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特表2022-549469欠陥確率分布および限界寸法変動に基づくリソグラフィ改良
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  • 特表-欠陥確率分布および限界寸法変動に基づくリソグラフィ改良 図1
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  • 特表-欠陥確率分布および限界寸法変動に基づくリソグラフィ改良 図6A
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  • 特表-欠陥確率分布および限界寸法変動に基づくリソグラフィ改良 図7
  • 特表-欠陥確率分布および限界寸法変動に基づくリソグラフィ改良 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-25
(54)【発明の名称】欠陥確率分布および限界寸法変動に基づくリソグラフィ改良
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20221117BHJP
   G03F 1/70 20120101ALI20221117BHJP
   G03F 1/22 20120101ALI20221117BHJP
   G03F 1/26 20120101ALI20221117BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 503
G03F1/70
G03F1/22
G03F1/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518934
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 US2020052560
(87)【国際公開番号】W WO2021062040
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】62/907,901
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/905,771
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VERILOG
(71)【出願人】
【識別番号】597035274
【氏名又は名称】シノプシス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SYN0PSYS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】メルヴィン ローレンス エス ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】カンデル ユディシュティール プラサド
(72)【発明者】
【氏名】ヤン キリアン
(72)【発明者】
【氏名】クロスターマン ウルリッチ カール
【テーマコード(参考)】
2H195
2H197
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BB02
2H195BB03
2H197CB21
2H197DA02
2H197DA03
2H197DB06
2H197DB11
2H197JA22
2H197JA24
(57)【要約】
いくつかの態様は、リソグラフィ構成を改良する方法に関する。このリソグラフィ構成において、光源は、ウェハ上のレジストを露光するためにマスクを照明する。プロセッサは、欠陥ベース焦点露光ウィンドウ(FEW)を決定する。欠陥ベースFEWは、ウェハ上の欠陥の許容可能レベルに関するリソグラフィ構成のための焦点深度および露光寛容度の範囲である。欠陥ベースFEWは、ウェハ上の欠陥の発生についての予測される確率分布に基づいて決定される。プロセッサは、限界寸法(CD)ベースFEWも決定する。CDベースFEWは、ウェハ上のCD変動の許容可能レベルに関するリソグラフィ構成のための焦点深度および露光寛容度の範囲である。それは、ウェハ上の予測されるCDに基づいて決定される。リソグラフィ構成は、欠陥ベースFEWとCDベースFEWの間の重複の範囲を増大させることに基づいて修正される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ上のレジストを露光するためにマスクを照明する光源を備えたリソグラフィ構成を改良する方法であって、
プロセッサが、前記ウェハ上の欠陥の発生についての予測される確率分布に基づいて欠陥ベース焦点露光ウィンドウ(FEW)を決定するステップであって、前記欠陥ベースFEWは、前記ウェハ上の欠陥の許容可能レベルに関する前記リソグラフィ構成のための焦点深度および露光寛容度の範囲である、決定するステップと、
プロセッサが、前記ウェハ上の予測されるCDに基づいて限界寸法(CD)ベースFEWを決定するステップであって、前記CDベースFEWは、前記ウェハ上のCD変動の許容可能レベルに関する前記リソグラフィ構成のための焦点深度および露光寛容度の範囲である、決定するステップと、
前記欠陥ベースFEWと前記CDベースFEWの間の重複の範囲を増大させることに基づいて前記リソグラフィ構成を改良するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記欠陥ベースFEWを決定するステップは、前記ウェハについての欠陥率に基づき、前記ウェハについての前記欠陥率は、前記ウェハ上の欠陥の発生についての前記予測される確率分布に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リソグラフィ構成は、極端紫外線(EUV)波長レンジで動作し、前記ウェハ上の欠陥の発生についての前記確率分布は、前記レジストを露光する光子の確率論的変動の結果である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウェハ上の欠陥の発生についての前記確率分布は、前記リソグラフィ構成における確率論的変動についての確率分布を使用して計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ウェハ上の欠陥の発生についての前記確率分布は、前記リソグラフィ構成のモンテカルロシミュレーションを使用して計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ウェハ上の欠陥の発生についての前記確率分布を予測するステップをさらに含み、前記欠陥の発生についての前記確率分布を予測するステップは、
