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特表2022-549276IL-15/IL-15RAに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体を含む、イムノサイトカイン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】IL-15/IL-15RAに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体を含む、イムノサイトカイン
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20221116BHJP
   C07K 14/715 20060101ALI20221116BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20221116BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20221116BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20221116BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20221116BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20221116BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20221116BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221116BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20221116BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20221116BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20221116BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221116BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K14/715 ZNA
C07K19/00
C07K14/54
C07K16/28
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/24
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
A61K38/20
A61P35/00
A61P37/06
A61P43/00 111
A61K39/395 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518285
(86)(22)【出願日】2020-09-20
(85)【翻訳文提出日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 RU2020050233
(87)【国際公開番号】W WO2021054867
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】2019129569
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516261966
【氏名又は名称】ジョイント・ストック・カンパニー “バイオキャド”
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】ウリティン,アンドレイ・ボリソビッチ
(72)【発明者】
【氏名】コノノフ,アレクセイ・ウラディミロビッチ
(72)【発明者】
【氏名】アゲエフ,セルゲイ・アンドレービッチ
(72)【発明者】
【氏名】ゴルディエフ,アレクサンドル・アンドレービッチ
(72)【発明者】
【氏名】ビノグラドーワ,エレーナ・ウラジミロフナ
(72)【発明者】
【氏名】エフドキモフ,スタニスラフ・ルドルフォビッチ
(72)【発明者】
【氏名】シュマコーワ,アレクサンドラ・パブロフナ
(72)【発明者】
【氏名】ミトロシン,イワン・ウラディミロビッチ
(72)【発明者】
【氏名】モロゾフ,ドミトリー・バレンチノビッチ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG03
4B064AG20
4B064AG26
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA02
4C084BA41
4C084CA53
4C084DA12
4C084NA14
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC41
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB42
4C085BB43
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA50
4H045DA75
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体を含むイムノサイトカインに、そして療法剤としての、特に癌および自己免疫疾患の治療のための剤としてのその使用に関する。本発明はさらに、IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体および免疫調節抗体を含むイムノサイトカインに、そして療法剤としての、特に癌および自己免疫疾患の治療のための剤としてのその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL-15Rベータ/ガンマ陽性細胞の活性化および/または増殖を刺激するためのイムノサイトカインであって:
1)以下に連結されているIL-15Rα
a)抗体軽鎖定常ドメイン、または
b)第一の(CH1)重鎖定常ドメインならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメイン;
2)以下に連結されているIL-15
a)第一の(CH1)重鎖定常ドメインならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメイン、または
b)抗体軽鎖定常ドメイン
を含む、IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体を含み;
ヘテロ二量体複合体内の第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインが、天然S-S架橋を通じた共有会合を持つかまたは持たず、そして
IL-15またはIL-15Rαが抗体軽鎖定常ドメインに連結されている場合、IL-15RαまたはIL-15より選択されるヘテロ二量体タンパク質複合体のもう一方の部分が抗体重鎖定常ドメインに連結されている
前記イムノサイトカイン。
【請求項2】
抗体軽鎖定常ドメインがCKまたはCLより選択される、請求項1のイムノサイトカイン。
【請求項3】
IL-15Rαが、配列番号9によって示されるアミノ酸配列、または類似の生物学的活性を有する任意の既知の突然変異体IL-15Rα変異体を有する、請求項1のイムノサイトカイン。
【請求項4】
IL-15が、配列番号10によって示されるアミノ酸配列、または類似の生物学的活性を有する任意の既知の突然変異体IL-15変異体を有する、請求項1のイムノサイトカイン。
【請求項5】
IL-15Rαが抗体軽鎖定常ドメインに連結されている、請求項1のイムノサイトカイン。
【請求項6】
抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαが、配列番号1または配列番号19によって示されるアミノ酸配列を有する、請求項5のイムノサイトカイン。
【請求項7】
IL-15が抗体軽鎖定常ドメインに連結されている、請求項1のイムノサイトカイン。
【請求項8】
抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15が、配列番号3または配列番号21によって示されるアミノ酸配列を有する、請求項7のイムノサイトカイン。
【請求項9】
第一の(CH1)重鎖定常ドメイン、ならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体が、ヒンジを通じて連結されている、請求項1のイムノサイトカイン。
【請求項10】
IL-15またはIL-15Rαが、以下の順序:CH1-ヒンジ-CH2-CH3で配置された抗体重鎖定常ドメインに連結されている、請求項1のイムノサイトカイン。
【請求項11】
IL-15Rαが抗体重鎖定常ドメインに連結されている、請求項10のイムノサイトカイン。
【請求項12】
抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαが、配列番号4または配列番号22によって示されるアミノ酸配列を有する、請求項11のイムノサイトカイン。
【請求項13】
IL-15が抗体重鎖定常ドメインに連結されている、請求項10のイムノサイトカイン。
【請求項14】
抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15が、配列番号2または配列番号20によって示されるアミノ酸配列を有する、請求項13のイムノサイトカイン。
【請求項15】
抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαが、配列番号1または配列番号19によって示されるアミノ酸配列を有し、そして
抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15が、配列番号2または配列番号20によって示されるアミノ酸配列を有する
請求項1のイムノサイトカイン。
【請求項16】
抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαが、配列番号4または配列番号22によって示されるアミノ酸配列を有し、そして
抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15が、配列番号3または配列番号21によって示されるアミノ酸配列を有する
請求項1のイムノサイトカイン。
【請求項17】
請求項1のイムノサイトカインであって、前記イムノサイトカインにおいて、ADCC、CDC、および/またはADCP特性の不全を引き起こす、Fc断片単量体中の突然変異を含む、前記イムノサイトカイン。
【請求項18】
Fc断片がIgGに属する、請求項1のイムノサイトカイン。
【請求項19】
Fc断片アイソタイプが:ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4を含む群より選択される、請求項18のイムノサイトカイン。
【請求項20】
IL-15/IL-15Rαに基づく上記2つのヘテロ二量体タンパク質複合体を含む、請求項1~19のいずれかのイムノサイトカイン。
【請求項21】
癌または自己免疫疾患の治療のための療法剤として使用するための、請求項20のイムノサイトカイン。
【請求項22】
IL-15Rベータ/ガンマ陽性細胞の活性化および/または増殖を刺激するためのイムノサイトカインであって、IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体、およびPD-1経路を特異的に阻害する免疫調節抗体またはその抗原結合断片を含み、
IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体が:
1)以下に連結されているIL-15Rα
a)抗体軽鎖定常ドメイン、または
b)第一の(CH1)重鎖定常ドメインならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメイン;
2)以下に連結されているIL-15
a)第一の(CH1)重鎖定常ドメインならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメイン、または
b)抗体軽鎖定常ドメイン
を含み;
ヘテロ二量体複合体内の第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインが、天然S-S架橋を通じた共有会合を持つかまたは持たず、そして
IL-15またはIL-15Rαが抗体軽鎖定常ドメインに連結されている場合、IL-15RαまたはIL-15より選択されるヘテロ二量体タンパク質複合体のもう一方の部分が抗体重鎖定常ドメインに連結されている
前記イムノサイトカイン。
【請求項23】
抗体軽鎖定常ドメインがCKまたはCLより選択される、請求項22のイムノサイトカイン。
【請求項24】
IL-15Rαが、配列番号9によって示されるアミノ酸配列、または類似の生物学的活性を有する任意の既知の突然変異体IL-15Rα変異体を有する、請求項22のイムノサイトカイン。
【請求項25】
IL-15が、配列番号10によって示されるアミノ酸配列、または類似の生物学的活性を有する任意の既知の突然変異体IL-15変異体を有する、請求項22のイムノサイトカイン。
【請求項26】
IL-15Rαが抗体軽鎖定常ドメインに連結されている、請求項22のイムノサイトカイン。
【請求項27】
抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαが、配列番号1または配列番号19によって示されるアミノ酸配列を有する、請求項26のイムノサイトカイン。
【請求項28】
IL-15が抗体軽鎖定常ドメインに連結されている、請求項22のイムノサイトカイン。
【請求項29】
抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15が、配列番号3または配列番号21によって示されるアミノ酸配列を有する、請求項28のイムノサイトカイン。
【請求項30】
第一の(CH1)重鎖定常ドメイン、ならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体が、ヒンジを通じて連結されている、請求項22のイムノサイトカイン。
【請求項31】
IL-15またはIL-15Rαが、以下の順序:CH1-ヒンジ-CH2-CH3で配置された抗体重鎖定常ドメインに連結されている、請求項22のイムノサイトカイン。
【請求項32】
IL-15Rαが抗体重鎖定常ドメインに連結されている、請求項31のイムノサイトカイン。
【請求項33】
抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαが、配列番号6または配列番号24によって示されるアミノ酸配列を有する、請求項32のイムノサイトカイン。
【請求項34】
IL-15が抗体重鎖定常ドメインに連結されている、請求項31のイムノサイトカイン。
【請求項35】
抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15が、配列番号5または配列番号23によって示されるアミノ酸配列を有する、請求項34のイムノサイトカイン。
【請求項36】
PD-1経路を特異的に阻害する免疫調節抗体またはその抗原結合断片が、PD-1に特異的に結合する抗体である、請求項22のイムノサイトカイン。
【請求項37】
免疫調節抗体が:
a)軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含む軽鎖;
b)重鎖可変ドメイン、ならびに第一の(CH1)重鎖定常ドメイン、および第二の(CH1)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメインを含む、重鎖
を含む、請求項22のイムノサイトカイン。
【請求項38】
軽鎖可変ドメインが、それぞれ配列番号14、配列番号15、および配列番号16のアミノ酸配列によって示されるLCDR 1、2、および3(超可変領域1、2、および3)を含む、請求項37のイムノサイトカイン。
【請求項39】
軽鎖可変ドメインが配列番号18によって示されるアミノ酸配列を含む、請求項38のイムノサイトカイン。
【請求項40】
重鎖可変ドメインが、それぞれ配列番号11、配列番号12、および配列番号13のアミノ酸配列によって示される、HCDR 1、2、および3(超可変領域1、2、および3)を含む、請求項37のイムノサイトカイン。
【請求項41】
重鎖可変ドメインが配列番号17によって示されるアミノ酸配列を含む、請求項40のイムノサイトカイン。
【請求項42】
1)軽鎖可変ドメインが、それぞれ配列番号14、配列番号15、および配列番号16のアミノ酸配列によって示される、LCDR 1、2、および3(超可変領域1、2、および3)を含み、
2)重鎖可変ドメインが、それぞれ配列番号11、配列番号12、および配列番号13のアミノ酸配列によって示される、HCDR 1、2、および3(超可変領域1、2、および3)を含む
請求項37のイムノサイトカイン。
【請求項43】
1)軽鎖可変ドメインが配列番号18によって示されるアミノ酸配列を含み;
2)重鎖可変ドメインが配列番号17によって示されるアミノ酸配列を含む
請求項42のイムノサイトカイン。
【請求項44】
免疫調節抗体が配列番号8によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項37のイムノサイトカイン。
【請求項45】
免疫調節抗体が配列番号7によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項37のイムノサイトカイン。
【請求項46】
免疫調節抗体が:
配列番号7によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖;
配列番号8によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項37のイムノサイトカイン。
【請求項47】
PD-1経路を特異的に阻害する免疫調節抗体またはその抗原結合断片が、PD-L1に特異的に結合する抗体である、請求項22のイムノサイトカイン。
【請求項48】
a)ヘテロ二量体タンパク質複合体が、IL-15/IL-15Rαに基づいて:
配列番号1または配列番号19によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
配列番号5または配列番号23によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15
を含み;
b)免疫調節抗体が:
配列番号7によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖;
配列番号8によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項22のイムノサイトカイン。
【請求項49】
a)抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαが、配列番号6または配列番号24によって示されるアミノ酸配列を有し、そして
抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15が、配列番号3または配列番号21によって示されるアミノ酸配列を有し;
b)免疫調節抗体が:
配列番号7によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖;
配列番号8によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、請求項22のイムノサイトカイン。
【請求項50】
2つの異なる部分のヘテロ二量体化を誘導する、抗体定常ドメイン中の突然変異を有する、請求項22または37のイムノサイトカインであって、部分の一方が、共有的にまたは非共有的に会合した、抗体定常ドメインに連結されているIL-15Rαおよび抗体定常ドメインに連結されているIL-15を含み、そしてもう一方の部分が、共有的にまたは非共有的に会合した、抗体の軽鎖および重鎖を含む、前記イムノサイトカイン。
【請求項51】
第一のFc単量体および第二のFc単量体が、以下の群:第一のFc単量体がノブ修飾Fcであり、そして第二のFc単量体がホール修飾Fcである場合、または第二のFc単量体が信修飾Fcであり、そして第一のFc単量体がホール修飾Fcである場合より選択される、請求項22または37のいずれかのイムノサイトカイン。
【請求項52】
a)第一のFc単量体がアミノ酸置換S354C/T366Wを有し、そして第二のFc単量体がアミノ酸置換Y349C/T366S/L368A/Y407Vを有し、
b)第一のFc単量体がアミノ酸置換Y349C/T366S/L368A/Y407を有し、そして第二のFc単量体がアミノ酸置換S354C/T366Wを有する
請求項51のイムノサイトカイン。
【請求項53】
Fc断片がIgGに属する、請求項22または37のいずれかのイムノサイトカイン。
【請求項54】
Fc断片アイソタイプが:ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4を含む群より選択される、請求項53のイムノサイトカイン。
【請求項55】
請求項22または37のいずれかのイムノサイトカインであって、前記イムノサイトカインにおいて、ADCC、CDC、および/またはADCP特性の不全を引き起こす、Fc断片単量体中の突然変異を有する、前記イムノサイトカイン。
【請求項56】
腫瘍性疾患または自己免疫疾患の治療のための、請求項22~55のいずれかのイムノサイトカイン。
【請求項57】
請求項1~20または22~55のいずれかのイムノサイトカインをコードする単離核酸。
【請求項58】
核酸がDNAである、請求項57の核酸。
【請求項59】
請求項57~58のいずれかの核酸を含む、発現ベクター。
【請求項60】
請求項59のベクターで細胞を形質転換する工程を含む、請求項1~20または22~55のいずれかのイムノサイトカインを産生するための宿主細胞を産生するための方法。
【請求項61】
請求項57~58のいずれかの核酸を含む、請求項1~20または22~55のいずれかのイムノサイトカインを産生するための宿主細胞。
【請求項62】
請求項1~20または22~55のいずれかのイムノサイトカインを含む産物を産生するための方法であって、請求項61の宿主細胞を、前記イムノサイトカインを産生するために十分な条件下で、培地中で培養し、必要であれば、その後、産生されたイムノサイトカインを単離および精製する工程を含む、前記方法。
【請求項63】
1つまたはそれより多くの薬学的に許容されうる賦形剤と組み合わせた、療法的有効量の請求項1~20または22~55のいずれかのイムノサイトカインを含む、IL-15Rベータ/ガンマ陽性細胞の活性化および/または増殖を刺激するための薬学的組成物。
【請求項64】
腫瘍性疾患または自己免疫疾患の治療のための、請求項63の薬学的組成物。
【請求項65】
腫瘍性疾患が:HNSCC(頭頸部扁平上皮癌)、子宮頸癌、未知の原発性癌、神経膠芽腫、食道癌、膀胱癌、TNBC(トリプルネガティブ乳癌)、CRC(結腸直腸癌)、肝細胞癌、黒色腫、NSCLC(非小細胞肺癌)、腎臓癌、卵巣癌、MSI CRC(マイクロサテライト不安定性を伴う結腸直腸癌)、白血病(急性白血病または骨髄芽球性白血病)、リンパ腫、多発性骨髄腫、黒色腫、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膀胱癌、肉腫、肝細胞癌、神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、TおよびB細胞急性リンパ芽球性白血病、小細胞肺癌、急性骨髄芽球性白血病、難治性非ホジキンB細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、頭頸部扁平上皮癌、膵臓癌、卵巣癌、急性骨髄芽球性白血病および高リスク骨髄異形成症候群を含む群より選択される、請求項64の薬学的組成物。
【請求項66】
腫瘍性疾患の治療法であって、こうした治療が必要な被験体に、請求項1~20または22~55のいずれかのイムノサイトカイン、あるいは請求項63の薬学的組成物を、療法的有効量で投与する、前記方法。
【請求項67】
腫瘍性疾患が:HNSCC(頭頸部扁平上皮癌)、子宮頸癌、未知の原発性癌、神経膠芽腫、食道癌、膀胱癌、TNBC(トリプルネガティブ乳癌)、CRC(結腸直腸癌)、肝細胞癌、黒色腫、NSCLC(非小細胞肺癌)、腎臓癌、卵巣癌、MSI CRC(マイクロサテライト不安定性を伴う結腸直腸癌)、白血病(急性白血病または骨髄芽球性白血病)、リンパ腫、多発性骨髄腫、黒色腫、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膀胱癌、肉腫、肝細胞癌、神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、TおよびB細胞急性リンパ芽球性白血病、小細胞肺癌、急性骨髄芽球性白血病、難治性非ホジキンB細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、頭頸部扁平上皮癌、膵臓癌、卵巣癌、急性骨髄芽球性白血病および高リスク骨髄異形成症候群を含む群より選択される、請求項55の治療法。
【請求項68】
T細胞集団またはNK細胞集団の生物学的活性の活性化を必要とする被験体において、こうした活性を活性化するための方法であって、請求項1~20または22~55のいずれかのイムノサイトカイン、あるいは請求項63の薬学的組成物の有効量を被験体に投与する工程を含む、前記方法。
【請求項69】
腫瘍性疾患の治療を必要とする被験体における治療のための、請求項1~20または22~55のいずれかのイムノサイトカイン、あるいは請求項63の薬学的組成物の使用。
【請求項70】
腫瘍性疾患が:HNSCC(頭頸部扁平上皮癌)、子宮頸癌、未知の原発性癌、神経膠芽腫、食道癌、膀胱癌、TNBC(トリプルネガティブ乳癌)、CRC(結腸直腸癌)、肝細胞癌、黒色腫、NSCLC(非小細胞肺癌)、腎臓癌、卵巣癌、MSI CRC(マイクロサテライト不安定性を伴う結腸直腸癌)、白血病(急性白血病または骨髄芽球性白血病)、リンパ腫、多発性骨髄腫、黒色腫、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膀胱癌、肉腫、肝細胞癌、神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、TおよびB細胞急性リンパ芽球性白血病、小細胞肺癌、急性骨髄芽球性白血病、難治性非ホジキンB細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、頭頸部扁平上皮癌、膵臓癌、卵巣癌、急性骨髄芽球性白血病および高リスク骨髄異形成症候群を含む群より選択される、請求項69の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体を含むイムノサイトカインに、そして療法剤としての、特に癌および自己免疫疾患の治療のための剤としてのその使用に関する。本発明はさらに、IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体および免疫調節抗体を含むイムノサイトカインに、そして療法剤としての、特に癌および自己免疫疾患の治療のための剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
サイトカインは、シグナル伝達タンパク質および糖タンパク質のカテゴリーであり、ホルモンおよび神経伝達物質同様、細胞コミュニケーションに広く用いられている。ホルモンは特定の臓器から血液に分泌され、そして神経伝達物質は神経活性に関連付けられるが、サイトカインは、起源および目的に関して、より多様なクラスの化合物である。これらは、非常に多様な造血細胞および非造血細胞によって産生され、そして近傍の細胞および生物全体の両方に影響を及ぼす可能性もあり、そして時に、他の化学物質の存在に強く依存する。サイトカインファミリーは、主に、8~30kDaの間の範囲の質量を持つ小分子水溶性タンパク質および糖タンパク質からなる。サイトカインは、自然免疫反応および適応免疫反応の両方の発展および機能に非常に重要である。これらはしばしば、病原体に遭遇した免疫細胞によって分泌され、それによってさらなる免疫細胞を活性化し、そして補充して、病原体に対する系の反応を増加させる。
【0003】
