(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(54)【発明の名称】バッテリーパック、それを含む電子デバイス、及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6568 20140101AFI20221118BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20221118BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20221118BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20221118BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519036
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(85)【翻訳文提出日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 KR2021005272
(87)【国際公開番号】W WO2021221416
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】10-2020-0052831
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】テ-キョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン-フン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-イル・ユン
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
(57)【要約】
本発明は、部品数を減らして組立工程を簡素化することで、製造コストを低減させ、安全性を高めたバッテリーパックを開示する。上記の目的を達成するため、本発明によるバッテリーパックは、複数のバッテリーモジュールと、複数のバッテリーモジュールが上部に載置されるように水平方向に延びた載置プレートを備えたトレイと、を含み、載置プレートは、一側に位置して外部から冷媒が供給されるように構成された供給パイプ、及び載置プレートの他側に位置して外部に冷媒を排出するように構成された排出パイプを備え、載置プレートは、それぞれが一側から他側まで延び、供給パイプまたは排出パイプと連通される複数の冷媒流路を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーモジュールと、
前記複数のバッテリーモジュールが上部に載置されるように水平方向に延びた載置プレートを備えるトレイと、
を含み、
前記載置プレートは、前記載置プレートの一側に位置して外部から冷媒が供給されるように構成された供給パイプ、及び前記載置プレートの他側に位置して外部に冷媒を排出するように構成された排出パイプを備え、
前記載置プレートは、それぞれが一側から他側まで延び、前記供給パイプまたは前記排出パイプと連通される複数の冷媒流路を備える、バッテリーパック。
【請求項2】
前記バッテリーモジュールは、
前記バッテリーモジュールの内部に冷媒が流れ込むように構成された注入口と、
前記バッテリーモジュールの外部へと冷媒が排出されるように構成された排出口と、
を備え、
前記載置プレートは、
前記冷媒流路から前記バッテリーモジュールに冷媒が注入されるように前記注入口と連結された注入ポートと、
前記バッテリーモジュールから前記冷媒流路へと冷媒が排出されるように前記排出口と連結された排出ポートと、
を備える、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記注入ポート及び前記排出ポートは、
前記載置プレートの上面よりも上方に突出した柱部と、
前記柱部の一部分に固定されたリングガスケットと、
前記柱部と所定の距離だけ離隔して位置し、前記バッテリーモジュールの前記注入口または前記排出口の周辺部に密着するように構成された支持ガスケットと、
を備える、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記トレイは、
前記載置プレートの前端部に結合されて上下に直立したプレート状の前方フレームと、
前記載置プレートの後端部に結合されて上下に直立したプレート状の後方フレームと、
一方向に延在され、延在された両端部が前記前方フレーム及び前記後方フレームのそれぞれと結合された一対のサイドカバーと、
水平方向に延びたプレート状であって、前記載置プレートの下部と結合されるように構成されたベースプレートと、
をさらに含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記載置プレートは、
前記複数のバッテリーモジュールが上部に載置されるように水平方向に延びたプレート状の載置部と、
前記載置部の下面から下方に突出し、前記載置部の一側から他側まで延在され、下端が前記ベースプレートと結合されるように構成された結合部と、
前記冷媒流路と前記ベースプレートとが結合された接合部と、
