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特表2022-549755一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/30 20060101AFI20221121BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20221121BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20221121BHJP
   C08G 18/78 20060101ALI20221121BHJP
   C09D 175/08 20060101ALI20221121BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20221121BHJP
【FI】
C08G18/30 070
C08G18/10
C08G18/48 004
C08G18/78 006
C09D175/08
C09D7/61
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505361
(86)(22)【出願日】2019-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 CN2019099388
(87)【国際公開番号】W WO2021022470
(87)【国際公開日】2021-02-11
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ション、チェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ナン
(72)【発明者】
【氏名】スン、カン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 将之
(72)【発明者】
【氏名】シオン、チアウェン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェイ
【テーマコード(参考)】
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034CE01
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC06
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA42
4J034QB12
4J034QB14
4J034RA07
4J038DG131
4J038DG261
4J038KA08
4J038KA20
4J038MA07
4J038MA09
4J038MA14
4J038NA08
4J038PB05
4J038PB06
4J038PC02
4J038PC04
4J038PC06
4J038PC08
(57)【要約】
一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物は、反応物間の反応によって形成される反応生成物を含み、この反応物は、(a)少なくとも1つのポリイソシアネートと、(b)ポリオールブレンドであって、少なくとも1つの二官能性ポリエーテルポリオールであって、二官能性ポリエーテルポリオールが、プロピレンオキシドのホモポリマー、ブチレンオキシドのホモポリマー、またはアルキレンオキシドのコポリマーであり、かつ3000g/mol~9000g/molの数平均分子量を有する、少なくとも1つの二官能性ポリエーテルポリオールと、少なくとも1つの三官能性ポリエーテルポリオールであって、三官能性ポリエーテルポリオールが、アルキレンオキシドのコポリマーであり、三官能性ポリエーテルポリオールの総重量で10重量%~28重量%のエチレンオキシドでエンドキャップされており、かつ5000g/mol~8000g/molの数平均分子量を有する、少なくとも1つの三官能性ポリエーテルポリオールと、を含む、ポリオールブレンドと、を含み、二官能性ポリエーテルポリオールおよび三官能性ポリエーテルポリオールは、4:1~2.5:1の重量部比で存在し、ポリイソシアネートおよびポリオールブレンドは、1:7~1:2.5の重量部比で存在する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物であって、反応物間の反応によって形成される反応生成物を含み、前記反応物が、
(a)少なくとも1つのポリイソシアネートと、
(b)ポリオールブレンドであって、
少なくとも1つの二官能性ポリエーテルポリオールであって、前記二官能性ポリエーテルポリオールが、プロピレンオキシドのホモポリマー、ブチレンオキシドのホモポリマー、またはアルキレンオキシドのコポリマーであり、かつ3000g/mol~9000g/molの数平均分子量を有する、少なくとも1つの二官能性ポリエーテルポリオールと、
少なくとも1つの三官能性ポリエーテルポリオールであって、前記三官能性ポリエーテルポリオールが、アルキレンオキシドのコポリマーであり、前記三官能性ポリエーテルポリオールの総重量で10重量%~28重量%のエチレンオキシドでエンドキャップされており、かつ5000g/mol~8000g/molの数平均分子量を有する、少なくとも1つの三官能性ポリエーテルポリオールと、を含む、ポリオールブレンドと、を含み、
前記二官能性ポリエーテルポリオールおよび前記三官能性ポリエーテルポリオールが、4:1~2.5:1の重量部比で存在し、
前記ポリイソシアネートおよび前記ポリオールブレンドが、1:7~1:2.5の重量部比で存在する、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項2】
前記ポリオールブレンドが、3000g/mol~5000g/molの数平均分子量を有する1つの二官能性ポリエーテルポリオールと、5000g/mol~7000g/molの数平均分子量を有する1つの三官能性ポリエーテルポリオールと、を含む、請求項1に記載の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項3】
前記ポリオールブレンドが、少なくとも2つの二官能性ポリエーテルポリオールを含み、第1の二官能性ポリエーテルポリオールが、3000g/mol~5000g/molの数平均分子量を有し、第2の二官能性ポリエーテルポリオールが、7000g/mol~9000g/molの数平均分子量を有し、前記第1の二官能性ポリエーテルポリオールおよび前記第2の二官能性ポリエーテルポリオールが、3:1~1:3の重量部比で存在する、請求項1に記載の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネートが、液体カルボジイミド修飾MDI、MDI-50、またはそれらの混合物から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項5】
前記一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の総重量に基づいて、5重量%~13重量%の有機溶媒をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項6】
前記一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の総重量に基づいて、40重量%~60重量%の充填剤をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物。
【請求項7】
先行請求項のいずれか一項に記載の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を含む、防水コーティング材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水コーティング用途に特に好適な、新規の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物に関する。
