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特表2022-549240中周波変圧器のための一体構造の一部分としての巻線構成
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】中周波変圧器のための一体構造の一部分としての巻線構成
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/04 20060101AFI20221116BHJP
   H01F 41/10 20060101ALI20221116BHJP
   H01F 41/12 20060101ALI20221116BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20221116BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20221116BHJP
   H01F 5/00 20060101ALI20221116BHJP
   H01F 5/04 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
H01F41/04 D
H01F41/10 C
H01F41/12 G
H01F41/12 A
H01F27/28 M
H01F27/28 152
H01F27/32 140
H01F5/00 G
H01F5/04 S
H01F5/04 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517938
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(85)【翻訳文提出日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2020073493
(87)【国際公開番号】W WO2021052713
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】19198708.0
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドロフェニック,ウーベ
(72)【発明者】
【氏名】グラディンガー,トーマス
【テーマコード(参考)】
5E043
5E044
5E062
【Fターム(参考)】
5E043AA07
5E043EA01
5E043EB01
5E043EB05
5E044AD06
5E044CA02
5E044CA07
5E062FG12
(57)【要約】
変圧器、特に共振DC/DCコンバータまたはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータのための中周波変圧器のためのコイルを製造するための方法であって、各々が第1の端部および第2の端部を有する複数M>1個の導電性箔帯を提供するステップと、第1の端部および第2の端部を有する箔帯スタックを得るために複数の導電性箔帯を積層するステップであって、任意の2つの隣接する箔帯の間に電気絶縁層が設けられる、積層するステップと、すべての導電性箔帯の第1の端部を第1の端子に電気的に接続するステップと、導電性箔帯の各々について、箔帯の第2の端部にコネクタを設けるステップと、箔帯スタックを第1の端部から巻回するステップとを含む、方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧器、特に共振DC/DCコンバータ(1’’)またはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ(1’)のための中周波変圧器のためのコイル(100、100’)を製造するための方法であって、以下の順序において、
a)各々が第1の端部および第2の端部を有する複数M>1個の導電性箔帯(111、112、111’、112’、111’’、112’’)を提供するステップと、
b)第1の端部および第2の端部を有する箔帯スタックを得るために前記複数の導電性箔帯を積層するステップであって、任意の2つの隣接する導電性箔帯の間に絶縁層(113)が設けられる、積層するステップと、
c)すべての導電性箔帯の前記第1の端部を第1の端子(T1、T1’)に電気的に接続するステップと、
d)前記導電性箔帯の各々について、前記箔帯の前記第2の端部にコネクタ(T21、22、21’、22’、21’’、22’’)を設けるステップと、
e)前記箔帯スタックを前記第1の端部から巻回するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記箔スタックが巻回されて、中央開口部(109)を有するコイル(100、100’)が形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)第2の端子(T、T’)を提供するステップと、
b)複数M個のインピーダンス素子を提供するステップと、
c)各コネクタ(T21、T22、T21’、T22’、T21’’、T22’’)について、前記インピーダンス素子のうちの異なるインピーダンス素子を前記コネクタと前記第2の端子との間に接続するステップと
をさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記コイル(100、100’)の周り、好ましくは前記インピーダンス素子の周りに絶縁材料を鋳造するステップをさらに含み、前記中央開口部(109)を通って延在する通路が前記絶縁材料内に設けられる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記インピーダンス素子がキャパシタ(121、122、121’、122’、121’’、122’’)であり、好ましくはすべてが少なくとも20%の範囲内で同じキャパシタンスを有する、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記インピーダンス素子がインダクタであり、好ましくはすべてが少なくとも20%の範囲内で同じインダクタンスを有する、請求項3または4に記載の方法。
【請求項7】
変圧器、特に共振DC/DCコンバータ(1’’)またはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ(1’)のための中周波変圧器のための、特に請求項1~6のいずれか1項に従って製造されるコイル(100、100’)であって、前記コイルは、
a)巻線(101、102)の対を備え、前記巻線対は、
i)第1の導電性箔帯(111、111’、111’’)から作製され、互いを囲む第1の複数のターンを含む第1の巻線(101)と、
ii)第2の導電性箔帯(112、112’、112’’)から作製され、互いを囲む第2の複数のターンを含む第2の巻線(102)であって、前記第1の複数のターンの各ターンは、前記第2の複数のターンの1つのターンによって隣接して囲まれている、第2の巻線と
を備え、
iii)前記第1の巻線および前記第2の巻線の最内端は、第1の端子(T)におよび/または第1の端子(T)と電気的に接続されており、前記第1の巻線(101)および前記第2の巻線(102)は、接続部を除いて互いから電気的に絶縁されており、
b)第1のコネクタ(T21)および第2のコネクタ(T22)が、それぞれ前記第1の巻線および前記第2の巻線の最外端に、前記第1の巻線および前記第2の巻線に電気的に接触して、設けられており、
c)第2の端子(T)が、前記第2の端子(T)と前記第1のコネクタ(T21)との間に接続されている第1のインピーダンス素子と、前記第2の端子(T)と前記第2のコネクタ(T22)との間に接続されている第2のインピーダンス素子とを有する、コイル(100、100’)。
【請求項8】
前記インピーダンス素子がキャパシタ(121、122、121’、122’、121’’、122’’)であり、好ましくはすべてが少なくとも20%の範囲内で同じキャパシタンスを有する、先行する請求項に記載のコイル。
【請求項9】
前記インピーダンス素子がインダクタであり、好ましくはすべてが少なくとも20%の範囲内で同じインダクタンスを有する、請求項7に記載のコイル。
【請求項10】
前記第1の巻線(101)および前記第2の巻線(202)は、前記巻線の前記最内端における、前記第1の端子(T)を介した接続部を除いて、互いに電気的に絶縁されている、請求項7~9のいずれか1項に記載のコイル。
【請求項11】
前記巻線対(101、102)が、各々が第1の端部および第2の端部を有し、任意の2つの隣接する導電性箔帯の間に絶縁層が設けられるように、導電性箔帯(111、111’、111’’、112、112’、112’’)の巻回されたスタックから形成される、請求項7~10のいずれか1項に記載のコイル。
【請求項12】
変圧器、特に共振DC/DCコンバータまたは共振ソリッドステート変圧器セルのための中周波変圧器であって、前記変圧器が、
a)好ましくは空隙を有するコア(1)と、
b)巻線対が前記コアの少なくとも一区画を囲み、前記区画が第1のコイルの中央開口部(109)を通って延在する、請求項7~11のいずれか一項に記載の、または請求項1~6のいずれか一項に従って製造される少なくとも第1のコイル(100、100’、100’’)と
を備える、変圧器。
【請求項13】
請求項7~11のいずれか1項に記載の、または請求項1~6のいずれか1項に従って製造される複数のコイル(100、100’、100’’)を備え、すべてのコイルの前記第1の端子が互いに接続されている、先行する請求項に記載の変圧器。