を備える、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記サイドカバーは、
前記供給パイプまたは前記排出パイプが収容されるように、外壁が前記供給パイプまたは前記排出パイプの少なくとも一部分を囲むように構成されたパイプ収容部を備える、請求項5に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記トレイは、前記供給パイプまたは前記排出パイプから冷媒が漏れた場合、漏れた前記冷媒が流れ込むように構成された臨時貯蔵部を備える、請求項5に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記臨時貯蔵部は、前記載置プレートと前記ベースプレートとの間の空いた空間である、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリーパックを少なくとも一つ含む、電子デバイス。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリーパックを少なくとも一つ含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック、電子デバイス、及び自動車に関し、より詳しくは、部品数を減らして組立工程を簡素化することで、製造コストを低減させ、安全性を高めたバッテリーパックに関する。
【0002】
本出願は、2020年4月29日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0052831号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急激に伸び、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化されるにつれて、繰り返して充放電可能な高性能二次電池に対する研究が活発に行われている。
【0004】
現在、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などの二次電池が商用化しているが、中でもリチウム二次電池はニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど起きず充放電が自在であって、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は、主に、リチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。また、このようなリチウム二次電池は、正極活物質が塗布された正極板と負極活物質が塗布された負極板とがセパレーターを間に置いて配置された電極組立体と、このような電極組立体を電解液とともに封止収納する外装材、例えば電池ケースを備える。
【0006】
そして、リチウム二次電池は、外装材の形状に応じて、電極組立体が金属缶に収納されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに収納されているパウチ型二次電池とに分類され得る。
【0007】
特に、近年、電気自動車などに適用される大容量のバッテリーパックの需要が増加している。このような大容量のバッテリーパックでは、二次電池の充放電が大量で行われるため、熱蓄積が起き易い。そこで、バッテリーパックの使用寿命を延ばすためには、効果的な冷却が必要となる。これにより、大容量のバッテリーパックは、パック単位の冷却能力が大きい冷却部材を別途に備えることが一般的である。
【0008】
しかし、このようなパック単位の冷却能力が大きい冷却部材は、別途製作された後、バッテリーパックの内部に結合する過程で、材料代と組立てコストが上昇し、また、冷却部材の体積が大きいため、バッテリーパックのエネルギー密度を低下させる原因になる。
【0009】
さらに、自動車に搭載されるバッテリーパックは、自動車の衝突などの大きい衝撃に備える必要がある。したがって、バッテリーパックは、外部衝撃による内部構成の損傷や、二次電池の火災や爆発の問題を解決する必要がある。特に、冷却部材が損傷されると、冷却部材内部の冷媒が漏れてバッテリーモジュールの短絡を引き起こす問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題点を解決するために創案されたものであって、部品数を減らして組立工程を簡素化することで、製造コストを低減させ、安全性を高めたバッテリーパックを提供することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様によるバッテリーパックは、
複数のバッテリーモジュールと、
複数のバッテリーモジュールが上部に載置されるように水平方向に延びた載置プレートを備えたトレイと、を含む。
【0013】
また、載置プレートは、一側に位置して外部から冷媒が供給されるように構成された供給パイプ、及び載置プレートの他側に位置して外部に冷媒を排出するように構成された排出パイプを備え、
載置プレートは、それぞれが一側から他側まで延び、供給パイプまたは排出パイプと連通される複数の冷媒流路を備える。
【0014】
また、バッテリーモジュールは、
バッテリーモジュールの内部に冷媒が流れ込むように構成された注入口と、
バッテリーモジュールの外部へと冷媒が排出されるように構成された排出口と、を備え得る。
【0015】
