(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】改善された機能性テキスタイルおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
D06M 11/00 20060101AFI20221116BHJP
D01F 6/00 20060101ALI20221116BHJP
D01F 6/92 20060101ALI20221116BHJP
D06M 101/32 20060101ALN20221116BHJP
【FI】
D06M11/00 112
D01F6/00 A
D01F6/92 301M
D01F6/92 301Q
D06M101:32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519063
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 US2020053133
(87)【国際公開番号】W WO2021062393
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513008775
【氏名又は名称】ココナ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ハグキスト,グレゴリー
【テーマコード(参考)】
4L031
4L035
【Fターム(参考)】
4L031AA18
4L031AB21
4L031AB31
4L031BA11
4L031CA01
4L031DA08
4L031DA13
4L035AA05
4L035EE05
4L035JJ05
4L035JJ09
4L035KK05
(57)【要約】
改善された快適性と水および臭気吸着性とを有する、テキスタイル繊維、ヤーン、および織物、ならびにそれらを製造する方法が開示されている。改善されたテキスタイルは、繊維およびヤーンの表面に分布した吸着粒子の分布が向上しており、吸着のためのより大きな全体的な表面積を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーであって、表面を有し、前記ポリマー内に埋め込まれた、水を吸着することができる複数の粒子を含む、ポリマーを含み、前記ポリマーの前記表面の5重量%~50重量%が除去されて、前記複数の粒子のサブセットが外部環境に露出されている、製造物。
【請求項2】
前記複数の粒子がゼオライトを含む、請求項1に記載の製造物。
【請求項3】
前記ポリマーがTiO2をさらに含む、請求項1または2に記載の製造物。
【請求項4】
前記ポリマーが銀または銀イオンを含まない、請求項1または2に記載の製造物。
【請求項5】
前記ポリマーが合成ポリマーを含む、請求項1または2に記載の製造物。
【請求項6】
前記合成ポリマーがポリエステルである、請求項5に記載の製造物。
【請求項7】
前記ポリマーがセルロースを含む、請求項1に記載の製造物。
【請求項8】
前記複数の粒子が、0.1重量%~2重量%の濃度で前記ポリマー中に存在する、請求項1または2に記載の製造物。
【請求項9】
前記製造物が繊維である、請求項1または2に記載の製造物。
【請求項10】
前記繊維が、2つ以上の繊維を含むヤーンを形成する、請求項9に記載の製造物。
【請求項11】
前記繊維がモノフィラメントである、請求項9に記載の製造物。
【請求項12】
前記製造物が、複数の繊維またはヤーンを含む織布である、請求項1または2に記載の製造物。
【請求項13】
前記複数の粒子のうちの1つ以上の粒子が、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって測定して、700~1500cm
-1の領域の赤外光を吸収する、請求項1または2に記載の製造物。
【請求項14】
約0.5重量%~1.2重量%の灰含有量および15以上のOAVを有する、請求項9に記載の製造物。
【請求項15】
繊維を作製するための方法であって、前記方法が、
a.液体ポリマーまたは液体ポリマー溶液を提供すること、
b.前記液体ポリマーまたは液体ポリマー溶液に0.1重量%~2重量%の粒子をドープして、粒子ドープポリマーを生成することであって、前記粒子が水を吸着することができる、生成すること、
c.前記粒子ドープポリマーから前記繊維を形成すること、および
d.前記繊維の表面層の一部分を除去して前記粒子のサブセットを外部環境に露出すること、を含む、方法。
【請求項16】
前記粒子が、(a)250~20,000百万分率の濃度で存在するか、または(b)前記繊維の前記表面まで(前記繊維の前記表面を含む)の前記繊維の断面全体に均一に分布している、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記粒子の平均直径が、前記繊維の直径の0.01~0.2である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマーが合成モノマーを含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項19】
前記合成ポリマーがポリエステルを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記繊維を前記液体または溶融ポリマーの溶融押出によって形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリマーが天然モノマーを含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項22】
前記天然ポリマーがセルロースを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記繊維を、前記液体ポリマー溶液を湿式紡糸することによって形成する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記粒子が、0.2~50ミクロン(両端含む)の平均粒子直径を有する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項25】
除去される前記繊維の前記表面層の前記一部分が、(a)前記粒子の前記平均直径の約0.1~10倍の厚さを有するか、または(b)前記層を除去する前の前記繊維の重量の5%~50%の重量を有する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項26】
前記繊維が、少なくとも15の臭気活性値(OAV)を有するマルチフィラメントヤーンまたはステープル繊維を形成する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項27】
前記繊維の灰含有量が、0.5重量%~1.2重量%である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記粒子が、1グラム当たり10平方メートル超の表面積を有する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項29】
前記粒子が、ゼオライトを含み、任意選択的にTiO
2を含み、銀または銀イオンを含まない、請求項15または16に記載の方法。
【請求項30】
表面層の前記一部分を、アルカリ減量加工、酵素消化、マーセル化、レーザーエッチング、プラズマエッチング、または機械的除去によって除去する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項31】
前記繊維を、約15~45分間にわたって、約80℃~100℃で、5~25%のNaOH、LiOH、またはKOHで処理することによって、前記繊維の表面層の前記一部分を除去する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項15~31のいずれか一項に記載の方法によって生産された、繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、テキスタイルの吸着能力を改善することに関する。特に、本発明は、テキスタイル繊維、ならびにこれらの繊維を処理してそれらの水吸着能力を改善することで繊維の水蒸気輸送特性を改善するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機能性添加剤がドープされた繊維は、水または臭気吸着能力が限定されている。製造後、ドープされた織布の容量は最適ではない。したがって、同じまたはより少ない量の機能性添加剤を有するより大容量の繊維およびヤーンを生産するための製造プロセスに対するかなりの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
分子吸着粒子がドープされたテキスタイル繊維の重量を減少させることによって、処理された繊維の分子吸着活性およびこれらの処理された繊維から作製された織物の全体的な熱管理が大幅に改善されたという驚くべき発見が開示されている。この発見によって、改善された機能性繊維および織物の生産、ならびに生産コストの大幅な減少が可能になる。理論に縛られることを望むものではないが、重量減少プロセスは、繊維の外層の一部分を除去して、分子吸着粒子のより大きな表面積を外部環境に露出すると考えられている。
【0004】
したがって、一態様では、本発明は、粒子が内部に埋め込まれたポリマーを含有する製造物であって、ポリマーの表面の一部分が除去されて、粒子のサブセットが外部環境に露出されている、製造物を提供する。一実施形態では、除去されるポリマーの表面の一部分は、表面の一部分の除去前のポリマーの5重量%~50重量%に相当する。一実施形態では、製造物全体にわたる粒子の断面分布は、製造物の外側表面までずっと均一である。ここで、別の言い方をすれば、製造物は、どんなに薄くても、粒子を含有しない外層を有することはない。別の実施形態では、製造物の外側表面における、またはその外部環境に露出されている粒子の密度は、コアにより近い粒子の密度よりも高い。ここで、別の言い方をすれば、製造物は、どんなに薄くても、内部コアに比べてより高い密度の粒子を含有する外層を有する。
【0005】
一実施形態では、粒子は、1グラム当たり少なくとも約10平方メートルの平均表面積を有し、それによって、例えば、水、ブタン、酪酸、および他の臭気物質分子などの比較的大量の分子の吸着が可能になる。一実施形態では、粒子は、少なくとも10重量%の水を吸着することができる。特定の好ましい実施形態では、粒子はゼオライト粒子である。いくつかの実施形態では、光散乱特性を付与するために含まれ得る、通常は分子吸着に関連しない他の粒子、例えば、二酸化チタン(TiO2)粒子などもポリマーに埋め込まれる。特定の好ましい実施形態では、粒子は、銀または銀イオンを含有しないか、または別の言い方をすれば、製造物は、銀、銀イオン、または銀含有化合物を含有しない。
【0006】
一実施形態では、ポリマーは、合成ポリマー、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、ポリ乳酸などである。別の実施形態では、ポリマーは、天然ポリマー、例えば、セルロースなどである。天然ポリマーに関しては、天然セルロース繊維、例えば、綿、麻、亜麻などと、再生セルロース繊維、例えば、リヨセル、ビスコース、レーヨンなどの両方が天然ポリマーを含有すると考えられる。いくつかの実施形態では、製造物は、天然もしくは合成、または天然と合成との組み合わせであり得る2つ以上の異なるポリマーを含有する。
【0007】
