IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤンセン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図1
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図2
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図3
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図4
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図5A
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図5B
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図6
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図7
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図8
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図9
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図10
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図11
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図12
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図13
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図14
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図15
  • 特表-薬物投与システムの相互接続 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】薬物投与システムの相互接続
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/50 20060101AFI20221116BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20221116BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20221116BHJP
   A61M 15/00 20060101ALI20221116BHJP
   G16H 20/10 20180101ALI20221116BHJP
【FI】
A61M5/50
A61M5/20 510
A61M5/142 530
A61M15/00 Z
G16H20/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518969
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 IB2020058966
(87)【国際公開番号】W WO2021059210
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】62/905,441
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/905,442
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/905,443
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/905,445
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/020,928
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】514010601
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】バコス,グレゴリー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バラッタ,マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ダウ,ユエヘン
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ジェイソン エル.
(72)【発明者】
【氏名】フーベルト,エマ ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】カピル,モニカ エー.
(72)【発明者】
【氏名】クルールビッチ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】レクィア,ヴァウター ジャックス ノエル
(72)【発明者】
【氏名】ペレス,ドロレス
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス,ホイットニー
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン,アイヴイ,フレデリック イー.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ホン
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066EE11
4C066FF05
4C066LL22
4C066LL26
4C066QQ77
4C066QQ84
5L099AA25
(57)【要約】
概して、薬物投与システムの相互接続が提供される。例示的な実施形態では、薬物投与デバイス及び遠隔に位置するサーバは、デバイスとサーバとの間での無線通信のために固有の鍵を確立し得る。薬物投与デバイスは、デバイス及び薬物の少なくとも一方に関する情報を感知するように構成され得、デバイスのメモリに記憶された鍵を使用して、感知した情報を示すデータを匿名化するように構成され得る。薬物投与デバイスはまた、サーバから受信したデータを復号化する際に鍵を使用するように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物を内部に保持するように構成された薬物投与デバイスであって、
前記薬物投与デバイス及び前記薬物の少なくとも一方に関する情報を感知するように構成されたセンサと、
データを内部に記憶するように構成されたメモリであって、記憶された前記データは、遠隔に位置するサーバと確立され、前記薬物投与デバイス及び遠隔に位置する前記サーバに固有である鍵を含む、メモリと、
感知した前記情報を示すデータを、遠隔に位置する通信インターフェースに無線で送信するように構成された通信インターフェースと、
前記鍵を使用して、感知した前記情報を示す前記データの前記送信前に、感知した前記情報を示す前記データを匿名化するように構成されたプロセッサと、を備える、デバイス。
【請求項2】
前記薬物投与デバイスは、シリンジ、注射器、吸入器、点鼻スプレー装置、及び注入ポンプのうちの1つである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記通信インターフェースから遠隔に位置する前記通信インターフェースに送信した全データを匿名化する際に前記鍵を使用するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記鍵を繰り返し使用して、前記センサで感知した情報を示す複数のデータセットを匿名化するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記通信インターフェースは、遠隔に位置する前記通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成されており、前記プロセッサは、遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データを復号化する際に前記鍵を使用するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記プロセッサは、遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した全データを復号化する際に前記鍵を使用するように構成されている、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記通信インターフェースは、遠隔に位置する前記通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成されており、前記データは、前記薬物送達デバイスから前記薬物が送達された後の前記薬物送達デバイスの適切な廃棄に関する情報を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記薬物投与デバイスのユーザに適切な廃棄情報に関する前記情報の通知を提供させるように構成されている、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記薬物送達デバイスから前記薬物が送達された後の前記薬物送達デバイスの適切な廃棄に関する情報を含むラベルを更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記プロセッサは、感知した前記情報に少なくとも部分的に基づいて、前記薬物投与機構からの前記薬物の送達を制御するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
薬物投与システムであって、
サーバであって、
データを無線で受信し、データを無線で送信するように構成された通信インターフェースと、
鍵を内部に記憶するように構成されたメモリと、
プロセッサと、を含む、サーバと、
薬物投与デバイスであって、
前記鍵を内部に記憶するように構成されたメモリであって、前記鍵は、前記薬物投与デバイス及び前記サーバに固有である、メモリと、
前記サーバの前記通信インターフェースにデータを無線で送信し、前記サーバの前記通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成された通信インターフェースと、
プロセッサと、を含む、薬物投与デバイスと、を備え、
前記サーバの前記プロセッサは、前記鍵を使用して、前記薬物投与デバイスの前記通信インターフェースに送信した全データを、その前記送信前に匿名化するように構成されており、
前記薬物投与デバイスの前記プロセッサは、前記鍵を使用して、前記サーバの前記通信インターフェースに送信した全データを、その前記送信前に匿名化するように構成されている、システム。
【請求項13】
前記薬物投与デバイスは、シリンジ、注射器、吸入器、点鼻スプレー装置、及び注入ポンプのうちの1つである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記サーバの前記プロセッサは、前記鍵を使用して、前記薬物投与デバイスの前記通信インターフェースから受信した全データを復号化するように構成されており、
前記薬物投与デバイスの前記プロセッサは、前記鍵を使用して、前記サーバの前記通信インターフェースから受信した全データを復号化するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記サーバの前記プロセッサは、前記薬物投与デバイスの前記通信インターフェースから受信した前記データを、前記薬物投与デバイスに関連する患者の電子健康記録(EHR)及び薬物のリスク評価及び軽減戦略(REMS)用の患者監視フォームの少なくとも一方に自動的にアップロードさせるように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記薬物投与デバイスはまた、前記薬物投与デバイス及び前記薬物の少なくとも一方に関する情報を感知するように構成されたセンサを含み、前記サーバの前記通信インターフェースに送信した前記データは、感知した前記情報を示すデータを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記薬物投与デバイスの前記プロセッサは、感知した前記情報に少なくとも部分的に基づいて、前記薬物投与デバイスから患者への前記薬物の送達を制御するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記サーバの通信インターフェースに送信した前記データは、前記サーバから受信したデータ要求に応答したデータを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
薬物投与方法であって、
薬物投与デバイスと前記薬物投与デバイスから遠隔に位置するサーバとの間での無線通信のために固有の鍵を確立することであって、前記鍵は、前記薬物投与デバイスのメモリに、及び前記サーバのメモリに記憶される、固有の鍵を確立することと、
前記薬物投与デバイスのセンサで、前記薬物投与デバイス及び薬物の少なくとも一方に関する情報を感知することと、
前記薬物投与デバイスのプロセッサで、前記薬物投与デバイスの前記メモリに記憶された前記鍵を使用して、感知した前記情報を示すデータを匿名化することと、
前記薬物投与デバイスの前記プロセッサで、前記サーバから受信したデータを復号化する際に前記薬物投与デバイスの前記メモリに記憶された前記鍵を使用することと、を含む、方法。
【請求項21】
前記薬物投与デバイスは、シリンジ、注射器、吸入器、点鼻スプレー装置、及び注入ポンプのうちの1つである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記薬物投与デバイスの前記プロセッサで、感知した前記情報に少なくとも部分的に基づいて、前記薬物投与デバイスからの前記薬物の送達を制御することを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記データは、前記薬物送達デバイスから前記薬物が送達された後の前記薬物送達デバイスの適切な廃棄に関する情報を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記プロセッサを使用して、前記薬物投与デバイスのユーザに適切な廃棄情報に関する前記情報の通知を提供させることを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
薬物投与デバイスであって、
少なくとも1つの可変パラメータを含むアルゴリズムを内部に記憶するように構成されたメモリと、
遠隔に位置する通信インターフェースから無線でデータを受信するように構成された通信インターフェースと、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
前記薬物投与デバイスから患者への薬物の送達を制御する際に前記アルゴリズムを使用し、
遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データに基づいて、前記メモリに記憶された前記アルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更する
ように構成されている、デバイス。
【請求項27】
前記薬物投与デバイスは、シリンジ、吸入器、及び注入ポンプのうちの1つである、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記薬物を内部に保持するように構成された薬物ホルダを更に備え、
前記薬物投与デバイスから前記患者への前記薬物の送達を制御することは、前記薬物ホルダからの前記薬物の放出を制御することを含む、請求項26に記載のデバイス。
【請求項29】
前記薬物投与デバイスは、針を患者の内部へと自動的に進めるように構成された自動注射器であり、
前記少なくとも1つの可変パラメータは、前記針が前記患者の内部へと自動的に進められる速度を含み、
遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データは、前記針が前記患者の内部へと自動的に進められる別の速度を含み
前記少なくとも1つの可変パラメータを変更することは、前記アルゴリズムにおいて前記速度を更新された前記速度で置き換えることを含む、請求項26に記載のデバイス。
【請求項30】
前記少なくとも1つの可変パラメータは、前記薬物投与デバイスから前記患者への前記薬物の送達速度、前記薬物投与デバイスから前記患者に送達される前記薬物の用量間のタイミング、及び前記薬物の温度のうちの少なくとも1つを含む、請求項26に記載のデバイス。
【請求項31】
遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データは、遠隔に位置するコンピュータシステムにおいて前記アルゴリズム入力に対する変更を要求した医師に基づいている、請求項26に記載のデバイス。
【請求項32】
前記プロセッサはまた、前記薬物投与デバイスからの前記薬物の送達を制御する際に前記アルゴリズムを使用した後、前記薬物投与デバイスから前記患者への前記薬物の別の送達を制御する際に前記アルゴリズムを使用するように構成されている、請求項26に記載のデバイス。
【請求項33】
前記薬物投与デバイス及び前記薬物の少なくとも一方に関する情報を感知するように構成されたセンサを更に備える、請求項26に記載のデバイス。
【請求項34】
前記通信インターフェースは、感知した前記情報を示すデータを遠隔に位置する前記通信インターフェースに送信するように構成されており、
遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データは、感知した前記情報を示す前記データに少なくとも部分的に基づいている、請求項33に記載のデバイス。
【請求項35】
前記プロセッサはまた、感知した前記情報を示すデータを遠隔に位置する前記通信インターフェースに最初に送信することなく、感知した前記情報に基づいて、前記メモリに記憶された前記アルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するように構成されている、請求項33に記載のデバイス。
【請求項36】
前記プロセッサはまた、要求を、前記通信インターフェースから遠隔に位置する前記通信インターフェースに送信させるように構成されており、
前記要求は、前記アルゴリズムの更新を要求し、
遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データは、前記要求に応答している、請求項26に記載のデバイス。
【請求項37】
前記アルゴリズムの更新が不要であることを示す、遠隔に位置する前記通信インターフェースからの前記要求に対する応答を受信する場合、前記プロセッサは、前記メモリに記憶された前記アルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更しない、請求項36に記載のデバイス。
【請求項38】
遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データは、前記アルゴリズムの更新を求める前記通信インターフェースからの要求に応答することなく、前記通信インターフェースに自動的に送信される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項39】
前記通信インターフェースはまた、遠隔に位置する前記通信インターフェースからアルゴリズムデータを無線で受信するように構成されており、
前記プロセッサはまた、遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データに基づいて、前記メモリに記憶された前記アルゴリズムを変更するように構成されている、請求項26に記載のデバイス。
【請求項40】
前記アルゴリズムを変更することは、少なくとも1つの追加の可変パラメータを前記アルゴリズムに追加することを含む、請求項39に記載のデバイス。
【請求項41】
前記薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含む、請求項26に記載のデバイス。
【請求項42】
薬物投与デバイスであって、
アルゴリズムを内部に記憶するように構成されたメモリと、
遠隔に位置する通信インターフェースから無線でデータを受信するように構成された通信インターフェースと、
薬物を内部に保持するように構成された薬物ホルダと、
プロセッサであって、
前記アルゴリズムを実行することによって、前記薬物ホルダから患者への前記薬物の用量の送達を制御し、
遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データに基づいて、前記メモリに記憶された前記アルゴリズムを調整し、
調整した前記アルゴリズムを実行することによって、前記患者への前記薬物ホルダの後続の用量の送達を制御するように構成された、プロセッサと、を備える、デバイス。
【請求項43】
前記薬物投与デバイスは、シリンジ、注射器、吸入器、及び注入ポンプのうちの1つである、請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
前記アルゴリズムは、少なくとも1つの可変パラメータを含み、前記プロセッサが前記アルゴリズムを調整することは、前記アルゴリズムの前記少なくとも1つの可変パラメータを変更することを含む、請求項42に記載のデバイス。
【請求項45】
前記プロセッサが前記アルゴリズムを変更することは、少なくとも1つの追加の可変パラメータを前記アルゴリズムに追加することを含む、請求項42に記載のデバイス。
【請求項46】
前記薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含む、請求項42に記載のデバイス。
【請求項47】
薬物投与方法であって、
薬物投与デバイスのプロセッサを使用して、前記薬物投与デバイスから患者への薬物の用量の送達を制御するアルゴリズムを実行することであって、前記アルゴリズムは、前記薬物投与デバイスのメモリに記憶されている、アルゴリズムを実行することと、
前記薬物投与デバイスデータの通信インターフェースにおいて、前記薬物投与デバイスから遠隔に位置する通信インターフェースからデータを無線で受信することと、
前記プロセッサを使用して、遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データに基づいて、前記メモリに記憶された前記アルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更することと、
前記プロセッサを使用して、変更した前記アルゴリズムを実行することであって、前記薬物投与デバイスから前記患者への前記薬物の別の用量の送達を制御する、変更した前記アルゴリズムを実行することと、を含む、方法。
【請求項48】
前記薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
薬物投与デバイスであって、
薬物を内部に保持するように構成された薬物ホルダと、
ディスプレイと、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
前記薬物ホルダから前記患者に前記薬物の用量を手動で投与するために必要な電流のリマインダ、
前もって予定されていた、前記薬物ホルダから前記患者への前記薬物の用量の概要、及び
以前に送達された、前記薬物ホルダから前記患者への前記薬物の用量のタイミングと前記患者が経験した少なくとも1つの医療事象のタイミングとの間の相関関係の示度
のうちの少なくとも1つを前記ディスプレイに表示させるように構成されている、デバイス。
【請求項50】
前記薬物投与デバイスは、シリンジ、注射器、吸入器、及び注入ポンプのうちの1つである、請求項49に記載のデバイス。
【請求項51】
前記プロセッサは、少なくとも前記リマインダを前記ディスプレイに表示させるように構成されている、請求項49に記載のデバイス。
【請求項52】
前記プロセッサは、少なくとも前記概要を前記ディスプレイに表示させるように構成されており、前記概要は、
前もって予定されていた前記用量の中で失敗した全ての用量の示度、
前もって予定されていた前記用量の中で正常に送達された全ての用量の示度、
前記用量の所定の送達スケジュールと比較して、以前送達された前記用量のタイミングの示度、
前記患者に対する前記薬物の意図された治療効果の示度、
及び前記患者に対する前記薬物の効果の予想残存期間の示度のうちの少なくとも1つを含む、請求項49に記載のデバイス。
【請求項53】
前記プロセッサは、少なくとも相関関係の前記示度を前記ディスプレイに表示させるように構成されている、請求項49に記載のデバイス。
【請求項54】
遠隔に位置する通信インターフェースから無線でデータを受信するように構成された通信インターフェースを更に備え、
前記プロセッサはまた、遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データを示す情報を前記ディスプレイに表示させるように構成されている、請求項49に記載のデバイス。
【請求項55】
遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データは、前記患者の病歴情報を含む、請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データは、前記薬物投与デバイスの正しい使用に関するヘルプ情報を含み、
前記プロセッサはまた、前記ヘルプ情報を示す情報を前記ディスプレイに表示させるように構成されている、請求項54に記載のデバイス。
【請求項57】
前記薬物投与デバイス及び前記薬物の少なくとも一方に関する情報を感知するように構成されたセンサを更に備え、
前記プロセッサはまた、感知した前記情報を示す情報を前記ディスプレイに表示させるように構成されている、請求項49に記載のデバイス。
【請求項58】
感知した前記情報を示すデータを遠隔に位置する通信インターフェースに無線で送信し、続いて、送信した前記データに少なくとも部分的に基づいて、遠隔に位置する前記通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成された通信インターフェースを更に備え、
前記プロセッサはまた、遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データを示す情報を前記ディスプレイに表示させるように構成されている、請求項57に記載のデバイス。
【請求項59】
前記薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含む、請求項49に記載のデバイス。
【請求項60】
薬物投与システムであって、
患者に送達するために薬物を内部に保持するように構成された薬物投与デバイスと、
ディスプレイと、
前記患者に関する医療情報を示すデータを無線で受信するように構成された通信インターフェースと、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
薬物を内部に保持するように構成された薬物投与デバイスから患者に薬物の用量を手動で投与するために必要な電流のリマインダ、
前もって予定されていた、前記薬物投与デバイスから前記患者への前記薬物の用量の概要、及び
以前に送達された、前記薬物投与デバイスから前記患者への前記薬物の用量のタイミングと前記患者が経験した少なくとも1つの医療事象のタイミングとの間の相関関係の示度のうちの少なくとも1つを前記ディスプレイに表示させるように構成されている、システム。
【請求項61】
前記薬物投与デバイスは、シリンジ、注射器、吸入器、及び注入ポンプのうちの1つである、請求項60に記載のデバイス。
【請求項62】
遠隔に位置する通信インターフェースから無線でデータを受信するように構成された通信インターフェースを更に備え、
前記プロセッサはまた、遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データを示す情報を前記ディスプレイに表示させるように構成されている、請求項60に記載のシステム。
【請求項63】
前記薬物投与デバイス及び前記薬物の少なくとも一方に関する情報を感知するように構成されたセンサを更に備え、
前記プロセッサはまた、感知した前記情報を示す情報を前記ディスプレイに表示させるように構成されている、請求項60に記載のシステム。
【請求項64】
感知した前記情報を示すデータを遠隔に位置する通信インターフェースに無線で送信し、続いて、送信した前記データに少なくとも部分的に基づいて、遠隔に位置する前記通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成された通信インターフェースを更に備え、
前記プロセッサはまた、遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データを示す情報を前記ディスプレイに表示させるように構成されている、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
前記薬物投与デバイスは前記通信インターフェースを含む、請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
前記薬物投与デバイスは、前記ディスプレイと、前記プロセッサと、を含む、請求項60に記載のシステム。
【請求項67】
サーバは、前記ディスプレイと、前記プロセッサと、を含む、請求項60に記載のシステム。
【請求項68】
モバイルデバイスは、前記ディスプレイと、前記プロセッサと、を含む、請求項60に記載のシステム。
【請求項69】
前記薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含む、請求項60に記載のシステム。
【請求項70】
患者の生理的パラメータに関する情報を感知するように構成されたセンサであって、前記センサは、
データを内部に記憶するように構成されたメモリであって、記憶された前記データは、遠隔に位置するサーバと確立され、前記センサ及び遠隔に位置する前記サーバに固有である鍵を含む、メモリと、
感知した前記情報を示すデータを、遠隔に位置する通信インターフェースに無線で送信するように構成された通信インターフェースと、
前記鍵を使用して、感知した前記情報を示す前記データの前記送信前に感知した前記情報を示す前記データを匿名化するように構成されたプロセッサと、を備える、センサ。
【請求項71】
前記プロセッサは、前記通信インターフェースから遠隔に位置する前記通信インターフェースに送信した全データを匿名化する際に前記鍵を使用するように構成されている、請求項70に記載のセンサ。
【請求項72】
前記プロセッサは、前記鍵を繰り返し使用して、前記センサで感知した情報を示す複数のデータセットを匿名化するように構成されている、請求項70に記載のセンサ。
【請求項73】
前記センサは、前記患者の前記生理的パラメータに関する情報を、少なくとも24時間毎に1回取得するように構成されている、請求項72に記載のセンサ。
