(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(54)【発明の名称】流体ダンパ
(51)【国際特許分類】
F02M 55/02 20060101AFI20221118BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20221118BHJP
F02M 59/44 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
F02M55/02 310A
F02M37/00 D
F02M59/44 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519228
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2020076545
(87)【国際公開番号】W WO2021058550
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジョン カザリ
(72)【発明者】
【氏名】アルフォンソ エマヌエル グスマン エスカランテ
(72)【発明者】
【氏名】ホスエ チャベス
(72)【発明者】
【氏名】シャリ スタットラー
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066BA12
3G066BA40
3G066CB18
3G066DC18
(57)【要約】
流体ダンパは、流体チャンバと、第1の開口とを画定する本体を有している。本体は、軸線方向に沿って結合された第1のカバーと第2のカバーとにより形成されている。減衰装置は、圧力脈動を減衰させるために流体チャンバの内部に懸架されている。減衰装置は、周縁部によって拘束されている。減衰装置は、流体チャンバを第1のサブチャンバと第2のサブチャンバとに分割している。第1のカバーは、第2のカバーの第2の壁部が収容される第1の壁部を有している。第1の壁部と第2の壁部との間には、気密シールが形成されている。第2のカバーは、第1のカバーの第1の壁部内に位置する終端部を有しており、終端部は、複数のフィンガにセグメント化されており、複数のフィンガは、第1のカバーの突出面と協働して、減衰装置の周縁部を挟んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体チャンバと、前記流体チャンバ内に加圧流体を受け入れるように構成された第1の開口とを画定する本体であって、軸線方向に沿って結合された第1のカバーと第2のカバーとにより形成されている本体と、
前記流体チャンバの内部に懸架され、流体圧力脈動を減衰させるように構成された減衰装置であって、その周縁部によって前記本体に拘束されており、前記流体チャンバを第1のサブチャンバと第2のサブチャンバとに分割している減衰装置と、
を備えている流体ダンパであって、
前記第1のカバーは、前記第2のカバーの第2の壁部が収容される第1の壁部を有しており、前記第1のカバーの前記第1の壁部と前記第2のカバーの前記第2の壁部との間には、気密シールが形成されており、
前記第2のカバーは、前記第1のカバーの前記第1の壁部内に位置する終端部を有しており、前記終端部は、複数のフィンガにセグメント化されており、前記複数のフィンガは、前記第1のカバーの突出面と協働して、前記減衰装置の前記周縁部を挟んでいる、
流体ダンパ。
【請求項2】
前記複数のフィンガは、前記終端部において対応する複数のノッチにより隔離されており、前記複数のノッチは、前記減衰装置の前記周縁部の周囲において、前記第1のサブチャンバと前記第2のサブチャンバとの間に流体連通路を確立している、請求項1に記載の流体ダンパ。
【請求項3】
前記第2のカバーは、開口を有さない中実の端壁を画定しており、これにより、前記第2のサブチャンバは、デッドエンドチャンバになっている、請求項1に記載の流体ダンパ。
【請求項4】
前記複数のフィンガは、前記第2のカバーの全周にわたり均等に分配されている、請求項1に記載の流体ダンパ。
【請求項5】
前記複数のフィンガは、前記減衰装置の前記周縁部に拘束力を作用させるために、弾性的に変位させられている、請求項1に記載の流体ダンパ。
【請求項6】
前記本体は、円筒形である、請求項1に記載の流体ダンパ。
【請求項7】
前記気密シールは、前記第1のカバーの前記第1の壁部の終端部に沿って延在する溶接シームにより形成されている、請求項1に記載の流体ダンパ。
【請求項8】
前記減衰装置は、前記周縁部に沿って結合された第1及び第2の膜から形成されており、前記第1及び第2の膜の間には、ガス含有チャンバが画定されている、請求項1に記載の流体ダンパ。
【請求項9】
