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特表2022-549563輸送手段において通信機能を提供する方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(54)【発明の名称】輸送手段において通信機能を提供する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/50 20180101AFI20221118BHJP
   H04W 4/44 20180101ALI20221118BHJP
   H04W 12/069 20210101ALI20221118BHJP
   H04W 12/77 20210101ALI20221118BHJP
【FI】
H04W4/50
H04W4/44
H04W12/069
H04W12/77
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022509671
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2020071595
(87)【国際公開番号】W WO2021058182
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】102019125959.2
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ノイホイザー・ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD17
5K067EE02
(57)【要約】
【課題】通信機能を輸送手段、特に車両又は原動機付き車両において実装する。
【解決手段】輸送手段において通信機能を提供する方法(100)であって、輸送手段においてコードを提供し(110)、コードが、ユーザの可搬式の端末によって検出可能であるとともに、輸送手段の通信ユニットの一義的な識別情報を含んでいること、輸送手段において提供されたコードを読み取ること(120)、通信ユニットの通信能力を起動するための応答要求を可搬式の端末によって通信プロバイダへ送信し(130)、応答要求が、輸送手段の通信ユニットの、読み取られた一義的な識別情報を含んでいること、及びユーザが通信プロバイダにおいて登録されている場合に、通信プロバイダによって、通信ユニットのための通信能力が提供されること(140)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送手段(200)において通信機能を提供する方法(100)であって、
輸送手段(200)においてコード(10)を提供し(110)、コード(10)が、ユーザの可搬式の端末(300)によって検出可能であるとともに、輸送手段(200)の通信ユニット(220)の一義的な識別情報を含んでいること(100)、
輸送手段(200)において提供されたコード(10)を読み取ること(120)、
通信ユニット(220)の通信能力を起動するための応答要求を可搬式の端末(300)によって通信プロバイダへ送信し、応答要求が、輸送手段(200)の通信ユニット(220)の、読み取られた一義的な識別情報を含んでいること(130)、及び
ユーザが通信プロバイダにおいて登録されている場合に、通信プロバイダによって、通信ユニット(220)のための通信能力が提供されること(140)
を含む方法。
【請求項2】
通信ユニット(220)がSIMユニットであり、通信ユニットのための通信能力の提供(140)がSIMユニットへのeSIMのダウンロードを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
応答要求の受信後にユーザの身元が通信プロバイダによってチェックされることを更に含み、ユーザの身元が認証される場合にのみ通信能力が提供されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法(100)。
【請求項4】
ユーザの身元証明が通信プロバイダにメモリされていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項5】
ユーザの少なくとも1つの生体的な特徴を検出することを更に含んでおり、応答要求は、ユーザの少なくとも1つの生体的な特徴に関するデータを更に含んでいることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項6】
ユーザの少なくとも1つの生体的な特徴の検出が、可搬式の端末(300)又は輸送手段(200)によってなされることを特徴とする請求項5に記載の方法(100)。
【請求項7】
