(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】4フェーズ昇降圧コンバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518193
(86)(22)【出願日】2020-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 US2020051730
(87)【国際公開番号】W WO2021055920
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(71)【出願人】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン エリック バイエル
(72)【発明者】
【氏名】ルディガー ガンツ
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン シュムコフ
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB57
5H730DD04
5H730FD01
5H730FD51
5H730FG05
5H730FG23
(57)【要約】
システム(100)が、入力(105)及び出力(109)を有する。このシステムは、入力及び第1のスイッチングノード(SW1)に結合される第1のトランジスタ(102)、第1のスイッチングノード及び接地(107)に結合される第2のトランジスタ(104)、第2のスイッチングノード(SW2)及び出力に結合される第3のトランジスタ(106)、及び第2のスイッチングノード及び接地に結合される第4のトランジスタ(108)を含む電圧コンバータ(101)と、第1のスイッチングノードに結合される第1の端子、及び第2のスイッチングノードに結合される第2の端子を有するインダクタ(110)とを含む。このシステムはまた、電圧コンバータに結合されるコントローラ(103)を含み、コントローラは、電圧コンバータのトランジスタを制御するために、状態機械(120)及び複数のドライバ(116、118)を含む。状態機械は、インダクタを流れる電流が電流閾値より小さいことに応答して、第2及び第4のトランジスタを導通させ、第1及び第3のトランジスタを導通させないように適合可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と出力端子とを有するシステムであって、前記システムが、
電圧コンバータとコントローラとを含み、
前記電圧コンバータが、
前記入力端子及び第1のスイッチングノードに結合される第1のトランジスタと、
前記第1のスイッチングノード及び接地ノードに結合される第2のトランジスタと、
第2のスイッチングノード及び前記出力端子に結合される第3のトランジスタと、
前記第2のスイッチングノード及び前記接地ノードに結合される第4のトランジスタと、
前記第1のスイッチングノードに結合される第1の端子と前記第2のスイッチングノードに結合される第2の端子とを有するインダクタとを含み、
前記コントローラが、前記電圧コンバータに結合され、前記コントローラが、
状態機械と、
前記電圧コンバータの前記トランジスタを制御するように構成される複数のドライバとを含み、
前記状態機械が、前記インダクタを流れる電流が或る電流閾値より小さいことに応答して、前記第2及び第4のトランジスタを導通させ、前記第1及び第3のトランジスタを非導通にさせるように適合可能である、
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記コントローラが比較器を更に含み、前記比較器が、
前記電流閾値に比例する基準電圧に結合される反転入力と、
インダクタノードに結合される非反転入力であって、前記インダクタノードにおける電圧が前記インダクタを流れる前記電流に比例する、前記非反転入力と、
出力と、
を含む、
システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記状態機械が、前記第1及び第4のトランジスタを導通させ、前記第2及び第3のトランジスタを非導通にするように、遷移に対して適合可能である、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、前記コントローラが更に比較器を含み、前記比較器が、前記出力端子に結合される反転入力と、基準電圧源に結合される非反転入力と、出力とを含む、システム。
【請求項5】
請求項3に記載のシステムであって、
前記電流閾値が第1の電流閾値であり、
前記状態機械が、前記インダクタを流れる前記電流が第2の電流閾値より大きいことに応答して、前記第1及び第3のトランジスタが導通し前記第2及び第4のトランジスタが非導通である状態に遷移するように適合可能であり、
前記第2の電流閾値が前記第1の電流閾値より大きい、
システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、前記コントローラが更に比較器を含み、前記比較器が、
インダクタノードに結合される反転入力であって、前記インダクタノードにおける電圧が前記インダクタを流れる前記電流に比例する、前記反転入力と、
基準電圧源に結合される非反転入力であって、前記基準電圧源によって提供される電圧が前記第2の電流閾値に比例する前記非反転入力と、
出力と、
を含む、システム。
【請求項7】
請求項5に記載のシステムであって、前記状態機械が、前の状態における時間に基づいて、前記第2及び第3のトランジスタが導通し前記第1及び第4のトランジスタが非導通である状態に遷移するように適合可能である、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、前記コントローラが更に、前記電圧コンバータを降圧モードで制御するように構成され、前記降圧モードでは、前記時間が前記入力端子における電圧と、前記出力端子における前記電圧とに基づく、システム。
【請求項9】
請求項7に記載のシステムであって、前記コントローラが更に、前記電圧コンバータを昇圧モード又は昇降圧モードで制御するように構成され、前記昇圧モード又は前記昇降圧モードでは、前記時間が一定値である、システム。
【請求項10】
第1のスイッチングノードと、第2のスイッチングノードと、前記第1のノード及び前記第2のスイッチングノード間に結合されるインダクタとを有する電圧コンバータのためのコントローラであって、前記コントローラが、
状態機械、及び
複数のドライバ、
を含み、各ドライバがトランジスタに結合され、
前記状態機械が、前記インダクタを流れる電流が第1の電流閾値より小さいことに応答して、
前記第1のスイッチングノードと入力端子との間の第1のトランジスタが導通していて、
前記第1のスイッチングノードと接地ノードとの間の第2のトランジスタが導通しておらず、
前記第2のスイッチングノードと出力端子との間の第3のトランジスタが導通しておらず、
前記第2のスイッチングノードと前記接地ノードとの間の第4のトランジスタが導通している、
状態に遷移するように適合可能である、
コントローラ。
【請求項11】
請求項10に記載のコントローラであって、前記状態機械が、前記第1及び第4のトランジスタが導通していて前記第2及び第3のトランジスタが導通していない状態に遷移するように適合可能である、コントローラ。
【請求項12】
請求項11に記載のコントローラであって、前記状態機械が、前記出力端子における電圧が電圧閾値より低いことに応答して、前記第1及び第4のトランジスタが導通していて前記第2及び第3のトランジスタが導通していない前記状態に遷移するように適合可能である、コントローラ。
【請求項13】
請求項11に記載のコントローラであって、
前記状態機械が、前記インダクタを流れる前記電流が第2の電流閾値より大きいことに応答して、前記第1及び第3のトランジスタが導通していて、前記第2及び第4のトランジスタが導通していない状態に遷移するように適合可能であり、
前記第2の電流閾値が前記第1の電流閾値より大きい、
コントローラ。
【請求項14】
請求項13に記載のコントローラであって、前記状態機械が、前の状態における時間閾値に基づいて、前記第2及び第3のトランジスタが導通していて前記第1及び第4のトランジスタが導通していない状態に遷移するように適合可能である、コントローラ。
