(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(54)【発明の名称】ストライドエミュレータ装置
(51)【国際特許分類】
B62M 1/26 20130101AFI20221118BHJP
A63B 22/06 20060101ALI20221118BHJP
A63B 23/04 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
B62M1/26
A63B22/06 G
A63B23/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516202
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 US2020070550
(87)【国際公開番号】W WO2021056024
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514027078
【氏名又は名称】ゲンデル,アレキサンダー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ゲンデル,アレキサンダー
(57)【要約】
【解決手段】回転駆動システムに伝達されるヒトの脚による力を効率的に利用するためのストライドエミュレータ装置であり、該ストライドエミュレータ装置は、1対のレバー、少なくとも2つのギア、クランクアームを有する少なくとも2つのクランクシャフトを含み、および各々のレバーがカムおよびカムトラックを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライドエミュレータ装置であって、該ストライドエミュレータ装置は、
第1のレバーおよび第2のレバーを含む1対のレバーであって、ここで、前記第1のレバーは第1のカムトラックを含み、第2のレバーは第2のカムトラックを含む、1対のレバーと、
遠位ギアおよび中央ギアを含む少なくとも2つのギアと、
遠位ギアの遠位軸に配置され、かつ第1の遠位クランクアームとの機械的に連通している遠位クランクシャフトであって、ここで、前記第1の遠位クランクアームは、その遠位部分で前記第1のレバーに回転自在に接続され、ここで、前記遠位クランクシャフトは第2の遠位クランクアームとの機械的に連通しており、ここで、前記第2の遠位クランクアームはその遠位部分で前記第2のレバーに回転自在に接続される、遠位クランクシャフトと、
中央ギアの中間軸に配置され、かつ第1の中間クランクアームと機械的に連通している中間クランクシャフトであって、ここで、前記第1の中間クランクアームは前記第1のカムトラックに摺動可能に接続された第1のカムを含み、ここで、前記中間クランクシャフトは第2の中間クランクアームと機械的に連通しており、および前記第2の中間クランクアームは第2のカムを含み、かつ前記第2のカムトラックに摺動可能に接続される、中間クランクシャフトと、を含み、
ここで、前記第1のレバーおよび前記第2のレバーは、前記ギアの少なくとも片側上に配置され、および
ここで、前記第1の遠位クランクアーム、および前期第1の中間クランクアームは、前記中間軸に垂直な第1の動力円弧角によってオフセットされ、および
ここで、前記第2の遠位クランクアーム、および前記第2の中間クランクアームは、前記中間軸に垂直な第2の動力円弧角によってオフセットされる、ストライドエミュレータ装置。
【請求項2】
少なくとも1つのギア、少なくとも1つのプーリー、少なくとも1本のベルト、および少なくとも1つのチェーンからなる群から選択される少なくとも1つの力同期装置をさらに含み、それによって、力が第1のレバーの近位部分にかけられる際、第1の回転運動は前記遠位ギアで引き起こされ、その後の力が、少なくとも部分的な回転後に第2のレバーの近位部分で引き起こされる際、第2の回転運動は前記遠位ギアで引き起こされる、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項3】
前記第1のレバーが第1のレバー線をさらに含み、および前記第1のレバー線は動力変更サイクルに沿ってたどる、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項4】
前記第1のレバーは動力変更サイクルをさらに含み、ここで、前記動力変更サイクルは、動力位相および移動位相を含む、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項5】
前記動力位相は、移動位相より小さい曲率を有する、請求項4に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項6】
前記動力位相は線形特性を有しており、かつ前記移動位相はアーチ形特性を有する、請求項5に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項7】
前記第1のレバーの第1の動力位相は、前記第2のレバーの第2の動力位相と3~16パーセントから選択された量、重複する、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項8】
