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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-25
(54)【発明の名称】電磁放射システム
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20221117BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20221117BHJP
【FI】
B23K26/00 B
B23K26/064 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517939
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2020076195
(87)【国際公開番号】W WO2021053197
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】1913629.0
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520177884
【氏名又は名称】アルテック アンゲヴァンテ レーザーリヒト テヒノロギー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】フェヒナー マティーアス
(72)【発明者】
【氏名】リュッホ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】フラニッツァ ティル
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA00
4E168AD07
4E168AD11
4E168DA02
4E168DA26
4E168DA28
4E168EA17
4E168EA25
4E168KA15
4E168KA16
4E168KA17
(57)【要約】
目標物(130)に電磁放射ビームを向けるための電磁放射システム(100)。電磁放射システムは、電磁放射ビームを供給するための電磁放射源(110)と、電磁放射ビームを目標物(130)に投射するためのヘッド(120)と、電磁放射源(110)をヘッド(120)に接続してヘッドに電磁放射ビームを伝えるように構成されたアンビリカルアセンブリ(140)とを含む。電磁放射システムは、電磁放射源(110)とアンビリカルアセンブリ(140)との間に配置された光アイソレータ(150)をさらに含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標物に電磁放射ビームを向けるための電磁放射システムであって、
前記電磁放射ビームを供給するための電磁放射源と、
前記電磁放射ビームを前記目標物に投射するためのヘッドと、
前記電磁放射源を前記ヘッドに接続して前記ヘッドに前記電磁放射ビームを伝えるように構成されたアンビリカルアセンブリと、
を備え、前記電磁放射システムは、前記電磁放射源と前記アンビリカルアセンブリとの間に配置された光アイソレータをさらに備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記電磁放射源はファイバーレーザーを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電磁放射源は光ファイバー増幅器を含む、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記光アイソレータは、前記光ファイバー増幅器と前記アンビリカルとの間に配置される、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ヘッドはコリメータを含み、該コリメータは、前記アンビリカルアセンブリから電磁放射線を受け取るように構成される、
請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記電磁放射システムはレーザーマーキングシステムである、
請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記アンビリカルアセンブリは、前記レーザー光源から前記ヘッドに前記電磁放射ビームを伝えるように構成された光ファイバーを含む、
請求項1から6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記レーザー光源から前記ヘッドに前記電磁放射ビームを伝えるように構成された前記光ファイバーはパッシブファイバーである、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記光ファイバーの長さは、前記アンビリカルアセンブリの長さよりも長い、
請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記コリメータは、前記光ファイバーによって前記光アイソレータに光学的に結合される、
請求項7から9及び請求項5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記アンビリカルアセンブリは、前記光ファイバーの故障を検出するように構成された1又は2以上のワイヤを含む、
請求項7から10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記アンビリカルアセンブリは、比較的低い弾性を有する細長い部材を含む、
請求項1から11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
キャビネットをさらに備え、前記電磁放射源は前記キャビネット内に構成される、
請求項1から12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記光アイソレータは前記キャビネット内に構成される、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
可動アセンブリをさらに備え、該可動アセンブリは、前記目標物に対して前記ヘッドを動かすように構成される、
請求項1から14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
ホルダをさらに備え、前記システムは、前記ヘッドが前記ホルダによって所定の構成に保持されている場合にのみ前記ヘッドの使用を許可するように構成され、前記所定の構成は、前記ホルダ及び前記ヘッドの協働する特徴間の相互作用に基づいて決定される、
請求項1から15のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
電磁放射システムの製造方法であって、前記放射システムは、
目標物に電磁放射ビームを投射するためのヘッドと、
第1の端部における第1の開口部及び第2の端部における第2の開口部を有する細長いチューブを含むアンビリカルハウジングと、
電磁放射源から電磁放射線を受け取るための、光ファイバーによって接続されたコリメータ及び光アイソレータを含む光学アセンブリと、
を備え、
前記方法は、
前記コリメータを前記アンビリカルハウジングに前記第1の開口部から前記第2の開口部まで通すステップと、
前記コリメータを前記ヘッド内に構成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記光アイソレータ、前記コリメータ及び前記光ファイバーは、一体的に形成される、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コリメータを前記ヘッド内に構成するステップは、前記コリメータを前記ヘッド内に固定するステップを含む、
請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記電磁放射源はファイバーレーザーを含む、
請求項17から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記電磁放射システムはレーザーマーキングシステムである、
請求項17から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
目標物に電磁放射ビームを向けるための電磁放射システムであって、該システムは、ホルダによって保持されるように構成されたヘッドを備えるとともに、前記ヘッドが前記ホルダによって所定の構成に保持されている場合にのみ前記ヘッドの使用を許可するように構成され、前記所定の構成は、前記ホルダ及び前記ヘッドの協働する特徴間の相互作用に基づいて決定される、
ことを特徴とする電磁放射システム。
【請求項23】
前記ホルダ及び前記マーキングヘッドの前記協働する特徴は、スイッチ及びスイッチ作動部を含む、
請求項22に記載の電磁放射システム。
【請求項24】
前記スイッチ及び前記スイッチ作動部の一方は前記マーキングヘッド上に提供され、前記スイッチ及び前記スイッチ作動部の他方は前記ホルダ上に提供される、
請求項23に記載の電磁放射システム。
【請求項25】
前記スイッチは偶発的作動から保護される、
請求項24に記載の電磁放射システム。
【請求項26】
前記スイッチは凹部に配置される、
請求項24又は25に記載の電磁放射システム。
【請求項27】
前記スイッチ作動部は、前記ヘッドが前記ホルダ内に前記所定の構成で受け取られた時に前記凹部内に延びて前記スイッチを作動させるように構成された突出する特徴を含む、
請求項26に記載の電磁放射システム。
【請求項28】
複数のスイッチ及びそれぞれの複数のスイッチ作動部を備える、
請求項23から27のいずれか1項に記載の電磁放射システム。
【請求項29】
前記システムが前記所定の構成にあるかどうかを判定するように構成された電子識別器を備える、
請求項22から28のいずれか1項に記載の電磁放射システム。
【請求項30】
前記所定の構成は安全な構成である、
請求項22から29のいずれか1項に記載の電磁放射システム。
【請求項31】
前記ホルダは、前記マーキングヘッドを前記ホルダ内に解除可能に固定するように構成される、
請求項22から30のいずれか1項に記載の電磁放射システム。
【請求項32】
それぞれが前記マーキングヘッドを異なるマーキング構成で保持するように構成された複数のホルダを備える、
請求項22から31のいずれか1項に記載の電磁放射システム。
【請求項33】
請求項1から16及び22から32のいずれか1項に記載の電磁放射システムと、
処理すべき製品を処理ステーションを過ぎて移送するように構成された処理ラインと、
を備えたシステムであって、
前記電磁放射システムは、前記処理ステーションに位置する製品に前記放射ビームを向けるように構成される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項34】
前記処理ステーションを実質的に取り囲むように構成された安全シールドをさらに備え、前記ヘッドは、前記安全シールド内に提供される前記電磁放射システムの唯一のコンポーネントである、
