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特表2022-549375免疫調節剤としてのピリド[3,2-D]ピリミジン化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】免疫調節剤としてのピリド[3,2-D]ピリミジン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 519/00 20060101AFI20221116BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20221116BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
C07D519/00 311
C07D519/00 CSP
A61K31/519
A61P25/28
A61P31/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61P37/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520000
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(85)【翻訳文提出日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 US2020053190
(87)【国際公開番号】W WO2021067217
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/908,317
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】505193450
【氏名又は名称】インサイト・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INCYTE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】リィ,ジンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,リアンシン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,ウェンチン
【テーマコード(参考)】
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C072MM02
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB32
(57)【要約】
本開示は、PD-1/PD-L1タンパク質/タンパク質相互作用を調節する、式(I)の化合物、組成物、ならびに感染症疾患及びがんを含む様々な疾患を治療する方法を対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、
が、CHもしくはClであり、
が、
【化2】
であり、
が、HもしくはCHであり、
が、HもしくはCHであり、
が、HもしくはCHである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
が、CHもしくはClであり、
がClである場合、Rが、
【化3】
であり、
がCHである場合、Rが、
【化4】
である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、Clであり、Rが、
【化5】
である、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
が、Clであり、Rが、
【化6】
である、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、CHであり、Rが、
【化7】
である、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
前記化合物が、(R)-4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸である、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
前記化合物が、(R)-4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシ-3-メチルピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸である、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
前記化合物が、(S)-4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸である、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
前記化合物が、(S)-4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシ-3-メチルピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸である、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
前記化合物が、(R)-4-(2-(2-((3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2,2’-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸である、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
前記化合物が、(R)-4-(2-(2-((3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシ-3-メチルピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2,2’-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸である、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
前記化合物が、4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-(ピロリジン-1-イルメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸である、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
前記化合物が、4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((((1R,2S)-2-ヒドロキシシクロペンチル)アミノ)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸である、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
前記化合物が、4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシ-3-メチルアゼチジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸である、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、及び薬学的に許容可能な賦形剤もしくは担体を含む、薬学的組成物。
【請求項16】
PD-1/PD-L1相互作用を阻害する方法であって、患者に、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項17】
PD-1/PD-L1相互作用の阻害と関連する疾患または障害を治療する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項18】
前記疾患または障害が、感染症疾患、炎症、自己免疫疾患、がん、または神経変性障害である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患または障害が、がんである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記がんが、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、眼内悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域癌、胃癌、精巣癌、卵管癌、子宮内膜癌(carcinoma of the endometrium)、子宮内膜癌(endometrial cancer)、子宮頸癌、膣癌、外陰部癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、慢性白血病、急性白血病、幼児固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸(spinal axis)腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、表皮癌、扁平上皮細胞癌、T細胞リンパ腫、アスベストによって誘発されるものを含む環境誘発癌、黒色腫、転移性悪性黒色腫、皮膚黒色腫、腎癌、前立腺癌、ホルモン不応性前立腺腺癌、乳癌、浸潤性乳癌、結腸癌、肺癌、頭頸部扁平上皮癌(squamous cell head and neck cancer)、頭頸部の扁平上皮癌(squamous cell carcinoma of the head and neck)、尿路上皮癌、非筋層浸潤性膀胱癌(NMIBC)、マイクロサテライト不安定性の高い癌(MSIhigh)、固形腫瘍、肝臓癌、胃癌、甲状腺癌、膠芽腫、肉腫、血液癌、リンパ腫、白血病、再発性非ホジキンリンパ腫、難治性非ホジキンリンパ腫、再発性濾胞性リンパ腫、胆管癌(cholangiocarcinoma)、胆管癌(bile duct cancer)、胆道癌、横紋筋肉腫、平滑筋腫、肝細胞癌、ユーイング肉腫、脳腫瘍、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経線維腫、基底細胞癌、軟骨肉腫、類上皮肉腫、眼癌(eye cancer)、卵管癌(Fallopian tube cancer)、胃腸癌、消化管間質腫瘍、有毛細胞白血病、腸癌、膵島細胞癌、口腔癌(oral cancer)、口腔癌(mouth cancer)、咽喉癌、喉頭癌、口唇癌、中皮腫、鼻腔癌、眼癌(ocular cancer)、眼黒色腫、骨盤癌、腎細胞癌、唾液腺癌、副鼻腔癌、脊髄癌、舌癌、管状癌、尿管癌、泌尿生殖路癌、肝臓癌、神経系癌、婦人科癌、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、骨髄増殖性疾患、原発性骨髄線維症(PMF)、真性多血症(PV)、本態性血小板増加症(ET)、骨髄異形成症候群(MDS)、T-細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、多発性骨髄腫(MM)、骨肉腫、血管肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋肉腫、横紋肉腫、線維腫、脂肪腫、過誤腫、奇形腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、扁平細胞NSCLC、小細胞肺癌、気管支原性癌、未分化小細胞気管支原性癌、未分化大細胞気管支原性癌、腺癌、肺胞(気管支)癌、気管支腺腫、軟骨性過誤腫、扁平上皮癌、癌腫、管腺癌、膵島細胞腫、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、VIP産生腫瘍、小腸癌、平滑筋腫、血管腫、大腸癌、管状腺腫、絨毛腺癌、結腸直腸癌、結腸直腸腺癌、腎臓癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、移行上皮癌、精巣癌、精上皮腫、胎児性癌、奇形腫、絨毛癌、間質細胞癌、線維腺腫、腺腫様腫瘍、泌尿器系癌、乳頭状腎癌、精巣胚細胞癌、嫌色素性腎細胞癌、淡明細胞腎癌、前立腺腺癌、肝細胞癌、肝芽腫、肝細胞腺腫、骨原性肉腫、悪性線維性組織球腫、悪性リンパ腫、細網肉腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)、骨軟骨性外骨腫、良性軟骨腫瘍、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫、巨細胞腫瘍、頭蓋骨癌、骨腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎、髄膜癌、髄膜腫、髄膜肉腫(meningiosarcoma)、神経膠腫症、脳癌、髄芽腫(meduoblastoma)、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫、松果体腫、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍、脊髄癌、レルミット・ダクロス病、子宮癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、前腫瘍(pre-tumor)子宮頸部異形成、卵巣癌、漿液性嚢胞腺癌、漿液性腺癌、粘液性嚢胞腺癌、分類不能癌、顆粒膜-莢膜細胞腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫、外陰部癌、上皮内癌、膣癌、明細胞癌、ブドウ状肉腫、胎児性横紋筋肉腫、皮膚有棘細胞癌、ほくろ異形成母斑、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、骨髄異形成症候群、及び尿路上皮癌から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記がんが、PD-L1を発現する転移性がんである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
患者において免疫応答を増強、刺激、及び/または増加する方法であって、それを必要とする前記患者に、治療有効量の請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2019年9月30日に出願された米国仮出願第62/908,317号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、PD-1/PD-L1タンパク質/タンパク質相互作用を調節し、感染症疾患及びがんを含む様々な疾患の治療に有用である、ピリド[3,2-d]ピリミジン化合物を対象とする。
【背景技術】
【0003】
免疫系は、がんなどの疾患の制御及び根絶において重要な役割を果たす。しかしながら、がん細胞は、それらの成長を支持するために免疫系を回避または抑制する戦略をしばしば開発する。かかるメカニズムの1つは、免疫細胞で発現する共刺激及び共抑制分子の発現を変化させることである(Postow et al,J.Clinical Oncology 2015,1-9)。PD-1などの阻害免疫チェックポイントのシグナル伝達をブロックすることは、有望で効果的な治療法であることが証明されている。
【0004】
CD279としても知られる、プログラムされた細胞死-1(PD-1)は、活性化T細胞、ナチュラルキラーT細胞、B細胞、及びマクロファージ上で発現する細胞表面受容体である(Greenwald et al.,Annu.Rev.Immunol.2005,23:515-548、Okazaki and Honjo,Trends Immunol 2006,(4):195-201)。これは、T細胞の活性化を防ぐための固有の負のフィードバックシステムとして機能し、それは次いで自己免疫を低減し、自己寛容を促進する。さらに、PD-1は、がん及びウイルス感染症などの疾患における抗原特異的T細胞応答の抑制において重要な役割を果たすことも知られている(Sharpe et al,Nat Immunol 2007 8,239-245、Postow et al,J.Clinical Oncol 2015,1-9)。
【0005】
PD-1の構造は、細胞外免疫グロブリン可変様ドメイン、続いて、膜貫通領域及び細胞内ドメインからなる(Parry et al,Mol Cell Biol 2005,9543-9553)。細胞内ドメインは、免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ及び免疫受容体チロシンベースのスイッチモチーフに位置する2つのリン酸化部位を含み、これはPD-1がT細胞受容体媒介シグナルを負に調節することを示唆している。PD-1は、PD-L1及びPD-L2の2つのリガンドを有し(Parry et al,Mol Cell Biol 2005,9543-9553、Latchman et al,Nat Immunol 2001,2,261-268)、それらはそれらの発現パターンが異なる。PD-L1タンパク質は、リポ多糖及びGM-CSF処理に応答してマクロファージ及び樹状細胞、ならびにT細胞受容体及びB細胞受容体のシグナル伝達によりT細胞及びB細胞で上方制御される。PD-L1は、ほぼ全ての腫瘍細胞でも高発現され、発現はIFN-γ処理後さらに増加する(Iwai et al.,PNAS 2002,99(19):12293-7、Blank et al.,Cancer Res.2004,64(3):1140-5)。実際、腫瘍PD-L1発現状態は、複数の腫瘍タイプで予後を示すことが示されている(Wang et al.,Eur.J.Surg.Oncol.2015、Huang et al.,Oncol.Rep.2015、Sabatier et al.,Oncotarget 2015,6(7):5449-5464)。対照的に、PD-L2発現はより制限されており、主に樹状細胞によって発現される(Nakae et al.,J.Immunol.2006,177:566-73)。PD-1とそのリガンドPD-L1及びPD-L2とのT細胞上でのライゲーションは、IL-2及びIFN-γ生成を阻害するシグナル、ならびにT細胞受容体の活性化により誘導される細胞増殖をもたらす(Carter et al.,Eur.J.Immunol.2002,32(3):634-43、Freeman et al.,J.Exp.Med.2000,192(7):1027-34)。このメカニズムには、Syk及びLckリン酸化などのT細胞受容体シグナル伝達を阻害するSHP-2またはSHP-1ホスファターゼの動員が含まれる(Sharpe et al.,Nat.Immunol.2007,8,239-245)。PD-1シグナル伝達軸の活性化は、NF-κB及びAP1経路の活性化、ならびにIL-2、IFN-γ、及びTNFなどのサイトカイン生成に必要なPKC-θ活性化ループのリン酸化も減衰させる(Sharpe et al.,Nat.Immunol.2007,8,239-245、Carter et al.,Eur.J.Immunol.2002,32(3):634-43、Freeman et al.,J.Exp.Med.2000,192(7):1027-34)。
【0006】
前臨床動物研究からの数連の証拠は、PD-1及びそのリガンドが免疫応答を負に制御していることを示している。PD-1欠損マウスは、ループス様糸球体腎炎及び拡張型心筋症を発症することが示されている(Nishimura et al.,Immunity 1999,11:141-151、Nishimura et al.,Science 2001,291:319-322)。慢性感染症のLCMVモデルを使用すると、PD-1/PD-L1相互作用は、ウイルス特異的CD8 T細胞のエフェクター機能の活性化、拡大、及び獲得を阻害することが示されている(Barber et al.,Nature 2006,439,682-7)。まとめると、これらのデータは、T細胞応答を増大または「救済」するためにPD-1媒介阻害シグナル伝達カスケードをブロックする治療アプローチの開発を支持する。したがって、PD-1/PD-L1タンパク質/タンパク質相互作用をブロックする新しい化合物が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、
が、CHもしくはClであり、
が、
【化2】
であり、
が、HもしくはCHであり、
が、HもしくはCHであり、
が、HもしくはCHである、化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0008】
本開示は、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤または担体と、を含む、薬学的組成物をさらに提供する。
【0009】
