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特表2022-549482輪郭歪曲が低減された歯科修復物を機械加工する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-25
(54)【発明の名称】輪郭歪曲が低減された歯科修復物を機械加工する方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/00 20060101AFI20221117BHJP
   B23Q 17/20 20060101ALI20221117BHJP
   B23Q 17/09 20060101ALI20221117BHJP
   G05B 19/404 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
A61C13/00 Z
B23Q17/20 A
B23Q17/09 H
G05B19/404 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518996
(86)(22)【出願日】2020-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2020076235
(87)【国際公開番号】W WO2021058417
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】19199323.7
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ハンス-クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】バスラー、フランツ
(72)【発明者】
【氏名】バイス、ダニエル
【テーマコード(参考)】
3C029
3C269
【Fターム(参考)】
3C029BB01
3C029CC05
3C269AB05
3C269AB07
3C269BB03
3C269BB05
3C269EF02
3C269KK08
3C269MN07
3C269MN26
3C269MN41
3C269MN44
(57)【要約】
本発明は、1つ又は複数の歯科ツール(3)を使用してワークピース(2)から少なくとも1つの歯科修復物(1)を機械加工する方法に関し、本方法は、歯科修復物(1)の目標輪郭(4)を定義するステップを備え、1つ又は複数の加工パラメータに基づくモデルにより前加工中の歯科ツール(3)の撓みを予測するステップと、予測ステップに基づいて、前加工中に目標輪郭(4)が損傷を受けているであろう1つ又は複数の一次位置(5)を決定するステップと、損傷を防止するために、実質的に一次位置(5)においてのみオーバーサイズの材料(6)を追加することによって、目標輪郭(4)又は対応する加工経路を修正するステップと、修正された目標輪郭(7)又は修正された対応する加工経路に基づいてワークピース(2)を前加工するステップと、を更に備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の歯科ツール(3)を使用してワークピース(2)から少なくとも1つの歯科修復物(1)を機械加工するコンピュータ実装方法であって、
前記歯科修復物(1)の目標輪郭(4)を定義するステップ
を備える方法において、
1つ又は複数の加工パラメータに基づくモデルにより前加工中の前記歯科ツール(3)の撓みを予測する予測ステップと、ここにおいて、前記加工パラメータは、前記歯科ツール(3)と前記ワークピース(2)との間の重なりの長さ及び前記歯科ツール(3)と前記ワークピース(2)との間の加工力を含み、
前記予測ステップに基づいて、前加工中に前記目標輪郭(4)が損傷を受けているであろう1つ又は複数の一次位置(5)を決定する決定ステップと、
損傷を防止するために、実質的に前記一次位置(5)においてのみオーバーサイズの材料(6)を追加することによって、前記目標輪郭(4)又は対応する加工経路を修正する修正ステップと、
前記修正された目標輪郭(7)又は前記修正された対応する加工経路に基づいて前記ワークピース(2)を前加工する前加工ステップと、
を更に備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記予測ステップに基づいて、前記前加工ステップ後に余分な材料(9)が残ることになる1つ又は複数の二次位置(8)を決定するステップと、
