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特表2022-549772減量の改善及び維持のための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】減量の改善及び維持のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/175 20160101AFI20221121BHJP
【FI】
A23L33/175
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515930
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2020075930
(87)【国際公開番号】W WO2021058358
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】19198863.3
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】マーティン, フランソア‐ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ハーガー, ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】カラヨル, ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルセシア, アルマンド
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD19
4B018ME01
4B018ME14
(57)【要約】
本発明は、減量のための食事介入に使用する、又は、体重維持、特に食事介入後、好ましくは低カロリー食介入後の体重維持に使用する、栄養組成物を提供するものである。栄養組成物は、プロリン、ヒスチジン、グリシン、及び/若しくは、ヒドロキシプロリンからなる群から選択される、1種以上のアミノ酸、又はそれらの組み合わせを含み、カロリー制限された食事介入のみによる減量に耐性のある肥満対象の減量を助けるのに使用可能である。また、本発明の栄養組成物は、特に食事介入後の減量維持を助けるのに使用可能である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
減量に使用する栄養組成物であって、プロリン、ヒスチジン、グリシン、及び/若しくは、ヒドロキシプロリン、又はこれらの混合物からなる群から選択された1種以上のアミノ酸を含む、栄養組成物。
【請求項2】
体重維持に使用する栄養組成物であって、プロリン、ヒスチジン、グリシン、及び/若しくは、ヒドロキシプロリン、又はこれらの混合物からなる群から選択された1種以上のアミノ酸を含む、栄養組成物。
【請求項3】
低カロリー食介入中の減量又は低カロリー食介入後の体重維持に使用する栄養組成物であって、プロリン、ヒスチジン、グリシン、及び/若しくは、ヒドロキシプロリン、又はこれらの混合物からなる群から選択された1種以上のアミノ酸を含む、請求項1又は2に記載の栄養組成物。
【請求項4】
前記低カロリー食介入が、成人に関しては、600kcal/日~1500kcal/日を最大12週間までとするものである、請求項3に記載の栄養組成物。
【請求項5】
前記栄養組成物が、少なくともプロリンを含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための栄養組成物。
【請求項6】
前記栄養組成物が、少なくともプロリン及びヒスチジンを含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための栄養組成物。
【請求項7】
前記栄養組成物が、少なくともプロリン、ヒスチジン、及びグリシンを含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための栄養組成物。
【請求項8】
前記栄養組成物が、少なくともプロリン、ヒスチジン、グリシン、及びヒドロキシプロリンを含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための栄養組成物。
【請求項9】
前記栄養組成物が、低カロリー食介入後の対象において脂肪量の減少を改善する、請求項1~8のいずれか一項に記載の栄養組成物。
【請求項10】
前記栄養組成物が、低カロリー食介入後の対象においてBMIを改善する、請求項1~8のいずれか一項に記載の栄養組成物。
【請求項11】
前記栄養組成物が、低カロリー食介入後の対象において脂肪量の減少を維持する、請求項1~8のいずれか一項に記載の栄養組成物。
【請求項12】
前記栄養組成物が、低カロリー食介入後の対象においてBMIを維持する、請求項1~8のいずれか一項に記載の栄養組成物。
【請求項13】
前記1種以上のアミノ酸が、食事耐性のある肥満対象又は減量耐性のある肥満対象に対して、同時、連続的、又は別個に投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための栄養組成物。
【請求項14】
前記1種以上のアミノ酸が、食事耐性のある肥満対象又は減量耐性のある肥満対象に対して、ダイエット製品での低カロリー食介入とともに同時に投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用のための栄養組成物。
【請求項15】
(i)ダイエット製品、及び/又は、(ii)請求項1~14のいずれか一項に記載の1種以上のアミノ酸を含有する前記栄養製品、及び、(iii)食事耐性のある肥満対象若しくは減量耐性のある肥満対象に対する同時、連続的、若しくは別個の投与にこれらを使用する際の指示、を含む、パーツのキット。
【請求項16】
必要のある対象のBMIを低減する方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載の1種以上のアミノ酸を含む栄養組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項17】
減量後の対象のBMIを維持する方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載の1種以上のアミノ酸を含む栄養組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項18】
必要のある対象において脂肪量を低減する方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載の1種以上のアミノ酸を含む栄養組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項19】
減量後の対象の脂肪量を維持する方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載の1種以上のアミノ酸を含む栄養組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減量のための食事介入、又は、特に食事介入、好ましくは低カロリー食介入後の体重維持に使用される栄養組成物を提供するものである。栄養組成物は、カロリー制限食による介入のみでの減量に耐性のある肥満対象の減量を補助するのに使用可能な、プロリン、ヒスチジン、グリシン、及び/若しくは、ヒドロキシプロリンからなる群から選択される、1種以上のアミノ酸、又はそれらの組み合わせを含む。また、本発明の栄養組成物は、特に食事介入後の減量維持を補助するのに使用可能である。
【背景技術】
【0002】
肥満は、世界の多くの地域で蔓延している慢性的な代謝異常であり、2型糖尿病、心臓血管疾患、脂質異常症、及びある種のがん等、深刻な併存疾患の主な危険因子である(World Health Organ Tech Rep Ser.2000;894:i-xii,1~253)。
【0003】
長い間、低カロリー食介入は減量に非常に有効であり得るものであること、またこの減量は概して肥満関連性共存症、特に2型糖尿病のリスクを改善することが認識されてきた。経験的データが示唆するところによれば、初期体重の少なくとも10%を減量すると、肥満関連の併存疾患のリスクがかなり減少する(World Health Organ Tech Rep Ser.2000;894:i-xii,1~253)。
【0004】
しかしながら、減量能力は、対象間で非常に様々である。いくつかの研究では、一定の割合の人が、カロリー制限又は低カロリー食による減量に成功しないことが示されている(Ghosh,S.et al.,Obesity,2011,19(2):457~463)。これにより、現実的でない減量への期待が転じて、食事介入の不遵守、ドロップアウト、そして大抵は失敗が生じる。実際のところ、複数の研究において、同様のBMIで、かつ同じ標準化減量プログラムを経験しており、よく遵守した対象の減量において、10倍の変動があることが示されている。これらの観察から、肥満減量耐性のある肥満の表現型の定義がなされている(Harper et al.,Diabetes,(2002)51:2459-2466)。