移動位相の長さが10~30インチの量から選択される、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの力同期装置が、前記遠位ギアおよび前記中央ギアと機械的に連通している中間ギアを含み、ここで、前記遠位ギアから前記中間ギアに伝達される力は、さらに、前記中央ギアに伝達される、請求項2に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項10】
前記第1の動力円弧角は、0度~120度の範囲内の角度から選択される、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項11】
前記第1の遠位クランクアーム、および前記第2の遠位クランクアームは、第2の軸方向に180°オフセットされる、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項12】
前記第1の中間クランクアーム、および前記第2の中間クランクアームは、第2の軸方向に180°オフセットされる、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項13】
前記レバーアームは、第1の遠位軸と中間軸との間に配置された焦点を通過し、その最も遠い開位置において、前記第2のクランクアームのタンジェントを示す、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項14】
前記第1のレバーはカムロックを含む、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項15】
前記動力変更サイクルは非対称的である、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項16】
前記第1の遠位クランクアームは、遠位アームシフトを含み、かつ前記第1の中間アームは、中間アームシフト(540)を含む、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項17】
前記カムトラックは線形である、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項18】
前記カムトラックはアーチ形である、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【請求項19】
前記カムトラックは非線形である、請求項1に記載のストライドエミュレータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2019年9月18日に出願された米国仮特許出願第62/902,331号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、直線運動から円運動または回転運動への変換(あるいはその逆もしかり)、および特に、変換用の機構に関する。
【0003】
歩く、または登る際に、我々の脚のストロークは非対称的であり、脚は互いに異なる速度で動く。空中の脚のリターン移動は、地面へのプッシュより速い。したがって、脚のストロークは、重複し、および動力は、継続的な推力や地面との接触を失うことなく、片方の脚からもう一方の脚にスムーズに伝達される。
【0004】
線形推力を回転運動に変換する一般的な方法は、クランクによる方法である。自転車クランクは、一般的に脚から動力を取り込むために使用される。歩くとき、または登るときとは異なり、クランクを回すときは、脚は互いに同じ速度で動く。この動きは、ランニングに似ており、脚もほぼ同じ速度ですばやく動く。走っている間、より高い速度で移動する身体の運動量(慣性)は「エアタイム」を可能にするので、継続的な地面接触や重複するストロークが必要とされない。同様に、自転車クランクも、クランクの「デッド」スポットを通過するために、速度と高RPMからの慣性に依存する。
【0005】
サイクリングの成功が、非常に高いケイデンスまたはRPM(1分あたりの回転数)に依存することはよく理解されている。主な理由の1つは、ペダルとクランクのインプットシステムである。クランクはクランクの線形動力インプットが断続的であるため、効率を上げるには高いRPMが必要とされる。より低いケイデンスおよびより低い速度でのサイクリングは本質的に非効率的である。
【0006】
特定の動きおよび適用はより低いRPMを必要とし、効率のために慣性に依存することはできない。例えば、丘を登る際には、クランクが高RPMで回転する場合でも、高前進速度からの慣性と回転慣性を利用することができない。
【0007】
本発明の目標は、歩くおよび登るの脚の動きをエミュレートし、そのような動きからの動力を効率的に回転に変換し、それによって、より低いインプットRPMでの動力の効率的な伝達を可能にする機械システムを提供することである。
【0008】
