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特表2022-549441点検窓が一体化されたプラスチックタンクを生産する射出成形法、プラスチックタンク、及びそのようなプラスチックタンクを備える電動ツール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-25
(54)【発明の名称】点検窓が一体化されたプラスチックタンクを生産する射出成形法、プラスチックタンク、及びそのようなプラスチックタンクを備える電動ツール
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/16 20060101AFI20221117BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
B29C45/16
B29C45/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518680
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 SE2020050681
(87)【国際公開番号】W WO2021061034
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】1951074-2
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511268591
【氏名又は名称】ハスクバーナ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ビョルクマン、ペーテル
(72)【発明者】
【氏名】アーランデル、ヨエル
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AA29
4F206AB25
4F206AD05
4F206AD07
4F206AH81
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB28
4F206JL02
4F206JN12
(57)【要約】
電動ツール用のプラスチックタンクを生産する方法は:透明な点検窓(26)を備える成形ツールを提供することと、成形ツール上に液化プラスチックを射出してタンク壁(34)を形成することであって、液化プラスチックが、オーバーモールド境界面において前記点検窓(26)に係合することと、射出されたプラスチックを凝固させることができ、それにより、前記点検窓(26)との結合を形成することとを備え、前記点検窓(26)は、点検窓(26)の面から延びてオーバーモールド境界面に沿っている少なくとも1つの液化前駆体リッジ(44a,44b,64a,64b)を備え、前記液化プラスチックが前記オーバーモールド境界面上に射出され、前記液化前駆体リッジ(44a,44b,64a,64b)を少なくとも部分的に液化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動ツール(10)用のプラスチックタンク(18)を生産する方法であって、前記タンク(18)は、タンク壁(34)と、前記タンク壁(34)にある窓アパーチャ内に配置された透明又は半透明な点検窓(26)とを備え、前記点検窓(26)は、前記タンク(18)内の内容量レベルを視覚的に点検可能にするものであり、
該方法は、前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の一方(26)を備える成形ツール(54a)を提供することを備え、
該方法は、前記成形ツール(54a)上に液化プラスチック(49b)を射出して前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の他方(34)を形成することを備え、前記液化プラスチック(49b)は、前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)のオーバーモールド境界面において、前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)と係合し、
該方法は、射出されたプラスチック(49b)を凝固可能にすることを備え、それにより、前記タンク壁(34)と前記点検窓(26)の前記一方(26)との間を結合する、
電動ツール(10)用のプラスチックタンク(18)を生産する方法において、
前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)が少なくとも1つの液化前駆体リッジ(44a,44b,64a,64b)を備え、該液化前駆体リッジ(44a,44b,64a,64b)は、前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)の面(63、65)から延びて前記オーバーモールド境界面に沿っており、前記液化プラスチック(49b)は、前記オーバーモールド境界面上に射出されて前記液化前駆体リッジ(44a,44b,64a,64b)を少なくとも部分的に液化する