【0005】
いくつかの研究では、減量耐性のある肥満の表現型、又は食事耐性のある肥満表現型であると予測される対象では、肥満症治療手術が検討され得ると提案している。肥満症治療手術には、栄養摂取、及び/又は、吸収を低減するために消化管に改変を加えることで肥満を治療する、様々な外科的処置が含まれる。
【0006】
明らかに、減量耐性のある肥満又は食事耐性のある肥満の対象のために、より簡便で、且つ、より低侵襲の組成物及び方法が必要とされている。
【0007】
[発明の概要]
栄養組成物
いくつかの実施形態において、組成物、特に、食事介入中の減量、又は、食事介入後の体重維持に使用する栄養組成物を提供する。好適な実施形態において、食事介入は低カロリー食である。
【0008】
一実施形態において、栄養組成物は、食事介入中の減量、又は、食事介入後の体重維持に使用するための1種以上のアミノ酸を含む。好適な実施形態において、食事介入は、低カロリー食である。
【0009】
一実施形態において、栄養組成物は、食事介入中の減量、又は、食事介入後の体重維持に使用するための、プロリン、ヒスチジン、グリシン、及び/若しくは、ヒドロキシプロリン、又はこれらの混合物からなる群から選択された1つ以上のアミノ酸を含む。好適な実施形態において、食事介入は、低カロリー食である。
【0010】
一実施形態において、栄養組成物は、食事介入中の減量、又は、食事介入後の体重維持に使用するための、少なくともプロリンを含有する。好適な実施形態において、食事介入は、低カロリー食である。
【0011】
一実施形態において、栄養組成物は、食事介入中の減量、又は、食事介入後の体重維持に使用するための、少なくともプロリン及びヒスチジンを含有する。好適な実施形態において、食事介入は、低カロリー食である。
【0012】
一実施形態において、栄養組成物は、食事介入中の減量、又は、食事介入後の体重維持に使用するための、少なくともプロリン、ヒスチジン、及びグリシンを含有する。好適な実施形態において、食事介入は、低カロリー食である。
【0013】
一実施形態において、栄養組成物は、食事介入中の減量、又は、食事介入後の体重維持に使用するための、少なくともプロリン、ヒスチジン、グリシン、及びヒドロキシプロリンを含有する。好適な実施形態において、食事介入は、低カロリー食である。
【0014】
好適な実施形態において、本発明の栄養組成物は、食事介入後の対象において脂肪量の減少を改善する。好適な実施形態において、食事介入は、低カロリー食である。
【0015】
他の好適な実施形態において、本発明の栄養組成物は、食事介入後の対象においてBMIを改善する。好適な実施形態において、食事介入は、低カロリー食である。
【0016】
さらに好適な実施形態において、本発明の栄養組成物は、食事介入後の対象において脂肪量の減少を維持する。好適な実施形態において、食事介入は、低カロリー食である。
【0017】
他の好適な実施形態において、本発明の栄養組成物は、食事介入後の対象において、BMIを維持する。好適な実施形態において、食事介入は、低カロリー食である。
【0018】
他の実施形態において、1種以上のアミノ酸を含有する栄養組成物は、(i)脂肪源と、(ii)炭水化物源と、(iii)タンパク質源とを含むダイエット製品において配合され、ともに投与される。
【0019】
一実施形態において、1種以上のアミノ酸を含有する栄養組成物は、対象に対して、同時、連続的、又は別個に投与される。
【0020】
他の実施形態において、1つ以上のアミノ酸を含有する栄養組成物は、(i)脂肪源と、(ii)炭水化物源と、(iii)タンパク質源とを含むダイエット製品において配合され、ともに投与される。
【0021】
一実施形態において、本発明の1種以上のアミノ酸を含む本発明の栄養組成物を含有するダイエット製品の栄養製剤は、低カロリー食介入中の対象の一日当たりの平均カロリー摂取量の40%以上を提供する。
【0022】
一実施形態において、本発明の1種以上のアミノ酸を含む本発明の栄養組成物を含有するダイエット製品の栄養製剤は、低カロリー食介入中の対象の一日当たりの平均カロリー摂取量の70%以上を提供する。
【0023】
一実施形態において、本発明の1種以上のアミノ酸を含む本発明の栄養組成物を含有するダイエット製品の栄養製剤は、低カロリー食介入中の対象の一日当たりの平均カロリー摂取量の80%以上を提供する。
【0024】
一実施形態において、本発明の1種以上のアミノ酸を含む本発明の栄養組成物を含有するダイエット製品の栄養製剤は、低カロリー食介入中の対象の一日当たりの平均カロリー摂取量の90%以上を提供する。
【0025】
一実施形態において、本発明の1種以上のアミノ酸を含む本発明の栄養組成物を含有するダイエット製品の栄養製剤は、低カロリー食介入中に、対象の一日当たりの平均カロリー摂取量の100%を提供する。
【0026】
一実施形態において、対象の一日当たりの平均カロリー摂取量は、低カロリー食介入中に約600kcal~約1500kcalである。
【0027】
他の実施形態において、本発明の1種以上のアミノ酸を含有する栄養組成物は、(i)脂肪源と、(ii)炭水化物源と、(iii)タンパク質源とともにダイエット製品に配合され、減量した体重を維持するのを助けるために減量後に提供される。
【0028】
一実施形態において、本発明の1種以上のアミノ酸を含む本発明の栄養組成物を含有するダイエット製品の栄養製剤は、低カロリー食介入後の体重維持期間中の対象の、一日当たりのカロリー摂取量の40%を提供する。
【0029】
一実施形態において、本発明の1種以上のアミノ酸を含む本発明の栄養組成物を含有するダイエット製品の栄養製剤は、低カロリー食介入後の体重維持期間中の対象の、一日当たりのカロリー摂取量の30%を提供する。
【0030】
一実施形態において、本発明の1種以上のアミノ酸を含む本発明の栄養組成物を含有するダイエット製品の栄養製剤は、低カロリー食介入後の体重維持期間中の対象の、一日当たりのカロリー摂取量の20%を提供する。
【0031】
一実施形態において、本発明の1種以上のアミノ酸を含む本発明の栄養組成物を含有するダイエット製品の栄養製剤は、低カロリー食介入後の体重維持期間中の対象の、一日当たりのカロリー摂取量の10%を提供する。
【0032】
他の 実施形態において、理想の体重を達成した後、対象は、体重維持期間中に最大で約26週間まで、本発明の1種以上のアミノ酸を含む本発明の栄養組成物を含有するダイエット製品の栄養製剤を摂取してもよい。
【0033】
一実施形態において、栄養組成物は、食事介入中、又は、食事介入後の体重維持期間中、対象の一日当たりの平均プロリン摂取量のうち1g~10gを提供する。
【0034】
一実施形態において、栄養組成物は、食事介入中、又は、食事介入後の体重維持期間中、対象の一日当たりの平均ヒスチジン摂取量のうち1g~10gを提供する。
【0035】
一実施形態において、栄養組成物は、食事介入中、又は、食事介入後の体重維持期間中、対象の一日当たりの平均グリシン摂取量のうち1g~10gを提供する。
【0036】
一実施形態において、栄養組成物は、食事介入中、又は、食事介入後の体重維持期間中、対象の一日当たりのヒドロキシプロリン摂取量のうち1g~10gを提供する。
【0037】
一実施形態において、対象は、食事介入に先立って、食事耐性のある肥満、又は、減量耐性のある肥満であると診断されており、本発明の栄養組成物を必要としている。
【0038】
一実施形態において、対象は、血中、特に、赤血球中のアミノ酸のレベル、すなわち、プロリン、ヒスチジン、グリシン、及び/若しくは、ヒドロキシプロリンのレベルを測定することにより、食事介入に先立って、食事耐性のある肥満、又は、減量耐性のある肥満であると診断されており、これらのいずれかの値が参照値を下回るとき、対象は、食事耐性、又は、減量耐性のリスクがあるものとみなされ得る。
【0039】
アミノ酸
いくつかの実施形態において、本発明の栄養組成物は、プロリン、ヒスチジン、グリシン、及び/若しくは、ヒドロキシプロリンからなる群から選択された1種以上のアミノ酸を含む。
【0040】
方法及び使用
一実施形態において、本発明の栄養組成物は、低カロリー食介入中の減量における使用に好適である。
【0041】
一実施形態において、栄養組成物は、低カロリー食介入中の脂肪量減少の改善における使用に好適である。
【0042】
他の実施形態において、栄養組成物は、低カロリー食介入中のBMIの改善における使用に好適である。
【0043】
一実施形態において、栄養組成物は、食事介入後の減量維持における使用に好適である。
