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特表2022-549606半導体基板をキャリアにボンディングする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(54)【発明の名称】半導体基板をキャリアにボンディングする方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20221118BHJP
【FI】
H01L21/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517720
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 US2020037960
(87)【国際公開番号】W WO2021055032
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】16/576,451
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】314015767
【氏名又は名称】マイクロソフト テクノロジー ライセンシング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー,ジェオフリー シー.
(57)【要約】
半導体デバイスを製造する方法は、半導体基板を設けることと、半導体基板をキャリアにボンディングすることとを含む。半導体基板は、不活性材料層およびその上の半導体層を含む。半導体基板は、不活性材料層がキャリアと半導体基板の間にあるように、キャリアにボンディングされる。キャリアと半導体基板との間に不活性材料層を含むことによって、半導体基板をキャリアにボンディングするために使用される任意のボンディング剤の拡散に対する障壁が形成され、それによって半導体層の完全性が維持され、半導体基板をキャリアから容易に取り外しすることが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを製造する方法であって、
不活性材料層と、前記不活性材料層の上の半導体層とを含む半導体基板を設けることと、
前記不活性材料層がキャリアと前記半導体基板との間にあるように、前記半導体基板を前記キャリアにボンディングすることと
を含む方法。
【請求項2】
前記不活性材料層が前記半導体層の上に直接存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記半導体基板を前記キャリアにボンディングした後に、前記半導体基板の上に一以上の追加層を設けることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記一以上の追加層は、分子ビームエピタキシープロセスにより設けられる、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記半導体基板の上に前記一以上のデバイスを作製した後、前記キャリアから前記半導体基板を取り外しすることをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記半導体基板を前記キャリアにボンディングすることは、
前記キャリアと前記半導体基板との間にボンディング剤を設けることと、
前記ボンディング剤を、そのボンディング剤の融点まで加熱することと、
融解したボンディング剤の上に前記半導体基板を設けることと、
前記ボンディング剤を冷まさせることと
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記キャリアから前記半導体基板を取り外しすることは、
前記ボンディング剤を、そのボンディング剤の融点まで加熱することと、
前記半導体基板を前記キャリアから持ち上げることと
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ボンディング剤は金属である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ボンディング剤の融点は、前記不活性材料層及び前記半導体層の融点よりも低い、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記不活性材料層は、前記ボンディング剤の前記半導体層への拡散を防止する、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記不活性材料層は、チタン、タングステン、白金、レニウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、クロム、およびバナジウムのうちの1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記半導体層は、ガリウムおよびインジウムのうちの1つを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ボンディング剤は、ガリウムおよびインジウムの1つを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記不活性材料層は、チタン、タングステン、白金、レニウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、クロム、およびバナジウムのうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記半導体層は、ガリウム、アルミニウム、アンチモン、リン、カドミウム、水銀、テルル、シリコンゲルマニウム、鉛ビスマス、亜鉛およびインジウムのうちの1つを含む、
