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  • 特表-離型剤用化合物及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-25
(54)【発明の名称】離型剤用化合物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 43/174 20060101AFI20221117BHJP
   C23C 14/12 20060101ALI20221117BHJP
   C07C 271/12 20060101ALI20221117BHJP
   C07C 271/28 20060101ALI20221117BHJP
   C07C 69/63 20060101ALI20221117BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20221117BHJP
【FI】
C07C43/174
C23C14/12
C07C271/12
C07C271/28
C07C69/63
C08J7/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020568778
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(85)【翻訳文提出日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 KR2020011357
(87)【国際公開番号】W WO2021054632
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】10-2019-0114634
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517361694
【氏名又は名称】セコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒュンジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ホンチュル
(72)【発明者】
【氏名】リ スンド
【テーマコード(参考)】
4F006
4H006
4K029
【Fターム(参考)】
4F006AA11
4F006AA31
4F006AB63
4F006AB64
4F006BA11
4F006DA01
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB99
4H006BJ50
4H006BM10
4H006BM71
4H006BP10
4H006GP01
4H006GP20
4K029BA62
4K029DB01
4K029DB06
(57)【要約】
本発明は、超薄型の離型剤及びその製造方法に関し、より詳細には連続蒸着装置内で連続又は非連続的に熱を加えても、熱変形なしで超薄型にコーティングが可能な離型剤の製造方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】
(式中、Lは、炭素数1~20個の脂肪族誘導体又は芳香族誘導体であり、
m及びnは、それぞれ0又は1であり、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは非置換の脂肪族炭化水素基又はペルフルオロアルキル基を有する炭素数1~40個の誘導体であり、
及びBは、それぞれ独立して、-O-、-COO-、-NHCOO-又はこれらの組み合わせであり、
及びGは、それぞれ独立して、H、CH、CHA(但し、Aは、F、Cl、Br又はIである)であるか、省略されてもよく、
Y及びZは、それぞれ独立して、炭素数1~6個のアルキル基である。)
で示される構造を含む離型剤用化合物。
【請求項2】
全体分子量が、300~4,000g/molである
請求項1に記載の離型剤用化合物。
【請求項3】
下記式(2)
【化2】
(式中、L及びLは、それぞれ独立して、炭素数1~40個の脂肪族誘導体又は芳香族誘導体であり、
m、n、o及びpは、それぞれ0又は1であり、
、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは非置換の脂肪族炭化水素基又はペルフルオロアルキル基を有する炭素数1~40個の誘導体であり、
、B、B及びBは、それぞれ独立して、-O-、-COO-、-NHCOO-又はこれらの組み合わせであり、
及びGは、それぞれ独立して、H、CH、CHA(但し、Aは、F、Cl、Br又はIである)であるか、省略されてもよく、