【請求項14】
a)前記第1のコイルは高さhを有し、前記インピーダンス素子はすべてキャパシタであり、少なくとも20%の範囲内で同じキャパシタンスCを有し、
b)前記第2のコイルは高さhを有し、前記インピーダンス素子はすべてキャパシタであり、少なくとも20%の範囲内で同じキャパシタンスCを有し、
c)少なくともおおよそC/h=C/hである、先行する請求項に記載の変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、パワーエレクトロニクスの分野に関する。それは、独立請求項による共振DC/DCコンバータまたはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータの中周波変圧器のためのコイル、および、そのようなコイルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
数キロヘルツの高周波数(特に3kHz以上)で大電流(数百アンペア以上、特に200Aを超える)に対処する変圧器は、より低い周波数、特に1kHz未満の周波数において、および/または低電流、特に100A未満の電流については無視できるいくつかの影響のため、低コストおよび/または既製の構成要素によって構築することが非常に困難である。そのような高い周波数および/または電流を伴う典型的な用途は、ソリッドステート変圧器(SST、図1)において、特に以下などにおいて中電圧(MV)グリッドに分散電力を接続するためのAC/DCコンバータとして構成されたSSTについて、頻繁に使用される中周波変圧器(MFT、図2)である。
【0003】
・ 電気自動車(EV)急速充電
・ 光起電(PV)太陽電池
・ 電池エネルギー貯蔵システム(BESS)
・ 陸上および海上の風力
・ データセンター
ただし、EV高速充電器の充電極で必要とされるガルバニック絶縁を備えた高出力低電圧DC/DCコンバータに頻繁に使用されるMV絶縁要件のない変圧器も含まれる。そのようなDC/DCコンバータの2つの特定の例が、両方とも参照によりその全体が本明細書に含まれるスイス特許出願公開第707 533号明細書または米国特許出願公開第2018/0159435号明細書に例示的に記載されているようなデュアルアクティブブリッジコンバータ、および、同じく参照によりその全体が本明細書に含まれる国際公開第2018/141092号に例示的に記載されているような共振DC/DCコンバータである。
【0004】
変圧器コイルの高周波損失を小さく保つために、1つの方法は、リッツ線を利用してコイルの巻線を形成することである。リッツ線は、中実の銅線よりも数倍高価であるが、これは、最大100~200A(二乗平均平方根、rms)のAC電流に対する「既製」のものを購入することができる。リッツ線は、概して銅から作製された多数の転置された撚り線からなり、最大0.5cmの全断面積のものが既製品で入手可能であり、100~200Armsの範囲の最大電流を可能にする(0.8の充填率および2.5...5A/mmの電流密度を仮定する)。より大きい電流は、上記の用途で典型的であるように、より大きい断面積を必要とし、屈曲することがますます困難になる。リッツ線は、通常、アルミニウム製ではないが、それは、アルミニウムでは、ワイヤ末端においてすべての撚り線を確実に接触させることが非常に困難であるためである(例えば、上記の銅リッツ線においては各々直径0.2mmの900本の撚り線)。銅リッツ線は、中実銅よりも少なくとも2~4倍高価であり、銅はアルミニウムよりも約3倍高価である。上記の用途で典型的であるようなより高い電流(>100A)の場合、いくつかの銅リッツ線を平行にする必要があり、これは、多くの場合、平行導線間の漂遊磁束に起因して循環電流をもたらし、損失を大幅に増大させる可能性がある。
【0005】
製造労力および必要とされる資源の最適化および/または最小化のためには、50Hz変圧器で一般的に利用されるアルミニウム箔巻線が、コイルのための好ましい選択であろう。高周波数では、箔の巻線損失は、表皮効果および近接効果によって著しく増大する。単一の箔が利用される場合、周波数は必要な箔の厚さを規定し、所望のまたは必要な電流は箔の高さを規定し、これは変圧器の高さをもたらす。したがって、大電流および高周波の場合、変圧器の形状は、方体形状から大きく逸脱し、これは、はるかに高い重量、コア損失、ならびに資源および労力の要件の増大(必要とされるコア体積の増大)をもたらす。
【0006】
平行な箔が利用される場合、箔の高さを低減することができるが、平行な箔間の漂遊磁場に起因して、強い循環電流が誘導される可能性があり、損失が大幅に増大する(平行導線と同じ効果)。
【0007】
銅リッツ線および箔の両方の設計において、主な問題は、巻線損失を大幅に増大させることが多く、それによって変圧器の電力定格を低減し、および/または変圧器のコスト(USD/kW)を大幅に増大させる平行導体間の循環電流である。EV高速充電、PV太陽電池、電池エネルギー貯蔵システム、風力、またはデータセンターなどの有望な分散エネルギー用途では、中周波変圧器(MFT)が重要な構成要素である。より高い電流(特に100Aを超える)の場合、単純に50/60Hz技術をスケールアップし、および/または既製のリッツ線もしくは低コストの箔線を利用する結果として、高周波誘導循環電流による大きい損失が生じ、変圧器の性能が大幅に低下する。
【0008】
特に、各巻線が複数のターンを含む、並列に接続された2つの巻線の構成における循環電流の生成は、以下のように理解され得、すなわち、各ターンが、例えば変圧器のコアによって形成された巻線窓内で磁気漂遊磁場に暴露される。変圧器の入力端子および出力端子に接続された個々の巻線を形成する平行なリッツ線は、漂遊磁場に暴露されるループを形成する。漂遊磁場はMFTの動作周波数とともに変化し、その結果、このループ内の循環電流を駆動する電圧が生じる。循環電流は、MFT内の公称電流を増加させ、その結果、1本のリッツ線が公称電流の半分より多い電流を搬送し、平行なリッツ線がそれに応じて公称電流の半分未満を搬送することになり得る。循環電流が十分に大きい場合、1本のリッツ線は合計公称電流を超える電流を搬送することができ、次いで平行なリッツ線は負(180°位相シフトされた)電流を搬送する。このようにして、利用可能な銅断面全体が実効的に50%減少するだけでなく、追加の損失が導入され、MFTの最大出力電力が2倍以上減少する。
【0009】
循環電流を制限するための現行技術水準の解決策は、追加の構成要素、より高い製造労力、および追加のスペースを必要とし、追加の問題をもたらす可能性がある。例えば互いに撚り合わされた、または他の様態で絡み合ったもしくは交絡した平行ワイヤによって提供されるような、並列に接続されたワイヤまたは箔の転置という1つの現行技術水準の解決策は、特に箔巻線のための追加の製造労力を必要とし、実効的なワイヤ長さの増大をもたらし、巻線ターンがわずかしかないMFTにおいて限られた効率を示し、例えば転置位置の近傍における幾何学的不均一性に起因する高電圧絶縁の課題をもたらす可能性がある。代替的に、コモンモードフィルタが平行なワイヤまたは箔の間に追加され得る。しかしながら、これは追加の構成要素を必要とし、したがって、より高いコストおよびより高い製造労力をもたらす可能性があり、追加のスペースおよび/または他の資源を必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、循環電流を効率的に抑制することを可能にする変圧器のためのコイルおよびそのようなコイルの製造方法を提供することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
この目的は、独立請求項によるコイルおよび方法によって達成される。さらなる例示的な実施形態は、添付の図面と併せて、従属請求項および以下の説明から明らかである。
【0012】
変圧器、特に共振DC/DCコンバータまたはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータのための中周波変圧器のためのコイルを製造するための本発明による方法は、各々が第1の端部および第2の端部を有する複数M>1個の導電性箔帯を提供するステップと、第1の端部および第2の端部を有する箔帯スタックを得るために複数の導電性箔帯を積層するステップであって、任意の2つの隣接する箔帯の間に絶縁層が設けられる、積層するステップと、すべての導電性箔帯の第1の端部を第1の端子に電気的に接続するステップと、導電性箔帯の各々について、箔帯の第2の端部にコネクタを設けるステップと、箔帯スタックを第1の端部から巻回するステップとを含む。
【0013】
この方法の出発点は、導電性箔、特にアルミニウム箔から作製された複数M>1個の導電性箔帯である。各箔帯は、特に第1の方向または横方向における幅w、特に、好ましくは第1の方向に垂直な第2の方向または長手方向における長さl、および、特に、好ましくは第1の方向および第2の方向の両方に垂直な第3の方向における厚さdを有することができる。すべての箔帯は、少なくとも本質的に同一の寸法を有することができる。各箔帯の幅および長さは、両方とも厚さよりもはるかに大きくすることができ、すなわちw>>dかつl>>dとすることができる。したがって、各箔帯は、少なくとも本質的に長方形であってもよく、または少なくとも長方形の基本形状を有してもよい。ストリップはまた、細長い、すなわちl>w、好ましくはl>>wであってもよい。各箔帯は、長手方向に関して第1の端部および第2の端部を有する。各箔帯は、w・dの実効断面積を有することができ、これは上記箔帯の長さlに沿って少なくとも本質的に一定であり得る。