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)は前記点検窓(26)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの液化前駆体リッジ(44a,44b,64a,64b)は、前記点検窓(26)又は窓アパーチャ(27)の周りに閉ループを規定する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの液化前駆体リッジ(44a,44b,64a,64b)は連続的である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの液化前駆体リッジ(44a,44b,64a,64b)は、複数の液化前駆体リッジ(44a,44b,64a,64b)を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の液化前駆体リッジ(44a,44b,64a,64b)は、前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)の第1の側面(63)に第1の組のリッジ(44)を備えるとともに、前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)の第2の側面(65)に第2の組のリッジ(64)を備え、前記第2の側面(65)は前記第1の側面(63)に対向している、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の側面(65)は、前記タンク(18)の内部の方に面しており、及び前記第1の側面(63)は、前記タンク(18)の外部の方に面する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記成形ツール(54a)上に液化プラスチック(49b)を射出して前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の他方(34)を形成することは、前記液化プラスチック(49b)が、成形面を有する成形ツール上に流れることを許容することを備え、該成形面は、前記タンク壁(34)の外面(43)が、前記オーバーモールド境界面において前記点検窓(26)の外面(41)と位置が概ね一致するように、前記オーバーモールド境界面において前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)の外面(41)と位置が概ね一致する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記オーバーモールド境界面は、前記タンク(18)の外部の方に面する外側オーバーモールド境界面部分(63)を備え、この外側オーバーモールド境界面部分(63)は、前記オーバーモールド境界面に隣接する、前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)の外面(41)と比べて、前記タンク(18)の内部の方に向かってオフセットされている、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)は、本実矧ぎで接合されており、前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)の前記オーバーモールド境界面は、前記本実矧ぎの突起を形成するとともに、前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記他方(34)は、前記突起上にオーバーモールドされて、前記本実矧ぎの溝を形成し、前記溝は、前記少なくとも1つの液化前駆体リッジ(44a,44b,64a,64b)を囲繞している、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記突起は、局所的に、前記本実矧ぎに隣接する前記タンク壁(34)に対して概ね平行に延びる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記点検窓(26)は、概ね凸状の外面(41)及び概ね凹状の内面(45)を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)を備える成形ツール(54a)を提供することは、前記成形ツール(54a)上に液化プラスチック(49a)を射出して前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)を形成することを備える、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の一方(26)を備える成形ツール(54a)を提供することは、さらに、前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)を形成した後に、前記成形ツール(54a)の少なくとも1つのコア(58)を退避させて、前記オーバーモールド境界面の少なくとも一部分(64、65)を露出させることを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの液化前駆体リッジ(44a,44b,64a,64b)は、前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)の前記面(63、65)から、0.1mm~1mmの、前記面(63、65)から上のリッジ高さ(H)まで延びる、