(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-25
(54)【発明の名称】罨法システム
(51)【国際特許分類】
A61F 7/00 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
A61F7/00 310F
A61F7/00 310J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519083
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(85)【翻訳文提出日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 CN2020105139
(87)【国際公開番号】W WO2021057240
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】201910907746.3
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522115974
【氏名又は名称】蘇州微創康復医療科技(集団)有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU MICROPORT REHABTECH (GROUP) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Plant 3, No.112 Fangzhong Street, Suzhou Industrial Park Suzhou, Jiangsu China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】謝 飛
(72)【発明者】
【氏名】羅 毅
(72)【発明者】
【氏名】邸 霈
(72)【発明者】
【氏名】楊 屹巍
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA03
4C099AA05
4C099CA19
4C099EA02
4C099EA05
4C099GA30
4C099JA02
4C099LA09
4C099PA03
4C099PA04
(57)【要約】
本発明に係る冷罨法または温罨法に用いられる罨法システムは、水袋101と、空気袋102と、水袋101に連通している水循環装置2と、空気袋102に連通している空気圧装置3と、を含む。本発明に係る罨法システムにおいて、水循環装置2と空気圧装置3とは独立しているため、冷罨法または温罨法を行う際、独立した空気圧装置3は、制御パネル402に予め設けられたパラメータ基づいて、定められた空気圧波形にしたがって水袋102により患者の特定部位に対して罨法を適用できる。水と空気との循環経路が独立しているため、水流と空気流との干渉がなく、圧力誤差が少なく、より安定した罨法を行うことができる。また、水流を一定に保つことができ、水袋の表面温度分布も均一にすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷罨法または温罨法に用いられ、水袋(101)と、空気袋(102)と、前記水袋(101)に連通している水循環装置(2)と、前記空気袋(102)に連通している空気圧装置(3)と、を含む罨法システム。
【請求項2】
前記水循環装置(2)は、進水管(205)および排水管(204)を含み、
前記空気圧装置(3)は、前記進水管(205)および前記排水管(204)から独立した空気循環パイプ(305)を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の罨法システム。
【請求項3】
前記水循環装置(2)は、水タンク(201)、ポンプ(202)および水経路(203)を含み、
前記水袋(101)と前記水タンク(201)とは、前記排水管(204)によって連通され、前記水タンク(201)、ポンプ(202)、水経路(203)および水袋(101)の間は、前記進水管(205)によって順次に連通され、前記水タンク(201)、ポンプ(202)、水経路(203)、進水管(205)、水袋(101)、排水管(204)および水タンク(201)は、順次に連通されて水循環回路を形成している、
ことを特徴とする請求項2に記載の罨法システム。
【請求項4】
前記水循環装置(2)は、前記水経路(203)の両側に設けられる第1半導体モジュール(206)および第2半導体モジュール(207)を含み、前記第1半導体モジュール(206)および前記第2半導体モジュール(207)は、前記水経路(203)と熱交換できるように、互いに接続されて電気回路を形成している、ことを特徴とする請求項3に記載の罨法システム。
【請求項5】
前記水循環装置(2)は、前記第1半導体モジュール(206)および前記第2半導体モジュール(207)と接触する少なくとも1つのヒートシンクを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の罨法システム。
【請求項6】
前記水経路(203)から離れた少なくとも1つのヒートシンクの一側に冷却ファンが設けられている、ことを特徴とする請求項5に記載罨法システム。
【請求項7】
前記水循環装置(2)は、少なくとも1つの通気窓を含み、前記冷却ファンの一つの面が少なくとも1つの前記ヒートシンクに密着され、他の一つの面が少なくとも1つの前記通気窓に密着されている、ことを特徴とする請求項6に記載の罨法システム。
【請求項8】
前記空気圧装置(3)は、空気圧ポンプ(301)、第1電磁弁(302)および第2電磁弁(303)を含み、
前記空気袋(102)と前記空気圧ポンプ(301)とは、前記空気循環パイプ(305)を介して接続され、前記第1電磁弁(302)と前記空気袋(102)とは、前記空気循環パイプ(305)を介して接続され、前記第1電磁弁(302)と前記空気圧ポンプ(301)および前記第2電磁弁(303)とは、前記空気循環パイプ(305)を介して接続されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の罨法システム。
【請求項9】
前記空気圧装置(3)は、機械式減圧弁(304)を含み、
前記機械式減圧弁(304)と、前記第1電磁弁(302)、前記空気圧ポンプ(301)および前記第2電磁弁(303)とは、前記空気循環パイプ(305)を介して接続されている、ことを特徴とする請求項8に記載の罨法システム。
