(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】超音波基盤エアゾール発生装置およびそのカートリッジ認識方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20221121BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20221121BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564375
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(85)【翻訳文提出日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 KR2021008927
(87)【国際公開番号】W WO2022045578
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】10-2020-0107927
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、チュル ホ
(72)【発明者】
【氏名】ゴ、ギョウン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ベ、ヒュン ジン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ジャン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ミン セオク
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ジョン セオン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジン チュル
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA12
4B162AA22
4B162AB14
4B162AC17
4B162AC18
4B162AC27
4B162AC34
4B162AD08
4B162AD40
(57)【要約】
カートリッジ取替費用を減少させることができ、即刻のエアゾールの発生を担保できる超音波基盤エアゾール発生装置およびそのカートリッジ認識方法が提供される。本開示のいくつかの実施形態に係る超音波基盤エアゾール発生装置は、液状のエアゾール形成基材を貯蔵する液状貯蔵槽、貯蔵された液状のエアゾール形成基材に超音波振動を提供することによってエアゾールが形成されるようにする振動要素および振動要素と離隔して配置され複数のホールが形成された多孔部材を含むことができる。この時、振動要素の超音波振動によって液状のエアゾール形成基材が多孔部材方向に押し出され、押し出された液状が複数のホールを通過しながら素早く気化がなされ得る。これに伴い、パフ時にエアゾールが即刻に発生し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状のエアゾール形成基材を貯蔵する液状貯蔵槽;
前記貯蔵された液状のエアゾール形成基材に超音波振動を提供することによってエアゾールが形成されるようにする振動要素;および
前記振動要素と離隔して配置され複数のホールが形成された多孔部材を含み、
前記提供された超音波振動によって、前記貯蔵された液状のエアゾール形成基材が前記複数のホールを通過しながら前記エアゾールが形成される、超音波基盤エアゾール発生装置。
【請求項2】
前記振動要素は、
前記超音波振動を発生させる振動部材;および
前記発生した超音波振動を前記貯蔵された液状のエアゾール形成基材に伝達する振動伝達部材を含み、
前記振動伝達部材は前記液状貯蔵槽および前記多孔部材とともに取替可能なカートリッジに含まれ、
前記振動部材は前記超音波基盤エアゾール発生装置を制御する制御部とともに制御本体に含まれる、請求項1に記載の超音波基盤エアゾール発生装置。
【請求項3】
前記振動部材と前記振動伝達部材は平たい部分を含み、
前記カートリッジが前記制御本体と結合されることによって前記振動部材と前記振動伝達部材の平たい部分が互いに密着する、請求項2に記載の超音波基盤エアゾール発生装置。
【請求項4】
前記振動伝達部材は前記カートリッジの開放された下部端部付近に位置し、前記振動伝達部材の平たい部分は下部方向に突出するように構成され、
前記振動部材の平たい部分は前記カートリッジとの結合部位に開放された形態で位置し、
前記カートリッジの下部端部が前記制御本体と結合されることによって前記振動伝達部材が前記振動部材の平たい部分が互いに密着する、請求項3に記載の超音波基盤エアゾール発生装置。
【請求項5】
前記振動部材と前記振動伝達部材は導電体からなり、
前記制御部は前記振動部材と前記振動伝達部材間の通電の有無に基づいて前記振動部材と前記振動伝達部材の密着の有無を判別する、請求項2~4のいずれか一項に記載の超音波基盤エアゾール発生装置。
【請求項6】
前記振動部材は圧電素子に基づいて具現され、
前記制御部は前記振動部材で発生する電圧に基づいて前記振動部材と前記振動伝達部材の密着の有無を判別する、請求項2~5のいずれか一項に記載の超音波基盤エアゾール発生装置。
【請求項7】
前記振動伝達部材の少なくとも一部の厚さは0.01mm~1mmである、請求項2~6のいずれか一項に記載の超音波基盤エアゾール発生装置。
【請求項8】
前記振動要素と前記多孔部材間の離隔距離は0.1mm~2mmである、請求項1~7のいずれか一項に記載の超音波基盤エアゾール発生装置。
【請求項9】
前記多孔部材の厚さは0.01mm~2mmである、請求項1~8のいずれか一項に記載の超音波基盤エアゾール発生装置。
【請求項10】
前記複数のホールの大きさは1μm~500μmである、請求項1~9のいずれか一項に記載の超音波基盤エアゾール発生装置。
【請求項11】
前記複数のホールはオリフィス(orifice)の形態で形成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の超音波基盤エアゾール発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は超音波基盤エアゾール発生装置およびそのカートリッジ認識方法に関する。より詳細には、カートリッジ取替費用を減少させることができ、即刻のエアゾールの発生を担保できる超音波基盤エアゾール発生装置およびその装置で遂行されるカートリッジ認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近一般的な巻タバコの短所を克服する代替方法に関する需要が増加している。例えば、液状のエアゾール形成基材を気化させることによってエアゾールを発生させる装置(いわゆる「液状型エアゾール発生装置」)に関する需要が増加している。最近では、超音波振動を通じてエアゾールを発生させる超音波基盤エアゾール発生装置が提案されたことがある。
【0003】
これまで提案された殆どの超音波基盤エアゾール発生装置は、ユーザーの利便性を考慮してカートリッジ(またはカトマイザー)取替構造を採択している。そして、取替型カートリッジは基本的に液状貯蔵槽、ウィックおよび振動子で構成される。ところが、このような構造では相対的に高価な構成要素である振動子がカートリッジに含まれるため、カートリッジ取替費用(またはカートリッジ単価)が増加するという問題がある。
【0004】
前記のような費用問題によって、一部の超音波基盤エアゾール発生装置はカートリッジを取り替えずに液状をリフィルする方式を採択している。しかし、液状リフィル方式はエアゾール発生装置の構造を複雑にさせ、ユーザーが液状をリフィルしなければならない煩雑な点がある。その上、液状リフィル過程においてたびたび液状がユーザーの服または体に付着する場合があるが、これはユーザーに相当な不快感を与え得る。
