(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】熱伝導体、熱伝導性材料、及び半導体デバイスのパッケージ構造
(51)【国際特許分類】
H01L 23/373 20060101AFI20221116BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20221116BHJP
C09K 5/14 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
H01L23/36 M
H01L23/36 D
C09K5/14 E ZAB
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518735
(86)(22)【出願日】2020-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2020116359
(87)【国際公開番号】W WO2021057630
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】201910906873.1
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】赫 然
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼ ▲栄▼▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】肖 昆▲輝▼
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA03
5F136BB04
5F136BB05
5F136BC01
5F136BC07
5F136FA16
5F136FA17
5F136FA24
5F136FA51
5F136FA66
5F136FA67
(57)【要約】
この出願は、大きな熱伝導率を持つ熱伝導体を提供し、それは、半導体デバイスの放熱に利用でき、具体的には、半導体デバイスパッケージ分野で利用されうる。熱伝導体は、基盤と、基盤内に分布するダイヤモンド粒子及び第1の金属ナノ粒子とを含み、ダイヤモンド粒子の外表面は、カーバイド膜層、第1の金属膜層、及び第2の金属膜層を順に含む。3つの膜層は、ダイヤモンド粒子と第1の金属ナノ粒子との間の界面熱抵抗を低減するために利用される。加えて、この出願は、流体熱伝導性材料と、上記の熱伝導体を利用する半導体パッケージ構造とをさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤と、前記基盤内に分布するダイヤモンド粒子及び第1の金属ナノ粒子とを含む熱伝導体であって、前記ダイヤモンド粒子の外表面は、カーバイド膜層、第1の金属膜層、及び第2の金属膜層で順にコーティングされており、
前記カーバイド膜層は、前記ダイヤモンド粒子の前記外表面の全体を被覆し、
前記第1の金属膜層は、前記カーバイド膜層の外表面の全体を被覆し、
前記第2の金属膜層は、化学的又は物理的な成膜方式で、前記第1の金属膜層の外表面の全体を被覆し、
前記第1の金属ナノ粒子と、前記第2の金属膜層の外表面とは、金属結合を利用して互いに結合される、
熱伝導体。
【請求項2】
隣接する第1の金属ナノ粒子は、金属結合を利用して互いに結合される、
請求項1に記載の熱伝導体。
【請求項3】
前記第2の金属膜層の前記外表面上に成長した第2の金属ナノ粒子をさらに含む、
請求項1又は2に記載の熱伝導体。
【請求項4】
互いに隣接する前記第1の金属ナノ粒子及び前記第2の金属ナノ粒子は、金属結合を利用して互いに結合される、
請求項3に記載の熱伝導体。
【請求項5】
前記カーバイド膜層は、タングステンカーバイド膜層、チタンカーバイド膜層、クロムカーバイド膜層、モリブデンカーバイド膜層、ニッケルカーバイド膜層、及びシリコンカーバイド膜層のいずれか1つである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項6】
前記カーバイド膜層の厚さは、10ナノメートル以上、かつ500ナノメートル以下である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項7】
前記第1の金属膜層に利用される材料は、タングステン、チタン、クロム、モリブデン、ニッケル、プラチナ、又はパラジウムである、
請求項1~6のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項8】
前記第1の金属膜層の厚さは、10ナノメートル以上、かつ500ナノメートル以下である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項9】
前記第2の金属膜層は、金属薄膜層又は積層された複数の金属薄膜層を含み、各金属薄膜層に利用される材料は、銅、銀、金、プラチナ、パラジウム、インジウム、ビスマス、アルミニウム、又はアルミナである、
請求項1~8のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項10】
前記第2の金属膜層の厚さは、0.1マイクロメートル以上、かつ10マイクロメートル以下である、
請求項1~9のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項11】
前記第1の金属ナノ粒子の材料は、銅、銀、金、及びスズのうちの1つ以上である、
請求項1~10のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項12】
前記熱伝導体における前記基盤の容積比は、10%以下である、
請求項1~11のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項13】
前記熱伝導体における前記ダイヤモンド粒子の容積比は、0.05%~80%である、
請求項1~12のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項14】
前記ダイヤモンド粒子の粒径は、0.01マイクロメートル以上、かつ200マイクロメートル以下である、
請求項1~13のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項15】
有機ポリマーと、前記有機ポリマー内に分布するダイヤモンド粒子及び第1の金属ナノ粒子とを含む熱伝導性材料であって、前記ダイヤモンド粒子の外表面は、カーバイド膜層、第1の金属膜層、及び第2の金属膜層で順にコーティングされており、
前記カーバイド膜層は、前記ダイヤモンド粒子の前記外表面の全体を被覆し、
前記第1の金属膜層は、前記カーバイド膜層の外表面の全体を被覆し、
前記第2の金属膜層は、前記第1の金属膜層の外表面の全体を被覆し、
前記第1の金属ナノ粒子と、前記第2の金属膜層の外表面とは、金属結合を利用して互いに結合される、
熱伝導性材料。
【請求項16】
隣接する第1の金属ナノ粒子は、金属結合を利用して互いに結合される、
請求項15に記載の熱伝導性材料。
【請求項17】
前記第2の金属膜層の前記外表面上に成長した第2の金属ナノ粒子をさらに含む、
請求項15又は16に記載の熱伝導性材料。
【請求項18】
互いに隣接する前記第1の金属ナノ粒子及び前記第2の金属ナノ粒子は、金属結合を利用して互いに結合される、
請求項17に記載の熱伝導性材料。
【請求項19】
半導体デバイスと、放熱基板と、請求項1~14のいずれか1項に記載の前記熱伝導体とを含む半導体デバイスのパッケージ構造であって、前記熱伝導体は、前記半導体デバイスと前記放熱基板との間に配置され、
前記熱伝導体の一の表面は、前記半導体デバイスの背面に対向し、かつ前記半導体デバイスの前記背面に接しており、前記熱伝導体の他の表面は、前記放熱基板の固定面に対向し、かつ前記放熱基板の前記固定面に接している、
半導体デバイスのパッケージ構造。
【請求項20】
背面金属層が前記半導体デバイスの前記背面上に配置され、前記背面金属層は、金属薄膜層又は積層された複数の金属薄膜層であり、各金属薄膜層に利用される材料は、チタン、プラチナ、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、又は金である、
請求項19に記載のパッケージ構造。
【請求項21】
前記熱伝導体と前記放熱基板との、互いに対向する表面は、金属結合を利用して互いに結合される、
請求項19又は20に記載のパッケージ構造。
【請求項22】
前記背面金属層と前記熱伝導体との、互いに対向する表面は、金属結合を利用して互いに結合される、
請求項20又は21に記載のパッケージ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年9月24日に中国国家産権局に提出された、“HEAT CONDUCTOR, HEAT-CONDUCTING MATERIAL, AND PACKAGE STRUCTURE OF SEMICONDUCTOR DEVICE”と題された中国特許出願第201910906873.1号の優先権を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