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの液化前駆体リッジ(44a,44b,64a,64b)は、当該リッジ(44a,44b,64a,64b)が続く経路に対して垂直な断面で見ると、前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の前記一方(26)の前記面(63、65)から上のその高さ(H)の半分の高さにおいて、0.3mm未満である幅(W)を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記タンク壁(34)の壁厚(T1)は、1mm~3mmである、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの液化前駆体リッジ(44a,44b,64a,64b)は、当該リッジ(44a,44b,64a,64b)が続く経路に対して垂直な断面で見ると、鋭角(α)を形成するリッジ頂部を有する、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)は、概ね同じガラス転移温度を有する熱可塑性材料で形成される、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の方法によって得られるプラスチックタンク(18)。
【請求項21】
請求項20に記載のプラスチックタンク(18)を備える電動ツール(10)。
【請求項22】
タンク壁(34)と、前記タンク壁(34)にある窓アパーチャ(27)内に配置された透明又は半透明な点検窓(26)とを備える、電動ツールタンク(18)であって、前記点検窓(26)は、前記タンク(18)内の液体内容量レベルを視覚的に点検可能にするものであり、前記タンク壁(34)及び点検窓(26)は、成形境界面に沿って一緒に成形され、前記成形境界面は、前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の一方(26)のリッジ(44a,44b,64a,64b)を備え、そのリッジは、前記タンク壁(34)及び前記点検窓(26)の他方(34)の材料に溶け込んでいる、電動ツールタンク(18)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ツール用のプラスチックタンクを生産する方法、プラスチックタンク、及びそのようなプラスチックタンクを備える電動ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
現代のハンドヘルド電動ツール用の燃料タンクは、プラスチック製である。燃料タンクには多くの異なる要件がある。例として、燃料タンクは、機械的に強度があり、且つ簡単に補充及び現在の燃料レベルを点検できる必要がある。燃料タンクはまた、いくつかの安全基準を満たす必要がある。例として、燃料タンクは、高圧での漏れ止めがある必要がある。ガス圧は、タンクの内部と外部の周囲の気圧との間で、実質的にかなり異なり得る。場合によっては、その差は、30~40kPaの高さにもなり得る。
【0003】
一般に、現在の燃料レベルは、透明な燃料レベル点検窓を介して操作者へ伝えられる。タンク本体は、一般的に、機械的強度のために、ガラス-又はカーボン繊維強化プラスチックで作製されているが、燃料窓は透明なプラスチック製である。透明な燃料レベル点検窓は、一般的に、超音波溶接によって燃料タンクに取り付けられている。窓が耐燃料性(fuel-tight)であることを保証するために、窓は、可能な限り小さく保たれ、且つ概ね単一の平面内に延びる溶接部に沿ってタンクに溶接されている。それらの限界は、主に、超音波溶接ソノトロード(sonotrode)のサイズ及び形状によって設定され、これは、単一の溶接ステップで、タンク本体と窓との間の境界面全体へ溶接パワーを送るために好適な導波ガイドを規定するために、必要である。それらの限界の欠点は、燃料レベルの可視性を制限し得る照明条件及びハンドヘルド電動ツールの姿勢である。
【0004】
特許文献1には、燃料タンクの製造法が開示されている。しかしながら、改良型の燃料タンク、並びにそのようなタンクの改良型を生産する方法に対するニーズもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0087080号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、上述の問題の一部又は全てを解決するか又は少なくとも緩和することである。この目的のために、電動ツール用のプラスチックタンクを生産する方法が開示される。該タンクは、タンク壁と、タンク壁にある窓アパーチャ内に配置された透明又は半透明の点検窓とを備え、点検窓は、タンク内の内容量レベルを視覚的に点検可能にする。該方法は、タンク壁及び点検窓の一方を備える成形ツールを提供することを備える。該方法は、成形ツール上に液化プラスチックを射出してタンク壁及び点検窓の他方を形成することを備える。液化プラスチックは、タンク壁及び点検窓の前記一方のオーバーモールド境界面において、タンク壁及び点検窓の前記一方と係合する。該方法は、射出されたプラスチックを凝固可能にし、それにより、タンク壁及び点検窓の前記一方との結合を形成する。