請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
可動アセンブリをさらに備え、該可動アセンブリは、前記ヘッドを支持するとともに、前記処理ステーションに位置する製品に対して前記ヘッドを動かすように構成される、
請求項33又は34に記載のシステム。
【請求項36】
前記可動アセンブリは、前記処理ステーションに位置する製品に対して第1の構成と第2の構成との間で動くように構成され、
前記電磁放射システムは、前記第1の構成及び前記第2の構成の少なくとも一方において前記製品にマークを付与するように構成される、
請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記ヘッドを取り付けるための少なくとも2つのヘッド取り付け位置を備え、各取り付け位置は、処理位置に提供された製品に前記電磁放射ビームを投射できるように前記ヘッドを支持するように構成される、
請求項33から36のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーマーキングシステムなどの電磁放射システムに関する。本開示の態様及び実装は、一般にレーザースキャニング及びレーザーマーキング設備に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のレーザーマーカ及びスキャナは、包装生産ライン及び部品マーキング生産ラインでの自動生産作業中に制限がある。通常、現在のレーザーマーカ及びスキャナは、マーキングされる物品に対して生産システム内に固定されている。
【0003】
既知のレーザーマーキングシステムは、しばしばその異なるコンポーネントのための複数の大型ハウジングを含む。例えば、しばしば既知のレーザーマーキングシステムは、レーザー光源のためのハウジング、抽出装置のためのハウジング、冷却システムのためのハウジング、生産ラインの一部を包み込む大型放射線遮蔽ユニット、並びにレーザーマーキングシステムの異なるコンポーネントを接続する複数の可撓性ケーブル及び/又は導管を含む。このため、既知のレーザーマーキングシステムは、使用時に融通が利かず、生産ラインへの設置が困難であり、生産ラインの周辺での操作が困難な、大型で重量のある扱いにくいシステムになりがちである。既知のレーザーマーキングシステムに関連する安全要件(例えば、放射線安全要件及び/又はヒューム排出要件)も、既知のレーザーマーキングシステムの設置及び安全な使用に困難さを加えている。通常、生産ライン所有者は、既知のレーザーマーキングシステムを設置して使用するために、カスタマイズされたレーザーマーキングシステムコンポーネント(例えば、放射線遮蔽ユニット)を独自の生産ラインに合わせて設計及び構築できるように最初に安全管理者と共に生産ラインの評価をまとめなければならず、この結果プロセスにコスト及び時間が掛かってしまう。既知のレーザーマーキングシステムに関連する困難性の結果、生産ライン所有者らは、異なるマーキングシステム(例えば、連続式インクジェットマーキングシステム)から既知のレーザーマーキングシステムへの置き換えを渋るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/101886号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、本明細書で識別されたものであるか、それとも他の箇所で識別されたものであるかにかかわらず、先行技術の1又は2以上の問題点を排除又は軽減するレーザーマーキングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する態様及び実施形態は、例えばレーザースキャニング又はマーキングシステムなどの光学スキャニング又はマーキングシステムを容易に生産システムに統合して運用できるようにするものである。
【0007】
第1の態様では、目標物に電磁放射ビームを向けるための電磁放射システムを提供する。このシステムは、電磁放射ビームを供給するための電磁放射源と、電磁放射ビームを目標物に投射するためのヘッドと、電磁放射源をヘッドに接続してヘッドに電磁放射ビームを伝えるように構成されたアンビリカルアセンブリとを含む。電磁放射システムは、電磁放射源とアンビリカルアセンブリとの間に配置された光アイソレータをさらに含む。
【0008】
電磁放射源は、光学利得媒体を含むことができる。電磁放射源は、ファイバーレーザーを含むことができる。電磁放射源は、光ファイバー増幅器を含むことができる。光アイソレータは、光ファイバー増幅器とアンビリカルとの間に配置することができる。光ファイバー増幅器は、電磁放射システムの最終的光増幅段とすることができる。光ファイバー増幅器は、電磁放射システムの最終的光学利得媒体とすることができる。電磁放射ビームは、電磁放射源から放出される前に十分に増幅することができる。
【0009】
ヘッドは、コリメータを含むことができる。コリメータは、電磁放射源によって生成された電磁放射線をアンビリカルアセンブリから受け取るように構成することができる。
【0010】
ファイバーレーザーでは、ファイバーコア内で効果的にレーザー光を導くことができる。ファイバーベースのコンポーネントを組み合わせることは比較的容易であり、従ってレーザーマーキングシステムのファイバーベースのコンポーネント間では比較的容易にレーザー光を誘導することができる。対照的に、レーザー光がファイバーから放出されて自由空間レーザーになると、正確かつ安定した方法で再び集束させ、例えば結合させて光ファイバーに戻すことは困難である。通常、光アイソレータは、自由空間を通じて光が伝わることを必要とする3つの異なるコンポーネントから構成される。典型的なファイバーレーザーマーキングシステムは、光がマーキングヘッド内の自由空間に移行するまでファイバーベースのコンポーネントを通じて伝わるように、マーキングヘッドに光アイソレータが提供されるように構成される。従って、典型的なファイバーレーザーマーキングシステムは、ファイバーレーザーマーキングシステムのマーキングヘッド内に光アイソレータを提供する。本発明者らは、マーキングヘッドから分離した光アイソレータを提供することによってマーキングヘッドの寸法を大幅に改善できることに気付いた。
【0011】
電磁放射システムは、例えばレーザーマーキングシステムとすることができる。しかしながら、電磁放射システムは、レーザー溶接、レーザー切断及びレーザー穿孔などのレーザーマーキング以外の目的で使用することもできると理解されるであろう。
【0012】
アンビリカルアセンブリは、レーザー光源からヘッドに電磁放射ビームを伝えるように構成された光ファイバーを含むことができる。レーザー光源からヘッドに電磁放射ビームを伝えるように構成された光ファイバーはパッシブファイバー(passive fibre、受動ファイバー)とすることができる。光アイソレータは、電磁放射源と目標物との間に定められる光路内のいずれかの光増幅器コンポーネントの後に(すなわち、光学的に下流に)提供することができる。従って、光アイソレータは、光ファイバー増幅器とパッシブファイバーとの間に提供することができる。光ファイバー増幅器は、電磁放射ビームを移送して増幅するように機能できるのに対し、パッシブファイバーは、電磁放射ビームを移送するようにしか機能しないことがある。
【0013】
光ファイバーの長さは、アンビリカルアセンブリの長さよりも長くすることができる。コリメータは、光ファイバーによって光アイソレータに光学的に結合することができる。コリメータ及び/又は光アイソレータは、光ファイバーと一体的に形成することができる。コリメータ及び/又は光アイソレータは、結合したら光ファイバーから分離できないように結合することができる。
【0014】
アンビリカルアセンブリは、光ファイバーの故障を検出するように構成された1又は2以上のワイヤを含むことができる。システムは、1又は2以上のワイヤの電気特性をモニタするように構成されたモニタをさらに含むことができる。モニタは、1又は2以上のワイヤの連続性をモニタするように構成することができる。
【0015】
アンビリカルアセンブリは、比較的低い弾性を有する細長い部材を含むことができる。細長い部材は、キャビネット及び/又はマーキングヘッドに機械的に結合することができる。アンビリカルアセンブリ及び/又は細長い部材の長さに対する光ファイバーの相対的な長さは、例えば生産環境におけるシステムの設置中に光ファイバーが伸びることによって光ファイバーに発生する損傷を防止又は低減することができる。
【0016】
システムは、キャビネットをさらに含むことができる。電磁放射源は、このキャビネット内に構成することができる。キャビネット内には、光アイソレータをさらに構成することができる。キャビネットは第1の位置に設置することができ、ヘッドはキャビネットから離れた第2の位置に設置することができる。アンビリカルは、キャビネットからヘッドに光信号及び電気信号を伝えることができる。ヘッドは比較的小型のコンポーネントを収容できるのに対し、キャビネットは比較的大型のコンポーネントを収容でき、従ってコンパクトなヘッドを提供することができる。コンパクトなヘッドは、レーザーシステムが生産環境内に容易に設置されることを可能にする。
【0017】
システムは、可動アセンブリをさらに含むことができる。可動アセンブリは、目標物に対してヘッドを動かすように構成することができる。例えば、可動アセンブリは、CNC機械又はロボットアームの一部を形成することができる。可動アセンブリは、使用時に電磁放射線の目標物に対してヘッドを動かすことができる。従って、この態様では、これまで不可能であった環境内にレーザーシステムを設置して使用することができる。
【0018】
システムは、ヘッドのためのホルダをさらに含むことができる。システムは、ヘッドがホルダに対して所定の構成にある場合にはヘッドから電磁放射線が放出されるが、ヘッド及びホルダが所定の構成にない場合にはヘッドから電磁放射線が放出されるのを防ぐように構成することができる。本明細書に示すヘッドのコンパクトな外形寸法は、偶発的に又は誤って電磁放射線が放出されるのを防ぐさらなる安全機構が望ましいようなものであると理解されるであろう。
【0019】
第2の態様では、電磁放射システムの製造方法を提供する。放射システムは、目標物に電磁放射ビームを投射するためのヘッドと、第1の端部における第1の開口部及び第2の端部における第2の開口部を有する細長いチューブを含むアンビリカルハウジングと、電磁放射源からの電磁放射線を受け取るための、光ファイバーによって接続されたコリメータ及び光アイソレータを含む光学アセンブリとを含むことができる。方法は、コリメータをアンビリカルハウジングに第1の開口部から第2の開口部まで通すステップと、コリメータをヘッド内に構成するステップとを含むことができる。
【0020】