本発明の別の目標は、より低いケイデンスで動作する遅筋線維を効率的に使用または訓練する自転車または運動器具を作成することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、歩くまたは登るの脚の動きにたどるように設計されたレバー機構を提供する。レバー機構は、移動サイクルまたはストロークよりも長い動力サイクルまたはストロークによって特徴付けられ、つまり、被駆動ギアの1回の「回転」で、50%超の時間で動力が前記ギアに伝達される。この動力ストロークの「重複」により、100%の時間で完全な線形動力インプットが可能になる。動きの経路は、脚の動きと非常によく似ている。押している間、脚はまっすぐに移動している。前に移動する際、脚は「弧」の形をたどって空中で持ち上がる。
【0010】
本発明に係るストライドエミュレータの各インプットレバーは、そのような経路または「サイクル」をたどる。押している際、脚はほぼまっすぐに動いている。動いている際、脚は弧をたどる。本発明に係るストライドエミュレータは、常に同じ方向に同じ量だけ回転するように、(チェーン、ギア、または他の手段によって)一緒に結合されている2つのスライダクランクを含む。各スライダクランクのクランクアームは、互いからおよそ180度回転される。所望のインプット経路(脚のストロークのシミュレートされた軌道)に応じて、わずかに大きいまたは小さい角度が可能である。
【0011】
2つのスライダクランク自体は、シャフトで結合されているため、互いに180度回転する。このように、インプットレバーは歩くまたは登るのリズムに従う。簡易なクランクでは、線形動力ストロークは純粋に線形的に回転に変換されない。しかしながら、それは、回転の約1/4に多かれ少なかれ効率的である。本発明に係るストライドエミュレータにおいて、線形動力ストロークは線形的に変換されるだけでなく、回転の1/2超の間も効率的である。
【0012】
より具体的に、ストライドエミュレータ装置が提供され、該ストライドエミュレータ装置は、第1のレバーおよび第2のレバーを含む1対のレバーであり、ここで、前記第1のレバーは第1のカムトラックを含み、および第2のレバーは第2のカムトラックを含む、1対のレバーと、遠位ギアおよび中央ギアを含む少なくとも2つのギアと、遠位ギアの遠位軸に配置され、かつ第1の遠位のクランクアームに接続された遠位クランクシャフトであり、ここで、第1の遠位クランクアームは、その遠位部分で第1のレバーに回転自在に接続され、ここで、遠位クランクシャフトは第2の遠位クランクアームに接続され、ここで、第2の遠位クランクアームはその遠位部分で前記第2のレバーに回転自在に接続される、遠位のクランクシャフト、中央ギアの軸に配置され、かつ第1の中間クランクアームとの機械的連通している中間クランクシャフトであり、第1の中間クランクアームは第1のカムトラックに摺動可能に接続された第1のカムを含み、ここで、中間クランクシャフトは第2の中間クランクアームに接続され、および第2の中間クランクアームは第2のカムを含み、かつ第2のカムトラックに摺動可能に接続される、中間クランクシャフトを有し、ここで、前記第1のレバーおよび前記第2のレバーは、ギアの少なくとも片側上に配置され、および、ここで、第1の遠位クランクアームおよび第1の中間クランクアームは、中間軸に垂直な第1の動力円弧角によってオフセットされ、および、ここで、第2の遠位クランクアームおよび第2の中間クランクアームは、中間軸に垂直な第2の動力円弧角によってオフセットされる。
【0013】
さらに、ストライドエミュレータ装置が提供され、該ストライドエミュレータ装置は、少なくとも1つのギア、少なくとも1つのプーリー、少なくとも1本のベルト、および少なくとも1つのチェーンなどの少なくとも1つの力同期装置を有し、それによって、力が第1のレバーの近位部分にかけられる際、第1の回動運動は遠位ギアで引き起こされ、その後の力が少なくとも部分的な回転後に第2のレバーの近位部分で引き起こされる際、第2の回動運動は遠位ギアで引き起こされる。
【0014】
さらに、ストライドエミュレータ装置が提供され、ここで、第1のレバーが第1のレバー線をさらに含み、および第1のレバー線は動力変更サイクルに沿ってたどる。
【0015】
さらに、ストライドエミュレータ装置が提供され、ここで、第1のレバーは動力位相および移動位相を含む動力変更サイクルをさらに含む。
【0016】
発明の目的
本発明の目的は、一定のおよび可変のギア比での継続的かつ効率的なエネルギー移動のためのレバー動作のギア伝動システムを提供することである。具体的な実施例が、明確にする目的で以下の説明に含まれているが、本発明の範囲内で、様々な詳細が変更され得る。
【0017】
発明の別の目的は、運動器具に適した、レバーを駆動した機構を提供することである。
【0018】
発明の別の目的は、ロボット工学における使用のために、回転を歩行運動に変換するレバー機構を提供することである。
【0019】
発明の別の目的は、階段昇降機械またはトレッドミルと同様に、訓練の目的のために、回転を歩行運動に変換するレバー機構を提供することである。
【0020】
発明の別の目的は、ボート、航空機などの他の形態の人力の乗り物に適合したレバー駆動機構を提供することである。本発明の別の目的は、自転車に動力を供給するように適合した可変ギア比を有するレバー駆動機構を提供することである。
【0021】
本発明は、より優れた手動ウィンチを提供することを別の目的とする。
【0022】