かかる方法において、タンク壁及び点検窓の前記一方が、タンク壁及び点検窓の一方の面から延びてオーバーモールド境界面に沿っている少なくとも1つの液化前駆体リッジを備え、前記液化プラスチックが、前記オーバーモールド境界面上に射出されて前記液化前駆体リッジを少なくとも部分的に液化することを特徴とする方法が提供される。液化前駆体リッジの寸法は、射出されたプラスチックによって加熱されて液化前駆体リッジが液化することを可能にし、それにより、タンク壁の材料と点検窓の材料とを、液化前駆体リッジに沿って混合できるようにする。これにより、タンク壁と点検窓との間の境界面を、高機械的強度にし、且つ漏れに対する緊密性が良好なものにする。そのような液密性は、チェーンソー燃料などの可燃性の揮発性液体を入れているタンクに特に望ましい。液化は、例えば溶融又はガラス転移温度の通過の結果とし得る。少なくとも液化前駆体リッジ、任意選択的にタンク壁及び点検窓の前記一方の全体が、熱可塑性物質であることが好ましいとし得る。しかしながら、プロセスは、特に、タンクを作り上げる連続的な成形ショット間の短いサイクル時間と組み合わせて、熱硬化性樹脂の成形に対しても、緊密性の向上をもたらす。複数の実施形態によれば、オーバーモールド境界面は、点検窓又は窓アパーチャの縁に沿って延び得る。或いは、オーバーモールド境界面は、タンク壁及び点検窓の前記一方のいずれかの縁からある距離に置かれ得る。方法は、タンク壁内での点検窓の配置、サイズ及び形状に関して完全な設計の自由を与え、それにより、液体内容量レベルの確認を容易にするタンクを設計できるようにする。タンク壁は不透明としてもよい。或いは、半透明又は透明としてもよい。複数の実施形態によれば、電動ツールはハンドヘルド電動ツールとし得る。電動ツールは、携帯型とし得、動作中、操作者によって片手若しくは両手で運ばれてもよいし、又は動作中、操作者によって地面で転がされるように車輪が付いていてもよい。電動ツールは、屋外用の電動ツール、例えば庭用又は森林用ツールとし得る。
【0007】
複数の実施形態によれば、タンク壁及び点検窓の前記一方は点検窓とし得る。そのような実施形態では、タンク壁及び点検窓の前記他方はタンク壁であることが明らかである。代替的な実施形態では、タンク壁及び点検窓の前記一方はタンク壁とし得、並びにタンク壁及び点検窓の前記他方は点検窓とし得る。
【0008】
複数の実施形態によれば、前記少なくとも1つの液化前駆体リッジは、点検窓又は窓アパーチャの周りに閉ループを規定し得る。それにより、液密性の増大が得られ得る。
複数の実施形態によれば、前記少なくとも1つの液化前駆体リッジは連続的とし得る。それにより、液密性の増大が得られ得る。或いは、リッジは断続的とし得る。例として、一列の密集した液化前駆体突起によって形成され得る。
【0009】
複数の実施形態によれば、前記少なくとも1つの液化前駆体リッジは、複数の液化前駆体リッジを備え得る。2つ以上の液化前駆体リッジを有することによって、単一の液化前駆体リッジにおけるいずれかの欠陥によって漏れを生じ得るというリスクを低下させる。例として、オーバーモールド境界面は、2個、3個、4個、5個又は6個の液化前駆体リッジを備え得る。
【0010】
複数の実施形態によれば、前記複数の液化前駆体リッジは、タンク壁及び点検窓の前記一方の第1の側面に第1の組のリッジ、並びにタンク壁及び点検窓の前記一方の第2の側面に第2の組のリッジを備え得、前記第2の側面は前記第1の側面に対向している。前記第1及び第2の側面は、タンクの内面及び外面に対応し得る。各組のリッジは、1個、2個、3個、又はそれを上回る液化前駆体リッジを備え得る。
【0011】
複数の実施形態によれば、前記第2の側面は、タンクの内部の方に面していてもよく、前記第1の側面は、タンクの外部の方に面していてもよい。そのような配置構成によって、タンクが外部の周囲圧力と比べて過度の圧力又は圧力不足(underpressure)を保っているかどうかに関わらず、同様の程度まで、タンクの液密性を増大させ得る。複数の実施形態によれば、前記第1及び第2の側面上にリッジのある面は、局所的に、オーバーモールド境界面に隣接するタンク壁の平面に対して概ね平行とし得る。
【0012】
複数の実施形態によれば、成形ツール上に液化プラスチックを射出してタンク壁及び点検窓の他方を形成することは、オーバーモールド境界面において、タンク壁及び点検窓の前記一方の外面と位置が概ね一致する成形面を有する成形ツール上に、液化プラスチックが流れることを可能にするものであり、オーバーモールド境界面において、タンク壁の外面が点検窓の外面と位置が概ね一致するようにすることを備え得る。そのような配置構成は、点検窓がおがくずなどの埃を集めにくくし、それにより、点検を容易にする。前記成形面は、オーバーモールド境界面において、タンク壁及び点検窓の前記一方の外面と概ね同一平面にあるとし得、タンク壁の外面と点検窓の外面との間の境界面に、概ね段差がないようにする。
【0013】
複数の実施形態によれば、前記オーバーモールド境界面は、タンクの外部の方に面する外側オーバーモールド境界面部分を備え得、その外側オーバーモールド境界面部分は、オーバーモールド境界面に隣接するタンク壁及び点検窓の前記一方の外面と比較して、タンクの内部の方に向かってオフセットされている。それにより、オーバーモールドは、タンク壁の外面を点検窓の外面の比較的近くに位置合わせする。タンクの外部の方に面するオーバーモールド境界面部分は、上記で定義したような1つ以上の液化前駆体リッジを備え得る。
【0014】