【0044】
一実施形態において、栄養組成物は、食事介入後の脂肪量減少の維持における使用に好適である。
【0045】
他の実施形態において、栄養組成物は、食事介入後のBMIの維持における使用に好適である。
【0046】
一実施形態において、食事介入は、低カロリー食の一部として本発明の栄養組成物を投与することである。
【0047】
一実施形態において、低カロリー食には、脂肪摂取の減少が含まれる。
【0048】
一実施形態において、低カロリー食には、低脂肪食品の摂取の増加が含まれる。
【0049】
一実施形態において、本発明の栄養組成物及び低カロリー食は、一日当たりに平均600~約1500kcalを対象に提供する。
【0050】
一実施形態において、低カロリー食は、低カロリー食の投与前の一日当たりの平均カロリー摂取量と比較して、一日当たり平均10%以上、カロリー摂取を低減する。
【0051】
一実施形態において、低カロリー食は、低カロリー食の投与前の一日当たりの平均カロリー摂取量と比較して、一日当たり平均15%以上、カロリー摂取を低減する。
【0052】
一実施形態において、低カロリー食は、低カロリー食の投与前の一日当たりの平均カロリー摂取と比較して、一日当たりに平均20%以上、カロリー摂取を低減する。
【0053】
一実施形態において、低カロリー食は、低カロリー食の投与の直前2週間の一日当たりの平均カロリー摂取量と比較して、カロリー摂取を低減する。
【0054】
一実施形態において、低カロリー食は、最大で12週間までの期間にわたって投与される。他の実施形態において、低カロリー食は、最大で6~12週間までの期間にわたって投与される。
【0055】
本発明の組成物、特に、体重耐性のある (weight resistant)肥満の対象、又は食事耐性のある肥満の対象に好適な形態で栄養組成物の投与を行うための、本発明の栄養組成物を作製する方法を提供する。
【0056】
一実施形態において、本発明の栄養組成物を使用して減量する方法は、食事介入中の脂肪量の減少、及び、BMIの改善にも好適である。
【0057】
一実施形態において、本発明の栄養組成物を使用して減量する方法は、食事耐性のある肥満対象、又は、減量耐性のある肥満対象に、低カロリー食を投与するのに好適である。
【0058】
本発明の方法は、対象が、減量の達成、又は、減量の維持のために、本発明の組成物を必要としているのかを判定すべく、対象の1つ以上の身体計測の尺度(anthropometric measures)、及び/又はライフスタイル特性を判定することを更に含んでもよい。
【0059】
身体計測の尺度は、性別、体重、身長、年齢からなる群から選択されてもよい。
【0060】
ライフスタイル特性は、例えば、対象が喫煙者又は非喫煙者のいずれであるか、対象が推奨される一日摂取量を平均的に超えてアルコールを摂取するか、又は対象が推奨される一日運動レベルを平均的に下回るかであってもよい。
【0061】
また、1つ以上の食事介入を最適化する方法であって、対象が1つ以上の食事介入によって達成可能な減量についての素因、及び/又は、対象が1つ以上の食事介入後の対象において達成可能な減量維持についての素因を評価することと、この対象に1つ以上の食事介入を適用することと、を含む方法を提供する。
【0062】
一実施形態において、食事介入は低カロリー食である。
【0063】
本発明の他の態様では、減量を成し遂げることが予想される対象にダイエット製品が投与される、減量プログラムにおける使用のための低カロリー食が提供される。
【0064】
他の態様では、減量又は体重維持を成し遂げることが予測される対象にダイエット製品が投与される、減量のための低カロリー食の一部としての使用のためのダイエット製品が提供される。
【0065】
他の態様では、体重維持及び減量のいずれをも成し遂げることが予測される対象にダイエット製品が投与される、減量のための低カロリー食の一部としての使用のためのダイエット製品が提供される。
【0066】
他の態様では、体重維持、及び/又は、減量を成し遂げることが予測される対象にダイエット製品が投与される、肥満又は肥満関連障害の治療に使用するためのダイエット製品が提供される。
【0067】
一実施形態において、ダイエット製品には、Optifast(登録商標)又はModifast(登録商標)に、本発明の1種以上のアミノ酸を添加したものが含まれる。
【0068】
パーツのキット
本発明による使用のためのパーツのキットであって、当該キットが、パーツとして(i)ダイエット製品、(ii)本発明の1種以上のアミノ酸を含有する栄養組成物、及び(iii)これらの使用のための指示と、を含む、キットを提供する。
【0069】
一実施形態において、ダイエット製品は、(i)脂肪源、(ii)炭水化物源、及び(iii)タンパク質源、のうちの1つ以上を含む。
【0070】
一実施形態において、ダイエット製品は、(i)脂肪源、(ii)炭水化物源、及び(iii)タンパク質源のうちの2つ以上を含む。
【0071】
一実施形態において、(i)ダイエット製品と、(ii)1種以上のアミノ酸を含有する栄養組成物と、(iii)これらの使用のための指示と、を含むパーツのキットは、食事耐性のある肥満対象、又は、減量耐性のある肥満対象に対して、同時、連続的、又は別個に投与される。
【0072】
一実施形態において、1種以上のアミノ酸を含有する栄養組成物は、対象に同時、連続的、又は別個に投与される特定の1種以上のアミノ酸とともに投与される。
【0073】
他の実施形態において、1種以上のアミノ酸を含有する栄養組成物は、(i)脂肪源と、(ii)炭水化物源と、(iii)タンパク質源とを含有するダイエット製品中にともに配合されて、投与される。
【0074】
一実施形態において、キットは、食事介入中、特に、低カロリー食介入中の減量の改善において使用される。
【0075】
一実施形態において、キットは、食事介入後、特に、低カロリー食介入後の減量の維持において使用される。
【0076】
本発明のパーツのキットを作成する方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0077】
パーセンテージは全て、特に明記しない限り組成物の総重量に対する重量によるものとする。同様に、比は全て、特に明記しない限り重量によるものとする。pHについての参照がなされる場合には、値は標準的な装置により25℃にて測定されるpHに相当する。本明細書で使用するとき、「約」、「およそ」、及び「実質的に」は、数値範囲内、例えば、参照数字の-10%から+10%の範囲内、好ましくは-5%から+5%の範囲内、より好ましくは、参照数字の-1%から+1%の範囲内、最も好ましくは参照数字の-0.1%から+0.1%の範囲内の数を指すものと理解される。
【0078】
さらに、本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数(integers)、整数(whole)又は分数、を含むものと理解されたい。さらに、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートすると解釈されたい。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲をサポートするものと解釈されたい。
【0079】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、別途文脈が明らかに示していない限り、単数形の単語は複数形を含む。したがって、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」には、概してそれぞれの用語の複数形が包含される。例えば、「原材料(an ingredient)」又は「方法(a method)」と言及する際は、複数の、かかる「原材料」又は「方法」が含まれる。「X及び/又はY」という文脈で使用される用語「及び/又は」は、「X」若しくは「Y」又は「X及びY」と解釈されるべきである。同様に、「X又はYのうちの少なくとも1つ」は、「X」若しくは「Y」又は「X及びYの両方」と解釈されるべきである。
【0080】
同様に、「含む/構成される(comprise)」、「含む/構成される(comprises)」、及び「含む/構成される(comprising)」という用語は、排他的ではなく、他を包含し得るものとして解釈されるべきである。同様にして、用語「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは他を包含し得るものであると解釈される。しかし、本開示により提供される実施形態は、本明細書で具体的に開示されない任意の要素を含まない場合がある。したがって、用語「含む(comprising)」を用いて規定される実施形態の開示は、開示される構成要素「を本質的に含む」、及び「を含む」実施形態の開示でもある。「を本質的に含む」とは、実施形態が、特定の構成要素を50重量%超、好ましくは特定の構成要素を少なくとも75重量%、より好ましくは特定の構成要素を少なくとも85重量%、最も好ましくは特定の構成要素を少なくとも95重量%、例えば、特定の構成要素を少なくとも99重量%含むことを意味する。
