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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】細胞外小胞組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/12 20150101AFI20221116BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20221116BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20221116BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20221116BHJP
   A61K 31/7084 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221116BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20221116BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20221116BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20221116BHJP
【FI】
A61K35/12
A61P3/06
A61P3/10
A61P7/04
A61P21/00
A61P27/02
A61P35/00
A61P43/00 105
A61P35/02
A61K47/02
A61K47/26
A61K9/08
A61K47/36
A61K47/20
A61K47/22
A61K47/42
A61K47/64
A61K47/65
A61K31/7084
A61K45/00
C12N5/10 ZNA
C12N15/113 Z
C07K14/705
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518957
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 US2020052935
(87)【国際公開番号】W WO2021062317
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】62/906,018
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/906,485
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520170759
【氏名又は名称】コディアック バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】オニール, コンリン
(72)【発明者】
【氏名】ブルドー, レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン, レーン
(72)【発明者】
【氏名】ドハーティ, マイク
(72)【発明者】
【氏名】ノイス, アーロン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065CA23
4B065CA44
4C076AA12
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB21
4C076CC09
4C076CC10
4C076CC14
4C076CC21
4C076CC27
4C076DD23
4C076DD26
4C076DD26Z
4C076DD38
4C076DD56S
4C076DD59S
4C076DD67
4C076EE30
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF36
4C076FF51
4C076FF63
4C084AA19
4C084MA52
4C084MA55
4C084NA05
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA531
4C084ZA532
4C084ZA941
4C084ZA942
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC331
4C084ZC332
4C084ZC351
4C084ZC352
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA18
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA03
4C086NA05
4C086ZA33
4C086ZA53
4C086ZA94
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC33
4C086ZC35
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB63
4C087MA52
4C087MA55
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA33
4C087ZA53
4C087ZA94
4C087ZB21
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC03
4C087ZC33
4C087ZC35
4H045AA10
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、足場タンパク質及び1つ以上(例えば、1、2、3、4、5またはそれ以上)の外因性の生物学的活性部分を含むことができる細胞外小胞(エキソソーム)の保存及び投与のための組成物に関する。また、本明細書において、エキソソームを産生するための方法、及びエキソソームを使用してある範囲の医学的障害を治療及び/または予防するための方法を提供する。本明細書で提供されるのは、細胞外小胞、例えば、エキソソームの保存及び投与のための組成物である。本開示の組成物は、EVの凝集の減少、EVの安定性の改善、EV構造の完全性の改善、EV上またはEVに含まれる操作されたタンパク質の安定性の改善、及び小分子薬物またはタンパク質などの受動的にロードされたかまたは複合体化された材料の安定性の改善を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、
(a)細胞外小胞と;
(b)糖類と;
(c)塩化ナトリウムと;
(d)リン酸カリウムと;
(e)リン酸ナトリウムと、を含み、
約7.2のpHの溶液中にある、前記組成物。
【請求項2】
前記細胞外小胞が、エキソソームである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、4℃の温度で、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、少なくとも約12時間、少なくとも約15時間、少なくとも約20時間、少なくとも約24時間、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、または少なくとも約7日保存され得る、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物を凍結及び解凍することができ、前記解凍された組成物が、約7.2のpHを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、7.0、7.1、7.2、7.3、または7.4のpHを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、7.2のpHを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
pIが約1~約6.5の範囲にある、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、(i)凝集の減少、(ii)前記細胞外小胞(EV)の安定性の改善、(iii)前記EV構造の完全性の改善、(iv)前記EV上または前記EV内に含まれる操作されたタンパク質の安定性の改善を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記糖類が、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、多糖、糖アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記糖類が、約180.00g/モル~約380.00g/モルの分子量を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記糖類が、ラクトース、グルコース、スクロース、トレハロース、及び/またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記糖類が、約90.00g/モル~約190.00g/モルの分子量を有する糖アルコールである、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記糖アルコールが、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、及び/またはそれらの組み合わせを含む、請求項9~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記糖類が、スクロースまたはトレハロースである、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記糖類が、約5%w/vの濃度で前記組成物中に存在する、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
(i)細胞外小胞及び(ii)約5%w/vの濃度のスクロースまたはトレハロースである糖類を含む、医薬組成物。
【請求項17】
前記組成物が、1%w/v~4%w/vの濃度でスクロースまたはトレハロースを含む参照組成物と比較して、改善された安定性を有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、約6mS/cm+/-10%~約10mS/cm+/-10%の導電率を有する、請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記導電率が、6mS/cm~約7mS/cm、約7mS/cm~約8mS/cm、約8mS/cm~約9mS/cm、または約9mS/cm~約10mS/cmである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記導電率が、約6mS/cm、約7mS/cm、約8mS/cm、約9mS/cm、または約10mS/cmである、請求項18または19に記載の組成物。
【請求項21】
塩化ナトリウムをさらに含む、請求項16~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記塩化ナトリウムが、約10mM~約134mMの濃度で前記組成物中に存在する、請求項1~15、または16~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記塩化ナトリウムの前記濃度が、約10mM~約130mM、約20mM~約120mM、約30mM~約110mM、約40mM~約100mM、約50mM~約90mM、約60mM~約80mM、約70mM~約80mM、約45mM~約95mM、約45mM~約80mM、約45mM~約70mM、約45mM~約65mM、約50mM~約65mM、約50mM~約60mM、約50mM~約55mM、約50mM~約55mM、または約51mM~約54mMである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記塩化ナトリウムの前記濃度が、約10mM、約20mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、または約100mMである、請求項22または23に記載の組成物。
【請求項25】
前記塩化ナトリウムの前記濃度が、約39mM、約40mM、約41mM、約42mM、約43mM、約44mM、約45mM、約46mM、約47mM、約48mM、約49mM、または約50mMである、請求項22~24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、リン酸緩衝液をさらに含む、請求項16~25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
前記リン酸緩衝液が、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二カリウム、及び/またはそれらの組み合わせを含む少なくとも1つのリン酸化合物を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記リン酸緩衝液が、リン酸カリウム及びリン酸ナトリウムを約1:約2、約1:約3、約1:約4、または約1:約5の比率で含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記リン酸緩衝液が、リン酸カリウム及びリン酸ナトリウムを約1:約3の比率で含む、請求項27または28に記載の組成物。
【請求項30】
前記リン酸緩衝液が、リン酸カリウム及びリン酸ナトリウムを約1:約2の比率で含む、請求項27~29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
(i)細胞外小胞と、(ii)リン酸カリウムと、(iii)リン酸ナトリウムと、を含む溶液を含む医薬組成物であって、前記リン酸カリウム及び前記リン酸ナトリウムの比率が、約1~約3または約1~約2である、前記組成物。
【請求項32】
前記溶液が7.1~7.3のpHを有する、請求項16~31のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
前記リン酸カリウムが、約1mM~約20mM、約2mM~約19mM、約3mM~約18mM、約4mM~約17mM、約5mM~約16mM、または約5mM~約15mMの濃度で前記組成物中に存在する、請求項1~15または27~32のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項34】
前記リン酸カリウムの前記濃度が、約4.5mM、約4.6mM、約4.7mM、約4.8mM、約4.9mM、約5.0mM、約5.1mM、約5.2mM、約5.3mM、約5.4mM、または約5.5mMである、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記リン酸カリウムの前記濃度が5.15mMである、請求項33または34に記載の組成物。
【請求項36】
前記リン酸カリウムの前記濃度が、約15.0mM、約15.1mM、約15.2mM、約15.3mM、約15.4mM、約15.5mM、約15.6mM、約15.7mM、約15.8mM、約15.9mM、約16.0、約16.1mM、約16.2mM、約16.3mM、約16.4mM、または約16.5mMである、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
前記リン酸カリウムの前記濃度が、15.4mMである、請求項33または36に記載の組成物。
【請求項38】
前記リン酸カリウムが一塩基性リン酸カリウムである、請求項1~15または27~37のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項39】
前記リン酸ナトリウムが、約10mM~約30、約11mM~約29mM、約12mM~約28mM、約13mM~約27mM、または約14mM~約26mMの濃度で前記組成物中に存在する、請求項1~15または27~38のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項40】
前記リン酸ナトリウムが、約14.5mM、約14.6mM、約14.7mM、約14.8mM、約14.9mM、約15.0mM、約15.1mM、約15.2mM、約15.3mM、約15.4mM、または約15.5mMの濃度で前記組成物中に存在する、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記リン酸ナトリウムの前記濃度が、14.9mMである、請求項39または40に記載の組成物。
【請求項42】
前記リン酸ナトリウムが、約26.5mM、約26.6mM、約26.7mM、約26.8mM、約26.9mM、約27.0mM、約27.1mM、約27.2mM、約27.3mM、約27.4mM、または約27.5mMの濃度で前記組成物中に存在する、請求項39に記載の組成物。
【請求項43】
前記リン酸ナトリウムの前記濃度が、27.1mMである、請求項39または42に記載の組成物。
【請求項44】
前記リン酸ナトリウムが、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物である、請求項1~15または27~43のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項45】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1~44のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項46】
前記抗酸化剤が、D-メチオニン、L-メチオニン、アスコルビン酸、エリソルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、チオグリセロール、システイン、アセチルシステイン、シスチン、ジチオエリスレイトール、グルタチオン、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、重硫酸ナトリウム、ジチオン酸ナトリウム、Α-トコフェロール、γ-トコフェロール、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビル、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ尿素、チオ硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、及びチオグリコール酸ナトリウムを含む、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記組成物が、凍結乾燥されていない、請求項1~46のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物がキレート剤を含まない、請求項1~47のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項49】
前記組成物が、アルブミンを含まない、請求項1~48のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
a.約5%w/vの濃度のスクロースと;
b.約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
c.約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
d.約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、
pH7.2の溶液中にあり、導電率7.23mS/cm+/-10%である、請求項1~49のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項51】
a.約5%w/vの濃度のスクロースと;
b.約40mMの濃度の塩化ナトリウムと;
c.約15mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
d.約27mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、
pH7.2の溶液中にあり、導電率8.8mS/cm+/-10%である、請求項1~49のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項52】
前記組成物を、約-20℃~約-80℃の温度で保存することができ、前記細胞外小胞の安定性は、低下しない、請求項1~51のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項53】
前記組成物が、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約1年間、約2年間、約3年間、または約4年間保存できる、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
前記細胞外小胞がエキソソームである、請求項16~53のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項55】
前記細胞外小胞が、足場タンパク質をさらに含む、請求項1~15または16~54のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項56】
前記足場タンパク質が、足場Xである、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
ペイロードが、前記足場タンパク質に連結されている、請求項55または56に記載の組成物。
【請求項58】
前記ペイロードが、リンカーによって、前記足場タンパク質に連結されている、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記リンカーが、ポリペプチドである、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
前記リンカーが、非ポリペプチド部分である、請求項58に記載の組成物。
【請求項61】
足場Xが、前記細胞外小胞の外面に前記ペイロードを固定することができる足場タンパク質である、請求項56~60のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項62】
前記足場タンパク質が、プロスタグランジンF2受容体の負の調節因子(PTGFRNタンパク質)を含む、請求項56~61のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項63】
前記足場タンパク質が、前記PTGFRNタンパク質またはその断片を含む、請求項55~62のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項64】
前記足場タンパク質が、配列番号1~7または33のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、請求項55~62に記載の組成物。
【請求項65】
前記足場タンパク質が、配列番号1と、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項55~64のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項66】
前記細胞外小胞が、生物学的活性部分を含む、請求項1~67に記載の組成物。
【請求項67】
前記足場タンパク質が、前記生物学的活性部分に融合されている、請求項55~68に記載の組成物。
【請求項68】
前記足場タンパク質が、前記生物学的活性部分に融合されていない、請求項55~68に記載の組成物。
【請求項69】
前記生物学的活性部分が、STINGアゴニストを含む、請求項68~71のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項70】
前記STINGアゴニストが、CL656を含む、請求項71に記載の組成物。
【請求項71】
前記STINGアゴニストが、CL656の異性体A、異性体B、異性体C、または異性体Dである、請求項72に記載の組成物。
【請求項72】
前記STINGアゴニストが、前記足場タンパク質に融合されていない、請求項71~73のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項73】
前記生物学的活性部分が、IL-12、CD40L、FLT3L、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項68~70のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項74】
前記生物学的活性部分が、前記足場タンパク質に融合されている、請求項75に記載の組成物。
【請求項75】
前記組成物が、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、皮内、経皮、直腸内、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、筋肉内経路または吸入剤によって投与され得る、請求項1~76のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項76】
(a)細胞外小胞と;
(b)糖類と;
(c)塩化ナトリウムと;
(d)リン酸カリウムと;
(e)リン酸ナトリウムと、
を組み合わせることを含む、請求項1~77のいずれか1項に記載の医薬組成物を調製する方法。
【請求項77】
前記細胞外小胞がエキソソームである、請求項78に記載の方法。
【請求項78】
細胞外小胞及び糖類を組み合わせることを含む、医薬組成物を調製する方法であって、前記糖類は、約5%w/vの濃度のスクロースまたはトレハロースであり、前記組成物は、1~4%の濃度のスクロースまたはトレハロースを含む組成物と比較して、改善された安定性を呈する、前記方法。
【請求項79】
細胞外小胞とリン酸化合物とを組み合わせることを含む、医薬組成物を調製する方法であって、前記リン酸化合物は、7.1~7.3のpHを生じさせる比率でリン酸カリウム及びリン酸ナトリウムを含む、前記方法。
【請求項80】
前記組成物の導電率がさらに調整される、請求項78~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記組成物の前記導電率が、約7.1~約7.3mS/cmである、請求項97に記載の方法。
【請求項82】
前記導電率が、7.23mS/cmである、請求項83に記載の方法。
【請求項83】
対象に請求項1~77のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、疾患または状態の治療を、それを必要とする前記対象において行う方法。
【請求項84】
前記疾患または状態が、がん、線維症、血友病、糖尿病、成長因子欠乏症、眼疾患、ポンペ病、リソソーム蓄積障害、ムコビシドーシス、嚢胞性線維症、デュシェンヌ型及びベッカー型筋ジストロフィー、トランスチレチンアミロイドーシス、血友病A、血友病B、アデノシンデアミナーゼ欠損症、リーバー先天性黒内障、X連鎖副腎白血病、異染性白質ジストロフィー、OTC欠損症、糖原病1A、クリグラー-ナジャー症候群、原発性シュウ酸過剰尿1型、急性間欠性ポルフィリン症、フェニルケトン尿、家族性高コレステロール血症、ムコ多糖症タイプVI、α1アンチトリプシン欠損症、及び高コレステロール血症である、請求項85に記載の方法。
【請求項85】
前記がんが、膀胱癌、子宮頸癌、腎細胞癌、精巣癌、結腸直腸癌、肺癌、頭頸部癌、卵巣癌、リンパ腫、肝臓癌、神経膠芽腫、黒色腫、骨髄腫、白血病、膵臓癌、またはそれらの組み合わせである、請求項86に記載の方法。
【請求項86】
それを必要とする対象の疾患または状態を治療するための、請求項1~77のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項87】
疾患または状態を治療するための薬剤の製造における、請求項1~77のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項88】
(a)細胞外小胞と;
(b)約4%w/v~約6%w/vの濃度、例えば5%w/vのスクロースと;
(c)30mM~約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mM~約25mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mM~約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、
(f)前記組成物のpHが、約6.7~約7.7である、請求項1~68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項89】
(a)細胞外小胞と;
(b)約5%w/vの濃度のスクロースと;
(c)約40mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約15mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約27mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、
(f)前記組成物のpHが、約7.2である、請求項88に記載の組成物。
【請求項90】
前記細胞外小胞が、STINGアゴニストを含む、請求項88または89に記載の組成物。
【請求項91】
(a)細胞外小胞と;
(b)少なくとも約50mM~少なくとも約300mMの濃度のスクロースと;
(c)少なくとも約10mM~少なくとも約200mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)少なくとも約1mM~少なくとも約20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)少なくとも約5mM~少なくとも約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと;を含み、
(f)前記組成物のpHが、約6.7~約7.7である、請求項1~68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項92】
(a)細胞外小胞と;
(b)約146mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)前記組成物のpHが、約7.2である、請求項91に記載の組成物。
【請求項93】
(a)細胞外小胞と;
(b)少なくとも約1%~少なくとも約10%の濃度のスクロースと;
(c)少なくとも約10mM~少なくとも約200mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)少なくとも約1mM~少なくとも約20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)少なくとも約5mM~少なくとも約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと;を含み、
(f)前記組成物のpHが、約6.7~約7.7である、請求項1~68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項94】
(a)細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)前記組成物のpHが、約7.2である、請求項93に記載の組成物。
【請求項95】
前記細胞外小胞が、IL-12部分を含む、請求項91~94のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項96】
前記IL-12部分が、配列番号11、12または13に示されるアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項95に記載の組成物。
【請求項97】
前記IL-12部分が、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む、請求項95または96に記載の組成物。
【請求項98】
(a)ASOを含む細胞外小胞と;
(b)スクロースと;
(c)塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)前記組成物のpHが、約7.2であり;
前記スクロースは、約73mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、約100mM、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約146mM、または約150mMから選択される濃度であり;
前記塩化ナトリウムは、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、約100mM、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約146mM、及び約150mMから選択される濃度である、請求項1~68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項99】
(a)ASOを含む細胞外小胞と;
(b)スクロースと;
(c)塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)前記組成物のpHが、約7.2であり;
前記スクロースは、約2.5%、約2.6%、約2.7%、約2.8%、約2.9%、約3.0%、約3.1%、約3.2%、約3.3%、約3.4%、約3.5%、約3.6%、約3.7%、約3.8%、約3.9%、約4.0%、約4.1%、約4.2%、約4.3%、約4.4%、約4.5%、約4.6%、約4.7%、約4.8%、約4.9%、及び約5.0%から選択される濃度であり;
前記塩化ナトリウムは、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、約100mM、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約146mM、及び約150mMから選択される濃度である、請求項1~68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項100】
前記ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、請求項98または99に記載の組成物。
【請求項101】
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、前記ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、前記細胞外小胞と;
(b)約73mM~約146mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mM~約150mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)前記組成物のpHが、約7.2である、請求項1~68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項102】
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、前記ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、前記細胞外小胞と;
(b)約2.5%~約5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mM~約150mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)前記組成物のpHが、約7.2である、請求項1~68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項103】
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、前記ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、前記細胞外小胞と;
(b)約146mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)前記組成物のpHが、約7.2である、請求項1~68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項104】
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、前記ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、前記細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)前記組成物のpHが、約7.2である、請求項1~68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項105】
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、前記ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、前記細胞外小胞と;
(b)約2.5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)前記組成物のpHが、約7.2である、請求項1~68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項106】
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、前記ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、前記細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)約100mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)前記組成物のpHが、約7.2である、請求項1~68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項107】
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、前記ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、前記細胞外小胞と;
(b)約2.5%の濃度のスクロースと;
(c)約100mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)前記組成物のpHが、約7.2である、請求項1~68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項108】
前記ASOが、配列番号144に示される核酸配列を含む、請求項98~107のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項109】
前記ASOが、配列番号145に示される核酸配列を含む、請求項98~107のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項110】
前記ASOが、配列番号193に示される核酸配列を含む、請求項98~107のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項111】
前記ASOが、配列番号185に示される核酸配列を含む、請求項98~107のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項112】
前記ASOが、リンカーによって前記細胞外小胞に会合する、請求項98~111のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項113】
前記リンカーが、コレステロール、トコフェロール、脂肪酸、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項112に記載の組成物。
【請求項114】
前記リンカーが、開裂可能なリンカーである、請求項112または113に記載の組成物。
【請求項115】
前記リンカーが、開裂可能なリンカーである、請求項58~60のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
EFS-WEBにより電子的に提出された配列表への参照
本出願中に提出される電子的に提出された配列表(名称:4000_069PC02_Seqlisting_ST25;サイズ:68,911バイト;及び作成日:2020年9月24日)の内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
関連出願の相互参照
このPCT出願は、2019年9月25日に出願された米国仮出願第62/906,018号及び2019年9月26日に出願された同62/906,485号の優先権を主張し、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
開示の分野
本開示は、1つ以上の外因性の生物学的活性部分を含むことができる細胞外小胞(EV)、例えば、エキソソームの保存及び投与のための組成物、ならびにそのような組成物を調製及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
EV、例えば、エキソソームは、細胞間コミュニケーションの重要な媒介因子である。それらはまた、がんなどの多くの疾患の診断及び予後における重要なバイオマーカーである。薬物送達ビヒクルとして、EVは、多くの治療分野における新規治療モディティとして、従来の薬物送達方法(例えば、ペプチド免疫、DNAワクチン)よりも利点をもたらす。研究分野の1つは、EVの有効性を損なうことなく、患者投与前の長期保存期間中にEVを安定的に含むことができる組成物の製剤である。既知の製剤には、欠点がある。例えば、ある特定の製剤、例えば、TRIS緩衝液を含む製剤は、様々な温度(すなわち、製剤が凍結または解凍されたとき)において、pHの変動を防ぐことはない。pHのわずかな変動でさえ、EVの凝集を誘導し、それによってEVの機能を低下させ得るかまたは妨げ得る。さらに、既知の組成物には、外因的に添加されたポリペプチド、例えば、ヒト血清アルブミン、またはキレート剤などの外因性成分が含まれる。
【0005】
したがって、既知の製剤の欠点を克服し、したがってEVベースの技術の治療的使用及び他の用途をよりよく可能にすることができる、EVの保存及び投与のための有効な組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で提供されるのは、細胞外小胞、例えば、エキソソームの保存及び投与のための組成物である。本開示の組成物は、EVの凝集の減少、EVの安定性の改善、EV構造の完全性の改善、EV上またはEVに含まれる操作されたタンパク質の安定性の改善、及び小分子薬物またはタンパク質などの受動的にロードされたかまたは複合体化された材料の安定性の改善を提供する。そのような組成物は、組成物中に含まれるEVの安定性を損なうことなく、凍結され、様々な時間長にわたってある範囲の温度で保存され、解凍され得る。本開示のEVは、生物学的活性部分を含むことができ、その結果、本組成物は、EV、例えば、本明細書に開示される生物学的活性部分を含むように改変されたEVの投与が対象に対して有益な効果を有する複数の疾患または状態を治療するために使用することができる。
【0007】
いくつかの態様では、本開示は、(a)細胞外小胞;(b)糖類;(c)塩化ナトリウム;(d)リン酸カリウム;及び(e)リン酸ナトリウムを含む医薬組成物を提供し、本組成物は、約7.2のpHの溶液中にある。いくつかの態様では、細胞外小胞は、エキソソームである。
【0008】
いくつかの態様では、組成物は、4℃の温度で、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、少なくとも約12時間、少なくとも約15時間、少なくとも約20時間、少なくとも約24時間、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、または少なくとも約7日保存され得る。
【0009】
いくつかの態様では、組成物は、凍結及び解凍することができ、解凍された組成物は、約7.2のpHを有する。いくつかの態様では、組成物は、7.0、7.1、7.2、7.3、または7.4のpHを有する。