【0005】
一方、カートリッジ取替構造を採択している超音波基盤エアゾール発生装置は、通常追加のセンサを具備してカートリッジの挿入または結合状態を認識する。ところが、追加センサの利用はエアゾール発生装置の製造原価を増加させ、内部構造を複雑にさせる原因となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示のいくつかの実施形態を通じて解決しようとする技術的課題は、カートリッジ取替費用(またはカートリッジ単価)を減少させ得る超音波基盤エアゾール発生装置を提供することである。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態を通じて解決しようとする他の技術的課題は、パフ(puff)による即刻のエアゾールの発生を担保できる超音波基盤エアゾール発生装置を提供することである。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態を通じて解決しようとするさらに他の技術的課題は、追加的なセンサの助けなしにカートリッジの結合状態を認識できる超音波基盤エアゾール発生装置およびその装置で遂行されるカートリッジ認識方法を提供することである。
【0009】
本開示の技術的課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は以下の記載から本開示の技術分野での通常の技術者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を解決するための、本開示のいくつかの実施形態に係る超音波基盤エアゾール発生装置は、液状のエアゾール形成基材を貯蔵する液状貯蔵槽、前記貯蔵された液状のエアゾール形成基材に超音波振動を提供することによってエアゾールが形成されるようにする振動要素および前記振動要素と離隔して配置され複数のホールが形成された多孔部材を含むことができる。この時、前記提供された超音波振動によって、前記貯蔵された液状のエアゾール形成基材が前記複数のホールを通過しながら前記エアゾールが形成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態で、前記振動要素は、前記超音波振動を発生させる振動部材および前記発生した超音波振動を前記貯蔵された液状のエアゾール形成基材に伝達する振動伝達部材を含むことができる。この時、前記振動伝達部材は前記液状貯蔵槽および前記多孔部材とともに取替可能なカートリッジに含まれ、前記振動部材は前記エアゾール発生装置を制御する制御部とともに制御本体に含まれ得る。
【0012】
いくつかの実施形態で、前記振動部材と前記振動伝達部材は平たい部分を含み、前記カートリッジが前記制御本体と結合されることによって前記振動部材と前記振動伝達部材の平たい部分が互いに密着し得る。
【0013】
いくつかの実施形態で、前記振動部材と前記振動伝達部材は導電体からなり、前記制御部は前記振動部材と前記振動伝達部材間の通電の有無に基づいて前記振動部材と前記振動伝達部材の密着の有無を判別することができる。
【0014】
いくつかの実施形態で、前記振動部材は圧電素子に基づいて具現され、前記制御部は前記振動部材で発生する電圧に基づいて前記振動部材と前記振動伝達部材の密着の有無を判別することができる。
【0015】
いくつかの実施形態で、前記振動伝達部材の少なくとも一部の厚さは0.01mm~1mmであり得る。
【0016】
いくつかの実施形態で、前記振動要素と前記多孔部材間の離隔距離は0.1mm~2mmであり得る。
【0017】
いくつかの実施形態で、前記多孔部材の厚さは0.01mm~2mmであり得る。
【0018】
いくつかの実施形態で、前記ホールの大きさは1μm~500μmであり得る。
【0019】
いくつかの実施形態で、前記ホールはオリフィス(orifice)の形態で形成され得る。
【発明の効果】
【0020】
前述した本開示のいくつかの実施形態によると、相対的に高価な構成要素である振動部材がカートリッジではなく制御本体側に配置され得る。これに伴い、カートリッジ取替費用(またはカートリッジ単価)が大きく減少し得る。
【0021】
また、振動部材がカートリッジから除外されることによってカートリッジ構造が簡素化され得る。これに伴い、カートリッジの製造時に不良発生率が顕著に減少し得、防水および/または防振設計も容易となり得る。
【0022】
また、振動部材の偏差によって霧化量の偏差が発生することが未然に防止され得る。例えば、振動部材がカートリッジに含まれる場合には、カートリッジ取替時ごとに振動部材が変わることによって霧化量の偏差が発生し得る。すなわち、振動部材の偏差(e.g.製造上の偏差)がそのままエアゾール発生装置に反映されてカートリッジ取替時ごとに霧化量が変わり得る。しかし、振動部材が制御本体側に位置することになると、振動部材が取り替えられないため霧化量の均一性が維持され得る。
【0023】
また、カートリッジに振動伝達部材が配置され得る。振動伝達部材は振動部材によって発生した振動を液状に伝達することによって、振動部材が制御本体側に位置してもエアゾールが円滑に発生するようにすることができる。
【0024】
また、カートリッジが制御本体と結合されることによって、振動伝達部材と振動部材が密着した構造を形成することができる。これに伴い、振動部材によって発生した振動が振動伝達部材を通じて損失なく液状に伝達され得るようになるため、エアゾールの発生が円滑になされ得る。
【0025】
また、振動伝達部材から適切に離隔した位置に複数のホールを含む多孔部材が配置されることによって、パフ時に即刻のエアゾールの発生が担保され得る。具体的には、振動伝達部材によって伝達された振動が振動伝達部材と多孔部材の間の液状を多孔部材方向に押し出し、押し出された液状が前記複数のホールを通過しながら素早く気化することによって、パフ時に即刻にエアゾールが発生し得る。
【0026】
また、振動部材と振動伝達部材間の通電の有無または振動部材の圧電現象を利用して両部材の密着の有無が判別され、これに伴い、カートリッジの結合状態が認識され得る。換言すると、追加的なカートリッジ認識センサがなくてもカートリッジの結合状態が認識され得、エアゾール発生装置の製造原価が節減され得、内部構造がさらに簡素化され得る。
【0027】
本開示の技術的思想による効果は以上で言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は以下の記載から通常の技術者に明確に理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態に係る超音波基盤エアゾール発生装置の構造を概念的に示す例示的な図面である。
【0029】
【
図2】本開示のいくつかの実施形態に係る蒸気化器の構造を概念的に示す例示的な図面である。
【0030】
【
図3】本開示のいくつかの実施形態に係る超音波基盤エアゾール発生装置の細部構造を示す例示的な図面である。
【0031】
【
図4】本開示のいくつかの実施形態に係る振動伝達部材を説明するための例示的な図面である。
【0032】
【
図5】本開示のいくつかの実施形態に係る多孔部材を説明するための例示的な図面である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態に係る多孔部材を説明するための例示的な図面である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態に係る多孔部材を説明するための例示的な図面である。
【0033】
【
