(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】薬物投与スキームを決定するように構成された薬物投与システム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20221116BHJP
A61M 5/46 20060101ALI20221116BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
A61M5/20 550
A61M5/46
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518951
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 IB2020058970
(87)【国際公開番号】W WO2021059214
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514010601
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】アルバーティニ,フランチェスコ エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】バコス,グレゴリー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ディウバルディ,アンソニー アール.
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ジェイソン エル.
(72)【発明者】
【氏名】ハッチンソン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】レクィア,ウォウター ジャック ノエル
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン ザ フォース,フレデリク イー.
(72)【発明者】
【氏名】ザボ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェソール,スティーブン エム.
【テーマコード(参考)】
4C066
4C084
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C066EE14
4C066HH12
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4C066QQ72
4C066QQ76
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4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ84
4C066QQ85
4C084AA17
4C084NA10
(57)【要約】
概して、薬物を投与するためのシステムが提供される。例示的な一実施形態では、薬物投与システムは、コンピュータシステムと通信するように構成された薬物投与デバイスと、少なくとも1つのセンサであって、センサデータを取得し、かつセンサデータを薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのセンサと、を含む。薬物投与デバイスは、薬物が患者に送達されるときに第1の薬物投与スキームを利用することと、第1の薬物投与スキームに従って第1の薬物の送達中及び/又は送達後に、コンピュータシステムからの投与データ及びセンサによって収集されたセンサデータに依存して患者に薬物を送達するための第2の薬物投与スキームを決定することと、薬物が患者に送達されるときに第2の薬物投与スキームを利用することと、を行うように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物投与システムであって、
薬物投与デバイスであって、前記薬物投与デバイスが、コンピュータシステムの通信インターフェースと通信するように構成された通信インターフェースを備える、薬物投与デバイスと、
少なくとも1つのセンサであって、センサデータを取得し、かつ前記センサデータを前記薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのセンサと、を備え、
前記薬物投与デバイスが、
薬物が前記薬物投与デバイスから患者に送達されるときに、第1の薬物投与スキームを利用することと、
前記薬物を前記薬物投与デバイスから前記患者に送達するための第2の薬物投与スキームを決定することであって、前記第2の薬物投与スキームが、前記コンピュータシステムからの投与データ、及び前記少なくとも1つのセンサからの前記センサデータに依存しており、前記センサデータが、前記第1の薬物投与スキームに従って前記薬物の送達中及び/又は送達後に、前記少なくとも1つのセンサによって取得される、決定することと、
前記薬物が前記薬物投与デバイスから前記患者に送達されるときに、前記第2の薬物投与スキームを利用することと、
を行うように構成されている、薬物投与システム。
【請求項2】
前記薬物投与デバイスは、前記薬物が前記薬物投与デバイスから前記患者に送達されるときに、前記第1の薬物投与スキームを利用する前に、前記薬物を前記患者に送達するための前記第1の薬物投与スキームを決定するように構成されている、請求項1に記載の薬物投与システム。
【請求項3】
薬物投与システムであって、
薬物投与デバイスであって、前記薬物投与デバイスが、コンピュータシステムの通信インターフェースと通信するように構成された通信インターフェースを備える、薬物投与デバイスと、
少なくとも1つのユーザインターフェースであって、ユーザ入力データを取得し、かつ前記ユーザ入力データを前記薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのユーザインターフェースと、を備え、
前記薬物投与デバイスが、
薬物が前記薬物投与デバイスから患者に送達されるときに、第1の薬物投与スキームを利用することと、
前記薬物を前記薬物投与デバイスから前記患者に送達するための第2の薬物投与スキームを決定することであって、前記第2の薬物投与スキームが、前記コンピュータシステムからの投与データ、及び前記少なくとも1つのユーザインターフェースからの前記ユーザ入力データに依存しており、前記ユーザ入力データが、前記第1の薬物投与スキームに従って前記薬物投与デバイスからの前記薬物の送達中及び/又は送達後に、前記ユーザインターフェースによって取得される、決定することと、
前記薬物が前記薬物投与デバイスから前記患者に送達されるときに、前記第2の薬物投与スキームを利用することと、
を行うように構成されている、薬物投与システム。
【請求項4】
前記薬物投与デバイスは、前記薬物が前記薬物投与デバイスから前記患者に送達されるときに、前記第1の薬物投与スキームを利用する前に、前記薬物を前記薬物投与デバイスから前記患者に送達するための前記第1の薬物投与スキームを決定するように構成されている、請求項3に記載の薬物投与システム。
【請求項5】
センサデータを取得し、かつ前記センサデータを前記薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのセンサを更に備え、
前記薬物投与デバイスが、前記少なくとも1つのセンサからの前記センサデータに更に依存する前記第2の薬物投与スキームを決定するように構成されており、前記センサデータが、前記第1の薬物投与スキームに従って前記薬物投与デバイスから前記薬物の前記送達中及び/又は前記送達後に、前記少なくとも1つのセンサによって取得される、請求項3又は4に記載の薬物投与システム。
【請求項6】
前記第1及び第2の薬物投与スキームの各々が、各々、以下の薬物投与パラメータ、すなわち、
薬物送達速度、
薬物送達時間及び/若しくは日付、
薬物送達体積、並びに
薬物送達持続期間のうちの1つ又は2つ以上を指定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の薬物投与システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサが、
前記患者の状態に関するセンサデータを取得するように構成された患者監視センサと、
前記薬物投与デバイスに関するセンサデータを取得するように構成されたデバイスセンサと、
前記薬物投与デバイスが存在する環境に関するセンサデータを取得するように構成された環境センサと、
前記薬物投与デバイスの地理的位置に関するセンサデータを取得するように構成された位置センサと、のうちの1つ又は2つ以上を備える、請求項1;請求項2;請求項3若しくは4に従属する場合の請求項5;又は請求項1、2、及び5のいずれか一項に従属する場合の請求項6に記載の薬物投与システム。
【請求項8】
外部センサデータを取得し、かつ前記外部センサデータを前記コンピュータシステムに通信するように構成された少なくとも1つの外部センサを更に備え、
前記第2の薬物投与スキームが、前記コンピュータシステムからの外部センサデータに依存して更に決定される、請求項1~7のいずれか一項に記載の薬物投与システム。
【請求項9】
第2の薬物投与デバイスであって、前記第2の薬物投与デバイスが、前記コンピュータシステムの前記通信インターフェースと通信するように構成された通信インターフェースを備える、第2の薬物投与デバイスと、
少なくとも1つのセンサであって、補助センサデータを取得し、かつ前記補助センサデータを前記第2の薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのセンサと、を更に備え、
前記第2の薬物投与スキームが、前記コンピュータシステムからの前記補助センサデータに依存して更に決定される、請求項1~8のいずれか一項に記載の薬物投与システム。
【請求項10】
第2の薬物投与デバイスであって、前記第2の薬物投与デバイスが、前記コンピュータシステムの前記通信インターフェースと通信するように構成された通信インターフェースを備える、第2の薬物投与デバイスと、
少なくとも1つのユーザインターフェースであって、補助ユーザ入力データを取得し、かつ前記補助ユーザ入力データを前記第2の薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのユーザインターフェースと、を更に備え、
前記第2の薬物投与スキームが、前記コンピュータシステムからの前記補助ユーザ入力データに依存して更に決定される、請求項1~8のいずれか一項に記載の薬物投与システム。
【請求項11】
補助センサデータを取得し、かつ前記補助センサデータを前記第2の薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのセンサを更に備え、
前記第2の薬物投与スキームが、前記コンピュータシステムからの前記補助センサデータに依存して更に決定される、請求項10に記載の薬物投与システム。
【請求項12】
補助センサデータを取得するように構成された前記少なくとも1つのセンサが、
患者の状態に関する補助センサデータを取得するように構成された患者監視センサと、
前記第2の薬物投与デバイスに関する補助センサデータを取得するように構成されたデバイスセンサと、
前記第2の薬物投与デバイスが存在する環境に関する補助センサデータを取得するように構成された環境センサと、
前記第2の薬物投与デバイスの地理的位置に関する補助センサデータを取得するように構成された位置センサと、のうちの1つ又は2つ以上を備える、請求項9又は11に記載の薬物投与システム。
【請求項13】
前記薬物投与デバイスが、オートインジェクタであり、
前記第1及び第2の薬物投与スキームが、各々、以下の投与パラメータ、すなわち、
前記患者への前記薬物の送達中の吐出ノズルの吐出ノズル前進深さ、
前記患者への前記薬物の送達中の前記吐出ノズルの吐出ノズル速度、及び
前記患者への前記薬物の送達中の前記吐出ノズルの吐出ノズル加速度のうちの1つ又は2つ以上を指定する、請求項1~12のいずれか一項に記載の薬物投与システム。
【請求項14】
前記薬物投与デバイスが、吸入器である、請求項1~10のいずれか一項に記載の薬物投与システム。
【請求項15】
前記薬物投与デバイスが、注入ポンプである、請求項1~10のいずれか一項に記載の薬物投与システム。
【請求項16】
前記第1の薬物投与スキームが、前記コンピュータシステムから通信される投与データに依存して決定される、請求項2若しくは4、又は請求項2若しくは4に従属する場合の請求項5~15のいずれか一項に記載の薬物投与システム。
【請求項17】
前記第1及び第2の薬物投与スキームが、以下の薬物投与パラメータ、すなわち、
薬物送達速度、
薬物送達体積、及び
薬物送達持続期間のうちの1つ又は2つ以上を指定し、
前記第1の薬物投与スキームにおける前記パラメータのうちの1つ又は2つ以上の値が、前記第2の薬物投与スキームにおける対応するパラメータの値とは異なる、請求項1~16のいずれか一項に記載の薬物投与システム。
【請求項18】
前記薬物が、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の薬物投与システム。
【請求項19】
薬物を患者に送達するための薬物投与スキームを決定する方法であって、前記方法が、
薬物投与デバイスを使用して、第1の薬物投与スキームに従って、薬物を患者に送達することと、
センサを使用して、センサデータを取得することと、
前記薬物を前記薬物投与デバイスから前記患者に送達するための第2の薬物投与スキームを、前記センサデータ及びコンピュータシステムからの投与データに依存して、前記薬物投与デバイス上で決定することと、
前記薬物投与デバイスを使用して、前記第2の薬物投与スキームに従って、前記薬物を前記患者に送達することと、を含む、方法。
【請求項20】
第1の薬物投与スキームに従って前記患者に前記薬物を送達する前に、前記患者に前記薬物を送達するための前記第1の薬物投与スキームを、前記薬物投与デバイス上で決定することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記薬物が、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
薬物を患者に送達するための薬物投与スキームを決定する方法であって、前記方法が、
薬物投与デバイスを使用して、第1の薬物投与スキームに従って、薬物を患者に送達することと、
ユーザインターフェースを使用して、ユーザ入力データを取得することと、
薬物を前記薬物投与デバイスから患者に送達するための第2の薬物投与スキームを、前記ユーザ入力データ及びコンピュータシステムからの投与データに依存して、前記薬物投与デバイス上で決定することと、
前記薬物投与デバイスを使用して、前記第2の薬物投与スキームに従って、前記薬物を前記患者に送達することと、を含む、方法。
【請求項23】
第1の薬物投与スキームに従って前記患者に前記薬物を送達する前に、前記患者に前記薬物を送達するための前記第1の薬物投与スキームを、前記薬物投与デバイス上で決定することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
センサを使用して、センサデータを取得することと、
前記センサデータに更に依存して、前記薬物を前記患者に送達するための前記第2の薬物投与スキームを決定することと、を更に含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1及び第2の薬物投与スキームの各々が、薬物送達速度、薬物送達体積、及び薬物送達持続期間のうちの少なくとも1つを指定する、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記センサを使用して、センサデータを取得することが、
患者監視センサを使用して、前記患者の状態に関するセンサデータを取得することと、
デバイスセンサを使用して、前記薬物投与デバイスに関するセンサデータを取得することと、
環境センサを使用して、前記薬物投与デバイスが存在する環境に関するセンサデータを取得することと、
位置センサを使用して、前記薬物投与デバイスの地理的位置に関するセンサデータを取得することと、のうちの少なくとも1つを含む、請求項19~21、又は請求項19、21、若しくは24に従属する場合の請求項25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
外部センサを使用して、外部センサデータを取得することを更に含み、
前記薬物を前記患者に送達するための前記第2の薬物投与スキームを決定することが、前記外部センサデータに更に依存して前記第2の薬物投与スキームを決定することを含む、請求項19~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
補助センサを使用して、補助センサデータを取得することと、
前記補助センサデータを第2の薬物投与デバイスに通信することと、を更に含み、
前記薬物を前記患者に送達するための前記第2の薬物投与スキームを決定することが、前記補助センサデータに更に依存して、前記患者に前記薬物を送達するための前記第2の薬物投与スキームを決定することを含む、請求項19~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ユーザインターフェースを使用して、補助ユーザ入力データを取得することと、
前記補助ユーザ入力を前記第2の薬物投与デバイスに通信することと、を更に含み、
前記薬物を前記患者に送達するための前記第2の薬物投与スキームを決定することが、前記補助ユーザ入力データに更に依存して、前記薬物を前記患者に送達するための前記第2の薬物投与スキームを決定することを含む、請求項19~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
補助センサを使用して、補助センサデータを取得することと、
前記補助センサデータを前記第2の薬物投与デバイスに通信することと、を更に含み、
前記薬物を前記患者に送達するための前記第2の薬物投与スキームを決定することが、前記補助センサデータに更に依存して、前記薬物を前記患者に送達するための前記第2の薬物投与スキームを決定することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記センサを使用して、補助センサデータを取得することが、
患者監視センサを使用して、前記患者の状態に関する補助センサデータを取得することと、
デバイスセンサを使用して、前記薬物投与デバイスに関する補助センサデータを取得することと、
環境センサを使用して、前記薬物投与デバイスが存在する環境に関する補助センサデータを取得することと、
位置センサを使用して、前記薬物投与デバイスの地理的位置に関する補助センサデータを取得することと、のうちの少なくとも1つを含む、請求項28又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記薬物投与デバイスが、オートインジェクタであり、
前記第1及び第2の薬物投与スキームを決定することが、以下の投与パラメータ、すなわち、
前記患者への前記薬物の送達のための吐出ノズルの吐出ノズル前進深さ、
前記患者への前記薬物の送達のための前記吐出ノズルの吐出ノズル速度、及び
前記患者への前記薬物の前記送達のための前記吐出ノズルの吐出ノズル加速度のうちの1つ又は2つ以上を指定することを含む、請求項19~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記薬物送達デバイスが、吸入器である、請求項19~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記薬物送達デバイスが、注入ポンプである、請求項19~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、
投与データをコンピュータシステムから前記薬物投与デバイスに通信することと、
前記薬物を前記患者に送達するための第1の薬物投与スキームを、前記投与データに依存して、前記薬物投与デバイス上で決定することと、を更に含む、請求項21若しくは23、又は請求項21若しくは23に従属する場合の請求項24~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記第1及び第2の薬物投与スキームが、以下の薬物投与パラメータ、すなわち、
薬物送達速度、
薬物送達体積、及び
薬物送達持続期間のうちの1つ又は2つ以上を指定し、