サイトカインの中でも、インターロイキン15(IL-15)は、IL-2に構造的類似性を有するサイトカインであり;前者は、ウイルス(単数または複数)感染後、あるいは「非自己」と認識されるかまたは弱っている細胞による間接刺激後に、単核貪食細胞(およびいくつかの他の細胞)によって分泌される。このサイトカインは、ナチュラルキラー細胞;その主な役割がウイルス感染細胞を殺すことである自然免疫系の細胞の細胞増殖を誘導する。この遺伝子にコードされるタンパク質は、T細胞およびナチュラルキラー細胞活性化および増殖を制御するサイトカインである。
【0004】
インターロイキン-15(IL-15)は、T細胞活性化因子として2つのグループによって同時に同定された14~15kDaの糖タンパク質である(Grabstein, K.H.ら, Science 1994, 264, 965; Burton, J.D.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1994, 91, 4935)。IL-15 mRNAは、異なる細胞および組織で広く発現されているが、翻訳および細胞内輸送のレベルで、その発現が強く転写後調節されているため、これらの細胞中または細胞上清中でこのタンパク質を発見することは困難である(Bamford RN.ら, J. Immunol. 1998, 160:4418-4426; Kurys Gら, J. Biol. Chem. 2000, 275:30653-30659)。さらに、IL-15は、膜タンパク質として、活性型で存在しうることが示されてきており(Mussoら, Blood 1999, Vol. 93, No 10(5月15日): pp 3531-3539)、そして近年、IL-15はリガンドとしてまたは受容体としてのいずれかで機能して(Budalgianら, JBC 2004, vol 279, No 40: pp 42192-42201)、この経路を通じて、炎症促進性サイトカインの分泌を誘導することが注目された。可溶性タンパク質の高発現レベルは、自己免疫および炎症性疾患の病因形成に関連付けられてきている。IL-15は、クローン病(Kirman I., 1996, Am. J. Gastroenterol. 91, 1789)、乾癬(Ruckert R. 2000, 165:2240-2250)、白血病(Yamada Y. 1999, Leukemia and Lymphoma, 35(1-2):37-45)および関節リウマチ(RA)(Mclnnes I.B. 1998, Immunology Today, 19, 75-79)を含むいくつかの疾患において検出されてきている。リガンドがT細胞受容体に結合すると、IL-15Rαの発現、ならびにいくつかの活性化抗原、例えばCD69、CD25およびTNFRIIの発現が誘導される。さらに、IL-15は、ヒト血中Tリンパ球の化学誘引剤である(Wilkinson 1995, J. Exp. Med. 181, 1255-1259)。これらのデータはすべて、抗原提示細胞によって発現されるIL-15が、炎症部位での初期T細胞活性化に対して重要でありうることを示唆する。
【0005】
IL-15は、サイトカインの小分子4アルファらせん束ファミリーのメンバーである。IL-15の生物学的効果は、3つのサブユニット、α、β、およびγで構成される細胞膜受容体への結合を通じて仲介される。IL-15Rαは、非常に高いアフィニティKd 10-11で結合するこのサイトカインに特異的なサブユニットであり、そして膜受容体としてまたは可溶性型で見出されうる(Budagian V.ら, JBC 2004, 279, 39:40368-40375; Mortierら, The Journal of Immunology, 2004, 173:1681-1688)。IL-15Raは、IL-15に結合可能であり、そして結合後のIL-15の生物学的機能に必須である、Sushiドメインを含有する。
【0006】
IL-15は、低分子量であり、in vivo半減期が短く、反復投薬の制御が困難であり、そして全身性免疫副作用を引き起こす可能性があることに関連する制限がある。in vivo半減期を増加させ、そしてin vivoでのIL-15の生物学的活性を促進するかまたは増進させることが可能なアプローチを発見する喫緊の必要がある。
【0007】
近年、IL-15およびその受容体IL-15Rαによって形成される複合体は、IL-15の生物学的活性を有意に増進させうることが見出された。研究によって、IL-15および可溶性受容体IL-15Rαによって形成される複合体が、メモリーCD8+ Tリンパ球およびNT/NKT細胞の増殖を刺激する際に、IL-15単独よりも有意に優れていることが示された。IL-15/IL-15Rα複合体は、メモリーCD8+ T細胞の増殖を刺激する際に、そしてその生存を維持する際に、IL-15単独よりも10倍以上より強く、そしてこの機構はcis提示と関連しうる。
【0008】
国際出願WO2007046006、WO2016095642は、IL-15Rベータ/ガンマシグナル伝達経路を刺激して、それによってIL-15Rベータ/ガンマ陽性細胞、例えばNKおよび/またはT細胞の活性化および/または増殖を誘導しそして/または刺激することを意図する融合タンパク質であって、IL-15Rアルファの細胞外領域のsushiドメインを含有するポリペプチドに共有結合によって間接的に連結されているIL-15を含むことで特徴づけられる前記融合タンパク質、および癌治療におけるその使用を開示する。しかし、WO2007046006は、NおよびC末端アミノ酸を通じてリンカーペプチドによってIL-15Rアルファに連結されているIL-15に関してのみスーパーアゴニストの実験データおよび特徴を提供する一方、WO2016095642は、IL-15リガンドおよびIL-15Rアルファ自体のCys突然変異によって形成されるキメラS-S結合によって連結されているものに関してのみ、スーパーアゴニストの実験データおよび特徴を提供する。どちらも、S-S結合(単数または複数)によって連結されている、またはS-S架橋を伴わない融合タンパク質ドメインを含む、IL15スーパーアゴニスト変異体の活性および物理化学特性に関するいかなる証拠も提供しない。
【0009】
これらの物体には、分子量が小さく、in vivo半減期が短いことに関連する制限がある。これらは、インターロイキン15の限定された活性を有し、そしてその産生は、特にチャイニーズハムスター卵巣細胞において非常に困難であり、そして低収量と関連する。
【0010】
国際出願WO 2015103928、WO2018071919は、上記問題の解決に向けた変異体、特に、タンパク質(I)およびタンパク質(II)を含むヘテロ二量体IL-15アゴニストタンパク質であって、前記タンパク質(I)が第一のFc変異体に融合したIL-15によって形成され、第一のFc変異体がIL-15のC末端に連結されており、そして前記タンパク質(II)が、第二のFc変異体であるかあるいは第二のFc変異体に融合したIL-15Rαまたはその変異体によって形成され、第二のFc変異体がIL-15RαのC末端に連結されている、前記変異体を開示する。タンパク質(I)およびタンパク質(II)は、第一のFc変異体および第二のFc変異体の間の「ノブ・イントゥ・ホール(konbs-into-holes)」相互作用を通じて、安定なヘテロ二量体タンパク質を形成する。
【0011】
IL-15に基づくイムノサイトカインの生成は、インターロイキン15の免疫調節効果を腫瘍に向ける、腫瘍特異的抗体の好適な特性と組み合わせるために特に関心が持たれる。
【0012】
国際出願WO2015018528、WO2018071918は、コンジュゲート、および前記コンジュゲートに共有結合によって直接または間接的に連結されている免疫調節抗体またはその断片を含むイムノサイトカインであって、前記コンジュゲートがインターロイキン-15のアミノ酸配列またはその誘導体、およびIL-15Rαのsushiドメインのアミノ酸配列またはその誘導体を含むポリペプチドを含む、前記イムノサイトカインを開示する。
【0013】
国際出願WO 2012175222は、癌治療のためのイムノサイトカインであって、コンジュゲート、ならびに抗体またはFab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Facb、Fd、およびscFvを含む群より選択されるその断片を含み、前記コンジュゲートが、インターロイキン15のアミノ酸配列を含むポリペプチド、およびIL-15Rαのsushiドメインのアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、前記イムノサイトカインを開示する。コンジュゲートおよび抗体またはその断片は、タンパク質コンジュゲート化を提供する二官能性共役剤を用いて共有結合される。
【0014】
国際出願WO2019006472は:
IL-15Raタンパク質、IL-15タンパク質、および第一のFcドメインを含むIL-15/IL-15Ra融合タンパク質;ならびに
抗原結合ドメイン単量体であって、ヒトCD8、ヒトNKG2A、およびヒトNKG2Dからなる群より選択される抗原に結合し、VH-CH1-ヒンジ-CH2-CH3単量体を含む重鎖を含み、VHが重鎖可変ドメインであり、そしてCH2-CH3が第二のFcドメインであり、そして軽鎖が可変軽鎖(VL)および軽鎖定常ドメイン(CL)を含む、前記抗原結合ドメイン単量体
を含み、
前記の第一および第二のFcドメインが:
【0015】
【化1】
【0016】
からなる群より選択されるアミノ酸置換セットを有する
二官能性ヘテロ二量体タンパク質を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】WO2007046006
【特許文献2】WO2016095642
【特許文献3】WO 2015103928
【特許文献4】WO2018071919
【特許文献5】WO2015018528
【特許文献6】WO2018071918
【特許文献7】WO 2012175222
【特許文献8】WO2019006472
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Grabstein, K.H.ら, Science 1994, 264, 965
【非特許文献2】Burton, J.D.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1994, 91, 4935
【非特許文献3】Bamford RN.ら, J. Immunol. 1998, 160:4418-4426
【非特許文献4】Kurys Gら, J. Biol. Chem. 2000, 275:30653-30659
【非特許文献5】Mussoら, Blood 1999, Vol. 93, No 10(5月15日): pp 3531-3539
【非特許文献6】Budalgianら, JBC 2004, vol 279, No 40: pp 42192-42201
【非特許文献7】Kirman I., 1996, Am. J. Gastroenterol. 91, 1789
【非特許文献8】Ruckert R. 2000, 165:2240-2250
【非特許文献9】Yamada Y. 1999, Leukemia and Lymphoma, 35(1-2):37-45
【非特許文献10】Mclnnes I.B. 1998, Immunology Today, 19, 75-79
【非特許文献11】Wilkinson 1995, J. Exp. Med. 181, 1255-1259
【非特許文献12】Budagian V.ら, JBC 2004, 279, 39:40368-40375
【非特許文献13】Mortierら, The Journal of Immunology, 2004, 173:1681-1688
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
IL-15およびその受容体IL-15Rαの複合体に関する上記先行技術の解決策にもかかわらず、安定性が高く、in vivo半減期が延長され、in vivo生物学的活性が増加し、そして哺乳動物細胞における生産性が増加している、IL-15に基づく分子に関する必要性がなおある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らによって開発された、IL-15およびIL-15Rαに基づくヘテロ二量体分子を含む、新規イムノサイトカイン形式は、より高い安定性、哺乳動物細胞における増加した生産性、延長されたin vivo半減期、および増加したin vivo生物学的活性を示す。さらに、これらは、IL15活性の特性を有する二重特異性イムノサイトカインに関する普遍的な形式である。本発明者らによって開発された新規イムノサイトカイン形式は、前臨床研究の結果にしたがって、減少した毒性を有する。
【0021】
1つの側面において、本発明は、IL-15Rベータ/ガンマ陽性細胞の活性化および/または増殖を刺激するためのイムノサイトカインであって:
1)以下に連結されているIL-15Rα
a)抗体軽鎖定常ドメイン、または
b)第一の(CH1)重鎖定常ドメインならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメイン;
2)以下に連結されているIL-15
a)第一の(CH1)重鎖定常ドメインならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメイン、または
b)抗体軽鎖定常ドメイン
を含むIL-15/IL-15Rαヘテロ二量体タンパク質複合体を含み;
ヘテロ二量体複合体内の第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインが、天然S-S架橋を通じた共有会合を持つかまたは持たず、そして
IL-15またはIL-15Rαが抗体軽鎖定常ドメインに連結されている場合、IL-15RαまたはIL-15より選択されるヘテロ二量体タンパク質複合体のもう一方の部分が抗体重鎖定常ドメインに連結されている
前記イムノサイトカインに関する。
【0022】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、ヘテロ二量体複合体内に、天然S-S架橋を通じた共有会合を有する、第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む。
【0023】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、ヘテロ二量体複合体内に、天然S-S架橋を通じた共有会合を持たない、第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む。
【0024】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、CKまたはCLより選択される抗体軽鎖定常ドメインを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号9によって示されるアミノ酸配列を有するIL-15Rα、または類似の生物学的活性を有する任意の既知の突然変異体IL-15Rα変異体を含む。
【0025】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号10によって示されるアミノ酸配列を有するIL-15、または類似の生物学的活性を有する任意の既知の突然変異体IL-15変異体を含む。
【0026】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号1または配列番号19によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
【0027】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号3または配列番号21によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
【0028】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、ヒンジを通じて連結されている、第一の(CH1)重鎖定常ドメインならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む。
【0029】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、以下の順序:CH1-ヒンジ-CH2-CH3で配置された抗体重鎖定常ドメインに連結されている、IL-15またはIL-15Rαを含む。
【0030】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号4または配列番号22によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
【0031】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号2または配列番号20によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
【0032】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
配列番号1または配列番号19によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
配列番号2または配列番号20によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15
を含む。
【0033】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
配列番号4または配列番号22によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
配列番号3または配列番号21によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15
を含む。
【0034】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、前記イムノサイトカインにおいて、ADCC、CDC、および/またはADCP特性の不全を引き起こす、Fc断片単量体中の突然変異を含む。
【0035】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、IgGに属するFc断片を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4を含む群より選択されるFc断片を含む。
【0036】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、上記2つのIL-15/IL-15Rαヘテロ二量体タンパク質複合体を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、癌または自己免疫疾患の治療のための療法剤として使用される。
【0037】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、癌治療のための療法剤として使用される。
1つの側面において、本発明は、IL-15Rベータ/ガンマ陽性細胞の活性化および/または増殖を刺激するためのイムノサイトカインであって、IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体、およびPD-1経路を特異的に阻害する免疫調節抗体またはその抗原結合断片を含み、
IL-15/IL-15Rαヘテロ二量体タンパク質複合体が:
1)以下に連結されているIL-15Rα
a)抗体軽鎖定常ドメイン、または
b)第一の(CH1)重鎖定常ドメインならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメイン;
2)以下に連結されているIL-15
a)第一の(CH1)重鎖定常ドメインならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメイン、または
b)抗体軽鎖定常ドメイン
を含み;
ヘテロ二量体複合体内の第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインが、天然S-S架橋を通じた共有会合を持つかまたは持たず、そして
IL-15またはIL-15Rαが抗体軽鎖定常ドメインに連結されている場合、IL-15RαまたはIL-15より選択されるヘテロ二量体タンパク質複合体のもう一方の部分が抗体重鎖定常ドメインに連結されている
前記イムノサイトカインに関する。
【0038】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、ヘテロ二量体複合体内に、天然S-S架橋を通じた共有会合を有する、第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む。
【0039】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、ヘテロ二量体複合体内に、天然S-S架橋を通じた共有会合を持たない、第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む。
【0040】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、CKまたはCLより選択される抗体軽鎖定常ドメインを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号9によって示されるアミノ酸配列を有するIL-15Rα、または類似の生物学的活性を有する任意の既知の突然変異体IL-15Rα変異体を含む。
【0041】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号10によって示されるアミノ酸配列を有するIL-15、または類似の生物学的活性を有する任意の既知の突然変異体IL-15変異体を含む。
【0042】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号1または配列番号19によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
【0043】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号3または配列番号21によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
【0044】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、ヒンジを通じて連結されている、第一の(CH1)重鎖定常ドメインならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む。
【0045】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、以下の順序:CH1-ヒンジ-CH2-CH3で配置された抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15またはIL-15Rαを含む。
【0046】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号6または配列番号24によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
【0047】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号5または配列番号23によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
【0048】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、PD-1経路を特異的に阻害し、そしてPD-1に特異的に結合する抗体である免疫調節抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0049】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
a)軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含む軽鎖;
b)重鎖可変ドメイン、ならびに第一の(CH1)重鎖定常ドメイン、および第二の(CH1)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメインを含む、重鎖
を含む、免疫調節抗体を含む。
【0050】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、それぞれ配列番号14、配列番号15、および配列番号16のアミノ酸配列によって示されるLCDR 1、2、および3(超可変領域1、2、および3)を含む、軽鎖可変ドメインを含む。
【0051】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号18によって示されるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変ドメインを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、それぞれ配列番号11、配列番号12、および配列番号13のアミノ酸配列によって示される、HCDR 1、2、および3(超可変領域1、2、および3)を含む、重鎖可変ドメインを含む。
【0052】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号17によって示されるアミノ酸配列を含む、重鎖可変ドメインを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
1)それぞれ配列番号14、配列番号15、および配列番号16のアミノ酸配列によって示される、LCDR 1、2、および3(超可変領域1、2、および3)を含む、軽鎖可変ドメイン
2)それぞれ配列番号11、配列番号12、および配列番号13のアミノ酸配列によって示される、HCDR 1、2、および3(超可変領域1、2、および3)を含む、重鎖可変ドメイン
を含む。
【0053】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
1)配列番号18によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
2)配列番号17によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン
を含む。
【0054】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号8によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、免疫調節抗体を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、配列番号7によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、免疫調節抗体を含む。
【0055】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
配列番号7によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖;
配列番号8によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、免疫調節抗体を含む。
【0056】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、PD-L1に特異的に結合する抗体である、PD-1経路を特異的に阻害する免疫調節抗体またはその抗原結合断片を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
a)IL-15/IL-15Rαに基づいて:
配列番号1または配列番号19によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
配列番号5または配列番号23によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15
を含む、ヘテロ二量体タンパク質複合体;
b)
配列番号7によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖;
配列番号8によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、免疫調節抗体
を含む。
【0057】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
