは、中高周波とは、約600Hz~8kHzの周波数帯域を指してもよい。他の実施形態では、周波数帯域は更に、低周波数帯域、中低周波数帯域、中周波数帯域、中高周波数帯域、高周波数帯域などに細分化されてもよい。当業者によって理解されるように、上記周波数帯域の区別は、一例として概ね区間を与えるだけである。上記周波数帯域の定義は、異なる業界、異なる応用シーン及び異なる分類基準に応じて変更してもよい。例えば、他のいくつかの応用シーンでは、低周波とは、約20Hz~80Hzの周波数帯域を指してもよく、中低周波とは、約80Hz~160Hzの周波数帯域を指してもよく、中周波とは、約160Hz~2kHzの周波数帯域を指してもよく、中高周波とは、約2kHz~8kHzの周波数帯域を指してもよく、高周波数帯域とは、約8kHz~20kHzの周波数帯域を指してもよい。第1の音響ドライバ321、第2の音響ドライバ322、第3の音響ドライバ323及びその部品の具体的な構造及び分布方式の具体的な内容については、本明細書の図1図4及びその関連説明を参照することができる。
【0047】
図4は、本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の例示的な構造概略図である。図4に示すように、音響出力装置400は、内部が中空の筐体構造体410、筐体構造体410内に設けられた第1の音響ドライバ420及び第2の音響ドライバ430を含んでもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、音響出力装置400は、筐体構造体410によりユーザの身体(例えば、人体の頭部、頸部又は胴体上部)に着用されてもよく、同時に筐体構造体410、第1の音響ドライバ420及び第2の音響ドライバ430は、耳道に近接するが耳道を塞がないことにより、ユーザの耳は開放された状態を維持し、ユーザは、音響出力装置400から出力された音を聞こえると同時に、外部環境の音を聞こえることができる。例えば、音響出力装置400は、ユーザの耳の周側に周設又は部分的に周設されて、かつ気伝導又は骨伝導の方式で音を伝達してもよい。
【0049】
筐体構造体410は、ユーザの身体に着用され、かつ音響ドライバ(例えば、第1の音響ドライバ420及び第2の音響ドライバ430)を載置することができる。いくつかの実施形態では、筐体構造体410は、内部が中空の密閉型筐体構造体であってもよく、かつ音響ドライバは、筐体構造体410の内部に位置してもよい。いくつかの実施形態では、音響出力装置400は、メガネ、ヘッドホン、頭部装着型表示装置、AR/VRヘルメットなどの製品と組み合わせられてもよく、このような状況で、筐体構造体410は、吊り下げ又はクランプの方式でユーザの耳の近傍に固定されてもよい。いくつかの代替的な実施形態では、筐体構造体410にフックが設けられてもよく、かつフックの形状が耳介の形状に適応することにより、音響出力装置400は、フックによりユーザの耳に独立して着用されてもよい。独立して着用して使用された音響出力装置400は、有線又は無線(例えば、ブルートゥース(登録商標))の方式で信号源(例えば、コンピュータ、携帯電話又は他の移動装置)に通信接続されてもよい。例えば、左右耳での音響出力装置400は、いずれも無線の方式で信号源に直接的に通信接続されてもよい。また例えば、左右耳での音響出力装置400は、第1の出力装置及び第2の出力装置を含んでもよく、ここで、第1の出力装置が信号源に通信接続されてもよく、第2の出力装置が無線方式で第1の出力装置に無線接続されてもよく、第1の出力装置と第2の出力装置との間が1つ以上の同期信号によりオーディオ再生の同期を実現する。無線接続の方式は、ブルートゥース(登録商標)、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、無線パーソナルエリアネットワーク、近距離無線通信など又はそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0050】
いくつかの実施形態では、筐体構造体410は、人体の耳適応形状を有する筐体構造体であってもよく、例えば、円環状、楕円形、多角形(規則的又は不規則)、U型、V型、半円形を有することにより、筐体構造体410をユーザの耳に直接的に掛けてもよい。いくつかの実施形態では、筐体構造体410は、1つ以上の固定構造体を更に含んでもよい。上記固定構造体が耳掛け、ヘッドビーム又は弾性バンドを含んでもよいことにより、音響出力装置400は、ユーザによりよく固定され、ユーザの使用時に落下することを防止することができる。単に例示的な説明として、例えば、弾性バンドは、頭部領域の周りに着用するように配置されてもよいヘッドバンドであってもよい。また例えば、弾性バンドは、首/肩領域の周りに着用するように配置されたネックバンドであってもよい。いくつかの実施形態では、弾性バンドは、連続的な帯状物であってもよく、かつ弾性的に引っ張られてユーザの頭部に着用されてもよく、同時にユーザの頭部に圧力を印加することができることにより、音響出力装置400をユーザの頭部の特定の位置に堅固に固定することができる。いくつかの実施形態では、弾性バンドは、不連続な帯状物であってもよい。例えば、弾性バンドは、剛性部分及び可撓性部分を含んでもよく、ここで、剛性部分は、剛性材料(例えば、プラスチック又は金属)で製造されてもよく、物理的接続(例えば、係止、ネジ接続など)の方式により音響出力装置400の筐体構造体410に固定されてもよい。可撓性部分は、弾性材料(例えば、布地、複合材料又は/及びクロロプレンゴム)で製造されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ(例えば、第1の音響ドライバ420及び第2の音響ドライバ430)は、いずれも振動板及び磁気回路構造体を含んでもよい。