【請求項74】
前記通信インターフェースは、遠隔に位置する前記通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成されており、前記プロセッサは、遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した前記データを復号化する際に前記鍵を使用するように構成されている、請求項70に記載のセンサ。
【請求項75】
前記プロセッサは、遠隔に位置する前記通信インターフェースから受信した全データを復号化する際に前記鍵を使用するように構成されている、請求項74に記載のセンサ。
【請求項76】
前記生理的パラメータは、血糖値、血中酸素濃度、体重、及び睡眠時間のうちの少なくとも1つである、請求項70に記載のセンサ。
【請求項77】
前記薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含む、請求項70に記載のセンサ。
【請求項78】
センサシステムであって、
サーバであって、
データを無線で受信するように構成された通信インターフェースと、
鍵を内部に記憶するように構成されたメモリと、
プロセッサと、を含む、サーバと、
請求項70に記載のセンサと、を備える、システム。
【請求項79】
前記サーバの前記プロセッサは、前記鍵を使用して、前記センサの前記通信インターフェースに送信した全データを、その前記送信前に匿名化するように構成されている、請求項78に記載のシステム。
【請求項80】
前記サーバの前記プロセッサは、前記鍵を使用して、前記サーバの前記通信インターフェースから受信した全データを復号化するように構成されており、
前記センサの前記プロセッサは、前記鍵を使用して、前記サーバの前記通信インターフェースから受信した全データを復号化するように構成されている、請求項79に記載のシステム。
【請求項81】
前記サーバの前記通信インターフェースに送信した前記データは、前記サーバから受信したデータ要求に応答したデータを含む、請求項79に記載のシステム。
【請求項82】
複数の、請求項70に記載のセンサを更に備え、前記センサは、前記複数のセンサのうちの1つである、請求項78に記載のシステム。
【請求項83】
前記複数のセンサは、同一患者の異なる生理的パラメータを測定するように構成されたセンサを含む、請求項82に記載のシステム。
【請求項84】
前記複数のセンサは、複数の患者で対応する生理的パラメータを測定するように構成されたセンサを更に含む、請求項83に記載のシステム。
【請求項85】
前記サーバは、感知した前記情報を示す前記データを、前記生理的パラメータの示度及び前記患者と共に記憶するように構成されている、請求項84に記載のシステム。
【請求項86】
前記サーバは、各患者に関連する薬物投与デバイスに関する情報を示すデータを受信し、記憶するように構成されている、請求項85に記載のシステム。
【請求項87】
前記サーバは、各患者の栄養摂取量を示すデータを受信し、記憶するように構成されている、請求項85に記載のシステム。
【請求項88】
前記薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含む、請求項78に記載のシステム。
【請求項89】
患者の生理的パラメータに関する情報を感知する方法であって、
センサと前記センサから遠隔に位置するサーバとの間での無線通信のために固有の鍵を確立することであって、前記鍵は、前記サーバのメモリに、及び前記サーバのメモリに記憶される、固有の鍵を確立することと、
前記センサで、患者の生理的パラメータに関する前記情報を感知することと、
前記センサのプロセッサで、前記センサの前記メモリに記憶された前記鍵を使用して、感知した前記情報を示すデータを匿名化することと、
前記センサの前記プロセッサで、前記サーバから受信したデータを復号化する際に前記センサの前記メモリに記憶された前記鍵を使用することと、を含む、方法。
【請求項90】
前記薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含む、請求項89に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、薬物の投与及び/又は提供のためのデバイスに関する。本開示は更に、デバイスが使用され得るシステム、及び投与の方法、並びにシステムに関連付けられた更なる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬製品(大分子及び小分子医薬品、以下「薬物」、を含む)は、特定の医療適応症の治療のために、様々な異なる方法で患者に投与される。投与の様式に関係なく、患者への悪影響を回避するために、薬物を投与する際には注意しなければならない。例えば、安全な量を超える量の薬物を患者に投与しないように、注意しなければならない。これは、与えられる用量の量、及び用量が、時には以前の用量又は他の薬物の用量に関連して送達される時間枠の考慮を必要とする。更に、誤った薬物、又はその年月若しくは保存条件によって劣化した薬物を患者に不注意に投与しないように、注意しなければならない。これらの考慮事項の全ては、特定の薬物又は薬物の組み合わせに関連付けられた手引きで伝達され得る。しかしながら、この手引きは、例えば、ヒューマンエラーなどのミスにより、必ずしも正しく従われない。これは、患者への悪影響につながるか、又は不適切な薬物投与をもたらす可能性があり、例えば、特定の医療適応症に対して、不十分又は過剰な体積の薬が投与される。
【0003】
薬物が患者にどのように投与されるかに関して、使用され得る様々な剤形がある。例えば、これらの剤形は、1つ又は2つ以上の薬物の非経口、吸入、経口、点眼、点鼻、局所、及び坐剤の形態を含み得る。
【0004】
剤形は、薬物投与デバイスを介して患者に直接投与され得る。シリンジ、注射デバイス(例えば、オートインジェクタ、ジェットインジェクタ、及び注入ポンプ)、点鼻スプレー装置、及び吸入器を含む、様々な剤形の送達に一般的に利用可能な多くの異なるタイプの薬物投与デバイスが存在する。
【0005】
様々な剤形で患者に投与される薬物に関連付けられた手引きの順守を監視することが望ましいことがある。これにより、正しい手順が踏襲されていることの保証が提供され、不正確で潜在的に危険なアプローチの採用が回避され得る。更に、これにより、患者への薬物の投与の最適化も可能になり得る。
【0006】
更に、患者の病歴、現在の健康状態、及び/又は薬物投与デバイスの使用など治療的処置に関連するデータは、通常、患者と適切な医療専門家との間でのみ共有される、非公開の機密情報を含み得る。データ暗号化により、安全かつ匿名化された様式でユーザとコンピュータシステムとの間でデータを共有することが可能になる。データ暗号化は、非公開の医療データなどデータが、データの性質又は内容を意図しないユーザに曝露するリスクなく確実に共有できるように、鍵ベースの暗号化システムを使用して実行することができる。鍵ベースの暗号化システムは、公開鍵/秘密鍵アーキテクチャを使用した安全なデータ送信を可能にするため、誰でも公開鍵を使用してデータを暗号化することはできるが、暗号化されたデータは、受信者の秘密鍵でのみ復号化することができる。しかしながら、患者がデバイスに慣れていないこと、患者に害を及ぼさないように適時に医療関連情報を通信する必要があることなど多数の要因のために、患者が管理するデバイスを適切に設定して効果的な通信を行うことは困難であり得る。
【0007】
患者は、典型的には、手引きに従って薬物を投与するが、薬物の投与に関して通知又はフィードバックを全く伴わないことも多い。したがって、患者は、薬物の投与を忘れるか、若しくは手引きに対する患者の解釈に基づいて誤って薬物を投与することがある、及び/又は自身の生理的状態を全く認識することなく、薬物を投与することがある。誤って薬物を投与するか、又は医療専門家の手引きを守らないと、患者にとって深刻な、更には生命を脅かす結果がもたらされることがあり得る。
【0008】
薬物を投与する患者は、薬物の投与に関連するマイナスの副作用又は有害な臨床転帰を経験することがあり、通常、患者が経験している副作用又は有害状態を緩和し得る、代替薬物、薬物投与デバイス、及び/又は手引きを検討するために、薬物を処方した適切な医療専門家とのやり取りを開始しなければならない。患者は、適切な医療専門家へのフィードバックを遅延させることがあり、その結果、患者が経験しているかもしれない悪条件を悪化させ得る、不注意で関連情報を報告しないことがある、及び/又は患者が経験している問題を緩和し得る、新たな薬剤投与量若しくは送達スケジュール設定で、患者の薬物投与デバイスを調整する、若しくは再設定することを更に遅延させることに寄与することがある。
【0009】
更に、所与の条件を有する多数の患者は、生理的反応に関するデータを蓄積するための潜在的に有用なリソースを意味する。しかしながら、このデータの全てを収集することは困難であるため、潜在的な傾向及び相関関係を見逃すことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、薬物を内部に保持するように構成された薬物投与デバイスが提供され、一実施形態では、この薬物投与デバイスは、薬物投与デバイス及び薬物の少なくとも一方に関する情報を感知するように構成されたセンサを含む。この薬物投与デバイスはまた、データを内部に記憶するように構成されたメモリを含む。記憶されたデータは、遠隔に位置するサーバと確立された鍵を含む。鍵は、薬物投与デバイス及び遠隔に位置するサーバに固有である。薬物投与デバイスはまた、感知した情報を示すデータを、遠隔に位置する通信インターフェースに無線で送信するように構成された通信インターフェースを含む。薬物投与デバイスはまた、鍵を使用して、感知した情報を示すデータの送信前に感知した情報を示すデータを匿名化するように構成されたプロセッサを含む。
【0011】
薬物投与デバイスは、多数の変形例を有し得る。例えば、薬物投与デバイスは、シリンジ、注射器、吸入器、点鼻スプレー装置、及び注入ポンプのうちの1つを含み得る。別の例では、プロセッサは、通信インターフェースから遠隔に位置する通信インターフェースに送信した全データを匿名化する際に鍵を使用するように構成され得る。更に別の例では、プロセッサは、鍵を繰り返し使用して、センサで感知した情報を示す複数のデータセットを匿名化するように構成され得る。
【0012】
更に別の例では、通信インターフェースは、遠隔に位置する通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成され得、プロセッサは、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータを復号化する際に鍵を使用するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、プロセッサは、遠隔に位置する通信インターフェースから受信した全データを復号化する際に鍵を使用するように構成され得る。
【0013】
別の例では、通信インターフェースは、遠隔に位置する通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成され得、データは、薬物送達デバイスから薬物が送達された後の薬物送達デバイスの適切な廃棄に関する情報を含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、プロセッサは、薬物投与デバイスのユーザに適切な廃棄情報に関する情報の通知を提供させるように構成され得る。
【0014】
更に別の例では、薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスから薬物が送達された後の薬物送達デバイスの適切な廃棄に関する情報を含むラベルを含み得る。
【0015】
更に別の例では、プロセッサは、感知した情報に少なくとも部分的に基づいて、薬物投与機構からの薬物の送達を制御するように構成され得る。更に別の例では、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0016】
別の実施形態では、薬物投与デバイスは、少なくとも1つの可変パラメータを含むアルゴリズムを内部に記憶するように構成されたメモリと、遠隔に位置する通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成された通信インターフェースと、薬物投与デバイスから患者への薬物の送達を制御する際にアルゴリズムを使用するように構成されたプロセッサと、を含む。プロセッサはまた、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータに基づいて、メモリに記憶されたアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するように構成されている。
【0017】
薬物投与デバイスは、多数の変形例を有し得る。例えば、薬物投与デバイスは、シリンジ、注射器、吸入器、点鼻スプレー装置、及び注入ポンプのうちの1つを含み得る。別の例では、薬物投与デバイスは、薬物を内部に保持するように構成された薬物ホルダを含み得、薬物投与デバイスから患者への薬物の送達を制御することは、薬物ホルダからの薬物の放出を制御することを含み得る。更に別の例では、薬物投与デバイスは、患者の内部へと針を自動的に進めるように構成された自動注射器であり得、少なくとも1つの可変パラメータは、針が患者の内部へと自動的に進められる速度を含み得、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータは、針が患者の内部へと自動的に進められる別の速度を含み得、少なくとも1つの可変パラメータを変更することは、アルゴリズムにおいてその速度を更新された速度で置き換えることを含み得る。別の例では、少なくとも1つの可変パラメータは、薬物投与デバイスから患者への薬物の送達速度、薬物投与デバイスから患者に送達される薬物の用量間のタイミング、及び薬物の温度のうちの少なくとも1つを含み得る。更に別の例では、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータは、遠隔に位置するコンピュータシステムにおいてアルゴリズム入力に対する変更を要求した医師に基づき得る。
【0018】
別の例では、プロセッサはまた、通信インターフェースから遠隔に位置する通信インターフェースに要求を送信させるように構成され得、要求は、アルゴリズムの更新を要求し得、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータは、要求に応答し得る。少なくともいくつかの実施形態では、通信インターフェースは、アルゴリズムの更新が不要であることを示す、遠隔に位置する通信インターフェースからの要求に対する応答を受信し得、プロセッサは、メモリに記憶されたアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更しない。
【0019】
更に別の例では、プロセッサは、薬物投与デバイスからの薬物の送達を制御する際にアルゴリズムを使用した後、薬物投与デバイスから患者への薬物の別の送達を制御する際にアルゴリズムを使用するように構成され得る。
【0020】
別の例では、薬物投与デバイスは、薬物投与デバイス及び薬物の少なくとも一方に関する情報を感知するように構成されたセンサを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、通信インターフェースは、感知した情報を示すデータを遠隔に位置する通信インターフェースに送信するように構成され得、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータは、感知した情報を示すデータに少なくとも部分的に基づき得る。いくつかの実施形態では、プロセッサはまた、感知した情報を示すデータを遠隔に位置する通信インターフェースに最初に送信することなく、感知した情報に基づいて、メモリに記憶されたアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更するように構成され得る。
【0021】
更に別の例では、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータは、アルゴリズムの更新を求める通信インターフェースからの要求に応答することなく、通信インターフェースに自動的に送信され得る。
【0022】
更に別の例では、通信インターフェースはまた、遠隔に位置する通信インターフェースからアルゴリズムデータを無線で受信するように構成され得、プロセッサはまた、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータに基づいて、メモリに記憶したアルゴリズムを変更するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、アルゴリズムを変更することは、少なくとも1つの追加の可変パラメータをアルゴリズムに追加することを含み得る。
【0023】
別の例では、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0024】
別の実施形態では、薬物投与デバイスは、アルゴリズムを記憶するように構成されたメモリと、遠隔に位置する通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成された通信インターフェースと、薬物を内部に保持するように構成された薬物ホルダと、アルゴリズムを実行することによって薬物ホルダから患者への薬物の用量の送達を制御するように構成されたプロセッサと、を含む。プロセッサは、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータに基づいてメモリに記憶したアルゴリズムを調整し、調整したアルゴリズムを実行することによって、患者への薬物ホルダの後続の用量の送達を制御するように構成されている。
【0025】
薬物投与デバイスは、多数の変形例を有し得る。例えば、薬物投与デバイスは、シリンジ、注射器、吸入器、点鼻スプレー装置、及び注入ポンプのうちの1つを含み得る。別の例では、アルゴリズムは、少なくとも1つの可変パラメータを含み得、プロセッサがアルゴリズムを調整することは、アルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更することを含み得る。更に別の例では、アルゴリズムを調整することは、少なくとも1つの可変パラメータをアルゴリズムに追加することを含み得る。別の例では、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0026】
一実施形態では、薬物投与デバイスは、薬物を内部に保持するように構成された薬物ホルダと、ディスプレイと、プロセッサと、を含む。プロセッサは、薬物の用量を薬物ホルダから患者に手動で投与するために必要な電流のリマインダ、前もって予定されていた、薬物ホルダから患者への薬物の用量の概要、及び以前に送達された、薬物ホルダから患者への薬物の用量のタイミングと患者が経験した少なくとも1つの医療事象のタイミングとの間の相関関係の示度のうちの少なくとも1つをディスプレイに表示させるように構成されている。
【0027】
薬物投与デバイスは、多数の変形例を有し得る。例えば、薬物投与デバイスは、シリンジ、注射器、吸入器、点鼻スプレー装置、及び注入ポンプのうちの1つを含み得る。別の例では、デバイスのプロセッサは、少なくともリマインダをディスプレイに表示させるように構成され得る。更に別の例では、デバイスのプロセッサは、少なくとも概要をディスプレイに表示させるように構成され得、概要は、前もって予定されていた用量の中で失敗した全ての用量の示度、前もって予定されていた用量の中で正常に送達された全ての用量の示度、用量の所定の送達スケジュールと比較した、以前送達された用量のタイミングの示度、患者に対する薬物の意図された治療効果の示度、及び患者に対する薬物の効果の予想残存期間の示度のうちの少なくとも1つを含み得る。更に別の例では、プロセッサは、少なくとも相関関係の示度をディスプレイに表示させるように構成され得る。
【0028】
別の例では、デバイスは、遠隔に位置する通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成された通信インターフェースを含み得、プロセッサは、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータを示す情報をディスプレイに表示させるように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータは、患者の病歴情報を含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータは、薬物投与デバイスの正しい使用に関するヘルプ情報を含み得、プロセッサはまた、ヘルプ情報を示す情報をディスプレイに表示させるように構成され得る。
【0029】
更に別の例では、デバイスは、薬物投与デバイス及び薬物の少なくとも一方に関する情報を感知するように構成されたセンサを含み得、プロセッサは、感知した情報を示す情報をディスプレイに表示させるように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、デバイスは、感知した情報を示すデータを遠隔に位置する通信インターフェースに無線で送信し、続いて、送信したデータに少なくとも部分的に基づいて、遠隔に位置する通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成された通信インターフェースを含み得、プロセッサは、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータを示す情報をディスプレイに表示させるように構成され得る。別の例では、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0030】
別の態様では、薬物投与システムが提供され、一実施形態では、この薬物投与システムは、データを無線で受信し、データを無線で送信するように構成された通信インターフェースを含むサーバと、鍵を内部に記憶するように構成されたメモリと、プロセッサと、を含む。このシステムはまた、鍵を内部に記憶するように構成されたメモリを含む薬物投与デバイスを含む。鍵は、薬物投与デバイス及びサーバに固有である。薬物投与デバイスは、サーバの通信インターフェースにデータを無線で送信し、サーバの通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成された通信インターフェースを含む。薬物投与デバイスはまた、鍵を使用して、サーバの通信インターフェースに送信した全データを、その送信前に匿名化するように構成されたプロセッサを含む。サーバのプロセッサは、鍵を使用して、薬物投与デバイスの通信インターフェースに送信した全データを、その送信前に匿名化するように構成されている。
【0031】
このシステムは、諸々のやり方で変えることができる。例えば、サーバの通信インターフェースに送信したデータは、サーバから受信したデータ要求に応答したデータを含み得る。更に別の例では、薬物投与デバイスは、シリンジ、注射器、吸入器、点鼻スプレー装置、及び注入ポンプのうちの1つを含み得る。
【0032】
別の例では、薬物投与デバイスはまた、薬物投与デバイス及び薬物の少なくとも一方に関する情報を感知するように構成されたセンサを含み得、サーバの通信インターフェースに送信したデータは、感知した情報を示すデータを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、薬物投与デバイスのプロセッサは、感知した情報に少なくとも部分的に基づいて、薬物投与デバイスから患者への薬物の送達を制御するように構成され得る。
【0033】
別の例では、サーバのプロセッサは、鍵を使用して、薬物投与デバイスの通信インターフェースから受信した全データを復号化するように構成され得、薬物投与デバイスのプロセッサは、鍵を使用して、サーバの通信インターフェースから受信した全データを復号化するように構成され得る。更に別の例では、サーバのプロセッサは、薬物投与デバイスの通信インターフェースから受信したデータを、薬物投与デバイスに関連する患者の電子健康記録(Electronic Health Record、EHR)及び薬物のリスク評価及び軽減戦略(Risk Evaluation and Mitigation Strategies、REMS)用の患者監視フォームの少なくとも一方に自動的にアップロードさせるように構成され得る。別の例では、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0034】
別の実施形態では、薬物投与システムは、患者に送達するために薬物を内部に保持するように構成された薬物投与デバイスと、ディスプレイと、患者に関する医療情報を示すデータを無線で受信するように構成された通信インターフェースと、プロセッサと、を含む。プロセッサは、薬物を内部に保持するように構成された薬物投与デバイスから患者に薬物の用量を手動で投与するために必要な電流のリマインダ、前もって予定されていた、薬物ホルダから患者への薬物の用量の概要、及び以前に送達された、薬物投与デバイスから患者への薬物の用量のタイミングと患者が経験した少なくとも1つの医療事象のタイミングとの間の相関関係の示度のうちの少なくとも1つを表示させるように構成されている。
【0035】
薬物投与システムは、任意の数の変形例を有し得る。例えば、薬物投与デバイスは、シリンジ、注射器、吸入器、点鼻スプレー装置、及び注入ポンプのうちの1つを含み得る。別の例では、システムは、遠隔に位置する通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成された通信インターフェースを含み得、プロセッサは、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータを示す情報をディスプレイに表示させるように構成され得る。
【0036】
更に別の例では、システムは、薬物投与デバイス及び薬物の少なくとも一方に関する情報を感知するように構成されたセンサを含み得、プロセッサは、感知した情報を示す情報をディスプレイに表示させるように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、システムは、感知した情報を示すデータを遠隔に位置する通信インターフェースに無線で送信し、続いて、送信したデータに少なくとも部分的に基づいて、遠隔に位置する通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成された通信インターフェースを含み得、プロセッサは、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータを示す情報をディスプレイに表示させるように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、システムの薬物投与デバイスは、通信インターフェースを含み得る。
【0037】
更に別の例では、薬物投与デバイスは、ディスプレイと、プロセッサと、を含み得る。更に別の例では、サーバは、ディスプレイと、プロセッサと、を含み得る。別の例では、モバイルデバイスは、ディスプレイと、プロセッサと、を含み得る。更に別の例では、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0038】
別の態様では、薬物投与方法が提供され、一実施形態では、この薬物投与方法は、薬物投与デバイスと薬物投与デバイスから遠隔に位置するサーバとの間での無線通信のために固有の鍵を確立することを含む。鍵は、薬物投与デバイスのメモリに、及びサーバのメモリに記憶される。方法はまた、薬物投与デバイスのセンサで、薬物投与デバイス及び薬物の少なくとも一方に関する情報を感知することを含む。方法はまた、薬物投与デバイスのプロセッサで、薬物投与デバイスのメモリに記憶された鍵を使用して、感知した情報を示すデータを匿名化することを含む。方法はまた、薬物投与デバイスのプロセッサで、サーバから受信したデータを復号化する際に薬物投与デバイスのメモリに記憶された鍵を使用することを含む。
【0039】
方法は、多数の変形例を有し得る。例えば、方法は、薬物投与デバイスのプロセッサで、感知した情報に少なくとも部分的に基づいて、薬物投与デバイスからの薬物の送達を制御することを更に含み得る。別の例では、薬物投与デバイスは、シリンジ、注射器、吸入器、点鼻スプレー装置、及び注入ポンプのうちの1つを含み得る。別の例では、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0040】
更に別の例では、データは、薬物送達デバイスから薬物が送達された後の薬物送達デバイスの適切な廃棄に関する情報を含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、方法は、プロセッサを使用して、薬物投与デバイスのユーザに適切な廃棄情報に関する情報の通知を提供させることを含み得る。
【0041】
別の実施形態では、薬物投与方法は、薬物投与デバイスのプロセッサを使用して、薬物投与デバイスから患者への薬物の用量の送達を制御するアルゴリズムを実行することを含む。アルゴリズムは、薬物投与デバイスのメモリに記憶される。方法はまた、薬物投与デバイスデータの通信インターフェースにおいて、薬物投与デバイスから遠隔に位置する通信インターフェースからデータを無線で受信することを含む。方法はまた、プロセッサを使用して、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータに基づいて、メモリに記憶されたアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更することを含む。方法はまた、プロセッサを使用して、薬物投与デバイスから患者への薬物の別の用量の送達を制御する、変更したアルゴリズムを実行することを含む。
【0042】
方法は、多数の変形例を有し得る。例えば、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0043】
別の態様では、患者の生理的パラメータに関する情報を感知するように構成されたセンサが提供され、一実施形態では、このセンサは、データを内部に記憶するように構成されたメモリであって、記憶されたデータは、遠隔に位置するサーバと確立された鍵を含み、この鍵は、センサ及び遠隔に位置するサーバに固有である、メモリと、感知した情報を示すデータを遠隔に位置する通信インターフェースに無線で送信するように構成された通信インターフェースと、感知した情報を示すデータの送信前に、鍵を使用して、感知した情報を示すデータを匿名化するように構成されたプロセッサと、を含む。
【0044】
センサは、多数の変形例を有し得る。例えば、プロセッサは、通信インターフェースから遠隔に位置する通信インターフェースに送信した全データを匿名化する際に鍵を使用するように構成され得る。別の例では、プロセッサは、鍵を繰り返し使用して、センサで感知した情報を示す複数のデータセットを匿名化するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、センサは、患者の生理的パラメータに関する情報を、少なくとも24時間毎に1回取得するように構成され得る。
