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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(54)【発明の名称】医療装置放出システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20221118BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20221118BHJP
   A61M 25/092 20060101ALI20221118BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20221118BHJP
   A61F 2/966 20130101ALI20221118BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
A61B17/12
A61M25/00 540
A61M25/092
A61F2/95
A61F2/966
A61B17/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519070
(86)(22)【出願日】2020-09-22
(85)【翻訳文提出日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 US2020051968
(87)【国際公開番号】W WO2021061627
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】62/904,893
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ナイガード、エリック ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】タッソーニ、ニコラス リー
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160MM33
4C267AA05
4C267AA56
4C267BB02
4C267CC08
4C267GG03
4C267GG07
4C267GG08
4C267GG22
4C267GG23
4C267GG24
(57)【要約】
医療装置システム(100)は、近位端から遠位端(116)まで延びるルーメンを有する長尺状シャフト(110)、近位放出ワイヤ(120)、および遠位放出ワイヤ(122)を含み得る。近位放出ワイヤ(120)は、体の外側に留まるように構成された近位端から遠位端(126)まで遠位に延び得、長尺状シャフト(110)のルーメン内にスライド可能に配置され得る。遠位放出ワイヤ(122)は、近位端(138)から遠位端(140)まで遠位に延び得、長尺状シャフト(110)のルーメン内にスライド可能に配置され得る。遠位放出ワイヤ(122)の近位端(138)は、近位放出ワイヤ(120)の遠位端(126)にスライド可能に結合され得る。遠位放出ワイヤ(122)は、医療装置(130)を長尺状シャフト(110)の遠位端(116)に放出可能に取り付けるように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状シャフトであって、同長尺状シャフトの近位端から遠位端まで延びるルーメンを有する前記長尺状シャフトと、
体外に留まるように構成され、近位端から遠位端まで遠位方向に延びて、前記長尺状シャフトの前記ルーメン内に摺動可能に配置された近位放出ワイヤと、
近位端から遠位端まで遠位方向に延びて、前記長尺状シャフトの前記ルーメン内に摺動可能に配置された遠位放出ワイヤであって、前記遠位放出ワイヤの前記近位端は、前記近位放出ワイヤの前記遠位端に摺動可能に結合され、前記遠位放出ワイヤは、前記長尺状シャフトの前記遠位端に医療装置を放出可能に取り付けるように構成されている、遠位放出ワイヤと
を備える、医療装置システム。
【請求項2】
前記近位放出ワイヤの前記遠位端が近位ループへと形成され、前記遠位放出ワイヤの前記近位端が遠位ループへと形成される、請求項1に記載の医療装置システム。
【請求項3】
前記近位ループおよび前記遠位ループが摺動可能に結合されている、請求項2に記載の医療装置システム。
【請求項4】
前記遠位ループは、前記長尺状シャフトの内面と摩擦係合するように構成される、請求項2または3に記載の医療装置システム。
【請求項5】
前記近位ループは、第1の平面に平行に延びる、請求項2から4のいずれか一項に記載の医療装置システム。
【請求項6】
前記遠位ループは、第2の平面に平行に延び、前記第2の平面は、前記第1の平面に直交する、請求項5に記載の医療装置システム。
【請求項7】
前記近位ループの遠位端の内面が、前記近位放出ワイヤの近位作動時に前記遠位ループの近位端の内面と係合するように構成される、請求項3から6のいずれか一項に記載の医療装置システム。
【請求項8】
前記近位放出ワイヤの前記遠位端が1つ以上のらせん状巻線を形成する、請求項1に記載の医療装置システム。
【請求項9】
前記近位放出ワイヤの前記1つ以上のらせん状巻線が、前記遠位放出ワイヤの一部にわたって配置されている、請求項8に記載の医療装置システム。
【請求項10】
前記遠位放出ワイヤの前記近位端が1つ以上のらせん状巻線を形成する、請求項1、8、9のいずれか一項に記載の医療装置システム。
【請求項11】
前記遠位放出ワイヤの前記1つ以上のらせん状巻線が、前記近位放出ワイヤの一部にわたって配置されている、請求項10に記載の医療装置システム。
【請求項12】
前記遠位放出ワイヤの前記1つ以上のらせん状巻線が、前記長尺状シャフトの内面と摩擦係合するように構成される、請求項10または11に記載の医療装置システム。
【請求項13】
前記近位放出ワイヤの前記遠位端の最近位巻線が、前記近位放出ワイヤの近位作動時に前記遠位放出ワイヤの前記近位端の最遠位巻線と係合するように構成される、請求項10から12のいずれか一項に記載の医療装置システム。
【請求項14】
前記近位放出ワイヤは、前記遠位放出ワイヤから独立して、前記長尺状シャフトの長手方向軸に沿って、所定の軸方向距離にわたって近位方向に移動するように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の医療装置システム。
【請求項15】
前記所定の軸方向距離よりも大きい前記近位放出ワイヤの近位方向移動が、前記近位放出ワイヤと協調して前記遠位放出ワイヤを移動させるように構成される、請求項13に記載の医療装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置、ならびに医療装置の製造および/または使用方法に関する。より詳細には、本発明は、医療用インプラントを放出するためのシステムの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な体内医療装置が、医療用途、例えば外科的および/または血管内使用のために開発されてきた。これらの装置のいくつかには、ガイドワイヤ、カテーテル、(例えば、ステント、移植片、交換弁などのための)医療装置送達システムなどが含まれる。これらの装置は、さまざまな異なる製造方法のいずれか1つによって製造され、さまざまな方法のいずれか1つに従って使用され得る。代替医療装置、ならびに医療装置を製造および/または使用するための代替方法を提供する継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
第1の例では、医療装置システムは、長尺状シャフトであって、同長尺状シャフトの近位端から遠位端まで延びるルーメンを有する前記長尺状シャフトと、体外に留まるよう構成され、近位端から遠位端まで遠位方向に延びて、長尺状シャフトのルーメン内に摺動可能に配置された近位放出ワイヤと、近位端から遠位端まで遠位方向に延びて、長尺状シャフトのルーメン内に摺動可能に配置された遠位放出ワイヤとを備え、遠位放出ワイヤの近位端は、近位放出ワイヤの遠位端に摺動可能に結合されている。遠位放出ワイヤは、長尺状シャフトの遠位端に医療装置を放出可能に取り付けるように構成される。
【0004】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位放出ワイヤの遠位端は、近位ループへと形成され得、遠位放出ワイヤの近位端は、遠位ループへと形成され得る。
【0005】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位ループおよび遠位ループは、摺動可能に結合され得る。
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、遠位ループは、長尺状シャフトの内面と摩擦係合するように構成され得る。
【0006】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位ループは、第1の平面にほぼ平行に延び得る。
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、遠位ループは、第2の平面にほぼ平行に延び得、第2の平面は第1の平面にほぼ直交する。
【0007】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位ループの遠位端の内面は、近位放出ワイヤの近位作動時に遠位ループの近位端の内面と係合するように構成され得る。
【0008】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位放出ワイヤの遠位端は、1つ以上のらせん状巻線を形成し得る。
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位放出ワイヤの1つ以上のらせん状巻線は、遠位放出ワイヤの一部にわたって配置され得る。
【0009】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、遠位放出ワイヤの近位端は、1つ以上のらせん状巻線を形成し得る。
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、遠位放出ワイヤの1つ以上のらせん状巻線は、近位放出ワイヤの一部にわたって配置され得る。
【0010】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、遠位放出ワイヤの1つ以上のらせん状巻線は、長尺状シャフトの内面と摩擦係合するように構成され得る。
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位放出ワイヤの遠位端の最近位巻線は、近位放出ワイヤの近位作動時に遠位放出ワイヤの近位端の最遠位巻線と係合するように構成され得る。
【0011】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位放出ワイヤは、所定の軸方向距離にわたって遠位放出ワイヤとは独立して、長尺状シャフトの長手方向軸に沿って近位に移動するように構成され得る。
