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▶ イントラ−セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】新規方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20221116BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 31/295 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20221116BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P25/18
A61P25/24
A61K45/06
A61P43/00 111
A61K31/295
A61K31/4985
A61K9/20
A61K9/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519061
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 US2020052923
(87)【国際公開番号】W WO2021062307
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】62/906,042
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】507401225
【氏名又は名称】イントラ-セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTRA-CELLULAR THERAPIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,ロバート イー
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー,グレッチェン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ポン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC01
4C076FF70
4C084AA20
4C084MA02
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA15
4C084ZA02
4C084ZA12
4C084ZA18
4C084ZC02
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086GA13
4C086GA14
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA15
4C086ZA02
4C086ZA12
4C086ZA18
4C086ZC02
4C206AA01
4C206AA02
4C206JB11
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA05
4C206NA15
4C206ZA02
4C206ZA12
4C206ZA18
4C206ZC02
(57)【要約】
本開示は、精神病(統合失調症など)、またはうつ病(双極性うつ病など)および/または不安の治療方法であって、該治療を必要とする患者に、(i)遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンド、例えば、本明細書に記載の置換複素環縮合γカルボリンと、(ii)一酸化窒素供与体とを、別々に(順次または同時に)、または組み合わせて(例えば、固定用量配合剤として)投与することを含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精神病(統合失調症など)、うつ病(双極性うつ病など)、および/または不安、またはルマテペロンが有効であることが示されている他のCNS障害の治療方法であって、(i)有効量の、5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンド、例えば、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、本明細書に記載の置換複素環縮合γカルボリンと、(ii)有効量の、一酸化窒素供与体、例えばSNPとを、別々に(順次または同時に)、または組み合わせて(例えば、固定用量配合剤として)投与することを含む、方法。
【請求項2】
5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、重水素化形態であってもよい、式I:
【化1】
[式中、
Xは、-N(H)-、-N(CH3)-または-O-であり;
Yは、-C(=O)-、-C(H)(OH)-または-C(H)(OR1)-であり;
1は、-C(O)-C1-21アルキルまたは-C(O)O-C1-21アルキルである]
で示される化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
式Iの化合物におけるXが-N(H)-または-N(CH3)-である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
式Iの化合物におけるXが-N(CH3)-である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
式Iの化合物におけるYが-C(=O)-である、請求項2記載の方法。
【請求項6】
式Iの化合物が
【化2】
である、請求項2記載の方法。
【請求項7】
式Iの化合物が、結晶形態であってもよい、トシル酸塩(例えば、一トシル酸塩または二トシル酸塩)の形態である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、トルエンスルホン酸付加塩(例えば、一トシル酸塩、二トシル酸塩、またはその組み合わせ)の形態の、Xが-N(CH3)-であり、Yが-C(=O)-である式Iの化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
一酸化窒素供与体が、ニトロプルシドナトリウム(SNP)、ニトログリセリン(三硝酸グリセリル)、硝酸アミル、二硝酸ジエチレングリコール、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、トシル酸イトラミン、四硝酸ペンタエリスリトール、硝酸プロパチル、シニトロジル、テニトラミン、トロールニトラート、モルシドミン、リンシドミン、およびナプロキシノドから選択される、請求項1~8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
該方法が、一トシル酸塩1~100mg、例えば、一トシル酸塩1~75mg、または1~60mg、または1~40mg、または1~30mg、または1~20mg、または1~10mg、または1~5mgに相当する量の式Iの化合物、および薬学的に許容される希釈剤または担体を含む、経口投与用単位剤形、例えば錠剤またはカプセル剤の1日1回投与を含む、請求項1~9いずれか1項記載の方法。
【請求項11】
治療される状態が、精神病、例えば統合失調症(例えば、精神病の前駆症状、急性症状および/または残遺症状;または精神病の陰性症状および/または陽性症状)、妄想性障害(例えば、身体型)、精神病を伴う大うつ病、精神病症状を伴う双極性障害、短期精神病性障害(brief psychotic disorder)、統合失調症様障害、統合失調感情障害、または医学的状態または物質使用によって引き起こされる精神病である、請求項1~10いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
治療される状態が、(1)陰性症状、例えば、感情鈍麻、情動的引きこもり(emotional withdrawal)、対人関係不良(poor rapport)、消極的または無欲な引きこもり、抽象思考困難、会話の自発性と流暢さの欠如、および常同思考;ならびに(2)一般的な精神病理学症状、例えば、身体懸念、不安、自責の念、緊張、衒奇症(mannerisms)および不自然な姿勢(posturing)、うつ病、運動発達遅滞、非協力性、異常な思考内容、見当識障害、注意不足、判断と洞察の欠如、意思障害(disturbance of volition)、衝動制御不足、執着(preoccupation)および能動的社会的回避(active social avoidance);認知機能障害および睡眠障害(例えば、不眠症)から選択される精神病(例えば、統合失調症)の症状(例えば、残遺期症状)である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
精神病(例えば、統合失調症)が、治療抵抗性精神病(例えば、治療抵抗性統合失調症)、例えば、1種類以上の抗精神病薬による治療に反応しなかった精神病(または統合失調症)である、請求項11記載の方法。
【請求項14】
患者が、別の抗精神病薬または抗うつ剤による治療に反応しなかったか、または適切に反応しなかったか、または望ましくない副作用に苦しんでいる、請求項1~13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
(i)有効量の、5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンド、例えば、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、本明細書に記載の置換複素環縮合γカルボリンと、(ii)有効量の、一酸化窒素供与体、例えばSNPとを含む、医薬組成物。
【請求項16】
5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、重水素化形態であってもよい、式I:
【化3】
[式中、
Xは、-N(H)-、-N(CH3)-または-O-であり;
Yは、-C(=O)-、-C(H)(OH)-または-C(H)(OR1)-であり;
1は、-C(O)-C1-21アルキルまたは-C(O)O-C1-21アルキルである]
で示される化合物である、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
式Iの化合物におけるXが-N(H)-または-N(CH3)-である、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
式Iの化合物におけるXが-N(CH3)-である、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
式Iの化合物におけるYが-C(=O)-である、請求項16記載の組成物。
【請求項20】
式Iの化合物が
【化4】
である、請求項16記載の組成物。
【請求項21】
式Iの化合物が、結晶形態であってもよい、トシル酸塩(例えば、一トシル酸塩または二トシル酸塩)の形態である、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、トルエンスルホン酸付加塩(例えば、一トシル酸塩、二トシル酸塩、またはその組み合わせ)の形態の、Xが-N(CH3)-であり、Yが-C(=O)-である式Iの化合物である、請求項16記載の組成物。
【請求項23】
一酸化窒素供与体が、ニトロプルシドナトリウム(SNP)、ニトログリセリン(三硝酸グリセリル)、硝酸アミル、二硝酸ジエチレングリコール、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、トシル酸イトラミン、四硝酸ペンタエリスリトール、硝酸プロパチル、シニトロジル、テニトラミン、トロールニトラート、モルシドミン、リンシドミン、およびナプロキシノドから選択される、請求項16記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年9月25日に出願された米国仮特許出願第62/906,042号(その内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)の優先権と利益を主張する国際出願である。
【0002】
技術分野
本開示は、精神病(統合失調症など)、またはうつ病(双極性うつ病など)および/または不安の治療のための、(i)5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンド、例えば、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、本明細書に記載の置換複素環縮合γカルボリンと、(ii)一酸化窒素供与体とを、別々に(順次または同時に)、または組み合わせて(例えば、固定用量配合剤として)使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
最近の精神医学ゲノム研究は、現在では別々の障害カテゴリーに分類されている、統合失調症、双極性障害、大うつ病性障害(MDD)などの主要な精神疾患が、臨床的重複と家族性の共集合の両方を示し、遺伝的危険因子を共有していることを示唆している。また、この臨床的重複の根底にある潜在的なメカニズムも出現しており、該メカニズムは、神経発達、シナプス可塑性および認知機能に関与する遺伝子に関係している。
【0004】
過去数十年にわたって蓄積された前臨床および臨床データは、上記の認知的モダリティにおける前頭前野ドパミンおよびD1受容体ならびにセロトニンおよびグルタミン酸作動性NMDA受容体媒介性伝達の主要な役割を集合的に描写しており、統合失調症およびMDDにおけるこれらの伝達物質および受容体の部分的に重複する機能不全に関する証拠が出現している。したがって、主に強力な5-HT2A受容体遮断特性および控えめなD2受容体遮断特性を示す非定型抗精神病薬(APD)と選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)などの抗うつ薬との組み合わせは、治療抵抗性うつ病(TRD)においてはAPD投与量を抑えてではあるが、これらの精神障害において頻繁に使用され。これまでの研究では、この薬物の組み合わせは、比較的低いD2占有率でも、前頭前皮質(PFC)におけるドパミン放出とD1受容体媒介性グルタミン酸作動性NMDA受容体媒介性伝達の両方を活性化することが示されている。
【0005】
TRDにおけるSSRIへの低~中用量の非定型APDのアドオン治療は、迅速な作用発現を伴って抗うつ効果を強力に増強する。しかしながら、ケタミンの迅速かつ強力な抗うつ作用は、PFCにおけるグルタミン酸作動性AMPA受容体活性化に非常に依存しており、これがmTOR経路の活性化とそれに関連するシナプス数および機能の増加を促し、TRDのシナプス不足を逆転させる。
【0006】