【請求項15】
請求項14に記載のコントローラであって、前記コントローラが更に、前記電圧コンバータを降圧モードで制御するように構成され、前記降圧モードでは、前記時間閾値が、前記入力端子における電圧と前記出力端子における前記電圧とに基づく、コントローラ。
【請求項16】
請求項14に記載のコントローラであって、前記コントローラが更に、前記電圧コンバータを、昇圧モード又は昇降圧モードで制御するように構成され、前記昇圧モード又は前記昇降圧モードでは、前記時間閾値が一定値である、コントローラ。
【請求項17】
電圧コンバータを制御するための方法であって、前記方法が、
前記電圧コンバータの第1のスイッチングノード及び第2のスイッチングノードに結合されるインダクタを流れる電流をコントローラによって検出することと、
前記インダクタを流れる前記電流が電流閾値より小さいことに応答して、
前記コントローラによって、前記第1のスイッチングノードと入力端子との間の第1のトランジスタを導通させないことと、
前記コントローラによって、前記第1のスイッチングノードと接地ノードとの間の第2のトランジスタを導通させることと、
前記コントローラによって、前記第2のスイッチングノードと出力端子との間の第3のトランジスタを導通させないことと、
前記コントローラによって、前記第2のスイッチングノードと前記接地ノードとの間の第4のトランジスタを導通させることと、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記コントローラによって、前記出力端子における電圧を検出することと、
前記出力端子における前記電圧が電圧閾値より低いことに応答して、
前記コントローラによって、前記第1のトランジスタを導通させることと、
前記コントローラによって、前記第2のトランジスタを導通させないことと
前記コントローラによって、前記第3のトランジスタを導通させないことと、
前記コントローラによって、前記第4のトランジスタを導通させることと、
を更に含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記電流閾値が第1の電流閾値であり、前記方法が更に、
前記インダクタを流れる前記電流が、第2の電流閾値より大きいことに応答して、
前記コントローラによって、前記第1のトランジスタを導通させることと、
前記コントローラによって、前記第2のトランジスタを導通させないことと、
前記コントローラによって、前記第3のトランジスタを導通させることと、
前記コントローラによって、前記第4のトランジスタを導通させないことと、
を含み、
前記第2の電流閾値が前記第1の電流閾値より大きい、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記方法が更に、
前記第1及び第3のトランジスタが導通していて、前記第2及び第4のトランジスタが導通していない時間量を判定することと、
前記時間量が時間閾値より大きいことに応答して、
前記コントローラによって、前記第1のトランジスタを導通させないことと、
前記コントローラによって、前記第2のトランジスタを導通させることと、
前記コントローラによって、前記第3のトランジスタを導通させることと、
前記コントローラによって、前記第4のトランジスタを導通させないことと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
少なくとも1つの例において、システムが入力端子及び出力端子を有する。このシステムは電圧コンバータを含み、電圧コンバータは、入力端子及び第1のスイッチングノードに結合される第1のトランジスタと、第1のスイッチングノード及び接地に結合される第2のトランジスタと、第2のスイッチングノード及び出力端子に結合される第3のトランジスタと、第2のスイッチングノード及び接地に結合される第4のトランジスタと、第1のスイッチングノードに結合される第1の端子及び第2のスイッチングノードに結合される第2の端子を有するインダクタとを含む。このシステムはまた、電圧コンバータに結合されるコントローラを含み、コントローラは、電圧コンバータのトランジスタを制御するために、状態機械及び複数のドライバを含む。状態機械は、インダクタを流れる電流が電流閾値より少ないことに応答して、第2及び第4のトランジスタを導通させ、また、第1及び第3のトランジスタを導通させないように、適合可能である。
【発明の概要】
【0002】
別の例において、コントローラが、第1のスイッチングノードと、第2のスイッチングノードと、第1のスイッチングノード及び第2のスイッチングノード間に結合されるインダクタとを有する電圧コンバータのためのものである。このコントローラは、状態機械及び複数のドライバを含み、各ドライバがトランジスタに結合される。状態機械は、インダクタを流れる電流が第1の電流閾値より少ないことに応答して、第1のスイッチングノードと入力端子との間の第1のトランジスタが導通せず、第1のスイッチングノードと接地ノードとの間の第2のトランジスタが導通し、第2のスイッチングノードと出力端子との間の第3のトランジスタが導通せず、第2のスイッチングノードと接地ノードとの間の第4のトランジスタが導通する状態に遷移するように、適合可能である。
【0003】
更に別の例において、電圧コンバータを制御するための方法が、コントローラによって、電圧コンバータの第1のスイッチングノード及び第2のスイッチングノードに結合されるインダクタを流れる電流を検出することを含む。この方法はまた、インダクタを流れる電流が電流閾値より少ないことに応答して、コントローラが、第1のスイッチングノードと入力端子との間の第1のトランジスタを導通させないことと、コントローラが、第1のスイッチングノードと接地ノードとの間の第2のトランジスタを導通させることと、コントローラが、第2のスイッチングノードと出力端子との間の第3のトランジスタを導通させないことと、コントローラが、第2のスイッチングノードと接地ノードとの間の第4のトランジスタを導通させることとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
種々の例の詳細な説明について、添付の図面を参照する。
【0005】
【
図1】種々の例における電圧コンバータ及びコントローラの概略図を示す。
【0006】
【
図2】種々の例における昇圧オンフェーズの電圧コンバータの概略図を示す。
【0007】
【
図3】種々の例における昇圧オフ、降圧オンフェーズの電圧コンバータの概略図を示す。
【0008】
【
図4】種々の例における降圧オフフェーズの電圧コンバータの概略図を示す。
【0009】
【
図5】種々の例における休止フェーズの電圧コンバータの概略図を示す。
【0010】
【
図6】種々の例における電圧コンバータの動作の状態図を示す。
【0011】
【
図7】種々の例における、降圧モードで動作する電圧コンバータに対する時間の関数としてのインダクタ電流の波形を示す。
【0012】
【
図8】種々の例における、昇圧モードで動作する電圧コンバータに対する時間の関数としてのインダクタ電流の波形を示す。
【0013】
【
図9】種々の例における、昇降圧モードで動作する電圧コンバータに対する時間の関数としてのインダクタ電流の波形を示す。
【0014】
【
図10】種々の例におけるシステムのブロック図を示す。
【0015】
【
図11】種々の例における、電圧コンバータに対するコントローラの動作の状態図を示す。
【0016】
【
図12】種々の例における、降圧モードで動作する電圧コンバータに対する時間の関数としての出力電圧及びインダクタ電流の波形を示す。
【0017】
【
図13】種々の例における、昇降圧モードで動作する電圧コンバータに対する時間の関数としての出力電圧及びインダクタ電流の波形を示す。
【0018】
【
図14】種々の例における、昇圧モードで動作する電圧コンバータに対する時間の関数としての出力電圧及びインダクタ電流の波形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