第1の音響ドライバ420及び第2の音響ドライバ430の具体的な構造については、本願の図1及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。音響ドライバの振動板が制御信号(例えば、第1の電気信号及び第2の電気信号)の駆動で振動する場合、音は、それぞれ振動板の前側及び後側から発してもよい。いくつかの実施形態では、筐体構造体410は、連通しない第1のキャビティ411及び第2のキャビティ412を含んでもよく、すなわち、筐体構造体410に第1のキャビティ411と第2のキャビティ412とを仕切りするバッフルが設けられる。他の実施形態では、筐体構造体410は、第1の筐体構造体及び第2の筐体構造体を含んでもよく、第1の筐体構造体が第2の筐体構造体に固定接続され、かつ第1の筐体構造体の内部に第1のキャビティ411が設けられ、第2の筐体構造体の内部に第2のキャビティ412が設けられる。第1の音響ドライバ420は、第1のキャビティ411に位置する。第1の音響ドライバ420の正面と筐体構造体410とは、第1のフロントキャビティ4111を形成し、第1の音響ドライバ420の裏面と筐体構造体420とは、第1のリアキャビティ4112を形成する。第1の音響ドライバ420の正面から第1のフロントキャビティ4111に音を放射し、第1の音響ドライバ420の裏面から第1のリアキャビティ4112に音を放射する。第2の音響ドライバ430は、第2のキャビティ412内に位置する。第2の音響ドライバ430の正面と筐体構造体410とは、第2のフロントキャビティ4121を形成し、第2の音響ドライバ430の裏面と筐体構造体410とは、第2のリアキャビティ4122を形成する。第2の音響ドライバ430の正面から第2のフロントキャビティ4121に音を放射し、第2の音響ドライバ430の裏面から第2のリアキャビティ4122に音を放射する。いくつかの実施形態では、第1のキャビティ411と第2のキャビティ412は、同じである。第1の音響ドライバ420と第2の音響ドライバ430が同じ方式でそれぞれ第1のキャビティ411と第2のキャビティ412に設けられてもよいことにより、第1のフロントキャビティ4111と第2のフロントキャビティ4121とを同じにし、第1のリアキャビティ4112と第2のリアキャビティ4122とを同じにし、このように、第1の音響ドライバ420と第2の音響ドライバ430の正面又は裏面の音響インピーダンスを同じにしてもよい。他の実施形態では、第1のキャビティ411と第2のキャビティ412とは、異なってもよく、キャビティの大きさ及び/又は長さを変更するか又はダンピングを増加させることにより第1の音響ドライバ420と第2の音響ドライバ430の正面又は裏面のインピーダンスを同じにしてもよい。いくつかの実施形態では、第1のフロントキャビティ4111の所在する筐体構造体410の側壁に1つ以上の第1の音誘導孔413が設けられ、1つ以上の第1の音誘導孔413が第1のフロントキャビティ4111に連通し、第1の音響ドライバ420の正面から出力された音は、1つ以上の第1の音誘導孔413から音響出力装置400の外部に放射されてもよい。第2のフロントキャビティ4121の所在する筐体構造体410の側壁に1つ以上の第2の音誘導孔414が設けられ、1つ以上の第2の音誘導孔414が第2のフロントキャビティ4121に連通し、第2の音響ドライバ430の正面から出力された音は、1つ以上の第2の音誘導孔414から音響出力装置400の外部に放射されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の音誘導孔413及び第2の音誘導孔414は、筐体構造体410の対向する側壁に位置してもよい。例えば、第1の音誘導孔413は、筐体構造体410のユーザの耳に向かう側壁に位置し、第2の音誘導孔414は、筐体構造体410のユーザの耳に背向する側壁に位置してもよい。また例えば、第1の音誘導孔413は、第1の音響ドライバ420の正面に対向する筐体構造体410の側壁に位置して、第2の音誘導孔414は、第2の音響ドライバ430の正面に対向する筐体構造体410の側壁に位置してもよい。いくつかの実施形態では、音響出力装置400は、第1のフロントキャビティ4111、第2のフロントキャビティ4121、第1のリアキャビティ4112又は第2のリアキャビティ4122を含まなくてもよい。例えば、第1の音響ドライバ420の正面と第2の音響ドライバ430の正面から直接的に外部に音を放射し、すなわち、第1の音響ドライバ420の正面と筐体構造体410との間に第1のフロントキャビティ4111が形成されず、第2の音響ドライバ430の正面と筐体構造体410との間に第2のフロントキャビティ4121が形成されない。いくつかの実施形態では、第1のリアキャビティ4112及び第2のリアキャビティ4122は、密封されるか又はリアキャビティの内部の気圧を調整する1つ以上の調音孔(圧力逃がし孔とも呼ばれ、図4には図示せず)が設けられてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1の音響ドライバ420及び第2の音響ドライバ430は、同じ音響ドライバであり、信号処理モジュールは、制御信号(例えば、第1の電気信号及び第2の電気信号)により、第1の音響ドライバ420の正面及び第2の音響ドライバ430の正面で、一定の位相及び振幅値条件を満たす音(例えば、振幅が同じで、かつ位相が逆である音、振幅が異なり、かつ位相が逆である音など)を発生させるように制御してもよい。第1の音響ドライバ420の正面で発生する音は、第1の音誘導孔413により音響出力装置400の外部に放射され、第2の音響ドライバ430の正面で発生する音は、第2の音誘導孔414により音響出力装置400の外部に放射される。第1の音誘導孔413と第2の音誘導孔414とは、位相が逆である音を出力する二重音源に等価してもよい。