(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(54)【発明の名称】抗コリン薬の調製のための連続プロセス
(51)【国際特許分類】
C07D 453/02 20060101AFI20221118BHJP
C07D 451/10 20060101ALI20221118BHJP
A61K 31/46 20060101ALI20221118BHJP
A61K 31/439 20060101ALI20221118BHJP
C07D 207/12 20060101ALI20221118BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20221118BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221118BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221118BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20221118BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
C07D453/02
C07D451/10
A61K31/46
A61K31/439
C07D207/12
A61K31/40
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P11/06
A61P11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021574905
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 GB2020051448
(87)【国際公開番号】W WO2020254791
(87)【国際公開日】2020-12-24
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】315015195
【氏名又は名称】ホビオネ サイエンティア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100091649
【氏名又は名称】初瀬 俊哉
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】カッツ,マリアンナ
(72)【発明者】
【氏名】トレス ロレンソ,ヌーノ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086BC07
4C086CB09
4C086CB15
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、1以上の極性非プロトン性溶媒の存在下での連続フローモードでの臭化ウメクリジニウム、臭化チオトロピウム、臭化グリコピロニウム、臭化アクリジニウム、臭化イプラトロピウム(V)などの抗コリン薬剤/薬の調製のための新規プロセスに関する。抗コリン薬は、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の治療における吸入による使用に適した形態である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗コリン薬剤の調整プロセスであって、該プロセスが、1以上の極性非プロトン性溶媒を使用する連続フローモードで実施されることを特徴とする抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項2】
前記抗コリン薬剤が、臭化ウメクリジニウム、臭化チオトロピウム、臭化グリコピロニウム、臭化アクリジニウムおよび臭化イプラトロピウムからなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項3】
前記抗コリン薬剤が、臭化ウメクリジニウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項4】
1以上の極性非プロトン性溶媒の存在下で、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル(ジフェニル)メタノール(VI)と((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(VII)との反応を含むことを特徴とする請求項3に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項5】
溶液の状態の1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル(ジフェニル)メタノール(VI)および((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(VII)が、1以上の連続フローリアクターに連続的に供給されることを特徴とする請求項4に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項6】
前記溶媒が、1-プロパノール、水、または1-プロパノールと水の混合物であることを特徴とする先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項7】
前記混合物中の1-プロパノールと水の比率が、30:1から1:1.2の範囲で、好ましくは25:1であることを特徴とする請求項6に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項8】
