(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】LAG-3アンタゴニスト治療のための定量的空間プロファイリング
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20221116BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221116BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221116BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221116BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20221116BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20221116BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P43/00 111
A61P35/00
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K47/68
A61K45/00 101
A61P43/00 121
A61P35/04
G01N33/53 Y
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518264
(86)(22)【出願日】2020-09-22
(85)【翻訳文提出日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 US2020052021
(87)【国際公開番号】W WO2021055994
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】ヘドバッド,サイラス
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,ロビン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジョージ シー
(72)【発明者】
【氏名】バクシー,ビプル アトゥルクマール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF31
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZB072
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC202
4C084ZC422
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB36
4C085BB42
4C085BB43
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
(57)【要約】
本開示は、対象からの腫瘍サンプルにおけるLAG-3の密度スコアおよび/またはLAG-3の割合スコアに基づき、対象における癌を治療するためのLAG-3アンタゴニストおよびそれを含む方法を提供する。本開示は、LAG-3アンタゴニスト治療に反応する対象を同定する方法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)アンタゴニストを対象に投与することを含む、治療を必要としているヒト対象における癌を治療する方法であって、該対象が、対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)高いLAG-3の密度(LAG-3-D)スコア、(ii)高いLAG-3の割合(LAG-3-P)スコア、または(iii)高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示すものとして特定されており、該LAG-3-Dスコアは、腫瘍サンプル中の主要組織適合性複合体クラスII(MHCII)を発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の密度を測定することによって決定され、該LAG-3-Pスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の割合を測定することによって決定される、方法。
【請求項2】
(a)対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)高いLAG-3-Dスコア、(ii)高いLAG-3-Pスコア、または(iii)高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示す対象を特定する工程、および(b)対象にLAG-3アンタゴニストを投与する工程を含む、治療を必要としているヒト対象における癌を治療する方法であって、該LAG-3-Dスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の密度を測定することによって決定され、該LAG-3-Pスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の割合を測定することによって決定される、方法。
【請求項3】
LAG-3アンタゴニスト治療を必要としている対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)LAG-3-Dスコア、(ii)LAG-3-Pスコア、または(iii)LAG-3-DスコアおよびLAG-3-Pスコア双方を計算することを含む、LAG-3アンタゴニスト治療に適した癌に罹患したヒト対象を同定する方法であって、該LAG-3-Dスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の密度を測定することによって決定され、該LAG-3-Pスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の割合を測定することによって決定される、方法。
【請求項4】
対象が、高いLAG-3-Dスコア、高いLAG-3-Pスコアまたは高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示す、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
対象に、LAG-3アンタゴニストを投与することをさらに含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
治療を必要としているヒト対象の癌を治療するためのLAG-3アンタゴニストであって、該対象が、対象から得られた腫瘍サンプルの、(i)高いLAG-3-Dスコア、(ii)高いLAG-3-Pスコアまたは(iii)高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示すものとして同定され、該LAG-3-Dスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の密度を測定することによって決定され、該LAG-3-Pスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の割合を測定することによって決定される、LAG-3アンタゴニスト。
【請求項7】
LAG-3アンタゴニスト治療に適した癌に罹患した対象を同定するためのLAG-3アンタゴニストであって、該対象から得られた腫瘍サンプルにおける(i)LAG-3-Dスコア、(ii)LAG-3-Pスコア、または(iii)LAG-3-DスコアおよびLAG-3-Pスコア双方が計算され、該LAG-3-Dスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の密度を測定することによって決定され、該LAG-3-Pスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の割合を測定することによって決定される、LAG-3アンタゴニスト。
【請求項8】
対象が、高いLAG-3-Dスコア、高いLAG-3-Pスコアまたは高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示す、請求項7に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項9】
LAG-3-Dスコアが、(i)MHCIIを発現する腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の数を、(ii)腫瘍サンプルの腫瘍面積(mm
2)で割った値として算出される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法または請求項6~8のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アゴニスト。
【請求項10】
LAG-3-Pスコアが、(i)MHCIIを発現する腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の数を、(ii)腫瘍サンプル中のLAG-3を発現するT細胞の総数で割った値として算出される、請求項1~5および9のいずれか一項に記載の方法または請求項6~9のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項11】
近傍が、LAG-3とMHCクラスIIとの間および/またはLAG-3と腫瘍細胞上に発現する腫瘍抗原との間である、請求項1~5および9および10のいずれか一項に記載の方法または請求項6~10のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項12】
近傍が、約50μm以下、約45μm以下、約40μm以下、約35μm以下または約30μm以下である、請求項1~5および9~11のいずれか一項に記載の方法または請求項6~11のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項13】
近傍が、約30μm以下である、請求項1~5および9~12のいずれか一項に記載の方法または請求項6~12のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項14】
腫瘍サンプルが、腫瘍組織生検または腫瘍組織切除片から得られた1個以上の腫瘍切片を含む、請求項1~5および9~13のいずれか一項に記載の方法または請求項6~13のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項15】
1個以上の腫瘍切片が、ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織または瞬間凍結腫瘍組織を含む、請求項14に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項16】
1個以上の腫瘍切片が、連続的に切断された腫瘍切片を含む、請求項14または15に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項17】
1個以上の腫瘍切片が、免疫組織化学(IHC)により染色される、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項18】
1個以上の腫瘍切片が、1個の腫瘍切片、2個の腫瘍切片、3個の腫瘍切片、4個の腫瘍切片、5個の腫瘍切片、6個の腫瘍切片、7個の腫瘍切片、8個の腫瘍切片、9個の腫瘍切片、10個の腫瘍切片、11個の腫瘍切片、12個の腫瘍切片、13個の腫瘍切片、14個の腫瘍切片、15個の腫瘍切片、16個の腫瘍切片、17個の腫瘍切片、18個の腫瘍切片、19個の腫瘍切片、20個の腫瘍切片、21個の腫瘍切片、22個の腫瘍切片、23個の腫瘍切片、24個の腫瘍切片、25個の腫瘍切片、26個の腫瘍切片、27個の腫瘍切片、28個の腫瘍切片、29個の腫瘍切片または30個の腫瘍切片を含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項19】
腫瘍サンプルの1個の腫瘍切片が、LAG-3およびMHCIIについて染色される、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項20】
腫瘍切片が、さらに腫瘍抗原について染色される、請求項19に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項21】
腫瘍抗原が、パンサイトケラチン(CK)である、請求項20に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項22】
腫瘍サンプルが、LAG-3について染色された第1の腫瘍切片、MHCIIについて染色された第2の腫瘍切片、および腫瘍抗原について染色された第3の腫瘍切片を含む、請求項14~21のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項23】
第1腫瘍切片、第2腫瘍切片および第3腫瘍切片が、腫瘍サンプルから連続的に切り出される、請求項22に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項24】
高いLAG-3-Dスコアが、少なくとも約5個の細胞/mm
2、少なくとも約10個の細胞/mm
2、少なくとも約15個の細胞/mm
2、少なくとも約20個の細胞/mm
2、少なくとも約25個の細胞/mm
2、少なくとも約30個の細胞/mm
2、少なくとも約35個の細胞/mm
2、少なくとも約40個の細胞/mm
2、少なくとも約45個の細胞/mm
2、少なくとも約50個の細胞/mm
2、少なくとも約55個の細胞/mm
2、少なくとも約60個の細胞/mm
2、少なくとも約65個の細胞/mm
2、少なくとも約70個の細胞/mm
2、少なくとも約75個の細胞/mm
2、少なくとも約80個の細胞/mm
2、少なくとも約85個の細胞/mm
2、少なくとも約90個の細胞/mm
2、少なくとも約95個の細胞/mm
2または少なくとも約100個の細胞/mm
2である、請求項1~5および9~23のいずれか一項に記載の方法、または請求項6~23のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項25】
高いLAG-3-Pスコアが、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約100%である、請求項1~5および9~24のいずれか一項に記載の方法または請求項6~24のいずれか一項に記載の用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項26】
対象が、非応答者(低いLAG-3Dスコア、低いLAG-3-Pスコアまたはその双方を示す対象)と比較して、改善された全生存期間または無増悪生存期間を示す、請求項1~5および9~25のいずれか一項に記載の方法または請求項6~25のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項27】
腫瘍遺伝子変異量(TMB)の状態を測定することをさらに含む、請求項1~5および9~26のいずれか一項に記載の方法または請求項6~26のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項28】
対象が高いTMBを示す、請求項1~5および9~27のいずれか一項に記載の方法、または請求項6~27のいずれか一項に記載の用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項29】
腫瘍における膜性PD-L1発現を測定することをさらに含む、請求項1~5および9~28のいずれか一項に記載の方法または請求項6~28のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項30】
腫瘍がPD-L1陽性である、請求項29に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項31】
腫瘍がLAG-3陽性である、請求項1~5および9~30のいずれか一項に記載の方法または請求項6~30のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項32】
LAG-3アンタゴニストが、可溶性LAG-3ポリペプチドである、請求項1~5および9~31のいずれか一項に記載の方法または請求項6~31のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項33】
可溶性LAG-3ポリペプチドが、融合ポリペプチドである、請求項32に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項34】
可溶性LAG-3ポリペプチドが、LAG-3細胞外ドメインのリガンド結合断片を含む、請求項32または33に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項35】
可溶性LAG-3ポリペプチドが、半減期延長化部位をさらに含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項36】
半減期延長化部位が、免疫グロブリン定常領域またはその一部、免疫グロブリン結合ポリペプチド、免疫グロブリンG(IgG)、アルブミン結合ポリペプチド(ABP)、PAS化部位、HES化部位、XTEN、PEG化部位、Fc領域またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項35に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項37】
可溶性LAG-3ポリペプチドが、IMP321(エフチラギモドα)である、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項38】
LAG-3アンタゴニストが、抗LAG-3抗体である、請求項1~5および9~31のいずれか一項に記載の方法または請求項6~31のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項39】
抗LAG-3抗体が、全長抗体である、請求項38に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項40】
抗LAG-3抗体が、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または多重特異性抗体である、請求項38または39に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項41】
多重特異性抗体が、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である、請求項40に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項42】
抗LAG-3抗体が、F(ab')
2断片、Fab'断片、Fab断片、Fv断片、scFv断片、dsFv断片、dAb断片または単鎖結合ポリペプチドである、請求項38に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項43】
抗LAG-3抗体が、ヒトLAG-3への結合についてBMS-986016(レラトリマブ)と交差競合する、請求項38~42のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項44】
抗LAG-3抗体が、BMS-986016(レラトリマブ)と同じエピトープに結合する、請求項38または43に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項45】
抗LAG-3抗体が、BMS-986016(レラトリマブ)、LAG-525(IMP-701、イエラミリマブ)、MK-4280(28G-10)、REGN3767(フィアンリマブ)、TSR-033、TSR-075、Sym022、FS-118、IMP731(H5L7BW)、GSK2831781、ヒト化BAP050、aLAG3(0414)、aLAG3(0416)、XmAb22841、MGD013、BI754111、P 13B02-30、AVA-017、25F7、AGEN1746であるか、またはその抗原結合部分を含むものである、請求項38~42のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項46】
LAG-3アンタゴニストが固定用量で投与される、請求項1~5および9~45のいずれか一項に記載の方法または請求項6~45のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項47】
LAG-3アンタゴニストが、体重を基準とした用量で投与される、請求項1~5および9~45のいずれか一項に記載の方法または請求項6~45のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項48】
約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、約6週間に1回、約7週間に1回、約8週間に1回、約9週間に1回、約10週間に1回、約11週間に1回または約12週間に1回投与される、請求項46または47記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項49】
対象に追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項1~5および9~48のいずれか一項に記載の方法または請求項6~48のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項50】
追加の治療剤が、抗癌剤を含む、請求項49に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項51】
抗癌剤が、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血管新生剤、チェックポイント阻害剤、チェックポイント刺激剤、化学療法剤、免疫療法剤、白金剤、アルキル化剤、タキサン、核酸アナログ、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイドまたはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項50に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項52】
チロシンキナーゼ阻害剤が、ソラフェニブ、レンバチニブ、レゴラフェニブ、カボザンチニブ、スニチニブ、ブリバニブ、リニファニブ、エルロチニブ、ペミガチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、テムシロリムスまたはそれらの組み合わせを含む、請求項51に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項53】
抗血管新生剤が、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、VEGF受容体(VEGFR)、血小板由来増殖因子(PDGF)、PDGF受容体(PDGFR)、アンジオポエチン(Ang)、Ig様およびEGF様ドメイン(Tie)受容体を含むチロシンキナーゼ、肝細胞増殖因子(HGF)、チロシンプロテインキナーゼMet(c-MET)、C型レクチンファミリー14メンバーA(CLEC14A)、マルチメリン2(MMRN2)、ヒートショックタンパク質70-1A(HSP70-1A)、上皮成長因子(EGF)またはEGF受容体(EGFR)の阻害剤あるいはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項51または52記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項54】
抗血管新生剤が、ベバシズマブ、ラムシルマブ、アフリベルセプト、タニビルマブ、オララツマブ、ネスバクマブ、AMG780、MEDI3617、バヌシズマブ、リロツムマブ、フィクラツズマブ、TAK-701、オナルツズマブ、エミベツズマブまたはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項51~53までのいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項55】
チェックポイント阻害剤が、プログラム死-1(PD-1)経路阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)阻害剤、T細胞免疫グロブリンおよびITIMドメイン(TIGIT)阻害剤、T細胞免疫グロブリンおよびムチン-ドメイン含有3(TIM-3)阻害剤、TIM-1阻害剤、TIM-4阻害剤、B7-H3阻害剤、B7-H4阻害剤、BおよびT細胞リンパ球減衰因子(BTLA)阻害剤、T細胞活性化(VISTA)阻害剤のV-ドメインIg抑制剤、IDO(インドールアミン 2,3-ジオキシゲナーゼ)阻害剤、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸酸化酵素アイソフォーム2(NOX2)阻害剤、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)阻害剤、アデノシンA2a受容体(A2aR)阻害剤、トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)阻害剤、ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)阻害剤、CD47阻害剤、CD48阻害剤、CD73阻害剤、CD113阻害剤、シアル酸結合免疫グロブリン様レクチン7(SIGLEC-7)阻害剤、SIGLEC-9阻害剤、SIGLEC-15阻害剤、グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質(GITR)阻害剤、ガレクチン1阻害剤、ガレクチン2阻害剤、ガレクチン-9阻害剤、癌胎児性抗原関連細胞接着分子-1(CEACAM-1)阻害剤、Gタンパク質共役型受容体56(GPR56)阻害剤、糖タンパク質A反復優勢(GARP)阻害剤、2B4阻害剤、プログラム死1ホモログ(PD1H)阻害剤、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)阻害剤またはこれらの組み合わせを含む、請求項51~54のいずれかに記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項56】
チェックポイント阻害剤が、PD-1経路阻害剤を含む、請求項51~55のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項57】
PD-1経路阻害剤が、抗PD-1抗体および/または抗PD-L1抗体である、請求項55または56に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項58】
PD-1経路阻害剤が、抗PD-1抗体である、請求項56または57に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項59】
抗PD-1抗体が、全長抗体である、請求項57または58に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項60】
抗PD-1抗体が、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または多重特異性抗体である、請求項57~59のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項61】
多重特異性抗体が、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である、請求項60に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項62】
抗PD-1抗体が、F(ab')
2断片、Fab'断片、Fab断片、Fv断片、scFv断片、dsFv断片、dAb断片または単鎖結合ポリペプチドである、請求項57または58に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項63】