前記レジストを露光する光信号についての外形を決定するステップであって、前記光信号は確率分布によって特徴付けられる、決定するステップと、
前記光信号の強度の少なくとも一部に基づいて第1のパラメータを定めるステップと、
前記レジストによって吸収される前記光信号の一部を示す第2のパラメータを定めるステップと、
前記光信号外形ならびに前記第1および第2のパラメータの少なくとも一部に基づいて前記欠陥の発生についての前記確率分布を予測するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記リソグラフィ構成を改良するステップは、
前記欠陥ベースFEWと前記CDベースFEWの間の重複の前記範囲を増大させることに基づいて前記光源を改良するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記リソグラフィ構成を改良するステップは、
前記欠陥ベースFEWと前記CDベースFEWの間の重複の前記範囲を増大させることに基づいて前記マスクを改良するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マスクを改良するステップは、
前記マスクを改良するためにサブ解像度アシスト特徴および光近接効果補正の少なくとも1つを使用するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記マスクは、位相シフト要素を含み、前記マスクを改良するステップは、
前記欠陥ベースFEWと前記CDベースFEWの間の重複の前記範囲を増大させることに基づいて前記位相シフト要素を改良するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記リソグラフィ構成は、極端紫外線(EUV)波長レンジで、および14nm以下の特徴サイズを用いるテクノロジーノードで動作する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記リソグラフィ構成を改良するステップは、
前記欠陥ベースFEWと前記CDベースFEWの間の重複の前記範囲の関数であるコスト関数を定めるステップと、
前記コスト関数を改良することに基づいて前記リソグラフィ構成を改良するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ウェハ上のレジストを露光するためにマスクを照明する光源を備えたリソグラフィ構成を改良するシステムであって、
命令を記憶するメモリと、
前記メモリと結合され、前記命令を実行するプロセッサと、を備え、前記命令は、実行されるときに、前記プロセッサに、
前記ウェハ上の欠陥の発生についての予測される確率分布に基づいて欠陥ベース焦点露光ウィンドウ(FEW)を決定し、前記欠陥ベースFEWは、前記ウェハ上の欠陥の許容可能レベルに関する前記リソグラフィ構成のための焦点深度および露光寛容度の範囲であり、
前記ウェハ上の予測されるCDに基づいて限界寸法(CD)ベースFEWを決定し、前記CDベースFEWは、前記ウェハ上のCD変動の許容可能レベルに関する前記リソグラフィ構成のための焦点深度および露光寛容度の範囲であり、
前記欠陥ベースFEWと前記CDベースFEWの間の重複の範囲を増大させることに基づいて前記リソグラフィ構成を改良させる、システム。
【請求項14】
前記リソグラフィ構成は、極端紫外線(EUV)波長レンジで動作し、前記ウェハ上の欠陥の発生についての前記確率分布は、前記レジストを露光する光子の確率論的変動の結果である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記リソグラフィ構成は、極端紫外線(EUV)波長レンジで、および14nm以下の特徴サイズを用いるテクノロジーノードで動作する、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
ウェハ上のレジストを露光するためにマスクを照明する光源を備えたリソグラフィ構成を改良するために記憶された命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに、
前記ウェハ上の欠陥の発生についての予測される確率分布に基づいて欠陥ベース焦点露光ウィンドウ(FEW)を決定させ、前記欠陥ベースFEWは、前記ウェハ上の欠陥の許容可能レベルに関する前記リソグラフィ構成のための焦点深度および露光寛容度の範囲であり、
前記ウェハ上の予測されるCDに基づいて限界寸法(CD)ベースFEWを決定させ、前記CDベースFEWは、前記ウェハ上のCD変動の許容可能レベルに関する前記リソグラフィ構成のための焦点深度および露光寛容度の範囲であり、
前記欠陥ベースFEWと前記CDベースFEWの間の重複の範囲を増大させることに基づいて前記リソグラフィ構成を改良させる、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記リソグラフィ構成を改良するステップは、
前記欠陥ベースFEWと前記CDベースFEWの間の重複の前記範囲を増大させることに基づいて前記光源を改良するステップを含む、請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記リソグラフィ構成を改良するステップは、