【0010】
いくつかの態様では、pIは約1~約6.5の範囲にある。
【0011】
いくつかの態様では、組成物は、(i)凝集の減少、(ii)EVの安定性の改善、(iii)EV構造の完全性の改善、(iv)EV上またはEVに含まれる操作されたタンパク質の安定性の改善、及び(v)小分子薬物またはタンパク質などの受動的にロードされたかまたは複合体化された材料の安定性の改善を有する。
【0012】
いくつかの態様では、糖類は、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、多糖、糖アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、糖類は、約340.00g/モル~約380.00g/モルの分子量を有する。いくつかの態様では、糖類は、ラクトース、グルコース、スクロース、トレハロース、デキストロース、及び/またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、糖類は、約90.00g/モル~約190.00g/モルの分子量を有する糖アルコールである。いくつかの態様では、糖アルコールは、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、及び/またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、糖類は、スクロースまたはトレハロースである。いくつかの態様では、糖類は、約5%w/vの濃度で組成物中に存在する。
【0013】
いくつかの態様では、本開示は、(i)細胞外小胞及び(ii)約5%w/vの濃度のスクロースまたはトレハロースである糖類含む医薬組成物を提供する。いくつかの態様では、組成物は、1%w/v~4%w/vの濃度でスクロースまたはトレハロースを含む参照組成物と比較して、改善された安定性を有する。
【0014】
いくつかの態様では、組成物は、約6mS/cm~約10mS/cmの導電率を有する。いくつかの態様では、導電率は、6mS/cm~約7mS/cm、約7mS/cm~約8mS/cm、約8mS/cm~約9mS/cm、または約9mS/cm~約10mS/cmである。いくつかの態様では、導電率は、約6mS/cm、約7mS/cm、約8mS/cm、約9mS/cm、または約10mS/cmである。
【0015】
いくつかの態様では、組成物は、塩化ナトリウムをさらに含む。いくつかの態様では、塩化ナトリウムは、約10mM~約134mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約10mM~約130mM、約20mM~約120mM、約30mM~約110mM、約40mM~約100mM、約50mM~約90mM、約60mM~約80mM、約70mM~約80mM、約45mM~約95mM、約45mM~約80mM、約45mM~約70mM、約45mM~約65mM、約50mM~約65mM、約50mM~約60mM、約50mM~約55mM、約50mM~約55mM、または約51mM~約54mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約10mM、約20mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、または約100mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約39mM、約40mM、約41mM、約42mM、約43mM、約44mM、約45mM、約46mM、約47mM、約48mM、約49mM、または約50mMである。
【0016】
いくつかの態様では、組成物は、リン酸緩衝液をさらに含む。いくつかの態様では、リン酸緩衝液は、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二カリウム、及び/またはそれらの組み合わせを含む少なくとも1つのリン酸化合物を含む。
【0017】
いくつかの態様では、リン酸緩衝液は、約1:約2、約1:約3、約1:約4、または約1:約5の比率でリン酸カリウム及びリン酸ナトリウムを含む。いくつかの態様では、リン酸緩衝液は、約1:約3の比率でリン酸カリウム及びリン酸ナトリウムを含む。いくつかの態様では、リン酸緩衝液は、約1:約2の比率でリン酸カリウム及びリン酸ナトリウムを含む。
【0018】
いくつかの態様では、本開示は、(i)細胞外小胞、(ii)リン酸カリウム、及び(iii)リン酸ナトリウムを含む溶液を含む医薬組成物を提供し、ここで、リン酸カリウム及びリン酸ナトリウムの比率は、約1~約3または約1~約2である。
【0019】
いくつかの態様では、溶液は、7.1~7.3のpHを有する。
【0020】
いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約1mM~約20mM、約2mM~約19mM、約3mM~約18mM、約4mM~約17mM、約5mM~約16mM、または約5mM~約15mMの濃度で組成物中に存在する。
【0021】
いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約4.5mM、約4.6mM、約4.7mM、約4.8mM、約4.9mM、約5.0mM、約5.1mM、約5.2mM、約5.3mM、約5.4mM、または約5.5mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、5.15mMである。
【0022】
いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約15.0mM、約15.1mM、約15.2mM、約15.3mM、約15.4mM、約15.5mM、約15.6mM、約15.7mM、約15.8mM、約15.9mM、約16.0、約16.1mM、約16.2mM、約16.3mM、約16.4mM、または約16.5mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、15.4mMである。
【0023】
いくつかの態様では、リン酸カリウムは、一塩基性リン酸カリウムである。
【0024】
いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約10mM~約30、約11mM~約29mM、約12mM~約28mM、約13mM~約27mM、または約14mM~約26mMの濃度で組成物中に存在する。
【0025】
いくつかの態様では、請求項39に記載の組成物であって、リン酸ナトリウムが、約14.5mM、約14.6mM、約14.7mM、約14.8mM、約14.9mM、約15.0mM、約15.1mM、約15.2mM、約15.3mM、約15.4mM、または約15.5mMの濃度で組成物中に存在する。
【0026】
いくつかの態様では、リン酸ナトリウムの濃度は、14.9mMである。
【0027】
いくつかの態様では、リン酸ナトリウムが、約26.5mM、約26.6mM、約26.7mM、約26.8mM、約26.9mM、約27.0mM、約27.1mM、約27.2mM、約27.3mM、約27.4mM、または約27.5mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムの濃度は、27.1mMである。
【0028】
いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物である。
【0029】
いくつかの態様では、組成物は、抗酸化剤をさらに含む。いくつかの態様では、抗酸化剤は、D-メチオニン、L-メチオニン、アスコルビン酸、エリソルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、チオグリセロール、システイン、アセチルシステイン、シスチン、ジチオエリスレイトール(dithioerythreitol)、グルタチオン、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、重硫酸ナトリウム、ジチオン酸ナトリウム、Α-トコフェロール、γ-トコフェロール、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビル、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ尿素、チオ硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、及びチオグリコール酸ナトリウムを含む。
【0030】
いくつかの態様では、組成物は凍結乾燥されていない。
【0031】
いくつかの態様では、組成物はキレート剤を含まない。
【0032】
いくつかの態様では、組成物は、アルブミンを含まない。
【0033】
いくつかの態様では、本開示は、(a)約5%w/vの濃度のスクロース;(b)約50mMの濃度の塩化ナトリウム;(c)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウム;及び(d)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む組成物を提供し、組成物は、pH7.2及び導電率8.8mS/cmの溶液中にある。
【0034】
いくつかの態様では、本開示は、(a)約5%w/vの濃度のスクロース;(b)約40mMの濃度の塩化ナトリウム;(c)約15mMの濃度の一塩基性リン酸カリウム;及び(d)約27mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む組成物を提供し、組成物は、pH7.2及び導電率7.2mS/cmの溶液中にある。
【0035】
いくつかの態様では、組成物は、約-20℃~約-80℃の温度で保存することができ、細胞外小胞の安定性は低下しない。いくつかの態様では、組成物は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、または約5年間保存できる。
【0036】
いくつかの態様では、細胞外小胞は、エキソソームである。
【0037】
いくつかの態様では、細胞外小胞は、足場タンパク質をさらに含む。いくつかの態様では、足場タンパク質は足場Xである。いくつかの態様では、ペイロードは、足場タンパク質に連結されている。いくつかの態様では、ペイロードは、リンカーによって足場タンパク質に連結されている。いくつかの態様では、リンカーは、ポリペプチドである。いくつかの態様では、リンカーは、非ポリペプチド部分である。いくつかの態様では、足場Xは、細胞外小胞の外面にペイロードを固定することができる足場タンパク質である。
【0038】
いくつかの態様では、足場タンパク質は、プロスタグランジンF2受容体の負の調節因子(PTGFRNタンパク質)を含む。
【0039】
いくつかの態様では、足場タンパク質は、PTGFRNタンパク質またはその断片を含む。いくつかの態様では、足場タンパク質は、配列番号1~7及び33のうちのいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、足場タンパク質は、配列番号1と、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0040】
いくつかの態様では、細胞外小胞は、生物学的活性部分を含む。いくつかの態様では、足場タンパク質は、生物学的活性部分に融合されている。いくつかの態様では、足場タンパク質は、生物学的活性部分に融合されていない。
【0041】
いくつかの態様では、生物学的活性部分は、STINGアゴニストを含む。いくつかの態様では、STINGアゴニストは、CL656を含む。いくつかの態様では、STINGアゴニストは、CL656の異性体A、異性体B、異性体C、または異性体Dである。いくつかの態様では、STINGアゴニストは、足場タンパク質に融合されていない。
【0042】
いくつかの態様では、生物学的活性部分は、IL-12である。いくつかの態様では、生物学的活性部分は、CD40Lである。他の態様では、生物学的活性部分は、FTL3Lである。
【0043】
いくつかの態様では、生物学的活性部分は、足場タンパク質に融合されている。
【0044】
いくつかの態様では、組成物は、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、皮内、経皮、直腸内、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、筋肉内経路によってまたは吸入剤として投与され得る。
【0045】
いくつかの態様では、本開示は、(a)細胞外小胞;(b)糖類;(c)塩化ナトリウム;(d)リン酸カリウム;及び(e)リン酸ナトリウムを組み合わせることを含む医薬組成物を調製する方法を提供する。いくつかの態様では、細胞外小胞は、エキソソームである。
【0046】
いくつかの態様では、本開示は、細胞外小胞及び糖類を組み合わせることを含む医薬組成物を調製する方法を提供し、ここで、糖類は、約5%w/vの濃度のスクロースまたはトレハロースであり、組成物は、1~4%の濃度のスクロースまたはトレハロースを含む組成物と比較して、改善された安定性を呈する。
【0047】
いくつかの態様では、本開示は、細胞外小胞とリン酸化合物とを組み合わせることを含む医薬組成物を調製する方法を提供し、ここで、リン酸化合物は、7.1~7.3のpHを生じさせる比率でリン酸カリウム及びリン酸ナトリウムを含む。
【0048】
いくつかの態様では、組成物の導電率は調節され得る。いくつかの態様では、組成物の導電率は、約7.1~約7.3mS/cmである。いくつかの態様では、本開示は、導電率が7.23mS/cmであることを提供する。
【0049】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に開示される組成物を対象に投与することを含む、疾患または状態の治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供する。いくつかの態様では、疾患または状態は、がん、線維症、血友病、糖尿病、成長因子欠乏症、眼疾患、ポンペ病、リソソーム蓄積障害、ムコビシドーシス、嚢胞性線維症、デュシェンヌ型及びベッカー型筋ジストロフィー、トランスチレチンアミロイドーシス、血友病A、血友病B、アデノシンデアミナーゼ欠損症、リーバー先天性黒内障、X連鎖副腎白血病、異染性白質ジストロフィー、OTC欠損症、糖原病1A、クリグラー-ナジャー症候群、原発性高シュウ酸尿症I型、急性間欠性ポルフィリン症、フェニルケトン尿、家族性高コレステロール血症、ムコ多糖症タイプVI、α1アンチトリプシン欠乏症、及び高コレステロール血症である。いくつかの態様では、がんは、膀胱癌、子宮頸癌、腎細胞癌、精巣癌、結腸直腸癌、肺癌、頭頸部癌、卵巣癌、リンパ腫、肝臓癌、神経膠芽腫、黒色腫、骨髄腫、白血病、膵臓癌、またはそれらの組み合わせである。
【0050】
いくつかの態様では、本開示は、疾患または状態の治療をそれを必要とする対象において行うための医薬組成物を提供する。
【0051】
いくつかの態様では、本開示は、疾患または状態を治療するための薬剤の製造における本明細書に開示される組成物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1A】本開示の一態様による、タンパク質X及び生物学的活性部分を含むエキソソームの概略図である。表面タンパク質CD9、CD81、及びTSG101、及びスフィンゴミエリン脂質ドメインが示されている。エキソソーム成分のmRNA、miRNA、及び代謝物がさらに示されている。
図1B】本開示の一態様による、天然(黒い四角)及びタンパク質X含有エキソソーム(円)のゼータ電位(mV)を示すグラフである。X軸は、pHである。Y軸は、ゼータ電位(mV)である。
図2A】本開示の一態様による、異なるpH値での天然エキソソーム(黒い四角)及びタンパク質Xエキソソーム(円)のZ平均(nm)を示すグラフである。X軸は、pHである。Y軸は、Z平均(nm)である。
図2B】本開示の一態様による、EVの安定なpH範囲(角が丸い四角)を示す概略図である。示されている安定したpH範囲は7~8である。矢印は、pHが低すぎる(EV凝集)または高すぎる(脂質加水分解)場合のEVのpH変動の結果を示している。
図2C】本開示の一態様による、タンパク質X EVを示す極低温透過電子顕微鏡写真の拡大画像である。エキソソームは、水中でガラス化され、乾燥していない。この画像は、氷の結晶のない水中のエキソソームを示している。タンパク質X EVの理論上の等電点(pI)は、6.2と記載されている。タンパク質X含有EVのサイズは、約100nmと記載されている。
図2D】本開示の態様による、様々な組成物を含むマイクロ遠心チューブの写真である。チューブAには、3回凍結融解したスクロース+緩衝液が含まれている。チューブBには、3回凍結及び解凍した緩衝液のみが含まれている。チューブCには、3回凍結及び解凍したMilli-Q水のみが含まれている。これらのチューブは、色の変化及び濁りの両方の存在を示しているまた、塩は、純水サンプルと比較して、ある程度の保護をもたらすことも示されている。
図3A】開示の一態様により、上清中のSTINGアゴニストと比較して、-80℃、4℃、及び22℃の温度で0時間~12時間の期間保存したエキソソーム含有緩衝液と共に、エキソソーム中のSTINGアゴニスト濃度(μM)の分布を示すグラフである。このグラフは、図3Bの0~12時間の時点を示している。X軸は、時間(時間単位)である。Y軸は、STINGアゴニストの濃度(μM)である。
図3B】本開示の一態様により、上清中のSTINGアゴニストと比較して、-80℃、4℃、及び22℃の温度で12時間~72時間の期間保存したエキソソーム含有緩衝液と共に、エキソソーム中のSTINGアゴニスト濃度(μM)の分布を示すグラフである。X軸は、時間(時間単位)である。Y軸は、STINGアゴニストの濃度(μM)である。
図3C】本開示の一態様による、投与後4時間での、リン酸緩衝生理食塩水、天然エキソソームを含む緩衝液、及びSTINGアゴニストを含むエキソソームを含む緩衝液の投与が、C57BL/6マウスにおける遺伝子発現に及ぼす影響を示す棒グラフである。エキソソーム含有緩衝液は、4℃及び22℃で24時間または72時間保存した。X軸は、様々な試験対象項目である。Y軸は、正規化遺伝子発現のレベルである。
図3D】本開示の一態様による、C57BL/6マウスのB16-F10黒色腫腫瘍における遊離STINGアゴニスト(破線、下)及びエキソソームカプセル化STINGアゴニスト(実線、上)の腫瘍内濃度を経時的に示すグラフである。X軸は、時間(分単位)である。Y軸は、STINGアゴニストの濃度(nM)である。
図4】本開示の一態様による、エキソソームにカプセル化されたSTINGアゴニストを調製するためのプロセスの概略図である。Aは、STINGの一部がエキソソームに拡散するように、STINGアゴニストによりエキソソームを含む緩衝液を飽和させることによる、STINGアゴニストのエキソソームへのロードを示している。Bは、エキソソームの精製(すなわち、エキソソームに拡散しなかったSTINGアゴニストの除去)を示している。Cは、STINGアゴニストを含むエキソソームの平衡化(すなわち、エキソソームから周囲の緩衝液へのSTINGアゴニストの受動拡散)を示している。
図5】エキソソームに会合するIL-12含有量(ng/mL)を示すグラフである。X軸は、エキソソームが保存されている時間(日数)である。Y軸は、IL-12の含有量(ng/mL)である。左から右に、棒グラフは、以下を示す:(1)対照、過酸化物なし;(2)対照、0.05%過酸化物;(3)チオ硫酸塩、過酸化物なし;(4)チオ硫酸塩、0.05%過酸化物;(5)アスコルビン酸塩、過酸化物なし;(6)アスコルビン酸塩、0.05%過酸化物;(7)グルタチオン、過酸化物なし;(8)グルタチオン、0.05%過酸化物;(9)メチオニン、過酸化物なし;(10)メチオニン、0.05%過酸化物。
図6】異なる時間長後のエキソソームの直径(nm)を示すグラフである。X軸は、エキソソームが保存されている時間(日数)である。Y軸は、エキソソームの直径(nm)である。左から右に、棒グラフは、以下を示す;(1)対照;(2)対照及び過酸化水素;(3)チオ硫酸塩;(4)チオ硫酸塩及び過酸化水素;(5)アスコルビン酸塩;(6)アスコルビン酸塩及び過酸化水素;(7)グルタチオン;(8)グルタチオン及び過酸化水素;(9)メチオニン;(10)メチオニン及び過酸化水素。
図7】異なる時間長後のエキソソーム溶液のPDIを示すグラフである。X軸は、エキソソームが保存されている時間(日数)である。Y軸は、多分散度指数である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本開示は、EV及びペイロードの安定性及び完全性が様々な期間及び温度(凍結及び解凍など)において維持される1つ以上の生物学的活性部分を含むことができるEV(例えば、エキソソーム)の保存及び投与のための組成物に関する。複数の生物学的活性部分は、EV(例えば、エキソソーム)の外面上の1つ以上の足場部分に付着(または連結)することができる。様々な態様の非限定的な例が本明細書に開示されている。
【0054】
I.定義
本記載を、より容易に理解することができるように、特定の用語を最初に定義する。さらなる定義は、発明を実施するための形態の全体を通して記載されている。
【0055】
用語「a」または「an」実体とは、その実体の1つ以上を指すことに留意されたい;例えば、「ヌクレオチド配列」は、1つ以上のヌクレオチド配列を表すと理解される。したがって、用語「a」(または「an」)、「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」は、本明細書中では同じ意味で用いられる。
【0056】
さらに、本明細書中で使用する「及び/または」は、他方を伴うまたは伴わない、指定された2つの機能または成分のそれぞれの特定の開示として解釈される。したがって、本明細書中の「A及び/またはB」などの語句で使用される用語「及び/または」とは、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むことを意図する。同様に、「A、B、及び/またはC」などの語句で使用される用語「及び/または」は、以下の各態様を包含することを意図している:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)。
【0057】
態様が「含む」という言語で本明細書に記載されている場合は常に、「からなる」及び/または「本質的にからなる」に関して記載されている類似の態様も提供されることが理解される。
【0058】
他に定義されない限り、本明細書中で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本開示に関連する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;及びOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示で使用される多くの用語の一般的な辞書とともに技術の1つを提供する。
【0059】
単位、接頭辞、及び記号は、Systeme International de Unites(SI)で承認された形式で示される。数値範囲は、その範囲を定義する数を含むものとする。特に明記しない限り、ヌクレオチド配列は、左から右へ5’から3’の向きで記述される。アミノ酸配列は、左から右へアミノからカルボキシの方向で記述される。本明細書中で提供する見出しは、本明細書全体を参照することによって有し得る本開示の様々な態様を制限するものではない。したがって、すぐ下で定義される用語は、明細書全体を参照することにより、より完全に定義される。
【0060】
用語「約」とは、本明細書中では、およそ、ほぼ、大まかに、または近位を意味するために使用される。用語「約」を数値範囲と併用して使用する場合、この用語は、記載の数値の境界を上下に引き伸ばすことによって、その範囲を修飾する。一般的に、用語「約」は、記載の値の上下の数値を、例えば上下10%の変動(より高くまたはより低く)で、修飾することができる。
【0061】
本明細書中で使用する場合、用語「細胞外小胞」すなわち「EV」とは、内部空間を封入する膜を含む細胞由来小胞を指す。細胞外小胞は、それらが由来する細胞よりも小さい直径を有するすべての膜結合小胞(例えば、エキソソーム、ナノ小胞)を含む。いくつかの態様では、細胞外小胞は、直径が20nm~1000nmの範囲であり、内部空間(すなわち、内腔)内で、細胞外小胞の外部表面に提示されて、及び/または膜にわたってのいずれかで、様々な高分子ペイロードを含み得る。いくつかの態様では、ペイロードは、核酸、タンパク質、炭水化物、脂質、小分子、及び/またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの態様では、EVは、複数の(例えば、2つ以上の)ペイロードまたは他の外因性の生物学的活性部分を含む。ある特定の態様では、細胞外ビヒクルは、1つ以上の足場部分をさらに含むことができる。例として、かつ限定することなく、細胞外小胞は、アポトーシス小体、細胞の断片、直接的操作または間接的操作による細胞由来の小胞(例えば、連続押出またはアルカリ溶液での処理による)、小胞化オルガネラ、及び生細胞により産生される小胞(例えば、直接原形質膜出芽または後期エンドソームの原形質膜との融合による)を含む。細胞外小胞は、生きているもしくは死んだ生物、外植された組織もしくは器官、原核細胞または真核細胞、及び/または培養された細胞に由来し得る。いくつかの態様では、細胞外小胞は、1つ以上の導入遺伝子産物を発現する細胞によって生成される。本明細書に開示されるEVは改変されており、したがって、天然に存在するEVを含まない。
【0062】
本明細書中で使用する場合、用語「エキソソーム」とは、20~300nm(例えば、40~200nm)の直径を有する細胞外小胞を指す。エキソソームは、内部空間(すなわち、内腔)を囲む膜を含み、いくつかの態様では、直接の原形質膜出芽によって、または後期エンドソームと原形質膜との融合によって、細胞(例えば、プロデューサー細胞)から生成され得る。いくつかの態様では、エキソソームは、複数の(例えば、2つ以上の)外因性の生物学的活性部分(例えば、本明細書に記載される)を含む。ある特定の態様では、エキソソームは、1つ以上の足場部分をさらに含む。以下に記載するように、エキソソームは、プロデューサー細胞に由来することができ、そのサイズ、密度、生化学的パラメータ、またはそれらの組み合わせに基づいてプロデューサー細胞から単離され得る。いくつかの態様では、本開示のEV(例えば、エキソソーム)は、1つ以上の導入遺伝子産物を発現する細胞によって産生される。本開示のエキソソームは改変されており、したがって、天然に存在するエキソソームを含まない。
【0063】
本明細書中で使用する場合、用語「ナノ小胞」とは、20~250nm(例えば、30~150nm)の直径を有する細胞外小胞を指し、細胞(例えば、プロデューサー細胞)から、操作なしでは細胞によってナノ小胞が産生されないような、直接または間接の操作によって生成される。ナノ小胞を産生するための細胞の適切な操作には、連続押出、アルカリ溶液での処理、超音波処理、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、ナノ小胞の産生は、プロデューサー細胞の破壊を生じ得る。いくつかの態様では、本明細書に記載のナノ小胞の集団は、原形質膜からの直接出芽または後期エンドソームの原形質膜との融合により、細胞に由来する小胞を実質的に含まない。いくつかの態様では、ナノ小胞は、複数の(例えば、少なくとも2つの)外因性の生物学的活性部分を含む。ある特定の態様では、ナノ小胞は、1つ以上の足場部分をさらに含む。以前にプロデューサー細胞に由来したナノ小胞は、そのサイズ、密度、生化学的パラメータ、またはそれらの組み合わせに基づいてプロデューサー細胞から単離され得る。本明細書で使用されるように、ナノ小胞は改変されており、したがって、天然に存在するナノ小胞を含まない。
【0064】
本明細書中で使用する場合、用語「表面操作EV、例えば、エキソソーム」(例えば、足場X操作EV、例えば、エキソソーム)とは、操作EV(例えばエキソソーム)の膜または表面が、改変前のEVの表面、または天然のEVの表面とは異なっているように、その組成が改変された膜または表面を有するEV(例えばエキソソーム)を指す。操作は、EV(例えばエキソソーム)の表面上、またはEV(例えばエキソソーム)の膜内に対して行うことができ、その結果、EV(例えばエキソソーム)の表面が変化する。例えば、膜は、そのタンパク質、脂質、小分子、炭水化物などの組成が改変される。組成は、化学的、物理的、もしくは生物学的方法によって、または化学的、物理的、もしくは生物学的方法によって、あらかじめまたは同時に改変した細胞から産生させることによって、変更することができる。具体的には、組成は、遺伝子工学によって、または遺伝子工学によってあらかじめ改変した細胞から産生させることによって、変更することができる。いくつかの態様では、表面操作されたEV、例えば、エキソソームは、複数の(例えば、少なくとも2つの)外因性の生物学的活性部分を含む。ある特定の態様では、外因性の生物学的活性部分は、外因性タンパク質(すなわち、EV(例えばエキソソーム)が天然に発現しないタンパク質)またはその断片もしくはバリアントを含み、これらは、EV(例えばエキソソーム)の表面に露出し得るか、またはEV(例えばエキソソーム)の表面に露出した部分の固定点(接着部)であり得る。他の態様では、表面操作されたEV(例えばエキソソーム)は、より高発現(例えば、より多数)の、天然のエキソソームタンパク質(例えば、足場X)またはその断片もしくはバリアントを含み、これらは、EV(例えば、エキソソーム)の表面に露出し得るか、またはEV(例えば、エキソソーム)の表面に露出した部分の固定点(接着部)であり得る。
【0065】
用語「改変された」とは、本明細書に記載のEV(例えば、エキソソーム)に関して使用される場合、改変されたEV(例えば、エキソソーム)が天然のEV(例えば、エキソソーム)とは異なっているように、EV(例えば、エキソソーム)及び/またはそのプロデューサー細胞を改変または操作することを指す。いくつかの態様では、本明細書に記載の改変EV(例えば、エキソソーム)は、天然のEV(例えば、エキソソーム)の膜と比較して、タンパク質、脂質、小分子、炭水化物などの組成が異なる膜を含む(例えば、膜は、より高い密度または数の天然エキソソームタンパク質を含み、及び/または膜は、エキソソームには天然に見出されない複数の(少なくとも2つの)生物学的活性部分を含む。本明細書で使用される場合、エキソソームに天然に見出されない生物学的活性部分は、「外因性の生物学的活性部分」とも記載される。特定の態様では、膜に対するそのような改変は、EV(例えば、エキソソーム)(例えば、本明細書に記載の表面操作されたEV(例えば、エキソソーム))の外面を変化させる。
【0066】
本明細書中で使用する場合、用語「足場部分」とは、ペイロードまたは任意の他の目的の外因性の生物学的活性部分を、EV(例えば、エキソソーム)の内腔表面または外面のいずれかにおいて、EV(例えばエキソソーム)に固定するために使用することができる分子を指す。特定の態様では、足場部分は、合成分子を含む。いくつかの態様では、足場部分は、非ポリペプチド部分を含む。他の態様では、足場部分は、EV(例えば、エキソソーム)中に天然に存在する脂質、炭水化物、またはタンパク質を含む。いくつかの態様では、足場部分は、EV(例えばエキソソーム)に天然には存在しない脂質、炭水化物、またはタンパク質を含む。特定の態様では、足場部分は、足場Xである。さらなる態様では、足場部分は、足場X及び別の足場部分を含む。本開示で使用することができる他の足場部分の非限定的な例としては、アミノペプチダーゼN(CD13)、ネプリライシン、別名メンブレンメタロエンドペプチダーゼ(MME);エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー1(ENPP1);ニューロピリン-1(NRP1);CD9、CD63、CD81、PDGFR、GPIアンカータンパク質、ラクトアドヘリン、LAMP2、及びLAMP2Bが挙げられる。
【0067】
本明細書で使用する場合、「足場X」という用語は、エキソソームの表面で最近同定されたエキソソームタンパク質を指す。例えば、米国特許第10,195,290号を参照されたい(その全体が参照により本明細書に援用される)。足場Xタンパク質の非限定的な例には、以下が含まれる:プロスタグランジンF2受容体の負の調節因子(「PTGFRNタンパク質」)。バシギン(「BSGタンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー2(「IGSF2タンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(「IGSF3タンパク質」);免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー8(「IGSF8タンパク質」);インテグリンベータ1(「ITGB1タンパク質」);インテグリンアルファ4(「ITGA4タンパク質」);4F2細胞表面抗原重鎖(「SLC3A2タンパク質」);及びATPトランスポータータンパク質のクラス(「ATP1A1タンパク質」、「ATP1A2タンパク質」、「ATP1A3タンパク質」、「ATP1A4タンパク質」、「ATP1B3タンパク質」、「ATP2B1タンパク質」、「ATP2B2タンパク質」、「ATP2B3タンパク質」、「ATP2Bタンパク質」)。いくつかの態様では、足場Xタンパク質は、完全タンパク質またはその断片(例えば、機能的断片、例えば、EV(例えば、エキソソーム)の外面または内腔表面上に別の部分を固定することができる最小断片)であり得る。いくつかの態様では、足場Xは、部分(例えば、ペイロード)を、エキソソームの外面または内腔表面に固定することができる。
【0068】
本明細書で使用される場合、「足場Y」という用語は、エキソソームの内腔表面内で新たに同定されたエキソソームタンパク質を指す。例えば、国際公開番号WO/2019/099942を参照されたい(その全体が参照により本明細書に援用される)。足場Yタンパク質の非限定的な例として:ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質(「MARCKSタンパク質」);ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質様1(「MARCKSL1タンパク質」);及び脳酸可溶性タンパク質1(「BASP1タンパク質」)が挙げられる。いくつかの態様では、足場Yタンパク質は、完全タンパク質またはその断片(例えば、機能的断片、例えば、EVの内腔表面上に部分を固定することができる最小断片、例えば、エキソソーム)であり得る。いくつかの態様では、足場Yは、任意の部分(例えば、STINGアゴニスト及び/またはIL-12部分)をEV(例えば、エキソソーム)の内腔に固定することができる。
【0069】
本明細書中で使用する場合、タンパク質(例えば、治療用タンパク質または足場X)の用語「断片」とは、天然のタンパク質と比較して、天然の配列よりも短いか、N末端及び/またはC末端を欠失させるか、またはタンパク質のいずれかの部分を欠失させたタンパク質のアミノ酸配列を指す。本明細書で使用する場合、「機能的断片」という用語は、タンパク質機能を保持するタンパク質断片を指す。したがって、いくつかの態様では、足場Xタンパク質の機能的断片は、部分をEV(例えば、エキソソーム)の内腔表面及び/または外面に固定する能力を保持する。断片が機能的断片であるかどうかは、ウエスタンブロット、FACS分析、及び断片と、例えばGFPなどの自家蛍光タンパク質との融合を含む、EV(例えば、エキソソーム)のタンパク質含有量を決定するための任意の既知の方法によって評価することができる。特定の態様では、足場Xタンパク質の機能的断片は、天然の足場Xタンパク質の能力、例えば、部分を固定する能力の、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約100%を保持している。
【0070】
本明細書中で使用する場合、分子(例えば、機能性分子、抗原、または足場X)の用語「バリアント」とは、当技術分野で公知の方法によって比較する際に、別の分子と特定の構造的及び機能的同一性を共有する分子を指す。例えば、タンパク質のバリアントは、別のタンパク質における置換、挿入、欠失、フレームシフトまたは再構成を含み得る。
【0071】
いくつかの態様では、足場Xのバリアントは、全長の成熟PTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、もしくはATPトランスポータータンパク質、またはPTGFRN、BSG、IGSF2、IGSF3、IGSF8、ITGB1、ITGA4、SLC3A2、もしくはATPトランスポータータンパク質の断片(例えば、機能的断片)に対して、少なくとも約70%の同一性を有するバリアントを含む。いくつかの態様では、PTGFRNのバリアントまたはPTGFRNの断片のバリアントは、配列番号1に記載のPTGFRNまたはその機能的断片と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を共有する。
【0072】
「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは、当該技術分野において定義されており、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。したがって、ポリペプチドのアミノ酸が同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸に置換されている場合、その置換は保存的であると見なされる。別の態様では、アミノ酸のストリングを、側鎖ファミリーメンバーの順序及び/または組成が異なる構造的に類似したストリングに保存的に置き換えることができる。
【0073】
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列間の用語「配列同一性のパーセント」または「同一性のパーセント」とは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入しなければならない付加または欠失(すなわち、ギャップ)を考慮に入れ、比較ウィンドウ上で配列によって共有される同一の一致した位置の数を指す。一致した位置とは、標的配列と参照配列の両方で同一のヌクレオチドまたはアミノ酸が提示されている任意の位置である。ギャップはヌクレオチドまたはアミノ酸ではないため、標的配列に存在するギャップはカウントしない。同様に、参照配列由来のヌクレオチドまたはアミノ酸ではなく、標的配列のヌクレオチドまたはアミノ酸をカウントするため、参照配列に提示されるギャップはカウントしない。
【0074】
配列同一性のパーセントは、両方の配列において同一のアミノ酸残基または核酸塩基が生じる位置の数を決定して、一致した位置の数を取得し、比較ウィンドウ内の一致した位置の数を位置の総数で除し、結果に100を乗じて、配列同一性のパーセントを取得することによって計算される。2つの配列間の配列の比較と配列同一性のパーセントの決定は、オンラインでの使用とダウンロード用の両方において、容易に利用可能なソフトウェアを使用して達成できる。好適なソフトウェアプログラムは、様々な供給元から入手可能であり、タンパク質配列とヌクレオチド配列の両方のアラインメントに利用可能である。配列同一性のパーセントを決定するための1つの好適なプログラムは、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センターBLAST Webサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なプログラムのBLAST suiteの一部であるbl2seqである。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して2つの配列間の比較を実行する。BLASTNは、核酸配列を比較するために使用され、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。他の好適なプログラムは、例えば、Needle、Stretcher、Water、またはMatcherであり、バイオインフォマティクスプログラムのEMBOSSスイートの一部であり、European Bioinformatics Institute(EBI)(www.ebi.ac.uk/Tools/psa)からも入手可能である。
【0075】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列とアラインメントする単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列内の異なる領域は、それぞれ、それら自身の配列同一性のパーセントを有し得る。配列同一性のパーセントの値は、最も近似の10分の1に丸められることに留意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は、80.1に切り捨てられ、一方、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は、80.2に切り上げられる。また、長さの値は常に整数になることに留意されたい。
【0076】
配列同一性のパーセントの計算のための配列アラインメントの生成が、一次配列データによって排他的に行われる一対での配列-配列比較に限定されない。配列アラインメントは、多重配列アラインメントから導き出すことができる。多重配列アラインメントを生成するための好適なプログラムの1つは、www.clustal.orgから入手可能なClustalW2である。別の好適なプログラムは、MUSCLEであり、www.drive5.com/muscle/から入手可能である。ClustalW2及びMUSCLEは、例えば、EBIなどから代替的に入手可能である。
【0077】
配列アラインメントは、配列データを、構造データ(例えば、結晶学的タンパク質構造)、機能データ(例えば、突然変異の位置)、または系統発生データなどの異種ソースからのデータと統合することによって生成できることも理解されよう。異種データを統合して多重配列アラインメントを生成する好適なプログラムは、T-Coffeeであり、www.tcoffee.orgで入手可能であり、あるいは、例えば、EBIから入手可能である。配列同一性のパーセントを計算するために使用される最終アラインメントが、自動または手動のいずれかでキュレートされ得ることも理解されよう。
【0078】
ポリヌクレオチドバリアントは、コード領域、非コード領域、またはその両方に改変を含み得る。一態様では、ポリヌクレオチドバリアントは、サイレント置換、付加、または欠失を生じるが、コードされたポリペプチドの特性または活性を変化させない改変を含む。別の態様では、ヌクレオチドバリアントは、遺伝暗号の縮重によるサイレント置換によって生成される。他の態様では、5~10、1~5、または1~2アミノ酸が、任意の組み合わせで置換、欠失、または付加されているバリアントである。ポリヌクレオチドバリアントは、例えば、特定の宿主のコドン発現を最適化するためなど(ヒトmRNA中のコドンを他の宿主、例えば、E.coliなどの細菌宿主に変更する)、様々な理由で生成され得る。
【0079】
天然のバリアントは「対立遺伝子バリアント」と呼ばれ、生物の染色体上の所与の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの代替形態の1つを指す(Genes II,Lewin,B.,ed.,John Wiley&Sons,New York(1985))。これらの対立遺伝子バリアントは、ポリヌクレオチド及び/またはポリペプチドレベルのいずれかで様々に異なっていてもよく、また、本開示に含まれる。あるいは、非天然のバリアントを、変異誘発技術または直接合成によって生成することができる。
【0080】
タンパク質工学及び組換えDNA技術の既知の方法を使用して、バリアントを生成してポリペプチドの特徴を向上または改変することができる。例えば、生物学的機能を実質的に失わせることなく、分泌されたタンパク質のN末端またはC末端から1つ以上のアミノ酸を欠失させることができる。Ron et al.,J.Biol.Chem.268:2984-2988(1993)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、3、8、または27個のアミノ末端アミノ酸残基を欠失させた後であっても、バリアントKGFタンパク質がヘパリン結合活性を有することを報告した。同様に、インターフェロンγは、このタンパク質のカルボキシ末端から8~10アミノ酸残基を欠失させた後、最大10倍高い活性を示した(Dobeli et al.,J.Biotechnology 7:199-216(1988)(参照によりその全体が本明細書に援用される))。
