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  • 特表-燃料電池スタック絶縁監視システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(54)【発明の名称】燃料電池スタック絶縁監視システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/50 20200101AFI20221118BHJP
【FI】
G01R31/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518702
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 IB2020059159
(87)【国際公開番号】W WO2021064600
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】201921663423.6
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508359550
【氏名又は名称】セレス インテレクチュアル プロパティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スン レイ
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA17
2G014AB33
2G014AB61
(57)【要約】
本出願は、スタックモジュール障害監視システムを提供するものであり、このシステムは、絶縁抵抗テスターと、スタックストリングのm個のグループで構成されるスタックモジュールと、m個の電子スイッチグループとを備え、各電子スイッチグループは、第1のスイッチと第2のスイッチとを備え、第1のスイッチの一方の端部は、スタックストリングの1つのグループの正極に接続され、第1のスイッチの他方の端部は、絶縁抵抗テスターの正極端部に接続されており、第2のスイッチの一方の端部は、スタックストリングのグループの負極に接続され、第2のスイッチの他方の端部は、絶縁抵抗テスターの負極端部に接続されており、電子スイッチグループ内のスイッチの制御端部がコントローラに接続され、コントローラにより電子スイッチグループ内のスイッチがオンおよびオフに制御され、絶縁抵抗テスターは、スタックストリングの各グループの絶縁抵抗を順次テストし、その絶縁抵抗をコントローラに送信し、スタックストリングの各グループに絶縁障害が有るか否かのオンライン監視を実現し、絶縁障害のあるスタックストリングをスタックモジュール内で迅速に位置特定するために、コントローラは、絶縁抵抗に基づいてスタックストリングのグループに絶縁障害が有るか否かを判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタックモジュール障害監視システムであって、前記監視システムが、
絶縁抵抗テスターと、
スタックストリングのm個のグループを備えるスタックモジュールであって、mが1以上の正の整数である、スタックモジュールと、
m個の電子スイッチグループであって、前記電子スイッチグループの各々が、第1のスイッチと、第2のスイッチとを備え、前記第1のスイッチの第1の端部が、スタックストリングの1つのグループの正極に接続され、前記第1のスイッチの第2の端部が、前記絶縁抵抗テスターの正極端部に接続され、かつ、前記第2のスイッチの第1の端部が、スタックストリングの前記グループの負極に接続され、前記第2のスイッチの第2の端部が、前記絶縁抵抗テスターの負極端部に接続されている、m個の電子スイッチグループと、
前記第1のスイッチの制御端部および前記第2のスイッチの制御端部にそれぞれ接続されたコントローラであって、前記コントローラが、前記電子スイッチグループ内の前記スイッチをオンおよびオフに制御する、コントローラと、
を備え、
前記スタックモジュール内のスタックストリングの各グループに前記絶縁障害が有るか否かを監視するために、前記絶縁抵抗テスターが、スタックストリングの各グループの絶縁抵抗を順次テストし、前記テストした絶縁抵抗を前記絶縁抵抗テスターに接続された前記コントローラに送信するように構成されている、スタックモジュール障害監視システム。
【請求項2】
