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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20221118BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20221118BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
A61M5/315 500
A61M5/20 572
A61M5/315 510
A61M5/31 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519219
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 US2020070591
(87)【国際公開番号】W WO2021067990
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/908,504
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィンケルシュタイン,エーミール
(72)【発明者】
【氏名】スカル,ソレン・フォルベッヒ
(72)【発明者】
【氏名】アイラーツェン,ラーシュ
(72)【発明者】
【氏名】オーレンシュレーガー,ラスムス
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C066EE14
4C066FF06
4C066GG19
4C066HH13
4C066HH17
4C066HH22
4C066NN08
4C066QQ48
4C066QQ79
(57)【要約】
薬物送達デバイスは、開口部を有するハウジングと、少なくとも部分的に開口部を通って延びるように構成された挿入端を有する送達部材を含む薬物貯蔵容器とを含んでもよい。付勢部材は、初期的には付勢状態に保持されてもよく、解放されてプランジャを駆動し、薬物を薬物貯蔵容器から放出させてもよい。プランジャは、付勢部材により加えられる付勢力の下で、初期回転位置から第2の回転位置に選択的に回転し、初期回転位置から第2の回転位置に回転した後、遠位方向に直線的に並進移動して、ストッパを薬物貯蔵容器を通して駆動する、ように構成されてもよい。解放部材は、解放部材が付勢部材を付勢状態に保持する初期位置と、解放部材が可聴の投薬終了信号を生成する第2の位置とを有してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに対して固定され、内面及び前記内面に沿って摺動可能なストッパを含む、薬物貯蔵容器と、
付勢部材と、
前記付勢部材に動作可能に結合されたプランジャであって、
前記付勢部材により加えられる付勢力の下で、初期回転位置から第2の回転位置に選択的に回転し、
前記初期回転位置から前記第2の回転位置に回転した後、遠位方向に直線的に並進移動して、前記ストッパを前記薬物貯蔵容器を通して駆動するように構成されている、プランジャと、を備える薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記プランジャ内に少なくとも部分的に配置された付勢部材を備える、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
前記付勢部材は圧縮ばねを備える、請求項2に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
前記プランジャは、前記初期回転位置から前記第2の回転位置に向かって回転しながら、前記遠位方向に直線的に並進移動するように構成されている、請求項2又は3に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
前記プランジャは、前記初期回転位置から前記第2の回転位置に回転した後、前記ハウジングに対する回転が固定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項6】
前記ハウジングに対して固定されたプランジャガイドを備え、前記プランジャが前記プランジャガイド内に少なくとも部分的に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項7】
前記プランジャ及び前記プランジャガイドの一方がカムを備え、前記プランジャ及び前記プランジャガイドの他方がカムフォロアを備える、請求項6に記載の薬物送達デバイス。
【請求項8】
前記付勢部材の前記付勢力が、前記カムフォロアを前記カムに押し付けて、前記プランジャを前記初期回転位置から前記第2の回転位置に向かって回転させる、請求項7に記載の薬物送達デバイス。
【請求項9】
前記プランジャは前記カムフォロアを含み、前記プランジャガイドは前記カムを含み、前記カムフォロアは、前記プランジャから外向きに延びる少なくとも1つの突起により形成される、請求項8に記載の薬物送達デバイス。
【請求項10】
前記プランジャガイドは環状壁を備え、前記カムは前記環状壁の近位に面する表面により形成される、請求項9に記載の薬物送達デバイス。
【請求項11】
前記環状壁における前記近位に面する表面の遠位に開口部が形成され、前記プランジャが前記初期回転位置から前記第2の回転位置に回転した後、前記開口部は前記突起を滑らせて収容する、請求項10に記載の薬物送達デバイス。
【請求項12】
前記プランジャに動作可能に結合され前記ハウジングに対して選択的に回転するように構成された解放部材であって、前記プランジャ及び前記プランジャガイドの各々が少なくとも部分的に前記解放部材内に配置されている、解放部材と、
前記ハウジングにおける開口部に隣接して移動可能に配置され前記解放部材に動作可能に結合されているガードと、を備える、請求項6~11のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項13】
前記ガードは、前記ガードが少なくとも部分的に前記ハウジングにおける前記開口部を通って延びる伸長位置と、前記ガードが前記伸長位置から離れて前記ハウジングに向かって配置される後退位置とを有する、請求項12に記載の薬物送達デバイス。
【請求項14】
前記解放部材は、前記ガードが前記伸長位置にあるとき、少なくとも1つの回転方向に回転することが防止され、前記解放部材は、前記ガードが前記後退位置にあるとき、前記少なくとも1つの回転方向に回転することが可能である、請求項13に記載の薬物送達デバイス。
【請求項15】
前記ガードを前記伸長位置から前記後退位置に移動させることにより、前記解放部材及び前記プランジャが、前記付勢部材により加えられた前記付勢力の下で、前記初期回転位置から前記第2の回転位置に向かって一緒に回転することが可能になる、請求項13又は14に記載の薬物送達デバイス。
【請求項16】
薬物送達の終了を示す可聴信号を生成するように構成されたインジケータを備え、前記インジケータは、前記プランジャと一緒に前記初期回転位置から前記第2の回転位置まで回転するように構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項17】
前記インジケータは、前記初期回転位置から前記第2の回転位置に向かって回転しながら、近位方向に直線的に並進移動するように構成されている、請求項16に記載の薬物送達デバイス。
【請求項18】
前記インジケータは、前記プランジャとは独立に、前記第2の回転位置から第3の回転位置に回転するように構成されている、請求項17に記載の薬物送達デバイス。
【請求項19】
前記インジケータは、前記第2の回転位置から前記第3の回転位置に向かって回転しながら、前記近位方向に直線的に並進移動するように構成されている、請求項18に記載の薬物送達デバイス。
【請求項20】
前記インジケータは、前記第3の回転位置に到達した時点で、前記ハウジング又は前記ハウジングに対して固定された構造体に接触して前記可聴信号を生成する、請求項18又は19に記載の薬物送達デバイス。
【請求項21】
前記インジケータは、前記ハウジングの遠位に面する表面、又は前記ハウジングに対して前記第3の回転位置で固定された前記構造体に接触して前記可聴信号を生成する、請求項20に記載の薬物送達デバイス。
【請求項22】
前記ハウジングは開口部を備え、前記薬物貯蔵容器は、少なくとも部分的に前記開口部を通って延びるように構成された挿入端を有する送達部材を備える、請求項1~21のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項23】
前記ガードは、前記開口部に隣接して移動可能に配置されている、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項24】
前記ガードは、前記ガードが少なくとも部分的に前記ハウジングにおける前記開口部を通って延びる伸長位置と、前記ガードが前記伸長位置から離れて前記ハウジングの方に配置される後退位置とを有する、請求項23に記載の薬物送達デバイス。
【請求項25】
前記ガードを前記伸長位置に向けて付勢するように構成されたガード付勢部材を備える、請求項24に記載の薬物送達デバイス。
【請求項26】
前記ガード付勢部材に動作可能に結合され、薬物送達の終了を示す可聴信号を生成するように構成された、インジケータを備える、請求項25に記載の薬物送達デバイス。
【請求項27】
第2のカム及び第2のカムフォロアを備え、前記インジケータが第2のカムフォロアを備える、請求項26に記載の薬物送達デバイス。
【請求項28】
前記ガード付勢部材の付勢力が、前記第2のカムフォロアを前記第2のカムに押し付けて、前記インジケータを前記ハウジングに対して回転させる、請求項27に記載の薬物送達デバイス。
【請求項29】
前記インジケータは、前記初期回転位置から前記第2の回転位置まで、前記プランジャと一緒に回転し、前記第2の回転位置から前記第3の回転位置まで、前記プランジャとは独立して回転するように構成されている、請求項28に記載の薬物送達デバイス。
【請求項30】
前記インジケータは、前記第3の回転位置に到達した時点で、前記ハウジング又は前記ハウジングに対して固定された構造体に接触して前記可聴信号を生成する、請求項29に記載の薬物送達デバイス。
【請求項31】
開口部を有するハウジングと、
少なくとも部分的に前記開口部を通って延びるように構成された挿入端を有する送達部材を含む薬物貯蔵容器と、
前記開口部に隣接して移動可能に配置されたガードと、
薬物を前記薬物貯蔵容器から前記送達部材を通して放出するために、遠位方向に移動可能なプランジャと、
プランジャ付勢部材と、
前記ガード及び前記プランジャに動作可能に結合された解放部材であって、前記プランジャ付勢部材により加えられる付勢力の下で、初期回転位置から第2の回転位置まで回転するように構成されている、解放部材と、を備える薬物送達デバイス。
【請求項32】
前記ガードは、前記ガードが少なくとも部分的に前記ハウジングにおける前記開口部を通って延びる伸長位置と、前記ガードが前記伸長位置から離れて前記ハウジングの方に配置される後退位置とを有する、請求項31に記載の薬物送達デバイス。
【請求項33】
前記解放部材は、前記ガードが前記伸長位置にあるとき、前記初期回転位置から前記第2の回転位置に向かって回転することが防止され、前記解放部材は、前記ガードが前記後退位置にあるとき、前記初期回転位置から前記第2の回転位置に向かって回転することが可能である、請求項32に記載の薬物送達デバイス。
【請求項34】
前記ガードを前記伸長位置から前記後退位置に移動させることにより、前記解放部材及び前記プランジャが、前記プランジャ付勢部材により加えられた前記付勢力の下で、前記初期回転位置から前記第2の回転位置まで一緒に回転することが可能になる、請求項32又は33に記載の薬物送達デバイス。
【請求項35】
ガード延長部を備え、前記解放部材は、少なくとも部分的に前記ガード延長部内に配置されている、請求項32~34のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項36】
前記解放部材から外向きに延びる第1の突起と、前記ガード延長部から内向きに延びる第2の突起とを備え、前記第1の突起及び前記第2の突起は互いに係合して前記解放部材を前記初期回転位置に保持する、請求項35に記載の薬物送達デバイス。
【請求項37】
前記ガードが前記後退位置にあるとき、前記第2の突起が摺動して前記第1の突起との係合から外れて、前記解放部材が前記初期回転位置から前記第2の回転位置に向かって回転することが可能になる、請求項36に記載の薬物送達デバイス。
【請求項38】
前記ガード延長部は前記ガードとは別個であり、前記ガードが前記伸長位置から前記後退位置に移動するときに前記ガードが前記ガード延長部に作用する、請求項35~37のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項39】
前記解放部材は、前記初期回転位置から前記第2の回転位置に向かって回転しながら、近位方向に直線的に並進移動するように構成されている、請求項31~38のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項40】
前記解放部材は、前記第2の回転位置から第3の回転位置まで選択的に回転するように構成されている、請求項31~39のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項41】
前記解放部材及び前記プランジャは、前記初期回転位置から前記第2の回転位置に向かって一緒に回転し、前記解放部材は、前記第2の回転位置から前記第3の回転位置に向かって、前記プランジャとは独立して回転する、請求項40に記載の薬物送達デバイス。
【請求項42】
前記解放部材は、前記第2の回転位置から前記第3の回転位置に向かって回転しながら、前記近位方向に直線的に並進移動するように構成されている、請求項40又は41に記載の薬物送達デバイス。
【請求項43】
前記解放部材は、前記第3の回転位置に到達した時点で、前記ハウジング又は前記ハウジングに対して固定された構造体に接触して可聴信号を生成する、請求項40~42のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項44】
前記プランジャから外向きに延び前記解放部材に形成された凹部内に収容される、第3の突起を備える、請求項31~43のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項45】
前記第3の突起は、前記解放部材が前記初期回転位置にあるとき、前記凹部を通って摺動することが防止され、前記第3の突起は、前記解放部材が前記第2の回転位置にあるとき、前記凹部を通って前記遠位方向に摺動することが可能である、請求項44に記載の薬物送達デバイス。
【請求項46】
前記ハウジングに対して固定されたプランジャガイドを備え、前記プランジャは、前記プランジャガイド内に少なくとも部分的に配置されている、請求項31~45のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項47】
前記プランジャ及び前記プランジャガイドの一方がカムを備え、前記プランジャ及び前記プランジャガイドの他方がカムフォロアを備える、請求項46に記載の薬物送達デバイス。
【請求項48】
前記プランジャ付勢部材の前記付勢力が、前記カムフォロアを前記カムに押し付けて、前記プランジャを前記初期回転位置から前記第2の回転位置に向かって回転させる、請求項47に記載の薬物送達デバイス。
【請求項49】
前記プランジャは前記カムフォロアを含み、前記プランジャガイドは前記カムを含み、前記カムフォロアは、前記プランジャから外向きに延びる少なくとも1つの突起により形成される、請求項48に記載の薬物送達デバイス。
【請求項50】
前記プランジャガイドは環状壁を備え、前記カムは前記環状壁の近位に面する表面により形成される、請求項49に記載の薬物送達デバイス。
【請求項51】
前記環状壁における前記近位に面する表面の遠位に開口部が形成され、前記プランジャが前記初期回転位置から前記第2の回転位置に回転した後、前記開口部は前記突起を滑らせて収容する、請求項50に記載の薬物送達デバイス。
【請求項52】
前記プランジャ付勢部材は、少なくとも部分的に前記プランジャ内に配置されている、請求項31~51のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項53】
前記プランジャ付勢部材は圧縮ばねを備える、請求項52に記載の薬物送達デバイス。
【請求項54】
開口部を有するハウジングと、
少なくとも部分的に前記開口部を通って延びるように構成された挿入端を有する送達部材を含む薬物貯蔵容器と、
プランジャと、
初期的に付勢状態に保持されたプランジャ付勢部材であって、前記プランジャ付勢部材を解放することにより、前記プランジャが遠位方向に駆動されて、薬物が前記薬物貯蔵容器から前記送達部材を通して放出される、プランジャ付勢部材と、
インジケータであって、前記インジケータが前記プランジャ付勢部材を前記付勢状態に保持する初期位置と、前記インジケータが薬物送達の終了を示す可聴信号を生成する第2の位置と、を有するインジケータと、を備える薬物送達デバイス。
【請求項55】
前記第2の位置が前記初期位置の近位にある、請求項54に記載の薬物送達デバイス。
【請求項56】
前記インジケータは、前記第2の位置に到達した時点で、前記ハウジング又は前記ハウジングに対して固定された構造体に接触して前記可聴信号を生成する、請求項54又は55に記載の薬物送達デバイス。
【請求項57】
前記インジケータを近位方向に付勢するように構成されたインジケータ付勢部材を備える、請求項54~56のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項58】
カム及びカムフォロアを備え、前記インジケータは前記カムフォロアを備える、請求項57に記載の薬物送達デバイス。
【請求項59】
前記インジケータ付勢部材の付勢力が、前記カムフォロアを前記カムに押し付けて、前記インジケータを前記ハウジングに対して回転させる、請求項58に記載の薬物送達デバイス。
【請求項60】
前記インジケータは、前記初期位置から前記第2の位置に移動するとき、前記ハウジングに対して回転し、前記近位方向に直線的に並進移動する、請求項59に記載の薬物送達デバイス。
【請求項61】
前記インジケータは、少なくとも前記プランジャ付勢部材の付勢力の下で、前記初期位置から中間位置まで回転するように構成されている、請求項58~60のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項62】
前記プランジャは、前記インジケータが前記初期位置にあるとき、前記遠位方向に移動することが防止され、前記プランジャは、前記インジケータが前記中間位置にあるとき、前記遠位方向に移動することが可能である、請求項61に記載の薬物送達デバイス。
【請求項63】
前記プランジャは、前記インジケータと一緒に、前記初期位置から前記中間位置まで回転する、請求項61又は62に記載の薬物送達デバイス。
【請求項64】
前記インジケータは、少なくとも前記インジケータ付勢部材の付勢力の下で、前記中間位置から前記第2の位置まで回転するように構成されている、請求項61~63のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項65】
前記インジケータは、前記プランジャとは独立に、前記中間位置から前記第2の位置まで回転するように構成されている、請求項64に記載の薬物送達デバイス。
【請求項66】
前記インジケータは、前記中間位置から前記第2の位置に向かって回転しながら、前記近位方向に直線的に並進移動するように構成されている、請求項65に記載の薬物送達デバイス。
【請求項67】
前記開口部に隣接して移動可能に配置されたガードを備える、請求項54~66のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項68】
前記ガードは、前記ガードが少なくとも部分的に前記ハウジングにおける前記開口部を通って延びる伸長位置と、前記ガードが前記伸長位置から離れて前記ハウジングに向かって配置される後退位置とを有する、請求項67に記載の薬物送達デバイス。
【請求項69】
前記ガードを前記伸長位置から前記後退位置に移動させることにより、前記インジケータが少なくとも部分的に前記初期位置から前記第2の位置に向かって移動することが可能になる、請求項68に記載の薬物送達デバイス。
【請求項70】
ガード延長部を備え、前記インジケータは、少なくとも部分的に前記ガード延長部内に配置されている、請求項68又は69に記載の薬物送達デバイス。
【請求項71】
前記インジケータから外向きに延びる第1の突起と、前記ガード延長部から内向きに延びる第2の突起とを備え、前記第1の突起及び前記第2の突起は互いに係合して前記インジケータを前記初期位置に保持する、請求項70に記載の薬物送達デバイス。
【請求項72】
前記ガードが前記後退位置にあるとき、前記第2の突起が摺動して前記第1の突起との係合から外れて、前記インジケータが前記初期位置から前記第2の位置に向かって回転することが可能になる、請求項71に記載の薬物送達デバイス。
【請求項73】
前記ガードを前記遠位方向に付勢し前記インジケータを前記近位方向に付勢するように構成されたガード付勢部材を備える、請求項72に記載の薬物送達デバイス。
【請求項74】
開口部を有するハウジングと、
少なくとも部分的に前記開口部を通って延びるように構成された挿入端を有する送達部材を含む薬物貯蔵容器と、
軸方向チャンバを画定する内面を有するプランジャと、
前記プランジャの前記軸方向チャンバ内に少なくとも部分的に配置されたプランジャ付勢部材であって、前記プランジャ付勢部材は初期的には付勢状態に保持され、前記プランジャ付勢部材を解放することにより、前記プランジャが遠位方向に駆動されて、薬物が前記薬物貯蔵容器から前記送達部材を通して放出される、プランジャ付勢部材と、を備える薬物送達デバイス。
【請求項75】
前記プランジャの少なくとも一部分が中空の管状形状を有する、請求項74に記載の薬物送達デバイス。
【請求項76】
前記プランジャは近位端及び遠位端を有し、前記近位端は、少なくとも1つの半径方向外向きに延びるフランジを有する、請求項74又は75に記載の薬物送達デバイス。