複数の実施形態によれば、タンク壁及び点検窓は、本実矧ぎで接合され得、タンク壁及び点検窓の前記一方の前記オーバーモールド境界面は、前記本実矧ぎの突起を形成するとともに、タンク壁及び点検窓の前記他方は、前記突起上にオーバーモールドされて、前記本実矧ぎの溝を形成し、前記溝は、前記少なくとも1つの液化前駆体リッジを囲繞している。方法は、さらに、凝固中の、タンク壁及び点検窓の前記他方の収縮を備え得る。それにより、特に液密の継ぎ目が獲得され得る。
【0015】
複数の実施形態によれば、前記突起は、局所的に、前記本実矧ぎに隣接するタンク壁に対して概ね平行に延び得る。それにより、タンクが過度の圧力又は圧力不足を保っているかどうかに関わらず、同様のタンクの緊密性が得られ得る。さらに、タンク窓の周りにいずれの実質的なリッジも生じない、比較的幅広のオーバーモールド境界面が用いられ得、これにより、さらに、液密性を増大させ得る及び/又は点検窓の埃の蓄積しやすさを低下させ得る。ここで、用語「局所的に」は、タンク壁のその最も近い部分に対して概ね平行である突起の各セクションであると解釈されるべきである。
【0016】
複数の実施形態によれば、点検窓は、概ね凸状の外面、及び概ね凹状の内面を有し得る。そのような形状は、特に、維持された液密性で高い内部圧力に対処するのによく適している。
【0017】
複数の実施形態によれば、タンク壁及び点検窓の前記一方を備える成形ツールを提供することは、液化プラスチックを前記成形ツール上に射出して、タンク壁及び点検窓の前記一方を形成することを備え得る。そのような配置構成は、生産を単純に及び迅速にする。ある実施形態によれば、成形ツールは、タンク壁及び点検窓の前記一方及び他方に対してそれぞれの材料を射出するために、異なるそれぞれの射出ノズル間で回転され得る。同じ成形ツールでのタンク壁及び点検窓の前記一方の成形の代替例として、タンク壁及び点検窓の前記一方は、タンク壁及び点検窓の前記他方を成形するために前記成形ツールへ動かされる前に、別のツールで、又は任意の他の方法を使用して、製造され得る。
【0018】
複数の実施形態によれば、タンク壁及び点検窓の一方を備える成形ツールを提供することは、さらに、タンク壁及び点検窓の前記一方を形成した後で、前記成形ツールの少なくとも1つのコアを退避させて、前記オーバーモールド境界面の少なくとも一部分を露出させることを備え得る。それにより、タンク壁及び点検窓の前記他方は、本実矧ぎを形成するために、2つの対向する側面で、前記オーバーモールド境界面をより簡単にオーバーモールドできるようにされ得る。
【0019】
複数の実施形態によれば、前記少なくとも1つの液化前駆体リッジは、タンク壁及び点検窓の前記一方の前記面から、0.1mm~1mmの、前記面から上のリッジ高さまで延び得る。それにより、液化前駆体リッジに沿って、タンク壁の材料と点検窓の材料との高度の混合が保証される。さらなる実施形態によれば、前記少なくとも1つの液化前駆体リッジは、タンク壁及び点検窓の前記一方の前記面から、0.2mm~0.6mmの、前記面から上のリッジ高さまで延びる。
【0020】
複数の実施形態によれば、前記少なくとも1つの液化前駆体リッジは、前記リッジが続く経路(path)に対して垂直な断面で見るとき、タンク壁及び点検窓の前記一方の前記面から上のその高さの半分の高さにおいて、0.3mm未満の幅を有し得る。それにより、液化前駆体リッジに沿ったタンク壁の材料と点検窓の材料との高度の混合が保証される。さらなる実施形態によれば、前記リッジは、タンク壁及び点検窓の前記一方の前記面から上のその高さの半分の高さにおいて、0.2mm未満の幅を有し得る。
【0021】
複数の実施形態によれば、前記タンク壁の壁厚は、1mm~3mmとし得る。その代わりに又はそれに加えて、点検窓の厚さは、1mm~3mmとし得る。リッジ高さとタンク壁厚及び/又は点検窓厚との比は、例として、1:1.5~1:10とし得る。
【0022】
複数の実施形態によれば、前記少なくとも1つの液化前駆体リッジは、前記リッジが続く経路に対して垂直な断面で見るとき、鋭角を形成するリッジ頂部を有し得る。それにより、液化前駆体リッジに沿ったタンク壁の材料と点検窓の材料との高度の混合が保証される。さらなる実施形態によれば、前記リッジ頂部は、70度未満、50度未満、又は20~40度の角度を形成する。いくつかの実施形態によれば、リッジは、断面で見るときに、三角形を有し得る。
【0023】
複数の実施形態によれば、タンク壁及び点検窓は、概ね同じガラス転移温度を有する熱可塑性材料で形成され得る。複数の実施形態によれば、タンク壁及び点検窓は、同じベースポリマーで形成されて、染料含量、及び、任意選択的に、繊維強化材などの任意の他の充填材料のみが異なってもよい。一般に、タンク壁の材料は、例えばガラス又はカーボン繊維によって強化され得るが、点検窓の材料は、概ね非強化とし得る。ベースポリマーは、半結晶質とし得る。他の実施形態によれば、タンク壁及び点検窓の前記他方は、非熱可塑性ポリマーで形成されてもよく、且つ射出された後、例えば架橋によって硬化し得る。
【0024】
ある例によれば、タンク壁及び点検窓の少なくとも一方、及び任意選択に双方は、ポリアミド、例えばポリアミド6で作製され得る。タンク壁は、例えば、15重量%のガラス強化材、例えばガラス繊維を備えるポリアミド6で作製され得る。射出成形中の液化プラスチックの例示的な好適な温度は、一般に、200℃~300℃、具体例のポリアミド6では、230℃~285℃とし得る。射出成形中の成形ツールの例示的な好適な温度は、40℃~100℃とし得る。