図8】本開示のいくつかの実施形態に係る超音波基盤エアゾール発生装置の気流パス構造を示す例示的な図面である。
【0034】
【
図9】本開示の第1実施形態に係るカートリッジ認識方法を説明するための例示的な図面である。
【0035】
【
図10】本開示の第2実施形態に係るカートリッジ認識方法を説明するための例示的な図面である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付された図面を参照して本開示の好ましい実施形態を詳細に説明する。本開示の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は添付される図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると明確となるであろう。しかし、本開示の技術的思想は以下の実施形態に限定されるものではなく互いに異なる多様な形態で具現され得、ただし以下の実施形態は本開示の技術的思想を完全なものとし、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に本開示の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示の技術的思想は請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0037】
各図面の構成要素に参照符号を付加するにおいて、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意されたい。また、本開示を説明するにおいて、関連した公知の構成または機能に対する具体的な説明が本開示の要旨を曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合にはその詳細な説明は省略する。
【0038】
特に定義されない限り、以下の実施形態で使われるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味で使われ得る。また、一般的に使われる辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り理想的にまたは過度に解釈されない。以下の実施形態で使われた用語は実施形態を説明するためのものであり本開示を制限しようとするものではない。以下の実施形態で、単数型は文面で特に言及しない限り複数型も含む。
【0039】
また、本開示の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を使うことができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結または接続され得るが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」されてもよいと理解されるべきである。
【0040】
本開示で使われる「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は言及された構成要素、段階、動作および/または素子は一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0041】
本開示の多様な実施形態についての説明に先立ち、実施形態で使われるいくつかの用語について明確にすることにする。
【0042】
以下の実施形態で、「エアゾール形成基材」はエアゾール(aerosol)を形成できる物質を意味し得る。エアゾールは揮発性化合物を含むことができる。エアゾール形成基材は固体または液状であり得る。例えば、固体のエアゾール形成基材は板状葉タバコ、刻草、再構成タバコなどのタバコ原料に基づく固体物質を含むことができ、液状のエアゾール形成基材はニコチン、タバコ抽出物および/または多様な香味剤に基づく液状組成物を含むことができる。しかし、本開示の範囲が前記列挙された例示に限定されるものではない。以下の実施形態で、液状は液状のエアゾール形成基材を指称するものであり得る。
【0043】
以下の実施形態で、「エアゾール発生装置」はユーザーの口を通じてユーザーの肺に直接的に吸入可能なエアゾールを発生させるためにエアゾール形成基材を利用してエアゾールを発生させる装置を意味し得る。
【0044】
以下の実施形態で、「パフ(puff)」はユーザーの吸入(inhalation)を意味し、吸入とは、ユーザーの口や鼻を通じてユーザーの口腔内、鼻腔内または肺に引き寄せる状況を意味し得る。
【0045】
以下、本開示の多様な実施形態について添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0046】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る超音波基盤エアゾール発生装置1の構造を概念的に示す例示的な図面である。特に、
図1はカートリッジ10の装着前後の状態を順次例示している。
【0047】
図1に図示された通り、超音波基盤エアゾール発生装置1はカートリッジ10と制御本体20を含むことができる。ただし、
図1には本開示の実施形態に関連する構成要素のみが図示されている。したがって、本開示が属した技術分野の通常の技術者であれば、
図1に図示された構成要素の他に他の汎用的な構成要素がさらに含まれ得ることが分かる。以下、エアゾール発生装置1の各構成要素について説明する。
【0048】
カートリッジ10は液状のエアゾール形成基材を保管する容器を意味し得る。また、場合によりカートリッジ10はマウスピースと蒸気化器(e.g.カトマイザー)の一部又はすべての構成要素をさらに具備してもよい。例えば、図示された通り、カートリッジ10はマウスピース110と蒸気化器30の一部の構成要素をさらに含むように構成され得る。他の例として、カートリッジ10はマウスピース110を除いて蒸気化器30の一部の構成要素のみをさらに含むように構成されてもよい。
【0049】
図1は、カートリッジ10が制御本体20と結合されてエアゾール発生装置1の上部を形成し、制御本体20がエアゾール発生装置1の下部を形成するものを例として図示しているが、本開示の範囲はこのような構造に限定されるものではない。他のいくつかの実施形態では、カートリッジ10はエアゾール発生装置1のハウジングの内部に装着される構成要素であってもよい。
【0050】
カートリッジ10は取替可能な構成要素であり得る。すなわち、カートリッジ10内の液状が消尽した時にリフィルが行われるものではなく、新しいカートリッジに取り替えられ得る。このような場合、エアゾール発生装置1の全般的な構造が単純化され得るため、製造工程上の利点(e.g.製造費用の減少、不良率の減少等)が確保され得る。ひいては、ユーザーが直接液状をリフィルしなければならない不便な点が解消されるため、製品の市場競争力が向上し得る。ただし、カートリッジ10の取替費用が問題となり得るが、このような問題はカートリッジ10から蒸気化器30の一部の構成要素(すなわち、相対的に高価な振動部材)を除くことによって解決され得る。以下では、カートリッジ10が取替可能な構成要素であることを前提として説明を続けることにする。
【0051】
図1に概念的に図示された通り、実施形態に係るカートリッジ10はマウスピース110と蒸気化器30の一部の構成要素を含むことができる。より具体的には、
図2に例示された通り、蒸気化器30は液状のエアゾール形成基材311を貯蔵する液状貯蔵槽、振動(超音波振動)を通じて液状を気化させる振動部材360、気化した液状をマウスピース110方向に伝達するための気流管320等の構成要素を含むことができる。このうち、振動部材360は制御本体20側(e.g.
図2の点線の下側)に配置され得、残りの構成要素はカートリッジ10側(e.g.