【0002】
序論
これまで、ポリウレタンプレポリマー組成物は、例えば、シーラント、内外使用接着剤、および屋根、壁面などの防水材料への用途で広く使用されている。ポリウレタンプレポリマー組成物は、イソシアネートとポリオールとの反応生成物を含む。ポリウレタンプレポリマー組成物は、空気中の水によって硬化できる一成分型と、NCO末端ポリウレタンプレポリマーを含有するベース化合物と活性水素化合物を含有する硬化剤が適用中に硬化するように混合される二成分型と、に大別される。
【0003】
一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物は、施工時に混合操作を必要としないため、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物は、作業性が簡素化され得、混合ミスによる硬化不良を防止できるという利点がある。
【0004】
一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物は、比較的低い粘度を有することが望ましい。第一に、低粘度は、表面上の良好な湿潤性を保証し、これは、イソシアネート末端基と環境中の水分との反応を助け、さらにポリマーネットワークの形成を助けるため、その優れた機械的強度および充填剤への接着を可能にする。第二に、粘度が低いと溶媒の使用量が減り、最終的なコーティングの揮発性有機化合物(VOC)レベルがさらに低くなる。第三に、粘度が低いと配合物中の充填剤の量が多くなるため、コーティングの費用効果が高くなる。
【0005】
一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を調製するために、約50重量パーセント(重量%)の4,4’-MDIおよび50重量%の2,4’-MDIで構成され、イソシアネート当量が125.5(MDI-50)である、トルエンジイソシアネート(TDI)または純粋なメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)の混合物が反応物として一般的に使用され、通常、良好な性能を達成するために、反応物としてのポリイソシアネートの総重量の合計で50重量%超になる。
【0006】
ただし、TDIの蒸気圧は、25摂氏温度(℃)で0.01水銀柱ミリメートル(mmHg)と高いため、最終コーティングに残留するTDIは、環境およびヒトの健康に非常に有害であると懸念される可能性がある。上記の健康被害を考慮して、当業者は、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物に関して、TDIの代わりにMDIを使用しようとしている。MDIは、欧州共同体によって「低毒性」に分類されており、25℃での蒸気圧が比較的低いため、最終コーティングに残留するMDIは、人体および環境への危険性が低くなる。ただし、4,4’-MDIの融点は、約38℃であるため、幅広い用途での取り扱いと保管の両方が困難になる。したがって、MDI-50は、低毒性で同等の性能を達成するための1つの有望な解決策である。しかし、MDI-50は、頻繁に供給の問題に直面している。MDI-50の需要が高いため、その経済的な問題は、避けられない。
【0007】
上記の状況を考慮して、本発明の目的は、ポリオールブレンドと反応するための異なる一般的に使用されるか、または他のタイプのポリイソシアネートの柔軟な選択を有すると同時に、コストの上昇を抑えながら、低粘度の所望またはさらにより良い性能および高い引き裂き強度を呈する一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を提供することである。本発明は、防水コーティング用途に特に好適である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を提供し、これは、反応物間の反応によって形成される反応生成物を含み、この反応物は、(a)少なくとも1つのポリイソシアネートと、(b)ポリオールブレンドであって、少なくとも1つの二官能性ポリエーテルポリオールであって、二官能性ポリエーテルポリオールが、プロピレンオキシドのホモポリマー、ブチレンオキシドのホモポリマー、またはアルキレンオキシドのコポリマーであり、かつモル当たり3000グラム(g/mol)~9000g/molの数平均分子量(Mw)を有する、少なくとも1つの二官能性ポリエーテルポリオールと、少なくとも1つの三官能性ポリエーテルポリオールであって、三官能性ポリエーテルポリオールが、アルキレンオキシドのコポリマーであり、三官能性ポリエーテルポリオールの総重量で10重量%~28重量%のエチレンオキシドでエンドキャップされており、かつ5000g/mol~8000g/molのMwを有する、少なくとも1つの三官能性ポリエーテルポリオールと、を含む、ポリオールブレンドと、を含み、二官能性ポリエーテルポリオールおよび三官能性ポリエーテルポリオールは、4:1~2.5:1の重量部比で存在し、ポリイソシアネートおよびポリオールブレンドは、1:7~1:2.5の重量部比で存在する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、防水コーティング用途に特に好適な、新規の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物に関する。一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物は、反応物間の反応によって形成される反応生成物を含み、この反応物は、(a)少なくとも1つのポリイソシアネートと、(b)ポリオールブレンドであって、少なくとも1つの二官能性ポリエーテルポリオールであって、二官能性ポリエーテルポリオールが、プロピレンオキシドのホモポリマー、ブチレンオキシドのホモポリマー、またはアルキレンオキシドのコポリマーであり、かつ3000g/mol~9000g/molのMwを有する、少なくとも1つの二官能性ポリエーテルポリオールと、少なくとも1つの三官能性ポリエーテルポリオールであって、三官能性ポリエーテルポリオールが、アルキレンオキシドのコポリマーであり、三官能性ポリエーテルポリオールの総重量で10重量%~28重量%のエチレンオキシドでエンドキャップされており、かつ5000g/mol~8000g/molのMwを有する、少なくとも1つの三官能性ポリエーテルポリオールと、を含む、ポリオールブレンドと、を含み、二官能性ポリエーテルポリオールおよび三官能性ポリエーテルポリオールは、4:1~2.5:1の重量部比で存在し、ポリイソシアネートおよびポリオールブレンドは、1:7~1:2.5の重量部比で存在する。
【0010】
ポリイソシアネート
一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物は、少なくとも1つのポリイソシアネートを含む反応物間の反応によって形成される反応生成物を含む。
【0011】
本発明の目的のためのポリイソシアネートは、分子当たり2つまたは3つ以上の反応性イソシアネート基を含む有機化合物であり、すなわち、官能性は、2以上である。使用されるポリイソシアネート、または2つ以上のポリイソシアネートの混合物が単一の官能性を有しない場合、使用されるポリイソシアネートの数加重平均官能性は、2以上になる。
【0012】