【0014】
第1のステップにおいて、箔帯は、それらの第1の端部および第2の端部が互いに上方に位置付けられるように積層される。電気絶縁は、任意の2つの隣接するまたは近隣の箔帯間に提供される。上記電気絶縁層は、特に、任意の2つの隣接するまたは近隣の箔帯の間に積層および/または配置された別個のおよび/または追加の絶縁層によって提供されてもよい。別個のおよび/または追加の絶縁層は、箔帯と少なくとも本質的に同じ幅wおよび長さlを有してもよい。スタックの底部および上部に、さらなる追加の絶縁層が設けられてもよい。代替的または付加的に、電気絶縁はまた、箔絶縁層上に積層された、または2つの箔絶縁層の間に積層された導電層を含み得る、隣接するまたは近隣の箔帯の一方または両方の一部分によって形成することもできる。
【0015】
結果として得られる箔帯スタックは、箔帯と少なくとも本質的に同じ幅wおよび長さl、ならびにDの総厚を有することができ、w>>Dおよび/またはl>>Dが成り立つことができる。したがって、スタックはまた、少なくとも本質的に長方形であってもよく、または少なくとも長方形の基本形状を有してもよい。個々の箔帯と同様に、スタックは、長手方向に対して第1の端部および第2の端部を有し、スタックの第1の端部は、箔帯の第1の端部の近くに配置され、スタックの第2の端部は、箔帯の第2の端部の近くに配置され、または、言い換えれば、スタックの第1の端部が第2の端部よりも箔帯の第1の端部の近くに配置され、逆もまた同様である。
【0016】
さらなるステップにおいて、すべての導電性箔帯の第1の端部が、特に完成したコイルのコンバータ回路へのおよび/またはコンバータ回路内の単純で迅速かつ確実な電気接続のために、第1の端子接続によって第1の端子に接続される。好ましくは、すべての第1の端部の各々が、第1の端子に直接的に接続される。代替的に、第1の端部は直列に接続されてもよく、1つの箔帯の第1の端部が第1の端子のみに直接的に接続される。
【0017】
さらなるステップにおいて、複数M個のコネクタ、すなわち各箔帯に対して1つのコネクタが提供される。複数M個のコネクタの各々は、複数N個の導電性箔帯のうちの異なる1つに接続される。コネクタは、例えば、箔帯の第2の端部を越えて延在し、折り畳まれ、および/または撚り合わされてケーブル状またはワイヤ状の導体を形成している追加の箔帯部分によって、またはそれから、各箔帯と一体に形成することができる。より一般的には、コネクタは、第2の端部に設けられまたは形成され、好ましくはそれぞれの箔帯の1つの下の断面積を一切縮小することなく、何らかの種類の導体、特にケーブルまたはワイヤの接続を可能にする任意の種類の終端部、特に端子を備えることができる。
【0018】
さらなるステップにおいて、箔帯のスタックは、Nturn回のターンを有するコイルを得るために、第1の端部においておよび/または第1の端部から始まり、長手方向においておよび/または長手方向に沿って、すなわち、好ましくは長手方向に少なくとも本質的に平行に巻回され、スクロールアップされ、またはロールアップされる。上記コイルは、箔帯の幅wに少なくともおおよそ等しい高さhを有するシリンダシェル、バレルまたはジャケットに少なくとも本質的に類似する形状を有することができる。コイルは、少なくとも本質的に円筒形状を有することができる中央開口部をさらに有するかまたは画定することができ、上記円筒形状の長手方向軸は、横方向に少なくとも本質的に平行に延在することができる。中央開口部は、特に、変圧器コアの一区画を受け入れるように構成されてもよい。
【0019】
変圧器コアは、特に、高透磁率を有する磁性材料、特に強誘電材料またはフェリ誘電材料から作製されてもよく、横方向に対応し得る第1の方向に延在する第1の肢部と、特に第1の方向に延在する第2の肢部と、特に第1の方向に垂直な第2の方向に延在する第1のヨークと、特に第2の方向に延在する第2のヨークとを備えることができる。コア窓が、第1の方向および第2の方向の両方に垂直な第3の方向にコアを通じて延在することができる。好ましくは、第1の方向および/または第2の方向におけるコアの寸法DおよびDは、一般にl≒Dであり、しばしばl=Dである、横方向のコア窓の非ゼロ寸法lにかかわらず、コアが本質的に平坦であると見なされ得るように、第3の方向におけるコアの寸法Dよりも著しく大きい、すなわち、D>Dかつ/またはD>Dであり、好ましくはD>>Dかつ/またはD>>Dである。第1の肢部と第2の肢部の両方は、第1のヨークから第2のヨークへ、およびその逆に延在することができ、コア窓を取り囲むことができる。
【0020】
一般に外鉄型として参照される変圧器設計では、第1の肢部および第2の肢部は、第1のヨークと第2のヨークとの間、およびその逆に延在し、コア窓を取り囲むことができる。第3の肢部が、特に第1の方向において第1のヨークと第2のヨークとの間に、かつ、第1の肢部と第2の肢部との間に延在することができ、結果、コア窓が第1の部分窓と第2の部分窓とに分割され、好ましくは両方の部分窓がコアを通って第3の方向に延在する。
【0021】
コアは、特に、閉じたコアであってもよく、すなわち、間隙、特に空隙が肢部またはヨークのいずれの中にも存在せず、肢部とヨークとのいずれの対の間にも存在せず、それにより、一次巻線と二次巻線とを連結する磁束は、少なくとも本質的に、コアを構成する磁性材料内で全体にわたって進行し、それにより、少なくとも本質的に、空気を通じた磁束の損失は生じない。代替的に、コアは、閉じたコアではなく、コアの磁性材料、一般的に空気および/または合成材料、特にプラスチックよりも著しく低い透磁率を有する材料で充填された1つ以上のコア間隙を含んでもよい。1つの肢部に設けられたNgap個のコア間隙は、上記肢部をNgap+1個の部分に分離すると考えることができる。肢部の近接部分は、距離dcoreだけ離間することができ、距離dcoreは、すべてのコア間隙に対して等しくてもよいが、そうである必要はない。
【0022】
したがって、複数Nturn個の導電性箔帯は、それらの第1の端部において並列に接続された複数の巻線を形成し、特に互いに絡み合っていると考えることができる。代替的に、巻線は、それらの内側端部において互いにおよび第1の端子に接続されている、互いに噛み合った螺旋を形成すると考えることもできる。しかしながら、巻線は、転置がなく、特に、互いに撚り合わされていない。
【0023】
任意選択のさらなるステップにおいて、第2の端子および複数M個のインピーダンス素子、特にM個のキャパシタまたはM個のインダクタを設けることができ、上記インピーダンス素子のうちの異なる1つを第2の端子とコネクタの各々との間に接続することができる。第2の端子は、特に、完成したコイルのコンバータ回路へのおよび/またはコンバータ回路内での単純、迅速かつ確実な電気接続を可能にすることができる。
【0024】
箔帯のスタックが巻回され、スクロールアップされ、またはロールアップされると、このようにして得られたコイルは、電気絶縁材料に鋳造することができ、その後、例えば重合、特に樹脂によって硬化することができる。第2の端子とコネクタとの間にインピーダンス素子が設けられている場合、これらのインピーダンス素子は、コイルとともに絶縁材料に鋳造されてもよく、またはされなくてもよい。鋳造物は、第1の端子、第2の端子、および/またはコネクタが、単純、迅速かつ確実な電気接続のために特にコイルの周囲から容易にアクセス可能であるように形成することができる。
【0025】
単一のコイルを電気絶縁材料に鋳造する代わりに、複数のコイルを上述の方法の変形例の1つに従って製造し、互いに積層してコイルのスタックを形成してもよく、すべてのコイルの中央開口部は、少なくとも本質的に位置整合することができ、特に、実質的に直線状および/または細長い変圧器コアの区画または部分を受け入れるように構成することができ、その結果、上記区画はすべてのコイルの中央開口部を通じて延在するか、または部分的に延在する。
【0026】
個々のコイルの高さh、h、hは異なっていてもよい。これにより、箔帯の限られた数の離散的な幅w、w、wから異なる合計実効高さheff(すべての個々の高さの合計に対応する)を実現することができる。
【0027】
2つの近隣のコイルは、特に少なくとも本質的に距離dcoilだけ横方向に離間することができ、距離dcoilは、特に、両方の近隣のコイルの高さh、hよりも著しく小さくてもよく、その結果、近隣のコイル間にコイル間隙が生じる。複数Ncoil個のコイルを含むスタックは、複数Ngap-1個のコイル間隙を含むことができる。(スタック内のコイルのすべての個々の高さの合計に対応する)合計実効高さheffを有するコイルのスタックを、同一の高さh=heffの単一のコイルと比較したときに、1つ以上のコイル間隙の存在が、循環電流の低減に寄与し得ることが驚くべきことに見出された。
【0028】
近隣のコイル間の1つ以上の間隙は、少なくとも本質的に1つまたはコア間隙と位置整合することができ、距離dcoilは、対応するコア間隙の距離dcoreよりも、特に1.5~10、または2~5の係数だけいくらか大きくてもよい。さらに、特に、第1の方向に沿って座標x<xの間に延在するコア間隙、および、特に少なくとも本質的に第1の方向に対応する横方向においてx’<x’の間に延在するコイル間隙について、x>x’かつx<x’が成り立つことができる。代替的に、x<x’かつx>x’が成り立つことができる。さらに、x≒x’かつ/またはx≒x’が成り立つことができる。言い換えれば、肢部の第1の肢部部分が、2つの近隣のコイルのうちの1つの第1のコイルの中央開口部を通って延在してもよく、一方、同じ肢部の第2の肢部部分、特に異なる部分が、2つの近隣のコイルのうちの1つの第2のコイルの中央開口部を通って延在してもよい。
