(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】音響出力装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20221116BHJP
H04R 1/28 20060101ALI20221116BHJP
H04R 9/02 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
H04R1/02 101B
H04R1/02 104Z
H04R1/28 310
H04R9/02 101A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517900
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(85)【翻訳文提出日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 CN2020106759
(87)【国際公開番号】W WO2021052046
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】201910888762.2
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910888067.6
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514156013
【氏名又は名称】深▲セン▼市韶音科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SHOKZ CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Floors 1-4,Factory Building 26,Shancheng Industrial Park,Shiyan Street,Bao’an District,Shenzhen,Guangdong 518108,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】付 峻江
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
【テーマコード(参考)】
5D012
5D017
【Fターム(参考)】
5D012BB01
5D017AD17
5D017AF07
(57)【要約】
本願は、音響出力装置を開示し、該音響出力装置は、振動板及び磁気回路構造体を含む音響ドライバであって、前記振動板の前記磁気回路構造体に背向する側が前記音響ドライバの正面となり、前記磁気回路構造体の前記振動板に背向する側が前記音響ドライバの裏面となり、前記振動板の振動により前記音響ドライバがそれぞれその正面と裏面から外部に音を放射する、音響ドライバと、前記音響ドライバを載置するように構成された筐体構造体と、を含み、前記音響ドライバの正面及び裏面のうちの一面と前記筐体構造体とがキャビティを形成し、前記音響ドライバの前記キャビティを形成する一面から前記キャビティに音を放射し、前記音響ドライバの他面から前記音響出力装置の外部に音を放射する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響出力装置であって、
振動板及び磁気回路構造体を含む音響ドライバであって、前記振動板の前記磁気回路構造体に背向する側が前記音響ドライバの正面となり、前記磁気回路構造体の前記振動板に背向する側が前記音響ドライバの裏面となり、前記振動板の振動により前記音響ドライバがそれぞれその正面と裏面から外部に音を放射する、音響ドライバと、
前記音響ドライバを載置するように構成された筐体構造体と、を含み、
前記音響ドライバの正面及び裏面のうちの一面と前記筐体構造体とがキャビティを形成し、前記音響ドライバの前記キャビティを形成する一面から前記キャビティに音を放射し、前記音響ドライバの他面から前記音響出力装置の外部に音を放射する、音響出力装置。
【請求項2】
前記筐体構造体が少なくとも1つの音誘導孔を含み、前記少なくとも1つの音誘導孔が、前記キャビティと音響的に結合され、前記音響ドライバが前記キャビティに放射した音を前記音響出力装置の外部に誘導する、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの音誘導孔が、前記筐体構造体の前記音響ドライバに向かう側の中心位置に近接している、請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの音誘導孔の断面積が0.25mm
2以上である、請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの音誘導孔に音響減衰構造体が設けられている、請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記磁気回路構造体は、前記振動板に対向して設けられた磁気伝導板を含み、前記磁気伝導板に、前記振動板の振動により発生する音を前記音響ドライバの裏面から誘導する少なくとも1つの音誘導孔が含まれている、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記音響ドライバの正面と前記筐体構造体とが前記キャビティを形成し、前記少なくとも1つの音誘導孔が、前記振動板の振動により発生する音を前記音響ドライバの裏面から前記音響出力装置の外部に誘導する、請求項6に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの音誘導孔に、前記振動板から離れる方向に沿って音導管が設けられ、前記音導管が、前記少なくとも1つの音誘導孔から放射された音を前記音響出力装置の外部に誘導する、請求項6に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの音誘導孔が、内から順に設けられた第1の孔部及び第2の孔部を含み、前記第1の孔部と前記第2の孔部とが貫通し、前記第2の孔部の直径が前記第1の孔部の直径より大きい、請求項6に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記キャビティの前記振動板の振動方向に沿った高さが3mm以下である、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記振動板の形状が平面又はほぼ平面である、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記振動板が、前記キャビティから離れる方向に凹むエッジにより前記音響ドライバに固定されている、請求項10に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記音響ドライバの裏面と前記筐体構造体とが前記キャビティを形成し、前記音響ドライバの正面に、前記振動板に対して設けられた保護構造体が更に設けられている、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項14】
前記保護構造体が、前記振動板を外界から分離し、かつ振動板から発した音を外部に伝播できるように構成されている、請求項13に記載の音響出力装置。
【請求項15】
前記保護構造体がフィルター構造体を含む、請求項13に記載の音響出力装置。
【請求項16】
前記保護構造体が、少なくとも1つの音誘導孔を有するプレート構造体を含む、請求項13に記載の音響出力装置。
【請求項17】
前記キャビティが第1の音誘導孔により音を前記音響出力装置の外部に誘導し、前記音響ドライバの前記キャビティを形成した面とは別の面では第2の音誘導孔により音を前記音響出力装置の外部に誘導し、前記第1の音誘導孔と第2の音誘導孔が異なる音響インピーダンスを有する、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項18】
前記音響ドライバの正面又は裏面のうち、高周波応答の振幅値がより大きい一面は、耳までの音響経路が他面よりも近い、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項19】
前記音響ドライバの正面又は裏面のうち、高周波数応答の振幅値がより大きい一面は、耳道に向かう、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項20】
振動板及び磁気回路構造体を含む音響ドライバであって、前記振動板の前記磁気回路構造体に背向する側が前記音響ドライバの正面となり、前記磁気回路構造体の前記振動板に背向する側が前記音響ドライバの裏面となり、前記振動板の振動により前記音響ドライバがそれぞれその正面と裏面から外部に音を直接的に放射する、音響ドライバを含む音響出力装置。
【請求項21】
前記磁気回路構造体が、前記振動板に対向して設けられた磁気伝導板を含み、前記磁気伝導板に、前記振動板の振動により発生する音を前記音響ドライバの裏面から誘導する少なくとも1つの音誘導孔が含まれている、請求項20に記載の音響出力装置。
【請求項22】
前記音響ドライバの正面に、前記振動板に対して設けられた保護構造体が更に設けられ、前記保護構造体が前記磁気回路構造体に接続されている、請求項20に記載の音響出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権情報]
本願は、2019年9月19日に出願された出願番号201910888762.2の優先権、及び2019年9月19日に出願された出願番号201910888067.6の優先権を主張し、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、音響の分野に関し、特に音響出力装置に関する。
【背景技術】
【0003】