本開示は、PD-1/PD-L1相互作用を阻害する方法をさらに提供し、当該方法は、患者に、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0010】
本開示は、PD-1/PD-L1相互作用の阻害と関連する疾患または障害を治療する方法をさらに提供し、当該方法は、それを必要とする患者に、治療有効量の本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0011】
本開示は、患者において免疫応答を増強、刺激、及び/または増加する方法をさらに提供し、当該方法は、それを必要とする患者に、治療有効量の本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0012】
本開示は、本明細書に記載の方法のうちのいずれかにおいて使用するための、本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0013】
本開示は、本明細書に記載の方法のうちのいずれかにおいて使用するための薬剤を調製するための、本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
I.化合物
いくつかの実施形態では、本開示は、とりわけ、式(I)の化合物であって、
【化3】
式中、
が、CHもしくはClであり、
が、
【化4】
であり、
が、HもしくはCHであり、
が、HもしくはCHであり、
が、HもしくはCHである、化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態では、Rは、CHである。
【0016】
いくつかの実施形態では、Rは、Clである。
【0017】
いくつかの実施形態では、Rは、
【化5】
である。
【0018】
先行実施形態のいくつかの実施形態では、Rは、Hである。代替的に、いくつかの実施形態では、Rは、CHである。
【0019】
いくつかの実施形態では、Rは、
【化6】
である。
【0020】
いくつかの実施形態では、Rは、
【化7】
である。
【0021】
いくつかの実施形態では、Rは、
【化8】
である。
【0022】
先行実施形態のいくつかの実施形態では、Rは、Hである。代替的に、いくつかの実施形態では、Rは、CHである。
【0023】
先行実施形態のいくつかの実施形態では、Rは、
【化9】
である。
【0024】
先行実施形態のいくつかの実施形態では、Rは、Hである。代替的に、いくつかの実施形態では、Rは、CHである。
【0025】
いくつかの実施形態では、Rは、
【化10】
である。
【0026】
いくつかの実施形態では、
は、CHまたはClであり、
がClである場合、Rは、
【化11】
であり、
がCHである場合、Rは、
【化12】
である。
【0027】
いくつかの実施形態では、Rは、Clであり、R
【化13】
である。
【0028】
いくつかの実施形態では、Rは、Clであり、Rは、
【化14】
である。
【0029】
いくつかの実施形態では、Rは、Clであり、Rは、
【化15】
である。
【0030】
いくつかの実施形態では、Rは、CHであり、Rは、
【化16】
である。
【0031】
いくつかの実施形態では、Rは、Clであり、Rは、
【化17】
である。
【0032】
いくつかの実施形態では、化合物は、実施例1~16の化合物から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0033】
明確にするために、別個の実施形態の文脈において説明される本開示のある特定の特徴を、単一の実施形態において組み合わせで提供することもできることがさらに理解される(一方でこれらの実施形態は、多重従属形態で記述されるかのように組み合わされることが意図される)。逆に、簡潔性のために単一の実施形態の文脈において記載されている本開示の様々な特徴は、別々にまたは任意の好適な部分的組み合わせで提供することもできる。したがって、式(I)の化合物の実施形態を任意の好適な組み合わせで組み合わせることができると記載されている特徴として企図されている。
【0034】
本明細書の様々な箇所で、化合物のある特定の特徴が群または範囲で開示されている。かかる開示は、かかる群及び範囲のメンバーのありとあらゆる個別の部分的組み合わせを含むことが具体的に意図される。
【0035】
本明細書に記載される化合物は、非対称であり得る(例えば、1つ以上の立体中心を有する)。別段示されない限り、エナンチオマー及びジアステレオマーなどの全ての立体異性体が意図されている。非対称に置換された炭素原子を含む本発明の化合物は、光学活性形態、またはラセミ形態で単離され得る。光学的に不活性な出発物質から光学的に活性な形態を調製する仕方に関する方法は、ラセミ混合物の分割または立体選択的合成などによって当該技術分野で知られている。本明細書に記載される化合物中には、オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体も存在することができ、全てのかかる安定した異性体が本発明において企図される。本発明の化合物のシス及びトランス幾何異性体は、記載され、異性体の混合物として、または分離した異性体形態として単離され得る。
【0036】
化合物のラセミ混合物の分割は、当該技術分野で既知の多数の方法のいずれかによって実行され得る。1つの方法は、光学的に活性な塩形成有機酸であるキラル分割酸を使用した分画再結晶化を含む。分画再結晶化方法に好適な分割剤は、例えば、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、またはβ-カンファースルホン酸のような様々な光学的に活性なカンファースルホン酸のD及びL形態のような光学的に活性な酸である。分画結晶化方法に好適な他の分割剤は、α-メチルベンジルアミンの立体異性体的に純粋な形態(例えば、S及びR形態、またはジアステレオマー的に純粋な形態)、2-フェニルグリシノール、ノレフェドリン、エフェドリン、N-メチルフェドリン、シクロヘキシルエチルアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンなどを含む。
【0037】
ラセミ混合物の分割は、光学的に活性な分割剤(例えば、ジニトロベンゾイルフェニルグリシン)で充填されたカラム上での溶出によっても実行され得る。好適な溶出溶媒組成は、当業者により決定され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、(R)-構成を有する。他の実施形態では、本化合物は、(S)-構成を有する。2つ以上のキラル中心を有する化合物では、別段示されない限り、化合物におけるキラル中心の各々は、独立して、(R)または(S)であり得る。本開示の化合物には、互変異性形態も含まれる。互変異性形態は、単結合と、隣接する二重結合との交換と、それに付随するプロトンの移動からもたらされる。互変異性形態には、同一の実験式及び全電荷を有する異性体的プロトン化状態であるプロトトロピック互変異性体が含まれる。プロトトロピック互変異性体の例は、ケトン-エノール対、アミド-イミド酸対、ラクタム-ラクチム対、エナミン-イミン対、ならびにプロトンが複素環系の2つ以上の位置を占めることができる環状形態、例えば、1H-及び3H-イミダゾール、1H-、2H-及び4H-1,2,4-トリアゾール、1H-及び2H-イソインドール、ならびに1H-及び2H-ピラゾールを含む。互変異性形態は、平衡であり得るか、または適切な置換によって1つの形態に立体的に固定され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、重水素、またはその薬学的に許容される塩で置き換えられた1つ以上の水素原子を有する。
【0040】
本開示の化合物はまた、中間体または最終化合物において発生する原子の全ての同位体を含み得る。同位体は、同じ原子番号であるが、異なる質量数を有する原子を含む。例えば、水素の同位体は、トリチウム及び重水素を含む。本開示の化合物の1つ以上の構成原子は、天然または非天然存在比で原子の同位体で置き換えられるか、または置換されることができる。いくつかの実施形態では、化合物は、少なくとも1個の重水素原子を含む。例えば、本開示の化合物における1つ以上の水素原子は、重水素で置き換えるか、または置換され得る。いくつかの実施形態では、化合物は、2つ以上の重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の重水素原子を含む。有機化合物中に同位体を含めるための合成方法は、当該技術分野において既知である。
【0041】
本明細書で使用される「化合物」という用語は、示される構造の全ての互変異性体及び同位体を含むことを意味する。この用語はまた、例えば、合成、生物学的プロセス(例えば、代謝または酵素変換)、またはそれらの組み合わせによって、どのように調製されるかに関係なく、本開示の化合物を指すことも意味する。
【0042】
全ての化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩は、水及び溶媒(例えば、水和物及び溶媒和物)のような他の物質と一緒に見出され得るか、または単離され得る。固体状態にあるとき、本明細書に記載される化合物及びその塩は、様々な形態で生じ、例えば、水和物を含む溶媒和物の形態をとることができる。化合物は、多形または溶媒和物などの任意の固体状態の形態であってもよいため、特に明記しない限り、本明細書における化合物及びその塩への言及は、化合物の任意の固体状態の形態を包含すると理解されるべきである。
【0043】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物またはその塩は、実質的に単離される。「実質的に単離される」とは、化合物が、それが形成または検出された環境から少なくとも部分的にまたは実質的に分離されることを意味する。部分的分離は、例えば、本開示の化合物において濃縮された組成物を含むことができる。実質的な分離は、本開示の化合物またはその塩の少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%を含む組成物を含み得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、「約」という用語は、±10%を意味する。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、±5%を意味する。
【0045】
「薬学的に許容される」という語句は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答もしくはその他の問題、または合併症なしに、ヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、合理的な利益/リスクの比に釣り合う化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指すために本明細書で使用される。
【0046】
本明細書で使用される「周囲温度」及び「室温」という表現は、当該技術分野で理解され、一般に、反応が実行される部屋の温度、およそ、例えば、約20℃~約30℃の温度である温度、例えば、反応温度を指す。
【0047】
本開示はまた、本明細書に記載される化合物の薬学的に許容される塩も含む。「薬学的に許容される塩」という用語は、開示される化合物の誘導体を指し、親化合物は、既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾されている。薬学的に許容される塩の例としては、アミン等の塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩、カルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩または有機塩等が挙げられるが、これらに限定されない。本開示の薬学的に許容される塩は、例えば、非毒性の無機または有機酸から形成される親化合物の非毒性塩を含む。本開示の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって塩基性または酸性部位を含む親化合物から合成され得る。一般に、かかる塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、水中または有機溶媒中、または2つの混合物中の適切な塩基または酸の化学量論的量と反応させることによって調製され得る。一般に、エーテル、酢酸エチル、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、もしくはブタノール)またはアセトニトリル(MeCN)等の非水性培地が好ましい。好適な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17thEd.,(Mack Publishing Company,Easton,1985),p.1418、Berge et al.,J.Pharm.Sci.,1977,66(1),1-19に、及びStahl et al.,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,(Wiley,2002)に見出される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、N-オキシド形態を含む。
【0048】
II.合成
本開示の化合物(その塩を含む)は、以下の実施例1~16に開示される合成経路によって調製され得る。
【0049】
本開示の化合物を調製するための反応は、有機合成の当業者によって容易に選択され得る好適な溶媒中で実施され得る。好適な溶媒は、反応が実行される温度、例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度までの範囲であり得る温度で、出発材料(反応物)、中間体または生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応は、1つの溶媒または2つ以上の溶媒の混合物中で実施され得る。特定の反応工程に依存して、特定の反応工程に好適な溶媒が当業者によって選択され得る。
【0050】
本開示の化合物の調製は、様々な化学基の保護及び脱保護を含み得る。保護及び脱保護の必要性、ならびに適切な保護基の選択は、当業者によって容易に決定され得る。保護基の化学は、例えば、Kocienski,Protecting Groups,(Thieme,2007)、Robertson,Protecting Group Chemistry,(Oxford University Press,2000)、Smith et al.,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,6thEd.(Wiley,2007)、Peturssion et al.,“Protecting Groups in Carbohydrate Chemistry,”J.Chem.Educ.,1997,74(11),1297、及びWuts et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,4th Ed.,(Wiley,2006)に記載されている。
【0051】
反応は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法に従ってモニターされ得る。例えば、生成物形成は、核磁気共鳴分光法(例えば、Hまたは13C)、赤外線分光法、分光光度測定(例えば、UV-可視)、質量分析法のような分光学的手段によって、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)もしくは薄層クロマトグラフィー(TLC)のようなクロマトグラフィー方法によってモニターされ得る。
【0052】
III.化合物の使用
本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、PD-1/PD-L1タンパク質/タンパク質相互作用の活性を阻害することができ、したがって、PD-1の活性と関連する疾患及び障害、ならびにPD-1及びB7-1(CD80)などの他のタンパク質とのその相互作用を含むPD-L1と関連する疾患及び障害の治療に有用である。ある特定の実施形態では、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、治療的投与が、ワクチン接種に対する応答の増強を含む、がん、慢性感染症、または敗血症の免疫力を増強、刺激、及び/または増加するのに有用である。いくつかの実施形態では、本開示は、PD-1/PD-L1タンパク質/タンパク質相互作用を阻害する方法を提供する。本方法は、個体または患者に、本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。本開示の化合物は、単独で、他の薬剤もしくは療法と組み合わせて、またはがんもしくは感染症疾患を含む疾患または障害の治療のためのアジュバントもしくはネオアジュバントとして使用することができる。本明細書に記載される使用について、その実施形態のうちのいずれかを含む、本開示の化合物のうちのいずれかを使用することができる。
【0053】
本開示の化合物は、PD-1/PD-L1タンパク質/タンパク質相互作用を阻害し、PD-1経路の遮断をもたらす。PD-1の遮断は、ヒトを含む哺乳動物のがん細胞及び感染症疾患に対する免疫応答を増強することができる。いくつかの実施形態では、本開示は、がん性腫瘍の成長が阻害されるように、本明細書に記載される化合物またはその塩を使用するインビボでの個体または患者の治療を提供する。本明細書に記載される化合物またはその塩は、がん性腫瘍の成長を阻害するために使用することができる。代替的に、本明細書に記載される化合物またはその塩は、以下に記載されるように、他の薬剤または標準的ながん治療と組み合わせて使用することができる。一実施形態では、本開示は、インビトロで腫瘍細胞の成長を阻害するための方法を提供する。本方法は、腫瘍細胞を、本明細書に記載される化合物またはその塩とインビトロで接触させることを含む。別の実施形態では、本開示は、個体または患者において腫瘍細胞の成長を阻害する方法を提供する。本方法は、それを必要とする個体または患者に、治療有効量の本明細書に記載される化合物またはその塩を投与することを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、がんを治療する方法が本明細書に提供される。本方法は、それを必要とする患者に、治療有効量の本明細書に記載される化合物またはその塩を投与することを含む。がんの例には、本開示の化合物を使用してその成長が阻害され得るがん、及び典型的には免疫療法に応答性のがんが挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態では、本開示は、患者において免疫応答を増強、刺激、及び/または増加させる方法を提供する。本方法は、それを必要とする患者に、治療有効量の本明細書に記載される化合物またはその塩を投与することを含む。
【0056】
がんの例には、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部癌、皮膚または眼内悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌(carcinoma of the endometrium)、子宮内膜癌(endometrial cancer)、子宮頸癌、膣癌、外陰部癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、急性骨髄性白血病を含む慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、幼児固形腫瘍、リンパ性リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌または尿道癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸(spinal axis)腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、表皮癌、扁平上皮細胞癌、T細胞リンパ腫、アスベストによって誘発されるものを含む環境誘発癌、及び該がんの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の化合物は、転移性がん、特にPD-L1を発現する転移性がんの治療にも有用である。
【0057】