一実施形態では、製造物は、繊維、例えば、モノフィラメント繊維、フィラメント、ステープル繊維、またはヤーンなどである。別の実施形態では、製造物は、繊維から編まれたまたは織られた織布である。別の実施形態では、製造物は、織布から作製された衣類である。一実施形態では、繊維または織布は、外層が除去されていない同様の繊維または織布よりも、より大きな分子吸着能力、より大きな水吸着能力、および/またはより大きな臭気活性値(OAV)を有する。
【0008】
別の態様では、本発明は、液体もしくは溶融ポリマー(例えば、溶融もしくは流動性ポリエステルなどの合成ポリマーの場合)または液体ポリマー溶液(例えば、再生セルロース繊維を生産するための溶解セルロースの場合)を提供し、ポリマーに分子吸着粒子をドープし、粒子ドープポリマーから繊維を形成し、(d)繊維の表面層の一部分を除去して分子吸着粒子の一部分を外部環境に露出することによって、繊維を作製する方法を提供する。
【0009】
一実施形態では、5重量%~50重量%のポリマーまたは繊維が除去される。別の実施形態では、繊維の表面の0.25~2ミクロンが除去される。現在既知の、またはまだ発見されていない任意の方法を使用して、例えば、従来のテキスタイル繊維重量減少プロセスなどによって、繊維の表面層の一部分を除去することができる。いくつかの実施形態では、繊維の表面層を、アルカリ減量加工、酵素消化、マーセル化、紫外線処理、レーザーエッチング、プラズマエッチング、カッティングダイなどによる物理的なシェービングなどによって除去する。
【0010】
一実施形態では、先の態様と同様に、粒子は、1グラム当たり少なくとも約10平方メートルの平均表面積を有し、それによって、例えば、水、ブタン、酪酸、および他の臭気物質分子などの比較的大量の分子の吸着が可能になる。一実施形態では、粒子は、少なくとも10重量%の水を吸着することができる。特定の好ましい実施形態では、粒子はゼオライト粒子である。いくつかの実施形態では、光散乱特性を付与するために含まれ得る、通常は分子吸着に関連しない他の粒子、例えば二酸化チタン(TiO2)粒子などもポリマーに埋め込まれる。特定の好ましい実施形態では、粒子は、銀または銀イオンを含有しないか、または別の言い方をすれば、製造物は、銀、銀イオン、または銀含有化合物を含有しない。
【0011】
一実施形態では、先の態様と同様に、ポリマーは、合成ポリマー、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、ポリ乳酸などである。別の実施形態では、ポリマーは、天然ポリマー、例えば、セルロースなどである。天然ポリマーに関しては、天然セルロース繊維、例えば、綿、麻、亜麻などと、再生セルロース繊維、例えば、リヨセル、ビスコース、レーヨンなどの両方が天然ポリマーを含有すると考えられる。いくつかの実施形態では、製造物は、天然もしくは合成、または天然と合成との組み合わせであり得る2つ以上の異なるポリマーを含む。
【0012】
ポリマーが合成ポリマー(例えば、ポリエステルまたは他のプラスチック)であるいくつかの実施形態では、繊維は、液体または溶融ポリマーの溶融押出(すなわち、溶融紡糸)によって形成される。ポリマーが天然ポリマー(例えば、再生セルロース)であるいくつかの実施形態では、繊維は、液体ポリマー溶液を湿式または乾式紡糸することによって形成される。
【0013】
別の実施形態では、繊維は、織布を形成するために、織られるか、または編まれる。さらなる別の実施形態では、織布は、改善された熱および臭気管理特性を有する衣服に形作られる。
【0014】
別の態様では、本発明は、先の態様で説明したプロセスによって、すなわち、なかでも、液体もしくは溶融ポリマー(例えば、溶融もしくは流動性ポリエステルなどの合成ポリマーの場合)または液体ポリマー溶液(例えば、再生セルロース繊維を生産するための溶解セルロースの場合)を提供し、ポリマーに分子吸着粒子をドープし、粒子ドープポリマーから繊維を形成し、(d)繊維の表面層の一部分を除去して分子吸着粒子の一部分を外部環境に露出することによって生産された、繊維および/または織布を提供する。
【0015】
一実施形態では、5重量%~50重量%のポリマーまたは繊維が除去される。別の実施形態では、繊維の表面の0.25~2ミクロンが除去される。現在既知の、またはまだ発見されていない任意の方法を使用して、例えば、従来のテキスタイル繊維重量減少プロセスなどによって、繊維の表面層の一部分を除去することができる。いくつかの実施形態では、繊維の表面層を、アルカリ減量加工、酵素消化、マーセル化、紫外線処理、レーザーエッチング、プラズマエッチング、カッティングダイなどによる物理的なシェービングなどによって除去する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の主題および利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明を検討することで明らかになり、同様の参照文字は、全体を通して同様の部分を指す。
【0017】
【
図1】重量減少率の関数としての臭気活性値を示す折れ線グラフである。
【
図2】製品を作製するためのプロセスを示すフローチャートである。
【
図3】時間の関数としての質量損失率を示すドットプロットおよび折れ線グラフである。
【
図4】重量減少なしの対照繊維を示す走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【
図5】重量減少5%の繊維表面を示すSEMである。
【
図6】重量減少10%の繊維表面を示すSEMである。
【
図7】重量減少50%の繊維表面を示すSEMである。
【
図8】粒子ドープ繊維を用いた衣服(青線)および対照繊維を用いた衣服(灰色線)についての、時間の関数としての体感温度を示す折れ線グラフである。
【0018】
実施形態の詳細な説明
本方法を説明する前に、本発明は、特定の方法または系および記載されている実験条件に限定されることはないと理解されたい。というのも、そのような方法または系および条件は変わってもよいからである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図してはいないと理解されたい。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば、「方法」への言及は、本明細書に記載されている種類の、および/または本開示を読むことなどによって当業者に明らかとなる、1つ以上の方法、要素、および/またはステップを含む。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「約」という用語の使用は、公称温度を除いて、指定された値の上下15%以内の値の範囲を意味する。例えば、「約3mM」という句は、3mMから15%以内、すなわち、2.55mM~3.45mM(両端含む)を意味する。同様に、「約3ミリメートル(mm)」という句は、2.55mm~3.45mm(両端含む)を意味する。温度が変化を示すために使用される場合、「約」という用語は、指定された値の上下15%以内の値の範囲を意味する。例えば、「約5℃」は、「3mmで5℃を超える熱分解能」などの変化を示すために使用される場合、5℃から15%以内、すなわち、4.25℃~5.75℃を意味する。「約-50℃~約+50℃」などの公称温度を指す場合、「約」という用語は、±5℃を意味する。したがって、例えば、「約37℃」という句は、32℃~42℃を意味する。
【0021】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての科学技術用語は、本発明が属する分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の任意の系、要素、方法、および材料を本発明の実践または試験に使用することができるが、ここでは、好ましい系、要素、および方法、ならびに材料を記載する。本明細書で挙げられるすべての刊行物は、それらの全体を説明するために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0022】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「または」という用語は、2つの用語の間で排他的に識別することを意味しており、「どちらか」を意味する。したがって、例えば「項目AまたはB」のように、項目AおよびBに関連して「または」という用語が使用されている場合、この句は、「項目Aと項目Bの両方ではなく、項目Aと項目Bのいずれか」であると捉えるべきである。添付の特許請求の範囲および明細書で使用される「および」という用語は、包括的であることを意味する。上記の項目AおよびBの例を使用する場合、「項目Aおよび項目B」という句は、「項目Aと項目Bの両方」であると捉えるべきである。「および/または」という用語が特許請求の範囲および明細書で使用されている場合、この用語は、包括的かつ排他的であると捉えるべきである。したがって、上記の例では、「Aおよび/またはB」という句は、「「AまたはB」あるいは「AおよびB」のいずれか」であると捉えるべきである。
【0023】
本明細書における、「一実施形態」、「実施形態」、「好ましい実施形態」、「代替的な実施形態」、「変形例」、「1つの変形例」、および類似した句への言及は、特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に関連して説明されていることを意味する。本明細書の様々な箇所において見られる、「一実施形態では」、「実施形態では」、または「変形例では」のような句および類似した句は、必ずしもすべてが同じ実施形態または変形例を指すことを意味するわけではなく、複数の実施形態または変形例を指す場合がある。同様に、「例示的」という言葉は、本明細書では、「例、実例、または例示としての役割を果たす」ことを意味するために使用される。本明細書における「例示的」という用語の使用は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。
【0024】
本開示では、繊維から紡糸されたヤーンを含み、かつ/または分子吸着粒子添加剤含有連続フィラメントヤーンを含む、重量減少プロセスで処理された、織布が教示されている。
【0025】
重量減少プロセスによって、ベースポリマー材料が除去され、添加剤のより多くが外部環境に露出され、それによって、添加剤の有効濃度が増加し、またそれによって、繊維、ヤーン、および織物の機能が向上する。これは、生産物の表面積の露出を必要とする、周囲環境と相互作用する添加剤の場合に機能する。ドープされた添加剤および重量減少プロセスで作製された生産物によって、改善された物理的特性を有するテキスタイルが生産される。US7,247,374(以下、「’374」;参照によってその全体が組み込まれる)のHaggquistは、周囲環境と相互作用する添加剤がドープされたポリマーの機能を改善する取り外し可能な封止材の使用を教示している。この開示では、後に除去される添加剤をプレコーティングすることによって添加剤の露出を可能にする方法が教示されている。取り外し可能な封止材の使用が要求されることはないが、この教示の使用と’374特許で教示されているような開示とを組み合わせることによって、より高いレベルの性能を有する生産物が得られる。
【0026】
本開示では、テキスタイル、ならびに性能織物(performance fabrics)を生成する分子吸着粒子添加剤を有するテキスタイルを生産するために使用すべき方法が教示されている。活性炭またはゼオライトなどの例示的な添加剤は、水蒸気を皮膚の隣から衣服の外側に移動させることによって、ユーザの快適性を改善する。皮膚の隣の湿度が低いほど、体感温度が低くなり、体温調節が行われ、快適性のレベルが高くなる。