さらに、載置プレートは、
冷媒流路からバッテリーモジュールに冷媒が注入されるように注入口と連結された注入ポートと、
バッテリーモジュールから冷媒流路へと冷媒が排出されるように排出口と連結された排出ポートと、を備え得る。
【0016】
そして、注入ポート及び排出ポートは、
載置プレートの上面よりも上方に突出した柱部と、
柱部の一部分に固定されたリングガスケットと、
柱部と所定の距離だけ離隔して位置し、バッテリーモジュールの注入口または排出口の周辺部に密着するように構成された支持ガスケットと、を備え得る。
【0017】
また、トレイは、
載置プレートの前端部に結合されて上下に直立したプレート状の前方フレームと、
載置プレートの後端部に結合されて上下に直立したプレート状の後方フレームと、
一方向に延在され、延在された両端部が前方フレーム及び後方フレームのそれぞれと結合された一対のサイドカバーと、
水平方向に延びたプレート状であって、載置プレートの下部と結合されるように構成されたベースプレートと、をさらに含み得る。
【0018】
さらに、載置プレートは、
複数のバッテリーモジュールが上部に載置されるように水平方向に延びたプレート状の載置部と、
載置部の下面から下方に突出し、載置部の一側から他側まで延在され、下端がベースプレートと結合されるように構成された結合部と、
冷媒流路とベースプレートとが結合された接合部と、を備え得る。
【0019】
そして、サイドカバーは、
供給パイプまたは排出パイプが収容されるように、外壁が供給パイプまたは排出パイプの少なくとも一部分を囲むように構成されたパイプ収容部を備え得る。
【0020】
また、トレイは、供給パイプまたは排出パイプから冷媒が漏れた場合、漏れた冷媒が流れ込むように構成された臨時貯蔵部を備え得る。
【0021】
さらに、臨時貯蔵部は、載置プレートとベースプレートとの間の空いた空間であり得る。
【0022】
そして、上記の目的を達成するため、本発明の他の一態様による電子デバイスは、上述したバッテリーパックを少なくとも一つ含む。
【0023】
また、上記の目的を達成するため、本発明のさらに他の一態様による自動車は、上述したバッテリーパックを少なくとも一つ含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、載置プレートが、一側に位置して外部から冷媒が供給されるように構成された供給パイプ、載置プレートの他側に位置して外部に冷媒を排出するように構成された排出パイプ、及びそれぞれが一側から他側まで延び、供給パイプまたは排出パイプと連通される複数の冷媒流路を備えることで、従来技術のバッテリーパックと異なって、別途の冷却部材を備えず、複数のバッテリーモジュールが搭載されるトレイの載置プレートに供給パイプ、排出パイプ、及び冷媒流路をすべて備えているため、載置プレートの一部構造に冷却部材を一体で製作することによって冷却部材を別途に製作する必要がなく、さらに、別途の冷却部材を載置プレートに結合するかまたは組み立てる必要がない。これにより、バッテリーパックの製造コストを低減させ、搭載された複数のバッテリーモジュールと冷媒流路との熱伝導の経路を減縮できて、冷却効率を高めることができる。
【0025】
また、本発明の一態様によれば、サイドカバーが、供給パイプまたは排出パイプが収容されるように、外壁が供給パイプまたは排出パイプの少なくとも一部分を囲むように構成されたパイプ収容部を備えることで、サイドカバーが供給パイプまたは排出パイプの周囲を囲んで保護することができ、外部衝撃による供給パイプまたは排出パイプの損傷を防止することができる。
【0026】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーパックを概略的に示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの構成を概略的に示した分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの載置プレートを概略的に示した斜視図である。
【
図4】
図3の載置プレートの一部を概略的に示した部分側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるバッテリーパックのバッテリーモジュールを概略的に示した底面図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるバッテリーパックのバッテリーモジュールを概略的に示した底面図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの載置プレートの一部を概略的に示した部分斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるバッテリーパックのバッテリーモジュールを概略的に示した部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0029】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0030】
図1は本発明の一実施形態によるバッテリーパックを概略的に示した斜視図であり、
図2は本発明の一実施形態によるバッテリーパックの構成を概略的に示した分解斜視図である。
図2において、Y軸は前後方向を示し、X軸は左右方向を示し、Z軸は上下方向を示す。
