(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(54)【発明の名称】オキシメータを備える患者インターフェース
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20221118BHJP
A61B 5/097 20060101ALI20221118BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20221118BHJP
A61B 5/083 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
A61M16/06 C
A61B5/097
A61B5/1455
A61B5/083
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518216
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(85)【翻訳文提出日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2020075322
(87)【国際公開番号】W WO2021058290
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】マルガリア エリザベス パウエル
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038KM01
4C038KY04
4C038ST09
4C038SU18
4C038SX02
(57)【要約】
患者に陽圧の呼吸ガス流を供給するのに使用するためのチューブアセンブリである。前記チューブアセンブリは、陽圧の呼吸ガス流を受け取るように構成されるマニホールド部、各々が前記マニホールド部から、患者に陽圧の呼吸ガス流を送出するのに使用するための患者インターフェースに結合されるように構成される遠位端まで延在する複数の管状部、及び前記複数の管状部の1つの中又は上に位置決められる反射型パルスオキシメトリセンサを含む。前記センサは、患者の血中酸素飽和度を決定するために、前記チューブアセンブリが患者に置かれるとき、患者に隣接して置かれるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に陽圧の呼吸ガス流を供給するのに使用するためのチューブアセンブリであり、前記チューブアセンブリは、
前記陽圧の呼吸ガス流を受け取るように構成されるマニホールド部、
各々が前記マニホールド部から、前記患者に前記陽圧の呼吸ガス流を送出するのに使用するための患者インターフェースに結合されるように構成される遠位端まで延在する複数の管部分、及び
前記複数の管部分の1つの中又は上に位置決められる反射型パルスオキシメトリセンサであり、前記チューブアセンブリが前記患者の頭部に置かれるとき、前記患者に隣接して置かれるように構成される、前記反射型パルスオキシメトリセンサ
を有する、チューブアセンブリ。
【請求項2】
前記センサは、前記複数の管状部の1つの表面に接着される、請求項1に記載のチューブアセンブリ。
【請求項3】
前記センサは、オーバーモールドを介して、前記複数の管状部の1つに結合される、請求項1に記載のチューブアセンブリ。
【請求項4】
柔らかい取り外し可能なカバーが、前記複数の管状部の1つに結合され、前記センサは、前記取り外し可能なカバーの中又は上に位置決められる、請求項1に記載のチューブアセンブリ。
【請求項5】
前記センサは、前記チューブアセンブリが前記患者の頭部に置かれるとき、前記センサが、前記患者の鼻下点と上唇との間に延在する前方境界と、前記患者のこめかみと耳輪の付け根との間に延在する後方境界との間に延在する前記患者の顔の領域上に位置決められるように、前記複数の管状部の1つに対して位置決められる、請求項1に記載のチューブアセンブリ。
【請求項6】
前記複数の管状部の1つは、前記センサの周りに置かれるスカート部を有し、前記スカート部は、前記チューブアセンブリが前記患者の頭部に置かれるとき、前記センサを周囲光から遮蔽するように構成される、請求項1に記載のチューブアセンブリ。
【請求項7】
前記スカート部は、柔軟で不透明なポリマーを有する、請求項6に記載のチューブアセンブリ。
【請求項8】
前記スカート部は、断面図で見たとき、各々が、前記断面図の中心に向かって最大となり、前記断面図の縁に向かって下向きに先細る非対称的に湾曲した上端を持つ複数の突出部を含み、前記複数の突出部は、前記チュービングアセンブリが前記患者の頭部に置かれるとき、追加のクッション材を提供する、請求項6に記載のチューブアセンブリ。