前記余分な材料(9)を除去するために、実質的に前記二次位置(8)においてのみ前記ワークピース(2)を後加工する後加工ステップと、
を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前加工ステップ中のセンサフィードバックに基づいて、前記前加工ステップ後に余分な材料(9)が残ることになる1つ又は複数の二次位置(8)を決定するステップと、
前記余分な材料(9)を除去するために、実質的に前記二次位置(8)においてのみ前記ワークピース(2)を後加工する後加工ステップと、
を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記二次位置(8)において前記後加工が臨床的に関連がない場合、前記余分な材料(9)を除去するために前記二次位置(8)の1つ又は複数において前記ワークピース(2)を後加工することを省略するステップを更に備えることを特徴とする、
請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記前加工ステップにおけるインフィードが、前記後加工ステップにおけるインフィードよりも大きいことを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記前加工ステップでは、粗加工用の歯科ツール(3)が使用され、前記後加工ステップでは、微細加工用の歯科ツールが使用されることを特徴とする、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
歯科用加工システムであって、
少なくとも1つのワークピース(2)から歯科修復物(1)を機械加工するための1つ又は複数の歯科ツール(3)を各々が駆動する1つ又は複数のキャリッジ(11)を備える歯科ツールマシン(10)と、
前記キャリッジ(11)を個々に制御するための制御手段と、
を備える歯科用加工システムにおいて、
前記制御手段が、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法のステップにしたがって前記キャリッジ(11)を制御するように更に適応されていることを特徴とする、
歯科用加工システム。
【請求項8】
コンピュータ化された歯科用加工システムに、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させるためのコンピュータ可読コードを備えるコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又は複数の歯科ツールを使用してワークピースから歯科修復物を機械加工する方法に関する。本発明はまた、少なくとも1つのワークピースから歯科修復物を機械加工するための歯科用加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ミリングカッター、グラインダーなどの回転対称ツールを用いてワークピースを機械加工するとき、ツールは、加工力の作用に起因して湾曲又は撓む。ブランクを機械加工する方法を開示するWO2007/110655A2を参照する。半径方向へのツールの撓みは、長手方向に可変の直径を有する、片側でクランプされた曲げビームの撓みと質的に同様である。ツールの撓みは、機械加工中の各作業点において輪郭歪曲(contour falsification)を引き起こす。輪郭歪曲の程度は、本質的に、ツールとワークピースとの間の重なりの量、及びインフィード(infeed)に依存する。インフィードは、典型的には、高速研削では50μmであり、精研削では25μmである。完全な重なりにおける高速研削による最大の局所的な輪郭歪曲は、典型的にはおよそ300μmである。輪郭歪曲のうち重なりに依存しない部分は、輪郭変位を引き起こし、重なりに依存する部分は、輪郭歪みを引き起こす。300μmというかなりの変位があるにもかかわらず、使用可能な歯科修復物を単一ステップの機械加工で機械加工することができる。しかしながら、インレー及び部分クラウンなどの歯科修復物が、機械加工中に大きく変動するツール/ワークピースの重なりで製作された場合、歯科修復物の品質は低下し、例えば、不均一な支持、欠損したエッジ閉鎖、及びエッジブレイクアウト等を受ける。一般に、輪郭歪曲は、受け入れられるか又は2ステップの機械加工により補償される。2ステップの機械加工において、修復物全体は最初に全体的なオーバーサイズを被せられ、前加工、すなわち、高速研削又は粗削りにより前加工されて、余分な材料の実質的部分を除去し、それによって、第2のステップ、すなわち後加工、つまり精研削又は仕上げのためのツール負荷を1桁以上低減する。しかしながら、2ステップの処理は、処理時間の大幅な増加につながる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、先行技術の課題を可能な限り克服し、1つ又は複数の歯科ツールを使用することによってワークピースから歯科修復物を機械加工する方法を提供することであり、本方法において、歯科修復物の幾何学的歪みを可能な限り回避又は低減することができ、処理時間を比較的短くすることができる。