好適な有機ポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、アリール脂肪族、および好ましくは芳香族ポリイソシアネートであり、これには、アルキレン部分に4~12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアネート、例えば、1,12ドデカンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、テトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート;脂環式ジイソシアネート、例えば、シクロヘキサン1,3-および1,4-ジイソシアネート、1-イソシアネート-3,3,5-トリメチル-5-イソシアネートメチルシクロヘキサン(IPDI)、2,4-および2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネートならびに対応する異性体混合物4,4’-、2,2’-、および2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートならびに対応する異性体混合物、ならびに好ましくは芳香族ジイソシアネートおよびポリイソシアネート、例えば、2,4-および2,6-TDIならびに対応する異性体混合物、4,4’-、2,4’-、および2,2’-MDI、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、4,4’-、2,4’-、および2,2’-MDIとポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMDI)との混合物、ならびにPMDIとTDIとの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0013】
さらに、イソシアネートは、7:1~14:1のNCO対OH当量の範囲でポリオールと比較した比率で存在する。
【0014】
修飾ポリイソシアネート、すなわち有機ポリイソシアネートの化学変換によって得られ、分子当たり2つまたは3つ以上の反応性イソシアネート基を有する生成物も頻繁に使用される。エステル、尿素、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、イソシアヌレート、ウレチオン、カルバメート、および/またはウレタン基を含むポリイソシアネートが特に言及され得る。一実施形態では、本発明の有用なポリイソシアネートは、液体カルボジイミド修飾MDIであり、これは、The Dow Chemical CompanyからISONATE(商標)143Lイソシアネートとして市販されている。
【0015】
一実施形態では、本発明の有用なポリイソシアネートは、TDI、特に2,4-TDIもしくは2,6-TDI、または2,4-と2,6-TDIとの混合物である。
【0016】
一実施形態では、本発明の有用なポリイソシアネートは、ポリフェニル-ポリメチレンイソシアネートとしても知られているMDI、特に2,2’-MDIもしくは2,4’-MDIもしくは4,4’-MDIもしくはオリゴマーMDI、または前述のMDIのうちの2つもしくは3つの混合物、またはMDIの製造中に得られる粗MDI、またはMDIの少なくとも1つのオリゴマーと少なくとも1つの前述の低分子量MDI誘導体との混合物である。
【0017】
一実施形態では、本発明の有用なポリイソシアネートは、MDI-50であり、これは、The Dow Chemical CompanyからISONATE(商標)50 OP Pure MDIとして市販されている。
【0018】
MDIの製造に中間体として得られる粗MDIは、より具体的には、異なる官能性を有するMDIベースの多官能性イソシアネートのそのような混合物である。
【0019】
ポリオールブレンド
一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物は、さらにポリオールブレンドを含む反応物間の反応によって形成される反応生成物を含む。
【0020】
本明細書で使用される場合、ポリオールという用語は、イソシアネートと反応を起こすことができる活性水素原子を含有する少なくとも1つの基を有する材料を意味する。
【0021】
ポリエーテルポリオールは、エチレン、プロピレン、またはブチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを、二官能性ポリエーテルポリオールの場合は2つの活性水素原子を有する開始剤と、三官能性ポリエーテルの場合は3つの活性水素原子を有する開始剤と反応させることにより、従来の方法で得ることができる。好適な開始剤の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、脂環式ジオール、例えば、1,4-シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリエタノールプロパン、およびトリエタノールアミンが挙げられる。この重合のための触媒は、KOH、三フッ化ホウ素などの触媒、またはヘキサシアノコバルト酸亜鉛などの二重シアン化物錯体(DMC)触媒を伴う、アニオン性またはカチオン性のいずれかであり得る。
【0022】
本発明で有用なポリオールブレンドは、少なくとも1つの二官能性ポリエーテルポリオールを含み、二官能性ポリエーテルポリオールは、酸化プロピレンのホモポリマー、酸化ブチレンのホモポリマー、または酸化アルキレンのコポリマーであり、3000g/mol~9000g/molのMwを有する。
【0023】
二官能性ポリエーテルポリオールは、プロピレンオキシドの単独重合、ブチレンオキシドの単独重合、またはアルキレンオキシドの共重合によって得られる。二官能性ポリエーテルポリオールの好適な例には、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、またはポリアルキレンオキシドのブロックコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明で有用な二官能性ポリエーテルポリオールは、3000g/mol~9000g/mol、好ましくは3000g/mol~5000g/molのMwを有する。本発明に有用な、3000g/mol~5000g/molのMwを有する二官能性ポリエーテルポリオールの好適な例は、The Dow Chemical CompanyからVORANOL(商標)4000LMポリオールとして市販されている。
【0025】
一実施形態では、本発明で有用な二官能性ポリエーテルポリオールは、第1の二官能性ポリエーテルポリオールと、第2の二官能性ポリエーテルポリオールと、を含む。第1の二官能性ポリエーテルポリオールは、3000g/mol~5000g/molのMwを有する。第2の二官能性ポリエーテルポリオールは、7000g/mol~9000g/molのMwを有し、これは、The Dow Chemical CompanyからVORANOL(商標)8000LMポリオールとして市販されている。
【0026】
本発明で有用なポリオールブレンドは、少なくとも1つの三官能性ポリエーテルポリオールをさらに含み、三官能性ポリエーテルポリオールは、アルキレンオキシドのコポリマーであり、三官能性ポリエーテルポリオールの総重量で10重量%~28重量%のエチレンオキシドでエンドキャップされ、5000g/mol~8000g/molのMwを有する。
【0027】
三官能性ポリエーテルポリオールは、アルキレンオキシドの共重合によって得られる。三官能性ポリエーテルポリオールの好適な例には、トリメチロールプロパンまたはアルキレンオキシドのグリセロール開始ブロックコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
本発明で有用な三官能性ポリエーテルポリオールは、5000g/mol~8000g/mol、好ましくは5000g/mol~7000g/molのMwを有する。好適な例は、The Dow Chemical CompanyからVORANOL(商標)CP 6001ポリオールとして市販されている。
【0029】
二官能性ポリエーテルポリオール対三官能性ポリエーテルポリオールの重量比は、2.5:1以上、またはさらには3:1以上であり、同時に4:1以下、またはさらには3.5:1以下である。
【0030】
ポリイソシアネート対ポリオールブレンドの重量比は、1:7以上、1:6以上、またはさらには1:5以上であり、同時に1:2.5以下、1:3以下、またはさらには1:4以下である。
【0031】
添加剤