【請求項77】
前記プランジャの前記遠位端は、前記プランジャ付勢部材のための座面を画定する内面を有する、請求項76に記載の薬物送達デバイス。
【請求項78】
前記プランジャは前記近位端と前記遠位端との間に中間部分を有し、少なくとも前記中間部分は金属で作製されている、請求項76又は77に記載の薬物送達デバイス。
【請求項79】
前記プランジャの前記遠位端は非金属材料で作製されている、請求項78に記載の薬物送達デバイス。
【請求項80】
前記プランジャは前記ハウジングに対して回転可能である、請求項74~79のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項81】
前記プランジャは、
前記プランジャ付勢部材により加えられる付勢力の下で、初期回転位置から第2の回転位置に選択的に回転し、
前記初期回転位置から前記第2の回転位置に回転した後、前記プランジャ付勢部材により加えられる前記付勢力の下で、前記遠位方向に直線的に並進移動して、前記薬物を前記薬物貯蔵容器から放出する、ように構成されている、請求項74~80のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項82】
前記プランジャは、前記初期回転位置から前記第2の回転位置に向かって回転しながら、前記遠位方向に直線的に並進移動するように構成されている、請求項81に記載の薬物送達デバイス。
【請求項83】
前記プランジャは、前記初期回転位置から前記第2の回転位置に回転した後、前記ハウジングに対する回転が固定される、請求項81又は82に記載の薬物送達デバイス。
【請求項84】
前記ハウジングに対して固定されたプランジャガイドを備え、前記プランジャは前記プランジャガイド内に少なくとも部分的に配置されている、請求項81~83のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項85】
前記プランジャ及び前記プランジャガイドの一方がカムを備え、前記プランジャ及び前記プランジャガイドの他方がカムフォロアを備える、請求項84に記載の薬物送達デバイス。
【請求項86】
前記プランジャ付勢部材の前記付勢力が、前記カムフォロアを前記カムに押し付けて、前記プランジャを前記初期回転位置から前記第2の回転位置に向かって回転させる、請求項85に記載の薬物送達デバイス。
【請求項87】
前記プランジャは前記カムフォロアを含み、前記プランジャガイドは前記カムを含み、前記カムフォロアは、前記プランジャから半径方向外向きに延びる少なくとも1つのフランジにより形成される、請求項86に記載の薬物送達デバイス。
【請求項88】
前記プランジャガイドは環状壁を備え、前記カムは前記環状壁の近位に面する表面により形成される、請求項87に記載の薬物送達デバイス。
【請求項89】
前記環状壁における前記近位に面する表面の遠位に開口部が形成され、前記プランジャが前記初期回転位置から前記第2の回転位置に回転した後、前記開口部は前記突起を滑らせて収容する、請求項88に記載の薬物送達デバイス。
【請求項90】
前記プランジャに動作可能に結合され前記ハウジングに対して選択的に回転するように構成された解放部材であって、前記プランジャ及び前記プランジャガイドの各々が少なくとも部分的に前記解放部材内に配置されている、解放部材と、
前記ハウジングにおける開口部に隣接して移動可能に配置され前記解放部材に動作可能に結合されているガードと、を備える、請求項84~89のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項91】
前記ガードは、前記ガードが少なくとも部分的に前記ハウジングにおける前記開口部を通って延びる伸長位置と、前記ガードが前記伸長位置から離れて前記ハウジングに向かって配置される後退位置とを有する、請求項90に記載の薬物送達デバイス。
【請求項92】
前記解放部材は、前記ガードが前記伸長位置にあるとき、少なくとも1つの回転方向に回転することが防止され、前記解放部材は、前記ガードが前記後退位置にあるとき、前記少なくとも1つの回転方向に回転することが可能である、請求項91に記載の薬物送達デバイス。
【請求項93】
前記ガードを前記伸長位置から前記後退位置に移動させることにより、前記解放部材及び前記プランジャが、前記付勢部材により加えられた前記付勢力の下で、前記初期回転位置から前記第2の回転位置に向かって一緒に回転することが可能になる、請求項90~92のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項94】
前記薬物貯蔵容器は、前記ハウジングに対して固定されている、請求項74~93のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項95】
前記プランジャ付勢部材は圧縮ばねを含む、請求項74~94のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項96】
開口部を有するハウジングと、
少なくとも部分的に前記開口部を通って延びるように構成された挿入端を有する送達部材を含む薬物貯蔵容器であって、前記ハウジングに対する相対移動に抵抗するように前記ハウジングに結合されている、薬物貯蔵容器と、
前記開口部に隣接して移動可能に配置されたガードと、
薬物を前記薬物貯蔵容器から前記送達部材を通して放出するために、遠位方向に移動可能なプランジャと、
プランジャ付勢部材と、
前記ガード及び前記プランジャに動作可能に結合された解放部材であって、ユーザからの慣性力を利用して、前記ハウジング及び前記薬物貯蔵容器を前記ユーザの注射部位に向かって駆動するように構成されている、解放部材と、を備える薬物送達デバイス。
【請求項97】
開口部を有するハウジングと、
長手方向軸を画定する本体部分と、送達状態の間に少なくとも部分的に前記開口部を通って延びるように構成された挿入端を有する送達部材とを含む薬物貯蔵容器と、
薬物を前記薬物貯蔵容器から前記送達部材を通して放出するために、遠位方向に移動可能なプランジャと、
前記プランジャを前記遠位方向に押し付けるように構成されたプランジャ付勢部材と、
前記プランジャに動作可能に結合されたブレーキ部材であって、前記プランジャが前記遠位方向に移動することにより、前記プランジャ及び前記ブレーキ部材のうちの少なくとも1つが前記長手方向軸を中心に回転する、ブレーキ部材と、を備える薬物送達デバイス。
【請求項98】
前記ブレーキ部材は、前記プランジャの少なくとも一部分を取り囲み、前記プランジャの半径方向外向きに面する表面にねじ式に係合する半径方向内向きに面する表面を含む、請求項97に記載の薬物送達デバイス。
【請求項99】
前記プランジャは、中央ロッドと、前記中央ロッドの少なくとも一部分を取り囲む環状壁とを含み、前記中央ロッドは、前記ブレーキ部材の前記半径方向内向きに面する表面にねじ式に係合する前記半径方向外向きに面する表面を有する、請求項98に記載の薬物送達デバイス。
【請求項100】
前記プランジャは、前記ブレーキ部材の少なくとも一部分を取り囲み、前記ブレーキ部材の半径方向外向きに面する表面にねじ式に係合する半径方向内向きに面する表面を含む、請求項97に記載の薬物送達デバイス。
【請求項101】
前記ブレーキ部材は、前記ハウジングに結合された近位端と、前記プランジャの前記半径方向内向きに面する表面にねじ式に係合する前記半径方向外向きに面する表面を有する遠位端と、を有するロッドを含む、請求項100に記載の薬物送達デバイス。
【請求項102】
前記薬物送達デバイスの動作中に前記ロッドが前記ハウジングに対して移動しないように、前記ロッドが前記ハウジングに固定的に固定されている、請求項101に記載の薬物送達デバイス。
【請求項103】
前記プランジャが前記遠位方向に移動すると前記ブレーキ部材が回転するように、前記ブレーキ部材が前記プランジャに動作可能に結合されている、請求項97~102のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項104】
前記プランジャが前記遠位方向に移動すると前記プランジャが回転するように、前記ブレーキ部材が前記プランジャに動作可能に結合されている、請求項97~102のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項105】
ロックを備え、前記ロックが、前記プランジャ及び前記ブレーキ部材のうちの少なくとも1つが回転することを防止する初期位置と、前記ロックが、前記プランジャ及び前記ブレーキ部材のうちの少なくとも1つが回転することを防止しない第2の位置とを有する、請求項97~104のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項106】
前記ロックは、前記初期位置から前記第2の位置に移動しながら近位方向に移動するように構成されている、請求項105に記載の薬物送達デバイス。
【請求項107】
前記開口部に隣接して移動可能に配置されたガード部材を備え、前記ガード部材は、前記ガード部材が少なくとも部分的に前記ハウジングにおける前記開口部を通って延びる伸長位置と、前記ガード部材が前記伸長位置から離れて前記ハウジングに向かって配置される配置される後退位置とを有する、請求項105又は106に記載の薬物送達デバイス。
【請求項108】
前記ガード部材を前記伸長位置から前記後退位置に移動させることにより、前記ロックが前記初期位置から前記第2の位置に移動する、請求項107に記載の薬物送達デバイス。
【請求項109】
前記プランジャ付勢部材は少なくとも1つの圧縮ばねを含む、請求項97~108のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項110】
前記プランジャは中空の管状形状を有し、前記プランジャ付勢部材は少なくとも部分的に前記プランジャ内に配置されている、請求項97~109のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項111】
前記プランジャの遠位端が内面を有し、前記プランジャ付勢部材が、軸方向に向けられた付勢力を前記内面に加える、請求項110に記載の薬物送達デバイス。
【請求項112】
前記プランジャ付勢部材と前記プランジャの前記内面との間に配置されたベアリングを備え、前記ベアリングは、前記プランジャと前記プランジャ付勢部材との間の相対的回転を可能にする、請求項111に記載の薬物送達デバイス。
【請求項113】
前記薬物貯蔵容器内に移動可能に配置されたストッパを備え、前記プランジャの遠位端は、初期的に、前記ストッパの近位端からギャップにより間隔をおいて配置されている、請求項97~112のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項114】
前記送達状態において前記プランジャ付勢部材が前記プランジャを前記遠位方向に移動させて、前記プランジャの前記遠位端と前記ストッパの前記近位端との間の前記ギャップを閉じ、続いて、前記プランジャが、前記ストッパを前記薬物貯蔵容器を通して移動させて前記薬物を前記薬物貯蔵容器から放出させる、請求項113に記載の薬物送達デバイス。
【請求項115】
前記プランジャが前記遠位方向に移動して、前記プランジャの前記遠位端と前記ストッパの前記近位端との間の前記ギャップを閉じている間に、前記プランジャ及び前記ブレーキ部材のうちの少なくとも1つが前記長手方向軸を中心に回転する、請求項114に記載の薬物送達デバイス。
【請求項116】
前記薬物を前記薬物貯蔵容器から放出するために、前記プランジャが前記ストッパを前記薬物貯蔵容器を通して移動させている間に、前記プランジャ及び前記ブレーキ部材のうちの少なくとも1つが前記長手方向軸を中心に回転する、請求項114又は115に記載の薬物送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2019年9月30日に出願された「Drug Delivery Device」と題する米国仮特許出願第62/908,504号の利益を主張するものであり、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、薬物送達デバイスに関し、より具体的には、患者に薬物を自動的に注射するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
露出した針への一般的な嫌悪感、並びに健康及び安全の問題が、針又は他の挿入部材を使用前に隠し、注射プロセスの様々な態様を自動化する、薬物送達デバイスの開発につながっている。そのようなデバイスは、例えば、従来のシリンジを介した送達を含む従来の形態の薬物送達と比較して様々な利点を提供する。
【0004】
薬物送達デバイスは、様々な自動化機能を実現するための様々な機構を組み込むことができる。そのような機能は、他の機能の中でもとりわけ、送達前及び/又は送達後の状態において針を自動的に覆うこと、駆動機構を作動させるためのインターフェースをユーザに提供すること、薬物送達が完了したことをユーザに示すこと、を含む。典型的には、薬物送達デバイスは、別個の又は独立して操作可能な機構を組み込んで、その自動化された機能のそれぞれを実現することになる。その結果、機能が追加されるごとに、デバイスの機械的な複雑さが増加する傾向がある。これにより、デバイスのサイズが大きくなる可能性があり、ユーザの取り扱いが煩雑になり、加えて製造コスト及びタイムフレームが増加する可能性がある。使い勝手及び安全性がより向上した薬物送達デバイスの需要が高まるにつれ、薬物送達デバイスに過度の複雑さを追加することなく、より自動化された機能を組み込む方法を見つけることは、様々な設計及び製造の課題を提示する。
【0005】
本開示は、既存の薬物送達デバイスに対する有利な代替案を具体化し、本明細書で述べる課題又は必要性のうちの1つ以上に対処する、薬物送達デバイスについて記述する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、ハウジング、ハウジングに対して固定された薬物送達容器、付勢部材、及びプランジャ付勢部材に動作可能に結合されたプランジャ、を含む薬物送達デバイスを提供する。薬物貯蔵容器は、内面と、内面に沿って摺動可能なストッパとを含んでもよい。プランジャは、(i)付勢部材により加えられる付勢力の下で、初期回転位置から第2の回転位置に選択的に回転し、(ii)初期回転位置から第2の回転位置に回転した後、遠位方向に直線的に並進移動して、ストッパを薬物貯蔵容器を通して駆動する、ように構成されている。
【0007】
本開示の別の態様は、開口部を有するハウジング、薬物貯蔵容器、開口部に隣接して移動可能に配置されたガード、プランジャ、プランジャ付勢部材、及び解放部材、を含む薬物送達デバイスを提供する。薬物貯蔵容器は、少なくとも部分的に開口部を通って延びるように構成された挿入端を有する送達部材を含んでもよい。プランジャは、薬物を薬物貯蔵容器から送達部材を通して放出させるために、遠位方向に移動可能であってもよい。解放部材は、ガード及びプランジャに動作可能に結合してもよい。更には、解放部材は、プランジャ付勢部材により加えられる付勢力の下で、初期回転位置から第2の回転位置まで回転するように構成されてもよい。
【0008】
本開示の追加の態様は、ハウジング、薬物貯蔵容器、プランジャ、初期的に付勢状態に保持されたプランジャ付勢部材、及びインジケータ、を含む薬物送達デバイスを提供する。薬物貯蔵容器は、少なくとも部分的に開口部を通って延びるように構成された挿入端を有する送達部材を含んでもよい。プランジャ付勢部材を解放することにより、プランジャが遠位方向に駆動されて、薬物が薬物貯蔵容器から送達部材を通して放出されてもよい。インジケータは、インジケータがプランジャ付勢部材を付勢状態に保持する初期位置と、インジケータが薬物送達の終了を示す可聴信号を生成する第2の位置とを有してもよい。
【0009】
本開示の別の態様は、開口部、薬物貯蔵容器、プランジャ、及びプランジャ付勢部材、を有するハウジングを提供する。薬物貯蔵容器は、少なくとも部分的に開口部を通って延びるように構成された挿入端を有する送達部材を含んでもよい。プランジャは、軸方向チャンバを画定する内面を有し得る。プランジャ付勢部材は、少なくとも部分的にプランジャの軸方向チャンバ内に配置されてもよく、初期的に付勢状態に保持されていてもよい。プランジャ付勢部材を解放することにより、プランジャが遠位方向に駆動されて、薬物が薬物貯蔵容器から送達部材を通して放出されてもよい。
【0010】
本開示の追加の態様は、開口部、薬物貯蔵容器、開口部に隣接して移動可能に配置されたガード、プランジャ、プランジャ付勢部材、及び解放部材、を有するハウジングを提供する。薬物貯蔵容器は、少なくとも部分的に開口部を通って延びるように構成された挿入端を有する送達部材を含んでもよい。薬物貯蔵容器はハウジングと結合して、それらの間の相対的な移動が抵抗を受けるようになっていてもよい。プランジャは、薬物を薬物貯蔵容器から送達部材を通して放出させるために、遠位方向に移動可能であってもよい。解放部材は、ガード及びプランジャに動作可能に結合してもよい。更に、解放部材は、ユーザからの慣性力を利用して、ハウジング及び薬物貯蔵容器をユーザの注射部位に向かって駆動するように構成されてもよい。
【0011】
本開示の更なる態様は、開口部を有するハウジング、薬物貯蔵容器、プランジャ、プランジャ付勢部材、及びブレーキ部材、を含む薬物送達デバイスを提供する。薬物貯蔵容器は、長手方向軸を画定する本体部分と、送達状態の間に少なくとも部分的に前記開口部を通って延びるように構成された挿入端を有する送達部材とを含んでもよい。プランジャは、薬物を薬物貯蔵容器から送達部材を通して放出させるために、遠位方向に移動可能であってもよい。プランジャ付勢部材は、プランジャを遠位方向に押し付けるように構成されてもよい。ブレーキ部材は、プランジャに動作可能に結合されてもよい。プランジャを遠位方向に移動することにより、プランジャ及び/又はブレーキ部材が長手方向軸を中心に回転してもよい。
【0012】
本開示は、以下の説明を添付図面と併せて解釈することで、より完全に理解されると考えられる。図面のいくつかは、他の要素をより明確に示すために、選択した要素を省略することにより簡略化されている場合がある。いくつかの図面におけるこうした要素の省略は、対応する文書による説明において明示的に描写されている場合を除き、例示的実施形態のいずれかにおける特定の要素の存在又は不在を必ずしも示すものではない。更に、いずれの図面も、必ずしも正確な縮尺で示されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態による薬物送達デバイスの斜視図である。
図2図1の薬物送達デバイスの断面図である。
図3図2の薬物送達デバイスの分解図である。
図4図2に図示されるプランジャガイドの異なる斜視図である。
図5図2に図示されるプランジャガイドの異なる斜視図である。
図6図2に示される解放部材の異なる斜視図である。
図7図2に示される解放部材の異なる斜視図である。
図8図2に示されるプランジャ、プランジャ付勢部材、及びプランジャガイドの部分斜視図である。
図9A図9Bの線Z-Zに沿って見た断面図である。
図9B】ガード部材を後退させる前のプランジャ保持構成の斜視図である。図9Bでは、解放部材は半透明として図示されている。また、図9Bでは、明確にするために、ガード延長部及びガード付勢部材は省略されている。
図9C図9Bのプランジャ保持構成の遠位端の斜視図である。図9Cでは、ガード及びガード延長部のそれぞれが半透明として図示されている。また、図9Cでは、明確にするために、ガード付勢部材、プランジャ、及びプランジャガイドは省略されている。
図9D図9Cの線Y-Yに沿って見た断面図である。
図9E図9Bの保持構成の近位端の斜視図である。図9Eでは、解放部材は半透明として図示されている。また、図9Eでは、明確にするために、ガード付勢部材は省略されている。
図10A図10Bの線X-Xに沿って見た断面図である。
図10B】ガード部材が後退位置に移動した後の瞬間におけるプランジャ保持構成の斜視図である。図10Bでは、解放部材は半透明として図示されている。また、図10Bでは、明確にするために、ガード延長部及びガード付勢部材は省略されている。
図10C図10Bのプランジャ保持構成の遠位端の斜視図である。図10Cでは、ガード及びガード延長部のそれぞれが半透明として図示されている。また、図10Cでは、明確にするために、ガード付勢部材、プランジャ、及びプランジャガイドは省略されている。
図10D図10Cの線W-Wに沿って見た断面図である。
図11A図11Bの線V-Vに沿って見た断面図である。
図11B】薬物送達の開始時におけるプランジャ保持構成の斜視図である。図11Bでは、解放部材は半透明として図示されている。また、図11Bでは、明確にするために、ガード延長部及びガード付勢部材は省略されている。
図11C図11Bのプランジャ保持構成の遠位端の斜視図である。図11Cでは、ガード及びガード延長部のそれぞれが半透明として図示されている。また、図11Cでは、明確にするために、ガード付勢部材、プランジャ、及びプランジャガイドは省略されている。
図11D図11Cの線U-Uに沿って見た断面図である。
図11E図11Bの保持構成の近位端の斜視図である。図11Eでは、解放部材は半透明として図示されている。また、図11Eでは、明確にするために、ガード付勢部材は省略されている。
図12A図12Bの線T-Tに沿って見た断面図である。
図12B】薬物送達の終了時におけるプランジャ保持構成の斜視図である。図12Bでは、解放部材は半透明として図示されている。また、図12Bでは、明確にするために、ガード延長部及びガード付勢部材は省略されている。
図12C図12Bのプランジャ保持構成の遠位端の斜視図である。図12Cでは、ガード及びガード延長部のそれぞれが半透明として図示されている。また、図12Cでは、明確にするために、ガード付勢部材、プランジャ、及びプランジャガイドは省略されている。
図12D図12Cの線S-Sに沿って見た断面図である。
図12E図12Bの保持構成の近位端の斜視図である。図12Eでは、解放部材は半透明として図示されている。また、図12Eでは、明確にするために、ガード付勢部材は省略されている。
図13】本開示の別の実施形態による薬物送達デバイスの斜視図である。
図14】除去可能キャップが除去された図13の薬物送達デバイスの斜視図である。
図15図13の薬物送達デバイスの異なる側面図である。
図16図13の薬物送達デバイスの異なる側面図である。