前記第1の薬物投与スキームにおける前記パラメータのうちの1つ又は2つ以上の値が、前記第2の薬物投与スキームにおける対応するパラメータの値とは異なる、請求項19~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記薬物が、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含む、請求項22~36のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、薬物の投与及び/又は提供のためのデバイスに関する。本開示は更に、デバイスが使用され得るシステム、及び投与の方法、並びにシステムに関連付けられた更なる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬製品(大分子及び小分子医薬品、以下「薬物」、を含む)は、特定の医療適応症の治療のために、様々な異なる方法で患者に投与される。投与の様式に関係なく、患者への悪影響を回避するために、薬物を投与する際には注意しなければならない。例えば、安全な量を超える量の薬物を患者に投与しないように、注意しなければならない。これは、与えられる用量の量、及び用量が、時には以前の用量又は他の薬物の用量に関連して送達される時間枠の考慮を必要とする。更に、誤った薬物、又はその年月若しくは保存条件によって劣化した薬物を患者に不注意に投与しないように、注意しなければならない。これらの考慮事項の全ては、特定の薬物又は薬物の組み合わせに関連付けられた手引きで伝達され得る。しかしながら、この手引きは、例えば、ヒューマンエラーなどのミスにより、必ずしも正しく従われない。これは、患者への悪影響につながるか、又は不適切な薬物投与をもたらす可能性があり、例えば、特定の医療適応症に対して、不十分又は過剰な体積の薬が投与される。
【0003】
薬物は、典型的には、薬物投与スキームに従って、患者に投与される。薬物投与スキームは、投与される薬物の体積、薬物投与の頻度、薬物投与の時間などを指定し得る。典型的には、医師又は他の医療専門家が、患者の体重、身長、及び年齢などの投与データに基づいて、患者のための開始薬物投与スキームを確立する。しかしながら、この開始薬物投与スキームは、最適でない場合があり、更に、薬物投与スキームに対する患者の応答に影響を及ぼすが、経時的に変化する要因を考慮しない。したがって、患者は、医師と幅広く協力して薬物投与スキームを最適化し、それにより、薬物投与スキームが効果的であることを確実にするために、薬物投与スキームに対する自分たちの応答、及び自分たちの応答に影響を及ぼし得る要因の両方を監視しなければならない場合がある。
【0004】
薬物投与スキームの最適化は、開始薬物投与スキームに対する患者コンプライアンス、及び患者の症状の正確で定期的な監視に大きく依存する。更に、場合によっては、患者は、多数の要因を監視し、これらの要因の全てを考慮して、投与スキームの調整を計算することを求められることがある。患者が全ての必要な要因を適切に考慮することができないか、又は自分たちの症状を適切に監視しない場合、薬物投与スキームは、適宜に調整されない可能性があり、そのため、効果的でないことがある。
【0005】
薬物が患者にどのように投与されるかに関して、使用され得る様々な剤形がある。例えば、これらの剤形は、1つ又は2つ以上の薬物の非経口、吸入、経口、点眼、点鼻、局所、及び坐剤の形態を含み得る。
【0006】
剤形は、薬物投与デバイスを介して患者に直接投与され得る。シリンジ、注射デバイス(例えば、オートインジェクタ、ジェットインジェクタ、及び注入ポンプ)、点鼻スプレー装置、及び吸入器を含む、様々な剤形の送達に一般的に利用可能な多くの異なるタイプの薬物投与デバイスが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、薬物投与システムであって、一実施形態において、コンピュータシステムの通信インターフェースと通信するように構成された通信インターフェースを含む薬物投与デバイスを含む、薬物投与システムが提供される。薬物投与デバイスはまた、少なくとも1つのセンサであって、センサデータを取得し、かつセンサデータを薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのセンサを含む。薬物投与デバイスは、薬物が薬物投与デバイスから患者に送達されるときに、第1の薬物投与スキームを利用することと、薬物投与デバイスから患者に薬物を送達するための第2の薬物投与スキームを決定することと、を行うように、構成されている。第2の薬物投与スキームは、コンピュータシステムからの投与データと、少なくとも1つのセンサからのセンサデータとに依存する。センサデータは、第1の薬物投与スキームに従って薬物を送達中及び/又は送達後に、少なくとも1つのセンサによって取得される。薬物投与デバイスはまた、薬物が薬物投与デバイスから患者に送達されるときに、第2の薬物投与スキームを利用するように構成されている。
【0008】
薬物投与デバイスは、様々な方法で変えることができる。例えば、薬物投与デバイスは、薬物が薬物投与デバイスから患者に送達されるときに、第1の薬物投与スキームを利用する前に、薬物を患者に送達するための第1の薬物投与スキームを決定するように構成され得る。更に別の例では、第1及び第2の薬物投与スキームの各々は、各々、以下の薬物投与パラメータ、すなわち、薬物送達速度、薬物送達時間及び/若しくは日付、薬物送達体積、並びに薬物送達持続期間のうちの1つ又は2つ以上を指定し得る。別の例では、少なくとも1つのセンサは、患者の状態に関するセンサデータを取得するように構成された患者監視センサと、薬物投与デバイスに関するセンサデータを取得するように構成されデバイスセンサと、薬物投与デバイスが存在する環境に関するセンサデータを取得するように構成された環境センサと、薬物投与デバイスの地理的位置に関するセンサデータを取得するように構成された位置センサと、のうちの1つ又は2つ以上を含み得る。更に別の例では、薬物投与システムはまた、少なくとも1つの外部センサであって、外部センサデータを取得し、かつ外部センサデータをコンピュータシステムに通信するように構成された少なくとも1つの外部センサを含み得、第2の薬物投与スキームは、コンピュータシステムからの外部センサデータに更に依存し得る。更に別の例では、薬物投与システムはまた、コンピュータシステムの通信インターフェースと通信するように構成された通信インターフェースを含む第2の薬物投与デバイスを含み得、薬物投与はまた、少なくとも1つのセンサであって、補助センサデータを取得し、かつ補助センサデータを第2の薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのセンサを含み得、第2の薬物投与スキームは、コンピュータシステムからの補助センサデータに依存して更に決定され得る。
【0009】
別の例では、薬物投与システムはまた、コンピュータシステムの通信インターフェースと通信するように構成された通信インターフェースを含む第2の薬物投与デバイスを含み得、薬物投与はまた、補助ユーザ入力データを取得し、かつ補助ユーザ入力データを第2の薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのユーザインターフェースを含み得、第2の薬物投与スキームは、コンピュータシステムからの補助ユーザ入力データに依存して更に決定され得る。少なくともいくつかの実施形態では、システムはまた、少なくとも1つのセンサであって、補助センサデータを取得し、かつ補助センサデータを第2の薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのセンサを含み得、第2の薬物投与スキームは、コンピュータシステムからの補助センサデータに依存して更に決定され得る。少なくとも1つのセンサは、患者の状態に関する補助センサデータを取得するように構成された患者監視センサと、第2の薬物投与デバイスに関する補助センサデータを取得するように構成されたデバイスセンサと、第2の薬物投与デバイスが存在する環境に関する補助センサデータを取得するように構成された環境センサと、第2の薬物投与デバイスの地理的位置に関する補助センサデータを取得するように構成された位置センサと、のうちの1つ又は2つ以上含む補助センサデータを取得するように構成され得る。
【0010】
別の例では、薬物投与デバイスは、オートインジェクタであり得、第1及び第2の薬物投与スキームは各々、以下の投与パラメータ、すなわち、患者への薬物の送達中の吐出ノズルの吐出ノズル前進深さ、患者への薬物の送達中の吐出ノズルの吐出ノズル速度、及び患者への薬物の送達中の吐出ノズルの吐出ノズル加速度のうちの1つ又は2つ以上を指定し得る。更に別の例では、薬物投与デバイスは、吸入器であり得る。更に別の例では、薬物投与デバイスは、注入ポンプであり得る。
【0011】
別の例では、第1の薬物投与スキームは、コンピュータシステムから通信される投与データに依存して決定され得る。更に別の例では、第1及び第2の薬物投与スキームは各々、薬物送達速度、薬物送達体積、及び薬物送達持続期間のうちの1つ又は2つ以上を指定し得、第1の薬物投与スキームにおけるパラメータのうちの1つ又は2つ以上の値は、第2の薬物投与スキームにおける対応するパラメータの値とは異なる。
【0012】
別の例では、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0013】
別の実施形態では、薬物投与システムは、コンピュータシステムの通信インターフェースと通信するように構成された通信インターフェースを含む薬物投与デバイスを含む。システムはまた、ユーザ入力データを取得し、かつユーザ入力データを薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのユーザインターフェースを含み、薬物投与デバイスは、薬物が薬物投与デバイスから患者に送達されるときに第1の薬物投与スキームを利用することと、薬物を患者に送達するための第2の薬物投与スキームを決定することと、を行うように構成されている。第2の薬物投与スキームは、コンピュータシステムからの投与データと、少なくとも1つのユーザインターフェースからのユーザ入力データとに依存する。ユーザ入力データは、第1の薬物投与スキームに従って薬物投与デバイスから薬物を送達中及び/又は送達後に、ユーザインターフェースによって取得される。薬物投与デバイスはまた、薬物が薬物投与デバイスから患者に送達されるときに、第2の薬物投与スキームを利用するように構成されている。
【0014】
薬物投与システムは、任意の数の変形例を有し得る。例えば、薬物投与デバイスは、薬物が薬物投与デバイスから患者に送達されるときに、第1の薬物投与スキームを利用する前に、薬物投与デバイスから患者に薬物を送達するための第1の薬物投与スキームを決定するように構成され得る。別の例では、システムは、少なくとも1つのセンサであって、センサデータを取得し、かつセンサデータを薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのセンサを含み得、薬物投与デバイスは、少なくとも1つのセンサからのセンサデータに更に依存して、第2の薬物投与スキームを決定するように構成され得、センサデータは、第1の薬物投与スキームに従って薬物投与デバイスから薬物を送達中及び/又は送達後に、少なくとも1つのセンサによって取得され得る。更に別の例では、第1及び第2の薬物投与スキームの各々は、各々、以下の薬物投与パラメータ、すなわち、薬物送達速度、薬物送達時間及び/又は日付、薬物送達体積、及び薬物送達持続期間のうちの1つ又は2つ以上を指定し得る。
【0015】
別の例では、少なくとも1つのセンサは、患者の状態に関するセンサデータを取得するように構成された患者監視センサと、薬物投与デバイスに関するセンサデータを取得するように構成されデバイスセンサと、薬物投与デバイスが存在する環境に関するセンサデータを取得するように構成された環境センサと、薬物投与デバイスの地理的位置に関するセンサデータを取得するように構成された位置センサと、のうちの1つ又は2つ以上を含み得る。
【0016】
別の例では、薬物投与システムはまた、少なくとも1つの外部センサであって、外部センサデータを取得し、かつ外部センサデータをコンピュータシステムに通信するように構成された少なくとも1つの外部センサを含み得、第2の薬物投与スキームは、コンピュータシステムからの外部センサデータに更に依存し得る。
【0017】
更に別の例では、薬物投与システムはまた、コンピュータシステムの通信インターフェースと通信するように構成された通信インターフェースを含む第2の薬物投与デバイスを含み得、薬物投与はまた、少なくとも1つのセンサであって、補助センサデータを取得し、かつ補助センサデータを第2の薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのセンサを含み得、第2の薬物投与スキームは、コンピュータシステムからの補助センサデータに依存して更に決定され得る。
【0018】
別の例では、薬物投与システムはまた、コンピュータシステムの通信インターフェースと通信するように構成された通信インターフェースを含む第2の薬物投与デバイスを含み得、薬物投与はまた、補助ユーザ入力データを取得し、かつ補助ユーザ入力データを第2の薬物投与デバイスに通信するように構成されている少なくとも1つのユーザインターフェースを含み得、第2の薬物投与スキームは、コンピュータシステムからの補助ユーザ入力データに依存して更に決定され得る。少なくともいくつかの実施形態では、システムはまた、少なくとも1つのセンサであって、補助センサデータを取得し、かつ補助センサデータを第2の薬物投与デバイスに通信するように構成された少なくとも1つのセンサを含み得、第2の薬物投与スキームは、コンピュータシステムからの補助センサデータに依存して更に決定され得る。少なくとも1つのセンサは、患者の状態に関する補助センサデータを取得するように構成された患者監視センサと、第2の薬物投与デバイスに関する補助センサデータを取得するように構成されたデバイスセンサと、第2の薬物投与デバイスが存在する環境に関する補助センサデータを取得するように構成された環境センサと、第2の薬物投与デバイスの地理的位置に関する補助センサデータを取得するように構成された位置センサと、のうちの1つ又は2つ以上含む補助センサデータを取得するように構成され得る。
【0019】
別の例では、薬物投与デバイスは、オートインジェクタであり得、第1及び第2の薬物投与スキームは各々、以下の投与パラメータ、すなわち、患者への薬物の送達中の吐出ノズルの吐出ノズル前進深さ、患者への薬物の送達中の吐出ノズルの吐出ノズル速度、及び患者への薬物の送達中の吐出ノズルの吐出ノズル加速度のうちの1つ又は2つ以上を指定し得る。更に別の例では、薬物投与デバイスは、吸入器であり得る。更に別の例では、薬物投与デバイスは、注入ポンプであり得る。
【0020】
別の例では、第1の薬物投与スキームは、コンピュータシステムから通信される投与データに依存して決定され得る。更に別の例では、第1及び第2の薬物投与スキームは各々、薬物送達速度、薬物送達体積、及び薬物送達持続期間のうちの1つ又は2つ以上を指定し得、第1の薬物投与スキームにおけるパラメータのうちの1つ又は2つ以上の値は、第2の薬物投与スキームにおける対応するパラメータの値とは異なる。
【0021】
別の例では、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0022】
別の態様では、薬物を患者に送達するための薬物投与スキームを決定する方法が提供され、一実施形態では、薬物投与デバイスを使用して、第1の薬物投与スキームに従って、薬物を患者に送達することと、センサを使用して、センサデータを取得することと、薬物を薬物投与デバイスから患者に送達するための第2の薬物送達スキームを、センサデータと、コンピュータシステムからの投与データとに依存して、薬物投与デバイス上で決定することと、薬物投与デバイスを使用して、第2の薬物投与スキームに従って、薬物を患者に送達することと、を含む。
【0023】
方法は、様々な変形例を有し得る。例えば、方法はまた、第1の薬物投与スキームに従って薬物を患者に送達する前に、薬物を患者に送達するための第1の薬物送達スキームを、薬物投与デバイス上で決定することを含み得る。
【0024】
更に別の例では、第1及び第2の薬物投与スキームの各々は、薬物送達速度、薬物送達体積、及び薬物送達持続期間のうちの少なくとも1つを指定し得る。更に別の例では、センサを使用して、センサデータを取得することは、患者監視センサを使用して、患者の状態に関するセンサデータを取得することと、デバイスセンサを使用して、薬物投与デバイスに関するセンサデータを取得することと、環境センサを使用して、薬物投与デバイスが存在する環境に関するセンサデータを取得することと、位置センサを使用して、薬物投与デバイスの地理的位置に関するセンサデータを取得することと、のうちの少なくとも1つを含む。別の例では、方法は、外部センサを使用して、外部センサデータを取得することを含み得、患者に薬物を送達するための第2の薬物投与スキームを決定することは、外部センサデータに更に依存して、第2の薬物投与スキームを決定することを含み得る。更に別の例では、方法は、補助センサを使用して、補助センサデータを取得することを含み得、方法は、補助センサデータを第2の薬物投与デバイスに通信することを含み得、患者に薬物を送達するための第2の薬物投与スキームを決定することは、補助センサデータに更に依存して、薬物を患者に送達するための第2の薬物投与スキームを決定することを含み得る。補助センサを使用して、補助センサデータを取得することは、患者監視センサを使用して、患者の状態に関する補助センサデータを取得することと、デバイスセンサを使用して、薬物投与デバイスに関する補助センサデータを取得することと、環境センサを使用して、薬物投与デバイスが存在する環境に関する補助センサデータを取得することと、位置センサを使用して、薬物投与デバイスの地理的位置に関する補助センサデータを取得することと、のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0025】
別の例では、方法は、ユーザインターフェースを使用して、補助ユーザ入力データを取得することを含み得、方法は、補助ユーザ入力を第2の薬物投与デバイスに通信することを含み得、患者に薬物を送達するための第2の薬物投与スキームを決定することは、補助ユーザ入力データに更に依存して、薬物を患者に送達するための第2の薬物投与スキームを決定することを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、方法は、補助センサを使用して、補助センサデータを取得することを含み得、方法は、補助センサデータを第2の薬物投与デバイスに通信することを含み得、患者に薬物を送達するための第2の薬物投与スキームを決定することは、補助センサデータに更に依存して、薬物を患者に送達するための第2の薬物投与スキームを決定することを含み得る。補助センサを使用して、補助センサデータを取得することは、患者監視センサを使用して、患者の状態に関する補助センサデータを取得することと、デバイスセンサを使用して、薬物投与デバイスに関する補助センサデータを取得することと、環境センサを使用して、薬物投与デバイスが存在する環境に関する補助センサデータを取得することと、位置センサを使用して、薬物投与デバイスの地理的位置に関する補助センサデータを取得することと、のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0026】
更に別の例では、薬物投与デバイスは、オートインジェクタであり得、第1及び第2の薬物投与スキームを決定することは、患者への薬物の送達のための吐出ノズルの吐出ノズル前進深さ、患者への薬物の送達のための吐出ノズルの吐出ノズル速度、及び患者への薬物の送達のための吐出ノズルの吐出ノズル加速度のうちの1つ又は2つ以上を指定することを含む。更に別の例では、薬物送達デバイスは、吸入器であり得る。別の例では、薬物送達デバイスは、注入ポンプであり得る。
【0027】
別の例では、方法は、投与データをコンピュータシステムから薬物投与デバイスに通信することと、患者に薬物を送達するための第1の薬物投与スキームを、投与データに依存して、薬物投与デバイス上で決定することと、を含み得る。更に別の例では、第1及び第2の薬物投与スキームは、以下の薬物投与パラメータ、すなわち、薬物送達速度、薬物送達体積、及び薬物送達持続期間のうちの1つ又は2つ以上を指定し得、第1の薬物投与スキームにおけるパラメータのうちの1つ又は2つ以上の値は、第2の薬物投与スキームにおける対応するパラメータの値とは異なる。
【0028】
別の例では、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0029】
別の実施形態では、薬物を患者に送達するための薬物投与スキームを決定する方法は、薬物投与デバイスを使用して、第1の薬物投与スキームに従って薬物を患者に送達することと、ユーザインターフェースを使用して、ユーザ入力データを取得することと、薬物を薬物投与デバイスから患者に送達するための第2の薬物送達スキームを、ユーザ入力データと、コンピュータシステムからの投与データとに依存して、薬物投与デバイス上で決定することと、薬物投与デバイスを使用して、第2の薬物投与スキームに従って、薬物を患者に送達することと、を含む。
【0030】
方法は、様々な方法で変えることができる。例えば、方法は、第1の薬物投与スキームに従って薬物を患者に送達する前に、薬物を患者に送達するための第1の薬物送達スキームを、薬物投与デバイス上で決定することを含み得る。別の例では、方法は、センサを使用して、センサデータを取得することと、薬物を患者に送達するための第2の薬物投与スキームを、センサデータに更に依存して決定することと、を含み得る。