前記欠陥ベースFEWと前記CDベースFEWの間の重複の前記範囲を増大させることに基づいて前記マスクを改良するステップを含む、請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記リソグラフィ構成を改良するステップは、前記欠陥ベースFEWと前記CDベースFEWの整合を改良することに基づく、請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記リソグラフィ構成を改良するステップは、前記欠陥ベースFEWの前記範囲、および/または前記CDベースFEWの前記範囲を増大させることに基づく、請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2019年9月25日に出願した米国仮特許出願第62/905,771号、「Stochastic Window Centering for Semiconductor Process Defect Mode」、および2019年9月30日に出願した米国仮特許出願第62/907,901号、「Stochastic Window Centering for Semiconductor Process Defect Mode」の優先権を主張する。前述したもの全ての主題は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、リソグラフィに関し、より詳細には、リソグラフィプロセスを改善するために欠陥の予測と限界寸法の予測の両方を使用するリソグラフィに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウェハの製造のステップの1つは、リソグラフィを含む。典型的なリソグラフィプロセスでは、光源が光を作り出し、この光は、マスクを照明するために集光/照明光学系によって集められ、方向付けられる。投影光学系は、照明されたマスクによって作り出されたパターンをウェハ上へ中継し、照明パターンに従ってウェハ上のレジストを露光する。次いで、パターン化されたレジストは、ウェハ上に構造を製作するためのプロセスに使用される。所与のマスクについて、リソグラフィ装置は、許容可能な結果をなおもたらしつつ、あるレンジの焦点セッティングおよびあるレンジの露光セッティングについて動作させられ得る。このレンジは、焦点深度(例えば、焦点はナノメートルの単位で表される)、および露光寛容度(例えば、露光は平方センチメートル毎ミリジュールの単位で表される)と呼ばれる。許容可能な焦点深度および露光寛容度によって定められる範囲は、マスクのそのリソグラフィ構成、およびリソグラフィ装置についての焦点露光ウィンドウ(FEW:Focus Exposure Window)と呼ばれる。
【0004】
リソグラフィが、より短い波長レンジ(例えば、約13.3~13.7nmにおけるEUV)、ならびにより小さい寸法(例えば、10nm、7nm、およびより小さいテクノロジーノード、ならびに20nm、14nm、およびより小さい特徴サイズ)に移るにつれて、製造のばらつきに対する敏感さは増大する。例えば、光子エネルギーがより高くなると、等しいエネルギーの露光に対して光子カウントが小さくなる。これは、より長い波長およびより大きい寸法では無視できたまたは存在しなかった確率論的な欠陥メカニズムという結果になり得る。リソグラフィ最適化に対する現在の手法は、これらの影響を無視している可能性があり、したがって、次善最適な(suboptimal)リソグラフィ構成という結果になっている可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの態様は、リソグラフィ構成を改良する方法に関する。このリソグラフィ構成において、光源は、ウェハ上のレジストを露光するためにマスクを照明する。プロセッサは、欠陥ベース焦点露光ウィンドウ(FEW)を決定する。欠陥ベースFEWは、ウェハ上の欠陥の許容可能レベルに関するリソグラフィ構成のための焦点深度および露光寛容度の範囲である。欠陥ベースFEWは、ウェハ上の欠陥の発生についての予測される確率分布に基づいて決定される。プロセッサは、限界寸法(CD)ベースFEWも決定する。CDベースFEWは、ウェハ上のCD変動の許容可能レベルに関するリソグラフィ構成のための焦点深度および露光寛容度の範囲である。それは、ウェハ上の予測されるCDに基づいて決定される。リソグラフィ構成は、欠陥ベースFEWとCDベースFEWの間の重複の範囲を増大させることに基づいて修正される。
【0006】
他の態様は、コンポーネント、デバイス、システム、改良、方法、プロセス。アプリケーション、コンピュータ可読媒体、および上記のいずれかに関連した他の技術を含む。
【0007】
特許または出願のファイルは、カラーで実施される少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴う本特許または特許出願の公報の写しは、要求し必要な手数料を支払うと官庁より提供される。
【0008】
本開示は、本開示の実施形態のかかる以下に与えられる詳細な説明および添付図面からより完全に理解される。図は、本開示の実施形態の知識および理解を与えるために使用され、これらの特定の実施形態に本開示の範囲を限定するものではない。さらに、図は、必ずしも原寸とは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態と共に使用するのに適したEUVリソグラフィシステムを示す図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による限界寸法および欠陥確率モデルに基づいてリソグラフィシステムを改良するフローチャートである。
図3】光源を最適化することに基づいてリソグラフィシステムを改良するためのフローチャートである。
図4】マスクを最適化することに基づいてリソグラフィシステムを改良するためのフローチャートである。
図5】確率論的モデルを生成するためのフローチャートである。
図6A】CDベースプロセスウィンドウおよび欠陥ベースプロセスウィンドウを使用した光源マスク最適化の一例を示す図である。
図6B】CDベースプロセスウィンドウおよび欠陥ベースプロセスウィンドウを使用した光源マスク最適化の一例を示す図である。
図6C】CDベースプロセスウィンドウおよび欠陥ベースプロセスウィンドウを使用した光源マスク最適化の一例を示す図である。
図7】本開示のいくつかの実施形態による集積回路の設計および製造中に使用される様々なプロセスのフローチャートである。