【0031】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーパック300は、複数のバッテリーモジュール200、及びトレイ320を含む。
【0032】
具体的には、バッテリーモジュール200は、複数の二次電池を備え得る。二次電池は、電極組立体(図示せず)、電解液(図示せず)、及びこれらを内部に収容したパウチを備えたパウチ型二次電池であり得る。しかし、本発明によるバッテリーパック300には、上述したパウチ型二次電池のみに限定されず、本願の出願時点で公知の多様な二次電池が採用され得る。
【0033】
バッテリーパック300は、複数の二次電池を互いに電気的に接続するように構成された少なくとも一つのバスバー(図示せず)を備え得る。具体的には、バスバーは、伝導性金属を含み得、例えば、銅、アルミニウム、ニッケルなどを含み得る。
【0034】
さらに、バッテリーパック300は、複数のバッテリーモジュール200を互いに電気的に接続するワイヤ状のバスバー(図示せず)を備え得る。
【0035】
図3は本発明の一実施形態によるバッテリーパックの載置プレートを概略的に示した斜視図であり、
図4は
図3の載置プレートの一部を概略的に示した部分側面図である。
【0036】
図1~
図4を参照すると、トレイ320は、載置プレート323を備え得る。載置プレート323は、複数のバッテリーモジュール200が上部に載置されるように構成され得る。載置プレート323は、水平方向に延びたプレート状であり得る。ここで、水平方向とは、バッテリーパック300を地面に置いたとき、地面との水平方向を意味する。
【0037】
また、載置プレート323は、供給パイプ351及び排出パイプ353を備え得る。供給パイプ351は、載置プレート323の一側に位置し得る。排出パイプ353は、載置プレート323の他側に位置し得る。供給パイプ351は、外部から冷媒が供給されるように構成され得る。排出パイプ353は外部に冷媒を排出するように構成され得る。
【0038】
例えば、
図1に示されたように、供給パイプ351の前端部の入口P3に外部機器から冷媒が注入され得る。供給パイプ351は、後述する載置プレート323の冷媒流路323a1に冷媒を供給するように構成され得る。また、載置プレート323の冷媒流路323a2から排出パイプ353へと温度が上昇した冷媒が移動し、排出パイプ353の前端部の送出部P4を通って外部機器に温度が上昇した冷媒が移動し得る。
【0039】
さらに、載置プレート323は、複数の冷媒流路323aを備え得る。複数の冷媒流路323aはそれぞれ、一側(右側、+X軸方向)から他側(左側、-X軸方向)まで延在され得る。複数の冷媒流路323aは、それぞれが供給パイプ351または排出パイプ353と連通されるように接続され得る。例えば、
図4に示されたように、供給パイプ351の一部分が延びて載置プレート323の冷媒流路323a1と連結された連結部351aが備えられ得る。
図4に全体の様子は示されていないが、排出パイプ353も冷媒流路323a2と連結された連結部353aを備え得る。
【0040】
そして、冷媒流路323aは、載置プレート323の一側から他側まで長く延在され得る。例えば、
図3に示されたように、冷媒流路323aは、載置プレート323の右側端から左側端まで延びた形態を有し得る。
【0041】
したがって、本発明のこのような構成によれば、載置プレート323が、一側に位置して外部から冷媒が供給されるように構成された供給パイプ351、載置プレート323の他側に位置して外部に冷媒を排出するように構成された排出パイプ353、及びそれぞれが一側から他側まで延び、供給パイプ351または排出パイプ353と連通される複数の冷媒流路323aを備えることで、従来技術のバッテリーパック300と異なって、別途の冷却部材を備えず、複数のバッテリーモジュール200が搭載されるトレイ320の載置プレート323に供給パイプ351、排出パイプ353、及び冷媒流路323aをすべて備えているため、載置プレートの一部構造に冷却部材を一体で製作することによって冷却部材を別途に製作する必要がなく、さらに、別途の冷却部材を載置プレートに結合するかまたは組み立てる必要がない。これにより、バッテリーパックの製造コストを低減させ、搭載された複数のバッテリーモジュール200と冷媒流路323aとの熱伝導の経路を減縮できて、冷却効率を高めることができる。
【0042】
さらに、載置プレート323の複数の冷媒流路323aのうち、一部(冷媒流路323a1)は供給パイプ351と連通され、残り(冷媒流路323a2)は排出パイプ353と連通されることで、冷却構造を単純化することができる。これにより、バッテリーパック300の製造が容易であるという利点がある。
【0043】
図5及び
図6は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックのバッテリーモジュールを概略的に示した底面図である。
【0044】
図2及び
図4~
図6を参照すると、バッテリーモジュール200Aは、注入口P1及び排出口P2を備え得る。注入口P1は、バッテリーモジュール200Aの内部に冷媒が流れ込むように構成され得る。例えば、注入口P1は、載置プレート323の供給パイプ351と連結された冷媒流路323a1と連通され得る。排出口P2は、バッテリーモジュール200Aの外部へと冷媒が排出されるように構成され得る。排出口P2は、載置プレート323の排出パイプ353と連結された冷媒流路323a2と連通され得る。