【0031】
更に別の例では、第1及び第2の薬物投与スキームの各々は、薬物送達速度、薬物送達体積、及び薬物送達持続期間のうちの少なくとも1つを指定し得る。更に別の例では、センサを使用して、センサデータを取得することは、患者監視センサを使用して、患者の状態に関するセンサデータを取得することと、デバイスセンサを使用して、薬物投与デバイスに関するセンサデータを取得することと、環境センサを使用して、薬物投与デバイスが存在する環境に関するセンサデータを取得することと、位置センサを使用して、薬物投与デバイスの地理的位置に関するセンサデータを取得することと、のうちの少なくとも1つを含む。別の例では、方法は、外部センサを使用して、外部センサデータを取得することを含み得、患者に薬物を送達するための第2の薬物投与スキームを決定することとは、外部センサデータに更に依存して、第2の薬物投与スキームを決定することを含み得る。更に別の例では、方法は、補助センサを使用して、補助センサデータを取得することを含み得、方法は、補助センサデータを第2の薬物投与デバイスに通信することを含み得、患者に薬物を送達するための第2の薬物投与スキームを決定することは、補助センサデータに更に依存して、薬物を患者に送達するための第2の薬物投与スキームを決定することを含み得る。補助センサを使用して、補助センサデータを取得することは、患者監視センサを使用して、患者の状態に関する補助センサデータを取得することと、デバイスセンサを使用して、薬物投与デバイスに関する補助センサデータを取得することと、環境センサを使用して、薬物投与デバイスが存在する環境に関する補助センサデータを取得することと、位置センサを使用して、薬物投与デバイスの地理的位置に関する補助センサデータを取得することと、のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0032】
別の例では、方法は、ユーザインターフェースを使用して、補助ユーザ入力データを取得することを含み得、方法は、補助ユーザ入力aを第2の薬物投与デバイスに通信することを含み得、患者に薬物を送達するための第2の薬物投与スキームを決定することは、補助ユーザ入力データに更に依存して、薬物を患者に送達するための第2の薬物投与スキームを決定することを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、方法は、補助センサを使用して、補助センサデータを取得することを含み得、方法は、補助センサデータを第2の薬物投与デバイスに通信することを含み得、患者に薬物を送達するための第2の薬物投与スキームを決定することは、補助センサデータに更に依存して、薬物を患者に送達するための第2の薬物投与スキームを決定することを含み得る。補助センサを使用して、補助センサデータを取得することは、患者監視センサを使用して、患者の状態に関する補助センサデータを取得することと、デバイスセンサを使用して、薬物投与デバイスに関する補助センサデータを取得することと、環境センサを使用して、薬物投与デバイスが存在する環境に関する補助センサデータを取得することと、位置センサを使用して、薬物投与デバイスの地理的位置に関する補助センサデータを取得することと、のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0033】
更に別の例では、薬物投与デバイスは、オートインジェクタであり得、第1及び第2の薬物投与スキームを決定することは、患者への薬物の送達のための吐出ノズルの吐出ノズル前進深さ、患者への薬物の送達のための吐出ノズルの吐出ノズル速度、及び患者への薬物の送達のための吐出ノズルの吐出ノズル加速度のうちの1つ又は2つ以上を指定することを含む。更に別の例では、薬物送達デバイスは、吸入器であり得る。別の例では、薬物送達デバイスは、注入ポンプであり得る。
【0034】
別の例では、方法は、投与データをコンピュータシステムから薬物投与デバイスに通信することと、患者に薬物を送達するための第1の薬物投与スキームを、投与データに依存して、薬物投与デバイス上で決定することと、を含み得る。更に別の例では、第1及び第2の薬物投与スキームは、以下の薬物投与パラメータ、すなわち、薬物送達速度、薬物送達体積、及び薬物送達持続期間のうちの1つ又は2つ以上を指定し得、第1の薬物投与スキームにおけるパラメータのうちの1つ又は2つ以上の値は、第2の薬物投与スキームにおける対応するパラメータの値とは異なる。
【0035】
別の例では、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明は、以下のとおりである添付の図を参照して説明される。
【
図1】第1のタイプの薬物投与デバイス、すなわちオートインジェクタの概略図である。
【
図2】第2のタイプの薬物投与デバイス、すなわち注入ポンプの概略図である。
【
図3】第3のタイプの薬物投与デバイス、すなわち吸入器の概略図である。
【
図4】第4のタイプの薬物投与デバイス、すなわち点鼻スプレー装置の概略図である。
【
図5A】一般的な薬物投与デバイスの概略図である。
【
図5B】ユニバーサル薬物投与デバイスの概略図である。
【
図7】薬物投与デバイス及びハウジングが動作し得る通信ネットワークシステムの一実施形態の概略図である。
【
図8】薬物投与デバイス及びハウジングが動作し得るコンピュータシステムの一実施形態の概略図である。
【
図9】薬物投与システムの一実施形態の概略図である。
【
図10A】薬物投与システムの更なる一実施形態の概略図である。
【
図10B】
図10Aの実施形態のセンサによって取得されたデータを示す概略グラフである。
【
図11A】薬物送達システムの更なる一実施形態の概略図である。
【
図11B】
図11Aの実施形態のセンサによって取得されたデータを示す概略グラフである。
【
図12A】薬物投与システムの更なる一実施形態の概略図である。
【
図12B】
図12Aの実施形態のセンサによって取得されたデータを示す概略グラフである。
【
図13A】薬物投与システムの更なる一実施形態の概略図である。
【
図13B】
図13Aの実施形態のセンサによって取得されたデータを示す概略グラフである。
【
図14】薬物投与システムの更なる一実施形態の概略図である。
【
図15】薬物投与システムの更なる一実施形態の概略図である。
【
図16A】温度センサを含む薬物投与デバイスの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書に開示される装置、システム、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、特定の例示的実施形態について、これから説明する。これらの実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例解される。当業者であれば、本明細書で具体的に説明され、添付の図面に示されるデバイス、システム、及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義されることを理解するであろう。例示的な一実施形態に関連して例解又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0038】
更に、本開示においては、実施形態の同様の名称の構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の名称の各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。追加的に、開示されるシステム、デバイス、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される範囲において、かかる寸法は、かかるシステム、デバイス、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。当業者は、寸法が正確な値ではなくても、製作公差及び測定機器の感度などの諸々の要因により、その値に近い値であると考えられることを理解するであろう。システム及びデバイスのサイズ及び形状、並びにそれらの構成要素は、システム及びデバイスが共に使用される、少なくとも構成要素のサイズ及び形状に依存し得る。
【0039】
様々なタイプの薬物投与デバイスの例、すなわち、オートインジェクタ100、注入ポンプ200、吸入器300、及び点鼻スプレー装置400が、上記の参照図を参照して、以下に説明される。
【0040】
オートインジェクタ
図1は、本明細書に記載の実施形態で使用可能な、第1のタイプの薬物送達デバイス、すなわち注射デバイス、この例では、オートインジェクタ100の概略的例示的な図である。オートインジェクタ100は、分配される薬物を保持する薬物ホルダ110と、薬物が患者に投与され得るように、薬物ホルダ110から薬物を分配するように構成されている分配機構120と、を備える。薬物ホルダ110は、典型的には、薬物を収容する容器の形態であり、例えば、薬物ホルダ110は、シリンジ若しくはバイアルの形態で提供され得るか、又は薬物を保持し得る任意の他の好適な容器であり得る。オートインジェクタ100は、吐出ノズル122、例えば、薬物ホルダ110の遠位端に設けられたシリンジの針を備える。分配機構120は、駆動要素124を備え、駆動要素自体はまた、ピストン及び/又はピストンロッド、並びに駆動機構126を備え得る。分配機構120は、薬物ホルダ110の端部の近位に、かつオートインジェクタ100の近位端に向かって位置する。
【0041】
オートインジェクタ100は、ハウジング130であって、ハウジング130の本体内に薬物ホルダ110と、駆動要素124と、駆動機構126とを収容するだけでなく、注入前には、典型的にはハウジング内に完全に収容されるが、注射シーケンスの間、薬物を送達するためにハウジング130から延び出す吐出ノズル122も収容する、ハウジング130、を備える。分配機構120は、薬物を吐出ノズル122を通して分配するために、駆動要素124が、薬物ホルダ110を通って前進され、それによって、オートインジェクタが、薬物ホルダ110内に保持された薬物を患者に投与することを可能にするように配置される。場合によっては、ユーザが、駆動要素124を薬物ホルダ110を通して手動で前進させてもよい。他の場合には、駆動機構126は、ユーザ支援なしに駆動要素124を前進させる貯蔵エネルギー源127を含み得る。貯蔵エネルギー源127は、ばね、又は加圧ガス、又は電子的に動力供給される(electronically powered)モータ及び/又はギアボックスなどの弾性付勢部材を含み得る。
【0042】
オートインジェクタ100は、分配機構保護機構140を含む。分配機構保護機構140は、典型的には、2つの機能を有する。第1に、分配機構保護機構140は、注入前及び注入後の吐出ノズル122へのアクセスを防止するように機能し得る。第2に、オートインジェクタ100は、作動状態にされる、例えば、分配機構保護機構140がロック解除位置に移動されると、分配機構120が作動され得るように、機能することができる。
【0043】
保護機構140は、薬物ホルダ110が、ハウジング130内の近位側で後退位置にあるときに、吐出ノズル122の少なくとも一部を覆う。これは、吐出ノズル122と、ユーザとの間の接触を妨げるためである。代替的又は追加的に、保護機構140は、それ自体が近位に後退して、吐出ノズル122を露出させるように構成されており、その結果、吐出ノズル122は、患者と接触させられ得る。保護機構140は、シールド部材141と、戻りばね142と、を備える。戻りばね142は、シールド部材141をハウジング130から延在させ、それによって、保護機構140の遠位端に力が印加されていないときに、吐出ノズル122を覆うように作用する。ユーザが、戻りばね142の付勢を克服するように、戻りばね142の作用に抗してシールド部材141に力を印加すると、シールド部材141がハウジング130内で後退し、それによって、吐出ノズル122を露出させる。保護機構140は、代替的又は追加的に、ハウジング130を越えて吐出ノズル122を延在させるための延長機構(図示せず)を備え得、ハウジング130内に吐出ノズル122を後退させるための後退機構(図示せず)を更に備え得る。保護機構140は、代替的又は追加的に、オートインジェクタ100に取り付けられ得るハウジングキャップ及び/又は吐出ノズルブーツを備え得る。ハウジングキャップを取り外すと、典型的には、吐出ノズル122から吐出ノズルブーツも取り外される。
【0044】
オートインジェクタ100は、トリガー150も含む。トリガー150は、オートインジェクタ100のユーザによってアクセス可能であるように、ハウジング130の外面上に位置するトリガーボタン151を備える。トリガー150が、ユーザによって押圧されると、トリガー150は、駆動機構126を解放するように作用し、その結果、駆動要素124を介して、薬物が、次に、吐出ノズル122を介して薬物ホルダ110から追い出される。
【0045】
トリガー150はまた、例えば、シールド部材141の遠位端を患者の皮膚に対して押すことによって、シールド部材141が、近位側で十分にハウジング130内のロック解除位置に後退されるまで、トリガー150が作動されるのを防止するような方法で、シールド部材141と協働し得る。これがなされると、トリガー150がロック解除され、トリガー150が押圧され得、次いで、注射及び/又は薬物送達シーケンスが開始されるように、オートインジェクタ100が、作動される。代替的に、シールド部材141を単独で近位方向にハウジング130内へ後退させることは、駆動機構126を作動させ、注射及び/又は薬物送達シーケンスを開始するように作用し得る。このようにして、オートインジェクタ100は、例えば、分配機構120の偶発的な解放、及び/又はトリガー150の偶発的な作動を防止することによって、薬物の分配を防止するデバイス動作防止機構を有する。
【0046】
前述の説明は、オートインジェクタの一例に関するが、この例は、純粋に例示のために提示されたものであり、本発明は、そのようなオートインジェクタだけに限定されない。当業者は、記載されたオートインジェクタに対する様々な修正が、本開示の範囲内で実施され得ることを理解する。
【0047】
本開示のオートインジェクタは、エピネフリン、Rebif、Enbrel、Aranesp、アトロピン、塩化プラリドキシム、及びジアゼパムのいずれかなどの様々な薬物のいずれかを投与するために使用され得る。
【0048】
注入ポンプ
他の状況では、患者は、薬剤の正確な連続送達か、又は設定された周期的な間隔での定期的又は頻繁な薬剤送達を必要とし得る。注入ポンプは、医療専門家又は患者による頻繁な注意を必要とせずに、薬物濃度を治療限界内に保つ正確な速度での薬物の投与を容易にすることによって、そのような制御された薬物注入を提供し得る。
【0049】
図2は、本明細書に記載の実施形態で使用可能な、第2のタイプの薬物送達デバイス、すなわち注入ポンプ200の概略的例示的な図である。注入ポンプ200は、送達される薬物を収容するためのリザーバの形態の薬物ホルダ210と、薬物が患者に送達され得るように、リザーバ内に収容された薬物を分配するように適合されたポンプ216を備える分配機構220と、を備える。注入ポンプのこれらの構成要素は、ハウジング230内に位置する。分配機構220は、注入ライン212を更に備える。薬物は、ポンプ216の作動時に、カニューレの形態をとり得る注入ライン212を介して、リザーバから送達される。ポンプ216は、エラストマポンプ、蠕動ポンプ、浸透圧ポンプ、又はシリンジ内のモータ制御ピストンの形態をとり得る。典型的には、薬物は、静脈内に送達されるが、皮下、動脈、及び硬膜外注射も使用され得る。
【0050】
本開示の注入ポンプは、インスリン、アントロピン硫酸塩、アビバクタムナトリウム、ベンダムスチン塩酸塩、カルボプラチン、ダプトマイシン、エピネフリン、グルカゴン、レベチラセタム、オキサリプラチン、パクリタキセル、パントプラゾールナトリウム、トレプロスチニル、バソプレシン、ボリコナゾール、及びゾレドロン酸うちのいずれかなどの様々な薬物のいずれかを投与するために使用され得る。
【0051】
注入ポンプ200は、制御回路、例えば、メモリ297及びユーザインターフェース280に加えて、プロセッサ296を更に備え、これらは一緒に、トリガー機構及び/又はポンプ200のための投与量セレクタを提供する。ユーザインターフェース280は、注入ポンプ200のハウジング230上に位置する表示画面によって実装され得る。制御回路及びユーザインターフェース280は、ハウジング230内に、又はその外部に位置し、ポンプ216と有線又は無線インターフェースを介して通信して、その動作を制御し得る。
【0052】
ポンプ216の作動は、ポンプの動作を制御するためにポンプ216と通信するプロセッサ296によって制御される。プロセッサ296は、ユーザインターフェース280を介して、ユーザ(例えば、患者又は医療専門家)によってプログラムされ得る。これにより、注入ポンプ200が、制御された方式で薬物を患者に送達することが可能になる。ユーザは、注入持続時間及び送達速度などのパラメータを入力することができる。送達速度は、ユーザによって、一定の注入速度に、又は周期的な送達のための、典型的には事前にプログラムされた限界内の設定間隔として設定され得る。ポンプ216を制御するためのプログラムされたパラメータは、プロセッサ296と通信するメモリ297に記憶され、メモリ297から取り出される。ユーザインターフェース280は、タッチスクリーン又はキーパッドの形態をとり得る。
【0053】
電源295は、ポンプ216に電力を供給し、ポンプ216と一体であるエネルギー源及び/又はポンプ216を外部電源に接続するための機構の形態をとり得る。
【0054】
注入ポンプ200は、その指定された使用に応じて、様々な異なる物理的形態をとり得る。注入ポンプ200は、例えば、患者の枕元で使用するための、固定された非携帯式デバイスであってもよく、又は携帯式又はウェアラブルであるように設計された携行式注入ポンプであってもよい。一体型電源295は、携行式注入ポンプに特に有益である。
【0055】
前述の説明は、注入ポンプの一例に関するが、この例は、純粋に例示のために提供されている。本開示は、そのような注入ポンプに限定されない。当業者は、記載された注入ポンプに対する様々な修正が、本開示の範囲内で実施され得ることを理解する。例えば、プロセッサは、注入ポンプがユーザインターフェースを含む必要がないように、予めプログラムされてもよい。
【0056】
吸入器
図3は、第3のタイプの薬物投与デバイス、すなわち吸入器300の概略図である。吸入器300は、キャニスタの形態の薬物ホルダ310を含む。薬物ホルダ310は、典型的には、好適な担体液体を用いて溶液又は懸濁液の状態にある薬物を収容する。吸入器300は、薬物ホルダ310を加圧するための加圧ガスと、バルブ325と、ノズル321と、を含む分配機構320を更に備える。バルブ325は、薬物ホルダ310の出口を形成する。バルブ325は、薬物ホルダ310内に形成された狭い開口部324と、開口部324を制御する可動要素326と、を備える。可動要素326が休止位置にあるとき、バルブ325は、開口部324が閉じられ、薬物ホルダ310が封止される閉鎖状態又は非作動状態にある。可動要素326が休止位置から作動位置に作動されると、バルブ325は、開口部324が開いている開放状態に作動される。休止位置から作動位置への可動要素326の作動は、可動要素326を薬物ホルダ310内に移動させることを含む。可動要素326は、休止位置に弾性的に付勢される。バルブ325の開放状態では、加圧ガスが、好適な液体を用いて溶液又は懸濁液の状態にある薬物を、開口部324を通して高速で薬物ホルダ310から押し出す。狭い開口部324を通る液体の高速通過により、液体が、霧化される、すなわち、バルク液体から液体の微細な液滴のミスト及び/又はガス雲に変換される。患者は、微細な液滴のミスト及び/又はガス雲を呼吸経路内に吸入し得る。したがって、吸入器300は、薬物ホルダ310内に保持された薬物を患者の呼吸経路内に送達することができる。
【0057】
薬物ホルダ310は、吸入器300のハウジング330内に取り外し可能に保持される。ハウジング330内に形成された通路333は、ハウジング330内の第1の開口部331と、ハウジング330内の第2の開口部332とを接続する。薬物ホルダ310は、通路333内に受容される。薬物ホルダ310は、ハウジング330の第1の開口部331を通して通路333内に摺動可能に挿入可能である。ハウジング330の第2の開口部332は、患者の口内に配置されるように構成されたマウスピース322、又は患者の鼻孔内に配置されるように構成されたノーズピース、又は患者の口及び鼻の上に配置されるように構成されたマスクを形成する。薬物ホルダ310、第1の開口部331、及び通路333は、空気が、第1の開口部331と第2の開口部332との間で、薬物ホルダ310の周りで通路333を通って流れ得るようにサイズ決めされる。吸入器300は、マウスピース322に勘合され得るキャップ(図示せず)の形態の分配機構保護機構140を備えてもよい。