【0029】
すべてのコイルの第1の端子は、特に第1のスタック端子において互いに接続することができる。コイルのスタック全体を、電気絶縁材料に鋳造することができ、その後、例えば重合、特に樹脂によって硬化することができる。コイルの第2の端子とコネクタとの間にインピーダンス素子が設けられている場合、これらのインピーダンス素子は、コイルとともに絶縁材料に鋳造されてもよく、またはされなくてもよい。鋳造物は、第1のスタック端子、第2の端子、および/またはコネクタが、単純、迅速かつ確実な電気接続のために特にコイルの周囲から容易にアクセス可能であるように形成することができる。
【0030】
変圧器、特に本発明による共振DC/DCコンバータまたはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータのための中周波変圧器のためのコイルまたは巻線構成は、1つの巻線対を備え、上記巻線対は、導電性箔帯から作製され、互いを囲む第1の複数のターンを含む第1の巻線と、導電性箔帯から作製され、互いを囲む第2の複数のターンを含む第2の巻線とを含み、第1の複数のターンの各ターンは、第2の複数のターンの1つのターンによって隣接して囲まれており、第1の巻線および第2の巻線の最内端が第1の端子において電気的に接続されており、第1のコネクタおよび第2のコネクタが、それぞれ第1の巻線および第2の巻線の最外端に、第1の巻線および第2の巻線に接触して設けられている。
【0031】
コイルまたは巻線構成は、第2の端子と、第2端子と第1のコネクタ(T21)との間に接続された第1のインピーダンス素子と、第2の端子と第2のコネクタ(T22)との間に接続された第1のインピーダンス素子とをさらに備えることができる。
【0032】
コイルまたは巻線構成は、第1の巻線および第2の巻線と絡み合い、互いを囲むさらなる複数のターンを含むさらなる巻線を備えることができ、少なくとも1つのさらなる巻線の最内端は、第1の端子に電気的に接続され、さらなる巻線の最も外側の端部にあり、さらなる巻線のためのさらなるコネクタが、上記さらなる巻線の再外端に、上記さらなる巻線と接触して設けられている。コイルまたは巻線構成は、少なくとも1つのさらなるインピーダンス素子をさらに備えることができ、当該さらなるインピーダンス素子または各さらなるインピーダンス素子は、第2の端子とさらなるコネクタとの間に接続されている。
【0033】
第1の巻線、第2の巻線、および任意のさらなる巻線は、電気的に接続されてもよく、特に直接的に、排他的に最内端において、特に第1の端子を介して電気的に接続されてもよく、そうでなければ互いに電気的に絶縁されてもよく、または、言い換えれば、第1の巻線および第2の巻線は、巻線の最内端にある接続部を除いて互いに電気的に絶縁されてもよく、当該接続部は特に第1の端子を含んでもよい。
【0034】
そのような巻線構成は、特に、上述の方法またはその特定の方法変形例に従って製造することができ、第1の巻線および第2の巻線は、複数M>1個の導電性箔帯のうちの第1の導電性箔帯および第2の導電性箔帯によって形成され、第1の巻線および第2の巻線の最内端は、上記箔帯の第1の端部によって形成され、第1の巻線および第2の巻線の最外端は、上記箔帯の第2の端部によって形成される。
【0035】
本発明の上記の態様およびさらなる態様が、以下に記載される実施形態を参照して諒解され、明らかになるであろう。
【0036】
図面の簡単な説明
本発明の主題は、添付の図面に例示される例示的な実施形態を参照して、以下の本文においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】基本的、一般的な従来技術のDC/DCコンバータを示す図である。
図2a)】基本的な従来技術のDC/DCデュアルアクティブブリッジ(DAB)コンバータを示す図である。
図2b)】基本的な従来技術の共振DC/DCコンバータを示す図である。
図3図1のDC/DCコンバータの1つの可能な実施形態のより詳細な概略図である。
図4】本発明によるコイルの概略図である。
図5】本発明による3つのコイルからなるスタックを示す図である。
図6】例示的な共振DC/DCコンバータの概略図である。
図7】別の例示的な共振DC/DCコンバータの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
原則として、図中の同一の参照符号は、同一の特徴または要素を示す。
例示的な実施形態の詳細な説明
背景情報について、図1a)は、本発明をその一部分として使用することができる基本的、一般的な従来技術のDC/DCコンバータ1を示す。DC/ACコンバータ11は、その入力に接続された好ましくはDCリンクキャパシタを含むDC源からのDC電圧および/または電流を、中周波数、すなわち好ましくは500Hz~500kHzの周波数範囲内のAC電圧および/または電流に変換するように構成されている。上記AC電圧および/または電流は、変圧器141、特に中周波変圧器(MFT)を備えるAC中間回路12に供給され、上記変圧器は一次側および二次側を備え、上記側の間にガルバニック絶縁を提供する。変圧器は、とりわけ、結合インダクタンスLおよびL’ならびに漂遊インダクタンスLによって特徴付けることができ、1つ以上のその一次側巻線は、特にワイヤまたは他の接続の寄生インダクタンスでもあり得るインピーダンス を有するインダクタンス素子を介してDC/ACコンバータに接続される。変圧器は、その一次側の電圧および/または電流を既知の方法で二次側電圧および/または電流に変換する。二次側電圧および/または電流は、その後、AC/DCコンバータ16、特に整流器によって、AC/DCコンバータ16の出力におけるDC電圧および/または電流に変換される。DC/ACコンバータ12は、特に、図1aに示すようにハーフブリッジ構成に配置構成された、または図1b)に示すようにフルブリッジ構成に配置構成された複数の半導体スイッチを備えることができる。同様に、AC/DCコンバータ16は、特に、図1aに示すものに対応するハーフブリッジ構成に配置構成された、または図1c)に示すものに対応するフルブリッジ構成に配置構成された複数の半導体スイッチを備えることができる。
【0039】
図2a)は、図1a)に示すDC/DCコンバータ1の一実施形態と考えることができ、本発明の別の可能な出発点として考えることができる、基本的な従来技術のDC/DCデュアルアクティブブリッジ(DAB)コンバータ1’を示す。DC/ACコンバータ11は、その入力に接続された好ましくはDCリンクキャパシタを含むDC源からのDC電圧および/または電流を、中周波数、すなわち好ましくは500Hz~500kHzの周波数範囲のAC電圧および/または電流に変換するように構成されている。上記AC電圧および/または電流は、変圧器141’、特に中周波変圧器(MFT)を備えるAC中間回路14’に供給され、上記変圧器は一次側および二次側を備え、上記側の間にガルバニック絶縁を提供する。変圧器は、とりわけ、結合インダクタンスLおよびL’ならびに漂遊インダクタンスLによって特徴付けることができ、1つ以上のその一次側巻線は、インピーダンス素子としてのインダクタを介してDC/ACコンバータに接続され、エネルギー伝達インダクタとして参照されることもある上記インダクタは、インダクタンスLDAB1を有する。変圧器は、その一次側の電圧および/または電流を既知の方法で二次側電圧および/または電流に変換する。二次側電圧および/または電流は、その後、AC/DCコンバータ16’、特に整流器によって、AC/DCコンバータ16の出力におけるDC電圧および/または電流に変換される。変圧器の二次側とAD/DCコンバータとの間に接続された任意選択のインダクタは、好ましくはLDAB1と少なくとも本質的に同一であるインダクタンスLDAB2を有することが好ましい。DC/ACコンバータ12は、特に、図1b)に示すものに対応するハーフブリッジ構成に配置構成された、または図1c)に示すものに対応するフルブリッジ構成に配置構成された複数の半導体スイッチを備えることができる。同様に、AC/DCコンバータ16は、特に、図1b)に示すものに対応するハーフブリッジ構成に配置構成された、または図1c)に示すものに対応するフルブリッジ構成に配置構成された複数の半導体スイッチを備えることができる。デュアルアクティブブリッジコンバータは、スイス特許出願公開第707 533号明細書または米国特許出願公開第2018/0159435号明細書にも例示的に記載されている。
【0040】