輸送手段(200)において提供されるコード(10)の読取(120)が、可搬式の端末(300)によってなされるとともに、可搬式の端末(300)におけるアプリケーションの起動と、アプリケーションを用いたコード(10)の読取、特に視覚的な読取又は近距離通信接続を介した読取とを含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項8】
コード(10)が、視覚的なコード、二次元コード又は三次元コードであり、特にコードがQRコードであることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項9】
コード(10)が、ディスプレイ若しくは投影装置を用いて輸送手段(200)によって視覚的に提供されるか、又はコード(10)が、近距離通信を用いて輸送手段(200)によって提供されることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項10】
輸送手段(200)において通信機能を提供するシステムであって、
輸送手段(200)においてコード(10)を提供するために構成された、輸送手段の側における装置(210)を含んでおり、コード(10)が、ユーザの可搬式の端末(300)によって検出可能であるとともに、輸送手段(200)の通信ユニット(220)の一義的な識別情報を含んでおり、
通信ユニット(220)の通信能力を作動させるために可搬式の端末(300)からの応答要求を受信するように構成されている中央ユニット(400)を含んでおり、応答要求が、可搬式の端末(300)によって検出される、輸送手段(200)の通信ユニット(220)の一義的な識別情報を含んでおり、中央ユニット(400)が、ユーザが通信プロバイダに登録されている場合にのみ通信ユニットのために通信能力を提供するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送手段において通信機能を提供する方法及びシステム並びに方法を実行する記憶媒体に関するものである。本発明は、特に、例えば車両のような輸送手段において通信機能を提供するための、通信プロバイダに対するユーザの識別(認証)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代の車両のネットワーク化は、ますます重要となっている。例えば、ユーザは、車両において実装される通信機能を用いてウェブコンテンツにアクセスし、通話し、又は他のネット上のサービスを利用することが可能である。この種のサービスを利用することができるように、ユーザは、通信プロバイダから提供される通信機能を車両において実施することが可能である。このために、ユーザは、通信プロバイダに対して識別される必要がある。しかしながら、この種の識別は、ユーザにとって煩わしいものであり、いくらか時間がかかることがあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、通信機能を輸送手段、特に車両又は原動機付き車両において実装(実行)することにある。特に、本発明の課題は、例えばeSIMに基づく通信機能を効率的かつユーザにとって容易な態様で輸送手段へダウンロードすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
当該課題は、独立請求項の対象によって解決される。好ましい形態は、従属請求項に記載されている。
【0005】
本発明の独立的な態様によれば、例えば車両のような輸送手段において通信機能を提供するための方法が記載される。方法は、(例えば視覚的に、又はNFCを用いて)輸送手段におけるコードを提供することを含んでおり、コードは、ユーザの可搬式の端末によって検出可能であるとともに、例えば輸送手段のSIMユニットのような通信ユニットの一義的な識別情報を含んでおり、また、コードを例えば可搬式の端末によって読み取ることを含み、また、例えばeSIMの提供による通信ユニとの通信能力を作動させるための応答要求を可搬式の端末によって通信プロバイダへ送信することを含んでおり、応答要求は、輸送手段の通信ユニットの読み取られた一義的な識別情報を含んでおり、ユーザが通信参加者として通信プロバイダにおいて登録されているか、あるいは既知である場合に、輸送手段のために例えばeSIMのような通信能力を提供することを含んでいる。
【0006】
通信プロバイダにより、通信参加者が可搬式の端末を介して通信することが可能となる。特に、通信プロバイダは、移動通信ネットワークのネットワークキャリア(ネットワーク事業者)であり得る。通信プロバイダに関する本発明による方法の態様は、例えばバックエンドのような通信プロバイダの中央ユニットによって実行されることが可能である。特に、可搬式の端末の応答要求は、可搬式の端末を介して通信プロバイダあるいは通信プロバイダの中央ユニットへ送信されることが可能である。同様に、例えばeSIMは、移動通信ネットワークを介して直接輸送手段へ送信されることができるか、又はeSIMは、例えば可搬式の端末若しくは輸送手段の製造者のバックエンドのような第3のユニットを介して間接的に輸送手段へ送信されることが可能である。