【請求項9】
前記スカート部は、断面図で見たとき、各々が、前記スカート部の表面から生じる狭い茎部と球根状の上縁部とを持つ複数の突出部を含み、前記複数の突出部は、前記チューブアセンブリが前記患者の頭部に置かれるとき、追加のクッション材を提供する、請求項6に記載のチューブアセンブリ。
【請求項10】
前記チューブアセンブリは、データ通信機構をさらに有し、
前記データ通信機構は、
前記センサがその中又は上に位置決められる前記複数の管状部の同じ環状部の中又は上に位置決められるフレキシブル回路であり、前記センサに電気的に接続される第1の端部と、反対側の第2の端部との間に延在する、前記フレキシブル回路、及び
前記第2の端部に電気的に接続される電気コネクタであり、データ処理器に電気的に接続されるように構成される、前記電気コネクタ、又は
前記第2の端部に電気的に接続された無線送信機であり、前記データ処理器と無線通信するように構成される、前記無線送信機
の何れか一方
を有する、請求項1に記載のチューブアセンブリ。
【請求項11】
前記フレキシブル回路は、前記チューブアセンブリが前記患者の頭部に置かれるとき、前記患者に隣接して置かれるように構成される、請求項10に記載のチューブアセンブリ。
【請求項12】
患者に陽圧の呼吸ガス流を供給するのに使用するためのマスクであり、前記マスクは、
前記陽圧の呼吸ガス流を受け取るように構成されるチューブアセンブリであり、
前記陽圧の呼吸ガス流を受け取るように構成されるマニホールド部、及び
各々が前記マニホールド部から遠位端まで延在する複数の管状部
を有する、前記チューブアセンブリ、
前記陽圧の呼吸ガス流を前記患者の気道に伝えるために各々の前記管状部の前記遠位端に結合される患者インターフェース、及び
前記複数の管状部分の1つの中又は上に位置決められる反射型パルスオキシメトリセンサであり、前記マスクが前記患者の頭部に置かれるとき、前記患者に隣接して置かれるように構成される、前記反射型パルスオキシメトリセンサ
を有する、マスク。
【請求項13】
前記マスクは、データ通信機構をさらに有し、
前記データ通信機構は、
前記センサがその中又は上に位置決められている前記複数の管状部の同じ環状部の中又は上に位置決められるフレキシブル回路であり、前記センサに電気的に接続される第1の端部と、反対側の第2の端部との間に延在する、前記フレキシブル回路、及び
前記第2の端部に電気的に接続される電気コネクタであり、データ処理器に電気的に接続されるように構成される、前記電気コネクタ、又は
前記第2の端部に電気的に接続される無線送信機であり、前記データ処理器と無線通信するように構成される、前記無線送信機
の何れか一方
を有する、請求項12に記載のマスク。
【請求項14】
患者の血中酸素飽和度を測定するための方法であり、前記方法は、
前記患者に陽圧の呼吸ガス流を供給するのに使用するためのマスクを患者に設けるステップであり、前記マスクは、
前記陽圧の呼吸ガス流を受け取るように構成されたチューブアセンブリであり、前記陽圧の呼吸ガス流を受け取るように構成されるマニホールド部、及び各々が前記マニホールド部から遠位端まで延在する複数の管状部を有する、前記チューブアセンブリ、
前記患者の気道に前記陽圧の呼吸ガス流を伝えるために各々の前記管状部の前記遠位端に結合される患者インターフェース、
前記複数の管状部の1つの中又は上に位置決められる反射型パルスオキシメトリセンサであり、前記マスクが前記患者の頭部に置かれるとき、前記患者に隣接して置かれるように構成される、前記反射型パルスオキシメトリセンサ、及び
データ通信機構であり、前記データ通信機構が、
前記センサがその中又は上に位置決められる前記複数の管状部の同じ環状部の中又は上に位置決められるフレキシブル回路であり、前記センサに電気的に接続される第1の端部と、反対側の第2の端部との間に延在している、前記フレキシブル回路、又は
前記第2の端部に電気的に接続される電気コネクタであり、データ処理器に電気的に接続されるように構成される、前記電気コネクタ、又は
前記第2の端部に電気的に接続される無線送信機であり、前記データ処理器と無線通信するように構成される、前記無線送信機
の一方
を有する、前記ステップ、及び
前記マスクが前記患者の頭部に置かれた後、前記センサを用いて前記患者の血中酸素飽和度に関するデータを検出するステップ
を有する、方法。
【請求項15】
前記マスクを介して前記患者に呼吸ガス流を供給するステップ、及び
前記センサを用いて検出される前記血中酸素飽和度に応じて、前記患者に供給される前記呼吸ガス流れを変更するステップ