この出願は、放熱技術に関し、特に、熱伝導体、熱伝導性材料、及び半導体デバイスのパッケージ構造に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイスのパッケージ構造において、半導体デバイスは、通常、半田(例えば、Au80Sn20)又は熱界面材料(例えば、熱伝導性接着剤)を利用して放熱基板上に配置される。しかし、Au80Sn20の熱伝導率は、半導体デバイスの基板の熱伝導率(例えば、シリコン基板の熱伝導率は、約150 W/mKであり、シリコンカーバイド基板の熱伝導率は、約400 W/mKである)及び放熱基板の熱伝導率(例えば、銅基板の熱伝導率は、約400 W/mKである)よりも、かなり低い約57W/mKである。従って、半田は、パッケージ構造の熱抵抗を低減する上での大きなボトルネックになっていた。
【発明の概要】
【0004】
この出願は、熱伝導体を提供する。熱伝導体は、比較的大きな熱伝導率を有する。熱伝導体が半導体デバイスのパッケージ構造に利用されるとき、パッケージ構造の熱伝導度が改善できる。加えて、この出願は、半導体デバイスのパッケージ構造をさらに提供する。上記の熱伝導体は、パッケージ構造に適用される。さらに、この出願は、熱伝導性材料をさらに提供する。熱伝導性材料上で硬化処理が実行された後、上記の熱伝導体が得られうる。
【0005】
第1の態様によれば、この出願は、熱伝導体を提供する。熱伝導体は、基盤と、ダイヤモンド粒子、及び第1の金属ナノ粒子とを含む。ダイヤモンド粒子及び第1の金属ナノ粒子はいずれも、基盤内に分布する。ダイヤモンド粒子の外表面は、カーバイド膜層、第1の金属膜層、及び第2の金属膜層で順にコーティングされている。カーバイド膜層は、ダイヤモンド粒子の外表面の全体を被覆する。第1の金属膜層は、カーバイド膜層の外表面の全体を被覆する。第2の金属膜層は、化学的又は物理的な成膜方式で、第1の金属膜層の外表面の全体を被覆する。さらに、第1の金属ナノ粒子は、第2の金属膜層の外表面に、金属結合を利用して結合される。
【0006】
この出願において、ダイヤモンド粒子の表面は、3つの膜層、即ち、カーバイド膜層、第1の金属膜層、及び第2の金属膜層で被覆される。3つの膜層は、ダイヤモンド粒子と第1の金属ナノ粒子との間の界面熱抵抗を低減するために利用される。
【0007】
ダイヤモンドはフォノン熱伝導性であり、金属は電子熱伝導性であるため、ダイヤモンドと金属の熱伝導方式は大きく異なり、ダイヤモンドと金属との間での貧弱な熱伝導特性をもたらす。加えて、2つの材料、即ち、ダイヤモンドと金属が、比較的大きな特徴の違いを有するため、直接接着が2つの材料に適用されるとき、接着性能は貧弱になる。この出願においては、カーバイド膜層が、ダイヤモンド粒子と第1の金属膜層との間に配置される。カーバイドは炭素及び金属を含むため、ダイヤモンド粒子と第1の金属膜層との間の熱伝導特性及び接着性能が向上できる。
【0008】
同じ材料の間で低い熱抵抗接続がより容易に実現されるため、第2の金属膜層と第1の金属ナノ粒子とは、概して、同じ材料でできていることに留意すべきである。第1の金属膜層と第1の金属ナノ粒子とは、概して、異なる材料でできている。しかし、第2の金属膜層が、通常、化学的又は物理的な成膜プロセスを利用して、第1の金属膜層の表面を被覆するため、第1の金属膜層と第2の金属膜層との間の熱抵抗は、比較的低い。
【0009】
結論として、3つの膜層がダイヤモンド粒子と第1の金属ナノ粒子との間に配置されて、ダイヤモンド粒子と第1の金属ナノ粒子との間の界面熱抵抗を低減する効果を達成すると理解されうる。
【0010】
任意選択で、基盤に利用される材料は、有機ポリマーであってよい。
【0011】
任意選択で、ダイヤモンド粒子は、基盤内に均一に分布する。
【0012】
任意選択で、第1の金属ナノ粒子は、基盤内に均一に分布する。
【0013】
第1の態様に関連し、第1の可能な実装において、隣接する第1の金属ナノ粒子は、金属結合を利用して結合され、それによって、熱伝導体の2つの反対側の面を接続する熱伝導経路が、熱伝導体内に形成されうる。
【0014】
第1の態様又は第2の態様の第1の可能な実装に関連し、第2の可能な実装において、第2の金属ナノ粒子は、第2の金属膜層の外表面上に成長される。このようにすると、互いに隣接する、基盤内に分散された第1の金属ナノ粒子と第2の金属ナノ粒子とは、金属結合を利用して互いに結合され、それによって、熱伝導経路を形成する。
【0015】
任意選択で、第2の金属ナノ粒子は、第2の金属膜層の外表面上に均一に成長される。
【0016】
任意選択で、互いに隣接する第2の金属ナノ粒子と第1の金属ナノ粒子とは、金属結合によって。
【0017】
上記の実装のいずれか1つに関連し、この実装において、カーバイド膜層は、タングステンカーバイド膜層、チタンカーバイド膜層、クロムカーバイド膜層、モリブデンカーバイド膜層、ニッケルカーバイド膜層、及びシリコンカーバイド膜層のいずれか1つである。これらの材料の熱抵抗は比較的小さいため、熱伝導体の全体的な熱抵抗は、これらの材料のいずれか1つを利用することによって低減できる。
【0018】
任意選択で、カーバイド膜層の厚さは、10nm以上、かつ500nm以下である。カーバイド膜層の厚さを調整することによって、カーバイド膜層の界面熱抵抗及び界面接着性能が最適化できる。
【0019】
上記の実装のいずれか1つに関連し、この実装において、第1の金属膜層に利用される材料は、タングステン、チタン、クロム、モリブデン、ニッケル、プラチナ、又はパラジウムである。これらの材料のいずれか1つを利用して第1の金属膜層を準備することで、カーバイド膜層と第2の金属膜層との間の界面接着性能を改善できる。
【0020】
任意選択で、第1の金属膜層の厚さは、10nm以上、かつ500nm以下である。第1の金属膜層の厚さを調整することによって、第1の金属膜層の界面熱抵抗及び界面接着性能が最適化できる。
【0021】
上記の実装のいずれか1つに関連し、この実装において、第2の金属膜層は、金属薄膜層又は積層された複数の金属薄膜層を含む。各金属薄膜層に利用される材料は、銅、銀、金、プラチナ、パラジウム、インジウム、ビスマス、アルミニウム、又はアルミナである。
【0022】
概して、第2の金属膜層と第1の金属ナノ粒子とは、同じ材料でできている。このようにすると、熱伝導性材料が熱伝導体を形成するために焼結されるとき、第2の金属膜層及び第1の金属ナノ粒子は、良好な焼結性能を有する。
【0023】
任意選択で、第2の金属膜層の厚さは、0.1μm以上、かつ10μm以下である。
【0024】
上記の実装のいずれか1つに関連し、この実装において、第1の金属ナノ粒子に利用される材料は、銅、銀、金、及びスズのうちの1つ以上である。
【0025】
任意選択で、第1の金属ナノ粒子の粒径は、10nm以上、かつ500nm以下である。
【0026】
上記の実装のいずれか1つに関連し、この実装において、第2の金属ナノ粒子に利用される材料は、銅、銀、又は金のうちの少なくとも1つである。
【0027】
任意選択で、第2の金属ナノ粒子の粒径は、10nm以上、かつ200nm以下である。
【0028】
任意選択で、熱伝導体における基盤の容積比は、10%以下である。
【0029】
任意選択で、熱伝導体におけるダイヤモンド粒子の容積比は、0.05%~80%である。限定は、熱伝導体の熱伝導度を改善するために利用される。加えて、熱伝導体内のダイヤモンド粒子の容積比を調整することによって、熱伝導体のヤング率及び熱膨張率が調整されうる。
【0030】
任意選択で、ダイヤモンド粒子の粒子比率は、0.01μm以上、かつ200μm以下である。限定は、熱伝導体の熱伝導度を改善するために利用される。加えて、熱伝導体内のダイヤモンド粒子の粒子比率を調整することによって、熱伝導体のヤング率及び熱膨張率が調整されうる。
【0031】
任意選択で、ダイヤモンド粒子は、単結晶ダイヤモンド粒子、多結晶ダイヤモンド粒子、又は、単結晶ダイヤモンド粒子と多結晶ダイヤモンド粒子の両方である。
【0032】
第2の態様によれば、この出願は、熱伝導性材料を提供する。熱伝導性材料と、上記の実装のいずれか1つで説明された熱伝導体との間の違いは、熱伝導性材料が流体であり、熱伝導体が固体であることにあり、上記の熱伝導体は、熱伝導性材料上で熱硬化処理が実行された後に得られうる。
【0033】
具体的には、熱伝導性材料は、有機ポリマー、第1の金属ナノ粒子、及びダイヤモンド粒子を含む。ダイヤモンド粒子及び第1の金属ナノ粒子はいずれも、有機ポリマー内に分布している。ダイヤモンド粒子の外表面は、3つの膜層、即ち、カーバイド膜層、第1の金属膜層、及び第2の金属ナノ粒子で順に覆われている。カーバイド膜層は、ダイヤモンド粒子の外表面の全体を被覆する。第1の金属膜層は、カーバイド膜層の外表面の全体を被覆する。第2の金属膜層は、第1の金属膜層の外表面の全体を被覆する。第1の金属ナノ粒子は、第2の金属膜層の外表面に、金属結合を利用して結合されることに留意すべきである。
【0034】
熱伝導性材料の有利な効果については、上記の熱伝導体の有利な効果を参照されたい。詳細については、ここでは再び説明されない。
【0035】
第2の態様によれば、第1の可能な実装において、隣接する第1の金属ナノ粒子は、金属結合を利用して結合され、熱伝導経路を形成する。
【0036】
第2の態様又は第2の態様の第1の可能な実装に関連し、第2の可能な実装において、熱伝導性材料は、第2の金属膜層の外表面上に成長した第2の金属ナノ粒子をさらに含み、熱伝導経路を形成する。
【0037】
第2の態様の第2の可能な実装に関連し、第3の可能な実装において、互いに隣接する第1の金属ナノ粒子及び第2の金属ナノ粒子は、金属結合を利用して結合され、熱伝導経路を形成する。
【0038】