本発明のさらなる目的は、より優れたポンプシステムを提供することである。
【0023】
本発明の他のおよびさらなる目的は、本発明の以下の詳細な説明についての理解によって、または本発明の利用後に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の好ましい実施形態は、本発明が属する当該技術分野の当業者が、本発明を構築かつ使用する方法を容易に理解できるための詳細な説明に対して選択され、添付図面で示されている。
【
図1】
図1は、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態の斜視図を表す図である。
【
図2a】
図2aは、経時的な身体の動きおよび足の動きの相対速度を表す図である。
【
図2b】
図2bは、経時的な身体の動きおよび足の動きの相対速度を表す図である。
【
図3a】
図3aは、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態の側面図を表す図である。
【
図3b】
図3bは、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態の側面図を表す図である。
【
図4】
図4は、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態の部分、およびトラックとしての可能な経路またはサイクルを表す概念図である。
【
図5】
図5は、中間ギアを有し、かつ2つの位置で示されている、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態の一部の側面図を表す図である。
【
図6】
図6は、1つの可能な動力サイクル、および動力位相および移動位相中にサイクル中の様々なポイントにおける本発明に係るストライドエミュレータの実施形態のレバーの相対位置を示す概念図である。
【
図7a】
図7aは、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態において実行し得る所望の動力サイクルの設計のための様々な因子を示す概念図である。
【
図7b】
図7bは、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態において実行し得る所望の動力サイクルの設計のための様々な因子を示す概念図である。
【
図7c】
図7cは、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態の側面図を表す図である。
【
図8a】
図8aは、60%の移動位相対動力位相の比を有する、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態において実行し得る所望の動力サイクルの設計のための様々な因子を示す概念図である。
【
図8b】
図8bは、66%の移動位相対動力位相の比を有する、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態において実行し得る所望の動力サイクルの設計のための様々な因子を示す概念図である。
【
図8c】
図8cは、53%の移動位相対動力位相の比を有する、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態において実行し得る所望の動力サイクルの設計のための様々な因子を示す概念図である。
【
図9】
図9は、仮想のヒトのユーザーが用いる、本発明に係るストライドエミュレータ装置に適合された自転車の実施形態の側面図である。
【
図10a】
図10aは、仮想のヒトのユーザーによる、本発明に係るストライドエミュレータ装置に適合された運動器具の実施形態の側面図を表す図である。
【
図10b】
図10bは、仮想のヒトのユーザーによる、本発明に係るストライドエミュレータ装置に適合された運動器具の実施形態の側面図を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係るストライドエミュレータ装置(100)の好ましい実施形態が、
図1に示される。ストライドエミュレータ装置(100)の実施形態は、第1のレバー(102)および第2のレバー(152)を含む1対のレバー(101)を含む。各レバーは、カムトラック(104)、(154)を含む。カムトラックは、とりわけ、レバーに取り付けられたトラックとして、またはレバーの長さに沿って延在するくぼんだ部分として、または単にレバーの長さに沿って延在する開口として形成され得る。
【0026】
加えて、ストライドエミュレータ装置(100)は、少なくとも2つのギア、すなわち、遠位ギア(180)、中央ギア(182)、および遠位クランクシャフト(170)を含む。遠位クランクシャフトは、中心部、すなわち、遠位ギアの遠位軸(181)に取り付けられ、それによって、ギアが回転する際、回転力はクランクシャフトに伝達され、その逆もしかりである。
【0027】