Y及びZは、それぞれ独立して、炭素数1~6個のアルキル基であり、
Xは、-CH-又は-O-である。)
で示される構造を含む離型剤用化合物。
【請求項4】
全分子量が、300~4,000g/molである
請求項3に記載の離型剤用化合物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の離型剤用化合物を含む離型剤。
【請求項6】
請求項5に記載の離型剤を真空蒸着するコーティング方法。
【請求項7】
前記離型剤が、単一化合物であり、前記離型剤を連続又は非連続的に真空蒸着する
請求項6に記載のコーティング方法。
【請求項8】
真空蒸着された離型剤を、炭素数1~10のアルコール類又はその他の有機溶媒を用いて除去する
請求項6に記載のコーティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離型剤用化合物及びその製造方法に関し、より詳しくは、連続蒸着装置内で連続又は非連続的に熱を加えても、熱変形なしで超薄型にコーティングが可能な離型剤用化合物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルムを用いる産業が増加するにつれて、付加的な機能を有するフィルムコーティングの需要が増大し、様々なコーティング技術が求められるようになった。フィルムにコーティングする場合、連続でコーティング可能な連続コーティング工程に対する技術的な進歩が多かった。
【0003】
アミノアルキドなどを用いた離型剤(特許文献1)やシリコーン離型剤(特許文献2)、フッ素系離型剤(特許文献3)等は、樹脂材料に加えられ、フィルムのハードコーティング材料として用いられるか、離型剤として直接用いられてもスピンコーティングなどの湿式方法によりコーティングし、光硬化させるなど1マイクロメータ以上の膜厚を有する離型剤(特許文献4)のように、殆どが湿式コーティング工程を通して広く利用されている。
【0004】
湿式コーティング工程の場合、1マイクロメータ以下の超薄膜を形成し難く、溶媒使用による大気汚染問題などを引き起こすので、このような湿式工程に比べて、1マイクロメータ以下の超薄膜で均一にコーティング可能な真空蒸着工程が発達することになった。真空蒸着工程は、主にバッチタイプの工程が主流をなすが、生産性向上と効率的な積層のために、連続して可能なロール・ツー・ロールなどの連続蒸着技術もまた、進むようになった。
【0005】
また、先端IT技術が発展するにつれて、ディスプレイ基板又は回路基板などに連続してコーティングをするか、離型をしなければならないなど複雑な連続蒸着工程が導入された。例えば、後続的に続く機能性コーティング層を容易に剥がすための離型層また、真空蒸着装置内で連続的であるか、非連続的に熱を加えても、変形なしで蒸着コーティング可能な機能が必要とされてきた。しかし、従来の離型剤を連続蒸着でコーティングする場合、蒸発時に加えられる熱により変成され分解されるか、融着して、材料を蒸着させるために用いられる坩堝などの熱源の周囲で硬化されるか、冷却後、再び熱を印加して蒸着するときに、再使用性ができなくなり、殆どの離型剤が液状形態であるため、真空状態で、液状で存在する場合には、不安定になり、蒸着装置内部を汚染させる短所を有する。
【0006】
従って、蒸着装置内で連続して離型剤を蒸着コーティングする場合、熱的な安定性を有しなければならなく、不連続的に加熱と冷却を行う場合にも熱的に変成されてはいけなく、また、長期間の高真空状態で所望しない蒸発により蒸着装置内部を汚染させずに、作業者が容易に取り扱いできる固体粉末形態の離型剤の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許第1541989号明細書
【特許文献2】韓国公開特許第10-2015-0008696号公報
【特許文献3】特開2014-129517号公報
【特許文献4】韓国公開特許第10-2019-0088462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のような問題点を解決するために、本発明では、薬品を取り扱い易く、真空状態下で安定した固形状態の離型剤として超薄膜を形成できる離型剤用化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面によれば、下記式(1)
【化1】
(式中、Lは、炭素数1~20個の脂肪族誘導体又は芳香族誘導体であり、
m及びnは、それぞれ0又は1であり、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは非置換の脂肪族炭化水素基又はペルフルオロアルキル基を有する炭素数1~40個の誘導体であり、
