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特表2022-549506骨髄線維症および関連状態を処置するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-25
(54)【発明の名称】骨髄線維症および関連状態を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20221117BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20221117BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221117BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20221117BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20221117BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20221117BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20221117BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20221117BHJP
   C12N 15/115 20100101ALI20221117BHJP
   C07K 14/505 20060101ALI20221117BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20221117BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P7/06
A61P43/00 111
A61P19/08
A61P3/00
A61K38/16
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 W
A61K45/06
C07K19/00 ZNA
C07K14/47
C07K16/18
C12N15/115 Z
C07K14/505
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519506
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 US2020052732
(87)【国際公開番号】W WO2021062163
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】62/907,227
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/072,057
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/063,761
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522120473
【氏名又は名称】ディスク・メディシン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Disc Medicine, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】クイゼル,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ベコーニ,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ロビネット,スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,ブライアン
【テーマコード(参考)】
4B064
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4C084AA02
4C084AA17
4C084AA19
4C084AA20
4C084BA41
4C084BA44
4C084CA53
4C084DC50
4C084NA14
4C084ZA512
4C084ZA551
4C084ZA961
4C084ZB072
4C084ZC211
4C084ZC411
4C084ZC412
4C084ZC421
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085AA31
4C085BB42
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA13
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本出願の態様は、ヘプシジンアンタゴニストならびに骨髄線維症および/または骨髄線維症と関連する状態の処置においてそれを使用する方法を提供する。ある特定の実施形態では、方法は、一般に慢性炎症および進行性の骨髄の線維症と関連する骨髄増殖性疾患として特徴付けられる、骨髄線維症を処置するために提供される。貧血は、骨髄線維症の主要な臨床的課題であり、負の転帰と関連する。そのような貧血は、一般に、骨髄不全、脾腫および/または機能性鉄欠乏症によって引き起こされるかまたは関連し、炎症に寄与し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨髄線維症を有する対象において貧血を処置する方法であって、
対象に有効量のヘプシジンアンタゴニストを投与すること
を含む、方法。
【請求項2】
対象が鉄利用障害/機能性鉄欠乏症を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヘプシジンアンタゴニストが、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストが、BMPアンタゴニストである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
BMPアンタゴニストが、BMP2、BMP4、BMP5またはBMP6アンタゴニストである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
BMPアンタゴニストがBMP6アンタゴニストである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストが、その標的分子を選択的に阻害する、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
標的分子がBMP受容体である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストが、参照分子と比較してその標的分子を選択的に阻害する、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
参照分子がJAK2である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストが、参照分子と比較してその標的分子を選択的に阻害し、その結果、キナーゼ効力アッセイで測定した場合、標的分子の半数阻害濃度(IC50)よりも少なくとも10倍高い(例えば、10~10倍高い範囲の)参照分子のIC50を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストが、sHJVまたは可溶性ヘモジュベリン-Fc融合タンパク質である、請求項3~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
可溶性HJV-Fc融合タンパク質がFMX8である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストが、BMP6中和抗体である、請求項4~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
BMP6中和抗体が、LY311359、CSJ137、またはKY1070である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストが、SST0001、RO-82、RO-68、NAc-91、およびNacRO-00から選択される修飾ヘパリンである、請求項3または4に記載の方法。
【請求項17】
ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストが、組換えSMAD6またはSMAD7である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項18】
ヘプシジンアンタゴニストがヘプシジン中和剤である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項19】
ヘプシジン中和剤が、ヘプシジンに結合し、中和する、PEG化L-立体異性体RNAアプタマーであるNOX-94である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ヘプシジン中和剤が、ヘプシジンに対するアンチカリンであるPRS-080である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ヘプシジン中和剤が、ヘプシジンを標的化するモノクローナル抗体であるLY2787106である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストが、ALK2アンタゴニストである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ALK2アンタゴニストが、INCB000928、KER-047またはBLU-782である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ヘプシジンアンタゴニストがヘモジュベリンアンタゴニストである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ヘモジュベリンアンタゴニストが抗ヘモジュベリン抗体である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
抗ヘモジュベリン抗体が、RGMaおよびRGMbに対してRGMcに優先的に結合する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
抗ヘモジュベリン抗体が、100nMより低い平衡解離定数(K)でRGMcに結合する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
抗HJV抗体がHJV-35202である、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
抗HJV抗体が表1の抗HJV抗体である、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
抗ヘモジュベリン抗体が:
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変重鎖領域;ならびに/または
(b)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変軽鎖領域
を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
抗ヘモジュベリン抗体が:
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変重鎖領域;ならびに/または
(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変軽鎖領域
を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
抗ヘモジュベリン抗体が:
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変重鎖領域;ならびに/または
(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変軽鎖領域
を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
抗ヘモジュベリン抗体が:
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変重鎖領域;ならびに/または
(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変軽鎖領域
を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
抗ヘモジュベリン抗体が:
(a)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変重鎖領域;ならびに
(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変軽鎖領域
を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
対象が、JAK2、LNK、PPM1D、MPL、ASXL1、TET2、NFE2、SH2B3、SF3B1、またはCALRに骨髄線維症惹起突然変異を有する、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
対象が、エピジェネティック制御またはスプライシングに関与する遺伝子、すなわちASXL1、DNMT3A、TET2、SRSF2、U2AF1、EZH2またはSF3B1に突然変異を有する、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
対象が、MBN-BPへの進行のリスクと関連するIDH1/2に突然変異を有する、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
対象が、エクソン12またはエクソン14に惹起突然変異を有するヒトJAK2遺伝子を含有する、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
JAK2遺伝子における惹起突然変異がエクソン14にあり、V617F置換を生じる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
骨髄線維症が、対象における炎症促進性サイトカイン(例えばIL-6、オンコスタチン-M)のレベルの増加と関連する、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
対象が、MPNと関連する全身症状または微小血管症状を有するかまたは有するリスクがある、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
対象が、血栓塞栓性(thromboeomblic)合併症または出血性合併症を有するかまたは有するリスクがある、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
対象が、MPN-急性転化期急性骨髄性白血病(AML)を有するかまたは有するリスクがある、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
対象が、巨核球においてリボソーム病を示す、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
対象が、特に巨核球においてGATA1発現の減少を示す、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
対象が、巨核球の機能または成熟の欠損を示す、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
対象が、栄養性鉄欠乏症を有さない、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
対象が、100μg/Lを超えるレベルのフェリチンを有する、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
対象が、26pg/細胞より少ない網状赤血球ヘモグロビン含量を有する、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
対象が、50%より低いトランスフェリン飽和レベルを有する、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
対象が、2000μg/g乾燥重量よりも高い肝臓鉄レベルを有する、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
対象が、50μg/dLよりも低い範囲の血清鉄レベルを有する、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
対象が、400μg/dLよりも低い範囲の総鉄結合能を有する、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
対象が、55ng/mlよりも高い範囲のヘプシジンレベルを有する、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
対象が、1.8pg/mLよりも高いIL-6レベルを有する、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
対象が、2mg/dLよりも高い血清クレアチニン値を有する、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
対象が、1.5~2.0g/dLもしくは2.0~4.0g/dLの範囲のヘモグロビンレベルまたは正常より低いヘモグロビンレベルを有すると同定されている、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
対象が、10g/dLよりも低い血清ヘモグロビンレベルを示す、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
対象が、8g/dLよりも低い血清ヘモグロビンレベルを示す、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
ヘプシジンアンタゴニストの投与が、ヘモグロビンレベルをベースラインから少なくとも1g/dL増加させる、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
対象が、血小板減少症、貧血、および/または好中球減少症を示す、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
対象が、1回またはそれ以上の輸血を受けている、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
対象が、輸血依存性貧血を有する、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
対象が、12週間にわたり複数回の輸血を受けている、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
対象が、フィラデルフィア染色体陰性骨髄増殖性腫瘍(MPN)のための処置としてJAK/STATアンタゴニストの1回またはそれ以上の投与を以前に受けている、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
対象が、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、または前線維化期/初期原発性骨髄線維症(pre-MF)のための処置としてJAK/STATアンタゴニストを受けた、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
対象が、骨髄性線維症のための処置としてJAK/STATアンタゴニストを受けた、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
対象が、2~6週間、JAK/STATアンタゴニストによる処置を受けた、請求項65~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
JAK/STATアンタゴニストが、JAK1またはJAK2に選択的である、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
JAK/STATアンタゴニストが、ACVR1/ALK2に対して活性ではない、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
JAK/STATアンタゴニストが、ルキソリチニブ、フェドラチニブ、パクリチニブ、バリシチニブ、トファシチニブ、オクラシチニブ、またはNSC13626である、請求項65~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
JAK/STATアンタゴニストが、IL6媒介STAT3活性化を阻害する、請求項65~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
JAK/STATアンタゴニストがGS-0387またはCYT-387である、請求項65~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
1つまたはそれ以上の追加の治療剤を対象に投与することをさらに含む、請求項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
追加の治療剤が、GDFトラップ、ブロモドメインと余剰末端ドメイン(BET)阻害剤、赤血球生成刺激剤、または免疫調節剤から選択される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
GDFトラップが、ソタテルセプト、ラスパテルセプトまたはKER-050である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
BET阻害剤がCPI-0610である、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤が、ポマリドミド、ダナゾール、プレドニゾン、サリドマイド、またはレナリドミドである、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
赤血球生成刺激剤がエリスロポエチン(EPO)である、請求項75に記載の方法。
【請求項80】
骨髄性線維症を有する対象において貧血を処置する方法であって、有効量のヘプシジンアンタゴニスト、および1つまたはそれ以上の追加の治療剤を対象に投与することを含む、方法。
【請求項81】
ヘプシジンアンタゴニストが、HJV誘導BMPシグナル伝達アンタゴニスト、またはヘプシジン中和剤である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
HJV誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストがBMPアンタゴニスト、HJVアンタゴニスト、BMP6を標的化する修飾ヘパリン、または組換えSMAD6もしくはSMAD7である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
BMPアンタゴニストが、LY311359、CSJ137、およびKY1070から選択されるBMP6中和抗体である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
HJV誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストがHJVアンタゴニストである、請求項81に記載の方法。
【請求項85】
HJVアンタゴニストが、抗HJV抗体である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
追加の治療剤が、GDFトラップ、JAK/STAT阻害剤、BET阻害剤、赤血球生成刺激剤、または免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤から選択される、請求項80~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
追加の治療剤がGDFトラップである、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
GDFトラップが、ソタテルセプト、ラスパテルセプトまたはKER-050である、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
JAK/STAT阻害剤が、ルキソリチニブ、フェドラチニブ、パクリチニブ、バリシチニブ、トファシチニブ、オクラシチニブ、NSC13626またはモメロチニブである、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
BET阻害剤がCPI-0610である、請求項86に記載の方法。
【請求項91】
免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤がポマリドミドである、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
赤血球生成刺激剤がエリスロポエチン(EPO)である、請求項86に記載の方法。
【請求項93】
JAK-STATアンタゴニストに対する有害反応を有するかまたは有するリスクがある対象を処置する方法であって、有効量のヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストを対象に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、35U.S.C.§119(e)の下、それぞれの全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2019年9月27日に出願された、表題「骨髄線維症および関連状態を処置するためのヘプシジンアンタゴニスト」の米国特許仮出願第62/907,227号、2020年8月10日に出願された、表題「骨髄線維症および関連状態を処置するための方法」の同第63/063,761号、および2020年8月28日に出願された、表題「骨髄性線維症および関連状態を処置するための方法」の同第63/072,057号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
鉄は、ヘモグロビンおよびミオグロビンなど、酸素運搬貯蔵分子の重要な成分である。鉄欠乏症は、貧血をもたらし、一方で鉄過剰症は組織損傷および線維症をもたらす。ヘプシジンは、全身の鉄ホメオスタシスの重要なペプチドホルモン制御物質である。それは、肝細胞、十二指腸の腸細胞、マクロファージ、および脂肪細胞に存在する膜貫通タンパク質である、細胞の鉄排出タンパク質、フェロポーチンに結合することによってその制御機能を発揮する。ヘプシジンの結合は、フェロポーチンの分解を促進し、細胞からの鉄の排出および血漿への鉄の放出を防止する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、機能性鉄欠乏症をもたらす、骨髄線維症、骨髄腫、ワンデルストレーム高ガンマグロブリン血症、慢性腎臓病、慢性疾患の貧血または鉄制限貧血などの、高ヘプシジン障害を処置するための方法を提供する。肝細胞におけるヘプシジン発現は、主に2つのシグナル伝達経路を含む。ヘプシジン発現は、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路(例えばBMP6誘導シグナル伝達経路)によって制御される。BMPシグナル伝達経路によるヘプシジンの発現は、膜結合共受容体である、ヘモジュベリンによって促進される。ヘプシジン発現は、炎症経路(例えばIL-6媒介JAK-STAT経路)によっても制御される。異常な線維化応答および/または炎症応答を含む状態は、高いヘプシジンレベルをもたらし得る。
【0004】
ある特定の実施形態では、方法は、一般に慢性炎症および進行性の骨髄の線維症と関連する骨髄増殖性疾患として特徴付けられる、骨髄線維症を処置するために提供される。貧血は、骨髄線維症の主要な臨床的課題であり、負の転帰と関連する。そのような貧血は、一般に、骨髄不全、脾腫および/または機能性鉄欠乏症によって引き起こされるかまたは関連し、炎症に寄与し得る。さらに、骨髄線維症では、IL-6およびオンコスタチン-Mなど、ヘプシジン合成を誘導する炎症促進性サイトカインが典型的には増加され、鉄封鎖、マクロファージ鉄負荷、ならびに骨髄増殖およびマクロファージ活性化と関連する(例えば図1参照)。結果生じるヘプシジンレベルの増加は、貧血および負の転帰と関連する。したがって、本開示の態様は、BMPシグナル伝達経路(例えばヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達経路)および/または炎症応答(例えばIL-6媒介JAK-STAT経路)を阻害することにより、高ヘプシジンレベル(例えば骨髄線維症)を有する対象を処置することに関する。一部の実施形態では、対象は、HJV誘導BMP-6シグナル伝達経路アンタゴニストによって処置される。一部の実施形態では、対象は、JAK-STAT阻害剤(例えばJAK2阻害剤)によって処置される。一部の実施形態では、対象は、HJV誘導BMPシグナル伝達経路アンタゴニストおよびJAK阻害剤の組合せによって処置される。HJV誘導BMPシグナル伝達経路アンタゴニストおよびJAK阻害剤を使用する併用療法は、骨髄不全、脾腫を著しく改善し、高ヘプシジンレベルによって引き起こされる貧血のリスクを軽減することができる。
【0005】
一部の態様では、本開示は、骨髄線維症を有する対象において貧血を処置する方法であって、対象に有効量のヘプシジンアンタゴニストを投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、対象は鉄利用障害/機能性鉄欠乏症を有する。
【0006】
一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストである。一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストは、BMPアンタゴニストである。一部の実施形態では、BMPアンタゴニストは、BMP2、BMP4、BMP5またはBMP6アンタゴニストである。一部の実施形態では、BMPアンタゴニストはBMP6アンタゴニストである。
【0007】
一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストは、その標的分子を選択的に阻害する。一部の実施形態では、標的分子はBMP受容体である。一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストは、参照分子と比較してその標的分子を選択的に阻害する。一部の実施形態では、参照分子はJAK2である。一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストは、参照分子と比較してその標的分子を選択的に阻害し、キナーゼ効力アッセイで測定した場合、標的分子の半数阻害濃度(IC50)よりも少なくとも10倍高い(例えば、10~10倍高い範囲の)参照分子のIC50を有する。
【0008】
一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストは、sHJVまたは可溶性ヘモジュベリン-Fc融合タンパク質である。一部の実施形態では、可溶性HJV-Fc融合タンパク質はFMX8である。
【0009】
一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストは、BMP6中和抗体である。一部の実施形態では、BMP6中和抗体は、LY311359、CSJ137、またはKY1070である。
【0010】
一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達は、SST0001、RO-82、RO-68、NAc-91、およびNacRO-00から選択される修飾ヘパリンである。
【0011】
一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストは、組換えSMAD6またはSMAD7である。
【0012】
一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストはヘプシジン中和剤である。
【0013】
一部の実施形態では、ヘプシジン中和剤は、ヘプシジンに結合し、中和する、PEG化L-立体異性体RNAアプタマーであるNOX-94である。一部の実施形態では、ヘプシジン中和剤は、ヘプシジンに対するアンチカリンであるPRS-080である。一部の実施形態では、ヘプシジン中和剤は、ヘプシジンを標的化するモノクローナル抗体であるLY2787106である。
【0014】
一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストは、ALK2アンタゴニストである。一部の実施形態では、ALK2アンタゴニストは、INCB000928、KER-047またはBLU-782である。
【0015】
一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストはヘモジュベリンアンタゴニストである。一部の実施形態では、ヘモジュベリンアンタゴニストは抗ヘモジュベリン抗体である。一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は、RGMaおよびRGMbに対してRGMcに優先的に結合する。一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は、100nMより低い平衡解離定数(K)でRGMcに結合する。一部の実施形態では、抗HJV抗体はHJV-35202である。一部の実施形態では、抗HJV抗体は表1の抗HJV抗体である。
【0016】
一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は:(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変重鎖領域;ならびに/または(b)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変軽鎖領域を含む。
【0017】
一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は:(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変重鎖領域;ならびに/または(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変軽鎖領域を含む。
【0018】
一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は:(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変重鎖領域;ならびに/または(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変軽鎖領域を含む。
【0019】
一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は:(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変重鎖領域;ならびに/または(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変軽鎖領域を含む。
【0020】
一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は:(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変重鎖領域;ならびに/または(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変軽鎖領域を含む。
【0021】
一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は:(a)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変重鎖領域;ならびに/または(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変軽鎖領域を含む。
【0022】
一部の実施形態では、対象は、JAK2、LNK、PPM1D、MPL、ASXL1、TET2、NFE2、SH2B3、SF3B1、またはCALRに骨髄線維症惹起突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、エピジェネティック制御またはスプライシングに関与する遺伝子、すなわちASXL1、DNMT3A、TET2、SRSF2、U2AF1、EZH2またはSF3B1に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、MBN-BPへの進行のリスクと関連するIDH1/2に突然変異を有する。一部の実施形態では、対象は、エクソン12またはエクソン14に惹起突然変異を有するヒトJAK2遺伝子を含有する。一部の実施形態では、JAK2遺伝子における惹起突然変異はエクソン14にあり、V617F置換を生じる。一部の実施形態では、骨髄線維症は、対象における炎症促進性サイトカイン(例えばIL-6、オンコスタチン-M)のレベルの増加と関連する。
【0023】
一部の実施形態では、対象は、MPNと関連する全身症状または微小血管症状を有するかまたは有するリスクがある。一部の実施形態では、対象は、血栓塞栓性(thromboeomblic)合併症または出血性合併症を有するかまたは有するリスクがある。一部の実施形態では、対象は、MPN-急性転化期急性骨髄性白血病(AML)を有するかまたは有するリスクがある。一部の実施形態では、対象は、巨核球においてリボソーム病を示す。一部の実施形態では、対象は、特に巨核球においてGATA1発現の減少を示す。一部の実施形態では、対象は、巨核球の機能または成熟の欠損を示す。
【0024】
一部の実施形態では、対象は、栄養性鉄欠乏症を有さない。一部の実施形態では、対象は、100μg/Lを超えるレベルのフェリチンを有する。一部の実施形態では、対象は、26pg/細胞より少ない網状赤血球ヘモグロビン含量を有する。一部の実施形態では、対象は、50%より低いトランスフェリン飽和レベルを有する。一部の実施形態では、対象は、2000μg/g乾燥重量よりも高い肝臓鉄レベルを有する。一部の実施形態では、対象は、50μg/dLよりも低い範囲の血清鉄レベルを有する。一部の実施形態では、対象は、400μg/dLよりも低い範囲の総鉄結合能を有する。一部の実施形態では、対象は、55ng/mlよりも高い範囲のヘプシジンレベルを有する。一部の実施形態では、対象は、1.8pg/mLよりも高いIL-6レベルを有する。一部の実施形態では、対象は、2mg/dLよりも高い血清クレアチニン値を有する。一部の実施形態では、対象は、1.5~2.0g/dLもしくは2.0~4.0g/dLの範囲のヘモグロビンレベルまたは正常より低いヘモグロビンレベルを有すると同定されている。一部の実施形態では、対象は、10g/dLよりも低い血清ヘモグロビンレベルを示す。一部の実施形態では、対象は、8g/dLよりも低い血清ヘモグロビンレベルを示す。
【0025】
一部の実施形態では、対象は、血小板減少症、貧血、および/または好中球減少症を示す。一部の実施形態では、対象は、1回またはそれ以上の輸血を受けている。一部の実施形態では、対象は、輸血依存性貧血を有する。一部の実施形態では、対象は、12週間にわたり複数回の輸血を受けている。
【0026】
一部の実施形態では、対象は、フィラデルフィア染色体陰性骨髄増殖性腫瘍(MPN)のための処置としてJAK/STATアンタゴニストの1回またはそれ以上の投与を以前に受けている。一部の実施形態では、対象は、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、または前線維化期/初期原発性骨髄線維症(pre-MF)のための処置としてJAK/STATアンタゴニストを受けた。一部の実施形態では、対象は、骨髄性線維症のための処置としてJAK/STATアンタゴニストを受けた。一部の実施形態では、対象は、2~6週間、JAK/STATアンタゴニストによる処置を受けた。一部の実施形態では、JAK/STATアンタゴニストは、JAK1またはJAK2に選択的である。一部の実施形態では、JAK/STATアンタゴニストは、ACVR1/ALK2に対して活性ではない。一部の実施形態では、JAK/STATアンタゴニストは、ルキソリチニブ、フェドラチニブ、パクリチニブ、バリシチニブ、トファシチニブ、オクラシチニブ、またはNSC13626である。一部の実施形態では、JAK/STATアンタゴニストは、IL-6媒介STAT3活性化を阻害する。一部の実施形態では、JAK/STATアンタゴニストはGS-0387またはCYT-387である。
【0027】
一部の実施形態では、方法は、1つまたはそれ以上の追加の治療剤を対象に投与することをさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は、GDFトラップ、ブロモドメインと余剰末端ドメイン(BET)阻害剤、赤血球生成刺激剤、または免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤から選択される。一部の実施形態では、GDFトラップは、ソタテルセプト、ラスパテルセプトまたはKER-050である。一部の実施形態では、BET阻害剤はCPI-0610である。一部の実施形態では、免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤は、ポマリドミドである。一部の実施形態では、赤血球生成刺激剤はエリスロポエチン(EPO)である。
【0028】
一部の態様では、本開示は、骨髄性線維症を有する対象において貧血を処置する方法であって、有効量のヘプシジンアンタゴニスト、および1つまたはそれ以上の追加の治療剤を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0029】
一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは、HJV誘導BMPシグナル伝達アンタゴニスト、またはヘプシジン中和剤である。一部の実施形態では、HJV誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストはBMPアンタゴニスト、HJVアンタゴニスト、BMP6を標的化する修飾ヘパリン、または組換えSMAD6もしくはSMAD7である。一部の実施形態では、BMPアンタゴニストは、LY311359、CSJ137、およびKY1070から選択されるBMP6中和抗体である。一部の実施形態では、HJV誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストはHJVアンタゴニストである。一部の実施形態では、HJVアンタゴニストは、抗HJV抗体である。一部の実施形態では、追加の治療剤は、GDFトラップ、JAK/STAT阻害剤、BET阻害剤、赤血球生成刺激剤、または免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤から選択される。一部の実施形態では、追加の治療剤はGDFトラップである。一部の実施形態では、GDFトラップは、ソタテルセプト、ラスパテルセプトまたはKER-050である。一部の実施形態では、JAK/STAT阻害剤は、モメロチニブ(momenotinib)である。一部の実施形態では、BET阻害剤はCPI-0610である。一部の実施形態では、免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤はポマリドミドである。一部の実施形態では、赤血球生成刺激剤はEPOである。
【0030】
一部の態様では、本開示は、JAK-STATアンタゴニストに対する有害反応を有するかまたは有するリスクがある対象を処置する方法であって、有効量のヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストを対象に投与することを含む方法を提供する。
【0031】
本開示のある特定の態様は、ヘモジュベリン(HJV)がヘプシジン合成の制御物質であり、ヘモジュベリン機能の欠如が鉄過剰症と関連し得るという観察に関する。例えば、一部の実施形態では、ホモ接合型HJVノックダウン動物は、IL-6に応答してヘプシジン合成を増幅できず、急性炎症への有効な低鉄血症応答を開始することができない。したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、高ヘプシジン障害を処置するのに有効な量のヘプシジンアンタゴニストを、それを必要とする対象に投与することを含み、それはヘモジュベリンアンタゴニストであってもよい。一部の実施形態では、ヘモジュベリンアンタゴニストは抗ヘモジュベリン抗体である。一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は、作用のその原発性様式としてRGMcに結合する(RGMaおよびRGMbと比較して)。したがって、一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は、RGMaおよび/またはRGMbに対してRGMcに優先的に結合する。一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は、100ナノモル(nM)より低い(K<100nM)平衡解離定数(K)でRGMcに結合する。しかしながら、一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は、RGMaおよび/またはRGMbと類似の親和性でRGMcに結合する。
【0032】
一部の実施形態では、本開示に従って処置される対象は、赤血球輸血依存性である。一部の実施形態では、処置される対象は赤血球輸血非依存性である。一部の実施形態では、処置される対象は時折輸血を受けるが、輸血依存性であると分類されない。
【0033】
一部の実施形態では、対象はエリスロポエチン刺激剤、JAK-STAT阻害剤、増殖因子リガンドトラップ、または抗線維化剤を以前に受けている。一部の実施形態では、エリスロポエチン刺激剤は、ダナゾール、プレドニゾン、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドからなる群から選択される。一部の実施形態では、JAK-STAT阻害剤は、ルキソリチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ、INCB039110、AG490、およびPpYLKTKからなる群から選択される。一部の実施形態では、増殖因子リガンドトラップは、ソタテルセプトおよびラスパテルセプトである。一部の実施形態では、抗線維化剤はPRM-151である。