【0027】
本発明は、改善された水および臭気吸着機能を有する改善された繊維および織物、ならびにこれらのテキスタイル繊維および織物を作製するための改善された方法を提供する。一実施形態では、主題のテキスタイル繊維は、繊維の表面に配置されており、かつ分子吸着能力を改善して主題の繊維から作製された衣類の湿度管理による温度調節を改善するのに十分な数または密度で外部環境に露出されている、分子吸着粒子がドープされたポリマー繊維である。別の実施形態では、主題のテキスタイルは、繊維の表面に配置された、かつ十分な数または密度で外部環境に露出された、分子吸着粒子がドープされたポリマー繊維であり、これにより、ドープ繊維の外層の一部分を繊維の重量減少で除去することによって生産される、改善された分子吸着能力および改善された熱的快適性を有する繊維または織物が得られる。
【0028】
ポリマー
本発明の実践に有用なポリマーとしては、紡糸されて繊維にされ得る、またはキャスティングされてシートにされ得る、現在既知の、または後に発見される、任意のポリマーが挙げられる。ポリマーは、合成ポリマーもしくは天然ポリマー、または天然および合成ポリマーを含有する複合材料であり得る。本明細書で使用される場合、合成ポリマーは、プラスチックと互換的に使用され得る。好ましい合成ポリマーとしては、周囲温度および生理学的温度で柔軟性を保持する熱可塑性プラスチックが挙げられる。
【0029】
本明細書で使用される場合、好ましい合成ポリマーは、粒子(例えば、顔料、分子吸着粒子、抗菌材料など)の添加およびその後の繊維またはシートへの押出を可能にするために、十分に溶融することができる。
【0030】
合成ポリマーとしては、モノマー単位から人工的に合成されたポリマーが挙げられる。例えば、モノマー単位は、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、炭素-炭素結合、グリコシド結合などによって連結され得る。モノマー単位は、例えば、ジカルボン酸、ジアミン、乳酸、グリコール酸、炭酸、スチレン、エチレン、プロピレン、ビニル、エチレンテレフタレート、テトラフルオロエチレンなどのような1つ以上の分子を含み得る。例えば、エステル結合によって連結されたエチレンテレフタレートのポリマーは、一般的に使用されるポリエステルであるポリエチレンテレフタレートまたはPETとして知られている。別の例では、アミド結合によって連結されたジカルボン酸とジアミンとのポリマーは、ナイロンとして知られている。ナイロンおよびポリエステルは、テキスタイル繊維を作製するために使用される周知の有用な熱可塑性合成ポリマーであり、主題の発明の実践において有用である。他の有用な合成ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネートなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0031】
ポリマーは、天然ポリマーであり得る。天然繊維が含み得る天然ポリマーとしては、タンパク質、ポリヌクレオチド、脂肪酸、および多糖類が挙げられる。主題の発明の実践に有用な特定の天然ポリマーとしては、セルロース(β結合D-グルコース単位)、フィブロイン(Gly-Ser-Gly-Ala-Gly-Alaの繰り返し単位を含む)、ケラチン、キトサン、キチンなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。天然ポリマーを含有する天然繊維は、植物性または動物性の供給源に由来し得て、なかでも、絹、腱、羊毛、腸線、アンゴラ、モヘア、アルパカの毛、綿、亜麻、ジュート、ケナフ、工業用大麻、ラミー、ラタン、つる植物繊維、コイア、カポック、およびミルクウィードが挙げられる。
【0032】
好ましい実施形態では、天然ポリマーは、任意の供給源(例えば、わら、木材、靭皮、茎、葉、種子など)から抽出および精製されたセルロースである。精製セルロース、例えば、木材パルプからの精製セルロース、微結晶性セルロースなどを使用して、当技術分野で再生セルロースとして知られているもの(例えば、ビスコース、レーヨン、アセテート、トリアセテート、モーダル、テンセル、リヨセルなど)を作製することができる。ここでは、スラリー、ゲル、または液体の形態で可溶化されたセルロースポリマーは、分子吸着粒子をドープしてから、キャスティングされて繊維にされ得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、主題の繊維は、特定の機能的属性を得るために、セルロースおよびポリエステルなどの天然および合成ポリマーの組み合わせを含む、ポリマー繊維の組み合わせから作製され得る。例えば、ポリエステル/セルロースのブレンドは、繊維および織物に超疎水性および超親水性の特性を与える。
【0034】
粒子
主題の発明の実践に有用な粒子としては、既知の、またはまだ発見されていない任意の分子吸着粒子が挙げられる。本明細書で使用される場合、分子吸着粒子という用語は、空気、水、ブタン、酪酸、ポリアミンなどの小分子(<1,000ダルトン)、タンパク質、炭水化物、脂肪などの大きな分子(1,000ダルトン以上)、ならびにウイルス、酵母、および細菌などの微生物(50nm~60μm)のうちのいずれか1つ以上を吸着し得る粒子を含む。
【0035】
他の粒子、例えば、色および光学的仕上げを与える顔料粒子、例えばTiO2など、細菌およびカビの成長および増殖を阻止する抗菌粒子、例えば銀または銀イオン含有粒子など、ならびに不所望の分子をキレート化するか、そうでなければ取り囲むか、または不活性化する分子吸収粒子、例えば、デスフェリオキサミン、エチレンジアミン四酢酸を含有する粒子などが、主題の製造物に含まれ得る。
【0036】
一実施形態では、主題のポリマー、繊維、織物、または衣服は、銀、銀イオン、または銀含有化合物を含有しない。
【0037】
分子吸着粒子は、一般に、重量当たりに大きな表面積を提供する。重量当たりの表面積が非常に大きな分子吸着粒子の注目すべき例は、1グラム当たり最大1,000m2の表面積を有するバイオ炭である。いくつかの実施形態では、分子吸着粒子は、1グラム当たり約2m2、1グラム当たり3m2、1グラム当たり4m2、1グラム当たり5m2、1グラム当たり6m2、1グラム当たり7m2、1グラム当たり8m2、1グラム当たり9m2、1グラム当たり10m2、1グラム当たり15m2、1グラム当たり20m2、1グラム当たり25m2、1グラム当たり30m2、1グラム当たり40m2、1グラム当たり50m2、1グラム当たり75m2、1グラム当たり100m2、1グラム当たり150m2、1グラム当たり200m2、1グラム当たり250m2~1,000m2、1グラム当たり5m2~15m2、1グラム当たり1m2~10m2、1グラム当たり6m2~14m2、1グラム当たり7m2~13m2、1グラム当たり8m2~112m2、または1グラム当たり9m2~11m2の表面積を有する。
【0038】
一実施形態では、粒子の平均直径は、繊維の直径よりも小さい。例えば、半径7.5μm(直径15μm)の繊維をドープするのに有用な粒子は、15μm以下の平均直径を有する。サブミクロンサイズを有する粒子も含まれる。いくつかの実施形態では、粒子は、約0.5μm~15μm、1μm~20μm、2μm~15μm、1.5μm~15μm、4μm~14μm、1μm~100μm、1μm~50μm、約0.5μm、約1μm、約1.5μm、約2μm、約2.5μm、約3μm、約3.5μm、約4μm、約4.5μm、約5μm、約5.5μm、約6μm、約6.5μm、約7μm、約7.5μm、約8μm、約8.5μm、約9μm、約9.5μm、約10μm、約10.5μm、約11μm、約11.5μm、約12μm、約12.5μm、約13μm、約13.5μm、約14μm、約14.5μm、約15μm、約15.5μm、約16μm、約16.5μm、約17μm、約17.5μm、約18μm、約18.5μm、約19μm、約19.5μm、または約20μmの平均直径を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、主題の分子吸着粒子としては、活性炭およびゼオライトを挙げることができるが、これらに限定されることはない。活性炭は、例えば、木材、竹、石炭、ココナッツ、またはビスマスに由来し得る。活性炭はまた、合成に由来するものであってもよい。好ましい実施形態では、分子吸着粒子はゼオライトを含む。より好ましい実施形態では、分子吸着ゼオライト粒子は、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって測定して、700~1500cm-1の領域の赤外光を吸収するゼオライトを含み得る(ByrappaおよびKumar,Asian Journal of Chemistry,19(6),pp.4933-4935(2007)を参照)。一実施形態では、ゼオライトは、アルミノケイ酸塩、方沸石、菱沸石、クリノプチロライト、輝沸石、ソーダ沸石、灰十字沸石、または束沸石である。
【0040】
いくつかの実施形態では、本発明の実践に有用な粒子としては、分子を吸収する、既知の、またはまだ発見されていない任意の粒子(すなわち、分子吸収粒子)が挙げられる。例示的な分子吸収粒子としては、粘土、シリカゲル、酸化カルシウム、硫酸カルシウムなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0041】
いくつかの実施形態では、主題の分子吸着粒子は、ある量の水、臭気分子、または他の不所望な分子を吸着して、繊維、織物、または衣服に熱、湿度、および/または臭気管理品質を伝えることができる。いくつかの実施形態では、主題の分子吸着粒子は、粒子の重量の約0.1%~100%、1%~100%、約1%~20%、約2%~19%、約3%~18%、約4%~17%、約5%~16%、約6%~約15%、約7%~14%、約8%~13%、約9%~12%、約10%~11%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、または10%以上で分子を吸着することができる。一実施形態では、主題の分子吸着粒子は、30分間にわたる200℃での乾燥後に、20℃で10重量%超の水蒸気を吸い上げることができるか、または吸着することができる。
【0042】
繊維
本明細書で使用される場合、「繊維」という用語は、ヤーンおよび織物の生産に使用される、モノフィラメント、マルチフィラメント繊維、およびステープル繊維に適用される。繊維は、任意の厚さ、形状、および長さのものであり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、主題の繊維は、4以下、3.5以下、3以下、2.5以下、2以下、1.5以下、約1、約1~1.5、または約1~1.5の断面アスペクト比を有する。好ましい繊維は、おおよそ円筒形である。
【0044】
いくつかの実施形態では、主題の繊維は、0.1μm~20μm、0.1μm~15μm、0.1μm~10μm、0.1μm~7.5μm、0.1μm~5μm、約0.5μm、約1μm、約1.5μm、約2μm、約2.5μm、約3μm、約3.5μm、約4μm、約4.5μm、約5μm、約5.5μm、約6μm、約6.5μm、約7μm、約7.5μm、約8μm、約8.5μm、約9μm、約9.5μm、約10μm、約10.5μm、約11μm、約11.5μm、約12μm、または約12.5μmの断面半径を有する。