抗PD-1抗体が、ヒトPD-1への結合についてニボルマブと交差競合する、請求項57~62のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項64】
抗PD-1抗体が、ニボルマブと同じエピトープに結合する、請求項57~63のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項65】
抗PD-1抗体が、ヒトPD-1への結合についてペムブロリズマブと交差競合する、請求項57~62のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項66】
抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブと同じエピトープに結合する、請求項57~62または65のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項67】
抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、PDR001、MEDI-0680、TSR-042、セミプリマブ、JS001、PF-06801591、BGB-A317、BI 754091、INCSHR1210、GLS-010、AM-001、STI-1110、AGEN2034、MGA012、BCD-100、IBI308、SSI-361またはその抗原結合部分である、請求項57~62のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項68】
PD-1経路阻害剤が、可溶性PD-L2ポリペプチドである、請求項55または56に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項69】
可溶性PD-L2ポリペプチドが、融合ポリペプチドである、請求項68に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項70】
可溶性PD-L2ポリペプチドが、PD-L2細胞外ドメインのリガンド結合断片を含む、請求項68または69に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項71】
可溶性PD-L2ポリペプチドが、半減期延長化部位をさらに含む、請求項68~70のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項72】
半減期延長化部位が、免疫グロブリン定常領域またはその一部、免疫グロブリン結合ポリペプチド、免疫グロブリンG(IgG)、アルブミン結合ポリペプチド(ABP)、PAS化部位、HES化部位、XTEN、PEG化部位、Fc領域またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項71に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項73】
可溶性PD-L2ポリペプチドが、AMP-224である、請求項72に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項74】
PD-1経路阻害剤が、抗PD-L1抗体である、請求項56または57に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項75】
抗PD-L1抗体が、全長抗体である、請求項57または74に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項76】
抗PD-L1抗体が、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または多重特異性抗体である、請求項57、74または75のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項77】
多重特異性抗体が、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である、請求項76に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項78】
抗PD-L1抗体が、F(ab')
2断片、Fab'断片、Fab断片、Fv断片、scFv断片、dsFv断片、dAb断片または単鎖結合ポリペプチドである、請求項57または74に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項79】
抗PD-L1抗体が、ヒトPD-L1への結合についてアテゾリズマブと交差競合する、請求項57または74~78のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項80】
抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブと同じエピトープに結合する、請求項57または74~79のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項81】
抗PD-L1抗体が、ヒトPD-L1への結合についてデュルバルマブと交差競合する、請求項57または74~78のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項82】
抗PD-L1抗体が、デュルバルマブと同じエピトープに結合する、請求項57、74~78または81のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項83】
抗PD-L1抗体が、ヒトPD-L1への結合についてアベルマブと交差競合する、請求項57または74~78のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項84】
抗PD-L1抗体が、アベルマブと同じエピトープに結合する、請求項57、74~78または83のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項85】
抗PD-L1抗体が、BMS-936559、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、STI-1014、CX-072、KN035、LY3300054、BGB-A333、ICO36、CK-301であるか、またはその抗原結合部分を含む、請求項57または74~78のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項86】
PD-1経路阻害剤が、BMS-986189である、請求項56または57に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項87】
チェックポイント阻害剤が、CTLA-4阻害剤を含む、請求項51~86のいずれか一項に記載した用途のための方法またはLAG-3アンタゴニスト。
【請求項88】
CTLA-4阻害剤が、抗CTLA-4抗体である、請求項87に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項89】
抗CTLA-4抗体が、全長抗体である、請求項88に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項90】
抗CTLA-4抗体が、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または多重特異性抗体である、請求項88または89に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項91】
多重特異性抗体が、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である、請求項90に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項92】
抗CTLA-4抗体が、F(ab')
2断片、Fab'断片、Fab断片、Fv断片、scFv断片、dsFv断片、dAb断片または単鎖結合ポリペプチドである、請求項88に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項93】
抗CTLA-4抗体が、ヒトCTLA-4への結合についてイピリムマブと交差競合する、請求項88~92のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項94】
抗CTLA-4抗体が、イピリムマブと同じエピトープに結合する、請求項88~93のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項95】
チェックポイント阻害剤が、静脈内投与のために製剤化される、請求項51~94のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項96】
LAG-3アンタゴニストおよびチェックポイント阻害剤が、別々に製剤化されている、請求項51~95のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニストの使用。
【請求項97】
チェックポイント阻害剤が、2以上のチェックポイント阻害剤を含む場合に、各チェックポイント阻害剤が別々に製剤化される、請求項96に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項98】
LAG-3アンタゴニストおよびチェックポイント阻害剤が、一緒に製剤化されている、請求項51~95のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項99】
チェックポイント阻害剤が、2以上のチェックポイント阻害剤を含む場合に、2つ以上のチェックポイント阻害剤が一緒に製剤化される、請求項98に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項100】
チェックポイント阻害剤が、LAG-3アンタゴニストの前に投与される、請求項96または97に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項101】
LAG-3アンタゴニストが、チェックポイント阻害剤の前に投与される、請求項96または97に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項102】
LAG-3アンタゴニストおよびチェックポイント阻害剤が、同時に投与される、請求項96~99のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項103】
チェックポイント阻害剤が、固定用量で投与される、請求項51~102のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項104】
チェックポイント阻害剤が、体重に基づく用量で投与される、請求項51~102のいずれか一項に記載の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項105】
用量が、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、約6週間に1回、約7週間に1回、約8週間に1回、約9週間に1回、約10週間に1回、約11週間に1回または約12週間に1回投与される、請求項103または104の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項106】
癌が、乳癌、肝細胞癌、胃食道癌、黒色腫、膀胱癌、胃癌、肺癌、腎臓癌、頭頸部癌、結腸癌およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~5および9~105のいずれか一項に記載の方法または請求項6~105のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項107】
癌が膀胱癌である、請求項1~5および9~106のいずれか一項に記載の方法または請求項6~106のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項108】
癌が胃癌である、請求項1~5および9~106のいずれか一項に記載の方法または請求項6~106のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項109】
癌が黒色腫である、請求項1~5および9~106のいずれか一項に記載の方法または請求項6~106のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項110】
癌が肺癌である、請求項1~5および9~106のいずれか一項に記載の方法または請求項6~106のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項111】
癌が乳癌である、請求項1~5および9~106のいずれか一項に記載の方法または請求項6~106のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項112】
癌が肝細胞癌である、請求項1~5および9~106のいずれか一項に記載の方法または請求項6~106のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項113】
癌が切除不能な癌である、請求項1~5および9~112のいずれか一項に記載の方法または請求項6~112のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項114】
癌が局所進行性である、請求項1~5および9~112のいずれか一項に記載の方法または請求項6~112のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項115】
癌が転移性である、請求項1~5および9~112のいずれか一項に記載の方法または請求項6~112のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項116】
投与により、癌が治療される、請求項1~5および9~115のいずれか一項に記載の方法または請求項6~115のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項117】
投与により、癌関連腫瘍の大きさが低下する、請求項1~5および9~116のいずれか一項に記載の方法または請求項6~116のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項118】
腫瘍の大きさが、投与前の腫瘍の大きさと比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%または約50%低下する、請求項1~5および9~117のいずれか一項に記載の方法または請求項6~117のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項119】
対象が、最初の投与から、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、請求項1~5および9~118のいずれか一項に記載の方法または請求項6~118のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項120】
対象が、投与後に安定を示す、請求項1~5および9~119のいずれか一項に記載の方法または請求項6~119のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項121】
対象が、投与後に部分奏効を示す、請求項1~5および9~119のいずれか一項に記載の方法または請求項6~119のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項122】
対象が、投与後に完全奏効を示す、請求項1~5および9~119のいずれか一項に記載の方法または請求項6~119のいずれか一項に記載した用途のためのLAG-3アンタゴニスト。
【請求項123】
腫瘍に罹患した対象を治療するためのキットであって、該キットは、以下:
(a)LAG-3アンタゴニストの投与量;および
(b)請求項1~5および9~122のいずれかに記載の方法におけるLAG-3アンタゴニストの使用説明書、または請求項6~122のいずれかに記載した用途のためのLAG-3アンタゴニストの使用説明書、
を含む、キット。
【請求項124】
投与量のPD-1経路阻害剤をさらに含む、請求項123に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願のPCT出願は、2019年9月22日に出願された米国仮出願第62/903,887号の優先権の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、対象からの腫瘍サンプルにおけるLAG-3および主要組織適合性複合体クラスII(MHCII)の定量的空間プロファイリングに基づく、対象の癌を治療するためのLAG-3アンタゴニスト治療を提供する。
【背景技術】
【0003】
LAG-3(CD223)は、活性化されたCD4+およびCD8+T細胞、ならびにNKおよび樹状細胞のサブセットの細胞表面に発現しているI型膜貫通タンパク質である(Triebel F, et al, J. Exp. Med. 1990; 171:1393-1405;Workman C J, et al., J. Immunol. 2009; 182(4):1885-1891)。LAG-3は、ヘルパーT細胞活性化の共受容体であるCD4と密接な関係にある。両分子とも4つの細胞外Ig様ドメインを有し、MHCIIに結合する。CD4とは対照的に、LAG-3は、活性化T細胞の細胞表面にのみ発現し、細胞表面からの切断によりLAG-3シグナル伝達は終了する。LAG-3は、可溶性タンパク質としても存在するが、その機能は不明である。
【0004】
抗原に曝露され続けたT細胞は、「疲弊」と呼ばれる過程を経て、次第に不活性化されるようになる。疲弊したT細胞は、T細胞の負の制御性受容体、主に細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)、プログラム細胞死1(Programmed Cell Death 1)(PD-1)およびLAG-3の発現を特徴とし、その作用は、細胞の増殖、サイトカイン産生および標的細胞殺傷能力を制限すること、および/またはTreg活性を増強させることである。しかし、腫瘍の成長および再発におけるこれらの分子の発現の時期および順序は、十分に解明されていない。
【0005】
個別化医療という新たな分野では、薬理遺伝学の進歩により、有効性を高めて、副作用を最小限に抑えるために、規定された部分集団、ひいては個々の患者に合わせたテーラーメド治療に使用されることが次第に増えることが期待される。しかし、標的が、選択された癌集団に存在する活性化突然変異を区別する低分子薬の臨床開発とは異なり、癌免疫治療における具体的なチャレンジとして、患者の選択を可能とし、かつ治療中の管理指標となり得る予測的バイオマーカーの同定が行われてきた。
【0006】
特定の抗癌剤に反応する可能性が高い患者を同定する、即ち癌と診断された患者の臨床転帰を改善するバイオマーカーおよび標的化治療戦略に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)アンタゴニストを対象に投与することを特徴とする、治療を必要としているヒト対象の癌を治療する方法に関するものであって、前記対象は、対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)高いLAG-3密度(LAG-3-D)スコアを示す;(ii)高いLAG-3の割合(LAG-3-P)スコアを示すか;または(iii)高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示すものとして同定され、ここで前記LAG-3-Dスコアは、腫瘍サンプル中の主要組織適合性複合体クラスII(MHCII)を発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の密度を測定することによって決定され、前記LAG-3-Pスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の割合を測定することによって決定される。
【0008】
本開示は、(a)対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)高いLAG-3-Dスコア、(ii)高いLAG-3-Pスコア、または(iii)高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示す対象を同定する工程;および、(b)対象にLAG-3アンタゴニストを投与する工程を特徴とする、治療を必要としているヒト対象の癌を治療する方法に関するものであって、ここで前記LAG-3-Dスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の密度を測定することによって決定され、前記LAG-3-Pスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の割合を測定することによって決定される。
【0009】
本開示は、LAG-3アンタゴニスト治療を必要としている対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)LAG-3-Dスコア、(ii)LAG-3-Pスコア、または(iii)LAG-3-DスコアおよびLAG-3-Pスコア双方を計算することを特徴とする、LAG-3アンタゴニスト治療に適した癌に罹患したヒト対象を同定する方法に関するものであって、ここで前記LAG-3-Dスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の密度を測定することによって決定され、前記LAG-3-Pスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の割合を測定することによって決定される。いくつかの態様において、対象は、高いLAG-3-Dスコア、高いLAG-3-Pスコア、または高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示す。いくつかの態様において、本方法は、対象にLAG-3アンタゴニストを投与することをさらに特徴とする。
【0010】
本開示は、治療を必要としているヒト対象の癌を治療するためのLAG-3アンタゴニストに関するものであって、前記対象は、対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)高いLAG-3-Dスコア、(ii)高いLAG-3-Pスコア、または(iii)高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示すものとして同定され、ここで前記LAG-3-Dスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の密度を測定することによって決定され、前記LAG-3-Pスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の割合を測定することによって決定される。
【0011】
本開示は、LAG-3アンタゴニスト治療に適した癌に罹患した対象を同定するためのLAG-3アンタゴニストに関するものであって、ここで対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)LAG-3-Dスコア、(ii)LAG-3-Pスコア、または(iii)LAG-3-DスコアおよびLAG-3-Pスコア双方が計算され、ここで前記LAG-3-Dスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の密度を測定することによって決定され、前記LAG-3-Pスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1個以上の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の割合を測定することによって決定される。いくつかの態様において、対象は、高いLAG-3-Dスコア、高いLAG-3-Pスコア、または高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示す。
【0012】
いくつかの態様において、LAG-3-Dスコアは、(i)MHCIIを発現する腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞数を、(ii)腫瘍サンプルの腫瘍面積(mm2)で割った値として算出される。
【0013】
いくつかの態様において、LAG-3-Pスコアは、(i)MHCIIを発現する腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の数を(ii)腫瘍サンプル中のLAG-3を発現するT細胞の総数で割ったものとして算出される。
【0014】
いくつかの態様において、近傍とは、LAG-3とMHCクラスIIとの間および/またはLAG-3と腫瘍細胞上に発現している腫瘍抗原との間である。
【0015】
いくつかの態様において、近傍とは、約50μmに等しいか、またはそれ以下、約45μmに等しいか、またはそれ以下、約40μmに等しいか、またはそれ以下、約35μmに等しいか、またはそれ以下、あるいは約30μmに等しいか、またはそれ以下である。
【0016】
いくつかの態様において、近傍とは、約30μmに等しいか、またはそれ以下である。
【0017】
いくつかの態様において、腫瘍サンプルとは、腫瘍組織生検または腫瘍組織切除片から得られた1個以上の腫瘍切片を含む。いくつかの態様において、1個以上の腫瘍切片は、ホルマリン固定、パラフィン包埋腫瘍組織または瞬間凍結腫瘍組織を含んでいる。いくつかの態様において、1個以上の腫瘍切片は、連続的に切断された腫瘍切片を含む。いくつかの態様において、1個以上の腫瘍切片は、免疫組織化学(IHC)により染色される。いくつかの態様において、1個以上の腫瘍切片とは、1個の腫瘍切片、2個の腫瘍切片、3個の腫瘍切片、4個の腫瘍切片、5個の腫瘍切片、6個の腫瘍切片、7個の腫瘍切片、8個の腫瘍切片、9個の腫瘍切片、10個の腫瘍切片、11個の腫瘍切片、12個の腫瘍切片、13個の腫瘍切片、14個の腫瘍切片、15個の腫瘍切片、16個の腫瘍切片、17個の腫瘍切片、18個の腫瘍切片、19個の腫瘍切片、20個の腫瘍切片、21個の腫瘍切片、22個の腫瘍切片、23個の腫瘍切片、24個の腫瘍切片、25個の腫瘍切片、26個の腫瘍切片、27個の腫瘍切片、28個の腫瘍切片、29個の腫瘍切片または30個の腫瘍切片を含む。いくつかの態様において、腫瘍サンプルの1個の腫瘍切片は、LAG-3およびMHCIIについて染色される。いくつかの態様において、前記腫瘍切片は、腫瘍抗原、例えば、パンサイトケラチン(CK)についてさらに染色される。いくつかの態様において、腫瘍サンプルは、LAG-3について染色された第1の腫瘍切片、MHCIIについて染色された第2の腫瘍切片および腫瘍抗原について染色された第3の腫瘍切片を含む。いくつかの態様において、第1の腫瘍切片、第2の腫瘍切片および第3の腫瘍切片は、腫瘍サンプルから連続的に切り出される。
【0018】
いくつかの態様において、高いLAG-3-Dスコアとは、少なくとも約5個の細胞/mm2、少なくとも約10個の細胞/mm2、少なくとも約15個の細胞/mm2、少なくとも約20個の細胞/mm2、少なくとも約25個の細胞/mm2、少なくとも約30個の細胞/mm2、少なくとも約35個の細胞/mm2、少なくとも約40個の細胞/mm2、少なくとも約45個の細胞/mm2である。少なくとも約50個の細胞/mm2、少なくとも約55個の細胞/mm2、少なくとも約60個の細胞/mm2、少なくとも約65個の細胞/mm2、少なくとも約70個の細胞/mm2、少なくとも約75個の細胞/mm2、少なくとも約80個の細胞/mm2、少なくとも約85個の細胞/mm2、少なくとも約90個の細胞/mm2、少なくとも約95個の細胞/mm2または少なくとも約100個の細胞/mm2である。
【0019】
いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約100%である。
【0020】