をさらに有する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、米国特許法第119条の下、2019年9月27日に出願された米国仮特許出願第62/906,777号の優先権を主張し、その内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、呼吸ガス流をユーザに送出するように構成される患者インターフェース装置にパルスオキシメトリを組み入れるための方法及び装置に関する。
【0003】
呼吸ガス流を患者の気道に非侵襲的に、すなわち、患者に挿管することなく或いは患者の食道に気管チューブを外科的に挿入することなく送出することが必要である又は望ましい状況が多くある。例えば、非侵襲的換気として知られる技術を用いて患者を換気することが知られている。例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は睡眠時無呼吸症候群、特に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のような内科的疾患を治療するために、気道陽圧(PAP)を送出することも知られている。既知のPAP療法は、患者の気道をスプリント解放するために、一定の陽圧が患者の気道に供給される持続的気道内陽圧(CPAP)と、患者の気道に供給される圧力が患者の呼吸周期と共に変化する可変気道陽圧とを含む。
【0004】
COPDは、米国だけで約2,000万人の人々に影響を与えている。正確なパーセンテージは不明であるが、これら患者の大部分は、OSAも患っている。COPD及びOSAは、別々に治療される傾向があるが、これらが同時に起こるとき、さらなる併存疾患のリスクが高くなり、夜間酸素飽和度低下が悪化する傾向がある。この相加効果は、これら患者の生活の質、増悪、罹病率及び死亡率に影響を与え、故に、これら患者を助け得る技術を追求することが極めて重要である。
【0005】
非侵襲的な換気及び圧力支持療法は、マスク構成要素を含む患者インターフェース装置を患者の顔に配することを含む。このマスク構成要素は、限定ではないが、患者の鼻を覆う鼻マスク、患者の鼻孔内に収容される鼻枕を持つ鼻クッション、鼻及び口を覆う鼻/口マスク、又は患者の顔を覆うフルフェイスマスクでもよい。前記患者インターフェース装置が換気装置又は圧力支持装置を患者の気道と接続するので、呼吸ガス流は、圧力/フロー発生装置から患者の気道に送出される。患者の頭部の上/周囲に取り付けるように適応する1つ以上のストラップを持つヘッドギアにより、前記患者インターフェース装置を着用者の顔に維持することが知られている。このような患者インターフェース装置は通例、長期間着用されるので、不快になることなく、患者の顔に対し十分な気密のシールで、ヘッドギアがマスク構成要素を維持することが重要である。
【0006】
多くの既知の患者インターフェース装置は、ヘッドギアの一部として患者の頭部の周りに配される1つ以上の送達導管によって、このヘッドギアを通じて患者に空気流を供給する。すなわち、ヘッドギアは、マニホールドを備えるチューブアセンブリを含む。マニホールドは、送達導管に結合され、この送達導管と流体連通する。送達導管は、さらに、圧力/フロー発生装置に結合され、この圧力/フロー発生装置と流体連通する。
【0007】
PAP療法は、通例、患者が眠っている間、夜間に患者に施される。1つの研究は、低酸素血症及び高炭酸ガス血症の患者は夜間突然死の発生率が高いことを示唆している。夜間酸素飽和度低下を監視することは、患者の状態を監視し、現在の治療が患者にとって効果的に働いているかどうかを示すことにより、患者の転帰を改善するのに役立つ。例えば、患者の酸素飽和度低下が経時的に悪化する場合、患者は、まだ酸素が加えられてない場合、酸素を加える必要がある。その代わりに、療法の送出が調節される必要がある、例えば、患者は、酸素の増大を必要とするか、又は異なるバイレベルPAP(BiPAP(登録商標))の設定を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
