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特表2022-549310綾巻きパッケージを製造する繊維機械を運転するための方法および綾巻きパッケージを製造する繊維機械
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  • 特表-綾巻きパッケージを製造する繊維機械を運転するための方法および綾巻きパッケージを製造する繊維機械 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】綾巻きパッケージを製造する繊維機械を運転するための方法および綾巻きパッケージを製造する繊維機械
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/04 20060101AFI20221116BHJP
   D01H 1/20 20060101ALI20221116BHJP
   D01H 15/013 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
B65H67/04 B
D01H1/20
D01H15/013
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518733
(86)(22)【出願日】2020-09-22
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2020076348
(87)【国際公開番号】W WO2021058446
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】102019125672.0
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518264859
【氏名又は名称】ザウラー スピニング ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Spinning Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Carlstr. 60, 52531 Uebach-Palenberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ シェルター
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン カスペルス
【テーマコード(参考)】
3F112
4L056
【Fターム(参考)】
3F112AA08
3F112EB02
3F112EB03
3F112VB05
4L056AA14
4L056AA19
4L056BA05
4L056BE05
4L056CB04
4L056EB13
4L056EB16
4L056FC06
(57)【要約】
本発明は、綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)を運転するための方法であって、繊維機械(1)は、多数の自立した作業ユニット(2)を有し、作業ユニット(2)は、それぞれ1つの紡績装置(3)と1つの巻取り装置(4)とを有し、作業ユニット(2)は、綾巻きパッケージ(7)の表面から糸(20)を受け取るための、繊維機械(1)の負圧網(30)に接続された吸込みノズル(18)と、余剰の糸長さを一時的に貯えるための、同じく負圧網(30)に接続された貯えノズル(25)とを備え、作業ユニット(2)を、必要な場合に満管の綾巻きパッケージ(7)を空管(9)と交換する少なくとも1つのサービスユニット(5)によって操作する、方法に関する。自立した作業ユニット(2)を備えた、綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)、特にオープンエンドロータ紡績機の運転を最適化するために、すなわち、繊維機械(1)の全ての作業ユニット(2)が停止させられた技術的な問題後に、繊維機械(1)の作業ユニット(2)の全ての作業ユニット(2)を再び運転状態にもたらすために必要となる期間を最適化するために、本発明によれば、作業ユニット(2)の紡績再開過程中にサービスユニット(5)のうちの1つのサービスユニット(5)によって綾巻きパッケージと空管との交換が実行されることを阻止し、これによって、自立した作業ユニット(2)の紡績再開時に、常に最大数の作業ユニット(2)が同時に紡績再開されることを保証することが特定されている。本発明は、さらに、この方法を実施するための制御装置を備えた、綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)を運転するための方法であって、前記繊維機械(1)は、多数の自立した作業ユニット(2)を有し、該作業ユニット(2)は、それぞれ1つの紡績装置(3)と1つの巻取り装置(4)とを有し、前記作業ユニット(2)は、綾巻きパッケージ(7)の表面から糸(20)を受け取るための、前記繊維機械(1)の負圧網(30)に接続された吸込みノズル(18)と、余剰の糸長さを一時的に貯えるための、同じく前記負圧網(30)に接続された貯えノズル(25)とを備え、前記作業ユニット(2)を、必要な場合に満管の綾巻きパッケージ(7)を空管(9)と交換する少なくとも1つのサービスユニット(5)によって操作する、方法において、