最近のデータは、上記の薬物の組み合わせが、この点に関してケタミンと同じ効果を発揮することを示し、オランザピンとフルオキセチンとの組み合わせまたはブレクスピプラゾールとエスシタロプラムとの組み合わせによって例示され、また二次性うつ病の炎症モデルにおいてPFCにおけるBDNF-TrkBシグナル伝達および樹状突起スパイン密度の変化を逆転させることを示す。
【0007】
蓄積された証拠は、炎症が、双極性および単極性うつ病性障害を含む気分障害の病態生理学において役割を果たすことを示唆している。インターロイキン-1β(IL-1β)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、および特にインターロイキン6(IL-6)などの炎症性サイトカインのレベルの上昇は、合併性の医学的疾患がない場合のうつ病患者の血清/血漿およびCSFでも見られる。さらに、リポ多糖(LPS)による免疫系の刺激は、以前にうつ病を発症したことがないヒトであってもうつ病の症状を誘発することがある。いくつかの知見は、特にSSRIに反応しない患者において、うつ病におけるIL-6の病態生理学的役割を示している。
【0008】
前臨床では、LPSの末梢投与は、げっ歯動物のうつ病様行動を誘発することができ、炎症の誘発と関連しており、したがって、炎症に関連する不快気分の動物モデルを提供する。さらに、LPS誘発性うつ病様行動は、SSRIおよびセロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)による前処理によって阻止することができる。別の、しかし補完的な実験的アプローチは、ヒトのうつ病と多くの行動的および神経化学的類似性を有する遺伝的に定義されたうつ病の動物モデルを提供するフリンダース感受性系統(Flinders Sensitive Line)(FSL)のラットを使用することである。FSLラットはまた、レプチン、IL-1αおよびBDNFの脳内レベルの増加によって特徴づけられるように、神経炎症の増加を示すようである。
【0009】
ルマテペロンなどの置換複素環縮合γカルボリンは、中枢神経系障害の治療に有用である5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドであることが知られている。これらの化合物は、セロトニン2A(5-HT2A)受容体に拮抗し、および/または重要な細胞内リンタンパク質のレベルでドパミン受容体シグナル伝達を調節する。このような化合物は、主に、統合失調症の陽性症状および陰性症状の治療に有用であることが知られている。ドパミンD2受容体では、これらの化合物は、二重特性を有しており、シナプス後アンタゴニストおよびシナプス前部分アゴニストの両方として作用する。それらはまた、グルタミン酸作動性NMDA NR2BまたはGluN2B受容体のリン酸化を中脳辺縁系特異的に刺激する。セロトニン作動性、グルタミン酸作動性およびドパミン作動性の相互作用とともに、抗精神病薬の効果を媒介すると考えられる脳領域におけるこの局所選択性は、統合失調症に関連する陽性症状、陰性症状、情動性症状および認知症状に対して抗精神病効果をもたらし得ると考えられている。該化合物はまた、セロトニン再取り込み阻害を示し、統合失調感情障害、合併性うつ病の治療に、および/または大うつ病性障害の単独の治療(stand-alone treatment)として、抗うつ活性を提供する。記載されている5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドはまた、双極性障害ならびに他の精神障害および神経変性障害、特に認知症、自閉症および他のCNS疾患に関連する行動障害の治療にも有用である。これらの特徴は、統合失調症患者の生活の質を向上させることができ、社会的機能を高めて家族および職場により完全に溶け込めさせることができる。これらの化合物は、低用量では5-HT2A受容体を選択的に標的とし、高用量ではD2受容体と徐々に相互作用する、示差用量依存的効果(differential dose-dependent effect)を示す。その結果、それらは、低用量では、睡眠、攻撃性および激越の治療に有用である。それらは、高用量では、急性増悪した、および、残遺している、統合失調症、双極性障害および気分障害を治療することができる。
【0010】
式:
【化1】
を有するルマテペロンは、強力な(Ki=0.5nM)5-HT2A受容体アンタゴニズム、インビボでシナプス前D2受容体部分アゴニズムおよびシナプス後D2受容体アンタゴニズム(Ki=32nM)と一致するよびとしての活性、高いD1受容体親和性(Ki=52nM)、およびセロトニン輸送体(SERT)の阻害(Ki=26~62nM、SERT活性に関する異なるアッセイを使用)を有する新規の治療剤である。ルマテペロンは、統合失調症の治療薬として米国食品医薬品局によって承認されており、双極性うつ病、およびアルツハイマー病を含む認知症における激越の治療薬として第III相臨床開発段階にある。
【0011】
統合失調症患者において、ルマテペロンは、クロザピンと同様の低い線条体D2受容体占有率で、社会的機能、陽性症状および陰性症状、ならびに認知障害を有意に改善することが判明している。さらに、合併性うつ病を伴う統合失調症では、ルマテペロンは、プラセボレベルの安全性プロファイルを有しつつ、代謝変化または錐体外路系副作用を伴わずに、うつ症状を改善する。
【0012】
ルマテペロンはまた、社会的敗北モデルにおいて抗うつ薬様効果を示し、慢性ストレス後の社会化の低下および引きこもりを回復させる。最近のデータは、ルマテペロン単独で、ラットmPFCスライスの錐体細胞におけるNMDA受容体誘発性電流およびAMPA受容体誘発性電流の両方を独自に活性化し、プロテインキナーゼAktおよびp70S6キナーゼを含むmTOR経路の主要タンパク質のリン酸化を増加させ、MDDおよびTRDの両方におけるルマテペロンのケタミン様作用機序を裏付けることを示している。
【0013】
ルマテペロンおよび関連化合物は、米国特許第6,548,493号;第7,238,690号;第6,552,017号;第6,713,471号;第7,071,186号;第7,183,282号;米国再発行特許発明第39,680号および米国再発行特許発明第39,679号において、不安、うつ病、精神病、統合失調症、睡眠障害、性障害、片頭痛、頭部痛に関連する状態、および社会恐怖症などの5-HT2A受容体調節に関連する障害の治療に有用な新規化合物として開示されている。米国特許第7,071,186号および第7,183,282号はまた、置換複素環縮合γカルボリンの製造方法、ならびにこれらγカルボリンの、嗜癖行動および睡眠障害などの中枢神経系障害の制御および予防に有用なセロトニンアゴニストおよびアンタゴニストとしての使用も開示している。米国特許第8,598,119号、米国特許第9,168,28号、米国特許第9,616,061号、米国特許第10,117,867号、および米国特許出願公開第2015/0080404号(各々、出典明示により本明細書の一部とする)は、特定の置換複素環縮合γカルボリンの、精神病とうつ病性障害の組み合わせ、および精神病患者またはパーキンソン病患者における睡眠障害、うつ病性障害および/または気分障害の治療、ならびに認知症に関連する障害、特に行動障害または気分障害、例えば激越、いら立ち(irritation)、攻撃的(aggressive)/攻撃的(assaultive)行動、怒り、身体的もしくは感情的爆発、および認知症に関連する精神病および睡眠障害の治療または予防のための使用を開示している。米国特許第9,956,117号および第10,322134号は、そのような特定の置換複素環縮合γカルボリンを使用して統合失調症の陰性症状または残遺症状を治療する方法を具体的に開示している。国際公開第2019/178484号は、このような化合物の、うつ病および不安の急性治療のための使用を開示している。米国特許第8,648,077号、第9,119,995号および第9,586,960号(各々、出典明示により本明細書の一部とする)は、特定の置換複素環縮合γカルボリンのトルエンスルホン酸付加塩結晶、例えば、4-((6bR,10aS)-3-メチル-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(7H)-イル)-1-(4-フルオロフェニル)-1-ブタノンのトルエンスルホン酸付加塩の製造方法を開示している。
【0014】
米国特許第8,993,572号および米国特許第9,371,324号(各々、出典明示により本明細書の一部とする)は、改良された製剤、例えば、放出持続/放出制御製剤のための置換複素環縮合γカルボリンのプロドラッグ/代謝物を開示している。この出願には、4-フルオロフェニル(4-ヒドロキシ)ブチル部分でN置換された複素環縮合γカルボリンが、4-フルオロフェニルブタノンを含む複素環縮合γカルボリンと比較して、セロトニン輸送体(SERT)に対して高い選択性を有することが示されることを開示している。
【0015】
米国特許第8,598,119号は、選択された置換複素環縮合γカルボリン化合物はセロトニン再取り込み輸送体(SERT)に対してナノモルの親和性を有するので、選択的セロトニン再取り込み阻害剤であると教示している。
【0016】
米国特許第10,077,267号、米国特許出願公開第2017/0183350号および 米国特許出願公開第2019/0231780号(各々、出典明示により本明細書の一部とする)に開示されているように、ルマテペロンおよび関連化合物の重水素化形態は、代謝安定性が改善されていることが示されている。
【0017】
このように、APDの中でも独特な、ルマテペロンなどの縮合複素環γカルボリンは、単一の化合物においてドパミン受容体調節およびSSRI活性の両方を示し、ケタミンのように、D1受容体の活性化を介してラットmPFC錐体ニューロンにおけるNMDA誘導電流およびAMPA誘導電流の両方を増強し、AMPA受容体活性化の下流にあると思われるmTOR経路の主要タンパク質のリン酸化を増大させる。したがって、これらの化合物は、気分障害に対する新しい速効型抗うつ薬となり得る。より最近の研究では、ルマテペロンが抗炎症作用を示すことが示されているが、他の薬剤(ケタミンなど)とは異なり、ミクログリア細胞には直接作用しない。
【0018】
近年、グルタミン酸-一酸化窒素(NO)-環状グアノシン一リン酸(cGMP)経路は、統合失調症の発症に関与しているので、新規抗精神病薬(APD)のターゲットとして関心が高まってきている。統合失調症患者では、脳脊髄液中の脳内NOレベルが健常者と比較して低下していることが分かっています。死後研究では、統合失調症患者は、NO合成酵素(NOS)を含む線条体介在ニューロンが有意に少ないことが示されている。
【0019】
NOは、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)活性化後に合成され、拡散し、可溶性グアニリルシクラーゼを活性化し、その後、cGMPを産生する。統合失調症では脳内NMDAR機能障害がしっかりと示されているので、これは明らかに患者の脳内NOレベルの低下に寄与し得る。さらに、NOS1遺伝子の多型が統合失調症と関連していることが示されているため、NOS1の発現低下は、海馬の低グルタミン酸作動性状態に寄与することで統合失調症を発症しやすくし得る。
【0020】
研究は、抗精神病薬を安定に服用している若い治療抵抗性統合失調症患者において、降圧性NO供与体であるニトロプルシドナトリウム(SNP)の単回注射が、迅速(4時間以内)で持続した(数週間)の抗精神病効果を誘発し得ることを示している。さらなるケーススタディでは、クロザピン抵抗性の統合失調症患者においても同様の効果が示された。クロザピンは治療抵抗性統合失調症に対してFDAが承認した唯一の抗精神病薬であるので、これらの知見はSNPの臨床的可能性を強調するものである。健常者を対象とした別の二重盲検試験では、SNPがケタミンによって誘発される精神異常発現性症状を軽減することが示された。
【0021】
これまでの前臨床行動学的研究はまた、SNPが抗精神病薬可能性を有し得ることも示唆している。したがって、ラットへのSNP投与は、フェンシクリジン(PCP)誘発性活動亢進を完全に消失させた。さらに、SNPの単回投与は、SNP注射後1週間までケタミン誘発性活動亢進を防止することが判明し、また、新規物体認識テストにおいてケタミンによって引き起こされた記憶障害を回復させた。
【0022】
全細胞パッチクランプ記録を使用して、SNP(3mg/kg)の単回腹腔内(i.p.)注射が、ラット内側前頭前皮質(mPFC)脳スライスにおけるV層錐体細胞の興奮性シナプス後電流応答および脊椎形態の増強を含む、脳シナプス可塑性の急速変化および持続的変化の両方を引き起こすことが示されている。
【0023】
最近、我々は、単独で投与した場合および有効量以下のリスペリドンと組み合わせて投与した場合の両方で、行動学的および生化学的手法を用いて、ラットにおけるSNPの抗精神病薬様効果を研究した。低用量のSNPは、条件回避反応(CAR)テストにおいて、有効量以下のリスペリドンの抗精神病薬様効果を迅速かつ強力に増強した。自由行動ラットにおける局所的なドパミン放出の相関生化学的研究は、SNPがリスペリドン誘発性ドパミン放出をmPFCで有意に増強したが側坐核(NAc)では増強しないことを示した。さらに、インビボボルタンメトリー実験の予備データは、ラットにおいてSNP投与後のNAcおよびPFCにおけるNO応答の増加を示しており、NOシグナル伝達の増加およびcGMPの細胞内レベルの増加がラットにおけるSNPの抗精神病活性の媒介に関与し得ることを示唆している。興味深いことに、炎症誘発性免疫状態(細胞性免疫のマーカーの増加)は、IL-6などのサイトカインのレベルの増加など、統合失調症で定期的に見られる。
【0024】
特に治療抵抗性患者における、統合失調症、うつ病、不安および他の中枢神経系障害の治療の改善が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0025】
発明の簡単な概要
我々は、驚くべきことに、本明細書に記載の置換複素環縮合γカルボリン、特にルマテペロンが、SNPなどの一酸化窒素供与体と組み合わせた場合に、効果において予想外の相乗的改善を示すことを見出した。
【0026】
したがって、本開示は、精神病(統合失調症など)、うつ病(双極性うつ病など)および/または不安、またはルマテペロンが有効であることが示されている他のCNS障害の治療方法であって、(i)有効量の、5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンド、例えば、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、本明細書に記載の置換複素環縮合γカルボリンと、(ii)有効量の、一酸化窒素供与体、例えばSNPとを、別々に(順次または同時に)、または組み合わせて(例えば、固定用量配合剤として)投与することを含む方法を提供する。本発明は、また、例えばこのような方法で用いるための、(i)5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドおよび(ii)一酸化窒素供与体を含む、医薬組成物を提供する。