【0034】
一部の実施形態では、対象を処置する方法は、1つまたはそれ以上のエリスロポエチン刺激剤、JAK-STAT阻害剤、増殖因子リガンドトラップ、および抗線維化剤を対象に投与することをさらに含む。一部の実施形態では、エリスロポエチン刺激剤は、ダナゾール、プレドニゾン、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドからなる群から選択される。一部の実施形態では、JAK-STAT阻害剤は、ルキソリチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ、INCB039110、AG490、およびPpYLKTKからなる群から選択される。一部の実施形態では、増殖因子リガンドトラップは、ソタテルセプトである。一部の実施形態では、抗線維化剤はPRM-151である。
【0035】
一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は、親和性成熟抗体である。一部の実施形態では、親和性成熟抗体は、マウスモノクローナル抗体由来である。一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は、ヒト化抗体である。一部の実施形態では、抗ヘモジュベリン抗体は、異種フレームワークに移植した少なくとも3個の相補性決定領域(CDR)を含む。一部の実施形態では、異種フレームワークは、ヒトフレームワーク領域を含み、少なくとも3個のCDRは、非ヒトCDRを含む。一部の実施形態では、非ヒトCDRは齧歯類由来である。一部の実施形態では、少なくとも3個のCDRは、可変軽鎖CDRを含む。一部の実施形態では、少なくとも3個のCDRは、3個の可変重鎖CDRおよび3個の可変軽鎖CDRを含む。
【0036】
前述のおよび他の態様、実施、作用、機能性、特徴、および本教示の実施形態は、添付の図面と併せて、以下の説明からより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、ある特定の実施形態を示し、記載した説明と共に、本明細書に開示される組成物および方法のある特定の態様の非限定的な例を提供する。
図1図1は、ある特定の高ヘプシジン障害特有の骨髄増殖サイクルを示す。
図2図2は、ヘプシジン刺激経路およびヘプシジンによる鉄ホメオスタシスの生理学的制御を示す。
図3A図3A~3Gは、機能性鉄欠乏症(FID)におけるヘプシジンの役割およびヘプシジンアンタゴニストによりヘプシジンレベルを制御する例を示す。図3Aは、機能性鉄欠乏症のメカニズムを示す。
図3B図3A~3Gは、機能性鉄欠乏症(FID)におけるヘプシジンの役割およびヘプシジンアンタゴニストによりヘプシジンレベルを制御する例を示す。図3Bは、機能性鉄欠乏症が、骨髄線維症(MF)、慢性腎臓病(CKD)、がん、および心不全を含む炎症および慢性疾患の貧血の共通の特徴であることを示す。
図3C図3A~3Gは、機能性鉄欠乏症(FID)におけるヘプシジンの役割およびヘプシジンアンタゴニストによりヘプシジンレベルを制御する例を示す。図3Cは、機能性鉄欠乏症が高い鉄レベルおよび高いヘプシジンレベルと関連することを示す。
図3D図3A~3Gは、機能性鉄欠乏症(FID)におけるヘプシジンの役割およびヘプシジンアンタゴニストによりヘプシジンレベルを制御する例を示す。図3Dは、鉄制限疾患の処置のためにヘプシジンアンタゴニストを使用することによりヘプシジンレベルを正常にまで減少させることの概略図である。
図3E図3A~3Gは、機能性鉄欠乏症(FID)におけるヘプシジンの役割およびヘプシジンアンタゴニストによりヘプシジンレベルを制御する例を示す。図3Eは、HJV誘導BMPシグナル伝達経路を阻害し、ヘプシジンを正常レベルまで減少させる一例として、抗HJV抗体を使用することを示す。
図3F図3A~3Gは、機能性鉄欠乏症(FID)におけるヘプシジンの役割およびヘプシジンアンタゴニストによりヘプシジンレベルを制御する例を示す。図3Fは、マトリプターゼ2が膜結合HJVを切断することによりヘプシジンを負に制御することを示す。
図3G図3A~3Gは、機能性鉄欠乏症(FID)におけるヘプシジンの役割およびヘプシジンアンタゴニストによりヘプシジンレベルを制御する例を示す。図3Gは、ヘプシジンレベルの制御のための可能性のあるヘプシジンアンタゴニストの例を示す。
図4図4は、アクチビンBが、炎症に応答してHJV誘導BMPシグナル伝達の両方を介してヘプシジンレベルを制御することを示す。
図5図5は、疾患の重症度に基づく骨髄線維症のための現在の処置計画を示す。
図6図6は、カニクイザル(Cynomolgus macaque)においてIL-6がヘプシジン発現を誘導することを示すグラフであり、抗HJV抗体処置は、カニクイザルにおける用量依存的な炎症誘導性(IL-6)のヘプシジン増加を防止する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
一部の態様により、本開示は、特に骨髄線維症および/または1つもしくはそれ以上の症状またはそれらの合併症の処置のための鉄ホメオスタシスを調節するため、細胞においてヘプシジン機能を阻害するおよび/またはヘプシジン発現を減少させるのに有効なヘプシジンを標的化するためのヘプシジンアンタゴニストを提供する。したがって、関連する態様では、本開示は、原発性骨髄線維症、骨髄増殖性腫瘍から生じる骨髄線維症および/または骨髄線維症関連貧血、炎症、骨髄不全、脾腫、異化亢進症、および/または疲労などの1つもしくはそれ以上の症状またはそれらの合併症を含む、骨髄線維症を処置するための組成物および方法を提供する。
【0039】
定義した用語の説明を含む、本開示のさらなる態様は、以下に提供される。
【0040】
I.定義
投与:本明細書で使用される場合、用語「投与すること」または「投与」は、生理学的および/または薬理学的に有用である方法で対象に複合体を提供することを意味する(例えば対象において状態を処置する)。
【0041】
抗体:本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメインまたは少なくとも1つの抗原決定基、例えば抗原に特異的に結合するパラトープを含むポリペプチドを指す。一部の実施形態では、抗体は全長抗体である。一部の実施形態では、抗体はキメラ抗体である。一部の実施形態では、抗体はヒト化抗体である。しかしながら、一部の実施形態では、抗体は、Fab断片、F(ab’)2断片、Fv断片またはscFv断片である。一部の実施形態では、抗体はラクダ抗体由来のナノボディまたはサメ抗体由来のナノボディである。一部の実施形態では、抗体は二重特異性抗体である。一部の実施形態では、抗体はヒト生殖系列配列を有するフレームワークを含む。別の実施形態では、抗体は、IgG、IgG1、IgG2、IgG2A、IgG2B、IgG2C、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgM、およびIgE定常ドメインからなる群から選択される重鎖定常ドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は重(H)鎖可変領域(本明細書ではVと略す)、および/または軽(L)鎖可変領域(本明細書ではVと略す)を含む。一部の実施形態では、抗体は、定常ドメイン、例えばFc領域を含む。免疫グロブリン定常ドメインは、重または軽鎖定常ドメインを指す。ヒトIgG重鎖および軽鎖定常ドメインアミノ酸配列およびそれらの機能的バリエーションが公知である。重鎖に関して、一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体の重鎖は、アルファ(α)、デルタ(Δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、またはミュー(μ)重鎖であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体の重鎖は、ヒトアルファ(α)、デルタ(Δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、またはミュー(μ)重鎖を含み得る。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ヒトガンマ1 CH1、CH2、および/またはCH3ドメインを含む。一部の実施形態では、Vドメインのアミノ酸配列は、ヒトガンマ(γ)重鎖定常領域のアミノ酸配列、例えば当技術分野で公知のいずれかを含む。ヒト定常領域配列の非限定的な例は、当技術分野で記載されており、例えば、米国特許第5693780号および上記のKabat E A et al., (1991)を参照されたい。一部の実施形態では、Vドメインは、本明細書に提供される可変鎖定常領域のいずれかと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体は修飾され、例えばグリコシル化、リン酸化、SUMO化、および/またはメチル化により修飾される。一部の実施形態では、抗体は、1つまたはそれ以上の糖または炭水化物分子にコンジュゲートされるグリコシル化抗体である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の糖または炭水化物分子は、N-グリコシル化、O-グリコシル化、C-グリコシル化、グリピエーション(GPIアンカー結合)、および/またはホスホグリコシル化により抗体にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の糖または炭水化物分子は、単糖、二糖、オリゴ糖、またはグリカンである。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の糖または炭水化物分子は、分岐オリゴ糖または分岐グリカンである。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の糖または炭水化物分子は、マンノース単位、グルコース単位、N-アセチルグルコサミン単位、またはリン脂質単位を含む。一部の実施形態では、抗体は、リンカーポリペプチドまたは免疫グロブリン定常ドメインに連結した本開示の1つまたはそれ以上の抗原結合断片を含むポリペプチドを含むコンストラクトである。リンカーポリペプチドは、ペプチド結合によって接合された2つまたはそれ以上のアミノ酸残基を含み、1つまたはそれ以上の抗原結合部分を連結するために使用される。リンカーポリペプチドの例が報告されている(例えば、Holliger, P., et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448; Poljak, R. J., et al. (1994) Structure 2:1121-1123参照)。さらに、抗体は、1つまたはそれ以上の他のタンパク質もしくはペプチドとの抗体もしくは抗体部分の共有または非共有結合によって形成された大きな免疫接着分子の一部であってもよい。そのような免疫接着分子の例としては、四量体scFv分子を作成するストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov, S. M., et al. (1995) Human Antibodies and Hybridomas 6:93-101)および二価およびビオチン化scFv分子を作成するシステイン残基、マーカーペプチドおよびC末端ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov, S. M., et al. (1994) Mol. Immunol. 31:1047-1058)が挙げられる。
【0042】
親和性成熟抗体:「親和性成熟抗体」は、本明細書で使用され、1つまたはそれ以上のCDRに1つまたはそれ以上の変更を有する抗体を指し、それは変更(複数可)を持たない親抗体と比較して、標的抗原への抗体の親和性(すなわち、KD、kdまたはka)の改善をもたらす。例示的な親和性成熟抗体は、標的抗原へのナノモルまたはピコモルさえもの親和性を有するであろう。バイオディスプレイを使用して調製されたコンビナトリー抗体ライブラリーのスクリーニングを含む、親和性成熟抗体を産生するための様々な手順が当技術分野で公知である。例えば、Marks et al., BioTechnology, 10: 779-783 (1992)は、VHおよびVLドメインシャッフリングによる親和性成熟を記載する。CDRおよび/またはフレームワーク残基のランダム突然変異生成は、Barbas et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 91: 3809-3813 (1994);Schier et al., Gene, 169: 147-155 (1995);Yelton et al., J. Immunol., 155: 1994-2004 (1995);Jackson et al., J. Immunol., 154(7);3310-3319 (1995);およびHawkins et al, J. Mol. Biol., 226: 889-896 (1992)によって記載される。活性増強アミノ酸残基による、選択的突然変異生成位置および定常または超突然変異位置での選択的突然変異は、米国特許第6914128B1号に記載される。
【0043】
およそ:本明細書で使用される場合、用語「およそ」または「約」は、目的の1つまたはそれ以上の値に適用される場合、記載した参照値と類似している値を指す。ある特定の実施形態では、用語「およそ」または「約」は、他に記載されない限り、または他に文脈から明らかでない限り、記載した参照値のいずれの方向でも(より高いかまたは低い)15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ以下内にある値の範囲を指す(そのような数が可能値の100%を超えるであろう場合を除く)。
【0044】
CDR:本明細書で使用される場合、用語「CDR」は、抗体可変配列内の相補性決定領域を指す。典型的な抗体分子は、通常抗原結合に関与する重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む。VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域」(「FR」)として公知のより保存されている領域が散在している、「相補性決定領域」(「CDR」)としても公知の超可変領域へとさらに細分類され得る。各VHおよびVLは、典型的には3個のCDRおよび4個のFRから構成され、以下の順でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、当技術分野で公知の方法を使用して、例えば、その全てが当技術分野で周知であるKabat定義、IMGT定義、Chothia定義、AbM定義、および/または接触定義により、正確に同定され得る。例えば、Kabat, E.A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242;IMGT(登録商標), the international ImMunoGeneTics information system(登録商標) http://www.imgt.org, Lefranc, M.-P. et al., Nucleic Acids Res., 27:209-212 (1999);Ruiz, M. et al., Nucleic Acids Res., 28:219-221 (2000);Lefranc, M.-P., Nucleic Acids Res., 29:207-209 (2001);Lefranc, M.-P., Nucleic Acids Res., 31:307-310 (2003);Lefranc, M.-P. et al., In Silico Biol., 5, 0006 (2004) [Epub], 5:45-60 (2005);Lefranc, M.-P. et al., Nucleic Acids Res., 33:D593-597 (2005);Lefranc, M.-P. et al., Nucleic Acids Res., 37:D1006-1012 (2009);Lefranc, M.-P. et al., Nucleic Acids Res., 43:D413-422 (2015);Chothia et al., (1989) Nature 342:877; Chothia, C. et al. (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917, Al-lazikani et al (1997) J. Molec. Biol. 273:927-948;およびAlmagro, J. Mol. Recognit. 17:132-143 (2004)参照。また、hgmp.mrc.ac.uk andおよびbioinf.org.uk/absも参照。本明細書で使用される場合、CDRは当技術分野で公知の任意の方法によって定義されたCDRを指し得る。同じCDRを有する2つの抗体は、2つの抗体が、同じ方法、例えばIMGT定義によって決定される場合、CDRの同じアミノ酸配列を有することを意味する。
【0045】
通常、重鎖および軽鎖のそれぞれの可変領域に3個のCDRがあり、それぞれの可変領域についてCDR1、CDR2およびCDR3と示される。本明細書で使用される場合、用語「CDRセット」は、抗原に結合することができる単一の可変領域に生じる3個のCDRの群を指す。これらのCDRの正確な境界は、異なるシステムによって異なって定義されている。Kabat(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1987) and (1991))によって記載されたシステムは、抗体の任意の可変領域に適用可能である明確な残基の番号付システムを提供するだけでなく、3個のCDRを定義する正確な残基の境界も提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと呼ばれてもよい。CDRの下位部分は、L1、L2およびL3またはH1、H2およびH3と示されてもよく、「L」および「H」は、それぞれ軽鎖および重鎖領域を示す。これらの領域は、Chothia CDRと呼ばれてもよく、Kabat CDRと重複する境界を有する。Kabat CDRと重複するCDRを定義する他の境界は、Padlan(FASEB J. 9:133-139 (1995))およびMacCallum(J Mol Biol 262(5):732-45 (1996))によって記載されている。さらに他のCDR境界定義は、上記のシステムの1つに厳密に従わなくてもよいが、Kabat CDRと重複するにもかかわらず、それらは特定の残基もしくは残基の群もしくはCDR全体でさえも、抗原結合に著しく影響しない予測または実験的発見を考慮して短縮または延長されてもよい。本明細書で使用される方法は、これらのシステムのいずれかに従って定義されるCDRを利用し得るが、好ましい実施形態はKabatまたはChothia定義されたCDRを使用する。
【0046】
抗体のCDRは、異なる定義システムが使用される場合(例えば、IMGT定義、Kabat定義、またはChothia定義)、異なるアミノ酸配列を有し得る。定義システムは、番号により所与の抗体配列(例えばVHまたはVL配列)の各アミノ酸に注釈をつけ、重鎖および軽鎖CDRに相当する番号は表3に提供する。当業者は、表3に記載する異なる番号付けシステムを使用して表2に提供した抗HJV抗体のCDR配列を得ることができる。
【0047】
【表1】
【0048】
CDR移植抗体:用語「CDR移植抗体」は、1つの種から重鎖および軽鎖可変領域配列を含むが、Vおよび/またはVの1つまたはそれ以上のCDR領域の配列が別の種のCDR配列と置き換えられている抗体、例えば1つまたはそれ以上のマウスCDR(例えばCDR3)がヒトCDR配列と置き換えられたマウス重鎖および軽鎖可変領域を有する抗体を指す。
【0049】
キメラ抗体:用語「キメラ抗体」は、1つの種からの重鎖および軽鎖可変領域配ならびに別の種からの定常領域配列を含む抗体、例えばヒト定常領域に連結したマウス重鎖および軽鎖可変領域を有する抗体を指す。
【0050】
相補性:本明細書で使用される場合、用語「相補性」は、2つのヌクレオチドまたはヌクレオチドの2つのセット間で正確に対合する能力を指す。特に、相補性は、2つのヌクレオチドまたはヌクレオチドの2つのセット間の結合をもたらす水素結合対の程度を特徴付ける用語である。例えば、オリゴヌクレオチドの1つの位置の塩基が、標的核酸(例えばmRNA)の相当する位置の塩基と水素結合することができる場合、塩基は、その位置で互いに相補性であると考えられる。塩基対は、古典的なワトソン-クリック塩基対と非ワトソン-クリック塩基対(例えば、ゆらぎ塩基対およびフーグスティーン塩基対)の両方を含み得る。例えば、一部の実施形態では、相補性塩基対のため、アデノシン型塩基(A)はチミジン型塩基(T)またはウラシル型塩基(U)と相補性であり、シトシン型塩基(C)はグアノシン型塩基(G)と相補性であり、ユニバーサル塩基、例えば3-ニトロピロールまたは5-ニトロインドールは、A、C、U、またはTのいずれかとハイブリダイズし、相補性であるト考えられる。イノシン(I)もまた、当技術分野でユニバーサル塩基であると考えられており、A、C、UまたはTのいずれかと相補性であると考えられる。
【0051】
保存的アミノ酸置換:本明細書で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸置換が行われたタンパク質の相対的電荷またはサイズ特徴を変えないアミノ酸置換を指す。変異体は、当業者に公知のポリペプチド配列を変更する方法に従って調製することができ、例えばそのような方法を集める参照、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrook, et al., eds., Fourth Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 2012、またはCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel, et al., eds., John Wiley & Sons, Inc., New Yorkに見出される。アミノ酸の保存的置換は、以下の群:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A,G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D内のアミノ酸中で行われる置換を含む。
【0052】
公差反応性:本明細書で使用される場合、および標的化剤(例えば抗体)の文脈で、用語「公差反応性」は、類似の親和性または結合活性により類似の型またはクラスの1つ以上の抗原(例えば、多様なホモログ、パラログ、またはオルソログの抗原)に特異的に結合することができる薬剤の特性を指す。例えば、一部の実施形態では、類似の型またはクラスのヒトおよび非ヒト霊長類抗原(例えばヒトヘモジュベリンおよび非ヒト霊長類ヘモジュベリン)に対して公差反応性である抗体は、類似の親和性または結合活性でヒト抗原および非ヒト霊長類抗原に結合することができる。一部の実施形態では、抗体は、類似の型またはクラスのヒト抗原および齧歯類抗原に対して交差反応性である。一部の実施形態では、抗体は、類似の型またはクラスの齧歯類抗原および非ヒト霊長類抗原に対して交差反応性である。一部の実施形態では、抗体は、類似の型またはクラスのヒト抗原、非ヒト霊長類抗原、および齧歯類抗原に対して交差反応性である。
【0053】
有効量:本明細書で使用される場合、「有効量」は、単独かまたは1つもしくはそれ以上の他の活性剤と組み合わせてのいずれかで、対象に治療効果を与えるのに必要な各活性剤(例えば抗HJV抗体)の量を指す。一部の実施形態では、治療効果は、ヘプシジンレベルまたは活性の減少、トランスフェリン飽和度(TSAT%)のレベルの増加、および/または疾患状態の緩和(例えば貧血の減少または骨髄線維症進行の減少)である。
【0054】
フレームワーク:本明細書で使用される場合、用語「フレームワーク」または「フレームワーク配列」は、CDRを除いた可変領域の残りの配列を指す。CDR配列の正確な定義は、異なるシステムによって決定され得るため、フレームワーク配列の意味は対応して異なる解釈を仮定される。6個のCDR(軽鎖のCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3ならびに重鎖のCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)はまた、軽鎖および重鎖のフレームワーク領域を、各鎖の4個の下位領域(FR1、FR2、FR3およびFR4)へと分け、CDR1はFR1とFR2の間、CDR2はFR2とFR3の間、およびCDR3はFR3とFR4の間に位置する。FR1、FR2、FR3またはFR4として特定の下位領域を特定することなく、他に言及されるように、フレームワーク領域は、単一の、自然発生の免疫グロブリン鎖の可変領域内の組み合わせたFRsを表す。本明細書で使用される場合、FRは、4個の下位領域の1個を表し、FRsはフレームワーク領域を構成する4個の下位領域の2個またはそれ以上を表す。ヒト重鎖および軽鎖アクセプター配列が当技術分野で公知である。一実施形態では、当技術分野で公知のアクセプター配列は、本明細書に開示される抗体で使用され得る。
【0055】
ヘモジュベリン(HJV):本明細書で使用される場合、用語「ヘモジュベリン(HJV)」(反発性ガイダンス分子C(RGMc)または2型ヘモクロマトーシスタンパク質(HFE2)としても公知)は、BMP/SMADシグナル伝達経路によりヘプシジン産生を制御する膜結合可溶性形態タンパク質を指す。HFE2遺伝子は、GPIアンカーおよびグリコシル化HJV分子の2つの公知のクラスをコードし、それは膜へと標的化され、異なる運命を受ける。HJVは、2つの可溶性アイソフォームおよび2つの膜結合性アイソフォームを含む、多様なアイソフォームで存在する。一部の実施形態では、優勢な膜結合性アイソフォームは、N末端断片およびC末端断片から構成されるジスルフィド結合した2つの鎖形態である。一部の実施形態では、全長の一本鎖アイソフォームは膜と結合するが、細胞表面から放出され、細胞外液中に蓄積する。一部の実施形態では、HJVはヒト(NCBI Gene ID148738)、非ヒト霊長類(例えばNCBI Gene ID 698805)、または齧歯類(例えばNCBI Gene ID69585またはNCBI Gene ID310681)起源であり得る。HJV(RGMc)に加えて、反発性ガイダンス分子ファミリーは、反発性ガイダンス分子A(RGMa)および反発性ガイダンス分子B(RGMb)を含む。RGMaおよびRGMbは、発生の間、中枢神経系で発現され、軸索パターン形成および神経生存の調節に関与すると考えられるが、HJVは肝臓ならびに心筋および骨格筋で産生される。
【0056】
ヘプシジンアンタゴニスト:本明細書で使用される場合、「ヘプシジンアンタゴニスト」は、ヘプシジン発現および/またはヘプシジン活性を(直接または間接的に)減らす薬剤を指す。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは、ヘプシジン誘導フェロポ-チン分解を阻害する。したがって、一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは、ヘプシジン刺激経路を通して間接的にヘプシジン機能を標的化し、ヘプシジン発現を減少させる。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは、例えばヘプシジンペプチドに結合してフリーのヘプシジンを捕捉することにより、またはフェロポーチンに結合してヘプシジン-フェロポーチン結合相互作用を阻害することにより、直接ヘプシジン機能を標的化し、それによりヘプシジン誘導フェロポーチン分解を減少させる。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは、例えば、そのそれぞれの関連する内容が参照によって本明細書に組み込まれる、Ross SL, et al., Identification of Antibody and Small Molecule Antagonists of Ferroportin-Hepcidin Interaction. Front Pharmacol. 2017 Nov 21;8:838;Fung E., et al., High-Throughput Screening of Small Molecules Identifies Hepcidin Antagonists. Molecular Pharmacology March 2013, 83 (3) 681-690;およびAngeliki Katsarou and Kostas Pantopoulos, Hepcidin Therapeutics. Pharmaceuticals (Basel). 2018 Dec; 11(4): 127に開示されるように、フェロポーチン-ヘプシジン相互作用を破壊する、フェロポーチン阻害剤である。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは、阻害性核酸(例えば、miRNA、shRNA、siRNA、またはAmiRNA)である。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストはHJV誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストである。
【0057】
HJV誘導BMPシグナル伝達:本明細書で使用される場合、用語「HJV誘導BMPシグナル伝達」は、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達の膜結合共受容体である、ヘモジュベリン(HJV)によって誘導されるBMP受容体を介するシグナル伝達を指す。Xia Y, et al., Hemojuvelin regulates hepcidin expression via a selective subset of BMP ligands and receptors independently of neogenin, Blood. 2008 May 15; 111(10): 5195-5204に記載されるように、肝細胞において、HJV誘導BMPシグナル伝達はヘプシジンmRNA発現を正に制御する。一部の実施形態では、HJVはBMP2、BMP4、BMP5、またはBMP6に結合し、BMPシグナル伝達を誘導する、例えば肝細胞におけるヘプシジンレベルを正に制御する。一部の実施形態では、マトリプターゼ-2によるHJVの切断は、BMPシグナル伝達に参加するために利用できる細胞表面HJVの量を減らす。一部の実施形態では、HJVによるBMPシグナル伝達の誘導は、ネオゲニンに依存しない。しかしながら、一部の実施形態では、Zhao et al, Neogenin Facilitates the Induction of Hepcidin Expression by Hemojuvelin in the Liver, J Biol Chem. 2016 Jun 3; 291(23): 12322-12335に記載されるように、ネオゲニンはHJVによるBMPシグナル伝達の誘導を促進する。一部の実施形態では、BMP6は、Smadシグナル伝達の鉄依存的活性化を担う。一部の実施形態では、BMP6は肝臓の類洞内皮細胞から分泌され、肝細胞のBMP受容体(BMPR)に結合し、それによりSMADシグナル伝達カスケードを活性化する。そのような実施形態では、HJVはそのようなBMP6の共受容体として寄与し、例えば肝細胞のヘプシジンレベルを正に制御する。一部の実施形態では、BMPは、I型およびII型セリン/スレオニンキナーゼ受容体の1つまたは組合せに結合することによりシグナルを伝達する。BMP II型受容体は、BMPRII、ActRIIA、およびActRIIBを含む。BMP I型受容体は、ALK3、ALK6、およびALK2を含む。一部の実施形態では、リガンドが結合すると、構成的に活性なII型受容体はI型受容体をリン酸化し、次いでI型受容体は細胞内受容体活性化Smad(R-Smad)、主にSmad1、Smad5および/またはSmad8をリン酸化する。そのような実施形態では、活性化されたR-Smadは共通のパートナーSmad4と複合体を形成し、遺伝子の転写、例えば、ヘプシジン発現の誘導を制御するために核に移行する。
【0058】
ヒト抗体:本明細書で使用される場合、用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変および定常領域を有する抗体を含むことを意図する。本開示のヒト抗体は、例えばCDR、特にCDR3において、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えばインビトロで無作為もしくは部位特異的突然変異導入によるかまたはインビボでの体細胞突然変異によって導入される突然変異)を含み得る。しかしながら、本明細書で使用される場合、用語「ヒト抗体」は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植された抗体を含むことを意図しない。
【0059】
ヒト化抗体:用語「ヒト化抗体」は、非ヒト種(例えばマウス)からの重鎖および軽鎖可変領域配列を含むが、Vおよび/またはV配列の少なくとも一部がより「ヒト様」に、すなわちヒト生殖系列可変配列により類似するように変更された抗体を指す。ヒト化抗体の1つの型は、CDR移植抗体であり、ヒトCDR配列が非ヒトVおよびV配列に導入され、相当する非ヒトCDR配列を置き換える。一実施形態では、ヒト化抗ヘモジュベリン抗体および抗原結合部分が提供される。そのような抗体は、古典的なハイブリドーマ技術の後、例えばKasaian et alの国際出願PCT2005/123126A2に開示されるものなどインビトロでの遺伝子工学を使用するヒト化を使用してマウス抗ヘモジュベリンモノクローナル抗体を得ることによって生成され得る。
【0060】
阻害性核酸:本明細書で使用される場合、阻害性核酸は、標的遺伝子の発現および/または機能を減少させることができる核酸を指す。阻害性RNAの非限定的な例としては、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、人工miRNA(AmiRNA)、ギャップマー、ミックスマー、またはアンタゴミルが挙げられる。阻害性核酸は、例えばリボヌクレアーゼ媒介性分解を介する翻訳抑制および/または遺伝子サイレンシングに有用である。阻害性核酸は、オリゴヌクレオチド(例えば単離された一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチド)およびそれらの製剤として直接送達され得る。一部の実施形態では、核酸は、製剤中で、または細胞内取り込みを促進するコンジュゲート、例えばGalNacコンジュゲートとして送達され得る。しかしながら、一部の実施形態では、阻害性核酸は、阻害性核酸を発現するように操作されている、レンチウイルス、レトロウイルス、または組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)などのウイルスベクターによって送達され得る。
【0061】
単離抗体:本明細書で使用される場合、「単離抗体」は、異なる抗原特性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことを意図する(例えば、ヘモジュベリンに特異的に結合する単離抗体は、ヘモジュベリン以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。ヘモジュベリンに特異的に結合する単離抗体は、しかしながら、他の反発性ガイダンス分子(RGM)タンパク質(例えばRGMaおよび/またはRGMb)などの他の抗原に交差反応性を有し得る。さらに、単離抗体は他の細胞性物質および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。
【0062】
JAK/STATシグナル伝達:本明細書で使用される場合、用語「JAK-STATシグナル伝達」は、例えばJanusキナーゼ1(JAK1)またはJanusキナーゼ2(JAK2)などのJanusキナーゼ(JAK)を動員し、例えばSTAT3などのシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)を活性化する、細胞受容体を介するシグナル伝達を指す。一部の実施形態では、Maliken, BD, et al., The Hepcidin Circuits Act: Balancing Iron and Inflammation, Hepatology. 2011 May; 53(5): 1764-1766に記載されるように、JAK-STATシグナル伝達は、サイトカインインターロイキン-6(IL-6)のその同種の細胞受容体への結合を含み、次いでJanusキナーゼ2(JAK2)を動員してSTAT3をリン酸化する。一部の実施形態では、次いで(JAK2活性化/リン酸化後)、STAT3は核へと移行する。一部の実施形態では、次いで、活性化されたSTAT3は、例えばヘプシジンプロモーター領域のSTAT3結合モチーフへの結合により、ヘプシジン転写を誘導する。したがって、一部の実施形態では、ヘプシジン発現は、IL-6によるSTAT3活性化による炎症中にJAK-STATシグナル伝達を介して誘導される。
【0063】
Kabat番号付け:用語「Kabat番号付け」、「Kabat定義」および「Kabat標識」は、本明細書において交換可能に使用される。当技術分野で認識されるこれらの用語は、抗体の重鎖および軽鎖可変領域、またはその抗原結合部分の他のアミノ酸残基よりも可変(すなわち超可変)であるアミノ酸残基を番号付けるシステムを指す(Kabat et al. (1971) Ann. NY Acad, Sci. 190:382-391 and, Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)。重鎖可変領域については、超可変領域は、CDR1のアミノ酸31位から35位、CDR2のアミノ酸50位から65位、およびCDR3のアミノ酸95位から102位の範囲である。軽鎖可変領域については、超可変領域は、CDR1のアミノ酸24位から34位、CDR2のアミノ酸50位から56位、およびCDR3のアミノ酸89位から97位の範囲である。
【0064】
骨髄線維症:本明細書で使用される場合、用語「骨髄線維症」は、進行性線維症、対象の骨髄ニッチの炎症および/または機能障害をもたらす、病理学的骨髄増殖および異常なサイトカイン産生により特徴付けられる障害を指す。骨髄線維症と関連する線維症は、巨核球などの異常なクローン骨髄細胞によって産生された炎症および線維形成サイトカインへの非クローン線維芽細胞性応答から生じることが多い。骨髄線維症は、典型的には、骨髄不全、脾腫、異化亢進症、および貧血を生じる。一部の実施形態では、骨髄線維症は、対象においてデノボで生じる。そのような実施形態では、骨髄線維症は、「原発性」骨髄線維症と考えられる。しかしながら、一部の実施形態では、骨髄線維症は、既存の骨髄増殖性腫瘍から生じる。一部の実施形態では、既存の骨髄増殖性腫瘍は赤血球増加症である。一部の実施形態では、既存の骨髄増殖性腫瘍は本態性血小板減少症である。
【0065】
骨髄線維症関連貧血:本明細書で使用される場合、用語「骨髄線維症関連貧血」は、骨髄性線維症の文脈で、または骨髄性線維症の合併症で生じ、酸素を輸送する血液の能力の欠乏によって特徴付けられる状態を指す。一部の実施形態では、骨髄線維症関連貧血は、赤血球の欠乏、ヘモグロビンの欠乏、および/または全血液量の欠乏の結果である。一部の実施形態では、骨髄線維症関連貧血は、鉄欠乏貧血または骨髄癆性貧血である。一部の実施形態では、骨髄線維症関連貧血は、慢性炎症性疾患とさらに関連する。骨髄線維症関連貧血以外の貧血の例としては、リュウマチ性関節炎と関連する貧血、感染症の貧血、自己免疫性溶血性貧血、再生不良性貧血、低形成性貧血、腎不全または内分泌障害から生じる赤芽球癆および貧血、巨赤芽球性貧血、ヘムまたはグロビン合成の欠損から生じる貧血、赤血球の構造欠陥によって引き起こされる貧血、例えば、鎌状赤血球貧血、鉄芽球性貧血、慢性感染症、例えばマラリア、トリパノソーマ感染症、HIV、肝炎ウイルスまたは他のウイルスと関連する貧血、骨髄線維症の不在下での骨髄欠乏によって引き起こされる貧血、および化学療法誘導性貧血が挙げられる。
【0066】
オリゴヌクレオチド:本明細書で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、200ヌクレオチド長までのオリゴマー核酸化合物を指す。オリゴヌクレオチドの例としては、限定はされないが、RNAiオリゴヌクレオチド(例えばsiRNA、shRNA)、マイクロRNA、ギャップマー、ミックスマー、ホスホロジアミデートモルホリノ、ペプチド核酸、アプタマー、ガイド核酸(例えばCas9ガイドRNA)等が挙げられる。オリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であり得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは1つまたはそれ以上の修飾ヌクレオチド(例えば2’-O-メチル糖修飾、プリンまたはピリミジン修飾)を含み得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つまたはそれ以上の修飾されたヌクレオチド間結合を含み得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RpまたはSp立体化学構造であり得る、1つまたはそれ以上のホスホロチオエート結合を含み得る。
【0067】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV):用語「組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)」は、人工的に産生されたかまたは組換え方法を使用して得られたAAVを指す。組換えAAV(rAAV)は、好ましくは組織特異的標的化能を有し、その結果、rAAVの導入遺伝子は、1つまたはそれ以上の前もって決めた組織(複数可)(例えば眼組織)に特異的に送達される。rAAVは、典型的には、組換えAAVベクターを包含するAAVキャプシドタンパク質を含む。「組換えAAV(rAAV)ベクター」は、典型的には、最低限、導入遺伝子およびその制御配列、ならびに5’および3’AAV末端逆位配列(ITRs)で構成されている。AAVキャプシドは、これらの組織特異的標的化能(例えば組織向性)の決定に重要なエレメントである。一部の実施形態では、標的化される組織に適当なキャプシドを有するrAAVが使用され得る。一部の実施形態では、rAAVは、肝臓送達に特異的なAAVキャプシドタンパク質を含む。一部の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、AAV2、AAV3B、AAV8、またはLK03血清型のものである。一部の実施形態では、rAAVベクターは、BMP-6を標的化する阻害性核酸の発現を駆動する肝臓特異的プロモーターを含む。肝臓特異的プロモーターの非限定的な例は、ヒト血清アルブミンプロモーター、アルファ-1-抗トリプシンプロモーター、アポリポタンパク質E/C-I肝臓調節領域/ヒトアルファ-1-抗トリプシンキメラプロモーター、またはアルファ1ミクログロブリン/ビクニンエンハンサー/ヒトチロキシン結合グロブリン(TBG)キメラプロモーターである。肝臓特異性のためのAAVキャプシドタンパク質および肝臓特異的プロモーターは、当技術分野、例えばKattenhorn et al, Adeno-Associated Virus Gene Therapy for Liver, Human Gene Therapy, Vol. 27, No. 12に記載されている。
【0068】
組換え抗体:本明細書で使用される場合、用語「組換えヒト抗体」は、宿主細胞へとトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体などの組換え手段によって調製、発現、作成もしくは単離される全てのヒト抗体(本開示により詳細に記載される)、組換え、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体(Hoogenboom H. R., (1997) TIB Tech. 15:62-70;Azzazy H., and Highsmith W. E., (2002) Clin. Biochem. 35:425-445;Gavilondo J. V., and Larrick J. W. (2002) BioTechniques 29:128-145;Hoogenboom H., and Chames P. (2000) Immunology Today 21:371-378)、ヒト免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニックである動物(例えばマウス)から単離された抗体(例えばTaylor, L. D., et al. (1992) Nucl. Acids Res. 20:6287-6295;Kellermann S-A., and Green L. L. (2002) Current Opinion in Biotechnology 13:593-597;Little M. et al (2000) Immunology Today 21:364-370参照)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段によって調製、発現、作成もしくは単離された抗体を含むことを意図する。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域を有する。しかしながら、ある特定の実施形態では、そのような組換えヒト抗体はインビトロ突然変異導入にかけられ(またはヒトIg配列のトランスジェニック動物が使用される場合、インビボ体細胞突然変異導入)、したがって、組換え抗体のVおよびV領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VおよびV配列由来であるかまたは関連するが、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在しなくてもよい配列である。本開示の一実施形態は、限定はされないが、例えばJermutus et al.の国際出願PCT2005/007699A2に開示されるものなどのヒトIgファージライブラリーを使用する、当技術分野で周知の技術を使用して生成され得る、ヒトヘモジュベリンに結合することができる完全なヒト抗体を提供する。
【0069】
