(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】水路における流送土砂堰き止め構造
(51)【国際特許分類】
E02B 5/08 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
E02B5/08 101Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516689
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 IB2020058701
(87)【国際公開番号】W WO2021053592
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】102019000016637
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512027452
【氏名又は名称】オフィシネ マッカフェリイ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビアンキーニ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ラルケル,ミケーレ
(57)【要約】
水路における流送土砂堰き止め構造は、水路のすべての水底を占めるように横方向に配置されたネットを備えている。ネットの底部に水底の幅よりも狭い幅を有する少なくとも1つの開口部が形成されており、ネットによって開口部の少なくとも片側の範囲が定められている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路のすべての水底を占めるように横方向に配置されたネットを備え、前記ネットの底部に前記水底の幅よりも狭い幅を有する少なくとも1つの開口部が形成されており、前記ネットによって前記開口部の少なくとも片側の範囲が定められている、水路における流送土砂堰き止め構造。
【請求項2】
前記ネットは、前記ネット自体の略全周に沿って延びる1つまたは複数の周辺タイロッドに固定されている、請求項1に記載の堰き止め構造。
【請求項3】
前記ネットによって範囲が定められた前記開口部の周囲に沿って延びる1つまたは複数の周辺タイロッドを備えた、請求項1または2に記載の堰き止め構造。
【請求項4】
少なくとも1つの前記開口部は、ネットによって上側および2つの側部の範囲が定められ水路の水底によって下側の範囲が定められる略四角形の開口部である、請求項1~3のいずれかに記載の堰き止め構造。
【請求項5】
前記開口部は、剛性バーによって上側の範囲が定められている、請求項1~4のいずれかに記載の堰き止め構造。
【請求項6】
前記剛性バーは、両端がそれぞれの横断ロープに固定されている、請求項5に記載の堰き止め構造。
【請求項7】
前記ネットの上側が固定されている少なくとも1つの上部横断タイロッドを備え、少なくとも1つの下部横断タイロッドを備え、前記開口部の上側で前記下部横断タイロッドの一部に前記ネットが固定され、少なくとも1対の側部ロープを備え、前記側部ロープは、それぞれが前記開口部の側部の下限まで前記ネットのそれぞれの側部に沿って走り、前記側部ロープは、前記下部横断タイロッドに出会うまで前記開口部の側部に沿って垂直方向に続く、請求項1~6のいずれかに記載の堰き止め構造。
【請求項8】
それぞれの側部ロープは、ステーのようにして水底に固定されるまで下向きに傾斜する方向に、前記下部横断タイロッドを超えて曲げられることによって延長されている、請求項7に記載の堰き止め構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水路における流送土砂堰き止め構造に関する。
【0002】
ここでは、水路に沿った非限定的な例として、例えば、がれきの流れ、泥の滑り、または高濃度の流れなどの洪水の流れに続いて固形物または流送土砂の一貫した輸送が行われる、建設用の流送土砂堰き止め構造について特に言及する。
【背景技術】
【0003】
堤防としても知られている構造物によって水流の流送土砂を処理することが知られている。これらの堰き止め構造は、水路の底に対して横方向に配置された水理工学建造物である。その目的は、水路の勾配を減らし、流送土砂、すなわち、例えば、洪水のピークのときに水路によって輸送される固形物の量を堰き止めすることである。
【0004】
従来の堤防は、セメント、石積み、土、木材、蛇籠、つまり小石や岩で満たされた金属の入れ物、から構築することができる。これらの堤防は、その面が垂直に上流または下流に向けられた一般に台形の断面を有する壁と、壁自体が建てられている水底および土手に埋め込まれた基礎によって構成されている。放流セクションは、構造物の中央上部に配置され、放流セクションから土手まで延びる壁部分、いわゆる翼壁によって横方向の範囲が決められている。放流セクションの目的は、通常の放流条件下で水路を封じることであり、それによって、流れが建造物の土手を侵食することを防止するか、場合によってはそれを回避することができる。
【0005】
従来の堤防と同様に構築され、洪水のときに上流から移動する比較的粗い粒子サイズを有する物質を堰き止めることを目的とする既知の選択的な堤防もある。この機能を果たすために、放流セクションは、それが堰き止めることを意図されている物質の粒子サイズに応じた寸法を有している。開口部はさまざまな方法で作成することができ、それは、単純なスロットまたは格子で構成されていてもよく、水平または垂直であって鋼の構成部分を含んでいてもよい。
【0006】