a)配列番号6または配列番号24によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
配列番号3または配列番号21によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15;
b)
配列番号7によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖;
配列番号8によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、免疫調節抗体
を含む。
【0058】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、2つの異なる部分のヘテロ二量体化を誘導する、抗体定常ドメイン中の突然変異を有し、部分の一方は、共有的にまたは非共有的に会合した、抗体定常ドメインに連結されているIL-15Rαおよび抗体定常ドメインに連結されているIL-15を含み、そしてもう一方の部分は、共有的にまたは非共有的に会合した、抗体の軽鎖および重鎖を含む。
【0059】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
第一のFc単量体および第二のFc単量体であって、以下の群:第一のFc単量体がノブ修飾Fcであり、そして第二のFc単量体がホール修飾Fcである場合、または第二のFc単量体がノブ修飾Fcであり、そして第一のFc単量体がホール修飾Fcである場合より選択される、前記の第一のFc単量体および第二のFc単量体
を含む。
【0060】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、アミノ酸置換S354C/T366Wを有する第一のFc単量体、およびアミノ酸置換Y349C/T366S/L368A/Y407Vを有する第二のFc単量体を含む。
【0061】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、アミノ酸置換Y349C/T366S/L368A/Y407を有する第一のFc単量体、およびアミノ酸置換S354C/T366Wを有する第二のFc単量体を含む。
【0062】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、IgGに属するFc断片を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4を含む群より選択されるFc断片を含む。
【0063】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、前記イムノサイトカインにおいて、ADCC、CDC、および/またはADCP特性の不全を引き起こす、Fc断片単量体中の突然変異を含む。
【0064】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、腫瘍性疾患または自己免疫疾患の治療のために使用される。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、腫瘍性疾患の治療のために使用される。
【0065】
1つの側面において、本発明は、上記イムノサイトカインのいずれかをコードする単離核酸に関する。
いくつかの態様において、核酸はDNAである。
【0066】
1つの側面において、本発明は、上記核酸を含む、発現ベクターに関する。
1つの側面において、本発明は、上記ベクターで細胞を形質転換する工程を含む、上記イムノサイトカインを産生するための宿主細胞を産生するための方法に関する。
【0067】
1つの側面において、本発明は、上記核酸を含む、上記イムノサイトカインを産生するための宿主細胞に関する。
1つの側面において、本発明は、上記イムノサイトカインを含む薬剤を産生するための方法であって、上記宿主細胞を、前記イムノサイトカインを産生するために十分な条件下で、培地中で培養し、必要であれば、その後、生じたイムノサイトカインを単離および精製する工程を含む、前記方法に関する。
【0068】
1つの側面において、本発明は、1つまたはそれより多くの薬学的に許容されうる賦形剤と組み合わせた、療法的有効量の上記イムノサイトカインを含む、IL-15Rベータ/ガンマ陽性細胞の活性化および/または増殖を刺激するための薬学的組成物に関する。
【0069】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、腫瘍性疾患または自己免疫疾患の治療のために使用される。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、腫瘍性疾患の治療のために使用される。
【0070】
いくつかの態様において、薬学的組成物は:HNSCC(頭頸部扁平上皮癌)、子宮頸癌、未知の原発性癌、神経膠芽腫、食道癌、膀胱癌、TNBC(トリプルネガティブ乳癌)、CRC(結腸直腸癌)、肝細胞癌、黒色腫、NSCLC(非小細胞肺癌)、腎臓癌、卵巣癌、MSI CRC(マイクロサテライト不安定性を伴う結腸直腸癌)、白血病(急性白血病または骨髄芽球性白血病)、リンパ腫、多発性骨髄腫、黒色腫、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膀胱癌、肉腫、肝細胞癌、神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、TおよびB細胞急性リンパ芽球性白血病、小細胞肺癌、急性骨髄芽球性白血病、難治性非ホジキンB細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、頭頸部扁平上皮癌、膵臓癌、卵巣癌、急性骨髄芽球性白血病および高リスク骨髄異形成症候群を含む群より選択される、腫瘍性疾患の治療のために使用される。
【0071】
1つの側面において、本発明は、腫瘍性疾患の治療法であって、こうした治療が必要な被験体に、前記イムノサイトカインまたは前記薬学的組成物を、療法的有効量で投与する工程を含む、前記方法に関する。
【0072】
治療のための方法のいくつかの態様において、腫瘍性疾患は:HNSCC(頭頸部扁平上皮癌)、子宮頸癌、未知の原発性癌、神経膠芽腫、食道癌、膀胱癌、TNBC(トリプルネガティブ乳癌)、CRC(結腸直腸癌)、肝細胞癌、黒色腫、NSCLC(非小細胞肺癌)、腎臓癌、卵巣癌、MSI CRC(マイクロサテライト不安定性を伴う結腸直腸癌)、白血病(急性白血病または骨髄芽球性白血病)、リンパ腫、多発性骨髄腫、黒色腫、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膀胱癌、肉腫、肝細胞癌、神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、TおよびB細胞急性リンパ芽球性白血病、小細胞肺癌、急性骨髄芽球性白血病、難治性非ホジキンB細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、頭頸部扁平上皮癌、膵臓癌、卵巣癌、急性骨髄芽球性白血病および高リスク骨髄異形成症候群を含む群より選択される。
【0073】
1つの側面において、本発明は、T細胞集団またはNK細胞集団の生物学的活性の活性化を必要とする被験体において、こうした活性を活性化するための方法であって、上記イムノサイトカインまたは上記薬学的組成物の有効量を被験体に投与する工程を含む、前記方法に関する。
【0074】
1つの側面において、本発明は、腫瘍性疾患の治療を必要とする被験体における治療のための、前記イムノサイトカインまたは前記薬学的組成物の使用に関する。
いくつかの使用において、腫瘍性疾患は:HNSCC(頭頸部扁平上皮癌)、子宮頸癌、未知の原発性癌、神経膠芽腫、食道癌、膀胱癌、TNBC(トリプルネガティブ乳癌)、CRC(結腸直腸癌)、肝細胞癌、黒色腫、NSCLC(非小細胞肺癌)、腎臓癌、卵巣癌、MSI CRC(マイクロサテライト不安定性を伴う結腸直腸癌)、白血病(急性白血病または骨髄芽球性白血病)、リンパ腫、多発性骨髄腫、黒色腫、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膀胱癌、肉腫、肝細胞癌、神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、TおよびB細胞急性リンパ芽球性白血病、小細胞肺癌、急性骨髄芽球性白血病、難治性非ホジキンB細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、頭頸部扁平上皮癌、膵臓癌、卵巣癌、急性骨髄芽球性白血病および高リスク骨髄異形成症候群を含む群より選択される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】IL-15/IL-15Rαヘテロ二量体タンパク質複合体を含むイムノサイトカイン形式(CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALA)。
図2】IL-15/IL-15Rαヘテロ二量体タンパク質複合体を含むイムノサイトカイン形式(CK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcLALA)。
図3】IL-15/IL-15Rαヘテロ二量体タンパク質複合体、およびPD-1経路を特異的に阻害する免疫調節抗体を含む、イムノサイトカイン形式(Fab-CK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcノブLALA)。 「ノブ」は、CH3ドメイン中の第一のFc変異体および第二のFc変異体の間の「ノブ・イントゥ・ホール」構造を形成する突然変異を意味すると理解される。
図4】IL-15/IL-15Rαヘテロ二量体タンパク質複合体、およびPD-1経路を特異的に阻害する免疫調節抗体を含む、イムノサイトカイン形式(Fab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcノブLALA)。 「ノブ」は、CH3ドメイン中の第一のFc変異体および第二のFc変異体の間の「ノブ・イントゥ・ホール」構造を形成する突然変異を意味すると理解される。
図5】pEE-IL15Ra-CKベクター。 AmpRは、アンピシリン耐性を提供するベータ-ラクタマーゼ遺伝子であり、 pUC起点は細菌におけるpUC複製起点であり、 CMV-プロモーターは、サイトメガロウイルス初期遺伝子のプロモーターであり、 リーダーはリーダー配列であり、 IL15Raは、インターロイキン15受容体サブユニットアルファをコードする遺伝子であり、 CKは軽鎖定常ドメインをコードする遺伝子であり、 ポリAは、mRNA安定性を増加させるためのポリアデニル化シグナル配列であり、 OriPは細菌における複製起点であるか、または 細菌細胞における複製の高コピー数ColE1/pMB1/pBR322/pUC起点である。
図6】pEE-IL15-CH1-Fc-LALAベクター。 AmpRは、アンピシリン耐性を提供するベータ-ラクタマーゼ遺伝子であり、 pUC起点は細菌におけるpUC複製起点であり、 CMV-プロモーターは、サイトメガロウイルス初期遺伝子のプロモーターであり、 リーダーはリーダー配列であり、 IL15は、インターロイキン15をコードする遺伝子であり、 CH1は、第一の重鎖定常ドメインをコードする遺伝子であり、 Fc-LALAは、LALA突然変異(Fc断片のCH2定常ドメイン中のL234AおよびL235A突然変異)を所持するFc断片をコードする遺伝子であり、 ポリAは、mRNA安定性を増加させるためのポリアデニル化シグナル配列であり、 OriPは細菌における複製起点であるか、または 細菌細胞における複製の高コピー数ColE1/pMB1/pBR322/pUC起点である。
図7】pEE-BCD100-02-VL-CKベクター。 AmpRは、アンピシリン耐性を提供するベータ-ラクタマーゼ遺伝子であり、 pUC起点は細菌におけるpUC複製起点であり、 CMV-プロモーターは、サイトメガロウイルス初期遺伝子のプロモーターであり、 リーダーはリーダー配列であり、 aPD1-VLは、PD1に特異的に結合する抗体の軽鎖をコードする遺伝子であり、 CKは軽鎖定常ドメインをコードする遺伝子であり、 ポリAは、mRNA安定性を増加させるためのポリアデニル化シグナル配列であり、 OriPは細菌における複製起点であるか、または 細菌細胞における複製の高コピー数ColE1/pMB1/pBR322/pUC起点である。
図8】pEE-BCD100-02-VH-CH1-Fc-ホール-LALAベクター。 AmpRは、アンピシリン耐性を提供するベータ-ラクタマーゼ遺伝子であり、 pUC起点は細菌におけるpUC複製起点であり、 プロモーターは、サイトメガロウイルス初期遺伝子のプロモーターであり、 リーダーはリーダー配列であり、 aPD1-VHは、PD1に特異的に結合する抗体の重鎖の可変ドメインをコードする遺伝子であり、 CH1は、第一の重鎖定常ドメインをコードする遺伝子であり、 Fc-ホール-LALAは、「ホール」を形成する突然変異およびLALA突然変異(Fc断片のCH2定常ドメイン中のL234AおよびL235A突然変異)を所持するFc断片をコードする遺伝子であり、 停止は停止コドンであり、 OriPは細菌における複製起点であるか、または 細菌細胞における複製の高コピー数ColE1/pMB1/pBR322/pUC起点である。
図9】pEE-IL15-CH1-Fc-ノブ-LALAベクター。 AmpRは、アンピシリン耐性を提供するベータ-ラクタマーゼ遺伝子であり、 pUC起点は細菌におけるpUC複製起点であり、 CMV-プロモーターは、サイトメガロウイルス初期遺伝子のプロモーターであり、 リーダーはリーダー配列であり、 IL15は、インターロイキン15をコードする遺伝子であり、 CH1は、第一の重鎖定常ドメインをコードする遺伝子であり、 Fc-ノブ-LALAは、「ノブ」を形成する突然変異およびLALA突然変異(Fc断片のCH2定常ドメイン中のL234AおよびL235A突然変異)を所持するFc断片をコードする遺伝子であり、 停止は停止コドンであり、 OriPは細菌における複製起点であるか、または 細菌細胞における複製の高コピー数ColE1/pMB1/pBR322/pUC起点である。
図10図10A。ベータ-メルカプトエタノールを含むSDSゲル電気泳動 1. 対照抗体 5μl 2. Fermentas非染色マーカー 3. - 4. 精製前のCK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALAを含む増殖培地 10μl 5. 精製後のCK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALAを含む増殖培地 10μl 6. 精製CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALA 10μl 7. - 8. 精製前のCK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcLALAを含む増殖培地 10μl 9. 精製後のCK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcLALAを含む増殖培地 10μl 10. 精製CK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcLALA 10μl 図10B。ベータ-メルカプトエタノールを含まないSDSゲル電気泳動 1. 精製CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALA 10μl 2. 精製CK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcLALA 10μl 3. Fermentas非染色マーカー 4. 対照抗体 5μl
図11】増殖活性の測定。NK-92細胞株をアッセイで用いた。96ウェル培養プレート中でアッセイを行った。懸濁物は、NK-92細胞、グラフ中に示すような濃度の試験抗体を含んだ。ウシ胎児血清およびグルタミンを補充したRPMI-1640培地中ですべての懸濁構成要素を調製した。すべての構成要素を添加した後、プレートを37℃、5%CO2でインキュベーションした。次いで、ウェルにAlamar Blueを添加した。インキュベーション後、ウェル中の蛍光強度を測定した。
図12】増殖活性の測定。アッセイは、ネガティブ選択によって、健康なドナーのPBMCから単離した単離ナチュラルキラー細胞を用いた。96ウェル培養プレート中でアッセイを行った。懸濁物は、ナチュラルキラー細胞、グラフ中に示すような濃度の試験抗体を含んだ。自己ヒト血漿を補充した培地中ですべての懸濁構成要素を調製した。すべての構成要素を添加した後、プレートを37℃、5%CO2でインキュベーションした。次いで、ウェルにAlamar Blueを添加した。インキュベーション後、ウェル中の蛍光強度を測定した。
図13】aPD1特異的活性の測定。アッセイのため、本発明者らは、Jurkat細胞株に基づいて生成され、そしてその表面上にPD-1を安定発現し、そしてNFATプロモーターの制御下にホタル(firefly)ルシフェラーゼ・コード遺伝子を含有する、Jurkat NFAT-FLuc PD-1細胞株;およびRaji細胞株に基づいて生成され、そしてその表面上にPDL1を安定発現する、Raji PDL1細胞株を用いた。96ウェル培養プレート中でアッセイを行った。各ウェル中の懸濁物は、Jurkat NFAT-FLuc PD-1細胞、Raji PDL1細胞、1ng/mlの濃度のaCD3/aTAA1細胞、およびグラフ中に示すような濃度の試験抗体を含んだ。すべての構成要素を添加した後、プレートを37℃、5%CO2でインキュベーションし、そして次いで、発光アッセイキットを用いて、ウェル中のルシフェラーゼ強度を測定した。
図14】レポーター細胞株に対する抗PDL1/IL15SA抗体の特異的活性の決定。
図15】ADCCに対するナチュラルキラー細胞の影響の決定。アッセイは、ネガティブ選択によって、健康なドナーのPBMCから単離したナチュラルキラー細胞を用いた。96ウェル培養プレート中でアッセイを行った。懸濁物は、ナチュラルキラー細胞およびRaji細胞、エフェクター抗体リツキシマブ、ならびにグラフ中に示すような濃度の試験抗体を含んだ。ウシ胎児血清およびグルタミンを補充した培地中ですべての懸濁構成要素を調製した。すべての構成要素を添加した後、プレートを37℃、5%CO2でインキュベーションした。次いで、培養液を収集し、そしてLDHアッセイキットを用いて乳酸デヒドロゲナーゼ含量を測定した。
図16】TAA-レポーター株に対するリツキシマブのADCC能増進に比較した、イムノサイトカインの特異的活性の決定結果。
図17】NK細胞に対する、IL-15/IL-15Rα(IL15SA)ヘテロ二量体タンパク質複合体を含むイムノサイトカイン変異体に関する細胞傷害性の研究。 結果は、候補に有意な細胞傷害性効果がない、すなわちAB陰性対照(いかなる外因性抗体も含まない)に比較した際に、免疫反応性細胞数の減少が10%以下であることを示す。
図18】B細胞に対するIL15SA変異体に関する細胞傷害性の研究。 結果は、候補に有意な細胞傷害性効果がない、すなわちAB陰性対照(いかなる外因性抗体も含まない)に比較した際に、免疫反応性細胞数の減少が10%以下であることを示す。
図19】CD3+細胞に対するIL15SA変異体に関する細胞傷害性の研究。 結果は、候補に有意な細胞傷害性効果がない、すなわちAB陰性対照(いかなる外因性抗体も含まない)に比較した際に、免疫反応性細胞数の減少が10%以下であることを示す。
図20】CD4+細胞に対するIL15SA変異体に関する細胞傷害性の研究。 結果は、候補に有意な細胞傷害性効果がない、すなわちAB陰性対照(いかなる外因性抗体も含まない)に比較した際に、免疫反応性細胞数の減少が10%以下であることを示す。
図21】CD8+細胞に対するIL15SA変異体に関する細胞傷害性の研究。 結果は、候補に有意な細胞傷害性効果がない、すなわちAB陰性対照(いかなる外因性抗体も含まない)に比較した際に、免疫反応性細胞数の減少が10%以下であることを示す。
図22】クロマトグラム。このクロマトグラムは、IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体(IL-15スーパーアゴニスト)を含むイムノサイトカインの高い均一性を示す(溶液中の凝集物含量は5%以下であった)。
図23】イムノサイトカインが、IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体(BCD-225)を含む、イムノサイトカイン産物の、ネズミin vivo腫瘍モデルにおける、抗腫瘍活性決定のための実験スキーム。
図24】イムノサイトカインが、IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体(BCD-225)を含む、イムノサイトカイン産物変異体の、ネズミin vivo腫瘍モデルにおける、抗腫瘍活性決定のための実験結果(グラフ)。
図25】イムノサイトカインが、IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体(BCD-225)を含む、イムノサイトカイン産物変異体の、ネズミin vivo腫瘍モデルにおける、抗腫瘍活性決定のための実験結果(図表)。
【発明を実施するための形態】
【0076】
一般的な定義および一般的な方法
別に定義しない限り、本明細書で用いるすべての技術的および科学的用語は、一般の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0077】
さらに、背景によって別に必要とされない限り、単数形の用語には複数形が含まれるものとし、そして複数形の用語には単数形が含まれるものとする。典型的には、細胞培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、分析化学、有機合成化学、医学的および薬学的化学、ならびに本明細書記載のタンパク質および核酸のハイブリダイゼーションおよび化学の分類および方法は、当業者に周知であり、そして広く用いられる。酵素反応および精製法を、当該技術分野で一般的であるように、または本明細書に記載するように、製造者の指針にしたがって行う。
【0078】
別に明記しない限り、本発明のポリペプチドに関する用語「生物学的に活性な」および「生物学的活性」および「生物学的特性」は、生物学的分子に結合する能力を有することを意味する。
【0079】
用語「組換えタンパク質」は、タンパク質(ポリペプチド)をコードするヌクレオチド配列(単数または複数)を含む細胞または細胞株において発現される前記タンパク質であって、前記ヌクレオチド配列(単数または複数)が、細胞と天然には関連していない、前記タンパク質を意味する。
【0080】
用語「二重特異性抗体」は、単一の生物学的分子上の2つの別個のエピトープに特異的に結合することが可能であるか、または2つの別個の生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することが可能である、抗原結合ドメイン(単数または複数)を有する抗体を指す。二重特異性抗体はまた、本明細書において、「二重特異性」を有するかまたは「二重特異性」抗体であると称される。
【0081】
用語「モノクローナル抗体」または「mAb」は、細胞の別個のクローン集団によって合成され、そして単離された抗体を指す。クローン集団は、不死化細胞のクローン集団であってもよい。いくつかの態様において、クローン集団中の不死化細胞は、典型的には免疫動物由来の個々のBリンパ球とリンパ球性腫瘍由来の個々の細胞との融合によって産生されるハイブリッド細胞、ハイブリドーマである。ハイブリドーマは構築された細胞のタイプであり、そして天然には存在しない。
【0082】
用語「Ka」は、本明細書において、特定の抗体-抗原相互作用の会合(オン)速度を指す。
用語「Kd」は、本明細書において、特定の抗体-抗原相互作用の解離(オフ)速度を指す。
【0083】
「結合アフィニティ」は、一般的に、分子(例えば抗体)およびその結合パートナー(例えば抗原)の単一の結合部位の間の非共有相互作用の総計強度を指す。別に示さない限り、「結合アフィニティ」は、結合対のメンバー(例えば抗体および抗原)間の1:1相互作用を反映する、本質的な(特性的な、真の)結合アフィニティを指す。分子Xのその結合パートナーYに対するアフィニティは、一般的に、解離定数(Kd)によって示されうる。好ましいKd値は、約200nM、150nM、100nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、8nM、6nM、4nM、2nM、1nM、またはそれ未満である。本明細書に記載するものを含めて、当該技術分野に知られる一般的な方法によって、アフィニティを測定してもよい。結合アフィニティを測定する多様な方法が当該技術分野に知られ、本発明の目的のために、これらの方法のいずれを用いてもよい。
【0084】
用語「ペプチドリンカー」は、本明細書において、互いに結合するドメインに応じた長さを持ち、そして任意のアミノ酸配列を含む、ドメインを組み合わせる能力を有する任意のペプチドを意味するよう意図される。好ましくは、ペプチドリンカーは、5アミノ酸より多い長さを有し、そしてG、A、S、P、E、T、D、Kより選択されるアミノ酸の任意のセットからなる。
【0085】
用語「in vitro」は、人工的な条件下、体の外での、生物学的実体、生物学的プロセス、または生物学的反応を指す。例えば、in vitroで増殖した細胞は、体の外の環境で、例えば試験管、培養バイアル、またはマイクロタイタープレート中で増殖した細胞と理解されるものとする。
【0086】
本明細書において、単語「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含まれる(include)」または変形、例えば「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含まれる(includes)」または「含まれている(including)」およびそのすべての文法的変形は、言及する整数または整数群の包含を示すと理解されるが、いかなる他の整数または整数群の排除も意図しない。
【0087】
発明の詳細な説明
イムノサイトカイン
1つの側面において、本発明は、IL-15Rベータ/ガンマ陽性細胞の活性化および/または増殖を刺激するためのイムノサイトカインであって:
1)以下に連結されているIL-15Rα
a)抗体軽鎖定常ドメイン、または
b)第一の(CH1)重鎖定常ドメインならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメイン;
2)以下に連結されているIL-15
a)第一の(CH1)重鎖定常ドメインならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメイン、または
b)抗体軽鎖定常ドメイン
を含む、IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体を含み;
ヘテロ二量体複合体内の第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインが、天然S-S架橋を通じた共有会合を持つかまたは持たず、そして
IL-15またはIL-15Rαが抗体軽鎖定常ドメインに連結されている場合、IL-15RαまたはIL-15より選択されるヘテロ二量体タンパク質複合体のもう一方の部分が抗体重鎖定常ドメインに連結されている
前記イムノサイトカインに関する。
【0088】
上記イムノサイトカインの形式を図1および2に示す。
用語「イムノサイトカイン」は、サイトカインまたはその誘導体に共有結合によって直接または間接的に連結された抗体またはその断片を含む分子を意味する。前記抗体および前記サイトカインは、リンカーペプチドによって連結されていてもよい。
【0089】
本発明のイムノサイトカインは、単離イムノサイトカインを指すよう意図される。
本明細書の多様なイムノサイトカインを記載するために用いられる用語「単離」は、イムノサイトカインが発現される細胞または細胞培養から同定され、そして分離されそして/または再生されているイムノサイトカインを意味する。天然環境由来の不純物(混入構成要素)は、ポリペプチドの診断または療法使用に干渉するであろう物質であり、そしてこれには、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質が含まれうる。好ましい態様において、イムノサイトカインは、(1)スピニングカップ配列決定装置(エドマン配列決定装置)の使用によって、N末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るために十分な度合いまで、あるいは(2)クーマシーブリリアントブルー、または好ましくは銀染色を用いた、非還元または還元条件下でのSDS-PAGEによって、均一になるまで、精製される。単離イムノサイトカインには、ポリペプチドの天然環境の少なくとも1つの構成要素が存在しないであろうため、組換え細胞内の、in situのイムノサイトカインが含まれる。単離ポリペプチドは、典型的には、少なくとも1つの精製工程によって調製される。