選択的:本明細書で使用される場合、用語「選択的(selective)」または「選択的に(selectively)」は、参照分子と比較してその標的分子と関連する効果を産生する分子の能力を指す。例えば、その標的分子を選択的に阻害する分子は、この分子が、阻害アッセイまたは他の阻害環境において参照分子から区別できる程度でその標的分子を阻害することができることを意味する。例えば、阻害剤に関して、用語「選択的に阻害する」は、阻害アッセイにおいて実質的に阻害しない参照分子と区別できる程度で、例えば本明細書に記載されるように、標的分子の選択的阻害を可能にする程度まで、その標的分子を阻害する阻害剤の能力を指す。例えば、標的分子および/または参照分子の半数阻害濃度(IC50)は、Asshoff, M. et al., Momelotinib inhibits ACVR1/ALK2, decreases hepcidin production, and ameliorates anemia of chronic disease in rodents. Blood. 2017 Mar 30; 129(13): 1823-1830に記載されるように、キナーゼ抗力アッセイで試験され得る(例えばCarna Biosciencesによるキナーゼ効力アッセイ)。このアッセイでは、阻害剤溶液(例えば試験される選択的阻害剤を含有する溶液)/キナーゼ基質が標的分子溶液(例えばALK2)または参照分子溶液(例えばJAK1またはJAK2)と混合され、1時間室温下でインキュベートされる。反応が終わると、基質への酵素活性によって産生されたシグナルが測定され得る。標的分子および参照分子の半数阻害濃度が算出され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される分子は、標的分子に選択的に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される分子は、標的分子を選択的に阻害する。一部の実施形態では、本明細書に記載される分子は、標的分子を選択的にアンタゴナイズする。一部の実施形態では、本明細書に記載される分子は、標的分子を選択的に中和する。
【0070】
特異的に結合する:本明細書で使用される場合、用語「特異的に結合する」は、分子を結合アッセイまたは他の結合環境において適当な対照から結合パートナーを区別するために使用されるようにするある程度の親和性または結合力で結合パートナーに結合する分子の能力を指す。抗体に関して、用語、「特異的に結合する」は、適当な参照抗原(複数可)と比較して、例えば本明細書に記載されるように、抗原への結合を介して、ある特定の細胞、例えば筋肉細胞の選択的標的化を可能にする程度まで、抗体が他から特定の抗原を区別するために使用されるようにする、ある程度の親和性または結合力で特定の抗原に結合する抗体の能力を指す。一部の実施形態では、抗体が少なくとも約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M、10-13M、またはそれ以下の標的を結合するためのKを有する場合、抗体は標的に特異的に結合する。一部の実施形態では、抗体はヘモジュベリンに特異的に結合する。
【0071】
対象:本明細書で使用される場合、用語「対象」は、哺乳動物を指す。一部の実施形態では、対象は非ヒト霊長類、または齧歯類である。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、対象は患者、例えば疾患を有するかまたは有する疑いがあるヒト患者である。一部の実施形態では、対象は骨髄線維症および/または骨髄線維症の結果として生じる1つまたはそれ以上の状態を有するかまたは有する疑いがあるヒト患者である。
【0072】
処置:本明細書で使用される場合、用語「処置する(treating)」または「処置(treatment)」は、障害、疾患の症状、または疾患もしくは障害に対する素因を治療、治癒、緩和、軽減、変化、療法、寛解、改善、または影響する目的で、標的疾患または障害、疾患/障害の症状、または疾患/障害に対する素因を有する対象への、1つまたはそれ以上の活性剤を含む組成物の適用または投与を指す。標的疾患/障害を緩和することは、疾患の発症もしくは進行を遅延または防止させること、または疾患の重症度を減少させることを含む。
【0073】
II.ヘプシジンアンタゴニスト
他の態様の中でも、本開示は、ヘプシジンアンタゴニストおよび骨髄線維症、例えば骨髄線維症と関連する貧血の処置のため関連方法に関する。図2は、ヘプシジン刺激経路およびヘプシジンによる鉄ホメオスタシスの生理学的制御を示す。示される様に、ヘプシジンは、鉄放出標的細胞(例えば肝細胞、十二指腸の腸細胞、組織マクロファージ、および他の細胞型)において鉄排出タンパク質、フェロポーチンに結合することにより操作する。ヘプシジンの結合は、鉄流出を遮断し、フェロポーチンのユビキチン化、内部移行、およびリソソーム分解を誘発する。これは、細胞内の鉄保有および最終的には全身の鉄レベルの減少をもたらす。したがって、一部の実施形態では、本開示のヘプシジンアンタゴニストは、ヘプシジン阻害剤であり、ヘプシジンを封鎖するかまたはフェロポーチンを安定化して、フェロポーチンへのヘプシジンの結合を阻害することにより、ヘプシジン機能をアンタゴナイズする。
【0074】
HAMP遺伝子は、ヘプシジン前駆体タンパク質をコードし、主に肝臓の肝細胞より、肝臓外の組織の他の細胞よりも低いレベルで発現される。前駆体タンパク質は、その後切断され、生理活性のヘプシジンを生じる。一部の実施形態では、本開示のヘプシジンアンタゴニストは、HAMPアンタゴニストであり、HAMPまたはそれらの転写産物もしくは翻訳産物に結合することにより、またはHAMPの転写もしくは翻訳調節因子を阻害してHAMP発現を減らすことにより、ヘプシジン機能をアンタゴナイズする。
【0075】
HAMPの転写調節因子のさらなる例としては、限定はされないが、SMAD1/5/8(例えばBMP-SMADシグナル伝達経路)およびSTAT3(例えばJAK-STATシグナル伝達経路)が挙げられる。したがって、一部の実施形態では、HAMPアンタゴニストは、BMP-SMADシグナル伝達経路阻害剤またはJAK-STATシグナル伝達経路阻害剤である。
【0076】
i.ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニスト
一部の態様では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストが本明細書で提供され、ヘプシジンの発現および/または機能を減らすため、例えば骨髄線維症および/または骨髄線維症の結果として生じる1つもしくはそれ以上の状態の処置のための鉄ホメオスタシスを調節するため、BMP-SMADシグナル伝達を阻害する。一部の実施形態では、そのような方法は、血清もしくは組織鉄の増加が、BMP-SMADシグナル伝達経路を介したヘプシジンの転写誘導を誘発するという認識に基づく。一部の実施形態では、HJVはBMP共受容体として寄与し、ヘプシジンレベルを正に制御する。ある特定の細胞、例えば肝細胞では、HJV誘導BMPシグナル伝達は、ヘプシジンmRNA発現を正に制御する。そのような実施形態では、HJVはBMP2、BMP4、BMP5、および/またはBMP6に結合し、BMPシグナル伝達を媒介する、例えば肝細胞におけるヘプシジンレベルを正に制御する。一部の実施形態では、BMPは、I型およびII型セリン/スレオニンキナーゼ受容体の1つまたは組合せに結合することによりシグナルを伝達する。一部の実施形態では、リガンドが結合すると、構成的に活性なII型受容体はI型受容体をリン酸化し、次いでI型受容体は細胞内受容体活性化Smad(R-Smad)、主にSmad1、Smad5および/またはSmad8をリン酸化する。そのような実施形態では、活性化されたR-Smadは共通のパートナーSmad4と複合体を形成し、遺伝子の転写、例えばヘプシジン発現の誘導を制御するために核に移行する。
【0077】
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、骨髄線維症と関連する貧血の処置のためのHJV誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストを利用する。一部の実施形態では、HJV誘導シグナル伝達アンタゴニストはBMPアンタゴニストであり、直接または間接的にBMPシグナル伝達(例えば、BMP抗体、BMPの阻害性核酸、可溶性BMP受容体、可溶性ヘモジュベリン等)を阻害する。一部の実施形態では、BMPアンタゴニストは、シグナル伝達を阻害する抗BMP抗体である。一部の実施形態では、組換えノギンがBMPアンタゴニストとして提供される。一部の実施形態では、抗BMP抗体は、特定のBMP、例えばBMP6に特異的に結合し、阻害する。しかしながら、一部の実施形態では、抗BMPは多様なBMPに結合し、阻害する。一部の実施形態では、抗BMP抗体は、HJVに結合するBMPに対する抗体である。
【0078】
一部の実施形態では、抗BMP抗体は、BMP2に特異的に結合し、下流のシグナル伝達を阻害する抗BMP2抗体である。好適な抗BMP2抗体は、例えば、そのそれぞれの内容が参照によって本明細書に組み込まれるGorrell RE, et al., Identification of a bone morphogenetic protein type 2 receptor neutralizing antibody. BMC Res Notes. 2019; 12: 331.;およびKang MH, et al., BMP2 accelerates the motility and invasiveness of gastric cancer cells via activation of the phosphatidylinositol 3-kinase (PI3K)/Akt pathway. Exp Cell Res. 2010 Jan 1;316(1):24-37に開示される。
【0079】
一部の実施形態では、抗BMP抗体は、BMP4に特異的に結合し、下流のシグナル伝達を阻害する抗BMP4抗体である。好適な抗BMP4抗体は、例えば、その内容が参照によって本明細書に組み込まれるCalpe S. et al., Comparison of newly developed anti-bone morphogenetic protein 4 llama-derived antibodies with commercially available BMP4 inhibitors. MAbs. 2016 May-Jun; 8(4): 678-688に開示される。
【0080】
一部の実施形態では、BMP-2および/またはBMP4アンタゴニストは、そのそれぞれの内容が参照によって本明細書に組み込まれる2012年12月25日に発行された表題“BMP-ALK3 antagonists and uses for promoting bone growth”のUS8338377;2017年8月22日に発行された表題“Fused heterocyclic compounds as selective BMP inhibitors”の米国特許第9738636号;2019年5月21に公開された表題“Inhibition of BMP Signaling Compounds, Compositions and Uses Thereof”の米国特許出願公開第2019218214号;2019年9月19日に公開された表題“Inhibition of bmp signaling, compounds, compositions and uses thereof”の米国特許出願公開第2019284183号;2020年2月20日に公開された表題“Fused heterocyclic compounds as selective bmp inhibitors”の米国特許出願公開第2020054643号に開示されるBMP2および/またはBMP4アンタゴニストである。
【0081】
一部の実施形態では、抗BMP抗体は、BMP5に特異的に結合し、下流のシグナル伝達を阻害する抗BMP5抗体である。一部の実施形態では、抗BMP5抗体は、例えばヒトBMP-5抗体AF615(R&D Systems)またはヒトBMP-5抗体MAB7151(R&D Systems)である。
【0082】
一部の実施形態では、抗BMP抗体は、BMP6に特異的に結合し、下流のシグナル伝達を阻害する抗BMP6抗体である。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法での使用のための抗BMP6抗体は、そのそれぞれの内容がその全体を参照によって本明細書に組み込まれる、2014年8月5日に発行された表題“BMP-6 antibodies”の米国特許第8795665B2号;2015年3月17日に発行された表題“BMP-6 antibodies and DNA encoding the same”の米国特許第8980582B2号;2016年9月13日に発行された表題“Methods of treating anaemia”の米国特許第9439963B2号:2018年1月19日に発行された表題“Compositions and methods for antibodies targeting BMP6”の米国特許第9862764B2号;2017年12月21日に公開された表題“Methods for treating disease using inhibitors of bone morphogenetic protein 6 (bmp6)”の国際公開第2017216724A1号;および2017年11月9日に公開された表題“Methods, regimens, combinations & antagonists”の国際公開第2017191437A1号、2020年4月2日に公開された表題“Antagonists”の国際公開第2020065252号に開示される抗BMP-6抗体である。一部の実施形態では、抗BMP-6抗体は、LY3113593である。一部の実施形態では、抗BMP6抗体はCSJ137である。一部の実施形態では、抗BMP6抗体はKY1070である。
【0083】
一部の実施形態では、BMPアンタゴニストはBMPの発現を阻害する阻害性核酸である(例えば、BMP2、BMP4、BMP5、またはBMP6を標的化するdsRNA、siRNA、miRNA、shRNA、AmiRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、またはアプタマー)。一部の実施形態では、BMPを標的化する阻害性核酸が、骨髄線維症および関連状態の処置において本明細書で使用され得る。一部の実施形態では、BMP6を標的化する阻害性核酸は、例えば、その全内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2016年1月5に発行された表題“Compositions and method for inhibiting hepcidin antimicrobial peptide (HAMP) or HAMP-related gene expression”の米国特許第9228188号に開示されるBMP6を標的化する阻害性核酸である。一部の実施形態では、BMP-6を標的化する阻害性核酸は、阻害性核酸である。一部の実施形態では、阻害性核酸はBMP-6を標的化するmiRNAである。一部の実施形態では、阻害性核酸はBMP-6を標的化するshRNAである。一部の実施形態では、阻害性核酸はBMP-6を標的化するsiRNAである。一部の実施形態では、阻害性核酸はBMP-6を標的化するAmiRNAである。
【0084】
一部の実施形態では、BMP6アンタゴニストのさらなる例としては、限定はされないが、TP-0184、FKBP12、ツイスト原腸形成タンパク質、ドルソモルフィン、ノギン、コーディン、ベントロプチン、フォリスタチン、フォリスタチン関連遺伝子(FLRG)、ヘパリン(例えばSST0001、RO-82、RO-68、NAc-91、およびNacRO-00)、硫酸化グルコサミノグリカン、およびスクレロスチンドメイン含有1タンパク質(SOSTDC1)が挙げられる。本明細書に提供されるある特定の方法で有用であり得るBMP6アンタゴニストのさらなる例が提供される。一部の実施形態では、BMP6アンタゴニストは、そのそれぞれの全内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2012年11月27日に発行された表題“METHODS AND COMPOSITIONS FOR REGULATING IRON HOMEOSTASIS BY MODULATION OF BMP-6”の米国特許第8318167号;2017年1月31日に発行された表題“METHODS AND COMPOSITIONS TO REGULATE HEPCIDIN EXPRESSION”の米国特許第9556251号;2018年1月9日に発行された表題“COMPOSITIONS AND METHODS FOR ANTIBODIES TARGETING BMP6”の米国特許第9862764号;2017年6月20日に発行された表題“BMP INHIBITORS AND METHODS OF USE THEREOF”の米国特許第9682983号;2013年8月13日に発行された表題“INHIBITORS OF THE BMP SIGNALING PATHWAY”の米国特許第8507501号;2017年8月22日に発行された表題“FUSED HETEROCYCLIC COMPOUNDS AS SELECTIVE BMP INHIBITORS”の米国特許第9738636号;および2014年8月5日に発行された表題“BMP-6 ANTIBODIES”の米国特許第8795665号;2010年4月15日に公開された表題“METHODS FOR IDENTIFYING COMPOUNDS THAT MODULATE CELL SIGNALING AND METHODS EMPLOYING SUCH COMPOUND”の米国特許出願公開第2010/0093760号;2014年7月17日に公開された表題“METHODS AND COMPOSITIONS FOR REGULATING IRON HOMEOSTASIS BY MODULATION OF BMP-6”の米国特許出願公開第2014/0199314号;2014年3月27日に公開された表題“METHODS AND COMPOSITIONS FOR REGULATING IRON HOMEOSTASIS BY MODULATION OF BMP-6”の米国特許出願公開第2014/0086919号;2016年9月15日に公開された表題“COMPOSITIONS AND METHODS FOR CARDIOVASCULAR DISEASE”の米国特許出願公開第2016/0263117号;2016年4月28日に公開された表題“BMP INHIBITORS AND METHODS OF USE THEREOF”の米国特許出願公開第2016/0115167号;2017年7月13日に公開された表題“COMPOSITIONS AND METHODS FOR INHIBITING BMP”の米国特許出願公開第2017/0197968;2017年7月6日に公開された表題“COMPOSITIONS AND METHODS FOR INHIBITING BMP”の米国特許出願公開第2017/0190705号;2017年10月26日に公開された表題“COMPOSITIONS AND METHODS FOR INHIBITING BMP”の米国特許出願公開第2017/0305883号;2018年1月25日に公開された表題“METHODS AND COMPOSITIONS FOR THE TREATMENT OR PREVENTION OF ABNORMAL BONE FORMATION IN A SOFT TISSUE”の米国特許出願公開第2018/0021340号;2017年12月21日に公開された表題“METHODS FOR TREATING DISEASE USING INHIBITORS OF BONE MORPHOGENETIC PROTEIN 6 (BMP6)の国際出願PCT2017/216724;2018年7月26日に公開された表題“FUSED HETEROCYCLIC COMPOUNDS AS SELECTIVE BMP INHIBITORS”の国際公開第2018/136634号;2018年3月22日に公開された表題“TWISTED GASTRULATION POLYPEPTIDES AND USES THEREOF”の国際公開第2018/053234号;2018年10月11日に公開された表題“REGULATOR OF BMP-SMAD SIGNALING AND USES THEREOF”の国際公開第2018/185341号;2016年9月22日に公開された表題“MACROCYCLIC ACTIVIN-LIKE RECEPTOR KINASE INHIBITORS”の国際公開第2016/146651号に開示されるBMP6アンタゴニストである。
【0085】
一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストはBMP受容体アンタゴニストである。一部の実施形態では、BMP受容体アンタゴニストはBMP受容体に対する中和抗体である。一部の実施形態では、BMPはI型およびII型セリン/スレオニンキナーゼ受容体の1つまたは組合せに結合することによりシグナルを導入する。BMP II型受容体は、BMPRII、ActRIIA、およびActRIIBを含む。BMP I型受容体は、ALK3、ALK6、およびALK2を含む。一部の実施形態では、BMP受容体アンタゴニストはBMP受容体を標的化する抗体を中和する。一部の実施形態では、BMP受容体中和抗体は、抗BMPRII抗体、抗ActRIIA抗体、抗ActRIIB抗体、抗ALK3抗体、抗ALK6抗体、または抗ALK2抗体である。一部の実施形態では、BMP受容体中和抗体は、抗ALK2抗体である。一部の実施形態では、抗ALK2抗体は、そのそれぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれる、2019年10月1日に発行された表題“Anti-ALK2 antibody”の米国特許第10428148B2号;2020年4月30日に公開された表題“Alk2 antibodies and methods of use thereof”の国際公開第2020086730A1号;2018年5月3日に公開された表題“ANTI-ALK2 ANTIBODY”の米国特許出願公開第2018/0118835号に開示される抗ALK2抗体である。
【0086】
一部の実施形態では、BMP受容体アンタゴニストは、BMP受容体(例えばBMP I型受容体またはBMP II型受容体)の発現を阻害する阻害性核酸である。一部の実施形態では、阻害性核酸は、ALK2発現を阻害する阻害性核酸である。したがって、一部の実施形態では、BMP受容体の発現を阻害する阻害性核酸は、骨髄線維症および関連状態の処置に本明細書で使用され得る。
【0087】
一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストは、その標的分子を選択的に阻害する。一部の実施形態では、標的分子はBMP受容体である。一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストは、参照分子と比較してその標的分子を選択的に阻害する。一部の実施形態では、参照分子はJAK2である。一部の実施形態では、標的分子はALK2である。一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストは、参照分子と比較してその標的分子を選択的に阻害し、その結果、標的分子と比較して、少なくとも10倍(例えば少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、またはそれより高い)、10倍(例えば少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、またはそれより高い)、10倍(例えば少なくとも1000倍、少なくとも2000倍、少なくとも3000倍、少なくとも4000倍、少なくとも5000倍、少なくとも6000倍、少なくとも7000倍、少なくとも8000倍、少なくとも9000倍、またはそれより高い)、10倍(例えば少なくとも1x10倍、少なくとも2x10倍、少なくとも3x10倍、少なくとも4x10倍、少なくとも5x10倍、少なくとも6x10倍、少なくとも7x10倍、少なくとも8x10倍、少なくとも9x10倍、またはそれより高い)、10倍(例えば少なくとも1x10倍、少なくとも2x10倍、少なくとも3x10倍、少なくとも4x10倍、少なくとも5x10倍、少なくとも6x10倍、少なくとも7x10倍、少なくとも8x10倍、少なくとも9x10倍、またはそれより高い)、10倍(例えば少なくとも1x10倍、少なくとも2x10倍、少なくとも3x10倍、少なくとも4x10倍、少なくとも5x10倍、少なくとも6x10倍、少なくとも7x10倍、少なくとも8x10倍、少なくとも9x10倍、またはそれより高い)、またはそれより高い参照分子の半数阻害濃度(IC50)を有する。一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストは、参照分子と比較してその標的分子を選択的に阻害し、その結果、標的分子と比較して、10倍~10倍、10倍~10倍、または10倍~10倍、50倍~10倍または100倍~10倍またはそれより高い範囲の参照分子の半数阻害濃度(IC50)を有する。一部の実施形態では、IC50はキナーゼ抗力アッセイ(例えば、Asshoff, M. et al., Momelotinib inhibits ACVR1/ALK2, decreases hepcidin production, and ameliorates anemia of chronic disease in rodents. Blood. 2017 Mar 30; 129(13): 1823-1830に記載されるアッセイ(例えばCarna Biosciencesによるキナーゼ抗力アッセイ)に従って決定される。一部の実施形態では、選択的BMP受容体阻害剤は、キナーゼ抗力アッセイによって決定されたように選択的ALK2阻害剤である。一部の実施形態では、選択的BMP受容体阻害剤は、JAK1/JAK2を阻害しない。一部の実施形態では、選択的ALK2阻害剤はモメロチニブではない。
【0088】
一部の実施形態では、BMP受容体アンタゴニストは、BMP受容体の小分子阻害剤である。一部の実施形態では、BMP受容体アンタゴニストは、小分子ALK2阻害剤である。一部の実施形態では、ALK2阻害剤は、その内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2019年3月19日に発行された“Inhibitors of activin receptor-like kinase,”の米国特許第10233186号;2019年2月12日に発行された表題“JAK2 AND ALK2 INHIBITORS AND METHODS FOR THEIR USE”の米国特許第10202356号;2020年6月2日に発行された表題“Inhibitors of activin receptor-like kinase”の米国特許第10669277B2号;2019年4月25日に公開された表題“Substituted pyrrolopyridines as inhibitors of activin receptor-like kinase”の国際公開第2019079649号;2018年11月1日に公開された表題“NOVEL ALK2 INHIBITORS AND METHODS FOR INHIBITING BMP SIGNALING”の国際公開第2018/200855号;2020年4月30日に公開された表題“Alk2 antibodies and methods of use thereof”の国際公開第2020086730号;2020年4月30日に公開された表題“Crystal forms of an alk2 inhibitor”の国際公開第2020086963号;2020年4月2日に公開された表題“Pyrazolo[4,3-d]pyrimidine compounds as alk2 and/or fgfr modulators”の国際公開第2020068729号;2020年3月26日公開された表題“Pyrazolopyrimidine compounds and uses thereof”の米国特許出願公開第2020095250号;2020年6月25日に公開された表題“Imidazopyridazine and imidazopyridine compounds and uses thereof”の米国特許出願公開第2020199131号に開示されるALK2阻害剤である。さらに他の好適なALK2阻害剤は、そのそれぞれの関連する内容が参照によって本明細書に組み込まれる、Hudson, L. et al., Novel Quinazolinone Inhibitors of ALK2 Flip between Alternate Binding Modes: Structure-Activity Relationship, Structural Characterization, Kinase Profiling, and Cellular Proof of Concept. Med. Chem.2018, 61, 16, 7261-7272およびCarvalho D, et al., ALK2 inhibitors display beneficial effects in preclinical models of ACVR1 mutant diffuse intrinsic pontine glioma. Communications Biologyvolume 2, Article number: 156 (2019)に開示される。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法での使用に好適なALK-2阻害剤はKER-047である。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法での使用に好適なALK-2阻害剤はBLU-782である。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法での使用に好適なALK-2阻害剤はINCB000928である。一部の実施形態では、ALK2阻害剤は、LDN-212854、LDN-193189、またはLDN-214117である。
【0089】
一部の実施形態では、BMPアンタゴニストはBMPリガンドトラップである。一部の実施形態では、BMPリガンドトラップは可溶性BMP受容体である。一部の実施形態では、可溶性BMP受容体は、免疫グロブリンのFc部分に融合される(例えば、ActRIIa-Fcリガンドトラップまたはダランターセプト、アクチビン受容体様キナーゼ-1リガンドトラップ、ActRIIb-Fcリガンドトラップ)。BMP受容体を阻害することによるBMPシグナル伝達の阻害は、例えばGomez-Puerto MC, et al., Bone morphogenetic protein receptor signal transduction in human disease. J Pathol. 2019 Jan; 247(1): 9-20に記載される。一部の実施形態では、BMPリガンドトラップは、そのそれぞれの内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2010年5月4日に発行された表題“ActRII receptor polypeptides, methods and compositions”の米国特許第7709605B2号、2016年12月27日に発行された表題“Activin-actriia antagonists and uses for treating or preventing breast cancer”の米国特許第9526759号、2011年11月15日に発行された表題“A method of increasing red blood cell levels or treating anemia in a patient”の米国特許第8058229号、2013年9月19日に公開された表題“Methods and compositions for treating ineffective erythropoiesis”の米国特許出願公開第2013243743号、2019年6月4日に発行された表題“Activin Type 2 Receptor Antibodies”の米国特許第10307455号、2011年8月2日に発行された表題“Activin-ActRII antagonists and uses for increasing red blood cell levels”の米国特許第7988973号、2009年11月3日に発行された表題“An isolated activing-binding ActRIIA polypeptide comprising the SEQ ID NO: 7 and uses for promoting bone growth”の米国特許第7612041号、2011年3月24日に公開された表題“Actriib antagonists and dosing and uses thereof”の米国特許出願公開第2011070233 A1号、2011年6月14日に発行された表題“Activin-actriia antagonists and uses for decreasing or inhibiting FSH secretion”の米国特許第7960343号、2019年9月19日に公開された表題“Activin receptor type iia variants and methods of use thereof”の米国特許出願公開第2019282663号、2019年5月16日に公開された表題“Activin receptor type iia variants and methods of use thereof”の国際公開第2019094751号、2010年11月30日に発行された表題“Variants derived from ACTRIIB and uses therefor”の米国特許第7842663号、2010年1月14日に公開された米国特許出願公開第2010008918号、2011年11月15日に発行された表題“A method of increasing red blood cell levels or treating anemia in a patient”の米国特許第8058229号、2012年10月23日に発行された表題“An isolated nucleic acid encoding a truncated actriib fusion protein”の米国特許第8293881号、2014年7月1日に発行された表題“Method of detection of neutralizing anti-actriib antibodies”の米国特許第8765385号、2015年12月17日に公開された表題“Methods for increasing red blood cell levels and treating sickle-cell disease”の米国特許出願公開第2015361163号、2017年9月28日に公開された表題“Methods for increasing red blood cell levels and treating ineffective erythropoiesis”の米国特許出願公開第2017274077号、2018年2月22日に公開された表題“Methods and compositions for treating myelofibrosis”の米国特許出願公開第2018050085号、2018年4月12日に公開された表題“Compositions and method for treating kidney disease”の国際公開第2018067740号、2020年2月20日に公開された表題“Variant actriib proteins and uses thereof”の米国特許出願公開第2020055919号、2020年5月7日に公開された表題“Treatment of anemia due to very low, low, or intermediate risk myelodysplastic syndromes in subjects with ring sideroblasts using activing-actrii ligand traps”の国際公開第2020092523号、2019年1月29日に発行された表題“Methods for treating myelodysplastic syndromes and sideroblastic anemias”の米国特許第10189882号、2019年7月18日に公開された表題 “Activin receptor type iib variants and methods of use thereof”の国際公開第2019/140283号、2014年4月29日に発行された表題“Actriib proteins and variants and uses therefore relating to utrophin induction for muscular dystrophy therapy”の米国特許第8710016号、2020年4月2日に公開された表題“Methods for treating myeloproliferative neoplasm-associated myelofibrosis and anemia”の米国特許出願公開第2020/101134号、2018年5月31日に公開された表題“Novel Hybrid ActRIIB Ligand Trap Proteins For Treating Muscle Wasting Diseases”の米国特許出願公開第2018/148491号、2018年2月6日に発行された表題“Methods for treating janus kinase-associated disorders by administering soluble transforming growth factor beta type II receptor”の米国特許第9884900号に開示されるBMPリガンドトラップである。
【0090】
一部の実施形態では、BMPアンタゴニストはdeadBMP受容体である。一部の実施形態では、deadBMP受容体はドミナントネガティブBMP受容体である。一部の実施形態では、deadBMP受容体の過剰発現は、BMP誘導性のSmad活性と干渉する。任意のドミナントネガティブBMP受容体が本明細書で使用され得る、例えばPouliot et al., Overexpression of a Dominant Negative Type II Bone Morphogenetic Protein Receptor Inhibits the Growth of Human Breast Cancer Cells, Cancer Res. 2003 Jan 15;63(2):277-81;Kawakami Y et al,, BMP signaling during bone pattern determination in the developing limb. Development. 1996 Nov; 122(11):3557-66;Chen et al., Differential roles for bone morphogenetic protein (BMP) receptor type IB and IA in differentiation and specification of mesenchymal precursor cells to osteoblast and adipocyte lineages, J Cell Biol. 1998 Jul 13; 142(1):295-305。
【0091】
一部の実施形態では、本開示のHJV誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストはヘモジュベリンアンタゴニストである。一部の実施形態では、ヘモジュベリンアンタゴニストは、RGMa、RGMb、およびRGMc(HJV)を含む、反発性ガイダンス分子(RGM)ファミリーの1つまたはそれ以上のタンパク質に結合する。一部の実施形態では、ヘモジュベリンアンタゴニストは、RGMaおよびRGMbよりもヘモジュベリン(RGMc)に選択的に結合する。一部の実施形態では、ヘモジュベリンアンタゴニストは、ヘモジュベリンの発現を減少させるアンチセンスオリゴヌクレオチドである(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる2019年5月19日に発行された表題“Competitive regulation of hepcidin mRNA by soluble and cell-associated hemojuvelin”のUS7534764;2009年5月19日に発行された表題“Competitive regulation of hepcidin mRNA by soluble and cell-associated hemojuvelin”のUS2014127325;および2016年11月17日に公開された表題“Improved treatments using oligonucleotides”のWO2016180784参照)。一部の実施形態では、ヘモジュベリンアンタゴニストは、例えばヘモジュベリンの競合的結合および/または化学修飾によって、ヘモジュベリンを阻害する小分子化合物である。
【0092】
一部の実施形態では、HJV誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストはHJVアンタゴニストである。一部の実施形態では、HJVアンタゴニストは可溶性HJVである。一部の実施形態では、可溶性HJVは可溶性HJV-Fc融合タンパク質である。一部の実施形態では、可溶性HJVは、そのそれぞれの内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2012年11月27日に発行された表題“Methods and compositions for regulating iron homeostasis by modulation of BMP-6”の米国特許第8318167B2号;2017年7月18日に発行された表題“COMPOSITIONS FOR REGULATING IRON HOMEOSTASIS AND METHODS OF USING SAME”の米国特許第9708379B2号、2019年4月30日に発行された表題“COMPOSITIONS AND REGULATING IRON HOMEOSTASIS AND METHODS OF USING SAME”の米国特許第10273273B2号、2011年6月28日に発行された表題“METHODS AND COMPOSITIONS TO REGULATE IRON METABOLISM”の米国特許第7968091B2号、2014年1月28日に発行された表題“HEMOJUVELIN FUSION PROTEINS”の米国特許第8637023B2号、2014年10月21日に発行された表題“METHODS AND COMPOSITIONS TO REGULATE HEPCIDIN EXPRESSION”の米国特許第8865168B2号、2017年1月31日に発行された表題“METHODS AND COMPOSITIONS TO REGULATE HEPCIDIN EXPRESSION”の米国特許第9556251B2号;2014年11月25日に発行された表題“Hemojuvelin fusion proteins and uses thereof”の米国特許第8895002B2号;2009年3月31日に発行された表題“Juvenile hemochromatosis gene (HFE2A) cleavage products and uses thereof”の米国特許第7511018B2号に開示される可溶性HJVである。一部の実施形態では、sHJV-Fc融合タンパク質はFerruxmaxである。一部の実施形態では、sHJV-Fc融合タンパク質はFMX-8である。
【0093】
一部の実施形態では、ヘモジュベリンアンタゴニストは、ヘモジュベリンに特異的な抗体および/またはRGMタンパク質ファミリー(例えばRGMa、RGMb)の1つまたはそれ以上のタンパク質である。一部の実施形態では、ヘモジュベリンに特異的な抗体および/または1つもしくはそれ以上のRGMタンパク質は、そのそれぞれの内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2018年11月6日に発行された表題“Composition and method for the diagnosis and treatment of iron-related disorders”の米国特許第10118958号;2017年5月2日に発行された表題“Composition and method for the diagnosis and treatment of iron-related disorders”の米国特許第9636398号;および2013年8月13日に発行された表題“Juvenile hemochromatosis gene (HFE2A) cleavage products and uses thereof”の米国特許第8507435号;2018年11月6日に発行された表題“Composition and method for the diagnosis and treatment of iron-related disorders”の米国特許第10118958号;2010年12月23日に公開された表題“Bone morphogenetic protein (BMP)-binding domains of proteins of the repulsive guidance molecule (RGM) protein family and functional fragments thereof, and use of same”の米国特許出願公開第2010/0322941号;2015年5月26日に発行された表題“Precision Medicine By Targeting Rare Human PCSK9 Variants for Cholesterol Treatment”の米国特許第9040052号;および2017年2月2日に公開された表題“Methods for treating hepcidin-mediated disorders”の米国特許出願公開第2017/0029499号;および2007年4月12日に公開された表題“Binding domains of proteins of the repulsive guidance molecule (rgm) protein family and functional fragments thereof, and their use”の国際公開第2007039256号;2015年11月12日に公開された表題“Compositions and methods for growth factor modulation”の国際公開第2015171691号;2018年1月11日に公開された表題“Tgf-beta superfamily heteromultimers and uses thereof”の国際公開第2018/009624号、および2020年4月30日に公開された表題“Rgmc-selective inhibitors and use thereof”の国際公開第2020/086736号に開示される抗HJV抗体および/または1つもしくはそれ以上のRGMタンパク質である。
