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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-25
(54)【発明の名称】乗物温度制御システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20221117BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221117BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20221117BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20221117BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20221117BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/615
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518980
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 CN2020092931
(87)【国際公開番号】W WO2021057060
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】201910913465.9
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲興▼新
(72)【発明者】
【氏名】王 学寰
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
(57)【要約】
本出願の実施形態は、車載制御ユニットに対して温度制御を実施するように構成された車載制御ユニット温度制御流路であって、車載制御ユニット温度制御流路は、温度制御分岐を通って流れて、車載制御ユニットに対する温度制御を実施し、2つ以上の温度制御分岐があり、少なくとも1つの温度制御分岐が、車載制御ユニットの内側を通る、車載制御ユニット温度制御流路と、複数の電池ユニットに対して温度制御を実施するように構成された電池温度制御流路であって、電池温度制御流路は、複数の電池ユニット温度制御分岐へと分流されて、複数の電池ユニットに対する温度制御をそれぞれ実施し、各並列分岐は1つの電池ユニットに対応する、電池温度制御流路と、出力ポートおよび還流ポートを含み、車載制御ユニット温度制御流路、および電池温度制御流路に対して温度制御流体を提供するように構成された熱交換ユニットと、車載制御ユニット温度制御流路および電池温度制御流路を制御して、並列または直列に接続されるように構成された制御弁ユニットとを含む、乗物温度制御システムを提供する。乗物温度制御システムを用いることにより、温度制御流路の構成を最適化することができ、車載制御ユニットおよび電池の温度制御効率を改善することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載制御ユニット(3)に対して温度制御を実施するように構成された車載制御ユニット温度制御流路(21)であって、前記車載制御ユニット温度制御流路(21)は、温度制御分岐(2111)を通って流れて、前記車載制御ユニット(3)に対する温度制御を実施し、2つ以上の温度制御分岐(2111)が存在し、少なくとも1つの温度制御分岐(2111)が、前記車載制御ユニット(3)の内側を通る、車載制御ユニット温度制御流路(21)と、
電池ユニット(4)に対して温度制御を実施するように構成された電池温度制御流路(22)であって、複数の電池ユニット(4)が存在し、前記電池温度制御流路(22)は、複数の電池ユニット温度制御分岐(220)へと分流されて、前記複数の電池ユニット(4)に対する温度制御をそれぞれ実施し、各電池ユニット温度制御分岐(220)は、1つの電池ユニット(4)に対応する、電池温度制御流路(22)と、
出力ポート(11)および還流ポート(12)を含み、前記車載制御ユニット温度制御流路(21)、および前記電池温度制御流路(22)に対して温度制御流体を提供するように構成された熱交換ユニット(1)と、
前記車載制御ユニット温度制御流路(21)および前記電池温度制御流路(22)を制御して、並列または直列に接続されるように構成された制御弁ユニットと
を備える、乗物温度制御システム。
【請求項2】
複数の車載制御ユニット(3)が存在し、前記車載制御ユニット温度制御流路(21)は、複数の制御ユニット温度制御分岐(210)へと分流されて、前記複数の車載制御ユニット(3)に対する温度制御をそれぞれ実施し、各制御ユニット温度制御分岐(210)は、1つの車載制御ユニット(3)に対応する、請求項1に記載の乗物温度制御システム。
【請求項3】
複数の車載制御ユニット(3)が存在し、前記複数の車載制御ユニット(3)は、直列に接続される、請求項1に記載の乗物温度制御システム。
【請求項4】
前記制御弁ユニットは、第1の制御弁(A)および第2の制御弁(B)を含み、前記第1の制御弁(A)は、前記車載制御ユニット温度制御流路(21)の上流の流路と、前記電池温度制御流路(22)の上流の流路との間の接合部に配置され、前記第2の制御弁(B)は、前記車載制御ユニット温度制御流路(21)または前記電池温度制御流路(22)の下流の流路に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の乗物温度制御システム。
【請求項5】
車載制御ユニット(3)に対して温度制御を実施するように構成された車載制御ユニット温度制御流路(21)であって、前記車載制御ユニット温度制御流路(21)は、温度制御分岐(2111)を通って流れて、前記車載制御ユニット(3)に対する温度制御を実施し、2つ以上の温度制御分岐(2111)が存在し、少なくとも1つの温度制御分岐(2111)は、前記車載制御ユニット(3)の内側を通る、車載制御ユニット温度制御流路(21)と、
出口ポート(11)および還流ポート(12)を含み、前記車載制御ユニット温度制御流路(21)に対して温度制御流体を提供するように構成された熱交換ユニット(1)と、
上流の主パイプ(2A)および下流の主パイプ(2B)を含む温度制御バックボーンパイプ(2)であって、前記上流の主パイプ(2A)は、前記熱交換ユニット(1)の前記出口ポート(11)および前記車載制御ユニット温度制御流路(21)の上流ポートと別々に連通し、前記下流の主パイプ(2B)は、前記車載制御ユニット温度制御流路(21)の下流ポートおよび前記熱交換ユニット(1)の前記還流ポート(12)と別々に連通する、温度制御バックボーンパイプ(2)と
を備える、乗物温度制御システム。
【請求項6】
複数の車載制御ユニット(3)が存在し、各車載制御ユニット温度制御流路(21)の上流ポートは、前記上流の主パイプ(2A)と連通し、各車載制御ユニット温度制御流路(21)の下流ポートは、前記下流の主パイプ(2B)と連通する、請求項5に記載の乗物温度制御システム。
【請求項7】
電池ユニット(4)に対して温度制御を実施するように構成された電池温度制御流路(22)をさらに備え、複数の電池ユニット(4)が存在し、前記電池温度制御流路(22)は、複数の電池ユニット温度制御分岐(220)へと分流されて、前記複数の電池ユニット(4)に対する温度制御をそれぞれ実施し、各電池ユニット温度制御分岐(220)は、1つの電池ユニット(4)に対応し、前記電池温度制御流路(22)の上流ポートは、前記上流の主パイプ(2A)と連通し、前記電池温度制御流路(22)の下流ポートは、前記下流の主パイプ(2B)と連通する、請求項5または6に記載の乗物温度制御システム。
【請求項8】
収集された温度信号に基づいて、前記温度制御流体の流速または流量を制御する温度センサ制御ユニットをさらに備える、請求項5から7のいずれか一項に記載の乗物温度制御システム。
【請求項9】
前記車載制御ユニット(3)は少なくとも1つの制御板を含み、温度制御プレート(2000)が各制御板の片側または両側に配置され、前記温度制御分岐(2111)は、前記温度制御プレート(2000)の内側と連通している、請求項1から8のいずれか一項に記載の車載制御ユニットの温度制御システム。
【請求項10】
前記温度制御プレート(2000)は、内部にガイドチャネル(2112)を備え、液体保管チャンバ(2113)をさらに備え、前記ガイドチャネル(2112)は前記温度制御分岐(2111)と連通している、請求項9に記載の車載制御ユニットの温度制御システム。