前記監視システムが、スタック予充電ユニットをさらに備え、前記スタック予充電ユニットのDCバスバーの正極が、スタックストリングの各グループの前記正極に接続され、前記スタック予充電ユニットの前記DCバスバーの負極が、スタックストリングの各グループの前記負極に接続されている、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記監視システムが、スタックストリングの各グループにそれぞれ直列に接続された第1のダイオードと第2のダイオードと、をさらに備え、
前記第1のダイオードのアノードがスタックストリングの各グループの前記正極に接続され、前記第1のダイオードのカソードが前記スタック予充電ユニットの前記DCバスの前記正極に接続され、かつ、
前記第2のダイオードのアノードが前記スタック予充電ユニットの前記DCバスの前記負極に接続され、前記第2のダイオードのカソードがスタックストリングの各グループの前記負極に接続されている、請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記監視システムが、m個の電源スイッチをさらに備え、
各電源スイッチの制御端部が、前記電源スイッチの前記開閉を制御するように構成されている前記コントローラにそれぞれ接続され、かつ、
前記スタック予充電ユニットの前記DCバスバーの前記正極と、スタックストリングの各グループの前記正極との間の前記接続が、
スタックストリングの1つのグループの正極に接続されている各電源スイッチの第1の端部と、
前記スタック予充電ユニットの前記DCバスの前記正極に接続されている各電源スイッチの第2の端部と、
を備える、請求項2または3に記載の監視システム。
【請求項5】
前記絶縁抵抗テスターが、CANバスを通して前記コントローラに接続され、前記テストされた絶縁抵抗を前記絶縁抵抗テスターに接続された前記コントローラに送信して、前記スタックモジュール内のスタックストリングの各グループに絶縁障害が有るか否かを監視する前記ステップが、前記テストされた絶縁抵抗を前記CANバスにより前記コントローラに送信して、前記スタックモジュール内のスタックストリングの各グループに前記絶縁障害が有るか否かを前記コントローラにより監視することを含むように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記電子スイッチグループが、絶縁型パワーエレクトロニクスデバイスである、先行請求項のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項7】
監視システムで使用するためのスタックモジュール障害監視の方法であって、前記監視システムが、
絶縁抵抗テスターと、
スタックストリングのm個のグループを備えるスタックモジュールであって、mが1以上の正の整数である、スタックモジュールと、
m個の電子スイッチグループであって、前記電子スイッチグループの各々が、第1のスイッチと、第2のスイッチとを備え、前記第1のスイッチの第1の端部が、スタックストリングの1つのグループの正極に接続され、前記第1のスイッチの第2の端部が、前記絶縁抵抗テスターの正極端部に接続され、かつ、前記第2のスイッチの第1の端部が、スタックストリングの前記グループの負極に接続され、前記第2のスイッチの第2の端部が、前記絶縁抵抗テスターの負極端部に接続されている、m個の電子スイッチグループと、
前記第1のスイッチの制御端部および前記第2のスイッチの制御端部にそれぞれ接続されたコントローラであって、前記コントローラが、前記電子スイッチグループ内の前記スイッチをオンおよびオフに制御する、コントローラと、
を備え、
前記方法が、前記絶縁抵抗テスターによって、スタックストリングの各グループの絶縁抵抗を順次テストすることと、前記テストした絶縁抵抗を前記絶縁抵抗テスターに接続された前記コントローラに送信することと、前記スタックモジュール内のスタックストリングの各グループに絶縁障害が有るか否かを判定することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の技術分野に属し、特にスタックモジュールの障害監視システムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スタックモジュールは、燃料電池電気自動車に電力を供給するために使用される。スタックストリングの各グループは、複数のスタックで構成される。
【0003】
現在、スタックモジュール全体に絶縁障害が有るか否かはオンラインでしか監視できず、絶縁障害が発生した場合はスタックモジュール全体がシャットダウンする。スタックモジュールは分解されることとなり、次にスタックモジュール内のスタックストリングの各グループの絶縁抵抗が順次テストされる。障害の位置特定を実現するために、どのグループのスタックストリングに絶縁障害が有るかが、各グループのスタックストリングの絶縁抵抗に応じて判定される。