前記1以上の極性非プロトン性溶媒中に1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル(ジフェニル)メタノール(VI)および((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(VII)を含む前記溶液が、前記連続フローリアクターに個別に供給されるか、または複数の前記溶液が前記連続フローリアクターに供給される前に事前混合されていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項9】
前記反応温度が約120℃から約200℃の範囲で、好ましくは140℃を超えることを特徴とする先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項10】
前記反応温度が140℃を超えて180℃までで、好ましくは約150℃から180℃であることを特徴とする先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項11】
前記反応時間が約1分から約20分の範囲で、好ましくは約5分から約10分であることを特徴とする先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項12】
非溶媒和形態を得るために前記薬剤のさらなる再懸濁または再結晶化を必要としないことを特徴とする先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項13】
好ましくは、
(i)好ましくは減圧することにより、前記反応器から前記抗コリン薬剤を含む前記溶液の濃縮物を形成し、
(ii)非溶媒を添加し、水性懸濁液を形成するために、前記非溶媒が好ましくは水であり、
(iii)前記水性懸濁液を約0℃から約5℃の温度に冷却し、及び、
(iv)好ましくは濾過により、固体結晶形態で前記生成物を単離することにより、
前記抗コリン薬剤を単離することを更に含むことを特徴とする先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項14】
前記抗コリン薬剤を微粉化することをさらに含むことを特徴とする先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項15】
前述の先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載のプロセスによって得られる、好ましくは非溶媒和の形態である抗コリン薬剤。
【請求項16】
固体結晶形態であることを特徴とする請求項15に記載の抗コリン薬剤。
【請求項17】
請求項15または16に記載の抗コリン薬剤および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項18】
請求項15または16に記載の抗コリン薬剤または請求項17に記載の医薬組成物であって、前記抗コリン薬剤が、臭化ウメクリジニウム、臭化チオトロピウム、臭化グリコピロニウム、臭化アクリジニウムまたは臭化イプラトロピウムであることを特徴とする抗コリン薬剤または医薬組成物。
【請求項19】
請求項18に記載の抗コリン薬剤または医薬組成物であって、前記抗コリン薬剤が、臭化ウメクリジニウムであることを特徴とする抗コリン薬剤または医薬組成物。
【請求項20】
請求項15から19のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤または請求項17から19のいずれか1つの請求項に記載の医薬組成物であって、前記薬剤を含む前記抗コリン薬剤または前記組成物が、好ましくは乾燥粉末、溶液または懸濁液の形態で吸入に適していることを特徴とする抗コリン薬剤または医薬組成物。
【請求項21】
請求項17から20のいずれか1つの請求項に記載の医薬組成物であって、1以上の追加の活性医薬品有効成分をさらに含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項22】
請求項15から19のいずれか1項の請求項に記載の抗コリン薬剤または請求項17から21のいずれか1つの請求項に記載の医薬組成物であって、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の治療に使用することを特徴とする抗コリン薬剤または医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、臭化ウメクリジニウム(I)(化学名:4-[ヒドロキシル(ジフェニル)メチル]-1-[2-(フェニルメチル)オキシ]エチル]-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド(4-[hydroxyl(diphenyl)methyl]-1-[2-(phenylmethyl)oxy]ethyl]-1-azoniabicyclo[2.2.2]octane bromide))、臭化チオトロピウム(II)(化学名:1α、2β、4β、7β)-7-[(ヒドロキシ-ジ-2-チエニルアセチル)オキシ]-9,9 -ジメチル-3-オキサ-9-アゾニア-トリシクロ[3.3.1.02,4]ノナンブロミド(1α,2β,4β,7β)-7-[(hydroxy-di-2-thienylacetyl)oxy]-9,9-dimethyl-3-oxa-9-azonia-tricyclo[3.3.1.02,4]nonane bromide), glycopyrronium bromide))、臭化グリコピロニウム(III)(化学名:3-(2-シクロペンチル-2-ヒドロキシ-2-フェニルアセトキシ)-1,1-ジメチルピロリジニウムブロミド(3-(2-cyclopentyl-2-hydroxy-2-phenylacetoxy)-1,1-dimethylpyrrolidinium