【0090】
本明細書において、「ヘテロ二量体タンパク質複合体」は、IL-15およびIL-15Rαの組み合わせから形成されるタンパク質を指す。
本明細書において、「IL-15」または「IL-15ペプチド」または「インターロイキン-15」は、任意のIL-15(インターロイキン-15)またはその突然変異体でもよく、例えばヒトまたは非ヒト哺乳動物IL-15または非哺乳動物IL-15であってもよい。例示的な非ヒト哺乳動物には、ブタ、ウサギ、サル、チンパンジー、マウス等の哺乳動物が含まれ;そして非哺乳動物には、ニワトリ等が含まれる。好ましくは、ヒト・インターロイキン-15成熟分子は、データベースUniProtKB、寄託番号P40933、49~192aaに見出される。用語「IL-15変異体」は、1つまたはそれより多くのアミノ酸置換、付加または欠失によって、その受容体に対してアフィニティが増加したかまたは減少した、あるいはT細胞またはNK細胞を刺激する活性が増加したかまたは減少した、変異体分子を指す。
【0091】
「IL-15Rα」は、インターロイキン15受容体サブユニットアルファ(α)を意味し、そして本発明にしたがって、任意のIL-15Rα化合物またはその機能性断片であってもよく、例えばヒトIL-15Rαまたは非ヒト哺乳動物IL-15Rα、または非哺乳動物IL-15Rαであってもよい。例示的な非ヒト哺乳動物には、ブタ、ウサギ、サル、チンパンジー、マウス等の哺乳動物が含まれ;そして非哺乳動物には、ニワトリ等が含まれる。好ましいIL-15Rα分子は、データベースUniProtKB、寄託番号Q13261(https://www.uniprot.org/uniprot/Q13261)に見出される。
【0092】
免疫グロブリンの断片結晶化可能領域(「Fc領域、Fc」)は、細胞表面Fc受容体、ならびに補体系のいくつかのタンパク質と相互作用する、免疫グロブリン分子の「テール」領域である。この特性は、抗体が免疫系を活性化することを可能にする。IgG、IgAおよびIgD抗体アイソタイプにおいて、Fc領域は、それぞれ、2つの重鎖の第二および第三の定常ドメイン由来の2つの同一のタンパク質断片で構成され;IgMおよびIgEアイソタイプにおいては、Fc領域は、各ポリペプチド鎖において、3つの重鎖定常ドメイン(CH2、CH3、およびCH4ドメイン)を含有する。
【0093】
「Fc断片単量体」は、2つの重鎖のうちいずれか一方の第二および第三の定常ドメイン由来のFc領域を意味すると理解され(IgG、IgAおよびIgDアイソタイプに関して);IgMおよびIgEアイソタイプに関して、Fc単量体は、2つの重鎖の一方の3つの定常ドメイン(CH2、CH3およびCH4ドメイン)を含む。
【0094】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、ヘテロ二量体複合体内に、天然S-S架橋を通じた共有会合を有し、第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む。
【0095】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、ヘテロ二量体複合体内に、天然S-S架橋を通じた共有会合を持たず、第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む。
【0096】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、CKまたはCLより選択される抗体軽鎖定常ドメインを含む。
哺乳動物において、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)と示される軽鎖2種のみが知られる。ラムダ軽鎖の定常ドメインはCLと称され、そしてカッパ軽鎖の定常ドメインはCKと示される。
【0097】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0098】
【化2】
【0099】
によって示されるアミノ酸配列を有するIL-15Rα、または類似の生物学的活性を有する突然変異を含有するIL-15Rαの任意の既知の変異体を含む。
突然変異体IL-15Rα、類似の生物学的活性を有するIL-15Rαは、突然変異を含み、そして「野生型」IL-15Rαの活性と比較した際、類似の生物学的活性を有する、当該技術分野に知られる任意のIL-15Rαを指すと理解される。
【0100】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0101】
【化3】
【0102】
によって示されるアミノ酸配列を有するIL-15、または類似の生物学的活性を有する突然変異を含有するIL-15の任意の既知の変異体を含む。
突然変異体IL-15、類似の生物学的活性を有するIL-15は、突然変異を含み、そして「野生型」IL-15と比較した際、類似の生物学的活性を有する、当該技術分野に知られる任意のIL-15を意味する。
【0103】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0104】
【化4】
【0105】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0106】
【化5】
【0107】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
配列番号19によって示されるアミノ酸配列は、216位のシステイン(C)からアラニン(A)の単一アミノ酸置換によって、配列番号1によって示されるアミノ酸配列から修飾されている。この置換は、天然S-S架橋を通じた共有会合を持たず、ヘテロ二量体複合体内で第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む、イムノサイトカインを産生することを可能にする。
【0108】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0109】
【化6】
【0110】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0111】
【化7】
【0112】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
配列番号21によって示されるアミノ酸配列は、233位のシステイン(C)からアラニン(A)の単一アミノ酸置換によって、配列番号3によって示されるアミノ酸配列から修飾されている。この置換は、天然S-S架橋を通じた共有会合を持たず、ヘテロ二量体複合体内で第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む、イムノサイトカインを産生することを可能にする。
【0113】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、ヒンジを通じて連結されている、第一の(CH1)重鎖定常ドメイン、ならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む。
【0114】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、以下の順序:CH1-ヒンジ-CH2-CH3で配置された抗体重鎖定常ドメインに連結されている、IL-15またはIL-15Rαを含む。
【0115】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0116】
【化8】
【0117】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0118】
【化9】
【0119】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
配列番号22によって示されるアミノ酸配列は、212位のシステイン(C)からアラニン(A)の単一アミノ酸置換によって、配列番号4によって示されるアミノ酸配列から修飾されている。この置換は、天然S-S架橋を通じた共有会合を持たず、ヘテロ二量体複合体内で第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む、イムノサイトカインを産生することを可能にする。
【0120】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0121】
【化10】
【0122】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0123】
【化11】
【0124】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
配列番号20によって示されるアミノ酸配列は、229位のシステイン(C)からアラニン(A)の単一アミノ酸置換によって、配列番号2によって示されるアミノ酸配列から修飾されている。この置換は、天然S-S架橋を通じた共有会合を持たず、ヘテロ二量体複合体内で第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む、イムノサイトカインを産生することを可能にする。
【0125】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
【0126】
【化12】
【0127】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
【0128】
【化13】
【0129】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15
を含む。
【0130】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
【0131】
【化14】
【0132】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
【0133】
【化15】
【0134】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15
を含む。
【0135】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
【0136】
【化16】
【0137】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
【0138】
【化17】
【0139】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15
を含む。
【0140】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
【0141】
【化18】
【0142】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
【0143】
【化19】
【0144】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15
を含む。
【0145】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
【0146】
【化20】
【0147】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
【0148】
【化21】
【0149】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15
を含む。
【0150】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
【0151】
【化22】
【0152】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
【0153】
【化23】
【0154】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15
を含む。
【0155】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、前記イムノサイトカインにおいて、ADCC、CDC、および/またはADCP特性の不全を引き起こす、Fc断片単量体中の突然変異を含む。
【0156】
Fc断片における突然変異は、本明細書記載の抗体のアミノ酸配列の修飾(単数または複数)を意味すると理解される。適切なヌクレオチド変化を抗体核酸内に導入することによって、またはペプチド合成によって、抗体のアミノ酸配列変異体を調製する。こうした修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失、および/または挿入および/または置換が含まれる。最終構築物が望ましい特性を所持するという条件で、欠失、挿入および置換の任意の組み合わせを行って、最終構築物に到達する。
【0157】
アミノ酸置換を用いた抗体のアミノ酸配列の修飾の変型は、抗体分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基の別の残基での置換である。
保存的置換を、表A中の「好ましい置換」以下に示す。
【0158】
【表1】
【0159】
用語、抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然Fc領域配列またはFc領域アミノ酸変異体)に起因しうる生物学的活性を指し、抗体アイソタイプで多様である。抗体エフェクター機能の例には:C1結合および補体依存性細胞傷害性;Fc受容体結合;抗体依存性細胞仲介性細胞傷害性(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体、BCR)の下方制御およびB細胞活性化が含まれる。
【0160】
「抗体依存性細胞傷害性」または「ADCC」は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)が、ターゲット細胞上に結合した抗体を認識し、そして続いてターゲット細胞の溶解または食作用を引き起こす、細胞仲介性反応を指す。ADCCを仲介する主な細胞、NK細胞は、FcγRJIIのみを発現する一方、単球は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現は、RavetchおよびKinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92(1991)の464ページの表3に要約される。関心対象の分子のADCC活性を評価するため、in vitro ADCCアッセイ、例えば米国特許第5,500,362号または第5,821,337号に記載されるアッセイを実行してもよい。こうしたアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいはまたはさらに、関心対象の分子のADCC活性を、in vivoで、例えばClynesら PNAS(USA)95:652-656(1998)に開示されるものなどの動物モデルにおいて、評価してもよい。
【0161】
「ヒトエフェクター細胞」は、1つまたはそれより多いFcRを発現し、そしてエフェクター機能を実行する白血球である。好ましくは、該細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、そしてADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを仲介するヒト白血球の例には、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞および好中球が含まれ;PBMCおよびNK細胞が好ましい。エフェクター細胞を、その天然供給源から、例えば本明細書に記載するように、血液またはPBMCから単離してもよい。
【0162】
「補体依存性細胞傷害性」および「CDC」は、分子が、補体の存在下でターゲットを溶解させる能力を指す。補体活性化経路は、同族(cognate)抗原と複合体化した分子(例えば抗体)への補体系の第一成分(C1q)の結合によって開始される。補体活性化を評価するため、例えばGazzano-Santoroら, J. Immunol. Methods 202:163(1996)に記載されるようなCDCアッセイを実行してもよい。
【0163】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、IgGに属するFc断片を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4を含む群より選択されるFc断片を含む。
【0164】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、IL-15/IL-15Rαに基づく上記の2つのヘテロ二量体タンパク質複合体を含む。
本発明のIL15スーパーアゴニスト(BCD225またはIL15SAまたは(IL15SA)2-Fcとも称される)は、CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALAおよびCK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcLALAを指すと理解される。
【0165】
名称CK、IL15Ra、IL15、CH1FcLALAの意味は、本出願のテキスト全体に提供される。
CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALAは、IL-15/IL-15Rαに基づく2つのヘテロ二量体タンパク質複合体を含む上記イムノサイトカインであって、抗体軽鎖定常ドメインCKに連結されているIL15Ra、ならびに第一の(CH1)重鎖定常ドメイン、および第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL15を含み、FcがLALA突然変異を含む、前記イムノサイトカインである。
【0166】
CK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcLALAは、IL-15/IL-15Rαに基づく2つのヘテロ二量体タンパク質複合体を含む上記イムノサイトカインであって、抗体軽鎖定常ドメインCKに連結されているIL15、ならびに第一の(CH1)重鎖定常ドメイン、および第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL15Raを含み、FcがLALA突然変異を含む、前記イムノサイトカインである。
【0167】
上記イムノサイトカインは、ヘテロ二量体複合体内の第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインが、天然S-S架橋を通じて共有会合を有する形式、ならびにヘテロ二量体複合体内の第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインが、天然S-S架橋を通じて共有会合を持たない形式のどちらで作製されてもよく;特定の場合、後者の目的に向けて、両方のシステインがアラニンによって置換されている。
【0168】
ヘテロ二量体複合体内の第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインが、天然S-S架橋を通じて共有会合を有する形式、ならびにヘテロ二量体複合体内の第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインが、天然S-S架橋を通じて共有会合を持たない形式の両方の上記イムノサイトカインの実験研究によって、上記イムノサイトカインの活性には有意な相違がないことが示された。
【0169】
上記イムノサイトカインの形式を、図1および図2に示す。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、癌または自己免疫疾患の治療のための療法剤として用いられる。
【0170】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、癌の治療のための療法剤として用いられる。
1つの側面において、本発明は、IL-15Rベータ/ガンマ陽性細胞の活性化および/または増殖を刺激するためのイムノサイトカインであって、IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体、およびPD-1経路を特異的に阻害する免疫調節抗体またはその抗原結合断片を含み、
IL-15/IL-15Rαに基づくヘテロ二量体タンパク質複合体が:
1)以下に連結されているIL-15Rα
a)抗体軽鎖定常ドメイン、または
b)第一の(CH1)重鎖定常ドメインならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメイン;
2)以下に連結されているIL-15
a)第一の(CH1)重鎖定常ドメインならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメイン、または
b)抗体軽鎖定常ドメイン
を含み;
ヘテロ二量体複合体内の第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインが、天然S-S架橋を通じた共有会合を持つかまたは持たず、そして
IL-15またはIL-15Rαが抗体軽鎖定常ドメインに連結されている場合、IL-15RαまたはIL-15より選択されるヘテロ二量体タンパク質複合体のもう一方の部分が抗体重鎖定常ドメインに連結されている
前記イムノサイトカインに関する。
【0171】
用語「抗体」または「免疫グロブリン」(Ig)には、本明細書において、完全抗体およびその任意の抗原結合断片(すなわち「抗原結合部分」)またはその一本鎖が含まれる。用語「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互連結された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質、またはその抗原結合部分を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてVHと略される)および重鎖定常領域を含む。ギリシャ文字:α、δ、ε、γおよびμで示される哺乳動物Ig重鎖の5つのタイプが知られる。存在する重鎖のタイプは、抗体クラスを定義する:これらの鎖は、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体に見られる。異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり;αおよびγはおよそ450アミノ酸を含有する一方、μおよびεはおよそ550アミノ酸を有する。各重鎖は2つの領域、定常領域および可変領域を有する。定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、αおよびδは、3つの定常ドメインCH1、CH2およびCH3(一列に)で構成される、定常領域、ならびに柔軟性を付加するためのヒンジ領域を有し(Woof J., Burton D., Nat Rev Immunol 4, 2004, cc.89-99);重鎖μおよびεは、4つの定常ドメイン、CH1、CH2、CH3およびCH4で構成される定常領域を有する。哺乳動物において、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)によって示される2つのタイプの軽鎖のみが知られる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてVLと略される)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖のおよその長さは211~217アミノ酸である。好ましくは、軽鎖はカッパ(κ)軽鎖であり、そして定常ドメインCLは好ましくはCカッパ(κ)である。
【0172】
本発明記載の「抗体」は、任意のクラス(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、好ましくはIgG)またはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2、好ましくはIgG1)であってもよい。
【0173】
VLおよびVH領域を、より保存される、フレームワーク領域(FR)と称される領域の間に散在する、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性領域にさらに分けてもよい。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置される、3つのCDRおよび4つのFRで構成される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の多様な細胞(例えばエフェクター細胞)および古典的補体系の第一成分(C1q)を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を仲介しうる。
【0174】
用語、抗体の「抗原結合部分」または「抗原結合断片」(あるいは単に「抗体部分」または「抗体断片」)は、本明細書において、抗原に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1つまたはそれより多い断片を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片によって実行可能であることが示されてきている。用語、抗体の「抗原結合部分」内に含まれる結合断片の例には、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなるFab断片一価断片;(ii)ヒンジ領域でのジスルフィド架橋によって連結される2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;(v)VH/VHHドメインからなるdAb断片(Wardら(1989)Nature 341:544-546);および(vi)抽出された相補性決定領域(CDR)が含まれる。さらに、Fv断片の2つの領域、VLおよびVHは、別個の遺伝子によってコードされており、単一のタンパク質鎖を受け入れることが可能であるようにする合成リンカーを用いた組換え法を用いて、これらを連結してもよく、ここで、VLおよびVH領域は対形成して一価分子を形成する(一本鎖Fv(scFv)として知られる;例えば、Birdら(1988)Science 242:423-426;およびHustonら(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照されたい)。こうした一本鎖分子もまた、用語、抗体の「抗原結合部分」内に含まれると仮定される。これらの抗体断片は、当業者に知られる慣用的技術を用いて得られ、そして該断片は、損なわれていない(intact)抗体と同じ方式でスクリーニングされる。
【0175】
好ましくは、本発明の抗体の抗原結合部分のCDRまたは全抗原結合部分は、マウス、ラマまたはヒトドナーライブラリーに由来するか、あるいは実質的にヒト起源であり、特定の抗体の特性、例えばKD、koff、IC50、EC50、ED50を最適化するため、特定のアミノ酸残基が改変されている、例えば異なるアミノ酸残基で置換されている。好ましくは、本発明の抗体のフレームワーク領域はヒト起源であるかまたは実質的にヒト起源である(少なくとも80、85、90、95、96、97、98または99%ヒト起源)。
【0176】
他の態様において、本発明の抗体の抗原結合部分は、マウス、ラマ、ウサギ、ラットまたはハムスターを含むがこれらに限定されない、他の非ヒト種に由来してもよい。あるいは、抗原結合領域は、ヒト種に由来してもよい。
【0177】
用語「可変」は、可変ドメインの特定の部分で、抗体間で配列が非常に異なる事実を指す。Vドメインは、抗原結合を仲介し、そしてその特定の抗原に関する特定の抗体各々の特異性を決定する。しかし、可変性は可変ドメインの110アミノ酸スパンに渡って、均一には分布していない。その代わり、V領域は、「超可変領域」またはCDRと称される極度に可変性のより短い領域によって分離される、15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と称される不変断片からなる。天然重鎖および軽鎖の可変ドメインは、各々、4つのFRを含み、これらは主にベータシート配置を採用し、ベータシート構造を連結し、そしてある場合はその一部を形成するループを形成する、3つの超可変領域によって連結される。各鎖中の超可変領域は、FRによってごく近接してともに保持され、そしてもう一方の鎖に由来する超可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。定常ドメインは、抗原に対する抗体の結合に直接は関与しないが、多様なエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞傷害性(ADCC)における抗体の関与を示す。