【0012】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、所定の軸方向距離よりも大きい近位放出ワイヤの近位移動は、近位放出ワイヤと協調して遠位放出ワイヤを移動させるように構成され得る。
【0013】
別の例では、医療装置システムは、長尺状シャフトの近位端から長尺状シャフトの遠位端まで延びるルーメンを有する長尺状シャフトと、体外に留まるように構成された近位端から遠位端まで遠位方向に延びて、長尺状シャフトのルーメン内に摺動可能に配置された近位放出ワイヤと、近位端から遠位端まで遠位に延びて、長尺状シャフトのルーメン内に摺動可能に配置された遠位放出ワイヤとを備え、遠位放出ワイヤの近位端は、近位放出ワイヤの遠位端に摺動可能に結合されている。遠位放出ワイヤは、長尺状シャフトの遠位端に医療装置を放出可能に取り付けるように構成され得る。
【0014】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位放出ワイヤの遠位端は、近位ループを形成し得る。
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、遠位放出ワイヤの近位端は、遠位ループを形成し得る。
【0015】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位ループおよび遠位ループは、スライド可能に結合され得る。
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位ループの遠位端の内面は、近位放出ワイヤの近位作動時に遠位ループの近位端の内面と係合するように構成され得る。
【0016】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位放出ワイヤの遠位端は、1つ以上のらせん状巻線を形成し得る。
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位放出ワイヤの1つ以上のらせん状巻線は、遠位放出ワイヤの一部にわたって配置され得る。
【0017】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、遠位放出ワイヤの近位端は、1つ以上のらせん状巻線を形成し得る。
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、遠位放出ワイヤの1つ以上のらせん状巻線は、近位放出ワイヤの一部にわたって配置され得る。
【0018】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、遠位放出ワイヤの1つ以上のらせん状巻線は、長尺状シャフトの内面と摩擦係合するように構成され得る。
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位放出ワイヤの遠位端の最近位巻線は、近位放出ワイヤの近位作動時に遠位放出ワイヤの近位端の最遠位巻線と係合するように構成され得る。
【0019】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位放出ワイヤは、所定の軸方向距離にわたって遠位放出ワイヤとは独立して、長尺状シャフトの長手方向軸に沿って近位方向に移動するように構成され得る。
【0020】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、所定の軸方向距離よりも大きい近位放出ワイヤの近位移動は、近位放出ワイヤと協調して遠位放出ワイヤを移動させるように構成され得る。
【0021】
別の例では、医療装置システムは、長尺状シャフトの近位端から長尺状シャフトの遠位端まで延びるルーメンを有する長尺状シャフトと、体外に留まるように構成された近位端からループ状遠位端まで遠位方向に延びて、長尺状シャフトのルーメン内に摺動可能に配置された近位放出ワイヤと、ループ状近位端から遠位端まで遠位方向に延びて、長尺状シャフトのルーメン内に摺動可能に配置された遠位放出ワイヤとを備え、遠位放出ワイヤのループ状近位端は、近位放出ワイヤのループ状遠位端に摺動可能に結合されている。遠位放出ワイヤは、長尺状シャフトの遠位端に医療装置を放出可能に取り付けるように構成される。第1の距離にわたる近位放出ワイヤの近位移動は、遠位放出ワイヤとは独立して近位放出ワイヤを移動させ、第1の距離よりも大きい第2の距離にわたる近位放出ワイヤの近位移動は、近位放出ワイヤと協調して遠位放出ワイヤを移動させるよう構成され得る。
【0022】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、第1の距離は、遠位放出ワイヤのループ状近位端の開口の長さ以下であり得る。
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、遠位放出ワイヤのループ状近位端の遠位端の内面は、第1の距離よりも大きい距離の近位放出ワイヤの近位作動時に近位放出ワイヤのループ状遠位端の近位端の内面と係合するように構成され得る。
【0023】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、ループ状近位端は、第1の平面にほぼ平行に延び得、ループ状遠位端は、第2の平面にほぼ平行に延び得、第2の平面は、第1の平面にほぼ直交する。
【0024】
別の例では、医療装置システムは、長尺状シャフトの近位端から長尺状シャフトの遠位端まで延びるルーメンを有する長尺状シャフトと、体外に留まるように構成された近位端から遠位端まで遠位方向に延びて、長尺状シャフトのルーメン内にスライド可能に配置された近位放出ワイヤであって、近位放出ワイヤの遠位端は1つ以上のらせん状巻き線を備える、近位放出ワイヤと、近位端から遠位端まで遠位方向に延びて、長尺状シャフトのルーメン内に摺動可能に配置された遠位放出ワイヤとを備え得、遠位放出ワイヤの近位端は、近位放出ワイヤの線形部分にわたって摺動可能に結合された複数の巻線を備える。遠位放出ワイヤは、長尺状シャフトの遠位端に医療装置を放出可能に取り付けるように構成され得る。第1の距離にわたる近位放出ワイヤの近位移動は、遠位放出ワイヤとは独立して近位放出ワイヤを移動させ得、第1の距離よりも大きい第2の距離にわたる近位放出ワイヤの近位移動は、近位放出ワイヤと協調して遠位放出ワイヤを移動させるように構成され得る。
【0025】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、近位放出ワイヤの遠位端の最近位巻線は、第1の距離よりも大きい近位放出ワイヤの近位移動時に遠位放出ワイヤの近位端の最遠位巻線と係合するように構成され得る。
【0026】
上記の例のいずれかに対して代替的または追加的に、別の例では、遠位放出ワイヤの近位端は、近位放出ワイヤの遠位端の近位側に配置され得る。
いくつかの実施形態、態様、および/または実施例の上記要約は、本発明の各実施形態またはすべての実装を説明することを意図するものではない。以下の図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示したものである。
【0027】
本発明は、添付の図面と合わせて様々な実施形態についての以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解し得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】例示的な医療装置システムを示す斜視図。
図2図1の例示的な医療装置システムを示す部分断面図。
図3図1の例示的な医療装置システムの遠位部分を示す斜視図。
図4】例示的な医療装置システムの一部の作動を示す図。
図5】例示的な医療装置システムの一部の作動を示す図。
図6】例示的な医療装置システムの一部の作動を示す図。
図7】例示的な医療装置システムの一部の作動を示す図。
図8】例示的な医療装置システムの一部の作動を示す図。
図9】例示的な医療装置システムの例示的な放出機構を示す。
図10】別の例示的な医療装置システムの部分破断図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の態様は、さまざまな修正および代替形態に従順であるが、その詳細は例として図面に示され、詳細に説明される。しかし、その意図は、本発明の態様を記載の特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。それとは反対に、その意図は、開示の精神および範囲に含まれるすべての修正、均等物、および代替物を網羅することである。
【0030】
以下の説明は、図面を参照して読まれるべきであり、図面は必ずしも原寸に比例しておらず、同様の参照符号はいくつかの図面にわたって同様の要素を示す。詳細な説明および図面は、特許請求される発明を説明することを意図しているが、限定することは意図していない。当業者は、記載および/または図示のさまざまな要素が、本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな組み合わせおよび構成で配置され得ることを認識するであろう。詳細な説明および図面は、特許請求される発明の例示的実施形態を示す。しかし、明快性および理解の容易性のために、すべての特徴および/または要素が各図面に示され得ず、特に明記しない限り、特徴および/または要素は関係なく存在すると理解され得る。
【0031】
以下の定義された用語については、特許請求の範囲またはこの明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、これらの定義が適用されるものとする。
ここでは、明示的に示されているかどうかにかかわらず、すべての数値は「約」という用語で修飾されていると見なされる。数値の文脈における「約」という用語は概して、列挙された値と均等である(例えば、同じ機能または結果を有する)と当業者が見なすであろう数値範囲を指す。多くの例では、「約」という用語には、最も近い有効数字に丸められた数値が含まれ得る。「約」という用語の(例えば、数値以外の文脈での)他の使用は、特に明記されていない限り、明細書の文脈から理解されてそれと一貫しているように、その通常の慣習的定義を有すると見なされ得る。
【0032】
エンドポイントによる数値範囲の列挙には、エンドポイントを含むその範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1から5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5が含まれる)。
【0033】
さまざまな構成要素、特徴および/または仕様に関連するいくつかの適切な寸法、範囲、および/または値が開示されているが、当業者は、本開示に誘発されて、所望の寸法、範囲、および/または値が、明示的に開示されたものから逸脱し得ることを理解するであろう。
【0034】