【0081】
本明細書で使用するとき、用語「例(example)」は、特に、後に用語の列挙が続く場合に、単に例示的なものであり、かつ説明のためのものであり、排他的又は包括的なものであるとみなすべきではない。本明細書で開示される全ての実施形態は、特に明示的に示されない限り、本明細書で開示される任意の別の実施形態と組み合わせることができる。
【0082】
相対的な用語である「改善された」、「増加した」、及び「増強された」等は、本発明の1種以上のアミノ酸を含まないこと、又は、この1種以上のアミノ酸が少ないこと以外は同一の組成物に対する、1種以上のアミノ酸のいずれをも含む組成物の効果をいうものである。
【0083】
「ダイエット製品」及び「栄養組成物」及び「栄養製剤」という用語は、ヒト等の個体によって摂取されることが意図され、この個体に少なくとも1種の栄養素を提供する、本発明の少なくとも1つのアミノ酸を含む製品又は組成物を意味する。本明細書に記載の多くの実施形態を含む本開示の組成物は、本明細書に記載の必須成分(essential elements)及び制限に加え、本明細書に記載の、又は食事療法に有用な、任意の追加の若しくは任意選択的な原材料、構成成分、又は制限を含んでよく、これらから構成されてよく、又は本質的にこれらから構成されてよい。
【0084】
本明細書で使用するとき、「完全栄養」は、その組成物が投与される動物にとって、唯一の栄養源とするのに十分な、十分な種類及びレベルの主要栄養素(タンパク質、脂質及び炭水化物)及び微量栄養素を含有する。個体は、このような完全栄養組成物から、個体が必要とする栄養分の100%を受容可能である。
【0085】
「動物」としては、齧歯類動物、水生哺乳動物、イヌ及びネコなどの飼養動物、ヒツジ、ブタ、ウシ及びウマなどの家畜、並びにヒトを含むがこれらに限定されない哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。「動物」、「哺乳動物」、又はこれらの複数形が用いられる場合、これらの用語には、本節の文脈により効果が示され得る、又は示されるように意図され得るあらゆる動物が当てはまる。本明細書で使用するとき、用語「対象/被験者」又は「患者」は、本明細書で定義される治療を受けている又は治療を受ける予定の動物、例えば、哺乳動物、好ましくはヒトを含むと理解される。本明細書で使用するとき、「個体」及び「患者」という用語は、多くの場合、ヒトを指して使用されるが、本開示はヒトに限定されない。
【0086】
したがって、「対象/被験者」、「個体」及び「患者」という用語は、本明細書で開示される方法及び組成物が有益となり得る任意の動物、哺乳動物又はヒトを指す。
【0087】
組成物及びその使用
「組成物」、特に、「栄養組成物」、及び/又は、「栄養製剤」を本発明のアミノ酸を含有する「ダイエット製品」に含ませることは、食事介入中の減量の改善及び減量後の体重維持における使用に好適である。減量は、当業者に既知の任意の技術によって測定可能である。
【0088】
本明細書において規定される「減量」とは、体重(例えば、単位はキログラム)、ボディマス指数(kgm-2)、ウエスト-ヒップ比(例えば、単位はセンチメートル)、脂肪量(例えば、単位はキログラム)、ヒップ周り(例えば、単位はセンチメートル)、又は腰囲(例えば、単位はセンチメートル)等のパラメータの減少をいうものであってもよい。
【0089】
減量は、介入開始時(例えば、本発明による介入を用いるとき)の前述のパラメータの値から、介入終了時の前述のパラメータのうちの1つ以上の値を差し引くことによって計算されてもよい。
【0090】
減量度は、前述の体重の表現型パラメータ(例えば、対象の体重(例えば、単位はキログラム)又はボディマス指数(kgm-2)の変化率)のうちの1つの変化率として表現されてもよい。例えば、対象は、その初期体重の少なくとも10%、初期体重の少なくとも8%、又は初期体重の少なくとも5%を減量してもよい。単なる一例として、対象は、初期体重の5~10%を減量してもよい。
【0091】
一実施形態において、減量の程度が初期体重の少なくとも10%である場合、肥満関連併存症のリスクが大幅に低下する。
【0092】
本明細書において定義される「減量を維持する」とは、体重(例えば、単位はキログラム)、ボディマス指数(kgm-2)、ウェスト-ヒップ比(例えば、単位はセンチメートル)、脂肪量(例えば、単位はキログラム)、ヒップ周り(例えば、単位はセンチメートル)、又は腰囲(例えば、単位はセンチメートル)等のパラメータの維持、又は、食事介入等の介入後の脂肪量の維持をいうものであり得る。
【0093】
典型的には、減量の維持は、減量の達成期間後に生じる。
【0094】
一態様によると、本発明は、減量期間後の健康な身体組成を維持するための、本発明の栄養組成物の非治療的使用を提供する。
【0095】
体重維持度は、一定期間中の、前述のパラメータのうちの1つ以上における変化を判定することによって計算されてもよい。この期間は、例えば、少なくとも12、15、20、26、30、36、40、46、又は50週間であってもよい。
【0096】
体重維持度は、減量達成後の期間中に再増加した体重として表してもよく、例えば、減量達成中の減量に関するパーセンテージとして表してもよい。
【0097】
一態様によると、本発明は、対象における減量の達成又は維持に使用するため、栄養組成物、及び/又は、栄養製剤を本発明のダイエット製品に含ませることを提供する。
【0098】
栄養組成物、及び/又は、栄養製剤を本発明のダイエット製品に含ませることは、脂肪量の減少とBMIとを改善することもでき、これらは、当業者に既知の任意の技術によって測定可能である。
【0099】
対象
本発明の対象は、好ましくは哺乳動物である。好適な実施形態において、対象は、ヒトである。あるいは、対象は、ヒト以外の哺乳動物、例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、又はブタなどであってもよい。一実施形態において、対象は、イヌ又はネコなどのコンパニオンアニマルである。
【0100】
「過体重」は、25~30のBMIを有する成人のヒトに対して定義される。「ボディマス指数」、すなわち「BMI」は、体重のキログラム値を身長のメートル値の二乗で除算した比率を意味する。「肥満」とは、動物、特にヒト及び他の哺乳動物の脂肪組織に蓄えられた天然のエネルギー貯蔵量が、特定の健康状態又は死亡率の増加に関係する点まで増加した状態である。「肥満」は、30超のBMIを有する成人のヒトに対して定義される。成人に関し、「正常体重」は、BMI18.5~25であるとして定義されるのに対し、「低体重」は、BMI18.5未満であるとして定義され得る。
【0101】
肥満関連疾患は、肥満個体において発症リスクが上昇する任意の状態を指す。
【0102】
肥満関連疾患は、糖尿病(例えば、2型糖尿病)、脳卒中、高コレステロール、循環器疾患、インスリン抵抗性、冠動脈心疾患、内臓脂肪症候群、高血圧、又は脂肪肝であってもよい。
【0103】
本明細書に記載の使用のための栄養組成物は、対象における脂肪量の低減、及び除脂肪量の実質的な維持に使用されてもよい。
【0104】
「脂肪量」とは、対象の身体のうち脂肪から構成される部分をいう。脂肪量は、多様な方法、例えば、キャリパーによる皮下脂肪厚の測定、二重エネルギーX線吸収測定法、CTスキャン若しくはMRIスキャン、又は生体電気インピーダンス分析を用いて測定することができる。
【0105】
脂肪量の減量は、脂肪量が少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%減量されることを意味し得る。
【0106】
「除脂肪量」又は「除脂肪体重」は、総体重と身体脂肪重量との間の差として定義される、身体組成の部分をいう。これは、身体脂肪は除いて、骨、筋肉、血液、皮膚、及び他のものを含む全ての臓器の質量を計量することを意味する。除脂肪体重の維持は、最適な代謝、正常な身体活動、及び良好な健康に重要である。
【0107】
実質的な除脂肪量の維持は、例えば、介入後又は介入中の除脂肪量の変化が、7%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満であることを意味し得る。
【0108】
好ましくは、主要な減量は、除脂肪部分ではなく、除脂肪部分以外の質量の減少又は脂肪質量の減少によるものである。
【0109】
本発明における対象は、好ましくは、食事耐性のある肥満又は減量耐性のある肥満である。「食事耐性のある肥満」又は「減量耐性のある肥満」とは、食事介入の開始後6週間において、対象群のうち減量率の最も低い五分位の対象と定義することができる(Harper et al.,2002)。