光アイソレータ、コリメータ及び光ファイバーは、一体的に形成することができる。すなわち、アイソレータ、コリメータ及び光ファイバーは、その後の電磁放射システムの組み立て中にこれらのコンポーネントが製造され終わるとこれらのコンポーネントを互いに分離できないようなものとすることができる。コリメータをヘッド内に構成するステップは、コリメータをヘッド内に固定するステップを含むことができる。コリメータは、目標物に対する可変的なコリメートビームの方向を可能にするヘッドの操縦機構にコリメートビームを向けるように固定することができる。電磁放射源はファイバーレーザーを含むことができる。電磁放射システムは、レーザーマーキングシステムとすることができるが、本明細書で説明する主題はレーザーマーキングシステム以外のシステムにおいて使用することもできると理解されるであろう。細長いチューブは、連続する直径を有することができ、第1の端部及び第2の端部における開口部以外に開口部を有さないことができる。すなわち、細長いチューブは、(例えば、コンポーネントを挿入するためにチューブの側面を開くのではなく)アイテムがチューブの長さに沿って通されることを必要とするように形成することができる。いくつかの実施形態では、細長いチューブが、例えばアクセスポートを提供するがチューブの長さに沿って延びていない、第1の端部及び第2の端部以外の開口部を有することができる。第1の端部及び第2の端部以外の開口部が提供される場合、この開口部は使用時に他のコンポーネントで密封することができ、或いは開口部の密封が容易であるように提供することができる。光ファイバーは、導管ハウジング内に設置される場合には、チューブの大部分を通過しなければ導管ハウジングから光ファイバーを引き抜けないように細長いチューブによって取り囲まれる。これによって衛生面及び洗浄面での利点を得ることができ、例えば流体の侵入に強くIP標準を満たすことができるアンビリカルが提供されるが、一体的に形成されたコンポーネント又は接続されると分離が困難なコンポーネントを製造中に接続し又はアンビリカルに通す必要があることを考えると、製造プロセスが制限される恐れもある。本発明者らは、比較的コンパクトなヘッドを有すると同時に有利なアンビリカルも提供するシステムの製造を可能にする光ファイバーによって接続されたコリメータ及び光アイソレータを含む光学アセンブリを提供できることに気付いた。
【0021】
第3の態様では、目標物に電磁放射ビームを向けるための電磁放射システムであって、ホルダによって保持されるように構成されたヘッドを含み、ホルダ及びヘッドの協働する特徴間の相互作用に基づいて決定される所定の構成でヘッドがホルダによって保持されている場合にのみヘッドの使用を許可するように構成されたシステムを提供する。
【0022】
ヘッドの使用とは、目標物に電磁放射ビームを放出するためのヘッドの使用を意味する。電磁放射ビームは、オペレータ又は非遮蔽領域の方に向けられた場合に害を及ぼす恐れがあるので、安全を確認できない場合に動作を妨げる安全装置を提供することが有利である。ホルダ及びヘッドの協働する特徴は、ヘッドが安全な構成にあることを確認するように構成することができる。
【0023】
ホルダ及びマーキングヘッドの協働する特徴は、スイッチ及びスイッチ作動部を含むことができる。スイッチ及びスイッチ作動部の一方はマーキングヘッド上に提供することができ、スイッチ及びスイッチ作動部の他方はホルダ上に提供することができる。スイッチは、偶発的な作動から保護することができる。スイッチは、凹部に配置することができる。凹部は、スイッチが偶発的に作動できないようにスイッチを保護することができる。凹部は、ヘッドのハウジング内に提供することができる。スイッチ作動部は、ヘッドがホルダ内に所定の構成で受け取られた時に凹部内に延びてスイッチを作動させるように構成された突出する特徴を含むことができる。電磁放射システムは、複数のスイッチ及びそれぞれの複数のスイッチ作動部を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ヘッドの対向する側面に2つのスイッチを提供することができる。ヘッドは円筒形ヘッドとすることができる。
【0024】
電磁放射システムは、システムが所定の構成にあるかどうかを判定するように構成された電子識別器を含むことができる。所定の構成は安全な構成とすることができる。ホルダは、マーキングヘッドをホルダ内に解除可能に固定するように構成することができる。ホルダは、マーキングヘッドを所定の構成に解除可能に固定するように構成することができる。電磁放射システムは複数のホルダを含むことができ、複数のホルダの各々は、マーキングヘッドを異なるマーキング構成に保持するように構成される。システムは、ヘッドが前記複数のホルダのうちの1つによってそれぞれの複数の所定の構成のうちの1つに保持されている場合にのみヘッドの使用を許可するように構成することができる。所定の構成の各々は安全な構成とすることができる。システムは、ホルダのうちの前記1つ及びヘッドの協働する特徴間の相互作用に基づいて、ヘッドがどのホルダによって保持されているかを識別するように構成することができる。電磁放射ビームはレーザービームとすることができる。システムはレーザーマーキングシステムとすることができる。ヘッドはマーキングヘッドと呼ぶことができる。システムはホルダを含むことができる。
【0025】
第4の態様によれば、第1又は第3の態様による電磁照射システムと、処理すべき製品を処理ステーションを過ぎて移送するように構成された処理ラインとを含むシステムが提供される。電磁放射システムは、処理ステーションに位置する製品に放射ビームを向けるように構成される。
【0026】
電磁放射システムは、第1の態様に関連して上述した任意の特徴、及び第3の態様に関連して上述した特徴を含むことができる。電磁放射システムは、第1の態様に関連して上述した特徴と第3の態様に関連して上述した特徴とを組み合わせたものを含むことができる。
【0027】
システムは、処理ステーションを実質的に取り囲むように構成された安全シールドをさらに含むことができ、ヘッドは、安全シールド内に提供される前記電磁放射システムの唯一のコンポーネントである。
【0028】
このようにして、取り囲まれた領域のサイズを最小化し、電磁放射システムの大型コンポーネント(例えば、電磁放射源及び光アイソレータ)を安全シールドの外側に残すことができる。
【0029】
アンビリカルは、安全シールドから外へ延びて、電磁放射システムの残りのコンポーネントへの接続を提供することができる。すなわち、アンビリカルアセンブリの一部は、安全シールド内にも存在することができる。このような構成では、依然としてマーキングヘッドを安全シールド内に存在する(例えば、完全に内部に存在する)放射システムの唯一のコンポーネントとみなすことができる。
【0030】
システムは、ヘッドを支持するとともに処理ステーションに位置する製品に対してヘッドを動かすように構成された可動アセンブリをさらに含むことができる。
【0031】
コンパクトなマーキングヘッドを提供することにより、マーキングヘッドを可動アセンブリ(例えば、ロボットアーム)上に容易に取り付けて幅広い用途におけるマーキングの実行を可能にすることができる。
【0032】
このようにして、単一のマーキングヘッドを使用して製品の複数の面にマーキングを行い(又は別様に処理し)、製品の複雑な操作を行う必要性、或いは複数のマーキングシステム又はマーキングヘッドを提供する必要性を避けることができる。
【0033】
可動アセンブリは、マーキングヘッドを3次元で動かすように構成することができる。
【0034】
可動アセンブリは、処理ステーションに位置する製品に対して第1の構成と第2の構成との間で動くように構成することができ、電磁放射システムは、第1及び第2の構成の少なくとも一方において前記製品にマークを付与するように構成することができる。
【0035】
電磁放射システムは、ヘッドが第1の構成にある時には製品の第1の部分に第1のマークを付与し、ヘッドが第2の構成にある時には製品の第2の部分に第2のマークを付与するように構成することができる。第1のマーク及び第2のマークは異なることができる。第1の部分及び第2の部分は異なることができる。このようにして、マーキングシステムの有効視野を拡大することができる。
【0036】
システムは、前記ヘッドを取り付けるための少なくとも2つのヘッド取り付け位置を含むことができ、各取り付け位置は、処理位置に提供された製品に電磁放射ビームを投射できるようにヘッドを支持するように構成される。
【0037】
各ヘッド取り付け位置は、それぞれのホルダを含むことができる。
【0038】
コンパクトなマーキングヘッドと、2又は3以上の取り付け位置を有するシステムとを提供することにより、異なる製品にマーキングするように素早く再構成できる柔軟なマーキングシステムを提供することができる。
【0039】
さらなる態様によれば、製品に電磁放射ビームを向けるための電磁放射システムと、処理すべき製品を処理ステーションを過ぎて移送するように構成された処理ラインとを含むシステムが提供される。電磁放射システムは、電磁放射ビームを供給するための電磁放射源と、電磁放射ビームを製品に投射するためのヘッドと、電磁放射源をヘッドに接続してヘッドに電磁放射ビームを伝えるように構成されたアンビリカルアセンブリとを含む。電磁放射システムは、処理ステーションに位置する製品に前記放射ビームを向けるように構成される。
【0040】
ヘッドは、コンパクトな外形寸法を有するマーキングヘッドとすることができる。マーキングヘッドは、第1の方向における約400mm未満の第1の寸法と、第1の方向に垂直な第2の方向における約60mm未満の第2の寸法とを有することができる。マーキングヘッドは、第1の方向及び第2の方向に垂直な第3の方向における約60mm未満の第3の寸法を有することができる。マーキングヘッドは、実質的に円筒形とすることができる。
【0041】
システムは、処理ステーションを実質的に取り囲むように構成された安全シールドをさらに含むことができ、前記ヘッドは、安全シールド内に提供される電磁放射システムの唯一のコンポーネントである。
【0042】
コンパクトな外形寸法を有するヘッドを提供することで、より汎用性の高いシステムが提供されるとともに、処理ステーションに小型の安全エンクロージャを提供することが可能になる。このようにして、取り囲まれた領域のサイズを最小化し、電磁放射システムの大型のコンポーネント(例えば、存在する場合には電磁放射源及び光アイソレータ)を安全シールドの外側に残すことができる。
【0043】
アンビリカルは、安全シールドから外へ延びて、電磁放射システムの残りのコンポーネントへの接続を提供することができる。すなわち、アンビリカルアセンブリの一部は、安全シールド内にも存在することができる。このような構成では、依然としてマーキングヘッドを安全シールド内に存在する(例えば、完全に内部に存在する)放射システムの唯一のコンポーネントとみなすことができる。
【0044】
システムは、ヘッドを支持するとともに処理ステーションに位置する製品に対してヘッドを動かすように構成された可動アセンブリをさらに含むことができる。コンパクトなマーキングヘッドを提供することにより、マーキングヘッドを可動アセンブリ(例えば、ロボットアーム)上に容易に取り付けて幅広い用途におけるマーキングの実行を可能にすることができる。