【0004】
本目的は、請求項1に記載のコンピュータ実装方法、及び請求項7に記載の歯科用加工システムによって達成される。その他の請求項は、更なる展開形態に関する。
【0005】
本発明は、1つ又は複数の歯科ツールを使用することによってワークピースから少なくとも1つの歯科修復物を機械加工する方法を提供する。本方法は、歯科修復物の目標輪郭を定義するステップと、1つ又は複数の加工パラメータに基づくモデルにより前加工中の歯科ツールの撓みを予測するステップと、予測ステップに基づいて、前加工中に目標輪郭が損傷を受けているであろう1つ又は複数の一次位置を決定するステップと、損傷を防止するために、一次位置においてのみオーバーサイズの材料を追加することによって、目標輪郭又は対応する加工経路を修正するステップと、修正された目標輪郭又は修正された対応する加工経路に基づいてワークピースを前加工するステップと、を備える。
【0006】
本発明の主要な有利な効果は、ツールの撓みによって引き起こされる輪郭歪曲の問題が、ツールの撓みを予測し、それによって結果として生じる輪郭歪み及び輪郭変位を予測するモデルを使用することによって、可能な限り克服又は低減することができることである。上述の先行技術とは異なり、本方法の前加工ステップでは、実質的に、局所的なツールの撓みが最終輪郭に損傷を与えるであろう目標輪郭においてのみ、オーバーサイズの材料が生成される。これによって、歯科修復物の品質を高めることができ、処理時間を削減することができる。これによって、製造コストも節約することができる。本発明の他の主要な有利な効果は、嵌合の精度を高めることができ、より細いツールを使用することによって歯科修復物の細部を選択的に改善することができ、歯科修復物の保持ピンを少なくすることができ、作成ラインをより高い精度で仕上げることができることである。
【0007】
本発明によれば、本方法には、任意選択的に、上述の前加工ステップと追加の後加工ステップとを有する2ステップの機械加工が提供され得る。したがって、本発明の一実施形態では、本方法は、任意選択的に、予測ステップに基づいて、前加工ステップ後に余分な材料が残ることになる1つ又は複数の二次位置を決定するステップと、余分な材料を除去するために、実質的に二次位置においてのみワークピースを後加工するステップとを備える。上述の先行技術とは異なり、本方法の後加工ステップでは、実質的に二次位置のみが機械加工される。これによって、歯科修復物をより高い精度で仕上げることができ、処理時間を比較的削減することができる。これによって、製造コストを更に節約することができる。
【0008】
代替の実施形態では、前加工ステップ後に余分な材料が残ることになる1つ又は複数の二次位置を決定するステップは、前加工ステップ中のセンサフィードバックに基づく。ツールとワークピースとの間の力をセンサにより直接測定して、センサフィードバックを確立し得る。センサは、ワークピースのリテーナに配置され得る。代替的に、ツールモータの電流供給をモニタリングして、センサフィードバックを確立してもよい。
【0009】
本発明によれば、後加工ステップは、任意選択的に、臨床的関連性に基づき得る。したがって、一実施形態では、本方法は更に、これらの二次位置において後加工が臨床的に関連が少ない又は関連がない場合、余分な材料を除去するために二次位置の1つ又は複数においてワークピースを後加工することを省略するステップを備える。例えば、歯科修復物の前側及び後側のほうが、一般に隣り合う歯に精度よく正確に嵌まる必要がある歯科修復物の左側及び右側よりも、臨床的に関連が少ないと考えられ得る。うまく嵌まらないと、歯科修復物の定位置への挿入が複雑になったり、食物の残り等が溜まったりする可能性がある。コンピュータ実装方法は、臨床的に関連が少ない又は関連がない歯科修復物の位置を人工知能によって認識するニューラルネットワークを備え得る。
【0010】