この明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。この明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または」という用語は概して、内容が明確に別段の指示をしない限り、「および/または」を含むその意味で採用される。理解を容易にするために、開示された実施形態内でそれらの特徴が複数形または繰り返しであり得るとしても、本開示の特定の特徴は単数形で記述され得ることに留意されたい。特徴の各インスタンスは、明示的に反対の記載がない限り、単数形の開示を含む、および/またはそれらに含まれ得る。簡略化および明確化の目的で、開示された発明のすべての要素が必ずしも各図に示されている、または以下で詳細に説明されているわけではない。しかし、以下の説明は、特に反対に明記されていない限り、1つ超が存在する構成要素のいずれか、および/またはすべてに等しく適用され得ることを理解されたい。さらに、明確さのために、いくつかの要素または特徴のうちのすべてのインスタンスが各図において示されているわけではない。
【0035】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、それらの変形などの相対的な用語は概して、装置のユーザ/オペレータ/操作者に対するさまざまな要素の配置、方向、および/または操作に関して考慮され得、「近位」および「後退」はユーザにより近いまたはユーザに向かっていることを示しまたは指し、「遠位」および「前進」はユーザからより遠いまたはユーザから離れることを示すまたは指す。いくつかの例では、「近位」および「遠位」という用語は、開示の理解を容易にするために任意に割り当てられ得、そのような例は、当業者には容易に明らかであろう。「上流」、「下流」、「流入」、および「流出」などの他の相対的な用語は、体腔、血管などの管腔内、または装置内の流体の流れの方向を指す。「軸方向」、「円周方向」、「長手方向」、「横方向」、「半径方向」などのさらに他の相対的な用語、および/またはそれらの変形は概して、開示された構造または装置の中心長手方向軸に対する方向および/または方位を指す。
【0036】
「範囲」という用語は、特に最小範囲と呼ばれない限り、述べられた、または識別された寸法の最大測定値を意味すると理解され得る。例えば、「外側範囲」は最大外側寸法を意味すると理解され得、「半径方向範囲」は最大半径方向寸法を意味すると理解され得、「長手方向範囲」は最大長手方向寸法を意味すると理解され得るなど。「範囲」の各例は異なり得(例えば、軸方向、長手方向、横方向、半径方向、円周方向など)、個々の使用法の文脈から当業者には明らかであろう。概して「範囲」は、使用目的に応じて測定された可能な最大寸法と見なされ得る。しかし、「最小範囲」と呼ばれる場合、「範囲」とは、使用目的に応じて測定された可能な最小寸法を指す。いくつかの例では、「範囲」は概して、平面および/または断面内で直交して測定され得るが、特定の文脈から明らかなように、限定されないが、角度的に、半径方向に、円周方向に(例えば、円弧に沿って)など、異なる方法で測定され得る。
【0037】
本明細書における「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、すべての実施形態に必ずしも特定の特徴、構造、または特性が含まれているとは限らないことに留意されたい。さらに、そのような句は必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明される場合、他の実施形態に関連して特定の特徴、構造、または特性を実施することは、明確に反対の記載がない限り、明示的に説明されているかどうかにかかわらず当業者の知識の範囲内であろう。つまり、以下で説明されるさまざまな個々の要素は、特定の組み合わせで明示的に示されていない場合であっても、それにもかかわらず、当業者に理解されるように、他の追加の実施形態を形成するため、または記載された実施形態を補完および/または強化するために、互いに組み合わせ可能または配置可能であると考えられる。
【0038】
明確にするために、特定の識別数値命名法(例えば、第1、第2、第3、第4など)を、説明および/または特許請求の範囲全体にわたって使用して、さまざまな記載のおよび/または特許請求された特徴に名前を付け、および/またはそれらを区別し得る。数値命名法は限定を意図するものではなく、単なる例示であることが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、簡潔さと明快さのために、以前に使用された数値命名法の変更および逸脱を行い得る。すなわち、「第1の」要素として識別される特徴は、後で「第2の」要素、「第3の」要素などと呼ばれ得るか、または完全に省略され得、および/または、異なる特徴が、「第1の」要素と呼ばれ得る。各例での意味および/または指定は、熟練実務者には明らかであろう。
【0039】
心血管系に影響を与えるおよび/またはそれにより影響を受ける疾患および/または病状が、世界中で蔓延している。例えば、動静脈奇形(AVM)のいくつかの形態は、血管系を通る正常血流を「利用源」とし得る。理論に縛られることなく、正常な、酸素および/または栄養豊富な血流をそれらで飢えさせ、それによってそれらの成長および/または拡散力を制限することによって、少なくとも部分的に動静脈奇形および/または他の疾患または状態を治療することが可能であり得ると信じられている。血管閉塞の恩恵を受け得る疾患または状態の他の例には、出血、動脈瘤、静脈不全、臓器切除前の血流遮断、または肝臓分枝血管への塞栓性ビーズ逆流防止が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に開示されるのは、いくつかの動静脈奇形および/または他の疾患もしくは状態を治療および/または修復するために、心臓血管系の一部内で使用され得る医療装置である。また、本明細書に開示される装置は、以下により詳細に説明されるように、いくつかの追加の望ましい特徴および利点を提供し得る。
【0040】
図1および図2は、例示的な医療装置システム100の態様を示す。医療装置システム100は、長尺状シャフト110の近位端114から長尺状シャフト110の遠位端116まで延びるルーメン112(例えば、図2)を有する長尺状シャフト110を含む。いくつかの実施形態では、長尺状シャフト110は、カテーテル、ハイポチューブ、または他の同様の管状構造物であり得る。いくつかの実施形態では、長尺状シャフト110の少なくとも一部は、蛇行状の血管系をナビゲートされるために長尺状シャフト110の長さに沿った柔軟性を高めるよう、微細加工、複数の切断または脆弱化領域、ある程度の材料除去などを含み得る。長尺状シャフト110に適しているが非限定的ないくつかの材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料などを以下に説明する。
【0041】
医療装置システム100は、長尺状シャフト110のルーメン112内に摺動可能に配置された近位放出ワイヤ(または送達システムプルワイヤ)120および遠位放出ワイヤ(またはカプラープルワイヤ)122(例えば、図2)を含む。医療装置130は、長尺状シャフト110の遠位端116に近接して配置され得る。近位放出ワイヤ120および遠位放出ワイヤ122は、本明細書でより詳細に説明されるように、医療装置130に対して、インターロック位置と放出位置との間で軸方向に移動可能であり得る。近位および遠位放出ワイヤ120、122は、医療装置130を長尺状シャフト110の遠位端116に放出可能に取り付けるように構成され得る。医療装置130は、送達形態から配備形態に拡張するように構成され得る。簡潔性のために、医療装置130は、本明細書では塞栓コイルとして示されているが、同様の方法で輸送、送達、使用、放出などされる他の適切な医療装置も企図され、限定されないが血管閉塞装置、ステント、塞栓フィルタ、交換用心臓弁、他の閉塞装置、および/または他の医療用インプラントなどが含まれる。いくつかの実施形態では、近位および/または遠位放出ワイヤ120、122は、交互におよび/または交換可能に、プルワイヤ、作動ワイヤ、および/またはロッキングワイヤと呼ばれ得る。近位および遠位放出ワイヤ120、122は中実のワイヤまたはシャフトであり得るが、いくつかの実施形態では管状であり得る。放出ワイヤ120についてのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料などが、以下に記載される。
【0042】
いくつかの実施形態では、医療装置システム100は、医療装置130を送達形態で治療部位に送達するようにサイズ設定および構成されたマイクロカテーテル190を含み得る。長尺状シャフト110および医療装置130は、マイクロカテーテル190のルーメン192(例えば、図2)内に摺動可能に配置され得る。いくつかの実施形態では、マイクロカテーテル190は、治療部位への医療装置130の経皮送達を容易にし得る。参照のみのために、医療装置130は、送達形態または少なくとも部分的な配備形態で図面(例えば、図1図9)に示され得る。当業者は、医療装置130が配備されるときに、医療装置130がそれ自体、拡張されたり、コイル状にされたりし得ることを認識するであろう。マイクロカテーテル190についてのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば金属材料、ポリマー材料、複合材料などが、以下に記載される。
【0043】
図3は、長尺状シャフト110の遠位端116の拡大斜視図を示しており、長尺状シャフト110、医療装置130、およびマイクロカテーテル190が透明に示されている。近位放出ワイヤ120は、体外に留まるように構成された近位端124(例えば、図2)から遠位端126まで遠位方向に延びる。いくつかの場合には、近位放出ワイヤ120の遠位端126は、医療装置130の近位側に配置される。遠位端126は、開口134を画定するリングまたは近位ループ128を形成するループ状遠位端126であり得る。近位ループ128は、囲まれた近位端132および囲まれた遠位端136を有するほぼ長方形の形状を有し得る。しかし、近位ループ128は、円形、長方形、正方形などであるがこれらに限定されない他の形状を、所望に応じてとり得る。近位ループ128は第1の平面に平行に延びる。
【0044】
遠位放出ワイヤ122は、近位端138から遠位端140まで遠位方向に延びる。遠位放出ワイヤ122の遠位端140は、本明細書でより詳細に説明されるように、放出機構170と摺動可能に結合される。近位端138は、近位放出ワイヤ120の遠位端126に概して隣接して配置される。例えば、遠位放出ワイヤ122の近位端138は、近位放出ワイヤ120の遠位端126の長さの一部と重なる。近位端138は、開口144を画定する遠位リングまたはループ142を形成するループ状近位端である。遠位ループ142は、囲まれた近位端146および囲まれた遠位端148を有する長方形の形状を有し得る。しかし、遠位ループ142は、円形、長方形、正方形などであるがこれらに限定されない他の形状を、所望に応じてとり得る。遠位ループ142は、第1の平面にほぼ直交する第2の平面に対してほぼ平行をなして延びる。
【0045】
いくつかの実施形態では、近位ループ128および遠位ループ142は、金属プルワイヤを使用してループでワイヤの一端を重ね溶接または仮付け溶接することによって形成され得る。いくつかの例示的な金属は、以下により詳細に説明されるように、ステンレス鋼、ニチノール、および他のものを含み得ることが企図される。ニチノールを使用する場合は、熱硬化を利用して、所望する特定の形状にループを形成することができる。
【0046】