両耳を塞がない音響出力装置は、特定の範囲で音響伝導を実現する携帯型音出力装置である。従来のカナル型イヤホン、ヘッドホンに比べて、両耳を塞がない音響出力装置は、耳道を塞がず、カバーしないという特徴を有し、ユーザが音楽を聴くと同時に、外部環境における音情報を取得し、安全性及び快適性を向上させることができる。開放型構造の使用により、両耳を塞がない音響出力装置の音漏れは、一般的に従来のイヤホンより深刻である。現在、業界内の一般的なやり方は、スピーカを音響キャビティに配置し、音響キャビティの正面と裏面をそれぞれ開孔することにより、双極子を構築し、一定の指向性を有する特定の音場を生成し、音圧分布を調整することにより、ファーフィールドでの音漏れを低減することである。該方法は、ある程度で音漏れを低減する効果を達成できるが、依然として一定の制限が存在する。例えば、該音響出力装置は、中高周波及び低周波での周波数応答が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、ユーザの聴音音量を上げると同時に音漏れを低減するという効果を達成できる音響出力装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の一実施形態に係る音響出力装置は、振動板及び磁気回路構造体を含む音響ドライバであって、前記振動板の前記磁気回路構造体に背向する側が前記音響ドライバの正面となり、前記磁気回路構造体の前記振動板に背向する側が前記音響ドライバの裏面となり、前記振動板の振動により前記音響ドライバがそれぞれその正面と裏面から外部に音を放射する、音響ドライバと、前記音響ドライバを載置するように構成された筐体構造体と、を含み、前記音響ドライバの正面及び裏面のうちの一面と前記筐体構造体とがキャビティを形成し、前記音響ドライバの前記キャビティを形成する一面から前記キャビティに音を放射し、前記音響ドライバの他面から前記音響出力装置の外部に音を放射する。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記筐体構造体は、前記キャビティと音響的に結合され、かつ前記音響ドライバが前記キャビティに放射した音を前記音響出力装置の外部に誘導する少なくとも1つの音誘導孔を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの音誘導孔は、前記筐体構造体の前記音響ドライバに向かう側の中心位置に近接している。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの音誘導孔の断面積は、0.25mm2以上である。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの音誘導孔に音響減衰構造体が設けられる。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記磁気回路構造体は、前記振動板に対向して設けられた磁気伝導板を含み、前記磁気伝導板に、前記振動板の振動により発生する音を前記音響ドライバの裏面から誘導する少なくとも1つの音誘導孔が含まれる。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記音響ドライバの正面と前記筐体構造体とは、前記キャビティを形成し、前記少なくとも1つの音誘導孔は、前記振動板の振動により発生する音を前記音響ドライバの裏面から前記音響出力装置の外部に誘導する。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの音誘導孔に、前記振動板から離れる方向に沿って音導管が設けられ、前記音導管は、前記少なくとも1つの音誘導孔から放射された音を前記音響出力装置の外部に誘導する。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの音誘導孔は、内から順に設けられた第1の孔部及び第2の孔部を含み、前記第1の孔部と前記第2の孔部とが貫通し、かつ前記第2の孔部の直径が前記第1の孔部の直径より大きい。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記キャビティの前記振動板の振動方向に沿った高さは、3mm以下である。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記振動板の形状は、平面又はほぼ平面である。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記振動板は、前記キャビティから離れる方向に凹むエッジにより前記音響ドライバに固定される。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記音響ドライバの裏面と前記筐体構造体とは、前記キャビティを形成し、前記音響ドライバの正面に、前記振動板に対して設けられた保護構造体が更に設けられる。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記保護構造体は、前記振動板を外部から分離し、かつ振動板から発した音を外部に伝播できるように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記保護構造体は、フィルター構造体を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記保護構造体は、少なくとも1つの音誘導孔を有するプレート構造体を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記キャビティは、第1の音誘導孔により音を前記音響出力装置の外部に誘導し、前記音響ドライバの前記キャビティを形成した面とは別の面では、第2の音誘導孔により音を前記音響出力装置の外部に誘導し、かつ前記第1の音誘導孔と第2の音誘導孔は、異なる音響インピーダンスを有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記音響ドライバの正面又は裏面のうち、高周波応答の振幅値がより大きい一面は、耳までの音響経路が他面よりも近い。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記音響ドライバの正面又は裏面のうち、高周波数帯域での高周波数応答の振幅値がより大きい一面は、耳道に向かう。
【0024】
本願の一実施形態に係る音響出力装置は、振動板及び磁気回路構造体を含む音響ドライバであって、前記振動板の前記磁気回路構造体に背向する側が前記音響ドライバの正面となり、前記磁気回路構造体の前記振動板に背向する側が前記音響ドライバの裏面となり、前記振動板の振動により前記音響ドライバがそれぞれその正面と裏面から外部に音を放射する、音響ドライバを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記磁気回路構造体は、前記振動板に対向して設けられた磁気伝導板を含み、前記磁気伝導板に、前記振動板の振動により発生する音を前記音響ドライバの裏面から誘導する少なくとも1つの音誘導孔が含まれる。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記音響ドライバの正面に、前記振動板に対して設けられた保護構造体が更に設けられ、前記保護構造体が前記磁気回路構造体に接続される。
【0027】
例示的な実施形態によって本願をさらに説明するが、これらの例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。これらの実施形態は、制限的なものではなく、これらの実施形態では、同じ番号が同じ構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の例示的な構造概略図である。
【
図2】
図1における音響出力装置における第1の音誘導孔及び第2の音誘導孔の周波数応答グラフである。
【
図3】本願のいくつかの実施形態に係る二点音源の概略図である。
【
図4】本願のいくつかの実施形態に係る単点音源及び二点音源のファーフィールドでの音漏れ図である。
【
図5】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。
【
図6】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の正面及び裏面の周波数応答グラフである。
【
図7】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。
【
図8】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の正面及び裏面の周波数応答グラフである。
【
図9】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。
【
図10】本願のいくつかの実施形態に係るキャビティの容積が異なる場合の音響出力装置の周波数応答グラフである。
【
図11】本願のいくつかの実施形態に係る振動板の構造概略図である。
【
図12】本願のいくつかの実施形態に係る音誘導孔の大きさが異なる場合の音響出力装置の周波数応答グラフである。
【
図13】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。
【
図14】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の正面及び裏面の周波数応答グラフである。
【
図15】本願のいくつかの実施形態に係るキャビティの容積が異なる場合の音響出力装置の正面及び裏面の周波数応答グラフである。
【
図16】本願のいくつかの実施形態に係る音誘導孔の大きさが異なる場合の音響出力装置の正面及び裏面の周波数応答グラフである。
【
図17】本願のいくつかの実施形態に係る音誘導孔の位置分布の構造概略図である。
【
図18】
図17(a)に示す音誘導孔の位置に基づく音響ドライバの正面及び裏面の周波数応答グラフである。
【
図19】
図17(b)に示す音誘導孔の位置に基づく音響ドライバの正面及び裏面の周波数応答グラフである。
【
図20】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。
【
図21】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。
【
図22】本願のいくつかの実施形態に係る、キャビティを含まない音響出力装置の正面及び裏面の周波数応答グラフである。
【
図23】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の着用方式の概略図である。
【
図24】本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の正面及び裏面と人体の皮膚との位置関係の概略図である。
【
図25】本願のいくつかの実施形態に係るバッフルとしての筐体構造体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本願の実施形態の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施形態の説明に使用する必要がある図面について簡単に説明する。明らかに、以下に説明する図面は、本願のいくつかの例又は実施形態に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、更に、これらの図面に基づいて本願を他の類似状況に適用することができる。言語環境において明らかでないか又は別に説明しない限り、図における同じ番号は、同じ構造又は操作を表す。
【0030】
理解すべきことは、本明細書に使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」が、異なるレベルの異なるアセンブリ、素子、部材、部分又は組み立てを区別する方法であることである。しかしながら、他の単語が同じ目的を達成することができれば、他の表現により上記単語を置き換えることができる。
【0031】
本願及び特許請求の範囲に示されるように、コンテキストには例外な状況を明らかに示さない限り、「一」、「1つ」、「1種」及び/又は「該」などの単語は、単数を特に指すことではなく、複数を意味することができる。一般的には、用語「含む」及び「含有する」は、既に明らかに識別されたステップ及び要素を含むことを示すものに過ぎないが、これらのステップ及び要素は、排他性の羅列を構成せず、方法又はデバイスも他のステップ及び要素を含む可能性がある。
【0032】