図2b)は、図1a)に示すDC/DCコンバータ1の別の実施形態と考えることができ、本発明のさらに別の可能な出発点として考えることができる、基本的な従来技術の共振DC/DCコンバータ1’’を示す。DC/ACコンバータ11は、その入力に接続された好ましくはDCリンクキャパシタを含むDC源からのDC電圧および/または電流を、中周波数、すなわち好ましくは500Hz~500kHzの周波数範囲のAC電圧および/または電流に変換するように構成されている。上記AC電圧および/または電流は、変圧器141’’、特に中周波変圧器(MFT)を備えるAC中間回路14’’に供給され、上記変圧器は一次側および二次側を備え、上記側の間にガルバニック絶縁を提供する。変圧器は、とりわけ、結合インダクタンスLおよびL’ならびに漂遊インダクタンスLによって特徴付けることができ、1つ以上のその一次側巻線は、インピーダンス素子としてのキャパシタを介してDC/ACコンバータに接続され、上記キャパシタは、キャパシタンスCres1を有する。キャパシタは漂遊インダクタンスとともに、AC中間回路によって構成されている共振タンクの一部分であり、これは電気エネルギーを蓄積することができ、LおよびCres1の値に依存する共振周波数によって特徴付けられる。したがって、キャパシタは一般に共振キャパシタとして参照される。変圧器は、その一次側の電圧および/または電流を既知の方法で二次側電圧および/または電流に変換する。二次側電圧および/または電流は、その後、AC/DCコンバータ16、特に整流器によって、AC/DCコンバータ16の出力におけるDC電圧および/または電流に変換される。DC/ACコンバータ12は、特に、図1b)に示すものに対応するハーフブリッジ構成に配置構成された、または図1c)に示すものに対応するフルブリッジ構成に配置構成された複数の半導体スイッチを備えることができる。同様に、AC/DCコンバータ16は、特に、図1b)に示すものに対応するハーフブリッジ構成に配置構成された、または図1c)に示すものに対応するフルブリッジ構成に配置構成された複数の半導体スイッチを備えることができる。上述のようなアクティブブリッジを備え、双方向の電力の流れを可能にする変形例の代替形態として、AC/DCコンバータ16は、特に、半導体スイッチなしで具現化されてもよく、一方向の電力の流れのみが必要な場合にハーフブリッジまたはフルブリッジ構成でのみ配置構成されたダイオードを備えてもよい。共振DC/DCコンバータは、国際公開第2018/141092号に例示的に記載されている。
【0041】
図3は、図1a)のDC/DCコンバータの1つの可能な実施形態のより詳細な概略図を示し、2つの平行な巻線が変圧器の一次側1001と二次側1002の両方に設けられており、インピーダンス素子 および が平行な巻線の間で分割され、分配されている。また、単に背景情報のために、第1のDCリンク10に接続された電圧源、第2のDCリンク18に接続されており、抵抗Rloadによって特徴付けられる抵抗負荷、ならびに(灰色の)変圧器のコアおよび漂遊磁束のリラクタンスネットワーク19が示されている。
【0042】
図4は、本発明によるコイル100を概略的に示す。コイル100は、第1の導電性箔帯111から作製された第1の巻線101と、第2の導電性箔帯112から作製された第2の巻線102とを備え、これらは積層され、巻回されて、図3に示されていない変圧器コアを受け入れることができる中央開口部109の周りに複数N=3個のターンを形成している。第1の巻線および第2の巻線の最内端は、T10において互いに、および第1の端子Tに/と電気的に接続される。第1のコネクタT21および第2のコネクタT22が、それぞれ第1の巻線および第2の巻線の最外端に、第1の巻線および第2の巻線に接触して設けられている。電気絶縁層113が、第1の導電性箔帯111と第2の導電性箔帯112との間に設けられている。さらなる絶縁層114が、第1の導電性箔帯111および第2の導電性箔帯112の両面に設けられている。第1の巻線および第2の巻線は、T10にある巻線の最内端においてのみ直接電気的に接続される。コイルは、第2の端子Tと、第2の端子と第1のコネクタT21との間に接続されたキャパシタ121と、第2の端子と第2のコネクタT22との間に接続された第2のキャパシタ122とをさらに備える。コイル100の高さhは、第1の導電性箔帯および第2の導電性箔帯の幅wに対応する。
【0043】
単に例示のために、図4はまた、コイル100にAC電圧を印加するための複数の2つの半導体スイッチS、Sを備えるアクティブハーフブリッジを備えるDCリンク10およびDC/ACコンバータ12’を示す。
【0044】
図5は、3つのコイル、すなわち、2つの第1のコイル100’および第2のコイル100’’からなるスタックを示し、3つのコイルの各々は、高さは異なるが、図3のコイル100に本質的に対応し、高さは、第1の2つのコイル100’についてはh’であり、第2のコイル100’’についてはh’’である。キャパシタンス121’、122’および121’’、122’’に対して異なる値を選択することにより、コイル100’内の電流はコイル100’’内の電流とは異なることになる。これは、変圧器の漂遊磁場、特に巻線窓の漂遊磁場の歪みに起因して最も外側の箔100’において増大する可能性がある任意の電流の補償を含む適切なキャパシタンスを選択することによって、3つのコイルにおいて電流密度を少なくともおおよそ同一にするのに有利に使用することができる。
【0045】
単に例示のために、図5はまた、コイル100’、100’’にAC電圧を印加するための複数の2つの半導体スイッチS、Sを備えるアクティブハーフブリッジを備えるDCリンク10およびDC/ACコンバータ12’を示す。
【0046】
図6は、図3のDC/DCコンバータの一実施形態としての例示的な共振DC/DCコンバータの概略図である。M=2個の巻線の対およびキャパシタ121、122の対を含むコイル100が、DCリンク10の出力とDCリンク10の中性端子との間に接続される。
【0047】
図7は、本発明によるコイルまたは本発明に従って製造されたコイルの様々な実施形態をその一部分として使用することができる別の例示的な共振DC/DCコンバータの概略図である。コンバータは、第1のDCリンク10と、複数の半導体スイッチS、S、S、...、Sを備えるDC/ACコンバータ212と、AC中間回路214と、AC/DCコンバータ216と、第2のDCリンク18とを備える。コンバータは、単一の第1のDCリンク10に接続された複数のアクティブハーフブリッジを備え、一方、それらの出力の各々は、第1の複数(N=3個)のキャパシタCresAの個々のキャパシタおよび共通ノードCを介して中周波変圧器2141の一次コイルに接続され、上記変圧器は、とりわけ、上記変圧器の一次側と二次側との間のガルバニック絶縁を提供する。M=2個の巻線の対およびキャパシタ121、122の対を含むコイル100が、共通ノードCとDCリンク10の中性端子との間に接続される。また、単に背景情報のために、第1のDCリンク10に接続された電圧源、第2のDCリンク18に接続されており、抵抗Rloadによって特徴付けられる抵抗負荷、ならびに(灰色の)変圧器2141のコアおよび漂遊磁束のリラクタンスネットワーク19が示されている。
【0048】
特に上記のような本発明の好ましい実施形態は、以下に列挙される項に従って、有利には上記で詳述した特徴の1つ以上と組み合わせて、または添付の特許請求の範囲に従って、番号付けされた変形例および/または実施形態に詳述されるように実現することができる。
【0049】
1)変圧器のための、特に共振DC/DCコンバータ1’’またはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ1’のための中周波変圧器のためのコイル(100、100’)を製造するための方法であって、
a)各々が第1の端部および第2の端部を有する複数M>1個の導電性箔帯(111、112、111’、112’、111’’、112’’)、特に細長い導電性箔帯を提供するステップと、
b)第1の端部および第2の端部を有する箔帯スタックを得るために、複数の導電性箔帯を積層するステップであって、電気絶縁層113が、任意の2つの隣接する導電性箔帯の間に設けられる、積層するステップと、
c)すべての導電性箔帯の第1の端部を第1の端子(T1、T1’)に電気的に接続するステップと、
d)導電性箔帯の各々について、箔帯の第2の端部にコネクタ(T21、T22、T21’、T22’、T21’’、T22’’)を提供するステップと、
e)箔帯スタックを第1の端部から巻回するステップと
を含む、方法。
【0050】
2)箔スタックが巻回されて、特に横方向に延在する中央開口部109を有するコイル(100、100’)が形成される、変形例1に記載の方法。
【0051】
3)a)第2の端子(T、T’)を提供するステップと、
b)複数M個のインピーダンス素子を提供するステップと、
c)各コネクタ(T21、T22、T21’、T22’、T21’’、T22’’)について、上記インピーダンス素子のうちの異なるインピーダンス素子をコネクタと第2の端子との間に接続するステップと、をさらに含む、先行する変形例のいずれか1項に記載の方法。
【0052】
4)コイル(100、100’)の周り、好ましくはインピーダンス素子の周りに絶縁材料を鋳造するステップをさらに含み、中央開口部109を通って延在する通路が絶縁材料内に設けられる、先行する変形例のいずれか1項に記載の方法。
【0053】
5)インピーダンス素子がキャパシタ(121、122、121’、122’、121’’、122’’)であり、好ましくはすべてが少なくともおおよそ同一のキャパシタンスを有する、先行する変形例のいずれか1項に記載の方法。
【0054】
6)インピーダンス素子がインダクタであり、好ましくはすべてが少なくともおおよそ同一のインダクタンスを有する、変形例1~4のいずれか1項に記載の方法。
【0055】
7)変圧器、特に共振DC/DCコンバータ1’’またはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ1’のための中周波変圧器のための、特に方法変形例1~6のいずれか1項に従って製造されるコイル(100、100’)または巻線構成であって、上記コイルが、
a)中央開口部109の周りに巻かれた巻線101、102の対であって、上記巻線対が、
i)第1の導電性箔帯(111、111’、111’’)から作製され、互いを囲む第1の複数のターンを含む第1の巻線101と、
