(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(54)【発明の名称】液化防止手段を備えたガス絶縁デバイス
(51)【国際特許分類】
H02B 13/055 20060101AFI20221118BHJP
H01H 33/56 20060101ALI20221118BHJP
H02B 13/065 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
H02B13/055 D
H01H33/56 F
H01H33/56 G
H01H33/56 A
H02B13/065 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519434
(86)(22)【出願日】2020-09-22
(85)【翻訳文提出日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2020076450
(87)【国際公開番号】W WO2021063753
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH-5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】キッフェル,ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】ビケーズ,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトュル,トマ
【テーマコード(参考)】
5G017
5G028
【Fターム(参考)】
5G017DD01
5G017DD10
5G017DD12
5G028GG08
5G028GG18
5G028GG21
(57)【要約】
中電圧または高電圧電気デバイス(10)、ならびに中電圧または高電圧電気デバイス内で絶縁ガス混合物の組成を維持する方法であって、デバイス(10)は、密閉チャンバ(12)であって、電気構成要素、このチャンバ内で発生された電気アークの電気的絶縁および/または消滅を確実にするガス混合物であって、少なくとも1つの絶縁ガスおよび少なくとも1つの希釈ガスを含むガス混合物、ならびにレセプタクル(20)であって、前記レセプタクル(20)は、開口部(26)と、少なくとも1つの壁(22、24)とを備え、少なくとも1つの壁(22、24)は、加熱可能な壁(24)であり、前記レセプタクルは、液化ガスを受け入れるように位置決めされ、デバイス(10)は、加熱可能なレセプタクル壁(22、24)を加熱するための加熱要素(42)をさらに備えるレセプタクル(20)を備える密閉チャンバ(12)と、加熱可能なレセプタクル壁(24)とチャンバ(12)との間に位置する誘電断熱層(30)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中電圧または高電圧電気デバイス(10)であって、
密閉チャンバ(12)であって、
電気構成要素、
このチャンバ(12)内で発生された電気アークの電気的絶縁および/または消滅を確実にするガス混合物であって、少なくとも1つの絶縁ガスおよび少なくとも1つの希釈ガスを含むガス混合物、ならびに
レセプタクル(20)であって、前記レセプタクル(20)は、開口部(26)と、少なくとも1つの壁(22、24)とを備え、少なくとも1つの壁(22、24)は、加熱可能な壁(24)であり、前記レセプタクル(20)は、液化ガス(60)を受け入れるように位置決めされ、
前記デバイス(10)は、前記加熱可能なレセプタクル壁(22、24)を加熱するための加熱要素(42)をさらに備える
レセプタクル(20)
を備える密閉チャンバ(12)と、
前記加熱可能なレセプタクル壁(24)と前記チャンバ(12)との間に位置する誘電断熱層(30)と
を備える、デバイス(10)。
【請求項2】
前記チャンバ(12)の少なくとも1つの壁は、レセプタクル(20)に向かって傾斜しており、液化ガス(60)が前記レセプタクル(20)に流入することを可能にする、請求項1に記載のデバイス(10)。
【請求項3】
前記レセプタクル(20)は、前記チャンバ(12)の底部に位置決めされる、請求項1に記載のデバイス(10)。
【請求項4】
前記チャンバ(12)は、チャンバ床を備え、前記レセプタクル(20)の前記開口部(26)は、前記チャンバ床と同一平面上にあり、少なくとも1つのレセプタクル壁(22、24)は、前記チャンバ床の下に延びる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデバイス(10)。
【請求項5】