【0094】
一部の実施形態では、抗HJV抗体は表1に列挙した抗HJV抗体である。表1は、抗HJV抗体のCDRの例示のアミノ酸配列を含有する。一部の実施形態では、本出願のHJVアンタゴニストは、表1から選択されるアミノ酸配列を含むCDRを含む抗HJV抗体である。
【0095】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、表1から選択される抗HJV抗体のいずれか1つから1つまたはそれ以上の重鎖CDR(例えばCDR-H1、CDR-H2、またはCDR-H3)アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、表1から選択される抗体のいずれか1つに従って、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む。一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、表1から選択される抗HJV抗体のいずれか1つから1つまたはそれ以上の軽鎖CDR(例えばCDR-L1、CDR-L2、またはCDR-L3)アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、表1から選択される抗HJV抗体のいずれか1つに従ってCDR-L1、CDR―L2、およびCDR-L3を含む。
【0096】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、表1から選択される抗HJV抗体のいずれか1つに従ってCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む。一部の実施形態では、抗体重鎖および軽鎖CDR3ドメインは抗原に対する抗体の結合特異性/親和性に特に重要な役割を果たし得る。したがって、本開示の抗HJV抗体は、表1から選択される抗HJV抗体のいずれか1つの少なくとも重鎖および/または軽鎖CDR3を含み得る。
【0097】
また本開示の範囲内にあるのは、本明細書に開示される任意の例示的な抗HJV抗体の機能的変異体である。機能的変異体は、参照抗体と比較してVおよび/またはVに1つまたはそれ以上のアミノ酸残基バリエーションを含有し得るが、参照抗体と実質的に類似の結合および生物学的活性(例えば、実質的に類似の結合親和性、結合特異性、阻害活性、抗炎症活性、またはこれらの組合せ)を保持し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗HJV抗体の機能的変異体は、参照抗体と比較して重鎖CDRに1つまたはそれ以上のアミノ酸バリエーションおよび/または軽鎖CDRに1つまたはそれ以上のアミノ酸バリエーションを含有するが、参照抗体と実質的に類似の結合および生物学的活性(例えば、実質的に類似の結合親和性、結合特異性、阻害活性、抗炎症活性、またはこれらの組合せ)を保持する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗HJV抗体の機能的変異体は、参照抗体と比較して重鎖フレームワーク領域に1つまたはそれ以上のアミノ酸バリエーションおよび/または軽鎖フレームワーク領域に1つまたはそれ以上のアミノ酸バリエーションを含有するが、参照抗体と実質的に類似の結合および生物学的活性(例えば、実質的に類似の結合親和性、結合特異性、阻害活性、抗炎症活性、またはこれらの組合せ)を保持する。機能(例えば結合親和性および/または生物学的機能)の文脈で本明細書で使用される場合、実質的は、抗体変異体(例えば抗HJV抗体変異体)が参照抗体(表1および表2に記載される任意の抗HJV抗体)と比較して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも91%、少なくとも91%、少なくとも91%、少なくとも91%、少なくとも91%、少なくとも91%、少なくとも91%、少なくとも91%、または少なくとも100%の機能(例えば結合親和性および/または生物学的機能)を有することを指す。
【0098】
一部の実施形態では、本開示の任意の抗HJV抗体は、表1から選択される抗HJV抗体の1つからのCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、および/またはCDR-L3配列のいずれかに実質的に類似の1つまたはそれ以上のCDR(例えば重鎖CDRまたは軽鎖CDR)配列を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体のVH(例えばCDR-H1、CDR-H2、またはCDR-H3)および/またはVL(例えばCDR-L1、CDR-L2、またはCDR-L3)領域の1つまたはそれ以上のCDRの位置は、ヘモジュベリン(例えばヒトヘモジュベリン)への免疫特異的結合が維持される限り(例えばそれが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)、1個、2個、3個、4個、5個、または6個のアミノ酸位置が変わり得る。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載される任意の抗体のCDRを定義する位置は、ヘモジュベリン(例えばヒトヘモジュベリン)への免疫特異的結合が維持される限り(例えばそれが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)、本明細書に記載される抗体のいずれか1つのCDR位置と比較して1個、2個、3個、4個、5個、または6個のアミノ酸がCDRのN末端および/またはC末端境界をシフトすることにより変わり得る。別の実施形態では、本明細書に記載される抗体のVH(例えばCDR-H1、CDR-H2、またはCDR-H3)および/またはVL(例えばCDR-L1、CDR-L2、またはCDR-L3)領域の1つまたはそれ以上のCDRの長さは、ヘモジュベリン(例えばヒトヘモジュベリン)への免疫特異的結合が維持される限り(例えばそれが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)、1個、2個、3個、4個、5個、またはそれ以上のアミノ酸によって変わり得る(例えば短いかまたは長い)。
【0099】
したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載されるHC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、および/またはLC CDR3は、ヘモジュベリン(例えばヒトヘモジュベリン)への免疫特異的結合が維持される限り(例えばそれが由来するオリジナル抗体の結合と比較して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)、本明細書に記載される1つまたはそれ以上のCDR(例えば表1から選択される抗HJV抗体のいずれかからのCDR)より1個、2個、3個、4個、5個、またはそれ以上のアミノ酸が短くてもよい。一部の実施形態では、本明細書に記載されるHC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、および/またはLC CDR3は、ヘモジュベリン(例えばヒトヘモジュベリン)への免疫特異的結合が維持される限り(例えばそれが由来するオリジナル抗体の結合と比較して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)、本明細書に記載される1つまたはそれ以上のCDR(例えば表1から選択される抗HJV抗体のいずれかからのCDR)より1個、2個、3個、4個、5個、またはそれ以上のアミノ酸が長くてもよい。一部の実施形態では、本明細書に記載されるHC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、および/またはLC CDR3のアミノ部分は、ヘモジュベリン(例えばヒトヘモジュベリン)への免疫特異的結合が維持される限り(例えばそれが由来するオリジナル抗体の結合と比較して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)、本明細書に記載される1つまたはそれ以上のCDR(例えば表1から選択される抗HJV抗体のいずれかからのCDR)と比較して1個、2個、3個、4個、5個、またはそれ以上のアミノ酸が伸長され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されるHC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、および/またはLC CDR3のカルボキシ部分は、ヘモジュベリン(例えばヒトヘモジュベリン)への免疫特異的結合が維持される限り(例えばそれが由来するオリジナル抗体の結合と比較して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)、本明細書に記載される1つまたはそれ以上のCDR(例えば表1から選択される抗HJV抗体のいずれかからのCDR)と比較して1個、2個、3個、4個、5個、またはそれ以上のアミノ酸が伸長され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されるHC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、および/またはLC CDR3のアミノ部分は、ヘモジュベリン(例えばヒトヘモジュベリン)への免疫特異的結合が維持される限り(例えばそれが由来するオリジナル抗体の結合と比較して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)、本明細書に記載される1つまたはそれ以上のCDR(例えば表1から選択される抗HJV抗体のいずれかからのCDR)と比較して1個、2個、3個、4個、5個、またはそれ以上のアミノ酸が短縮され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されるHC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、および/またはLC CDR3のカルボキシ部分は、ヘモジュベリン(例えばヒトヘモジュベリン)への免疫特異的結合が維持される限り(例えばそれが由来するオリジナル抗体の結合と比較して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)、本明細書に記載される1つまたはそれ以上のCDR(例えば表1から選択される抗HJV抗体のいずれかからのCDR)と比較して1個、2個、3個、4個、5個、またはそれ以上のアミノ酸が短縮され得る。任意の好適な公知の方法が使用され、例えば、当技術分野に記載される結合アッセイおよび条件を使用して、ヘモジュベリン(例えばヒトヘモジュベリン)への免疫特異的結合が維持されるかどうか確かめることができる。
【0100】
一部の例では、本開示の任意の抗HJV抗体は、表1から選択される抗HJV抗体のいずれか1つと実質的に類似の1つまたはそれ以上のCDR(例えばHC CDRまたはLC CDR)配列を有する。例えば、抗体は、ヘモジュベリン(例えばヒトヘモジュベリン)への免疫特異的結合が維持される限り(例えばそれが由来するオリジナル抗体の結合と比較して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)、本明細書に提供されるCDRのいずれか1つ(例えば表1から選択される抗HJV抗体のいずれかからのCDR)の相当するCDR領域と比較して、最大5個、4個、3個、2個、または1個のアミノ酸残基バリエーションを含有する、表1から選択される任意の抗HJV抗体からの1つまたはそれ以上のCDR配列(複数可)を含み得る。一部の実施形態では、本明細書に提供される任意のCDRにおける任意のアミノ酸バリエーションは、保存バリエーションであり得る。保存バリエーションは、例えば結晶構造に基づいて決定された場合、残基がヘモジュベリンタンパク質(例えばヒトヘモジュベリンタンパク質)との相互作用に関与しないであろう位置でCDRに導入され得る。本開示の一部の態様は、本明細書に提供される1つまたはそれ以上の重鎖可変(VH)および/または軽鎖可変(VL)ドメインを含む抗HJV抗体を提供する。一部の実施形態では、本明細書に提供される任意のVHドメインは、本明細書に提供される1つまたはそれ以上のHC CDR配列(例えばHC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3)、例えば表1から選択される抗HJVのいずれか1つに提供される任意のCDR-H配列を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される任意のVLドメインは、本明細書に提供される1つまたはそれ以上のCDR-L配列(例えばLC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3)、例えば表1から選択される抗HJV抗体のいずれか1つに提供される任意のLC CDR配列を含む。
【0101】
一部の実施形態では、抗HJV抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変重鎖領域を含む。一部の実施形態では、抗HJV抗体は、配列番号4、7、10、13、および16のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号5、8、11、14、および17のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号6、9、12、15、および18のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変軽鎖領域を含む。
【0102】
一部の実施形態では、抗HJV抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変重鎖領域を含む。一部の実施形態では、抗HJV抗体は、配列番号22アミノ酸配列を含むCDR1、配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR3を含む可変軽鎖領域を含む。
【0103】
【表2】
【0104】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、表2から選択される抗HJV抗体のいずれか1つの重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメイン、ならびにそれらの変異体を含む任意の抗体を含む。一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、表2から選択される任意の抗HJV抗体の重鎖可変および軽鎖可変対を含む任意の抗体を含む。
【0105】
本開示の態様は、本明細書に記載される任意のものと相同な重鎖可変(VH)および/または軽鎖可変(VL)ドメインアミノ酸配列を有する抗HJV抗体を提供する。一部の実施形態では、抗HJV抗体は、表2から選択される抗HJV抗体のいずれか1つの重鎖可変配列および/または軽鎖可変配列と少なくとも75%(例えば80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一である重鎖可変配列または軽鎖可変配列を含む。一部の実施形態では、相同な重鎖可変および/または軽鎖可変アミノ酸配列は、本明細書に提供される任意のCDR配列内で変わらない。例えば、一部の実施形態では、配列バリエーションの程度(例えば75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)は、本明細書に提供される任意のCDR配列を除く重鎖可変および/または軽鎖可変配列内で起こり得る。一部の実施形態では、本明細書に提供される任意の抗HJV抗体は、表2から選択される任意の抗HJV抗体のフレームワーク配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるフレームワーク配列を含む重鎖可変配列および軽鎖可変配列を含む。
【0106】
表2は、抗HJV抗体の可変重鎖および可変軽鎖の例示的なアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本出願のヘプシジンアンタゴニストは、表2から選択されるアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または可変軽鎖を含む抗HJV抗体である。
【0107】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインのCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインのCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。
【0108】
一部の実施形態では、Kabat定義システムにより、本開示の抗HJV抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR-H2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-H3;および/または配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む。
【0109】
一部の実施形態では、抗HJV抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を含む可変重鎖領域、および/または配列番号26のアミノ酸配列を含む可変軽鎖領域を含む。
【0110】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号25に記載のVHと比較して20個以下のアミノ酸バリエーション(例えば、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個以下のアミノ酸バリエーション)を含有するVHを含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号26に記載のVLと比較して20個以下のアミノ酸バリエーション(例えば、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個以下のアミノ酸バリエーション)を含有するVLを含む。一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号25に記載のVHと少なくとも80%(例えば80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号26に記載のVLと少なくとも80%(例えば80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。一部の実施形態では、配列番号25に記載のVHと比較してVHのFR領域(例えばKabat定義に基づく)にアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%を実質的に維持する)。一部の実施形態では、配列番号25に記載のVHと比較してVHのFR領域(例えばKabat定義に基づく)に5個以下(例えば5個、4個、3個、2個または1個以下)、3個以下(例えば3個、2個、または1個以下)のアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。あるいは、またはさらに、一部の実施形態では、配列番号26に記載のVLと比較してVLのFR領域(例えばKabat定義に基づく)にアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。一部の実施形態では、配列番号26に記載のVLと比較してVLのFR領域(例えばKabat定義に基づく)に5個以下(例えば5個、4個、3個、2個または1個以下)、3個以下(例えば3個、2個、または1個以下)のアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。
【0111】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインのCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号28のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインのCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。
【0112】
一部の実施形態では、Kabat定義システムにより、本開示の抗HJV抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR-H2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-H3;および/または配列番号7のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号9のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む。
【0113】
一部の実施形態では、抗HJV抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を含む可変重鎖領域、および/または配列番号28のアミノ酸配列を含む可変軽鎖領域を含む。
【0114】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号27に記載のVHと比較して20個以下のアミノ酸バリエーション(例えば、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個以下のアミノ酸バリエーション)を含有するVHを含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号28に記載のVLと比較して20個以下のアミノ酸バリエーション(例えば、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個以下のアミノ酸バリエーション)を含有するVLを含む。一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号27に記載のVHと少なくとも80%(例えば80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号28に記載のVLと少なくとも80%(例えば80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。一部の実施形態では、配列番号27に記載のVHと比較してVHのFR領域(例えばKabat定義に基づく)にアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。一部の実施形態では、配列番号27に記載のVHと比較してVHのFR領域(例えばKabat定義に基づく)に5個以下(例えば5個、4個、3個、2個または1個以下)、3個以下(例えば3個、2個、または1個以下)のアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。あるいは、またはさらに、一部の実施形態では、配列番号28に記載のVLと比較してVLのFR領域(例えばKabat定義に基づく)にアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。一部の実施形態では、配列番号28に記載のVLと比較してVLのFR領域(例えばKabat定義に基づく)に5個以下(例えば5個、4個、3個、2個または1個以下)、3個以下(例えば3個、2個、または1個以下)のアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。
【0115】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインのCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインのCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。
【0116】
一部の実施形態では、Kabat定義システムにより、本開示の抗HJV抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR-H2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-H3;および/または配列番号10のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む。
【0117】
一部の実施形態では、抗HJV抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を含む可変重鎖領域、および/または配列番号30のアミノ酸配列を含む可変軽鎖領域を含む。
【0118】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号29に記載のVHと比較して20個以下のアミノ酸バリエーション(例えば、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個以下のアミノ酸バリエーション)を含有するVHを含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号30に記載のVLと比較して20個以下のアミノ酸バリエーション(例えば、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個以下のアミノ酸バリエーション)を含有するVLを含む。一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号29に記載のVHと少なくとも80%(例えば80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号30に記載のVLと少なくとも80%(例えば80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。一部の実施形態では、配列番号29に記載のVHと比較してVHのFR領域(例えばKabat定義に基づく)にアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。一部の実施形態では、配列番号29に記載のVHと比較してVHのFR領域(例えばKabat定義に基づく)に5個以下(例えば5個、4個、3個、2個または1個以下)、3個以下(例えば3個、2個、または1個以下)のアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。あるいは、またはさらに、一部の実施形態では、配列番号30に記載のVLと比較してVLのFR領域(例えばKabat定義に基づく)にアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。一部の実施形態では、配列番号30に記載のVLと比較してVLのFR領域(例えばKabat定義に基づく)に5個以下(例えば5個、4個、3個、2個または1個以下)、3個以下(例えば3個、2個、または1個以下)のアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。
【0119】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインのCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号32のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインのCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。
【0120】
一部の実施形態では、Kabat定義システムにより、本開示の抗HJV抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR-H2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-H3;および/または配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む。
【0121】
一部の実施形態では、抗HJV抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含む可変重鎖領域、および/または配列番号32のアミノ酸配列を含む可変軽鎖領域を含む。
【0122】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号31に記載のVHと比較して20個以下のアミノ酸バリエーション(例えば、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個以下のアミノ酸バリエーション)を含有するVHを含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号32に記載のVLと比較して20個以下のアミノ酸バリエーション(例えば、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個以下のアミノ酸バリエーション)を含有するVLを含む。一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号31に記載のVHと少なくとも80%(例えば80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号32に記載のVLと少なくとも80%(例えば80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。一部の実施形態では、配列番号31に記載のVHと比較してVHのFR領域(例えばKabat定義に基づく)にアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。一部の実施形態では、配列番号31に記載のVHと比較してVHのFR領域(例えばKabat定義に基づく)に5個以下(例えば5個、4個、3個、2個または1個以下)、3個以下(例えば3個、2個、または1個以下)のアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。あるいは、またはさらに、一部の実施形態では、配列番号32に記載のVLと比較してVLのFR領域(例えばKabat定義に基づく)にアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。一部の実施形態では、配列番号32に記載のVLと比較してVLのFR領域(例えばKabat定義に基づく)に5個以下(例えば5個、4個、3個、2個または1個以下)、3個以下(例えば3個、2個、または1個以下)のアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。
【0123】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインのCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号34のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインのCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。
【0124】
一部の実施形態では、Kabat定義システムにより、本開示の抗HJV抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR-H2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-H3;および/または配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号17のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号18のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む。
【0125】
一部の実施形態では、抗HJV抗体は、配列番号33のアミノ酸配列を含む可変重鎖領域、および/または配列番号34のアミノ酸配列を含む可変軽鎖領域を含む。
【0126】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号33に記載のVHと比較して20個以下のアミノ酸バリエーション(例えば、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個以下のアミノ酸バリエーション)を含有するVHを含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号34に記載のVLと比較して20個以下のアミノ酸バリエーション(例えば、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個以下のアミノ酸バリエーション)を含有するVLを含む。一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号33に記載のVHと少なくとも80%(例えば80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号34に記載のVLと少なくとも80%(例えば80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。一部の実施形態では、配列番号33に記載のVHと比較してVHのFR領域(例えばKabat定義に基づく)にアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。一部の実施形態では、配列番号33に記載のVHと比較してVHのFR領域(例えばKabat定義に基づく)に5個以下(例えば5個、4個、3個、2個または1個以下)、3個以下(例えば3個、2個、または1個以下)のアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。あるいは、またはさらに、一部の実施形態では、配列番号34に記載のVLと比較してVLのFR領域(例えばKabat定義に基づく)にアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。一部の実施形態では、配列番号34に記載のVLと比較してVLのFR領域(例えばKabat定義に基づく)に5個以下(例えば5個、4個、3個、2個または1個以下)、3個以下(例えば3個、2個、または1個以下)のアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。
【0127】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号35のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインのCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号36のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインのCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む。
【0128】
一部の実施形態では、Kabat定義システムにより、本開示の抗HJV抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号20のアミノ酸配列を有するCDR-H2、配列番号21のアミノ酸配列を有するCDR-H3;および/または配列番号22のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号23のアミノ酸配列を有するCDR-L2、配列番号24のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む。
【0129】
一部の実施形態では、抗HJV抗体は、配列番号35のアミノ酸配列を含む可変重鎖領域、および/または配列番号36のアミノ酸配列を含む可変軽鎖領域を含む。
【0130】
一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号35に記載のVHと比較して20個以下のアミノ酸バリエーション(例えば、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個以下のアミノ酸バリエーション)を含有するVHを含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号36に記載のVLと比較して20個以下のアミノ酸バリエーション(例えば、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、または1個以下のアミノ酸バリエーション)を含有するVLを含む。一部の実施形態では、本開示の抗HJV抗体は、配列番号35に記載のVHと少なくとも80%(例えば80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。あるいは、またはさらに、本開示の抗HJV抗体は、配列番号36に記載のVLと少なくとも80%(例えば80%、85%、90%、95%、98%、または99%)同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。一部の実施形態では、配列番号35に記載のVHと比較してVHのFR領域(例えばKabat定義に基づく)にアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。一部の実施形態では、配列番号35に記載のVHと比較してVHのFR領域(例えばKabat定義に基づく)に5個以下(例えば5個、4個、3個、2個または1個以下)、3個以下(例えば3個、2個、または1個以下)のアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。あるいは、またはさらに、一部の実施形態では、配列番号36に記載のVLと比較してVLのFR領域(例えばKabat定義に基づく)にアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。一部の実施形態では、配列番号36に記載のVLと比較してVLのFR領域(例えばKabat定義に基づく)に5個以下(例えば5個、4個、3個、2個または1個以下)、3個以下(例えば3個、2個、または1個以下)のアミノ酸バリエーションを有する抗HJV抗体の機能は維持される(例えば、それが由来するオリジナル抗体の結合の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が実質的に維持される)。
【0131】
【表3】
【0132】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗HJV抗体は、BMPシグナル伝達経路(例えばBMP6シグナル伝達経路)を遮断することによってヘプシジン発現を阻害することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗HJV抗体は、JAK/STAT経路(例えばIL-6シグナル伝達経路)を遮断することによってヘプシジン発現を阻害することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗HJV抗体は、BMPシグナル伝達経路(例えばBMP6シグナル伝達経路)およびJAK-STAT経路(例えばIL-6シグナル伝達経路)を遮断することによってヘプシジン発現を阻害することができる。
【0133】
一部の実施形態では、HJVアンタゴニストは、HJVを標的化する阻害性核酸である(例えば、HJVを標的化するdsRNA、siRNA、miRNA、shRNA、AmiRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)またはアプタマー)。一部の実施形態では、HJVを標的化する阻害性核酸は、骨髄線維症および関連状態の処置において本明細書で使用され得る。
【0134】
一部の実施形態では、抗HJVアンタゴニストは、組換えマトリプターゼ-2(TMPRSS6)である。マトリプターゼ-2は、HJVを切断することができる膜貫通セリンプロテアーゼであり、細胞におけるマトリプターゼ-2タンパク質の過剰発現はヘプシジン発現の活性化を抑制する(Du X, She E, Gelbart T, et al. The serine protease TMPRSS6 is required to sense iron deficiency, Science, 2008, vol. 320 5879(pg. 1088-1092)。
【0135】
一部の実施形態では、リガンドが結合すると、構成的に活性なII型受容体はI型受容体をリン酸化し、次いでI型受容体は細胞内受容体活性化Smad(R-Smad)、主にSmad1、Smad5および/またはSmad8をリン酸化する。そのような実施形態では、活性化されたR-Smadは共通のパートナーSmad4と複合体を形成し、遺伝子の転写、例えば、ヘプシジン発現の誘導を制御するために核に移行する。一部の実施形態では、HJV誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストは、R-Smad(例えばSmad1、Smad5、およびSmad8)およびパートナーSmad4の細胞内阻害剤である。一部の実施形態では、R-SmadおよびSmad4の細胞内阻害剤は、細胞内抗体である。
【0136】
一部の実施形態では、Smadの細胞内阻害剤は、R-Smad(例えばSmad1、Smad5、またはSmad8)およびSmad4を標的化する阻害性核酸である。一部の実施形態では、R-Smad(例えばSmad1、Smad5、またはSmad8)およびSmad4を標的化する阻害性核酸は阻害性RNAである。一部の実施形態では、阻害性核酸は、R-Smad(例えばSmad1、Smad5、またはSmad8)およびSmad4を標的化するmiRNAである。一部の実施形態では、阻害性核酸は、R-Smad(例えばSmad1、Smad5、またはSmad8)およびSmad4を標的化するshRNAである。一部の実施形態では、阻害性核酸は、R-Smad(例えばSmad1、Smad5、またはSmad8)およびSmad4を標的化するsiRNAである。一部の実施形態では、阻害性核酸は、R-Smad(例えばSmad1、Smad5、またはSmad8)およびSmad4を標的化するAmiRNAである。
【0137】
一部の実施形態では、R-SmadおよびSmad4の細胞内阻害剤は、組換え阻害性Smad(I-Smad)(例えばSmad6またはSmad7)である。一部の実施形態では、Smad6は骨形成タンパク質(BMP)I型受容体ALK-3およびALK-6によって開始されるSmadシグナル伝達を優先的に阻害し、Smad7は形質転換増殖因子β(TGF-β)とBMP誘導Smadシグナル伝達の両方を阻害する。
【0138】
BMP-SMADシグナル伝達経路を介した効率的な鉄シグナル伝達は、ヘプシジン発現を刺激する二鉄トランスフェリン(Tf)センサートランスフェリン受容体(TfR)などの補助因子を含む(図2)。一部の実施形態では、本開示のヘプシジンアンタゴニストはトランスフェリンアンタゴニストであり、トランスフェリンおよび/またはトランスフェリン受容体2に結合することによりヘプシジン機能をアンタゴナイズし、BMP-SMADシグナル伝達経路の活性化を阻害する。一部の実施形態では、トランスフェリンアンタゴニストは、siTFR2などのTfおよび/またはTfRを標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドである(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第9228188号を参照)。
【0139】
ii.他のヘプシジンアンタゴニスト
一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストはヘプシジン中和剤である。ヘプシジン中和剤は、ヘプシジンを直接中和する薬剤を指す。一部の実施形態では、本開示のヘプシジン中和剤は、HAMPまたはそれらの転写産物もしくは翻訳産物に結合する薬剤である。それらのヘプシジン中和剤の例としては、限定はされないが、HAMP転写産物または翻訳産物(例えばヘプシジン)に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、小分子阻害剤化合物、および抗体、アンチカリン、またはアプタマーが挙げられる。
【0140】
一部の態様では、ヘプシジン中和剤はヘプシジン阻害剤である。一部の実施形態では、ヘプシジン阻害剤は、ヘプシジンに特異的に結合する分子である(例えば抗体、アンチカリン、またはアプタマー)。ヘプシジンに特異的に結合する分子の例としては、限定はされないが、PRS-080、LY2787106、NOX-H94(Lexaptepid Pegol)、12B9m、LS-B4534、リポカリン突然変異タンパク質、およびhNGAL突然変異タンパク質が挙げられる(参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第8629250号;同第9315577号;同第9051382号;同第9657098号;同第9610356号;同第8530619号;および米国特許出願公開第2015/0291675号、同第2018/0057812号、および同第2017/0247448号も参照)。
【0141】
一部の実施形態では、ヘプシジン中和剤は抗ヘプシジン抗体である。一部の実施形態では、抗ヘプシジン抗体は、参照によって本明細書に組み込まれる、2017年8月31日に発行された表題“Humanized anti-hepcidin antibodies and uses thereof”の米国特許第10323088B2号;2013年12月17日に発行された表題“Anti-hepcidin-25 selective antibodies and uses thereof”の米国特許第8609817B2号、2012年11月6日に発行された表題“Methods of producing monoclonal antibodies specific for human hepcidin”の米国特許第8304258B2号、2014年1月14日に発行された表題“Hepcidin, hepcidin antagonists and methods of use”の米国特許第8629250B2号、2017年5月23日に発行された表題“Anti-hepcidin antibodies and uses thereof”の米国特許第9657098B2号、2017年10月31日に発行された表題“Anti-hepcidin antibodies and uses thereof“の米国特許第9803011B2号、2019年3月26日に発行された表題“Anti-hepcidin antibodies and uses thereof”の米国特許第10239941B2号、または2016年4月19日に発行された表題“Anti-hepcidin antibodies and methods of use”の米国特許第9315577B2号に記載される抗ヘプシジン抗体である。一部の実施形態では、抗ヘプシジン抗体はLY2787106である。