【0081】
さらに、多くのエビデンスが、バリアントがしばしば天然のタンパク質と同様の生物学的活性を保持していることを示している。例えば、Gayleと共同研究者(J.Biol.Chem 268:22105-22111(1993)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、ヒトサイトカインIL-1aの広範な突然変異分析を行った。彼らはランダム変異誘発を使用して、分子の全長にわたってバリアントあたり平均2.5アミノ酸の変化を示す3,500を超える個々のIL-1a変異体を生成した。考えられるすべてのアミノ酸位置で複数の変異を調べた。研究者らは、「分子のほとんどは、[結合または生物活性]にほとんど影響を与えることなく変更することができる」ことを発見した。(要約を参照のこと。)実際、調べた3,500を超えるヌクレオチド配列のうち、23の固有のアミノ酸配列のみが、野生型とは活性が有意に異なるタンパク質を生成した。
【0082】
上記のとおり、ポリペプチドバリアントには、例えば、修飾ポリペプチドが含まれる。修飾には、例えば、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化(Mei et al.,Blood 116:270-79(2010)、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、タンパク質へのアミノ酸の転移-RNA媒介付加例えばアルギニル化、ユビキチン化などが挙げられる。いくつかの態様では、足場Xは、任意の便利な場所で修飾される。
【0083】
本明細書中で使用する場合、用語「に連結される」または「に複合体化される」及び「に固定される」は同じ意味で使用され、第1の部分と第2の部分、例えば、それぞれ、足場X及び外因性の生物学的活性部分、例えば、それぞれ、細胞外小胞内またはその上で発現される足場部分と抗原、例えば、細胞外小胞の内腔表面または外面における足場X(例えば、PTGFRNタンパク質)との間に形成される共有または非共有結合を指す。
【0084】
用語「カプセル化された」、またはこの用語の文法的に異なる形式(例えば、カプセル化、またはカプセル化すること)は、2つの部分を化学的または物理的に連結することなく、第1の部分(例えば、外因性の生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニスト)が第2の部分(例えば、EV、例えば、エキソソーム)の内部にある状態またはプロセスを指す。いくつかの態様では、「カプセル化された」という用語は、「内腔の」と同じ意味で使用することができる。第1の部分(例えば、外因性の生物学的活性部分、例えば、抗原、アジュバント、または免疫調節剤)を第2の部分(例えば、EV、例えば、エキソソーム)にカプセル化する非限定的な例は、本明細書の他の場所に開示されている。
【0085】
本明細書中で使用する場合、用語「プロデューサー細胞」とは、EV(例えば、エキソソーム)を生成するために使用する細胞を指す。プロデューサー細胞は、in vitroで培養された細胞、またはin vivoでの細胞であり得る。プロデューサー細胞には、EV(例えば、エキソソーム)の生成に有効であることが知られている細胞、例えば、HEK293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、間葉系幹細胞(MSC)、BJヒト包皮線維芽細胞、fHDF線維芽細胞、AGE.HN(登録商標)神経前駆細胞、CAP(登録商標)羊膜細胞、脂肪間葉系幹細胞、RPTEC/TERT1細胞が含まれるが、これらに限定されない。特定の態様では、プロデューサー細胞は、抗原提示細胞ではない。いくつかの態様では、プロデューサー細胞は、樹状細胞、B細胞、マスト細胞、マクロファージ、好中球、クッパー-ブロウィッツ細胞、これらの細胞のいずれかに由来する細胞、またはそれらの任意の組み合わせではない。いくつかの態様では、本開示で有用なEV(例えばエキソソーム)は、EV(例えばエキソソーム)の表面に露出したMHCクラスIまたはクラスII分子上の抗原を保有しておらず、代わりに、足場Xへの接着により、EV(例えばエキソソーム)の内腔内、またはEV(例えばエキソソーム)の表面上の抗原を保有し得る。
【0086】
本明細書中で使用する場合、用語「単離する」、「単離された」、及び「単離すること」または「精製する」、「精製された」、及び「精製すること」、同様に「抽出された」及び「抽出すること」は、同じ意味で使用され、精製、例えば、所望のEV調製物の選択または濃縮の1つ以上のプロセスを経た所望のEVの調製(例えば、複数の既知または未知の量及び/または濃度)の状態を指す。いくつかの態様では、本明細書中で使用される単離することまたは精製することは、プロデューサー細胞を含有する試料からEVを除去する、部分的に除去する(例えば、分画)プロセスである。いくつかの態様では、単離されたEV組成物は、検出可能な望ましくない活性を有しないか、または、代替的には、望ましくない活性のレベルもしくは量は、許容されるレベルもしくは量であるか、または許容されるレベルもしくは量未満である。他の態様では、単離されたEV組成物は、許容される量及び/または濃度以上の所望のEVの量及び/または濃度を有する。他の態様では、単離されたEV組成物は、組成物が得られる出発材料(例えば、プロデューサー細胞調製物)と比較して濃縮される。この濃縮は、出発材料と比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、または99.9999%超であり得る。いくつかの態様では、単離されたEV調製物は、残留生物学的産物を実質的に含まない。いくつかの態様では、単離されたEV調製物は、いかなる汚染生物物質も100%含まないか、99%含まないか、98%含まないか、97%含まないか、96%含まないか、または95%含まないか、94%含まないか、93%含まないか、92%含まないか、91%含まないか、または90%含まない。残留生物学的産物は、非生物物質(化学物質を含む)または不要な核酸、タンパク質、脂質、もしくは代謝産物を含み得る。残留生物学的産物を実質的に含まないことはまた、EV組成物が検出可能なプロデューサー細胞を含有しないことと、EVのみが検出可能であることとを意味し得る。
【0087】
本明細書中で使用される場合、「免疫調節剤」という用語は、細胞外小胞と接触する標的(例えば、標的細胞)に作用し、免疫系を調節する剤を指す。EV(例えば、エキソソーム)及び/またはプロデューサー細胞に導入することができる免疫調節剤の非限定的な例としては、チェックポイント阻害剤の調節剤、チェックポイント阻害剤のリガンド、サイトカイン、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせなどの剤が挙げられる。免疫調節剤はまた、アゴニスト、アンタゴニスト、抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、例えば、siRNA、miRNA、lncRNA、mRNA、DNA、または小分子を含み得る。
【0088】
本明細書中では、用語「ペイロード」とは、EVと接触する標的(例えば、標的細胞)に作用する剤を指す。EV、例えば、エキソソームに含めることができるペイロードの非限定的な例は、生物学的活性分子、例えば、治療用分子、アジュバント、及び/または免疫調節剤である。EV(例えばエキソソーム)及び/またはプロデューサー細胞中に導入され得るペイロードとして、ヌクレオチド(例えば、検出可能な部分もしくは毒素を含むか、または転写を妨害するヌクレオチド)、核酸(例えば、酵素などのポリペプチドをコードするDNAもしくはmRNA分子、またはmiRNA、dsDNA、lncRNA、及びsiRNAなどの制御機能を有するRNA分子)、アミノ酸(例えば、検出可能な部分もしくは毒素を含むか、または翻訳を妨害するアミノ酸)、ポリペプチド(例えば、酵素)、脂質、炭水化物、及び小分子(例えば、小分子薬物及び毒素)などの剤が挙げられる。特定の態様では、ペイロードは、外因性の生物学的活性部分(例えば、本明細書に開示されるもの)を含む。いくつかの態様では、ペイロードは、標的化部分を含む。いくつかの態様では、ペイロードは、例えば、エキソソームなどのEV上またはEV内に「受動的にロード」される。本明細書で使用される場合、「受動的にロードされる」という用語は、EV、例えば、エキソソームと、同じ溶液中に存在するペイロードとの間の会合を指す。受動的ロード下では、ペイロードは、例えば、自然拡散及び/または引力によってEVに会合される。
【0089】
本明細書で使用される場合、「標的化部分」という用語は、in vivoまたはin vitro(例えば、異なる種類の細胞の混合培養において)で細胞外小胞(例えば、エキソソーム、ナノ小胞)の分布を改変することができる剤を指す。標的化部分は、タンパク質、ペプチド、脂質、または炭水化物などの生体分子、または合成分子であり得る。例えば、標的化部分は、抗体(例えば、抗CD19ナノボディ、抗CD22ナノボディ)、合成ポリマー(例えば、PEG)、天然リガンド(例えば、CD40L、アルブミン)、組換えタンパク質(例えば、XTEN)であり得るがこれらに限定されない。特定の態様では、標的化部分は、EVの表面に提示される。標的化部分は、足場タンパク質(例えば、足場X)に融合されることによって(例えば、遺伝的にコードされた融合分子として)、EV表面に提示させ得る。いくつかの態様では、標的化部分は、標的化部分をEV表面分子に付着させる化学反応によってEV表面上に提示され得る。非限定的な例は、PEG化である。いくつかの態様では、本明細書に開示のEV(例えば、エキソソーム)は、(ペイロードに加えて)標的化部分をさらに含むことができる。いくつかの態様では、上記の標的化部分は、小分子(例えば、STING、ASO)、薬物、及び/または治療用タンパク質(例えば、抗CD3/抗CD19抗体、抗メソテリン抗体/アポトーシス促進性タンパク質)などの機能的部分と組み合わせることができる。
【0090】
本明細書で使用される場合、「生物学的活性部分」という用語は、これらに限定されないが、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチド、これらに限定されないが、構造タンパク質、酵素、サイトカイン(インターフェロン及び/またはインターロイキンなど)、抗生物質、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体、またはその有効部分(Fv断片など)などの生物学的系(例えば、細胞またはヒト対象)において活性を有する剤(抗体またはその一部は、天然、合成またはヒト化、ペプチドホルモン、受容体、シグナル伝達分子または他のタンパク質であり得る);以下に定義される核酸、これらに限定されないが、オリゴヌクレオチドもしくは修飾オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくは修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド、cDNA、ゲノムDNA、人工もしくは天然染色体(例えば、酵母人工染色体)またはその一部、RNA(mRNA、tRNA、rRNAもしくはリボザイムなど)、またはペプチド核酸(PNA);ウイルスまたはウイルス様粒子;ヌクレオチドまたはリボヌクレオチドまたはそれらの合成類似体(修飾されていてもされていなくてもよい);アミノ酸またはその類似体(修飾されていてもされていなくてもよい);非ペプチド(例えば、ステロイド)ホルモン;プロテオグリカン;脂質;または炭水化物を指す。いくつかの態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー(PMO)またはペプチド結合ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー(PPMO)が挙げられる。特定の態様では、生物学的活性部分は、治療用分子(例えば、抗原)、標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合断片)、アジュバント、免疫調節剤、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、生物学的活性部分は、高分子(例えば、タンパク質、抗体、酵素、ペプチド、DNA、RNA、またはそれらの任意の組み合わせ)を含む。いくつかの態様では、生物学的活性部分は、小分子(例えば、アンチセンスオリゴマー(ASO)、siRNA、STING、医薬品、またはそれらの任意の組み合わせ)を含む。いくつかの態様では、生物学的活性部分は、エキソソームに対して外因性であり、すなわち、エキソソーム中に自然に見出されない。
【0091】
本明細書で使用される場合、「治療用分子」という用語は、対象(例えば、ヒト対象)の疾患または障害を治療及び/または予防することができる任意の分子を指す。いくつかの態様では、治療用分子は抗原を含む。本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は、対象に導入されたときにそれ自体に対する免疫応答(細胞性または体液性)を誘発する任意の剤を指す。
【0092】
本明細書中で使用されるとき、「抗体」という用語は、天然または部分的もしくは完全に合成により生成された免疫グロブリン、及びその断片を包含する。この用語はまた、免疫グロブリン結合ドメインに相同である結合ドメインを有する任意のタンパク質を網羅する。「抗体」は、抗原に特異的に結合し認識する免疫グロブリン遺伝子またはその断片からのフレームワーク領域を含むポリペプチドを更に含む。抗体という用語の使用は、全抗体、ポリクローナル、モノクローナル、及び組換え抗体、それらの断片を含むことを意図し、例えば、scFv、(scFv)、Fab、Fab’、及びF(ab’)、F(ab1)、Fv、dAb、及びFd断片、ダイアボディ、及び抗体関連ポリペプチド等の、一本鎖抗体、ヒト化抗体、マウス抗体、キメラ、マウス-ヒト、マウス-霊長類、霊長類-ヒトモノクローナル抗体、抗イディオタイプ抗体、抗体断片をさらに含む。抗体は、それらが所望の生物学的活性または機能を呈する限り、二重特異性抗体及び多重特異性抗体を含む。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、scFv、scFab、scFab-Fc、ナノボディ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、アゴニスト抗体、遮断抗体、標的化抗体、それらの断片、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、アゴニスト抗体は、CD40Lアゴニストである。いくつかの態様では、遮断抗体は、プログラム死1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、細胞障害性Tリンパ球関連タンパク質4、及びそれらの任意の組み合わせから選択される標的タンパク質に結合する。いくつかの態様では、標的化抗体は、CD3及び/またはCD19に結合する。
【0093】
「個体」「対象」「宿主」及び「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用され、診断、治療または治療法が所望される任意の哺乳類動物対象、特にヒトを指す。本明細書に記載される本組成物及び本方法は、ヒトの治療及び獣医学的用途の両方に適用可能である。いくつかの態様では、対象は哺乳動物であり、他の態様では、対象はヒトである。本明細書中で使用される場合、「哺乳動物対象」には、ヒト、家畜(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)、及び実験室動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなど)を含むがこれらに限定されないすべての哺乳動物が含まれる。
【0094】
本明細書中で使用する場合、用語「実質的に含まない」とは、EV(例えばエキソソーム)を含む試料が、質量/体積(m/v)パーセント濃度で10%未満の高分子を含むことを意味する。一部の画分は、0.001%未満、0.01%未満、0.05%未満、0.1%未満、0.2%未満、0.3%未満、0.4%未満、0.5%未満、0.6%未満、0.7%未満、0.8%未満、0.9%未満、1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、または10%(m/v)未満の高分子を含み得る。
【0095】
本明細書中で使用する場合、用語「高分子」とは、核酸、夾雑タンパク質、脂質、炭水化物、代謝産物、またはそれらの組み合わせを意味する。
【0096】
本明細書中で使用する場合、用語「従来のエキソソームタンパク質」とは、CD9、CD63、CD81、PDGFR、GPIアンカータンパク質、ラクトアドヘリンLAMP2、及びLAMP2Bを含むがこれらに限定されない、エキソソーム内で豊富であることが以前に知られているタンパク質、その断片、またはそれに結合するペプチドを意味する。
【0097】
本明細書中で使用する「投与」とは、薬学的に許容される経路を介して、本明細書に開示するEV(例えばエキソソーム)を含む組成物を対象に与えることを意味する。投与経路は、静脈内投与、例えば、静脈内注射及び静脈内注入であり得る。追加の投与経路として、例えば、皮下、筋肉内、経口、経鼻、及び肺への投与が挙げられる。EV(例えばエキソソーム)は、少なくとも1つの賦形剤を含む医薬組成物の一部として投与することができる。
【0098】
本明細書中で使用されるとき、「免疫応答」は、外来物質または異常な、例えば癌性細胞に対する脊椎動物内の生物学的応答を指し、この応答は、これらの剤及びそれらによって引き起こされる疾患から生物を保護する。免疫応答は、免疫系の1つ以上の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、樹状細胞または好中球)及び可溶性高分子の作用によって媒介され、これらは、これらの細胞または肝臓(抗体、サイトカイン、及び補体を含む)のいずれかによって生成され、結果として、侵入する病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、癌性もしくは他の異常な細胞、または自己免疫もしくは病理学的炎症の場合は、正常なヒトの細胞もしくは組織の脊椎動物の身体への選択的標的化、結合、損傷、またはそれらの破壊、及び/または排除をもたらす。免疫反応には、例えば、エフェクターT細胞、Th細胞、CD4+細胞、CD8+T細胞、もしくはTreg細胞などのT細胞の活性化もしくは阻害、または免疫系の他の任意の細胞、例えば、NK細胞の活性化もしくは阻害が含まれる。したがって、免疫応答は、体液性免疫応答(例えば、B細胞によって媒介される)、細胞性免疫応答(例えば、T細胞によって媒介される)、または体液性及び細胞性免疫応答の両方を含み得る。いくつかの態様では、免疫応答は「阻害性」免疫応答である。阻害性免疫応答は、刺激(例えば、抗原)の効果を遮断または減少させる免疫応答である。特定の態様では、阻害性免疫応答は、刺激に対する阻害性抗体の産生を含む。いくつかの態様では、免疫応答は「刺激性」免疫応答である。刺激性免疫応答は、標的抗原(例えば、腫瘍抗原またはウイルス)を破壊及び除去することができるエフェクター細胞(例えば、細胞傷害性Tリンパ球)の生成をもたらす免疫応答である。
【0099】
本明細書中で使用する「治療する」、「治療」、または「治療すること」とは、例えば、疾患または病態の重症度の低下、疾患の経過期間の短縮、疾患または病態に関連する1つ以上の症状の改善または排除、疾患または病態を必ずしも治癒させることなく、疾患または病態を有する対象に有益な効果を提供することを意味する。この用語はまた、疾患または状態またはその症状の防御または予防を含む。一態様では、「治療する」または「治療」という用語は、抗原に対する対象において免疫応答を誘導することを意味する。
【0100】
本明細書中で使用する場合、用語「予防する」または「予防」とは、特定の結果の発生または重症度を低減または低下させることを指す。いくつかの態様では、結果の予防は、防御的治療を通じて達成される。
【0101】
II.医薬組成物
本明細書で提供されるのは、細胞外小胞、例えば、エキソソームの保存及び投与のための組成物である。上記のとおり、本開示の組成物は、これらに限定されないが、EVの凝集の減少、EVの安定性の改善、EV構造の完全性の改善、及びEV上またはEV内に含まれる操作されたタンパク質の安定性の改善、及び小分子薬物またはタンパク質などの受動的にロードまたは複合体化された材料の安定性の改善など、複数の利点を提供する。本開示の組成物は、組成物中に含まれるEVの安定性を損なうことなく、凍結され、様々な時間長にわたってある範囲の温度で保存され、解凍され得る。
【0102】
本開示の組成物の製剤化に関する様々な構成要素及び考慮事項を以下に記載する。
【0103】
II.A.EV組成物
本開示は、細胞外小胞を含む医薬組成物を提供し、ここで、医薬組成物は、凍結及び/または保存に対して安定であり、及び/または哺乳動物、例えば、ヒトへの投与に好適である。保存中の生物製剤の不安定性は、凝集、脱アミノ化、異性化、加水分解、酸化、及び/または変性によって引き起こされ得る。これらの構造改変は、様々な異なる因子;生物製剤の特性、及び/または生物製剤及び生物製剤で製剤化された元素の温度、pH、及びイオン強度などの他の因子によって発生し得る。
【0104】
いくつかの態様では、本開示の医薬組成物は、組成物がキレート剤及び/またはアルブミン、例えば、組換えヒトアルブミンを必要としないように、安定して製剤化される。
【0105】
ヒトアルブミンは、血液中に最も遍在するタンパク質であり、約40g/Lの量で存在する。血液中のその役割は、金属、ホルモン、脂肪酸、及び毒素などの多数のより小さな実体を往復輸送することである。しかし、それはまた、血液のコロイド膠質浸透圧(またはコロイド浸透圧)の約75%を構成し、アルブミンの単一の遊離システイン(34位)は、血液中に存在する還元等価物の大部分を構成する。これらの特性はすべて、製剤中にアルブミンを使用する際に機能する形質である。
【0106】
アルブミンは、歴史的に様々な製剤中で使用されている。元来、血漿を供給源とするヒト血清アルブミンが使用されていたが、本業界では化学的に定義された(組換え)ヒト血清アルブミンの使用に移行した。組換え生成物は、動物由来生成物がない、供給の確実性、高純度、宿主由来のプロテアーゼがない、高い均質性、高い遊離チオール含有量、既知または未知のヒト病原体がない、バッチ間の一貫性、及び確立された規制経路が存在するなどの要因により有利である。
【0107】
製剤中のアルブミンは、表面吸着、凝集、フィブリル化、及び酸化を予防し、溶解性、凍結乾燥ケーキの形成、及び/または凍結乾燥粉末からのAPIの溶解特性を改善することが報告されている。これらの既知の利点にもかかわらず、本開示は、細胞外小胞を含む安定なアルブミン非含有医薬組成物を提供する。
【0108】
キレート剤は、金属イオンと結合する成分であり、医薬製剤の安定性及び有効性に重要な役割を果たす。キレート化のプロセスは、金属イオンが任意の他の物質と化学的に反応するのを予防することにより、金属イオンを安定させる。本組成物は、キレート剤を含まないことを特徴とすることができる。
【0109】
いくつかの態様では、本明細書に開示の組成物は、約1~約6.5の範囲のpIを有する。本明細書に開示のとおり、表面高分子、例えば、PTGFRNが過剰発現される、本明細書に開示のEVのpI範囲により、生理学的pH値でコロイド的に安定なアニオン性エキソソームが可能になる。いくつかの態様では、表面分子は、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、または炭水化物であり得る。いくつかの態様では、6.5を超えるpIは、EV、例えば、エキソソームが、中性電荷(不安定)、または毒性もしくは制限された生体内分布をもたらし得る有用なpH範囲でのカチオン電荷のいずれかを有するようになる。
【0110】
いくつかの態様では、本開示の組成物は、液体状態で製剤化され、組成物の温度を凍結温度及び亜凍結温度まで低下させることにより、保存用に凍結することができる。脱水または凍結乾燥を介して組成物を凍結することは企図されていない。いくつかの態様では、組成物は凍結乾燥されていない。
【0111】
II.B.組成物I(pH)
一態様では、本開示は、EVを安定して製剤化することができるpHを提供する。pHは、約7.0~約7.4、例えば、約7.1~約7.3の範囲、例えば、約7.2であり得る。いくつかの態様では、本開示の医薬組成物は、(a)細胞外小胞;(b)糖類;(c)塩化ナトリウム;(d)リン酸カリウム;及び(e)リン酸ナトリウムを含む。いくつかの態様では、組成物は、約7.2のpHの溶液中にある。EVは、本明細書の他の場所に開示されており、糖は、単糖、二糖、三糖、または任意の他の糖であり得る。塩化ナトリウムは、以下に示す。リン酸カリウム及びリン酸ナトリウムは、以下に示す。
【0112】
いくつかの態様では、凍結前及び凍結後の組成物は依然として同じである。例えば、凍結前及び凍結後の組成物のpHは、約7.1である。いくつかの態様では、凍結前及び凍結後の組成物は、約7.2のpHを有する。いくつかの態様では、凍結前及び凍結後の組成物は、約7.3のpHを有する。いくつかの態様では、凍結前及び凍結後の組成物は、約7.4のpHを有する。
【0113】
いくつかの態様では、組成物のpHは、リン酸塩の濃度を変更することによって調整することができる。いくつかの態様では、組成物のpHは、リン酸カリウムの濃度を変更することによって調整することができる。いくつかの態様では、組成物のpHは、リン酸カリウムを加えるまたはその濃度を増大させることによって増加させることができる。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、リン酸ナトリウムの濃度より高い。
【0114】
いくつかの態様では、リン酸ナトリウム及びリン酸カリウムの一塩基性及び二塩基性形態の比率を使用して、医薬組成物のpHを調整することができる。いくつかの態様では、一塩基性リン酸ナトリウム及び/または一塩基性リン酸カリウムは、医薬組成物のpHを上昇させるために使用され得る。いくつかの態様では、二塩基性リン酸ナトリウム及び/または二塩基性リン酸カリウムは、医薬組成物のpHを低下させるために使用され得る。いくつかの態様では、開示された組成物のpH範囲は、約6.8~約7.6である。したがって、組成物のpHが所望よりも低い場合、塩の一塩基性形態と二塩基性形態(すなわち、カリウムまたはナトリウム)との比率を変更することによって、pHを変更できる。いくつかの態様では、リン酸ナトリウム及びリン酸カリウムの一塩基性と二塩基性形態との比率を使用して、組成物のpHが7.0~7.4、例えば、7.1~7.3、例えば、7.2になるまで、組成物のpHを調整することができる。いくつかの態様では、pHの上限は、より一般的に鹸化として知られている加水分解を受けるエキソソームなどの、開示されたEVの脂質の破壊によるものである。いくつかの態様では、カリウム塩は、凍結時にpHを安定化させる。
【0115】
いくつかの態様では、pH約7.2での医薬組成物のための糖類は、単糖を含む。いくつかの態様では、糖類は、二糖類を含む。いくつかの態様では、糖類は、三糖類を含む。いくつかの態様では、糖類は、オリゴ糖を含む。いくつかの態様では、糖類は、多糖を含む。いくつかの態様では、糖類は、糖アルコールを含む。いくつかの態様では、糖類は、本明細書中に記載の糖類の任意の組み合わせを含む。
【0116】
いくつかの態様では、糖類は、ラクトースを含む。いくつかの態様では、糖類は、グルコースを含む。いくつかの態様では、糖類は、スクロースを含む。いくつかの態様では、糖類は、トレハロースを含む。いくつかの態様では、糖類は、デキストロースを含む。いくつかの態様では、糖類は、本明細書中に記載の糖類の任意の組み合わせを含む。
【0117】
いくつかの態様では、糖類は、糖アルコールである。いくつかの態様では、糖類は、約90.00g/モル~約190.00g/モルの分子量を有する糖アルコールである。いくつかの態様では、糖類は、約180.00g/モル~約380.00g/モルの分子量を有する。
【0118】
いくつかの態様では、糖アルコールは、グリセロールを含む。いくつかの態様では、糖アルコールは、ソルビトールを含む。いくつかの態様では、糖アルコールは、マンニトールを含む。いくつかの態様では、糖アルコールは、キシリトールを含む。いくつかの態様では、糖アルコールは、本明細書に記載される糖アルコールの任意の組み合わせを含む。
【0119】
いくつかの態様では、糖類は、スクロースまたはトレハロースである。いくつかの態様では、医薬組成物は、スクロースを含む。他の態様では、医薬組成物は、トレハロースを含む。いくつかの態様では、スクロース濃度は、約5%w/vである。
【0120】
II.C.組成物II(スクロース)
本開示はまた、細胞外小胞を含む医薬組成物中の適切な濃度のスクロースまたはトレハロースに関する。組成物中の好適な量のスクロースまたはトレハロースは、組成物を安定化させ、及び/またはいかなる凝集も減少させる。いくつかの態様では、医薬組成物は、(i)細胞外小胞及び(ii)約5%w/vの濃度のスクロースまたはトレハロースである糖類を含む。
【0121】
5%w/vの濃度の本明細書に開示される糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、1%w/vのスクロースを含む組成物に対して、優れた安定性を提供することができる。特に、(i)細胞外小胞、例えば、エキソソーム、及び(ii)約5%w/vの濃度の糖類(スクロースまたはトレハロースである)を含む医薬組成物は、(i)EVの凝集の減少、(ii)EVの安定性の改善、(iii)EV構造の完全性の改善、(iv)EV上またはEV内に含まれる操作されたタンパク質の安定性の改善、及び(v)小分子薬物またはタンパク質などの受動的にロードまたは複合体化された材料の安定性の改善など、複数の利点を提供する。いくつかの態様では、組成物は、1%w/v~4%w/v、例えば、1%の濃度でスクロースまたはトレハロースを含む参照組成物と比較して、凝集が減少している。いくつかの態様では、組成物は、1%w/v~4%w/v、例えば、1%の濃度でスクロースまたはトレハロースを含む参照組成物と比較して、安定性が改善している。いくつかの態様では、組成物は、1%w/v~4%w/v、例えば、1%の濃度でスクロースまたはトレハロースを含む参照組成物と比較して、EV構造の完全性が改善している。
【0122】
いくつかの態様では、組成物は、1%w/v~4%w/v、例えば、1%の濃度でスクロースまたはトレハロースを含む参照組成物と比較して、EV上またはEV内に含まれる操作タンパク質の安定性が改善している。
【0123】
いくつかの態様では、組成物は、1%w/v~4%w/v、例えば、1%の濃度でスクロースまたはトレハロースを含む参照組成物と比較して、小分子薬物またはタンパク質などの受動的にロードされたかまたは複合体化された材料の安定性が改善している。
【0124】
他の態様では、組成物は、5.5%w/v、6%w/v、7%w/v、8%w/v、9%w/v、または10%w/vより高い濃度で、スクロースまたはトレハロースを含む参照組成物と比較して、安定性が改善している。
【0125】
組成物は、塩化ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、または本明細書の他の場所に開示されているそれらの任意の組み合わせをさらに含むことができる。
【0126】
II.D.塩化ナトリウム
いくつかの態様では、組成物Iまたは組成物IIは、塩化ナトリウムをさらに含む。
【0127】
いくつかの態様では、塩化ナトリウムは、約10mM~約200mM塩化ナトリウムの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、塩化ナトリウムは、約10mM~約134mM、約10mM~約130mM、約20mM~約120mM、約30mM~約110mM、約40mM~約100mM、約50mM~約90mM、約60mM~約80mM、約70mM~約80mM、約45mM~約95mM、約45mM~約80mM、約45mM~約70mM、約45mM~約65mM、約50mM~約65mM、約50mM~約60mM、約50mM~約55mM、約50mM~約55mM、または約51mM~約54mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約10mM~約190mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約10mM~約180mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約10mM~約170mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約10mM~約160mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約10mM~約150mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約10mM~約140mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約10mM~約130mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約20mM~約120mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約30mM~約110mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約40mM~約100mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約50mM~約90mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約60mM~約80mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約70mM~約80mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約45mM~約95mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約45mM~約80mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約45mM~約70mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約45mM~約65mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約50mM~約65mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約50mM~約60mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約50mM~約55mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約50mM~約55mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約51mM~約54mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約40mM~約60mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約45mM~約55mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約48mM~約53mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約40mM~約50mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約45mM~約50mMである。
【0128】
いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約10mM、約20mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、または約100mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約10mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約20mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約30mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約40mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約50mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約60mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約70mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約80mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約90mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約100mMである。
【0129】
いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、または約200mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約110mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約120mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約130mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約140mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約150mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約160mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約170mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約180mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約190mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約200mMである。
【0130】
いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約39mM、約40mM、約41mM、約42mM、約43mM、約44mM、約45mM、約46mM、約47mM、約48mM、約49mM、または約50mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約39mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約40mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約41mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約42mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約43mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約44mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約45mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約46mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約47mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約48mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約49mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、約50mMである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、40.0である。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、49.6mMである。
【0131】
本明細書に開示される塩化ナトリウムの濃度はいずれも、体積あたりの重量、例えば、mg/mlで表すことができる。当業者であれば、本明細書に開示されるmM濃度を体積あたりの重量濃度に容易に変換することができるであろう。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約12mg/mlである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約11.9mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約11.8mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約11.7mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約11.5mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約11.5mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約11.0mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約10.5mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約10mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約9.5mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約9mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約8.5mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約8.0mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約7.5mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約7.0mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約6.5mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約6.0mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約5.5mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約5.0mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約4.5mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約4.0mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約3.9mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約3.8mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約3.7mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約3.6mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約3.5mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約3.4mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約3.3mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約3.1mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約3.0mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約2.9mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約2.8mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約2.7mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約2.6mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約2.5mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約2.4mg/ml、少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約2.3mg/ml、または少なくとも約0.5mg/ml~少なくとも約2.1mg/mlである。