前記減衰装置は、当該減衰装置の中心軸線を中心とした同心的な一連の渦状部を備えて成形されている、請求項1に記載の流体ダンパ。
【請求項10】
前記第2のカバーは、前記軸線方向に対して横方向に延在する端壁を画定しており、前記端壁の内面は、前記第2のサブチャンバの流体容積を拡張するように構成された少なくとも1つの凹部を有している、請求項1に記載の流体ダンパ。
【請求項11】
流体チャンバと、前記流体チャンバ内に加圧流体を受け取るように構成された第1の開口とを画定する本体であって、それぞれシート構造を有する第1のカバーと第2のカバーとにより形成されている本体と、
前記流体チャンバの内部に懸架された少なくとも1つの膜を含む減衰装置であって、その周縁部によって前記本体に拘束されており、前記流体チャンバを第1のサブチャンバと第2のサブチャンバとに分割している減衰装置と、
を備えている流体ダンパであって、
前記第1のカバーは、前記第2のカバーの外壁が収容される外壁を有しており、前記第1のカバーと前記第2のカバーとの間には気密シールが形成されており、
前記第2のカバーの外壁は、内方に延在する複数のフィンガにおいて終端しており、前記フィンガは弾性的に変位させられて、前記第1のカバーに対して前記減衰装置の前記周縁部を挟む拘束力を作用させる、
流体ダンパ。
【請求項12】
前記複数のフィンガは、対応する複数のノッチにより隔離されており、前記複数のノッチは、前記減衰装置の前記周縁部の周囲において、前記第1のサブチャンバと前記第2のサブチャンバとの間に流体連通路を確立している、請求項11に記載の流体ダンパ。
【請求項13】
前記第2のカバーは、開口を有さない中実の端壁を画定しており、これにより、前記第2のサブチャンバは、デッドエンドチャンバになっている、請求項11に記載の流体ダンパ。
【請求項14】
前記複数のフィンガは、前記第2のカバーの全周にわたり均等に分配されている、請求項11に記載の流体ダンパ。
【請求項15】
前記本体は、円筒形である、請求項11に記載の流体ダンパ。
【請求項16】
前記気密シールは、前記第1のカバーの終端部に沿って延在する溶接シームにより形成されている、請求項11に記載の流体ダンパ。
【請求項17】
前記減衰装置は、前記周縁部に沿って結合された第1及び第2の膜から形成されており、前記第1及び第2の膜の間には、ガス含有チャンバが画定されている、請求項11に記載の流体ダンパ。
【請求項18】
前記減衰装置は、当該減衰装置の中心軸線を中心とした同心的な一連の渦状部を備えて成形されている、請求項11に記載の流体ダンパ。
【請求項19】
前記第2のカバーは、当該第2のカバーの前記外壁に対して横方向に延在する端壁を画定しており、前記端壁の内面は、前記第2のサブチャンバの流体容積を拡張するように構成された少なくとも1つの凹部を有している、請求項11に記載の流体ダンパ。
【請求項20】
前記第1のカバー、前記第2のカバー及び前記減衰装置は、全てステンレス鋼から構成されている、請求項11に記載の流体ダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本発明は、複数の用途の中でも、例えば、燃料噴射システム又は加圧潤滑システムに使用される流体ダンパに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
概要
1つの態様において、本発明は、流体チャンバを画定する本体と、加圧流体を流体チャンバ内へ受け入れるように構成された第1の開口とを有する流体ダンパを提供する。本体は、軸線方向に沿って結合された第1のカバーと第2のカバーとにより形成されている。流体チャンバの内部には、流体圧力脈動を減衰させるように構成された減衰装置が懸架されている。減衰装置は、その周縁部によって本体に拘束されている。減衰装置は、流体チャンバを第1及び第2のサブチャンバに分割している。第1のカバーは、第2のカバーの第2の壁部が収容される第1の壁部を有しており、第1のカバーの第1の壁部と第2のカバーの第2の壁部との間には、気密シールが形成されている。第2のカバーは、第1のカバーの第1の壁部内に位置する終端部を有しており、終端部は、複数のフィンガにセグメント化されており、複数のフィンガは、第1のカバーの突出面と協働して、減衰装置の周縁部を挟んでいる。
【0003】
他の態様において、本発明は、流体チャンバを画定する本体と、加圧流体を流体チャンバ内へ受け入れるように構成された第1の開口とを有する流体ダンパを提供する。本体は、それぞれシート構造を有する第1のカバーと第2のカバーとにより形成されている。少なくとも1つの膜を含む減衰装置が流体チャンバの内部に懸架されており、減衰装置は、その周縁部によって本体に拘束されている。減衰装置は、流体チャンバを第1のサブチャンバと第2のサブチャンバとに分割している。第1のカバーは、第2のカバーの外壁が収容される外壁を有しており、第1のカバーと第2のカバーとの間には気密シールが形成されている。第2のカバーの外壁は、内方に延在する複数のフィンガにおいて終端しており、フィンガは、弾性的に変位させられて、第1のカバーに対して減衰装置の周縁部を挟む拘束力を作用させる。