いくつかの態様において、対象は、非応答対象(低いLAG-3Dスコア、低いLAG-3-Pスコアまたは前記両方を示す対象)と比較して、改善された全生存率または無増悪生存率を示す。
【0021】
いくつかの態様において、上記の方法のまたは用途のためのLAG-3アンタゴニストいずれかにより、腫瘍遺伝子変異量(TMB)が測定されることをさらに含む。
【0022】
いくつかの態様において、対象は高いTMBを示す。
【0023】
いくつかの態様において、上記の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニストのいずれかにより、腫瘍における膜性PD-L1発現が測定されることをさらに含む。いくつかの態様において、腫瘍は、PD-L1陽性である。
【0024】
いくつかの態様において、腫瘍はLAG-3陽性である。
【0025】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストは、可溶性LAG-3ポリペプチドである。いくつかの態様において、可溶性LAG-3ポリペプチドは、融合ポリペプチドである。いくつかの態様において、可溶性LAG-3ポリペプチドは、LAG-3細胞外ドメインのリガンド結合断片を含んでいる。いくつかの態様において、可溶性LAG-3ポリペプチドは、半減期延長化部位をさらに含んでいる。いくつかの態様において、半減期延長化部分は、免疫グロブリン定常領域またはその一部、免疫グロブリン結合ポリペプチド、免疫グロブリンG(IgG)、アルブミン結合ポリペプチド(ABP)、PAS化部分、HES化部分、XTEN、PEG化部分、Fc領域またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様において、可溶性LAG-3ポリペプチドは、IMP321(エフティラギモドα)である。
【0026】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストは、抗LAG-3抗体である。
【0027】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、全長抗体である。いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または多重特異性抗体である。いくつかの態様では、多重特異性抗体は、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である。
【0028】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、F(ab')2断片、Fab'断片、Fab断片、Fav断片、scFv断片、dsFv断片、dAb断片または単鎖結合ポリペプチドである。
【0029】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、ヒトLAG-3への結合についてBMS-986016(レラトリマブ)と交差競合する。
【0030】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、BMS-986016(レラトリマブ)と同じエピトープに結合する。
【0031】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、BMS-986016(レラトリマブ)、LAG-525(IMP-701、イエラミリマブ)、MK-4280(28G-10)、REGN3767(フィアンリマブ)、TSR-033、TSR-075、Sym022、FS-118,IMP731(H5L7BW)、GSK2831781、ヒト化BAP050、aLAG3(0414)、aLAG3(0416)、XmAb22841、MGD013、BI754111、P13B02-30、AVA-017、25F7、AGEN1746であるか、またはそれらの抗原結合部分を含んでいる。
【0032】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストは、固定用量で投与される。
【0033】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストは、体重に基づく用量で投与される。
【0034】
いくつかの態様において、上記用量のいずれかが、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、約6週間に1回、約7週間に1回、約8週間に1回、約9週間に1回、約10週間に1回、約11週間に1回または約12週間に1回投与される。
【0035】
いくつかの態様において、上記の方法または用途のためのLAG-3アンタゴニストのいずれかは、別の治療剤を対象に投与することをさらに含む。
【0036】
いくつかの態様において、別の治療剤は、抗癌剤を含む。
【0037】
いくつかの態様において、抗癌剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血管新生剤、チェックポイント阻害剤、チェックポイント刺激剤、化学療法剤、免疫療法剤、白金剤、アルキル化剤、タキサン、核酸アナログ、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイドまたはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0038】
いくつかの態様において、チロシンキナーゼ阻害剤は、ソラフェニブ、レンバチニブ、レゴラフェニブ、カボザンチニブ、スニチニブ、ブリバニブ、リニファニブ、エルロチニブ、ペミガチブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、テムシオロリムスまたはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0039】
いくつかの態様において、抗血管新生剤は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、VEGF受容体(VEGFR)、血小板由来増殖因子(PDGF)、PDGF受容体(PDGFR)、アンジオポエチン(Ang)、Ig様およびEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ(Tie)受容体、肝細胞増殖因子(HGF)、チロシンタンパク質キナーゼMet(c-MET)、C型レクチンファミリー14メンバーA(CLEC14A)、マルチメリン2(MMRN2)、ヒートショックタンパク質70-1A(HSP70-1A)、上皮増殖因子(EGF)、EGF受容体(EGFR)の阻害剤またはそれらの任意の組合せを含む。
【0040】
いくつかの態様において、抗血管新生剤は、ベバシズマブ、ラムシルマブ、アフリベルセプト、タニビルマブ、オララツマブ、ネスバクマブ、AMG780、MEDI3617、バヌシズマブ、リロツムマブ、フィクラツズマブ、TAK-701、オナルツズマブ、エミベツズマブまたはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0041】
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤は、プログラム死-1(PD-1)経路阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)阻害剤、T細胞免疫グロブリンおよびITIMドメイン(TIGIT)阻害剤、T細胞免疫グロブリンおよびムチン-ドメイン含有3(TIM-3)阻害剤、TIM-1阻害剤、TIM-4阻害剤、B7-H3阻害剤、B7-H4阻害剤、BおよびT細胞リンパ球減衰因子(BTLA)阻害剤、T細胞活性化阻害剤(VISTA)のVドメインIg抑制因子、インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸酸化酵素アイソフォーム2(NOX2)阻害剤、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)阻害剤、アデノシンA2a受容体(A2aR)阻害剤、トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)阻害剤、ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)阻害剤、CD47阻害剤、CD48阻害剤、CD73阻害剤、CD113阻害剤、シアル酸結合免疫グロブリン様レクチン7(SIGLEC-7)阻害剤、SIGLEC-9阻害剤、SIGLEC-15阻害剤、グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(GITR)阻害剤、ガレクチン-1阻害剤、ガレクチン-9阻害剤、癌胎児性抗原関連細胞接着分子-1(CEACAM-1)阻害剤、Gタンパク質共役型受容体56(GPR56)阻害剤、糖タンパク質A反復優勢(GARP)阻害剤、2B4阻害剤、プログラム死-1ホモログ(PD1H)阻害剤、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)阻害剤またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0042】
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤は、PD-1経路阻害剤を含む。いくつかの態様において、PD-1経路阻害剤は、抗PD-1抗体および/または抗PD-L1抗体である。
【0043】
いくつかの態様において、PD-1経路阻害剤は、抗PD-1抗体である。いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、全長抗体である。いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または多重特異性抗体である。いくつかの態様において、多重特異性抗体は、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である。いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、F(ab')2断片、Fab'断片、Fab断片、Fv断片、scFv断片、dsFv断片、dAb断片または一本鎖結合ポリペプチドである。
【0044】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ヒトPD-1への結合についてニボルマブと交差競合する。いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブと同じエピトープに結合する。
【0045】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ヒトPD-1への結合についてペムブロリズマブと交差競合する。いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブと同じエピトープに結合する。
【0046】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、PDR001、MEDI-0680、TSR-042、セミプリマブ、JS001、PF-06801591、BGB-A317、BI 754091、INCSHR1210、GLS-010、AM-001、STI-1110、AGEN2034、MGA012、BCD-100、IBI308、SSI-361であるか、またはその抗原結合部分を含む。
【0047】
いくつかの態様において、PD-1経路阻害剤は、可溶性PD-L2ポリペプチドである。いくつかの態様において、可溶性PD-L2ポリペプチドは、融合ポリペプチドである。いくつかの態様において、可溶性PD-L2ポリペプチドは、PD-L2細胞外ドメインのリガンド結合断片を含む。いくつかの態様において、可溶性PD-L2ポリペプチドは、半減期延長化部位をさらに含んでいる。いくつかの態様において、半減期延長化部位は、免疫グロブリン定常領域またはその一部、免疫グロブリン結合ポリペプチド、免疫グロブリンG(IgG)、アルブミン結合ポリペプチド(ABP)、PAS化部分、HES化部分、XTEN、PEG化部分、Fc領域またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様において、可溶性PD-L2ポリペプチドは、AMP-224である。
【0048】
いくつかの態様において、PD-1経路阻害剤は、抗PD-L1抗体である。いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、全長抗体である。いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または多重特異性抗体である。いくつかの態様において、多重特異性抗体は、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である。いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、F(ab')2断片、Fab'断片、Fab断片、scFv断片、dsFv断片、dAb断片または一本鎖結合ポリペプチドである。
【0049】
いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1への結合についてアテゾリズマブと交差競合する。いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブと同じエピトープに結合する。
【0050】
いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1への結合についてデュルバルマブと交差競合する。いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、デュルバルマブと同じエピトープに結合する。
【0051】
いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1への結合についてアベルマブと交差競合する。いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、アベルマブと同じエピトープに結合する。
【0052】
いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、BMS-936559、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、STI-1014、CX-072、KN035、LY3300054、BGB-A333、ICO36、CK-301またはその抗原結合部分を含む。
【0053】
いくつかの態様において、PD-1経路阻害剤は、BMS-986189である。
【0054】
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤を含む。
【0055】
いくつかの態様において、CTLA-4阻害剤は、抗CTLA-4抗体である。いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体は、全長抗体である。いくつかの態様では、抗CTLA-4抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または多重特異性抗体である。いくつかの態様において、多重特異性抗体は、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である。いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体は、F(ab')2断片、Fab'断片、Fab断片、Fv断片、scFv断片、dsFv断片、dAb断片または一本鎖結合ポリペプチドである。
【0056】
いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体は、ヒトCTLA-4への結合についてイピリムマブと交差競合する。いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブと同じエピトープに結合する。
【0057】
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤は、静脈内投与のために製剤化される。
【0058】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストおよびチェックポイント阻害剤は、別々に製剤化される。いくつかの態様において、各チェックポイント阻害剤が、2つ以上のチェックポイント阻害剤を含む場合、各チェックポイント阻害剤は、別々に製剤化される。
【0059】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストおよびチェックポイント阻害剤は、一緒に製剤化される。いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤が、2つ以上のチェックポイント阻害剤を含む場合、2つ以上のチェックポイント阻害剤は、一緒に製剤化される。
【0060】
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤は、LAG-3アンタゴニストの前に投与される。
【0061】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストは、チェックポイント阻害剤の前に投与される。
【0062】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストおよびチェックポイント阻害剤は、同時に投与される。
【0063】
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤は、固定用量で投与される。
【0064】
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤は、体重に基づく用量として投与される。
【0065】
いくつかの態様において、上記の用量のいずれかは、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、約6週間に1回、約7週間に1回、約8週間に1回、約9週間に1回、約10週間に1回、約11週間に1回または約12週間に1回投与される。
【0066】
いくつかの態様において、癌は、乳癌、肝細胞癌、胃食道癌、黒色腫、膀胱癌、胃癌、肺癌、腎臓癌、頭頸部癌、結腸癌およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様において、癌は、膀胱癌である。いくつかの態様において、癌は、胃癌である。いくつかの態様において、癌は黒色腫である。いくつかの態様において、癌は肺癌である。いくつかの態様において、癌は乳癌である。いくつかの態様において、癌は、肝細胞癌である。
【0067】
いくつかの態様において、癌は、切除不能な癌である。いくつかの態様において、癌は、局所進行性である。いくつかの態様では、癌は転移性である。
【0068】
いくつかの態様において、投与は、癌を治療する。いくつかの態様では、投与により、癌に関連する腫瘍の大きさが減少する。いくつかの態様において、腫瘍の大きさは、投与前の腫瘍の大きさと比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%または約50%低下される。いくつかの態様において、対象は、最初の投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様において、対象は、投与後、安定性疾患を示す。いくつかの態様において、対象は、投与後、部分奏効を示す。いくつかの態様において、対象は、投与後に完全奏効を示す。
【0069】
本開示は、腫瘍に罹患した対象を治療するためのキットに関し、該キットは、以下を含む:(a)LAG-3アンタゴニストの投与量;および(b)本開示の方法または使用におけるLAG-3アンタゴニストの使用説明書。いくつかの態様において、キットは、PD-1経路阻害剤の投与量をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】
図1は、T細胞の疲弊におけるLAG-3およびMHCIIの役割を示すスキームである。
【
図2】
図2は、LAG-3、パンサイトケラチン(CK)(腫瘍)およびMHCIIマーカーについて、切り出された腫瘍サンプルの免疫組織化学(IHC)染色、その後の(A)スキャン;(B)デジタルアライメントおよび空間分析;ならびに(C)マーカー全体の密度、数および近傍度のデータの登録および定量化によるIHC染色スライド切片のデジタル空間分析を示す試験デザインのスキームの例である。
【
図3】
図3は、
図2に記載されたIHC染色スライド切片のHALO(登録商標)空間分析ワークフローを示す試験デザインのスキームの例である。マーカーの存在または非存在は、それぞれ「+」および「-」記号で示される。腫瘍浸潤リンパ球(「TIL」)とも呼ばれるLAG-3+T細胞と、腫瘍細胞との間の距離は、マイクロメートル(μm)で示される。
【
図4】
図4は、LAG-3+TILの密度、およびMHCII+またはMHCII-腫瘍細胞に対するLAG-3+TILの割合を決定するための空間分析ワークフローを示す試験デザインのスキームの例である。LAG-3+TILと腫瘍細胞との間の距離は、>30μmまたは
<30μmとして示される。「LAG-3-D」とは、MHCII+またはMHCII-腫瘍細胞から30μm以内のLAG-3+TILの密度(D)である。「LAG-3-P」とは、MHCII+腫瘍細胞またはMHCII-腫瘍細胞の
<30μm以内のLAG-3+TILの割合(P)である。
【
図5】
図5は、(A)LAG-3と比較したIHC染色した膀胱腫瘍サンプル切片におけるMHCII発現を示し、(B)膀胱および胃の腫瘍細胞における発現の割合%をグラフである。
【
図6】
図6は、膀胱および胃の腫瘍サンプルにおける、
図4について説明したようなLAG-3-D(細胞/mm
2)を示すグラフである。
【
図7】
図7は、膀胱および胃の腫瘍サンプルにおいて結合した(engaged)LAG-3+の割合(%)として、
図4について説明したようなLAG-3-Pを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0071】
(発明の詳細な説明)
本開示は、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)アンタゴニストを対象に投与することを特徴とする、治療を必要としているヒト対象の癌を治療するための方法を提供するものであって、前記対象は、対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)高いLAG-3密度(LAG-3-D)スコア、(ii)高いLAG-3の割合(LAG-3-P)スコアまたは(iii)高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示すものとして同定される。本開示は、(a)対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)高いLAG-3-Dスコア、(ii)高いLAG-3-Pスコアまたは(iii)高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示す対象を同定する工程;ならびに(b)対象にLAG-3アンタゴニストを投与する工程を含む、治療を必要としているヒト対象の癌を治療する方法も提供する。本開示はまた、LAG-3アンタゴニスト治療に適した癌に罹患したヒト対象を同定する方法を提供するものであって、該方法は、LAG-3アンタゴニスト治療を必要としている対象から得られた腫瘍サンプルにおける(i)LAG-3-Dスコア、(ii)LAG-3-Pスコア、または(iii)LAG-3-DスコアおよびLAG-3-Pスコア双方を計算することを含む。本開示はまた、治療を必要としているヒト対象の癌を治療するためのLAG-3アンタゴニストを提供するものであって、前記対象は、対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)高いLAG-3-Dスコア;(ii)高いLAG-3-Pスコアまたは(iii)高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示すものとして同定される。本開示はまた、LAG-3アンタゴニスト治療に適した癌に罹患した対象を同定するためのLAG-3アンタゴニストを提供するものであって、対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)LAG-3-Dスコア;(ii)LAG-3-Pスコア;または(iii)LAG-3-DスコアおよびLAG-3-Pスコア双方が計算される。
【0072】
I.用語
本開示内容が、より容易に理解され得るように、特定の用語を最初に定義する。本願で使用される場合、本明細書で明示的に別段の規定がある場合を除き、以下の各用語は、以下に規定される意味を有するものとする。追加の定義は、本願全体を通して示される。
【0073】
用語「a」または「an」が付いた実体は、その実体の1つ以上を指すことに留意されたい;例えば、「a nucleotide sequence」とは、1つ以上のヌクレオチド配列を表すと理解される。このように、用語「a」(または「an」)、「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」は、本明細書において互換的に使用することができる。
【0074】
本明細書で使用される用語「および/または」は、2つの指定された特徴または構成要素の各々が、他方を伴って、または伴わずに具体的に開示されていると理解されるものである。したがって、本明細書において「Aおよび/またはB」のようなフレーズで使用される「および/または」という用語には、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)および「B」(単独)を含むようことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」などのフレーズで使用される「および/または」という用語は、以下の態様の各々を包含することが意図されている:A、BおよびC;A、BまたはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0075】
本明細書において態様が「を含む」という言葉で説明されている場合はどこでも、「からなる」および/または「から本質的になる」という言葉で説明される別の類似態様もまた提供されることが理解される。
【0076】
用語「約」または「を本質的に含む」とは、当業者によって決定される特定の値または組成物の許容誤差範囲内にある値または組成物を指し、これは、その値または組成物が測定または決定される方法、即ち、測定システムの限界値に部分的に依存するであろう。例えば、「約」または「を本質的に含む」とは、当業者による1標準偏差以内または1標準偏差以上を意味することが可能である。あるいは、「約」または「を本質的に含む」は、10%または20%までの範囲(すなわち、±10%または±20%)を意味することができる。例えば、約3mgは、2.7mgと3.3mgの間(10%の場合)または2.4mgと3.6mgの間(20%の場合)の任意の数を含むことができる。さらに、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、用語は、1桁まで値または5倍までの値を意味することができる。特定の値または組成物が、本願および特許請求の範囲内で提供される場合、特に断りの無い限り、「約」または「を本質的に含む」の意味は、その特定の値または組成物の許容誤差範囲内であると仮定されるものとする。
【0077】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、%範囲、割合範囲または整数範囲とは、別段の記載が無い限り、言及された範囲内の任意の整数の値および適切な場合にはその小数点以下(整数の10分の1および100分の1など)を含むものと理解される。
【0078】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、この開示が関連する技術分野における通常の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press; The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., 1999, Academic Press; and the Oxford Dictionary of Biochemistry And Molecular Biology, Revised, 2000, Oxford University Pressは、当業者に本開示に用いられる多くの用語を一般的な辞書にて提供している。