ii)第2の導電性箔帯(112、112’、112’’)から作製され、互いを囲む第2の複数のターンを含む第2の巻線102であって、第1の複数のターンの各ターンは、第2の複数のターンの1つのターンによって隣接して囲まれている、第2の巻線とを備え、
iii)第1の巻線および第2の巻線の最内端は、特に出力端子を提供するために、第1の端子Tにおよび/または第1の端子Tと電気的に接続されており、
b)第1のコネクタT21および第2のコネクタT21が、それぞれ第1の巻線および第2の巻線の最外端に、第1の巻線および第2の巻線に接触して、特に入力端子として設けられている、コイル(100、100’)または巻線構成。
【0056】
8)第1のコネクタT21は、第2の巻線と接触しておらず、第2のコネクタT21は、第1の巻線と接触していない、実施形態7に記載のコイル。
【0057】
9)巻線101、102の対が絡み合っている、実施形態7または8に記載のコイル。
10)巻線101、102の対が撚り合わされていない、実施形態7~9のいずれか1項に記載のコイル。
【0058】
11)巻線101、102の対に転置がない、実施形態7~10のいずれか1項に記載のコイル。
【0059】
12)a)第2の端子Tと、
b)第の2端子と第1のコネクタT21との間に接続された第1のインピーダンス素子と、
c)第の2端子と第2のコネクタT22との間に接続された第2のインピーダンス素子とをさらに備えることをさらに特徴とする、実施形態7~11のいずれか1項に記載のコイル。
【0060】
13)インピーダンス素子がキャパシタ(121、122、121’、122’、121’’、122’’)であり、好ましくはすべてが少なくともおおよそ同一のキャパシタンスを有する、先行する実施形態に記載のコイル。
【0061】
14)インピーダンス素子がインダクタであり、好ましくはすべてが少なくともおおよそ同一のインダクタンスを有する、実施形態12に記載のコイル。
【0062】
15)第1の巻線および第2の巻線は、巻線の最内端における、特に第1の端子Tを介した接続部を除いて、互いに電気的に絶縁されている、実施形態7~14のいずれか1項に記載のコイル。
【0063】
16)第1の巻線および第2の巻線が、第1の端子を介して電気的に排他的に接続され、そうでなければ互いに電気的に絶縁されることをさらに特徴とする、実施形態7~15のいずれか1項に記載のコイル。
【0064】
17)第1の巻線および第2の巻線と絡み合った少なくとも1つのさらなる巻線を備え、互いを囲むさらなる複数のターンを備え、
a)少なくとも1つのさらなる巻線の最内端が、第1の端子Tに電気的に接続されており、
b)少なくとも1つのさらなる巻線の各々について、さらなるコネクタが、さらなる巻線の最外端に、さらなる巻線と接触して、特に入力端子として設けられる、実施形態7~16のいずれか1項に記載のコイル。
【0065】
18)すべての巻線が、第1の端子を介して電気的に排他的に接続され、そうでなければ互いに電気的に絶縁される、先行する実施形態に記載のコイル。
【0066】
19)巻線対または複数の巻線が、各々が第1の端部および第2の端部を有し、任意の2つの隣接する導電性箔帯の間に絶縁層が設けられるように、導電性箔帯の巻回されたスタックから形成される、実施形態7~18のいずれか1項に記載のコイル。
【0067】
20)変圧器、特に共振DC/DCコンバータまたは共振ソリッドステート変圧器セルのための中周波変圧器であって、上記変圧器が、
a)好ましくはコア間隙を有するコアと、
b)巻線対がコアの少なくとも一区画を囲み、上記区画が巻線の中央開口部109を通って延在する、実施形態7~19のいずれか一項に記載の、または方法変形例1~6のいずれか一項に従って製造される少なくとも第1のコイル(100、100’、100’’)と
を備える、変圧器。
【0068】
21)第1の巻線101および第2の巻線が変圧器の一次巻線である、先行する実施形態に記載の変圧器。
【0069】
22)実施形態7~19のいずれか1項に記載の、または方法変形例1~6のいずれか1項に従って製造される少なくとも第2のコイル(100、100’、100’’)をさらに備え、第2のコイルの巻線対がコアの少なくとも別の区画を囲み、別の区画が、巻線の中央開口部を通って延在し、第2のコイルの巻線対が変圧器の二次巻線である、先行する実施形態に記載の変圧器。
【0070】
23)第2のコイルの第1の巻線101および第2の巻線102が変圧器の二次巻線である、先行する実施形態に記載の変圧器。
【0071】
24)実施形態7~19のいずれか1項に記載の、または方法変形例1~6のいずれか1項に従って製造される複数のコイル(100、100’、100’’)を備え、すべてのコイルの第1の端子が互いに接続されている、実施形態20または21に記載の変圧器。
【0072】
25)a)第1のコイルは高さhを有し、インピーダンス素子はすべてキャパシタであり、少なくともおおよそ同一のキャパシタンスCを有し、
b)第2のコイルは高さhを有し、インピーダンス素子はすべてキャパシタであり、少なくともおおよそ同一のキャパシタンスCを有し、
c)少なくともおおよそC/h=C/hである、先行する実施形態に記載の変圧器。
【0073】
26)a)第1のコイルは高さhを有し、インピーダンス素子はすべてインダクタンスであり、少なくともおおよそ同一のインダクタンスLを有し、
b)第2のコイルは高さhを有し、インピーダンス素子はすべてキャパシタであり、少なくともおおよそ同一のインダクタンスLを有し、
c)少なくともおおよそL1・1=2・である、実施形態24に記載の変圧器。
【0074】
27)a)2つの近隣のコイルが、上記近隣のコイル間のコイル間隙だけ離間しており、
b)コアはコア間隙、特に空隙を有し、
c)コイル間隙は、特に横方向に関して、コア間隙と位置整合され、コア間隙と重なり、および/またはコア間隙と一致する、実施形態24~26のいずれか1項に記載の変圧器。
【0075】
28)上記コイルまたは第2のコイルは、第1のコイルを囲み、好ましくは第1のコイルは、第1のコイルの巻線の中央開口部109内に、および/または中央開口部を通って延在する、実施形態20~27のいずれか1項に記載の変圧器。
【0076】
29)第1のコイルの巻線が変圧器の一次巻線であり、第2の第1のコイルの巻線が二次巻線であり、または逆である、実施形態の1つに記載の変圧器。
【0077】
30)上記の実施形態のいずれか1項に記載の変圧器を備える共振DC/DCコンバータまたは共振ソリッドステート変圧器セル。
【0078】
31)DC/DCコンバータであって、
a)好ましくは第1のDCリンクキャパシタを含む第1のDCリンクと、
b)第1のDCリンクに接続されたインバータブリッジと、
c)好ましくは一次側および二次側を有する、特に実施形態20~29のいずれか1項に記載の変圧器、好ましくは中周波変圧器と
を備え、
d)変圧器の一次側は、実施形態7~19のいずれか1項に記載の、または方法変形例1~6のいずれか1項に従って製造される少なくとも1つのコイルを備える、DC/DCコンバータ。
【0079】
32)DC/DCコンバータであって、
a)好ましくは第1のDCリンクキャパシタを含む第1のDCリンクと、
b)第1のDCリンクに並列に接続された複数N>1個のインバータブリッジと、
c)好ましくは一次側および二次側を有する、特に実施形態20~29のいずれか1項に記載の変圧器、好ましくは中周波変圧器と
を備え、
d)変圧器の一次側は、実施形態7~19のいずれか1項に記載の、または方法変形例1~6のいずれか1項に従って製造される少なくとも1つのコイルを備え、
e)コンバータは、第1の複数N個のさらなるインピーダンス素子をさらに備え、
f)各コンバータブリッジについて、第1の複数のインピーダンス素子と異なるインピーダンス素子が、上記コンバータブリッジとコイルとの間、特に上記コンバータブリッジとコイルの第2の端子との間に接続される、DC/DCコンバータ。
【0080】
33)DC/DCコンバータであって、
a)好ましくは第1のDCリンクキャパシタを含む第1のDCリンクと、
b)DC/ACコンバータであって、第1のDCリンクに接続された入力を有し、
i)第1のDCリンクに接続されたコンバータブリッジを備える、DC/ACコンバータと、
c)AC中間回路であって、DC/ACコンバータの出力に接続されている入力を有し、
i)一次側および二次側を有する変圧器、好ましくは中周波変圧器を備え、
ii)一次側は、実施形態7~19のいずれか1項に記載の、または方法変形例1~6のいずれか1項に従って製造される少なくとも1つのコイルを備える、AC中間回路と、
d)交流中間回路の二次側に接続された入力を有するAC/DCコンバータと、
e)AC/DCコンバータの出力に接続されている第2のDCリンク、好ましくは第2のDCリンクキャパシタと
を備える、DC/DCコンバータ。
【0081】
34)DC/DCコンバータであって、
a)好ましくは第1のDCリンクキャパシタを含む第1のDCリンクと、
b)DC/ACコンバータであって、第1のDCリンクに接続された入力を有し、
i)第1のDCリンクに並列に接続された第1の複数N>1個のコンバータブリッジと、
c)AC中間回路であって、DC/ACコンバータの出力に接続されている入力を有し、
i)一次側および二次側を有する変圧器、好ましくは中周波変圧器を備え、
ii)一次側は、実施形態7~19のいずれか1項に記載の、または方法変形例1~6のいずれか1項に従って製造される少なくとも1つのコイルを備える、AC中間回路と、