図2の点線の上側)に配置され得る。このような場合、カートリッジ10と制御本体20が結合されることによって蒸気化器30が構成され得、相対的に高価な構成要素である振動部材がカートリッジ10から除外されることによってカートリッジ10の取替費用(または単価)が大きく減少し得る。カートリッジ10の細部構造については追って
図3などの図面を参照してより詳細に説明することにする。
【0052】
いくつかの実施形態では、
図2に図示された通り、蒸気化器30がカートリッジ10側に配置された振動伝達部材340をさらに含むことができる。すなわち、蒸気化器30は振動要素として振動伝達部材340と振動部材360を含むことができる。振動伝達部材340は制御本体20側の振動部材360によって発生した振動を液状311に伝達することによって、エアゾールが円滑に発生するようにすることができる。振動伝達部材340については追って
図3などの図面を参照してより詳細に説明することにする。
【0053】
再び
図1を参照して、エアゾール発生装置1の構成要素についての説明を続けることにする。
【0054】
制御本体20はエアゾール発生装置1の全般的な制御機能を遂行することができる。図示された通り、制御本体20はカートリッジ10と結合され得る。カートリッジ10がエアゾール発生装置1に内蔵された構成要素である場合には、制御本体20はカートリッジ10を含む上部ハウジングと結合されてもよい。
【0055】
図示された通り、制御本体20は制御部210およびバッテリー220を含むことができる。また、前述した通り、制御本体20は振動部材360等をさらに含むことができる。制御本体20の他の構成要素については追って
図3を参照して説明することにし、以下では制御部210とバッテリー220について簡略に説明することにする。
【0056】
制御部210はエアゾール発生装置1の動作を全般的に制御することができる。例えば、制御部210は蒸気化器30とバッテリー220の動作を制御することができ、エアゾール発生装置1に含まれた他の構成要素の動作も制御することができる。制御部210はバッテリー220が供給する電力、振動部材360の振動周波数、振動強度などを制御することができる。エアゾール発生装置1がヒーター(図示されず)を追加で具備する場合、制御部210はヒーター(図示されず)の加熱温度も制御することができる。
【0057】
また、制御部210はエアゾール発生装置1の構成それぞれの状態を確認してエアゾール発生装置1が動作可能な状態であるか否かを判断してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態で、制御部210は振動伝達部材340と振動部材360間の密着の有無を判別し、判別結果に基づいてカートリッジ10の結合状態(e.g.結合の有無、結合の程度など)を認識することができる。例えば、制御部210は振動伝達部材340と振動部材360間の通電の有無に基づいて密着の有無を判別したり、振動部材360の圧電現象を利用して密着の有無を判別することができる。また、制御部210は判別結果に基づいて別途のセンサなしにカートリッジ10の結合状態を認識することができる。本実施形態によると、カートリッジ10の結合状態を認識するために追加のセンサを具備する必要がないため、エアゾール発生装置1の製造原価が減少し、内部構造の複雑性が緩和し得る。本実施形態については追って
図9および
図10を参照して詳細に説明することにする。
【0059】
制御部210は少なくとも一つのプロセッサ(processor)によって具現され得る。前記プロセッサは多数の論理ゲートのアレイで具現されてもよく、汎用的なマイクロプロセッサとこのマイクロプロセッサで実行され得るプログラムが保存されたメモリの組み合わせで具現されてもよい。また、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、制御部210が他の形態のハードウェアで具現されてもよいことが自明に理解できる。
【0060】
次に、バッテリー220はエアゾール発生装置1の動作に利用される電力を供給することができる。例えば、バッテリー220は蒸気化器30を構成する振動部材360が振動を発生できるように電力を供給することができ、制御部210の動作に必要な電力を供給することができる。
【0061】
また、バッテリー220はエアゾール発生装置1に設置されたディスプレイ(図示されず)、センサ(図示されず)、モータ(図示されず)等の電気的構成要素の動作に必要な電力を供給することができる。
【0062】
制御本体20の細部構造については追って
図3以下の図面を参照してより詳細に説明することにする。
【0063】
これまで
図1および
図2を参照して本開示のいくつかの実施形態に係る超音波基盤エアゾール発生装置1について概略的に説明した。前述によると、相対的に高価な構成要素である振動部材360がカートリッジ10ではなく制御本体20側に配置され得る。これに伴い、カートリッジ取替費用(またはカートリッジ単価)が大きく減少し得る。また、振動部材360がカートリッジ10から除外されることによってカートリッジ10の構造が簡素化され得、カートリッジの製造時に不良発生率が顕著に減少し得、防水および/または防振設計も容易となり得る。また、振動部材360の偏差(e.g.製造偏差)によって霧化量の偏差が発生することが未然に防止され得る。例えば、振動部材360がカートリッジ10に含まれる場合には、カートリッジ10の取替時ごとに振動部材360が変わることによって霧化量の偏差が発生し得る。しかし、振動部材360が制御本体20側に位置することになると、同一の振動部材360が継続して使われるため霧化量の均一性が維持され得る。
【0064】
以下では、
図3以下の図面を参照して超音波基盤エアゾール発生装置1の細部構造と動作原理についてより詳細に説明することにする。
【0065】
図3は、本開示のいくつかの実施形態に係る超音波基盤エアゾール発生装置1の細部構造を示す例示的な図面である。特に、
図3は、カートリッジ10の装着前後の状態を順次例示している。
【0066】
図3に図示された通り、カートリッジ10はカートリッジハウジング、マウスピース110、液状貯蔵槽310、振動伝達部材340、多孔部材330および気流管320を含むことができる。ただし、
図3には本開示の実施形態に関連する構成要素のみが図示されている。したがって、本開示が属した技術分野の通常の技術者であれば、
図3に図示された構成要素の他に他の汎用的な構成要素がさらに含まれ得ることが分かる。以下、カートリッジ10の各構成要素について説明する。
【0067】
カートリッジハウジングはカートリッジ10の外観を形成することができる。
図3は、液状貯蔵槽310の外壁とカートリッジハウジングを区分せずに図示したが、カートリッジハウジングの一部が液状貯蔵槽310の外壁を構成してもよく、構成しなくてもよい。また、カートリッジハウジングの一部がマウスピース110として機能してもよく、別途のマウスピース構造物がカートリッジハウジングに装着される形態で設計されてもよい。カートリッジハウジングはカートリッジ10内部の構成要素を保護できる適切な素材からなり得る。
【0068】