請求項14に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体デバイスの製造に関し、特に、半導体基板を半導体デバイスの製造のためキャリアにボンディングする改良された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、様々な製造プロセスによって形成される。量子計算アプリケーションに使用されるような高度な半導体デバイスは、例えば分子ビームエピタキシーのようなその場(in-situ)製造など高度な製造プロセスを必要とすることがある。高度な製造プロセスでは、半導体基板は、製造プロセス中の支持及び安定のためにキャリアにボンディングされることが多い。半導体基板とキャリアとの間のボンディングは、強固であるが、製造プロセスが完了した後に半導体基板をキャリアから容易に取り外しすることも可能でなければならない。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、半導体デバイスを製造する方法は、半導体基板を設けることと、半導体基板をキャリアにボンディングすることとを含む。半導体基板は、不活性材料層およびその不活性材料層の上の半導体層を含む。半導体基板は、不活性材料層がキャリアと半導体基板の間にあるように、キャリアにボンディングされる。キャリアと半導体基板との間に不活性材料層を含むことによって、半導体基板をキャリアにボンディングするために使用される任意のボンディング剤の拡散に対する障壁(barrier)が形成され、それによって半導体層の完全性(integrity)が維持され、半導体基板をキャリアから容易に取り外しすることが可能になる。
【0004】
さらなる例において、不活性材料層は、半導体層上に直接存在する。
【0005】
さらなる例では、半導体基板をキャリアにボンディングした後、一以上のデバイスが半導体基板上に製造される。一以上のデバイスは、分子ビームエピタキシープロセスによって製造されてもよい。
【0006】
さらなる例では、半導体基板上に一以上のデバイスを作製した後、半導体基板はキャリアから取り外しされる。
【0007】
さらなる例では、半導体基板をキャリアにボンディングすることは、キャリアと半導体基板との間にボンディング剤を設けることと、ボンディング剤を融解して半導体基板をキャリアにボンディングすることとを含む。キャリアから半導体基板を取り外しすることは、ボンディング剤を加熱し、半導体基板をキャリアから離すことを含むことができる。
【0008】
さらなる例では、ボンディング剤は金属である。不活性材料層は、ボンディング剤の半導体層への拡散を防止し得る。ボンディング剤は、不活性材料層およびキャリアの融点よりも低い融点を有してもよい。さらに、ボンディング剤は、半導体層の融点未満の融点を有してもよい。不活性材料層は、チタン、タングステン等を含むことができる。半導体層は、ガリウムヒ素(GaAs)、リン化インジウム(InP)などを含んでもよい。ボンディング剤は、ガリウムまたはインジウムなどを含んでもよい。キャリアは、タンタル、モリブデン等を含んでもよい。
【0009】
当業者には言うまでもなく、添付する図面に関連する好ましい実施形態の詳細な説明を読めば、本開示の範囲を理解し、本開示のさらなる態様を実現するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するが、本開示のいくつかの態様を例示し、発明の詳細な説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0011】
図1】本開示の一実施形態による一以上の半導体デバイスを製造する方法を示すフロー図である。
【0012】
図2図2Aないし2Dは、本開示の一実施形態による、図1の一以上の半導体デバイスを製造する方法を示す。
【0013】
図3】本開示の一実施形態による、図1の一以上の半導体デバイスを製造する方法の詳細を示すフロー図である。
【0014】
図4図4Aおよび4Bは、本開示の一実施形態による、図3の一以上の半導体デバイスを製造する方法の詳細を示す。
【0015】
図5】本開示の一実施形態による、図1の一以上の半導体デバイスを製造する方法の詳細を示すフロー図である。
【0016】
図6図6Aないし6Dは、本開示の一実施形態による、図5の一以上の半導体デバイスを製造する方法の詳細を示す。
【0017】
図7】本開示の一実施形態による、図1の一以上の半導体デバイスを製造する方法の詳細を示すフロー図である。
【0018】
図8図8Aおよび8Bは、本開示の一実施形態による、図7の一以上の半導体デバイスを製造する方法の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に示す実施形態は、当業者が実施形態を実施することを可能にし、実施形態を実施する最良の形態を例示するのに必要な情報を表す。添付の図面に照らして以下の説明を読むと、当業者は、本開示の概念を理解し、本明細書では具体的に説明されていないこれらの概念のアプリケーションを認識するであろう。言うまでもなく、これらの概念およびアプリケーションは、本開示および添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