【0058】
吸入器300は、トリガー350であって、トリガー350が作動されたときに、バルブ325を作動させるように構成されたバルブ作動特徴部355を含む、トリガー350、を更に備える。バルブ作動特徴部355は、通路333内へのハウジング330の突出部である。薬物ホルダ310は、第1の位置から第2の位置へ、通路333内で摺動可能に移動可能である。第1の位置では、休止位置の可動要素326の端部が、バルブ作動特徴部355に当接する。第2の位置では、薬物ホルダ310は、バルブ作動特徴部355が、可動要素326を薬物ホルダ310内に移動させて、バルブ325を開放状態に作動させるように、バルブ作動特徴部355に向かって変位され得る。ユーザの手が、薬物ホルダ310を、弾性的に付勢された可動要素326に抗して、第1の位置から第2の位置に移動させるために必要な力を提供する。バルブ作動特徴部355は、ノズル321に接続された入口356を含む。バルブ作動特徴部355の入口356は、排出された液滴のミスト及び/又はガス雲が、入口356に入り、ノズル321から通路333内に出ることができるように、バルブ325の開口部324に結合するようにサイズ決めされ、位置付けられる。ノズル321は、液滴のミスト及び/又はガス雲へのバルク液体の霧化を支援する。
【0059】
バルブ325は、計量機構370を提供する。計量機構370は、測定された量の液体、したがって薬物が、開口部324を通過した後に、バルブを閉じるように構成されている。これにより、制御された用量が患者に投与されることが可能になる。典型的には、液体の測定量は事前設定されているが、吸入器300は、液体の定義された量を変化させるようにユーザ操作可能な投与量セレクタ360を備えてもよい。
【0060】
前述の説明は、吸入器の1つの特定の例に関するが、この例は、純粋に例示的なものである。説明は、そのような吸入器のみに限定されるものとして見なされるべきではない。当業者は、多数の他のタイプの吸入器及びネブライザが、本開示と共に使用され得ることを理解する。例えば、薬物は、粉末形態であり得るか、薬物は、液体形態であり得るか、又は薬物は、超音波振動、圧縮ガス、振動メッシュ、又は熱源を含む他の形態の分配機構320によって霧化され得る。
【0061】
本開示の吸入器は、モメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド、ブデソニド、ベクロメタゾン、ビランテロール、サルメテロール、フォルモテロール、ウメクリジニウム、グリコピロレート、チオトロピウム、アクリジニウム、インダカテロール、サルメテロール、及びオロダテロールのいずれかなどの様々な薬物のいずれかを投与するために使用され得る。
【0062】
点鼻スプレー装置
図4は、第4のタイプの薬物投与デバイス、すなわち、点鼻スプレー装置400の概略図である。点鼻スプレー装置400は、薬物を患者の鼻内に放出するように構成されている。点鼻スプレー装置400は、デバイス400から患者に送達するために、内部に薬物を収容するように構成された薬物ホルダ402を含む。薬物ホルダ102は、ボトルリザーバ、カートリッジ、バイアル(この例示的な実施形態におけるような)、ブローフィルシール(Blow-Fill-Seal、BFS)カプセル、ブリスタパックなどの様々な構成を有し得る。例示的な一実施形態では、薬物ホルダ402は、バイアルである。例示的なバイアルは、1つ又は2つ以上の材料、例えば、ガラス、ポリマーなどで形成される。いくつかの実施形態では、バイアルは、ガラスで形成され得る。他の実施形態では、バイアルは、1つ又は2つ以上のポリマーから形成することができる。更に他の実施形態では、バイアルの異なる部分は、異なる材料で形成され得る。例示的なバイアルは、本明細書において説明され、図面に示されるように、内部に薬物を密封及び貯蔵することを容易にする様々な特徴を有し得る。しかしながら、バイアルがこれらの特徴のうちのいくつかのみを含み得ること、及び/又は当該技術分野で公知の様々な他の特徴を含み得ることを当業者は認識するであろう。本明細書で説明されるバイアルは、特定の例示的な実施形態を表すことを意図したものに過ぎない。
【0063】
薬物が点鼻スプレー装置400を出る、点鼻スプレー装置400の開口部404は、点鼻スプレー装置400の分配ヘッド406内の中で、分配ヘッド406の先端部408内に形成される。先端部408は、患者の鼻孔に挿入されるように構成されている。例示的な一実施形態では、先端部408は、点鼻スプレー装置400の動作の第1の段階中、患者の第1の鼻孔に、点鼻スプレー装置400の動作の第2の段階中、患者の第2の鼻孔に、挿入されるように構成される。動作の第1及び第2の段階は、第1の用量の薬物が送達されることに対応する第1の作動と、第2の用量の薬物が送達されることに対応する第2の作動との、点鼻スプレー装置400の2つの別個の作動を伴う。いくつかの実施形態では、点鼻スプレー装置400は、1つの鼻噴霧を送達するために、1回だけ作動されるように構成される。いくつかの実施形態では、点鼻スプレー装置400は、例えば、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回など、3回以上の鼻噴霧を送達するために、3回以上作動されるように構成される。
【0064】
分配ヘッド406は、分配ヘッド406の長手方向軸が、先端部408が挿入される鼻孔の長手方向軸と実質的に整列されるように、患者の第1及び第2の鼻孔の間の患者の皮膚に接触するように構成された深さガイド410を含む。当業者は、製作公差及び測定装置の感度などの任意の数の要因に起因して、長手方向軸が、正確に整列され得ない可能性はあるが、実質的に整列されたと見なされ得ることを理解するであろう。
【0065】
例示的な実施形態では、
図4のように、分配ヘッド406は、テーパ形状を有しており、分配ヘッド406は、開口部404が位置するその近位端におけるよりも、その遠位端において、より小さい直径を有する。比較的小さい直径を有する開口部404は、当業者によって理解されるように、開口部404からの薬物の噴霧を容易にする。薬物が、開口部404を出る前に通過するように構成されているスプレーチャンバ412は、開口部404に対して遠位側の先細の分配ヘッド406の近位部分内に位置する。薬物がスプレーチャンバ412を急速に通過すると、スプレーチャンバ412が、一貫したスプレーターンで開口部404を通って出る微細ミストの生成を容易にする。
図4の矢印414は、薬物ホルダ402からの、及び開口部404から出る薬物の移動の経路を示す。
【0066】
いくつかの実施形態では、分配ヘッド406は、点鼻スプレー装置400が、単一の作動に応答して、薬物の用量を2つの鼻孔内に同時に送達するように構成されるように、各々が内部に開口部404を有する2つの先端部408を含み得る。
【0067】
分配ヘッド406は、薬物ホルダ402に向かって押される、例えば、ユーザが深さガイド410を押し下げることによって押圧されて、点鼻スプレー装置400を作動させるように構成される。言い換えれば、分配ヘッド406は、薬物を薬物ホルダ402から、及び点鼻スプレー装置400から追い出すように作動されるアクチュエータとして構成される。例示的な一実施形態では、点鼻スプレー装置400は、点鼻スプレー装置400を作動させるユーザが、点鼻スプレー装置400から薬物を受容する患者であるように、自己投与されるように構成されているが、別の人が、別の人への送達のために点鼻スプレー装置400を作動させ得る。
【0068】
分配ヘッド406の作動、例えば、押圧は、
図4の矢印416によって示されるように、通気空気を薬物ホルダ402に入らせるように構成される。薬物ホルダ402に入る空気は、薬物ホルダ内の薬物を、チューブ418を通して、次いで計量チャンバ420内に移動させ、計量チャンバ420が、薬物を、近位側でカニューレ422を通し、スプレーチャンバ412を通して、次いで開口部404から外に移動させる。例えば、ユーザが、分配ヘッド406を下向きに押すことを止めるなど、分配ヘッド406の解放に応答して、付勢ばね426が、分配ヘッド406をそのデフォルトの休止位置に戻して、後続の作動及び薬物送達のために、分配ヘッド406を薬物ホルダ402に対して位置付ける。
【0069】
前述の説明は、点鼻スプレー装置の1つの特定の例に関するが、この例は、純粋に例示的なものである。この説明は、そのような点鼻スプレー装置のみに限定されるものとして見なされるべきではない。当業者は、点鼻スプレー装置400が、様々な要件に応じて、異なる実施形態において異なる特徴を含み得ることを理解する。例えば、点鼻スプレー装置400は、深さガイド410を欠き得、及び/又はデバイスインジケータ、センサ、通信インターフェース、プロセッサ、メモリ、及び電源のうちのいずれか1つ又は2つ以上を含み得る。
【0070】
本開示の点鼻スプレー装置は、ケタミン(例えば、Ketalar(登録商標))、エスケタミン(例えば、Spravato(登録商標)、Ketanest(登録商標)、及びKetanest-S(登録商標))、ナロキソン(例えば、Narcan(登録商標))、及びスマトリプタン(例えば、Imitrex(登録商標))のいずれかなどの様々な薬物のいずれかを投与するために使用され得る。
【0071】
薬物投与デバイス
前述から理解されるように、薬物送達デバイスの様々な構成要素は、そのような全てのデバイスに共通である。これらの構成要素は、ユニバーサル薬物投与デバイスの必須構成要素を形成する。薬物投与デバイスは、薬物を患者に送達し、薬物は、定義された剤形で薬物投与デバイス内に提供される。
【0072】
図5Aは、そのようなユニバーサル薬物投与デバイス501の一般化された概略図であり、
図5Bは、そのようなユニバーサル薬物投与デバイス500の例示的な一実施形態である。ユニバーサル薬物投与デバイス500の例としては、注射デバイス(例えば、オートインジェクタ、ジェットインジェクタ、及び注入ポンプ)、点鼻スプレー装置、及び吸入器が、挙げられる。
【0073】
図5Aに示されるように、薬物投与デバイス501は、一般的な形態において、薬物ホルダ10及び分配機構20の特徴を含む。薬物ホルダ10は、投与される剤形の薬物を保持する。分配機構20は、薬物が患者に投与され得るように、薬物ホルダ10から剤形を放出するように構成される。
【0074】
図5Bは、いくつかの追加の特徴を含む、更なるユニバーサル薬物投与デバイス500を示す。当業者は、これらの追加の特徴は、異なる実施形態について任意選択であり、薬物のタイプ、薬物の剤形、薬物で治療されている医療適応症、安全要件、デバイスが給電されるかどうか、デバイスが携帯可能であるかどうか、デバイスが自己投与に使用されるかどうか、及び当業者によって理解されるであろう多くの他の要件など、要件に応じて、追加の特徴が存在し得るか、又は特定の薬物投与デバイスの所与の実施形態から省略され得るように、様々な異なる組み合わせで利用され得ることを理解する。
図5Aのユニバーサルデバイスと同様に、薬物投与デバイス500は、薬物ホルダ10と、分配機構20とを収容するハウジング30を備える。
【0075】
デバイス500は、分配機構20による薬物ホルダ10からの薬物の放出を開始するためのトリガー機構50を備える。デバイス500は、分配機構20を介して薬物ホルダ10から放出される設定用量を測定する計量/投与機構70の特徴を含む。このようにして、薬物投与デバイス500は、決定されたサイズの既知の用量を提供し得る。デバイス500は、ユーザが、計量機構50によって測定される薬物の用量体積を設定することを可能にする投与量セレクタ60を備える。用量体積は、複数の所定の個別の用量体積のうちの1つの特定の値か、又はある範囲の用量体積内の所定の用量体積の任意の値に設定され得る。
【0076】
デバイス500は、デバイス動作防止機構40又は25を備え得、デバイス動作防止機構40又は25は、ロック状態にあるとき、分配機構20が薬物ホルダ10から薬物を放出することを防止及び/又は停止させ、ロック解除状態にあるとき、分配機構20が薬物ホルダ10から薬物投与を放出することを可能にする。これにより、例えば、誤った時間での投与を防止するため、又は不注意な作動を防止するために、薬物の偶発的な投与を防止することができる。デバイス500はまた、例えば、安全上の理由から、分配機構20の少なくとも一部へのアクセスを防止する分配機構保護機構42を含む。デバイス動作防止機構40及び分配機構保護機構42は、同じ構成要素であってもよい。
【0077】
デバイス500は、薬物投与デバイス及び/又はその中に収容された薬物の状態に関する情報を提示するように構成されたデバイスインジケータ85を含み得る。デバイスインジケータ85は、表示画面などの視覚的インジケータ、又は音声インジケータであってもよい。デバイス500は、デバイス500のユーザにデバイス500に関する情報を提示するように、及び/又はユーザがデバイス500を制御することを可能にするように構成され得るユーザインターフェース80を含む。デバイス500は、薬物投与デバイス及び/又はその中に収容された薬物に関連する情報、例えば、剤形及びデバイスパラメータを感知するように構成されたデバイスセンサ92を含む。一例として、計量機構70及び投与量セレクタ60を含む実施形態では、実施形態は、投与量セレクタ60を使用してユーザによって選択された用量、計量機構70によって計量された用量、及び分配機構20によって分配された用量のうちの1つ又は2つ以上を感知するように構成されている1つ又は2つ以上のデバイスセンサ92を更に含み得る。同様に、環境の温度、環境の湿度、位置、及び時間など、デバイス500が存在する環境に関する情報を感知するように構成されている環境センサ94が、提供される。例えば、GPSなどの衛星位置決定を介して、デバイス500の地理的位置を決定するように構成されている専用の位置センサ98が存在してもよい。デバイス500はまた、デバイス及び/又は薬物に関する、様々なセンサから取得されたデータを外部に通信し得る通信インターフェース99を含む。
【0078】
必要に応じて、デバイス500は、デバイス500の1つ又は2つ以上の電気的構成要素に電力を送達するための電源95を備える。電源95は、デバイス500と一体である電源、及び/又はデバイス500を外部電源に接続するための機構であり得る。薬物投与デバイス500はまた、電源95によって給電され、互いに、及び任意選択で、環境センサ94、位置センサ98、デバイスセンサ92、通信インターフェース99、及び/又はインジケータ85などのデバイス500の他の電気的及び制御構成要素と通信する、プロセッサ96とメモリ97とを含むデバイスコンピュータシステム90を含む。プロセッサ96は、環境センサ94、デバイスセンサ92、通信インターフェース99、位置センサ98、及び/又はユーザインターフェース80から取得されたデータを取得し、それを処理して、例えば、インジケータ85に、及び/又は通信インターフェース99にデータ出力を提供するよう構成されている。
【0079】
いくつかの実施形態では、薬物投与デバイス500は、パッケージング35内に密閉される。パッケージング35は、本明細書に記載されるように、プロセッサ96、メモリ97、ユーザインターフェース80、デバイスインジケータ85、デバイスセンサ92、位置センサ98、及び/又は環境センサ94の組み合わせを更に含み得、これらは、デバイス500のハウジングの外部に位置してもよい。
【0080】
当業者は、薬物ホルダ10と分配機構20とを備えるユニバーサル薬物投与デバイス500が、上記の様々な任意選択の特徴を、いくつかの異なる組み合わせで備え得ることを理解するであろう。更に、薬物投与デバイス500は、各薬物ホルダが、それ自体に関連付けられた分配機構20を有するように、任意選択で、2つ以上の分配機構20を有する2つ以上の薬物ホルダ10を含み得る。
【0081】
薬物の剤形
従来、薬物投与デバイスは、液体の剤形を利用する。しかしながら、他の剤形が利用可能であることが理解されよう。
【0082】
1つのそのような共通の剤形が、錠剤である。錠剤は、薬物と、一緒に圧縮される賦形剤との組み合わせから形成され得る。他の剤形は、ペースト、クリーム、粉末、点耳液、及び点眼液である。
【0083】
薬物の剤形の更なる例としては、皮膚パッチ、薬物溶出性ステント、及び子宮内装置が挙げられる。これらの例では、デバイスの本体は、薬物を含み、特定の状況下で薬物の放出を可能にするように構成され得る。例えば、皮膚パッチは、薬物を含有するポリマー組成物を含み得る。ポリマー組成物は、薬物が、ポリマー組成物から患者の皮膚内に拡散することを可能にする。薬物溶出性ステント及び子宮内装置は、類似の方式で動作し得る。このようにして、パッチ、ステント、及び子宮内装置は、それら自体が、関連付けられた分配機構を有する薬物ホルダと見なされ得る。
【0084】
これらの剤形のいずれも、特定の条件によって薬物放出を開始させるように構成され得る。これにより、剤形が患者に導入された後、所望の時間又は位置で薬物が放出されることが可能になり得る。特に、薬物放出は、外部刺激によって開始され得る。更に、これらの剤形は、投与の前に、パッケージングの形態であり得るハウジング内に収容され得る。このハウジングは、ユニバーサル薬物投与デバイス500で利用される上記の任意選択の特徴のうちのいくつかを含み得る。
【0085】
本開示の薬物投与デバイスによって投与される薬物は、消費されたときに、生物の生理又は心理の変化を引き起こす任意の物質であり得る。本開示の薬物投与デバイスが投与し得る薬物の例としては、5-アルファ-レダクターゼ阻害剤、5-アミノサリチル酸塩、5HT3受容体拮抗薬、カルシウムチャネル遮断薬を伴うACE阻害薬、チアジドを伴うACE阻害薬、アダマンタン抗ウイルス薬、副腎皮質ステロイド、副腎コルチコステロイド阻害薬、アドレナリン作動性気管支拡張薬、高血圧緊急治療薬、肺高血圧症治療薬、アルドステロン受容体拮抗薬、アルキル化剤、アレルギー誘発薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、代替薬、殺アメーバ剤、アミノグリコシド、アミノペニシリン、アミノサリチル酸、AMPA受容体拮抗薬、アミリン類似体、鎮痛剤の組み合わせ、鎮痛薬、アンドロゲン及び同化ステロイド、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬を伴うアンジオテンシンII阻害薬、チアジドを伴うアンジオテンシンII阻害薬、アンジオテンシン受容体遮断薬、アンジオテンシン受容体遮断薬及びネプリリシン阻害薬、肛門直腸製剤、食欲抑制剤、制酸薬、駆虫薬、抗血管新生眼用薬、抗CTLA-4モノクローナル抗体、抗感染薬、抗PD-1モノクローナル抗体、チアジドを含む抗アドレナリン作用薬(中央)、チアジドを含む抗アドレナリン作用薬(末梢)、抗アドレナリン作用薬、中枢作用性、抗アドレナリン作用薬、末梢作用、抗アンドロゲン、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗喘息薬の組み合わせ、抗生物質/抗腫瘍薬、抗コリン作用性制吐剤、抗コリン作用性抗パーキンソン剤、抗コリン作用性気管支拡張剤、抗コリン作用性クロノトロピック剤、抗コリン作用薬/鎮けい薬、抗凝固薬逆転剤、抗凝血剤、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗糖尿病薬の組み合わせ、止瀉薬、抗利尿ホルモン、解毒剤、制吐薬/抗めまい薬、抗真菌薬、抗性腺刺激薬、抗痛風薬、抗ヒスタミン薬、抗高脂血症薬、抗高脂血症薬の組み合わせ、抗高血圧薬の組み合わせ、抗高尿酸血症薬、抗マラリア薬、抗マラリア薬の組み合わせ、抗マラリアキノロン、抗躁病薬、代謝拮抗剤、抗片頭痛薬、抗腫瘍薬の組み合わせ、抗腫瘍薬解毒剤、抗腫瘍薬インターフェロン、抗腫瘍薬、抗パーキンソン薬、抗血小板薬、抗緑膿菌性ペニシリン、乾癬治療薬、抗精神病薬、抗リウマチ剤、防腐剤及び殺菌剤、抗甲状腺剤、抗毒素及び抗ベニン、抗結核剤、抗結核剤の組み合わせ、鎮咳薬、抗ウイルス剤、抗ウイルスブースター、抗ウイルス剤の組み合わせ、抗ウイルスインターフェロン、抗不安薬、鎮静剤、及び催眠剤、アロマターゼ阻害剤、非定型抗精神病薬、アゾール抗真菌剤、細菌ワクチン、バルビツレート抗けいれん薬、バルビツレート、BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害剤、ベンゾジアゼピン抗けいれん薬、ベンゾジアゼピン、カルシウムチャネル遮断薬を含むベータ遮断薬、チアジドを含むベータ遮断薬、ベータアドレナリン遮断薬、ベータラクタマーゼ阻害薬、胆汁酸封鎖剤、生物学的製剤、ビスホスホネート、骨形成タンパク質、骨吸収阻害剤、気管支拡張剤の組み合わせ、気管支拡張剤、カルシウム受容体作動薬、カルシニューリン阻害剤、カルシトニン、カルシウムチャネル遮断剤、カルバメート抗けいれん剤、カルバペネム、カルバペネム/ベータラクタマーゼ阻害剤、炭酸脱水酵素阻害剤抗けいれん剤、炭酸脱水酵素阻害剤、心臓ストレス剤、心臓選択的ベータ遮断薬、心臓血管剤、カテコラミン、カチオン交換樹脂、CD20モノクローナル抗体、CD30モノクローナル抗体、CD33モノクローナル抗体、CD38モノクローナル抗体、CD52モノクローナル抗体、CDK4/6阻害剤、中枢神経系薬物、セファロスポリン、セファロスポリン/ベータラクタマーゼ阻害剤、セルメノリティックス、CFTRの組み合わせ、CFTR増強剤、CGRP阻害剤、キレート剤、ケモカイン受容体拮抗剤、塩化物チャネル活性化剤、コレステロール吸収阻害剤、コリン作動性アゴニスト、コリン作動性筋刺激剤、コリンエステラーゼ阻害剤、CNS刺激剤、凝固修飾剤、コロニー刺激因子、避妊薬、副腎皮質刺激ホルモン、クマリン及びインダンジオン、cox-2阻害剤、充血除去剤、皮膚科薬、診断用放射性医薬品、ジアリールキノリン、ジベンズアゼピン抗けいれん薬、消化酵素、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害剤、利尿薬、ドーパミン作用性抗パーキンソニズム薬、アルコール依存症に使用される薬物、エキノカンジン、EGFR阻害剤、エストロゲン受容体拮抗薬、エストロゲン、去痰薬、第Xa因子阻害薬、脂肪酸誘導体抗けいれん薬、フィブリン酸誘導体、第1世代セファロスポリン、第4世代セファロスポリン、機能性腸障害剤、胆石可溶化剤、γ-アミノ酪酸類似体、γ-アミノ酪酸再取り込み阻害剤、胃腸薬、一般麻酔薬、尿生殖路薬、胃腸刺激薬、グルココルチコイド、グルコース上昇剤、糖ペプチド抗生物質、糖タンパク質血小板阻害剤、グリシルサイクリン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬、ゴナドトロピン、グループI抗不整脈剤、グループII抗不整脈剤、グループIII抗不整脈剤、グループIV抗不整脈剤、グループV抗不整脈剤、成長ホルモン受容体遮断薬、成長ホルモン、グアニル酸シクラーゼ-Cアゴニスト、ピロリ菌根絶剤、H2拮抗薬、ヘッジホッグ経路阻害剤、造血幹細胞動員剤、ヘパリン拮抗薬、ヘパリン、HER2阻害剤、ハーブ製品、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ホルモン、ホルモン/抗腫瘍薬、ヒダントイン抗けいれん剤、ヒドラジド誘導体、違法(ストリート)薬、免疫グロブリン、免疫剤、免疫刺激剤、免疫抑制剤、インポテンス剤、インビボ診断生物学的製剤、インクレチン模擬剤、吸入抗感染薬、吸入コルチコステロイド、イノトロピック剤、インスリン、インスリン様成長因子、インテグラーゼ鎖転移阻害剤、インターフェロン、インターロイキン阻害剤、インターロイキン、静脈栄養製品、ヨウ素化造影剤、イオン性ヨウ素化造影剤、鉄製品、ケトリド、下剤、抗らい菌薬、ロイコトリエン修飾薬、リンコマイシン誘導体、局所注射可能麻酔薬、コルチコステロイドを含む局所注射可能麻酔薬、ループ利尿薬、肺界面活性剤、リンパ染色剤、リソソーム酵素、マクロライド誘導体、マクロライド、磁気共鳴イメージング造影剤、肥満細胞安定剤、医療用ガス、メグリチニド、代謝剤、メチルキサンチン、鉱質コルチコイド、ミネラル及び電解質、その他の薬物、その他の鎮痛薬、その他の抗生物質、その他の抗けいれん薬、その他の抗うつ薬、その他の抗糖尿病薬、その他の制吐剤、その他の抗真菌剤、その他の抗高脂血症薬、その他の抗高血圧薬の組み合わせ、その他の抗マラリア薬、その他の抗腫瘍薬、その他の抗パーキンソン剤、その他の抗精神病薬、その他の抗結核薬、その他の抗ウイルス薬、その他の不安緩解薬、鎮静剤及び催眠薬、その他の骨吸収阻害剤、その他の心臓血管薬、その他の中枢神経系薬、その他の凝固修飾薬、その他の診断用染料、その他の利尿薬、その他の尿生殖路薬、その他の胃腸薬、その他のホルモン、その他の代謝剤、その他の眼科用薬物、その他の耳用薬物、その他の呼吸器用薬物、その他の性ホルモン、その他の局所用薬物、その他の未分類薬物、その他の膣用薬物、有糸分裂阻害剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、口及び喉の製品、mTOR阻害剤、粘液溶解薬、マルチキナーゼ阻害剤、筋弛緩薬、散瞳薬、麻薬性鎮痛薬の組み合わせ、麻薬性鎮痛薬、鼻の抗感染薬、鼻の抗ヒスタミン剤と充血除去剤、鼻の潤滑剤及び洗浄剤、鼻の調製物、鼻用ステロイド、天然ペニシリン、ネプリリシン阻害剤、ニューラミニダーゼ阻害剤、神経筋遮断薬、神経カリウムチャネルオープナ、次世代セファロスポリン、ニコチン酸誘導体、NK1受容体拮抗薬、NNRTI、非心臓選択的ベータ遮断薬、非ヨウ素化造影剤、非イオン性ヨウ素化造影剤、非スルホニル尿素、非ステロイド性抗炎症薬、NS5A阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、栄養補助食品、栄養製品、眼科用麻酔薬、眼科用抗感染薬、眼科用抗炎症薬、眼科用抗ヒスタミン剤及び充血除去剤、眼科用診断薬、眼科用緑内障薬、眼科用潤滑剤及び洗浄剤、眼科用調製物、眼科用ステロイド、抗感染薬を含む眼科用ステロイド、眼科用外科薬、経口栄養補助剤、他の免疫賦活剤、他の免疫抑制剤、耳用麻酔薬、耳用抗感染薬、耳用調製物、耳用ステロイド、抗感染薬を含む耳用ステロイド、オキサゾリジンジオン抗けいれん薬、オキサゾリジノン抗生物質、副甲状腺ホルモン及び類似体、PARP阻害剤、PCSK9阻害剤、ペニシリナーゼ耐性ペニシリン、ペニシリン、末梢オピオイド受容体拮抗薬、末梢オピオイド受容体混合アゴニスト/拮抗薬、末梢血管拡張剤、末梢作用性抗肥満薬、フェノチアジン制吐薬、フェノチアジン抗精神病薬、フェニルピペラジン抗うつ薬、リン酸結合剤、PI3K阻害剤、血漿エキスパンダー、血小板凝集阻害剤、血小板刺激剤、ポリエン、チアジドを含むカリウム保持性利尿薬、カリウム保持性利尿薬、プロバイオティクスプロゲステロン受容体モジュレータ、プロゲスチン、プロラクチン阻害剤、プロスタグランジンD2拮抗薬、プロテアーゼ阻害剤、プロテアーゼ活性化受容体1拮抗薬、プロテアソーム阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、ソラレン、精神治療薬、精神治療薬の組み合わせ、プリンヌクレオシド、ピロリジン抗けいれん薬、キノロン、放射線造影剤、放射線補助剤、放射線治療薬、放射性抱合剤、放射性医薬品、組換えヒトエリスロポイエチン、レニン阻害剤、呼吸剤、呼吸吸入製品、リファマイシン誘導体、サリチル酸、硬化剤、第2世代セファロスポリン、選択的エストロゲン受容体修飾薬、選択的免疫抑制剤、選択的ホスホジエステラーゼ-4阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、セロトニン作動性神経腸調節剤、性ホルモンの組み合わせ、性ホルモン、SGLT-2阻害剤、骨格筋弛緩剤の組み合わせ、骨格筋弛緩剤、禁煙剤、ソマトスタチン及びソマトスタチン類似体、殺精子剤、スタチン、滅菌洗浄液、ストレプトグラミン、ストレプトミセス誘導体、スクシンイミド抗けいれん剤、スルホンアミド、スルホニル尿素、合成排卵刺激剤、四環性抗うつ剤、テトラサイクリン、治療用放射性医薬品、治療用ワクチン、チアジド利尿薬、チアゾリジンジオン、チオキサンテン、第3世代セファロスポリン、トロンビン阻害剤、血栓溶解剤、甲状腺剤、TNFアルファ阻害剤、トコリティック剤、局所にきび剤、局所剤、局所アレルギー診断剤、局所麻酔薬、局所抗感染薬、局所抗ロザセア剤、局所抗生物質、局所抗真菌剤、局所抗ヒスタミン剤、局所抗腫瘍薬、局所抗乾癬剤、局所抗ウイルス剤、局所収斂剤、局所創傷清拭剤、局所脱色素剤、局所エモリエント剤、局所角質溶解剤、局所非ステロイド性抗炎症薬、局所光化学療法剤、局所ルベファシエント、局所ステロイド、抗感染薬を含む局所ステロイド、トランスチレチン安定剤、トリアジン抗けいれん剤、三環式抗うつ剤、三官能性モノクローナル抗体、超音波造影剤、上気道用複合剤、尿素抗けいれん剤、尿素サイクル障害剤、尿中抗感染薬、尿鎮痙薬、尿pH調整剤、子宮収縮剤、ワクチンの組み合わせ、膣用抗感染薬、膣用調製物、血管拡張剤、バソプレシン拮抗薬、昇圧剤、VEGF/VEGFR阻害剤、ウイルスワクチン、粘液補充剤、ビタミン及びミネラルの組み合わせ、ビタミン、又はVMAT2阻害剤が、挙げられる。本開示の薬物投与デバイスは、エピネフリン、Rebif、Enbrel、Aranesp、アトロピン、塩化プラリドキシム、ジアゼパム、インスリン、アントロピン硫酸塩、アビバクタムナトリウム、ベンダムスチン塩酸塩、カルボプラチン、ダプトマイシン、エピネフリン、レベチラセタム、オキサリプラチン、パクリタキセル、パントプラゾールナトリウム、トレプロスチニル、バソプレシン、ボリコナゾール、ゾレドロン酸、モメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド、ブデソニド、ベクロメタゾン、ビランテロール、サルメテロール、フォルモテロール、ウメクリジニウム、グリコピロレート、チオトロピウム、アクリジニウム、インダカテロール、サルメテロー
ル、及びオロダテロールから選択される薬物を投与し得る。
【0086】
上記のように、様々な薬物のいずれかが、薬物投与デバイスを使用して送達され得る。本明細書に記載の薬物投与デバイスを使用して送達され得る薬物の例としては、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)、Stelara(登録商標)(ウステキヌマブ)、Simponi(登録商標)(ゴリムマブ)、Simponi Aria(登録商標)(ゴリムマブ)、Darzalex(登録商標)(ダラツムマブ)、Tremfya(登録商標)(グセルクマブ)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Risperdal Constra(登録商標)(リスペリドン)、Invega Sustenna(登録商標)(パルミチン酸パリペリドン)、Spravato(登録商標)(エスケタミン)、ケタミン、及びInvega Trinza(登録商標)(パルミチン酸パリペリドン)が挙げられる。
【0087】
薬物ハウジング
上記のように、剤形は、利用される特定の剤形に適したホルダ内に提供され得る。例えば、液体剤形の薬物は、投与の前に、ストッパを有するバイアル又はプランジャを有するシリンジの形態のホルダ内に保持され得る。例えば、錠剤としての固体又は粉末の剤形の薬物は、投与の前に、錠剤をしっかりと保持するように配置されたハウジング内に収容され得る。
【0088】
ハウジングは、1つ又は複数の薬物ホルダを備え得、各ホルダは、剤形を収容し、例えば、薬物は、錠剤の剤形であり得、ハウジングは、錠剤が複数のホルダの各々内に保持されるブリスタパックの形態であり得る。ブリスタパックの凹部の形態であるホルダ。
【0089】
図6は、各々が剤形611を収容する複数の薬物ホルダ610を備えるハウジング630を示す。ハウジング630は、環境の温度、時間、又は位置など、ハウジング630が存在する環境に関する情報を感知するように構成されている少なくとも1つの環境センサ94を有し得る。ハウジング630は、ホルダ610内に収容された剤形611の薬物に関する情報を感知するように構成されている少なくとも1つのデバイスセンサ92を含み得る。例えば、GPSなどの衛星位置決定を介して、ハウジング630の地理的位置を決定するように構成されている専用の位置センサ98が存在してもよい。
【0090】
ハウジング630は、ホルダ610内に収容された剤形611の薬物の状態に関する情報を薬物ハウジングのユーザに提示するように構成されているインジケータ85を含み得る。ハウジング630はまた、薬物ハウジング630、環境、時間、若しくは場所、及び/又は薬物自体に関するデータの有線又は無線転送を介して、外部に情報を通信することができる通信インターフェース99を含み得る。
【0091】
必要に応じて、ハウジング630は、ハウジング630の1つ又は2つ以上の電気的構成要素に電力を送達するための電源95を備え得る。電源95は、ハウジング630と一体である電源、及び/又はハウジング630を外部電源に接続するための機構であり得る。ハウジング630はまた、電源95によって給電され、互いに、及び任意選択で、環境センサ94、位置センサ98、デバイスセンサ92、通信インターフェース99、及び/又はインジケータ85などの、ハウジング630の他の電気的及び制御構成要素と通信する、プロセッサ96とメモリ97とを含むデバイスコンピュータシステム90を含み得る。プロセッサ96は、環境センサ94、デバイスセンサ92、通信インターフェース99、位置センサ98、及び/又はユーザインターフェース80から取得されたデータを取得し、それを処理して、例えば、インジケータ85に、及び/又は通信インターフェース99にデータ出力を提供するように構成されている。
【0092】
ハウジング630は、パッケージングの形態であり得る。代替的に、追加のパッケージングが存在して、ハウジング630を収容及び取り囲んでもよい。
【0093】
ホルダ610又は追加のパッケージングは、それら自体が、上述のように、デバイスセンサ92、環境センサ94、インジケータ85、通信インターフェース99、電源95、位置センサ98、及びプロセッサ96とメモリ85とを含むデバイスコンピュータシステムのうちの1つ又は2つ以上を備え得る。
【0094】
電子通信
上述のように、通信インターフェース99は、ハウジング30、630内又はその上に、あるいは代替的にパッケージング35内又はその上に含まれることによって、薬物投与デバイス500又は薬物ハウジング630と関連付けられ得る。そのような通信インターフェース99は、
図7に示される中央コンピュータシステム700などのリモートコンピュータシステムと通信するように構成され得る。
図7に示されるように、薬物投与デバイス500又はハウジング630に関連付けられた通信インターフェース99は、通信ネットワーク702を介して、例えば、病院又は他の医療センターなどの医療施設706、ホームベース708(例えば、患者の家庭、又はオフィス、若しくはケアテイカーの家庭又はオフィス)、又はモバイル位置710などの任意の数の位置から中央コンピュータシステム700と通信するように構成されている。通信インターフェース99は、ネットワーク702への有線及び/又は無線接続を介して、システム700にアクセスするように構成され得る。例示的な一実施形態では、
図6の通信インターフェース99は、システム700に無線で、例えば、Wi-Fi接続を介してアクセスするように構成されており、それにより、世界のほぼ全ての位置からのシステム700のアクセス可能性を促進し得る。
【0095】
当業者は、システム700が、任意の特定のユーザに利用可能なシステム700の態様が、例えば、ユーザの識別情報及び/又はユーザがシステムにアクセスしている位置に基づいて決定され得るように、セキュリティ機能を含み得ることを理解するであろう。そのために、各ユーザは、システム700へのアクセスを容易にするために、固有のユーザ名、パスワード、生体認証データ、及び/又は他のセキュリティ資格情報を有し得る。受信されたセキュリティパラメータ情報は、ユーザが認定されているかどうか、及びユーザがどの程度、システムと対話すること、システムに記憶された情報を見ることなどを許可されているかを決定するために、認定ユーザのデータベースに対してチェックされ得る。
【0096】
コンピュータシステム
本明細書で論じられるように、本明細書に記載の主題の1つ又は2つ以上の態様若しくは特徴、例えば、中央コンピュータシステム700の構成要素、プロセッサ96、電源95、メモリ97、通信インターフェース99、ユーザインターフェース80、デバイスインジケータ85、デバイスセンサ92、環境センサ94、及び位置センサ98は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実現され得る。これらの様々な態様又は特徴は、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを含むプログラム可能なシステム上で実行可能及び/又は解釈可能である1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムの実行を含み得、そのプロセッサは、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信し、それらへデータ及び命令を送信するように接続された専用又は汎用プロセッサとすることができる。プログラム可能なシステム又はコンピュータシステムは、クライアント及びサーバを含んでもよい。クライアント及びサーバは、一般に、互いに遠隔にあり、典型的には、通信ネットワーク、例えば、インターネット、無線広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、又は有線ネットワークを介して相互作用する。クライアント及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、かつ互いにクライアントサーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0097】
コンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネント、又はコードとも呼ばれることがあり、プログラム可能なプロセッサのための機械命令を含み、高級プロシージャ言語、オブジェクト指向プログラミング言語、関数型プログラミング言語、論理型プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械言語で実現され得る。本明細書で使用される時、用語「機械可読媒体」とは、例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、及びプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device、PLD)などの任意のコンピュータプログラム製品、機器、及び/又は装置を指し、これらは、機械可読信号として機械命令を受信する機械可読媒体を含む、プログラム可能なプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するために使用される。用語「機械可読信号」とは、プログラム可能なプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するために使用される任意の信号を指す。機械可読媒体は、例えば、非過渡的固体メモリ若しくは磁気ハードドライブ、又は任意の同等の記憶媒体などの、このような機械命令を非一時的に記憶することができる。機械可読媒体は、例えば、プロセッサキャッシュ、若しくは1つ又は2つ以上の物理的プロセッサコアに関連付けられた他のランダムアクセスメモリなどの一時的な方法で、そのような機械命令を代替的又は追加的に記憶することができる。
【0098】
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書に記載の主題の1つ又は2つ以上の態様又は特徴、例えば、ユーザインターフェース80(投与デバイス500又はハウジング630に統合されるか又は別個であり得る)は、例えば、ユーザに情報を表示するため陰極線管(Cathode Ray Tube、CRT)、又は液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)、若しくは発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)モニタなどの表示画面を有するコンピュータ上に実装され得る。表示画面は、直接的に(例えば、タッチスクリーンとして)又は間接的に(例えば、キーパッド又は音声認識ハードウェア及びソフトウェアなどの入力デバイスを介して)表示画面への入力を可能にし得る。他の種類の装置を使用して、ユーザとの相互作用を同様に提供することができる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックなどの任意の形態の感覚フィードバックであり得、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、又は触覚入力を含むが、これらに限定されない任意の形態で受信されてもよい。上述のように、このフィードバックは、ユーザインターフェース80に加えて、1つ又は2つ以上のデバイスインジケータ85を介して提供され得る。デバイスインジケータ85は、このフィードバックを提供するために、又はユーザからの入力を受信するために、デバイスセンサ92、環境センサ94、及び/又は位置センサ98のうちの1つ又は2つ以上と相互作用し得る。
【0099】
図8は、コンピュータシステム800として示されるコンピュータシステム700の例示的な一実施形態を示す。コンピュータシステムは、コンピュータシステム800の動作を制御するように構成されている1つ又は2つ以上のプロセッサ896を含む。プロセッサ896は、プログラム可能な汎用若しくは専用マイクロプロセッサ、及び/又は様々な専用若しくは市販の単一若しくはマルチプロセッサシステムのうちのいずれか1つを含む、任意のタイプのマイクロプロセッサ若しくは中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)を含み得る。コンピュータシステム800はまた、プロセッサ896によって実行されるコードのための、あるいは1つ又は2つ以上のユーザ、記憶装置、及び/又はデータベースから得られたデータのための一時記憶装置を提供するように構成されている1つ又は2つ以上のメモリ897を含む。メモリ897は、読み出し専用メモリ(Read-Only Memory、ROM)、フラッシュメモリ、1つ又は2つ以上の様々なランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)(例えば、スタティックRAM(Static RAM、SRAM)、ダイナミックRAM(Dynamic RAM、DRAM)、若しくはシンクロナスDRAM(Synchronous DRAM、SDRAM))、及び/又はメモリ技術の組み合わせを含み得る。