【0132】
いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約3.0mg/mlである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約2.92mg/mlである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約2.9mg/mlである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約2.8mg/mlである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約2.7mg/mlである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約2.6mg/mlである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約2.5mg/mlである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約2.4mg/mlである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約2.34mg/mlである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約2.3mg/mlである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約2.2mg/mlである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約2.1mg/mlである。いくつかの態様では、塩化ナトリウムの濃度は、少なくとも約2.0mg/mlである。
【0133】
いくつかの態様では、組成物IIは、リン酸化合物を含むリン酸緩衝液をさらに含む。リン酸化合物の非限定的な例としては、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二カリウム、及び/またはそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、リン酸化合物は、リン酸カリウムである。他の態様では、リン酸化合物は、リン酸ナトリウムである。
【0134】
II.E.リン酸塩
いくつかの態様では、組成物Iまたは組成物IIは、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムをさらに含む。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムは、約1mM~約20mM、約2mM~約20mM、約3mM~約20mM、約4mM~約20mM、約5mM~約20mM、約6mM~約20mM、約7mM~約20mM、約8mM~約20mM、約1mM~約20mM、約2mM~約19mM、約3mM~約18mM、約4mM~約17mM、約5mM~約16mM、または約5mM~約15mMの濃度で組成物中に存在する。
【0135】
いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、約4.5mM、約4.6mM、約4.7mM、約4.8mM、約4.9mM、約5.0mM、約5.1mM、約5.2mM、約5.3mM、約5.4mM、または約5.5mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約2mM~約19mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約3mM~約18mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約4mM~約17mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約5mM~約16mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約5mM~約15mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約1mM~約10mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約2mM~約9mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約3mM~約8mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約4mM~約7mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約4mM~約6mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約3mM~約7mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約3mM~約6mMの濃度で組成物中に存在する。
【0136】
いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムは、約3.0mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムは、約3.5mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムは、約4.0mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムは、約4.1mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムは、約4.2mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムは、約4.3mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムは、約4.4mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムは、約4.5mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約4.6mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約4.7mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約4.8mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約4.9mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約5.0mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約5.1mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約5.2mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約5.3mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約5.4mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約5.5mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約5.6mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約5.7mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約5.8mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約5.9mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸カリウムは、約6.0mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、組成物中のリン酸カリウムの濃度は、5.15mMである。
【0137】
いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、約15.0mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約15.1mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約15.2mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約15.3mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約15.4mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約15.5mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約15.6mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約15.7mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約15.8mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約15.9mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約16.0である。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約16.1mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約16.2mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約16.3mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約16.4mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウムの濃度は、約16.5mMである。いくつかの態様では、組成物中のリン酸カリウムの濃度は、15.4mMである。
【0138】
いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、約14.0mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、約14.1mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、約14.2mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、約14.3mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、約14.4mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、約14.5mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、約14.6mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、約14.7mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、約14.8mMである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、約14.9mMである。
【0139】
本明細書に開示される一塩基性リン酸カリウムの濃度のいずれも、体積あたりの重量、例えば、mg/mlで表すことができる。当業者であれば、本明細書に開示されるmM濃度を体積あたりの重量濃度に容易に変換することができるであろう。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.14mg/ml~少なくとも約2.75mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.14mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、約0.15mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、約0.17mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.2mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.23mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.25mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.5mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.60mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.61mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.62mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.63mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.64mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.65mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.66mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.67mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.68mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.69mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.70mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.71mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.72mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.73mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.74mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約0.75mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約1.0mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約1.25mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約1.50mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約1.75mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約2.0mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約2.03mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約2.04mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約2.05mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約2.1mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約2.2mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約2.3mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約2.4mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約2.5mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約2.6mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約2.7mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約2.8mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約2.9mg/mlである。いくつかの態様では、リン酸カリウム、例えば、一塩基性リン酸カリウムの濃度は、少なくとも約3.0mg/mlである。
【0140】
いくつかの態様では、組成物Iまたは組成物IIは、リン酸ナトリウムをさらに含む。いくつかの態様では、リン酸ナトリウム、例えば、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物は、約10mM~約100mM、約10mM~約90mM、約10mM~約80mM、約10mM~約70mM、約10mM~約60mM、約10mM~約50mM、約10mM~約40mM、約11mM~約29mM、約12mM~約28mM、約13mM~約27mM、または約14mM~約26mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約11mM~約29mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約12mM~約28mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約13mM~約27mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約14mM~約26mMの濃度で組成物中に存在する。
【0141】
いくつかの態様では、リン酸ナトリウムが、約14.5mM、約14.6mM、約14.7mM、約14.8mM、約14.9mM、約15.0mM、約15.1mM、約15.2mM、約15.3mM、約15.4mM、または約15.5mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約14.5mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約14.6mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約14.7mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約14.8mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約14.9mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約15.0mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約15.1mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約15.2mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約15.3mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約15.4mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約15.5mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムの濃度は、14.9mMである。
【0142】
いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約15.6mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約15.7mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約15.8mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約15.9mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約16.0mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約16.1mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約16.2mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約16.3mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約16.4mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約16.5mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約16.6mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約16.7mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約16.8mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約16.9mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約17.0mMの濃度で組成物中に存在する。
【0143】
いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約26.5mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約26.6mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約26.7mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約26.8mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約26.9mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約27.0mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約27.1mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約27.2mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約27.3mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約27.4mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約27.5mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約27.6mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約27.7mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約27.8mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約27.9mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、約28.0mMの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、リン酸ナトリウムの濃度が27.1mMである濃度で組成物中に存在する。
【0144】
本明細書の一塩基性リン酸ナトリウム濃度のいずれも、体積あたりの重量、例えば、mg/mlで表すことができる。当業者であれば、本明細書に開示されるmM濃度を体積あたりの重量濃度に容易に変換することができるであろう。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約1.42mg/ml~少なくとも約14.2mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約1.4mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約1.5mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約1.6mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約1.7mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約1.8mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約1.9mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約2.0mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約2.1mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約2.13mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約2.2mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約2.25mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約2.3mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約2.4mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約2.5mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約2.6mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約2.7mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約2.75mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約2.8mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約2.9mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約3.0mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約3.25mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約3.5mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約3.75mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約3.8mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約3.83mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約3.85mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約3.9mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約4.0mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約4.25mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約4.5mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約4.75mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約5.0mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約5.5mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約6.0mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約6.5mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約7.0mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約7.5mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約8.0mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約8.5mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約9.0mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約9.5mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約10.0mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約11.0mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約12.0mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約13.0mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約14.0mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、少なくとも約14.0mg/mlの濃度で組成物中に存在する。
【0145】
いくつかの態様では、リン酸ナトリウムは、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物である。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約6.0mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約6.1mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約6.2mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約6.3mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約6.4mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約6.5mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約6.6mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約6.7mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約6.8mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約6.9mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約7.0mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約7.1mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約7.2mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約7.24mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約7.3mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約7.4mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約7.5mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約7.6mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約7.7mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約7.8mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約7.9mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約8.0mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約8.5mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約9.0mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約9.5mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約10.0mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約10.5mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約11.0mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約11.5mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約12.0mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約12.5mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約13.0mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約13.5mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約14.0mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約14.1mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約14.2mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約14.3mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約14.4mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約14.5mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約15.0mg/mlの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を含む。
【0146】
いくつかの態様では、リン酸緩衝液は、リン酸カリウム及びリン酸ナトリウムを約1:約2の比率で含む。いくつかの態様では、リン酸緩衝液は、リン酸カリウム及びリン酸ナトリウムを約1:約3の比率で含む。いくつかの態様では、リン酸緩衝液は、リン酸カリウム及びリン酸ナトリウムを約1:約4の比率で含む。いくつかの態様では、リン酸緩衝液は、リン酸カリウム及びリン酸ナトリウムを約1:約5の比率で含む。いくつかの態様では、リン酸緩衝液は、リン酸カリウム及びリン酸ナトリウムを約1:約3の比率で含む。いくつかの態様では、リン酸緩衝液は、リン酸カリウム及びリン酸ナトリウムを約1:約2の比率で含む。
【0147】
いくつかの態様では、本開示は、(i)細胞外小胞、(ii)リン酸カリウム、及び(iii)リン酸ナトリウムを含む溶液を含む医薬組成物を提供し、ここで、リン酸カリウム及びリン酸ナトリウムのモル比は、約1~約3または約1~約2である。
【0148】
II.F.糖類
本開示の特定の態様は、細胞外小胞、糖類、塩化ナトリウム、リン酸カリウム、及びリン酸ナトリウムを含む医薬組成物に関する。上記のとおり、糖類は、単糖類、二糖類、三糖類、または任意の他の糖類であり得る。いくつかの態様では、糖類は、スクロースである。いくつかの態様では、糖類は、トレハロースである。
【0149】
いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約1%~少なくとも約10%、少なくとも約2%~少なくとも約9%、少なくとも約3%~少なくとも約8%、少なくとも約4%~少なくとも約7%、少なくとも約4%~少なくとも約6%、少なくとも約3%~少なくとも約7%、少なくとも約5%~少なくとも約10%、少なくとも約5%~少なくとも約9%、少なくとも約5%~少なくとも約8%、または少なくとも約5%~少なくとも約7%の濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約1%の濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約2%の濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約3%の濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約4%の濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約5%の濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約6%の濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約7%の濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約8%の濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約9%の濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約10%の濃度で組成物中に存在する。
【0150】
いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約1%のスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約2%のスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約2.5%のスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約3%のスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約4%のスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約5%のスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約6%のスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約7%のスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約8%のスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約9%のスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約10%のスクロースを含む。
【0151】
いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約1%のトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約2%のトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約3%のトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約4%のトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約5%のトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約6%のトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約7%のトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約8%のトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約9%のトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約10%のトレハロースを含む。
【0152】
いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約10mg/ml~少なくとも約100mg/ml、少なくとも約20mg/ml~少なくとも約90mg/ml、少なくとも約30mg/ml~少なくとも約80mg/ml、少なくとも約40mg/ml~少なくとも約70mg/ml、少なくとも約40mg/ml~少なくとも約60mg/ml、少なくとも約30mg/ml~少なくとも約70mg/ml、少なくとも約50mg/ml~少なくとも約100mg/ml、少なくとも約50mg/ml~少なくとも約90mg/ml、少なくとも約50mg/ml~少なくとも約80mg/ml、または少なくとも約50mg/ml~少なくとも約70mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約10mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約20mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約30mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約40mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約50mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約60mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約70mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約80mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約90mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの態様では、糖類、例えば、スクロースまたはトレハロースは、少なくとも約100mg/mlの濃度で組成物中に存在する。
【0153】
いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約10mg/mlのスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約20mg/mlのスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約30mg/mlのスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約40mg/mlのスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約50mg/mlのスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約60mg/mlのスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約70mg/mlのスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約80mg/mlのスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約90mg/mlのスクロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約100mg/mlのスクロースを含む。
【0154】
いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約10mg/mlのトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約20mg/mlのトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約30mg/mlのトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約40mg/mlのトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約50mg/mlのトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約60mg/mlのトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約70mg/mlのトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約80mg/mlのトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約90mg/mlのトレハロースを含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくとも約100mg/mlのトレハロースを含む。
【0155】
特定の態様では、組成物は、少なくとも約2.5%のスクロースを含み、本組成物は、約2%未満のスクロースを含む同様の組成物と比較して、改善された安定性を有する。
【0156】
II.G.導電率
いくつかの態様では、本開示の組成物Iまたは組成物IIは、約6mS/cm+/-10%~約10mS/cm+/-10%の導電率を有する。いくつかの態様では、導電率は、6mS/cm+/-10%~約7mS/cm+/-10%、約7mS/cm+/-10%~約8mS/cm+/-10%、約8mS/cm+/-10%~約9mS/cm+/-10%、または約9mS/cm+/-10%~約10mS/cm+/-10%である。いくつかの態様では、導電率は、約6mS/cm+/-10%、約7mS/cm+/-10%、約8mS/cm+/-10%、約9mS/cm+/-10%、または約10mS/cm+/-10%である。
【0157】
いくつかの態様では、組成物は、約6mS/cm+/-10%~約10mS/cm+/-10%の導電率を有する。いくつかの態様では、導電率は、約6mS/cm+/-10%である。いくつかの態様では、導電率は、約7mS/cm+/-10%である。いくつかの態様では、導電率は、約8mS/cm+/-10%である。いくつかの態様では、導電率は、約9mS/cm+/-10%である。いくつかの態様では、導電率は、約10mS/cm+/-10%である。いくつかの態様では、導電率は、約7.23mS/cm+/-10%である。いくつかの態様では、導電率は、約8.8mS/cm+/-10%である。
【0158】
II.H.抗酸化剤
いくつかの態様では、本開示の組成物Iまたは組成物IIは、抗酸化剤をさらに含む。いくつかの態様では、抗酸化剤は、D-メチオニン、L-メチオニン、アスコルビン酸、エリソルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、チオグリセロール、システイン、アセチルシステイン、シスチン、ジチオエリスレイトール、グルタチオン、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、重硫酸ナトリウム、ジチオン酸ナトリウム、Α-トコフェロール、γ-トコフェロール、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビル、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ尿素、チオ硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、ビタミンC、N-アセチルシステイン、セレン、及びチオグリコール酸ナトリウムを含む。いくつかの態様では、抗酸化剤は、メチオニンである。他の態様では、抗酸化剤は、D-メチオニンである。他の態様では、抗酸化剤は、L-メチオニンである。
【0159】
いくつかの態様では、組成物IまたはIIの抗酸化剤は、チオ硫酸塩またはその塩を含む。いくつかの態様では、チオ硫酸塩またはその塩は、チオ硫酸ナトリウムを含む。
【0160】
いくつかの態様では、本明細書に開示される組成物は、抗還元剤を含む。いくつかの態様では、抗還元剤は、EDTA、EGTA、CuSO4、S-アデノシルメチオニン、システイン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0161】
II.I.プロテアーゼ阻害剤
いくつかの態様では、本明細書に開示される組成物は、プロテアーゼ阻害剤を含む。チオレドキシンなどのタンパク質は、ジスルフィド結合を有するタンパク質を還元することができる。EDTA、EGTA、及びCuSO4などの阻害剤を添加することにより、特にヘキソキナーゼなどのメタロプロテアーゼの活性が低下し得る。二価カチオンをキレート化することによるEEGTA/EDTA阻害。したがって、いくつかの態様では、組成物は、EDTA、EGTA、CuSO4、及びそれらの任意の組み合わせから選択されるプロテアーゼ阻害剤をさらに含む。いくつかの態様では、温度は、プロテアーゼの活性を低下させるために低下させる。
【0162】
II.J.組成物の特徴
本開示の組成物は、組成物のEVが、例えば、凍結及び/または解凍及び/または対象に投与されたときに、変動する温度条件下で安定であるように製剤化されている。束縛することを望むものではないが、現在開示されている特定の比率での、現在開示されている糖類、例えば、約5%w/vのスクロースと、リン酸カリウム及びリン酸ナトリウムとの組み合わせは、組成物及びその組成物に含まれるEVに優れた安定性をもたらす。例えば、いくつかの態様では、本開示の組成物は、様々な時間長及び様々な温度で保存することができ、細胞外小胞、例えば、エキソソームの安定性が低下することはない。さらに、いくつかの態様では、現在開示されている組成物は、周囲温度で液体として製剤化され、次いで、組成物を-80℃の冷凍庫に入れることによって凍結され、次いで解凍され得る。したがって、いくつかの態様では、以下に記載するとおり、EVの安定性を損なうことなく、組成物は、凍結前に液体として保存することができ、組成物は、凍結しながら固体として保存することができ、また組成物は、解凍後に液体として保存することができる。
【0163】
いくつかの態様では、組成物は、凍結する前に液体として保存することができる。いくつかの態様では、組成物は、凍結する前に、約25℃~約1℃の温度で液体として保存することができ、EV、例えば、エキソソームの安定性が低下することはない。いくつかの態様では、組成物は、EV、例えば、エキソソームの安定性を損なうことなく、約25℃~約1℃で、凍結する前に液体として保存することができる。
【0164】
いくつかの態様では、組成物は、凍結する前に、少なくとも約4時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約15時間、少なくとも約20時間、少なくとも約24時間、液体として保存することができる。いくつかの態様では、組成物は、凍結する前に、約4時間~約12時間、約5時間~約12時間、約6時間~約12時間、約4時間~約24時間、約6時間~約24時間、約12時間~約24時間、または約4時間~約16時間、液体として保存される。いくつかの態様では、組成物は、凍結前に、36時間未満、30日未満、24時間未満、23時間未満、22時間未満、21時間未満、20時間未満、19時間未満、18時間未満、17時間未満、16時間未満、15時間未満、14時間未満、13時間未満、12時間未満、11時間未満、10時間未満、9時間未満、8時間未満、7時間未満、6時間未満、5時間未満、または4時間未満、液体として保存することができる。
【0165】
いくつかの態様では、組成物は、凍結する前に、約1週間、約4℃で液体として保存することができる。いくつかの態様では、組成物は、4℃で最大1週間安定であり得る。いくつかの態様では、組成物は、凍結する前に約4℃で約1週間液体として保存され得、次いでそれを必要とする対象に投与され得る。
【0166】
いくつかの態様では、組成物は、解凍される前に、ある時間長の間、凍結固体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、ゼロ及びゼロ以下の温度、例えば、約0℃及び/または-80℃の間の温度で、固体として保存することができ、EV(例えば、エキソソーム)の安定性は低下していない。いくつかの態様では、組成物は、約0℃及び/または-80℃の間の温度で、凍結固体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約0℃及び/または-50℃の間の温度で、凍結固体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約0℃及び-20℃の間の温度で、凍結固体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約0℃及び-15℃の間の温度で、凍結固体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、-80℃で最大6ヶ月間保存することができる。いくつかの態様では、組成物は、-80℃で1年間安定であり得る。いくつかの態様では、組成物は、-80℃で2年間安定であり得る。
【0167】
現在開示されている組成物は、それを必要とする対象への投与の準備に、様々な時間長の間、凍結固体として保存され、その後解凍され得る。いくつかの態様では、解凍された液体は、EV、例えば、エキソソームの安定性を損なうことなく、投与前に様々な長さ及び様々な温度で保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約1℃~約25℃の温度で、解凍され、液体として保存され得、ここで、EV、例えば、エキソソームの安定性は低下しない。
【0168】
いくつかの態様では、組成物は、約1℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約2℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約3℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約4℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約5℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約6℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約7℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約8℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約9℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約10℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約11℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約12℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約13℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約14℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約15℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約16℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約17℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約18℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約19℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約20℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約21℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約22℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約23℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約24℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、約25℃で、解凍された液体として保存され得る。いくつかの態様では、組成物は、解凍された液体として4℃で約1週間保存され得る。組成物は、4℃で最大1週間、解凍した液体として安定し得る。
【0169】
いくつかの態様では、組成物は、保存され、次いで、それを必要とする対象に直接投与され得る。いくつかの態様では、組成物は、25℃で最大24時間保存され得、次いで、それを必要とする対象に直接投与され得る。いくつかの態様では、組成物は、4℃で最大3日間保存され得、次いで、それを必要とする対象に直接投与され得る。いくつかの態様では、組成物は、4℃で最大7日間保存され得、次いで、それを必要とする対象に直接投与され得る。いくつかの態様では、組成物は、-80℃で最大6ヶ月間保存され、解凍され、次いで、それを必要とする対象に直接投与され得る。
【0170】
II.K.例示的組成物
いくつかの態様では、本開示の組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約4%w/v~約6%w/vの濃度、例えば5%w/vのスクロースと;
(c)40mM~約60mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)4mM~6mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約10mM~約20mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、組成物のpHは、約7.2である。いくつかの態様では、本組成物の導電率は、約7.2mS/cm+/-10%である。いくつかの態様では、組成物は、例えば、液体製剤などの溶液中にある。
【0171】
いくつかの態様では、本開示の組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約5%w/vの濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、組成物のpHは、約7.2である。いくつかの態様では、本組成物の導電率は、約7.2mS/cm+/-10%である。いくつかの態様では、組成物は、例えば、液体製剤などの溶液中にある。
【0172】
いくつかの態様では、本開示の組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約4%w/v~約6%w/vの濃度、例えば5%w/vのスクロースと;
(c)30mM~約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)10mM~20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約20mM~約40mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、組成物のpHは、約7.2である。いくつかの態様では、本組成物の導電率は、約8.8mS/cm+/-10%である。いくつかの態様では、組成物は、例えば、液体製剤などの溶液中にある。
【0173】
いくつかの態様では、本開示の組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約5%w/vの濃度のスクロースと;
(c)約40mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約15mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約27mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、組成物のpHは、約7.2である。いくつかの態様では、本組成物の導電率は、約8.8mS/cm+/-10%である。いくつかの態様では、組成物は、例えば、液体製剤などの溶液中にある。
【0174】
いくつかの態様では、本開示の組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約4%w/v~約6%w/vの濃度、例えば5%w/vのスクロースと;
(c)30mM~約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)1mM~20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約20mM~約40mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、組成物のpHは、約7.2である。いくつかの態様では、組成物は、例えば、液体製剤などの溶液中にある。
【0175】
いくつかの態様では、本開示の組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約5%w/vの濃度のスクロースと;
(c)約40mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約11mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約32mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、組成物のpHは、約7.2である。いくつかの態様では、組成物は、例えば、液体製剤などの溶液中にある。
【0176】
いくつかの態様では、本開示の組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約4%w/v~約6%w/vの濃度、例えば5%w/vのスクロースと;
(c)30mM~約60mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)1mM~20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約10mM~約40mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、組成物のpHは、約7.2である。いくつかの態様では、組成物は、例えば、液体製剤などの溶液中にある。
【0177】
いくつかの態様では、本開示の組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約4%w/v~約6%w/vの濃度、例えば5%w/vのスクロースと;
(c)40mM~約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)5mM~15mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mM~約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、組成物のpHは、約7.2である。いくつかの態様では、組成物は、例えば、液体製剤などの溶液中にある。
【0178】
II.K.1.例示的組成物02
いくつかの態様では、本開示の組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約4%w/v~約6%w/vの濃度、例えば5%w/vのスクロースと;
(c)30mM~約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mM~約25mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mM~約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0179】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約5%w/vの濃度のスクロースと;
(c)30mM~約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mM~約25mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mM~約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0180】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約4%w/v~約6%w/vの濃度、例えば5%w/vのスクロースと;
(c)約40mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mM~約25mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mM~約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0181】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約4%w/v~約6%w/vの濃度、例えば5%w/vのスクロースと;
(c)約30mM~約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約15mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mM~約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0182】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約4%w/v~約6%w/vの濃度、例えば5%w/vのスクロースと;
(c)30mM~約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mM~約25mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約30mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0183】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約4%w/v~約6%w/vの濃度、例えば5%w/vのスクロースと;
(c)30mM~約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mM~約25mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約27mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0184】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約4%w/v~約6%w/vの濃度、例えば5%w/vのスクロースと;
(c)30mM~約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mM~約25mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mM~約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.0~約7.4である。
【0185】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約4%w/v~約6%w/vの濃度、例えば5%w/vのスクロースと;
(c)30mM~約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mM~約25mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mM~約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0186】
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約5%w/vの濃度のスクロースと;
(c)約40mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約15mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約27mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物と、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0187】
いくつかの態様では、細胞外小胞は、STINGアゴニストを含む。いくつかの態様では、STINGアゴニストは、環状ジヌクレオチド(CDN)STINGアゴニストまたは非環状ジヌクレオチドSTINGアゴニストを含む。いくつかの態様では、STINGアゴニストは、cGMP、環状ジ-GMP(c-di-GMP)、cAMP、環状ジ-AMP(c-di-AMP)、環状-GMP-AMP(cGAMP)、環状ジ-IMP(c-di-IMP)、環状AMP-IMP(cAIMP)、及びそれらの類似体を含み、これらは、患者において、免疫または炎症応答を刺激または増強することが知られている。いくつかの態様では、CDNは、環状ジヌクレオチドを連結する2’2’、2’3’、2’5’、3’3’、または3’5’結合、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0188】
いくつかの態様では、組成物は、凍結乾燥されている。
【0189】
II.K.1.例示的組成物03
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)少なくとも約50mM~少なくとも約300mMの濃度のスクロースと;
(c)少なくとも約10mM~少なくとも約200mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)少なくとも約1mM~少なくとも約20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)少なくとも約5mM~少なくとも約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと;を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0190】
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約146mMの濃度のスクロースと;
(c)少なくとも約10mM~少なくとも約200mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)少なくとも約1mM~少なくとも約20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)少なくとも約5mM~少なくとも約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと;を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0191】
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)少なくとも約50mM~少なくとも約300mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)少なくとも約1mM~少なくとも約20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)少なくとも約5mM~少なくとも約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと;を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0192】
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)少なくとも約50mM~少なくとも約300mMの濃度のスクロースと;
(c)少なくとも約10mM~少なくとも約200mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)少なくとも約5mM~少なくとも約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと;を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0193】
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)少なくとも約50mM~少なくとも約300mMの濃度のスクロースと;
(c)少なくとも約10mM~少なくとも約200mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)少なくとも約1mM~少なくとも約20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0194】
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)少なくとも約50mM~少なくとも約300mMの濃度のスクロースと;
(c)少なくとも約10mM~少なくとも約200mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)少なくとも約1mM~少なくとも約20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)少なくとも約5mM~少なくとも約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと;を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0195】
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約146mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0196】
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)少なくとも約1%~少なくとも約10%の濃度のスクロースと;
(c)少なくとも約10mM~少なくとも約200mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)少なくとも約1mM~少なくとも約20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)少なくとも約5mM~少なくとも約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと;を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0197】
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)少なくとも約10mM~少なくとも約200mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)少なくとも約1mM~少なくとも約20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)少なくとも約5mM~少なくとも約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと;を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0198】
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)少なくとも約1%~少なくとも約10%の濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)少なくとも約1mM~少なくとも約20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)少なくとも約5mM~少なくとも約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと;を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0199】
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)少なくとも約1%~少なくとも約10%の濃度のスクロースと;
(c)少なくとも約10mM~少なくとも約200mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)少なくとも約5mM~少なくとも約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと;を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0200】
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)少なくとも約1%~少なくとも約10%の濃度のスクロースと;
(c)少なくとも約10mM~少なくとも約200mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)少なくとも約1mM~少なくとも約20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約6.7~約7.7である。
【0201】
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)少なくとも約1%~少なくとも約10%の濃度のスクロースと;
(c)少なくとも約10mM~少なくとも約200mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)少なくとも約1mM~少なくとも約20mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)少なくとも約5mM~少なくとも約35mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと;を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0202】
特定の態様では、本組成物は、
(a)細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0203】
いくつかの態様では、細胞外小胞は、IL-12部分を含む。特定の態様では、本明細書に開示されるIL-12部分。特定の態様では、IL-12部分は、配列番号11、12、または13に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一性であるアミノ酸配列を含む(表1A)。特定の態様では、IL-12は、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む。特定の態様では、IL-12は、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む。特定の態様では、IL-12は、配列番号13に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一性であるアミノ酸配列を含む。特定の態様では、IL-12は、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む。
【0204】
特定の態様では、本組成物は、
(a)IL-12部分を含む細胞外小胞であって、IL-12部分が、配列番号11、12、または13に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む細胞外小胞と;
(b)約146mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0205】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)IL-12部分を含む細胞外小胞であって、IL-12部分が、配列番号11、12、または13に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0206】
特定の態様では、本組成物は、
(a)IL-12部分を含む細胞外小胞であって、IL-12部分が、配列番号13に示されるアミノ酸を含む、細胞外小胞と;
(b)約146mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0207】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)IL-12部分を含む細胞外小胞であって、IL-12部分が、配列番号13に記載のアミノ酸を含む、細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0208】
いくつかの態様では、細胞外小胞は、ASOを含む。いくつかの態様では、ASOは、STAT6転写物(配列番号23;表1B)内の核酸配列に相補的である長さ10~30ヌクレオチドの連続したヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む。いくつかの態様では、ASOは、核酸配列GAAAGGTTCCGTCGGGC(配列番号144)を含む。いくつかの態様では、ASOは、核酸配列CTGAGTCGCTGAAGCGG(配列番号145)を含む。いくつかの態様では、ASOは、核酸配列GCCCTTGTACTTTTGCATAG(配列番号193)を含む。いくつかの態様では、ASOは、核酸配列GCAAGATCCCGGATTCGGTC(配列番号185)を含む。
【0209】
特定の態様では、本組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、STAT6転写物内の核酸配列に相補的な長さ10~30ヌクレオチドの連続したヌクレオチド配列を含む、細胞外小胞と;
(b)スクロースと;
(c)塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2であり;
スクロースは、約73mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、約100mM、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約146mM、及び約150mMから選択される濃度であり;
塩化ナトリウムは、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、約100mM、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約146mM、及び約150mMから選択される濃度である。
【0210】
特定の態様では、本組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞と;
(b)スクロースと;
(c)塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2であり;
スクロースは、約73mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、約100mM、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約146mM、及び約150mMから選択される濃度であり;
塩化ナトリウムは、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、約100mM、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約146mM、及び約150mMから選択される濃度である。いくつかの態様では、ASOは、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む。