前記繊維機械(1)の全ての作業ユニット(2)が遮断された技術的な問題後の前記繊維機械(1)の前記自立した作業ユニット(2)の紡績再開時に、前記作業ユニット(2)の紡績再開過程中に前記サービスユニット(5)のうちの1つのサービスユニット(5)によって綾巻きパッケージと空管との交換が実行されることを阻止し、これによって、前記自立した作業ユニット(2)の紡績再開時に、常に最大数の作業ユニット(2)が同時に紡績再開されることを保証することを特徴とする、綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)を運転するための方法。
【請求項2】
前記繊維機械(1)の、例えばいわゆるシャットダウン後に停止させられた自立した前記作業ユニット(2)の紡績再開時に、前記サービスユニット(5)のうちの1つのサービスユニット(5)が綾巻きパッケージと空管との交換を実施することを、阻止することを特徴とする、請求項1記載の、綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)を運転するための方法。
【請求項3】
前記繊維機械(1)の中央制御ユニット(11)が前記サービスユニット(5)のうちの1つのサービスユニット(5)に作業命令を送信することを、阻止することを特徴とする、請求項1または2記載の、綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)を運転するための方法。
【請求項4】
前記サービスユニット(5)の作用を一時的に不要にすることによって、同時に紡績再開可能な自立した前記作業ユニットの数が最大数に比べて減少することを阻止することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の、綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)を運転するための方法。
【請求項5】
綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)であって、該繊維機械(1)は、多数の自立した作業ユニット(2)を有し、該作業ユニット(2)は、それぞれ1つの紡績装置(3)と1つの巻取り装置(4)とを有し、前記作業ユニット(2)は、綾巻きパッケージ(7)の表面から糸(20)を受け取るための、前記繊維機械(1)の負圧網(30)に接続された吸込みノズル(18)と、余剰の糸長さを一時的に貯えるための、同じく前記負圧網(30)に接続された貯えノズル(25)とを備え、前記作業ユニット(2)は、必要な場合に満管の綾巻きパッケージ(7)を空管(9)と交換する少なくとも1つのサービスユニット(5)によって操作される、綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)において、
前記綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)は、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法を実施するために形成された制御ユニットを備えることを特徴とする、綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記繊維機械(1)の中央制御ユニット(11)として形成されていることを特徴とする、請求項5記載の、綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綾巻きパッケージを製造する繊維機械を運転するための方法であって、繊維機械は、多数の自立した作業ユニットを有し、作業ユニットは、それぞれ1つの紡績装置と1つの巻取り装置とを有し、作業ユニットは、綾巻きパッケージの表面から糸を受け取るための、繊維機械の負圧網に接続された吸込みノズルと、余剰の糸長さを一時的に貯えるための、同じく負圧網に接続された貯えノズルとを備え、作業ユニットを、必要な場合に満管の綾巻きパッケージを空管と交換する少なくとも1つのサービスユニットによって操作する方法に関する。本発明は、さらに、綾巻きパッケージを製造する繊維機械に関する。
【0002】
例えばオープンエンドロータ紡績機または空気式紡績機のような、綾巻きパッケージを製造する繊維機械は、通常、列を成して並んで配置された多数の同様の作業ユニットを有しており、これらの作業ユニットでそれぞれ、例えば紡績ケンス内に収容されているスライバから糸が紡績される。紡績された糸は、次いで、綾巻きパッケージへと巻き上げられる。このような繊維機械の作業ユニットは、この目的のために、それぞれ多数の様々な装置、例えば紡績装置および巻取り装置を有しており、以前から、作業ユニットの作業機構を機械長さの駆動手段によって駆動することが通常であった。