【請求項11】
熱放散プレート(2001)が前記制御板の片側または両側にさらに配置され、前記熱放散プレート(2001)は、前記制御板と前記温度制御プレート(2000)との間に配置される、請求項9または10に記載の車載制御ユニットの温度制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年9月25日に出願された「VEHICLE TEMPERATURE CONTROL SYSTEM」と題する中国特許出願第201910913465.9号明細書の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、乗物における車載制御ユニットおよび電池の温度調節と制御に適用される乗物温度制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、乗物のインテリジェントドライビングは、研究開発から製造に至るまで、かなり人気が高くなっており、高い投資および急速な技術的進歩を特徴としている。インテリジェントドライビングの分野では、中核となる構造的な構成要素は、車載用チップである。
【0004】
米国電気電子学会(Institute of Electrical and Electronics Engineers、IEEE)802.1規格が、2018年末に計画されて、車載用イーサネット通信に対する規格を進めることを開始した(自動車の車載用イーサネット通信に対するP802.1DG-TSNプロファイル)。電気/電子アーキテクチャ(Electrical/Electronic Architecture、短縮すると、E/E Architecture)に対する開発提案は、現在の従来から流通されているアーキテクチャから、開発中のドメイン集中型アーキテクチャおよび将来の中心コンピュータアーキテクチャまでの車両E/Eアーキテクチャの開発動向を述べている。ドメイン集中型アーキテクチャおよび中心コンピュータアーキテクチャの場合、複数のエンジン制御装置(Engine control unit、 ECU)のデータを集約するための基本構成要素として、ドメインゲートウェイおよびゾーンゲートウェイが使用される。知的運転の多くの機能はまた、通常、ゲートウェイに存在し、ゲートウェイの負荷は比較的重い。したがって、動作中に多くの熱が生成される。
【0005】
コンピュータチップまたは移動電話チップなどの非車載用チップの場合、チップは、組込み型の過熱保護モジュールを備える。チップの動作温度が閾値を超えたとき、チップの過熱保護モジュールは、チップを強制して断続的に動作するように、またはチップの動作頻度を減少させることにより介入して、チップの動作強度を低減させる。しかし、乗物における中核的な電子構成要素として、車載用チップは、センサによって収集された、実時間で変化する信号情報(車外の道路状態、車内のエンジン動作状態、および同様のものなどを含む)を受信し、遅れることなく反応し、計算および処理を行い、かつ動作中に判断する必要がある。車載用チップの動作安定性は、インテリジェントドライビングの安全に対する重要な保証である。車載用チップの温度が、動作中に高すぎる場合、車載用チップの動作効率が影響されるのは避けられず、チップの動作安定性が低減される。したがって、動作中において車載用チップに過度の温度上昇が生ずるのを回避することが必要である。
【0006】
加えて、乗物が寒い環境において走行するとき、車載用チップなどの制御ユニットもまた、低温に影響されて、走行中の安定性が保証されることができない。
【0007】
前述の技術的背景に基づいて、車載制御ユニットの温度を、どのようにして有効に調整し、かつ制御するかが、自動車分野で解決されるべき重要な問題である。
【発明の概要】
【0008】
これを考慮すると、本出願は、車載制御ユニットが、寒い環境において高い負荷または動作を受けるとき、車載制御ユニットに対する温度調整および制御を実施し、走行安定性を保証する乗物温度制御システムを提供する。
【0009】
上記の目的は、独立請求項における特徴により達成され、また他の目的は、独立請求項における特徴により達成されることになる。さらなる実装は、従属請求項、明細書、および添付図面において具体化される。
【0010】
第1の態様によれば、乗物温度制御システムが提供され、システムは、車載制御ユニットに対して温度制御を実施するように構成された車載制御ユニット温度制御流路であって、車載制御ユニット温度制御流路は、温度制御分岐を通って流れて、車載制御ユニットに対する温度制御を実施し、2つ以上の温度制御分岐があり、少なくとも1つの温度制御分岐が、車載制御ユニットの内側を通る、車載制御ユニット温度制御流路と、電池ユニットに対して温度制御を実施するように構成された電池温度制御流路であって、複数の電池ユニットがあり、電池温度制御流路は、複数の電池ユニット温度制御分岐へと分流されて、複数の電池ユニットに対する温度制御をそれぞれ実施し、また各電池ユニット温度制御分岐は、1つの電池ユニットに対応する、電池温度制御流路と、出力ポートおよび還流ポートを含み、かつ車載制御ユニット温度制御流路、および電池温度制御流路に対して温度制御流体を提供するように構成された熱交換ユニットと、車載制御ユニット温度制御流路および電池温度制御流路を制御して、並列または直列に接続されるように構成された制御弁ユニットとを含む。
【0011】
第1の態様で提供される乗物温度制御システムによれば、温度制御システムは、電池および制御ユニットに対する温度制御を同時に実施し、それにより、乗物における温度制御パイプの構成を簡単化する。
【0012】
温度制御分岐は、車載制御ユニットの内側を通過し、したがって、温度制御効率が、大幅に改善されることができる。温度制御分岐が、車載制御ユニットの周辺に配置されるだけであった場合、温度制御流体と車載制御ユニットの間の熱交換は、迅速かつ十分に実現されることができない。外部の環境温度が比較的高いとき、または車載制御ユニットが比較的高い負荷を受けるとき、車載制御ユニットの温度はまた、それに応じて、走行中に比較的高くなる。温度制御システムは、速やかに車載制御ユニットを冷却して温度を下げ、それにより、車載制御ユニットの比較的高い温度により生ずる走行効率の低下、または故障も回避し、かつ車載制御ユニットの走行安定性を保証する。加えて、外部の環境温度が比較的低いとき、温度制御システムはまた、車載制御ユニットを迅速に加熱して、それにより、車載制御ユニットの走行性能を保証し、かつ寒い環境に起因する車載制御ユニットの遅い、または滑らかではない走行を回避する。
【0013】
加えて、乗物温度制御システムは、車載制御ユニット温度制御流路および電池温度制御流路を並列または直列に接続するように制御できる制御弁ユニットを備える。この構造を用いることにより、温度制御経路は、異なる温度制御要件に基づいて、柔軟に切り替えられることができる。
【0014】
車載制御ユニット温度制御流路および電池温度制御流路が並列に接続されたとき、システムにおける温度制御流体は、より高い流速を有するが、それは、単一の温度制御流路および熱交換ユニットがそれぞれ、独立した循環経路を形成し、かつ循環経路は簡単になり、それにより、車載制御ユニットおよび電池ユニットの高速な温度制御を容易にするからである。車載制御ユニットおよび電池ユニットの温度値が、望ましい温度値からあまり逸脱しない場合(例えば、寒い気象において、乗物が、そのエンジンをウォーミングアップした後、一定した運転を開始したとき、または暑い気象において、電池もしくは制御ユニットがクールダウンされたとき、または電池もしくは制御ユニットが高い負荷に耐える条件下にあるとき)では、車載制御ユニットおよび電池ユニットの温度制御要件は高くない。この場合、制御弁ユニットを用いることにより、温度制御経路は、車載制御ユニット温度制御流路および電池温度制御流路が直列に接続されて、温度制御流体の流速を低下させることができ、システムの温度制御強度が低減されることのできる状態へと切り替えられる。したがって、温度が制御されるユニット(車載制御ユニットおよび電池ユニット)の温度値は一定の望ましい温度範囲内に保たれる。
【0015】