【0007】
本発明によれば、第2の装置を識別するために、それ自体又はそのユーザが通信プロバイダにおいて既知となっている第1の装置が用いられる。その後、例えばeSIMは、ユーザのために輸送手段へダウンロードされることができるとともに、通信のために用いられることが可能である。これにより、通信機能の作動のためにユーザを一義的に識別することを可能とするように、追加的な識別機構を提供する必要がない。特に、可搬式の端末の利用によって、プロファイルをダウンロードしようとする人物がプロファイルを要求した人物でもあることを保証することができる。したがって、例えばeSIMは、効率的かつユーザによって容易な態様で輸送手段へダウンロードされることが可能である。
【0008】
可搬式の端末という用語は、特に、スマートフォンを含むが、他の移動電話あるいは携帯電話、携帯情報端末(PDA)、タブレットPC、ノートブック型コンピュータ、スマートウォッチ、並びにアプリケーションをダウンロードし実行する技術を備えた一般的な、及び将来の電子機器を含む。
【0009】
可搬式の端末は、例えば、移動通信ネットワークにおいて、例えば、例えばモバイル通信用グローバルシステム(GSM)、汎用パケット無線システム(GPRS)、Enhanced Data Rates for Global Evolution(EDGE)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)/高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)、ロングタームエボリューション(LTE)又はワイマックス(WIMAX)のような広域ネットワークあるいはワイドエリアネットワーク(WAN)を介して無線で通信するために構成されることが可能である。別の一般的な、又は将来の通信技術、例えば5G移動通信システムを介した通信も同様に可能である。
【0010】
好ましくは、通信ユニットはSIMユニットである。通信ユニットのための通信能力の提供は、SIMユニットへのeSIMのダウンロードを含み得る。
【0011】
例えばSIMユニット(「加入者識別モジュール」とも呼ばれる。)のような通信ユニットは、輸送手段に組み入れられることが可能である。通信ユニットは、可搬式の端末及び/又は通信プロバイダとの通信のために構成されることが可能である。例えば、eSIMをSIMユニットへダウンロードすることができ、これにより、移動通信ネットワークを介した通信機能が可能となる。
【0012】
移動通信ネットワークを介して通信プロバイダ、特に通信プロバイダの中央ユニットと通信するために、輸送手段の通信ユニットを構成することが可能である。加えて、いくつかの実施形態では、輸送手段の通信ユニットは、ユーザの可搬式の端末と通信するために構成されることが可能である。輸送手段の通信モジュールと可搬式の端末の間の通信は、上述の移動通信ネットワークのうち1つ、又は例えばBluetoothのような近距離通信技術を介して行われることが可能である。
【0013】
例えばeSIMを輸送手段あるいは輸送手段のSIMモジュールへダウンロードするために、例えば、輸送手段の通信ユニットは、移動通信ネットワークを介して通信プロバイダと通信することができる。換言すれば、eSIMは、移動通信ネットワークを介して輸送手段へ伝達されることが可能である。別の一例では、輸送手段の通信ユニットはNFCを介して可搬式の端末に接続されており、例えば、eSIMは、通信プロバイダから可搬式の端末を介して輸送手段へ伝達されることが可能である。更に別の一例では、eSIMは、例えば車両製造者のバックエンドのような第3のユニットを介して、通信プロバイダから車両へ伝達されることが可能である。
【0014】
好ましくは、コードを用いて表されることができる車両のSIMユニットの識別情報は、SIMユニットのIMSI(「移動加入者識別番号」)を記述する。IMSIは、移動通信ネットワークにおいてネットワーク参加者の一義的な識別に寄与する。IMSI番号は、グローバルに、SIMごとに一度、移動ネットワーク事業者から与えられ、したがって、SIMユニットを含む車両の一義的な認証を可能とする。
【0015】
しかし、識別情報は、上記の例に限定されるものではない。例えば、通信ユニットは、対応する一義的な識別情報が割り当てられたルータであってよい。
【0016】