【請求項10】
制御装置(4)をさらに含み、
前記制御装置(4)は、表示およびインタラクティブモジュール(401)と、制御パネル(402)と、を含み、
前記表示およびインタラクティブモジュール(401)は、前記制御パネル(402)に接続され、
前記制御パネル(402)は、前記水循環装置(2)および前記空気圧装置(3)とそれぞれ接続されるとともに前記表示およびインタラクティブモジュールと通信し、前記表示およびインタラクティブモジュールを介して前記罨法システムの複数の動作モードパラメータのインタラクティブを可能にするインターフェースを供給し、ここで、前記動作モードパラメータは、各サイクルの動作時間、各サイクルの休止時間、合計動作時間、罨法圧力パラメータ、冷罨法または温罨法の罨法モードの選択および温度設定のうちいずれか1つまたは複数の組み合わせである、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の罨法システム。
【請求項11】
前記排水管(204)、前記進水管(205)、前記第1半導体モジュール(206)および前記第2半導体モジュール(207)のうちの少なくとも1つに接続される少なくとも1つの温度センサをさらに含む、ことを特徴とする請求項4~7のいずれか一項に記載の罨法システム。
【請求項12】
前記水循環装置(2)は、前記水タンク(201)に接続される液面センサ(214)を含む、ことを特徴とする請求項3~7のいずれか一項に記載の罨法システム。
【請求項13】
前記水循環装置(2)は、前記ポンプ(202)に接続される第1電流ループ検出センサ(215)を含む、ことを特徴とする請求項3~7のいずれか一項に記載の罨法システム。
【請求項14】
前記空気圧装置(3)は空気圧センサ(306)を含み、
前記空気圧センサ(306)と、前記第1電磁弁(302)、前記空気圧ポンプ(301)、前記第2電磁弁(303)および前記機械式減圧弁(304)とは、前記空気循環パイプ(305)を介して接続されている、ことを特徴とする請求項8または9に記載の罨法システム。
【請求項15】
前記空気圧装置(3)は、前記空気圧ポンプ(301)に接続される第2電流ループ検出センサ(307)を含む、ことを特徴とする請求項8または9に記載の罨法システム。
【請求項16】
ラップバッグをさらに含み、前記ラップバッグは、前記水袋(101)と、前記水袋(101)の片側に設けられる前記空気袋(102)との両方を包んでいる、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の罨法システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療機器の技術分野に関し、より具体的には、温熱・冷却療法(冷罨法、温罨法)用罨法システムに関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活においては、屡々皮膚に対して冷罨法または温罨法を行う必要である。冷罨法は、局所的に血管の収縮を引き起こし、血液の流れを遅らせ、毛細血管の透過性を低下させ、滲出を減らし、局所的に代謝を遅らせ、炎症性メディエーターの放出を効果的に減らせる。また、温罨法は、血液循環を促進し、新陳代謝を高め、創傷治癒を促進できる。
【0003】
冷罨法、温罨法、深部静脈血栓症(DVT)圧迫は、臨床分野において広く使われている。現在、医療機関における慣行は、基本的には加熱または冷却されたタオルを患部に当てる。また、氷嚢(アイスパック)、アイシング機器、半導体冷却器など様々な罨法関連製品が市販されている。
【0004】
氷嚢は、冷蔵庫で冷やされたりまたは電子レンジで加熱されたりしてから患部に当てて使用されるが、冷罨法または温罨法の所望温度を維持することが難しく、冷罨法または温罨法の所望温度を維持できない場合には早急に交換しなければならないという問題がある。
【0005】
アイシング機器は、単に氷を冷水に変換してから、ポンプで冷水をラップバッグに送って冷却循環させる。しかしながら、既存のアイシング機器には、次のような多くの欠点を有する。第1に、別途で氷を補充する必要がある。第2に、冷罨法機能はあるが温罨法機能がなく、または冷罨法機能および温罨法機能が交互に行われる。第3に、外部気圧により冷水を輸送するため、ケース本体と連結パイプとが厳格に密閉されなければならない。第4に、冷罨法の時間のみ調整でき、その他の機能はない。第5に、水が順調に流れないことを避けるためには使用中の冷罨法機器の高さを適切に設ける必要がある。
【0006】
半導体冷却器の動作原理は、次のとおりである。ポンプにより水を半導体モジュールに流させることで温水または冷水を形成してから、温水または冷水をラップバッグ内に送って冷却循環させる。既存の半導体冷却器には、次のような欠点を有する。第1に、冷却温度を制御できず、冷却または加熱する一方で、達せられる最低温度は周囲環境によって異なる。第2に、空気圧で冷水または温水を輸送するため、冷罨法における圧力に変動が生じ、水の流量が一定にならない。第3に、各サイクルの治療時間、休息時間、脈動圧迫圧および温度の面において、多様化した一連の温冷圧迫療法を予め保存および編集できない。第4に、ラップバッグの適用性が低く、冷罨法を行える部位が限られている。第5に、機器は、医療用電気機器の警報システムに求められる標準YY0709-2009と互換性のある警報機能を備えていないため、長期間かつ医師による監督なしにおける有効性評価を必要とする病棟での使用には適しない。第6に、半導体の冷却ファンの音が大きく、患者の休息を妨げる。
【0007】
以上のように、現在、性能が向上された冷罨法または温罨法の罨法システムの提供が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記既存技術における欠点に鑑みてなされたものであって、冷罨法または温罨法の罨法システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る罨法システムは、冷罨法または温罨法に用いられ、水袋と、空気袋と、前記水袋に連通している水循環装置と、前記空気袋に連通している空気圧装置と、を含む。
【0010】
好ましくは、前記水循環装置は、進水管および排水管を含み、
前記空気圧装置は、前記進水管および前記排水管から独立した空気循環パイプを含む。