音響ドライバの正面及び裏面から発する音により二重音源を構築する場合とは異なり、2つの音響ドライバの正面、すなわち、第1の音響ドライバ420の正面及び第2の音響ドライバ430の正面から、位相が逆である音を発生させ、かつ第1の音誘導孔413及び第2の音誘導孔414により外部に放射し、第1の音響ドライバ420から第1の音誘導孔413までの音響インピーダンスと第2の音響ドライバ430から第2の音誘導孔414までの音響インピーダンスとが同じであるか又はほぼ同じである場合、音響出力装置400における第1の音誘導孔413及び第2の音誘導孔414から発した音を効果的な二重音源に構築し、すなわち、第1の音誘導孔413及び第2の音誘導孔414から位相が逆である音をより正確に発することができる。ファーフィールドで、特に中高周波数帯域(例えば、200Hz~20kHz)で、第1の音誘導孔413から発した音と第2の音誘導孔414から発した音とが互いに相殺されることにより、一定の程度で音響出力装置の中高周波数帯域での音漏れをよりよく抑制すると同時に、音響出力装置400で発生する音が該ユーザの近傍の他人に聞こえることを防止することにより、音響出力装置400の音漏れ低減効果を向上させることができる。
【0053】
更に、第1の音響ドライバ420の正面と第2の音響ドライバ430の正面とが筐体構造体410の異なる側に位置する場合、第1の音誘導孔413と第2の音誘導孔414とも筐体構造体410の異なる側に位置するため、筐体構造体410は、二重音源(例えば、第1の音誘導孔413から発する音と第2の音誘導孔414から発する音)の間のバッフル作用を果たす。このとき、筐体構造体410が第1の音誘導孔413と第2の音誘導孔414とを仕切りすることにより、第1の音誘導孔413及び第2の音誘導孔414は、ユーザの耳道までの異なる音響経路を有する。第1の音誘導孔413及び第2の音誘導孔414を筐体構造体410の両側に分布させると、第1の音誘導孔413と第2の音誘導孔414からそれぞれユーザの耳に音を伝達する音響経路差(すなわち、第1の音誘導孔413と第2の音誘導孔414から発する音がユーザの耳道に到達する音響経路差)を増加させることにより、ユーザの耳(すなわち、ニアフィールド)で音を相殺する効果が弱くなり、更にユーザの耳に聞こえる音(ニアフィールド音とも呼ばれる)の音量を増加させることにより、ユーザに好ましい聴覚体験を提供することができる。一方、筐体構造体410は、音誘導孔から環境へ音(ファーフィールド音とも呼ばれる)を伝播する影響が小さく、第1の音誘導孔413と第2の音誘導孔414から発生するファーフィールド音が依然として互いに相殺されてもよく、一定の程度で音響出力装置400の音漏れを抑制すると同時に、音響出力装置400により発生する音が該ユーザの近傍の他人に聞こえることを防止することができる。したがって、以上の設定により、音響出力装置400のニアフィールドでの聴音音量を増加させ、かつ音響出力装置400のファーフィールドでの音漏れ音量を低減することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、更に第1のキャビティ411(例えば、第1のフロントキャビティ4111及び第1のリアキャビティ4112)及び第2のキャビティ412(例えば、第2のフロントキャビティ4121及び第2のリアキャビティ4122)の構造を設定することにより、第1の音響ドライバ420の第1の音誘導孔413及び第2の音響ドライバ430の第2の音誘導孔414から出力された音は、特定の条件を満たす。例えば、第1のフロントキャビティ4111及び第2のフロントキャビティ4112の大きさ及び/又は長さを設計することにより、第1の音誘導孔413と第2の音誘導孔414から特定の位相関係(例えば、位相が逆であるか又はほぼ逆である)を有する一組の音を出力することができ、音響出力装置400のニアフィールドの聴音音量が小さくなり、ファーフィールドでの音漏れの問題がいずれも効果的に改善される。
【0055】
なお、本明細書の実施形態の図4における第1のキャビティ411と第2のキャビティ412の位置は、図4におけるユーザの耳の位置に対して上下に垂直に設けられるという方式に限定されず、更にユーザの耳の位置に対して上下に相対的に傾斜して設けられ、横方向に水平に設けられ、横方向に相対的に傾斜して設けられるなどの他の方式であってもよい。実際の状況に応じて、第1のキャビティ411、第2のキャビティ412、第1の音響ドライバ420及び第2の音響ドライバ430の位置を適応的に調整してもよく、ここで更に限定されない。
【0056】
図5は、本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置における2つの音響ドライバが同じである場合の周波数応答グラフである。図4及び図5に示すように、音響出力装置に2つの同じ第1の音響ドライバ420(図5に示す「スピーカA」)及び第2の音響ドライバ430(図5に示す「スピーカB」)が設けられる場合、第1の音響ドライバ420及び第2の音響ドライバ430の中高周波数帯域(例えば、200Hz~8kHz)及び高周波数帯域(例えば、8kHzより大きい)での振幅周波数応答がほぼ同じであり、かつ第1の音響ドライバ420及び第2の音響ドライバ430は、位相が逆である第1の電気信号及び第2の電気信号の駆動で第1の音誘導孔413及び第2の音誘導孔414により位相が逆である音を発することにより、音響出力装置は、中高周波数帯域及び高周波数帯域で効果的な二重音源を構築することができる。いくつかの実施形態では、第1の音響ドライバ及び第2の音響ドライバが対応する音誘導孔から発する音により効果的な二重音源を形成することを保証するために、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの中高周波数帯域と高周波数帯域での振幅周波数応答の差分値は、6dB以下である。