好ましくは、方法は、応答要求の受信後に通信プロバイダによるユーザの身元(同一性)をチェックすることを更に含んでおり、通信能力(例えばeSIM)は、ユーザの身元が確認される場合にのみ、輸送手段のために提供される。特に、可搬式の端末は、移動通信ネットワークを介して通信プロバイダと接続されることができ、これにより、可搬式の端末及びユーザは、通信プロバイダによって一義的に識別されることが可能である。ユーザの身元を確認することができなければ、通信能力を提供するための応答要求を拒否することができる。
【0017】
好ましくは、ユーザの登録時にユーザの身元証明が通信プロバイダにおいてメモリされる。通信プロバイダにおけるユーザの登録は、本発明の開示においては、ユーザが通信プロバイダにおいて既に一義的な識別されたことを意味する。一義的な識別は、本名登録(Real Name Registration)において行われることが可能である。本名登録は、通信参加者がその真正な身元を明らかにするよう余儀なくされることを意味するとともに、例えばドイツにおいては、テレサービス法によって定められている。
【0018】
好ましくは、方法は、ユーザの少なくとも1つの生体的な特徴の検出を更に含んでおり、応答要求は、ユーザの少なくとも1つの生体的な特徴に関するデータを更に含んでいる。ユーザの身元を確認するために、検出された少なくとも1つの生体的な特徴は、通信プロバイダにおいてメモリされた識別データと比較されることが可能である。ユーザの少なくとも1つの生体的な特徴の検出によって、プロセスの安全性を更に高めることが可能である。特に、通信能力の提供について応答要求を開始する、実際に登録され、ひいては正当なユーザであることを保証することができる。
【0019】
好ましくは、少なくとも1つの生体的な特徴は、言語的な特性、指紋、目の特徴(例えば虹彩スキャンにより検出可能)及び顔の特徴(例えば顔スキャンによって検出可能)から成るグループから選択されているか、これらで構成されている。
【0020】
好ましくは、ユーザの少なくとも1つの生体的な特徴の検出は、可搬式の端末又は輸送手段によってなされる。例えば、可搬式の端末のカメラ又は輸送手段のカメラを用いて顔スキャンを実行することが可能である。別の一実施例では、可搬式の端末の指紋センサ又は輸送手段の指紋センサを用いて、ユーザの指紋を検出することが可能である。
【0021】
好ましくは、コードは、例えばQRコードのような二次元コード又は三次元コードである。QR(Quick Response)コードは、コード化されたデータを2進数で表す黒色及び白色の四分円から成る正方形状のマトリクスで構成されている。QRコードにおいてコード化されたデータは、例えばIMSI番号のような、例えば車両のSIMユニットのSIM識別情報を含んでいる(か、又は当該SIM識別情報である)。
【0022】
好ましくは、コードは、輸送手段によって視覚的(可視的)に提供されることが可能である。特に、コードがユーザの可搬式の端末によって検出可能であるように、コードが視覚的に提供されることが可能である。典型的には、コードは、例えばディスプレイ又は投影装置のような輸送手段に組み入れられた表示装置を用いて提供される。
【0023】
ディスプレイは、例えばインフォテインメントシステムのディスプレイであってよい。典型的には、ディスプレイは、車両のダッシュボード内に、又はダッシュボードに統合されている。ディスプレイは、例えばヘッドユニットであってよい。しかし、本発明は、これに限定されているわけではなく、ディスプレイは、輸送手段の他の適切な箇所に設けられることが可能である。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、LDCディスプレイ、プラズマディスプレイ又はOLEDディスプレイである。
【0024】
投影装置は、例えば車両のウィンドウガラスにおけるように、輸送手段において内側及び/又は外側からコードを提供するように構成されることができる。ウィンドウガラスは、例えば車両のフロントガラス又はサイドウィンドウガラスであってよい。典型的には、投影装置はヘッドアップディスプレイである。
【0025】
別の一例では、コードは、近距離通信(NFC、Bluetoothなど)を介して可搬式の端末へ提供されることが可能である。換言すれば、コードは、通信接続を介して読み取られ、視覚的にはは読み取られない。
【0026】
好ましくは、コードは、輸送手段に通電される場合及び/又は輸送手段が適切に開放されている場合にのみ提供される。輸送手段が適切に開放されており、したがって通電されている場合には、現在のユーザが正当であると考えられる。これにより、可搬式の端末によってコードをスキャンするユーザが、これを正当に行うとともに正当なユーザであることを保証することができる。ここでの「適切に開放」という用語は、正当でない人物が例えばウィンドウガラスを打ち破って強引に輸送手段へ侵入していないことを意味する。したがって、悪用を防止することが可能である。
【0027】
好ましくは、輸送手段において提供されるコードの可搬式の端末による検出又は読取は、可搬式の端末におけるアプリケーションの起動及びアプリケーションを用いてコードの読取を含む。