【0045】
更に別の例では、センサの通信インターフェースは、遠隔に位置する通信インターフェースからデータを無線で受信するように構成され得、プロセッサは、遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータを復号化する際に鍵を使用するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、プロセッサは、遠隔に位置する通信インターフェースから受信した全データを復号化する際に鍵を使用するように構成され得る。
【0046】
更に別の例では、センサによって測定された生理的パラメータは、血糖値、血中酸素濃度、体重、血圧、心拍数、及び睡眠時間のうちの少なくとも1つであり得る。更に別の例では、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0047】
別の例では、センサシステムは、センサを含み得、データを無線で受信するように構成された通信インターフェースと、鍵を内部に記憶するように構成されたメモリと、プロセッサと、を含むサーバを含み得る。
【0048】
センサは、多数の変形例を有し得る。例えば、サーバのプロセッサは、鍵を使用して、センサの通信インターフェースに送信した全データを、その送信前に匿名化するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、サーバのプロセッサは、鍵を使用して、センサの通信インターフェースから受信した全データを復号化するように構成され得、センサのプロセッサは、鍵を使用して、サーバの通信インターフェースから受信した全データを復号化するように構成され得る。サーバの通信インターフェースに送信したデータは、サーバから受信したデータ要求に応答したデータを含み得る。
【0049】
別の例では、センサシステムは、複数のセンサを更に含み得、センサは、複数のセンサのうちの1つであり得る。少なくともいくつかの実施形態では、複数のセンサは、同一患者の異なる生理的パラメータを測定するように構成されたセンサを含み得る。複数のセンサは、複数の患者で対応する生理的パラメータを測定するように構成されたセンサを更に含み得る。サーバは、感知した情報を示すデータを生理的パラメータの示度及び患者と共に記憶するように構成され得る。サーバは、各患者に関連する薬物投与デバイスに関する情報を示すデータを受信し、記憶するように構成され得る。サーバは、各患者の栄養摂取量を示すデータを受信し、記憶するように構成され得る。更に別の例では、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0050】
別の態様では、患者の生理的パラメータに関する情報を感知する方法が提供され、一実施形態では、この方法は、センサとセンサから遠隔に位置するサーバとの間での無線通信のために固有の鍵を確立することであって、鍵は、センサのメモリ及びサーバのメモリに記憶される、固有の鍵を確立することと、センサで、患者の生理的パラメータに関する情報を感知することと、センサのプロセッサで、センサのメモリに記憶された鍵を使用して、感知した情報を示すデータを匿名化することと、センサのプロセッサで、サーバから受信したデータを復号化する際にセンサのメモリに記憶された鍵を使用することと、を含む。
【0051】
方法は、多数の変形例を有し得る。例えば、薬物は、インフリキシマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、ダラツムマブ、グセルクマブ、エポエチンアルファ、リスペリドン、エスケタミン、ケタミン、及びパルミチン酸パリペリドンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明は、以下のとおりである添付の図を参照して説明される。
図1】第1のタイプの薬物投与デバイス、すなわちオートインジェクタの概略図である。
図2】第2のタイプの薬物投与デバイス、すなわち注入ポンプの概略図である。
図3】第3のタイプの薬物投与デバイス、すなわち吸入器の概略図である。
図4】第4のタイプの薬物投与デバイス、すなわち点鼻スプレー装置の概略図である。
図5A】一般的な薬物投与デバイスの概略図である。
図5B】ユニバーサル薬物投与デバイスの概略図である。
図6】剤形のハウジングの概略図である。
図7】薬物投与デバイス及びハウジングが動作し得る通信ネットワークシステムの一実施形態の概略図である。
図8】薬物投与デバイス及びハウジングが動作し得るコンピュータシステムの一実施形態の概略図である。
図9】クラウドコンピューティングシステム及び薬物投与デバイスを含む薬物投与システムの一実施形態の概略図である。
図10】鍵ベースのセキュリティシステムを使用して薬物を投与するための方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図11】薬物投与デバイス及びリモートコンピュータシステムを含む薬物投与システムの一実施形態の概略図である。
図12】薬物投与デバイス及びリモートコンピュータシステムを含む薬物投与システムの別の実施形態の概略図である。
図13】制御アルゴリズムを使用して薬物を投与するための方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図14】ユーザインターフェースの一実施形態の概略図である。
図15】センサを用いるシステムの一実施形態の概略図である。
図16】患者監視フォームを更新し、1つ又は2つ以上の異常な感知パラメータを特定する方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本明細書に開示される装置、システム、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、特定の例示的実施形態について、これから説明する。これらの実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例解される。当業者であれば、本明細書で具体的に説明され、添付の図面に示されるデバイス、システム、及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義されることを理解するであろう。例示的な一実施形態に関連して例解又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0054】
更に、本開示においては、実施形態の同様の名称の構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の名称の各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。追加的に、開示されるシステム、デバイス、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される範囲において、かかる寸法は、かかるシステム、デバイス、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。当業者は、寸法が正確な値ではなくても、製作公差及び測定機器の感度などの諸々の要因により、その値に近い値であると考えられることを理解するであろう。システム及びデバイスのサイズ及び形状、並びにそれらの構成要素は、システム及びデバイスが共に使用される、少なくとも構成要素のサイズ及び形状に依存し得る。
【0055】
様々なタイプの薬物投与デバイスの例、すなわち、オートインジェクタ100、注入ポンプ200、吸入器300、及び点鼻スプレー装置400が、上記の参照図を参照して、以下に説明される。
【0056】
オートインジェクタ
図1は、本明細書に記載の実施形態で使用可能な、第1のタイプの薬物送達デバイス、すなわち注射デバイス、この例では、オートインジェクタ100の概略的例示的な図である。オートインジェクタ100は、分配される薬物を保持する薬物ホルダ110と、薬物が患者に投与され得るように、薬物ホルダ110から薬物を分配するように構成されている分配機構120と、を備える。薬物ホルダ110は、典型的には、薬物を収容する容器の形態であり、例えば、薬物ホルダ110は、シリンジ若しくはバイアルの形態で提供され得るか、又は薬物を保持し得る任意の他の好適な容器であり得る。オートインジェクタ100は、吐出ノズル122、例えば、薬物ホルダ110の遠位端に設けられたシリンジの針を備える。分配機構120は、駆動要素124を備え、駆動要素自体はまた、ピストン及び/又はピストンロッド、並びに駆動機構126を備え得る。分配機構120は、薬物ホルダ110の端部の近位に、かつオートインジェクタ100の近位端に向かって位置する。
【0057】
オートインジェクタ100は、ハウジング130であって、ハウジング130の本体内に薬物ホルダ110と、駆動要素124と、駆動機構126とを収容するだけでなく、注入前には、典型的にはハウジング内に完全に収容されるが、注射シーケンスの間、薬物を送達するためにハウジング130から延び出す吐出ノズル122も収容する、ハウジング130、を備える。分配機構120は、薬物を吐出ノズル122を通して分配するために、駆動要素124が、薬物ホルダ110を通って前進され、それによって、オートインジェクタが、薬物ホルダ110内に保持された薬物を患者に投与することを可能にするように配置される。場合によっては、ユーザが、駆動要素124を薬物ホルダ110を通して手動で前進させてもよい。他の場合には、駆動機構126は、ユーザ支援なしに駆動要素124を前進させる貯蔵エネルギー源127を含み得る。貯蔵エネルギー源127は、ばね、又は加圧ガス、又は電子的に動力供給される(electronically powered)モータ及び/又はギアボックスなどの弾性付勢部材を含み得る。
【0058】
オートインジェクタ100は、分配機構保護機構140を含む。分配機構保護機構140は、典型的には、2つの機能を有する。第1に、分配機構保護機構140は、注入前及び注入後の吐出ノズル122へのアクセスを防止するように機能し得る。第2に、オートインジェクタ100は、作動状態にされる、例えば、分配機構保護機構140がロック解除位置に移動されると、分配機構120が作動され得るように、機能することができる。
【0059】
保護機構140は、薬物ホルダ110が、ハウジング130内の近位側で後退位置にあるときに、吐出ノズル122の少なくとも一部を覆う。これは、吐出ノズル122と、ユーザとの間の接触を妨げるためである。代替的又は追加的に、保護機構140は、それ自体が近位に後退して、吐出ノズル122を露出させるように構成されており、その結果、吐出ノズル122は、患者と接触させられ得る。保護機構140は、シールド部材141と、戻りばね142と、を備える。戻りばね142は、シールド部材141をハウジング130から延在させ、それによって、保護機構140の遠位端に力が印加されていないときに、吐出ノズル122を覆うように作用する。ユーザが、戻りばね142の付勢を克服するように、戻りばね142の作用に抗してシールド部材141に力を印加すると、シールド部材141がハウジング130内で後退し、それによって、吐出ノズル122を露出させる。保護機構140は、代替的又は追加的に、ハウジング130を越えて吐出ノズル122を延在させるための延長機構(図示せず)を備え得、ハウジング130内に吐出ノズル122を後退させるための後退機構(図示せず)を更に備え得る。保護機構140は、代替的又は追加的に、オートインジェクタ100に取り付けられ得るハウジングキャップ及び/又は吐出ノズルブーツを備え得る。ハウジングキャップを取り外すと、典型的には、吐出ノズル122から吐出ノズルブーツも取り外される。
【0060】
オートインジェクタ100は、トリガー150も含む。トリガー150は、オートインジェクタ100のユーザによってアクセス可能であるように、ハウジング130の外面上に位置するトリガーボタン151を備える。トリガー150が、ユーザによって押圧されると、トリガー150は、駆動機構126を解放するように作用し、その結果、駆動要素124を介して、薬物が、次に、吐出ノズル122を介して薬物ホルダ110から追い出される。
【0061】
トリガー150はまた、例えば、シールド部材141の遠位端を患者の皮膚に対して押すことによって、シールド部材141が、近位側で十分にハウジング130内のロック解除位置に後退されるまで、トリガー150が作動されるのを防止するような方法で、シールド部材141と協働し得る。これがなされると、トリガー150がロック解除され、トリガー150が押圧され得、次いで、注射及び/又は薬物送達シーケンスが開始されるように、オートインジェクタ100が、作動される。代替的に、シールド部材141を単独で近位方向にハウジング130内へ後退させることは、駆動機構126を作動させ、注射及び/又は薬物送達シーケンスを開始するように作用し得る。このようにして、オートインジェクタ100は、例えば、分配機構120の偶発的な解放、及び/又はトリガー150の偶発的な作動を防止することによって、薬物の分配を防止するデバイス動作防止機構を有する。
【0062】
前述の説明は、オートインジェクタの一例に関するが、この例は、純粋に例示のために提示されたものであり、本発明は、そのようなオートインジェクタだけに限定されない。当業者は、記載されたオートインジェクタに対する様々な修正が、本開示の範囲内で実施され得ることを理解する。
【0063】
本開示のオートインジェクタは、エピネフリン、Rebif、Enbrel、Aranesp、アトロピン、塩化プラリドキシム、及びジアゼパムのいずれかなどの様々な薬物のいずれかを投与するために使用され得る。
【0064】
注入ポンプ
他の状況では、患者は、薬剤の正確な連続送達か、又は設定された周期的な間隔での定期的又は頻繁な薬剤送達を必要とし得る。注入ポンプは、医療専門家又は患者による頻繁な注意を必要とせずに、薬物濃度を治療限界内に保つ正確な速度での薬物の投与を容易にすることによって、そのような制御された薬物注入を提供し得る。
【0065】
図2は、本明細書に記載の実施形態で使用可能な、第2のタイプの薬物送達デバイス、すなわち注入ポンプ200の概略的例示的な図である。注入ポンプ200は、送達される薬物を収容するためのリザーバの形態の薬物ホルダ210と、薬物が患者に送達され得るように、リザーバ内に収容された薬物を分配するように適合されたポンプ216を備える分配機構220と、を備える。注入ポンプのこれらの構成要素は、ハウジング230内に位置する。分配機構220は、注入ライン212を更に備える。薬物は、ポンプ216の作動時に、カニューレの形態をとり得る注入ライン212を介して、リザーバから送達される。ポンプ216は、エラストマポンプ、蠕動ポンプ、浸透圧ポンプ、又はシリンジ内のモータ制御ピストンの形態をとり得る。典型的には、薬物は、静脈内に送達されるが、皮下、動脈、及び硬膜外注射も使用され得る。
【0066】
本開示の注入ポンプは、インスリン、アントロピン硫酸塩、アビバクタムナトリウム、ベンダムスチン塩酸塩、カルボプラチン、ダプトマイシン、エピネフリン、レベチラセタム、オキサリプラチン、パクリタキセル、パントプラゾールナトリウム、トレプロスチニル、バソプレシン、ボリコナゾール、及びゾレドロン酸のいずれかなどの様々な薬物のいずれかを投与するために使用され得る。
【0067】
注入ポンプ200は、制御回路、例えば、メモリ297及びユーザインターフェース280に加えて、プロセッサ296を更に備え、これらは一緒に、トリガー機構及び/又はポンプ200のための投与量セレクタを提供する。ユーザインターフェース280は、注入ポンプ200のハウジング230上に位置する表示画面によって実装され得る。制御回路及びユーザインターフェース280は、ハウジング230内に、又はその外部に位置し、ポンプ216と有線又は無線インターフェースを介して通信して、その動作を制御し得る。
【0068】
ポンプ216の作動は、ポンプの動作を制御するためにポンプ216と通信するプロセッサ296によって制御される。プロセッサ296は、ユーザインターフェース280を介して、ユーザ(例えば、患者又は医療専門家)によってプログラムされ得る。これにより、注入ポンプ200が、制御された方式で薬物を患者に送達することが可能になる。ユーザは、注入持続時間及び送達速度などのパラメータを入力することができる。送達速度は、ユーザによって、一定の注入速度に、又は周期的な送達のための、典型的には事前にプログラムされた限界内の設定間隔として設定され得る。ポンプ216を制御するためのプログラムされたパラメータは、プロセッサ296と通信するメモリ297に記憶され、メモリ297から取り出される。ユーザインターフェース280は、タッチスクリーン又はキーパッドの形態をとり得る。
【0069】
電源295は、ポンプ216に電力を供給し、ポンプ216と一体であるエネルギー源及び/又はポンプ216を外部電源に接続するための機構の形態をとり得る。
【0070】
注入ポンプ200は、その指定された使用に応じて、様々な異なる物理的形態をとり得る。注入ポンプ200は、例えば、患者の枕元で使用するための、固定された非携帯式デバイスであってもよく、又は携帯式又はウェアラブルであるように設計された携行式注入ポンプであってもよい。一体型電源295は、携行式注入ポンプに特に有益である。
【0071】
前述の説明は、注入ポンプの一例に関するが、この例は、純粋に例示のために提供されている。本開示は、そのような注入ポンプに限定されない。当業者は、記載された注入ポンプに対する様々な修正が、本開示の範囲内で実施され得ることを理解する。例えば、プロセッサは、注入ポンプがユーザインターフェースを含む必要がないように、予めプログラムされてもよい。
【0072】
吸入器
図3は、第3のタイプの薬物投与デバイス、すなわち吸入器300の概略図である。吸入器300は、キャニスタの形態の薬物ホルダ310を含む。薬物ホルダ310は、典型的には、好適な担体液体を用いて溶液又は懸濁液の状態にある薬物を収容する。吸入器300は、薬物ホルダ310を加圧するための加圧ガスと、バルブ325と、ノズル321と、を含む分配機構320を更に備える。バルブ325は、薬物ホルダ310の出口を形成する。バルブ325は、薬物ホルダ310内に形成された狭い開口部324と、開口部324を制御する可動要素326と、を備える。可動要素326が休止位置にあるとき、バルブ325は、開口部324が閉じられ、薬物ホルダ310が封止される閉鎖状態又は非作動状態にある。可動要素326が休止位置から作動位置に作動されると、バルブ325は、開口部324が開いている開放状態に作動される。休止位置から作動位置への可動要素326の作動は、可動要素326を薬物ホルダ310内に移動させることを含む。可動要素326は、休止位置に弾性的に付勢される。バルブ325の開放状態では、加圧ガスが、好適な液体を用いて溶液又は懸濁液の状態にある薬物を、開口部324を通して高速で薬物ホルダ310から押し出す。狭い開口部324を通る液体の高速通過により、液体が、霧化される、すなわち、バルク液体から液体の微細な液滴のミスト及び/又はガス雲に変換される。患者は、微細な液滴のミスト及び/又はガス雲を呼吸経路内に吸入し得る。したがって、吸入器300は、薬物ホルダ310内に保持された薬物を患者の呼吸経路内に送達することができる。
【0073】
薬物ホルダ310は、吸入器300のハウジング330内に取り外し可能に保持される。ハウジング330内に形成された通路333は、ハウジング330内の第1の開口部331と、ハウジング330内の第2の開口部332とを接続する。薬物ホルダ310は、通路333内に受容される。薬物ホルダ310は、ハウジング330の第1の開口部331を通して通路333内に摺動可能に挿入可能である。ハウジング330の第2の開口部332は、患者の口内に配置されるように構成されたマウスピース322、又は患者の鼻孔内に配置されるように構成されたノーズピース、又は患者の口及び鼻の上に配置されるように構成されたマスクを形成する。薬物ホルダ310、第1の開口部331、及び通路333は、空気が、第1の開口部331と第2の開口部332との間で、薬物ホルダ310の周りで通路333を通って流れ得るようにサイズ決めされる。吸入器300は、マウスピース322に勘合され得るキャップ(図示せず)の形態の分配機構保護機構140を備えてもよい。
【0074】
吸入器300は、トリガー350であって、トリガー350が作動されたときに、バルブ325を作動させるように構成されたバルブ作動特徴部355を含む、トリガー350、を更に備える。バルブ作動特徴部355は、通路333内へのハウジング330の突出部である。薬物ホルダ310は、第1の位置から第2の位置へ、通路333内で摺動可能に移動可能である。第1の位置では、休止位置の可動要素326の端部が、バルブ作動特徴部355に当接する。第2の位置では、薬物ホルダ310は、バルブ作動特徴部355が、可動要素326を薬物ホルダ310内に移動させて、バルブ325を開放状態に作動させるように、バルブ作動特徴部355に向かって変位され得る。ユーザの手が、薬物ホルダ310を、弾性的に付勢された可動要素326に抗して、第1の位置から第2の位置に移動させるために必要な力を提供する。バルブ作動特徴部355は、ノズル321に接続された入口356を含む。バルブ作動特徴部355の入口356は、排出された液滴のミスト及び/又はガス雲が、入口356に入り、ノズル321から通路333内に出ることができるように、バルブ325の開口部324に結合するようにサイズ決めされ、位置付けられる。ノズル321は、液滴のミスト及び/又はガス雲へのバルク液体の霧化を支援する。
【0075】
バルブ325は、計量機構370を提供する。計量機構370は、測定された量の液体、したがって薬物が、開口部324を通過した後に、バルブを閉じるように構成されている。これにより、制御された用量が患者に投与されることが可能になる。典型的には、液体の測定量は事前設定されているが、吸入器300は、液体の定義された量を変化させるようにユーザ操作可能な投与量セレクタ360を備えてもよい。
【0076】
前述の説明は、吸入器の1つの特定の例に関するが、この例は、純粋に例示的なものである。説明は、そのような吸入器のみに限定されるものとして見なされるべきではない。当業者は、多数の他のタイプの吸入器及びネブライザが、本開示と共に使用され得ることを理解する。例えば、薬物は、粉末形態であり得るか、薬物は、液体形態であり得るか、又は薬物は、超音波振動、圧縮ガス、振動メッシュ、又は熱源を含む他の形態の分配機構320によって霧化され得る。
【0077】
本開示の吸入器は、モメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド、ブデソニド、ベクロメタゾン、ビランテロール、サルメテロール、フォルモテロール、ウメクリジニウム、グリコピロレート、チオトロピウム、アクリジニウム、インダカテロール、サルメテロール、及びオロダテロールのいずれかなどの様々な薬物のいずれかを投与するために使用され得る。
【0078】
点鼻スプレー装置
図4は、第4のタイプの薬物投与デバイス、すなわち、点鼻スプレー装置400の概略図である。点鼻スプレー装置400は、薬物を患者の鼻内に放出するように構成されている。点鼻スプレー装置400は、デバイス400から患者に送達するために、内部に薬物を収容するように構成された薬物ホルダ402を含む。薬物ホルダ102は、ボトルリザーバ、カートリッジ、バイアル(この例示的な実施形態におけるような)、ブローフィルシール(Blow-Fill-Seal、BFS)カプセル、ブリスタパックなどの様々な構成を有し得る。例示的な一実施形態では、薬物ホルダ402は、バイアルである。例示的なバイアルは、1つ又は2つ以上の材料、例えば、ガラス、ポリマーなどで形成される。いくつかの実施形態では、バイアルは、ガラスで形成され得る。他の実施形態では、バイアルは、1つ又は2つ以上のポリマーから形成することができる。更に他の実施形態では、バイアルの異なる部分は、異なる材料で形成され得る。例示的なバイアルは、本明細書において説明され、図面に示されるように、内部に薬物を密封及び貯蔵することを容易にする様々な特徴を有し得る。しかしながら、バイアルがこれらの特徴のうちのいくつかのみを含み得ること、及び/又は当該技術分野で公知の様々な他の特徴を含み得ることを当業者は認識するであろう。本明細書で説明されるバイアルは、特定の例示的な実施形態を表すことを意図したものに過ぎない。
【0079】
薬物が点鼻スプレー装置400を出る、点鼻スプレー装置400の開口部404は、点鼻スプレー装置400の分配ヘッド406内の中で、分配ヘッド406の先端部408内に形成される。先端部408は、患者の鼻孔に挿入されるように構成されている。例示的な一実施形態では、先端部408は、点鼻スプレー装置400の動作の第1の段階中、患者の第1の鼻孔に、点鼻スプレー装置400の動作の第2の段階中、患者の第2の鼻孔に、挿入されるように構成される。動作の第1及び第2の段階は、第1の用量の薬物が送達されることに対応する第1の作動と、第2の用量の薬物が送達されることに対応する第2の作動との、点鼻スプレー装置400の2つの別個の作動を伴う。いくつかの実施形態では、点鼻スプレー装置400は、1つの鼻噴霧を送達するために、1回だけ作動されるように構成される。いくつかの実施形態では、点鼻スプレー装置400は、例えば、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回など、3回以上の鼻噴霧を送達するために、3回以上作動されるように構成される。
【0080】
分配ヘッド406は、分配ヘッド406の長手方向軸が、先端部408が挿入される鼻孔の長手方向軸と実質的に整列されるように、患者の第1及び第2の鼻孔の間の患者の皮膚に接触するように構成された深さガイド410を含む。当業者は、製作公差及び測定装置の感度などの任意の数の要因に起因して、長手方向軸が、正確に整列され得ない可能性はあるが、実質的に整列されたと見なされ得ることを理解するであろう。
【0081】
例示的な実施形態では、図4のように、分配ヘッド406は、テーパ形状を有しており、分配ヘッド406は、開口部404が位置するその近位端におけるよりも、その遠位端において、より小さい直径を有する。比較的小さい直径を有する開口部404は、当業者によって理解されるように、開口部404からの薬物の噴霧を容易にする。薬物が、開口部404を出る前に通過するように構成されているスプレーチャンバ412は、開口部404に対して遠位側の先細の分配ヘッド406の近位部分内に位置する。薬物がスプレーチャンバ412を急速に通過すると、スプレーチャンバ412が、一貫したスプレーターンで開口部404を通って出る微細ミストの生成を容易にする。図4の矢印414は、薬物ホルダ402からの、及び開口部404から出る薬物の移動の経路を示す。
【0082】
いくつかの実施形態では、分配ヘッド406は、点鼻スプレー装置400が、単一の作動に応答して、薬物の用量を2つの鼻孔内に同時に送達するように構成されるように、各々が内部に開口部404を有する2つの先端部408を含み得る。
【0083】
分配ヘッド406は、薬物ホルダ402に向かって押される、例えば、ユーザが深さガイド410を押し下げることによって押圧されて、点鼻スプレー装置400を作動させるように構成される。言い換えれば、分配ヘッド406は、薬物を薬物ホルダ402から、及び点鼻スプレー装置400から追い出すように作動されるアクチュエータとして構成される。例示的な一実施形態では、点鼻スプレー装置400は、点鼻スプレー装置400を作動させるユーザが、点鼻スプレー装置400から薬物を受容する患者であるように、自己投与されるように構成されているが、別の人が、別の人への送達のために点鼻スプレー装置400を作動させ得る。
【0084】
分配ヘッド406の作動、例えば、押圧は、図4の矢印416によって示されるように、通気空気を薬物ホルダ402に入らせるように構成される。薬物ホルダ402に入る空気は、薬物ホルダ内の薬物を、チューブ418を通して、次いで計量チャンバ420内に移動させ、計量チャンバ420が、薬物を、近位側でカニューレ422を通し、スプレーチャンバ412を通して、次いで開口部404から外に移動させる。例えば、ユーザが、分配ヘッド406を下向きに押すことを止めるなど、分配ヘッド406の解放に応答して、付勢ばね426が、分配ヘッド406をそのデフォルトの休止位置に戻して、後続の作動及び薬物送達のために、分配ヘッド406を薬物ホルダ402に対して位置付ける。
【0085】
前述の説明は、点鼻スプレー装置の1つの特定の例に関するが、この例は、純粋に例示的なものである。この説明は、そのような点鼻スプレー装置のみに限定されるものとして見なされるべきではない。当業者は、点鼻スプレー装置400が、様々な要件に応じて、異なる実施形態において異なる特徴を含み得ることを理解する。例えば、点鼻スプレー装置400は、深さガイド410を欠き得、及び/又はデバイスインジケータ、センサ、通信インターフェース、プロセッサ、メモリ、及び電源のうちのいずれか1つ又は2つ以上を含み得る。
【0086】
本開示の点鼻スプレー装置は、ケタミン(例えば、Ketalar(登録商標))、エスケタミン(例えば、Spravato(登録商標)、Ketanest(登録商標)、及びKetanest-S(登録商標))、ナロキソン(例えば、Narcan(登録商標))、及びスマトリプタン(例えば、Imitrex(登録商標))のいずれかなどの様々な薬物のいずれかを投与するために使用され得る。
【0087】
薬物投与デバイス
前述から理解されるように、薬物送達デバイスの様々な構成要素は、そのような全てのデバイスに共通である。これらの構成要素は、ユニバーサル薬物投与デバイスの必須構成要素を形成する。薬物投与デバイスは、薬物を患者に送達し、薬物は、定義された剤形で薬物投与デバイス内に提供される。
【0088】
図5Aは、そのようなユニバーサル薬物投与デバイス501の一般化された概略図であり、図5Bは、そのようなユニバーサル薬物投与デバイス500の例示的な一実施形態である。ユニバーサル薬物投与デバイス500の例としては、注射デバイス(例えば、オートインジェクタ、ジェットインジェクタ、及び注入ポンプ)、点鼻スプレー装置、及び吸入器が、挙げられる。
【0089】
図5Aに示されるように、薬物投与デバイス501は、一般的な形態において、薬物ホルダ10及び分配機構20の特徴を含む。薬物ホルダ10は、投与される剤形の薬物を保持する。分配機構20は、薬物が患者に投与され得るように、薬物ホルダ10から剤形を放出するように構成される。
【0090】
図5Bは、いくつかの追加の特徴を含む、更なるユニバーサル薬物投与デバイス500を示す。当業者は、これらの追加の特徴は、異なる実施形態について任意選択であり、薬物のタイプ、薬物の剤形、薬物で治療されている医療適応症、安全要件、デバイスが給電されるかどうか、デバイスが携帯可能であるかどうか、デバイスが自己投与に使用されるかどうか、及び当業者によって理解されるであろう多くの他の要件など、要件に応じて、追加の特徴が存在し得るか、又は特定の薬物投与デバイスの所与の実施形態から省略され得るように、様々な異なる組み合わせで利用され得ることを理解する。図5Aのユニバーサルデバイスと同様に、薬物投与デバイス500は、薬物ホルダ10と、分配機構20とを収容するハウジング30を備える。
【0091】