及びBは、それぞれ独立して、-O-、-COO-、-NHCOO-又はこれらの組み合わせであり、
及びGは、それぞれ独立して、H、CH、CHA(但し、Aは、F、Cl、Br又はI)であるか、省略されてもよく、
Y及びZは、それぞれ独立して、炭素数1~6個のアルキル基である。)で示される構造を含む離型剤用化合物提供される。
【0010】
本発明の第2の側面によれば、下記の一般式(2)
【化2】
(式中、L及びLは、それぞれ独立して、炭素数1~40個の脂肪族誘導体又は芳香族誘導体であり、
m、n、o及びpは、それぞれ0又は1であり、
、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは非置換の脂肪族炭化水素基又はペルフルオロアルキル基を有する炭素数1~40個の誘導体であり、
、B、B及びBは、それぞれ独立して、-O-、-COO-、-NHCOO-又はこれらの組み合わせであり、
及びGは、それぞれ独立して、H、CH、CHA(但し、Aは、F、Cl、Br又はI)であるか、省略されてもよく;
Y及びZは、それぞれ独立して、炭素数1~6個のアルキル基であり、
Xは、-CH-又は-O-である。)で示される構造を含む離型剤用化合物が提供される。
【0011】
本発明の第3の側面によれば、前記離型剤用化合物を含む離型剤が提供される。
【0012】
本発明の第4の側面によれば、離型剤を真空蒸着するコーティング方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明による離型剤用化合物は、連続又は間欠的な蒸着が連続される連続又は非連続蒸着装置システムで熱的な変形と化学結合により変形される従来の離型剤の弱点を改善したものであり、真空蒸着装置で蒸着できる300~4,000g/molの分子量を有し、蒸着時、離型材料が受けることになる熱的な分解や化学結合などによる分子量の変化や変形なしで蒸着できるように、熱変形が起こり得る官能基が排除されたものであり、連続又は非連続的に繰り返される蒸着熱を加えても熱的な分解や結合による変形なしで超薄型に連続蒸着又は間欠的な蒸着の連続作業を行うことができ、生産性を高めることができる。また、アルコールのような溶媒に簡単に除去できることから、離型工程を容易に行うことができることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1において真空蒸着装置内で蒸着時に生じる経時による坩堝内の温度安定性、肉厚の変化及び蒸着装置内の真空度変化を示すグラフである。
図2】数回繰り返し的な加熱による蒸着時、材料状態の変化、コーティング表面の接触角変化、及びコーティング後のヘイズ変化を示す結果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明の離型剤用化合物は、下記の式(1)
【化3】
(式中、Lは、炭素数1~20個の脂肪族誘導体又は芳香族誘導体であり、
m及びnは、それぞれ0又は1であり、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは非置換の脂肪族炭化水素基又はペルフルオロアルキル基を有する炭素数1~40個の誘導体であり、
及びBは、それぞれ独立して、-O-、-COO-、-NHCOO-又はこれらの組み合わせであり、
及びGは、それぞれ独立して、H、CH、CHA(但し、Aは、F、Cl、Br又はI)であるか、省略されてもよく、
Y及びZは、それぞれ独立して、炭素数1~6個のアルキル基である。)
【0017】
又は式(2)
【化4】
(式中、L及びLは、それぞれ独立して、炭素数1~40個の脂肪族誘導体又は芳香族誘導体であり、
m、n、o及びpは、それぞれ0又は1であり、
、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは非置換の脂肪族炭化水素基又はペルフルオロアルキル基を有する炭素数1~40個の誘導体であり、
、B、B及びBは、それぞれ独立して、-O-、-COO-、-NHCOO-又はこれらの組み合わせであり、
及びGは、それぞれ独立して、H、CH、CHA(但し、Aは、F、Cl、Br又はI)であるか、省略されてもよく、
Y及びZは、それぞれ独立して、炭素数1~6個のアルキル基であり、
Xは、-CH-又は-O-である。)で示される構造を含む。
【0018】
本発明の離型剤用化合物は、全分子量が300~4,000g/molであってもよい。
【0019】
本発明の別の側面によれば、前記離型剤用化合物を含む離型剤が提供される。
【0020】
本発明のさらに別の側面によれば、前記離型剤を真空蒸着するコーティング方法が提供される。
【0021】