近位放出ワイヤ120の遠位端126は、遠位放出ワイヤ122の近位端138に摺動可能に結合される。例えば、近位放出ワイヤ120の近位ループ128の遠位端136は、インターロック配置において遠位放出ワイヤ122の遠位ループ142の開口144内に配置される。同様に、遠位放出ワイヤ122の遠位ループ142の近位端146は、近位放出ワイヤ120の近位ループ128の開口134内に配置されて、スリップジョイント160を形成する。これにより、近位放出ワイヤ120および遠位放出ワイヤ122は、制限されたまたは所定の軸方向距離にわたって(例えば、システム100の長手方向軸に沿って)互いに摺動可能に結合されることが可能になり得る。近位放出ワイヤ120および遠位放出ワイヤ122はそれぞれ、制限された軸方向距離にわたって互いに対して独立して移動し得ることが企図される。開口134、144の長さは、近位放出ワイヤ120および/または遠位放出ワイヤ122が、他方の構成要素120、122と係合してそのうえそれを動かす前に独立して摺動することができる距離を決定する。
【0047】
近位放出ワイヤ120および遠位放出ワイヤ122のスライド配置は、医療装置130の時期尚早な分離を軽減するのに役立ち得る。例えば、送達システム100(および医療装置130)が近位方向に後退されたとき(および使用中の他の時に)、長尺状シャフト110は、引張荷重を受ける可能性がある。別の言い方をすれば、長尺状シャフト110の遠位部分が伸びて、これにより、保持ワイヤが医療装置130から時期尚早に外される可能性がある。近位放出ワイヤ120の近位端124(またはそれに隣接する領域)を、長尺状シャフト110の近位端114(またはそれに隣接する領域)に結合させて、長尺状シャフトに対する近位放出ワイヤ120の動きを制限または防止し得る。しかし、これは、遠位放出ワイヤ122を長尺状シャフト110とともに伸ばす。近位放出ワイヤ120および遠位放出ワイヤ122のスライド配置は、近位放出ワイヤ120が近位方向に移動する(例えば、伸びる)ことを可能にし、これは、長尺状シャフト110の遠位部分が、遠位放出ワイヤ122に近位方向に作用する力を加えることなく伸びるからである。例えば、近位放出ワイヤ120の近位ループ128の遠位端136が、遠位放出ワイヤ122の遠位ループ142の遠位端148の内面と接触するか、または隣接するように、近位放出ワイヤ120および遠位放出ワイヤ122が配置されている場合である。これにより、近位放出ワイヤ120は、近位方向に作用する力が遠位放出ワイヤ122に加えられる前に遠位ループ142の開口144の全長を近位方向に移動することが可能にされる。近位ループ128の遠位端136の内面が遠位ループ142の近位端146の内面と係合すると、本明細書でより詳細に説明されるように、遠位放出ワイヤ122が、近位放出ワイヤ120とともに近位方向に移動する。
【0048】
図4図9は、例えば、治療部位などで、長尺状シャフト110から放出される医療装置130を示す。使用中、医療装置システム100のマイクロカテーテル190は、患者の生体組織に挿入され、マイクロカテーテル190の遠位端は、治療部位に隣接する位置に案内および/または前進される。長尺状シャフト110の遠位端116に、および/またはそれに近接して配置された医療装置130は、ルーメン192の近位端に挿入され、マイクロカテーテル190内に配置され、マイクロカテーテル190内を通っておよび/またはマイクロカテーテル190とともに治療部位に前進され得る。いくつかの実施形態では、医療装置130は、マイクロカテーテル190の遠位端に近接してマイクロカテーテル190のルーメン192内に配置され得る。いくつかの実施形態では、医療装置130は、使用前および/またはマイクロカテーテル190を患者の生体組織に挿入する前に、マイクロカテーテル190の遠位端に近接してマイクロカテーテル190のルーメン192内に配置され得る。医療装置130のインターロックおよび/または放出は、医療装置の種類および/または所望の治療工程もしくは方法に応じて選択的に実行され得る。医療装置130を配備する準備ができると、図4に見られるように、医療装置130がマイクロカテーテル190の遠位側に露出および/または配置されるまで、長尺状シャフト110をマイクロカテーテル190に対して遠位方向に前進および/または並進させ得る。代替的には、マイクロカテーテル190は、医療装置130がマイクロカテーテル190の遠位方向にて露出および/または配置されるまで、長尺状シャフト110に対して引き抜かれる。明確性のために、マイクロカテーテル190は、近位方向に後退された形態で示されている。しかし、体内を通ってナビゲートされている間、マイクロカテーテルは医療装置130上に配置され得ることを理解されたい。
【0049】
放出機構170は、医療装置130を長尺状シャフト110の遠位端116に離脱可能に取り付け得る。いくつかの実施形態では、長尺状シャフト110は、長尺状シャフト110の遠位端116に固着された放出機構170の第1の部分172を含み、医療装置130は、医療装置130の近位端に固着された放出機構170の第2の部分174を含む。遠位放出ワイヤ122の遠位端140は、図4に見られるように、インターロック位置にある放出機構170の第1の部分172および放出機構170の第2の部分174と摺動可能に係合し得る。遠位放出ワイヤ122は、図4に見られるように、近位放出ワイヤ120および遠位放出ワイヤ122が送達形態にあるとき、放出機構170の第1の部分172を放出機構170の第2の部分174とインターロックさせる。送達形態は、図に示すように、近位ループ128の遠位端136が、遠位ループ142の遠位端148の内面に当接または接触することを必要としないことに留意されたい。図4は、最大スリップジョイントクリアランス150を可能にする配置における近位放出ワイヤ120および遠位放出ワイヤ122を示す。スリップジョイントクリアランス150は、遠位放出ワイヤ122の移動が見られる前に、長尺状シャフト110がどれだけ伸びることができるかを決定し得る。スリップジョイントクリアランス150は、近位開口134および/または遠位開口144の長さを変更することによって修正されることができる。いくつかの場合には、開口134、144はそれぞれ、約0.25センチメートル(cm)から約3cm、約0.5cmから約2cm、約0.75cmから約1.25cmの範囲、または約1cmの長さを有し得る。開口134、144は、用途に応じて、0.25cm未満または3cm超の長さを有し得ることが企図される。さらに、開口134、144は同じ長さを有する必要はない。
【0050】
送達システム100が治療位置まで遠位方向に前進されると、長尺状シャフト110が伸び始める。いくつかの例では、近位放出ワイヤ120を長尺状シャフト110に結合して、送達中の長尺状シャフト110に対する近位放出ワイヤ120の長手方向動きを防止し得る。これにより、近位放出ワイヤ120を長尺状シャフト110とともに伸ばさせ得る。図5は、伸びの一部を吸収するスリップジョイント160を示す。図5に見られるように、近位放出ワイヤ120は、矢印162によって示されるように、近位方向に移動している一方で、遠位放出ワイヤ122は、長手方向に固定されて維持されている。図5に見られるように、スリップジョイント160にはクリアランス長さ152がある。しかし、長さ152は、図4に示される構成の長さ150よりも短い。近位放出ワイヤ120の移動は、伸びまたは使用者の作動に起因し得る。
【0051】
医療装置130の取り外しが望まれる場合、使用者は、長尺状シャフト110と近位放出ワイヤ120とを切り離して(そのように取り付けられている場合)、近位放出ワイヤ120の近位後退を可能にし得る。近位放出ワイヤ120の近位端124は、図6に示されるように、スリップジョイント160のクリアランスの長さが使い果たされるまで、矢印162に示されるように、第1の距離にわたって近位方向に作動され得る。クリアランスの長さは、長尺状シャフト110の伸びの程度、および/または遠位ループ142に対する近位ループ128の元の構成に応じてさまざまであることが企図される。近位ループ128の遠位端136の内面が遠位ループ142の近位端146の内面に係合すると、近位放出ワイヤ120の第2の距離(例えば、所定のクリアランス距離を超えるか、または第1の距離よりも大きい)にわたるさらなる近位移動は、図7に示されるように、近位放出ワイヤ120と協調して遠位放出ワイヤ122の近位作動をもたらす。いくつかの場合では、遠位放出ワイヤ122の遠位ループ142は、長尺状シャフト110の内壁との締まり嵌め(または摩擦係合)とすることができる。これは、使用者によって近位放出ワイヤ120に力が意図的に加えられるまで遠位放出ワイヤ122を固定し得る。そのような配置は、遠位放出ワイヤ122の受動的移動を抑制することに役立つ。
【0052】
放出機構170は、遠位放出ワイヤ122が放出機構170の長さ以上の長さだけ近位方向に作動されるまで、インターロック形態に維持されることが企図される。図8図9は、配備形態の医療装置130を備えたシステム100を示す。例えば、放出機構170の長さ未満の長さだけの遠位放出ワイヤ122の近位作動は、医療装置130を放出するのに十分ではない場合がある。少なくともいくつかの実施形態では、遠位放出ワイヤ122は、長尺状シャフト110内を貫通して延びるルーメン112、放出機構170の第1の部分172内を貫通して延びる第1の軸方向ルーメン、および放出機構170の第2の部分174内を貫通して延びる第2の軸方向ルーメンの内部に摺動可能に配置され得る。医療装置130の放出は、インターロック形態と完全放出形態(例えば、図8および図9)との間で遠位放出ワイヤ122の任意の軸方向位置において逆転され得ることが企図される。第1の部分172の第1の軸方向ルーメンおよび第2の部分174の第2の軸方向ルーメンは、医療装置130が長尺状シャフト110の遠位端116に放出可能に取り付けられたときに、中心長手方向軸および/または遠位放出ワイヤ122とほぼ同軸をなし得る。放出機構170、第1の部分172、および第2の部分174についてのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料などを以下に説明する。
【0053】
図7図8を参照すると、長尺状シャフト110は、長尺状シャフト110の近位端114および/または近位放出ワイヤ120が、医療装置130がマイクロカテーテル190の遠位側に配置されるときに、マイクロカテーテル190の近位側に留まる(例えば、そこから近位に延びる)よう十分な長さを有し得る。使用中、長尺状シャフト110は、治療部位から、医療装置システム100が操作者(例えば、臨床医、医師、使用者など)によって操作され得る患者の体外の部位へと届く十分な長さを有し得る。医療装置システム100を治療部位に挿入した後、医療装置システム100の操作者は、近位放出ワイヤ120および/または遠位放出ワイヤ122を操作して医療装置130を放出するために、第1の手を長尺状シャフト110の近位端114に置き、第2の手を近位放出ワイヤ120の近位端124に置き得る。
【0054】