遠位クランクシャフト(170)は、第1の遠位クランクアーム(110)に接続され、第1の遠位クランクアーム(110)は、ピボット、ねじ、またはレバーの遠位部分(106)の回転ジョイントを使用するなどして、レバーの1つの端部で第1のレバー(102)に回転自在に接続される。したがって、遠位クランクシャフト(170)は、第1の遠位クランクアームの長さに応じて移動するレバーの1つの端部用の回転支持体を形成する。
【0028】
加えて、遠位クランクシャフト(170)は、第2の遠位クランクアーム(160)に接続され、第2の遠位クランクアーム(160)は、ピボット、ねじ、またはレバーの遠位部分(156)の回転ジョイントを使用するなどして、レバーの1つの端部で第2のレバー(152)に回転自在に接続される。したがって、遠位クランクシャフト(170)は、第1の遠位クランクアームの長さに応じて移動するレバーの1つの端部用の回転支持体を形成する。
【0029】
さらに、中間クランクシャフト(190)が提供され、かつ中心部、すなわち、中央ギア(182)の中間軸(181)に取り付けられ、それによって、ギアが回転する際、回転力はクランクシャフトに伝達され、その逆もしかりである。
【0030】
加えて、中間クランクシャフト(190)は、第1の中間クランクアーム(112)に接続され、第1の中間クランクアーム(112)は、第1のカム(114)などの回転可能な支持体によって第1のカムトラック(104)に回転自在に接続される。したがって、中間クランクシャフトは、第1のレバーの中間クランクアームの端部で回転支持体を形成し、ここで、カムは、第1の遠位クランクアームの長さ、および第1のカムトラック(104)の長さと位置に応じて、第1のレバーの第1のカムトラック(104)に沿って支持、回転、およびスライドする。したがって、第1の中間クランクアームは、第1のカムトラックに摺動可能に接続された第1のカムを含み、およびピン、シャトル、または接続の他の摺動手段などの他の手段を代替的に含み得る。
【0031】
同様に、中間クランクシャフト(190)は、第2のレバーの第2のカムトラック(154)に摺動可能に接続された第2のカム(164)を同様に含む第2の中間クランクアーム(162)と機械的に連通している。
【0032】
好ましくは、レバーと関連する要素の各セットは互いの鏡像である。1つの実施形態では、第1のレバーおよび第2のレバーは、ギアのいずれかの側に配置されるが、様々な要素の相対的な位置は、装置の意図された機能応じて調整できることが理解され得、および当業者は、本発明に係るそのような装置の意図された利益を実現するために、本発明の教示に従って、本明細書に記載の様々な要素の相対的な位置、サイズ、および組み合わせを適合させることができる。
【0033】
例えば、本発明に係るストライドエミュレータ装置(100)の好ましい実施形態では、第1の遠位クランクアームおよび第1の中間クランクアームは、その初期開始位置において、中間軸または第1の軸方向(220)に垂直な第1の動力円弧角(210)によってオフセットされる。第1の動力円弧角は、遠位クランクアームと中間クランクアームの角度の差である。それは、基本位置である180°であり得、180°から約70°に減少し得る。例えば、ギアが同じ直径であり、かつ、中間ギア(300)、(510)、または他の力同期装置(300)などによって機械的に接続されている実施形態では、各ギアは同じ速度で動き、それによって各クランクアームを同じ速度で回転させる。簡易な場合では、各クランクアームは、同じ相対方向に位置づけられ得、すなわち、それらは同期される。しかしながら、本発明の目的を達成するために、当業者は、本明細書でさらに説明されるように、開始位置を変更して、クランクアームの一方を他方に対してオフセットすることができる。
【0034】
同様に、ストライドエミュレータ装置は、中間軸、または第2の軸方向(240)に垂直な第2の動力円弧角(230)によってオフセットされた第2の遠位クランクアームを備えている。
【0035】
フレーム(199)も、ストライドエミュレーション装置(100)を支持し、ギアが回転するフレームワークを提供するために提供され得、当業者が本発明の機能を利用することを望む、自転車、運動器具、または他の機械の他の要素に接続され得る。
【0036】
図2aは、本発明の利点を示す方法として、経時的な身体の動きおよび足の動きの相対速度を表す図である。ストライドの第1位相では、足は地面と接触しているときに経時的に身体に一定の動力を提供し、Vb-Vfとして表され得る。足を上げて前に出し、歩幅として元に戻す第2の位相では、これは「移動」位相であり、作業は行われることなく、より多くの動力を提供するためにストライドの前に足をリセットする必要がある。この概念図では、動力を伝達する機会の損失量は40%であるが、大きく異なる可能性がある。したがって、この図は、本発明の背後にある概念以上のものを伝えることを意図するものではない。
【0037】
同様に、
図2bは、経時的な身体の動きと足の動きの相対速度を表す図であり、連続した複数のストライドを示している。各ストライド中に、動力は途切れることなく伝達されるが、動力が浪費される重複がある。繰り返しになるが、これは概念図であり、重複は10%として示されているが、大きく異なる可能性がある。したがって、この図は、本発明の背後にある概念以上のものを伝えることを意図するものではない。
【0038】
図3aおよび