【0045】
主題の繊維は、分子吸着粒子がドープされている。いくつかの実施形態では、繊維またはポリマー内の粒子の所与の濃度の要件はなく、水および/または臭気分子の効果的な吸着を可能にするのに十分な、繊維の表面に露出される粒子の密度を提供する要件があるだけである。いくつかの実施形態では、繊維は、分子吸着粒子を、0.05%~5%(すなわち、500ppm~50,000ppm)、0.1%~5%、0.2%~4%、0.2%~2%、0.4%~0.6%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、または約2%(すなわち、20,000ppm)の、粒子と繊維との、または粒子とポリマーとの重量対重量比で含有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、分子吸着粒子は、0~20,000ppm、0~250ppm、250~1000ppm、1000~5000ppm、5000~20000ppm、100~1000ppm、200~2000ppm、500~6000ppm、または250~20000ppmの濃度でポリマーまたは繊維中に存在する。
【0047】
無機粒子(例えば、ゼオライトおよび存在し得る任意のTiO2)の量は、ドープされた繊維からの灰の重量パーセントを測定することによって決定することができる。一般に、灰分試験は、既知の量のサンプルを採取し、秤量したサンプルを乾燥/事前に秤量した磁器製のるつぼに入れ、ポリマーを焼き尽くし、デシケーター内で室温まで冷却した後にるつぼを秤量することを伴う。るつぼ内に残っている灰の残留物は、燃え尽きなかった無機含有物(すなわち、主題の粒子)によるものである。プラスチックの灰含有量分析は、ASTM D2584、ASTM D5630、およびISO 3451で指定された方法を使用して決定され得る。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態では、主題の繊維は、より多くの数の分子吸着粒子を繊維の表面に露出するために処理される。一実施形態では、繊維は、より多くの数の分子吸着粒子を繊維の表面に露出するために重量減少にかけられる。ここで、重量減少ステップは、灰分試験によって決定されるように、粒子の全体的な濃度を変化させ得る。例示的な実施形態では、約4000ppm~約6000ppmのゼオライト(および0.27%~0.35%のTiO2)を含有するポリエステル繊維ヤーンを、量を変えることによって重量減少させ、次いで、灰分試験にかけ、それによって、約0.6%~約1.1%(w)の灰含有量が示された。
【0049】
いくつかの実施形態では、分子吸着粒子を含有する主題の繊維、ヤーン、またはシートの重量による灰含有量は、約0.05%~5%、約0.5%~5%、約1%~5%、約1.5%~5%、約2%~5%、約0.05%~2%、約0.05%~1.5%、約0.05%~1%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%、約0.7%、約0.75%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約5.5%、または約5%である。
【0050】
一実施形態では、改善された繊維は、ドープされた繊維の重量を減少させることによって生産される。重量減少の量は、織物の全体的な柔らかさ、手触り、および/またはドレープ性を維持しながら、テキスタイルの吸着に関連する機能を改善する任意の量であり得る。いくつかの実施形態では、繊維/ヤーンの重量は、約0.5%~50%、約1%~30%、約5%~30%、約5%~50%、約5%~55%、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、または約55%減少している。
【0051】
重量減少率は、繊維/ヤーンの一部分の外側表面の除去に関連するため、繊維半径の関数としての外側表面部分の深さ(厚さ)に相関している。したがって、いくつかの実施形態では、除去される外層の厚さは、0.1μm~10μm、0.1μm~9μm、0.1μm~8μm、0.1μm~7μm、0.1μm~6μm、0.1μm~5μm、0.1μm~4μm、0.1μm~3μm、0.1μm~3μm、0.1μm~2μm、0.1μm~1μm、0.1μm~0.5μm、約0.1μm、約0.2μm、約0.3μm、約0.4μm、約0.5μm、約1μm、約1.5μm、約2μm、約2.5μm、約3μm、約3.5μm、約4μm、約4.5μm、または約5μmである。
【0052】
いくつかの実施形態では、除去される外層の厚さは、繊維内に埋め込まれた分子吸着粒子の平均または最頻平均直径の約1%~99%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%である。好ましい実施形態では、除去される外層の厚さは、繊維内に埋め込まれた分子吸着粒子の平均または最頻平均直径の約50%を上回らない。
【0053】
1つの例示的な実施形態では、半径7.5μmおよび断面積176.71μm
2を有する予め重量減少させられる繊維は、5%重量減少させられ、その結果、半径7.31μmおよび断面積167.88μm
2を有する繊維が得られた。したがって、ここでは、5%の重量減少によって、0.19μmの半径減少(除去される層厚)が生じた。表1は、7.5μmの繊維についての重量減少率に関連する半径の変化を表す。
【表1】
【0054】
本明細書に開示されているように、主題の粒子ドープ繊維またはヤーンの半径または重量の減少は、水、臭気、または他の分子の改善された吸着および付随する織物機能の改善と相関している。テキスタイルの吸着能力を測定するために、いくつかの方法が使用される。例えば、ブタンの吸着は、臭気分子である酪酸の吸着の指標として使用され、臭いを除去する(および類似的に水を除去して湿度を低下させる)テキスタイルの能力と相関している。したがって、ブタンの吸着(ASTM D5228などの標準的な試験手順で決定)は、繊維/ヤーンの単位重量当たりに吸着されたブタンの相対重量として表される臭気活性値(OAV)と相関している。ここで、1のOAVは、1グラムのドープされた繊維/ヤーンが0.1ミリグラムのブタンを吸着することを意味し、10のOAVは、1グラムのドープされた繊維/ヤーンが1ミリグラムのブタンを吸着することを意味し、100のOAVは、1グラムのドープされた繊維/ヤーンが10ミリグラムのブタンを吸着することを意味する。また、第1の物品の100のOAVは、第2の物品の10のOAVと比較して、第1の物品が重量当たり10倍多い分子(例えば、ブタンなどの臭気分子または指標分子)を吸着することを意味する。
【0055】
一実施形態では、繊維またはヤーンの外側表面の一部分を除去するように重量減少させた粒子ドープ繊維またはヤーンのOAVは、重量減少していない同様の粒子ドープ繊維またはヤーンに比べて、約40%~360%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約220%、約240%、約260%、約280%、約300%、約320%、約340%、約360%、約380%、約400%、または300%超増加している。
【0056】
一実施形態では、繊維またはヤーンの外側表面の一部分を除去するように重量減少させた粒子ドープ繊維またはヤーンのOAVは、重量減少していない同様の粒子ドープ繊維またはヤーンに比べて、約40%~360%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約220%、約240%、約260%、約280%、約300%、約320%、約340%、約360%、約380%、約400%、または300%超増加している。
【0057】
一実施形態では、主題の粒子ドープ繊維またはヤーンのOAVは、約15~50、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、または約50である。
【0058】
1つの例示的な実施形態では、少なくとも約5000ppmのゼオライトがドープされた半径7.5μmのポリエステル繊維サンプルを、約5%~約50%重量減少させ、ブタン負荷にかけた。ここで、OAVは、5%から約30%への重量減少の増加と相関して増加し、その時点で、OAVはプラトーに達した(
図1)。
【0059】
製造プロセス
分子吸着粒子がドープされており、かつテキスタイル吸着および快適性の特性が改善された主題の繊維およびヤーンは、現在既知の、またはまだ発見されていない任意の方法によって作製され得る。
【0060】
図2を見ると、一実施形態では、主題の繊維は、ポリマーを溶融することによってポリマーを液化するか、またはポリマーを溶媒210に溶解するステップ、分子吸着粒子を溶融または溶解したポリマーに添加して混合物220を生成するステップ、混合物をダイまたは紡糸口金に通過させて繊維230を形成するステップ、繊維240を冷却または沈降して固化した繊維を形成するステップ、および固化した繊維250の外層の一部分を除去して分子吸着粒子のサブセットを環境に露出するステップ、を含む、プロセス200によって作製される。
【0061】
一実施形態では、繊維は、溶融紡糸プロセスを使用して形成され、それによって、溶融ポリマー(例えば、ポリエステル、ナイロン、またはより具体的にはポリエチレンテレフタレートなどの合成ポリマー)が、分子吸着粒子と組み合わされ、次いで、紡糸口金を通して押し出され、次いで、冷却によって直接固化させられる。次いで、形成された繊維またはヤーンは、繊維の外側表面に分子吸着粒子を露出することを容易にするために、重量減少ステップにかけられる。
【0062】
一実施形態では、繊維は、乾式紡糸プロセスを使用して形成され、それによって、ポリマーが、溶媒と組み合わされて可溶化され、分子吸着粒子が、溶液に添加され、次いで、懸濁液が、ジェットノズルを通って紡糸ダクトに供給され、その際、紡糸口金を通して押し出された紡糸された繊維は、加熱された気流によって乾燥させられ、次いで、冷却によって直接固化させられる。次いで、形成された繊維またはヤーンは、繊維の外側表面に分子吸着粒子を露出することを容易にするために、重量減少ステップにかけられる。
【0063】
一実施形態では、繊維は、湿式紡糸プロセスを使用して形成され、それによって、ポリマー(例えば、セルロースなどの天然ポリマー)が、溶媒と組み合わされて可溶化され、分子吸着粒子が、溶液に添加され、次いで、懸濁液が、ジェットノズルを介して紡糸口金に供給され、化学浴に沈められ、それによって、繊維は、沈降し、次いで、これが生じたら固化する。次いで、形成された繊維またはヤーンは、繊維の外側表面に分子吸着粒子を露出することを容易にするために、重量減少ステップにかけられる。
【0064】
一実施形態では、生産された繊維またはヤーンは、重量減少にかけられて、外層の一部分が除去され、分子吸着粒子が外部環境に露出される。重量減少の方法としては、既知の、またはまだ発見されていない任意の方法が挙げられる。重量減少の方法は、化学的または物理的プロセスであり得る。別の実施形態では、「重量減少」とは、粒子に対するポリマーの重量比を減少させることを意味し、これは、ポリマー中の粒子の相対的充填濃度を増加させることによって達成され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、繊維またはヤーンは、アルカリ減量加工(例えば、LiOH、NaOH、またはKOH処理)、酸性酸化(例えば、硫酸、リン酸、または塩酸処理)、酵素消化(例えば、セルラーゼ処理)、マーセル化、溶媒処理、洗浄剤処理、コロナ放電、UVエッチングまたは酸化、レーザーエッチング、プラズマエッチング、ダイカッティング(外層の一部分を剥ぎ取るダイに繊維またはヤーンを通すこと)などによって重量減少させられる。