第3の態様によれば、この出願は、半導体デバイスのパッケージ構造をさらに提供する。パッケージ構造は、半導体デバイスと、放熱基板と、第1の態様又は第1の態様の実装のいずれか1つによる熱伝導体とを含む。熱伝導体は、半導体デバイスと放熱基板との間に配置される。熱伝導体の一の表面は、半導体デバイスの背面に対向し、かつ半導体デバイスの背面に接しており、熱伝導体の他の表面は、コンポーネントを配置するために利用される放熱基板の面に対向し、かつコンポーネントを配置するために利用される面に接している。
【0039】
熱伝導体が比較的良好な熱伝導性能を有するため、パッケージ構造内で、半導体デバイスによって生成される熱が、ある時間内に放熱基板に伝達でき、放熱基板を利用して外部に伝達される。
【0040】
第3の態様に関連し、第1の可能な実装において、背面金属層が半導体デバイスの背面上に配置される。背面金属層は、金属薄膜層又は積層された複数の金属薄膜層である。各金属薄膜層に利用される材料は、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、又は金(Au)である。
【0041】
背面金属層は、半導体デバイスの背面に追加され、半導体デバイスから熱伝導体へ熱を伝達する能力をさらに改善する。
【0042】
第3の態様の第1の可能な実装に関連し、第2の可能な実装において、互いに対向する背面金属層及び熱伝導体の表面は、金属結合を利用して結合され、半導体デバイスから熱伝導体へ熱を伝達する能力をさらに改善する。
【0043】
第3の態様、第3の態様の第1の可能な実装、又は第3の態様の第2の可能な実装に関連し、第3の可能な実装において、互いに対向する熱伝導体及び放熱基板の表面は、金属結合を利用して結合され、熱伝導体から放熱基板へ熱を伝達する能力をさらに改善する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】この出願による、半導体デバイスのパッケージ構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、この出願による、半導体デバイスのパッケージ構造の模式図である。具体的には、パッケージ構造は、半導体デバイス10と、熱伝導体20と、放熱基板30とを含む。半導体デバイス10は、放熱基板30上に配置され、熱伝導体20は、半導体デバイス10と放熱基板30との間に配置される。半導体デバイス10の、放熱基板30に対向する面は、半導体デバイス10の背面である。放熱基板30の、半導体デバイス10を設置する(又は、固定する)ために利用される面は、放熱基板30の固定面と称されることがある。従って、熱伝導体20の一の表面は、半導体デバイス10の背面に接しており、熱伝導体20の他の表面は、放熱基板30の固定面に接している。熱伝導体20の一の表面は、熱伝導体20の他の表面の反対側にあることに留意すべきである。
【0046】
任意選択で、熱伝導体20の一の表面は、半導体デバイス10の背面と同じ形状及び同じサイズを有し、熱伝導体20の一の表面は、半導体デバイス10の背面の縁に位置合わせされている。
【0047】
この出願において、熱伝導体20は、半導体デバイス10によって生成された熱を、放熱基板30に移入するように構成される(又は、半導体デバイス10と放熱基板30との間の熱伝導経路を形成するように構成される)だけでなく、半導体デバイス10と放熱基板30との間の機械的接続を形成するようにも構成される。
【0048】
任意選択で、熱伝導体20は、半導体デバイス10の背面と放熱基板30の固定面との間に満たされている熱伝導性材料(時々“熱伝導性半田”と称される)上で熱硬化処理が実行された後に形成されうる。この場合、熱伝導性材料については、この出願において提供される熱伝導性材料についての後述する実施形態の関連説明を参照されたい。詳細については、ここでは説明されない。
【0049】
熱伝導体20が、半導体デバイス10の背面と放熱基板30の固定面との間に満たされた熱伝導性材料上での熱硬化処理の後に得られるとき、熱硬化処理は、300℃を超えない温度条件で実行される焼結処理であってよいことに留意すべきである。
【0050】
この出願において提供されるパッケージ構造について、他の実施形態では、半導体デバイス10の背面が、金属結合を利用して熱伝導体20の一の表面に結合され、任意選択で、熱伝導体20の他の表面が、金属結合を利用して放熱基板30の固定面に結合される。
【0051】
300℃を超えない温度条件で熱伝導性材料上での焼結処理が実行されるとき、半導体デバイス10の背面上に配置された金属粒子と、熱伝導体20の一の表面上に配置された金属ナノ粒子とは、金属結合を利用して結合されうることに留意すべきである。
【0052】
同様に、300℃を超えない温度条件で熱伝導性材料上での焼結処理が実行されるとき、放熱基板30の固定面上に配置された金属粒子と、熱伝導体20の他の表面に配置された金属ナノ粒子とは、金属結合を利用して結合されうる。
【0053】
熱伝導体20の一の表面に配置された金属ナノ粒子は、概して、第1の金属ナノ粒子であり、第2の金属ナノ粒子であってよいことに留意すべきである。第1の金属ナノ粒子と第2の金属ナノ粒子との間の違いについては、以下の実施形態における説明を参照されたい。
【0054】
任意選択で、熱伝導体20は、熱伝導パッドである。熱伝導パッドは、半導体デバイス10の表面と、放熱基板30の固定面との間に配置される。熱伝導パッドは、代替的に、前もって熱伝導性材料上で硬化処理が実行された後に得られうると理解すべきである。具体的には、熱伝導パッドは、300℃を超えない温度条件で熱伝導性材料上での硬化(又は、事前形成)処理が実行された後に得られうる。
【0055】
この実施形態において、背面金属層11は、半導体デバイス10の背面に配置されうる。背面金属層11は、半導体デバイス10の背面(又は、底面)にめっきされた1つ以上の金属薄膜層を示す。背面金属層11に含まれる各金属薄膜層に利用される材料は、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、又は金(Au)であることに留意すべきである。背面金属層11が、積層された複数の金属薄膜層を含むとき、それぞれ2つの隣接する金属膜に利用される材料は異なる。任意選択で、背面金属層11に含まれる複数の金属薄膜層に別々に利用される材料は異なる。
【0056】
背面金属層11が半導体デバイス10の背面に配置されるとき、“半導体デバイス10の背面が、金属結合を利用して熱伝導体20の一の表面に結合される”ことは、具体的には、背面金属層11の、熱伝導体の表面に対抗する面が、金属結合を利用して熱伝導体の一の表面に結合されることを示す。
【0057】
この出願で説明される半導体デバイス10の基板は、シリコン基板、シリコンカーバイド基板、窒化ガリウム基板、単結晶ダイヤモンド基板、又は多結晶ダイヤモンド基板である。
【0058】
任意選択で、半導体デバイス10は、能動コンポーネント層12を含む。能動コンポーネント層12は、半導体デバイス10の前面(“半導体デバイス10の背面”は上で定義されており、半導体デバイス10の前面は、半導体デバイス10の背面と反対側にある面を示す)に配置される。能動コンポーネント層12は、具体的には、シリコンコンポーネント層、又はワイドバンドギャップ半導体デバイス層であってよい。能動コンポーネント層12は、シリコンカーバイド、窒化ガリウム、又は酸化ガリウムであってよい。
【0059】
任意選択で、半導体デバイス10は、チップである。
【0060】
この出願の他の実施形態において、ヒートシンクが、放熱基板30の背面にさらに配置されうる。ヒートシンクは、放熱基板から外部に熱を伝達するように構成される。放熱基板30の背面は、放熱基板30の固定面とは反対側にある。ヒートシンクは、具体的には、ヒートシンクフィンであってよい。さらに、ヒートシンクは、熱伝導性材料、熱伝導体、又は熱界面材料(TIM, Thermal Interface Material)を利用して熱分散基板30の背面に固定されてよい。熱伝導性材料(又は、熱伝導体)は、この出願の以下の実施形態において提供される熱伝導性材料(又は、熱伝導体)であってよく、又は、他の熱伝導性材料(又は、他の熱伝導体)であってよい。
【0061】
任意選択で、放熱基板30は、金属基板、ダイヤモンド基板、銅で覆われたセラミック基板、シリコンカーバイド基板、又は窒化アルミニウム基板であってよい。放熱基板30は、さらに、ダイヤモンド及び金属を含む複合材料でできた基板であってよい。
【0062】
任意選択で、放熱基板30は、金属(即ち、金属基板)であってよく、又は、表面金属層でコーティングされた基板であってよく、表面金属層の材料は、銅、ニッケル、銀、又は金のうちの1つ以上である。
【0063】
この出願は、熱伝導体をさらに提供する。熱伝導体20は、上記のパッケージ構造に適用されてよく、半導体デバイス10によって生成された熱を放熱基板30に伝達し、放熱基板30を利用して熱を外部に伝達するように構成される。
【0064】
図2は、この出願による、熱伝導体20の模式図である。具体的には、熱伝導体20は、基盤28と、ダイヤモンド粒子21と、第1の金属ナノ粒子25とを含む。ダイヤモンド粒子21と第1の金属ナノ粒子25とは、基盤28内に均一に分布している。ダイヤモンド粒子21の外表面は、カーバイド膜層22、第1の金属膜層23、及び第2の金属膜層24で順に覆われていることに留意すべきである。カーバイド膜層22は、ダイヤモンド粒子21の外表面に接しており、ダイヤモンド粒子21の外表面の全体を被覆している。第1の金属膜層23は、カーバイド膜層22と第2の金属膜層24との間に配置され、カーバイド膜層22の外表面の全体を被覆している。第2の金属膜層24は、第1の金属膜層23の外表面に配置され、第1の金属膜層23の外表面の全体を被覆している。