直流(DC)-DCコンバータが、スイッチドモード電源(SMPS)として実装され得る。DCコンバータは、種々の回路に用いられ得、DC入力信号を変換することによって、DC出力信号を提供する。例えば、DCコンバータは、バッテリによって電力が負荷に供給されるシステム、特に、バッテリ電圧が、(例えば、バッテリが消耗するにつれて)時間の経過とともに変化し得るシステム、において用いられ得る。このようなシステムの例としては、オートモティブ応用例、個人用電子デバイス、モノのインターネット(IoT)接続デバイス、又は他のバッテリ駆動応用例が含まれる。入力信号及び出力信号は、類似又は反対の極性を有し得る。SMPSコンバータは、降圧、昇圧、昇降圧、及びその他のタイプを含む。降圧DC-DCコンバータは、入力信号の電圧(VIN)に等しいか又はそれ以下の出力電圧(VOUT)を提供するように動作可能である。昇圧コンバータは、VINに等しいか又は以上のVOUTを提供するように動作可能である。昇降圧コンバータは、降圧コンバータと昇圧コンバータの機能を提供する。昇降圧コンバータは1つ又は複数のインダクタを含む。直列インダクタは、入力信号によってオンにされ、その後、オフにされて出力信号を提供する。
【0020】
昇降圧伝達領域と呼ばれるVOUTがVINにほぼ等しいときに、昇降圧コンバータに関する問題が生じる。昇降圧伝達領域では、昇降圧コンバータは、降圧モードと昇圧モードとの間の切り替えに関連する調整問題を受けやすく、その結果、VOUT上での分数調波発振等のグリッチが発生する。特に、昇降圧コンバータは、降圧モード(VOUT<VIN)及び昇圧モード(VOUT>VIN)での動作に対して、異なる伝達関数を有する。降圧モード伝達関数は、VOUT=VIN×D(降圧)によって与えられ、ここで、D(降圧)は、0から1の範囲の降圧モード動作に対するデューティサイクル値である。昇圧モード伝達関数は、VOUT=VIN/(1-D(昇圧))によって与えられ、ここで、D(昇圧)は、0から1の範囲の昇圧モード動作に対するデューティサイクル値である。従って、動作の昇降圧モードでは、VOUT=VINである場合、降圧モードデューティサイクルD(降圧)は1に近く、昇圧モードデューティサイクルD(昇圧)は0に近い。しかしながら、最小オンオフ時間に起因して、D(降圧)は1の値に近づき得る(がそれに到達することができない可能性があり)、D(昇圧)が0の値に近づき得る(が、それに到達することはができない可能性がある)。この領域において、伝達関数が定義されていないため、この状態はVOUT上で分数調波発振を含む調整問題を引き起こす。
【0021】
電圧コンバータの調整帯域幅は、制御ループに対する入力条件(例えば、負荷電流)における変化に対する電圧コンバータの制御ループの応答時間を指す。調整帯域幅が大きくなると、入力条件における変化に対する応答時間が短くなり、調整帯域幅が小さくなると、入力条件における変化に対する応答時間が長くなる。昇圧モードでは、昇降圧コンバータの調整帯域幅は右半平面(RHP)ゼロ周波数によって制限される。RHPゼロが帰還経路において利得昇圧を提供する極として機能するため、RHPゼロ周波数は調整帯域幅を制限する。その結果、発振を避けるために、調整帯域幅はRHPゼロ周波数の例えば3分の1から5分の1にするべきである。制御ループが入力状態(例えば、負荷電流)における変化に対してよりゆっくりと反応して、電圧コンバータのVOUTを調整するため、RHPゼロ周波数による調整帯域幅への制限により、昇圧モードにおける過渡応答が軽減される。
【0022】
例示の実施形態(コントローラを含む)は、昇降圧DC-DC電圧コンバータ等の電圧コンバータに関する前述の問題に対処する。或る例において、コントローラは、電圧コンバータのトランジスタを制御して休止フェーズで動作させるように構成される状態機械を含み、休止フェーズでは、電圧コンバータのインダクタが短絡され、それによって、休止フェーズの間、電圧コンバータ内にエネルギーが保存される。従って、インダクタがVINによってオンにされ、オフにされてVOUTを提供することに加えて、幾つかの例は、これ以降に説明されるように、エネルギーが電圧コンバータ内に保存されるフェーズを含むように電圧コンバータを制御することを含む。
【0023】
その結果、電圧コンバータによる入力信号エネルギーの出力信号エネルギーへの伝達は、電圧コンバータ内にエネルギーが保存される休止フェーズの長さを変更することによって調整され得る。これは、電圧コンバータに対して、インダクタがオンにもオフにもされない動作フェーズを提供することによって、分数調波発振等、動作の昇降圧モードにおける調整に関する上述の問題を軽減する。また、休止フェーズにより、電圧コンバータから負荷へのエネルギー伝達を、結果的にインダクタをオンにすることなく、停止することが可能になり、これは、VOUTオーバシュートを回避し、従って、帯域幅に対する上述のRHPゼロ制限に対処する。これらの利点は、これ以降に種々の例及び添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1は、種々の例におけるシステム100を図示する。システム100は、電圧コンバータ101と、電圧コンバータ101に結合されるコントローラ103とを含む。この例において、電圧コンバータ101は、入力端子105における入力電圧(VIN)を出力端子109における出力電圧(VOUT)に変換する昇降圧コンバータである。電圧コンバータ101は、複数のモード(例えば、降圧モード、昇圧モード、又は昇降圧モード)で動作するように構成される。電圧コンバータ101は、少なくとも第1のスイッチ102、第2のスイッチ104、第3のスイッチ106、第4のスイッチ108、及びインダクタ110を含む。一例において、スイッチ102、104、106、108は、電界効果トランジスタ(例えば、n型又はp型金属酸化物シリコン電界効果トランジスタ、MOSFET等)又はバイポーラトランジスタ等のトランジスタであり、これ以降トランジスタと呼ばれる。
図1の例において、電圧コンバータ101はまた、入力キャパシタ112及び出力キャパシタ114を含む。
【0025】
特に、入力キャパシタ112は、入力端子105と接地端子107との間に結合される。第1のトランジスタ102はまた、入力端子105及び第1のスイッチングノードSW1に結合され、第2のトランジスタ104は、第1のスイッチングノードSW1及び接地端子107に結合される。例えば、トランジスタ102(pMOSデバイスである場合)のドレインは入力端子105に結合され、トランジスタ102のソースはスイッチングノードSW1に結合される。同様に、トランジスタ104(pMOSデバイスである場合)のドレインはスイッチングノードに結合され、トランジスタ104のソースは接地107に結合される。インダクタ110は、第1のスイッチングノードSW1及び第2のスイッチングノードSW2に結合される。特に、第1のスイッチングノードSW1は、インダクタ110の第1の端子に結合するように構成され、第2のスイッチングノードSW2は、インダクタ110の第2の端子に結合するように構成される。第3のトランジスタ106は、第2のスイッチングノードSW2及び出力端子109に結合され、第4のトランジスタ108は、第2のスイッチングノードSW2及び接地端子107に結合される。出力キャパシタ114は、出力端子109と接地端子107との間に結合される。
【0026】
図1の例において、コントローラ103は少なくとも状態機械120を含み、状態機械120は、ゲートドライバ116、118を制御し、電圧コンバータ101のトランジスタ102、104、106、108を(例えば、導通するように、又は導通しないように)制御して、所与のVINに対して、所望のVOUTを提供するように構成される。ゲートドライバ116、118は、チャージポンプを含み得、それらは、簡単にするため図示されていない。状態機械120は、ゲートドライバ116によって、例えば、第1及び第2のトランジスタ102、104のゲートに結合され、ゲートドライバ118によって、例えば、第3及び第4のトランジスタ106、108のゲートに結合される。ゲートドライバ116、118は、図面では簡単にするため2つの別個のモジュールとして示されているが、幾つかの例において、ゲートドライバ116、118の機能がより多くのモジュール(例えば、トランジスタ毎に1つのゲートドライバ)又はより少ないモジュール(例えば、4つのトランジスタ全部に対して1つのゲートドライバ)モジュールによって実施され得る。幾つかの例示の実施形態において、状態機械120は、コントローラ103からの別個の処理ユニットとして、又はより大きな処理デバイスの一部として実装され得る。幾つかの例示の実施形態において、状態機械120(及びコントローラ103)は、プロセッサ(マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ等)又は特定用途向け集積回路(ASIC)を用いて実装され得る。簡単にするため、状態機械120は、ゲートドライバ116、118を介して電圧コンバータ101を制御するか、又はこれ以降に更に詳細に説明されるように、電圧コンバータ101を様々なモード(例えば、降圧モード、昇圧モード、又は昇降圧モード)で動作させることを想定している。