【0066】
より具体的な実施形態では、ドープされたポリエステルヤーンの重量減少は、アルカリ減量加工によって達成される。ここで、溶融紡糸を介して作製された、0.2%~2%、好ましくは約0.5重量%の分子吸着粒子、好ましくはゼオライトを含有する、ポリエステルヤーンは、15分~2時間にわたって90℃で10%のNaOH溶液に露出されて、ポリエステル外層が除去される。例示的な実施形態では、半径7.5μmのポリエステル75-48ヤーン(PET)は、様々な時間にわたって90℃で10%(w/w)のNaOH溶液で処理され、その結果、重量減少は、重量損失がプラトーに見える約40~45分の処理までより長い時間で増加した(表2および
図3)。
【表2】
【0067】
いくつかの実施形態では、ドープされたポリマーは、キャスティングまたは押し出されてシートにされる。ここで、シートは、本明細書に記載されているような化学的または物理的方法によって重量減少にかけられる。いくつかの実施形態では、ドープされたポリマーシートは、粉砕または平削りによって重量減少させられる。いくつかの実施形態では、重量減少したドープされたポリマーシートは、層状に組み立てられるか、またはより大きなシートに固定されて、織物、マット、製作材料などを生産することができる。
【0068】
織物
開示されている改善された繊維およびヤーンを使用して作製された織物および衣類は、改善された臭気減少、改善された湿度減少、およびより低い体感温度属性を有する。ここで、開示されている改善された繊維およびヤーンから作製された衣服の体感温度は、重量減少していない繊維およびヤーンから作製された衣服よりも低い。本明細書で使用される場合、「体感温度」という用語は、湿度を考慮した知覚温度を意味する。皮膚と衣服との間の微気候から水蒸気を除去することによって、改善された開示されている織物は、全体的な体感温度を管理し、付随して着用者の快適性を向上させる。ここで、体感温度は、着用者の皮膚の近くの温度および湿度を測定し、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるRobert G.Steadman,“A Universal Scale of Apparent Temperature,”Journal of Climate and Applied Meterology,23:1674-1687(1984)に記載されているアルゴリズムを使用して決定することができる。
【0069】
一実施形態では、主題の衣服または織物は、衣服または織物の着用者の体感温度を、分子吸着粒子がドープされた同様の繊維およびヤーンを用いているが重量減少ステップなしで作製された同様に製造された衣服を着用している着用者の体感温度に比べて、約0.5℃、約1℃、約1.5℃、約2℃、約2.5℃、約3℃、約3.5℃、約4℃、約4.5℃、約5℃、約5.5℃、約6℃、約6.5℃、約7℃、約7.5℃、または約8℃低下させる。
【0070】
当業者であれば、本発明が、限定ではなく例示の目的で提示される記載されている実施形態以外によって実践することができ、本発明が、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されると理解するであろう。
【0071】
特定の実施形態
本発明は、その特定の非限定的な態様および実施形態を提供する。
【0072】
第1の態様では、本発明は、製造物を提供する。
【0073】
第1の態様の第1の実施形態では、製造物は、ポリマーとポリマー内に埋め込まれた複数の粒子とを含み、ポリマーの表面の一部分は除去されて、複数の粒子のサブセットが外部環境に露出されている。
【0074】
第1の態様の第2の実施形態では、第1の実施形態のポリマーの表面の除去される一部分は、表面の一部分の除去前のポリマーの5重量%~50重量%に相当する。
【0075】
第1の態様の第3の実施形態では、第1の実施形態または第2の実施形態の複数の粒子は、0.2μm~50μmの平均直径を有する粒子を含む。
【0076】
第1の態様の第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、1グラム当たり少なくとも約10平方メートルの表面積を有する。
【0077】
第1の態様の第5の実施形態では、第1~第4の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、少なくとも10重量%の水を吸着することができる。
【0078】
第1の態様の第6の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、ゼオライトを含む。
【0079】
第1の態様の第7の実施形態では、第1~第6の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、活性炭を含む。
【0080】
第1の態様の第8の実施形態では、第1~第7の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、銀または銀イオンを含まない。
【0081】
第1の態様の第9の実施形態では、第1~第8の実施形態のいずれか1つのポリマーは、ポリエステルまたは他の合成ポリマーを含むか、またはこれからなる。
【0082】
第1の態様の第10の実施形態では、第1~第8の実施形態のいずれか1つのポリマーは、セルロースまたは他の天然ポリマーを含むか、またはこれからなる。
【0083】
第1の態様の第11の実施形態では、第1~第10の実施形態のいずれか1つのポリマーに埋め込まれた粒子の濃度は、0.1重量%~2重量%である。
【0084】
第1の態様の第12の実施形態では、第1~第11の実施形態のいずれか1つの製造物は、ヤーンを形成するために2つ以上のフィラメントを含む繊維である。
【0085】
第1の態様の第13の実施形態では、第1~第11の実施形態のいずれか1つの製造物は、モノフィラメント繊維である。
【0086】
第1の態様の第14の実施形態では、第1~第13の実施形態のいずれか1つの該複数の粒子のうちの1つ以上の粒子は、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって測定して、700~1500cm-1の領域の赤外光を吸収する。
【0087】
第2の態様では、本発明は、繊維を提供する。
【0088】
第2の態様の第1の実施形態では、繊維は、ポリマーとポリマー内に埋め込まれた複数の粒子とを含み、繊維の表面の一部分は除去されて、複数の粒子のサブセットが外部環境に露出されている。
【0089】
第2の態様の第2の実施形態では、第1の実施形態の繊維の表面の除去される一部分は、表面の一部分の除去前の繊維の5重量%~50重量%に相当する。
【0090】
第2の態様の第3の実施形態では、第1の実施形態または第2の実施形態の複数の粒子は、0.2μm~50μmの平均直径を有する粒子を含む。
【0091】
第2の態様の第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、1グラム当たり少なくとも約10平方メートルの表面積を有する。
【0092】
第2の態様の第5の実施形態では、第1~第4の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、少なくとも10重量%の水を吸着することができる。
【0093】
第2の態様の第6の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つの繊維は、約1~2の平均断面アスペクト比を有する。
【0094】
第2の態様の第7の実施形態では、第1~第6の実施形態のいずれか1つの粒子は、(a)250~20,000百万分率の濃度で存在するか、または(b)繊維の表面まで(繊維の表面を含む)の繊維の断面全体に均一に分布している。
【0095】
第2の態様の第8の実施形態では、第1~第7の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、ゼオライトを含む。
【0096】
第2の態様の第9の実施形態では、第1~第8の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、活性炭を含む。
【0097】
第2の態様の第10の実施形態では、第1~第9の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、銀または銀イオンを含まない。
【0098】
第2の態様の第11の実施形態では、第1~第10の実施形態のいずれか1つのポリマーは、ポリエステルまたは他の合成ポリマーを含む。
【0099】
第2の態様の第12の実施形態では、第1~第10の実施形態のいずれか1つのポリマーは、セルロースまたは他の天然ポリマーを含む。
【0100】
第2の態様の第13の実施形態では、第1~第10の実施形態または第12の実施形態のいずれか1つの繊維は、ビスコース繊維、リヨセル繊維、レーヨン繊維、またはベンベルグ繊維である。
【0101】
第2の態様の第14の実施形態では、第1~第13の実施形態のいずれか1つの繊維は、2つ以上のフィラメントを含むヤーンである。
【0102】
第2の態様の第15の実施形態では、第1~第13の実施形態のいずれか1つの繊維は、モノフィラメントである。
【0103】
第2の態様の第16の実施形態では、第1~第15の実施形態のいずれか1つの1つ以上の粒子は、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって測定して、700~1500cm-1の領域の赤外光を吸収する。
【0104】
第2の態様の第17の実施形態では、第1~第16の実施形態のいずれか1つの繊維は、10重量%~50重量%のブタンを吸収することができる。
【0105】
第3の態様では、本発明は、分子吸着繊維を含むテキスタイルを提供する。
【0106】
第3の態様の第1の実施形態では、繊維は、ポリマーとポリマー内に埋め込まれた複数の粒子とを含み、各繊維の表面の一部分は除去されて、複数の粒子のサブセットが外部環境に露出されている。
【0107】
第3の態様の第2の実施形態では、第1の実施形態の繊維の表面の除去される一部分は、表面の一部分の除去前の繊維の5重量%~50重量%に相当する。
【0108】
第3の態様の第3の実施形態では、第1の実施形態または第2の実施形態の複数の粒子は、0.2μm~50μmの平均直径を有する粒子を含む。
【0109】
第3の態様の第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、1グラム当たり少なくとも約10平方メートルの表面積を有する。
【0110】
第3の態様の第5の実施形態では、第1~第4の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、少なくとも10重量%の水を吸着することができる。
【0111】
第3の態様の第6の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つの繊維は、約1~2の平均断面アスペクト比を有する。
【0112】
第3の態様の第7の実施形態では、第1~第6の実施形態のいずれか1つの粒子は、(a)250~20,000百万分率の濃度で存在するか、または(b)繊維の表面まで(繊維の表面を含む)の繊維の断面全体に均一に分布している。
【0113】