別のシナリオでは、乗物が、寒い気候において起動したとき、電池と車載制御ユニットは共に加熱される必要がある。例えば、電池と車載制御ユニットが共に-20℃であり、温度制御流体の温度は20℃である。この場合、電池と車載制御ユニットを迅速に加熱ために、温度制御流体は、温度制御システム内を迅速に循環する必要がある。したがって、この場合、車載制御ユニット温度制御流路および電池温度制御流路が、並列に接続されるように設定される。乗物が起動すると、車載制御ユニットの温度は、サイズが小さいこと、および動作中に生成される熱に起因して、速やかに増加する。例えば、車載制御ユニットの温度は、40℃に増加するが、電池の温度はまだ5℃である。この場合、温度制御経路は、車載制御ユニット温度制御流路および電池温度制御流路が、直列に接続される状態へと切り替えられて、車載制御ユニットおよび電池ユニットに対して相補的な温度制御が実施されることができるようにする。
【0016】
第1の態様によれば、乗物温度制御システムの第1の可能な実装において、複数の車載制御ユニットが存在し、車載制御ユニット温度制御流路は、複数の制御ユニット温度制御分岐へと分流されて、それぞれ、複数の車載制御ユニットに対する温度制御を実施し、各制御ユニット温度制御分岐は、1つの車載制御ユニットに対応する。
【0017】
このように提供された乗物温度制御システムを用いることにより、温度制御は、相対的に独立して、複数の車載制御ユニットに対して実施されることができ、また複数の車載制御ユニットの温度制御プロセスは、互いに影響しない。加えて、乗物温度制御システムによれば、車載制御ユニットが追加されたとき、新しい車載制御ユニット温度制御流路が導入され、それに従って、追加された車載制御ユニットに対する温度制御を実施することができ、それは、柔軟な接続可能な特徴を示している。
【0018】
第1の態様によれば、乗物温度制御システムの第2の可能な実装では、複数の車載制御ユニットが存在し、複数の車載制御ユニットは、直列に接続される。
【0019】
このように提供された乗物温度制御システムを用いることにより、温度制御パイプの簡単な構成を用いて、温度制御が、複数の車載制御ユニットに対して同時に実施されることができる。
【0020】
第1の態様に、または上記の第1の態様のいずれかの実装によれば、乗物温度制御システムの第3の可能な実装では、制御弁ユニットは、第1の制御弁および第2の制御弁を含み、第1の制御弁は、車載制御ユニット温度制御流路の上流の流路と、電池温度制御流路の上流の流路間の接合部に配置され、また第2の制御弁は、車載制御ユニット温度制御流路または電池温度制御流路の下流の流路に配置される。
【0021】
このように提供された乗物温度制御システムを用いることにより、第1の制御弁および第2の制御弁が使用されて、制御弁ユニットを形成し、また乗物温度制御システムにおける温度制御流体の流路は、第1の制御弁および第2の制御弁の出口流れ方向を制御することにより制御され、それは、簡単な構造、および比較的高い動作安定性に寄与する。
【0022】
第2の態様によれば、乗物温度制御システムが提供され、システムは、車載制御ユニットに対して温度制御を実施するように構成された車載制御ユニット温度制御流路であって、車載制御ユニット温度制御流路は、温度制御分岐を通って流れて、車載制御ユニットに対する温度制御を実施し、2つ以上の温度制御分岐があり、少なくとも1つの温度制御分岐が、車載制御ユニットの内側を通る、車載制御ユニット温度制御流路と、出口ポートおよび還流ポートを含み、かつ車載制御ユニット温度制御流路に対して温度制御流体を提供するように構成された熱交換ユニットと、温度制御バックボーンパイプであって、上流の主パイプおよび下流の主パイプを含み、上流の主パイプは、熱交換ユニットの出口ポートおよび車載制御ユニット温度制御流路の上流ポートと別々に連通し、また下流の主パイプは、車載制御ユニット温度制御流路の下流ポートおよび熱交換ユニットの還流ポートと別々に連通する、温度制御バックボーンパイプとを含む。
【0023】
第2の態様で提供される乗物温度制御システムによれば、2つの主温度制御パイプを配置し、かつ2つの主パイプの間に車載制御ユニット温度制御流路を接続する方法において、温度制御システムの配置された展開の下に、車載制御ユニットの温度が制御され、それは、乗物の空間利用効率を高めるのに役立つ。加えて、その流路設計によれば、熱交換ユニットの動力は、車載制御ユニット温度制御流路に対してより交換可能にすることができる。具体的には、熱交換ユニットの動力が比較的大きく、温度制御流体を流す流速が比較的高い場合であっても、車載制御ユニット温度制御流路に対する流れ圧力が大きくなり過ぎることはない。したがって、乗物温度制御システムに基づき、車載制御ユニットに対する温度制御の動作安定性は、有効に保証されることができる。
【0024】
第2の態様によれば、乗物温度制御システムの第1の可能な実装において、複数の車載制御ユニットが存在し、各車載制御ユニット温度制御流路の上流ポートは、上流の主パイプと連通し、各車載制御ユニット温度制御流路の下流ポートは、下流の主パイプと連通する。
【0025】
この構成方法において、2つの主温度制御パイプが、複数の車載制御ユニットの位置に基づいて配置される。複数の車載制御ユニット温度制御流路は、温度が制御される車載制御ユニットの量に基づいて、車載制御ユニットに対して温度制御を実施するために、2つの主温度制御パイプの間に配置される。全体の流路設計は、より簡単になり、また各車載制御ユニットの温度制御流路は独立し、互いに干渉することはない。
【0026】
第2の態様、または第2の態様の第1の可能な実装によれば、乗物温度制御システムの第2の可能な実装では、乗物温度制御システムは、電池ユニットに対して温度制御を実施するように構成された電池温度制御流路をさらに含み、複数の電池ユニットがあり、電池温度制御流路は、複数の電池ユニット温度制御分岐へと分流されて、複数の電池ユニットに対する温度制御をそれぞれ実施し、また各電池ユニット温度制御分岐は、1つの電池ユニットに対応し、電池温度制御流路の上流ポートは、上流の主パイプと連通し、電池温度制御流路の下流ポートは、下流の主パイプと連通する。この実装においては、温度制御は、電池ユニットと車載制御ユニットの両方に対して実施され、それにより、温度制御効率を向上させ、かつ乗物温度制御システム経路の構成を簡単化する。
【0027】
第2の態様によれば、または上記の第2の態様のいずれかの実装によれば、乗物温度制御システムの第3の可能な実装では、乗物温度制御システムは、収集された温度信号に基づいて、温度制御流体の流速または流量を制御する温度センサ制御ユニットをさらに含む。温度センサ制御ユニットは、温度センサモジュールと、制御モジュールと、流れ制御弁とを含み、温度センサモジュールは、車載制御ユニットに取り付けられる、または一体化され、温度センサモジュールは、有線または無線信号を介して制御モジュールに接続され、流れ制御弁が、温度制御分岐、または温度制御流路に配置されて、流入する温度制御流体の流量を制御し、また制御モジュールは、温度センサモジュールの収集された温度信号に基づいて流れ制御弁を制御する。この実装によれば、乗物温度制御システムは、各車載通信デバイスの温度を正確に制御することができる。
【0028】
第1の態様もしくは第1の態様の実装のいずれか1つ、または第2の態様もしくは第2の態様の実装のいずれか1つによれば、乗物温度制御システムの第4の可能な実装では、車載制御ユニットは少なくとも1つの制御板を含み、温度制御プレートは、各制御板の片側または両側に配置され、温度制御分岐は、温度制御プレートの内側と連通している。この実装によれば、温度制御分岐は、温度制御プレートの内側を通って流れ、また接触熱伝達が、温度制御プレートを用いることにより車載制御ユニットに対して実施され、それにより温度伝導効率が向上する。
【0029】
第1の態様または第2の態様の第4の可能な実装によれば、乗物温度制御システムの第5の可能な実装では、温度制御プレートは、内部にガイドチャネルを備え、また液体保管チャンバをさらに備え、ガイドチャネルは温度制御分岐と連通している。この実装は、温度制御分岐が、温度制御プレートと連通する方法を画定する。その構造を用いることにより、温度制御流体は、温度制御分岐から流れて、温度制御プレートにおけるガイドチャネルの中に入り、温度制御プレートの温度制御機能を実施する。1つの構造モードにおいて、液体保管チャンバは、温度制御プレートに設けられる。その構造は、温度制御プレートの製作工程を簡単化し、かつ温度制御効率を保証する。
【0030】
第1の態様または第2の態様の第4の可能な実装、または第5の可能な実装によれば、乗物温度制御システムの第6の可能な実装では、熱放散プレートが、制御板の片側または両側にさらに配置され、熱放散プレートは、制御板と温度制御プレートの間に配列される。この実装では、熱放散プレートは、温度制御プレートと制御板の間に配置され、したがって、温度伝導速度が増加され、また温度制御効率が向上されることができる。
【0031】
本出願のこれらの態様および他の態様は、以下の実施形態の記述においてさらに明確になり、理解するのが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本出願の諸実施形態または従来の技術において、技術的な解決策をより明確に述べるために、以下では、諸実施形態または従来技術を説明するために、添付図面を簡単に述べるものとする。以下の説明における添付図面は、本出願のいくつかの実施形態を示しており、当業者であれば、創造的な努力を行うことなく、これらの添付図面から他の図面をさらに導出し得ることは明らかである。
【0033】
図1-1】本出願の実施形態1による乗物温度制御システムの並列な流路の概略図である。
図1-2】本出願の実施形態1による乗物温度制御システムの直列な流路の概略図である。
図2-1】本出願の実施形態2による乗物温度制御システムの並列な流路の概略図である。
図2-2】本出願の実施形態2による乗物温度制御システムの直列な流路の概略図である。
図3】本出願の実施形態3による乗物温度制御システムの構造の概略図である。
図4】本出願の実施形態4による乗物温度制御システムの構造の概略図である。
図5】本出願の実施形態4による乗物温度制御システムの制御関係の概略図である。
図6】本出願の実施形態5による乗物温度制御システムの構造の概略図である。
図7】本出願の1つまたは複数の実施形態を実施するために使用される車載制御ユニットの内部構造の概略図である。
図8】本出願の1つまたは複数の実施形態を実施するために使用される車載制御ユニットの内部構造の概略図である。
図9】本出願の1つまたは複数の実施形態を実施するために使用される車載制御ユニットの内部構造の概略図である。
図10】本出願の1つまたは複数の実施形態を実施するために使用される車載制御ユニットの内部構造の概略図である。
図11】本出願の1つまたは複数の実施形態を実施するために使用される温度制御プレートの内部構造の概略図である。
図12】本出願の1つまたは複数の実施形態を実施するために使用される温度制御プレートの別の内部構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本出願の実施形態の目的、技術的解決策、および利点をより明らかにするために、以下のものは、本出願の実施形態における添付図面を参照して、本出願の実施形態における技術的解決策を明確に、かつ完全に述べる。述べられる実施形態は、本出願の実施形態のすべてではなく、いくつかに過ぎないことは明らかである。創造的な努力をすることなく、本出願の諸実施形態に基づいて当業者により得られるすべての他の実施形態は、本出願の保護範囲に含まれるものとする。
【0035】
本出願におけるいくつかの記述的な用語は、以下のように限定するものと解釈される。
【0036】
車載制御ユニット:それは、乗物に配置される、または取り付けられる制御ユニットを指し、また例えば、エンジン制御ユニット(Engine control unit、ECU)、ゾーンゲートウェイ、ドメインゲートウェイ、中心ゲートウェイ、ドメイン制御ユニット(Domain control unit、DCU)、マルチドメイン制御装置(Multi Domain Controller、MDC)、および自動運転ネットワーク要素など、様々な通信デバイスを含む。
【0037】
熱交換ユニット:温度制御流体の熱交換に使用される装置、例えば、空気冷却構造を備えた水槽、空気冷却構造および加熱システムを備えた水槽、または冷凍および加熱機能を備えた空気調節ボックスであり得る。
【0038】
温度制御流体:熱を伝達するために温度制御システムの流路内を循環する流体であり、水、グリコール水溶液、または水、不凍液、および添加物の混合体などである。
【0039】
温度センサモジュール:例えば、温度センサなど、温度を感知するためのモジュール。
【0040】
温度制御ユニット:プロセッサを含む温度を制御するためのユニット。
【0041】
流れ制御弁:それは、外部の信号制御を受信し、弁開度を調節して流量を調整する、または流量を開き、切り換え、かつ閉じる機能を実現する。
【0042】
電池ユニット:車載用電池であり、電気自動車の電池群、または燃料自動車の電池であり得る。
【0043】
制御板:制御装置を含む回路板
【0044】
温度制御プレート:温度を伝導し、かつ車載制御ユニットまたは電池ユニットに取り付けられて、車載制御ユニットまたは電池ユニットに対する温度制御を実施するために使用されるパネル構造。
【0045】
熱伝達プレート:温度を伝導するために使用されるパネル構造。
【0046】
本出願の実施形態1は、車載制御ユニットおよび電池ユニットに対して同時に、温度制御を実施するように構成された乗物温度制御システムを提供する。図1を参照すると、以下のものは、本出願において提供される実施形態1における技術的な解決策を述べる。
【0047】
図1-1および図1-2は、本出願の実施形態1による乗物温度制御システムにより提供される2つの異なる温度制御流路である。
【0048】
本出願の実施形態1によれば、乗物温度制御システムは、熱交換ユニット1、温度制御バックボーンパイプ2、複数の車載制御ユニット3、および複数の電池ユニット4を含む。温度制御流体は、熱交換ユニット1、温度制御バックボーンパイプ2、車載制御ユニット3、および電池ユニット4内を循環する。温度制御流体は、熱交換ユニット1から温度制御バックボーンパイプ2の中に流入し、次いで、車載制御ユニット3および電池ユニット4を通って別々に流れる。温度を制御するための方法として、温度制御流体は、車載制御ユニット3および電池ユニット4と別々に熱交換を実施する。熱交換の後、温度制御流体は、加熱または冷却された後に、温度制御バックボーンパイプ2を通って熱交換ユニット1へと戻り、熱交換ユニット1は、温度制御流体に対して熱交換を行い、温度制御流体を冷却する、または温度制御流体を加熱する。温度制御流体の前述の循環プロセスは、繰り返される。
【0049】
熱交換ユニット1は、出口ポート11および還流ポート12を含む。温度制御流体は、熱交換ユニット1において冷却され、または加熱された後、出口ポート11から温度制御バックボーンパイプ2へと流れ、ここで循環ポンプ5が、温度制御バックボーンパイプ2に取り付けられており、循環ポンプ5は、温度制御流体をポンプ送りしてシステム流路内を循環させる。温度制御バックボーンパイプ2は、2つの流路分岐を有しており、それは、それぞれ、車載制御ユニット温度制御流路21と、電池温度制御流路22とである。複数の車載制御ユニット3が、車載制御ユニット温度制御流路21において並列に接続され、また複数の電池ユニット4が、電池温度制御流路22において並列に接続される。
【0050】
複数の制御ユニット温度制御分岐210が、車載制御ユニット温度制御流路21に配置され、各制御ユニット温度制御分岐210は、1つの車載制御ユニット3に対応し、また複数の車載制御ユニット3は、互いに並列に配置される。少なくとも1つの温度制御分岐2111は、制御ユニット温度制御分岐210と連通しており、温度制御分岐2111内の温度制御流体は、車載制御ユニット3と熱交換を行う。温度制御分岐2111は、車載制御ユニット3に隣接して配置され、少なくとも1つの温度制御分岐2111が、車載制御ユニット3の内側を通過する。車載制御ユニット3との熱交換を行った後、温度制御分岐2111内の温度制御流体は、制御ユニット温度制御分岐210の下流部分に集まる。車載制御ユニット3との熱交換を行った後、複数の制御ユニット温度制御分岐210内の温度制御流体は、温度制御バックボーンパイプ2の下流部分に集まり、最終的に還流ポート12を通って熱交換ユニット1へと流れて戻る。車載制御ユニット3が1つだけある場合、それに応じて、制御ユニット温度制御分岐210が1つだけ存在し得ることが理解されよう。車載制御ユニット3の量は、本出願において限定されない。複数の電池ユニット温度制御分岐220が、電池温度制御流路22に配置され、各電池ユニット温度制御分岐220は、1つの電池ユニット4に対応し、また電池ユニット温度制御分岐220内の温度制御流体は、電池ユニット4の近傍を通って流れ、電池ユニット4と熱交換を実施する。電池ユニット4との熱交換を行った後、複数の電池ユニット温度制御分岐220内の温度制御流体は、温度制御バックボーンパイプ2の下流部分に集まり、最終的に、還流ポート12を介して熱交換ユニット1へと流れて戻る。複数の電池ユニット4は、全体として乗物の電池群または電池を構成する。電池ユニット4が1つだけである場合、それに応じて、電池ユニット温度制御分岐220も1つだけ存在し得ることが理解されよう。電池ユニット4の量は、本出願において限定されない。少なくとも1つの温度制御分岐は、電池ユニット温度制御分岐220と連通し、また温度制御分岐内の温度制御流体は、電池ユニット4と熱交換を実施することが理解されよう。これは、本出願において限定されない。