【0011】
好ましくは、前記水循環装置は、水タンク、ポンプおよび水経路を含み、
前記水袋と前記水タンクとは、前記排水管によって連通され、前記水タンク、ポンプ、水経路および水袋の間は、前記進水管によって順次に連通され、前記水タンク、ポンプ、水経路、進水管、水袋、排水管および水タンクは、順次に連通されて水循環回路を形成している。
【0012】
好ましくは、前記水循環装置は、前記水経路の両側に設けられる第1半導体モジュールおよび第2半導体モジュールを含み、前記第1半導体モジュールおよび前記第2半導体モジュールは、前記水経路と熱交換できるように、互いに接続されて電気回路を形成している。
【0013】
好ましくは、前記水循環装置は、前記第1半導体モジュールおよび前記第2半導体モジュールと接触する少なくとも1つのヒートシンクを含む。
【0014】
好ましくは、前記水経路から離れた少なくとも1つのヒートシンクの一側に冷却ファンが設けられている。
【0015】
好ましくは、水循環装置は、少なくとも1つの通気窓を含み、前記冷却ファンの一つの面が少なくとも1つの前記ヒートシンクに密着され、他の一つの面が少なくとも1つの前記通気窓に密着されている。
【0016】
好ましくは、前記空気圧装置は、空気圧ポンプ、第1電磁弁および第2電磁弁を含み、
前記空気袋と前記空気圧ポンプとは、前記空気循環パイプを介して接続され、前記第1電磁弁と前記空気袋とは、前記空気循環パイプを介して接続され、前記第1電磁弁と前記空気圧ポンプおよび前記第2電磁弁とは、前記空気循環パイプを介して接続されている。
【0017】
好ましくは、空気圧装置は、機械式減圧弁を含み、
前記機械式減圧弁と、前記第1電磁弁、前記空気圧ポンプおよび前記第2電磁弁とは、空気循環パイプを介して接続されている。
【0018】
好ましくは、制御装置をさらに含み、
前記制御装置は、表示およびインタラクティブモジュールと、制御パネルと、を含み、
前記表示およびインタラクティブモジュールは、前記制御パネルに接続され、
前記制御パネルは、前記水循環装置および前記空気圧装置とそれぞれ接続されるとともに前記表示およびインタラクティブモジュールと通信し、前記表示およびインタラクティブモジュールを介して前記罨法システムの複数の動作モードおよびパラメータのインタラクティブを可能にするインターフェースを供給し、ここで、前記動作モードおよびパラメータは、一サイクルの動作時間、一サイクルの休止時間、合計動作時間、罨法圧力パラメータ、冷罨法または温罨法の罨法モードの選択および温度設定のうちいずれか1つまたは複数の組み合わせである。
【0019】
好ましくは、前記排水管、前記進水管、前記第1半導体モジュールおよび前記第2半導体モジュールのうちの少なくとも1つに接続される少なくとも1つの温度センサをさらに含む。
【0020】
好ましくは、前記水循環装置は、前記水タンクに接続される液面センサを含む。
【0021】
好ましくは、前記水循環装置は、前記ポンプに接続される第1電流ループ検出センサを含む。
【0022】
好ましくは、前記空気圧装置は、空気圧センサを含み、
前記空気圧センサと、前記第1電磁弁、前記空気圧ポンプ、前記第2電磁弁および前記機械式減圧弁とは、前記空気循環パイプを介して接続されている。
【0023】
好ましくは、前記空気圧装置は、前記空気圧ポンプに接続される第2電流ループ検出センサを含む。
【0024】
好ましくは、ラップバッグをさらに含み、前記ラップバッグは、前記水袋および前記水袋の片側に設けられる前記空気袋の両方を包んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面において、同一の符号は同一または類似の部品または動作を表している。図面において、部品のサイズおよび相対位置は、必ずしも一定の比率で描かれているわけではない。たとえば、様々な部品の形状や角度は比率に応じて描かれておらず、これらの部品における一部は、図面に対する理解を深めるために拡大され、任意設けられている。さらに、描かれている部品の特定形状は、特定部品の実際の形状に関する情報を伝えることを意図しておらず、図面においての識別を容易にするためにのみ選択されている。
【
図1】本発明の実施形態に係る冷罨法または温罨法に用いられる罨法システムの構造を示すための図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る冷罨法または温罨法に用いられる罨法システムにおける半導体モジュールの構造を示すための図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る独立して動作する水循環装置の構造を示すための図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る独立して動作する空気圧装置の構造を示すための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、実施形態を介して本発明についてさらに詳細に説明することにより、本発明の目的、特徴および利点を明りょうかつわかりやすくする。以下に開示される具体的な実施形態は、本発明を限定するものではなく、単に例示するものであることに理解されたい。
以下の説明において、「第1」、「第2」および「第3」などの用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも特定の順序を説明するものではない。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る冷罨法または温罨法に用いられる罨法システムについて詳細に説明する。
【0027】
図1に示すように、罨法システムは、水循環に用いられる水袋101と、空気循環に用いられる空気袋102と、水袋101と連通している水循環装置2と、空気袋102と連通している空圧装置3と、を含む。
【0028】
水循環装置2は、進水管205および排水管204を含み、空気圧装置3は、進水管205および排水管204のいずれからも独立する空気循環パイプ305を含む。
【0029】
水循環装置2は、水タンク201、ポンプ(油圧ポンプ)202および水経路203を含む。水袋101と水タンク201とは、排水管204および進水管205を介して連通される。水タンク201、ポンプ202、水経路203および水袋101の間は、進水管205によってこの順で順次に連通されている。水タンク201、ポンプ202、水経路203、進水管205、水袋101、排水管204および水タンク201は、この順で順次に連通されて水循環回路を形成する。