【0020】
言うまでもなく、本明細書では、第1、第2などの用語を用いて種々の要素を記述することがあるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されない。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためのみに使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と言うことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と言うことができる。本明細書中で使用される場合、用語「および/または」は、リストされた関連するアイテムの一以上の任意のおよびすべての組み合わせを含む。
【0021】
言うまでもなく、層、領域、または基板のような要素が、他の要素「上に」ある、他の要素「上に」延在すると言う場合、それは、他の要素上に直接存在しても、または他の要素上に直接延在してもよく、または介在要素が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素の「上に直接」ある、または「上に直接」延在していると言う場合、介在する要素は存在しない。同様に、言うまでもなく、層、領域、または基板のような要素が、別の要素を「覆っている」または「覆って延在する」と言う場合、それは、他の要素を直接覆っている、または直接覆って延在してもよく、または介在する要素が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素を「直接覆っている」または「直接覆って延在する」と言う場合、介在する要素は存在しない。また、言うまでもなく、要素が別の要素に「接続されている」または「結合されている」と言う場合、それは、他の要素に直接接続または結合していてもよく、または介在要素が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続されている」または「直接結合している」と言う場合、介在要素は存在しない。
【0022】
「下」、「上」、「上方」、「下方」、「水平」または「垂直」などの相対的な用語は、本明細書では、図に示すように、ある要素、層、または領域と別の要素、層、または領域との関係を説明するために使用される。言うまでもなく、これらの用語および上述の用語は、図面に示される向きに加えて、デバイスの異なる向きを含むことが意図されている。
【0023】
本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態のみを説明するためのものであり、本開示を限定することを意図したものではない。本明細書中で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」もまた、文脈が他のことを明確に示さない限り、複数形を含むことが意図される。さらに言うまでもなく、用語「有する」、「有している」、「含む」、および/または「含んでいる」は、本明細書中で使用される場合、記述された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、他の一以上の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しない。
【0024】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、言うまでもなく、本明細書において使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈においてそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明確に定義されない限り、理想化された、または形式的な意味では解釈されない。
【0025】
上述したように、半導体基板をある半導体製造プロセスにおいて支持し安定化することができるように、半導体基板をキャリアに確実にボンディングする必要がある。半導体基板をキャリアにボンディングする一つの方法は、金属ボンディング剤を用いることである。一般に、ガリウムのような金属ボンディング剤には、低融点の金属を使用することが望ましい。しかし、このような低融点金属は、ボンディング剤として使用される場合には、半導体基板と反応する可能性がある。例えば、半導体基板がインジウムを含み、ガリウムが半導体基板とキャリアとの間の金属ボンディング剤として使用される場合、ガリウムボンディング剤はインジウム半導体基板内に拡散する。キャリアの界面に形成された結果得られるインジウム-ガリウム化合物は、半導体基板の取り外しを、不可能ではないとしても、困難にし得る。さらに、インジウム半導体基板内へのガリウムボンディング剤の拡散は、半導体基板上に形成される一以上の半導体デバイスの動作を妨害し得る。
【0026】
別の例として、半導体基板がインジウムを含み、インジウムが半導体基板とキャリアとの間の金属ボンディング剤としても使用される場合、ボンディング・取り外し工程中にインジウム金属ボンディング剤を加熱すると、ボンディング剤と同様の融点を有するインジウム半導体基板が損傷するため、半導体基板の取り外しは困難である。非金属ボンディング剤を使用してもよいが、これらの非金属ボンディング剤は、一般に、金属ボンディング剤と同じ支持および安定(例えば、温度安定性、成長プロセス安定性、および構造安定性)を提供しない。さらに、クリップその他の取り付け機構を使用することもできるが、これらの機構はまた、金属ボンディング剤と同じ性能を提供しない。