【0027】
いくつかの実施態様では、本開示は、さらに、PDE1阻害剤、例えば本明細書に開示されている式IIの化合物の並行投与(concurrent administration)を含む、上記の方法を提供する。このような化合物は、例えば米国特許第9,545,406号(記載内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)において、中枢神経系の疾患、障害および損傷の治療において有用性を有すること、ならびに神経保護剤および/または神経再生剤であることが開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】ビヒクル、ルマテペロン(1mg/kg、3mg/kgまたは10mg/kg)またはリスペリドン(0.4mg/kg)による処理から20分後の雄性ウィスターラットにおける条件回避反応(CAR)。** ビヒクル+生理食塩水と比較してp<0.01;*** ビヒクル+生理食塩水と比較してp<0.001;n=11。
【0029】
図2】ビヒクル、ルマテペロン(1mg/kg、3mg/kgまたは10mg/kg)またはリスペリドン(0.4mg/kg)による処理から90分後の雄性ウィスターラットにおけるCAR。* ビヒクル+生理食塩水と比較してp<0.05;n=11。
【0030】
図3】ビヒクル/生理食塩水、ルマテペロン(3mg/kgまたは7mg/kg)/生理食塩水、ビヒクル/SNP(1.5mg/kg)、またはルマテペロン(3mg/kgまたは7mg/kg)/SNP(1.5mg/kg)による処理から20分後の雄性ウィスターラットにおけるCAR。** ビヒクル+生理食塩水と比較してp<0.01;
【化2】
## 示されているようにp<0.01;n=11。
【0031】
図4】ビヒクル/生理食塩水、ルマテペロン(3mg/kgまたは7mg/kg)/生理食塩水、ビヒクル/SNP(1.5mg/kg)、またはルマテペロン(3mg/kgまたは7mg/kg)/SNP(1.5mg/kg)による処理から90分後の雄性ウィスターラットにおけるCAR。
【化3】
# 示されているようにp<0.05;n=11。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドは、セロトニン2A(5-HT2A)受容体に拮抗し、および/または重要な細胞内リンタンパク質のレベルでドパミン受容体シグナル伝達を調節する化合物であり、したがって、精神病、特に統合失調症の、急性症状だけではなく残遺症状の治療にも有用である。ドパミンD2受容体では、これらの化合物は、二重特性を有しており、シナプス後アンタゴニストおよびシナプス前部分アゴニストの両方として作用する。それらはまた、グルタミン酸作動性NMDA NR2BまたはGluN2B受容体のリン酸化を中脳辺縁系特異的に刺激する。セロトニン作動性、グルタミン酸作動性およびドパミン作動性の相互作用とともに、抗精神病薬の効果を媒介すると考えられる脳領域におけるこの局所選択性は、統合失調症に関連する陽性症状、陰性症状、情動性症状および認知症状に対して抗精神病効果をもたらし得ると考えられている。該化合物はまた、セロトニン再取り込み阻害を示し、統合失調感情障害、合併性うつ病の治療に、および/または大うつ病性障害の単独の治療(stand-alone treatment)として、抗うつ活性を提供する。記載されている5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドはまた、双極性障害ならびに他の精神障害および神経変性障害、特に認知症、自閉症および他のCNS疾患に関連する行動障害の治療にも有用である。
【0033】
ルマテペロンは、5-HT2A受容体への強力な(Ki=0.5nM)結合とD1およびD2受容体ならびにSERT輸送体への中等度の結合とを有する新規の治療剤である。機能的には、このような結合により、一般に、アゴニスト活性、部分アゴニスト活性またはアンタゴニスト活性のいずれかが生じ得る。ルマテペロンは、5-HT2A受容体およびSERTで強力なアンタゴニスト活性を示し、D1およびD2受容体でアゴニスト/アンタゴニスト混合活性(細胞型に依存)を示すことが判明している。特に、ルマテペロンは、インビボでシナプス前D2受容体部分アゴニズムおよびシナプス後D2受容体アンタゴニズム(Ki=32nM)、高いD1受容体親和性(Ki=52nM)、およびセロトニン輸送体(SERT)活性の阻害(Ki=26~62nM、SERT活性に関する異なるアッセイを使用)と一致する中脳辺縁系/中間皮質選択性ドパミン受容体タンパク質リン酸化調節剤としての活性を示す。ルマテペロンは、統合失調症、双極性うつ病、およびアルツハイマー病を含む認知症における激越の治療薬として第III相臨床開発段階にある。
【0034】
特定の実施態様では、本開示は、精神病(統合失調症など)、うつ病(双極性うつ病など)および/または不安、またはルマテペロンが有効であることが示されている他のCNS障害の治療方法であって、(i)有効量の、5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンド、例えば、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、本明細書に記載の置換複素環縮合γカルボリンと、(ii)有効量の一酸化窒素供与体、例えばSNPとを、別々に(順次または同時に)、または組み合わせて(例えば、固定用量配合剤として)投与することを含む、方法(方法1)を提供する。例えば、方法1は、以下のとおりであり得る:
【0035】
1.1. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、重水素化形態であってもよい、式I:
【化4】
[式中、
Xは、-N(H)-、-N(CH3)-または-O-であり;
Yは、-C(=O)-、-C(H)(OH)-または-C(H)(OR1)-であり;
1は、-C(O)-C1-21アルキルまたは-C(O)O-C1-21アルキルである]
で示される置換複素環縮合γカルボリン化合物である、方法1;
【0036】
1.2. 式Iの化合物におけるXが-N(H)である、方法1または1.1;
【0037】
1.3. 式Iの化合物におけるXが-N(CH3)-である、方法1または1.1;
【0038】
1.4. 式Iの化合物におけるXが-O-である、方法1または1.1;
【0039】
1.5. 式Iの化合物におけるYが-C(=O)-である、方法1または式1.1~1.4のいずれか;
【0040】
1.6. 式Iの化合物におけるYが-C(H)(OH)-である、方法1または式1.1~1.4のいずれか;
【0041】
1.7. 式Iの化合物におけるYが-C(H)(OR1)-である、方法1または式1.1~1.4のいずれか;
【0042】
1.8. 式Iの化合物におけるR1が、-C(O)-C1-21アルキル(例えば、-C(O)-C1-5アルキル、-C(O)-C6-15アルキルまたは-C(O)-C16-21アルキル)であり、好ましくは、該アルキルが、飽和であっても不飽和であってもよく、1個以上のヒドロキシまたはC1-22アルコキシ(例えば、エトキシ)基で置換されていてもよい、直鎖であり、例えば、R1が、-C(O)-C6アルキル、-C(O)-C7アルキル、-C(O)-C9アルキル、-C(O)-C11アルキル、-C(O)-C13アルキルまたは-C(O)-C15アルキルであり、ここで、該化合物が加水分解して天然または非天然の飽和または不飽和脂肪酸の残基を形成し、例えば、該化合物が加水分解して、一方ではヒドロキシ化合物を形成し、他方ではオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸またはヘキサデカン酸を形成し);例えば、式Iの化合物におけるR1が、-C(O)-C6-15アルキル、例えば-C(O)-C9アルキルであるか;または、式Iの化合物におけるR1が、-C(O)-C1-5アルキル、例えば-C(O)-C3アルキルである、方法1.7;
【0043】
1.9. 式Iの化合物におけるR1が、-C(O)O-C1-21アルキル(例えば、-C(O)O-C1-5アルキル、-C(O)O-C6-15アルキルまたは-C(O)O-C16-21アルキル)であり、好ましくは、該アルキルが、飽和であっても不飽和であってもよく、1個以上のヒドロキシまたはC1-22アルコキシ(例えば、エトキシ)基で置換されていてもよい、直鎖であり、例えば、R1は、-C(O)O-C6アルキル、-C(O)O-C7アルキル、-C(O)O-C9アルキル、-C(O)O-C11アルキル、-C(O)O-C13アルキルまたは-C(O)O-C15アルキルであり、ここで、該化合物が加水分解して天然または非天然の飽和または不飽和脂肪酸の残基を形成し、例えば、該化合物が加水分解して、一方ではヒドロキシ化合物を形成し、他方ではオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸またはヘキサデカン酸を形成し);例えば、式Iの化合物におけるR1が、-C(O)O-C6-15アルキル、例えば-C(O)O-C9アルキルであるか;または式Iの化合物におけるR1が、-C(O)O-C1-5アルキル、例えば-C(O)O-C3アルキルである、方法1.7;
【0044】
1.10. 式Iの化合物が
【化5】
である、方法1または1.1~1.4のいずれかまたは1.6;
【0045】
1.11. 式Iの化合物が
【化6】
である、方法1または1.1~1.4のいずれかまたは1.6;
【0046】
1.12. 式Iの化合物が
【化7】
である、いずれかの前記方法1、1.3または1.5;
【0047】
1.13. 式Iの化合物が、トルエンスルホン酸付加塩(一トシル酸塩または二トシル酸塩)の形態であり、結晶性塩の形態であってもよい、方法1、または1.1~1.12のいずれか;
【0048】
1.14. 式Iの化合物が遊離塩基の形態である、方法1、または1.1~1.12のいずれか;
【0049】
1.15. 式Iの化合物が重水素化形態であり、例えば、特定の炭素結合水素原子についての重水素:プロチウム比が、天然同位体比よりも著しく高く、例えば少なくとも2倍、例えば少なくとも10倍高い、方法1、または1.1~1.14のいずれか;
【0050】
1.16. 式Iの化合物が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、例えばトルエンスルホン酸付加塩形態の、
【化8】
[式中、Dは、天然の重水素取り込みを実質的に超える(すなわち、実質的に0.0156%を超える)、例えば、60%を超えるか、または70%を超えるか、または80%を超えるか、または90%を超えるか、または95%を超えるか、または96%を超えるか、または97%を超えるか、または98%を超えるか、または99%を超える、水素位置を表す]
から選択される、方法1.15;
【0051】
1.17. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、トルエンスルホン酸付加塩(例えば、一トシル酸塩、二トシル酸塩、またはそれらの組み合わせ)の形態の、Xが-N(CH3)-であり、Yが-C(=O)-である、式Iの化合物である、いずれかの前記方法;
【0052】
1.18. 式Iの化合物が、一トシル酸塩約1~100mg、例えば、一トシル酸塩1~75mg、または1~60mg、または1~40mg、または1~30、または1~20mg、または1~10mg、または1~5mgに相当する一日量で投与される、方法1.17;
【0053】
1.19. 該方法が、一トシル酸塩1~100mg、例えば、一トシル酸塩1~75mg、または1~60mg、または1~40mg、または1~30mg、または1~20mg、または1~10mg、または1~5mgに相当する量の式Iの化合物、および薬学的に許容される希釈剤または担体を含む、経口投与用単位剤形、例えば錠剤またはカプセル剤の1日1回投与を含む、方法1.17;
【0054】
1.20. 該方法が、一トシル酸塩1~100mg、例えば一トシル酸塩1~75mg、または1~60mg、または1~40mg、または1~30mg、または1~20mg、または1~10mg、または1~5mgに相当する量の式Iの化合物、および薬学的に許容される希釈剤または担体を含む、皮下または経粘膜投与用単位剤形、例えば舌下または頬側口内崩壊錠またはフィルム剤の1日1回投与を含む、方法1.17;
【0055】
1.21. 一酸化窒素供与体が、硝酸エステル化合物(--O-NO2)または亜硝酸エステル化合物(-O-NO)である、方法1、または1.1~1.20のいずれか;
【0056】
1.22. 一酸化窒素供与体が、N-ニトロソ化合物(-N-NO)、S-ニトロソ化合物(-S-NO)、ジアゼニウムジオレート化合物(-N-(NO)=(NO)または-N-N(O)-N=O)、またはフロキサン化合物である、方法1、または1.1~1.20のいずれか;
【0057】
1.23. 一酸化窒素供与体が、インビボ酵素作用(例えば、生体内変換)により、例えば脱ニトロ化および/または還元によって、一酸化窒素を生成する化合物である、方法1、または1.1~1.22のいずれか;
【0058】
1.24. 一酸化窒素供与体が、酵素作用(例えば、生体内変化)なしに、例えば加水分解および/または自然分解によって、インビボで一酸化窒素を生成する化合物、例えばN-ニトロソ化合物またはその前駆体である、方法1、または1.1~1.22のいずれか;
【0059】
1.25. 一酸化窒素供与体が、硝酸エステルのプロドラッグ(例えば、インビボ加水分解または酵素作用により硝酸エステル化合物を放出する化合物)である、方法1、または1.1~1.24のいずれか;
【0060】