いくつかの実施形態では、がんには、黒色腫(例えば、転移性悪性黒色腫、皮膚黒色腫)、腎癌(例えば、淡明細胞癌)、前立腺癌(例えば、ホルモン不応性前立腺腺癌)、乳癌(例えば、浸潤性乳癌)、結腸癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌)、頭頸部扁平上皮癌(例えば、頭頸部の扁平上皮癌)、尿路上皮癌(例えば、膀胱癌、非筋層浸潤性膀胱癌(NMIBC))、及びマイクロサテライト不安定性の高い癌(MSIhigh)が含まれる。さらに、本開示は、本開示の化合物を使用してその成長が阻害され得る難治性または再発性悪性腫瘍を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍(例えば、前立腺癌、結腸癌、食道癌、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮癌、腎臓癌、肝臓癌、膵臓癌、胃癌、乳癌、肺癌、頭頸部癌、甲状腺癌、膠芽腫、肉腫、膀胱癌など)、血液癌(例えば、リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)のような白血病、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、DLBCL、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(再発性または難治性NHL及び再発性濾胞性を含む)、ホジキンリンパ腫または多発性骨髄腫)、ならびに当該がんの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0059】
いくつかの実施形態では、がんには、胆管癌(cholangiocarcinoma)、胆管癌(bile duct cancer)、胆道癌、トリプルネガティブ乳癌、横紋筋肉腫、小細胞肺癌、平滑筋肉腫、肝細胞癌、ユーイング肉腫、脳癌、脳腫瘍、星細胞腫、神経芽細胞腫、神経線維腫、基底細胞癌、軟骨肉腫、類上皮肉腫、眼癌(eye cancer)、卵管癌、胃腸癌、消化管間質腫瘍、有毛細胞白血病、腸癌、膵島細胞癌、口腔癌(oral cancer)、口腔癌(mouth cancer)、咽喉癌、喉頭癌、口唇癌、中皮腫、頸部癌、鼻腔癌、眼癌(ocular cancer)、眼黒色腫、骨盤癌、直腸癌、腎細胞癌、唾液腺癌、副鼻腔癌、脊髄癌、舌癌、管状癌、尿道癌、及び尿管癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物を使用して、鎌状赤血球症及び鎌状赤血球貧血を治療することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物を使用して治療可能な疾患及び適応症には、血液癌、肉腫、肺癌、胃腸癌、泌尿生殖路癌、肝臓癌、骨癌、神経系癌、婦人科癌、及び皮膚癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
例示的な血液癌としては、リンパ腫及び白血病、例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(再発性または難治性NHL及び再発濾胞性を含む)、ホジキンリンパ腫、骨髄増殖性疾患(例えば、原発性骨髄線維症(PMF)、真性多血症(PV)、及び本態性血小板増加症(ET))、骨髄異形成症候群(MDS)、T-細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、及び多発性骨髄腫(MM)が挙げられる。
【0063】
例示的な肉腫としては、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、血管肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、横紋肉腫、線維腫、脂肪腫、過誤腫、及び奇形腫が挙げられる。
【0064】
例示的な肺癌としては、非小細胞肺癌(NSCLC)(例えば、扁平細胞NSCLC)、小細胞肺癌、気管支原性癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(気管支)癌、気管支腺腫、軟骨性過誤腫、及び中皮腫が挙げられる。
【0065】
例示的な胃腸癌としては、食道癌(癌種、扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃癌(癌種、リンパ腫、平滑筋肉腫、腺癌)、膵臓癌(管腺癌、膵島細胞腫、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、VIP産生腫瘍)、小腸癌(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸癌(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、及び直腸結腸癌(結腸直腸腺癌)が挙げられる。
【0066】
例示的な泌尿生殖路癌としては、腎臓癌(腺癌、ウィルムス腫瘍、[腎芽細胞腫])、膀胱癌及び尿道癌(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺癌(腺癌、肉腫)、ならびに睾丸癌(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫)が挙げられる。いくつかの実施形態では、がんは、泌尿器系癌(例えば、乳頭状腎癌、精巣胚細胞癌、嫌色素性腎細胞癌、淡明細胞腎癌、または前立腺腺癌)である。
【0067】
例示的な肝臓癌には、肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、及び血管腫が挙げられる。
【0068】
例示的な骨癌としては、例えば、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫瘍、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫(chondromyxofibroma)、類骨骨腫、及び巨細胞腫瘍が挙げられる。
【0069】
例示的な神経系癌には、頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫(meningiosarcoma)、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫(meduoblastoma)、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、膠芽腫、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、及び脊髄(神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、非上皮性悪性腫瘍)の癌、ならびに神経芽細胞腫及びレルミット・ダクロス病が挙げられる。
【0070】
例示的な婦人科癌には、子宮(子宮内膜癌)、頸部(子宮頸癌、前腫瘍(pre-tumor)子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌(漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、ムチン性嚢胞腺癌、分類不能癌)、顆粒膜-莢膜細胞腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、及び卵管(上皮性悪性腫瘍)の癌が挙げられる。
【0071】
例示的な皮膚癌には、黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌(例えば、皮膚有棘細胞癌)、カポジ肉腫、ほくろ異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、及びケロイドが挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物を使用して治療可能な疾患及び適応症は、鎌状赤血球疾患(例えば、鎌状赤血球貧血)、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、骨髄異形成症候群、精巣癌、胆道癌、食道癌、及び尿路上皮癌を含むが、これらに限定されない。
【0072】
本開示の化合物によるPD-1経路遮断はまた、ウイルス、細菌、真菌、及び寄生虫感染症などの感染症を治療するために使用され得る。本開示は、ウイルス感染症などの感染症を治療する方法を提供する。本方法は、それを必要とする患者に、治療有効量の本明細書に記載される化合物またはその塩を投与することを含む。本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こすウイルスの例には、これらに限定されないが、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザ、A型、B型、C型、またはD型肝炎ウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、重症急性呼吸器症候群ウイルス、エボラウイルス、及び麻疹ウイルスが挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こすウイルスには、肝炎(A、B、またはC型)、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-1、HAV-6、HSV-II、及びCMV、エプスタインバーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、伝染性ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、結核、及びアルボウイルス性脳炎ウイルスが含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
本開示は、細菌感染症を治療する方法を提供する。本方法は、それを必要とする患者に、治療有効量の本明細書に記載される化合物またはその塩を投与することを含む。本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こす病原性細菌の非限定的な例には、chlamydia、rickettsial細菌、mycobacteria、staphylococci、streptococci、pneumococci、meningococci、及びconococci、klebsiella、proteus、serratia、pseudomonas、legionella、diphtheria、salmonella、bacilli、コレラ、破傷風、ボツリヌス症、炭疽菌、ペスト、レプトスピラ症、ならびにライム病菌が挙げられる。
【0074】
本開示は、真菌感染症を治療する方法を提供する。本方法は、それを必要とする患者に、治療有効量の本明細書に記載される化合物またはその塩を投与することを含む。本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こす病原性真菌の非限定的な例には、Candida(albicans、krusei、glabrata、tropicalisなど)、Cryptococcus neoformans、Aspergillus(fumigatus、nigerなど)、Genus Mucorales(mucor、absidia、rhizophus)、Sporothrix schenkii、Blastomyces dermatitidis、Paracoccidioides brasiliensis、Coccidioides immitis、及びHistoplasma capsulatumが挙げられる。
【0075】
本開示は、寄生虫感染症を治療する方法を提供する。本方法は、それを必要とする患者に、治療有効量の本明細書に記載される化合物またはその塩を投与することを含む。本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こす病原性寄生虫の非限定的な例には、Entamoeba histolytica、Balantidium coli、Naegleriafowleri、Acanthamoeba sp.、Giardia lambia、Cryptosporidium sp.、Pneumocystis carinii、Plasmodium vivax、Babesia microti、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Leishmania donovani、Toxoplasma gondi、及びNippostrongylus brasiliensisが挙げられる。
【0076】
本開示は、神経変性疾患または障害を治療するための方法を提供する。本方法は、それを必要とする患者に、治療有効量の本明細書に記載される化合物またはその塩を投与することを含む。神経変性疾患または障害の非限定的な例には、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、プリオン病、運動ニューロン疾患、脊髄小脳失調症、及び脊髄性筋萎縮症が挙げられる。
【0077】
本明細書に記載される化合物は、満足のいく薬理学的プロファイルと、有毒なプロファイル、代謝及び薬物動態学的特性、溶解性、ならびに透過性などの有望な生物薬剤学的特性とを有し得ると考えられる。適切な生物薬剤学的特性の決定、例えば、細胞における細胞毒性または潜在的な毒性を決定するためのある特定の標的もしくはチャネルの阻害の決定は、当業者の知識の範囲内であることが理解されるであろう。
【0078】
交換可能に使用される「個体」または「患者」という用語は、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類を含む任意の動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0079】
「治療有効量」という語句は、研究者、獣医師、医師、または他の臨床医によって求められている組織、系、動物、個体、またはヒトにおいて生物学的応答または医薬的応答を誘発する、活性化合物または医薬品の量を指す。
【0080】
本明細書で使用される場合、用語「治療すること」または「治療」は、(1)疾患を阻害すること、例えば、疾患、状態、または障害の病理学または症候学を経験または表示している個体における疾患、状態、または障害を阻害すること(すなわち、病理学及び/または症候学のさらなる発生を阻止すること)、ならびに(2)疾患を改善すること、例えば、疾患の重症度を減少させることのような、疾患、状態、または障害の病理学または症候学を経験または表示している個体における疾患、状態、または障害を改善すること(すなわち、病理学及び/または症状を逆転させること)のうちの1つ以上を指す。
【0081】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、本明細書で言及される疾患のいずれかを発生するリスクを予防するか、または低下させる、例えば、疾患、状態、または障害にかかりやすい場合があるが、未だに疾患の病理学または症候学を経験または表示しない個体における疾患、状態、または障害を発生するリスクを防止または低減するのに有用である。
【0082】
併用療法
免疫チェックポイント療法
本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、がんまたは感染症などの疾患の治療のために、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用され得る。例示的な免疫チェックポイント阻害剤としては、CBL-B、CD20、CD122、CD96、CD73、CD47、CSF1R、JAK、PI3Kデルタ、PI3Kガンマ、TAM、アルギナーゼ、HPK1、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、LAG3、TIM3、TIGIT、CD112R、VISTA、PD-1、PD-L1、及びPD-L2などの免疫チェックポイント分子に対する阻害剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、CD27、CD28、CD40、ICOS、OX40、GITR、及びCD137(4-1BB)から選択される刺激チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、PD-1、TIM3、TIGIT、及びVISTAから選択される阻害性チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される化合物は、KIR阻害剤、TIGIT阻害剤、LAIR1阻害剤、CD160阻害剤、2B4阻害剤、及びTGFβ阻害剤から選択される1種以上の薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される化合物は、免疫チェックポイント分子の1つ以上のアゴニスト、例えば、OX40、CD27、GITR、及びCD137(4-1BBとしても知られる)と組み合わせて使用され得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、OX40、CD27、CD28、GITR、ICOS、CD40、TLR7/8、及びCD137(4-1BBとしても知られている)のアゴニストである。
【0085】
いくつかの実施形態では、CD137のアゴニストは、ウレルマブである。いくつかの実施形態では、CD137のアゴニストは、ウトミルマブである。
【0086】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、CD40のアゴニストである。いくつかの実施形態では、CD40のアゴニストは、CP-870893、ADC-1013、CDX-1140、SEA-CD40、RO7009789、JNJ-64457107、APX-005M、またはChi Lob 7/4である。
【0087】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、ICOSのアゴニストである。いくつかの実施形態では、ICOSのアゴニストは、GSK-3359609、JTX-2011、またはMEDI-570である。
【0088】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、CD28のアゴニストである。いくつかの実施形態では、CD28のアゴニストは、セラリズマブである。
【0089】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、CD27のアゴニストである。いくつかの実施形態では、CD27のアゴニストは、バリルマブである。
【0090】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、TLR7/8のアゴニストである。いくつかの実施形態では、TLR7/8のアゴニストは、MEDI9197である。
【0091】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、抗PD1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CTLA-4抗体である。
【0092】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1の阻害剤、例えば、抗PD-1モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ(MK-3475としても知られる)、ピディリズマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、セトレリマブ、トリパリマブ、シンチリマブ、SHR-1210、PDR001、MGA012、PDR001、AB122、AMP-224、JTX-4014、BGB-108、BCD-100、BAT1306、LZM009、AK105、HLX10、またはTSR-042である。いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブまたはペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD1抗体は、ペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、MGA012である。いくつかの実施形態では、抗PD1抗体は、SHR-1210である。他の抗がん薬剤(複数可)には、4-1BBなどの抗体治療薬(例えば、ウレルマブ、ウトミルマブ)が含まれる。
【0093】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-L1の阻害剤、例えば、抗PD-L1モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、抗PD-L1モノクローナル抗体は、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280A(RG7446としても知られる)、デュルバルマブ(Imfinzi(登録商標))、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))、MSB0010718C、ティスレリズマブ、FAZ053、KN035、CS1001、SHR-1316、CBT-502、A167、STI-A101、CK-301、BGB-A333、MSB-2311、HLX20、またはLY3300054である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1モノクローナル抗体は、MPDL3280AまたはMEDI4736である。