【0004】
スタックモジュールの絶縁障害の既存の監視方法では、スタックモジュール内のスタックストリングの各セットに絶縁障害が有るかどうかをオンラインで監視することができないため、スタックモジュール内の障害の位置を特定することは困難である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、先行技術では、スタックモジュール内のスタックストリングの各セットに絶縁障害が有るかどうかをオンラインで監視することができないため、障害のあるスタックをスタックモジュール内で位置特定することが困難であるという問題を解決するためのスタックモジュール障害監視システムを提供するものである。
【0006】
本発明は、スタックモジュール障害監視システムを提供するものであり、このシステムは、絶縁抵抗テスターと、スタックストリングのm個のグループを有するスタックモジュールであって、mは1以上の正の整数である、スタックモジュールと、m個の電子スイッチグループとを備え、電子スイッチグループの各々が、第1のスイッチおよび第2のスイッチを有し、第1のスイッチの第1の端部が、スタックストリングの1つのグループの正極に接続され、第1のスイッチの第2の端部が、絶縁抵抗テスターの正極端部に接続されている。第2のスイッチの第1の端部が、スタックストリングのこのセットの負極に接続され、第2のスイッチの第2の端部が、絶縁抵抗テスターの負極端部に接続されている。コントローラは、第1のスイッチの制御端部および第2のスイッチの制御端部にそれぞれ接続され、コントローラが、電子スイッチグループ内のスイッチをオンおよびオフに制御する。絶縁抵抗テスターは、スタックストリングの各セットの絶縁性を順次検出し、検出した絶縁抵抗を絶縁抵抗テスターに接続されたコントローラに送信し、スタックモジュール内の各セットのスタックストリングに絶縁障害が有るかどうかを監視する。
【0007】
監視システムはスタック予充電ユニットをさらに備えることができ、スタック予充電ユニットのDCバスの正極が、スタックストリングの各セットの正極に接続され、スタック予充電ユニットのDCバスバーの負極が、スタックストリングの各グループの負極に接続されている。
【0008】
システムはまた、スタックの各グループにそれぞれ直列に接続された第1のダイオードと第2のダイオードと、をさらに備えることができ、第1のダイオードのアノードがスタックストリングの各グループの正極に接続され、第1のダイオードのカソードがスタック予充電ユニットのDCバスの正極に接続され、かつ第2のダイオードのアノードがスタック予充電ユニットのDCバスの負極に接続され、第2のダイオードのカソードがスタックストリングの各グループの負極に接続されている。
【0009】
本システムはまた、各電源スイッチの制御端部がそれぞれコントローラに接続されているm個の電源スイッチを備えることができる。電源スイッチの開閉はコントローラによって制御される。スタック予充電ユニットのDCバスバーの正極と、スタックストリングの各グループの正極との間の接続は、以下のステップ、すなわち、各電源スイッチの第1の端部がスタックストリングのグループの正極に接続されること、および各電源スイッチの第2の端部がスタック予充電ユニットのDCバスの正極に接続されること、を備える。
【0010】
絶縁抵抗は、CANバスを介してコントローラによって接続され得る。テストされた絶縁抵抗は、スタックモジュール内のスタックストリングの各グループに絶縁障害が有るか否かを監視するために、絶縁抵抗テスターに接続されたコントローラに送信されることができ、検出された絶縁抵抗を、CANバスを介してコントローラに送信して、スタックモジュール内のスタックストリングの各セットに絶縁障害が有るかどうかをコントローラによって監視する。
【0011】
電子スイッチのグループは、絶縁型パワーエレクトロニクスにされ得る。
【0012】