1.26. 一酸化窒素供与体が、ニトロプルシドナトリウム(SNP)、ニトログリセリン(三硝酸グリセリルまたはGTN)、硝酸アミル、二硝酸ジエチレングリコール、一硝酸イソソルビド(ISMN)、二硝酸イソソルビド(ISDN)、トシル酸イトラミン、四硝酸ペンタエリスリトール(PETN)、硝酸プロパチル、シニトロジル、テニトラミン、トロールニトラート、モルシドミン、リンシドミン、ナプロキシノド、亜硝酸アミル、ジエチルアミンジアゼニウムジオレート(DEA/NO)、ジエチルトリアミンジアゼニウムジオレート(DETA/NO)、スペルミンジアゼニウムジオレート(SPER/NO)、プロリンジアゼニウムジオレート(PROLI/NO)、ジプロピルトリアミンジアゼニウムジオレート(DPTA/NO)、メチルアミンヘキサメチレンメチルアミンジアゼニウムジオレート(MAHMA/NO)、プロピルアミンプロピルアミンジアゼニウムジオレート(PAPA/NOまたはNOC-15)、イソプロピルアミンプロピルアミンジアゼニウムジオレート(IPAPA/NOまたはNOC-5)、イソプロピルアミンジアゼニウムジオレート(IPA/NO)、ヘパリンジアゼニウムジオレート、ピロリジンジアゼニウムジオレート(PYRRO/NO)、O2-ビニル-1-(ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(V-PYRRO/NO)、O2-ビニル-1-イソプロピル-ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(V-IPA/NO)、O2-ビニル-[2-(カルボキシラト)ピロリジン-1-イル]ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(V-PROLI/NO)、O2-(2,4-ジニトロフェニル)-1-[(4-エトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル]ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(JS-K)、O2-ビニル-1-[(4-エトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル]ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート、O2-アセトキシメチル-イソプロピルジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(AcOM-IPA/NO)、S-ニトロソグルタチオン(GSNO)、S-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン(SNAP)、S-ニトロソ-N-バレリルペニシラミン(SNVP)、S-ニトロソ-N-アセチルシステイン(SNAC)、S-ニトロソアルブミン、およびNOハイブリッド薬(例えば、2-(アセチルオキシ)-安息香酸3-[(ニトロオキシ)メチル]フェニルエステル(NCX4016)、2-アセチルオキシ安息香酸5-ニトロオキシペンチル(NCX4215)、ニコランジル(硝酸2-ニコチンアミドエチル)、ニプラジロール(K-351)、NO-プラバスタチン、NO-フルバスタチン、NO-ロサルタン、NO-インドメタシン、NO-イブプロフェン、NO-スリンダク、NO-ナプロキセン、S-ニトロソ-ジクロフェナク、S-ニトロソ-カプトプリル)から選択される、方法1、または1.1~1.24のいずれか;
【0061】
1.27. さらに、例えば環状グアノシン一リン酸(cGMP)の産生を刺激するか分解を阻害することによって、一酸化窒素シグナル伝達経路を刺激する薬剤の投与を含む、いずれかの前記方法;
【0062】
1.28. 該薬剤が、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、例えば、PDE1および/またはPDE5阻害剤、好ましくは血液脳関門を通過するPDE阻害剤(例えば、ITI-214)である、方法1.27;
【0063】
1.29. 治療される状態が、精神病、例えば統合失調症(例えば、精神病の前駆症状、急性症状および/または残遺症状;または精神病の陰性症状および/または陽性症状)、妄想性障害(例えば、身体型)、精神病を伴う大うつ病、精神病症状を伴う双極性障害、短期精神病性障害(brief psychotic disorder)、統合失調症様障害、統合失調感情障害、または医学的状態または物質使用によって引き起こされる精神病である、いずれかの前記方法;
【0064】
1.30. 治療される状態が、(1)陰性症状、例えば、感情鈍麻、情動的引きこもり(emotional withdrawal)、対人関係不良(poor rapport)、消極的または無欲な引きこもり、抽象思考困難、会話の自発性と流暢さの欠如、および常同思考;ならびに(2)一般的な精神病理学症状、例えば、身体懸念、不安、自責の念、緊張、衒奇症(mannerisms)および不自然な姿勢(posturing)、うつ病、運動発達遅滞、非協力性、異常な思考内容、見当識障害、注意不足、判断と洞察の欠如、意思障害(disturbance of volition)、衝動制御不足、執着(preoccupation)および能動的社会的回避(active social avoidance);認知機能障害および睡眠障害(例えば、不眠症)から選択される精神病(例えば、統合失調症)の症状(例えば、残遺期症状)である、方法1.29;
【0065】
1.31. 治療される状態が、日常の探求に対する興味の欠如(loss of interest in usual pursuits)、友人および家族からの引きこもり、錯乱、集中のトラブル(trouble with concentration)、倦怠感およびアパシー(apathy)から選択される精神病(例えば、統合失調症)の症状(例えば、前駆期症状)である、方法1.29;
【0066】
1.32. 治療される状態が、陽性症状、例えば、妄想、幻覚および疑い深さから選択される精神病(例えば、統合失調症)の症状(例えば、活動期または急性期症状)である、方法1.29;
【0067】
1.33. 精神病(例えば、統合失調症)が、治療抵抗性精神病(例えば、治療抵抗性統合失調症)、例えば1種類以上の抗精神病薬による治療に反応しなかった精神病(または統合失調症)である、方法1.29~1.32;
【0068】
1.34. 1種類以上の抗精神病薬が、定型抗精神病薬(第一世代)、非定型抗精神病薬(第二世代)から選択される、方法1.33;
【0069】
1.35. 1種類以上の抗精神病薬が、アセプロマジン、アミスルプリド、アリピプラゾール、アセナピン、ベンペリドール、ブロナンセリン、ブレキシピプラゾール、ブロムペリドール、カリプラジン、カリプラジン、カルピプラミン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロカプラミン、クロペンチキソール、クロロテピン、クロチアピン、クロザピン、シアメマジン、ジキシラジン、ドロペリドール、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルスピリレン、ハロペリドール、イロペリドン、レボメプロマジン、ロキサピン、ルラシドン、メルペロン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、モペロン、モサプラミン、ネモナプリド、オランザピン、パリペリドン、ペンフルリドール、ペラジン、ペリシアジン、ペロスピロン、ピマバンセリン、ピモジド、ピパンペロン、ピポチアジン、プロクロルペラジン、プロマジン、プロチペンジル、クエチアピン、レモキシプリド、リスペリドン、セルチンドール、スルピリド、スルトプリド、チオプロペラジン、チオリダジン、チオチキセン、チミペロン、トリフルオペラジン、トリフルプロマジン、ベラリプリド、ジプラシドン、ゾテピン、およびズクロペンチキソールから選択される、方法1.33または1.34;
【0070】
1.36. 治療される状態が、不安、例えば急性不安(例えば、全般不安症、パニック症、限局性不安症または社会不安症または社会的回避に関連する短期不安エピソード)である、いずれかの前記方法;
【0071】
1.37. 治療される状態が、うつ病、例えば、急性うつ病(例えば、急性大うつ病エピソード、急性短期うつ病エピソード、急性反復性の短期うつ病エピソード(acute recurrent brief depressive episode))である、いずれかの前記方法;
【0072】
1.38. 治療される状態が、治療抵抗性うつ病、例えば1種類以上の抗うつ薬による治療に反応していないうつ病である、いずれかの前記方法;
【0073】
1.39. 1種類以上の抗うつ薬が、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン再取り込み阻害剤(SRI)、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、ドパミン再取り込み阻害剤(DRI)、SRI/NRI、SRI/DRI、NRI/DRI、SRI/NRI/DRI(トリプル再取り込み阻害剤)、セロトニン受容体アンタゴニスト、またはそれらの組み合わせ)から選択される、方法1.38;
【0074】
1.40. 1種類以上の抗うつ薬が、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、ベンラファキシン、デスベンラファキシン、デュロキセチン、レボミルナシプラン、ミルナシプラン、ビラゾドン、ボルチオキセチン、ネファゾドン、トラゾドン、アトモキセチン、レボキセチン、テニロキサジン、ビロキサジン、ブプロピオン、トフェナシン、アミトリプチリン、アミトリプチリンN-オキシド、クロミプラミン、デシプラミン、ジベンゼピン、ジメタクリン、ドスレピン、ドキセピン、イミプラミン、ロフェプラミン、メリトラセン、ニトロキサゼピン、ノルトリプチリン、ノキシプチリン、オピプラモール、ピポフェジン、プロトリプチリン、トリミプラミン、アモキサピン、マプロチリン、ミルタザピン、ミアンセリンおよびセチプチリンから選択される、方法1.38;
【0075】
1.41. 治療される状態が、双極性うつ病および大うつ病性障害から選択される、いずれかの前記方法;
【0076】
1.42. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドと一酸化窒素供与体が、固定配合剤単位剤形(fixed combination unit dosage form)で提供される、いずれかの前記方法;
【0077】
1.43. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドと一酸化窒素供与体が、同時にまたは順次(例えば、24時間以内に)投与される別々の医薬組成物で提供される、方法1、または1.1~1.41のいずれか;
【0078】
1.44. 患者が、本明細書で定義されるように、別の抗精神病薬または抗うつ剤による治療に反応しなかったか、または適切に反応しなかったか、または望ましくない副作用に苦しんでいる、いずれかの前記方法。
【0079】
1.45. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、5-HT2A受容体での活性(アゴニズムおよび/またはアンタゴニズム)について250nM未満のIC50または250nM未満のEC50、例えば、該受容体での活性(アゴニズムまたはアンタゴニズム)について200nM未満、または150nM未満、または100nM未満、または75nM未満、または60nM未満、または50nM未満、または40nM未満、または30nM未満、または20nM未満のIC50またはEC50を有する、いずれかの前記方法;
【0080】
1.46. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、D2受容体での活性(アゴニズムおよび/またはアンタゴニズム)について250nM未満のIC50または250nM未満のEC50、例えば、該受容体での活性(アゴニズムまたはアンタゴニズム)について200nM未満、または150nM未満、または100nM未満、または75nM未満、または60nM未満、または50nM未満、または40nM未満、または30nM未満、または20nM未満のIC50またはEC50を有する、いずれかの前記方法;
【0081】
1.47. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、D1受容体での活性(アゴニズムおよび/またはアンタゴニズム)について250nM未満のIC50または250nM未満のEC50、例えば、受容体での活性(アゴニズムまたはアンタゴニズム)について200nM未満、または150nM未満、または100nM未満、または75nM未満、または60nM未満、または50nM未満、または40nM未満、または30nM未満、または20nM未満のIC50またはEC50を有する、いずれかの前記方法;
【0082】
1.48. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、セロトニン輸送体(SERT)での活性(アゴニズムおよび/またはアンタゴニズム)について250nM未満のIC50または250nM未満のEC50、例えば、該輸送体での活性(アゴニズムまたはアンタゴニズム)について200nM未満、または150nM未満、または100nM未満、または75nM未満、または60nM未満、または50nM未満、または40nM未満、または30nM未満、または20nM未満のIC50またはEC50を有する、いずれかの前記方法;
【0083】
1.49. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドおよび/または一酸化窒素供与体が、例えば筋肉注射用または皮下注射用の、長時間作用型注射用(LAI)組成物の剤形で投与される、いずれかの前記方法;
【0084】
1.50. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが式Iの化合物であり、LAI組成物が、約1週間~約3か月間、例えば、約1週間~約8週間、または約1週間~約6週間、または約1週間~約4週間、または約1週間~約3週間、または約1週間~約2週間の範囲の期間にわたって放出される遊離塩基1~100mg、例えば、遊離塩基1~75mg、または1~60mg、または1~40mg、または1~20mg、または1~10mgの1日量に相当する量を提供するのに十分な量の該化合物を含む、方法1.49;
【0085】
1.51. LAI組成物が、ポリマーマトリックスに溶解、分散、懸濁またはカプセル化された式Iの化合物を含む、方法1.50;
【0086】
1.52. ポリマーマトリックスが、本明細書で定義される1種類以上の生体適合性および生分解性ポリマー、例えばポリ(ヒドロキシカルボン酸)、ポリ(アミノ酸)、セルロースポリマー、変性セルロースポリマー、ポリアミドおよびポリエステルを含む、方法1.51;
【0087】
1.53. 該1種類以上のポリマーが、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(クエン酸)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(β-ヒドロキシ酪酸)、ポリ(乳酸-グリコール酸)コポリマー、2-ヒドロキシ酪酸-グリコール酸コポリマー、ポリ乳酸-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリグリコール酸-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリ(ブチルシアノアクリレート)またはポリ(2-オクチルシアノアクリレート)などのポリ(アルキルα-シアノアクリレート)、ポリ(オルトエステル)、ポリカーボネート、ポリオルト-カーボネート、ポリアミノ酸、(例えば、ポリ-γ-L-アラニン、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタミン酸またはポリ-γ-メチル-L-グルタミン酸)、および/またはヒアルロン酸エステルを含む、方法1.52;
【0088】