【0045】
このようにして、単一のマーキングヘッドを使用して製品の複数の面にマーキングを行い(又は別様に処理し)、製品の複雑な操作を行う必要性、或いは複数のマーキングシステム又はマーキングヘッドを提供する必要性を避けることができる。
【0046】
可動アセンブリは、マーキングヘッドを3次元で動かすように構成することができる。
【0047】
可動アセンブリは、処理ステーションに位置する製品に対して第1の構成と第2の構成との間で動くように構成することができ、電磁放射システムは、第1及び第2の構成の少なくとも一方において前記製品にマークを付与するように構成することができる。
【0048】
電磁放射システムは、ヘッドが第1の構成にある時には製品の第1の部分に第1のマークを付与し、ヘッドが第2の構成にある時には製品の第2の部分に第2のマークを付与するように構成することができる。第1のマーク及び第2のマークは異なることができる。第1の部分及び第2の部分は異なることができる。このようにして、マーキングシステムの有効視野を拡大することができる。
【0049】
システムは、前記ヘッドを取り付けるための少なくとも2つのヘッド取り付け位置を含むことができ、各取り付け位置は、処理位置に提供された製品に電磁放射ビームを投射できるようにヘッドを支持するように構成される。
【0050】
各ヘッド取り付け位置は、それぞれのホルダを含むことができる。
【0051】
コンパクトなマーキングヘッドと、2又は3以上の取り付け位置を有するシステムとを提供することにより、異なる製品にマーキングするように素早く再構成できる柔軟なマーキングシステムを提供することができる。
【0052】
電磁放射システムは、電磁放射源とアンビリカルアセンブリとの間に配置された光アイソレータをさらに含むことができる。
【0053】
電磁放射源は、光学利得媒体を含むことができる。電磁放射源は、ファイバーレーザーを含むことができる。電磁放射源は、光ファイバー増幅器を含むことができる。光アイソレータは、光ファイバー増幅器とアンビリカルとの間に配置することができる。光ファイバー増幅器は、電磁放射システムの最終的光増幅段とすることができる。光ファイバー増幅器は、電磁放射システムの最終的光学利得媒体とすることができる。電磁放射ビームは、電磁放射源から放出される前に十分に増幅することができる。
【0054】
ヘッドは、コリメータを含むことができる。コリメータは、電磁放射源によって生成された電磁放射線をアンビリカルアセンブリから受け取るように構成することができる。
【0055】
ファイバーレーザーでは、ファイバーコア内で効果的にレーザー光を導くことができる。ファイバーベースのコンポーネントを組み合わせることは比較的容易であり、従ってレーザーマーキングシステムのファイバーベースのコンポーネント間では比較的容易にレーザー光を誘導することができる。対照的に、レーザー光がファイバーから放出されて自由空間レーザーになると、正確かつ安定した方法で再び集束させ、例えば結合させて光ファイバーに戻すことは困難である。通常、光アイソレータは、自由空間を通じて光が伝わることを必要とする3つの異なるコンポーネントから構成される。典型的なファイバーレーザーマーキングシステムは、光がマーキングヘッド内の自由空間に移行するまでファイバーベースのコンポーネントを通じて伝わるように、マーキングヘッドに光アイソレータが提供されるように構成される。従って、典型的なファイバーレーザーマーキングシステムは、ファイバーレーザーマーキングシステムのマーキングヘッド内に光アイソレータを提供する。本発明者らは、マーキングヘッドから分離した光アイソレータを提供することによってマーキングヘッドの寸法を大幅に改善できることに気付いた。
【0056】
電磁放射システムは、例えばレーザーマーキングシステムとすることができる。しかしながら、電磁放射システムは、レーザー溶接、レーザー切断及びレーザー穿孔などのレーザーマーキング以外の目的で使用することもできると理解されるであろう。このようなプロセスは、集合的に「処理」と呼ぶことができる。
【0057】
アンビリカルアセンブリは、レーザー光源からヘッドに電磁放射ビームを伝えるように構成された光ファイバーを含むことができる。レーザー光源からヘッドに電磁放射ビームを伝えるように構成された光ファイバーはパッシブファイバー(passive fibre、受動ファイバー)とすることができる。光アイソレータは、電磁放射源と目標物との間に定められる光路内のいずれかの光増幅器コンポーネントの後に(すなわち、光学的に下流に)提供することができる。従って、光アイソレータは、光ファイバー増幅器とパッシブファイバーとの間に提供することができる。光ファイバー増幅器は、電磁放射ビームを移送して増幅するように機能できるのに対し、パッシブファイバーは、電磁放射ビームを移送するようにしか機能しないことがある。
【0058】
光ファイバーの長さは、アンビリカルアセンブリの長さよりも長くすることができる。コリメータは、光ファイバーによって光アイソレータに光学的に結合することができる。コリメータ及び/又は光アイソレータは、光ファイバーと一体的に形成することができる。コリメータ及び/又は光アイソレータは、結合したら光ファイバーから分離できないように結合することができる。
【0059】
アンビリカルアセンブリは、光ファイバーの故障を検出するように構成された1又は2以上のワイヤを含むことができる。システムは、1又は2以上のワイヤの電気特性をモニタするように構成されたモニタをさらに含むことができる。モニタは、1又は2以上のワイヤの連続性をモニタするように構成することができる。
【0060】
アンビリカルアセンブリは、比較的低い弾性を有する細長い部材を含むことができる。細長い部材は、キャビネット及び/又はマーキングヘッドに機械的に結合することができる。アンビリカルアセンブリ及び/又は細長い部材の長さに対する光ファイバーの相対的な長さは、例えば生産環境におけるシステムの設置中に光ファイバーが伸びることによって光ファイバーに発生する損傷を防止又は低減することができる。
【0061】
システムは、キャビネットをさらに含むことができる。電磁放射源は、このキャビネット内に提供することができる。キャビネット内には、光アイソレータをさらに提供することができる。キャビネットは第1の位置に設置することができ、ヘッドはキャビネットから離れた第2の位置に設置することができる。アンビリカルは、キャビネットからヘッドに光信号及び電気信号を伝えることができる。ヘッドは比較的小型のコンポーネントを収容できるのに対し、キャビネットは比較的大型のコンポーネントを収容でき、従ってコンパクトなヘッドを提供することができる。コンパクトなヘッドは、レーザーシステムが生産環境内に容易に設置されることを可能にする。
【0062】
システムは、ヘッドのためのホルダをさらに含むことができる。システムは、ヘッドがホルダに対して所定の構成にある場合にはヘッドから電磁放射線が放出されるが、ヘッド及びホルダが所定の構成にない場合にはヘッドから電磁放射線が放出されるのを防ぐように構成することができる。本明細書に示すヘッドのコンパクトな外形寸法は、偶発的に又は誤って電磁放射線が放出されるのを防ぐさらなる安全機構が望ましいようなものであると理解されるであろう。
【0063】
電磁放射システムは、第1、第2、第3又は第4の態様に関連して上述したさらなる特徴を組み合わせて又は単独で含むことができる。
【0064】
一般的に言えば、態様は、1つの態様の文脈で説明した特徴を他の態様において実装できるように組み合わせることができると理解されるであろう。
【0065】
添付図面は、縮尺通りであるように意図したものではない。図面では、様々な図に示す各同一の又はほぼ同一のコンポーネントを同様の数字で表す。明確にする目的で、全ての図面において全てのコンポーネントにラベル付けしているわけではない。以下、添付の概略図面を参照しながら本発明の実施形態をほんの一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】例示的なレーザーマーキングシステムの概略的断面図である。
図2図1のレーザーマーキングシステムのマーキングヘッドの概略的拡大断面図である。
図3図1のレーザーマーキングシステムのキャビネットの概略的断面図である。
図4図1のレーザーマーキングシステムのアンビリカルアセンブリの概略的断面図である。
図5】既知のレーザーマーキングシステムの概略的断面図である。
図6】例示的なレーザーマーキングシステムの概略的断面図である。
図7図6のレーザーマーキングシステムのマーキングヘッド及びマーキングヘッドホルダの概略端面図及び概略的側面断面図である。
図8】処理ライン及びレーザーマーキングシステムを含むシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本明細書に開示する態様及び実施形態は、以下の説明又は図面に示す構造の詳細及びコンポーネントの配置に限定されるものではない。本明細書に開示する態様及び実施形態は、様々な方法で実施又は実行することができる。
【0068】
本明細書に開示する態様及び実施形態は、レーザースキャニングシステム又はマーキングシステムなどのレーザーシステムを含むが、態様は、レーザー穿孔システム及びレーザー溶接システムなどの他のレーザーシステムを含むこともできる。レーザーシステムは、様々なタイプの物品又は製品の生産ラインにおいて利用することができる。レーザーマーキングシステムは、生産ラインを通過するアイテム上にバーコード、一意の識別マーク、有効期限又はその他の情報をインプリントするために利用することができる。いくつかの実装では、レーザーマーキングシステムにおいてファイバーレーザーを使用することができる。ファイバーレーザーは、使用される能動素子に応じて様々な波長の光ビームを生成することができるが、通常は約1000nm~2100nmの範囲である。レーザーマーキングシステムにおいて利用されるレーザーは、通常は数十ワットのレーザー出力レベルで動作するが、数キロワットのレーザー出力レベルも可能である。レーザーは、パルス状とすることも、又は連続波として動作することもできる。通常は、マーキング及びコーディングなどの低出力用途にはパルス動作が使用されるのに対し、切断及び溶接などの高出力用途には連続波動作が使用される。
【0069】
しかしながら、レーザーシステムはファイバーレーザーに限定されるものではなく、バルク固体レーザー、ガスレーザー、ダイオードレーザー及び色素レーザーを含む他の形態のレーザーを使用することもできる。
【0070】
図1は、本発明の実施形態によるレーザーマーキングシステム100の概略的断面図である。レーザーマーキングシステム100は、レーザービームを供給するためのレーザー光源110などの電磁放射源と、レーザービームを製品130に向けて投射するためのマーキングヘッド120とを含む。レーザー光源110及びマーキングヘッド120は、レーザー光源110からマーキングヘッド120にレーザービームを伝えるアンビリカルアセンブリ140によって接続される。レーザービームは、マーキングヘッド120内に配置されたコリメータによって受け取ることができる。マーキングヘッド120については、以下で図2を参照しながらさらに詳細に説明し、アンビリカルについては、以下で図4を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0071】
