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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】抗体組成物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/00 20060101AFI20221116BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20221116BHJP
   C07K 1/16 20060101ALI20221116BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
C07K1/00 ZNA
C07K16/00
C07K1/16
C12Q1/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518964
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 US2020053090
(87)【国際公開番号】W WO2021062372
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】62/906,709
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500203709
【氏名又は名称】アムジェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ダフ, ロバート ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ゼ
(72)【発明者】
【氏名】ラミレス, ホセ ジー.
【テーマコード(参考)】
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QQ79
4B063QR77
4B063QS10
4H045AA20
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA21
(57)【要約】
抗体組成物の製品品質を決定する方法であって、抗体組成物のADCC活性レベルが、抗体組成物の製品品質の基礎とする基準である方法が、本明細書において提供される。例示的な実施形態では、方法は、(i)抗体組成物のサンプルの総非フコシル化(TAF)グリカン含量を決定する工程;並びに(ii)(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内である場合に、製品品質を、許容できる、及び/又はADCC活性レベル基準を達成していると決定する工程を含む。製品品質をモニターする関連方法及び抗体組成物を製造する方法が、本明細書においてさらに提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体組成物の製品品質を決定する方法であって、前記抗体組成物のADCC活性レベルが、前記抗体組成物の製品品質の基礎となる基準であり、前記方法が、
i.抗体組成物のサンプルの総非フコシル化(TAF)グリカン含量を決定する工程、並びに
ii.(i)で決定された前記TAFグリカン含量が目標範囲内である場合に、前記抗体組成物の前記製品品質を、許容できる、及び/又はADCC活性レベル基準を達成していると決定する工程
を含み、
TAFグリカン含量の前記目標範囲は、(1)参照抗体のADCC活性レベルの目標範囲、及び(2)前記抗体組成物のADCC活性レベルを前記抗体組成物の前記TAFグリカン含量と相関させる第1のモデルに基づき、
前記第1のモデルによって予測されるADCCが、第2のモデルによって予測されるADCCの約95%~約105%であり、ここで、前記第2のモデルが、前記抗体組成物のADCC活性レベルを、前記抗体組成物の高マンノース(HM)グリカン含量及び前記抗体組成物の非フコシル化(AF)グリカン含量と相関させる、方法。
【請求項2】
前記第1のモデルによって予測されるADCCが、前記第2のモデルによって予測されるADCCの約100%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のモデルのp値が0.0001未満であり、及び/又は前記第2のモデルのp値が0.0001未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルが約12Q×TAF%であり、ここで、Qは前記抗体が結合する抗原の抗体結合部位の数であり、TAF%が前記抗体組成物のTAFグリカン含量である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
Qが2である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルが、約24×TAF%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のモデルによって予測されるADCC活性レベルが、約27×HM%+約22×AF%であり、ここで、AF%は前記抗体組成物のAFグリカン含量であり、HM%が前記抗体組成物のHMグリカン含量である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
Qが1である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルが、約12×TAF%である、請求項1~4及び8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のモデルによって予測されるADCC活性レベルが、約14.8×HM%+約12.8×AF%である、請求項1~3、7及び8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記参照抗体がリツキシマブである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記参照抗体がインフリキシマブである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が品質管理(QC)アッセイである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法がインプロセスQCアッセイである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルが、インプロセス材料のサンプルである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記TAFグリカン含量が、回収前又は回収後に決定される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記TAFグリカン含量が、クロマトグラフィ工程後に決定される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記クロマトグラフィ工程が、キャプチャークロマトグラフィ、中間クロマトグラフィ、及び/又はポリッシュクロマトグラフィを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記TAFグリカン含量が、ウイルス不活化及び中和、ウイルス濾過、又は緩衝液交換の後に決定される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法がロットリリースアッセイである、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記サンプルが製造ロットから得られる、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記TAFグリカン含量が目標範囲内である場合、前記抗体組成物を下流プロセスのために選択する工程をさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
(i)で決定されたTAFグリカン含量が前記目標範囲内でない場合、細胞培養の1つ以上の条件を改変して、改変細胞培養物を得る、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞培養の1つ以上の条件を改変した後に得られる前記抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
(i)で決定されたTAFグリカン含量が前記目標範囲内でない場合、前記方法が、(iii)前記細胞培養の1つ以上の条件を改変して改変細胞培養物を得る工程、及び(iv)前記改変細胞培養物から得られる前記抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程をさらに含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
(i)で決定されたTAFグリカン含量が前記目標範囲内でない場合、前記方法が、(iv)で決定されたTAFグリカン含量が前記目標範囲内になるまで、(iii)及び(iv)をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記抗体組成物のADCC活性を直接測定するアッセイが、前記TAFグリカン含量が前記目標範囲外である場合にのみ、前記抗体組成物に対して実施される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記抗体組成物のADCC活性を直接測定するアッセイが、前記TAFグリカン含量が前記目標範囲内である場合、前記抗体組成物に対して実施されない、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
抗体組成物のADCC活性を直接測定する前記アッセイが、抗原発現細胞及びエフェクター細胞の両方に結合する抗体に結合するエフェクター細胞によって、検出可能な薬剤を含む抗原発現細胞の溶解時の前記検出可能な薬剤の放出を測定する細胞ベースのアッセイである、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載の方法に従って、第1の時点で得られた第1のサンプルと、前記第1の時点とは異なる第2の時点で採取された第2のサンプルとを用いて、抗体組成物の製品品質を決定する工程を含む、抗体組成物の製品品質をモニターする方法。
【請求項31】
前記第1のサンプル及び前記第2のサンプルのそれぞれが、インプロセス材料のサンプルである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のサンプルがインプロセス材料のサンプルであり、前記第2のサンプルが製造ロットのサンプルである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のサンプルが、前記細胞培養の1つ以上の条件を改変する前に得られるサンプルであり、前記第2のサンプルが、前記細胞培養の1つ以上の条件を改変した後に得られるサンプルである、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
抗体組成物を製造する方法であって、前記抗体組成物の製品品質を決定する工程を含み、前記抗体組成物の製品品質は請求項1~29のいずれか一項に記載の方法に従って決定され、前記サンプルはインプロセス材料であり、(i)で決定されたTAFグリカン含量が前記目標範囲でない場合、前記方法は、(iii)前記細胞培養の1つ以上の条件を改変して改変細胞培養物を得る工程、及び(iv)前記改変細胞培養物から得られた前記抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程、任意選択で、前記TAFグリカン含量が前記目標範囲内になるまで、工程(iii)及び(iv)を繰り返す工程をさらに含む方法。
【請求項35】
前記TAFグリカン含量の目標範囲を達成するため、前記細胞培養の1つ以上の条件を改変して、主にHMグリカン含量を改変する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記TAFグリカン含量の目標範囲を達成するため、前記細胞培養の1つ以上の条件を改変して、主にAFグリカン含量を改変する、請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月26日に出願された米国仮特許出願第62/906,709号の米国特許法第119条(e)の下での利益を主張し、その開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出された資料の参照による組み込み
本明細書と同時に提出されたコンピュータにより読み込み可能なヌクレオチド/アミノ酸の配列表は、その全体が参照により組み込まれ、下記のように識別される:2020年9月24日作成の「A-2451-WO-PCT_SeqList_ST25.txt」というファイル名の26,660バイトのASCII(Text)ファイル。
【背景技術】
【0003】
グリコシル化は、例えばタンパク質折り畳み、クオリティコントロール、分子輸送及び局在化及び細胞表面受容体相互作用を含む多くの細胞機能に関与するので、最も一般的で、また重要な翻訳後修飾の1つである。グリコシル化は、治療用糖タンパク質の生理活性、薬物動態、免疫原性、溶解度、及びインビボクリアランスに影響を与えるため、組換えタンパク質薬の治療効果に影響を及ぼす。特に、Fcグリコフォームプロファイルは、抗体の臨床効果及び薬物動態に直接影響を及ぼすので、組換え抗体に対して重要な製品品質特性である。
【0004】
Fc-CH2ドメイン中の保存された二分枝型グリカンに関連する特定のグリカン構造は、抗体エフェクター機能、例えば抗体依存性細胞障害(ADCC)を介在するFcγRとの相互作用に強く影響し得る(Reusch D,Tejada ML.Fc glycans of therapeutic antibodies as critical quality attributes.Glycobiology 2015;25:1325-34を参照)。例えば、コアフコースがFcγRIIIa結合親和性に対して非常に大きな影響を有し、ADCC活性に実質的な変化をもたらすことが示されている(Okazaki A,et al.Fucose depletion from human IgG1 oligosaccharide enhances binding enthalpy and association rate between IgG1 and FcgammaRIIIa.Journal of molecular biology 2004;336:1239-49、Ferrara C,et al.Unique carbohydrate-carbohydrate interactions are required for high affinity binding between FcgammaRIII and antibodies lacking core fucose.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2011;108:12669-74を参照)。また、高マンノースもまた、コアフコースよりはるかに小さく、且つ予測しにくい程度ではあるが、ADCC活性を調節する役割を果たすことが示されている(Thomann M,et al.Fc-galactosylation modulates antibody-dependent cellular cytotoxicity of therapeutic antibodies.Molecular immunology 2016;73:69-75)。
【0005】
様々な要因がグリカン構造に影響し、したがってタンパク質(糖タンパク質)の最終的なグリコシル化形態(グリコフォーム)に影響する。例えば、抗体を発現する細胞株、細胞培養培地、フィード培地組成、及び細胞培養中の供給のタイミングは、タンパク質のグリコフォームの産生に影響し得る。研究グループは抗体の特定のグリコフォームのレベルに影響を及ぼす多くの方法を示唆しているが、バイオ医薬産業において、特定の抗体組成物がその抗体組成物の所与のグリコフォームプロファイルに基づいて示すエフェクター機能のレベルを予測する簡単且つ効率的な方法が依然として必要とされている。さらに、所望のレベルのエフェクター機能を達成する特定のグリカン(例えば、非フコシル化グリカン、高マンノースグリカン)のレベルを決定する方法が、当該技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、抗体組成物の製品品質を決定する方法であって、抗体組成物のADCC活性レベルが、抗体組成物の製品品質の基礎となる基準である方法を提供する。方法は、種々の態様において、ADCC活性レベル基準に関して製品品質を決定する。例示的な実施形態では、方法は、(i)抗体組成物のサンプルの総非フコシル化(TAF)グリカン含量を決定する工程;並びに(ii)(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内である場合に、製品品質を、許容できる、及び/又はADCC活性レベル基準を達成していると決定する工程を含む。例示的な態様では、TAFグリカン含量の目標範囲は、(1)参照抗体のADCC活性レベルの目標範囲、及び(2)抗体組成物のADCC活性レベルを抗体組成物のTAFグリカン含量と相関させる第1のモデルに基づく。例示的な態様では、第1のモデルによって予測されるADCCは、第2のモデルによって予測されるADCCの約95%~約105%であり、ここで、第2のモデルは、抗体組成物のADCC活性レベルを、抗体組成物のHMグリカン含量及び抗体組成物のAFグリカン含量と相関させる。本明細書で使用される場合、ADCC活性レベルと関連した「予測される」という用語は、計算されたADCC活性レベルを指し、ここで、ADCC活性レベルは、モデル、例えば第1のモデル、第2のモデルによって計算される。有利には、第1のモデルによって予測されるADCCは、第2のモデルによって予測されるADCCと統計的に有意に類似している。例えば、第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルは、第2のモデルによって予測されるADCC活性レベルの約95%~約105%である。第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルは、任意選択により、第2のモデルによって予測されるADCC活性レベルの約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、約101%、約102%、約103%、約104%、又は約105%である。第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルは、種々の例において、第2のモデルによって予測されるADCCの約100%である。特定の態様では、第1のモデルによって予測されるADCCと、第2のモデルによって予測されるADCCとの間に1対1の対応がある。種々の例では、第1のモデル及び/又は第2のモデルは、統計的に有意である。例えば、第1のモデルのp値は0.0001未満であり、及び/又は第2のモデルのp値は0.0001未満である。任意選択で、第1のモデル及び第2のモデルのそれぞれは、0.0001未満のp値を有する。例示的な態様では、第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルは約12Q×TAF%であり、ここで、Qは抗体が結合する抗原の抗体結合部位の数であり、TAF%は抗体組成物のTAFグリカン含量である。例示的な事例では、TAFグリカン含量の目標範囲はm~nであり、ここで、mは[ADCCmin/12Q]であり(ここで、ADCCminは参照抗体のADCC活性レベルの目標範囲の最小である)、nは[ADCCmax]/12Qである(ここで、ADCCmaxは、参照抗体のADCC活性レベルの目標範囲の最大である)。種々の例では、Qは2である。種々の例では、第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルは、約24×TAF%である。種々の例では、TAFグリカン含量の目標範囲はm~nである(ここで、mは[ADCCmin/24]であり、nは[ADCCmax]/24である)。種々の例では、第2のモデルによって予測されるADCC活性レベルは約27×HM%+約22×AF%であり、ここで、AF%は抗体組成物のAFグリカン含量であり、HM%は抗体組成物のHMグリカン含量である。種々の例では、Qは1である。種々の態様では、第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルは、約12×TAF%である。種々の例では、TAFグリカン含量の目標範囲はm~nであり、ここで、mは[ADCCmin/12]であり、nは[ADCCmax]/12である。種々の例では、第2のモデルによって予測されるADCC活性レベルは、約14.8×HM%+約12.8×AF%である。好適な代替の第1のモデル及び第2のモデルを本明細書に記載する。例示的な事例では、第1のモデルは、ADCCとTAFグリカン含量を相関させる本明細書に記載のモデル(例えば、方程式)の1つのいずれかであり、例えば、方程式1、3、5、及び7、並びに方程式Aが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な事例では、第2のモデルは、ADCCとHMグリカン含量及びAFグリカン含量とを相関させる本明細書に記載のモデル(例えば、方程式)の1つのいずれかであり、例えば、方程式2、4、6、及び8、並びに方程式Bが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、種々の態様では、TAFグリカン含量の目標範囲はm°~n°であり、ここで、m°は[[ADCCmin-y]/x]と定義され(ここで、ADCCminはADCC活性レベルの目標範囲の最小値である)、n°は[[ADCCmax-y]/x]と定義される(ここで、ADCCmaxはADCC活性レベルの目標範囲の最大値である)。任意選択で、xは約20.4~約27.7であり、yは約-11.4~約16.7である。或いは、xは約9.7~約15.2であり、yは約-15.6~約34.2である。種々の態様では、TAFグリカン含量の目標範囲はm’~n’であり、ここで、m’は[ADCCmin/x’]であり(ここで、ADCCminはADCC活性レベルの目標範囲の最小である)、n’は[ADCCmax]/x’である(ここで、ADCCmaxはADCC活性レベルの目標範囲の最大である)。任意選択により、x’は約24.1~約25.4である。或いは、x’は約13.0~約13.95である。種々の例では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約13.5%±0.5%であり、ここで、任意選択により、抗体組成物の抗体は、1つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合する。種々の態様では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約24.74%±0.625%であり、ここで、任意選択により、抗体組成物の抗体は、2つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合する。例示的な態様では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約12%±1.5%×Qであり、Qは抗原上に存在する抗体結合部位の数である。例示的な事例では、参照抗体はインフリキシマブである。例示的な態様では、参照抗体はリツキシマブである。例示的な態様では、方法は品質管理(QC)アッセイである。例示的な態様では、方法はインプロセスQCアッセイである。種々の態様では、サンプルは、インプロセス材料のサンプルである。種々の例では、TAFグリカン含量は、回収前又は回収後に決定される。例示的な事例では、TAFグリカン含量は、クロマトグラフィ工程後に決定される。任意選択により、クロマトグラフィ工程は、キャプチャークロマトグラフィ、中間クロマトグラフィ、及び/又は研磨クロマトグラフィを含む。いくつかの態様では、TAFグリカン含量は、ウイルス不活化及び中和、ウイルス濾過、又は緩衝液交換の後に決定される。種々の例では、方法は、ロットリリースアッセイである。いくつかの態様では、サンプルは、製造ロットのサンプルである。種々の態様では、方法は、(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内である場合、その抗体組成物を下流プロセスのために選択する工程をさらに含む。(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内でない場合、種々の態様では、細胞培養の1つ以上の条件を改変して、改変細胞培養物を得る。方法は、いくつかの態様では、細胞培養の1つ以上の条件を改変した後に得られる抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程をさらに含む。種々の態様では、(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内でない場合、方法は、(iii)細胞培養の1つ以上の条件を改変して改変細胞培養物を得る工程、及び(iv)改変細胞培養物から得られる抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程をさらに含む。例示的な態様では、(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内にない場合、方法は、(iv)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内になるまで、(iii)及び(iv)をさらに含む。例示的な事例では、抗体組成物のADCC活性を直接測定するアッセイは、(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内でない場合、例えば目標範囲外である場合にのみ、抗体組成物に対して実施される。ADCC活性を直接測定するアッセイとしては、例えば、抗原発現細胞及びエフェクター細胞の両方に結合する抗体に結合するエフェクター細胞によって、検出可能な薬剤を含む抗原発現細胞の溶解時の検出可能な薬剤の放出を測定する細胞ベースのアッセイが挙げられる。例示的な事例では、抗体組成物のADCC活性を直接測定するアッセイは、抗体組成物に対して行われない。種々の態様では、TAFグリカン含量を決定する工程は、ADCC活性レベル基準に関する製品品質を決定するために必要とされる唯一の工程である。理論に束縛されるものではないが、第1のモデル及び第2のモデルの統計的に有意な相関により、TAFグリカン含量がADCC活性レベルを示すことを可能になり、ADCC活性レベルを直接測定するアッセイの必要がなくなる。したがって、抗体組成物のADCC活性レベルを直接測定することは必要でなくなり、このため本明細書に開示される方法の種々の態様では実施されない。
【0007】
本開示はまた、抗体組成物の製品品質をモニターする方法であって、抗体組成物のADCC活性レベルが、抗体組成物の製品品質の基礎とする基準である方法を提供する。例示的な実施形態では、方法は、本開示の方法に従って、第1の時点で得られた第1のサンプルと、第1の時点とは異なる第2の時点で採取された第2のサンプルとを用いて、抗体組成物の製品品質を決定する工程を含む。種々の例では、第1のサンプル及び第2のサンプルのそれぞれは、インプロセス材料のサンプルである。種々の態様では、第1のサンプルはインプロセス材料のサンプルであり、第2のサンプルは製造ロットのサンプルである。任意選択により、第1のサンプルは、細胞培養の1つ以上の条件を改変する前に得られるサンプルであり、第2のサンプルは、細胞培養の1つ以上の条件を改変した後に得られるサンプルである。例示的な事例では、TAFグリカン含量は、第1のサンプル及び第2のサンプルのそれぞれについて決定される。抗体組成物の製品品質は、TAFグリカン含量が目標範囲内にあるかどうかに依存する。例示的な態様では、TAFグリカン含量の目標範囲は、(1)参照抗体のADCC活性レベルの目標範囲、及び(2)抗体組成物のADCC活性レベルを抗体組成物のTAFグリカン含量と相関させる第1のモデルに基づく。例示的な態様では、第1のモデルによって予測されるADCCは第2のモデルによって予測されるADCCの約95%~約105%であり、ここで、第2のモデルは、抗体組成物のADCC活性レベルを、抗体組成物のHMグリカン含量及び抗体組成物のAFグリカン含量と相関させる。
【0008】