本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物は、本発明の目的を損なわない範囲内の添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、可塑剤、耐候性安定剤、充填剤、貯蔵安定性向上剤(脱水剤)、着色剤、有機溶媒、硬化触媒、消泡剤、湿潤分散剤、および本発明の目的と一致する範囲で、他の従来使用されている成分が挙げられる。これらの添加剤のいずれか1種類を単独で使用することができるか、またはそれらの2種類以上を組み合わせて使用することができる。添加剤は、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物が形成された後に添加および混合され得るか、または時間を短縮するための一段階法で、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を形成するために本発明の反応生成物を調製もしくは形成するときに添加および混合され得ることに留意されたい。
【0032】
任意選択で、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の総重量に基づいて、0重量%~16重量%、好ましくは12重量%~16重量%の可塑剤を使用して、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の粘度を低下させて、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の硬化後の作業性を改善する。その具体例としては、低分子量可塑剤、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジブチル、およびフタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル、ならびにアジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、およびオレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、ならびに各々が1,000g/mol以上のMwを有し、イソシアネート基と反応しない高分子量可塑剤、例えば、ポリアルキレンベースのポリオールまたはポリオキシアルキレンベースのモノオールをエーテル化またはエステル化することによって得られる化合物、およびポリ-a-メチルスチレンおよびポリスチレンなどのポリスチレンが挙げられる。
【0033】
本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物は、耐候性に優れ、貯蔵寿命が長い。したがって、耐候性安定剤をそれに添加することはできない。しかしながら、任意選択で、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の総重量に基づいて、0~1重量%までの耐候性安定剤を、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の酸化、光劣化、および熱劣化を防止する目的で添加して、耐候性および耐熱性をさらに改善することができる。耐候性安定剤の例には、ヒンダードアミンベースの光安定剤、ヒンダードフェノールベースの酸化防止剤、および紫外線吸収剤が含まれる。これらの耐候性安定剤のいずれか1種類を単独で使用することができるか、またはそれらの2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0034】
任意選択で、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の増量剤として機能し、硬化生成物の物理的特性を強化する目的で、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の総重量に基づいて、0重量%~60重量%、好ましくは40重量%~60重量%、より好ましくは40重量%~50重量%の充填剤が使用される。一方で、充填剤はまた、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物のコストを下げることができる。その具体例としては、雲母、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、テラアルバ、粘土、タルク、スレート粉末、無水ケイ酸、石英微粉末、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、沈降シリカなどの合成シリカ、無機粉末充填剤が挙げられる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、酸化カルシウム、および酸化マグネシウム、ガラス繊維および炭素繊維などの繊維状充填剤、ガラスバルーン、白須バルーン、シリカバルーン、およびセラミックバルーンなどの無機バルーン充填剤、ならびに上記の充填剤のいずれかの表面を、脂肪酸、木材粉末、クルミ殻粉末、チャフ粉末、パルプ粉末、綿チップ、ゴム粉末、熱可塑性または熱硬化性の微粉末、ポリエチレンの粉末または中空体などの有機物質で処理することによって得られる充填剤、ならびにサランマイクロバルーンなどの有機バルーン充填剤、ならびに水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの難燃性付与充填剤。充填剤の粒子径は、好ましくは0.01マイクロメートル(um)~1,000umである。
【0035】
任意選択で、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の粘度を低下させて、押出しおよび適用の作業性を改善する目的で、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の総重量に基づいて、0重量%~15重量%、好ましくは5重量%~13重量%の有機溶媒が使用される。有機溶媒として、有機溶媒が本発明の反応物と反応しない限り、任意の有機溶媒がいかなる特定の制限なしに使用され得る。その具体例としては、酢酸エチルなどのエステルベースの溶媒、メチルエチルケトンなどのケトンベースの溶媒、n-ヘキサンなどの脂肪族溶媒、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、およびジメチルシクロヘキサンなどのナフテンベースの溶媒、ならびにトルエンおよびキシレンなどの芳香族溶媒が挙げられる。
【0036】
任意選択で、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の総重量に基づいて、0~5重量%の脂肪族イソシアネート架橋剤が、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の調製に使用される。脂肪族イソシアネート架橋剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート、脂肪族トリイソシアネート、およびこれらの単独重合または共重合モノマーから誘導されたか、またはこれらのモノマーの1つ以上とのポリオールもしくはポリアミンの添加から誘導されたポリマーであり得、ポリオールまたはポリアミンは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリアクリレートである可能性がある。いくつかの実施形態では、脂肪族イソシアネート架橋剤は、3以上のNCO官能性を有する。
【0037】
任意選択で、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の貯蔵安定性を改善する目的で、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の総重量に基づいて、0~0.5重量%の貯蔵安定性向上剤(脱水剤)が使用される。その具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、酸化カルシウム、およびp-トルエンスルホニルイソシアネート(PTSI)が挙げられ、これらは、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物内に存在する水との反応により脱水剤として機能する。