【0003】
このような繊維機械の作業ユニットは、通常、少なくとも1つのサービスユニットによって操作され、このサービスユニットは、オープンエンドロータ紡績機の作業ユニットに沿って巡察し、作業ユニットのうちの1つの作業ユニットで、例えば糸切れの結果によるハンドリング要求が発生した場合に自動的に作用する。このような場合にサービスユニットは、該当する作業ユニットへと走行し、そこでロックされ、旋回可能に支持された負圧供給可能な吸込みノズルによって、糸切れ後に綾巻きパッケージに巻き付いている裂断した糸の糸端部を捜索する。
【0004】
サービスユニットがまだ他の作業ユニットで糸切れの解消作業を行っていることに起因して、個々の作業ユニットが故障時にあまりに長くサービスユニットを待たなければならないことを阻止するために、サービスユニットのうちの複数のサービスユニットを同時にオープンエンドロータ紡績機において使用することがさらに公知である。
【0005】
しかしながら、このような公知のオープンエンドロータ紡績機には、特にいわゆる発展途上国では珍しいことではない、例えば電力網における電圧降下のような技術的な問題後、このような「シャットダウン」後に、つまり、機械の完全な停止後にオープンエンドロータ紡績機の全ての作業ユニットが少しずつサービスユニットによって再び新たに紡績開始されるまで、比較的長い時間がかかるという欠点がある。
【0006】
したがって、過去に既に開発されたオープンエンドロータ紡績機の作業ユニットは、例えば独国特許出願公開第10139075号明細書に記載されているように、概ね自立して作業する。すなわち、このようなオープンエンドロータ紡績機の作業ユニットは、従来のように、それぞれ1つのオープンエンド紡績装置と1つの巻取り装置とを備えているのみならず、これらの作業ユニットは、付加的にそれぞれ旋回可能に支持された負圧供給可能な1つの吸込みノズルと、同じく負圧供給可能な1つの貯えノズルとを有している。
【0007】
旋回可能に支持された吸込みノズルは、電気モータ式の駆動装置を用いて規定されて、綾巻きパッケージの表面の領域における糸端部受取り箇所と、オープンエンドロータ紡績装置の領域における糸端部引渡し箇所との間で移動可能であり、これに対して、定置に配置された貯えノズルは、作業ユニットの始動中に発生する糸余剰部分を一時的に受け取る。
【0008】
公知の自立した作業ユニットでは、吸込みノズルおよび貯えノズルは、接続管路を介して、繊維機械の負圧網の機械長さの通路に接続されており、吸込みノズルおよび貯えノズルには、弁またはスライダを介して一緒に負圧を作用させることができる。
【0009】
このような自立した作業ユニットは、必要な場合に、「通常の」オープンエンドロータ紡績機において普通であるように、糸切れ後にサービスユニットのうちの1つのサービスユニットを待つ必要がなく、糸切れ後またはコントロールされたクリヤラ切断後に直ちに再び自動的に糸継ぎを行うことができるので、このような自立した作業ユニットを備えたオープンエンドロータ紡績機は、より高い効率の点で優れている。
【0010】
自立した作業ユニットを備えたこのようなオープンエンドロータ紡績機の更なる利点としては、技術的な問題の後、繊維機械の全ての作業ユニットが通常同時に停止する、例えば電力網における電圧降下後に、複数の作業ユニットを同時に再び新たに紡績開始することができるということがさらに挙げられる。同時に再び紡績開始することができる作業ユニットの数は、それぞれ比較的高い吸込み空気消費を有する、負圧を作用可能な貯えノズルと、同じく負圧を作用可能な吸込みノズルとに起因して、規定された数の作業ユニットに制限されている。
【0011】
したがって、技術的な問題の後で再び同時に紡績開始することができる自立した作業ユニットの数を高めるために、作業ユニットの吸込みノズルおよび貯えノズルをそれぞれ1つの二重弁または2つの個別弁を介して繊維機械の負圧網に接続し、吸込みノズルおよび貯えノズルが、必要な場合に、それぞれ個別でも、規定されて操作可能であるようにすることが、既に提案されている。
【0012】
例えば独国特許出願公開第102006047288号明細書によって公知のこのような自立した作業ユニットでは、吸込みノズルおよび貯えノズルは、別個の接続管路を介して互いに独立して負圧網に接続されている。接続管路には、それぞれ1つの閉鎖手段が配置されており、この閉鎖手段は、吸込みノズルまたは貯えノズルを空気圧式に負圧網に接続するかまたは該当する機構が紡績開始プロセスの途中でもはや使用されない場合に、負圧網から遮断することを可能にする。すなわち、比較的大きな負圧消費部である吸込みノズルおよび貯えノズルは、所望のように、それらが無条件に負圧を必要とする間だけしか、繊維機械の負圧網に接続されていない。