好ましくは、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの中高周波数帯域と高周波数帯域での振幅周波数応答の差分値は、5dB以下である。より好ましくは、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの中高周波数帯域と高周波数帯域での振幅周波数応答の差分値は、4dB以下である。更に好ましくは、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの中高周波数帯域と高周波数帯域での振幅周波数応答の差分値は、3dB以下である。いくつかの実施形態では、上記中高周波数帯域及び高周波数帯域の範囲は、特定の周波数帯域の範囲内にあり、上記特定の周波数帯域の範囲は、200Hz~20kHzである。
【0057】
図6は、いくつかの実施形態に係る音響出力装置における2つの音響ドライバが異なる場合の周波数応答グラフである。図6に示すように、音響出力装置に2つの異なる第1の音響ドライバ420(図6に示す「スピーカA」)及び第2の音響ドライバ430(図6に示す「スピーカB」)が設けられる場合、第1の音響ドライバ420と第2の音響ドライバ430の低周波数帯域(例えば、100Hz~200Hz)での振幅周波数応答は、一定の差異があり、第1の音響ドライバ420と第2の音響ドライバ430の中高周波数帯域と高周波数帯域での振幅周波数応答は、ほぼ同じである。
【0058】
第1の音響ドライバ420と第2の音響ドライバ430の低周波数帯域で発する位相が逆である音波が互いに相殺することを考慮して、音響出力装置の低周波数帯域範囲での音響出力効果(特に音響出力装置のニアフィールドでの低周波出力音量)を向上させるために、いくつかの実施形態では、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの少なくとも一部の低周波数範囲(例えば、100Hz~200Hz)での振幅周波数応答の差分値が10dB以上であることにより、2つの音響ドライバにより該低周波数範囲内に出力された音量は、大きな差分値を有する。好ましくは、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの少なくとも一部の低周波数範囲での振幅周波数応答の差分値は、15dB以上である。更に好ましくは、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの少なくとも一部の低周波数範囲での振幅周波数応答の差分値は、20dB以上である。いくつかの実施形態では、ユーザが音響出力装置を着用する場合、第1の音響ドライバ420からユーザの耳までの音響経路が第2の音響ドライバ430からユーザの耳までの音響経路より小さいため、第1の音響ドライバ420から発する低周波音と第2の音響ドライバ430から発する低周波音のユーザの耳での音量差を更に増大させることにより、低周波音を互いに相殺する程度を弱めて、ユーザの耳での低周波の聴音音量を増加させる。いくつかの実施形態では、音響ドライバからユーザの耳までの音響経路とは、振動板からユーザの耳までの距離を指してもよい。例えば、該音響経路とは、第1の音響ドライバ420の第1の振動板からユーザの耳までの距離を指す。他の実施形態では、音響ドライバからユーザの耳までの音響経路とは、音響ドライバに対応する音誘導孔からユーザの耳までの音響距離を指し、例えば、第1の音響ドライバ420に対応する第1の音誘導孔413からユーザの耳までの音響距離を指してもよい。
【0059】
中高周波数帯域及び高周波数帯域で、第1の音響ドライバ420及び第2の音響ドライバ430は、位相が逆である第1の電気信号及び第2の電気信号の駆動で第1の音誘導孔413及び第2の音誘導孔414から位相が逆で振幅値が同じであるか又は近接する音を発することにより、音響出力装置は、中高周波数帯域及び高周波数帯域での効果的な二重音源を構築することができる。いくつかの実施形態では、第1の音響ドライバ及び第2の音響ドライバが対応する音誘導孔から発する音により中高周波数帯域及び高周波数帯域での効果的な二重音源を形成することを保証するために、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの中高周波数帯域と高周波数帯域での振幅周波数応答の差分値は、6dB以下である。好ましくは、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの中高周波数帯域と高周波数帯域での振幅周波数応答の差分値は、5dB以下である。より好ましくは、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの中高周波数帯域と高周波数帯域での振幅周波数応答の差分値は、4dB以下である。更に好ましくは、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの中高周波数帯域と高周波数帯域での振幅周波数応答の差分値は、3dB以下である。いくつかの実施形態では、上記中高周波数帯域及び高周波数帯域の範囲は、特定の周波数帯域の範囲内にあり、上記特定の周波数帯域の範囲は、200Hz~20kHzである。
【0060】