【0142】
一部の実施形態では、ヘプシジン中和剤はヘプシジンを標的化する阻害性核酸である。非限定的な例のセットとして、阻害性核酸は、限定はされないが、小分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、ダイサー基質干渉RNA(dsiRNA)、短鎖siRNA、または一本鎖siRNAであり得る。一部の実施形態では、二本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドはRNAiオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、ヘプシジンを標的化する阻害性核酸としては、限定はされないが、そのそれぞれの内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2016年6月30日に公開された表題“Compositions and methods for inhibiting hepcidin antimicrobial peptide (HAMP) or HAMP-related gene expression”の米国特許出願公開第20160186172号;2012年5月10日に公開された表題“Compositions and their uses directed to hepcidin”の米国特許出願公開第20120115930号に開示されるsiHepcidinおよびXEN701が挙げられる。
【0143】
一部の実施形態では、ヘプシジン中和剤は、ヘプシジンに対するアンチアリンである。アンチカリンタンパク質は、抗原に結合することができる人工タンパク質である。アンチカリンタンパク質は工学的に操作されたリポカリンであり、広範囲の分子を自然に結合、保存および輸送する血漿および他の体液に典型的に見出される内在性の低分子量ヒトタンパク質でる。一部の実施形態では、ヘプシジンに対するリポカリンは、そのそれぞれの内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2015年6月6日に発行された表題“Human neutrophil gelatinase-associated lipocalin (hNGAL) muteins that bind hepcidin and nucleic acid encoding such”の米国特許第9051382B2号;2015年12月14日に公開された表題“Novel lipocalin-mutein assays for measuring hepcidin concentration.”の米国特許出願公開第20150369821号に開示されるリポカリンである。一部の実施形態では、ヘプシジンに対するアンチカリンはPRS-080である。
【0144】
一部の実施形態では、ヘプシジン中和剤は、ヘプシジンに結合し、中和するPEG化L-立体異性体RNAアプタマーである。一部の実施形態では、ヘプシジンに対するPEG化L-立体異性体RNAアプタマーは、そのそれぞれの内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2014年9月23日に発行された表題“Hepcidin binding nucleic acids”の米国特許第8841431B2号;2012年5月3日に公開された表題“Use of hepcidin binding nucleic acids for depletion of hepcidin from the body”の国際公開第2012055573A1号に記載されるヘプシジンに対するPEG化L-立体異性体RNAアプタマーである。一部の実施形態では、ヘプシジンに対するPEG化L-立体異性体RNAアプタマーはNOX-94である。ヘプシジンに特異的に結合する他の分子の例としては、限定はされないが、12B9m、LS-B4534、リポカリン突然変異タンパク質、およびhNGAL突然変異タンパク質が挙げられる。一部の実施形態では、ヘプシジンに特異的に結合する他の分子は、そのそれぞれの内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2014年1月14日に発行された表題“Hepcidin, hepcidin antagonists and methods of use”の米国特許第8629250号;2016年4月19日に発行された“Anti-hepcidin antibodies and methods of use”の米国特許第9315577号;2015年6月9日に発行された表題“Human neutrophil gelatinase-associated lipocalin (hNGAL) muteins that bind hepcidin and nucleic acid encoding such”の米国特許第9051382号;2017年5月23日に発行された表題“Anti-hepcidin antibodies and uses thereof”の米国特許第9657098号;2017年4月4日に発行された表題“Methods for preventing or treating disorders by increasing bioavailability of iron and related pharmaceutical formulation”の米国特許第9610356号;2013年9月10日に発行された表題“Identification of the hepcidin binding site on ferroportin”の米国特許第8530619号;2015年10月15日に公開された表題“Human neutrophil gelatinase-associated lipocalin (hngal) muteins that bind hepcidin and nucleic acid encoding such”の米国特許出願公開第20150291675号、2018年3月1日に公開された表題“Hepcidin antagonists for use in the treatment of inflammation”の米国特許出願公開第20180057812号に記載される分子である。一部の実施形態では、ヘプシジン中和剤は、そのそれぞれの内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2010年10月26日に発行された表題“Anti-hepcidin antibodies and uses thereof”の米国特許第7820163B2号、2012年12月11日に発行された表題“Fluid ejecting apparatus, fluid ejecting head control method in fluid ejecting apparatus, and driving waveform generating apparatus for fluid ejecting head”の米国特許第8328308B2号、2012年8月7日に公開された表題“Anti-hepcidin antibodies and uses thereof”のホンジュラス特許出願公開第2010000752A号、2013年12月17日に発行された表題“Anti-hepcidin-25 selective antibodies and uses thereof”の米国特許第8609817B2号、2015年4月9日に公開された表題“Organic compositions to treat hepcidin-related diseases”の国際公開第2015/051135A2号、2014年9月23日に発行された表題“Hepcidin Binding Nucleic Acids”の米国特許第8841431B2、2014年2月27日に公開された表題“Use of Hepcidin Binding Nucleic Acids for Depletion of Hepcidin From the Body”の米国特許出願公開第2014/057970号、2015年12月24日に公開された表題“Novel lipocalin-mutein assays for measuring hepcidin concentration”の米国特許出願公開第2015/0369821A1号、2015年6月9日に発行された表題“Binding proteins for hepcidin”の米国特許第9051382B2号、2017年4月4日に発行された表題“Methods for preventing or treating disorders by increasing bioavailability of iron and related pharmaceutical formulation”の米国特許第9610356B2号、2016年1月5日に発行された表題“Compositions and Method for Inhibiting Hepcidin Antimicrobial Peptide (HAMP) or HAMP-Related Gene Expression”の米国特許第9228188B2号、2016年4月19日に発行された表題“Anti-hepcidin antibodies and methods of use”の米国特許第9315577B2号、2014年1月14日に発行された表題“Hepcidin, hepcidin antagonists and methods of use”の米国特許第8629250B2号、2018年7月12日に公開された表題“Novel hepcidin mimetics and uses thereof”の国際公開第2018/128828A1号、2018年9月13日に公開された表題“Assessment of chronic iron deficiency”の国際公開第2018/165186A1号、2008年8月12日に発行された表題“Diagnostic method for diseases by screening for hepcidin in human or animal tissues, blood or body fluids and therapeutic uses therefor”の米国特許第7411048B2号、2014年12月23日に発行された表題“Adsorbents for the adsorption of hepcidin”の米国特許第8915875B2号、2010年9月1日に公開された表題“Hepcidin inhibitor and application thereof”の中国特許出願公開第101816674A号、2017年5月23日に発行された表題“Anti-hepcidin antibodies and uses thereof”の米国特許第9657098B2号、2019年6月18日に発行された表題“Humanized anti-hepcidin antibodies and uses thereof”の米国特許第10323088B2号、1986年12月9日に発行された表題“Vitro diagnostic methods using monoclonal antibodies against connective tissue proteins”の米国特許第4628027A号、2019年9月5日に公開された表題“Hepcidin expression inhibitor, and food and drink for improvement and/or prevention of iron-deficiency anemia”の日本特許出願公開第2019147772A号、2013年10月9日に発行された表題“Sulphated glycosaminoglycans, including heparin and derivatives thereof, for use in inhibiting the expression of hepcidin and for the therapeutic treatment of anaemia with high levels of hepcidin”の欧州特許第2335708B1号、2016年5月5日に公開された表題“Erythroferrone and erfe polypeptides and methods of regulating iron metabolism”の米国特許出願公開第2016/0122409A1号、2012年8月23日に公開された表題“Novel Sulfonaminoquinoline Hepcidin Antagonists”の米国特許出願公開第20120214803A1号、2011年3月3日に公開された表題“Novel quinoxalinone hepcidin antagonists”の国際公開第2011/023722A1号、2011年3月17日に公開された表題“Novel thiazol and oxazol hepcidine antagonists”の国際公開第2011/029832A1号、2012年8月2日に公開された表題“Novel Quinoline-Hepcidine Antagonists”の米国特許出願公開第2012/0196853A1号、2012年8月23日に公開された表題“Novel Ethanediamone Hepcidine Antagonists”の米国特許出願公開第2012/0214798A1号、2012年8月9日に公開された表題“Novel Pyrimidine- And Triazine-Hepcidine Antagonists”の米国特許出願公開第2012/0202806A1号、2016年4月13日に公開された表題“Ampelopsin suppresses the application in the preparation of ferrum tune element expression in preparation”の中国特許出願公開第103655542B号に記載されるヘプシジン中和剤である。
【0145】
一部の実施形態では、ヘプシジン阻害剤は、フェロポーチン(例えば抗体、アンチカリン、またはアプタマー)に特異的に結合する分子である。一部の実施形態では、フェロポーチンに特異的に結合する分子はLY2928057である。フェロポーチン活性に影響せずにヘプシジン結合を阻害する、フェロポーチンに結合する分子が記載されている(そのそれぞれの全内容が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第8183346号、および米国特許第9175078号、国際公開第2010065496A1号も参照)。一部の実施形態では、ヘプシジン阻害剤は、ヘプシジンまたはフェロポーチンを修飾してヘプシジン-フェロポーチン結合相互作用を阻害する化学修飾剤化合物である。例えば、一部の実施形態では、ヘプシジン阻害剤はフルスルチアミンである(例えばFung and Nemeth. Haematologica. 2013 Nov; 98(11):1667-76参照)。
【0146】
iii.JAK/STATシグナル伝達アンタゴニスト
一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは、JAK-STATシグナル伝達経路に含まれる分子に結合し、阻害する。したがって、一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは、JAK-STATシグナル伝達経路阻害剤である。そのようなアンタゴニストの例としては、限定はされないが、IL-6、IL-6受容体、JAK1/2、およびSTAT3が挙げられる。一部の実施形態では、JAK-STATシグナル伝達経路阻害剤は、JAK阻害剤またはSTAT阻害剤である。一部の実施形態では、JAK阻害剤は、サブタイプJAK1とJAK2の1つまたは両方に選択的である(例えばJAK1/2阻害剤)。一部の実施形態では、STAT阻害剤はSTAT3阻害剤である。
【0147】
JAK-STAT3シグナル伝達経路は、炎症性サイトカインIL-6によって活性化される。IL-6受容体(IL-6R)へのIL-6の結合は、肝細胞での受容体二量体化を誘発し、JAK-STAT3シグナル伝達経路の活性化をもたらす(図2)。したがって、一部の実施形態では、JAK-STATシグナル伝達経路阻害剤はIL-6アンタゴニストであり、IL-6および/またはIL-6受容体に結合し、JAK-STAT3シグナル伝達経路の活性化を阻害することによりヘプシジン機能をアンタゴナイズする。一部の実施形態では、IL-6アンタゴニストは、インフリキシマブ、クルクミン、3,3’-ジインドリル-メタン、トシリズマブ、およびシルツキシマブからなる群から選択される。一部の実施形態では、IL-6およびIL-6R阻害剤は、例えば、そのそれぞれの全内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2017年2月2日に公開された表題“Methods for treating hepcidin-mediated disorders”の米国特許出願公開第20170029499A1号、2008年11月27日に公開された表題“Novel rabbit antibody humanization methods and humanized rabbit antibodies”の国際公開第2008144757A1号、2009年4月23日に公開された表題“Novel Rabbit Antibody Humanization Methods and Humanized Rabbit Antibodies”の米国特許出願公開第20090104187A1号、2010年6月10日に公開された表題“Antagonists of il-6 to prevent or treat thrombosis”の国際公開第2010065077A2号、2011年6月3日に公開された表題“Antagonists of il-6 to raise albumin and/or lower crp”の国際公開第2011066369A2号、2017年7月11日に発行された表題“Antagonists of il-6 to raise albumin and/or lower crp”の米国特許第9701747B2号、2013年4月16日に発行された表題“Antagonists of il-6 to raise albumin and/or lower crp”の米国特許第8420089B2号、2016年2月23日に発行された表題“Antagonists of IL-6 to raise albumin and/or lower crp”の米国特許第9265825B2号、2012年10月2日に発行された表題“Antagonists of il-6 to prevent or treat thrombosis”の米国特許第8277804B2号、2015年7月21日に発行された表題“Antibodies to il-6 and use thereof”の米国特許第9085615B2号、2011年6月3日に公開された表題“Antibodies to il-6 and use thereof”の国際公開第2011066371A2号、2012年12月4日に発行された表題“Antibodies to il-6 and use thereof”の米国特許第8323649B2号、2016年9月27日に発行された表題“Antibodies to IL-6 and use thereof”の米国特許第9452227B2号、2010年6月10日に公開された表題“Antibodies to il-6 and use thereof”の国際公開第2010065079A2号、2017年8月8日に発行された表題“Antagonists of il-6 to prevent or treat cachexia, weakness, fatigue and/or fever”の米国特許第9724410B2号、2009年9月24日に公開された表題“Novel rabbit antibody humanization methods and humanized rabbit antibodies”の米国特許出願公開第20090238825A1号、2018年6月12日に発行された表題“mTOR/JAK INHIBITOR COMBINATION THERAPY”の米国特許第9993480B2号、2017年2月2日に公開された表題“Methods for treating hepcidin-mediated disorders”の米国特許出願公開第20170029499A1号、2019年8月8日に公開された表題“Methods for treating il-6 mediated inflammation without immunosuppression”の米国特許出願公開第20190241650A1号に記載される抗IL-6またはIL-6R阻害剤である。
【0148】
一部の実施形態では、JAK-STATアンタゴニストは、選択的JAK1阻害剤である(例えば本明細書に記載されるキナーゼ効力アッセイによって決定される)。一部の実施形態では、JAK-STATアンタゴニストは、JAK2阻害剤である(例えば本明細書に記載されるキナーゼ効力アッセイによって決定される)。一部の実施形態では、JAK-STATアンタゴニストは、ACVR1/ALK2に対して活性ではない。一部の実施形態では、JAK-STATアンタゴニストは、ルキソリチニブ、フェドラチニブ、パクリチニブ、バリシチニブ、トファシチニブ、オクラシチニブ、NSC13626である。一部の実施形態では、JAK/STATアンタゴニストはGS-0387またはCYT-387である。
【0149】
一部の実施形態では、JAK/STATアンタゴニストは選択的JAK1/JAK2阻害剤である。一部の実施形態では、選択的JAK1/JAK2阻害剤はルキソリチニブである。骨髄線維症の処置での使用のための好適なJAK1/JAK2阻害剤は、例えばそのそれぞれの内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2009年10月6日に発行された表題“Heteroaryl substituted pyrrolo[2,3-b]pyridines and pyrrolo[2,3-b]pyrimidines as janus kinase inhibitors”の米国特許第7598257号;2013年4月9日に発行された表題“Pyrazolyl substituted pyrrolo[2,3-b]pyrimidines as Janus kinase inhibitors”の米国特許第8415362号;2014年5月13日に発行された表題“Salts of the Janus kinase inhibitor (R)-3-(4-(7H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-4-yl)-1H-pyrazol-1-yl)-3-cyclopentylpropanenitrile”の米国特許第8722693号;2014年9月2日に発行された表題“Salts of the janus kinase inhibitor (R)-3-(4-(7H-pyrrolo[2,3-d] pyrimidin-4-yl)-1H-pyrazol-1-yl)-3-cyclopentylpropanenitrile”の米国特許第8822481号;2014年9月9日に発行された表題“Salts of the Janus kinase inhibitor (R)-3-(4-(7H-pyrrolo[2,3-D]pyrimidin-4-yl)-1H-pyrazol-1-yl)-3-cyclopentylpropanenitrile”の米国特許第8829013号、2014年9月2日に発行された表題“Salts of the janus kinase inhibitor (R)-3-(4-(7H-pyrrolo[2,3-d] pyrimidin-4-yl)-1H-pyrazol-1-yl)-3-cyclopentylpropanenitrile”の米国特許第9079912号;2017年11月14日に発行された表題“Heteroaryl substituted pyrrolo[2,3-B] pyridines and pyrrolo[2,3-B] pyrimidines as janus kinase inhibitors”の米国特許第9814722号;および2018年7月10日に発行された表題“Salts of the janus kinase inhibitor (R)-3-(4-(7H-pyrrolo[2,3-D]pyrimidin-4-yl)-1H-pyrazol-1-yl)-3-cyclopentylpropanenitrile”の米国特許第10016429B2号に記載される。一部の実施形態では、JAK1/JAK2阻害剤はルキソリチニブ(RUX)である。
【0150】
一部の実施形態では、JAK-STAT阻害剤は選択的JAK2阻害剤である。骨髄線維症の処置での使用のための好適なJAK2阻害剤は、例えばそのそれぞれの全内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2009年5月5日に発行された表題“Bi-aryl meta-pyrimidine inhibitors of kinases”の米国特許第7528143号;2010年11月2日に発行された表題“Bi-aryl meta-pyrimidine inhibitors of kinases”の米国特許第7825246号;2012年3月20日に発行された表題“Use of bi-aryl meta-pyrimidine inhibitors of kinases”の米国特許第8138199号;2019年8月27日に発行された表題“Compositions and methods for treating myelofibrosis”の米国特許第10391094号に記載される。一部の実施形態では、選択的JAK2阻害剤はフェドラチニブである。
【0151】
一部の実施形態では、JAK-STAT阻害剤は選択的JAK阻害剤ではない。一部の実施形態では、JAK-STAT阻害剤は、JAK1/JAK2、およびACVRI(ALK2としても公知)(例えばモメロチニブ)の阻害剤である。本明細書に提供される方法での使用のための好適なJAK1/JAK2およびACVRI(ALK2)阻害剤は、例えばそのそれぞれの全内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2013年7月16日に発行された表題“Phenyl amino pyrimidine compounds and uses thereof”の米国特許第8486941B2号;2019年4月2日に発行された表題“Momelotinib for treating of acvr1 -mediated diseases”の米国特許第10245268B2号に記載される。一部の実施形態では、非選択的JAK-STAT阻害剤は、モメロチニブである(例えば、ASSHOFF MALTE ET AL: "The Jak1/Jak2 Inhibitor Momelotinib Inhibits Alk2, Decreases Hepcidin Production and Ameliorates Anemia of Chronic Disease (ACD) in Rodents", BLOOD, vol. 126, no. 23, December 2015 (2015-12-01)参照)。
【0152】
一部の実施形態では、JAK阻害剤は、そのそれぞれの全内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2020年6月19日に発行された表題“JAK2 inhibitors and their use for the treatment of myeloproliferative diseases and cancer”の米国特許第8202881B2号、2012年6月5日に発行された表題“Quinoxaline derivatives as tyrosine kinase activity inhibitors”の米国特許第8193189 B2号、2014年1月14日に発行された表題“Benzoxazoles and oxazolopyridines being useful as janus kinases inhibitors”の米国特許第8629168 B2号、2014年3月13日に公開された表題“Treatment of jak2-mediated conditions”の米国特許出願公開第2014/073643号、2016年10月18日に発行された表題“(N-(cyanomethyl)-4-(2-(4-morpholinophenylamino)pyrimidin-4-yl)benzamide”の米国特許第9469613 B2号、2020年2月27日に公開された表題“Platelet count-agnostic methods of treating myelofibrosis”の国際公開第2020/041466 A1号、2018年5月31日に公開された表題“Heteroaryl compounds and uses thereof”の国際公開第2018/096525 A2号、2014年5月6日に発行された表題“N-(hetero)aryl-pyrrolidine derivatives of pyrazol-4-yl-pyrrolo[2,3-d]pyrimidines and pyrrol-3-yl-pyrrolo[2,3-d]pyrimidines as janus kinase inhibitors”の米国特許第8716303B2、2010年11月16日に発行された表題“METABOLITES OF THE JANUS KINASE INHIBITOR (R)-3-(4-(7H-PYRROLO[2,3-d]PYRIMIDIN-4-YL)-1H-PYRAZOL-1-YL)-3-CYCLOPENTYLPROPANENITRILE”の米国特許第7834022B2号、2007年6月28日に公開された表題“Azepine inhibitors of Janus kinases”の米国特許出願公開第20070149506A1号、2013年8月20日に発行された表題“Substituted heterocycles as janus kinase inhibitors”の米国特許第8513270B2号、2016年6月7日に発行された表題“Cyclohexyl Azetidine Derivatives as JAK Inhibitors”の米国特許第9359358B2号、2013年7月16日に発行された表題“HYDROXYL, KETO, AND GLUCURONIDE DERIVATIVES OF 3-(4-(7H-PYRROLO[2,3-d] PYRIMIDIN-4-YL)-1H-PYRAZOL-1-YL)-3-CYCLOPENTYLPROPANENITRILE”の米国特許第8486902B2号、2016年6月7日に発行された表題“JAK PI3K/mTOR COMBINATION THERAPY”の米国特許第9358229B2号、2015年1月13日に発行された表題“Cyclobutyl substituted pyrrolopyridine and pyrrolopyrimidine derivatives as jak inhibitors”の米国特許第8933085B2号、2014年7月1日に発行された表題“Macrocyclic compounds and their use as kinase inhibitors”の米国特許第8765727B2号、2015年5月19日に発行された表題“Heterocyclic-substituted pyrrolopyridines and pyrrolopyrimidines as jak inhibitors”の米国特許第9034884B2号、2008年12月18日に公開された表題“SALTS OF THE JANUS KINASE INHIBITOR (R)-3-(4-(7H-PYRROLO[2,3-d]PYRIMIDIN-4-YL)-1H-PYRAZOL-1-YL)-3-CYCLOPENTYLPROPANENITRILE”のUS20080312259A1、2015年9月3日に公開された表題“Jak1 inhibitors for the treatment of myelodysplastic syndromes”の米国特許出願公開第20150246046A1号、2012年4月17日に発行された表題“Azetidine and cyclobutane derivatives as jak inhibitors”の米国特許第8158616B2号、2008年2月26日に発行された表題“Pyrrolo[2,3-b]pyridin-4-yl-amines and pyrrolo[2,3-b]pyrimidin-4-yl-amines as janus kinase inhibitors”の米国特許第7335667B2号、2018年9月4日に発行された表題“Treatment of b-cell malignancies by a combination jak and pi3k inhibitors”の米国特許第10064866B2号、2011年8月25日に公開された表題“Cyclobutane and methylcyclobutane derivatives as janus kinase inhibitors”の米国特許出願公開第20110207754A1号、2015年11月24日に発行された表題“Piperidinylcyclobutyl substituted pyrrolopyridine and pyrrolopyrimidine derivatives as jak inhibitors”の米国特許第9193733B2号、2016年7月5日に発行された表題“Bipyrazole derivatives as jak inhibitors”の米国特許第9382231B2号、2014年4月8日に発行された表題“Azetidinyl phenyl, pyridyl or pyrazinyl carboxamide derivatives as jak inhibitors”の米国特許第8691807B2号、2015年11月10日に発行された表題“Tricyclic fused thiophene derivatives as jak inhibitors”の米国特許第9181271B2号、2013年12月10日に発行された表題“3-[4-(7h-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-4-yl)-1h-pyrazol-1-yl]octane- or heptane-nitrile as jak inhibitors”の米国特許第8604043B2号、2016年2月2日に発行された表題“HETEROCYCLIC DERIVATIVES OF PYRAZOL-4-YL-PYRROLO[2,3-d]PYRIMIDINES AS JANUS KINASE INHIBITORS”の米国特許第9249145B2号、2014年7月1日に発行された表題“Piperidin-4-yl azetidine derivatives as jak1 inhibitors”の米国特許第8765734B2号、2006年5月18日に公開された表題“Tetracyclic inhibitors of Janus kinases”の米国特許出願公開第20060106020A1号、2018年6月12日に発行された表題“mTOR/JAK INHIBITOR COMBINATION THERAPY”の米国特許第9993480B2号、2012年11月13日に発行された表題“4-pyrazolyl-n-arylpyrimidin-2-amines and 4-pyrazolyl-n-heteroarylpyrimidin-2-amines as janus kinase inhibitors”の米国特許第8309718B2号、2006年7月13日に公開された表題“Novel human Jak2 kinase”の米国特許出願公開第20060153852A1号、2014年10月28日に発行された表題“Macrocyclic compounds and their use as kinase inhibitors”の米国特許第8871753B2号、2008年11月20日に公開された表題“4-(3-Aminopyrazole) Pyrimidine Derivatives for Use as Tyrosine Kinase Inhibitors in the Treatment of Cancer”の米国特許出願公開第20080287475A1号、2009年3月5日に公開された表題“Jak2 Tyrosine Kinase Inhibition”の米国特許出願公開第20090062302A1号、2014年2月11日に発行された表題“5-substituted indazoles as kinase inhibitors”の米国特許第8648069B2号、2017年11月16日に公開された表題“Jak and hdac dual-inhibitor compounds”の国際公開第2017196261A1号、2018年4月24日に発行された表題“Therapeutic Combinations of a BTK Inhibitor, a PI3K Inhibitor and/or a JAK-2 Inhibitor”の米国特許出願公開第9949971B2号、2017年8月10日に公開された表題“Therapeutic Combinations of a BTK Inhibitor, a PI3K Inhibitor, a JAK-2 Inhibitor, and/or a CDK 4/6 Inhibitor”の米国特許出願公開第20170224819A1号、2017年8月24日に公開された表題“Therapeutic Combinations of a BTK Inhibitor, a PI3K Inhibitor, a JAK-2 Inhibitor, a PD-1 Inhibitor, and/or a PD-L1 Inhibitor”の米国特許出願公開第20170239351A1号、2018年11月8日に公開された表題“Combinations”の米国特許出願公開第20180317602A1号、2019年5月9日に公開された表題“Pyrazolyl pyrrolo[2,3-b]pyrmidine-5-carboxylate analogs and methods of making the same”の米国特許出願公開第20190135807A1号、2013年4月11日に公開された表題“Heteroaryl imidazolone derivatives as jak inhibitors”の米国特許出願公開第20130089512A1号、2015年12月8日に発行された表題“Pyrazole derivatives as jak inhibitors”の米国特許第9206183B2号、2015年5月19日に発行された表題“Pyridin-2(1h)-one derivatives as jak inhibitors”の米国特許第9034311B2号、2014年6月19日に公開された表題“Pyridin-2(1h)-one derivatives useful as medicaments for the treatment of myeloproliferative disorders, transplant rejection, immune-mediated and inflammatory diseases”の米国特許出願公開第20140170110A1号、2015年6月25日に公開された表題“Imidazolopyrimidin-2-yl derivatives as jak inhibitors”の国際公開第2015091531A1号、2013年8月22日に公開された表題“Imidazopyridine derivatives as jak inhibitors”の米国特許出願公開第20130216498A1号、2015年9月15日に発行された表題“Imidazo [1,2-b] pyridazine and imidazo [4,5-b] pyridine derivatives as jak inhibitors”の米国特許第9133200B2号、2013年1月8日に発行された表題“JAK kinase modulating compounds and methods of use thereof”の米国特許第8349851B2号、2015年12月8日に発行された表題“Substituted pyrrolo[2,3-b]pyridines as ITK and JAK inhibitors”の米国特許第9206188B2号、2010年2月25日に公開された表題“2-(imidaz0lylamin0)-pyridine derivatives and their use as jak kinase inhibitors”の国際公開第2010/020810 A1号、2013年7月16日に公開された表題“9-(pyrazol-3-yl)-9h-purine-2-amine and 3-(pyrazol-3-yl) -3h-imidazo[4,5-b] pyridin-5- amine derivatives and their use for the treatment of cancer”の米国特許出願公開第2010/324040 A1号、2009年3月5日に公開された表題“2,4 diaminopyrimid'lnes for the treatment of myeloproliferative disorders and cancer”の国際公開第2009/027736 A3号、2011年8月18日に公開された表題“Heterocyclic jak kinase inhibitors”の米国特許出願公開第2011/201628 A1号、2008年10月2日に公開された表題“Pyrazolyl-amino-substituted pyrazines and their use for the treatment of cancer”の国際公開第2008/117050 A1号、2010年8月12日に公開された表題“5-aminopyrazol-3-yl-3h-imidazo (4,5-b) pyridine derivatives and their use for the treatment of cancer”の米国特許出願公開第2010/204246 A1号、