【0038】
任意選択で、一成分型組成物を着色して、硬化生成物に設計特性を付与する目的で、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の総重量に基づいて、0~2重量%の着色剤が使用される。その具体例には、酸化チタンおよび酸化鉄などの無機顔料、銅フタロシアニンなどの有機顔料、ならびにカーボンブラックが含まれる。
【0039】
任意選択で、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の総重量に基づいて、0~15重量%、好ましくは0.1重量%~13重量%の硬化触媒が、一成分型ポリウレタンプレポリマーの調製に使用される。硬化触媒は、有機スズ触媒、アミン触媒、ならびに有機および酸触媒であり得る。
【0040】
任意選択で、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の総重量に基づいて、0~0.5重量%、好ましくは0.2重量%~0.4重量%の消泡剤が、一成分型ポリウレタンプレポリマーの調製に使用される。本発明の有用な市販の消泡剤には、Fit Brotherから入手可能なFT-301およびFT-3065、BYKからのBYK-A530、BYK-A535、およびBYK-066Nが含まれる。
【0041】
任意選択で、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の総重量に基づいて、0~0.5重量%、好ましくは0.1重量%~0.4重量%の湿潤分散剤が、一成分型ポリウレタンプレポリマーの調製に使用される。本発明の有用な市販の湿潤分散剤には、Fit Brotherから入手可能なFT-203、BYKから入手可能なBYK-W 980が含まれる。
【0042】
本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物は、上記の反応物と必要な添加剤とを混合することにより生成することができる。いくつかの実施形態では、反応物は、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の総重量に基づいて、25重量%~100重量%、または25重量%~50重量%、または25重量%~37重量%で存在する。
【0043】
一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物の調製は、当業者に既知の任意の方法である。本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物は、任意の従来の方法に従って、例えば、水分が可能な限り除去される環境下、例えば、減圧下で調製される。
【0044】
一実施形態では、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物は、上記のポリイソシアネートとポリオールブレンドとを反応させて、プレポリマーを形成し、次いで添加剤と混合することによって調製される。
【0045】
MDIプレポリマーの調製は、当業者に既知の任意の方法であり、縮合重合を含む。MDIプレポリマー配合物の開示の化学量論は、ジイソシアネートが過剰に存在し、MDIプレポリマーがNCO基末端であるようなものである。いくつかの実施形態では、NCO基対OH基のモル比は、2よりはるかに高いため、生成物は、MDIプレポリマーと未反応のMDIモノマーとの混合物である。化学量論比は、イソシアネート指数とも呼ばれ、存在するイソシアネート反応性基(例えば、OH部分)の総当量で除算された、存在するイソシアネート基(すなわち、NCO部分)の当量である。別の方法で考えると、イソシアネート指数は、比率として与えられる、配合物中に存在するイソシアネート反応性水素原子に対するイソシアネート基の比率であり、100で乗算される場合、パーセンテージとして与えられ得る。したがって、イソシアネート指数は、配合物中に使用されるイソシアネート反応性水素の量と反応させるために理論的に必要とされるイソシアネートの量に対する、配合物中に実際に使用されるイソシアネートを表す。MDIプレポリマーおよびMDIプレポリマー組成物の調製は、水を含まない。
【0046】
一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を湿気にさらすことにより硬化が行われる。これは、主に少なくとも2つの方法で行われる。1つのアプローチでは、水分は、単に大気中の水分であり、それは、混合物と接触し、イソシアネート基と反応する。他の主なアプローチでは、液体の水および/または蒸気が一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物に添加される。
【0047】
硬化は、周囲温度で、または最大80℃などのある高温で実行できる。
【0048】
屋根の一般的な水平平面、垂直壁に接続された屋根の角部分などの特定の用途では、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を地面に広げ、平らにして滑らかにし、その後、周囲温度、典型的には大気中の湿気で硬化させる。硬化を速めるために、望ましいか、または必要な場合(乾燥した気候または高温条件下での場合のように)、広げられた一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物に水を噴霧してもよい。このタイプの設置では、一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を十分に長い間作業可能に維持し、混合、拡散、レベリング、および平滑化の工程を行うことができるように、一定の開放時間が必要である。
【0049】
本発明では、特段の記載がない限り、各好ましい技術的解決法およびより好ましい技術的解決法における技術的特徴を互いに組み合わせて、新しい技術的解決法を形成することができる。簡潔さのために、明細書ではこれらの組み合わせの説明は省略されている。しかしながら、これらの技術的特徴を組み合わせることによって得られる技術的解決法の全ては、明示的に本明細書に文字通り記載されているとみなされるべきである。
【0050】
本発明をさらに説明するために、以下の実施例を提示する。しかしながら、本発明はこれらの例示的な実施例に限定されないことを理解すべきである。
【実施例
【0051】
I.原材料
本開示で使用される原材料および成分は、以下のとおりである。
【表1-1】
【表1-2】
【0052】
II.試験方法
(a)粘度測定:粘度(単位:パスカル秒(Pa.s))を、25ミリメートル(mm)の鋼製平行板、25℃の温度、0.1/秒でのせん断速度、および180秒間のスクリーニングの条件で高度なRhometric Expansion System G2(ARES G2)によって測定した。
【0053】
(b)引き裂き強度試験:
フィルムの調製
Albemarle Companyから入手可能なEthacure 300硬化剤をプレポリマー組成物に添加した。硬化剤の量は、次の式によって計算できる。
【数1】
【0054】
式中、「C100p」は、100部のプレポリマー組成物当たりの硬化剤部であり、「NCO%」は、イソシアネート含有量とも呼ばれ、過剰のジ-n-ブチルアミンとの反応および標準化された塩酸による逆滴定によって決定される、プレポリマー組成物の残りのNCO含有量のパーセントである。「Cew」は、硬化剤の当量であり、「化学量論%」は、硬化剤の化学量論である。一般に、Ethacure 300硬化剤は、107の当量および90%~95%の化学量論を有する。したがって、例えば、4.8NCO%を有するプレポリマー組成物で硬化された、107の当量および95%の化学量論を有する硬化剤の計算量は、質量ベースで100部のプレポリマー組成物当たり11.6部の硬化剤である。
【0055】