本発明によれば、2ステップの機械加工のためのインフィードの値は、処理時間及び所望の精度に応じて柔軟に設定することができる。一実施形態では、前加工ステップのためのインフィードは、後加工ステップのためのインフィードよりも大きく設定される。歯科修復物に損傷を与えるリスクがモデルベースの損傷予測に起因して可能な限り防止又は低減されるので、前加工ステップにおけるインフィードを比較的増やすことができる。これによって、処理時間を安全に更に削減することができる。インフィードが比較的高い促進された前加工のおかげで、後加工においてインフィードを比較的減らすことができる。これによって、全体の機械加工時間を延長することなく、歯科修復物の品質を更に高めることができる。
【0011】
本発明によれば、前加工ステップ及び後加工ステップにおいて異なる歯科ツールを使用することができる。したがって、一実施形態では、前加工ステップでは、荒削り用の歯科ツールが使用される。そして後加工ステップでは、仕上げ用の歯科ツールが使用される。これによって、比較的短い処理時間で歯科修復物の品質を高めることができる。
【0012】
本発明によれば、モデルの加工パラメータは、歯科ツールとワークピースとの間の重なりの長さ、及び歯科ツールとワークピースとの間の加工力を含む。撓みの量は、両方の加工パラメータに依存する。機械加工全体を通してのツールの撓みを予測するために、加工パラメータの値を、目標幾何学形状から再構成された加工経路から得ることができる。加工力の代わりに、ツールモータへの電流供給をモデルにおける加工パラメータとして使用することもできる。モデルは、全体の前加工ステップ及び後加工ステップに先立って作成される。モデルは、ルックアップテーブル又は3D特性マップの形態で提供され得る。
【0013】
本発明はまた、歯科用加工システムを提供する。歯科用加工システムは、少なくとも1つのワークピースから歯科修復物を機械加工するための1つ又は複数の歯科ツールを駆動するための1つ又は複数のキャリッジを含む歯科ツールマシンを有する。歯科用加工システムは、キャリッジを個々に制御するための制御手段を有する。制御手段は、本発明の方法にしたがってキャリッジを制御する。歯科用加工システムはまた、前加工ステップ及び後加工ステップ以外のステップの少なくともいくつかを行うためにCAD/CAMモジュールを有し得る。CAD/CAMモジュールは、好ましくは、歯科ツールマシンとは別個に提供されるコンピュータステーション又はマイクロ処理ユニットを含む。これらの間の通信は、ネットワーク等を介して行われ得る。CAD/CAMモジュールはまた、歯科ツールマシンの一部として提供され得る。本発明はまた、本方法を実施するためのコンピュータプログラムを提供する。コンピュータプログラムは、コンピュータ化された歯科用加工システムに、本方法のステップを実行させるためのコンピュータ可読コードを有する。コンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶される。記憶媒体は、ポータブルであってもよいし、組み込み型であってもよい。記憶媒体は、歯科用加工システムの外部又は内部に位置付けられ得る。記憶媒体は、ネットワーク等を通じて到達可能であり得る。
【0014】
下記の説明において、例示的な実施形態を使用し、図面を参照することによって、本発明の更なる態様及び有利な効果について更に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る歯科用加工システムの概略的な部分斜視図である。
図2図1の歯科用加工システムで使用される、本発明の一実施形態に係る歯科ツールの概略的な拡大部分側面図である。
図3図1の歯科用加工システムで使用される、本発明の一実施形態に係るワークピースの概略的な拡大部分側面図である。
図4図3のワークピースの機械加工中の図2の歯科ツールの撓みを示す実験装置の概略的な拡大部分断面図である。
図5】重なり及び加工力を含む2つの加工パラメータに対しての歯科ツールの撓みを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面に示される参照番号は、以下に列挙される要素を示し、例示的な実施形態の下記の説明で参照される。
1.歯科修復物
2.ワークピース
3.歯科ツール
4.目標輪郭
5.一次位置
6.オーバーサイズの材料
7.修正された目標輪郭
8.二次位置
9.余分な材料
10.歯科ツールマシン
11.キャリッジ
【0017】