本発明は、スタックモジュール障害監視システムを提供するものであり、このシステムは、絶縁抵抗テスターと、m個のセットのスタックストリングを備えるスタックモジュールと、m個の電子スイッチのグループとを備え、各電子スイッチグループが、第1スイッチと第2スイッチとを備える。第1のスイッチの一方の端部は、スタックストリングのセットの正極に接続され、第1のスイッチの他方の端部は、絶縁抵抗テスターの正極端部に接続されており、第2のスイッチの一方の端部は、スタックストリングのこのセットの負極に接続され、第2のスイッチの他方の端部は絶縁抵抗テスターの負極端部に接続されており、電子スイッチグループのスイッチの制御端部がコントローラに接続され、コントローラが電子スイッチグループのスイッチをスイッチオンおよびスイッチオフ制御することにより、絶縁抵抗テスターが、スタックストリングの各セットの絶縁抵抗を順次検出して絶縁抵抗をコントローラに送信し、コントローラが絶縁抵抗に応じてこのセットのスタックストリングに絶縁障害が有るかどうかを判定することにより、各セットのスタックストリングに絶縁障害が有るかどうかをオンラインで監視し、絶縁障害のあるスタックストリングをスタックモジュール内で迅速に位置特定することができるようになる。
【0013】
本発明はまた、監視システムで使用するためのスタックモジュール障害監視の方法を提供し、監視システムが、絶縁抵抗テスターと、スタックストリングのm個のグループを備えるスタックモジュールであって、mは1以上の正の整数である、スタックモジュールと、m個の電子スイッチグループであって、電子スイッチグループの各々が、第1のスイッチと、第2のスイッチとを備え、第1のスイッチの第1の端部が、スタックストリングの1つのグループの正極に接続され、第1のスイッチの第2の端部が、絶縁抵抗テスターの正極端部に接続され、かつ第2のスイッチの第1の端部が、スタックストリングのグループの負極に接続され、第2のスイッチの第2の端部が、絶縁抵抗テスターの負極端部に接続されている、m個の電子スイッチグループと、第1のスイッチの制御端部および第2のスイッチの制御端部にそれぞれ接続されたコントローラであって、コントローラが、電子スイッチグループ内のスイッチをオンおよびオフに制御する、コントローラと、を備え、方法が、絶縁抵抗テスターによって、スタックストリングの各グループの絶縁抵抗を順次テストすることと、テストした絶縁抵抗を絶縁抵抗テスターに接続されたコントローラに送信することと、スタックモジュール内のスタックストリングの各グループに絶縁障害が有るか否かを判定することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下、説明に用いる図面を簡単に記載する。なお、以下の記載における図面は、本発明のいくつかの実施形態である。
【0015】
図1】スタックモジュール障害監視システムの構造概略図である。
図2】スタックモジュール障害監視システムの別の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面と併せて記載する。記載された実施形態は、本発明の実施形態のすべてではなく、一部に過ぎない。
【0017】
本実施形態では、スタックモジュール障害監視システムを提供する。このスタックモジュール障害監視システムは、スタックモジュール内のスタックストリングの各セットに絶縁障害が有るかどうかをオンラインで監視することができ、絶縁障害を有するスタックストリングをスタックモジュール内で迅速かつ簡易に位置特定することができる。
【0018】
図1に示すように、本実施形態のスタックモジュール障害監視システムは、絶縁抵抗テスター1とスタックモジュール2とを備え、スタックモジュール2は、スタックストリングのm個のセットを備え、ここで、mは1以上の正の整数である。
【0019】
スタックストリングの各セットはn個のスタックで構成されており、nは1以上の正の整数である。スタックストリング間においてはパラレル接続が行われ、スタックストリングの各セットのスタック間はシリアル接続が行われる。
【0020】
電子スイッチグループ3はm個あり、そのうちの電子スイッチグループの1つは、スタックストリングの1セットおよび絶縁抵抗テスター1と別々に接続されている。すなわち、スタックストリングの各セットは、1つの電子スイッチグループを介して絶縁抵抗テスター1と別々に接続されている。
【0021】
電子スイッチグループ3、スタックストリングおよび絶縁抵抗テスター1間の接続構造は以下のとおりである。
【0022】
各電子スイッチグループは、第1のスイッチおよび第2のスイッチを備える。第1のスイッチの第1の端部は、スタックストリングの1つのセットの正極に接続され、第1のスイッチの第2の端部は、絶縁抵抗テスター1の正極端部に接続される。第2のスイッチの第1の端部は、スタックストリングのこのセットの負極に接続され、第2のスイッチの第2の端部は、絶縁抵抗テスター1の負極端部に接続される。
【0023】
電子スイッチグループごとに、この電子スイッチグループの第1のスイッチの制御端部および第2のスイッチの制御端部が、コントローラに接続されている。コントローラは図1には示されていない。
【0024】