明示されていないが、医療装置システム100は、医療装置130をマイクロカテーテル190に装填するように構成されたイントロデューサを含み得る。イントロデューサは、近位端から遠位端まで延びるルーメンを有する管状部材であり得る。イントロデューサは、医療装置130を縮小された直径に、および/またはマイクロカテーテル190に装填するための送達形態に、保持し得る。医療装置130をマイクロカテーテル190に装填した後、イントロデューサは、長尺状シャフト110上でそれに対して近位方向に引き抜かれて、医療装置システム100から除去され得る。
【0055】
使用中、医療装置130を治療部位(例えば、静脈、動脈など)に送達する方法は、マイクロカテーテル190を患者の生体組織に挿入する工程、および、マイクロカテーテル190の遠位端を治療部位に隣接する位置に案内する工程を含み得る。方法は、長尺状シャフト110の遠位端116に配置された、および/または遠位端116に近接した医療装置130を、マイクロカテーテル190内に配置されたルーメン192の近位端内に挿入する工程を含み得る。いくつかの実施形態では、医療装置130は、マイクロカテーテル190が患者の生体組織に挿入された後にマイクロカテーテル190のルーメン192内に挿入され得る。方法は、マイクロカテーテル190の中を通過して治療部位に医療装置130を前進させる工程を含み得る。医療装置130は、長尺状シャフト110内のルーメン112の中を貫通して延びるプルワイヤ(例えば、近位放出ワイヤ120および/または遠位放出ワイヤ122など)によって、長尺状シャフト110の遠位端116に離脱可能に取り付けられ得る。近位放出ワイヤ120は、長尺状シャフト110から近位方向に延び得、近位放出ワイヤ120は、長尺状シャフト110に放出可能に結合され得る。代替的には、いくつかの実施形態では、医療装置130は、マイクロカテーテル190のルーメン192の近位端内に挿入されて、マイクロカテーテル190が患者の生体組織に挿入される前に、マイクロカテーテル190内を通ってマイクロカテーテル190の遠位端まで前進され得る。
【0056】
本明細書で論じられるように、放出機構170の第1の部分172は、長尺状シャフト110の遠位端116に取り付けられ、放出機構170の第2の部分174は、医療装置130の近位端に固着される。近位放出ワイヤ120および/または遠位放出ワイヤ122は、長尺状シャフト110のルーメン112、放出機構170の第1の部分172の第1の軸方向ルーメン、および放出機構170の第2の部分174の第2の軸方向ルーメン内に摺動可能に配置される。
【0057】
方法は、近位放出ワイヤ120を長尺状シャフト110から切り離すために、近位放出ワイヤ120と長尺状シャフト110との間の保持機構をロック解除する工程を含み得る。方法は、長尺状シャフト110を治療部位に対して固定位置に維持しつつ、近位放出ワイヤ120を長尺状シャフト110の近位端114から離れて近位方向に平行移動させ、近位放出ワイヤ120および/または遠位放出ワイヤ122を、長尺状シャフト110および/または放出機構170に対して移動させて、遠位放出ワイヤ122をインターロック位置から放出位置に移動させて、医療装置130を長尺状シャフト110から放出する工程をさらに含む。
【0058】
方法は、治療部位からの長尺状シャフト110および/またはマイクロカテーテル190の近位方向への引き抜きも含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、長尺状シャフト110は、マイクロカテーテル190のルーメン192を通して近位方向に引き抜かれて除去され得、そして、マイクロカテーテル190は、患者の生体組織から引き抜かれ、および/または除去され得る。いくつかの実施形態では、長尺状シャフト110は、長尺状シャフト110の遠位端116および/または放出機構170の第1の部分172がマイクロカテーテル190の遠位端および/またはルーメン192内に配置されるのに十分なほど近位方向に引き抜かれ得る。そして、長尺状シャフト110およびマイクロカテーテル190は、患者の生体組織から一緒に引き抜かれ得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、長尺状シャフト110は、マイクロカテーテル190のルーメン192の中を通って除去され、マイクロカテーテル190は、患者の生体組織内の所定位置に残され、および/または保持され得る。そして、必要に応じて、第2の長尺状シャフトおよび関連する第2の医療装置を、マイクロカテーテル190のルーメン192の近位端内に挿入し、配備するために治療部位に前進させ得る。本明細書に記載されている装置ならびに記載されている方法の工程の追加的な繰り返しは、特定の手術のために必要に応じて、または所望に応じて使用され得る。
【0060】
図10は、別の例示的な医療装置システム200の態様を示す。図10は、長尺状シャフト210の遠位端216の部分断面図である。医療装置システム200は、長尺状シャフト210の近位端(明示的に示されず)から長尺状シャフト210の遠位端216まで延びるルーメン212を有する長尺状シャフト210を含む。長尺状シャフト210は、本明細書に記載の長尺状シャフト110と形態および機能において類似し得る。いくつかの実施形態では、長尺状シャフト210は、カテーテル、ハイポチューブ、または他の同様の管状構造であり得る。いくつかの実施形態では、長尺状シャフト210の少なくとも一部は、蛇行状の血管内をナビゲートされるために長尺状シャフト210の長さに沿って柔軟性を高めるよう、微細加工、複数の切断または脆弱領域、ある程度の材料除去などを含み得る。長尺状シャフト210についてのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料などが、以下に説明される。
【0061】
医療装置システム200は、長尺状シャフト210のルーメン212内に摺動可能に配置された近位放出ワイヤ(または送達システムプルワイヤ)220および遠位放出ワイヤ(またはカプラープルワイヤ)222を含み得る。医療装置230は、長尺状シャフト210の遠位端に近接して配置され得る。医療装置230は、本明細書に記載の医療装置130と形態および機能において類似し得る。本明細書でより詳細に説明するように、近位および遠位放出ワイヤ220、222は、医療装置230に対して、インターロック位置と放出位置との間で軸方向に摺動可能であり得る。近位および遠位放出ワイヤ220、222は、医療装置230を長尺状シャフト210の遠位端216に放出可能に取り付けるように構成され得る。
【0062】
医療装置230は、送達形態から配備形態に拡張するように構成され得る。医療装置230は、血管閉塞装置であり得るが、同様の方法で輸送、送達、使用、放出などされる他の適切な医療装置もまた企図され、限定されないが塞栓コイル、ステント、塞栓フィルタ、交換用心臓弁、他の閉塞装置、および/または他の医療用インプラントなどを含む。いくつかの実施形態では、近位および/または遠位放出ワイヤ220、222は、交互におよび/または交換可能に、プルワイヤ、作動ワイヤ、および/またはロッキングワイヤと呼ばれ得る。近位および/または遠位放出ワイヤ220、222は概して、中実のワイヤまたはシャフトであり得るが、いくつかの実施形態では、管状であり得る。近位および/または遠位放出ワイヤ220、222についてのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料などが、以下に説明される。
【0063】
いくつかの実施形態では、医療装置システム200は、医療装置を送達形態で治療部位に送達するようにサイズ設定および構成されたマイクロカテーテル290を含み得る。長尺状シャフト210および医療装置230は、マイクロカテーテル290のルーメン292内に摺動可能に配置され得る。いくつかの実施形態では、マイクロカテーテル290は、治療部位への医療装置の経皮送達を容易にし得る。マイクロカテーテル290に適しているが非限定的ないくつかの材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料などを以下に説明する。
【0064】
近位放出ワイヤ220は、体外に留まるように構成された近位端(明示的に示されず)から遠位端226まで遠位方向に延びる。いくつかの場合では、近位放出ワイヤ220の遠位端226は、医療装置230の近位側に配置される。遠位端226は、内部を貫通して延びるルーメン234を画定する複数のらせん状巻線228a、228b、228c(集合的に228)を形成するようにコイル状にされる。別の言い方をすれば、コイル状遠位端226は、コイル状部分を貫通して延びるルーメン234を備えた概してばね状の構造を有し得る。コイル状遠位端226は、限定されないが、1つ未満、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上など、所望の任意の数のらせん状巻線228を含み得る。さらに、らせん状巻線228のうちの1つ以上は、完全な360°回転未満を形成し得ることが企図される。いくつかの場合では、1つ以上のらせん状巻線228は、完全な360°回転未満を有する単一の巻線を備え得る。
【0065】
遠位放出ワイヤ222は、近位端238から遠位端240まで遠位方向に延びる。遠位放出ワイヤ222の遠位端240は、本明細書でより詳細に説明されるように、放出機構270と摺動可能に結合され得る。近位端238は、近位放出ワイヤ220の遠位端226に概して近位側に配置され得る。例えば、遠位放出ワイヤ222の近位端238は、近位放出ワイヤ220の遠位端226の長さの一部と重なり得る。近位端238は、内部を貫通して延びるルーメン244を画定する複数のらせん状巻線242a、242b、242c(集合的に242)を形成するようにコイル状にされ得る。別の言い方をすれば、コイル状近位端238は、コイル状部分内を貫通して延びるルーメン244を備えた概してばね状の構造を有し得る。コイル状近位端238は、限定されないが、1つ未満、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上など、所望の任意の数のらせん状巻線242を含み得る。らせん状巻線242の1つ以上は、完全な360°回転未満を形成し得ることがさらに企図される。いくつかの場合では、1つ以上のらせん状巻線242は、完全な360°回転未満の単一の巻線を備え得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、コイル状近位端238および/またはコイル状遠位端226は、金属プルワイヤを使用して、その端部をコイルまたはらせんに形成することによって形成され得る。いくつかの例示的な金属は、以下により詳細に説明されるように、ステンレス鋼、ニチノール、および他のものを含み得ることが企図される。ニチノールを使用する場合、熱硬化を利用して、所望の特定の形状にコイル状領域を形成することができる。
【0067】