2008年11月6日に公開された表題“Pyrazolyl-amino-substituted pyrimidines and their use for the treatment of cancer”の国際公開第2008/132502 A1号、2009年2月5日に公開された表題“Chemical compounds 831”の国際公開第2009/016410 A3号、2009年8月6日に公開された表題“4-(3-amin0pyraz0le) pyrimidine derivatives for use as jak kinase inhibitors in the treatment of cancer”の国際公開第2009/095712 A2号、2013年5月14日に発行された表題“Bicyclic compounds and their uses as dual c-SRC / JAK inhibitors”の米国特許第8440679B2号、2015年5月16日に発行された表題“Pyrrolo[2,3-D]pyrimidine derivatives”の米国特許第9035074B2号、2019年3月28日に公開された表題“2-substituted pyrazole amino-4-substituted amino-5-pyrimidine formamide compound, composition, and application thereof”の国際公開第2019057112 A1号、2014年8月26日に発行された表題“Carbazole and carboline kinase inhibitors”の米国特許第8815840B2号、2015年2月17日に発行された表題“Fused pyrimidine derivatives for inhibition of tyrosine kinase activity”の米国特許第8957065B2号、2014年2月6日に公開された表題“Imidazo[1,2-b]pyridazin-6-amine derivatives as kinase jak-2 inhibitors”の国際公開第2014020531 A1号、2015年8月13日に公開された表題“PYRAZOLO[1,5-a]PYRIMIDINE DERIVATIVES AS KINASE JAK-2 INHIBITORS”の国際公開第2015118434 A1号、2008年1月24日に公開された表題“JAK inhibitors for treatment of myeloproliferative disorders”の米国特許出願公開第2008021013 A1号、2015年1月20日に発行された表題“Compositions and methods for modulating a kinase”の米国特許第8937065B2号、2015年7月16日に公開された表題“Deuterated derivatives of ruxolitinib”の米国特許出願公開第2015/197525 A1号、2017年1月10日に発行された表題“Deuterated baricitinib”の米国特許第9540367B2号、2016年12月13日に発行された表題“Deuterated momelotinib”の米国特許第9518027B2号、2013年1月15日に発行された表題“N-containing heterocyclic compounds”の米国特許第8354408B2号、2020年5月14日に公開された表題“Benzimidazole derivatives and aza-benzimidazole derivatives as janus kinase 2 inhibitors and uses thereof”の国際公開第2020097396 A1号、2020年5月14日に公開された表題“Benzothiazole derivatives and 7-aza-benzothiazole derivatives as janus kinase 2 inhibitors and uses thereof”の国際公開第2020097398 A1号、2020年1月9日に公開された表題“Compositions and methods of use thereof for treatment of metabolic diseases and related disorders”の国際公開第202009740 A3号、2018年10月30日に発行された表題“Compositions and methods for treating cancer with JAK2 activity”の米国特許第10111897B2号、2013年5月14日に発行された表題“4-aryl-2-amino-pyrimidines or 4-aryl-2-aminoalkyl-pyrimidines as JAK-2 modulators and methods of use”の米国特許第8440663B2号、2012年1月3日に発行された表題“JAK-2 modulators and methods of use”の米国特許第8088767B2号、2009年2月5日に公開された表題“Combinations of jak-2 inhibitors and other agents”の国際公開第2009017838 A2号、2010年2月11日に公開された表題“Triazolopyridine jak inhibitor compounds and methods”の米国特許出願公開第2010/035875 A1号、2010年2月25日に公開された表題“Triazolopyridine JAK Inhibitor Compounds and Methods”の米国特許出願公開第2010/048557 A1号、2019年6月4日に発行された表題“Therapeutic compounds and compositions, and methods of use thereof”の米国特許第10307426B2号、2014年1月28日に発行された表題“Pyrazolopyrimidine JAK inhibitor compounds and methods”の米国特許第8637526B2号、2015年4月7日に発行された表題“Pyrazolopyrimidine JAK inhibitor compounds and methods”の米国特許第8999998B2号、2019年2月7日に公開された表題“Pyrrolopyrimidine five-membered azacyclic derivative and application thereof”の米国特許出願公開第2019/040068 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medicine”の米国特許第8673891B2号、2014年1月14日に発行された表題“Benzoxazoles and oxazolopyridines being useful as janus kinases inhibitors”の米国特許第8629168B2号、2013年8月6日に発行された表題“N-containing heteroaryl derivatives as JAK3 kinase inhibitors”の米国特許第8501735B2号、2010年7月1日に公開された表題“PYRAZOLE[1,5a]PYRIDINE DERIVATIVES”の国際公開第2010/072823A1号、2014年1月21日に発行された表題“Pyrrolo[2,3-D]pyrimidine compounds”の米国特許第8633206B2号、2017年4月11日に発行された表題“Pyrrolo[2,3-d]pyrimidinyl, pyrrolo[2,3-b]pyrazinyl and pyrrolo[2,3-d]pyridinyl acrylamides”の米国特許第9617258B2号、2009年2月5日に公開された表題“Inhibitors of jak2 kinase”の国際公開第2009/017954A1号、2012年9月4日に発行された表題“Inhibitors of protein kinases”の米国特許第8258144B2号、2017年6月13日に発行された表題“Substituted pyrimidinyl kinase inhibitors”の米国特許第9676756B2号、2017年1月3日に発行された表題“Bicyclic dihydropyridone kinase inhibitors”の米国特許第9533986B2号、2016年10月18日に発行された表題“Bicyclic oxa-lactam kinase inhibitors”の米国特許第9469654B2号、2012年3月20日に発行された表題“Inhibitors of protein kinases”の米国特許第8138339B2号、2012年11月13日に発行された表題“Pyrimidine-2-amine compounds and their use as inhibitors of JAK kinases”の米国特許第8309566B2号、2014年9月30日に発行された表題“Tricyclic carbamate JAK inhibitors”の米国特許第8846908B2号、2018年7月3日に発行された表題“Preparation method for aromatic heterocyclic compound used as selective JAK3 and/or JAK1 kinase inhibitor and application of aromatic heterocyclic compound”の米国特許第10011571B2号、2020年3月5日に公開された表題“Diphenylaminopyrimidine compound for inhibiting kinase activity”の米国特許出願公開第2020/071303 A1号、2016年6月21日に発行された表題“Heterocyclic compound”の米国特許第9371320B2号、2017年5月2日に発行された表題“Heterocyclic compound”の米国特許第9637483B2号、2019年4月11日に公開された表題“Heterocyclic compound”の国際公開第2019/069844号、2009年5月9日に公開された表題“Anilinopyrimidines as jak kinase inhibitors”の国際公開第2009/046416 A1号、2009年4月16日に公開された表題“Pyrrolopyrimidine compounds and their use as janus kinase modulators”の国際公開第2009/049028号、2009年4月30日に公開された表題“Pyrrolopyrimidine alkynyl compounds and methods of making and using same”の国際公開第2009/055674 A1号、
2019年2月12日に発行された表題“JAK2 and ALK2 inhibitors and methods for their use”の米国特許第10202356B2号、2019年6月6日に公開された表題“Macrocycle kinase inhibitors”の米国特許出願公開第2019/169208 A1号、2011年10月6日に公開された表題“Models of erythropoiesis”の米国特許出願公開第2011/243853 A1号、2013年2月5日に発行された表題“Kinase inhibitor compounds”の米国特許第8367078B2号、2015年10月29日に公開された表題“Zhankuic acid A, a JAK2/3 tyrosine kinase inhibitor, and a potential therapeutic agent for hepatitis”の米国特許出願公開第2015/306112 A1号、2014年9月25日に公開された表題“Methods for Identifying Janus Kinase (JAK) Modulators for Therapeutics”の米国特許出願公開第2014/286964 A1号、2015年1月20日に発行された表題“Pyrazolo[1,5-a]pyrimidines useful as JAK2 inhibitors”の米国特許第8937064B2号、2010年8月3日に発行された表題“Azaindoles useful as inhibitors of janus kinases”の米国特許第7767816B2号、2013年11月12日に発行された表題“Pyrrolo[2,3-D]pyrimidines as inhibitors of Janus kinases”の米国特許第8580802B2号、2014年1月21日に発行された表題“Substituted pyrrolo[2,3-d]pyrimidines as inhibitors of protein kinases”の米国特許第8633205B2号、2014年6月3日発行された表題“Deazapurines useful as inhibitors of Janus kinases”の米国特許第8741912B2号、2010年6月24日に公開された表題“Compounds useful as inhibitors of janus kinases”の米国特許出願公開第2010/160287 A1号、2014年12月30日に発行された表題“Pyrrolopyridines useful as inhibitors of protein kinase”の米国特許第8921376B2号、2014年3月13日に公開された表題“Treatment of jak2-mediated conditions”の米国特許出願公開第2014/073643 A1号、2014年8月19日に発行された表題“Phenyl amino pyrimidine bicyclic compounds and uses thereof”の米国特許第8809359B2号に記載されるJAK阻害剤である。
【0153】
一部の実施形態では、JAK/STAT阻害剤はSTAT阻害剤である。STAT阻害剤は、例えば、そのそれぞれの全内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2014年7月15日に発行された表題“Stat3 inhibitors”の米国特許第8779001B2号、2019年10月24日に公開された表題“Methods for measuring and stabilizing stat3 inhibitors”の国際公開第2019/204427A1号、2018年10月30日に発行された表題“Methods and compositions for treatment of fibrosis”の米国特許第10112933B2号、2017年5月16日に発行された表題“Salicylic acid derivatives, pharmaceutically acceptable salt thereof, composition thereof and method of use thereof”の米国特許第9650399B2号に以前に記載されている。
【0154】
iv.クロマチンモジュレーター
一部の実施形態では、クロマチンリモデリングブロモドメインと余剰末端(BET)タンパク質は、MYC、BCL-2、およびNF-kBなどの炎症に関与する遺伝子を制御する。一部の実施形態では、BETの下流のNF-kB経路は、例えばJAK-STATシグナル伝達を介して骨髄線維症で活性化される。BETタンパク質は、ヒストン上のアセチル化されたリジン残基によって運ばれるシグナルを伝達し、様々な表現系へと転写するエピジェネティックリーダーとして作用する。無制御のBETシグナル伝達は、骨髄線維症(MF)を含む多くの疾患に関与する。BET阻害剤は、例えば参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20170333406A1号に記載されている。一部の実施形態では、本開示での使用のためのBET阻害剤は、CPI-0610である。CPI-0610は、がんで異常に発現される遺伝子の発現を減少させるBETタンパク質の機能を選択的に阻害することにより抗腫瘍活性を促進するように設計された強力で選択的な小分子である。BETタンパク質はアセチル化されたヒストンリジン残基に結合し、遺伝子発現の共活性化剤として機能する。それらは、転写因子NFκBと協力して、炎症促進性サイトカイン遺伝子発現を活性化する。CP-0610は、マウスモデルにおいて炎症促進性サイトカインを下方制御し、BET阻害剤とルキソリチニブの組合せは、脾腫、サイトカイン発現、骨髄線維症、および突然変異遺伝子負荷を相乗的に減少させる。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法での使用に好適なBET阻害剤は、そのそれぞれの全内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2019年5月23日に公開された表題“Therapeutic compounds and uses thereof”の米国特許出願公開第2019152949号;2019年2月19日に発行された表題“Therapeutic compounds and uses thereof”の米国特許第10206931B2号;2016年11月3日に公開された表題“Use of cbp/ep300 bromodomain inhibitors for cancer immunotherapy”の米国特許出願公開第2016317632号、2017年7月13日に公開された表題“Use of cbp/ep300 and bet inhibitors for treatment of cancer”の米国特許出願公開第2017196878号、2019年8月22日に公開された表題“P300/cbp hat inhibitors”の国際公開第2019161162号、2020年6月4日に公開された表題“Methods of treating myeloproliferative disorders”の国際公開第2020112086号、2020年6月11日に公開された表題“P300/cbp hat inhibitors”の国際公開第2019161157号に記載されるBET阻害剤である。
【0155】
v.免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤
一部の実施形態では、例えば、骨髄線維症と関連する貧血の処置のため、免疫調節剤が本明細書に提供される。そのような免疫調節剤としては、例えばコルチコステロイド、アンドロゲン性ステロイド、サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミドおよびその他が挙げられる。一部の実施形態では、免疫調節剤は、炎症の減少および赤血球生成の促進に好作用を有するため有益である。例えば、ダナゾールは、造血刺激および免疫調節作用を有するステロイド化合物である。例えば、一部の実施形態では、ダナゾールはグルココルチコイド受容体にアンタゴニスト作用を有し、赤血球生成に上方制御作用をもたらす(例えば、Chai KY, et al., Danazol: An Effective and Underutilised Treatment Option in Diamond-Blackfan Anaemia. Case Reports in Hematology. Volume 2019, Article ID 4684156.参照)。同様に、一部の実施形態では、赤血球生成を促進するプレドニゾンなどのグルココルチコイドは、例えばMF患者の繊維性骨髄において、炎症の減少に有用であり得る(例えば、Amylon MD et al., Prednisone stimulation of erythropoiesis in leukemic children during remission. American Journal of Hematology. Volume 23, Issue 2, October 1986.参照)。赤血球生成に影響する他の免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤としては、サリドマイドおよびその誘導体または類似体、例えばダナゾール、プレドニゾン、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドが挙げられる。一部の実施形態では、エリスロポエチン(EPO)は本明細書に記載される方法で使用され得る。
【0156】
III.使用の方法
本開示の態様は、対象において骨髄線維症および/または骨髄線維症の結果として生じる1つもしくはそれ以上の状態を処置するための組成物および方法に関する。
【0157】
骨髄線維症(MF)は、骨髄の線維症をもたらす異常な血液幹細胞の増殖によって特徴付けられる骨髄増殖性障害である。健康な血液細胞(血小板産生を担う巨核球および赤血球)の産生が損なわれる。MFは、原発性MF(PMF)および二次性MF(SMF)として分類され得る。PMFおよびSMFは、共通の主症状である貧血、疲労、および脾腫を含む類似した臨床的プロファイルを有する。原発性骨髄線維症(PMF)は、それ自体で生じるMFとして特徴付けられる。二次性骨髄線維症(SMF)は、別の疾患、例えば自己免疫疾患の合併症として骨髄の瘢痕組織の結果として生じる。一部の実施形態では、本明細書に記載される対象は、PMFを有するかまたは有する疑いがある。一部の実施形態では、本明細書に記載される対象は、SMFを有するかまたは有する疑いがある。
【0158】
一部の実施形態では、骨髄線維症(例えばPMFおよび/またはSMF)を有するかまたは有する疑いがある対象は、1つまたはそれ以上の遺伝子に1つまたはそれ以上の突然変異を含む。一部の実施形態では、対象は、JAK2遺伝子に1つまたはそれ以上の突然変異を有する。JAK2は、EPO、TPO、および/またはG-CSFによる骨髄細胞系列の増殖に関与する受容体からのシグナルの伝達に重要な役割を果たす(例えば、Alshemmari et al., Molecular Pathogenesis and Clinical Significance of Driver Mutations in Primary Myelofibrosis: A Review, Med Princ Pract, 2016;25(6):501-509参照)。一部の実施形態では、対象は、エクソン12またはエクソン14に惹起突然変異を有するヒトJAK2遺伝子を含有する。一部の実施形態では、JAK2遺伝子における惹起突然変異はエクソン14にあり、V617F置換を生じる。一部の実施形態では、V617F突然変異はJAK2およびその関連するシグナル伝達経路の過剰活性化をもたらす。一部の実施形態では、JAK2の過剰活性化は骨髄線維症(例えばPMFおよび/またはSMF)をもたらす。
【0159】
一部の実施形態では、対象は、トロンボポエチン受容体(MPL)遺伝子に1つまたはそれ以上の突然変異を有する。MPLはトロンボポエチン(TPO)の同族受容体であり、MPL遺伝子の機能の増大を生じる突然変異は巨核球産生の障害をもたらす。一部の実施形態では、対象は、MPLのW515L/K突然変異を含む。一部の実施形態では、MPL遺伝子に1つまたはそれ以上の突然変異を有する対象は、MFを有する対象全体と比較して、貧血を発症する頻度が高い(例えば、10%より高い、20%より高い、30%より高い、40%より高い、50%より高い、60%より高い、70%より高い、80%より高い、90%より高い、2倍より高い、3倍より高い、4倍より高い、5倍より高い、6倍より高い、7倍より高い、8倍より高い、9倍より高い、または10倍より高い)(Guglielmelli P et al., Anaemia characterises patients with myelofibrosis harbouring Mpl mutation. Br J Haematol 2007; 137: 244-247)。
【0160】
一部の実施形態では、対象は、カルレチキュリン(CALR)遺伝子に1つまたはそれ以上の突然変異を有する。CALR遺伝子は、カルシウム恒常性、細胞シグナル伝達、遺伝子発現、細胞接着、自己免疫およびアポトーシスを制御する多因子タンパク質である、カルレチキュリンタンパク質をコードする。約140個のCALR突然変異が、19個の変異体で同定され、MFと関連する。一部の実施形態では、対象は、CALR遺伝子においてエクソン9の突然変異を有するMFを有するかまたは有する疑いがある。
【0161】
MFと関連する他の遺伝子におけるさらなる突然変異が同定されている。MFと関連する遺伝子の非限定的な例としては、例えばJAK2、MPL、CLAR、LNK、ASXL1、SRSF2、PPM1D、IDH1/2、TET2、EZH2、U2AF1、NFE2、SH2B3、SF3B1またはCBLが挙げられる。一部の実施形態では、対象は、本明細書に記載される1つまたはそれ以上の遺伝子において1つまたはそれ以上の突然変異を含むMFを有するかまたは有する疑いがある。
【0162】
一部の実施形態では、対象は、エピジェネティック制御またはスプライシングに関与する遺伝子に1つまたはそれ以上の突然変異を有する。一部の実施形態では、エピジェネティック制御またはスプライシングに関与する遺伝子の1つまたはそれ以上の突然変異は、ASXL1、DNMT3A、TET2、SRSF2、U2AF1、EZH2またはSF3B1である。一部の実施形態では、対象は、MBN-BPヘの進行のリスクと関連するIDH1/2に突然変異を有する。
【0163】
一部の態様では、本開示は、対象において骨髄線維症を処置するための組成物および方法に関する。一部の実施形態では、本開示に従って処置される対象は、適切な診断または予後予測方法に基づいて同定され得る。例えば、ダイナミック国際予後予測スコアリングシステム(Dynamic International Prognostic Scoring System)(DIPSS)および年齢調整DIPSSは、年齢、ヘモグロビンレベル、白血球細胞数、末梢血芽球、および全身症状を含むいくつかの患者特異的な変数に基づく患者の転帰のモデルを提供する(例えば、参照によって本明細書に組み込まれるPassamonti, F., et al. Blood. 2010 Mar 4;115(9):1703-8参照)。DIPSSモデルは、DIPSSスコアを算出し、予後予測目的のリスクカテゴリーへと患者を割り当てることを可能にする。DIPSSスコアが0は「低リスク」患者を示し、DIPSSスコアが1~2は「中間-1リスク」患者を示し、DIPSSスコアが3~4は「中間-2リスク」患者を示し、DIPSSスコアが5~6は「高リスク」患者を示す。したがって、一部の実施形態では、本出願に従って処置を必要とする対象は、DIPSSスコアが少なくとも1であり得る。一部の実施形態では、対象はDIPSSスコアが1~4(例えば1、2、3、または4)である。一部の実施形態では、DIPSSスコアが5または6(例えば5または6)である。
【0164】
一部の実施形態では、本開示に従って処置される対象は、適切な診断または予後予測方法によって評価され得る。例えば、骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム総症状スコア(Myeloproliferative Neoplasm-Symptom Assessment Form Total Symptom Score)(MPN-SAF TSS)は、MPNを有する患者間でほとんどの代表的なおよび臨床的に関連する症状を評価するために設計された10項目の手段を提供する。ツールは、これらの疾患に関連する症状の発生率および重症度の患者の評価を記録する。それは経時的に症状を追跡するために使用され、その後の管理の決定を導くことができる(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、Emanuel RM, et al. Myeloproliferative neoplasm (MPN) symptom assessment form total symptom score: prospective international assessment of an abbreviated symptom burden scoring system among patients with MPNs, J Clin Oncol. 2012;30(33):4098-4103参照)。MPN-SAF TSSは、疲労、早期満腹感、無気力、集中力の欠如、腹部不快感、寝汗、骨痛、かゆみ、意図しない体重減少、および発熱などの症状を含む。各症状は、0(無い/できる限り良い)から10(考えられる最悪/できる限り悪い)スケールの症状重症度によって評価される。MPN-SAF TSSは、0から100の可能な範囲を有し、100は最高レベルの症状の重症度を表す。一部の実施形態では、骨髄線維症症状評価フォーム(Myelofibrosis Symptom Assessment Form)(MFSAF)はMPN-SAF TSS由来である。MFSAFは、10%より多くのMF患者によって報告された症状を測定する手段であり、生活の質(QoL)の測定を含む。MFSAFは、疲労の総合評価、脾腫および関連する器質的な症状のアセスメント、ならびに寝汗、かゆみ(掻痒症)、骨痛、発熱、意図しない体重減少および全体的な生活の質などの他の症状の評価を含む(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、Mesa et al., The Myelofibrosis Symptom Assessment Form (MFSAF): An Evidence-based Brief Inventory to Measure Quality of Life and Symptomatic Response to Treatment in Myelofibrosis, Leuk Res. 2009 Sep; 33(9): 1199-1203参照)。症状は、0(無い/できる限り良い)から10(考えられる最悪/できる限り悪い)スケールの症状重症度によって評価される。MFSAFは、経時的に症状を追跡するために使用し、その後の管理の決定を導くことができる。
【0165】
一部の態様では、MF(例えばPMFまたはSMF)を有する対象は、貧血を発症する。MFでの貧血は、多因子工程の結果である。一部の実施形態では、MFでの貧血は、骨髄抑制および鉄代謝の欠乏による無効赤血球生成、脾腫、血漿量の増加、骨髄の異常な炎症促進性の環境、またはこれらの組合せによる赤血球の破壊の増加によって引き起こされる。一部の実施形態では、他の原因のうち、MFでの貧血は異常な鉄代謝と関連する。一部の実施形態では、MF患者における異常な鉄代謝は、機能性鉄欠乏症(FID)である。FIDは、有効な赤血球生成のために必要とされる鉄と容易に利用可能な血清鉄の間の不均衡によって特徴付けられる鉄制限赤血球生成の状態を表す。FIDでは、身体が十分なまたは増加した全身の鉄貯蔵を有する場合でさえも、鉄は隔離され、赤血球生成には利用できない。一部の実施形態では、FIDは、鉄貯蔵レベルと比較してヘプシジンの増加によって引き起こされる。一部の実施形態では、MF患者の骨髄における炎症性サイトカインの上方制御は、循環するヘプシジンの上方制御とも関連しており、FIDをもたらす。一部の実施形態では、MFでの貧血は、治療関連であり得る。一部の実施形態では、MF患者は、以前にJAK阻害剤(例えばルキソリチニブまたはフェドラチニブ)によって処置されている。一部の実施形態では、JAK阻害剤(例えばルキソリチニブまたはフェドラチニブ)を受ける患者は、MF関連貧血を発症する頻度が高い。JAK-STATシグナル伝達経路の阻害は、赤血球生成に必須であるエリスロポエチン媒介JAK2シグナル伝達の阻害をもたらす。一部の実施形態では、初発貧血は、JAK阻害剤(例えばルキソリチニブ(rubxilitinib))処置と関連する主な有害事象として同定されている(例えば、そのそれぞれの全内容が参照によって本明細書に組み込まれる、Verstovsek S, Kantarjian H, Mesa RA, et al. Safety and efficacy of INCB018424, a JAK1 and JAK2 inhibitor, in myelofibrosis. N Engl J Med. 2010;363(12):1117-1127;Verstovsek S, Mesa RA, Gotlib J, et al. A doubleblind, placebo-controlled trial of ruxolitinib for myelofibrosis. N Engl J Med. 2012;366(9):799-807;Parganas E, Wang D, Stravopodis D, et al. Jak2 is essential for signaling through a variety of cytokine receptors. Cell. 1998;93(3):385-395;Neubauer H, Cumano A, M¨ uller M, Wu H, Huffstadt U, Pfeffer K. Jak2 deficiency defines an essential developmental checkpoint in definitive hematopoiesis. Cell. 1998;93(3):397-409参照)。
【0166】
一部の実施形態では、対象は、骨髄増殖性腫瘍(MPN)と関連する全身症状または微小血管症状を有するかまたは有するリスクがある。一部の実施形態では、対象は、血栓塞栓性合併症または出血性合併症を有するかまたは有するリスクがある。一部の実施形態では、対象は、MPN急性転換期急性骨髄性白血病(AML)を有するかまたは有するリスクがある。一部の実施形態では、対象は、巨核球においてリボソーム病を示す。一部の実施形態では、対象は、特に巨核球においてGATA1発現の減少を示す。一部の実施形態では、対象は、巨核球の機能または成熟の欠損を示す。一部の実施形態では、対象は栄養性鉄欠乏症を有さない。一部の実施形態では、対象は、血小板減少症、貧血、および/または好中球減少症を示す。
【0167】
したがって、一部の実施形態では、本開示に従って処置を必要とする対象は、血液障害のための治療介入を以前に受けている。一部の実施形態では、対象は、1つまたはそれ以上の血液障害を処置するための外科的処置を以前に受けている。一部の実施形態では、対象は、脾臓摘出を以前に受けている。一部の実施形態では、対象は、1つまたはそれ以上の血液障害を処置する治療剤を以前に受けている。
【0168】
一部の実施形態では、対象は、免疫調節剤またはエリスロポエチン刺激剤、例えばダナゾール、プレドニゾン、サリドマイド、レナリドミド、またはポマリドミドを以前に受けている。
【0169】
一部の実施形態では、対象は、JAK-STAT経路阻害剤を以前に受けている、一部の実施形態では、JAK-STAT経路阻害剤は、JAK阻害剤またはSTAT阻害剤である。一部の実施形態では、JAK阻害剤は、サブタイプJAK1およびJAK2の1つまたは両方に選択的である(例えばJAK1/2阻害剤)。一部の実施形態では、STAT阻害剤は、STAT3阻害剤である。一部の実施形態では、JAK1/2またはSTAT3阻害剤は、ルキソリチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ、INCB039110、AG490、およびPpYLKTKからなる群から選択される。一部の実施形態では、対象は、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)、または前線維化期/初期原発性骨髄線維症(pre-MF)の処置としてJAK/STATアンタゴニストを受けた。一部の実施形態では、対象は、2~6週間JAK/STATアンタゴニストによる処置を受けた。一部の実施形態では、JAK-STAT経路阻害剤を受ける対象は貧血を有する。一部の実施形態では、JAK-STAT経路阻害剤を受ける対象における貧血は、JAK-STAT阻害剤によって寛解されない。一部の実施形態では、JAK-STAT経路阻害剤を受ける対象における貧血は、JAK-STAT阻害剤を受けない対象よりも重症である。
【0170】
一部の実施形態では、対象は、増殖因子リガンドトラップを以前に受けている。一部の実施形態では、増殖因子リガンドトラップは形質転換増殖因子ベータ(TGF-β)リガンドトラップである。一部の実施形態では、TGF-βリガンドトラップはソタテルセプトまたはラスパテルセプトである。一部の実施形態では、対象は、抗線維化剤を以前に受けている。一部の実施形態では、抗線維化剤はPRM-151である。
【0171】
一部の態様では、本開示は、低い全身鉄レベルによって特徴付けられる血液障害(例えばMF関連貧血)を有することが公知であるかまたは有する疑いがある対象を処置するための組成物および方法を提供する。一部の実施形態では、対象は、骨髄線維症および/または本明細書に他に記載される骨髄線維症の結果として生じる1つまたはそれ以上の状態を有する。一部の実施形態では、対象における貧血は赤血球輸血により対処される。一部の実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。「輸血依存性」は、先の12週間にわたり平均4週間あたり少なくとも2ユニットの濃厚赤血球が輸血される赤血球輸血頻度の患者を指し得る。輸血依存性患者は、先の12または24週間に連続4または6週間赤血球輸血を受けなくてもよい。一部の実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。「輸血非依存性」は、貧血である患者を指し得る(例えばHgbレベルが11g/dL以下、10g/dL以下、または9g/dL以下)。患者は、断続的に輸血されてもよく、貧血であり、輸血依存性または輸血非依存性のいずれの基準にも適合しない患者を意味する。一部の実施形態では、対象は、12週間にわたり複数回の輸血を受けている。一部の実施形態では、対象は、12週間に少なくとも4回のRBC輸血を受けている。一部の実施形態では、対象は、4、6、または8週間に2ユニットの濃縮赤血球の輸血を少なくとも1回受けており、一部の実施形態では、対象は、12週間にわたり少なくとも4、6、または8ユニットの濃縮赤血球の輸血も受けている。一部の実施形態では、対象は、少なくとも10%、少なくとも20%、、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上減らした輸血負荷を有し得る。一部の実施形態では、対象は輸血非依存性である(例えば12週間の赤血球輸血を繰り返さない)。一部の実施形態では、対象は貧血(例えばHgbレベルが10g/dL以下)であり、必要な時に輸血を受けるが、先の12週間濃縮赤血球の6ユニットより少ない。
【0172】
一部の態様では、本開示は、骨髄線維症関連貧血を処置するための組成物および方法に関する。本明細書に記載される任意の貧血状態は、本明細書に記載される1つまたはそれ以上の血液学的基準によって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、骨髄線維症関連貧血は、適切な診断閾値パラメーターに従って軽度から中程度の貧血または重度の貧血として特徴付けられ得る。例えば、一部の実施形態では、骨髄線維症関連貧血は、ヘモグロビン(Hgb)のレベルに基づいて特徴付けられ、貧血の重症度は、Hgbのレベルの減少に伴い増加する。一部の実施形態では、軽度から中程度の貧血は、少なくとも8g/dLおよび正常の下限値以下のHgbレベルと関連する(例えば、約8g/dLと約14g/dLの間、約8g/dLと約12g/dLの間、約8g/dLと約10g/dLの間、約10g/dLと約14g/dLの間、または約10g/dLと約12g/dLの間)。一部の実施形態では、重度の貧血は、約8g/dLまたはそれ以下のHgbレベルと関連する(例えば、約2g/dLと約8g/dLの間、約4g/dLと約8g/dLの間、約6g/dLと約8g/dLの間、約2g/dlと4g/dlの間、または約1.5g/dlから2g/dlの間)。一部の実施形態では、重度の貧血は、赤血球輸血依存性と関連する。一部の実施形態では、重度の貧血は、治療介入(例えば輸血依存性状態の治療回復)から生じる赤血球輸血非依存性と関連し、対象は、輸血非依存性を維持する進行中の治療処置に依存する。
【0173】
一部の実施形態では、骨髄線維症関連貧血は、フェリチンのレベルに基づいても特徴付けられる。フェリチンは、鉄を含有する血液タンパク質であり、そのレベルはどのくらいの鉄が体内に貯蔵されているかを示す。一部の実施形態では、対象は、正常範囲内またはそれ以上の血清フェリチンレベルを有する。フェリチンの正常範囲は、男性で24~336μg/L、女性で11~307μg/Lである。一部の実施形態では、対象は、100μg/Lより高い(例えば、約100μg/Lと約110μg/Lの間、約100μg/Lと約120μg/Lの間、約100μg/Lと約130μg/Lの間、約100μg/Lと約140μg/Lの間、約100μg/Lと約150μg/Lの間、約110μg/Lと約120μg/Lの間、約110μg/Lと約130μg/Lの間、約110μg/Lと約140μg/Lの間、約110μg/Lと約150μg/Lの間、約120μg/Lと約130μg/Lの間、約120μg/Lと約140μg/Lの間、約120μg/Lと約150μg/Lの間、約130μg/Lと約140μg/Lの間、約130μg/Lと約150μg/Lの間、約140μg/Lと約150μg/Lの間)、150μg/Lより高い(例えば約150μg/Lと約160μg/Lの間、約150μg/Lと約170μg/Lの間、約150μg/Lと約180μg/Lの間、約150μg/Lと約190μg/Lの間、約150μg/Lと約200μg/Lの間、約160μg/Lと約170μg/Lの間、約160μg/Lと約180μg/Lの間、約160μg/Lと約190μg/Lの間、約160μg/Lと約200μg/Lの間、約170μg/Lと約180μg/Lの間、約170μg/Lと約190μg/Lの間、約170μg/Lと約200μg/Lの間、約180μg/Lと約190μg/Lの間、約180μg/Lと約200μg/Lの間、約190μg/Lと約200μg/Lの間)、200μg/Lより高い(例えば約200μg/Lと約210μg/Lの間、約200μg/Lと約220μg/Lの間、約200μg/Lと約230μg/Lの間、約200μg/Lと約240μg/Lの間、約200μg/Lと約250μg/Lの間、約210μg/Lと約220μg/Lの間、約210μg/Lと約230μg/Lの間、約210μg/Lと約240μg/Lの間、約210μg/Lと約250μg/Lの間、約220μg/Lと約230μg/Lの間、約220μg/Lと約240μg/Lの間、約220μg/Lと約250μg/Lの間、約230μg/Lと約240μg/Lの間、約230μg/Lと約250μg/Lの間、約240μg/Lと約250μg/Lの間)、250μg/Lより高い(例えば約250μg/Lと約260μg/Lの間、約250μg/Lと約270μg/Lの間、約250μg/Lと約280μg/Lの間、約250μg/Lと約290μg/Lの間、約250μg/Lと約300μg/Lの間、約260μg/Lと約270μg/Lの間、約260μg/Lと約280μg/Lの間、約260μg/Lと約290μg/Lの間、約260μg/Lと約300μg/Lの間、約270μg/Lと約280μg/Lの間、約270μg/Lと約290μg/Lの間、約270μg/Lと約300μg/Lの間、約280μg/Lと約290μg/Lの間、約280μg/Lと約300μg/Lの間、約290μg/Lと約300μg/Lの間)、300μg/Lより高い(例えば約300μg/Lと約310μg/Lの間、約300μg/Lと約320μg/Lの間、約300μg/Lと約330μg/Lの間、約300μg/Lと約340μg/Lの間、約300μg/Lと約350μg/Lの間、約310μg/Lと約320μg/Lの間、約310μg/Lと約330μg/Lの間、約310μg/Lと約340μg/Lの間、約310μg/Lと約350μg/Lの間、約320μg/Lと約330μg/Lの間、約320μg/Lと約340μg/Lの間、約320μg/Lと約350μg/Lの間、約330μg/Lと約340μg/Lの間、約330μg/Lと約350μg/Lの間、約340μg/Lと約350μg/Lの間)、350μg/Lより高い(例えば約350μg/Lと約360μg/Lの間、約350μg/Lと約370μg/Lの間、約350μg/Lと約380μg/Lの間、約350μg/Lと約390μg/Lの間、約350μg/Lと約400μg/Lの間、約360μg/Lと約370μg/Lの間、約360μg/Lと約380μg/Lの間、約360μg/Lと約390μg/Lの間、約360μg/Lと約400μg/Lの間、約370μg/Lと約380μg/Lの間、約370μg/Lと約390μg/Lの間、約370μg/Lと約400μg/Lの間、約380μg/Lと約390μg/Lの間、約380μg/Lと約400μg/Lの間、約390μg/Lと約400μg/Lの間)、400μg/Lより高い(例えば約400μg/Lと約410μg/Lの間、約400μg/Lと約420μg/Lの間、約400μg/Lと約430μg/Lの間、約400μg/Lと約440μg/Lの間、約400μg/Lと約450μg/Lの間、約410μg/Lと約420μg/Lの間、約410μg/Lと約430μg/Lの間、約410μg/Lと約440μg/Lの間、約410μg/Lと約450μg/Lの間、約420μg/Lと約430μg/Lの間、約420μg/Lと約440μg/Lの間、約420μg/Lと約450μg/Lの間、約430μg/Lと約440μg/Lの間、約430μg/Lと約450μg/Lの間、約440μg/Lと約450μg/Lの間)、450μg/Lより高い(例えば約450μg/Lと約460μg/Lの間、約450μg/Lと約470μg/Lの間、約450μg/Lと約480μg/Lの間、約450μg/Lと約490μg/Lの間、約450μg/Lと約500μg/Lの間、約460μg/Lと約470μg/Lの間、約460μg/Lと約480μg/Lの間、約460μg/Lと約490μg/Lの間、約460μg/Lと約500μg/Lの間、約470μg/Lと約480μg/Lの間、約470μg/Lと約490μg/Lの間、約470μg/Lと約500μg/Lの間、約480μg/Lと約490μg/Lの間、約480μg/Lと約500μg/Lの間、約490μg/Lと約500μg/Lの間)、500μg/Lより高い(例えば約500μg/Lと約510μg/Lの間、約500μg/Lと約520μg/Lの間、約500μg/Lと約530μg/Lの間、約500μg/Lと約540μg/Lの間、約500μg/Lと約550μg/Lの間、約510μg/Lと約520μg/Lの間、約510μg/Lと約530μg/Lの間、約510μg/Lと約540μg/Lの間、約510μg/Lと約550μg/Lの間、約520μg/Lと約530μg/Lの間、約520μg/Lと約540μg/Lの間、約520μg/Lと約550μg/Lの間、約530μg/Lと約540μg/Lの間、約530μg/Lと約550μg/Lの間、約540μg/Lと約550μg/Lの間)、550μg/Lより高い(例えば約550μg/Lと約560μg/Lの間、約550μg/Lと約570μg/Lの間、約550μg/Lと約580μg/Lの間、約550μg/Lと約590μg/Lの間、約550μg/Lと約600μg/Lの間、約560μg/Lと約570μg/Lの間、約560μg/Lと約580μg/Lの間、約560μg/Lと約590μg/Lの間、約560μg/Lと約600μg/Lの間、約570μg/Lと約580μg/Lの間、約570μg/Lと約590μg/Lの間、約570μg/Lと約600μg/Lの間、約580μg/Lと約590μg/Lの間、約580μg/Lと約600μg/Lの間、約590μg/Lと約600μg/Lの間)、600μg/Lより高い(例えば約600μg/Lと約610μg/Lの間、約600μg/Lと約620μg/Lの間、約600μg/Lと約630μg/Lの間、約600μg/Lと約640μg/Lの間、約600μg/Lと約650μg/Lの間、約610μg/Lと約620μg/Lの間、約610μg/Lと約630μg/Lの間、約610μg/Lと約640μg/Lの間、約610μg/Lと約650μg/Lの間、約620μg/Lと約630μg/Lの間、約620μg/Lと約640μg/Lの間、約620μg/Lと約650μg/Lの間、約630μg/Lと約640μg/Lの間、約630μg/Lと約650μg/Lの間、約640μg/Lと約650μg/Lの間)、650μg/Lより高い(例えば約350μg/Lと約360μg/Lの間、約350μg/Lと約370μg/Lの間、約350μg/Lと約380μg/Lの間、約350μg/Lと約390μg/Lの間、約350μg/Lと約400μg/Lの間、約360μg/Lと約370μg/Lの間、約360μg/Lと約380μg/Lの間、約360μg/Lと約390μg/Lの間、約360μg/Lと約400μg/Lの間、約370μg/Lと約380μg/Lの間、約370μg/Lと約390μg/Lの間、約370μg/Lと約400μg/Lの間、約380μg/Lと約390μg/Lの間、約380μg/Lと約400μg/Lの間、約390μg/Lと約400μg/Lの間)、700μg/Lより高い(例えば約700μg/Lと約710μg/Lの間、約700μg/Lと約720μg/Lの間、約700μg/Lと約730μg/Lの間、約700μg/Lと約740μg/Lの間、約700μg/Lと約750μg/Lの間、約710μg/Lと約720μg/Lの間、約710μg/Lと約730μg/Lの間、約710μg/Lと約740μg/Lの間、約710μg/Lと約750μg/Lの間、約720μg/Lと約730μg/Lの間、約720μg/Lと約740μg/Lの間、約720μg/Lと約750μg/Lの間、約730μg/Lと約740μg/Lの間、約730μg/Lと約750μg/Lの間、約740μg/Lと約750μg/Lの間)、750μg/Lより高い(例えば約750μg/Lと約760μg/Lの間、約750μg/Lと約770μg/Lの間、約750μg/Lと約780μg/Lの間、約750μg/Lと約790μg/Lの間、約750μg/Lと約800μg/Lの間、約760μg/Lと約770μg/Lの間、約760μg/Lと約780μg/Lの間、約760μg/Lと約790μg/Lの間、約760μg/Lと約800μg/Lの間、約770μg/Lと約780μg/Lの間、約770μg/Lと約790μg/Lの間、約770μg/Lと約800μg/Lの間、約780μg/Lと約790μg/Lの間、約780μg/Lと約800μg/Lの間、約790μg/Lと約800μg/Lの間)、800μg/Lより高い(例えば約800μg/Lと約810μg/Lの間、約800μg/Lと約820μg/Lの間、約800μg/Lと約830μg/Lの間、約800μg/Lと約840μg/Lの間、約800μg/Lと約850μg/Lの間、約810μg/Lと約820μg/Lの間、約810μg/Lと約830μg/Lの間、約810μg/Lと約840μg/Lの間、約810μg/Lと約850μg/Lの間、約820μg/Lと約830μg/Lの間、約820μg/Lと約840μg/Lの間、約820μg/Lと約850μg/Lの間、約830μg/Lと約840μg/Lの間、約830μg/Lと約850μg/Lの間、約840μg/Lと約850μg/Lの間)、850μg/Lより高い(例えば約850μg/Lと約860μg/Lの間、約850μg/Lと約870μg/Lの間、約850μg/Lと約880μg/Lの間、約850μg/Lと約890μg/Lの間、約850μg/Lと約900μg/Lの間、約860μg/Lと約870μg/Lの間、約860μg/