本開示は、抗体組成物を製造する方法を提供する。例示的な実施形態では、方法は、抗体組成物の製品品質を決定する工程を含み、ここで、抗体組成物の製品品質は、本開示の方法に従って決定される。任意選択により、方法は、(i)抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程を含み、そのサンプルはインプロセス材料のサンプルである。種々の例では、方法は、(i)で決定されたTAFグリカン含量が本明細書で定義されているような目標範囲内である場合に、抗体組成物の製品品質を、許容できる、及び/又はADCC活性レベル基準を達成していると決定する工程を含む。例示的な態様では、TAFグリカン含量の目標範囲は、(1)参照抗体のADCC活性レベルの目標範囲、及び(2)抗体組成物のADCC活性レベルを抗体組成物のTAFグリカン含量と相関させる第1のモデルに基づく。例示的な態様では、第1のモデルによって予測されるADCCは第2のモデルによって予測されるADCCの約95%~約105%であり、ここで、第2のモデルは、抗体組成物のADCC活性レベルを、抗体組成物のHMグリカン含量及び抗体組成物のAFグリカン含量と相関させる。種々の態様では、(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内でない場合に、方法は、(iii)細胞培養の1つ以上の条件を改変して改変細胞培養物を得る工程、及び(iv)改変細胞培養物から得られる抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程をさらに含み、任意選択により、TAFグリカン含量が目標範囲内になるまで、工程(iii)及び工程(iv)を繰り返す。種々の例では、サンプルは、抗体組成物の抗体を発現する細胞を含む細胞培養物のサンプルである。種々の例では、細胞培養の1つ以上の条件は、TAFグリカン含量を改変するために改変される。種々の態様では、抗体組成物のTAFグリカン含量は、AFグリカン含量を改変することによって達成される。例示的な態様では、細胞培養の1つ以上の条件は、抗体組成物のAFグリカン含量を改変するために改変される。例示的な態様では、1つ以上の条件は、主にAFグリカン含量を改変する。種々の例では、1つ以上の条件はAFグリカン含量を改変し、HMグリカン含量を改変しない。例示的な態様では、方法は、抗体組成物のTAFグリカン含量がHMグリカン含量を改変することによって達成されることを含む。任意選択により、細胞培養の1つ以上の条件は、抗体組成物のHMグリカン含量を改変するために改変される。いくつかの例では、1つ以上の条件は、主にHMグリカン含量を改変する。いくつかの態様では、1つ以上の条件はHMグリカン含量を改変し、AFグリカン含量を改変しない。種々の例では、方法は、TAFグリカン含量が目標範囲内になるまで、非フコシル化(AF)グリカン含量の改変を繰り返す工程、及び/又は高マンノース(HM)グリカン含量の改変を繰り返す工程を含む。
【0009】
例示的な実施形態では、抗体組成物を製造する方法は、(i)抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程;及び(ii)(i)で決定されたTAFグリカン含量に基づいて、下流プロセスのための抗体組成物を選択する工程を含む。種々の態様では、サンプルは、抗体組成物の抗体を発現する細胞を含む細胞培養物から採取される。種々の例では、方法は、抗体組成物のTAFグリカン含量を改変する工程、及び改変されたTAFグリカン含量を決定する工程をさらに含む。任意選択により、細胞培養の1つ以上の条件は、TAFグリカン含量を改変するために改変される。例示的な態様では、方法は、TAFグリカン含量が目標範囲内になるまで、改変を繰り返すことを含む。例示的な事例では、目標範囲は、抗体のADCC活性レベルの目標範囲に基づく。理論に束縛されるものではないが、TAFグリカン含量は抗体組成物のADCC活性レベルと相関し、したがって、抗体組成物のADCC活性レベルは抗体組成物のTAFグリカン含量に基づいて予測され得る。抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物を下流プロセスに選択すべきかどうかを決定する際に考慮する価値のある基準であり得る。したがって、種々の態様では、方法は、(i)抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程;(ii)(i)で決定されたTAFグリカン含量に基づいて、抗体組成物のADCC活性レベルを決定する工程;及び、任意選択により、(iii)(ii)で決定された抗体組成物のADCCレベルがADCC活性レベルの目標範囲内である場合に、その抗体組成物を下流プロセスのために選択する工程を含む。種々の態様では、ADCC活性レベルの目標範囲は、抗体組成物の抗体について知られている。抗体組成物の抗体は、種々の態様では、参照抗体のバイオシミラーである。種々の例では、TAFグリカン含量の目標範囲は、既知のADCC活性レベルの目標範囲に基づくか、又はそれに基づいて決定される(例えば、算出される)。したがって、例示的な態様では、方法は、(i)抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程;及び(ii)(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内である場合、その抗体組成物を下流プロセスのために選択する工程を含む。方法が抗体組成物のTAFグリカン含量を改変する工程をさらに含む場合、方法は、種々の例では、TAFグリカン含量を改変するために非フコシル化(AF)グリカン含量を改変する工程を含む。任意選択により、細胞培養の1つ以上の条件が抗体組成物のAFグリカン含量を改変するために改変され、これは次にTAFグリカン含量を改変する。或いは、又はさらに、方法が抗体組成物のTAFグリカン含量を改変する工程を含む場合、方法は、種々の例では、TAFグリカン含量を改変するために高マンノース(HM)グリカン含量を改変する工程を含む。任意選択により、細胞培養の1つ以上の条件が抗体組成物のHMグリカン含量を改変するために改変され、これは次にTAFグリカン含量を改変する。例示的な態様では、1つ以上の条件は、主にAFグリカン含量を改変する。例示的な事例では、1つ以上の条件は、主にHMグリカン含量を改変する。例示的な態様では、1つ以上の条件はAFグリカン含量を改変し、HMグリカン含量を改変しない。例示的な事例では、1つ以上の条件はHMグリカン含量を改変し、AFグリカン含量を改変しない。方法は、任意選択により、TAFグリカン含量が目標範囲内になるまで、非フコシル化(AF)グリカン含量の改変を繰り返す工程、及び/又は高マンノース(HM)グリカン含量の改変を繰り返す工程を含む。例示的な態様では、抗体組成物の抗体はIgG、任意選択によりIgGである。種々の態様では、TAFグリカン含量の目標範囲はm~nであり、ここで、mは[[ADCCmin-y]/x]であり(ここで、ADCCminはADCC活性レベルの目標範囲の最小である)、nは[[ADCCmax-y]/x]である(ここで、ADCCmaxはADCC活性レベルの目標範囲の最大である)。任意選択で、xは約20.4~約27.7であり、yは約-11.4~約16.7である。或いは、xは約9.7~約15.2であり、yは約-15.6~約34.2である。種々の態様では、TAFグリカン含量の目標範囲はm’~n’であり、ここで、m’は[ADCCmin/x’]であり(ここで、ADCCminはADCC活性レベルの目標範囲の最小である)、n’は[ADCCmax]/x’である(ここで、ADCCmaxはADCC活性レベルの目標範囲の最大である)。任意選択により、x’は約24.1~約25.4である。或いは、x’は約13.0~約13.95である。種々の例では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約13.5%±0.5%であり、任意選択により、抗体組成物の抗体は、1つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合する。種々の態様では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約24.74%±0.625%であり、任意選択により、抗体組成物の抗体は、2つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合する。例示的な態様では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約12%±1.5%×Qであり、Qは抗原上に存在する抗体結合部位の数である。例示的な事例では、Qは1であり、任意選択で、抗体はインフリキシマブ又はそのバイオシミラーである。任意選択で、Qは2であり、任意選択で、抗体はリツキシマブ又はそのバイオシミラーである。
【0010】
例示的な実施形態では、抗体組成物を製造する方法は、(i)抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン%を決定する工程、(ii)方程式A:
Y=2.6+24.1×X
[方程式A]
(式中、YはADCC%であり、Xは工程(i)で決定されたTAFグリカン%である)
を使用して、TAF%に基づいて抗体組成物の抗体依存性細胞傷害(ADCC)%を算出する工程、
及び(iii)Yが目標ADCC%範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含む。
【0011】
本開示はまた、抗体組成物を製造する方法を提供し、その方法は、(i)抗体組成物の高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%を決定する工程、(ii)方程式B:
Y=(0.24+27×HM+22.1×AF)
[方程式B]
(式中、YはADCC%であり、HMは工程(i)で決定された高マンノースグリカン%であり、AFは工程(i)で決定された非フコシル化グリカン%である)
を使用して、高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%に基づいて抗体組成物の抗体依存性細胞傷害(ADCC)%を算出する工程;
並びに(iii)Yが目標ADCC%範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含む。
【0012】
本開示はさらに、目標ADCC%を有する抗体組成物を製造する方法を提供する。例示的な実施形態では、方法は、(i)方程式A:
Y=2.6+24.1×X
[方程式A]
(式中、Yは目標ADCC%であり、Xは目標TAFグリカン%である)
を使用して、目標ADCC%のための目標総非フコシル化(TAF)グリカン%を算出する工程:
及び(ii)目標TAFグリカン%、Xを有する抗体組成物を製造するために細胞培養物中のグリコシル化コンピテント細胞を維持する工程を含む。
【0013】
本開示はさらに、目標ADCC%を有する抗体組成物を製造する方法を提供し、その方法は、(i)方程式B:
Y=(0.24+27×HM+22.1×AF)
[方程式B]
(式中、Yは目標ADCC%であり、HMは目標高マンノースグリカン%であり、AFは目標非フコシル化グリカン%である)
を使用して、目標ADCC%のための目標非フコシル化グリカン%及び目標高マンノースグリカン%を算出する工程、
並びに(ii)目標高マンノースグリカン%及び目標非フコシル化グリカン%を有する抗体組成物を製造するために細胞培養物中のグリコシル化コンピテント細胞を維持する工程を含む。
【0014】
本開示の方法の例示的な態様では、目標ADCC%は、目標ADCC%範囲内にある。任意選択で、目標ADCC%範囲は、約40以上約170以下である。種々の態様では、目標ADCC%範囲は、約44以上約165以下である。種々の例では、目標ADCC%範囲は、約60以上約130以下である。例示的な態様では、目標ADCC%範囲は、Y±20、例えば、Y±17又はY±18である。
【0015】
さらに、任意選択で約40以上約170以下のADCC%、Yを有する抗体組成物を製造する方法が提供され、前記方法は、(i)抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン%、Xを決定する工程、及び(ii)Xが(Y-2.6)/24.1に等しい場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含む。例示的な態様では、Xは約1.55%以上約6.95%以下である。様々な態様では、Yは約44%以上約165%以下であり、任意選択により、Xは約1.72%~約6.74%である。
【0016】
本開示はADCC%、Yを有する抗体組成物を製造する方法を提供し、前記方法は、(i)抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン%、Xを決定する工程、及び(ii)Xが(Y-2.6)/24.1に等しい場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含み、ここで、任意選択により、Xは約X-0.4以上約X+0.4以下であり、ADCC%は約Y-17以上約Y+17である。また、ADCC%を有する抗体組成物を製造する方法が提供され、前記方法は、(i)抗体組成物の非フコシル化グリカン%及び高マンノースグリカン%を決定する工程、並びに(ii)AF及びHMが方程式B:
Y=(0.24+27×HM+22.1×AF)
[方程式B]
(式中、YはADCC%であり、HMは工程(i)で決定された高マンノースグリカン%であり、AFは工程(i)で決定された非フコシル化グリカン%である)
に従ってYに関連している場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含む。例示的な態様では、Yは約40以上約175以下、任意選択で約41~約171であり、AFは約1~約4であり、HMは約40~約175である。任意選択により、Yは約30~約185、任意選択で約32~約180であり、HMは約1~約4であり、AFは約30~約185である。例示的な事例では、抗体組成物のADCC%はYによって規定される範囲内である。任意選択で、抗体組成物のADCC%は、Y±18の範囲内である。例示的な態様では、AFは約1~約4である。任意選択で、高マンノースグリカン%はHMによって規定される範囲内の値であり、任意選択で、その範囲はHM±1である。種々の例では、HMは約1~約4である。任意選択で、非フコシル化グリカン%はAFによって規定される範囲内の値であり、任意選択で、その範囲はAF±1である。
【0017】
例示的な実施形態では、抗体組成物を製造する本開示の方法は、細胞培養物の細胞によって産生される抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン含量を改変する工程を含む。種々の例では、細胞培養の1つ以上の条件は、TAFグリカン含量を改変するために改変される。種々の態様では、方法は、改変されたTAFグリカン含量を決定する工程を含む。任意選択で、改変は、決定されたTAFグリカン含量がTAFの目標範囲内になるまで繰り返される。特定の理論に束縛されるものではないが、TAFグリカン含量は、それぞれがTAFグリカン含量に影響を及ぼすので、非フコシル化(AF)グリカン含量若しくは高マンノース(HM)含量、又はこれらの組み合わせを変化させることによって改変され得る。したがって、これらの方法は、有利なことに、複数の方法でTAFグリカン含量の目標範囲を達成することを可能にする。例えば、細胞培養の1つ以上の条件は、TAFグリカン含量を改変するために、AFグリカン含量を改変するように改変される。或いは、細胞培養の1つ以上の条件は、TAFグリカン含量を改変するために、HMグリカン含量を改変するように改変される。種々の例では、細胞培養の1つ以上の条件は、TAFグリカン含量を改変するために、AFグリカン含量及びHMグリカン含量を改変するように改変される。したがって、本開示はさらに、細胞培養物の細胞によって産生される抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン含量を改変する方法を提供する。例示的な実施形態では、方法は、AFグリカン含量を改変することを含む。例示的な実施形態では、方法は、HMグリカン含量を改変することを含む。種々の態様では、方法は、(i)抗体組成物のサンプルの非フコシル化(AF)グリカン含量及び高マンノース(HM)グリカン含量を決定する工程;(ii)HMグリカン含量が一定であると仮定して、抗体組成物の抗体のADCC活性レベルの目標範囲に基づいてAFグリカン含量の目標範囲を決定する工程;並びに(iii)AFグリカン含量がAFグリカン含量の目標範囲内である場合、その抗体組成物を下流プロセスのために選択する工程を含む。種々の例では、方法は、(i)抗体組成物のサンプルの非フコシル化(AF)グリカン含量及び高マンノース(HM)グリカン含量を決定する工程;(ii)AFグリカン含量が一定であると仮定して、抗体組成物の抗体のADCC活性レベルの目標範囲に基づいてHMグリカン含量の目標範囲を決定する工程;並びに(iii)HMグリカン含量がHMグリカン含量の目標範囲内である場合、その抗体組成物を下流プロセスのために選択する工程を含む。種々の例では、方法は、(i)抗体組成物のサンプルのAFグリカン含量及びHMグリカン含量を決定する工程、並びに(ii)(i)で決定されたHMグリカン含量に基づいてAFグリカン含量の目標範囲を決定する工程、並びに(iii)AFグリカン含量がAFグリカン含量の目標範囲内になるまでAFグリカン含量を改変する工程を含み、ここで、HMグリカン含量は改変されない。或いは、方法は、(i)抗体組成物のサンプルのAFグリカン含量及びHMグリカン含量を決定する工程、並びに(ii)(i)で決定されたAFグリカン含量に基づいてHMグリカン含量の目標範囲を決定する工程、並びに(iii)HMグリカン含量がHMグリカン含量の目標範囲内になるまでHMグリカン含量を改変する工程を含み、ここで、AFグリカン含量は改変されない。例示的な態様では、抗体組成物のADCC活性レベルを抗体組成物のTAFグリカン含量と相関させるモデルは、ADCCをHM及びAFグリカン含量と相関させるモデルによって予測されるレベルと実質的に同じADCC活性レベルを予測する。
【0018】
本開示の方法の種々の態様では、TAFグリカン%は、高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%の合計を計算することによって決定される。種々の例では、高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%は、親水性相互作用クロマトグラフィにより決定される。任意選択により、高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%は、実施例1に記載の方法によって決定される。種々の態様では、ADCC%は、抗体の抗原を発現し、抗体のFcドメインを介してエフェクター細胞上のFc-γRIIIA受容体に関与する細胞における、用量依存的に細胞障害性を媒介する抗体組成物の抗体の能力を測定する、定量的な細胞ベースのアッセイによって決定される。種々の例では、ADCC%は、実施例2に記載のアッセイによって決定される。例示的な態様では、決定工程は、回収工程の後に実行される。任意選択により、決定工程は、クロマトグラフィ工程の後に実施される。種々の態様では、クロマトグラフィ工程は、プロテインAクロマトグラフィ工程である。本開示の方法の種々の例では、1つ以上の下流プロセス工程は、希釈工程、充填工程、濾過工程、製剤化工程、クロマトグラフィ工程、ウイルス濾過工程、ウイルス不活化工程、又はこれらの組み合わせを含む。任意選択により、クロマトグラフィ工程は、イオン交換クロマトグラフィ工程であり、任意選択により、陽イオン交換クロマトグラフィ工程又は陰イオン交換クロマトグラフィ工程である。
【0019】
本開示の種々の態様では、抗体組成物の各抗体はIgGであり、任意選択により、抗体組成物の各抗体はIgGである。例示的な事例では、抗体組成物の各抗体は、腫瘍関連抗原に結合する。例示的な態様では、腫瘍関連抗原は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。3に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一又は少なくとも99%同一である。例示的な態様では、抗体組成物の各抗体は、抗CD20抗体である。種々の例では、抗体組成物の各抗体は、(i)配列番号4のアミノ酸配列、又は配列番号4と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号4の変異アミノ酸配列を含む軽鎖(LC)CDR1、(ii)配列番号5のアミノ酸配列、又は配列番号5と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号5の変異アミノ酸配列を含むLC CDR2、(iii)配列番号6のアミノ酸配列、又は配列番号6と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号6の変異アミノ酸配列を含むLC CDR3、(iv)配列番号7のアミノ酸配列、又は配列番号7と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号7の変異アミノ酸配列を含む重鎖(HC)CDR1;(v)配列番号8のアミノ酸配列、又は配列番号8と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号8の変異アミノ酸配列を含むHC CDR2、及び/或いは(vi)配列番号9のアミノ酸配列、又は配列番号9と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号9の変異アミノ酸配列を含むHC CDR3を含む。
【0020】
例示的な態様では、抗体組成物の各抗体は、配列番号10のアミノ酸配列、配列番号10と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1~10個のアミノ酸置換を有する配列番号10の変異アミノ酸配列を含むLC可変領域を含む。任意選択により、抗体組成物の各抗体は、配列番号11のアミノ酸配列、配列番号11と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1~10個のアミノ酸置換を有する配列番号11の変異アミノ酸配列を含むHC可変領域を含む。例示的な態様では、抗体組成物の各抗体は、配列番号12のアミノ酸配列、配列番号12と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1~10個のアミノ酸置換を有する配列番号12の変異アミノ酸配列を含む軽鎖を含む。例示的な事例では、抗体組成物の各抗体は、配列番号13のアミノ酸配列、配列番号13と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1~10個のアミノ酸置換を有する配列番号13の変異アミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0021】
例示的な態様では、腫瘍関連抗原は、配列番号14のアミノ酸配列を含む。14で示されるVH領域からなる群から選択されるVH領域を含むことも好ましい。例示的な態様では、抗体組成物の各抗体は、抗TNFα抗体であり、任意選択により、インフリキシマブ又はそのバイオシミラーである。例示的な態様では、抗体組成物の各抗体は、配列番号15のアミノ酸配列、配列番号15と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1~10個のアミノ酸置換を有する配列番号15の変異アミノ酸配列を含むLC可変領域を含む。任意選択により、抗体組成物の各抗体は、配列番号16のアミノ酸配列、配列番号16と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1~10個のアミノ酸置換を有する配列番号16の変異アミノ酸配列を含むHC可変領域を含む。
【0022】
本開示はさらに、目標ADCC%範囲内の抗体組成物を製造する方法を提供し、前記方法は、(i)抗体の様々なグリコフォームを含む一連のサンプルのADCC%を測定する工程、(ii)一連のサンプルのそれぞれについて総非フコシル化(TAF)グリカン%を決定する工程、(iii)一連の試料のそれぞれについて、工程(i)で測定されたADCC%を工程(ii)で決定されたTAFグリカン%の関数としてプロットするグラフの最良適合線の線形方程式を決定する工程、(iv)抗体組成物のTAF%を決定し、次いで工程(iii)の線形方程式を使用してADCC%を算出する工程、及び(v)工程(iv)で算出されたADCC%が目標ADCC%範囲内である場合に、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含む。
【0023】
TAFグリカン含量が目標範囲内である抗体組成物を製造する方法が提供され、前記方法は、(i)抗体の様々なグリコフォームを含む一連のサンプルのADCC活性レベルを測定する工程、(ii)一連のサンプルのそれぞれについてTAFグリカン%を決定する工程、(iii)ADCC活性レベルをTAFグリカン含量に相関させるモデルを作成する工程、(iv)抗体組成物のADCC活性レベルを決定し、次いで、モデルを使用してTAFグリカン含量を算出するか、又は抗体組成物のTAFグリカン含量を決定し、モデルを使用してADCC活性レベルを算出する工程、及び(v)工程(iv)で算出されたTAFグリカン含量がTAFグリカン含量の目標範囲内である場合、又は工程(iv)で算出されたADCC活性レベルがADCC活性レベルの目標範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含む。
【0024】
TAF%が目標範囲内である抗体組成物を製造する方法が提供され、前記方法は、(i)抗体の様々なグリコフォームを含む一連のサンプルのADCC%を測定する工程、(ii)一連のサンプルのそれぞれについて総非フコシル化(TAF)グリカン%を決定する工程、(iii)一連の試料のそれぞれについて、工程(i)で測定されたADCC%を工程(ii)で決定されたTAFグリカン%の関数としてプロットするグラフの最良適合線の線形方程式を決定する工程、(iv)抗体組成物のADCC%を決定し、次いで工程(iii)の線形方程式を使用してTAF%を算出する工程、及び(v)工程(iv)で算出されたTAF%が目標TAF%範囲内である場合に、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含む。また、目標TAF%範囲内の抗体組成物を製造する方法が提供され、この方法は、以下の工程を含む:(i)細胞培養条件下で製造された一連の少なくとも5つの参照抗体組成物のADCC%及びTAFグリカン%をプロットすることによって、最良適合線の線形方程式を生成する工程(各参照抗体組成物は、抗体組成物と同じアミノ酸配列を有する)、(ii)工程(i)で生成された線形方程式及び所望のADCC活性%に基づいて目標TAFグリカン%範囲を選択する工程、(iii)細胞培養条件下で抗体組成物を培養する工程、(iv)抗体組成物を精製する工程、(v)抗体組成物をサンプリングして、TAF%を決定する工程、及び(vi)抗体組成物のTAF%が工程(ii)の目標%TAF%範囲内であるかどうかを決定する工程。例示的な態様では、方法は、工程(v)で算出されたTAF%が目標TAF%範囲内である場合に、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程をさらに含む。
【0025】
また、抗体組成物の抗体依存性細胞傷害(ADCC)%を決定する方法が提供され、前記方法は、(i)抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン%を決定する工程、及び(ii)方程式A:
Y=2.6+24.1×X
[方程式A]
(式中、YはADCC%であり、Xは工程(i)で決定されたTAFグリカン%である)
を使用して、TAF%に基づいて抗体組成物のADCC%を算出する工程を含む。
【0026】
さらに、抗体組成物の抗体依存性細胞傷害(ADCC)%を決定する方法が提供され、前記方法は、(i)抗体組成物の高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%を決定する工程、並びに(ii)方程式B:
Y=(0.24+27×HM+22.1×AF)
[方程式B]
(式中、YはADCC%であり、HMは工程(i)で決定された高マンノースグリカン%であり、AFは工程(i)で決定された非フコシル化グリカン%である)
を使用して、高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%に基づいて抗体組成物のADCC%を算出する工程を含む。
【0027】
例示的な事例では、方法は、Yが目標ADCC%範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】3種類のN-グリカン(オリゴマンノース、複合型及びハイブリッド型)及びこのような糖類に対して一般的に使用されている記号の図解である。
図1B】例示的なグリカン構造の図解である。
図2A】代表的なグリカンマップクロマトグラム(フルスケールビュー)である。
図2B】代表的なグリカンマップクロマトグラム(拡大スケールビュー)である。
図3】実施例2に記載のNK92 ADCCアッセイの概略図である。
図4】NK92 ADCCアッセイの代表的な用量反応曲線である。各投与点は3反復の平均±標準偏差である。アッセイシグナル=蛍光
図5A-5B】[図5A]TAF(%)の関数としてプロットされた実ADCC(%)のグラフである。最良適合線が示されている。[図5B図5Aの最良適合線の統計的パラメータの表である。
図5C-5D】[図5C図5Bに示す予測方程式を用いて算出された予測ADCC(%)の関数としてプロットされた実ADCC(%)(実施例2に記載のアッセイによって決定)のグラフである。[図5D]95%信頼帯(灰色で陰影)を示す図5Aのグラフである。
図5E】方程式1のy切片及び傾きの両方についての95%信頼域のグラフを提供する。
図6A-6B】[図6A]HM(%)の関数としてプロットされた実ADCC(%)のグラフである。最良適合線が示されている。[図6B]AF(%)の関数としてプロットされた実ADCC(%)のグラフである。最良適合線が示されている。
図6C-6D】[図6A図6A及び6Bに示す最良適合線の統計的パラメータの表である。[図6D図6Cに示す予測方程式を用いて算出された予測ADCC(%)の関数としてプロットされた実ADCC(%)(実施例2に記載のアッセイによって決定)のグラフである。
図7A-7B】[図7A]ガラクトシル化(%)の関数としてプロットされた実ADCC(%)のグラフである。最良適合線が赤色で示されている。[図7B]ADCCとガラクトシル化とを相関させる予測方程式(図示せず)を用いて計算した予測ADCC(%)の関数としてプロットされた実ADCC(%)(実施例2に記載のアッセイにより決定)のグラフである。