デバイス500は、分配機構20による薬物ホルダ10からの薬物の放出を開始するためのトリガー機構50を備える。デバイス500は、分配機構20を介して薬物ホルダ10から放出される設定用量を測定する計量/投与機構70の特徴を含む。このようにして、薬物投与デバイス500は、決定されたサイズの既知の用量を提供し得る。デバイス500は、ユーザが、計量機構70によって測定される薬物の用量体積を設定することを可能にする投与量セレクタ60を備える。用量体積は、複数の所定の個別の用量体積のうちの1つの特定の値か、又はある範囲の用量体積内の所定の用量体積の任意の値に設定され得る。
【0092】
デバイス500は、デバイス動作防止機構40又は25を備え得、デバイス動作防止機構40又は25は、ロック状態にあるとき、分配機構20が薬物ホルダ10から薬物を放出することを防止及び/又は停止させ、ロック解除状態にあるとき、分配機構20が薬物ホルダ10から薬物投与を放出することを可能にする。これにより、例えば、誤った時間での投与を防止するため、又は不注意な作動を防止するために、薬物の偶発的な投与を防止することができる。デバイス500はまた、例えば、安全上の理由から、分配機構20の少なくとも一部へのアクセスを防止する分配機構保護機構42を含む。デバイス動作防止機構40及び分配機構保護機構42は、同じ構成要素であってもよい。
【0093】
デバイス500は、薬物投与デバイス及び/又はその中に収容された薬物の状態に関する情報を提示するように構成されたデバイスインジケータ85を含み得る。デバイスインジケータ85は、表示画面などの視覚的インジケータ、又は音声インジケータであってもよい。デバイス500は、デバイス500のユーザにデバイス500に関する情報を提示するように、及び/又はユーザがデバイス500を制御することを可能にするように構成され得るユーザインターフェース80を含む。デバイス500は、薬物投与デバイス及び/又はその中に収容された薬物に関連する情報、例えば、剤形及びデバイスパラメータを感知するように構成されたデバイスセンサ92を含む。一例として、計量機構70及び投与量セレクタ60を含む実施形態では、実施形態は、投与量セレクタ60を使用してユーザによって選択された用量、計量機構70によって計量された用量、及び分配機構20によって分配された用量のうちの1つ又は2つ以上を感知するように構成されている1つ又は2つ以上のデバイスセンサ92を更に含み得る。同様に、環境の温度、環境の湿度、位置、及び時間など、デバイス500が存在する環境に関する情報を感知するように構成されている環境センサ94が、提供される。例えば、GPSなどの衛星位置決定を介して、デバイス500の地理的位置を決定するように構成されている専用の位置センサ98が存在してもよい。デバイス500はまた、デバイス及び/又は薬物に関する、様々なセンサから取得されたデータを外部に通信し得る通信インターフェース99を含む。
【0094】
必要に応じて、デバイス500は、デバイス500の1つ又は2つ以上の電気的構成要素に電力を送達するための電源95を備える。電源95は、デバイス500と一体である電源、及び/又はデバイス500を外部電源に接続するための機構であり得る。薬物投与デバイス500はまた、電源95によって給電され、互いに、及び任意選択で、環境センサ94、位置センサ98、デバイスセンサ92、通信インターフェース99、及び/又はインジケータ85などのデバイス500の他の電気的及び制御構成要素と通信する、プロセッサ96とメモリ97とを含むデバイスコンピュータシステム90を含む。プロセッサ96は、環境センサ94、デバイスセンサ92、通信インターフェース99、位置センサ98、及び/又はユーザインターフェース80から取得されたデータを取得し、それを処理して、例えば、インジケータ85に、及び/又は通信インターフェース99にデータ出力を提供するよう構成されている。
【0095】
いくつかの実施形態では、薬物投与デバイス500は、パッケージング35内に密閉される。パッケージング35は、本明細書に記載されるように、プロセッサ96、メモリ97、ユーザインターフェース80、デバイスインジケータ85、デバイスセンサ92、位置センサ98、及び/又は環境センサ94の組み合わせを更に含み得、これらは、デバイス500のハウジングの外部に位置してもよい。
【0096】
当業者は、薬物ホルダ10と分配機構20とを備えるユニバーサル薬物投与デバイス500が、上記の様々な任意選択の特徴を、いくつかの異なる組み合わせで備え得ることを理解するであろう。更に、薬物投与デバイス500は、各薬物ホルダが、それ自体に関連付けられた分配機構20を有するように、任意選択で、2つ以上の分配機構20を有する2つ以上の薬物ホルダ10を含み得る。
【0097】
薬物の剤形
従来、薬物投与デバイスは、液体の剤形を利用する。しかしながら、他の剤形が利用可能であることが理解されよう。
【0098】
1つのそのような共通の剤形が、錠剤である。錠剤は、薬物と、一緒に圧縮される賦形剤との組み合わせから形成され得る。他の剤形は、ペースト、クリーム、粉末、点耳液、及び点眼液である。
【0099】
薬物の剤形の更なる例としては、皮膚パッチ、薬物溶出性ステント、及び子宮内装置が挙げられる。これらの例では、デバイスの本体は、薬物を含み、特定の状況下で薬物の放出を可能にするように構成され得る。例えば、皮膚パッチは、薬物を含有するポリマー組成物を含み得る。ポリマー組成物は、薬物が、ポリマー組成物から患者の皮膚内に拡散することを可能にする。薬物溶出性ステント及び子宮内装置は、類似の方式で動作し得る。このようにして、パッチ、ステント、及び子宮内装置は、それら自体が、関連付けられた分配機構を有する薬物ホルダと見なされ得る。
【0100】
これらの剤形のいずれも、特定の条件によって薬物放出を開始させるように構成され得る。これにより、剤形が患者に導入された後、所望の時間又は位置で薬物が放出されることが可能になり得る。特に、薬物放出は、外部刺激によって開始され得る。更に、これらの剤形は、投与の前に、パッケージングの形態であり得るハウジング内に収容され得る。このハウジングは、ユニバーサル薬物投与デバイス500で利用される上記の任意選択の特徴のうちのいくつかを含み得る。
【0101】
本開示の薬物投与デバイスによって投与される薬物は、消費されたときに、生物の生理又は心理の変化を引き起こす任意の物質であり得る。本開示の薬物投与デバイスが投与し得る薬物の例としては、5-アルファ-レダクターゼ阻害剤、5-アミノサリチル酸塩、5HT3受容体拮抗薬、カルシウムチャネル遮断薬を伴うACE阻害薬、チアジドを伴うACE阻害薬、アダマンタン抗ウイルス薬、副腎皮質ステロイド、副腎コルチコステロイド阻害薬、アドレナリン作動性気管支拡張薬、高血圧緊急治療薬、肺高血圧症治療薬、アルドステロン受容体拮抗薬、アルキル化剤、アレルギー誘発薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、代替薬、殺アメーバ剤、アミノグリコシド、アミノペニシリン、アミノサリチル酸、AMPA受容体拮抗薬、アミリン類似体、鎮痛剤の組み合わせ、鎮痛薬、アンドロゲン及び同化ステロイド、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬を伴うアンジオテンシンII阻害薬、チアジドを伴うアンジオテンシンII阻害薬、アンジオテンシン受容体遮断薬、アンジオテンシン受容体遮断薬及びネプリリシン阻害薬、肛門直腸製剤、食欲抑制剤、制酸薬、駆虫薬、抗血管新生眼用薬、抗CTLA-4モノクローナル抗体、抗感染薬、抗PD-1モノクローナル抗体、チアジドを含む抗アドレナリン作用薬(中央)、チアジドを含む抗アドレナリン作用薬(末梢)、抗アドレナリン作用薬、中枢作用性、抗アドレナリン作用薬、末梢作用、抗アンドロゲン、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗喘息薬の組み合わせ、抗生物質/抗腫瘍薬、抗コリン作用性制吐剤、抗コリン作用性抗パーキンソン剤、抗コリン作用性気管支拡張剤、抗コリン作用性クロノトロピック剤、抗コリン作用薬/鎮けい薬、抗凝固薬逆転剤、抗凝血剤、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗糖尿病薬の組み合わせ、止瀉薬、抗利尿ホルモン、解毒剤、制吐薬/抗めまい薬、抗真菌薬、抗性腺刺激薬、抗痛風薬、抗ヒスタミン薬、抗高脂血症薬、抗高脂血症薬の組み合わせ、抗高血圧薬の組み合わせ、抗高尿酸血症薬、抗マラリア薬、抗マラリア薬の組み合わせ、抗マラリアキノロン、抗躁病薬、代謝拮抗剤、抗片頭痛薬、抗腫瘍薬の組み合わせ、抗腫瘍薬解毒剤、抗腫瘍薬インターフェロン、抗腫瘍薬、抗パーキンソン薬、抗血小板薬、抗緑膿菌性ペニシリン、乾癬治療薬、抗精神病薬、抗リウマチ剤、防腐剤及び殺菌剤、抗甲状腺剤、抗毒素及び抗ベニン、抗結核剤、抗結核剤の組み合わせ、鎮咳薬、抗ウイルス剤、抗ウイルスブースター、抗ウイルス剤の組み合わせ、抗ウイルスインターフェロン、抗不安薬、鎮静剤、及び催眠剤、アロマターゼ阻害剤、非定型抗精神病薬、アゾール抗真菌剤、細菌ワクチン、バルビツレート抗けいれん薬、バルビツレート、BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害剤、ベンゾジアゼピン抗けいれん薬、ベンゾジアゼピン、カルシウムチャネル遮断薬を含むベータ遮断薬、チアジドを含むベータ遮断薬、ベータアドレナリン遮断薬、ベータラクタマーゼ阻害薬、胆汁酸封鎖剤、生物学的製剤、ビスホスホネート、骨形成タンパク質、骨吸収阻害剤、気管支拡張剤の組み合わせ、気管支拡張剤、カルシウム受容体作動薬、カルシニューリン阻害剤、カルシトニン、カルシウムチャネル遮断剤、カルバメート抗けいれん剤、カルバペネム、カルバペネム/ベータラクタマーゼ阻害剤、炭酸脱水酵素阻害剤抗けいれん剤、炭酸脱水酵素阻害剤、心臓ストレス剤、心臓選択的ベータ遮断薬、心臓血管剤、カテコラミン、カチオン交換樹脂、CD20モノクローナル抗体、CD30モノクローナル抗体、CD33モノクローナル抗体、CD38モノクローナル抗体、CD52モノクローナル抗体、CDK4/6阻害剤、中枢神経系薬物、セファロスポリン、セファロスポリン/ベータラクタマーゼ阻害剤、セルメノリティックス、CFTRの組み合わせ、CFTR増強剤、CGRP阻害剤、キレート剤、ケモカイン受容体拮抗剤、塩化物チャネル活性化剤、コレステロール吸収阻害剤、コリン作動性アゴニスト、コリン作動性筋刺激剤、コリンエステラーゼ阻害剤、CNS刺激剤、凝固修飾剤、コロニー刺激因子、避妊薬、副腎皮質刺激ホルモン、クマリン及びインダンジオン、cox-2阻害剤、充血除去剤、皮膚科薬、診断用放射性医薬品、ジアリールキノリン、ジベンズアゼピン抗けいれん薬、消化酵素、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害剤、利尿薬、ドーパミン作用性抗パーキンソニズム薬、アルコール依存症に使用される薬物、エキノカンジン、EGFR阻害剤、エストロゲン受容体拮抗薬、エストロゲン、去痰薬、第Xa因子阻害薬、脂肪酸誘導体抗けいれん薬、フィブリン酸誘導体、第1世代セファロスポリン、第4世代セファロスポリン、機能性腸障害剤、胆石可溶化剤、γ-アミノ酪酸類似体、γ-アミノ酪酸再取り込み阻害剤、胃腸薬、一般麻酔薬、尿生殖路薬、胃腸刺激薬、グルココルチコイド、グルコース上昇剤、糖ペプチド抗生物質、糖タンパク質血小板阻害剤、グリシルサイクリン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬、ゴナドトロピン、グループI抗不整脈剤、グループII抗不整脈剤、グループIII抗不整脈剤、グループIV抗不整脈剤、グループV抗不整脈剤、成長ホルモン受容体遮断薬、成長ホルモン、グアニル酸シクラーゼ-Cアゴニスト、ピロリ菌根絶剤、H2拮抗薬、ヘッジホッグ経路阻害剤、造血幹細胞動員剤、ヘパリン拮抗薬、ヘパリン、HER2阻害剤、ハーブ製品、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ホルモン、ホルモン/抗腫瘍薬、ヒダントイン抗けいれん剤、ヒドラジド誘導体、違法(ストリート)薬、免疫グロブリン、免疫剤、免疫刺激剤、免疫抑制剤、インポテンス剤、インビボ診断生物学的製剤、インクレチン模擬剤、吸入抗感染薬、吸入コルチコステロイド、イノトロピック剤、インスリン、インスリン様成長因子、インテグラーゼ鎖転移阻害剤、インターフェロン、インターロイキン阻害剤、インターロイキン、静脈栄養製品、ヨウ素化造影剤、イオン性ヨウ素化造影剤、鉄製品、ケトリド、下剤、抗らい菌薬、ロイコトリエン修飾薬、リンコマイシン誘導体、局所注射可能麻酔薬、コルチコステロイドを含む局所注射可能麻酔薬、ループ利尿薬、肺界面活性剤、リンパ染色剤、リソソーム酵素、マクロライド誘導体、マクロライド、磁気共鳴イメージング造影剤、肥満細胞安定剤、医療用ガス、メグリチニド、代謝剤、メチルキサンチン、鉱質コルチコイド、ミネラル及び電解質、その他の薬物、その他の鎮痛薬、その他の抗生物質、その他の抗けいれん薬、その他の抗うつ薬、その他の抗糖尿病薬、その他の制吐剤、その他の抗真菌剤、その他の抗高脂血症薬、その他の抗高血圧薬の組み合わせ、その他の抗マラリア薬、その他の抗腫瘍薬、その他の抗パーキンソン剤、その他の抗精神病薬、その他の抗結核薬、その他の抗ウイルス薬、その他の不安緩解薬、鎮静剤及び催眠薬、その他の骨吸収阻害剤、その他の心臓血管薬、その他の中枢神経系薬、その他の凝固修飾薬、その他の診断用染料、その他の利尿薬、その他の尿生殖路薬、その他の胃腸薬、その他のホルモン、その他の代謝剤、その他の眼科用薬物、その他の耳用薬物、その他の呼吸器用薬物、その他の性ホルモン、その他の局所用薬物、その他の未分類薬物、その他の膣用薬物、有糸分裂阻害剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、口及び喉の製品、mTOR阻害剤、粘液溶解薬、マルチキナーゼ阻害剤、筋弛緩薬、散瞳薬、麻薬性鎮痛薬の組み合わせ、麻薬性鎮痛薬、鼻の抗感染薬、鼻の抗ヒスタミン剤と充血除去剤、鼻の潤滑剤及び洗浄剤、鼻の調製物、鼻用ステロイド、天然ペニシリン、ネプリリシン阻害剤、ニューラミニダーゼ阻害剤、神経筋遮断薬、神経カリウムチャネルオープナ、次世代セファロスポリン、ニコチン酸誘導体、NK1受容体拮抗薬、NNRTI、非心臓選択的ベータ遮断薬、非ヨウ素化造影剤、非イオン性ヨウ素化造影剤、非スルホニル尿素、非ステロイド性抗炎症薬、NS5A阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、栄養補助食品、栄養製品、眼科用麻酔薬、眼科用抗感染薬、眼科用抗炎症薬、眼科用抗ヒスタミン剤及び充血除去剤、眼科用診断薬、眼科用緑内障薬、眼科用潤滑剤及び洗浄剤、眼科用調製物、眼科用ステロイド、抗感染薬を含む眼科用ステロイド、眼科用外科薬、経口栄養補助剤、他の免疫賦活剤、他の免疫抑制剤、耳用麻酔薬、耳用抗感染薬、耳用調製物、耳用ステロイド、抗感染薬を含む耳用ステロイド、オキサゾリジンジオン抗けいれん薬、オキサゾリジノン抗生物質、副甲状腺ホルモン及び類似体、PARP阻害剤、PCSK9阻害剤、ペニシリナーゼ耐性ペニシリン、ペニシリン、末梢オピオイド受容体拮抗薬、末梢オピオイド受容体混合アゴニスト/拮抗薬、末梢血管拡張剤、末梢作用性抗肥満薬、フェノチアジン制吐薬、フェノチアジン抗精神病薬、フェニルピペラジン抗うつ薬、リン酸結合剤、PI3K阻害剤、血漿エキスパンダー、血小板凝集阻害剤、血小板刺激剤、ポリエン、チアジドを含むカリウム保持性利尿薬、カリウム保持性利尿薬、プロバイオティクスプロゲステロン受容体モジュレータ、プロゲスチン、プロラクチン阻害剤、プロスタグランジンD2拮抗薬、プロテアーゼ阻害剤、プロテアーゼ活性化受容体1拮抗薬、プロテアソーム阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、ソラレン、精神治療薬、精神治療薬の組み合わせ、プリンヌクレオシド、ピロリジン抗けいれん薬、キノロン、放射線造影剤、放射線補助剤、放射線治療薬、放射性抱合剤、放射性医薬品、組換えヒトエリスロポイエチン、レニン阻害剤、呼吸剤、呼吸吸入製品、リファマイシン誘導体、サリチル酸、硬化剤、第2世代セファロスポリン、選択的エストロゲン受容体修飾薬、選択的免疫抑制剤、選択的ホスホジエステラーゼ-4阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、セロトニン作動性神経腸調節剤、性ホルモンの組み合わせ、性ホルモン、SGLT-2阻害剤、骨格筋弛緩剤の組み合わせ、骨格筋弛緩剤、禁煙剤、ソマトスタチン及びソマトスタチン類似体、殺精子剤、スタチン、滅菌洗浄液、ストレプトグラミン、ストレプトミセス誘導体、スクシンイミド抗けいれん剤、スルホンアミド、スルホニル尿素、合成排卵刺激剤、四環性抗うつ剤、テトラサイクリン、治療用放射性医薬品、治療用ワクチン、チアジド利尿薬、チアゾリジンジオン、チオキサンテン、第3世代セファロスポリン、トロンビン阻害剤、血栓溶解剤、甲状腺剤、TNFアルファ阻害剤、トコリティック剤、局所にきび剤、局所剤、局所アレルギー診断剤、局所麻酔薬、局所抗感染薬、局所抗ロザセア剤、局所抗生物質、局所抗真菌剤、局所抗ヒスタミン剤、局所抗腫瘍薬、局所抗乾癬剤、局所抗ウイルス剤、局所収斂剤、局所創傷清拭剤、局所脱色素剤、局所エモリエント剤、局所角質溶解剤、局所非ステロイド性抗炎症薬、局所光化学療法剤、局所ルベファシエント、局所ステロイド、抗感染薬を含む局所ステロイド、トランスチレチン安定剤、トリアジン抗けいれん剤、三環式抗うつ剤、三官能性モノクローナル抗体、超音波造影剤、上気道用複合剤、尿素抗けいれん剤、尿素サイクル障害剤、尿中抗感染薬、尿鎮痙薬、尿pH調整剤、子宮収縮剤、ワクチンの組み合わせ、膣用抗感染薬、膣用調製物、血管拡張剤、バソプレシン拮抗薬、昇圧剤、VEGF/VEGFR阻害剤、ウイルスワクチン、粘液補充剤、ビタミン及びミネラルの組み合わせ、ビタミン、又はVMAT2阻害剤が、挙げられる。本開示の薬物投与デバイスは、エピネフリン、Rebif、Enbrel、Aranesp、アトロピン、塩化プラリドキシム、ジアゼパム、インスリン、アントロピン硫酸塩、アビバクタムナトリウム、ベンダムスチン塩酸塩、カルボプラチン、ダプトマイシン、エピネフリン、レベチラセタム、オキサリプラチン、パクリタキセル、パントプラゾールナトリウム、トレプロスチニル、バソプレシン、ボリコナゾール、ゾレドロン酸、モメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド、ブデソニド、ベクロメタゾン、ビランテロール、サルメテロール、フォルモテロール、ウメクリジニウム、グリコピロレート、チオトロピウム、アクリジニウム、インダカテロール、サルメテロー
ル、及びオロダテロールから選択される薬物を投与し得る。
【0102】
上記のように、様々な薬物のいずれかが、薬物投与デバイスを使用して送達され得る。本明細書に記載の薬物投与デバイスを使用して送達され得る薬物の例としては、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)、Stelara(登録商標)(ウステキヌマブ)、Simponi(登録商標)(ゴリムマブ)、Simponi Aria(登録商標)(ゴリムマブ)、Darzalex(登録商標)(ダラツムマブ)、Tremfya(登録商標)(グセルクマブ)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Risperdal Constra(登録商標)(リスペリドン)、Invega Sustenna(登録商標)(パルミチン酸パリペリドン)、Spravato(登録商標)(エスケタミン)、ケタミン、及びInvega Trinza(登録商標)(パルミチン酸パリペリドン)が挙げられる。
【0103】
薬物ハウジング
上記のように、剤形は、利用される特定の剤形に適したホルダ内に提供され得る。例えば、液体剤形の薬物は、投与の前に、ストッパを有するバイアル又はプランジャを有するシリンジの形態のホルダ内に保持され得る。例えば、錠剤としての固体又は粉末の剤形の薬物は、投与の前に、錠剤をしっかりと保持するように配置されたハウジング内に収容され得る。
【0104】
ハウジングは、1つ又は複数の薬物ホルダを備え得、各ホルダは、剤形を収容し、例えば、薬物は、錠剤の剤形であり得、ハウジングは、錠剤が複数のホルダの各々内に保持されるブリスタパックの形態であり得る。ブリスタパックの凹部の形態であるホルダ。
【0105】
図6は、各々が剤形611を収容する複数の薬物ホルダ610を備えるハウジング630を示す。ハウジング630は、環境の温度、時間、又は位置など、ハウジング630が存在する環境に関する情報を感知するように構成されている少なくとも1つの環境センサ94を有し得る。ハウジング630は、ホルダ610内に収容された剤形611の薬物に関する情報を感知するように構成されている少なくとも1つのデバイスセンサ92を含み得る。例えば、GPSなどの衛星位置決定を介して、ハウジング630の地理的位置を決定するように構成されている専用の位置センサ98が存在してもよい。
【0106】
ハウジング630は、ホルダ610内に収容された剤形611の薬物の状態に関する情報を薬物ハウジングのユーザに提示するように構成されているインジケータ85を含み得る。ハウジング630はまた、薬物ハウジング630、環境、時間、若しくは場所、及び/又は薬物自体に関するデータの有線又は無線転送を介して、外部に情報を通信することができる通信インターフェース99を含み得る。
【0107】
必要に応じて、ハウジング630は、ハウジング630の1つ又は2つ以上の電気的構成要素に電力を送達するための電源95を備え得る。電源95は、ハウジング630と一体である電源、及び/又はハウジング630を外部電源に接続するための機構であり得る。ハウジング630はまた、電源95によって給電され、互いに、及び任意選択で、環境センサ94、位置センサ98、デバイスセンサ92、通信インターフェース99、及び/又はインジケータ85などの、ハウジング630の他の電気的及び制御構成要素と通信する、プロセッサ96とメモリ97とを含むデバイスコンピュータシステム90を含み得る。プロセッサ96は、環境センサ94、デバイスセンサ92、通信インターフェース99、位置センサ98、及び/又はユーザインターフェース80から取得されたデータを取得し、それを処理して、例えば、インジケータ85に、及び/又は通信インターフェース99にデータ出力を提供するように構成されている。
【0108】
ハウジング630は、パッケージングの形態であり得る。代替的に、追加のパッケージングが存在して、ハウジング630を収容及び取り囲んでもよい。
【0109】
ホルダ610又は追加のパッケージングは、それら自体が、上述のように、デバイスセンサ92、環境センサ94、インジケータ85、通信インターフェース99、電源95、位置センサ98、及びプロセッサ96とメモリ97とを含むデバイスコンピュータシステムのうちの1つ又は2つ以上を備え得る。
【0110】
電子通信
上述のように、通信インターフェース99は、ハウジング30、630内又はその上に、あるいは代替的にパッケージング35内又はその上に含まれることによって、薬物投与デバイス500又は薬物ハウジング630と関連付けられ得る。そのような通信インターフェース99は、図7に示される中央コンピュータシステム700などのリモートコンピュータシステムと通信するように構成され得る。図7に示されるように、薬物投与デバイス500又はハウジング630に関連付けられた通信インターフェース99は、通信ネットワーク702を介して、例えば、病院又は他の医療センターなどの医療施設706、ホームベース708(例えば、患者の家庭、又はオフィス、若しくはケアテイカーの家庭又はオフィス)、又はモバイル位置710などの任意の数の位置から中央コンピュータシステム700と通信するように構成されている。通信インターフェース99は、ネットワーク702への有線及び/又は無線接続を介して、システム700にアクセスするように構成され得る。例示的な一実施形態では、図6の通信インターフェース99は、システム700に無線で、例えば、Wi-Fi接続を介してアクセスするように構成されており、それにより、世界のほぼ全ての位置からのシステム700のアクセス可能性を促進し得る。
【0111】
当業者は、システム700が、任意の特定のユーザに利用可能なシステム700の態様が、例えば、ユーザの識別情報及び/又はユーザがシステムにアクセスしている位置に基づいて決定され得るように、セキュリティ機能を含み得ることを理解するであろう。そのために、各ユーザは、システム700へのアクセスを容易にするために、固有のユーザ名、パスワード、生体認証データ、及び/又は他のセキュリティ資格情報を有し得る。受信されたセキュリティパラメータ情報は、ユーザが認定されているかどうか、及びユーザがどの程度、システムと対話すること、システムに記憶された情報を見ることなどを許可されているかを決定するために、認定ユーザのデータベースに対してチェックされ得る。
【0112】
コンピュータシステム
本明細書で論じられるように、本明細書に記載の主題の1つ又は2つ以上の態様若しくは特徴、例えば、中央コンピュータシステム700の構成要素、プロセッサ96、電源95、メモリ97、通信インターフェース99、ユーザインターフェース80、デバイスインジケータ85、デバイスセンサ92、環境センサ94、及び位置センサ98は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実現され得る。これらの様々な態様又は特徴は、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを含むプログラム可能なシステム上で実行可能及び/又は解釈可能である1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムの実行を含み得、そのプロセッサは、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信し、それらへデータ及び命令を送信するように接続された専用又は汎用プロセッサとすることができる。プログラム可能なシステム又はコンピュータシステムは、クライアント及びサーバを含んでもよい。クライアント及びサーバは、一般に、互いに遠隔にあり、典型的には、通信ネットワーク、例えば、インターネット、無線広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、又は有線ネットワークを介して相互作用する。クライアント及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、かつ互いにクライアントサーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0113】
コンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネント、又はコードとも呼ばれることがあり、プログラム可能なプロセッサのための機械命令を含み、高級プロシージャ言語、オブジェクト指向プログラミング言語、関数型プログラミング言語、論理型プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械言語で実現され得る。本明細書で使用されるとき、用語「機械可読媒体」とは、例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、及びプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device、PLD)などの任意のコンピュータプログラム製品、機器、及び/又は装置を指し、これらは、機械可読信号として機械命令を受信する機械可読媒体を含む、プログラム可能なプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するために使用される。用語「機械可読信号」とは、プログラム可能なプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するために使用される任意の信号を指す。機械可読媒体は、例えば、非過渡的固体メモリ若しくは磁気ハードドライブ、又は任意の同等の記憶媒体などの、このような機械命令を非一時的に記憶することができる。機械可読媒体は、例えば、プロセッサキャッシュ、若しくは1つ又は2つ以上の物理的プロセッサコアに関連付けられた他のランダムアクセスメモリなどの一時的な方法で、そのような機械命令を代替的又は追加的に記憶することができる。
【0114】
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書に記載の主題の1つ又は2つ以上の態様又は特徴、例えば、ユーザインターフェース80(投与デバイス500又はハウジング630に統合されるか又は別個であり得る)は、例えば、ユーザに情報を表示するため陰極線管(Cathode Ray Tube、CRT)、又は液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)、若しくは発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)モニタなどの表示画面を有するコンピュータ上に実装され得る。表示画面は、直接的に(例えば、タッチスクリーンとして)又は間接的に(例えば、キーパッド又は音声認識ハードウェア及びソフトウェアなどの入力デバイスを介して)表示画面への入力を可能にし得る。他の種類の装置を使用して、ユーザとの相互作用を同様に提供することができる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックなどの任意の形態の感覚フィードバックであり得、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、又は触覚入力を含むが、これらに限定されない任意の形態で受信されてもよい。上述のように、このフィードバックは、ユーザインターフェース80に加えて、1つ又は2つ以上のデバイスインジケータ85を介して提供され得る。デバイスインジケータ85は、このフィードバックを提供するために、又はユーザからの入力を受信するために、デバイスセンサ92、環境センサ94、及び/又は位置センサ98のうちの1つ又は2つ以上と相互作用し得る。
【0115】
図8は、コンピュータシステム800として示されるコンピュータシステム700の例示的な一実施形態を示す。コンピュータシステムは、コンピュータシステム800の動作を制御するように構成されている1つ又は2つ以上のプロセッサ896を含む。プロセッサ896は、プログラム可能な汎用若しくは専用マイクロプロセッサ、及び/又は様々な専用若しくは市販の単一若しくはマルチプロセッサシステムのうちのいずれか1つを含む、任意のタイプのマイクロプロセッサ若しくは中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)を含み得る。コンピュータシステム800はまた、プロセッサ896によって実行されるコードのための、あるいは1つ又は2つ以上のユーザ、記憶デバイス、及び/又はデータベースから得られたデータのための一時記憶装置を提供するように構成されている1つ又は2つ以上のメモリ897を含む。メモリ897は、読み出し専用メモリ(Read-Only Memory、ROM)、フラッシュメモリ、1つ又は2つ以上の様々なランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)(例えば、スタティックRAM(Static RAM、SRAM)、ダイナミックRAM(Dynamic RAM、DRAM)、若しくはシンクロナスDRAM(Synchronous DRAM、SDRAM))、及び/又はメモリ技術の組み合わせを含み得る。