【0079】
単位、接頭辞および記号は、国際単位系(SI)で認められた形式で示される。数値の範囲は、その範囲を定義する数値を含む。
【0080】
本明細書で提供される見出しは、本明細書全体を参照させることができる本開示の様々な態様を制限するものではない。従って、後記に定義される用語は、本明細書全体を参照することにより、より完全に定義される。
【0081】
「アンタゴニスト」とは、限定するものではないが、標的分子(例えば、LAG-3)の相互作用または活性を、遮断、低下または制限することができる任意の分子を含むものとする。いくつかの態様において、アンタゴニストは抗体である。他の態様では、アンタゴニストは低分子を含む。用語「アンタゴニスト」および「阻害剤」は、本明細書において互換的に使用される。
【0082】
「抗体」(Ab)には、抗原に特異的に結合し、かつジスルフィド結合によって相互に結合した少なくとも2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖、またはその抗原結合部分を含む糖タンパク質免疫グロブリンを含む。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略記する)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つの定常ドメインであるCH1、CH2およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略記する)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つの定常ドメインであるCLを含む。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域とフレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存性の高い領域にさらに細分され得る。VHおよびVLは、各々3つのCDRおよび4つのFRを含み、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順番で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖と軽鎖の可変領域には、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。重鎖は、C末端リジンを有することも、有さないことも可能である。
【0083】
免疫グロブリンは、一般に知られているアイソタイプ(例えば、IgA、分泌型IgA、IgGおよびIgMを含むが、これらに限定されない)のいずれかから得ることができる。IgGサブクラスも当業者にはよく知られており、ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4が挙げられるが、これらに限定するものではない。「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体類またはサブクラス(例えば、IgMまたはIgG1)を指す。用語「抗体」は、例えば、天然に存在する抗体および天然に存在しない抗体の両方;モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体;キメラ抗体およびヒト化抗体;ヒトまたは非ヒト抗体;完全合成抗体;単鎖抗体;単一特異性抗体;二重特異性抗体;および多重特異性抗体が挙げられる。非ヒト抗体は、ヒトにおける免疫原性を低下させるように組換え法によりヒト化することができる。明示的に記載されていない場合、および文脈上別の意味を示さない限り、用語「抗体」は、前述の免疫グロブリンのいずれかの抗原結合断片または抗原結合部分を含み、免疫グロブリン全体が結合する抗原と特異的に結合する能力を保持する1価および2価の断片または一部分も含む。抗原結合部分」または「抗原結合断片」の例としては、以下のものが挙げられる:(1)VL、VH、LCおよびCH1ドメインからなるFab断片(パパイン切断による断片)または類似の1価の断片;(2)ヒンジ領域でジスルフィド結合した2つのFab断片からなるF(ab')2断片(ペプシン切断による断片)または類似の2価の断片;(3)VHドメインおよびCH1ドメインを含むFd断片;(4)1本のアームのVLドメインおよびVHドメインを含むFv断片;(5) VHドメインからなる単一ドメイン抗体(dAb)断片(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546);(6)2つのVHドメインをヒンジで連結した2価のシングルドメイン抗体(二重親和性再標的化抗体(DART)または(7)二重可変ドメイン免疫グロブリン。さらに、Fv断片の2つのドメインであるVLおよびVHは、別々の遺伝子によってコードされているが、これらは組換え法を用いて、VLおよびVH領域が対になって一価の分子を形成する一本のタンパク質鎖として作成することができる合成リンカーにより連結することができる(単鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、Bird et. al(1988) Science 242:423-426; およびHustona et al.(1988) Proc. Natl.Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照されたい)。これらの抗原結合部分または断片は、当業者に公知の従来技術を用いて得られ、その部分または断片は、インタクトな抗体と同様の方法で有用性についてスクリーニングされる。抗原結合部分または断片は、組換えDNA技術によって、またはインタクトな免疫グロブリンの酵素的または化学的切断によって製造することができる。
【0084】
「単離抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、LAG-3に特異的に結合する単離抗体は、LAG-3以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかし、LAG-3に特異的に結合する単離抗体は、別の抗原、例えば、異なる種由来のLAG-3分子に対して交差反応性を有する場合がある。さらに、単離抗体は、他の細胞性物質および/または化学物質を実質的に含まない可能性がある。
【0085】
用語「モノクローナル抗体」(mAb)とは、単一分子組成の抗体分子、即ち、一次配列が本質的に同一であり、特定のエピトープに対して1つの結合特異性および親和性を提示する抗体分子の非天然調製物を意味する。モノクローナル抗体は、単離抗体の一例である。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、トランスジェニックまたは当業者に知られた他の技術により産生することができる。
【0086】
「ヒト抗体」(HuMAb)は、フレームワーク領域およびCDR領域の両方が、ヒト生殖細胞系の免疫グロブリン配列から得られる可変領域を有する抗体を指す。さらに、抗体が定常領域を含む場合、定常領域もまた、ヒト生殖細胞系の免疫グロブリン配列から得られる。本開示のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系の免疫グロブリン配列にコードされていないアミノ酸残基(例えば、in vitroでランダムまたは部位特異的変異誘発によるか、またはin vivoで体細胞変異によって導入された変異)を含むことができる。しかし、本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、マウスなどの別の哺乳類種の生殖細胞系列から得られるCDR配列が、ヒトフレームワーク配列にグラフトされた抗体を含むことを意図するものではない。用語「ヒト抗体」および「完全ヒト抗体」および同義に使用される。
【0087】
「ヒト化抗体」とは、非ヒト抗体のCDRの外側のアミノ酸の一部、大部分または全部が、ヒト免疫グロブリンから得られた対応するアミノ酸で置換されている抗体をいう。抗体のヒト化形態の一態様では、CDRの外側のアミノ酸の一部、大部分または全部がヒト免疫グロブリン由来のアミノ酸で置換されているが、1つまたは複数のCDR内のアミノ酸の一部、大部分または全部は変化していない。アミノ酸の僅かな付加、欠失、挿入、置換または修飾は、抗体が特定の抗原に結合する能力を損なわない限り、許容される。ヒト化抗体」は、元の抗体と同様の抗原特異性を保持する。
【0088】
「キメラ抗体」とは、可変領域がある特定種に由来し、定常領域がその他の種に由来する抗体を指し、例えば、可変領域がマウス抗体に由来し、定常領域がヒト抗体に由来する抗体である。
【0089】
「抗抗原抗体」とは、抗原に特異的に結合する抗体のことである。例えば、抗LAG-3抗体は、LAG-3に、抗PD-1抗体はPD-1に、抗PD-L1抗体はPD-L1に、抗CTLA-4抗体はCTLA-4に、それぞれ特異的に結合する。
【0090】
「LAG-3」とは、リンパ球活性化遺伝子-3のことである。用語「LAG-3」は、バリアント、アイソフォーム、ホモログ、オルソログおよびパラログを含む。例えば、ヒトLAG-3タンパク質に特異的な抗体は、ある場合には、ヒト以外の種からのLAG-3タンパク質と交差反応する場合がある。別の態様において、ヒトLAG-3タンパク質に特異的な抗体は、ヒトLAG-3タンパク質に完全に特異的であり、種または他のタイプの交差反応を示さないか、または別の特定種からのLAG-3と交差反応し得るが、その他の全ての種とは交差反応しない(例えば、サルLAG-3と交差反応するがマウスLAG-3とは交差反応しない)。用語「ヒトLAG-3」は、ヒト配列LAG-3を指し、例えば、GenBank Accession No.NP_002277を有するヒトLAG-3の全アミノ酸配列を指す。用語「マウスLAG-3」は、マウス配列LAG-3を指し、例えば、GenBank Accession No.NP_032505を有するマウスLAG-3の全アミノ酸配列を指す。LAG-3は、例えば、CD223として当技術分野でも知られている。ヒトLAG-3配列は、例えば保存された変異または非保存領域における変異を有することでGenBank Accession No.NP_002277のヒトLAG-3と異なる可能性があるが、このLAG-3は、GenBank Accession No.NP_002277のヒトLAG-3と実質的に同じ生物学的機能を有する。例えば、ヒトLAG-3の生物学的機能とは、本開示の抗体によって特異的に結合されるLAG-3の細胞外ドメインにエピトープを有すること、またはヒトLAG-3の生物学的機能とは、MHCクラスII分子と結合することである。
【0091】
「プログラム死-1」(PD-1)とは、CD28ファミリーに属する免疫抑制性受容体を指す。PD-1は、in vitroで、以前に活性化されたT細胞で優位に発現し、2つのリガンド、PD-L1およびPD-L2に結合する。本明細書で使用する「PD-1」という用語は、ヒトPD-1(hPD-1)、hPD-1の変異体、アイソフォームおよび種ホモログ、ならびにhPD-1と少なくとも一つの共通のエピトープを有するアナログを含む。hPD-1の完全な配列は、GenBank Accession No.U64863として見出すことができる。「PD-1」および「PD-1受容体」は、本明細書において互換的に使用される。
【0092】
「プログラム死リガンド-1」(PD-L1)は、PD-1に結合するとT細胞の活性化およびサイトカイン分泌をダウンレギュレートするPD-1の2つの細胞表面糖タンパク質リガンドのうちの1つ(もう一方はPD-L2)である。本明細書で使用される「PD-L1」という用語は、ヒトPD-L1(hPD-L1)、hPD-L1の変異体、アイソフォームおよび種ホモログ、ならびにhPD-L1と少なくとも1つの共通エピトープを有するアナログを含む。hPD-L1の完全な配列は、GenBank Accession No.Q9NZQ7にて見出すことができる。ヒトPD-L1タンパク質は、ヒトCD274遺伝子(NCBI Gene ID:29126)によりコードされる。
【0093】
本明細書で使用する「プログラム死リガンド-2」および「PD-L2」という用語は、ヒトPD-L2(hPD-L2)、hPD-L2の変異体、アイソフォームおよび種ホモログ、ならびにhPD-L2と少なくとも一つの共通エピトープを有するアナログを含む。hPD-L2の完全な配列は、GenBank Accession No.Q9BQ51にて見出すことができる。
【0094】
「細胞傷害性Tリンパ球抗原-4」(CTLA-4)とは、CD28ファミリーに属する免疫抑制性受容体を指す。CTLA-4は、in vivoでT細胞上にのみ発現し、2つのリガンド、CD80およびCD86(各々、B7-1およびB7-2とも呼ばれる)に結合する。本明細書で使用する「CTLA-4」という用語は、ヒトCTLA-4(hCTLA-4)、hCTLA-4の変異体、アイソフォームおよび種ホモログ、ならびにhCTLA-4と少なくとも一つの共通エピトープを有するホモログを含む。hCTLA-4の完全な配列は、GenBank Accession No.AAB59385として見出すことができる。
【0095】
「T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン-3」(TIM-3)は、A型肝炎ウイルス細胞受容体2(HAVCR2)としても知られており、最初に活性化IFN-γ産生T細胞(例えば、I型ヘルパーCD4+T細胞および細胞傷害性CD8+T細胞)上で同定され、ガレクチン-9に結合後、T細胞死または疲弊を誘導することが示されたI型膜貫通タンパク質をいう。本明細書で使用する「TIM-3」という用語は、ヒトTIM-3(hTIM-3)、hTIM-3の変異体、アイソフォームおよび種ホモログ、ならびにhTIM-3と少なくとも1つの共通エピトープを有するアナログを含む。hTIM-3の2つのアイソフォームが同定されている。アイソフォーム1(GenBank Accession No.NP_116171)は、301個のアミノ酸から構成され、カノニカル配列を示す。アイソフォーム2(GenBank Accession No.AAH20843)は、142個のアミノ酸から構成され、かつ可溶性である。
【0096】
LAG-3の発現に関する用語「LAG-3陽性」または「LAG-3発現陽性」とは、腫瘍細胞および腫瘍浸潤性炎症細胞を含む試験用組織サンプル中の細胞の割合が、該組織サンプルがLAG-3を発現していると評価されるスコアの割合以上であることを意味する。
【0097】
「LAG-3陰性」または「LAG-3発現陰性」とは、腫瘍細胞および腫瘍浸潤性炎症細胞を含む試験用組織サンプル中のLAG-3陽性またはLAG-3発現陽性でない細胞の割合を意味する。
【0098】
細胞表面PD-L1発現に関する用語「PD-L1陽性」または「PD-L1発現陽性」とは、腫瘍細胞および腫瘍浸潤性炎症細胞を含む試験用組織サンプル中の細胞の割合が、該組織サンプルが細胞表面PD-L1を発現していると評価されるスコアの割合以上であることを意味する。
【0099】
細胞表面PD-L1発現に関する用語「PD-L1陰性」または「PD-L1発現陰性」とは、腫瘍細胞および腫瘍浸潤性炎症細胞を含む試験用組織サンプル中のPD-L1陽性またはPD-L1発現陽性ではない細胞の割合を意味する。
【0100】
本明細書で使用する「腫瘍遺伝子変異量」(TMB)という用語は、腫瘍のゲノムにおける体細胞変異の数および/または腫瘍のゲノムの領域あたりの体細胞変異の数を意味する。免疫系がこれらを自己と認識する可能性が高いため、TMBを決定する際には生殖細胞系列(遺伝性)変異体は除外される。腫瘍遺伝子変異量(TMB)はまた、「腫瘍変異負荷」、「腫瘍遺伝子変異担持」、または「腫瘍変異的負荷」と互換的に使用することが可能である。
【0101】
「対象」には、任意のヒトまたは非ヒト動物が含まれる。「非ヒト動物」という用語は、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌなどの脊椎動物、およびマウス、ラット、モルモットなどの齧歯類を含むが、これらに限定されるものではない。好ましい態様では、対象は、ヒトである。用語、「対象」および「患者」は、本明細書において互換的に使用される。
【0102】
「投与」とは、当業者に知られている様々な方法および送達システムのいずれかを用いて、治療薬を含む組成物を対象に物理的に導入することを指す。免疫療法、例えばLAG-3アンタゴニストの好ましい投与経路は、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または別の非経口投与経路、例えば注射または点滴による投与を含む。本明細書で使用する「非経口投与」というフレーズは、経腸投与および局所投与以外の、通常は注射による投与様式を意味し、後記に限定するものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病巣内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管内、皮下、皮内、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射および注入、ならびにin vivoエレクトロポレーションが挙げられる。いくつかの態様において、製剤は、非経口経路、いくつかの態様において、経口で投与される。その他の非経口経路には、局所、表皮または粘膜の投与経路、例えば、経鼻、経膣、直腸、舌下または局所的な投与が含まれる。投与は、例えば、1回、複数回および/または1回以上の延長期間にわたって行うことができる。
【0103】
対象の「治療」または「療法」とは、疾患に関連する兆候、合併症または症状、あるいは生化学的兆候の、逆転、緩和、改善または阻害、あるいは進行、発症、重症化または再発の遅延を目的として、対象に行われるあらゆる種類の介入またはプロセス、あるいは対象への有効薬剤の投与をいう。RECIST(Response Evaluation Criteria In Solid Tumors)は、治療効果の指標であり、治療中に腫瘍が反応、安定、進行する時期を定義する確立された規則である。RECIST 1.1は、成人および小児がん臨床試験で使用するための、腫瘍の大きさの変化を客観的に評価するための固形腫瘍の基準および定義に関する現在のガイドラインである。
【0104】
本明細書で使用する「有効な治療」とは、有益な効果、例えば、疾患または障害の少なくとも1つの症状の改善をもたらす治療を指す。有益な効果とは、ベースラインに対する改善、即ち、その方法に従って治療を開始する前に行われた測定または所見に対する改善の形態をとり得ることである。有益な効果は、固形腫瘍マーカーが有害な進行の阻止、低下、遅延または安定化形態にすることもできる。有効な治療とは、固形腫瘍の少なくとも1つの症状の緩和を指すことができる。そのような有効な治療は、例えば、患者の痛みを軽減し、病変の大きさおよび/または数を減らし、腫瘍の転移を軽減または防止し、および/または腫瘍の成長を遅らせることができる。
【0105】
「有効量」という用語は、所望の生物学的、治療的および/または予防的結果をもたらす薬剤の量を指す。その結果とは、疾患の兆候、症状、原因の1つまたは複数の低下、改善、緩和、遅延および/または生物学的システムのその他の任意の所望の変化であり得る。固形腫瘍に関して、有効量は、腫瘍を退縮させるおよび/または腫瘍の成長速度を低下させる(腫瘍の成長を抑制する等)、あるいはその他の不要な細胞増殖を遅延させるのに十分な量を含んでいる。いくつかの態様において、有効量は、腫瘍の再発を防止または遅延させるのに十分な量である。有効量は、1回または複数回の投与で投与することができる。有効量の薬剤または組成物は、以下のことが可能である:(i)癌細胞の数を低下させること;(ii)腫瘍の大きさを低下させること;(iii)癌細胞の末梢器官への浸潤を、阻害、遅延、ある程度の遅延および停止させること;(iv)腫瘍転移を抑制すること(すなわち、ある程度遅くし、停止させること);(v)腫瘍増殖を阻害すること;(vi)腫瘍の発生および/または再発を防止または遅延させること;および/または(vii)癌と関連して起こる一つまたは複数の兆候をある程度まで緩和させること。例えば、「有効量」とは、進行性の固形腫瘍などの癌の有意な低下または癌の進行の遅延に影響を与えることが臨床的に証明された、抗LAG-3抗体単独の量、または抗LAG-3抗体と追加の治療剤(例えば、抗PD-1抗体)を組み合わせた量である。
【0106】
本明細書で使用する場合、「固定用量」、「一定用量」および「一定の固定用量」という用語は互換的に使用され、患者の体重または体表面積(BSA)を考慮せずに患者に投与される用量を意味する。したがって、固定用量または一定用量は、mg/kg用量として示されず、むしろ薬剤の絶対量(例えば、μgまたはmg量)として示される。
【0107】
本発明の組成物に関する「固定用量の組み合わせ」という用語の使用は、単一の組成物中の本明細書に記載の2つ以上の異なる阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体)が、特定の(固定)割合で各々組成物中に存在することを意味する。いくつかの態様において、固定用量とは、阻害剤の重量(例えば、mg)に基づく。特定の態様では、固定用量は、阻害剤の濃度(例えば、mg/ml)に基づく。いくつかの態様において、割合は、少なくとも約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100、約1:120、約1:140、約1:160、約1:180、約1:200、約200:1、約180:1、約160:1、約140:1、約120:1、約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、約15:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1または約2:1のmg第1の阻害剤とmg第2の阻害剤である。例えば、第1抗体と第2抗体が3:1の割合とは、バイアルが、約240mgの第1抗体と80mgの第2抗体、または約3mg/mlの第1抗体と1mg/mlの第2抗体を含むことができることを意味し得る。
【0108】
本明細書でいう「体重に応じた投与量」とは、患者に投与される量が、患者の体重に基づいて計算されることを意味する。例えば、体重60kgの患者が、3mg/kgの抗LAG-3抗体と3mg/kgの抗PD-1抗体の組み合わせを必要とする場合、抗LAG-3抗体と抗PD-1抗体が1:1の割合の固定用量の組み合わせから、抗LAG-3抗体の適切な量(すなわち、180mg)および抗PD-1抗体の適切な量(すなわち、180mg)を導きだすことができる。
【0109】
本明細書で使用される「投与間隔」は、本明細書に開示される製剤の複数回投与が、対象に投与される間に経過する時間を意味する。従って、投与間隔は、範囲として示すことができる。
【0110】
本明細書で使用される「投与頻度」という用語は、所定時間内に本明細書に開示された製剤の用量を投与する頻度を意味する。投与頻度は、例えば、1週間に1回または2週間に1回など、所定時間あたりの投与回数として示すことができる。
【0111】
本明細書で使用される「約1週間に1回」、「約1週毎に1回」、「約2週間毎に1回」、またはその他の類似した投与間隔の用語は、近似値を意味し、「約1週間に1回」または「約1週毎に1回」には、7日毎±2日、即ち5日毎~9日毎が含まれ得る。したがって、「1週間に1回」の投与頻度は、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎、または9日毎であり得る。「約3週間に1回」には、21日毎±3日毎、即ち25日毎~31日毎が含まれ得る。同様の近似値が、例えば、約2週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、約6週間に1回、約7週間に1回、約8週間に1回、約9週間に1回、約10週間に1回、約11週間に1回および約12週間に1回に適用される。いくつかの態様において、約6週間に1回または約12週間に1回の投与間隔は、最初の投与が、第1週の任意の日に投与され、その後、次の投与がそれぞれ第6週または第12週の任意の日に投与され得ることを意味する。その他の態様において、約6週間に1回または約12週間に1回の投与間隔とは、最初の投与が、第1週の特定の日(例えば、月曜日)に投与され、その後、次の投与が第6週または第12週の同じ日(すなわち、月曜日)にそれぞれ投与されることを意味する。
【0112】
本明細書で使用する「有害事象」(AE)とは、医療処置の使用に関連した、好ましくない、一般に意図しない、または望ましくない兆候(異常な研究所見を含む)、症状または疾患をいう。例えば、有害事象は、治療に対する免疫系の活性化または免疫系細胞(例えば、T細胞)の増殖と関連し得る。医療処置とは、1つ以上の関連するAEを示す可能性があり、各AEは、同じか、または異なるレベルの重症度を示す場合もある。「有害事象を変えること」ができる方法とは、異なる治療レジメンの使用に関連する1つ以上のAEの発生率および/または重症度を減少させる治療レジメンを意味する。
【0113】
本明細書で使用する「腫瘍」という用語は、前癌病変を含む良性(非癌性)または悪性(癌性)のいずれかの過剰な細胞の成長または増殖に起因する組織の塊を指す。
【0114】
例えば、「抗癌剤」は、対象における癌の退縮を促進するものである。好ましい態様において、治療上有効な量の薬剤は、癌を除去する時点まで癌の退縮を促進する。「癌の退縮を促進する」とは、有効量の抗癌剤を、単独または別の薬剤と組み合わせて投与することにより、腫瘍の成長または大きさの低下、腫瘍の壊死、少なくとも一つの疾患症状の重症度の低下、疾患症状が無い期間の頻度と期間の増加、または疾患による苦痛による障害または障害の防止がもたらされることを意味する。さらに、治療に関する「有効な」および「効果」という用語は、薬理学的効果および生理学的安全性の両方を含む。薬理学的有効性とは、患者の癌の退縮を促進する薬剤の能力を指す。生理学的安全性とは、薬剤の投与に起因する細胞、器官および/または生体レベルでの毒性またはその他の有害な生理学的作用(副作用)レベルを指す。
【0115】
腫瘍の治療のための例として、治療上有効な量の抗癌剤は、好ましくは、未治療の対象と比較して、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%または少なくとも約80%まで細胞増殖または腫瘍増殖を阻害する。本開示の他の態様において、腫瘍退縮は、少なくとも約20日、少なくとも約40日または少なくとも約60日の期間、観察かつ維持され得る。治療効果に関してこれらの最終的な計測値にもかかわらず、免疫療法薬の評価は、免疫関連の反応パターンについても考慮せねばならない。
【0116】
本明細書で使用する「癌免疫」治療または「I-O」または「IO」治療とは、対象の腫瘍を標的にして治療するために免疫応答を利用することを含む治療をいう。このように、本明細書で使用されるように、I-O治療は、抗癌剤療法の一種である。いくつかの態様において、I-O治療は、抗体またはその抗原結合断片を、対象に投与することを含む。いくつかの態様において、I-O治療は、免疫細胞(例えば、改変T細胞、例えば、キメラ抗原受容体または特定のT細胞受容体を発現するように改変されたT細胞などのT細胞)を、対象に投与することを含む。いくつかの態様において、I-O治療は、対象に治療用ワクチンを投与することを含む。いくつかの態様において、I-O治療は、対象にサイトカインまたはケモカインを投与することを含む。いくつかの態様において、I-O治療は、対象にインターロイキンを投与することを含む。いくつかの態様において、I-O治療は、対象にインターフェロンを投与することを含む。いくつかの態様において、I-O治療は、コロニー刺激因子を対象に投与することを含んでいる。
【0117】
「免疫反応」とは、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、樹状細胞および好中球)およびこれらの細胞のいずれか、または肝臓によって産生される可溶性高分子(例えば、抗体、サイトカインおよび補体)の作用をいい、これらが、侵入した病原体、病原体に感染した細胞または組織、癌細胞または他の異常細胞、あるいは自己免疫または病的炎症の場合には正常なヒト細胞または組織を、選択的に標的化し、結合し、損傷し、破壊し、および/または脊椎動物の体内から排除する作用をいう。
【0118】