【0013】
独国特許出願公開第102006047288号明細書に記載された実施形態を有する自立した作業ユニットは、紡績開始プロセス中に、独国特許出願公開第10139075号明細書に記載された自立した作業ユニットに比べて、明らかに僅かな負圧需要量しか有しておらず、その結果、技術的な問題の後で再び同時に新たに紡績開始することができる作業ユニットの数は、ほぼ2倍にすることができる。
【0014】
しかしながら、同時に再び紡績開始可能である作業ユニットのこのような比較的大きな数は、作業ユニットの紡績開始過程中にサービスユニットによる綾巻きパッケージと空管との交換が行われる場合に再び低下してしまう。
【0015】
前述した従来技術から出発して、本発明の根底にある課題は、自立した作業ユニットを備えているオープンエンドロータ紡績機の運転を最適化する方法、特に繊維機械の全ての作業ユニットを再び新たに紡績開始するために必要な期間を最小限に抑える方法を開発することである。すなわち、本発明に係る方法によって、繊維機械の「シャットダウン」後、最大数の自立した作業ユニットが常に同時に再び新たに紡績開始することが保証されていることを確保することが望まれている。
【0016】
この課題は、本発明によれば、繊維機械の全ての作業ユニットが遮断された技術的な問題後の繊維機械の自立した作業ユニットの紡績再開時に、紡績開始過程中にサービスユニットのうちの1つのサービスユニットによって綾巻きパッケージと空管との交換が実行されることを阻止し、これによって、自立した作業ユニットの紡績再開時に、最大数の作業ユニットが常に同時に再び新たに紡績開始されることを保証することによって解決される。
【0017】
本発明の有利な構成は、従属請求項の対象である。
【0018】
本発明に係る方法には、サービスユニットの作用を一時的に阻害することによって、自立した作業ユニットの紡績開始プロセス中に付加的な負圧消費部によって、繊維機械の負圧網に提供される吸込み空気量が低減することが阻止されるという利点がある。すなわち、オープンエンドロータ紡績機の作業ユニットの紡績再開中には常に、繊維機械の負圧網において提供可能な全ての吸込み空気量が、作業ユニットの紡績開始プロセスのために提供され、これによって、常に最大数の作業ユニットが同時に紡績開始することができるということが保証される。
【0019】
有利な実施形態では、繊維機械の、例えばいわゆる「シャットダウン」後に停止させられた自立した作業ユニットの紡績再開時に、サービスユニットのうちの1つのサービスユニットが綾巻きパッケージと空管との交換を実施することを阻止することが特定されている。すなわち、サービスユニットへの作業命令を一時的に中断することによって、作業ユニットの紡績再開中に、既に紡績再開された作業ユニットに新たに付加的な負圧需要が発生することが阻止される。なぜならば、付加的な負圧需要の発生は、同時に紡績再開可能な自立した作業ユニットの数を直ちに低下させてしまうからである。すなわち、オープンエンドロータ紡績機を再び通常の運転状態にまで高めるのに必要な時間が著しく長くなってしまう。
【0020】
好ましくは、繊維機械の中央制御ユニットがサービスユニットのうちの1つのサービスユニットに作業命令を送信することを阻止する。サービスユニットの作用をこのように一時的に不要にすることによって、繊維機械の、例えば500~600基の作業ユニットの紡績再開プロセス中に、常に同時に再び新たに紡績開始可能な自立した作業ユニットの数が減少することが阻止される。すなわち、常に同時に再び新たに紡績開始することができる作業ユニットの数が、負圧網に付加的な消費部によって負荷がかけられない場合に同時に再び新たに紡績開始することができる作業にユニットの数よりも約2つだけ少なくなることが回避される。
【0021】
本発明の課題は、さらに、綾巻きパッケージを製造する繊維機械であって、本発明に係る方法を実施するための制御ユニットを備える繊維機械によって解決される。好ましくは、そのために、いずれにせよ既存の中央制御ユニットが変更される。このとき、好ましくは、中央制御ユニットは、繊維機械の全ての作業ユニットが遮断された技術的な問題後の作業ユニットの紡績再開過程中に、サービスユニットのうちの1つのサービスユニットに作業命令を送信しないように形成されている。
【0022】
以下に、本発明を、図面に示した実施例に基づき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る方法を使用する、綾巻きパッケージを製造する繊維機械、本実施例では、自立した作業ユニットと、必要な場合に使用可能な2つのサービスユニットとを備えたオープンエンドロータ紡績機を示す斜視図である。
図2図1に示したオープンエンドロータ紡績機の自立した作業ユニットの斜視図であり、作業ユニットが、それぞれ、規定されて制御可能かつ負圧を作用可能な1つの吸込みノズルと、同じく規定されて制御可能かつ負圧を作用可能な1つの貯えノズルとを備えている。
【0024】