夜間酸素飽和度低下を監視するための現在の方法は、通例、指プローブの形式で見出されるパルスオキシメトリ(SpO2)センサを利用する。人々は、これらのプローブが邪魔で、不快であると感じる傾向があり、夜間に抜け落ちる可能性がある。従って、患者の血中酸素飽和度を監視するための装置及び方法には改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様として、患者に陽圧の呼吸ガス流を供給するのに使用するためのチューブアセンブリが提供される。このチューブアセンブリは、陽圧の呼吸ガス流を受け取るように構成されるマニホールド部、各々がこのマニホールド部から、患者に陽圧の呼吸ガス流を送出するのに使用するための患者インターフェースに結合されるように構成される遠位端まで延在している複数の管状部、及び前記複数の管状部の1つの中又は上に位置決められる反射型パルスオキシメトリセンサであり、前記チューブアセンブリが患者の頭部に置かれるとき、この患者に隣接して置かれるように構成される、前記反射型パルスオキシメトリセンサを有する。
【0010】
前記センサは、前記複数の管状部の1つの表面に接着されてもよい。
【0011】
前記センサは、オーバーモールドを介して、前記複数の管状部の1つに結合されてもよい。
【0012】
柔らかい取り外し可能なカバーが前記複数の管状部の1つに結合されてもよく、前記センサは、前記取り外し可能なカバーの中又は上に位置決められてもよい。
【0013】
前記チューブアセンブリが患者の頭部に置かれるとき、前記センサが、患者の鼻下点と上唇との間に延在する前方境界と、患者のこめかみと耳輪の付け根との間に延在する後方境界との間に延在している患者の顔の領域上に位置決められるように、前記センサは、前記複数の管状部の1つに対して位置決められてもよい。
【0014】
前記複数の管状部の1つは、前記センサの周りに置かれるスカート部を有し、このスカート部は、チューブアセンブリが被験者の頭部に置かれるとき、前記センサを周囲光から遮蔽するように構成されることができる。前記スカート部は、柔軟で不透明なポリマーを有することができる。前記スカート部は、断面図で見たとき、各々が、断面図の中心に向かって最大となり、断面図の縁に向かって下向きに先細る(テーパー状になる)非対称的に湾曲した上端を持つ複数の突出部を含むことができ、これら複数の突出部は、前記チューブアセンブリが患者の頭部に置かれるとき、追加のクッション材を提供することができる。スカート部は、断面図で見たとき、各々が、前記スカート部の表面から生じる狭い茎部と球根状の上縁部とを持つ複数の突出部を含むことができ、前記複数の突出部は、前記チューブアセンブリが被験者の頭部に置かれるとき、追加のクッション材を提供することができる。
【0015】
前記チューブアセンブリは、データ通信機構をさらに有することができ、このデータ通信機構は、前記センサがその中又は上に位置決められる、前記複数の管状部の同じ管状部の中又は上に位置決められるフレキシブル回路であり、前記センサに電気的に接続される第1の端部と、反対側の第2の端部との間に延在する、前記フレキシブル回路、及び前記第2の端部に電気的に接続される電気コネクタであり、データ処理器に電気的に接続されるように構成される、前記電気コネクタ、又は前記第2の端部に電気的に接続される無線送信機であり、前記データ処理器と無線で通信するように構成される、前記無線送信機の何れか一方を有する。前記フレキシブル回路は、前記チューブアセンブリが患者の頭部に置かれるとき、患者に隣接して置かれるように構成されてもよい。
【0016】
本発明の別の態様として、患者に陽圧の呼吸ガス流を供給するのに使用するためのマスクが提供される。前記マスクは、陽圧の呼吸ガス流を受け取るように構成されるチューブアセンブリであり、前記陽圧の呼吸ガス流を受け取るように構成されるマニホールド部と、各々が前記マニホールド部から遠位端まで延在する複数の管状部とを有するチューブアセンブリ、前記陽圧の呼吸ガス流を患者の気道に伝えるために各々の管状部の前記遠位端に結合される患者インターフェース、及び前記複数の管状部の1つの中又は上に位置決められる反射型パルスオキシメトリセンサであり、前記マスクが患者の頭部に置かれるとき、患者に隣接して置かれるように構成される前記反射型パルスオキシメトリセンサを有する。
【0017】
前記マスクは、データ通信機構をさらに有することができ、このデータ通信機構は、前記センサがその中又は上に位置決められる、前記複数の管状部の同じ管状部の中又は上に位置決められるフレキシブル回路であり、前記センサに電気的に接続される第1の端部と、反対側の第2の端部との間に延在する、前記回路、及び前記第2の端部に電気的に接続される電気コネクタであり、データ処理器に電気的に接続されるように構成される、前記電気コネクタ、又は前記第2の端部に電気的に接続される無線送信機であり、前記データ処理器と無線通信するように構成される、前記無線送信機の何れか一方を有する。
【0018】