本願では、フローチャートを使用して本願の実施形態に係るシステムが実行する操作を説明する。理解すべきことは、前又は後の操作が必ずしも順序に応じて正確に実行されないことである。逆に、逆の順序で、又は同時に各ステップを処理してもよい。同時に、他の操作をこれらのプロセスに添加してもよく、これらのプロセスからあるステップ又は複数のステップの操作を除去してもよい。
【0033】
図1は、本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の例示的な構造概略図である。
図1に示すように、音響出力装置100は、内部が中空の筐体構造体110と、筐体構造体110内に設けられた音響ドライバ120とを含んでもよい。音響ドライバ120は、振動板121及び磁気回路構造体1220を含んでもよい。音響ドライバ120は、ボイスコイル(図示せず)を更に含んでもよい。上記ボイスコイルは、振動板121の磁気回路構造体1220に向かう側に固定され、かつ磁気回路構造体1220で形成された磁界内に位置してもよい。上記ボイスコイルは、通電した後、磁界の作用で振動し、かつ振動板121が振動するように駆動することにより、音を発生させる。説明を容易にするために、振動板121の磁気回路構造体1220に背向する側(すなわち、
図1における振動板121の右側)は、音響ドライバ120の正面であると考えることができ、磁気回路構造体1220の振動板121に背向する側(すなわち、
図1における磁気回路構造体1220の左側)は、音響ドライバ120の裏面であると考えることができる。振動板121の振動により、音響ドライバ120は、それぞれ、その正面と裏面から外部に音を放射してもよい。
図1に示すように、音響ドライバ120の正面又は振動板121と筐体構造体110とは、第1のキャビティ111を形成し、音響ドライバ120の裏面と筐体構造体110とは、第2のキャビティ112を形成する。音響ドライバ120の正面から第1のキャビティ111に音を放射し、音響ドライバ120の裏面から第2のキャビティ112に音を放射する。いくつかの実施形態では、筐体構造体110は、第1の音誘導孔113及び第2の音誘導孔114を更に含み、第1の音誘導孔113が第1のキャビティ111に連通し、第2の音誘導孔113が第2のキャビティ112に連通する。音響ドライバ120の正面に発生する音は、第1の音誘導孔113により外部に伝播し、音響ドライバ120の裏面に発生する音は、第2の音誘導孔114により外部に伝播する。いくつかの実施形態では、磁気回路構造体1220は、振動板に対向して設けられた磁気伝導板1221を含んでもよい。磁気伝導板1221には、振動板121の振動により発生する音を音響ドライバ120の裏面から誘導し、かつ第2のキャビティ112により外部に伝播する少なくとも1つの音誘導孔1222(圧力逃がし孔とも呼ばれる)が開設される。該音響出力装置100は、第1の音誘導孔113及び第2の音誘導孔114の音響放射により双極子構造に類似する二点音源(又は多音源)を形成し、一定の指向性を有する特定の音場を生成する。なお、本明細書の実施形態における音響出力装置は、イヤホンの応用に限定され、他の音出力装置(例えば、補聴器、スピーカーなど)に適用されてもよい。
【0034】
図2は、
図1における第1の音誘導孔及び第2の音誘導孔の周波数応答グラフである。
図2に示すように、該音響出力装置100内に設けられた第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112により、音響出力装置100がそれぞれ第1の音誘導孔113(
図2における音誘導孔1)と第2の音誘導孔114(
図2における音誘導孔2)から放射した音が中間周波数又は中高周波(例えば、2000Hz~4000Hz)で1つの共振ピークを生成することをもたらす。共振ピークの後に、第1の音誘導孔113及び第2の音誘導孔114での周波数応答の弱め程度に差異(第2の音誘導孔114での周波数応答がより速く弱める)が発生することがあることにより、音響出力装置100で形成された双極子類似構造は、高周波での周波数応答が悪く(例えば、2つの音誘導孔から大きな振幅値の差異を有する音を放射する)、音響出力装置100のファーフィールドでの音漏れをよく抑制することができなくなる。また、
図2における曲線から分かるように、第1の音誘導孔113と第2の音誘導孔114とは、低周波(例えば、500Hzより小さい)での振幅値の差異が非常に小さく、かつ第1の音誘導孔113及び第2の音誘導孔114から放射された音が逆又はほぼ逆の位相を有するため、該音響出力装置100の聴音位置(例えば、人体耳介)に発生する低周波音は、音の逆相相殺により弱められることにより、聴音位置の低周波応答が悪くなる。
【0035】
音響出力装置100の音出力効果を更に向上させるために、本明細書は、音響ドライバを含む別の又は複数種の音響出力装置を説明する。ユーザが上記音響出力装置を着用する場合、上記音響出力装置は、少なくともユーザの頭部の一側に位置し、ユーザの耳に近接するがユーザの耳を塞がない。該音響出力装置は、ユーザの頭部(例えば、メガネ、ヘッドバンド又は他の構造方式で着用された非カナル型の開放型イヤホン)に着用されてもよく、ユーザの身体の他の部位(例えばユーザの頚部/肩部領域)に着用されてもよく、他の方式(例えば、ユーザが手持ちする方式)によりユーザの耳の近傍に着用されてもよい。上記音響出力装置は、音を発生させるための音響ドライバと、上記音響ドライバを載置する筐体構造体とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、上記筐体構造体は、上記音響ドライバの正面及び裏面のうちの一面のみとキャビティを形成する。上記音響ドライバの正面又は裏面は、上記キャビティ内に位置するか又はキャビティと音響的に結合してもよい。上記音響ドライバの上記キャビティを形成する一面(もしあれば)は、上記キャビティに音を放射し、音は、筐体構造体の音誘導孔により外部に伝播してもよい。上記音響ドライバの他面から上記音響出力装置の外部に音を直接的に放射してもよい。いくつかの実施形態では、音響ドライバの正面又は裏面はいずれも、筐体構造体とでキャビティを形成しない。音響ドライバの正面及び裏面から、キャビティを通過せずに、外部に音を直接的に放射してもよい。以上から分かるように、以上の方式は、上記筐体構造体により上記音響ドライバの両側に形成されたキャビティの数を効果的に減少させることができる。このような状況で、上記音響出力装置のサイズを効果的に減少させることができる一方、キャビティの上記音響出力装置の出力音の周波数特性への影響を増加させることを回避することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、音響出力装置の筐体構造体は、バッフルとして音響ドライバの正面と裏面を仕切ってもよい。一方、上記バッフルは、音響ドライバの正面と裏面がそれぞれユーザの耳に音を伝達する音響経路差(すなわち、音響ドライバの正面音及び裏面音がユーザの耳道に到達する音響経路差)を増加させることができることにより、音相殺の効果が弱くなり、更にユーザの耳に聞こえる音(ニアフィールド音とも呼ばれる)の音量を増加させることにより、ユーザに好ましい聴覚体験を提供する。他方、上記バッフルが、音響ドライバの正面及び裏面から環境へ音(ファーフィールド音とも呼ばれる)を伝播することに与える影響は小さい。音響ドライバの正面から放射した音と裏面から放射した音とがファーフィールドで互いに相殺され、一定の程度で音響出力装置の音漏れを抑制すると同時に、音響出力装置により発生する音が該ユーザの近傍の他人に聞こえることを防止することができる。
【0037】
単に記述及び説明を容易にする目的として、音響出力装置上の音誘導孔のサイズが小さい場合、各音誘導孔はほぼ、1つの点音源と見なされてもよい。単点音源が発生する音場音圧pは、以下の式(1)を満たす。
【0038】
【0039】
ここで、ωが角周波数であり、ρ0が空気密度であり、rが目標点と音源との距離であり、Q0が音源体積速度であり、kが波数であり、点音源の音場音圧の大きさが点音源までの距離に反比例する。
【0040】
上述したように、音響出力装置に2つの音誘導孔を設けて二点音源を構造することにより、音出力装置が周囲環境に放射する音(すなわち、ファーフィールドでの音漏れ)を低減することができる。いくつかの実施形態では、2つの音誘導孔、すなわち、二点音源から出力した音は、一定の位相差を有する。二点音源の間の位置、位相差などが一定の条件を満たす場合、音響出力装置は、ニアフィールド及びファーフィールドで異なる音効果を示すことができる。例えば、2つの音誘導孔に対応する点音源の位相が逆であり、すなわち、2つの点音源の間の位相差の絶対値が180°である場合、音波逆相相殺の原理に基づいて、ファーフィールドでの音漏れの削減を実現することができる。
【0041】
図3に示すように、二点音源が発生する音場音圧pは、以下の式(2)を満たす。
【0042】
【0043】
ここで、A1、A2がそれぞれ2つの点音源の強度であり、φ1、φ2が点音源の位相であり、dが2つの点音源の間の間隔であり、r1及びr2が式(3)を満たす。
【0044】
【0045】
ここで、rが空間における任意の目標点と二点音源の中心位置との距離であり、θが、該目標点と二点音源の中心との接続線と、二点音源の所在る直線との夾角を示す。
【0046】
式(3)から分かるように、音場における目標点の音圧pの大きさは、各点の音源強度、間隔d、位相及び音源からの距離に関連する。
【0047】
図4は、本願のいくつかの実施形態に係る単点音源及び二点音源のファーフィールドでの音漏れ図である。
図4に示すように、ファーフィールドで、二点音源の間隔が一定である場合、一定の周波数範囲内(例えば、100Hz~8000Hz)に、二点音源の発生する音漏れ音量が単点音源の音漏れ音量より小さく、すなわち、一定の周波数範囲内にある場合、上記二点音源の音低減能力は、単点音源の音低減能力より高い。なお、本実施形態における音源は、点音源を例とし、かつ音源のタイプを限定せず、他の実施形態における音源は、面音源であってもよい。
【0048】
図5は、本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。
図5に示すように、音響出力装置500は、筐体構造体510と、筐体構造体510に接続された音響ドライバ520とを含んでもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、筐体構造体510は、ユーザの身体に着用するために使用することができ、かつ1つ以上の音響ドライバ520を載置することができる。いくつかの実施形態では、筐体構造体510は、内部が中空の密閉型筐体構造体であってもよく、かつ1つ以上の音響駆動器520は、筐体構造体510に固定接続される。
【0050】