図17A】本開示の別の実施形態による薬物送達デバイスの断面図である。
図17B図17Aに図示される薬物送達デバイスの近位端の拡大図である。
図18A】本開示の別の実施形態による薬物送達デバイスの断面図である。
図18B図18Aに示される薬物送達デバイスの近位端の拡大図である。
図19A】本開示の別の実施形態による薬物送達デバイスの断面図である。
図19B図19Aに示される薬物送達デバイスの近位端の拡大図である。
図20】本開示の別の実施形態による薬物送達デバイスの断面図である。
図21】本開示の別の実施形態による薬物送達デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、一般に、薬物を投与するために、又は患者がユーザである場合には薬物を自己投与するために、ユーザにより操作可能な薬物送達デバイスに関する。そのペイロードを送達するために使用された後の薬物送達デバイスの取り扱いを含む、薬物送達デバイスの安全且つ適切な取り扱いを容易にするための様々な特徴が開示される。そのような機能には、薬物送達が完了したことをユーザに通知するためのインジケータ、及び注射部位における患者の皮膚に薬物送達デバイスを押し付けることにより作動可能な駆動機構が含まれるが、これらに限定されない。これらの機能及び他の機能は、可動部品の数及び/又は薬物送達デバイスの複雑さを限定するように、一緒に機能し及び/又は相乗的な形で互いに相互作用する。更に、本明細書に記載の特定の特徴は、プランジャ付勢部材及び/又はガード付勢部材により加えられる付勢力を作動の目的で活用することにより、ユーザにより印加されなければならない、いかなる力をも低減させ、及び/又はその特徴を実装するための専用のエネルギー源を組み込む必要性を軽減させる。本開示を考察する当業者には、これら利点及び他の利点が明らかになるであろう。
【0015】
図1図3は、本明細書では薬剤又は薬物製品とも称される薬物を送達するための薬物送達デバイス10の一実施形態のいくつかの図面を示す。薬物は、ペプチド、ペプチボディ、又は抗体などの様々な生物学的製剤であってもよいが、これらに限定されない。薬物は、流体又は液体形態であってもよいが、本開示は特定の状態に限定されない。
【0016】
薬物送達デバイス10の様々な実現形態及び構成が可能である。薬物送達デバイス10の本実施形態は、1回使用の使い捨て注射器として構成される。他の実施形態では、薬物送達デバイス10は、多重使用の再利用可能な注射器として構成されてもよい。薬物送達デバイス10は、患者による自己投与ために、又は介護者若しくは正式に訓練された医療提供者(例えば、医師又は看護師)による投与のために操作可能である。薬物送達デバイス10の本実施形態は、自動注射器又はペン型注射器の形態をとり、したがって薬物送達の期間にわたってユーザの手に保持され得る。
【0017】
薬物送達デバイス10に含まれる様々な構成要素の構成は、薬物送達デバイス10の操作状態に依存し得る。薬物送達デバイス10は、送達前又は保管状態、送達又は投薬状態、及び送達後状態を有してもよいが、より少ない又はより多くの状態も可能である。送達前状態は、組み立て後であってユーザによる作動前の薬物送達デバイス10の構成に対応し得る。いくつかの実施形態では、送達前状態は、薬物送達デバイス10が製造施設を離れてから、患者又はユーザが薬物送達デバイス10の駆動機構30を作動させるまでの間の時間に存在し得る。これには、ユーザが薬物送達デバイス10を何らかの二次パッケージから取り出してから、薬物送達デバイス10を注射部位に配置するまでの時間が含まれる。送達状態は、本明細書では投薬とも称される薬物送達が進行中における、薬物送達デバイス10の構成に対応し得る。送達後状態は、薬物送達の完了後の、及び/又はストッパが薬物貯蔵容器内の投薬終了位置に配置されたときの、薬物送達デバイス10の構成に対応してもよい。
【0018】
薬物送達デバイス10は、外部ケーシング又はハウジング12を含む。いくつかの実施形態では、ハウジング12は、人が片手で注射器10を把持することが可能なように寸法決めされ寸法設定されてもよい。ハウジング12は、円筒形などの概ね細長い形状を有し、近位端と遠位端との間で長手方向軸Aに沿って延びていてもよい。遠位端に開口部14が形成されて、送達部材16の挿入端28がハウジング12の外部に延びることを可能にしてもよい。ハウジング12の壁に透明又は半透明の検査窓17を配置して、ユーザが、薬物貯蔵容器20を含む、薬物送達デバイス10内の構成要素を見ることを可能にしてもよい。窓17を通して薬物貯蔵容器20を見ることにより、薬物送達が進行中であること及び/又は完了したことをユーザが確認することが可能になる。薬物送達デバイス10の使用前に、除去可能キャップ19が開口部14を覆っていてもよく、いくつかの実施形態では、送達部材16の挿入端28に取り付けられた滅菌バリア21(例えば、剛性ニードルシールド(RNS)、可撓性ニードルシールド(FNS)など)の除去を支援するように構成されたグリッパ13を含んでもよい。グリッパ13は、滅菌バリア21に摩擦的又は機械的に係合して、ユーザが除去可能キャップ19をハウジング12から分離するときに、除去可能キャップ19と共に滅菌バリア21を引っ張る、1つ以上の内向きに突出する返し部又はアームを含んでもよい。したがって、除去可能キャップ19を除去することは、送達部材16から滅菌バリア21を除去する効果を有する。
【0019】
本実施形態では、ハウジング12は、3つの別個の相互接続された構造体、すなわち、薬物送達デバイス10の近位端にある後端部キャップ23と、薬物送達デバイス10の遠位端にあり開口部14を含む前部ハウジング25と、後端部キャップ23と前部ハウジング25との間に配置され、これらを堅固に接続する後部ハウジング27と、により画定される。前部ハウジング25及び後部ハウジング27はそれぞれ、中空の略円筒状又は管状の形状を有してもよく、後端部キャップ23は略半球形状又は開放端及び閉鎖端を有する中空の円筒形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、後端部キャップ23及び後部ハウジング27、並びにその中に配置される任意の構成要素を一緒に組み立てて、後部サブアセンブリを画定してもよい。一方、前部ハウジング25及びその中に配置される任意の構成要素が一緒に組み立てられて、前部サブアセンブリを画定してもよい。いくつかの実施形態では、後部及び前部サブアセンブリは互いに独立して組み立てられ、次いで、互いに、並びに薬物貯蔵容器20と組み合わされて、完全に組み立てられた薬物送達デバイス10が形成される。特定のそのような実施形態では、前述した組み立て段階の一部又は全てが、異なる製造施設又は環境で実施されてもよい。代替的実施形態では、ハウジング12は、ハウジング12が単一のモノリシック構造により画定されるように一体として構築されてもよい。
【0020】
薬物貯蔵容器20は、ハウジング12の内部空間内に配置され、薬物22を収容するように構成されている。薬物貯蔵容器20は事前に充填され、例えば製造業者により、薬物貯蔵容器20が薬物送達デバイス10の残りの部分と組み合わされる場所に出荷されてもよい。ハウジング12は、例えば製造業者により、薬物貯蔵容器20が事前装填されてもよく、代わりに、薬物送達デバイス10の使用前に、ユーザにより薬物貯蔵容器20が装填されてもよい。薬物貯蔵容器20は、内部ボア、すなわちリザーバ、を画定する剛性壁を含んでもよい。壁は、ガラス又はプラスチックで作製されてもよい。ストッパ24は、薬物貯蔵容器20の近位端と遠位端との間で長手方向軸Aに沿って遠位方向に移動できるように、薬物貯蔵容器20内に移動可能に配置されてもよい。ストッパ24は、ゴム又は任意の他の適切な材料で作られていてもよい。ストッパ24が移動している間に薬物22がストッパ24を越えて漏れることを防止又は阻止するように、ストッパ24は、薬物貯蔵容器20の壁の内面15に摺動可能且つ密閉的に接触していてもよい。ストッパ24の遠位への移動により、薬物22が薬物貯蔵容器20のリザーバから送達部材16へと放出される。薬物貯蔵容器20の近位端は、プランジャ26が薬物貯蔵容器20内に延びてストッパ24を遠位方向に押すことを可能にするために、開放されていてもよい。本実施形態では、プランジャ26及びストッパ24は、初期的には、ギャップにより互いに間隔をおいて配置されている。駆動機構30が作動すると、プランジャ26は遠位方向に移動してギャップを閉じ、ストッパ24に接触する。その後、プランジャ26が遠位に移動すると、ストッパ24は遠位方向に駆動されて、薬物22が薬物貯蔵容器20から放出される。代替的実施形態では、ストッパ24及びプランジャ26は、プランジャ26の移動の開始から一緒に移動するように、初期的に、互いに接触していてもよい、又は例えばねじ式結合を介して互いに結合されていてもよい。いったんストッパ24が移動状態になると、薬物貯蔵容器20の壁の内面15の近位に面する部分にストッパが接触するまで、ストッパは遠位方向に移動し続けることができる。ストッパ24のこの位置は、投薬終了位置又は送達終了位置と呼ばれることがあり、患者への薬物22の送達が完了したとき又は実質的に完了したときに対応し得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、薬物貯蔵容器20のリザーバ内に含まれる薬物22の体積は、1mLに等しい、又は約(例えば、±10%で)1mLに等しい、又は2.5mLに等しい、又は約(例えば、±10%で)2.5mLに等しい、又は約(例えば、±10%で)2mL以下、又は約(例えば、±10%で)3mL以下、又は約(例えば、±10%で)4mL以下、又は約(例えば、±10%で)5mL未満、又は約(例えば、±10%で)10mL以下、又は約(例えば、±10%で)1~10mLの範囲内、又は約(例えば、±10%で)1~5mLの範囲内、又は約(例えば、±10%で)1~4mLの範囲内、又は約(例えば、±10%で)1~3mLの範囲内、又は約(例えば、±10%で)1~2.5mLの範囲内、であり得る。
【0022】
送達部材16は、薬物貯蔵容器20のリザーバに流体連通して、接続される又は接続されるように動作可能である。送達部材16の遠位端が、送達部材16の挿入端28を画定してもよい。挿入端28は、他の尖った形状の鋭利な先端を含んで、送達部材16の挿入中に挿入端28が患者の皮膚5及び皮下組織を穿刺することを可能にしてもよい。送達部材16は、中空であってもよく、内部経路を有してもよい。1つ以上の開口部が挿入端28に形成されて、薬物が送達部材16から流れ出て患者の中に入ることができる。
【0023】
本実施形態では、薬物貯蔵容器20は事前充填されたシリンジであり、送達部材16のための固定式の中空の金属製針を有する。ここでは、針は薬物貯蔵容器20の壁に対して固定されており、薬物貯蔵容器20のリザーバと恒久的に流体連通している。他の実施形態では、薬物貯蔵容器20は針のないカートリッジであってもよく、したがって初期的には、送達部材16と流体連通していなくてもよい。そのような実施形態では、薬物送達デバイス10の操作中に、薬物貯蔵容器20が送達部材16の近位端に向かって移動するか又はその逆であってもよく、その結果、送達部材16の近位端が薬物貯蔵容器20における開口部を覆う隔膜を貫通し、それにより薬物貯蔵容器20のリザーバと送達部材16との間の流体連通が確立される。
【0024】
薬物貯蔵容器20がいったんハウジング12内に設置されると、ハウジング12に対して移動しないように、薬物貯蔵容器20はハウジング12に対して固定されていてもよい。したがって、送達部材16の挿入端28は、送達前、送達中、及び送達後の状態において、永続的にハウジング12の開口部14を通って延在している。本実施形態では、容器ホルダ31が、薬物貯蔵容器20の位置をハウジング12内で固定する。容器ホルダ31は、中空の略円筒状又は管状の形状を有してもよく、薬物貯蔵容器20は部分的又は全体的に容器ホルダ31内に配置されてもよい。容器ホルダ31の遠位端は、薬物貯蔵容器20のネックに当接する内向きに突出したフランジ33を含み、それにより薬物貯蔵容器20の遠位移動を防止してもよい。薬物送達デバイス10の操作中に容器ホルダ31がハウジング12に対して移動することが防止されるように、容器ホルダ31はハウジング12に固定的に取り付けられてもよい。
【0025】
代替的実施形態では、薬物送達デバイス10の動作中に薬物貯蔵容器20がハウジング12に対して移動することが可能なように、薬物貯蔵容器20はハウジング12に移動可能に結合されてもよい。特定のそのような代替的実施形態では、送達部材16の挿入端28は、送達前状態において、ハウジング12の開口部14の内側に後退されていてもよい。続いて、注射デバイス10の操作中に、送達部材16の挿入端28は、患者への挿入のために、ハウジング12の開口部14を通して展開されてもよい。この動きは、いくつかの実施形態では、薬物貯蔵容器20がハウジング12に対して遠位方向に駆動された結果であり得る。
【0026】
プランジャ26は、中空の略円筒状又は管状の形状を有してもよい。プランジャ26は、外面41及び内面43を有する環状壁39を含んでもよい。内面43は、プランジャ付勢部材50をその中に収容するように寸法決めされた内部空間を画定し得る。プランジャ26の内径を最大化するように、プランジャ26の完全性を損なうことなく可能な範囲で、環状壁39の厚さを最小限に抑えることが一般に望ましい。これにより、より大きな直径のプランジャ付勢部材50をプランジャ26の内部空間内に適合させることが可能になり、それにより、プランジャ付勢部材50をより強力にすることが可能になる。以下により詳細に説明するように、プランジャ26は、薬物送達デバイス10の操作中に、ハウジング12に対して選択的に回転するように、及びハウジング12に対して直線的に並進移動するように構成されてもよい。
【0027】
プランジャ26は、複数の相互接続された部品で構成されてもよく、代わりに一体化された構造を有してもよい。本実施形態では、プランジャ26は、3つの別個の相互接続された構造、すなわち、プランジャ26の近位端を画定するトップリング45と、プランジャ26の遠位端を画定するベース47と、トップリング45とベース47との間に配置されこれらを堅固に接続する中空ロッド46とで構成されている。トップリング45、中空ロッド46、及びベース47の位置は、これらの構成要素が互いに対して動かないように、互いに対して固定されてもよい。トップリング45、中空ロッド46、及びベース47はそれぞれ環状構造を有してもよく、長手方向軸Aを中心にセンタリングされてもよい。上部リング45及び中空ロッド46はそれぞれ、構成要素の端から端まで延びて、軸方向チャンバを画定する、それぞれの中央開口部を有してもよく、一方、ベース47は、ベース47の近位端を通って延びているが、ベース47の遠位端で閉じている中央開口部を有してもよい。ベース47の閉じた端部は、プランジャ付勢部材50のための座面又は当接面を画定し得る。代替的実施形態では、中央開口部は、ベース47を通って端から端まで延びていてもよい。そのような代替的実施形態では、ベース47の中央開口部の内径は、ベース47がプランジャ付勢部材50の遠位端をプランジャ26内に保持するように、プランジャ付勢部材50の外径よりも小さくてもよい。駆動機構30が作動された場合、ベース47は、ストッパ24に接触してストッパ24を遠位方向に押す、プランジャ46の部分であってもよい。
【0028】
トップリング45は、トップリング45の中央部分から半径方向外向きに延びる1つ以上のフランジ又は突起48を含んでもよい。突起48のそれぞれが、遠位に面するカム面49を含んでもよい。以下により詳細に説明するように、遠位に面するカム面49は、プランジャ付勢部材50を解放するために、プランジャガイド60上の対応するカム面と相互作用してもよい。いくつかの実施形態では、遠位に面するカム面49は、長手方向軸Aに垂直な仮想平面に対して、ある角度で構成されてもよい、又はこの仮想平面に非平行である。
【0029】
いくつかの実施形態では、トップリング45及び/又はベース47は、中空ロッド46とは異なる材料で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、トップリング45及び/又はベース47はプラスチックで構成されてもよい一方で、中空ロッド46は金属で構成されてもよい。そのように構成されることで、トップリング45に使用されるプラスチック材料は、滑り摩擦を提供することにより、以下に説明されるカム動作を容易にする場合があり、ベース47に使用されるプラスチック材料は、ベース47がストッパ24にぶつかることに関連する衝撃又は振動を吸収すること又は減衰させることに役立つ場合がある。中空ロッド46に使用される金属材料は、プランジャ付勢部材50により加えられる付勢力の下での座屈を回避するのに十分な剛性を提供することができる。代替的実施形態では、トップリング45、中空ロッド46、及び/又はベース47は、例えば金属又はプラスチックを含む、同じ材料で作製されてもよい。特定のそのような実施形態では、トップリング45、中空ロッド46、及び/又はベース47は、単一のモノリシック構造を画定するように、一部品として一体形成されてもよい。
【0030】
薬物送達デバイス10は、薬物送達デバイス10が注射を投与するために使用されていないときに送達部材16の挿入端28との接触を防止するためのガード機構を更に含んでもよい。ガード機構は、開口部14に隣接してハウジング12の遠位端に移動可能に配置されたガード部材32を含んでもよい。ガード部材32は、長手方向軸Aを中心にセンタリングされた中空の略円筒状又は管状の形状を有してもよく、ハウジング12内に収容された近位端を有してもよい。ガード部材32は、ガード部材32の遠位端がハウジング12における開口部14を通って延びる伸長位置と、ガード部材32の遠位端がハウジング12における開口部14の中に完全に又は部分的に後退した後退位置との間で、ハウジング12に対して移動するように構成されてもよい。加えて又は代わりに、ガード部材32は、後退位置から伸長位置に移動するように構成されてもよい。伸長位置から後退位置に移動するとき、ガード部材32は、近位方向に直線的に並進移動してもよく、後退位置から伸長位置に移動するとき、ガード部材32は、遠位方向に直線的に並進移動してもよい。少なくとも伸長位置では、ガード部材32は、送達部材16の挿入端28を超えて伸長し、それを取り囲んでもよい。送達前又は保管状態において送達部材16がハウジング12の開口部14から突出している実施形態では、例えば、注射部位における患者の皮膚にガード部材32の遠位端を押し付けることにより、ガード部材32を伸長位置から後退位置に移動させると、送達部材16の挿入端28が患者の皮膚に挿入される結果となり得る。
【0031】
例えば、送達デバイス10は、針を患者の皮下組織に挿入するために、ばね駆動設計よりもむしろ、慣性設計を利用してもよい。より具体的な例として、患者がガード部材32の遠位端を注射部位における患者の皮膚に押し付けると、送達デバイス10のハウジング12が注射部位に向かって前進してもよい。患者が所定の距離を押し下げるか又は所定の力で押し下げると、送達デバイス10は、患者の筋肉に蓄えられたエネルギーを利用して急速に解放される一方で、針カバー及びそのばねを所定の解放点まで圧縮する。解放メカニズムは、結果として生じる針の挿入速度が患者の反応速度を超えるように、及びこの速度とデバイスの質量との組み合わせにより、針が皮膚を貫通して皮下の深さまで迅速且つ完全に至るように設計されている。一次容器全体がハウジングに対して前方に移動する既知の注射器と比較して、本実施形態は、薬物貯蔵容器20とハウジングとの間の相対的な移動を防止し、したがって、単純化された、より堅牢な設計を提供する。
【0032】
いくつかの実施形態では、ガード部材32は、ハウジング12に対する回転が固定されてもよい。したがって、ガード部材32は、ハウジング12に対して直線的に並進移動することができてもよいが、ガード部材32は、ハウジング12に対して回転することが防止されてもよい。この効果を実現するために、いくつかの実施形態では、1つ以上の長手方向スロット61が、ガード部材32の壁に形成されてもよく、長手方向軸Aに平行であってもよい。各長手方向スロット61は、前部ハウジング25から半径方向内向きに延びる突起又はピン63を嵌合して又はぴったりと収容するように寸法設定されてもよい。各ピン63は、ガード部材32が前部ハウジング25に対して長手方向軸Aに沿って直線的に並進移動するときに、長手方向スロット61のうちの対応する1つを画定する表面に摺動可能に係合してもよい。しかしながら、ピン63はその同じ表面に当接して、ガード部材32に何らかの回転力が加えられたときに前部ハウジング25に対するガード部材32の回転を防止する。代替的実施形態では、ピンとスロットの構成を逆にして、ガード部材32が1つ以上の半径方向外向きに延びるピンを有し、前部ハウジング25が、1つ以上のピンを嵌合して又はぴったりと収容するための1つ以上のスロット又は他の凹部を有してもよい。
【0033】
ガード機構は、ガード付勢部材35及びガード延長部37を更に含んでもよい。ガード延長部37は、ガード部材32の近位に配置されてもよく、ガード付勢部材35はガード延長部37の近位に配置されてもよい。ガード延長部37は、長手方向軸Aを中心にセンタリングされた中空の略円筒状又は管状の形状を有してもよい。更には、ガード延長部37は、ハウジング12に対して長手方向軸Aに沿って直線方向に移動可能であってもよい。本実施形態では、ガード延長部37は、ガード部材32とは別個の構造である。しかしながら、代替的実施形態では、ガード延長部37及びガード部材32は、一部品として一体形成されて、単一のモノリシック構造を画定してもよい。そのような代替的実施形態では、ガード部材32の近位端は、ガード延長部37に対応してもよい。
【0034】