【0065】
複数の膜層を利用してダイヤモンド粒子21の外表面を順に覆う目的は、ダイヤモンド粒子21の表面熱抵抗を低減することにあることに留意すべきである。従って、この出願で説明される“外表面の全体をコーティングする(又は、覆う)”とは、外表面の全体をコーティングする(又は、覆う)ことであってよく、又は、外表面のほとんど全体をコーティングする(又は、覆う)こと、例えば、外表面の95%以上をコーティングする(又は、覆う)ことであってよい。この出願で説明される“外表面の全体をコーティングする(又は、覆う)こと”は、技術レベルによって制限され、従って、実際には、外表面の全体を被覆する(又は、覆う)ことでなくてよいと理解すべきである。具体的には、この出願において、“外表面の全体をコーティングする(又は、覆う)こと”の理解は、当業者の理解に基づくものであり、また、この実施形態の発明目的が達成できるかどうかに基づくものであるべきである。
【0066】
基盤28は、有機ポリマーであってよい。ダイヤモンド粒子21及び第1の金属ナノ粒子25は、有機ポリマー内に均一に分布しうる。
【0067】
任意選択で、ダイヤモンド粒子21の粒径(即ち、直径)は、マイクロメートルのレベルである。ダイヤモンド粒子21の粒径は、0.01マイクロメートル以上、かつ200マイクロメートル未満であってよい。例えば、ダイヤモンド粒子21の平均粒径は、5マイクロメートルである。ダイヤモンド粒子21の形状が球形でないため、ダイヤモンド粒子21の粒径は、ダイヤモンド粒子21の平均粒径と理解されうる。加えて、この出願のどこかで“粒子の粒径”が言及されるとき、それもまた、粒子の平均粒径と理解されるべきである。
【0068】
さらに、この実施形態において、ダイヤモンド粒子21は、全てマイクロメートルレベルの粒径を持つダイヤモンド粒子であってもよいし、又は、マイクロメートルレベルの粒子直径を持つダイヤモンド粒子と、ナノメートルレベルの粒径を持つダイヤモンド粒子との両方を含んでもよい。ナノメートルレベルのダイヤモンド粒子は比較的小さいため、ダイヤモンド粒子の表面積も、比較的小さい。ミクロンレベルの複数のダイヤモンド粒子が、ナノメートルレベルの複数のダイヤモンド粒子と同じ体積を有する場合、ナノメートルレベルの複数のダイヤモンド粒子の総表面積は、比較的大きいため、界面熱抵抗も比較的大きく、比較的貧弱な熱伝導効果をもたらす。
【0069】
任意選択で、ダイヤモンド粒子21は、単結晶ダイヤモンド粒子、多結晶ダイヤモンド粒子、又は、単結晶ダイヤモンド粒子と多結晶ダイヤモンド粒子との両方であってよい。
【0070】
任意選択で、熱伝導体20において、ダイヤモンド粒子21の容積比は、0.05%以上、かつ80%以下であるか、又は、ダイヤモンド粒子21の容積比は、5%以上、かつ80%以下であるか、又は、ダイヤモンド粒子の容積比は、10%以上、かつ80%以下である。
【0071】
この出願において提供される熱伝導体における基盤28の容積比は、10%以下であってよいことに留意すべきである。さらに、基盤28の容積比は、1%以下であってよい。
【0072】
この実施形態において、カーバイド膜層22は、タングステンカーバイド(WC又はW2C)膜層、チタンカーバイド(TiC)膜層、クロムカーバイド(Cr3C2, Cr3C7又はCr23C7)膜層、モリブデンカーバイド(MoC又はMo2C)膜層、ニッケルカーバイド(Ni3C)膜層、又はシリコンカーバイド(SiC)膜層であることに留意すべきである。具体的には、カーバイド膜層22がタングステンカーバイド膜層であるとき、タングステンカーバイド膜層の材料は、タングステンカーバイド(WC)であってよく、ジタングステンカーバイド(W2C)であってよく、又は、タングステンカーバイド(WC)とジタングステンカーバイド(W2C)との両方を含んでよい。カーバイド膜層22がクロムカーバイド膜層であるとき、クロムカーバイド膜層の材料は、Cr3C2(Cr3C2)、Cr3C7(Cr3C7)又はCr23C7(Cr23C7)のうちの1つ以上である。カーバイド膜層22がモリブデンカーバイド膜層であるとき、モリブデンカーバイド膜層の材料は、モリブデンカーバイド(MoC)であってよく、ジモリブデンカーバイド(Mo2C)であってよく、又は、モリブデンカーバイド(MoC)とジモリブデンカーバイド(Mo2C)との両方を含んでよい。加えて、この実施形態において、カーバイド膜層22の厚さは、10nm以上、かつ500nm以下である。
【0073】
第1の金属膜層23の材料は、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、又はパラジウム(Pd)であることに留意すべきである。さらに、第1の金属膜層23の厚さは、10nm以上、かつ500nm以下である。
【0074】
第2の金属膜層24は、金属薄膜層、又は積層された複数の金属薄膜層を含むことに留意すべきである。各金属薄膜層に利用される材料は、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、ビスマス(Bi)、アルミニウム(Al)、アルミナなどである。第2の金属膜層24が、積層された複数の金属薄膜層を含むとき、積層された複数の金属薄膜層内のそれぞれ2つの隣接する金属膜に利用される材料は異なる。任意選択で、第2の金属膜層24に含まれる積層された複数の金属薄膜層に別々に利用される材料は異なる。第2の金属膜層24の厚さは、0.1μm以上、かつ10μm以下である。例えば、第2の金属層24の厚さは、1マイクロメートルであってよい。
【0075】
この実施形態において、第1の金属ナノ粒子25に利用される材料は、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、スズ(Sn)のうちの1つ以上であることに留意すべきである。具体的には、第1の金属ナノ粒子25は、以下の金属粒子、即ち、銅粒子と、金粒子と、銀粒子と、スズ粒子と、銀でコーティングされた銅と、銅、銀、金、及びスズのいずれか2つ又は3つで形成される合金の粒子とのうちの1つ以上であってよい。“複数の”は、この出願において、2より大きいことを意味することに留意すべきである。“銀でコーティングされた銅”は、銅球の外側に銀層をコーティングすることを示す。“銅、銀、金、及びスズのいずれか2つ又は3つで形成される合金の粒子”は、例えば、銅-銀合金粒子、銀-銅合金粒子、銅-金合金粒子、金-銅合金粒子、銅-スズ合金粒子、スズ-銅合金粒子、又は銅-銀-スズ合金粒子であってよい。任意選択で、第1の金属ナノ粒子25の粒径は、10nm以上、かつ500nm以下である。例えば、第1の金属ナノ粒子25は、30nmの平均粒径を持つ銀粒子である。
【0076】
図3に示すように、第1の金属ナノ粒子25の一部は、金属結合を利用して、第2の金属膜層24の外表面に結合されることに留意すべきである。より正確には、第1の金属ナノ粒子25の一部は、金属結合を利用して、第2の金属膜層24の外表面で金属イオンに結合される。それに対応して、隣接する第1の金属ナノ粒子25は、また、金属結合を利用して、互いに結合されうる。
【0077】
第2の金属膜層24の外表面の表面熱抵抗を低減するために、他の実施形態では、
図4に示すように、第2の金属ナノ粒子27は、さらに、第2の金属膜層24の外表面で成長されうる。このことから、第2の金属ナノ粒子27と、第1の金属ナノ粒子25との間の違いは、第2の金属ナノ粒子27が第2の金属膜層24の外表面で成長されることであり、第1の金属ナノ粒子27が、金属結合を利用して、第2の金属膜層24の外表面で金属イオンに結合されると理解できる。第2の金属ナノ粒子27は、金粒子、銀粒子、又は銅粒子のうちの少なくとも1つである。この実施形態において、互いに隣接する第2の金属ナノ粒子27及び第1の金属ナノ粒子25は、金属結合を利用して、互いに結合されうる。第2の金属ナノ粒子27の粒径は、10ナノメートル以上、200ナノメートル以下であることにさらに留意すべきである。任意選択で、第2の金属ナノ粒子27は、第2の金属膜層24の外表面に均一に成長される。
【0078】
図4を参照すると、第1の金属ナノ粒子25とダイヤモンド粒子21、又は、第1の金属ナノ粒子25と、第2の金属ナノ粒子27と、ダイヤモンド粒子21とは、熱伝導体20の一の表面から他の表面へと通じる熱伝導経路を形成する。
【0079】
第1の金属ナノ粒子25と第2の金属膜層24の外表面との間の金属結合、隣接する第1の金属ナノ粒子25の間の金属結合、又は、第2の金属ナノ粒子27と第1の金属ナノ粒子25との間の金属結合は、300℃を超えない温度で、金属結合を形成するために材料上で実行される焼結処理を通じて、全て実現されうることに留意すべきである。例えば、第2の金属ナノ粒子27及び第1の金属ナノ粒子25は、300℃を超えない温度で焼結される。このようにすると、金属結合は、互いに隣接する第2の金属ナノ粒子27と第1の金属ナノ粒子25との間に形成されうる。
【0080】
この出願において提供される熱伝導体の熱伝導率を実現するために、他の実施形態では、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、又はグラフェンの1つ以上が、基盤28内で均一に混合されてよい。
【0081】