【0094】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1及びPD-L1の阻害剤、例えば、抗PD-1/PD-L1二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-1/PD-L1二重特異性抗体は、MCLA-136である。
【0095】
いくつかの実施形態では、阻害剤は、MCLA-145である。
【0096】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CTLA-4の阻害剤、例えば、抗CTLA-4抗体である。いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ、トレメリムマブ、AGEN1884、またはCP-675,206である。
【0097】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1及びCTLA-4の阻害剤、例えば、抗PD-1/CTLA-4二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-1/CTLA-4抗体は、AK104である。
【0098】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、LAG3の阻害剤、例えば、抗LAG3抗体である。いくつかの実施形態では、抗LAG3抗体は、BMS-986016、LAG525、INCAGN2385、またはエフチラギモドアルファ(IMP321)である。
【0099】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD73の阻害剤である。いくつかの実施形態では、CD73の阻害剤は、オレクルマブである。いくつかの実施形態では、CD73の阻害剤は、MEDI9447である。
【0100】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、TIGITの阻害剤である。いくつかの実施形態では、TIGITの阻害剤は、OMP-31M32である。
【0101】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、VISTAの阻害剤である。いくつかの実施形態では、VISTAの阻害剤は、JNJ-61610588またはCA-170である。
【0102】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、B7-H3の阻害剤である。いくつかの実施形態では、B7-H3の阻害剤は、エノブリツズマブ、MGD009、または8H9である。
【0103】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、KIRの阻害剤である。いくつかの実施形態では、KIRの阻害剤は、リリルマブまたはIPH4102である。
【0104】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、A2aRの阻害剤である。いくつかの実施形態では、A2aRの阻害剤は、CPI-444である。
【0105】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、TGF-ベータの阻害剤である。いくつかの実施形態では、TGF-ベータの阻害剤は、トラベデルセン、ガルセルチニブ、またはM7824である。
【0106】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PI3K-ガンマの阻害剤である。いくつかの実施形態では、PI3K-ガンマの阻害剤は、IPI-549である。
【0107】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD47の阻害剤である。いくつかの実施形態では、CD47の阻害剤は、Hu5F9-G4またはTTI-621である。
【0108】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD70の阻害剤である。いくつかの実施形態では、CD70の阻害剤は、クサツズマブまたはBMS-936561である。
【0109】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、TIM3の阻害剤、例えば、抗TIM3抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIM3抗体は、INCAGN2390、MBG453、またはTSR-022である。
【0110】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、GITRのアゴニスト、例えば、抗GITR抗体である。いくつかの実施形態では、アゴニストは、TRX518、MK-4166、INCAGN1876、MK-1248、AMG228、BMS-986156、GWN323、MEDI1873、またはMEDI6469である。
【0111】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、OX40のアゴニスト、例えば、OX40アゴニスト抗体またはOX40L融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、抗OX40抗体は、MEDI0562、MOXR-0916、PF-04518600、GSK3174998、BMS-986178、または9B12である。いくつかの実施形態では、OX40L融合タンパク質は、MEDI6383である。
【0112】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD20の阻害剤、例えば、抗CD20抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体は、オビヌツズマブまたはリツキシマブである。
【0113】
本開示の化合物は、二重特異性抗体と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体のドメインのうちの1つは、PD-1、PD-L1、CTLA-4、GITR、OX40、TIM3、LAG3、CD137、ICOS、CD3、またはTGFβ受容体を標的とする。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、PD-1及びPD-L1と結合する。いくつかの実施形態では、PD-1及びPD-L1と結合する二重特異性抗体は、MCLA-136である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、PD-L1及びCTLA-4と結合する。いくつかの実施形態では、PD-L1及びCTLA-4と結合する二重特異性抗体は、AK104である。
【0114】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、1つ以上の代謝酵素阻害剤と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態では、代謝酵素阻害剤は、IDO1、TDO、またはアルギナーゼの阻害剤である。IDO1阻害剤の例としては、エパカドスタット、NLG919、BMS-986205、PF-06840003、IOM2983、RG-70099、及びLY338196が挙げられる。
【0115】
全体を通して提供されるように、追加的な化合物、阻害剤、薬剤などは、単一または連続剤形で本発明の化合物と組み合わされ得るか、またはそれらは、別個の剤形として同時にまたは順次投与され得る。
【0116】
がん治療
がん細胞成長及び生存は、複数の生物学的経路の機能障害によって影響を受け得る。したがって、酵素阻害剤、シグナル伝達阻害剤、クロマチンダイナミクスの阻害剤、または免疫応答の調節剤などの異なるメカニズムの阻害剤を組み合わせて、かかる状態を治療することは有用であり得る。2つ以上のシグナル伝達経路(または所与のシグナル伝達経路に関与する2つ以上の生物学的分子)を標的とすることは、細胞集団において生じる薬物抵抗の可能性を低減するか、または治療の毒性を低減し得る。
【0117】
本開示の化合物は、がんまたは感染症などの疾患の治療のために、1つ以上の他の療法と組み合わせて使用され得る。併用療法で治療可能な疾患及び適応症の例には、本明細書に記載されているものが挙げられる。がんの例には、固形腫瘍、及び液体腫瘍、血液癌などの非固形腫瘍が挙げられる。感染症の例には、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、または寄生虫感染症が挙げられる。例えば、本開示の化合物は、がんの治療のために、以下のキナーゼの1つ以上の阻害剤と組み合わされ得る。Akt1、Akt2、Akt3、BCL2、CDK、TGF-βR、PKA、PKG、PKC、CaM-キナーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、MEKK、ERK、MAPK、mTOR、EGFR、HER2、HER3、HER4、INS-R、IDH2、IGF-1R、IR-R、PDGFαR、PDGFβR、PI3K(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、及び複数または選択的)、CSF1R、KIT、FLK-II、KDR/FLK-1、FLK-4、flt-1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、c-Met、PARP、Ron、Sea、TRKA、TRKB、TRKC、TAMキナーゼ(Axl、Mer、Tyro3)、FLT3、VEGFR/Flt2、Flt4、EphA1、EphA2、EphA3、EphB2、EphB4、Tie2、Src、Fyn、Lck、Fgr、Btk、Fak、SYK、FRK、JAK、ABL、ALK及びB-Raf。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、がんまたは感染症の治療のために、以下の阻害剤のうちの1つ以上と組み合わされ得る。がん及び感染症の治療のために本開示の化合物と組み合わされ得る阻害剤の非限定的な例には、FGFR阻害剤(FGFR1、FGFR2、FGFR3またはFGFR4、例えば、ペミガチニブ(INCY54828)、INCB62079)、EGFR(ErB-1またはHER-1としても知られる)阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、バンデタニブ、オルシメルチニブ、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブ)、VEGFR阻害剤または経路遮断薬(例えば、ベバシズマブ、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ、レゴラフェニブ、ポナチニブ、カボザンチニブ、バンデタニブ、ラムシルマブ、レンバチニブ、ziv-アフリベルセプト)、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ、またはニラパリブ)、JAK阻害剤(JAK1及び/またはJAK2、例えば、ルキソリチニブ、バリシチニブ、またはイタシチニブ(INCB39110))、IDO阻害剤(例えば、エパカドスタット(epacadostat)、NLG919、またはBMS-986205、MK7162)、LSD1阻害剤(例えば、INCB59872及びINCB60003)、TDO阻害剤、PI3K-デルタ阻害剤(例えば、パルサクリシブ(INCB50465)及びINCB50797)、PI3K-ガンマ選択的阻害剤などのPI3K-ガンマ阻害剤、Pim阻害剤(例えば、INCB53914)、EGFR阻害剤(ErB-1またはHER-1としても知られる、例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、バンデタニブ、オシメルチニブ、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブ)、VEGFR阻害剤または経路遮断薬(例えば、ベバシズマブ、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ、レゴラフェニブ、ポナチニブ、カボザンチニブ、バンデタニブ、ラムシルマブ、レンバチニブ、ziv-アフリベルセプト)、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ、タラゾパリブ、またはニラパリブ)、CSF1R阻害剤、TAM受容体チロシンキナーゼ(Tyro-3、Axl、及びMer)、アデノシン受容体アンタゴニスト(例えば、A2a/A2b受容体アンタゴニスト)、HPK1阻害剤、ケモカイン受容体阻害剤(例えば、CCR2またはCCR5阻害剤)、SHP1/2ホスファターゼ阻害剤、HDAC8阻害剤などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、血管新生阻害剤、インターロイキン受容体阻害剤、ブロモ及び余剰末端ファミリーメンバー阻害剤(例えば、ブロモドメイン阻害剤またはBET阻害剤、例えば、INCB54329及びINCB57643)、アルギナーゼ阻害剤(INCB001158)、PARP阻害剤(ルカパリブまたはオラパリブなど)、シトラバチニブ、B-Raf阻害剤-MEK阻害剤の組み合わせ(エンコラフェニブ及びビニメチニブ、ダブラフェニブ及びトラメチニブ、またはコビメチニブ及びベムラフェニブなど)、ならびにアデノシン受容体アンタゴニスト、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0118】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、TLR7アゴニスト(例えば、イミキモド)と組み合わせることができる。
【0119】
本開示の化合物は、例えば、化学療法、放射線療法、腫瘍標的療法、アジュバント療法、免疫療法、または外科手術によって、がんを治療する他の方法と組み合わせてさらに使用することができる。免疫療法の例には、サイトカイン治療(例えば、インターフェロン、GM-CSF、G-CSF、IL-2)、CRS-207免疫療法、がんワクチン、モノクローナル抗体、二重特異性抗体または多重特異性抗体、抗体薬物複合体、養子T細胞移入、Toll受容体アゴニスト、STINGアゴニスト、RIG-Iアゴニスト、腫瘍溶解性ウイルス療法、及びサリドマイドまたはJAK1/2阻害剤、PI3Kδ阻害剤などを含む免疫調節小分子が挙げられる。化合物は、化学療法剤などの1つ以上の抗がん剤と組み合わせて投与され得る。化学療法剤の例には、アバレリックス、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、ベバシズマブ、ベキサロテン、バリシチニブ、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、静脈内用ブスルファン、経口用ブスルファン、カルステロン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルテパリンナトリウム、ダサチニブ、ダウノルビシン、デシタビン、デニロイキン、デニロイキンジフチトックス、デキシラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロモスタノロンプロピオネート、エクリズマブ、エピルビシン、エルロチニブ、エストラムスチン、エトポシドリン酸塩、エトポシド、エキセメスタン、フェンタニルクエン酸塩、フィルグラスチム、フロキシウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガミシン、ゴセレリン酢酸塩、ヒストレリン酢酸塩、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブメシル酸塩、インターフェロンアルファ2a、イリノテカン、ラパチニブジトシル酸塩、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド酢酸塩、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メゲストロール酢酸塩、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトキサレン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ナンドロロンフェンプロピオン酸塩、ネララビン、ノフェツモマブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、パニツムマブ、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、スニチニブマレイン酸塩、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ボリノスタット、及びゾレドロン酸塩のうちのいずれかが挙げられる。
【0120】
他の抗がん剤(複数可)には、トラスツズマブ(ハーセプチン)などの抗体治療薬、CTLA-4(例えば、イピリムマブ)、4-1BB(例えば、ウレルマブ、ウトミルマブ)などの共刺激分子に対する抗体、PD-1及びPD-L1に対する抗体、またはサイトカイン(IL-10、TGF-βなど)に対する抗体が含まれる。がんまたはウイルス、細菌、真菌、及び寄生虫感染症などの感染症の治療のために本開示の化合物と組み合わされ得るPD-1及び/またはPD-L1の抗体の例には、これらに限定されないが、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、及びSHR-1210が挙げられる。
【0121】
本開示の化合物は、1つ以上の抗炎症剤、ステロイド、免疫抑制剤、または治療抗体と組み合わされてさらに使用され得る。
【0122】
本明細書に記載される化合物またはその塩は、がん性細胞、精製腫瘍抗原(組換えタンパク質、ペプチド、及び炭水化物分子を含む)、細胞、及び免疫刺激サイトカインをコードする遺伝子でトランスフェクションされた細胞のような、別の免疫原性剤と組み合わされ得る。使用され得る腫瘍ワクチンの非限定的な例には、gp100のペプチド、MAGE抗原、Trp-2、MARTI、及び/またはチロシナーゼ、あるいはサイトカインGM-CSFを発現するようにトランスフェクトされた腫瘍細胞などの黒色腫抗原のペプチドが挙げられる。
【0123】
本明細書に記載される化合物またはその塩は、がんの治療のためのワクチン接種プロトコルと組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞は、GM-CSFを発現するように形質導入される。いくつかの実施形態では、腫瘍ワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)、肝炎ウイルス(HBV及びHCV)、及びカポジヘルペス肉腫ウイルス(KHSV)などのヒトのがんに関係するウイルスからのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、腫瘍組織自体から単離された熱ショックタンパク質などの腫瘍特異的抗原と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物またはその塩は、樹状細胞免疫と組み合わされて、強力な抗腫瘍応答を活性化させることができる。
【0124】
本開示の化合物は、FeアルファまたはFeガンマ受容体発現エフェクター細胞を腫瘍細胞に標的化する二重特異性大環状ペプチドと組み合わせて使用することができる。本開示の化合物はまた、宿主の免疫応答性を活性化する大環状ペプチドと組み合わせることもできる。
【0125】
本開示の化合物は、造血由来の様々な腫瘍の治療のために骨髄移植と組み合わせて使用され得る。
【0126】
本明細書に記載される化合物またはその塩は、ワクチンと組み合わせて使用して、病原体、毒素、及び自己抗原に対する免疫応答を刺激することができる。この治療アプローチが特に有用であり得る病原体の例には、現在有効なワクチンがない病原体、または従来のワクチンが完全に有効ではない病原体が含まれる。これらには、これらに限定されないが、HIV、肝炎(A、B、及びC型)、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア、マラリア、リーシュマニア、Staphylococcus aureus、Pseudomonas Aeruginosaが挙げられる。
【0127】