【0030】
いわゆる当業者であれば、本発明の実施形態に係る水循環装置において循環される水は、水と他の物質(複数可)との混合物など冷罨法または温罨法に使用可能な任意の液体を指す。
【0031】
一部の実施形態において、水循環装置2は、水経路203における対向する両側に設けられる第1半導体モジュール206および第2半導体モジュール207を含む。第1半導体モジュール206および第2半導体モジュール207は、それぞれの一側が水経路203と接触されて熱交換を行う。熱交換率を高めるためには、水経路203をU字型に設ける。既存の半導体モジュールの配置と比較して、第1半導体モジュール206および第2半導体モジュール207を水経路203の両側に配置することは、システムの放熱効率が低いために冷却時に過剰な熱が発生し、半導体モジュールの冷却効率が低く、臨床的に意義ある冷却温度を達成するまでに時間がかかりすぎて、患者および医師の両方に不便を生じさせる問題を解消できる。さらに、第1半導体モジュール206、第2半導体モジュール207および水経路203を配置することにより、冷却効率および加熱効率が向上されるため、高出力ファンを使用する必要性がなくなる。したがって、既存の罨法装置における動作時の過度な騒音、操作利便性の欠如、半導体モジュールの冷却ファンの騒音が大きいなどの問題を解消できる。
【0032】
本発明の実施形態に係る罨法システムの動作原理は、次のとおりである。
図1の矢印で示すように、まず、水タンク201に純水または比熱の高い液体を加えることによって動作しはじめ、その後、液体は水タンク201からポンプ202を経て水経路203に流入する。この際、水経路203の両側に設けられた第1半導体モジュール206および第2半導体モジュール207は、それに印加される電流/電圧の方向/振幅に応じて、水を予め設定された温度まで冷却または加熱する。最後に、加熱または冷却された水は、進水管205を介して水袋101内に流入し、患者の各部位に対して冷罨法または温罨法を行う。このようにして、冷却または加熱の効率が向上され、システムにおいて、高出力ファンの使用必要性が無くなり、動作中に発生するシステムの全体な騒音を低減できる。
【0033】
より具体的には、第1半導体モジュール206および第2半導体モジュール207は、
図2に示すような構造を有している。第1半導体モジュール206は、第1絶縁性セラミックシート2061と、第1銅板2062と、少なくとも1組の第1N型半導体ペレット2063および第1P型半導体ペレット2064と、を含む。第1絶縁セラミックシート2061は、第1半導体モジュール206の水経路203から離れた側に設けられている。第1銅板2062は、交互に設けられた第1N型半導体ペレット2063および第1P型半導体ペレット2064を順次直列に接続する。第1絶縁性セラミックシート2061は、第1銅板2062に接続されている。第2半導体モジュール207は、第2絶縁セラミックシート2071と、第2銅板2072と、少なくとも1組の第2N型半導体ペレット2073と第2P型半導体ペレット2074と、を含む。第2絶縁セラミックシート2071は、第2半導体モジュール207の水経路203から離れた側に設けられている。第2銅板2072は、交互に設けられた第2N型半導体ペレット2073および第2P型半導体ペレット2074を順次直列に接続する。第2絶縁性セラミックシート2071は、第2銅板2072に接続されている。第1半導体モジュール206と第2半導体モジュール207とは、水経路203に対して対称に設けられている。その結果、冷却効率を大幅に向上できる。もちろん、実際には、所望の冷却効果に応じて、第1半導体モジュールと第2半導体モジュールとの大きさは異なってもよく、必ずしも対称に設けられなくてもよい。
【0034】
本発明の実施形態によれば、冷罨法または温罨法に用いられる罨法システムにおける半導体モジュールの動作原理は、次のとおりである。
図2に示すように、各組におけるN型半導体ペレットおよびP型半導体ペレットがカップルを形成するように接続されている場合、当該回路に直流電流が通電されると、エネルギーの移動が起こり、電流はN型半導体ペレットからP型半導体ペレットに流れる際、接合部(水経路203の出口側)は熱を吸収して冷端(コールドサイト)となり、電流がP型半導体ペレットからN型半導体ペレットに流れる際、接合部は熱を放出して温端(ホットサイト)となる。吸収または放出される熱量の大きさは、電流の振幅とN型半導体ペレットおよびP型半導体ペレットの組の数によって定められる。冷端と温端の温度差が小さいほど、冷却効果が高まる。
【0035】
実施する際、
図2に示すように、第1半導体モジュール206と第2半導体モジュール207とを配線で接続して電気回路を形成し、第1半導体モジュール206および第2半導体モジュール207に印加する電流や電圧の方向や振幅を制御することにより水経路203内の液体を加熱または冷却できる。このように第1半導体モジュール206、第2半導体モジュール207および水経路203を配置することにより、冷却および加熱の効率が向上されるため、高出力ファンを使用する必要性が無くなる。したがって、既存の罨法装置における動作時の過度な騒音、操作利便性の欠如、半導体モジュールの冷却ファンの騒音が大きいなどの問題を解消できる。水経路は、U字型であってもよく、または、直線状や蛇腹状などその他の異なる形状であってもよい。
【0036】
一部の実施形態において、水循環装置2は、第1半導体モジュール206および/または第2半導体モジュール207と接触する少なくとも1つのヒートシンクを含む。たとえば、実際には、
図1に示すように、水循環装置2は、第1半導体モジュール206と接触する第1ヒートシンク208と、第2半導体モジュール207と接触する第2ヒートシンク209とを含んでもよい。本発明によれば、半導体モジュールの両側において共に放熱できるため、既存の半導体冷却器/加熱器に伴う動作騒音が大きい問題や既存の罨法治療器の使用から生じる氷の補充が必要で、長時間の連続冷却ができない問題を緩和できる。ヒートシンクの数は、実用上の必要性に応じて決定できる。
【0037】
一部の実施形態において、水経路203から離れた少なくとも1つのヒートシンクの一側に冷却ファンが設けられている。たとえば、実施する際、