bromide))、臭化アクリジニウム(IV)(化学名:3(R)-(2-ヒドロキシ-2,2-ジチエン-2-イラセトキシ)-1-(3-フェノキシプロピル)-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]臭化オクタン(3(R)-(2-hydroxy-2,2-dithien-2-ylacetoxy)-1-(3-phenoxypropyl)-1-azoniabicyclo[2.2.2]octane bromide))、臭化イプラトロピウム(V)(化学名:[8-メチル-8-(1-メチルエチル)-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル]-3-ヒドロキシ-2-フェニル-プロパノエート([8-methyl-8-(1-methylethyl)-8-azoniabicyclo[3.2.1]oct-3-yl]-3-hydroxy-2-phenyl-propanoate))などの抗コリン薬剤/薬(agents/drugs)を調製するための新規なプロセスに関し、連続フローモードで、そのように調製された薬剤(agents)に関し、および医学(medecine)におけるそれらの使用に関するものである。上記の抗コリン薬は、喘息や慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)(COPD)などの呼吸器疾患の治療に使用される。
【0002】
【背景技術】
【0003】
上に示した分子構造(I-V)の化合物は既知であり、さまざまな用途の抗コリン薬であり、主に慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息の治療に使用される。
【0004】
臭化ウメクリジニウムは、1日1マイクログラムの用量で経口吸入用の乾燥粉末として投与される医薬組成物(pharmaceutical compositions)を調製するために使用される非常に効果的な医薬品有効成分である。新しい組成物、組合せ、投与形態(例えば、定量吸入器)、および臭化ウメクリジニウムを使用した投与量が開発されている。
【0005】
WO2005/104745は、臭化ウメクリジニウムの調製方法に関するものであり、反応は、塩素化溶媒中で16時間から24時間の間で実施される。
【0006】
【化2】
臭化ウメクリジニウムの非溶媒和の結晶性多形(Unsolvated crystalline polymorphic forms)は、化合物が異なる物理的特性を有する様々な結晶性固体形態(crystalline solid state)を生じ得ることを示す医薬品有効成分として開示されている(WO2014/027045、US9273001 B2)。一貫したレベルの結晶化度と化学的純度を備えた単一の純粋な結晶形の純粋な臭化ウメクリジニウムの調製は、溶媒和物を形成する化合物の感受性が高いため、業界では課題となっている。臭化ウメクリジニウム溶媒和物(Umeclidinium bromide solvates)、すなわちメタノール溶媒和物(CZ27764(Sanofi)(methanol solvate))、エタノール(ethanol)、2-プロパノール(2-propanol)、2-メチルプロパン-1-オール(2-methylpropan-1-ol)、クロロベンゼン(chlorobenzene)、およびp-キシレン溶媒和物(p-xylene solvates)(WO2014/027045、US9657011 B2)が同定されている。臭化ウメクリジニウムのバッチ調製では、溶媒として1-プロパノール(1-propanol)を使用して溶媒和物の形成を最小限に抑え(WO2014/027045、US9657011 B2)、以前は必要だった酢酸エチル(ethyl acetate)、メタノール(methanol)、および水中での化合物の再懸濁を回避した(実施例84、方法B、WO2005/104745)。臭化ウメクリジニウムのバッチ調製では、濃厚なスラリーが形成され、これを冷却して数時間エージングし、次に濾過し、n-プロポーザル(n-proposal)で洗浄して生成物を得る(WO2014/027045、US9657011 B2)。
【0007】
EP3248970は、固体型の臭化ウメクリジニウム、特にその非溶媒和型1、結晶型AおよびB、およびアモルファス型(amorphous form)に関連している。形態Aは、1:1から2:1の体積比のメタノールと水の混合物中の臭化ウメクリジニウムの溶液からの結晶化によって調製される。形態Bは、180℃を超える温度で形態Aから得られる。
【0008】
WO2018/087561は、高純度の臭化ウメクリジニウムの調製方法に関するものであり、反応は18時間から24時間の間で行われ、溶媒は、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、芳香族溶媒(aromatic solvents)などの環状エーテル(cyclic ethers)から選択されるトルエン(toluene)、アセトン(acetone)などのケトン(ketones)、水などの非プロトン性溶媒(protic solvents)、またはそれらの組合せにより、一貫したレベルの結晶性と化学的純度を備えた単一の純粋な結晶形の製品を形成する。
【0009】
臭化チオトロピウムは非常に効果的な医薬品有効成分(pharmaceutical ingredient)であり、吸入により低(マイクログラム)治療用量で投与される。臭化チオトロピウムの結晶性多形は、US6777423、EP14101445、EP16825442、EP1879888、EP2085396、EP1869035、およびWO2011/01588を含むさまざまな公報で報告されており、化合物が異なる物理的特性を有するさまざまな固体形態を生じ得ることを示している。