いくつかの実施形態では、音響出力装置500は、筐体構造体510によりユーザの身体(例えば、人体の頭部、頸部又は胴体上部)に着用されてもよく、同時に筐体構造体510及び音響ドライバ520は、耳道に近接するが耳道を塞がないことにより、ユーザの耳は開放された状態を維持し、ユーザは、音響出力装置500から出力された音を聞こえると同時に、外部環境の音を取得することができる。例えば、音響出力装置500は、ユーザの耳の周側に周設又は部分的に周設されてもよい。いくつかの実施形態では、音響出力装置500は、メガネ、ヘッドホン、頭部装着型表示装置、AR/VRヘルメットなどの製品と組み合わせられてもよく、このような状況で、筐体構造体510は、吊り下げ又はクランプの方式でユーザの耳の近傍に固定されてもよい。いくつかの代替的な実施形態では、筐体構造体510にフックが設けられてもよく、かつフックの形状が耳介の形状に適応することにより、音響出力装置500は、フックによりユーザの耳に独立して着用されてもよい。独立して着用して使用された音響出力装置500は、有線又は無線(例えば、ブルートゥース(登録商標))の方式で信号源(例えば、コンピュータ、携帯電話又は他の移動装置)に通信接続されてもよい。例えば、左右耳での音響出力装置500は、いずれも無線の方式で信号源に直接的に通信接続されてもよい。また例えば、左右耳での音響出力装置500は、第1の出力装置及び第2の出力装置を含んでもよく、ここで、第1の出力装置が信号源に通信接続されてもよく、第2の出力装置が無線方式で第1の出力装置に無線接続されてもよく、第1の出力装置と第2の出力装置との間が1つ以上の同期信号によりオーディオ再生の同期を実現する。無線接続の方式は、ブルートゥース(登録商標)、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、無線パーソナルエリアネットワーク、近距離無線通信など又はそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0051】
いくつかの実施形態では、筐体構造体510は、人体の耳適応形状を有する筐体構造体であってもよく、例えば、円環状、楕円形、多角形(規則的又は不規則)、U型、V型、半円形を有することにより、筐体構造体510をユーザの耳に直接的に掛けてもよい。いくつかの実施形態では、筐体構造体510は、1つ以上の固定構造を更に含んでもよい。上記固定構造が耳掛け、ヘッドビーム又は弾性バンドを含んでもよいことにより、音響出力装置500は、ユーザによりよく固定され、ユーザの使用時に落下することを防止することができる。単に例示的な説明として、例えば、弾性バンドは、頭部領域の周りに着用するように構成されてもよいヘッドバンドであってもよい。また例えば、弾性バンドは、首/肩領域の周りに着用するように構成されたネックバンドであってもよい。いくつかの実施形態では、弾性バンドは、連続的な帯状物であってもよく、かつ弾性的に引っ張られてユーザの頭部に着用されてもよく、同時にユーザの頭部に圧力を印加することにより、音響出力装置500をユーザの頭部の特定の位置に堅固に固定することができる。いくつかの実施形態では、弾性バンドは、不連続な帯状物であってもよい。例えば、弾性バンドは、剛性部分及び可撓性部分を含んでもよく、ここで、剛性部分は、剛性材料(例えば、プラスチック又は金属)で製造されてもよく、物理的接続(例えば、係止、ネジ接続など)の方式により音響出力装置500の筐体構造体510に固定されてもよい。可撓性部分は、弾性材料(例えば、布地、複合材料又は/及びクロロプレンゴム)で製造されてもよい。
【0052】
音響ドライバ520は、電気信号を受信し、かつ該電気信号を音信号に変換して出力することができる素子である。いくつかの実施形態では、周波数に応じて区別すると、音響ドライバ120のタイプは、低周波(例えば、3kHz以下)音響ドライバ、中高周波(例えば、3kHz~7kHz)音響ドライバ又は高周波(例えば、7kHzより大きい)音響ドライバ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。当然のことながら、ここで言う低周波、高周波などは、周波数の概略範囲のみを示し、異なる応用シーンでは、異なる区分方式を有してもよい。例えば、1つのクロスオーバー波長を確定してもよく、低周波は、クロスオーバー波長以下の周波数範囲を示し、高周波は、クロスオーバー波長以上の周波数を示す。該クロスオーバー波長は、人の耳の可聴範囲内の任意の値、例えば、500Hz、600Hz、700Hz、800Hz、1000Hzなどであってもよい。いくつかの実施形態では、原理に応じて区別すると、音響ドライバ520は、ムービングコイル式、ムービングアイアン式、圧電式、静電式、磁歪式などのドライバを更に含むが、それらに限定されない。
【0053】
音響ドライバ520は、振動板521及び磁気回路構造体522を含んでもよい。振動板521及び磁気回路構造体522は、振動板521の振動方向に沿って順に設けられる。いくつかの実施形態では、振動板521を1つのフレーム(図示せず)に取り付け、その後に上記フレームを磁気回路構造体522に固定してもよい。代わりに、振動板521を磁気回路構造体522の側壁に直接的に固定接続してもよい。振動板521の磁気回路構造体522に背向する側が音響ドライバ520の正面となり、磁気回路構造体522の振動板521に背向する側が音響ドライバ520の裏面となり、振動板521の振動により音響ドライバ520がそれぞれその正面と裏面から外部に音を放射する。
【0054】
音響ドライバ520の正面と筐体構造体510とは、キャビティ511を形成する。音響ドライバ520の正面からキャビティ511に音を放射し、音響ドライバ520の裏面から音響出力装置500の外部に音を放射する。いくつかの実施形態では、筐体構造体510に1つ以上の音誘導孔512が設けられる。音誘導孔512は、キャビティ511と音響的に結合され、かつ音響ドライバ520がキャビティ511に放射した音を音響出力装置500の外部に誘導する。いくつかの実施形態では、磁気回路構造体522は、振動板521に対向して設けられた磁気伝導板523を含んでもよい。磁気伝導板523に1つ以上の音誘導孔524(圧力逃がし孔とも呼ばれる)が設けられる。音誘導孔524は、振動板521の振動により発生する音を音響ドライバ520の裏面から音響出力装置500の外部に誘導する。音誘導孔512と音誘導孔524がそれぞれ振動板521の両側に位置するため、音誘導孔512及び音誘導孔524から誘導された音は、逆又はほぼ逆の位相を有すると考えることができるため、音誘導孔512及び音誘導孔524は、
図3に示すような一組の二点音源を構成してもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、振動板521は、筐体構造体510の側壁に嵌め込まれてもよい。例えば、筐体構造体510の側壁に取付孔(図示せず)が開設されてもよく、振動板521の端部が取付孔に固定されてもよいことにより、音響ドライバ520の正面又は振動板521と筐体構造体510のキャビティ511との音響的な結合を実現する。いくつかの実施形態では、音響ドライバ520における振動板521を有する側が筐体構造体510内に収容されてもよく、かつ音響ドライバ520における磁気回路構造体522の周部が筐体構造体510の側壁に接続されることにより、振動板521は、筐体構造体510の内部に位置し、かつ筐体構造体510とキャビティ511を形成する。
【0056】
図6は、
図5に示す音響出力装置500の正面及び裏面の周波数応答グラフである。
図6に示すように、音響ドライバ520の裏面に発生する音(
図6における「バックキャビティ」に対応する曲線)が直接的に音誘導孔524により外部に伝播されるため、音響ドライバ520の正面に発生する音がキャビティ511を通過した後に音誘導孔512から外部に伝播される過程(
図6における「音誘導孔1」に対応する曲線)とは異なり、このように、音響出力装置500が音誘導孔524に発生する音の共振ピークをより高い周波数位置(例えば、7kHz~8kHz)にさせることができる。このような状況で、共振ピークの前の周波数応答曲線は、より広い周波数範囲内に、より平坦な分布を維持することにより、音響出力装置500の高周波の場合の音出力効果を改善することができる。
図1、
図2、
図5及び
図6を参照すると、
図2は、
図1に示す音響出力装置100の周波数応答曲線であり、
図6は、
図5に示す音響出力装置500の周波数応答曲線であり、
図5に示す音響出力装置500は、
図1に示す音響出力装置100に対して、キャビティ(例えば、第2のキャビティ112)が1つ少ない。音響出力装置500の振動板521により発生する音波は、音響出力装置100の振動板121により発生する音波に対して、該裏面においてキャビティとの結合がないことにより、音響出力装置500における音誘導孔524及び音誘導孔512での周波数応答曲線は、高周波の共振ピークで、より高い周波数位置(例えば、7kHz~8kHz)にされる。また、音誘導孔524及び音誘導孔512での周波数応答は、高周波でより一致し、すなわち、高周波の場合で、音誘導孔524及び音誘導孔512の位相は、逆であり、かつ両者に対応する振幅値は、より一致し、ファーフィールドで、音響ドライバ520の正面と裏面の音波は、互いに相殺されてもよい。上記説明を参照すると、高周波の場合で、音響出力装置500の音響出力装置100に対する音漏れ低減効果は、より良好になる。更に、共振ピークの前の周波数応答曲線は、より広い周波数範囲内に、より平坦な分布を維持することにより、音響出力装置500の高周波の場合の聴音音質がより良好になる。また、音響出力装置500の構造に基づいて、音響ドライバ520の音誘導孔512及び音誘導孔524での周波数応答は、中高周波(例えば、3kHz~7kHz)の範囲内で非常に近く、すなわち、音響ドライバ520の正面に対応する周波数応答と裏面に対応する周波数応答とは、中高周波の範囲内で非常に近い。したがって、音響ドライバ520の正面と裏面から、位相が逆又はほぼ逆の音波を放射することができる。ファーフィールドで、音響ドライバ520の正面と裏面の音波が互いに相殺されることにより、音響出力装置500の中高周波での音漏れを顕著に低減することができる。
【0057】
低周波数帯域(例えば、3kHz以下)で、音誘導孔512での周波数応答(
図6における「音誘導孔1」に対応する曲線)の振幅値は、音誘導孔524での周波数応答(
図6における「バックキャビティ」に対応する曲線)の振幅値より大きい。したがって、ニアフィールドで、音誘導孔512からユーザの耳に放射された音の振幅値が音誘導孔524からユーザの耳に放射された音の振幅値より大きく、音波の逆相相殺の効果が弱いことにより、聴音位置(すなわち、ユーザの耳)の低周波での聴音音量を向上させることができる。好ましくは、出音孔512が耳に向かうか又は耳により近い場合、音誘導孔512からユーザの耳に放射された音の振幅値と音誘導孔524からユーザの耳に放射された音の振幅値との差が更に増大し、音波の逆相相殺の効果が更に弱くなるため、聴音位置の低周波での聴音音量がより大きくなる。ファーフィールドで、人の耳が低周波に敏感ではないため、音誘導孔512及び音誘導孔524から外部へ放射された音の振幅値が異なるが、人の耳が感知した音漏れは、顕著に増加しない。
【0058】