本発明のさらに別の態様として、患者の血中酸素飽和度を測定する方法が提供される。この方法は、患者に陽圧の呼吸ガス流を供給するのに使用するためのマスクを患者に設けるステップであり、前記マスクは、陽圧の呼吸ガス流を受け取るように構成されるチューブアセンブリであり、前記陽圧の呼吸ガス流を受け取るように構成されるマニホールド部と、各々が前記マニホールド部から遠位端まで延在する複数の管状部とを有する、前記チューブアセンブリ、前記陽圧の呼吸ガス流を患者の気道に伝えるために各々の管状部の前記遠位端に結合される患者インターフェース、前記複数の管状部の1つの中又は上に位置決められる反射型パルスオキシメトリセンサであり、前記マスクが患者の頭部に置かれるとき、前記患者に隣接して置かれるように構成される、前記反射型パルスオキシメトリセンサ、及びデータ通信機構であり、前記データ通信機構が、前記センサがその中又は上に位置決められる前記複数の管状部の同じ環状部の中又は上に配されるフレキシブル回路であり、前記センサに電気的に接続される第1の端部と、反対側の第2の端部との間に延在する、前記フレキシブル回路、及び前記第2の端部に電気的に接続される電気コネクタであり、データ処理器に電気的に接続されるように構成される、前記電気コネクタ、又は前記第2の端部に電気的に接続される無線送信機であり、前記データ処理器と無線通信するように構成される、前記無線送信機の何れか一方を有するデータ通信機構、を有する、前記ステップ、及び前記マスクが患者の頭部に置かれた後、前記センサを用いて患者の血中酸素飽和度に関するデータを検出するステップを有する。
【0019】
前記方法は、前記マスクを介して患者に呼吸ガス流を供給するステップ、及び前記センサを用いて検出される前記血中酸素飽和度に応じて、前記患者に供給される前記呼吸ガス流を変更するステップをさらに有する。
【0020】
構成物の関連する要素の動作方法及び機能、並びに製造部品と製造の経済性との組み合わせと同じく、本開示のこれら及び他の目的、特徴並びに特性は、付随する図面を参照して、以下の説明及び添付の請求項を考慮するとより明白となり、これらの全てが本明細書を形成している。様々な図面において、同様の参照番号は対応する部品を示している。しかしながら、これら図面は単に例証及び説明を目的とするものであり、本発明の境界を規定するものとは意図されないことは明白に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の1つの例示的な実施形態による、患者の気道に陽圧の呼吸ガス流を供給するのに使用するための呼吸インターフェースシステムの部分概略図であり、前記システムのマスクが患者の頭部に置かれた状態で示される。
【
図2A】
図2Aは、
図1のシステムのマスクの部分概略斜視図であり、前記マスクの患者接触部分を示す。
【
図2B】
図2Bは、
図1のシステムにおいて使用するためのマスクの別の例示的な実施形態の、
図2Aと同様の部分概略斜視図であり、前記マスクの患者接触部分を示す。
【
図3A】
図3Aは、本発明の1つの例示的な実施形態による、オキシメトリセンサの周りのスカート機構の部分概略斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の1つの例示的な実施形態による、オキシメトリセンサの周りの別のスカート機構の部分概略斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の1つの例示的な実施形態による、オキシメトリセンサの周りのさらに別のスカート機構の部分概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
明細書において、特に文脈上はっきりと述べていない限り、複数あると述べていなくても、それらが複数あることを含む。明細書において、2つ以上の部品又は構成要素が"結合される"と述べることは、連結している限り、これらの部品が直接的に又は間接的、すなわち1つ以上の中間部品若しくは構成要素を介しての何れかにより接合される又は共に動作することを意味する。明細書において、"直接結合される"は、2つの要素が互いに直に接して結合される(すなわち接触している)ことを意味する。明細書において、"固定して結合される"又は"固定される"は、2つの構成要素が互いに対し一定の方向を維持しつつ、1つとして移動するように結合されることを意味する。
【0023】
明細書における方向の表現、例えば、例であり限定ではないが、頂部、底部、左、右、上方、下方、前方、後方、及びそれらの派生語は、図に示される要素の向きに関連し、特に明瞭に言わない限り、請求項を制限しない。
【0024】
明細書において、2つ以上の部品又は構成要素が互いに"係合する"と述べることは、これらの部品が互いに対し直接的に又は1つ以上の中間部品若しくは構成要素を介して間接的にの何れかにより力を及ぼしていることを意味する。