【0027】
図1の例において、コントローラ103はまた、第1の比較器122を含み、第1の比較器122は、出力端子109に結合される反転端子と、基準又は閾値電圧(VREF)を受け取るように構成される非反転端子とを有する。従って、第1の比較器122は、VOUTとVREFを比較し、VOUTがVREFより小さいことに応答して、その出力(COMP OUT)をアサートする。第1の比較器122の出力は、状態機械120への入力であり、その機能はこれ以降に詳細に説明される。従って、コントローラ103は、第1の比較器122の出力に基づいてVOUTを検出するように構成される。
【0028】
コントローラ103はまた、第2の比較器126を含み、第2の比較器126は、スイッチングノードSW1に結合される非反転端子と、上側電流閾値基準電圧(I_PEAK TARGET)を受け取るように構成される反転端子とを有する。スイッチングノードSW1は、インダクタ110(IL)を流れる電流に関連する(例えば、比例する)電圧、例えば、インダクタ110と直列の電流感知レジスタの両端の(又は導通しているトランジスタの1つの両端の)電圧等を有するノードの概略図である。電流感知レジスタは、簡単にするため
図1には示されていない。I_PEAK TARGETは、これ以降に更に詳細に説明されるように、上側の電流閾値(I_PEAK)に関連する(例えば、比例する)。従って、第2の比較器126は、ILとI_PEAK(又はILとI_PEAKに比例する電圧)を比較し、ILがPEAKより大きいことに応答して、その出力をアサートする。第2の比較器126(I_PEAK)の出力は、状態機械120の入力であり、その機能は、これ以降に更に詳細に説明される。
【0029】
コントローラ103はさらに第3の比較器128を含み、第3の比較器128は、スイッチングノードSW2に結合される反転端子と下側の電流閾値基準電圧(I_VALLEY TARGET)を受け取るように構成される非反転端子とを有する。上述のように、スイッチングノードSW2は、ILに関連する(例えば、比例する)電圧を有するノードの概略図である。I_VALLEY TARGETは、これ以降に更に詳細に説明される下側電流閾値(I_VALLEY)に関連する(例えば、比例する)。従って、第3の比較器128は、ILをI_VALLEYと(又は、ILをI_VALLEYに比例する電圧と)比較し、ILがI_VALLEYより小さいことに応答して、出力(I_VALLEY)をアサートする。第3の比較器128の出力は、状態機械120に対する入力であり、その機能は、これ以降に更に詳細に説明される。コントローラ103は、従って、比較器126、128の出力に基づいて、ILを検出するように構成される。
【0030】
コントローラ103はまた、状態機械120に結合されるタイマー124(例えば、カウンタ)を含む。状態機械120は、(例えば、条件が満たされたことに応答して、タイマー124を開始するために)入力をタイマー124に供給する。状態機械120はまた、タイマー124から(例えば、或る時間量が経過したことを示す)入力を受け取る。幾つかの例において、タイマー124はまた、入力としてVIN及びVOUTを受け取り、これらは、タイマー124が示すように構成されている時間量を判定するために用いられる。タイマー124及び状態機械120の機能は、これ以降に更に詳細に説明される。
【0031】
図2~
図5は、種々の例において上述の状態機械120を含むコントローラ103によって制御される電圧コンバータ101をその動作の種々のフェーズにおいて示す。これ以降に更に説明されるように、電圧コンバータ101を
図2~
図5に示される4つのフェーズで動作させることによって、電圧コンバータ101を、上述の調整及びRHPゼロ問題を軽減しながら、降圧モード、昇圧モード、又は昇降圧モードで動作させることができる。また、これ以降に更に説明されるように、電圧コンバータ101の変換エネルギーは、コントローラ103が、これ以降に説明されるI_PEAK及び/又はI_VALLEYの値及び種々のフェーズの長さを調整することによって制御される。電圧コンバータ101が降圧コンバータとして、又は昇圧コンバータとして、又は昇降圧コンバータとして機能するかに関わらず、電圧コンバータ101は、以下に説明される種々のフェーズを介して循環するように状態機械120によって制御される。
【0032】
特に、
図2は、昇圧オンフェーズにおける電圧コンバータ101を示す。昇圧オンフェーズでは、第1のトランジスタ102及び第4のトランジスタ108は導通し、第2のトランジスタ104及び第3のトランジスタ106は導通していない。その結果、
図2において矢印で示されるように電流経路が形成され、インダクタ110は、VINによってオンにされる。昇圧オンフェーズの間、出力キャパシタ114は、(このフェーズの前にストアされた)エネルギーを出力信号(例えば、VOUT)に提供する。
【0033】
図3は、昇圧オフ、降圧オンフェーズにおける電圧コンバータ101を示す。昇圧オフ、降圧オンフェーズでは、第1のトランジスタ102及び第3のトランジスタ106は導通し、第2のトランジスタ104及び第4のトランジスタ108は導通していない。その結果、
図3において矢印で示されるように電流経路が形成され、入力端子105は、インダクタ110によって出力端子109に結合される。
【0034】
図4は、降圧オフフェーズにおける電圧コンバータ101を示す。降圧オフフェーズでは、第2のトランジスタ104及び第3のトランジスタ106は導通し、第1のトランジスタ102及び第4のトランジスタ108は導通していない。その結果、
図4において矢印で示されるように電流経路が形成され、インダクタ110は、エネルギーを出力信号(例えば、VOUT)に提供することによってオフにされる。降圧オフフェーズの間、入力キャパシタ112は、入力信号(例えば、VIN)によって充電される。
【0035】
図5は、休止フェーズにおける電圧コンバータ101を示す。休止フェーズでは、第2のトランジスタ104及び第4のトランジスタ108は導通し、第1のトランジスタ102及び第3のトランジスタ106は導通していない。その結果、
図5において矢印で示されるように電流経路が形成される。休止フェーズでは、インダクタ110が短絡され、その結果、
図5に示されるループを介してほぼ一定の電流となるため、エネルギーが電圧コンバータ101内に保存され、それは、抵抗性損失との組み合わせにおいて、インダクタ110の時間定数に従って、僅かに減少する。これ以降に更に説明されるように、幾つかの例において、状態機械120は、VOUTが目標VOUT閾値電圧より大きい場合は電圧コンバータ101を休止フェーズに留まらせる。幾つかの例において、休止フェーズの導入は、VOUTへのエネルギーの流れを減少させ、一方で、(例えば、
図2に示されるように、VINによって、インダクタ110をオンにすることによって)電圧コンバータ101へのエネルギーの追加を回避する。その結果、電圧コンバータ101に提供されたエネルギーと、VIN及びVOUTの規模に依存しない出力(例えば、VOUTを供給することによる)との間でバランスが維持される。その結果、調整活動に起因するひずみが軽減される。これ以降に更に説明されるように、電圧コンバータ101の調整が、休止フェーズの持続時間の調整を介して達成され、一方、電圧コンバータ101によって、パルス(例えば、
図2~
図5の上述のフェーズを介する単一のサイクル)で供給されるエネルギーはI_PEAK、I_VALLEY、及び
図3に示される昇圧オフ、降圧オンフェーズの長さによって判定される。
【0036】
図6は、上述の電圧コンバータ101に対するコントローラ103としての状態機械120の動作を図示する状態
図600を示す。状態
図600は、
図2に関して上述された、昇圧オンフェーズで電圧コンバータ101を制御する状態機械120に対応する状態602を含む。状態