高周波数帯域(7kHzより高い)で、音誘導孔512での周波数応答の振幅値が音誘導孔524での周波数応答の振幅より明らかに大きく、該音響出力装置500が高周波で強い指向性を有するため、音波の高周波での指向性を利用してニアフィールドの聴音音量を増加させ、ファーフィールドの音漏れ音量を低下させるという効果を達成することができる。高周波の音波波長が中間周波数及び低周波の波長に対して短いことにより、高周波の音波は、強い指向性を有する。高周波音波の指向性が強く、すなわち、その指向する方向の音量が大きく、他の方向の音量が小さい。例えば、ユーザが音響出力装置500を着用する場合、音誘導孔512は、外耳道に近接することができ、音誘導孔524は、耳道から離れる。高周波の場合、音誘導孔524での音波が耳道に指向しないため、音誘導孔524から放射された高周波音波を抑制することにより、音誘導孔524での高周波応答ができるだけ低くなる。音誘導孔512で発生する高周波音波がいずれも耳に指向する場合、耳に聞こえる高周波の音が大きく、他の方向の音が小さいため(すなわち、音誘導孔524の音漏れ音量が小さい)、音誘導孔512での周波数応答の振幅値は、音誘導孔524での周波数応答の振幅値より明らかに大きいことにより、音響出力装置500のニアフィールドの聴音音量を増加させ、ファーフィールドの音漏れ音量を低下させるという効果を達成することができる。なお、上記実施形態における音誘導孔512での周波数応答は、音響ドライバ520の正面に対応する周波数応答と見なされてもよく、音誘導孔524での周波数応答は、音響ドライバ520の裏面に対応する周波数応答と見なされてもよい。
【0059】
図7は、本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。
図7に示すように、いくつかの実施形態では、音誘導孔524は、内部から外部へ順に設けられた第1の孔部5241及び第2の孔部5242を含んでもよい。第1の孔部5241と第2の孔部5242とは、貫通し、かつ第2の孔部5242のサイズは、第1の孔部5221のサイズとは異なる。例えば、第1の孔部5241及び第2の孔部5242がいずれも円形である場合、第2の孔部5242の直径は、第1の孔部5241の直径以上であってもよい。なお、以上に説明された音誘導孔524の第1の孔部5241及び第2の孔部5242の形状は、円形に限定されず、半円形、1/4円形、楕円形、半楕円形、多角形などであってもよく、ここでは更に限定しない。
【0060】
以上から分かるように、音誘導孔524の位置に第1の孔部5241及び第2の孔部5242を設けることにより、音響ドライバ520の裏面から外部へ音を放射する(すなわち、音誘導孔524から外部へ音を放射する)周波数応答を調整することができる。いくつかの代替的な実施形態では、音誘導孔524は、断面積が内部から外部へ徐々に増大するか又は徐々に減少する孔部であってもよい。いくつかの実施形態では、音響ドライバ520の裏面に複数の音誘導孔524が開設されてもよい。異なる音誘導孔524は、同じ又は異なる構造設定を有してもよい。
【0061】
図8は、
図7に示す音響出力装置の正面及び裏面の周波数応答グラフである。
図8に示すように、中高周波数帯域(例えば5kHz~6kHz)で、音誘導孔512での周波数応答(
図8における「音誘導孔1」に対応する曲線)と音誘導孔524での周波数応答(
図8における「バックキャビティ」に対応する曲線)とが非常に近いため、音誘導孔512及び音誘導孔524は、同じ振幅値を有する二点音源と見なされてもよい。また、音誘導孔524から発する音波と音誘導孔524から発する音波とは位相が逆であるため、音響出力装置の該中高周波数帯域のファーフィールドでの音漏れを顕著に低減することができる。高周波数帯域(例えば7kHz~9kHz)で、音誘導孔512での周波数応答の振幅値が音誘導孔524での周波数応答の振幅値より大きいため、音波の高周波数帯域での指向性を利用してニアフィールドの聴音音量を増加させ、かつファーフィールドの音漏れ音量を低下させるという効果を達成することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、音誘導孔524及び/又は音誘導孔512の構造、サイズ、形状、位置などを調整して音誘導孔512及び音誘導孔524での周波数応答を調整することにより、音響出力装置の音響出力効果を向上させることができる。音誘導孔512及び音誘導孔524のサイズ又は位置が変化する場合、音誘導孔512及び音誘導孔524での周波数応答の変化状況は、本願の
図12、
図17及び
図18とそれらの関連説明とを参照してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、
図9に示すように、音誘導孔524に音導管525が更に設けられてもよい。音導管525は、振動板から離れる方向に沿って設けられてもよく、すなわち、音誘導孔524から音響出力装置の外部に延伸してもよい。音導管525は、音誘導孔524から放射された音を音響出力装置の外部に誘導してもよい。いくつかの実施形態では、音誘導孔524での音導管525は、音響ドライバ520の裏面から外部へ音を放射する(すなわち、音誘導孔524から外部へ音を放射する)周波数応答を調整してもよい。例えば、音導管の管径又は断面積を調整することにより音導管525に対応する周波数応答を調整してもよい。いくつかの実施形態では、音導管525は、直管又は断面積が振動板521から離れる方向に沿って徐々に増加する管体構造であってもよい。
【0064】
図10は、
図9に示す音響出力装置のキャビティの容積が異なる場合の周波数応答グラフである。いくつかの実施形態では、キャビティ511の容積を調整することにより音響出力装置の高周波の場合の音響出力効果を向上させることができる。
図9及び
図10に示すように、キャビティ511(
図10における「フロントキャビティ」)の容積が小さいほど、音誘導孔512での周波数応答における共振ピークの周波数位置は後ろになる。説明を容易にするために、本明細書の実施形態では、キャビティの容積は、振動板の面積と有効高さhとの積にほぼ正比例すると見なされてもよい。有効高さhとは、振動板521の振動方向に沿ったキャビティ511の高さを指されてもよい。いくつかの実施形態では、キャビティの有効高さhは、3mm以下であり、好ましくは、キャビティの有効高さhは、2mm以下であり、好ましくは、キャビティの有効高さhは、1mm以下であり、より好ましくは、キャビティの有効高さhは、0.5mm以下であり、更に好ましくは、キャビティの有効高さhは、0.4mm以下である。いくつかの実施形態では、キャビティ511の容積を設定することにより、音誘導孔512での周波数応答における共振ピークの周波数を3kHz以上にすることができ、好ましくは、キャビティ511の容積を設定することにより、音誘導孔512での周波数応答における共振ピークの周波数を5kHz以上にすることができ、より好ましくは、キャビティ511の容積を設定することにより、音誘導孔512での周波数応答における共振ピークの周波数を7kHz以上にすることができる。
【0065】
振動板の形態もキャビティの容積に影響を与える。音響ドライバの振動板が振動する場合に一定の振動幅を有するため、キャビティの容積が小さいことを保証すると同時に振動板に一定の振動空間を保留する必要があることにより、振動板が振動する時に筐体構造体と衝突して破裂音を発生させることを防止する。したがって、振動板の先端(すなわち、振動板のキャビティに向かう端面)から振動板の内壁に向かうキャビティまでの隙間は、振動板の振動幅より大きい必要がある。
【0066】
いくつかの実施形態では、振動板は、球形振動板又は円錐形振動板であってもよい。
図11(a)に示すように、振動板が球形振動板又は円錐形振動板である場合、振動板1110の先端及び外向きに突出したエッジ1111の突起が他の部分(すなわち、振動板1110の先端がよりキャビティの内壁に近接する)より高いため、キャビティに追加の容積を保留する必要があることにより、振動板1110の先端がキャビティの内壁と衝突することを防止する。いくつかの実施形態では、振動板は、平面振動板であってもよい。本明細書の実施形態では、平面振動板は、振動板の形状が平面又はほぼ平面である振動板であってもよい。
図11(b)に示すように、振動板が平面振動板1120である場合、平面振動板1120とその位置に対向するキャビティ内壁との間の間隔が球形振動板又は円錐形振動板より小さいことにより、キャビティの容積を減少させることに役立つ。しかしながら、エッジ1121が平面振動板1120に対して外向きに突出するため、平面振動板1120とその位置に対向するキャビティ内壁との間に依然として一定の間隔を維持する必要がある。
図11(c)に示すように、いくつかの実施形態では、振動板1130とキャビティ内壁との間の間隔を更に減少させるために、振動板1130のエッジ1131は、キャビティから離れる方向に凹んでもよく、この場合に筐体構造体のキャビティは、エッジ1131のために空間を保留する必要がないことにより、キャビティの容積を減少させることにより、キャビティ上の音誘導孔での高周波共振ピーク位置が周波数の高いレベルにあり、音響出力装置の音響出力効果を向上させる。
【0067】
いくつかの実施形態では、音誘導孔(例えば、音誘導孔512)のサイズを調整することにより、音響出力装置の高周波での音響出力効果を向上させることができる。
図12に示すように、音誘導孔のサイズが大きいほど、音誘導孔での周波数応答における共振ピークの位置は後ろになる。いくつかの実施形態では、音誘導孔の断面積は、0.25mm
2以上であり、好ましくは、0.5mm
2以下であり、好ましくは、1mm
2以上であり、好ましくは、2mm
2以上であり、好ましくは、4mm
2以下であり、より好ましくは、7mm
2以上であり、更に好ましくは、10mm
2以上である。いくつかの実施形態では、音誘導孔の断面積を設定することにより、音誘導孔での周波数応答における共振ピークの周波数を3kHz以上にすることができ、好ましくは、音誘導孔の容積を設定することにより、音誘導孔での周波数応答における共振ピークの周波数を4kHz以上にすることができ、より好ましくは、音誘導孔の容積を設定することにより、音誘導孔での周波数応答における共振ピークの周波数を5kHz以上にすることができる。
【0068】
図6に戻り、周波数が3kHz以下である場合、音響ドライバの正面の音誘導孔に対応する周波数応答の振幅値は、音響ドライバの裏面の音誘導孔(すなわち、圧力逃がし孔)に対応する周波数応答の振幅値より高い。したがって、3kHz以下で、音響ドライバの正面の音誘導孔から放射した音と音響ドライバの裏面の音誘導孔から放射した音のファーフィールドでの相殺効果は弱められ、音響出力装置の音漏れは大きいことがある。いくつかの実施形態では、人の耳が500Hz以下の周波数帯域での音漏れに敏感ではないことを考慮すると、音響出力装置の500Hz~3kHz周波数帯域での音漏れを更に低減すればよい。音響出力装置500を例として説明すると、いくつかの実施形態では、音誘導孔524のサイズ及び/又は数を増加させることにより、音誘導孔524に対応する周波数応答の振幅値を増大させることにより、音響出力装置の500Hz~3kHzの周波数帯域範囲内での音誘導孔512に対応する周波数応答と音誘導孔524に対応する周波数応答との差異を減少させることができる。音誘導孔512及び音誘導孔524に対応する周波数応答が十分に近い場合、音誘導孔512により発生する音波と音誘導孔524により発生する音波とに対して、逆相相殺を行うことにより、音響出力装置の該周波数帯域での音漏れ音量を低減することができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置の音誘導孔512及び音誘導孔524でのインピーダンスを調整することにより、音響出力装置の中低周波数帯域(例えば、500Hz~3kHz)での音漏れを低減することができる。例えば、音誘導孔512及び/又は音誘導孔524に音響減衰構造体(例えば、調音網、調音綿、音導管などの構造)を設けることにより、2つの音誘導孔に対応する周波数応答の振幅値を調整し、音響出力装置の中低周波数での音漏れ音量を更に低減することができる。具体的には、