【0045】
例えば、
図2に示されたように、6個のバッテリーモジュール200が2行3列に配置される場合、第1行(左側)に配置されたバッテリーモジュール200Aは、
図5に示されたように、バッテリーモジュール200の下面の左側に注入口P1と排出口P2が備えられ得る。また、第2行(右側)に配置されたバッテリーモジュール200Bは、
図6に示されたように、バッテリーモジュール200の下面の右側に注入口P1と排出口P2が備えられ得る。
【0046】
また、バッテリーモジュール200は、注入口P1から注入された冷媒を活用して、内部の複数の二次電池を冷却させるように構成された別途の冷却部材(図示せず)を備え得る。例えば、冷却部材は、ヒートシンクであり得る。冷却部材に注入された冷媒が昇温された後、冷却部材は、排出口P2を通って昇温された冷媒を外部に排出し得る。
【0047】
図7は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックの載置プレートの一部を概略的に示した部分斜視図である。
【0048】
図2及び
図5~
図7を参照すると、載置プレート323は、注入ポート323b及び排出ポート323cが備えられ得る。注入ポート323bは、冷媒流路323aからバッテリーモジュール200に冷媒が注入されるように注入口P1と連結され得る。排出ポート323cは、バッテリーモジュール200から冷媒流路323aへと冷媒が排出されるように構成され得る。
【0049】
したがって、本発明のこのような構成によれば、バッテリーモジュール200に注入口P1と排出口P2が備えられ、載置プレート323には注入ポート323bと排出ポート323cが備えられることで、載置プレート323の冷媒流路323aに流れ込んだ冷媒を円滑にバッテリーモジュール200の内部に移動させることができる。
【0050】
具体的には、注入ポート323bは、柱部323b2、リングガスケット323b3、及び支持ガスケット323b4を備え得る。柱部323b2は、載置プレート323の上面よりも上方(
図2のZ軸方向)に突出した形態を有し得る。柱部323b2は、中空の円形管形態であり得る。
【0051】
また、リングガスケット323b3は、柱部323b2の一部分に固定され得る。例えば、柱部323b2には、周縁部が内側に凹んだ固定溝(図示せず)が形成され得る。固定溝には、リングガスケット323b3の一部分が挿入されるように構成され得る。
【0052】
さらに、支持ガスケット323b4は、柱部323b2と所定の距離だけ離隔して位置し得る。支持ガスケット323b4はリング状であり得る。支持ガスケット323b4は、バッテリーモジュール200の注入口P1の周辺部に密着するように構成され得る。支持ガスケット323b4は、バッテリーモジュール200の下面を上方に支持するように構成され得る。
【0053】
具体的には、排出ポート323cは、柱部323c2、リングガスケット323c3、及び支持ガスケット323c4を備え得る。柱部323c2は、載置プレート323の上面よりも上方に突出した形態を有し得る。柱部323c2は、中空の円形管形態であり得る。
【0054】
また、リングガスケット323c3は、柱部323c2の一部分に固定され得る。例えば、柱部323c2には、周縁部が内側に凹んだ固定溝が形成され得る。固定溝には、リングガスケット323c3の一部分が挿入されるように構成され得る。
【0055】
さらに、支持ガスケット323c4は、柱部323c2と所定の距離だけ離隔して位置し得る。支持ガスケット323c4はリング状であり得る。支持ガスケット323c4は、バッテリーモジュール200の排出口P2の周辺部に密着するように構成され得る。支持ガスケット323c4は、バッテリーモジュール200の下面を上方に支持するように構成され得る。
【0056】
したがって、本発明のこのような構成によれば、注入ポート323b及び排出ポート323cがそれぞれ柱部323b2、323c2、リングガスケット323b3、323c3、及び支持ガスケット323b4、323c4を備えることで、二つのガスケットを用いて2段階のシーリングを行うことができる。これにより、本発明は、冷媒流路323aからバッテリーモジュール200の内部に冷媒が注入される過程、または、バッテリーモジュール200から冷媒流路323aへと冷媒が排出される過程で、冷媒の漏出を防止することができる。
【0057】
さらに、本発明は、柱部323b2がバッテリーモジュール200の注入口P1または排出口P2に挿入されることで、バッテリーモジュール200の配列位置をガイドする役割を果たすことができ、組立てが容易であって、製造時間を短縮させることができる。
【0058】
図8は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックのバッテリーモジュールを概略的に示した部分側面図である。
【0059】
図1及び
図2とともに
図8をさらに参照すると、トレイ320は、前方フレーム325、後方フレーム326、一対のサイドカバー330、及びベースプレート324をさらに備え得る。具体的には、前方フレーム325は、載置プレート323の前端部に結合され得る。前方フレーム325は、上下に直立したプレート状であり得る。前方フレーム325は、トレイ320の前方壁の役割を果たすことができる。後方フレーム326は、載置プレート323の後端部に結合され得る。後方フレーム326は、上下に直立したプレート状であり得る。後方フレーム326は、トレイ320の後方壁の役割を果たすことができる。