次に、プレポリマー組成物とEthacure 300硬化剤との混合物を、FlackTek Inc.からのSpeedMixerラボ用ミキサーシステムによって、3000回転/分(RPM)で30秒間ブレンドし、焦げ茶色、濃い紫、またはさらには黒に変わった。次に、混合物を剥離紙に注ぎ、フィルムを形成した。フィルムは、約1.0mm~1.3mmの厚さで作製し、80℃で30分間硬化させた。剥離紙から剥がした後、フィルムをさらに60℃で24時間後硬化させた。
【0056】
引き裂き強度試験
引き裂き強度試験は、ダブルタング法(Double Tongue Method)とも呼ばれるズボンタイプ法(Trousers Type Method)によって適用した。フィルムを成形機によってVノッチ固定具によりズボンのような形に切断した。試料の厚さを引き裂き強度試験の前に測定した。クランプするとき、試料タングを対称的にクランプの中央でクランプする。引き裂く方向に平行な試料の2つの脚を取り外し可能なクランプで対称的にクランプする。引き裂きが始まるときに引き裂きが引き裂き方向と平行になるように、各タングがクランプに固定されていることを確認するように注意する。機械を始動して、試料が完全に壊れるまで両方のタングから試料を引き裂き、この試験の終わりを印す。各試料の引き裂き荷重および引き裂き長さを記録する。引き裂きが加えられた力の方向に処理されるかどうか、および糸が布から滑り落ちるかどうかを観察されるべきである。試料がクランプから滑り落ちず、加えられた力の方向に沿って引き裂きが実施される場合、試験結果は、確認され得、そうでない場合は、削除され得る。引き裂き強度は、最大引き裂き荷重を各試料の厚さで除算することによって得られる。試験を3回繰り返して、平均引き裂き強度を計算した。
【0057】
III.実施例
本発明実施例1(IE1)
7.3グラム(g)のVORANOL(商標)4000LMポリオールおよび2.7gのVORANOL(商標)CP 6001ポリオールをフラスコ内で機械的に攪拌しながら混合して、ポリオールブレンドを調製した。次に、ポリオールブレンドを120℃に加熱した。ポリオールブレンドを115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09メガパスカル(MPa)以下に制御した状態で、ポリオールブレンドを2時間脱水して、水分含有量を200パーツパーミリオン(ppm)未満のレベルに下げた。
【0058】
ポリオールブレンドを室温で65℃に自然に冷却したとき、2.8gのDesmodur CD-C MDIをフラスコに添加した。フラスコ内の混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、7時間反応させて、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0059】
本発明実施例2(IE2)
7.3gのVORANOL(商標)4000LMポリオールおよび2.7gのVORANOL(商標)CP 6001ポリオールをフラスコ内で機械的に攪拌しながら混合し、ポリオールブレンドを調製した。次に、ポリオールブレンドを120℃に加熱した。ポリオールブレンドを115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、ポリオールブレンドを2時間脱水して、水分含有量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0060】
ポリオールブレンドを室温で65℃に自然に冷却したとき、2.4gのISONATE(商標)50 OP Pure MDIをフラスコに添加した。フラスコ内の混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、7時間反応させて、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0061】
本発明実施例3(IE3)
7.3gのVORANOL(商標)4000LMポリオールおよび2.7gのVORANOL(商標)CP 6001ポリオールを第1のフラスコで機械的に攪拌しながら混合し、ポリオールブレンドを調製した。次に、ポリオールブレンドを120℃に加熱した。ポリオールブレンドを115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、ポリオールブレンドを2時間脱水して、水分含有量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0062】
1.9gのDesmodur CD-C MDIおよび0.8gのISONATE(商標)50 OP Pure MDIを、第2のフラスコで機械的に攪拌しながら混合し、ポリイソシアネートブレンドを調製した。
【0063】
ポリオールブレンドを室温で65℃に自然に冷却したとき、ポリイソシアネートブレンドを第1のフラスコに注いだ。第1のフラスコ中の混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、7時間反応させて、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0064】
本発明実施例4(IE4)
6.0gのVORANOL(商標)4000LMポリオール、2.0gのVORANOL(商標)CP 6001ポリオール、および2.0gのVORANOL(商標)8000LMポリオールをフラスコ内で機械的に攪拌しながら混合し、ポリオールブレンドを調製した。次に、ポリオールブレンドを120℃に加熱した。ポリオールブレンドを115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、ポリオールブレンドを2時間脱水して、水分含有量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0065】
ポリオールブレンドを室温で65℃に自然に冷却したとき、2.7gのDesmodur CD-C MDIをフラスコに添加した。フラスコ内の混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、7時間反応させて、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0066】
本発明実施例5(IE5)
6.0gのVORANOL(商標)4000LMポリオール、2.0gのVORANOL(商標)CP 6001ポリオール、および2.0gのVORANOL(商標)8000LMポリオールをフラスコ内で機械的に攪拌しながら混合し、ポリオールブレンドを調製した。次に、ポリオールブレンドを120℃に加熱した。ポリオールブレンドを115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、ポリオールブレンドを2時間脱水して、水分含有量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0067】
ポリオールブレンドを室温で65℃に自然に冷却したとき、2.4gのISONATE(商標)50 OP Pure MDIをフラスコに添加した。フラスコ内の混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、7時間反応させて、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0068】
本発明実施例6(IE6)
6.0gのVORANOL(商標)4000LMポリオール、2.0gのVORANOL(商標)CP 6001ポリオール、および2.0gのVORANOL(商標)8000LMポリオールを第1のフラスコで機械的に攪拌しながら混合し、ポリオールブレンドを調製した。次に、ポリオールブレンドを120℃に加熱した。ポリオールブレンドを115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、ポリオールブレンドを2時間脱水して、水分含有量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0069】