【0178】
用語「超可変領域」は、本明細書において、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、一般的に、「相補性決定領域」または「CDR」由来のアミノ酸残基および/または「超可変ループ」由来の残基を含む。
【0179】
特定の場合、ターゲットエピトープに対する結合アフィニティを改善するため、1つまたはそれより多いCDRアミノ酸残基を改変することが望ましい可能性もまたある。これは、「アフィニティ成熟」として知られ、そして随意に、例えば抗体のヒト化が結合特異性またはアフィニティの減少を導き、そして復帰突然変異のみによっては結合特異性またはアフィニティを十分に改善することが不可能である状況において、ヒト化と関連して実行されてもよい。多様なアフィニティ成熟法が当該技術分野に知られ、例えばBurksら, Proc Natl Acad Sci USA, 94:412-417(1997)によって記載されるin vitroスキャニング飽和突然変異誘発法、およびWuら, Proc Natl Acad Sci USA 95:6037 6042(1998)による段階的in vitroアフィニティ成熟法がある。
【0180】
「フレームワーク領域」(FR)は、CDR残基とは異なる可変ドメインの残基である。各可変ドメインは、典型的には、FR1、FR2、FR3およびFR4と同定される4つのFRを有する。CDRをKabatにしたがって定義した際、軽鎖FR残基は、およそ、残基1~23(LCFR1)、35~49(LCFR2)、57~88(LCFR3)、および98~107(LCFR4)に位置し、そして重鎖FR残基は、重鎖中、およそ、残基1~30(HCFR1)、36~49(HCFR2)、66~94(HCFR3)、および103~113(HCFR4)に位置する。CDRが超可変ループ由来のアミノ酸残基を含む場合、軽鎖FR残基は、軽鎖中、およそ、残基1~25(LCFR1)、33~49(LCFR2)、53~90(LCFR3)、および97~107(LCFR4)に位置し、そして重鎖FR残基は、重鎖残基中、およそ、残基1~25(HCFR1)、33~52(HCFR2)、56~95(HCFR3)、および102~113(HCFR4)に位置する。CDRがKabatによって定義されるCDRおよび超可変ループのものの両方に由来するアミノ酸を含むいくつかの場合、FR残基は適宜調節されるであろう。例えば、CDRH1にアミノ酸H26~H35が含まれる場合、重鎖FR1残基は1~25位であり、そしてFR2残基は36~49位である。
【0181】
ターゲット抗原に「結合する」本発明の抗体は、該抗体が前記抗原を発現するタンパク質または細胞または組織をターゲティングする診断および/または療法剤として使用可能であり、そして他のタンパク質とわずかにしか交差反応しないように、十分なアフィニティで抗原に結合可能な抗体を指す。分析法:蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)、ラジオイムノアッセイ(RIA)またはELISAにしたがって、こうした態様において、非ターゲットタンパク質に対する抗体結合の度合いは、特異的ターゲットタンパク質への抗体結合の10%未満である。ターゲット分子への抗体の結合に関して、用語、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチドターゲット上のエピトープに対する「特異的結合」または「特異的に結合する」または「特異的である」は、非特異的相互作用とは測定可能に異なる結合を意味する。
【0182】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、ヘテロ二量体複合体内に、天然S-S架橋を通じた共有会合を有する、第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む。
【0183】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、ヘテロ二量体複合体内に、天然S-S架橋を通じた共有会合を持たない、第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む。
【0184】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、CKまたはCLより選択される抗体軽鎖定常ドメインを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0185】
【化24】
【0186】
によって示されるアミノ酸配列を有するIL-15Rα、または類似の生物学的活性を有する突然変異を含有するIL-15Rαの任意の既知の変異体を含む。
突然変異体IL-15Rα、類似の生物学的活性を有するIL-15Rαは、突然変異を含み、そして「野生型」IL-15Rαの活性と比較した際、類似の生物学的活性を有する、当該技術分野に知られる任意のIL-15Rαを指すと理解される。
【0187】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0188】
【化25】
【0189】
によって示されるアミノ酸配列を有するIL-15、または類似の生物学的活性を有する突然変異を含有するIL-15の任意の既知の変異体を含む。
突然変異体IL-15、類似の生物学的活性を有するIL-15は、突然変異を含み、そして「野生型」IL-15と比較した際、類似の生物学的活性を有する、当該技術分野に知られる任意のIL-15を意味する。
【0190】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0191】
【化26】
【0192】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0193】
【化27】
【0194】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
配列番号19によって示されるアミノ酸配列は、216位のシステイン(C)からアラニン(A)の単一アミノ酸置換によって、配列番号1によって示されるアミノ酸配列から修飾されている。この置換は、天然S-S架橋を通じた共有会合を持たず、ヘテロ二量体複合体内で第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む、イムノサイトカインを産生することを可能にする。
【0195】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0196】
【化28】
【0197】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0198】
【化29】
【0199】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
配列番号21によって示されるアミノ酸配列は、233位のシステイン(C)からアラニン(A)の単一アミノ酸置換によって、配列番号3によって示されるアミノ酸配列から修飾されている。この置換は、天然S-S架橋を通じた共有会合を持たず、ヘテロ二量体複合体内で第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む、イムノサイトカインを産生することを可能にする。
【0200】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、ヒンジを通じて連結されている、第一の(CH1)重鎖定常ドメイン、ならびに第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む。
【0201】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、以下の順序:CH1-ヒンジ-CH2-CH3で配置された抗体重鎖定常ドメインに連結されている、IL-15またはIL-15Rαを含む。
【0202】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0203】
【化30】
【0204】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0205】
【化31】
【0206】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rαを含む。
配列番号24によって示されるアミノ酸配列は、212位のシステイン(C)からアラニン(A)の単一アミノ酸置換によって、配列番号6によって示されるアミノ酸配列から修飾されている。この置換は、天然S-S架橋を通じた共有会合を持たず、ヘテロ二量体複合体内で第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む、イムノサイトカインを産生することを可能にする。
【0207】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0208】
【化32】
【0209】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0210】
【化33】
【0211】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15を含む。
配列番号23によって示されるアミノ酸配列は、229位のシステイン(C)からアラニン(A)の単一アミノ酸置換によって、配列番号5によって示されるアミノ酸配列から修飾されている。この置換は、天然S-S架橋を通じた共有会合を持たず、ヘテロ二量体複合体内で第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインを含む、イムノサイトカインを産生することを可能にする。
【0212】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、PD-1経路を特異的に阻害し、そしてPD-1に特異的に結合する抗体である、免疫調節抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0213】
例えば、対照分子の結合に比較した、分子の結合を決定することによって、特異的結合を測定してもよい。例えば、ターゲットに類似の対照分子、例えば過剰な非標識ターゲットとの競合によって、特異的結合を決定してもよい。この場合、プローブに対する標識ターゲットの結合が、過剰な非標識ターゲットによって競合的に阻害された場合、特異的結合が示される。本明細書において、用語、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチドターゲット上のエピトープに対する「特異的結合」または「特異的に結合する」または「特異的である」は、少なくとも約200nM、または少なくとも約150nM、または少なくとも約100nM、または少なくとも約60nM、または少なくとも約50nM、または少なくとも約40nM、または少なくとも約30nM、または少なくとも約20nM、または少なくとも約10nM、または少なくとも約8nM、または少なくとも約6nM、または少なくとも約4nM、または少なくとも約2nM、または少なくとも約1nM、またはそれよりも大きい、ターゲットに対するKdを有する分子によって記載されうる。1つの態様において、用語「特異的結合」は、任意の他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープへの実質的な結合を伴わずに、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに分子が結合する場合の結合を指す。
【0214】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
a)軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含む軽鎖;
b)重鎖可変ドメイン、ならびに第一の(CH1)重鎖定常ドメイン、および第二の(CH1)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体重鎖定常ドメインを含む、抗体重鎖定常ドメインを含む、重鎖
を含む、免疫調節抗体を含む。
【0215】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、それぞれ、アミノ酸配列GGNNIGSKNVH(配列番号14)、RDSNRPS(配列番号15)、およびCQVWDSSTAV(配列番号16)によって示されるLCDR 1、2、および3(超可変領域1、2、および3)を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0216】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0217】
【化34】
【0218】
によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、それぞれ、アミノ酸配列FTFSSYWMY(配列番号11)、AIDTGGGRTYYADSVKG(配列番号12)、およびCARDEGGGTGWGVLKDWPYGLDA(配列番号13)によって示されるHCDR 1、2、および3(超可変領域1、2、および3)を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0219】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、
【0220】
【化35】
【0221】
によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
1)それぞれ、アミノ酸配列GGNNIGSKNVH(配列番号14)、RDSNRPS(配列番号15)、およびCQVWDSSTAV(配列番号16)によって示されるLCDR 1、2、および3(超可変領域1、2、および3)を含む軽鎖可変ドメイン;
2)それぞれ、アミノ酸配列FTFSSYWMY(配列番号11)、AIDTGGGRTYYADSVKG(配列番号12)、およびCARDEGGGTGWGVLKDWPYGLDA(配列番号13)によって示されるHCDR 1、2、および3(超可変領域1、2、および3)を含む重鎖可変ドメイン
を含む。
【0222】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
1)
【0223】
【化36】
【0224】
によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
2)
【0225】
【化37】
【0226】
によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン
を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは
【0227】
【化38】
【0228】
によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、免疫調節抗体を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは
【0229】
【化39】
【0230】
によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、免疫調節抗体を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
【0231】
【化40】
【0232】
によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖;
【0233】
【化41】
【0234】
によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、免疫調節抗体を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、免疫調節抗体プロルゴリマブ(BCD100、WO2018013017)を含む。
【0235】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、PD-1経路を特異的に阻害する免疫調節抗体またはその抗原結合断片であって、PD-L1に特異的に結合する前記抗体または断片を含む。
【0236】
いくつかの態様において、PD-L1に特異的に結合する抗体は、RU2665790(WO201894496)に開示されるBCD135である。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
a)IL-15/IL-15Rαに基づいて:
【0237】
【化42】
【0238】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
【0239】
【化43】
【0240】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15
を含む、ヘテロ二量体タンパク質複合体;
b)
【0241】
【化44】
【0242】
によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖;
【0243】
【化45】
【0244】
によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、免疫調節抗体
を含む。
【0245】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
a)IL-15/IL-15Rαに基づいて:
【0246】
【化46】
【0247】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
【0248】
【化47】
【0249】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15
を含む、ヘテロ二量体タンパク質複合体;
b)
【0250】
【化48】
【0251】
によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖;
【0252】
【化49】
【0253】
によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、免疫調節抗体
を含む。
【0254】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
a)
【0255】
【化50】
【0256】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
【0257】
【化51】
【0258】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15;
b)
【0259】
【化52】
【0260】
によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖;
【0261】
【化53】
【0262】
によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、免疫調節抗体
を含む。
【0263】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
a)
【0264】
【化54】
【0265】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL-15Rα、および
【0266】
【化55】
【0267】
によって示されるアミノ酸配列を有する、抗体軽鎖定常ドメインに連結されているIL-15;
b)
【0268】
【化56】
【0269】
によって示されるアミノ酸配列を含む重鎖;
【0270】
【化57】
【0271】
によって示されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、免疫調節抗体
を含む。
【0272】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、2つの異なる部分のヘテロ二量体化を誘導する、抗体定常ドメイン中の突然変異を有し、部分の一方は、共有的にまたは非共有的に会合した、抗体定常ドメインに連結されているIL-15Rαおよび抗体定常ドメインに連結されているIL-15を含み、そしてもう一方の部分は、共有的にまたは非共有的に会合した、抗体の軽鎖および重鎖を含む。
【0273】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは:
以下の群:第一のFc単量体がノブ修飾Fcであり、そして第二のFc単量体がホール修飾Fcである場合、または第二のFc単量体がノブ修飾Fcであり、そして第一のFc単量体がホール修飾Fcである場合より選択される、第一のFc単量体および第二のFc単量体
を含む。
【0274】
「ノブ・イントゥ・ホール」(「ノブ・イントゥ・ホール」型の相互作用)は、誤った対形成の(mispaired)副産物に関連する問題を回避することが可能なアプローチである。このアプローチは、CH3ドメイン内に、接触界面を修飾する突然変異を導入することによって、2つの異なる抗体重鎖の対形成を強いることを目的とする。一方の鎖上で、かさばる(bulky)アミノ酸を、短い側鎖を持つアミノ酸で置換して、「ホール」を形成する。逆に、大きな側鎖を持つアミノ酸をもう一方のCH3ドメイン内に導入して、「ノブ」を生成する。これらの2つの重鎖を同時発現することによって、ホモ二量体形成(「ホール-ホール」または「ノブ-ノブ」)に対して、高収率のヘテロ二量体形成(「ノブ-ホール」)が観察された(Ridgway, J. B., Presta L G, Carter P;およびWO 1996/027011)。ファージディスプレイ技術およびヘテロ二量体を安定化させるジスルフィド架橋の導入を用いて、2つのCH3ドメインの界面をリモデリングすることによって、ヘテロ二量体の割合をさらに増加させてもよい(Merchant, A. M.ら, Nature Biotech 16(1998)677-681; Atwell, S., Ridgway, J. B., Wells, J. A., Carter, P., J Mol Biol 270(1997)26-35)。
【0275】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、アミノ酸置換S354C/T366Wを有する第一のFc単量体、およびアミノ酸置換Y349C/T366S/L368A/Y407Vを有する第二のFc単量体を含む。
【0276】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、アミノ酸置換Y349C/T366S/L368A/Y407を有する第一のFc単量体、およびアミノ酸置換S354C/T366Wを有する第二のFc単量体を含む。
【0277】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、IgGに属するFc断片を含む。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、Fc断片アイソタイプが:ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4を含む群より選択されるFc断片を含む。
【0278】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、前記イムノサイトカインにおいて、ADCC、CDC、および/またはADCP特性の不全を引き起こす、Fc断片単量体中の突然変異を含む。
【0279】
さらに、二重特異性IL15スーパーアゴニストまたは二重特異性IL15イムノサイトカインまたは抗PD1/IL15SAイムノサイトカイン(IL-15SAおよび抗PD-1 Fab断片を含む二重特異性モノクローナル抗体)は、以下を意味すると理解される:
抗PD-1 Fab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcノブLALA、
抗PD-1 Fab-CK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcノブLALA。
【0280】
さらに抗PD-L1/IL15SAイムノサイトカインは、以下を意味すると理解される:
抗PD-L1 Fab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcノブLALA、
抗PD-L1 Fab-CK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcノブLALA。
【0281】
名称、抗PD-1 Fab、抗PD-L1 Fab、CK、IL15Ra、IL15、CH1FcノブLALAの意味は、本出願のテキスト全体に提供される。
抗PD-1 Fab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcノブLALAは、抗PD1抗体、抗体軽鎖定常ドメインCKに連結されているIL15Ra、ならびに第一の(CH1)重鎖定常ドメイン、および第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL15を含む、上記イムノサイトカインであって、Fcがヘテロ二量体化を形成する突然変異(例えばノブ)およびLALAを含む、前記イムノサイトカインである。
【0282】
抗PD-1 Fab-CK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcノブLALAは、抗PD1抗体、抗体軽鎖定常ドメインCKに連結されているIL15、ならびに第一の(CH1)重鎖定常ドメイン、および第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL15Raを含む、上記イムノサイトカインであって、Fcがヘテロ二量体化を形成する突然変異(例えばノブ)およびLALAを含む、前記イムノサイトカインである。
【0283】
抗PD-L1 Fab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcノブLALAは、抗PD-L1抗体、抗体軽鎖定常ドメインCKに連結されているIL15Ra、ならびに第一の(CH1)重鎖定常ドメイン、および第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL15を含む、上記イムノサイトカインであって、Fcがヘテロ二量体化を形成する突然変異(例えばノブ)およびLALAを含む、前記イムノサイトカインである。
【0284】
抗PD-L1 Fab-CK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcノブLALAは、抗PD-L1抗体、抗体軽鎖定常ドメインCKに連結されているIL15、ならびに第一の(CH1)重鎖定常ドメイン、および第二の(CH2)および第三の(CH3)重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体重鎖定常ドメインに連結されているIL15Raを含む、上記イムノサイトカインであって、Fcがヘテロ二量体化を形成する突然変異(例えばノブ)およびLALAを含む、前記イムノサイトカインである。
【0285】
上記イムノサイトカインは、ヘテロ二量体複合体内の第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインが、天然S-S架橋を通じた共有会合を有する形式、ならびにヘテロ二量体複合体内の第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインが、天然S-S架橋を通じた共有会合を持たない形式のどちらで作製されてもよく;特定の場合、後者の目的に向けて、両方のシステインがアラニンによって置換されている。
【0286】