「腫瘍浸潤性炎症細胞」または「腫瘍関連炎症細胞」は、通常、対象における炎症反応に関与し、腫瘍組織に浸潤する任意のタイプの細胞である。このような細胞には、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、マクロファージ、単球、好酸球、組織球および樹状細胞が含まれる。
【0119】
本明細書で使用する「腫瘍サンプル」という用語は、対象の腫瘍から単離された腫瘍物質を指す。腫瘍サンプルは、例えば、免疫組織化学(IHC)による標的タンパク質の発現(例えば、LAG-3、MHCクラスII、および/または腫瘍抗原)を実測するために適した腫瘍の任意の部分を含むことができる。一態様において、腫瘍サンプルは、腫瘍組織生検、例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織または瞬間凍結させた腫瘍組織等である。別の態様では、腫瘍サンプルは、複数の腫瘍切片に切断される。他の態様において、腫瘍サンプルは、複数の切片へと連続的に切断される。
【0120】
様々な本開示の態様を、以下の下位項目においてさらに詳細に記述する。
【0121】
II.本願方法
本明細書において提供されるものは、LAG-3アンタゴニスト治療に適しているか、または応答性のヒト対象またはヒト対象集団を同定または選択することによって、LAG-3アンタゴニスト治療の効力を増加させる方法である。本明細書で提供される方法は、LAG-3アンタゴニスト治療に適しているか、または応答性のあるヒト対象の定量的空間プロファイリングに関する。一態様において、本開示は、癌を治療する方法に関するもので、例えば、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)アンタゴニストを対象に投与することを特徴とし、前記対象が、対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)高いLAG-3密度(LAG-3-D)スコア、(ii)高いLAG-3の割合(LAG-3-P)スコア、または(iii)高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示すものとして同定される、治療を必要としているヒト対象における腫瘍の体積および/または増殖を低下させる方法に関する。
【0122】
別の態様において、本開示は、(a)対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)高いLAG-3-Dスコア、(ii)高いLAG-3-Pスコア、または(iii)高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示す対象を同定すること:および(b)対象に対してLAG-3アンタゴニストを投与することを特徴とする、治療を必要としているヒト対象の癌を治療する方法に関する。
【0123】
別の態様において、本開示は、LAG-3アンタゴニスト治療に適している癌に罹患したヒト対象を同定または選択する方法であって、LAG-3アンタゴニスト治療を必要としている対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)LAG-3-Dスコア、(ii)LAG-3-Pスコアまたは(iii)LAG-3-DスコアおよびLAG-3-Pスコア双方を計算することを特徴とする方法に関する。いくつかの態様において、対象は、高いLAG-3-Dスコア、高いLAG-3-Pスコア、または高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示す。いくつかの態様において、本願方法は、対象に、LAG-3アンタゴニストを投与することをさらに含む。いくつかの態様において、本願方法によって同定または選択された対象は、LAG-3アンタゴニスト治療に応答性である。
【0124】
別の態様において、本開示は、治療を必要としているヒト対象の癌を治療するためのLAG-3アンタゴニストに関し、前記対象は、対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)高いLAG-3-Dスコア、(ii)高いLAG-3-Pスコア、または(iii)高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示すものとして同定される。
【0125】
別の態様において、本開示は、LAG-3アンタゴニスト治療に適している癌に罹患した対象を同定または選択するためのLAG-3アンタゴニストに関するもので、対象から得られた腫瘍サンプルにおいて、(i)LAG-3-Dスコア、(ii)LAG-3-Pスコア、または(iii)LAG-3-DスコアおよびLAG-3-Pスコア双方が計算される。いくつかの態様において、対象は、高いLAG-3-Dスコア、高いLAG-3-Pスコア、または高いLAG-3-Dスコアおよび高いLAG-3-Pスコア双方を示す。いくつかの態様において、本願方法によって同定または選択された対象は、LAG-3アンタゴニスト治療に応答性である。
【0126】
II.A.LAG-3-DスコアおよびLAG-3-Pスコア
本開示によるLAG-3-Dスコアは、腫瘍サンプル中の主要組織適合性複合体クラスII(MHCII)を発現する1つまたは複数の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の密度を測定することによって決定することができる。いくつかの態様において、LAG-3-Dスコアは、(i)MHCIIを発現する腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の数を、(ii)腫瘍サンプルの腫瘍面積(mm2)で割った値として算出される。
【0127】
本開示によるLAG-3-Pスコアは、腫瘍サンプル中のMHCIIを発現する1つまたは複数の腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の割合を測定することによって決定することができる。いくつかの態様において、LAG-3-Pスコアは、(i)MHCIIを発現する腫瘍細胞の近傍においてLAG-3を発現するT細胞の数を、(ii)腫瘍サンプル中のLAG-3を発現するT細胞の総数で割った値として算出される。
【0128】
いくつかの態様において、近傍とは、LAG-3を発現しているT細胞の細胞表面とMHCIIを発現している腫瘍細胞の細胞表面との間の距離である。
【0129】
いくつかの態様において、近傍とは、LAG-3を発現しているT細胞の核とMHCIIを発現する腫瘍細胞の核の間の距離である。
【0130】
いくつかの態様において、近傍とは、LAG-3とMHCクラスIIとの間、および/またはLAG-3と腫瘍細胞上に発現する腫瘍抗原との間の距離である。
【0131】
いくつかの態様において、近傍とは、約50μmに等しいか、またはそれ以下、約45μmに等しいか、またはそれ以下、約40μmに等しいか、またはそれ以下、約35μmに等しいか、またはそれ以下、または約30μmに等しいか、またはそれ以下である。いくつかの態様において、近傍とは、約50μmに等しいか、またはそれ以下である。いくつかの態様において、近傍とは、約40μmに等しいか、またはそれ以下である。いくつかの態様において、近傍とは、約35μmに等しいか、またはそれ以下である。いくつかの態様において、近傍とは、約30μmに等しいか、またはそれ以下である。
【0132】
いくつかの態様において、腫瘍サンプルは、腫瘍組織生検または腫瘍組織切除から得られた1個以上の腫瘍切片を含む。いくつかの態様において、1個以上の腫瘍切片は、ホルマリン固定、パラフィン包埋腫瘍組織または瞬間凍結腫瘍組織を含む。いくつかの態様において、1個以上の腫瘍切片は、連続的に切断された腫瘍切片を含む。いくつかの態様において、1個以上の腫瘍切片は、免疫組織化学(IHC)により染色される。いくつかの態様において、1個以上の腫瘍切片とは、1個の腫瘍切片、2個の腫瘍切片、3個の腫瘍切片、4個の腫瘍切片、5個の腫瘍切片、6個の腫瘍切片、7個の腫瘍切片、8個の腫瘍切片、9個の腫瘍切片、10個の腫瘍切片、11個の腫瘍切片、12個の腫瘍切片、13個の腫瘍切片、14個の腫瘍切片、15個の腫瘍切片、16個の腫瘍切片、17個の腫瘍切片、18個の腫瘍切片、19個の腫瘍切片、20個の腫瘍切片、21個の腫瘍切片、22個の腫瘍切片、23個の腫瘍切片、24個の腫瘍切片、25個の腫瘍切片、26個の腫瘍切片、27個の腫瘍切片、28個の腫瘍切片、29個の腫瘍切片または30個の腫瘍切片を含む。いくつかの態様において、1個以上の腫瘍切片は、3個の腫瘍切片を含んでいる。いくつかの態様では、1個以上の腫瘍切片は、15個の腫瘍切片を含む。いくつかの態様では、1個以上の腫瘍切片は、18個の腫瘍切片を含む。いくつかの態様において、1個以上の腫瘍切片は、20個の腫瘍切片を含む。いくつかの態様では、1個以上の腫瘍切片は、21個の腫瘍切片を含む。
【0133】
いくつかの態様において、腫瘍サンプルの1個の腫瘍切片は、LAG-3および/またはMHCIIについて染色される。いくつかの態様において、腫瘍切片は、腫瘍抗原についてさらに染色される。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、パンサイトケラチン(CK)である。いくつかの態様において、腫瘍サンプルの1個の腫瘍切片は、3つのマーカー全て、すなわち、LAG-3、MHCクラスIIおよび腫瘍抗原(例えば、パンCK)に対して染色される。
【0134】
いくつかの態様において、腫瘍サンプルは、LAG-3について染色された第1の腫瘍切片、MHCIIについて染色された第2の腫瘍切片および腫瘍抗原について染色された第3の腫瘍切片を含んでいる。いくつかの態様において、第1の腫瘍切片、第2の腫瘍切片および第3の腫瘍切片は、腫瘍サンプルから連続的に切り出される。いくつかの態様において、腫瘍サンプルとは、LAG-3について染色された第1の腫瘍切片群(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の腫瘍切片)と、MHCIIについて染色された第2の腫瘍切片群(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の腫瘍切片)、および腫瘍抗原について染色された第3の腫瘍切片群(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の腫瘍切片)である。いくつかの態様において、腫瘍切片の第1群、第2群および第3群は、腫瘍サンプルから連続的に切断される。
【0135】
いくつかの態様において、LAG-3-DスコアおよびLAG-3-Pスコアは、定量的空間プロファイリングによって決定される。いくつかの態様において、定量的空間プロファイリングは、デジタル空間解析である。
【0136】
いくつかの態様において、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約5個の細胞/mm2、少なくとも約6個の細胞/mm2、少なくとも約7個の細胞/mm2、少なくとも約8個の細胞/mm2、少なくとも約9個の細胞/mm2、少なくとも約10個の細胞/mm2、少なくとも約11個の細胞/mm2、少なくとも約12個の細胞/mm2、少なくとも約13個の細胞/mm2、少なくとも約14個の細胞/mm2、少なくとも約15個の細胞/mm2、少なくとも約16個の細胞/mm2、少なくとも約17個の細胞/mm2、少なくとも約18個の細胞/mm2、少なくとも約19個の細胞/mm2、少なくとも約20個の細胞/mm2、少なくとも約25個の細胞/mm2、少なくとも約30個の細胞/mm2、少なくとも約35個の細胞/mm2、少なくとも約40個の細胞/mm2、少なくとも約45個の細胞/mm2、少なくとも約50個の細胞/mm2、少なくとも約55個の細胞/mm2、少なくとも約60個の細胞/mm2、少なくとも約65個の細胞/mm2、少なくとも約70個の細胞/mm2、少なくとも約75個の細胞/mm2、少なくとも約80個の細胞/mm2、少なくとも約85個の細胞/mm2、少なくとも約90個の細胞/mm2、少なくとも約95個の細胞/mm2または少なくとも約100個の細胞/mm2である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約5個の細胞/mm2である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約10個の細胞/mm2である。いくつかの態様では、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約15個の細胞/mm2である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約20個の細胞/mm2である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約25個の細胞/mm2である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約30個の細胞/mm2であり、いくつかの態様において、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約35個の細胞/mm2である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約40個の細胞/mm2である。いくつかの態様では、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約45個の細胞/mm2である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約50個の細胞/mm2である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約55個の細胞/mm2である。いくつかの態様では、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約60個の細胞/mm2である。いくつかの態様では、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約65個の細胞/mm2である。いくつかの態様では、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約70個の細胞/mm2である。いくつかの態様では、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約75個の細胞/mm2である。いくつかの態様では、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約80個の細胞/mm2である。いくつかの態様では、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約85個の細胞/mm2である。いくつかの態様では、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約90個の細胞/mm2である。いくつかの態様では、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約95個の細胞/mm2である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Dスコアは、少なくとも約100個の細胞/mm2である。
【0137】
いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約100%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約40%~約100%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約40%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約45%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約50%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約55%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約60%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約65%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約70%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約75%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約80%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約85%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約90%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約95%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約100%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約40%~約100%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約50%~約100%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約60%~約100%の間である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約70%~約100%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約80%~約100%である。いくつかの態様において、高いLAG-3-Pスコアは、少なくとも約90%~約100%である。
【0138】
II.B.LAG-3アンタゴニストおよび併用療法
いくつかの態様において、本開示は、LAG-3アンタゴニストを対象に投与することを含む、治療を必要としているヒト対象の癌を治療するための方法および使用に関する。いくつかの態様において、対象は、LAG-3アンタゴニスト単剤療法により投与される、例えば、前記対象は、1個以上の別の治療剤(例えば、抗癌剤)を投与されない。
【0139】
いくつかの態様において、対象は併用療法により投与される、例えば、対象は、LAG-3アンタゴニストおよび1つまたは複数の別の治療剤(例えば、抗癌剤)を投与される。
【0140】
いくつかの態様において、癌を治療するための方法および用途は、対象に別のチェックポイント阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体、抗TIM3抗体、抗PD-L1抗体またはそれらの任意の組合せを含んでいる。いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体を含む。いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤は、抗PD-L1抗体を含んでいる。
【0141】
II.B.1.LAG-3アンタゴニスト
本明細書で使用されるLAG-3アンタゴニストには、LAG-3結合剤(例えば、LAG-3抗体)、および可溶性LAG-3ポリペプチド(例えば、LAG-3の細胞外部分を含む融合タンパク質)が含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用される用語「LAG-3アンタゴニスト」は、用語「LAG-3阻害剤」と互換的に使用できる。
【0142】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストは、可溶性LAG-3ポリペプチドである。いくつかの態様において、可溶性LAG-3ポリペプチドは、融合ポリペプチド、例えば、LAG-3の細胞外部分を含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、可溶性LAG-3ポリペプチドは、MHCクラスIIに結合することができるLAG-3-Fc融合ポリペプチドである。いくつかの態様において、可溶性LAG-3ポリペプチドは、LAG-3細胞外ドメインのリガンド結合断片を含んでいる。いくつかの態様において、可溶性LAG-3ポリペプチドは、半減期延長化部位をさらに含んでいる。いくつかの態様において、半減期延長部分は、免疫グロブリン定常領域またはその一部、免疫グロブリン結合ポリペプチド、免疫グロブリンG(IgG)、アルブミン結合ポリペプチド(ABP)、PAS化部分、HES化部分、XTEN、PEG化部分、Fc領域またはその任意の組み合わせを含む。いくつかの態様において、可溶性LAG-3ポリペプチドは、IMP321(エフティラギモドα)である。例えば、Brignone C, et al., J. Immunol. (2007); 179:4202-4211およびWO2009/044273を参照されたい。
【0143】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストは、抗LAG-3抗体である。
【0144】
本明細書での使用に適した抗LAG-3抗体(または、それから得られたVH/VLドメイン)は、当技術分野でよく知られた方法を用いて生成することができる。あるいは、当分野において認識された抗LAG-3抗体を使用することができる。LAG-3に結合する抗体は、例えば、国際公開WO/2015/042246号および米国公開番号第2014/0093511号および2011/0150892号に開示されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
本開示において有用なLAG-3抗体の例示は、25F7(米国公開番号第2011/0150892号に記載されている)である。本開示において有用な別のLAG-3抗体の例示は、BMS-986016(レラトリマブ)である。いくつかの態様において、本開示において有用な抗LAG-3抗体は、ヒトLAG-3への結合について25F7またはBMS-986016(レラトリマブ)と交差競合する。いくつかの態様において、本開示において有用な抗LAG-3抗体は、25F7またはBMS-986016(レラトリマブ)と同じエピトープに結合する。
【0146】
本開示の方法および用途に使用できる別の技術的に認識された抗LAG-3抗体には、US2011/007023に記載のIMP731(H5L7BW)、WO2016028672に記載のMK-4280(28G-10)、Burova E, et al. J. Immunother. Cancer (2016);4(Supp. 1):P195に記載のREGN3767(フィアンリマブ)、WO2017/019894に記載のヒト化BAP050、GSK2831781、IMP-701(LAG-525;イエラミリマブ)、aLAG3(0414)、aLAG3(0416)、Sym022、TSR-033、TSR-075、XmAb22841、MGD013、BI754111、FS118、P13B02-30、AVA-017およびAGEN1746などが挙げられる。本願において有用なこれらの抗LAG-3抗体およびその他の抗LAG-3抗体は、例えば、US10,188,730、WO2016/028672、WO2017/106129、WO2017/062888、WO2009/044273、WO2018/069500、WO2016/126858、WO2014/179664、WO2016/200782、WO2015/200119、WO2017/019846、WO2017/198741、WO2017/220555、WO2017/220569、WOE2018/071500、WOE2017/015560、WO2017/025498、WO2017/087589、WO2017/087901、WO2018/083087、WO2017/149143、WO2017/219995、US2017/0260271、WO2017/086367、WO2017/086419、WO2018/034227、WO2018/185046、WO2018/185043、WO2018/217940、WO19/011306、WO2018/208868、WO2014/140180、WO2018/201096、WO2018/204374およびWO2019/018730に見出すことができ、これらの各文献の内容は、その全体が参照により組み込まれる。
【0147】
本開示の方法および用途に使用できる抗LAG-3抗体には、ヒトLAG-3に特異的に結合し、本明細書に開示される任意の抗LAG-3抗体(例えば、レラトリマブ)と、ヒトLAG-3への結合について交差競合する単離された抗体も含まれる。いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、本明細書に記載される任意の抗LAG-3抗体、例えば、レラトリマブと同じエピトープに結合する。
【0148】
いくつかの態様において、ヒトLAG-3への結合について、本明細書に開示された任意の抗LAG-3抗体(例えば、レラトリマブ)と交差競合するか、または同一のエピトープ領域に結合する抗体は、モノクローナル抗体である。ヒト対象に投与する場合、これらの交差競合抗体は、キメラ抗体、遺伝子組換え抗体またはヒト化抗体もしくはヒト抗体である。このようなキメラ抗体、遺伝子組換え抗体、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体は、当技術分野でよく知られた方法によって製造および単離することができる。
【0149】
抗原への結合について交差競合する抗体の能力は、抗体が抗原の同じエピトープ領域に結合し、その特定のエピトープ領域への他の交差競合抗体の結合を立体的に阻害することを示す。これらの交差競合抗体は、同じエピトープ領域に結合することにより、参照抗体(例えば、レラトリマブ)と非常に類似した機能特性を示すことが期待される。交差競合抗体は、Biacore分析、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリーなどの標準的な結合アッセイにおいて、交差競合の能力に基づいて容易に同定することができる(例えば、WO2013/173223を参照)。
【0150】
本開示の方法および用途に使用することができる抗LAG-3抗体は、上記の完全長抗体のいずれかの抗原結合部分も含む。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片によって果たし得ることが十分に実証されている。
【0151】
本明細書に開示される抗LAG-3抗体いずれかのバイオシミラーも、本開示の方法および用途に使用することができる。
【0152】
他の態様において、抗LAG-3抗体は、本明細書に開示された抗LAG-3抗体のいずれかの領域、例えば、レラトリマブの重鎖および軽鎖のCDRまたは可変領域を有する。従って、ある態様において、抗体は、本明細書に開示される抗LAG-3抗体、例えばレラトリマブのVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに抗体、例えばレラトリマブのVL領域の、CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含んでいる。別の態様では、抗LAG-3抗体は、本明細書に開示された抗LAG-3抗体(例えば、レラトリマブ)いずれかのVH領域および/またはVL領域を含む。
【0153】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、全長抗体である。
【0154】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または多重特異性抗体である。いくつかの態様において、多重特異性抗体は、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である。
【0155】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、F(ab')2断片、Fab'断片、Fab断片、Fv断片、scFv断片、dsFv断片、dAb断片または単鎖結合ポリペプチドである。