【0110】
減量の程度をBMI単位数の低下によって表すのが好ましく、ここで、BMIの低下=((BMI1-BMI2)*100)/BMI1であり、BMI1は食事介入前の対象のボディマス指数であり、BMI2は食事介入後の対象に予測されるボディマス指数である。
【0111】
食事介入
「食事介入」という用語は、対象に適用される外部要因であって、対象の食生活に変化をもたらすものを意味すると解される。好ましくは、食事介入は低カロリー食である。
【0112】
「低カロリー食」は、約600~約1500kcal/日の平均カロリー摂取量を含み、平均約600~約1200kcal/日であることがより好ましく、平均約700~約900kcal/日であることがより好ましく、平均約800kcal/日であることが最も好ましい。
【0113】
一実施形態において、低カロリー食には、一日当たりの所定量の野菜が含まれてもよく、好ましくは、約400g/日までの野菜、例えば、約200g/日までの野菜が含まれる。低脂肪食品としては、全粒粉の穀粉及びパン、ポリッジオーツ、高繊維ブレックファストシリアル、玄米及び全粒粉パスタ、野菜及び果物、乾燥した豆及びレンズ豆、ベークドポテト、ドライフルーツ、クルミ、白身魚、ニシン、サバ、イワシ、燻製の魚、マイワシ、サーモン、及び脂肪の少ないホワイトミートが挙げられる。
【0114】
低カロリー食には、少なくとも1つの「ダイエット製品」の投与が含まれてもよい。「ダイエット製品」は、食事代替製品、又は例えば、対象の食欲を抑制し得る補助食品として配合されてもよい。ダイエット製品には、食品、飲料製品、ペットフード製品、フードサプリメント、ニュートラシューティカルズ、食品添加物、又は栄養配合品が含まれてもよい。
【0115】
一実施形態において、ダイエット製品には、例えば、Optifast(登録商標)又はModifast(登録商標)が含まれてもよい。
【0116】
「ダイエット製品」には、エネルギーの総摂取量が約2.5MJ(600kcal/日)となるように、3ポーションの非デンプン質の野菜を補充してもよい。ダイエット製品には、1日当たり少なくとも2Lの水、又はエネルギーを含まない他の飲料を更に補充してもよい。
【0117】
他の実施形態において、「ダイエット製品」には、例えば、本発明のアミノ酸の栄養組成物と、少なくとも46.4%までの炭水化物、32.5%のタンパク質、及び20.1%の脂質、ビタミン、ミネラル、及び微量元素とが含まれる栄養製剤が含まれてもよく、ダイエット製品には、エネルギーの総摂取量が、サービングあたり約2.5MJ(600kcal/日)となり、合計1500kcal/日までとなるように、3ポーションの非デンプン質の野菜を更に補充してもよい。ダイエット製品には、1日当たり少なくとも2Lの水、又はエネルギーを含まない他の飲料を更に補充してもよい。
【0118】
一実施形態において、低カロリー食療法は、最長12週間の継続期間を有する。好ましくは、低カロリー食療法は、6~12週間、好ましくは8~10週間、例えば8週間の継続期間を有する。
【0119】
アミノ酸
「アミノ酸」という用語は、アミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)との両方を有する有機化合物の総称である。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態において、特定のアミノ酸及びこれらの誘導体が記載されている。
【0121】
プロリン
本発明のいくつかの実施形態では、「プロリン」又は「プロリン誘導体」が、栄養組成物、方法、及び使用において定義される。
【0122】
「プロリン」は、L-プロリン;L-(-)プロリン;(S)-ピロリジン-2-カルボン酸;(2S)-ピロリジン-2-カルボン酸;(-)-プロリン、(-)-(S)-プロリン;プロリニウム(Prolinum);H-Pro-OH、2-ピロリジンカルボン酸;(S)-2-ピロリジンカルボン酸;プロリナ、(-)-2-ピロリジンカルボン酸;L-ピロリジン-2-カルボン酸;L-アルファ-ピロリジンカルボン酸;L-プロリン;カルボキシピロリジンとしても既知のアミノ酸である。
【0123】
「プロリン誘導体」は、好ましくはL-プロリンであり、及び/又は、cis-4-ヒドロキシ-L-プロリン(CHP)、trans-4-ヒドロキシ-L-プロリン(THP)、4-ヒドロキシ-1-メチル-プロリン、1-メチル-4-フェニルアミンカルボニロキシ-プロリン、1-メチル-4-フェニルアミンカルボニロキシ-プロリン、cis-4-ヒドロキシメチル-l-プロリン、trans-4-ヒドロキシメチル-D-プロリン、trans-4-ヒドロキシメチル-l-プロリン、trans-4-メチル-l-プロリン、cis-3-アミノ-l-プロリン、1-メチル-4-フェニルアミノカルボニル-オキシ-プロリン-エチルエステル、1-メチル-4-フェニルアミノカルボニル-オキシ-プロリン-イソブチルエステル、4-ヒドロキシ-1-メチル-プロリン-エチルエステル、4-ヒドロキシ-1-メチル-プロリン-イソブチルエステル、4-ヒドロキシ-1-メチル-プロリン-エチルエステル、4-ヒドロキシ-プロリン-エチルエステル、4-ヒドロキシ-プロリン-イソブチルエステル、cis-4-ヒドロキシ-L-プロリン-エチルエステル、cis-4-ヒドロキシ-L-プロリン-イソ-ブチルエステル、4-ヒドロキシ-1,1-ジメチル-プロリン-エチルエステル-イオダイド、ヒドロキシプロリン-エチルエステル、4-ヒドロキシ-1,1-ジメチル-プロリン-イソ-ブチルエステル-イオダイド、4-ヒドロキシ-1-シクロヘキシル-プロリン-イソブチル-エステル、4-ヒドロキシ-1-ジフェニルメチル-プロリン-イソブチルエステル-ヒドロブロミド、4-ヒドロキシ-1-メチル-プロリン、4-ヒドロキシ-1-アルキル-プロリンエステルアミド(アルキル:メチル、エチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、及びノニル)、4-ヒドロキシ-1-ジフェニルメチル-プロリン-イソブチル-エステル-ヒドロブロミドからなる群から選択されるものと定義される。本実施形態は、これらの塩、エステル類、異性体、ラセミ体、鏡像異性体、又はプロドラッグを包含する。
【0124】
ヒスチジン
本発明のいくつかの実施形態において、「ヒスチジン」又は「ヒスチジン誘導体」が、栄養組成物、方法、及び使用において定義される。
【0125】
「ヒスチジン」は、(S)-4-(2-アミノ-2-カルボキシエチル)イミダゾール、(S)-α-アミノ-1H-イミダゾール-4-プロパン酸、(S)-α-アミノ-1H-イミダゾール-4-プロピオン酸、(S)-1H-イミダゾール-4-アラニン、(S)-2-アミノ-3-(4-イミダゾリル)プロピオン酸、(S)-ヒスチジン、(S)1H-イミダゾール-4-アラニン、3-(1H-イミダゾール-4-イル)-L-アラニン、アミノ-1H-イミダゾール-4-プロパノエート、アミノ-1H-イミダゾール-4-プロパン酸、アミノ-4-イミダゾールプロピオネート、アミノ-4-イミダゾールプロピオン酸、グリオキサリン-5-アラニンとしても既知のアミノ酸である。
【0126】
ヒスチジンは、好ましくは、L-ヒスチジン、及び/又は、その誘導体である。L-ヒスチジンは天然に存在し、天然の原料から容易に得ることが可能である。
【0127】
「ヒスチジン誘導体」は、好ましくは、ヒスチジンのペプチド(特に、ヒスチジンのジペプチド及びトリペプチド)、ヒスチジンのペプチド及び1つ以上の追加アミノ酸(特に、ジペプチド及びトリペプチド、例えば、カルノシン)、ヒスチジンの薬学的に許容可能な塩のうちの1つ以上から選択される。
【0128】
グリシン
本発明のいくつかの実施形態において、「グリシン」又は「グリシン誘導体」が、栄養組成物、方法、及び使用において定義される。
【0129】
「グリシン」は、アミノ酢酸、アミノ酢酸(Aminoessigsaeure)、アミノエタン酸、グリココール、グリココール(Glykokoll)、グリシン(Glyzin)、ライムザッカー(Leimzucker)、2-アミノアセテート、アミノ酢酸、グリコアミン、グリコリキシル、グリコステン(Glycosthene)、Gyn-ヒドラリン、パディル(Padil)としても既知のアミノ酸である。
【0130】