【0028】
本発明の独立的な別の態様によれば、輸送手段において通信機能を提供するためのシステムが記載される。当該システムは、輸送手段においてコードを提供するために構成された、輸送手段の側における装置を含んでおり、コードが、ユーザの可搬式の端末によって検出可能であるとともに、輸送手段の通信ユニット(例えばSIMユニット)の一義的な識別情報を含んでおり、通信ユニットの通信能力を作動させる(例えばeSIMを提供する)ために可搬式の端末からの応答要求を受信するように構成されている中央ユニットを含んでおり、応答要求が、可搬式の端末によって読み取られる、輸送手段の通信ユニットの一義的な識別情報を含んでおり、中央ユニットが、ユーザが通信プロバイダに登録されている場合にのみ通信ユニットのために通信能力(例えばeSIM)を輸送手段のために提供するように構成されている。
【0029】
システムは、特に、本明細書において記載された、輸送手段において通信機能を提供する方法を実行するように構成されている。
【0030】
本発明の別の一態様によれば、ソフトウェアプログラムを有する記憶媒体が提供されている。ソフトウェアプログラムは、1つ又は複数のプロセッサにおいて実行され、これにより、本明細書において記載された、輸送手段において通信機能を提供する方法を実行するように構成されている。
【0031】
本発明において、輸送手段という用語は、特に、車両、ドローン(無人機)、船舶などを含んでいる。本発明において、車両という用語は、特に、人又は製品などの輸送に用いられる乗用車、貨物自動車、バス、キャンピングカー、自動二輪車などを含んでいる。特に、当該用語は、人を輸送する原動機付き車両を含んでいる。
【0032】
発明の実施例は、図面に図示されているとともに、以下において詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施形態による輸送手段において通信機能を提供する方法のフローチャートを概略的に示す図である。
図2】本発明の実施形態による輸送手段において通信機能を提供するシステムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、特に言及しない限り、同一及び同様に作用する要素には同一の符号が用いられる。
【0035】
図1には、本発明の実施形態による輸送手段において通信機能を提供する方法100のフローチャートが概略的に示されている。
【0036】
以下の説明は、車両、SIMユニット及びeSIMに基づいて例示的になされる。しかし、本発明は、当該特別な態様に限定されるものではない。
【0037】
方法100は、ブロック110において、(例えば視覚的に、又はNFCを用いて)車両におけるコードを提供することを含んでおり、コードは、ユーザの可搬式の端末によって読取可能であり、車両のSIMユニットの一義的な識別情報を含んでおり、また、ブロック120において、車両において提供されたコードを可搬式の端末によって読み取ることを含み、また、ブロック130において、車両のためのeSIMの提供についての応答要求を可搬式の端末によって通信プロバイダへ送信することを含んでおり、応答要求は、車両のSIMユニットの読み取られた一義的な識別情報を含んでおり、ブロック140において、ユーザが通信参加者として通信プロバイダにおいて登録されているか、あるいは既知である場合に、車両のためにeSIMを提供することを含んでいる。
【0038】
いくつかの実施形態では、コードは、可搬式の端末におけるアプリケーションによって読み取られることが可能である。アプリケーションは、通信プロバイダ又は車両製造者のアプリケーションであってよい。アプリケーションは、特に、車両へのeSIMのダウンロードする方法を作動させるように構成されることが可能である。
【0039】
典型的には、方法100は、例えば通信プロバイダの中央ユニットにおいて、応答要求の受信後に通信プロバイダによるユーザの身元(同一性)をチェックすることを更に含んでおり、通信プロバイダによってユーザの身元が確認される場合にのみ、eSIMは車両のために提供される。特に、可搬式の端末は、移動通信ネットワークを介して通信プロバイダと接続されることができ、これにより、可搬式の端末及びユーザは、通信プロバイダによって一義的に識別されることが可能である。ユーザの身元を確認することができなければ、eSIMを提供するための応答要求を拒否することができる。換言すれば、ユーザの身元を確認することができない場合には、eSIMは提供されない。
【0040】
いくつかの実施形態では、ユーザの登録時にユーザの身元証明が通信プロバイダにおいてメモリされる。身元証明は、本名登録(Real Name Registration)に当たって、通信プロバイダから得ることができるとともにメモリされることが可能である。