【0100】
コンピュータシステムの様々な要素は、バスシステム812に結合されている。図示されたバスシステム812は、適切なブリッジ、アダプタ、及び/又はコントローラによって接続された、任意の1つ又は2つ以上の別個の物理的バス、通信ライン/インターフェース、及び/又はマルチドロップ若しくはポイントツーポイント接続を表す抽象化したものである。コンピュータシステム800はまた、1つ又は2つ以上のネットワークインターフェース899(本明細書では、通信インターフェースとも呼ばれる)、1つ又は2つ以上の入力/出力(IO)インターフェース880、及び1つ又は2つ以上の記憶装置810を含む。
【0101】
通信インターフェース899は、コンピュータシステムが、リモートデバイス、例えば、他のコンピュータシステム及び/又はデバイス500若しくはハウジング630とネットワークを介して通信することを可能にするように構成されるか、又は、例えば、リモートデスクトップ接続インターフェース、イーサネットアダプタ、及び/又は他のローカルエリアネットワーク(Local Area Network、LAN)アダプタであり得る。IOインターフェース880は、コンピュータシステム800を他の電子機器と接続するための1つ又は2つ以上のインターフェース構成要素を含む。例えば、IOインターフェース880は、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus,USB)ポート、1394ポート、Wi-Fi、Bluetoothなどの高速データポートを含み得る。追加的に、コンピュータシステムは、人間ユーザにアクセス可能であり得、したがって、IOインターフェース880は、ディスプレイ、スピーカ、キーボード、ポインティングデバイス、及び/又は様々な他のビデオ、オーディオ、若しくは英数字インターフェースを含み得る。記憶装置810は、不揮発性及び/又は非過渡的な方法でデータを記憶するための任意の従来式媒体を含む。したがって、記憶装置810は、コンピュータシステムへの電力の中断にもかかわらず、値が保持される永続的な状態で、データ及び/又は命令を保持するように構成される。記憶装置810は、1つ又は2つ以上のハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、USBドライブ、光学ドライブ、様々なメディアカード、ディスケット、コンパクトディスク、及び/又はそれらの任意の組み合わせを含み得、コンピュータシステムに直接接続されるか、又はネットワークを介してなどで、コンピュータシステムに遠隔接続され得る。例示的な一実施形態では、記憶装置810は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、USBドライブ、光学ドライブ、メディアカード、ディスケット、又はコンパクトディスクなどの、データを記憶するように構成されている有形又は非一時的コンピュータ可読媒体を含む。
【0102】
図8に例示されている要素は、単一の物理的機械の要素の一部又は全てであり得る。更に、図示された要素の全てが同じ物理的機械上又は同じ物理的機械内に配置される必要はない。
【0103】
コンピュータシステム800は、ウェブページ又は他のマークアップ言語ストリームを検索すること、それらのページ及び/又はストリームを(視覚的に、聴覚的に、又は他の方法で)提示すること、それらのページ/ストリーム上でスクリプト、制御、及び他のコードを実行すること、(例えば、入力フィールドを完了させるために)それらのページ/ストリームに対するユーザ入力を受諾すること、それらのページ/ストリームに対するHyperText Transfer Protocol(HTTP)リクエストを発行することか又は他の方法(例えば、完了した入力フィールドからの情報をサーバに提出するため)などのためのウェブブラウザを含み得る。ウェブページ又は他のマークアップ言語は、ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ(HyperText Markup Language、HTML)、又は埋め込み型エクステンシブル・マークアップ・ランゲージ(Extensible Markup Language、XML)、スクリプト、コントロールなどを含む他の従来の形態であり得る。コンピュータシステム800はまた、ウェブページを生成する、及び/又はクライアントコンピュータシステムに配信するためのウェブサーバを含み得る。
【0104】
図7に示されるように、
図8のコンピュータシステム800は、上述のように、1つ又は2つ以上の個別の薬物投与デバイス500又はハウジング630のデバイスコンピュータシステム90のうちの1つ又は2つ以上と通信する中央コンピュータシステム700の構成要素を形成し得る。デバイス500又はハウジング630の動作データ、そのようなデバイス500又はハウジング630によって取得された患者の医療データなどのデータは、中央及びデバイスコンピュータシステム700、90間で交換され得る。
【0105】
前述のように、上述のコンピュータシステム800はまた、薬物投与デバイス500又はハウジング630に統合されるか、又はそれらに近接するデバイスコンピュータシステム90の構成要素を形成し得る。この点に関して言えば、1つ又は2つ以上のプロセッサ896は、プロセッサ96に対応し、ネットワークインターフェース799は、通信インターフェース99に対応し、IOインターフェース880は、ユーザインターフェース80に対応し、メモリ897は、メモリ97に対応する。更に、追加の記憶装置810がまた、デバイスコンピュータシステム90内に存在し得る。
【0106】
例示的な一実施形態では、コンピュータシステム800は、例えば、単一の薬物投与デバイスハウジング30内に収容された、1つ又は2つ以上の薬物投与デバイス500の単一のパッケージ35、若しくは複数の薬物ホルダ610を備えるハウジング630内に収容された、単一のユニットとしてのデバイスコンピュータシステム90を形成し得る。コンピュータシステム800は、単一のユニットとして、単一のサーバとして、又は単一のタワーとして、中央コンピュータシステム700を形成し得る。
【0107】
単一のユニットは、その様々な態様が、システムの任意の他の態様の機能を中断することなく、例えば、アップグレード、交換、メンテナンスなどのために必要に応じてスワップイン/アウトされ得るように、モジュール式であり得る。したがって、単一のユニットはまた、追加のモジュールとして追加される能力を使用して拡張可能とすることができ、並びに/又は既存のモジュールの追加の機能性が所望され、かつ/若しくは改善される。
【0108】
コンピュータシステムはまた、一例として、オペレーティングシステム及びデータベース管理システムを含む、様々な他のソフトウェア並びに/又はハードウェア構成要素のうちのいずれかを含み得る。本明細書には例示的なコンピュータシステムが図示及び説明されているが、これは一般概念及び便宜のためであることが理解されるであろう。他の実施形態では、コンピュータシステムは、本明細書に示され説明されるものとは、アーキテクチャ及び動作が異なる場合がある。非限定的な例では、メモリ897及び記憶装置810は、一緒に統合され得るか、又は別のコンピュータシステムとの通信が必要でない場合、通信インターフェース899は、省略され得る。
【0109】
実装形態
様々な剤形で患者に投与される薬物に関連付けられた手引きの順守を監視することが望ましいことがある。これにより、正しい手順が踏襲されていることの保証が提供され、不正確で潜在的に危険なアプローチの採用が回避され得る。更に、これにより、患者への薬物の投与の最適化も可能になり得る。
【0110】
更に、患者が、薬物投与スキーム自体に対する自分たちの応答を監視し、次いで、自分たちの薬物投与スキームを調整することを必要としない薬物投与システムを提供することが望ましい場合がある。更に、薬物投与スキームに対する患者の応答に影響を及ぼすが、経時的に変化する要因を考慮する薬物投与システムを提供することが望ましい場合がある。
【0111】
図9は、薬物投与デバイス500(
図5B及び
図7)と、コンピュータシステム800(
図8)とを含む薬物投与システムの例示的な一実施形態を示す。オートインジェクタ100(
図1)、注入ポンプ200(
図2)、及び吸入器300(
図3)などの薬物投与デバイス500の具体例が、点鼻スプレー装置などの可能な他のタイプとともに、本明細書で考察される。薬物投与デバイス500は、コンピュータシステム800の通信インターフェース899と通信するように構成された通信インターフェース99を含む。薬物投与システムは、少なくとも1つのセンサ93であって、パラメータを感知し、それによってセンサデータを取得し、かつセンサデータを薬物投与デバイス500に通信するように構成された少なくとも1つのセンサ93を更に含む。薬物投与デバイス500は、薬物が薬物投与デバイス500から患者に送達されるときに第1の薬物投与スキームを利用することと、薬物投与デバイス500から患者に薬物を送達するための第2の薬物投与スキームを決定することと、を行うように構成されている。第2の薬物投与スキームは、コンピュータシステム800からの投与データに、及び少なくとも1つのセンサ93からのセンサデータに、依存する。センサデータは、第1の薬物投与スキームに従って薬物を送達中及び/又は送達後に、少なくとも1つのセンサ93によって取得され得る。薬物投与デバイス500はまた、薬物を薬物投与デバイス500から患者に送達するために、第1の薬物投与スキームが利用された後に、薬物投与デバイス500から薬物が患者に送達されるときに、第2の薬物投与スキームを利用するように構成されている。
【0112】
センサデータは、第1の薬物投与スキームに対する患者の応答に影響を与える要因に関連し得る。このようにして、薬物投与システムは、このデータを考慮することによって、時間がかかり、ややこしく、及び/又は要因を正確に測定することができないために不可能であり得る、患者が自らデータを監視して処理することを要せずに、患者の投与スキームをより良好に最適化し得る。
【0113】
第1の薬物投与スキームは、コンピュータシステム800から薬物投与デバイス500に通信される投与データに依存し得る。この通信は、第1の薬物投与スキームが、コンピュータシステム800を介して決定されることを可能にする。したがって、薬物投与デバイス500は、薬物が患者に送達されるときに、第1の薬物投与スキームを利用する前に、薬物を患者に送達するための第1の薬物投与スキームを決定するように構成され得る。代替的に、第1の投与スキームは、薬物投与デバイス500上に含まれる、例えば、そのメモリ97に記憶されたデフォルトの投与スキームであり得る。第1の投与スキームは、薬物投与デバイス500を製造した時点から、又は少なくとも、ユーザ(例えば、患者、患者の介護者、又は医療専門家)が、患者に対して使用するために薬物投与デバイス500を受容する前の時点に、薬物投与デバイス500上に存在し得る。
【0114】
投与データは、薬物を薬物投与デバイス500から患者に送達するときに、薬物投与デバイス500によって利用される薬物投与パラメータを示すデータに関連し得る。このようにして、投与データは、第1の薬物投与スキームを決定するための基礎として使用され得る。薬物投与スキームは、薬物の送達に関連付けられている1つ又は2つ以上の薬物投与パラメータの集合である。薬物投与パラメータの例としては、薬物送達速度、薬物送達体積、薬物送達持続期間、薬物送達頻度、及び薬物送達のタイミングのうちの少なくとも1つが挙げられる。上述のように、第1及び第2の薬物投与スキームの各々は、そのような薬物投与パラメータのうちの1つ又は2つ以上で構成される。
【0115】
第1及び第2の投与スキームの各々は、プロセッサ96によって薬物投与デバイス500上で実行可能な、薬物投与デバイス500のメモリ97に記憶されたアルゴリズムである。アルゴリズムは、デバイス500の機能及びデバイス500からの薬物の投与を制御するための命令、通知、信号などを定義する、及び/又は表す複数のデータポイントの1つ又は2つ以上のセットの形態で記憶される。本明細書で論じられるように、薬物投与デバイス500によって、例えば、その通信インターフェース99を介して複数のデータポイントとして受信されたデータは、アルゴリズムの少なくとも1つの薬物投与パラメータを変更するために、例えば、プロセッサ96によって使用され得る。少なくとも1つの薬物投与パラメータは、アルゴリズムのデータポイントの中にあり、したがって、各々が、アルゴリズムの記憶された複数のデータポイントのうちの1つ又は2つ以上を変更することによって、変更され得る。
【0116】
例えば、コンピュータシステム800から、及び少なくとも1つのセンサ93から薬物投与デバイス500によって受信されたデータは、変更する薬物投与パラメータ及び各パラメータの更新値を特定し得るか、又は薬物投与デバイス500によって受信されたデータは、薬物投与スキームのアルゴリズムにおける薬物投与パラメータの各々について、正しい値を決定するための計算を実行する際に(例えば、メモリ97に記憶された計算アルゴリズムを実行する際に)、薬物投与デバイス500が使用するように構成されている入力パラメータを含み得る。計算アルゴリズムは、複数のデータポイントの1つ又は2つ以上のセットの形態で、記憶される。薬物投与デバイス500によって利用される計算アルゴリズムは、投与データの受信前に、メモリ97内にすでに存在し得る。代替的に、薬物投与デバイス500によって利用される計算アルゴリズムは、入力パラメータも含む投与データの一部として提供され得る。
【0117】
計算アルゴリズムを実行することを伴う薬物投与パラメータ決定の一部として利用される入力パラメータは、患者の年齢、患者の体重、患者の尿pH、患者の温度、治療されている患者の状態、及び他の疾患状態の存在などの臨床データを含み得る。入力パラメータは、最小治療用量、最大治療用量、及び副作用などの薬物の活性又は毒性に関するデータを含み得る。入力パラメータは、患者に送達される特定の薬物の吸収速度、分布率、代謝、及び排泄速度などの薬物動態データを含み得る。薬物投与アルゴリズムは、これらのパラメータを入力として取り、薬物投与スキームを計算し得る。
【0118】
少なくとも1つの薬物投与パラメータが変更された後、後続のアルゴリズムの実行は、第1の薬物投与スキームであろうと、第2の薬物投与スキーム(若しくは経時的に薬物送達を最適化するのに役立つように、薬物投与スキームが任意の回数変更され得る場合、第2の薬物投与スキームに続く薬物投与スキーム)であろうと、現在の薬物投与スキームを反映するアルゴリズムに従って、薬物の別の用量を投与する。代替的に、各変更されたアルゴリズム、例えば、各異なる薬物投与スキームは、メモリ97に記憶され得、プロセッサ96は、記憶された薬物投与スキームのうちの最新のものを実行して、薬物投与デバイス500からの薬物送達をもたらす。薬物投与スキームの各々を記憶することは、1回に1つの薬物投与スキームのみが記憶される場合よりも大きいメモリ97を必要とし得るが、薬物投与スキームの各々を同時にメモリ97に記憶することにより、薬物送達、患者コンプライアンス、及び/又は患者の治療の分析が容易になる。
【0119】
経時的な薬物送達スキームの変更を可能にすることにより、例えば、医療専門家が、薬物送達の変更のための入力をシステム700に提供することによって、経時的な薬物送達が、患者のために管理され得、薬物の有益な結果を増加させ得る。患者転帰を改善するために、少なくとも1つの薬物投与パラメータを変更することが、自動化される。したがって、薬物投与システムは、患者に基づいて個別化された医薬を容易にし、薬物送達のためのスマートシステムを提供するように構成され得る。
【0120】
上述のように、投与データは、薬物投与デバイス500によって利用される薬物投与パラメータの直接指示を含み得るか、又は代替的に、投与データは、薬物投与デバイス500上で実行される判定計算の一部として、薬物投与デバイス500によって使用される入力パラメータを含み得る。いずれのアプローチも、薬物投与デバイス500が、現在の薬物投与スキームを修正して、薬物投与スキームの有効性を向上させることを可能にする。同様に、センサデータは、薬物投与デバイス500によって利用される薬物投与パラメータの直接指示を含み得るか、又は代替的に、センサデータは、薬物投与デバイス500上で実行される判定計算の一部として、薬物投与デバイス500によって使用される入力パラメータを含み得る。
【0121】
本明細書に記載されるように、薬物投与デバイス500はまた、第2の薬物投与スキームを決定するように構成される。第2の薬物投与スキームは、上述のように複数の入力に基づいて、例えば、コンピュータシステム800からの投与データ及び/又は少なくとも1つのセンサ93からのセンサデータに基づいて、計算される。複数の入力はまた、ユーザインターフェース80を介して薬物投与デバイス500に入力されるユーザ入力データを含み得る。複数の入力は、第1の薬物投与スキームに対して第2の薬物投与スキームを調整するために利用され得、それにより、患者の薬物投与スキームの最適化を支援し得る。
【0122】
コンピュータシステム800は、第2の薬物投与スキームを決定するための、薬物投与デバイスのアルゴリズムの使用に関して上述したものと同様の第2の薬物投与スキームを決定するように構成され得、コンピュータシステム800は、第2の薬物投与スキームを薬物投与デバイス500に送信するように構成され得る。このようにして、(第2の薬物投与スキームが、現在の薬物投与スキームとして、第1の薬物投与スキームに置き換わったと認識する以外に)薬物投与デバイス500は、第2の薬物投与スキームを決定するために、センサデータを受信することも、又は任意の計算を実行することも要することなく、第2の薬物投与スキームを記憶及び実行するように構成される必要があるので、薬物投与デバイス500は、より小さい及び/又はより安価なメモリ97及び/又はプロセッサ96を有し得る。コンピュータシステムの第2の薬物投与スキームの決定を容易にするために、第1の薬物投与スキームに従って薬物を送達中及び/又は送達後に、少なくとも1つのセンサ93によって取得されたセンサデータが、少なくとも1つのセンサ93からコンピュータシステム800に、例えば、その通信インターフェースを使用して、通信され得る。コンピュータシステム800はまた、第2の薬物投与スキームを決定する際に使用され得る投与データを有する。
【0123】
少なくとも1つのセンサ93は、1つ又は2つ以上の異なるタイプのセンサを含み得、同じタイプのセンサのうちの1つ又は2つ以上を含み得る。少なくとも1つのセンサ93として任意の組み合わせで使用され得るセンサの例としては、患者の状態に関するセンサデータを取得するように構成された患者監視センサ91(
図11A)、薬物投与デバイス500及び/又はその中に含まれた薬物に関するセンサデータを取得するように構成されたデバイスセンサ92(
図5B)、薬物投与デバイス500が存在する環境に関するセンサデータを取得するように構成された環境センサ94(
図5B)、及び薬物投与デバイス500の地理的位置に関するセンサデータを取得するように構成された位置センサ98(
図5B)が、挙げられる。少なくとも1つのセンサ93は、薬物投与デバイス500の一部であり得るか、又は
図9のこの例示的な実施形態に示されるように、少なくとも1つのセンサ93は、薬物投与デバイス500とは別個の要素であり得る。少なくとも1つのセンサ93が複数のセンサを含む場合、センサのうちの1つ又は2つ以上は、薬物投与デバイス500に搭載され得、かつ/又はセンサのうちの1つ又は2つ以上は、薬物投与デバイス500とは別個の要素であり得る。
【0124】
患者監視センサ91は、患者の状態に関するセンサデータを取得するように構成される。患者の状態に関するセンサデータは、患者の血中酸素濃度(例えば、血中酸素センサを使用する)、患者の血糖値(例えば、グルコースモニタなどを使用する)、患者の血圧(例えば、血圧計などを使用する)、患者の心拍数(例えば、心拍数モニタなどを使用する)、患者の温度、患者の代謝率、患者のアナフィラキシー反応、ぜんそく症状の増悪の長さ及び/又は重大度、薬物投与に応答して起こる生理学的反応にかかる時間、薬物投与に対する患者の生理学的反応の大きさ、組織の厚さ、組織の密度、及び患者の体重のうちのいずれか1つ又は2つ以上を含み得る。例えば、インピーダンスセンサは、組織の厚さ及び組織の密度を感知するために利用され得る患者センサの1つタイプである。
【0125】
デバイスセンサ92は、薬物投与デバイス500及び/又はその中に含まれた薬物に関するセンサデータを取得するように構成されており、配向並びに温度は、薬物投与スキームと特定の関連性を有し得るので、例示的な実施形態では、センサデータは、薬物投与デバイス500の配向のうちの1つ又は2つ以上(例えば、ジャイロ、加速度計、傾斜/角度スイッチ(水銀を含まない)、位置センサなどを使用して)、及び薬物投与デバイス500内の薬物の温度(例えば、サーミスタ、サーモカプラ、サーミスタなどの温度センサを使用して)を含み得る。