図8A-8B】[図8A]TAF(%)の関数としてプロットされた実ADCC(%)のグラフである。最良適合線が示されている。[図8B図8Aの最良適合線の統計的パラメータの表である。
図8C-8D】[図8C図8Bに示す予測方程式を用いて算出された予測ADCC(%)の関数としてプロットされた実ADCC(%)(実施例2に記載されるアッセイによって決定)のグラフである。[図8D]95%信頼帯(灰色で陰影)を示す図8Aのグラフである。
図8E】方程式3のy切片及び傾きの両方についての95%信頼領域のグラフを示す。
図9A-9B】[図9A]HM(%)の関数としてプロットされた実ADCC(%)のグラフである。最良適合線が示されている。[図9B]AF(%)の関数としてプロットされた実ADCC(%)のグラフである。最良適合線が示されている。
図9C-9D】[図9C図9A及び9Bに示される最良適合線の統計的パラメータの表である。[図9D図9Cに示す予測方程式を用いて算出された予測ADCC(%)の関数としてプロットされた実際のADCC(%)(実施例2に記載されるアッセイによって決定)のグラフである。
図10A-10B】抗CD20抗体(図10A)及び抗TNFアルファ抗体(図10B)について、ADCC-HM/AFモデルのy切片なしの予測をADCC-TAFモデルのy切片なしの予測と相関させるグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
抗体組成物のADCCレベルとその抗体組成物のTAFグリカンレベルとの間の統計的に有意な関連性を示すデータが、本明細書において初めて提供される。また、抗体組成物のADCCレベルとその抗体組成物の高マンノースグリカン及び非フコシル化グリカンレベルとの間の統計的に有意な関連性を示すデータが、本明細書において初めて提供される。本明細書にさらに記載されるように、方程式A及び方程式Bは、抗体組成物のADCC%を、抗体組成物のTAFグリカン%(方程式A)又は高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%(方程式B)と関連付ける。本開示のこれらの関連性及び方程式などは、グリカンレベルに基づく抗体組成物のADCCのレベルを予測する方法に有用である。種々の態様では、予測ADCCレベルは、抗体組成物が治療閾値を満たすという点で許容可能であると確認され、したがって、1つ以上の下流の製造プロセス工程において使用されるべきものであるとする、或いは、抗体組成物は許容できないと確認され、そのような製造プロセスに進ませるべきではないとするマーカーとして役立つ。本明細書に開示される関連性及び方程式は、所望の抗体組成物の糖プロファイルを特定する際にもまた有用である。本明細書に示される関連性及び方程式を用い、そして目標ADCCレベルが与えられると、目標ADCCレベルを有する抗体組成物の糖プロファイル(例えば、TAFグリカン、HMグリカン、非フコシル化グリカンのプロファイル)が特定される。目標ADCCレベルを有する抗体組成物のTAFグリカン、HMグリカン、非フコシル化グリカンの特定されたプロファイルを用いて、その特定されたプロファイルを目標として、製造プロセス、例えば、細胞培養工程が実施され得る。
【0030】
したがって、本開示は、抗体組成物の製品品質を決定する方法であって、抗体組成物の許容基準の少なくとも1つは、ADCC活性レベルである方法を提供する。抗体組成物の製品品質をモニターする方法も提供される。本開示はさらに、抗体組成物を製造する方法を提供し、例えば、目標ADCC%を有する抗体組成物を製造する方法、目標ADCC%範囲内のADCC%又は特定されたADCC%を有する抗体組成物を製造する方法、及び目標TAF%範囲内の抗体組成物を製造する方法が本明細書において提供される。
【0031】
グリコシル化、グリカン、及びグリカン測定方法
多くの分泌タンパク質が、翻訳後グリコシル化され、このプロセスで、糖部分(例えば、グリカン、糖類)がタンパク質の特定のアミノ酸に共有結合される。真核細胞においては、次の2種類のグリコシル化反応が起こる:(1)グリカンが認識配列Asn-X-Thr/Ser(ここで、「X」はプロリン以外の任意のアミノ酸である)のアスパラギンに連結されるN結合型グリコシル化、及び(2)グリカンがセリン又はスレオニンに連結されるO結合型グリコシル化。グリコシル化のタイプ(N結合型又はO結合型)にかかわらず、各部位(O又はN)と結合されるグリカン構造は広範囲にわたるため、タンパク質グリコフォームには微小不均一性がある。
【0032】
全てのN-グリカンは、共通のコア糖配列:Manα1-6(Manα1-3)Manβ1-4GlcNAcβ1-4GlcNAcβ1-Asn-X-Ser/Thr(ManGlcNAcAsn)を有し、次の3つのタイプのうちの1つに分類される:(A)2個のN-アセチルグルコサミン(GluNAc)部分及び多数(例えば5、6、7、8又は9個)のマンノース(Man)残基からなる高マンノース(HM)又はオリゴマンノース(OM)型、(B)3個以上のGlcNAc部分及び任意の数の他の糖タイプを含む複合型、又は(C)分枝の一方にMan残基を、複合枝の基部にGlcNAcを含むハイブリッド型。図1A(Stanley et al.,Chapter 8:N-Glycans,Essentials of Glycobiology,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press;2009から得た)は、N-グリカンの3つのタイプを示す。
【0033】
N結合型グリカンは、一般的には、ガラクトース(Gal)、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、ガラクトサミン(GalN)、グルコース(GLc)、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、グルコサミン(GlcN)、マンノース(Man)、N-アセチルマンノサミン(ManNAc)、マンノサミン(ManN)、キシロース(Xyl)、N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)、N-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)、2-ケト-3-デオキシノノン酸(Kdn)、フコース(Fuc)、グルクロン酸(GLcA)、イズロン酸(IdoA)、ガラクツロン酸(GalA)、マヌロン酸(ManA)のうちの1つ以上の単糖類を含む。このような糖類に対して一般に使用されている記号を、図1Aに示す。例示的なグリカン及びそれらの個々の特性を図1Bに示す。
【0034】
N結合型グリコシル化は小胞体(ER)において開始され、複雑な一連の反応の結果、基本的に2個のGlcNAc残基及び3個のMan残基から作られるコアグリカン構造の連結が起こる。ERにおいて形成されたグリカン複合体は、ゴルジ装置において酵素の作用により修飾される。糖類が酵素に比較的接近しにくい場合、これは、一般的には元来のHM形態にとどまる。酵素が糖類に接近し得る場合、Man残基の多くは切り離され、糖類がさらに修飾され、その結果、複合型のN-グリカン構造が生じる。例えば、cis-ゴルジに位置するマンノシダーゼ-1は、HMグリカンを切断又は加水分解し得、一方、メディアル-ゴルジに位置するフコシルトランスフェラーゼFUT-8はグリカンをフコシル化する(Harue Imai-Nishiya(2007),BMC Biotechnology,7:84)。
【0035】
したがって、グリカン構造の糖組成及び構造立体配置は、とりわけ、ER及びゴルジ装置におけるグリコシル化機構、その機構の酵素のグリカン構造への到達性、各酵素の作用の順序及びタンパク質がグリコシル化機構から放出される段階に依って変動する。
【0036】
糖タンパク質含有組成物中に存在するグリカンを評価するため、又は糖タンパク質を含む特定のサンプルのグリコフォームプロファイル(例えば、グリコプロファイル)を決定、検出若しくは測定するために、様々な方法が当該技術分野で知られている。好適な方法としては、陽イオンMALDI-TOF分析、陰イオンMALDI-TOF分析、弱陰イオン交換(WAX)クロマトグラフィ、順相クロマトグラフィ(NP-HPLC)、エキソグリコシダーゼ消化、Bio-Gel P-4クロマトグラフィ、陰イオン交換クロマトグラフィ及び一次元n.m.r.分光法、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Mattu et al.,JBC 273:2260-2272(1998);Field et al.,Biochem J 299(Pt 1):261-275(1994);Yoo et al.,MAbs 2(3):320-334(2010)Wuhrer M.et al.,Journal of Chromatography B,2005,Vol.825,Issue 2,124-133頁;Ruhaak L.R.,Anal Bioanal Chem,2010,Vol.397:3457-3481及びGeoffrey,R.G.et.al.Analytical Biochemistry 1996,Vol.240,pages 210-226を参照されたい。また、本明細書中に示す実施例1に、糖タンパク質含有組成物、例えば、抗体組成物中に存在するグリカンを評価するのに好適な方法を記載する。実施例1の方法は、組成物のグリコシル化タンパク質、例えば、抗体組成物の抗体に結合したグリカンをタンパク質(例えば、抗体)から酵素により切断するアッセイを記載する。グリカンは続いて親水性相互作用液体クロマトグラフィ(HILIC)によって分離され、いくつかのピークを有するクロマトグラムが作成される。クロマトグラムの各ピークは、異なるグリカンの平均分布(量)を示す。異なるグリカンのピークを含む代表的なHILICクロマトグラムの2つの図を、図2A及び2Bに提供する。これらの目的のため、ピーク面積%=ピーク面積/総ピーク面積×100%、及び%総ピーク面積=サンプルの総面積/標準の総面積×100%。したがって、特定のグリカン(又はグリカンの群)のレベルを%として報告する。例えば、抗体組成物が30%のMan6レベルを有すると特徴付けられる場合、組成物の抗体から切断された全てのグリカンの30%がMan6であることを意味する。
【0037】
本明細書中に提示される関連性及び方程式を含む本開示は、抗体組成物の総非フコシル化グリカン、高マンノースグリカン、及び非フコシル化グリカンに関する。本明細書で使用される場合、「総非フコシル化グリカン」又は「TAFグリカン」は、高マンノース(HM)グリカン及び非フコシル化グリカンの合計量を指す。本明細書で使用される場合、「高マンノースグリカン」又は「HMグリカン」という用語は、それぞれMan5、Man6、Man7、Man8及びMan9と略称される、5、6、7、8又は9個のマンノース残基を含むグリカンを包含する。種々の態様では、HMグリカンのレベルは、Man5%、Man6%、Man7%、Man8%、及びMan9%を合計することによって得られる。本明細書で使用される場合、「非フコシル化グリカン」又は「AFグリカン」という用語は、コアフコース、例えば、N-グリコシル化部位のAsnとのアミド結合において含まれるGlcNAc残基上のα1,6-結合型フコースを欠くグリカンを指す。非フコシル化グリカンとしては、A1G0、A2G0、A2G1a、A2G1b、A2G2及びA1G1M5が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる非フコシル化グリカンとしては、例えば、A1G1a、G0[H3N4]、G0[H4N4]、G0[H5N4]、FO-N[H3N3]が挙げられる。例えば、Reusch and Tejada,Glycobiology 25(12):1325-1334(2015)を参照されたい。非フコシル化グリカンのレベルは、種々の態様では、A1G0%、A2G0%、A2G1A%、A2G1b%、A2G2、A1G1M5%、A1G1A%、G0[H3N4]%、G0[H4N4]%、G0[H5N4]%、及びFO-N[H3N3]%を合計することによって得られる。
【0038】
例示的な態様では、グリカンのレベル(例えば、任意選択により%で表されるグリカン含量、例えば、TAFグリカン%、HMグリカン%、AFグリカン%)は、糖タンパク質含有組成物中に存在するグリカンを評価するための、又は糖タンパク質を含む特定のサンプルのグリコフォームプロファイル(例えば、グリコプロファイル)を決定、検出又は測定するための、当該技術分野で知られている種々の方法のいずれかによって決定(例えば、測定)される。例示的な事例では、抗体組成物のグリカンレベル(例えば、TAFグリカン%、HMグリカン%、AFグリカン%)は、クロマトグラフィに基づく方法、例えば、HILICによって、抗体組成物のサンプル中のそのようなグリカンのレベルを測定することによって決定され、そのグリカンレベルは、本明細書に記載されるように、%で表される。例えば、実施例1を参照されたい。例示的な事例では、抗体組成物のグリカンレベルは、組成物の抗体から切断された全てのグリカンの%として表される。種々の局面において、TAFグリカン%は、高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%の合計を計算することによって決定され、高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%は親水性相互作用クロマトグラフィ(例えば、実施例1に記載の方法)によって決定される。種々の態様では、グリカンレベル(例えば、TAFグリカン%、HMグリカン%、AFグリカン%)は、抗体組成物のサンプル中のそのようなグリカンのレベルを測定することによって決定(例えば、測定)される。例示的な事例では、抗体組成物の少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、又は少なくとも9個のサンプルを採取し、各サンプルについて、グリカンレベル(例えば、TAFグリカン%、HMグリカン%、AFグリカン%)を決定(例えば、測定)する。種々の態様では、TAFグリカン%、HMグリカン%、及び/又はAFグリカン%の平均(mean)又は平均(average)が決定される。
【0039】
例示的な態様では、グリカンレベル(例えば、TAFグリカン%、HMグリカン%、AFグリカン%)は、本明細書でさらに説明されるように、方程式A又は方程式Bを使用して計算される。
【0040】
ADCC
本明細書に提示される関連性及び方程式を含む本開示は、抗体組成物のADCC活性レベル(例えば、ADCC%)に対する、抗体組成物の総非フコシル化グリカン%、又は高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%に関する。
【0041】
「ADCC」又は「抗体依存性細胞介在性細胞障害」又は「抗体依存性細胞傷害」という用語は、免疫系のエフェクター細胞(例えば、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、マクロファージ、好中球、好酸球)が、膜表面抗原に特定の抗体が結合している標的細胞を活発に溶解する機序を指す。ADCCは適応免疫反応の一部であり、抗原特異的抗体が(1)その抗原結合領域を介して標的細胞の膜表面抗原に結合し、且つ(2)そのFc領域を介してエフェクター細胞表面のFc受容体に結合したときに生じる。抗体のFc領域のFc受容体への結合は、エフェクター細胞に、(例えば、細胞溶解又は細胞脱顆粒を介して)標的細胞の死をもたらす細胞傷害性因子を放出させる。
【0042】
Fc受容体は、Bリンパ球、濾胞樹状細胞、NK細胞、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球、血小板、及び肥満細胞の表面にある受容体であり、抗体のFc領域に結合する。Fc受容体は、それらが結合する抗体のタイプに基づいて異なるクラスに分類される。例えば、Fcガンマ受容体はIgG抗体のFc領域に対する受容体であり、Fcアルファ受容体はIgA抗体のFc領域に対する受容体であり、Fcイプシロン受容体はIgE抗体のFc領域に対する受容体である。
【0043】
「FcγR」又は「Fc-ガンマ受容体」という用語は、オプソニン化された細胞又は微生物の食作用の誘導に関与するIgGスーパーファミリーに属するタンパク質である。例えば、Fridman WH.Fc receptors and immunoglobulin binding factors.FASEB Journal.5(12):2684-90(1991)を参照されたい。Fcガンマ受容体ファミリーのメンバーには、FcγRI(CD64)、FcγRIIA(CD32)、FcγRIIB(CD32)、FcγRIIIA(CD16a)及びFcγRIIIB(CD16b)が含まれる。FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA及びFcγRIIIBの配列は、多くの配列データベース、例えば、Uniprotデータベース(www.uniprot.org)のアクセッション番号P12314(FCGR1_HUMAN)、P12318(FCG2A_HUMAN)、P31994(FCG2B_HUMAN)、P08637(FCG3A_HUMAN)及びP08637(FCG3A_HUMAN)の下にそれぞれ見出すことができる。
【0044】
「ADCC活性」、「ADCCレベル」又は「ADCC活性レベル」は、ADCCが活性化されるか又は刺激される程度を指す。抗体組成物のADCCレベルを測定又は決定する方法(ADCCレベルを測定又は決定するための市販のアッセイ及びキットを含む)は、Yamashita et al.,Scientific Reports 6:article number 19772(2016),doi:10.1038/srep19772;Kantakamalakul et al.,“A novel EGFP-CEM-NKr flow cytometric method for measuring antibody dependent cell mediated-cytotoxicity(ADCC)activity in HIV-1 infected individuals”,J Immunol Methods 315(Issues 1-2):1-10;(2006);Gomez-Roman et al.,“A simplified method for the rapid fluorometric assessment of antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity”,J Immunol Methods 308(Issues 1-2):53-67(2006);Schnueriger et al.,:Development of a quantitative,cell-line based assay to measure ADCC activity mediated by therapeutic antibodies”,Molec Immunology 38(Issues 12-13):1512-1517(2011);及びMata et al.,“Effects of cryopreservation on effector cells for antibody dependent cell-mediated cytotoxicity(ADCC)and natural killer(NK)cell activity in51Cr-release and CD107a assays”,J Immunol Methods406:1-9(2014)(これらの文献は全てあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、当該技術分野でよく知られている。「ADCCアッセイ」又は「FcγRレポーター遺伝子アッセイ」という用語は、抗体のADCC活性の決定に有用なアッセイ、キット又は方法を指す。本明細書に記載の方法における抗体組成物のADCC活性を測定又は決定する例示的な方法には、実施例2に記載のADCCアッセイ、又はPromegaから市販されているADCCレポーターアッセイ(カタログ番号G7010及びG7018)が含まれる。いくつかの実施形態では、ADCC活性は、以下の1つ以上を含むカルセイン放出アッセイを使用して測定又は決定される:エフェクター細胞としてFcγRIIIa(158V)発現NK92(M1)細胞、及びカルセイン-AMで標識した標的細胞としてHCC2218細胞又はWIL2-S細胞。
【0045】
例示的な態様では、抗体組成物のADCCレベルは、抗体の抗原を発現し、抗体のFcドメインを介してエフェクター細胞上のFc-ガンマRIIIA受容体に関与する細胞において、用量依存的に細胞障害を媒介する抗体組成物の抗体の能力を測定する、定量的な細胞ベースのアッセイによって決定される。種々の実施形態では、この方法は、標的細胞がエフェクター細胞によって溶解されると放出される検出可能な標識を有する標的細胞の使用を含む。標的細胞から放出される検出可能な標識の量は、抗体組成物のADCC活性の尺度である。いくつかの態様では、標的細胞から放出される検出可能な標識の量は、ベースラインと比較される。また、ADCCレベルは、対照ADCC%に対するADCC%として報告され得る。種々の態様では、ADCC%は相対ADCC%であり、これは、任意選択で、コントロールADCC%に対して相対的である。種々の態様では、対照ADCC%は、参照抗体のADCC%である。種々の態様では、参照抗体はリツキシマブである。例示的な事例では、対照ADCC%が約60%~約130%の範囲内である。任意選択により、ADCC%は、実施例2に記載のアッセイによって決定される。
【0046】
本開示は、抗体組成物のADCC活性レベルに対する抗体組成物のTAFグリカン含量、HMグリカン含量、及び/又はAFグリカン含量に関する。本明細書で実証されるように、抗体組成物のTAFグリカン%、HMグリカン%、及び/又はAFグリカン%は、抗体組成物のADCC%活性に関連する。種々の態様では、TAFグリカン含量をADCC活性レベルに相関させる第1のモデルに基づいて、(a)ADCC活性レベルをTAFグリカン含量に基づいて計算する(例えば、TAFグリカン含量を測定する)か、又は(b)TAFグリカン含量をADCC活性レベルに基づいて計算する(例えば、ADCC活性レベルを測定する)。種々の例では、抗体組成物の特定の抗体が産生されるとすると、目標ADCC活性レベル又はADCC活性レベルの目標範囲は既知である。例えば、抗体は参照抗体のバイオシミラーであり得、目標ADCC活性レベル又はその範囲は参照抗体について知られている。例示的な態様では、目標TAFグリカン含量又はTAFグリカン含量の目標範囲は、第1のモデルに基づいて計算することができる。種々の例では、第1のモデルは線形回帰モデルである。種々の例では、第1のモデルは、y切片のない線形回帰モデルの単純化されたバージョンである。種々の態様では、ADCCとTAFグリカン含量を相関させる第1のモデルは、その低いp値によって実証されるように、統計的に有意である。種々の態様では、p値は0.0001未満である。
【0047】
種々の態様では、第1のモデルは、抗体組成物のADCC活性レベルを、抗体組成物中に存在する1%のTAFグリカン含量毎に約13.5%±0.5%と相関させる(任意選択により、抗体組成物の抗体は、1つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合する)。種々の態様では、第1のモデルは、抗体組成物のADCC活性レベルを、抗体組成物中に存在する1%のTAFグリカン含量毎に約24.74%±0.625%と相関させ、ここで、任意選択により、抗体組成物の抗体は、2つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合する。例示的な態様では、第1のモデルは、抗体組成物のADCC活性レベルを、抗体組成物中に存在する1%のTAFグリカン%含量毎に約12%±1.5%×Qと相関させる(ここで、Qは、抗原に存在する抗体結合部位の数である)。例示的な事例では、Qは1であり、任意選択で、抗体はインフリキシマブ又はそのバイオシミラーである。或いは、Qは2であり、任意選択で、抗体はリツキシマブ又はそのバイオシミラーである。
【0048】
種々の態様では、ADCC活性レベルの目標範囲は既知であるか、予め選択されているか、又は予め決定されており、第1のモデルは、ADCC活性レベルのこの目標範囲に基づいて、TAFグリカン含量の目標範囲の計算を可能にする。例示的な事例では、TAFグリカン含量の目標範囲はm~nである(ここで、mは[ADCCmin/12Q]であり、ADCCminは参照抗体のADCC活性レベルの目標範囲の最小であり、nは[ADCCmax]/12Q]であり、ADCCmaxは、参照抗体のADCC活性レベルの目標範囲の最大である)。種々の例では、Qは2である。種々の例では、第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルは、約24×TAF%である。種々の例では、TAFグリカン含量の目標範囲はm~nである(ここで、mは[ADCCmin/24]であり、nは[ADCCmax]/24である)。種々の例では、Qは1である。種々の態様では、第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルは、約12×TAF%である。種々の例では、TAFグリカン含量の目標範囲はm~nである(ここで、mは[ADCCmin/12]であり、nは[ADCCmax]/12である)。種々の態様では、TAFグリカン含量の目標範囲はm°~n°であり、ここで、m°は[[ADCCmin-y]/x]であり(ここで、ADCCminはADCC活性レベルの目標範囲の最小である)、n°は[[ADCCmax-y]/x]である(ここで、ADCCmaxはADCC活性レベルの目標範囲の最大である)。任意選択で、xは約20.4~約27.7であり、yは約-11.4~約16.7である。或いは、xは約9.7~約15.2であり、yは約-15.6~約34.2である。種々の態様では、TAFグリカン含量の目標範囲はm’~n’であり、ここで、m’は[ADCCmin/x’]であり(ここで、ADCCminはADCC活性レベルの目標範囲の最小である)、n’は[ADCCmax]/x’である(ここで、ADCCmaxはADCC活性レベルの目標範囲の最大である)。任意選択により、x’は約24.1~約25.4である。或いは、x’は約13.0~約13.95である。種々の例では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約13.5%±0.5%であり、ここで、任意選択により、抗体組成物の抗体は、1つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合する。種々の態様では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約24.74%±0.625%であり、ここで、任意選択により、抗体組成物の抗体は、2つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合する。例示的な態様では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約12%±1.5%×Qであり、Qは抗原上に存在する抗体結合部位の数である。例示的な事例では、参照抗体はインフリキシマブである。例示的な態様では、参照抗体はリツキシマブである。
【0049】
ADCC活性又はADCC%は、TAFグリカン%、HMグリカン%、及び/又はAFグリカン%を所与の抗体組成物のADCC%活性に関連付ける方程式を使用して算出することができる。種々の態様では、方程式は、TAFグリカン%をADCC%に関連付ける。例示的な態様では、方程式は、方程式A:
Y=2.6+24.1×X
[方程式A]
(式中、YはADCC%であり、XはTAFグリカン%である)
である。
【0050】
種々の例では、方程式は、HMグリカン%及びAFグリカン%を抗体組成物のADCC%に関連付ける。例示的な態様では、方程式は、方程式B:
Y=(0.24+27×HM+22.1×AF)
[方程式B]
(式中、YはADCC%であり、HMは高マンノースグリカン%であり、AFは非フコシル化グリカン%である)
である。
【0051】
例示的な態様では、方法は、TAFグリカン%を決定(例えば、測定)する工程を含み、この決定(例えば、測定)されたTAFグリカン%を使用して、方程式AによりADCC%を算出することができる。したがって、例示的な事例では、方法は、方程式Aを使用し、決定(例えば、測定)されたTAFグリカン%に基づいて抗体組成物のADCC%を算出する工程を含む。種々の態様では、このような方法で算出されたADCC%は、抗体組成物のADCC%を実験的に決定(例えば、測定)する必要がないために有用である。
【0052】
例示的な態様では、方法は、HMグリカン%及びAFグリカン%を決定(例えば、測定)する工程を含み、この決定(例えば、測定)されたHMグリカン%及びAFグリカン%を使用して、方程式BによりADCC%を算出することができる。したがって、例示的な事例では、方法は、方程式Bを使用し、決定(例えば、測定)されたHMグリカン%及びAFグリカン%に基づいて抗体組成物のADCC%を算出する工程を含む。種々の態様では、このような方法で算出されたADCC%は、抗体組成物のADCC%を実験的に決定(例えば、測定)する必要がないために有用である。
【0053】
種々の態様では、ADCC%及びTAFグリカン%、HMグリカン%、及び/又はAFグリカン%に関連する本明細書で開示される方程式は、例えば、方程式を使用してTAFグリカン%を決定し得るように、再表現することができる。例えば、方程式Aは、以下のように再表現することができる:
X=(Y-2.6)/24.1
(式中、YはADCC%であり、XはTAFグリカン%である)。
【0054】
或いは、方程式Bは、以下のように再表現することができる:
(Y-0.24)=27×HM+22.1×AF、又は
[(Y-0.24)-22.1×AF]/27=HM、又は
[(Y-0.24)-27×HM]/22.1=AF
(式中、YはADCC%であり、HMは高マンノースグリカン%であり、AFは非フコシル化グリカン%である)。
【0055】
例示的な事例では、ADCC%が決定(例えば、測定)され、この決定されたADCC%を再表現された方程式Aで使用することによって、決定されたADCC%に関連付けられたTAF%が算出され得る。方程式A及び決定されたADCC%を使用して算出されたTAF%は、特定のADCC%を達成するための目標TAF%を特定するのに有用である。また、例示的な態様では、ADCC%が決定(例えば、測定)され、この決定されたADCC%を再表現された方程式Bで使用することによって、HMグリカン%又はAFグリカン%が算出され得る。
【0056】
種々の態様では、ADCC%は目標ADCC%であり、この方法は、目標ADCCレベルを使用して目標TAFグリカン%を特定する。種々の態様において、この方法は、グリコシル化コンピテント細胞を細胞培養物中に維持して、方程式Aを使用して計算されるように、目標TAF%レベルを有する抗体組成物を製造する工程を含む。この方法は、抗体組成物が目標TAFレベルを達成すると、この抗体組成物を用いて1つ以上の下流プロセス工程を実行する工程を含み得る。種々の態様では、この方法は、任意選択により、抗体組成物の実TAF%を確認する工程を含む。
【0057】
種々の態様では、方法は、方程式Aを用いて決定されたTAFグリカン%を使用して算出されたY、又は式Bを用いて決定されたHMグリカン%及びAFグリカン%を使用して算出されたYが目標ADCC範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含む。
【0058】
製品品質を決定及び/又はモニターする方法
これらの相関関係に基づいて、抗体組成物の製品品質を決定及び/又はモニターすることができる。したがって、本開示は、本開示は、抗体組成物の製品品質を決定する方法であって、抗体組成物のADCC活性レベルが、抗体組成物の製品品質の基礎とする基準である方法を提供する。例示的な実施形態では、方法は、(i)抗体組成物のサンプルの総非フコシル化(TAF)グリカン含量を決定する工程;並びに(ii)(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内である場合に、製品品質を、許容できる、及び/又はADCC活性レベル基準を達成していると決定する工程を含む。例示的な態様では、TAFグリカン含量の目標範囲は、(1)参照抗体のADCC活性レベルの目標範囲、及び(2)抗体組成物のADCC活性レベルを抗体組成物のTAFグリカン含量と相関させる第1のモデルに基づく。例示的な態様では、第1のモデルによって予測されるADCCは第2のモデルによって予測されるADCCの約95%~約105%であり、ここで、第2のモデルは、抗体組成物のADCC活性レベルを、抗体組成物のHMグリカン含量及び抗体組成物のAFグリカン含量と相関させる。
【0059】
有利には、第1のモデルによって予測されるADCCは、第2のモデルによって予測されるADCCと統計的に有意に類似している。例えば、第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルは、第2のモデルによって予測されるADCC活性レベルの約95%~約105%である。第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルは、任意選択により、第2のモデルによって予測されるADCC活性レベルの約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、約101%、約102%、約103%、約104%、又は約105%である。第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルは、種々の例において、第2のモデルによって予測されるADCCの約100%である。特定の態様では、第1のモデルによって予測されるADCCと、第2のモデルによって予測されるADCCとの間に1対1の対応がある。種々の例では、第1のモデル及び/又は第2のモデルは、統計的に有意である。例えば、第1のモデルのp値は0.0001未満であり、且つ/又は第2のモデルのp値は0.0001未満である。任意選択で、第1のモデル及び第2のモデルのそれぞれは、0.0001未満のp値を有する。
【0060】
例示的な態様では、第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルは約12Q×TAF%である(ここで、Qは抗体が結合する抗原の抗体結合部位の数であり、TAF%は抗体組成物のTAFグリカン含量である)。例示的な事例では、TAFグリカン含量の目標範囲はm~nであり、ここで、mは[ADCCmin/12Q]であり(ここで、ADCCminは参照抗体のADCC活性レベルの目標範囲の最小である)、nは[ADCCmax]/12Qである(ここで、ADCCmaxは、参照抗体のADCC活性レベルの目標範囲の最大である)。種々の例では、Qは2である。種々の例では、第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルは、約24×TAF%である。種々の例では、TAFグリカン含量の目標範囲はm~nである(ここで、mは[ADCCmin/24]であり、nは[ADCCmax]/24である)。種々の例では、第2のモデルによって予測されるADCC活性レベルは約27×HM%+約22×AF%である(ここで、AF%は抗体組成物のAFグリカン含量であり、HM%は抗体組成物のHMグリカン含量である)。種々の例では、Qは1である。種々の態様では、第1のモデルによって予測されるADCC活性レベルは、約12×TAF%である。種々の例では、TAFグリカン含量の目標範囲はm~nである(ここで、mは[ADCCmin/12]であり、nは[ADCCmax]/12である)。種々の例では、第2のモデルによって予測されるADCC活性レベルは、約14.8×HM%+約12.8×AF%である。好適な代替の第1のモデル及び第2のモデルを本明細書に記載する。例示的な事例では、第1のモデルは、ADCCとTAFグリカン含量を相関させる本明細書に記載のモデル(例えば、式)の1つのいずれかであり、例えば、式1、3、5、及び7、並びに式Aが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な事例では、第2のモデルは、ADCCとHMグリカン含量及びAFグリカン含量とを相関させる本明細書に記載のモデル(例えば、式)の1つのいずれかであり、例えば、式2、4、6、及び8、並びに式Bが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、種々の態様では、TAFグリカン含量の目標範囲はm°~n°であり、ここで、m°は[[ADCCmin-y]/x]と定義され(ここで、ADCCminはADCC活性レベルの目標範囲の最小値である)、n°は[[ADCCmax-y]/x]と定義される(ここで、ADCCmaxはADCC活性レベルの目標範囲の最大値である)。任意選択で、xは約20.4~約27.7であり、yは約-11.4~約16.7である。或いは、xは約9.7~約15.2であり、yは約-15.6~約34.2である。種々の態様では、TAFグリカン含量の目標範囲はm’~n’であり、ここで、m’は[ADCCmin/x’]であり(ここで、ADCCminはADCC活性レベルの目標範囲の最小である)、n’は[ADCCmax]/x’である(ここで、ADCCmaxはADCC活性レベルの目標範囲の最大である)。任意選択により、x’は約24.1~約25.4である。或いは、x’は約13.0~約13.95である。種々の例では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約13.5%±0.5%であり、ここで、任意選択により、抗体組成物の抗体は、1つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合する。種々の態様では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約24.74%±0.625%であり、ここで、任意選択により、抗体組成物の抗体は、2つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合する。例示的な態様では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約12%±1.5%×Qであり、Qは抗原上に存在する抗体結合部位の数である。
【0061】
例示的な態様では、抗体は1つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合する。例示的な事例では、参照抗体はインフリキシマブである。例示的な態様では、抗体は2つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合する。例示的な態様では、参照抗体はリツキシマブである。
【0062】
例示的な態様では、方法は品質管理(QC)アッセイである。例示的な態様では、方法はインプロセスQCアッセイである。種々の態様では、サンプルは、インプロセス材料のサンプルである。種々の例では、TAFグリカン含量は、回収前又は回収後に決定される。例示的な事例では、TAFグリカン含量は、クロマトグラフィ工程後に決定される。任意選択により、クロマトグラフィ工程は、キャプチャークロマトグラフィ、中間クロマトグラフィ、及び/又は研磨クロマトグラフィを含む。いくつかの態様では、TAFグリカン含量は、ウイルス不活化及び中和、ウイルス濾過、又は緩衝液交換の後に決定される。種々の例では、方法は、ロットリリースアッセイである。いくつかの態様では、サンプルは、製造ロットのサンプルである。
【0063】
種々の態様では、方法は、(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内である場合、その抗体組成物を下流プロセスのために選択する工程をさらに含む。(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内でない場合、種々の態様では、細胞培養の1つ以上の条件を改変して、改変細胞培養物を得る。この方法は、いくつかの態様では、細胞培養の1つ以上の条件が改変された後に得られる抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程、例えば、改変された細胞培養物の抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程をさらに含む。種々の態様では、(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内でない場合、方法は、(iii)細胞培養の1つ以上の条件を改変して改変細胞培養物を得る工程、及び(iv)改変細胞培養物から得られる抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程をさらに含む。例示的な態様では、(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内でない場合、方法は、(iv)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内になるまで、(iii)及び(iv)をさらに含む。例示的な事例では、抗体組成物のADCC活性を直接測定するアッセイは、(i)において決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内でない場合、例えば目標範囲外である場合にのみ、抗体組成物に対して実施される。ADCC活性を直接測定するアッセイとしては、例えば、抗原発現細胞及びエフェクター細胞の両方に結合する抗体に結合するエフェクター細胞によって、検出可能な薬剤を含む抗原発現細胞の溶解時の検出可能な薬剤の放出を測定する細胞ベースのアッセイが挙げられる。例示的な事例では、抗体組成物のADCC活性を直接測定するアッセイは、抗体組成物に対して行われない。種々の態様では、TAFグリカン含量を決定する工程は、ADCC活性レベル基準に関する製品品質を決定するために必要とされる唯一の工程である。理論に束縛されるものではないが、第1のモデル及び第2のモデルの統計的に有意な相関は、TAFグリカン含量がADCC活性レベルを示すことを可能にし、したがってADCC活性レベルを直接測定するアッセイは必要とされない。したがって、抗体組成物のADCC活性レベルを直接測定することは必要でなくなり、このため本明細書に開示される方法の種々の態様では実施されない。
【0064】
方法は、種々の態様において、ADCC活動レベル基準に関して製品品質を決定する。種々の態様では、ADCC活性レベル基準は、抗体組成物の許容基準の1つである。本開示の方法は、種々の態様では、21 CFR 211.165に準じて、薬物製品のバッチが、承認及び販売の条件として、適切な規格及び適切な統計的品質管理基準のそれぞれを満たすことを保証することを目的とする。様々な態様では、製品品質を決定する本開示の方法は、適切な許容レベル及び/又は適切な拒絶レベルを含む統計的品質管理基準を満たす。「許容基準」、「ロット」及び「インプロセス」(これらに限定されない)を含む用語は、連邦規則集(CFR)第21章第210.3項に定義されるその意味に従う。
【0065】
本開示はまた、抗体組成物の製品品質をモニターする方法であって、抗体組成物のADCC活性レベルが、抗体組成物の製品品質の基礎とする基準である方法を提供する。例示的な実施形態では、方法は、本開示の方法にしたがって、第1の時点で得られた第1のサンプルと、第1の時点とは異なる第2の時点で採取された第2のサンプルとを用いて、抗体組成物の製品品質を決定する工程を含む。種々の例では、第1のサンプル及び第2のサンプルのそれぞれは、インプロセス材料のサンプルである。種々の態様では、第1のサンプルはインプロセス材料のサンプルであり、第2のサンプルは製造ロットのサンプルである。任意選択により、第1のサンプルは、細胞培養の1つ以上の条件を改変する前に得られるサンプルであり、第2のサンプルは、細胞培養の1つ以上の条件を改変した後に得られるサンプルである。例示的な事例では、TAFグリカン含量は、第1のサンプル及び第2のサンプルのそれぞれについて決定される。抗体組成物の製品品質を決定するため、及びTAFグリカン含量を決定するために、追加の試料を得ることができる。抗体組成物の製品品質は、TAFグリカン含量が目標範囲内であるかどうかに依存する。例示的な態様では、TAFグリカン含量の目標範囲は、(1)参照抗体のADCC活性レベルの目標範囲、及び(2)抗体組成物のADCC活性レベルを抗体組成物のTAFグリカン含量と相関させる第1のモデルに基づく。例示的な態様では、第1のモデルによって予測されるADCCは第2のモデルによって予測されるADCCの約95%~約105%であり、ここで、第2のモデルは、抗体組成物のADCC活性レベルを、抗体組成物のHMグリカン含量及び抗体組成物のAFグリカン含量と相関させる。
【0066】
抗体組成物を製造する方法
本開示は、抗体組成物を製造する方法を提供する。例示的な実施形態では、方法は、抗体組成物の製品品質を決定する工程を含み、ここで、抗体組成物の製品品質は、本開示の方法に従って決定される。任意選択により、方法は、抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程を含み、そのサンプルはインプロセス材料のサンプルである。種々の例では、方法は、(i)で決定されたTAFグリカン含量が本明細書で定義されているような目標範囲内である場合に、抗体組成物の製品品質を、許容できる、及び/又はADCC活性レベル基準を達成していると決定する工程を含む。例示的な態様では、TAFグリカン含量の目標範囲は、(1)参照抗体のADCC活性レベルの目標範囲、及び(2)抗体組成物のADCC活性レベルを抗体組成物のTAFグリカン含量と相関させる第1のモデルに基づく。例示的な態様では、第1のモデルによって予測されるADCCは第2のモデルによって予測されるADCCの約95%~約105%であり、ここで、第2のモデルは、抗体組成物のADCC活性レベルを、抗体組成物のHMグリカン含量及び抗体組成物のAFグリカン含量と相関させる。種々の態様では、(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内でない場合に、方法は、(iii)細胞培養の1つ以上の条件を改変して改変細胞培養物を得る工程、及び(iv)改変細胞培養物から得られる抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程をさらに含み、任意選択により、TAFグリカン含量が目標範囲内になるまで、工程(iii)及び工程(iv)を繰り返す。種々の例では、サンプルは、抗体組成物の抗体を発現する細胞を含む細胞培養物のサンプルである。種々の例では、細胞培養の1つ以上の条件は、TAFグリカン含量を改変するために改変される。種々の態様では、抗体組成物のTAFグリカン含量は、AFグリカン含量を改変することによって達成される。例示的な態様では、細胞培養の1つ以上の条件は、抗体組成物のAFグリカン含量を改変するために改変される。例示的な態様では、1つ以上の条件は、主にAFグリカン含量を改変する。種々の例では、1つ以上の条件はAFグリカン含量を改変し、HMグリカン含量を改変しない。例示的な態様では、方法は、抗体組成物のTAFグリカン含量がHMグリカン含量を改変することによって達成されることを含む。任意選択により、細胞培養の1つ以上の条件は、抗体組成物のHMグリカン含量を改変するために改変される。いくつかの例では、1つ以上の条件は、主にHMグリカン含量を改変する。いくつかの態様では、1つ以上の条件はHMグリカン含量を改変し、AFグリカン含量を改変しない。種々の例では、方法は、TAFグリカン含量が目標範囲内になるまで、非フコシル化(AF)グリカン含量の改変を繰り返す工程、及び/又は高マンノース(HM)グリカン含量の改変を繰り返す工程を含む。
【0067】
例示的な実施形態では、抗体組成物を製造する方法は、(i)抗体組成物のサンプルの総非フコシル化(TAF)グリカン含量を決定する工程;及び(ii)(i)で決定されたTAFグリカン含量に基づいて、下流プロセスのための抗体組成物を選択する工程を含む。種々の態様では、サンプルは、抗体組成物の抗体を発現する細胞を含む細胞培養物から採取される。種々の例では、方法は、抗体組成物のTAFグリカン含量を改変する工程、及び改変されたTAFグリカン含量を決定する工程をさらに含む。任意選択により、細胞培養の1つ以上の条件は、TAFグリカン含量を改変するために改変される。例示的な態様では、方法は、TAFグリカン含量が目標範囲内になるまで、改変を繰り返すことを含む。例示的な事例では、目標範囲は、抗体のADCC活性レベルの目標範囲に基づく。理論に束縛されるものではないが、TAFグリカン含量は抗体組成物のADCC活性レベルと相関し、したがって、抗体組成物のADCC活性レベルは抗体組成物のTAFグリカン含量に基づいて予測され得る。抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物を下流プロセスに選択すべきかどうかを決定する際に考慮する価値のある基準であり得る。したがって、種々の態様では、方法は、(i)抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程;(ii)(i)で決定されたTAFグリカン含量に基づいて、抗体組成物のADCC活性レベルを決定する工程;及び、任意選択により、(iii)(ii)で決定された抗体組成物のADCCレベルがADCC活性レベルの目標範囲内である場合に、その抗体組成物を下流プロセスのために選択する工程を含む。種々の態様では、ADCC活性レベルの目標範囲は、抗体組成物の抗体について知られている。抗体組成物の抗体は、種々の態様では、参照抗体のバイオシミラーである。種々の例では、TAFグリカン含量の目標範囲は、既知のADCC活性レベルの目標範囲に基づくか、又はそれに基づいて決定される(例えば、算出される)。したがって、例示的な態様では、方法は、(i)抗体組成物のサンプルのTAFグリカン含量を決定する工程;及び(ii)(i)で決定されたTAFグリカン含量が目標範囲内である場合、その抗体組成物を下流プロセスのために選択する工程を含む。方法が抗体組成物のTAFグリカン含量を改変する工程をさらに含む場合、方法は、種々の例では、非フコシル化(AF)グリカン含量を改変してTAFグリカン含量を改変する工程を含む。任意選択により、細胞培養の1つ以上の条件が抗体組成物のAFグリカン含量を改変するために改変され、これは次にTAFグリカン含量を改変する。或いは、又はさらに、方法が抗体組成物のTAFグリカン含量を改変する工程を含む場合、方法は、種々の例では、TAFグリカン含量を改変するために高マンノース(HM)グリカン含量を改変する工程を含む。任意選択により、細胞培養の1つ以上の条件が抗体組成物のHMグリカン含量を改変するために改変され、これは次にTAFグリカン含量を改変する。例示的な態様では、1つ以上の条件は、主にAFグリカン含量を改変する。例示的な事例では、1つ以上の条件は、主にHMグリカン含量を改変する。例示的な態様では、1つ以上の条件はAFグリカン含量を改変し、HMグリカン含量を改変しない。例示的な事例では、1つ以上の条件はHMグリカン含量を改変し、AFグリカン含量を改変しない。方法は、任意選択により、TAFグリカン含量が目標範囲内になるまで、非フコシル化(AF)グリカン含量の改変を繰り返す工程、及び/又は高マンノース(HM)グリカン含量の改変を繰り返す工程を含む。例示的な態様では、抗体組成物の抗体はIgG、任意選択によりIgGである。種々の態様では、TAFグリカン含量の目標範囲はm~nであり、ここで、mは[[ADCCmin-y]/x]であり(ここで、ADCCminはADCC活性レベルの目標範囲の最小である)、nは[[ADCCmax-y]/x]である(ここで、ADCCmaxはADCC活性レベルの目標範囲の最大である)。任意選択で、xは約20.4~約27.7であり、yは約-11.4~約16.7である。或いは、xは約9.7~約15.2であり、yは約-15.6~約34.2である。種々の態様では、TAFグリカン含量の目標範囲はm’~n’であり、ここで、m’は[ADCCmin/x’]であり(ここで、ADCCminはADCC活性レベルの目標範囲の最小である)、n’は[ADCCmax]/x’である(ここで、ADCCmaxはADCC活性レベルの目標範囲の最大である)。任意選択により、x’は約24.1~約25.4である。或いは、x’は約13.0~約13.95である。種々の例では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約13.5%±0.5%であり、任意選択により、抗体組成物の抗体は、1つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合する。種々の態様では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約24.74%±0.625%であり、ここで、任意選択により、抗体組成物の抗体は、2つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合する。例示的な態様では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約12%±1.5%×Qであり、Qは抗原上に存在する抗体結合部位の数である。例示的な事例では、Qは1であり、任意選択で、抗体はインフリキシマブ又はそのバイオシミラーである。任意選択で、Qは2であり、任意選択で、抗体はリツキシマブ又はそのバイオシミラーである。
【0068】
抗体組成物を製造する本開示の方法は、細胞培養物の細胞によって産生される抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン含量を改変する工程を含む。種々の例では、細胞培養の1つ以上の条件は、TAFグリカン含量を改変するために改変される。種々の態様では、方法は、改変されたTAFグリカン含量を決定する工程を含む。任意選択で、改変は、決定されたTAFグリカン含量がTAFの目標範囲内になるまで繰り返される。特定の理論に束縛されるものではないが、TAFグリカン含量は、それぞれがTAFグリカン含量に影響を及ぼすので、非フコシル化(AF)グリカン含量若しくは高マンノース(HM)含量、又はこれらの組み合わせを変化させることによって改変され得る。したがって、これらの方法は、有利なことに、複数の方法でTAFグリカン含量の目標範囲を達成することを可能にする。例えば、細胞培養の1つ以上の条件は、TAFグリカン含量を改変するために、AFグリカン含量を改変するように改変される。或いは、細胞培養の1つ以上の条件は、TAFグリカン含量を改変するために、HMグリカン含量を改変するように改変される。種々の例では、細胞培養の1つ以上の条件は、TAFグリカン含量を改変するために、AFグリカン含量及びHMグリカン含量を改変するように改変される。したがって、本開示はさらに、細胞培養物の細胞によって産生される抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン含量を改変する方法を提供する。例示的な実施形態では、方法は、AFグリカン含量を改変することを含む。例示的な実施形態では、方法は、HMグリカン含量を改変することを含む。種々の態様では、方法は、(i)抗体組成物のサンプルの非フコシル化(AF)グリカン含量及び高マンノース(HM)グリカン含量を決定する工程;(ii)HMグリカン含量が一定であると仮定して、抗体組成物の抗体のADCC活性レベルの目標範囲に基づいてAFグリカン含量の目標範囲を決定する工程;並びに(iii)AFグリカン含量がAFグリカン含量の目標範囲内である場合、その抗体組成物を下流プロセスのために選択する工程を含む。種々の例では、方法は、(i)抗体組成物のサンプルの非フコシル化(AF)グリカン含量及び高マンノース(HM)グリカン含量を決定する工程;(ii)AFグリカン含量が一定であると仮定して、抗体組成物の抗体のADCC活性レベルの目標範囲に基づいてHMグリカン含量の目標範囲を決定する工程;並びに(iii)HMグリカン含量がHMグリカン含量の目標範囲内である場合、その抗体組成物を下流プロセスのために選択する工程を含む。種々の例では、方法は、(i)抗体組成物のサンプルのAFグリカン含量及びHMグリカン含量を決定する工程、並びに(ii)(i)で決定されたHMグリカン含量に基づいてAFグリカン含量の目標範囲を決定する工程、並びに(iii)AFグリカン含量がAFグリカン含量の目標範囲内になるまでAFグリカン含量を改変する工程を含み、ここで、HMグリカン含量は改変されない。或いは、方法は、(i)抗体組成物のサンプルのAFグリカン含量及びHMグリカン含量を決定する工程、並びに(ii)(i)で決定されたAFグリカン含量に基づいてHMグリカン含量の目標範囲を決定する工程、並びに(iii)HMグリカン含量がHMグリカン含量の目標範囲内になるまでHMグリカン含量を改変する工程を含み、ここで、AFグリカン含量は改変されない。例示的な態様では、抗体組成物のADCC活性レベルを抗体組成物のTAFグリカン含量と相関させるモデルは、ADCCをHM及びAFグリカン含量と相関させるモデルによって予測されるレベルと実質的に同じADCC活性レベルを予測する。AFグリカン含量及び/又はHMグリカン含量を改変する好適な方法は、当該技術分野で知られている。例えば、国際公開第2019/191150号パンフレットは、抗体組成物の非フコシル化グリカンのレベルを改変する方法、及び抗体組成物の高マンノースグリカンのレベルを改変する方法を教示する。このような方法においては、細胞培養の1つ以上の条件、例えば、pH、フコース濃度、グルコース濃度は、AFグリカン及び/又はHMグリカンの所望のレベルを達成するように改変される。また、国際公開第2013/114164号パンフレット、国際公開第2016/089919号パンフレット、国際公開第2013/114245号パンフレット、国際公開第2015/128793号パンフレット及び国際公開第2013/114167号パンフレット、米国特許出願公開第2014/0356910号明細書、及びKonno et al.,Cytotech 64:249-265(2012)のそれぞれは、増加した脱フコシル化グリカンを得るための方法を教示する。
【0069】
例示的な実施形態では、抗体組成物を製造する方法は、(i)抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン%を決定する工程、(ii)方程式A:
Y=2.6+24.1×X
[方程式A]
(式中、YはADCC%であり、Xは工程(i)で決定されたTAFグリカン%である)
を使用して、TAF%に基づいて抗体組成物の抗体依存性細胞傷害(ADCC)%を算出する工程、及び
(iii)Yが目標ADCC%範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含む。
【0070】
例示的な実施形態では、抗体組成物を製造する方法は、(i)抗体組成物の高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%を決定する工程、(ii)方程式B:
Y=(0.24+27×HM+22.1×AF)
[方程式B]
(式中、YはADCC%であり、HMは工程(i)で決定された高マンノースグリカン%であり、AFは工程(i)で決定された非フコシル化グリカン%である)
を使用して、高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%に基づいて抗体組成物の抗体依存性細胞傷害(ADCC)%を算出する工程、並びに