1.54. 該1種類以上のポリマーが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(クエン酸)、ポリ(リンゴ酸)、またはポリ(乳酸-グリコール酸)コポリマーを含む、方法1.53;
【0089】
1.55. 該1種類以上のポリマーが、ポリ(乳酸-グリコール酸)コポリマー、例えば、ポリ-d,l-ラクチド-co-グリコリドを含む、方法1.53;
【0090】
1.56. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドと一酸化窒素供与体が、抗うつ薬、抗精神病薬または抗不安薬と並行して(concurrently)、または併用して(in conjunction with)投与されない、いずれかの前記方法。
【0091】
別の態様では、本開示は、精神病、うつ病および/または不安の治療において用いるための、例えば方法1以降のいずれかにおいて用いるための、一酸化窒素供与体、例えばSNPと組み合わせた、5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンド、例えば、遊離形態または塩形態の、重水素化形態であってもよい、本明細書において前記したような、式Iの化合物、例えばルマテペロンを提供する。
【0092】
別の態様では、本開示は、精神病、うつ病および/または不安の治療のための、例えば、方法1以降のいずれかのための医薬の製造において用いるための、一酸化窒素供与体、例えばSNPと組み合わせた、5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンド、例えば、遊離形態または塩形態の、重水素化形態であってもよい、本明細書において前記したような、式Iの化合物、例えばルマテペロンの使用を提供する。
【0093】
別の態様では、本発明は、例えば精神病、うつ病および/または不安の治療のための、例えば方法1以降のいずれかのための、(i)5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンド、例えば、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、本明細書に記載の置換複素環縮合γカルボリンの有効量、および(ii)一酸化窒素供与体、例えばSNPの有効量を含む、医薬組成物(組成物1)を提供する。例えば、組成物1は、以下のとおりであり得る:
【0094】
1.1. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の、重水素化形態であってもよい、式I:
【化9】
[式中、
Xは、-N(H)-、-N(CH3)-または-O-であり;
Yは、-C(=O)-、-C(H)(OH)-または-C(H)(OR1)-であり;
1は、-C(O)-C1-21アルキルまたは-C(O)O-C1-21アルキルである]
で示される置換複素環縮合γカルボリン化合物である、組成物1。
【0095】
1.2. 式Iの化合物におけるXが-N(H)である、組成物1または1.1;
【0096】
1.3. 式Iの化合物におけるXが-N(CH3)-である、組成物1または1.1;
【0097】
1.4. 式Iの化合物におけるXが-O-である、組成物1または1.1;
【0098】
1.5. 式Iの化合物におけるYが-C(=O)-である、組成物1、または式1.1~1.4のいずれか;
【0099】
1.6. 式Iの化合物におけるYが-C(H)(OH)-である、組成物1、または式1.1~1.4のいずれか;
【0100】
1.7. 式Iの化合物におけるYが-C(H)(OR1)-である、組成物1、または式1.1~1.4のいずれか;
【0101】
1.8. 式Iの化合物におけるR1が-C(O)-C1-21アルキル(例えば、-C(O)-C1-5アルキル、-C(O)-C6-15アルキルまたは-C(O)-C16-21アルキル)であり、好ましくは、該アルキルが、飽和であっても不飽和であってもよく、1個以上のヒドロキシまたはC1-22アルコキシ(例えば、エトキシ)基で置換されていてもよい、直鎖であり、例えば、R1が、-C(O)-C6アルキル、-C(O)-C7アルキル、-C(O)-C9アルキル、-C(O)-C11アルキル、-C(O)-C13アルキルまたは-C(O)-C15アルキルであり、ここで、該化合物が加水分解して天然または非天然の飽和または不飽和脂肪酸の残基を形成し、例えば、該化合物が加水分解して、一方ではヒドロキシ化合物を形成し、他方ではオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸またはヘキサデカン酸を形成し);例えば、式Iの化合物におけるR1が、-C(O)-C6-15アルキル、例えば-C(O)-C9アルキルであるか;または、式Iの化合物におけるR1が、-C(O)-C1-5アルキル、例えば-C(O)-C3アルキルである、組成物1.7;
【0102】
1.9. 式Iの化合物におけるR1が、-C(O)O-C1-21アルキル(例えば、-C(O)O-C1-5アルキル、-C(O)O-C6-15アルキルまたは-C(O)O-C16-21アルキル)であり、好ましくは、該アルキルが、飽和であっても不飽和であってもよく、1個以上のヒドロキシまたはC1-22アルコキシ(例えば、エトキシ)基で置換されていてもよい、直鎖であり、例えば、R1は、-C(O)O-C6アルキル、-C(O)O-C7アルキル、-C(O)O-C9アルキル、-C(O)O-C11アルキル、-C(O)O-C13アルキルまたは-C(O)O-C15アルキルであり、ここで、該化合物が加水分解して天然または非天然の飽和または不飽和脂肪酸の残基を形成し、例えば、該化合物が加水分解して、一方ではヒドロキシ化合物を形成し、他方ではオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸またはヘキサデカン酸を形成し);例えば、式Iの化合物におけるR1が、-C(O)O-C6-15アルキル、例えば-C(O)O-C9アルキルであるか;または、式Iの化合物におけるR1が、-C(O)O-C1-5アルキル、例えば-C(O)O-C3アルキルである、組成物1.7;
【0103】
1.10. 式Iの化合物が、
【化10】
である、組成物1または1.1~1.4のいずれかまたは1.6;
【0104】
1.11. 式Iの化合物が、
【化11】
である、組成物1または1.1~1.4のいずれかまたは1.6;
【0105】
1.12. 式Iの化合物が、
【化12】
である、組成物1、1.3または1.5;
【0106】
1.13. 式Iの化合物が、トルエンスルホン酸付加塩(例えば、一トシル酸塩または二トシル酸塩)の形態であり、結晶性塩形態であってもよい、組成物1、または1.1~1.12のいずれか;
【0107】
1.14. 式Iの化合物が遊離塩基の形態である、組成物1、または1.1~1.12のいずれか;
【0108】
1.15. 式Iの化合物が重水素化形態であり、例えば、特定の炭素結合水素原子についての重水素:プロチウム比が、天然同位体比よりも著しく高く、例えば少なくとも2倍、例えば少なくとも10倍高い、組成物1、または1.1~1.14のいずれか;
【0109】
1.16. 式Iの化合物が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、例えばトルエンスルホン酸付加塩形態の、
【化13】
[式中、Dは、天然の重水素取り込みを実質的に超える(すなわち、実質的に0.0156%を超える)、例えば、60%を超えるか、または70%を超えるか、または80%を超えるか、または90%を超えるか、または95%を超えるか、または96%を超えるか、または97%を超えるか、または98%を超えるか、または99%を超える、水素位置を表す]
から選択される、組成物1.15;
【0110】
1.17. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、トルエンスルホン酸付加塩(例えば、一トシル酸塩、二トシル酸塩、またはそれらの組み合わせ)の形態の、Xが-N(CH3)-であり、Yが-C(=O)-である、式Iの化合物である、いずれかの前記組成物;
【0111】
1.18. 該組成物が、一トシル酸塩約1~100mg、例えば、一トシル酸塩1~75mg、または1~60mg、または1~40mg、または1~30、または1~20mg、または1~10mg、または1~5mgに相当する一日量の式Iの化合物を含む、組成物1.17;
【0112】
1.19. 該組成物が、一トシル酸塩1~100mg、例えば、一トシル酸塩1~75mg、または1~60mg、または1~40mg、または1~30mg、または1~20mg、または1~10mg、または1~5mgに相当する量の式Iの化合物と、薬学的に許容される希釈剤または担体を含む、経口投与用単位剤形、例えば錠剤またはカプセル剤である、組成物1.17;
【0113】
1.20. 単位剤形が、皮下または経粘膜投与用に製剤化され、例えば、一トシル酸塩1~100mg、例えば、一トシル酸塩1~75mg、または1~60mg、または1~40mg、または1~30mg、または1~20mg、または1~10mg、または1~5mgに相当する量の式Iの化合物と、薬学的に許容される希釈剤または担体を含む、舌下または頬側口内崩壊錠またはフィルム剤である、組成物1.17;
【0114】
1.21. 一酸化窒素供与体が硝酸エステル化合物(--O-NO2)または亜硝酸エステル化合物(-O-NO)である、組成物1、または1.1~1.20のいずれか;
【0115】
1.22. 一酸化窒素供与体が、N-ニトロソ化合物(-N-NO)、S-ニトロソ化合物(-S-NO)、ジアゼニウムジオレート化合物(-N-(NO)=(NO)または-N-N(O)-N=O)、またはフロキサン化合物である、組成物1、または1.1~1.20のいずれか;
【0116】
1.23. 一酸化窒素供与体が、インビボ酵素作用(例えば、生体内変換)により、例えば脱ニトロ化および/または還元によって、一酸化窒素を生成する化合物である、組成物1、または1.1~1.22のいずれか;
【0117】
1.24. 一酸化窒素供与体が、酵素作用(例えば、生体内変化)なしに、例えば加水分解および/または自然分解によって、インビボで一酸化窒素を生成する化合物、例えばN-ニトロソ化合物またはその前駆体である、組成物1、または1.1~1.22のいずれか;
【0118】
1.25. 一酸化窒素供与体が、硝酸アルキルのプロドラッグ(例えば、インビボ加水分解または酵素作用により硝酸アルキルを放出する化合物)である、組成物1、または1.1~1.24のいずれか;
【0119】
1.26. 一酸化窒素供与体が、ニトロプルシドナトリウム(SNP)、ニトログリセリン(三硝酸グリセリルまたはGTN)、硝酸アミル、二硝酸ジエチレングリコール、一硝酸イソソルビド(ISMN)、二硝酸イソソルビド(ISDN)、トシル酸イトラミン、四硝酸ペンタエリスリトール(PETN)、硝酸プロパチル、シニトロジル、テニトラミン、トロールニトラート、モルシドミン、リンシドミン、ナプロキシノド、亜硝酸アミル、ジエチルアミンジアゼニウムジオレート(DEA/NO)、ジエチルトリアミンジアゼニウムジオレート(DETA/NO)、スペルミンジアゼニウムジオレート(SPER/NO)、プロリンジアゼニウムジオレート(PROLI/NO)、ジプロピルトリアミンジアゼニウムジオレート(DPTA/NO)、メチルアミンヘキサメチレンメチルアミンジアゼニウムジオレート(MAHMA/NO)、プロピルアミンプロピルアミンジアゼニウムジオレート(PAPA/NOまたはNOC-15)、イソプロピルアミンプロピルアミンジアゼニウムジオレート(IPAPA/NOまたはNOC-5)、イソプロピルアミンジアゼニウムジオレート(IPA/NO)、ヘパリンジアゼニウムジオレート、ピロリジンジアゼニウムジオレート(PYRRO/NO)、O2-ビニル-1-(ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(V-PYRRO/NO)、O2-ビニル-1-イソプロピル-ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(V-IPA/NO)、O2-ビニル-[2-(カルボキシラト)ピロリジン-1-イル]ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(V-PROLI/NO)、O2-(2,4-ジニトロフェニル)-1-[(4-エトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル]ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(JS-K)、O2-ビニル-1-[(4-エトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル]ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート、O2-アセトキシメチル-イソプロピルジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(AcOM-IPA/NO)、S-ニトロソグルタチオン(GSNO)、S-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン(SNAP)、S-ニトロソ-N-バレリルペニシラミン(SNVP)、S-ニトロソ-N-アセチルシステイン(SNAC)、S-ニトロソアルブミン、およびNOハイブリッド薬(例えば、2-(アセチルオキシ)-安息香酸3-[(ニトロオキシ)メチル]フェニルエステル(NCX4016)、2-アセチルオキシ安息香酸5-ニトロオキシペンチル(NCX4215)、ニコランジル(硝酸2-ニコチンアミドエチル)、ニプラジロール(K-351)、NO-プラバスタチン、NO-フルバスタチン、NO-ロサルタン、NO-インドメタシン、NO-イブプロフェン、NO-スリンダク、NO-ナプロキセン、S-ニトロソ-ジクロフェナク、S-ニトロソ-カプトプリル)から選択される、組成物1、または1.1~1.24のいずれか。
【0120】
1.27. 該組成物が、精神病、うつ病および/または不安、またはルマテペロンが効果的であることが示されている他のCNS障害の治療のために製剤化されている、いずれかの前記組成物;
【0121】
1.28. 治療される状態が、精神病、例えば統合失調症(例えば、精神病の前駆症状、急性症状および/または残遺症状;または精神病の陰性症状および/または陽性症状)、妄想性障害(例えば、身体型)、精神病を伴う大うつ病、精神病症状を伴う双極性障害、短期精神病性障害(brief psychotic disorder)、統合失調症様障害、統合失調感情障害、または医学的状態または物質使用によって引き起こされる精神病である、組成物1.27;
【0122】