【0004】
本発明のその他の態様は、詳細な説明及び添付の図面を考慮することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】燃料圧力脈動を減衰するための燃料マニホールド及びダンパを含む燃料噴射システムの一部を示す斜視図である。
【
図2】マニホールド及びダンパを示す端面図である。
【
図3】
図2の線3-3に沿った、マニホールド及びダンパを示す横断面図である。
【
図3A】
図3に示されたダンパの縁部を示す詳細図である。
【
図4】
図1乃至
図3に示されたダンパの背面カバーを示す斜視図である。
【
図5】本開示の第2の構成によるダンパを示す横断面図である。
【
図6】
図5に示されたダンパの第1のカバーの内側を示す斜視図である。
【
図7】本開示の第3の構成によるダンパの第2のカバーを示す斜視図である。
【
図8】圧力センサに結合された、
図7に示された第2のカバーを有するダンパを示す斜視図である。ダンパ本体の反対側の端部は、燃料レールに結合されている。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
本発明の任意の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途において、以下の説明に記載され又は以下の図面に示される詳細な構成及びコンポーネントの配置に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、種々の形式により実行又は実施可能である。
【0007】
図1には、内燃機関に燃料を供給するために使用され得る燃料システム10が示されている。燃料システム10には、燃料供給部から燃料を受け取って分配するためのマニホールド14が含まれる。マニホールド14にはダンパ18が連通しており、例えば、1つ以上の燃料ポンプから導入された燃料における圧力脈動及び/又は燃料噴射弁(図示せず)の開閉を減衰させる。いくつかの構成において、燃料システム10は、例えば、一次燃料ポンプ又は低圧燃料ポンプを介して燃料タンクから燃料を受け取る高圧燃料ポンプ(HPFP)により200~350barに加圧された燃料を含む高圧燃料レールを含むものとしてよい。しかしながら、他の構成においては、マニホールド14のみが存在し、別個の燃料レールは存在しない。燃料レール又はHPFPが存在しないシステムにおける燃料圧は、3~7barであり得る。マニホールド14に取付けブラケット22が結合されて、マニホールド14を支持面に固定する。マニホールド14は、2つの出口ポート26,30を有している。他の実施形態においては、より多くの出口ポートが存在するものとしてもよい。各出口ポート26,30には、マニホールド14から各インジェクタ取付け構造体42,46に燃料を移送するために、ホース34,38が結合されており、インジェクタ取付け構造体42,46は、例えば、それぞれが、ホース接続管片付きの接続管片ブロックと、電気的に操作される噴射弁又は「インジェクタ」の上流側の端部を受け入れるためのインジェクタカップとを有している。他の燃料供給構造体との流体接続及び機械的結合のために、マニホールド14には、例示したように、ダンパ18とは反対の側に、アダプタ48、例えばねじ山付きアダプタ又はその他の形式のコネクタが設けられている。
【0008】
特に
図3及び
図3Aを参照すると、ダンパ18は、流体チャンバ56を画定する2ピースの本体52(第1のカバー52A及び第2のカバー52B)と、流体チャンバ56の内側に配置された減衰装置60とを含む、選択された複数の部品から形成された1つのアセンブリである。例示したように、本体52は円筒形であり、その内部に流体チャンバ56が画定されている。本体52は、加圧流体、一例においては特にガソリン又はディーゼル燃料などの液体を流体チャンバ56内へ受け入れるように構成された開口64を有している。図示しかつ以下においてさらに詳細に説明するように、第1のカバー52Aと第2のカバー52Bとは、中心軸線Aにより規定された軸線方向に沿って結合されている。減衰装置60は、流体チャンバ56の内部に懸架され、流体圧力脈動を減衰(即ち、抑制、緩和、減少など)させるように構成された可撓性の減衰装置である。例示された実施形態は、減衰装置60の1つの特定の構成を示しているが、当業者は、減衰装置60が種々の形式を取り得るということを認識するであろう。例示したように、減衰装置60は、減衰装置60の周縁部68を規定するために、その周縁部に沿って結合された第1及び第2のダイヤフラム又は膜60A,60Bから形成されている。