グリシンは、好ましくは、L-グリシン及び/又はL-グリシンエチルエステルである。好適なグリシンの機能性誘導体の非限定的な例としては、D-アリルグリシン、N-[ビス(メチルチオ)メチレン]グリシンメチルエステル、Boc-アリル-Gly-OH(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩、Boc-D-Chg-OH、Boc-Chg-OH、(R)-N-Boc-(2’-クロロフェニル)グリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、(R)-N-Boc-4-フルオロフェニルグリシン、Boc-D-プロパルギルグリシン、Boc-(S)-3-チエニルグリシン、Boc-(R)-3-チエニルグリシン、D-a-シクロヘキシルグリシン、L-a-シクロプロピルグリシン、N-(2-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、N-(4-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、Fmoc-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-Gly-OH、N-(2-フロイル)グリシン、L-a-ネオペンチルグリシン、D-プロパルギルグリシン、サルコシン、Z-a-ホスホノグリシントリメチルエステルが挙げられる。
【0131】
ヒドロキシプロリン
本発明のいくつかの実施形態において、「ヒドロキシプロリン」が、栄養組成物、方法、及び使用において定義される。
【0132】
「ヒドロキシプロリン」は、(2S,4R)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸、又はL-ヒドロキシプロリンとしても既知である。ヒドロキシプロリンは、ガンマ炭素原子に付加したヒドロキシル(OH)基の存在により、プロリンとは異なる。
【0133】
ダイエット製品
ダイエット製品は、本発明の1種以上のアミノ酸に加え、(i)タンパク質源、(ii)脂肪源、及び(iii)炭水化物源を含むことができる。
【0134】
タンパク質
本明細書で使用するとき、用語「タンパク質」は、遊離形態のアミノ酸、アミノ酸2~20個の分子(本明細書では「ペプチド」と称する)を含み、また、同様に、より長いアミノ酸鎖も含む。小さいペプチド、すなわち、アミノ酸2~10個の鎖は、単独で、又は他のタンパク質との組み合わせにより本組成物に好適である。アミノ酸の「遊離形態」は、アミノ酸のモノマー形態である。好適なアミノ酸としては、天然のアミノ酸及び非天然のアミノ酸の両方が挙げられる。本組成物は、1種以上のタンパク質の混合物、例えば、1つ以上の(i)ペプチド、(ii)より長いアミノ酸鎖、又は(iii)遊離形態のアミノ酸の、混合物を含んでもよく;この混合物は、好ましくは所望のアミノ酸プロファイル/含有量が得られるように配合される。
【0135】
組成物は、少なくとも1ポーションの1種以上のアミノ酸、及び/又は、少なくとも1ポーションの1つ以上のアミノ酸を提供するタンパク質を含むことができ、少なくとも1ポーションのタンパク質は、動物由来又は植物由来のものとすることができ、例えば、1つ以上の乳タンパク質、例えば、乳タンパク質濃縮物、又は乳タンパク質分離物等、乳製品タンパク質(dairy protein)とすることができる。カゼイン塩若しくはカゼイン、例えば、カゼインミセル濃縮物若しくはカゼインミセル単離物;又はホエイタンパク質、例えば、ホエイタンパク質濃縮物若しくはホエイタンパク質単離物のうちの1種以上などの乳製品タンパク質であり得る。追加的に又は代替的に、タンパク質の少なくとも一部は、大豆タンパク質又はエンドウ豆タンパク質のうちの1種以上などの植物性タンパク質であり得る。
【0136】
これらのタンパク質の混合物、例えば、カゼインがタンパク質の大部分であるが全部ではない混合物、ホエイタンパク質がタンパク質の大部分であるが全部ではない混合物、エンドウ豆タンパク質がタンパク質の大部分であるが全部ではない混合物、及び大豆タンパク質がタンパク質の大部分であるが全部ではない混合物もまた好適である。一実施形態では、タンパク質の少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%は、ホエイタンパク質である。一実施形態では、タンパク質の少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%は、カゼインである。一実施形態では、タンパク質の少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%は、植物性タンパク質である。
【0137】
ホエイタンパク質は、例えば、ホエイタンパク質濃縮物、ホエイタンパク質単離物、ホエイタンパク質ミセル、ホエイタンパク質加水分解物、酸性ホエイ、甘性ホエイ、変性甘性ホエイ(カゼイノグリコマクロペプチドが除去された甘性ホエイ)、ホエイタンパク質の画分、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される任意のホエイタンパク質であり得る。
【0138】
カゼインは任意の哺乳動物から得ることができるが、好ましくは牛乳から、及び好ましくはカゼインミセルとして得られる。
【0139】
タンパク質は、加水分解されていなくてもよく、部分的に加水分解されていてもよく(すなわち、分子量は3kDa~10kDaで、平均分子量は5kDa未満のペプチド)、又は広範囲に加水分解されていてもよく(すなわち、90%が3kDa未満の分子量を有するペプチド)、例えば、5%~95%の範囲が加水分解されていてもよい。一部の実施形態では、加水分解されたタンパク質のペプチドプロファイルは、異なる分子量の範囲内のものであり得る。例えば、ペプチドの大部分(50モル%超又は50重量%超)は、1~5kDa又は5~10kDa又は10~20kDa以内の分子量を有し得る。
【0140】
脂肪
一実施形態では、本組成物は、脂肪源を含む。脂肪源は、任意の好適な脂肪又は脂肪混合物を含み得る。好適な脂肪源の非限定的な例としては、植物性脂肪(例えば、オリーブ油、コーン油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、菜種油、キャノーラ油、ヘーゼルナッツ油、大豆油、パーム油、ココナッツ油、クロフサスグリ種子油、ルリヂサ油、レシチンなど)、動物性脂肪(乳脂肪など);又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0141】
炭水化物
一実施形態では、本組成物は、炭水化物源を含む。デンプン(例えば、変性デンプン、アミロースデンプン、タピオカデンプン、トウモロコシデンプン)、スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、固形コーンシロップ、マルトデキストリン、キシリトール、ソルビトール、又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、任意の好適な炭水化物を本組成物に使用してもよい。
【0142】
炭水化物源は、好ましくは本組成物の50エネルギー%以下、より好ましくは本組成物の36エネルギー%以下、最も好ましくは本組成物の30エネルギー%以下である。
【0143】
栄養製剤
組成物は、ヒト及び/又は動物による摂取に好適となるように配合された任意の種類の組成物とすることができる。例えば、本組成物は、食品組成物、ダイエタリーサプリメント、栄養組成物、ニュートラシューティカルズ、摂取前に水又は乳で再構成される粉末栄養製剤、食品添加物、医薬品、飲料及びドリンクからなる群から選択され得る。一実施形態では、本組成物は、経口栄養補助食品(ONS)、完全栄養のフォーミュラ、医薬品、薬剤又は食品製品である。好ましい実施形態では、本組成物は個体に飲料として投与される。本組成物は粉末としてサシェに保存され、次に使用の際に水などの液体中に懸濁されてもよい。
【0144】
一部の実施形態では、本組成物は単回投与剤形で個体に投与され、すなわち、食事と一緒に個体に与えられる1つの製剤中に全ての化合物が存在している。他の実施形態では、本組成物は別個の剤形で同時投与され、例えば少なくとも1つの構成成分と本組成物の他の構成成分のうちの1つ以上は別個のものとして同時投与される。
【実施例
【0145】
以下の非限定的な実施例は、本発明の1種以上のアミノ酸を含む組成物を投与するコンセプトを展開及びサポートする科学的データを提示するものであり、この組成物は、該組成物が減量の必要又は減量後の体重維持に際し有用なものとなるように、有効な量で1種以上のアミノ酸を更に含む。本明細書で説明されている現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び変形が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。かかる変更及び変形は、本発明の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、行うことができる。それゆえ、そのような変更及び変形は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【0146】