【0211】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞と;
(b)スクロースと;
(c)塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2であり;
スクロースは、約2.5%、約2.6%、約2.7%、約2.8%、約2.9%、約3.0%、約3.1%、約3.2%、約3.3%、約3.4%、約3.5%、約3.6%、約3.7%、約3.8%、約3.9%、約4.0%、約4.1%、約4.2%、約4.3%、約4.4%、約4.5%、約4.6%、約4.7%、約4.8%、約4.9%、及び約5.0%から選択される濃度であり;
塩化ナトリウムは、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、約100mM、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約146mM、及び約150mMから選択される濃度である。いくつかの態様では、ASOは、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む。
【0212】
特定の態様では、本組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、STAT6転写物内の核酸配列に相補的な長さ10~30ヌクレオチドの連続したヌクレオチド配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約73mM~約146mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mM~約150mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0213】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、STAT6転写物内の核酸配列に相補的な長さ10~30ヌクレオチドの連続したヌクレオチド配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約2.5%~約5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mM~約150mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0214】
特定の態様では、本組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約73mM~約146mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mM~約150mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0215】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約2.5%~約5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mM~約150mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0216】
特定の態様では、本組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、STAT6転写物内の核酸配列に相補的な長さ10~30ヌクレオチドの連続したヌクレオチド配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約146mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0217】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、STAT6転写物内の核酸配列に相補的な長さ10~30ヌクレオチドの連続したヌクレオチド配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0218】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、STAT6転写物内の核酸配列に相補的な長さ10~30ヌクレオチドの連続したヌクレオチド配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)約100mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0219】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、STAT6転写物内の核酸配列に相補的な長さ10~30ヌクレオチドの連続したヌクレオチド配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)約150mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0220】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、STAT6転写物内の核酸配列に相補的な長さ10~30ヌクレオチドの連続したヌクレオチド配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約2.5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0221】
いくつかの態様では、ASOは、配列番号91~93から選択される核酸配列を含む。
【0222】
特定の態様では、本組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約146mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0223】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0224】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約4.5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mM~約150mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0225】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約4%の濃度のスクロースと;
(c)約50mM~約150mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0226】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約3.5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mM~約150mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0227】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約3%の濃度のスクロースと;
(c)約50mM~約150mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0228】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む、細胞外小胞と;
(b)約2.5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mM~約150mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0229】
特定の態様では、本組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、核酸配列GAAAGGTTCCGTCGGGC(配列番号144)を含む、細胞外小胞と;
(b)約146mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0230】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、核酸配列GAAAGGTTCCGTCGGGC(配列番号144)を含む、細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0231】
特定の態様では、本組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、核酸配列CTGAGTCGCTGAAGCGG(配列番号145)を含む、細胞外小胞と;
(b)約146mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0232】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、核酸配列CTGAGTCGCTGAAGCGG(配列番号145)を含む、細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0233】
特定の態様では、本組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、核酸配列GCCCTTGTACTTTTGCATAG(配列番号193)を含む、細胞外小胞と;
(b)約146mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0234】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、核酸配列GCCCTTGTACTTTTGCATAG(配列番号193)を含む、細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0235】
特定の態様では、本組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、核酸配列GCAAGATCCCGGATTCGGTC(配列番号185)を含む、細胞外小胞と;
(b)約146mMの濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0236】
いくつかの態様では、組成物は、
(a)ASOを含む細胞外小胞であって、ASOが、核酸配列GCAAGATCCCGGATTCGGTC(配列番号185)を含む、細胞外小胞と;
(b)約5%の濃度のスクロースと;
(c)約50mMの濃度の塩化ナトリウムと;
(d)約5mMの濃度の一塩基性リン酸カリウムと;
(e)約15mMの濃度の二塩基性リン酸ナトリウムと、を含み、
(f)組成物のpHは、約7.2である。
【0237】
いくつかの態様では、組成物は、凍結乾燥されている。
【0238】
III.細胞外小胞、例えば、エキソソーム
本明細書に開示されるのは、対象の免疫系を調節することができる改変されたEV、例えば、エキソソームである。本開示において有用なEV、例えば、エキソソームは、少なくとも1つの外因性の生物学的活性部分を生成するように操作されている。いくつかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、2つの外因性の生物学的活性部分を含む。いくつかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、3つの外因性の生物学的活性部分を含む。他の態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、4つの外因性の生物学的活性部分を含む。さらなる態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、5つ以上の外因性の生物学的活性部分を含む。いくつかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の外因性の生物学的活性部分を含む。
【0239】
上記のように、本明細書に記載のEV(例えばエキソソーム)は、直径が約20~300nmの細胞外小胞である。特定の態様では、本開示のEV(例えば、エキソソーム)は、約20~290nm、20~280nm、20~270nm、20~260nm、20~250nm、20~240nm、20~230nm、20~220nm、20~210nm、20~200nm、20~190nm、20~180nm、20~170nm、20~160nm、20~150nm、20~140nm、20~130nm、20~120nm、20~110nm、20~100nm、20~90nm、20~80nm、20~70nm、20~60nm、20~50nm、20~40nm、20~30nm、30~300nm、30~290nm、30~280nm、30~270nm、30~260nm、30~250nm、30~240nm、30~230nm、30~220nm、30~210nm、30~200nm、30~190nm、30~180nm、30~170nm、30~160nm、30~150nm、30~140nm、30~130nm、30~120nm、30~110nm、30~100nm、30~90nm、30~80nm、30~70nm、30~60nm、30~50nm、30~40nm、40~300nm、40~290nm、40~280nm、40~270nm、40~260nm、40~250nm、40~240nm、40~230nm、40~220nm、40~210nm、40~200nm、40~190nm、40~180nm、40~170nm、40~160nm、40~150nm、40~140nm、40~130nm、40~120nm、40~110nm、40~100nm、40~90nm、40~80nm、40~70nm、40~60nm、40~50nm、50~300nm、50~290nm、50~280nm、50~270nm、50~260nm、50~250nm、50~240nm、50~230nm、50~220nm、50~210nm、50~200nm、50~190nm、50~180nm、50~170nm、50~160nm、50~150nm、50~140nm、50~130nm、50~120nm、50~110nm、50~100nm、50~90nm、50~80nm、50~70nm、50~60nm、60~300nm、60~290nm、60~280nm、60~270nm、60~260nm、60~250nm、60~240nm、60~230nm、60~220nm、60~210nm、60~200nm、60~190nm、60~180nm、60~170nm、60~160nm、60~150nm、60~140nm、60~130nm、60~120nm、60~110nm、60~100nm、60~90nm、60~80nm、60~70nm、70~300nm、70~290nm、70~280nm、70~270nm、70~260nm、70~250nm、70~240nm、70~230nm、70~220nm、70~210nm、70~200nm、70~190nm、70~180nm、70~170nm、70~160nm、70~150nm、70~140nm、70~130nm、70~120nm、70~110nm、70~100nm、70~90nm、70~80nm、80~300nm、80~290nm、80~280nm、80~270nm、80~260nm、80~250nm、80~240nm、80~230nm、80~220nm、80~210nm、80~200nm、80~190nm、80~180nm、80~170nm、80~160nm、80~150nm、80~140nm、80~130nm、80~120nm、80~110nm、80~100nm、80~90nm、90~300nm、90~290nm、90~280nm、90~270nm、90~260nm、90~250nm、90~240nm、90~230nm、90~220nm、90~210nm、90~200nm、90~190nm、90~180nm、90~170nm、90~160nm、90~150nm、90~140nm、90~130nm、90~120nm、90~110nm、90~100nm、100~300nm、110~290nm、120~280nm、130~270nm、140~260nm、150~250nm、160~240nm、170~230nm、180~220nm、または190~210nmの直径を有する。本明細書に記載のEV(例えば、エキソソーム)のサイズは、以下に記載する方法に従って測定することができる。
【0240】
いくつかの態様では、本開示のEV(例えば、エキソソーム)は、内面及び外面を含む二脂質膜(「EV(例えば、エキソソーム)膜」)を含む。ある特定の態様では、内面は、EV(例えば、エキソソーム)の内側コア(すなわち、内腔)に面する。特定の態様では、外面は、プロデューサー細胞または標的細胞のエンドソーム、多小胞体、または膜/細胞質と接触し得る。
【0241】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)膜は、脂質及び脂肪酸を含む。いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)膜は、リン脂質、糖脂質、脂肪酸、スフィンゴ脂質、ホスホグリセリド、ステロール、コレステロール、及びホスファチジルセリンを含む。
【0242】
いくつかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)膜は、内側のリーフレット及び外側のリーフレットを含む。内部及び外部リーフレットの組成物は、当技術分野で公知のトランスバイレイヤー(transbilayer)分布アッセイによって決定することができ、例えば、Kuypers et al. Biohim Biophys Acta 1985 819:170を参照されたい。いくつかの態様では、外部リーフレットの組成物は、およそ70~90%のコリンリン脂質、およそ0~15%の酸性リン脂質、及びおよそ5~30%のホスファチジルエタノールアミンである。いくつかの態様では、内部リーフレットの組成物は、およそ15~40%のコリンリン脂質、およそ10~50%の酸性リン脂質、及びおよそ30~60%のホスファチジルエタノールアミンである。
【0243】
いくつかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)膜は、グリカンなどの1つ以上の多糖類を含む。
【0244】
いくつかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)膜は、1つ以上の足場部分をさらに含み、これは、複数の外因性の生物学的活性部分をEV(例えば、エキソソーム)に(例えば、内腔表面または外腔表面のいずれかに)固定することができる。いくつかの態様では、足場部分は、複数の外因性の生物学的活性部分のうちの少なくとも1つをEVに固定または連結する。いくつかの態様では、足場部分は、複数の(例えば、少なくとも2つの)外因性の生物学的活性部分をそれぞれEVに固定または連結する。特定の態様では、足場部分は、ポリペプチド(「エキソソームタンパク質」)である。他の態様では、足場部分は、非ポリペプチド部分である。いくつかの態様では、エキソソームタンパク質は、膜貫通タンパク質、内在性タンパク質及び末梢タンパク質などの、エキソソーム膜上で濃縮された様々な膜タンパク質を含む。それらには、様々なCDタンパク質、トランスポーター、インテグリン、レクチン、及びカドヘリンが含まれる。特定の態様では、足場部分(例えば、エキソソームタンパク質)は、足場Xを含む。さらなる態様では、足場部分(例えば、エキソソームタンパク質)は、複数の足場X部分を含む。
【0245】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるEV(例えば、エキソソーム)は、1つ以上のペイロード(例えば、生物学的活性部分)を標的に送達することができる。したがって、特定の態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の異なるペイロードを含む。ペイロードは、EVと接触する標的(例えば、標的細胞)に作用する剤である。接触は、in vitroで、または対象において発生できる。EVに導入され得るペイロードの非限定的例として、ヌクレオチド(例えば、検出可能な部分もしくは毒素を含むか、または転写を妨害するヌクレオチド)、核酸(例えば、酵素などのポリペプチドをコードするDNAもしくはmRNA分子、またはmiRNA、dsDNA、lncRNA、またはsiRNAなどの制御機能を有するRNA分子)、MS2などのRNA結合タンパク質、アミノ酸(例えば、検出可能な部分または翻訳を妨害する毒素を含むアミノ酸)、ポリペプチド(例えば、酵素)、脂質、炭水化物、及び小分子(例えば、小分子薬物及び毒素)などの剤が挙げられる。いくつかの態様では、ペイロードは、外因性の生物学的活性部分(例えば、本明細書に開示されるもの)を含む。
【0246】
IIIA.ペイロード、例えば、生物学的活性部分
いくつかの態様では、ペイロードは、生物学的活性部分を含む。いくつかの態様では、ペイロードは、治療用分子を含む。特定の態様では、治療用分子は、対象において免疫応答を誘導することができる抗原を含む。特定の態様では、抗原は、腫瘍抗原を含む。腫瘍抗原の非限定的例としては、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、がん胎児性抗原(CEA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、ムチン1(MUC1)、Tn-MUC1、ムチン16(MUC16)、チロシナーゼ、黒色腫関連抗原(MAGE)、腫瘍タンパク質p53(p53)、CD4、CD8、CD45、CD47、CD80、CD86、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、NY-ESO-1、PSMA、TAG-72、HER2、GD2、cMET、EGFR、メソセリン、VEGFR、アルファ葉酸受容体、CE7R、IL-3、がん精巣抗原(CTA)、MART-1 gp100、及びTNF関連アポトーシス誘導性リガンド、Brachyury(黒色腫で優先的に発現する抗原(PRAME))、またはそれらの組み合わせが挙げられる。さらなる態様では、抗原は、新抗原を含み得る。本明細書で使用される場合、「新抗原」という用語は、腫瘍特異的変異遺伝子によってコードされる抗原を指す。いくつかの態様では、抗原は、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、またはそれらの任意の組み合わせに由来する。いくつかの態様では、抗原は発がん性ウイルスに由来する。さらなる態様では、抗原は、ヒトガンマヘルペスウイルス4(Epstein Barrウイルス)、インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、サイトメガロウイルス、staphylococcus aureus、mycobacterium tuberculosis、chlamydia trachomatis、HIV-1、HIV-2、コロナウイルス(例えば、MERS-CoV及びSARS CoV)、フィロウイルス(例えば、Marburg及びEbola)、Streptococcus pyogenes、Streptococcus pneumoniae、Plasmodia種(例えば、vivax及びfalciparum)、Chikungunyaウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、Hepatitis B、Hepatitis C、ヒトヘルペスウイルス8、単純ヘルペスウイルス2(HSV2)、Klebsiella sp.、Pseudomonas aeruginosa、Enterococcus sp.、Proteus sp.、Enterobacter sp.、Actinobacter sp.、コアグラーゼ陰性staphylococci(CoNS)、Mycoplasma sp.,またはそれらの組み合わせからなる群由来である。
【0247】
いくつかの態様では、抗原は、細胞性及び/または体液性免疫応答を誘導するために、Mycobacterium tuberculosisに由来する。いくつかの態様では、抗原は、Mycobacterium tuberculosis(TB抗原)の1つ以上のエピトープを含む。ESAT-6、TB10.4、CFP10、Rv2031(hspX)、Rv2654c(TB7.7)、及びRv1038c(EsxJ)など、様々な抗原がMycobacterium tuberculosis感染に関連する。例えば、Lindestam et al.,J.Immunol.188(10):5020-31(2012)を参照されたい。これは、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0248】
いくつかの態様では、抗原は、自己抗原を含む。本明細書で使用される場合、「自己抗原」という用語は、宿主細胞または組織によって発現される抗原を指す。
【0249】
いくつかの態様では、治療用分子は、抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの態様では、治療用分子は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの抗体またはそれらの抗原結合断片を含む。いくつかの態様では、生物学的活性部分は、細胞表面タンパク質を標的とする抗体である。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、scFv、scFab、scFab-Fc、ナノボディ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、アゴニスト抗体、遮断抗体、標的化抗体、それらの断片、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、アゴニスト抗体は、CD40Lアゴニストである。いくつかの態様では、遮断抗体は、プログラム死1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、細胞障害性Tリンパ球関連タンパク質4、及びそれらの任意の組み合わせから選択される標的タンパク質に結合する。いくつかの態様では、標的化抗体は、CD3及び/またはCD19に結合する。いくつかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、抗IL12抗体またはその抗原結合断片、ならびに抗CD40L抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、BITES、例えば、抗CD3抗体及び抗がん剤、例えば、抗CD19抗体を含む。
【0250】
いくつかの態様では、治療用分子は、抗体の断片、例えば、scFv、(scFv)、Fab、Fab’、及びF(ab’)、F(ab1)、Fv、dAb、またはFd標的化抗原、例えば、CD33、ICAM4、CD40、CDLEC9A、DEC205、及びTfR、及びそれらの任意の組み合わせを含む。
【0251】
いくつかの態様では、治療用分子は、血液凝固因子、例えば、FVIIIである。
【0252】
いくつかの態様では、治療用分子は、標的化ペプチド、例えば、システインノットペプチドである。
【0253】
いくつかの態様では、治療用分子は、Cas9及びジンクフィンガーヌクレアーゼ、CD39、CD73、及びリソソーム酸性グルコシルセラミダーゼなどの酵素である。
【0254】
いくつかの態様では、治療用分子は、FRB-FKBPなどのタンパク質二量体化システムである。
【0255】
上記のとおり、本開示のEV(例えば、エキソソーム)は、アジュバントを含むことができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されるEV(例えば、エキソソーム)は、1、2、3、4、5、またはそれ以上の異なるアジュバントを含む。本明細書で使用される場合、「アジュバント」という用語は、ペイロードの治療効果を増強する(例えば、抗原に対する免疫応答を増大させる)任意の物質を指す。したがって、本明細書に記載のEV(例えば、エキソソーム)は、参照(例えば、アジュバントを含まない対応するEVまたは抗原及びアジュバントを含む非EV送達ビヒクル)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、またはそれ以上、抗原に対する免疫応答を増大させることができる。アジュバントの非限定的例としては、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニスト、toll様受容体(TLR)アゴニスト、炎症性メディエーター、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0256】
いくつかの態様では、アジュバントは、細胞質ゾルパターン認識受容体の活性化を誘導する。細胞質ゾルパターン認識受容体の非限定的な例としては、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)、レチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-1)、黒色腫分化関連タンパク質5(MDA5)、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン、ロイシンリッチリピート及びピリンドメイン含有(NLRP)、インフラマソーム、またはそれらの組み合わせが挙げられる。特定の態様では、アジュバントは、STINGアゴニストである。インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)は、典型的には細菌によって産生される環状ジヌクレオチドの細胞質ゾルセンサーである。活性化すると、I型インターフェロンの産生をもたらし、免疫応答を開始する。特定の態様では、STINGアゴニストは、環状ジヌクレオチドSTINGアゴニストまたは非環状ジヌクレオチドSTINGアゴニストを含む。
【0257】
環状プリンジヌクレオチド、例えば、これらに限定されないが、cGMP、環状ジ-GMP(c-di-GMP)、cAMP、環状ジ-AMP(c-di-AMP)、環状-GMP-AMP(cGAMP)、環状ジ-IMP(c-di-IMP)、環状AMP-IMP(cAIMP)、及びそれらの類似体などは、患者の免疫応答または炎症応答を刺激または増強することが知られている。CDNは、環状ジヌクレオチドを連結する2’2’、2’3’、2’5’、3’3’、または3’5’結合、あるいはそれらの任意の組み合わせを有し得る。
【0258】
環状プリンジヌクレオチドは、標準的な有機化学技術を介して修飾して、プリンジヌクレオチドの類似体を産生することができる。好適なプリンジヌクレオチドとしては、これらに限定されないが、アデニン、グアニン、イノシン、ヒポキサンチン、キサンチン、イソグアニン、または当技術分野で公知である他の適切なプリンジヌクレオチドが挙げられる。環状ジヌクレオチドは修飾された類似体であり得る。これらに限定されないが、ホスホロチオエート、ビホスホロチオエート、フルオリネート、及びジフルオリネート修飾など、当技術分野において公知である任意の適切な修飾を使用することができる。
【0259】
5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、または当技術分野において公知である任意の他の非環状ジヌクレオチドアゴニストなどの非環状ジヌクレオチドアゴニストも使用することができる。
【0260】
本開示と共に使用され得るSTINGアゴニストの非限定的例としては、DMXAA、STINGアゴニスト-1、ML RR-S2 CDA、ML RR-S2c-di-GMP、ML-RR-S2 cGAMP、2’3’-c-di-AM(PS)2、2’3’-cGAMP、2’3’-cGAMPdFHS、3’3’-cGAMP、3’3’-cGAMPdFSH、cAIMP、cAIM(PS)2、3’3’-cAIMP、3’3’-cAIMPdFSH、2’2’-cGAMP、2’3’-cGAM(PS)2、3’3’-cGAMP、またはそれらの組み合わせが挙げられる。STINGアゴニストの非限定的な例は、米国特許第9,695,212号、WO2014/189805(A1)、WO2014/179335(A1)、WO2018/100558(A1)、米国特許第10,011,630(B2)、WO2017/027646(A1)、WO2017/161349(A1)、及びWO2016/096174(A1)に見出すことができる。これらは、それぞれ参照によりその全体が組み込まれる。
【0261】
いくつかの態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、WO2016/096174、WO2016/096174(A1)、WO2014/093936、WO2014/189805、WO2015/077354(その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示される化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。Cell reports 11,1018~1030(2015)も参照されたい。
【0262】
いくつかの態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、c-di-AMP、c-di-GMP、c-di-IMP、c-AMP-GMP、c-AMP-IMP、及びc-GMP-IMPを含む。これらは、WO2013/185052及びSci.Transl.Med.283,283ra52(2015)に記載され、これらは、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0263】
いくつかの態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、WO2014/189806、WO2015/185565、WO2014/179760、WO2014/179335、WO2015/017652、WO2016/096577、WO2016/120305、WO2016/145102、WO2017/027646、WO2017/075477、WO2017/027645、WO2018/100558、WO2017/175147、またはWO2017/175156に開示されている化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。これらの各内容は、その全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0264】
一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL606、CL611、CL602、CL655、CL604、CL609、CL614、CL656、CL647、CL626、CL629、CL603、CL632、CL633、CL659、またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL606またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL611またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL602またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL655またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL604またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL609またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL614またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL647またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL626またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL629またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL603またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL632またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL633またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL659またはその薬学的に許容される塩である。
【0265】
一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL656またはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL656の異性体Aまたはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL656の異性体Bまたはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL656の異性体Cまたはその薬学的に許容される塩である。一部の態様では、本開示に有用なSTINGアゴニストは、CL656の異性体Dまたはその薬学的に許容される塩である。
【0266】
本開示のSTINGアゴニストはまた、細胞外小胞またはエキソソームにおけるアゴニストのカプセル化を増加または制御させるように修飾され得る。この修飾には、アゴニストを化学物質または酵素で処理することにより、または物理的もしくは化学的にSTINGアゴニストの極性または電荷を変化させることによる脂質結合タグの付加が含まれ得る。STINGアゴニストは、単一の治療によって、または治療の組み合わせによって、例えば、脂質結合タグのみを追加すること、または脂質結合タグを追加して極性を変更することによって修飾することができる。上記の例は、非限定的な例示的な例であることを意図している。本開示では、修飾の任意の組み合わせを実施できることが企図される。修飾は、非修飾アゴニストのカプセル化と比較して、エキソソームにおけるアゴニストのカプセル化を2倍~10,000倍、10倍~1,000倍、または100倍~500倍増加または制御させることができる。修飾により、エキソソームにおけるアゴニストのカプセル化が、未修飾アゴニストのカプセル化と比較して、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、2000倍、3000倍、4000倍、5000倍、6000倍、7000倍、8000倍、9000倍、または10,000倍増大し得る。
【0267】
いくつかの態様では、1つ以上の外因性の生物学的活性部分、例えば、アジュバントは、TLRアゴニストである。TLRアゴニストの非限定的な例としては、TLR2アゴニスト(例えば、リポタイコ酸、非定型LPS、MALP-2及びMALP-404、OspA、ポリン、LcrV、リポマンナン、GPIアンカー、リゾホスファチジルセリン、リポホスホグリカン(LPG)、グリコホスファチジルイノシトール(GPI))、ザイモサン、hsp60、gH/gL糖タンパク質、血球凝集素)、TLR3アゴニスト(例えば、二本鎖RNA、例えば、ポリ(I:C))、TLR4アゴニスト(例えば、リポ多糖(LPS)、リポタイコ酸、β-デフェンシン2、フィブロネクチンEDA、HMGB1、snapin、テネイシンC)、TLR5アゴニスト(例えば、フラジェリン)、TLR6アゴニスト、TLR7/8アゴニスト(例えば、一本鎖RNA、CpG-A、ポリG10、ポリG3、レシキモド)、TLR9アゴニスト(例えば、非メチル化CpG DNA)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。TLRアゴニストの非限定的例としては、WO2008115319(A2)、US20130202707(A1)、US20120219615(A1)、US20100029585(A1)、WO2009030996(A1)、WO2009088401(A2)、及びWO2011044246(A1)に見出すことができ、これらはそれぞれ、参照によりその全体が組み込まれる。
【0268】
いくつかの態様では、1つ以上の外因性の生物学的活性部分、例えば、アジュバントは、炎症性メディエーターである。
【0269】
いくつかの態様では、本開示のEV(例えば、エキソソーム)は、1つ以上の外因性の生物学的活性部分、例えば、免疫調節因子を含むことができる。特定の態様では、1つ以上の免疫調節因子は、他の活性な生物学的分子、例えば、本明細書に開示されるものと組み合わせて発現される。いくつかの態様では、1つ以上の免疫調節因子は、表面(例えば、外面もしくは内腔表面)またはEV(例えば、エキソソーム)の内腔において発現され得る。したがって、特定の態様では、1つ以上の免疫調節因子は、EV(例えば、エキソソーム)の外面上、またはEV(例えば、エキソソーム)の内腔表面上の足場部分(例えば、足場X)に連結されている。さらなる態様では、1つ以上の免疫調節因子は、エキソソームの内腔内にある(すなわち、足場Xに連結されていない)。特定の態様では、免疫調節因子は、ポリヌクレオチドである。これらの態様のいくつかでは、ポリヌクレオチドとしては、これらに限定されないが、mRNA、miRNA、siRNA、アンチセンスRNA、shRNA、lncRNA、及びdsDNAが挙げられる。いくつかの態様では、免疫調節因子は、タンパク質、ペプチド、糖脂質、または糖タンパク質である。
【0270】
いくつかの態様では、本組成物のために製剤化されたEV(例えば、エキソソーム)は、IL-12を含む。いくつかの態様では、本組成物のために製剤化されたEV(例えば、エキソソーム)は、CD40Lを含む。いくつかの態様では、本組成物のために製剤化されたEV(例えば、エキソソーム)は、FLT3Lを含む。いくつかの態様では、本組成物のために製剤化されたEV(例えば、エキソソーム)は、IL-12及びCD40Lを含む。他の態様では、EV(例えば、エキソソーム)は、IL-12、CD40L、及びFLT3Lを含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号11、12、または13に示されるアミノ酸配列(表1A)に対して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一性であるアミノ酸配列を含む。特定の態様では、IL-12は、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む。特定の態様では、IL-12は、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む。特定の態様では、IL-12は、配列番号13に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。特定の態様では、IL-12は、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む。


【表1】
【0271】
いくつかの態様では、IL-12部分は、p35ポリペプチドまたはその断片を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号11に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号11に対して、少なくとも約90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号11に対して、少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号11に対して、少なくとも約96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号11に対して、少なくとも約97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号11に対して、少なくとも約98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号11に対して、少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12部分は、シグナルペプチドを含まない(表1Aを参照されたい)。
【0272】