図6に示す音誘導孔に対応する周波数応答曲線を参照すると、大きなインピーダンスを有する減衰機構を音誘導孔512に設けてもよく、音誘導孔524に減衰機構を設けないか又は小さいインピーダンスを有する減衰機構を設け、このように、2つの音誘導孔に対応する周波数応答を中低周波数帯域の範囲内により近くすることができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、音響出力装置のキャビティ位置は、上記説明された音響ドライバの正面に限定されなくてもよい。
図13は、本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。
図13に示すように、音響出力装置1300は、筐体構造体1310と、筐体構造体1310に接続された音響ドライバ1320とを含んでもよい。音響ドライバ1320は、振動板1321及び磁気回路構造体1322を含んでもよい。振動板1321及び磁気回路構造体1322は、振動板1321の振動方向に沿って順に設けられる。いくつかの実施形態では、振動板1321を1つのフレーム(図示せず)に取り付け、その後に上記フレームを磁気回路構造体1322に固定してもよい。代わりに、振動板1321を磁気回路構造体1322の側壁に直接的に固定接続してもよい。振動板1321の磁気回路構造体1322に背向する側が音響ドライバ1320の正面となり、磁気回路構造体1322の振動板1321に背向する側が音響ドライバ1320の裏面となり、振動板1321の振動により音響ドライバ1320がそれぞれその正面と裏面から外部に音を放射する。音響ドライバ1320の裏面と筐体構造体1310とは、キャビティ1311を形成し、音響ドライバ1320の裏面からキャビティ1311に音を放射し、音響ドライバ1320の正面から音響出力装置1300の外部に音を放射する。いくつかの実施形態では、磁気回路構造体1322は、振動板1321に対向して設けられた磁気伝導板1323を含んでもよく、磁気伝導板1323に1つ以上の音誘導孔1324(圧力逃がし孔とも呼ばれる)が設けられる。音誘導孔1324は、振動板1321の振動により発生する音を音響ドライバ1320の裏面からキャビティ1311に誘導する。いくつかの実施形態では、筐体構造体1310に1つ以上の音誘導孔1312が設けられてもよい。音誘導孔1312は、キャビティ1311と音響的に結合され、かつ音響ドライバ1320がキャビティ1311に放射した音を音響出力装置1300の外部に誘導する。いくつかの状況で、振動板1321の正面から外部に直接的に伝播する音と音誘導孔1312から誘導した音とは逆又はほぼ逆の位相を有すると考えることができるため、振動板1321の正面と音誘導孔1324とは、
図3に示すような一組の二点音源を構成することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、振動板1321は、筐体構造体1310の側壁に嵌め込まれてもよく、振動板1321の正面から発生する音は、外部に直接的に伝播されてもよい。例えば、筐体構造体1310の側壁に取付孔(図示せず)が開設されてもよく、振動板1321は、取付孔に位置する。いくつかの実施形態では、振動板1321は更に、筐体構造体1310に位置しなくてもよい。例えば、音響ドライバ1320において振動板1321を有する側は、筐体構造体1310に対して外向きに突出するか又は内向きに凹んでもよく、音響ドライバ1320は、磁気回路構造体1322により筐体構造体1310に固定接続されてもよい。
【0071】
図14は、本願のいくつかの実施形態に係る音響ドライバの正面及び裏面に対応する周波数応答グラフである。
図2及び
図14を参照すると、100Hz~10kHzの周波数範囲内に、本実施形態に係る音響出力装置1300における音響ドライバ1320の正面及び裏面に対応する周波数応答の一致性は、音響出力装置100における音響ドライバ120の正面及び裏面に対応する周波数応答の一致性に対して顕著に向上する。このような状況で、音響ドライバ1320の正面と裏面の音波の位相が逆又はほぼ逆であるため、音響ドライバ1320の正面と裏面から放射した音波はファーフィールドで互いに相殺することができることにより、音響出力装置1300の各周波数帯域での音漏れ低減効果を向上させる。
【0072】
いくつかの実施形態では、キャビティ1311の容積を調整することにより、音響出力装置1300の高周波の場合の音響出力効果を向上させることができる。
図15に示すように、中高周波数帯域(例えば、3kHz~7kHz)で、キャビティ1311(ここではリアキャビティとも呼ばれる)の容積が小さい場合(
図15に示す「小さいリアキャビティの容積-正面」)の音響ドライバ1320の正面に対応する周波数応答曲線は、キャビティ1311の容積が大きい場合(
図15に示す「大きいリアキャビティの容積-正面」)の音響ドライバ1320の正面に対応する周波数応答曲線に対して平坦である。すなわち、キャビティ1311の容積が小さいほど、音響ドライバ1320の正面での中高周波の応答は高くなる。また、キャビティ1311の容積が小さい場合(
図15に示す「小さいリアキャビティの容積-裏面」)の音響ドライバ1320の裏面に対応する周波数応答曲線は、キャビティ1311の容積が大きい場合(
図15に示す「大きいリアキャビティの容積-裏面」)の音響ドライバ1320の裏面に対応する周波数応答曲線に対して、より高い共振ピークの位置を有する。すなわち、キャビティ1311の容積が小さいほど、音響ドライバ1320の裏面に対応する共振ピークの周波数は後ろになる。
【0073】
いくつかの実施形態では、キャビティ1311の有効高さを調整することにより、音響出力装置1300の高周波での音響出力効果を向上させることができる。いくつかの実施形態では、キャビティの有効高さhは、3mm以下であり、好ましくは、キャビティの有効高さhは、2mm以下であり、好ましくは、キャビティの有効高さhは、1mm以下であり、より好ましくは、キャビティの有効高さhは、0.5mm以下であり、好ましくは、キャビティの有効高さhは、0.4mm以下であり、より好ましくは、キャビティの有効高さhは、0.2mm以下である。いくつかの実施形態では、キャビティ1311の容積を設定することにより、音誘導孔1312での周波数応答における共振ピークの周波数を2.5kHz以上にすることができ、好ましくは、キャビティ1311の容積を設定することにより、音誘導孔1312での周波数応答における共振ピークの周波数を5kHz以上にすることができ、より好ましくは、キャビティ1311の容積を設定することにより、音誘導孔1312での周波数応答における共振ピークの周波数を7kHz以上にすることができる。より好ましくは、キャビティ1311の容積を設定することにより、音誘導孔1312での周波数応答における共振ピークの周波数を10kHz以上にすることができる。キャビティの容積及び有効高さhの詳細については、本願の明細書の
図10及びその関連内容を参照することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、音誘導孔1312のサイズを調整することにより、音響出力装置の高周波での音響出力効果を向上させることができる。
図16に示すように、中高周波数帯域(例えば、3kHz~7kHz)で、音誘導孔1312が大きい場合(
図16に示す「大きい音誘導孔-正面」)の音響ドライバ1320の正面に対応する周波数応答曲線は、音誘導孔1312のサイズが小さい場合(
図16に示す「小さい音誘導孔-正面」)の音響ドライバ1320の正面に対応する周波数応答曲線に対して平坦である。すなわち、音誘導孔1312のサイズが大きいほど、音響ドライバ1320の正面の中高周波応答は高くなる。また、音誘導孔1312のサイズが大きい場合(
図16に示す「大きい音誘導孔-裏面」)の音響ドライバ1320の裏面に対応する周波数応答曲線は、音誘導孔1312のサイズが小さい場合(
図16に示す「小さい音誘導孔-裏面」)の音響ドライバ1320の裏面に対応する周波数応答曲線に対して高い共振ピークの位置を有する。すなわち、音誘導孔1312のサイズが大きいほど、音響ドライバ1320の裏面に対応する共振ピークの周波数は後ろになり、音響出力装置の中高周波応答は高くなる。いくつかの実施形態では、音誘導孔の断面積は、0.25mm
2以上であり、好ましくは、0.5mm
2以下であり、好ましくは、1mm
2以上であり、好ましくは、2mm
2以上であり、好ましくは、4mm
2以下であり、より好ましくは、7mm
2以上であり、更に好ましくは、10mm
2以上である。いくつかの実施形態では、音誘導孔の断面積を設定することにより、音誘導孔での周波数応答における共振ピークの周波数を3kHz以上にすることができ、好ましくは、音誘導孔の容積を設定することにより、音誘導孔での周波数応答における共振ピークの周波数を4kHz以上にすることができ、より好ましくは、音誘導孔の容積を設定することにより、音誘導孔での周波数応答における共振ピークの周波数を5kHz以上にすることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、音誘導孔1312の位置を調整することにより、音響出力装置の高周波での音響出力効果を向上させることができる。いくつかの実施形態では、音誘導孔は、筐体構造体の音響ドライバの正面又は裏面の位置に対向する側壁(以下では筐体構造体の正側壁と略称する)の中心位置に近接してもよい。音誘導孔が筐体構造体の正側壁の中心位置に近接する場合、音響ドライバ1320の正面及び裏面の周波数応答曲線は、高い一致性を有する。このような状況で、音響ドライバ1320の正面と裏面から放射した音波の位相が逆又はほぼ逆であるため、音響ドライバ1320の正面と裏面から放射した音波はファーフィールドで互いに相殺することができることにより、音響出力装置1300の各周波数帯域での音漏れ低減効果を向上させる。
図17は、本願のいくつかの実施形態に係る音誘導孔の位置分布の構造概略図である。
図17(a)に示す音誘導孔1701は、筐体構造体の正側壁の中心位置から離れ、
図17(b)に示す音誘導孔1702は、筐体構造体の正側壁の中心位置に近接する。
図18は、
図17(a)に示す音誘導孔の位置に基づく音響ドライバの正面及び裏面の周波数応答グラフである。
図19は、
図17(b)に示す音誘導孔の位置に基づく音響ドライバの正面及び裏面の周波数応答グラフである。
図18に示すように、中高周波又は高周波の範囲内(例えば、3kHz~10kHz)に、音誘導孔1701が筐体構造体の正側壁の中心位置から離れる場合、音響ドライバの正面及び裏面の周波数応答曲線の差異が大きいため、音響出力装置の該周波数帯域での音漏れが大きいことを引き起こす。