【0025】
第2の態様によれば、上述の問題の一部又は全ては、上記で定義した方法のいずれかによって得られるプラスチックタンクによって、解決されるか、又は少なくとも緩和される。
【0026】
第3の態様によれば、上述の問題の一部又は全ては、上記で定義した方法のいずれかによって得られるプラスチックタンクを備える電動ツールによって、解決されるか、又は少なくとも緩和される。電動ツールは、チェーンソーなどのハンドヘルド電動ツールとし得、及び/又はタンクは、電動ツールの燃焼機関用の燃料を入れておけるようにするための燃料タンクとし得る。
【0027】
第4の態様によれば、上述の問題の一部又は全ては、タンク壁と、タンク壁にある窓アパーチャ内に配置された透明又は半透明な点検窓とを備える電動ツールタンクであって、点検窓は、タンク内の液体内容量レベルを視覚的に点検可能にするものであり、タンク壁及び点検窓は、成形境界面に沿って一緒に成形され、成形境界面は、タンク壁及び点検窓の一方のリッジを備え、そのリッジは、タンク壁及び点検窓の他方の材料に溶け込んでいる、電動ツールタンクによって、解決されるか、又は少なくとも緩和される。
【0028】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲で述べられている特徴の全ての考えられる組み合わせによって供され得ることに留意されたい。さらに、方法に関して説明された様々な実施形態は全て、本発明の第2、第3及び第4の態様に従って定義されるような装置と組み合わせることができること、並びに逆も同様であることが認識される。
【0029】
さらに、方法は、電動ツール以外の応用のためのタンクの生産に使用され得る。それゆえ、さらなる態様によれば、及びここから分けられる任意のさらなる特許出願を網羅するために、プラスチックタンクを生産する方法であって、タンクは、第1のタンク壁部分及び第2のタンク壁部分を備え、方法は、第1のタンク壁部分を備える成形ツールを提供することと、液化プラスチックを成形ツール内に射出して、第2のタンク壁部分を形成することであって、液化プラスチックは、前記第1のタンク壁部分のオーバーモールド境界面において前記第1のタンク壁部分と係合することと、射出されたプラスチックを冷却及び凝固可能にし、それにより、前記第1のタンク壁部分との結合を形成することとを備え、前記第1のタンク壁部分は、前記第1のタンク壁部分の面から延びてオーバーモールド境界面に沿っている少なくとも1つの液化前駆体リッジを備え、前記液化プラスチックが前記オーバーモールド境界面上に射出されて前記液化前駆体リッジを少なくとも部分的に液化する、方法が提供される。方法は、第1の態様を参照して上記で定義した実施形態のいずれかと組み合わせることができ、第1のタンク壁部分は、タンク壁及び点検窓の前記一方に対応し、並びに第2のタンク壁部分は、タンク壁及び点検窓の前記他方に対応する。
【0030】
本発明の、上記の、並びに追加的な目的、特徴及び利点は、本発明の好ましい実施形態の以下の説明に役立ち且つ非限定的な詳細な説明によって、添付図面を参照して、より良好に理解され、添付図面では、同様の要素に同じ参照符号が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】チェーンソーの斜視的な概略図である。
図2図1のチェーンソーのタンク半体の側面図である。
図3A図2のタンク半体の燃料点検窓の斜視図である。
図3B図3Aの燃料点検窓が位置決めされている、図2のタンク半体の斜視図である。
図4A図3Bのタンク半体の2段式のショット射出成形用の装置の概略的な説明図であり、装置は、第1の工程段階中にある状態で示されている。
図4B】第2の位置にある、図4Aの装置の概略的な説明図である。
図4C】第3の位置にある、図4Aの装置の概略的な説明図である。
図4D】第4の位置にある、図4Aの装置の概略的な説明図である。
図5A図3Aの燃料点検窓の平面図である。
図5B図5Aの線B-Bに沿って取った断面を示す。
図5C図5Bの断面の一部分の拡大図である。
図6A図1のタンク半体の第2の側面図である。
図6B図6Aの線B-Bに沿って取った断面を示す。
図6C図6Bの断面の一部分の拡大図である。
図6D図6Cの拡大図の一部分の拡大図である。
図7A図6Aの線B-Bに沿って取った断面の代替的な実施形態を示す。
図7B図7Aの断面の一部分の拡大図である。
図8図2のタンク半体を生産する方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
全ての図面は、概略的であり、必ずしも縮尺通りではなく、及び全体的に、実施形態を説明するために必要な部分のみを示しており、他の部分は省略され得る。
図1は、ハンドヘルドチェーンソー10として供される電動ツールを示す。チェーンソー10は、ガイドバー16の周りでソーチェーン14を回転させるように構成された内燃機関12を備える。チェーンソー10の燃料タンク18が、一般に2行程機関である内燃機関12内で燃焼される燃料を入れておけるように構成されているとともに、ソーチェーンオイルタンク20が、ソーチェーン14がガイドバー16に沿って動くときにそれを滑りやすくするソーチェーンオイルを入れておけるように構成されている。燃料タンク18は、チェーンソー10のリアハンドル22と一体的に形成され、且つ継ぎ目すなわち接合部24に沿って融合されている2つの不透明なプラスチックタンク半体18a、18bを備える。タンク半体18a,18bの第1のタンク半体18aは、下記で詳細に説明するようにタンク半体18aと一体的に形成される透明な燃料点検窓26を備えている。チェーンソー10は、さらに、フロントハンドル28を備え、及びリアハンドル22は、内燃機関12を制御するためのトリガ部30を備えている。