いくつかの態様では、IL-12部分は、p40ポリペプチドまたはその断片を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号12に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号12に対して、少なくとも約90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号12に対して、少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号12に対して、少なくとも約96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号12に対して、少なくとも約97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号12に対して、少なくとも約98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号12に対して、少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12部分は、シグナルペプチドを含まない(表1Aを参照されたい)。
【0273】
いくつかの態様では、IL-12部分は、p35ポリペプチドまたはその断片及びp40ポリペプチドまたはその断片を含む。いくつかの態様では、IL-12部分は、p35ポリペプチドまたはその断片がp40ポリペプチドまたはその断片に連結されている単一のポリペプチドを含む。いくつかの態様では、p35ポリペプチドまたはその断片は、リンカーによってp40ポリペプチドまたはその断片に連結されている。いくつかの態様では、リンカーは、ペプチドリンカーである。いくつかの態様では、リンカーは、1つ以上のアミノ酸を含む。いくつかの態様では、リンカーは、Gly-Ser(GS)リンカーを含む。いくつかの態様では、GSリンカーは、(GS)を含み、ここで、nは、1~10の整数である。いくつかの態様では、GSリンカーは、(GS)を含み、ここで、nは、1~10の整数である。
【0274】
特定の態様では、IL-12部分は、配列番号13に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号13に対して、少なくとも約90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号13に対して、少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号13に対して、少なくとも約96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号13に対して、少なくとも約97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号13に対して、少なくとも約98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号13に対して、少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号13に示されるアミノ酸配列からなる。いくつかの態様では、IL-12は、配列番号13に示されるアミノ酸配列から本質的になる。いくつかの態様では、IL-12部分は、シグナルペプチドを含まない(表1Aを参照されたい)。
【0275】
いくつかの態様では、本組成物のために製剤化されたEV(例えば、エキソソーム)は、STAT6転写物(配列番号23;表1B)内の核酸配列に相補的である長さ10~30ヌクレオチドの連続したヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む。いくつかの態様では、ASOは、配列番号91~193から選択される核酸配列を含む。いくつかの態様では、ASOは、核酸配列GAAAGGTTCCGTCGGGC(配列番号144)を含む。いくつかの態様では、ASOは、核酸配列CTGAGTCGCTGAAGCGG(配列番号145)を含む。いくつかの態様では、ASOは、核酸配列GCCCTTGTACTTTTGCATAG(配列番号193)を含む。いくつかの態様では、ASOは、核酸配列GCAAGATCCCGGATTCGGTC(配列番号185)を含む。

【表2-1】

【表2-2】
【0276】
IIIB.足場部分、例えば、足場Xまたは足場Y
いくつかの態様では、本開示のEV(例えばエキソソーム)は、その組成が改変された膜を含む。例えば、それらの膜組成は、膜のタンパク質、脂質、またはグリカン含有量を変更することによって改変することができる。
【0277】
いくつかの態様では、表面操作型EV(例えばエキソソーム)は、PEG誘発融合及び/または超音波融合などの化学的及び/または物理的方法によって生成される。他の実施形態では、表面操作型EV、例えばエキソソームは、遺伝子操作によって生成される。遺伝子改変されたプロデューサー細胞または遺伝子改変された細胞の子孫から産生されるEV(例えばエキソソーム)は、改変された膜組成物を含み得る。いくつかの態様では、表面操作型EV(例えば、エキソソーム)は、より高いまたはより低い密度(例えば、より多い数)で足場部分(例えば、エキソソームタンパク質、例えば、足場X)を有するか、足場部分のバリアントまたは断片を含む。
【0278】
例えば、表面(例えば、足場X)操作型EVは、足場部分(例えば、エキソソームタンパク質、例えば、足場X)をコードする外因性配列で形質転換された細胞(例えば、HEK293細胞)またはバリアントまたはその断片から産生され得る。外因性配列から発現される足場部分を含むEVは、修飾された膜組成物を含み得る。
【0279】
足場部分の様々な修飾または断片を、本開示の態様に使用することができる。例えば、結合剤への親和性を増強させるように修飾された足場部分は、結合剤を使用して精製することができる表面改変EVを生成するために使用することができる。EV及び/または膜をより効果的に標的化するように修飾された足場部分を使用できる。エキソソーム膜への特異的かつ効果的な標的化に必要な最小限の断片を含むように修飾された足場部分も使用することができる。
【0280】
足場部分の非限定的例として、プロスタグランジンF2受容体の負の調節因子(PTGFRN)、ベイシジン(BSG)、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2(IGSF2)、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3(IGSF3)、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8(IGSF8)、インテグリンベータ-1(ITGB1)、インテグリンアルファ-4(ITGA4)、4F2細胞表面抗原重鎖(SLC3A2)、及びATPトランスポータータンパク質のクラス(ATP1A1、ATP1A2、ATP1A3、ATP1A4、ATP1B3、ATP2B1、ATP2B2、ATP2B3、ATP2B)が挙げられる。特定の態様では、足場部分は、完全タンパク質である。他の態様では、足場部分は、タンパク質断片(例えば、機能的断片)である。
【0281】
他の態様では、本発明に有用な足場部分、第1の足場部分、第2の足場部分、及び/または第3の足場部分としては、従来のエキソソームタンパク質、これらに限定されないが、テトラスパニン分子(例えば、CD63、CD81、CD9など)、リソソーム関連膜タンパク質2(LAMP2及びLAMP2B)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、GPIアンカータンパク質、ラクトアドヘリン及びその断片、これらのタンパク質またはその断片のいずれかに親和性を有するペプチド、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0282】
いくつかの態様では、本明細書に記載の表面(例えば、足場X)操作型EVは、当該技術分野において既知のEVと比較して優れた特性を示す。例えば、表面(例えば、足場X)操作型EVは、天然に存在するEVまたは従来のエキソソームタンパク質を使用して産生されるEVよりも表面上により高度に濃縮された修飾タンパク質を含む。さらに、本開示の表面(例えば、足場X)操作型EVは、天然に存在するEV、または従来のエキソソームタンパク質を使用して産生されたEVと比較して、より大きい、より特異的な、またはより制御された生物活性を有し得る。
【0283】
いくつかの態様では、足場Xは、プロスタグランジンF2受容体の負の調節因子(PTGFRNポリペプチド)を含む。PTGFRNタンパク質は、CD9パートナー1(CD9P-1)、Glu-Trp-Ile EWIモチーフ含有タンパク質F(EWI-F)、プロスタグランジンF2アルファ受容体調節タンパク質、プロスタグランジンF2アルファ受容体関連タンパク質、またはCD315とも称され得る。ヒトPTGFRNタンパク質(Uniprotアクセッション番号Q9P2B2)の完全長アミノ酸配列は、表2に配列番号1として示されている。PTGFRNポリペプチドは、シグナルペプチド(配列番号1のアミノ酸1~25)、細胞外ドメイン(配列番号1のアミノ酸26~832)、膜貫通ドメイン(配列番号1のアミノ酸833~853)、及び細胞質ドメイン(配列番号1のアミノ酸854~879)を含む。成熟PTGFRNポリペプチドは、シグナルペプチドを含まない配列番号1、すなわち、配列番号1のアミノ酸26~879からなる。いくつかの態様では、本開示に有用なPTGFRNポリペプチド断片は、PTGFRNポリペプチドの膜貫通ドメインを含む。他の態様では、本開示に有用なPTGFRNポリペプチド断片は、PTGFRNポリペプチドの膜貫通ドメインと、(i)膜貫通ドメインのN末端に、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150のアミノ酸、(ii)膜貫通ドメインのC末端に、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、または少なくとも25のアミノ酸、または(i)と(ii)の両方を含む。
【0284】
いくつかの態様では、PTGFRNポリペプチドの断片は、IgVなどの1つ以上の機能的または構造的ドメインを欠いている。
【0285】
他の態様では、足場Xは、配列番号1のアミノ酸26~879と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは、配列番号9と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは、1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除く、配列番号9のアミノ酸配列を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、足場Xは、配列番号9のN末端及び/またはC末端に、配列番号9のアミノ酸配列、及び1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸またはそれ以上を含む。
【0286】
他の態様では、足場Xは、配列番号2、3、4、5、6、または7と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の態様では、足場Xは、1つのアミノ酸変異、2つのアミノ酸変異、3つのアミノ酸変異、4つのアミノ酸変異、5つのアミノ酸変異、6つのアミノ酸変異、または7つのアミノ酸変異を除く、配列番号2、3、4、5、6、または7のアミノ酸配列を含む。変異は、置換、挿入、欠失、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、足場Xは、配列番号2、3、4、5、6、または7のN末端及び/またはC末端に、配列番号2、3、4、5、6、または7のアミノ酸配列、及び1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸またはそれ以上を含む。
【表3-1】

【表3-2】
【表3-3】
【0287】
他の足場Xタンパク質の非限定的な例は、米国特許第10,195,290(B1)号及び第10,561,740(B2)号に見出すことができ、これらのそれぞれは、参照によりその全体が組み込まれる。
【0288】
いくつかの態様では、EVで発現される足場部分は、ペイロード、例えば、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストに融合されていない。
【0289】
いくつかの態様では、足場Xは、任意の部分をEV(例えば、エキソソーム)の内腔表面及び/または外面に同時に連結するために使用され得る。例えば、PTGFRNポリペプチドを使用して、EV(例えば、エキソソーム)の外面に加えて、内腔内(例えば、内腔表面上)の抗原、アジュバント、及び/または免疫調節因子を連結することができる。したがって、特定の態様では、足場Xは、例えば、内腔表面上の抗原及びEV(例えば、エキソソーム)の外面のアジュバントまたは免疫調節因子、EV(例えば、エキソソーム)の外面上の抗原及び内腔表面上のアジュバントまたは免疫調節因子、内腔表面上のアジュバント及びEV(例えば、エキソソーム)の外面上の免疫調節因子、または内腔表面上の免疫調節因子及びEV(例えば、エキソソーム)の外面上のアジュバントなど、二重の目的に使用することができる。
【0290】
いくつかの態様では、足場タンパク質は、足場Yを含む。本明細書に開示の組成物及び方法において使用され得る足場Yタンパク質の非限定的な例としては、例えば、国際公開番号WO/2019/099942またはWO2020/101740に開示されているそれらの足場Yタンパク質が挙げられる。これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、足場Yタンパク質は、ミリストイル化アラニンリッチプロテインキナーゼC基質(「MARCKSタンパク質」);ミリストイル化されたアラニンリッチプロテインキナーゼC基質様1(「MARCKSL1タンパク質」);脳の酸可溶性タンパク質1(「BASP1タンパク質」)から選択される。いくつかの態様では、足場Yタンパク質は、完全タンパク質またはその断片(例えば、機能的断片、例えば、EV(例えば、エキソソーム)の内腔表面上に任意の部分を固定することができる最小断片)であり得る。いくつかの態様では、足場Yは、任意の部分(例えば、STINGアゴニスト及び/またはIL-12部分)をEV(例えば、エキソソーム)の内腔に固定することができる。
【0291】
IIIC.部分の固定
いくつかの態様では、1つ以上のペイロードを固定部分に連結することができる。いくつかの態様では、ペイロードをEV(例えば、エキソソーム)の外面及び/または内腔表面に連結するために使用できる固定部分は、ステロール(例えば、コレステロール)、GM1、脂質(例えば、脂肪酸)、ビタミン、小分子、ペプチド、またはそれらの組み合わせを含む。
【0292】
いくつかの態様では、固定部分は、脂質である。脂質固定部分は、当技術分野において公知である任意の脂質、例えば、パルミチン酸またはグリコシルホスファチジルイノシトールであり得る。いくつかの態様では、脂質は、脂肪酸、ホスファチジル、リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、またはホスファチジルエタノールアミン)、またはそれらの類似体(例えば、ホスファチジルコリン、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、セファリン、またはホスファチジルセリンまたはその類似体またはその一部、例えば、その部分的に加水分解された部分)である。
【0293】
一般的に、固定部分は化学的に付着している。しかし、固定部分は、酵素的にペイロードに付着させ得る。
【0294】
本開示の方法を実施するために使用することができるいくつかのタイプの膜アンカーは、以下の表に提示されている:
【表4】
【0295】
いくつかの態様では、本開示の固定部分は、本明細書に開示の2つ以上のタイプの固定部分を含むことができる。例えば、いくつかの態様では、固定部分は、2つの脂質、例えば、リン脂質と脂肪酸、または2つのリン脂質、または2つの脂肪酸、または脂質とビタミン、またはコレステロールとビタミンを含み得る。
【0296】
いくつかの態様では、本開示に有用な固定部分は、ステロール、ステロイド、ホパノイド、ヒドロキシステロイド、セコステロイド、または親油性を有するそれらの類似体を含む。いくつかの態様では、固定部分は、植物ステロール、菌類ステロール、または動物ステロールなどのステロールを含む。例示的な動物ステロールとしては、コレステロール及び24S-ヒドロキシコレステロールが挙げられる。例示的な植物ステロールとしては、エルゴステロール(菌類ステロール)、カンペステロール、シトステロール、及びスチグマステロールが挙げられる。いくつかの態様では、ステロールは、エルゴステロール、7-デヒドロコレステロール、コレステロール、24S-ヒドロキシコレステロール、ラノステロール、シクロアルテノール、フコステロール、サリンゴステロール、カンペステロール、β-シトステロール、シトスタノール、コプロスタノール、アベナステロール、またはスチグマステロールから選択される。ステロールは、遊離ステロール、アシル化(ステロールエステル)、アルキル化(ステリルアルキルエーテル)、硫酸化(ステロール硫酸塩)、またはそれ自体がアシル化できるグリコシド部分(ステリルグリコシド)に連結したもの(アシル化ステロールグリコシド)のいずれかとして見出され得る。いくつかの態様では、固定部分は、コレステロールである。
【0297】
いくつかの態様では、固定部分は、ステロイドを含む。いくつかの態様では、ステロイドは、ジヒドロテストステロン、ウバオール、ヘシゲニン、ジオスゲニン、プロゲステロン、またはコルチゾールから選択される。
【0298】
いくつかの態様では、固定部分は脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸は、短鎖、中鎖、または長鎖脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸は、飽和脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸は、不飽和脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸は、モノ不飽和脂肪酸である。いくつかの態様では、脂肪酸は、オメガ-3またはオメガ-6脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸である。
【0299】
いくつかの態様では、固定部分は、リン脂質を含む。リン脂質は、すべての細胞膜の主成分である脂質のクラスである。それらは両親媒性の特徴のために脂質二重層を形成することができる。リン脂質分子の構造は、一般的に、2つの疎水性脂肪酸「テール」とリン酸基からなる親水性「ヘッド」からなる。例えば、リン脂質は、次式に記載の脂質であり得る:
【化1】
式中、Rは、リン脂質部分を表し、R及びRは、不飽和を伴うまたは伴わない、同じかまたは異なり得る脂肪酸部分を表す。
【0300】
いくつかの態様では、ペイロードは、リンカーの組み合わせ(開裂性及び/または非開裂性リンカーの任意の組み合わせを含み得る)を介して、本明細書に開示する固定部分に連結される。いずれか1つの理論に拘束されるものではないが、リンカーの組み合わせの機能のうちの1つは、固定部分とペイロードとの間に最適な間隔を提供することである。
【0301】
IIID.リンカー
上記のとおり、本開示の細胞外小胞(EV)(例えば、エキソソーム及びナノ小胞)は、本明細書に開示の1つ以上の外因性の生物学的活性部分をEV(例えば、外面または内腔表面)に連結する1つ以上のリンカーを含み得る。いくつかの態様では、1つ以上の外因性の生物学的活性部分は、直接または1つ以上の足場部分(例えば、足場X)を介してEVに連結されている。例えば、特定の態様では、1つ以上の外因性生物学的活性部分は、足場Xを介してエキソソームの外面に連結されている。さらなる態様では、1つ以上の外因性生物学的活性部分は、足場Xを介してエキソソームの内腔表面に連結されている。リンカーは、当技術分野において公知である任意の化学部分であり得る。
【0302】
本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、ペプチドまたはポリペプチド配列(例えば、合成ペプチドもしくはポリペプチド配列)または非ポリペプチド、例えばアルキル鎖を指す。いくつかの態様では、2つ以上のリンカーをタンデムに連結することができる。複数のリンカーが存在する場合、リンカーの各々は、同じであっても異なっていてもよい。一般に、リンカーは柔軟性を提供するか、または立体障害を防止/改善する。リンカーは、典型的には、開裂されない。しかし、特定の態様では、そのような開裂が望ましい場合がある。したがって、いくつかの態様では、リンカーは、リンカーの配列内に位置するか、またはリンカー配列のいずれかの端でリンカーに隣接することができる、1つ以上のプロテアーゼ開裂可能部位を含むことができる。
【0303】
いくつかの態様では、リンカーは、ペプチドリンカーである。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、または少なくとも約100アミノ酸を含み得る。
【0304】
いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、合成、すなわち非天然である。一態様では、ペプチドリンカーは、天然には連結していないか、または本来遺伝的に融合していないアミノ酸の第2の直鎖配列に、アミノ酸の第1の直鎖配列を連結させるかまたは遺伝的に融合させるアミノ酸配列を含むペプチド(またはポリペプチド)(例えば、天然または非天然ペプチド)を含む。例えば、一態様では、ペプチドリンカーは、天然ポリペプチドの修飾形態である非天然ポリペプチド(例えば、付加、置換または欠失などの変異を含む)を含み得る。
【0305】
リンカーは開裂しやすい場合があり(「開裂性リンカー」)、それにより、外因性の生物学的活性部分の遊離を促進する。
【0306】
いくつかの態様では、リンカーは「還元感受性リンカー」である。いくつかの態様では、還元感受性リンカーは、ジスルフィド結合を含む。いくつかの態様では、リンカーは、「酸不安定性リンカー」である。いくつかの態様では、酸不安定性リンカーは、ヒドラゾンを含む。好適な酸不安定性リンカーはまた、例えば、cis-アコニット酸リンカー、ヒドラジドリンカー、チオカルバモイルリンカー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0307】
いくつかの態様では、ASOは、リンカーを介して、EV(例えば、エキソソーム)に会合されている。いくつかの態様では、リンカーは、アクリルホスホルアミダイト(例えば、ACRYDITE(商標))、アデニル化、アジド(NHSエステル)、ジゴキシゲニン(NHSエステル)、コレステロール-TEG、I-LINKER(商標)、アミノ修飾因子(例えば、アミノ修飾因子C6、アミノ修飾因子C12、アミノ修飾因子C6 dT、またはUni-Link(商標)アミノ修飾剤)、アルキン、5’ヘキシニル、5-オクタジイニルdU、ビオチン化(例えば、ビオチン、ビオチン(アジド)、ビオチンdT、ビオチン-TEG、デュアルビオチン、PCビオチン、またはデスチオビオチン)、チオール修飾(チオール修飾剤C3 S-S、ジチオールまたはチオール修飾剤C6 S-S)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0308】
いくつかの態様では、リンカーは、ネロリドール、ファルネソール、リモネン、リナロール、ゲラニオール、カルボン、フェンコン、またはメントールなどのテルペン;パルミチン酸またはミリスチン酸などの脂質;コレステロール;オレイル;レチニル;コレステリル残基;コール酸;アダマンタン酢酸;1-ピレン酪酸;ジヒドロテストステロン;1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール;ゲラニルオキシヘキシル基;ヘキサデシルグリセロール;ボルネオール;1,3-プロパンジオール;ヘプタデシル基;O3-(オレオイル)リトコール酸;O3-(オレオイル)コレン酸;ジメトキシトリチル;フェノキサジン、マレイミド部分、グルコリニダーゼタイプ、CL2A-SN38タイプ、葉酸;炭水化物;ビタミンA;ビタミンE;ビタミンK、またはそれらの任意の組み合わせを含む。特定の態様では、ASOは、コレステロールタグを含み、コレステロールタグは、EV(例えば、エキソソーム)の膜と会合する。いくつかの態様では、リンカーは、非開裂性リンカーを含む。
【0309】
いくつかの態様では、リンカーは、テトラエチレングリコール(TEG)、ヘキサエチレングリコール(HEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、スクシンイミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、リンカーは、生物学的活性分子をリンカーに連結するためのスペーサーユニットを含む。
【0310】
いくつかの態様では、1つ以上のリンカーは、一緒に連結されたより小さなユニット(例えば、HEG、TEG、グリセロール、C2~C12アルキルなど)を含む。一態様では、連結は、エステル連結(例えば、ホスホジエステルまたはホスホロチオエートエステル)または他の連結である。
【0311】
いくつかの態様では、リンカーは、式R-(O-CH-CH-またはR-(O-CH-CH-O-を特徴とするポリエチレングリコール(PEG)を含み、Rは、水素、メチルまたはエチルであり、nは、2~200の値を有する。いくつかの態様では、リンカーは、スペーサーを含み、スペーサーは、PEGである。
【0312】
いくつかの態様では、PEGリンカーは、オリゴ-エチレングリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール(TEG)、ペンタエチレングリコール、またはヘキサエチレングリコール(HEG)リンカーである。
【0313】
IV.治療の方法
EVの投与が対象に有益な効果をもたらす複数の疾患または状態を治療するための本開示の医薬組成物の投与がさらに企図される。いくつかの態様では、本明細書に開示される対象における疾患または状態を治療する方法は、対象に医薬組成物を投与することを含む。
【0314】
いくつかの態様では、本開示は、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、皮内、経皮、直腸内、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、筋肉内経路によってまたは吸入剤として投与され得る組成物を提供する。いくつかの態様では、EVを含む医薬組成物を、例えば、注射によって静脈内投与する。経粘膜または経皮投与のために、浸透させる障壁に適切な浸透剤が製剤に使用される。そのような浸透剤は、一般的に当技術分野で公知であり、例えば、経粘膜投与のための、界面活性剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、例えば、点鼻スプレーまたは坐剤の使用を通じて達成され得る。経皮投与の場合、改変されたエキソソームは、当技術分野で一般に知られているように、軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームに製剤化される。
【0315】
いくつかの態様では、EVを、対象の循環系に静脈内投与する。いくつかの態様では、EVを、好適な液体に注入し、対象の静脈中に投与する。いくつかの態様では、EVを、対象の循環系に動脈内投与する。いくつかの態様では、EVを、好適な液体に注入し、対象の動脈中に投与する。いくつかの態様では、EVを、髄腔内投与によって対象に投与する。いくつかの態様では、EVが脳脊髄液(CSF)に到達するように、脊柱管またはくも膜下腔への注射を介してEVを投与する。いくつかの態様では、EVを、対象の1つ以上の腫瘍内に腫瘍内投与する。いくつかの態様では、EVを、鼻腔内投与によって対象に投与する。いくつかの態様では、EVを、局所投与または全身投与のいずれかの形態で、鼻を通して吹き込むことができる。特定の態様では、EVを鼻スプレーとして投与する。
【0316】
いくつかの態様では、EVを、腹腔内投与によって対象に投与する。いくつかの態様では、EVを、好適な液体に注入し、対象の腹腔中に投与する。いくつかの態様では、腹腔内投与は、リンパ管へのEVの分布をもたらす。いくつかの態様では、腹腔内投与は、胸腺、脾臓、及び/または骨髄へのEVの分布をもたらす。いくつかの態様では、腹腔内投与は、1つ以上のリンパ節へのEVの分布をもたらす。いくつかの態様では、腹腔内投与は、頸部リンパ節、鼠径部リンパ節、縦隔リンパ節、または胸骨リンパ節のうちの1つ以上へのEVの分布を生じる。いくつかの態様では、腹腔内投与は、膵臓へのEVの分布をもたらす。
【0317】
いくつかの態様では、EV(例えばエキソソーム)を、眼球周囲投与によって対象に投与する。いくつかの態様では、sを、眼球周囲組織に注射する。眼球周囲薬物投与は、結膜下、前テノン嚢下、後テノン嚢下、及び眼球後投与の経路を含む。
【0318】
いくつかの態様では、治療は予防的である。いくつかの態様では、本開示のためのEVは、免疫応答を誘導するために使用される。いくつかの態様では、本開示のためのEVは、対象にワクチン接種するために使用される。
【0319】
いくつかの態様では、疾患または状態は、がん、線維症、血友病、糖尿病、成長因子欠乏症、眼疾患、ポンペ病、リソソーム蓄積障害、ムコビシドーシス、嚢胞性線維症、デュシェンヌ型及びベッカー型筋ジストロフィー、トランスチレチンアミロイドーシス、血友病A、血友病B、アデノシンデアミナーゼ欠損症、リーバー先天性黒内障、X連鎖副腎白血病、異染性白質ジストロフィー、OTC欠損症、糖原病1A、クリグラー-ナジャー症候群、原発性シュウ酸過剰尿1型、急性間欠性ポルフィリン症、フェニルケトン尿、家族性高コレステロール血症、ムコ多糖症タイプVI、α1アンチトリプシン欠損症、及び高コレステロール血症である。
【0320】
いくつかの態様では、疾患または障害は、移植片対宿主病(GvHD)である。いくつかの態様では、本開示で治療することができる疾患または障害は、自己免疫疾患である。自己免疫疾患の非限定的な例としては、多発性硬化症、末梢神経炎、シェーグレン症候群、関節リウマチ、脱毛症、自己免疫性膵炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、セリアック病、デビック病(視神経脊髄炎)、糸球体腎炎、IgA腎症、各種血管炎、強皮症、糖尿病、関節炎、白斑、潰瘍性大腸炎、刺激性腸症候群、乾癬、ブドウ膜炎、全身性エリテマトーデス、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0321】
いくつかの態様では、疾患または障害は、感染症である。特定の態様では、疾患または障害は、発がん性ウイルスである。いくつかの態様では、本開示で治療できる感染症としては、これらに限定されないが、ヒトヒトガンマヘルペスウイルス4(Epstein Barrウイルス)、インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、サイトメガロウイルス、staphylococcus aureus、mycobacterium tuberculosis、chlamydia trachomatis、HIV-1、HIV-2、コロナウイルス(例えば、MERS-CoV及びSARS CoV)、フィロウイルス(例えば、Marburg及びEbola)、Streptococcus pyogenes、Streptococcus pneumoniae、Plasmodia種(例えば、vivax及びfalciparum)、Chikungunyaウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、Hepatitis B、Hepatitis C、ヒトヘルペスウイルス8、単純ヘルペスウイルス2(HSV2)、Klebsiella sp.、Pseudomonas aeruginosa、Enterococcus sp.、Proteus sp.、Enterobacter sp.、Actinobacter sp.、コアグラーゼ陰性staphylococci(CoNS)、Mycoplasma sp.,またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0322】
いくつかの態様では、がんは、膀胱癌、子宮頸癌、腎細胞癌、精巣癌、結腸直腸癌、肺癌、頭頸部癌、卵巣癌、リンパ腫、肝臓癌、神経膠芽腫、黒色腫、骨髄腫、白血病、膵臓癌、またはそれらの組み合わせである。
【0323】
特定の態様では、がんは、STAT6タンパク質の発現の増加に関連している。本開示で治療することができるがんの非限定的な例としては、結腸直腸癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、膵臓癌(例えば、膵管腺癌(PDAC))、白血病、子宮がん、卵巣がん、膀胱がん、胆管がん、胃がん、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、がんは、結腸腺癌、直腸腺癌、膵臓腺癌、膵管腺癌(PDAC)、卵巣漿液性嚢胞腺癌、急性骨髄性白血病、精巣癌(例えば、精巣胚細胞腫瘍、セミノーマ、非セミノーマ及び脈絡膜癌)、肺腺癌、脳低悪性度神経膠腫、多形性神経膠芽細胞腫、ブドウ膜黒色腫、甲状腺癌、子宮体子宮内膜癌、子宮癌肉腫、フェオクロモサイトーマ、傍神経節腫、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。ある特定の態様では、がんは、骨髄リッチ癌(myeloid-rich cancer)である。いくつかの態様では、がんは、肝臓癌を含む。いくつかの態様では、がんは、肝細胞癌(HCC)を含む。いくつかの態様では、がんは、膵管腺癌(PDAC)を含み、いくつかの態様では、がんは、結腸直腸癌(CRC)を含む。いくつかの態様では、がんは、卵巣癌を含む。いくつかの態様では、がんは、軟髄膜癌を含む。
【0324】
がんを有する対象に投与する場合、特定の態様では、本開示のEVは、免疫応答を上方制御し、対象の免疫系の腫瘍標的化を増強することができる。いくつかの態様では、治療しようとするがんは、白血球(T細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、単球)の腫瘍微小環境への浸潤、すなわち、いわゆる「hot tumor」または「炎症性腫瘍」により特徴付けられる。いくつかの態様では、治療しようとするがんは、腫瘍微小環境への低レベルもしくは検出不可能なレベルの白血球浸潤、すなわち、いわゆる「cold tumor」または「非炎症性腫瘍」により特徴付けられる。いくつかの態様では、EVを、「cold tumor」を「hot tumor」に変換するのに十分な量及び時間投与し、すなわち、投与により、腫瘍微小環境への白血球(T細胞など)の浸潤が生じる。特定の態様では、がんは、膀胱癌、子宮頸癌、腎細胞癌、精巣癌、結腸直腸癌、肺癌、頭頸部癌、及び卵巣癌、リンパ腫、肝臓癌、神経膠芽腫、黒色腫、骨髄腫、白血病、膵臓癌、またはそれらの組み合わせを含む。他の用語では、「遠位腫瘍」または「遠隔腫瘍」とは、元の(すなわち原発性)腫瘍から遠隔にある臓器または遠隔にある組織、例えばリンパ節に広がった腫瘍を指す。いくつかの態様では、本開示のEVは、転移性の広がりの後に腫瘍を治療する。
【0325】
V.操作されたエキソソームを産生する方法
本開示のEV(例えば、エキソソーム)は、in vitroまたは対象の体液で成長した細胞から産生することができる。エキソソームが、in vitro細胞培養から産生される場合、様々なプロデューサー細胞を使用することができる。
【0326】
いくつかの態様では、プロデューサー細胞は、哺乳動物細胞株、植物細胞株、昆虫細胞株、真菌細胞株、または原核細胞株であり得る。特定の態様では、プロデューサー細胞は、哺乳動物細胞株である。哺乳類細胞株の非限定的な例として:ヒト胎児腎(HEK)細胞株、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、HT-1080細胞株、HeLa細胞株、PERC-6細胞株、CEVEC細胞株、線維芽細胞株、羊膜細胞株、上皮細胞株、間葉系幹細胞(MSC)細胞株、及びそれらの組み合わせが挙げられる。特定の態様では、哺乳動物細胞株は、HEK-293細胞、BJヒト包皮繊維芽細胞、fHDF線維芽細胞、AGE.HN(登録商標)神経前駆細胞、CAP(登録商標)羊膜細胞、脂肪性間葉系幹細胞、またはRPTEC/TERT1細胞、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、プロデューサー細胞は、初代細胞である。特定の態様では、初代細胞は、初代哺乳動物細胞、初代植物細胞、初代昆虫細胞、初代真菌細胞、または初代原核細胞であり得る。
【0327】
いくつかの態様では、プロデューサー細胞は、抗原提示細胞、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、マクロファージ、Tヘルパー細胞、または制御性T細胞(Treg細胞)などの免疫細胞ではない。他の態様では、プロデューサー細胞は、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、マスト細胞、好中球、クッパー-ブロウィッツ細胞、またはそのような細胞のいずれかに由来する細胞)ではない。
【0328】
プロデューサー細胞は、本明細書に記載のエキソソームを産生するために、1つ以上の外因性配列(例えば、本明細書に開示される1つ以上の外因性生物学的活性部分、例えば、免疫調節因子、例えば、IL-12、またはASO、例えば、STAT6 ASOをコードする)を含むように遺伝子改変することができる。遺伝子改変されたプロデューサー細胞は、一過性または安定的な形質転換によって外因性配列を含み得る。外因性配列は、プラスミドとして形質転換することができる。外因性配列は、標的部位またはランダム部位で、プロデューサー細胞のゲノム配列に安定的に組み込むことができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されるEV(例えば、エキソソーム)の産生のために、安定な細胞株が生成される。
【0329】
外因性配列は、エキソソームタンパク質をコードする内在性配列の上流(5’末端)または下流(3’末端)内にあるプロデューサー細胞のゲノム配列に挿入することができる。当技術分野で公知の様々な方法を、外因性配列をプロデューサー細胞に導入するために使用することができる。例えば、様々な遺伝子編集方法(例えば、相同組換え、トランスポゾン媒介系、loxP-Cre系、CRISPR/Cas9またはTALENを使用する方法)を使用して改変する細胞は、本開示の範囲内にある。
【0330】
外因性配列は、本明細書に開示する足場部分またはその断片またはバリアントをコードする配列を含み得る。足場部分をコードする配列の追加のコピーを導入して、本明細書に記載のエキソソーム(例えば、EV(例えば、エキソソーム)の表面または内腔表面上に、より高密度の足場部分を有する、またはそれらの上に複数の異なる足場部分を発現する)を産生することができる。足場部分の改変または断片をコードする外因性配列を導入して、足場部分の改変または断片を含む内腔操作型及び/または表面操作型のエキソソームを生成することができる。
【0331】
いくつかの態様では、プロデューサー細胞は、本明細書に記載の外因性の生物学的活性部分に連結された1つ以上の足場部分をコードする1つ以上のベクターで改変、例えば、トランスフェクトすることができる。
【0332】
VI.ペイロードを有するEVを産生する方法
VIA.ペイロードをロードするための方法
ペイロード、例えば、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストは、当技術分野で公知の任意の適切な技術を介して、EV(例えば、エキソソーム)にカプセル化することができる。生体分子をEV(例えば、エキソソーム)にロードするすべての既知の方法は、本明細書での使用に好適であると見なされると考えられる。そのような技術には、受動拡散、エレクトロポレーション、化学的または高分子トランスフェクション、ウイルス形質導入、機械的膜破壊または機械的剪断、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。ペイロード、例えば、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニスト及びEV(例えば、エキソソーム)は、カプセル化の間、適切な緩衝液中でインキュベートされ得る。
【0333】
一態様では、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストは、受動拡散によってEV(例えばエキソソーム)によってカプセル化される。生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニスト及びEV(例えば、エキソソーム)をまとめて混合し、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストが小胞脂質二重層を通して拡散するのに十分な時間インキュベートし、それによりEV、例えば、エキソソームにカプセル化することができる。生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニスト及びEV(例えばエキソソーム)は、約1~30時間、2~24時間、4~18時間、6~16時間、8~14時間、10~12時間、6~12時間、12~20時間、14~18時間、または20~30時間まとめてインキュベートすることができる。STINGアゴニスト及びEV(例えばエキソソーム)は、約2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、26時間、または30時間まとめてインキュベートすることができる。
【0334】
EV(例えば、エキソソーム)の溶液の緩衝条件もまた、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストのカプセル化を増加させるまたは制御するために変更され得る。一態様では、緩衝液は、スクロースを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)であり得る。せん断保護剤、粘度調整剤、及び/または小胞の構造特性に影響を与える溶質など、追加の緩衝液改変物も使用され得る。生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストのカプセル化の効率を改善するために、膜軟化材料及び分子密集剤などの賦形剤を添加することもできる。緩衝液の他の改変物には、特定のpH範囲及び/または濃度の塩、有機溶媒、小分子、界面活性剤、両性イオン、アミノ酸、ポリマー、及び/または複数の濃度などの上記の任意の組み合わせが含まれ得る。
【0335】
インキュベーション中のEV(例えば、エキソソーム)及び生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストの溶液の温度を変更して、生物学的活性部分のカプセル化を増加させるまたは制御することができる。温度は、室温でもよい。温度は、約15℃~90℃、15~30℃、30~50℃、50~90℃であり得る。いくつかの態様では、温度は、約15℃、20℃、35℃、30℃、35℃、37℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、または90℃である。
【0336】
EV(例えば、エキソソーム)との生物学的活性部分のインキュベーション中の生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストの濃度もまた、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストのカプセル化を増加させるまたは制御するように変更され得る。例えば、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストの濃度は、少なくとも0.01mM~100mMのSTINGアゴニストであり得る。生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストの濃度は、少なくとも0.01~1mM、1~10mM、10~50mM、または50~100mMであり得る。アゴニストの濃度は、少なくとも0.01mM、0.02mM、0.03mM、0.04mM、0.05mM、0.06mM、0.07mM、0.08mM、0.09mM、0.1mM、0.2mM、0.3mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、15mM、20mM30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、または100mMであり得る。いくつかの態様では、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストの濃度は、少なくとも約1mMである。