【0010】
EP2814827は、臭化チオトロピウムが、単一の純粋な無水結晶形(anhydrous crystalline)で、メタノールとアセトンを含む混合物中で結晶化することによって得られるプロセスを説明している。
【0011】
RU2453547は、臭化チオトロピウムのn-プロパノール溶液からの結晶化によって調製されたフォーム12と呼ばれる臭化チオトロピウムの結晶性ヘミ-n-プロパノール溶媒和物(crystalline hemi-n-propanol solvate)を提供する。
【0012】
厳しい規制を背景に、製薬会社は、競争の激しい製薬およびヘルスケア業界の需要を満たすために、より効率的な技術を提供するための新しい方法の開発に注力している。フローケミストリーの技術とシステムは、近年、製薬業界で驚異的な成長を遂げている。製薬業界は、フローケミストリーの助けを借りて、既存の化学反応を改善し、新しい化学物質にアクセスすることに焦点を当てている。
【0013】
製薬業界での競争が激化する中、企業は迅速な開発、シームレスな発見、潜在的な薬化合物(drug compounds)の最適化に注力しており、それによって市場投入までの時間を短縮することが、フローケミストリーの急速な採用につながる主要な推進要因の一部である。
【0014】
US8865903は、アセトニトリル(acetonitrile)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)、N-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)などのアミド(amides)、ニトリル(nitriles)およびスルホキシド(sulphoxides)からなるグループから選択された極性非プロトン性溶媒(polar aprotic solvents)中で高収率および高純度の臭化チオトロピウム(II)、臭化グリコピロニウム(III)または臭化イプラトロピウム(V)などの第4級アンモニウム塩を調製するための連続フロープロセスに関するものである。この発明は、ジクロロメタン(dichloromethane)が最終生成物にとって貧溶媒(a poor solvent)であり、連続流反応器で沈殿し、チャネル(channels)を妨害する可能性があることを説明している。US8865903は、ジクロロメタンをメタノールに置き換えると温度を上げることができることを示しているが、変換率はかなり低くなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
市場の需要を満たすために、本発明者らは、抗コリン薬を調製するためのより効率的なプロセスの必要性が存在することを認識した。特に、抗コリン薬剤の調製のための既知のプロセスに勝る利点を提供するプロセスについてである。
【0016】
本発明者らはまさに、そのようなプロセスを考えた。本発明の利点には、反応時間の短縮、操作性の改善、温度制御、収率、および合成プロセスを最適化するために重要な最終製品のコストの削減を伴う非常に効率的なプロセスが含まれるが、これらに限定されない。特に、反応設計のわずかな改善でさえ、大規模生産の大幅な節約につながる可能性がある。
【0017】
したがって、本発明は、良好な収率と優れた化学的純度を備えた単一の純粋な結晶形を形成するために、1以上の極性非プロトン性溶媒、好ましくは1-プロパノール、水または1-プロパノールと水の混合物中で、臭化ウメクリジニウム、臭化チオトロピウム、臭化グリコピロニウム、臭化アクリジニウムまたは臭化イプラトロピウムなどの抗コリン薬を調製するための連続フロー工程を開示する。
【0018】
本発明は、1以上の極性非プロトン性溶媒の存在下での連続フローモードでの抗コリン薬の調製のためのプロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によれば、抗コリン薬剤を調製するためのプロセスが提供され、このプロセスは、1以上の極性非プロトン性溶媒を使用して連続フローモードで実施される。
【0020】
本発明によれば、連続フローモードにおいて、1-プロパノール、水または1-プロパノールと水の混合物などの1以上の極性非プロトン性溶媒中で、臭化ウメクリジニウム、臭化チオトロピウム、臭化グリコピロニウム、臭化アクリジニウムまたは臭化イプラトロピウムなどの1以上の抗コリン薬を調製するためのプロセスが提供される。
【0021】
発明者が、臭化チオトロピウム(II)、臭化グリコピロニウム(III)、または臭化イプラトロピウム(V)などの第4級アンモニウム塩の調製における連続プロセスアプローチには適切であることがわかった極性非プロトン性溶媒のみを記載している最新技術(US8865903)とは反対に、本発明の発明者は、1-プロパノール、水、または1-プロパノールと水の混合物などの1以上の極性非プロトン性溶媒が、非常に短い反応時間で、従来のプロセスで必要とされる追加の再懸濁または再結晶化ステップを必要とせずに、抗コリン薬を調製する効率的な連続フローモードプロセスで使用されるということを、驚くべきことに発見をした。
【0022】
本発明の発明者は、本発明に開示されたプロセスの反応時間が16~24時間から1~20分に極端に短縮されることを見出した。本発明に記載の新規プロセスを使用して得られる抗コリン薬剤は、一貫したレベルの結晶化度および化学的純度を有する単一の純粋な固体結晶形であり得る。
【0023】