前記レセプタクル(20)は、前記チャンバ床の下に延びる分岐管から形成された壁(22)を備え、前記チャンバ床から離れた前記分岐管開口部(26)は、フランジ(16)と、カバー(40)とを備える、請求項4に記載のデバイス(10)。
【請求項6】
前記加熱要素(42)は、前記加熱可能なレセプタクル壁(22、24)に隣接している、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のデバイス(10)。
【請求項7】
前記加熱可能な壁(24)は、加熱要素(42)を備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデバイス(10)。
【請求項8】
前記デバイス(10)内の温度、液体レベル、および圧力を監視するための温度、液体、および/または圧力センサをさらに備える、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のデバイス(10)。
【請求項9】
前記レセプタクル(20)は、前記電気構成要素から離れて位置決めされる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のデバイス(10)。
【請求項10】
中電圧または高電圧電気デバイス(10)内で絶縁ガス混合物の組成を維持する方法であって、前記ガス混合物は、前記デバイス(10)内で発生された電気アークの電気的絶縁および/または消滅を確実にし、前記デバイス(10)は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のデバイス(10)であり、前記デバイス(10)は、温度、液体、および/または圧力センサをさらに備え、前記方法は、
レセプタクル(20)に液化ガス(60)を収集するステップと、
温度または圧力が閾値温度または閾値圧力を下回ったとき、または液体レベルが閾値レベルを上回ったとき、加熱要素(42)によって前記レセプタクル(20)に収集された前記液化ガス(60)を加熱するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記閾値温度は、約-5℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、または-30℃未満である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ガス混合物は、ヘプタフルオロイソブチロニトリル、1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-2-ブタノン(CF
3C(O)CF(CF
3)
2),2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234 yf),1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、フルオロオキシラン、またはそれらの任意の組み合わせからなるリストから選択されるフッ素化化合物を含む、請求項1乃至9に記載のデバイス(10)または請求項10乃至11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁ガス混合物と、ガス組成を維持するための手段とを含む中電圧または高電圧電気デバイス、およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの中電圧および高電圧電気デバイスでは、電気的絶縁および電気アーク消滅は、密閉デバイス内の絶縁ガスによって実施され得る。この絶縁ガスは、比較的高い絶縁強度を有し、良好な熱伝導率および低い誘電損失を有しなければならない。一般的に使用される絶縁ガスの1つは、SF6である。中電圧および高電圧デバイスに使用される別の絶縁ガスは、ヘプタフルオロイソブチロニトリルと希釈ガスの混合物を含む。しかし、低温では、絶縁ガスは液化し、したがって電気デバイス内のガス状絶縁ガスの濃度を低下させる場合があり、それによってデバイスの隔離特性に潜在的に影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
一旦液化すると、電気デバイス内の温度が上昇しても、液体は直ちに気相に戻らない場合がある。これは、電気デバイス全体が加熱される場合に当てはまり得る。これは、液体からガスへの移行が吸熱プロセスであり、液体を冷却し、それによって液体からガスへの蒸発を遅くするためである。
【0004】
絶縁ガスの液化温度を超えてガス絶縁電気デバイスのエンクロージャ全体を加熱する方法およびデバイスが知られている。しかし、これらの方法およびデバイスは、大量の熱損失を引き起こし、一定の温度に機器全体を保つためにかなりの量のエネルギーを消費する。