【0337】
いくつかの態様では、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストは、少なくとも約500μM、少なくとも約600μM、少なくとも約700μM、少なくとも約800μM、少なくとも約900μM、少なくとも約1000μM、少なくとも約1100μM、少なくとも約1200μM、少なくとも約1300μM、少なくとも約1400μM、少なくとも約1500μM、少なくとも約1600μM、少なくとも約1700μM、少なくとも約1800μM、少なくとも約1900μM、または少なくとも約2000μMの濃度で混合物中でインキュベートされる。いくつかの態様では、CDNは、少なくとも約2500μM、少なくとも約2600μM、少なくとも約2700μM、少なくとも約2800μM、少なくとも約2900μM、少なくとも約3000μM、少なくとも約3100μM、少なくとも約3200μM、少なくとも約3300μM、少なくとも約3400μM、少なくとも約3500μM、少なくとも約3600μM、少なくとも約3700μM、少なくとも約3800μM、少なくとも約3900μM、または少なくとも約3000μMの濃度で混合物中でインキュベートされる。
【0338】
いくつかの態様では、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストは、約500μM~約100mM、約500μM~約90mM、約500μM~約80mM、約500μM~約70mM、約500μM~約60mM、約500μM~約50mM、約500μM~約40mM、約500μM~約30mM、約500μM~約20mM、約500μM~約10mM、または約500μM~約1mMの濃度で混合物中でインキュベートされる。いくつかの態様では、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストは、約500μM~約10mM、約500μM~約9mM、約500μM~約8mM、約500μM~約7mM、約500μM~約6mM、約500μM~約5mM、約500μM~約4mM、約500μM~約3mM、約500μM~約2mM、または約500μM~約1mMで混合物中でインキュベートされる。
【0339】
生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストとインキュベートされる細胞外粒子の数もまた、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストのカプセル化を増加させるまたは制御するように改変され得る。精製されたEV(例えば、エキソソーム)の粒子の数は、精製された小胞の総粒子の少なくとも約10~少なくとも約1020であり得る。精製された粒子の数は、精製された小胞の総粒子の約10~1018、1010~1016、10~1014、または1010~1012であり得る。精製された粒子の数は、精製された小胞の総粒子の少なくとも約10、10、1010、1012、1014、1016、1018、または1020であり得る。
【0340】
VIB.EVを精製するための方法
本開示のために調製されたEV(例えば、エキソソーム)は、プロデューサー細胞から単離することができる。EV(例えば、エキソソーム)の単離の全ての既知の様式は、本明細書での使用に適すると思われることが企図される。例えば、EV(例えば、エキソソーム)の物理的性質は、電荷(例えば、電気泳動分離)、サイズ(例えば、濾過、分子ふるい等)、密度(例えば、通常遠心分離のまたは勾配遠心分離)、Svedberg定数(例えば、外力を伴うまたは伴わない沈降等)に基づく分離を含む、培地または他の供給源材料からそれらを分離するために採用され得る。代替的にまたは追加的に、単離は、1つ以上の生物学的特性に基づくことができ、表面マーカーを使用し得る方法(例えば、沈殿、固相への可逆的結合、FACS分離、特異的リガンド結合、非特異的リガンド結合など)を含む。さらに企図される方法では、EV(例えば、エキソソーム)はまた、PEG誘発融合及び/または超音波融合など、化学的方法及び/または物理的方法を使用して融合させ得る。
【0341】
製剤化の前に、EV(例えば、エキソソーム)は、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストとのインキュベーション後に精製して、遊離の、カプセル化されていない生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストを組成物から除去することもできる。EV(例えばエキソソーム)の物理的特性または生物学的特性に基づく分離を含む、以前に開示された方法のすべての方法も、本明細書での使用に適していると見なされる。
【0342】
単離、精製及び濃縮は、(典型的には連続遠心分離を含む、)一般的かつ非選択的様式で行われ得る。あるいは、単離、精製及び濃縮は、より特異的かつ選択的な様式(例えば、プロデューサー細胞特異的表面マーカーを用いて)で行われ得る。例えば、特異的表面マーカーは、免疫沈降、FACSソーティング、アフィニティ精製、及び磁気分離のためのビーズ結合リガンドにおいて使用され得る。
【0343】
いくつかの態様では、サイズ排除クロマトグラフィーは、EV(例えば、エキソソーム)を単離または精製するために使用され得る。サイズ排除クロマトグラフィー技法は、当技術分野で公知である。例示的で非限定的な技法を、本明細書に提供する。いくつかの態様では、ボイド容積画分は単離され、目的のEV(例えば、エキソソーム)を含む。いくつかの態様では、例えば、密度勾配遠心分離を利用して、EV(例えば、エキソソーム)をさらに単離することができる。さらに、いくつかの態様では、プロデューサー細胞由来のEV(例えば、エキソソーム)を他の起源のEVからさらに分離することが望ましい場合がある。例えば、プロデューサー細胞由来のEV(例えば、エキソソーム)は、プロデューサー細胞に特異的な抗原抗体を使用する免疫吸着剤捕捉により、非プロデューサー細胞由来のEV(例えば、エキソソーム)から分離され得る。
【0344】
いくつかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)の単離は、陰イオン交換、陽イオン交換、または混合モードクロマトグラフィーなどのサイズ排除クロマトグラフィーまたはイオンクロマトグラフィーを含み得る。いくつかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)の単離は、脱塩、透析、接線流濾過、限外濾過、または透析濾過、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)の単離は、示差遠心分離、サイズベースの膜濾過、濃度及び/または速度ゾーン遠心分離を含むがこれらに限定されない方法の組み合わせを伴い得る。いくつかの態様では、EV(例えば、エキソソーム)の単離は、1つ以上の遠心分離ステップを伴い得る。遠心分離は、約50,000~150,000xgで実施され得る。遠心分離は、約50,000xg、75,000xg、100,000xg、125,000xg、または150,000xgで実施され得る。
【0345】
本開示のために調製されたEV(例えばエキソソーム)は、マルチモーダルクロマトグラフィーにより単離することができる。本開示の方法は、生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニスト、例えば、1つ以上の環状ジヌクレオチド(CDN、例えば、STINGアゴニスト)に会合する細胞外小胞を含む組成物を調製するために有用であり、本方法は、細胞外小胞を混合物中の生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニスト、例えば、1つ以上の環状ジヌクレオチド(CDN)と共にインキュベートすることと、マルチモーダルクロマトグラフィーを使用して細胞外小胞を分離することと、を含む。
【0346】
マルチモーダルクロマトグラフィーを使用して、EV調製物から遊離の生物学的活性部分、例えば、STINGアゴニストを除去することができる。EV(例えば、エキソソーム)の単離の全ての既知の様式は、本明細書での使用に適すると思われることが企図される。例えば、EV(例えば、エキソソーム)の物理的性質は、電荷(例えば、電気泳動分離)、サイズ(例えば、濾過、分子ふるい等)、密度(例えば、通常遠心分離のまたは勾配遠心分離)、Svedberg定数(例えば、外力を伴うまたは伴わない沈降等)に基づく分離を含む、培地または他の供給源材料からそれらを分離するために採用され得る。代替的にまたは追加的に、単離は、1つ以上の生物学的特性に基づくことができ、表面マーカーを使用し得る方法(例えば、沈殿、固相への可逆的結合、FACS分離、特異的リガンド結合、非特異的リガンド結合など)を含む。さらに企図される方法では、EV(例えば、エキソソーム)はまた、PEG誘発融合及び/または超音波融合など、化学的方法及び/または物理的方法を使用して融合させ得る。いくつかの態様では、マルチモーダルカラムは、CaptoCore 700、Capto MMC、またはCapto MMC ImpResを含む群から選択される。いくつかの態様では、マルチモーダルカラムは、Captocore 700である。いくつかの態様では、マルチモーダルカラムは、Captocore MMCである。いくつかの態様では、マルチモーダルカラムは、Capto MMC ImpResである。
【0347】
上記で引用したすべての参考文献、及び本明細書中で引用するすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0348】
下記の実施例は、例示として示されており、限定するために示されているものではない。
【実施例
【0349】
本開示を、以下の実施例でさらに説明する。以下の実施例は、例示目的としてのみ提示し、決して本発明の範囲または内容を限定するように解釈されるものではない。本開示の実施は、別段の指示がない限り、当該技術分野内の、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技法及び薬理学の従来の方法を採用する。かかる技術は、文献において完全に説明される。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993);Green&Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2012);Colowick&Kaplan,Methods In Enzymology(Academic Press);Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd Edition(Pharmaceutical Press,2012);Sundberg&Carey,Advanced Organic Chemistry:Parts A and B,5th Edition(Springer,2007)を参照されたい。
【0350】
実施例1:天然及びタンパク質Xエキソソームの安定性の評価
異なるpH条件下での天然エキソソーム及びタンパク質X含有エキソソームの安定性を評価した。安定性を評価するために選択した評価アプローチは、動的光散乱及びゼータ電位分析を介してサイズ及び表面電荷を監視することであった。
【0351】
材料
天然ヒト胎児腎臓(HEK)細胞のエキソソームは、操作し、MilliQ超純水中で約5E12に調製した。タンパク質X細胞外小胞(CB-101)は、操作し、リン酸緩衝生理食塩水中で約5E12 P/mLに調製した。カルシウムまたはマグネシウムを含まないGibcoリン酸緩衝生理食塩水pH7.2を購入した(PN 20012027,Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)。滅菌マイクロ遠心チューブ(1.5mL、低保持)は、購入した(PN 3451,Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)。追加の材料としては、クエン酸(PN C2404,Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)、クエン酸ナトリウム二水和物(PN BP327,Fisher Scientific Waltham,MA)、及び炭酸塩-重炭酸塩緩衝液(PN C3041,Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)が挙げられる。
【0352】
リン酸塩
2つの固体(83.01g NaHPO/2=41.51g及び12.29g KHPO/2=6.15g)をビーカーに加え、400mLのMilli-Q水に溶解させた。必要に応じて、1M HClまたは1M NaOHでpHを7.4に調整した。メスシリンダー中で溶液を500mLにし、0.2μmフィルターフラスコを使用して濾過した。安全キャビネット内で、溶液を50mLの遠心分離管に移し、4℃で保存した。KHPO(カタログ番号3248-01、ロット番号0000163254)及びNaHPO 7HO(カタログ番号3817-01、ロット番号0000201905)は、JT Baker(Fisher Scientific Waltham,MA)から購入した。
【0353】
動的光散乱(DLS)
DLSは、EVの凝集を測定するために使用した。すなわち、DLSは、安定性を示すアッセイである。各サンプルは、以下の方法で調製し、実行した。
【0354】
サンプルは、Malvern Zetasizer Nano ZS動的光散乱装置(DLS)、モデルZEN3600、シリアル番号MAL1036117(Malvern,Worcestershire,UK)で実行し、Malvern Zetasizerソフトウェアバージョン7.13(Malvern Panalytical)で分析した。Malvern DLSマイクロキュベット及びキャップキット(PN ZEN0040)及びゼータ電位キュベット(PN DTS1070)は、購入した(Malvern,Worcestershire,UK)。エキソソームは、Gibco PBS 1X pH7.2で1E11 P/mLから1E12 P/mLに希釈した。サンプルは、少量のMalvernキュベット(PN ZEN0040)を使用して測定し、25℃で4分間平衡化し、3回測定した。各EVサンプルについて、20μLのサンプルをマイクロキュベット内で、180μLの濾過されたGibco PBSに希釈し、ピペッティングを繰り返すことによって混合し、測定した。
【0355】
ここで説明する実験では、Polysciences Inc.の以下のNISTポリスチレンサイズ標準を使用した。
【表5】
【0356】
外観試験
各サンプルは、マットホワイト及びマットブラックの背景に対して、各表面に対して少なくとも5秒間検査した。チューブを手で穏やかに撹拌し、潜在的な沈殿物をかき混ぜ、マグライトミニLED懐中電灯及び5倍拡大鏡を使用して可視粒子を検査した。pHは、Oakton Cole-Parmer pH Spear waterproof pocket pH Tester(Cole-Parmer,Vernon Hills,IL)を使用して測定した。
【0357】
試験デザイン
試験デザインは、pH値3、5、7、9、及び11を調べた。測定は、pH調整の直後に行った。天然及びタンパク質Xエキソソームの濃縮溶液は、MilliQ水またはPBSのいずれかで調製し、適切な緩衝液でMilliQ水で希釈する、及び/または試験開始前に実験室の周囲温度で正しいpHに調整した(図2D)。酸性pHの場合は、クエン酸緩衝液を使用し、中性pHの場合は、リン酸緩衝液を使用し、塩基性pHの場合は、炭酸ナトリウム緩衝液を使用した。目標浸透圧は、300mOsm/kgであった。DLS及びゼータ測定には、1E11~1E12 P/mLのEV20μLを使用した。天然及びタンパク質Xエキソソームの結果データを以下の表2、3、及び4に示す。

【表6】

【表7-1】
【表7-2】
【0358】
これらのデータは、塩を透析し、次に関連する緩衝液中に所望のpHで分散させることによって生成された。PBSの存在により、より広いpH範囲において凝集からエキソソームが保護されることが観察された。上記の表に示されている結果は、図2Aとして示されている。
【表8】
【0359】
表5に示される結果も、図1Bとしてグラフで示される。
【0360】
実施例2:緩衝液Aの製剤化
EVを保存及び投与するためのエキソソーム緩衝液Aを以下のとおり調製した。緩衝液A用に製剤化されたEVは、PTGFRNタンパク質を発現するように操作されている。
【0361】
pH調整のために、50mLの1N水酸化ナトリウム及び50mLの1N塩酸を調製した。注射用水(0.8L)を撹拌棒付きの1Lビーカーに加えた。撹拌プレート(加熱していない)を使用して撹拌しながら、次の成分を添加した:(a)50.00gスクロース、(b)0.70g一塩基性リン酸カリウム、(c)4.00g二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、及び(d)2.90g塩化ナトリウム。粉末がすべて溶解するまで、pHを調整しなかった。粉末が溶解しなかった場合は、混合速度を上げた。次に、pHを7.1~7.3に調整した。pHが7.3を超える場合は、1N塩酸を使用して調整した。pHが7.1未満の場合、1N水酸化ナトリウムを使用して調整した。溶液を1Lメスシリンダーに注いだ。注射用水を加えて総量を1Lにした。pH及び導電率を記録した。目標pHは、7.1~7.3であった。目標導電率は、6.5+/-10%~8.0+/-10%mS/cmである。次に、溶液を0.2μmボトルトップフィルタ(カタログ番号567-0020、Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)で濾過滅菌した。緩衝液Aの最終的配合は、以下の表6に示す。
【表9】
【0362】
実施例3:緩衝液Bの配合
EVを保存及び投与するためのエキソソーム緩衝液Bを以下のとおり調製した。緩衝液B用に配合されたEVは、PTGFRNタンパク質を発現し、CL656をさらに含むように操作されている。
【0363】
pH調整のために、50mLの1N水酸化ナトリウム及び50mLの1N塩酸を調製した。注射用水(0.8L)を撹拌棒付きの1Lビーカーに加えた。撹拌プレート(加熱していない)を使用して撹拌しながら、次の成分を添加した:(a)50.00gスクロース、(b)2.10g一塩基性リン酸カリウム、(c)7.26g二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、及び(d)2.34g塩化ナトリウム。粉末がすべて溶解するまで、pHを調整しなかった。粉末が溶解しなかった場合は、混合速度を上げた。次に、pHを7.1~7.3に調整した。pHが7.3を超える場合は、1N塩酸を使用して調整した。pHが7.1未満の場合、1N水酸化ナトリウムを使用して調整した。溶液を1Lメスシリンダーに注いだ。注射用水を加えて総量を1Lにした。pH及び導電率を記録した。目標pHは、7.1~7.3であった。目標導電率は、6.5~8.0mS/cmである。次に、溶液を0.2μmボトルトップフィルタ(カタログ番号567-0020、Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)で濾過滅菌した。緩衝液Bの最終的配合は、以下の表7に示す。
【表10】
【0364】
実施例4:緩衝液Cの配合
エキソソーム緩衝液Cは、以下の表8に示す配合に従って調製した。EVは、IL-12に融合したPTGFRNタンパク質を発現するように操作している。


【表11】
【0365】
実施例5:経時的なエキソソーム及び上清中のSTINGアゴニスト濃度の分布
エキソソーム及び上清中の生物学的活性部分、すなわちSTINGアゴニストの分布を平衡化試験で調査した。
【0366】
エキソソーム中に存在する場合、生物学的活性部分(図1A)、例えば、STINGアゴニストは、経時的にエキソソームから上清に受動拡散させ得る(図4A~4C)。エキソソーム及び上清中のSTINGアゴニストの分布は、STINGアゴニストの濃度を経時的に計算することによって確認した。簡単に説明すると、エキソソームにSTINGアゴニストをロードし、緩衝液B中に保存した。エキソソームを含む液体緩衝製剤は、-80℃で凍結させ、4℃で半凍結させるか、または22℃で72時間保存した。記載された温度で緩衝液B中に12時間保存した後、エキソソーム中のSTINGアゴニストの濃度を計算し、上清中のSTINGアゴニストの濃度と比較した。結果を図3A及び図3Bに示す。示すとおり、-80℃で72時間保存した場合、エキソソーム中のSTINGアゴニストの最終濃度は、約5μMであり、上清中のSTINGアゴニストの最終濃度は、約4.3μMであった。4℃で72時間保存した場合、エキソソーム中のSTINGアゴニストの最終濃度は、約4.5μMであり、上清中のSTINGアゴニストの最終濃度は、約4.4μMであった。22℃で72時間保存した場合、エキソソーム中のSTINGアゴニストの最終濃度は、約4.1μMであり、上清中のSTINGアゴニストの最終濃度は、約6.5μMであった。図3A及び図3Bにグラフ化されたデータは、以下の表9、10、及び11に示す。
【0367】
この実施例は、保存温度が、上清中のSTINGアゴニストの濃度と比較して、エキソソーム中のSTINGアゴニストの濃度に有意な影響を与えないことを示す。


【表12】

【表13】
【表14】
【0368】
実施例6:遺伝子発現に対する緩衝液B中のSTINGアゴニストの効果
STINGアゴニストCL656を含むエキソソームの投与が、C57BL/6肝臓中の遺伝子発現に及ぼす効果について調べた。
【0369】
解凍後、STINGアゴニストCL656を含む緩衝液B組成物中のエキソソームを、実施例5に記載のとおり、4℃及び22℃で24時間または72時間保存した。PBS、CL656(20μg)、エキソソーム、または上記のとおりインキュベートしたSTINGアゴニストCL656を含む緩衝液B中のエキソソーム(CL656 600ng/マウス)をC57BL/6マウスに静脈内投与した。対照として、-80℃で保存されたSTINGアゴニストCL656を含む緩衝液B組成物中のエキソソーム(マウスあたり6ng、60ng、及び600ng)を投与した(0時間と見なす)。4時間後、マウスを安楽死させ、肝臓を採取した。RNeasy Lipid Mini Kit(Qiagen)を使用して肝臓からトータルRNAを単離し、RT-qPCRによってIFNβ mRNAの発現レベルを測定した。相対的発現は、ハウスキーピング遺伝子RPS13に対して正規化した。図3Cは、肝臓研究の結果を提供する。示されているように、1)IFNβ mRNAの用量依存的誘導は、0時間のサンプルで観察された。2)IFNβ mRNAのレベルは、いずれの保存条件においても、STINGアゴニストCL656(マウス注射あたり600ng)を含む緩衝液B組成物中のすべてのエキソソームで類似していた。3)STINGアゴニストを含まないエキソソームは、IFNβ mRNAを誘導せず、CL656(20μg)は、低レベルのIFNβ mRNAを誘導した。
【0370】
これらの結果は、凍結され、解凍され、かつ対象に投与された緩衝液B中に含まれるSTINGアゴニストの投与が、いかなる有意差もなく、肝臓組織中においてIFNβ遺伝子の発現の誘導に効果的であることを示している。
【0371】
実施例7:腫瘍内濃度に対するSTINGアゴニスト及びエキソソームカプセル化STINGアゴニストの効果
経時的な緩衝液B中のSTINGアゴニストの腫瘍内濃度を調べた。
【0372】
簡単に説明すると、B16-F10黒色腫細胞をC57BL/6マウスに皮下移植した。皮膚腫瘍が見られたとき、各動物には、腫瘍内用量の遊離STINGアゴニスト(0.3μgのCL656)またはエキソソームカプセル化STINGアゴニスト(0.3μgのCL656)のいずれかを投与した。遊離STINGアゴニスト及びエキソソームカプセル化STINGアゴニストの腫瘍内濃度は、注射後5分、30分、120分、360分、1440分、及び2880分に測定した。結果を図3Dに提供する。示されているように、遊離STINGアゴニストの腫瘍内濃度は、投与後に有意に低下し(破線)、約360分後には検出できなかった。さらに図3Dに示すとおり、エキソソームにカプセル化されたSTINGアゴニストの濃度は、1440分で約100nMまでゆっくりと低下した。その後、エキソソームにカプセル化されたSTINGアゴニストの濃度は、最終測定が2880分に行われるまで、約100nMで安定していた。
【0373】
この実施例は、遊離STINGアゴニストと比較して、エキソソームにカプセル化されたSTINGアゴニストを含む組成物を投与することが、STINGアゴニストの腫瘍内濃度に対して安定効果を有することを実証している。
【0374】
実施例8:例示的な組成物02製剤の開発
製剤開発の概要
【0375】
STINGアゴニストをロードしたエキソソーム(exoSTING)組成物02(C-02)医薬品製剤の開発は、精製されたエキソソームを含む中間体-1の製剤開発と同時に行われた。同時製剤開発の目的は、a)医薬品中の精製されたエキソソーム有効成分の安定性が、アゴニスト有効成分の安定性とは対照的に、安定化賦形剤の選択に情報を与える可能性が高いことを認識すること、及びb)精製されたエキソソーム製剤がC-02医薬品と同じであることにより、これらの賦形剤が医薬品に組み込まれるため、製造が容易になり得ることである。試験に使用された試験方法は、放出試験方法と同一ではないが、類似のものであった。最終的な配合ストレス条件の安定性試験には、最終的に認定された試験方法を使用した。特に明記しない限り、C-02医薬品(中間体-1及び中間体-02を含む)を使用して試験を実施した。
【0376】
最初の医薬品ストレス試験が実施され、機械的、酸化的、及びpHストレス条件を含めた。この試験は、15mM一塩基性リン酸カリウム、27mM二塩基性リン酸ナトリウム緩衝液、100mM塩化ナトリウム、5%スクロース(w/v)、pH7.2を使用して実施した。この試験では、激しい撹拌などの極端な機械的ストレスを除いて、すべてのストレス条件で許容可能な安定性が実証された。データは、5%(w/v)スクロースを含むPBS製剤が、ストレス状態に対する保護を提供することを示した。
【0377】
中間体-01を使用して、様々な緩衝液で実施した広いpH範囲試験(pH3.0~11.0)では、6.5~9.0のpH範囲が許容可能であると特定し(動的光散乱(DLS)により)、リン酸緩衝液の適合性を確認した。DLSを使用した中間体-01の9ヶ月の安定性試験及び追加の分析評価により、5%(w/v)スクロースを含むPBS中の-80℃での安定性が確認された。
【0378】
中間体-01及びC-02医薬品の両方の最終製剤組成は、非経口投与に好適である張性を達成するように改変した。所望のスクロースレベル及び張性標的により、PBS製剤の塩化ナトリウム濃度を低下させた。製剤の緩衝能力を改善するために、PBSのリン酸塩濃度を増加させた。さらに、リン酸ナトリウムのみよりも、リン酸ナトリウム及びリン酸カリウム緩衝液の混合物を選択した。
【0379】
選択した製剤組成は、15mM一塩基性リン酸カリウム、27mM二塩基性リン酸ナトリウム、40mM塩化ナトリウム、5%(w/v)スクロース、pH7.2であった。この製剤は、中間体-01、C-02医薬品、及びC-02のFB-01希釈剤に使用される。最終製剤緩衝液は、製剤緩衝液01(FB-01)と称する。
【0380】
最終製剤におけるC-02医薬品の安定性の評価は、凍結融解サイクル及び機械的反転に対して、医薬品が安定していることを示している。分解は、極端なストレス条件下でのみ生じる。
【0381】
医薬品の凍結融解安定性に対する凍結防止剤の評価
スクロース、トレハロース、D-ソルビトールなどの凍結防止剤は、310mM二塩基性リン酸ナトリウム、90mM一塩基性リン酸カリウム緩衝液、pH7.4で製剤化された医薬品開発ロットで、異なる濃度で評価した。この試験では、PTGFRN過剰発現エキソソームの開発ロット及び環状ジヌクレオチドSTINGアゴニストを使用した。凍結防止剤は、1.0%、2.5%、5.0%、7.5%、及び10.0%(w/v)で評価した。リン酸緩衝液中のすべてのスクロース及びトレハロース製剤の理論浸透圧は、およそ300mOsm/kgと算出した。D-ソルビトール製剤の場合、1%~5%(w/v)製剤の浸透圧もおよそ300mOsm/kgであったが、7.5及び10.0%D-ソルビトール製剤は、それぞれ、約400及び600mOsm/kgと算出された。すべての製剤は、動的光散乱(DLS)による外観及びサイズによって、0回、3回、及び10回の凍結融解サイクル後に評価した。
【0382】
2つの対照(PBSのみまたは水)の外観試験の結果は、凍結防止剤を含む製剤と比較して、凍結融解サイクルの増加に関連する、より実質的な外観の変化を示した。変化には、濁度及び色の増加(PBS)、または沈降に伴う目に見える粒子の増加(水)を含めた。スクロース及びD-ソルビトールの両方の製剤は、いくつかの濃度において、許容できる外観結果を示した。スクロースまたはD-ソルビトールと比較して、外観の変化を防ぐために、より高濃度のトレハロースが必要であった。
【0383】
DLS試験の結果は、複数の凍結融解サイクル時に、対照製剤(PBSのみ、水のみ)のサイズ及び多分散性の増加が観察されたことを示した。一般に、より高濃度の凍結防止剤(2.5%(w/v)以上)を使用したときには、3回及び10回の凍結融解後にサイズまたは多分散性に有意な変化は観察されなかった。
【0384】
この凍結融解試験での外観及びDLSの結果に基づき、2.5%(w/v)以上で存在する場合、スクロース及びD-ソルビトールの両方が許容できる凍結防止剤である。5%(w/v)スクロースは、十分な凍結防止をもたらし、以下に説明する初期ストレス研究に含まれる今後の製剤研究のために選択した。
【0385】
スクロースを含むリン酸緩衝生理食塩水のストレス試験-初期試験
選択した凍結防止剤(5%(w/v)スクロース)及び塩化ナトリウムを含むリン酸緩衝液を使用してストレス試験を実施し、異なる機械的ストレス条件下での及び酸化後の安定性を確認した。これらの試験の製剤は、43mMリン酸緩衝液、100mM塩化ナトリウム、5%(w/v)スクロース、pH7.2であった。
【0386】
機械的ストレス試験では、サンプルは、様々なレベルの機械的ストレス(撹拌、混合)を様々な期間使用して、周囲温度で評価した。サンプルは、外観、pH、浸透圧、DLS、及びナノ粒子追跡分析(NTA)によって評価した。サイズ及び多分散度指数は、対照(撹拌なし)と比較して試験を行ったいずれの条件でも変化しなかった。手動で激しく撹拌するのみで、外観試験が変更され、この状態で起泡が観察された。激しい撹拌などの極端な機械的ストレスを除くすべての条件で、医薬品製剤の許容可能な安定性が観察された。複数回の穏やかな反転後の製剤の安定性も観察された。試験サンプルのpH及び浸透圧は一定のままであった。
【0387】
医薬品に対する酸化ストレスの効果は、サンプルを異なる濃度の過酸化水素で37℃で4時間処理することによって評価した。処理後、サンプルを100mMアスコルビン酸ナトリウムでクエンチし、周囲温度で1時間保持して、試験前に過酸化水素を中和した。この試験では、STINGアゴニストをロードした中間体-01を使用した。サンプルは、外観、DLS、NTA、及びin vivo効力によって分析した。
【0388】
医薬品は、限られた一連のアッセイで試験された条件下で酸化ストレスにさらされた場合、安定しており、完全に強力である。異なる過酸化水素濃度の曝露で、対照(過酸化水素処理なし)と比較して、外観、サイズ、またはエキソソーム濃度について、実質的な変化は観察されなかった。定性的には、正規化された遺伝子発現によって評価されるように、脾臓内での効力に実質的な差は観察されなかった。過酸化水素試験濃度の増加に伴い肝臓の効力が低下する傾向が観察されたが、アスコルビン酸のみの群では、効力の実質的な喪失が観察され、群間及び群内で比較的広範囲の効力が得られた。したがって、効力は、対照群(PBS)を除いて、試験群と対照群との間の肝臓でも同様であった。採用された試験方法により、データは、医薬品が低レベルの酸化ストレスに敏感ではないことを示唆している。
【0389】
その後のストレス試験は、選択された最終製剤中のC-02医薬品の安定性をさらに確認するために設計された。さらに、最終製剤中のC-02医薬品について、加速条件試験を実施した(データは示さず)。
【0390】
pHの選択/中間体-01の試験
医薬品のpH目標及び範囲の選択は、製剤中のエキソソームの安定性を確保することに焦点が当てられていたため、中間体-01を使用して試験を実施した。この試験では、pH値3、5、6、6.5、7、9、及び11での安定性を評価した。クエン酸/クエン酸ナトリウム二水和物緩衝液を使用してpH値3及び5を達成した。pH値6、6.5、及び7については、一塩基性リン酸カリウム/二塩基性リン酸ナトリウム七水和物を使用し、pH値9及び11については、炭酸緩衝液を使用した。サンプルは、サイズまたはサイズ分布の変化、及び表面電荷のζ電位について、DLSによって分析した。これらの限られたデータの組み合わせは、pH範囲6.5~9.0をサポートするが、実際には、より狭い範囲(±0.5)を、pH7.2標的周辺の製剤に選択した。これらの結果に基づいて、許容可能なDLS結果及びリン酸緩衝液の予想される緩衝能力に基づいて、目標pH7.2を選択した。
【0391】
中間体-01及びC-02医薬品製剤
中間体-01のpH試験データは、中間体-01用のPBS製剤の選択をサポートする。医薬品の凍結防止剤の試験により、本製剤に5%(w/v)のスクロースが特定された。中間体-01の同様の試験でも、5%(w/v)スクロースが望ましい凍結防止剤として特定された(データは示していない)。中間体-01及び医薬品の両方の製剤組成物も、生理液に近い張性を維持する(約300mOsm/kg)。所望のスクロースレベル及び張性標的により、PBS製剤の塩濃度を低下させた。製剤の緩衝能力を改善するために、PBSのリン酸塩濃度を増加させた。さらに、リン酸ナトリウム及びカリウム緩衝液の混合物を選択した。
【0392】
これらの考慮事項に基づいて、C-02医薬品用に選択された1つの製剤組成物は、15mM一塩基性リン酸カリウム、27mM二塩基性リン酸ナトリウム、40mM塩化ナトリウム、5%w/vスクロース、pH7.2であった。この製剤は、中間体-01、C-02医薬品、及びC-02医薬品のFB-01希釈剤に使用される。製剤緩衝液は、FB-01と称する。
【0393】
中間体-01安定性試験
FB-01中の-80℃での長期保存に対する中間体-01の安定性を確認するために、開発安定性試験を実施した。
【0394】
最終医薬品製剤におけるストレス試験-フォローアップ試験
【0395】
機械的ストレスの様々な条件下及び酸化後のC-02医薬品の安定性を確認するために、最終製剤組成物でフォローアップストレス試験を実施した。この試験は、最終FB-01製剤にC-02医薬品を使用して実施し、初期ストレス試験に関連する追加の分析方法で実施した。
【0396】
この試験には、保持対照(25℃で最大24時間)、複数の凍結融解サイクル(-80℃に凍結して周囲温度で解凍する最大10サイクル)、極端なpH(pH5及び9)、酸化ストレス(最大24時間の3%過酸化水素曝露)、及び最大24時間の機械的転倒反転を使用した機械的ストレスを含めた。
【0397】
凍結融解サイクルの結果は、10回の凍結融解サイクルを通じて医薬品の品質属性に変化がないことを示している。
【0398】
実施例9:例示的な組成物03製剤の開発
IL-12をロードしたエキソソーム(exoIL-12)組成物03(C-03)医薬品は、有効成分であるexoIL-12を、5mM一塩基性リン酸カリウム、15mM二塩基性リン酸ナトリウム、50mM塩化ナトリウム、146mMスクロースを含む製剤緩衝液、pH7.2に含めて構成させる。
【0399】
C-03の製剤開発は、いくつかの原則によって誘導された。医薬品製剤は、注射液としての使用を目的とする。また、凍結/解凍操作による分解を最小限に抑えるために、製剤が凍結保存用に最適化されている。製剤開発試験中、最初の分析試験は、溶液中のエキソソームの安定性及び効力に重点を置いた。これらのアッセイには、外観、動的光散乱(DLS)、IL-12 AlphaLISA、及びヒト胎児腎臓(HEK)細胞ベースのレポーターアッセイを含めた。
【0400】
精製後、exo-IL-12製剤は、可視粒子を含まない半透明の溶液として見える。色は、エキソソームサンプルをガラスアンプルの欧州薬局方色基準と比較することにより決定した。ExoIL-12エキソソームは、直径が約171nmであり、PDI値が0.25未満であることがわかっている。
【0401】
C-03の緩衝液及び凍結防止剤の調査により、品質及び安定性を最適化するために、CB-102原薬及びC-03医薬品製剤について、pH7.2で、146mM(5%w/v)スクロースを含むリン酸ナトリウム/カリウム緩衝液を選択することにした。潜在的な安定性を示すアッセイについて情報を得るために、強制分解試験を実施した。
【0402】
緩衝液の選択
pH安定性試験は、高温(37℃及び50℃)で、pH3、5、7、及び9の様々な緩衝液を使用して実施した。
【0403】
緩衝液-102は、最初にmilliQ水に緩衝液交換させ、適切な緩衝液の濃縮ストックにスパイクすることにより、所望のpHまで調整した。pH調整後、サンプルを外観、動的光散乱(DLS)により、サイズ及びサイズ分布の変化を分析し、IL-12 AlphaLISAを使用して、(遊離及びエキソソーム関連)IL-12の遊離含有量対総含有量を定量化した。
【0404】
凍結防止剤の選択
exoIL-12を含むリン酸緩衝液を使用して、146mM(5%w/v)スクロースを含む場合と含まない場合とで、凍結融解(F/T)サイクルを繰り返して試験を実施した。凍結防止剤の濃度は、十分なリン酸塩緩衝能力(濃度)で生理学的浸透圧(約290mOsm/kg)を達成するように選択した。ExoIL-12を含むmilliQ水(MQ)及びPBSのみを対照サンプルとして調製し、凍結/解凍サイクル(F/T)を3回行った。146mMスクロースを含むexoIL-12を含むリン酸緩衝液(緩衝液選択試験から選択したもの)を、0、1、3、及び10 F/Tで評価した。収集されたサンプルは、外観、DLS、及びIL-12 AlphaLISAテスト方法によって評価した。
【0405】
スクロースを含む試験サンプルは、約180nmの測定で、10F/Tサイクルを通じてDLSによるサイズに関して依然として安定していた。同様に、分布または多分散度指数(PDI)は、0.15~3F/Tサイクルまで一貫して低いままであったが、10F/Tサイクル後には0.2まで増加した。色の変化または濁度の増加は観察されなかった。対照のエキソソームは、milliQ水またはPBSのいずれかに分散され、3F/Tサイクルを行い、凝集及び分解の明らかな兆候を示した。milliQ対照は濁り、わずかに赤/オレンジ色に変化したが、DLSによる800nmより大きいサイズは、明らかな凝集を示した。PBSのみのエキソソームのサイズは、187nmであり、試験サンプルよりもわずかに大きく、PDIは、スクロースを含む試験群の10F/Tサンプルのものとほぼ同じであった。PBSのみのエキソソームは、凝集を示す外観によって濁度の顕著な変化を示したが、色の変化はなかった。
【0406】
IL-12 AlphaLISAの結果は、スクロースの存在下で10F/T後、会合IL-12及び遊離IL-12の両方がそれぞれ約2300ng/mL及び1~3%のIL-12で依然として類似していることを示している。会合IL-12の顕著な減少が、milliQ及びPBSのみのエキソソームの両方で観察され、それぞれ24%、37%減少した。遊離IL-12の量は、わずかに増加して、それぞれ5%、4%であった。
【0407】
リン酸塩/スクロース緩衝液の最終製剤の浸透圧は、およそ300mOsm/kgである。
【0408】
強制分解試験
ICH Q1A(R2)に従って強制分解試験を実施し、凍結融解、極端なpH、酸化、及び機械的ストレスのストレス条件下での医薬品の安定性を判定した。
【0409】
凍結融解試験の結果では、一般に、10回のF/Tサイクルを通じて有意な傾向を示さなかった。観察されたエキソソームのサイズ及びPDI値は、10F/T後が最大であったが、絶対差は、エキソソームの安定性に対する真の影響を示すのに十分なほど有意ではなかった。さらに、他の試験結果では、10F/Tまでに、有意な傾向は示されなかった。控えめに言って、C-03の安定性は、最大5回の凍結融解サイクルについて確認される。
【0410】
実施例10:例示的な組成物04製剤の開発
アンチセンスオリゴマーをロードしたエキソソーム用の医薬品製剤が開発されるであろう。C-03医薬品製剤が出発点として使用される。リン酸緩衝液濃度(5mM一塩基性リン酸カリウム及び15mM二塩基性リン酸ナトリウム)及びpH(pH7.2)は、C-03医薬品と比較して、依然として変化しない。塩化ナトリウム濃度は、約50mM~約150mMの範囲の濃度で試験され、スクロース濃度は、約2.5%~5%(約73mM~約146mM)の濃度で試験される。上記の実施例9及び10に記載の方法に従って状態を監視する。本明細書に開示のとおり、STAT6を標的とするASOがロードされたエキソソームなど、様々なASOがロードされたエキソソーム構築物が分析される。Tris EDTA緩衝水溶液または純水では、ASOがエキソソームから解離するため、塩化ナトリウムとスクロースとの組み合わせが、ロードされたASOを保持する役割を果たす可能性がある。
【0411】
発明の概要及び要約の項ではなく、発明を実施するための形態の項が、特許請求の範囲を解釈するために使用されることを意図していることを理解されたい。発明の概要及び要約の項は、本発明者(ら)によって意図されるものとして、本開示の1つ以上ではあるがすべてではない例となる態様を示し得、本開示及び添付の特許請求の範囲を如何様にも限定するものではない。
【0412】
本開示は、特定される機能及びその関係性の実装を例示する機能的構成要素を活用して上記で説明された。これらの機能的構成要素の境界線は、記述上の便宜のためにここに恣意的に定義されたものである。その特定の機能の実現及び関係が適切に遂行される限りにおいて、別の境界線が定義され得る。
【0413】
特定の態様についての上述の説明は、当業者の範囲内の知識を適用することにより、他者が、様々な応用のために、このような特定の態様を、過度な実験をすることなく、本開示の概括的な概念から離脱することなく、容易に変更及び/または改造し得るという本開示の概括的な特徴を十分に公表することになる。したがって、かかる適合及び修正は、本明細書に提示されている教示及び指導に基づき、開示される態様の同等物の範囲及び意味の内にあるように意図される。本明細書の表現または用語は制限ではなく説明を目的としており、ゆえに本明細書のこの用語または表現は、当業者によって教示及び指導に照らして解釈されると理解されるものとする。
【0414】
本開示の広がりや範囲は、上記の例示的な態様のいずれによっても制限されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物に従ってのみ定義されるべきである。
【0415】
本出願の特許請求の範囲は、親出願または他の関連出願の特許請求の範囲とは異なる。したがって、出願人は、本出願に関連して親出願または任意の先行出願でなされた特許請求の範囲のいかなる免責事項も無効にする。したがって、審査官にむけて、そのような任意の以前の免責事項及びそれが回避されるように作成された引用文献を再検討する必要がある可能性があることを記しておく。さらに、審査官は、本出願で作成されたいかなる免責事項も親出願に読み込む、または親出願に反して読み込むことないにも留意のこと。
【0416】
本出願に引用するすべての刊行物、特許、特許出願、及び他の文献は、あたかも各個別の刊行物、特許、特許出願、または他の文献があらゆる目的のために参照により援用されるように個別に示されるのと同じ範囲まで、あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0417】
様々な特定の態様を示し、記載してきたが、上記明細書は制限的ではない。本開示(複数可)の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解されよう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
【配列表】
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【国際調査報告】