1.29. 治療される状態が、(1)陰性症状、例えば、感情鈍麻、情動的引きこもり(emotional withdrawal)、対人関係不良(poor rapport)、消極的または無欲な引きこもり、抽象思考困難、会話の自発性と流暢さの欠如、および常同思考;ならびに(2)一般的な精神病理学症状、例えば、身体懸念、不安、自責の念、緊張、衒奇症(mannerisms)および不自然な姿勢(posturing)、うつ病、運動発達遅滞、非協力性、異常な思考内容、見当識障害、注意不足、判断と洞察の欠如、意思障害(disturbance of volition)、衝動制御不足、執着(preoccupation)および能動的社会的回避(active social avoidance);認知機能障害および睡眠障害(例えば、不眠症)から選択される精神病(例えば、統合失調症)の症状(例えば、残遺期症状)である、組成物1.27。
【0123】
1.30. 治療される状態が、日常の探求に対する興味の欠如(loss of interest in usual pursuits)、友人および家族からの引きこもり、錯乱、集中のトラブル(trouble with concentration)、倦怠感およびアパシー(apathy)から選択される精神病(例えば、統合失調症)の症状(例えば、前駆期症状)である、組成物1.27。
【0124】
1.31. 治療される状態が、陽性症状、例えば、妄想、幻覚および疑い深さから選択される精神病(例えば、統合失調症)の症状(例えば、活動期または急性期症状)である、組成物1.27;
【0125】
1.32. 精神病(例えば、統合失調症)が、治療抵抗性精神病(例えば、治療抵抗性統合失調症)、例えば、1種類以上の抗精神病薬による治療に反応しなかった精神病(または統合失調症)である、組成物1.27~1.31;
【0126】
1.33. 1種類以上の抗精神病薬が、定型抗精神病薬(第一世代)、非定型抗精神病薬(第二世代)から選択される、組成物1.32;
【0127】
1.34. 1種類以上の抗精神病薬が、アセプロマジン、アミスルプリド、アリピプラゾール、アセナピン、ベンペリドール、ブロナンセリン、ブレキシピプラゾール、ブロムペリドール、カリプラジン、カリプラジン、カルピプラミン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロカプラミン、クロペンチキソール、クロロテピン、クロチアピン、クロザピン、シアメマジン、ジキシラジン、ドロペリドール、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルスピリレン、ハロペリドール、イロペリドン、レボメプロマジン、ロキサピン、ルラシドン、メルペロン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、モペロン、モサプラミン、ネモナプリド、オランザピン、パリペリドン、ペンフルリドール、ペラジン、ペリシアジン、ペロスピロン、ピマバンセリン、ピモジド、ピパンペロン、ピポチアジン、プロクロルペラジン、プロマジン、プロチペンジル、クエチアピン、レモキシプリド、リスペリドン、セルチンドール、スルピリド、スルトプリド、チオプロペラジン、チオリダジン、チオチキセン、チミペロン、トリフルオペラジン、トリフルプロマジン、ベラリプリド、ジプラシドン、ゾテピン、およびズクロペンチキソールから選択される、組成物1.32または1.33;
【0128】
1.35. 治療される状態が、不安、例えば急性不安(例えば、全般不安症、パニック症、限局性不安症または社会不安症または社会的回避に関連する短期不安エピソード)である、組成物1.27~1.34;
【0129】
1.36. 治療される状態が、うつ病、例えば、急性うつ病(例えば、急性大うつ病エピソード、急性短期うつ病エピソード、急性反復性の短期うつ病エピソード(acute recurrent brief depressive episode))である、組成物1.27~1.35;
【0130】
1.37. 治療される状態が、治療抵抗性うつ病、例えば1種類以上の抗うつ薬による治療に反応していないうつ病である、組成物1.27~1.36;
【0131】
1.38. 1種類以上の抗うつ薬が、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン再取り込み阻害剤(SRI)、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)、ドパミン再取り込み阻害剤(DRI)、SRI/NRI、SRI/DRI、NRI/DRI、SRI/NRI/DRI(トリプル再取り込み阻害剤)、セロトニン受容体アンタゴニスト、またはそれらの組み合わせ)から選択される、組成物1.37;
【0132】
1.39. 1種類以上の抗うつ薬が、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、ベンラファキシン、デスベンラファキシン、デュロキセチン、レボミルナシプラン、ミルナシプラン、ビラゾドン、ボルチオキセチン、ネファゾドン、トラゾドン、アトモキセチン、レボキセチン、テニロキサジン、ビロキサジン、ブプロピオン、トフェナシン、アミトリプチリン、アミトリプチリンN-オキシド、クロミプラミン、デシプラミン、ジベンゼピン、ジメタクリン、ドスレピン、ドキセピン、イミプラミン、ロフェプラミン、メリトラセン、ニトロキサゼピン、ノルトリプチリン、ノキシプチリン、オピプラモール、ピポフェジン、プロトリプチリン、トリミプラミン、アモキサピン、マプロチリン、ミルタザピン、ミアンセリンおよびセチプチリンから選択される、組成物1.37;
【0133】
1.40. 治療される状態が、双極性うつ病および大うつ病性障害から選択される、組成物1.27~1.39;
【0134】
1.41. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドと一酸化窒素供与体が、固定配合剤単位剤形(fixed combination unit dosage form)で提供される、いずれかの前記組成物;
【0135】
1.42. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、5-HT2A受容体での活性(アゴニズムおよび/またはアンタゴニズム)について250nM未満のIC50または250nM未満のEC50、例えば、該受容体での活性(アゴニズムまたはアンタゴニズム)について200nM未満、または150nM未満、または100nM未満、または75nM未満、または60nM未満、または50nM未満、または40nM未満、または30nM未満、または20nM未満のIC50またはEC50を有する、いずれかの前記組成物;
【0136】
1.43. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、D2受容体での活性(アゴニズムおよび/またはアンタゴニズム)について250nM未満のIC50または250nM未満のEC50、例えば、該受容体での活性(アゴニズムまたはアンタゴニズム)について200nM未満、または150nM未満、または100nM未満、または75nM未満、または60nM未満、または50nM未満、または40nM未満、または30nM未満、または20nM未満のIC50またはEC50を有する、いずれかの前記組成物;
【0137】
1.44. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、D1受容体での活性(アゴニズムおよび/またはアンタゴニズム)について250nM未満のIC50または250nM未満のEC50、例えば、該受容体での活性(アゴニズムまたはアンタゴニズム)について200nM未満、または150nM未満、または100nM未満、または75nM未満、または60nM未満、または50nM未満、または40nM未満、または30nM未満、または20nM未満のIC50またはEC50を有する、いずれかの前記組成物;
【0138】
1.45. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが、セロトニン輸送体(SERT)での活性(アゴニズムおよび/またはアンタゴニズム)について250nM未満のIC50または250nM未満のEC50、例えば、該輸送体での活性(アゴニズムまたはアンタゴニズム)について200nM未満、または150nM未満、または100nM未満、または75nM未満、または60nM未満、または50nM未満、または40nM未満、または30nM未満、または20nM未満のIC50またはEC50を有する、いずれかの前記組成物;
【0139】
1.46. 例えば筋肉注射用または皮下注射用の、長時間作用型注射用(LAI)組成物の剤形である、いずれかの前記組成物;
【0140】
1.47. 5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドが式Iの化合物であり、LAI組成物が、約1週間~約3か月間、例えば、約1週間~約8週間、または約1週間~約6週間、または約1週間~約4週間、または約1週間~約3週間、または約1週間~約2週間の範囲の期間にわたって放出される遊離塩基1~100mg、例えば、遊離塩基1~75mg、または1~60mg、または1~40mg、または1~20mg、または1~10mgの1日量に相当する量を提供するのに十分な量の該化合物を含む、組成物1.46;
【0141】
1.48. LAI組成物が、ポリマーマトリックスに溶解、分散、懸濁またはカプセル化された式Iの化合物を含む、組成物1.47;
【0142】
1.49. ポリマーマトリックスが、本明細書で定義される1種類以上の生体適合性および生分解性ポリマー、例えばポリ(ヒドロキシカルボン酸)、ポリ(アミノ酸)、セルロースポリマー、変性セルロースポリマー、ポリアミドおよびポリエステルを含む、組成物1.48;
【0143】
1.50. 該1種類以上のポリマーが、ポリ乳酸、ポリ(グリコール酸)、ポリ(クエン酸)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(β-ヒドロキシ酪酸)、ポリ(乳酸-グリコール酸)コポリマー、2-ヒドロキシ酪酸-グリコール酸コポリマー、ポリ乳酸-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリグリコール酸-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリ(ブチルシアノアクリレート)またはポリ(2-オクチルシアノアクリレート)などのポリ(アルキルα-シアノアクリレート)、ポリ(オルトエステル)、ポリカーボネート、ポリオルト-カーボネート、ポリアミノ酸、(例えば、ポリ-γ-L-アラニン、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタミン酸またはポリ-γ-メチル-L-グルタミン酸)、および/またはヒアルロン酸エステルを含む、組成物1.49;
【0144】
1.51. 該1種類以上のポリマーが、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(クエン酸)、ポリ(リンゴ酸)、またはポリ(乳酸-グリコール酸)コポリマーを含む、組成物1.49;
【0145】
1.52. 該1種類以上のポリマーが、ポリ(乳酸-グリコール酸)コポリマー、例えば、ポリ-d,l-ラクチド-co-グリコリドを含む、組成物1.49。
【0146】
用語「5-HT2A受容体リガンド」とは、少なくともセロトニン5-HT2A受容体での薬理学的活性を示す化合物、例えば、該受容体での活性(アゴニズムおよび/またはアンタゴニズム)について250nM未満のIC50または250nM未満のEC50を有する化合物をいう。いくつかの実施態様では、この用語は、該受容体での活性(アゴニズムまたはアンタゴニズム)について200nM未満、または150nM未満、または100nM未満、または75nM未満、または60nM未満、または50nM未満、または40nM未満、または30nM未満、または20nM未満のIC50またはEC50を有する化合物をいう。
【0147】
用語「5-HT2A/D2受容体リガンド」とは、少なくともセロトニン5-HT2A受容体とD2受容体の両方で薬理学的活性を示す化合物、例えば、受容体の各々での活性(アゴニズムおよび/またはアンタゴニズム)について250nM未満のIC50または250nM未満のEC50を有する化合物をいう。いくつかの実施態様では、この用語は、これらの受容体の1つまたは両方での活性(アゴニズムまたはアンタゴニズム)について200nM未満、または150nM未満、または100nM未満、または75nM未満、または60nM未満、または50nM未満、または40nM未満、または30nM未満、または20nM未満のIC50またはEC50を有する化合物をいう。
【0148】
用語「治療」および「治療する」は、それに応じて、疾患の予防および治療または寛解、ならびに/または疾患の原因の治療を包含するものとして理解されるべきである。特定の実施態様では、用語「治療」および「治療すること」とは、該疾患の症状の予防または寛解をいう。
【0149】
用語「患者」とは、ヒト患者または非ヒト患者を包含し得る。
【0150】
精神障害の診断と統計マニュアル第5版(「DSM-5」)は、精神病性障害と呼ばれる障害のクラスを含んでおり、これらとしては、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害(brief psychotic disorder)、別の状態に起因する精神病性障害、物質もしくは医薬誘発性精神病性障害、および特定不能の統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害が挙げられる。
【0151】
DSM-5は、統合失調症を、妄想、幻覚、解体した会話(頻繁な脱線または滅裂)、解体したまたは緊張病性の行動、および陰性症状(例えば、感情表現の低下)によって特徴づけられると定義している。臨床医が統合失調症と診断するためには、一連の特定症状のうち少なくとも2つが、少なくとも合計6か月間存在し、少なくとも1か月間活発に存在する(活動期の症状)必要がある。さらに、障害の発生からかなりの期間、仕事もしくは学業、対人関係、または自己管理などの社会的または職業的機能の少なくとも1つの主要な領域で機能障害がなければならない。活動期の症状を除いて基本的な基準を満たす患者は、前駆期または残遺期を経験していると言われる。この2つの期の期間では、障害の徴候はしばしば陰性症状のみに限定される。
【0152】
DSM5は、「大うつ病性障害」(MDD)を、一連の症状のうち5つ以上が同一の2週間の間に存在し、その症状が患者の病前の機能からの変化を表していると定義している。5つの症状は、抑うつ気分、ほとんどすべての活動に対する興味または喜びの著しい減退、著しい体重変化、不眠(insomnia)または不眠(hyposomnia)、精神運動性の激越または遅延、疲労、無価値観または過剰な罪悪感、思考能力低下または決断困難、および死についての反復思考または自殺念慮から選択され、これらの症状のそれぞれがほぼ毎日存在している。MDDの診断には、該5つの症状の1つとして、少なくとも抑うつ気分または興味および喜びの喪失を必要とする。MDDは、数週間または数か月の間隔であり得る1つ以上の「大うつ病エピソード」からなり得る(別々のエピソードとして認められるには2週間以上の間隔が必要)。DSM-5では、大うつ病エピソードの間は常に自殺行為の危険性があることを指摘している。