図600はまた、
図3に関して上述された、昇圧オフ、降圧オンフェーズで電圧コンバータ101を制御する状態機械120に対応する状態604を含む。状態
図600は更に、
図4に関して上述された、降圧オフフェーズで電圧コンバータ101を制御する状態機械120に対応する状態606を含む。最後に、状態
図600は、
図5に関して上述された、休止フェーズで電圧コンバータ101を制御する状態機械120に対応する状態608を含む。
【0037】
状態機械120が電圧コンバータ101を昇圧オンフェーズで制御する状態602の間、インダクタ110の両端にVINが印加されると、インダクタ110はオンにされ、インダクタ110を流れる電流(IL)を増加させる。第2の比較器が、ILがI_PEAKより大きいことを検出した結果、第2の比較器126出力がアサートされて、状態機械120は状態604に遷移する。
【0038】
状態機械120が電圧コンバータ101を昇圧オフ、降圧オンフェーズで制御する状態604の間、インダクタは、入力端子105及び出力端子109の両方に結合される。電圧コンバータ101が降圧モードで動作し、VOUTがVINより小さい例において、状態機械120が状態604で動作する間は、インダクタ110の両端の電圧の極性が状態602と同様なままであることに起因して、ILは増加し続ける。しかしながら、電圧コンバータ101が昇圧モードで動作し、VOUTがVINより大きい例では、状態機械120が状態604で動作する間、インダクタ110の両端の電圧の極性が、状態602に対して反転することに起因して、ILは減少し始める。同様に、電圧コンバータ101が昇降圧モードで動作し、VOUTがVINにほぼ等しい例において、状態機械120が状態604で動作する間に、インダクタ110及びトランジスタ102、106の両方における抵抗性損失等の非理想的回路動作の現実世界への影響に起因して、ILはまた減少し始める。
【0039】
状態604に入ることに応答して、状態機械120は、(例えば、タイマー124に提供された信号をアサートすることによって)タイマー124にタイミングを開始させるように信号を提供する。電圧コンバータ101が降圧モードで動作することに応答して、タイマー124は、VINとVOUTとの差(例えば、T_max=t0-k×(VIN-VOUT))に比例して減少する時間閾値(例えば、T_max)を用いて構成される。これは、VINとVOUTとの間の差が増加すると、より短い時間の間に、エネルギーがインダクタ110から出力(例えば、VOUT)に伝達される状態604に留まる効果を有する。これはまた、T_maxの値が長くなり、インダクタ110の両端の電圧(例えば、VIN-VOUT)が大きくなると増加する恐れのある、インダクタ110リップル電流を減少させる。電圧コンバータ101が、昇圧モード又は昇降圧モードで動作することに応答して、タイマー124は、時間閾値T_max=t0を用いて構成される。これらの例において、t0又はT_maxは、電圧コンバータ101のスイッチング周波数に関連する値である。タイマー124出力がアサートされることは、タイマー124によって保たれた時間(t)がT_maxより大きいことを示す。電圧コンバータ101の動作のモード(例えば、昇圧モード、降圧モード、又は昇降圧モード)に関わらず、タイマー124出力がアサートされると、状態機械120は状態606に遷移する。
【0040】
状態機械120が電圧コンバータ101を降圧オフフェーズで制御する状態606の間、インダクタ110は、エネルギーを出力信号(例えば、VOUT)に提供することによってオフにされ、ILを減少させる。第3の比較器128が、ILがI_VALLEYより小さいことを検出した結果、第3の比較器128出力がアサートされたことによって状態機械120は状態608に遷移する。
【0041】
状態機械120が電圧コンバータ101を休止フェーズで制御する状態608の間、インダクタ110を短絡させることによってエネルギーが電圧コンバータ101内に保存される。ILは、インダクタ110の時間定数と短絡回路経路の両端の抵抗性損失とに起因して、僅かに減少するが、ILは、休止フェーズの間、比較的安定したままである。第3の比較器128が、ILがI_VALLEYより小さいことを検出した結果、第3の比較器128出力がアサートされたことによって、状態機械120は状態608に遷移する。状態機械120は、VOUTが基準又は閾値電圧(VREF)より小さくなるまで、状態608のままである。従って、VOUTの調整は、状態機械120が状態608に留まる持続時間を調整することを介する。第1の比較器122が、VOUTがVREFより小さいことを検出した結果、第1の比較器122出力がアサートされたことによって状態機械120は状態602に戻るように遷移する。
【0042】
再び、状態604に戻ると、昇圧モード及び昇降圧モードでは、ILは、上述のように減少する。第3の比較器128が、ILがI_VALLEYより小さいことを検出した結果、第3の比較器128出力がアサートされたことによって状態機械120は状態608に遷移する。或る例において、状態604の間、ILがI_VALLEYより小さいことは、電圧コンバータ101が、動作パラメータの所与のセットに対して望まれるものより多くのエネルギーを既に出力信号(例えば、VOUT)に提供したことを示す。その結果、電圧コンバータ101が付加的なエネルギーを出力信号(例えば、VOUT)に提供する状態606に最初に遷移する代わりに、状態機械120は、電圧コンバータ101のエネルギーが保存される状態608に直接遷移する。その後、状態機械120は、上述のように状態602に戻るように遷移し、エネルギーが入力信号(例えば、VIN)によって再び電圧コンバータ101に提供される。
【0043】
図7は、種々の例において、降圧モード(VOUT<VIN)で動作する電圧コンバータ101に対する時間の関数としてのILの波形700を示す。波形700は、状態機械120が、インダクタ110の両端に印加されるVINに起因してILが増加する状態602(例えば、昇圧オンフェーズ)で動作することで始まる。時間702で、ILは、I_PEAKに到達し、それによって状態機械120は上述のように状態604に遷移する。この降圧モードの例において、ILは、インダクタ110の両端の電圧(VIN-VOUT)に起因して、速度は遅くなるが、増加し続ける。時間704で、タイマー124は、上述のようにT_maxに到達し、それによって、状態機械120が状態606に遷移する。従って、ILは、エネルギーを出力信号(例えば、VOUT)に提供することによってインダクタ110がオフにされると、減少し始める。時間706で、ILはI_VALLEYに到達し、それによって、状態機械120が、上述のように状態608に遷移する。ILは、インダクタ110の時間定数と短絡回路経路の両端の抵抗性損失との結果として僅かに減少するが、エネルギーは概して、時間706から時間708まで電圧コンバータ101内に保存される。時間708で、VOUTはVREFに到達し、それによって、状態機械120は状態602に戻るように遷移し、説明されたサイクルが繰り返される。
【0044】
図8は、種々の例において、昇圧モード(VOUT>VIN)で動作する電圧コンバータ101に対する時間の関数としてのILの波形800を示す。波形800は、状態機械120が、VINがインダクタ110の両端に印加されていることに起因してILが増加する状態602(例えば、昇圧オンフェーズ)で動作することで始まる。時間802で、ILはI_PEAKに到達し、それによって、状態機械120は、上述のように状態604に遷移する。この昇圧モードの例において、ILは、インダクタ110の両端の電圧が極性を反転すること(例えば、VOUT>VIN)に起因して、減少し始める。時間804で、タイマー124の時間が、上述のようにT_maxに到達し、それによって、状態機械120は状態606に遷移する。従って、エネルギーを出力(例えば、VOUT)に提供することによってインダクタ110がオフにされると、ILは減少し続ける。時間806で、ILはI_VALLEYに到達し、それによって、状態機械120は、上述のように状態608に遷移する。インダクタ110の両端の電圧の結果として、ILは僅かに減少するが、エネルギーは概して、時間806から時間808まで(インダクタ110を介して)電圧コンバータ101内に保存される。時間808で、VOUTはVREFに到達し、それによって状態機械120は状態602に戻るように遷移し、説明されたサイクルが繰り返される。