【0033】
図2は、第1のタンク半体18aをその内部を見たように示している。タンク半体は、チェーンソー10(図1)のリアハンドル部分22a及び前底板32と一体的に形成される。タンク半体18aの実際の燃料容器壁を画成するタンク壁34が、補充用開口36を備えており、これは、図1の図では、タンク補充キャップ38によって閉鎖されている。図2の図は点検窓26も示しており、これは、点検窓26の周りに延びる取付縁40に沿ってタンク壁34と接合されている。
【0034】
図3A及び図3Bの斜視図は、点検窓26を、タンク半体18aにある点検窓アパーチャ27内でのその位置と一緒に、詳細に示している。点検窓26は、取付縁40で囲繞される透明な点検領域42を備える。点検領域42は取付縁40よりも高く、点検領域42の外面41が、タンク壁34の外面43と概ね同一平面となるようにしている。2つの外側液化前駆体リッジ44a、44b(その機能については、下記でさらに説明する)が、取付縁40に沿って延びて、点検領域42の周りに閉ループを規定している。
【0035】
図4A図4Dは、2段式のショット射出成形(two-shot injection moulding)による、図1図2図3A及び図3Bのタンク半体18aを生産する方法を概略的に示している。図4Aから始めると、成形装置46は、第1の射出成形用金型50aに樹脂を射出するように接続された第1の樹脂射出装置48aと、第2の射出成形用金型50bに樹脂を射出するように接続された第2の樹脂射出装置48bとを備える。突出金型(ejector mould)支持体52は、第1の突出金型54aを第1の突出金型位置に保持するとともに、第2の突出金型54bを第2の金型位置に保持する。簡潔にするために、第1の突出金型54aのみを詳細に説明し、及び第2の突出金型54bは、説明が同一であり、又はさらには説明が省略されることが認識される。突出金型支持体52は、金型穴が開放している図4Aに示す位置と、金型穴が閉鎖している図4Bにおける位置との間で、軸Aに沿って移動可能である。さらに、突出金型支持体52は、軸Aの周りで回転自在であり、第1の突出金型54a及び第2の突出金型54bが互いの位置を変えることができるようにする。各突出金型54a、54bは、突出金型支持体52に対して静止位置に保持されるそれぞれの固定突出金型部分56と、それぞれの突出金型54a、54bの形状を変えるように突出金型支持体52内へ引き込められるそれぞれの引き込み式コア58とを備える。第1の突出金型54aは、コア58が非引き込み位置にある状態で示されているが、第2の突出金型54bは、コアが引き込み位置にある状態で示されている。
【0036】
図4Bは第1の成形ショットを示している。図4Bの位置では、第1の金型50a、54aは、第1の成形用キャビティ60を画成するように閉鎖されており、及び第1の樹脂射出装置48aは、透明な液化熱可塑性樹脂の第1の組成物49aを第1の成形用キャビティ60内へ射出し、点検窓26を形成する。点検窓26は、型を開放する前に、冷却及び凝固できる。
【0037】
図4Cは、成形用キャビティ60(図4B)を開放し、且つ第1の突出金型54aを、これまでは第2の突出金型54bによって保持されていた第2の金型位置へ回転させた後の、成形装置46を示している。さらに、コア58は引き込められて、点検窓26の取付縁40の2つの対向する側面を露出している。それにより、取付縁40は、次の成形ショットを行うための2つの側面のオーバーモールド境界面を形成し、これは図4Dに示されている。
【0038】
図4Dの図では、第2の射出成形用金型50b及び第1の突出金型54aは、第2の成形用キャビティ62を画成するために閉鎖されており、及び第2の樹脂射出装置48bは、液化された不透明な繊維強化熱可塑性樹脂の第2の組成物49bを第2の成形用キャビティ62内へ射出して、タンク壁34を形成する。図示の通り、第1の樹脂射出装置48a、及び射出成形用金型50aは、同じステップで次の点検窓を形成するために、第2の突出金型54bと一緒に使用され得る。タンク壁34を点検窓26上へオーバーモールドし、且つそのように形成された複合タンク半体を冷却及び凝固可能にした後、タンク半体は、装置46から取り出される。
【0039】