図7及び図8は、本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。図7及び図8に示すように、いくつかの実施形態では、音響出力装置700は、第1の音響ドライバ720、第2の音響ドライバ730、第3の音響ドライバ740及び筐体構造体710を含んでもよい。筐体構造体710の内部には、互いに連通しない第1のキャビティ711、第2のキャビティ712及び第3のキャビティ713が含まれてもよく、ここで、第1の音響ドライバ720は、第1のキャビティ711内に位置し、第2の音響ドライバ730は、第2のキャビティ712内に位置し、第3の音響ドライバ740は、第3のキャビティ713内に位置する。第1の音響ドライバ720の正面と筐体構造体710とは、第1のフロントキャビティ7111を形成し、第1の音響ドライバ720の裏面と筐体構造体720とは、第1のリアキャビティ7112を形成する。第1の音響ドライバ720の正面から第1のフロントキャビティ7111に音を放射し、第1の音響ドライバ720の裏面から第1のリアキャビティ7112に音を放射する。第2の音響ドライバ730の正面と筐体構造体710とは、第2のフロントキャビティ7121を形成し、第2の音響ドライバ730の裏面と筐体構造体710とは、第2のリアキャビティ7122を形成する。第2の音響ドライバ730の正面から第2のフロントキャビティ7121に音を放射し、第2の音響ドライバ730の裏面から第2のリアキャビティ7122に音を放射する。第3の音響駆動器740の正面と筐体構造体710とは、第3のフロントキャビティ7131を形成し、第3の音響駆動器740の裏面と筐体構造体710とは、第3のリアキャビティ7132を形成する。第3の音響ドライバ730の正面から第3のフロントキャビティ7131に音を放射し、第3の音響ドライバ740の裏面から第3のリアキャビティ7122に音を放射する。いくつかの実施形態では、第1のフロントキャビティ7111の所在する筐体構造体710の側壁に1つ以上の第1の音誘導孔714が設けられ、1つ以上の第1の音誘導孔714が第1のフロントキャビティ7111に連通し、第1の音響ドライバ720の正面から出力された音は、1つ以上の第1の音誘導孔714から音響出力装置700の外部に放射されてもよい。第2のフロントキャビティ7121の所在する筐体構造体710の側壁に1つ以上の第2の音誘導孔715が設けられ、1つ以上の第2の音誘導孔715が第2のフロントキャビティ7121に連通し、第2の音響ドライバ730の正面から出力された音は、1つ以上の第2の音誘導孔715から音響出力装置700の外部に放射されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の音誘導孔714と第2の音誘導孔715は、筐体構造体710の異なる側壁に位置してもよい。いくつかの実施形態では、第1の音誘導孔714と第2の音誘導孔715は、それぞれ筐体構造体710の隣接する側壁に位置する。また、例えば、第1の音誘導孔714と第2の音誘導孔715は、それぞれ筐体構造体710の対向する側壁に位置する。第3のフロントキャビティ7131の所在する筐体構造体710の側壁に1つ以上の第3の音誘導孔716が設けられ、1つ以上の第3の音誘導孔715が第3のフロントキャビティ7131に連通し、第3の音響ドライバ740の正面から出力された音は、1つ以上の第3の音誘導孔716から音響出力装置700の外部に放射されてもよい。第3のリアキャビティ7132の所在する筐体構造体710の側壁に1つ以上の第4の音誘導孔717が設けられ、1つ以上の第4の音誘導孔717が第4のリアキャビティ7132に連通し、第3の音響ドライバ740の裏面から出力された音は、1つ以上の第4の音誘導孔717により音響出力装置700の外部に放射されてもよい。いくつかの実施形態では、第3の音誘導孔716と第2の音誘導孔717は、筐体構造体710の異なる側壁に位置してもよい。例えば、第3の音誘導孔716と第4の音誘導孔717は、それぞれ筐体構造体710の隣接する側壁に位置する。また例えば、第3の音誘導孔716と第4の音誘導孔717は、それぞれ筐体構造体710の対向する側壁に位置する。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1の音響ドライバ720及び第2の音響ドライバ730は、中高周波音響ドライバであり、第3の音響ドライバ740は、低周波音響ドライバである。第1の音響ドライバ720及び第2の音響ドライバ730は、位相が逆である第1の電気信号及び第2の電気信号の制御下で位相が逆である音波を発し、第3の音響ドライバ740は、フィルタ/フィルタバンクにより第1の電気信号又は第2の電気信号のうちの中高周波部分をフィルタリングし、低周波数帯域の音のみを出力してもよい。更に、第3の音響ドライバ730は、第3の音誘導孔716及び第4の音誘導孔717から位相が逆である音波を出力する。例示的な説明だけとして、ユーザが音響出力装置700を着用する場合、第1の音誘導孔714及び第3の音誘導孔716は、ユーザの耳に向かってもよく、第2の音誘導孔715は、ユーザの耳に向かうか又はユーザの耳から離れてもよく、第4の音誘導孔717は、ユーザの耳から離れてもよい。いくつかの実施形態では、第3の音誘導孔716及び第4の音誘導孔717のうちユーザの耳に近い一方から発する音の位相は、第1の音誘導孔714及び第2の音誘導孔715のうちユーザの耳に近い一方から発する音の位相と同じである。なお、ユーザの耳に近接する異なる音誘導孔から発する音の位相が同じであると、異なる音誘導孔から発する音を重畳させることにより、ユーザの耳での聴音音量を増加させることができる。ユーザの耳から離れた場所(すなわち、ファーフィールド)で、異なる音誘導孔(例えば、第1の音誘導孔714、第2の音誘導孔715、第3の音誘導孔716及び第4の音誘導孔717)から発する音波は、位相が逆であるため、互いに相殺されることにより、音響出力装置のファーフィールドでの音漏れ音量を低減することができる。いくつかの実施形態では、第1のキャビティ711(例えば、第1のフロントキャビティ7111及び第1のリアキャビティ7112)/第2のキャビティ712(例えば、第2のフロントキャビティ7121及び第2のリアキャビティ7122)の構造及び第3のキャビティ713(例えば、第3のフロントキャビティ7131及び第3のリアキャビティ7132)の構造を設定することにより、第1の音響ドライバ720の第1の音誘導孔714/第2の音響ドライバ730の第2の音誘導孔715及び第3の音響ドライバ740の第3の音誘導孔716又は第4の音誘導孔717から出力された音は、特定の条件を満たすことができる。