ヘテロ二量体複合体内の第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインが、天然S-S架橋を通じた共有会合を有する形式、ならびにヘテロ二量体複合体内の第一の抗体重鎖定常ドメインおよび抗体軽鎖定常ドメインが、天然S-S架橋を通じた共有会合を持たない形式の両方の上記イムノサイトカインの実験研究によって、上記サイトカインの活性には有意な相違がないことが示された。
【0287】
「ノブ」は、上記のように、CH3ドメイン中の第一のFc変異体および第二のFc変異体の間の「ノブ・イントゥ・ホール」構造を形成する突然変異を意味するよう理解される。
【0288】
上記イムノサイトカインの形式を、図3および4に示す。
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、腫瘍性疾患または自己免疫疾患の治療に用いられる。
【0289】
いくつかの態様において、イムノサイトカインは、腫瘍性疾患の治療に用いられる。
核酸
1つの側面において、本発明は、上記イムノサイトカインのいずれかをコードする単離核酸に関する。
【0290】
用語「核酸」、「核配列(nucleic sequence)」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド配列」は、本明細書において交換可能に用いられ、修飾されているかまたはされていないヌクレオチドの正確な配列を意味し、核酸の断片または領域を決定し、非天然ヌクレオチドを含有するかまたは含有せず、そして二本鎖DNAまたはRNA、一本鎖DNAまたはRNA、あるいは前記DNAの転写産物のいずれかである。
【0291】
本発明が天然染色体環境にある、すなわち天然状態にあるヌクレオチド配列と関連しないこともまた、本明細書に含まれなければならない。本発明の配列は、単離され、そして/または精製されており、すなわちこれらは、例えばコピーによって、直接または間接的にサンプリングされ、その環境は少なくとも部分的に修飾されている。したがって、組換え遺伝学によって、例えば宿主細胞によって得られるか、または化学合成によって得られる単離核酸もまた、本明細書に言及されなければならない。
【0292】
「単離」核酸分子は、天然供給源において結合している、少なくとも1つの核酸分子不純物から同定されそして分離されているものである。単離核酸分子は、天然条件下で見出される型またはセットとは異なる。したがって、単離核酸分子は、天然条件下の細胞中に存在する核酸分子とは異なる。しかし、例えば核酸分子が天然条件下での細胞における位置とは異なる染色体局在を有する場合、単離核酸分子には、イムノサイトカインが通常発現される細胞に位置する核酸分子が含まれる。
【0293】
いくつかの態様において、核酸はDNAである。
1つの態様において、本発明は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24より選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。核酸分子はまた、上記ヌクレオチド配列の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0294】
当業者に認識されるであろうように、遺伝暗号の縮重により、多様な異なるDNA配列が、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドをコードしうる。同じアミノ酸配列をコードするこれらの代替DNA配列を生成することは、十分に、当該技術分野で訓練された当業者の技術範囲内である。こうした変異体DNA配列は、本発明の範囲内である。
【0295】
発現ベクター
1つの側面において、本発明は、上記核酸を含む発現ベクターに関する。
用語「ベクター」は、本明細書において、連結されている別の核酸を輸送可能な核酸分子を意味する。いくつかの態様において、ベクターは、プラスミド、すなわち、その中にさらなるDNAセグメントを連結可能なDNAの環状二本鎖片である。いくつかの態様において、ベクターはウイルスベクターであり、ここで、さらなるDNAセグメントをウイルスゲノム内に連結してもよい。いくつかの態様において、ベクターは、導入される宿主細胞において自律複製可能である(例えば複製の細菌起点部位を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。さらなる態様において、ベクター(例えば非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞内への導入に際して、宿主細胞のゲノム内に組み込まれてもよく、そしてそれによって宿主遺伝子とともに複製される。さらに、特定のベクターは、機能可能であるように連結されている遺伝子の発現を指示することが可能である。こうしたベクターは、本明細書において、「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と称される。
【0296】
本発明は、本明細書に記載するように、上記イムノサイトカインまたはその構造部分のアミノ酸配列いずれかをコードする上記核酸分子を含むベクターに関する。
いくつかの態様において、本発明のイムノサイトカインは、第一および第二のイムノサイトカインドメイン(例えば抗体定常ドメイン(単数または複数)に連結されているIL15またはIL15Rαを含むドメイン、ならびに/あるいは抗体軽鎖および重鎖)の配列を部分的にまたは完全にコードするDNAを挿入することによって発現され、該遺伝子が、所望の発現制御配列、例えば転写および翻訳制御配列に機能可能であるように連結されている発現ベクター中で、上述のように産生される。発現ベクターには、プラスミド、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、植物ウイルス、例えばカリフラワーモザイクウイルス、タバコモザイクウイルス、コスミド、YAC、EBV由来エピソーム等が含まれる。ベクター内の転写および翻訳制御配列が、DNAの転写および翻訳を制御する意図される機能を果たすように、DNA分子をベクター内に連結してもよい。用いる発現宿主細胞と適合するように、発現ベクターおよび発現制御配列を選択してもよい。第一および第二の結合ドメインの配列(例えば、結合ドメインが重鎖および軽鎖配列を含む場合の重鎖および軽鎖配列)を部分的にまたは完全にコードするDNA分子を個々のベクター内に導入してもよい。1つの態様において、前記DNA分子の任意の組み合わせを同じ発現ベクター内に導入する。標準法(例えば抗体遺伝子断片およびベクター上の相補的制限部位の連結、または制限部位が存在しない場合、平滑端連結)によって、DNA分子を発現ベクター内に導入してもよい。
【0297】
適切なベクターは、いかなる配列、VHまたはVLまたはIL15またはIL15Rαも、上述のように容易に挿入されそして発現されうるように、適切な制限部位操作で、機能的に完全なヒトCHまたはCL/CK免疫グロブリン配列をコードするものである。こうしたベクターにおけるHCおよびLCコード遺伝子は、対応するmRNAを安定化させることによって、全体の抗体タンパク質収量の増進を生じる、イントロン配列を含有してもよい。該イントロン配列には、RNAスプライシングがどこで起こるかを決定する、スプライスドナーおよびスプライスアクセプター部位が隣接する。イントロン配列の位置は、抗体鎖の可変または定常領域のいずれにあってもよく、あるいは多数のイントロンを用いる場合、可変および定常領域の両方にあってもよい。ポリアデニル化および転写終結は、コード領域下流の天然染色体部位で起こってもよい。組換え発現ベクターはまた、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドもコードしてもよい。シグナルペプチドが免疫グロブリン鎖のアミノ末端のリーディングフレームに連結されるように、抗体鎖遺伝子あるいはIL15またはIL15Rαを含む鎖の遺伝子をベクター内にクローニングしてもよい。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち非免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)であってもよい。
【0298】
抗体鎖遺伝子あるいはIL15またはIL15Rαを含む鎖の遺伝子に加えて、本発明の組換えベクター発現は、宿主細胞における該遺伝子の発現を制御する、制御配列を含んでもよい。当業者には、制御配列の選択を含めて、発現ベクターの設計が、形質転換しようとする宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等に依存しうることが理解されるであろう。哺乳動物における発現宿主細胞のための好ましい制御配列には、哺乳動物細胞において、高レベルのタンパク質発現を確実にするウイルス要素、例えばレトロウイルスLTR、サイトメガロウイルス(CMV)(例えばCMVプロモーター/エンハンサー)、シミアンウイルス40(SV40)(例えばSV40プロモーター/エンハンサー)、アデノウイルス(例えば主要後期プロモーターアデノウイルス(AdMLP))、ポリオーマウイルスおよび強力な哺乳動物プロモーター、例えば天然免疫グロブリンプロモーターまたはアクチンプロモーターが含まれる。ウイルス制御要素およびその配列のさらなる説明に関しては、例えば、米国特許第5,168,062号、第4,510,245号および第4,968,615号を参照されたい。細菌細胞または真菌細胞、例えば酵母細胞においてポリペプチドを発現するための方法もまた、当該技術分野に周知である。
【0299】
上記遺伝子および制御配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、さらなる配列、例えば宿主細胞におけるベクターの複製を制御する配列(例えば複製起点)および選択可能マーカー遺伝子を所持してもよい。選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を容易にする(例えば米国特許第4,399,216号、第4,634,665号および第5,179,017号を参照されたい)。例えば、典型的には、選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞に対して、医薬品剤、例えばG418、ハイグロマイシンまたはメトトレキセートに対する耐性を与える。例えば、選択可能マーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキセート選択/増幅中、dhfr-宿主細胞において使用するため)、neo遺伝子(G418選択のため)、およびグルタミン酸シンテターゼ遺伝子が含まれる。
【0300】
用語「発現制御配列」は、本明細書において、連結されているコード配列の発現およびプロセシングに影響を及ぼすために必要であるポリヌクレオチド配列を指す。発現制御配列には、適切な転写開始、終結、プロモーターおよびエンハンサー配列;効率的RNAプロセシングシグナル、例えばスプライシングおよびポリアデニル化シグナル;細胞質mRNAを安定化させる配列;翻訳効率を増進させる配列(すなわちコザック・コンセンサス配列);タンパク質安定性を増進させる配列;ならびに望ましい場合、タンパク質分泌を増進させる配列が含まれる。こうした制御配列の性質は、宿主生物に応じて異なり;原核生物においては、こうした制御配列には、一般的に、リボソーム結合部位のプロモーター、および転写終結配列が含まれ;真核生物においては、典型的には、こうした制御配列には、プロモーターおよび転写終結配列が含まれる。用語「制御配列」には、少なくとも、その存在が、発現およびプロセシングに必須であるすべての構成要素が含まれ、そしてまた、その存在が好適であるさらなる構成要素、例えばリーダー配列および融合パートナーの配列も含まれてもよい。
【0301】
用語「制御配列」は、特定の宿主生物における、機能可能であるように連結されているコード配列の発現のために必要なDNA配列を指す。原核生物に適切な制御配列には、例えば、プロモーター、随意にオペレーター配列、およびリボソーム結合部位が含まれる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することが知られる。
【0302】
核酸は、別の核酸配列と機能的関連に置かれた際、「機能可能であるように連結されている」。例えば、プレ配列または分泌リーダー配列のDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現されている場合、ポリペプチドに関するDNAに機能可能であるように連結されており;プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に機能可能であるように連結されており;リボソーム結合部位は、翻訳を促進するように配置されている場合、コード配列に機能可能であるように連結されている。一般的に、「機能可能であるように連結されている」は、連結されているDNA配列が隣接しており、そして分泌リーダーの場合、隣接しそして読み枠中にあることを意味する。しかし、エンハンサーは隣接している必要はない。
【0303】
宿主細胞およびその産生法
1つの側面において、本発明は、上記ベクターで細胞を形質転換することを含む、上記イムノサイトカイン産生のための宿主細胞の産生法に関する。
【0304】
本発明のイムノサイトカインをコードする核酸分子およびこれらの核酸分子を含むベクターを、適切な哺乳動物またはその細胞、植物またはその細胞、細菌または酵母宿主細胞のトランスフェクションに用いてもよい。形質転換は、ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための任意の既知の技術によってもよい。哺乳動物細胞内に異種ポリヌクレオチドを導入するための方法は、当該技術分野に周知であり、そしてこれには、デキストラン仲介性トランスフェクション、陽イオン性ポリマー-核酸複合体トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン仲介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、リポソーム中のポリヌクレオチド(単数または複数)の被包、および核内へのDNAの直接マイクロインジェクションが含まれる。さらに、ウイルスベクターによって、哺乳動物細胞内に核酸分子を導入してもよい。細胞をトランスフェクションするための方法は、当該技術分野に周知である。例えば、米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,740,461号および第4,959,455号を参照されたい。植物細胞を形質転換するための方法が当該技術分野に周知であり、これには、例えばアグロバクテリウム仲介形質転換、微粒子銃形質転換、直接注入、エレクトロポレーションおよびウイルス形質転換が含まれる。細菌および酵母細胞を形質転換する方法もまた、当該技術分野に周知である。
【0305】
1つの側面において、本発明は、上記核酸を含む、上記イムノサイトカインの産生のための宿主細胞に関する。
1つの側面において、本発明は、上記イムノサイトカインを含む薬剤の産生法であって、上記宿主細胞を、前記イムノサイトカインを産生するために十分な条件下で、培地中で培養し、必要であれば、その後、生じたイムノサイトカインの単離および精製を行う、前記方法に関する。
【0306】
用語「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)は、本明細書において、組換え発現ベクターが導入されている細胞を指す。本発明は、例えば、上述の本発明記載のベクターが含まれうる宿主細胞に関する。本発明はさらに、例えば本発明のイムノサイトカインまたはその上記部分をコードするヌクレオチド配列を含む、宿主細胞に関する。「組換え宿主細胞」および「宿主細胞」が、特定の対象細胞だけでなく、こうした細胞の子孫もまた指すことを理解しなければならない。突然変異または環境の影響のいずれかにより、続く世代で修飾が生じうるため、こうした子孫は、実際、親細胞と同一でない可能性もあるが、こうした細胞はなお、本明細書において、用語「宿主細胞」の範囲内に含まれる。
【0307】
形質転換のための宿主として用いる哺乳動物細胞株が当該技術分野に周知であり、そしてこれには、入手可能な多数の不死化細胞株が含まれる。これらには、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、SP2細胞、HEK-293T細胞、FreeStyle 293細胞(Invitrogen)、NIH-3T3細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えばHepG2)、A549細胞、および多くの他の細胞株が含まれる。どの細胞株が高発現レベルを有し、そして産生するタンパク質に必要な特性を提供するかを決定することによって、細胞株を選択する。使用可能な他の細胞株は、昆虫細胞株、例えばSf9またはSf21細胞である。本発明のイムノサイトカインまたはその部分をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞内に導入する際、宿主細胞における本発明のイムノサイトカインまたはその部分の発現、あるいはより好ましくは、宿主細胞を培養する培地内へのイムノサイトカインの分泌を可能にするために十分な期間、宿主細胞を培養することによって、イムノサイトカインを産生する。標準的なタンパク質精製技術を用いて、培地から、イムノサイトカインを単離してもよい。植物宿主細胞には、例えばニコチアナ属(Nicotiana)、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)、ウキクサ(duckweed)、トウモロコシ、コムギ、ジャガイモ等が含まれる。細菌宿主細胞には、エシェリキア属(Escherichia)およびストレプトミセス属(Streptomyces)種が含まれる。酵母宿主細胞には、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)およびピキア・パストリス(Pichia pastoris)が含まれる。
【0308】
さらに、多くの既知の技術を用いて、産生細胞株からの本発明記載のイムノサイトカインの産生レベルを増進させてもよい。例えば、グルタミンシンテターゼ遺伝子発現系(GS系)は、特定の条件下で発現を増進させるための一般的なアプローチである。GS系は、EP第0216846号、第0256055号、第0323997号および第0338841号と関連して、全体にまたは部分的に論じられる。
【0309】
異なる細胞株または宿主細胞における本発明のイムノサイトカインまたはその部分は、互いに異なるグリコシル化パターンを有するであろう。しかし、本明細書に提供するアミノ酸配列を含む、本明細書開示のイムノサイトカインまたはその部分(ドメイン)は、結合分子のグリコシル化に関わらず、そして一般的に翻訳後修飾の存在または非存在に関わらず、本発明の一部である。
【0310】
薬学的組成物
1つの側面において、本発明は、IL-15Rベータ/ガンマ陽性細胞の活性化および/または増殖を刺激するための薬学的組成物であって、1つまたはそれより多くの薬学的に許容されうる賦形剤と組み合わせて、療法的有効量の上記イムノサイトカインを含む、前記薬学的組成物に関する。
【0311】
「薬学的組成物」は、本発明のイムノサイトカイン、および薬学的に許容されうるそして薬理学的に適合する賦形剤、例えば充填剤、溶媒、希釈剤、キャリアー、補助剤、分配剤、送達剤、保存剤、安定化剤、乳化剤、懸濁剤、増粘剤、持続送達制御剤からなる群より選択される少なくとも1つの構成要素を含む組成物を意味し、これらの選択および比率は、投与および投薬のタイプおよび経路に応じる。本発明の薬学的組成物およびその調製法は、明確に、当業者に明らかであろう。薬学的組成物は、好ましくは、GMP(製造管理および品質管理に関する基準)要件に適合して製造されなければならない。組成物は、緩衝剤組成物、等張剤、安定化剤および可溶化剤を含んでもよい。活性薬学的成分の吸収を遅延させる剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンによって、組成物の作用の持続を達成してもよい。適切なキャリアー、溶媒、希釈剤および送達剤の例には、水、エタノール、ポリアルコールおよびその混合物、油、ならびに注射用の有機エステルが含まれる。
【0312】
「療法的有効量」は、ある程度の度合いまで、治療中の障害の症状の1つまたはそれより多くを軽減するであろう、投与される療法剤の量を指す。
「医薬品(薬剤)」は、ヒトおよび動物において、生理学的機能の回復、改善または修飾のために、そして疾患の治療および防止のために、診断、麻酔、避妊、美容術等のために意図される、錠剤、カプセル、粉末、凍結乾燥物、注射剤、注入剤、軟膏および他の既製品型の薬学的組成物としての化合物または化合物の混合物である。当該技術分野において許容される、ペプチド、タンパク質または抗体を投与するための任意の方法を、本発明のイムノサイトカインに関して、適切に使用してもよい。
【0313】
用語「薬学的に許容されうる」は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける投与に適した1つまたはそれより多い適合する液体または固体構成要素を指す。
用語「賦形剤」は、本明細書において、本発明の上記成分以外の任意の成分を記載するよう用いられる。これらは、薬剤産物に、必要な物理化学特性を与えるため、薬剤製造において用いられる無機または有機性の物質である。
【0314】
用語「緩衝液」、「緩衝剤組成物」、「緩衝剤」は、その酸-塩基コンジュゲート構成要素の作用によって、pHの変化に抵抗することが可能であり、そして本発明のイムノサイトカイン産物が、pHの変化に抵抗することを可能にする、溶液を指す。一般的に、薬学的組成物は、好ましくは、4.0~8.0の範囲のpHを有する。用いる緩衝剤の例には、限定されるわけではないが、酢酸、リン酸、クエン酸、ヒスチジン、コハク酸等の緩衝溶液が含まれる。
【0315】
用語「等張剤」、「浸透圧調節物質」または「浸透圧調節剤」は、本明細書において、液体抗体配合物の浸透圧を増加させうる賦形剤を指す。「等張」薬剤は、ヒト血液のものと等しい浸透圧を有する薬剤である。等張薬剤は、典型的には、約250~350mOsm/kgの浸透圧を有する。用いられる等張剤には、限定されるわけではないが、ポリオール、糖類およびスクロース、アミノ酸、金属塩、例えば塩化ナトリウム等が含まれる。
【0316】
「安定化剤」は、活性剤の物理的および/または化学的安定性を提供する、賦形剤、あるいは2つまたはそれより多い賦形剤の混合物を指す。安定化剤には、アミノ酸、例えば限定されるわけではないが、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、リジン、グルタミン、プロリン;界面活性剤、例えば限定されるわけではないが、ポリソルベート20(商品名:Tween 20)、ポリソルベート80(商品名:Tween 80)、ポリエチレン-ポリプロピレングリコールおよびそのコポリマー(商品名:ポロキサマー、プルロニック(登録商標)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);酸化防止剤、例えば限定されるわけではないが、メチオニン、アセチルシステイン、アスコルビン酸、モノチオグリセロール、亜硫酸塩等;キレート剤、例えば限定されるわけではないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、クエン酸ナトリウム等が含まれる。
【0317】
明記される保存可能期間中に、保存温度、例えば2~8℃で、活性剤が、その物理的安定性および/または化学的安定性および/または生物学的活性を保持するならば、薬学的組成物は「安定」である。好ましくは、活性剤は、物理的および化学的安定性、ならびに生物学的活性の両方を保持する。加速されたまたは天然の経年変化(aging)状態において、安定性試験の結果に基づいて、保存期間を調節する。
【0318】
既製配合物の形の、単一単位用量または複数の単一単位用量の形で、本発明の薬学的組成物を製造するか、パッケージングするか、または広く販売してもよい。用語「単一単位用量」は、本明細書において、活性成分のあらかじめ決定した量を含有する、別個の量の薬学的組成物を指す。活性成分の量は、典型的には、被験体に投与しようとする活性成分の用量、あるいはこうした用量の好適な部分、例えばこうした用量の半量または三分の一量と等しい。
【0319】
本発明記載の薬学的組成物は、典型的には、注射、注入および移植により、胃腸管を迂回して、皮膚または粘膜障壁における割れ目(breach)を通じてヒト体内に投与されるよう意図された無菌配合物としての、非経口投与に適している。例えば、非経口投与には、とりわけ、皮下、腹腔内、筋内、胸骨内、静脈内、動脈内、クモ膜下腔内、心室内、尿道内、頭蓋内、滑膜内、経皮注射または注入;および腎臓透析注入技術が含まれると意図される。腫瘍内送達、例えば腫瘍内注射もまた使用してもよい。局所灌流もまた提供される。好ましい態様には、静脈内および皮下経路が含まれる。当該技術分野に許容される、ペプチドまたはタンパク質を投与するための任意の方法を、本発明のイムノサイトカインに適切に使用してもよい。
【0320】
限定なしに、単位投薬型で、例えばアンプル、バイアル中、プラスチック容器、あらかじめ充填したシリンジ、自動注射(autoinjection)デバイス中で、注射可能配合物を調製するか、パッケージングするか、または販売してもよい。非経口投与のための配合物には、とりわけ、懸濁物、溶液、油性または水性基剤中のエマルジョン、ペースト等が含まれる。
【0321】
別の態様において、本発明は、投与前に適切な基剤(例えば無菌病原体不含水)で再構成するための乾燥(すなわち粉末または顆粒)型で提供される、薬学的組成物を含む、非経口投与のための組成物を提供する。こうした配合物を、例えば凍結乾燥プロセスによって調製してもよく、該プロセスは、フリーズドライとして当該技術分野に知られ、そして産物を凍結し、その後、凍結した物質から溶媒を除去する工程を伴う。
【0322】
また、本発明記載のイムノサイトカインを、鼻内または吸入によって、単独で、適切な薬学的に許容されうる賦形剤との混合物としてのいずれかで、吸入装置、例えば加圧エアロゾルコンテナ、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーから、適切な噴霧剤を用いまたは用いず、あるいは点鼻剤として、またはスプレーで、投与してもよい。
【0323】
非経口投与のための投薬型を、即時または修飾放出されるように、配合してもよい。修飾放出配合物には、遅延、持続、パルス、制御、ターゲティングおよびプログラム放出が含まれる。
【0324】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、腫瘍性疾患または自己免疫疾患の治療に用いられる。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、自己免疫疾患の治療に用いられる。
【0325】
用語「自己免疫疾患」は、本明細書において、個体自身の(自己)抗原および/または組織から生じ、そしてこれらに対して向けられる非悪性疾患または障害を指す。
「自己免疫疾患」の定義は、限定されるわけではないが、関節リウマチ、変形性関節症、若年性慢性関節炎、敗血症関節炎、ライム変形性関節症、乾癬性関節炎、反応性関節炎、脊椎関節症、全身性エリテマトーデス、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、糖尿病、甲状腺炎、喘息、アレルギー性疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、強皮症、「移植片対宿主」反応、臓器移植拒絶、移植に関連する急性または慢性免疫疾患、サルコイドーシス、川崎病、グレーブス病、ネフローゼ症候群、慢性疲労症候群、ウェゲナー肉芽腫症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、顕微鏡性腎血管炎、慢性活性肝炎、ブドウ膜炎(uvenita)、敗血症ショック、毒性ショック症候群、敗血症症候群、悪液質、後天性免疫不全症候群、急性横断性脊髄炎、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳卒中、原発性胆汁性肝硬変、溶血性貧血、成人(急性)呼吸促迫症候群、脱毛症、限局性脱毛症、血清陰性関節症、関節症、ライター病、潰瘍性大腸炎関節症と関連する乾癬性関節症、アトピー性アレルギー、自己免疫水疱症、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、天疱瘡病、線状IgA、自己免疫溶血性貧血、クームス陽性溶血性貧血、悪性貧血、若年性悪性貧血、関節炎、原発性硬化性肝炎A、特発性自己免疫肝炎、線維性肺疾患、特発性線維性肺胞炎、炎症後間質性肺疾患、間質性肺炎、慢性好酸球性肺炎、感染後間質性肺疾患、痛風関節炎、自己免疫肝炎、I型自己免疫肝炎(古典的自己免疫肝炎またはルポイド)、II型自己免疫肝炎、変形性関節症、原発性硬化性胆管炎、I型乾癬、II型乾癬、特発性白血球減少症、自己免疫好中球減少症、腎NOS疾患、糸球体腎炎、顕微鏡性腎血管炎、円板状エリテマトーデス、特発性または雄性NOS不妊症、精子に対する自己免疫、多発性硬化症(すべてのサブタイプ)、交感性眼炎、結合組織疾患に続く肺高血圧、グッドパスチャー症候群、結節性多発性関節炎(polyarthritis nodosa)の肺症状、急性リウマチ熱、リウマチ性脊椎炎、強直性脊椎炎、スティル病、全身性硬化症、シェーグレン症候群、高安病、自己免疫血小板減少症、特発性血小板減少症、自己免疫甲状腺炎、甲状腺機能亢進症、橋本病、自己免疫萎縮性甲状腺機能低下症、原発性粘液水腫、水晶体起因性ブドウ膜炎、原発性血管炎、白斑、急性肝疾患、慢性肝疾患、アレルギー、喘息、精神障害(うつ状態および統合失調症を含む)、Th2型/Th1型仲介性疾患、結膜炎、アレルギー性接触性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アルファ-Iアンチトリプシン欠損症、筋委縮性側索硬化症、貧血、嚢胞性線維症、サイトカイン療法に関連する障害、脱髄性疾患、皮膚炎、虹彩毛様体炎/ブドウ膜炎/視神経炎、虚血再灌流傷害、虚血性脳卒中、若年性関節リウマチ、自己免疫腸疾患、自己免疫難聴、自己免疫リンパ増殖性症候群、自己免疫心筋炎、自己免疫早期卵巣機能不全および眼瞼炎を含む。