図8】本開示の実施形態が動作し得る一例のコンピュータシステムの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の態様は、欠陥確率分布(defect probability distribution)および限界寸法変動(critical dimension variations)に基づくリソグラフィ改良に関する。半導体デバイスを製造するために、リソグラフィツールが、所与のマスクのためのあるレンジの焦点セッティングおよび露光セッティングにおいてイメージできなければならない。このレンジは、焦点深度(例えば、焦点はナノメートル単位で測定される)および露光寛容度(例えば、露光は平方センチメートル毎ミリジュールの単位で測定される)と呼ばれる。焦点深度および露光寛容度は、2次元空間を定める。リソグラフィツールは、ある範囲の空間にわたってウェハ上の限界寸法(CD)の要件を満たす。その範囲は、プロセスウィンドウまたは焦点露光ウィンドウ(focus exposure window,FEW)と呼ばれ得る。さらに、リソグラフィプロセスにおける確率論的変動から生じるランダムなパターン不良は、焦点深度および露光寛容度によってやはり影響を受ける。したがって、2つのFEW、すなわち、1つはCD変動に基づき(CDベースプロセスウィンドウ)、1つは欠陥が発生する確率に基づく(欠陥ベースプロセスウィンドウ)がある。
【0011】
典型的な設計手法では、これらの2つのプロセスウィンドウは、大きい範囲の重複を有することができない。例えば、確率論的変動が無視できると仮定される場合または他の方法で無視される場合、欠陥ベースプロセスウィンドウは、設計プロセスにおいて考慮されない。結果として得られる設計は、CDベースプロセスウィンドウとかなり大きく重複しない欠陥ベースプロセスウィンドウを有し得る。これは、全体的な歩留まりを減少させる。逆に、設計段階でCD変動と欠陥確率分布の両方を考慮することにより、2つのプロセスウィンドウ間により大きい重複を伴うリソグラフィ構成をもたらすことができ、したがってリソグラフィ装置の動作においてより大きい公差をもたらすとともに、歩留まりを増大させる。
【0012】
図1は、本開示の実施形態と共に使用するのに適した極端紫外線(EUV)リソグラフィシステムを示す。このシステムでは、光源110は、EUV光を作り出し、このEUV光は、マスク130を照明するために集光/照明光学系120によって集められ、方向付けられる。投影光学系140は、照明されたマスクによって作り出されたパターンをウェハ150へ中継し、照明パターンに従ってウェハ上のレジストを露光する。次いで、露光されたレジストは現像され、ウェハ上にパターン化されたレジストを作り出す。これは、例えば、堆積、ドーピング、エッチング、または他のプロセスによってウェハ上に構造を製作するために使用される。
【0013】
図1において、光は、EUV波長レンジ内、13.5nmあたり、またはレンジ13.3~13.7nm内にある。これらの波長において、典型的には、コンポーネントは、透過性ではなく反射性である。マスク130は、反射性マスクであり、光学系120、140は、反射性および軸外でもある。これは、ほんの一例である。他の波長を含む、透過性マスクおよび/または光学系を使用する、ならびにポジ型レジストまたはネガ型レジストを使用する他のタイプのリソグラフィシステムが、やはり使用されてもよい。
【0014】
図2は、限界寸法および欠陥確率モデルに基づいてリソグラフィシステムを改良するフローチャートを示す。破線の枠は、リソグラフィ構成200全体のシミュレーションまたはモデルを含む。便宜のために、別個の枠は、物理的コンポーネントまたはプロセスに対応するように示されるが、シミュレーションは、このように実施される必要はない。例えば、光源210は、光源110のモデルを表し、照明光学系212は、照明光学系120の効果を表す。これらは、マスクの光源照明215を予測するために使用される。しかしながら、実際のシミュレーションは、光源210および光学系212についての別個のモデルを使用してもしなくてもよい。いくつかのケースでは、2つが、光源照明215を予測する単一のモデルまたはシミュレーションに組み合わされてもよい。マスク220は、入射照明215に対するマスク130の効果をモデル化する。投影光学系222は、光学系140の効果を表す。光源照明215は、マスク220によってフィルタ処理され、投影光学系220によって中継されて、ウェハ上のレジストを露光する空間像(aerial image)225を作り出す。レジストは、露光230および現像232によってモデル化され、パターン化されたレジスト235という結果になる。さらなるモデル化が、エッチング、ドーピング、堆積、または他の半導体製作プロセスを予測するために使用されてもよい。
【0015】
パターン化されたレジスト235の品質の尺度の1つは、限界寸法(CD)である。CDは、パターン化されたレジストにおける重要な特徴の寸法である。典型的には、CDは、レジストに印刷された最小線幅またはスペース幅である。したがって、CDは、レジストおよびリソグラフィプロセスの解像度の尺度である。モデル200は、所与のリソグラフィ構成についてのCDを予測する260ために使用され得る。リソグラフィ構成200の変更は、パターン化されたレジスト235の変更、およびCDの変動262という結果になる。
【0016】
リソグラフィシステムについての2つの重要な動作パラメータは、露光および焦点である。露光(または露光量)は、レジストを照射するエネルギーの量である。露光の変動は、露光寛容度と呼ばれ得る。焦点は、異なるコンポーネントの光学的整合を指し、例えば、マスクをレジストへ完全に映すためにどの程度まで投影光学系が整合されるのかを指す。焦点の変動は、焦点ぼけと呼ばれ得る。モデル200の場合、露光寛容度および焦点ぼけの関数としてのCD変動262は、予測され得る。逆に、CD変動の許容可能レベルをもたらす露光寛容度および焦点ぼけの値も、予測され得る。これは、CDベースプロセスウィンドウ265と呼ばれる。
【0017】
パターン化されたレジスト235の品質の別の尺度は、欠陥である。欠陥の例は、別個であるように思われる2つの印刷された線が合併されるとき、連続的であるように思われる印刷された線が破断を有するとき、および中央に穴を有するように思われる印刷された特徴が実際に埋められるときを含む。
【0018】
リソグラフィプロセスは、確率論的変動を有する。例えば、レジストパターン235の品質は、露光中の光子吸収イベントの均一性、およびレジストにおける続く光化学反応の均一性に依存する。光子吸収イベントの数はリソグラフィプロセスにおける一連の確率論的なプロセスの1つであるので、光源光子カウント出力が減少するにつれて、光子統計(例えば、ショットノイズ)は次第に重要になる。EUVリソグラフィシステムは、ツールを通じた低い光子出力と低い光源スループットの両方によって特徴付けられる。これらの理由のために、光子ショットノイズは、特に、14nm以下の特徴サイズを用いるテクノロジーノードにおいて、EUVシステムにおけるより大きい役割を果し得る。確率論的なプロセスの説明は、決定論的ではなく確率論的272である欠陥予測270という結果になる。例えば、シミュレーションは、ウェハ上の欠陥の発生についての確率分布を生成することができ、ウェハ(またはウェハの一部)についての任意の特定の欠陥が実現する確率または欠陥率(defectivity rate)を生成することができる。