この出願は、熱伝導性材料をさらに提供する。熱伝導性材料は、有機ポリマー、第1の金属ナノ粒子、及びダイヤモンド粒子を含む。ダイヤモンド粒子及び第1の金属ナノ粒子は、有機ポリマー内に均一に分布する。ダイヤモンド粒子の外表面は、カーバイド膜層、第1の金属膜層、及び第2の金属膜層で順にコーティングされる。熱伝導性材料についての実施形態と、熱伝導体についての上記の実施形態とは、多くの同じ部分(同じ部分については、熱伝導体についての上記の実施形態が参照されてよく、詳細については、ここでは再び説明されない)を有することに留意すべきである。2つの実施形態の違いは、有機ポリマーが流体であり、従って、熱伝導性材料も流体であることにある。上記の実施形態において説明された熱伝導体は、熱伝導性材料が加熱されて焼結された後に得られうる。上記の熱伝導体は固体であると理解すべきである。例えば、上記の実施形態において説明された熱伝導体は、300℃を超えない温度で、熱伝導性材料が加熱されて焼結された後に形成されうる。従って、熱伝導性材料内の有機ポリマーの容積比は、熱伝導体内の有機ポリマーの容積比より大きいことが容易に理解される。
【0082】
上記の説明は、本発明の実施形態の単なる具体的な説明に過ぎず、この出願の保護範囲を限定することを意図していないことに留意すべきである。この出願において開示された技術的範囲内で、当業者によって直ちに理解される任意の変形又は置換は、この出願の保護範囲に収まるべきである。従って、この出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲を対象とすべきである。加えて、上記の実施形態に対する相互参照がなされうる。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤と、前記基盤内に分布するダイヤモンド粒子及び第1の金属ナノ粒子とを含む熱伝導体であって、前記ダイヤモンド粒子の外表面は、カーバイド膜層、第1の金属膜層、及び第2の金属膜層で順にコーティングされており、
前記カーバイド膜層は、前記ダイヤモンド粒子の前記外表面の全体を被覆し、
前記第1の金属膜層は、前記カーバイド膜層の外表面の全体を被覆し、
前記第2の金属膜層は、化学的又は物理的な成膜方式で、前記第1の金属膜層の外表面の全体を被覆し、
前記第1の金属ナノ粒子と、前記第2の金属膜層の外表面とは、金属結合を利用して互いに結合される、
熱伝導体。
【請求項2】
隣接する第1の金属ナノ粒子は、金属結合を利用して互いに結合される、
請求項1に記載の熱伝導体。
【請求項3】
前記第2の金属膜層の前記外表面上に成長した第2の金属ナノ粒子をさらに含む、
請求項1又は2に記載の熱伝導体。
【請求項4】
互いに隣接する前記第1の金属ナノ粒子及び前記第2の金属ナノ粒子は、金属結合を利用して互いに結合される、
請求項3に記載の熱伝導体。
【請求項5】
前記カーバイド膜層は、タングステンカーバイド膜層、チタンカーバイド膜層、クロムカーバイド膜層、モリブデンカーバイド膜層、ニッケルカーバイド膜層、及びシリコンカーバイド膜層のいずれか1つである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項6】
前記カーバイド膜層の厚さは、10ナノメートル以上、かつ500ナノメートル以下である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項7】
前記第1の金属膜層に利用される材料は、タングステン、チタン、クロム、モリブデン、ニッケル、プラチナ、又はパラジウムである、
請求項1~6のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項8】
前記第1の金属膜層の厚さは、10ナノメートル以上、かつ500ナノメートル以下である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項9】
前記第2の金属膜層は、金属薄膜層又は積層された複数の金属薄膜層を含み、各金属薄膜層に利用される材料は、銅、銀、金、プラチナ、パラジウム、インジウム、ビスマス、アルミニウム、又はアルミナである、
請求項1~8のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項10】
前記第2の金属膜層の厚さは、0.1マイクロメートル以上、かつ10マイクロメートル以下である、
請求項1~9のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項11】
前記第1の金属ナノ粒子の材料は、銅、銀、金、及びスズのうちの1つ以上である、
請求項1~10のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項12】
前記熱伝導体における前記基盤の容積比は、10%以下である、
請求項1~11のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項13】
前記熱伝導体における前記ダイヤモンド粒子の容積比は、0.05%~80%である、
請求項1~12のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項14】
前記ダイヤモンド粒子の粒径は、0.01マイクロメートル以上、かつ200マイクロメートル以下である、
請求項1~13のいずれか1項に記載の熱伝導体。
【請求項15】
有機ポリマーと、前記有機ポリマー内に分布するダイヤモンド粒子及び第1の金属ナノ粒子とを含む熱伝導性材料であって、前記ダイヤモンド粒子の外表面は、カーバイド膜層、第1の金属膜層、及び第2の金属膜層で順にコーティングされており、
前記カーバイド膜層は、前記ダイヤモンド粒子の前記外表面の全体を被覆し、
前記第1の金属膜層は、前記カーバイド膜層の外表面の全体を被覆し、
前記第2の金属膜層は、前記第1の金属膜層の外表面の全体を被覆し、
前記第1の金属ナノ粒子と、前記第2の金属膜層の外表面とは、金属結合を利用して互いに結合される、
熱伝導性材料。
【請求項16】
隣接する第1の金属ナノ粒子は、金属結合を利用して互いに結合される、
請求項15に記載の熱伝導性材料。
【請求項17】
前記第2の金属膜層の前記外表面上に成長した第2の金属ナノ粒子をさらに含む、
請求項15又は16に記載の熱伝導性材料。
【請求項18】
互いに隣接する前記第1の金属ナノ粒子及び前記第2の金属ナノ粒子は、金属結合を利用して互いに結合される、
請求項17に記載の熱伝導性材料。
【請求項19】
半導体デバイスと、放熱基板と、請求項1~14のいずれか1項に記載の前記熱伝導体とを含む半導体デバイスのパッケージ構造であって、前記熱伝導体は、前記半導体デバイスと前記放熱基板との間に配置され、
前記熱伝導体の一の表面は、前記半導体デバイスの背面に対向し、かつ前記半導体デバイスの前記背面に接しており、前記熱伝導体の他の表面は、前記放熱基板の固定面に対向し、かつ前記放熱基板の前記固定面に接している、
半導体デバイスのパッケージ構造。
【請求項20】
背面金属層が前記半導体デバイスの前記背面上に配置され、前記背面金属層は、金属薄膜層又は積層された複数の金属薄膜層であり、各金属薄膜層に利用される材料は、チタン、プラチナ、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、又は金である、
請求項19に記載のパッケージ構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、放熱技術に関し、特に、熱伝導体、熱伝導性材料、及び半導体デバイスのパッケージ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスのパッケージ構造において、半導体デバイスは、通常、半田(例えば、Au80Sn20)又は熱界面材料(例えば、熱伝導性接着剤)を利用して放熱基板上に配置される。しかし、Au80Sn20の熱伝導率は、半導体デバイスの基板の熱伝導率(例えば、シリコン基板の熱伝導率は、約150 W/mKであり、シリコンカーバイド基板の熱伝導率は、約400 W/mKである)及び放熱基板の熱伝導率(例えば、銅基板の熱伝導率は、約400 W/mKである)よりも、かなり低い約57W/mKである。従って、半田は、パッケージ構造の熱抵抗を低減する上での大きなボトルネックになっていた。
【発明の概要】
【0003】
この出願は、熱伝導体を提供する。熱伝導体は、比較的大きな熱伝導率を有する。熱伝導体が半導体デバイスのパッケージ構造に適用されるとき、パッケージ構造の熱伝導率が改善できる。加えて、この出願は、半導体デバイスのパッケージ構造をさらに提供する。上記の熱伝導体は、パッケージ構造に適用される。さらに、この出願は、熱伝導性材料をさらに提供する。上記の熱伝導体は、熱伝導性材料上で硬化処理が実行された後に得られうる。
【0004】
第1の態様によれば、この出願は、熱伝導体を提供する。熱伝導体は、基盤と、ダイヤモンド粒子、及び第1の金属ナノ粒子とを含む。ダイヤモンド粒子及び第1の金属ナノ粒子はいずれも、基盤内に分布する。ダイヤモンド粒子の外表面は、カーバイド膜層、第1の金属膜層、及び第2の金属膜層で順にコーティングされている。カーバイド膜層は、ダイヤモンド粒子の外表面の全体を被覆する。第1の金属膜層は、カーバイド膜層の外表面の全体を被覆する。第2の金属膜層は、化学的又は物理的な成膜方式で、第1の金属膜層の外表面の全体を被覆する。さらに、第1の金属ナノ粒子と第2の金属膜層の外表面とは、金属結合を利用して互いに結合される。
【0005】