d)交流中間回路の二次側に接続された入力を有するAC/DCコンバータと、
e)AC/DCコンバータの出力に接続されている第2のDCリンク、好ましくは第2のDCリンクキャパシタと
を備え、
f)AC中間回路は、第1の複数N個のインピーダンス素子をさらに備え、
g)各コンバータブリッジについて、第1の複数のインピーダンス素子と異なるインピーダンス素子が、上記コンバータブリッジと少なくとも1つのコイルとの間、特に上記コンバータブリッジと少なくとも1つのコイルの第2の端子との間に接続される、DC/DCコンバータ。
【0082】
35)各コンバータブリッジは、第1の入力端子および第2の入力端子と、インバータブリッジ出力(代替的に、複数の半導体スイッチによって第1の入力端子または第2の入力端子に導電的に接続可能)とを備えるインバータハーフブリッジであり、各インバータハーフブリッジについて、第1の複数のインピーダンス素子のうちの異なるインピーダンス素子は、インバータブリッジ出力と直列に接続される、実施形態28~31のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ。
【0083】
36)a)第1のDCリンクは、正端子および負端子を有し、
b)すべてのインバータハーフブリッジの第1の入力端子は正端子に接続され、
c)すべてのインバータハーフブリッジの第2の入力端子は負端子に接続される、先行する実施形態のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ。
【0084】
37)第1のDCリンクは、中性端子をさらに有し、すべての複数の一次巻線の第2の端子は、中性端子に接続されている、実施形態31~36のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ。
【0085】
38)コンバータは共振コンバータであり、複数のインピーダンス素子の各々はキャパシタである、実施形態31~37のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ。
【0086】
39)コンバータはデュアルアクティブブリッジコンバータであり、複数のインピーダンス素子の各々はインダクタである、実施形態31~38のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ。
【0087】
40)a)好ましくは第2のDCリンクキャパシタを含む第2のDCリンクと、
b)第2のDCリンクに接続された整流ブリッジとをさらに備え、
c)変圧器の二次側は、実施形態7~19のいずれか1項に記載の、または方法変形例1~6のいずれか1項に従って製造される少なくとも1つのコイルを備える、実施形態31~3639のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ。
【0088】
41)a)好ましくは第2のDCリンクキャパシタを含む第2のDCリンクと、
b)第2のDCリンクに並列に接続された複数N’>1個の整流ブリッジとをさらに備え、
c)変圧器の二次側は、実施形態7~19のいずれか1項に記載の、または方法変形例1~6のいずれか1項に従って製造される少なくとも1つのさらなるコイルを備え、
d)コンバータは、第3の複数N’個のさらなるインピーダンス素子をさらに備え、
e)各コンバータブリッジについて、第3の複数のインピーダンス素子と異なるインピーダンス素子が、上記コンバータブリッジとコイルとの間、特に上記コンバータブリッジとコイルの第2の端子との間に接続される、実施形態31~40のいずれか1項に記載のDC/DCコンバータ。
【0089】
42)実施形態7~19のいずれか1項に記載の、または方法変形例1~6のいずれか1項に従って製造される複数のコイルを備える、コイルのスタック。
【0090】
43)すべてのコイルの中央開口部が、互いに対して、および/または横方向に対して位置整合している、実施形態42に記載のコイルのスタック。
【0091】
44)すべてのコイルの第1の端子が接続されている、実施形態42または43に記載のコイルのスタック。
【0092】
45)上記スタックは、すべてのコイルを囲み、特にすべてのコイルを一体的に囲む絶縁材料に鋳造または成形され、特にすべてのコイルの中央開口部が少なくとも本質的に位置整合され、特に、実質的に直線状および/または細長い変圧器コアの区画または部分を受け入れるように構成されており、結果、上記区画または部分はすべてのコイルの中央開口部を通じて延在する、実施形態42~45のいずれか1項に記載のコイルのスタック。
【0093】
46)変圧器、特に共振DC/DCコンバータまたは共振ソリッドステート変圧器セルのための中周波変圧器であって、上記変圧器が、
a)好ましくは空隙を有するコアを備え、
b)実施形態42~45のいずれかに記載のコイルのスタックにおいて、
c)コアの一区画は、スタックのすべてのコイルの中央開口部109を通じて延在する、変圧器。
【0094】
47)a)上記コイルのスタック内の2つの近隣のコイルが、上記近隣のコイル間のコイル間隙だけ離間しており、
b)コアはコア間隙、特に空隙を有し、
c)コイル間隙は、特に横方向に関して、コア間隙と位置整合され、コア間隙と重なり、および/またはコア間隙と一致する、実施形態24~26のいずれか1項に記載の変圧器。
【0095】
特に指定されない限り、特にノード、点、端子、要素、デバイスなど、またはそれらの組み合わせを含む任意の2つのエンティティ間の接続は、特にワイヤ、ケーブル、バスバー、導電性トラック、例えば(プリント)回路基板上のトレースまたはライン、はんだなどによって確立されるような導電性接続を指す。導電性接続は、好ましくは、特に抵抗器、キャパシタ、インダクタ、または接続されたエンティティ間に接続された他の受動または能動素子またはデバイスのような、特にいかなる別個の要素も有せず、少なくとも実質的に直接的である。したがって、導電性接続は、少なくとも本質的に無視できる抵抗、キャパシタンスおよびインダクタンス、好ましくは少なくとも本質的にゼロの抵抗、キャパシタンスおよびインダクタンスを有する。特に、導電性接続の抵抗、キャパシタンスおよびインダクタンスは、本質的に排他的に寄生的である。さらに、導電性接続の抵抗、キャパシタンスおよびインダクタンスは、導電性接続によって接続された、および/または導電性接続を含む電気回路もしくはネットワークに含まれる抵抗器、キャパシタまたはインダクタのそれぞれの抵抗、キャパシタンスおよびインピーダンスよりも著しく小さい(好ましくは1/100倍、1/1000倍または1/10000倍)。
【0096】
特に明記しない限り、電気接続または電気的接続は、上記で定義した接続と同一である。
【0097】
特に明記しない限り、特にノード、点、端子、要素、デバイスなど、またはそれらの組み合わせを含む2つのエンティティが接続され、電気的に接続され、または(電気的に)互いに接続されると言われる場合、上記で定義したような接続が2つのエンティティ間に存在する。
【0098】
特に指定されない限り、特に第1および第2のノード、点、端子、要素、デバイスなど、またはそれらの組み合わせを含む第1のエンティティおよび第2のエンティティが、特に第3のノード、点、端子、要素、デバイスを含む第3のエンティティを介して、またはそれらの間のそのような第3のエンティティと接続されると言われる場合、上記のような接続が、第1のエンティティと第3のエンティティとの間、ならびに第3のエンティティと第2のエンティティとの間に存在する。しかしながら、第1のエンティティと第2のエンティティとの間に上述したような接続はなく、特に、少なくとも実質的に直接的な接続は存在しない。明示的に指定されている場合、第3の要素は、特に接続、特に導体、ワイヤ、ケーブル、バスバーなどであってもよい。このような場合には、指定されたもの以外に上記のような接続が存在しないものと仮定してもよい。
【0099】
特に明記しない限り、本特許出願全体を通して、a≒bという記述は、|a-b|/(|a|+|b|)<10、好ましくは|a-b|/(|a|+|b|)<100を意味すると仮定され、aおよびbは、本特許出願のどこかに記載および/または定義されているような、または当業者に知られているような任意の変数を表すことができる。さらに、aがbと少なくともおおよそ等しい、または少なくともおおよそ同一であるという記述は、a≒b、好ましくはa=bであることを意味する。さらに、特に明記しない限り、本特許出願全体を通して、a>>bという記載は、a>10b、好ましくはa>100bを意味すると仮定され、a<<bという記述は、10a<b、好ましくは100a<bを意味する。さらに、特に明記しない限り、本特許出願全体を通して、a>>bである、またはaがbよりも著しく大きいもしくははるかに大きいという記述は、a>10b、好ましくはa>100bであることを意味すると仮定され、a<<b、またはaがbよりも著しく小さいかもしくははるかに小さいという記述は、10a<b、好ましくは100a<bであることを意味する。さらに、2つの値aおよびbが互いに大幅に逸脱するか、または大きく異なるという記述は、a≒bが成り立たないこと、特にa>>bまたはa<<bを意味する。
【0100】