また、カートリッジハウジングは開放された下部端部を形成することができる。開放された下部端部付近には振動伝達部材340が位置することができる。そのようにすることによって、図示された通り、カートリッジ10が制御本体20と結合されることによって振動伝達部材340が振動部材360と密着し得る。すなわち、カートリッジ10が装着されると、振動伝達部材340と振動部材360が密着した構造を形成できるが、このような構造は振動伝達面積を最大化し、振動伝達時の損失を最小化することによって、迅速なエアゾールの発生と十分な霧化量を担保することができる。
【0069】
次に、マウスピース110はエアゾール発生装置1またはカートリッジ10の一端に位置し、カートリッジ10で発生したエアゾールを吸入するためにユーザーの口部と接触し得る。換言すると、ユーザーがマウスピース110を口にくわえて吸入すると、カートリッジ10で発生したエアゾールがマウスピース110を通じてユーザーに伝達され得る。
【0070】
次に、液状貯蔵槽310は液状のエアゾール形成基材311を貯蔵することができる。液状貯蔵槽310は一つまたは複数の貯蔵空間を具備することができる。例えば、液状貯蔵槽310は成分または組成比が互いに異なるエアゾール形成基材を区分して貯蔵するために複数の貯蔵空間を具備してもよい。
【0071】
次に、振動伝達部材340は振動部材360によって発生した振動を液状311に伝達することができる。例えば、振動伝達部材340は振動部材360によって発生した振動を周辺に位置した液状311に伝達し、液状311を気化させることができる。また、振動伝達部材340は液状311が下部方向(すなわち、制御本体20方向)に漏れることを防止する役割も遂行することができる。
【0072】
振動伝達部材340はカートリッジ10の開放された下部端部付近に位置することができ、平たい部分を含み、下部方向に突出した形態で構成され得る。例えば、
図3または
図4に図示された通り、振動伝達部材340は平たい形態の下部面341と下部面341を下部方向に突出させるための傾斜面342を含むことができる。このような場合、カートリッジ10が制御本体20と結合されることによって平たい下部面341が振動部材360に容易に密着し得る。
【0073】
振動伝達部材340は振動をよく伝達できる素材および/または形態からなり得、その具体的な素材および/または形態は実施形態により変わり得る。
【0074】
いくつかの実施形態で、振動伝達部材340の少なくとも一部(e.g.下部面)の厚さは約0.01mm~1mmであり得、好ましくは約0.02mm~0.7mm、約0.03mm~0.5mmであり得、さらに好ましくは約0.03mm~0.1mm、約0.03mm~0.2mm、約0.03mm~0.3mmまたは約0.03mm~0.4mmであり得る。このような数値範囲で、振動伝達時の損失が最小化され得、適切な耐久性も確保され得る。例えば、振動伝達部材340の厚さが過度に厚い場合には振動伝達部材340によって振動が吸収され得、過度に薄い場合には適切な耐久性が確保されないため振動伝達部材340が容易に破損する問題が発生し得る。
【0075】
また、いくつかの実施形態で、振動伝達部材340は金属のように適切な強度を有する素材(e.g.硬い素材)からなり得る。例えば、振動伝達部材340はステンレス鋼、アルミニウムなどのような金属素材からなり得るが、このような場合、振動伝達部材340によって振動が吸収されることが最小化されるだけでなく、液状311の接触による素材の変形も最小化され得る。
【0076】
また、いくつかの実施形態で、振動伝達部材340は平たい下部面(e.g.341)と下部面(e.g.341)が下部方向に突出するように傾斜面(e.g.342)を含むものの(
図3または
図4参照)、下部面の垂直側(すなわち、カートリッジ10の挿入方向)と傾斜面(e.g.342)がなす角度は約15度~70度であり得る。好ましくは、前記角度は約20度~約60度、約25度~約55度または約30度~約50度であり得る。このような数値範囲で、下部面(e.g.341)と振動部材360との密着面積が充分に確保され得、傾斜面(e.g.342)の角度によって振動の伝達が気流管330に向かって集中して気化速度が増加し得、霧化量も増大し得る。
【0077】
次に、多孔部材330は振動伝達部材340に離隔して配置されて即刻のエアゾールの発生を担保する役割をすることができる。例えば、図示された通り、多孔部材330は振動伝達部材340に離隔して気流管320の下部端部付近(すなわち、気流管の入口付近)に位置することができる。ここで、多孔部材330は
図5に例示された通り、複数のホール331を含む部材を意味し得る。例えば、多孔部材330は穴あき部材(e.g.穴あき板)、メッシュ部材(e.g.メッシュ板)等を含むことができるが、これに限定されるものではない。より理解の便宜を提供するために、
図6を参照して振動伝達部材340と多孔部材330を通じての気化のメカニズムについて簡略に説明することにする。
【0078】
図6に図示された通り、気流管320(または多孔部材330)と振動伝達部材340の間の空間に液状311が流入することができる(矢印参照)。液状311は毛細管現象、振動による振動伝達部材360と多孔部材330の間の間隔の変化、液状311の気化による圧力差などの要因によって振動伝達部材360と多孔部材330の間の空間に円滑に流入することができる。流入した液状311は振動伝達部材340の振動によって穴あき部材330方向に押し出され、押し出された液状311が多孔部材330に形成された複数のホール331を通過しながら気化が起きることができる。このような気化のメカニズムは、超音波振動を通じて直接液状311を気化させる方式と比較する時、即刻のエアゾールの発生を保証することができる。すなわち、パフ時に遅滞なくエアゾールが発生し得るため、ユーザーの喫煙満足度が向上し得る。
【0079】
多孔部材330は例えばプラスチック類、金属類(e.g.ステンレス鋼)、シリコン類などの素材からなり得る。しかし、これに限定されるものではない。
【0080】
また、多孔部材330の形態、ホール331の大きさ、形態および/または離隔距離などは多様に設計され得、これは実施形態により変わり得る。
【0081】
いくつかの実施形態で、ホール331の大きさ(e.g.
図5の直径D)は約1μm~500μmであり得、好ましくは約1μm~400μm、1μm~300μm、1μm~200μmまたは1μm~100μmであり得る。ホール331の大きさはエアゾールの粒子の大きさに関連するが、このような数値範囲内で適切な粒子の大きさのエアゾールが発生し得、十分な霧化量が担保され得る。例えば、ホール331の大きさが過度に小さいと、目に見えない非常に小さい粒子のエアゾールが発生するため可視的な霧化量が減少し得る。また、気化がよくなされないためエアゾールの発生量自体が減少することもある。
【0082】
いくつかの実施形態で、ホール331はオリフィス(orifice)の形態で形成され得る。例えば、
図7に図示された通り、ホール331はエアゾールの伝達方向(すなわち、上部方向)に断面積が減少する傾向を有するオリフィスの形態(e.g.縦断面が台形の形状)で形成され得る。このような場合、オリフィス効果によって気化速度がさらに向上し、エアゾールの粒子がさらに細かく生成され得る。ただし、本開示の範囲はこのような例示に限定されるものではなく、ホール331は円筒形などのように他の形態で形成されてもよい。
【0083】
いくつかの実施形態で、振動伝達部材340と多孔部材330間の離隔距離(e.g.