Lと約880μg/Lの間、約860μg/Lと約890μg/Lの間、約860μg/Lと約800μg/Lの間、約870μg/Lと約880μg/Lの間、約870μg/Lと約890μg/Lの間、約870μg/Lと約900μg/Lの間、約880μg/Lと約890μg/Lの間、約880μg/Lと約900μg/Lの間、約890μg/Lと約900μg/Lの間)、900μg/Lより高い(例えば約900μg/Lと約910μg/Lの間、約900μg/Lと約920μg/Lの間、約900μg/Lと約930μg/Lの間、約900μg/Lと約940μg/Lの間、約900μg/Lと約950μg/Lの間、約910μg/Lと約920μg/Lの間、約910μg/Lと約930μg/Lの間、約910μg/Lと約940μg/Lの間、約910μg/Lと約950μg/Lの間、約920μg/Lと約930μg/Lの間、約920μg/Lと約940μg/Lの間、約920μg/Lと約950μg/Lの間、約930μg/Lと約940μg/Lの間、約930μg/Lと約950μg/Lの間、約940μg/Lと約950μg/Lの間)、950μg/Lより高い(例えば約950μg/Lと約960μg/Lの間、約950μg/Lと約970μg/Lの間、約950μg/Lと約380μg/Lの間、約950μg/Lと約990μg/Lの間、約950μg/Lと約1000μg/Lの間、約960μg/Lと約970μg/Lの間、約960μg/Lと約980μg/Lの間、約960μg/Lと約990μg/Lの間、約960μg/Lと約1000μg/Lの間、約970μg/Lと約980μg/Lの間、約970μg/Lと約990μg/Lの間、約970μg/Lと約1000μg/Lの間、約980μg/Lと約990μg/Lの間、約980μg/Lと約1000μg/Lの間、約990μg/Lと約1000μg/Lの間)、または1000μg/Lより高い(例えば約1000μg/Lと約1500μg/Lの間、約1000μg/Lと約2000μg/Lの間、約1000μg/Lと約2500μg/Lの間、約1000μg/Lと約3000μg/Lの間、約1000μg/Lと約4000μg/Lの間、約1000μg/Lと約5000μg/Lの間、約2000μg/Lと約3000μg/Lの間、約2000μg/Lと約4000μg/Lの間、約2000μg/Lと約5000μg/Lの間、約3000μg/Lと約4000μg/Lの間、約4000μg/Lと約5000μg/Lの間)血清フェリチンレベルを有する。一部の実施形態では、対象は、約100μg/Lと約1000μg/Lの間、約100μg/Lと約500μg/Lの間、約100μg/Lと約500μg/Lの間、約200μg/Lと約1000μg/Lの間、約200μg/Lと約500μg/Lの間、約300μg/Lと約1000μg/Lの間、約300μg/Lと約500μg/Lの間、約400μg/Lと約1000μg/Lの間、約400μg/Lと約500μg/Lの間の血清フェリチンレベルを有する。しかしながら、当然のことながら、他の好適なマーカー(例えばTSAT%、血清鉄レベル、総鉄結合能(TIBC)、ヘモグロビンレベル、肝臓鉄含量、網状赤血球ヘモグロビン含量、ヘプシジンレベル、IL-6レベル、クレアチニンレベル等)は、対象が本明細書に記載される処置の方法に好適であるかどうか決定するために評価され得る。
【0174】
一部の実施形態では、骨髄線維症関連貧血は、網状赤血球ヘモグロビン含量(RET-HeまたはCHr)に基づいて特徴付けられる。網状赤血球ヘモグロビン含量は、網状赤血球におけるヘモグロビンの量を測定する。CHrの正常範囲は、約28~36pg/細胞である。一部の実施形態では、対象は、正常範囲より低いCHrを有する。一部の実施形態では、対象は、36pg/mlより低い、35pg/mlより低い34pg/mlより低い、33pg/mlより低い、32pg/mlより低い、31pg/ml、30pg/ml、29pg/ml、28pg/mlより低い、27pg/mlより低い、26pg/mlより低い、25pg/mlより低い、24pg/mlより低い、23pg/mlより低い、21pg/mlより低い、20pg/mlより低い、19pg/mlより低い、18pg/mlより低い、17pg/mlより低い、16pg/mlより低い、15pg/mlより低い、14pg/mlより低い、13pg/mlより低い、12pg/mlより低い、11pg/mlより低い、10pg/mlより低い、9pg/mlより低い、8pg/mlより低い、7pg/mlより低い、6pg/mlより低い、5pg/mlより低い、4pg/mlより低い、3pg/mlより低い、2pg/mlより低い、または1pg/mlより低いCHrを有する。一部の実施形態では、対象は、約1pg/ml~約36pg/mlの間、約1pg/ml~約32pg/mlの間、約1pg/ml~約30pg/mlの間、約1pg/ml~約28pg/mlの間、約1pg/ml~約25pg/mlの間、約1pg/ml~約20pg/mlの間、約1pg/ml~約15pg/mlの間、約1pg/ml~約12pg/mlの間、約1pg/ml~約10pg/mlの間、約1pg/ml~約8pg/mlの間、約1pg/ml~約6pg/mlの間、約1pg/ml~約4pg/mlの間、約5pg/ml~約36pg/mlの間、約5pg/ml~約32pg/mlの間、約5pg/ml~約30pg/mlの間、約5pg/ml~約28pg/mlの間、約5pg/ml~約25pg/mlの間、約5pg/ml~約20pg/mlの間、約5pg/ml~約15pg/mlの間、約5pg/ml~約12pg/mlの間、約5pg/ml~約10pg/mlの間、約5pg/ml~約8pg/mlの間、約5pg/ml~約6pg/mlの間、約10pg/ml~約36pg/mlの間、約10pg/ml~約32pg/mlの間、約10pg/ml~約30pg/mlの間、約1pg/ml~約28pg/mlの間、約10pg/ml~約25pg/mlの間、約10pg/ml~約20pg/mlの間、約10pg/ml~約15pg/mlの間、約10pg/ml~約12pg/mlの間、約15pg/ml~約36pg/mlの間、約15pg/ml~約32pg/mlの間、約15pg/ml~約30pg/mlの間、約15pg/ml~約28pg/mlの間、約15pg/ml~約25pg/mlの間、約15pg/ml~約20pg/mlの間、約20pg/ml~約36pg/mlの間、約20pg/ml~約32pg/mlの間、約20pg/ml~約30pg/mlの間、約20pg/ml~約28pg/mlの間、約20pg/ml~約25pg/mlの間、約25pg/ml~約36pg/mlの間、約25pg/ml~約32pg/mlの間、約25pg/ml~約30pg/mlの間、約25pg/ml~約28pg/mlの間、約30pg/ml~約36pg/mlの間、約30pg/ml~約32pg/mlの間のCHrを有する。しかしながら、当然のことながら、他の好適なマーカー(例えばTSAT%、血清鉄レベル、総鉄結合能(TIBC)、フェリチンレベル、ヘモグロビンレベル、肝臓鉄含量、ヘプシジンレベル、IL-6レベル、クレアチニンレベル等)は、対象が本明細書に記載される処置の方法に好適であるかどうか決定するために評価され得る。
【0175】
一部の実施形態では、骨髄線維症関連貧血は、肝臓鉄レベルによって特徴付けられる。一部の実施形態では、肝臓鉄レベルの正常範囲は、男性で200~2400μg/g乾燥重量、女性で400~1600μg/g乾燥重量である。一部の実施形態では、対象は、正常よりも高い肝臓鉄レベルを有する。一部の実施形態では、患者は、200μg/g乾燥重量より高い(例えば、約200μg/g~約250μg/g乾燥重量の間、約200μg/g~約250μg/g乾燥重量の間、約200μg/g~約300μg/g乾燥重量の間、約220μg/g~約250μg/g乾燥重量の間、約220μg/g~約300μg/g乾燥重量の間、約250μg/g~約300μg/g乾燥重量の間、約260μg/g~約300μg/g乾燥重量の間、または約280μg/g~約300μg/g乾燥重量の間)、300μg/g乾燥重量より高い(例えば約300μg/g~320μg/g乾燥重量の間、約300μg/g~350μg/g乾燥重量の間、約300μg/g~400μg/g乾燥重量の間、約320μg/g~350μg/g乾燥重量の間、約320μg/g~400μg/g乾燥重量の間、約350μg/g~400μg/g乾燥重量の間、約360μg/g~400μg/g乾燥重量の間、または約380μg/g~400μg/g乾燥重量の間)、400μg/g乾燥重量より高い(例えば約400μg/g~420μg/g乾燥重量の間、約400μg/g~450μg/g乾燥重量の間、約400μg/g~500μg/g乾燥重量の間、約420μg/g~450μg/g乾燥重量の間、約420μg/g~500μg/g乾燥重量の間、約450μg/g~500μg/g乾燥重量の間、約460μg/g~500μg/g乾燥重量の間、または約480μg/g~500μg/g乾燥重量の間)、500μg/g乾燥重量より高い(例えば約500μg/g~520μg/g乾燥重量の間、約500μg/g~550μg/g乾燥重量の間、約500μg/g~600μg/g乾燥重量の間、約520μg/g~550μg/g乾燥重量の間、約520μg/g~600μg/g乾燥重量の間、約550μg/g~600μg/g乾燥重量の間、約560μg/g~600μg/g乾燥重量の間、または約580μg/g~600μg/g乾燥重量の間)、600μg/g乾燥重量より高い(例えば約600μg/g~620μg/g乾燥重量の間、約600μg/g~650μg/g乾燥重量の間、約600μg/g~700μg/g乾燥重量の間、約620μg/g~650μg/g乾燥重量の間、約620μg/g~700μg/g乾燥重量の間、約650μg/g~700μg/g乾燥重量の間、約660μg/g~700μg/g乾燥重量の間、または約680μg/g~700μg/g乾燥重量の間)、700μg/g乾燥重量より高い(例えば約700μg/g~720μg/g乾燥重量の間、約700μg/g~750μg/g乾燥重量の間、約700μg/g~800μg/g乾燥重量の間、約720μg/g~750μg/g乾燥重量の間、約720μg/g~800μg/g乾燥重量の間、約750μg/g~800μg/g乾燥重量の間、約760μg/g~800μg/g乾燥重量の間、または約780μg/g~800μg/g乾燥重量の間)、800μg/g乾燥重量より高い(例えば約800μg/g~820μg/g乾燥重量の間、約800μg/g~850μg/g乾燥重量の間、約800μg/g~900μg/g乾燥重量の間、約820μg/g~850μg/g乾燥重量の間、約820μg/g~900μg/g乾燥重量の間、約850μg/g~900μg/g乾燥重量の間、約860μg/g~900μg/g乾燥重量の間、または約880μg/g~900μg/g乾燥重量の間)、900μg/g乾燥重量より高い(例えば約900μg/g~920μg/g乾燥重量の間、約900μg/g~950μg/g乾燥重量の間、約900μg/g~1000μg/g乾燥重量の間、約920μg/g~950μg/g乾燥重量の間、約920μg/g~1000μg/g乾燥重量の間、約950μg/g~1000μg/g乾燥重量の間、約960μg/g~1000μg/g乾燥重量の間、または約980μg/g~1000μg/g乾燥重量の間)、1000μg/g乾燥重量より高い(例えば約1000μg/g~1200μg/g乾燥重量の間、約1000μg/g~1500μg/g乾燥重量の間、または約1200μg/g~1500μg/g乾燥重量の間)、1500μg/g乾燥重量より高い(例えば約1500μg/g~1800μg/g乾燥重量の間、約1500μg/g~2000μg/g乾燥重量の間、または約1800μg/g~2000μg/g乾燥重量の間)、2000μg/g乾燥重量より高い(例えば約2000μg/g~2200μg/g乾燥重量の間、約2000μg/g~2500μg/g乾燥重量の間、または約2200μg/g~2500μg/g乾燥重量の間)、2500μg/g乾燥重量より高い(例えば約2500μg/g~2800μg/g乾燥重量の間、約2500μg/g~3000μg/g乾燥重量の間、または約2800μg/g~3000μg/g乾燥重量の間)、3000μg/g乾燥重量より高い(例えば約3000μg/g~3200μg/g乾燥重量の間、約3000μg/g~3500μg/g乾燥重量の間、または約3200μg/g~3500μg/g乾燥重量の間)、3500μg/g乾燥重量より高い(例えば約3500μg/g~3800μg/g乾燥重量の間、約3500μg/g~4000μg/g乾燥重量の間、または約3800μg/g~4000μg/g乾燥重量の間)、4000μg/g乾燥重量より高い(例えば約4000μg/g~4200μg/g乾燥重量の間、約4000μg/g~4500μg/g乾燥重量の間、または約4200μg/g~4500μg/g乾燥重量の間)、4500μg/g乾燥重量より高い(例えば約4500μg/g~4800μg/g乾燥重量の間、約4500μg/g~5000μg/g乾燥重量の間、または約4800μg/g~5000μg/g乾燥重量の間)、5000μg/g乾燥重量より高い(例えば約5000μg/g~5200μg/g乾燥重量の間、約5000μg/g~5500μg/g乾燥重量の間、または約5200μg/g~5500μg/g乾燥重量の間)、5500μg/g乾燥重量より高い(例えば約5500μg/g~5800μg/g乾燥重量の間、約5500μg/g~6000μg/g乾燥重量の間、または約5800μg/g~6000μg/g乾燥重量の間)、6000μg/g乾燥重量より高い(例えば約6000μg/g~6200μg/g乾燥重量の間、約6000μg/g~6500μg/g乾燥重量の間、または約6200μg/g~6500μg/g乾燥重量の間)、6500μg/g乾燥重量より高い(例えば約6500μg/g~6800μg/g乾燥重量の間、約6500μg/g~7000μg/g乾燥重量の間、または約6800μg/g~7000μg/g乾燥重量の間)、7000μg/g乾燥重量より高い(例えば約7000μg/g~7200μg/g乾燥重量の間、約7000μg/g~7500μg/g乾燥重量の間、または約7200μg/g~7500μg/g乾燥重量の間)、7500μg/g乾燥重量より高い(例えば約7500μg/g~7800μg/g乾燥重量の間、約7500μg/g~8000μg/g乾燥重量の間、または約7800μg/g~8000μg/g乾燥重量の間)、8000μg/g乾燥重量より高い(例えば約8000μg/g~8200μg/g乾燥重量の間、約8000μg/g~8500μg/g乾燥重量の間、または約8200μg/g~8500μg/g乾燥重量の間)、8500μg/g乾燥重量より高い(例えば約8500μg/g~8800μg/g乾燥重量の間、約8500μg/g~9000μg/g乾燥重量の間、または約8800μg/g~9000μg/g乾燥重量の間)、9000μg/g乾燥重量より高い(例えば約9000μg/g~9200μg/g乾燥重量の間、約9000μg/g~9500μg/g乾燥重量の間、または約9200μg/g~9500μg/g乾燥重量の間)、9500μg/g乾燥重量より高い(例えば約9500μg/g~9800μg/g乾燥重量の間、約9000μg/g~10000μg/g乾燥重量の間、または約9800μg/g~10000μg/g乾燥重量の間)、または10000μg/g乾燥重量より高い(例えば約10000μg/g~15000μg/g乾燥重量の間、約10000μg/g~20000μg/g乾燥重量の間、または約10000μg/g~15000μg/g乾燥重量の間)肝臓鉄レベルを有する。一部の実施形態では、患者は、約200μg/gと約500μg/g乾燥重量の間、約200μg/gと約1000μg/g乾燥重量の間、約200μg/gと約2000μg/g乾燥重量の間、約200μg/gと約5000μg/g乾燥重量の間、約200μg/gと約8000μg/g乾燥重量の間、約200μg/gと約10000μg/g乾燥重量の間、約500μg/gと約1000μg/g乾燥重量の間、約500μg/gと約5000μg/g乾燥重量の間、約500μg/gと約10000μg/g乾燥重量の間、約1000μg/gと約2000μg/g乾燥重量の間、約1000μg/gと約5000μg/g乾燥重量の間、約1000μg/gと約10000μg/g乾燥重量の間、約5000μg/gと約8000μg/g乾燥重量の間、または約5000μg/gと約10000μg/g乾燥重量の間の肝臓鉄レベルを有する。しかしながら、当然のことながら、他の好適なマーカー(例えばTSAT%、血清鉄レベル、総鉄結合能(TIBC)、フェリチンレベル、ヘモグロビンレベル、網状赤血球ヘモグロビン含量、ヘプシジンレベル、IL-6レベル、クレアチニンレベル等)は、対象が本明細書に記載される処置の方法に好適であるかどうか決定するために評価され得る。
【0176】
一部の実施形態では、骨髄線維症関連貧血は、低い血清鉄レベルによっても特徴付けられる。一部の実施形態では、血清鉄レベルの正常範囲は、男性で50~150μg/dL、女性で35~145μg/dL乾燥重量である。一部の実施形態では、対象は、正常よりも低い血清鉄レベルを有する。一部の実施形態では、対象は、150μg/dLより低い、140μg/Lより低い、130μg/Lより低い、120μg/dLより低い、110μg/dLより低い、100μg/dLより低い、90μg/dLより低い、80μg/dLより低い、70μg/dLより低い、60μg/dLより低い、50μg/dLより低い、45μg/dLより低い、40μg/dLより低い、35μg/dLより低い、30μg/dLより低い、25μg/dLより低い、20μg/dLより低い、15μg/Lより低い、10μg/Lより低い、または5μg/Lより低い血清鉄レベルを有する。一部の実施形態では、対象は、約1μg/dLと約150μg/dLの間、約5μg/dLと約150μg/dLの間、約10μg/dLと約150μg/dLの間、約20μg/dLと約150μg/dLの間、約50μg/dLと約150μg/dLの間、約80μg/dLと約150μg/dLの間、約100μg/dLと約150μg/dLの間、約120μg/dLと約150μg/dLの間、約1μg/dLと約120μg/dLの間、約5μg/dLと約120μg/dLの間、約10μg/dLと約120μg/dLの間、約20μg/dLと約120μg/dLの間、約50μg/dLと約120μg/dLの間、約80μg/dLと約120μg/dLの間、約120μg/dLと約120μg/dLの間、約1μg/dLと約100μg/dLの間、約5μg/dLと約100μg/dLの間、約10μg/dLと約100μg/dLの間、約20μg/dLと約100μg/dLの間、約50μg/dLと約100μg/dLの間、約80μg/dLと約100μg/dLの間、約1μg/dLと約80μg/dLの間、約5μg/dLと約80μg/dLの間、約10μg/dLと約80μg/dLの間、約20μg/dLと約80μg/dLの間、約50μg/dLと約80μg/dLの間、約1μg/dLと約50μg/dLの間、約5μg/dLと約50μg/dLの間、約10μg/dLと約50μg/dLの間、約20μg/dLと約50μg/dLの間、約25μg/dLと約50μg/dLの間、約30μg/dLと約50μg/dLの間、約1μg/dLと約25μg/dLの間、約5μg/dLと約25μg/dLの間、約10μg/dLと約25μg/dLの間、約10μg/dLと約20μg/dLの間、約10μg/dLと約15μg/dLの間、約1μg/dLと約20μg/dLの間、約5μg/dLと約18μg/dLの間、約10μg/dLと約16μg/dLの間、約1μg/dLと約15μg/dLの間、約5μg/dLと約12μg/dLの間、約10μg/dLと約12μg/dLの間、約1μg/dLと約10μg/dLの間、約1μg/dLと約8μg/dLの間、約1μg/dLと約5μg/dLの間、または約1μg/dLと約3μg/dLの間の血清鉄レベルを有する。しかしながら、当然のことながら、他の好適なマーカー(例えばTSAT%、総鉄結合能(TIBC)、フェリチンレベル、ヘモグロビンレベル、肝臓鉄含量、網状赤血球ヘモグロビン含量、ヘプシジンレベル、IL-6レベル、クレアチニンレベル等)は、対象が本明細書に記載される処置の方法に好適であるかどうか決定するために評価され得る。
【0177】
一部の実施形態では、骨髄線維症関連貧血は、低い総鉄結合能(TIBC)によって特徴付けられる。一部の実施形態では、TIBCの正常範囲は250~400μg/dLである。一部の実施形態では、対象は、正常より低いTIBCを有する。一部の実施形態では、対象は、400μg/dLより低い、350μg/dLより低い、300μg/dLより低い、250μg/dLより低い、200μg/dLより低い、150μg/dLより低い、100μg/dLより低い、90μg/dLより低い、80μg/dLより低い、70μg/dLより低い、60μg/dLより低い、50μg/dLより低い、40μg/dLより低い、30μg/dLより低い、20μg/dLより低い、または10μg/dLより低いTIBCを有する。一部の実施形態では、対象は、約1μg/dLと約400μg/dLの間、約1μg/dLと約300μg/dLの間、約1μg/dLと約200μg/dLの間、約1μg/dLと約100μg/dLの間、約1μg/dLと約50μg/dLの間、約1μg/dLと約25μg/dLの間、約1μg/dLと約10μg/dLの間、約1μg/dLと約5μg/dLの間、約5μg/dLと約400μg/dLの間、約5μg/dLと約300μg/dLの間、約5μg/dLと約200μg/dLの間、約5μg/dLと約100μg/dLの間、約5μg/dLと約50μg/dLの間、約5μg/dLと約25μg/dLの間、約5μg/dLと約10μg/dLの間、約10μg/dLと約400μg/dLの間、約10μg/dLと約300μg/dLの間、約10μg/dLと約200μg/dLの間、約10μg/dLと約100μg/dLの間、約10μg/dLと約50μg/dLの間、約10μg/dLと約25μg/dLの間、約25μg/dLと約400μg/dLの間、約25μg/dLと約300μg/dLの間、約25μg/dLと約200μg/dLの間、約25μg/dLと約100μg/dLの間、約25μg/dLと約50μg/dLの間、約50μg/dLと約400μg/dLの間、約50μg/dLと約300μg/dLの間、約50μg/dLと約200μg/dLの間、約50μg/dLと約100μg/dLの間、約100μg/dLと約400μg/dLの間、約100μg/dLと約300μg/dLの間、約100μg/dLと約200μg/dLの間、約100μg/dLと約150μg/dLの間、約100μg/dLと約250μg/dLの間、約100μg/dLと約350μg/dLの間、約200μg/dLと約250μg/dLの間、約200μg/dLと約300μg/dLの間、約200μg/dLと約350μg/dLの間、約200μg/dLと約400μg/dLの間、約300μg/dLと約350μg/dLの間、または約350μg/dLと約450μg/dLの間のTIBCを有する。しかしながら、当然のことながら、他の好適なマーカー(例えばTSAT%、血清鉄レベル、フェリチンレベル、ヘモグロビンレベル、肝臓鉄含量、網状赤血球ヘモグロビン含量、ヘプシジンレベル、IL-6レベル、クレアチニンレベル等)は、対象が本明細書に記載される処置の方法に好適であるかどうか決定するために評価され得る。
【0178】
一部の実施形態では、骨髄線維症関連貧血は、トランスフェリン飽和レベル(TSAT%)に基づいて特徴付けられる。一部の実施形態では、TSATの正常範囲は約20%~50%である。一部の実施形態では、20%より低いトランスフェリン飽和は鉄欠乏症を示すが、一部の実施形態では、50%より高いトランスフェリン飽和は鉄過剰症を示す。一部の実施形態では、対象は、100%より低い、90%より低い、80%より低い、70%より低い、60%より低い、50%より低い、40%より低い、30%より低い、20%より低い、10%より低いTSAT%を有する。一部の場合では、対象のTSAT%が70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上である場合、ヘプシジンアンタゴニストによる進行中の処置は停止されるかまたは一時的に停止され、例えば鉄過剰症を防止する。一部の実施形態では、対象は、5%~10%の間、5%~20%の間、5%~30%の間、5%~40%の間、5%~50%の間、5%~60%の間、5%~70%の間、8%~10%の間、8%~20%の間、8%~30%の間、8%~40%の間、8%~50%の間、8%~60%の間、8%~70%の間、10%~15%の間、10%~20%の間、10%~30%の間、10%~40%の間、10%~50%の間、10%~60%の間、10%~70%の間、15%~20%の間、15%~25%の間、15%~30%の間、15%~40%の間、15%~50%の間、15%~60%の間、15%~70%の間、20%~25%の間、20%~30%の間、20%~33%の間、20%~40%の間、20%~50%の間、20%~60%の間、20%~70%の間、25%~30%の間、25%~35%の間、25%~40%の間、25%~50%の間、25%~60%の間、25%~70%の間、30%~40%の間、30%~50%の間、30%~55%の間、30%~60%の間、30%~70%の間、35%~40%の間、35%~50%の間、35%~55%の間、35%~60%の間、35%~70%の間、40%~50%の間、40%~55%の間、40%~60%の間、40%~70%の間、50%~55%の間、50%~60%の間、または50%~70%の間のTSAT%を有する。他の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストの投与は、対象のTSAT%が95%以下、90%以下、80%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、または30%以下で実施され得る。したがって、一部の実施形態では、患者が、例えば貧血のため、医師の処置を受けているかまたは看護下にある間、対象のTSAT%は、例えば継続的にまたは定期的にモニターされ、鉄過剰症を防止するかまたはさらなる処置が適切であるか評価することができる。しかしながら、当然のことながら、他の好適なマーカー(例えば血清鉄レベル、総鉄結合能(TIBC)、フェリチンレベル、ヘモグロビンレベル、肝臓鉄含量、網状赤血球ヘモグロビン含量、ヘプシジンレベル、IL-6レベル、クレアチニンレベル等)は、対象が本明細書に記載される処置の方法に好適であるかどうか決定するために評価され得る。
【0179】
一部の実施形態では、骨髄線維症関連貧血は、高い血清ヘプシジンレベルによっても特徴付けられる。一部の実施形態では、ヘプシジンの正常範囲は1~55ng/mlである。一部の実施形態では、対象は、正常よりも高い血清ヘプシジンレベルを有する。一部の実施形態では、対象は、55ng/mlより高い、55ng/mlより高い、60ng/mlより高い、65ng/mlより高い、70ng/mlより高い、75ng/mlより高い、80ng/mlより高い、85ng/mlより高い、90ng/mlより高い、95ng/mlより高い、100ng/mlより高い、150ng/mlより高い、200ng/mlより高い、250ng/mlより高い、300ng/mlより高い、350ng/mlより高い、400ng/mlより高い、450ng/mlより高い、または500ng/mlより高い血清ヘプシジンレベルを有する。一部の実施形態では、対象は、約55ng/mlと約1000ng/mlの間、約55ng/mlと約800ng/mlの間、約55ng/mlと約600ng/mlの間、約55ng/mlと約500ng/mlの間、約55ng/mlと約400ng/mlの間、約55ng/mlと約300ng/mlの間、約55ng/mlと約250ng/mlの間、約55ng/mlと約300ng/mlの間、約55ng/mlと約200ng/mlの間、約55ng/mlと約250ng/mlの間、約55ng/mlと約200ng/mlの間、約55ng/mlと約150ng/mlの間、約55ng/mlと約100ng/mlの間、約55ng/mlと約80ng/mlの間、約55ng/mlと約75ng/mlの間、約100ng/mlと約1000ng/mlの間、約100ng/mlと約800ng/mlの間、約100ng/mlと約600ng/mlの間、約100ng/mlと約500ng/mlの間、約100ng/mlと約400ng/mlの間、約100ng/mlと約300ng/mlの間、約100ng/mlと約250ng/mlの間、約100ng/mlと約300ng/mlの間、約100ng/mlと約200ng/mlの間、約100ng/mlと約250ng/mlの間、約100ng/mlと約200ng/mlの間、約100ng/mlと約150ng/mlの間、約100ng/mlと約125ng/mlの間、約200ng/mlと約1000ng/mlの間、約200ng/mlと約800ng/mlの間、約200ng/mlと約600ng/mlの間、約200ng/mlと約500ng/mlの間、約200ng/mlと約400ng/mlの間、約200ng/mlと約300ng/mlの間、約200ng/mlと約250ng/mlの間、約300ng/mlと約1000ng/mlの間、約300ng/mlと約800ng/mlの間、約300ng/mlと約600ng/mlの間、約300ng/mlと約500ng/mlの間、約300ng/mlと約400ng/mlの間、約300ng/mlと約350ng/mlの間、約400ng/mlと約1000ng/mlの間、約400ng/mlと約800ng/mlの間、約400ng/mlと約600ng/mlの間、約400ng/mlと約500ng/mlの間、約400ng/mlと約450ng/mlの間、約800ng/mlと約1000ng/mlの間、約800ng/mlと約900ng/mlの間、約800ng/mlと約850ng/mlの間、約900ng/mlと約1000ng/mlの間、または約900ng/mlと約950ng/mlの間の血清ヘプシジンレベルを有する。しかしながら、当然のことながら、他の好適なマーカー(例えば血清鉄レベル、総鉄結合能(TIBC)、フェリチンレベル、ヘモグロビンレベル、肝臓鉄含量、網状赤血球ヘモグロビン含量、IL-6レベル、クレアチニンレベル等)は、対象が本明細書に記載される処置の方法に好適であるかどうか決定するために評価され得る。
【0180】
一部の実施形態では、骨髄線維症関連貧血は、高い血清クレアチニンレベルによって特徴付けられる。一部の実施形態では、血清クレアチニンの正常範囲は、約0.84~1.21mg/dLである。一部の実施形態では、対象は、正常よりも高い血清クレアチニンレベルを有する。一部の実施形態では、対象は、1mg/dLより高い、1.5mg/dLより高い、2mg/dLより高い、2.5mg/dLより高い、3mg/dLより高い、3.5mg/dLより高い、4mg/dLより高い、4.5mg/dLより高い、5mg/dLより高い、5.5mg/dLより高い、6mg/dLより高い、6.5mg/dLより高い、7mg/dLより高い、7.5mg/dLより高い、8mg/dLより高い、8.5mg/dLより高い、9mg/dLより高い、9.5mg/dLより高い、10mg/dLより高い、15mg/dLより高い、20mg/dLより高い、30mg/dLより高い、40mg/dLより高い、50mg/dLより高い、60mg/dLより高い、70mg/dLより高い、80mg/dLより高い、90mg/dLより高い、または100mg/dLより高い血清クレアチニンレベルを有する。一部の実施形態では、対象は、約1mg/dlと約200mg/dLの間、1mg/dlと約175mg/dLの間、1mg/dlと約150mg/dLの間、1mg/dlと約100mg/dLの間、1mg/dlと約50mg/dLの間、1mg/dlと約25mg/dLの間、1mg/dlと約10mg/dLの間、1mg/dlと約5mg/dLの間、1mg/dlと約2mg/dLの間、約5mg/dlと約200mg/dLの間、5mg/dlと約175mg/dLの間、5mg/dlと約150mg/dLの間、5mg/dlと約100mg/dLの間、5mg/dlと約50mg/dLの間、5mg/dlと約25mg/dLの間、5mg/dlと約10mg/dLの間、約10mg/dlと約200mg/dLの間、10mg/dlと約175mg/dLの間、10mg/dlと約150mg/dLの間、10mg/dlと約100mg/dLの間、10mg/dlと約50mg/dLの間、10mg/dlと約25mg/dLの間、10mg/dlと約20mg/dLの間、10mg/dlと約25mg/dLの間、約20mg/dlと約200mg/dLの間、20mg/dlと約175mg/dLの間、20mg/dlと約150mg/dLの間、20mg/dlと約100mg/dLの間、20mg/dlと約50mg/dLの間、20mg/dlと約25mg/dLの間、約50mg/dlと約200mg/dLの間、50mg/dlと約175mg/dLの間、50mg/dlと約150mg/dLの間、50mg/dlと約100mg/dLの間、50mg/dlと約75mg/dLの間、約100mg/dlと約200mg/dLの間、100mg/dlと約175mg/dLの間、100mg/dlと約150mg/dLの間、または100mg/dlと約125mg/dLの間の血清クレアチニンレベルを有する。しかしながら、当然のことながら、他の好適なマーカー(例えば血清鉄レベル、総鉄結合能(TIBC)、フェリチンレベル、ヘモグロビンレベル、肝臓鉄含量、網状赤血球ヘモグロビン含量等)は、対象が本明細書に記載される処置の方法に好適であるかどうか決定するために評価され得る。
【0181】
一部の実施形態では、骨髄線維症関連貧血は、高い血清IL-6レベルによっても特徴付けられる。IL-6の正常範囲は、1.8pg/ml以下である。一部の実施形態では、対象は、正常よりも高い血清IL-6レベルを有する。一部の実施形態では、対象は、0.5pg/mlより高い、0.6pg/mlより高い、0.7pg/mlより高い、0.8pg/mlより高い、0.9pg/mlより高い、1pg/mlより高い、1.1pg/mlより高い、1.2pg/mlより高い、1.3pg/mlより高い、1.4pg/mlより高い、1.5pg/mlより高い、1.6pg/mlより高い、1.7pg/mlより高い、1.8pg/mlより高い、2pg/mlより高い、3pg/mlより高い、4pg/mlより高い、5pg/mlより高い、6pg/mlより高い、7pg/mlより高い、8pg/mlより高い、9pg/mlより高い、10pg/mlより高い、20pg/mlより高い、30pg/mlより高い、40pg/mlより高い、50pg/mlより高い、60pg/mlより高い、70pg/mlより高い、80pg/mlより高い、90pg/mlより高い、100pg/mlより高い、200pg/mlより高い、300pg/mlより高い、400pg/mlより高い、500pg/mlより高い、600pg/mlより高い、700pg/mlより高い、800pg/mlより高い、900pg/mlより高い、または1000pg/mlより高い血清IL-6レベルを有する。一部の実施形態では、対象は、約0.5pg/mlと約1500pg/mlの間、約0.5pg/mlと約1000pg/mlの間、約0.5pg/mlと約800pg/mlの間、約0.5pg/mlと約750pg/mlの間、約0.5pg/mlと約500pg/mlの間、約0.5pg/mlと約250pg/mlの間、約0.5pg/mlと約200pg/mlの間、約0.5pg/mlと約150pg/mlの間、約0.5pg/mlと約100pg/mlの間、約0.5pg/mlと約50pg/mlの間、約0.5pg/mlと約25pg/mlの間、約0.5pg/mlと約10pg/mlの間、約0.5pg/mlと約5pg/mlの間、約0.5pg/mlと約2.5pg/mlの間、約0.5pg/mlと約1pg/mlの間、約1pg/mlと約1500pg/mlの間、約1pg/mlと約1000pg/mlの間、約1pg/mlと約800pg/mlの間、約1pg/mlと約750pg/mlの間、約1pg/mlと約500pg/mlの間、約1pg/mlと約250pg/mlの間、約1pg/mlと約200pg/mlの間、約1pg/mlと約150pg/mlの間、約1pg/mlと約100pg/mlの間、約1pg/mlと約50pg/mlの間、約1pg/mlと約25pg/mlの間、約1pg/mlと約10pg/mlの間、約1pg/mlと約5pg/mlの間、約1pg/mlと約2.5pg/mlの間、約1pg/mlと約2pg/mlの間、約1.2pg/mlと約2pg/mlの間、約1.5pg/mlと約2pg/mlの間、約1.2pg/mlと約1.8pg/mlの間、約2pg/mlと約1500pg/mlの間、約2pg/mlと約1000pg/mlの間、約2pg/mlと約800pg/mlの間、約2pg/mlと約750pg/mlの間、約2pg/mlと約500pg/mlの間、約2pg/mlと約250pg/mlの間、約2pg/mlと約200pg/mlの間、約2pg/mlと約150pg/mlの間、約2pg/mlと約100pg/mlの間、約2pg/mlと約50pg/mlの間、約2pg/mlと約25pg/mlの間、約2pg/mlと約10pg/mlの間、約2pg/mlと約5pg/mlの間、約2pg/mlと約3pg/mlの間、約2pg/mlと約4pg/mlの間、約2pg/mlと約2.5pg/mlの間、約5pg/mlと約1500pg/mlの間、約5pg/mlと約1000pg/mlの間、約5pg/mlと約800pg/mlの間、約5pg/mlと約750pg/mlの間、約5pg/mlと約500pg/mlの間、約5pg/mlと約250pg/mlの間、約5pg/mlと約200pg/mlの間、約5pg/mlと約150pg/mlの間、約5pg/mlと約100pg/mlの間、約5pg/mlと約50pg/mlの間、約5pg/mlと約25pg/mlの間、約5pg/mlと約10pg/mlの間、約5pg/mlと約7.5pg/mlの間、約5pg/mlと約15pg/mlの間、約5pg/mlと約20pg/mlの間、約10pg/mlと約1500pg/mlの間、約10pg/mlと約1000pg/mlの間、約10pg/mlと約800pg/mlの間、約10pg/mlと約750pg/mlの間、約10pg/mlと約500pg/mlの間、約10pg/mlと約250pg/mlの間、約10pg/mlと約200pg/mlの間、約10pg/mlと約150pg/mlの間、約10pg/mlと約100pg/mlの間、約10pg/mlと約50pg/mlの間、約10pg/mlと約25pg/mlの間、約10pg/mlと約15pg/mlの間、約20pg/mlと約1500pg/mlの間、約20pg/mlと約1000pg/mlの間、約20pg/mlと約800pg/mlの間、約20pg/mlと約750pg/mlの間、約20pg/mlと約500pg/mlの間、約20pg/mlと約250pg/mlの間、約20pg/mlと約200pg/mlの間、約20pg/mlと約150pg/mlの間、約20pg/mlと約100pg/mlの間、約20pg/mlと約50pg/mlの間、約20pg/mlと約25pg/mlの間、約30pg/mlと約1500pg/mlの間、約30pg/mlと約1000pg/mlの間、約30pg/mlと約800pg/mlの間、約30pg/mlと約750pg/mlの間、約30pg/mlと約500pg/mlの間、約30pg/mlと約250pg/mlの間、約30pg/mlと約200pg/mlの間、約30pg/mlと約150pg/mlの間、約30pg/mlと約100pg/mlの間、約30pg/mlと約50pg/mlの間、約30pg/mlと約45pg/mlの間、約30pg/mlと約45pg/mlの間、約50pg/mlと約1500pg/mlの間、約50pg/mlと約1000pg/mlの間、約50pg/mlと約800pg/mlの間、約50pg/mlと約750pg/mlの間、約50pg/mlと約500pg/mlの間、約50pg/mlと約250pg/mlの間、約50pg/mlと約200pg/mlの間、約50pg/mlと約150pg/mlの間、約50pg/mlと約100pg/mlの間、約50pg/mlと約75pg/mlの間、約100pg/mlと約1500pg/mlの間、約100pg/mlと約1000pg/mlの間、約100pg/mlと約800pg/mlの間、約100pg/mlと約750pg/mlの間、約100pg/mlと約500pg/mlの間、約100pg/mlと約250pg/mlの間、約100pg/mlと約200pg/mlの間、約100pg/mlと約150pg/mlの間、約100pg/mlと約125pg/mlの間、約500pg/mlと約1500pg/mlの間、約500pg/mlと約1000pg/mlの間、約500pg/mlと約800pg/mlの間、約500pg/mlと約750pg/mlの間、約1000pg/mlと約1500pg/mlの間、または約1000pg/mlと約1250pg/mlの間の血清IL-6レベルを有する。しかしながら、当然のことながら、他の好適なマーカー(例えば血清鉄レベル、総鉄結合能(TIBC)、フェリチンレベル、ヘモグロビンレベル、肝臓鉄含量、網状赤血球ヘモグロビン含量、クレアチニンレベル等)は、対象が本明細書に記載される処置の方法に好適であるかどうか決定するために評価され得る。
【0182】
一部の実施形態では、本開示に従って処置を必要とする対象は、血液障害のためのいずれの治療処置も受けていない。一部の実施形態では、必要とする対象は、MF関連貧血を本明細書に記載される任意のヘプシジンアンタゴニストによって処置される。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストはヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストである。一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストはBMPアンタゴニストである。一部の実施形態では、BMPアンタゴニストは、BMP2、BMP4、BMP5またはBMP6アンタゴニストである。一部の実施形態では、BMPアンタゴニストはBMP6アンタゴニストである。一部の実施形態では、ヘモジュベリン誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストはBMP6中和抗体である。一部の実施形態では、BMP6中和抗体は、LY311359、CSJ137、またはKY1070である。
【0183】
一部の実施形態では、本開示に従って処置を必要とする対象は、SST0001、RO-82、RO-68、NAc-91、およびNacRO-00から選択される修飾ヘパリンによって処置される。
【0184】
一部の実施形態では、本開示に従って処置を必要とする対象は、ヘモジュベリン(HJV)アンタゴニストによって処置される。一部の実施形態では、HJVアンタゴニストは抗HJV抗体(例えば表1または表2に記載される任意の抗HJV抗体)である。一部の実施形態では、HJVアンタゴニストはHJV-35202である。一部の実施形態では、HJVアンタゴニストは可溶性HJVである。一部の実施形態では、可溶性HJVは可溶性ヘモジュベリン-Fc融合タンパク質である。一部の実施形態では、可溶性HJV-Fc融合タンパク質はFMX8である。一部の実施形態では、HJVアンタゴニストは、本明細書に記載される任意の他のHJVアンタゴニストである。
【0185】
一部の実施形態では、本開示に従って処置を必要とする対象は、BMP受容体アンタゴニストによって処置される。一部の実施形態では、BMP受容体アンタゴニストはBMP I型受容体アンタゴニストである。一部の実施形態では、BMP I型受容体アンタゴニストはALK2アンタゴニストである。一部の実施形態では、ALK2アンタゴニストはKER-047またはBLU-782である。一部の実施形態では、ALK2阻害剤は、参照分子(例えばJAK1/2)と比較してその標的分子(例えばALK2)を選択的に阻害する。一部の実施形態では、参照分子はJAK2である。一部の実施形態では、ALK2阻害剤はモメロチニブではない。一部の実施形態では、ALK2アンタゴニストは本明細書に記載される任意のALK2アンタゴニストである。一部の実施形態では、ALK2阻害剤は選択的ALK2阻害剤ではない。一部の実施形態では、ALK2阻害剤は、他の標的分子(例えばJAK1/2)も阻害する。一部の実施形態では、ALK2阻害剤はモメロチニブである。一部の実施形態では、BMP受容体アンタゴニストはBMP II型受容体アンタゴニストである。一部の実施形態では、BMP II型受容体アンタゴニストはActRIIAまたはActRIIBアンタゴニストである。一部の実施形態では、ActRIIAまたはActRIIBアンタゴニストはGDFリガンドトラップである。一部の実施形態では、GDFリガンドトラップはソタテルセプト、またはラスパテルセプトである。一部の実施形態では、BMP受容体アンタゴニストは、本明細書に記載される任意のBMP受容体アンタゴニストである。
【0186】
一部の実施形態では、本開示に従って処置を必要とする対象は、組換えSMAD6またはSMAD7によって処置される。一部の実施形態では、本開示に従って処置を必要とする対象は、SMAD1、SMAD4、SMAD5および/またはSMAD8を標的化するアンタゴニスト(例えば、SMAD1、SMAD4、SMAD5および/またはSMAD8を標的化する細胞内抗体または阻害性核酸)によって処置される。
【0187】
一部の実施形態では、本開示に従って処置を必要とする対象は、ヘプシジン中和剤によって処置される。一部の実施形態では、ヘプシジン中和剤は、ヘプシジンに結合し、中和する、PEG化L-立体異性体RNAアプタマーであるNOX-94である。一部の実施形態では、ヘプシジン中和剤は、ヘプシジンに対するアンチカリンであるPRS-080である。一部の実施形態では、ヘプシジン中和剤は、ヘプシジンを標的化するモノクローナル抗体であるLY2787106である。一部の実施形態では、ヘプシジン中和剤は本明細書に記載される任意のヘプシジン中和剤である。
【0188】
一部の実施形態では、本開示に従って処置を必要とする対象は、血液障害のための治療処置を受け続ける。したがって、本開示は、一部の態様では、それを必要とする対象に投与することにより、骨髄線維症および/または骨髄線維症の結果として生じる1つまたはそれ以上の状態を処置するための組成物および方法を提供する。一部の実施形態では、対象は、1つまたはそれ以上の追加の治療剤(例えばJAK-STAT阻害剤、GDFトラップ、BET阻害剤または免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤)と組み合わせて本明細書に記載されるヘプシジンアンタゴニストを投与される。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の追加の治療剤(例えばJAK-STAT阻害剤、GDFトラップ、BET阻害剤または免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤)との併用療法で使用されるヘプシジンアンタゴニストは、HJV誘導BMPシグナル伝達経路アンタゴニスト、例えばBMPアンタゴニスト(例えばBMP6アンタゴニストまたは修飾ヘパリン)、BMP受容体アンタゴニスト(例えばALK2アンタゴニスト)、HJVアンタゴニスト(例えば抗HJV抗体または可溶性HJV.Fc融合タンパク質などの可溶性HJV)、またはヘプシジン中和剤(例えば抗ヘプシジン抗体、ヘプシジンを標的化するアンチカリン、またはヘプシジンを標的化する阻害性核酸)である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるヘプシジンアンタゴニストの投与は、赤血球生成のための生体利用可能な鉄のレベルの増加をもたらす。
【0189】