例えば、第1のフロントキャビティ4111及び第3のフロントキャビティ7131の大きさ及び/又は長さを設計することにより、第1の音誘導孔413と第2の音誘導孔414から位相が同じである一組の音を出力することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、低周波数帯域の音の波長が中高周波数帯域又は高周波数帯域の音の波長より長いため、第3の音響ドライバ740の第3の音誘導孔716と第4の音誘導孔717から発する音がユーザの耳の近傍で互いに相殺される程度を低減するために、第3の音誘導孔716と第4の音誘導孔717から発する音の、ユーザの耳までの音響経路差は、第1の音誘導孔714と第2の音誘導孔715から発する音の、ユーザの耳までの音響経路差より大きくなる。
【0063】
いくつかの実施形態では、図7及び図8に示す音響出力装置700は、中高周波数帯域のファーフィールドでの音漏れ音量を低減し、低周波数帯域の聴音効果を向上させることができる以外、高ノイズ環境に適用することができる。例示的な説明だけとして、高ノイズ環境で、ファーフィールドでの音漏れがユーザの近傍の他人に聞こえにくく、第1の音響ドライバ720及び第2の音響ドライバ730がいずれも中高周波音響ドライバである場合、位相反転回路をオフにして第1の電気信号と第2の電気信号の位相を同じに調整することにより、第1の音響ドライバ720の第1の音誘導孔714及び第2の音響ドライバ730の第2の音誘導孔715から位相が同じである中高周波数帯域の音を出力し、音響出力装置の中高周波数帯域での出力音量を増加させることができる。また例えば、高ノイズ環境で、第1の音響ドライバ720及び第2の音響ドライバ730が中高周波音響ドライバであり、第3の音響ドライバ740が低周波音響ドライバである場合、第3の音響ドライバ730に電気的に接続されたフィルタ/フィルタバンクをオフにすることにより、第3の音響ドライバ730も制御信号に基づいて中高周波数帯域の音波を発生させることができ、上記音波が第3の音誘導孔716及び第4の音誘導孔717からユーザの耳に向かうか又はユーザの耳から離れる方向に音を放射することにより、音響出力装置から出力された中高周波数帯域の音量を増加させることができる。他の実施形態では、更に第3の音響ドライバ740のフィルタ/フィルタバンクを制御することにより、第3の音響ドライバ740を制御する制御信号(例えば、第3の電気信号)を分周することができ、信号処理モジュールは、分周して得られた低周波信号の位相を調整することにより、第3の音響ドライバ740により発生する低周波数帯域の音波が第3の音誘導孔716及び第4の音誘導孔717から外部に放射され、第3の音誘導孔716及び第4の音誘導孔717から外部に放射された音波と外部ノイズにおける低周波ノイズとは位相が逆であることにより、低周波ノイズを能動的に低減する効果を達成し、また、分周して得られた中高周波信号により第3の音響ドライバ740に中高周波音を発生させることができる。該中高周波音と第1の音響ドライバ720及び第2の音響ドライバ730により発生する中高周波音とは、位相が同じであるか又は位相差が小さい(例えば、90°以下である)ことにより、低周波数帯域でノイズを低減し、中高周波数帯域の出力音量を増加させるという効果を同時に達成する。
【0064】
なお、音響ドライバの数は、上記3つに限定されず、4つ、5つなどであってもよく、音響ドライバの数及び対応する音パラメータ(例えば、位相、周波数及び/又は振幅)については実際の需要に応じて対応して調整することができ、ここで限定されない。音響ドライバの具体的な構造については本願の明細書の図1及びその関連説明を参照することができる。図7及び図8における第1/第2/第3の音響ドライバは、図3又は図4及びその説明で説明した第1/第2/第3の音響ドライバと同じであるか又は類似するものである。
【0065】
以上、基本的な概念について説明したが、当業者から見れば、上記詳細な開示は、明らかにあくまでも例示であって、本願を限定するものではない。ここで明らかに説明していないが、当業者であれば、本願に対して種々の変更、改良及び修正を行うことができる。このような変更、改良及び修正は本願において提案されているため、このような変更、改良及び修正は依然として本願の例示的な実施形態の主旨及び範囲に属する。
【0066】
同時に、本願は、特定の単語を用いて本願の実施形態を説明する。例えば、「1つの実施形態」、「一実施形態」及び/又は「いくつかの実施形態」とは、本願の少なくとも1つの実施形態に関連する特徴、構造又は特性を指す。従って、本明細書において異なる位置で二回又は複数回に言及された「一実施形態」又は「1つの実施形態」又は「一変形例」は、必ずしも同一の実施形態を意味するものではないことに留意すべきである。また、本願の1つ以上の実施形態のある特徴、構造又は特性を適宜組み合わせることができる。
【0067】
また、本願の各態様は、新規で有用なプロセス、機械、生産物、若しくは物質の組み合わせ、又はそれらの新規で有用な改良を含む複数の特許可能なクラス又はコンテキストにおいて説明及び記載できることが当業者によって理解されるであろう。対応的に、本願の各態様は、完全にハードウェアにより実行してもよいし、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)により実行してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わて実行してもよい。以上のハードウェア又はソフトウェアは、いずれも「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」又は「システム」と呼ぶことができる。また、本願の各態様は、コンピュータ可読プログラムコードを有する、1つ以上のコンピュータ可読媒体において具現化されたコンピュータ製品の形態を採ってもよい。