【0153】
MDDは、その性質上、DSM-5が、患者がMDDと同じ症状の多くを有するが少なくとも2年間持続する「持続性うつ病性障害」と区別する限りにおいて、急性障害である。MDDに加えて、DSM-5はまた、「短期間型抑うつエピソード」を、抑うつ感情とMDDを定義する他の症状のうち少なくとも4つが少なくとも4日間であって14日間未満続くものと定義している。DSMは、さらに、「反復性短期うつ病」を、抑うつ気分とうつ病の少なくとも4つの他の症状が、少なくとも1か月に1回、2~13日間、並行して存在し、少なくとも連続12か月間持続すると定義している。したがって、反復性短期うつ病も同様に、定期的に繰り返されるうつ病の短いエピソードから構成されている。
【0154】
DSM-5はまた、双極性障害に罹患している患者の診断基準の一つとして、大うつ病エピソードを含んでいる。したがって、大うつ病エピソードを呈する患者は、大うつ病性障害または双極性障害のいずれかに罹患している可能性がある。
【0155】
DSM-5は、全般不安症、パニック症、社会不安症、および限局性不安症を含む様々な不安障害を定義している。上述したうつ病性障害と同様に、不安障害は、慢性障害の経過にわたって持続する可能性がある、パニック発作のような短い期間の反復性エピソードによって特徴付けることができる。例えば、全般不安症は、DSM-5によって、多くの出来事または活動について、少なくとも6か月間、そうでない日よりも多く過剰な不安および心配が起こることが必要であると定義されている。パニック発作は、数分以内にピークに達する激しい恐怖または強烈な不快感の急激な高まりと定義されるが、予期した刺激または予期せぬ刺激のいずれかに反応して繰り返し起こることがある。したがって、上記のうつ病性障害と同様に、不安またはパニックの症状を治療できる速効型抗不安薬が必要とされているが、不安障害の最も一般的な治療薬のいくつかは、緩和を提供するまでに2~4週間かかるSSRIおよび他の抗うつ薬である。
【0156】
社会的回避は、不安障害、特に社会不安症を患っている患者、および外傷性不安障害を患っている患者において、重大な衰弱性症状であり得る。社会的回避は、しばしば、重度の不安障害を有する人が家族関係または雇用関係を維持することができるかどうかの重要な決定要因の1つである。予想外にも、ルマテペロンなどの5-HT2Aおよびドパミン受容体活性を有する特定の置換縮合γカルボリンが、精神障害の情動経験症状(例えば、統合失調症患者の情動経験陰性症状)の治療に有効であることが発見された。統合失調症の陰性症状は、情動経験(例えば、感情的引きこもり(emotional withdrawal)、受動的引きこもり、能動的社会的回避(active social avoidance))と情動発現(例えば、感情鈍麻(blunted effect)、対人関係不良(poor rapport)、自発性の欠如、および運動発達遅滞)の2つのカテゴリーに分けることができる。急性増悪した統合失調症患者の2つの臨床試験において、ルマテペロン1日1回(60mg P.O.)を最長28日間投与したところ、プラセボと比較して情動経験の症状が有意かつ予想外に改善された。これらは、対人機能と最も高い相関を有する症状である。このように、式Iの化合物を含む該化合物は、社会不安症などの他の精神障害、または社会的引きこもりおよび社会的回避を症状とする他の精神疾患の情動経験症状の治療に非常に有効であり得る。
【0157】
別段の指定がない場合、または文脈から明らかでない場合、本明細書における以下の用語は、以下の意味を有する:
【0158】
「アルキル」は、本明細書で用いられる場合、他に特記しない限り、直鎖または分枝鎖(例えば、n-ブチルまたはtert-ブチル)、好ましくは直鎖であってよい、例えば1~21炭素原子長の、飽和または不飽和炭化水素部分である。例えば、「C1-21アルキル」は、1~21個の炭素原子を有するアルキルを意味する。一の実施態様では、アルキルは、1個以上のヒドロキシまたはC1-22アルコキシ(例えば、エトキシ)基で置換されていてもよい。別の実施態様では、アルキルは、1~21個の炭素原子を含有し、好ましくは直鎖であり、飽和であっても不飽和であってもよく、例えば、R1は、例えば結合している-C(O)-と一緒に、例えば式Iの化合物から開裂した場合には、天然または非天然の飽和または不飽和脂肪酸の残基を形成することができるような、1~21個の炭素原子、好ましくは6~15個の炭素原子、16~21個の炭素原子を含有するアルキル鎖である。
【0159】
5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンド、例えば本明細書に記載の置換複素環縮合γカルボリンは、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態であり得る。薬学的に許容される塩としては、式Iの化合物の場合には、例えばトシル酸塩が挙げられる。塩の用量または量が重量、例えば1日あたりのミリグラムまたは単位用量あたりのミリグラムで示されている場合、該塩の該用量は、他に特記しない限り、対応する遊離塩基の重量として示される。
【0160】
本明細書に記載のありとあらゆる実施態様において、5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドは、SERTリガンドでもあり得、すなわち、該化合物は、5-HT2A/SERTまたは5-HT2A/D2/SERT受容体リガンドであり得る。
【0161】
本明細書に記載のありとあらゆる実施態様において、5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドは、オピオイド受容体活性を有しないものまたは実質的に有しないもの(例えば、例えば50nMを超えるかまたは100nMを超えるかまたは150nMを超えるIC50を有する、μオピオイド受容体活性を有しないものまたは実質的に有しないもの)であり得る。
【0162】
5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドは、いくつかの場合、プロドラッグ形態でも存在し得る。プロドラッグ形態は、体内で活性化合物に変換する化合物である。例えば、ヒドロキシ置換基またはカルボキシ置換基を含む化合物は生理学的に加水分解可能で許容されるエステルを形成し得る。本明細書で用いる場合、「生理学的に加水分解可能で許容されるエステル」とは、生理学的条件下で加水分解して、酸(ヒドロキシ置換基を有する化合物の場合)またはアルコール(カルボキシ置換基を有する化合物の場合)を生成するエステルであって、投与されるべき用量でそれ自体が生理学的に許容されるエステルを意味する。例えば、式Iの化合物のYが-C(H)(OR1)であり、R1が-C(O)-C1-21アルキル、例えば-C(O)-C3アルキルまたは-C(O)-C9アルキルである場合、これらの化合物は、生理学的条件下で加水分解して、Yが、一方では-C(H)(OH)、他方ではC1-21アルキル-C(O)OH、例えばC3アルキル-C(O)OHまたはC9アルキル-C(O)OHである式Iの化合物を生成することができる。したがって、理解されるように、この用語は、慣用の医薬プロドラッグ形態を包含する。プロドラッグ(例えば、R1が-C(O)-C1-21アルキルである式(I)の化合物)を使用する場合、投与量は、遊離塩基形態の、Yが-C(=O)-または-CH(OH)-である式(I)の化合物の量に基づいて算出される。
【0163】
一酸化窒素供与体としては、硝酸アルキル基を有する化合物、亜硝酸アルキル基を有する化合物、S-ニトロソ化合物、N-ニトロソ化合物、ジアゼニウムジオレート、およびフロキサン化合物が挙げられる。いくつかの実施態様では、一酸化窒素供与体は、インビボで自発的に、すなわち、非酵素的加水分解、分解、または他のメカニズムを介して、一酸化窒素を生成する化合物である。他の実施態様では、一酸化窒素供与体は、生物活性化などの一酸化窒素を放出するための酵素作用を必要とする化合物である。例えば、典型的な硝酸アルキルエステル(R-O-NO2)などのC-ニトロソ化合物は、インビボでNOを生成するために、還元、脱ニトロ化および/または他のステップなどの酵素作用を必要とすると考えられる。ミトコンドリア局在アルデヒド脱水素酵素、グルタチオンS-トランスフェラーゼ、チトクロムP450オキシダーゼ、およびキサンチンオキシドレダクターゼなどの酵素が関与しているが、最近の証拠は、ミトコンドリア局在アルデヒドデ脱水素酵素の役割を支持している。S-ニトロソ化合物もまた、インビボでNOを生成するために酵素作用を必要とすると考えられている。対照的に、ジアゼニウムジオレート化合物は、水性媒体に溶解すると再現可能な一次速度でNOを放出する。これらの化合物は、酵素化学または酸化還元化学を必要としない。
【0164】
ジアゼニウムジオレートは、互変異性体-N-(NO)=(NO)または-N-N(O)-N=O官能基を有する化合物であり、したがって、それらに別名NONOエートが与えられている。これらの化合物は、単純な加水分解を受けて、理想的には2当量の、一酸化窒素を生成する。
【化14】
【0165】
これらの化合物は、ほとんどの第一級または第二級アミンから誘導することができ、NOを放出するためのそれらの加水分解速度は、有機側基の構造(上記のスキームにおけるR)に依存する。一般的に、これらの化合物は、小さな第一級および第二級アルキルアミンならびに環状第二級アミンから誘導される。通常の(保護されていない)ジアゼニウムジオレートはアニオン性であり、したがって、通常、適切なカチオン(例えば、アンモニウムまたはアルカリ金属カチオン、またはジアゼニウムジオレートのアミノ基に対応するモノもしくはジアルキルアンモニウムカチオン)との塩として提供される。
【0166】
反応性ジアゼニウムジオレート化合物を提供するための加水分解または酵素的脱保護工程の必要性のために、NOのより遅くてより長期の放出を提供する、末端酸素(O2)保護ジアゼニウムジオレートも知られている。ビニルおよびアリールO2保護ジアゼニウムジオレートが開発された。これらの化合物は、グルタチオンのSH基との反応によってインビボで活性化することもできる。アセトキシメチル保護ジアゼニウムジオレートは、一般的なエステラーゼ酵素によって活性化できるため、特に有用である。
【0167】
一酸化窒素供与体の中で独特なのは、5つのシアン化物配位子および1つの一酸化窒素配位子に配位した鉄(III)中心を含む複合配位化合物であるニトロプルシドナトリウム、Na2[Fe(CN)5NO]である。赤血球中のオキシヘモグロビンに結合すると、該複合体は解離してシアン化物と一酸化窒素を放出する。
【0168】
モルシドミンは、別の独特な一酸化窒素供与体薬物であり、活性種リンシドミンのプロドラッグである。モルシドミンとリンシドミンは、メソイオン型N-モルフィリノ-5-アミノアシル1,2,3-オキサジオアゾール環を持っている。インビボでモルシドミンのカルバメート基が酵素的に切断されると、リンシドミンが形成される。この化合物は不安定であり、分解してNOを放出する。
【化15】
【0169】
NOハイブリッド薬は、鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症薬、抗コレステロールスタチン、および抗ウイルス剤を含む既存の薬物であり、一酸化窒素供与部分(一般に硝酸アルキル)に共有結合することができる遊離ヒドロキシ、アミノ、チオール、または他の基を有するものである。例えば、アスピリン(2-アセチルサリチル酸)は、異なる2種類のNO-アスピリン誘導体に変換される。これらの化合物はそれぞれ、インビボでNOの放出を受けて、通常のインビボ薬理活性を有し続ける基礎となる薬物(アスピリン)を再生する。
【化16】
【0170】
好適な一酸化窒素供与体の例としては、限定されるものではないが、ニトロプルシドナトリウム(SNP)、ニトログリセリン(三硝酸グリセリルまたはGTN)、硝酸アミル、二硝酸ジエチレングリコール、一硝酸イソソルビド(ISMN)、二硝酸イソソルビド(ISDN)、トシル酸イトラミン、四硝酸ペンタエリスリトール(PETN)、硝酸プロパチル、シニトロジル、テニトラミン、トロールニトラート、モルシドミン、リンシドミン、ナプロキシノド、亜硝酸アミル、ジエチルアミンジアゼニウムジオレート(DEA/NO)、ジエチルアミントリアミンジアゼニウムジオレート(DETA/NO)、スペルミンジアゼニウムジオレート(SPER/NO)、プロリンジアゼニウムジオレート(PROLI/NO)、ジプロピルトリアミンジアゼニウムジオレート(DPTA/NO)、メチルアミンヘキサメチレンメチルアミンジアゼニウムジオレート(MAHMA/NO)、プロピルアミンプロピルアミンジアゼニウムジオレート(PAPA/NOまたはNOC-15)、イソプロピルアミンプロピルアミンジアゼニウムジオレート(IPAPA/NOまたはNOC-5)、イソプロピルアミンジアゼニウムジオレート(IPA/NO)、ヘパリンジアゼニウムジオレート、ピロリジンジアゼニウムジオレート(PYRRO/NO)、O2-ビニル-1-(ピロリジン-1-イル)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(V-PYRRO/NO)、O2-ビニル-1-イソプロピル-ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(V-IPA/NO)、O2-ビニル-[2-(カルボキシラト)ピロリジン-1-イル]ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(V-PROLI/NO)、O2-(2,4-ジニトロフェニル)-1-[(4-エトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル]ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(JS-K)、O2-ビニル-1-[(4-エトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル]ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート、O2-アセトキシメチル-イソプロピルジアゼン-1-イウム-1,2-ジオレート(AcOM-IPA/NO)、S-ニトロソグルタチオン(GSNO)、S-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン(SNAP)、S-ニトロソ-N-バレリルペニシラミン(SNVP)、S-ニトロソ-N-アセチルシステイン(SNAC)、S-ニトロソアルブミン、およびNOハイブリッド薬(例えば、2-(アセチルオキシ)-安息香酸3-[(ニトロオキシ)メチル]フェニルエステル(NCX4016)、2-アセチルオキシ安息香酸5-ニトロオキシペンチル(NCX4215)、ニコランジル(硝酸2-ニコチンアミドエチル)、ニプラジロール(K-351)、NO-プラバスタチン、NO-フルバスタチン、NO-ロサルタン、NO-インドメタシン、NO-イブプロフェン、NO-スリンダク、NO-ナプロキセン、S-ニトロソ-ジクロフェナク、およびS-ニトロソ-カプトプリルが挙げられる。