膜60A,60Bは、金属(例えば、ステンレス鋼)の構造体であるものとしてよいが、カバー52A,52Bの材料よりも薄く、システムの動作条件下において弾性的に変位するように構成されるものとしてよい。減衰装置60(例えば、各膜60A,60B)は、中心軸線Aを中心とした同心的な一連の渦状部を備えて成形されている。減衰装置60の内部において第1の膜60Aと第2の膜60Bとの間には、ガス含有チャンバ70が画定されている。いくつかの構成において、減衰装置60は、本体52と共にステンレス鋼から構成されるものとしてもよい。減衰装置60は、その周縁部68によって本体52に拘束されている。さらに、減衰装置60は流体チャンバ56を第1のサブチャンバ56Aと第2のサブチャンバ56Bとに分割している。膜60A,60Bは、動作中に、燃料システム10の構成においては燃料である周囲の液体媒体中に生じる圧力脈動に応答して撓み得るものであり、及び/又は、チャンバ70内のガスを圧縮し得るものである。しかしながら、圧力脈動の散逸又は減衰は、主にサブチャンバ56A,56Bの流体又はこれらの流体に通じる領域において生じ得る。流体は、減衰装置60の周縁部68の周囲を移動するため、システムの動作中に、チャンバ56の内外、及び、サブチャンバ56A,56B間において交換される。いくつかの構成においては、サブチャンバ56A,56B間に乱流が存在することがあり、その結果、渦形成が生じる。他の構成においては、サブチャンバ56A,56B間の流れは層状である。
【0009】
第1及び第2のカバー52A,52Bはそれぞれ、シート構造を有している。第1のカバー52Aは、第2のカバー52Bの壁部76が収容される壁部74を有している。両壁部74,76は、中心軸線Aに対して平行に延在している。両壁部74,76は、中心軸線Aに対してそれぞれのカバー52A,52Bの外壁である。例示した構成においては、両壁部74,76は円筒形の壁である。しかしながら、壁部74,76は、2つが互いに密に結合されるようにサイズ及び形状が一致させられる限り、他の構成においては、楕円形又は多角形等の他の形状であるものとしてもよい。第1及び第2のカバー52A,52Bのそれぞれの壁部74,76の間には、それらの間に形成された周又は周方向結合部全体に沿って気密シール80が形成されている。気密シール80は、第1のカバー52Aの壁部74の終端部又は遠位縁部74Aに沿って延在する溶接シームにより形成されている。カバー52A,52Bは、レーザ溶接、MIG溶接、TIG溶接により溶接され得るものであり、又は、選択的には、接着剤(例えば、グルー、エポキシ)により接着され得るものである。
【0010】
第2のカバー52Bは、第1のカバー52Aの壁部74内に位置する終端部又は遠位縁部78を有している。第2のカバー52Bの終端部78は、複数のフィンガ84にセグメント化されており、複数のフィンガ84は、均等に分配されているものとしてよく、又は、他の代替においては、配列されて若しくはパターン化されて設けられているものとしてよい。フィンガ84は、壁部76から内方へ延在している。フィンガ84は、対応する複数のノッチ86により隔離されている。ノッチ86は、減衰装置60の周縁部68の周囲において-少なくとも
図3の上部などの特定の周囲位置において、第1のサブチャンバ56Aと第2のサブチャンバ56Bとの間に流体連通路を確立している。フィンガ84は、減衰装置60の周縁部68を挟んでその位置を保持するために、第1のカバー52Aの突出面88と協働する。特に、突出面88は、フィンガ84と共通の半径方向位置に沿って延在するように配置されている。
図3Aは、ダンパ18の組立て中の、変位前の自然な(変位されていない)状態又は形状を表す干渉位置におけるフィンガ84を例示している。組立て時に、フィンガ84は、減衰装置60の周縁部68に拘束力を作用させるために、弾性的に変位させられるものとしてもよい。
【0011】
第1のカバー52Aの突出面88は、不連続であるものとしてよく、その特定の構成が、
図6の選択的な実施形態に示されている。
図3Aに示したように、突出面88は、第1のカバー52Aの外側における変形部92(例えば、プレスされた又はエンボス加工された凹部)により、第1のカバー52Aの隣接する壁に対して隆起したオフセット位置に形成され得る。いくつかの構成においては、突出面88とフィンガ84とは、(フィンガを有する)第1のカバー52Aが(突出面を有する)第2のカバー52Bに嵌合するように逆転させられるものとしてよい。開示した構成によれば、減衰装置60は、ダンパ本体52を形成する2つのカバー52A,52Bにより、(例えば、第1のカバー52Aの突出面88と第2のカバー52Bのフィンガ84との間のみに)追加的な保持装置、締結具、クリップ等なしで直接保持されている。これにより、減衰装置の保持に必要なコンポーネントを誤って組み立てたり又は省略したりすることによって製造誤差が生じるということは、あり得ない。ダンパ18は、減衰装置60を拘束するための別個の専用のコンポーネントを一切有することなく構成されているが、本体結合機能(溶接シームにより形成された気密シール80)と減衰装置クランプ機能(フィンガ84及び突出面88)との間の機能的な分離は、残存している。換言すれば、これらの機能は、分離されたままである。