【0041】
いくつかの実施形態では、方法100は、ユーザの少なくとも1つの生体的な特徴の検出を更に含んでおり、応答要求は、ユーザの少なくとも1つの生体的な特徴に関するデータを更に含んでいる。ユーザの身元を追加的に確認するために、検出された少なくとも1つの生体的な特徴は、通信プロバイダにおいてメモリされた識別データと比較されることが可能である。ユーザの少なくとも1つの生体的な特徴の検出によって、プロセスの安全性を更に高めることが可能である。特に、eSIMの提供について応答要求を開始する、実際に登録され、ひいては正当なユーザであることを保証することができる。
【0042】
典型的には、少なくとも1つの生体的な特徴は、言語的な特性、指紋、目の特徴(例えば虹彩スキャンにより検出可能)及び顔の特徴(例えば顔スキャンによって検出可能)から成るグループから選択されているか、これらで構成されている。
【0043】
いくつかの実施形態では、ユーザの少なくとも1つの生体的な特徴の検出は、可搬式の端末又は車両によってなされる。例えば、可搬式の端末のカメラ又は車両のカメラを用いて顔スキャンを実行することが可能である。別の一実施例では、可搬式の端末の指紋センサ又は車両の指紋センサを用いて、ユーザの指紋を検出することが可能である。
【0044】
図2には、本発明の実施形態による車両200において通信機能を提供するシステムが概略的に示されている。
【0045】
車両200と、可搬式の端末300と、ユーザが登録されているとともにeSIMを提供する通信プロバイダの中央ユニット400とが例示的に図示されている。
【0046】
SIMユニット220は、車両200に組み入れられることが可能である。いくつかの実施形態では、車両220は、SIMユニットを有する通信ユニットを含むことが可能である。通信ユニットは、可搬式の端末及び/又は通信プロバイダの中央ユニット400との通信のために構成されることが可能である。(デジタルの)eSIMは、SIMユニット220へダウンロードされることができ、これにより、車両が可搬式の端末を介して通信することが可能となる。
【0047】
例示的な一実施形態では、可搬式の端末300は、第1の通信接続1を介して車両200と通信することができ、第2の通信接続2を介して中央ユニット400と通信することができる。車両200は、第3の通信接続3を介して中央ユニット400と通信することができる。
【0048】
可搬式の端末300と車両200の間の第1の通信接続1は、オプションであり、例えば移動通信ネットワーク又は例えばBluetooth又は車両により提供されるローカルWiFiのような近距離無線技術を用いて行われることが可能である。移動通信ネットワークは、例えばLTEネットワーク又は5Gネットワークであってよい。いくつかの実施形態では、可搬式の端末は、第1の通信接続1を介してコードを読み取ることができるか、あるいは受信することができる。
【0049】
可搬式の端末300と中央ユニット400の間の第2の通信接続2は、例えばLTEネットワーク又は5Gネットワークのような移動通信ネットワークを介してなされる。特に、可搬式の端末300から通信プロバイダの中央ユニット400への応答要求が第2の通信接続2を介して伝達される。第2の通信接続2の移動通信ネットワークは、通信プロバイダによって操作されることができ、これにより、既に可搬式の端末によって通信プロバイダにおいて登録されているユーザの一義的な識別を行うことが可能である。
【0050】
車両200と中央ユニット400の間の第3の通信接続3は、オプションであり、例えばLTEネットワーク又は5Gネットワークのような移動通信ネットワークを介して、車両200に存在するSIMユニット220を用いてなされることができる。
【0051】
しかし、車両200と、可搬式の端末300と、中央ユニット400との間の上述の通信接続のうちいくつかは、上述の例に限定されておらず、車両200と、可搬式の端末300と、中央ユニット400との間の直接的な、又は間接的な通信を可能とする、直接的な、又は間接的な通信接続の他の適切な種類を用いることができる。例えば、第1の通信接続1には、例えばワイヤレスLAN(WiFi/WLAN)のようなローカルネットワークを用いることが可能である。
【0052】
上述の移動通信ネットワーク(すなわち第3の通信接続3)を介して通信プロバイダ、特に通信プロバイダの中央ユニット400と通信するために、車両200の通信ユニットを構成することが可能である。例えば、車両200の通信ユニットは、eSIMを車両においてダウンロードするために、移動通信ネットワークを介して通信プロバイダと通信することが可能である。
【0053】
別の一例では、車両200の通信ユニットがNFC(すなわち第1の通信接続1)を介して可搬式の端末300に接続されており、eSIMは、可搬式の端末300を介して通信プロバイダから車両200へ伝達されることが可能である。