1.8gのDesmodur CD-C MDIおよび0.8gのISONATE(商標)50 OP Pure MDIを、第2のフラスコで機械的に攪拌しながら混合し、ポリイソシアネートブレンドを調製した。
【0070】
ポリオールブレンドを室温で65℃に自然に冷却したとき、ポリイソシアネートブレンドを第1のフラスコに注いだ。第1のフラスコ中の混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、7時間反応させて、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0071】
本発明実施例7(IE7)
36.5gのVORANOL(商標)4000LMポリオールおよび13.5gのVORANOL(商標)CP 3001ポリオールをフラスコ内で機械的に攪拌しながら混合し、ポリオールブレンドを調製した。次に、ポリオールブレンドを120℃に加熱した。ポリオールブレンドを115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、ポリオールブレンドを2時間脱水して、水分含有量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0072】
ポリオールブレンドを室温で65℃に自然に冷却したとき、13.1gのISONATE(商標)50 OP Pure MDIをフラスコに添加した。フラスコ内の混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、7時間反応させて、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0073】
本発明実施例8(IE8)
36.5gのVORANOL(商標)4000LMポリオールおよび13.5gのVORANOL(商標)CP 4610ポリオールをフラスコ内で機械的に攪拌しながら混合し、ポリオールブレンドを調製した。次に、ポリオールブレンドを120℃に加熱した。ポリオールブレンドを115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、ポリオールブレンドを2時間脱水して、水分含有量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0074】
ポリオールブレンドを室温で65℃に自然に冷却したとき、12.5gのISONATE(商標)50 OP Pure MDIをフラスコに添加した。フラスコ内の混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、7時間反応させて、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0075】
本発明実施例9(IE9)
195.6gのVORANOL(商標)4000LMポリオール、72.3gのVORANOL(商標)CP 6001ポリオール、108.4gの塩素化パラフィン、455.1gの800メッシュ炭酸カルシウム、および1.2gのBYK-W 980湿潤分散剤をフラスコ内で機械的に攪拌しながら混合し、混合物を調製した。次に、混合物を120℃に加熱した。混合物を115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、混合物を2時間脱水して、含水量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0076】
混合物を室温で65℃に自然に冷却したとき、51.6gのISONATE(商標)50 OP Pure MDI、1.2gのBYK-W 980湿潤分散剤、および83.2gのS-150溶媒をフラスコに添加した。フラスコ内の混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、30分間反応させた。次に、混合物を85℃に加熱した。次に、混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、混合物の温度を80℃~85℃の範囲に制御しながら2時間反応させた。
【0077】
次に、混合物を室温で60℃まで自然に冷却した。0.9gのDABCO T-12触媒、27.7gのS-150溶媒中に溶解した1.3gのDMDEE触媒、および1.5gのBYK-066N消泡剤をさらにフラスコに添加した。混合物を60℃で30分間混合した。
【0078】
次に、混合物を、真空によって制御された-0.09MPa以下の圧力で5分間脱泡して、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0079】
本発明実施例10(IE10)
196.2gのVORANOL(商標)4000LMポリオール、72.6gのVORANOL(商標)CP 6001ポリオール、121.2gの塩素化パラフィン、446.5gの800メッシュ炭酸カルシウム、および1.55gのBYK-W 980湿潤分散剤をフラスコ内で機械的に攪拌しながら混合し、混合物を調製した。次に、混合物を120℃に加熱した。混合物を115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、混合物を2時間脱水して、含水量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0080】
混合物を室温で65℃に自然に冷却したとき、35.7gのVORANATE(商標)T-80 Type I TDI、1.55gのBYK-W 980湿潤分散剤、および90.9gのS-150溶媒をフラスコに添加した。フラスコ内の混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、30分間反応させた。次に、混合物を85℃に加熱した。次に、混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、混合物の温度を80℃~85℃の範囲に制御しながら2時間反応させた。
【0081】
次に、混合物を室温で60℃まで自然に冷却した。1.0gのDABCO T-12触媒、30.3gのS-150溶媒中に溶解した0.4gのDMDEE触媒、および2.1gのBYK-066N消泡剤をさらにフラスコに添加した。混合物を60℃で30分間混合した。
【0082】
次に、混合物を、真空によって制御された-0.09MPa以下の圧力で5分間脱泡して、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0083】
比較例1(CE1)
7.3gのVORANOL(商標)2000LMポリオールおよび2.7gのVORANOL(商標)4701ポリオールをフラスコ内で機械的に攪拌しながら混合し、ポリオールブレンドを調製した。次に、ポリオールブレンドを120℃に加熱した。ポリオールブレンドを115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、ポリオールブレンドを2時間脱水して、水分含有量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0084】
ポリオールブレンドを室温で65℃に自然に冷却したとき、3.5gのDesmodur CD-C MDIをフラスコに添加した。フラスコ内の混合物を連続的に機械的に攪拌し、7時間反応させて、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0085】
比較例2(CE2)
7.3gのVORANOL(商標)2000LMポリオールおよび2.7gのVORANOL(商標)4701ポリオールをフラスコ内で機械的に攪拌しながら混合し、ポリオールブレンドを調製した。次に、ポリオールブレンドを120℃に加熱した。ポリオールブレンドを115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、ポリオールブレンドを2時間脱水して、水分含有量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0086】