【0116】
コンピュータシステムの様々な要素は、バスシステム812に結合されている。図示されたバスシステム812は、適切なブリッジ、アダプタ、及び/又はコントローラによって接続された、任意の1つ又は2つ以上の別個の物理的バス、通信ライン/インターフェース、及び/又はマルチドロップ若しくはポイントツーポイント接続を表す抽象化したものである。コンピュータシステム800はまた、1つ又は2つ以上のネットワークインターフェース899(本明細書では、通信インターフェースとも呼ばれる)、1つ又は2つ以上の入力/出力(IO)インターフェース880、及び1つ又は2つ以上の記憶装置810を含む。
【0117】
通信インターフェース899は、コンピュータシステムが、リモートデバイス、例えば、他のコンピュータシステム及び/又はデバイス500若しくはハウジング630とネットワークを介して通信することを可能にするように構成されるか、又は、例えば、リモートデスクトップ接続インターフェース、イーサネットアダプタ、及び/又は他のローカルエリアネットワーク(Local Area Network、LAN)アダプタであり得る。IOインターフェース880は、コンピュータシステム800を他の電子機器と接続するための1つ又は2つ以上のインターフェース構成要素を含む。例えば、IOインターフェース880は、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、1394ポート、Wi-Fi、Bluetoothなどの高速データポートを含み得る。追加的に、コンピュータシステムは、人間ユーザにアクセス可能であり得、したがって、IOインターフェース880は、ディスプレイ、スピーカ、キーボード、ポインティングデバイス、及び/又は様々な他のビデオ、オーディオ、若しくは英数字インターフェースを含み得る。記憶装置810は、不揮発性及び/又は非過渡的な方法でデータを記憶するための任意の従来式媒体を含む。したがって、記憶装置810は、コンピュータシステムへの電力の中断にもかかわらず、値が保持される永続的な状態で、データ及び/又は命令を保持するように構成される。記憶装置810は、1つ又は2つ以上のハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、USBドライブ、光学ドライブ、様々なメディアカード、ディスケット、コンパクトディスク、及び/又はそれらの任意の組み合わせを含み得、コンピュータシステムに直接接続されるか、又はネットワークを介してなどで、コンピュータシステムに遠隔接続され得る。例示的な一実施形態では、記憶装置810は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、USBドライブ、光学ドライブ、メディアカード、ディスケット、又はコンパクトディスクなどの、データを記憶するように構成されている有形又は非一時的コンピュータ可読媒体を含む。
【0118】
図8に例示されている要素は、単一の物理的機械の要素の一部又は全てであり得る。更に、図示された要素の全てが同じ物理的機械上又は同じ物理的機械内に配置される必要はない。
【0119】
コンピュータシステム800は、ウェブページ又は他のマークアップ言語ストリームを検索すること、それらのページ及び/又はストリームを(視覚的に、聴覚的に、又は他の方法で)提示すること、それらのページ/ストリーム上でスクリプト、制御、及び他のコードを実行すること、(例えば、入力フィールドを完了させるために)それらのページ/ストリームに対するユーザ入力を受諾すること、それらのページ/ストリームに対するHyperText Transfer Protocol(HTTP)リクエストを発行することか又は他の方法(例えば、完了した入力フィールドからの情報をサーバに提出するため)などのためのウェブブラウザを含み得る。ウェブページ又は他のマークアップ言語は、ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ(HyperText Markup Language、HTML)、又は埋め込み型エクステンシブル・マークアップ・ランゲージ(Extensible Markup Language、XML)、スクリプト、コントロールなどを含む他の従来の形態であり得る。コンピュータシステム800はまた、ウェブページを生成する、及び/又はクライアントコンピュータシステムに配信するためのウェブサーバを含み得る。
【0120】
図7に示されるように、図8のコンピュータシステム800は、上述のように、1つ又は2つ以上の個別の薬物投与デバイス500又はハウジング630のデバイスコンピュータシステム90のうちの1つ又は2つ以上と通信する中央コンピュータシステム700の構成要素を形成し得る。デバイス500又はハウジング630の動作データ、そのようなデバイス500又はハウジング630によって取得された患者の医療データなどのデータは、中央及びデバイスコンピュータシステム700、90間で交換され得る。
【0121】
前述のように、上述のコンピュータシステム800はまた、薬物投与デバイス500又はハウジング630に統合されるか、又はそれらに近接するデバイスコンピュータシステム90の構成要素を形成し得る。この点に関して言えば、1つ又は2つ以上のプロセッサ896は、プロセッサ96に対応し、ネットワークインターフェース799は、通信インターフェース99に対応し、IOインターフェース880は、ユーザインターフェース80に対応し、メモリ897は、メモリ97に対応する。更に、追加の記憶装置810がまた、デバイスコンピュータシステム90内に存在し得る。
【0122】
例示的な一実施形態では、コンピュータシステム800は、例えば、単一の薬物投与デバイスハウジング30内に収容された、1つ又は2つ以上の薬物投与デバイス500の単一のパッケージ35、若しくは複数の薬物ホルダ610を備えるハウジング630内に収容された、単一のユニットとしてのデバイスコンピュータシステム90を形成し得る。コンピュータシステム800は、単一のユニットとして、単一のサーバとして、又は単一のタワーとして、中央コンピュータシステム700を形成し得る。
【0123】
単一のユニットは、その様々な態様が、システムの任意の他の態様の機能を中断することなく、例えば、アップグレード、交換、メンテナンスなどのために必要に応じてスワップイン/アウトされ得るように、モジュール式であり得る。したがって、単一のユニットはまた、追加のモジュールとして追加される能力を使用して拡張可能とすることができ、並びに/又は既存のモジュールの追加の機能性が所望され、かつ/若しくは改善される。
【0124】
コンピュータシステムはまた、一例として、オペレーティングシステム及びデータベース管理システムを含む、様々な他のソフトウェア並びに/又はハードウェア構成要素のうちのいずれかを含み得る。本明細書には例示的なコンピュータシステムが図示及び説明されているが、これは一般概念及び便宜のためであることが理解されるであろう。他の実施形態では、コンピュータシステムは、本明細書に示され説明されるものとは、アーキテクチャ及び動作が異なる場合がある。例えば、メモリ897及び記憶装置810は、一緒に統合され得るか、又は別のコンピュータシステムとの通信が必要ではない場合、通信インターフェース899は、省略され得る。
【0125】
実装形態
少なくともいくつかの実装形態では、上述の通信インターフェース99など通信インターフェースは、上述の中央コンピュータシステム700などリモートコンピュータシステムと安全かつ匿名化された様式で通信するように構成され得る。このようにして、患者の薬物投与デバイス、当該デバイスから分配可能な、若しくは分配された薬物、及び/又は生理的パラメータに関するデータは、権限のない第三者にデータが傍受された場合に患者のプライバシーを損なうであろう患者情報を識別することなく、通信インターフェースからリモートコンピュータシステムに送信され得る。通信インターフェースを含むデバイス、例えば、図1図5Bの薬物投与デバイスのいずれか、図5B及び図6の薬物ハウジング30、630のいずれか、図5Bのパッケージング35、センサなどとリモートコンピュータシステムの間には、記憶されたリンク(remembered link)が確立されて、データのこの安全かつ匿名での通信を容易し得る。例示的な実施形態では、記憶されたリンクは、デバイス及びリモートコンピュータシステムのそれぞれに記憶された、デバイス及びリモートコンピュータシステムに固有の確立された鍵を含み、それによってリモートコンピュータシステムは、デバイスから匿名データを受信できるが、鍵を使用して、その特定のデバイスからのデータとして、したがって、当該コンピュータシステムにおいて以前プログラムされた、又は別のコンピュータシステムから利用可能なその特定のデバイスに関連する特定の患者に関連するデータとして当該データを正確に識別することができる。したがって、リモートコンピュータシステムは、デバイスから受信したデータ、並びにデバイス、薬物、及び/又は患者に関連するデータを集約して、患者の状態及び治療を、並びに/又はデバイス及び/若しくは薬物の有効性を評価し得る。評価は、医療専門家によって手動で実行され得るか、又はリモートコンピュータシステムによって自動化され得る。
【0126】
特定の患者に関連するデータとしてのデータの識別には、必ずしも患者の完全な詳細を識別する必要はない。特定の患者に関連するデータとしてのデータの基本レベルの識別では、患者のプライバシーを維持することができる。したがって、データを個別に識別することはできないが、それでも1人の患者に関連する複数ビットのデータの集約は可能である。これにより、薬物投与又は患者が遭遇する他の条件に関連する相関関係及び傾向を評価するために使用できる匿名データの収集が可能になる。この匿名データはまた、臨床試験の一環として対照群の代わりに使用され得る。
【0127】
コンピュータシステムは、複数の薬物投与デバイス、薬物ハウジング、パッケージング、及び/又はセンサのそれぞれと固有の鍵を確立して、コンピュータシステムが異なるソースのそれぞれからデータを集約することを可能にし、それによって、異なる患者間でのデータ分析、及び/又は異なるデバイス/ハウジング/パッケージング間でのデータ分析を可能にするように構成されている。そのような分析は、異なる患者の治療を評価して最適な臨床転帰を得るためことを可能にする、患者の個々の医療治療計画に対する患者コンプライアンスの評価を可能にする、及び/又は保険会社が薬物使用と薬物コストとをより効果的に相関させることを可能にするなど様々な理由で有益であり得る。
【0128】
記憶されたリンクは、暗号化を使用して、安全、非公開、かつ匿名のデータ通信を達成する。例示的な実装形態では、コンピュータシステムは、データ暗号化及び復号化を可能にするために、公開鍵/秘密鍵暗号化システムなど鍵ベースのセキュリティシステムで構成されたサーバを含む。例示的な実施形態では、サーバは、薬物投与デバイス、ハウジング、又はこれらと通信する他のデバイスに対して遠隔に位置するサーバである。したがって、サーバは、メモリ897などメモリ、並びに/又はシステムと通信するように構成されたデバイスの公開鍵及び秘密鍵を記憶するように構成された、追加の記憶装置810などデータベースを含む。公開鍵及び秘密鍵は、サーバによって暗号アルゴリズムを使用して生成され得る。鍵は、送信用にデータを暗号化し、異なるコンピューティングデバイスから受信した、暗号化されたデータを復号化するために使用され得る。このようなシステムでは、意図されたデータ受信者に対応する公開鍵を用いてデータを暗号化することができるが、受信者の秘密鍵のみを使用して暗号化されたデータを復号化することができる。少なくともいくつかの実施形態では、サーバは、公開鍵基盤(public key infrastructure、PKI)など暗号システムを含み、「認証局」として公知の1つ以上の第三者が、公開鍵及び秘密鍵の対の所有権を証明することができる。鍵ベースのセキュリティシステムの例には、Diffie-Hellman鍵交換プロトコル、デジタル署名基準(Digital Signature Standard、DSS)プロトコル、パスワード認証鍵アグリーメントプロトコル、Rivest-Shamir-Adelman(Rivest-Shamir-Adelman、RSA)暗号化アルゴリズム、Cramer-Shoup暗号システム、及びYAK認証鍵アグリーメントプロトコルが挙げられる。
【0129】
より具体的には、暗号化は、鍵を使用して、テキスト又は他のデータを認識不能なデジタル形式にし、次いでそれをその元の形式に復元することによってメッセージを暗号化し、復号化するアルゴリズムを用いて達成される。鍵が長いほど、コードの解読にはより多くの計算が必要である。コンピュータ鍵は、様々な長さのビットの情報からなる。例えば、8ビットの鍵は、256(2~8乗)の可能な値を有する。別の例では、56ビットの鍵は、72,000兆の可能な組み合わせを作り出す。鍵が128ビットの長さである場合、すなわち、パーソナルコンピュータで16文字のメッセージに相当する場合、総当たり攻撃は、56ビット鍵を解読する場合よりも、47垓(4,700,000,000,000,000、000,000)倍困難である。暗号化を行うと、送信されたデータが権限のない第三者に傍受されるという滅多にない場合であっても、データの不正使用は概して阻止される。
【0130】
固有識別(unique identification、ID)番号又はコードは、デバイスの使用前の製造プロセス中などに、デバイスのメモリ、例えば、図5Bのデバイス500のメモリ97に登録され、記憶される。ID番号/コードは、デバイスに固有であるが、ID番号/コードは、複数のデバイスに共通であり、複数の関連デバイスに共通の傾向を分析するのに有用であり得る、モデル又はモデルファミリーの番号又はコードなど追加の識別情報を含み得る。例示的な実施形態では、ID番号は、薬物投与デバイス、薬物、及び/又はセンサのデータと共にコンピュータシステムに送信されて、コンピュータシステムが、データをその特定のデバイスから受信したものとして容易に識別できるようにする。コンピュータシステムは、コンピュータシステムが、デバイスから受信したデータを復号化するために使用する、以前生成した鍵を識別することができるように、デバイスと通信し得るデバイスのID番号/コードを特定の鍵と相関させる、コンピュータシステムに記憶されたルックアップテーブル内でID番号/コードを検索することによってなど様々な方法でこの識別を実行することができる。ルックアップテーブルはまた、ID番号/コードを、特定のデバイス及び/又は特定のデバイスに関連する特定の患者に相関させることができる。ID番号/コードは、デバイスからコンピュータシステムに送信されたデータにおいて暗号化されず、コンピュータシステムがID番号/コードを読み取り、復号化に使用する正しい鍵を識別することを可能にし得る。
【0131】
特定のデバイス、例えば、図1図5Bの薬物投与デバイスのいずれか、図5B及び図6の薬物ハウジング30、630のいずれか、図5Bのパッケージング35、センサなどと通信するためにコンピュータシステムにおいて生成された鍵は、上述のようにデバイスと共有され、そのメモリにおいてデバイスに記憶される。いくつかの実施形態では、コンピュータシステムが鍵を生成し、デバイスに記憶するために鍵をデバイスに送信するのではなく、デバイスは、鍵の生成を実行し、コンピュータシステムに記憶するためにそこに鍵を送信することができる。しかしながら、遠隔に位置するコンピュータシステムは、典型的には、デバイスよりも高い処理能力を有するため、例示的な実施形態では、鍵の生成は、遠隔に位置するコンピュータシステムで生じる。他の実施形態では、コンピュータシステム及びデバイスのそれぞれは、当業者によって理解されるであろう特定の鍵生成プロトコルを使用して、鍵がコンピュータシステム及びデバイスのうちのどれか1つに送信されるように鍵の生成に関与する。これは、鍵が権限のない第三者に傍受されることを阻止するためにセキュリティの向上に役立ち得る。
【0132】
上述のように、薬物投与デバイスに記憶された鍵は、薬物投与デバイス及び薬物投与デバイスに関連する患者を個別に特定することができる。例示的な実施形態では、薬物投与デバイスは、1つの鍵のみを記憶することができる。そのような実施形態では、1人の患者のみが薬物投与デバイスを使用することを意図している。他の例示的な実施形態では、薬物投与デバイスは、複数の鍵を記憶することができ、鍵のそれぞれは、薬物投与デバイス及び薬物投与デバイスに関連する複数の患者のうちの1人を個別に特定する。このようにして、薬物投与デバイスは、複数の患者のそれぞれで使用され得、データの送受信で使用される鍵に基づいて、患者のうちの1人のみに特有のデータを送受信するように構成され得る。薬物投与デバイスは、例えば、薬物投与デバイスの薬物ホルダが、薬物が薬物ホルダから送達された後に薬物投与デバイスから取り出され、薬物投与デバイスから送達される薬物を含む第2の薬物ホルダに交換されるように構成されている場合、複数の患者によって使用され得る。
【0133】
デバイスからコンピュータシステムに送信されたデータは、様々なタイプのデータのうちのいずれかを含み得る。例示的な実施形態では、データは、薬物投与デバイス及び薬物の少なくとも一方に関する情報を感知するように構成された1つ以上のセンサ、例えば、上述のデバイスセンサ92、環境センサ94、及び位置センサ98のうちのいずれか1つ以上などによって収集された、感知した情報を示す。
【0134】
センサからコンピュータシステムに送信されたデータは、患者の生理的パラメータに関する情報を含み得る。センサは、血糖値、血中酸素濃度、体重、又は睡眠時間のうちの1つである生理的パラメータを感知するように構成され得る。センサによって感知され得る生理的特徴の更なる例は、血圧、発汗レベル、呼吸数、心拍数、中核温度、振戦検出、代謝率、炎症反応である。生理的パラメータはまた、栄養摂取量を含み得る。栄養摂取量は、患者が摂取した食物を撮像することによって評価され得る。あるいは、栄養摂取量は、患者によって手動で記録され得る。
【0135】
本明細書に記載のセンサは、デバイス条件(例えば、デバイスセンサ92によって感知される)、環境条件(例えば、環境センサ94によって感知される)、及び位置条件(例えば、位置センサ98によって感知される)などの様々な条件に関するデータを収集するように構成され得る。条件の例としては、地理的位置(例えば、GPS又は他の位置を感知するように構成された位置センサによって感知される)、時間(例えば、タイマ又は電磁時計など時計装置によって感知される)、日付(例えば、タイマによって感知される)、温度(例えば、温度センサによって感知される)、紫外線(ultraviolet、UV)照射(例えば、UVレベルを感知するように構成されたUVセンサによって感知される)、湿度(例えば、湿度レベルを感知するように構成された湿度センサによって感知される)、接触(例えば、接触センサによって感知される)、及び圧力(例えば、圧力センサによって感知される)が挙げられる。
【0136】
図5Bのユニバーサル薬物投与デバイス500及び図7のコンピュータシステム700を例として使用すると、薬物投与デバイス500は、鍵ベースのセキュリティシステム用いて、データ記憶動作及びデバイス500とシステム700との間でのデータ送信動作を管理することができる。鍵は、様々な鍵確立プロトコルのいずれかを使用して、デバイス500とコンピュータシステム700との間で確立され得る。鍵は、デバイス500のメモリ97に記憶され、また、コンピュータシステム700のメモリに記憶されて、デバイス500が鍵を使用してデータを暗号化し、安全に、かつデバイス500又はそれに関連する患者を特定しない匿名の様式で暗号化されたデータをコンピュータシステム700に送信することを可能にし得る。デバイスのメモリ97はまた、デバイス500の固有のID番号/コードを内部に記憶することができる。デバイスのプロセッサ96は、デバイスのセンサ92、94、98のうちのいずれか1つ以上で感知した情報を示すデータを暗号化する際に鍵を使用するように構成され得る。データは、データが収集された時間及び日付など感知した情報のメタデータを含み得る。デバイスのプロセッサ96は、デバイス500の通信インターフェース99を介して、暗号化されたデータをシステム700に無線で送信させるように構成され得る。次いで、コンピュータシステム700は、その通信インターフェースを介してデータを受信し、受信したデータから、受信したデータを復号化する際に使用するために、そのメモリに記憶された正しい鍵を特定し、その後、特定した、記憶された鍵を使用して受信したデータを復号することができる。このようにして、コンピュータシステム700は、データの匿名化された側面を除去して、データに関連するデバイス500及び患者を特定できるように構成され得る。これは、鍵が、当該特定のデバイス500及び患者に関連していることがコンピュータシステム700で前もって既知であるためである。本明細書の他の場所で述べるように、患者の正確な識別情報が不要である場合、匿名性の除去レベルはある程度の患者のプライバシーを維持し得る。逆に、デバイス500によって送信されたデータを傍受する権限のない第三者は、データの匿名化された側面を除去することができず、したがって、傍受が生じた場合でも、患者のプライバシーは維持される。薬物投与デバイス500は、生成された鍵を用いて、デバイス500からシステム700に送信される全データを暗号化することができる。コンピュータシステム700はまた、そこに記憶された、生成された鍵を用いて、そこからデバイス500に送信される全データを暗号化することができ、デバイス500は、その記憶された鍵を使用して当該情報を復号化することができる。システム700からデバイス500に送信されるデータとしては、例えば、感知した情報をシステム700に自動的に送信するように構成されていない実施形態において、感知した情報をシステム700に送信することをデバイス500に求める要求、デバイス500からの薬物の送達の開始をデバイス500に求める要求、ロック状態からロック解除状態にして(例えば、デバイス500のデバイス動作防止機構40又は25をロック状態からロック解除状態にすることによって、デバイス500に記憶されたアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更して、デバイス500から患者に薬物の用量を投与することによってなど)、ユーザが、デバイス500からの薬物送達を手動で実行させることを可能にすることをデバイス500に求める要求などが挙げられる。
【0137】
図9は、鍵ベースのセキュリティシステムを使用して、安全かつ匿名化された様式で1つ以上のデバイスと通信するように構成されたクラウドコンピューティングシステム951を含む薬物投与システム950の一実施形態を示す。この図示された実施形態における薬物投与システム950は、鍵ベースのセキュリティシステムを使用してクラウドコンピューティングシステム951と通信するように構成された薬物投与デバイス952と、クラウドコンピューティングシステム951及び薬物投与デバイス952と通信するように構成されたスマートモバイルデバイス953と、薬物投与デバイス952から薬物が送達され、モバイルスマートデバイス953と対話するように構成された患者954と、スマートデバイス953にインストールされ、薬物投与デバイス952に関連するスマートデバイス953との患者の対話を容易にするように構成された、1つ以上のアプリ955と、薬物に関連する製薬会社のためのコンピュータシステムであり、1つ以上のアプリ955と(例えば、アプリ955にソフトウェア更新を提供するため、アプリ955に情報通知をプッシュして、患者954に提供するためなど)、及び薬物投与デバイス952と(例えば、薬物投与デバイス952に薬物に関する情報通知をプッシュして、デバイス952のユーザインターフェースを介して患者954に提供するため)電子的に通信するように構成された、製薬会社のコンピュータシステム956と、患者954に関連する支払人データを記憶し、クラウドコンピューティングシステム951にアクセス可能であるように構成された、支払人データベース957と、薬物の製造に関連する薬物データを記憶し、クラウドコンピューティングシステム951にアクセス可能であるように構成された、製造データベース958と、患者954に関連する患者データを記憶し、クラウドコンピューティングシステム951、患者954、及びスマートデバイス953にアクセス可能であるように構成された患者データベース959と、を含む。患者データベース959は、クラウドコンピューティングシステム951にアクセス可能であるように構成されている、患者954に関する、データ側の医療提供者(health care provider、HCP)データを含む。患者データベース959はまた、患者の制御下にあるスマートデバイス953を介してなど、患者954にアクセス可能であるように構成されている、患者954に関する、患者側のHCPデータを含む。
【0138】
鍵は、様々な鍵確立プロトコルのいずれかを使用して、薬物投与デバイス952とクラウドコンピューティングシステム951との間で確立され得る。鍵は、デバイス952のメモリに記憶され、また、クラウドコンピューティングシステム951のメモリに記憶されて、デバイス952が鍵を使用してデータを暗号化し、安全に、かつデバイス952又はそれに関連する患者954を特定しない匿名の様式で暗号化されたデータをコンピュータシステム951に送信することを可能にし得る。デバイスのメモリはまた、デバイス952の固有のID番号/コードを内部に記憶することができる。デバイスのプロセッサは、デバイスの1つ以上のセンサのうちのいずれか1つ以上で感知した情報を示すデータを暗号化する際に鍵を使用するように構成され得る。あるいは、デバイスはセンサ自体であり得、したがって、感知した情報を示すデータを暗号化する際に鍵を使用するように構成され得る。データは、データが収集された時間及び日付など感知した情報のメタデータを含み得る。デバイスのプロセッサは、デバイスの通信インターフェースを介して、暗号化されたデータをシステム951に無線で送信させるように構成され得る。次いで、システム951は、その通信インターフェースを介してデータを受信し、受信したデータを復号化する際に使用するために、受信したデータからそのメモリに記憶された正しい鍵を特定し、その後、特定した、記憶された鍵を使用して受信したデータを復号化することができる。このようにして、システム951は、データの匿名化された側面を除去して、データに関連するデバイス952及び患者954を特定できるように構成され得る。これは、鍵が、当該特定のデバイス952及び患者に関連していることがシステム951で前もって既知であるためである。逆に、デバイス952によって送信されたデータを傍受する権限のない第三者は、データの匿名化された側面を除去することができず、したがって、傍受が生じた場合でも、患者のプライバシーは維持される。薬物投与デバイス952は、生成された鍵を用いて、デバイス952からシステム951に送信される全データを暗号化することができる。システム951はまた、そこに記憶された、生成された鍵を用いて、そこからデバイス952に送信された全データを暗号化することができ、デバイス952は、その記憶された鍵を使用して当該情報を復号化することができる。システム951からデバイス952に送信されるデータとしては、例えば、デバイス952が感知した情報をシステム951に自動的に送信するように構成されていない実施形態において、感知した情報をシステム951に送信することをデバイス952に求める要求、又は別の例では、デバイス952から患者954への薬物の送達の開始をデバイス952に求める要求、更に別の例では、ロック状態からロック解除状態にして(例えば、デバイス952のデバイス動作防止機構をロック状態からロック解除状態にすることによって、デバイス952に記憶されたアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更して、デバイス952から患者954に薬物の用量を投与することによってなど)、ユーザが、デバイス952からの薬物送達を手動で実行させることを可能にすることをデバイス952に求める要求などが挙げられる。少なくともいくつかの実施形態では、鍵は、クラウドコンピューティングシステム951とシステム950内の他のコンピュータシステム953、957、958、959のうちのいずれか1つ以上のそれぞれとの間で同様に確立され、使用され得、クラウドコンピューティングシステム951は、それらと通信するように構成されている。
【0139】
図10は、鍵ベースのセキュリティシステムを使用する方法900の例示的な実施形態を示すフロー図である。方法900は、説明を容易にするために図5Bの薬物投与デバイス500及び図7のシステム700に関して説明されるが、薬物投与デバイスの一部ではない場合のセンサそれ自体など他のデバイス及びシステムは、上述のように同様に実施され得る。鍵ベースのシステムは、薬物投与デバイス500とシステム700との間で送受信されるデータを暗号化し、復号化するために使用され、その結果、データは、安全、非公開、かつ匿名化された様式で渡され得る。
【0140】
動作905では、鍵ベースのセキュリティシステムは、薬物投与デバイス500とデバイス500から遠隔に位置するシステム700との間での無線通信のために固有の鍵を確立する。少なくともいくつかの実施形態では、システム700内に構成されたサーバは、鍵ベースのセキュリティシステムを実施する。固有の鍵は、遠隔に位置するサーバのメモリ、並びにシステム700で構成され得る追加の記憶装置に記憶される。システム700は、そのメモリ97に記憶するためにデバイス500に鍵を送信することができ、又は上述のように、デバイス500は、鍵ベースのセキュリティシステムで使用される鍵の対の自身の鍵を生成するように構成され得る。
【0141】
動作910では、薬物投与デバイス500は、センサ92、94、98のうちの1つ以上を使用して、薬物投与デバイス500及びそこから分配される薬物の少なくとも一方に関する情報を感知する。感知した情報としては、例えば、投与量に関連するデータ及び薬物投与デバイス500を介して投与されるべき薬物の送達スケジュールが挙げられ得る。
【0142】
動作915では、薬物投与デバイス500のプロセッサ96は、メモリ97に記憶された、生成された鍵を使用して、感知した情報を示すデータを暗号化し、匿名化する。プロセッサ96は、動作920において、遠隔に位置するコンピュータシステム700への送信前に、データを匿名化し、暗号化し、その結果、送信時には、データは安全な、暗号化された様式で送信される。動作920における送信はまた、コンピュータシステムによる、デバイス500から受信したデータの復号化を容易にするためのデバイスの固有のID番号/コードを含む。
【0143】
動作925では、薬物投与デバイス500がシステム700から暗号化されたデータを受信する場合、薬物投与デバイス500は、メモリ97に記憶された鍵を使用して、受信されるデータを復号化する。
【0144】
患者の生理的パラメータに関する情報を感知するように構成されているセンサに関して、センサは、生理的パラメータに関する情報を定期的に、例えば、24時間毎に少なくとも1回、12時間毎に1回、3時間毎に1回、1時間毎に1回、30分毎に1回、又は10分毎に1回など取得するように構成され得る。これは、必要とされるデータの頻度に即して選択され得る。次いで、このデータは、必要に応じて、対応する頻度、又はより少ない頻度で、本明細書に記載のように、サーバに匿名で伝達され得る。したがって、センサは、元の患者を特定するリスクを伴わずに、したがって、患者のデータの収集に関する患者の承諾を得やすくするように、匿名の様式でのデータ収集を可能にし得る。