この出願において、ダイヤモンド粒子の表面は、3つの膜層、即ち、カーバイド膜層、第1の金属膜層、及び第2の金属膜層で被覆される。3つの膜層は、ダイヤモンド粒子と第1の金属ナノ粒子との間の界面熱抵抗を低減するために利用される。
【0006】
ダイヤモンドはフォノン熱伝導性であり、金属は電子熱伝導性であるため、ダイヤモンドと金属の熱伝導方式は大きく異なり、ダイヤモンドと金属との間での貧弱な熱伝導特性をもたらす。加えて、2つの材料、即ち、ダイヤモンドと金属が、比較的大きな特徴の違いを有するため、直接接着が2つの材料に適用されるとき、接着特性も貧弱になる。この出願においては、カーバイド膜層が、ダイヤモンド粒子と第1の金属膜層との間に配置される。カーバイドは炭素及び金属を含むため、ダイヤモンド粒子と第1の金属膜層との間の熱伝導特性及び接着特性が向上できる。
【0007】
同じ材料の間で低い熱抵抗接続がより容易に実現されるため、第2の金属膜層及び第1の金属ナノ粒子には、通常、同じ材料を利用することに留意すべきである。第1の金属膜層及び第1の金属ナノ粒子には、通常、異なる材料を利用する。しかし、第2の金属膜層が、通常、化学的又は物理的な成膜プロセスを利用して、第1の金属膜層の表面を被覆するため、第1の金属膜層と第2の金属膜層との間の熱抵抗は、比較的低い。
【0008】
結論として、3つの膜層がダイヤモンド粒子と第1の金属ナノ粒子との間に配置されて、ダイヤモンド粒子と第1の金属ナノ粒子との間の界面熱抵抗を低減する効果を達成すると理解されうる。
【0009】
任意選択で、基盤に利用される材料は、有機ポリマーであってよい。
【0010】
任意選択で、ダイヤモンド粒子は、基盤内に均一に分布する。
【0011】
任意選択で、第1の金属ナノ粒子は、基盤内に均一に分布する。
【0012】
第1の態様に関連し、第1の可能な実装において、隣接する第1の金属ナノ粒子は、金属結合を利用して互いに結合され、それによって、熱伝導体の2つの反対側の面を接続する熱伝導経路が、熱伝導体内に形成できる。
【0013】
第1の態様又は第1の態様の第1の可能な実装に関連し、第2の可能な実装において、第2の金属ナノ粒子は、第2の金属膜層の外表面上に成長される。このようにすると、基盤内に分散された、互いに隣接する第1の金属ナノ粒子と第2の金属ナノ粒子とは、金属結合を利用して互いに結合され、それによって、熱伝導経路を形成する。
【0014】
任意選択で、第2の金属ナノ粒子は、第2の金属膜層の外表面上に均一に成長される。
【0015】
任意選択で、互いに隣接する第2の金属ナノ粒子と第1の金属ナノ粒子とは、金属結合によって互いに結合される。
【0016】
上記の実装のいずれか1つに関連し、この実装において、カーバイド膜層は、タングステンカーバイド膜層、チタンカーバイド膜層、クロムカーバイド膜層、モリブデンカーバイド膜層、ニッケルカーバイド膜層、及びシリコンカーバイド膜層のいずれか1つである。これらの材料の熱抵抗は比較的小さいため、熱伝導体の全体的な熱抵抗は、これらの材料のいずれか1つを利用することによって低減できる。
【0017】
任意選択で、カーバイド膜層の厚さは、10ナノメートル以上、かつ500ナノメートル以下である。カーバイド膜層の厚さを調整することによって、カーバイド膜層の界面熱抵抗及び界面接着特性が最適化できる。
【0018】
上記の実装のいずれか1つに関連し、この実装において、第1の金属膜層に利用される材料は、タングステン、チタン、クロム、モリブデン、ニッケル、プラチナ、又はパラジウムである。これらの材料のいずれか1つを利用して第1の金属膜層を準備することで、カーバイド膜層と第2の金属膜層との間の界面接着特性を改善できる。
【0019】
任意選択で、第1の金属膜層の厚さは、10ナノメートル以上、かつ500ナノメートル以下である。第1の金属膜層の厚さを調整することによって、第1の金属膜層の界面熱抵抗及び界面接着性能が最適化できる。
【0020】
上記の実装のいずれか1つに関連し、この実装において、第2の金属膜層は、金属薄膜層又は積層された複数の金属薄膜層を含む。各金属薄膜層に利用される材料は、銅、銀、金、プラチナ、パラジウム、インジウム、ビスマス、アルミニウム、又はアルミナである。
【0021】
概して、第2の金属膜層及び第1の金属ナノ粒子には、同じ材料を利用する。このようにすると、熱伝導性材料が熱伝導体を形成するために焼結されるとき、第2の金属膜層及び第1の金属ナノ粒子は、良好な焼結性能を有する。
【0022】
任意選択で、第2の金属膜層の厚さは、0.1マイクロメートル以上、かつ10マイクロメートル以下である。
【0023】
上記の実装のいずれか1つに関連し、この実装において、第1の金属ナノ粒子の材料は、銅、銀、金、及びスズのうちの1つ以上である。
【0024】
任意選択で、第1の金属ナノ粒子の粒径は、10ナノメートル以上、かつ500ナノメートル以下である。
【0025】
上記の実装のいずれか1つに関連し、この実装において、第2の金属ナノ粒子の材料は、銅、銀、又は金のうちの少なくとも1つである。
【0026】
任意選択で、第2の金属ナノ粒子の粒径は、10ナノメートル以上、かつ200ナノメートル以下である。
【0027】
任意選択で、熱伝導体における基盤の容積比は、10%以下である。
【0028】
任意選択で、熱伝導体におけるダイヤモンド粒子の容積比は、0.05%~80%である。限定は、熱伝導体の熱伝導率を改善するために利用される。加えて、熱伝導体内のダイヤモンド粒子の容積比を調整することによって、熱伝導体のヤング率及び熱膨張率が調整されうる。
【0029】
任意選択で、ダイヤモンド粒子の粒径は、0.01マイクロメートル以上、かつ200マイクロメートル以下である。限定は、熱伝導体の熱伝導率を改善するために利用される。加えて、熱伝導体内のダイヤモンド粒子の粒径を調整することによって、熱伝導体のヤング率及び熱膨張率が調整されうる。
【0030】
任意選択で、ダイヤモンド粒子は、単結晶ダイヤモンド粒子、多結晶ダイヤモンド粒子、又は、単結晶ダイヤモンド粒子と多結晶ダイヤモンド粒子の両方である。
【0031】
第2の態様によれば、この出願は、熱伝導性材料を提供する。熱伝導性材料と、上記の実装のいずれか1つで説明された熱伝導体との間の違いは、熱伝導性材料が流体であり、熱伝導体が固体であることにあり、上記の熱伝導体は、熱伝導性材料上で熱硬化処理が実行された後に得られうる。
【0032】
具体的には、熱伝導性材料は、有機ポリマー、第1の金属ナノ粒子、及びダイヤモンド粒子を含む。ダイヤモンド粒子及び第1の金属ナノ粒子はいずれも、有機ポリマー内に分布している。ダイヤモンド粒子の外表面は、3つの膜層、即ち、カーバイド膜層、第1の金属膜層、及び第2の金属ナノ粒子で順にコーティングされている。カーバイド膜層は、ダイヤモンド粒子の外表面の全体を被覆する。第1の金属膜層は、カーバイド膜層の外表面の全体を被覆する。第2の金属膜層は、第1の金属膜層の外表面の全体を被覆する。第1の金属ナノ粒子と第2の金属膜層の外表面とは、金属結合を利用して互いに結合されることに留意すべきである。
【0033】
熱伝導性材料の有利な効果については、上記の熱伝導体の有利な効果を参照されたい。詳細については、ここでは再び説明されない。
【0034】
第2の態様によれば、第1の可能な実装において、隣接する第1の金属ナノ粒子は、金属結合を利用して互いに結合され、熱伝導経路を形成する。
【0035】
第2の態様又は第2の態様の第1の可能な実装に関連し、第2の可能な実装において、熱伝導性材料は、第2の金属膜層の外表面上に成長した第2の金属ナノ粒子をさらに含み、熱伝導経路を形成する。
【0036】
第2の態様の第2の可能な実装に関連し、第3の可能な実装において、互いに隣接する第1の金属ナノ粒子及び第2の金属ナノ粒子は、金属結合を利用して互いに結合され、熱伝導経路を形成する。
【0037】
第3の態様によれば、この出願は、半導体デバイスのパッケージ構造をさらに提供する。パッケージ構造は、半導体デバイスと、放熱基板と、第1の態様又は第1の態様の実装のいずれか1つによる熱伝導体とを含む。熱伝導体は、半導体デバイスと放熱基板との間に配置される。熱伝導体の一の表面は、半導体デバイスの背面に対向し、かつ半導体デバイスの背面に接しており、熱伝導体の他の表面は、放熱基板の、デバイスを配置するために利用される面に対向し、かつデバイスを配置するために利用される面に接している。
【0038】
熱伝導体が比較的良好な熱伝導特性を有するため、パッケージ構造内で、半導体デバイスによって生成される熱が、ある時間内に放熱基板に伝達でき、放熱基板を利用して外部に伝達される。
【0039】
第3の態様に関連し、第1の可能な実装において、背面金属層が半導体デバイスの背面上に配置される。背面金属層は、金属薄膜層又は積層された複数の金属薄膜層である。各金属薄膜層に利用される材料は、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、又は金(Au)である。
【0040】
背面金属層は、半導体デバイスの背面に追加され、半導体デバイスから熱伝導体へ熱を伝達する能力をさらに改善する。
【0041】
第3の態様の第1の可能な実装に関連し、第2の可能な実装において、背面金属層及び熱伝導体の、互いに対向する表面は、金属結合を利用して互いに結合され、半導体デバイスから熱伝導体へ熱を伝達する能力をさらに改善する。
【0042】