本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こすウイルスには、これらに限定されないが、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザ、A型、B型、C型またはD型肝炎ウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、重症急性呼吸器症候群ウイルス、エボラウイルス、麻疹ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-1、HAV-6、HSV-II、及びCMV、エプスタインバーウイルス)、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、マンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、伝染性ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、及びアルボウイルス性脳炎ウイルスが挙げられる。
【0128】
本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こす病原性細菌には、これらに限定されないが、chlamydia、rickettsial細菌、mycobacteria、staphylococci、streptococci、pneumococci、meningococci及びconococci、klebsiella、proteus、serratia、pseudomonas、legionella、diphtheria、salmonella、bacilli、コレラ、破傷風、ボツリヌス症、炭疽菌、ペスト、レプトスピラ症、ならびにライム病菌が挙げられる。
【0129】
本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こす病原性真菌には、これらに限定されないが、Candida(albicans、krusei、glabrata、tropicalisなど)、Cryptococcus neoformans、Aspergillus(fumigatus、nigerなど)、Genus Mucorales(mucor、absidia、rhizophus)、Sporothrix schenkii、Blastomyces dermatitidis、Paracoccidioides brasiliensis、Coccidioides immitis、及びHistoplasma capsulatumが挙げられる。
【0130】
本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こす病原性寄生虫には、これらに限定されないが、Entamoeba histolytica、Balantidium coli、Naegleriafowleri、Acanthamoeba sp.、Giardia lambia、Cryptosporidium sp.、Pneumocystis carinii、Plasmodium vivax、Babesia microti、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Leishmania donovani、Toxoplasma gondi、及びNippostrongylus brasiliensisが挙げられる。
【0131】
2つ以上の医薬品が患者に投与される場合、それらは、同時に、別個に、順次に、または組み合わされて(例えば、3つ以上の薬剤について)投与され得る。
【0132】
IV.製剤、剤形、及び投与
薬剤として用いられる場合、本開示の化合物は、薬学的組成物の形態で投与され得る。したがって、本開示は、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその実施形態のうちのいずれか、及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体もしくは賦形剤を含む組成物を提供する。これらの組成物は、薬学的分野において周知の様式で調製され得、局所または全身治療が示されるかどうか、及び治療される領域に応じて様々な経路によって投与され得る。投与は、局所(経皮的、表皮的、点眼的、ならびに鼻腔内、膣内、及び直腸送達を含む粘膜を含む)、肺(例えば、噴霧器によることを含む粉末もしくはエアロゾルの吸入もしくは充填による、気管内もしくは鼻腔内)、経口または非経口であり得る。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉内または注射もしくは注入、あるいは頭蓋内、例えば、髄腔内または脳室内投与を含む。非経口投与は、単一ボーラス用量の形態であり得、例えば、連続灌流ポンプによることができる。局所的投与のための薬学的組成物及び製剤は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、坐剤、スプレー、液体、及び粉末を含んでもよい。従来の薬学的担体、水性、粉末または油性の基材、増粘剤などが必要であり得るか、または望ましくあり得る。
【0133】
本開示には、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせて、活性成分として、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物も含まれる。いくつかの実施形態では、組成物は、局所投与に好適である。本開示の組成物を作製する際に、活性成分は、典型的に賦形剤と混合され、賦形剤によって希釈されるか、または例えば、カプセル、小袋、紙、または他の容器の形態でかかる担体に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合、それは、活性成分のためのビヒクル、担体または媒体として作用する固体、半固体、または液体物質であり得る。したがって、組成物は、錠剤、丸薬、粉末、トローチ、小袋、カシェー(cachet)、エリキシル剤、懸濁液、乳濁液、溶液、シロップ、エアロゾル(固体または液体培地における)、例えば、最大10重量%の活性化合物を含有する軟膏、軟質及び硬質ゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射用溶液、ならびに滅菌包装粉末の形態であり得る。
【0134】
製剤を調製する際、他の成分と組み合わせる前に、活性化合物を粉砕して適切な粒径をもたらすことができる。活性化合物が実質的に不溶性である場合、それは、200メッシュ未満の粒径に粉砕することができる。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粒径は、製剤において実質的に均一な分布、例えば、約40メッシュを提供するように粉砕することによって調整され得る。
【0135】
本開示の化合物は、錠剤形成及び他の製剤タイプに適切な粒径を得るために、湿式粉砕などの既知の粉砕手順を使用して粉砕され得る。本開示の化合物の細かく分割された(ナノ粒子状の)調製物は、当該技術分野で既知のプロセスによって調製され得、例えば、WO2002/000196を参照されたい。
【0136】
好適な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが挙げられる。その上、製剤には、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱物油などの潤滑剤、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、メチル及びプロピルヒドロキシ安息香酸塩などの保存剤、甘味料、ならびに香味料が含まれ得る。本開示の組成物は、当該技術分野で知られている手順を採用することによって、患者への投与後に活性成分の迅速、持続または遅延放出を提供するように製剤化され得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、ケイ酸化微結晶セルロース(SMCC)、及び本明細書に記載される少なくとも1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、ケイ酸化微結晶セルロースは、約98%微結晶セルロース及び約2%二酸化ケイ素w/wを含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載される少なくとも1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩、及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体もしくは賦形剤を含む持続放出組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載される少なくとも1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩、ならびに微結晶セルロース、ラクトース一水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリエチレンオキシドから選択される少なくとも1つの構成成分を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載される少なくとも1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩、ならびに微結晶セルロース、ラクトース一水和物、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載される少なくとも1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩、ならびに微結晶セルロース、ラクトース一水和物、及びポリエチレンオキシドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ステアリン酸マグネシウムまたは二酸化ケイ素をさらに含む。いくつかの実施形態では、微結晶性セルロースは、Avicel PH102(商標)である。いくつかの実施形態では、ラクトース一水和物は、Fast-flo 316(商標)である。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208 K4M(例えば、Methocel K4 M Premier(商標))及び/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース2208 K100LV(例えば、Methocel K00LV(商標))である。いくつかの実施形態では、ポリエチレンオキシドは、ポリエチレンオキシドWSR 1105(例えば、Polyox WSR 1105(商標)である。
【0139】
いくつかの実施形態では、湿式造粒プロセスを使用して組成物を生成する。いくつかの実施形態では、乾式造粒プロセスを使用して組成物を生成する。
【0140】
組成物は、単位剤形で製剤化され得、各投薬量は、約5~約1,000mg(1g)、より通常では約100mg~約500mgの活性成分を含む。いくつかの実施形態では、各投薬量は、約10mgの活性成分を含む。いくつかの実施形態では、各投薬量は、約50mgの活性成分を含む。いくつかの実施形態では、各投薬量は、約25mgの活性成分を含む。「単位剤形」という用語は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単位投薬量として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位は、好適な薬学的賦形剤に関連して、所望の治療効果を生み出すように算出された、所定の量の活性物質を含む。
【0141】
薬学的組成物を製剤化するために使用される構成成分は、高純度であり、潜在的に有害な汚染物質を実質的に含まない(例えば、少なくとも国家食品等級、一般に、少なくとも分析等級、及びより典型的には、少なくとも薬学的等級にある)。特にヒトの消費のために、組成物は、好ましくは、米国食品医薬品局の適用規制に定義される、適正製造規範規則の下で製造または製剤化される。例えば、好適な製剤は、滅菌及び/または実質的に等張であり得、及び/または米国食品医薬品局の全ての適正製造規範規制に完全に準拠することができる。
【0142】
活性化合物は、広い投薬量範囲にわたって有効であり得、一般に治療有効量で投与される。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、通常、治療される状態、選択した投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、及び応答、患者の症状の重症度などを含む関連状況に従って、医師によって決定されることは理解されよう。
【0143】
本開示の化合物の治療投薬量は、例えば、治療が行われる特定の使用、化合物の投与様式、患者の健康及び状態、ならびに処方医の判断に従って変化し得る。薬学的組成物中の本開示の化合物の割合または濃度は、投薬量、化学的特性(例えば、疎水性)、及び投与経路を含む多数の要因に応じて変化し得る。例えば、本開示の化合物は、非経口投与の場合は約0.1~約10%w/vの化合物を含む生理的緩衝水溶液で提供され得る。いくつかの典型的な用量範囲は、1日当たり体重の約1μg/kg~約1g/kgである。いくつかの実施形態では、用量範囲は、1日当たり約0.01mg/kg体重~約100mg/kg体重である。投与量は、疾患または障害のタイプ及び進行の程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択された化合物の相対的な生物学的有効性、賦形剤の配合、ならびにその投与経路等の変数に依存する可能性がある。有効用量は、インビトロまたは動物モデルの試験システムに由来する用量応答曲線から外挿することができる。
【0144】
錠剤などの固体組成物を調製するためには、主活性成分は、本開示の化合物の均質な混合物を含む固体事前製剤組成物を形成するために薬学的賦形剤と混合される。これらの事前製剤組成物を均質なものとして言及する場合、組成物が錠剤、丸剤及びカプセルなどの等しく有効な単位剤形に容易に細分化され得るように、活性成分は典型的には、組成物全体にわたって均一に分散される。次いで、この固体予備製剤は、例えば、約0.1~約1000mgの本開示の活性成分を含有する、上記のタイプの単位剤形に細分される。
【0145】
本開示の錠剤または丸剤は、長期の作用という利点をもたらす剤形を提供するために、コーティングされ得るか、またはそうでなければ混和(compounded)され得る。例えば、錠剤または丸剤は、内側投薬量(inner dosage)及び外側投薬量(outer dosage)構成成分を含むことができ、後者が前者を覆う外被の形態にある。2つの構成成分は、胃における崩壊に抵抗し、かつその内部構成成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、または放出を遅延させる、腸溶性層によって分離され得る。様々な材料をかかる腸溶層またはコーティングに使用することができ、かかる材料は、いくつかのポリマー酸、ならびにポリマー酸とセラック、セチルアルコール、及びセルロース酢酸塩などの材料との混合物を含む。
【0146】
本開示の化合物及び組成物が経口投与のためにまたは注射によって組み込まれ得る液体形態には、水溶液、好適には味付けされたシロップ、水性または油性懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、ココナッツ油、またはピーナッツ油などの食用油を有する味付けされたエマルション、ならびにエリキシル及び同様の薬学的ビヒクルが挙げられる。
【0147】
吸入または吹送用の組成物は、薬学的に許容される水性もしくは有機溶媒、またはそれらの混合物中の液剤及び懸濁剤、ならびに粉末を含む。液体または固体の組成物は、上記のような好適な薬学的に許容される賦形剤を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、局所または全身効果のために経口または鼻呼吸経路により投与される。組成物は、不活性ガスの使用により噴霧され得る。噴霧される溶液は、噴霧デバイスから直接的に吸入され得るか、または噴霧デバイスを、顔面マスク、栓塞子、もしくは間欠陽圧呼吸器に装着することができる。溶液、懸濁液、または粉末の組成物は、適切な様式で製剤を送達するデバイスから経口的または鼻腔に投与され得る。
【0148】
局所製剤は、1つ以上の従来の担体を含み得る。いくつかの実施形態では、軟膏は、水と、例えば、液体パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロピレングリコール、白色ワセリンなどから選択される1つ以上の疎水性担体と、を含有することができる。クリームの担体組成物は、水と、グリセロール及び1つ以上の他の構成成分、例えば、グリセリンモノステアリン酸塩、PEG-グリセリンモノステアリン酸塩、及びセチルステアリルアルコールとの組み合わせに基づき得る。ゲルは、イソプロピルアルコール及び水を使用して、好適には、例えば、グリセロール、ヒドロキシエチルセルロースなどのような他の構成成分と組み合わされて製剤化され得る。いくつかの実施形態では、局所製剤は、少なくとも約0.1、少なくとも約0.25、少なくとも約0.5、少なくとも約1、少なくとも約2、または少なくとも約5重量%の本開示の化合物を含む。局所製剤は、好適には、選択適応症、例えば乾癬または他の皮膚状態の治療のための指示と任意選択で関連する、例えば100gのチューブに包装され得る。
【0149】
患者に投与される化合物または組成物の量は、投与されるもの、予防または治療などの投与の目的、患者の状態、投与様式などに応じて変化する。治療用途では、組成物は、疾患及びその合併症の症状を治癒するか、または少なくとも部分的に停止させるのに十分な量で既に疾患に罹患している患者に投与され得る。有効用量は、治療されている疾患状態、ならびに疾患の重症度、患者の年齢、体重、及び全身状態などの要因に基づく担当医師の判断に依存する。
【0150】
患者に投与される組成物は、上記の薬学的組成物の形態であり得る。これらの組成物は、従来の殺菌技法によって殺菌され得るかまたは無菌濾過され得る。水溶液は、そのままで使用するために包装または凍結乾燥され得るが、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌水性担体と組み合わされる。化合物調製物のpHは、典型的には、3~11、より好ましくは5~9、最も好ましくは7~8であろう。前述の賦形剤、担体、または安定剤のいくつかの使用が薬学的塩の形成を生じることは、理解されるであろう。
【0151】
本開示の化合物の治療投薬量は、例えば、治療が行われる特定の使用、化合物の投与様式、患者の健康及び状態、ならびに処方医の判断に従って変化し得る。薬学的組成物中の本開示の化合物の割合または濃度は、投薬量、化学的特性(例えば、疎水性)、及び投与経路を含む多数の要因に応じて変化し得る。例えば、本開示の化合物は、非経口投与の場合は約0.1~約10%w/vの化合物を含む生理的緩衝水溶液で提供され得る。いくつかの典型的な用量範囲は、1日当たり体重の約1μg/kg~約1g/kgである。いくつかの実施形態では、用量範囲は、1日当たり約0.01mg/kg体重~約100mg/kg体重である。投薬量は、疾患または障害のタイプ及び進行の程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択された化合物の相対的な生物学的有効性、賦形剤の配合、ならびにその投与経路等の変数に依存する可能性がある。有効用量は、インビトロまたは動物モデルの試験システムに由来する用量応答曲線から外挿することができる。
【0152】
V.標識化合物及びアッセイ方法
本開示の化合物は、正常組織及び異常組織における生物学的プロセスの調査においてさらに有用であり得る。したがって、本開示の別の態様は、画像化技術だけでなく、インビトロ及びインビボの両方での、ヒトを含む組織試料中のPD-1またはPD-L1タンパク質の局在化及び定量化、ならびに標識化合物の阻害結合によるPD-L1リガンドの同定のためのアッセイにおいても有用である、本開示の標識化合物(放射性標識、蛍光標識など)に関する。したがって、本開示は、かかる標識化合物を含むPD-1/PD-L1結合アッセイを含む。
【0153】
本開示は、本開示の同位体標識化合物をさらに含む。「同位体」または「放射標識」化合物は、1つ以上の原子が、典型的には自然界において見出される(すなわち、天然に生じる)原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられるかまたは置換される、本開示の化合物である。本開示の化合物に組み込まれ得る好適な放射性核種は、H(トリチウムについてはTとも記述される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125I、及び131Iを含むが、これらに限定されない。例えば、本開示の化合物における1つ以上の水素原子は、重水素原子で置き換えられ得る。
【0154】