図1に示すように、水経路203から離れた第1ヒートシンク208の一側に第1冷却ファン210を設けてもよく、水経路203から離れた第2ヒートシンク209の一側に第2冷却ファン217を設けてもよい。第1冷却ファン210および第2冷却ファン217は、低電力ファンを実装すればよく、これにより、動作中のシステム全体の騒音レベルを低下できる。
【0038】
一部の実施形態において、水循環装置2は、少なくとも1つの通気窓を含む。この場合、冷却ファンの一つの面が少なくとも1つのヒートシンクに密着に取り付けられ、他の一つの面が少なくとも1つの通気窓に密着に取り付けられている。たとえば、実施する際、
図1に示すように、水循環装置2は、第1通気窓216および第2通気窓218を含んでもよい。さらに、第1冷却ファン210は、一つの面が第1ヒートシンク208と密着し、他の一つの面が第1通気窓216と密着してもよく、第2冷却ファン217の一つの面が第2ヒートシンク209と密着し、他の一つの面が第2通気窓218と密着してもよい。冷却ファンが一つの面がそれぞれのヒートシンクと密着し、他の一つの面がでそれぞれの通気窓と密着することで、流れる空気の圧力を高め、半導体モジュールの高温側での放熱効率を向上できる。たとえば、実際の必要に応じて、適切な数量の冷却ファンと通気窓を適切な距離だけ離して設けることができる。
【0039】
一部の実施形態において、空気圧装置3は、空気圧ポンプ301、第1電磁弁302および第2電磁弁303を含む。空気袋102と空気圧ポンプ301とは、空気循環パイプ305を介して接続されている。第1電磁弁302と空気袋102とは、空気循環パイプ305を介して接続されている。第1電磁弁302と空気圧ポンプ301および第2電磁弁303とは、空気循環パイプ305を介して接続されている。
【0040】
一部の実施形態において、空気圧装置3は、機械式減圧弁304を含み、機械式減圧弁304と、第1電磁弁302、空気圧ポンプ301および第2電磁弁303とは空気循環パイプ305を介して接続されている、機械式減圧弁304は、電気制御の故障時の保護を目的としたものである。空気循環パイプ305内の空気圧が所定値を超えると、自動的に開放されて空気圧を開放するように構成してもよい。
【0041】
一部の実施形態において、罨法システムは、制御装置4をさらに含み、制御装置4は、表示およびインタラクティブモジュール401と、制御パネル402と、を含む。表示およびインタラクティブモジュール401は、表示およびインタラクティブのために構成され、冷罨法または温罨法を用いる罨法システムの様々な動作モードパラメータを編集および記憶することが可能である。具体的には、動作モードパラメータは、たとえば、「各サイクルの実行時間」、「各サイクルの休止時間」、「合計動作時間」、「罨法圧力パラメータ」、「冷罨法または温罨法の罨法モードの選択」および「温度設定」のうちいずれか1つまたは組合せであってもよい。表示およびインタラクティブモジュール401は、たとえば、有線または無線接続によって制御パネル402に接続され、たとえば、水の圧力および温度、半導体モジュールの電流または電圧に関する情報、空気圧装置に関する情報、半導体モジュールの電流/電圧を制御するためのパラメータおよび/または空気圧パラメータをインタラクティブおよび表示するために構成されてもよい。制御パネル402は、たとえば、有線または無線接続によって水循環装置2に接続されてもよく、半導体モジュールの電流/電圧を制御するように構成されてもよい。制御パネル402は、たとえば、有線または無線接続によって空気圧装置3に接続され、患者の特定部位に対して罨法を施すためにラップバッグを駆動するための所定の空気圧波形を空気圧装置3が提供するようにするための空気圧パラメータを設定するように構成されていてもよい。
【0042】
一部の実施形態において、水循環装置2は、排水管204に接続された第1温度センサ211を含む。第1温度センサ211は、水袋101から流出する冷水/温水の温度を監視する。第1温度センサ211は、制御パネル402に接続されている。
【0043】
一部の実施形態において、水循環装置2は、進水管205に接続された第2温度センサ212を含む。第2温度センサ212は、水袋101に流入する冷水/温水の温度を監視する。第2温度センサ212は、制御パネル402に接続されている。
【0044】
一部の実施形態において、水循環装置2は、第1半導体モジュール206および第2半導体モジュール207と水経路203との間の接触面に接続された第3温度センサ213を含む。第3温度センサ213は、第1半導体モジュール206および第2半導体モジュール207の加熱または冷却された実際温度を監視する。第3温度センサ213は、制御パネル402に接続されている。
【0045】
実施する際、罨法システムにおける第1温度センサ211、第2温度センサ212および第3温度センサ213は、それらのセンシングした情報を制御パネル402に提供するように、それぞれ制御パネル402に接続され、制御パネル402は、これらの情報を処理し、表示およびインタラクティブモジュール401に提供する。表示およびインタラクティブモジュールに表示された情報に基づいて、ユーザは調整を行うか、または制御を行うことができる。たとえば、ユーザは、水温を調整してもよいし、半導体モジュールの電流/電圧の方向/振幅を調整してもよい。
【0046】
一部の実施形態において、水循環装置2は、水タンク201に接続された液面センサ214を含む。液面センサ214は、水タンク201内の液体が望ましい範囲内の量であるか否かを監視する。液面センサ214は、制御パネル402に接続されている。
【0047】
一部の実施形態において、水循環装置2は、ポンプ202に結合された第1電流ループ検出センサ215を含む。第1電流ループ検出センサ215は、ポンプ202の動作状態を監視する。第1電流ループ検出センサ215は、制御パネル402に接続されている。
【0048】
実施する際、第1温度センサ211および第2温度センサ212によってセンシングされるラップバッグに流入および流出する水の温度に基づいて、制御パネル402は、水袋101内を循環する水の温度を予め設定された温度の許容範囲内に制御する。第3温度センサ213がセンシングした温度は、半導体モジュールの動作状態を反映したものとしてリアルタイムに表示される。制御パネル402は、液面センサ214から送信されるデータから、監視している液面が適切か否か、または、警報を発する必要があるか否かを判断する。第1電流ループ検出センサ215は、ポンプ202の動作状態を監視し、その情報を制御パネル402に供給する。制御パネル402は、ポンプ202が正常に動作していない場合、冷罨法または温罨法の罨法システム全体の動作を停止させる。