近位放出ワイヤ220のコイル状遠位端226は、コイル状近位端238から遠位側に遠位放出ワイヤ222の線形部分246上に摺動可能に配置され得、それにより、遠位放出ワイヤ222の線形部分246は、ルーメン234内に摺動可能に配置される。コイル状近位端238は、コイル状遠位端226の近位に近位放出ワイヤ220の線形部分236にわたって摺動可能に配置され得、それにより、遠位放出ワイヤ222の線形部分236は、ルーメン244内に摺動可能に配置される。この配置は、スリップジョイント260を形成し得る。いくつかの場合では、スリップジョイント260の構成は、送達中にスリップジョイント260が束縛されるリスクを低減し得る。コイル状近位端238の最遠位巻線242cは、コイル状遠位端226の最近位巻線228aからある距離だけ離間して、スリップジョイントクリアランス250を設け得る。スリップジョイントクリアランス250は、近位放出ワイヤ220が、遠位放出ワイヤ222を同時に移動させることなく(少なくとも近位方向に)移動することができる長手方向距離であり得る。これにより、近位放出ワイヤ220および遠位放出ワイヤ222を、制限された軸方向距離にわたって(例えば、システム200の長手方向軸に沿って)互いに摺動可能に結合することが可能とされ得る。近位放出ワイヤ220および遠位放出ワイヤ222はそれぞれ、制限された軸方向距離にわたって互いに対して独立して移動し得ることが企図される。スリップジョイントクリアランス250は、他の構成要素220、222と係合してそのうえそれを動かす前に、近位放出ワイヤ220および/または遠位放出ワイヤ222が独立して摺動できる距離を決定し得る。スリップジョイントクリアランス250は、遠位放出ワイヤ222に対する近位放出ワイヤ220の位置を変更し、近位放出ワイヤ220を長尺状シャフト210に対して前記位置に固定することによって修正することができる。いくつかの場合では、スリップジョイントクリアランス250はそれぞれ、約0.25センチメートル(cm)から約3cm、約0.5cmから約2cm、約0.75cmから約1.25cmの範囲、または約1cmの長さを有し得る。スリップジョイントクリアランス250は、用途に応じて、0.25cm未満または3cm超の長さを有し得ることが企図される。
【0068】
近位放出ワイヤ220および遠位放出ワイヤ222のスライド配置は、医療装置230の時期尚早な分離を軽減するのに役立つ。例えば、送達システム200(および医療装置230)が近位方向に後退されたとき(および使用中の他の時間に)、長尺状シャフト210は、引張荷重を受ける可能性がある。別の言い方をすれば、長尺状シャフト210の遠位部分が伸びて、これにより、保持ワイヤが医療装置230から時期尚早に外され得る。近位放出ワイヤ220の近位端(またはそれに隣接する領域)を長尺状シャフト210の近位端(またはそれに隣接する領域)に結合して、長尺状シャフトに対する近位放出ワイヤ220の動きを制限または防止し得る。しかし、これにより、遠位放出ワイヤ222は長尺状シャフト210とともに伸ばされ得る。近位放出ワイヤ220および遠位放出ワイヤ222のスライド配置は、長尺状シャフト210の遠位部分が遠位放出ワイヤ222に近位方向に作用する力を及ぼすことなく伸びるので、近位放出ワイヤ220が近位方向に移動する(例えば、伸びる)ことが可能にされ得る。例えば、近位放出ワイヤ220および遠位放出ワイヤ222が、コイル状近位端238の最遠位巻線242cがコイル状遠位端226の最近位巻線228aからある距離だけ間隔をあけるように配置され得る場合である。これにより、近位方向に作用する力が遠位放出ワイヤ222に加えられる前に、近位放出ワイヤ220がスリップジョイントクリアランス250の全長を近位方向に移動することが可能にされ得る。コイル状遠位端226の最近位巻線228aがコイル状近位端238の最遠位巻線242cと係合すると、本明細書でより詳細に説明されるように、遠位放出ワイヤ222は、近位放出ワイヤ220とともに近位方向に移動する。
【0069】
使用中、医療装置システム200のマイクロカテーテル290は、患者の生体組織に挿入され得、マイクロカテーテル290の遠位端は、治療部位に隣接する位置に案内および/または前進され得る。長尺状シャフト210の遠位端216に配置された、および/または近接した医療装置230は、ルーメン292の近位端内に挿入され、マイクロカテーテル290内に配置され、マイクロカテーテル290の中を通っておよび/またはマイクロカテーテル290とともに治療部位に前進され得る。いくつかの実施形態では、医療装置230は、マイクロカテーテル290の遠位端に近接するマイクロカテーテル290のルーメン292内に配置され得る。いくつかの実施形態では、医療装置230は、使用前および/またはマイクロカテーテル290を患者の生体組織に挿入する前に、マイクロカテーテル290の遠位端に近接するマイクロカテーテル290のルーメン292内に配置され得る。医療装置230の配備および/または放出は、医療装置のタイプおよび/または所望の治療工程もしくは方法に応じて選択的に実行され得る。医療装置230を配備する準備ができると、長尺状シャフト210は、医療装置230がマイクロカテーテル290の遠位にて露出および/または配置されるまで、マイクロカテーテル290に対して遠位方向に前進および/または並進され得る。あるいは、マイクロカテーテル290は、医療装置230がマイクロカテーテル290の遠位にて露出および/または配置されるまで、長尺状シャフト210に対して引き抜かれ得る。明確にするために、マイクロカテーテル290は、近位方向に後退された構成で示されている。しかし、身体を通ってナビゲートされている間、マイクロカテーテルは医療装置230上に配置され得ることを理解されたい。
【0070】
放出機構270は、医療装置230を長尺状シャフト210の遠位端216に放出可能に取り付け得る。いくつかの実施形態では、長尺状シャフト210は、長尺状シャフト210の遠位端216に固着された放出機構270の第1の部分272を含み、医療装置230は、医療装置230の近位端に固着された放出機構270の第2の部分274を含む。遠位放出ワイヤ222の遠位端240は、図10に見られるように、インターロック位置にある放出機構270の第1の部分272および放出機構270の第2の部分274とスライド可能に係合し得る。図4に見られるように、近位放出ワイヤ220および遠位放出ワイヤ222が送達形態にあるとき、遠位放出ワイヤ222は、放出機構270の第1の部分272を放出機構270の第2の部分274とインターロックする。
【0071】
送達システム200が治療位置まで遠位方向に前進されると、長尺状シャフト210が伸び始め得る。いくつかの例では、近位放出ワイヤ220を長尺状シャフト210に結合して、送達中の長尺状シャフト210に対する近位放出ワイヤ220の長手方向移動を防止し得る。これにより、近位放出ワイヤ220を長尺状シャフト210とともに伸ばさせ得る。明示的に示されていないが、近位放出ワイヤ220が近位方向に移動されると、遠位放出ワイヤ222は長手方向に固定されたままであるため、したがってスリップジョイントクリアランス250の距離を減少させる。
【0072】
医療装置230の取り外しが望まれる場合、使用者は、長尺状シャフト210と近位放出ワイヤ220とを切り離して(そのように取り付けられている場合)、近位放出ワイヤ220の近位後退を可能にし得る。近位放出ワイヤ220の近位端(明示的に示されず)は、スリップジョイント260のクリアランスの長さ250が使い果たされるまで、第1の距離にわたって近位方向に作動され得る。クリアランス250の長さは、長尺状シャフト210の伸びの程度、および/またはコイル状近位端238に対するコイル状遠位端226の元の構成に応じてさまざまであり得ることが企図される。近位放出ワイヤ220の最近位巻線228aが、遠位放出ワイヤ222の最遠位巻線242cと係合すると、第2の距離(例えば、クリアランスの所定距離を超えるか、または第1の距離よりも大きい)にわたる近位放出ワイヤ220のさらなる近位移動が、近位放出ワイヤ220とともに遠位放出ワイヤ222の近位方向への作動をもたらす。いくつかの場合では、遠位放出ワイヤ222のコイル状近位端238は、長尺状シャフト210の内壁との締まり嵌め(または別様に摩擦係合)とし得る。これは、力が使用者によって近位放出ワイヤ220に意図的に加えられるまで、遠位放出ワイヤ222を固定し得る。そのような配置は、遠位放出ワイヤ222の受動的移動を減らすのに役立つ。
【0073】
放出機構270は、遠位放出ワイヤ222が放出機構270の長さ以上の長さだけ近位方向に作動されるまで、インターロック形態のままであり得ることが企図される。例えば、放出機構270の長さ未満の長さだけの遠位放出ワイヤ222の近位作動は、医療装置230を放出するのに十分ではない場合がある。少なくともいくつかの実施形態では、遠位放出ワイヤ222は、長尺状シャフト210内を貫通して延びるルーメン212、放出機構270の第1の部分272内を貫通して延びる第1の軸方向ルーメン、および放出機構270の第2の部分274内を貫通して延びる第2の軸方向ルーメンの内部に摺動可能に配置され得る。医療装置230の放出は、インターロック形態と完全放出形態との間で遠位放出ワイヤ222の任意の軸方向位置において逆転され得ることが企図される。第1の部分272の第1の軸方向ルーメンおよび第2の部分274の第2の軸方向ルーメンは、医療装置230が長尺状シャフト210の遠位端216に放出可能に取り付けられたときに、中心長手方向軸および/または遠位放出ワイヤ222と同軸であり得る。放出機構270、第1の部分272、および第2の部分274についてのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料などを以下に説明する。
【0074】
長尺状シャフト210は、医療装置230がマイクロカテーテル290の遠位端に配置されたときに、長尺状シャフト210の近位端および/または近位放出ワイヤ220がマイクロカテーテル290の近位側に留まる(例えば、それから近位に延びる)ように十分な長さを有し得る。使用中、長尺状シャフト210は、治療部位から、医療装置システム200が操作者(例えば、臨床医、医師、ユーザなど)によって操作され得る患者の体外の位置に到達するのに十分な長さを有し得る。医療装置システム200を治療部位に挿入した後、医療装置システム200のオペレータは、近位放出ワイヤ220および/または遠位放出ワイヤ222を操作して医療装置230を放出するために、第1の手を長尺状シャフト210の近位端に、第2の手を近位放出ワイヤ220の近位端に置くことができる。
【0075】
明示的に示されていないが、医療装置システム200は、医療装置230をマイクロカテーテル290に装填するように構成されたイントロデューサを含み得る。イントロデューサは、近位端から遠位端まで延びるルーメンを有する管状部材であり得る。イントロデューサは、医療装置230を縮小された直径に、および/またはマイクロカテーテル290に装填するための送達形態で保持し得る。医療装置230をマイクロカテーテル290に装填した後、イントロデューサは、長尺状シャフト210上でそれに対して近位方向に引き抜かれ、医療装置システム200から除去される。
【0076】