図6のH)は約0.1mm~2.0mmであり得、好ましくは約0.1mm~1.8mm、約0.1mm~1.5mmである、約0.2mm~1.2mmであるまたは約0.3mm~1.0mmであり得る。このような数値範囲内で、液状311の移送とエアゾールの発生が円滑になされ得る。例えば、離隔距離が過度に大きいと、振動伝達部材340により伝達された振動が液状311に吸収されて霧化量が減少し得る。その反対に、離隔距離が過度に小さいと、振動伝達部材340と多孔部材330の間に液状311の移送が円滑になされなくなり得、これに伴い、霧化量が減少し得る。
【0084】
いくつかの実施形態で、多孔部材330は平たい形態(e.g.板状)を有し、厚さは約0.01mm~5mmであり得る。好ましくは、前記厚さは約0.02mm~3mmまたは約0.03mm~2mmであり得る。このような数値範囲内で、エアゾールの発生が円滑になされ、気化速度も向上し得、適切な耐久性も確保され得る。例えば、例示された数値のように多孔部材330が適切に薄い厚さを有する場合には、伝達された振動によって穴あき部材330も振動して気化が加速化され得、凝縮されたエアゾールがホール331に粘着してホール311を塞ぐ現象も防止され得るため、エアゾールの発生がより円滑になされ得る。
【0085】
一方、いくつかの実施形態では、
図3に図示された通り、カートリッジ10に振動伝達部材340の外郭を固定するための固定部材350がさらに含まれ得る。固定部材350は振動伝達部材340の外郭部分を固定することによって、振動伝達部材340の中心部分(すなわち、平たい部分)が振動をよく伝達するようにすることができるが、これに伴い、気化速度が速くなり霧化量がさらに増大し得る。それだけでなく、固定部材350は振動伝達部材340に到達した振動がエアゾール発生装置1の外部に伝達されないように吸収する役割もすることができる。したがって、固定部材350はシリコン素材のように振動を吸収することができ、物理化学的変化が殆どない素材(e.g.液状と接触時に物理化学的変化がない素材)からなることが好ましい。また、固定部材350は振動伝達部材340とカートリッジハウジングの間の隙間を密封することによって、液状311またはエアゾールが下部方向に漏れることを防止する役割もすることができる。
【0086】
固定部材350の具体的な形態および/または個数は多様に設計され得る。例えば、固定部材350は振動伝達部材340の周りに沿って延びる1個のリング状に設計され得、複数の固定部材350が振動伝達部材340の外郭を固定するように設計されてもよい。
【0087】
一方、いくつかの実施形態で、カートリッジ10はヒーター(図示されず)をさらに含んでもよい。ヒーターは振動伝達部材340または多孔部材330の周辺に配置されて液状311を加熱することによって、振動による気化を加速化することができる。ヒーターは液状311の気化を助けるための補助的な要素として動作することができる。例えば、エアゾール形成基材311は粘度を有する液体であるため超音波振動のみでは満足する気化性能を得ることが困難な場合もあり得るが、このような場合、ヒーター(図示されず)を通じてエアゾール発生装置1の気化性能を向上させることができる。ヒーターの加熱温度は一般的な加熱式エアゾール発生装置のヒーター温度よりはるかに低く設定され得、このため、追加的な消費電力の増加は微々たるものとなり得る。ヒーターは制御部210により制御され得、制御方式は多様であり得る。
【0088】
例えば、制御部210はユーザーのパフが感知されるたびにヒーターの加熱温度を増加させることができる。パフの感知は気流センサを通じて遂行され得るであろうが、本開示の範囲はこれに限定されるものではない。
【0089】
他の例として、制御部210はユーザーのパフにかかわらず、喫煙中にヒーターの加熱温度を一定に維持することができる。このような場合、喫煙の間液状311が気化し易い状態を維持することができる。
【0090】
さらに他の例として、制御部210はユーザーの入力に応答してヒーターの加熱温度を決定することができる。例えば、ユーザーが霧化量のレベルを高レベルに選択した場合には制御部210はヒーターの加熱温度を増加させ、その反対の場合にはヒーターの加熱温度を減少させることができる。このような場合、ユーザーの好みに合う霧化量が提供されてユーザーの喫煙満足度が向上し得る。
【0091】
さらに他の例として、制御部210はユーザーのパフのパターンを分析してヒーターの加熱温度を決定することができる。ここで、パフのパターンはパフの長さ、パフの強度、パフの間隔などに基づいて定義され得るであろうが、これに限定されるものではない。具体的な例として、制御部210はパフの長さまたはパフの強度が増加したりパフの間隔が短くなる場合、ヒーターの加熱温度を増加させることができる。喫煙中にユーザーが吸入を長くしたり強くするということは、霧化量が満足でないことを意味する可能性が高いためである。その反対の場合であれば、制御部210はヒーターの加熱温度を減少させることができる。また、パフの間隔、パフの長さまたはパフの強度が一定に維持されると判断された場合には、制御部210はヒーターの加熱温度を一定に維持することができる。
【0092】
さらに他の例として、制御部210は前述した例示の多様な組み合わせに基づいてヒーターを制御することができる。
【0093】
再び
図3を参照して制御本体20の構成要素についての説明を続けることにする。
【0094】
図3に図示された通り、制御本体20は本体ハウジング230、振動部材360、制御部210およびバッテリー220を含むことができる。ただし、
図3には本開示の実施形態に関連する構成要素のみが図示されている。したがって、本開示が属した技術分野の通常の技術者であれば、
図3に図示された構成要素の他に他の汎用的な構成要素がさらに含まれ得ることが分かる。以下、制御本体20の各構成要素について説明する。
【0095】
本体ハウジング230は制御本体20の外観を形成することができる。場合により、本体ハウジング230はエアゾール発生装置1の外観を形成してもよい。本体ハウジング230は制御本体20の内部の構成要素を保護できる適切な素材からなり得る。
図3は、本体ハウジング230がカートリッジ10が挿入(装着)され得る空間を形成しているものを例として図示している。しかし、本開示の範囲はこれに限定されるものではなく、カートリッジ10と制御本体20は他の方式で結合されてもよい。
【0096】
制御部210およびバッテリー220についての説明は重複した説明を排除するために省略することにする。これらについての説明は
図1の説明部分を参照することにする。
【0097】
次に、振動部材360は液状のエアゾール形成基材311を気化させるために振動(超音波振動)を発生させることができる。例えば、振動部材360は電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換させ得る圧電素子で具現され、制御部210の制御により振動を発生させることができる。当該技術分野の当業者であれば、圧電素子の動作原理については自明に理解できるであろうため、これに対するそれ以上の説明は省略することにする。振動部材360は制御部210およびバッテリー220と電気的に連結され得る。
【0098】
いくつかの実施形態で、振動部材360は平たい部分を含むことができ(e.g.板状)、カートリッジ10と結合されることによって振動部材360と振動伝達部材340の平たい部分が互いに密着し得る(