【0049】
一部の実施形態において、空気圧装置3は、空気圧センサ306を含み、空気圧センサ306と、第1電磁弁302、空気圧ポンプ301、第2電磁弁303および機械式減圧弁304とは、空気循環パイプ305を介して接続されている。空気圧センサ306は、制御パネル402に接続されている。
【0050】
一部の実施形態において、空気圧装置3は、空気圧ポンプ301に接続された第2電流ループ検出センサ307を含む。第2電流ループ検出センサ307は、制御パネル402に接続されている。第2電流ループ検出センサ307は、空気圧ポンプ301の動作状態を監視し、その情報を制御パネル402に供給する。制御パネル402は、空気圧ポンプ301が正常に動作していない場合、罨法システム全体の動作を停止させる。
【0051】
実施する際、空気袋102と空気圧ポンプ301とは、空気循環パイプ305を介して接続されてもよい。空気循環パイプ305は、ホースとして実装されてもよい。予め定めることにより、三角波または台形波形で大きさが固定サイクルおよび設けられた圧力にしたがって加圧されると、第1電磁弁302が開かれ、第2電磁弁303が閉じられた状態になり、空気圧ポンプ301は、設けられた空気圧、サイクルに応じて空気袋102に充填する空気の量をリアルタイムで調整できる。また、波形に応じて、空気袋102内の内圧が周囲の大気圧よりも高い場合、第1電磁弁302および第2電磁弁303の両方を開放して空気袋102内の圧力を逃がすようにしてもよい。また、予め定められたサイクルで空気袋102の圧力開放を可能とするため、圧力開放とともに空気袋102内に適切な量の空気を充填してもよい。
【0052】
一部の実施形態において、制御パネル402は、外部アラームが接続されてもよく、受信したセンサ情報の一部が異常状態を示すときにアラームを出させるようにしてもよい。これが起こると、制御パネル402に接続された表示およびインタラクティブモジュール401は、障害に関する情報を表示してもよい。制御パネル402は、それに接続された外部アラームに、異なる障害レベルに応じて異なるアラームを発せられるようにしてもよい。最も深刻な障害レベルに対しては、障害情報が表示され、医療用電気機器の警報システムに関する標準YY0709-2009で定められたような形式で音声警報が同時に提供されてもよい。
【0053】
一部の実施形態において、罨法システムは、水袋101と、水袋101の片側に設けられた空気袋102との両方を包むラップバッグをさらに含む。より具体的には、空気袋102は、水袋101よりも患者の身体から遠く設けられてもよく、一方、水袋101は、患者の身体に接触させてもよい。このようにすれば、空気袋102は、水袋101を患者の身体に押し付けることができる。
【0054】
好ましくは、ラップバッグを設ける代わりに、水袋101を空気袋102に、たとえば、貼り付けること(面ファスナー)により取り付けてもよい。
【0055】
一部の実施形態において、排水管204および進水管205は、保温または断熱可能なホースであってもよく、これに限定されない。実施する際、排水管204および進水管205は、いずれも、水袋101、水タンク201、ポンプ202および水経路203と連通している冷水/温水用の断熱ホースとして選択されてもよい。
【0056】
一部の実施形態において、空気循環パイプ305は、ホースであってよく、これに限定されない。
【0057】
一部の実施形態において、表示およびインタラクティブモジュール401はタッチスクリーンを含み、これを操作してシステムのパラメータを設定し、システムに動作を開始または停止させることを含む他の動作を実行することができる。操作および設定が不便な既存の半導体冷却器/加熱器とは対照的に、大型のタッチスクリーンは、ユーザによる操作を容易にすることができる。医療用電気機器のアラームシステムに関する規格YY0709-2009に準拠したアラーム方式により、医療スタッフの監視なしに冷却、加熱、罨法を行うシステムの長期運用を可能にする。冷却、加熱、罨法、温罨法、冷罨法と温罨法との交互を含む複数の動作モードのいずれかでシステムを動作させる間、温度センサ、液面センサ、電流ループ検出センサ、空気圧センサなどが動作がどの程度進んでいるかを示すデータを取り込み、制御パネル402が動作に関わる構成要素の特性を監視し制御できる。異常状態が発生した場合、制御パネル402は、医療用電気機器における警報システムの規格YY0709-2009に適合した警報を出し、患者の身体やシステムへの偶発的な損傷を防ぐために、医療スタッフの介入を呼びかけてもよい。これにより、上記規格に適合した警報方式がなく、長時間の罨法を行った場合、安全性に問題が生じる可能性があるという問題を解決することができる。
【0058】
好ましくは、水循環装置2および空気圧装置3は、互いに独立して動作する。
【0059】
図3は、本発明の一実施形態に係る独立して動作する水循環装置2の構造を示すための図である。図に示されるように、水循環装置2は、水循環に用いられる水袋101、水循環装置2および制御装置4を含む。
【0060】
図3に示すように、水循環装置2は、水タンク201、ポンプ202、水経路203、排水管204および進水管205を含む。水タンク201、油圧ポンプ202、水経路203および水袋101の間は、進水管205によってこの順で順次に連通されている。水袋101と水タンク201とは、排水管204および進水管205によって連通されている。水タンク201、油圧ポンプ202、水経路203、進水管205、水袋101、排水管204および水タンク201は、この順に順次に連通されて水循環回路を形成している。
【0061】
図3に示すように、水循環装置2は、第1半導体モジュール206、第2半導体モジュール207、第1ヒートシンク208、第2ヒートシンク209、冷却ファン210、第1通気窓216、第2冷却ファン217および第2通気窓218を含む。第1半導体モジュール206と第2半導体モジュール207は、水経路203の両側に設けられ、それぞれ一つの面が水経路203と接触し、他の一つの面が第1ヒートシンク208および第2ヒートシンク209のそれぞれに接触する。第1冷却ファン210は、水経路203から離れた第1ヒートシンク208の一側に設けられ、第2冷却ファン217は、水経路203から離れた第2ヒートシンク209の一側に設けられている。第1冷却ファン210および第2冷却ファン217のそれぞれは、一側で第1ヒートシンク208および第2ヒートシンク209と密着し、他側で第1通気窓216および第2通気窓218とそれぞれ密着している。冷却ファンが一方の側でそれぞれのヒートシンクと密着し、他方の側でそれぞれの通気窓と密着していることにより、流れる空気の圧力を高め、半導体モジュールの高温側での放熱効率を向上できる。