【0326】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、腫瘍性疾患の治療に用いられる。
用語「腫瘍性疾患」、「癌」および「癌性」は、典型的には細胞の制御されない成長/増殖によって特徴づけられる、哺乳動物における生理学的状態を指すかまたは生理学的状態を記載する。癌性疾患の例には、限定されるわけではないが、癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫、および白血病が含まれる。こうした癌性疾患のより具体的な例には、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌および肺扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃癌、膵臓癌、神経膠芽腫、神経膠腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎癌、前立腺癌、膣癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、黒色腫、および多様な頭頸部癌が含まれる。
【0327】
いくつかの態様において、薬学的組成物は:HNSCC(頭頸部扁平上皮癌)、子宮頸癌、未知の原発性癌、神経膠芽腫、食道癌、膀胱癌、TNBC(トリプルネガティブ乳癌)、CRC(結腸直腸癌)、肝細胞癌、黒色腫、NSCLC(非小細胞肺癌)、腎臓癌、卵巣癌、MSI CRC(マイクロサテライト不安定性を伴う結腸直腸癌)、白血病(急性白血病または骨髄芽球性白血病)、リンパ腫、多発性骨髄腫、黒色腫、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膀胱癌、肉腫、肝細胞癌、神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、TおよびB細胞急性リンパ芽球性白血病、小細胞肺癌、急性骨髄芽球性白血病、難治性非ホジキンB細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、頭頸部扁平上皮癌、膵臓癌、卵巣癌、急性骨髄芽球性白血病および高リスク骨髄異形成症候群を含む群より選択される腫瘍性疾患の治療のために用いられる。
【0328】
用語「抗増殖活性」は、細胞、例えば癌細胞の増殖を停止させるかまたは阻害することを指すよう意図される。
用語「IC50」(50%阻害濃度)は、測定可能な活性または反応、例えば腫瘍細胞などの細胞の成長/増殖を、50%阻害する薬剤濃度を指す。適切な用量-反応曲線を用い、曲線適合のための特別な統計ソフトウェアを用いて、IC50値を計算してもよい。
【0329】
用語GI50(50%増殖阻害)は、腫瘍細胞などの細胞の増殖を50%阻害する薬剤濃度を指す。
用語「ED50」(EC50)(50%有効用量/濃度)は、50%の生物学的影響(細胞傷害性も含まれうる)を生じる薬剤濃度を指す。
【0330】
治療法/治療のための使用
1つの側面において、本発明は、腫瘍性疾患の治療法であって、こうした治療が必要な被験体に、療法的有効量の前記イムノサイトカインまたは前記薬学的組成物を投与する工程を含む、前記方法に関する。
【0331】
「治療する」、「治療」および「療法」は、生物学的障害および/またはその関連する症状の少なくとも1つを減弱させるかまたは排除する方法を指す。本明細書において、疾患、障害または状態を「緩和する」ことは、疾患、障害または状態の症状の重症度および/または発生頻度を減少させることを意味する。さらに、本明細書における「治療」への言及には、治癒的、対症的および予防的療法への言及が含まれる。
【0332】
1つの側面において、治療の被験体または患者は、哺乳動物、好ましくはヒト被験体である。前記被験体は、任意の年齢の男性または女性であってもよい。
用語「疾患」は、本発明記載の治療によって利益を得るであろう任意の状態を意味する。この用語の定義には、慢性および急性障害または疾患が含まれる。
【0333】
治療のための方法のいくつかの態様において、腫瘍性疾患は:HNSCC(頭頸部扁平上皮癌)、子宮頸癌、未知の原発性癌、神経膠芽腫、食道癌、膀胱癌、TNBC(トリプルネガティブ乳癌)、CRC(結腸直腸癌)、肝細胞癌、黒色腫、NSCLC(非小細胞肺癌)、腎臓癌、卵巣癌、MSI CRC(マイクロサテライト不安定性を伴う結腸直腸癌)、白血病(急性白血病または骨髄芽球性白血病)、リンパ腫、多発性骨髄腫、黒色腫、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膀胱癌、肉腫、肝細胞癌、神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、TおよびB細胞急性リンパ芽球性白血病、小細胞肺癌、急性骨髄芽球性白血病、難治性非ホジキンB細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、頭頸部扁平上皮癌、膵臓癌、卵巣癌、急性骨髄芽球性白血病および高リスク骨髄異形成症候群を含む群より選択される。
【0334】
1つの側面において、本発明は、T細胞集団またはNK細胞集団の生物学的活性を、こうした活性化を必要とする被験体において活性化するための方法であって、有効量の上記イムノサイトカインまたは上記薬学的組成物を被験体に投与する工程を含む、前記方法に関する。
【0335】
1つの側面において、本発明は、治療のための前記イムノサイトカインまたは前記薬学的組成物の、腫瘍性疾患のこうした治療を必要とする被験体における使用に関する。
いくつかの使用において、腫瘍性疾患は:HNSCC(頭頸部扁平上皮癌)、子宮頸癌、未知の原発性癌、神経膠芽腫、食道癌、膀胱癌、TNBC(トリプルネガティブ乳癌)、CRC(結腸直腸癌)、肝細胞癌、黒色腫、NSCLC(非小細胞肺癌)、腎臓癌、卵巣癌、MSI CRC(マイクロサテライト不安定性を伴う結腸直腸癌)、白血病(急性白血病または骨髄芽球性白血病)、リンパ腫、多発性骨髄腫、黒色腫、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膀胱癌、肉腫、肝細胞癌、神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、TおよびB細胞急性リンパ芽球性白血病、小細胞肺癌、急性骨髄芽球性白血病、難治性非ホジキンB細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、頭頸部扁平上皮癌、膵臓癌、卵巣癌、急性骨髄芽球性白血病および高リスク骨髄異形成症候群を含む群より選択される。
【0336】
腫瘍(例えば癌)の場合、本発明のイムノサイトカインの療法的有効量は、癌細胞の数を減少させ;最初の腫瘍サイズを減少させ;癌細胞が末梢臓器内に浸潤することを阻害し(すなわちある程度遅延させ、そして好ましくは停止し);腫瘍転移を阻害し(すなわちある程度遅延させ、そして好ましくは停止し);腫瘍増殖をある程度阻害し;そして/または障害と関連する症状の1つまたはそれより多くを、ある程度軽減することも可能である。本発明のイムノサイトカインは、存在する癌細胞の増殖をある程度防止し、そして/またはこうした細胞を殺してもよく、細胞分裂停止性そして/または細胞傷害性であってもよい。癌治療において、in vivo有効性を、例えば、生存、疾患進行までの時間(TTP)、治療に対する腫瘍の反応速度(RR)、反応期間および/または生活の質を評価することによって測定することも可能である。
【0337】
本発明のイムノサイトカインを、さらなる療法的治療を伴わずに、すなわち独立療法として投与してもよい。さらに、本発明のイムノサイトカインによる治療は、少なくとも1つのさらなる療法的治療(併用療法)を含んでもよい。いくつかの態様において、イムノサイトカインを、癌治療のための別の薬物/調製物とともに投与してもよいし、または配合してもよい。
【0338】
本明細書において、本発明のイムノサイトカインおよび1つまたはそれより多い他の療法剤に言及する用語、「同時投与」、「同時投与された」および「と組み合わされた」は、以下を意味するか、以下を指すか、または以下を含むと意図される:
1)本発明のイムノサイトカインおよび療法剤のこうした組み合わせの、治療が必要な患者への同時投与であって、こうした構成要素が、前記構成要素を前記患者に実質的に同時に放出する、単一の投薬型内にともに配合されている場合の、前記投与、
2)本発明のイムノサイトカインおよび療法剤のこうした組み合わせの、治療が必要な患者への同時投与であって、こうした構成要素が別個の投薬型に互いに分かれて配合され、これらが、前記患者に実質的に同時に摂取され、これに際して前記構成要素が、前記患者に実質的に同時に放出される場合の、前記投与、
3)本発明のイムノサイトカインおよび療法剤のこうした組み合わせの、治療が必要な患者への連続投与であって、こうした構成要素が別個の投薬型に互いに分かれて配合され、これらが、各投与の間に十分な時間間隔を伴い、前記患者によって連続した時間で摂取され、投与に際して、前記構成要素が前記患者に、実質的に異なる時点で放出される場合の、前記投与;および
4)本発明のイムノサイトカインおよび療法剤のこうした組み合わせの、治療が必要な患者への連続投与であって、こうした構成要素が、単一の投薬型にともに配合され、該投薬型が、前記構成要素を制御された方式で放出し、放出に際して、前記患者に同じおよび/または異なる時点で、同時に、連続して、または重複して放出され、ここで各部分が、同じまたは異なる経路のいずれかによって、投与されうる場合の、前記投与。
【0339】
本発明のイムノサイトカインを:細胞傷害剤、化学療法剤、抗ホルモン剤、または別の療法抗体を含む群より選択される療法剤と組み合わせてもよい。
本明細書において、用語「細胞傷害剤」は、細胞の機能を阻害するかまたは防止し、そして/または細胞の破壊を引き起こす物質を指す。該用語は、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32およびLuの放射性同位体)、化学療法剤、ならびにその断片および/または変異体を含む、細菌、真菌、植物または動物起源の毒素、例えば小分子毒素または酵素的に活性である毒素を含むよう意図される。
【0340】
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標));スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、イムプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa);アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチルメラミンを含むエチレンイミンおよびメチルアメラミン(methylamelamine);アセトゲニン(例えばブラタシンおよびブラタシノン);デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ-ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類似体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT-11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、および9-アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(その合成類似体アドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシンを含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(例えばクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体KW-2189およびCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコディクチン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩(mechlorethamine oxide hydrochloride)、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムスチン;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えばカリケアマイシン、例えばカリケアマイシン・ガンマIIおよびカリケアマイシン・オメガII(例えばAgnew, Chem. Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)を参照されたい));ダイネマイシン(dynemicin)Aを含むダイネマイシン;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシニス(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、ドキソルビシンHClリポソーム注射剤(DOXOL(登録商標))、リポソームドキソルビシンTLC D-99(MYOCET(登録商標))、PEG化リポソームドキソルビシン(CAELYX(登録商標))、およびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えばメトトレキセート、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、テガファー(UFTORAL(登録商標))、カペシタビン(XELODA(登録商標))、エポチロン、および5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモファー、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;抗副腎機能剤(anti-adrenals)、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジクオン;エルフォルニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);メイタンシノイド、例えばメイタンシンおよびアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、オレゴン州ユージーン);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(例えばT-2毒素、ベラキュリンA、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標))、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子配合物(ABRAXANETM)、およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標));クロラムブシル;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金剤、例えばシスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチン;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標))、ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標))、ビンデシン(ELDISINE(登録商標))、FILDESIN(登録商標)、およびビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))を含む、チューブリン重合が微小管を形成するのを防止するビンカ類;エトポシド(VP16);イホスファミド;ミトキサントロン;ロイコボリン;ノバントロン;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標))を含むレチノイン酸などのレチノイド;ビスホスホネート、例えばクロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、エチロドネート(DIDROCAL(登録商標))、NE-58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAJX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、またはリセドロネート(ACTONEL(登録商標));トロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子、例えば、PKC-アルファ、Raf、H-Ras、および上皮増殖因子受容体(EGF-R)の発現を阻害するもの;ワクチン、例えばTHERATOPE(登録商標)ワクチンおよび遺伝子治療ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、およびVAXID(登録商標)ワクチン;トポイソメラーゼ1阻害剤(例えばLURTOTECAN(登録商標));rmRH(例えばABARELIX(登録商標));BAY439006(ソラフェニブ;Bayer);SU-11248(Pfizer);ペリフォシン、COX-2阻害剤(例えばセレコキシブまたはエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(例えばPS341);ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標));CCI-779;ティピファルニブ(RI 1577);オラフェニブ、ABT510;Bcl-2阻害剤、例えばオブリメルセンナトリウム(GENASENSE(登録商標));ピキサントロン;EGFR阻害剤(以下の定義を参照されたい);チロシンキナーゼ阻害剤(以下の定義を参照されたい);ならびに上記いずれかの薬学的に許容されうる塩、酸または誘導体;ならびに上記の2つまたはそれより多くの組み合わせ、例えばシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの併用療法の略語であるCHOP、ならびに5-FUおよびロイコボリンと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATINTM)での治療措置の略語であるFOLFOXが含まれる。
【0341】
この定義にやはり含まれるのは、腫瘍に対するホルモン作用を制御するかまたは阻害するように作用する、抗ホルモン剤、例えば混合アゴニスト/アンタゴニストプロファイルを持つ抗エストロゲンであり、これには、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標))、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、トレミフェン(FARESTON(登録商標))、イドキシフェン、ドロロキシフェン、ラロキシフェン(EVTSTA(登録商標))、トリオキシフェン、ケオキシフェン、および選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)、例えばSERM3;アゴニスト特性を含まない純粋抗エストロゲン、例えばフルベストラント(FASLODEX(登録商標))、およびEM800(こうした剤は、エストロゲン受容体(ER)二量体化を遮断し、DNA結合を阻害し、ER代謝回転を増加させ、そして/またはERレベルを抑制することも可能である);ステロイド性アロマターゼ阻害剤、例えばフォルメスタンおよびエキセメスタン(AROMASIN(登録商標))、ならびに非ステロイド性アロマターゼ阻害剤、例えばアナストラゾール(AREVIIDEX(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))およびアミノグルテチミド、ならびにボロゾール(RIVISOR(登録商標))、酢酸メゲストロール(MEGASE(登録商標))、ファドロゾール、イミダゾールを含む他のアロマターゼ阻害剤を含む、アロマターゼ阻害剤;リュープロリド(LUPRON(登録商標)およびELIGARD(登録商標))、ゴセレリン、ブセレリン、およびトリプテレリンを含む、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト;プロゲスチン、例えば酢酸メゲストロールおよび酢酸メドロキシプロゲステロン、エストロゲン、例えばジエチルスチルベストロールおよびプレマリン、ならびにアンドロゲン/レチノイド、例えばフロキシメステロン、オールトランスレチノイン酸およびフェンレチニドを含む性ステロイド;オナプリストン;抗プロゲステロン;エストロゲン受容体下方制御剤(ERD);抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミドおよびビカルタミド;テストラクトン;ならびに上記いずれかの薬学的に許容されうる塩、酸または誘導体;ならびに上記の2つまたはそれより多くの組み合わせである。
【0342】
本発明のイムノサイトカインと組み合わせて用いてもよい他の療法剤は、PD1に対する抗体(例えばプロルゴリマブ、ペムブロリズマブまたはニボルマブ)、PD-L1に対する抗体、CTLA4に対する抗体、4-1BBに対する抗体、OX40に対する抗体、GITRに対する抗体、CD20に対する抗体(例えばリツキシマブ)、HER2に対する抗体(例えばトラスツズマブまたはペルツズマブ)、VEGFに対する抗体(例えばベバシズマブ)、またはその組み合わせを含む群より選択される療法抗体であってもよい。
【0343】
本発明記載のイムノサイトカインと組み合わせて用いてもよい他の療法剤は、自然免疫または適応免疫の活性化剤の群より選択される、療法的に活性である抗腫瘍化合物であってもよい。
【0344】
本発明のイムノサイトカインを、上述のような治療法において、上述のような治療において、そして/または上述の療法適用のための薬剤製造において、用いてもよいことが理解される。
【0345】
用量および投与経路
本発明のイムノサイトカインは、問題の状態の治療に有効な量で、すなわち望ましい結果を達成するために必要な用量で、そして必要な期間、投与されるであろう。療法的に有効な量は、治療中の特定の状態、患者の年齢、性別および体重、ならびにイムノサイトカインを、単独で、あるいは1つまたはそれより多いさらなる薬剤または治療技術との組み合わせで、投与するかどうかなどの要因にしたがって、多様でありうる。
【0346】
投薬措置を調節して、最適な所望の反応を提供してもよい。例えば、単一ボーラスを投与してもよいし、いくつかの分割用量を長期に渡って投与してもよいし、あるいは療法状況の緊急事態によって示されるように、用量を比例して減少させるかまたは増加させてもよい。投与の容易さおよび投薬の均一性のため、単位投薬型での非経口組成物を配合することが特に好適である。本明細書において、単位投薬型は、治療しようとする患者/被験体のための単位投薬として適した物理的に別個の単位を指し;各単位は、所望の薬学的キャリアーと関連して、所望の療法効果を生じるよう計算された、あらかじめ決定された量の活性化合物を含有する。本発明の単位投薬型の詳述は、典型的には、(a)化学療法剤のユニークな特性、および達成しようとする特定の療法的または予防的効果、ならびに(b)治療のためのこうした活性化合物を化合する技術分野に生得的な被験体感度の限界によって決定づけられ、そしてこれらに直接依存する。
【0347】
したがって、当業者は、本明細書に提供する開示に基づき、療法分野に周知の方法にしたがって、用量および投薬措置が調節されることを認識するであろう。すなわち、最大許容用量は、容易に確立可能であり、そして患者に対して検出可能な療法効果を提供する有効な量もまた決定可能であり、患者に対して検出可能な療法効果を提供するために各剤を投与するための一時的な要件も同様である。したがって、本明細書において、特定の用量および投与措置を例示するが、これらの例は、本発明の態様の実施において、患者に提供されうる用量および投与措置を、いかなる意味でも限定しない。
【0348】
投薬値が、軽減しようとする状態のタイプおよび重症度に応じて多様である可能性があり、そしてこれには単一または多数の用量が含まれてもよいことが注目されるものとする。さらに、任意の特定の被験体に関して、個体の必要性、および組成物を投与するかまたは投与を監視する医学的専門家の判断にしたがって、特定の投薬措置を長期に渡って調節すべきであり、そして本明細書に示す投薬範囲は例示のみであり、そして請求する組成物の範囲または実施を制限するとは意図されないことが理解されるものとする。さらに、本発明の組成物を含む投薬措置は、疾患のタイプ、患者の年齢、体重、性別、医学的状態、状態の重症度、投与経路、および使用する本発明の特定のイムノサイトカインを含む、多様な要因に基づきうる。したがって、投薬措置は、広く多様である可能性もあるが、標準法を用いて、ルーチンに決定可能である。例えば、臨床効果、例えば毒性効果および/または実験室値を含んでもよい薬物動態学または薬力学的パラメータに基づいて、用量を調節してもよい。したがって、本発明は、当業者によって決定されるような、患者内用量増大を含む。適切な投薬量および措置を決定するための方法は、当該技術分野に周知であり、そして本明細書に開示するアイディアをひとたび提供されれば、当業者によって理解されるであろう。
【0349】
適切な投薬法の例を上記に提供する。
本発明のイムノサイトカインの適切な用量は、0.1~200mg/kg、好ましくは0.1~100mg/kgの範囲であり、約0.5~50mg/kg、例えば約1~20mg/kgを含むであろう。例えば少なくとも0.25mg/kg、例えば少なくとも0.5mg/kg、少なくとも1mg/kgを含む、例えば少なくとも1.5mg/kg、例えば少なくとも2mg/kg、例えば少なくとも3mg/kg、少なくとも4mg/kgを含む、例えば少なくとも5mg/kg;そして例えば最大50mg/kgまで、最大30mg/kgまで、例えば最大20mg/kgまでを含む、最大15mg/kgまでを含む用量で、イムノサイトカインを投与してもよい。投与は、典型的には、適切な時間間隔で、例えば週1回、2週ごとに1回、3週ごとに1回、または4週ごとに1回、そして責任者である医師によって適切と判断されるだけ長く反復され、該医師は、いくつかの場合、必要であれば、用量を増加させるかまたは減少させてもよい。
【実施例
【0350】
以下の実施例は、本発明のよりよい理解のために提供される。これらの実施例は、例示のみの目的のためであり、そしていかなる形でも、本発明の範囲を制限するとは見なされないものとする。
【0351】
本明細書に引用されるすべての刊行物、特許および特許出願は、本明細書に援用される。前述の発明は、理解を明確にする目的のため、例示および例によってある程度詳細に記載されているが、一般の当業者には、本発明の解説を考慮して、付随する態様の精神または範囲から逸脱することなく、特定の変化および修飾を行ってもよいことが、容易に明らかであろう。
【0352】
材料および一般的な方法
組換えDNA技術
Sambrook J.ら, Molecular cloning: A laboratory manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989に記載されるような標準技術によって、DNA操作を行った。製造者のプロトコルにしたがって、分子生物学試薬を用いた。
【0353】
遺伝子合成