ガード部材32と同様に、ガード延長部37は、ハウジング12に対する回転が固定されてもよい。したがって、ガード延長部37は、ハウジング12に対して直線的に並進移動することができてもよいが、ガード延長部37は、ハウジング12に対して回転することが防止されてもよい。この効果を実現するために、いくつかの実施形態では、1つ以上の長手方向スロット71が、ガード延長部37の壁に形成されてもよく、長手方向軸Aに平行であってもよい。各長手方向スロット71は、ハウジング12から、例えば後部ハウジング23及び/又は前部ハウジング25などから、半径方向内向きに延びる突起又はピン(図示せず)を嵌合して又はぴったりと収容するように寸法設定されてもよい。各ピンは、ガード延長部37がハウジング12に対して長手方向軸Aに沿って直線的に並進移動するときに、対応する長手方向スロット71を画定する表面に摺動可能に係合してもよい。しかしながら、ピンはその同じ表面に当接して、ガード延長部37に何らかの回転力が加えられたときにハウジング12に対するガード延長部37の回転を防止する。代替的実施形態では、ピンとスロットの構成を逆にして、ガード延長部37が1つ以上の半径方向外向きに延びるピンを有して、ハウジング12が1つ以上のスロット又は他の凹部を有して、1つ以上のピンを嵌合して又はぴったりと収容するようにしてもよい。
【0035】
ガード付勢部材35は、ガード延長部37と解放部材52との間に、それらに接触して配置されてもよい。ガード付勢部材35は、ガード延長部37を遠位方向に付勢するか又は押し付け、解放部材52を近位方向に付勢するか又は押し付けるように構成されてもよい。ガード付勢部材35は、初期的には、送達前状態においてガード延長部37に付勢力を加え、解放部材52に付勢力を加えるように、付勢された(例えば、圧縮された)状態にあってもよい。いくつかの実施形態では、ガード延長部37の遠位端は、図2で分かるように、初期的にガード部材32の近位端に接触している。その結果、ガード延長部37は、ガード付勢部材35がガード部材32を伸長位置に向かって付勢するか又は押し付けるように、ガード付勢部材35の付勢力をガード部材32に伝達する。ユーザは、ガード部材32を注射部位に押し付けることにより、付勢力に打ち勝つことができる。そうすることにより、ガード部材32及びガード延長部37は、例えばガード部材32が後退位置に到達するまで、近位方向に一緒に移動する。注射が完了し、薬物送達デバイス10が注射部位から持ち上げられると、ガード付勢部材35がガード延長部37を押し付け、それによりガード延長部37とガード部材32とが一緒に遠位方向に移動してもよい。この動きは、ガード部材32を伸長位置に戻し、これは、送達部材16の挿入端28を覆う効果を有する。いくつかの実施形態では、ガード付勢部材35は、圧縮ばね(例えば、螺旋圧縮ばね)を含んでもよい。更には、プランジャ付勢部材50が圧縮ばねも含む実施形態では、ガード付勢部材35がプランジャ付勢部材50の周りに配置されてもよく、及び/又はプランジャ付勢部材50よりも大きい直径を有してもよい。
【0036】
代替的実施形態では、ガード延長部37の遠位端は、初期的に、ギャップによりガード部材32の近位端から近位方向に間隔をおいて配置されている。その結果、ガード付勢部材35は、送達前状態において、ガード部材32を伸長位置に向けて付勢しない場合がある。ガード部材32が近位方向に後退し、ガード延長部37に接触すると、その場合にのみ、ガード付勢部材35は、ガード部材32に付勢力を加えて、ガード部材を伸長位置に向かって押し付けることができる。そのような代替的実施形態では、送達前状態においてガード部材32を伸長位置に向かって付勢するには、以下に説明するロックリング付勢部材51に依存することだけができる。
【0037】
薬物送達が完了し、ガード部材32が伸長位置に再配置された後、ガード部材32を伸長位置にロックして、その後の送達部材16の挿入端28へのユーザの接触を防止すること、及び/又は薬物送達デバイス10の再利用を防止することが望ましい場合がある。これらの目的に従って、薬物送達デバイス10のいくつかの実施形態は、いったんガード部材32が後退位置から伸長位置に移動したときにガード部材32を伸長位置にロックするために、ガード部材32の軸方向位置に応じて選択的に回転するように構成されたロックリング40を含んでもよい。本実施形態では、ロックリング40はセンタリングされており、長手方向軸Aを中心に回転する。図2に示すように、ロックリング40の近位端は、容器ホルダ31に接触してもよく、ロックリング40の遠位端は、少なくとも部分的にガード部材32内に配置されてもよい。ロックリング付勢部材51は、ロックリング40の遠位に面する表面とガード部材32の近位に面する表面との間で軸方向に配置されてもよい。ロックリング付勢部材51は、ロックリング40とガード部材32とが互いに離れるように付勢するように、初期的に圧縮又は付勢状態にあってもよい。このように、ロックリング付勢部材51は、ガード部材32を伸長位置に向かって押し付ける付勢力を加えてもよく、並びにロックリング40の近位端を容器ホルダ31に対して押し付ける付勢力を加えてもよい。いくつかの実施形態では、ロックリング付勢部材51は、圧縮ばね(例えば、螺旋圧縮ばね)を含んでもよい。
【0038】
ロックリング40の回転は、ロックリング40と容器ホルダ31との間のカム構成により実現できる。いくつかの実施形態では、ロックリング40の近位端は、前部ハウジング25の内側環状壁57に含まれる1つ以上の対応するカム面55に摺動可能に係合するように構成された1つ以上のカム面53を含んでもよい。前部ハウジング25の内側環状壁57は、長手方向軸Aを中心にセンタリングされてもよく、前部ハウジング25の内側環状壁57と外側環状壁59との間に環状ギャップが存在するように、前部ハウジング25の外側環状壁59から半径方向内向きにカンチレバーで支持されていてもよい。この構成により、後退中にガード部材32が内壁57と外壁59との間の環状ギャップの中に滑り込むことが可能になり得る。いくつかの実施形態では、ロックリング40のカム面53は、長手方向軸Aから半径方向に見たときに概ね鋸歯状の外観を有し得る。更には、カム面53は、各カム面53が長手方向軸Aを中心にして異なる角度位置に配置されるように、長手方向軸Aを中心にして配置されてもよい。同様に、容器ホルダ31上のカム面55は、長手方向軸Aから半径方向に見たときに、概ね鋸歯状の外観を有し得る。更には、カム面55は、各カム面55が長手方向軸Aを中心にして異なる角度位置に配置されるように、長手方向軸Aを中心にして配置されてもよい。
【0039】
カム面53及び55は、互いに押し付けられると直線運動を回転運動と直線運動の組み合わせに変換することができる。より具体的には、ロックリング40が長手方向軸Aに沿って近位方向に移動するとき、カム面53のそれぞれがカム面55のそれぞれに対して摺動することができる。この相互作用は、ロックリング40の近位方向への直線移動を、長手方向軸Aを中心とするロックリング40の回転移動と、長手方向軸Aに沿ったロックリング40の近位方向への直線移動との組み合わせに変換することができる。ロックリング40の移動全体にわたって、前部ハウジング25の内側環状壁57は、前部ハウジング25の残りの部分に対して静止したままである。そのように構成されることで、前部ハウジング25の内側環状壁57はカムとして機能し、ロックリング40はカムフォロアとして機能する。
【0040】
ガード付勢部材35の付勢力は、ロックリング40のカム面53を内環状壁57のカム面55に対して連続的に押し付けることができる。その結果、ロックリング40は、長手方向軸Aを中心に回転するように継続的に促進される。しかしながら、ロックリング40は、ロックリング40の外部及びガード部材32の内部に含まれる様々な協働する当接構造の相対位置によっては回転しない場合がある。ガード部材32の軸方向位置に応じて、これらの協働する当接構造は、互いに係合して及び/又は係合から外れて、ロックリング40の回転が可能になってもよい。いくつかの実施形態では、ロックリング40は、ガード部材32が後退位置から伸長位置に移動した時点で、最終回転位置に回転してもよい。最終回転位置では、ロックリング40に含まれる1つ以上の当接構造の遠位に面する表面は、ガード部材32に含まれる1つ以上の対応する当接構造の近位に面する表面に回転方向に整列されて、その表面に対向して配置されてもよい。その結果、その後のガード部材32の近位方向へのいかなる移動も、ガード部材32に含まれる当接構造の近位に面する表面と係合する、ロックリング40に含まれる当接構造の遠位表面により防止され得る。
【0041】
薬物送達デバイス10は、ハウジング12内に部分的に又は完全に配置された駆動機構30を更に含んでもよい。一般に、駆動機構30は、エネルギーを貯蔵し、ユーザによる駆動機構30の作動時点で又は作動に応答して、そのエネルギーを解放又は出力してプランジャ26を駆動して、薬物22を薬物貯蔵容器20から送達部材16を通して患者の中に放出するように構成されてもよい。本実施形態では、駆動機構30は、機械的位置エネルギーを貯蔵するように構成されているが、駆動機構30の代替的実施形態は、異なる形態で、例えば駆動機構30が電気的又は化学的ポテンシャルエネルギーを貯蔵するように、構成されてもよい。一般に、駆動機構30の作動時点で、駆動機構30は、位置エネルギーをプランジャ26を動かすための運動エネルギーに変換してもよい。
【0042】
本実施形態では、駆動機構30は、プランジャ付勢部材50、プランジャ付勢部材座面38、解放部材52、及びプランジャガイド60を含む。プランジャ付勢部材50は、初期的に付勢状態に保持された圧縮ばね(例えば、螺旋圧縮ばね)を含んでもよい。付勢状態では、プランジャ付勢部材50は、その軸方向長さが、自然状態又は非付勢状態の場合よりも短くなるように圧縮され得る。解放されると、プランジャ付勢部材50は、その自然な軸方向長さまで伸展しようとし、その結果、付勢力を加えてプランジャ26を遠位方向に押し付けることができる。
【0043】
プランジャ付勢部材50は、少なくとも部分的にプランジャ26内に配置されてもよく、プランジャ26の近位に面する内面に当接する遠位端を有してもよく、及び/又はプランジャ26の内面に固定的に取り付けられてもよい。プランジャ付勢部材50をプランジャ26内に収容できるように、プランジャ付勢部材50の外径又は他の寸法が、トップリング45の内径以下及び/又は中空ロッドの内径46以下であってもよい。いくつかの実施形態では、プランジャ付勢部材50の遠位端は、プランジャ26のベース47の近位に面する内面に当接してもよい。更には、プランジャ付勢部材50の近位端が、プランジャ付勢部材座面38の遠位に面する表面に当接してもよい。プランジャ付勢部材座面38は、プランジャ付勢部材50が伸びる際に押し付ける静止面をプランジャ付勢部材座面38が提供するように、後部ハウジング27に固定的に取り付けられていてもよい。そのように構成されることで、プランジャ付勢部材50は、付勢状態から解放されたときに、プランジャ付勢部材50の遠位端がプランジャ付勢部材50の静止した近位端から離れるように遠位方向に移動することで、長さが伸展されてもよい。この動きは、プランジャ26を遠位方向に押し出し、それにより、ストッパ24を遠位方向に押して、薬物22を薬物貯蔵容器20から送達部材16の中に、そしてその後、患者の中に放出することができる。
【0044】
プランジャガイド60は、プランジャガイド60が後部ハウジング27に対して動かないように、後部ハウジング27に固定的に取り付けられてもよい。プランジャガイド60は、中空の略円筒状又は管状の形状を有してもよく、長手方向軸Aを中心にセンタリングされてもよい。プランジャガイド60の近位端の外径又は他の外形寸法は、プランジャガイド60の遠位端の外径又は他の外形寸法より大きくてもよい。プランジャガイド60の遠位端の少なくとも一部分は、プランジャ26と解放部材52との間に半径方向に配置されてもよい。したがって、図2に示すように、プランジャ26は、少なくとも部分的にプランジャガイド60の遠位端内に配置されてもよく、プランジャガイド60の遠位端は、少なくとも部分的に解放部材52内に配置されてもよい。
【0045】
図4図5、及び図8に示されるように、プランジャガイド60の遠位端は、プランジャ26及び解放部材52と相互作用し、それらの移動を制御するための、様々な表面及び開口部で形成された環状壁80を含んでもよい。より具体的には、第1の開口部82が環状壁80に形成されてもよく、プランジャ26の上部リング45から外向きに延びる突起48のうちの1つを収容するように寸法決めされてもよい。環状壁80は、第1の開口部82の周囲の一部分を画定する、近位に面するカム面84を含んでもよい。カム面84は、長手方向軸Aに垂直な仮想平面に対して、ある角度で下向きに傾斜していてもよい、又は非平行である。送達前状態では、プランジャガイド60の近位に面するカム面84は、プランジャ26のトップリング45の遠位に面するカム面49に接触していてもよい。ここでは、プランジャ付勢部材50の付勢力が、トップリング45の遠位に面するカム面49を、プランジャガイド60の近位に面するカム面84に対して押し付けてもよい。その結果、トップリング45の遠位に面するカム面49は、一般に螺旋状の経路をたどって、プランジャガイド60の近位に面するカム面84に沿って摺動するように促進されてもよい。許可される場合、この摺動運動は、静止したプランジャガイド60に対するプランジャ26の回転及び直線並進移動をもたらし得る。それに応じて、プランジャガイド60はカムとして機能することができ、トップリング45はカムフォロアとして機能することができる。送達前状態では、以下に説明するように、プランジャガイド60に対するプランジャ26のいかなる回転も、突起48と解放部材52との間の係合により防止されてもよい。トップリング45の遠位に面するカム面49とプランジャガイド60の近位に面するカム面84との間に摺動運動がない場合、プランジャガイド60の環状壁80は、プランジャ26の遠位方向への直線並進移動を防止するように作用する。したがって、プランジャガイド60は、ガード部材32を後退させる前に、プランジャ付勢部材50を付勢状態に保持することを手助けできる。いくつかの実施形態では、第1の開口部82と同様の開口部が、プランジャガイド60の反対側に形成されてもよく、トップリング45の突起48のうちの異なる1つを収容するように構成されてもよい。
【0046】
図4図5、及び図8を引き続き参照すると、第2の開口部86が、プランジャガイド60の環状壁80に形成されてもよく、少なくとも部分的に第1の開口部86の遠位に配置されてもよい。図4及び図5に示されるように、第2の開口部86は、一般に、長手方向軸Aに平行な長手方向スロットの形態をとる。第2の開口部86は、トップリング45の突起48のうちの1つを収容するように寸法決めされてもよく、突起48が第2の開口部86を通って直線的に遠位方向に摺動することを許容してもよい。突起48がカム面84の端部を超えて回転した後、突起48は、図8に示すように、第2の開口部86内に収容され、続いて、突起48は、プランジャガイド60に対して更に回転することなく、第2の開口部86を通って遠位方向に直線的に並進移動してもよい。いくつかの実施形態では、第2の開口部86と同様の開口部が、プランジャガイド60の反対側に形成されてもよく、トップリング45の突起48のうちの異なる1つを収容するように構成されてもよい。
【0047】
プランジャガイド60の環状壁80は、遠位に面するカム面88を更に含んでもよい。図4及び図5に示されるように、遠位に面するカム面88は、環状壁80の残りの部分から外向きに延びる螺旋状の突起の一部であってもよい。遠位に面するカム面88は、長手方向軸Aに垂直な仮想平面に対して、ある角度で上向きに傾斜していてもよい、又は非平行である。以下でより詳細に説明するように、ガード付勢部材35の付勢力が、解放部材52の近位に面するカム面をプランジャガイド60の遠位に面するカム面88に対して押し付けることができる。その結果、解放部材52の近位に面するカム面は、付勢されて、一般に螺旋状の経路をたどって、プランジャガイド60の遠位に面するカム面88に沿って摺動してもよい。許可される場合、この摺動運動は、静止したプランジャガイド60に対する解放部材52の回転及び直線並進移動をもたらし得る。それに応じて、プランジャガイド60はカムとして機能することができ、解放部材52はカムフォロアとして機能することができる。いくつかの実施形態では、遠位に面するカム面88と同様の遠位に面するカム面が、プランジャガイド60の反対側に形成されてもよく、解放部材52上の異なる近位に面するカム面に係合するように構成されてもよい。
【0048】
ここで、図2図3図6、及び図7を参照して、解放部材52の構成について説明する。解放部材52は、中空の略円筒状又は管状の形状を有してもよく、長手方向軸Aを中心にセンタリングされてもよい。図2に示されるように、解放部材52は、プランジャガイド60の遠位端とガード延長部37の近位端との間に半径方向に配置されてもよい。更には、解放部材52は、ガード付勢部材35の半径方向内側に配置されてもよい。一般に、解放部材52は、作動シーケンスにおいて、ガード部材32とプランジャ26とを動作可能に結合し、薬物送達の終了を示す可聴信号を生成するように構成されている。そのように構成されることで、解放部材52は、2つの別個の機能を実行し、したがって薬物送達デバイス10により必要とされる可動部品の数を減らすために利用される。
【0049】
解放部材52は、薬物送達デバイス10の操作段階に応じて、ハウジング12に対して回転するように、及び/又はハウジング12に対して直線的に並進移動するように構成されてもよい。プランジャ付勢部材50及び/又はガード付勢部材35により、作動に関連する解放部材52の初期的な回転が、動力供給されてもよい一方で、投薬終了信号の生成に関連する解放部材52のその後の回転が、ガード付勢部材35によってのみ動力供給されてもよい。回転を伴わない解放部材52のいかなる直線並進移動も、ガード付勢部材35によってのみ動力が供給されてもよい。いくつかの実施形態では、解放部材52は、近位方向にのみ直線的に並進移動してもよいが、代替的実施形態は、近位方向及び遠位方向の両方への解放部材52の直線並進移動を許可してもよい。
【0050】
解放部材52は、遠位端及び近位端を有する環状壁90を有してもよい。一般に、環状壁90の遠位端は、駆動機構30の作動を手助けするように構成され、環状壁90の近位端は、可聴の投薬終了信号を生成するように構成される。図2に示されるように、環状壁90の外側部分に形成された遠位に面する出っ張り又は表面91が、ガード付勢部材35の近位端に当接してもよい。したがって、ガード付勢部材35は、解放部材52に付勢力を加えて、解放部材52を近位方向に押し付けてもよい。
【0051】
図6を参照して、解放部材52の環状壁90の内側部分に凹部92が形成されてもよい。本実施形態では、凹部92は、環状壁90の内面に形成された溝の形態をとる。他の実施形態では、凹部92は、環状壁90の内面と外面との間に延びる貫通穴、開口部、又はスロットの形をとってもよい。凹部92は、その長さ又は最長寸法が長手方向軸Aに平行になるように配置されてもよい。更には、凹部92は、トップリング45の突起48のうちの1つを嵌合して又はぴったりと収容するように寸法決めされてもよい。凹部92は、突起48が解放部材52に対して長手方向軸Aに平行に直線的に摺動することを許可してもよいが、突起48が解放部材52に対して長手方向軸Aを中心に回転することを防止するように構成されてもよい。これは、凹部92と突起48との間に回転方向に遊びが僅かしか存在しないように、凹部92を突起48の幅より僅かに大きい幅で形成することにより実現できる。突起48と凹部92との間の嵌合係合に起因して、解放部材52及びプランジャ26は、互いに回転方向にロックされ得る。したがって、突起48が凹部92内に収容されているときは、解放部材52はプランジャ26と共に一緒に回転してもよく、突起48が凹部92内に収容されていないときは、解放部材52は、プランジャ26とは独立して回転できてもよい。いくつかの実施形態では、凹部92と同様の凹部が、解放部材52の反対側に形成されてもよく、トップリング45の突起48のうちの異なる1つを収容するように構成されてもよい。
【0052】
長手方向軸Aを中心として回転する解放部材52の能力は、解放部材52の環状壁90の外側部分とガード延長部37の内側部分との間の相互作用により調節されてもよい。より具体的には、プランジャ付勢部材50の付勢力が、突起48のカム面49をプランジャガイド90のカム面84に連続的に押し付け、それにより、突起48を長手方向軸Aを中心として回転させてもよい。突起48は、凹部92内に嵌合して収容されているので、解放部材52もまた、プランジャ付勢部材50の付勢力の下で回転するように促進されてもよい。加えて、いくつかの実施形態では、解放部材52は、解放部材52の近位端とプランジャガイド60との間のカム配置を介して、ガード付勢部材35の付勢力によって回転するように促進されてもよい。これらの付勢力にもかかわらず、送達前状態では、解放部材52は、解放部材52の環状壁90の外側部分と、ガード延長部37の内側部分とに含まれる様々な協働する当接構造により、回転することが防止される。これらの当接構造の相対的な軸方向位置に応じて、当接構造が互いに係合して、解放部材52がガード延長部37に対して回転することが防止されてもよく、又は、当接構造が互いに係合解除されて、解放部材52がガード延長部37に対して回転することが可能になってもよい。本実施形態では、これらの協働する当接構造は、解放部材52から外向きに延びる1つ以上の突起94、及びガード延長部37から内向きに延びる1つ以上の対応する突起96、の形態をとってもよく、これらは、互いに摺動可能に係合して、長手方向軸Aに沿った直線方向の相対移動が可能になり、同時に互いに当接して係合して、長手方向軸Aを中心とする相対的な回転移動が防止される。特定の代替的実施形態では、協働する当接構造は、解放部材52の外面に形成された1つ以上の凹部、及びガード延長部37から内向きに延びる1つ以上の対応する突起、の形態をとってもよく、これらは、互いに摺動可能に係合して、長手方向軸Aに沿った直線方向の相対移動が可能になり、同時に互いに当接して係合して、長手方向軸Aを中心とする相対的な回転移動が防止される。特定の他の代替的実施形態では、協働する当接構造は、解放部材52から外向きに延びる1つ以上の突起、及びガード延長部37の内面に形成された1つ以上の対応する溝、の形態をとってもよく、これらは、互いに摺動可能に係合して、長手方向軸Aに沿った直線方向の相対移動が可能になり、同時に互いに当接して係合して、長手方向軸Aを中心とする相対的な回転移動が防止される。
【0053】