【0005】
したがって、低温に絶縁ガス混合物の組成を維持するための改善された装置および方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/083737号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明は、添付の特許請求の範囲で定義されている。
【0008】
一態様では、本発明は、中電圧または高電圧電気デバイスであって、密閉チャンバであって、電気構成要素、このチャンバ内で発生された電気アークの電気的絶縁および/または消滅を確実にするガス混合物であって、少なくとも1つの絶縁ガスおよび少なくとも1つの希釈ガスを含むガス混合物、ならびにレセプタクルであって、前記レセプタクルは、開口部と、少なくとも1つの壁とを備え、少なくとも1つの壁は、加熱可能な壁であり、前記レセプタクルは、液化ガスを受け入れるように位置決めされ、デバイスは、加熱可能なレセプタクル壁を加熱するための加熱要素をさらに備えるレセプタクルを備える密閉チャンバと、加熱可能なレセプタクル壁とチャンバとの間に位置する誘電断熱層(dielectrically and thermally insulating layer)とを備える、デバイスを提供する。
【0009】
第2の態様では、本発明は、中電圧または高電圧電気デバイス内で絶縁ガス混合物の組成を維持する方法であって、ガス混合物は、デバイス内で発生された電気アークの電気的絶縁および/または消滅を確実にし、デバイスは、第1の態様によるデバイスであり、デバイスは、温度、液体、および/または圧力センサをさらに備え、方法は、
レセプタクルに液化ガスを収集するステップと、
温度または圧力が閾値温度または閾値圧力を下回ったとき、または液体レベルが閾値レベルを上回ったとき、加熱要素によってレセプタクルに収集された液化ガスを加熱するステップと
を含む、方法を提供する。
【0010】
本発明は、様々な方法で実践することができ、添付の図を参照して本発明を例示するために、いくつかの特定の実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用される用語の意味を以下に説明し、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本明細書で使用される場合、「中電圧」および「高電圧」という用語は、従来受け入れられている様式で使用される。言い換えると、「中電圧」という用語は、ACの場合は1000ボルト(V)、DCの場合は1500Vを超えるが、ACの場合は52,000V、DCの場合は75,000Vを超えない電圧を指す。「高電圧」という用語は、ACの場合は52,000V、DCの場合は75,000Vを厳密に超える電圧を指す。
【0014】
本明細書で使用される場合、「~を備える」という用語は、指定された構成成分、プロセスステップなど「を含む」が、これらに限定されないことを意味する。「~を備える」という用語は、指定された構成成分、プロセスステップなど「を本質的に含む」事例を包含するが、これらに限定されない。
【0015】
ガス、絶縁ガス、ガス混合物、およびガス絶縁混合物という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。
【0016】
ガス混合物またはガス絶縁体は、フッ素化化合物を含むガス混合物であってもよい。例えば、フッ素化化合物は、ヘプタフルオロイソブチロニトリルであってもよい。他の可能なフッ素化化合物は、1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-2-ブタノン(CF3C(O)CF(CF3)2),2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234 yf),1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)またはフルオロオキシランであってもよい。これらのガスのいずれかの組み合わせもまた、使用することができる。
【0017】
本明細書でiC3F7CNとしても知られているヘプタフルオロイソブチロニトリルは、(CF3)2CFCNの式(I)を有し、CAS番号42532-60-5を有する2,3,3,3-テトラフルオロ-2-トリフルオロメチルプロパンニトリルに対応する。沸点は、1013hPaで-4.9℃である(沸点は、ASTM D1120-94「エンジン冷却材の沸点の標準試験法」に従って測定されている)。
【0018】
ガス混合物は、フッ素化化合物および希釈ガスを含んでもよい。好ましくは、ガス混合物は、ヘプタフルオロイソブチロニトリルおよび希釈ガスを含む。