第3の態様の第8の実施形態では、第1~第7の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、ゼオライトを含む。
【0114】
第3の態様の第9の実施形態では、第1~第8の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、活性炭を含む。
【0115】
第3の態様の第10の実施形態では、第1~第9の実施形態のいずれか1つの複数の粒子は、銀または銀イオンを含まない。
【0116】
第3の態様の第11の実施形態では、第1~第10の実施形態のいずれか1つのポリマーは、ポリエステルまたは他の合成ポリマーを含む。
【0117】
第3の態様の第12の実施形態では、第1~第10の実施形態のいずれか1つのポリマーは、セルロースまたは他の天然ポリマーを含む。
【0118】
第3の態様の第13の実施形態では、第1~第10の実施形態または第12の実施形態のいずれか1つの繊維は、ビスコース繊維、リヨセル繊維、レーヨン繊維、またはベンベルグ繊維を含む。
【0119】
第3の態様の第14の実施形態では、第1~第13の実施形態のいずれか1つの繊維は、2つ以上のフィラメントを含むヤーンである。
【0120】
第3の態様の第15の実施形態では、第1~第13の実施形態のいずれか1つの繊維は、モノフィラメントである。
【0121】
第3の態様の第16の実施形態では、第1~第15の実施形態のいずれか1つの該複数の粒子のうちの1つ以上の粒子は、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって測定して、700~1500cm-1の領域の赤外光を吸収する。
【0122】
第3の態様の第17の実施形態では、第1~第16の実施形態のいずれか1つのテキスタイルは、テキスタイルを着用している対象の皮膚近くの湿度を低下させるのに十分な水蒸気を吸着する。
【0123】
第3の態様の第18の実施形態では、第1~第17の実施形態のいずれか1つのテキスタイルは、対象の皮膚の近くの体感温度を0.5℃~15℃低下させる。
【0124】
第4の態様では、本発明は、繊維を作製するための方法を提供する。
【0125】
第4の態様の第1の実施形態では、繊維を作製するための方法は、(a)液体もしくは溶融ポリマー(例えば、溶融した流動性ポリエステルなどの合成ポリマーの場合)または液体ポリマー溶液(例えば、再生セルロース繊維を生産するための溶解セルロースの場合)を提供するステップ、(b)液体もしくは溶融ポリマーまたは液体ポリマー溶液に0.5重量%~10重量%の粒子をドープするステップ、(c)該粒子ドープポリマーから繊維を形成するステップ、および(d)繊維の表面層の一部分を除去して粒子を外部環境に露出するステップ、を含む。
【0126】
第4の態様の第2の実施形態では、第1の実施形態の繊維は、約1~2の断面アスペクト比を有する。
【0127】
第4の態様の第3の実施形態では、第1の実施形態または第2の実施形態の粒子は、(a)250~20,000百万分率の濃度で存在するか、または(b)繊維の表面まで(繊維の表面を含む)の繊維の断面全体に均一に分布している。
【0128】
第4の態様の第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれか1つの粒子の平均直径は、繊維の平均直径の0.01~0.2である。
【0129】
第4の態様の第5の実施形態では、第1~第4の実施形態のいずれか1つの粒子は、少なくとも10重量%の水を吸収することができる。
【0130】
第4の態様の第6の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つのポリマーは、合成モノマーを含む。
【0131】
第4の態様の第7の実施形態では、第1~第6の実施形態のいずれか1つのポリマーは、エチレンテレフタレートモノマーを含む。
【0132】
第4の態様の第8の実施形態では、第1~第7の実施形態のいずれか1つのポリマーは、ポリエステルを含む。
【0133】
第4の態様の第9の実施形態では、第1~第8の実施形態のいずれか1つの繊維を液体または溶融ポリマーの溶融押出によって形成する。
【0134】
第4の態様の第10の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つのポリマーは、天然モノマーを含む。
【0135】
第4の態様の第11の実施形態では、第1~第5および第10の実施形態のいずれか1つのポリマーは、D-グルコースモノマーを含む。
【0136】
第4の態様の第12の実施形態では、第1~第5および第10~第11の実施形態のいずれか1つのポリマーは、セルロースを含む。
【0137】
第4の態様の第13の実施形態では、第1~第5および第10~第12の実施形態のいずれか1つの繊維を、液体ポリマー溶液を湿式紡糸することによって形成する。
【0138】
第4の態様の第14の実施形態では、第1~第13の実施形態のいずれか1つの粒子は、0.2μm~50μmの平均直径を有する。
【0139】
第4の態様の第15の実施形態では、第1~第14の実施形態のいずれか1つで除去される繊維の表面層の一部分は、粒子の平均直径の約0.1~10倍の厚さを有する。
【0140】
第4の態様の第16の実施形態では、第1~第15の実施形態のいずれか1つで除去される繊維の表面層の重量は、層を除去する前の繊維の重量の5%~50%である。
【0141】
第4の態様の第17の実施形態では、第1~第16の実施形態のいずれか1つの繊維は、少なくとも15の臭気活性値(OAV)を有するステープル繊維である。
【0142】
第4の態様の第18の実施形態では、第1~第17の実施形態のいずれか1つの粒子は、1グラム当たり10平方メートル超の表面積を有する。
【0143】
第4の態様の第19の実施形態では、第1~第18の実施形態のいずれか1つの粒子は、ゼオライトを含む。
【0144】
第4の態様の第20の実施形態では、第1~第19の実施形態のいずれか1つの粒子は、活性炭を含む。
【0145】
第4の態様の第21の実施形態では、第1~第20の実施形態のいずれか1つの粒子は、銀または銀イオンを含まない。
【0146】
第4の態様の第22の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分をアルカリ減量加工によって除去する。
【0147】
第4の態様の第23の実施形態では、繊維を、約15~45分間にわたって、約80℃~100℃で、5%~25%のNaOH、LiOH、またはKOHで処理することによって、第1~第22の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を除去する。
【0148】
第4の態様の第24の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、酵素消化によって除去する。
【0149】
第4の態様の第25の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、マーセル化によって除去する。
【0150】
第4の態様の第26の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、レーザーエッチングによって除去する。
【0151】
第4の態様の第27の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、プラズマエッチングによって除去する。
【0152】
第5の態様では、本発明は、織布の作製に有用な繊維を提供する。
【0153】
第5の態様の第1の実施形態では、繊維は、(a)液体もしくは溶融ポリマー(例えば、溶融した流動性ポリエステルなどの合成ポリマーの場合)または液体ポリマー溶液(例えば、再生セルロース繊維を生産するための溶解セルロースの場合)を提供すること、(b)液体もしくは溶融ポリマーまたは液体ポリマー溶液に0.5重量%~10重量%の粒子をドープすること、(c)該粒子ドープポリマーから繊維を形成すること、および(d)繊維の表面層の一部分を除去して粒子を外部環境に露出することによって製造される。
【0154】
第5の態様の第2の実施形態では、第1の実施形態の繊維は、約1~2の断面アスペクト比を有する。
【0155】
第5の態様の第3の実施形態では、第1の実施形態または第2の実施形態の粒子は、(a)250~20,000百万分率の濃度で存在するか、または(b)繊維の表面まで(繊維の表面を含む)の繊維の断面全体に均一に分布している。
【0156】
第5の態様の第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれか1つの粒子の平均直径は、繊維の直径の0.01~0.2である。
【0157】
第5の態様の第5の実施形態では、第1~第4の実施形態のいずれか1つの粒子は、少なくとも10重量%の水を吸収することができる。
【0158】
第5の態様の第6の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つのポリマーは、合成モノマーを含む。
【0159】
第5の態様の第7の実施形態では、第1~第6の実施形態のいずれか1つのポリマーは、エチレンテレフタレートモノマーを含む。
【0160】
第5の態様の第8の実施形態では、第1~第7の実施形態のいずれか1つのポリマーは、ポリエステルを含む。
【0161】
第5の態様の第9の実施形態では、第1~第8の実施形態のいずれか1つの繊維を液体または溶融ポリマーの溶融押出によって形成する。
【0162】
第5の態様の第10の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つのポリマーは、天然モノマーを含む。
【0163】
第5の態様の第11の実施形態では、第1~第5および第10の実施形態のいずれか1つのポリマーは、D-グルコースモノマーを含む。
【0164】
第5の態様の第12の実施形態では、第1~第5および第10~第11の実施形態のいずれか1つのポリマーは、セルロースを含む。
【0165】
第5の態様の第13の実施形態では、第1~第5および第10~第12の実施形態のいずれか1つの繊維を、液体ポリマー溶液を湿式紡糸することによって形成する。
【0166】
第5の態様の第14の実施形態では、第1~第13の実施形態のいずれか1つの粒子は、0.2μm~50μmの平均直径を有する。
【0167】
第5の態様の第15の実施形態では、第1~第14の実施形態のいずれか1つで除去される繊維の表面層の一部分は、粒子の平均直径の約0.1~10倍の厚さを有する。
【0168】
第5の態様の第16の実施形態では、第1~第15の実施形態のいずれか1つで除去される繊維の表面層の重量は、層を除去する前の繊維の重量の5%~50%である。
【0169】
第5の態様の第17の実施形態では、第1~第16の実施形態のいずれか1つの繊維は、少なくとも15の臭気活性値(OAV)を有するステープル繊維である。
【0170】
第5の態様の第18の実施形態では、第1~第17の実施形態のいずれか1つの粒子は、1グラム当たり10平方メートル超の表面積を有する。
【0171】
第5の態様の第19の実施形態では、第1~第18の実施形態のいずれか1つの粒子は、ゼオライトを含む。
【0172】
第5の態様の第20の実施形態では、第1~第19の実施形態のいずれか1つの粒子は、活性炭を含む。
【0173】
第5の態様の第21の実施形態では、第1~第20の実施形態のいずれか1つの粒子は、銀または銀イオンを含まない。
【0174】