【0062】
図3に示すように、制御装置4は、表示およびインタラクティブモジュール401と、制御パネル402とを含む。表示およびインタラクティブモジュール401は、たとえば、有線または無線接続によって制御パネル402に接続され、たとえば、水の圧力および温度、半導体モジュールの電流および電圧に関する情報等のインタラクティブおよび表示を行うように構成される。制御パネル402は、水循環装置2に接続され、半導体モジュールの電流または電圧を制御するように構成されている。水循環装置2は、第1温度センサ211、第2温度センサ212、第3温度センサ213、液面センサ214および第1電流ループ検出センサ215をさらに含む。第1温度センサ211は、排水管204に接続され、水袋101から流出する冷水/温水の温度を監視する。第2温度センサ212は、進水管205に接続され、水袋101に流入する冷水/温水の温度を監視する。第3温度センサ213は、第1半導体モジュール206および第2半導体モジュール207と水経路203との間の接触面に接続され、第1半導体モジュール206および第2半導体モジュール207の加熱または冷却された実際の温度を監視する。第1温度センサ211、第2温度センサ212、第3温度センサ213、液面センサ214および第1電流ループ検出センサ215は、全て制御パネル402に接続され、それらがセンシングした情報を制御パネル402に伝達し、制御パネル402はこれらの情報を処理し、表示およびインタラクティブモジュール401に提供する。表示およびインタラクティブモジュール401に表示された情報に基づいて、ユーザは、調整を行うかまたは制御を行うことができる。たとえば、ユーザは、水温や半導体モジュールの電流/電圧の方向/振幅を調整してもよい。
【0063】
図4は、本発明の他の実施形態に係る独立して動作する空気圧装置3の構造を示すための図である。図に示されるように、空気圧装置3は、空気循環に用いられる空気袋102、空気圧装置3および制御装置4を含む。空気圧装置3は、空気圧ポンプ301、第1電磁弁302、第2電磁弁303および機械式減圧弁304を含む。空気袋102と空気圧ポンプ301とは、空気循環パイプ305によって互いに接続されている。第1電磁弁302と空気袋102とは、空気循環パイプ305を介して接続されている。第1電磁弁302と空気圧ポンプ301および第2電磁弁303とは、空気循環パイプ305によって接続されている。機械式減圧弁304は、空気循環パイプ305によって、第1電磁弁302、空気圧ポンプ301および第2電磁弁303に接続されている。機械式減圧弁304は、電気制御の故障時の保護を目的としたものである。空気循環管305内の空気圧が所定値を超えると、自動的に開放して空気圧を低減するように構成されている。
【0064】
図4に示すように、制御装置4は、表示およびインタラクティブモジュール401および制御パネル402を含む。表示およびインタラクティブモジュール401は、制御パネル402に接続され、空気圧装置3に関する情報のインタラクティブおよび表示のために構成される。制御パネル402は、空気圧装置3に接続され、患者の特定部位に罨法を施すためにラップバッグを駆動するための予め定められた空気圧波形を空気圧装置3に提供させるための空気圧パラメータを設定するように構成される。
【0065】
図4に示すように、空圧装置3は、空気圧センサ306および第2電流ループ検出センサ307を含む。空気圧センサ306は、空気循環管305によって、第1電磁弁302、空気圧ポンプ301、第2電磁弁303および機械式減圧弁304に接続されている。第2電流ループ検出センサ307は、空気圧ポンプ301に接続されている。空気圧センサ306と第2カレントループ検出センサ307は、共に制御パネル402に接続されている。第2電流ループ検出センサ307は、空気圧ポンプ301の動作状態を監視し、その情報を制御パネル402に供給する。制御パネル402は、空気圧ポンプ301が正常に動作していない場合、罨法システム全体の動作を停止させる。
【0066】
図4に示すように、空気袋102は、空気循環パイプ305によって空気圧ポンプ301に接続されている。空気循環パイプ305は、ホースとして実装されている。予め定めることにより、三角波または台形波形で大きさが固定サイクルおよび設けられた圧力にしたがって加圧されると、第1電磁弁302が開かれ、第2電磁弁303が閉じられた状態になり、空気圧ポンプ301は、設けられた空気圧、サイクルに応じて空気袋102に充填する空気の量をリアルタイムで調整できる。また、波形に応じて、空気袋102内の内圧が周囲の大気圧よりも高い場合、第1電磁弁302および第2電磁弁303の両方を開放して空気袋102内の圧力を逃がすようにしてもよい。また、予め定められたサイクルで空気袋102の圧力開放を可能とするため、圧力開放とともに空気袋102内に適切な量の空気を充填してもよい。
【0067】
以上より、本発明は、より安定した罨法を行うことができる冷罨法または温罨法に用いられる罨法システムを提供する。
【0068】
罨法システムは、水袋101と、空気袋102と、水袋101に連通している水循環装置2と、空気袋102に連通している空気圧装置3と、を含む。
【0069】
一部の実施形態において、水循環装置2は、進水管205および排水管204を含み、
空気圧装置3は、進水管205および排水管204から独立している空気循環パイプ305を含む。
【0070】
一部の実施形態において、水循環装置2は、水タンク201、ポンプ202および水経路203を含み、
水袋101と水タンク201とは、排水管204によって連通され、水タンク201、ポンプ202、水経路203および水袋101の間は、進水管205によって順次に連通され、水タンク201、油圧ポンプ202、水経路203、進水管205、水袋101、排水管204および水タンク201は、順次に連通されて水循環回路を形成している。
【0071】