【0019】
希釈ガスは、非常に低い、またはゼロでさえある地球温暖化係数(GWP)を有する天然ガスまたはガス混合物である。希釈ガスは、1に等しいGWPを有する二酸化炭素、窒素、酸素、もしくは空気、有利には0に等しいGWPを有する乾燥空気、またはそれらの混合物であり得る。希釈ガスは、二酸化炭素、窒素、酸素、空気(80%N2および20%O2)、有利には乾燥空気、およびそれらの任意の混合物からなるリストから選択することができる。
【0020】
ガス混合物は、少なくとも80体積%、好ましくは少なくとも90体積%の二酸化炭素を含み得る。有利には、ヘプタフルオロイソブチロニトリルは、二酸化炭素と酸素の混合物で使用することができる。
【0021】
本発明の装置またはデバイス10は、漏れ防止絶縁空間または密閉チャンバを画定するハウジングと、絶縁空間内に配置された電気活性部品または電気構成要素とを備える。本明細書で使用される場合、漏れ防止絶縁空間、絶縁空間、および密閉チャンバという用語は、互換的に使用される。絶縁空間は、ガス絶縁混合物を含んでもよい。ガス絶縁混合物は、上述のように、ヘプタフルオロイソブチロニトリルを含んでもよい。
【0022】
「電気活性部品」および「電気構成要素」という用語は、互換的に使用され得る。それらは広く解釈されるべきであり、導体、導体構成、スイッチ、導電性構成要素、サージアレスタなどを含むことができる。特に、本発明の装置は、開閉装置、特にガス絶縁カプセル化開閉装置、またはその一部および/もしくは構成要素、特にバスバー、ブッシング、ケーブル、ガス絶縁ケーブル、ケーブルジョイント、変流器、変圧器、サージアレスタ、接地スイッチ、断路器、負荷遮断スイッチ、ならびに/または回路遮断器を含む。開閉装置は、金属カプセル化開閉装置であってもよい。
【0023】
装置が屋外で使用されるとき、周囲温度が低いと、ハウジング壁およびチャンバ壁を含むハウジングが冷却される。これはまた、ハウジング内の絶縁ガス混合物を冷却する。絶縁ガスは、装置の壁に沿って凝縮し、ガスの濃度の勾配または変動、ならびに絶縁ガスの絶縁特性の変化を生成する場合がある。
【0024】
ガスの濃度の勾配および/または変動は、電気構成要素を備える密閉チャンバと、液化ガスを収集するためのチャンバ内のレセプタクルと、局所的な環境で液化ガスを再加熱するための加熱要素とを備える電気デバイスを有することによって回避することができる。
【0025】
デバイス10は、密閉チャンバ12を備える。密閉とは、チャンバ12がその中に含まれるガスに対して防漏性であることを意味する。密閉チャンバ12は、2つの端部部分の間に延びる長さを有する中央シェルを備える。一実施形態では、チャンバ12は、円筒形状を有する。別の実施形態では、チャンバ12は、別の幾何学的形状を有する。チャンバ12は、上側部分および底部部分、または底部を備える。底部部分は、チャンバ12内の最下点に近接して位置する。チャンバ12の底部部分は、チャンバ床と呼ばれる表面を備える。チャンバ床は、チャンバ12内の最下点に近接するデバイス10内の表面である。上側部分は、チャンバ12内の最高点に近接して位置する。
【0026】
図1に示すように、デバイス10は、チャンバ12内にレセプタクル20を備える。レセプタクル20は、凝縮または液化絶縁ガスを受け入れるためにチャンバ12内に位置決めされる。一実施形態では、チャンバ12の少なくとも1つの壁は、重力によってチャンバ12の壁を流れ落ちる液体がレセプタクル20に向かって流入するように、レセプタクル20に向かって傾斜している。例えば、チャンバ12内の壁の一部は、凝縮フィンガ(condensing finger)の形状に形成され、フィンガの側面を流れ落ちてレセプタクル20に流入するように液体を導くことができる。
【0027】
レセプタクル20は、少なくとも1つの壁22を備える。レセプタクル20は、レセプタクル底部壁、または床24を備えることができる。レセプタクル壁22は、レセプタクル床24に隣接していてもよい。
【0028】
少なくとも1つのレセプタクル壁は、加熱可能である。加熱可能な壁は、加熱要素42に近接していてもよい。加熱可能な壁は、加熱要素42に隣接していてもよい。加熱可能な壁は、加熱要素42を備えることができる。加熱要素42は、加熱可能な壁と一体であってもよい。
【0029】
レセプタクル20は、チャンバと連通する開口部26をさらに備える。開口部26とチャンバ12との間の連通は、直接連通であってもよい。レセプタクル開口部26は、チャンバ床と同一平面上にあってもよい。
【0030】
レセプタクル壁22は、チャンバ床の下に延びてもよい。レセプタクル壁22は、チャンバ床内に凹部またはレセプタクル20を形成し、液化ガス60を収集することができる。レセプタクル壁22は、チャンバ床と一体であってもよい。