図3の右側参照)。このような結合構造で振動伝達面積が最大化され振動損失は最小化されて霧化量が増大し得る。また、振動部材360はカートリッジ10との結合部位に開放された形態で配置されて(e.g.上部方向に開放されている)、カートリッジ10と結合されることによって振動伝達部材340と密着し得る。このような場合、振動部材360に対する掃除が簡便かつ容易であるだけでなく、カートリッジ10装着時に振動部材360が振動伝達部材340と容易に密着し得る。いくつかの実施形態では、振動部材360と振動伝達部材340の間にカップリングゲルが塗布され得る。このような場合、超音波振動がより損失なく振動伝達部材340を通じて液状311に伝達され得る。
【0099】
また、いくつかの実施形態で、振動部材340の振動周波数は略20kHz~1500kHz、または略50kHz~1000kHz、または略100kHz~500kHzであり得る。このような数値範囲で、適切な気化速度と霧化量が保証され得る。しかし、これに限定されるものではない。
【0100】
一方、いくつかの実施形態では、
図3に図示された通り、制御本体20に振動部材360の外郭を固定するように配置された固定部材370がさらに含まれ得る。固定部材370は振動部材360を保護しつつ、振動部材360によって発生した振動が本体ハウジング230の外部に伝達されないように振動を吸収する役割を遂行することができる。したがって、固定部材370はシリコン素材のように振動を吸収できる素材からなることが好ましい。また、固定部材370は防水または防湿が可能な素材からなって振動部材360と本体ハウジング230の間の隙間を密封する役割も遂行することができる。このような場合、本体ハウジング230と振動部材360の間の隙間に液体(e.g.液状311)または気体(e.g.エアゾール)が漏れて制御本体20に故障が発生する問題が大きく軽減され得る。例えば、制御本体20が湿気によって損傷したり故障が発生することが未然に防止され得る。
【0101】
固定部材370の具体的な形態および/または個数は多様に設計され得る。例えば、固定部材370は振動部材360の周りに沿って延びる1個のリング状に設計され得、複数の固定部材370が振動部材360の外郭を固定するように設計されてもよい。
【0102】
以下では、
図8を参照して超音波基盤エアゾール発生装置1の気流パス構造について説明することにする。
【0103】
図8は、本開示のいくつかの実施形態に係る超音波基盤エアゾール発生装置1の気流パス構造を示す例示的な図面である。また、
図8は、パフ時に現れる気流(e.g.外気、エアゾール)の流れを互いに異なる形状の矢印で図示している。
【0104】
図8に図示された通り、エアゾール発生装置1の一側面または両側面から多孔部材330が位置した気流管320の下部付近まで外気(点線の矢印参照)が流入する気流パスが形成され得る。流入した外気は多孔部材330を通過しながら気化したエアゾールと混合され得る。混合された外気とエアゾールはパフによって気流管320の内部の気流パスに沿ってマウスピース110方向に移動され得る。このような気流パス構造では、外気と気化したエアゾールが気流管320内で適切に混合されることによって高品質のエアゾールが形成され得る。
【0105】
これまで
図3~
図8を参照して本開示のいくつかの実施形態に係る超音波基盤エアゾール発生装置1の細部構造と動作原理について説明した。前述によると、カートリッジ10側に配置された振動伝達部材340が振動部材360によって発生した振動を液状311に伝達することによって、振動部材340が制御本体20側に位置してもエアゾールが円滑に発生するようにすることができる。また、カートリッジ10が制御本体20と結合されることによって、振動伝達部材340と振動部材360が密着した構造を形成することができる。これに伴い、振動部材360によって発生した振動が振動伝達部材340を通じて損失なく液状311に伝達され得るようになって気化速度と霧化量が向上し得る。また、振動伝達部材340から適切に離隔した位置に複数のホールを含む多孔部材330が配置されることによって、パフ時に即刻のエアゾールの発生が担保され得る。
【0106】
一方、前述したエアゾール発生装置1は振動伝達部材340と振動部材360からなる振動要素を具備するものとして説明された。しかし、本開示の他のいくつかの実施形態では、エアゾール発生装置1がカートリッジ10内に配置された振動部材360のみを振動要素として含んでもよい。このような場合にも、振動部材360と離隔して配置された多孔部材330を通じて即刻のエアゾールの発生が担保され得る。
【0107】
以下では、
図9および
図10を参照して超音波基盤エアゾール発生装置1のカートリッジ認識方法について説明することにする。以下で説明されるカートリッジ認識方法はエアゾール発生装置1の制御部210によって遂行され得る。したがって、以下の説明において特定動作の主語が省略された場合、制御部210によって遂行され得るものと理解され得る。
【0108】
図9は、本開示の第1実施形態に係るカートリッジ認識方法を説明するための例示的な図面である。以下、
図9を参照して説明する。
【0109】
本実施形態では、振動伝達部材340と振動部材360が導電体からなり得る。そして、振動伝達部材340と振動部材360それぞれは制御部210と電気的に連結され得る。例えば、振動伝達部材340はカートリッジ10が制御本体20に結合されることによって、制御部210と電気的に連結されるように構成され得る。
【0110】
そうすると、制御部210は振動伝達部材340と振動部材360間の通電の有無に基づいて振動伝達部材340と振動部材360の密着の有無を判別することができる。具体的には、図示された通り、制御部210は所定の試験電流(C)を振動部材360に印加し、印加された試験電流(C)が振動部材360と振動伝達部材340を通じて流れるか否か(すなわち、通電の有無)をチェックすることによって密着の有無を判別することができる。振動部材360と振動伝達部材340が密着した場合に限って通電ができるためである。
【0111】
また、制御部210は振動部材360と振動伝達部材340が密着したと判断した場合、カートリッジ10が制御本体20に結合されたものと認識することができる。すなわち、制御部210はカートリッジ10が制御本体20に結合される時、両部材340、360が密着する点を利用してカートリッジ10の結合状態を認識することができる。
【0112】
また、振動部材360と振動伝達部材340が密着してから離れたものと判断した場合、制御部210はカートリッジ10が制御本体20から除去されたものと認識することができる。このような場合、制御部210は自動で振動部材360の動作を停止させることができる。振動部材360が振動伝達対象なしに単独で動作することになると、相当な熱が発生して高価な振動部材360が破損したり、制御本体20が熱くなってユーザーが火傷をすることもあるためである。
【0113】