図19に示すように、100Hz~10kHzの範囲内に、音誘導孔1702が筐体構造体の側壁の中心位置に近接する場合、音響ドライバの正面及び裏面の周波数応答曲線の一致性は高い。このような状況で、ファーフィールドで、音響ドライバの正面と裏面から放射した音波を互いに相殺することができるため、音響出力装置の該周波数帯域での音漏れ低減効果を向上させることができる。なお、他の実施形態では、音誘導孔1701及び音誘導孔1702の数は、1つに限定されず、更に2つ、3つ以上であってもよい。筐体構造体の正側壁に複数の音誘導孔が設けられる場合、これらの音誘導孔は、全て筐体構造体の側壁に近接する中心位置にあってもよく、全て筐体構造体の側壁から離れる中心位置にあってもよく、それぞれ筐体構造体の側壁に近接する中心位置と筐体構造体の側壁から離れる中心位置とにあってもよい。また、音誘導孔1701及び音誘導孔1702の形状は、
図17における円形に限定されず、更に半円形、楕円形などであってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて、音誘導孔1701、音誘導孔1702の数及び形状を適応的に調整することができ、ここでは更に限定しない。上記音誘導孔が筐体構造体の正側壁の中心位置に近接する応用シーンは、
図13に示す音響出力装置1300のみに限定されず、同様に本願の他の実施形態における音響出力装置に適用され、例えば、
図1、
図5、
図7及び
図9などに示す音響出力装置に適用される。
【0076】
いくつかの実施形態では、
図14に示す音響ドライバの正面及び裏面に対応する周波数応答曲線を参照すると、音響出力装置の音誘導孔1312でのインピーダンスを調整することにより(例えば、音誘導孔1312に一定のインピーダンスを有する減衰機構を設ける)、音響ドライバの正面及び裏面に対応する周波数応答曲線は、一定の周波数範囲内(例えば、500Hz~3kHz)に、より近くなることにより、音響出力装置の該周波数範囲内での音漏れを低減する。例えば、音誘導孔1312に音響減衰構造体(例えば、調音網、調音綿、音導管などの構造)を設けることにより、音響ドライバの裏面に対応する周波数応答の振幅値を減少させ、該振幅値を、音響ドライバの正面に対応する周波数応答の振幅値に近くするか又は同等にしてもよい。
【0077】
図20は、本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。
図20に示すような音響出力装置2000と
図13に示すような音響出力装置1300の構造は、ほぼ同じであり、筐体構造体2010、音響ドライバ2020、振動板2021、磁気回路構造体2022、磁気伝導板2023、音誘導孔2024及び音誘導孔2012については
図13及びその関連内容を参照することができる。
図20に示す音響出力装置2000は、
図13に示す音響出力装置1300に対して、いくつかの実施形態では、振動板2021を保護するために、振動板2021の外側に保護構造体2030が更に設けられてもよいという点で相違する。保護構造体2030は、筐体構造体2010に固定接続されてもよい。いくつかの実施形態では、保護構造体2030は、振動板2021の正面から発生する音波を外部へ伝播することを許可する構造である。例えば、保護構造体2030は、フィルター構造体であってもよい。また例えば、保護構造体2030は、孔を有するプレート構造体などであってもよい。いくつかの実施形態では、保護構造体2030と振動板2021の正面との間に一定の間隔を有し、該間隔は、振動板2021が振動過程において保護構造体2030と衝突することを防止することができる。振動板2021のタイプ及び構造については本願の
図11に示す振動板を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0078】
図21は、本願のいくつかの実施形態に係る音響出力装置の構造概略図である。
図21に示す音響出力装置2100は、
図5に示す音響出力装置500又は
図13に示す音響出力装置1300に対して、
図21に示す音響出力装置2100が筐体構造体及び音響ドライバで形成されたキャビティを含まないという点で相違する。
図21に示すように、音響出力装置2100は、音響ドライバ2110を含んでもよく、音響ドライバ2110は、振動板2121及び磁気回路構造体2122を含んでもよい。振動板2121及び磁気回路構造体2122は、振動板2121の振動方向に沿って順に設けられる。いくつかの実施形態では、振動板2121を1つのフレーム(図示せず)に取り付け、その後に上記フレームを磁気回路構造体2122に固定してもよい。代わりに、振動板2121を磁気回路構造体2122の側壁に直接的に固定接続してもよい。振動板2121の磁気回路構造体2122に背向する側が音響ドライバ2110の正面となり、磁気回路構造体2122の振動板2121に背向する側が音響ドライバ2110の裏面となり、振動板2121の振動により音響ドライバ2110がそれぞれその正面と裏面から外部に音を放射する。音響ドライバ2110の正面から外部に音波を直接的に放射する。磁気回路構造体2122の磁気伝導板2123に1つ以上の音誘導孔2124が設けられる。音誘導孔2124は、振動板2121の振動により発生する音を音響ドライバ2110の裏面から外部に直接的に誘導する。いくつかの実施形態では、音響出力装置2100は、保護構造体2130を更に含んでもよく、保護構造体2130が磁気回路構造体2122に固定接続されてもよい。保護構造体2130の詳細については、上記保護構造体2030を参照することができる。いくつかの実施形態では、音誘導孔2124から誘導された音と振動板2121の正面から放射した音とは逆又はほぼ逆の位相を有すると考えることができるため、音誘導孔2124と振動板2121の正面とは、
図3に示すような一組の二点音源を構成することができる。
【0079】
図22は、本願の
図21に示す音響出力装置2100の正面及び裏面の周波数応答グラフである。
図22に示すように、音響出力装置2100が筐体構造体及び音響ドライバで形成されたキャビティを含まない場合、該音響出力装置2100(音響ドライバ2110の正面と裏面)から出力された周波数応答は、高周波の共振ピークにいずれも高い周波数位置(例えば、6kHzより大きい)にある。10kHz以上の高周波数帯域で、音響出力装置2100が一定の指向性を有する特定の音場を生成するため、音波の高周波での指向性を利用してニアフィールドの聴音音量が大きくなり、ファーフィールドの音漏れ音量が小さくなるという効果を達成することができる。中高周波(例えば、3kHz~7kHz)で、音響出力装置2100の正面及び裏面での周波数応答が非常に近く、かつ正面及び背面の音波の位相が逆であるため、音響出力装置2100の該周波数範囲内での音漏れを顕著に低減することができる。低周波数帯域(例えば、3kHz以下)で、音響出力装置2100の正面及び裏面の周波数が対応して一定の差異を有するが、人の耳が低周波の音漏れに敏感ではないため、該周波数範囲内にファーフィールドでの音漏れを弱める必要がない。好ましくは、大きなインピーダンスを有する減衰機構を振動板2121に設けてもよく、音誘導孔2124に減衰機構を設けないか又は小さいインピーダンスを有する減衰機構を設けてもよく、このように、音響ドライバ2110の正面及び裏面に対応する周波数応答を中低周波数帯域の範囲内により近くすることができる。本実施形態では音波の高周波での指向性を利用してニアフィールドの聴音音量が大きくなり、ファーフィールドの音漏れ音量が小さくなるという効果を達成することについては、本願の
図5及びその関連説明を参照することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、ユーザが上記音響出力装置を着用する場合、音響出力装置の着用位置は、使用者の上半部の胴体であってもよい。例えば、着用位置は、頭で耳に近接する位置である。
図23に示すように、図における長方形構造は、音響出力装置である。
図23における図a及び図bに示すように、音響出力装置の出音位置(例えば、音誘導孔、圧力逃がし孔又は振動板)は、耳介ベクトル面投影内(例えば、耳甲介腔)又は耳介ベクトル面投影以外にあってもよい。
図23における図c及び図dに示すように、音響出力装置は、対応する構造(例えば、フック)により耳道の上に吊り下げられてもよいが、耳道を塞がない。
【0081】
いくつかの実施形態では、音響出力装置の音響出力効果を向上させるために、音響出力装置の筐体構造体をバッフルとして利用し、ファーフィールドでの音漏れを増加させない状況で、聴音位置の音量を増加させることができる。
図24に示すように、音響出力装置2400(の音響ドライバ)の正面の出音位置2410と裏面の出音位置2420(例えば、音誘導孔、圧力逃がし孔又は振動板)とは、それぞれ音響出力装置2400の位置が反対する両側に位置し、音響出力装置2400のハウジング(例えば、筐体構造体)により隔てられる。このように、音響出力装置2400のハウジングは、バッフルとして機能することができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置2400の正面又は裏面のうち、高周波応答の振幅値がより大きい一面(例えば、
図8における「音誘導孔1」が所在する一面、
図18における音響ドライバの正面)から耳までの音響経路は、他面から耳までの音響経路よりも近い。好ましくは、音響出力装置2400の正面又は裏面のうち、高周波応答の振幅値がより大きい一面は、耳道に向かう。
【0082】
音響出力装置の筐体構造体をバッフルとする原理は、
図25に示す。ニアフィールドで、「バッフル」(例えば、筐体構造体)が、聴音位置から離れる音源A
2から聴音位置までの音響経路を増加させるため、音源A
2が聴音位置に到達する逆相音波の強度を弱める。このような状況で、音源A
1及び音源A
2から発生する音の聴音位置での干渉相殺の程度が弱められることにより、聴音位置の音量を増加させる。ファーフィールドで、「バッフル」(筐体構造体)の音源A
1及び音源A
2の音響経路への影響は非常に小さく、ファーフィールドでの音漏れは、ほとんど変化しない。
【0083】
以上、基本的な概念について説明したが、当業者から見れば、上記詳細な開示は、明らかにあくまでも例示であって、本願を限定するものではない。ここで明らかに説明していないが、当業者であれば、本願に対して種々の変更、改良及び修正を行うことができる。このような変更、改良及び修正は本願において提案されているため、このような変更、改良及び修正は依然として本願の例示的な実施形態の主旨及び範囲に属する。
【0084】
同時に、本願は、特定の単語を使用して本願の実施形態を説明する。例えば、「1つの実施形態」、「一実施形態」及び/又は「いくつかの実施形態」とは、本願の少なくとも1つの実施形態に関連する特徴、構造又は特性を指す。従って、本明細書において異なる位置で二回又は複数回に言及された「一実施形態」又は「1つの実施形態」又は「一変形例」は、必ずしも同一の実施形態を意味するものではないことに留意すべきである。また、本願の1つ以上の実施形態のある特徴、構造又は特性を適宜組み合わせることができる。
【0085】
また、本願の各態様は、新規で有用なプロセス、機械、生産物、若しくは物質の組み合わせ、又はそれらの新規で有用な改良を含む複数の特許可能なクラス又はコンテキストにおいて説明及び記載できることが当業者によって理解されるであろう。対応的に、本願の各態様は、完全にハードウェアにより実行してもよいし、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)により実行してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わて実行してもよい。以上のハードウェア又はソフトウェアは、いずれも「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」又は「システム」と呼ぶことができる。また、本願の各態様は、コンピュータ可読プログラムコードを有する、1つ以上のコンピュータ可読媒体において具現化されたコンピュータ製品の形態を採ってもよい。