上述したように、ガード延長部37は、ハウジング12に結合している結果として、長手方向軸Aを中心として回転することが防止される。これは、解放部材52の外側部分の突起94がガード延長部37の内側部分の突起96と係合したときに、長手方向軸Aを中心とする解放部材52の回転を防止する効果を有する。解放部材52が回転できない場合、解放部材52の内面に形成された凹部92に収容された突起48も回転することができない。突起48が回転できない場合、突起は、第1の開口部82から滑り出てプランジャガイド60にある第2の開口部86の中に入ることができない。このように突起48が移動できない場合、プランジャ26も移動できない。プランジャ26が移動できない場合、プランジャ付勢部材50は、伸展して付勢を解放することができない。したがって、ガード延長部37が軸方向位置に移動するまで、解放部材52はプランジャ付勢部材50を付勢状態に保持し、その状態では、協働する、解放部材52の外側部分にある当接構造と、ガード延長部37の内側部分にある当接構造とが、互いに係合解除され、それにより解放部材52がガード延長部37に対して回転することが可能になる。
【0054】
この保持機能に加えて、解放部材52はまた、薬物送達又は投薬が完了したことをユーザに示す可聴信号を生成するために使用されてもよいが、解放部材52がこのインジケータ機能を有する必須ではない。本実施形態では、解放部材52の近位端がインジケータを画定する。したがって、本実施形態では、インジケータ及び解放部材52は同じ構成要素である。代替的実施形態では、インジケータは、解放部材52から分離されてはいるが解放部材52にしっかりと取り付けられている構造により画定される。
【0055】
初期的には、解放部材52の近位に面する端面97とプランジャガイド60の近位端の遠位に面する当接面98との間にギャップが存在してもよい。可聴信号を生成するために、解放部材52がガード付勢部材35により、近位方向に駆動されてこのギャップが閉じられ、したがって解放部材52の近位に面する端面97を、プランジャガイド60の近位端の遠位に面する当接面98に衝突させてもよい又はぶつけてもよい。この衝撃により、クリック音若しくはスラップ音、又はユーザが認識できる他の適切な可聴信号が生成されてもよい。可聴信号は、ストッパ24が投薬終了位置に到達するのと同時に又は実質的に同時に生成されてもよい。それに応じて、可聴信号は、薬物送達又は投薬が完了したことをユーザに示し得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、薬物送達デバイス10と共に提供される指示書により可聴信号の重要性を通知されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの指示書は、薬物送達デバイス10と一緒にパッケージ化されたIFUパンフレットの形態をとってもよい。いくつかの実施形態では、ユーザは、ウィンドウ17を通してストッパ24及び/又はプランジャ26の移動を監視することにより、薬物送達が完了したという追加の確認を得てもよい。いくつかの実施形態では、可聴信号は、解放部材52がプランジャガイド60にぶつかった結果として生成される振動又は他の触覚フィードバックを伴ってもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、可聴信号を生成させるための解放部材52の移動は、長手方向軸Aを中心とする解放部材52の回転、及び解放部材52の近位方向への直線並進移動の両方を伴ってもよい。これは、解放部材52とプランジャガイド60との間のカム構成により実現されてもよい。本実施形態では、解放部材52の近位端は、プランジャガイド60の環状壁80にある遠位に面するカム面88に摺動可能に係合する、近位に面するカム面99を含む。ガード付勢部材35の付勢力が、解放部材52の近位に面するカム面99をプランジャガイド60の遠位に面するカム面88に押し付けてもよい。その結果、解放部材52の近位に面するカム面99は、一般に螺旋状の経路をたどって、プランジャガイド60の遠位に面するカム面88に沿って摺動するように促進されてもよい。許可される場合、この摺動運動は、静止したプランジャガイド60に対する解放部材52の回転及び直線並進移動をもたらし得る。それに応じて、プランジャガイド60はカムとして機能することができ、解放部材52はカムフォロアとして機能することができる。いくつかの実施形態では、近位に面するカム面99と同様の近位に面するカム面が、解放部材52の反対側に形成されてもよく、プランジャガイド60上の異なる遠位に面するカム面に係合するよう構成されてもよい。
【0057】
ガード付勢部材35は、解放部材52の近位に面するカム面99をプランジャガイド60の遠位に面するカム面88に沿って摺動させるように連続的に押し付けてもよいが、そのような移動は、プランジャ26の突起48と解放部材52に形成された凹部92との間の相互作用により制限される場合がある。より具体的には、突起48が凹部92内に収容され、したがってプランジャ26及び解放部材52が一緒に回転するように構成されているとき、プランジャ26の回転は、解放部材52の近位に面するカム面99がプランジャガイド60の遠位に面するカム面88に沿って摺動することを可能にしてもよく、それにより、長手方向軸Aを中心とする解放部材52の回転及び近位方向への解放部材52の直線並進移動がもたらされる。逆に、例えば、突起48がプランジャガイド60に形成された第2の開口部86に収容されているために、突起48が凹部92内に収容され、突起48が回転できない場合、解放部材52の近位に面するカム面99は、プランジャガイド60の遠位に面するカム面88に沿って摺動することができない。以下に説明するように、ストッパ24が投薬終了位置に到達すると、突起48は凹部92の遠位端から滑り出てもよい。その結果、解放部材52は、長手方向軸Aを中心に自由に回転できる。これにより、ガード付勢部材35が、解放部材52の近位に面するカム面99を押して、プランジャガイド60の遠位に面するカム面88に沿って摺動することが可能になり、それにより、解放部材52の近位に面する端面97とプランジャガイド60の近位端の遠位に面する隣接面98との間のギャップが閉じて、近位に面する端面97が、遠位に面する当接面98にぶつかるか又は当接面98に接触して、薬物送達終了を示す可聴信号を生成して終了する。
【0058】
前述の実施形態は、投薬終了信号を生成するのに必要な作動エネルギーを提供するためにガード付勢部材35を利用するが、代替的実施形態は、この目的のためにガード付勢部材35とは別個の付勢部材を利用してもよい。特定のそのような実施形態では、この追加の付勢部材は、ハウジング12に対して固定された遠位端と、解放部材52の遠位に面する表面に当接する近位端とを有してもよい。したがって、付勢部材は、ハウジング12を押し付けて伸び、解放部材52に対して近位方向に付勢力を加えることができる。更には、この付勢部材は、プランジャ付勢部材50及びガード付勢部材35とは独立して操作することができる。
【0059】
薬物送達デバイス10の一般的な構成について説明したので、次に、薬物送達デバイス10を使用して注射を行う方法を、図9A図12Eを参照して説明する。予備ステップとして、ユーザは薬物送達デバイス10をビニール袋及び/又は段ボール箱などの何らかの二次パッケージから取り出してもよい。また、予備ステップとして、ユーザは、例えばアルコールワイプで患者の皮膚をこすることにより、注射部位を準備してもよい。次に、ユーザは、除去可能キャップ19を前部ハウジング25から引っ張って取り外してもよい。この動きの結果として、グリッパ13は、滅菌バリア21を薬物貯蔵容器20から引っ張って取り外してもよい。これにより、送達部材16の挿入端28がむき出しになり得る。それでもやはり、ガード部材32が伸長位置に配置されているので、送達部材16の挿入端28は、この段階ではガード部材32に囲まれたままである。次に、ユーザは、薬物送達デバイス10を注射部位上に配置し、次いで、ガード部材32の遠位端を注射部位に押し付けてもよい。ユーザにより加えられる力は、ガード付勢部材35の付勢力及びロックリング付勢部材51の付勢力に打ち勝つことになり、それにより、ガード部材32が伸長位置から後退位置へと近位方向に移動して開口部14の中に後退する。送達部材16は、ガード部材32の後退移動の間、ハウジング12に対して静止したままである。
【0060】
ガード部材32が伸長位置から後退位置に移動することにより、いくつかの動作が発生してもよい。送達部材16は、ガード部材32の後退している間、ハウジング12に対して静止したままであるため、送達部材16の挿入端28は、ガード部材32の遠位端にある開口部を通って延び、それにより、注射部位における患者の皮膚に穿刺され患者の皮下組織中に侵入する。加えて、ガード部材32の後退はまた、以下に記載されるように、駆動機構30を作動させて、薬物22を薬物貯蔵容器20から放出させてもよい。
【0061】
ニードルガード32の後退前の送達前状態では、図9A図9Eに示されるように、プランジャ26及び解放部材52はそれぞれ、対応する初期回転位置に配置されてもよい。ここで、プランジャ26のトップリング45の突起48は、プランジャガイド60における第1の開口部82を通って延びてもよく、解放部材52の凹部92内に収容されてもよい。また、ニードルガードの後退前に、プランジャ付勢部材50は付勢状態にあってもよい。その結果、プランジャ付勢部材50は、遠位に向けられた付勢力をプランジャ26に加えてもよく、この付勢力は、遠位に面するカム面49を突起48に押し付けて、プランジャガイド60の近位に面するカム面84に沿って摺動させる。結果として生じるカム動作により、図9A及び図9Eにおける時計回り方向にプランジャ26が回転するように促進されてもよい。いくつかの実施形態では、プランジャ26はまた、ガード付勢部材35が解放部材52の近位に面するカム面99をプランジャガイド60の遠位に面するカム面88に対して押し付ける結果、回転してもよい。これらの付勢力にもかかわらず、解放部材52及びプランジャ26はいずれも送達前状態では回転しない。これは、図9Dに示されるように、解放器50の外側部分にある半径方向外向きに延びる突起94の各々が、ガード延長部37の内側部分にある半径方向内向きに延びる対応する突起96に当接するからである。ガード付勢部材37は、ハウジング12に対する回転が固定されているので、突起94及び96の当接係合は、解放部材52が回転することを防止する。それにより、突起48が解放部材52の凹部92内に収容されることに起因して、プランジャ26の回転が防止される。プランジャ26が回転できないということは、突起48が第1の開口部82から摺動して出て第2の開口部86の中に入り、そこで突起48が遠位方向に直線的に自由に並進移動することができないことを意味する。それに応じて、解放部材52、プランジャガイド60、ガード延長部37、及びハウジング12は、互いに連動して動作して、ガード部材32の後退前にプランジャ付勢部材50を付勢状態に保持する。
【0062】
ガード部材32が伸長位置から後退位置に移動すると、ガード部材32は、ガード延長部37を図9Cに示す位置から図10Cに示す位置へと近位方向に押し付けてもよい。ガード延長部37の近位への移動中、突起96及び98は、最終的に突起96及び98が互いに接触しなくなるまで、互いに摺動して離れてもよい(図10C及び図10D)。それが起こると、解放部材52は、長手方向軸Aを中心に自由に回転することができる。この段階での解放部材52の回転は、図10A及び図10Bに示すように、プランジャ付勢部材50が伸展し、突起48上の遠位に面するカム面49を押して、プランジャガイド60の近位に面するカム面84に沿って摺動することにより引き起こされる。結果として生じるカム動作により、突起48が回転し、それにより、突起48が凹部92内に収容されていることに起因して、解放部材52が一緒に回転する。この回転移動の間、プランジャ26は遠位方向に直線的に並進移動し、解放部材52は近位方向に直線的に並進移動する。プランジャ26の遠位方向への並進移動は、プランジャガイド60の近位に面するカム面84の下向きに傾斜した角度に起因するものであり、その傾斜に沿って、プランジャ26の突起48が、プランジャ付勢部材50の遠位に向けられた付勢力の下で摺動する。解放部材52の近位方向への並進移動は、ガード付勢部材35により解放部材52に加えられた近位方向に向けられた付勢力に起因するものである。いくつかの実施形態では、解放部材52の近位への並進移動中に、解放部材52の近位に面するカム面99は、プランジャガイド60の遠位に面するカム面88に対して摺動してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、突起48上の遠位に面するカム面49とプランジャガイド60の近位に面するカム面84との間のカム動作が、減衰効果を提供し得る。より具体的には、これらの2つの表面間の滑り摩擦は、プランジャ付勢部材50の初期的な伸展を遅らせるように選択されてもよい。その結果、プランジャ26の速度は、プランジャ付勢部材50の自由な阻止されていない伸展と比較して、プランジャ付勢部材50の初期伸展中に低下する可能性がある。プランジャ26の速度が低下すると、プランジャ26が、より小さい力でストッパ24に衝突する場合があり、これにより、薬物貯蔵容器20への構造的損傷の可能性が減少する、及び/又はユーザにとってより快適な注射が促進される。
【0064】
解放部材52とプランジャ26とが一緒に回転することは、図11A及び図11Bで分かるように、突起48がプランジャガイド60の近位に面するカム面84から摺動して離れるまで継続し得る。このとき、突起48は、第1の開口部82から出て第2の開口部86の中に入る。第2の開口部86の側壁は突起48を滑らせてしっかりと収容し、それらの間には回転遊びが殆どないか又は全くないようになっている。それに応じて、突起48が第2の開口部86内に収容されている間、突起48とプランジャ26の残りの部分とは、回転することが防止され得る。突起48の端部は、依然として解放部材52の凹部92内に収容されているので、解放部材52もまた、この段階で防止することができる。第2の開口部86は、突起48の直線的な移動を阻止しない。それに応じて、突起48は、プランジャ26の残りの部分と共に、伸展するプランジャ付勢部材50により駆動されて、遠位方向に直線的に並進移動する。その結果、プランジャ26のベース47はストッパ24に接触し、その後、ストッパ24を遠位方向に押して、薬物22を薬物貯蔵容器20から放出させ送達部材16を通して挿入端から出して患者の組織28に入れる。
【0065】
薬物送達は、ストッパ24が投薬終了位置に到達するまで継続し得る。このとき、ストッパ24は、薬物貯蔵容器20の壁の内面15の近位に面する部分に当接し得る。その結果、プランジャ26は遠位方向への移動を停止する。図12Bに示されるように、ストッパ24が投薬終了位置に到達するのと同時に又は実質的に同時に、突起48は、解放部材52にある凹部92から滑り出てもよい。その結果、解放部材52はこのとき、長手方向軸Aを中心に自由に回転する。この段階での解放部材52の回転は、ガード付勢部材35が伸展し、解放部材52の近位に面するカム面99を押して、プランジャガイド60の遠位に面するカム面88に対して摺動することにより引き起こされる。結果として生じるカム動作により、解放部材52は回転し、近位方向に直線的に並進移動する。この動きは、解放部材52の近位に面する端面97がプランジャガイド60の近位端の遠位に面する当接面98にぶつかるまで続いてもよい(図12E)。この衝撃により、薬物送達が完了したことをユーザに示す可聴信号が生成されてもよい。
【0066】
薬物送達が完了したという、ある程度の確証により、ユーザはそのとき、薬物送達デバイス10を注射部位から持ち上げてもよい。ガード付勢部材35に抵抗するものが何もないので、ガード付勢部材35は、ガード部材32を後退位置から伸長位置に押して、送達部材16の挿入端28を覆うことができる。いくつかの実施形態では、ガード部材32のこの移動がロックリング40を、その後のガード部材32の後退を防止する位置に回転させてもよい。
【0067】
前述した内容から、本開示は好都合にも、自動化された特徴を有する薬物送達デバイスのための合理化された設計を提供することが分かる。薬物送達デバイスの様々なメカニズム及び構成要素は、薬物送達デバイスに必要な可動部品の数を制限するように相乗的に相互作用し、それにより、薬物送達デバイスの信頼性を改善し、コストを節約し、並びに他の利益及び利点を提供することができる。
【0068】
例えば、ユーザ及び/又は製造業者のニーズ及び/又は好みに応じて、本明細書に記載の薬物送達デバイスに関して種々の外部形状因子が可能である。図13図16は、上述した薬物送達デバイス10と同じ又は類似の内部構成要素を有するが、異なる外部形態因子を有する薬物送達デバイス110の実施形態を示す。薬物送達デバイス10に含まれるものと機能が類似している薬物送達デバイス110のフィーチャには、同じ参照番号が割り当てられているが、100だけ増やしている。
【0069】
薬物送達デバイス110は、長手方向軸に沿って延びる概ね細長い形状を有する外部ケーシング又はハウジング112を含む。長手方向軸に沿った大部分の又は全ての位置において、ハウジング112は、ハウジング112が実質的に円筒形の形状を有するように、円形の断面を有してもよい。ハウジング112の壁に透明又は半透明の凹部117を配置して、ユーザが、例えば薬物貯蔵容器を含む、薬物送達デバイス110内の構成要素を見ることを可能にしてもよい。ハウジング112の遠位端において、除去可能キャップ119がハウジング112の開口部を覆ってもよい。除去可能キャップ119の内部は、上述したように、除去可能キャップ119がハウジング112から除去されたときに、針などの送達部材から滅菌バリア(例えば、剛性針シールド(RNS)、可撓性針シールド(FNS)など)を除去することを手助けするように構成されたグリッパを含んでもよい。ハウジング112及び除去可能キャップ119は、それぞれ、それらを引き離すときに、これら構成要素を把持するユーザの能力を改善するために、それらの外面に形成された複数のリブ105及び107を有してもよい。リブのそれぞれは、ハウジング112又は除去可能キャップ119の周囲の周りに全体的に又は部分的に延びてもよい。
【0070】
ハウジング112の円形の断面は、その側面を下にして配置したときに、表面上を転がって移動しやすい可能性がある。そのような転がりを阻止又は防止するために、除去可能キャップ119の一部分又は全体が非円形の断面を有してもよい。図13図16に示される実施形態では、除去可能キャップ119は、非円形の断面を有する遠位端と円形断面を有する近位端とを有する。したがって、除去可能キャップ119の断面は、除去可能キャップ119の近位端から除去可能キャップ119の遠位端に移動するときに、円形の断面から非円形の断面に徐々に移行する。図示した実施形態では、除去可能キャップ119の遠位端の非円形の断面は概ね正方形の形をとる。他の実施形態では、非円形の断面は、回転を阻止又は防止するために、除去可能キャップ119の1つ以上の面が平坦であるか又は実質的に平坦である限り、矩形、三角形、又は任意の他の多角形若しくは部分的に多角形の形状であってもよい。更に、除去可能キャップ119の遠位端の非円形の断面は、除去可能キャップ119の遠位端の最も遠位の部分が、除去可能キャップ119の遠位端の最も近位の部分よりもより大きな断面を有するように、遠位方向に移動するにつれてサイズが徐々に増加してもよい。この構成により、除去可能キャップ119の遠位端はフレア形状になり、それにより、ユーザが除去可能キャップ119を把持してハウジング112から引き離すことを手助けしてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、ハウジング112及び除去可能キャップ119はそれぞれ、対応する回転防止機構を含んでもよい。これらの回転防止機構は、除去可能キャップ119が図13に示されるような保管位置にあるときに、互いに係合して、除去可能キャップ119がハウジング112に対して回転することを防止又は抑制してもよい。いくつかの実施形態では、ハウジング112の回転防止機能は、除去可能キャップ119が保管位置にあるとき、除去可能キャップ119の回転防止機能に隣接して、概ね同一線上にあってもよい。図13図16に示される実施形態では、除去可能キャップ119の回転防止機能は、除去可能キャップ119の近位端において除去可能キャップ119の管状壁に形成された開口部108により提供され、ハウジング112の回転防止機能は、ハウジング112の遠位端から遠位方向に延びる軸方向突出部109により提供される。開口部108は、除去可能キャップ119が保管位置にあるときに、軸方向突出部109を嵌合して収容するように寸法決めされてもよい。この嵌合係合の結果、除去可能キャップ119は、ハウジング112に対して回転することができない場合がある。これは、ユーザが除去可能キャップ119をハウジング112から引き離す場合に、ユーザが除去可能キャップ119をひねろうとする場合に有益な場合がある。特定の場合において、除去可能キャップ119の回転は、RNS又はFNSなどの無菌バリアを回転させ、それにより、針の先端が、RNS又はFNS内のシール部材の中にコアリングする場合がある。したがって、少なくともキャップ除去の最初の瞬間の間に、軸方向突出部109を開口部108内に配置することにより、針のコアリングを防止することができる。代替的実施形態では、開口部108は、ハウジング112の壁に形成されてもよく、軸方向突出部109は、除去可能キャップ119の近位端から近位方向に延びてもよい。
【0072】
ここで図17A図21を参照して、ブレーキ部材を組み込んだ薬物送達デバイスの様々な実施形態について説明する。図17A図21に示される薬物送達デバイスの様々な要素は、図1図12Eに関連して上述した薬物送達デバイス10の要素に機能及び/又は構造において類似していてもよい。このような要素には、図1図12Eで使用されているものと同じ参照番号が割り当てられているが、100又はその倍数だけ増やしている。図17A図21に示される実施形態を図1図12Eにおける実施形態から区別する構造及び/又は機能の詳細が以下の議論の焦点である。図17A図21には示されていない場合があるが、薬物送達デバイス10の構成要素又はこれらの構成要素の変形形態が、特定の薬物送達デバイスの設計がこれら構成要素又はその変形形態を含むことを妨げない限り、図17A図21に関連して説明される様々な薬物送達デバイスに含まれてもよい。
【0073】