本発明の方法から得られる抗コリン薬剤は、好ましくは少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と共に処方することができ、その組成物は吸入に適している。好ましくは、医薬組成物は、本発明の方法によって得られる抗コリン薬剤および1以上の追加の活性医薬品有効成分(active pharmaceutical ingredients)を含む。好ましくは、医薬組成物は、乾燥粉末、溶液または懸濁液の形態であり得る。
【0024】
[発明の詳細な説明]
本発明は、1以上の極性非プロトン性溶媒の存在下での連続フローモードでの抗コリン薬の調製のためのプロセスを提供する。
【0025】
本発明に開示される抗コリン薬には、臭化ウメクリジニウム、臭化チオトロピウム、臭化グリコピロニウム、臭化アクリジニウムおよび臭化イプラトロピウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
本発明の別の態様によれば、連続フローモードの1以上の極性非プロトン性溶媒中で1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル(ジフェニル)メタノール(1-azabicyclo[2.2.2]oct-4-yl(diphenyl)methanol)(VI)を((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(((2-bromoethoxy)methyl)benzene)(VII)と反応させる臭化ウメクリジニウムの調製方法が提供される。
【0027】
本出願で開示される抗コリン薬と溶媒和物を形成しない任意の極性非プロトン性溶媒を、本発明のプロセスで使用してもよい。
【0028】
本発明で開示されるプロセスで使用される1以上の極性非プロトン性溶媒には、1-プロパノール、水、1-プロパノールと水の混合物、または、例えば、n-プロパノール、n-ブタノール(n-butanol)などのプロパノールまたはブタノールの任意の異性体が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
好ましくは、1-プロパノールと水の混合物中の1-プロパノールと水の比率は、約30:1から1:1.2の範囲、好ましくは約25:1である。
【0030】
当業者は、本発明に開示される抗コリン薬を調製するプロセスにおいて使用される、環状第三級アミン、アルキル化剤などの出発物質または化学物質の量を決定することができる。例えば、本発明に開示される臭化ウメクリジニウムを調製する過程において、使用される1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル(ジフェニル)メタノール(VI)の濃度は、反応が行われる特定の温度における化合物の溶解度に依存する。好ましくは、((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(VII)の約1から約10モル/L当量の範囲の濃度をこのプロセスで使用することがよい。
【0031】
好ましくは、本発明の新規なプロセスは、非溶媒和(unsolvate)形態を得るために、薬のさらなる再懸濁または再結晶化を必要としない。
【0032】
本発明に開示される抗コリン薬剤/薬の調製のためのプロセスは、連続フローモードプロセスを実施するために1以上のフロー手順を使用することを含んでもよい。
【0033】
本明細書で使用される「フロー手順」という用語は、それらの手順、例えば、化学合成の連続的な実行を可能にするために必要な特定の装置および/または特定の条件の使用を意味している。本明細書で使用されるフロー手順は、従来のバッチプロセスを含まない。好ましくは、この分野の当業者によって理解されるように、連続反応器が、材料を流動流として運ぶために使用される。
【0034】
プロセスは、反応物を反応器に連続的に供給し、生成物の流れを連続的に形成および排出することを特徴とするという点で、連続的であると定義することができる。
【0035】
本発明に開示される連続プロセスは、製品の純度および収率の改善、および流出物の減少を含む多くの理由のために有利であり得るが、これらに限定されることはなく、現在のプロセスをより環境に優しいものにする。
【0036】
「連続流反応器」という用語は、化学反応が連続流で起こることを可能にするそれらの反応器を指すために使用されている。連続流反応器は、連続管状反応器としても知られている。連続流反応器は、パイプ反応器、プラグフロー反応器、チューブ反応器または別の市販の連続流反応器、または2以上のそのような反応器の組合せを含み得る。
【0037】
本発明に開示される抗コリン薬剤/薬の調製方法において、例えば、環状第三級アミン(cyclic tertiary amines)、アルキル化剤(alkylating agents)などの出発物質または化学物質は、好ましくは、例えば、本発明に開示され、連続流反応器に連続的に供給される極性非プロトン性溶媒などの適切な溶媒に溶解した溶液の形態である。
【0038】
本発明に開示される臭化ウメクリジニウムを調製するプロセスにおいて、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル(ジフェニル)メタノール(VI)および((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(VII)を含む溶液は、好ましくは、1-プロパノール、水、または1-プロパノールと水の混合物などの極性非プロトン性溶媒で調製される。1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル(ジフェニル)メタノール(VI)および((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(VII)の溶液は、連続流反応器に別々に導入されるか、あるいは、代替として、反応物を含む溶液は、連続流反応器に導入される前に予備混合することができる。