第5の態様の第22の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分をアルカリ減量加工によって除去する。
【0175】
第5の態様の第23の実施形態では、繊維を、約15~45分間にわたって、約80℃~100℃で、5%~25%のNaOH、LiOH、またはKOHで処理することによって、第1~第22の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を除去する。
【0176】
第5の態様の第24の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、酵素消化によって除去する。
【0177】
第5の態様の第25の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、マーセル化によって除去する。
【0178】
第5の態様の第26の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、レーザーエッチングによって除去する。
【0179】
第5の態様の第27の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、プラズマエッチングによって除去する。
【0180】
第6の態様では、本発明は、織布を作製するための方法を提供する。
【0181】
第6の態様の第1の実施形態では、織布は、(a)液体もしくは溶融ポリマー(例えば、溶融した流動性ポリエステルなどの合成ポリマーの場合)または液体ポリマー溶液(例えば、再生セルロース繊維を生産するための溶解セルロースの場合)を提供すること、(b)液体もしくは溶融ポリマーまたは液体ポリマー溶液に0.5重量%~10重量%の粒子をドープすること、(c)該粒子ドープポリマーから繊維を形成すること、(d)繊維の表面層の一部分を除去して粒子を外部環境に露出すること、および(e)該繊維を織るかまたは編んで、水蒸気を吸着することができるテキスタイルを生産することによって製造される。
【0182】
第6の態様の第2の実施形態では、第1の実施形態の繊維は、約1~2の断面アスペクト比を有する。
【0183】
第6の態様の第3の実施形態では、第1の実施形態または第2の実施形態の粒子は、(a)250~20,000百万分率の濃度で存在するか、または(b)繊維の表面まで(繊維の表面を含む)の繊維の断面全体に均一に分布している。
【0184】
第6の態様の第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれか1つの粒子の平均直径は、繊維の平均直径の0.01~0.2である。
【0185】
第6の態様の第5の実施形態では、第1~第4の実施形態のいずれか1つの粒子は、少なくとも10重量%の水を吸収することができる。
【0186】
第6の態様の第6の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つのポリマーは、合成モノマーを含む。
【0187】
第6の態様の第7の実施形態では、第1~第6の実施形態のいずれか1つのポリマーは、エチレンテレフタレートモノマーを含む。
【0188】
第6の態様の第8の実施形態では、第1~第7の実施形態のいずれか1つのポリマーは、ポリエステルを含む。
【0189】
第6の態様の第9の実施形態では、第1~第8の実施形態のいずれか1つの繊維を液体または溶融ポリマーの溶融押出によって形成する。
【0190】
第6の態様の第10の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つのポリマーは、天然モノマーを含む。
【0191】
第6の態様の第11の実施形態では、第1~第5および第10の実施形態のいずれか1つのポリマーは、D-グルコースモノマーを含む。
【0192】
第6の態様の第12の実施形態では、第1~第5および第10~第11の実施形態のいずれか1つのポリマーは、セルロースを含む。
【0193】
第6の態様の第13の実施形態では、第1~第5および第10~第12の実施形態のいずれか1つの繊維を、液体ポリマー溶液を湿式紡糸することによって形成する。
【0194】
第6の態様の第14の実施形態では、第1~第13の実施形態のいずれか1つの粒子は、0.2μm~50μmの平均直径を有する。
【0195】
第6の態様の第15の実施形態では、第1~第14の実施形態のいずれか1つで除去される繊維の表面層の一部分は、粒子の平均直径の約0.1~10倍の厚さを有する。
【0196】
第6の態様の第16の実施形態では、第1~第15の実施形態のいずれか1つで除去される繊維の表面層の重量は、層を除去する前の繊維の重量の5%~50%である。
【0197】
第6の態様の第17の実施形態では、第1~第16の実施形態のいずれか1つの繊維は、少なくとも15の臭気活性値(OAV)を有するステープル繊維である。
【0198】
第6の態様の第18の実施形態では、第1~第17の実施形態のいずれか1つの粒子は、1グラム当たり10平方メートル超の表面積を有する。
【0199】
第6の態様の第19の実施形態では、第1~第18の実施形態のいずれか1つの粒子は、ゼオライトを含む。
【0200】
第6の態様の第20の実施形態では、第1~第19の実施形態のいずれか1つの粒子は、活性炭を含む。
【0201】
第6の態様の第21の実施形態では、第1~第20の実施形態のいずれか1つの粒子は、銀または銀イオンを含まない。
【0202】
第6の態様の第22の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分をアルカリ減量加工によって除去する。
【0203】
第4の態様の第23の実施形態では、繊維を、約15~45分間にわたって、約80℃~100℃で、5%~25%のNaOH、LiOH、またはKOHで処理することによって、第1~第22の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を除去する。
【0204】
第4の態様の第24の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、酵素消化によって除去する。
【0205】
第4の態様の第25の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、マーセル化によって除去する。
【0206】
第4の態様の第26の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、レーザーエッチングによって除去する。
【0207】
第6の態様の第27の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、プラズマエッチングによって除去する。
【0208】
第5の態様の第28の実施形態では、第1~第27の実施形態のいずれか1つの織布は、テキスタイルを着用している対象の皮膚近くの湿度を低下させるのに十分な水蒸気を吸着する。
【0209】
第5の態様の第29の実施形態では、第1~第28の実施形態のいずれか1つの織布は、織布を着用している対象の皮膚近くの体感温度を0.5℃~15℃低下させる。
【0210】
第7の態様では、本発明は、水および他の分子を吸着する織布を提供する。
【0211】
第7の態様の第1の実施形態では、織布は、(a)液体もしくは溶融ポリマー(例えば、溶融した流動性ポリエステルなどの合成ポリマーの場合)または液体ポリマー溶液(例えば、再生セルロース繊維を生産するための溶解セルロースの場合)を提供するステップ、(b)液体もしくは溶融ポリマーまたは液体ポリマー溶液に0.5重量%~10重量%の粒子をドープするステップ、(c)該粒子ドープポリマーから繊維を形成するステップ、(d)繊維の表面層の一部分を除去して粒子を外部環境に露出するステップ、および(e)該繊維を織るかまたは編んで、水蒸気を吸着することができるテキスタイルを生産するステップ、を含む、方法によって製造される。
【0212】
第7の態様の第2の実施形態では、第1の実施形態の繊維は、約1~2の断面アスペクト比を有する。
【0213】
第7の態様の第3の実施形態では、第1の実施形態または第2の実施形態の粒子は、(a)250~20,000百万分率の濃度で存在するか、または(b)繊維の表面まで(繊維の表面を含む)の繊維の断面全体に均一に分布している。
【0214】
第7の態様の第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれか1つの粒子の平均直径は、繊維の平均直径の0.01~0.2である。
【0215】
第7の態様の第5の実施形態では、第1~第4の実施形態のいずれか1つの粒子は、少なくとも10重量%の水を吸収することができる。
【0216】
第7の態様の第6の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つのポリマーは、合成モノマーを含む。
【0217】
第7の態様の第7の実施形態では、第1~第6の実施形態のいずれか1つのポリマーは、エチレンテレフタレートモノマーを含む。
【0218】
第7の態様の第8の実施形態では、第1~第7の実施形態のいずれか1つのポリマーは、ポリエステルを含む。
【0219】
第7の態様の第9の実施形態では、第1~第8の実施形態のいずれか1つの繊維を液体または溶融ポリマーの溶融押出によって形成する。
【0220】
第7の態様の第10の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つのポリマーは、天然モノマーを含む。
【0221】
第7の態様の第11の実施形態では、第1~第5および第10の実施形態のいずれか1つのポリマーは、D-グルコースモノマーを含む。
【0222】
第7の態様の第12の実施形態では、第1~第5および第10~第11の実施形態のいずれか1つのポリマーは、セルロースを含む。
【0223】
第7の態様の第13の実施形態では、第1~第5および第10~第12の実施形態のいずれか1つの繊維を、液体ポリマー溶液を湿式紡糸することによって形成する。
【0224】
第7の態様の第14の実施形態では、第1~第13の実施形態のいずれか1つの粒子は、0.2μm~50μmの平均直径を有する。
【0225】
第7の態様の第15の実施形態では、第1~第14の実施形態のいずれか1つで除去される繊維の表面層の一部分は、粒子の平均直径の約0.1~10倍の厚さを有する。
【0226】
第7の態様の第16の実施形態では、第1~第15の実施形態のいずれか1つで除去される繊維の表面層の重量は、層を除去する前の繊維の重量の5%~50%である。
【0227】
第7の態様の第17の実施形態では、第1~第16の実施形態のいずれか1つの繊維は、少なくとも15の臭気活性値(OAV)を有するステープル繊維である。
【0228】
第7の態様の第18の実施形態では、第1~第17の実施形態のいずれか1つの粒子は、1グラム当たり10平方メートル超の表面積を有する。
【0229】
第7の態様の第19の実施形態では、第1~第18の実施形態のいずれか1つの粒子は、ゼオライトを含む。
【0230】
第7の態様の第20の実施形態では、第1~第19の実施形態のいずれか1つの粒子は、活性炭を含む。
【0231】
第7の態様の第21の実施形態では、第1~第20の実施形態のいずれか1つの粒子は、銀または銀イオンを含まない。
【0232】
第7の態様の第22の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分をアルカリ減量加工によって除去する。
【0233】