ブレーキ部材を含めることは、少なくとも、送達前又は保管状態においてプランジャの遠位端がストッパの近位端からギャップにより間隔をおいて配置されている薬物送達デバイスにおいて、有利である。一例として、図17Aは、プランジャ226の遠位端がストッパ224の近位端からギャップ(例えば、軸方向距離)により間隔をおいて配置されている、送達前又は保管状態にある薬物送達デバイス210を示す。ギャップは、例えば、薬物貯蔵容器が特定量の薬物で充填されていること、設計公差、及び/又は製造上の考慮事項の結果であり得る。ギャップゆえに、プランジャ付勢部材の解放時に、プランジャは、極めて大きな速度まで加速され、極めて大きな力でストッパにぶつかり得る。これにより、衝撃又は衝撃波を生成する場合があり、場合によっては、ガラス製の薬物貯蔵容器の壁を粉砕又は損傷する及び/又はユーザを驚かせる場合がある。加えて、プランジャ付勢部材がばねである実施形態では、プランジャ付勢部材の出力の力は、プランジャ付勢部材の解放後の最初の瞬間において最大になり得る。その結果、プランジャは、ストッパにぶつかるまで極めて大きな速度に達する場合がある。
【0074】
以下に説明する実施形態は、少なくとも、プランジャが移動してプランジャとストッパとの間の初期ギャップを閉じている間に、プランジャの遠位方向への移動に抵抗するように構成されたブレーキ部材を組み込んでいる。ブレーキ部材により提供される抵抗の結果として、プランジャ付勢部材の初期的な伸展中におけるプランジャの速度は、プランジャ付勢部材が妨げられることなく自由に伸展することが可能な場合のプランジャの速度と比較して低下する場合がある。プランジャの速度の低下は、プランジャがストッパにぶつかる力の量を制限する効果があり、それにより、薬物貯蔵容器への構造的損傷の可能性が減少し、更にユーザ又は患者にとって、より快適な注射が促進される。いくつかの実施形態では、ブレーキ部材は、プランジャがストッパにぶつかるのと同時に又はほぼ同時に、プランジャの移動に抵抗することを止めてもよい一方で、他の実施形態では、ブレーキ部材は、プランジャがストッパにぶつかった後に、例えばプランジャのストローク全体にわたる範囲を含めて、遠位方向へのプランジャの移動に抵抗し続けてもよい。いくつかの実施形態では、遠位方向へのプランジャの移動により、プランジャ及び/又はブレーキ部材が薬物貯蔵容器及び/又は薬物送達デバイスのハウジングの長手方向軸を中心として回転するように、ブレーキ部材が動作可能に(例えば、相互作用的に)プランジャに結合されてもよい。プランジャ及び/又はブレーキ部材の静止時の回転慣性に打ち勝ち、回転を開始させるのに必要な力は、プランジャを遠位方向に駆動するために利用可能な力の量を減少させる場合があり、したがって、プランジャの遠位方向の速度を制限する場合がある。そのように構成されることで、ブレーキ部材は、プランジャの遠位方向への移動に関連する運動エネルギーを放散させるという点で、ダンパのように動作することができる。いくつかの実施形態では、ブレーキ部材は、プランジャの直線運動を、回転運動に加えて、熱及び/又は他の形態のエネルギーに変換することができる。
【0075】
図17A及び図17Bは、プランジャ226に動作可能に結合されたブレーキ部材270を含む薬物送達デバイス210を示す。ブレーキ部材270は、プランジャ226の少なくとも一部分を取り囲んでもよく、例えば、リング、中空管などの環状形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、ブレーキ部材270の環状形状は、長手方向軸Aに沿ってセンタリングされてもよい。ブレーキ部材270とプランジャ226との間の動作可能な結合は、プランジャ226が長手方向軸Aに沿って遠位方向に移動することにより、ブレーキ部材270が回転するようなものであってもよい。一例として、ブレーキ部材270は、プランジャ226とブレーキ部材270との間の相対的な軸方向移動が、長手方向軸Aを中心とするブレーキ部材270の回転を引き起こすように、プランジャ226にねじ込み式に係合してもよい。より具体的な例として、図17Bで分かるように、ブレーキ部材270は、プランジャ226のねじ付き外面226aと係合するねじ付き内面270aを有してもよい。プランジャ226が遠位方向に移動する際に、プランジャ226にブレーキ部材270を回転させるように要求することにより、ブレーキ部材270は、プランジャ226の遠位方向への移動に抵抗してもよい。いくつかの実施形態では、ブレーキ部材270のねじ付き内面270a及び/又はプランジャ226のねじ付き外面226aの軸方向長さは、プランジャ226のストロークの全体又は実質的に全体にわたって、ブレーキ部材270がプランジャ226の遠位への移動に抵抗するようなものであってもよい。他の実施形態では、ブレーキ部材270のねじ付き内面270a及び/又はプランジャ226のねじ付き外面226aの軸方向長さは、プランジャ226のストロークの限定された部分にわたって、例えば、プランジャ226がプランジャ226とストッパ224との間のギャップを閉じる、ストロークの一部分にわたってのみ、ブレーキ部材270がプランジャ226の遠位への移動に抵抗するようなものであってもよい。
【0076】
プランジャ226が、ブレーキ部材270との相互作用の結果として、長手方向軸Aを中心に回転することを防止するために、プランジャ226とハウジング212との間にスプライン接続が形成されてもよい。スプライン接続は、プランジャ226の回転を防止してもよい一方で、プランジャ226の軸方向移動を許容してもよい。一例として、スプライン274は、プランジャ226の近位端の外面に形成されてもよく、ハウジング212の内面に形成された又はハウジング212に対する回転が固定された構成要素に形成された、スプラインと嵌合してもよい。
【0077】
送達前又は保管状態では、ブレーキ部材270は回転するのが防止されてもよく、その結果、プランジャ226は、ブレーキ部材270とのねじ式結合に起因して、プランジャ付勢部材250の付勢力の下で遠位方向に移動することが防止されてもよい。一例として、薬物送達デバイス210は、プランジャ226及び/又はハウジング212に対するブレーキ部材270の回転を選択的に防止するロック272を含んでもよい。より具体的な例として、薬物送達デバイス210はロック272を含んでもよく、ロック272は、(図17A及び図17Bに見られるような)ロック272がブレーキ部材270の回転を防止する初期位置と、ロック272がブレーキ部材270の回転を防止しない第2の位置とを有する。いくつかの実施形態では、ロック272は回転式ロックであってもよい。ロック272は、いくつかの実施形態では、初期位置から第2の位置に移動する際に近位方向に移動してもよい。加えて又は代わりに、ロック272は、初期位置から第2の位置に移動するときに、半径方向に外向きに偏向してもよい。いくつかの実施形態では、そのような偏向は、弾力的(例えば、弾性的)材料のロック272を構築することにより実現することができ、このロックは、別個のブロッキング構成要素が除去された後、プランジャ付勢部材250の付勢力の下で遠位方向に移動するロック272とプランジャ226との間のカム動作の結果として、自然に元の形状に戻る及び/又は曲がる。
【0078】
いくつかの実施形態では、ロック272は、ガード部材232に動作可能に結合され、その結果、ガード部材232を伸長位置から後退位置に移動させることにより、ロック272は初期位置から第2の位置に移動し、それにより、ブレーキ部材270の回転が解除され、したがってプランジャ付勢部材250の軸方向への伸展が可能になり、プランジャ226は遠位方向に駆動されて、薬物が薬物貯蔵容器220から放出される。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、薬物送達デバイス210は、以下のように動作してもよい。初期的には(例えば、送達前又は保管状態では)、ロック272がブレーキ部材270の回転を防止するように、ロック272は初期位置に配置されてもよい。この時点で、プランジャ付勢部材250は、プランジャ226を遠位方向に押し付けてもよい。しかしながら、プランジャ226と、現在回転ロックされているブレーキ部材270との間のねじ式係合に起因して、プランジャ226は遠位方向に移動することが防止されてもよい。続いて、ユーザは、ガード部材232の遠位端を注射部位における皮膚に押し付けてもよい。これにより、ガード部材232は伸長位置から後退位置に移動して、ハウジング212内へと後退してもよい。この移動の結果として、ガード部材232は、ロック272が初期位置から第2の位置に移動するように、ロック272を近位方向に押し付けてもよい。第2の位置では、ロック272は、ブレーキ部材270が自由に回転できるように、ブレーキ部材270から係合解除されてもよい。次いで、プランジャ付勢部材250は伸展し始め、プランジャ226を遠位方向に押し付けて、プランジャ226とストッパ224との間のギャップを閉じる。プランジャ226とブレーキ部材270との間のねじ式結合に起因して、プランジャ226が移動してプランジャ226とストッパ224との間のギャップを閉じている間に、プランジャ226の遠位方向への並進移動がブレーキ部材270を回転させる。ブレーキ部材270の回転は、プランジャ付勢部材250により出力された運動エネルギーの一部分を吸収し、プランジャ226を遠位方向に駆動するための運動エネルギーは低減される。結果として、遠位方向へのプランジャ226の速度は、少なくとも、プランジャ226の遠位端がストッパ224の近位端にぶつかる瞬間において、ブレーキ部材270が含まれていない場合の速度よりも遅い。プランジャ付勢部材250は、ストッパ224に接触した後、プランジャ226を遠位方向に押し付け、それにより、ストッパ224は、薬物を薬物貯蔵容器220から出し、送達部材(例えば、針)を通して患者の体内に入れる。プランジャ226がストッパ224に接触した後、ブレーキ部材270は回転し続けてもよいが、これは必須ではない。
【0080】
図18A及び図18Bは、構造及び/又は機能が図17A及び図17Bにおける薬物送達デバイス210に類似している薬物送達デバイス310の実施形態を示す。図18A及び図18Bにおける薬物送達デバイス310を、図17A及び図17Bにおける薬物送達デバイス210から区別する構造及び/又は機能の詳細が以下で説明される。
【0081】
薬物送達デバイス310は、互いに作動可能に結合されたプランジャ326及びブレーキ部材370を含み、プランジャ326が遠位方向に移動すると、ブレーキ部材370がプランジャ326を回転させるようになっている。一例として、ブレーキ部材370は、図18Bで分かるように、プランジャ326の近位端において、ねじ付き外面326aにねじ式に係合するねじ付き内面370aを有してもよい。ブレーキ部材370は、ブレーキ部材370が長手方向軸Aを中心に回転することが防止されるように、ハウジング312に対する回転が固定されてもよい。いくつかの実施形態では、ブレーキ部材370は、ハウジング312の一部分であってもよく、例えばハウジング312の後部カバーであってもよい。ブレーキ部材370は回転しないので、ブレーキ部材370とプランジャ326との間のねじ式結合は、プランジャ326が遠位方向に移動するときにプランジャ326を回転させる。プランジャ326の回転は、プランジャ付勢部材350により出力された運動エネルギーの一部分を吸収し、プランジャ326を遠位方向に駆動するための運動エネルギーは低減される。その結果、遠位方向へのプランジャ326の速度は、ブレーキ部材370が含まれていない場合よりも遅くなる。プランジャ326が遠位方向に特定の距離を移動した後、プランジャ326のねじ付き外面326aは、もはや、ブレーキ部材370のねじ付き内面370aに接触することはない可能性がある。これが起こると、プランジャ326は回転を停止する場合がある。いくつかの実施形態では、ブレーキ370のねじ付き内面370aの軸方向長さは、プランジャ326の遠位端とストッパ324との間の初期ギャップの軸方向長さと等しいか又は実質的に等しくてもよい。その結果、プランジャ326は、プランジャ326がストッパ324にぶつかるのと同時に又はほぼ同時に回転を停止してもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、プランジャ付勢部材350は、プランジャ326と一緒に回転してもよい。そのような実施形態では、プランジャ付勢部材350の近位端に接触していてもよいプランジャ付勢部材座面338の近位端がベアリングとして構成されてもよい。例えば、プランジャ付勢部材座面338の近位端は、プランジャ付勢部材座面338がブレーキ部材370及び/又は後部ハウジング327に対して回転できるように、ブレーキ部材370及び/又は後部ハウジング327に回転可能に結合されてもよい。それに応じて、プランジャ付勢部材350、プランジャ326、及びプランジャ付勢部材座面338は、プランジャ326とブレーキ部材370との間のねじ式結合の結果としてプランジャ326が回転するときに、一緒に揃って回転してもよい。
【0083】
ブレーキ部材370は、ガード付勢部材335の近位端に結合されてもよい。一例として、図18Bで分かるように、ガード付勢部材335の近位端は、ブレーキ部材370に接して着座していてもよい。より具体的な例として、図18Bで分かるように、ガード付勢部材335は、ブレーキ部材370の遠位端を取り囲んでいてもよく、ガード付勢部材335は、ブレーキ部材370から半径方向外向きに延びるフランジに接して着座している近位端を有してもよい。
【0084】
薬物送達デバイス310は、ロック370を更に含んでもよい。ロック370は、送達前又は保管状態においてプランジャ326が回転することを防止することを除いて、上述したロック270と同様であってもよい。回転する能力がない場合、プランジャ326とブレーキ部材370との間のねじ式結合に起因して、プランジャ326が遠位方向に移動することが防止され得る。それに応じて、ロック370は、ロック370がプランジャ326から係合解除されるまで薬物送達を防止することができ、これは、ガード部材332の後退に応答して起こり得る。ロック370は、図18Bで分かるように、ガード付勢部材335とガード部材332との間に配置されてもよい。ガード付勢部材335は、ロック370を遠位方向に押し付けることができ、ロック370は次いで、ガード部材332を伸長位置に向かって押し付けることができる。
【0085】
図19A及び図19Bは、構造及び/又は機能が図18A及び図18Bにおける薬物送達デバイス310に類似している薬物送達デバイス410の実施形態を示す。図19A及び図19Bにおける薬物送達デバイス410を、図18A及び図18Bにおける薬物送達デバイス310から区別する構造及び/又は機能の詳細が以下で説明される。
【0086】
薬物送達デバイス410は、薬物送達デバイス410の後部ハウジング427の一部であるブレーキ部材470を含んでもよい。一例として、ブレーキ部材470は、図19Bで分かるように、後部ハウジング427の近位端から半径方向内向きに延びる環状フランジにより画定されてもよい。このフランジの内面が、ブレーキ部材470のねじ付き内面470aを画定してもよい。
【0087】
ブレーキ部材470は、ガード付勢部材435の近位端に結合されてもよい。一例として、図19Bで分かるように、ガード付勢部材435の近位端は、ブレーキ部材470の遠位に向けられた端面に接して着座していてもよい。
【0088】
図17A図19Bに関連して説明された前述の実施形態は、プランジャの外側部分に係合するブレーキ部材を利用している一方で、図20及び図21に関連して以下に説明する実施形態は、プランジャの内側部分に係合するブレーキ部材を利用している。薬物送達デバイスの設計に応じて、ブレーキ部材のこの構成は有利になる可能性がある。例えば、プランジャが中空であり、プランジャ付勢部材が少なくとも部分的にプランジャ内に配置されている実施形態では、ブレーキ部材がプランジャの内側部分に係合するように、ブレーキ部材を構成することにより、他の方法において可能な場合よりも、プランジャをより大きな直径で設計することが可能になる場合がある。これにより、より大きい直径を有するばねをプランジャ付勢部材のために使用することが可能になり得る。ばねの直径がより大きいことにより、薬物を放出するためにプランジャを駆動するときに、より大きな力を出力でき、これは、例えば特定の生物学的薬物などの、粘稠薬物を送達するために有益である。更に、ばねの直径がより大きいことにより、ばねにより出力される力を損なうことなく、ばねの軸方向長さを短くすることが可能になり得る。ばねの軸方向長さがより短いことにより、薬物送達デバイスの、より小さくよりコンパクトな設計が容易になる場合があり、これは、取り扱い、輸送、及び/又は保管の目的、又は他の目的のために望ましい場合がある。
【0089】
図20は、構造及び/又は機能が図19A及び図19Bにおける薬物送達デバイス410に類似している薬物送達デバイス510の実施形態を示す。図20における薬物送達デバイス510を、図19A及び図19Bにおける薬物送達デバイス410から区別する構造及び/又は機能の詳細が以下で説明される。
【0090】
薬物送達デバイス500は、軸方向チャンバを画定する略中空の管状形状を有するプランジャ526を含んでもよい。いくつかの実施形態では、軸方向チャンバは、プランジャ526の近位端及び遠位端がそれぞれ、プランジャ526の内部空間と連通する開口部を有するように、プランジャ526全体を通って延びてもよい一方で、他の実施形態では、軸方向チャンバは、例えばプランジャ526の遠位端が閉じられるように、プランジャ526の限定された部分を通って延びてもよい。
【0091】
プランジャ526の内部は、プランジャ付勢部材550を収容し、加えてブレーキ部材570とインターフェースするように構成されてもよい。一例として、プランジャ526の近位端はガイド574を画定してもよく、プランジャ526の遠位端はナット576を画定してもよい。図20に示されるように、ガイド574は、ナット576の内径又は他の寸法よりも大きい内径又は他の寸法を有してもよい。プランジャ付勢部材550は、少なくとも部分的にガイド574内に配置されてもよく、ナット576の近位に面する表面578に着座する及び/又は押し付けられる遠位端を有してもよい。環状ベアリング580は、プランジャ付勢部材550の遠位端とナット576の近位に面する表面578との間に配置されてもよく、プランジャ付勢部材550の軸方向への伸展中に、プランジャ526がプランジャ付勢部材550に対して回転することを可能にするように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、環状ベアリング580はワッシャを含んでもよい。他の実施形態では、環状ベアリング580は省略されてもよく、プランジャ付勢部材550の遠位端は、ナット576の近位に面する表面578と直接接触してもよい。ナット576は、ねじ付き内面526aを有してもよく、これは、以下でより詳細に説明するように、ブレーキ部材570のねじ付き外面570aにねじ式に係合する。図20に示される実施形態では、ナット576の遠位端は開口部を有する。いくつかの実施形態では、プラグは、この開口部内に配置されてもよく、ストッパの近位端に形成された凹部内に収容されるように構成された遠位端を有してもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、ガイド574及びナット576は、一体形成されて、単一の一体構造を画定してもよい。他の実施形態では、ガイド574及びナット756は、互いに固定された別個の構造であってもよい。特定のそのような実施形態では、ガイド574及びナット576は、異なる材料で作製されてもよい。例えば、ガイド574は金属で作製されてもよく、ナット576はプラスチックで作製されてもよく、又はその逆であってもよい。いくつかの実施形態では、ガイド574及びナット576を含むプランジャ526の全体が、金属、プラスチック、又は任意の他の適切な材料などの、単一の材料で作製されてもよい。
【0093】
ブレーキ部材570は、プランジャ526のストロークの少なくとも最初の部分の間に、ブレーキ部材570がプランジャ526の遠位方向への移動に抵抗するように、ナット576に動作可能に結合されてもよい。一例として、ブレーキ部材570は、後部ハウジング527に固定された近位端と、ナット576にねじ式に係合された遠位端と有する、ロッド又は他の細長い部材を含んでもよい。より具体的な例として、図20で分かるように、ブレーキ部材570は、プランジャ526の軸方向チャンバを通って延びてもよく、ナット576のねじ付き内面526aにねじ式に係合するねじ付き外面570aを含む遠位端を有してもよい。ブレーキ部材570とプランジャ526のナット576との間のねじ式結合の結果として、プランジャ526が遠位方向に移動するとき、ブレーキ部材570は、プランジャ526を長手方向軸Aを中心に回転させてもよい。プランジャ526が回転することを要求することにより、ブレーキ部材570が、プランジャ526の遠位方向への移動に抵抗することができ、したがって、ブレーキ部材570が省略された場合と比較して、プランジャ526の遠位方向への速度を低下させることができる。
【0094】