【0019】
欠陥確率272を予測する能力を露光寛容度および焦点ぼけの関数として与えると、欠陥ベースプロセスウィンドウ275を決定することもできる。これは、欠陥確率の許容可能レベルをもたらす露光寛容度および焦点ぼけの値である。
【0020】
CDベースプロセスウィンドウ265および欠陥ベースプロセスウィンドウ275を与えると、2つのウィンドウ間の重複280を決定することができる。これは、CD変動および欠陥確率に少なくとも関する使用可能なプロセスウィンドウを表す。2つの別個のプロセスウィンドウ265、275が大きい場合でも、プロセスウィンドウ265、275が互いに対してシフトされる場合、使用可能なプロセスウィンドウ280は、相対的に小さい。したがって、リソグラフィ構成200を改良する290ことができて、重複の範囲を改良する。いくつかのケースでは、互いに対して2つのプロセスウィンドウ265、275の整合またはセンタリングを改良することによって、重複の範囲280を増大させることができる。他のケースでは、1つまたは両方のプロセスウィンドウ265、275の範囲を増大させることによって、重複の範囲280を増大させることができる。
【0021】
図3および図4は、リソグラフィ構成の異なるタイプの改良を示す。図3において、光源照明215は、例えば、光源210を改良390することによって改良される。ある手法では、光源形状を最適化して欠陥を防ぐために、欠陥確率モデルが光源マスク最適化(SMO)に使用される。光源形状をドライブしてウェハ上の欠陥を減少させるために、コスト関数がSMOと共に使用される。これは、より多くの光子(より高い露光エネルギー)が所望のCDを達成することを可能にする最終的な光源形状を構築することによって達成され得る。欠陥の確率は、光子の数に反比例する。しかしながら、CDも、光子の数と共に変化し、したがって光源は、これらの2つの影響を説明しなければならない。
【0022】
光源が選ばれると、次いで、リソグラフィ構成の他の部分を最適化すること、例えば、マスクをさらに最適化することも可能である。これは、光近接効果補正(OPC)、サブ解像度アシスト特徴(sub-resolution assist feature,SRAF)、および/または(位相シフトマスクの場合には)位相シフトによって達成することができる。図4に示されるように、これらのマスク最適化技法は、光源最適化から独立して、マスクを改良する490ために使用することもできる。
【0023】
これらの最適化のケースでは、コスト関数を使用して、欠陥が発生する確率を減少させることができる。例えば、欠陥が発生する確率が、3シグマから5シグマ改良され得る。
【0024】
図2図4では、欠陥確率272は、異なるやり方で計算することができる。ある手法では、ウェハ上の欠陥の発生についての確率分布は、リソグラフィ構成における確率論的変動についての確率分布を使用して計算される。例えば、光子カウントは、単位面積当たりの光子の総数に依存して知られている分布を有することができる。シミュレーションは、レジストを露光する光子の平均数を予測でき、次いで、これは、光子カウントの平均数に基づく確率分布と重ね合わされてもよい。類似の手法が、他の確率論的変動に使用されてもよい。確率分布は、第1の原理、発見的近似、または経験的観察に基づくことができる。
【0025】
代替として、リソグラフィ構成200のモデル化における異なる成分は、確率論的成分(stochastic component)を有してもよく、これらは、シミュレーションによって広げられ得る。例えば、全ての確率論的成分は、ガウス分布を有すると仮定する。その場合には、シミュレーションにおける異なる点における確率分布は、ミュレーションにおいてその点における平均および分散を計算することによって追跡され得る。光源210がある平均および分散を有し、照明光学系212の効果が知られている場合、光源照明215の平均および分散を計算することができる。異なる成分は、それ自体でやはり確率論的であり得る。例えば、マスク220からの散乱は、いくらかの確率論的変動を有する可能性があり、これは、光源照明215に加えられる。
【0026】
図5は、確率論的モデルを作り出す一例のフローチャートを示す。示されているように、第1の較正510中、レジストプロセスのパラメータ514は、レジストモデル516を生成するために光学モデル512と共に使用される。確率論的較正520中、確率論的パラメータ522はレジストモデル516と共に、確率論的モデル524を生成するように使用される。いくつかの実施形態では、光学モデル512およびレジストモデル516は、光信号に関連した光信号強度および光信号閾値を決定する。いくつかの実施形態では、確率論的モデル524は、光信号に関連した決定された光信号強度および決定された光信号閾値を取得する。代替として、いくつかの実施形態では、確率論的モデル524は、光信号強度および光信号閾値を決定する。
【0027】
いくつかの実施形態では、光信号閾値を使用して光信号外形を抽出することが、実行される。光信号外形を抽出することは、確率論的に実行することができる。概して、光信号強度I(x)、および光信号が到達している面上の点xなどの2変数の関数についての等高線(contour line)は、等しい値の点を曲線がつなぐような関数が一定の値を有する曲線である。いくつかの実施形態では、光信号外形は、x平面に平行な関数I(x)の2次元グラフの平面セクション(plane section)である。いくつかの実施形態では、光信号に関連した信号場が作り出される。その後、光信号に関連したパターン転写についての光信号閾値が決定される。いくつかの実施形態では、光信号閾値は、一定数である。いくつかの実施形態では、光信号閾値は、すなわちある範囲に関連した露光量によって除算されたカットオフ量である、ある点に到達することが期待されるいくつかの光子によって定められる。例えば、光信号閾値が0.2であり、ある範囲に関連した露光量が平方ナノメートルあたり20光子である場合、1平方ナノメートルの断面を有する特定の範囲が4光子(すなわち、20*0.2)のカットオフ量より少ないまたはより多いものを受け取る確率は、特定の範囲上のエッジの形成上の不確かさを示す。いくつかの実施形態では、エッジは、光信号閾値位置において無限の傾斜および湾曲を有さず、これは、隣接したボクセル、すなわち、3次元ピクセルの相関効果が考慮されると、可能な有限のボケという結果になる。一例として、ポジトーン現像(positive tone development)の場合、光信号閾値を上回る光信号は、クリアであると想定され、光信号閾値を下回る光信号は、そっくりそのままであると想定される。