図8の例には示されていないが、幾つかの例において、ILは時間802の後、より急速に減少し、タイマー124が満了する前にI_VALLEYに到達する。そのような例において、状態機械120は、上述のように状態604から状態608に直接遷移する。
【0045】
図9は、種々の例において、昇降圧モード(VOUT=VIN)で動作する電圧コンバータ101に対する時間の関数としてのILの波形900を示す。波形900は、状態機械120が、VINがインダクタ110の両端に印加されることに起因してILが増加する状態602(例えば、昇圧オンフェーズ)で動作することで始まる。時間902で、ILはI_PEAKに到達し、それによって状態機械120は上述のように状態604に遷移する。この昇降圧モードの例において、ILは、VOUTがVINにほぼ等しいいため、電圧インダクタ110の両端の比較的小さな電圧に起因して、比較的ゆっくり減少し始める。時間904で、タイマー124の時間は、上述のようにT_maxに到達し、それによって状態機械120は状態606に遷移する。従って、ILは、エネルギーを出力信号(例えば、VOUT)に提供することによってインダクタ110がオフにされると、より急速に減少し始める。時間906で、ILは、I_VALLEYに到達し、それによって状態機械120は、上述のように状態608に遷移する。ILは、インダクタ110の時間定数と短絡回路経路の両端の抵抗性損失との結果、僅かに減少するが、エネルギーは概して、時間906から時間908まで、電圧コンバータ101内に保存される。時間908で、VOUTはVREFに到達し、それによって、状態機械120は状態602に戻るように遷移し、説明されたサイクルが繰り返される。
図9の例には示されないが、幾つかの例において、ILは、時間902の後、より急速に減少し、従って、タイマー124が満了する前にI_VALLEYに到達する。そのような例において、状態機械120は、上述のように、状態604から状態608に直接遷移する。
【0046】
状態機械120を用いて電圧コンバータ101のトランジスタ102、104、106、108を制御する上述のコントローラ103の他に、他の例は、電圧コンバータの変換エネルギーを調整するように構成されるコントローラに関連する。そのようなコントローラは、多くの場合、アナログデジタルコンバータ(ADC)に依存してVOUTのアナログ値をデジタル化し、それは、その後、デジタル信号プロセッサ(DSP)によって電圧コンバータの変換エネルギー(例えば、I_PEAK及びI_VALLEYの規模)を適切に制御するように処理される。そのようなADC及びDSPの使用は、複雑であるとともに、比較的大量の電力を消費する。
【0047】
図10は、種々の例におけるシステム1000のブロック図を示す。システム1000は、電圧コンバータ1002と、電圧コンバータ1002に結合されるコントローラ1003とを含む。或る例において、電圧コンバータ1002は、入力端子における入力電圧(VIN)を出力端子における出力電圧(VOUT)に変換する昇降圧コンバータ等のDC-DCコンバータである。少なくとも幾つかの例において、電圧コンバータ1002は、複数モード(例えば、降圧モード、昇圧モード、又は昇降圧モード)で動作するように構成される。或る例において、電圧コンバータ1002は、上述の電圧コンバータ101に構造的に類似する。
【0048】
図10の例において、コントローラ1003は、電圧コンバータ1002の変換エネルギーを調整するように構成される。変換エネルギーは概して、電圧コンバータ1002内の電流レベルを指す。例えば、電流レベルが大きくなると、入力信号(例えば、VIN)から出力信号(例えば、VOUT)に伝達されるエネルギーが多くなる。上述の例に従って電圧コンバータ1002が機能する特定の例において、電圧コンバータ1002の電流レベルは、I_PEAK及び/又はI_VALLEYの値を制御することによって、影響される。例えば、上述のように、I_PEAK及び/又はI_VALLEYの値を増加させることによって、電圧コンバータ1002の電流レベルが増加し、一方、I_PEAK及び/又はI_VALLEYの値を減少させることによって、電圧コンバータ1002の電流レベルが減少する。
【0049】
図10の例において、コントローラ1003は比較器1004を含み、比較器1004は、電圧コンバータ1002の出力端子に結合される反転端子(例えば、VnOUTを受け取るように構成される)と、基準又は閾値電圧(VREF)を受け取るように構成される非反転端子とを有する。従って、比較器1004は、VOUTとVREFを比較し、VOUTがVREFより小さいことに応答して、その出力をアサートする。上記の
図6を参照すると、VOUTがVREFより小さいと、状態608から状態602への遷移に対する条件を満たし、それは、休止フェーズから昇圧オンフェーズへの遷移に対応する。
図10の例では、これは、休止フェーズの終了と共に、前の変換サイクルが終わるので、変換の開始と呼ばれる。或る例において、比較器1004及び第1の比較器122は、単一の構成要素に実装され、その出力は、これ以降に更に説明されるように状態機械120及びコントローラ1003のタイマー1006の両方によって用いられる。
【0050】
コントローラ1003はまた、開始入力(A)及び停止入力(B1)を有するタイマー1006(例えば、カウンタ)を含む。幾つかの例において、タイマー1006はまた、アサートされたことに応答してタイマー1006をオフにするディセーブル入力(B2)を有する。タイマー1006は、開始入力がアサートされたことに応答してタイミングを開始し、停止入力がアサートされたことに応答してタイミングを停止するように構成される。タイマー1006の停止に応答して、タイマー1006は、時間値(例えば、デジタルカウンタの値)をその出力としてラッチするように構成される。タイマー1006の開始入力は、電圧コンバータ1002に結合され、それは、電圧コンバータ1002の変換サイクルのエネルギー伝達部分の終結に応答してアサートされる。
図6の例において、変換サイクルのエネルギー伝達部分は、状態機械120が、(例えば、状態604又は状態606のいずれかから)状態608に遷移することに応答して起こる。タイマー1006の停止入力は、比較器1004の出力に結合される。その結果、タイマー1006の出力は、上述した電圧コンバータ1002の休止フェーズ等のエネルギー保存フェーズの持続時間に対応する。
【0051】
コントローラ1003はまた、タイマー1006に結合され、タイマー1006の出力を入力として受け取るように構成される、時間比較器1008を含む。時間比較器1008は、第2の入力として、基準時間値(例えば、タイマー1006の出力と比較されるデジタル値)を受け取るように構成される。時間比較器1008は複数の出力を含む。所与の時間において、時間比較器1008の出力の1つは、タイマー1006の出力と時間比較器1008への基準時間値入力との間の関係に基づいてアサートされる。
【0052】
例えば、時間比較器1008の第1の出力が、タイマー1006出力が基準時間値から第1の偏差範囲内(例えば、TARGET+/-t(0))であることに応答してアサートされるように構成される。同様に、時間比較器1008の第2の出力が、タイマー1006出力がt(0)よりも大きいが、基準時間値(例えば、TARGET-t(1))より小さい第2の偏差範囲よりも小さいことに応答してアサートされるように構成される。更に、時間比較器1008の第3の出力が、タイマー1006出力がt(0)よりも大きいが、基準時間値(例えば、TARGET+1(2))より大きい第3の偏差範囲よりも小さいことに応答してアサートされるように構成される。幾つかの例において、時間比較器1008は、タイマー1006出力が基準時間値(例えば、TARGET-1(3))より小さいt(1)より大きいことに応答してアサートされるように構成される第4の出力、及びタイマー1006出力が基準時間値(例えば、TARGET+1(4))より大きいt(2)より大きいことに応答してアサートされるように構成される第5の出力等の、付加的な出力を含む。
【0053】