【0145】
1人の患者は、更なる生理的パラメータであり得る、異なるパラメータを測定するために複数のセンサを有し得る。これらのセンサは、システム内の同一患者に全て関連して、この患者に関するサーバ上のデータの集約を可能にし得る。
【0146】
センサで取得された生理的情報以外の、1人の患者に関連するデータも取得され得る。例えば、患者に関連する薬物投与デバイスはまた、本明細書に記載のように、患者に関するデータを伝達し、サーバ上の生理的情報と集約されて、特定の薬物投与デバイスの性能に対する生理的反応の示度を提供し得る。
【0147】
複数の患者は、生理的パラメータを測定するために少なくとも1つのセンサをそれぞれ有し得る。センサは、システム内のそれぞれの患者にそれぞれ関連し、患者毎のデータの記憶を可能にする。これにより、傾向及び相関関係の検出を支援し得る、ある範囲の患者にわたる多くのデータポイントの収集が可能になる。具体的には、複数の患者のそれぞれは、観察した転帰の更なる分析を支援する、より多くのデータポイントに寄与する複数のセンサを有し得る。複数の患者のそれぞれは、自身に関連する薬物投与デバイスを有して、サーバに更なるデータを提供し得る。
【0148】
動作の一実施形態では、患者の生理的パラメータに関する情報を感知するように構成されたセンサは、生理的パラメータを感知する。
【0149】
次の工程では、センサは、鍵を使用して、感知した生理的パラメータを示すデータを匿名化し、感知した生理的パラメータを示すデータを遠隔に位置する通信インターフェースに無線で送信する。これは、例えば、24時間毎に1回など定期的に繰り返される。定期的な測定は、48時間、7日間、14日間、30日間、90日間、120日間、180日間、365日など少なくとも24時間にわたって繰り返され得る。このようにして、数時間及び数日にわたって短期試験を完了することが可能であるが、より長期間にわたってより多くのデータを蓄積して高精度の試験を可能にすることもできる。例えば、監視対象の生理的パラメータが血糖値及び炭水化物摂取量、体重など栄養摂取量を含む場合、この工程を365日間繰り返して、従来の方法では達成できない高精度の長期グルコース検査を提供できる。これにより、実際の治療アルゴリズムの情報をより良好に提供することができる。
【0150】
1人の患者が、生理的パラメータを感知するようにそれぞれ構成された第1のセンサ及び第2のセンサを有する場合、第1のセンサは、当該患者の血糖値を感知するように構成され得、第2のセンサは、栄養摂取量、例えば、炭水化物摂取量、タンパク質摂取量、及び脂肪摂取量のうちの1つ以上を感知するように構成され得る。これらのパラメータを監視することは、本明細書の他の場所に記載のように、患者センサ92など様々なセンサを使用して達成され得る。したがって、グルコース検査は、患者が食べるたびに行われ得、したがって、従来のアプローチよりも便利で、かつ時間のかからないグルコース耐性検査の方法が提供される。
【0151】
図15は、複数の患者のうちの1人の患者に関連するデータを蓄積するシステムの一実施形態を示す。システムは、1人の患者を特定し、したがって、この患者に関連する記録データを抽出することができる。この実施形態では、抽出したデータは、血糖値、炭水化物摂取量、及びインスリン投与に対する患者の反応である。これらのデータを分析して、短期間の30日平均及び7日平均でインスリン投与量/炭水化物比に対する反応の比率を提供することができる。感知したデータはまた、長期分析のために90日平均で平均血糖値を提供する。そのようなデータを抽出する能力は、個々の患者状況に対して傾向を確立することを可能にし得る。そのような患者データは、類似の状況の患者と組み合わされて、集団の任意の特定の部分にわたって傾向の実像を構築し得る。これは、病歴データを有さない新しい患者の投薬スキームの最適化に役立ち得る。
【0152】
特定の患者に関して受信したセンサデータ(及び/又は他のデータ)は、患者の電子健康記録(EHR)に、及び/又は特定の薬物のリスク評価及び軽減戦略(REMS)、例えば、エスケタミン、ケタミン、若しくは他の規制物質のREMS用の患者監視フォームなど、特定の薬物と併用するために必要なフォームに自動的にアップロードされ得る。したがって、EHR及び/又はフォームは、正確かつ適時に更新され得る。
【0153】
図16は、特定の患者に関して1つ以上のセンサによって感知されたデータで患者監視フォームを更新する方法1200の一実施形態を示す。患者監視フォームは、薬物投与デバイスのユーザインターフェースへのデータ入力など他のデータで同様に更新され、中央コンピュータシステム700などリモートコンピュータシステムに伝達され得る。例えば、心理状態データは、外部デバイスに記憶されている、アンケートの質問に対する患者の回答を介して、ケスラー心理的苦痛尺度(K10)若しくは様々な他の指標及び尺度のいずれかなどの心理的ストレステストに対する回答など、薬物投与デバイスのユーザインターフェースを介して提示される1つ又は2つ以上の質問に対するユーザ入力、外部デバイスに記憶されている、患者に関する医療提供者の評価ノートなどを通じてなど、様々な方法で収集され得る。心理状態データは、薬物が、薬物送達デバイス500からユーザにいつ送達されるべきかを評価するため、及びユーザが、現在の治療にどのように反応しているかを決定するために、例えばプロセッサによって、使用され得る。例えば、心理状態が改善する傾向は、うつ病のための有効な薬物治療を示し得、その結果、薬物投与量及び/又は薬物投与頻度が、低減され得る。別の例では、心理状態が減退する傾向又は心理状態の静的な傾向は、うつ病を治療している薬物について、薬物投与量及び/又は薬物投与頻度が増加されるべきであることを示し得る。
【0154】
この例示的な実施形態では、感知されるパラメータは、患者の心拍数(HR)、患者の呼吸数(RR)、及び患者の血圧(BP)を含むが、本明細書で論じられるように、他の条件が、感知され得る。1つ以上のセンサが、データを収集し1202、薬物投与デバイス500が、感知したデータをコンピュータシステム700(又は本明細書に記載の他のデバイス)に伝達する1204。コンピュータシステム700は、受信した感知データを、一時的に保持する患者監視フォームに入力する1206。感知されたパラメータの各々について、コンピュータシステム700は、測定されている特定の状態について適宜、感知されたデータが、所定の最大閾値を上回っているか、又は所定の最小閾値を下回っているかを決定する。そうでない場合、感知したデータは、正常である、例えば、許容限界内にあると見なされ、コンピュータシステム700は、患者監視フォームに、その感知した状態に対して感知したデータを入力する1208。そうである場合、感知されたデータは、異常、例えば、許容限界内にないと見なされる。コンピュータシステム700は、この異常性の決定が、この患者に関して、この感知されたパラメータの異常性の第1の決定であるかどうかを決定する。この異常性の決定が、この患者に関して、この感知したパラメータの異常性の第1の決定である場合、患者監視フォームには、感知したデータがまだ入力されない1208。代わりに、パラメータを再び感知した後1202、コンピュータシステム700は、感知したパラメータデータを受信し、受信した感知データを、一時的に保持する患者監視フォームに入力する1206。この感知した状態に関する異常な感知データの第2のインスタンスとなるように、この感知データが、測定されている特定の状態に関して適宜、所定の最大閾値を上回っているか、又は所定の最小閾値を下回っているとコンピュータシステム700が決定した場合、コンピュータシステム700は、評価及び考えられる介入のために、医療従事者、例えば、薬物投与デバイス500を使用している患者と共に現場にいるスタッフ、患者の医療提供者などに対して警告を提供する1210。警告された医療従事者は、例えば、コンピュータシステム700の表示画面上のデータを手動でレビューすることによって、異常な感知データを確認し1212、例えば、入力をトリガーする1208入力をコンピュータシステム700のユーザインターフェースに提供することによって、感知データを患者監視フォームに入力させる1208。医療従事者による感知データのヒューマンレビュー及び異常な感知データの確認は、人間の活動が関与するため、保険償還を可能にするのに役立ち得る。測定されている特定の状態に関して適宜、この感知データが所定の最大閾値を上回ってもおらず、所定の最小閾値を下回ってもいないとコンピュータシステム700が決定した場合、第1の異常決定は、異常であると見なされ、コンピュータシステム700は、その感知された状態に関して、感知データを患者監視フォームに入力する1208。
【0155】
方法1200の他の実施形態では、一時的に保持する患者監視フォームは、省略され得る。そのような実施形態では、患者監視フォームは、全ての感知データを、一回目に異常であると決定された感知データでさえも入力され1208、それにより、より完全な患者記録を提供し得る。
【0156】
方法1200の他の実施形態では、医療従事者は、第1の異常な感知状態に対して警告され得、それにより、緊急時に医学的介入がより迅速に提供されることを可能にするのに役立ち得る。
【0157】
少なくともいくつかの実装形態では、図1図5Bの薬物投与デバイスのいずれか、図5B及び図6の薬物ハウジング30、630のいずれか、図5Bのパッケージング35、センサなどデバイスから図7の中央コンピュータシステム700などリモートコンピュータシステムに安全かつ匿名化された様式で伝達されるデータを使用して、薬物送達を変更することができる。薬物送達を変更するために、上述のように、安全かつ匿名化された様式で受信したデータを使用するリモートコンピュータシステムは、デバイスからの薬物送達が、デバイスに関連すると検証された情報に基づいて確実に変更されることに役立ち得る。これは、リモートコンピュータシステムが復号化に適した鍵を識別し、その鍵を有する場合にのみ、リモートコンピュータシステムがデータを復号化することができるためである。換言すると、リモートコンピュータシステムは、リモートコンピュータシステム及びデバイスが以前に安全かつ匿名化された通信プロトコルを確立している場合にのみ、受信したデータを読み取り、このデータを使用して薬物送達を変更することができるため、データは、薬物送達の変更で使用するために自己検証する。しかしながら、薬物送達を変更するために使用されるデータは、上述の安全かつ匿名化された通信実装形態以外の方法で、デバイスからリモートコンピュータシステムに送信され得る。
【0158】
薬物を送達する場合、単純な初回薬物用量自体以外に、様々な要因が薬物投与、吸収、及び患者への効果に影響し得る。例えば、個々の患者の生理又は状態、患者に対する薬物の生理的効果、患者の周囲の外部状況などは、患者への薬物投与の結果に全て影響し得る。したがって、薬物投与デバイスの使用中に生じる様々な異なる因子に基づいて薬物送達を調整することを可能にし、より多くの個別化された治療を提供する一方で、治療を受ける特定の患者に対する特殊なケアを患者が受け、及び/又は医師がこれらのケアを提供することを支援することは有益であり得る。更に、薬物送達調整の多くを自動化可能であることは、患者及び医師の両者にとっての送達プロセスを容易にすることに役立ち、患者の転帰を改善することができる。
【0159】
例示的な実施形態では、薬物送達は、リモートコンピュータシステムからの命令に基づいて変更され得る。薬物投与デバイス、例えば、そのメモリに記憶されたアルゴリズムは、デバイス上で、例えば、そのプロセッサによって実行可能であり、患者に薬物の用量を投与する。アルゴリズムは、デバイスの機能及び薬物の投与を制御するために、命令、通知、信号などを定義する、及び/又は表す複数のデータポイントの1つ又は2つ以上のセットの形態で記憶される。薬物投与デバイスで受信したデータは、例えば、その通信インターフェースを介して複数のデータポイントとして、例えば、デバイスのプロセッサによって使用されて、アルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを変更する。少なくとも1つの可変パラメータは、アルゴリズムのデータポイントの間にあり、例えば、薬物送達のための命令に含まれ、したがって、各々が、アルゴリズムの記憶された複数のデータポイントのうちの1つ又は2つ以上を変更することによって、変更され得る。少なくとも1つの可変パラメータが変更された後、その後のアルゴリズムの実行は、変更されたアルゴリズムに従って、別の用量の薬物を投与する。したがって、経時的な薬物送達は、例えば、医療専門家が、薬物送達の変更のための入力をコンピュータシステムに提供することによって、患者のために遠隔管理されて、薬物の有益な結果を増加させ得る。少なくとも1つの可変パラメータ及び/又は1つ又は2つ以上の用量自体の投与の変更は、患者転帰を改善するように自動化される。したがって、薬物投与デバイスは、患者に基づいたオーダーメイド医療を提供して、薬物送達用のスマートシステムを提供するように構成され得る。
【0160】
典型的には、患者が薬物投与デバイスをアップグレードするか、又は新しい薬物投与デバイスを取得するよりも、リモートコンピュータシステムをアップグレードすることの方が安価であり、及び/又は容易である。したがって、処理及び可変パラメータの制御をリモートコンピュータシステムにオフロードすることにより、薬物投与デバイスの耐用年数を延長し得、及び/又は(リモートコンピュータシステムと通信する薬物投与デバイスのそれぞれに対して)複数回の更新を行うのではなく、(リモートコンピュータシステムに対して)1回の更新を行うことが可能になり得る。
【0161】
例示的な実施形態では、デバイスのアルゴリズムが修正されるデータは、薬物投与デバイス及び/又はそこから送達可能な薬物に関連する特性に関するデータを収集するように構成された少なくとも1つのセンサによって収集されたデータを少なくとも含む。したがって、薬物投与デバイスは、ローカル処理を用いて、デバイスで感知した情報に基づいて、また少なくともいくつかの実施形態では、過去の薬物送達及びコンピュータシステムによって集められた投与量データなどの1つ以上の追加の要因に基づいて、薬物の送達をカスタマイズし得る。デバイスが2つ以上のセンサを含む場合、センサのそれぞれは、例示的な実施形態では、異なる特性に関するデータを収集して、多数の要因を考慮することによってアルゴリズムのカスタマイズの改善に役立つように構成される。
【0162】
アルゴリズムの修正に使用されるデータを感知することができるセンサの例は、上述のセンサ92、94、98である。センサによって感知され、アルゴリズムの修正に使用され得る特性の例は、患者の生理的特性、患者の身体的特性、及び患者の状況特性である。血糖値(例えば、グルコースモニタなどを使用する)、血圧(例えば、血圧モニタなどを使用する)、発汗レベル(例えば、流体センサなどを使用する)、呼吸数(例えば、呼吸モニタ、鼻又は口の近くに位置し、吐き出す息での熱検出を使用するか、空気流の出入りを検出するように構成された熱センサ、鼻又は口の近くに位置し、吐き出す息での圧力検出を使用するか、空気流の出入りを検出するように構成された圧力センサ、肺活量計を使用するなど)、心拍数(例えば、心拍数モニタを使用する)など様々な生理的特性のいずれかが監視され得る。中核温度(例えば、温度センサを使用する)、振戦検出(加速度計などを使用する)、転倒検出(加速度計などを使用する)、不規則歩行検出(加速度計などを使用する)、時刻(例えば、タイマなどを使用する)、日付(例えば、タイマなどを使用する)、患者の活動レベル(例えば、運動センサなどを使用する)、血圧(例えば、血圧モニタなどを使用する)、代謝率(例えば、本明細書に記載のように心拍数などを使用する)、標高(例えば、高度測定器などを使用する)、薬物の温度(例えば、温度センサを使用する)、薬物の粘度(例えば、粘度計などを使用する)、GPS情報(例えば、位置センサなどを使用する)、気象情報(例えば、温度センサ、湿度センサなどを使用する)、室温又は外気温(例えば、温度センサを使用する)、角速度(例えば、慣性計測装置(inertial measurement unit、IMU)又は磁気/角速度/重力(magnetic,angular rate,and gravity、MARG)センサを使用する)、身体方向(例えば、IMUなどを使用する)、薬物の送達に使用されるモータの電流(例えば、電流センサを使用する)、血中酸素濃度(例えば、血中酸素センサを使用する)、日光曝露(例えば、UVセンサなどを使用する)、オスモル濃度(例えば、血液モニタなどを使用する)、大気質(例えば、UVセンサなどを使用する)、炎症反応、患者及び/又は患者が位置する環境の1つ以上の画像及び/又は映像(例えば、食物摂取量を分析するため、固形食を摂取したか、液体を摂取したかを判定するため、患者の位置又は活動を判定するため、皮膚反応、呼吸、目の拡張、鎮静状態、解離、トーンやピッチなど音声特性など患者の状態を判定するためなど)、一般的な健康状態、疼痛スコア、特定の疾患の再発周期などユーザ入力データなど多数の異なる状況特性が監視され得る。温度、代謝要求、認知機能、大気汚染率、食物摂取量及び基礎代謝率(basal metabolic rate、BMR)のうちの少なくとも1つを使用して測定したなどの代謝要求、体重、患者及び/又は患者が位置する環境の1つ以上の画像及び/又は映像(例えば、食物摂取量を分析するため、固形食を摂取したか、液体を摂取したかを判定するため、患者の位置又は活動を判定するため、皮膚反応など患者の状態を判定するためなど)など様々な異なる身体的特性のうちのいずれかが監視され得る。2011年12月1日に公開された、「Systems and Methods For Regulating Metabolic Hormone Producing Tissue」と題する米国特許出願公開第2011/0295337号、2014年4月15日に発行された、「Obesity Therapy And Heart Rate Variability」と題する米国特許第8,696,616号、2016年8月30日に発行された、「Devices And Methods For The Treatment Of Metabolic Disorders」と題する同第9,427,580号、及び2015年10月27日、「Meal Detection Devices And Methods」と題する同第9,168,000号は、食事及び/又は飲料に関する情報のタイプを特定することについて更に記載しており、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。様々な実施形態では、センサは、カメラなど撮像デバイスを含み、プロセッサは、全ての食物摂取量を分析する、及び/又は薬物に対する患者の皮膚反応、患者の鎮静レベル、患者の解離レベル、嘔吐など1つ以上の副作用を判定するなどのために撮像デバイスで捉えられた画像及び/又は映像を分析するように構成されている。顔面IDは、カメラを含むセンサによって捉えられた画像内で患者を特定して、関連データが確実に収集され、分析されるのに役立つように使用され得る。その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2012年12月27日に公開された、「Medication Verification And Dispensing」と題する米国特許公開第2012/0330684号は、画像取り込みデバイスについて更に記載している。その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2002年2月7日に公開された、「Remote Control For A Hospital Bed」と題する米国特許公開第2002/0014951号、及び2007年11月1日に公開された、「Subnetwork Synchronization And Variable Transmit Synchronization Techniques For A Wireless Medical Device Network」と題する米国特許公開第2007/0251835号は、様々なセンサを更に考察している。
【0163】
図5Bのユニバーサル薬物投与デバイス500及び図7のコンピュータシステム700を例として使用すると、デバイス500のメモリ97は、アルゴリズムを内部に記憶済みであり得、デバイスのプロセッサ96は、デバイスの分配機構20によって分配される薬物の用量の送達を制御するアルゴリズムを実行するように構成され得る。デバイスの通信インターフェース99は、記憶されたアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータに対して変更を要求する、リモートコンピュータシステム700の通信インターフェースからの命令を受信するように構成され得る。命令に応答して、デバイスのプロセッサ96は、アルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを要求通りに変更し、その結果、少なくとも1つの可変パラメータの変更後に送達される用量が、変更したアルゴリズムを実行することによって制御されるように構成され得る。
【0164】
図11は、ローカル処理システム1051と、ローカル処理システム1051と通信するように構成された、遠隔に位置するコンピュータシステム1052(ローカル処理システム1051に対して遠隔に位置する)と、ローカル処理システム1051と通信するようにそれぞれ構成された、ローカルセンサ1053(ローカル処理システム1051に関連する患者に対してローカル)と、を含む薬物投与システム1050の一実施形態を示す。
【0165】
ローカル処理システム1051は、薬物投与デバイス1054と、薬物投与デバイス1054と電子的に通信するように構成されたモバイルスマートデバイス1055と、を含む。デバイス1054のメモリは、アルゴリズムを内部に記憶済みであり得、デバイスのプロセッサは、デバイスの分配機構によって分配される薬物の用量の送達を制御するアルゴリズムを実行するように構成され得る。デバイスの通信インターフェースは、記憶されたアルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータに対して変更を要求する、リモートコンピュータシステム1052の通信インターフェースからの命令を受信するように構成され得る。命令に応答して、デバイスのプロセッサは、アルゴリズムの少なくとも1つの可変パラメータを要求通りに変更し、その結果、少なくとも1つの可変パラメータの変更後に送達される用量が、変更したアルゴリズムを実行することによって制御されるように構成され得る。あるいは、スマートデバイス1055のメモリは、内部に記憶されたアルゴリズムを有して、リモートコンピュータシステム1052は、代わりにスマートデバイス1055と通信してアルゴリズムの更新を制御し得、アルゴリズムを実行し、それによって薬物送達用のコマンドを薬物投与デバイス1054に提供させるように構成され得る。
【0166】
スマートデバイス1055及び/又は薬剤投与デバイス1054は、センサ1053からデータを受信し、そのユーザインターフェース上でそれに関する情報を表示するように構成され得る。この図示された実施形態では、センサ1053としては、皮下センサ、皮膚パッチセンサ、埋め込み型センサ、及び装着可能センサが挙げられる。受信したセンサデータは、本明細書に記載のように、リモートシステム1052に送信されて分析され得、これによりアルゴリズムの更新がトリガーされ得る。スマートデバイス1055及び/又は薬剤投与デバイス1054は、オフボードセンサ1053のいずれか又は全てに加えて、又はその代わりに、1つ以上のオンボードセンサをそれぞれ含み得る。オンボードセンサデータは、本明細書に記載のように、リモートシステム1052に送信されて分析され得、これによりアルゴリズムの更新がトリガーされ得る。
【0167】
図12は、互いに通信するように構成された、ユニバーサル薬物投与デバイス2002及び遠隔に位置するコンピュータシステム3002を含む薬物投与システム2000の別の実施形態を示す。この図示された実施形態における薬物投与デバイス2002は、ハウジング2004と、薬物ホルダ2010と、分配機構2020と、少なくとも1つのセンサ2030、2040と、アルゴリズム2052を内部に記憶するように構成されたメモリ2050と、プロセッサ2060と、ユーザインターフェース2080と、インジケータ2085と、電源2095と、通信インターフェース2099と、を含む。この図示された実施形態におけるコンピュータシステム3002は、サーバ3004と、メモリ3050と、ユーザインターフェース3080と、プロセッサ3060と、通信インターフェース3099と、を含む。更に、図5Bのユニバーサル薬物投与デバイス500に関して上述したものと同様に、当業者は、薬物ホルダ2010、分配機構2020、プロセッサ2060、メモリ2050、及びセンサ2030、2040を備える図12のユニバーサル薬物投与デバイス2000には、いくつかの異なる組み合わせで、上述の様々な機能が備わり得ることを理解するであろう。例えば、デバイス2000は、センサ2030、2040、2045の全てではなく、少なくとも2つのセンサを含むことがあり、ユーザインターフェース2080を有さないことがある、などである。この図示される実施形態では、センサ2030、2040は、それぞれデバイス2000に含まれるが、センサ2030、2040の1つ以上は、例えば、患者に装着されている、患者と共有される地理空間に配置されている、他の機器又は器具に取り付けられている、患者が使用する携帯電話のアプリの一部であるなどによって、デバイス2000から分離していることがある。
【0168】
メモリ2050は、センサ2030、2040からデータを記憶するように構成されているが、他の実施形態では、このデータは、デバイス2000上の別のメモリ及び/又は通信インターフェース2099を介してデバイス2000にアクセス可能なリモートメモリなど他の場所に記憶され得る。メモリ2050に記憶されたアルゴリズム2052は、薬物ホルダ2010内の薬物を投与する方法に関するデバイス2000の命令を表し、プロセッサ2060によって実行されるように構成されている。アルゴリズム2052は、薬物投与を制御するための命令、通知、信号などを定義する、及び/又は表す複数のデータポイントの形態で記憶され、少なくとも1つの可変パラメータは、アルゴリズム2052の少なくとも1つの可変パラメータを変化させることにより、薬物の投与方法に少なくとも1つの変化をもたらすようにデータポイントに共通である。少なくとも1つの可変パラメータは、様々な異なる送達及び/又は薬物パラメータのうちのいずれかであり得る。可変パラメータの例としては、薬物ホルダ2010から患者への薬物の送達速度、少なくとも1つの可変パラメータの変更後に送達された用量が、変更前に送達された用量とは異なるような用量送達間の時間間隔、投与量、投与濃度、第2の用量若しくは全ての後続の用量を停止する、又は第1の用量の前に若しくは第1の用量の後の全ての後続の用量の前に前もって投与を停止した後に投与を再開するなど任意の追加用量が送達されるか、どうか、デバイスの針が患者の内部へと自動的に進む速度、薬物の温度などが挙げられる。デバイスの針が患者の内部へと自動的に進む速度を調整することは重要であり得る。これは、速度が遅すぎると、患者内に全く、又は意図した深さまで入り込むことができないことがあり、速度が速すぎると患者に不快感を持たせることがあるためである。
【0169】
デバイス2002のプロセッサ2060は、アルゴリズム2052を実行して、患者への薬物の1つ以上の用量の投与を制御するように構成されている。例示的な実施形態では、プロセッサ2060は、アルゴリズム2052を実行して、少なくとも第1の用量の薬物の患者への送達を制御し、リモートシステム3002からの命令に応答してアルゴリズム2052の少なくとも1つの可変パラメータを変更し、少なくとも1つの可変パラメータを変更した後にアルゴリズム2052を実行して薬物の少なくとも1つの後続の用量の送達を制御する。いくつかの実施形態では、プロセッサ2060は、投与が停止されたことを示すパラメータ(例えば、薬物投与デバイスのデバイス動作防止機構が薬物の送達を防止する状態にある、薬物投与デバイス電源が用量を送達するのに十分な電力を有さないなどのため)から、投与が許容されることを示すパラメータ(例えば、薬物投与デバイスのデバイス動作防止機構が薬物送達を許容する状態にある、薬物投与デバイスの電源が用量を送達するのに十分な電力を有するなど)に可変パラメータを変更することなどによって、アルゴリズム2052の実行前にアルゴリズム2052の少なくとも1つの可変パラメータを変更して第1の用量の送達を制御し得る。アルゴリズム2052を実行するために、プロセッサ2060は、メモリ2050に記憶されたプログラムを実行して、メモリ2050内のアルゴリズム2052の複数のデータポイントにアクセスするように構成されている。アルゴリズム2052の少なくとも1つの可変パラメータを変更するために、プロセッサ2060は、メモリ2050内の少なくとも1つの可変パラメータのデータポイントを修正又は更新するように構成されている。プロセッサ2060はまた、一般に、通信インターフェース2099、インジケータ2085、及びユーザインターフェース2080など他の電気部品を含むデバイス2000を制御するために、メモリ2050に記憶された命令を実行するように構成され得る。
【0170】
プロセッサ2060は、初回量の前に予め定められ得る、又は第1の用量の送達後のデバイス2000の使用中に決定され得、今後の用量が所定のスケジュールに基づき得るように設定された、患者用の1つ以上の所定のスケジュール又は投与間隔に基づいて薬物の用量の送達を自動的に制御するように構成され得る。所定のスケジュールはまた、医師又は他の医療提供者によって決定され得る、使用されるアルゴリズム2052及び/又はセンサ2030、2040に基づいて自動的に作成され得る、又は2つのいくつかの組み合わせであり得る。少なくともいくつかの実施形態では、少なくとも1つの可変パラメータは、用量間のタイミングを含み、用量間のタイミングの可変パラメータを変更する命令は、デバイス2000からのシステム3002で受信されるデータに反映されるように、患者の特定の臨床転帰の低下を認知した後の適切な医療専門家によるシステム3002への新しい薬物送達スケジュール入力に基づいて変更され得る。
【0171】