【0051】
制御弁Aは、温度制御バックボーンパイプ2の上流部分の分岐ノードに配置され、また制御弁Aは、1つの入口と2つの出口を含む、出口方向を制御できる3方弁構造である。制御弁Aの入口は、温度制御バックボーンパイプ2の上流部分に接続される。制御弁Aの2つの出口は、それぞれ、2つの流路分岐に、すなわち、車載制御ユニット温度制御流路21および電池温度制御流路22に接続される。例えば、制御弁Aの1つの出口は、3方弁Cの入口へと導き、その出口を介して、車載制御ユニット温度制御流路21に達し、制御弁Aの他の出口は、電池温度制御流路22へと導く。制御弁Aは、2つの出口の開閉を制御することができ、それにより、温度制御流体の流路の流れ方向を制御する。3方弁Dは、温度制御バックボーンパイプ2の下流部分の分岐ノードに配置され、また3方弁Dは、2つの入口と1つの出口を含み、車載制御ユニット温度制御流路21および電池温度制御流路22の下流部分を、温度制御バックボーンパイプ2の下流部分に接続するように構成される。本出願において述べられる3方弁Dは、単なる例であり、同じ機能を実施できる任意の装置が、本出願に適用され得ることが理解されよう。
【0052】
制御弁Bは、電池温度制御流路22の下流部分に配置され、また制御弁Bはまた、1つの入口と2つの出口を含む出口方向を制御できる3方弁構造である。制御弁Bは、2つの出口の開閉を制御することにより、温度制御流体の流路の流れ方向を制御する。電池温度制御流路22の下流部分は、制御弁Bの入口から流入し、制御弁Bの出口から流出する。具体的には、電池温度制御流路22内の温度制御流体は、制御弁Bの1つの出口を通って、3方弁Dの1つの入口へと流れ得る、または他の出口を通り、ブリッジパイプ20を介して3方弁Cの1つの入口に流入し得る。
【0053】
3方弁Cは、車載制御ユニット温度制御流路21の上流に配置され、また3方弁Cは、2つの入口と1つの出口を含む。上記で述べたように、3方弁Cの1つの入口は、制御弁Aの1つの出口と連通しており、3方弁Cの他の入口は、ブリッジパイプ20と連通している。
【0054】
実施形態1で提供される乗物温度制御システムにおいて、制御弁Aの両方の出口が開いた状態にあり、ブリッジパイプ20へと導く制御弁Bの出口が閉じた状態にあり、かつ3方弁Dへと導く制御弁Bの出口が開いた状態にあるとき、図1-1で示されるように、乗物温度制御システムの並列な流路が実現される。並列な流路に従って、車載制御ユニット温度制御流路21および電池温度制御流路22は並列に接続され、かつ独立して温度が制御される。
【0055】
実施形態1で提供される乗物温度制御システムにおいて、車載制御ユニット温度制御流路21へと導く制御弁Aの出口が閉じた状態にあり、電池温度制御流路22へと導く制御弁Aの出口が開いた状態にあり、3方弁Dへと導く制御弁Bの出口が閉じた状態にあり、かつブリッジパイプ20へと導く制御弁Bの出口が開いた状態にあるとき、図1-2で示されるように、乗物温度制御システムの直列の流路が実現される。直列の流路に基づいて、並列な電池温度制御流路22および車載制御ユニット温度制御流路21は、直列に接続され、温度制御流体は、温度制御を行うために、電池ユニット4および車載制御ユニット3を通って連続的に流れる。
【0056】
温度制御流体は、乗物温度制御システムが冷却用であるとき、冷却液であることが理解されよう。熱交換ユニット1における温度制御流体は冷却液である。冷却液は、熱交換ユニット1の出口ポート11から温度制御バックボーンパイプ2へと流れて、電池ユニット4および車載制御ユニット3と熱交換を実施する。冷却液の温度が上昇した後、冷却液は、還流ポート12を介して熱交換ユニット1へと流れて戻り、次いで、熱交換ユニットは冷却液を冷却する。同じ循環プロセスが繰り返される。それとは反対に、乗物温度制御システムが加熱用である場合、温度制御流体は熱流体である。熱交換ユニット1は、温度制御流体を加熱し、温度制御流体は、前に述べた循環プロセスに基づいて、乗物温度制御システム内を流れる。
【0057】
さらに実施形態1で提供される乗物温度制御システムでは、電池ユニット4および車載制御ユニット3に対して構成される位置は、直列の流路において、温度制御流体がまず車載制御ユニット3を通って流れ、次いで電池ユニット4を通って流れるように変更されることができることを理解されたい。この方法では、電池ユニット4よりも、車載制御ユニット3に対してより大きな温度制御効果が実現される。
【0058】
本出願の実施形態2は、車載制御ユニットおよび電池ユニットに対する温度制御を同時に実施するように構成された別の乗物温度制御システムを提供する。実施形態1とは異なり、実施形態2の乗物温度制御システムにおいては、複数の車載制御ユニット3が存在するとき、複数の車載制御ユニット3は直列に配置される。
【0059】
温度制御が、複数の車載制御ユニット3に対して実施されるとき、温度制御流体は、車載制御ユニット温度制御流路21から複数の温度制御分岐2111へと分流され、温度制御分岐2111内の温度制御流体が、車載制御ユニット3と熱交換を行い、複数の温度制御分岐2111は、車載制御ユニット3に隣接して配置され、少なくとも1つの温度制御分岐2111が車載制御ユニット3の内側を通過する。車載制御ユニット3との熱交換を実施した後、温度制御分岐2111内の温度制御流体は、制御ユニット温度制御分岐210に集まる。温度制御流体は、次いで、複数の温度制御分岐2111へと分流されて、温度制御が別の車載制御ユニット3に対して行われる。温度制御流体が、直列に接続された車載制御ユニット3の最後のものを通って流れた後、温度制御流体は、制御ユニット温度制御分岐210の下流部分に集まる。次いで、温度制御流体は、電池ユニット温度制御分岐220のものと共に、温度制御バックボーンパイプ2の下流部分に集まり、最終的に、還流ポート12を通って熱交換ユニット1へと流れて戻る。
【0060】
実施形態2で提供される乗物温度制御システムにおいて、制御弁Aの両方の出口が開いた状態であり、ブリッジパイプ20へと導く制御弁Bの出口が閉じた状態であり、かつ3方弁Dへと導く制御弁Bの出口が開いた状態であるとき、図2-1で示されるように、乗物温度制御システムの並列な流路が実現される。並列な流路によれば、車載制御ユニット温度制御流路21および電池温度制御流路22は、並列に接続され、独立して温度制御される。
【0061】
実施形態2で提供される乗物温度制御システムにおいて、車載制御ユニット温度制御流路21へと導く制御弁Aの出口が閉じた状態にあり、電池温度制御流路22へと導く制御弁Aの出口が開いた状態にあり、3方弁Dへと導く制御弁Bの出口が閉じた状態にあり、またブリッジパイプ20へと導く制御弁Bの出口が開いた状態にあるとき、図2-2で示されるように、乗物温度制御システムの直列の流路が実現される。直列の流路に基づいて、電池温度制御流路22および車載制御ユニット温度制御流路21は、直列に接続され、温度制御流体は、温度制御を行うために、電池ユニット4および車載制御ユニット3を通って連続的に流れる。
【0062】
図3は、本出願の実施形態3による乗物温度制御システムの構造の概略図である。
【0063】
実施形態3で提供される乗物温度制御システムは、2つの主温度制御パイプを含む。この技術的な解決策では、2つの主温度制御パイプは、上流の主パイプ2A、および下流の主パイプ2Bを含む2つの環状の流路であり、循環ポンプ5が、主パイプ2Aと2Bの両方に取り付けられ、流れる力を温度制御流体に加えるように構成される。
【0064】
熱交換ユニット1の出口ポート11は、上流の主パイプ2Aで3方弁Eに接続される。上流の主パイプ2Aにおける3方弁GおよびIは、それぞれ、車載制御ユニット温度制御流路21の流入端部に接続される。車載制御ユニット温度制御流路21の出口ポートは、下流の主パイプ2Bにおける3方弁HおよびJに接続される。下流の主パイプ2Bにおける3方弁Fは、熱交換ユニット1の還流ポート12と連通している。本出願のこの実施形態では、車載制御ユニットの量は制限されないことが理解されよう。
【0065】