図5Aは、図4Dのオーバーモールディングステップ前の点検窓26を示しており、図5Bは、図5Aに示す点検窓26のB-Bに沿って取った断面の拡大図であり、図5Cは、図5Bの図面のさらなる拡大図である。図5Bの図から始めると、点検領域42の外面41は、わずかに凸状であるが、点検窓26の内面45は、対応する程度まで凹状である。上述したように、点検領域42の外面41は、タンク18(図1)の内部から離れる外向きの方向において、取付縁40の外面63よりも高い。より具体的には、取付縁40の外面63は、点検領域42の外面41と比べて、オフセット段47だけ、タンク18の内部の方へ向かってオフセットされている。点検窓26の内面は、対応するオフセット部49を提供し、概ね均一な厚さの点検窓26が点検領域42にわたって得られるようになっている。第1の組44の液化前駆体リッジ44a、44bが、取付縁40の外面63から延びている。第1の組44の液化前駆体リッジ44a、44bは、点検領域42の外面に対して垂直な面と概ね同じ方向において、取付縁40の面63よりも高い。第2の組64の液化前駆体リッジ64a、64bが取付縁40の内面65から延び、ここでは、外側及び内側の方向は、タンク18(図1)の外部及び内部に関連して解釈されるべきである。図4Dに示す第2の成形ショットでは、取付縁40は、両組44、64の液化前駆体リッジを覆うために2つの対向する側面にオーバーモールドされ、それにより、本実矧ぎを形成する。オーバーモールドする際、樹脂の第2の組成物がオーバーモールド境界面へ射出されて、液化前駆体リッジ44、64を少なくとも部分的に溶融させ、それにより、タンク壁34(図1)の材料と点検窓26の材料を液化前駆体リッジ44、64に沿って混合させることができる。これにより、タンク壁と点検窓との間の境界面を、高機械的強度にし、且つ漏れに対する緊密性が良好なものにする。図5Cの拡大図は、液化前駆体リッジ44aを詳細に示している。液化前駆体リッジ44aは、取付縁40(図5B)の外面63から約0.4mmのリッジ高さHまで延び、且つ約35°の上部鋭角αを形成する。その高さHの半分の高さにおいて、液化前駆体リッジ44aの幅Wは約0.13mmである。
【0040】
図6Aは、図4Dの第2の成形ショット後の第1のタンク半体18aを示しており、図6Bは、図6AのB-Bに沿って取った断面を示している。図6Cは、図6Bの図面の一部分の拡大図であり、図6Dは、図6Cの図面の一部分のさらなる拡大図である。図6Cに示すように、点検窓26の取付縁40は、本実矧ぎの突起を形成し、及びタンク壁34は溝を形成している。それにより、タンク壁34が点検窓26の取付縁40上にオーバーモールドされたときに、タンク壁34が凝固する最中に発生するいずれの収縮も、本実矧ぎの液密性を維持するのに寄与する。突起は、タンク壁34に対して概ね平行な方向に沿って延びる。
【0041】
図6Dは、タンク壁34の凝固後の点検窓26とタンク壁34との間の継ぎ目すなわち接合部を示している。ここでは、液化前駆体リッジ44a,44b,64a,64bは、タンク壁34の材料に溶け込み、液密の継ぎ目を規定している。図6Dはまた、双方とも例として約1.5mmとし得るタンク壁厚T1及び点検窓厚T2に対する液化前駆体リッジ44a,44b,64a,64bのサイズを概略的に示している。取付縁40(図5B)の外面63(図5B)と点検領域42(図5B)の外面41との間のオフセット部47によって、点検窓26の外面41と位置が概ね一致するタンク壁34の外面43のオーバーモールドを可能にする。
【0042】
図7A及び図7Bは、拡大の程度を増して、タンク壁34と点検窓26との間の境界面の第2の実施形態を示している。第2の実施形態は、タンク壁34と点検窓26との間の境界の縁が本実矧ぎを形成しないことを除いて、上記で詳細に説明した実施形態と同一である。これは、抜き型(extractor mould)のいずれかの引き込み式コアの必要性を低下させるため、2個取り成形プロセスを単純にし得る。
【0043】
図8は、上記で詳細に説明したプラスチックタンク半体18aを生産する方法を示している。
第1のステップ801では、点検窓26が、液化プラスチックの第1の組成物を第1の突出金型54a(図4B)上に射出することによって、成形される。
【0044】
第2のステップ802では、タンク壁34が、液化プラスチックの第2の組成物を第1の突出金型54a(図4D)上に射出し、それにより液化前駆体リッジ44、64(図5B)をオーバーモールドし且つ部分的に液化することによって、成形される。
【0045】
第3のステップ803では、射出されたプラスチックの第2の組成物が、部分的に液化した液化前駆体リッジ44、64と一緒に凝固可能にし、それにより、タンク壁34と点検窓26との間を結合する。
【0046】
本発明は、主に、いくつかの実施形態を参照して、上記で説明された。しかしながら、当業者には容易に認識されるように、上記で開示したもの以外の他の実施形態が、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲内で等しく可能である。例として、上記で説明した実施形態によれば、タンク壁は点検窓上にオーバーモールドされる。代替例として、点検窓はタンク壁上にオーバーモールドされてもよい。そのような実施形態では、タンク壁の点検窓アパーチャに沿った取付縁は、1つ又は複数の液化前駆体リッジを備え得る。さらに、上記で詳細に説明した方法によれば、点検窓はタンク壁と同じ成形ツール内で成形される。これは必須ではないことが明らかである。点検窓は、初めに第1の金型内で成形される。その後、点検窓は、第1の金型から取り出され、且つタンク壁とのオーバーモールドのために第2の金型内に配置される。これは、手動で行われても、又はロボットによって自動的に行われてもよい。
【0047】
特許請求の範囲では、語「備える/からなる(comprising)」は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B-6D】
図7A-7B】
図8
【国際調査報告】