【0060】
また、サイドカバー330は、一方向に長く延びた形態を有し得る。サイドカバー330は、押出成形によって形成され得る。サイドカバー330の前端部は、前方フレーム325と結合され得る。サイドカバー330の後端部は、後方フレーム326と結合され得る。
【0061】
さらに、サイドカバー330は、トレイ320の載置プレート323の一側及び他側にそれぞれ位置し得る。例えば、
図2及び
図8に示されたように、二つのサイドカバー330は、載置プレート323の左側端及び右側端にそれぞれ位置した本体部333を備え得る。これにより、本体部333は、バッテリーパック300の左側壁及び右側壁の役割を果たすことができる。本体部333は、前後方に延びた形態を有し得る。例えば、本体部333は、前後方に押出成形されてプレート状で形成され得る。本体部333は、上下に直立した形態を有し得る。本体部333は中空のプレート状であり得る。
【0062】
さらに、ベースプレート324は、水平方向に延びたプレート状であり得る。ベースプレート324は、載置プレート323と対応する大きさを有し得る。ベースプレート324は、載置プレート323の下部と結合するように構成され得る。
【0063】
したがって、本発明のこのような構成によれば、トレイ320が前方フレーム325、後方フレーム326、一対のサイドカバー330、及びベースプレート324を備えることで、前方フレーム325、後方フレーム326、一対のサイドカバー330、載置プレート323、及びベースプレート324のそれぞれの構成同士の結合構造によって前後左右側からの外部衝撃から内部構成を効果的に保護することができる。結果的に、本発明のバッテリーパック300の安全性を高めることができる。
【0064】
図3及び
図4を参照すると、載置プレート323は載置部323d及び結合部323eを備え得る。載置部323dは、複数のバッテリーモジュール200が上部に載置されるように水平方向に延びたプレート状であり得る。
【0065】
また、結合部323eは、載置部323dの下面から下方(
図2の-Z軸方向)に突出した形状を有し得る。結合部323eは、下部延長部及び水平延長部を備え得る。下部延長部及び水平延長部は、載置部323dの下面に沿って一側から他側まで長く延びた形態を有し得る。例えば、
図3に示されたように、結合部323eは、載置プレート323の右側端から左側端まで延びた形態を有し得る。
【0066】
さらに、結合部323eの水平延長部の下面は、ベースプレート324の上面と結合され得る。ここで、結合方法は、摩擦撹拌溶接を用い得る。ここで、摩擦撹拌溶接とは、ネジ山状の突起を有する非消耗性工具を高速で回転させながら被接合材に挿入し、工具と被接合材との摩擦によって発生した摩擦熱によって工具周辺の材料を軟化させ、工具の撹拌による材料の塑性流動で接合面両側の材料を強制的に混合する原理で被接合材を溶接する方法である。
【0067】
このような摩擦撹拌溶接を使用する場合、従来の溶融接合に比べて機械的特性が向上し、接合性に優れ、接合用工具と試片との摩擦熱を用いて従来の溶融溶接に比べて低い入熱で溶接が行われるため、残留応力が小さく、変形が少ない。
【0068】
したがって、本発明のこのような構成によれば、載置プレート323が載置部323dの下面から下方に突出し、載置部323dの一側から他側まで延在され、下端がベースプレート324と結合されるように構成された結合部323eを備えることで、載置プレート323とベースプレート324との間の接合力を効果的に向上させることができる。
【0069】
そして、載置プレート323は、冷媒流路323aの下面がベースプレート324の上面と結合された接合部323fを備え得る。このとき、同様に摩擦撹拌溶接を用い得る。一方、従来は、別途の冷媒流路323aを備える冷却部材が載置プレート323に安定的に結合された状態ではないため、載置プレート323とベースプレート324とを結合する過程で冷却部材が干渉を起こして冷却部材が損傷され易かった。そこで、冷却部材の大きさを縮小して、ベースプレート324との干渉が生じないようにしたが、冷却部材の縮小によってバッテリーパック300の冷却効率が低下する問題があった。
【0070】
一方、本発明では、載置プレート323自体に冷媒流路323aを形成し、冷媒流路323aをベースプレート324の上面と直接結合することで、載置プレート323とベースプレート324との結合面積を効果的に増大することができる。さらに、冷媒流路323aの大きさを載置プレート323とベースプレート324との間の空間に最大限に増やすことができ、冷媒流路323aの縮小による冷却能力の低下を解決することができる。
【0071】
一方、
図2及び
図8をさらに参照すると、サイドカバー330は、供給パイプ351が収容されるように、供給パイプ351の少なくとも一部分を囲むように構成されたパイプ収容部339を備え得る。または、サイドカバー330は、排出パイプ353が収容されるように、排出パイプ353の少なくとも一部分を囲むように構成されたパイプ収容部339を備え得る。
【0072】
図2及び