第3の態様、第3の態様の第1の可能な実装、又は第3の態様の第2の可能な実装に関連し、第3の可能な実装において、熱伝導体及び放熱基板の、互いに対向する表面は、金属結合を利用して互いに結合され、熱伝導体から放熱基板へ熱を伝達する能力をさらに改善する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】この出願による、半導体デバイスのパッケージ構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、この出願による、半導体デバイスのパッケージ構造の模式図である。具体的には、パッケージ構造は、半導体デバイス10と、熱伝導体20と、放熱基板30とを含む。半導体デバイス10は、放熱基板30上に配置され、熱伝導体20は、半導体デバイス10と放熱基板30との間に配置される。半導体デバイス10の、放熱基板30に対向する面は、半導体デバイス10の背面である。放熱基板30の、半導体デバイス10を設置する(又は、固定する)ために利用される面は、放熱基板30の固定面と称されることがある。従って、熱伝導体20の一の表面は、半導体デバイス10の背面に接しており、熱伝導体20の他の表面は、放熱基板30の固定面に接している。熱伝導体20の一の表面は、熱伝導体20の他の表面の反対側にあること
が理解されるべきである。
【0045】
任意選択で、熱伝導体20の一の表面は、半導体デバイス10の背面と同じ形状及び同じサイズを有し、熱伝導体20の一の表面は、半導体デバイス10の背面の縁に位置合わせされている。
【0046】
この出願において、熱伝導体20は、半導体デバイス10によって生成された熱を、放熱基板30に移入するように構成される(又は、半導体デバイス10と放熱基板30との間の熱伝導経路を形成するように構成される)だけでなく、半導体デバイス10と放熱基板30との間の機械的接続を形成するようにも構成される。
【0047】
任意選択で、熱伝導体20は、半導体デバイス10の背面と放熱基板30の固定面との間に満たされている熱伝導性材料(時々“熱伝導性半田”と称される)上で熱硬化処理が実行された後に形成されうる。この場合、熱伝導性材料については、この出願において提供される熱伝導性材料についての後述する実施形態の関連説明を参照されたい。詳細については、ここでは説明されない。
【0048】
熱伝導体20が、半導体デバイス10の背面と放熱基板30の固定面との間に満たされた熱伝導性材料上で熱硬化処理が実行された後に得られるとき、熱硬化処理は、300℃を超えない温度で実行される焼結処理であってよいことに留意すべきである。
【0049】
この出願において提供されるパッケージ構造について、他の実施形態では、半導体デバイス10の背面と熱伝導体20の一の表面とが金属結合を利用して互いに結合され、任意選択で、熱伝導体20の他の表面と放熱基板30の固定面とが金属結合を利用して互いに結合される。
【0050】
300℃を超えない温度で熱伝導性材料上での焼結処理が実行されるとき、半導体デバイス10の背面上に配置された金属粒子と、熱伝導体20の一の表面上に配置された金属ナノ粒子とは、金属結合を利用して互いに結合されうることに留意すべきである。
【0051】
同様に、300℃を超えない温度で熱伝導性材料上での焼結処理が実行されるとき、放熱基板30の固定面上に配置された金属粒子と、熱伝導体20の他の表面に配置された金属ナノ粒子とは、金属結合を利用して互いに結合されうる。
【0052】
熱伝導体20の一の表面に配置された金属ナノ粒子は、概して、第1の金属ナノ粒子であり、第2の金属ナノ粒子であってよいことに留意すべきである。第1の金属ナノ粒子と第2の金属ナノ粒子との間の違いについては、以下の実施形態における説明を参照されたい。
【0053】
任意選択で、熱伝導体20は、熱伝導パッドである。熱伝導パッドは、半導体デバイス10の表面と、放熱基板30の固定面との間に配置される。熱伝導パッドは、代替的に、前もって熱伝導性材料上で硬化処理が実行された後に得られうると理解すべきである。具体的には、熱伝導パッドは、300℃を超えない温度条件で熱伝導性材料上での硬化(又は、事前形成)処理が実行された後に得られうる。
【0054】
この実施形態において、背面金属層11は、半導体デバイス10の背面に配置されうる。背面金属層11は、半導体デバイス10の背面(又は、底)にめっきされた1つ以上の金属薄膜層を示す。背面金属層11に含まれる各金属薄膜層に利用される材料は、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、又は金(Au)であることに留意すべきである。背面金属層11が、積層された複数の金属薄膜層を含むとき、それぞれ2つの隣接する金属膜に利用される材料は異なる。任意選択で、背面金属層11に含まれる複数の金属薄膜層に別々に利用される材料は異なる。
【0055】
背面金属層11が半導体デバイス10の背面に配置されるとき、“半導体デバイス10の背面と熱伝導体20の一の表面とが金属結合を利用して互いに結合される”ことは、具体的には、背面金属層11の、熱伝導体の表面に対抗する面が、金属結合を利用して熱伝導体の表面に結合されることを示す。
【0056】
この出願で説明される半導体デバイス10の基板は、シリコン基板、シリコンカーバイド基板、窒化ガリウム基板、単結晶ダイヤモンド基板、又は多結晶ダイヤモンド基板である。
【0057】
任意選択で、半導体デバイス10は、能動デバイス層12を含む。能動デバイス層12は、半導体デバイス10の前面(“半導体デバイス10の背面”は上で定義されており、半導体デバイス10の前面は、半導体デバイス10の背面と反対側にある面を示す)に配置される。能動デバイス層12は、具体的には、シリコンデバイス層、又はワイドバンドギャップ半導体デバイス層であってよい。能動デバイス層12は、シリコンカーバイド、窒化ガリウム、又は酸化ガリウムであってよい。
【0058】
任意選択で、半導体デバイス10は、チップである。
【0059】
この出願の他の実施形態において、ヒートシンクが、放熱基板30の背面にさらに配置されうる。ヒートシンクは、放熱基板30から外部に熱を伝達するように構成される。放熱基板30の背面は、放熱基板30の固定面とは反対側にある。ヒートシンクは、具体的には、ヒートシンクフィンであってよい。さらに、ヒートシンクは、熱伝導性材料、熱伝導体、又は熱界面材料(TIM)を利用して放熱基板30の背面に固定されてよい。熱伝導性材料(又は、熱伝導体)は、この出願の以下の実施形態において提供される熱伝導性材料(又は、熱伝導体)であってよく、又は、他の熱伝導性材料(又は、他の熱伝導体)であってよい。
【0060】
任意選択で、放熱基板30は、金属基板、ダイヤモンド基板、銅で覆われたセラミック基板、シリコンカーバイド基板、又は窒化アルミニウム基板であってよい。放熱基板30は、さらに、ダイヤモンド及び金属を含む複合材料でできた基板であってよい。
【0061】
任意選択で、放熱基板30は、金属(即ち、金属基板)であってよく、又は、表面金属層でコーティングされた基板であってよく、表面金属層の材料は、銅、ニッケル、銀、又は金のうちの1つ以上である。
【0062】
この出願は、熱伝導体をさらに提供する。熱伝導体20は、上記のパッケージ構造に適用されてよく、半導体デバイス10によって生成された熱を放熱基板30に伝達し、放熱基板30を利用して熱を外部に伝達するように構成される。
【0063】
図2は、この出願による、熱伝導体20の模式図である。具体的には、熱伝導体20は、基盤28と、ダイヤモンド粒子21と、第1の金属ナノ粒子25とを含む。ダイヤモンド粒子21と第1の金属ナノ粒子25とは、基盤28内に均一に分布している。ダイヤモンド粒子21の外表面は、カーバイド膜層22、第1の金属膜層23、及び第2の金属膜層24で順に
コーティングされることに留意すべきである。カーバイド膜層22は、ダイヤモンド粒子21の外表面に接しており、ダイヤモンド粒子21の外表面の全体を被覆している。第1の金属膜層23は、カーバイド膜層22と第2の金属膜層24との間に配置され、カーバイド膜層22の外表面の全体を被覆している。第2の金属膜層24は、第1の金属膜層23の外表面に配置され、第1の金属膜層23の外表面の全体を被覆している。
【0064】
複数の膜層を利用してダイヤモンド粒子21の外表面を順にコーティングする目的は、ダイヤモンド粒子21の表面熱抵抗を低減することにあることに留意すべきである。従って、この出願における“外表面の全体をコーティングする(又は、覆う)”とは、外表面の全体をコーティングする(又は、覆う)ことであってよく、又は、外表面のほとんど全体をコーティングする(又は、覆う)こと、例えば、外表面の95%以上をコーティングする(又は、覆う)ことであってよい。この出願における“外表面の全体をコーティングする(又は、覆う)こと”は、技術レベルによって制限され、従って、実際には、外表面の全てを被覆する(又は、覆う)ことでなくてよいと理解すべきである。具体的には、この出願において、“外表面の全体をコーティングする(又は、覆う)こと”の理解は、当業者の理解に基づくものであり、また、この実施形態の発明目的が達成できるかどうかに基づくものであるべきである。
【0065】
基盤28は、有機ポリマーであってよい。ダイヤモンド粒子21及び第1の金属ナノ粒子25は、有機ポリマー内に均一に分布しうる。
【0066】
任意選択で、ダイヤモンド粒子21の粒径(即ち、直径)は、マイクロメートルのレベルである。ダイヤモンド粒子21の粒径は、0.01マイクロメートル以上、かつ200マイクロメートル未満であってよい。例えば、ダイヤモンド粒子21の平均粒径は、5マイクロメートルである。ダイヤモンド粒子21の形状が球形でないため、ダイヤモンド粒子21の粒径は、ダイヤモンド粒子21の平均粒径と理解されうる。加えて、この出願のどこかで“粒子の粒径”が言及されるとき、それもまた、粒子の平均粒径と理解されるべきである。