図3Bは、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態の側面図を表す図である。この実施形態では、力同期装置(300)として2つのギアを接続するためのチェーン(300)が提供される。これらの2つの図は、使用中のサイクルの異なるポイントでのレバーの動きを示すことを目的とする。例えば、
図3aでは、レバーは、各クランクアームが中間クランクアーム線(212)と遠位クランクアーム線(214)との間の角度によって測定される第1の動力角度(210)によってオフセットされる位置にある。レバー(102)の近位部分(116)、(166)は、サイクルのどこにストライドエミュレーション装置が提供されるかということに応じて、2つの異なる位置にあることが理解される。各ギアが回転すると、各クランクアームがレバーを特定のサイクルにおいて動かすように誘導することが理解されるであろう。
【0039】
図4は、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態の部分、およびレバー(102)の近位部分(116)、(166)がたどる可能性のある経路または、サイクルを表す概念図である。より一般的に、レバー線(118)、(168)は、図に示されるように、サイクル、すなわち、動力変更サイクル(200)をトレースする。サイクルの形状は、とりわけ、各クランクアーム(110)、(112)、(160)、(162)の相対的な長さ、およびギアの分離を含む多くの要因に依存している。
図4に示される本発明の一実施形態では、動力変更サイクル(200)は、外側に湾曲したまたは凸状の移動位相(280)部分と、凹状または内側に湾曲した動力位相(260)を有する。この概念図では、レバー線(118)、(168)は、使用され得る有形のレバーアームの無形の延在部として示されている。
【0040】
図5は、中間ギア(510)を有する、かつ2つのレバー(102)、(152)を有して示されている、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態の一部の側面図を表す。2つのレバーを有する好ましい実施形態では、本発明に係るストライドエミュレーション装置は、各レバーにオフセット位置を提供するように適合されている。例えば、自転車に適合したストライドエミュレータ装置の実施形態では、実施形態は、ギアを駆動するために断続的に押される左ペダルおよび右ペダルを含み得る。第1の遠位クランクアーム(110)は、第2の遠位クランクアーム(160)から180°オフセットされており、および第1の中間クランクアーム(112)は、第2の中間クランクアーム(162)から180°オフセットされている。装置のユーザーは、ペダルを完全に一周させるように押すのではなく、第1のレバーを、次に第2のレバーを断続的に前後に押したり引いたりし、これによって、機械で運転するのに利用され得るエネルギーを非常に効率的にギアに伝達可能になる。
【0041】
図6は、1つの可能な動力サイクル(200)と、動力(260)位相中および移動位相(280)中のサイクル(200)の周りの様々なポイントにおける本発明に係るストライドエミュレーション装置(100)の実施形態のレバーの相対位置を示す概念図である。この概念図は、縮尺どおりではなく、動力位相および移動位相の曲線に沿った各ポイントのどこにレバーが配置されているかを示す。特定の実施形態について本発明が関係する分野の当業者によって選択された構成に応じて、動力変更サイクル(200)の形状が変化することが理解され得る。
【0042】
この図は、ストライドエミュレータの一実施形態の可能なサイクル(200)を示す。この経路では、経路上の各ポイントは、アウトプットクランクの回転のl/15を表す。
図6では、動力位相(260)のいくつかのポイントは直線に近く、各隣接ポイント間の距離は類似している。これはこれらのポイントからの同じ量の線形インプットが、アウトプットクランクの同じ量の回転を引き起こすことを意味する。移動位相(280)上のこれらのポイントのアーチ形の経路は、移動ストローク上のレバーの加速および減速を示す。この特定の例では、移動ストロークは動力ストロークの時間の約半分である。両方のレバーアームがクランクシャフトに接続されている場合、動力ストロークの重複が発生し、一方のインプットレバーからもう一方のインプットレバーに動力を伝達できることが理解され得る。
【0043】
動力と移動ストロークの比率は、クランクのピボット位置とクランク間の距離によって決定される。要望される重複の量およびストロークの所望の形状に応じて、複数の配置が可能である。さらに、2つのクランク間の角度をわずかにオフセットすることが可能であり、その結果、経路はわずかに非対称になる。レバーアームの長さは、さらに経路の形状に影響を与える。さらに、レバーアームを反対方向に伸長させることにより、動力セグメントが円弧状になり、移動セグメントがより直線になるように経路の形状を変えることができる。代替的に、カムトラックが第2のクランクまで延在する場合、カムロック(530)(