場合によっては、薬物投与デバイスは、用量を送達するように装置が作動されるにもかかわらず、故障しており、用量を適切に送達しないことがある。場合によっては、薬物投与デバイスは、吸入器が患者の口に挿入される前に、吸入器が薬物を送達させられること、又はノズルが患者の鼻孔に挿入される前に、点鼻スプレー装置がそのノズルを通して薬物を送達させられることなどによって偶発的に作動され得る。デバイスの故障及び/又は偶発的な作動などの場合、薬物投与デバイスが処方量の薬物を送達するために少なくとも1回作動されたにもかかわらず、患者は所定量の薬物を受け入れていないことがあり得る。したがって、所定量の薬物が実際に患者に送達されることを可能にするために、1から2に、2から3に、2から4に、3から4に、4から5に、4から6になど許容用量の最大数を増加させることが有益であり得る。許容用量の最大数(及び/又は用量間のタイミング、デバイスのロック/ロック解除状態、用量など)の可変パラメータを変更する命令は、デバイスの故障又は偶発的作動のために、少なくとも1回追加でデバイスを作動させることが必要であるとの通知を受信した後の、適切な医療専門家によるシステム3002への入力に基づいて変更され得る。医療専門家は、デバイスの故障又は偶発的作動が生じたときに患者と居合わせることによって、又はテキストメッセージ、電子メール、電話など、若しくは他の通知機構など患者からの通信を受信することによってなど様々な方法のいずれかで通知を受信し得る。例示的な実施形態では、アルゴリズムは、許容可能なデバイスの追加作動回数を1回だけ増加させるように変更され得る。他の実施形態では、許容可能なデバイスの追加作動回数は2回以上であり得る。しかしながら、追加の用量送達を1回に制限することは、薬物乱用を防止することに役立ち得、及び/又は医療専門家がユーザへの介入を深めて、例えば、追加の用量が許可される前に2回以上の偶発的作動が入力された場合に追加の教習が必要かどうかを評価すること、デバイスの故障により、故障したデバイスからの追加の用量ではなく、新しいデバイスが必要かどうかを評価することなどが可能になり得る。
【0172】
リモートシステム3002のプロセッサ3060は、薬物投与デバイスの1つ以上のセンサ2030、2040で収集された情報を示すデータを受信して分析し、この分析に基づいて、アルゴリズム2052の少なくとも1つの可変パラメータを変更するようにデバイス2002に命令を送信するように構成されている。プロセッサ3060は、通信インターフェース2099、3099を使用してデバイス2002にコマンドを送信し、デバイスのプロセッサ2060が薬物送達を行わせるコマンドを実行する(例えば、1つ以上の命令を定める複数のデータポイントをデバイス2002に提供することによって)ことなどによって、様々な異なる機構のいずれかを通して、デバイス2002からの薬物送達を制御するように構成されている。
【0173】
アルゴリズムは、センサ2030、2040のうちの1つ以上によって収集されたデータに基づいて変更されるように構成されているため、患者の状況認識に基づいた自動反応応答が可能である。少なくともいくつかの実施形態では、少なくとも1つの可変パラメータは、センサ2030、2040のうちの1つ以上からの様々な読み取り値及び/又はデータに基づいて、用量の適応調整を提供するように変更される。例えば、デバイス2000のユーザは、疾病又は疾患の再発周期のサイクル時間を記録することができ、この時点で、アルゴリズム2052に反映される薬物投与スケジュールは、リモートプロセッサ3060による分析後に調整され、これを考慮してより良好な疾病管理が行われる。
【0174】
別の例として、患者の高度の変化は、薬剤の有効性を潜在的に変化させ、場合によっては毒性をもたらし得る。したがって、患者が異なる高度に存在する期間は、センサ2030、2040のうちの1つ以上によって読み取られ、リモートプロセッサ3060によって使用されて、ローカルプロセッサ2060に少なくとも1つの可変パラメータを変更させることによって、後続の薬物投与量を調整し得る。
【0175】
別の例では、リモートコンピュータシステム3002は、1つ以上のセンサ読み取り値に基づいて治療を完全に中止させるように構成され得、少なくともいくつかの実施形態では、患者は、デバイスインジケータ2085及び/又はユーザインターフェース2080を通してそのように通知され得る。例として、グルコース濃度は著しく低下することがあり、活動レベルは増加を開始することがあり、血圧は低下することがあり、発汗は急増することがあり、睡眠の不十分なREMサイクルは、睡眠の質のセンサによって検出されることがあり、生じ得る振戦は振戦検出センサによって検出されることがある。これらの測定された特性は、各インジケータが低血糖症と一致するものとして識別することができるリモートプロセッサ3060によって分析され得、したがって、この例ではインスリンを送達するように構成されたインスリンポンプであるデバイス2002に、例えば、用量をゼロに変更することによって、又は投与頻度を達成不可能な期間にすることによってなど、少なくとも1つの可変パラメータを変更してゼロ用量を反映させることによってインスリン送達を終了させるように命令する。投与は、グルコース濃度が正常な、すなわち安全な閾値を下回るまで待機し、そうなって初めて反応するのではなく、生じ得る低血糖事象の開始時に迅速に終了するため、患者のグルコース濃度は、急上昇を再開し、その後、より健康な範囲、すなわち正常範囲になり、理想範囲に戻ることができる。インスリンポンプの実施形態は、2007年9月7日に出願された、「Activity Sensing Techniques for an Infusion Pump System」と題し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開2009/0069787号に更に記載されている。
【0176】
別の例では、少なくとも1つの可変パラメータを変更することは、提供される各用量の調整された注入速度、すなわち流量をもたらし得、例えば、少なくとも1つの可変パラメータは、注入速度、すなわち流量を含み得る。更に別の例では、2002年4月11日に公開された、「Method And Apparatus To Sense Temperature In An Implantable Pump」と題し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2002/0042596号に記載されるように、薬物の温度を変化させて、一定の流量を作り出すことができる。
【0177】
別の例では、システム3002、例えば、そのプロセッサ3060は、生理的特性データ及び/又は身体的特性データなどデバイス2000から受信したデータを分析し、患者の薬物投与頻度が過剰であり、それによって、負の副作用、場合によっては過剰投与のリスクを生じさせていると判定することができる。
【0178】
リモートシステム3002は、例えば、グルコースモニタを使用して感知した患者の血糖値など感知した変数を継続的に監視した一定期間のデータを受信することに応答して、アルゴリズム2052を更新させるように構成され得る。例えば、デバイス2002が患者にインスリンを投与するように構成されている場合、アルゴリズム2052は、1時間、1日、1週間、1か月などにわたって患者の血糖レベルを監視することに応答して更新され得る。血糖値データは、システム3002によって用いられて制御アルゴリズム2052の修正版を決定することができ、アルゴリズムが薬物送達デバイス2002を更新する命令として送達されると、アルゴリズム2052を実行するプロセッサ2060によって患者に投与され得るインスリンの量又はタイミングを制御することができる。少なくともいくつかの実施形態では、制御アルゴリズム2052は、少なくとも1つの可変パラメータを制御アルゴリズム2052に追加することによって更新され得る。例えば、適切な医療専門家が、アルゴリズム2052ではこれまで考慮されていなかったものの、システム3002で受信した感知データを確認した後に医療専門家が適切と判断する二次パラメータ、すなわち制御変数を介して薬物投与の制御を望む場合である。少なくともいくつかの実施形態では、制御アルゴリズム2052は、薬物投与デバイス2002の較正ルーチン又はプロセスを完了するプロセッサ3060に基づいて更新され得る。較正プロセスは、デバイスのセンサ2030、2040の精度及びデバイス2002を介して送達される投与の精度を決定して、制御アルゴリズム2052の少なくとも1つの可変パラメータに共通であり得る1つ以上の較正変数を決定し得る。
【0179】
少なくともいくつかの実施形態では、デバイス2002から受信したデータの分析に応答してシステム3002によって自動的に更新されるのではなく、制御アルゴリズム2052は、ユーザインターフェース2080を介してデバイス2002に入力を提供することができる、デバイス2002を使用する患者など、薬物投与デバイス2002に関連するユーザ、又は図7の医療施設706など医療施設にある、若しくは図7のモバイル位置710などモバイル位置にあるリモートシステム3002に入力を提供することができる、患者に治療の手引きを提供する医療専門家の要求に応じて更新されるように構成され得る。ユーザは、アルゴリズム2052を全く、又は詳細には認識していないことがあり、したがって、アルゴリズム2052に対する変更を具体的に要求するわけではないが、代わりに、実質的にアルゴリズム2052に対する変更要求である、デバイスの薬物送達の変更をより一般的に要求することがある。例えば、ユーザは、例えば、デバイス2002、又は図7の医療施設706など医療施設にあるコンピュータシステム若しくは図7のモバイル位置710などのモバイル位置にあるコンピュータシステムなどシステム3002と通信するコンピュータシステムと通信リンクを確立し、システム3002に送信されたセンサ2030、2040のデータによって、及び/又はユーザインターフェース2080を介し、システム3002に送信される、デバイス2002への入力によって示される、患者が経験している副作用又は臨床転帰に基づいて、制御アルゴリズム2052の更新を要求することができる。
【0180】
システム3002は、デバイス2002から受信したデータを分析し、それに応じてアルゴリズム2052を調整することによって、要求に応答してアルゴリズム2052を自動的に更新するように構成され得る。あるいは、システム3002は、デバイス2002に送信されて、記憶される、例えば、メモリ2050に記憶される、1つ以上の代替制御アルゴリズム構成、例えば、1セット以上のアルゴリズム2052用の異なる可変パラメータ設定をユーザに提示するように構成され得る。ユーザに利用可能になる代替制御アルゴリズムの選択は、システム3002によって受信された感知情報に基づいて、及び/又は患者によって報告された臨床転帰に基づいて、システムのプロセッサ3060によって決定され得る。システム3002は、ユーザが、例えば、デバイス2002のユーザインターフェース2080又はユーザがシステム3002との対話に使用しているコンピュータシステムのユーザインターフェースを介して、提示された代替アルゴリズム構成のうちの1つを選択し、選択したアルゴリズムの可変パラメータ設定をデバイス2002に送信し、したがってデバイス2002がアルゴリズム2052を更新することができるように構成され得る。他の実施形態では、システム3002は、ユーザが、デバイス2002からシステム3002で受信したデータの医療専門家の分析に基づいて、アルゴリズム2052を医療専門家として変更することができるように構成され得、これにより、ユーザが選択するようにシステム3002によって提供される代替アルゴリズムよりも微妙なアルゴリズム2052が可能になり得る。
【0181】
少なくともいくつかの実施形態では、システム3002は、複数の薬物投与デバイスのそれぞれに記憶されたアルゴリズムを一括更新、すなわちバルク更新するように構成され得る。例えば、デバイスファームウェア又はオペレーティングシステムの新バージョンがデバイスの製造業者に利用可能になった場合、一括更新、すなわちバルク更新が望ましいことがある。そのような場合、システム3002によって更新させられるアルゴリズムのそれぞれは、デバイスのそれぞれが同一モデルである、同一製造ロッドであるなど関連する薬物投与デバイスに関連している。別の例では、医療専門家は、同様の診断を受けた患者群に含まれる患者、又は共通の副作用を経験している患者にそれぞれ関連する多数の薬物投与デバイスで制御アルゴリズムのバルク更新を開始することを望む場合がある。例えば、2002年6月20日に公開された、「Infusion Pump With An Electronically Loadable Drug Library And A User Interface For Loading The Library」と題し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2002/0077852号は、注入ポンプによって送達可能である様々な薬物の薬物送達パラメータ及びプロトコルの様々な実施形態について記載している。
【0182】
少なくともいくつかの実装形態では、薬物投与デバイス2002は、明示的なユーザ命令なしで、又はシステム3002からの制御アルゴリズム2052の更新要求なしで、制御アルゴリズム2052を自律的に更新するように構成され得る。薬物投与デバイス2002は、特定のアルゴリズム設定、可変パラメータ、セキュリティ更新などのうちのいずれか1つ以上に関して制御アルゴリズムの更新をチェックするように構成され得る。薬物投与デバイス2052は、システム3002と接続するために無線ネットワークを介して開通信チャネルを連続的に検索し、システム3002が制御アルゴリズム更新の利用可能性を判定し、デバイスのアルゴリズム2052の更新が利用可能であると判定されると、アルゴリズム2052が更新に従って変更され得るように、更新がデバイス2002に送信されるように要求するように構成され得る。そのような構成により、例えば、患者が使用しなくなったためにデバイスがオフにされる、デバイスがネットワークの通信範囲外にあるなどにより、更新に現在利用できないデバイスに対してシステム3002が更新要求を送信しないようにし得る。あるいは、通信チャネルを確立すると、薬剤投与デバイス2002、例えば、そのプロセッサ2060は、制御アルゴリズムの最新の利用可能なバージョンをシステム3002から受信し、システム3002から受信したバージョンを、デバイスのメモリ2050に記憶されたアルゴリズム2052の現在インストールされているバージョンと比較して更新が必要かどうかを判定し、必要な場合には、アルゴリズム2052を最新の利用可能なバージョンで置き換えることなどによって、記憶されたアルゴリズム2052を更新するように構成され得る。
【0183】
薬剤投与デバイス2002が、制御アルゴリズム2052の更新が利用可能であることを認識すると、デバイス2002が、アルゴリズム更新をチェックするためにチャネルを連続的に検索した、又はデバイス2002が、所定のスケジュールに従ってアルゴリズム更新を要求するpingをシステム3002に定期的に送信したのいずれかにより、デバイス2002は、デバイス2002に関連するユーザ、例えば、患者又は患者に関連する医療専門家への通知を生成し、制御アルゴリズム更新をインストールするために必要な更なる入力を特定するように構成され得る。通知は、デバイスのユーザインターフェース2080を介した、システムのユーザインターフェース3080を介した、又はユーザのモバイルデバイスにインストールされたアプリなどを介してユーザにアクセス可能な他のコンピュータシステムを介した音声及び/又は視覚的警告など様々な方法で提供され得る。
【0184】
制御アルゴリズム更新は、患者の特定群に関してデバイス製造業者によって、又は医療専門家によって必要とされる必須の更新であり得、例えば、薬物送達タイミング又は投与量に関連する可変パラメータの更新などである。あるいは、制御アルゴリズム更新は、特定の薬物投与デバイス2002の構成、モデル、及び使用に基づいて適用可能であり得るか、又は適用可能ではあり得ない、任意の更新であり得る。必須であるか、任意であるかにかかわらず、更新は、1つ以上の新しい可変パラメータを追加すること、1つ以上の既存の可変パラメータを削除すること、又は1つ以上の可変パラメータの係数を変更することなどによる、アルゴリズム2052の1つ以上の可変パラメータの更新であり得る、アルゴリズム2052の全体であり得る、又はアルゴリズム2052の一部分であり得る。必須及び任意の制御アルゴリズム更新は、適切な医療専門家によって特定の患者用にカスタマイズされたアルゴリズム更新を含み得る。加えて、又は代替的に、利用可能な制御アルゴリズム更新は、システム3002によって異なるデータの集合体を編集することに基づいて判定され得る。データの集合体を処理して、向上した安全性、患者コンプライアンス、及び/又は改善した臨床転帰若しくは患者応答をもたらし得る、より正確な感知若しくは投与制御を提供する、更新された制御アルゴリズムを決定することができる。
【0185】
デバイス2002及び同一患者に関連する少なくとも1つの追加の薬物投与デバイスはそれぞれ、システム3002にデータを送信するように構成され得る。そのような場合、システム3002は、複数のデバイスからのデータ、例えば、デバイスのそれぞれによって感知されたデータ及び/又はユーザによってデバイスのそれぞれに入力されたデータを集計し、編集して、患者の薬物送達タイミング及び経時的な薬物投与量に関する洞察を提供するように構成され得る。集約データは、経時的な薬物投与後に患者が経験した臨床転帰又は自己申告の状態と相関させることができ、医療専門家が、患者について観察した時間ベースの反応及び傾向に基づいて、デバイス2002の制御アルゴリズム2052(及び/又は患者に関連する他のデバイスのいずれかの制御アルゴリズム)を変更又は修正することを可能にすることができる。薬物投与システムに関連する、多数の相互接続されたコンピューティングデバイスの実施形態は、2014年8月28日に公開された、「Device For Enabling Patient Self Testing And Treatment Self-Administration And System Using The Device For Managing The Patient’s Health Care」と題する、米国特許出願公開第2014/0243635号及び2016年2月18日に公開された、「Supplemental Device for Attachment to an Injection Device」と題する、同第2016/0045674号に更に記載されており、これらは、その全体が参照により本明細書にそれぞれ組み込まれる。
【0186】
少なくともいくつかの実装形態では、システム3002は、デバイス2002から受信したデータを集約して、デバイスのユーザインターフェース2080及び/又はシステムのユーザインターフェース3080などでのグラフィックプロットとして経時的な薬物投与量及び臨床転帰の表示を提供するように構成され得る。反応プロットは、例えば、患者の血糖値に関連する感知データなど、追跡されているアルゴリズム2052の特定の制御変数を表示することができる。感知データは、薬物投与データ、及び食事、睡眠、活動レベルなどを含み得る、患者によって報告された任意のライフスタイル又は健康事象と共に表示され得る。適切な医療専門家は、反応プロットを評価し、制御アルゴリズム2052に対して何らかの調整が行われるべきかどうかを判定し、調整が行われるべき場合には、ユーザインターフェース3080を介してシステム3002に入力を提供する医療専門家などによって、デバイス2002に対するアルゴリズム更新要求をシステム3002にプッシュさせることができる。
【0187】
少なくともいくつかの実装形態では、デバイス2002、例えば、そのプロセッサ2060は、システム3002、例えば、そのプロセッサ3060が上述のような分析を実行する前に、又はその代わりに、収集した情報の分析を実行するように構成され得る。システム3002とデバイス2002との間で共に分析を担うことは、様々な理由で特に有益であり得る。例えば、デバイス2002がそのセンサ2030、2040のうちの少なくとも一方で情報を連続的に収集するように構成されている場、データの連続収集は、複数のプロセッサ2060、3060によってより容易に処理され得る、比較的大量のデータをもたらし得る。別の例では、感知した情報を示すデータをローカルに処理するデバイス2002は、システム3002が感知した情報を示すデータを受信し、次いで、受信したデータの分析に基づいて変更を特定し、その変更を生じさせ得る前に、必要なアルゴリズム2052の変更を特定し、その変更を生じさせることができる。更に別の例では、システム3002は、薬物投与デバイス2002からのデータに加えて、多数の異なる薬物投与デバイスからデータを受信していることがあり、その結果、様々なデバイスのデータ分析はキュー処理され、一度に1つのデバイスに対して処理される必要がある。したがって、感知した情報の少なくとも一部をローカル処理するデバイス2002は、システム3002での分析のためにデータがキューで待機する必要がある場合よりも、感知した情報をより迅速に分析できることにより、アルゴリズム2052の調整でのタイムラグを低減し得る。別の例では、分散処理は、実行時間及びメモリ消費を低減し得、及び/又は薬物投与デバイス2002とシステム3002との間で交換されるデータのより良好な負荷分散を達成し得る。結果として、薬物投与デバイス2002は、分散処理を支援しない薬物投与デバイス又はシステムと比較して、より迅速かつより少ない待ち時間で、制御アルゴリズム2052の更新を受信し得る。同様に、システム3002がデータ分析を完全に担うか、又はデバイス2002及びシステム3002がデータ分析の責任を共有する、少なくともいくつかの実施形態では、分散処理は、システム3002と、図7の医療施設706、図7のホームベース708、図7のモバイル位置710に位置する1つ以上のコンピューティングデバイスなど少なくとも1つの他のコンピュータシステムとの間で共有され得る。
【0188】
デバイス2002が、アルゴリズム2052に対する変更が変化し得るかどうかを判定する目的でローカルに処理するように構成されているデータ。例えば、デバイス2002は、そのセンサ2030、2040の一方によって収集されたデータを分析し、センサ2030、2040の他方によって収集されたデータを、分析のためにシステム3002に送信するように構成され得る。別の例では、デバイス2002は、典型的な睡眠時間中など第1の期間内に収集されたデータを分析し、より多くの感知データが収集され得る、典型的な覚醒時間中など第2の異なる期間内に収集されたデータを、分析用にシステム3002に送信するように構成され得る。更に別の例では、デバイス2002は、デバイス2002が連続監視又は同様の無停止感知動作を実行するときなど、必要に応じてデータ処理をオフロードするように構成され得る。患者は、インターフェース2080を介して入力を提供することなどによって、薬物投与デバイス2002に関する薬物送達データの概要及び/又は表示を要求し得るが、デバイス2002は、感知した情報を連続的に監視しようと試み、制御アルゴリズム2052が短期間にわたって頻繁に実行されることを要求する複雑な薬物送達レジメンを同時に実行する。したがって、薬物投与デバイス2002は、低優先度の実行タスクをシステム3002に任せるか、あるいは別の方法で分配しつつ、特定の高優先度の実行タスクの所有権を決定するように構成され得る。このようにして、より優先度の高い実行タスクは、薬物投与デバイス2002のプロセッサ2060に過剰な負荷をかけることなく、進められ得る。
【0189】
図13は、アルゴリズムを使用して薬物を投与するための方法1000の例示的な実施形態を示すフロー図である。方法1000は、説明を容易にするために図12の薬物投与デバイス2002及びシステム3002に関して説明するが、他のデバイス及びシステムは、上述のように同様に実施され得る。
【0190】
動作1005では、薬物投与デバイス2002はアルゴリズム2052を実行してデバイス2002から患者への薬物の用量の送達を制御し、例えば、分配機構2020に薬物ホルダ2010から患者へと薬物を放出させる。動作1010では、薬物投与デバイス2002は、デバイス2002から遠隔に位置するシステム3002から、アルゴリズム2052を更新する命令を含むデータを無線で受信する。上述したように、システムによる命令の送信は、デバイスのセンサ2030、2040のうちの1つ以上によって収集された情報、及び/又はユーザインターフェース2080を介したデバイス2002への情報入力などデバイス2002から他の方法で受信された情報を示す、デバイス2002から受信したデータの分析によってトリガーされ得る。これもまた上述したように、システムによる命令の送信は、図7のモバイル位置710にあるモバイルデバイス上で構成された薬物投与アプリを介して、図7の医療施設706にあるコンピューティングデバイスを介してなど、システム3002と通信するコンピュータシステムへの命令又は要求の医療専門家の入力によってトリガーされ得る。デバイス2002はアルゴリズム2052を複数回実行して、動作1010においてデバイス2002が命令を受信してアルゴリズム2052を変更する前に複数の用量を送達し得る。
【0191】
動作1015では、薬物投与デバイス2002は、動作1010において遠隔に位置する通信インターフェースから受信したデータに基づいて、メモリ2050に記憶されたアルゴリズム2052の少なくとも1つの可変パラメータを変更する。動作1020では、薬物投与デバイス2002は、修正された制御アルゴリズム2052を実行して、薬物投与デバイス2002からの薬物の用量の送達を制御する。デバイス2002は、修正されたアルゴリズム2052を複数回実行して、動作1010においてデバイス2002が別の命令を受信してアルゴリズム2052を再度変更する前に複数の用量を送達し得る。
【0192】
少なくともいくつかの実装形態では、図1図5Bの薬物投与デバイスのいずれか、図5B及び図6の薬物ハウジング30、630のいずれか、図5Bのパッケージング35などデバイスから図7の中央コンピュータシステム700などリモートコンピュータシステムに安全かつ匿名化された様式で伝達されるデータのうちの少なくとも一部を示す情報は、デバイスのユーザインターフェースを介して視覚情報及び/又は音声情報によって提供され得る。上述のように、このデータは、デバイスのセンサによって感知されたデータを含み得る。したがって、デバイスを使用する患者は、センサによって収集された情報を提供され続け得る。
【0193】
少なくともいくつかの実装形態では、図1図5Bの薬物投与デバイスのいずれか、図5B及び図6の薬物ハウジング30、630のいずれか、図5Bのパッケージング35などデバイスにおいて、図7の中央コンピュータシステム700などリモートコンピュータシステムから受信したデータのうちの少なくとも一部を示す情報は、デバイスのユーザインターフェースを介して視覚情報及び/又は音声情報によって提供され得る。したがって、デバイスを使用する患者は、リモートコンピュータシステムから受信したデータに応答して、例えば、そのプロセッサによってデバイス上で実行可能であり、患者に薬物の用量を投与するアルゴリズムに対して行われた調整についての情報を提供され続け得る。
【0194】
少なくともいくつかの実装形態では、患者の薬物投与デバイスに関する情報は、ユーザインターフェースを介して、ユーザ、例えば、患者又は患者に関連する医療専門家に提供され得る。例示的な実施形態では、情報は、患者の薬物投与、治療コンプライアンス、現在の健康状態、及び/又は患者の薬物投与デバイスの構成に関するフィードバック及び/又は通知(「警告」とも呼ばれる)である。フィードバック及び通知は、薬物送達がスケジュールに行われなかった場合など必要に応じて、薬物送達における全ての相違点を迅速に通知し、是正できるようにすることによって患者の適切な治療を促進し、及び/又は薬物送達がスケジュールどおりに行われたことを示すことによって、ユーザに安心感及び正の強化を提供するように構成されている。医療専門家は、複数の患者に関するデータを受信し、それによって、同一の、又は異なる薬物投与デバイス又はハウジングを使用する患者に関連する薬物投与量及び薬物送達データを監視し得る。
【0195】
例示的な実施形態では、フィードバック及び/若しくは通知は、中央コンピュータシステム(例えば、図7のシステム700)、並びに/又は薬物投与デバイス及び/若しくはハウジング(例えば図5Bの薬物投与デバイス500及び/若しくは図6のハウジング630)など少なくとも1つの指示デバイスと相互運用するように構成された、図7のモバイル位置710などモバイル位置にあるモバイルコンピューティングデバイス上の薬物投与アプリ又はプログラムを介して提供される。薬物投与アプリは、指示デバイスから通知を提供するように指示する命令を受信するように構成されている。
【0196】
少なくともいくつかの実施形態では、薬物投与アプリは、モバイルデバイスの製造業者によってモバイルデバイス上に実装された健康追跡アプリ又は同様の活動追跡プログラムと統合され得る。モバイルデバイス上の健康追跡アプリに記憶された私的データ又は個人データの共有を回避するために、薬物投与アプリは、薬物投与アプリが、指示デバイスなどの他の場所のデータを送信するように動作しているときに、健康追跡アプリに記憶され得る個人及び私的データを取り除くように構成され得る。同様に、データがモバイルデバイスで受信されるとき、薬物投与アプリは、データから階層的条件カテゴリ又は他の医療事務データを除去するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、薬物投与アプリは、モバイルデバイスにインストールされ得る他の健康追跡アプリケーションから健康データ又は活動データをインポートするように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、薬物投与アプリは、ユーザの健康データ及び活動データを薬物投与データ、並びに/又は他の場所、例えば、薬物投与デバイス500、ハウジング630、及び/若しくはシステム700から利用可能であり得る関連医療情報に統合するダッシュボードを含み得る。結果として、ユーザは、健康状態データ及び疾病管理データの統合された表示を閲覧し、対話し得る。
【0197】
薬物投与アプリを、健康追跡データ及びモバイルデバイスで構成されたアプリケーションに統合することにより、患者の健康状態の傾向分析が可能になり得る。薬物投与アプリは、薬物投与デバイス、ハウジング、及び/又はシステムによって感知又は判定された患者の健康状態で判定された傾向及び対応する変化に基づいて、ライフスタイル管理のアドバイスを提供するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、薬物投与アプリは、患者の治療に関連するコスト分析を実行し、将来発生し得る予測コストを決定するように構成され得る。薬物投与アプリは、ユーザが自身の個人診療記録にアクセスし、診療予約を取り、患者の請求情報、保険情報、及び支払い情報にアクセスすることを可能にするように構成され得る。適切な医療専門家によって使用される場合、薬物投与アプリは、新しい治療、薬剤、又は代替療法に関する研修を提供することによって、新しい医療専門家のより迅速な新入研修を可能にし得る。これらの実施形態では、薬物投与アプリは、患者の相反する活動及び薬剤の副作用を特定するように構成され得、患者の新しい又は代替の治療を提案するように構成され得る。様々な通知及びそれらの提供についての更なる説明は、2014年3月20日に公開された、「Systems And Methods For Surgical And Interventional Planning,Support,Post-operative Follow-up,And Functional Recovery Tracking」と題する、米国特許出願公開第2014/0081659号に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0198】