使用中、医療装置230を治療部位(例えば、静脈、動脈など)に送達する方法は、マイクロカテーテル290を患者の生体組織に挿入すること、および、マイクロカテーテル290の遠位端を治療部位に隣接する場所に案内することを含み得る。方法は、長尺状シャフト210の遠位端216に配置されたおよび/またはそれに近接する医療装置230を、マイクロカテーテル290内に配置されたルーメン292の近位端に挿入することを含み得る。いくつかの実施形態では、医療装置230は、マイクロカテーテル290が患者の生体組織に挿入された後にマイクロカテーテル290のルーメン292内に挿入され得る。方法は、マイクロカテーテル290を通して治療部位に医療装置230を前進させることを含み得る。医療装置230は、長尺状シャフト210内のルーメン112の中を通って延びるプルワイヤ(例えば、近位放出ワイヤ220および/または遠位放出ワイヤ222など)によって、長尺状シャフト210の遠位端216に放出可能に取り付けられ得る。近位放出ワイヤ220は、長尺状シャフト210から近位方向に延び得、近位放出ワイヤ220は、長尺状シャフト210に放出可能に結合され得る。あるいは、いくつかの実施形態では、医療装置230は、マイクロカテーテル290のルーメン292の近位端内に挿入され、マイクロカテーテル290が患者の生体組織に挿入される前に、マイクロカテーテル290を通ってマイクロカテーテル290の遠位端まで前進され得る。
【0077】
本明細書で論じられるように、放出機構270の第1の部分272は、長尺状シャフト210の遠位端216に取り付けられ、放出機構270の第2の部分274は、医療装置230の近位端に固着される。近位放出ワイヤ220および/または遠位放出ワイヤ222は、長尺状シャフト210のルーメン112、放出機構270の第1の部分272の第1の軸方向ルーメン、および放出機構270の第2の部分274の第2の軸方向ルーメン内に摺動可能に配置される。
【0078】
方法は、近位放出ワイヤ220と長尺状シャフト210との間の保持機構をロック解除して、近位放出ワイヤ220を長尺状シャフト210から切り離すことを含み得る。方法はさらに、長尺状シャフト210の近位端から離れて近位に近位放出ワイヤ220を並進させることを含み得、一方、長尺状シャフト210は治療部位に対して固定位置に維持されて、近位放出ワイヤ220および/または遠位放出ワイヤ222を長尺状シャフト210および/または放出機構270に対して並進させ、遠位放出ワイヤ222をインターロック位置から放出位置にシフトさせ、それにより、医療装置230を長尺状シャフト210から放出する。
【0079】
方法は、治療部位からの長尺状シャフト210および/またはマイクロカテーテル290の近位方向に引き抜くことも含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、長尺状シャフト210は、マイクロカテーテル290のルーメン292の中を通って近位方向に引き抜かれて除去され得、そして、マイクロカテーテル290は、患者の生体組織から引き抜かれ、および/または除去され得る。いくつかの実施形態では、長尺状シャフト210は、長尺状シャフト210の遠位端216および/または放出機構270の第1の部分272がマイクロカテーテル290の遠位端および/またはルーメン292内に配置されるのに十分なほど近位方向に引き抜かれ得る。そして、長尺状シャフト210およびマイクロカテーテル290は、患者の生体組織から一緒に引き抜かれ得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、長尺状シャフト210は、マイクロカテーテル290のルーメン292を通して除去され得、マイクロカテーテル290は、患者の生体組織内の所定位置に残され、および/または保持され得る。そして、必要に応じて、第2の長尺状シャフトおよび関連する第2の医療装置を、マイクロカテーテル290のルーメン292の近位端内に挿入し、配備するために治療部位に前進させ得る。本明細書に記載の装置、ならびに記載の方法の工程の追加の繰り返しは、特定の手術のために必要に応じて、または所望のように使用され得る。
【0081】
医療装置システム100、200、長尺状シャフト110、210、放出ワイヤ120、122、220、222、医療装置130、放出機構170、イントロデューサ、および/またはマイクロカテーテル190、290など(および/または本明細書に開示される他のシステム)のさまざまな構成要素、ならびに本明細書に開示されるそのさまざまな要素に使用することができる材料は、医療装置に一般的に関連するものを含み得る。簡潔性のために、以下の説明は、医療装置システム100、200、長尺状シャフト110、210、放出ワイヤ120、122、220、222、医療装置130、放出機構170、イントロデューサ、および/またはマイクロカテーテル190、290などへの参照を行う。しかし、議論が、本明細書に開示される他の要素、部材、構成要素、または装置、例えば限定されないが、医療装置システム100、200、長尺状シャフト110、210、放出ワイヤ120、122、220、222、医療装置130、放出機構170、イントロデューサ、および/またはマイクロカテーテル190、290など、および/またはその要素もしくは構成要素などに適用され得る場合、これは、本明細書に記載の装置および方法を限定することを意図するものではない。
【0082】
いくつかの実施形態では、医療装置システム100、200、長尺状シャフト110、210、放出ワイヤ120、122、220、222、医療装置130、放出機構170、イントロデューサ、および/またはマイクロカテーテル190、290など、および/またはその構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例は以下に開示される)、金属-ポリマー複合材料、セラミック、それらの組み合わせなど、または他の適切な材料から作製され得る。適切な金属および金属合金のいくつかの例には、444V、444L、および314LVステンレス鋼などのステンレス鋼;軟鋼;線形弾性および/または超弾性ニチノールなどのニッケル-チタン合金;ニッケル-クロム-モリブデン合金などの他のニッケル合金(例えば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)などのUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)、他のHASTELLOY(登録商標)合金などのUNS:N10276)、ニッケル-銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのUNS:R44035)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)などのUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステンまたはタングステン合金など;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R44003);プラチナ強化ステンレス鋼;チタン;白金;パラジウム;金;それらの組み合わせ;および同様のもの;または任意の他の適切な材料が含まれる。
【0083】
本明細書で暗に言及されているように、市販のニッケルチタンまたはニチノール合金のファミリーの中には、「線形弾性」または「非超弾性」と呼ばれるカテゴリーがあり、これは、化学的には従来の形状記憶および超弾性品種と同様であり得るが、明確で有用な機械的特性を示し得る。線形弾性および/または非超弾性ニチノールは、線形弾性および/または非超弾性ニチノールがその応力/ひずみ曲線において超弾性ニチノールが示すような実質的「超弾性プラトー」または「フラグ領域」を示さないという点で、超弾性ニチノールと区別され得る。代わりに、線形弾性および/または非超弾性ニチノールでは、回復可能ひずみが増加するにつれて、応力は実質的に線形にまたはいくらか増加し続けるが、塑性変形が始まるまで必ずしも完全に線形の関係である必要はなく、または少なくとも、超弾性ニチノールで見られ得る超弾性プラトーおよび/またはフラグ領域よりもより線形である関係である。したがって、この開示の目的のために、線形弾性および/または非超弾性ニチノールは、「実質的に」線形弾性および/または非超弾性ニチノールとも呼ばれ得る。
【0084】
いくつかの場合では、線形弾性および/または非超弾性ニチノールは、線形弾性および/または非超弾性ニチノールが実質的に弾性を維持(例えば、塑性変形する前に)しながら最大約2~5%のひずみを受け入れ得るという点で、超弾性ニチノールと区別可能であり得る一方、超弾性ニチノールは、塑性変形する前に最大約8%のひずみを受け入れ得る。これらの材料は両方とも、(その組成に基づいて区別することができる)ステンレス鋼などの他の線形弾性材料と区別することができ、これは、塑性変形する前に約0.2~0.44パーセントのひずみのみを受け入れ得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、線状弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、広い温度範囲での示差走査熱量測定(DSC)および動的金属熱分析(DMTA)分析によって検出可能ないかなるマルテンサイト/オーステナイト相変化も示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態では、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金において、摂氏約-60度(℃)から約120℃の範囲で、DSCおよびDMTA分析によって検出可能ないかなるマルテンサイト/オーステナイト相変化もあり得ない。そのような材料の機械的曲げ特性はしたがって、この非常に広い温度範囲にわたる温度の影響に対して概して不活性であり得る。いくつかの実施形態では、周囲温度または室温での線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金の機械的曲げ特性は、例えば、それらが超弾性プラトーおよび/またはフラグ領域を示さないという点で、体温での機械的特性と実質的に同じである。例えば、広い温度範囲にわたって、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、その線形弾性および/または非超弾性特性および/または属性を維持する。
【0086】
いくつかの実施形態では、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、約50から約60重量パーセントのニッケルの範囲にあり得、残りはほぼチタンである。いくつかの実施形態では、組成は、約54から約57重量パーセントのニッケルの範囲である。適切なニッケル-チタン合金の一例は、日本の神奈川の株式会社古河テクノマテリアルから市販されているFHP-NT合金である。他の適切な材料には、ULTANIUM(商標)(Neo-Metricsから入手可能)およびGUM METAL(商標)(トヨタから入手可能)が含まれ得る。いくつかの他の実施形態では、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを使用して、所望の属性を達成することができる。
【0087】