【0156】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、BMS-986016(レラトリマブ)、LAG-525(IMP-701、イエラミリマブ)、MK-4280(28G-10)、REGN3767(フィアンリマブ)、TSR-033、TSR-075、Sym022、FS-118、IMP731(H5L7BW)、GSK2831781、ヒト化BAP050、aLAG3(0414)、aLAG3(0416)、XmAb22841、MGD013、BI754111、P 13B02-30、AVA-017、25F7、AGEN1746またはその抗原結合部分を含む。
【0157】
特定の局面において、抗LAG-3抗体は、LAG-3の発現を決定するために使用される。ある局面では、抗LAG-3抗体は、ホルマリン固定、パラフィン包埋(FFPE)された組織標本中のLAG-3に結合する能力について選択される。別の局面では、抗LAG-3抗体は、凍結組織中のLAG-3に結合することができる。さらなる態様において、抗LAG-3抗体は、LAG-3の膜結合型、細胞質型および/または可溶性型を識別することができる。
【0158】
いくつかの態様において、本明細書に記載の方法に従ってLAG-3発現をアッセイ、検出および/または定量化するのに有用な抗LAG-3抗体は、17B4マウスIgG1抗ヒトLAG-3モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。例えば、Matsuzaki, J et al; PNAS 107, 7875 (2010)を参照されたい。
【0159】
II.B.2.追加の治療薬および治療法
いくつかの態様において、本開示の方法および使用は、対象に追加の治療剤および/または抗癌剤療法を投与することをさらに含む。
【0160】
追加の抗癌剤治療は、本明細書に開示されるように、対象における腫瘍の治療のために当該技術分野において知られている任意の治療および/または任意の標準的治療法を含むことができる。いくつかの態様において、追加の抗癌剤療法は、手術、放射線療法、化学療法、免疫療法またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、追加の抗癌剤療法は、本明細書に開示される任意の化学療法剤を含む化学療法を含む。いくつかの態様において、化学療法には、白金製剤併用化学療法が挙げられる。
【0161】
いくつかの態様において、追加の治療剤は、抗癌剤を含む。いくつかの態様において、抗癌剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血管新生剤、チェックポイント阻害剤、チェックポイント刺激剤、化学療法剤、免疫療法剤、白金剤、アルキル化剤、タキサン、核酸アナログ、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイドまたはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0162】
いくつかの態様において、チロシンキナーゼ阻害剤は、ソラフェニブ(例えば、ソラフェニブトシレート、NEXAVAR(登録商標)としても知られている)、レンバチニブ(例えば、レンバチニブメシレート、LENVIMA(登録商標)としても知られている)、レゴラフェニブ(例えば、STIVARGA(登録商標))、カボザンチニブ(例えば、カボザンチニブS-リンゴ酸塩、別名CABOMETYX(登録商標))、スニチニブ(例えば、スニチニブリンゴ酸塩、別名SUTENT(登録商標))、ブリバニブ、リニファニブ、エルロチニブ(例えば、エルロチニブ塩酸塩、別名TARCEVA(登録商標))、ペミガチニブ(別名PEMAZYRE(登録商標))、エベロリムス(別名AFINITOR(登録商標)またはZORTRESS(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、イマチニブ(例えば、イマチニブメシレート)、ラパチニブ(例えば、ラパチニブジトシレート、別名TYKERB(登録商標))、ニロチニブ(例えば、塩酸ニオルチニブ、別名TASIGNA(登録商標))、パゾパニブ(例えば、塩酸パゾパニブ、別名VOTRIENT(登録商標))、テムシロリムス(別名TORISEL(登録商標))またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0163】
いくつかの態様において、抗血管新生剤は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、VEGF受容体(VEGFR)、血小板由来増殖因子(PDGF)、PDGF受容体(PDGFR)、アンジオポエチン(Ang)、Ig様およびEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ(Tie)受容体、肝細胞増殖因子(HGF)、チロシン-プロテインキナーゼMet(c-MET)、C型レクチンファミリー14メンバーA(CLEC14A)、マルチメリン2(MMRN2)、ヒートショックタンパク質70-1A(HSP70-1A)、上皮増殖因子(EGF)、EGF受容体(EGFR)またはそれらの任意の組合せの阻害剤を含む。いくつかの態様において、抗血管新生剤は、ベバシズマブ(別名AVASTIN(登録商標))、ラムシルマブ(別名CYRAMZA(登録商標))、アフリベルセプト(別名EYLEA(登録商標)またはZALTRAP(登録商標))、タニビルマブ、オララツマブ(別名LARTRUVO(登録商標))、ネスバクマブ、AMG780、MEDI3617、バヌシズマブ、リロツムマブ、フィクラツマブ、TAK-701、オナルツズマブ、エミベツズマブまたはそれらの任意の組合せを含む。
【0164】
いくつかの態様において、チェックポイント刺激剤は、B7-1、B7-2、CD28、4-1BB(CD137)、4-1BBL、GITR、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、ICOS-L、OX40、OX40L、CD70、CD27、CD40、細胞死受容体3(DR3)、CD28Hまたはそれらの任意の組み合わせのアゴニストを含む。
【0165】
いくつかの態様において、化学療法剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍性抗生物質、有糸分裂阻害剤、ホルモンまたはホルモン調節剤、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、上皮成長因子阻害剤、プロテアソーム阻害剤、他の新生物剤またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0166】
いくつかの態様において、免疫療法剤は、ICOS、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)、NKG2A、CD27、CD96、GITR、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)、PD-1、PD-L1、CTLA-4、BTLA、TIM-3、A2aR、キラー細胞レクチン様受容体G1(KLRG-1)、ナチュラルキラー細胞受容体2B4(CD244)、CD160、TIGIT、VISTA、KIR、TGFβ、IL-10、IL-8、B7-H4、Fasリガンド、CSF1R、CXCR4、メソセリン、CEACAM-1、CD52、HER2、MICA、MICBまたはそれらの任意の組合せに特異的な抗体を含んでいる。
【0167】
いくつかの態様において、白金剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン(例えば、トリプラチン四酢酸塩)、リポプラチン、フェナンスリプラチンまたはそれらの任意の組み合わせを含んでいる。
【0168】
いくつかの態様において、アルキル化剤は、アルトレタミン、ベンダムスチン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、オキサリプラチン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テモゾロマイド、チオテパまたはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0169】
いくつかの態様において、タキサンは、パクリタキセル、アルブミン結合パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセルまたはそれらの任意の組合せを含む。
【0170】
いくつかの態様において、ヌクレオシドアナログは、シタラビン、ゲムシタビン、ラミブジン、エンテカビル、テルビブジンまたはこれらの任意の組合せを含む。
【0171】
いくつかの態様において、代謝拮抗剤は、カペシタビン、クラドリビン、クロファラビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ペメトレキサート、ペントスタチン、プララトレキサート、チオグアニンまたはそれらの任意の組合せを含む。
【0172】
いくつかの実施形態において、トポイソメラーゼ阻害剤は、エトポシド、ミトキサントロン、ドキソルビシン、イリノテカン、トポテカン、カンプトテシンまたはそれらの任意の組合せを含む。
【0173】
いくつかの態様において、アントラサイクリンは、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンまたはそれらの任意の組合せである。
【0174】
いくつかの態様において、ビンカアルカロイドは、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ビンカミノール、ビネリジン、ビンブルニンまたはそれらの任意の組合せを含む。
【0175】
II.B.3.チェックポイント阻害剤
いくつかの態様において、本開示の方法において追加の治療薬として投与される抗癌剤は、チェックポイント阻害剤である。
【0176】
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤は、プログラム死-1(PD-1)経路阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)阻害剤、T細胞免疫グロブリンおよびITIMドメイン(TIGIT)阻害剤、T細胞免疫グロブリンおよびムチン-ドメイン含有3(TIM-3)阻害剤、TIM-1阻害剤、TIM-4阻害剤、B7-H3阻害剤、B7-H4阻害剤、BおよびT細胞リンパ球減衰因子(BTLA)阻害剤、T細胞活性化のV-ドメインIg抑制因子(VISTA)阻害剤、インドールアミン 2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸酸化酵素アイソフォーム2(NOX2)阻害剤、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)阻害剤、アデノシンA2a受容体(A2aR)阻害剤、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)阻害剤、ホスホイノシチド 3キナーゼ(PI3K)阻害剤、CD47阻害剤、CD48阻害剤、CD73阻害剤、CD113阻害剤、シアル酸結合免疫グロブリン様レクチン-7(SIGLEC-7)阻害剤、SIGLEC-9阻害剤、SIGLEC-15阻害剤、グルココルチコイド誘導型TNFR関連タンパク質(GITR)阻害剤、ガレクチン-1阻害剤、ガレクチン-9阻害剤、癌胎児性抗原関連細胞接着分子-1(CEACAM-1)阻害剤、Gタンパク質共役型受容体56(GPR56)阻害剤、糖タンパク質A反復優勢(GARP)阻害剤、2B4阻害剤、プログラム死1ホモログ(PD1H)阻害剤、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)阻害剤またはこれらの組み合わせを含む。
【0177】
II.B.4.PD-1経路阻害剤
いくつかの態様において、本開示の方法および用途で使用するためのチェックポイント阻害剤は、PD-1経路阻害剤を含む。
【0178】
いくつかの態様において、PD-1経路阻害剤は、PD-1阻害剤および/またはPD-L1阻害剤である。
【0179】
いくつかの態様において、PD-1阻害剤および/またはPD-L1阻害剤は、低分子である。
【0180】
いくつかの態様において、PD-1阻害剤および/またはPD-L1阻害剤は、ミラモレキュール(millamolecule)である。
【0181】
いくつかの態様において、PD-1阻害剤および/またはPD-L1阻害剤は、大環状ペプチドである。
【0182】
ある態様において、PD-1阻害剤および/またはPD-L1阻害剤は、BMS-986189である。
【0183】
いくつかの態様において、PD-1阻害剤は、国際公開番号WO2014/151634に開示された阻害剤であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0184】
いくつかの態様において、PD-1阻害剤は、INCMGA00012(インサイト・ファーマシューティカルズ社)である。
【0185】
いくつかの態様において、PD-1阻害剤は、本明細書に開示される抗PD-1抗体とPD-1低分子阻害剤との組合せを含む。
【0186】
いくつかの態様において、PD-L1阻害剤とは、式(I):
【化1】
[式中、R
1からR
13は、アミノ酸側鎖であり、R
aからR
nは、水素、メチルであるか、または近傍のR基と環を形成し、R
14は-C(O)NHR
15であり、ここでR
15は、水素であるか、または薬物動態特性を改善できる追加のグリシン残基および/または尾部で任意に置換されていてもよいグリシン残基である]であるミラモレキュールを含む。いくつかの態様において、PD-L1阻害剤は、国際公開番号WO2014/151634(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示された化合物を含んでいる。いくつかの態様において、PD-L1阻害剤は、国際公開番号WO2016/039749、WO2016/149351、WO2016/077518、WO2016/100285、WO2016/100608、WO2016/126646、WO2016/057624、WO2017/151830、WO2017/17608、WO2018/085750、WO2018/237153またはWO2019/070643に開示されている化合物を含み、これら各々はその全体が出典明示により本明細書に組み込まれている。
【0187】
いくつかの態様において、PD-L1阻害剤は、国際公開番号WO2015/034820、WO2015/160641、WO2018/044963、WO2017/066227、WO2018/009505、WO2018/183171、WO2018/11848、WO2019/147662またはWO2019/169123に開示された低分子PD-L1阻害剤を含み、これら各々はその全体が出典明示により本明細書に組み込まれる。
【0188】
いくつかの態様において、PD-1経路阻害剤は、可溶性PD-L2ポリペプチドである。いくつかの態様において、可溶性PD-L2ポリペプチドは、融合ポリペプチドである。いくつかの態様において、可溶性PD-L2ポリペプチドは、PD-L2細胞外ドメインのリガンド結合断片を含んでいる。いくつかの態様において、可溶性PD-L2ポリペプチドは、半減期延長化部位をさらに含んでいる。いくつかの態様において、半減期延長部分は、免疫グロブリン定常領域またはその一部、免疫グロブリン結合ポリペプチド、免疫グロブリンG(IgG)、アルブミン結合ポリペプチド(ABP)、PAS化部分、HES化部分、XTEN、PEG化部分、Fc領域、またはそれらの任意の組み合わせを含んでいる。いくつかの態様において、可溶性PD-L2ポリペプチドは、AMP-224(例えば、US2013/0017199を参照)である。
【0189】
いくつかの態様において、PD-1経路阻害剤は、抗PD-1抗体および/または抗PD-L1抗体である。
【0190】
II.B.4.抗PD-1抗体
当技術分野で知られている抗PD-1抗体は、本開示の方法および用途に使用することができる。PD-1に高親和性で特異的に結合する様々なヒトモノクローナル抗体が、米国特許第8,008,449号に開示されている。米国特許第8,008,449号に開示された抗PD-1ヒト抗体は、以下の特性のうちの1つ以上を示すことが実証されている:(a)Biacoreバイオセンサーシステムを用いた表面プラズモン共鳴によって決定される1×10-7M以下のKDでヒトPD-1に結合する;(b)ヒトCD28、CTLA-4またはICOSに実質的に結合しない;(c)混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいてT細胞増殖を増加させる;(d)MLRアッセイにおいてインターフェロン-γ産生を増大させる;(e)MLRアッセイにおいてIL-2分泌を増加させる;(f)ヒトPD-1およびカニクイザルPD-1に結合する;(g)PD-1へのPD-L1および/またはPD-L2の結合を阻害する;(h)抗原特異的記憶応答を刺激する;(i)抗体応答を刺激する;および(j)in vivoにおいて腫瘍細胞の増殖を阻害する。本開示で使用可能な抗PD-1抗体には、ヒトPD-1に特異的に結合し、前述の特性のうち少なくとも1つ、いくつかの態様では少なくとも5つを示すモノクローナル抗体が含まれる。
【0191】
別の抗PD-1モノクローナル抗体は、例えば、米国特許第6,808,710号、第7,488,802号、第8,168,757号および第8,354,509号、米国公開番号2016/0272708およびPCT公開公報WO2012/145493、WO2008/156712、WO2015/112900、WO2012/145493、WO2015/112800、WO2014/206107、WO2015/35606、WO2015/085847、WO2014/179664、WO2017/020291、WO2017/020858、WO2016/197367、WO2017/024515、WO2017/025051、WO2017/123557、WO2016/106159、WO2014/194302、WO2017/040790、WO2017/133540、WO2017/132827、WO2017/024465、WO2017/025016、WO2017/106061、WO2017/19846、WO2017/024465、WO2017/025016、WO2017/132825およびWO2017/133540に記載されており、これら各々はその全体が出典明示により本明細書に組み込まれる。
【0192】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ(別名OPDIVO(登録商標)、5C4、BMS-936558、MDX-1106およびONO-4538)、ペムブロリズマブ(Merck;別名KEYTRUDA(登録商標)、ラムブロリズマブおよびMK-3475、WO2008/156712を参照)、PDR001(Novartis:別名スパルタリズムマブ;WO2015/112900を参照のこと)、MEDI-0680(AstraZeneca;別名AMP-514;WO2012/145493を参照のこと)、セミプリマブ(Regenon;別名LIBTAYO(登録商標)またはREGN-2810;WO2015/112800を参照のこと)、JS001(TAIZHOU JUNSHI PHARMA;別名トリパリマブ;Si-Yang Liu et al.,J.Hematol.Oncol.10:136(2017))、PF-06801591(Pfizer;別名ササンリマブ;US2016/0159905)、BGB-A317(Beigene;別名ティスレリズマブ;WO2015/35606およびUS2015/0079109を参照のこと)、BI 754091(Boehringer Ingelheim;Zettl M, Cancer.Res.(2018);78(13Suppl):Abstract 4558を参照)、INCSHR1210(Jiangsu Hengrui Medicine;別名SHR-1210またはカムレリズマブ;WO2015/085847を参照;Si-Yang Liu, et al.,J.Hematol.Oncol.10:136(2017))、TSR-042(Tesaro Biopharmaceutical;別名ANB011またはドスタルリマブ;WO2014/179664を参照)、GLS-010(Wuxi/Harbin Gloria Pharmaceuticals;別名WBP3055;Si-Yang Liu et al., J. Hematol.Oncol.10:136(2017))、AM-0001(Armo)、STI-1110(Sorrento Therapeutics;WO2014/194302を参照)、AGEN2034(Agenus;WO2017/040790を参照)、MGA012(Macrogenics;WO2017/19846を参照)、BCD-100(Biocad;Kaplon et al,mAbs 10(2):183-203(2018)、IBI308(Innovent;別名シンチリマブ;WO2017/024465、WO2017/025016、WO2017/132825およびWO2017/133540を参照)およびSSI-361(Lyvgen Biopharma Holdings Limited;US2018/0346569)からなる群から選択される。
【0193】
本開示の方法および用途に使用できる抗PD-1抗体には、ヒトPD-1に特異的に結合し、本明細書に開示される任意の抗PD-1抗体、例えばニボルマブ(例えば、米国特許第8,008,449号および第8,779,105号;WO2013/173223を参照)とヒトPD-1への結合について交差競合する単離抗体も含まれる。いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、本明細書に記載の抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)のいずれかと同じエピトープに結合する。
【0194】
いくつかの態様において、ヒトPD-1への結合について、本明細書に開示される任意の抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)と交差競合するか、または同じエピトープ領域に結合する抗体は、モノクローナル抗体である。ヒト対象に投与する場合、これらの交差競合抗体は、キメラ抗体、遺伝子組換え抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体である。このようなキメラ抗体、遺伝子組換え抗体、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体は、当技術分野でよく知られている方法によって、製造および単離することができる。
【0195】
本開示の方法において使用することができる抗PD-1抗体は、上記の全長抗体のいずれかの抗原結合部分を含む。
【0196】
本開示の方法で使用できる抗PD-1抗体は、高い特異性かつ親和性でPD-1に結合し、PD-L1および/またはPD-L2の結合を阻止し、PD-1シグナル伝達経路の免疫抑制作用を阻害する抗体である。本明細書に開示される組成物または方法のいずれかにおいて、抗PD-1「抗体」とは、PD-1受容体に結合する抗原結合部分または断片を含んでおり、リガンド結合の阻害および免疫系のアップレギュレーションにおいて全長抗体と同様の機能特性を発揮するものである。特定の態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、ヒトPD-1への結合についてニボルマブと交差競合する。
【0197】
ニボルマブは、PD-1リガンド(PD-L1およびPD-L2)との相互作用を選択的に阻止し、それによって抗腫瘍T細胞機能のダウンレギュレーションを阻害する完全ヒトIgG4(S228P)PD-1免疫チェックポイント阻害抗体である(米国特許第8,008,449号;Wang et al., 2014 Cancer Immunol Res.2(9):846-56)。
【0198】
ペムブロリズマブは、ヒト細胞表面受容体PD-1を標的とするヒト化モノクローナルIgG4(S228P)抗体である。ペムブロリズマブは、例えば、米国特許第8,354,509号および同第8,900,587号に記載されている。
【0199】
本明細書に開示される抗PD-1抗体のいずれかのバイオシミラーも、本開示の方法および用途に使用することができる。
【0200】
他の態様において、抗PD-1抗体は、本明細書に開示された抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)のいずれかの重鎖および軽鎖のCDRまたは可変領域を有する。従って、ある態様において、抗体は、本明細書に開示される抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)のVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに抗体(例えば、ニボルマブ)のVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含んでいる。別の態様では、抗PD-1抗体は、本明細書に開示される抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)いずれかのVH領域および/またはVL領域を含む。
【0201】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、全長抗体である。
【0202】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または多重特異性抗体である。いくつかの態様において、多重特異性抗体は、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である。
【0203】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、F(ab')2断片、Fab'断片、Fab断片、Fv断片、scFv断片、dsFv断片、dAb断片または単鎖結合ポリペプチドである。
【0204】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ヒトPD-1への結合についてニボルマブと交差競合する。
【0205】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブと同じエピトープに結合する。
【0206】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブのバイオシミラーである。
【0207】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブである。
【0208】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ヒトPD-1に結合するためにペムブロリズマブと交差競合する。
【0209】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブと同じエピトープに結合する。
【0210】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブのバイオシミラーである。
【0211】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。
【0212】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、PDR001、MEDI-0680、TSR-042、セミプリマブ、JS001、PF-06801591、BGB-A317、BI 754091、INCSHR1210、GLS-010、AM-001、STI-1110、AGEN2034、MGA012、BCD-100、IBI308、SSI-361またはその抗原結合部分を含む。
【0213】
II.B.4.b.抗PD-L1抗体
特定の態様において、抗PD-L1抗体は、本明細書に開示される方法または用途のいずれかにおいて、抗PD-1抗体に置き換えられる。
【0214】