レーザーマーキングシステム100は、レーザー光源110によって供給されたレーザービームの光路がアンビリカル140に入る前に光アイソレータ150を通過するように、レーザー光源110とアンビリカル140との間に光アイソレータ150をさらに含む。レーザー光源110及び光アイソレータは、キャビネット160内に収容することができる。キャビネット、及びキャビネット内に収容できる追加コンポーネントについては、以下で図3を参照しながら説明する。
【0072】
図1には、レーザー光源110から製品130までのレーザービームの光路を光路170a~170eによって概略的に示す。第1の光路170aは、レーザー光源110の出力部と光アイソレータ150との間に定められる。第1の光路は、光ファイバー増幅器などの光ファイバーによって提供することができる。第2の光路170bは、光アイソレータ150を通って定められる。第2の光路170bは、レーザー光源110からアンビリカル140に光を伝える一方で、アンビリカル140からレーザー光源110に光が伝わるのを防ぐ。従って、光アイソレータは、例えばプリントヘッドから放出された反射光などのマーキングヘッド120を通じてアンビリカル内に受け取られた光がレーザー光源110に入射するのを防いでレーザー光源110に対する損傷を防ぐ。
【0073】
第3の光路170cは、アンビリカル140を通って定められる。第3の光路は、(パッシブ光ファイバーと呼ばれることもある)トランスポートファイバーなどの別の光ファイバーによって提供することができる。第4の光路170dはマーキングヘッドを通って定められ、第5の光路170eはマーキングヘッドから製品130まで定められる。一般に、第4の光路は、レーザービームがマーキングヘッドを通過する際に光路が修正されることを可能にする1又は2以上のコンポーネントを含む。マーキングヘッド内で第4の光路170dが修正されると、第5の光路170eも複数のマーキング位置のうちの1つにおいて製品と交わるように修正される。従って、レーザー光源110から放出されたレーザービームは、複数のマーキング位置のうちのいずれか1つにおいて製品130にマーキングを行う(或いは、他の実施形態では表面の切断又は溶接を行う)ように制御することができる。他の光路170a~170eもコンポーネント内又はコンポーネント間の光路を修正する追加コンポーネントを含むことができると理解されるであろう。
【0074】
光ファイバー増幅器(すなわち、能動的利得媒体)によって提供される第1の光路170aとトランスポート光ファイバー(すなわち、パッシブファイバー)によって提供される第3の光路170cとの間に光アイソレータ150を提供することで、マーキングされる製品130(或いは他の反射面、又はマーキングヘッド120の内部コンポーネント)からの反射光がパッシブトランスポートファイバーに到達してパッシブトランスポートファイバーによって移送されることはあるものの、これらの反射光が光ファイバー増幅器に到達することはあり得ないと理解することができる。このような反射が光ファイバー増幅器に到達した場合には、さらなる増幅が行われて光ファイバー増幅器、及び/又はレーザー光源の他のコンポーネントに重大な損傷をもたらす恐れがある。
【0075】
別の見方をすると、光アイソレータは、最後の利得段又は光増幅器の下流の光路(すなわち170a~170e)内に提供されるが、極めて重要なこととしてマーキングヘッド120内には提供されない。従って、レーザー光源(及びいずれかの能動的増幅部品)が有害な可能性のある後方反射から保護される一方で、(通常は光アイソレータを収容する)マーキングヘッド120の小型化が維持される。キャビネット160の外部には光アイソレータ部品は提供されない(又は不要である)。
【0076】
使用時には、レーザー光源110及びマーキングヘッド120が製品の表面上にレーザーマーキングを行うように、コントローラがマーキング命令を制御信号に変換する。
【0077】
ファイバーレーザーでは、直径9マイクロメートルほどの小さなものとすることができるファイバーコア内で効果的にレーザー光を導くことができる。ファイバーベースのコンポーネントを組み合わせることは比較的容易であり、従ってレーザーマーキングシステムのファイバーベースのコンポーネント間で比較的容易にレーザー光を誘導することができる。対照的に、レーザー光がファイバーから放出されて自由空間レーザーになると、正確かつ安定した方法で再び集束させ、例えば結合させて9マイクロメートルのファイバーコアに戻すことは困難である。通常、光アイソレータは、自由空間を通じて光が伝わることを必要とする3つの異なるコンポーネントから構成される。従って、典型的なファイバーレーザーマーキングシステムは、光がファイバーベースのコンポーネントから出て光アイソレータにおけるマーキングヘッド内の自由空間に入り込むまでファイバーベースのコンポーネントを通じて伝わり、その後も自由空間内でマーキングヘッドを通じて制御されるように、マーキングヘッドに光アイソレータが提供されるように構成される。しかしながら、本発明者らは、光アイソレータの典型的なサイズ要件を考慮した時に、マーキングヘッドから分離した光アイソレータを提供することによってマーキングヘッドの寸法を大幅に改善できることに気付いた。
【0078】
図2は、図1のマーキングヘッド120の概略的拡大断面図である。マーキングヘッド120は、アンビリカル140からマーキングヘッド内にレーザービームを受光する受光部210と、マーキングヘッドを通過するレーザービームの光路を修正するように構成された操縦機構220と、レーザービームを製品130に向けてマーキングヘッドから放出する光学素子230とを含む。操縦機構220は、レーザービームが複数のマーキング位置のうちの1つで製品と交って複数のマーキング位置のうちの1つで製品にマーキングを行うように製品の方に向けられることを可能にする。
【0079】
受光部210は、アンビリカルからのレーザービームを受光して、(マーキングヘッドから放出された放射線を望む通りに操縦できる)操縦機構220などのマーキングヘッドの他のコンポーネントに放射線を向ける前に望む通りに放射線を調整するように構成された、ファイバーコリメータを含むことができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、操縦機構220がコンパクトな外形寸法を有するように構成される。例えば、操縦機構220は、それぞれの光学素子を回転させるように構成された第1及び第2のアクチュエータを含むことができる。第1及び第2のアクチュエータは、例えば第1及び第2のガルバノメータとすることができる。第1及び第2の駆動機構の回転軸は平行であることができる。回転軸は、入射するレーザービームに対しても平行であることができる。コンパクトな外形寸法を可能にする操縦機構は国際公開第2019/101886号に記載されており、この文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0081】
マーキングヘッド120は、実質的に円筒形とすることができる。マーキングヘッド120は、第1の方向における約400mm未満の第1の寸法と、第1の方向に垂直な第2の方向における約60mm未満の第2の寸法とを有することができる。マーキングヘッド120は、第1の方向及び第2の方向に垂直な第3の方向における約60mm未満の第3の寸法を有することができる。マーキングヘッドから分離したアイソレータを提供することで、これまで達成できなかったコンパクトな外形寸法が可能になる。
【0082】
マーキングヘッド120は、他の様々なコンポーネントをさらに含むことができる。例えば、マーキングヘッド120は、レーザーマーキングシステム100の焦点面を調整するように構成された焦点修正器(focus modifier)240を含むことができる。マーキングヘッド120は、エアナイフを形成するようにマーキングヘッドから圧縮空気を放出する出口250をさらに含むことができる。マーキングヘッド120は、集束光学系(focusing optics)(図示せず)をさらに含むことができる。レーザーマーキングシステムは、製品130の存在を検出するように構成された検出器をさらに含むことができる。検出器は、例えばカメラを含むことができる。マーキングヘッドは、放射線シールド(図示せず)をさらに含むことができる。
【0083】
マーキングヘッド120は、コンポーネント(例えば、操縦機構220及び/又は焦点修正器240のアクチュエータ)を冷却するための冷却システムを含むことができる。冷却システムは、マーキングヘッドに供給される流体を使用してマーキングヘッド120のコンポーネントを冷却するように構成することができる。流体は、例えばマーキングヘッド120のハウジングを通って冷却すべきコンポーネントと交わる流体流路を提供することによって流体をレーザーの光路から隔離しながらマーキングヘッド120の少なくとも1つのコンポーネントを冷却するように供給することができる。コンポーネントは、ハウジングを通る流体流路と交わって流体流路の一部を提供することができる。流体は、マーキングヘッド120の出口250から放出することができる。出口250は、マーキングヘッドから流体を放出して、レーザービームと製品の表面との相互作用によって生じた物質がプリントヘッドと相互作用するのを例えばエアナイフによって減少させるように構成することができる。すなわち、マーキングヘッド内のコンポーネントを冷却するために使用される同じ流体をエアナイフとしても使用することができる。本明細書で説明する主題によって可能になるマーキングヘッドのコンパクトな形態を提供することにより、マーキングヘッド120内のコンポーネントの冷却が有益になり得ると理解されるであろう。
【0084】
次に、図3図1のキャビネット160をさらに詳細に示す。上述したように、キャビネット160は、レーザー光源110及び光アイソレータ150を収容する。キャビネットは、マーキングヘッド120内のコンポーネントを冷却する流体の流れを生じるように構成された冷却システム310をさらに収容することができる。冷却システムは、例えば空気圧縮機を含むことができ、流体は圧縮空気とすることができるが、空気以外の流体を使用することもできると理解されるであろう。図4を参照しながら後述するように、流体は、アンビリカルを通じてマーキングヘッドに供給することも、或いはアンビリカルとは別の流体路によってマーキングヘッドに供給することもできる。例えば、流体は、毎分約20リットルの流量で供給することができる。この流体は、レーザービームと製品の表面との相互作用によって生じた物質がプリントヘッドと相互作用するのを例えば図2に関連して上述したようなエアナイフによって減少させるためにさらに使用することができる。