【0171】
いくつかの実施態様では、一酸化窒素供与体は、ニトロプルシドナトリウム(SNP)、ニトログリセリン(三硝酸グリセリル)、硝酸アミル、二硝酸ジエチレングリコール、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、トシル酸イトラミン、四硝酸ペンタエリスリトール、硝酸プロパチル、シニトロジル、テニトラミン、トロールニトラート、モルシドミン、リンシドミン、およびナプロキシノドから選択される。
【0172】
治療的用途に言及する場合の用語「並行して(concurrently)」は、2つ以上の活性薬剤が同じ時間または異なる時間に投与されるかどうか、または同じ投与経路または異なる投与経路で投与されるかどうかにかかわらず、疾患または障害の治療のためのレジメンの一部として患者への2つ以上の活性成分の投与を意味する。2つ以上の活性成分の並行投与は、同じ日の異なる時間であっても、異なる日付であっても、または異なる頻度であってもよい。
【0173】
治療的使用に言及する場合の「同時に(simultaneously)」という用語は、2つ以上の活性成分を同一投与経路によって同じ時またはほぼ同じ時に投与することを意味する。
【0174】
治療的使用に言及する場合の「別々に」という用語は、2つ以上の活性成分を異なる投与経路によって同じ時またはほぼ同じ時に投与することを意味する。
【0175】
本開示を実施する際に用いられる投与量は、もちろん、例えば、治療されるべき特定の疾患または状態、使用される特定の活性化合物、投与様式、ならびに所望の療法に依存して変化する。他に特記しない限り、投与のための活性化合物の量(遊離塩基として投与されるか、塩形態として投与されるかにかかわらず)は、遊離形態の化合物の量を指すか、またはそれに基づく(すなわち、量の計算は遊離形態の活性部分の量に基づき、塩の場合には対イオンの重量は考慮されない)。プロドラッグ(例えば、R1が-C(O)-C1-21アルキルである式(I)の化合物)が用いられる場合、投与量は、遊離塩基形態の、YがC(=O)である式(I)の化合物の量に基づいて計算される。5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドは、経口、筋肉内、皮下、非経口または経皮を含む適切な経路で投与することができるが、好ましくは経口で投与される。5-HT2Aまたは5-HT2A/D2受容体リガンドは、例えば錠剤、カプセル剤、皮下注射剤、または舌下もしくは頬側投与用急速口腔内崩壊錠もしくはフィルム剤の剤形で、経口、非経口、経皮または経粘膜を含む好適な経路で投与され得る。
【0176】
誤解を避けるために、数値範囲の開示、例えば「Xまで」の量は、上限数値Xを含むことを意図している。したがって、「60mgまで」の開示は、60mgを含むことを意図している。
【0177】
本開示の化合物を含む医薬組成物は、慣用の希釈剤または賦形剤およびガレヌス技術分野で知られている技術を使用して調製することができる。したがって、経口剤形としては、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤などを挙げることができる。
【0178】
本開示の化合物は、例えば本明細書に記載のようにポリマーマトリックスに本発明化合物を分散、溶解、懸濁またはカプセル化することにより、デポ製剤として含まれることができ、その結果、時間の経過とともにポリマーが分解して該化合物が継続的に放出される。ポリマーマトリックスからの本発明の化合物の放出は、例えば、医薬デポが投与される対象体、例えばヒトのような温血動物への、医薬デポ組成物からの、該化合物の制御放出および/または遅延放出および/または持続放出を提供する。したがって、医薬デポは、持続的な期間、例えば1週間から3か月間にわたって、特定の疾患または医学的状態の治療に有効な濃度で本発明の化合物を対象体に送達する。
【0179】
本発明の組成物(例えば、本発明のデポ組成物)中のポリマーマトリックスに有用なポリマーとしては、ヒドロキシ脂肪酸のポリエステルおよびその誘導体または他の薬剤、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリ-β-ヒドロキシ酪酸、ε-カプロラクトン開環ポリマー、乳酸-グリコール酸コポリマー、2-ヒドロキシ酪酸-グリコール酸コポリマー、ポリ乳酸-ポリエチレングリコールコポリマーまたはポリグリコール酸-ポリエチレングリコールコポリマー)、α-シアノアクリル酸アルキルのポリマー(例えば、ポリ(2-シアノアクリル酸ブチル))、ポリアルキレンオキサレート(例えば、ポリトリメチレンオキサレートまたはポリテトラメチレンオキサレート)、ポリオルトエステル、ポリカーボネート(例えば、ポリエチレンカーボネートまたはポリエチレンプロピレンカーボネート)、ポリオルト-カーボネート、ポリアミノ酸(例えば、ポリ-γ-L-アラニン、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタミン酸またはポリ-γ-メチル-L-グルタミン酸)、ヒアルロン酸エステルなどを挙げることができ、これらのポリマーの1種類以上を使用することができる。
【0180】
ポリマーがコポリマーである場合、それらは、タンダム、ブロックおよび/またはグラフトコポリマーのいずれかであり得る。上記のα-ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸およびヒドロキシトリカルボン酸がそれらの分子において光学活性を有する場合、D異性体、L異性体および/またはDL異性体のいずれか1つを使用することができる。とりわけ、α-ヒドロキシカルボン酸ポリマー(好ましくは、乳酸-グリコール酸ポリマー)、そのエステル、ポリ-α-シアノアクリル酸エステルなどを使用することができ、乳酸-グリコール酸コポリマー(ポリ(ラクチド-α-グリコリド)またはポリ(ラクチド-co-グリコール酸)とも称され、以下、PLGAと称する)が好ましい。したがって、一の態様では、ポリマーマトリックスに有用なポリマーはOLGAである。本明細書で用いられる場合、用語PLGAは、乳酸のポリマー(ポリラクチド、ポリ(乳酸)、またはPLAとも称される)を含む。最も好ましくは、該ポリマーは、生分解性ポリ(d,l-ラクチド-co-グリコリド)ポリマー、例えばPLGA50:50、PLAG85:15およびPLGA90:10である。
【0181】
好ましい実施態様では、本発明のポリマーマトリックスは、生体適合性および生分解性ポリマー材料である。用語「生体適合性」は、毒性がなく、発癌性がなく、体組織に炎症を有意に誘発しないポリマー材料として定義される。マトリックス材料は生分解性でなければならず、ポリマー材料は体内プロセスによって分解されて、体内で容易に廃棄可能な生成物となり、体内に蓄積されるべきではない。生分解の生成物はまた、ポリマーマトリックスが身体に対して生体適合性であるという点で身体に対して生体適合性であるべきである。ポリマーマトリックス材料の特に有用な例としては、ポリ(グリコール酸)、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-L-乳酸、以下のもののコポリマー、ポリ(脂肪族カルボン酸)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(アセタール)、ポリ(乳酸-カプロラクトン)、ポリオルトエステル、ポリ(グリコール酸-カプロラクトン)、ポリ無水物、および天然ポリマー、例えばアルブミン、カゼイン、およびワックス、例えば、モノステアリン酸グリセロールおよびジステアリン酸グリセロールなどが挙げられる。本発明の実施において用いるための好ましいポリマーは、dl(ポリラクチド-co-グリコリド)である。そのようなコポリマー中のラクチド対グリコリドのモル比は、約75:25~50:50の範囲であることが好ましい。
【0182】
有用なPLGAポリマーは、約5,000~500,000ダルトン、好ましくは約150,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。達成すべき分解速度に応じて、異なる分子量のポリマーを使用することができる。薬物放出の拡散メカニズムについては、薬物がすべてポリマーマトリックスから放出された後に分解されるまで、ポリマーはそのままであるべきである。薬物はまた、高分子賦形剤が生体侵食するにつれてポリマーマトリックスから放出され得る。
【0183】
PLGAは、慣用方法によって調製することができるか、または市販のものであり得る。例えば、PLGAは、環状ラクチド、グリコリドなどから好適な触媒を用いた開環重合により製造することができる(欧州特許第0058481号(B2);Effects of polymerization variables on PLGA properties: molecular weight, composition and chain structureを参照)。
【0184】
PLGAは、生物学的条件下(例えば、水、およびヒトのような温血動物の組織に見られる生体酵素の存在下)で加水分解可能なおよび酵素により切断可能なエステル結合が分解して乳酸およびグリコール酸を形成することに起因して、固体ポリマー組成物全体の分解によって生分解性を示すと考えられている。乳酸とグリコール酸はどちらも水溶性で、通常の代謝による無毒な生成物であり、さらに生分解して二酸化炭素と水を形成し得る。言い換えると、PLGAは、例えばヒトのような温血動物の体内では、水の存在下でそのエステル基の加水分解によって分解して、乳酸およびグリコール酸を生成し、酸性の微気候(acidic microclimate)を形成すると考えられる。乳酸およびグリコール酸は、通常の生理的条件下でヒトのような温血動物の体内の様々な代謝経路の副産物であるため、耐性が高く、最小限の全身毒性しか生じない。
【実施例
【0185】
実施例1: ルマテペロンは、ニトロプルシドナトリウムと併用した場合、条件回避反応(CAR)の相乗的な改善をもたらす
XがN(CH3)であり、YがC=Oである式Iの化合物はルマテペロン(ITI-007):
【化17】
であり、そのトシル酸塩の形態で、CAPLYTA(登録商標)として販売されている。ルマテペロンは、セロトニン、ドパミンおよびグルタミン酸の神経伝達の選択的かつ同時の調節を提供し、精神障害との関連で特に興味深いものである。
【0186】
到着時の体重が約18gの雄性Wistarラットを、室温で標準的な実験室条件下で4匹のグループに分けて収容する。ケージは、木製のハウスと巣作りのための紙で強化されている。食物および水は自由に提供される。動物は12時間:12時間の逆転した明暗サイクル(午前6時に消灯)で維持される。実験または訓練を開始する前に、少なくとも2週間、動物を順応させる。
【0187】
ラットは、中央に開口部のあるプラスチック製の仕切り板で同じ大きさの2つの区画に分けられた慣用のシャトルボックス装置で訓練され、試験される。試験前に5分間、ラットをシャトルボックスに慣れさせる。80dBのホワイトノイズ条件刺激(CS)をラットに与えると、ラットはシャトルボックスの一方の区画からもう一方の区画に移動するのに10秒かかる。それらがこれを行う場合、それは「回避」と呼ばれる。ラットが同じコンパートメントに10秒を超えて留まる場合には、逃避が行われるまで、無条件刺激(UCS)である断続的な電気ショック(約0.4mA)を格子状の床に与える。ラットがもう一方の区画に移動すると、騒音もショックも停止する。ショックは0.5秒間与え、2.5秒間隔で繰り返す。ショック期間から50秒以内に動物が反応しない場合、試験は終了する(逃避失敗)。3回連続で逃避に失敗した場合、そのセッションは停止する。動物は5日間毎日訓練され、各セッションは15分間に約20回の無作為試行からなる。ラットは、研究に参加するために85%の回避率に到達しなければならない。実験セッションは10分間続き、薬物を投与する前(プレテスト)、ならびに、薬物を注射してから20分後、90分後および240分後に実施される。実験日は、少なくとも2日間の非実験日により区切られた。
【0188】
CARからのデータは、フリードマンの分散分析(ANOVA)によって分析され、有意差が現れる場合、ウィルコクソンのマッチドペア符号順位検定がフォローアップテストとして実行される。すべてのデータは、中央値+四分位範囲として示される。
【0189】
ルマテペロントシル酸塩を5%ジメチルスルホキシド、5%Tween 20、15%PEG-400および蒸留水のビヒクルに溶解する。SNPを生理食塩水(0.9%NaCl)に溶解し、注射まで暗所に維持する(それは感光性である)。薬物はすべて、1ml/kgの体積で腹腔内投与する。実験に応じて、ラットに1mg/kg、3mg/kg、7mg/kgまたは10mg/kgのルマテペロントシル酸塩を投与する。対照として、ラットに0.4mg/kgのリスペリドンを投与する。
【0190】
図1に示されるように、ルマテペロンまたはリスペリドン単独での治療の場合、薬物投与の20分後のCAR試験で治療の有意な効果が見出される(p<0.0001)。フォローアップテストは、3mg/kgおよび10mg/kgのルマテペロンは、リスペリドンと同様に、ビヒクルと比較してCARを有意に抑制したことを示している。90分後では、図2に示されるように、有意な治療効果が10mg/kgのルマテペロンについてあったが、他の用量またはリスペリドンについてはなかった。
【0191】
図3に示されるように、ルマテペロンとSNPの組み合わせによる治療では、薬物投与の20分後に有意な治療効果が見られた。フォローアップテストは、1.5mg/kgのSNPと組み合わせた3mg/kgおよび7mg/kgのルマテペロンがビヒクル/SNPと比較してCARの抑制が有意に増加することを示している。さらに、7mg/kgのルマテペロンは、ビヒクル/生理食塩水と比較してCARを有意に抑制した。3mg/kgのルマテペロンとSNPは、ルマテペロン/生理食塩水およびルマテペロン(7mg/kg)/SNPとは有意に異なっていた。
【0192】
薬物投与から90分後、図4に示されるように、有意な治療効果が認められた。7mg/kgのルマテペロンはルマテペロン(3mg/kg)/生理食塩水と有意に異なっており、ルマテペロン(7mg/kg)/SNPはビヒクル/生理食塩水と有意に異なっていた。
【0193】
総合して、データは、ルマテペロンとSNPとの組み合わせについての予想外の相乗的な抗精神病効果を支持するものである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】