当技術分野で既知の抗PD-L1抗体は、本開示の方法および用途に使用することができる。本開示の組成物および方法において有用な抗PD-L1抗体の例には、米国特許第9,580,507号に開示されている抗体が含まれる。米国特許第9,580,507号に開示された抗PD-L1ヒトモノクローナル抗体は、以下の特性のうちの1つ以上を示すことが実証されている:(a)Biacoreバイオセンサーシステムを用いた表面プラズモン共鳴によって決定される1×10-7M以下のKDにてヒトPD-L1に結合すること;(b)混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおけるT細胞増殖の増加;(c)MLRアッセイにおけるインターフェロン-γ産生の増加;(d)MLRアッセイにおけるIL-2分泌の増加;(e)抗体応答を刺激すること;および(f)T細胞エフェクター細胞および/または樹状細胞に対するT制御細胞の作用を逆転させること。本開示で使用可能な抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1に特異的に結合し、かつ少なくとも1つの前記特性、いくつかの局面では少なくとも5つの前記特性を示すモノクローナル抗体を含む。
【0215】
特定の態様において、抗PD-L1抗体は、BMS-936559(12A4、MDX-1105としても知られる;例えば、以下を参照:米国特許第7,943,743号およびWO2013/173223号)、アテゾリズマブ(ロシュ;TECENTRIQ(登録商標)としても知られる;MPDL3280A、RG7446;US8,217,149参照;また、Herbst et al.(2013)J Clin Oncol 31(suppl):3000)、デュルバルマブ(AstraZeneca;IMFINZI(登録商標)、MEDI-4736としても知られる;WO2011/066389参照)、アベルマブ(Pfizer;BAVENCIO(登録商標)、MSB-001718Cとしても知られる;WO2013/079174参照)、STI-1014(Sorrento;WO2013/181634参照)、CX-072(Cytomx;WO2016/149201、KN035(3D Med/Alphamab;Zhang et al., Cell Discov.7:3(2017年3月)参照)、LY3300054(Eli Lilly社;例えば、WO2017/034916参照)、BGB-A333(BeiGene社;Desaiら、JCO 36(15suppl):TPS3113(2018))、ICO 36およびCK-301(Checkpoint Therapeutics;Gorelikら、AACR:Abstract 4606(2016年4月)参照)からなる群から選択される。
【0216】
本開示の方法および用途に使用できる抗PD-L1抗体には、ヒトPD-L1に特異的に結合し、ヒトPD-L1への結合について、本明細書に開示される任意の抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブ、デュルバルマブおよび/またはアベルマブと交差競合する単離された抗体も含まれる。いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載される任意の抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブ、デュルバルマブおよび/またはアベルマブと同じエピトープに結合する。特定の態様において、本明細書に開示される任意の抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブ、デュルバルマブおよび/またはアベルマブとヒトPD-L1への結合について交差競合するか、または同一のエピトープ領域に結合する抗体は、モノクローナル抗体である。ヒト対象に投与する場合、これらの交差競合抗体は、キメラ抗体、遺伝子組換え抗体またはヒト化抗体もしくはヒト抗体である。このようなキメラ抗体、遺伝子組換え抗体、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体は、当技術分野でよく知られた方法によって製造および単離することができる。
【0217】
本開示の方法および用途に使用できる抗PD-L1抗体は、上記の完全長抗体のいずれかの抗原結合部分も含む。
【0218】
本開示の方法および用途に使用できる抗PD-L1抗体は、高い特異性と親和性でPD-L1に結合し、PD-1の結合をブロックし、PD-1シグナル伝達経路の免疫抑制効果を阻害する抗体である。本明細書に開示される方法または用途のいずれかにおいて、抗PD-L1「抗体」は、PD-L1に結合する抗原結合部分または断片を含み、受容体の結合を阻害し、免疫系をアップレギュレートする上で、全長抗体と同様の機能特性を発揮する。特定の態様において、抗PD-L1抗体またはその抗原結合部分は、ヒトPD-L1への結合についてアテゾリズマブ、デュルバルマブおよび/またはアベルマブと交差競合する。
【0219】
本明細書に開示される抗PD-L1抗体のいずれかのバイオシミラーも、本開示の方法および用途に使用することができる。
【0220】
他の態様において、抗PD-L1抗体は、本明細書に開示された抗PD-L1抗体のいずれか、例えば、アテゾリズマブの重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を有する。したがって、1つの態様において、抗体は、本明細書に開示される抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブのVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに抗体、例えば、アテゾリズマブのVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含んでいる。別の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に開示される抗PD-L1抗体のいずれか、例えば、アテゾリズマブのVH領域および/またはVL領域を含んでいる。
【0221】
いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、全長抗体である。
【0222】
いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、モノクローナル、キメラ、ヒト化、ヒトまたは多重特異性抗体である。いくつかの態様において、多重特異性抗体は、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である。
【0223】
いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、F(ab')2断片、Fab'断片、Fab断片、Fv断片、scFv断片、dsFv断片、dAb断片または単鎖結合ポリペプチドである。
【0224】
いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、BMS-936559、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、STI-1014、CX-072、KN035、LY3300054、BGB-A333、ICO36、CK-301またはその抗原結合部分を含む。
【0225】
II.B.5.抗CTLA-4抗体
いくつかの態様において、本明細書に開示されるチェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤を含んでいる。いくつかの態様において、CTLA-4阻害剤は、抗CTLA-4抗体である。
【0226】
当技術分野で既知の抗CTLA-4抗体は、本開示の方法および用途に使用することができる。本開示の抗CTLA-4抗体は、ヒトCTLA-4に結合して、CTLA-4とヒトB7受容体との相互作用を妨害する。CTLA-4とB7との相互作用は、CTLA-4受容体を有するT細胞を不活性化させるシグナルを伝達するので、相互作用の妨害により、かかるT細胞の活性化が有効に誘導、増強または延長されることで、免疫応答を誘導、増強または延長する。
【0227】
CTLA-4に高親和性にて特異的に結合するヒトモノクローナル抗体は、米国特許第6,984,720号明細書に開示されている。他の抗CTLA-4モノクローナル抗体は、例えば、米国特許第5,977,318号、第6,051,227号、第6,682,736号および第7,034,121号ならびに国際公開番号WO2012/122444、WO2007/113648、WO2016/196237およびWO2000/037504に記載されており、各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。米国特許第6,984,720号に開示された抗CTLA-4ヒトモノクローナル抗体は、以下の特性のうちの1つ以上を示すことが実証されている:(a)Biacore分析によって決定される、少なくとも約107M-1、約109M-1または約1010M-1~1011M-1以上の平衡会合定数(Ka)により示される結合親和性にてヒトCTLA-4に特異的に結合する;(b)少なくとも約103、約104また約105m-1s-1の動力学的会合定数(ka);(c)少なくとも約103、約104、または約105m-1s-1の動力学的解離定数(kd);および(d)CTLA-4のB7-1(CD80)およびB7-2(CD86)に対する結合を阻害すること。本開示に有用な抗CTLA-4抗体には、ヒトCTLA-4に特異的に結合し、前記特性の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つを示すモノクローナル抗体が含まれる。
【0228】
特定の態様において、CTLA-4抗体は、イピリムマブ(YERVOY(登録商標)、MDX-010、10D1としても知られている;米国特許第6,984,720号を参照)、MK-1308(メルク)、AGEN-1884(アジェナス社;WO2016/196237参照)およびトレメリムマブ(アストラゼネカ;チシリムマブ、CP-675,206としても知られる;WO2000/037504およびRibas, Update Cancer Ther.2(3):133-39(2007)を参照)からなる群から選択される。
【0229】
いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体は、ヒトCTLA-4に特異的に結合し、ヒトCTLA-4への結合について、本明細書に開示される任意の抗CTLA-4抗体、例えばイピリムマブおよび/またはトレメリムマブと交差競合する。いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体は、本明細書に記載された任意の抗CTLA-4抗体、例えばイピリムマブおよび/またはトレメリムマブと同じエピトープに結合する。いくつかの態様において、ヒトCTLA-4への結合について、本明細書に開示される任意の抗CTLA-4抗体、例えばイピリムマブおよび/またはトレメリムマブと、交差競合するか、または同じエピトープ領域に結合する抗体は、モノクローナル抗体である。ヒト対象に投与する場合、これらの交差競合抗体は、キメラ抗体、遺伝子組換え抗体またはヒト化抗体もしくはヒト抗体である。
【0230】
本開示の方法および用途に使用できる抗CTLA-4抗体は、上記の完全長抗体のいずれかの抗原結合部分も含む。
【0231】
本明細書に開示されるいずれかの抗CTLA-4抗体のバイオシミラーも、本開示の方法および用途に使用することができる。
【0232】
他の態様では、抗CTLA-4抗体は、本明細書に開示される抗CTLA-4抗体のいずれか、例えば、イピリムマブまたはトレメリムマブの重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を有する。したがって、1つの態様において、抗体は、本明細書に開示される抗CTLA-4抗体、例えば、イピリムマブまたはトレメリムマブのVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびにVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の態様では、抗CTLA-4抗体は、本明細書に開示された抗CTLA-4抗体、例えば、イピリムマブまたはトレメリムマブのいずれかのVH領域および/またはVL領域を含んでいる。
【0233】
いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体は、全長抗体である。
【0234】
いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体または多重特異性抗体である。いくつかの態様において、多重特異性抗体は、DART、DVD-Igまたは二重特異性抗体である。
【0235】
いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体は、F(ab')2断片、Fab'断片、Fab断片、Fv断片、scFv断片、dsFv断片、dAb断片または単鎖結合ポリペプチドである。
【0236】
いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ、トレメリムマブ、MK-1308、AGEN-1884であるか、またはその抗原結合部分を含んでいる。
【0237】
II.B.6.抗TIM-3抗体
いくつかの態様において、本明細書に開示されるチェックポイント阻害剤は、TIM-3阻害剤を含んでいる。いくつかの態様において、TIM-3阻害剤は、抗TIM-3抗体である。
【0238】
当分野において知られている抗TIM-3抗体は、現在記載されている組成物および方法に使用することができる。
【0239】
いくつかの態様において、抗TIM-3抗体は、TSR-022、LY3321367、またはWO2018/013818(参照によりその全体が組み込まれる)に開示される抗TIM-3抗体である。
【0240】
いくつかの態様において、抗TIM-3抗体は、ヒトTIM-3に特異的に結合し、ヒトTIM-3への結合について、本明細書に開示される任意の抗TIM-3抗体と交差競合する。いくつかの態様において、抗TIM-3抗体は、本明細書に記載されるいずれかの抗TIM-3抗体と同じエピトープに結合する。いくつかの態様において、本明細書に開示される任意の抗TIM-3抗体と、ヒトTIM-3への結合について交差競合するか、またはそれと同じエピトープ領域に結合する抗体は、モノクローナル抗体である。ヒト対象に投与する場合、これらの交差競合抗体は、キメラ抗体、遺伝子組換え抗体またはヒト化抗体もしくはヒト抗体である。
【0241】
本開示の方法および用途に使用できる抗TIM-3抗体はまた、上記の完全長抗体いずれかの抗原結合部分を含む。
【0242】
本明細書に開示される抗TIM-3抗体のいずれかのバイオシミラーもまた、本開示の方法および用途に使用することができる。
【0243】
他の態様において、抗TIM-3抗体は、本明細書に開示された抗TIM-3抗体のいずれかの重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を有する。したがって、1つの態様において、抗体は、本明細書に開示される抗TIM-3抗体のVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに前記抗体のVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含んでいる。別の態様では、抗TIM-3は、本明細書に開示された抗TIM-3抗体のいずれかのVH領域および/またはVL領域を含んでいる。
【0244】
いくつかの態様において、抗TIM-3抗体は、全長抗体である。
【0245】
いくつかの態様において、抗TIM-3抗体は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体または多重特異性抗体である。いくつかの態様において、多重特異性抗体は、DART、DVD-Igまたは二重特異性抗体である。
【0246】
いくつかの態様において、抗TIM-3抗体は、F(ab')2断片、Fab'断片、Fab断片、Fv断片、scFv断片、dsFv断片、dAb断片または単鎖結合ポリペプチドである。
【0247】
II.C.癌
いくつかの態様において、本明細書に開示される癌は、乳癌、肝細胞癌、胃食道癌、黒色腫、膀胱癌、胃癌、肺癌、腎癌、頭頸部癌、結腸癌およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0248】
いくつかの態様において、本明細書に開示された腫瘍または腫瘍サンプルは、乳癌、肝細胞癌、胃食道癌、黒色腫、膀胱癌、胃癌、肺癌、腎臓癌、頭頸部癌、結腸癌およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される癌と関連している。
【0249】
いくつかの態様において、癌は膀胱癌である。いくつかの態様において、癌は胃癌である。いくつかの態様において、癌は黒色腫である。いくつかの態様において、癌は肺癌である。いくつかの態様において、癌は乳癌である。いくつかの態様において、癌は、肝細胞癌である。
【0250】
本明細書に開示される方法および用途により治療することができる癌および良性病変には、循環器系の癌および良性病変、例えば、心臓(肉腫[血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫]、粘液腫、横紋筋肉腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫)、縦隔および胸膜ならびにその他の胸腔内臓器、血管腫瘍および腫瘍関連血管組織;呼吸器系、例えば、鼻腔および中耳、副鼻腔、喉頭、気管、気管支および肺(例えば、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、気管支原性癌(扁平上皮癌、未分化小細胞癌、未分化大細胞癌、腺癌)、肺胞(気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、乳腺過誤腫、中皮腫;消化器系、例えば、食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、胃、膵臓(膵管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、VIP産生腫瘍(vipoma))、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);泌尿器系、例えば、腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および/または尿道(扁平上皮癌、移行細胞癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精巣腫、奇形腫、胚性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓、例えば、原発性肝細胞癌(肝細胞癌)、肝内胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、膵内分泌腫瘍(例えば、褐色細胞腫、インシュリン腫、血管新生腸ペプチド腫瘍、膵島細胞腫瘍、グルカゴン腫瘍);骨、例えば、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(網状細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽球腫、軟骨粘液様線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫など;神経系、例えば中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、頭蓋骨癌(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、大脳膠腫症)、脳腫瘍(星細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚腫[松果体腫瘍]、多形膠芽腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);生殖器系、例えば、婦人科系、子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、腫瘍前子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌]、顆粒膜細胞腫、セルトリ・ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、黒色腫)、膣(明細胞腺癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胚性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫)など女性生殖器に関連する部位;胎盤、陰茎、前立腺、精巣およびその他の男性生殖器に関連する部位;血液系、例えば、血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];口腔、例えば、唇、舌、歯肉、口腔底、口蓋などの部位、耳下腺、唾液腺などの部位、扁桃腺、中咽頭、鼻咽頭、梨状陥凹、下咽頭癌ならびに唇、口腔および咽頭の他の部位;皮膚、例えば、悪性黒色腫、皮膚黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カルポジ肉腫、黒子異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫およびケロイド;副腎;神経芽腫;および神経芽腫および結合軟組織を含むその他の組織;後腹膜および腹膜、眼球、眼内黒色腫および隣接器官、乳房、頭部または首、肛門領域、甲状腺、副甲状腺、副腎およびその他の内分泌腺および関連構造、リンパ節の二次および不特定の悪性新生物、呼吸器および消化器系の二次悪性新生物およびその他の部位の二次悪性新生物の組織またはその1つ以上の組合せが挙げられる。
【0251】
II.D.腫瘍遺伝子変異量(TMB)の状態
いくつかの態様において、本明細書に開示されるような方法および使用は、腫瘍遺伝子変異量(TMB)の状態を測定することをさらに含む。
【0252】
TMBは、腫瘍ゲノムの遺伝子解析であるため、当業者には既知の配列決定法を適用して測定することができる。腫瘍DNAは、生殖細胞変異または多型を排除するために、同一患者の正常組織由来のDNAと比較することができる。
【0253】
いくつかの態様において、TMBは、ハイスループット配列技術、例えば、次世代配列決定(NGS)またはNGSに基づく方法を用いて腫瘍DNAを配列決定することによって決定される。いくつかの態様において、NGSに基づく方法は、癌遺伝子パネルの包括的ゲノムプロファイリング(CGP)、例えば、全ゲノム配列決定(WGS)、全エクソーム配列決定(WES)またはFoundationOne(登録商標)CDX(商標)およびMSK-IMPACT臨床試験から選択される。いくつかの態様において、本明細書で使用するTMBは、配列決定されたDNAのメガベース(Mb)あたりの体細胞変異の数を意味する。1つの態様において、TMBは、非同義変異、例えば、ミスセンス変異(すなわち、タンパク質中の特定のアミノ酸を変更する)および/またはナンセンス(未成熟停止を引き起こして、タンパク質配列の切除)、生殖細胞系のサンプルと一致する腫瘍を正規化して、遺伝性の生殖細胞系遺伝子変更を排除することにより同定した総数を用いて測定される。別の態様では、TMBは、腫瘍におけるミスセンス突然変異の総数を用いて測定される。TMBを測定するためには、十分な量のサンプルが必要である。一態様では、組織サンプル(例えば、最低10枚のスライド)を評価に使用する。ある態様では、TMBは、メガベースあたりのNsMs(NsM/MB)として表される。1メガベースは、100万塩基を表す。
【0254】
TMBの状態は、数値または相対値、例えば、高、中または低;基準セットの最高フラクタ内または上位三分位内とすることができる。
【0255】
いくつかの態様では、TMBの状態は、高いTMBである。
【0256】
いくつかの態様において、「高いTMB」とは、正常または平均である体細胞変異の数を上回る、腫瘍のゲノムにおける体細胞変異の数を指す。いくつかの態様において、高いTMBは、少なくとも210、少なくとも215、少なくとも220、少なくとも225、少なくとも230、少なくとも235、少なくとも240、少なくとも245、少なくとも250、少なくとも255、少なくとも260、少なくとも265、少なくとも270、少なくとも275、少なくとも280、少なくとも285、少なくとも290、少なくとも295、少なくとも300、少なくとも305、少なくとも310、少なくとも315、少なくとも320、少なくとも325、少なくとも330、少なくとも335、少なくとも340、少なくとも345、少なくとも350、少なくとも355、少なくとも360、少なくとも365、少なくとも370、少なくとも375、少なくとも380、少なくとも385、少なくとも390、少なくとも395、少なくとも400、少なくとも405、少なくとも410、少なくとも415、少なくとも420、少なくとも425、少なくとも430、少なくとも435、少なくとも440、少なくとも445、少なくとも450、少なくとも455、少なくとも460、少なくとも465、少なくとも470、少なくとも475、少なくとも480、少なくとも485、少なくとも490、少なくとも495または少なくとも500のスコアを有する。いくつかの態様において、高いTMBの状態は、少なくとも221、少なくとも222、少なくとも223、少なくとも224、少なくとも225、少なくとも226、少なくとも227、少なくとも228、少なくとも229、少なくとも230、少なくとも231、少なくとも232、少なくとも233、少なくとも234、少なくとも235、少なくとも236、少なくとも237、少なくとも238、少なくとも239、少なくとも240、少なくとも241、少なくとも242、少なくとも243、少なくとも244、少なくとも245、少なくとも246、少なくとも247、少なくとも248、少なくとも249または少なくとも250のスコアを有する。いくつかの態様において、高いTMBの状態は、少なくとも243のスコアを有する。
【0257】
いくつかの態様において、「高いTMB」とは、基準TMB値の最高分位内のTMBを指す。例えば、評価可能なTMBデータを有する全ての対象を、TMBのフラクタル分布に従ってグループ化する、即ち、対象を遺伝子変化の最高数値から最低数値までランク付けし、規定されたグループ数に分ける。いくつかの態様において、評価可能なTMBデータを有する全ての対象がランク付けされ、3分の1に分けられ、「高いTMB」は、基準TMB値の上位3分の1以内である。いくつかの態様において、三分位の境界は、0<100の遺伝子変化;100~243の遺伝子変化;および>243の遺伝子変化である。一旦ランク付けされると、評価可能なTMBデータを有する対象は、任意の数のグループ、例えば、四分位、五分位などに分けられることが理解されるべきである。
【0258】
いくつかの態様において、「高いTMB」とは、少なくとも約20変異/腫瘍、少なくとも約25変異/腫瘍、少なくとも約30変異/腫瘍、少なくとも約35変異/腫瘍、少なくとも約40変異/腫瘍、少なくとも約45変異/腫瘍、少なくとも約50変異/腫瘍、少なくとも約55変異/腫瘍、少なくとも約60変異/腫瘍、少なくとも約65変異/腫瘍、少なくとも約70変異/腫瘍、少なくとも約75変異/腫瘍、少なくとも約80変異/腫瘍、少なくとも約85変異/腫瘍、少なくとも約90変異/腫瘍、少なくとも約95変異/腫瘍または少なくとも約100変異/腫瘍のTMBをいう。いくつかの態様において、「高いTMB」は、少なくとも約105変異/腫瘍、少なくとも約110変異/腫瘍、少なくとも約115変異/腫瘍、少なくとも約120変異/腫瘍、少なくとも約125変異/腫瘍、少なくとも約130変異/腫瘍、少なくとも約135変異/腫瘍、少なくとも約140変異/腫瘍、少なくとも約145変異/腫瘍、少なくとも約150変異/腫瘍、少なくとも約175変異/腫瘍または少なくとも約200変異/腫瘍のTMBをいう。特定の態様において、高いTMBを有する腫瘍は、少なくとも約100変異/腫瘍を有する。
【0259】
いくつかの態様において、「高いTMB」という用語は、例えば、突然変異アッセイ、例えば、FOUNDATIONONE(登録商標)CDX(商標)アッセイによって測定される、配列決定されたゲノムのメガベースあたりの突然変異の数としても示され得る。ある態様では、高いTMBは、FOUNDATIONONE(登録商標)CDXアッセイによって測定された、ゲノムのメガベースあたりの少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19または少なくとも約20の変異をいう。特定の態様において、「高いTMB」は、FOUNDATIONONE(登録商標)CDX(商標)アッセイによって配列決定されたゲノムのメガベースあたり少なくとも10個の変異を指す。