【0039】
1-プロパノール、水、または1-プロパノールと水の混合物などの極性非プロトン性溶媒中での反応が行われる温度は、好ましくは、約120℃から約200℃の範囲である。好ましくは、反応温度は140℃を超える。好ましくは、反応温度は、約140℃から約180℃の範囲である。好ましくは、反応温度は、140℃を超えて180℃の範囲である。より好ましくは、反応温度は、約141℃から約180℃の範囲である。最も好ましくは、反応温度は、約150℃から180℃の範囲である。
【0040】
驚くべきことに、本発明のプロセスで使用される極端な温度にもかかわらず、本発明の臭化ウメクリジニウムの調製プロセスの場合において、極性非プロトン性溶媒(水または/および1-プロパノール)と((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼンなどのアルキル化剤との間に有意な不純物の形成または分解は観察されなかった。
【0041】
驚くべきことに、本発明者らはまた、本発明の連続フローモードプロセスにおいて、1-プロパノール、水、または1-プロパノールと水の混合物などの極性非プロトン性溶媒の使用は、上述の極端な温度であっても、反応時間の短縮、良好な収率と高純度が得られることを見出した。
【0042】
本発明の発明者らは、本発明に開示されたプロセスの反応時間が16~24時間から1~20分に極端に短縮されることを見出した。結果として、本発明のプロセスの反応時間は、好ましくは、約1分から約20分の範囲であり、好ましくは、本発明のプロセスの反応時間は、約2分から約20分の範囲であり、より好ましくは、本発明のプロセスの反応時間は、約5分から約20分の範囲であり、最も好ましくは、本発明のプロセスの反応時間は、約5分から約10分の範囲である。
【0043】
反応を完了させることを目的として、連続流反応器における反応混合物の最適な滞留時間を得るために、流量(flow rate)を調整した方がよい。1以上の連続フロー反応器を通る反応混合物の流量は、実行される化学反応、および使用される反応器モデルに応じて、制御、変更、または調整する方がよい。
【0044】
使用される流量と圧力の範囲は、反応器モデルによって特徴付けられる。熟練した人は、使用されている反応器モデルに応じて、流量および圧力範囲を決定することができる。例えば、特注のステンレス鋼コイル反応器の場合、通常、流量は約0.11から約0.84mL/分の範囲であり、圧力は約3から約34バールの範囲である。
【0045】
好ましくは、本発明として開示されるプロセスにおいて、生成物は、反応混合物から溶媒を除去することによって単離される。反応器から得られた反応混合物は減圧下で濃縮される方がよい。水性懸濁液を形成するために、貧溶媒(anti-solvent)、好ましくは水が濃縮生成物(concentrated product)に添加されるようにする方がよい。水性懸濁液は、好ましくは約0℃から約5℃の範囲、または0℃より高くから約5℃の温度まで冷却することが望ましく、その後、生成物の固体結晶形態を、好ましくは濾過によって単離する。濾過された生成物は、最大80%の収率で生成物を得ることができるように、好ましくは減圧下で洗浄および/または乾燥されるようにするとよい。本発明として記載された手順に従うことによって得られる生成物の純度は、HPLCによって典型的には≧98.5%の単結晶形態である。得られる生成物は、好ましくは臭化ウメクリジニウムである。
【0046】
得られた生成物の分析に使用されるX線粉末回折(XRPD)回折図、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、熱重量分析(TGA)サーモグラム、およびHPLCクロマトグラムは最新技術に準拠している。
【0047】
特に好ましい実施形態において、本発明として開示されるプロセスは、臭化ウメクリジニウムの調製に有用である。
【0048】
本発明として開示される方法によって得られる臭化ウメクリジニウム、臭化チオトロピウム、臭化グリコピロニウム、臭化アクリジニウムまたは臭化イプラトロピウムなどの抗コリン薬剤をさらに微粉化して、吸入に適した適切な粒子サイズを有する材料としてもよい。
【0049】
本発明はまた、本発明の新規な方法によって得られる、臭化ウメクリジニウム、臭化チオトロピウム、臭化グリコピロニウム、臭化アクリジニウムまたは臭化イプラトロピウムなどの抗コリン薬を提供する。本発明の好ましい実施形態では、抗コリン薬は、臭化ウメクリジニウムである。
【0050】
好ましくは、抗コリン薬は、吸入に適した形態である。本発明の方法によって得られる抗コリン薬の結晶形は、非溶媒和形態であってもよい。
【0051】
本発明はまた、本明細書に開示される抗コリン薬、好ましくは本発明の方法によって得られる臭化ウメクリジニウムおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、好ましくは乾燥粉末、溶液または懸濁液の形態での吸入に適している。本発明の医薬組成物は、追加の1以上の活性医薬品有効成分をさらに含んでいてもよい。
【0052】
本発明で開示される医薬組成物で使用される1以上の活性医薬品有効成分には、ビランテロールトリフェナテート(Vilanterol trifenatate)、フルチカゾンフロエート(Fluticasone furoate)またはそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
医薬組成物は、本明細書に開示される抗コリン薬、好ましくは本発明の新規プロセスによって得られる臭化ウメクリジニウムおよび1以上の医薬的に許容される賦形剤を混合することによって調製されてもよい。
【0054】