実施形態3では、乗物温度制御システムが冷却用である例が使用され、乗物温度制御システムの動作プロセスは以下のようになる。熱交換ユニット1における温度制御流体は、冷却液である。冷却液は、熱交換ユニット1の出口ポート11から流出し、3方弁Eを通って上流の主パイプ2Aに流入する。次いで、上流の主パイプ2A内の冷却液は、3方弁GおよびIから、別々に、各温度制御流路21へと流入する。温度制御流路21内の冷却液は、複数の温度制御分岐2111へと分流され、その場合、温度制御分岐2111の少なくとも1つが車載制御ユニット3の内側を通過する。冷却液は、温度制御分岐2111における車載制御ユニット3と熱交換を行い、それにより、車載制御ユニット3を冷却する。次に、冷却液は、複数の温度制御分岐2111から、温度制御流路21の後半部分へと流れ、3方弁HおよびJを通って下流の主パイプ2Bへと流入する。下流の主パイプ2B内の冷却液は、3方弁Fを通って熱交換ユニット1の還流ポート12へと流れて熱交換ユニット1へと流れて戻る。熱交換ユニット1においては、冷却液は冷却されて、熱交換ユニット1の出口ポート11から流出する。同じ循環プロセスが繰り返される。
【0066】
実施形態3で提供される乗物温度制御システムでは、上流の主パイプ2Aにおける循環ポンプ5は、出口ポート11と3方弁Eの間の位置に配置され、また循環ポンプ5は、温度制御流体を、出口ポート11から流出して、上流の主パイプ2Aに流入するように連続的にポンプ送りすることを理解されたい。加えて、下流の主パイプ2Bにおける循環ポンプ5は、3方弁Fと還流ポート12の間の位置に配置され、循環ポンプ5は、下流の主パイプ2B内の温度制御流体を、還流ポート12の中に連続的にポンプ送りする。
【0067】
循環ポンプ5は、必ずしも設けられる必要はなく、出口ポート11から出る温度制御流体と、還流ポート12から流れて戻る温度制御流体の間に圧力差が存在するように、ポンプ送り装置または還流装置が、熱交換ユニット1の内部に取り付けられ得ることをさらに理解されたい。
【0068】
実施形態3で提供される乗物温度制御システムの場合、車載制御ユニット3の温度制御流路21は、上流の主パイプ2Aおよび下流の主パイプ2Bを配置することにより、上流の主パイプ2Aと下流の主パイプ2Bの間で接続され、それは、乗物の様々な位置に配置される車載制御ユニット3の協動する温度制御を容易にする。車載制御ユニット3の間の空間距離が比較的長い場合であっても、複数の車載制御ユニット3に対する温度制御は、温度制御システムを用いることにより独立して実施されることができ、それは乗物内の車載制御ユニットに対して、温度制御の簡単な構成および操作性を向上させる。
【0069】
実施形態3に基づいて、温度制御システムの制御の正確さおよび制御効率を向上させるために、本出願における乗物温度制御システムに制御機能が追加されて実施形態4を形成する。実施形態4の構造の概略図が、図4で示される。
【0070】
実施形態4で提供される乗物温度制御システムでは、流れ制御弁8が、各温度制御分岐2111に取り付けられ、また流れ制御弁8は、温度制御分岐2111を通って流れる温度制御流体の流量を調節するために使用される。温度センサモジュール6が、車載制御ユニット3の近くに取り付けられる(温度センサモジュール6は、代替として、車載制御ユニット3に一体化され得る)。温度センサモジュール6は、車載制御ユニット3の温度をモニタし、温度情報を、有線または無線で温度制御ユニット7に送信するように構成される。温度制御ユニット7は、熱交換ユニット1の近くに配置される、または熱交換ユニット1に取り付けられる、もしくは一体化される。温度制御ユニット7は、温度センサモジュール6の収集された温度信号に基づいて、流れ制御弁8を制御する。動作中に、温度制御ユニット7は、まず、目標温度値と、車載制御ユニット3のものである温度センサモジュール6により測定された実際の温度値とに基づいて差分値を計算する。差分値が比較的大きい場合、流れ制御弁8は、比較的大きな開度で開くように制御されて温度制御分岐2111内の流体の流量を増加させる。目標温度値と、車載制御ユニット3のものである温度センサモジュール6により測定された実際の温度値との間の差分値が比較的小さい場合、温度制御ユニット7は、流れ制御弁8を制御して、比較的小さな開度で開き、温度制御分岐2111内の流体の流量を低減させる。
【0071】
図5は、実施形態4による制御関係の概略図であり、それは、温度制御ユニット7の動作原理を表している。温度制御ユニット7の信号入力端は、(1つまたは複数の)温度センサモジュール6に接続され、温度制御ユニット7の信号出力端は、熱交換ユニット1および1つまたは複数の流れ制御弁8に接続される。
【0072】
例えば、温度制御システムが車載制御ユニットに対して冷却処理を行うとき、差分値=実際の温度値-目標温度値であり、温度制御ユニット7は、表1の対応関係に基づいて流れ制御弁8を制御する。
【0073】
表1:流れ制御弁と温度の間の制御関係の例
温度差分値の範囲 流れ制御弁ギア(gear) 流れ制御弁8の開度
差分値≧10度 A 100%
5度≦差分値<10度 B 75%
0度≦差分値<5度 C 50%
差分値<0度 D 25%
【0074】
例えば、乗物が、暑い夏に走行するとき、温度制御システムは、車載制御ユニット3に対して冷却処理を実施する必要があり、また温度制御ユニット7は、車載制御ユニット3の目標温度値を、あらかじめ20℃に設定する。温度センサモジュール6により測定された実際の温度値が、40℃である場合、実際の温度値から目標温度値を引いた後の差分値は、20度に等しい。表1の制御関係に基づいて、流れ制御弁8は、この場合、ギアAである。したがって、温度制御ユニット7は、流れ制御弁8を制御して、100%の開度に開きを保持するようにし、したがって、温度制御分岐2111内の流体の流量が最大化される。温度センサモジュール6により測定された実際の温度値が、24℃である場合、実際の温度値から目標温度値を引いた後の差分値は、4度に等しい。表1の制御関係に基づいて、流れ制御弁8は、この場合ギアCになる。したがって、温度制御ユニット7は、流れ制御弁8を制御して、50%の開度に開きを保持するようにし、温度制御分岐2111内の流体の流量を低減する。表1における温度差分範囲の閾値、流れ制御弁ギア、および流れ制御弁8の開度の間の対応関係は、例に過ぎないことが理解されよう。実際に適用する間に、様々な要件に基づいて、対応する調整が実施され得る。これは、本出願において限定されない。
【0075】
例えば、温度制御システムが、車載制御ユニットに対して加熱処理を実施するとき、差分値=目標温度値-実際の温度値であり、温度制御ユニット7は、同様に、表1における対応関係に基づいて、流れ制御弁8を制御する。
【0076】
例えば、乗物が寒い環境で走行するとき、温度制御システムは、車載制御ユニット3に対して加熱処理を行う必要があり、温度制御ユニット7は、あらかじめ車載制御ユニット3の目標温度値を20℃に設定する。温度センサモジュール6により測定された実際の温度値が、-5℃であるとき、差分値は25度に等しい。表1の制御関係に基づいて、流れ制御弁8は、この場合、ギアAになる。したがって、温度制御ユニット7は、流れ制御弁8を制御して、100%の開度に開きを保持するようにし、したがって、温度制御分岐2111内の流体の流量は最大化される。温度センサモジュール6により測定された実際の温度値が、30℃である場合、差分値は、-5度に等しい。表1の制御関係に基づいて、流れ制御弁8は、この場合ギアDになる。したがって、温度制御ユニット7は、流れ制御弁8を制御して、25%の開度に開きを保持するようにし、温度制御分岐2111内の流体の流量を最小化する。
【0077】
加えて、温度センサモジュール6により収集された温度情報、および温度差分値に基づいて(温度制御システムが、車載制御ユニット3に対して冷却処理を実施するとき、差分値=実際の温度値-目標温度値であり、(温度制御システムが、車載制御ユニット3に対して加熱処理を実施するとき、差分値=目標温度値-実際の温度値である)、温度制御ユニット7は、熱交換ユニット1の動力をさらに制御し得る。例えば、温度制御ユニット7は、表2の対応関係を参照して、熱交換ユニット1の動力を制御する。
【0078】
表2:流れ制御弁と温度の間の制御関係
温度差分値範囲 熱交換ユニットギア 熱交換ユニットの動力値
差分値≧10度 A 100%
5度≦差分値<10度 B 75%
0度≦差分値<5度 C 50%
差分値<0度 D 25%
【0079】