一方、制御部210は周期的または非周期的に両部材340、360の密着の有無を判別することができる。例えば、制御部210は所定の周期で自動で両部材340、360の密着の有無を判別することによって、カートリッジ10の装着を自動で認識することができる。他の例として、制御部210はエアゾール発生装置1の動作中(e.g.喫煙中)に周期的に両部材340、360の密着の有無を判別することによって、カートリッジ10の結合状態をモニタリングすることができる。さらに他の例として、制御部210は指定されたユーザー入力(e.g.電源on、動作要請など)が受信された場合、両部材340、360の密着の有無を判別してカートリッジ10の結合状態を認識することができる。また、カートリッジ10未結合状態と認識した場合、制御部210は認識結果を知らせるメッセージ(e.g.カートリッジ未結合を知らせるエラーメッセージ)をユーザーが認知可能な形態で提供することができる。ここで、ユーザーが認知可能な形態は視覚的(e.g.ディスプレイに表示、LED点滅など)、聴覚的(e.g.音声、効果音など)、または触覚的(e.g.振動など)に認知可能なすべての形態を含むことができる。
【0114】
次に、
図10は本開示の第2実施形態に係るカートリッジ認識方法を説明するための例示的な図面である。以下、
図10を参照して説明する。
【0115】
本実施形態では、振動部材360が圧電素子に基づいて具現され得、制御部210は振動部材360の圧電現象を利用してカートリッジ10の結合状態を認識することができる。すなわち、制御部210は電気的エネルギーと機械的エネルギーを相互に変換できる圧電素子の動作原理に基づいてカートリッジ10の結合状態を認識することができる。
【0116】
より具体的には、図示された通り、カートリッジ10が制御本体20に装着される時、カートリッジ10の下部端部が振動部材360に密着しながら振動部材360に圧力(P)が加えられ得る。例えば、カートリッジ10の開放された下部端部付近に配置され下部方向に突出した形態からなる振動伝達部材340が、振動部材360に密着しながら圧力(P)が加えられ得る。ただし、本開示の範囲はこのような例示に限定されるものではなく、カートリッジ10は振動伝達部材340ではなくても他の部位が振動部材360に圧力(P)を加えるように設計されてもよい。振動部材360に圧力(P)が加えられると、圧電現象により振動部材360で電圧(すなわち、電気的エネルギー)が発生し得る。したがって、制御部210は振動部材360で発生した電圧(または電力)を測定することによってカートリッジ10の結合状態(e.g.結合の有無、結合の程度など)を認識することができる。
【0117】
カートリッジ10の結合状態を認識するために、制御部210は電圧(または電力)を測定するための測定手段211を具備することができる。ここで、測定手段211は電圧計のような回路要素で具現されてもよく、他の方式で具現されてもよい。測定手段211は振動部材360で発生した電圧(または電力)を測定できるものであればいかなる方式で具現されてもよい。
【0118】
制御部210は測定手段211を通じて測定された電圧が基準値以上という判断に応答して、カートリッジ10が制御本体20に結合されたものと認識することができる。ここで、基準値は予め設定された固定値または状況によって変動する変動値であり得る。例えば、基準値はカートリッジ装着実験を通じて実験的に決定された固定値であり得る。他の例として、基準値は以前のカートリッジが結合(装着)された時に発生した電圧の大きさに基づいて調整された変動値であり得る。例えば、制御部210は実験的に決定された電圧値をカートリッジ結合時に発生した電圧の大きさに基づいて増減させることによって基準値を更新することができる。また、基準値は一つの値で設定され得、値の範囲で設定されてもよい。値の範囲で設定される場合、制御部210は測定された電圧が設定された範囲に属するという判断に応答して、カートリッジ10が制御本体20に結合されたものと認識することができる。
【0119】
これとは反対に、制御部210は測定された電圧が基準値未満という判断に応答して、カートリッジ10が制御本体20に未結合された状態(または除去された状態)と認識することができる。
【0120】
いくつかの実施形態では、制御部210は電圧の大きさだけでなく、電圧の発生持続時間にさらに基づいてカートリッジ10の結合状態を認識することができる。例えば、制御部210は測定された電圧の大きさが基準値以上であり、電圧が一定時間以上発生した場合に限って、カートリッジ10が結合されたものと決定することができる。このような場合、特定の物体(e.g.指、鉄の棒)が振動部材360に瞬間的に接触して発生した電圧によって、制御部210がカートリッジ10の結合状態を誤認識する問題が解決され得る。
【0121】
また、いくつかの実施形態で、制御部210は測定された電圧の大きさに基づいて複数のタイプのカートリッジ10を区分して認識することができる。具体的には、カートリッジ10の装着時、タイプによって振動部材360に圧力を加える程度が変わるように設計され得る。例えば、カートリッジ10のタイプによって振動伝達部材340が下部方向に突出した程度が変わるように設計され得る。このような場合、制御部210は測定された電圧が第1基準値以上の場合に結合されたカートリッジ10を第1タイプのカートリッジと認識し、第1基準値より高い第2基準値以上の場合に結合されたカートリッジ10を第2タイプのカートリッジと認識することができる。本実施形態によると、追加的なカートリッジ認識センサがなくても、制御部210はカートリッジ10の結合状態とタイプまで正確に認識することができる。
【0122】
これまで
図9および
図10を参照して本開示のいくつかの実施形態に係るカートリッジ認識方法について説明した。前述した方法によると、追加的なカートリッジ認識センサがなくてもカートリッジ10の結合状態が正確に認識され得る。したがって、エアゾール発生装置1がカートリッジ認識センサを具備する必要がなくなり、製造原価が節減され、内部構造の複雑性も一層緩和し得る。
【0123】
これまで
図9および
図10を参照して説明された本開示の技術的思想は、コンピュータ読み取り可能な媒体上にコンピュータ読み取り可能なコードで具現され得る。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えば移動型記録媒体(CD、DVD、ブルーレイディスク、USB保存装置、移動式ハードディスク)であるか、固定式記録媒体(ROM、RAM、コンピュータ具備型ハードディスク)であり得る。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された前記コンピュータプログラムは、インターネットなどのネットワークを通じて他のコンピューティング装置に伝送されて前記他のコンピューティング装置に設置され得、これにより前記他のコンピューティング装置で使われ得る。
【0124】
以上において、本開示の実施形態を構成するすべての構成要素が一つに結合または結合されて動作するものとして説明されたが、本開示の技術的思想は必ずしもこのような実施形態に限定されるものではない。すなわち、本開示の目的範囲内であれば、そのすべての構成要素が一つ以上に選択的に結合して動作してもよい。
【0125】
以上、添付された図面を参照して本開示の実施形態を説明したが、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者は、その技術的思想や必須の特徴を変更することなく本開示が他の具体的な形態でも実施され得ることが理解できるであろう。したがって、以上で記述した実施形態はすべての面で例示的なものであり限定的ではないものと理解されるべきである。本開示の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は本開示によって定義される技術的思想の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【国際調査報告】