【0025】
明細書において、"ユニタリ(unitary)"という言葉は、構成要素が単一ピース又は単一ユニットとして作られることを意味している。すなわち、別々に作られ、その後一体として結合される部品を含んでいる構成要素は、"ユニタリ"な構成要素又は本体ではない。明細書において、"数字"は、1又は2以上の整数(すなわち複数)を意味する。
【0026】
明細書において、"結合アセンブリ"は、2つ以上の結合部又は結合構成要素を含む。結合部又は結合アセンブリの構成要素は、一般に、同じ要素又は他の構成要素の一部ではない。そのようなものとして、"結合アセンブリ"の構成要素は、以下の説明において同時に説明されない。
【0027】
本明細書において、"結合部"は、結合アセンブリの1つの要素である。すなわち、結合アセンブリは、互いに結合されるように構成される少なくとも2つの構成要素、すなわち結合構成要素を含む。結合アセンブリの要素は、互いに互換性があると理解される。例えば、結合アセンブリにおいて、一方の結合要素がスナップソケットである場合、他方の結合要素はスナッププラグである。
【0028】
本明細書において、"対応する"は、2つの構造構成要素が、互いに類似するような大きさ及び形状であり、最小量の摩擦で結合されることを示す。故に、ある部材に"対応する"開口は、この部材が最小量の摩擦で前記開口を通過するように、当該部材よりも僅かに大きいサイズである。この定義は、2つの構成要素が"ぴったり"組み合わさる又は"ぴったり対応する"と言われる場合、修正される。そのような状況において、これら構成要素間の大きさの差は、さらに小さくなり、それにより摩擦量は増大する。前記開口及び/又は当該開口内に挿入される前記構成要素を画定する要素が、変形可能又は圧縮可能な材料から作られる場合、前記開口は、当該開口内に挿入される前記構成要素よりも僅かに小さくすることができる。この定義は、2つの構成要素が"実質的に対応する"と言われる場合、さらに修正される。"実質的に対応する"は、前記開口のサイズが、この開口に挿入される要素のサイズに非常に近いことを意味する。すなわち、ぴったりフィットするような、実質的な摩擦を生じさせるほどの近さではなく、"対応するフィット"、すなわち"僅かに大きい"フィットよりも、多くの接触及び摩擦を伴う。
【0029】
図1において、本発明の1つの例示的な実施形態による、患者Pに呼吸療法のレジメンを施すように適応した呼吸インターフェースシステム2が示される。呼吸インターフェースシステム2は、(概略的に示される)圧力発生装置4、及びマスク8に流体結合される送達導管6を含む。圧力発生装置4は、陽圧の呼吸ガス流を生成するように構成され、限定ではないが、換気装置、定圧支持装置(例えば、持続陽圧呼吸療法装置、すなわちCPAP装置)、可変圧力装置(例えば、BiPAP(登録商標)、Bi-Flex(登録商標)又はPhilips Respironics of Murrysville, PAにより製造及び販売されるC-Flex(商標)装置)及び自動滴定圧力支持装置を含むことができる。送達導管6は、圧力発生装置4からマスク8に呼吸ガス流を伝えるように構成され、マスク8は、送達導管6から受け取った呼吸ガス流をさらに患者Pの気道に伝えるように構成される。送達導管6及びマスク8は、しばしば、患者回路と総称される。
【0030】
マスク8は、チューブアセンブリ10、及びこのチューブアセンブリ10と流体結合される患者インターフェース12を含む。患者インターフェース12は、患者Pの鼻孔及び/又は口の1つ以上の周りに密封係合するように構成される患者シール要素14を含む。
図1に示されるような一実施形態例において、患者シール要素14は、柔らかく、柔軟性のある材料、例えば、限定ではないが、シリコーン、適切な柔らかさの熱可塑性エラストマー、独立気泡発泡体又は他の何れかの適切な材料、若しくはそのような材料の組み合わせから作られる鼻クッションである。しかしながら、患者の気道に呼吸ガス流を送出することを容易にする何れかの種類の患者シール要素、例えば、鼻/口マスク、鼻枕又はフルフェイスマスクもシール要素14として使用され得ることが分かる。
【0031】
図2Aだけでなく、
図1も引き続き参照すると、チューブアセンブリ10は、送達導管6から陽圧の呼吸ガス流を受け取るように構成されるマニホールド部16、及び各々がこのマニホールド部16から、患者インターフェース12に選択的に連結される遠位端(番号なし)に延在する複数の管状部18を含む。チューブアセンブリ10は、管状部18の1つに結合される(概略的に図される)反射型パルスオキシメトリセンサ19をさらに含む。患者Pがマスク8を介して治療を受けている間、患者Pの血中酸素飽和度を監視するために、チューブアセンブリ10が患者P上に置かれるとき、パルスオキシメトリセンサ19は、患者Pの顔に直接隣接して置かれるように位置決められる。