【0027】
上述の問題を解決するための努力において、図1は、本開示の一実施形態による半導体デバイスの製造方法を示すフロー図である。図1に示された方法のステップは、図2Aないし2Dに個別に示されており、これらは、以下の図1と関連して説明する。プロセスは、不活性材料層202および不活性材料層202上の半導体層204を含む半導体基板200を提供することによって開始される(ブロック100および図2A)。半導体基板200は、半導体ウェハであってもよい。半導体層204は、任意の半導体材料系を含むことができるが、特に、インジウム(例えば、ヒ化インジウム、アンチモン化インジウム、リン酸インジウム等)、ガリウム(例えば、ヒ化ガリウム、アンチモン化ガリウム、リン酸ガリウム、窒化ガリウム等)、アルミニウム、アンチモン、リン、カドミウム、水銀、テルル、シリコンゲルマニウム、鉛ビスマス、亜鉛等を含むことができる。不活性材料層202は、チタン、タングステン、白金、レニウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、クロム、バナジウム、または他の任意の適切な金属であって半導体層204と非反応性であるもの、ならびに後述するボンディング剤であってもよい。半導体層204が光学的目的で使用される窒化ガリウムである一実施形態では、タングステンシリサイドの不活性材料層202が有利であり得る。いくつかの実施形態では、不活性材料層202は、非金属層を含んでもよい。例えば、不活性材料層20は、酸化物または窒化物、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナなどを含んでもよい。
【0028】
半導体基板200は、不活性材料層202が半導体基板200とキャリア206との間にあるように、キャリア206にボンディングされる(ブロック102および図2B)。図2Bに示すように、ボンディング剤208を使用して、半導体基板200をキャリア206とボンディングしてもよい。ボンディング剤208は、不活性材料層202、半導体層204、およびキャリア206の融点よりも低い融点を有する金属層であってもよい。例えば、ボンディング剤208は、ガリウム、インジウム、スズ-鉛、または他の任意の適切な金属を含んでもよい。不活性材料層202がボンディング剤208と半導体層204との間にあるので、ボンディング剤208と半導体層204との間の相互作用は、大幅に減少または最小化される。換言すれば、不活性材料層202は、拡散、化学的相互作用等のような、半導体層204とボンディング剤208との間の相互作用を防止する。例えば、上述のように、半導体層204がインジウムを含む半導体基板200と共にガリウムボンディング剤208を使用する場合、不活性金属層202は、ガリウムボンディング剤208のインジウム半導体層204への拡散を防止する。一般に、不活性金属層202は、(例えば、非常に高い融点のために)キャリア206に半導体基板200をボンディングするのに適しておらず、したがって、ボンディング剤208は、依然として、半導体基板200をキャリア206にボンディングするのに必要である。キャリア206は、半導体基板200を支持し、安定化するために設けられる。キャリア206は、一般に、高い融点を有し、タンタル、モリブデン、または任意の他の適切な材料を含んでもよい。
【0029】
キャリア206によって支持され安定化された半導体基板200では、一以上の追加層210が、半導体基板200上に設けられる(ブロック104および図2C)。一以上の追加層210は、例えば、分子ビームエピタキシーのようなエピタキシープロセスを介して、エピタキシャルに成長させることができる。一実施形態では、一以上の追加層は、半導体基板200上に一以上の半導体デバイスを含み、一以上の追加層210がデバイス層を含むようになっている。一以上の半導体デバイスは、例えば、分子ビームエピタキシーのようなエピタキシープロセスを介して、エピタキシャルに成長させることができる。半導体デバイスは、トランジスタ、ナノワイヤなどの任意のタイプの半導体デバイスであってもよい。
【0030】
一以上の追加層210が設けられると、半導体基板200は、キャリア206から取り外される(ブロック106および図2D)。図示されていないが、インプランテーション、メタライゼーション、ダイシング等のような追加の半導体製造プロセスが、半導体基板200上で実施されてもよい。しかしながら、一般的に、図2Dに示されるデバイスは、本明細書に議論されるプロセスの結果である。不活性材料層202があるため、ボンディング剤208と半導体層204との間には、ほとんど、または全く相互作用がない。例えば、ガリウムボンディング剤208を半導体基板200と共に使用し、半導体層204がインジウムを含む場合、不活性金属層202は、ガリウムボンディング剤208のインジウム半導体層204への拡散を防止する。これは、キャリア206からの半導体基板200の取り外しを困難にするインジウム-ガリウム層の形成を防止する。
【0031】