(iii)Yが目標ADCC%範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含む。
【0071】
例示的な実施形態では、目標ADCC%を有する抗体組成物を製造する方法は、(i)方程式A:
Y=2.6+24.1×X
[方程式A]
(式中、Yは目標ADCC%であり、Xは目標TAFグリカン%である)
を使用して、目標ADCC%のための目標総非フコシル化(TAF)グリカン%を算出する工程、及び
(ii)目標TAFグリカン%、Xを有する抗体組成物を製造するために細胞培養物中のグリコシル化コンピテント細胞を維持する工程を含む。
【0072】
例示的な実施形態では、目標ADCC%を有する抗体組成物を製造する方法は、(i)式B:
Y=(0.24+27×HM+22.1×AF)
[方程式B]
(式中、Yは目標ADCC%であり、HMは目標高マンノースグリカン%であり、AFは目標非フコシル化グリカン%である)
を使用して、目標ADCC%のための目標非フコシル化グリカン%及び目標高マンノースグリカン%を算出する工程、並びに
並びに(iii)目標高マンノースグリカン%及び目標非フコシル化グリカン%を有する抗体組成物を製造するために細胞培養物中のグリコシル化コンピテント細胞を維持する工程を含む。
【0073】
例示的な態様では、目標ADCC%は、目標ADCC%範囲内である。任意選択で、目標ADCC%範囲は、約40以上約170又は約175未満である。例えば、目標ADCC%範囲は、約40~約175、約50~約175、約60~約175、約70~約175、約80~約175、約90~約175、約100~約175、約110~約175、約120~約175、約130~約175、約140~約175、約150~約175、約160~約175、若しくは約170~約175、又は約40~約170、約40~約160、約40~約150、約40~約140、約40~約130、約40~約120、約40~約110、約40~約100、約40~約90、約40~約80、約40~約70、約40~約60、若しくは約40~約50である。いくつかの態様では、目標ADCC%範囲は、約44以上約165未満(例えば、約45~約165、約50~約165、約60~約165、約100~約165、約45~約100、約45~約60、約100~約150、約100~約125、約125~約150)である。種々の例では、目標ADCC%範囲は、約60以上約130以下である。
【0074】
例示的な事例では、目標ADCC%範囲は、方程式A又は方程式BのYに依存する。例えば、いくつかの態様では目標ADCC%範囲はY±20、任意選択で、Y±17又はY±18である。いくつかの態様では、目標ADCC%範囲は、方程式AではY±17であり、方程式BではY±18である。
【0075】
目標ADCC%範囲は、抗体組成物について記載されるもののいずれか1つであり得る。例えば、組成物を参照されたい。
【0076】
例示的な実施形態では、さらに、任意選択で約40以上約170以下のADCC%、Yを有する抗体組成物を製造する方法は、(i)抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン%、Xを決定する工程、及び(ii)Xが(Y-2.6)/24.1に等しい場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含む。種々の態様では、Xは、約1.55以上約6.95未満、任意選択で、約1.6~約6.9、又は約1.6~約6.5、約1.6~約6.0、約1.6~約5.5、約1.6~約5.0、約1.6~約4.5、約1.6~約4.0、約1.6~約3.5、約1.6~約3.0、約1.6~約2.5、約1.6~約2.0、約2.0~約6.95、約2.5~約6.95、約3.0~約6.95、約3.5~約6.95、約4.0~約6.95、約4.5~約6.95、約5.0~約6.95、約5.5~約6.95、約6.0~約6.95、又は約6.5~約6.95である。種々の態様では、Yは約44以上約165以下であり、任意選択により、Xは約1.72~約6.74である。
【0077】
例示的な実施形態では、方法は、ADCC%、Yを有する抗体組成物を製造する方法であり、前記方法は、(i)抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン%、Xを決定する工程、及び(ii)Xが(Y-2.6)/24.1に等しい場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含み、ここで、任意選択により、Xは約X-0.4以上約X+0.4以下であり、ADCC%は約Y-17以上約Y+17である。種々の例では、XはX±0.3、X±0.2若しくはX±0.1であり、且つ/又はYはY±16、Y±15、Y±12、Y±9、Y±6、Y±3、Y±2若しくはY±1である。
【0078】
例示的な実施形態では、方法は、ADCC%を有する抗体組成物を製造する方法であり、前記方法は、(i)抗体組成物の非フコシル化グリカン%及び高マンノースグリカン%を決定する工程、並びに(ii)AF及びHMが方程式B:
Y=(0.24+27×HM+22.1×AF)
[方程式B]
(式中、YはADCC%であり、HMは工程(i)で決定された高マンノースグリカン%であり、AFは工程(i)で決定された非フコシル化グリカン%である)
に従ってYに関連している場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含む。
【0079】
例示的な事例では、Yは約40以上約175未満、又は本明細書に記載される任意の部分的範囲、任意選択で、約41~約171である。いくつかの態様では、AFは、約1~約4、又は約1~約3、又は約1~約2であり、HMは、約40~約175、又はその任意の部分的範囲である。任意選択により、Yは約30~約185、任意選択で約32~約180であり、HMは約1~約4であり、AFは約30~約185である。例示的な態様では、抗体組成物のADCC%はYによって規定される範囲内である。任意選択で、抗体組成物のADCC%は、Y±18の範囲内である。例示的な態様では、AFは約1~約4である。いくつかの態様では、高マンノースグリカン%はHMによって規定される範囲内の値であり、任意選択で、その範囲はHM±1である。任意選択で、HMは約1~約4である。いくつかの例では、非フコシル化グリカン%はAFによって規定される範囲内の値であり、任意選択で、その範囲はAF±1である。
【0080】
TAFグリカン含量が目標範囲内である抗体組成物を製造する方法が提供され、前記方法は、(i)抗体の様々なグリコフォームを含む一連のサンプルのADCC活性レベルを測定する工程、(ii)一連のサンプルのそれぞれについてTAFグリカン%を決定する工程、(iii)ADCC活性レベルをTAFグリカン含量に相関させるモデルを作成する工程、(iv)抗体組成物のADCC活性レベルを決定し、次いで、モデルを使用してTAFグリカン含量を算出するか、又は抗体組成物のTAFグリカン含量を決定し、モデルを使用してADCC活性レベルを算出する工程、及び(v)工程(iv)で算出されたTAFグリカン含量がTAFグリカン含量の目標範囲内である場合、又は工程(iv)で算出されたADCC活性レベルがADCC活性レベルの目標範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含む。いくつかの態様では、ADCC活性レベルは、基本的に実施例2に記載されるように測定される。いくつかの態様では、TAFグリカン含量は、基本的に実施例1に記載されるように測定される。モデルは、当該技術分野で知られている任意の方法によって作成することができる。種々の態様では、モデルは線形回帰モデルであり、基本的に実施例3及び/又は実施例5に記載されるように作成される。
【0081】
ADCC%が目標範囲内である抗体組成物を製造する方法が提供され、前記方法は、
i.抗体の様々なグリコフォームを含む一連のサンプルのADCC%を測定する工程、
ii.一連の各サンプルについて総非フコシル化(TAF)グリカン%を決定する工程、
iii.一連の各サンプルについて工程(i)で測定されたADCC%を工程(ii)で決定されたTAFグリカン%の関数としてプロットするグラフの最良適合線の線形方程式を決定する工程、
iv.抗体組成物のTAF%を決定し、次いで、工程(iii)の線形方程式を用いてADCC%を算出する工程、及び
v.工程(iv)で算出されたADCC%が目標ADCC%範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程
を含む。
【0082】
また、TAF%が目標範囲内である抗体組成物を製造する方法が提供され、前記方法は、
i.抗体の様々なグリコフォームを含む一連のサンプルのADCC%を測定する工程、
ii.一連の各サンプルについて総非フコシル化(TAF)グリカン%を決定する工程、
ii.一連の各サンプルについて総非フコシル化(TAF)グリカン%を決定する工程、
iii.一連の各サンプルについて工程(i)で測定されたADCC%を(ii)で決定されたTAFグリカン%の関数としてプロットするグラフの最良適合線の線形方程式を決定する工程、
iv.抗体組成物のADCC%を決定し、次いで、工程(iii)の線形方程式を用いてTAF%を算出する工程、及び
v.工程(iv)で算出されたTAF%が目標TAF%範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程
を含む。
【0083】
最初の3つの工程を実施する例示的な方法は、実施例3においてさらに詳細に記載する。
【0084】
本開示はさらに、TAFグリカン含量が目標範囲内である抗体組成物を製造する方法であって、TAFグリカン含量の目標範囲を決定する工程、及びTAFグリカン含量がTAFグリカン含量の目標範囲内である場合に、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程を含む方法を提供する。種々の態様では、TAFグリカン含量の目標範囲はm~nであり、ここで、mは[[ADCCmin-y]/x]であり(ここで、ADCCminはADCC活性レベルの目標範囲の最小である)、nは[[ADCCmax-y]/x]である(ここで、ADCCmaxはADCC活性レベルの目標範囲の最大である)。任意選択で、xは約20.4~約27.7であり、yは約-11.4~約16.7である。或いは、xは約9.7~約15.2であり、yは約-15.6~約34.2である。種々の態様では、TAFグリカン含量の目標範囲はm’~n’であり、ここで、m’は[ADCCmin/x’]であり(ここで、ADCCminはADCC活性レベルの目標範囲の最小である)、n’は[ADCCmax]/x’である(ここで、ADCCmaxはADCC活性レベルの目標範囲の最大である)。任意選択により、x’は約24.1~約25.4である。或いは、x’は約13.0~約13.95である。
【0085】
本開示はさらに、TAF%が目標範囲内である抗体組成物を製造する方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:(i)細胞培養条件下で製造された一連の少なくとも5つの参照抗体組成物のADCC%及びTAFグリカン%をプロットすることによって、最良適合グラフの線形方程式を生成する工程(各参照抗体組成物は、抗体組成物と同じアミノ酸配列を有する)、(ii)工程(i)で生成された線形方程式及び所望のADCC活性%に基づいて目標TAFグリカン%範囲を選択する工程、(iii)細胞培養条件下で抗体組成物を培養する工程、(iv)抗体組成物を精製する工程、(v)抗体組成物をサンプリングして、TAF%を決定する工程、及び(vi)抗体組成物のTAF%が工程(ii)の目標TAF%範囲内であるかどうかを決定する工程。例示的な態様では、方法は、工程(v)で算出されたTAF%が目標TAF%範囲内である場合に、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程をさらに含む。
【0086】
本開示はまた、抗体組成物の抗体依存性細胞傷害(ADCC)%を決定する方法を提供する。
【0087】
例示的な実施形態では、方法は、
i.抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン%を決定する工程、
ii.方程式A:
Y=2.6+24.1×X
[方程式A]
(式中、YはADCC%であり、Xは工程(i)で決定されたTAFグリカン%である)
を使用して、TAF%に基づいて抗体組成物のADCC%を算出する工程
を含む。
【0088】
抗体組成物の抗体依存性細胞傷害(ADCC)%を決定する方法がさらに提供される。例示的な実施形態では、前記方法は、
i.抗体組成物の高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%を決定する工程、
ii.方程式B:
Y=(0.24+27×HM+22.1×AF)
[方程式B]
(式中、YはADCC%であり、HMは工程(i)で決定された高マンノースグリカン%であり、AFは工程(i)で決定された非フコシル化グリカン%である)
を使用して、高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%に基づいて抗体組成物のADCC%を算出する工程
を含む。
【0089】
種々の態様では、この方法は、Yが目標ADCC%範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程をさらに含む。
【0090】
プロセス工程
総非フコシル化(TAF)グリカン%、高マンノースグリカン%、及び/又は非フコシル化グリカン%を決定(例えば、測定)して、抗体組成物の抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)%についてより十分な情報を提供する。決定工程(例えば、測定工程)は、製造中の任意の工程で行うことができる。特に、測定は、回収前又は回収後、キャプチャークロマトグラフィ、中間クロマトグラフィ、及び/若しくはポリッシュクロマトグラフィ単位操作;ウイルスの不活化及び中和、ウイルス濾過;並びに/又は最終製剤化を含む、任意のクロマトグラフィ単位操作などに続く下流プロセス中の任意の段階で、行うことができる。種々の態様では、総非フコシル化(TAF)グリカン%、高マンノースグリカン%、及び/又は非フコシル化グリカン%はリアルタイム、準リアルタイム、及び/又は事後に決定(例えば、測定)される。モニタリング及び測定は、既知の手法及び市販の装置を使用して行うことができる。
【0091】
本開示の種々の態様において、総非フコシル化(TAF)グリカン%、高マンノースグリカン%、及び/又は非フコシル化グリカン%を決定(例えば、測定)する工程は、回収工程の後に行われる。本明細書で使用される場合、用語「回収する(harvest)」は、目的の組換えタンパク質を含有する細胞培養培地が収集され、細胞培養物の少なくとも細胞から分離される工程を指す。回収は連続的に行うことができる。いくつかの態様では、回収は、遠心分離を使用して行われ、沈殿、濾過などをさらに含み得る。種々の態様では、決定工程は、クロマトグラフィ工程後、任意選択でプロテインAクロマトグラフィ後に行われる。種々の態様では、決定工程は、回収後、及びクロマトグラフィ工程後、任意選択でプロテインAクロマトグラフィ工程後に行われる。
【0092】
本開示の方法に関して、抗体組成物は、種々の態様では、さらなるプロセス工程、例えば、1つ以上の下流プロセス工程のために選択され、この選択は特定のパラメータ、例えば、ADCC%、%総非フコシル化(TAF)グリカン、高マンノースグリカン%、及び/又は非フコシル化グリカン%に基づく。種々の例では、本明細書に開示される方法は、特定のパラメータ、例えば、ADCC%、総非フコシル化(TAF)グリカン%、高マンノースグリカン%、及び/又は非フコシル化グリカン%に基づいて、さらなるプロセス工程、例えば、1つ以上の下流プロセス工程において、抗体組成物を使用する工程を含む。種々の例では、本明細書に開示される方法は、特定のパラメータ、例えば、ADCC%、総非フコシル化(TAF)グリカン%、高マンノースグリカン%、及び/又は非フコシル化グリカン%に基づく抗体組成物を用いて、さらなるプロセス工程、例えば、1つ以上の下流プロセス工程を行う工程を含む。
【0093】
例示的な事例では、1つ以上の下流プロセス工程は、総非フコシル化(TAF)グリカン%、高マンノースグリカン%、及び/又は非フコシル化グリカン%を決定(例えば、測定)するプロセス工程の後に(又は、その下流で)行われる任意のプロセス工程である。 例えば、総非フコシル化(TAF)グリカン%、高マンノースグリカン%、及び/又は非フコシル化グリカン%が回収時に決定(例えば、測定)された場合、1つ以上の下流プロセス工程は回収工程の後に(又は、その下流で)行われる任意のプロセス工程であり、種々の態様では、以下を含む:希釈工程、充填工程、濾過工程、製剤化工程、クロマトグラフィ工程、ウイルス濾過工程、ウイルス不活化工程、又はこれらの組み合わせ。また、例えば、総非フコシル化(TAF)グリカン%、高マンノースグリカン%、及び/又は非フコシル化グリカン%がクロマトグラフィ工程後、例えば、プロテインAクロマトグラフィ後に決定(例えば、測定)された場合、1つ以上の下流プロセス工程はそのクロマトグラフィ工程後に(又は、その下流で)行われる任意のプロセス工程であり、種々の態様では、以下を含む:希釈工程、充填工程、濾過工程、製剤化工程、さらなるクロマトグラフィ工程、ウイルス濾過工程、ウイルス不活化工程、又はこれらの組み合わせ。例示的な事例では、さらなるクロマトグラフィ工程は、イオン交換クロマトグラフィ工程(例えば、陽イオン交換クロマトグラフィ工程又は陰イオン交換クロマトグラフィ工程)である。
【0094】
下流のプロセス中に使用されるクロマトグラフィの段階/タイプには、他のタンパク質、凝集体、DNA、ウイルス及び他のそのような不純物から組換え産物を分離するために使用されるキャプチャークロマトグラフィ又はアフィニティークロマトグラフィが含まれる。例示的な事例では、最初のクロマトグラフィ工程はプロテインA(例えば、樹脂に結合したプロテインA)を用いて実施される。種々の態様では、中間及びポリッシュクロマトグラフィは、組換えタンパク質をさらに精製し、バルク汚染物質、外来性ウイルス、微量不純物、凝集体、アイソフォームなどを除去する。クロマトグラフィは、目的の組換えタンパク質がクロマトグラフィ媒体に結合し、不純物が流れる結合及び溶出モード、又は不純物が結合し、組換えタンパク質が流れるフロースルーモードで行うことができる。このようなクロマトグラフィ方法の例としては、陰イオン交換クロマトグラフィ(AEX)及び陽イオン交換クロマトグラフィ(CEX)などのイオン交換クロマトグラフィ(IEX);疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC);混合様式又は多様式クロマトグラフィ(MM)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ(HA);逆相クロマトグラフィ及びゲル濾過が挙げられる。
【0095】
種々の態様では、下流工程は、ウイルス不活性化工程である。エンベロープウイルスは、リポタンパク質膜又は「エンベロープ」で囲まれたカプシドを有し、したがって、不活化を受けやすい。種々の例では、ウイルス不活化工程として、熱不活化/低温殺菌、pH不活化、UV及びガンマ線照射、高強度広域スペクトル白色光の使用、化学不活化剤の添加、界面活性物質、及び溶媒/界面活性剤処理が挙げられる。
【0096】
種々の態様では、下流工程はウイルス濾過工程である。種々の態様では、ウイルス濾過工程は、ノンエンベロープウイルスを除去する工程を含む。種々の態様では、ウイルス濾過工程は、マイクロフィルター又はナノフィルターの使用を含む。
【0097】
種々の態様では、下流プロセス工程は、1つ以上の製剤化工程を含む。種々の態様では、クロマトグラフィ工程の完了後、精製された組換えタンパク質は、製剤化バッファにバッファ交換される。例示的な態様では、バッファ交換は、限外濾過及びダイアフィルトレーション(UF/DF)を使用して行われる。例示的な態様では、組換えタンパク質は、ダイアフィルトレーションを用いて所望の製剤化バッファにバッファ交換され、限外濾過を用いて所望の最終製剤濃度に濃縮される。種々の態様では、UF/DF製剤化工程に続いて、さらなる安定性増強賦形剤が添加される。
【0098】
組換えグリコシル化タンパク質
本開示の方法は、組換えグリコシル化タンパク質を含む組成物に関する。種々の態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、式:
Asn-Xaa-Xaa
(式中、XaaはProを除く任意のアミノ酸であり、XaaはSer又はThrである)
の1つ以上のN-グリコシル化コンセンサス配列を含むアミノ酸配列を含む。
【0099】
例示的な実施形態では、組換えグリコシル化タンパク質は、結晶性断片(Fc)ポリペプチドを含む。「Fcポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、抗体のFc領域由来のポリペプチドの天然及びムテイン形態を含む。二量体化を促進するヒンジ領域を含有するこのようなポリペプチドのトランケート型も含まれる。Fc部分(及びそれから形成されるオリゴマー)を含む融合タンパク質は、プロテインA又はプロテインGカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィによる容易な精製の長所をもたらす。例示的な実施形態では、組換えグリコシル化タンパク質は、IgG、例えば、ヒトIgGのFcを含む。例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、IgG1又はIgG2のFcを含む。例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、抗体、抗体タンパク質生成物、ペプチボディ、又はFc-融合タンパク質である。
【0100】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は抗体である。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、重鎖及び軽鎖を含み、且つ可変領域及び定常領域を含む、従来の免疫グロブリン型を有するタンパク質を指す。例えば、抗体は、ポリペプチド鎖の2つの同一のペアからなるの「Y型」構造であるIgGであり得、各ペアは、1本の「軽」鎖(一般的には分子量が約25kDa)及び1本の「重」鎖(一般的には分子量が約50~70kDa)を有する。抗体は、可変領域及び定常領域を有する。IgG構造では、可変領域は、一般に約100~110個以上のアミノ酸であり、3つの相補性決定領域(CDR)を含み、主に抗原認識に関与し、異なる抗原に結合する他の抗体間において実質的に異なる。例えば、Janeway et al.,“Structure of the Antibody Molecule and the Immunoglobulin Genes”,Immunobiology:The Immune System in Health and Disease,4th ed.Elsevier Science Ltd./Garland Publishing,(1999)を参照されたい。
【0101】
簡潔に説明すると、抗体の骨格において、CDRは、重鎖及び軽鎖の可変領域中のフレームワーク内に埋め込まれており、そこで抗原結合及び抗原認識に大きい役割を果たす領域を構成する。可変領域は、少なくとも3つの重鎖又は軽鎖のCDRを含み(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Public Health Service N.I.H.,Bethesda,Md.;Chothia and Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901-917;Chothia et al.,1989,Nature 342:877-883も参照されたい)、これらは、フレームワーク領域(Kabat et al.,1991によりフレームワーク領域1~4、FR1、FR2、FR3及びFR4と呼ばれている;Chothia and Lesk,1987、前掲も参照されたい)内にある。
【0102】
ヒト軽鎖は、カッパ及びラムダ軽鎖として分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ又はイプシロンに分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA及びIgEと定義する。IgGはいくつかのサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4が挙げられるが、これらに限定されない)を有する。IgMはサブクラス(例えば、IgM1及びIgM2が挙げられるが、これらに限定されない)を有する。本開示の実施形態は、抗体の全てのこのようなクラス又はアイソタイプを含む。軽鎖定常領域は、例えば、カッパ型又はラムダ型の軽鎖定常領域、例えばヒトカッパ型又はヒトラムダ型の軽鎖定常領域であり得る。重鎖定常領域は、例えば、アルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型又はミュー型の重鎖定常領域、例えばヒトアルファ型、ヒトデルタ型、ヒトイプシロン型、ヒトガンマ型又はヒトミュー型の重鎖定常領域であり得る。したがって、例示的な実施形態では、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のいずれか1つを含むアイソタイプIgA、IgD、IgE、IgG又はIgMの抗体である。
【0103】
種々の態様では、抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であり得る。例示的な事例では、抗体は、哺乳動物抗体、例えば、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ヤギ抗体、ウマ抗体、ニワトリ抗体、ハムスター抗体、ブタ抗体、ヒト抗体などである。特定の態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、モノクローナルヒト抗体である。
【0104】
抗体は、種々の態様では、例えば、パパイン及びペプシンなどの酵素により断片へ切断される。パパインは、抗体を切断して、2個のFab断片及び1個のFc断片を生じる。ペプシンは、抗体を切断して、F(ab’)断片及びpFc’断片を生じる。例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、少なくとも1個のグリコシル化部位を保持する抗体断片、例えば、Fab、Fc、F(ab’)又はpFc’である。本開示の方法に関して、抗体は、抗体のある特定の部分を欠く場合があり、抗体断片であってもよい。種々の態様では、抗体断片は、グリコシル化部位を含む。いくつかの態様では、断片は、真核細胞において翻訳後修飾によりグリコシル化される抗体のFc領域の少なくとも一部を含む「グリコシル化Fc断片」である。種々の例では、組換えグリコシル化タンパク質はグリコシル化Fc断片である。
【0105】
少なくとも又は約12~150kDaの分子量範囲及び単量体(n=1)、二量体(n=2)及び三量体(n=3)から四量体(n=4)及び場合によってはそれより高い結合価(n)範囲に広がる代替的な抗体形式の範囲を増大させるために抗体の構造が利用されており、このような代替的な抗体形式は、本明細書では「抗体タンパク質生成物」又は「抗体結合タンパク質」と呼ばれる。
【0106】
抗体タンパク質生成物は、完全な抗原結合能を保持する、抗体断片、例えば、scFv、Fab及びVHH/VHに基づく抗原結合形式であってもよい。その完全な抗原結合部位を保持する最小の抗原結合断片はFv断片であり、これは完全に可変(V)領域からなる。可溶性で柔軟なアミノ酸ペプチドリンカーを使用して、V領域をscFv(単鎖可変断片)断片に連結させて分子を安定化させるか、又は定常(C)ドメインをV領域に加えて、Fab断片[断片、抗原結合性]を生成する。scFv及びFabの両方は、原核宿主において容易に作製され得る広く使用される断片である。他の抗体タンパク質生成物としては、オリゴマー化ドメインに連結されるscFvからなる異なる形式を含むダイアボディ、トリアボディ及びテトラボディ又はミニボディ(ミニAb)のようなジスルフィド結合で安定化されるscFv(ds-scFv)、単鎖Fab(scFab)並びに二量体及び多量体抗体形式が挙げられる。最小の断片は、ラクダ類重鎖Ab及び単一ドメインAb(sdAb)のVHH/VHである。新規の抗体型を作製するために最も頻繁に使用される構築ブロックは、約15個のアミノ酸残基のペプチドリンカーにより連結された重鎖及び軽鎖由来のVドメイン(VHドメイン及びVLドメイン)を含む単鎖可変(V)ドメイン抗体断片(scFv)である。ペプチボディ又はペプチド-Fc融合体は、さらに別の抗体タンパク質生成物である。ペプチボディの構造は、Fcドメインにグラフトされた生物学的に活性なペプチドからなる。ペプチボディは、当該技術分野で十分に説明されている。例えば、Shimamoto et al.,mAbs 4(5):586-591(2012)を参照されたい。
【0107】
他の抗体タンパク質生成物としては、単鎖抗体(SCA)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ及び二重特異性抗体又は三重特異性抗体などが挙げられる。二重特異性抗体は、次の5つの主要なクラスに分類され得る:BsIgG、付加IgG、BsAb断片、二重特異性融合タンパク質及びBsAbコンジュゲート。例えば、Spiess et al.,Molecular Immunology 67(2)Part A:97-106(2015)を参照されたい。