少なくともいくつかの実施形態では、医療装置システム100、200、長尺状シャフト110、210、放出ワイヤ120、122、220、222、医療装置130、230、放出機構170、270、イントロデューサ、および/またはマイクロカテーテル190、290など、および/またはその構成要素の一部または全部も、放射線不透過性材料でドープされ、それから作製され、または別様にそれを含み得る。放射線不透過性材料は、医療処置中に蛍光透視スクリーンまたは別の画像化技術で比較的明るい画像を生成することができる材料であると理解されている。この比較的明るい画像は、医療装置システム100、200、長尺状シャフト110、210、放出ワイヤ120、122、220、222、医療装置130、230、放出機構170、270、イントロデューサ、および/またはマイクロカテーテル190、290などの位置を決定する際に使用者を支援する。放射線不透過性材料のいくつかの例には、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性フィラーが充填されたポリマー材料などが含まれるが、これらに限定されない。さらに、他の放射線不透過性マーカーバンドおよび/またはコイルもまた、医療装置システム100、200、長尺状シャフト110、210、放出ワイヤ120、122、220、222、医療装置130、230、放出機構170、270、イントロデューサ、および/またはマイクロカテーテル190、290などの設計に組み込まれ得、同じ結果を達成する。
【0088】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)適合性が、医療装置システム100、200、長尺状シャフト110、210、放出ワイヤ120、122、220、222、医療装置130、230、放出機構170、270、イントロデューサ、および/またはマイクロカテーテル190、290などに付与される。例えば、医療装置システム100、200、長尺状シャフト110、210、放出ワイヤ120、122、220、222、医療装置130、230、放出機構170、270、イントロデューサ、および/またはマイクロカテーテル190、290など、および/またはその構成要素もしくは部分は、画像を実質的に歪ませずに実質的アーティファクト(例えば、画像のギャップ)を作成しない材料で作製され得る。特定の強磁性材料は例えば、それらがMRI画像にアーティファクトを作成し得るため、適切でない場合がある。医療装置システム100、200、長尺状シャフト110、210、放出ワイヤ120、122、220、222、医療装置130、230、放出機構170、270、イントロデューサ、および/またはマイクロカテーテル190、290など、またはその一部も、MRI装置が画像化することができる材料から作製され得る。これらの特性を示すいくつかの材料には例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R44003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのUNS:R44035)、ニチノール、および同様のもの、および他のものが含まれる。
【0089】
いくつかの実施形態では、医療装置システム100、200、長尺状シャフト110、210、放出ワイヤ120、122、220、222、医療装置130、230、放出機構170、270、イントロデューサ、および/またはマイクロカテーテル190、290など、および/またはその一部は、ポリマーまたは他の適切な材料から作製され得るか、またはそれらを含み得る。適切なポリマーのいくつかの例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン社から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチックス社(DSM Engineering Plastics)から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステル系コポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレートおよび/またはデュポン社(DuPont)から入手可能なHYTREL(登録商標)などの他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、バイエル社(Bayer)から入手可能なDURETHAN(登録商標)またはエルフアトケム社(Elf Atochem)から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えばPEBAX(登録商標)の商品名で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex(登録商標)高密度ポリエチレン、Marlex(登録商標)低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレン硫化物(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMS American Grilon社から入手可能なGRILAMID(登録商標)など)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBSおよび/またはSIBS 50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、または混合物、組み合わせ、それらのコポリマー、ポリマー/金属複合体などが含まれ得る。いくつかの実施形態では、シースは、液晶ポリマー(LCP)とブレンドすることができる。例えば、混合物には最大約6パーセントのLCPを含めることができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医療装置システム100、200、長尺状シャフト110、210、放出ワイヤ120、122、220、222、医療装置130、230、放出機構170、270、イントロデューサ、および/またはマイクロカテーテル190、290などは、構造上または構造内に配置された布材料を含み得る。布材料は、組織の内部成長を促進するように適合された、高分子材料または生体材料などの生体適合性材料から構成され得る。いくつかの実施形態では、布材料は、生体吸収性材料を含み得る。適切な布材料のいくつかの例には、ポリエチレングリコール(PEG)、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、ePTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタンなどのポリオレフィン材料、および/またはそのブレンドまたは組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
いくつかの実施形態では、医療装置システム100、200、長尺状シャフト110、210、放出ワイヤ120、122、220、222、医療装置130、230、放出機構170、270、イントロデューサ、および/またはマイクロカテーテル190、290などは、繊維材料を含み得、および/または繊維材料から形成され得る。適切な繊維材料のいくつかの例には、平坦、成形、ねじれ化、織り目加工、事前収縮化または非収縮化され得る合成ヤーンが含まれ得る。本発明での使用に適した合成生体適合性ヤーンには、限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエステルを含むポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリメチルアセテート、ポリアミド、ナフタレンジカルボキシレン誘導体、天然シルク、およびポリテトラフルオロエチレンが含まれる。さらに、合成ヤーンの少なくとも1つは、金属ヤーンまたはガラスもしくはセラミックヤーンまたは繊維であり得る。有用な金属ヤーンには、ステンレス鋼、白金、金、チタン、タンタル、またはNi-Co-Cr系合金から作製された、またはそれらを含むヤーンが含まれる。ヤーンは、炭素、ガラスまたはセラミック繊維をさらに含み得る。望ましくは、ヤーンは、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリナフタレン、ポリテトラフルオロエチレンなどを含むがこれらに限定されない熱可塑性材料から作製される。ヤーンは、マルチフィラメント、モノフィラメント、またはスパンタイプのものであり得る。選択されたヤーンのタイプおよびデニールは、生体適合性で移植可能なプロテーゼ、より具体的には、望ましい特性を有する血管構造を形成する方法で選択され得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、医療装置システム100、200、長尺状シャフト110、210、放出ワイヤ120、122、220、222、医療装置130、230、放出機構170、270、イントロデューサ、および/またはマイクロカテーテル190、290などは、適切な治療薬を含み得、および/または適切な治療薬で処置され得る。適切な治療薬のいくつかの例には、抗血栓形成剤(ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、およびPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)など);抗増殖剤(エノキサパリン、アンギオペプチン、平滑筋細胞増殖を阻止することができるモノクローナル抗体、ヒルジン、アセチルサリチル酸など);抗炎症剤(デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、およびメサラミンなど);抗腫瘍剤/抗増殖剤/抗有糸分裂剤(パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン、およびチミジンキナーゼ阻害剤など);麻酔薬(リドカイン、ブピバカイン、およびロピバカインなど);抗凝固剤(D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗薬、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、およびダニ抗血小板ペプチドなど);血管細胞増殖促進剤(成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗薬、転写活性化因子、および翻訳促進剤など);血管細胞増殖阻害剤(成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗薬、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対して向けられた抗体、成長因子および細胞毒素からなる二機能性分子、抗体および細胞毒素からなる二機能性分子など);コレステロール低下剤;血管拡張剤;および内因性血管作用機構を妨害する薬剤が含まれ得る。
【0093】
この開示は、多くの点で、例示にすぎないことを理解されたい。本発明の範囲を超えることなく、特に形状、サイズ、および工程の配置に関して、詳細において変更を加え得る。これには、それが適切である範囲で、他の実施形態で使用される1つの例示的実施形態の特徴のいずれかの使用が含まれ得る。本発明の範囲はもちろん、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
図1
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【国際調査報告】