【0028】
さらなる詳細は、米国仮出願第62/980,913号の「Stochastic Signal Prediction in Compact Modeling」、および第63/035,468号の「Calibrating Stochastic Signals in Compact Modeling」に見ることができ、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
さらに別の手法では、欠陥についての確率分布は、モンテカルロ法を使用して生成することができる。
【0030】
図6A図6Cは、上述した技法を使用して光源マスク最適化の一例を示す。各図は、図6Aから図6Cへ進行する異なる状況を示す。各図内で、より小さい白黒画像は、光源マスク610である。メインの色画像は、焦点ぼけ(x軸)および露光寛容度(y軸)の関数として様々な量を示す。
【0031】
図6Aは、光源マスク最適化が行われた後の状況を示すが、CDの影響だけを考慮し、確率論的欠陥を考慮していない。結果として得られる光源マスク610Aが示されている。図6Aは、2つの曲線間の帯が許容可能なCD変動の範囲である同じ色の曲線ペアを示す。濃い青緑色領域620Aは、それが全ての曲線ペアの内側帯に入るので、全ての曲線について全体的に許容可能なプロセスウィンドウを表す。楕円形665Aは、濃い青緑色領域620A内に内接した最良フィットの楕円形である。楕円形665Aは、6%の露光寛容度および118mmの焦点深度を有するが、それはCDベースプロセスウィンドウだけを表す。
【0032】
図6Bは、図6Aと同じ状況についての欠陥ベースプロセスウィンドウを示す。マスク 610Aは、図6Bと同じである。図6Aの曲線ペアは、明確にするために示されていない。図6Bの新しい色曲線は、許容可能な欠陥確率の範囲を表す。濃い青緑色領域620Bは、それが全ての色曲線の許容可能帯に入るので、全ての曲線についての許容可能なプロセスウィンドウ全体を表す。楕円形675Bは、濃い青緑色領域620B内に内接した最良フィットの楕円形である。楕円形675Bは、6%の露光寛容度および43nmの焦点深度を有する。これは、図6Aのプロセスウィンドウ680Aよりもずっと小さいが、それがやはり欠陥を説明するので、それは、光源マスク610Aについての実際のプロセスウィンドウである。
【0033】
図6Cは、CD影響と確率論的欠陥の両方を考慮する光源マスクが最適化されるときの状況を示す。便宜のために、欠陥確率についての色曲線だけが示されている。CD色曲線は、CD色曲線が限定するものとしてではないので、示されていない。結果として得られる光源マスク610Cは、前とは異なる。しかしながら、プロセスウィンドウ680C全体は、6%の露光寛容度および70nmの焦点深度を有し、プロセスウィンドウ680Cは、図6Aおよび図6Bの使用可能なプロセスウィンドウよりもかなり大きい。
【0034】
図7は、集積回路を表す設計データおよび命令を変換および検証するために集積回路などの製品の設計、検証、および製造中に使用される例示的な一組のプロセス700を示す。これらのプロセスの各々は、複数のモジュールまたは演算部(operation)として構築およびイネーブルすることができる。用語「EDA」は、用語「電子設計自動化(Electronic Design Automation)」を表す。これらのプロセスは、設計者によって供給された情報をともなう製品アイデア710の生成から始まり、その情報は一組のEDAプロセス712を使用する製品を作り出すために変換されたものである。設計が完成されるとき、設計はテープアウトされ734、設計は集積回路のためのアートワーク(例えば、幾何学的パターン)が製造設備へ送られるときにマスクセットを製造するためのものであり、次いでマスクセットを使用して集積回路を製造する。テープアウト後、半導体ダイが製作され736、パッケージングおよびアセンブリプロセス738が実行されて、完成した集積回路740を作り出す。
【0035】
回路または電子構造についての仕様は、低レベルトランジスタ材料レイアウトから高レベル記述言語まで及び得る。VHDL、Verilog、SystemVerilog、SystemC、MyHDL、またはOpenVeraなどのハードウェア記述言語(「HDL」)を使用して回路およびシステムを設計するために、高レベルの抽象化が使用され得る。HDL記述は、論理レベルレジスタ転送レベル(「RTL」)記述、ゲートレベル記述、レイアウトレベル記述、またはマスクレベル記述へ変換することができる。あまり抽象的でない記述である各低抽象化レベルが、より役立つ詳細を設計記述に加える、例えば、記述を含むモジュールについてのより詳細を設計記述に加える。あまり抽象的でない記述である低レベルの抽象化は、コンピュータによって生成され得る、設計ライブラリから得られ得る、または別の設計自動化プロセスによって作り出され得る。より詳細な記述を特定するための低レベルの抽象化言語における仕様言語の一例は、SPICEであり、多くのアナログコンポーネントを有する回路の詳細な説明のために使用される。抽象化の各レベルにおける記述は、その層の対応するツール(例えば、フォーマル検証ツール)による使用のために可能にされる。設計プロセスは、図7に示されたシーケンスを使用することができる。プロセスは、EDA製品(またはツール)によって可能にされることで説明される。
【0036】
システム設計714中、製造される集積回路の機能性が特定される。設計は、消費電力、性能、範囲(物理的および/またはラインズオブコード)、およびコスト削減等などの所望の特性について最適化され得る。設計を異なるタイプのモジュールまたはコンポーネントに分けるのは、このステージで行われ得る。
【0037】