【0031】
レセプタクル20は、カバー付きの分岐管またはハンドホールであってもよい。本明細書で使用される場合、分岐管およびハンドホールという用語は、互換的に使用され得る。分岐管は、円筒形状であってもよい。分岐管は、レセプタクル壁22を形成することができる。分岐管壁は、加熱可能な壁であってもよい。分岐管は、チャンバ床におけるその取り付け部の反対側に開口部26を備えることができる。開口部は、チャンバ床、またはチャンバ床と同一平面上にある分岐管開口部26への取り付け点と正反対であってもよい。分岐管は、密閉チャンバ12の床から離れるように下方に延びてもよい。分岐管には、チャンバ床とは反対側の、分岐管開口部26を囲むフランジジョイント16を備えた端部セグメントを設けることができる。
【0032】
チャンバ床に対向する分岐管開口部26は、分岐管カバーまたは蓋40で閉じられ、レセプタクル床24を形成することができる。カバーまたは蓋40は、分岐管に取り外し可能に取り付けられてもよい。分岐管カバー40は、加熱可能な壁であってもよい。分岐管カバー40は、加熱要素42を備えることができる。加熱要素42は、分岐管カバー40に一体的に内蔵されてもよい。加熱要素42は、分岐管カバー40に取り付けられてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、レセプタクル20は、チャンバ床の一部または全部に沿って延びるチャネルであり得る。チャネルは、半円形チャネルであってもよい。チャネル床は、加熱可能な壁であってもよい。チャネルはまた、2つの側壁および床を備えることができる。この実施形態では、チャネル床および/またはチャネル壁は、加熱可能な壁であってもよい。
【0034】
レセプタクルは、その中の液化ガスの表面積を最大にするように構成されてもよい。これにより、ガス-液体再蒸発/交換に利用可能な面積の最適化が可能になる。レセプタクル内の液体の表面積は、約10cm2~約5000cm2、約50cm2~約2500cm2、約75cm2~約1000cm2の範囲であり得る。レセプタクルは、レセプタクル内の液化ガスの深さが最小になるようにさらに構成されてもよい。レセプタクル内の液体の深さは、約0.1cm~約50cm、約1cm~約35cm、約5cm~約25cmの範囲であり得る。
【0035】
レセプタクルは、電気デバイスの全体積の約10%未満、約15%未満、約20%未満、約25%未満の体積を有してもよい。
【0036】
誘電断熱層30は、加熱可能なレセプタクル壁とチャンバ12との間に位置する。絶縁層30は、ワッシャであってもよい。絶縁層30は、チャンバ壁から加熱可能なレセプタクル壁を隔離することを可能にする。したがって、この隔離層30は、チャンバ12全体の加熱を防止し、これによりデバイスのエネルギー消費が低減され、効果的にはレセプタクル20内の液体のみを加熱して再蒸発させる。絶縁層は、ポリエチレン、ポリフルオロエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、パリレンN(商標)、Nuflon(商標)、シリコン、およびエポキシ樹脂から作製され得る。
【0037】
好ましくは、レセプタクル20は、電気活性構成要素に近接して、すなわち、高い電気勾配を有する面積から離れて位置されない。これは、起こり得る放電を回避するためである。一実施形態では、レセプタクル20は、電気構成要素の真下には位置されない。
【0038】
加熱要素42は、電力を加熱要素42に供給するように動作する電源に結合される。電源は、変調可能であってもよく、すなわち、加熱要素42に供給される電力を変調してもよい。加熱要素42は、電源によって電力供給される抵抗加熱であってもよい。電源は、バッテリであってもよく、またはネットワークによって電力供給されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、分岐管フランジ16、絶縁層30、および分岐管カバー40は、少なくとも1つのボルト50で定位置に共に保持されてもよい。
【0040】
レセプタクル20には、少なくとも温度センサ、圧力センサ、および/または液体センサがさらに装着されてもよい。チャンバは、少なくとも温度センサ、圧力センサ、および/または液体センサを備えることができる。センサは、コントローラに結合されてもよい。コントローラは、センサの1つまたは複数から出力信号を受信し、次いで加熱要素42への電力を変調するように動作する。
【0041】