【0108】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、これらの抗体タンパク質生成物(例えば、scFv、Fab VHH/VH、Fv断片、ds-scFv、scFab、二量体抗体、多量体抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、ミニAb、ラクダ科動物の重鎖抗体のペプチボディVHH/VH、sdAb、ダイアボディ;トリアボディ;テトラボディ;二重特異性又は三重特異性抗体、BsIgG、付加IgG、BsAb断片、二重特異性融合タンパク質、及びBsAbコンジュゲート)のいずれか1つを含み、且つ1つ以上のN-グリコシル化コンセンサス配列、任意選択により、1つ以上のFcポリペプチドを含む。種々の態様では、抗体断片は、グリコシル化部位を含む。例示的な態様では、抗体タンパク質生成物は、抗体結合断片にコンジュゲートされたグリコシル化Fc断片(「グリコシル化Fc断片抗体生成物」)であってもよい。
【0109】
組換えグリコシル化タンパク質は、単量体形態、又は重合体、オリゴマー、若しくは多量体形態の抗体タンパク質生成物であり得る。抗体が2つ以上の個別の抗原結合領域断片を含む特定の実施形態では、抗体は、抗体により認識され、結合される個別のエピトープの数に依って、二重特異性、三重特異性若しくは多重特異性、又は二価、三価若しくは多価とみなされる。
【0110】
種々の態様では、組換えグリコシル化タンパク質は、キメラ抗体又はヒト化抗体である。「キメラ抗体」という用語は、本明細書では、ある1つの種由来の定常ドメイン及び第2の種由来の可変ドメインを含有するか、又はより一般には少なくとも2種由来のアミノ酸配列のストレッチを含有する抗体を指すために使用される。「ヒト化」という用語は、抗体に関して使用される場合、元の起源の抗体よりも真のヒト抗体と類似している構造及び免疫学的機能を有するように操作されている非ヒト起源由来の少なくともCDR領域を有する抗体を指す。例えば、ヒト化は、マウス抗体などの非ヒト抗体由来のCDRをヒト抗体に移植することを含み得る。ヒト化はまた、非ヒト配列をよりヒト配列に見えるようにするためのアミノ酸置換の選択を含み得る。
【0111】
例示的な態様では、抗体組成物の抗体は1つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合し、任意選択で、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約13.5%±0.5%である。種々の態様では、抗体組成物の抗体は2つの抗体結合部位のみを含む抗原に結合し、任意選択で、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAF毎に約24.74%±0.625%である。例示的な態様では、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%TAF毎に約12%±1.5%×Qであり、Qは、抗原上に存在する抗体結合部位の数である。例示的な事例では、Qは1であり、任意選択で、抗体はインフリキシマブ又はそのバイオシミラーである。任意選択で、Qは2であり、任意選択で、抗体はリツキシマブ又はそのバイオシミラーである。種々の態様では、Qは3であり、したがって、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAFグリカン含量毎に約36%~約40.5%である。また、いくつかの例では、Qは4であり、したがって、抗体組成物のADCC活性レベルは、抗体組成物中に存在する1%のTAFグリカン含量毎に約48%~約54%である。
【0112】
有利には、本方法は、抗体、グリコシル化Fc断片、抗体タンパク質生成物、キメラ抗体、又はヒト化抗体の抗原特異性に限定されない。したがって、抗体、グリコシル化Fc断片、抗体タンパク質生成物、キメラ抗体、又はヒト化抗体は、実質的に任意の抗原に対して任意の結合特異性を有する。例示的な態様では、抗体は、ホルモン、増殖因子、サイトカイン、細胞表面受容体又はその任意のリガンドに結合する。例示的な態様では、抗体は、免疫細胞の細胞表面に発現するタンパク質に結合する。例示的な態様では、抗体は、CD1a、CD1b、CD1c、CD1d、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD9、CD10、CD11A、CD11B、CD11C、CDw12、CD13、CD14、CD15、CD15s、CD16、CDw17、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD28、CD29、CD30、CD31,CD32、CD33、CD34、CD35、CD36、CD37、CD38、CD39、CD40、CD41、CD42a、CD42b、CD42c、CD42d、CD43、CD44、CD45、CD45RO、CD45RA、CD45RB、CD46、CD47、CD48、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD49e、CD49f、CD50、CD51、CD52、CD53、CD54、CD55、CD56、CD57、CD58、CD59、CDw60、CD61、CD62E、CD62L、CD62P、CD63、CD64、CD65、CD66a、CD66b、CD66c、CD66d、CD66e、CD66f、CD68、CD69、CD70、CD71、CD72、CD73、CD74、CD75、CD76、CD79α、CD79β、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85、CD86、CD87、CD88、CD89、CD90、CD91、CDw92、CD93、CD94、CD95、CD96、CD97、CD98、CD99、CD100、CD101、CD102、CD103、CD104、CD105、CD106、CD107a、CD107b、CDw108、CD109、CD114、CD115、CD116、CD117、CD118、CD119、CD120a、CD120b、CD121a、CDw121b、CD122、CD123、CD124、CD125、CD126、CD127、CDw128、CD129、CD130、CDw131、CD132、CD134、CD135、CDw136、CDw137、CD138、CD139、CD140a、CD140b、CD141、CD142、CD143、CD144、CD145、CD146、CD147、CD148、CD150、CD151、CD152、CD153、CD154、CD155、CD156、CD157、CD158a、CD158b、CD161、CD162、CD163、CD164、CD165、CD166、及びCD182からなる群から選択される表面抗原分類分子に結合する。
【0113】
例示的な態様では、抗体、グリコシル化Fc断片、抗体タンパク質生成物、キメラ抗体、又はヒト化抗体は、米国特許第7947809号明細書及び米国特許出願公開第20090041784号明細書(グルカゴン受容体)、米国特許第7939070号明細書、米国特許第7833527号明細書、米国特許第7767206号明細書及び米国特許第7786284号明細書(IL-17受容体A)、米国特許第7872106号明細書及び米国特許第7592429号明細書(スクレロスチン)、米国特許第7871611号明細書、米国特許第7815907号明細書、米国特許第7037498号明細書、米国特許第7700742号明細書及び米国特許出願公開第20100255538号明細書(IGF-1受容体)、米国特許第7868140号明細書(B7RP1)、米国特許第7807159号明細書及び米国特許出願公開第20110091455号明細書(ミオスタチン)、米国特許第7736644号明細書、米国特許第7628986号明細書、米国特許第7524496号明細書及び米国特許出願公開第20100111979号明細書(上皮成長因子受容体の欠失変異体)、米国特許第7728110(SARSコロナウイルス)、米国特許第7718776号明細書及び米国特許出願公開第20100209435号明細書(OPGL)、米国特許第7658924号明細書及び米国特許第7521053号明細書(アンジオポイエチン2)、米国特許第7601818号明細書、米国特許第7795413号明細書、米国特許出願公開第20090155274号明細書、米国特許出願公開第20110040076号明細書(NGF)、米国特許第7579186号明細書(TGF-βII型受容体)、米国特許第7541438号明細書(結合組織増殖因子)、米国特許第7438910号明細書(IL1-R1)、米国特許第7423128号明細書(properdin)、米国特許第7411057号明細書、米国特許第7824679号明細書、米国特許第7109003号明細書、米国特許第6682736号明細書、米国特許第7132281号明細書及び米国特許第7807797号明細書(CTLA-4)、米国特許第7084257号明細書、米国特許第7790859号明細書、米国特許第7335743号明細書、米国特許第7084257号明細書及び米国特許出願公開第20110045537号明細書(インターフェロン-ガンマ)、米国特許第7932372(MAdCAM)号明細書、米国特許第7906625号明細書、米国特許出願公開第20080292639号明細書及び米国特許出願公開第20110044986号明細書(アミロイド)、米国特許第7815907号明細書及び米国特許第7700742号明細書(インシュリン用成長因子I)、米国特許第7566772号明細書及び米国特許第7964193号明細書(インターロイキン1β)、米国特許第7563442号明細書、米国特許第7288251号明細書、米国特許第7338660号明細書、米国特許第7626012号明細書、米国特許第7618633号明細書及び米国特許出願公開第20100098694号明細書(CD40)、米国特許第7498420号明細書(c-Met)、米国特許第7326414号明細書、米国特許第7592430号明細書及び米国特許第7728113号明細書(M-CSF)、米国特許第6924360号明細書、米国特許第7067131号明細書及び米国特許第7090844号明細書(MUC18)、米国特許第6235883号明細書、米国特許第7807798号明細書及び米国特許出願公開第20100305307号明細書(上皮成長因子受容体)、米国特許第6716587号明細書、米国特許第7872113号明細書、米国特許第7465450号明細書、米国特許第7186809号明細書、米国特許第7317090号明細書及び米国特許第7638606(インターロイキン4受容体)、米国特許出願公開第20110135657号明細書(ベータ-クロトー)、米国特許第7887799号明細書及び米国特許第7879323号明細書(線維芽細胞増殖因子様ポリペプチド)、米国特許第7867494号明細書(IgE)、米国特許出願公開第20100254975号明細書(アルファ-4ベータ-7)、米国特許出願公開第20100197005号明細書及び米国特許第7537762号明細書(アクチビン受容体様キナーゼ1)、米国特許第7585500号明細書及び米国特許出願公開第20100047253号明細書(IL-13)、米国特許出願公開第20090263383号明細書及び米国特許第7449555号明細書(CD148)、米国特許出願公開第20090234106号明細書(アクチビンA)、米国特許出願公開第20090226447号明細書(アンジオポイエチン1及びアンジオポイエチン2)、米国特許出願公開第20090191212号明細書(アンジオポイエチン2)、米国特許出願公開第20090155164号明細書(C-FMS)、米国特許第7537762号明細書(アクチビン受容体様キナーゼ1)、米国特許第7371381号明細書(ガラニン)、米国特許出願公開第20070196376号明細書(インシュリン用成長因子)、米国特許第7267960号明細書及び米国特許第7741115号明細書(LDCAM)、US7265212(CD45RB)、米国特許第7709611号明細書、米国特許出願公開第20060127393号明細書及び米国特許出願公開第20100040619号明細書(DKK1)、米国特許第7807795号明細書、米国特許出願公開第20030103978号明細書及び米国特許第7923008号明細書(オステオプロテゲリン)、米国特許出願公開第20090208489号明細書(OV064)、米国特許出願公開第20080286284号明細書(PSMA)、米国特許第7888482、米国特許出願公開第20110165171号明細書及び米国特許出願公開第20110059063号明細書(PAR2)、米国特許出願公開第20110150888号明細書(ヘプシジン)、米国特許第7939640号明細書(B7L-1)、米国特許第7915391号明細書(c-Kit)、米国特許第7807796号明細書、米国特許第7193058号明細書及び米国特許第7427669号明細書(ULBP)、米国特許第7786271号明細書、米国特許第7304144号明細書及び米国特許出願公開第20090238823号明細書(TSLP)、米国特許第7767793号明細書(SIGIRR)、米国特許第7705130号明細書(HER-3)、米国特許第7704501号明細書(アタキシン1様ポリペプチド)、米国特許第7695948号明細書及び米国特許第7199224(TNF-α変換酵素)、米国特許出願公開第20090234106号明細書(アクチビンA)、米国特許出願公開第20090214559号明細書及び米国特許第7438910号明細書(IL1-R1)、米国特許第7579186号明細書(TGF-βII型受容体)、米国特許第7569387号明細書(TNF受容体様分子)、米国特許第7541438号明細書(結合組織増殖因子)、米国特許第7521048号明細書(TRAIL受容体2)、米国特許第6319499号明細書、米国特許第7081523号明細書及び米国特許出願公開第20080182976号明細書(エリスロポイエチン受容体)、米国特許出願公開第20080166352号明細書及び米国特許第7435796号明細書(B7RP1)、米国特許第7423128号明細書(プロペルジン)、米国特許第7422742号明細書及び米国特許第7141653号明細書(インターロイキン5)、米国特許第6740522号明細書及び米国特許第7411050号明細書(RANKL)、米国特許第7378091号明細書(炭酸脱水酵素IX(CA IX)腫瘍抗原)、米国特許第7318925号明細書及び米国特許第7288253号明細書(副甲状腺ホルモン)、米国特許第7285269号明細書(TNF)、米国特許第6692740号明細書及び米国特許第7270817号明細書(ACPL)、米国特許第7202343号明細書(単球走化性タンパク質1)、米国特許第7144731号明細書(SCF)、米国特許第6355779号明細書及び米国特許第7138500号明細書(4-1BB)、米国特許第7135174号明細書(PDGFD)、米国特許第6630143号明細書及び米国特許第7045128号明細書(Flt-3リガンド)、米国特許第6849450号明細書(メタロプロテアーゼ阻害剤)、米国特許第6596852号明細書(LERK-5)、米国特許第6232447号明細書(LERK-6)、米国特許第6500429号明細書(脳由来神経栄養因子)、米国特許第6184359号明細書(上皮由来T細胞因子)、米国特許第6143874号明細書(神経栄養因子NNT-1)、米国特許出願公開第20110027287号明細書(プロタンパク質転換酵素サブチリシン・ケキシン9型(PCSK9))、米国特許出願公開第20110014201号明細書(IL-18RECEPTOR)及び米国特許出願公開第20090155164号明細書(C-FMS)に記載されている抗体の1つである。上記の特許及び公開特許出願は、可変ドメインポリペプチド、可変ドメインをコードする核酸、宿主細胞、ベクター、前記の可変ドメインをコードするポリペプチドを作製する方法、医薬組成物、及び可変ドメイン含有抗原結合タンパク質又は抗体の個々の標的に付随する疾患を処置する方法のそれらの開示の目的のために、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
例示的な実施形態では、グリコシル化Fc断片、抗体タンパク質生成物、キメラ抗体、又はヒト化抗体は、ムロモナブ-CD3(商品名Orthoclone Okt3(登録商標)で市販の製品)、アブシキシマブ(商品名Reopro(登録商標)で市販の製品)、リツキシマブ(商品名MabThera(登録商標)、Rituxan(登録商標)で市販の製品)、バシリキシマブ(商品名Simulect(登録商標)で市販の製品)、ダクリズマブ(商品名Zenapax(登録商標)で市販の製品)、パリビズマブ(商品名Synagis(登録商標)で市販の製品)、インフリキシマブ(商品名Remicade(登録商標)で市販の製品)、トラスツズマブ(商品名Herceptin(登録商標)で市販の製品)、アレムツズマブ(商品名MabCampath(登録商標)、Campath-1H(登録商標)で市販の製品)、アダリムマブ(商品名Humira(登録商標)で市販の製品)、トシツモマブ-I131(商品名Bexxar(登録商標)で市販の製品)、エファリズマブ(商品名Raptiva(登録商標)で市販の製品)、セツキシマブ(商品名Erbitux(登録商標)で市販の製品)、イブリツモマブチウキセタン(商品名Zevalin(登録商標)で市販の製品)、オマリズマブ(商品名Xolair(登録商標)で市販の製品)、ベバシズマブ(商品名Avastin(登録商標)で市販の製品)、ナタリズマブ(商品名Tysabri(登録商標)で市販の製品)、ラニビズマブ(商品名Lucentis(登録商標)で市販の製品)、パニツムマブ(商品名Vectibix(登録商標)で市販の製品)、エクリズマブ(商品名Soliris(登録商標)で市販の製品)、セルトリズマブペゴル(商品名Cimzia(登録商標)で市販の製品)、ゴリムマブ(商品名Simponi(登録商標)で市販の製品)、カナキヌマブ(商品名Ilaris(登録商標)で市販の製品)、カツマキソマブ(商品名Removab(登録商標)で市販の製品)、ウステキヌマブ(商品名Stelara(登録商標)で市販の製品)、トシリズマブ(商品名RoActemra(登録商標)、Actemra(登録商標)で市販の製品)、オファツムマブ(商品名Arzerra(登録商標)で市販の製品)、デノスマブ(商品名Prolia(登録商標)で市販の製品)、ベリムマブ(商品名Benlysta(登録商標)で市販の製品)、ラキシバクマブ、イピリムマブ(商品名Yervoy(登録商標)で市販の製品)及びペルツズマブ(商品名Perjeta(登録商標)で市販の製品)のうちの1つである。例示的な実施形態では、抗体は、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、及びセルトリズマブペゴルなどの抗TNFアルファ抗体;カナキヌマブなどの抗IL1.ベータ抗体;ウステキヌマブ及びブリアキヌマブなどの抗IL12/23(p40)抗体;並びにダクリズマブなどの抗IL2R抗体のうちの1つである。
【0115】
例示的な態様では、抗体は、腫瘍関連抗原に結合し、且つ抗癌抗体である。好適な抗癌抗体の例としては、ベリムマブなどの抗BAFF抗体;リツキシマブなどの抗CD20抗体;エプラツズマブなどの抗CD22抗体;ダクリズマブなどの抗CD25抗体;イラツムマブなどの抗CD30抗体、ゲムツズマブなどの抗CD33抗体、アレムツズマブなどの抗CD52抗体;イピリムマブなどの抗CD152抗体;セツキシマブなどの抗EGFR抗体;トラスツズマブ及びペルツズマブなどの抗HER2抗体;シルツキシマブなどの抗IL6抗体;並びにベバシズマブなどの抗VEGF抗体;トシリズマブなどの抗IL6受容体抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
例示的な態様では、腫瘍関連抗原はCD20であり、抗体は抗CD20抗体、例えば抗CD20モノクローナル抗体である。例示的な態様では、腫瘍関連抗原は、配列番号3を含む。例示的な事例では、抗体は、配列番号1のアミノ酸配列及び配列番号2のアミノ酸配列を含む。種々の態様では、IgG1抗体は、リツキシマブ、又はそのバイオシミラーである。リツキシマブという用語は、CD20抗原に結合するIgG1カッパキメラマウス/ヒトモノクローナル抗体を指す(CAS番号:174722-31-7;DrugBank-DB00073;京都遺伝子ゲノム百科事典(KEGG)エントリーD02994を参照)。例示的な態様では、抗体は、表Aに記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3を含む軽鎖を含む。例示的な態様では、抗体は、表Aに記載されるCDR1、CDR2、及びCDR3を含む重鎖を含む。種々の例では、抗体は、表Aに列挙されるVH及びVLを含むか又はVH-IgG1及びVL-IgGカッパ配列を含む。
【0117】
【表A】
【0118】
種々の態様では、抗体は以下を含む:
i.配列番号4のアミノ酸配列、又は配列番号4と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号4の変異アミノ酸配列を含む軽鎖(LC)CDR1、
ii.配列番号5のアミノ酸配列、又は配列番号5と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号5の変異アミノ酸配列を含むLC CDR2、
iii.配列番号6のアミノ酸配列、又は配列番号6と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号6の変異アミノ酸配列を含むLC CDR3、
iv.配列番号7のアミノ酸配列、又は配列番号7と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号7の変異アミノ酸配列を含む重鎖(HC)CDR1、
v.配列番号8のアミノ酸配列、又は配列番号8と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号8の変異アミノ酸配列を含むHC CDR2、
vi.配列番号9のアミノ酸配列、又は配列番号9と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号9の変異アミノ酸配列を含むHC CDR3。
【0119】
種々の例では、抗体は、配列番号10のアミノ酸配列、配列番号10と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号10の変異アミノ酸配列を含むLC可変領域を含む。
【0120】
例示的な態様では、抗体は、配列番号11のアミノ酸配列、配列番号11と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号11の変異アミノ酸配列を含むHC可変領域を含む。
【0121】
例示的な事例では、抗体は、配列番号12のアミノ酸配列、配列番号12と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号12の変異アミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0122】
種々の態様では、抗体は、配列番号13のアミノ酸配列、配列番号13と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号13の変異アミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0123】
例示的な態様では、抗体の抗原はTNFαであり、抗体は抗TNFα抗体(簡潔さのために、単に「抗TNF」抗体とも呼ばれ得る)、例えば、抗TNFαモノクローナル抗体である。例示的な態様では、抗体の抗原は、配列番号14を含む。種々の態様では、IgG1抗体は、インフリキシマブ、又はそのバイオシミラーである。インフリキシマブという用語は、ヒト定常領域及びマウス可変領域から構成され、TNFα抗原に結合するキメラモノクローナルIgG1カッパ抗体を指す(CAS番号:170277-31-3、DrugBankアクセッション番号DB00065を参照)。キメラ抗体cA2としても知られるインフリキシマブは、A2と呼ばれるマウスモノクローナル抗体に由来した(Knight et al.,Molec Immunol 30(16):1443-1453(1993))。cA2軽鎖の可変領域は、国際公開第2006/065975号パンフレットに公開されている。例示的な態様では、抗体は、表Bに記載されるインフリキシマブの軽鎖の可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む軽鎖を含む。例示的な態様では、抗体は、表Bに記載されるインフリキシマブの重鎖の可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む重鎖を含む。種々の例では、抗体は、インフリキシマブのVH及びVLを含むか又はVH-IgG1及びVL-IgGカッパ配列を含む。
【0124】
【表B】
【0125】
種々の例では、抗体は、配列番号15のアミノ酸配列、配列番号15と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号15の変異アミノ酸配列を含むLC可変領域を含む。例示的な態様では、抗体は、配列番号16のアミノ酸配列、配列番号16と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号16の変異アミノ酸配列を含むHC可変領域を含む。
【0126】
組成物
本開示の方法は、組換えグリコシル化タンパク質を含む組成物に関する。種々の態様では、組成物は、1つの型の組換えグリコシル化タンパク質のみを含む。種々の例では、組成物は、組成物の各組換えグリコシル化タンパク質が同一か又は実質的に同一のアミノ酸配列を含む組換えグリコシル化タンパク質を含む。種々の態様では、組成物は組換えグリコシル化タンパク質を含み、組成物の各組換えグリコシル化タンパク質は、組成物の他の全ての組換えグリコシル化タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。種々の態様では、組成物は組換えグリコシル化タンパク質を含み、組成物の各組換えグリコシル化タンパク質が組成物の他の全ての組換えグリコシル化タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。種々の態様では、組成物は組換えグリコシル化タンパク質を含み、組成物の各組換えグリコシル化タンパク質は同一の又は実質的に同一の(例えば、組成物の他の全ての組換えグリコシル化タンパク質のアミノ酸配列と、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の)アミノ酸配列を含むが、組成物の組換えグリコシル化タンパク質のグリコプロファイルは互いに相異し得る。
【0127】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は抗体断片であり、したがって、組成物は抗体断片組成物であり得る。
【0128】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は抗体タンパク質生成物であり、したがって、組成物は抗体タンパク質生成物組成物であり得る。
【0129】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質はグリコシル化Fc断片であり、したがって、組成物はグリコシル化Fc断片組成物であり得る。
【0130】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質はグリコシル化Fc断片抗体生成物であり、したがって、組成物はグリコシル化Fc断片抗体生成物組成物であり得る。
【0131】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質はキメラ抗体であり、したがって、組成物はキメラ抗体組成物であり得る。
【0132】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質はヒト化抗体であり、したがって、組成物はヒト化抗体組成物であり得る。
【0133】
例示的な態様では、組換えグリコシル化タンパク質は抗体であり、組成物は抗体組成物である。種々の態様では、組成物は、1つの型の抗体のみを含む。種々の例では、組成物は抗体を含み、抗体組成物の各抗体は、同一又は実質的に同一のアミノ酸配列を含む。種々の態様では、抗体組成物は抗体を含む、抗体組成物の各抗体は、抗体組成物の他の全ての抗体のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。種々の態様では、抗体組成物は抗体を含み、抗体組成物の各抗体は、抗体組成物の他の全ての抗体のアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。種々の態様では、抗体組成物は抗体を含み、組成物の各組換えグリコシル化タンパク質は同一の又は実質的に同一の(例えば、抗体組成物の他の全ての抗体のタンパク質のアミノ酸配列と、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の)アミノ酸配列を含むが、抗体組成物の抗体のグリコプロファイルは互いに相異し得る。例示的な態様では、抗体組成物は、抗体の異なるグリコフォームの不均一な混合物を含む。種々の例では、抗体組成物は、そのTAFグリカン含量、HMグリカン含量及び/又はそのAFグリカン含量に関して特徴付けられ得る。種々の態様では、抗体組成物は、TAFグリカン%、HMグリカン%、及び/又は非フコシル化グリカン%に関して記載される。任意選択により、抗体組成物は、他の型のグリカン、例えば、ガラクトシル化グリコフォーム、フコシル化グリコフォームなどのその含有量に関して特徴付けられ得る。
【0134】
種々の態様では、抗体組成物の各抗体は、IgG、任意選択で、IgG1である。例示的な事例では、抗体組成物の各抗体は腫瘍関連抗原、例えばCD20に結合する。種々の態様では、CD20は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。例示的な態様では、抗体組成物の各抗体は、抗CD20抗体である。種々の例では、抗体組成物の各抗体は、以下を含む:
i.配列番号4のアミノ酸配列、又は配列番号4と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号4の変異アミノ酸配列を含む軽鎖(LC)CDR1、
ii.配列番号5のアミノ酸配列、又は配列番号5と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号5の変異アミノ酸配列を含むLC CDR2、
iii.配列番号6のアミノ酸配列、又は配列番号6と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号6の変異アミノ酸配列を含むLC CDR3、
iv.配列番号7のアミノ酸配列、又は配列番号7と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号7の変異アミノ酸配列を含む重鎖(HC)CDR1、
v.配列番号8のアミノ酸配列、又は配列番号8と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号8の変異アミノ酸配列を含むHC CDR2、及び/或いは
vi.配列番号9のアミノ酸配列、又は配列番号9と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号9の変異アミノ酸配列を含むHC CDR3。
【0135】
種々の例では、抗体組成物の各抗体は、配列番号10のアミノ酸配列、配列番号10と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号10の変異アミノ酸配列を含むLC可変領域を含む。
【0136】
例示的な態様では、抗体組成物の各抗体は、配列番号11のアミノ酸配列、配列番号11と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号11の変異アミノ酸配列を含むHC可変領域を含む。
【0137】
例示的な事例では、抗体組成物の各抗体は、配列番号12のアミノ酸配列、配列番号12と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号12の変異アミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0138】
種々の態様では、抗体組成物の各抗体は、配列番号13のアミノ酸配列、配列番号13と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号13の変異アミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0139】
種々の態様では、抗体組成物の各抗体は、IgG、任意選択で、IgG1である。種々の例では、抗体組成物の各抗体は腫瘍関連抗原、例えばTNFアルファに結合する。
【0140】
種々の態様では、TNFアルファは、配列番号14のアミノ酸配列を含む。例示的な態様では、抗体組成物の各抗体は、抗TNFアルファ抗体である。種々の例では、抗体組成物の各抗体は、配列番号15のアミノ酸配列、配列番号15と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号15の変異アミノ酸配列を含むLC可変領域を含む。
【0141】
例示的な態様では、抗体組成物の各抗体は、配列番号16のアミノ酸配列、配列番号16と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%若しくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列、又は1~10(例えば、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1若しくは2)個のアミノ酸置換を有する配列番号16の変異アミノ酸配列を含むHC可変領域を含む。
【0142】
例示的な態様では、抗体組成物は、抗体の異なるグリコフォームの不均一な混合物を含む。種々の例では、抗体組成物は、そのTAFグリカン含量、HMグリカン含量及び/又はそのAFグリカン含量に関して特徴付けられ得る。種々の態様では、抗体組成物は、TAFグリカン%、HMグリカン%、及び/又は非フコシル化グリカン%に関して記載される。任意選択により、抗体組成物は、他の型のグリカン、例えば、ガラクトシル化グリコフォーム、フコシル化グリコフォームなどのその含有量に関して特徴付けられ得る。
【0143】
例示的な態様では、抗体組成物は、方程式Aを使用して算出されるTAFグリカン%を有する。例示的な態様では、抗体組成物は、方程式AのXによって規定される範囲内のTAFグリカン%を有する。例示的な事例では、TAFグリカン%はX±0.4内である。例示的な態様では、抗体組成物は本明細書に開示される方法の決定工程で決定(例えば、測定)されるTAFグリカン%を有する。例示的な態様では、TAFグリカン%は親水性相互作用クロマトグラフィによって、任意選択で、実施例1に記載の方法によって決定される。例として、種々の例における抗体組成物は、TAFグリカンが約50%未満(例えば、約40%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満)である。例示的な態様では、抗体組成物は、TAFグリカンが約10%未満(例えば、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下)である。例示的な態様では、抗体組成物は、TAFグリカンが約4%~約10%である。例示的な態様では、抗体組成物は、TAFグリカンが約2%~約6%である。例示的な態様では、抗体組成物は、TAFグリカンが約2.5%~約5%である。例示的な態様では、抗体組成物は、TAFグリカンが約4%以下である。さらなる例示的な態様では、抗体組成物は、TAFグリカンが約4%以下約2%以上である。種々の態様では、TAFグリカン%は、約1.55%以上約6.95%以下、又は約1.72%~約6.74%である。
【0144】
例示的な態様では、抗体組成物は、方程式Bを使用して算出される非フコシル化グリカン%を有する。例示的な態様では、抗体組成物は、方程式BのAFによって規定される範囲内の非フコシル化グリカン%を有する。例示的な事例では、非フコシル化グリカン%はAF±1内である。例示的な態様では、抗体組成物は本明細書に開示される方法の決定工程で決定(例えば、測定)される非フコシル化グリカン%を有する。例示的な態様では、非フコシル化グリカン%は親水性相互作用クロマトグラフィによって、任意選択で、実施例1に記載の方法によって決定される。例として、種々の例における抗体組成物は、非フコシル化グリカンが約5%以下である。例示的な態様では、非フコシル化グリカン%は約1~約4である。例示的な態様では、抗体組成物は、非フコシル化グリカンが約4%以下である。例示的な態様では、抗体組成物は、非フコシル化グリカンが約3.5%以下である。
【0145】
例示的な態様では、抗体組成物は、方程式Bを使用して算出される高マンノースグリカン%を有する。例示的な態様では、抗体組成物は、方程式BのHMによって規定される範囲内の高マンノースグリカン%を有する。例示的な事例では、高マンノースグリカン%はHM±1内である。例示的な態様では、抗体組成物は、本明細書に開示される方法の決定工程で決定(例えば、測定)される高マンノースグリカン%を有する。例示的な態様では、高マンノースグリカン%は親水性相互作用クロマトグラフィによって、任意選択で、実施例1に記載の方法によって決定される。例として、抗体組成物は、例示的な態様では、高マンノースグリカンが約5%以下である。例示的な態様では、高マンノースグリカン%は約1~約4である。例示的な態様では、抗体組成物は、高マンノースグリカンが約4%以下である。例示的な態様では、抗体組成物は、高マンノースグリカンが約3.5%以下である。
【0146】
例示的な態様では、抗体組成物は、方程式A又は方程式Bを使用して計算されるADCC%を有する。例示的な態様では、抗体組成物は、決定工程で決定(例えば、測定)されるADCC%を有する。例示的な態様では、ADCC%は、抗体の抗原を発現し、抗体のFcドメインを介してエフェクター細胞上のFcガンマRIIIA受容体に関与する細胞において、用量依存的に細胞障害を媒介する抗体組成物の抗体の能力を測定する、定量的な細胞ベースのアッセイ、例えば、実施例2に記載される方法によって決定される。例として、種々の例における抗体組成物は、ADCCが約40%~約175%、又は約40%~約170%、又は約44%~約165%である。例示的な態様では、抗体組成物は、ADCC%が約40以上で約175以下又は約170以下、任意選択で、約41~約171である。例示的な態様では、抗体組成物は、約30~約185、任意選択で、約32~約180であるADCC%を有する。種々の態様では、ADCC%は、約60以上約130以下である。例示的な態様では、抗体組成物は、方程式A又は方程式BのYによって規定される範囲内のADCC%を有する。種々の態様では、ADCC%はY±20内、例えば、Y±19、Y±18、又はY±17内である。
【0147】
方程式AのTAFグリカン%、X、及びADCC%、Yに関して、いくつかの態様では、Yは約40以上及び約170以下であり、Xは、約1.55%以上及び約6.95%以下である。種々の例では、Yは約44%以上約165%以下であり、任意選択により、Xは約1.72%~約6.74%である。
【0148】
方程式Bの非フコシル化グリカン%、AF、及び高マンノースグリカン%、HM、及びADCC%、Yに関して、いくつかの態様では、Yは約40以上約175未満、任意選択で、約41~約171であり、AFは約1~約4であり、HMは約40~約175である。種々の例では、Yは約30~約185、任意選択で、約32~約180であり、HMは約1~約4であり、AFは約30~約185である。
【0149】
例示的な実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と組み合わせられる。したがって、本明細書では、本明細書に記載される組換えグリコシル化タンパク質組成物(例えば、抗体組成物又は抗体結合タンパク質組成物)、及び薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物が提供される。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語には、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水又は水/油エマルションなどのエマルション、及び種々のタイプの湿潤剤などの標準的な医薬担体のいずれかが含まれる。
【0150】
例示的な実施形態では、抗体組成物は、本明細書に記載されるように、細胞培養物中のグリコシル化コンピテント細胞によって産生される。
【0151】
追加の工程
本明細書に開示する方法は、種々の態様において、追加の工程を含む。例えば、いくつかの態様では、方法は、組換えグリコシル化タンパク質(例えば、抗体)の産生、精製及び製剤化に関与する1つ以上の上流工程又は下流工程を含む。任意選択で、下流工程は、本明細書に記載される、又は当該技術分野で知られる下流プロセス工程のいずれか1つである。例えば、プロセス工程を参照されたい。例示的な実施形態では、方法は、組換えグリコシル化タンパク質(例えば、抗体)を発現する宿主細胞を作製するための工程を含む。宿主細胞は、いくつかの態様では、原核宿主細胞、例えばE.コリ(E.coli)若しくはバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)であるか、又は宿主細胞は、いくつかの態様では、真核宿主細胞、例えば、酵母細胞、糸状菌細胞、原生動物細胞、昆虫細胞若しくは哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)である。このような宿主細胞は、当該技術分野で記載されている。例えば、Frenzel,et al.,Front Immunol 4:217(2013)及び本明細書の「細胞」の節を参照されたい。例えば、方法は、いくつかの例では、組換えグリコシル化タンパク質、又はそのポリペプチド鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含むベクターを宿主細胞に導入することを含む。
【0152】
例示的な態様では、方法は、細胞、例えば、グリコシル化コンピテント細胞を細胞培養物中に維持する工程を含む。したがって、方法は、本明細書の細胞培養物中における細胞の維持の節に記載される任意の1つ以上の工程を実施する工程を含み得る。
【0153】
例示的な実施形態では、本明細書で開示される方法は、培養物から組換えグリコシル化タンパク質(例えば、組換え抗体)を単離及び/又は精製する工程を含む。例示的な態様では、方法は、例えば、アフィニティークロマトグラフィ(例えば、プロテインAアフィニティークロマトグラフィ)、イオン交換クロマトグラフィ、及び/又は疎水性相互作用クロマトグラフィを含むが、これらに限定されない1つ以上のクロマトグラフィ工程を含む。例示的な態様では、方法は、組換えグリコシル化タンパク質を含む溶液から結晶性生体分子を生成させる工程を含む。
【0154】
本開示の方法は、種々の態様において、組成物、例えば、いくつかの態様では、精製組換えグリコシル化タンパク質を含む医薬組成物を製造するための1つ以上の工程を含む。このような組成物は、本明細書中で説明されている。
【0155】
細胞培養物中における細胞の維持
本開示の抗体組成物を製造する方法に関して、抗体組成物は、細胞培養物中に細胞を維持することによって製造され得る。細胞培養物は、組換えグリコシル化タンパク質の産生に好適な任意の一連の条件に従って維持され得る。例えば、いくつかの態様では、細胞培養物は、特定のpH、温度、細胞密度、培養体積、溶存酸素レベル、圧力、浸透圧などで維持される。例示的な態様では、COインキュベーター中、標準的な加湿条件下にて5%COで播種前の細胞培養物を振盪する(例えば、70rpm)。例示的な態様では、1.5L培地中約10個細胞/mLの播種密度で細胞培養物が播種される。
【0156】
例示的な態様では、本開示の方法は、約6.85~約7.05、例えば、様々な態様では、約6.85、約6.86、約6.87、約6.88、約6.89、約6.90、約6.91、約6.92、約6.93、約6.94、約6.95、約6.96、約6.97、約6.98、約6.99、約7.00、約7.01、約7.02、約7.03、約7.04、又は約7.05のpHで細胞培養培地中においてグリコシル化コンピテント細胞を維持することを含む。
【0157】
例示的な態様において、方法は、30℃と40℃の間の温度で細胞培養物を維持することを含む。例示的な実施形態では、温度は、約32℃~約38℃又は約35℃~約38℃である。
【0158】
例示的な態様において、方法は、約200mOsm/kg~約500mOsm/kgの浸透圧を維持することを含む。例示的な態様では、方法は、約225mOsm/kg~約400mOsm/kg又は約225mOsm/kg~約375mOsm/kgの浸透圧を維持することを含む。例示的な態様では、方法は、約225mOsm/kg~約350mOsm/kgの浸透圧を維持することを含む。種々の態様では、浸透圧(mOsm/kg)は、約200、約225、約250、約275、約300、約325、約350、約375、約400、約425、約450、約475、又は約500に維持される。
【0159】
例示な態様において、方法は、初期細胞培養期間中、約20%~約60%酸素飽和度で細胞培養物の溶解酸素(DO)レベルを維持することを含む。例示的な事例では、方法は、初期細胞培養期間中、約30%~約50%(例えば、約35%~約45%)の酸素飽和度に細胞培養物のDOレベルを維持することを含む。例示的な事例では、方法は、初期細胞培養期間中、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、又は約60%の酸素飽和度で細胞培養物のDOレベルを維持することを含む。例示的な態様では、DOレベルは、約35mmHg~約85mmHg、又は約40mmHg~約80mmHg、又は約45mmHg~約75mmHgである。
【0160】
細胞培養物は、任意の1つ以上の培養培地中で維持される。例示的な態様では、細胞培養物は、細胞増殖に好適な培地中で維持され、且つ/又は任意の好適な供給スケジュールに従って1つ以上の供給培地が与えられる。例示的な態様では、方法は、グルコース、フコース、乳酸塩、アンモニア、グルタミン及び/又はグルタメートを含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様において、方法は、初期細胞培養期間中、約1μM以下の濃度のマンガンを含む培地中で細胞培養を維持することを含む。例示的な態様では、方法は、約0.25μM~約1μMマンガンを含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様では、方法は、無視できる量のマンガンを含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様において、方法は、初期細胞培養期間中、約50ppb以下の濃度の銅を含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様では、方法は、初期細胞培養期間中、約40ppb以下の濃度の銅を含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様では、方法は、初期細胞培養期間中、約30ppb以下の濃度の銅を含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様では、方法は、初期細胞培養期間中、約20ppb以下の濃度の銅を含む培地中で細胞培養物を維持することを含む。例示的な態様では、培地は、約5ppb以上又は約10ppb以上の濃度の銅を含む。例示的な態様において、細胞培養培地は、マンノースを含む。例示的な態様において、細胞培養培地は、マンノースを含まない。
【0161】
例示的な実施形態において、細胞培養のタイプは、流加培養法又は連続灌流培養法である。しかし、本開示の方法は、有利には、いずれの特定のタイプの細胞培養にも限定されない。
【0162】
細胞培養で維持される細胞は、グリコシル化コンピテント細胞であり得る。例示的な態様では、グリコシル化コンピテント細胞は真核細胞であり、例えば、酵母細胞、糸状菌細胞、原生動物細胞、藻類細胞、昆虫細胞又は哺乳動物細胞が挙げられるが、これらに限定されない。このような宿主細胞は、当該技術分野で記載されている。例えば、Frenzel,et al.,Front Immunol 4:217(2013)を参照されたい。例示的な態様では、真核細胞は哺乳動物細胞である。例示的な態様では、哺乳動物細胞は非ヒト哺乳動物細胞である。いくつかの態様では、細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞及びその派生細胞(例えば、CHO-K1、CHO pro-3)、マウス骨髄腫細胞(例えば、NS0、GS-NS0、Sp2/0)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)活性を欠くように操作された細胞(例えば、DUKX-X11、DG44)、ヒト胚性腎臓293(HEK293)細胞又はその派生細胞(例えば、HEK293T、HEK293-EBNA)、アフリカミドリザル腎臓細胞(例えば、COS細胞、VERO細胞)、ヒト子宮頸癌細胞(例えば、HeLa)、ヒト骨の骨肉腫上皮細胞U2-OS、腺癌ヒト肺胞基底上皮細胞A549、ヒト線維肉腫細胞HT1080、マウス脳腫瘍細胞CAD、胚性癌腫細胞P19、マウス胚性繊維芽細胞NIH 3T3、マウス繊維芽細胞L929、マウス神経芽腫細胞N2a、ヒト乳癌細胞MCF-7、網膜芽腫細胞Y79、ヒト網膜芽腫細胞SO-Rb50、ヒト肝臓癌細胞Hep G2、マウスB骨髄腫細胞J558L又は新生児ハムスター腎臓(BHK)細胞(Gaillet et al.2007;Khan,Adv Pharm Bull 3(2):257-263(2013))である。
【0163】
グリコシル化にコンピテントではない細胞はまた、例えば、グリコシル化に必要な関連酵素をコードする遺伝子をそれらに導入することによって、グリコシル化コンピテント細胞に形質転換され得る。例示的な酵素としては、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ、グリコシダーゼ、グルコシダーゼI、グルコシダーゼII、カルネキシン/カルレティキュリン、グリコシルトランスフェラーゼ、マンノシダーゼ、GlcNAcトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、及びシアリルトランスフェラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
例示的な実施形態において、グリコシル化コンピテント細胞は、デノボ経路又はサルベージ経路の酵素の活性を変えるように遺伝的に改変されない。フコース代謝のこれらの2つの経路は、図2に示される。例示的な実施形態において、グリコシル化コンピテント細胞は、フコシルトランスフェラーゼ(FUT、例えば、FUT1、FUT2、FUT3、FUT4、FUT5、FUT6、FUT7、FUT8、FUT9)、フコースキナーゼ、GDP-フコースピロホスホリラーゼ、GDP-D-マンノース-4,6-デヒドラターゼ(GMD)、及びGDP-ケト-6-デオキシマンノース-3,5-エピメラーゼ、4-レダクターゼ(FX)のいずれか1つ以上の活性を変えるように遺伝的に改変されない。例示的な実施形態において、グリコシル化コンピテント細胞は、FXをコードする遺伝子をノックアウトするように遺伝的に改変されない。
【0165】
例示的な実施形態において、グリコシル化コンピテント細胞は、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GNTIII)又はGDP-6-デオキシ-D-リキソ-4-ヘキスロースレダクターゼ(RMD)の活性を変えるように遺伝的に改変されない。例示的な態様において、グリコシル化コンピテント細胞は、GNTIII又はRMDを過剰発現するように遺伝的に改変されない。
【0166】
例示的な実施形態
本開示の例示的な実施形態を以下に提供する。
E1.抗体組成物を製造する方法であって、前記方法は、
i.抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン%を決定する工程、
ii.方程式A:
Y=2.6+24.1×X
[方程式A]
(式中、YはADCC%であり、Xは工程(i)で決定されたTAFグリカン%である)
を使用して、TAF%に基づいて抗体組成物の抗体依存性細胞傷害(ADCC)%を算出する工程、及び
(iii)Yが目標ADCC%範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程
を含む、方法。
E2.抗体組成物を製造する方法であって、前記方法は、
i.抗体組成物の高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%を決定する工程、
ii.方程式B:
Y=(0.24+27×HM+22.1×AF)
[方程式B]
(式中、YはADCC%であり、HMは工程(i)で決定された高マンノースグリカン%であり、AFは工程(i)で決定された非フコシル化グリカン%である)
を使用して、高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%に基づいて抗体組成物の抗体依存性細胞傷害(ADCC)%を算出する工程、並びに
iii.Yが目標ADCC%範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程
を含む、方法。
E3.目標ADCC%を有する抗体組成物を製造する方法であって、前記方法は、
i.方程式A:
Y=2.6+24.1×X
[方程式A]
(式中、Yは目標ADCC%であり、Xは目標TAFグリカン%である)
を使用して、目標ADCC%のための目標総非フコシル化(TAF)グリカン%を算出する工程、及び
ii.目標TAFグリカン%、Xを有する抗体組成物を製造するために細胞培養物中のグリコシル化コンピテント細胞を維持する工程
を含む、方法。
E4.目標ADCC%を有する抗体組成物を製造する方法であって、前記方法は、
i.方程式B:
Y=(0.24+27×HM+22.1×AF)
[方程式B]
(式中、Yは目標ADCC%であり、HMは目標高マンノースグリカン%であり、AFは目標非フコシル化グリカン%である)
を使用して、目標ADCC%のための目標非フコシル化グリカン%及び目標高マンノースグリカン%を算出する工程、並びに
ii.目標高マンノースグリカン%及び目標非フコシル化グリカン%を有する抗体組成物を製造するために細胞培養物中のグリコシル化コンピテント細胞を維持する工程
を含む、方法。
E5.目標ADCC%が目標ADCC%範囲内である、実施形態3又は4に記載の方法。
E6.目標ADCC%範囲が、約40以上約170以下である、実施形態1、2及び5のいずれか1つに記載の方法。
E7.目標ADCC%範囲は、約44以上約165以下である、実施形態6に記載の方法。
E8.目標ADCC%範囲は、約60以上約130以下である、実施形態7に記載の方法。
E9.目標ADCC%範囲はY±20である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
E10.目標ADCC%範囲はY±17である、実施形態1又は実施形態3の方法。
E11.目標ADCC%範囲はY±18である、実施形態2又は実施形態4の方法。
E12.任意選択で、約40以上約170以下のADCC%、Yを有する抗体組成物を製造する方法であって、前記方法は、
i.抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン%、Xを決定する工程、及び
ii.Xが(Y-2.6)/24.1に等しい場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程
を含む、方法。
E13.Xが約1.55%以上約6.95%以下である、実施形態13に記載の方法。
E14.Yが約44%以上約165%以下であり、任意選択で、Xが約1.72%~約6.74%である、実施形態13又は14に記載の方法。
E15.ADCC%、Yを有する抗体組成物を製造する方法であって、前記方法は、
i.抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン%、Xを決定する工程、及び
ii.Xが(Y-2.6)/24.1と等しい場合(ここで、任意選択により、Xは約X-0.4以上約X+0.4以下であり、ADCC%は約Y-17超約Y+17以下である)、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程
を含む、方法。
E16.ADCC%を有する抗体組成物を製造する方法であって、前記方法は、
i.抗体組成物の非フコシル化グリカン%及び高マンノースグリカン%を決定する工程、並びに
ii.方程式B:
Y=(0.24+27×HM+22.1×AF)
[方程式B]
(式中、YはADCC%であり、HMは工程(i)で決定された高マンノースグリカン%であり、AFは工程(i)で決定された非フコシル化グリカン%である)
に従ってYに関連している場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程
を含む、方法。
E17.Yは約40以上約175以下、任意選択で約41~約171であり、AFは約1~約4であり、HMは約40~約175である、実施形態16に記載の方法。
E18.Yは約30~約185、任意選択で約32~約180であり、HMは約1~約4であり、AFは約30~約185である、実施形態16に記載の方法。
E19.抗体組成物のADCC%は、Yによって規定される範囲内である、実施形態16に記載の方法。
E20.抗体組成物のADCC%は、Y±18の範囲内である、実施形態19に記載の方法。
E21.AFは約1~約4である、実施形態16、19及び20のいずれか1つに記載の方法。
E22.高マンノースグリカン%はHMによって規定される範囲内の値であり、任意選択でその範囲はHM±1である、実施形態21に記載の方法。
E23.HMは約1~約4である、実施形態16、19及び20のいずれか1つに記載の方法。
E24.非フコシル化グリカン%はAFによって規定される範囲内の値であり、任意選択でその範囲はAF±1である、実施形態24に記載の方法。
E25.TAFグリカン%は、高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%の合計を算出することによって決定される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
E26.高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%は親水性相互作用クロマトグラフィによって決定される、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
E27.高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%は実施例1に記載の方法によって決定される、請求項26に記載の方法。
E28.ADCC%は、抗体の抗原を発現し、抗体のFcドメインを介してエフェクター細胞上のFcガンマRIIIA受容体に関与する細胞において、用量依存的に細胞障害を媒介する抗体組成物の抗体の能力を測定する、定量的な細胞ベースのアッセイによって決定される、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