本発明の医薬組成物は、医薬品(medicament)として使用するためのものであり、好ましくは、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患を治療する際に使用するためのものである。本発明はさらに、COPDおよび喘息などの呼吸器、炎症性または閉塞性気道疾患を治療するための、ヒトなどの哺乳動物における治療のための方法を提供し、この方法は、治療有効量の本発明の医薬組成物の投与を含む。
投与量および投与方法は、一般的な知識に基づいて、当技術分野の専門家が決定することができる。
【0055】
医薬組成物は、経口、静脈内、非経口、吸入、鼻腔内、局所、皮下、または筋肉内を含む任意の適切な経路によって送達されるように処方されればよい。
本発明の医薬組成物は、気道への薬の送達に使用される任意の適切な方法によって投与されればよい。したがって、本発明の組成物は、定量吸入器(MDI)、乾燥粉末吸入器(DPI)、噴霧器、鼻スプレー、点鼻薬、吹送粉末、スプレーおよびスプレーパッチを使用して投与されればよい。
【0056】
ここで、本発明は、以下の実施例によって限定されることなく説明される。
【0057】
(実施例1)
(臭化ウメクリジニウムの調製)
1-プロパノール(30mL)中に1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル(ジフェニル)メタノール(0.3g、1.0mmol)および((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(0.24mL、1.5mmol)を含む溶液をステンレス鋼コイル連続フローリアクター(2.1mL)に0.11mL/minの速度で注入した。反応器の温度は180℃とした。反応時間は20分とした。連続流反応器から出てくる溶液を集め(HPLCによる変換:93.8%)、減圧下で4mLの容量に濃縮した。得られた懸濁液を5℃に冷却し、1時間撹拌した。生成物を濾過し、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)で2回洗浄し、減圧下で乾燥させた(白色粉末、0.34g、80%)。生成物をHPLCで分析した結果、純度は98.5%であった。
【0058】
(実施例2)
(臭化ウメクリジニウムの調製)
1-プロパノール(10mL)中に1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル(ジフェニル)メタノール(0.34g、1.2mmol)および((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(0.27mL、1.7mmol)を含む溶液をステンレス鋼コイル連続フローリアクター(2.1mL)に0.42mL/minの速度で注入した。反応器の温度は180℃とした。反応時間は5分とした。連続流反応器から出てくる溶液を集め(HPLCによる変換:97.3%)、減圧下で4mLの容量に濃縮した。得られた懸濁液を5℃に冷却し、1時間撹拌した。生成物を濾過し、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)(methyl tert-butyl ether)で2回洗浄し、減圧下で乾燥させた(白色粉末、0.36g、75%)。生成物をHPLCで分析した結果、純度は98.9%であった。
【0059】
(実施例3)
(臭化ウメクリジニウムの調製)
1-プロパノール(30mL)中に1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル(ジフェニル)メタノール(0.3g、1.0mmol)および((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(0.24mL、1.5mmol)を含む溶液をステンレス鋼コイル連続フローリアクター(2.1mL)に0.42mL/minの速度で注入した。反応器の温度は180℃とした。反応時間は5分とした。連続フロー反応器から出てくる溶液を収集し、希釈し、HPLCで分析した結果、93.2%の変換率が得られた。
【0060】
(実施例4)
(臭化ウメクリジニウムの調製)
1-プロパノール(30mL)中に1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル(ジフェニル)メタノール(0.3g、1.0mmol)および((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(0.24mL、1.5mmol)を含む溶液をステンレス鋼コイル連続フローリアクター(2.1mL)に0.21mL/minの速度で注入した。反応器の温度は150℃とした。反応時間は10分とした。連続フロー反応器から出てくる溶液を収集し、希釈し、HPLCで分析した結果、88.5%の変換率が得られた。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗コリン薬剤の調整プロセスであって、該プロセスが、1以上の極性非プロトン性溶媒
からなる溶媒を使用する連続フローモードで実施されることを特徴とする抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項2】
前記抗コリン薬剤が、臭化ウメクリジニウム、臭化チオトロピウム、臭化グリコピロニウム、臭化アクリジニウムおよび臭化イプラトロピウムからなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項3】
前記抗コリン薬剤が、臭化ウメクリジニウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項4】