【0086】
コンピュータ記憶媒体に、例えば、ベースバンド内に又は搬送波の一部分として具現化された、コンピュータプログラムコードを有する伝播データ信号が含まれてもよい。該伝播信号は、電磁気、光など、又はそれらの組み合わせを含む様々な形態のうちのいずれかを採ってもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読媒体であってもよく、該媒体は、指令実行システム、装置、若しくはデバイスに接続されることにより通信、伝播又は伝送のために使用されるプログラムを実現することができる。コンピュータ記憶媒体に位置するプログラムコードは、無線、ケーブル、光ファイバケーブル、RF、又は類似媒体、又は任意の上記媒体の組み合わせを含む任意の適切な媒体により伝播することができる。
【0087】
本願の各部分の動作に必要なコンピュータープログラムコードは、Java、Scala、Smalltalk、Eiffel、JADE、Emerald、C++、C#、VB.NET、Pythonなどのオブジェクト指向型プログラミング言語、「C」プログラミング言語、Visual Basic、Fortran2003、Perl、COBOL2002、PHP、ABAPなどの従来の手続型プログラミング言語、Python、Ruby及びGroovyなどの動的プログラミング言語、又は他のプログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語で記述することができる。該プログラムコードは、完全にユーザコンピュータ上で実行されるか、又は独立したソフトウェアパッケージとしてユーザコンピュータ上で実行されるか、又は部分的にユーザコンピュータ若しくはリモートコンピュータ上で実行されるか、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行されてもよい。後者の状況で、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくはワイドエリアネットワーク(WAN)などの任意のネットワーク形式によりユーザコンピュータに接続されるか、又は(例えばインターネットを介して)外部コンピュータに接続されるか、又はクラウドコンピューティング環境において、若しくはソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)などのサービスとして使用されてもよい。
【0088】
また、特許請求の範囲に記載されていない限り、本願の上記記載の処理要素及びシーケンスの順序、数字のアルファベットの使用、又はその他の名称の使用は、本願のフロー及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において様々な例により現在有用と考えられるいくつかの発明の実施形態を検討したが、理解すべきことは、該種類の詳細が説明の目的のみを果たし、付加的な請求項が開示された実施形態に限定されるものではないことであり、逆に、請求項は本願の実施形態の実質及び範囲に合致する全ての修正及び等価な組み合わせをカバーすることを意図する。例えば、以上に説明されたシステムアセンブリはハードウェアデバイスにより実現されてもよいが、ソフトウェアの解決手段のみにより実現されてもよく、例えば従来のサーバ又はモバイル装置に説明されたシステムをインストールする。
【0089】
同様に、注意すべきことは、本願に開示された記述を簡略化して、1つ以上の発明の実施形態に対する理解を助けるために、前の本願の実施形態に対する説明において、複数種の特徴を1つの実施形態、図面又はそれに対する説明に統合する場合があることである。しかしながら、このような開示方法は、本願の対象に必要な特徴が請求項に言及された特徴より多いいということを意味するものではない。実際に、実施形態の特徴は、上記開示の単一の実施形態の全ての特徴より少ない。
【0090】
いくつかの実施形態では、成分、属性数を説明した数字を使用するが、理解すべきことは、このような実施形態の説明に使用された数字が、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「大体」などを使用して修飾されることである。特に説明しない限り、「約」、「ほぼ」又は「大体」は、上記数字が±20%の変化を許容することを示す。対応的に、いくつかの実施形態では、明細書及び請求項に使用される数値パラメータは、いずれも個別の実施形態に必要な特徴に応じて変更することができる近似値である。いくつかの実施形態では、数値パラメータは、所定の有効桁を考慮し、かつ一般的な桁数を保留する方法を採用すべきである。本願のいくつかの実施形態では、その範囲の広さを確認する数値領域及びパラメータが近似値であるが、具体的な実施形態では、このような数値の設定は、実行可能な範囲内にできるだけ正確にされる。
【0091】
本願が引用する各特許、特許出願、特許出願公開物及び他の材料、例えば、文章、書籍、明細書、出版物、文書などについて、特にその全ての内容を参考として本願に組み込む。本願の内容と一致しないか又は衝突が発生した出願履歴ファイルを除外して、本願の請求項の最も広い範囲を限定するファイル(現在又はその後に本願に付加されるもの)も除外する。なお、本願の付属材料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本願の上記内容と一致しないか又は衝突すれば、本願の説明、定義及び/又は用語の使用を基準とする。
【0092】
最後に、本願における上記実施形態が本願の実施形態の原則を説明するためのもののみであることを理解されたい。他の変形は本願の範囲に属する可能性がある。したがって、限定ではなく例として、本願の実施形態の代替構成は本願の教示と一致するものと見なすことができる。対応的に、本願の実施形態は、本願に明確に説明及び記載された実施形態に限定されない。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響出力装置であって、
振動板及び磁気回路構造体を含む音響ドライバであって、前記振動板の前記磁気回路構造体に背向する側が前記音響ドライバの正面となり、前記磁気回路構造体の前記振動板に背向する側が前記音響ドライバの裏面となり、前記振動板の振動により前記音響ドライバがそれぞれその正面と裏面から外部に音を放射する、音響ドライバと、
前記音響ドライバを載置するように構成された筐体構造体と、を含み、
前記音響ドライバの正面及び裏面のうちの一面と前記筐体構造体とがキャビティを形成し、前記音響ドライバの前記キャビティを形成する一面から前記キャビティに音を放射し、前記音響ドライバの他面から前記音響出力装置の外部に音を放射する、音響出力装置。
【請求項2】
前記筐体構造体が少なくとも1つの音誘導孔を含み、前記少なくとも1つの音誘導孔が、前記キャビティと音響的に結合され、前記音響ドライバが前記キャビティに放射した音を前記音響出力装置の外部に誘導する、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの音誘導孔が、前記筐体構造体の前記音響ドライバに向かう側の中心位置に近接している、請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの音誘導孔の断面積が0.25mm
2以上である、請求項2
又は3に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記磁気回路構造体は、前記振動板に対向して設けられた磁気伝導板を含み、前記磁気伝導板に、前記振動板の振動により発生する音を前記音響ドライバの裏面から誘導する少なくとも1つの音誘導孔が含まれている、請求項1
から4のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記音響ドライバの正面と前記筐体構造体とが前記キャビティを形成し、前記少なくとも1つの音誘導孔が、前記振動板の振動により発生する音を前記音響ドライバの裏面から前記音響出力装置の外部に誘導する、請求項
5に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの音誘導孔に、前記振動板から離れる方向に沿って音導管が設けられ、前記音導管が、前記少なくとも1つの音誘導孔から放射された音を前記音響出力装置の外部に誘導する、請求項
5又は6に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの音誘導孔が、内から順に設けられた第1の孔部及び第2の孔部を含み、前記第1の孔部と前記第2の孔部とが貫通し、前記第2の孔部の直径が前記第1の孔部の直径より大きい、請求項
5から7のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記キャビティの前記振動板の振動方向に沿った高さが3mm以下である、請求項1
から8のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記音響ドライバの裏面と前記筐体構造体とが前記キャビティを形成し、前記音響ドライバの正面に、前記振動板に対して設けられた保護構造体が更に設けられている、請求項1
から5のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記キャビティが第1の音誘導孔により音を前記音響出力装置の外部に誘導し、前記音響ドライバの前記キャビティを形成した面とは別の面では第2の音誘導孔により音を前記音響出力装置の外部に誘導し、前記第1の音誘導孔と第2の音誘導孔が異なる音響インピーダンスを有する、請求項1
から10のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記音響ドライバの正面又は裏面のうち、高周波応答の振幅値がより大きい一面は、耳までの音響経路が他面よりも近い、請求項1
から11のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記音響ドライバの正面又は裏面のうち、高周波数応答の振幅値がより大きい一面は、耳道に向かう、請求項1
から12のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項14】
振動板及び磁気回路構造体を含む音響ドライバであって、前記振動板の前記磁気回路構造体に背向する側が前記音響ドライバの正面となり、前記磁気回路構造体の前記振動板に背向する側が前記音響ドライバの裏面となり、前記振動板の振動により前記音響ドライバがそれぞれその正面と裏面から外部に音を直接的に放射する、音響ドライバを含む音響出力装置。
【請求項15】
前記磁気回路構造体が、前記振動板に対向して設けられた磁気伝導板を含み、前記磁気伝導板に、前記振動板の振動により発生する音を前記音響ドライバの裏面から誘導する少なくとも1つの音誘導孔が含まれている、請求項
14に記載の音響出力装置。
【国際調査報告】