図3は、本開示の一実施形態による、不活性材料層202および半導体層204を含む半導体基板200を提供する詳細を示すフロー図である。図3に示される方法のステップは、図4Aおよび図4Bに個別に示されており、これらを以下の図3と関連させて説明する。まず、半導体層204が提供される(ブロック300および図4A)。上述のように、半導体基板200は、半導体ウェハであってもよい。半導体ウェハを提供する方法は周知であり、したがって本明細書では説明しないが、高レベルでは、半導体結晶の成長すること、半導体結晶を切断すること、切断された半導体結晶を研磨することなどを含んでもよい。このように、半導体層204は、従来の半導体ウェハを表すことができる。図4Aに示すように、半導体層204は、表面(frontside)212Aおよび裏面(backside)212Bを含む。上述のように、半導体層204は、インジウム、ガリウムなどを含んでもよい。
【0032】
不活性材料層202が、半導体層204の裏面212Bに設けられる(ブロック302および図4B)。一実施形態において、不活性材料層202は、デポジションプロセス(例えば、化学気相デポジション、スパッタリングなど)を介して半導体層204の裏面212B上にデポジションされる。
【0033】
図5は、本開示の一実施形態による、半導体基板200をキャリア206にボンディングする詳細を示すフロー図である。図5に示される方法のステップは、図6Aないし6Dに個別に示されており、図6Aないし6Dを、以下の図5と関連づけて説明する。まず、キャリア206と半導体基板200との間にボンディング剤208を設ける(ブロック500および図6A)。上述のように、ボンディング剤208は、ガリウムのような低融点の金属であってもよい。いくつかの実施態様において、ボンディング剤208は、図6Aに示されるように、キャリア206に直接適用される。ボンディング剤208は、熱をキャリア206に拡散させる必要があり、図示しないが、ボンディング剤208をキャリア206に適用(apply)するために、キャリア206に熱を加えてもよい。
【0034】
次に、ボンディング剤208をそのボンディング剤の融点まで加熱する(ブロック502および図6B)。一実施形態では、ボンディング剤208をその融点まで加熱することは、ボンディング剤208がキャリア206を通して加熱されるように、ホットプレート上にキャリア206を提供することを含むことができる。しかし、任意の適切なプロセスを使用してボンディング剤208を加熱してもよい。上述のように、ブロック500および502を同時に行うように、いくつかの実施形態では、ボンディング剤208を同時に加熱し、提供してもよい。さらに、上述のように、ボンディング剤208の融点は、不活性材料層202および半導体層204の融点よりも低い。従って、半導体基板200をキャリア206にボンディングするために必要なように、ボンディング剤208をその融点まで加熱することは、不活性材料層202または半導体層204に悪影響を及ぼさない。半導体基板200は、融解したボンディング剤208上に設けられ(ブロック504および図6C)、任意的にボンディング剤208は冷却される(ブロック506および図6D)。
【0035】
図7は、本開示の一実施形態による、キャリア206から半導体基板200を取り外しする詳細を示すフロー図である。図7に示される方法のステップは、図8Aおよび図8Bに個別に示されており、これらは、以下の図7と関連付けて説明する。まず、ボンディング剤208をその融点まで加熱する(ブロック700および図8A)。上述したように、これは、ホットプレート上にキャリア206を提供し、キャリア206を介してボンディング剤208を加熱することによって達成することができる。しかし、任意の適切な方法を使用してボンディング剤208を加熱してもよい。さらに、上述したように、ボンディング剤208の融点は、不活性材料層202および半導体層204の融点よりも低く、キャリア206からの半導体基板200の取り外しに必要なように、ボンディング剤208をその融点まで加熱することは、不活性材料層202または半導体層204に悪影響を及ぼさない。
【0036】
次いで、半導体基板200は、キャリア206から持ち上げられる(lift off)(ブロック702および図8B)。不活性材料層202は半導体層204上に残る。さらに、ボンディング剤208の一部は、不活性材料層202上に残ってもよい。図示しないが、不活性材料層202(および/またはボンディング剤208の残りの部分)は、任意的に、例えば、研削プロセスにより、半導体基板200から除去されてもよい。
【0037】
上記の実施例は、半導体基板200がキャリア206に容易にボンディングされ、キャリア206から取り外しされ得るように、不活性材料層202が半導体層204とボンディング剤208との間の障壁(barrier)を提供するプロセスを示す。ボンディング剤208は、半導体基板200とキャリア206との間の強い接続を確実にし、したがって、キャリア206が、一以上の半導体製造プロセスの間に、半導体基板200を支持し、安定化することを可能にする。高度な半導体製造プロセスに必要とされる精度のため、前記の支持及び安定化は、半導体デバイスの作製に不可欠である。従って、本開示の原理は、進歩した技術(例えば、分子ビームエピタキシーのようなその場(in-situ)プロセス)を用いて、非常に精密な半導体デバイスの製造を可能にする。
【0038】
当業者は、本開示の好ましい実施形態の改良および修正を認識するであろう。このような改良および修正はすべて、本明細書に開示された概念および以下の特許請求の範囲の範囲内であると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】