図1は、一実施形態に係る歯科用加工システムを部分的に示す。歯科用加工システムは、ワークピース(2)から歯科修復物(1)を機械加工するための歯科ツール(3)を各々が駆動するための2つのキャリッジ(11)を有する歯科ツールマシン(10)を有する。図2は、キャリッジ(11)のいずれか1つに取り付けることができる歯科ツール(3)を部分的に示す。図3は、歯科ツールマシン(10)内に取り付けることができる未使用のワークピース(2)を示す。歯科用加工システムは、機械加工中にキャリッジ(11)を個々に制御するための制御手段を有する。制御手段は、本発明の方法にしたがってキャリッジ(11)を制御する。歯科用加工システムは、好ましくは、本方法を実施するための制御手段とは別個にCAD/CAMモジュールを有する。以下の説明では、本方法について説明する。
【0018】
図1は、動作中の歯科用加工システムを示す。定義ステップにおいて、歯科修復物(1)の目標輪郭(4)が定義される。目標輪郭(4)は、例示しやすくするために図1において円筒として図示されている。予測ステップにおいて、前加工で生じることになる歯科ツール(3)の撓みが、1つ又は複数の加工パラメータに基づくモデルにより事前に予測される。このモデルについては、図4及び図5を参照してより詳細に後述する。決定ステップにおいて、前加工中に目標輪郭(4)が損傷を受けているであろう1つ又は複数の一次位置(5)が、予測ステップに基づいて決定される。修正ステップにおいて、損傷を防止するために実質的に一次位置(5)においてのみ目標輪郭(4)にオーバーサイズの材料(6)を追加することによって、目標輪郭(4)又は対応する加工経路が修正される。本願において、「実質的に」という用語は、本機械加工方法の技術的公差の限界を指すものとして解釈するべきである。前加工ステップにおいて、ワークピース(2)は、修正された目標輪郭(7)又は対応する修正された加工経路に基づいて前加工される。定義ステップ、予測ステップ、決定ステップ、及び修正ステップは、好ましくは、CAD/CAMモジュールにおいて行われる。前加工ステップ及び後加工ステップは、制御手段により行われる。CAD/CAMモジュールを制御手段に組み込むこともできる。
【0019】
図4は、図3のワークピース(2)の機械加工中の図2の歯科ツール(3)の撓みを予測するモデルを作成するために使用された実験装置を部分的に示す。図4において、ワークピース(2)の左側において、下側の破線及び上側の破線は、歯科ツール(3)とワークピース(2)との間の特定の重なり及び特定の加工力についての、前加工中の歯科ツール(3)の目標位置及び実際の位置をそれぞれ示す。ワークピース(2)の右側において、材料は、歯科ツール(3)によって、歯科ツール(3)とワークピース(2)との間の測定された加工力がゼロになるまで数回繰り返して前加工することにより目標位置まで除去されている。図5に示されるような3D特性マップを製作するために、この実験装置を用いて、歯科ツール(3)の撓みは、重なりの様々な値及び加工力の様々な値について測定された。図5の3D特性マップは、前加工及び後加工中の歯科ツール(3)の撓みを予測するためのモデルとして使用することができる。
【0020】
一実施形態では、本方法は、前加工ステップに加えて後加工ステップも有する。本実施形態では、追加の決定ステップにおいて、前加工ステップ後に余分な材料(9)が残ることになる1つ又は複数の二次位置(8)が、予測ステップに基づいて決定される。そして後加工ステップにおいて、ワークピース(2)は、余分な材料(9)を除去するために、実質的に二次位置(8)においてのみ後加工される。
【0021】
代替の実施形態では、追加の決定ステップにおいて、前加工ステップ後に余分な材料(9)が残ることになる1つ又は複数の二次位置(8)は、代替的に、前加工ステップ中のセンサフィードバックに基づいて決定される。そして後加工ステップにおいて、ワークピース(2)は、余分な材料(9)を除去するために、実質的に二次位置(8)においてのみ後加工される。
【0022】
一実施形態では、省略ステップにおいて、これらの二次位置(8)において後加工が臨床的に関連が少ない又は関連がない場合、余分な材料(9)を除去するために二次位置(8)の1つ又は複数においてワークピース(2)を後加工することが省略される。歯科修復物(1)の二次位置(8)の臨床的関連性は、ユーザによって、歯科修復物(1)のディスプレイ上にそのような二次位置(8)をマークすることにより入力され得る。代替的に、人工知能のアルゴリズムを用いることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】