【0067】
さらに、この実施形態において、ダイヤモンド粒子21は、全てマイクロメートルレベルの粒径を持つダイヤモンド粒子であってもよいし、又は、マイクロメートルレベルの粒子直径を持つダイヤモンド粒子と、ナノメートルレベルの粒径を持つダイヤモンド粒子との両方を含んでもよい。ナノメートルレベルのダイヤモンド粒子は比較的小さいため、ダイヤモンド粒子の表面積も、比較的小さい。マイクロメートルレベルの複数のダイヤモンド粒子が、ナノメートルレベルの複数のダイヤモンド粒子と同じ体積を有する場合、ナノメートルレベルの複数のダイヤモンド粒子の総表面積は、比較的大きいため、界面熱抵抗も比較的大きく、比較的貧弱な熱伝導効果をもたらす。
【0068】
任意選択で、ダイヤモンド粒子21は、単結晶ダイヤモンド粒子、多結晶ダイヤモンド粒子、又は、単結晶ダイヤモンド粒子と多結晶ダイヤモンド粒子との両方であってよい。
【0069】
任意選択で、熱伝導体20において、ダイヤモンド粒子21の容積比は、0.05%以上、かつ80%以下であるか、又は、ダイヤモンド粒子21の容積比は、5%以上、かつ80%以下であるか、又は、ダイヤモンド粒子の容積比は、10%以上、かつ80%以下である。
【0070】
この出願において提供される熱伝導体における基盤28の容積比は、10%以下であってよいことに留意すべきである。さらに、基盤28の容積比は、1%以下であってよい。
【0071】
この実施形態において、カーバイド膜層22は、タングステンカーバイド(WC又はW2C)膜層、チタンカーバイド(TiC)膜層、クロムカーバイド(Cr3C2, Cr3C7又はCr23C7)膜層、モリブデンカーバイド(MoC又はMo2C)膜層、ニッケルカーバイド(Ni3C)膜層、又はシリコンカーバイド(SiC)膜層であることに留意すべきである。具体的には、カーバイド膜層22がタングステンカーバイド膜層であるとき、タングステンカーバイド膜層の材料は、タングステンカーバイド(WC)であってよく、ジタングステンカーバイド(W2C)であってよく、又は、タングステンカーバイド(WC)とジタングステンカーバイド(W2C)との両方を含んでよい。カーバイド膜層22がクロムカーバイド膜層であるとき、クロムカーバイド膜層の材料は、Cr3C2(Cr3C2)、Cr3C7(Cr3C7)又はCr23C7(Cr23C7)のうちの1つ以上である。カーバイド膜層22がモリブデンカーバイド膜層であるとき、モリブデンカーバイド膜層に利用される材料は、モリブデンカーバイド(MoC)であってよく、ジモリブデンカーバイド(Mo2C)であってよく、又は、モリブデンカーバイド(MoC)とジモリブデンカーバイド(Mo2C)との両方を含んでよい。加えて、この実施形態において、カーバイド膜層22の厚さは、10ナノメートル以上、かつ500ナノメートル以下である。
【0072】
第1の金属膜層23に利用される材料は、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、又はパラジウム(Pd)であることに留意すべきである。さらに、第1の金属膜層23の厚さは、10ナノメートル以上、かつ500ナノメートル以下である。
【0073】
第2の金属膜層24は、金属薄膜層、又は積層された複数の金属薄膜層を含むことに留意すべきである。各金属薄膜層に利用される材料は、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、ビスマス(Bi)、アルミニウム(Al)、アルミナなどである。第2の金属膜層24が、積層された複数の金属薄膜層を含むとき、積層された複数の金属薄膜層内のそれぞれ2つの隣接する金属膜に利用される材料は異なる。任意選択で、第2の金属膜層24に含まれる積層された複数の金属薄膜層に別々に利用される材料は異なる。第2の金属膜層24の厚さは、0.1マイクロメートル以上、かつ10マイクロメートル以下である。例えば、第2の金属膜層24の厚さは、1マイクロメートルであってよい。
【0074】
この実施形態において、第1の金属ナノ粒子25に利用される材料は、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、スズ(Sn)のうちの1つ以上であることに留意すべきである。具体的には、第1の金属ナノ粒子25は、以下の金属粒子、即ち、銅粒子と、金粒子と、銀粒子と、スズ粒子と、銀でコーティングされた銅と、銅、銀、金、及びスズのいずれか2つ又は3つで形成される合金の粒子とのうちの1つ以上であってよい。“複数の”は、この出願において、2より大きいことを意味することに留意すべきである。“銀でコーティングされた銅”は、銅球の外側に銀層をコーティングすることを示す。“銅、銀、金、及びスズのいずれか2つ又は3つで形成される合金の粒子”は、例えば、銅-銀合金粒子、銀-銅合金粒子、銅-金合金粒子、金-銅合金粒子、銅-スズ合金粒子、スズ-銅合金粒子、又は銅-銀-スズ合金粒子であってよい。任意選択で、第1の金属ナノ粒子25の粒径は、10ナノメートル以上、かつ500ナノメートル以下である。例えば、第1の金属ナノ粒子25は、30ナノメートルの平均粒径を持つ銀粒子である。
【0075】
図3に示すように、第1の金属ナノ粒子25の一部は、金属結合を利用して、第2の金属膜層24の外表面に結合されることに留意すべきである。より正確には、第1の金属ナノ粒子25の一部は、金属結合を利用して、第2の金属膜層24の外表面で金属イオンに結合される。それに対応して、隣接する第1の金属ナノ粒子25は、また、金属結合を利用して、互いに結合されうる。
【0076】
第2の金属膜層24の外表面の表面熱抵抗を低減するために、他の実施形態では、
図4に示すように、第2の金属ナノ粒子27は、さらに、第2の金属膜層24の外表面で成長されうる。このことから、第2の金属ナノ粒子27と、第1の金属ナノ粒子25との間の違いは、第2の金属ナノ粒子27が第2の金属膜層24の外表面で成長されることであり、第1の金属ナノ粒子
25が、金属結合を利用して、第2の金属膜層24の外表面で金属イオンに結合されると理解できる。第2の金属ナノ粒子27は、金粒子、銀粒子、又は銅粒子のうちの少なくとも1つである。この実施形態において、互いに隣接する第2の金属ナノ粒子27及び第1の金属ナノ粒子25は、金属結合を利用して、互いに結合されうる。第2の金属ナノ粒子27の粒径は、10ナノメートル以上、200ナノメートル以下であることにさらに留意すべきである。任意選択で、第2の金属ナノ粒子27は、第2の金属膜層24の外表面に均一に成長される。
【0077】
図4を参照すると、第1の金属ナノ粒子25とダイヤモンド粒子21、又は、第1の金属ナノ粒子25と、第2の金属ナノ粒子27と、ダイヤモンド粒子21とは、熱伝導体20の一の表面から他の表面へと通じる熱伝導経路を形成する。
【0078】
第1の金属ナノ粒子25と第2の金属膜層24の外表面との間の金属結合、隣接する第1の金属ナノ粒子25の間の金属結合、又は、第2の金属ナノ粒子27と第1の金属ナノ粒子25との間の金属結合は、300℃を超えない温度で、金属結合を形成するために材料上で実行される焼結処理を通じて、全て実現されうることに留意すべきである。例えば、第2の金属ナノ粒子27及び第1の金属ナノ粒子25は、300℃を超えない温度で焼結される。このようにすると、金属結合は、互いに隣接する第2の金属ナノ粒子27と第1の金属ナノ粒子25との間に形成されうる。
【0079】
この出願において提供される熱伝導体の熱伝導率を実現するために、他の実施形態では、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、又はグラフェンの1つ以上が、基盤28内で均一に混合されてよい。
【0080】
この出願は、熱伝導性材料をさらに提供する。熱伝導性材料は、有機ポリマー、第1の金属ナノ粒子、及びダイヤモンド粒子を含む。ダイヤモンド粒子及び第1の金属ナノ粒子は、有機ポリマー内に均一に分布する。ダイヤモンド粒子の外表面は、カーバイド膜層、第1の金属膜層、及び第2の金属膜層で順にコーティングされる。熱伝導性材料についての実施形態と、熱伝導体についての上記の実施形態とは、多くの同じ部分(同じ部分については、熱伝導体についての上記の実施形態が参照されてよく、詳細については、ここでは再び説明されない)を有することに留意すべきである。2つの実施形態の違いは、有機ポリマーが流体であり、従って、熱伝導性材料も流体であることにある。上記の実施形態において説明された熱伝導体は、熱伝導性材料が加熱されて焼結された後に得られうる。上記の熱伝導体は固体であると理解すべきである。例えば、上記の実施形態において説明された熱伝導体は、300℃を超えない温度で、熱伝導性材料が加熱されて焼結された後に形成されうる。従って、熱伝導性材料内の有機ポリマーの容積比は、熱伝導体内の有機ポリマーの容積比より大きいことが容易に理解される。
【0081】
上記の説明は、本発明の実施形態の単なる具体的な説明に過ぎず、この出願の保護範囲を限定することを意図していないことに留意すべきである。この出願において開示された技術的範囲内で、当業者によって直ちに理解される任意の変形又は置換は、この出願の保護範囲に収まるべきである。従って、この出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲を対象とすべきである。加えて、上記の実施形態に対する相互参照がなされうる。
【国際調査報告】