一部の実施形態において、水循環装置2は、水経路203の両側に設けられる第1半導体モジュール206および第2半導体モジュール207を含む。
【0072】
一部の実施形態において、水循環装置2は、第1半導体モジュール206および第2半導体モジュール207に接触する少なくとも1つのヒートシンクを含む。
【0073】
一部の実施形態において、水経路203から離れた少なくとも1つのヒートシンクの一側に冷却ファンが設けられている。
【0074】
一部の実施形態において、水循環装置2は、少なくとも1つの通気窓を含み、冷却ファンの一つの面が少なくとも1つのヒートシンクに密着され、他の一つの面が少なくとも1つの通気窓に密着されている。
【0075】
一部の実施形態において、空圧装置3は、空圧ポンプ301、第1電磁弁302および第2電磁弁303を含み、
空気袋102と空気圧ポンプ301とは、空気循環パイプ305を介して接続され、第1電磁弁302と空気袋102とは、空気循環パイプ305を介して接続され、第1電磁弁302と空気圧ポンプ301および第2電磁弁303とは、空気循環パイプ305を介して接続されている。
【0076】
一部の実施形態において、罨法システムは、制御装置4をさらに含み、
制御装置4は、表示およびインタラクティブモジュール401と、制御パネル402と、を含み、
表示およびインタラクティブモジュール401は、制御パネル402に接続され、
制御パネル402は、水循環装置2および空気圧装置3の双方に接続されている。
【0077】
一部の実施形態において、罨法システムは、制御パネル402に接続された少なくとも1つの温度センサをさらに含み、少なくとも1つの温度センサは、排水管204、進水管205、第1半導体モジュール206および第2半導体モジュール207のうちの少なくとも1つに接続されている。
【0078】
一部の実施形態において、水循環装置2は、水タンク201に接続される液面センサ214を含み、液面センサ214は、に制御パネル402に接続されている。
【0079】
一部の実施形態において、水循環装置2は、ポンプ202に接続される第1電流ループ検出センサ215を含み、第1電流ループ検出センサ215は、制御パネル402に接続されている。
【0080】
一部の実施形態において、空気圧装置3は、空気圧センサ306を含み、空気圧センサ306と、第1電磁弁302、空気圧ポンプ301、第2電磁弁303および機械式減圧弁304とは、空気循環パイプ305を介して接続されている。空気圧センサ306は、制御パネル402に接続されている。
【0081】
一部の実施形態において、空気圧装置3は、空気圧ポンプ301に結合された第2電流ループ検出センサ307を含む。第2電流ループ検出センサ307は、制御パネル402にさらに結合されている。
【0082】
一部の実施形態において、罨法システムは、水袋101と、水袋101の一側に設けられる空気袋102との両方を包む、ラップバッグをさらに含む。
【0083】
一部の実施形態において、進水管および排水管は、保温ホースまたは断熱ホースであり、これに限定されない。
【0084】
一部の実施形態において、空気循環パイプは、ホースであり、これに限定されない。
【0085】
本発明は、既存技術のものよりも高い性能を有し、水袋と、空気袋と、水袋と連通している水循環装置と、空気袋と連通している空気圧装置と、を含む冷罨法または温罨法に用いられる罨法システムを提供する。本発明は、既存技術に比べて、以下のような効果をこうする。
【0086】
1.水循環装置内の半導体モジュールは、ともに対向する両面において放熱できるため、既存の半導体冷却器/加熱器に伴う動作騒音が大きい問題や既存の冷罨治療器の使用における氷の補充が必要で、長時間の連続冷却ができない問題を緩和できる。
【0087】
2.水経路に対して対称に設けられた半導体モジュールは、液体を予め設定された温度に加熱または冷却し、水循環経路を通って水袋に流入し、最終的に患者の身体の関心部位を加熱または冷却することが可能である。この結果、冷却または加熱の効率が大幅に向上し、既存の半導体モジュールの放熱効率が低いために冷却時に過剰な熱が発生し、臨床的に所望の冷却温度を達成するまでに時間がかかりすぎて、患者と医師の双方に不都合が生じるという問題を克服することができる。
【0088】
3.冷却・加熱効率の向上により、高出力のファンを使用する必要がなくなり、運転中のシステム全体の騒音が低減される。
【0089】
4.速度調整可能な空気圧ポンプの使用と電磁弁の追加使用により、既存の半導体冷却器/加熱器の使用から生じる罨法時の圧力や圧力波形が一定しないという問題を克服し、水袋を患者の身体の関心部位の表面に接触させてフィットさせることができ、結果として罨法療法効果を臨床的に改善することができるようになった。
【0090】
5.水循環経路を空気循環経路から独立させることで、水流と空気流の干渉を回避し、水流量の安定性、水袋の表面温度の均一性、患者への優しさを向上させた。
【0091】
本発明の実施形態によれば、罨法システムにおける水循環装置および空気圧装置は、互いに独立して動作することができる。したがって、冷却または加熱療法の実施中、独立した空気圧装置は、制御パネルに予め記憶されたパラメータによって定義された空気圧波形によって駆動され、水袋に患者の身体の意図する部位に冷罨法または温罨法を適用させることが可能である。水循環経路を空気循環経路から独立させることで、水流と空気流の干渉を回避し、圧力誤差を抑えてより安定した罨法を行うことができる。また、水流量の安定性、水袋の表面温度の均一性、患者への優しさを向上させることができる。さらに、改善された冷却または加熱効率に加えて、本発明のシステムは、全体として、動作中に低減されたノイズを生成する。
【0092】
前述した実施形態の様々な技術的特徴は、任意に組み合わせてもよい。簡潔さのために、そのような組み合わせのすべてを上述したわけではないが、技術的特徴の間に矛盾がない限り、そのいずれもが本明細書の範囲に含まれるものとみなされる。
【0093】
上記に開示された内容は、単に本発明の一部の実施形態に過ぎない。これらの実施形態は、いくつかの特殊性といくつかの詳細さで説明されているが、それらがいかなる意味でも本発明の保護範囲を制限すると解釈されるべきではない。本発明の技術的思想から逸脱することなく、いわゆる当業者によって様々な変形および修正がなされ得ることに留意されたい。したがって、そのようなすべての変形および修正が、特許請求の範囲に定義されるように、本発明の保護範囲内に含まれる。
【国際調査報告】