この例において、時間比較器1008は、電圧コンバータ1002の、上述の休止フェーズ等の、エネルギー保存フェーズの持続時間に対応するタイマー1006出力と、休止フェーズの間に電圧コンバータ1002内のエネルギーの保存に基づいて判定され得る基準時間値との間の差を、効果的にビニング(bin)する。その結果、電圧コンバータ1002のエネルギー送達は、変換開始と変換終了との間の時間期間の間に生じる。幾つかの例において、電流レベルを低減し、従って、休止フェーズにおける損失を低減するために、及び休止フェーズ持続時間の変動に対して十分な制御ヘッドルームを提供するために、基準時間値は、変換開始と変換終了の間の時間期間の一部である。休止フェーズの持続時間(例えば、VOUTがVREFを下回るために使う時間)を測定するタイマー1006と、実際の持続時間(例えば、タイマー1006出力)と基準時間値又は持続時間との比較を行う時間比較器1008との組み合わせは、或る程度の誤差が返される。その結果、VOUTの電圧誤差に関する情報が時間ドメインに転送される。
【0054】
コントローラ1003は更に、累算器1010を含む。時間比較器1008の出力は、累算器1010への入力として提供される。従って、累算器1010は、時間比較器1008からの、ビニング又は分類された誤差情報によって制御されるように構成される。累算器1010の出力は、電圧コンバータ1002の変換エネルギーのレベルを制御する値である。例えば、累算器1010出力値が増加すると、I_PEAK及び/又はI_VALLEYの値が増加する。この例を継続すると、累算器1010出力値が減少すると、上述のように、I_PEAK及び/又I_VALLEYの値が減少する。
【0055】
図10の例において、累算器1010は、時間比較器1008の第1の出力がアサートされたことに応答して、その出力値を維持するように構成される。上述のように、時間比較器1008の第1の出力は、タイマー1006出力持続時間が基準時間持続時間の第1の偏差範囲内t(0)であることに応答してアサートされる。これは、電圧コンバータ1002のための変換エネルギー(例えば、I_PEAK及び/又はI_VALLEY値)が特定の負荷に対して適切であることを示し、累算器1010出力値、及び従って、電圧コンバータ1002に対する変換エネルギーが維持される。
【0056】
累算器1010は、時間比較器1008の第2の出力がアサートされていることに応答して、その出力値を増加させるように構成される。上述のように、時間比較器1008の第2の出力は、タイマー1006出力持続時間がt(0)より多いが、基準時間持続時間より少ないTARGET-t(1)より少ないことに応答してアサートされる。これは、電圧コンバータ1002に対する変換エネルギーが特定の負荷に対して低すぎることを示し(例えば、その結果、休止フェーズが予期したより短くなる)、累算器1010出力値、及び従って、電圧コンバータ1002に対する変換エネルギーが増加する。
【0057】
累算器1010は、時間比較器1008の第3の出力がアサートされたことに応答して、その出力値を減少させるように構成される。上述のように、時間比較器1008の第3の出力は、タイマー1006出力持続時間がt(0)よりも大きいが、基準時間持続時間より大きいTARGET+t(2)よりも小さいことに応答してアサートされる。これは、電圧コンバータ1002に対する変換エネルギーが特定の負荷に対して高すぎる(例えば、それによって、休止フェーズが予期したより長くなる)ことを示し、累算器1010出力値、及び従って、電圧コンバータ1002に対する変換エネルギーが減少する。
【0058】
或る例において、時間比較器1008は、上述され
図10に示される第4及び第5の出力等の付加的な出力を含む。これらの例において、累算器1010がその出力値を増加又は減少させる量は、時間比較器1008出力のどれがアサートされるかに応じて変動し得る。例えば、第2の出力がアサートされる場合、累算器1010は、その出力値を第1の量(例えば、
図10の例における1の値)だけ増加させるように構成される。第3の出力がアサートされる場合、累算器1010は、その出力値を第2の量(例えば、同じく、
図10の例における1の値)だけ減少させるように構成される。しかしながら、第4の出力がアサートされる場合、これは、休止フェーズ持続時間が、予期されるより、基準時間値を更に下回っていたため(例えば、TARGET-t(1)未満)、誤差値が大きいことを示す。同様に、第5の出力がアサートされる場合、これは、休止フェーズ持続時間が基準時間値に対して、予期されたものより、更に大きい(例えば、TARGET+1(2)より大きい)ため、誤差値がより大きいことを示す。幾つかの例において、累算器1010は、第4又は第5の出力が、それぞれ、アサートされたことに応答して、その出力を、より大きい量(例えば、+X又は-Y)だけ増加又は減少させるように構成される。これによって、累算器1010は、電圧コンバータ1002の変換エネルギーを必要に応じて、より迅速に増加又は減少させる。
【0059】
幾つかの例において、累算器1010は、時間比較器1008の第4の出力が連続して複数サイクルに対してアサートされたことに応答して、Xの値を増加させるように構成される。また、電圧コンバータ1002が軽い負荷を供給することに応答して、コントローラ1003の電力消費を更に低減するように、時間比較器1008の第5の出力はまた、タイマー1006のディセーブル入力に結合される。従って、休止フェーズがTARGET+1(2)より長いことに応答して、タイマー1006はまた、電力消費を低減するためにディセーブルされる。
【0060】
図10の例において、コントローラ1003は、タイマー1006によって出力された値に応答して、比較器1004の形式の1ビットADCと時間ドメインで動作する後続の回路とを用いて、電圧コンバータ1002の動作を調整する。その結果、幾つかの例において、コントローラ1003の電力消費は、より高精度のADCを用いてアナログ電圧値VOUTをデジタル化し、デジタル化された電圧値を処理して電圧コンバータの動作を制御するコントローラの電力消費より小さい。
【0061】
図11は、種々の例における、
図10に示されるコントローラ1003の動作の状態
図1100を示す。状態
図1100は、(例えば、比較器1004の出力がアサートされた結果として)電圧コンバータ1002が変換サイクルを開始する状態1102を含む。タイマー1006はまた、状態1102において変換サイクルが始まることに応答して、停止される。状態
図1100はその後、状態1104に遷移し、例えば、電圧コンバータ1002によって示されるように、変換サイクルのエネルギー伝達部分が終了するまで状態1104に留まる。
【0062】
電圧コンバータ1002が、変換サイクルのエネルギー伝達部分が終了したことをアサートすることに応答して、タイマー1006がクリアされ開始される状態
図1100に遷移する。上述のように、タイマー1006の開始入力は、変換サイクルのエネルギー伝達部分が終了したことに応答してアサートされる電圧コンバータ1002の出力に結合される。
【0063】
タイマー1006が状態1106において開始された後、状態
図1100は状態1108に進み、そこで、VOUTがVREFより小さいか否かが判定される(例えば、比較器1004によって)。VOUTがVREFより大きい場合、状態
図1100はブロック1110に進み、そこで、タイマー1006の値が、基準時間値(例えば、TARGET)より大きい第3の偏差範囲(例えば、t(4))より大きいか否かが判定される。タイマー1006の値が、TARGET+t(4)より小さい場合、状態
図1100は状態1108に戻る。しかしながら、タイマー1006値がTARGET+t(4)より大きい場合、状態
図1100は状態1112に続き、そこで、タイマー1006は停止又はディスケーブルされ(例えば、上述のように、節電するために)、この時点で、状態
図1100はまた状態1108に戻り、VOUTがいつVREFより小さいかを判定する。
【0064】
状態1108から、VOUTがVREFより小さいことに応答して(例えば、比較器1004の出力によって示される)、状態
図1100は状態1114に続き、そこで、タイマー1006が停止される。状態
図1100はその後、状態1116に続き、そこで、タイマー1006によって出力された時間値が種々の閾値と比較される。上述のように、タイマー1006出力が基準時間値からの第1の偏差範囲(例えば、TARGET+/-1(0))内である場合、変換エネルギー(例えば、I_PEAK及び/又はI_VALLEYの値)が維持され、従って、状態