【0054】
更に別の一例では、eSIMは、例えば車両製造者のバックエンドのような第3のユニット(不図示)を介して、通信プロバイダから車両200へ伝達されることが可能である。
【0055】
車両200は、例えばインフォテインメントシステムのディスプレイのような表示装置210を含んでいる。典型的には、ディスプレイは、車両200のダッシュボード内に、又はダッシュボードに統合されている。ディスプレイは、例えばヘッドユニットであってよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、LDCディスプレイ、プラズマディスプレイ又はOLEDディスプレイである。
【0056】
表示装置210は、コード10を例えばグラフィカルに表示するように構成されている。コード10は、例えばQRコードのような二次元又は三次元のグラフィカルなコードであってよい。コード10は、例えば可搬式の端末300のカメラを用いて検出されるか、又は読み取られるように構成されている。別の一例では、コードは、近距離通信(NFC、Bluetoothなど)を介して可搬式の端末300へ提供されることが可能である。換言すれば、コードは、例えば第1の通信接続1を介して読み取られ、視覚的には読み取られない。
【0057】
以下の追加的な態様をオプションで実行することが可能である。第一に、通信プロバイダ(MNO)は、別のコードを車両へ送信することができる。このことは、例えば車両製造者のバックエンドを介して行われることが可能である。第二に、ユーザは、車両において識別情報あるいはSIM情報をスキャンすることができ、ユーザは、当該ユーザがまさに車両において本当に動作を行っていること(及びコードの写真を有していないこと)の証明として通信プロバイダの(変化することができ、その結果写真が無意味となる)第2のコードを追加的にスキャンすることができる。
【0058】
コード10は、車両200のSIMユニット220の一義的な識別情報を含んでいる。特に、一義的な識別情報は、SIMユニット220のIMSI番号(“International Mobile Subscriber Identity”又は“Internationale Mobilfunk-Teilnehmerkennung”)を含むことが可能であるか、又は当該IMSI番号であり得る。
【0059】
ユーザは、可搬式の端末300を用いて、示されたコード10を読み取ることが可能である。例えば、ユーザは、可搬式の端末300においてアプリケーションを起動し、アプリケーションを用いてコード10を読み取ることができる。
【0060】
可搬式の端末300は、第2の通信接続2を介して、車両200のためのeSIMを提供するための応答要求を中央ユニット400へ送信することが可能である。このとき、応答要求は、可搬式の端末300によって読み取られる、車両200のSIMユニット220の一義的な識別情報を含んでいる。応答要求は、オプションで、ユーザの少なくとも1つの生体的な特徴についてのデータを含んでいる。少なくとも1つの生体的な特徴は、例えばユーザの指紋であってよい。
【0061】
通信プロバイダは、通信プロバイダにおいて以前に行われたユーザの登録あるいは識別に基づいてユーザの身元をチェックする。チェックが実証して完了されると、eSIMは、例えば第3の通信接続3を介して、又は可搬式の端末300を介して間接的に(すなわち第2の通信接続2及び第1の通信接続1)車両200へ伝達されることが可能である。
【0062】
いくつかの非限定的な実施形態では、コード10は、車両200に通電される場合及び/又は車両200が適切に開放されている場合にのみ提供される。車両が適切に開放されており、したがって通電されている場合には、現在のユーザが正当であると考えられる。これにより、可搬式の端末300によってコード10をスキャンするユーザが、これを正当に行うとともに正当なユーザであることを保証することができる(このことは、例えば車両キーを用いることで保証される)。ここでの「適切に開放」という用語は、正当でない人物が例えばウィンドウガラスを打ち破って強引に車両200へ侵入していないことを意味する。
【0063】
本発明によれば、上述の例では、例えば通信プロバイダにおいて既知となっていない第2の装置を識別するために、それ自体又はそのユーザが通信プロバイダにおいて既知となっている第1の装置が用いられる。その後、eSIMは、ユーザのために車両へダウンロードされることができるとともに、通信のために用いられることが可能である。これにより、車両におけるeSIMの提供のためにユーザを一義的に識別することを可能とするように、追加的な識別機構を提供する必要がない。したがって、eSIMは、効率的かつユーザによって容易な態様で車両へダウンロードされることが可能である。
図1
図2
【国際調査報告】