図8をさらに参照すると、パイプ収容部339は、外壁が冷却パイプ350の少なくとも一部分を囲むように形成された空間であり得る。例えば、
図8に示されたように、パイプ収容部339は、外壁が本体部333の内面から内側(右側)に延びた部分339aと、延びた部分339aの端部から下方に折り曲げられた部分339bを備え得る。
【0073】
したがって、本発明のこのような構成によれば、サイドカバー330が、供給パイプ351または排出パイプ353が収容されるように、外壁が供給パイプ351または排出パイプ353の少なくとも一部分を囲むように構成されたパイプ収容部339を備えることで、サイドカバー330が供給パイプ351または排出パイプ353の周囲を囲んで保護することができ、外部衝撃による供給パイプ351または排出パイプ353の損傷を防止することができる。
【0074】
一方、
図8をさらに参照すると、トレイ320には臨時貯蔵部327が備えられ得る。具体的には、臨時貯蔵部327は、冷却パイプ350から冷媒が漏れた場合、漏れた冷媒が流れ込むように構成され得る。例えば、
図8に示されたように、臨時貯蔵部327は、載置プレート323とベースプレート324との間の空間に形成され得る。
【0075】
そして、載置プレート323の端部323aは、サイドカバー330の本体部333と離隔するように構成され得る。冷却パイプ350から冷媒が漏れた場合、漏れた冷媒がこのような載置プレート323の端部とサイドカバー330との間の隙間を通して臨時貯蔵部327の内部に流れ得る。
【0076】
したがって、本発明のこのような構成によれば、トレイ320が、冷却パイプ350から冷媒が漏れた場合、漏れた冷媒が流れ込むように構成された臨時貯蔵部327を備えることで、漏れた冷媒がバッテリーモジュール200の内部に流れることを防止し、冷媒によるバッテリーモジュール200の漏電、短絡などを防止することができる。
【0077】
一方、
図2及び
図8をさらに参照すると、サイドカバー330は、マウンティング部337をさらに備え得る。マウンティング部337は、外部機器と結合されるように本体部333の外側に備えられ得る。マウンティング部337には、外部機器との結合のため、締結構造が形成され得る。例えば、マウンティング部337は、自動車の車体内の構成とボルティング結合され得る。マウンティング部337には、ボルトの挿入のためのボルト孔H2が形成され得る。
【0078】
したがって、本発明のこのような構成によれば、サイドカバー330に外部機器との結合のための締結構造が形成され、本体部333の外側に備えられたマウンティング部337をさらに備えることで、バッテリーパック300を外部機器に安定的に固定させることができる。
【0079】
さらに、マウンティング部337は、外部衝撃から内部に位置した複数のバッテリーモジュール200を保護するように構成され得る。そのため、マウンティング部337は、本体部333の外側に突出した形態を有し得る。マウンティング部337は、中空の形態を有し得る。すなわち、マウンティング部337は、バッテリーパック300の左右側から衝撃が加えられる場合、それを吸収するか又は防御できるように、外側に突出した形態を有し得る。
【0080】
一方、本発明の一実施形態によるバッテリーパック300は、バッテリーモジュール200の充放電を制御するための各種の装置(図示せず)、例えばBMS(Battery Management System:バッテリー管理システム)、電流センサ、ヒューズなどをさらに含み得る。
【0081】
一方、本発明の一実施形態による電子デバイス(図示せず)は、上述したバッテリーパック300を少なくとも一つ含む。電子デバイスは、バッテリーパック300を収納するための収納空間が備えられたデバイスハウジング(図示せず)、及びユーザがバッテリーパック300の充電状態を確認できる表示部をさらに含み得る。
【0082】
また、本発明の一実施形態によるバッテリーパック300は、電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車に含まれ得る。すなわち、本発明の一実施形態による自動車は、車体内に上述した本発明の一実施形態によるバッテリーパック300が搭載され得る。このとき、サイドカバー330は、自動車の車体と結合されるように構成され得る。
【0083】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。
【0084】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
300:バッテリーパック
200:バッテリーモジュール
P1、P2:注入口、排出口
100:二次電池
210:モジュールハウジング
320:トレイ
325、326:前方フレーム、後方フレーム
323、324:載置プレート、ベースプレート
323a、323a1、323a2:冷媒流路
323b1、323c1:注入ポート、排出ポート
323b2、323b3、323b4:柱部、リングガスケット、支持ガスケット
323c2、323c3、323c4:柱部、リングガスケット、支持ガスケット
323d、323e、323f:載置部、結合部、接合部
327:臨時貯蔵部
330、330a、330b:サイドカバー
333、337、339:本体部、マウンティング部、パイプ収容部
351、353:供給パイプ、排出パイプ
【国際調査報告】