送達前又は保管状態(図20で見られる)では、プランジャ526は、プランジャ付勢部材550の付勢力の下で遠位方向に移動することが防止される。一例として、薬物送達デバイス510は、ロック572を含んでもよく、ロック572は、ロック572がプランジャ526の遠位方向への移動を防止する初期位置(図20)と、ロック572がプランジャ526の遠位方向への移動を防止しない第2の位置とを有する。より具体的な例として、ロック572は、概ね半径方向内向きに延びる1つ以上のアーム582を含んでもよく、アームは、送達前又は保管状態において、プランジャ526の外面に形成された1つ以上の対応する凹部584内に収容される。1つ以上の半径方向内向きに延びるアーム582は、送達前又は保管状態において、半径方向内向きに延びるアーム582を取り囲むトリガーリング586により、半径方向外向きに偏向することが防止されてもよい。トリガーリング586は、ガード部材(例えば、ガード部材32)に動作可能に結合されてもよく、その結果、ガード部材が近位方向に後退した時点で、トリガーリング586もまた近位方向に移動し、その結果、半径方向内向きに延びるアーム582が外向きに偏向することが、もはや防止されない。いくつかの実施形態では、そのようなたわみは、半径方向内向きに延びるアーム582を弾力的(例えば、弾性的)材料で構築することにより実現されてもよく、アームは、図20に示される遮断位置からトリガーリング586が抜け出た後に、プランジャ526がプランジャ付勢部材550により遠位方向に動かされる際に、半径方向内向きに延びるアーム582と、プランジャ526の対応する凹部584との間のカム動作の結果として、元の形状及び/又はたわみに自然に戻ってもよい。いくつかの実施形態では、トリガーリング586はガード部材の一部であってもよい一方で、他の実施形態では、トリガーリング586は、ガード部材とは別個であってもよい。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、薬物送達デバイス510は、以下のように動作してもよい。初期的には(例えば、送達前又は保管状態では)、図20に示すように、半径方向内向きに延びるアーム582がプランジャ526の対応する凹部584内に収容され、半径方向外向きにたわむことがトリガーリング586により防止されるように、ロック572は、その初期位置に配置されてもよい。この構成では、ロック572は、プランジャ付勢部材550の付勢力の下で、プランジャ526が遠位方向に移動することを防止することができる。続いて、ユーザは、ガード部材の遠位端を注射部位における皮膚に押し付けてもよい。これにより、ガード部材は近位方向にハウジング内に後退し、その結果、トリガーリング586がその初期遮断位置から出て近位方向に押し出される可能性がある。したがって、半径方向内向きに延びるアーム582は、半径方向外向きにたわんで、それらの対応する凹部584から出ることができる。引き続いて又は同時に、プランジャ526は、プランジャ付勢部材550の付勢力の下で遠位方向に並進移動し始めることができる。プランジャ526とブレーキ部材570との間のねじ式結合に起因して、プランジャ526の遠位方向への並進移動がプランジャ526を回転させることができる。この回転の結果として、プランジャ526は、ブレーキ部材570と相互作用している結果として、プランジャ526が回転する必要がなかった場合よりも遅い速度で遠位方向に移動することができる。プランジャ526の回転は、プランジャ526のねじ付き外面526aがロック572のねじ付き内面570aに接触したままである限り継続することができる。いくつかの実施形態では、プランジャ526の回転は、プランジャ526が薬物送達容器520内に配置されたストッパにぶつかるのと同時に又はほぼ同時に停止してもよい。
【0096】
図20に示される実施形態では、ナット576の近位端がガイド574の遠位端に固定されている。代替的実施形態では、ナット576の遠位端は、ナット576が、プランジャ付勢部材550と共にガイド574の内部空間内に配置されるように、ガイド574の遠位端に固定されてもよい。これにより、プランジャ526の軸方向の全長が短くなる場合がある。そのような代替的実施形態では、ガイド574の遠位端は、長手方向軸Aに垂直な又は実質的に垂直な横断壁を含んでもよい。ナット576の遠位端に固定されていることに加えて、横断壁は、プランジャ付勢部材550の遠位端のための座面を画定してもよい。
【0097】
図21は、構造及び/又は機能が図20における薬物送達デバイス510との類似点を有する薬物送達デバイス610の実施形態を示す。図21における薬物送達デバイス610を図20における薬物送達デバイス510から区別する構造及び/又は機能の詳細が以下で議論される。
【0098】
図21に示される実施形態に関して、プランジャ626は、ガイド674及び中央ロッド690を含んでもよい。ガイド674は、近位端で開いており遠位端で横断壁692によって閉じられている、中空の管状形状を有してもよい。横断壁692は、長手方向軸Aに垂直又は実質的に垂直であってもよく、プランジャ付勢部材650の遠位端のための座面を画定してもよい。中央ロッド690は、中央ロッド690及びガイド674が一緒に並進移動し一緒に回転するように、横断壁692に固定された遠位端を有してもよい。中央ロッド690は、横断壁692から近位方向にガイド674の内部空間を通って延びてもよい。中央ロッド690の近位端は、ガイド674の近位端における開口部に隣接して配置されてもよく、いくつかの実施形態では、ガイド674の近位端に形成された開口部の外側に延びてもよく、又は代わりに、ガイド674の近位端の内側に配置されてもよい。
【0099】
図21に示されるように、ブレーキ部材670は、後部ハウジング627に固定されてもよい。ブレーキ部材670は、略環状の形状を有してもよく、中央ロッド690の近位端を取り囲んでもよい。更に、ブレーキ部材670のねじ付き内面670aは、中央ロッド690の近位端のねじ付き外面626aにねじ式に係合してもよい。このねじ式結合の結果、プランジャ626が、その中央ロッド690を含んで遠位方向に移動することにより、プランジャ626を回転させることができる。プランジャ626の回転は、中央ロッド690のねじ付き外面626aがブレーキ部材670のねじ付き内面670aに接触したままである限り継続することができる。いくつかの実施形態では、プランジャ626の回転は、プランジャ626が薬物貯蔵容器620のストッパにぶつかるのと同時に又はほぼ同時に停止してもよい。
【0100】
送達前又は保管状態(図21で見られる)では、プランジャ626は、プランジャ付勢部材650の付勢力の下で遠位方向に移動することが防止される。一例として、薬物送達デバイス610は、ロック672を含んでもよく、ロック672は、ロック672がプランジャ626の遠位方向への移動を防止する初期位置(図21)と、ロック672がプランジャ626の遠位方向への移動を防止しない第2の位置とを有する。より具体的な例として、ロック672は、後部ハウジング627に固定された近位端と、遠位端とを含んでもよく、遠位端は、遠位端がガイド674の近位端に固定され、それによりプランジャ626の遠位移動を防止する初期位置と、初期位置の半径方向外側にある第2の位置であって、遠位端がガイド674の近位端に接触しないことにより、プランジャ626の遠位への移動を可能にする、第2の位置と、を有する。ロック672の遠位端は、ガード部材632が近位方向に後退した時点で、ガード部材632が直接的に又は間接的にロック672の遠位端に作用して、それを初期位置から第2の位置へと移行させるように、ガード部材632に動作可能に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、ロック672の遠位端のこの移動は、ロック672の遠位端とガード部材632の近位端との間のカム動作の結果であってもよい。ロック672が第2の位置にあるとき、プランジャ付勢部材650は伸展することが可能であってもよく、それによりプランジャ626が遠位方向に駆動され、その結果、プランジャ626とブレーキ部材670との間のねじ式結合に起因して、少なくともプランジャストロークの一部分に対してプランジャ626が回転する。
【0101】
図17A図21に関連して上述した実施形態は、プランジャの軸方向並進移動中にプランジャとブレーキ部材との間に相対的な回転を生じさせるために、プランジャとブレーキ部材との間のねじ式結合を利用している一方で、他の実施形態は、他の手段により、この回転を実現してもよい。例えば、プランジャ及びブレーキ部材は、相対的な軸方向移動を相対的な軸方向移動と相対的な回転移動の組み合わせに変換するために互いに相互作用する1つ以上の協働するカム面を含んでもよい。更には、いくつかの実施形態では、プランジャの遠位への移動に対する抵抗は、プランジャに動作可能に結合されたエアダンパーを介して実現されてもよい。特定のそのような実施形態では、プランジャは、遠位方向に移動するときに回転しなくてもよい。
【0102】
理解されるように、本開示によるデバイス及び方法は、従来技術に対して1つ以上の利点を有してもよく、その利点のうちのいずれか1つ以上が、特定の実施形態において、その実施形態に含まれる本開示の特徴に従って存在してもよい。本明細書で具体的に挙げられていない他の利点についても同様に理解されてよい。
【0103】
上記説明では、薬物送達デバイスに関連する様々なデバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、及び使用方法について説明している。デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、方法、又は薬物送達デバイスは、以下に特定される薬物、並びにそれらのジェネリック及びバイオシミラー同等品を含むがそれらに限定されない薬物を更に含んでもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。本明細書で使用する場合、薬物という用語は、他の類似の用語と交換可能に使用することができ、伝統的及び非伝統的な医薬品、栄養補助食品、サプリメント、生物学的製剤、生物学的活性剤及び組成物、大分子、バイオシミラー、生物学的同等物、治療用抗体、ポリペプチド、タンパク質、小分子、及びジェネリック医薬品を含む、任意の種類の薬剤又は治療用物質を指すために使用され得る。非治療的な注射可能材料もまた包含される。薬物は、液体形態、凍結乾燥形態、又は凍結乾燥形態から再構成されたものであってもよい。以下の例示的な薬物のリストは、網羅的又は限定的であると考えるべきではない。
【0104】
薬物はリザーバ内に収容されることになる。いくつかの場合では、リザーバは、治療のために薬物が充填されるか又は予め充填されるかのいずれかである、一次容器である。一次容器は、バイアル、カートリッジ、又は事前充填されたシリンジであり得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバには、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子が充填されてもよい、又はそれらと共にデバイスを使用することができる。このようなG-CSF製剤には、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、PEG化フィルグラスチム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)及びNeupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、UDENYCA(登録商標)(ペグフィルグラスチム-cbqv)、Ziextenzo(登録商標)(LA-EP2006;ペグフィルグラスチム-bmez)、又はFULPHILA(ペグフィルグラスチム-bmez)が含まれるが、それらに限定されない。
【0106】
他の実施形態では、薬物送達デバイスは、液体又は凍結乾燥形態であり得る赤血球造血刺激因子製剤(ESA)を収容してもよい、又はこれと共に使用されてもよい。ESAは、赤血球造血を刺激する任意の分子である。いくつかの実施形態では、ESAは、赤血球造血刺激タンパク質である。本明細書で使用する場合、「赤血球造血刺激タンパク質」とは、例えば、受容体に結合し、受容体の二量化を引き起こすことによりエリスロポエチン受容体の活性化を直接的又は間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球造血刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体、若しくは誘導体、エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体、又はエリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させるペプチドが挙げられる。赤血球造血刺激タンパク質としては、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコールエポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンイオタ、エポエチンオメガ、エポエチンデルタ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ、及びエポエチンデルタ、PEG化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、並びにそれらの分子又は変異体又は類似体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0107】
特定の例示的なタンパク質の中には、その融合物、断片、類似体、変異体、又は誘導体を含む、以下で説明する特定のタンパク質がある。完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に、完全ヒト化モノクローナル抗体を含む、(RANKL特異抗体、ペプチボディなどとも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;ミオスタチン特異的ペプチボディを含む、ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、関連タンパク質など;特に、IL-4及び/又はIL-13の受容体への結合によって媒介される活動を抑制する、IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;Ang2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;NGF特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;CD22特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など、特に、ヒト-マウスモノクローナルhLL2κ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2γ鎖二硫化物の二量体、例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体などの、ヒトCD22特異IgG抗体を特に含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒト抗体などであるがそれに限定されない、ヒトCD22特異抗体;抗IGF-1R抗体を含むがそれに限定されない、IGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質など;B7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1と活性化T細胞上のB7RP-1の自然受容体であるICOSとの相互作用を抑制するものを含むがそれに限定されない、B-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など(「B7RP-1」であるが、B7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも称される);例えば145c7などの、HuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を含むがそれらに限定されない、特にヒト化モノクローナル抗体などの、IL-15特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;ヒトIFN γ特異抗体を含むがそれに限定されない、及び完全ヒト抗IFN γ抗体を含むがそれに限定されない、IFN γ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;TALL-1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など、並びに他のTALL特異結合タンパク質;副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;トロンボポチエン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)を中和する完全ヒトモノクローナル抗体などのHGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的とするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、タンパク質など;TGF-β特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;アミロイドβタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質を含むがそれらに限定されない、c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;OX40L及び/又はOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質を含むがそれに限定されない、OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA);Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)エリスロポエチン[30-アスパラギン、32-トレオニン、87-バリン、88-アスパラギン、90-トレオニン]、ダルベポエチンアルファ、新規な赤血球造血刺激タンパク質(NESP);Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ、又はエリスロポエチン);GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a);Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体);Betaseron(登録商標)(インターフェロン-β);Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体);Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ);Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ);MLN0002(抗α4β7 mAb);MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb);Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬);Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ);Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1);Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン);Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb);Kanjinti(商標)(trastuzumab-anns)抗HER2ヒト化モノクローナル抗体、Herceptin(登録商標)のバイオシミラー、又は乳癌若しくは胃癌治療用のトラスツズマブを含有する別の製品;Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン);Humira(登録商標)(アダリムマブ);Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(登録商標)(デノスマブ)、Prolia(登録商標)(デノスマブ)、RANKリガンドに対する免疫グロブリンG2ヒトモノクローナル抗体、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF-受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Nplate(登録商標)(ロミプロスチム)、リロツムマブ、ガニツマブ、コナツムマブ、ブロダルマブ、溶液中のインスリン;Infergen(登録商標)(インターフェロンalfacon-1);Natrecor(登録商標)(ネシリチド、遺伝子組換え型ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP);Kineret(登録商標)(アナキンラ);Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF);LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ、抗CD22 mAb);Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb);Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体);Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ);Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン);Raptiva(登録商標)(エファリズマブ);Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP 870);Soliris(商標)(エクリズマブ);ペキセリズマブ(抗補体C5);Numax(登録商標)(MEDI-524);Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ);Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ);Trabio(登録商標)(レルデリムマブ);TheraCim