【0126】
環境センサ94は、薬物投与デバイス500が存在する環境に関するセンサデータを取得するように構成されており、例示的な実施形態では、デバイス500が存在する環境の空気品質(例えば、UVセンサなどを使用して)、デバイス500が存在する環境の花粉数(例えば、花粉センサなどを使用して)、デバイス500が存在する環境の湿度(例えば、サーミスタ、ヒューミスタ、湿度計などを使用して)、及びデバイス500が存在する環境の温度(例えば、サーミスタ、サーモカプラ、サーミスタなどの温度センサを使用して)に関するセンサデータのうちの1つ又は2つ以上を収集するように構成されたセンサを含み得る。空気品質の測定としては、二酸化窒素、地表レベルオゾン、一酸化炭素、及び微粒子の測定が挙げられる。
【0127】
薬物投与デバイス500は、患者に第1の薬物を送達するための第1の薬物投与スキームを決定し、かつ患者に第2の薬物を送達するための第2の薬物投与スキームを決定するように構成され得、第2の薬物は、第1の薬物とは異なる。薬物投与デバイス500は、患者に第1及び第2の薬物の両方を送達するように構成され得る。例えば、第1の薬物は、間欠的リリーバー療法(intermittent reliever therapy)のための薬物であり得、第2の薬物は、定期的予防剤療法(regular preventer therapy)のための薬物であり得る。これらの用途に適した薬物は、当業者によって既知である。薬物投与デバイス500は、第1及び第2の薬物の各々の送達が、患者のために最適化され得るように、上述のように、第1及び第2の薬物投与スキームの各々を調整するように構成され得る。
【0128】
図10Aは、
図9の薬物投与システムの例示的な一実施形態の概略図である。
図10Aに示される実施形態では、薬物投与デバイス500は、吸入器300(
図3)である。この例示的な実施形態のセンサ91(
図9)は、患者の血中酸素濃度に関するセンサデータを取得するように構成されている第1の患者監視センサ91aと、患者の血圧(Blood Pressure、BP)に関するデータを取得するように構成されている第2の患者監視センサ91bと、患者の心拍数に関するデータを取得するように構成されている第3の患者監視センサ91cと、吸入器300が存在する環境の空気品質及び花粉数に関するデータを取得するように構成された環境センサ94(
図5B)と、患者の体重(体質量)に関するセンサデータを取得するように構成されている第4の患者監視センサ91dと、を含む。使用中、センサ91a、91b、91c、91d、94は、データを取得し、かつ、上述のように、データを吸入器300に通信する。
【0129】
したがって、
図9に関して上述したように、
図10Aの実施形態の吸入器300は、第1の薬物投与スキームを利用して、薬物を吸入器300から患者に送達するように構成されている。吸入器300は、次いで、当該吸入器300から薬物を患者に送達するための第2の薬物投与スキームを決定するように構成されており、第2の薬物投与スキームは、コンピュータシステム800からの投与データと、第1の薬物投与スキームに従って薬物を送達中及び/又は送達後にセンサ91a、91b、91c、91d、94によって取得される、患者監視センサ91a、91b、91c、91d及び環境センサ94からのセンサデータと、に依存する。吸入器300はまた、第1の投与スキームに従った送達後、かつ第2の薬物投与スキームの決定後のある時点において薬物が患者に送達されるときに、第2の薬物投与スキームを利用するように構成されている。
【0130】
図10Bは、垂直点線によって示される時間に行われる3つの薬物投与スキーム調整に加えて、第1の患者監視センサ91a、第2の患者監視センサ91b、環境センサ94、及び第4の身体監視センサ91dによって取得されたデータの例の概略グラフを示す。薬物投与スキーム調整のうちの第1のものは、患者が、センサ91a、91b、91c、91d、94を装着して、又はさもなければ有して(例えば、患者によって装着されているスマートウォッチの一部として、埋め込まれたデバイスの一部として、患者の皮膚表面に接着されたセンサの一部として、患者によって携行されている吸入器300の一部としてなど)屋外に出て、花粉レベル及び空気品質の変化を経験するときに起こる変化に応答して、行われる。薬物投与スキーム調整のうちのこの第1のものでは、吸入器300は、例えば、増加した微粒子の測定値を介して、増加した花粉レベル及び減少した空気品質を示すセンサデータ、並びに血中酸素濃度(減少する)及び血圧(同様に減少する)の測定値を介して示される、増加した花粉レベル及び空気品質に対する患者の応答の大きさに依存して、薬物投与スキームを調整するように構成される。したがって、調整された薬物投与スキームは、患者の症状をより良好に管理するために、患者が屋外を歩く前の第1の薬物投与スキームのサイズと比較して、増大したサイズの薬物用量を指定する。最初の2つの薬物投与スキームのいずれかを使用して、薬物用量は患者に送達されない。
【0131】
薬物投与スキーム調整のうちの第2のものは、患者が、センサ91a、91b、91c、91d、94を装着して、又はさもなければ有して、屋外で草刈り(例えば、芝刈り)をしているときに起こる変化に応答して、行われる。薬物投与スキーム調整のうちのこの第2のものでは、吸入器300は、増加した花粉レベル、並びに増加した花粉レベルに対する患者の応答の大きさを示し、かつ血中酸素濃度(増加する)及び血圧(減少する)の測定値を介して示される、草刈りの活動を反映するセンサデータに依存して、薬物投与スキームを調整するように構成される。したがって、調整された薬物投与スキームは、患者の症状をより良好に管理するために、直前の薬物投与スキームのサイズと比較して、増大したサイズの薬物用量を指定する。薬物用量は、
図10Bのグラフに注記された「実際の投与」によって示されるように、この薬物投与スキームに従って患者に送達される。
【0132】
薬物投与スキーム調整のうちの第3のものは、薬物用量(
図10Bのグラフに注記された「実際の投与」)が患者に送達された後のある時点において起こる変化に応答して、行われる。薬物投与スキーム調整のうちのこの第3のものでは、吸入器300は、血中酸素濃度(増加する)及び血圧(増加する)の測定値を介して示される、薬物投与を反映するセンサデータに依存して、薬物投与スキームを調整するように構成される。したがって、調整された薬物投与スキームは、患者の症状をより良好に管理するために、直前の薬物投与スキームのサイズと比較して、減少したサイズの薬物用量を指定する。この調整された薬物投与スキームを使用して、薬物用量は患者に送達されない。薬物投与スキームは、患者の症状をより良好に管理し続けるために、この第3の薬物投与スキーム調整後に、任意の回数調整され得る。
【0133】
任意選択で、
図9に関して上述したように、吸入器300は、患者が屋外を歩く前の
図10Bの初期薬物投与スキームを決定するように構成され得、初期薬物投与スキームは、投与データに依存する。
【0134】
図11A~
図13Bの実施形態では、薬物投与スキームの患者の安心感及び有効性は、薬物投与デバイスから患者への薬物の送達中の薬物投与デバイスの吐出ノズルの吐出ノズル前進深さ、薬物投与デバイスから患者への薬物の送達中の吐出ノズルの吐出ノズル速度、及び薬物投与デバイスから患者への薬物の送達中の吐出ノズルの吐出ノズル加速度のうちの1つ又は2つ以上の要因を、薬物投与デバイスが調整することを可能にすることによって、改善され得る。
【0135】
薬物の送達中の吐出ノズル前進深さは、吐出ノズルが最初に患者内に延びるときから、吐出ノズルが出るときまでの薬物送達イベント全体の間に、吐出ノズルが、患者内に延びるように構成されている最大深さである。オートインジェクタ(例えば、
図1のオートインジェクタ100)の場合、オートインジェクタから患者への薬物の送達中のオートインジェクタの吐出ノズルの吐出ノズル前進深さは、患者の皮膚表面の下2mm~25mmの範囲であり得る。
【0136】
薬物の送達中の吐出ノズル速度は、吐出ノズルが最初に患者内に延びるときから、吐出ノズルが出るときまでの薬物送達イベント全体の間に、吐出ノズルが患者内に延びるときに吐出ノズルが移動するように構成されている最大速度である。オートインジェクタ(例えば、
図1のオートインジェクタ100)の場合、オートインジェクタから患者への薬物の送達中のオートインジェクタの吐出ノズルの吐出ノズル速度は、0.01m/秒~0.2m/秒の範囲であり得る。
【0137】
薬物の送達中の吐出ノズル加速度は、吐出ノズルが最初に患者内に延びるときから、吐出ノズルが出るときまでの薬物送達イベント全体の間に、吐出ノズルが加速するように構成されている最大加速度である。オートインジェクタ(例えば、
図1のオートインジェクタ100)の場合、オートインジェクタから患者への薬物の送達中のオートインジェクタの吐出ノズルの吐出ノズル速度は、0.002m/s
2~0.2m/s
2の範囲であり得る。
【0138】
図11Aは、コンピュータシステム800(
図8及び
図9)と、薬物投与デバイス500(
図5B、
図7、及び
図9)であって、この実施形態では、オートインジェクタ100(
図1)を含む、薬物投与デバイス500と、患者の組織の密度及び/又は厚さを検出するように構成されたインピーダンスセンサなどの少なくとも1つの患者監視センサ91と、を含む薬物投与システムの例示的な一実施形態の概略図である。薬物投与システムは、一般に、
図9の薬物投与システムに関して上述したものと同様に構成及び使用される。センサ91は、例えば、
図11Aに示されるように、注射部位と直接接触するオートインジェクタ100の一部に位置付けられ得る。この実施形態の第1及び第2の薬物投与スキームは、少なくとも、薬物送達体積及び薬物送達速度を指定し、例えば、薬物投与スキームを定義するアルゴリズム内で変更され得る、薬物投与スキームの薬物投与パラメータが、薬物送達体積及び薬物送達速度である。
【0139】
したがって、
図11Aの実施形態では、オートインジェクタ100は、薬物が患者に送達されるときに第1の薬物投与スキームを利用し、コンピュータシステム800からの投与データに、及び患者の組織の密度及び/又は厚さに関するデータを含む、少なくとも1つの患者監視センサ91からのセンサデータに依存する第2の薬物投与スキームを決定するように構成されている。組織の密度は、注射中に患者によって経験される疼痛に影響を及ぼし得る。したがって、より密度の高い組織が検出された場合、注射の疼痛を低減するために、より低い速度の注射の送達が利用され得る。組織は、例えば、瘢痕化に起因して、又は組織が、皮下脂肪組織ではなく筋肉組織であるため、より高密度であり得る。
【0140】
図11Bは、薬物送達速度(drug delivery speed)(本明細書では「薬物送達速度(drug delivery rate)」とも呼ばれる)に加えて、少なくとも1つの患者監視センサ91によって取得された組織密度データの一例の概略グラフを示す。第1の投与スキームは、投与データに依存し得る。この投与データは、特定の患者又は患者の特定の注射部位にではなく、代わりに、無傷の組織の密度に対応する所定の密度の組織への注射に基づき得る。患者の組織が、所定の密度よりも高い密度を有することを示すデータを、少なくとも1つの患者監視センサ91が取得する場合、オートインジェクタ100は、第1の投与スキームの薬物送達速度よりも低い薬物送達速度を指定する第2の投与スキームを決定するように構成され得る。このようにして、第2の薬物投与スキームは、薬物送達中の患者の安心感を改善し得る。
【0141】
図12Aは、コンピュータシステム800(
図8及び
図9)と、薬物投与デバイス500(
図5B、
図7、及び
図9)であって、この実施形態では、オートインジェクタ100(
図1)を含む、薬物投与デバイス500と、少なくとも1つのセンサ93(
図9)であって、この例示的な実施形態では、オートインジェクタ100に含まれた薬物の少なくとも温度に関するセンサデータを取得するように構成されている少なくとも1つのデバイスセンサ92(
図5B)を含む、センサ93と、を含む薬物投与システムの例示的な一実施形態の概略図である。薬物投与システムは、一般に、
図9の薬物投与システムに関して上述したものと同様に構成及び使用される。この実施形態の第1及び第2の薬物投与スキームは、少なくとも薬物送達体積及び薬物送達速度を指定する。したがって、
図12Aの実施形態のオートインジェクタ100は、薬物が患者に送達されるときに第1の薬物投与スキームを利用し、コンピュータシステム800からの投与データに、及び少なくとも1つのデバイスセンサ92からのセンサデータに依存する第2の薬物投与スキームを決定するように構成されている。薬物が冷蔵されていた場合に、注射前に、薬物が室温まで温まるのに十分な時間を有しなかった場合、薬物をゆっくりと注射することにより、患者の安心感が改善されるであろう。
【0142】
図12Bは、薬物送達速度に加えて、
図12Aの実施形態の少なくとも1つのデバイスセンサ92によって取得された温度データの一例の概略図を示す。オートインジェクタ100は、コンピュータシステム800から通信される投与データに依存する第1の投与スキームを決定するように構成され、投与データは、所定の温度での薬物の注射に基づく。しかしながら、薬物が所定の温度よりも冷たい温度であることを示すデータを、少なくとも1つのデバイスセンサ92が取得する場合、オートインジェクタ100は、患者の安心感を改善するために、第1の投与スキームの薬物送達速度よりも低い薬物送達速度を指定する第2の投与スキームを決定するように構成される。
【0143】
更に、オートインジェクタ100は、薬物の温度が、患者にとって痛い及び/又は危険であると見なされる、所定の高閾値(
図12Bの「ホット閾値」)を上回っている、及び/又は所定の低閾値(
図12Bの「コールド閾値」)を下回っていることを少なくとも1つのデバイスセンサ92が検出する場合、第1及び第2の投与スキームのいずれかに従って薬物が送達される前に、オートインジェクタ100が操作されるのを防止するように、デバイス動作防止機構40(
図5B)、例えば、分配機構保護機構140(
図1)を動作させるように構成されている。そのような閾値の例が、摂氏55度の上限温度(所定の高閾値)及び摂氏2度の下限温度(所定の低閾値)である。
【0144】
図13Aは、コンピュータシステム800(
図8及び
図9)と、薬物投与デバイス500(
図5B、
図7、及び
図9)であって、この実施形態では、オートインジェクタ100(
図1)を含む、薬物投与デバイス500と、少なくとも1つのデバイスセンサ92(
図5B)であって、この例示的な実施形態では、オートインジェクタ100に含まれる薬物の温度に関するセンサデータを取得するように構成されている、デバイスセンサ92と、を含む薬物投与システムの別の例示的な実施形態の概略図である。薬物投与システムは、一般に、
図9の薬物投与システムに関して上述したものと同様に構成及び使用される。この実施形態の第1及び第2の薬物投与スキームは、患者への薬物の送達中に、少なくとも、薬物送達体積と、オートインジェクタの針(例えば、吐出ノズル122)の針前進深さと、を指定する。したがって、
図13Aの実施形態のオートインジェクタ100は、薬物が患者に送達されるときに第1の薬物投与スキームを利用し、コンピュータシステム800からの投与データに、及び少なくとも1つのデバイスセンサ92からのセンサデータに依存する第2の薬物投与スキームを決定するように構成されている。第1の薬物投与スキームが依存する投与データは、所定の温度で薬物を送達することに基づく。オートインジェクタ100に含まれる薬物が、所定の温度よりも冷たい、及びより粘性が高いと感知される場合、針を、患者内のより短い針前進深さに前進させることが、患者の安心感を確保するのに役立つであろう。したがって、この実施形態では、薬物の温度に関するセンサデータが、第1の薬物投与スキームを決定するために使用される温度よりも低い温度を示す場合、薬物投与デバイス100は、第1の投与スキームによって指定されたものよりも短い、薬物投与スキームの針貫通深さを(例えば、薬物投与スキームを定義するアルゴリズム内で)指定するように構成される。
【0145】
図13Bは、
図12A及び
図13Aの実施形態で取得されたセンサデータの一実施形態の概略グラフを示し、図示されたグラフのセンサデータは、オートインジェクタ100に含まれる薬物の粘度を表す。
図12A及び
図13Aの実施形態は、薬物投与スキームが、薬物送達速度(
図12Aの実施形態)及び針前進深さ(
図13Aの実施形態)の両方を指定するように、かつ薬物投与デバイス500(オートインジェクタ100)が、薬物送達速度及び針貫通深さの両方を指定する第2の薬物投与スキームを決定するように構成されるように、組み合わされ得る。
【0146】
別の例では、薬物投与デバイス500(オートインジェクタ100)及び少なくとも1つのデバイスセンサ92は、配向センサを含み得る。したがって、薬物送達速度が低減され得るように、薬物投与デバイス500が位置付けられていることを配向センサが示す場合、例えば、デバイス500が逆さまになっている場合、薬物投与デバイス500は、例えば、薬物送達が行われる速度を増大させて、感知された配向が、低減された薬物送達速度を示すことに対処することによって、このあり得る低減された送達速度などを考慮する第2の薬物投与スキームを決定するように構成され得る。
【0147】
図14は、この例示的な実施形態ではスマートフォンであるコンピュータシステム800(
図8及び
図9)と、コンピュータシステム800の通信インターフェース899と通信するように構成された通信インターフェース99を含む薬物投与デバイス500と、を含む薬物投与システムの例示的な一実施形態の概略図である。薬物投与システムは、一般に、
図9の薬物投与システムに関して上述したものと同様に構成及び使用される。コンピュータシステム800は、ユーザ入力データを取得し、かつユーザ入力データを薬物投与デバイス500に通信するように構成されている少なくとも1つのユーザインターフェース80を含む。薬物投与デバイス500は、薬物が薬物投与デバイス500から患者に送達されるときに第1の薬物投与スキームを利用し、コンピュータシステム800からの投与データに、及び第1の薬物投与スキームに従って薬物を送達中及び/又は送達後に、ユーザインターフェース80によって取得される、少なくとも1つのユーザインターフェース80からのユーザ入力データに依存する、薬物を患者に送達するための第2の薬物投与スキームを決定し、第1の投与スキームに従った投与後、かつ第2の薬物投与スキームの決定後のある時点において薬物が患者に送達されるときに、第2の薬物投与スキームを利用するように構成されている。
【0148】
ユーザ入力データは、第1の薬物投与スキームに対する患者の応答、及び/又は第1の薬物投与スキームに対する患者の知覚される応答に影響を与える要因に関連し得る。このようにして、システムは、薬物送達に対する患者の応答及び/又は知覚される応答を取得するためのセンサを使用することができない場合でも、薬物送達に対する患者の応答及び/又は知覚される応答を考慮することによって、現在の薬物投与スキームをより良好に最適化し得る。例えば、大量の食事を取ることを計画する患者は、摂食が、第1の薬物投与スキームに対する患者の応答に影響を与え得る要因であるため、ユーザデータをユーザインターフェース80に入力し得る。コンピュータシステム800は、ユーザ入力データを薬物投与デバイス500に送信するように構成されている。デバイス500は、患者が大量の食事を取る直前に、薬物、例えば、速効型インスリンを投与するために、第2の薬物投与スキームを決定する際にユーザ入力データを使用し、それにより、この入力された要因を考慮した第2の薬物投与スキームを制定するように構成される。別の例では、薬物投与デバイス500が第1の薬物投与スキームに従って薬物を送達するときに、患者が、不快感を経験する場合、ユーザは、第1の薬物投与スキームに対する自分たちの知覚された応答のこのフィードバックを、ユーザインターフェース80を使用して入力し得、コンピュータシステム800は、ユーザ入力データを薬物投与デバイス500に送信し得、次に、薬物投与デバイスは、例えば、薬物送達速度、吐出ノズル前進深さ、吐出ノズル速度、及び/又は吐出ノズル加速度を低減させることによって、このユーザ入力データに依存した第2の薬物投与スキームを決定し得る。したがって、第2の薬物投与スキームは、薬物送達に対する患者の知覚される応答を改善する意図で、調整され得る。
【0149】
図15は、コンピュータシステム800(
図8及び
図9)と、各々がコンピュータシステム800と通信するように構成された第1及び第2の薬物投与デバイス300a、300bと、少なくとも1つのセンサ94a、98aであって、センサデータを取得し、かつセンサデータを第1の薬物投与デバイス300aに通信するように構成された少なくとも1つのセンサ94a、98aと、少なくとも1つのセンサ94b、98bであって、補助センサデータを取得し、かつ補助センサデータを第2の薬物投与デバイス300bに通信するように構成された少なくとも1つのセンサ94b、98bと、を含む、薬物投与システムの例示的な一実施形態の概略図を示す。薬物投与システムは、1つの薬物投与デバイスの代わりに、