図1には、綾巻きパッケージを製造する繊維機械が斜視図で示してあり、この繊維機械は、本実施例ではオープンエンドロータ紡績機1である。オープンエンドロータ紡績機1は、多数の自立した作業ユニット2を有しており、これらの作業ユニット2は、特に、従来のように、それぞれ1つの紡績装置3と1つの巻取り装置4とを備えている。自立した作業ユニット2は、さらに、以下に図2に基づき詳しく説明するように、それぞれ、規定されて制御可能かつ負圧を作用可能な吸込みノズル18と、同じく規定されて制御可能かつ負圧を作用可能な貯えノズル25とを有している。
【0025】
オープンエンドロータ紡績機1は、さらに2つ以上の同一のサービスユニット5を備えており、これらのサービスユニット5は、通常運転で完成した綾巻きパッケージ7を空管9と交換し、作業ユニット2の周期的なクリーニングのために働く。
【0026】
作業ユニット2の紡績装置3では、公知のように、それぞれ紡績ケンス6内に貯えられたスライバが糸へと紡績され、紡績された糸は、次いで、巻取り装置4で綾巻きパッケージ7へと巻き上げられる。巻取り装置4は、この目的のために、図2に示すように、それぞれ、空管9もしくは綾巻きパッケージ7を回転可能に保持するためのパッケージフレーム8と、これらの要素を回転させるための巻取りドラム10とを備えている。
【0027】
オープンエンド紡績機1は、さらに中央制御ユニット11を有しており、この中央制御ユニット11は、バスシステム12を介して、サービスユニット5の制御装置19と、作業ユニット2の制御装置13とに接続されている。さらに、このようなオープンエンドロータ紡績機1は、完成した綾巻きパッケージ7を搬出するための綾巻きパッケージ搬送装置14と、空管供給装置とを有していて、空管供給装置は、主として、空管マガジン15と巻管供給路16とから成っている。
【0028】
図示のようにサービスユニット5は、オープンエンドロータ紡績機1に配置されたガイドレールに沿って走行可能であり、公知にように、様々なハンドリング装置(図示せず)を有しており、これらのハンドリング装置によって、サービスユニット5は、必要な場合に綾巻きパッケージと空管との交換を実施するかもしくは作業ユニット2をクリーニングすることを可能にする。すなわち、通常の紡績運転中にサービスユニット5は、作業ユニット2のうちの1つの作業ユニット2でハンドリング要求があるかもしくはこのことが、例えば作業命令によって信号化されると自動的に作用する。このような作業命令は、例えば、作業ユニット2のうちの1つの作業ユニット2で綾巻きパッケージ7がその設定された直径に達し、空管9と交換する必要がある場合に出される。
【0029】
図2には、オープンエンドロータ紡績機1の自立した作業ユニット2のうちの1つの作業ユニット2であって、必要な場合に本発明に係る方法が適用される作業ユニット2が斜視図で示してある。
【0030】
このような作業ユニット2は、公知であるがゆえに単に略示されているように、それぞれ1つの紡績装置3と1つの巻取り装置4とを備えており、紡績装置3では、いわゆる糸引出し管21の領域に糸継ぎ機構17が配置されている。糸切れ後またはコントロールされたクリヤラ切断後に、糸継ぎ機構17を用いて、負圧が作用された吸込みノズル18によって綾巻きパッケージ7から連れ戻された糸20が受け取られ、糸端部が紡績再開のために提供される。
【0031】
さらに、このような自立した作業ユニット2は、それぞれ糸引出し装置27を備えており、糸引出し装置27は、通常の紡績運転中には、紡績装置3からの糸20の引出しを引き受け、紡績再開時には、紡績装置3内への提供された糸20の規定された引戻しのために働く。
【0032】
巻取り装置4は、従来のように、綾巻きパッケージ7を回転可能に保持するためのパッケージフレーム8と、好ましくは可逆式の個別駆動装置22を介して駆動可能な巻取りドラム10と、例えばステッピングモータ26を用いて駆動される糸綾振り装置24とを有している。
【0033】
さらに、このような自立した作業ユニット2は、既に上述したように、それぞれ、旋回可能に支持された負圧を作用可能な1つの吸込みノズル18であって、ステッピングモータ28を用いて、巻取り装置4の領域に位置している糸受取り箇所と、紡績装置3の領域に位置している糸引渡し箇所との間で規定されて移動可能である吸込みノズル18と、同様に負圧を作用可能な1つの貯えノズル25とを有しており、この貯えノズル25は、作業ユニット2の始動中に、発生した余剰の糸長さを一時的に貯え、紡績装置3で製造された糸20を規定通りの巻取り応力で綾巻きパッケージ7へと巻き上げるために働く。
【0034】
貯えノズル25と、旋回可能に支持された吸込みノズル18とには、規定されて別個に負圧を作用させることができる。
【0035】
図示の実施形態では、吸込みノズル18は接続管路23を介して、貯えノズル25は接続管路32を介して、繊維機械固有の負圧網30に接続されており、この負圧網30の負圧源は、図2で符号31によって示されている。
【0036】