図5に示される)などのロック機構は、前部または後部クランクを代替的に固定することができ、歩くことをエミュレートするモードと、脚を押すのが前方への移動よりも速くなるスケートや跳躍などの動きをエミュレートするモードとの間で切り替えることが可能である。カムトラックの形状を変更することにより、経路をさらに制御し、円弧などの完全に直線な非線形にならないようにすることも可能である。さらに、または代替として、本発明に係るエミュレータ装置(100)の実施形態は、動力サイクル(200)をその場で変更するための中間アームシフト(540)および遠位アームシフト(520)を含み得る。中間アームシフト(540)および遠位アームシフト(520)は、ギアシフト(図示されず)からの信号が提供されると長さが変化する伸縮アームとして提供され得るか、または使用前に手動で設定および調整され得る。中間アームシフト(540)および遠位アームシフト(520)は、力同期装置(300)への過度のひずみを防ぐように、長さを相補的な方向にシフトする必要がある。
【0044】
図7a、7b、7cは、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態の側面図とともに、当業者が選択した実施形態のために特定の動力サイクル(200)の特性を有する所望の構成を選択するのを支援するために、本発明に係るストライドエミュレータの実施形態で実施できる所望の動力サイクルを設計するための様々な要因を示す概念図である。
【0045】
図7a、7b、および7cに示されるように、いくつかのレバーの線の延在部(118)、(168)が交差するところに仮想の焦点(700)が提供される。例えば、
図7aに示されるように、遠位軸(181)およびレバーの遠位部分(106)、(156)の移動直径を画定する特定のレバーアーム長さを有する単一のギアから始まるように、焦点(700)は、アーチ形の経路をたどるときに、動力変更サイクルの最も遠い範囲を提供する2つのポイントでのタンジェントによって画定される。
【0046】
図7bにおいて第2のレバーアームおよびカムトラックを提供することは、追加の制約を提供し、動力変更サイクル(200)のアーチ形の経路に定義を提供する。
【0047】
したがって、動力変更サイクルを利用するために機械を設計する場合、第1にレバーの長および/またはレバーの線の延在部(118)、(168)を選択し、第2に所望の動力変更サイクルの特性(200)を選択することによって、ストライドエミュレーション装置(100)の所望の構成に戻ることができる。例えば、脚の長さまたはストライドが短いまたは長い個人向けに自転車を設計し、それによって、特定の個人に適合させた最適なシステムを提供して、最も効率的に装置に動力を伝達することができる。
【0048】
様々な動力変更サイクルが可能であり、動力対移動の比率が特定の用途に応じて変更されることは、当業者によって理解され得る。したがって、
図8a、8b、および8cは、60%、66%および53%の移動位相対動力の比率を有する本発明に係るストライドエミュレータの実施形態で実施し得る所望の動力サイクルを設計するための様々な要因を示す概念図である。
【0049】
より強力なシステムのためにギアのシフトをエミュレートするためにいくつかのストライドエミュレーション装置を使用し得ることは、本発明の範囲内である。例えば、第1のストライドエミュレーション装置(100)の第1の動力変更サイクル(200)は、追加のストライドエミュレーション装置(1000)およびそれに関連する追加の動力変更サイクル(2000)と共に使用するように適合され、これによって、1つのギアシステムから他のギアシステムにシフトすることによって動力のステップアップが達成され得る。例えば、代替的な実施形態では、
図3aに示される第1の構成を有する装置(100)は、
図3bに示されるような第2の構成を有するさらなる装置に接続され得る。各々の装置は、異なる構成、すなわち、ギアサイズの焦点位置、レバーの長さなどを有し、したがって、組み合わせて、新しい、かつ固有の動力サイクル(200)を獲得するであろう。
【0050】
図9は、仮想のヒトのユーザーによる本発明に係るストライドエミュレータ装置に適合された自転車(910)の実施形態の側面図である。自転車は、ストライドエミュレーター(100)が動力インプットの手段として従来のクランクに取って代わるところに適合されている。この図には、ストライドシミュレーターのクランクの1つを後輪に結合する一連のチェーンが示される。前輪にも動力を伝達する他の手段が可能であることが理解され得る。さらに、回転アウトプットを収集するのではなく、インプットを同期する手段として、ストライドエミュレータ機構を使用することが可能である。
【0051】
図10aおよび10bは、仮想のヒトのユーザーによる本発明に係るストライドエミュレータ装置に適合された運動器具(1010)の実施形態の側面図を表す図である。
【0052】
本発明の異なる用途は、とりわけ、トレーニング装置または運動器具、ポンプ、折りたたみ自転車、カーゴバイク、ウォータークラフトを含む。
【0053】
本発明の原則を具体化する構造に対して様々な変更がなされてもよい。前述の実施形態は、限定する意味ではなく、例示的な意味で明記されている。本発明の範囲は、ここに添付される請求項によって定義される。
【国際調査報告】