コントローラは、各電子スイッチグループの第1のスイッチおよび第2のスイッチのスイッチオフおよびスイッチオンを制御し、各電子スイッチグループの第1スイッチおよび第2スイッチは、同期してスイッチオフおよびスイッチオンに切り替えられる。
【0025】
電子スイッチグループの場合、この電子スイッチグループの第1のスイッチおよび第2のスイッチがオンになると、この電子スイッチグループに接続されているスタックストリングが絶縁抵抗テスターに接続される。この場合、絶縁抵抗テスターはこのスタックストリングの絶縁抵抗を検出する。
【0026】
第1の電子スイッチグループとスタックストリングの第1のセットおよび絶縁抵抗テスター1との接続を例にとると、第1の電子スイッチグループの第1のスイッチおよび第2のスイッチが同期してスイッチオンになると、スタックストリングの第1のセットと絶縁抵抗テスター1との間に閉ループが形成されるので、絶縁抵抗テスター1を用いてスタックストリングの第1のセットの絶縁抵抗を検出することが可能となる。この場合、他のm-l電子スイッチグループの第1のスイッチと第2のスイッチとをスイッチオフにして、他のm-lグループのスタックストリングを絶縁抵抗テスター1から切り離す。
【0027】
これに基づいて、絶縁抵抗テスター1は、スタックストリングの各セットの絶縁抵抗を順次検出することができる。また、絶縁抵抗テスター1が絶縁抵抗を検出する基本方式は、先行技術における絶縁抵抗テストの基本方式と同じであるので、改めて説明しない。
【0028】
任意選択的に、本実施形態の電子スイッチグループ内のスイッチは、絶縁型パワーエレクトロニクス、例えば、MOSチューブ、IGBTまたは炭化ケイ素チューブである。すなわち、第1のスイッチは、MOSチューブ、IGBT、またはカーボランダムチューブのうちのいずれか1つであり、第2のスイッチもMOSチューブ、IGBT、または炭化ケイ素チューブうちのいずれか1つである。
【0029】
絶縁抵抗テスター1は、検出されたスタックストリングの各セットの絶縁抵抗を、絶縁抵抗テスター1に接続されたコントローラに送信する。絶縁抵抗に基づいて、コントローラがスタックストリングのこのセットに絶縁障害が有るかどうかを判定することができるので、スタック内のスタックストリングの各セットに絶縁障害が有るかどうかをオンラインで検出し、絶縁障害の有るスタックストリングをスタックモジュール内で位置特定するようになる。
【0030】
本実施形態では、コントローラはFCUであり得、CANバスを介して絶縁抵抗テスター1をコントローラに接続し、絶縁抵抗テスター1がスタックストリングの絶縁抵抗を検出した後、CANバスを介して、検出した絶縁抵抗をコントローラに送信することができる。
【0031】
本実施形態のスタックモジュール障害監視システムは、絶縁抵抗テスターと、スタックストリングのm個のセットを備えるスタックモジュールと、m個の電子スイッチグループであって、電子スイッチグループの各々が、第1のスイッチと、第2のスイッチとを備え、かつ第1のスイッチの第1の端部が、スタックストリングのうちの1つのセットの正極に接続され、第1のスイッチの第2の端部が、絶縁抵抗テスターの正極端部に接続され、第2のスイッチの第1の端部が、スタックストリングのこのセットの負極に接続され、かつ第2のスイッチの第2の端部が、絶縁抵抗テスターの負極端部に接続されている、m個の電子スイッチグループと、第1のスイッチの制御端部および第2のスイッチの制御端部に別々に接続された制御と、を備える。コントローラは、電子スイッチグループ内のスイッチのスイッチオフとスイッチオンを制御することができ、スタックストリングの各セットを絶縁抵抗テスターに順次接続し、絶縁抵抗テスターは、絶縁抵抗テスターに接続されたスタックストリングのこのセットの絶縁抵抗を検出して、絶縁抵抗をコントローラに送信し、スタックモジュール内の各セットのスタックストリングに絶縁障害が有るかどうかを監視するので、スタックモジュール内の各セットのスタックストリングと位置に絶縁障害が有るかどうかをオンラインで監視し、絶縁障害のあるスタックストリングをスタックモジュール内で位置特定するようになる。
【0032】
スタックモジュールは、燃料電池電気自動車に電力を供給するために使用される。例えば、スタックモジュールは電気自動車のスタック予充電ユニットに接続され、スタック予充電ユニットは電気自動車のDCバスに接続され、電力はスタック予充電ユニットを介して電気自動車に供給される。
【0033】