ポリオールブレンドを室温で65℃に自然に冷却したとき、3.0gのISONATE(商標)50 OP Pure MDIをフラスコに添加した。フラスコ内の混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、7時間反応させて、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0087】
比較例3(CE3)
7.3gのVORANOL(商標)2000LMポリオールおよび2.7gのVORANOL(商標)4701ポリオールを第1のフラスコで機械的に攪拌しながら混合し、ポリオールブレンドを調製した。次に、ポリオールブレンドを120℃に加熱した。ポリオールブレンドを115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、ポリオールブレンドを2時間脱水して、水分含有量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0088】
2.3gのDesmodur CD-C MDIおよび1.0gのISONATE(商標)50 OP Pure MDIを、第2のフラスコで機械的に攪拌しながら混合し、ポリイソシアネートブレンドを調製した。
【0089】
ポリオールブレンドを室温で65℃に自然に冷却したとき、ポリイソシアネートブレンドを第1のフラスコに注いだ。第1のフラスコ中の混合物を連続的に機械的に攪拌し、7時間反応させて、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0090】
比較例4(CE4)
36.5gのVORANOL(商標)4000LMポリオールおよび13.5gのVORANOL(商標)1447ポリオールをフラスコ内で機械的に攪拌しながら混合し、ポリオールブレンドを調製した。次に、ポリオールブレンドを120℃に加熱した。ポリオールブレンドを115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、ポリオールブレンドを2時間脱水して、水分含有量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0091】
ポリオールブレンドを室温で65℃に自然に冷却したとき、12.5gのISONATE(商標)50 OP Pure MDIをフラスコに添加した。フラスコ内の混合物を連続的に機械的に攪拌し、7時間反応させて、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0092】
比較例5(CE5)
181.5gのVORANOL(商標)2000LMポリオール、82.9gのVORANOL(商標)4701ポリオール、106.4gの塩素化パラフィン、450.0gの800メッシュ炭酸カルシウム、および1.15gのBYK-W 980湿潤分散剤をフラスコ内で機械的に攪拌しながら混合し、混合物を調製した。次に、混合物を120℃に加熱した。混合物を115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、混合物を2時間脱水して、含水量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0093】
混合物を室温で65℃に自然に冷却したとき、64.0gのISONATE(商標)50 OP Pure MDI、1.15gのBYK-W 980湿潤分散剤、および81.9gのS-150溶媒をフラスコに添加した。フラスコ内の混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、30分間反応させた。次に、混合物を85℃に加熱した。次に、混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、混合物の温度を80℃~85℃の範囲に制御しながら2時間反応させた。
【0094】
次に、混合物を室温で60℃まで自然に冷却した。0.9gのDABCO T-12触媒、27.3gのS-150溶媒中に溶解した1.3gのDMDEE触媒、および1.5gのBYK-066N消泡剤をさらにフラスコに添加した。混合物を60℃で30分間混合した。
【0095】
次に、混合物を、真空によって制御された-0.09MPa以下の圧力で5分間脱泡して、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0096】
比較例6(CE6)
186.2gのVORANOL(商標)2000LMポリオール、80.1gのVORANOL(商標)4701ポリオール、120.1gの塩素化パラフィン、442.4gの800メッシュ炭酸カルシウム、および1.5gのBYK-W 980湿潤分散剤をフラスコ内で機械的に攪拌しながら混合し、混合物を調製した。次に、混合物を120℃に加熱した。混合物を115℃~120℃の温度範囲に制御し、フラスコの真空レベルを-0.09MPa以下に制御した状態で、混合物を2時間脱水して、含水量を200ppm未満のレベルに下げた。
【0097】
混合物を室温で65℃に自然に冷却したとき、44.6gのVORANATE(商標)T-80 Type I TDI、1.5gのBYK-W 980湿潤分散剤、および90.1gのS-150溶媒をフラスコに添加した。フラスコ内の混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、30分間反応させた。次に、混合物を85℃に加熱した。次に、混合物を連続的かつ機械的に攪拌し、混合物の温度を80℃~85℃の範囲に制御しながら2時間反応させた。
【0098】
次に、混合物を室温で60℃まで自然に冷却した。1.0gのDABCO T-12触媒、30.0gのS-150溶媒中に溶解した0.4gのDMDEE触媒、および2.0gのBYK-066N消泡剤をさらにフラスコに添加した。混合物を60℃で30分間混合した。
【0099】
次に、混合物を、真空によって制御された-0.09MPa以下の圧力で5分間脱泡して、本発明の一成分型ポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
【0100】
本発明実施例1~10および比較例1~6の配合物および試験結果は、表2、3、および4に報告されているとおりである。
【表2】
【表3】
【表4】
【0101】
IV.結果
IE1、IE4、およびCE1は、同等量のDesmodur CD-C MDIを使用したが、ポリオールブレンドは異なった。IE2、IE5、およびCE2は、同等量のISONATE(商標)50 OP Pure MDIを使用したが、ポリオールブレンドは異なった。IE3、IE6、およびCE3は、同等量のDesmodur CD-C MDIとISONATE(商標)50 OP Pure MDIのブレンドを使用したが、ポリオールブレンドは異なった。各群において本発明のポリオールブレンドを使用する本発明の実施例は、それぞれ各群において比較例と比較して有意に低い粘度を呈する。
【0102】
CE4は、VORANOL(商標)1447ポリオールを含むポリオールブレンドを使用し、これは、三官能性ポリエーテルポリオールの総重量に基づいて71.2重量%のエチレンオキシドでエンドキャップされた三官能性ポリエーテルポリオールである。エチレンオキシド含有量が高いため、CE4では、望ましくない相分離が発生した。対照的に、本発明のポリオールブレンドを使用するIE7およびIE8には、相分離の問題がない。
【0103】
IE9およびCE5は、同等量のポリイソシアネートおよび添加剤を使用したが、ポリオールブレンドは異なった。IE10およびCE6は、同等量のポリイソシアネートおよび添加剤を使用したが、ポリオールブレンドは異なった。本発明のポリオールブレンドを使用するIE9およびIE10は、CE5およびCE6と比較して著しく低い粘度を呈する。
【国際調査報告】