【0012】
フィンガ84により提供されるばね特徴をセグメント化することにより、組立て中のカバー52A,52Bのセルフアライメントが補助され、本体52を互いに押圧するためのプロセスが、再現可能かつ正確になり得る。さらに、フィンガ84を介した保持力のセグメント化により、ばね特徴に許容される自由度を増加させて、より強固な保持力量を生じさせる。フィンガ84の間隔及び減衰装置60の剛性は、減衰装置60を所定の位置に有効に拘束する荷重力を分散させる。また、シール溶接部から減衰装置60への熱伝達は、フィンガ84の接触領域に制限されている。このことは、材料を加熱して性能に影響を及ぼす虞がある、損傷を与える熱量への曝露から、減衰装置60を保護している。
【0013】
例示した構成において、第2のカバー52Bは、開口を有さない中実の端壁96(
図4)を画定しており、これにより、第2のサブチャンバ56Bは、第1のサブチャンバ56Aを介してシステム内の燃料の残余と連通するだけのデッドエンドチャンバになっている。端壁96は、中心軸線Aに対して横方向に延在している。端壁96の内面は、少なくとも1つの凹部98を有している。少なくとも1つの凹部98は、端壁96に構造的な曲げ剛性又は剛性を追加するものであり、また、第2のサブチャンバ56Bの流体容積を拡張するように構成されている。例示したように、凹部98は「Y」字形又はスリーポインテッドスター形に形成されているが、他の形状も任意である。凹部98は、凹部98を有していないこと以外は、同一の第2のカバー52と比較して、第2のサブチャンバ56Bの流体容積を少なくとも10%だけ拡張させるように構成され得る。
【0014】
ダンパ18は、例えば、燃料システム10の一部として、オン及びオフロード車用のエンジンを含むがこれらに限定されるものではない種々の用途に使用され得る。しかしながら、ダンパ18はさらに、燃料システムに限定されることなく使用されるものとしてもよく、その場合は、システム内において作用する他の流体が、圧力スパイクの変動に曝される(高圧に圧送される場合が多い)。例えば、ダンパ18は、(例えば、内燃機関内の)可動部分を潤滑するオイル供給システム、又は、冷却液回路を有する液体冷却システム内に結合され得る。さらに、燃料システムに使用される場合、構成は、
図1に示したものに限定されるものではなく、燃料系へのダンパ18の取付けも、これに限定されるものではない。
図5及び
図6には、大部分の点において前述の開示のダンパ18と類似する、変更されたダンパ118が例示されている。適当な箇所には、同様の参照符号が使用されており、本明細書においては、同様の特徴についての詳細な説明は繰り返さない。むしろ、上述した
図1乃至
図4の説明を参照する。ダンパ118は、第1のカバー152Aと第2のカバー52Bとにより形成される本体152を有している。第2のカバー52Bは、フィンガ84の配列を含めて、ダンパ18のカバー52Bと類似又は同一であるものとしてよい。しかしながら、第1のカバー152Aは、その端壁166に設けられた代替的な開口164によって変更されている。開口164は、第1のカバー52Aの開口64よりも小さくなっている。さらに、開口164は、隣接するコンポーネント又は導管(例えば、燃料レール155)内へ挿入するために、流体チャンバ56から軸線方向において外方へ突出したスタブ又はステムに形成されている。これは単に、特定の用途又は周囲のシステムに対するダンパ18の適合の一例であるに過ぎない。
【0015】
図7及び
図8には、再びダンパ18,118と同様のさらに他のダンパ218が例示されており、これにより、同様の参照符号を使用すると共に、同様の特徴の説明は繰り返さない。ダンパ218は、第1のカバー152Aに設けられた開口164に加え、第2の開口264を備えた第2のカバー252Bを有している。第2の開口264は、他の構成においても特に雌ねじ山付きボスとして構成され得るものであり、圧力センサ275などのシステムコンポーネントを取り付けるためのアダプタを形成するものとしてよい。圧力センサ275は、圧力を電気信号、例えば、圧力変化に対応して変化する電圧に変換する検出素子を含む既知の構成のものであってよい。
【0016】
本発明の種々の態様は、以下の請求項に記載されている。
【国際調査報告】