【0085】
冷却システム310は、レーザー光源110を冷却するようにさらに構成することができる。例えば、冷却システム310は、流体の流れをレーザー光源110に向けることによってレーザー光源110を冷却するように構成することができる。流体は、濾過後にレーザー光源110に供給することができる。流体は、マーキングヘッド120の冷却に使用される前にレーザー光源110に供給することができる。効果的な冷却を行うために、レーザー光源に供給される流体は、マーキングヘッドに供給される流量よりも高い流量で供給することができる。レーザー光源110を冷却するために必要な流量は、レーザー光源110上の熱負荷の分布、レーザー光源110のデューティサイクルなどに少なくとも部分的に依存することができる。いくつかの実施形態では、冷却システム310が、レーザー光源を冷却するために使用される流体の一部を使用してマーキングヘッド内のコンポーネントを冷却することもできる。
【0086】
冷却システム310は、抽出流体の流れを生じるように構成されたファン320を含むことができる。冷却システム310は、流体を濾過するように構成されたフィルタ330を含むことができる。フィルタ300は、所与の量の物質を回収した後に交換することができる。フィルタ300は、その用途に応じて流体を濾過するように構成された複数のフィルタを含むことができる。例えば、冷却用の流体は第1のフィルタによって濾過することができる。いくつかの実施形態では、マーキングヘッドからの物質の抽出に使用された流体をキャビネットに戻して冷却のために再利用することができる。このような空気の再循環を使用する場合には、冷却への再利用前に空気から物質を抽出するために追加の及び/又は特殊なフィルタが必要になることもある。いくつかの実施形態では、マーキングヘッドのための冷却空気を濾過する第1のフィルタ、システム(レーザー光源、電源、電子機器)のための冷却空気を濾過する第2のフィルタ、マーキングヘッドからの物質の抽出に使用される空気を濾過するさらなる特殊フィルタという3つのフィルタを適用することができる。
【0087】
キャビネット160は、流体がレーザー光源に向けられる前に流体を冷却するように構成された冷却装置340を含むことができる。冷却装置340は、例えば圧縮機又は熱交換器を含むことができる。
【0088】
キャビネット160は、レーザー光源110に電力を供給するように構成された電源350をさらに含むことができる。冷却システム310は、電源350を冷却するように構成することができる。キャビネット160は、レーザー光源110、冷却システム310及び/又はマーキングヘッド120を制御するコントローラ360をさらに含むことができる。冷却システム310は、コントローラ270を冷却するように構成することができる。
【0089】
図4は、図1のアンビリカルアセンブリ140の概略的断面図である。アンビリカルアセンブリ140は、キャビネット160からマーキングヘッド120に1又は2以上のコンポーネントを伝える1又は2以上の導管を収容するアンビリカルハウジング410を含む。1又は2以上の導管は、レーザービームを伝える光ファイバー420を含む。1又は2以上の導管は、導電ケーブル430をさらに含むことができる。1又は2以上の導管は、上述したマーキングヘッドの1又は2以上のコンポーネントを冷却する流体などの流体を伝えるダクト440をさらに含むことができる。光ファイバー420は、以下でさらに詳細に説明するような1又は2以上のファイバー故障検出器ワイヤ425を有することができる。
【0090】
アンビリカルハウジング410は、連続チューブを含むことができる。すなわち、アンビリカルハウジング410は、いずれかの端部のみに開口部を有し、他にはさらなる開口部又は開閉式部分を有さないことができる。アンビリカルハウジングの内径は、図2に示すレーザーマーキングシステムのマーキングヘッドのコリメータ210を収容するのに十分な大きさである。コリメータ、アイソレータ及び光ファイバー420は、光学アセンブリを含むことができる。光学アセンブリは、その製造後にコリメータ及び/又はアイソレータを光ファイバー420から分離できないように製造することができる。レーザーマーキングシステムの製造中には、一体的に形成された光学アセンブリを提供することができる。コリメータは、アンビリカルハウジングに通してマーキングヘッド120内に構成し、アイソレータはキャビネット160内に構成することができる。アイソレータをキャビネット内に配置することにより、コリメータとアイソレータとの間の接続を維持しながら比較的小型のコリメータをアンビリカルハウジングに通すことができるので、アンビリカルハウジングの内径を比較的小さくすることができる。
【0091】
アンビリカルアセンブリ140は、図1のレーザーマーキングシステム100のマーキングヘッド120に可逆的に接続することができる。アンビリカルアセンブリは、図1のレーザーマーキングシステム100のキャビネット160に可逆的に接続することができる。アンビリカルアセンブリ140は、流体又はデブリの侵入を防ぐように図1のレーザーマーキングシステム100のマーキングヘッド120及びキャビネット160に対して可逆的に密閉することができる。アンビリカルハウジング410の外面は、化学的耐性のある材料及び/又は耐熱性の材料及び/又は水を通さない材料及び/又は衛生的な材料を含むことができる。アンビリカルハウジング410の外面は滑らかであることができる。
【0092】
導電ケーブル430は、例えば(図3に示す)コントローラ360から(図2に示す)操縦機構220に制御信号を伝えるように構成することができる。導電ケーブル430は、例えばマーキングヘッド内に配置されたガルバノメータ及び/又はセンサなどのコンポーネントから、コントローラ360及び/又はレーザーマーキングシステム100のユーザインターフェイスに1又は2以上のセンサ信号を伝えるように構成することができる。例えば、ガルバノメータの位置を示す信号をガルバノメータからコントローラに伝えてコントローラに位置フィードバックを提供することができる。導電ケーブル430は、マーキングヘッド内の他のコンポーネントに、例えば(図1に示す)電源350から(図2に示す)焦点修正器240に電力及び信号を伝えるように構成することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、アンビリカルアセンブリ140が、例えばレーザーマーキングシステム100の構成中に1又は2以上の導管への損傷を防ぐ特徴を有することができる。1つの実施形態では、1又は2以上の導管をアンビリカルハウジング410の長さよりも長くすることができる。すなわち、導管のうちの1つ又は2つ以上に追加部分を提供することができ、これによってアンビリカルハウジング410が伸びた場合に1又は2以上の導管も伸びるのを追加部分が防ぐことができる。通常、光ファイバーは比較的柔軟性が低く、光ファイバーが伸びると光ファイバーが損傷する恐れがある。従って、光ファイバー420は、とりわけこのような追加部分を有することができる。追加部分は、アンビリカルアセンブリ内のいずれかの便利な位置に提供することができる。例えば、追加部分は、マーキングヘッド及び/又はキャビネットの一方又は両方に接続するアンビリカルアセンブリの接続部に隣接して提供することができる。これに加えて又はこれに代えて、アンビリカルアセンブリ140内に比較的弾性の低い細長い部材を提供して、アンビリカルアセンブリ140の伸び、及び結果としてのアンビリカルアセンブリの導管の伸びを制限することもできる。細長い部材は、例えばアンビリカルアセンブリの長さに沿って延びる金属ワイヤとすることができる。細長い部材は、アンビリカルアセンブリの伸びを防止又は低減するように、例えばキャビネット及びマーキングヘッドに機械的に結合することができる。
【0094】
レーザーマーキングシステム100は、グラフィカルユーザインターフェイスなどのユーザインターフェイスをさらに含むことができる。ユーザインターフェイスは、コントローラ360の一部を形成することができる。ユーザインターフェイスは、例えばユーザに視覚信号を提供するための画面、及び/又はユーザに音声信号を提供するためのスピーカを含むことができる。レーザーマーキングシステム100は、システム100の遠隔制御のためのトランシーバを含むことができる。レーザーマーキングシステム100は、モノのインターネット(the Internet of Things)を介して(例えば、レーザーマーキングシステムが一部を形成する生産ライン上の)他の装置と統合するための接続(例えば、イーサネット(登録商標)接続のインターネット接続)を含むことができる。
【0095】
レーザーマーキングプロセスは、例えばファイバーレーザーなどの放射源をアンビリカルアセンブリ140に結合することによってアンビリカルアセンブリ140に放射線を供給することを含むことができる。アンビリカルアセンブリへの放射源の結合には、光アイソレータ150が介在する。アンビリカルアセンブリ140は、マーキングヘッド120に接続することができる。アンビリカルアセンブリ140の光ファイバーは、放射線をマーキングヘッド120のコリメータに向けることができる。
【0096】
アイソレータをコリメータから分離することで、アイソレータをマーキングヘッド120の外部に配置することができ、これによって大型で重量のある既知のマーキングヘッドの代わりに小型軽量のマーキングヘッド120を使用することが可能になる。操縦機構220は、マーキングヘッド120のさらにコンパクトな外形寸法を可能にする、マーキングヘッド120から放出される放射線を制御するコンパクトな方法をさらに提供することができる。
【0097】
放射線は、マーキングヘッド120から放出されて製品130上に入射することができる。放射線は、製品130の見た目を変化させるために、製品130の表面の所望の部分にマーキング、エッチングを行い、又はこれらの部分と別様に相互作用することができる。
【0098】
アンビリカルアセンブリ140は、生産ラインに対してマーキングヘッド120を容易に再配置できるほど十分に柔軟でありながら、キャビネット160のコンポーネント(例えば、レーザー光源110及び/又はコントローラ360)とマーキングヘッド120との間で制御信号、電力、センサ信号などをさらに有利に伝える。プリントヘッドから分離したアイソレータを提供することで、実質的に連続したアンビリカルハウジングにコリメータを通すことができる。実質的に連続したアンビリカルハウジングを提供することで、これまでレーザーマーキングシステムによって達成されていない国際保護マーキング標準(「IP」、異物保護マーキング(Ingress Protection Marking)として知られていることもある)を満たすアンビリカルアセンブリを提供することができる。例えば、アンビリカル及びマーキングヘッドがIP65~IP69標準を満たすレーザーマーキングシステムを提供することができる。このことは、レーザーマーキングを行うことが望ましい様々な環境において有利となり得る。
【0099】