本発明で用いられる離型剤用化合物又はこれを含む離型剤は、混合状でない単一合成物のとき、連続や非連続的に繰り返す場合にも熱的な変形なしで安定して離型性を実現することができる。
【0022】
また、本発明により製造された離型剤を用いて、連続的又は非連続的な工程で真空蒸着を行うことができ、離型を行おうとする機能の蒸着~コーティングを行った後に、離型工程を行う場合、乾式の物理的な方法の他にも溶媒を用いて除去することができる。特に限定しないが、メチルアルコール、エチルアルコール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールを含む炭素数1~10のアルコール類及びその他の有機溶媒を用いて離型剤を除去することができる。
【0023】
以下、合成例及び実施例により本発明を詳細に説明する。しかし、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
【0024】
実施例
1.合成例1
ヘキサメチレン-ビス(ペルフルオロヘキサエチレンウレタン)を以下のように製造した。
【0025】
100mLの丸底フラスコに、ペルフルオロヘキシルエチルアルコール20gと1,3-ビストリフルオロメチルベンゼン40gを加え、30分間、室温で撹拌した。この溶液に、ヘキサメチレンジイソシアネート4.62gを加え、強く撹拌し、ゆっくり75℃に昇温し、ジブチル錫ジラウレート触媒を一滴加え、20時間、激しく撹拌した。FTIRスペクトルによりイソシアネートピーク(2270~2290cm-1)が消失されたかを確認できれば、冷却し、ロータリーエバポレータを利用して溶媒及び不純物を除去し、真空オーブン1トール、50℃で、精製して、白色粉末状の固形分を得た。NMR、FTIR及びGC/MSスペクトルは、下記構造と一致した。
【化5】
【0026】
2.合成例2
4メチル-2,3フェニル-ビス(ペルフルオロヘキシルエチルウレタン)を以下のように製造した。
【0027】
100mLの丸底フラスコに、ペルフルオロヘキシルエチルアルコール20gと1,3-ビストリフルオロメチルベンゼン40gを加え、30分間、室温で撹拌した。この溶液に、トルリレン-2-4-ジイソシアネート4.78gを加え、強く撹拌し、ゆっくり75℃に昇温し、ジブチル錫ジラウレート触媒を一滴加え、20時間、激しく撹拌した。FTIRスペクトルによりイソシアネートピーク(2270~2290cm-1)が消失されたかを確認できれば、冷却し、ロータリーエバポレータを利用して溶媒及び不純物を除去し、真空オーブン1トール、50℃で精製して、白色粉末状の固形分を得た。NMR、FTIR及びGC/MSスペクトルは、下記構造と一致した。
【化6】
【0028】
3.合成例3
1,4-フェニレン-ビス(ペルフルオロヘキシルエチルウレタン)を以下のように製造した。
【0029】
100mLの丸底フラスコに、ペルフルオロヘキシルエチルアルコール20gと1,3-ビストリフルオロメチルベンゼン40gを加え、30分間、室温で撹拌した。この溶液に、1,4-フェニレンジイソシアネート4.41gを加え、強く撹拌し、ゆっくり75℃に昇温し、ジブチル錫ジラウレート触媒を一滴加え、20時間、激しく撹拌した。FTIRスペクトルにより、イソシアネートピーク(2270~2290cm-1)が消失されたかを確認できれば、冷却し、ロータリーエバポレータを利用して溶媒及び不純物を除去し、真空オーブン1トール、50℃で精製して、白色粉末状の固形分を得た。NMR、FTIR及びGC/MSスペクトルは下記構造と一致した。
【化7】
【0030】
4.合成例4
メチレンジフェニル-ビス(ペルフルオロヘキシルエチルウレタン)を以下のように製造した。
【0031】
100mLの丸底フラスコに、ペルフルオロヘキシルエチルアルコール20gと1,3-ビストリフルオロメチルベンゼン40gを加え、30分間、室温で撹拌した。この溶液に、メチレンジフェニルジイソシアネート6.87gを加え、強く撹拌し、ゆっくり100℃に昇温し、ジブチル錫ジラウレート触媒を一滴加え、20時間、激しく撹拌した。FTIRスペクトルによりイソシアネートピーク(2270~2290cm-1)が消失されたかを確認できれば、冷却し、ロータリーエバポレータを利用して溶媒及び不純物を除去し、真空オーブン1トール、75℃で精製して、白色粉末状の固形分を得た。NMR、FTIR及びGC/MSスペクトルは下記構造と一致した。
【化8】
【0032】
5.合成例5
2,4-ジ-2-オクタンウレタノトルエンを以下のように製造した。
【0033】