E29.ADCC%は、実施例2に記載のアッセイによって決定される、実施形態28に記載の方法。
E30.決定工程は、回収工程後に実行される、実施形態1、2及び5~19のいずれか1つに記載の方法。
E31.決定工程は、クロマトグラフィ工程後に実行される、実施形態30に記載の方法。
E32.クロマトグラフィ工程はプロテインAクロマトグラフィ工程である、実施形態31に記載の方法。
E33.1つ以上の下流プロセス工程は、希釈工程、充填工程、濾過工程、製剤化工程、クロマトグラフィ工程、ウイルス濾過工程、ウイルス不活化工程、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
E34.クロマトグラフィ工程は、イオン交換クロマトグラフィ工程、任意選択で、陽イオン交換クロマトグラフィ工程又は陰イオン交換クロマトグラフィ工程である、実施形態33に記載の方法。
E35.抗体組成物の各抗体はIgGである、実施形態1~34のいずれか1つに記載の方法。
E36.抗体組成物の各抗体はIgGである、実施形態35に記載の方法。
E37.抗体組成物の各抗体は腫瘍関連抗原に結合する、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
E38.腫瘍関連抗原は、配列番号3のアミノ酸配列を含む、実施形態37に記載の方法。
E39.抗体組成物の各抗体は、抗D20抗体である、実施形態1~38のいずれか1つに記載の方法。
E40.抗体組成物の各抗体は、
i.配列番号4のアミノ酸配列、又は配列番号4と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号4の変異アミノ酸配列を含む軽鎖(LC)CDR1、
ii.配列番号5のアミノ酸配列、又は配列番号5と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号5の変異アミノ酸配列を含むLC CDR2、
iii.配列番号6のアミノ酸配列、又は配列番号6と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号6の変異アミノ酸配列を含むLC CDR3、
iv.配列番号7のアミノ酸配列、又は配列番号7と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号7の変異アミノ酸配列を含む重鎖(HC)CDR1、
v.配列番号8のアミノ酸配列、又は配列番号8と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号8の変異アミノ酸配列を含むHC CDR2、及び
vi.配列番号9のアミノ酸配列、又は配列番号9と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1個若しくは2個のアミノ酸置換を有する配列番号9の変異アミノ酸配列を含むHC CDR3
を含む、実施形態1~39のいずれか1つに記載の方法。
E41.抗体組成物の各抗体は、配列番号10のアミノ酸配列、配列番号10と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1~10個のアミノ酸置換を有する配列番号10の変異アミノ酸配列を含むLC可変領域を含む、実施形態1~40のいずれか1つに記載の方法。
E42.抗体組成物の各抗体は、配列番号11のアミノ酸配列、配列番号11と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1~10個のアミノ酸置換を有する配列番号11の変異アミノ酸配列を含むHC可変領域を含む、実施形態1~41のいずれか1つに記載の方法。
E43.抗体組成物の各抗体は、配列番号12のアミノ酸配列、配列番号12と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1~10個のアミノ酸置換を有する配列番号12の変異アミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
E44.抗体組成物の各抗体は、配列番号13のアミノ酸配列、配列番号13と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又は1~10個のアミノ酸置換を有する配列番号13の変異アミノ酸配列を含む重鎖を含む、実施形態1~43のいずれか1つに記載の方法。
E45.ADCC%が目標範囲内である抗体組成物を製造する方法であって、前記方法は、
i.抗体の様々なグリコフォームを含む一連のサンプルのADCC%を測定する工程、
ii.一連の各サンプルについて総非フコシル化(TAF)グリカン%を決定する工程、
iii.一連の各サンプルについて工程(i)で測定されたADCC%を工程(ii)で決定されたTAFグリカン%の関数としてプロットするグラフの最良適合線の線形方程式を決定する工程、
iv.抗体組成物のTAF%を決定し、次いで、工程(iii)の線形方程式を用いてADCC%を算出する工程、及び
v.工程(iv)で算出されたADCC%が目標ADCC%範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程
を含む、方法。
E46.総非フコシル化(TAF)%が目標範囲内である抗体組成物を製造する方法であって、前記方法は、
i.抗体の様々なグリコフォームを含む一連のサンプルのADCC%を測定する工程、
ii.一連の各サンプルについて総非フコシル化(TAF)グリカン%を決定する工程、
iii.一連の各サンプルについて工程(i)で測定されたADCC%を工程(ii)で決定されたTAFグリカン%の関数としてプロットするグラフの最良適合線の線形方程式を決定する工程、
iv.抗体組成物のADCC%を決定し、次いで、工程(iii)の線形方程式を用いてTAF%を算出する工程、及び
v.工程(iv)で算出されたTAF%が目標TAF%範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程
を含む、方法。
E47.抗体組成物の抗体依存性細胞傷害(ADCC)%を決定する方法であって、前記方法は、
i.抗体組成物の総非フコシル化(TAF)グリカン%を決定する工程、
ii.方程式A:
Y=2.6+24.1×X
[方程式A]
(式中、YはADCC%であり、Xは工程(i)で決定されたTAFグリカン%である)
を使用して、TAF%に基づいて抗体組成物のADCC%を算出する工程
を含む、方法。
E48.抗体組成物の抗体依存性細胞傷害(ADCC)%を決定する方法であって、前記方法は、
i.抗体組成物の高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%を決定する工程、
ii.方程式B:
Y=(0.24+27×HM+22.1×AF)
[方程式B]
(式中、YはADCC%であり、HMは工程(i)で決定された高マンノースグリカン%であり、AFは工程(i)で決定された非フコシル化グリカン%である)
を使用して、高マンノースグリカン%及び非フコシル化グリカン%に基づいて抗体組成物のADCC%を算出する工程
を含む、方法。
E49.Yが目標ADCC%範囲内である場合、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程をさらに含む、実施形態47又は48に記載の方法。
E50.TAF%が目標範囲内である抗体組成物を製造する方法であって、以下の工程を含む、方法。
i.細胞培養条件下で製造された一連の少なくとも5つの参照抗体組成物のADCC%及びTAFグリカン%をプロットすることによって、最良適合グラフの線形方程式を生成する工程(各参照抗体組成物は、抗体組成物と同じアミノ酸配列を有する)、
ii.工程(i)で生成された線形方程式及び所望のADCC活性%に基づいて目標TAFグリカン%範囲を選択する工程、
iii:細胞培養条件下で抗体組成物を培養する工程、
iv.抗体組成物を精製する工程、
v.抗体組成物をサンプリングして、TAF%を決定する工程、及び
vi.抗体組成物のTAF%が工程(ii)の目標TAF%範囲内であるかどうかを決定する工程。
E51.工程(v)で算出されたTAF%が目標TAF%範囲内である場合に、その抗体組成物を1つ以上の下流プロセス工程のために選択する工程をさらに含む、実施形態50に記載の方法。
【0167】
以下の実施例は、本発明を単に例示するために示されており、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0168】
実施例1
この実施例では、抗体のN結合型グリコシル化プロファイルを決定する例示的な方法を記載する。
【0169】
この分析方法の目的は、親水性相互作用クロマトグラフィによって、抗体を含むサンプル中の特定の抗体のN結合型グリコシル化プロファイルを決定することである。このグリカンマップ法は、抗体のN結合型グリカン分布の定量的純度分析である。簡単に記載すると、N-グリコシダーゼF(PNGアーゼF)を用いてN結合型グリカンを酵素により遊離させ、末端のN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)をフルオロフォアで誘導体化する。次いで、親水性相互作用カラム(HILIC)を用いて標識されたグリカンを分離する。分析方法は、以下の工程からなる:(1)PNGアーゼF、及び遊離グリカンを特異的に誘導体化することができるフルオロフォアを使用して、参照及び試験サンプルからN結合型グリカンを放出させ標識化する工程、(2)HILICカラムに有効な線形範囲内のサンプルをロードし、徐々に減少する有機溶媒の勾配を使用して、標識されたN連結グリカンを分離する工程、及び(3)蛍光検出器を用いてグリカン種の溶出をモニターする工程。
【0170】
標準及び試験サンプルを、以下の工程を実行することによって製造する:(1)サンプル及び対照を水で希釈する工程、(2)試料及び対照にGNAアーゼFを添加し、インキュベートして、N結合型グリカンを放出させる工程、(3)2-アミノ安息香酸などのフルオロフォアを用いてフルオロフォア標識溶液と混合する工程、サンプル及び対照をボルテックスし、インキュベートする工程、(4)遠心分離してタンパク質を沈殿させ、上清を除去する工程、(5)乾燥させ、注射溶液中で標識グリカンを再構成する工程。
【0171】
このアッセイで使用される試薬は、移動相A(100mMギ酸アンモニウム、目標pH 3.0)及び移動相B(アセトニトリル)である。本方法の工程を実行するために使用される装置は、以下の能力を有する:
【0172】
【表B-1】
【0173】
親水性相互作用分析用1.7μmカラム、内径2.1mm×150mmを用いるHPLCの機器設定を以下に示す:
【0174】
【表B-2】
【0175】
推奨される勾配を以下に示す:
【0176】
【表B-3】
【0177】
システムの適合性を以下に示す:
【0178】
【表B-4】
【0179】
結果は以下のように報告する:
【0180】
【表B-5】
【0181】
代表的なグリカンマップクロマトグラムを図2A(実スケール図)及び図2B(拡大スケール図)に示す。
【0182】
実施例2
この実施例では、操作されたエフェクター細胞を使用して抗CD20抗体のADCC活性を評価する例示的なアッセイを記載する。
【0183】
この分析方法の目的は、抗体の抗体依存性細胞毒性(ADCC)レベル(%で表される)を決定することである。このADCCバイオアッセイは、WIL2-S(ヒトBリンパ球)上のCD20抗原に結合し、NK92-M1エフェクター細胞上のFcγRIIIA(158V)受容体に抗体のFcドメインを介して関与することによって、CD20発現Bリンパ球において用量依存的に細胞毒性を媒介する抗CD20抗体の能力を測定する定量的細胞ベースのアッセイである。これにより、エフェクター細胞が活性化され、細胞溶解性顆粒複合体パーフォリン/グランザイムのエキソサイトーシスを介して腫瘍細胞が破壊される。ADCCアッセイの概略を図3に示し、ADCCアッセイの代表的な用量反応曲線を図4に示す。図4において、各用量点は3回の反復の平均±標準偏差であり、アッセイシグナル=蛍光である。
【0184】
方法は、以下の工程からなる:
【0185】
【表B-6】
【0186】
標準及び試験サンプルは、検証された用量範囲をカバーするように、参照標準、アッセイ対照、及びサンプルを希釈することによって製造される。
【0187】
このアッセイに使用される試薬には以下のものが含まれ、それぞれの組成を示す:
【0188】
【表B-7】
【0189】
この方法のいくつかの工程は、蛍光容量を有するマイクロプレートリーダーを必要とする。
【0190】
システム適合性は以下の通りである:
【0191】
【表B-8】
【0192】
結果を相対ADCC%として報告する。
【0193】
実施例3
本実施例は、ADCCをグリカンレベルに関連付けるモデルの確立につながった研究を記載する。
【0194】
小規模バイオリアクターで作製した抗CD20抗体の代表的なサンプル(N=41)の、次のグリコフォーム:高マンノース、非フコシル化、及びガラクトシル化グリコフォームのレベルを、実施例1に記載の例示的な方法を用いて評価した。総非フコシル化の%(TAF%)は、高マンノース%と非フコシル化%の合計である。抗CD20抗体の各代表的なサンプルのADCCレベルを、実施例2に記載のアッセイによって決定した。結果を表1に示す。
【0195】
【表1-1】
【0196】
【表1-2】
【0197】
表1のデータを、統計解析のためのコンピュータプログラムのJMPスイート(SAS Institute、Cary、NC)を用いて分析した。データの回帰プロットを図5Aに示す。プロットされたデータの最良適合線がこの図に示されており、以下の線形方程式、方程式1で記載され得る:
ADCC%=2.6129696497+24.071940292×TAF%
[方程式1]。
【0198】
追加の統計的パラメータを図5Bに示す。この図に示されるように、ADCCとTAFとの間の関連の有意性は、r値(r=0.88)及びp値(p<0.0001)によって実証された。
【0199】
方程式1及び表1のTAF値を用いて、予測ADCC%値を表1の各サンプルについて算出した。図5Cにおいて、実ADCC%(表1に列挙)を予測ADCC%に対してプロットした。その結果、総非フコシル化とADCCとの間に正の相関があり、総非フコシル化のレベルが高くなるとADCC活性が高くなることが確認された。
【0200】
図5D図5Aと同じグラフであるが、95%信頼区間(明るい青色の領域で示す)のグラフ描写を伴う。図5Dに示すように、ほとんどのデータ点は95%信頼区間内に入った。図5Eは、方程式1のy切片及び傾きの両方の95%信頼領域のグラフを示す。
【0201】
TAFの個々の成分(非フコシル化(AF)及び高マンノース(HM))による表1のデータもまた、JMPスイートを使用して分析し、ADCCと同様の相関を示した。図6A及び6Bは、高マンノース及び非フコシル化に関するこれらのデータについての回帰プロットを示す。プロットされたデータの最良適合線が図6A及び6Bのそれぞれに示されており、以下の線形方程式、方程式2で記載され得る:
ADCC%=0.2358435425+27.030822634×HM%+22.12397042×AF%
[方程式2]。
【0202】
追加の統計的パラメータを図6Cに示す。この図に示されるように、ADCCとTAFとの間の関連の有意性は、r値(r=0.88)及びp値(p<0.0001)によって実証された。
【0203】
方程式2並びに表1の高マンノース値及び非フコシル化値を用いて、予測ADCC%値を表1の各サンプルについて算出した。図6Dにおいて、実ADCC%(表1に列挙)を予測ADCC%に対してプロットした。その結果、非フコシル化グリカン、高マンノースと、ADCCとの間に正の相関があり、非フコシル化グリカン及び高マンノースのレベルが高くなるとADCC活性が高くなることが確認された。非フコシル化グリカン及び高マンノースは、ADCC活性に対し同等の寄与を示した。
【0204】
ガラクトシル化は統計的に有意な関連性を示さなかったので、ADCCとHM及びAF(又はTAF)との間の関連性はこれらのグリカンに特異的であった。図7Aは、ADCCとガラクトシル化レベルとの間の回帰プロットである。統計的有意性の欠如は、r値(r=0.02)及びp値(p<0.3715)によって実証された。図7Bは、予測ADCCの関数としてプロットされた実ADCC%(表1に列挙)のグラフである。これらの図に示されるように、ADCCとガラクトシル化との間には非常に弱い関連性が観察されただけであった。
【0205】
統計解析により、TAFがADCC活性に最も大きく寄与していることが確認された。TAFレベルとADCC活性レベルとの関連性は、ADCC%と他のグリカンとの関係とは大きく異なっていた。
【0206】
実施例4
この実施例では、ADCCをTAFに関連付けるモデルを検証する研究を記載する。
【0207】
ADCCをTAFに関連付ける実施例3に記載のモデルを、表1の大規模バイオリアクターサンプルの同じ抗体の大規模製造サンプルを用いて検証した。各大規模サンプル(N=13)を、実施例1に記載の方法に従って高マンノース及び非フコシル化レベルを測定し、次いで2つ%を合計してTAF%レベルを得ることによって、TAFレベルについて特徴付けた。実施例2に記載のアッセイを実施し、1試料当たり3つの値を得るために2回繰り返し、次いで3つの値の平均を記録することによって、各大規模サンプルの実験によるADCCレベルを決定した。予測ADCCを、方程式1を用いて計算した。結果を以下の表2に示す。
【0208】
【表2】
【0209】
表2のデータによって示されるように、方程式1によって生成された予測ADCC結果は、報告された実験結果とよく一致している。したがって、ADCC及びTAFに関連する信頼性のある正確なモデルが確立された。
【0210】
実施例5
この実施例では、抗CD20抗体のADCCを予測する基礎を明らかにする新規なグリカンモデルを記載する。
【0211】
抗CD20抗体は、リツキシマブのバイオシミラーとして開発されている。B細胞に発現するCD20抗原に特異的に結合し、複数の機序を介してB細胞の殺滅を促進する組換えキメラマウス/ヒトIgG1モノクローナル抗体であり、ADCCは重要な作用機序の1つである。コアフコースの非存在がADCC活性の増加をもたらす一方で、ガラクトシル化及び高マンノースも役割を果たし得ることが確立されている。抗CD20抗体のADCC活性に対するN-グリカンの寄与の系統的評価をグリコエンジニアリング研究によって実施し、非フコシル化グリカン、高マンノースと、ADCCとの間に正の相関があり、非フコシル化グリカン及び高いマンノースのレベルが高くなるとADCC活性が高くなることを確認した。しかしながら、グリコエンジニアリングによって生成されたサンプルのグリカンプロファイルは、抗CD20抗体のグリカン属性範囲を完全には代表していない可能性があり、抗CD20抗体の小規模バイオリアクターデータセットの統計的評価を行って、抗CD20抗体製造プロセスにおいて全範囲を捕捉することによって代表的なグリカンADCCモデルを確立した。このアプローチにより、非フコシル化及び高マンノースがADCCに対し同様の相関を示すことが明らかになった。総非フコシル化(非フコシル化と高マンノースの合計)を使用して、抗CD20抗体ADCCを予測する新規方法論をグリカンモデルに適用した。予測式(ADCC=2.6+24.1×総非フコシル化)を確立し、大規模製造データを用いて検証した。式によって得られた予測ADCC結果は、報告されたADCCアッセイ結果とよく一致している。したがって、総非フコシル化とADCCの相関は、グリカン-ADCCモデルとして確立され、グリカン測定をオルトゴナル法として使用してADCCをモニターするプロセスが可能になった。
【0212】
この研究の結果は、グリカンのADCCとの相関の基礎を特定し、抗CD20抗体とオルトゴナル法(HPLCグリカン法)との間の機能的アッセイをもたらした。このデータにより、Amgenは属性に焦点を当てた開発アプローチと、結果を考慮し、市場アプリケーションのための新規な属性分析を提供するための識別されたメカニズムとを進めることが可能になった。
【0213】
使用したアプローチには、HPLC、ADCCアッセイ及び機能横断的コラボレーションが含まれた
【0214】
実施例6
この実施例は、第2の抗体についてADCCをグリカンレベルに関連付けるモデルを確立するに至った研究を示す。
【0215】
実施例3は、CD20に結合するIgG1についてADCCをグリカンレベルに関連付けるモデルを確立するに至った研究を記載している。本研究は、ヒト定常領域及びマウス可変領域から構成され、TNFα抗原に結合するキメラモノクローナルIgG1カッパ抗体について、ADCCとグリカンレベルとの間の関係を評価する。
【0216】
小規模バイオリアクターで作製した第2の抗体(抗TNFα抗体)の代表的なサンプルの、次のグリコフォーム:高マンノース及び非フコシル化のレベルを、実施例1に記載の例示的な方法を用いて評価した。総非フコシル化のパーセンテージ(TAF%)は、高マンノース%と非フコシル化%の合計である。抗TNFα抗体の各代表的なサンプルのADCCレベルを、実施例2に記載のアッセイによって決定した。データを、統計解析のためのコンピュータプログラムのJMPスイート(SAS Institute、Cary、NC)を用いて分析した。データの回帰プロットを図8Aに示す。プロットされたデータの最良適合線がこの図に示されており、以下の線形方程式、方程式3で記載され得る:
ADCC%=9.3+12.47×TAF%
[方程式3]。
【0217】
追加の統計的パラメータを図8Bに示す。この図に示されるように、ADCCとTAFとの間の関連の有意性は、r値(r=0.80)及びp値(p<0.0001)によって実証された。
【0218】
方程式3及び測定されたTAF値を用いて、予測ADCC%値を各サンプルについて算出した。図8Cにおいて、実ADCC%(実施例2で記載したように測定)を予測ADCC%に対してプロットした。その結果、総非フコシル化とADCCとの間に正の相関があり、総非フコシル化のレベルが高くなるとADCC活性が高くなることが確認された。
【0219】
図8D図8Aと同じグラフであるが、95%信頼区間(灰色の陰影領域で示す)のグラフ描写を伴う。図8Dに示すように、ほとんどのデータ点は95%信頼区間内に入った。図8Eは、方程式3のy切片及び傾きの両方の95%信頼領域のグラフを示す。
【0220】
TAFの個々の成分(非フコシル化(AF)及び高マンノース(HM))によるデータもまた、JMPスイートを使用して分析し、ADCCと同様の相関を示した。図9A及び9Bは、それぞれ、高マンノース及び非フコシル化に関するこれらのデータの回帰プロットを示す。プロットされたデータの最良適合線が図9A及び9Bのそれぞれに示されており、以下の線形方程式、方程式4で記載され得る:
ADCC%=8.66+12.86×HM%+12.37×AF%
[方程式4]。
【0221】
追加の統計的パラメータを図9Cに示す。この図に示されるように、ADCCとTAFとの間の関連の有意性は、r値(r=0.8)及びp値(p<0.0001)によって実証された。
【0222】
方程式4並びに測定された高マンノース値及び非フコシル化値を用いて、予測ADCC%値を各サンプルについて算出した。図9Dにおいて、実ADCC%(実施例2で記載したように測定)を予測ADCC%に対してプロットした。その結果、非フコシル化グリカン、高マンノースと、ADCCとの間に正の相関があり、非フコシル化グリカン及び高マンノースのレベルが高くなるとADCC活性が高くなることが確認された。非フコシル化グリカン及び高マンノースは、ADCC活性に対し同等の寄与を示した。
【0223】
この実施例は、第2の抗体(抗TNFα抗体)について、TAFがADCC活性に対して非常に有意な寄与を示すことが統計的分析によって確認されたことを実証した。
【0224】
実施例7
この実施例は、ADCCをTAF、HM及び/又はAFグリカンに関連付けるモデルの第2のセットを実証する。
【0225】
実施例3及び6のそれぞれは、2つの抗体、すなわち抗CD20抗体と抗TNFアルファ抗体について、ADCCをTAFグリカン含量に、又はADCCをHM及びAFグリカン含量に関連付ける線形回帰モデルを確立する:例示的な態様では、CD20抗体は、抗TNFα抗体である。モデルは、方程式1~4で数学的に記述される。これらの方程式のそれぞれについて、y切片の重要性を、各方程式のy切片のp値を分析することによって評価した。表3は、方程式1~4のそれぞれに対するy切片のp値を示す。
【0226】
【表3】
【0227】
各p値は0.05よりも大きいので、方程式1~4の各y切片はゼロに近いと考えられ、式から除外することができた。
【0228】
上記を考慮して、測定されたADCCデータ及び測定されたグリカンデータを「y切片なしモデル」に再適合させ、これらのモデルの統計的有意性を評価した。表4は、2つの抗体についてのADCCとTAFグリカン、又はADCCとHM及びAFグリカンの間の関係を記載する、y切片なしモデルの方程式を列挙する。
【0229】
【表4】
【0230】
表4に示すように、y切片なしモデルは統計的に有意であり、ADCCをTAFグリカン含量に、又はADCCをHM及びAFグリカン含量に相関させる代替モデルを表す。
【0231】
表5は、線形回帰モデルとy切片なしモデルのそれぞれの傾きを示す。
【0232】
【表5】
【0233】
表5に示すように、2つのモデルは互いに高い一致を示す。線形回帰モデル及びy切片なしモデルのそれぞれにおけるTAFのx切片(24.07070対24.73579)は、値が非常に近かった。同じことが、HM(27.03082対27.14941)グリカン及びAF(22.12397対22.12018)グリカンのそれぞれについて観察された。
【0234】
実施例8
この例は、ADCC-TAFモデルとADCC-HM/AFモデルとが交換可能であることを実証する。
【0235】
ADCCをHM及びAFグリカン含量に相関させる表4の方程式6を用いて、予測ADCCを計算した。予測ADCCを、表4の方程式5(これはADCCをTAFグリカン含量と相関させる)に従って計算された予測ADCCに対してプロットした。結果を図10Aのグラフに示す。表4の方程式7及び8について同じ工程を実施し、図10Bにグラフ化した。最良適合線の方程式は、各グラフの下に示す。これらの図及び方程式に示すように、モデルは互いに高い一致を示す(p<0.0001)。傾きは、ほぼ1.0(0.97又は0.98)である。これらのデータは、抗体組成物のADCCが1つのグリカン型(TAFグリカン)対2つのグリカン型(HM及びAF)に基づいて予測され得ることを支持する。これらのデータはまた、目標ADCCを有する抗体組成物について、目標TAFが算出され得、且つ目標TAFを達成するためにHM及びAFのいずれかを改変し得ることを示唆する。抗体組成物のHM又はAFを改変する方法は、HM及びAFの両方を改変する方法を組み合わせるよりも単純である。
【0236】
本明細書で引用されている全ての参考文献(例えば、刊行物、特許出願及び特許)は、各参考文献が参照により組み込まれると個々に且つ明確に示されており、且つその全体が本明細書に記載されていた場合と同程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0237】
本開示の説明に関連して(特に以下の特許請求の範囲に関連して)、用語「1つの(a)」、及び「1つの(an)」、及び「その」並びに類似の指示対象の使用は、別途本明細書で指示されない限り又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されなければならない。用語「含む」、「有する」、「包含する」及び「含有する」は、特記しない限り、オープンエンドの用語(すなわち「含むが、限定されない」を意味する)と解釈されなければならない。
【0238】
本明細書における値の範囲の列挙は、別途本明細書で指示されない限り、この範囲及び各端点にある別個の値のそれぞれを個々に指す簡略法の役割を果たすことが意図されているに過ぎず、別個の値及び端点のそれぞれは、それが本明細書において個々に列挙されていたかのように本明細書に組み込まれる。
【0239】
本明細書で説明されている方法の全ては、別途本明細書で指示されない限り又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書で提供されるあらゆる例又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、本開示をより明らかにすることが意図されているに過ぎず、別途特許請求されない限り、本開示の範囲に限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる言語も、任意の特許請求されていない要素を本開示の実施に必須として示していると解釈されるべきではない。
【0240】
本明細書では、本開示の好ましい実施形態が説明されており、例えば本開示を実行するための本発明者らに既知の最良の形態が説明されている。それらの好ましい実施形態の変形形態は、上記の記載を読めば当業者には明らかであろう。本発明者らは、当業者が必要に応じてこのような変形形態を採用することを期待し、また、本発明者らは、本明細書で具体的に記載されている形態以外で本開示が実施されることを意図している。したがって、本開示は、適用される法により認められる通り、本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙されている主題の全ての変更形態及び均等物を含む。さらに、上記の要素の任意の組み合わせは、別途本明細書で指示されない限り又は文脈と明らかに矛盾しない限り、その全ての可能な変形形態で本開示に包含される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A-5B】
図5C-5D】
図5E
図6A-6B】
図6C-6D】
図7A-7B】
図8A-8B】
図8C-8D】
図8E
図9A-9B】
図9C-9D】
図10A-10B】
【配列表】
2022549329000001.app
【国際調査報告】