一部の実施形態では、対象は、免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤(例えばダナゾール、プレドニゾン、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド)またはEPOと組み合わせてヘプシジンアンタゴニスト[例えば、BMPアンタゴニスト(例えばBMP6アンタゴニストまたは修飾ヘパリン)、BMP受容体アンタゴニスト(例えばALK2アンタゴニスト)、HJVアンタゴニスト(例えば抗HJV抗体または可溶性HJV.Fc融合タンパク質などの可溶性HJV)、またはヘプシジン中和剤(例えば抗ヘプシジン抗体、ヘプシジンを標的化するアンチカリン、またはヘプシジンを標的化する阻害性核酸)などのHJV誘導BMPシグナル伝達経路アンタゴニスト]を投与される。一部の実施形態では、免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤(例えばダナゾール、プレドニゾン、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド)またはEPOは、HJV誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストと組み合わせて投与される。一部の実施形態では、免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤(例えばダナゾール、プレドニゾン、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド)またはEPOは、BMPアンタゴニスト(例えば本明細書に記載されるBMP6アンタゴニスト)と組み合わされる。一部の実施形態では、免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤(例えばダナゾール、プレドニゾン、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド)またはEPOは、HJVアンタゴニスト(例えば抗HJV抗体または可溶性HJV.Fc融合タンパク質などのHJVアンタゴニスト)と組み合わされる。一部の実施形態では、免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤(例えばダナゾール、プレドニゾン、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド)またはEPOは、本明細書に記載される抗HJV抗体(例えば、表1または表2に列挙した任意の抗HJV抗体)と組み合わされる。一部の実施形態では、HJV-Fc融合タンパク質はFMX8である。一部の実施形態では、免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤(例えばダナゾール、プレドニゾン、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド)またはEPOは、BMP受容体アンタゴニスト(例えば、本明細書に記載されるINCB000928、KER-047もしくはBLU-782などのALK2阻害剤またはGDFリガンドトラップ)と組み合わされる。一部の実施形態では、免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤(例えばダナゾール、プレドニゾン、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド)またはEPOは、ヘプシジン中和剤(例えば本明細書に記載されるヘプシジン中和剤)と組み合わされる。しかしながら、一部の実施形態では、免疫調節剤/エリスロポエチン刺激剤(例えばダナゾール、プレドニゾン、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド)またはEPOは、本明細書に記載されるJAK-STATアンタゴニストおよび/または任意のヘプシジンアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0190】
一部の実施形態では、対象は、JAK/STAT経路阻害剤と組み合わせて、ヘプシジンアンタゴニスト[例えば、BMPアンタゴニスト(例えばBMP6アンタゴニストまたは修飾ヘパリン)、BMP受容体アンタゴニスト(例えばALK2アンタゴニスト)、HJVアンタゴニスト(例えば抗HJV抗体または可溶性HJV.Fc融合タンパク質などの可溶性HJV)、またはヘプシジン中和剤(例えば抗ヘプシジン抗体、ヘプシジンを標的化するアンチカリン、またはヘプシジンを標的化する阻害性核酸)などのHJV誘導BMPシグナル伝達経路アンタゴニスト]を投与される。本明細書に記載される任意のヘプシジンアンタゴニストは、JAK-STAT阻害剤と組み合わされ得る。一部の実施形態では、JAK-STAT経路阻害剤はJAK阻害剤またはSTAT阻害剤である。一部の実施形態では、JAK阻害剤は、サブタイプJAK1とJAK2の1つまたは両方に選択的である(例えばルキソリチニブ)。一部の実施形態では、JAK阻害剤はJAK2に選択的である(例えばフェドラチニブ)。一部の実施形態では、STAT阻害剤はSTAT3阻害剤である。一部の実施形態は、JAK阻害剤は選択的JAK阻害剤ではない。一部の実施形態では、JAK阻害剤はJAK1/2およびALK2の阻害剤である(例えばモメロチニブ)。一部の実施形態では、JAK1/2またはSTAT3阻害剤は、ルキソリチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ、フェデラチニブ、バリシチニブ、トファシチニブ、オクラシチニブ、INCB039110、NSC13626、AG490、およびPpYLKTKからなる群から選択される。一部の実施形態では、JAK1/2またはSTAT3阻害剤は、IL6アンタゴニストまたはIL6Rアンタゴニストである(例えばIL6またはIL-6R抗体)。一部の実施形態では、対象は、JAK-STAT阻害剤(例えばルキソリチニブ、フェデラチニブ、モメロチニブ、またはIL6/IL6Rアンタゴニスト)と組み合わせて、HJVアンタゴニスト(例えば本明細書に記載される抗HJV抗体、または可溶性HJV.Fc融合タンパク質などの可溶性HJV)を投与される。一部の実施形態では、対象は、JAK-STAT阻害剤(例えばルキソリチニブ、フェデラチニブ、モメロチニブ、またはIL6/IL6Rアンタゴニスト)と組み合わせて、本明細書に記載されるBMP6アンタゴニスト(例えば抗BMP6抗体)を投与される。一部の実施形態では、対象は、JAK-STAT阻害剤(例えばルキソリチニブ、フェデラチニブ、モメロチニブ、またはIL6/IL6Rアンタゴニスト)と組み合わせて、本明細書に記載されるALK2アンタゴニスト(例えば抗ALK2抗体またはINCB000928、KER-047またはBLU-782などのALK2阻害剤)を投与される。一部の実施形態では、対象は、JAK-STAT阻害剤(例えばルキソリチニブ、フェデラチニブ、モメロチニブ、またはIL6/IL6Rアンタゴニスト)と組み合わせて、本明細書に記載されるヘプシジン中和剤(例えば抗ヘプシジン抗体)を投与される。
【0191】
一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニスト[例えば、BMPアンタゴニスト(例えばBMP6アンタゴニストまたは修飾ヘパリン)、BMP受容体アンタゴニスト(例えばALK2アンタゴニスト)、HJVアンタゴニスト(例えば抗HJV抗体または可溶性HJV.Fc融合タンパク質などの可溶性HJV)、またはヘプシジン中和剤(例えば抗ヘプシジン抗体、ヘプシジンを標的化するアンチカリン、またはヘプシジンを標的化する阻害性核酸)などのHJV誘導BMPシグナル伝達経路アンタゴニスト]は、JAK-STAT経路阻害剤への貧血応答を示す対象の程度を減少させる。例えば、一部の実施形態では、単剤療法としてJAK-STAT経路阻害剤によって処置された対象は、対象の処置前の状態と比較して酸素を輸送する血液の能力の欠乏、対象の処置前の状態と比較して赤血球の欠乏、対象の処置前の状態と比較してヘモグロビンの欠乏、および/または対象の処置前の状態と比較して総血液量の欠乏を有することを特徴とされ得る。したがって、一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニスト[例えば、BMPアンタゴニスト(例えばBMP6アンタゴニストまたは修飾ヘパリン)、BMP受容体アンタゴニスト(例えばALK2アンタゴニスト)、HJVアンタゴニスト(例えば抗HJV抗体または可溶性HJV.Fc融合タンパク質などの可溶性HJV)、またはヘプシジン中和剤(例えば抗ヘプシジン抗体、ヘプシジンを標的化するアンチカリン、またはヘプシジンを標的化する阻害性核酸)などのHJV誘導BMPシグナル伝達経路アンタゴニスト]は、ルキソリチニブ、パクリチニブ、フェデラチニブ、バリシチニブ、トファシチニブ、オクラシチニブ、INCB039110、NSC13626、AG490、およびPpYLKTKからなる群から選択されるJAK-STAT経路阻害剤ヘの貧血応答を対象が示す程度を減少させる。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニスト[例えば、BMPアンタゴニスト(例えばBMP6アンタゴニストまたは修飾ヘパリン)、BMP受容体アンタゴニスト(例えばALK2アンタゴニスト)、HJVアンタゴニスト(例えば抗HJV抗体または可溶性HJV.Fc融合タンパク質などの可溶性HJV)、またはヘプシジン中和剤(例えば抗ヘプシジン抗体、ヘプシジンを標的化するアンチカリン、またはヘプシジンを標的化する阻害性核酸)などのHJV誘導BMPシグナル伝達経路アンタゴニスト]は、JAK-STAT阻害剤(例えばルキソリチニブ)投与ヘの貧血応答を対象が示す程度を減少させる。
【0192】
一部の実施形態では、対象は、増殖因子リガンドトラップと組み合わせて、ヘプシジンアンタゴニスト[例えば、BMPアンタゴニスト(例えばBMP6アンタゴニストまたは修飾ヘパリン)、BMP受容体アンタゴニスト(例えばALK2アンタゴニスト)、HJVアンタゴニスト(例えば抗HJV抗体または可溶性HJV.Fc融合タンパク質などの可溶性HJV)、またはヘプシジン中和剤(例えば抗ヘプシジン抗体、ヘプシジンを標的化するアンチカリン、またはヘプシジンを標的化する阻害性核酸)などのHJV誘導BMPシグナル伝達経路アンタゴニスト]を投与される。一部の実施形態では、増殖因子リガンドトラップは、形質転換増殖因子ベータ(TGF-β)リガンドトラップである。一部の実施形態では、TGF-βリガンドトラップは、ソタテルセプトまたはラスパテルセプトである。一部の実施形態では、対象は、抗線維化剤と組み合わせてヘモジュベリンアンタゴニストを投与される。一部の実施形態では、抗線維化剤はPRM-151である。一部の実施形態では、増殖因子リガンドトラップはHJV誘導BMPシグナル伝達経路アンタゴニストと組み合わせて投与される。一部の実施形態では、増殖因子リガンドトラップはBMPアンタゴニスト(例えば本明細書に記載されるBMP6アンタゴニスト)と組み合わされる。一部の実施形態では、増殖因子リガンドトラップはHJVアンタゴニスト(例えば抗HJV抗体または可溶性HJV.Fc融合タンパク質などのHJVアンタゴニスト)と組み合わされる。一部の実施形態では、増殖因子リガンドトラップは、本明細書に記載される抗HJV抗体(例えば表1または表2に列挙した任意の抗HJV抗体)と組み合わされる。一部の実施形態では、HJV-Fc融合タンパク質はFMX8である。一部の実施形態では、増殖因子リガンドトラップはBMPアンタゴニスト(例えば本明細書に記載されるBMP6アンタゴニスト)と組み合わされる。一部の実施形態では、増殖因子リガンドトラップはBMP受容体アンタゴニスト(例えば、本明細書に記載されるINCB000928、KER-047もしくはBLU-782などのALK2阻害剤またはGDFリガンドトラップ)と組み合わされる。一部の実施形態では、増殖因子リガンドトラップは、ヘプシジン中和剤(例えば本明細書に記載されるヘプシジン中和剤)と組み合わされる。しかしながら、一部の実施形態では、増殖因子リガンドトラップはJAK-STATアンタゴニストおよび/または本明細書に記載される任意のヘプシジンアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0193】
一部の実施形態では、本開示は、ヘプシジンアンタゴニスト[例えば、BMPアンタゴニスト(例えばBMP6アンタゴニストまたは修飾ヘパリン)、BMP受容体アンタゴニスト(例えばALK2アンタゴニスト)、HJVアンタゴニスト(例えば抗HJV抗体または可溶性HJV.Fc融合タンパク質などの可溶性HJV)、またはヘプシジン中和剤(例えば抗ヘプシジン抗体、ヘプシジンを標的化するアンチカリン、またはヘプシジンを標的化する阻害性核酸)などのHJV誘導BMPシグナル伝達経路アンタゴニスト]とBET阻害剤(例えばCPI-0610)の組合せを使用して、骨髄線維症を有する対象の貧血を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、BET阻害剤は(例えばCPI-0610)は、HJV-誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストと組み合わせて投与される。一部の実施形態では、BET阻害剤は(例えばCPI-0610)は、BMPアンタゴニスト(例えば本明細書に記載されるBMP6アンタゴニスト)と組み合わされる。一部の実施形態では、BET阻害剤は(例えばCPI-0610)は、HJVアンタゴニスト(例えば抗HJV抗体、または可溶性HJV.Fc融合タンパク質などのHJVアンタゴニスト)と組み合わされる。一部の実施形態では、BET阻害剤は(例えばCPI-0610)は、本明細書に記載される抗HJV抗体(例えば表1または表2に列挙した任意の抗HJV抗体)と組み合わされる。
【0194】
一部の実施形態では、HJV-Fc融合タンパク質はFMX8である。一部の実施形態では、BET阻害剤は(例えばCPI-0610)は、BMPアンタゴニスト(例えば本明細書に記載されるBMP6アンタゴニスト)と組み合わされる。一部の実施形態では、BET阻害剤(例えばCPI-0610)は、BMP受容体アンタゴニスト(例えば本明細書に記載されるINCB000928、KER-047もしくはBLU-782などのALK2阻害剤、またはGDFリガンドトラップ)と組み合わされる。一部の実施形態では、BET阻害剤は(例えばCPI-0610)は、ヘプシジン中和剤(例えば本明細書に記載されるヘプシジン中和剤)と組み合わされる。しかしながら、一部の実施形態では、BET阻害剤は(例えばCPI-0610)は、本明細書に記載されるJAK-STATアンタゴニストおよび/または任意のヘプシジンアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0195】
本開示に従う対象の治療成功は、当技術分野で公知の方法によって、または熟練の医師によって決定され得る。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニスト処置は、対象の血清ヘプシジンレベルに基づいて評価される。例えば、一部の実施形態では、対象のベースラインの血清ヘプシジンレベルが決定され(例えばヘプシジンアンタゴニストによる処置の前か、あるいは決定する時にヘプシジンアンタゴニスト処置がない)、処置後の対象の血清ヘプシジンレベルと比較される。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストが約1ng/mLと約300ng/mLの間で対象の血清ヘプシジンレベルを減少させ、対象は治療が成功する。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは、約1ng/mLと約200ng/mLの間、約1ng/mLと約100ng/mLの間、約1ng/mLと約50ng/mLの間、約1ng/mLと約10ng/mLの間、約10ng/mLと約100ng/mLの間、または約10ng/mLと約50ng/mLの間で対象の血清ヘプシジンレベルを減少させる。
【0196】
一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニスト処置は、対象の血清フェリチンレベルに基づいて評価される。例えば、一部の実施形態では、対象のベースラインの血清フェリチンレベルが決定され(例えばヘプシジンアンタゴニストによる処置の前か、あるいは決定する時にヘプシジンアンタゴニスト処置がない)、処置後の対象の血清フェリチンレベルと比較される。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストが約1ng/mLと約200ng/mLの間で対象の血清フェリチンレベルを減少させ、対象は治療が成功する。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは、約1ng/mLと約100ng/mLの間、約1ng/mLと約50ng/mLの間、約1ng/mLと約25ng/mLの間、約1ng/mLと約10ng/mLの間、約10ng/mLと約100ng/mLの間、または約10ng/mLと約50ng/mLの間で対象の血清フェリチンレベルを減少させる。
【0197】
一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニスト処置は、対象の血清ヘモグロビンレベルに基づいて評価される。例えば、一部の実施形態では、対象のベースラインの血清ヘモグロビンレベルが決定され(例えばヘプシジンアンタゴニストによる処置の前か、あるいは決定する時にヘプシジンアンタゴニスト処置がない)、処置後の対象の血清ヘモグロビンレベルと比較される。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストが約0.01g/dLと約5g/dLの間で対象の血清ヘモグロビンレベルを増加させ、対象は治療が成功する。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは、約0.01g/dLと約1g/dLの間、約0.1g/dLと約5g/dLの間、約1g/dLと約5g/dLの間、約0.01g/dLと約0.1g/dLの間、約0.5g/dLと約2.5g/dLの間、または約0.1g/dLと約1g/dLの間で対象の血清フェリチンレベルを減少させる。
【0198】
ヘプシジンアンタゴニストの量が治療効果を達成したかどうかの決定は、本明細書に提供される教示に基づいて当業者に明らかである。有効量は、当業者によって認識されるように、処置される特定の状態、状態の重症度、年齢、健康状態、サイズ、性別および体重を含む個々の患者のパラメーター、処置の期間、併用療法の性質(もしあれば)、投与の特定の経路ならびに医療関係者の知識および専門知識内の因子によって変わる。これらの因子は、当業者に周知であり、単に日常の実験によって対処され得る。本明細書に記載される方法で使用される特定の投与レジメン、すなわち用量、タイミングおよび頻度は、本明細書に記載されるように、特定の対象およびその対象の病歴によるであろう。
【0199】
経験的考察、例えば最大効果までの時間、半減期、および/または特定の濃度を超える時間は、通常投与量の決定に寄与するであろう。
【0200】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるヘプシジンアンタゴニストの投与量は、抗体の1回またはそれ以上の投与を与えられた個体において経験的に決定され得る。個体は、漸増投与量のアンタゴニストが与えられる。アンタゴニストの有効性を評価するため、疾患/障害の指標がフォローされ得る。
【0201】
投与頻度は、特許請求される方法に従って変わり得る。一部の実施形態では、組成物が1回投与されるであろう。一部の実施形態では、処置は複数の機会で投与されるであろう。一部の実施形態では、投与頻度は、毎週、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、7週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、もしくは10週間ごと;または毎月1回、2ヶ月ごと、もしくは3ヶ月ごと、またはそれ以上である。一部の実施形態では、組成物は、毎日、週2回、週1回、月2回、月1回、または好適な(例えば最大の)有効性を提供するが対象への安全性のリスクを最小にする任意の時間間隔で投与されるであろう。一般に、有効性および処置および安全性のリスクが処置の過程にわたりモニターされ得る。
【0202】
一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストの投与は、血清ヘプシジン-25濃度の減少および/または血清TSAT%の増加をもたらし、一部の実施形態では、これらの効果は一定期間続く(例えば1ヶ月またはそれ以上)。したがって、一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストの投与のタイミングおよび頻度は、1つまたはそれ以上のバイオマーカー、例えば、鉄利用能またはフラグ可能な鉄過剰症を評価する基準をモニターすることによって決定され得る。例えば、一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは、断続的にかまたは血清ヘプシジン-25レベルもしくはトランスフェリン飽和パーセンテージ(TSAT%)などの特定のバイオマーカーのレベルに従って投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載されるバイオマーカーレベルは、対象が処置の候補であるかどうか決定するために使用され得る。しかしながら、一部の実施形態では、バイオマーカーは、例えばヘプシジンアンタゴニストにより、処置を継続するかまたは処置を再開するかまたは処置を停止するか決定するために使用され得る。
【0203】
例えば、一部の実施形態では、対象のTSAT%が70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上である場合、対象は処置の候補ではないと考えられ得る。一部の場合では、対象のTSAT%が70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上である場合、ヘプシジンアンタゴニストによる進行中の処置は、例えば鉄過剰症を防止するため、停止されるかまたは一時的に停止され得る。他の実施形態では、抗HJV抗体の投与は、対象のTSAT%が95%以下、90%以下、80%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、または30%以下である場合、実施され得る。したがって、一部の実施形態では、対象のTSAT%が、例えば継続的または定期的にモニターされ得るが、患者は、例えば貧血のための処置を受けるかまたは処置する医師にかかり、鉄過剰症を防ぐか、あるいはさらなる処置が適切であるか評価する。しかしながら、当然のことながら、他の好適なマーカー(例えばフェリチンレベル、血清鉄レベル、クレアチニンレベル等を含む)が、本明細書に提供される方法に従って、投与量および投与頻度を決定するためにモニターされ得る。
【0204】
一部の実施形態では、対象は、一定期間、1またはそれ以上の間隔で、本明細書に提供される組成物(例えばヘプシジンアンタゴニスト)を投与され得る。一部の場合では、1またはそれ以上の間隔で、対象が組成物を投与される期間は、対象が組成物を投与されない期間によって分けられ得る。一部の実施形態では、それぞれの期間の相対的な継続期間は、処置または疾患の重症度または両方への対象の応答に依存し、および/または処置する医師の判断に基づいて決定され得る。例えば、一部の実施形態では、1年を通してみると、対象は、2ヶ月間毎週、隔週または毎月組成物を投与され得、次いで投与は10ヶ月間停止される。一部の実施形態では、1年を通してみると、対象は、3ヶ月間毎週、隔週または毎月組成物を投与され得、次いで投与は9ヶ月間停止される。一部の実施形態では、1年を通してみると、対象は、4ヶ月間毎週、隔週または毎月組成物を投与され得、次いで投与は8ヶ月間停止される。一部の実施形態では、1年を通してみると、対象は、5ヶ月間毎週、隔週または毎月組成物を投与され得、次いで投与は7ヶ月間停止される。一部の実施形態では、1年を通してみると、対象は、6ヶ月間毎週、隔週または毎月組成物を投与され得、次いで投与は6ヶ月間停止される。一部の実施形態では、1年を通してみると、対象は、7ヶ月間毎週、隔週または毎月組成物を投与され得、次いで投与は5ヶ月間停止される。一部の実施形態では、1年を通してみると、対象は、8ヶ月間毎週、隔週または毎月組成物を投与され得、次いで投与は4ヶ月間停止される。一部の実施形態では、1年を通してみると、対象は、9ヶ月間毎週、隔週または毎月組成物を投与され得、次いで投与は3ヶ月間停止される。一部の実施形態では、1年を通してみると、対象は、10ヶ月間毎週、隔週または毎月組成物を投与され得、次いで投与は2ヶ月間停止される。一部の実施形態では、1年を通してみると、対象は、2ヶ月間毎週、隔週または毎月組成物を投与され得、2ヶ月間投与されず;または3ヶ月間投与され、3ヶ月間投与されず;または4ヶ月間投与され、4ヶ月間投与されない。
【0205】
一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは非経口で投与され得る。例えば、非経口投与される組成物は、皮下、皮内、静脈内、腹腔内、腫瘍内、筋肉内、関節内、動脈内、または点滴技術によって投与され得る。さらに、それは、1、3、または6ヶ月の蓄積注射可能または生分解性の物質および方法を使用するなど、投与の注射可能な蓄積経路を介して対象に投与され得る。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは皮下に投与される。一部の実施形態では、ヘプシジンアンタゴニストは静脈内に投与される。
【実施例
【0206】
[実施例1]
ヘプシジンアンタゴニストによる骨髄線維症関連貧血の処置
鉄制限赤血球生成は、絶対的と機能性鉄欠乏症(FID)の両方の場合に生じる。FIDは、有効な赤血球生成のために必要とされる鉄と容易に利用可能な血清鉄の間の不均衡によって特徴付けられる鉄制限赤血球生成の状態を表す。FIDでは、身体が十分なまたは増加した全身の鉄貯蔵を有する場合でさえも、鉄は隔離され、赤血球生成には利用できない(図3A)。FIDは、鉄貯蔵レベルと比較してヘプシジンの増加によって引き起こされることが示されている。ヘプシジンの増加は、炎症(例えば骨髄線維症、血液透析の慢性腎臓病(CKD-HD)、自己免疫疾患等)、鉄過剰症(例えば骨髄線維症、CKD)、遺伝子疾患(例えば鉄剤不応性鉄欠乏性貧血(IRIDA))、尿毒素(例えばCKD)、クリアランスの減少(例えば腹膜透析の慢性腎臓病(CKD-PD))、およびがんなどのFIDと関連する疾患で観察される。
【0207】
FIDは、疾患の病因にかかわらず、炎症性および慢性疾患性貧血(AI/ACD)の共通の特徴である。貧血へのFIDの寄与は、疾患と同じ疾患を有する患者の間で変わる(AI/ACDは異なる病因因子を有する)(図3B)。FIDの異なる病因間の共通する特徴は、ヘプシジンレベルの増加であり、鉄貯蔵の増加に十分である(図3C)。
【0208】
本開示は、少なくとも一部では、ヘプシジンアンタゴニストを使用して、ヘプシジンレベルを減少させ、FIDを有する患者(例えば骨髄線維症患者)において正常な赤血球生成を再開すると考えられる。
【0209】
HAMP遺伝子は、主に肝臓の肝細胞によって発現され、肝臓外の組織の他の細胞によっては低レベルであるヘプシジン前駆体タンパク質をコードする。前駆体タンパク質は、続いて切断され、生物活性のあるヘプシジンを産生する。HAMP遺伝子の転写制御因子は、BMPシグナル伝達およびJAK-STAT3シグナル伝達を含む。ヘモジュベリン(HJV)は、BMPシグナル伝達によるヘプシジン発現の誘導において重要な共受容体である。HJV誘導BMPシグナル伝達経路および/またはJAK-STAT3シグナル伝達経路の、これらの経路の任意の成分を標的化することによる阻害は、ヘプシジン発現の減少をもたらし得る。HJV誘導BMPシグナル伝達経路を標的化することによりヘプシジンレベルを減少させるため、BMPアンタゴニスト(例えばBMP6アンタゴニスト)、HJVアンタゴニスト(例えば抗HJV抗体、HJV-Fc)、BMP受容体アンタゴニスト、SMAD1/5/8アンタゴニスト、またはヘプシジン中和剤が用いられ得る(図3G)。
【0210】
例えば、抗HJV抗体は、ヘプシジン合成を減少させ、貧血の重症度を減少させることができることが示されている(Kovacs et al., Anti-hemojuvelin antibody corrects anemia caused by inappropriately high hepcidin levels, Haematologica. 2016 May; 101(5): e173-e176)。図3E。さらに、HJVはマトリプターゼ-2によって制御される。TMPRSS6遺伝子によってコードされるマトリプターゼ-2は、II型膜貫通セリンプロテアーゼファミリーのメンバーである。マトリプターゼ2は、鉄のホメオスタシスに必須であることが立証されている。TMPRSS6は、主に肝臓で発現され、膜結合ヘモジュベリンを切断することによりヘプシジンの産生を負に制御する(例えばDu X., et al. (2008). The serine protease TMPRSS6 is required to sense iron deficiency. Science 320 1088-1092)(図3F)。したがって、肝臓細胞におけるマトリプターゼ-2発現の増加は、ヘプシジン発現を負に制御する別の方法であり得る。
【0211】
さらに、アクチビンBは、標準のSMAD2/3シグナル伝達と同程度まで、またBMP6と比較して類似のまたは中程度減少した効力により、肝臓細胞においてSMAD1/5/8シグナル伝達およびヘプシジン発現を刺激することができることが示されている。アクチビンBは、古典的なアクチビンII型受容体ACVR2AおよびACVR2B、非標準のBMP I型受容体、アクチビン受容体様キナーゼ2およびアクチビン受容体様キナーゼ3、ならびにSMAD5を介してヘプシジンを刺激する。共受容体ヘモジュベリンはアクチンBに結合し、アクチビンB-SMAD1/5/8シグナル伝達を促進する。(Canali et al., Activin B Induces Noncanonical SMAD1/5/8 Signaling via BMP Type I Receptors in Hepatocytes: Evidence for a Role in Hepcidin Induction by Inflammation in Male Mice, Endocrinology. 2016 Mar; 157(3): 1146-1162)。図4は、肝細胞においてアクチビンBがヘプシジン制御を媒介することを示す。
【0212】
骨髄線維症(MF)は、骨髄の線維症をもたらす異常な血液幹細胞の増殖によって特徴付けられる骨髄増殖性障害である。健康な血液細胞(血小板産生を担う巨核球および赤血球)の産生が損なわれる。いくつかの遺伝子が病因と関係し、ほとんどの患者が、構成的に活性なJAK/STATシグナル伝達および機能障害性造血をもたらすJAK2突然変異(Kralovics R, 2005)、次いでCALRおよびMPLを持つ。一部の実施形態では、骨髄線維症と関係する分子遺伝子座は、JAK2、CALR、MPL、ASXL1、SRSF2、IDH1/2、TET2、EXH2、U2AF1、およびCBLを含む。
【0213】
MFは、3つのフィラデルフィア染色体陰性骨髄増殖性腫瘍(MPN)の1つであり、本態性血小板血症(ET)および真性赤血球増加症(PV)も含むクラスである。MFは、原発性MF(PMF)および二次性MF(SMF)として分類され得る。PMFおよびSMFは、共通の主症状である貧血、疲労、および脾腫を含む類似の臨床的プロファイルを有する。
【0214】
PMFは、単一の造血幹細胞内のドライバー突然変異の最も一般的な結果である。PMF患者の約95%が3つの遺伝子の1つに突然変異を有する;JAK2(63%)、CALR(25%)、およびMPL(7%)(Klampf T, 2013; Nangalia J, 2013; Cazzola M, 2014; Tefferi A, 2014c)。これらの突然変異のいくつかは、相互排他的である(Cazzola M, 2014; Tapper W, 2015)。10%より少ない患者では、疾患が(公知の)突然変異によって駆動されない(Tefferi A, 2014c; Tefferi A, 2016)。体細胞JAK2V617Fは機能獲得型突然変異であり、JAK2突然変異のみがMFと関連する。244人のMPN患者の研究では、PMFを有する患者の57%がJAK2V617F突然変異を有した(Kralovics R, 2005)。別の共通の突然変異は、MF患者のMPL遺伝子について同定された(MPL W515L/K突然変異;Guglielmelli P, 2007)。JAK2およびMPLとは違い、CALRは著しくより突然変異性のバリエーションを有する;約140のCALR突然変異が19の変異体で同定され、エクソン9の突然変異はMF患者において最も頻繁に見出される(Nangalia J, 2013)。さらなる遺伝子座がPMFと関係し、TET2、ASXL1、SRSF2、IDH1/2、U2AF1およびCBLを含む。MF患者の80%より多くが、これらのさらなる突然変異の少なくとも1つを有する(Tefferi A, 2016)。これらの突然変異の1つの存在は、疾患の進行および予後に負に影響するであろう(Lasho TL, 2012; Vannucchi AM, 2013)。
【0215】
SMFは、PMFとその病因において多くの類似性を共有し、共通の遺伝子メカニズムであるJAK2、CALR、およびMPLドライバー突然変異がPVとETの両方で共通して見出されることを示している。類似の突然変異率が、ET患者(JAK2[58%]、CALR[23%]、およびMPL[4%])対PMF患者において見出される(Elala Y, 2015)。
【0216】
骨髄線維症患者では、全MF患者の約32.2%または新規に診断された患者の33.3%がFIDを示す。さらに、ヘプシジンレベルの増加は、ヘモグロビンの減少および鉄過剰症と関連する(Pardanani et al., Associations and Prognostic Interactions Between Circulating Levels of Hepcidin, Ferritin and Inflammatory Cytokines in Primary Myelofibrosis, Am J Hematol. 2013 Apr;88(4):312-6)。そのような患者は、生存率が低いと予測された。FIDは、骨髄線維症の悪いQuLスコアと関連し、IL-6は貧血性MF患者において高かった(Birgegard et al., Inflammatory Functional Iron Deficiency Common in Myelofibrosis, Contributes to Anaemia and Impairs Quality of Life. From the Nordic MPN Study Group, Eur J Haematol. 2019 Mar;102(3):235-240)。骨髄線維症では、IL-6およびオンコスタチン-Mなど、ヘプシジン合成を誘導する炎症促進性サイトカインが典型的には増加され、鉄封鎖、マクロファージ鉄負荷、ならびに骨髄増殖およびマクロファージ活性化と関連する(図1および2)。
【0217】
骨髄線維症の現在の標準的治療は、患者が属するリスクカテゴリーによって個々の患者に合わせられる(図5A)。認可されたJAK1/JAK2阻害剤であるルキソリチニブ(Jakafi)およびJAK2阻害剤であるフェドラチニブ(FED)は、脾腫および症状を改善するが、貧血を悪化させる。実験的薬剤であるモメロチニブは、重度の貧血を引き起こすことなく、JAK阻害剤を使用するMFの処置に見通しを提供する。モメロチニブはJAK1、JAK2、およびACRV1(HJVシグナル伝達パートナー)も阻害する。それは疾患症状を改善することができ、貧血を改善する。HJV誘導BMPシグナル伝達アンタゴニストとJAK/STAT阻害剤の併用療法は、MF症状の減少に有効であり、同時にFID誘導性貧血を軽減する。
[実施例2]
【0218】
非ヒト霊長類において抗HJV抗体はIL-6誘導ヘプシジン発現を減少させる
図1に示すように、骨髄線維症では、IL-6およびオンコスタチン-Mなど、ヘプシジン合成を誘導する炎症促進性サイトカインが典型的には増加され、鉄封鎖、マクロファージ鉄負荷、ならびに骨髄増殖およびマクロファージ活性化と関連する。IL-6が確かにヘプシジン発現を増加させるかどうかおよび抗HJV抗体が非ヒト霊長類においてIL-6によって誘導されるヘプシジン発現を阻害することができるかどうか試験するため、1日目にサイナスはIL-6を負荷され、3つの群に分けられた。4日目に、群1のサイナスは媒体対照を受け、群2のサイナスは0.6mg/kgで抗HJV抗体(CDR-H1:配列番号1、CDR-H2:配列番号2、CDR-H3:配列番号3、CDR-L1:配列番号7、CDR-L2:配列番号8、およびCDR-L3:配列番号9)を受け、群3のサイナスは同じ抗HJV抗体を6.0mg/kgで受けた。11日目に、3つの群全てのサイナスは、再びIL-6を負荷され、全てのサイナスにおける血漿ヘプシジン-25が測定された。図6に示すように、IL-6負荷は、3つの群全てのサイナスにおける負荷前ベースライン(BL)と比較して、1日目に血漿ヘプシジン-25濃度を増加させた。11日目の第2のIL-6負荷後、群1のサイナスは、1日目に観察されたのと類似した血漿ヘプシジン-25の増加を示した。しかしながら、群2(0.6mg/kgの抗HJV抗体)および群3(6mg/kgの抗HJV抗体)のサイナスについては、抗HJV抗体の存在が、用量依存的な様式で11日目に血漿ヘプシジン-25のIL-6誘導性増加を防止した。すなわち、抗HJV抗体は、サイナスにおいて用量依存的な様式で炎症誘導性(IL6)ヘプシジン増加の防止に有効であった。これらの結果は、抗HJV抗体が、IL-6シグナル伝達経路によって誘導されるヘプシジン発現を阻害することができることを示す。
【0219】
均等物および範囲
特許請求の範囲では、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」などの冠詞は、反対に示されないかまたは文脈から明らかでない限り、1つおよび1つより多くを意味し得る。群の1つまたはそれ以上のメンバーの間に「or」を含む請求項または説明は、1つ、1つより多く、または全ての群のメンバーが、反対に示されないかまたは文脈から明らかでない限り、所与の産物または方法に存在する、用いられるかまたは関連する場合、満たされると考えられる。本発明は、正確に群の1つのメンバーが所与の産物または方法に存在する、用いられるかまたは関連する実施形態を含む。本発明は、1つより多くの、または全ての群のメンバーが所与の産物または方法に存在する、用いられるかまたは関連する実施形態を含む。
【0220】
さらに、本発明は、1つまたはそれ以上の列挙した請求項からの1つまたはそれ以上の制限、要素、項目、および説明的用語が別の請求項に導入される、全てのバリエーション、組合せ、および並び替えを包含する。例えば、別の請求項に依存する任意の請求項は、同じベースの請求項に依存する任意の他の請求項に見出される1つまたはそれ以上の制限を含むように改変され得る。要素が、例えばマーカッシュ形式でリストとして示される場合、要素の各下位群も開示され、任意の要素(複数可)が群から除かれ得る。一般に、本発明、または本発明の態様が、特定の要素および/または特徴を含むと言われる場合、本発明のある特定の実施形態または本発明の態様は、そのような要素および/または特徴からなる、またはから基本的になることが理解されるはずである。簡素化のため、これらの実施形態は本明細書にこれらの言葉で特に記載されていない。
【0221】
語句「および/または」は、本明細書および特許請求の範囲において、本明細書で使用される場合、結合される要素の「いずれかまたは両方」、すなわち一部の場合では結合的に存在し、別の場合では非結合的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」を用いて列挙された複数の要素は、同じ様式、すなわち結合される要素の「1つまたはそれ以上」で解釈されるべきである。他の要素は、「および/または」節によって特に同定される要素以外を表し、特に同定されたそれらの要素に関連しても関連しなくてもよい。したがって、非限定的な例としては、「Aおよび/またはB」との言及は、「含む(comprising)」などの制限のない言葉と合わせて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(B以外の要素を含んでもよい);別の実施形態では、Bのみ(A以外の要素を含んでもよい);さらに別の実施形態では、AとBの両方(他の要素を含んでもよい);等を指すことができる。
【0222】
本明細書および特許請求の範囲において、本明細書で使用される場合、「または」は、上記のように「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分ける場合、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち少なくとも1つの包括であるが、要素の1つより多く、多くまたはリストも含み、さらなるリストされていない項目も含んでもよいと解釈されるものとする。「の1つのみ(only one of)」もしくは「の確実に1つ(exactly one of)」、または特許請求の範囲において使用される場合、「からなる(consisting of)」など、明確に反対に示す用語だけが、多くの要素またはリストの要素の確実に1つの要素の包括を指すであろう。一般に、本明細書で使用される用語「または」は、「いずれか(either)」、「の1つ(one of)」、「の1つのみ(only one of)」または「の確実に1つ(exactly one of)」などの、排他性の用語によって先行される場合、排他的な代替(すなわち、「1つまたはその他であるが両方ではない」)を示すと解釈されるものとする。特許請求の範囲で使用される場合、「から基本的になる(consisting essentially of」は、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0223】
本明細書および特許請求の範囲において、本明細書で使用される場合、語句「少なくとも1つ」は、1つまたはそれ以上の要素のリストを参照して、要素のリストの任意の1つまたはそれ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内に特に列挙された各および全ての要素の少なくとも1つを必ずしも含まず、要素のリストの要素の任意の組合せを除外しないと理解されるべきである。この定義は、要素が、語句「少なくとも1つ」が指す要素のリスト内で特に同定された要素以外に、特に同定されたこれらの要素に関連するかまたは関連しない要素を表してもよいことも可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または言い換えると「AまたはBの少なくとも1つ」、または言い換えると「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない、1つより多くを含んでもよい少なくとも1つのA(およびB以外の要素を含んでもよい);別の実施形態では、Aが存在しない、1つより多くを含んでもよい少なくとも1つのB(およびA以外の要素を含んでもよい);さらに別の実施形態では、1つより多くを含んでもよい少なくとも1つのA、および1つより多くを含んでもよい少なくとも1つのB(および他の要素を含んでもよい);等を指すことができる。
【0224】
反対に明確に示さない限り、1つより多くの工程または作用を含む本明細書で請求される任意の方法において、方法の工程または作用の順番は、方法の工程または作用が列挙される順番に必ずしも限定されないことも理解されるはずである。
【0225】
特許請求の範囲において、ならびに上記の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「持つ(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」、「持つ(holding)」、「から構成される(composed of)」などの全ての移行句は、制限がないと理解され、すなわち含むが限定されないことを意味する。移行句「からなる(consisting of)」および「から基本的になる(consisting essentially of)」だけは、米国特許局特許審査便覧2111.03項に記載されるように、それぞれ制限されたまたは一部制限された移行句であるものとする。制限のない移行句(例えば「含む(comprising)」)を使用してこの文書に記載される実施形態も、代替の実施形態では、制限のない移行句によって記載される特徴「からなる(consisting of)」および「から基本的になる(consisting essentially of)」と考えられることが理解されるべきである。例えば、本出願が「AおよびBを含む組成物」を記載する場合、本出願は代替の実施形態「AおよびBからなる組成物」および「AおよびBから基本的になる組成物」も考える。
【0226】
範囲が与えられる場合、終点が含まれる。さらに、他に示されないかまたは文脈および当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、本発明の異なる実施形態に記載した範囲内の任意の特定の値または部分範囲を、文脈が明確に他に示さない限り、範囲の下限の単位の10分の1まで仮定することができる。
【0227】
本出願は、様々な発行された特許、公開された特許出願、刊行物、および他の論文を参照し、その全てが参照によって本明細書に組み込まれる。任意の組み込まれた参照と本明細書の間に矛盾がある場合、本明細書が優先する。さらに、先行技術内にある、本発明の任意の特定の実施形態は、任意の1つまたはそれ以上の請求項からはっきりと除外され得る。そのような実施形態は、当業者に公知であると思われるため、それらは除外が本明細書にはっきりと記載されない場合でさえも除外され得る。本発明の任意の特定の実施形態は、任意の理由のため、先行技術の存在と関連するかどうかに関わらす、任意の請求項から除外され得る。
【0228】
当業者は、通常の実験だけを使用して、本明細書に記載される特定の実施形態の多くの等価物を認識するかまたは確かめることができるであろう。本明細書に記載される本実施形態の範囲は、上記の説明に限定されることを意図せず、むしろ添付の特許請求の範囲に記載される。当業者は、この説明への様々な変更および改変が、以下の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の精神または範囲から逸脱することなく行われ得ることを認識するであろう。
【0229】
本明細書の任意の変数の定義における化学基の列挙の詳述は、任意の単一の基または列挙した基の組合せとして変数の定義を含む。本明細書の変数のための実施形態の詳述は、任意の単一の実施形態または任意の他の実施形態との組合せまたはその部分としてその実施形態を含む。本明細書の実施形態の詳述は、任意の単一の実施形態または任意の他の実施形態との組合せまたはその部分としてその実施形態を含む。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4
図5
図6
【配列表】
2022549506000001.app
【国際調査報告】