実施例1:食事代替物OPITIFASTによる食事介入のコホート
臨床試験OPTIWINでは、総合的な食事代替品での食事介入OPTIFASTプログラム(OP)の有効性を、減量用の食品ベース(FB)の食事計画と比較して試験した(Ardら、Obestity(Silver Spring).2019年1月;27(1):22~29)。
【0147】
OPTIWINは、オープンラベル、多施設、無作為化対照臨床試験であった。USの9つの参加施設には、5つの個人クリニックと、4つの大学病院とが含まれた。参加者は18~70歳の非喫煙者で、BMIは30~55kg/m2であった。キーとなる除外には、最近の減量又は減量用薬剤の使用、過去の肥満症治療手術、臓器不全、1型糖尿病又はヘモグロビンA1c>10%、過去6か月以内の循環器疾患の発生又は精神衛生による入院、アルコール又はドラッグへの依存、潜在的な摂食障害についての陽性スクリーニング、又はコントロール不良のうつが含まれた。参加者には、当初の適格性を評価するために電話でスクリーニングを行い、追って訪問診療により適格性を確認し、書面による同意を得た。適格者は、製品に対する耐性を評価するため、1日1回食事代替品(OPTIFAST;Nestle Health Science、ニュージャージー、ブリッジウォーター)を使用することを含む7日間の導入ダイエットを完了した。最後のスクリーニング訪問は、ダイエットの導入の遵守、セルフモニタリングタスク、及び最終的な適格性を評価するため、導入期後に完了した。この試験は、各地の治験審査委員会によるレビュー後、中央治験審査委員会で監督及び承認を受け、ClinicalTrials.gov NCT02635698で登録された。
【0148】
治療群
参加者は、OPTIFAST(OP)又は食品ベース(FB)のいずれかの群に無作為化した。
【0149】
Optifast群(OP):
BMIが45未満の参加者には、一日当たりにタンパク質によるカロリーを40%、炭水化物によるカロリーを40%、及び脂質によるカロリーを20%含む、Optifast(合計800kcal)を含む、5度の食事代替品を使用するように指示した。BMIが45~49.9の参加者は、一日当たり6つのMRを受けた(960kcal)。BMIが50以上の参加者は、脂肪分の少ないタンパク質(lean protein)(3~4オンス)による一日一回の食事と、一食の非デンプン質の野菜とに加え、6つのMRを受けた(1100~1200kcal)。参加者は、提供者の裁量と患者の嗜好とに基づき、12~16週間処方に従った後、26週間を通じて食品を徐々に再導入した。26週間後、参加者のカロリーを徐々に増加させて体重を安定化にした。この間、参加者には、減量維持を容易にするため、1日1~2度MRを使用するように助言した。
【0150】
参加者は、健康上の懸念に対処するために医師に定期的に面会し、最初の26週間に医療者による合計11回のモニタリング訪問を調整し、27~52週間では医療者による4回のモニタリング訪問を調整した。基本的又は総合的な代謝パネルのいずれかを含む医療モニタリングの研究所(Labs)は、第2週、第4週、第6週、第8週、第10週、第12週、及び第16週で得られた。参加者は、訓練を受けたカウンセラーにより、最初の26週間に合計16回の個別カウンセリングの訪問を受け、27~52週までに11回の個別カウンセリングの訪問を受けた。
【0151】
食品ベース群(FB):
アクティブな減量中(0~26週)、FBの参加者には、低脂肪摂取(合計カロリーの25%~30%)を強化するため、カロリー制限食が処方された。参加者には、間接カロリー測定法(MedGem;Microlife USA社、クリアウオーター、フロリダ)によって測定される安静時代謝量と、自己報告による身体活動に基づくAf(activity factor)とに基づいて計算される、推定合計エネルギー消費量が500~750kcalを下回るようにカロリーを低減するよう助言した。OP群における任意のMRのインセンティブとバランスをとるため、FB参加者は、アクティブな減量期中の食費を埋め合わせるように合計800ドルのギフトカードを受け取った。参加者には、第26週目に医療者による2回のモニタリング訪問と、7回の個別カウンセリング訪問を行った。維持期(27~52週)の間、参加者には、医療者による2回のモニタリング訪問と、5回の個別カウンセリング訪問を行った。
【0152】
解析
サンプルサイズは、52週間の時点での体重の変化率(%)をもとに、OPの有効性をFBと比較して示すように主に計算した。α=0.05で仮定した両側検定に基づき、90%の検出力(statistical power)を得るためには、11.5%の推定標準偏差(SD)で5%の体重変化における平均差を検出するのに試験群ごとに113名の参加者が必要であった。推定脱落率30%とし、試験群ごとに150名の参加者を準備することを計画して300名の参加者を募った。
【0153】
コプライマリーアウトカム(coprimary outcomes)は、階層的手順を用いて検定した、26週と52週のベースラインからの体重変化率(%)とした。まず本発明者らは、第26週目のアウトカムを検定することを計画した。この分析は統計的に有意であった(P<0.05)。その後、第52週目の終了時点では、有意性のα水準=0.05で検定を行った。しかしながら、第26週目の解析で統計的に有意でなかった場合、第52週目の解析は、確証的でなく、探索的なものとなった。
【0154】
一次解析集団は、解析対象集団(modified intention to treat、mITT)とし、治験プログラムを開始したこと、及び体重の少なくとも1回のベースライン後評価を行ったこと、が判明している無作為化した被験者を含んだ。一次解析のため、ランダム効果及び固定効果の両方に反復測定モデルを使用してOP群とFB群との間で体重変化率(%)を比較した。線形混合モデルには、被験者、固定訪問効果、固定治療効果、及び固定ベースライン体重効果の変量切片と、訪問治療相互作用期間とが含まれた。モデルには、年齢、人種、性別、施設、糖尿病の状態、及びジェンダーも共変数として含んだ。最終モデルは、RANDOM及びLSMEANSのステートメント(SAS Institute社、カリー、ノースカロライナ)を使用したSAS PROC MIXED法を使用して調整した。感度解析では、mITT集団においてスケジュールされたベースライン後訪問(第12週目、第26週目、第40週目、及び第52週目)時の体重値の欠落のため、多重補完法(MI)を採用した。補完は、SAS PROC MI手順を使用して、各治療群に対して別々に実施した(補完=50)。次いで、主要アウトカムを代入したデータセットから計算した。身体組成及びAE頻度を含む副次アウトカムについては、継続的測定値は標準t検定を使用して比較する一方で、カテゴリー測定値はχ試験を使用して比較した。
【0155】
結果
463名の参加者のスクリーニングを行い、330名の参加者について適格性を確認した(164名を無作為にOPに割り付け、166名を無作為にFBに割り付けた)。57名の参加者は、無作為割り付け(OP9名、FB16名)を知った後に以降の治験への参加を拒否し、又は体重のフォローアップをせずに参加を中断した(OP20名、FB12名)。これらの参加者は、より若く(42.5歳、P=0.006)、過去の試行では平均での減量が少なかったことが報告されていること(0.1kg、P<0.001)以外は、mITT集団と人工統計学的に類似していた。残りの273名の参加者(OP135名、FB138名)でmITT治験集団(無作為割付された参加者のうちの82.7%)を構成した。mITT治験集団では、OP群で19名(14.1%)、及びFB群で25名(18.1%)の参加者が参加を中断した。参加者は、典型的には中年であり(47.1±11.2歳)、主として女性(82%)で、白人であった(71%)(表1)。52%が前糖尿病又は糖尿病であり、33%が高血圧の治療を受けており、21%が脂質異常症で治療中であった。OP及びFBの参加者は、それぞれ週毎のグループ行動セッションに53.5%及び46.2%参加した。
【0156】
【表1】
【0157】
標準t検定を使用して比較した連続変数細胞数が少ないため、Fisherの正確検定を使用した、人種除外のχ検定を使用して、カテゴリカル変数を比較した。
【0158】
薬剤の使用には、治験前から治験中にかけての継続試用、又は治験中に開始され、治験を通して継続された使用若しくは治験の完了前に終了した使用が含まれる。
【0159】
減量アウトカム