具体的には、温度差分値が10度以上である場合、温度制御ユニット7は、ギアAで動作するように熱交換ユニット1を制御し、またギアAに対応する熱交換ユニット1の動力は、100%であり、それにより、熱交換ユニット1の動作効率を向上させ、かつ温度制御効果を向上させる。同様に、差分値が10度未満である場合、温度制御ユニット7は、熱交換ユニット1を制御して差分値に対応するギアB、C、またはDで動作する。
【0080】
図6は、本出願の実施形態5による乗物温度制御システムの構造の概略図である。実施形態5では、電池ユニット4に対する温度制御が、実施形態4で提供された技術的な解決策に基づいて加えられている。
【0081】
実施形態5で提供される技術的な解決策によれば、上流の主パイプ2Aは、3方弁Kにおいて、電池温度制御流路22と連通しており、流れ制御弁8が、電池温度制御流路22に取り付けられ、電池温度制御流路22の経路が、電池ユニット4に隣接する、またはそれを通過し、また電池温度制御流路22を通って流れる温度制御流体が電池ユニット4と熱交換を実施し、それにより電池ユニット4に対する温度制御を実施する。電池ユニット4を通過した後、電池温度制御流路22は、3方弁Lにおいて、下流の主パイプ2Bに接続される。乗物温度制御システムは、複数の電池ユニット4に対して温度調節を実施し得るが、各電池ユニット4が1つの電池温度制御流路22に対応する、または複数の電池ユニット4が全体として1つの電池温度制御流路22に対応し、複数の電池ユニット4が並列接続を形成する。
【0082】
車載制御ユニット3が配置されたとき、車載制御ユニット3は、電池ユニット4の周辺に、またはその上に配置され、それにより、電気的なデバイスにより占有される空間を低減し、かつ小型の全体構造に役立ち得る。加えて、車載制御ユニットおよび電池ユニットは、より信頼性のある方法で取り付けられることができ、長期間の振動により生ずる故障の可能性が低減される。さらにその構成方法はまた、温度制御流路の構成を容易にし、温度制御流路の長さを低減し、かつ温度制御システムの安定性を向上させる。
【0083】
前述の実装で説明された3方弁C、D、E、F、G、H、I、J、K、およびLは、単なる例に過ぎず、実際に、他のタイプのパイプコネクタも可能であることに留意されたい。
【0084】
図7から図10は、それぞれ、4つの車載制御ユニット3の内部構造図を提供する。
【0085】
図7および図8で提供される車載制御ユニット3の構造の概略図において、車載制御ユニット3は、並べて配置された1つまたは複数の制御板を含み、また温度制御プレート2000は、各制御板の片側に、または両側に配置される。
【0086】
図7では、3つの制御板A、B、およびCが並んで配置された例が使用される。2つの温度制御プレート2000が、2つの外側の制御板(制御板Aおよび制御板C)の外側に配置され、他の2つの温度制御プレート2000は、3つの制御板の間に挿入される、すなわち、制御板および温度制御プレートは、交互に配置される。温度制御分岐2111は、温度制御プレート2000の内側に配置され、また温度制御流体は、温度制御プレート2000の内側を通って流れて、制御板A、B、およびCと熱交換を行い、それにより制御板A、B、およびCに対する熱調節を実施する。その配置構造は、複数の制御板に対する迅速な温度制御を容易にする。
【0087】
図8では、3つの制御板A、B、およびCが並んで配置される例がさらに使用される。2つの温度制御プレート2000が、2つの外側の制御板(制御板Aおよび制御板C)の外側に配置され、1つの温度制御プレート2000は、3つの制御板の間の位置に挿入される。温度制御分岐2111は、温度制御プレート2000の内側に配置され、温度制御流体が、温度制御プレート2000の内側を通って流れて、制御板A、B、およびCと熱交換を行い、それにより、制御板A、B、およびCに対する熱調節を実施する。その配置構造は、温度制御プレートの使用を低減し、温度制御プレートの温度制御効率を向上させ、かつ複数の制御板に対する温度制御を容易にすることができる。
【0088】
温度制御プレート2000が各制御板の片側または両側に配列される図7および図8にそれぞれ基づき、図9および図10で示される車載制御ユニット3の構造の概略図では、熱伝達プレート2001が、制御板の片側または両側にさらに配置され、熱伝達プレート2001が、制御板と温度制御プレート2000の間に配置される。熱伝達プレートを配置することにより、車載制御ユニットと温度制御プレートの間の熱交換効率が向上され、また温度制御効果が向上される。
【0089】
さらに熱伝達プレート2001と温度制御プレート2000の間の熱伝達効率を向上させるために、熱伝達プレート2001と温度制御プレート2000の間の接触面積が増加され得る。例えば、熱伝達プレート2001と温度制御プレート2000の接触面積は、凸形および凹形設計を有する波形状に設計される。
【0090】
図9では、3つの制御板A、B、およびCが並んで配置される例が使用される。2つの温度制御プレート2000は、2つの外側の制御板(制御板Aおよび制御板C)の外側に配置され、他の2つの温度制御プレート2000は、3つの制御板の間に挿入される。熱伝達プレート2001は、制御板と温度制御プレート2000の間に配置されて、温度伝達効率を向上させる。温度制御分岐2111は、温度制御プレート2000の内側に配置され、また温度制御流体は、温度制御プレート2000の内側を通って流れて、複数の熱伝達プレート2001を用いることにより、制御板A、B、およびCと熱交換を行い、それにより、制御板A、B、およびCに対する熱調節を実施する。
【0091】
図10では、3つの制御板A、B、およびCが並んで配置される例がさらに使用される。2つの温度制御プレート2000が、2つの外側の制御板(制御板Aおよび制御板C)の外側に配置され、1つの温度制御プレート2000は、3つの制御板の間の位置に挿入される。熱伝達プレート2001は、制御板と温度制御プレート2000の間に配置されて、温度伝達効率を向上させる。温度制御分岐2111は、温度制御プレート2000の内側に配置され、温度制御流体が、温度制御プレート2000の内側を通って流れて、複数の熱伝達プレート2001を用いることにより、制御板A、B、およびCと熱交換を行い、それにより、制御板A、B、およびCに対する温度調節を実施する。
【0092】
図11は、温度制御プレート2000の内部構造を開示する。ガイドチャネル2112が、温度制御プレート2000の内側に配置され、ガイドチャネル2112は、温度制御プレート2000内で波形状に配置されて、より大きな容積の温度制御流体が通って流れることを可能にし、それにより、熱交換を向上させる。温度制御プレート2000の外側に位置する温度制御分岐2111は、温度制御プレート2000の内側のガイドチャネル2112と連通している。温度制御プレート2000を温度制御分岐2111と連通させる2つの入口は、図11で示される2つの側部に配置され得る、または互いに隣接して同じ側に配置され得る。2つの入口の具体的な位置は、車載制御ユニットの方向付け、および温度制御システムの流路構成に基づき、柔軟に設計される。
【0093】
図12は、温度制御プレート2000の別の内部構造を開示する。ガイドチャネル2112および液体保管チャンバ2113が、温度制御プレート2000の内側に配置される。液体保管チャンバ2113は、温度制御プレート2000の内側の中空のチャンバであり、液体保管チャンバ2113の2つの側部は別々に、ガイドチャネル2112と連通する。温度制御プレート2000の外側に位置する温度制御分岐2111は、温度制御プレート2000の内側のガイドチャネル2112と連通する。温度制御システムの動作中に、温度制御流体は、温度制御分岐2111からガイドチャネル2112を通って液体保管チャンバ2113に流入する。液体保管チャンバ2113内の温度制御流体は、車載制御ユニットと熱交換を行い、次いで、他方の側のガイドチャネル2112から出て、下流の温度制御分岐2111へと流れる。
【0094】
本出願の別の実施形態では、電磁遮蔽材料が、車載制御ユニット3の周辺上を覆って、別の車載電子デバイスおよび外部環境からの電磁干渉を阻止し、車載制御ユニット3の通信送信の安定性を保証する。この場合、温度制御分岐2111の少なくとも一部が、電磁遮蔽の内側に配置される、すなわち、電磁遮蔽材料は、温度制御分岐2111を部分的に覆う。この構成方法においては、車載制御ユニット3に対する電磁干渉阻止が実現されることができ、温度制御経路の構成が容易化されることができる。
【0095】
本出願における車載制御ユニットは、様々な制御機能を実施するために乗物内で使用されるすべての制御構成要素を含み、またECU、ゾーンゲートウェイ、ドメインゲートウェイ、中心ゲートウェイ、DCU、MDC、および自動運転ネットワーク要素など、乗物に取り付けられる、または一体化される様々な通信デバイスを含む。