【0260】
本明細書で使用する場合、「中程度のTMB」という用語は、腫瘍のゲノムにおける体細胞変異の数が、正常または平均である体細胞変異の数と同等またはその付近であることを指し、「低いTMB」という用語は、腫瘍のゲノムにおける体細胞変異の数が、正常または平均である体細胞変異の数よりも下であることを指す。特定の態様において、「高いTMB」は、少なくとも243のスコアを有し、「中程度のTMB」は、100~242のスコアを有し、「低いTMB」は、100未満(または、0~100)のスコアを有する。「中程度または低いTMB」とは、例えば、FOUNDATIONONE(登録商標)CDX(商標)アッセイによって測定された、配列決定されたゲノム1メガベースあたり9個未満の変異を指す。
【0261】
マイクロサテライト不安定性とは、DNAミスマッチ修復(MMR)の障害に起因する遺伝的変異亢進の状態である。MSIの存在は、MMRが正常に機能していないことを示す表現型の証拠である。ほとんどの場合、MSI腫瘍における不安定性の遺伝的根拠は、5つのヒトMMR遺伝子:MSH2、MLH1、MSH6、PMS2およびPMS1のうちのいずれか1つにおける生殖細胞系列の遺伝的変化である。特定の態様において、腫瘍治療を受ける対象は、高度のマイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有し、遺伝子MSH2、MLH1、MSH6、PMS2またはPMS1において少なくとも1つの変異を有する。他の態様において、対照群内の腫瘍治療を受ける対象は、マイクロサテライト不安定性を有さず(MSSまたはMSI安定)、遺伝子MSH2、MLH1、MSH6、PMS2およびPMS1に変異を有さない。
【0262】
II.E.腫瘍におけるPD-L1の発現量
いくつかの態様において、本明細書に開示されるような方法および用途は、対象から得られた腫瘍サンプルにおける膜性PD-L1発現を測定することをさらに含む。
【0263】
いくつかの態様において、腫瘍における膜性PD-L1発現は、例えば、mAb28-8を用いた免疫組織化学(IHC)によりアッセイされる。
【0264】
いくつかの態様において、腫瘍は、PD-L1陽性である。
【0265】
いくつかの態様において、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍とは、細胞の総数の少なくとも約0.01%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%または少なくとも約30%が、PD-L1を発現することをいう。PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、本明細書において、PD-L1を発現する腫瘍とも呼ばれ得る。他の態様において、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、細胞の総数の少なくとも約0.1%~少なくとも約20%がPD-L1を発現していることを意味する。特定の態様において、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、細胞総数の少なくとも約0.1%~少なくとも約10%がPD-L1を発現していることを意味する。いくつかの態様において、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、細胞の総数の少なくとも約1%が細胞表面でPD-L1を発現することを意味する。他の態様では、PD-L1陽性またはPD-L1発現陽性腫瘍は、細胞の総数の少なくとも約5%が細胞表面にPD-L1を発現していることを意味する。ある特定の態様において、PD-L1陽性またはPD-L1発現陽性腫瘍は、細胞の総数の少なくとも約1%、または1~5%の範囲内で、細胞表面にPD-L1を発現していることを意味する。
【0266】
II.F.腫瘍におけるLAG-3の発現量
いくつかの態様において、本明細書に開示されるような方法および用途は、対象から得られた腫瘍サンプルにおけるLAG-3発現を測定することをさらに含む。
【0267】
いくつかの態様において、腫瘍におけるLAG-3発現は、免疫組織化学(IHC)によりアッセイされる。
【0268】
いくつかの態様において、腫瘍はLAG-3陽性である。
【0269】
いくつかの態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、細胞の総数の少なくとも約0.01%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または約100%がLAG-3を発現することをいう。他の態様では、免疫組織化学(IHC)またはフローサイトメトリーによってアッセイされたLAG-3発現について、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または約100%の腫瘍随伴炎症細胞(例えば、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、FOXP3+細胞、NK細胞)が、LAG-3を発現する。LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、本明細書では、LAG-3を発現する腫瘍としても表現することができる。いくつかの態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、細胞の総数の少なくとも約0.1%~少なくとも約20%がLAG-3を発現していることを意味する。いくつかの態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、腫瘍随伴炎症細胞(例えば、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、FOXP3+細胞、NK細胞)の総数の少なくとも約0.1%~少なくとも約20%がLAG-3を発現していることを意味する。特定の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、細胞の総数の少なくとも約0.1%~少なくとも約10%がLAG-3を発現していることを意味する。特定の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、腫瘍浸潤性炎症細胞(例えば、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、FOXP3+細胞、NK細胞)の総数の少なくとも約0.1%~少なくとも約10%がLAG-3を発現していることを意味する。いくつかの態様において、LAG-3陽性またはLAG-3発現陽性腫瘍は、細胞の総数の少なくとも約1%が細胞表面にLAG-3を発現していることを意味する。いくつかの態様において、LAG-3陽性またはLAG-3発現陽性腫瘍は、腫瘍浸潤性炎症細胞(例えば、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、FOXP3+細胞、NK細胞)の総数の少なくとも約1%が、細胞表面にLAG-3を発現していることを意味する。他の態様において、LAG-3陽性またはLAG-3発現陽性腫瘍は、細胞の総数の少なくとも約5%が細胞表面にLAG-3を発現していることを意味する。他の態様において、LAG-3陽性またはLAG-3発現陽性腫瘍は、腫瘍浸潤性炎症細胞(例えば、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、FOXP3+細胞、NK細胞)の総数の少なくとも約5%がLAG-3を細胞表面に発現していることを意味する。ある特定の態様において、LAG-3陽性またはLAG-3発現陽性腫瘍は、細胞の総数の少なくとも約1%または1~5%の範囲で、細胞表面にLAG-3を発現していることを意味する。ある特定の態様において、LAG-3陽性またはLAG-3発現陽性腫瘍は、腫瘍浸潤性炎症細胞(例えば、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、FOXP3+細胞、NK細胞)の総数の少なくとも約1%または1~5%の範囲で、LAG-3を細胞表面に発現していることを意味する。
【0270】
II.G.治療プロトコル
いくつかの態様において、ヒト対象の癌を治療するための好適な治療プロトコルには、有効量の本明細書に開示されるLAG-3アンタゴニスト(例えば、レラトリマブなどの抗LAG-3抗体)を患者に投与すること、有効量の本明細書に開示されるLAG-3アンタゴニスト(例えば、レラトリマブなどの抗LAG-3抗体)を投与すること、または有効量の本明細書に開示されるチェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブなどの抗PD-1抗体)を投与することが挙げられる。
【0271】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストおよび/またはチェックポイント阻害剤は、体重を基準とした用量で投与される。
【0272】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストおよび/またはチェックポイント阻害剤は、固定用量にて投与される。
【0273】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストおよび/またはチェックポイント阻害剤は、静脈内投与のために製剤化される。
【0274】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストおよびチェックポイント阻害剤は、別々に製剤化される。いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤が2つ以上のチェックポイント阻害剤を含む場合、各チェックポイント阻害剤は別々に製剤化される。いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤は、LAG-3アンタゴニストの前に投与される。いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストは、チェックポイント阻害剤の前に投与される。
【0275】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストおよびチェックポイント阻害剤は、一緒に製剤化される(すなわち、単一の組成物として製剤化される)。
【0276】
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤が2つ以上のチェックポイント阻害剤を含む場合、2つ以上のチェックポイント阻害剤が一緒に製剤化される。
【0277】
いくつかの態様において、LAG-3アンタゴニストおよびチェックポイント阻害剤は、同時に投与される。
【0278】
いくつかの態様において、抗LAG-3アンタゴニストは、抗LAG-3抗体(例えば、レラトリマブ)であり、チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)である。
【0279】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、対象の体重の約0.0001~約100mg/kgまたは約0.01~約5mg/kgの用量で投与される。例えば、用量は、約0.3mg/kg体重、約1mg/kg体重、約3mg/kg体重、約5mg/kg体重または約10mg/kg体重または約1~約10mg/kgの範囲内とすることが可能である。いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1ヶ月に1回、3ヶ月に1回、または3~6ヶ月に1回投与される。いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、静脈内投与により約1mg/kg体重または約3mg/kg体重で投与され、抗体は以下の投与スケジュールのうちの1つを使用して投与される:(i)4週間ごとに6回投与し、その後3ヶ月ごとに投与する;(ii)3週間ごとに投与する;(iii)3mg/kg体重を1回投与し、その後3週間ごとに1mg/kg体重を投与する。いくつかの方法において、用量は、約1~1000μg/mlおよびいくつかの方法において約25~300μg/mlの血漿抗体濃度を達成するように調節される。
【0280】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体または抗LAG-3抗体と抗PD-1抗体との組み合わせ、若しくは抗PD-Ll抗体は、約0.1、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、約20、約50、約75、約80、約200、約240、約300、約360、約400、480、約500、約750または約1500mgの抗体用量で投与される。
【0281】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体の用量は、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、7週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、10週間ごと、11週間ごと、または12週間ごとに投与される。
【0282】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、約1、約3、約10、約20、約50、約80、約100、約120、約130、約150、約160、約180、約200、約240または約280mgの用量で投与され、抗PD-1抗体は、約50、約80、約100、約130、150、約180、約200、240、約280、約320、360、約400、約440または約480mgの用量で投与される。いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、約320、約360、約400、約440、約480、約520、約560、約600、約640、約680、約720、約760、約800、約840、約880、約920、約960または約1000mgの用量で投与される。いくつかの態様では、抗LAG-3抗体は、約1040、約1080、約1120、約1160、約1200、約1240、約1280、約1320、約1360、約1400、約1440、約1480、約1520、約1560、約1600、約1640、約1680、約1720、約1760、約1800、約1840、約1880、約1920、約1960または約2000mgの用量で投与される。いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、約480mgの用量で投与される。いくつかの態様において、抗LAG-3抗体は、約0.01、約0.03、約0.25、約0.1、約0.3、約1、約3、約5、約8または約10mg/kg体重の用量で投与され、抗PD-1抗体は、約0.1、約0.3、約1、約3、約5、約8または約10mg/kg体重の用量で投与される。
【0283】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、抗LAG-3抗体約80mgおよび抗PD-1抗体約240mgにて投与される。
【0284】
いくつかの態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、抗LAG-3抗体約160mgおよび抗PD-1抗体約480mgにて投与される。
【0285】
いくつかの態様において、抗PD-1抗体はニボルマブであり、約2週間ごとに1回、約240mgの固定用量で投与される。いくつかの態様において、ニボルマブは、約3週間ごとに1回、約240mgの固定用量で投与される。いくつかの態様において、ニボルマブは、約3週間ごとに1回、約360mgの固定用量で投与される。いくつかの態様において、ニボルマブは、約4週間ごとに1回、約480mgの固定用量で投与される。
【0286】
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤はペムブロリズマブであり、約200mgの固定用量で約2週間ごとに1回投与される。いくつかの態様において、ペムブロリズマブは、約3週間ごとに1回、約200mgの固定用量で投与される。いくつかの態様において、ペムブロリズマブは、約4週間ごとに1回、約400mgの固定用量で投与される。
【0287】
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤はアテゾリズマブであり、約2週間ごとに1回、約800mgの固定用量として投与される。いくつかの態様において、アテゾリズマブは、約2週間ごとに1回、約840mgの固定用量として投与される。
【0288】
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤はデュルバルマブであり、約10mg/kgの用量で約2週間ごとに1回投与される。いくつかの態様において、デュルバルマブは、約2週間ごとに1回、約800mg/kgの固定用量として投与される。いくつかの態様において、デュルバルマブは、約1200mg/kgの固定用量として約3週間に1回投与される。
【0289】
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤はアベルマブであり、約800mgを約2週間ごとに1回、固定用量として投与される。
【0290】
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤はイピリムマブであり、少なくとも約3mg/kgの用量で約3週間に1回投与される。いくつかの態様において、イピリムマブは、約3週間ごとに1回、少なくとも約10mg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、イピリムマブは、少なくとも約10mg/kgの用量で、約12週間に1回投与される。いくつかの態様において、イピリムマブは、4回投与される。
【0291】
II.H.アウトカム
本明細書に開示された方法および用途に従って治療された患者は、好ましくは、癌の少なくとも1つの徴候の改善を経験する。一態様では、改善は、測定可能な腫瘍病変の量および/または大きさの低下によって判断される。別の態様では、病変は、胸部X線またはCTもしくはMRIフィルムで測定することができる。別の態様では、細胞診または組織診は、治療に対する反応性を評価するために使用することができる。
【0292】
ある態様では、治療された患者は、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定(SD)、免疫関連完全奏効(irCR)、免疫関連部分奏効(irPR)または免疫関連安定(irSD)を示す。別の態様では、治療された患者は、腫瘍の退縮および/または増殖速度の低下、すなわち腫瘍成長の抑制を経験する。別の態様では、望ましくない細胞増殖が減少または阻害される。さらに別の態様では、以下の1つまたは複数が起こり得る:癌細胞の数が減少され得る;腫瘍の大きさが低下され得る;癌細胞の末梢器官への浸潤が、抑制、遅延、減速または停止され得る;腫瘍転移が減速または抑制され得る;腫瘍成長が抑制され得る;腫瘍の再発が、防止または遅延され得る;癌に関する症状の1つまたは複数がある程度緩和され得る。
【0293】
他の態様において、本明細書で提供される方法および用途により、腫瘍の大きさの低下、経時的に現れる転移病変数の減少、完全寛解、部分寛解または安定からなる群から選択される少なくとも1つの治療効果が得られる。
【0294】
さらに他の態様では、本明細書で提供される方法および用途は、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または約100%の客観的奏効率(ORR=CR+PR)をもたらす。いくつかの態様において、奏効期間の中央値は、3ヶ月以上、6ヶ月以上、12ヶ月以上または18ヶ月以上である。ある態様では、奏効期間中央値は、≧6ヶ月である。いくつかの態様において、奏効期間≧6ヶ月を示す患者の頻度は、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または約100%である。
【0295】
さらに他の態様において、本明細書で提供される方法および用途は、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または約100%の疾患制御率(DRR=CR+PR+SD)をもたらす。いくつかの態様において、奏効期間の中央値は、3ヶ月以上、6ヶ月以上、12ヶ月以上、または18ヶ月以上である。ある態様では、奏効期間の中央値は、≧6ヶ月である。いくつかの態様において、奏効期間≧6ヶ月の患者の頻度は、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または100%である。
【0296】
いくつかの態様において、対象は、非応答者(低いLAG-3Dスコア、低いLAG-3-Pスコアまたはその両方を有する対象)と比較して、改善された全生存期間または無増悪生存期間を示す。
【0297】
いくつかの態様において、投与により、癌が治療される。
【0298】
いくつかの態様において、投与により、癌関連腫瘍の大きさが低下する。
【0299】
いくつかの態様において、腫瘍の大きさは、投与前の腫瘍の大きさと比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%または約50%減少される。
【0300】
いくつかの態様において、対象は、最初の投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。
【0301】
いくつかの態様において、対象は、投与後、安定を示す。
【0302】
いくつかの態様において、対象は、投与後、部分奏効を示す。
【0303】
いくつかの態様において、対象は、投与後、完全奏効を示す。
【0304】
III.キット
また、(a)本明細書に開示されるLAG-3アンタゴニストの投与量を含むキットも本開示の範囲内である。
【0305】
キットは、通常、キットの内容物の所定の用途および使用説明書を示すラベルを含む。ラベルという用語は、キット上で、またはキットと共に供給されるか、またはそうでなければキットに添付する任意の文書または記録材料を含む。したがって、本開示は、腫瘍に罹患した対象を治療するためのキットを提供するもので、該キットは以下のものを含む:(a)本明細書に開示された用量のいずれかを含む、LAG-3アンタゴニストの投与量;および(b)本明細書に開示された方法および用途にLAG-3アンタゴニストを使用するための説明書。
【0306】
ヒト患者を治療するための特定の態様において、キットは、PD-1経路阻害剤をさらに含む。いくつかの態様において、キットは、本明細書に開示されるチェックポイント阻害剤としての用量いずれかを含む、PD-1経路阻害剤の投与量を含む。いくつかの態様において、PD-1経路阻害剤は、本明細書に開示される抗ヒトPD-1抗体、例えば、ニボルマブまたはペムブロリズマブ、および/または本明細書に開示される抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブ、デュルバルマブまたはアベルマブである。いくつかの態様において、キットは、抗PD-1抗体および/または抗PD-L1抗体の投与量を含む。
【0307】
いくつかの態様において、キットは、抗CTLA-4抗体および/または抗TIM-3抗体をさらに含む。
【0308】
上記で引用した全ての文献、および本明細書で引用した全ての文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0309】
以下の実施例は、例示のために提供されるものであり、限定するものではない。
【実施例】
【0310】
実施例1
LAG-3受容体のMHCIIリガンド結合に基づき、MHCIIおよびLAG-3相互作用は、定量的空間プロファイリングを用いて例示の腫瘍サンプルにおいて調べられ、免疫組織化学(IHC)染色したスライド連続切片を利用して、個別に、また相互関係においてマーカーの地理的分布を規定する。
【0311】
仮説および目的
LAG-3受容体のMHCIIリガンド結合が、所定の近傍範囲内において局在することにより、LAG-3チェックポイントの結合と活性化およびT細胞疲弊がおこり得ることを仮定した(
図1)。
【0312】
従って、本研究の目的は、デジタル空間解析を用いて、LAG-3+腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)と、MHCII+またはMHCII-のいずれかである個々の腫瘍細胞との空間的関連性を特徴付けることであった。
【0313】
方法
市販の胃癌および膀胱癌のサンプル(各腫瘍の種類につきn=20)を入手した。
【0314】
腫瘍サンプルを連続的に切断し、IHC(
図2)により以下のものを染色した:(1)LAG-3:17b4に対するモノクローナル抗体を用いる、(2)パンサイトケラチン(Pan CK):AE1-AE3に対するモノクローナル抗体を用いて腫瘍中の上皮細胞系を同定する、(3)MHCII:CR3/43に対するモノクローナル抗体を用いる。
【0315】
デジタル空間プロファイリングは、染色されたスライド(
図2~4)を用いて実施した。
【0316】
簡単に言えば、スライドを、20倍の対物レンズを使用してAPERIO(登録商標)AT2スキャナでスキャンした。
【0317】
LAG-3、MHCIIおよびPanCKのスライド全体の画像を、HALO(登録商標)ソフトウェアを介して、LAG-3、MHCIIおよびPanCK各々のアルゴリズムを使用して、デジタル処理によりアライメントを行い、分析して、空間分析のために統合されたHALO(登録商標)空間プロットを作成した。
【0318】
MHCIIおよびPanCK(腫瘍)のプロットを統合して、MHCII+およびMHC-腫瘍細胞を同定した。次に、LAG-3+プロットおよびPanCK+/MHCIIプロットを統合して、PanCK+/MHCII+またはPanCK+/MHC-腫瘍細胞の30μm以下または30μm以上の位置に存在するLAG-3+TILの数を決定した。
【0319】
HALO(登録商標)/MATLAB(登録商標)ワークフローを用いて、マーカー間の密度、数、近傍度データを記録して、定量化した。MHCII+vsMHCII-腫瘍細胞から30μm以内のLAG-3+TILの密度(即ち、LAG-3-D)およびMHCII+vsMHCII-腫瘍細胞から30μm以内のLAG-3+TILの割合(即ち、LAG-3-P)を表すLAG-3結合スコアを、Rソフトウェアを用いて、各サンプルについて算出した。LAG-3-D(細胞/mm2)を、MHCII+またはMHCII-腫瘍細胞の30μm以内のLAG-3+TILの数を、panCK+腫瘍面積で割った値として計算した。LAG-3-P(%)を、MHCII+またはMHCII-腫瘍細胞の30μm以内のLAG-3+TILの数を、全腫瘍関心領域(ROI)を含むLAG-3画像上のLAG-3+細胞の総数で割った値として計算した。MHCII+およびMHC-II腫瘍細胞に対して30μm以内のLAG-3+TILの割合の統計的差異を評価するためにMann-Whitney検定を実施した。
【0320】
結果
この解析のために調査したサンプルでは、MHCIIの発現に関するダイナミックレンジがあった(
図5)。MHCIIは、膀胱サンプルの55%および胃サンプルの70%において、腫瘍細胞の少なくとも1%で発現された。
【0321】
膀胱癌および胃癌の両方において、LAG-3結合の密度は、MHCII-腫瘍細胞(0.616[0.213、2.38]細胞/mm
2[P<0.001])と比較して、MHCII+腫瘍領域(中央値[四分位範囲]6.53[1.76、24.9]細胞/mm
2)においてより高密度であった(
図6)。
【0322】
腫瘍細胞の30μm以内のLAG-3+TILの割合は、膀胱癌および胃癌両方において、MHCII-腫瘍細胞の30μm以内のLAG-3+TIL(17.5[6.09、30.1]%結合[P<0.001])と比較して、MHCII+腫瘍細胞(中央値[四分位範囲]46.7[30.1、70.4]%結合)においてより高い割合であった(
図7)。
【0323】
結論
これらのデータは、T細胞の消耗に関与すると考えられるLAG-3チェックポイントの結合と活性化を可能とし得る近傍内にてMHCII+腫瘍細胞へのLAG-3発現TILの選択的な局在化を示唆するものである。
【0324】
腫瘍微小環境における腫瘍細胞とTILの定量的な空間解析は実施可能であり、不均一なMHCII発現を有する腫瘍における細胞-細胞間の関係を捉えることができた。
【国際調査報告】