接続管路23と接続管路32とには、規定されて制御可能な閉鎖手段29もしくは閉鎖手段33、例えば弁またはスライダ装置が配置されている。制御線路37;38を介して作業ユニット2の制御装置13にまたはオープンエンドロータ紡績機1の中央制御ユニット11に接続されている閉鎖手段29,33は、吸込みノズル18もしくは貯えノズル25に必要に応じて負圧を作用させるために、または吸込みノズル18もしくは貯えノズル25をオープンエンドロータ紡績機1の負圧網30から切り離すために働く。
【0037】
本発明に係る方法の機能:
自立した作業ユニット2を備えているオープンエンドロータ紡績機1の紡績運転中に、比較的大きな技術的な問題、例えば繊維機械に給電する給電網における電圧降下が発生すると、オープンエンドロータ紡績機1の全ての作業ユニット2は同時に停止し、その結果、オープンエンドロータ紡績機1の全ての作業ユニット2で糸切れが発生してしまう。
【0038】
技術的な問題を排除した後、オープンエンドロータ紡績機1を再びその通常の運転状態にもたらすためには、オープンエンドロータ紡績機1の全ての自立した作業ユニット2が再び新たに紡績開始されることが必要である。オープンエンドロータ紡績機1の効率に関しては、オープンエンドロータ紡績機1の全ての作業ユニット2を再び通常の紡績運転に移行させるために必要となる期間を可能な限り短く保つことが好適であるので、好ましくは、可能な限り多数の作業ユニット2が同時に再び新たに紡績開始される。
【0039】
しかしながら、オープンエンドロータ紡績機1の負圧網30によって同時に提供することができる負圧の量は、負圧網30の構造、特に機械長さの負圧通路の横断面に起因してかなり制限されているので、このことに関連して、1つには、始動過程中に個々の作業ユニットの吸込み空気需要を最小にし、もう1つには、オープンエンドロータ紡績機1の始動プロセス中に更なる付加的な吸込み空気消費を発生させないことを保証することが有利である。
【0040】
このような付加的な吸込み空気消費は、例えば既に紡績開始された作業ユニット2のうちの1つの作業ユニット2で綾巻きパッケージ7がその設定された直径に達し、空管9と交換される場合に発生するおそれがある。サービスユニット5のうちの1つのサービスユニット5によって開始すべきこのような綾巻きパッケージと空管との交換では、負圧消費部、特に該当する作業ユニット2の吸込みノズル18および貯えノズル25が同時に作動するおそれがあり、その結果、必要となる吸込み空気量が増大し、これに伴って、負圧網30における負圧のレベルが幾分低下してしまう。
【0041】
独国特許出願公開第102006047288号明細書に記載されたように、それぞれ目的に合わせてオンまたはオフに切換可能な1つの吸込みノズル18と1つの貯えノズル25とを有している自立した作業ユニット2に関連して、本発明に基づき、技術的な問題の後で同時に再び紡績開始可能な作業ユニット2の数を著しく高めることができるほどに、紡績開始過程中における作業ユニット2の吸込み空気需要を低下させることに成功した。
【0042】
これらの比較的多数の、例えば24基の作業ユニット2を常に確実に保つことができるようにするためには、しかしながら、既に上述したように、作業ユニット2の紡績開始プロセス中に更なる付加的な吸込み空気消費部によって負圧網30に負荷がかけられないことが保証されていなければならない。
【0043】
この理由から、特に、繊維機械1の全ての作業ユニット2を停止へともたらした技術的な問題後に、綾巻きパッケージを製造する繊維機械1を紡績再開する際に適用される本発明に係る方法では、自立した作業ユニット2の同時の紡績開始過程中に、付加的な吸込み空気消費部を作動させるおそれがあるサービスユニット5が作動してしまうことが阻止される。すなわち、本発明に係る方法によれば、オープンエンドロータ紡績機1の中央制御ユニット11は、作業ユニット2において必要な場合が発生したときでも、サービスユニット5のうちの1つのサービスユニット5に作業命令を送信しないことが保証される。このような作業命令は、オープンエンドロータ紡績機1の、例えば500~600基の作業ユニット2のうちの全ての作業ユニット2が再び新たに紡績開始された場合に初めて再び与えられる。
【符号の説明】
【0044】
1 オープンエンドロータ紡績機
2 作業ユニット
3 紡績装置
4 巻取り装置
5 サービスユニット
6 紡績ケンス
7 綾巻きパッケージ
8 パッケージフレーム
9 空管
10 巻取りドラム
11 中央制御ユニット
12 バスシステム
13 制御装置
14 綾巻きパッケージ搬送装置
15 空管マガジン
16 巻管供給路
17 糸継ぎ機構
18 吸込みノズル
19 制御装置
20 糸
21 糸引出し管
22 個別駆動装置
23 接続管路
24 糸綾振り装置
25 貯えノズル
26 ステッピングモータ
27 糸引出し装置
28 ステッピングモータ
29 閉鎖手段
30 負圧網
31 負圧源
32 接続管路
33 閉鎖手段
37 制御線路
38 制御線路
図1
図2
【国際調査報告】