第7の態様の第23の実施形態では、繊維を、約15~45分間にわたって、約80℃~100℃で、5%~25%のNaOH、LiOH、またはKOHで処理することによって、第1~第22の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を除去する。
【0234】
第7の態様の第24の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、酵素消化によって除去する。
【0235】
第7の態様の第25の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、マーセル化によって除去する。
【0236】
第7の態様の第26の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、レーザーエッチングによって除去する。
【0237】
第7の態様の第27の実施形態では、第1~第21の実施形態のいずれか1つの繊維の表面層の一部分を、プラズマエッチングによって除去する。
【0238】
第7の態様の第28の実施形態では、第1~第27の実施形態のいずれか1つの織布は、テキスタイルを着用している対象の皮膚近くの湿度を低下させるのに十分な水蒸気を吸着する。
【0239】
第7の態様の第29の実施形態では、第1~第28の実施形態のいずれか1つの織布は、織布を着用している対象の皮膚近くの体感温度を0.5℃~15℃低下させる。
【0240】
実施例1:重量減少
材料
分子吸着ゼオライト粒子がドープされた、Huvis Corporation(ソウル、韓国)(DY820、12/9/2014)製の75/48/1フィラメントポリエステルヤーンを試験サンプルとして使用した。すべての試料に同じスプールのヤーンを使用した。
【0241】
実験
同じスプールのヤーンからのヤーン試料を採取し、様々な期間にわたって、90℃で、10%w/wのNaOH溶液で処理した。処理が長いほど、より多くのポリエステルがヤーンから除去される。処理の前後に、ヤーン束の乾燥重量を測った。重量損失は、パーセンテージで表される。0%、5%、10%、および50%の重量損失を有するサンプルを生成することが望まれていた。実際の重量損失量を各試料について決定した。各試料をブタン吸着および灰分パーセンテージについて試験した。ブタン吸着は、露出される添加剤表面積の量の尺度である。値が高いほど、表面積の露出が多くなる。
【0242】
結果
表3は、生産された試料、実際の重量減少、ブタン吸着値(OAV)、および変化したOAVのパーセンテージの要約である。
【表3】
【0243】
表5を参照すると、すべてのサンプルのOAV値は、10%重量減少したサンプルと50%重量減少したサンプルとの間の違いを除いて、p<0.10で統計的に異なる。
【0244】
それぞれの異なる重量減少フィラメントの表面のSEM画像を収集し、
図4~7に示した。
図4は、対照ヤーンのSEMを示す。ヤーンの表面は滑らかであり、時折粒子が露出していることに留意されたい。これらの粒子は、分子吸着粒子またはTiO
2のいずれかである。
図5は、5%減少サンプルを示す。このサンプルには、ポリエステルの除去によって生成された透明な窪みがある。窪みは、粒子の周りに形成されており、粒子のより多くの表面積を露出し得ることに留意されたい。これは、ヤーンの強化であり、粒子をより効果的にし、OAVによって測定される。
図6は、10%減少サンプルを示す。形成される窪みの増加およびより粗い表面に注目されたい。
【0245】
図7は、50%の重量減少サンプルを示す。表面は極めて粗くなっているが、OAV値は統計的により大きくはない。これは、粒子が除去されているか、またはそうでなければ、より多くさらに粒子表面が露出されているかのどちらかであり得る。
【0246】
結論
NaOH重量減少処理によって、OAVで測定してより大きな分子吸着粒子表面積が露出される。これは、0%~13%の重量減少の間で線形の傾向があり、50%の重量減少は、この例の10%の試料と比較して、OAVの増加を示さない。
【0247】
実施例2:体感温度試験
背景
ヒトの快適性は、皮膚の隣で知覚される湿度および温度に直接相関している。体感温度の測定は、ヒトが感じる快適性に対する衣類の影響を測定する1つの手法である。Steadman,R.G;“The Assessment of Sultriness.Part I:A Temperature-Humidity Index Based on Human Physiology and Clothing Science”;Journal of Applied Meteorology and Climatology;July 1979;861を参照されたい。衣類が快適性に与える影響を正確に決定するためには、織物の物理的特性試験のみを使用するだけでなく、皮膚の隣(衣類の下)の湿度および温度を直接測定するべきである。AATCC200および201などの織物の物理的特性試験を使用して織物の特性を測定することができるが、これらの試験を使用する場合は、全体的な快適性を理解するように注意すべきである。Wojciechowska,I.;“Challenges in Moisture Management Testing”;AATCC Review;Vol.18,No.2,p.31を参照されたい。織物の特性試験は、織物の1つの側面に焦点を当てているため、生地が快適性に与える影響を完全に理解するには、いくつかの試験および実地試験と組み合わせて使用する必要がある。皮膚の隣の湿度および温度を直接測定することによって、織物の物理的特性試験よりも実生活の状況がより良好にシミュレートされ、ヒトの快適性がより正確に測定される。
【0248】
先の研究では、分子吸着粒子を含有する繊維が存在する場合と存在しない場合で、様々な衣服系間の体感温度差を測定した。(体感温度は、試験衣服系を着用したときに「どのように感じるか」を予測する、温度に対する湿度の影響である)これらの研究では、湿度負荷を生じさせるように被験者が実施した作業量を調整する制御された環境で、衣類の下の温度および湿度を測定した。分子吸着粒子を含有する重量減少繊維を含めると、体感温度の上昇が低下し、被験者の快適性範囲が広がることが見出された。この実施例では、2つのトーブ(thobe)試験衣服を使用し、一方は分子吸着粒子がドープされた繊維を含有しており、もう一方は粒子を含んでいなかった。体感温度は、制御された環境内で熱を生成する様々な作業量で、各トーブの下で決定した。
【0249】
サンプル
2つのトーブは、一方の織物が重量減少した粒子ドープ繊維を含有しており(実験織物)、もう一方の織物が粒子ドープなしの重量減少繊維を含有している(対照織物)ことを除いて、同様の織物から作製した。両方のトーブの織物は、構造、重量、および通気性が類似していた。
【0250】
実験トーブ織物を織り(115×94カウント)、これは、50%の粒子ドープポリエステル(横糸)、40/1の45%のポリエステル、および5%のタフセル(縦糸)を含有しており、133g/m2、重量減少6%であった。
【0251】
対照トーブ織物を織り(115x94カウント)、これは、50%のポリエステル(横糸)、40/1の45%のポリエステル、および5%のタフセル(縦糸)を含有しており、139g/m2、重量減少6%であった。
【0252】
試験
試験は、28℃および相対湿度30%に設定された気候制御された部屋で実施した。温度、湿度、および作業設定は、過度の液体汗の発生を生じさせることなく湿度負荷を生じさせるように選択した。これによって、衣服に対する汗蒸気負荷の性能を試験することができる。両方の系の試験中、1人の対象を使用した。
【0253】
使用者は、どちらのトーブも、同じ軽量メッシュシャツの上に着用していた。このシャツの裏側に14個のセンサを取り付け、シャツおよびセンサの上にトーブを着用した。対象は、試験前に30分間にわたって室内条件に平衡化され、次いで、センサは、60分間にわたる温度および湿度の記録を開始した。
【0254】
対象は、5分間休憩し、80ワットの出力で10分間ペダルを踏み、10分間休憩し、90ワットの出力で10分間ペダルを踏み、10分間休憩し、100ワットの出力で10分間ペダルを踏み、次いで、最後に5分間休憩した。午前と午後の試験との間に、対象は、2時間休憩した。
【0255】
試験者の湿度生成は、ヒトの概日リズムを理由に、時刻によって異なることが見出されている。1日を通しての湿度生成の変化を説明するために、2日間かけて試験を同時に実施した。
図8に提示されているデータは、午前および午後に試験した所定の系のセンサの平均である。
【0256】
結果
体感温度の尺度は、元々、熱によって引き起こされる潜在的な健康問題を人々に警告することに役立てるために作成された。体感温度は、衣類の下の湿度および温度の両方の影響を理解するためにも使用することができる。これは、汗の蒸発による冷却と、蒸発に対する湿度の影響とを考慮して計算しているためである。この計算によって、人々が容易にこの尺度に関連付けられるような「感じられる」温度が決定される。
【0257】
トーブの下の温度および湿度を測定するセンサは、両方のトーブ試験のケースで収集した。
図8は、実験トーブおよび対照トーブについての60分間の試験にわたる平均体感温度である。実験トーブ(分子吸着粒子あり)は、対照トーブ(分子吸着粒子なし)と比較して、常により涼しく感じられた。これは、平均3.7℃の差を伴って、6.9℃も涼しく感じられ、試験の24%で5.0℃超涼しかった。58分の時点で、試験者が制御トーブを脱いだため、その時に温度および湿度が低下したことに留意されたい。その時の値は、分析から除外した。
【0258】
さらに、試験者は、対照トーブを着用している場合、12分の時点で液体汗を発し始めた。(特に、実験トーブを着用している場合、60分間の試験全体にわたって液体汗は検出されなかった)センサが湿ったら読み取りを中断する。これらのセンサは、液体の水ではなく湿度を測定するように作製されている。ウェットセンサは、測定の「ノイズ」を増加させ、微気候を正確に測定していない。したがって、湿り度を決定するセンサは、両方のデータセットから除外した。
【0259】
結論
温度および湿度を、トーブの下の被験者の微気候において測定した。体感温度を、粒子ドープヤーンありの系(実験)およびなしの系(対照)について計算した。実験トーブは、対照トーブに比べて最大6.9℃涼しく、調整された作業によって熱を発生させた場合、平均3.7℃の差があった。さらに、実験トーブは、分子吸着粒子を含有しているが重量減少はない繊維から作製されたトーブ(第2の対照)に比べて涼しかった。第2の対照トーブは、これらの対照トーブよりも約1℃涼しかった。したがって、重量減少は、相対的な冷却および/または熱管理においてさらなる重要な利点を提供する。実験トーブは、使用者に知覚される快適性を大幅に改善し、被験者が液体汗を発するのを防ぎ、その一方で、使用者は、対照トーブでは、12分の時点で液体汗を発し始めた。
【0260】
当業者であれば、本発明の特徴および実施形態、ならびに本発明の方法のステップの特徴および実施形態を一緒に使用して、本発明のさらなる実施形態を作成することができると理解するであろう。本発明を特定の実施形態に関連して詳細に説明してきたが、本発明は、先に開示されている実施形態に限定されないと理解されたい。むしろ、当業者であれば、本発明が、これまでに説明されていないが、本発明の趣旨および範囲に見合った、任意の数の変形、変更、置き換え、または同等の配置を組み込むように修正できると理解するであろう。特定の実施形態は、例示的なものとして解釈すべきであり、限定するものではない。
【国際調査報告】