いくつかの事例では、例えばこれまで同様の寸法の連続インクジェットマーキングヘッドを利用していたシステムにレーザーマーキングヘッドを組み込むことができる。連続インクジェットマーキングヘッドの代わりにレーザーマーキングヘッドを含むようにシステムを改造する(レトロフィットする)ことで、生産ライン上にマーキングヘッドを配置するためのコンポーネントなどの追加コンポーネントを購入する必要性を抑えることによってシステムの保有コストを削減することができる。
【0100】
本明細書に開示するレーザーマーキングヘッドは、多くの既存のシステムの重量の約10分の1である約0.5kgとすることができる。従来のマーキングシステムではマーキングヘッドが大型であり、技術者が一旦設置すると実質的に動かせない場合があるのに対し、本明細書で説明する種類のコンパクトなマーキングヘッドは、変化する使用要件を満たすために容易に再構成することができる。すなわち、本明細書に開示するレーザースキャナ/マーカシステムの態様及び実施形態の外形寸法、サイズ及び重量は、開示するレーザースキャナ/マーカシステムがさらに容易に操作されることを可能にする。
【0101】
例えば、ハウジングを含むレーザースキャナ/マーカシステムのマーキングヘッドは、可動アセンブリに取り付けることができる。可動アセンブリは、マーキングを実行できる複数の異なる構成間でマーキングヘッドが動くことを可能にすることができる。マークは、各異なる位置において製品の異なる部分に適用することができる。異なる位置に異なるマークを適用して、拡張されたマーキング領域(marking field)を提供することができる。実際に、3次元の動きを提供することによって、従来の2次元マーキング領域を3次元に拡張することが可能である。可動アセンブリは、例えばボトルなどの3次元物体の表面から約5mmなどの同じ焦点距離を維持しながら物体の輪郭に従うように動くことができるロボットアームとすることができる。レーザースキャナ/マーカシステムのマーキングヘッドをマーキングされる物体に対して動かす能力は、物体が通過するシステムの段を可動式にする必要性を排除し、従っていくつかの既存のシステムに比べてシステムの機械的複雑性を抑えることができる。レーザーマーキングヘッドを動かす能力は様々な利点をもたらすことができる。例えば、レーザーマーキングヘッドは、マーキングすべき目標物の操作を必要とすることなく3次元レーザーマーキングの提供を可能にすることができる。他の実施形態では、ヘッドが、目標物の移動又は操作が困難な場合があるタービン翼などの複雑な及び/又は大型の目標物のレーザー洗浄のためのレーザービームの使用を可能にすることができる。また、単一のマーキングヘッドを複数の設置場所又は設置方向間で素早く動かして、異なるサイズの製品に又は製品の異なる位置にマーキングを行うこともできる。このようなマーキング構成の柔軟性を可能にするために、レーザーマーキングシステム内に複数の取り付け位置を提供することができる。
【0102】
しかしながら、このような柔軟性は、固定された又は構成可能性の低いシステムでは回避されたであろう安全上のリスクをもたらす恐れもある。例えば、固定システムは、放射ビームが遮蔽環境から漏れ出さないように本質的に安全に構成できるのに対し、可動ヘッドを提供すると、放射ビームがオペレータなどの非遮蔽位置に向けられる可能性があるとのリスクがもたらされる。
【0103】
図5に示すように、従来のレーザーマーキング設備500は、遮蔽領域520内に設置されたマーキングシステム510を含むことができる。マーキング装置は、目標物515に向けて放射ビーム513を放出する放射源511を含む。マーキングシステム510は、コントローラ517によって制御される。
【0104】
オペレータは、ドア530を開けてレーザーマーキングシステム510にアクセスすることができる。位置530aに示すようにドアが開くと、安全スイッチ540がレーザーの作動を安全に中断するように構成され、これによってオペレータへの損傷を防ぐ。通常、このような安全スイッチは、認定された二線式二重接点スイッチ(double wired dual-contact switch)とすることができる。ドアが位置530bにある時にはレーザー装置510を動作させることができる。スイッチ540は、ドア位置を示す信号をコントローラ517に供給する。
【0105】
同様のスイッチを使用して、コンパクトなレーザーマーキングヘッドに関連するさらなる安全度を提供することができる。この種の安全動作を可能にするために、レーザーマーキング機に1又は2以上の連動入力信号(interlock input signals)を提供することができる。しかしながら、連動スイッチを上述したようなビームシールドに関連付けられるように構成するのではなく(又はこれに加えて)、連動スイッチをマーキングヘッド取り付け配置に関連付けることができる。
【0106】
図6に示すように、レーザーマーキング設備は、実質的に図1を参照して上述したようなレーザーマーキングシステム100を含むことができる。同様のコンポーネントについては重ねて説明しない。マーキングヘッド120は、遮蔽領域620内に設置することができる。領域620は、実質的に安全シールド内に封入することができる。オペレータは、ドア630を開けてレーザーマーキングヘッド120にアクセスすることができる。位置630aに示すようにドア630が開くと、安全スイッチ640がレーザーの作動を安全に中断するように構成され、これによってオペレータへの損傷を防ぐ。ドアが位置630bにある時にはマーキングヘッド120を動作させることができる。レーザーマーキングヘッド120は、安全シールド内に提供される電磁放射システムの唯一のコンポーネントである。遮蔽領域620は、処理(例えば、マーキング)ステーションに提供された場合には製品130を取り囲むこともできる。アンビリカル140は、遮蔽領域620からキャビネット160まで延びる。
【0107】
マーキングシステム設備600は、マーキングヘッドホルダ650をさらに含む。マーキングヘッドホルダ650は、レーザーマーキングシステム100のコントローラ660と相互作用してマーキングヘッド120が安全とみなされる位置に配置されている場合にのみ動作を可能にする安全機構を組み込むことができる。このような位置は予め決定しておくことができる。マーキングヘッド120は、安全動作を確実にするように高精度(例えば、1mm未満)で配置することが必要となり得る。
【0108】
ある実施形態では、マーキングヘッドホルダ650にさらなるスイッチ670が組み込まれる。従って、マーキングシステム100は、マーキングヘッド120がホルダ650内に正しく設置されたことをコントローラ660が確認した場合にのみ動作することができる。このような構成では、単純な接点スイッチで十分であると理解されるであろう。さらに、オペレータは、例えばマーキングヘッドを操作又は移動する際にマーキングヘッドに取り付けられたスイッチを誤って作動させてしまう恐れがあるため、このような構成は、マーキングヘッド120上に単純な接点スイッチが提供される場合と比べて利点をもたらすことができる。
【0109】
このような構成では、システム内に単一のホルダ位置が提供され、マーキングヘッドがホルダ内に正しく設置された場合にのみ動作できるようにシステムを制御することができる。当然ながら、それぞれが安全スイッチを有する複数のホルダ位置が提供される場合には、ダミーのマーキングヘッドを提供して全てのスイッチを同時に作動させることが必要となり得る。しかしながら、このような構成は、(例えば、各ホルダ内にダミーのマーキングヘッドが提供された場合に)マーキングヘッドがホルダのうちの1つに正しく設置されていない場合でも複数のダミー装置の存在によって全ての安全スイッチが作動できるようになるというさらなるリスクをもたらす恐れがある。
【0110】
上述したように、通常、マーキングヘッドは、安全動作を確実にするために高精度で配置することが必要になり得る。従って、あらゆる安全スイッチは、必要な安全条件が満たされる(例えば、遮蔽環境からレーザー放射線が絶対に漏れ出さない)ことを保証できるほど十分に正確にマーキングヘッドが配置された場合にのみ作動するように配置され構成される。
【0111】
ホルダ内のマーキングヘッドの存在を検出する1つの方法は、電子識別器(例えば、RFID、又は同様のもの)を使用することである。従って、スイッチ670は電子識別器を含むことができ、対応する識別可能なコンポーネントがマーキングヘッド120上に提供される。
【0112】
しかしながら、このような検出装置は、安全な位置に近い装置を検出することはできるが、必ずしも正確に安全な位置にあることを検出するわけではない。従って、ホルダ内の(又はホルダに近接する)マーキングヘッドを電子的に検出することはできるが、このマーキングヘッドは、依然として安全でない方法で放射線を放出できる可能性がある。
【0113】
いくつかの実施形態では、遮蔽領域620を伴わずに設備600を設置してスイッチ640を省略することもできると理解されるであろう。このような構成では、コントローラ660がスイッチ670のみを使用して構成の安全性を判定するようになる。
【0114】
図7に示すように、さらなる実施形態では、(マーキングヘッド120と概ね同様の)マーキングヘッド700が、統合された安全スイッチ710を含む。上述したスイッチの偶発的な作動に関連するリスクを考慮して、スイッチ710は、取り扱い中の偶発的なスイッチの作動が不可能であるように、又は少なくともその可能性が大いに高まるように統合することができる。
【0115】
図示の実施形態では、マーキングヘッド700のハウジング720内に2つのスイッチ710が統合されている。スイッチ710は、実質的に円筒形のマーキングヘッドの外周の周囲の対向する位置に提供される。各スイッチ710は、ハウジング720内に設けられるそれぞれの凹部715内に提供される。凹部715は、一部の動作環境において必要になることがある、マーキングヘッド700への水の侵入を防ぐように設計することができる。
【0116】
マーキングヘッド700が正しく配置された場合に両スイッチ710を作動させるように構成された対応する機械的要素740(例えば、ばね付勢ピン)を有する、協働するマーキングヘッドホルダ730が提供される。
【0117】
スイッチ710は、コントローラ660と同様の形で動作するマーキングシステムコントローラ(図示せず)と通信して、安全な構成にあるとみなされない限りマーキングヘッド700の動作を防ぐことができる。従って、スイッチ710は、図6に関連して上述したスイッチ670の動作を実行することができる。
【0118】
当然ながら、単一のスイッチ710又は実際に2つよりも多くのスイッチ710を提供することもできると理解されるであろう。(単複の)スイッチ710は、適切に構成されたホルダ730に内マーキングヘッド700が安全に設置されていることを確認するように動作することができる。
【0119】
当然ながら、スイッチ710は、例えばスイッチ640などの他の安全機構と共に使用することも、又はこれらとは独立して使用することもできると理解されるであろう。