本発明の態様および実施形態を例示するこの説明および添付の図面は、保護される発明を定義する特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。言い換えれば、本発明は、図面および前述の説明において詳細に図示および説明されてきたが、そのような図示および説明は、図示的または例示的であって限定的ではないと考えられるべきである。本明細書および特許請求の範囲の思想および範囲から逸脱することなく、様々な機械的、組成的、構造的、電気的、および動作的変更を行うことができる。いくつかの例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の回路、構造、および技法は詳細に示されていない。したがって、添付の特許請求項の範囲内で当業者によって変更および修正が行われ得ることが理解されよう。特に、本発明は、上記および下記の異なるおよび/または個々の実施形態からの特徴の任意の組み合わせを有するさらなる実施形態を包含する。本発明による実施形態は、特に、図面に示されていない、または上述されていないさらなるおよび/または追加の特徴、要素、態様などを含むことができる。
【0101】
本明細書および特に特許請求の範囲に列挙された方法ステップは、好ましくは列挙された順序で実行されるが、代替的に、技術的かつ実用的に実現可能な限り、任意の他の順序で実行されてもよい。
【0102】
本開示はまた、図面に示されているすべてのさらなる特徴を個別に包含するが、それらは前述または後述の説明では説明されていない場合がある。また、図および本明細書に記載された実施形態の個々の代替形態およびその特徴の個々の代替形態は、本発明の主題または開示された主題から除外することができる。本開示は、特許請求の範囲または例示的な実施形態で定義された特徴からなる主題、ならびに上記特徴を含む主題を含む。
【0103】
さらに、特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という単語はさらなるまたは追加の特徴、要素、ステップなどを排除するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は複数を除外しない。単一のユニットまたはステップは、特許請求の範囲に記載のいくつかの特徴の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているというだけの事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。属性、特性または値に関連する「本質的に」、「約」、「おおよそ」などの用語はまた、特に、述べられたように、それぞれ正確にその属性、特性または値も含む。所与の数値または範囲の文脈における「おおよそ」または「約」という用語は、例えば、所与の値または範囲の20%以内、10%以内、5%以内、または2%以内である値または範囲を指し、特に、記載された正確な値または範囲も含む。結合または接続されたと記載された構成要素は、電気的または機械的に直接結合されてもよく、または1つ以上の中間構成要素を介して間接的に結合されてもよい。特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1a)】
図1b)】
図1c)】
図2a)】
図2b)】
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧器、特に共振DC/DCコンバータ(1’’)またはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ(1’)のための中周波変圧器のためのコイル(100、100’)を製造するための方法であって、以下の順序において、
a)各々が第1の端部および第2の端部を有する複数M>1個の導電性箔帯(111、112、111’、112’、111’’、112’’)を提供するステップと、
b)第1の端部および第2の端部を有する箔帯スタックを得るために前記複数の導電性箔帯を積層するステップであって、任意の2つの隣接する導電性箔帯の間に絶縁層(113)が設けられる、積層するステップと、
c)すべての導電性箔帯の前記第1の端部を第1の端子(T1、T1’)に電気的に接続するステップと、
d)前記導電性箔帯の各々について、前記箔帯の前記第2の端部にコネクタ(T21、22、21’、22’、21’’、22’’)を設けるステップと、
e)前記箔帯スタックを前記第1の端部から巻回するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記箔スタックが巻回されて、中央開口部(109)を有するコイル(100、100’)が形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)第2の端子(T、T’)を提供するステップと、
b)複数M個のインピーダンス素子を提供するステップと、
c)各コネクタ(T21、T22、T21’、T22’、T21’’、T22’’)について、前記インピーダンス素子のうちの異なるインピーダンス素子を前記コネクタと前記第2の端子との間に接続するステップと
をさらに含む、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記コイル(100、100’)の周り、好ましくは前記インピーダンス素子の周りに絶縁材料を鋳造するステップをさらに含み、前記中央開口部(109)を通って延在する通路が前記絶縁材料内に設けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記インピーダンス素子がキャパシタ(121、122、121’、122’、121’’、122’’)であり、好ましくはすべてが少なくとも20%の範囲内で同じキャパシタンスを有する、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記インピーダンス素子がインダクタであり、好ましくはすべてが少なくとも20%の範囲内で同じインダクタンスを有する、請求項3または4に記載の方法。
【請求項7】
変圧器、特に共振DC/DCコンバータ(1’’)またはデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ(1’)のための中周波変圧器のための、特に請求項1~6のいずれか1項に従って製造されるコイル(100、100’)であって、前記コイルは、
a)巻線(101、102)の対を備え、前記巻線対は、
i)第1の導電性箔帯(111、111’、111’’)から作製され、互いを囲む第1の複数のターンを含む第1の巻線(101)と、
ii)第2の導電性箔帯(112、112’、112’’)から作製され、互いを囲む第2の複数のターンを含む第2の巻線(102)であって、前記第1の複数のターンの各ターンは、前記第2の複数のターンの1つのターンによって隣接して囲まれている、第2の巻線と
を備え、
iii)前記第1の巻線および前記第2の巻線の最内端は、第1の端子(T)におよび/または第1の端子(T)と電気的に接続されており、前記第1の巻線(101)および前記第2の巻線(102)は、接続部を除いて互いから電気的に絶縁されており、
b)第1のコネクタ(T21)および第2のコネクタ(T22)が、それぞれ前記第1の巻線および前記第2の巻線の最外端に、前記第1の巻線および前記第2の巻線に電気的に接触して、設けられており、
c)第2の端子(T)が、前記第2の端子(T)と前記第1のコネクタ(T21)との間に接続されている第1のインピーダンス素子と、前記第2の端子(T)と前記第2のコネクタ(T22)との間に接続されている第2のインピーダンス素子とを有する、コイル(100、100’)。
【請求項8】
前記インピーダンス素子がキャパシタ(121、122、121’、122’、121’’、122’’)であり、好ましくはすべてが少なくとも20%の範囲内で同じキャパシタンスを有する、請求項に記載のコイル。
【請求項9】
前記インピーダンス素子がインダクタであり、好ましくはすべてが少なくとも20%の範囲内で同じインダクタンスを有する、請求項7に記載のコイル。
【請求項10】
前記第1の巻線(101)および前記第2の巻線(202)は、前記巻線の前記最内端における、前記第1の端子(T)を介した接続部を除いて、互いに電気的に絶縁されている、請求項7~9のいずれか1項に記載のコイル。
【請求項11】
前記巻線対(101、102)が、各々が第1の端部および第2の端部を有し、任意の2つの隣接する導電性箔帯の間に絶縁層が設けられるように、導電性箔帯(111、111’、111’’、112、112’、112’’)の巻回されたスタックから形成される、請求項7~10のいずれか1項に記載のコイル。
【請求項12】
変圧器、特に共振DC/DCコンバータまたは共振ソリッドステート変圧器セルのための中周波変圧器であって、前記変圧器が、
a)好ましくは空隙を有するコア(1)と、
b)巻線対が前記コアの少なくとも一区画を囲み、前記区画が第1のコイルの中央開口部(109)を通って延在する、請求項7~11のいずれか一項に記載の、または請求項1~6のいずれか一項に従って製造される少なくとも第1のコイル(100、100’、100’’)と
を備える、変圧器。
【請求項13】
請求項7~11のいずれか1項に記載の、または請求項1~6のいずれか1項に従って製造される複数のコイル(100、100’、100’’)を備え、すべてのコイルの前記第1の端子が互いに接続されている、請求項12に記載の変圧器。
【請求項14】
a)前記第1のコイルは高さhを有し、前記インピーダンス素子はすべてキャパシタであり、少なくとも20%の範囲内で同じキャパシタンスCを有し、
b)前記第2のコイルは高さhを有し、前記インピーダンス素子はすべてキャパシタであり、少なくとも20%の範囲内で同じキャパシタンスCを有し、
c)少なくともおおよそC/h=C/hである、請求項12または13に記載の変圧器。
【国際調査報告】