温度センサは、レセプタクルおよび/またはチャンバ内の温度を監視するために使用されてもよい。温度センサはまた、周囲温度、すなわち、デバイス10の近傍の温度を監視することができる。圧力センサは、レセプタクルおよび/またはガス絶縁開閉装置内のガス圧力を監視するために使用することができる。液体センサを使用して、レセプタクル内に収集された凝縮ガスの存在および/または量を監視することができる。
【0042】
加熱手段42の動作は、温度センサ、圧力センサ、および/または液体センサから読み出されたデータに依存し得る。加熱手段42は、変調可能であってもよい。
【0043】
一実施形態では、加熱要素42を連続的にオンに保つことによって、レセプタクル20を連続的に加熱することができる。別の実施形態では、加熱要素42は、レセプタクル20またはチャンバ12内の温度センサが所定の閾値温度を下回ったときにのみオンにされる。
【0044】
所定の閾値温度は、ガス液化温度よりも約5℃、10℃、15℃、または20℃高くてもよい。閾値温度は、チャンバ12を充填する際のガスの圧力に依存する。これは、充填されるガス混合物の圧力-温度曲線を使用して計算することができる。
【0045】
加熱要素42は、液体センサで検知されるように、レセプタクル20内の液化ガスが閾値レベルを超えたときにオンにすることができる。
【0046】
加熱要素42は、チャンバ12内の圧力が閾値圧力を下回ったときにオンにすることができる。閾値圧力は、充填されるガス混合物の圧力-温度曲線を使用して計算することができる。
【0047】
ヘプタフルオロイソブチロニトリルの液化温度は、デバイス10内の圧力に依存する。ガスの液化温度は、その圧力曲線に基づいて計算することができる。液化温度未満では、ヘプタフルオロイソブチロニトリルは、気相から凝縮する。ヘプタフルオロイソブチロニトリルガスは、エンクロージャの最も冷たい部分、例えばガス絶縁電気デバイス10の壁に凝縮し得る。次いで、凝縮物は、デバイス10の壁を流れ落ち、ガス絶縁デバイス10の防漏チャンバ12内の最下点に位置することができるレセプタクル20に流入することができる。凝縮物はまた、レセプタクル20の上方のチャンバ12内に位置決めされた凝縮フィンガを介して収集されてもよい。液化ヘプタフルオロイソブチロニトリルは、重力を使用してレセプタクル20に回収される。次に液化ガスは、レセプタクル20内で局所的に加熱されて再蒸発し得る。
【0048】
中電圧または高電圧電気デバイス10内で絶縁ガス混合物の組成を維持する方法において、方法は、レセプタクル20に液化ガスを収集するステップと、温度またはガス圧力が閾値温度または閾値圧力を下回ったとき、または液体レベルが閾値レベルを上回った場合、加熱要素42によってレセプタクル20内の液化ガスを加熱するステップとを含む。
【0049】
レセプタクル20内で凝縮物を加熱して蒸発させることは、小さな面積の加熱を必要とするので有利である。加えて、レセプタクル20は密閉チャンバ12と比較して小さいため、その内部の局所的な温度は、装置10全体の内部よりも高い。これは、気化の吸熱効果を相殺し、凝縮物を蒸発させるための追加のエネルギーブーストを提供する。加えて、ガスが再蒸発すると、再蒸発時に生じる対流により、装置10におけるガス混合物内のガスの混合が可能になる。これにより、ガス組成は、凝縮性ガスの凝縮温度よりも低い温度で安定なままであることが可能になる。
【0050】
凹部またはレセプタクル20の壁の少なくとも1つが加熱されると、これによりヘプタフルオロイソブチロニトリル凝縮物の再蒸発が可能になる。
【0051】
SF6などの代替絶縁ガスを使用する電気デバイス10は、絶縁ガスとしてヘプタフルオロイソブチロニトリルと共に使用するために改造することができる。いくつかの実施形態では、これらの代替ガスを含む電気デバイスは、本開示によるレセプタクルを含むように改造されてもよい。このような改造では、電気デバイス10の気密エンクロージャ12は、本発明によるレセプタクル20を含むように適合されてもよい。これは、既存の構造上の分岐管を断熱ワッシャ30、および加熱要素42を備える蓋40と装着することを含むことができる。
【0052】
上述の本発明の各態様のすべての特徴は、必要な変更を加えて本発明の他の態様に適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 ガス絶縁電気デバイス、ガス絶縁デバイス、中電圧または高電圧電気デバイス、装置
12 密閉チャンバ、防漏チャンバ、気密エンクロージャ
16 フランジジョイント、分岐管フランジ
20 レセプタクル
22 レセプタクル壁
24 レセプタクル床
26 レセプタクル開口部、分岐管開口部
30 誘電断熱層、絶縁層、隔離層、断熱ワッシャ
40 分岐管カバー、蓋
42 加熱要素、加熱手段
50 ボルト
60 液化ガス
【国際調査報告】