【0032】
図1、2A及び2Bに示される例において、パルスオキシメトリセンサ19は、1つの管状部18と一体的に形成される、又は別個に形成され、その後、何れかの適切な処理を用いて1つの管状部18に結合される、ポケット20内に(例えば、スライドにより)配される。ポケット20を介して管状部18に結合されると示されていたとしても、パルスオキシメトリセンサ19は、本発明の範囲から逸脱することなく、何れかの適切な機構(例えば、限定ではないが、接着剤、オーバーモールド)を介して管状部18の1つに直接結合され得ることが分かるべきである。その代わりに、パルスオキシメトリセンサ19は、管状部18の1つの周りに、恒久的に又は選択的に固定される柔らかい取り外し可能なカバーに結合されることができる。1つの例示的な実施形態において、パルスオキシメトリセンサ19は、布地のカバーが管状部18の1つにしっかりと巻き付けられ、面ファスナー機構のフック部分とループ部分との係合を用いて、管状部18に固定されるような、前記面ファスナー機構のフック部分及びループ部分の両方を具備する布地のカバーに結合される。
【0033】
図1は、さらに、患者Pの顔の領域Rを概ね示し、この領域Rは、パルスオキシメトリセンサ19が当該領域R内又はその領域の近くにおいて、患者に隣接して置かれるとき、患者Pの血中酸素飽和度に関する許容可能な正確なデータを与えることが分かっている。従って、本発明の1つの例示的な実施形態において、パルスオキシメトリセンサ19は、チューブアセンブリ10が患者Pの頭部に配されるとき、領域Rと一致する管状部18の1つの一部に結合される。領域Rは、一般に、(点Aで概ね示される)患者Pの鼻下点と、(点Bで概ね示される)こめかみとの間に延在する上方の曲線R1、及び(点Cで概ね示される)上唇と、(点Dで概ね示される)耳輪の付け根との間に延在する下方の曲線R2によって垂直方向に概ね画定され、患者Pの鼻下点と上唇と(点Aと点Cと)の間に延在する前方の垂直線R3と、こめかみと耳の付け根と(点Bと点Dと)の間に延在する後方の概ねの垂直線R4とにより水平方向に概ね画定される。
【0034】
しかしながら、パルスオキシメトリセンサ19が、患者Pの頭部の他の領域内又はその領域の近くにおいて、患者Pに隣接して置かれるとき、この患者Pの頭部の他の領域が、患者Pの血中酸素飽和度に関するかなり正確なデータを与え得ることも分かるべきである。例えば、本発明の代替の実施形態において、パルスオキシメトリセンサ19は、患者Pの耳に隣接して置かれることができる。
【0035】
図1及び
図2Aを再び参照すると、チューブアセンブリ10は、パルスオキシメトリセンサ19を電気コネクタ24に電気的に接続するフレキシブル回路22を含むデータ通信機構21をさらに含む。電気コネクタ24は、パルスオキシメトリセンサ19により検出されたデータが特定の用途に依存して分析され、さらに利用されるように、前記データを(概略的に示される)データ処理器26に有線伝送するための共同的に成形されるコネクタ(番号なし)が、データ処理器に結合されるのに適した如何なる構造でもある。例えば、1つの例示的な実施形態において、パルスオキシメトリセンサ19により収集されたデータは、圧力発生装置4により利用され、患者Pに施される治療を変更する。そのような変更は、患者Pの前記血中酸素飽和度が所定の値よりも下がる場合、例えば治療モードから換気モードに変化するような、施される治療のパラメタの小さな"微調整"又は調節から、大きな変化に変更する。
【0036】
図2Bは、データ通信機構21'以外は
図2Aに示されるものと同様の本発明の別の実施形態を示す。データ通信機構21'は、パルスオキシメトリセンサ19により収集されたデータを、例えば
図2Aに示される有線接続の代わりに、無線接続を介してデータ処理器26に送信する無線送信機24'を含む。
【0037】
本発明の1つの例示的な実施形態において、フレキシブル回路22は、チューブアセンブリ10が患者Pの頭部に配されるとき、患者Pの顔に隣接して置かれるように位置決められる。フレキシブル回路22は、これらに限定されないが、管状部18の1つの表面上に導電性材料を噴霧及び付着させること、又はフレキシブル回路を印刷し、それを接着、オーバーモールド又は他の何れかの適切な機構を介して管状部18の1つに貼り付けることを含む幾つかの方法で達成されることが分かるべきである。