本明細書に掲示される化合物の1個以上の構成原子は、天然または非天然の存在量で、原子の同位体で置き換えられていてもよく、または置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、化合物は、少なくとも1個の重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、2つ以上の重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、1~2、1~3、1~4、1~5、または1~6個の重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物中の全ての水素原子は、重水素原子によって置き換えられ得るか、または置換され得る。
【0155】
同位体を有機化合物に含めるための合成方法は、当該技術分野で知られている(Deuterium Labeling in Organic Chemistry by Alan F.Thomas(New York,N.Y.,Appleton-Century-Crofts,1971;The Renaissance of H/D Exchange by Jens Atzrodt,Volker Derdau,Thorsten Fey and Jochen Zimmermann,Angew.Chem.Int.Ed.2007,7744-7765、The Organic Chemistry of Isotopic Labelling by James R.Hanson,Royal Society of Chemistry,2011)。同位体標識された化合物は、NMR分光法、代謝実験、及び/またはアッセイなどの様々な研究において使用することができる。
【0156】
重水素などのより重い同位体による置換は、より高い代謝安定性から生じるある特定の治療上の利点、例えば、増加したインビボ半減期または低下した用量要件をもたらすことができ、したがって、いくつかの状況において好ましい場合がある。(例えば、A.Kerekes et al.J.Med.Chem.2011,54,201-210、R.Xu et al.J.Label Compd.Radiopharm.2015,58,308-312を参照されたい)。特に、1つ以上の代謝部位での置換は、治療利益のうちの1つ以上をもたらし得る。
【0157】
当該放射性標識化合物に組み込まれる放射性核種は、その放射性標識化合物の特定の用途に依存する。例えば、インビトロPD-L1タンパク質標識及び競合アッセイでは、H、14C、82Br、125I、131I、35Sを組み込む化合物が一般的に最も有用である。放射性画像化用途の場合、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Br、または77Brが有用であり得る。
【0158】
「放射性標識」または「標識化合物」は、少なくとも1つの放射性核種を組み込んだ化合物であることが理解される。いくつかの実施形態では、放射性核種は、H、14C、125I、35S、及び82Brからなる群から選択される。
【0159】
本開示は、放射性同位体を本開示の化合物に組み込むための合成方法をさらに含むことができる。有機化合物中に放射性同位体を組み込むための合成方法は、当業者に周知であり、当業者は、本開示の化合物に適用可能な方法を容易に認識するであろう。
【0160】
本開示の標識化合物をスクリーニングアッセイで用いて、化合物を同定及び/または評価することができる。例えば、標識された新しく合成または同定された化合物(すなわち、試験化合物)は、PD-L1タンパク質との接触時のその濃度変化を、標識の追跡を通じてモニタリングすることによって、PD-L1タンパク質と結合するその能力について評価され得る。例えば、試験化合物(標識)は、PD-L1タンパク質(すなわち、標準化合物)に結合することが知られている別の化合物の結合を低下させるその能力について評価され得る。したがって、PD-L1タンパク質への結合に関して標準化合物と競合する試験化合物の能力は、その結合親和性と直接相関している。逆に、いくつかの他のスクリーニングアッセイでは、標準化合物は標識され、試験化合物は標識されない。したがって、標準化合物と試験化合物との間の競合を評価するために、標識された標準化合物の濃度がモニターされ、これにより試験化合物の相対的結合親和性が確認される。
【0161】
VI.キット
本開示はまた、例えば、がんまたは感染症など、PD-1及びB7-1(CD80)などの他のタンパク質とのその相互作用を含む、PD-L1の活性と関連する疾患または障害の治療または予防に有用な医薬キットを含み、これには、治療有効量の本明細書に記載される化合物を含む薬学的組成物を含有する1つ以上の容器が含まれる。かかるキットは、当業者に容易に明らかになるであろう、例えば、1つ以上の薬学的に許容される担体を有する容器、追加的な容器などのような、様々な従来の薬学的キット構成成分のうちの1つ以上をさらに含むことができる。インサートまたはラベルのいずれかとして、投与される構成成分の量、投与のためのガイドライン、及び/または構成成分を混合するためのガイドラインを示す指示が、キットにも含まれ得る。
【0162】
以下の略語が、本明細書で使用され得る。aq.(水性);br(ブロード);d(ダブレット);dd(ダブレットのダブレット);DCM(ジクロロメタン);DMF(N,N-ジメチルホルムアミド);DMSO(ジメチルスルホキシド);Et(エチル);EtOAc(酢酸エチル);g(グラム(複数可));h(時間(複数可));HPLC(高速液体クロマトグラフィー);Hz(ヘルツ);J(結合定数);LCMS(液体クロマトグラフィー-質量分析);m(マルチプレット);M(モル);MS(質量分析);Me(メチル);MeCN(アセトニトリル);MeOH(メタノール);mg(ミリグラム(複数可));min.(分(複数可));mL(ミリリットル(複数可));mmol(ミリモル(複数可));nM(ナノモル);NMR(核磁気共鳴分光法);Ph(フェニル);r.t.(室温)、s(一重鎖)、t(三重線または三級)、TBS(tert-ブチルジメチルシリル)、tert(三級)、tt(三重線の三重線)、TFA(トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン)、μg(マイクログラム(複数可))、μL(マイクロリットル(複数可))、μM(マイクロモル)、wt.%(重量パーセント)。
【0163】
本発明を特定の実施例を用いてより詳細に説明する。以下の実施例は、例示の目的のために提供され、いかなる様式でも本発明を限定するようには意図されるものではない。当業者は、本質的に同じ結果をもたらすように変更または修正され得る、様々な重要でないパラメータを容易に認識するであろう。実施例の化合物は、本明細書に記載される少なくとも1つのアッセイにより、PD-1/PD-L1タンパク質/タンパク質相互作用の活性を阻害することが判明している。
【実施例
【0164】
本発明の化合物の実験手順を以下に提供する。調製された化合物のうちのいくつかのオープンアクセス分取LCMS精製を、Watersの質量分別システムで行った。これらのシステムの操作のための基本的な機器のセットアップ、プロトコル、及び制御ソフトウェアは、文献に詳細に記載されている。例えば、Blom,“Two-Pump At Column Dilution Configuration for Preparative LC-MS”,K.Blom,J.Combi.Chem.,2002,4,295-301、Blom et al.,“Optimizing Preparative LC-MS Configurations and Methods for Parallel Synthesis Purification”,J.Combi.Chem.,2003,5,670-83、及びBlom et al.,“Preparative LC-MS Purification:Improved Compound Specific Method Optimization”,J.Combi.Chem.,2004,6,874-883を参照されたい。
【0165】
中間体1.4-((3-ブロモ-2-メチルフェニル)アミノ)-2-(ジフルオロメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-カルバルデヒド
【化18】
工程1:3-アミノ-5-ブロモピコリンアミド
【化19】
反応器に、5-ブロモ-3-ニトロピコリノニトリル(3.0kg、13.2mol)、メタノール(15.0L)、及びFeCl.6HO(356g、1.3mol)を順次充填した。次いで、ヒドラジン一水和物(2.0kg、39.6mol)を反応器に滴下した。反応物を70℃で3時間加熱した。室温まで冷却した後、反応混合物を珪藻土のパッドを通して濾過し、メタノール(1.0L)で濯いだ。濾液を減圧下で濃縮して黒色油を得て、これを酢酸エチル(2.0L)及び水(2.0L)中に再溶解し、室温で一晩撹拌した。混合物を分離し、有機相を乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮して、黒色固体(1.8kg、収率63%)を得て、これをさらに精製することなく、工程2で直接使用した。
【0166】
工程2:5-ブロモ-3-(2,2-ジフルオロアセトアミド)ピコリンアミド
【化20】
反応器1に、3-アミノ-5-ブロモピコリンアミド(2.0kg、9.3mol)、DCM(8.0L)、及びトリエチルアミン(2.8kg、27.8mol)を順次充填した。反応器1中の混合物を5~10℃まで冷却した。次いで、反応器2に、ジフルオロ酢酸(2.1kg、21.4mol)、DCM(2.0L)、及びDMF(50mL)を順次充填した。反応器1中の混合物を、反応器2にゆっくりと添加した。添加中に、反応温度を15℃未満に制御した。添加後、反応物を15~20℃で4時間撹拌した。次いで、反応混合物を氷水(5.0L)中に注いだ。混合物を室温で1時間撹拌した。有機層を分離し、ブライン(2.0L)で洗浄し、次いで、真空中で濃縮して、褐色固体(2.0kg、収率75%)を得、これを、さらに精製することなく、工程3で直接使用した。
【0167】
工程3:7-ブロモ-2-(ジフルオロメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-オール
【化21】
反応器に、5-ブロモ-3-(2,2-ジフルオロアセトアミド)ピコリンアミド(870g、3.0mol)、エタノール(2.0L)、水(0.5L)、及び水酸化ナトリウム(118g、3.0mol)を順次充填した。反応物を50~60℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物を氷水(2.0L)に注いだ。室温で2時間撹拌した後、懸濁液を濾過して褐色固体(500g、収率60%)を得、これを空気下で乾燥させ、さらに精製することなく、工程4で直接使用した。
【0168】
工程4:2-(ジフルオロメチル)-7-ビニルピリド[3,2-d]ピリミジン-4-オール
【化22】
反応器に、7-ブロモ-2-(ジフルオロメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-オール(1.3kg、4.7mol)、エタノール(6.0L)、水(6.0L)、炭酸カリウム(1.9kg、14.1mol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(130g、10重量%)、及びビニルボロン酸ピナコールエステル(0.9kg、6.1mol)を順次充填した。混合物を80~85℃で60~70時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物を珪藻土のパッドを通して濾過し、酢酸エチル(0.5L)で濯いだ。次いで、濾液を濃HCl溶液によってpH2~3に調整した後、酢酸エチルで3回(3×10.0L)抽出した。有機層を合わせ、ブライン(4.0L)で洗浄し、濃縮して、粗製残留物を得た。残留物に石油エーテル(2.0L)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、懸濁液を濾過し、固体を黄色固体(500g、50%収率)として収集した。
【0169】
工程5:4-クロロ-2-(ジフルオロメチル)-7-ビニルピリド[3,2-d]ピリミジン
【化23】
反応器に、トルエン(1.0L)、2-(ジフルオロメチル)-7-ビニルピリド[3,2-d]ピリミジン-4-オール(200g、0.9mol)を順次充填した後、塩化ホスホリル(206g、1.35mol)をゆっくりと充填した。次いで、N,N-ジメチルアニリン(190g、1.35mol)を反応器に滴下した。次いで混合物を130℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物を氷水(1.0L)に注ぎ入れた。混合物を酢酸エチルで3回(1.0L、0.5L、0.5L)抽出した。有機層を合わせ、次いでブライン(0.5L)で洗浄し、濃縮して、粗製残留物を得た。残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、黄色固体(170g、収率80%)を得た。
【0170】
工程6:N-(3-ブロモ-2-メチルフェニル)-2-(ジフルオロメチル)-7-ビニルピリド[3,2-d]ピリミジン-4-アミン
【化24】
反応器に、tert-ブタノール(2.5L)、4-クロロ-2-(ジフルオロメチル)-7-ビニルピリド[3,2-d]ピリミジン(250g、1.04mol)及び3-ブロモ-2-メチルアニリン(188g、1.25mol)を順次充填した。混合物を50℃で一晩撹拌した。次いで、反応物を室温まで冷却した。懸濁液を濾過し、固体を収集し(375g、収率92%)、さらに精製することなく使用した。
【0171】
工程7:4-((3-ブロモ-2-メチルフェニル)アミノ)-2-(ジフルオロメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-カルバルデヒド
反応器に、室温でTHF(7.0L)及び水(2.0L)を順次充填し、続いて、5~10℃で過ヨウ素酸ナトリウム(620g、2.8mol)、2,6-ジメチルピリジン(205g、1.9mol)、5~10℃で四酸化オスミウム(2.0g、0.09mol)、及び5~10℃でN-(3-ブロモ-2-メチルフェニル)-2-(ジフルオロメチル)-7-ビニルピリド[3,2-d]ピリミジン-4-アミン(370g、0.96mol)を充填した。混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、混合物を濃縮した後、水(2.0L)を残留物に添加した。濾過後、固体を収集し、酢酸エチル(1.5L)中で再溶解した。混合物を還流下で3時間撹拌した。室温まで冷却した後、懸濁液を濾過し、固体を収集し、空気下で乾燥させた(325g、収率85%)。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ10.75(s,1H),10.34(s,1H),9.35(d,J=1.6Hz,1H),8.78(d,J=2.0Hz,1H),7.57(t,J=8.0Hz,2H),7.24(t,J=8.0Hz,1H),6.74(m,J=54.0Hz,1H),2.30(s,3H)。13C NMR(400MHz,DMSO-d):δ192.5(s),159.7(s),158.2(t,J=96Hz),149.0(s),144.5(s),139.2(s),137.9(s),135.2(s),134.6(s),134.3(s),131.0(s),128.0(s),126.9(s),125.2(s),112.8(t,J=960Hz),19.0(s)。
【0172】
実施例1.(R)-4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化25】
工程1:(R)-1-((4-((3-ブロモ-2-メチルフェニル)アミノ)-2-(ジフルオロメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-イル)メチル)ピロリジン-3-オール
【化26】
DCM(7mL)中の4-((3-ブロモ-2-メチルフェニル)アミノ)-2-(ジフルオロメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-カルバルデヒド(中間体1:1027mg)、(R)-ピロリジン-3-オール(273mg)、及び酢酸(220μL)の混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(830mg)を添加した。混合物を室温で1時間さらに撹拌した。反応物をNHO水溶液でクエンチし、DCMで抽出した。有機相を組み合わせて、MgSOで乾燥させた。濾過後、DCM溶液を濃縮して残留物とし、これをフラッシュクロマトグラフィー(0~12%MeOH/DCM)によって精製した。C2021BrFO(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=464.1,466.1;測定値464.0,466.0。
【0173】
工程2:tert-ブチル1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボキシレート
【化27】
ジクロロメタン(60mL)中の1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(Accela、カタログ番号SY032476:2.0g)、(Boc)O(3.38mL)の溶液を、室温で1時間撹拌した。反応物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物をさらに精製することなく工程3で使用した。C1220(M+H)について計算されたLCMS:m/z=238.2、実測値238.2。
【0174】
工程3:5-(tert-ブチル)2-メチル1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2,5-ジカルボキシレート
【化28】
ヘキサン中のn-ブチルリチウム(2.5M、7.00mL)を、テトラヒドロフラン(60.0mL)中の工程2からの粗生成物tert-ブチル1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボキシレート(3.46g)の冷(-78℃)溶液に添加した。反応混合物を-78℃で10分間撹拌した後、クロロギ酸メチル(1.69mL)を添加した。反応物を-78℃で30分間撹拌した後、次いで、反応物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物をヘキサン中0~80%の酢酸エチルで溶離するシリカゲルカラムでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して所望の生成物を得た。C1422(M+H)について計算されたLCMS:m/z=296.2、実測値296.3。
【0175】
工程4:tert-ブチル2-((2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボキシレート
【化29】
カリウムtert-ブトキシド溶液(THF中1.0M、16.1mL)を、THF(53.7mL)中の5-(tert-ブチル)2-メチル1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2,5-ジカルボキシレート(2.38g)及び2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(Ambeed、カタログ番号A719321:2.04g)の溶液に添加した。室温で0.5時間撹拌した後、反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をヘキサン中の酢酸エチル(0~50%)でシリカゲルカラムでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して生成物を得た。C2535BClN(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=517.2;測定値517.2。
【0176】
工程5:tert-ブチル(R)-2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボキシレート
【化30】