【0068】
コンピュータ記憶媒体に、例えば、ベースバンド内に又は搬送波の一部分として具現化された、コンピュータプログラムコードを有する伝播データ信号が含まれてもよい。該伝播信号は、電磁気、光など、又はそれらの組み合わせを含む様々な形態のうちのいずれかを採ってもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読媒体であってもよく、該媒体は、指令実行システム、装置、若しくはデバイスに接続されることにより通信、伝播又は伝送のために使用されるプログラムを実現することができる。コンピュータ記憶媒体に位置するプログラムコードは、無線、ケーブル、光ファイバケーブル、RF、又は類似媒体、又は任意の上記媒体の組み合わせを含む任意の適切な媒体により伝播することができる。
【0069】
本願の各部分の動作に必要なコンピュータープログラムコードは、Java、Scala、Smalltalk、Eiffel、JADE、Emerald、C++、C#、VB.NET、Pythonなどのオブジェクト指向型プログラミング言語、「C」プログラミング言語、Visual Basic、Fortran2003、Perl、COBOL2002、PHP、ABAPなどの従来の手続型プログラミング言語、Python、Ruby及びGroovyなどの動的プログラミング言語、又は他のプログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語で記述することができる。該プログラムコードは、完全にユーザコンピュータ上で実行されるか、又は独立したソフトウェアパッケージとしてユーザコンピュータ上で実行されるか、又は部分的にユーザコンピュータ若しくはリモートコンピュータ上で実行されるか、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行されてもよい。後者の状況で、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくはワイドエリアネットワーク(WAN)などの任意のネットワーク形式によりユーザコンピュータに接続されるか、又は(例えばインターネットを介して)外部コンピュータに接続されるか、又はクラウドコンピューティング環境において、若しくはソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)などのサービスとして使用されてもよい。
【0070】
また、特許請求の範囲に記載されていない限り、本願の上記記載の処理要素及びシーケンスの順序、数字のアルファベットの使用、又はその他の名称の使用は、本願のフロー及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において様々な例により現在有用と考えられるいくつかの発明の実施形態を検討したが、理解すべきことは、該種類の詳細が説明の目的のみを果たし、付加的な請求項が開示された実施形態に限定されるものではないことであり、逆に、請求項は本願の実施形態の実質及び範囲に合致する全ての修正及び等価な組み合わせをカバーすることを意図する。例えば、以上に説明されたシステムアセンブリはハードウェアデバイスにより実現されてもよいが、ソフトウェアの解決手段のみにより実現されてもよく、例えば従来のサーバ又はモバイル装置に説明されたシステムをインストールする。
【0071】
同様に、注意すべきことは、本願に開示された記述を簡略化して、1つ以上の発明の実施形態に対する理解を助けるために、前の本願の実施形態に対する説明において、複数種の特徴を1つの実施形態、図面又はそれに対する説明に統合する場合があることである。しかしながら、このような開示方法は、本願の対象に必要な特徴が請求項に言及された特徴より多いいということを意味するものではない。実際に、実施形態の特徴は、上記開示の単一の実施形態の全ての特徴より少ない。
【0072】
いくつかの実施形態では、成分、属性数を説明した数字を使用するが、理解すべきことは、このような実施形態の説明に使用された数字が、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「大体」などを使用して修飾されることである。特に説明しない限り、「約」、「ほぼ」又は「大体」は、上記数字が±20%の変化を許容することを示す。対応的に、いくつかの実施形態では、明細書及び請求項に使用される数値パラメータは、いずれも個別の実施形態に必要な特徴に応じて変更することができる近似値である。いくつかの実施形態では、数値パラメータは、所定の有効桁を考慮し、かつ一般的な桁数を保留する方法を採用すべきである。本願のいくつかの実施形態では、その範囲の広さを確認する数値領域及びパラメータが近似値であるが、具体的な実施形態では、このような数値の設定は、実行可能な範囲内にできるだけ正確にされる。
【0073】
本願が引用する各特許、特許出願、特許出願公開物及び他の材料、例えば、文章、書籍、明細書、出版物、文書などについて、特にその全ての内容を参考として本願に組み込む。本願の内容と一致しないか又は衝突が発生した出願履歴ファイルを除外して、本願の請求項の最も広い範囲を限定するファイル(現在又はその後に本願に付加されるもの)も除外する。なお、本願の付属材料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本願の上記内容と一致しないか又は衝突すれば、本願の説明、定義及び/又は用語の使用を基準とする。