論理設計および機能検証716中、回路中のモジュールまたはコンポーネントは、1種または複数種の記述言語において特定され、仕様は機能精度について検査される。例えば、回路のコンポーネントは、設計されている回路またはシステムの仕様の要件に適合する出力を生成するために検証され得る。機能検証は、テストベンチジェネレータ、スタティックHDLチェッカ、およびフォーマルベリファイアなどのシミュレータおよび他のプログラムを使用することができる。いくつかの実施形態では、「エミュレータ」または「プロトタイピングシステム」と呼ばれるコンポーネントの特殊なシステムが、機能検証をスピードアップするために使用される。
【0038】
テスト718についての合成および設計中、HDLコードは、ネットリストへ変換される。いくつかの実施形態では、ネットリストは、グラフ構造のエッジが回路のコンポーネントを表し、グラフ構造のノードが、コンポーネントの相互接続の仕方を表すグラフ構造であり得る。HDLコードとネットリストの両方は、製造時に集積回路が特定の設計に従って実行することを検証するためにEDA製品によって使用できる階層的な製造品である。ネットリストは、ターゲット半導体製造技術に最適化されることができる。さらに、完成した集積回路は、集積回路が仕様の要件を満足することを検証するためにテストされ得る。
【0039】
ネットリスト検証720中、ネットリストは、タイミング制約の順守およびHDLコードとの対応について検査される。設計計画722中、集積回路についての全体的なフロアプランは、タイミングおよびトップレベルルーティングについて構築および解析される。
【0040】
レイアウトまたはフィジカルインプリメンテーション724中、物理的配置(トランジスタまたはキャパシタなどの回路コンポーネントの配置)およびルーティング(複数の導体による回路コンポーネントの接続)が行われ、特定の論理機能を可能にするためのライブラリからのセルの選択が実行され得る。本明細書中で使用されるとき、用語「セル」は、一組のトランジスタ、他のコンポーネント、およびブール論理関数(例えば、AND、OR、NOT、XOR)、または記憶機能(例えば、フリップフロップまたはラッチ)を与える相互接続を特定し得る。本明細書中で使用されるとき、回路「ブロック」は、2つ以上のセルを指し得る。セルと回路ブロックの両方は、モジュールまたはコンポーネントと呼ばれてもよく、物理的構造としておよびシミュレーションにおいて共に可能にされる。パラメータは、サイズなど、(「標準セル」に基づいて)選択されたセルについて特定され、EDA製品によって使用するためのデータベースにアクセス可能にされる。
【0041】
解析および抽出726中、回路機能は、レイアウトレベルで検証され、これによりレイアウト設計の洗練を可能にする。フィジカル検証728中、レイアウト設計は、DRC制約、電気的制約、リソグラフィ制約などの製造上の制約が正しいこと、および回路機能がHDL設計仕様に適合することを確実にするために検査される。解像度向上730中、レイアウトのジオメトリは、回路設計の製造の仕方を改良するために変形される。
【0042】
テープアウト中、データは、(必要に応じて、リソグラフィ強化が適用された後に)リソグラフィマスクの生産のために使用されるように生成される。マスクデータプレパレーション732中、「テープアウト」データは、完成した集積回路を作り出すために使用されるリソグラフィマスクを作り出すために使用される。
【0043】
図8のコンピュータシステム800などの)コンピュータシステムの記憶サブシステムは、本明細書に記載されたEDA製品、ならびにライブラリのためのおよびライブラリを使用する物理的および論理的設計のためのセルの開発に使用される製品の一部または全部によって使用されるプログラムおよびデータ構造を記憶するために使用され得る。
【0044】
図8は、本明細書中に述べられた方法論の任意の1つまたは複数を機械に行わせるための一組の命令が実行されるコンピュータシステム800の例示的な機械を示す。代替の実施において、機械は、LAN、イントラネット、エキストラネット、および/またはインターネット内の他の機械に接続(例えば、ネットワーク化)されてもよい。機械は、クライアントサーバネットワーク環境内のサーバまたはクライアントマシンのキャパシティ内で、ピアツーピア(または分散)ネットワーク環境中のピアマシンとして、あるいはクラウドコンピューティングインフラストラクチャまたは環境中のサーバまたはクライアントマシンとして動作することができる。
【0045】
機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはその機械によってとられるアクションを(シーケンシャルまたは他の方法で)特定する一組の命令を実行できる任意の機械であり得る。さらに、単一の機械が示されているが、用語「機械」は、 本明細書中で述べられた方法論のいずれか1つまたは複数を実行するために1セット(または複数のセット)の命令を個々にまたは共同で実行する任意の機械の集合体を含むようにとらえられるものともする。
【0046】
例のコンピュータシステム800は、処理デバイス802と、メインメモリ804(例えば、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、例えば、シンクロナスDRAM(SDRAM)、スタティックメモリ806(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)等)と、データ記憶デバイス818とを含み、これらは、バス830を介して互いに通信する。
【0047】
処理デバイス802は、マイクロプロセッサ、中央処理ユニット等などの1つまたは複数のプロセッサを表す。より詳細には、処理デバイスは、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、または他の命令セットを実施するプロセッサ、あるいは命令セットの組合せを実施するプロセッサであり得る。処理デバイス802は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ等などの1つまたは複数の専用処理デバイスでもあり得る。処理デバイス802は、本明細書中で説明された動作およびステップを実行するために命令826を実行するように構成されてもよい。
【0048】
コンピュータシステム800は、ネットワーク820で通信するためにネットワークインタフェースデバイス808をさらに含んでもよい。コンピュータシステム800は、ビデオ表示ユニット810(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)またはブラウン管(CRT))、アルファヌメリック入力デバイス812(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス814(例えば、マウス)、グラフィック処理ユニット822、信号発生デバイス816(例えば、スピーカ)、グラフィック処理ユニット822、ビデオ処理ユニット828、およびオーディオ処理ユニット832を含むこともできる。