【0120】
いくつかの実施形態では、システムを、マーキングヘッドがホルダ730内に正しく取り付けられている限り本質的に安全であるように構成することができる。例えば、マーキングヘッド700は、ホルダ730内に受け取られた時に遮蔽環境の開口部を閉じることができる。
【0121】
上述したように、本明細書に開示するレーザースキャナ/マーカシステムの態様及び実施形態の外形寸法、サイズ及び重量は、開示するレーザースキャナ/マーカシステムがさらに容易に操作されることを可能にする。しかしながら、(例えば、ロボットマーキングシステムによる)マーキングヘッド120の動きの結果、光源110からマーキングヘッド120に電磁放射線を供給する光ファイバー(例えば、ファイバー420)への損傷リスクが高まる恐れもある。いくつかの実施形態では、光ファイバー故障検出システムを提供してファイバーが損傷を受けたかどうかを検出することができる。例えば、図4に示すように、光ファイバー420は、ファイバー420に沿って及び/又はその周囲に延びる1又は2以上のワイヤ425(例えば、銅線)を有することができる。マーキングシステム100は、1又は2以上のワイヤ425の電気特性をモニタするように構成されたモニタ(図示せず)を含むことができる。モニタは、キャビネット160内に提供することができる。変化(例えば、抵抗、静電容量又はインダクタンスの変化)が検出された場合には、この変化を使用してファイバー420の破損又はその他の損傷(例えば、急激な屈曲)を示すことができる。すなわち、ワイヤは、レーザー光源とヘッドとの間に延びる光ファイバーの故障を検出するように構成することができる。ファイバー420の長さに沿った1又は複数のワイヤ425の連続性をモニタすることができる。実施形態では、破損の指示に応答してレーザー光源を無効にし、レーザービームが損傷を引き起こすあらゆるリスクを抑えることができる。これに代えて又はこれに加えて、異常な電気特性が検出された場合には、警報を発してファイバー420及びいずれかのアンビリカル410の損傷を調査するようにユーザを促すこともできる。光ファイバー故障検出システムは、図6及び図7に関連して上述した他の安全機構と組み合わせて、又はこれらとは無関係に動作することができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、コンピュータ数値制御(CNC)機械の一部を形成する可動アセンブリを提供することができる。マーキングヘッドは、CNC機械の可動アセンブリがCNC機械内にレーザーマーキングを組み込むように選択して動かすことができる複数のツールのうちの1つとして提供することができる。しかしながら、上述したように、ヘッドはマーキングに限定されるものではなく、レーザー切断、レーザー穿孔、深彫り彫刻、又は鋼の硬化などのレーザーベースの表面処理などの他のレーザー機能を提供するツールを提供することもできる。CNC機械は高精度動作を提供すると理解されるであろう。上述したようなCNC機械内で使用できるコンパクトなレーザーヘッドを提供することにより、CNC機械は、これまでレーザーベースの動作を行うために機械加工部品(machined piece)の除去及びその後のさらなるシステム内の機械加工部品の構成を必要としていた機能を提供することができる。従って、機械加工部品の構成を繰り返す必要なく、単一の機械において正確なレーザーベースの動作を提供することができる。
【0123】
本明細書で図示し説明したレーザーマーキングシステムは、上述した既知のレーザーマーキングシステムに関連する問題を有利に克服し、コンパクトな外形寸法を有するプリントヘッドを有する生産ラインの所有者に、完全に統合された「プラグアンドプレイ」のソリューションを提供する。
【0124】
レーザーマーキング装置を適用できる生産ラインは、処理ラインと呼ぶこともできる。図8に、このような処理ライン810を含むシステム800を示す。マーキング又は別様に処理すべき製品820は、生産ライン810によって、製品に放射線を向けることができるマーキング(又は処理)ステーション830を過ぎて移送される。処理システム800は、概ね上述した種類のものとすることができる電磁放射システム840(例えば、レーザーマーキング装置)を含む。いくつかの実装では、電磁放射システム840が、上述したいくつかの特徴を省略することができる。例えば、電磁放射システムは、電源841と、キャビネット843内に収容された電磁放射源842とを含むことができる。放射源842は、アンビリカル846内に収容された光ファイバー845(例えば、トランスポートファイバー)に沿ってマーキングヘッド847に至る放射経路844a~eに沿って放射線を放出するように構成することができる。マーキングヘッド847は、製品820がマーキングステーション830に位置している時にマーキング経路844eに沿って製品820に放射線を向けるように構成される。放射経路844は、(利得部品を含むことができる)キャビネット内の放射源経路部分844aと、アンビリカル845内の移送経路部分844cと、(放射線を操縦及び/又は集束することができる)マーキングヘッド847内の操縦経路部分844dと、マーキングヘッドと製品820との間のマーキング経路部分844eとを含む。処理ステーション830及びマーキングヘッド847は、漂遊放射線が(ユーザ又はその他の設備に)危害を及ぼすのを防ぐように構成された安全シールド850内に封入される。
【0125】
このような実装では、(例えば、上述したような寸法の)コンパクトなマーキングヘッドを提供し、電磁放射システム840のマーキングヘッド847のみを取り囲む安全シールド850内に処理ステーション830を提供し、放射システムの残りの全てのコンポーネントをキャビネット830内に(すなわち、シールド850の外部に)提供することができる。当然ながら、安全シールド内にはアンビリカルアセンブリの一部も存在することができる。このような構成では、依然としてマーキングヘッドを安全シールド850内に存在する(例えば、完全に内部に存在する)放射システムの唯一のコンポーネントとみなすことができる。
【0126】
マーキングシステム840は、マーキングシステム100を参照しながら上述したように動作することができる。
【0127】
任意に、マーキングシステム840は、アイソレータ経路部分を定める放射源842とアンビリカル845との間に光アイソレータ(図示せず)をさらに含むことができる。これに代えて又はこれに加えて、システム800は、例えば図6及び図7を参照しながら上述したような、マーキングヘッド847のホルダ内に提供される連動スイッチを含むこともできる。
【0128】
マーキングシステムは、マーキングヘッド847の複数の取り付け位置をさらに含むことができる。マーキングシステムは、マーキングヘッド847を異なる構成間で動かすための可動要素870をさらに含むことができる。例えば、第1の構成880Aでは、マーキングヘッド847を製品820の上面820Aにマーキングを行うように構成できるのに対し、第2の構成880Bでは、マーキングヘッド847を、第2のマーキング経路844fに沿ってビームを向けることによって製品820の傾斜面820Bにマーキングを行うように構成することができる。マーキングヘッド847は、(例えば、可動要素870によって)自動で構成間を移動することも、或いは、例えばマーキングヘッドを様々な異なるホルダ(図示せず)内に配置することによってユーザが再構成することもできる。
【0129】
以上、少なくとも1つの実装の複数の態様について説明したが、当業者には様々な変更、修正及び改善が容易に思い浮かぶと理解されるであろう。このような変更、修正及び改善は本開示の一部として意図され、本開示の趣旨及び範囲に含まれるものとして意図される。本明細書に開示する方法の行為は、説明したものとは別の順序で実行することもでき、1又は2以上の行為を省略、置換又は追加することもできる。本明細書に開示するいずれか1つの実施例の1又は2以上の特徴は、開示する他のいずれかの実施例の1又は2以上の特徴と組み合わせ、又はこれらに置き換えることもできる。従って、上述した説明及び図面は一例にすぎない。
【0130】
本明細書で使用した表現及び用語は説明を目的としたものであり、限定とみなすべきではない。本明細書で使用する「複数」という用語は、2又は3以上のアイテム又はコンポーネントを意味する。本明細書で使用する「実質的に同様の」ものとして説明される寸法は、互いの約25%以内とみなすべきである。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「保持する(carrying)」、「有する(having)」、「収容する(containing)」及び「伴う(involving)」などの用語は、明細書内に存在するか、それとも特許請求の範囲内に存在するかにかかわらず制約のない(open-ended)用語であり、すなわち 「限定されるわけではないが~を含む(including but not limited to)」を意味する。従って、このような用語の使用は、その後に列挙するアイテム及びその同等物、並びにさらなるアイテムを含むように意図される。特許請求の範囲については、「~から成る(consisting of)」及び「実質的に~から成る(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれ閉鎖的又は半閉鎖的な移行句である。特許請求の範囲における、請求項要素を修飾する「第1の(first)」、「第2の(second)」、「第3の(third)」などの序数用語の使用は、それ自体が別の請求項要素に対する1つの請求項要素のいずれかの優先、先行又は順序、或いは方法の行為が実行される時間的順序を含意するものではなく、ある名称を有する1つの請求項要素と(序数用語の使用を除き)同じ名称を有する別の要素とを区別して請求要素同士を区別するためのラベルとして使用するものにすぎない。
【0131】
電磁放射線操縦機構は、電磁放射線を誘導、成形及び/又は制御するための屈折式、反射式、磁気式、電磁式、静電式及び/又はその他のタイプの光学部品、或いはこれらのいずれかの組み合わせなどの様々なタイプの光学部品を含むことができる。
【0132】
本文中では、製品のマーキングにおける電磁放射線操縦機構の使用について特定の言及を行っていることもあるが、本明細書で説明した電磁放射線操縦機構は他の用途を有することもできると理解されたい。考えられる他の用途としては、製品に彫刻を行うためのレーザーシステム、光学スキャナ、放射線検出システム、医療装置などが挙げられる。
【0133】
上記では本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は説明した以外の方法で実施することもできると理解されるであろう。上記の説明は、限定ではなく例示を意図するものである。従って、当業者には、以下に示す特許請求の範囲から逸脱することなく、説明した発明に修正を行えることが明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】