図15の薬物投与システムが、複数の薬物投与デバイス300a、300bを含むことを除いて、一般に、
図9の薬物投与システムに関して上述したものと同様に構成及び使用される。
図15の薬物投与システムは、2つの薬物投与デバイス300a、300bを含むが、薬物投与システムは、任意の複数数の薬物投与デバイスを含み得、そうでなければ
図15のシステムと同様に構成及び使用され得る。
【0150】
第2の薬物投与デバイス300bは、少なくとも1つのセンサ94b、98bによって取得された補助センサデータをコンピュータシステム800に(例えば、第2の薬物投与デバイス300bの通信インターフェース99b及びコンピュータシステム800の通信インターフェース899を使用して)通信するように構成されており、コンピュータシステム800は、第2の薬物投与デバイス300bから受信された補助センサデータを第1の薬物投与デバイス300aに(例えば、第1の薬物投与デバイス300aの通信インターフェース99a及びコンピュータシステム800の通信インターフェース899を使用して)通信するように構成されている。第1の薬物投与デバイス300aは、コンピュータシステム800から受信された補助センサデータを、第2の投与スキームの決定の一部として利用するように構成されている。代替的に、コンピュータシステム800は、第1の薬物投与デバイス300aに含まれる薬物の患者への送達のための第2の投与スキームに必要な調整を計算するために、第2の薬物投与デバイス300bから受信された補助センサデータを利用するように構成され得る。次いで、この調整が、コンピュータシステム800から第1の薬物投与デバイス300aに通信され得る。
【0151】
薬物投与システムにおける第2の薬物投与デバイス300b(及び任意の追加の薬物投与デバイス)の使用は、第1の薬物投与デバイス300a(又はコンピュータシステム800が、第2の投与スキームを決定して、第1の薬物投与デバイス300aに送信する実施形態では、コンピュータシステム800)が、第1の薬物投与デバイス300aに含まれる薬物の患者への送達のための第2の薬物投与スキームを決定する際に、コンピュータシステム800からの投与データに、及び/又はその少なくとも1つのセンサ94a、98aからの感知データにだけでなく、追加的に第2の薬物投与デバイス300bに関する補助センサデータにも依存する第2の薬物投与スキームを決定することを可能にする。
【0152】
第2の薬物投与デバイス300bは、第1の薬物投与デバイス300aと同じ患者によって使用されるが、第1の薬物投与デバイス300aとは異なる薬物を送達する薬物投与デバイスであり得る。したがって、このようにして、第1の薬物投与デバイス300aは、第1の薬物投与デバイス300aに含まれる薬物の患者への送達のための第1の薬物投与スキームに従って第1の薬物投与デバイス300aからの薬物の送達後に、第2の薬物投与デバイス300bが、特定の薬物を患者に送達するために使用されてきたことを示す補助センサデータをコンピュータシステム800から受信するように構成され得る。したがって、第1の薬物投与デバイス300a(又はコンピュータシステム800が、第2の投与スキームを決定して、第1の薬物投与デバイス300aに送信する実施形態では、コンピュータシステム800)は、第1及び第2の薬物投与デバイス300a、300bの薬物間の干渉を回避するために、第2の薬物投与スキームは、第2の薬物投与デバイス300bが使用されて、他の薬物を患者に送達した後の設定された時間に、薬物を送達すべきであることを決定するように構成され得る。代替的に、第1の薬物投与デバイス300a(又はコンピュータシステム800が、第2の投与スキームを決定して、第1の薬物投与デバイス300aに送信する実施形態では、コンピュータシステム800)は、2つの薬物は、一緒に送達されたときに有益な効果を有するので、第2の薬物投与スキームは、第2の薬物投与デバイス300bがその薬物を患者に送達するのと同時か、又はそのすぐ後に、薬物を患者に送達すべきであることを決定するように構成され得る。薬物投与システムが1つ又は2つ以上の追加の薬物投与デバイスを含む場合、追加の薬物投与デバイスの各々はまた、患者によって使用され、かつ第2の薬物投与デバイス300bと同様の第1の薬物投与の第2の投与スキームに使用され得る。これは、第1の薬物投与デバイス300aを使用している患者のための第2の薬物投与スキームを最適化することを更に支援し得る。
【0153】
代わりに、第2の薬物投与デバイス300bは、別の患者(例えば、第1の薬物投与デバイス300aを使用している患者とは異なる患者)によって使用される薬物投与デバイスであり得、その結果、第1の薬物投与デバイス300aは、別の患者への薬物投与、及び第2の薬物投与デバイス300bによって使用される他の薬物投与スキームに対する他の患者の応答に関する補助センサデータを受信し、かつこの補助センサデータを使用して、第1の薬物投与デバイス300aを使用している患者のために最適化されている第2の薬物投与スキーム(又はコンピュータシステム800が、第2の投与スキームを決定して、第1の薬物投与デバイス300aに送信する実施形態では、コンピュータシステム800)を決定するように構成され得る。このようにして、第1の薬物投与デバイス300aは、別の患者の経験から利益を得る、患者のための調整された投与スキームを実装するように構成され得る。これにより、薬物投与スキーム最適化プロセスが、スピードアップされ得る。薬物投与システムが1つ又は2つ以上の追加の薬物投与デバイスを含む場合、追加の薬物投与デバイスの各々はまた、第1の薬物投与デバイス300aを使用している患者とは異なる患者によって使用され得、第2の薬物投与デバイス300bと同様の第1の薬物投与の第2の投与スキームに使用され得る。これは、第1の薬物投与デバイス300aを使用している患者の現在の薬物投与スキームを最適化することを更に支援し得る。
【0154】
この例示的な実施形態では、第1の薬物投与デバイス300aに関連付けられている少なくとも1つのセンサは、この例示的な実施形態では吸入器(例えば、
図3の吸入器300)である薬物投与デバイス300aの地理的位置に関するセンサデータを取得するように構成されている上述の位置センサ98(
図5B)と同様に構成及び使用される位置センサ98aを含む。この例示的な実施形態では、第1の薬物投与デバイス300aに関連付けられている少なくとも1つのセンサはまた、薬物投与デバイス300aが位置する環境に関するデータを取得するように構成されている上述の位置センサ94(
図5B)と同様に構成及び使用される環境センサ94aを含み、このデータは、この例示的な実施形態では、第1の薬物投与デバイス300aが存在する環境の花粉レベルを含む。この例示的な実施形態では、第2の薬物投与デバイス300bに関連付けられている少なくとも1つのセンサは、位置センサ98(
図5B)と同様に構成及び使用される位置センサ98bを同様に含み、かつ位置センサ94(
図5B)と同様に構成及び使用され、この例示的な実施形態では、第2の薬物投与デバイス300bが存在する環境の花粉レベルを含む環境センサ94bを含む。第2の薬物投与デバイス300bは、この例示的な実施形態では、吸入器(例えば、
図3の吸入器300)である。当業者には理解されるように、花粉レベル(例えば、花粉数)は、吸入器を使用する患者にとって特に重要であり得る。
【0155】
したがって、この例示的な実施形態では、第1の薬物投与デバイス300aの第2の薬物投与スキームは、コンピュータシステム800からの投与データに、第1の吸入器300aの位置に関するセンサデータに、第1の吸入器300aが存在する環境の花粉レベルに関するセンサデータに、第2の吸入器300bの位置に関するセンサデータ、及び第2の吸入器300bが存在する環境の花粉レベルに関するセンサデータに依存して、決定されるように構成されている。したがって、例えば、第1の吸入器300aが、第2の吸入器300bの位置に近い位置に向かって移動していること、及び花粉数が、第2の吸入器300bの位置において、第1の吸入器300aの位置におけるよりも高いことをセンサデータが示す場合、第1の薬物投与デバイス300aに関連付けられた患者が経験する可能性のあるより高い花粉レベルに事前に対処し、それにより、患者の安心感及び転帰を改善するために、第1の吸入器300aは、第1の薬物投与スキームよりも高い用量を有する第2の薬物投与スキームを決定するように構成され得る。
【0156】
他の実施形態では、第1及び第2の薬物投与デバイス300a、300bの各々に関連付けられている少なくとも1つのセンサは、追加又は代替のセンサ、例えば、患者の状態に関する補助センサデータを取得するように構成された患者監視センサ、薬物投与デバイスに関する補助センサデータを取得するように構成されたデバイスセンサ、薬物投与デバイスが存在する環境に関する(第1の薬物投与デバイス300aの第1の環境センサ94aによって、及び第2の薬物投与デバイス300bの第2の環境センサ94bによってすでに考慮されている花粉レベル以外の)補助センサデータを取得するように構成された環境センサ、及び薬物投与デバイスの地理的位置に関する補助センサデータを取得するように構成された位置センサを含む1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。患者監視センサ、デバイスセンサ、環境センサ、及び位置センサは各々、同様に命名されたセンサに関して本明細書で論じられる特徴のうちのいずれかを有し得る。
【0157】
第2の薬物投与デバイス300bは、補助ユーザ入力データを取得するように構成されたユーザインターフェース(例えば、上述の
図5Bのユーザインターフェース80)を含み得、第2の薬物投与デバイス300bは、補助ユーザ入力データをコンピュータシステム800に、例えば、コンピュータシステムの通信インターフェース899と通信する第2の通信インターフェース99bによって通信するように構成され得、コンピュータシステム800は、次いで、補助ユーザ入力データを第1の薬物投与デバイス300aに送信するか、又は補助ユーザ入力データを使用して第2の薬物投与スキームを決定し、決定された第2の薬物投与スキームを第1の薬物投与デバイス300aに送信するかのいずれかを行い得る。第2の薬物投与デバイス300bのこのユーザインターフェースは、本明細書に記載の補助センサデータを取得するように構成されている少なくとも1つのセンサ94b、98bに加えて、又はその代わりに存在し得る。第2の薬物投与デバイス300bがユーザ入力を受信及び送信するように構成されていることは、薬物投与システムが、第2の薬物投与スキームを決定するときに、第2の薬物投与デバイス300bに関するユーザ入力データに依存する第2の薬物投与スキームを決定することを可能にする。このユーザ入力データは、本明細書で論じられるように、薬物投与スキームに対する患者の応答及び/又は知覚される応答に影響を及ぼす要因に関連し得る。
【0158】
図15のこの例示的な実施形態では、第1の薬物投与デバイス300a及び第2の薬物投与デバイス300bの各々は、吸入器、例えば、
図3の吸入器300を含むが、本明細書に記載の他のタイプの薬物投与デバイが、薬物投与デバイス300a、300b(及び薬物投与システムに含まれる任意の他の薬物投与デバイス)のいずれか又は両方の代わりに使用され得る一方、薬物投与システムは、その他の点では、
図15の薬物投与システムと同様に構成及び使用される。例えば、第1及び第2の薬物投与デバイスの各々は、注入ポンプ、例えば、
図2の注入ポンプ200を含み得る。第1の注入ポンプは、患者にインスリンを送達するように構成され得、第2の注入ポンプは、同じ患者にグルカゴンを送達するように送達され得る。各注入ポンプは、その関連する患者の血糖値に関するセンサデータを取得するように構成された患者センサを含み得る。したがって、第1の注入ポンプは、第2の注入ポンプの患者センサによって取得された補助センサデータに少なくとも部分的に基づいて、血液中のグルコースの定常レベルを維持するために、第2の薬物投与スキームを決定するように構成され得る。
【0159】
図15の薬物投与システムはまた、第1及び第2の薬物投与デバイス300a、300bのいずれとも関連付けられておらず、かつ外部センサデータを収集し、外部センサデータをコンピュータシステム800に通信するように構成されている、少なくとも1つの外部センサを含み得る。第1の薬物投与デバイス300bの第2の薬物投与スキームは、コンピュータシステム800から受信された外部センサデータに更に依存し得る。外部センサデータを考慮することにより、第1の薬物投与デバイス300a(又はコンピュータシステム800が、第2の投与スキームを決定して、第1の薬物投与デバイス300aに送信する実施形態では、コンピュータシステム800)が、追加のデータに依存する第2の投与スキームを決定することが可能になる。結果として、第2の薬物投与スキームを決定するためにより多くのデータが使用され得、その結果、第2の薬物投与スキームは、より良好に最適化され、改善された患者転帰をもたらし得る。少なくとも1つの外部センサは、様々なタイプのセンサのうちのいずれかを含み得る。例えば、少なくとも1つの外部センサは、特定の位置で空気品質を検出し、センサデータをコンピュータシステム800に通信する環境センサを含み得る。
【0160】
上述のように、薬物投与スキームを決定する際に使用され得るデータを感知するように構成されている少なくとも1つのセンサは、薬物投与デバイスの一部であり得る。
図11Aは、そのようなデバイス、少なくとも1つの患者監視センサ91を含むオートインジェクタ100の一実施形態を示す。
図16A及び16Bは、そのようなデバイス、少なくとも1つの患者監視センサ991を含むオートインジェクタ900(例えば、
図1のオートインジェクタ100)の別の実施形態を示す。この例示的な実施形態における少なくとも1つの患者監視センサ991は、患者902の体温を測定するように構成された温度センサを含む。この例示的な実施形態における温度センサ991は、例えば、温度センサ991が患者902の額に配置されている
図16Aに示されるように、体温を測定するために額に対して配置されるように構成された側頭スキャナである。しかしながら、他のタイプの温度センサが、温度センサ991の代わりに使用され得る。
【0161】
オートインジェクタ900はまた、ユーザに情報を表示するように構成されたディスプレイの形態のユーザインターフェース980を含む。
図16Bの例のユーザインターフェース980は、患者の測定された体温を華氏98.6度として示す。当業者には理解されるように、ユーザインターフェース980は、側頭スキャナ991の一部であり得る。
【0162】
患者の体温が、正常値を上回る、例えば、華氏98.6度を上回る場合、いくつかの薬物の有効性が、影響を受ける可能性がある。温度センサ991によって測定された患者の体温は、オートインジェクタ900を使用して、薬物を患者902に送達するための薬物投与スキームを決定するために、コンピュータシステム800によって使用され得る。薬物投与スキームは、第1の薬物投与スキーム、第2の薬物投与スキーム、又は第2の薬物投与スキームに続く薬物投与スキームであり得る。上述のように、コンピュータシステム800は、オートインジェクタ900に含まれ得るか、又はオートインジェクタ900の外部にあって、オートインジェクタ900と電子通信し得る。オートインジェクタ900のユーザは、薬物投与スキームが、必要に応じて、感知された患者の体温に基づいて、薬物送達前にコンピュータシステム800によって調整されることを確実にするのに役立つように、オートインジェクタ900から薬物を送達する前に、患者の体温を計るように指示され得る。ユーザは、医療専門家による口頭で、オートインジェクタの使用説明書(Instructions For Use、IFU)で、オートインジェクタのパッケージング上に印刷された調剤ラベルで、ユーザインターフェース980(及び/又はオートインジェクタ900の他のユーザインターフェース)を介してなど、様々な方法のいずれかで、そのように指示され得る。
【0163】
例示的な一実施形態では、オートインジェクタ900は、温度であって、それを超えると、その温度以上の温度を有する患者902に送達された場合に薬物の有効性が悪影響を受ける可能性のある、温度、に対応する所定の高閾値を、患者902の温度が下回っていることを温度センサ991が検出した場合に、オートインジェクタ900が、薬物投与スキームに従って動作されることを可能にするように、オートインジェクタ900のデバイス動作防止機構(例えば、
図1のデバイス動作防止機構140)を操作するように構成されている。所定の高閾値の一例が、華氏98.6度の正常体温である。オートインジェクタ900はまた、患者902の温度が所定の高閾値以上であることを温度センサ991が検出した場合に、薬物投与スキームに従って薬物が送達される前に、オートインジェクタ900が動作されるのを防止するように、オートインジェクタ900のデバイス動作防止機構(例えば、
図1のデバイス動作防止機構140)を操作するように構成されている。ユーザインターフェース980(又はオートインジェクタ900の他のユーザインターフェース)は、オートインジェクタ900が、患者の現在の体温に起因して、一時的に使用不可能であることの通知をユーザに提供するように構成され得る。ユーザは、患者の温度が、所定の高閾値以上であると温度センサ991によって測定される度に、患者の温度を再び取って、患者の温度が所定の高閾値を下回っていると測定されたときに、オートインジェクタ900が動作可能になることを可能するように指示され得る。ユーザは、オートインジェクタのIFUで、オートインジェクタのパッケージング上に印刷された調剤ラベルで、ユーザインターフェース980(及び/又はオートインジェクタ900の他のユーザインターフェース)を介してなど、様々な方法のいずれかで、そのように指示され得る。ユーザは、患者の温度を再び取る前に、一定時間待つように指示され得る。
【0164】
患者の体温は、当業者によって理解されるように、患者に対する薬物の長期効果を理解するために重要な生体指標であり得る。したがって、薬物送達の直前に温度センサ991によって測定される患者の体温は、オートインジェクタ900を使用して患者902に送達される薬物の長期効果を評価するのに有用であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、温度センサ991によって感知される患者の温度は、薬物投与スキームを決定する際に、及び患者の測定された体温を、オートインジェクタ900及び任意の他のオートインジェクタ900から患者への薬物の各送達と相関させることによって薬物の長期効果を評価する際に、コンピュータシステム800によって、及び/又は医療専門家によって使用され得る。いくつかの実施形態では、温度センサ991によって感知される患者の温度は、薬物投与スキームを決定する際には全く使用されないことがあるが、患者の測定された体温を、オートインジェクタ900及び任意の他のオートインジェクタ900から患者への薬物の各送達と相関させることによって、薬物の長期効果を評価する際に、コンピュータシステム800によって、及び/又は医療専門家によって使用され得る。
【0165】
本明細書に開示される装置及びシステムの全ては、1回の使用後に廃棄されるように設計され得るか、又は複数回使用されるように設計され得る。しかしながら、いずれの場合も、装置は、少なくとも1回の使用の後に再使用のために再調整することができる。再調整には、装置の分解工程、それに続く洗浄工程又は特定の部品の交換工程、及びその後の再組み立て工程の任意の組み合わせを含むことができる。具体的には、装置は分解することができ、装置の任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部品が洗浄及び/又は交換されると、続く使用のために装置を再調整施設において、又は外科手術の直前に外科チームによって再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0166】
本明細書に開示される装置は、使用前に滅菌されることが好ましくあり得る。これは、β線又はγ線放射、酸化エチレン、蒸気、及び液浴(例えば、低温浸漬)などの当業者には既知の様々な方法によって行うことができる。内部回路を含む装置を滅菌する例示的な実施形態は、2009年8月13日に公開された、「System And Method Of Sterilizing An Implantable Medical Device」と題する米国特許公開第2009/0202387号に、より詳細に記載されている。装置は、埋め込まれる場合、完全に密封されることが好ましい。これは、当業者に既知の様々な方法によって行うことができる。
【0167】
本開示は、実施例を通して、本明細書で提供される開示全体の文脈内でのみ説明されている。本開示の全体的な範囲から逸脱することなく、特許請求の範囲の趣旨及び範囲内の修正を行い得ることが理解されよう。
【国際調査報告】