図1100は状態1102に戻り、新しい変換サイクルが始まる。
【0065】
状態1116に戻って参照すると、タイマー1006出力がt(0)よりも大きいが、基準時間値(例えば、TARGET-t(1))より小さい第2の偏差範囲よりも小さい場合、状態
図1100は状態1120に進み、そこで、電圧コンバータ1002の変換エネルギーは第1の量(例えば、1)だけ増加する。状態
図1100はその後、状態1102に戻り、新しい変換サイクルが始まり、そこで、I_PEAK及び/又はI_VALLEYの値はそれらの前の値に比較して増加する。
【0066】
状態1116に戻って参照すると、タイマー1006出力が、t(0)よりも大きいが、基準時間値(例えば、TARGET+t(2))より大きい第3の偏差範囲よりも小さい場合、状態
図1100は状態1122に進み、そこで、電圧コンバータ1002の変換エネルギーは第2の量(例えば、1)だけ減少する。状態
図1100はその後、状態1102に戻り、新しい変換サイクルが始まり、そこで、I_PEAK及び/又はI_VALLEYの値はそれらの前の値に比較して減少する。
【0067】
状態1116に戻って参照すると、タイマー1006出力が、基準時間値(例えば、TARGET-t(3))より小さいt(1)より大きい場合、状態
図1100は状態1118に進み、そこで、電圧コンバータ1002の変換エネルギーは第4の量(例えば、X)だけ増加する。状態
図1100はその後、状態1102に戻り、新しい変換サイクルが始まり、そこで、I_PEAK及び/又はI_VALLEYの値は、それらの前の値に比較して、更に(例えば、X>1)増加する。
【0068】
再び、状態1116に戻って参照すると、タイマー1006出力が基準時間値(例えば、TARGET+t(4))より大きいt(2)より大きい場合、状態
図1100は状態1124に進み、そこで、電圧コンバータ1002の変換エネルギーは、第5の量(例えば、Y)だけ減少する。状態
図1100はその後、状態1102に戻り、新しい変換サイクルが始まり、そこで、I_PEAK及び/又はI_VALLEYの値は、それらの値の前の値に比較して、更に(例えば、Y>1)減少する。
【0069】
上述のように、状態
図1100は、タイマー1006によって出力された値に応答して、比較器1004の形式の1ビットADCと時間ドメインで動作する後続の回路要素とを用いて電圧コンバータ1002の動作を調整するための方法を提供する。その結果、幾つかの例において、状態
図1100を実装するコントローラ1003の電力消費は、より高精度のADCを用いてアナログ電圧値VOUTをデジタル化し、デジタル化された電圧値を処理して電圧コンバータの動作を制御するコントローラの電力消費より小さい。
【0070】
図12は、種々の例において、降圧モードで動作する電圧コンバータ101、1002に対する時間の関数としての、VOUT、インダクタ電流(IL)、及び累算器1010出力の波形1200を示す。特に、休止フェーズが基準時間値より短い(PAUSE<TARGET)と判定したことに応答して、累算器1010出力は、0x56の値から0x57の値に増加する。その結果、電圧コンバータ101、1002の変換エネルギーは、I_PEAKの値を増加することによって増加する。その後、休止フェーズが基準時間値の第1の偏差範囲内である(PAUSE=TARGET)ことに応答して、累算器1010出力が、0x57の値に維持される。最後に、休止フェーズが基準時間値より長い(PAUSE>TARGET)ことに応答して、累算器1010出力は0x57から0x56に減少する。上記は一例であり、
図10及び
図11に関して上述されるように、そのような調整は、累算器1010出力に対する変化を変動させながら、継続することに留意する。
【0071】
図13は、種々の例において、昇降圧モードで動作する電圧コンバータ101、1002に対する時間の関数としての、VOUT、IL、及び累算器1010出力の波形1300を示す。波形1300は概して上述の波形1200に類似している。例えば、休止フェーズが基準時間値より短いと判定したことに応答して、累算器1010出力は、0x1bの値から0x1cの値に増加する。その結果、電圧コンバータ101、1002の変換エネルギーは、I_PEAKの値を増加させることによって増加する。その後、休止フェーズが基準時間値より長いと判定したことに応答して、累算器1010出力は減少し、0x1cから0x1bに戻る。次のサイクルの間、休止フェーズがまだ基準時間値より長い(例えば、累算器1010出力を1減少させることが、休止フェーズを所望の持続時間に短縮するためには不十分であった)と判定したことに応答して、累算器1010出力は、0x1aまで更に減少する。その結果、累算器1010出力の減少に対応してI_PEAKの値を減少させることによって、電圧コンバータ101、1002の変換エネルギーは減少する。上記は一例であり、
図10及び
図11に関して上述されるように、そのような調整は、累算器1010出力に対する変化を変動させながら、継続することに留意する。
【0072】
図14は、種々の例において昇圧モードで動作する電圧コンバータ101、1002に対する時間の関数としての、VOUT、IL、及び累算器1010出力の波形1400を示す。波形1400は概して上述の波形1200、1300に類似する。例えば、休止フェーズが基準時間値より長いと判定したことに応答して、累算器1010出力は、0x25の値から0x24の値まで減少する。その結果、電圧コンバータ101、1002の変換エネルギーは、I_PEAKの値を減少させることによって減少する。その後、休止フェーズが基準時間値より短いと判定したことに応答して、累算器1010出力が増加され、0x24から0x25に戻る。この動作は、休止フェーズの長さの調整を継続する。上記は一例であり、
図10及び
図11に関して上述されるように、そのような調整が、累算器1010出力に対する変化を変動させながら、継続することに留意する。
【0073】
上述において、用語「含む」及び「包含する」は、制限のない用法で用いられ、従って、「を含むがそれに限定されない」を意味する。用語「結合する」は、本明細書全体に用いられている。この用語は、本明細書の説明と一貫した機能性関係を可能にする接続、通信、又は信号経路を網羅し得る。例えば、デバイスAがデバイスBを制御して或る動作を実施させるための信号を生成する場合、第1の例ではデバイスAはデバイスBに結合し、又は、第2の例ではデバイスAは介在構成要素Cを介してデバイスBに結合する。但し、これは、デバイスAによって生成される制御信号を介して、デバイスAによって制御されるように、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係を実質的に変更しない場合に限る。或るタスク又は機能を実施するように「構成された」デバイスは、製造時に製造者によって、そのタスク又は機能を実施するように構成(例えば、プログラミング及び/又はハードワイヤード)可能であり、或いは、それらの機能及び/又はその他の付加的な又は代替的な機能を実施するように、製造後にユーザによって構成可能(又は再構成可能)であり得る。こういった構成は、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアプログラミングを介してもよく、ハードウェア構成要素の構成及び/又はレイアウトを介してもよく、デバイスの相互接続を介してもよく、又はそれらの組み合わせを介してもよい。更に、或る構成要素を含むと言われる回路又はデバイスは、代わりに、それらの構成要素に結合するように構成されて、説明された回路要素又はデバイスを形成し得る。例えば、1つ又は複数の半導体要素(トランジスタ等)、1つ又は複数の受動要素(抵抗器、キャパシタ、及び/又はインダクタ等)、及び/又は1つ又は複数の源(電圧及び/又は電流源)を含むとして記載される構造は、その代わりに、単一の物理デバイス(例えば、半導体ダイ及び/又はICパッケージ)内に半導体要素のみを含んでもよく、受動要素及び/又は源の少なくとも幾つかに結合するように構成されてもよく、それによって、製造時又は製造時以降の時点のいずれかで、例えばエンドユーザ及び/又は第三者によって、説明された構造を形成する。
【国際調査報告】