ただし、スタックモジュール内の絶縁欠陥をオンラインで監視するプロセスにおいては、スタックモジュールを個別に取り外す必要がないため、本願で提供されるスタックモジュール障害監視システムにおいても、スタック予充電ユニットを備える。スタック予充電ユニットのDCバスの正極は、スタックストリングの各セットの正極に接続されている。スタック予充電ユニットのDCバスの負極は、スタックストリングの各セットの負極に接続され、スタック予充電ユニットを介して燃料電池スタックを有する電気自動車への電力供給を実現する。
【0034】
図2に示すように、スタック予充電ユニットが含まれることに基づいて、この実施形態のスタックモジュール障害監視システムも、図1に基づいて、スタックストリングの各セットと別々に接続された第1のダイオード4および第2のダイオード5を備える。第1のダイオード4の正極は、スタックストリングの各セットの正極に接続され、第1のダイオード4の負極は、スタック予充電ユニットのDCバスの正極に接続され、第2のダイオード5の正極は、スタック予充電ユニットのDCバスの負極に接続され、第2のダイオード5の負極は、スタックストリングの各セットの負極に接続されている。本実施形態における第1のダイオード4の各々および第2のダイオード5の各々の方向は、このスタックストリングがスタック予充電ユニットに電力を供給するときの電流の方向と一致している。
【0035】
任意選択的に、第1のダイオード4および第2のダイオード5は、パワーダイオードであり得る。本実施形態では、第1のダイオード4はスタックストリングの各セットの正極に設定され、第2のダイオード5はスタックストリングの各セットの負極に設定されているので、正極を異なるスタックストリングの負極から分離し、異なるスタックストリングの電圧不均衡によって生じる相互干渉を回避するようになる。
【0036】
図2に示すように、この実施形態のスタックモジュール障害監視システムはまた、m個の電源スイッチ6を備える。
【0037】
各電源スイッチの制御端部は、コントローラに個別に接続されている。電源スイッチの開閉はコントローラによって制御される。各電源スイッチの第1の端部は、スタックストリングのグループの正極に接続され、各電源スイッチの第2の端部は、スタック予充電ユニットのDCバスの正極に接続されている。
【0038】
本実施形態では、スタックストリングの各セットのDCバス出力インターフェースに1つの電源スイッチを設定し、各スタックストリングのスイッチオンまたはスイッチオフ、およびメインDCバスとの接続をそれぞれ制御する。特定のスタックストリングのセットの絶縁抵抗障害が検出されると、コントローラは、スタックストリングのこのセットに接続された対応する電源スイッチのスイッチオフとスイッチオンとを制御し、絶縁障害のあるスタックストリングとDCバスとの接続を切断して、スタックストリングがさらに絶縁障害に陥ることを防止するとともに、他の正常なスタックストリングが動作する間、車両全体が運行距離拡張モードで動作することを保証することができる。
【0039】
前述の技術的解決策に基づき、本実施形態で提供されるスタックモジュール障害監視システムは、スタックモジュール内のスタックストリングの各セットの独立した絶縁抵抗のオンライン監視を実現し、スタックモジュール全体に対して絶縁抵抗テストを行う場合にパワーダイオードが試験結果に与える影響を排除し、スタックモジュールの絶縁抵抗テストの結果の精度を向上させることができる。また、特定のスタックストリングのセットの絶縁抵抗障害が判定された場合、障害のあるスタックストリングを正確に位置特定し得、コントローラが故障したスタックストリングとの切り離しとDCバスとの接続とを制御することで、正常なスタックストリングの動作を保証し、スタックモジュールによってパワーアップした車両システムの安全性と信頼性を効果的に向上させることができる。
【0040】
図2に示すスタックモジュール障害監視システムを参照すると、スタックストリングの第1セットは、直列に接続されたn個のスタックストリング(例えば、Stack1-l、Stack1-2、……Stack1-n)を備える。スタックストリングの第1のセットは、第1の電子スイッチグループに接続されている。第1の電子スイッチグループは、スタックストリングの第1のセットと絶縁抵抗テスターとの間の接続を実現するために使用され、図2に示される第1のスイッチグループは、第1のスイッチKs1+および第2のスイッチKs1-を備える。スタックストリングの第1のセットの正極、すなわちStack1-1の正極は、第1のスイッチKs1+に接続され、第1のスイッチKs1+を介して絶縁抵抗テスターの正極に接続される。スタックストリングの第1のセットの負極、すなわちStack1-nの負極は、第1のスイッチKs1-接続され、第1のスイッチKs1-を介して絶縁抵抗テスターの負極に接続される。