【0074】
最後に、本願における上記実施形態が本願の実施形態の原則を説明するためのもののみであることを理解されたい。他の変形は本願の範囲に属する可能性がある。したがって、限定ではなく例として、本願の実施形態の代替構成は本願の教示と一致するものと見なすことができる。対応的に、本願の実施形態は、本願に明確に説明及び記載された実施形態に限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の振動板を含む第1の音響ドライバと、
第2の振動板を含む第2の音響ドライバと、
前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバに電気的に接続され、前記第1の振動板を振動させるように駆動する第1の電気信号と前記第2の振動板を振動させるように駆動する第2の電気信号とを提供する制御回路であって、前記第1の電気信号と前記第2の電気信号とは位相が逆である、制御回路と、
前記第1の音響ドライバ及び前記第2の音響ドライバを載置する筐体構造体とを含み、
前記第1の振動板の振動により発生する音が前記筐体構造体の第1の音誘導孔から外部に放射され、前記第2の振動板の振動により発生する音が前記筐体構造体の第2の音誘導孔から外部に放射される、音響出力装置。
【請求項2】
前記第1の音響ドライバが第1の磁気回路構造体を含み、前記第2の音響ドライバが第2の磁気回路構造体を含み、前記第1の振動板が前記第1の電気信号の駆動で前記第1の磁気回路構造体に向かって振動すると、前記第2の振動板が前記第2の電気信号の駆動で前記第2の磁気回路構造体から離れて振動する、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記筐体構造体が、連通しない第1のキャビティ及び第2のキャビティを少なくとも含み、前記第1の音響ドライバが前記第1のキャビティ内に位置し、前記第2の音響ドライバが前記第2のキャビティ内に位置する、請求項1又は2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記第1のキャビティが前記第2のキャビティと同じであり、前記第1の音響ドライバのフロントキャビティが前記第2の音響ドライバのフロントキャビティと同じであり、前記第1の音響ドライバのリアキャビティが前記第2の音響ドライバのリアキャビティと同じである、請求項3に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記第1の音誘導孔が前記第1のキャビティに連通し、前記第2の音誘導孔が前記第2のキャビティに連通し、前記第1の音響ドライバが前記第1の音誘導孔から音を発し、前記第2の音響ドライバが前記第2の音誘導孔から音を発し、前記第1の音響ドライバにより前記第1の音誘導孔から発する音と前記第2の音響ドライバにより前記第2の音誘導孔から発する音とは位相が逆である、請求項3に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記第1の音誘導孔と前記第2の音誘導孔とが前記筐体構造体の隣接又は対向する側壁に位置する、請求項1から5のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記制御回路がオーディオ信号を生成し、前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバとが逆極性の方式でそれぞれ前記オーディオ信号を受信することによって、それぞれ前記第1の電気信号と前記第2の電気信号を取得する、請求項1から6のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバが同じ極性の方式でそれぞれ前記制御回路に電気的に接続され、前記第1の音響ドライバ又は前記第2の音響ドライバと制御回路との間が位相反転回路を介して電気的に接続されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバとの間の中高周波数範囲での振幅周波数応答の差分値が6dB以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記中高周波数範囲が200Hz~20kHz以内にある、請求項9に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバとの間の少なくとも一部の低周波数範囲での振幅周波数応答の差分値が10dB以上である、請求項9又は10に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記第1の音響ドライバと前記第2の音響ドライバのうち、低周波数範囲での振幅周波数応答値が大きい方の音響ドライバからユーザの耳までの音響経路がより小さい、請求項11に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記第1の音響ドライバのリアキャビティ及び前記第2の音響ドライバのリアキャビティに少なくとも1つの調音孔が設けられている、請求項1から12のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項14】
第3の振動板を含む第3の音響ドライバを更に含み、
前記制御回路が前記第3の振動板を振動させるように駆動する第3の電気信号を提供し、前記筐体構造体の第3の音誘導孔及び第4の音誘導孔から外部に放射される低周波音を発生させる、請求項1から13のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項15】
前記第3の音誘導孔と前記第4の音誘導孔とが前記筐体構造体の隣接又は対向する側壁に位置する、請求項14に記載の音響出力装置。
【国際調査報告】