薬物投与アプリは、患者又は患者群に関連する薬物投与データに関して、医療専門家に対話型デジタル支援を提供するように構成され得る。例えば、薬物投与アプリは、自動化された対話及び患者の精神又は感情の状態の評価を提供するように構成され得る。そのような対話及び評価は、患者の認知能力又は認知障害のレベル、並びにうつ病、動揺、ストレス、又は不安の症状を検出するのに有用であり得る。少なくともいくつかの実施形態では、薬物投与アプリは、投薬指示、薬物相互作用、及び/又は副作用に関して医療専門家が問いかける基本的な質問に回答するように構成され得る。薬物投与に関して医療専門家に提供され得る、対話型デジタル支援の更なる説明は、前述の2014年3月20日に公開された、「Systems And Methods For Surgical And Interventional Planning,Support,Post-operative Follow-up,And Functional Recovery Tracking」と題する、米国特許出願公開第2014/0081659号、及び1994年11月15日に発行された、「Intelligent Inhaler Providing Feedback To Both Patient And Medical Professional」と題する、米国特許第5,363,842号に提供され、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0199】
薬物投与アプリは、患者の健康状態及びライフスタイル管理に関して患者に提供されるべき質問を作成することによって、対話型デジタル支援を提供するように構成され得る。薬物投与アプリは、患者の全体的な健康及び/又は患者の現在の治療に関して作られた質問をカスタマイズするように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、薬物投与アプリは、患者の生理的データ、投与量データ、投与量送達スケジュール、及び/又は投与量コンプライアンスデータを要約し、その結果、ユーザが洞察を抽出し、他の裏付けデータ又はメタデータを適用又は収集し得るように構成され得る。例えば、アルゴリズムは、集約データソースの処理に基づいてデータに適用されて、患者の生理的データが特定の閾値を超えるときに必要とされ得るメンテナンス又はエスカレーション手順を決定し得る。データを使用して裏付けデータを抽出する、又は見出すことについての更なる説明は、2005年2月3日に公開された、「Method Of Controlling Delivery Of A Service And Devices For Performing This Method」と題する、米国特許出願公開第2005/0027791号に提供されており、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0200】
薬物投与アプリ内に構成されたデジタル支援機能は、より良好な自己投与、疾病予防の自己管理、健康ソリューションを患者に提供し得る。例えば、デジタル支援機能は、患者の地理的領域内に位置し、患者の特定の疾患又は健康状態を専門にし得る、新しい治療プロバイダを推奨するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、デジタル支援機能は、患者のニーズ及び健康状態に基づいて患者に支援を提供し得るソーシャルネットワーク又はオンラインコミュニティを特定するように構成され得る。薬物投与アプリ714内で構成された対話型デジタル支援機能の他の自己投与及び自己管理の特徴としては、自己申告の健康状態データ、並びに薬物投与デバイス及び/又はハウジングのセンサによって収集された感知情報に基づいた、代替注射部位又は薬物送達機構の提案が挙げられ得る。少なくともいくつかの実施形態では、デジタル支援機能は、行動データ、並びに薬物投与デバイス及び/又はハウジングのセンサから収集された感知情報に基づいて、薬物中毒の再発を回避するための提言を生成するように構成され得る。提案の提供についての更なる説明は、前述の2014年3月20日に公開された、「Systems And Methods For Surgical And Interventional Planning,Support,Post-operative Follow-up,And Functional Recovery Tracking」と題する、米国特許公開第2014/0081659号、及び2017年10月5日に公開された、「Systems and Methods for Predicting Metabolic and Bariatric Surgery Outcomes」と題する、同第2017/0286610号に記載されており、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0201】
少なくともいくつかの実施形態では、フィードバック/通知は、閾値を超えた、患者の薬物投与デバイスに関連するデータの一部の側面に基づいて、又は規則に基づいて、ユーザに提供され得る。少なくともいくつかの実施形態では、フィードバック/通知は、特定の個人又は組み合わされたデータパラメータの重要性に基づいて階層的に提供され得る。例えば、針の刺入深さの減少など患者の薬物投与デバイスの動作に関連するデータが、血糖値の上昇などの薬物投与デバイスの少なくとも1つのセンサを介して感知された特定の生理的状態と組み合わされる場合、薬物投与デバイスのユーザインターフェースは、血糖値の上昇を引き起こし得る故障デバイスを正す措置を講じるように、薬物投与デバイスをユーザに通知するように構成され得る。フィードバック/通知は、患者の医療専門家に連絡するか、又は薬物投与デバイスの更新された制御アルゴリズムを要求するなど、是正措置を特定し得る。
【0202】
通知及びフィードバックは、コンピューティングシステムに関連するデバイス間で送信されるように構成され得る。一実施形態では、薬物投与アプリは、ユーザが薬物投与デバイス及び/又はハウジングの通知設定を設定することができるように、薬物投与デバイス及び/又はハウジングとデータを交換し得る。少なくともいくつかの実施形態では、薬物投与アプリは、ユーザが音声通知、視覚通知、又は触覚通知を設定することを可能にするように構成され得る。
【0203】
いくつかの実施形態では、例えば、ユーザインターフェース又はアプリを介してユーザに提供されるフィードバック/通知は、薬物投与デバイスからの薬物送達が完了し、薬物投与デバイスが不要になると、又は薬物送達が行われず、薬物投与デバイスの薬物が空ではない場合、薬物投与デバイスの適切な廃棄に関する情報を含み得る。薬物投与デバイスの廃棄は、薬物投与デバイスの(例えば、医療廃棄物として)の最終廃棄であり得、又は薬物投与デバイスのリサイクルであり得る。したがって、薬物投与デバイスの適切な廃棄に関する情報は、最終廃棄情報又はリサイクル情報であり得る。エスケタミン、ケタミン、及び他の規制薬物などいくつかの薬物は、例えば、薬物が権限のない第三者が確実に入手することのないように、政府要件、例えば、米国連邦麻薬取締局の要件、非米国連邦の要件、州の要件、又は地域の要件毎に廃棄され得る。薬物投与デバイスが適切に使用され、かつ薬物投与デバイスからそのような薬物を送達する場合であっても、薬物投与デバイスの廃棄は依然として必要とされ得る。これは、例えば、薬物投与デバイスの適切な使用後に、権限のない第三者又はユーザが潜在的に入手し得る薬物投与デバイスに、薬物の残量が残され得るためである。
【0204】
薬物投与デバイスの適切な廃棄に関する一例は、ユーザが供給者「X」に連絡して、薬物投与デバイスの引き取りの予定を決めることであり、供給者「X」に提供される連絡先情報が提供され得る。薬物投与デバイスの適切な廃棄に関する別の例は、ユーザが使用済みの薬物投与デバイスを企業「Y」に発送することであり、企業「Y」の郵送先及び/又は郵送料情報が提供され得る。
【0205】
例示的な実施形態では、薬物投与デバイスの適切な廃棄に関する情報は、全ての処方用量が薬物投与デバイスから送達された後に提供されるが、この情報は、他の時点で提供されることがある。いくつかの実施形態では、薬物投与デバイス、例えば、そのプロセッサは、全ての処方用量が薬物投与デバイスから送達されたことをローカルに判定するように構成されている。例えば、薬物投与デバイスは、薬物投与デバイスから送達される用量の数をカウントするカウンタを含み得、プロセッサは、カウンタが処方用量の数に対応する所定数にいつ達するかを判定するように構成され得る。別の例では、薬物投与デバイスは、薬物投与デバイスから用量が送達されるたびに処方用量の最大数から1をカウントダウンするカウンタを含み得、プロセッサは、カウンタがいつゼロに達するかを判定するように構成され得る。他の実施形態では、薬物投与デバイスは、図7の中央コンピュータシステム700などリモートコンピュータシステムに薬物送達情報を送信するように構成されており、リモートコンピュータシステムは、上述の例によってなど様々な方法のいずれかで、全ての処方用量が薬物投与デバイスから送達されたことを判定するように構成されている。全ての処方用量が薬物投与デバイスから送達されたと判定することに応答して、リモートコンピュータシステムは、デバイス投与デバイスに対して薬物投与デバイスの適切な廃棄に関する情報を提供するように要求を送信するように構成され得る。
【0206】
薬物投与デバイスの適切な廃棄に関する情報は、ユーザの地理的位置に基づいて提供され得る。医療廃棄物の廃棄要件は、管轄区域(例えば、郡、市、州、連邦)によって異なり得るため、ユーザの地理的位置に基づいた薬物投与デバイスの適切な廃棄に関する情報は、管轄地域の規則に確実に従うために役立ち得る。ユーザの地理的位置は、例えば、地理センサを含む薬物投与デバイスによって、又は別の例では、当業者によって理解されるように、位置検知機能を含むユーザのモバイルデバイスによって既知であり得、モバイルデバイスは、薬物投与デバイス及び/又はリモートコンピュータシステムと通信するように構成されている。
【0207】
デジタル使用説明書(Instructions For Use、IFU)を含み得る薬物投与デバイス及び/又はリモートコンピュータシステムは、薬物投与デバイスの廃棄指示書を地理的位置と相関させる情報を内部に、例えば、複数の地理的位置のそれぞれを当該地理的位置に特有の薬物投与デバイスの廃棄指示書と相関させるルックアップテーブルに含む、廃棄データベースにアクセスするように構成され得る。廃棄データベースは、リモートコンピュータシステムに、並びに/又は薬物投与デバイス及び/若しくは薬物投与デバイスによって送達される薬物の製造業者によって維持されるコンピュータシステムなど別のコンピュータシステムに維持され得る。
【0208】
いくつかの実施形態では、廃棄データベースはまた、薬物投与デバイスの廃棄に関するカーボンフットプリント情報を含む。カーボンフットプリント情報は、例えば、ルックアップテーブルにおいて地理的位置のそれぞれと相関させられ得る。カーボンフットプリント情報には薬物投与デバイスの廃棄指示書が備えられており、薬物投与デバイスに関連する環境因子のユーザへの通知を支援し得る。あるいは、カーボンフットプリント情報は、特定の薬剤投与デバイスの地理的位置が判明した後に、当該地理的位置の廃棄要件に基づいて、例えば、薬物投与デバイスを廃棄又はリサイクルする施設に基づいて、及び/又は地理的位置自体に基づいて、例えば、薬剤投与デバイス及び/又は薬物の製造業者が植樹又は慈善寄付を行うなどカーボンフットプリントを低減させる活動を行うであろう地理的位置から所定の数の薬物投与デバイスが廃棄された後に計算され得る。
【0209】
いくつかの実施形態では、薬物投与デバイスが、薬物投与デバイスの適切な廃棄に関する情報を提供するのではなく、廃棄容器が、複数の使用済み薬物投与デバイスを内部に収容し、例えば、内部に収容される薬物投与デバイスの適切な廃棄に関する情報を、例えば、そのユーザインターフェース上に提供するように構成されたスマート容器であり得る。容器は、データを伝達し、薬物投与デバイスに関して上述した情報と同様の情報を表示するように構成され得る。容器は、容器の地理的位置に基づいて、内部に収容された薬物投与装置の適切な廃棄に関する情報を提供するように構成されており、同一容器を任意の地理的位置で使用することができるが、当該地理的位置に特有の情報を提供する。したがって、容器が特定の地理的位置向けにカスタマイズされる必要はないため、容器はより効率的に製造され得る。例示的な実施形態では、容器は、所定の閾値数の薬物投与デバイスが内部に廃棄された後に、内部に収容された薬物投与デバイスの適切な廃棄に関する情報を提供するように構成されている。所定の閾値数は、容器のサイズ及び内部に廃棄された薬物投与デバイスのサイズに基づいて様々であり得るが、所定の閾値数は、概して、容器を一杯にする、又はほぼ一杯にする薬物投与デバイスの数に対応する。いくつかの実施形態では、サイト(例えば、病院、診療所、又は他の医療施設)は、特定タイプの薬物投与デバイスの供給者として認定され得、そのような認定後にスマート容器を受け取り得る。サイトは、エスケタミン、ケタミン、又はREMS要件としてサイト認定を有する他の規制物質など特定タイプの薬物について認定を受ける必要があり、したがって、それらのタイプの薬物を送達する薬物投与デバイスについて認定を受ける必要があり得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、薬物投与デバイス又はスマート容器が適切な薬物投与デバイスの廃棄に関する情報を提供するのではなく、発送用カートンが、カートンに入れて出荷された薬物投与デバイスの適切な廃棄に関する情報を、例えば、そのユーザインターフェース上で提供するように構成されたスマートカートンであり得る。カートンは、データを伝達し、薬物投与デバイスに関して上述した情報と同様の情報を表示するように構成され得る。カートンは、カートンの地理的位置に基づいて、その中に入れて発送された薬物投与装置の適切な廃棄に関する情報を提供するように構成されており、同一カートンを任意の地理的位置で使用することができるが、当該地理的位置に特有の情報を提供する。したがって、カートンが特定の地理的位置向けにカスタマイズされる必要はないため、カートンはより効率的に製造され得る。
【0211】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイス、スマート容器、又はスマートカートンが適切な薬物投与デバイスの廃棄に関する情報を提供するのではなく、薬物投与デバイス、スマート容器、又はスマートカートンは、電子的に読み取られて、薬物投与デバイス、スマート容器内の薬物投与デバイス、又はスマートカートン若しくはスマート容器内の薬物投与デバイスのための適切な薬物投与デバイスの廃棄に関する情報を提供するように構成されている、薬物投与デバイス、スマート容器、又はスマートカートン(ないしは別の方法で、薬剤投与デバイス、スマート容器、又はスマートカートンの一部)に取り付けられたラベルを有し得る。ラベルは、様々な構成を有し得る。例えば、ラベルは、薬物ホルダから薬物ホルダデータを伝達するように構成された集積回路を含み得る。ラベルは、別の例では、無線自動識別(radio frequency identification、RFID)タグであり得る。更に別の例では、ラベルは、バーコードの形態であり得る。ラベルは、単一のラベル又は複数のラベルであり得る。複数のラベルが使用される場合、それぞれは、互いに異なるタイプであり得(例えば、一方はバーコードを含み、他方はRFIDタグを含む)、冗長性をもたらすのに役立ち得る、及び/又は特定タイプのデータ通信を現在利用できない、例えば、RFIDスキャナが不在である、又は故障中である場合でも、廃棄情報を取得できるようにする。様々なタイプのリーダ、例えば、バーコードスキャナ、RFIDスキャナ、バーコード読み取り機能を備えた携帯電話などを使用して、ラベルのタイプに適するようにラベルを電子的に読み取ることができる。リーダは、適切な薬物投与デバイスの廃棄に関する読み取り情報をリーダ上に表示すように構成され得る、又はリーダは、適切な薬物投与デバイスの廃棄に関する読み取り情報を表示するコンピュータシステムに読み取り情報を伝達するように構成され得る。
【0212】
図14は、データ、フィードバック、及び通知を表示するユーザインターフェース1100の一実施形態を示す。図14に示される例示的な実施形態では、ユーザインターフェース1100は、患者の血糖を下げるために薬物投与デバイスを介してインスリンを投与する患者に関連するが、本明細書に記載のように他のタイプの薬物及び他のタイプの薬物投与デバイスが使用され得る。
【0213】
ユーザインターフェース1100は、患者識別情報1105と、日時識別情報1110と、構成アイコン1115と、現在の状態部分1120と、リマインダ部分1125と、概要部分1130と、示度部分1135と、受信データ部分1140と、を含む。少なくともいくつかの実施形態では、ユーザインターフェース1100内の識別情報及び部分のレイアウト及び配置は、当業者によって理解されるように、ユーザによって対話形式で再配置され得る。このようにして、ユーザは、ユーザの選好に適合するように編成された、カスタマイズ可能なダッシュボード様のデータ表示を作成することができる。
【0214】
患者識別情報1105は、患者「JaneSmith」を特定する。ユーザインターフェース1100は、安全なシステムの提供に役立つように、ユーザが対話しているそれぞれのデバイス又はシステムに対して自身を適切に証明した後にユーザの名前を表示するように構成されている。ユーザは、単要素、2要素、多要素、及び/又は強力な認証方法を使用することによってなど様々な方法で自身の識別情報を証明することができる。ユーザは、パスワード、パスフレーズ、個人識別番号(personal identification number、PIN)、チャレンジレスポンス、セキュリティに関する質問、IDカード、セキュリティトークン、ソフトウェア又はハードウェアトークン、指紋、網膜パターン、署名、ユーザの顔又は音声、生体認証など1つ以上の認証要素を使用して、自身の識別情報を証明することができる。
【0215】
日時識別情報1110は、現在の日時を表示する。現在の日時は、リマインダ、通知、又は薬物の次回用量を投与する時間のリマインダなどの他のスケジュールベースのデータに関する時間的な前後関係をユーザに提供し得る。
【0216】
構成アイコン1115は、選択されるか、ないしは別の方法でアクティブ化されると、ユーザインターフェース1100にユーザインターフェースの設定及び構成に関連する追加機能を表示させる、対話型グラフィックアフォーダンス又はアイコンである。構成識別情報1115の選択/アクティブ化は、ユーザインターフェース内の識別情報及び部分の配置又は順序などユーザインターフェース1100のディスプレイだけでなく、ユーザインターフェース1100を表示するデバイスの構成も構成するツールをユーザに提供するように構成されている。少なくともいくつかの実施形態では、構成識別情報1115は、ユーザインターフェース1100が情報を提供する患者の薬物投与デバイス又はハウジングの正しい使用に関するヘルプ情報を示す情報を表示するように構成されている。例えば、構成識別情報1115は、アイコン、シンボル、又はユーザインターフェース1100が情報を提供する患者の薬物投与デバイス又はハウジングをユーザが正しく使用するように支援するために、更新が利用可能であることをユーザに示す数字など追加のグラフィックアフォーダンス又はインジケータを含み得る。示された更新は、ユーザインターフェース1100が情報を提供している患者の薬物投与デバイス又はハウジングでダウンロードし、インストールするために利用可能なソフトウェアの更新バージョンに関連し得る。構成識別情報1115によって提供される、許容可能な構成変更の範囲は、システム内での選好として調整され得る。
【0217】
ユーザインターフェース1100の現在の状態部分1120は、センサデータ、例えば、図5Bの薬物投与デバイス500のセンサ92、94、98、ユーザインターフェース1100が表示されるモバイルデバイスのセンサ、又は他のセンサなどセンサによって感知された情報を含む。この例では、現在の状態部分1120は、患者の心拍数(1分当たり78回)、体温(華氏99.1度)、呼吸数(1分当たり18回)、及び活動レベル(1日当たり8,000歩の目標に対して6,235歩)を表示する。
【0218】
リマインダ部分1125は、1つ以上の次回の薬物用量に関するリマインダ、及び/又は患者の治療計画の他の側面に関するリマインダを提供する。この例では、リマインダ部分1125は、「次回用量の投与:今日@9:30pm」というリマインダを提供する。したがって、現在時刻が「6:24pm」であるため、ユーザは、次回用量が約3時間後に投与されると注意喚起される。リマインダ部分1125で提供され得る他の例としては、薬物の用量を患者に手動で投与するために必要な電流を示すリマインダ、並びに患者の薬物投与デバイスの電池を交換する、患者の薬物投与デバイスの電池を充電する、薬物投与デバイスのために薬剤の詰め替えを注文するリマインダなどが挙げられる。少なくともいくつかの実施形態では、音声通知、視覚通知、又は触覚通知が、リマインダ部分1125に表示されるリマインダと共に提供されて、新たに提供されたリマインダにユーザが気付くように促す、及び/又は、注意喚起された行動の予定時間に提供されて、適切な時間に行動を実行することを促すように支援し得る。
【0219】
概要部分1130は、患者への薬物の前もって予定されていた用量の概要のビューを提供する。この図示された実施形態のように、概要部分1120はまた、「1.血糖を低減させるために前もって予定されていた用量」で示す、患者に対する薬物の意図された治療効果の示度を提供することができる。図14に示すように、概要部分1130は、前もって予定されていた3つの用量のリスト、項目a~cを含む。項目aで示すように、概要部分1130は、前もって予定されていた用量が「今日@9:30am」に投与され、「1/30/19@9:33am」に正常に送達されたこと(「完了」)を示す。このようにして、概要部分1130は、これらの用量の所定の送達スケジュールと比較して、以前に送達された用量のタイミングをユーザに直感的に示す。項目a、副項目iで示すように、概要部分1130はまた、「有効期限:1/30/19@11:00pm」と患者に対する薬物の有効性の推定残存期間の示度をユーザに提供する。項目cはまた、送達した用量の情報(「昨日@9:30am-完了1/29/19@9:26am」)を示す。概要部分1130に示される、前もって予定されていた用量はまた、項目b「昨日@9:30pm-失敗」で示されるように、以前に予定された用量を患者が失敗した時間を示すことができる。概要部分1130は、追加の概要情報、例えば、「昨日@9:30am」よりも前に予定されていた用量などを表示するためにスクロールできるように構成され得る。ユーザインターフェース1100の他の部分はまた、追加情報を表示するためにスクロールできるように構成され得る。
【0220】
少なくともいくつかの実施形態では、概要部分1130は、選択されるか、又はアクティブ化されると、概要部分1130に、グラフ又はチャートなどグラフィック様式で、用量送達データを経時的に表示させるように構成されている、タブ又はアイコンなど他の対話型グラフィックアフォーダンスを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、概要部分1130に含まれる用量送達データは、患者によって提供される他の臨床転帰、感知したデータ事象、及び/又は自己申告の健康状態データに関連して提供され得る。少なくともいくつかの実施形態では、概要部分1130に含まれる用量送達データは、システム700から、又はシステム700及びネットワーク702を介してアクセス可能であり得る他のデータソースから受信したデータに関連して提供され得る。
【0221】
示度部分1135は、以前に送達された、薬物投与デバイス又はハウジングから患者への薬物の用量のタイミングと患者が経験した医療事象のタイミングとの間の相関関係を提供する。この図示された実施形態では、示度部分1135は、直近の3つの前もってスケジュールされていた用量及び患者の1つ以上の感知された特性のリストを含み、この図示された実施形態では、例えば、薬物投与デバイスのセンサのうちの1つによって測定された、前もって予定されていた用量のそれぞれの時間に測定された患者の血糖値を含む。用量1及び3で示されるように、前もって予定されていた時間に従ってインスリンが適切に投与されると(概要部分1130における「完了」)、患者の血糖値は、「今日@9:30am」に完了した用量1に対応する85mg/dLの測定値、「昨日@9:30am」に完了した用量3に対応する78mg/dLの測定値に示されるように、患者の血糖値は正常範囲内に維持された。しかしながら、「昨日@9:30pm」の用量2で患者が投与に失敗すると(概要部分1130における「失敗」)、患者の血糖値は225mg/dLであった。示度部分1135は、以前に送達された薬物の用量のタイミングを、以前に送達された用量の時点で患者が経験し得る様々な医療事象と相関させるように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、医療事象データは、患者の診療記録に由来し得、示度部分1135は、以前に送達された用量のタイミングと診療記録データ(例えば臨床検査結果を含む)との間の相関関係を提供し得る。
【0222】
受信データ部分1140は、図7のシステム700などの遠隔地、又はネットワーク702を介してシステム700を通して利用可能なリモートデータソースから受信し得るデータを表示する。図14に示すように、この図示された実施形態における受信データ部分1140は、更新済みの診療記録情報「1.更新済み診療記録-現在利用可能」を含む。更新済みの診療記録情報は、図7のシステム700内に構成された診療記録データベース又は図7の医療施設706に位置するコンピュータシステムに関連するデータベースから受信され得る。例示的な実施形態では、ユーザは、ユーザインターフェース1100が提供したユニフォームリソースロケータ(uniform resource locator、URL)をクリックするか、ないしは別の方法で選択することによって、更新済みの診療記録を表示し得る。この図示された例では、「b.表示するには、ここをクリックして下さい」に示されるように、「ここ」という単語をクリックすると、ユーザインターフェース1100に更新済みの診療記録を表示させるように構成されている。URLは、ユーザインターフェース1100内に限定することなく使用されて、ユーザに表示するために追加データを提供し得る。
【0223】
受信データ部分1140にも示されるように、ユーザは、薬物投与デバイス及び/又はハウジングの使用に関するヘルプ情報を提供するデータを受信し得る。例えば、受信データ部分1140は、この例示された実施形態において「2.新しいデバイスソフトウェア-ダウンロード可能」として示される更新情報としてヘルプ情報を示し得る。ヘルプ情報としては、新しいデバイスの構成設定並びに患者の薬物投与デバイス又はハウジングに関連するユーザのマニュアルなど製品ドキュメントが挙げられ得る。ユーザは、構成識別情報1115をクリックするか、ないしは別の方法で選択することによって、ヘルプ情報を薬物投与デバイス又はハウジングに送信させ、インストールさせ得る。
【0224】
受信データ部分1140は、患者の薬物投与デバイス500又はハウジングで感知した、又は判定した情報に基づいて、リモートから受信し得るデータを含み得る。例えば、この図示された実施形態における受信データ部分1140は、「3.Dr.Jonesからのコンプライアンスメッセージ」として受信したリモートデータを含む。前もって予定されており、「昨日@9:30pm」に投与されなかった薬物用量に関連して生じた、225mg/dLの血糖値の上昇を感知した、患者の薬物投与デバイス及び/又はハウジングセンサに基づいて、薬剤投与デバイス及び/又はハウジングは、ユーザインターフェース1100の受信データ部分1140に表示するために、(薬物送達及びコンプライアンスデータに加えて)感知した血糖値を送信することができる。この図示された例では、(「昨日@9:30pm」に予定されていた、失敗した用量を示す概要データに加えて)感知した血糖値を受信した結果として、システムは、例えば、リマインダ部分1125の通知を介して、患者の上昇した血糖値を下げるために必要な、適切な手引き及び薬物投与スケジュールを患者に再認識させるコンプライアンスメッセージを患者に送信するように患者の医療専門家に通知し得る。このようにして、患者の薬物投与デバイス又はハウジングによって感知された、ないしは別の方法で判定されたデータはリモートコンピュータシステムに送信され得、リモートコンピュータシステムは、感知された情報を受信すると、感知された情報に関連するデータを生成し、薬物投与デバイス又はハウジングに返送して、ユーザインターフェース1100を介してユーザに提供するように構成され得る。
【0225】
薬物投与デバイス500若しくはハウジング630のユーザインターフェース80、又は薬物投与デバイス2002のユーザインターフェース2080などユーザインターフェース内に提供されるデータ及びデータの表示について追加の説明は、2002年7月11日に公開された、「Remotely Programmable Infusion System」と題する、米国特許出願公開第2002/0091454号、及び2008年6月12日に公開された、「Intelligent Personal Health Management Appliance For The Measurement And Monitoring Of Health Factors And Controlled Delivery Of Drugs」と題する、同第2008/0139907号に提供されており、いずれも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0226】
本明細書に開示される装置及びシステムの全ては、1回の使用後に廃棄されるように設計され得るか、又は複数回使用されるように設計され得る。しかしながら、いずれの場合も、装置は、少なくとも1回の使用の後に再使用のために再調整することができる。再調整には、装置の分解工程、それに続く洗浄工程又は特定の部品の交換工程、及びその後の再組み立て工程の任意の組み合わせを含むことができる。具体的には、装置は分解することができ、装置の任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部品が洗浄及び/又は交換されると、続く使用のために装置を再調整施設において、又は外科手術の直前に外科チームによって再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0227】
本明細書に開示される装置は、使用前に滅菌されることが好ましくあり得る。これは、β線又はγ線放射、酸化エチレン、蒸気、及び液浴(例えば、低温浸漬)などの当業者には既知の様々な方法によって行うことができる。内部回路を含む装置を滅菌する例示的な実施形態は、2009年8月13日に公開された、「System And Method Of Sterilizing An Implantable Medical Device」と題する米国特許公開第2009/0202387号に、より詳細に記載されている。装置は、埋め込まれる場合、完全に密封されることが好ましい。これは、当業者に既知の様々な方法によって行うことができる。
【0228】
本開示は、実施例を通して、本明細書で提供される開示全体の文脈内でのみ説明されている。本開示の全体的な範囲から逸脱することなく、特許請求の範囲の趣旨及び範囲内の修正を行い得ることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】