100mLの丸底フラスコに、トリレン-2,4-ジイソシアネート10gとトルエン20gを加え、30分間、室温で撹拌した。この溶液に、2-オクタン10gを加え、強く撹拌し、ゆっくり75℃に昇温し、4時間撹拌し、90℃に昇温し、16時間激しく撹拌した。FTIRスペクトルによりイソシアネートピーク(2270~2290cm-1)が消失されたかを確認できれば、冷却し、ロータリーエバポレータを利用して溶媒及び不純物を除去し、真空オーブン1トール、90℃で精製して、薄褐色/白色粉末状の固形分を得た。NMR、FTIR及びGC/MSスペクトルは下記構造と一致した。
【化9】
【0034】
6.合成例6
2,4-ドデカンウレタノトルエンを以下のように製造した。
【0035】
100mLの丸底フラスコに、トリレン-2-4-ジイソシアネート10gとトルエン20gを加え、30分間、室温で撹拌した。この溶液に、1-ドデカノール21.40gを加え、強く撹拌し、ゆっくり75℃に昇温し、ジブチル錫ジラウレート触媒を一滴加え、20時間、激しく撹拌した。FTIRスペクトルによりイソシアネートピーク(2270~2290cm-1)が消失されたかを確認できれば、冷却し、ロータリーエバポレータを利用して溶媒及び不純物を除去し、真空オーブン1トール、75℃で精製して、白色粉末状の固形分を得た。NMR、FTIR及びGC/MSスペクトルは下記構造と一致した。
【化10】
7.合成例7
【0036】
セバシン酸ビス(ペルフルオロヘキシルエチルエステル)を以下のように製造した。
【0037】
100mLの丸底フラスコに、セバシン酸20gにペルフルオロヘキシルエチルアルコール72.01gを加え、強く撹拌し、ゆっくり130℃に昇温し、濃硫酸11.1mLを加え、20時間、激しく撹拌した。このとき、窒素の雰囲気下で水を凝縮して除去できるように静置した。温度を室温に冷却後、ハイドロタルサイト2gを加えて酸を除去し、ろ過して、透明な溶液を得た。この透明な溶液を、ロータリーエバポレータを利用して溶媒及び不純物を除去し、真空オーブン1トール、75℃で精製して白色/薄褐色粉末状の固形分を得た。NMR、FTIR及びGC/MSスペクトルは下記構造と一致した。
【化11】
【0038】
8.合成例8
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸-テトラ(ペルフルオロエチルエステル)を以下のように製造した。
【0039】
100mLの丸底フラスコに、ペルフルオロヘキシルエチルアルコール20gと1,3-ビストリフルオロメチルベンゼン40gを加え、30分間、室温で撹拌した。この溶液に、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸3.21gを加え、強く撹拌し、ゆっくり110℃に昇温し、濃硫酸0.5mLを加え、20時間、激しく撹拌した。このとき、窒素の雰囲気下で水を凝縮して除去するできるように静置した。温度を室温に冷却後、ハイドロタルサイト2gを加えて酸を除去し、ろ過して、透明な溶液を得た。この透明な溶液を、ロータリーエバポレータを利用して溶媒及び不純物を除去し、真空オーブン1トール、75℃で精製して、白色/薄褐色粉末状の固形分を得た。NMR、FTIR及びGC/MSスペクトルは下記構造と一致した。
【化12】
【0040】
9.合成例9
(2-ペルフルオロヘキシルエチルエーテルエチル)ベンゼンを以下のように製造した。
【0041】
100mLの丸底フラスコに、ペルフルオロヘキシルエチルアルコール20gと1,3-ビストリフルオロメチルベンゼン40gを加え、30分間、室温で撹拌した。この溶液に水酸化ナトリウム4.39gを加え、強く撹拌し、ゆっくり65℃に昇温し、4時間、激しく撹拌した。続いて、(2ブロモエチル)ベンゼン11.18gを加え、75℃に昇温し、5時間、激しく撹拌した。分液漏斗に移し、そこに3モル濃度の塩酸100gを加え、次いで、アセトン100gを加え、洗浄し、ろ過して、透明な溶液を得た。この透明な溶液を、ロータリーエバポレータを利用して溶媒及び不純物を除去し、真空オーブン1トール、75℃で精製して、白色粉末状の固形分を得た。NMR、FTIR及びGC/MSスペクトルは下記構造と一致した。
【化13】
【0042】
実施例1:乾式真空蒸着工程の評価
前記合成例の合成例2で製造された粉末を用いて真空蒸着を行った。合成例で製造された粉末を真空蒸着装置の蒸発セル(Effusion Cell)に装入し、経時による温度の昇温過程、蒸着される過程における真空蒸着装置内での真空度変化とそれに伴うに厚の増加の関係を図1に示した
【0043】
実施例2:真空蒸着特性の評価
前記合成例2で製造された粉末を実施例1の過程で繰り返して数回行った。昇温と冷却を繰り返して蒸着する過程で、蒸着率0.1Å/秒、4.0Å/秒である場合の温度、蒸着前/後の状態、100nmと200nmの肉厚のときの接触角とヘイズを測定し、図2に示した。
図1
図2
【国際調査報告】