【0096】
上記で述べられた実施形態間の同じまたは同様の部分は、相互に参照され得る。
【0097】
前述の記述は、本出願のいくつかの特定の実施形態に過ぎないが、本出願の保護範囲はそれに限定されない。
【符号の説明】
【0098】
1:熱交換ユニット、11:出力ポート、12:還流ポート、2:温度制御バックボーンパイプ、20:ブリッジパイプ、21:車載制御ユニット温度制御流路、22:電池温度制御流路、210:制御ユニット温度制御分岐、220:電池ユニット温度制御分岐、2111:温度制御分岐、2A:上流の主パイプ、2B:下流の主パイプ、2000:温度制御プレート、2001:熱伝達プレート、2112:ガイドチャネル、2113:液体保管チャンバ、3:車載制御ユニット、4:電池ユニット、5:循環ポンプ、6:温度センサモジュール、7:温度制御ユニット、8:流れ制御弁
AおよびB:出口方向を制御できる3方弁、C、D、E、F、G、H、I、J、K、およびL:3方弁
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載制御ユニットに対して温度制御を実施するように構成された車載制御ユニット温度制御流路であって、前記車載制御ユニット温度制御流路は、温度制御分岐を通って流れて、前記車載制御ユニットに対する温度制御を実施し、2つ以上の温度制御分岐が存在し、少なくとも1つの温度制御分岐は、前記車載制御ユニットの内側を通る、車載制御ユニット温度制御流路と
出口ポートおよび還流ポートを含み、前記車載制御ユニット温度制御流路に対して温度制御流体を提供するように構成された熱交換ユニットと
上流の主パイプおよび下流の主パイプを含む温度制御バックボーンパイプであって、前記上流の主パイプは、前記熱交換ユニットの前記出口ポートおよび前記車載制御ユニット温度制御流路の上流ポートと別々に連通し、前記下流の主パイプは、前記車載制御ユニット温度制御流路の下流ポートおよび前記熱交換ユニットの前記還流ポートと別々に連通する、温度制御バックボーンパイプと
を備える、乗物温度制御システム。
【請求項2】
複数の車載制御ユニットが存在し、各車載制御ユニット温度制御流路の上流ポートは、前記上流の主パイプと連通し、各車載制御ユニット温度制御流路の下流ポートは、前記下流の主パイプと連通する、請求項に記載の乗物温度制御システム。
【請求項3】
電池ユニットに対して温度制御を実施するように構成された電池温度制御流路をさらに備え、複数の電池ユニットが存在し、前記電池温度制御流路は、複数の電池ユニット温度制御分岐へと分流されて、前記複数の電池ユニットに対する温度制御をそれぞれ実施し、各電池ユニット温度制御分岐は、1つの電池ユニットに対応し、前記電池温度制御流路の上流ポートは、前記上流の主パイプと連通し、前記電池温度制御流路の下流ポートは、前記下流の主パイプと連通する、請求項またはに記載の乗物温度制御システム。
【請求項4】
収集された温度信号に基づいて、前記温度制御流体の流速または流量を制御する温度センサ制御ユニットをさらに備える、請求項からのいずれか一項に記載の乗物温度制御システム。
【請求項5】
前記車載制御ユニットは少なくとも1つの制御板を含み、温度制御プレートが各制御板の片側または両側に配置され、前記温度制御分岐は、前記温度制御プレートの内側と連通している、請求項1からのいずれか一項に記載の乗物温度制御システム。
【請求項6】
前記温度制御プレートは、内部にガイドチャネルを備え、液体保管チャンバをさらに備え、前記ガイドチャネルは前記温度制御分岐と連通している、請求項に記載の乗物温度制御システム。
【請求項7】
熱放散プレートが前記制御板の片側または両側にさらに配置され、前記熱放散プレートは、前記制御板と前記温度制御プレートとの間に配置される、請求項またはに記載の乗物温度制御システム。
【請求項8】
車載制御ユニットに対して温度制御を実施するように構成された車載制御ユニット温度制御流路であって、前記車載制御ユニット温度制御流路は、温度制御分岐を通って流れて、前記車載制御ユニットに対する温度制御を実施し、2つ以上の温度制御分岐が存在し、少なくとも1つの温度制御分岐が、前記車載制御ユニットの内側を通る、車載制御ユニット温度制御流路と、
電池ユニットに対して温度制御を実施するように構成された電池温度制御流路であって、複数の電池ユニットが存在し、前記電池温度制御流路は、複数の電池ユニット温度制御分岐へと分流されて、前記複数の電池ユニットに対する温度制御をそれぞれ実施し、各電池ユニット温度制御分岐は、1つの電池ユニットに対応する、電池温度制御流路と、
出力ポートおよび還流ポートを含み、前記車載制御ユニット温度制御流路、および前記電池温度制御流路に対して温度制御流体を提供するように構成された熱交換ユニットと、
前記車載制御ユニット温度制御流路および前記電池温度制御流路を制御して、並列または直列に接続されるように構成された制御弁ユニットと
を備える、乗物温度制御システム。
【請求項9】
複数の車載制御ユニットが存在し、前記車載制御ユニット温度制御流路は、複数の制御ユニット温度制御分岐へと分流されて、前記複数の車載制御ユニットに対する温度制御をそれぞれ実施し、各制御ユニット温度制御分岐は、1つの車載制御ユニットに対応する、請求項8に記載の乗物温度制御システム。
【請求項10】
複数の車載制御ユニットが存在し、前記複数の車載制御ユニットは、直列に接続される、請求項8に記載の乗物温度制御システム。
【請求項11】
前記制御弁ユニットは、第1の制御弁および第2の制御弁を含み、前記第1の制御弁は、前記車載制御ユニット温度制御流路の上流の流路と、前記電池温度制御流路の上流の流路との間の接合部に配置され、前記第2の制御弁は、前記車載制御ユニット温度制御流路または前記電池温度制御流路の下流の流路に配置される、請求項8から10のいずれか一項に記載の乗物温度制御システム。
【請求項12】
前記車載制御ユニットは少なくとも1つの制御板を含み、温度制御プレートが各制御板の片側または両側に配置され、前記温度制御分岐は、前記温度制御プレートの内側と連通している、請求項8から11のいずれか一項に記載の乗物温度制御システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
本出願の実施形態の目的、技術的解決策、および利点をより明らかにするために、以下のものは、本出願の実施形態における添付図面を参照して、本出願の実施形態における技術的解決策を明確に述べる。述べられる実施形態は、本出願の実施形態のすべてではなく、いくつかに過ぎないことは明らかである。創造的な努力をすることなく、本出願の諸実施形態に基づいて当業者により得られるすべての他の実施形態は、本出願の保護範囲に含まれるものとする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
実施形態3で提供される乗物温度制御システムの場合、車載制御ユニット3の温度制御流路21は、上流の主パイプ2Aおよび下流の主パイプ2Bを配置することにより、上流の主パイプ2Aと下流の主パイプ2Bの間で接続され、それは、乗物の様々な位置に配置される車載制御ユニット3の協動する温度制御を容易にする。車載制御ユニット3の間の空間距離が比較的長い場合であっても、複数の車載制御ユニット3に対する温度制御は、温度制御システムを用いることにより独立して実施されることができ、それは乗物内の車載制御ユニットに対して、温度制御の構成を簡単にし、操作性を向上させる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
例えば、乗物が寒い環境で走行するとき、温度制御システムは、車載制御ユニット3に対して加熱処理を行う必要があり、温度制御ユニット7は、あらかじめ車載制御ユニット3の目標温度値を20℃に設定する。温度センサモジュール6により測定された実際の温度値が、-5℃であるとき、差分値は25度に等しい。表1の制御関係に基づいて、流れ制御弁8は、この場合、ギアAになる。したがって、温度制御ユニット7は、流れ制御弁8を制御して、100%の開度に開きを保持するようにし、したがって、温度制御分岐2111内の流体の流量は最大化される。温度センサモジュール6により測定された実際の温度値が、30℃である場合、差分値は、-10度に等しい。表1の制御関係に基づいて、流れ制御弁8は、この場合ギアDになる。したがって、温度制御ユニット7は、流れ制御弁8を制御して、25%の開度に開きを保持するようにし、温度制御分岐2111内の流体の流量を最小化する。
【国際調査報告】