1以上の極性非プロトン性溶媒の存在下で、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル(ジフェニル)メタノール(VI)と((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(VII)との反応を含むことを特徴とする請求項3に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項5】
溶液の状態の1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル(ジフェニル)メタノール(VI)および((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(VII)が、1以上の連続フローリアクターに連続的に供給されることを特徴とする請求項4に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項6】
前記溶媒が、1-プロパノール、水、または1-プロパノールと水の混合物であることを特徴とする先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項7】
前記混合物中の1-プロパノールと水の比率が、30:1から1:1.2の範囲で、好ましくは25:1であることを特徴とする請求項6に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項8】
前記1以上の極性非プロトン性溶媒中に1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル(ジフェニル)メタノール(VI)および((2-ブロモエトキシ)メチル)ベンゼン(VII)を含む前記溶液が、前記連続フローリアクターに個別に供給されるか、または複数の前記溶液が前記連続フローリアクターに供給される前に事前混合されていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項9】
前記反応温度が約120℃から約200℃の範囲で、好ましくは140℃を超えることを特徴とする先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項10】
前記反応温度が140℃を超えて180℃までで、好ましくは約150℃から180℃であることを特徴とする先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項11】
前記反応時間が約1分から約20分の範囲で、好ましくは約5分から約10分であることを特徴とする先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項12】
非溶媒和形態を得るために前記薬剤のさらなる再懸濁または再結晶化を必要としないことを特徴とする先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項13】
好ましくは、
(i)好ましくは減圧することにより、前記反応器から前記抗コリン薬剤を含む前記溶液の濃縮物を形成し、
(ii)非溶媒を添加し、水性懸濁液を形成するために、前記非溶媒が好ましくは水であり、
(iii)前記水性懸濁液を約0℃から約5℃の温度に冷却し、及び、
(iv)好ましくは濾過により、固体結晶形態で前記生成物を単離することにより、
前記抗コリン薬剤を単離することを更に含むことを特徴とする先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項14】
前記抗コリン薬剤を微粉化することをさらに含むことを特徴とする先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤の調製プロセス。
【請求項15】
前述の先行する複数の請求項のいずれか1つの請求項に記載のプロセスによって得られる、好ましくは非溶媒和の形態である抗コリン薬剤。
【請求項16】
固体結晶形態であることを特徴とする請求項15に記載の抗コリン薬剤。
【請求項17】
請求項15または16に記載の抗コリン薬剤および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項18】
請求項15または16に記載の抗コリン薬剤または請求項17に記載の医薬組成物であって、前記抗コリン薬剤が、臭化ウメクリジニウム、臭化チオトロピウム、臭化グリコピロニウム、臭化アクリジニウムまたは臭化イプラトロピウムであることを特徴とする抗コリン薬剤または医薬組成物。
【請求項19】
請求項18に記載の抗コリン薬剤または医薬組成物であって、前記抗コリン薬剤が、臭化ウメクリジニウムであることを特徴とする抗コリン薬剤または医薬組成物。
【請求項20】
請求項15から19のいずれか1つの請求項に記載の抗コリン薬剤または請求項17から19のいずれか1つの請求項に記載の医薬組成物であって、前記薬剤を含む前記抗コリン薬剤または前記組成物が、好ましくは乾燥粉末、溶液または懸濁液の形態で吸入に適していることを特徴とする抗コリン薬剤または医薬組成物。
【請求項21】
請求項17から20のいずれか1つの請求項に記載の医薬組成物であって、1以上の追加の活性医薬品有効成分をさらに含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項22】
請求項15から19のいずれか1項の請求項に記載の抗コリン薬剤または請求項17から21のいずれか1つの請求項に記載の医薬組成物であって、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の治療に使用することを特徴とする抗コリン薬剤または医薬組成物。
【国際調査報告】