【0041】
スタックストリングの第1のセットの正極、すなわちStack1-1の正極は第1のダイオードD1+に接続され、スタックストリングの第1のセットの負極、すなわちStack1-nの負極は第2のダイオードD1-に接続される。
【0042】
スタックストリングの第1のセットの正極、すなわちStack1-1の正極は、第1の電源スイッチK1に接続され、第1の電源スイッチK1の第2の端部は、スタック予充電ユニットのDCバスの正極に接続される。
【0043】
同様に、i番目のスタックストリングのセットは、例えばStacki-1、Stacki-2、Stacki-nのように、直列に接続されたn個のスタックストリングを備える。iは、1からmまでの正の整数である。
【0044】
i番目のスタックストリングのセットは、i番目の電子スイッチグループに接続されている。i番目の電子スイッチグループは、i番目のスタックストリングのセットと絶縁抵抗テスターとの間の接続を実現するために使用され、図2に示されるi番目の電子スイッチグループは、第1のスイッチKsi+と第2のスイッチKsi-とを備える。スタックストリングのi番目のセットの正極、すなわちStacki-1の正極は、第1のスイッチKsi+に接続され、第1のスイッチKsi+を介して絶縁抵抗テスターの正極に接続される。スタックストリングのi番目のセットの負極、すなわちStacki-nの負極は、第1のスイッチKsi-に接続され、第1のスイッチKsi-を介して絶縁抵抗テスターの負極に接続される。
【0045】
スタックストリングのi番目のセットの正極、すなわちStacki-1の正極は、第1のダイオードDi+に接続され、スタックストリングのi番目のセットの負極、すなわちStacki-nの負極は、第2のダイオードDi-に接続される。
【0046】
i番目のセットのスタックストリングの正極、すなわちStacki-1の正極は、i番目の電源スイッチKiの第1の端部に接続され、i番目の電源スイッチKiの第2の端部は、スタック予充電ユニットのDCバスの正極に接続される。
【0047】
図2に示したスタックモジュール障害監視システムに基づき、スタックストリングの第1のセットの絶縁抵抗テストを例にとり、スタックモジュール障害監視システムの動作の基本方式を記載する。
【0048】
(1)運転中、例えばFCUなどのコントローラは、m個の電源スイッチ(K1、K2......Km)のスイッチオンを制御し、スタックモジュールを電気自動車のDCバスに接続し、車両全体の運行距離を拡張するための電力を供給する。
【0049】
(2)FCUは、第1の電子スイッチグループの2つのスイッチ(Ks1+とKs1-)の同期スイッチオンを制御し、第1の電子スイッチグループを除く他のm-l個の電子スイッチグループのKsi+とKsi-と(m≧i≧2)の同期スイッチオフを制御し、絶縁抵抗テスターは、スタックストリングの第1のセットの絶縁抵抗を検出し、検出したスタックストリングの第1のセットの絶縁抵抗をCANバスを介してFCUに送信する。
【0050】
(3)FCUは、受信した第1のスタックストリングの絶縁抵抗に応じて、スタックストリングの第1のセットに絶縁障害が有るかどうかを判定し、スタックストリングの第1のセットに絶縁障害があると判定された状況下において、K1のスイッチオンおよびスイッチオフを制御して、スタックストリングの第1のセットとDCバスとの間の接続を切断し、絶縁障害がさらに悪化するのを防止するようになる。
【0051】
前述のステップにより、スタックストリングの第mのセットの絶縁抵抗を検出し、スタックモジュール内のスタックストリングの各セットに絶縁障害が有るかどうかをオンラインで監視し、特定のセットのスタックストリングに絶縁障害が有る場合、絶縁障害の有るスタックストリングを正確に位置特定し、FCUによって制御されるスタックストリングをDCバスから切り離すことで、正常なスタックストリングの動作を保証し、スタックモジュールによってパワーアップされた車両システムの安全性と信頼性を効果的に向上させることができる。
【0052】
本明細書中の実施形態はすべて漸進的な様式で説明され、実施形態間の同一または類似の部分については相互に参照することができ、各実施形態は他の実施形態との差違に焦点を当てる。
【0053】
上記は本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の基本方式から逸脱することなく、本発明の保護の範囲内で改良および装飾を行うことができる。
図1
図2
【国際調査報告】