【0038】
より正確な読取値を提供するため及び/又は改善された患者の快適性を与えるために、パルスオキシメトリセンサ19に隣接して及びその周りにスカート部28が設けられることができる。スカート部28は、(例えば、図示の例に示されるような)(例えば、何れかの適切な結合機構を介して)ポケット20の上に若しくはポケット20の一体部分として、又はパルスオキシメトリセンサ19の周りに単に位置決められる別個の部材として、設けられることができる。チューブアセンブリ10が患者Pの頭部に置かれるとき、スカート部28は、パルスオキシメトリセンサ19を周囲光から遮蔽するように構成される。本発明の1つの例示的な実施形態において、スカート部28は、柔軟で不透明なポリマーから構成される。
図3A、4A及び5Aにおいて、ポケット20、20'及び20"の一部として形成される異なるスカート部28、28'及び28"の斜視図が示される。
図3A、
図4A及び
図5Aに示される異なるスカート分28、28'及び28"の断面図が、
図3B、
図4B及び
図5Bに示される。
図3A及び
図3Bは、パルスオキシメトリセンサ19の周りに置かれ、突出部を持たない均一な厚さの表面を持つスカート部28を示し、これは、ポケット20内に収容される(概略的に示される)プリント回路基板(PCB)29に結合されて示される。
【0039】
図4A及び
図4Bは、パルスオキシメトリセンサ19の周りにある、ポケット20'の1つの表面上に複数の花弁形状の突起部30として形成されるスカート部28'を示す。
図4Bに示される断面図は、各々がパルスオキシメトリセンサ19に隣接して配される第1の結合端30Aから、パルスオキシメトリセンサ19から離れて置かれる反対側の自由端30Bまで延在している前記複数の花弁形状の突出部30を示す。各突出部30は、結合端30Aに向かって最大となり、自由端30Bに向かって下向きに先細る非対称的に湾曲した上端30Cを持つ。
【0040】
図5A及び
図5Bは、スカート部28"を示し、このスカート部28"は、パルスオキシメトリセンサ19の周りの、ポケット20"の表面から上方に延在する細い基部32と、パルスオキシメトリセンサ19の周りにも延在している、ポケット20"の反対側の細い基部32上にある幅の広い球状部34とを含む。
【0041】
図4A、
図4B、
図5A及び
図5Bに示されるスカート部28'及び28"は、呼吸用インターフェースシステム2が患者Pの頭部に置かれるとき、患者Pに追加のクッション材を提供するため、及びパルスオキシメトリセンサ19において又はその周りにおいて、患者Pの上にしるしを形成すること一般的に防ぐために含まれることを分かるべきである。本発明の範囲から逸脱することなく、代替的な構成を持つスカート機構が用いられてよいことも分かるべきである。本発明の範囲から逸脱することなく、異なる又は可変のデュロメータからなるスカート機構が用いられてよいことも分かるべきである。
【0042】
請求項において、括弧の間に置かれる如何なる参照記号もその請求項を限定するとは解釈されるべきではない。"有する"又は"含む"という言葉は、請求項に挙げられる以外の素子又はステップの存在を排除するものではない。幾つかの手段を列挙している装置の請求項において、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの同一のアイテムにより具現化されてもよい。要素が複数あると述べていなくても、その要素が複数あることを排除しない。幾つかの手段を列挙している如何なる装置の請求項において、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの1つの同じアイテムによって具現化されてもよい。幾つかの要素が互いに異なる従属請求項に挙げられているという単なる事実は、これらの要素が組み合わせて使用されることができないことを示していない。
【0043】
本発明は、最も実用的で好ましい実施例であると現在考えられているものに基づいて、例示の目的に詳細に説明されていたとしても、そのような詳細は、単に例示が目的であること、並びに本発明は、開示される実施例に限定されるのではなく、それどころか添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲内にある修正案及び同等の構成を含むことが意図されることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な限り、何れかの実施例の1つ以上の特徴が他の何れかの実施例の1つ以上の特徴と組み合わされ得ることを検討していることが理解されるべきである。
【国際調査報告】