いずれの治療群においても、26週間及び52週間で減量した(26週間での減量%は、OPでは12.4%±0.6%であったのに対し、FBでは6.0%±0.6%であった(差は、6.4%±0.9%。P<0.001))。52週間での減量率(%)は、OPで10.5%±0.6%であったのに対し、FBでは5.5%±0.6%であった(差は、4.9%±0.9%。P<0.001)。感度解析では、減量率(%)で同様の推定を示した。欠損データの扱いにはMIを使用したところ、OPでは、26週及び52週でそれぞれ12.1%±0.6%及び10.1%±0.7%の減量を示した。比較すると、FBは、26週及び52週で6.0%±0.6%及び5.5%±0.7%の減量であった。OP及びFB間の差はすべて、P<0.001で有意のままであった。
【0160】
26週及び52週の時点で、治療群による相対的な体重変化があった。体重変化値(%)は、最小二乗平均から線形混合モデルにより計算された。線形混合モデルには、ランダム切片被験者効果(random intercept subject effect)、固定訪問効果(fixed treatment effect)、固定治療効果(fixed treatment effect)、固定ベースライン体重効果(fixed baseline body weight effect)、訪問治療の相互作用期間、及び年齢、人種、性別、場所、及び報告されたベースラインの糖尿病ステータスを含む共変量を含んだ。
【0161】
52週の時点で、OPの参加者は、5%(63.7%)及び10%の減量(43.7)を、FB(それぞれ42%及び21.7%、P<0.001)と比較してより多くの割合で達成した。初期体重の15%以上を減量した人の割合(%)は、OPではFBの2倍を超えた(30%対12%、P<0.001)。初期体重の3%以上の減量に失敗したと定義される、割り付けた治療に応答しなかった参加者の割合も調べた。26週の時点で、OPの15.6%及びFBの39.1%の参加者が非応答者であった。52週までに、OP参加者では23.7%が非応答者であったのに対して、FB参加者の非応答者は43.5%であった。
【0162】
身体組成の変化
身体組成アウトカムの変化を表2に示す。腰囲の変化は、いずれの治療群においても減量に平行した。しかしながら、26週及び52週の時点で、OP群ではFB群よりも大きな減少があった。二重エネルギーX線吸光光度分析法で測定した身体組成の変化は、同様のパターンに従った。52週までに、平均合計脂肪量は、OP参加者で9.7±10.4kg減少した。FB参加者の合計脂肪量は、52週時点で、平均して3.5±6.6kg減少していた。いずれの治療群でも、除脂肪量が減少した。絶対差は、統計的に有意なものであった。しかしながら、52週時点での除脂肪量からの減量の割合は、同様であった(OPでは23%、FBでは25.5%)。治療群毎の合計骨ミネラル密度における変化に差はなかった。
【0163】
【表2】
【0164】
ベースライン後の値からベースライン値を減算したものとして定義される、ベースラインからの変化差は標準t検定を使用して比較した。
【0165】
OP治療群の複数の参加者で52週までに初期体重の10.5%が減少し、FBで体重に対し見られる効果の2倍近くを示した。OPでは、より多くの参加者で体重の5%、10%、又は15%が減少し、より高い割合(%)の参加者がOPに対して少なくとも3%の体重減量で応答した。OP参加者は脂肪量の減少がより大きく、かつOPは耐用性が良好であり、安全であった。全体として、OPは、FBより効果的な治療であることが証明された。
【0166】
OP群は、12か月を通じてより大きな減量を達成し、体重の再増加が少なかった。減量維持のためにOPIFAST等の食事代替品を継続使用することによる減量は、MRの特徴が低エネルギー摂取に伴うものであること(例えば、タンパク質コントロール、低カロリー、選択肢の制限(reduced choice))、並びに食物に対する被験者の主観的な要求及び欲求における変化から、有利であり得る。このことは、機能的磁気共鳴画像において、食物摂取の制御及び報奨に対応する脳領域で同時に変化が生じることから客観的に裏付けられた。継続的な治療と食事代替品の使用とは、減量を維持し続けるのに重要であり得る。
【0167】
実施例2:アミノ酸を測定する方法
アミノ酸濃度を評価するために、上記OP群の被験者のベースライン、26週、及び52週の時点の血漿試料を解析した。特に、プロリン、ヒスチジン、グリシン、およびヒドロキシプロリンを測定した。
【0168】
タンデム質量分析(UPLC-MS/MS)をアミノ酸の分析に使用した。分離及び分析は、加熱エレクトロスプレーイオン化(heated electrospray ionization、H-ESI)源を備えたTSQ Quantum Vantageトリプル四重極(Thermo Fisher Scientific Inc.,MA,USA)に結合したAccela UHPLC1250ポンプ(Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,MA,USA)で実施した。クロマトグラフィー分離は、逆相UPLC XSelect HSST3、2.5μm、100×2.1mmI.D.カラム(Waters Corporation,Milford,MA,USA)で勾配溶出を用い得られた。注入量は10μLとし、解析の総実行時間は13分とした。血漿試料を解凍し、10秒間ボルテックスにかけた。50μLの体積の血漿を、ピペットで1.5mLのマイクロ遠心チューブに移した。10μLのIS溶液を血漿に添加した。50μLのTCEP溶液、及び次に140μLのメタノール+1%FAを混合物に添加した。このチューブを、4℃、1350rpmで15分間マルチチューブボルテックスに入れ、14,500rpmで5分間遠心分離した。上澄みをピペットで移し、0.22μmフィルタを通して濾過し、LC-MS/MS解析のためにバイアルに入れた。
【0169】
スパース部分最小二乗(sPLS)アプローチを使用して、減量中の血中アミノ酸の変化を、介入全体(すなわち、WM後)の間の人体測定変数の変化との関連について試験した。サンプルは、減量プログラムのベースライン(V1)、12週間後(V2)、及び24週間後(v3)でのデータを有する71人の参加者を含んだ。
【0170】
mixOmics Rパッケージで実施したスパース部分最小二乗(sPLS)アプローチでは、1ステップストラテジーで2つのデータセット(アミノ酸及び人体測定変数)に対し統合及び変数選択の両方を同時に組み合わせる。これは、2つのデータマトリクスX(例えば、人体測定)及びY(アミノ酸)を関連付けづける多変量方法論である。sPLSは、両方のマトリクスの構造をモデル化することにより、従来の重回帰の範囲を超える。従来の重回帰モデルとは異なり、無相関の変数に限定されない。sPLSの多くの利益のうち1つは、多数のノイズのある、共線の(相関のある)、欠損変数を取り扱うことができること、いくつかの応当変数Yを同時にモデル化できることである。変数選択は、加重変数のペアにLASSOペナリゼーションを導入することによって達成される。クラスター化したイメージマップ(CIM)が、sPLSの結果を要約及び可視化するために提供される。欠損データは、バギングを介して推定される。この方法は、各予測因子(他のすべての関数となる)に対するバギングツリーモデルにフィットする。CIMは、sPLSの結果を介して得られる現実値の類似性マトリクスの行及び列に同時に適用される階層クラスタリングに基づくものである。ネットワークプロットはまた、2セットの変数の間の関連付けを表すように提供される。これらは、sPLSによって提供されるX及びYの変数間のペアワイズの関連付けスコアを形成することが推測される。閾値は、所与のカットオフを超える関連付けスコアを伴う変数X及びYのみを表すものである。
【0171】
この解析は、可視化及び解釈に3成分モデルが適用されることを前提とした。結果は、CIM要素値として表3に報告される。
【0172】
解析では、減量中の血中アミノ酸変化(V2/V1)と、体重維持期間の終了時に達成される身体組成の状態(V3/V1)との間の強い関連をハイライトしている。特に、プロリンの変化は、除脂肪量の変化にポジティブに関連付けられ、BMI及び脂肪量変化にはネガティブに関連付けられた。更に、グリシン及びヒスチジンの変化は、脂肪量及びBMIにおける変化とネガティブに関連付けられた。このような観察は、(i)プロリン、ヒスチジン、及びグリシンの枯渇を示さないか、弱い枯渇を示す対象において、脂肪量及びBMIのより大きな減少が達成されるという事実、並びに(ii)プロリンの弱い枯渇を示す対象において、より多くの除脂肪量の維持が観察されるという事実で説明される。
【0173】
ヒドロキシプロリンは、アミノ酸プロリンのヒドロキシ化によって生成される。ヒドロキシプロリン含有量は、コラーゲンの異化、特に、骨吸収又は筋肉損傷を含む組織分解の周知のマーカーである。プロリン対ヒドロキシプロリンの比率の変化は、除脂肪量の変化にネガティブに関連付けられ、脂肪量及びBMIの変化にポジティブに関連付けられた。具体的には、ヒドロキシプロリンのプロリンへの変換率が高くなるほど、除脂肪量の減少がより大きくなる。
【0174】
【表3】

【国際調査報告】