hR3(ニモツズマブ);Omnitarg(ペルツズマブ、2C4);Osidem(登録商標)(IDM-1);OvaRex(登録商標)(B43.13);Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ);カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1);NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ);Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11);Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体);Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ);Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体);Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体);Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb);Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ);MvasiTM(ベバシズマブ-awwb);Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb);Tarceva(登録商標)(エルロチニブ);Roferon-A(登録商標)(インターフェロンα-2a);Simulect(登録商標)(バシリキシマブ);Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ);Synagis(登録商標)(パリビズマブ);145c7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号明細書を参照);Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb);Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌防御抗原mAb);ABthrax(商標);Xolair(登録商標)(オマリズマブ);ETI211(抗MRSA mAb);IL-1 trap(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-1受容体成分(I型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン);VEGF trap(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のIgドメイン);Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ);Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb);Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン);Zetia(登録商標)(エゼチマイブ);Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig);抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ);抗CD23 mAb(ルミリキシマブ);BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬);CNTO 148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb);HGS-ETR1(マパツムマブ;ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb);HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb);HuMax-EGFR(ザルツムマブ);M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb);MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb、及びVEGFR-1(IMC-18F1);抗BR3 mAb;抗C.ディフィシル毒素A並びに毒素B C mAb MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388);抗CD22 dsFv-PE38抱合体(CAT-3888及びCAT-8015);抗CD25 mAb(HuMax-TAC);抗CD3 mAb(NI-0401);アデカツムマブ;抗CD30 mAb(MDX-060);MDX-1333(抗IFNAR);抗CD38 mAb(HuMax CD38);抗CD40L mAb;抗Cripto mAb;抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019);抗CTLA4 mAb;抗エオタキシン1 mAb(CAT-213);抗FGF8 mAb;抗ガングリオシドGD2 mAb;抗ガングリオシドGM2 mAb;抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029);抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001);抗HepC mAb(HuMax HepC);抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-198);抗IGF1R mAb;抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam);抗IL12 mAb(ABT-874);抗IL12/IL23 mAb(CNTO 1275);抗IL13 mAb(CAT-354);抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC);抗IL5受容体mAb;抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO 95);抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100);BMS-66513;抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307);抗メソテリンdsFv-PE38抱合体(CAT-5001);抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538));抗PDGFRα抗体(IMC-3G3);抗TGFβ mAb(GC-1008);抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2);抗TWEAK mAb;抗VEGFR/Flt-1 mAb;及び、抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)。
【0108】
薬物送達デバイスは、いくつかの実施形態では、ロモソズマブ、ブロソズマブ、BPS804(Novartis)、Evenity(商標)(ロモソズマブ-aqqg)、などであるがそれらに限定されないスクレロスチン抗体、閉経後骨粗鬆症及び/又は骨折治癒の治療のための、ロモソズマブを含有する別の製品、などであるがこれらに限定されないスクレロスチン抗体、そして他の実施形態では、ヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。このようなPCSK9特異抗体としては、Repatha(登録商標)(エボロクマブ)及びPraluent(登録商標)(アリロクマブ)が挙げられるがそれらに限定されない。他の実施形態では、薬物送達デバイスは、リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブ二リン酸塩、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント、又はパニツムマブを収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバには、OncoVEXGALV/CD;OrienX010;G207、1716;NV1020;NV12023;NV1034;及びNV1042を含むがそれらに限定されない、黒色腫又は他の癌の治療用のIMLYGIC(登録商標)(タリモジーンラハーパレプベック)又は別の腫瘍溶解性HSVが充填されてもよい、又はデバイスは、これらと共に使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、TIMP-3などであるがそれらに限定されない内在性メタロプロテイナーゼ組織阻害剤(TIMP)を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Aimovig(登録商標)(エレヌマブ-aooe)、抗ヒトCGRP-R(カルシトニン遺伝子関連ペプチド1型受容体)、又は片頭痛治療のためのエレヌマブを含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。エレヌマブ、並びにCGRP受容体及び他の頭痛標的を標的とする二重特異性抗体分子などであるがそれらに限定されないヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体の拮抗薬抗体もまた、本開示の薬物送達デバイスを用いて送達されてもよい。加えて、BLINCYTO(登録商標)(ブリナツモマブ)などであるがそれらに限定されない二重特異性T細胞誘導(BiTE(登録商標))抗体を、本開示の薬物送達デバイスにおいて又はこれと共に使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、アペリン又はその類似体などであるがそれらに限定されないAPJ大分子作動薬を収容してもよい、又はこれと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、治療的有効量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体が、本開示の薬物送達デバイスにおいて又はこれと共に使用される。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Avsola(商標)(インフリキシマブ-axxq)、抗TNFモノクローナル抗体、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)(Janssen Biotech,Inc.)のバイオシミラー)、又は自己免疫疾患の治療のためのインフリキシマブを含む別の製品を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、(2S)-N-((S)-1-((S)-4-メチル-1-((R)-2)-メチルオキシラン-2-イル)-1-オキソペンタン-2-イルカルバモイル)-2-フェニルエチル)-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)-4-メチルペンタンアミド、又は多発性骨髄腫の治療のためのカルフィルゾミブを含有する製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Otezla(登録商標)(アプレミラスト)、N-[2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-2,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-1H-イソインドール-4-イル]アセトアミド、又は様々な炎症性疾患の治療のためのアプレミラストを含む別の製品を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Parsabiv(商標)(エテルカルセチドHCl、KAI-4169)、又は血液透析中の慢性腎臓疾患(KD)の患者などにおける二次性副甲状腺機能亢進症(sHPT)の治療のためのエテルカルセチドHClを含有する別の製品を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ABP 798(リツキシマブ)、Rituxan(登録商標)/MabThera(商標)のバイオシミラー候補、又は抗CD20モノクローナル抗体を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、非抗体VEGF拮抗薬などのVEGF拮抗薬、及び/又はアフリベルセプトなどのVEGFトラップ(IgG1のFcドメインに縮合した、VEGFR1からのIgドメイン2及びVEGFR2からのIgドメイン3)を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ABP 959(エクリズマブ)、Soliris(登録商標)のバイオシミラー候補、又は補体タンパク質C5に特異的に結合するモノクローナル抗体を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ICOSL及びBAFF活性を同時にブロックする新規の二重特異性抗体-ペプチドコンジュゲートであるRozibafuspアルファ(以前はAMG 570)を含有してもよい、又はこれと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、オメカムチブメカルビル、心臓の収縮機構を直接標的とする小分子選択的心臓ミオシン活性化因子、すなわちミオトロープ、又は小分子選択的心臓ミオシン活性化因子を含有する別の製品を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、(以前はAMG 510として知られていた)ソトラシブ、KRASG12C小分子阻害剤、又はKRASG12C小分子阻害剤を含む別の製品を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)の作用を阻害するヒトモノクローナル抗体であるテゼペルマブ、又はTSLPの作用を阻害するヒトモノクローナル抗体を含む別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、インターロイキン-15(IL-15)に結合するヒトモノクローナル抗体であるAMG 714、又はインターロイキン-15(IL-15)に結合するヒトモノクローナル抗体を含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Lp(a)としても知られるリポタンパク質(a)を低下させる低分子干渉RNA(siRNA)であるAMG 890、又はリポタンパク質(a)を低下させる低分子干渉RNA(siRNA)を含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Sterara(登録商標)のバイオシミラー候補であるABP 654(ヒトlgG1カッパ抗体)、又はヒトlgG1カッパ抗体を含有し、及び/又はヒトサイトカインインターロイキン(IL)-12及びIL-23のp40サブユニットに結合する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Humira(登録商標)のバイオシミラー候補であるAmjevita(商標)又はAmgevita(商標)(以前はABP 501)(mab抗TNFヒトlgG1)、又はヒトmab抗TNFヒトlgG1を含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG160、又は半減期延長型(HLE)抗前立腺特異的膜抗原(PSMA)x抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞誘導)構造体を含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG119、又はデルタ様リガンド3(DLL3)CAR T(キメラ抗原受容体T細胞)細胞療法を含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG119、又はデルタ様リガンド3(DLL3)CAR T(キメラ抗原受容体T細胞)細胞療法を含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG133、又は胃抑制ポリペプチド受容体(GIPR)拮抗薬及びGLP-1R作動薬を含む別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 171、又は成長分化因子15(GDF15)類似体を含む別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG176、又は骨髄細胞白血病1(MCL-1)の小分子阻害剤を含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 199、又は半減期延長型(HLE)二重特異性T細胞誘導構造体(BiTE(登録商標))を含む別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 256、又はプログラム細胞死-1(PD-1)陽性細胞インターロイキン21(IL-21)経路を選択的にターンオンするように設計された抗PD-1 x IL21突然変異タンパク質及び/又はIL-21受容体作動薬を含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 330、又は抗CD33 x 抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞誘導)構造体を含む別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 404、又は固形腫瘍の患者向けの治療として研究されているヒト抗プログラム細胞死-1(PD-1)モノクローナル抗体を含む別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 427、又は半減期延長型(HLE)抗fms様チロシンキナーゼ3(FLT3) x 抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞誘導)構造体を含む別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG430、又は抗Jagged-1モノクローナル抗体を含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG506、又は固形腫瘍の治療として研究中の多重特異性FAP x 4-1BB標的化DARPin(登録商標)生物製剤を含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 509、又は二価T細胞誘導体を含有しXmAb(登録商標)2 + 1技術を使用して設計される別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 562、又は半減期延長型(HLE)CD19 x CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞誘
導)構造体を含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Efavaleukinアルファ(以前はAMG 592)、又はIL-2突然変異Fc融合タンパク質を含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG596、又はCD3 x 上皮成長因子受容体vIII(EGFRvIII)BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞誘導)分子を含む別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 673、又は半減期延長型(HLE)抗CD33 x 抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞誘導)構造体を含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 701、又は半減期延長型(HLE)抗Bセル成熟抗原(BCMA) 抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞誘導)構造体を含有する別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 757、又は半減期延長型(HLE)抗デルタ様リガンド3(DLL3) x 抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞誘導)構造体を含む別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG910、又は半減期延長型(HLE)上皮細胞タイトジャンクション構成タンパク質クローディン18.2 x CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞誘導)構造体を含む別の製品、を収容してもよい、又はこれらと共に使用されてもよい。
【0109】
薬物送達デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、及び方法を、例示的実施形態の観点から説明してきたが、これらに限定されるものではない。発明を実施するための形態は、単に例として解釈されるべきであり、本開示の考え得る全ての実施形態を説明しているわけではない。現在の技術又は本特許の申請日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替的実施形態を実施することができるが、このような実施形態はなお、本明細書に開示される本発明を定義する請求項の範囲内に含まれる。
【0110】
当業者であれば、本明細書に開示される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく上記の実施形態に対して多種多様な修正、変更、及び組み合わせを施すことができ、そうした修正、変更、及び組み合わせは本発明の概念の範囲内にあると解釈されることを理解するであろう。
図1
図2
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図9A
図9B
図9C
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【国際調査報告】