水(0.09mL)及び1,4-ジオキサン(0.43mL)の混合物中の(R)-1-((4-((3-ブロモ-2-メチルフェニル)アミノ)-2-(ジフルオロメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-イル)メチル)ピロリジン-3-オール(48mg)、tert-ブチル2-((2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボキシレート(51.3mg)、リン酸カリウム(54.9mg)、及びクロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2′,4′,6′-トリイソプロピル-1,1′-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)(8.1mg)の混合物を、Nでパージし、その後100℃で2時間撹拌した。反応物を室温まで冷却した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、次いでHO及びブライン溶液で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮して粗残留物を得、これを、シリカゲルカラムのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。C3943ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=774.3;測定値774.4。
【0177】
工程6:(R)-4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシレート
【化31】
DCM(130μL)中のtert-ブチル(R)-2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボキシレート(15mg)の溶液に、トリフルオロ酢酸(130μL)を添加した。混合物を室温で0.5時間撹拌した。その後、揮発性物質を減圧下で蒸発させた。残留物をDCM中で再溶解し、飽和NaHCO溶液で中和した。水層をDCMで3回抽出した。組み合わせたDCM層をMgSOで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮して、テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン粗生成物を得た。DCM(130μL)中の上記粗物質に、メチル4-(2-オキソエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシレート(PharmaBlock、カタログ番号PB96551:7.60mg)、続いてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(10.3mg)を添加した。混合物を、室温で0.5時間撹拌した。次いで、反応物をDCMで希釈し、水酸化アンモニウム水溶液を添加することによってクエンチした。DCM層を濃縮して、粗生成物を得、これを工程7で直接使用した。C4551ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=854.4;測定値854.5。
【0178】
工程7:(R)-4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
THF(150μL)、水(150μL)、及びMeOH(75μL)の混合溶媒中のメチル(R)-4-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシレート(16mg)の溶液に、LiOH(2.2mg)を添加した。混合物を40℃で6時間撹拌した。反応混合物をMeOHで希釈し、次に分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4449ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=840.4;測定値840.4。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ10.54(s,1H),9.93(s,1H),9.11(s,1H),8.51(s,1H),8.27(dd,J=8.2,1.2Hz,1H),7.66(d,J=7.9Hz,1H),7.49(t,J=7.9Hz,1H),7.38(t,J=7.8Hz,1H),7.16-7.14(m,2H),7.13-7.12(m,1H),6.87-6.62(m,1H),4.84-4.63(m,2H),4.57-4.39(m,3H),4.32-4.20(m,1H),3.95(s,3H),3.89-3.79(m,1H),3.73-3.64(m,1H),3.62-3.52(m,1H),3.50-3.39(m,1H),3.37-3.21(m,3H),3.19-3.10(m,1H),3.10-2.93(m,2H),2.39-2.27(m,1H),2.05-1.92(m,6H),1.92-1.82(m,2H),1.61-1.49(m,4H),1.46(s,2H),1.37(s,2H)。
【0179】
実施例2.(R)-4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシ-3-メチルピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化32】
(R)-ピロリジン-3-オール(工程1)の代わりに(R)-3-メチルピロリジン-3-オールを用いて、実施例1について記載されるのと同様の手順を使用してこの化合物を調製した。最後の工程の反応混合物をMeOHで希釈し、次いで、分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4551ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=854.4;測定値854.4。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ10.54(s,1H),10.23(s,1H),9.94(s,1H),9.11(s,1H),8.52(s,1H),8.28(dd,J=8.2,1.4Hz,1H),7.66(d,J=7.7Hz,1H),7.50(t,J=7.9Hz,1H),7.39(t,J=7.8Hz,1H),7.17-7.14(m,1H),7.14-7.12(m,1H),6.88-6.62(m,1H),4.81-4.60(m,2H),4.57-4.46(m,1H),4.32-4.19(m,1H),3.96(s,3H),3.90-3.78(m,1H),3.73-3.59(m,1H),3.54-3.37(m,2H),3.35-3.14(m,4H),3.11-2.94(m,2H),2.19-2.07(m,1H),2.03-1.94(m,6H),1.93-1.84(m,2H),1.61-1.49(m,4H),1.47(s,3H),1.41-1.37(m,2H),1.35(s,3H)。
【0180】
実施例3.(S)-4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化33】
工程1:(4-((3-ブロモ-2-メチルフェニル)アミノ)-2-(ジフルオロメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-イル)メタノール
【化34】
MeOH(19mL)及びCHCl(19mL)中の4-((3-ブロモ-2-メチルフェニル)アミノ)-2-(ジフルオロメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-カルバルデヒド(中間体1:1513mg)の混合物に、水素化ホウ素ナトリウム(146mg)を添加した。混合物を、室温で1時間撹拌した。次いで、反応物を1N HCl水溶液でクエンチし、DCMで3回抽出した。有機相を組み合わせて、MgSOで乾燥させた。濾過後、濾液を濃縮して淡黄色の生成物を得、これをさらに精製することなく直接使用した。C1614BrFO(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=395.0,397.0;測定値395.1,397.1。
【0181】
工程2:tert-ブチル-2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-(ヒドロキシメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボキシレート
【化35】
水(3.2mL)及び1,4-ジオキサン(16.2mL)の混合溶媒中の(4-((3-ブロモ-2-メチルフェニル)アミノ)-2-(ジフルオロメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-7-イル)メタノール(767mg)、tert-ブチル2-((2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサンボロラン-2-イル)フェニル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボキシレート(1053mg)、炭酸カリウム(671mg)及びクロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)(153mg)の混合物を、Nでパージし、その後110℃で3時間撹拌した。反応物を室温まで冷却した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、次いでHO及び飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して粗残留物を得、これを、シリカゲルカラムのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。C3536ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=705.2;測定値705.2。
【0182】
工程3:メチル4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-(ヒドロキシメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシレート
【化36】
DCM(5mL)中のtert-ブチル2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-(ヒドロキシメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボキシレート(701mg)の溶液に、トリフルオロ酢酸(7mL)を添加した。混合物を室温で30分間撹拌した。その後、混合物を減圧下で蒸発させた。残留物をDCM中で再溶解し、飽和NaHCO溶液で中和した。水層をDCMで3回抽出した。組み合わせたDCM層をMgSOで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮して、粗アミン生成物を得、これを直接使用した。DCM(10mL)中の上記粗アミン及びメチル4-(2-オキソエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシレート(PharmaBlock、カタログ番号PB96551:217mg)の混合物を、室温で1時間撹拌した。次いで、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(421mg)を添加した。混合物を、室温で1時間さらに撹拌した。反応物をDCM中で希釈し、NHOHによってクエンチした。水相をDCMで洗浄し、有機相を組み合わせて、MgSOで乾燥させた。濾過後、濾液を濃縮し、対応する残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM中0~16% MeOH)によって精製した。C4144ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=785.3;測定値785.3。
【0183】
工程4:メチル4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-ホルミルピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシレート
【化37】
DCM(2.7mL)中のメチル4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-(ヒドロキシメチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシレート(210mg)の溶液に、二酸化マンガン(930mg)を添加した。混合物を40℃で2時間撹拌した。次いで、反応物をセライトのパッドを通して濾過して、固形物を除去した。濾液を蒸発させ、残留物を工程5で直接使用した。C4142ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=783.3;測定値783.4。
【0184】
工程5:(S)-4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
CHCl(0.2mL)中のメチル4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-ホルミルピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシレート(15mg)及び(S)-ピロリジン-3-オール(3.4mg)の溶液に、酢酸(2.2μL)を添加した。混合物を室温で30分間撹拌した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(8.1mg)を反応物に添加し、反応物を1時間撹拌し続けた。次いで、反応混合物を蒸発させた。残留物を直接使用した。混合溶媒溶液(150μL、THF/水/MeOH=2/2/1)中の上記残留物の溶液に、LiOH(3mg)を添加した。混合物を40℃で6時間撹拌した。完了後、反応混合物をMeOHで希釈し、次に分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4449ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=840.4;測定値840.3。
【0185】
実施例4.(S)-4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシ-3-メチルピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化38】
(S)-ピロリジン-3-オール(工程5)の代わりに(S)-3-メチルピロリジン-3-オールを用いて、実施例3について記載されるのと同様の手順を使用してこの化合物を調製した。最後の工程の反応混合物をMeOHで希釈し、次いで、分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4551ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=854.4;測定値854.3。
【0186】
実施例5.(R)-4-(2-(2-((3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2.2’-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化39】
2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(工程4)の代わりに2-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(Combi-Blocks、カタログ番号PN-9127)を用いて、実施例1に記載されるのと同様の手順を使用してこの化合物を調製した。最後の工程の反応混合物をMeOHで希釈し、次いで、分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4552(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=820.4;測定値820.4。H NMR(600MHz,DMSO-d)δ10.59(s,1H),10.37(s,b,1H),9.86(s,1H),9.11(s,1H),8.50(s,2H),7.61(d,J=7.9Hz,1H),7.57(d,J=7.8Hz,1H),7.35(t,J=7.7Hz,1H),7.30(t,J=7.8Hz,1H),7.08(d,J=7.3Hz,1H),7.03(d,J=7.3Hz,1H),6.87-6.57(m,1H),4.80-4.62(m,2H),4.52-4.45(m,1H),4.47-4.14(m,2H),3.91(s,3H),3.87-3.80(m,1H),3.71-3.64(m,1H),3.63-3.50(m,1H),3.49-3.38(m,1H),3.36-3.23(m,3H),3.17-3.10(m,1H),3.08-2.93(m,2H),2.37-1.91(m,2H),2.00(s,3H),1.99-1.94(m,2H),1.92(s,3H),1.90-1.85(m,2H),1.59-1.49(m,4H),1.46(s,2H),1.42-1.34(m,2H)。
【0187】
実施例6.(R)-4-(2-(2-((3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシ-3-メチルピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2.2’-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化40】
2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(工程4)の代わりに2-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(Combi-Blocks、カタログ番号PN-9127)、及び(R)-ピロリジン-3-オール(工程1)の代わりに(R)-3-メチルピロリジン-3-オールを用いて、実施例1に記載されるのと同様の手順を使用してこの化合物を調製した。最後の工程の反応混合物をMeOHで希釈し、次いで、分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4654(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=834.4;測定値834.4。H NMR(500MHz,DMSO-d)δ10.57(s,1H),10.16(s,1H),9.84(s,1H),9.10(s,1H),8.50(s,1H),7.62(d,J=7.9Hz,1H),7.57(d,J=7.9Hz,1H),7.36(t,J=7.7Hz,1H),7.30(t,J=7.8Hz,1H),7.08(d,J=7.6Hz,1H),7.03(d,J=7.4Hz,1H),6.86-6.58(m,1H),4.79-4.60(m,2H),4.53-4.41(m,1H),4.32-4.16(m,1H),3.91(s,3H),3.87-3.79(m,1H),3.69-3.60(m,1H),3.53-3.35(m,2H),3.33-3.25(m,2H),3.25-3.12(m,2H),3.09-2.91(m,2H),2.17-2.08(m,2H),2.03-1.94(m,7H),1.92(s,3H),1.90-1.83(m,2H),1.61-1.49(m,4H),1.47(s,2H),1.41-1.36(m,2H),1.35(s,3H)。
【0188】
実施例7.4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-(ピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化41】
(S)-ピロリジン-3-オール(工程5)の代わりにピロリジンを用いて、実施例3について記載されるのと同様の手順を使用してこの化合物を調製した。最後の工程の反応混合物をMeOHで希釈し、次いで、分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4449ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=824.4;測定値824.3。
【0189】
実施例8.(R)-4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((2-メチルピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化42】
(S)-ピロリジン-3-オール(工程5)の代わりにピロリジンを用いて、実施例3について記載されるのと同様の手順を使用してこの化合物を調製した。最後の工程の反応混合物をMeOHで希釈し、次いで、分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4551ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=838.4;測定値838.3。