化学合成によって、作製したオリゴヌクレオチドから、所望の遺伝子セグメントを調製した。PCR増幅を含むオリゴヌクレオチドのアニーリングおよび連結によって、唯一の制限部位が隣接する長さ300~4000bpの遺伝子セグメントを組み立て、そして続いて明記する制限部位を通じてクローニングした。サブクローニングされた遺伝子断片のDNA配列をDNA配列決定によって確認した。
【0354】
DNA配列決定
サンガー配列決定によって、DNA配列を決定した。
DNAおよびタンパク質配列分析、ならびに配列データ管理
InfomaxのVector NTI Advanceパッケージソフト、バージョン8.0およびSnapGene Viewerを配列生成、マッピング、分析、注釈付けおよび例示に用いた。
【0355】
実施例1
哺乳動物細胞の懸濁培養における組換えタンパク質の産生
図1図2図3および図4に模式的に示す組換えIL15スーパーアゴニストタンパク質を産生するため、本発明者らは、ヒトIL15リガンド(https://www.uniprot.org/uniprot/P40933)およびIL15Rα(https://www.uniprot.org/uniprot/Q13261)の配列断片を含む構築物を合成した。どちらの遺伝子の配列も、PCRを用いてオリゴヌクレオチドから合成した。
【0356】
図1中のCK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALAおよび図2中のCK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcLALAによって示されるようなIL15スーパーアゴニスト変異体(本明細書において、以後、IL15SAまたはBCD225と称する)を産生するため、前記遺伝子を、SalI/BsiWI制限部位でベクターpEE-IL15Ra-CK(またはpEE-IL15-CK)内の抗体のカッパ軽鎖の第一の定常ドメインと(図5)、そしてSalI/NheI制限部位でベクターpEE-IL15-CH1-Fc-LALA(またはpEE-IL15Ra-CH1-Fc-LALA)IgG1内の抗体重鎖の第一の定常ドメインと(図6)、N末端融合(融合タンパク質)として、プラスミド内にクローニングし、そして両方のベクターをトランスフェクション工程で組み合わせた。
【0357】
図4中のFab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcノブLALA(本明細書において、以後、IL15SA/PD1または抗PD1/IL15SAまたはIL15SA/PDL1または抗PDL1/IL15SAと称する)および図3中のFab-CK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcノブLALAによって示されるような二重特異性IL15スーパーアゴニスト変異体を産生するため、IL15リガンドおよび受容体遺伝子を、SalI/BsiWI制限部位でベクターpEE-IL15Ra-CK(またはpEE-IL15-CK)内の抗体のカッパ軽鎖の第一の定常ドメインと(図5)、そしてSalI/NheI制限部位でベクターpEE-IL15-CH1-Fc-ノブ-LALA(またはpEE-IL15Ra-CH1-Fc-ノブ-LALA)IgG1内の抗体重鎖の第一の定常ドメインと(図9)、N末端融合として、プラスミド内にクローニングした。さらに、図3および図4に示すような非対称抗体のFab部分を形成するため、抗PD1(プロルゴリマブ)(本明細書において、以後、IL15SA/PD1または抗PD1/IL15SAと称する)または抗PDL1(BCD-135)抗体(本明細書において、以後、IL15SA/PDL1または抗PDL1/IL15SAと称する)の可変ドメインの遺伝子を、SalI/BsiWI制限部位でベクターpEE-BCD100-02-VL-CK内の抗体のカッパ軽鎖の第一の定常ドメインと(図7)、そしてSalI/NheI制限部位でベクターpEE-BCD100-02-VH-CH1-Fc-ホール-LALA IgG1内の抗体重鎖の第一の定常ドメインと(図8)、N末端融合として、プラスミド内にクローニングした。その結果、上記の4つのベクターがトランスフェクション工程で組み合わされて、1つの細胞において、4つの別個のポリペプチドを合成し、そして二重特異性イムノサイトカインを形成した。
【0358】
大腸菌(E. coli)細胞において、必要量の上記プラスミドすべてを産生し、そしてMaxiprep Qiagenキットを用いて精製した。
公表されるプロトコルにしたがって産生されたチャイニーズハムスター卵巣細胞株(CHO-K1)において、IL15SAを含む組換えタンパク質を一過性に培養した[Biotechnol Bioeng. 2005 Sep 20; 91(6):670-677, Liao Metal., 2004; Biotechnol Lett. 2006 Jun;28(11):843-848; Biotechnol Bioeng. 2003 Nov 5;84(3):332-342]。EBNA1(エプスタイン・バーウイルス核抗原1)タンパク質遺伝子を恒常的に発現している細胞を用いた。Life Technologies Corporationの血清不含培地を用い、そして製造者の指示にしたがって、軌道振盪装置上のフラスコ中で、懸濁培養を行った。一過性発現のため、直鎖ポリエチレンイミン(PEI MAX、Polysciences)によって、210/mlの濃度の細胞をトランスフェクションした。DNA/PEI比は、1:3~1:10であった。トランスフェクションの5~7日後、2000gで20分間、細胞培養を遠心分離し、そして0.22μmフィルターを通じて濾過した。アフィン(affine)HPLCによって、培養液から、ターゲットタンパク質を単離した。
【0359】
プロテインAアフィニティクロマトグラフィカラムを用いて、培養液から組換えタンパク質を単離し、そして精製した。清澄化した培養液を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)で平衡化した5ml HiTrap rプロテインA Sepharose FFカラム(GE Healthcare)に通過させた。次いで、カラムを5カラム体積のPBSで洗浄して、非特異的結合構成要素を除去した。0.1Mグリシン緩衝液(pH8)を用いて、結合した抗原を溶出させた。主要タンパク質溶出ピークを収集し、そして1M Tris緩衝液(pH8)で中性pHにした。すべての段階を110cm/h流速下で行った。次いで、SnakeSkin透析チュービング技術を用いて、タンパク質をPBS(pH7.4)内に透析し、濾過し(0.22μm)、チューブ内にトランスファーし、そして-70℃で保存した。
【0360】
SDSゲル電気泳動によって、生じたタンパク質溶液の純度を評価した(図10の例を参照されたい)。
実施例2
(IL15SA)2-FcおよびヒトIL2βγ受容体相互作用の動力学アッセイ
ForteBioの指示にしたがって、OctetRedBio装置を用いて、(IL15SA)2-Fc(本明細書において、以後、図1中のCK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALAおよび図2中のCK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcLALAと称する)およびヒトIL2βγの結合に関するアフィニティ定数を得た。AR2GバイオセンサーをmQ中で1時間、あらかじめ再水和した。バイオセンサーの活性化後、酢酸緩衝液pH4中、25μg/mlの濃度で、(IL15SA)2-Fc産物を、バイオセンサー上に非特異的に(NH基によって)固定した。次いで、0.1% Tween-20および0.1% BSAを補充したPBS緩衝液中、30℃で、ヒトCD122/IL-2RBタンパク質(Fcタグ)溶液(1および0.5μg/ml)を含有するウェル内にセンサーを浸した。IL15SA/IL2βγ複合体は、この溶液中で会合した。次いで、続く解離工程のため、センサーを緩衝溶液中に浸した。作業緩衝液として、0.1% Tween-20および0.1% BSAを補充したPBSを用いて、アッセイを30℃で行った。
【0361】
CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALAに関して、そしてCK_IL15_Hc_IL15RaCH1FcLALAに関して、生じたセンソグラム(sensogram)を表1に示し、標準処置にしたがって、Octetデータ分析ソフトウェア(バージョン8.0)を用い、そして1:1相互作用モデルを用いて、参照シグナルを減じた後に分析した。生じたアフィニティ定数を表1に示す。研究した両変異体は、ヒトIL2βγに高いアフィニティおよび特異性を示した。
【0362】
表1. ヒトIL2βγ-Fcと相互作用する(IL15SA)2-Fcイムノサイトカインに関するアフィニティ定数。
【0363】
【表2】
【0364】
実施例3
二重特異性IL15スーパーアゴニストならびにヒトIL2βγ受容体および免疫細胞の他の細胞性受容体の間の相互作用の動力学アッセイ
ForteBioの指示にしたがって、OctetRed 96を用いて、IL2βγおよびヒトPD-1/PD-L1受容体へのIL15SA二重特異性イムノサイトカイン(本明細書において、以後、抗PD1-Fab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcノブLALAおよび抗PD-L1-Fab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcノブLALAと称する)の結合に関するアフィニティ定数を測定した。AR2GバイオセンサーをmQ中で1時間、あらかじめ再水和した。バイオセンサーの活性化後、酢酸緩衝液pH4中、25μg/mlの濃度で、二重特異性イムノサイトカインを、バイオセンサー上に非特異的に(NH基によって)固定した。次いで、0.1% Tween-20および0.1% BSAを補充したPBS緩衝液中、ヒトCD122/IL-2RBタンパク質(Fcタグ)またはPD-1-Fc受容体またはPD-L1-Fc受容体(1および0.5μg/ml)を含有するウェル内にセンサーを浸して、二重特異性スーパーアゴニストおよび試験受容体を会合させた。次いで、続く解離工程のため、センサーを緩衝溶液中に浸した。
【0365】
標準処置にしたがって、Octetデータ分析ソフトウェア(バージョン8.0)を用い、そして1:1相互作用モデルを用いて、参照シグナルを減じた後に装置データを分析した。
【0366】
生じたアフィニティ定数を表2に示す。研究したどちらの変異体も、ヒトIL2βγに関して、そして対形成受容体に関してのどちらでも、高アフィニティおよび特異性を示し、そして他の受容体への非特異的活性は欠いていた。
【0367】
表2. ヒトIL2βγ-Fcおよび第二の受容体と相互作用する、二重特異性IL15スーパーアゴニスト抗体に関するアフィニティ定数。
【0368】
【表3】
【0369】
実施例4
NK92株に対するIL15スーパーアゴニストの増殖活性決定のための細胞アッセイ
NK-92細胞株をアッセイに用いた。96ウェル培養プレート中でアッセイを行った。懸濁物は、NK-92細胞、グラフに示すような濃度の試験抗体を含んだ。すべての懸濁構成要素を、ウシ胎児血清およびグルタミンを補充したRPMI-1640培地中で調製した。すべての構成要素を添加した後、プレートを37℃、5%COでインキュベーションした。次いで、Alamar Blueをウェルに添加した。インキュベーション後、ウェル中の蛍光強度を測定した。IL15SA産物(CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALA)、IL15SA/PD1(抗PD-1 Fab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALA)およびIL15SA/PDL1(抗PDL-1 Fab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALA)を比較研究した。
【0370】
上記イムノサイトカインの特異的活性の決定結果によって、NK92株に対する高い増殖活性が示された。すべての候補に関する概算EC50は同一であり、そして上部プラトーによって決定されるような活性化レベルもまた完全に同じであった(図11)。IL15SA部分の結合価、およびしたがって異なるアビディティは、この活性に有意に影響を及ぼさなかったことに注目すべきである。
【0371】
実施例5
ナチュラルキラー株に対するIL15スーパーアゴニストの増殖活性決定のための細胞アッセイ
アッセイは、ネガティブ選択によって健康なドナーのPBMCから単離された単離ナチュラルキラー細胞を用いた。96ウェル培養プレート中でアッセイを行った。懸濁物は、ナチュラルキラー細胞、グラフに示すような濃度の試験抗体を含んだ。すべての懸濁構成要素を、自己ヒト血漿を補充した培地中で調製した。すべての構成要素を添加した後、プレートを37℃、5%COでインキュベーションした。次いで、Alamar Blueをウェルに添加した。インキュベーション後、ウェル中の蛍光強度を測定した。ナチュラルキラー細胞の増殖能に対する、IL15SA産物(CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALA)、IL15SA/PD1(抗PD-1 Fab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcノブLALA)およびヒト・インターロイキン-2(IL2)(Ronleukin、PCI Biotech)の影響を比較研究した。
【0372】
上記イムノサイトカインの特異的活性の決定結果によって、ナチュラルキラー細胞に対する高い増殖活性が示された(図12)。すべての候補に関する概算EC50は、誤差限界内で同一であり、そしてIL2サイトカインに関するものよりわずかに低かった。さらに、上部プラトーによって定義されるような活性化レベルもまた完全に同じであった。IL15SA部分の結合価、およびしたがって異なるアビディティは、この活性に有意に影響を及ぼさなかったことに注目すべきである。
【0373】
実施例6
レポーター株に対するIL15スーパーアゴニストの抗PD1アンタゴニスト活性決定のための細胞アッセイ
このアッセイのため、本発明者らは、Jurkat細胞株に基づいて生成され、そしてその表面上でPD-1を安定発現し、そしてNFATプロモーターの制御下でホタル・ルシフェラーゼ・コード遺伝子を含有する、Jurkat NFAT-FLuc PD-1細胞株;およびRaji細胞株に基づいて生成され、そしてその表面上でPDL1を安定発現する、Raji PDL1細胞株を用いた。レポーター細胞系における活性化能に対する、IL15SA産物(CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALA)、抗PD1/IL15SA(抗PD-1 Fab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcノブLALA)、および抗PD1アンタゴニスト(プロルゴリマブ)の影響を比較研究した。
【0374】
96ウェル培養プレート中でアッセイを行った。各ウェル中の懸濁物は、Jurkat NFAT-FLuc PD-1細胞、Raji PDL1細胞、1ng/mlの濃度のaCD3/aTAA1細胞、およびグラフに示すような濃度の試験抗体を含有した。すべての構成要素を添加した後、プレートを37℃、5%COでインキュベーションし、そして次いで発光アッセイキットを用いて、ウェル中のルシフェラーゼ強度を測定した。
【0375】
上記イムノサイトカインの特異的活性の決定結果によって、療法的に有効な抗PD1モノクローナル抗体プロルゴリマブに比較した際の、抗PD1/IL15SAに関する一桁低い特異的活性EC50値が示された(図13)。さらに、最大活性レベル(上部プラトー)は30%減少した。プロルゴリマブに比較した際の抗PD1/IL15SAのより低い特異的活性は、古典的抗体に比較した際の抗PD1/IL15SA分子内の一価Fab結合PD1によってのみ説明可能である。これはまた、実施例3(表2)のデータにしたがったPD-1受容体に関するアフィニティおよびプロルゴリマブに関して明記されるような値のほぼ一桁の相違によっても裏付けられる。IL15SAのアンタゴニスト活性は、バックグラウンドとして観察され、すなわち実質的に欠けていることに注目すべきである。
【0376】
実施例7
レポーター株に対するIL15スーパーアゴニストの抗PDL1アンタゴニスト活性決定のための細胞アッセイ
アッセイのため、本発明者らは、Jurkat細胞株に基づいて生成され、そしてその表面上でPD-1を安定発現し、そしてNFATプロモーターの制御下でホタル・ルシフェラーゼ・コード遺伝子を含有する、Jurkat NFAT-FLuc PD-1細胞株;およびRaji細胞株に基づいて生成され、そしてその表面上でPDL1を安定発現する、Raji PDL1細胞株を用いた。レポーター細胞系における活性化能に対する、IL15SA産物(CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALA)、抗PDL1/IL15SA(抗PD-L1 Fab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcノブLALA)、および抗PDL1アンタゴニスト(アテゾリズマブ)の影響を比較研究した。
【0377】
96ウェル培養プレート中でアッセイを行った。各ウェル中の懸濁物は、Jurkat NFAT-FLuc PD-1細胞、Raji PDL1細胞、1ng/mlの濃度のaCD3/aTAA1細胞、およびグラフに示すような濃度の試験抗体を含有した。すべての構成要素を添加した後、プレートを37℃、5%COでインキュベーションし、そして次いで発光アッセイキットを用いて、ウェル中のルシフェラーゼ強度を測定した。
【0378】
上記イムノサイトカインの特異的活性の決定結果によって、療法的に有効な抗PDL1モノクローナル抗体アテゾリズマブに比較した際の、抗PDL1/IL15SAに関する30倍低い特異的活性EC50値が示された(図14)。しかし、最大活性レベル(上部プラトー)は10%しか減少しなかった。アテゾリズマブのものに比較した際の抗PDL1/IL15SAのより低い特異的活性は、古典的抗体に比較した際の抗PD1/IL15SA分子内の一価Fab結合PD-L1によってのみ説明可能である。それによって、IL15SAの有意なアンタゴニスト活性は観察されなかった。
【0379】
実施例8
腫瘍関連抗原(TAA)レポーター株に対するナチュラルキラー細胞の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に対する、TAAに特異的な抗体の存在下でのIL15スーパーアゴニストの効果決定のための細胞アッセイ
アッセイは、ネガティブ選択によって健康なドナーのPBMCから単離されたナチュラルキラー細胞を用いた。96ウェル培養プレート中でアッセイを行った。懸濁物は、ナチュラルキラー細胞およびRaji細胞、エフェクター抗体リツキシマブ、ならびにグラフに示すような濃度の試験抗体を含有した。すべての懸濁物構成要素を、ウシ胎児血清およびグルタミンを補充した培地中で調製した。すべての構成要素を添加した後、プレートを37℃、5%COでインキュベーションした。次いで、培養液を収集し、そしてLDHアッセイキットを用いて、乳酸デヒドロゲナーゼ含量を測定した。レポーター細胞系におけるリツキシマブのADCC能に関して、IL15SA産物(CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALA)、抗PD1/IL15SA(抗PD-1 Fab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcノブLALA)を比較研究した。
【0380】
上記イムノサイトカインの特異的活性の決定結果は、TAAレポーター株に対するリツキシマブのADCC能の増進に比較して、高い活性を示した(図15および図16)。その表面上に過剰発現されたCD20受容体を伴う、溶解されたRaji細胞の割合によって測定されるような、リツキシマブ依存性ADCCの有効性は、リツキシマブ単独に比較して、研究した各候補の存在下で30%増加した。この効果は、実施例4および5に提供する結果にしたがって、アッセイにおいて、IL-15SAおよび抗PD1/IL15SAの影響下での活性ナチュラルキラー細胞の増殖によって説明されるようである。すべての候補に関して概算されるEC50は、誤差限度内で同一であった。IL15SA部分の結合価およびしたがって異なるアビディティは、この活性に有意に影響を及ぼさず、この事実は、実施例4および5によってさらに裏付けられることに注目すべきである。
【0381】
実施例9
健康なドナーの全血に由来するPBMCに対するIL15スーパーアゴニストの細胞傷害性決定のための細胞アッセイ
Ficoll密度勾配遠心分離によって、健康なドナー由来の全血から、PBMCを単離した。
【0382】
96ウェル培養プレート中でアッセイを行った。懸濁物は、(ウェルあたり)新鮮な単離PMBCおよび0.1μg/mlの濃度のグラフに示すような抗体を含有した。PBMCおよび抗体を混合した後、プレートを37℃、5%CO2で16時間インキュベーションした。次いで、懸濁物中のPBMCのCD56+、CD19+、CD3+、CD4+およびCD8+下位集団の比率を、対応するCDに対する蛍光標識抗体で懸濁物を直接染色し、そしてフローサイトフルオロメーターを用いて、細胞をさらに分析することによって、測定した。CD56+、CD19+、CD3+細胞に関しては、グラフは、試験懸濁物のすべての細胞に比較したその比率を示し、一方、CD4+、CD8+細胞に関しては、グラフは、CD3+細胞に比較したその比率を示す。ヒトPBMCに対する、IL15SA産物(CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcLALA)、抗PD1/IL15SA(抗PD-1 Fab-CK_IL15Ra_Hc_IL15CH1FcノブLALA)、抗PD1(プロルゴリマブ)、抗PD1(プロルゴリマブ)+IL15SAの混合物、抗CD20 GA101抗体の細胞傷害効果を比較研究した。
【0383】
図17~21に提供するような結果は、候補の細胞傷害性は有意でない、すなわちAB陰性対照(すなわちいかなる外因性抗体も存在しない)と比較した際の免疫反応性細胞数の10%を超えない減少であることを立証する。それによって、対照抗CD20抗体は、CD20+ B細胞集団の一貫して完全な枯渇を示した。したがって、問題のすべての候補は、ヒト血液細胞に対して、いかなる有意な非特異的in vitro細胞傷害性も示さない。
【0384】
実施例10
熱ストレス条件下でのIL15スーパーアゴニストの凝集安定性の決定
PBS緩衝液中、9mg/mlの濃度でのIL15スーパーアゴニスト産物を50℃の温度で12時間加熱した。熱ストレス後の凝集を、高性能ゲル濾過クロマトグラフィによって決定した。Tosoh TSKgel Guard SWXLプレカラム、6.0mmx4.0cm、粒子直径7μm、注文番号08543を伴う、Tosoh TSK-Gel G3000SWXLカラム、7.8mmx30cm、注文番号08541上のHPLC系(Agilent)でクロマトグラフィを行った。均一濃度様式、移動相:50mM NaFb、0.3M NaCl、pH7.0、流速0.5ml/分で、溶出を行った。214および280nmの波長で検出を行った。抗体試料をPBS緩衝液pH7.5で、~1mg/mlの濃度まで希釈した。注入体積は10マイクロリットルであった。ゲル濾過標準較正混合物(Bio-Rad)、注文番号151-1901をプレクロマトグラフした。図22は、IL15スーパーアゴニストが高い均一性を示すクロマトグラムを示す(溶液中の凝集物含量は5%を超えなかった)。
【0385】
実施例11
同系B16F10黒色腫モデルにおける、IL15スーパーアゴニスト産物の抗腫瘍活性の評価
B16F10腫瘍株を接種された免疫適格性C57BL/6マウスを用いて有効性を評価した。1.5x10腫瘍細胞を群の各動物の右脇腹内に皮下注射した。細胞接種後、第7日(実験の第1日)、動物を表3に示すような群に分けた。以下の産物の1用量を用いて有効性を評価した:BCD-225、IL15SA/a-mPD-1(IL-15SAおよびマウスPD-1に対するFab断片を含む二重特異性モノクローナル抗体、マウスRPM1-14抗体の誘導体)。RMP1-14抗体の可変ドメインの配列は、順天堂大学医学部の八木田秀雄博士の厚意により提供された。遺伝子およびRMP1-14抗体産物可変ドメインを実施例1にしたがって合成した。さらに、本発明者らは、参照産物ALT-803[Han KPら, Cytokine. 2011 Dec;56(3):804-10.](陽性対照)およびプラセボ(陰性対照)を合成した。抗マウスPD-1抗体(a-mPD-1)と組み合わせた産物の抗腫瘍活性もまた評価した。
【0386】
表3. IL15スーパーアゴニストの抗腫瘍活性研究における動物群
【0387】
【表4】
【0388】
BCD-225(IL15SA)、IL15SA/a-mPD-1およびALT-803産物を、実験第1日、第4日、第8日、および第11日、0.2mlの体積で腹腔内注射した。抗mPD-1産物を、実験第2日、第5日、第9日、および第12日、0.2mlの体積で腹腔内注射した。陰性対照群に、0.2mlの体積で、実験第1日、第2日、第4日、第5日、第8日、第9日、第11日および第12日に酢酸ナトリウム緩衝液を注射した(図23)。
【0389】
マウス体重および腫瘍線形寸法を実験全体で測定した。以下の式を用いて、腫瘍体積を計算した:V=LxWxWxπ/6。以下の等式:
【0390】
【化58】
【0391】
を用いて、陰性対照群(V)および産物群(V)における中央値腫瘍体積を考慮して計算された、腫瘍増殖阻害インデックス(TGI)によって、試験産物の有効性を評価した。
【0392】
実験結果を図24および25に示す。提供するのは、実験第11日時点のデータであり、これは、ほぼすべての実験群の動物が、腫瘍負荷のために死亡し、第15日の産物の抗腫瘍活性を、信頼性を持って評価することが不可能となったためである。
【0393】
研究結果にしたがって、BCD-225産物および参照ALT-803産物は、BCD-225群で52%、およびALT-803群で53%のTGIの匹敵する抗腫瘍活性を示した。本発明者らは、BCD-225およびALT-803群のTGI値に比較した際、IL15SA/抗mPD-1二重特異性抗体群のTGI値において、増加傾向を観察した。IL15SA/抗mPD-1群のTGIは、実験第11日に58%であった。
【0394】
産物組み合わせ群、BCD-225+抗mPD-1およびALT-803+抗mPD-1のTGI値は、実験第11日に72%であり、そして産物組み合わせ群IL15SA/a-mPD-1および抗mPD-1では、TGI値は69%であった。生じたTGI値は、単一療法におけるこれらの産物の活性に比較して、試験産物および抗mPD-1の組み合わせのより顕著な抗腫瘍活性を示す。
【0395】
実施例12
同系B16F10黒色腫モデルにおけるIL15スーパーアゴニストおよびALT803産物でのマウスにおける比較死亡率の評価および分析
IL15スーパーアゴニスト産物の使用後のマウスにおける死亡率の比較評価を、実施例11に記載するようなモデルおよび動物を用いて行った。死亡した動物または苦痛状態で安楽死させた動物を計数することによって、生存を評価した。
【0396】
結果を表4に示す。生じたデータからわかるように、IL15SA/a-mPD-1およびIL15SA/a-mPD-1+抗mPD-1産物群の死亡率は、平均して、IL15SA(BCD225)、IL15SA+抗mPD-1、ALT-803、ALT-803+抗mPD-1のものに比較した際、マウス数および生存期間に関してより少ない。生じた死亡率値は、単一特異性二価IL15SAおよびALT-803のものに比較した際、おそらくIL15SA/a-mPD-1二重特異性イムノサイトカインのより顕著でない毒性を示す。抗PD1抗体の存在または非存在は、死亡率に対して統計的に有意な影響を持たなかった。さらに、IL15SAおよびALT-803バッチ由来の死亡マウスの臓器検査によって、肝細胞の壊死、類洞圧迫を伴う水症ジストロフィー肝臓の存在;実質におけるリンパ組織球浸潤、および類洞におけるリンパ球の集積が明らかになった。これらの知見は、IL15に基づくスーパーアゴニストがマウスにおいて肝臓損傷を引き起こす能力に関する、以前報告された文献データと一致する。
【0397】
表4. IL15スーパーアゴニストおよびALT803スーパーアゴニスト産物ならびに抗PD1抗体とのそれらの組み合わせ後の死亡率研究における動物群
【0398】
【表5】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【配列表】
2022549276000001.app
【国際調査報告】