【0049】
データ記憶デバイス818は、本明細書中に記載の方法論または機能のいずれか1つまたは複数を具体化する1つまたは複数のセットの命令826またはソフトウェアが記憶されている(非一時的なコンピュータ可読媒体としても知られる)機械可読記憶媒体824を含み得る。命令826は、 機械可読記憶媒体をやはり構成するコンピュータシステム800、メインメモリ804、および処理デバイス802によるその実行中に、メインメモリ804内および/または処理デバイス802内に完全にまたは少なくとも一部存在することもできる。
【0050】
いくつかの実施では、命令826は、本開示に対応する機能性を実施する命令を含む。機械可読記憶媒体824は、単一の媒体である一例の実施で示されているが、用語「機械可読記憶媒体」は、1つまたは複数のセットの命令を記憶する単一の媒体または複数の媒体(例えば、中央または分散データベースならびに/あるいは関連付けられたキャッシュおよびサーバ)を含むととらえられるべきである。用語「機械可読記憶媒体」は、機械によって実行するために一組の命令を記憶またはエンコードすることができる、ならびに機械および処理デバイス802に本開示の方法論のうちの任意の1つまたは複数を実行させる任意の媒体を含むととらえられるべきでもある。したがって、用語「機械可読記憶媒体」は、限定するものではないが、ソリッドステートメモリ、光学媒体、および磁気媒体を含むととらえられるべきである。
【0051】
前述の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビット上の動作のアルゴリズムおよび記号の表現の観点で提示されている。これらのアルゴリズムの説明および表現は、その仕事の実体を他の当業者に最も効率よく伝えるためのデータ処理分野における当業者によって使用されるやり方である。アルゴリズムは、所望の結果をもたらす一連の動作であり得る。動作は、物理量の物理的操作を必要とするものである。そのような量は、記憶、合成、比較、および他の方法で操作できる電気信号または磁気信号の形態をとり得る。そのような信号は、ビット、値、要素、記号、キャラクタ、項、数字等として言及され得る。
【0052】
しかしながら、これらおよび同様の用語の全ては、適切な物理量に関連しているべきであり、これらの量に適用される単に都合のよいラベルであることに留意されたい。本開示から明らかであるように別段特に述べられない限り、説明全体にわたって、ある種の用語は、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理(電子的な)量として表されるデータをコンピュータシステムのメモリまたはレジスタあるいは他のそのような情報記憶デバイス内の物理量として類似して表される他のデータに操作および変換するコンピュータシステムまたは類似の電子コンピューティングデバイスのアクションおよびプロセスを指すことが理解されよう。
【0053】
本開示は、本明細書中の動作を実行する機器にも関する。この機器は、意図した目的のために特別に構築されてもよく、またはこの機器は、コンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成されるコンピュータを含んでもよい。そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、例えば、限定するものではないが、コンピュータシステムバスにそれぞれ接続された、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、および光磁気ディスクを含む任意のタイプのディスク、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAMs)、EPROM、EEPROM、磁気もしくは光カード、または電子命令を記憶するのに適した任意のタイプの媒体に記憶されてもよい。
【0054】
本明細書中に提示されるアルゴリズムおよび表示は、任意の特定のコンピュータまたは他の機器に本質的に関連していない。様々な他のシステムが、本明細書中の教示に従って、プログラムと共に使用されてもよく、またはそれは、この方法を実行するより特殊な機器を構築するのに好都合であることを証明することができる。さらに、本開示は、いずれかの特定のプログラミング言語に関して説明されていない。本明細書中に説明されるような本開示の教示を実施するために、種々のプログラミング言語が使用されてもよいことが理解されよう。
【0055】
本開示は、本開示によるプロセスを実行するためにコンピュータシステム(または他の電子デバイス)をプログラムするために使用され得る命令を中に記憶した機械可読媒体を含み得るコンピュータプログラム製品またはソフトウェアとして提供されてもよい。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって読むことができる形態に情報を記憶するための任意のメカニズムを含む。例えば、機械可読(例えば、コンピュータ可読)媒体は、リードオンリメモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス等などの機械(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体を含む。
【0056】
前述の開示において、本開示の実施は、その特定の例の実施に関して説明してきた。それに対して、添付の特許請求の範囲に記載される本開示の実施のより広い趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正がなされてもよいのは明らかである。本開示は、いくつかの要素を単数形で指すが、2つ以上の要素が図に示されてもよく、同じ要素は、同じ番号で名付けられる。したがって、本開示および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味でみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
【国際調査報告】