【0190】
実施例9.4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((((1R,2S)-2-ヒドロキシシクロペンチル)アミノ)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化43】
(S)-ピロリジン-3-オール(工程5)の代わりに(1S,2R)-2-アミノシクロペンタン-1-オールを用いて、実施例3について記載されるのと同様の手順を使用してこの化合物を調製した。最後の工程の反応混合物をMeOHで希釈し、次いで、分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4551ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=854.4;測定値854.5。
【0191】
実施例10.4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-(((2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-メチルピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化44】
(S)-ピロリジン-3-オール(工程5)の代わりに(3R,5S)-5-メチルピロリジン-3-オールを用いて、実施例3について記載されるのと同様の手順を使用してこの化合物を調製した。最後の工程の反応混合物をMeOHで希釈し、次いで、分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4551ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=854.4;測定値854.3。
【0192】
実施例11.4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-(((2R,4R)-4-ヒドロキシ-2-メチルピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化45】
(S)-ピロリジン-3-オール(工程5)の代わりに(3R,5R)-5-メチルピロリジン-3-オールを用いて、実施例3について記載されるのと同様の手順を使用してこの化合物を調製した。最後の工程の反応混合物をMeOHで希釈し、次いで、分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4551ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=854.4;測定値854.3。
【0193】
実施例12.4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-(((2R,4S)-4-ヒドロキシ-2-メチルピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化46】
(S)-ピロリジン-3-オール(工程5)の代わりに(3S,5R)-5-メチルピロリジン-3-オールを用いて、実施例3について記載されるのと同様の手順を使用してこの化合物を調製した。最後の工程の反応混合物をMeOHで希釈し、次いで、分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4551ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=854.4;測定値854.3。
【0194】
実施例13.4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化47】
(S)-ピロリジン-3-オール(工程5)の代わりにアゼチジン-3-オールを用いて、実施例3について記載されるのと同様の手順を使用してこの化合物を調製した。最後の工程の反応混合物をMeOHで希釈し、次いで、分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4347ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=826.3;測定値826.4。
【0195】
実施例14.4-(2-(2-((2-クロロ-3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシ-3-メチルアゼチジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化48】
(S)-ピロリジン-3-オール(工程5)の代わりにメチルアゼチジン-3-オールを用いて、実施例3について記載されるのと同様の手順を使用してこの化合物を調製した。最後の工程の反応混合物をMeOHで希釈し、次いで、分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4449ClF(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=840.4;測定値840.3。
【0196】
実施例15.(S)-4-(2-(2-((3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2.2’-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化49】
2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(工程4)の代わりに2-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(Combi-Blocks、カタログ番号PN-9127)、及び(R)-ピロリジン-3-オール(工程1)の代わりに(S)-ピロリジン-3-オールを用いて、実施例1に記載されるのと同様の手順を使用してこの化合物を調製した。最後の工程の反応混合物をMeOHで希釈し、次いで、分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4552(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=820.4;測定値820.4。
【0197】
実施例16.(S)-4-(2-(2-((3’-((2-(ジフルオロメチル)-7-((3-ヒドロキシ-3-メチルピロリジン-1-イル)メチル)ピリド[3,2-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-2.2’-ジメチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
【化50】
2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(工程4)の代わりに2-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(Combi-Blocks、カタログ番号PN-9127)、及び(R)-ピロリジン-3-オール(工程1)の代わりに(S)-3-メチルピロリジン-3-オールを用いて、実施例1に記載されるのと同様の手順を使用してこの化合物を調製した。最後の工程の反応混合物をMeOHで希釈し、次いで、分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)によって精製して、所望の生成物をTFA塩として得た。C4654(M+H)について計算されたLC-MS:m/z=834.4;測定値834.4。
【0198】
実施例A.均一時間分解蛍光(HTRF)PD-1/PD-L1結合アッセイ
20μLの最終体積を用いて、標準的な黒色384ウェルポリスチレンプレートでアッセイを行った。阻害剤を最初にDMSOで段階的に希釈し、次いで、プレートのウェルに添加した後、他の反応構成成分を添加した。アッセイにおけるDMSOの最終濃度は1%であった。0.05%Tween-20及び0.1%BSAを含むPBS緩衝液(pH7.4)中、25℃でアッセイを実施した。C末端にHisタグを有する組換えヒトPD-L1タンパク質(19~238)は、AcroBiosystems(PD1-H5229)から購入した。C末端にFcタグを有する組換えヒトPD-1タンパク質(25~167)もまた、AcroBiosystems(PD1-H5257)から購入した。PD-L1及びPD-1タンパク質をアッセイ緩衝液中で希釈し、プレートウェルに10μLを添加した。プレートを遠心分離し、タンパク質を阻害剤と共に40分間事前インキュベートした。インキュベーションの後に、Fcに特異的なEuropiumクリプテート標識抗ヒトIgG(PerkinElmer-AD0212)及びSureLight(登録商標)-アロフィコシアニンに複合体化した抗His抗体(APC、PerkinElmer-AD0059H)を補充した10μLのHTRF検出緩衝液を添加した。遠心分離後、プレートを25℃で60分間インキュベートして、PHERAstar FSプレートリーダーで読み取った(665nm/620nm比)。アッセイの最終濃度は、-3nM PD1、10nM PD-L1、1nMユーロピウム抗ヒトIgG、及び20nM抗His-アロフィコシアニンであった。GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを使用して、阻害剤の濃度の対数に対する対照活性パーセントの曲線を適合させることによって、IC50の決定を行った。
【0199】
実施例B.Src相同性領域2ドメイン含有ホスファターゼ(SHP)アッセイ
U2OS/PD-L1細胞(DiscoveRx Corporation)を、10%FBS、0.25μg/mLピューロマイシンを添加したマッコイ5A培地で維持した。培養培地を除去した後、細胞培地をアッセイ培地(1%FBSを含むRPMI1640培地)で置き換えた。次いで、U2OS/PD-L1細胞を、384ウェル黒色クリアボトムアッセイプレート(CELLCOAT(登録商標)組織培養プレート、Greiner Bio-One)に、20μLアッセイ培地中、ウェル当たり5000個の細胞で添加した。試験化合物を、DMSOで段階希釈することによって調製し、125nLの化合物をECHOリキッドハンドラー(Labcyte)によって384 REMPプレートウェル(Thermofisher)に最初に移し、続いて、27.5μLのアッセイ培地を添加した。アッセイ培地中の5μL/ウェルの化合物を、最終アッセイにおいて0.25μMで0.05%DMSOを含む細胞プレートに移した。Jurkat-PD-1-SHP細胞(DiscoveRx Corporation)を、10%FBS、250μg/mLハイグロマイシンB、500μg/mL G418を補充したRPMI1640培地で培養した。培養培地をアッセイ培地で置き換えた後、20μL中の5,000個のJurkat-PD-1-SHP細胞を各ウェルに分注した。アッセイプレートを、37℃、5%COで2時間インキュベートした後、2.5μLのPathHunter試薬1(DiscoveRx Corporation)を各ウェルに添加した。アッセイプレートを、暗所で、350rpmで1分間振盪した後、10μLのPathHunter試薬2(DiscoveRx Corporation)を添加した。化学発光シグナルは、室温で1時間インキュベートした後、TopCountリーダー(Perkin Elmer)で記録した。DMSOを含むウェルを陽性対照として使用し、細胞を含まないウェルを陰性対照として使用した。GraphPad Prism 6.0ソフトウェアを使用して、化合物の濃度の対数に対する対照活性割合の曲線を適合させることによって、IC50の決定を行った。
【0200】
実施例C.活性化T細胞の核因子(NFAT)アッセイ
PD-L1 aAPC/CHO-K1細胞(Promega)を、10%FBS、200μg/mLハイグロマイシンB、250μg/mLジェネティシン(G418)を添加したF-12培地で維持した。Jurkat-PD-1-NFATエフェクター細胞(Promega)を、10%FBS、100μg/mLハイグロマイシンB、500μg/mL G418を補充したRPMI 1640培地で培養した。PD-L1 aAPC/CHO-K1細胞の培養培地を、最初にアッセイ培地(1%FBSを含むRPMI1640培地)で置き換えた。次いで、PD-L1 aAPC/CHO-K1細胞を、白色384ウェル白色クリアボトムアッセイプレート(CELLCOAT(登録商標)組織培養プレートに、Greiner Bio-One)に、10μLアッセイ培地中、ウェル当たり8000個で添加した。試験化合物を、DMSOで段階希釈することによって調製し、DMSO中の0.8μLの試験化合物を、最初に、PlateMate Plus(Thermofisher)によって、384REMPプレートウェル(Thermofisher)に移し、続いて、50μLのプレーティング培地を添加した。アッセイ培地中の5μLの化合物を、最終アッセイにおいて2μMで0.4%DMSOを含む細胞に移した。培養培地を除去した後、5μLのアッセイ培地中の10,000個のJurkat-PD-1-NFATエフェクター細胞を各ウェルに分注した。アッセイプレートを、37℃、5%COで24時間インキュベートした。アッセイプレートを室温で15分間平衡化した後、20μL/ウェルのBio-Glo(商標)試薬(Promega)を添加した。室温での8分間のインキュベーション後、Pherastarマイクロプレートリーダー(BMG Labtech)で発光を読み取った。誘導の倍数(FOI)を、各アッセイプレート内のDMSOウェルに対して正規化された発光の比率に基づいて計算した。誘導の最大割合は、各化合物の最高FOI及び各アッセイプレート内の対照化合物の最大FOIの間の比率に基づいて報告した。DMSOを含むウェルを陰性対照として使用し、FOIが最も高い対照化合物を含むウェルを陽性対照として使用した。GraphPad Prism 6.0ソフトウェアを使用して、化合物の濃度の対数に対する対照活性パーセントの曲線を適合させることによって、EC50の決定を行った。
【0201】
実施例D.PD-L1全血インターナリゼーションアッセイ
ヒト全血におけるPD-L1インターナリゼーションを決定するために、正常ヒト血液(Biological Specialty Corp,Colmar.PA)を、96ウェル「2mlアッセイブロック」(Corning,Corning NY)中、ある濃度範囲の試験化合物及び1ng/mlヒトインターフェロンγ(R&D Systems Inc.,Minn.MN)の存在下または不在下で、37℃で18~20時間インキュベートした。次いで、血液を、PD-L1(MIH1、eBioscience、またはBD Biosciences San Jose,CA)、CD14(Life Technologies,Carlsbad,CA)で、暗所で、室温で30分間染色した。全血/赤血球を、暗所で、37℃で5分間溶解/固定(溶解緩衝液、BD Biosciences)し、次いで、5分間1600RPMで遠心分離した。細胞を染色バッファー(BD Bioscience、San Jose,CA)中に再懸濁し、96ウェル丸底プレート(Corning)に移した。細胞をCD14+(BD Biosciences)でゲーティングし、PD-L1発現を平均蛍光強度(MFI)(BD LSRFortessa(商標)X-20)によって決定した。GraphPad Prism 7.0ソフトウェアを使用して、化合物の濃度の対数に対する化合物の阻害パーセントの曲線を適合させることによって、IC50の決定を行った。
【0202】
実施例E.ラット及びサルにおけるインビボ薬物動態
インビボ薬物動態実験のために、試験化合物を、静脈内または経口強制飼養を介して、雄のスプラーグドーリーラットまたは雄及び雌のカニクイザルに投与した。静脈内(IV)投与については、試験化合物を、ラットにはIVボーラス、及びサルには5分間または10分間のIV注入を介して、酸性化生理食塩水中10%ジメチルアセトアミド(DMAC)の製剤を使用して、0.5~1mg/kgで投与した。経口(PO)投与については、試験化合物を、クエン酸緩衝液(pH3.5)中の0.5%メチルセルロース中の5%DMACを使用して1.0~3.0mg/kgで投与した。血液試料を、投与前及び投与後24時間までの様々な時点で収集した。全ての血液試料を、抗凝固剤としてEDTAを使用して収集し、血漿試料を得るために遠心分離した。試験化合物の血漿中濃度を、LC-MS法によって決定した。測定された血漿濃度を使用して、Phoenix(登録商標)WinNonlinソフトウェアプログラム(バージョン7.0、Pharsight Corporation)を用いる標準的なノンコンパートメント法によってPKパラメータを計算した。
【0203】
ラット及びサルでは、予備のPKパラメータを取得するために、試験化合物のカセット投与を行った。
【0204】
雄ビーグル犬を用いたインビボ薬物動態実験は、上に記載される条件下で実行してもよい。
【0205】
実施例の化合物についての実施例A~Eからの結果
実施例の化合物を、HTRF PD-1/PD-L1結合アッセイ(実施例A)、SHPアッセイ(実施例B)、NFATアッセイ(実施例C)、及び全血インターナリゼーションアッセイ(24時間)(実施例D)の各々において評価した。
【0206】
実施例1、2、及び9の化合物についての結果を表1に示す。実施例3、4、7、及び14の化合物についての結果を表2に示す。実施例5及び6の化合物についての結果を表3に示す。実施例8、10、11、及び13の化合物についての結果を表4に示す。実施例12、15、及び16の化合物についての結果を表5に示す。「nt」は、未試験である。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0207】
実施例Eに示される条件下で、ラットまたはサルにおける薬物動態についても、実施例の特定の化合物を評価した(表6及び7を参照されたい)。表6及び7は、定常状態における見かけの分布体積(Vss)、血漿からの薬物の見かけの全身クリアランス(Cl)、排除半減期(t1/2)、最大(ピーク)血漿濃度(Cmax)、時間ゼロから無限大までの血漿濃度-時間曲線下面積(AUC0-inf)、及びバイオアベイラビリティ(F)を示す。表6及び表7において、結果は、カセット投与試験からのものである:Vss、Cl、及びt1/2は、1.0mg/kgのIVに基づき、Cmax、AUC0-inf、及びFは、3.0mg/kgのPOに基づく。
【表6】
【表7】
【0208】
実施例A、B、C、及びDのアッセイにおいても、米国特許公開第20180179202号(‘202)からの化合物を試験した(表A1を参照されたい。実施例番号は、‘202の開示を参照している)。実施例Eに示される条件下で、ラット(3.0mg/kgでPO)における薬物動態についても、ある特定の化合物を評価した(表A2を参照されたい)。表A2において、結果は、カセット投与試験からのものである:Vss、Cl、及びt1/2は、1.0mg/kgのIVに基づき、Cmax、AUC0-inf、及びFは、3.0mg/kgのPOに基づく。
【0209】
実施例A、B、C、及びDのアッセイにおいても、米国特許公開第20180177870号(‘870)からの化合物を試験した(表A3を参照されたい。実施例番号は、‘870の開示を参照している)。実施例Eに示される条件下で、ラット(3.0mg/kgでPO)における薬物動態についても、ある特定の化合物を評価した(表A4を参照されたい)。表A4において、結果は、カセット投与試験からのものである:Vss、Cl、及びt1/2は、1.0mg/kgのIVに基づき、Cmax、AUC0-inf、及びFは、3.0mg/kgのPOに基づく。
【0210】
実施例A、B、C、及びDのアッセイにおいても、米国特許公開第20180179197号(‘197)からの化合物を試験した(表A5を参照されたい。実施例番号は、‘197の開示を参照している)。実施例Eに示される条件下で、ラット(3.0mg/kgでPO)における薬物動態についても、ある特定の化合物を評価した(表A6を参照されたい)。表A6において、結果は、カセット投与試験からのものである:Vss、Cl、及びt1/2は、1.0mg/kgのIVに基づき、Cmax、AUC0-inf、及びFは、3.0mg/kgのPOに基づく。
【0211】
米国特許公開第20180179202号、第20180177870号、及び第20180179197号の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【0212】
本明細書で説明されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかとなるであろう。かかる修正はまた、添付の特許請求の範囲内に該当することが意図される。本出願において引用される全ての特許、特許出願、及び刊行物を含むが、これらに限定されない各参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】