WO2014/141096には、洪水の初期段階では完全に満たされず洪水のピーク時に積層作用を働かせる堰き止め構造を構築するために、例えば、ダブルツイストリングまたはメッシュを備えた、金属ネットを使用した流送土砂堰き止め構造が記載されている。この流送土砂堰き止め構造は、洪水波の初期段階と最終段階の間に固体の流れを通過させるように構成されており、一方、固体の流れの積層作用を働かせることにより、洪水のピーク時に固体物質を堰き止め、そのピーク値を下げることができる。固体物質を遮断するメカニズムは、機械的な仕切りではなく、流体力学の類型の原理に従ってもたらされる。
【0007】
WO2014/141096に記載されている堰き止め構造は、
図1の例に見られるように、実質的に台形であり、その水平範囲が側壁によって定められている、放流セクションを提供する。放流セクションの上部は、金属ネットで覆われ、一方、放流セクションの下部は、側壁によって横方向の範囲が定められた水平スロットの範囲を定めている。この水平スロットの深さは、堰き止め構造の上流で取得しようとしている堆積物、および流れの流体力学的特性と流れ容量特性に応じた寸法を有している。
【0008】
上記の様式の堰き止め構造を構築する際には、放流セクションを正しい寸法に設定して構成することが基本である。要求される積層の必要性に応じて、石積みの翼壁が水底の全幅またはその一部のみに関係する水平スロットの範囲を定めるように側壁を構築することができる。
【0009】
水路に関連する自然環境で石積み構築を実施すると、その場所にセメントや石材を輸送する必要性の結果としてのその構築の実質的な環境上の影響によって、常により多くの抵抗に遭遇する。さらに、石積み構築を実施することは、特に近づきにくい地域で実施される場合、費用がかかり複雑になる可能性がある。さらに、水路の状態の変化によって、既存の構築物を改造しなければならない場合がよくある。この場合、石積み構築物の改造は特に困難であり、常に可能であるとは限らず、そのため、効果的で簡便で経済的な解決策の必要性が感じられる。
【0010】
したがって、放流セクションの横方向の確定のために、新たな石積み構築や既存の石積み構築物の改造を実施する必要がなく、所定の寸法の開口部を通して既知の様式の構造の積層結果を達成することができる、水路における流送土砂堰き止め構造を提供する必要が生じている。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の問題を解決し、上記の必要性を満たすことである。本発明の別の目的は、単純かつ経済的であり、近づくことができない地域においてさえ構築するのが容易である、流送土砂堰き止め構造を提供することである。本発明の別の目的は、洪水波が起きたときに効果的な積層を提供する流送土砂堰き止め構造を提供することである。本発明の別の目的は、水路の水底とダムの形成は別として、そして、新しい石積み構築物の建設や既存の石積み構築物の改造とは無関係に、所定の寸法を有する底部開口部を備えた流送土砂堰き止め構造を提供することである。本発明の別の目的は、頻繁な保守作業を必要とせずに、耐性があり耐久性のある流送土砂堰き止め構造を提供することである。
【0012】
この目的のために、本発明は、以下に記載され、特許請求の範囲で定められる特徴の1つまたは複数を含む。
【0013】
特定の態様によれば、水路における流送土砂堰き止め構造は、水路のすべての水底を占めるように横方向に配置されたネットを備えている。水底の底部、つまりネットの底部に、水底の幅よりも狭い幅を有する少なくとも1つの開口部が形成されている。したがって、開口部は、ネットによって少なくともその片側の範囲が定められている。さらに、開口部の上側もネットで範囲が定められている。好ましくは、開口部は、ネットによって両側の範囲が定められている。好ましい変形例によれば、少なくとも1つの開口部は、ネットによって上側および2つの側部の範囲が定められ、水路の水底によって下側の範囲が定められる、略四角形の開口部である。ネットによる少なくとも1つの開口部の横方向の境界設定は、流送土砂堰き止め構造の設計および建設の実質的な柔軟性を可能にする。なぜなら、開口部の側部のネットの広がりは、石積み構築物などを使用する必要なしに、所望の横方向寸法を有する開口部の構築を可能にするからである。
【0014】
特定の態様によれば、ネットは、1つまたは複数のタイロッドに固定されている。タイロッドは、ネット自体の略全周に沿って延びる周辺タイロッドであってもよい。好ましくは、ネットによって範囲が定められた開口部の周囲に沿って延びる1つまたは複数の周辺タイロッドが提供される。単純な固定部材によって地面に配置および固定できるタイロッドを使用すると、近づくことのできないゾーンや急傾斜の勾配などにおいて、流送土砂堰き止め構造を簡単かつ迅速に構築することができる。
【0015】
別の特定の態様によれば、流送土砂堰き止め構造のネットの開口部は、剛性バーによって上側の範囲が定められている。好ましくは、しかし非限定的な方法で、剛性バーは、両端がそれぞれの横断ロープに固定されている。剛性バーを使用すると、開口部の上側を適切に定めることができる。さらに、剛性バーを使用すると、横断ロープに正しく張力をかけることができる。剛性バーはさらに、スロットの垂直壁を閉じるのに役立つ三角形の範囲でロープをしっかりと支える。さらに、張力部材によって剛性バーに大きな力を加えてもよい。
【0016】
別の態様によれば、堰き止め構造は、ネットの上側が固定されている少なくとも1つの上部横断タイロッドを備えている。堰き止め構造は、少なくとも1つの下部横断タイロッドを備えている。開口部の上側で、下部横断タイロッドの一部にネットが固定されている。堰き止め構造は、少なくとも1対の側部ロープを備え、その側部ロープは、それぞれが開口部の側部の下限までネットのそれぞれの側部に沿って走り、下部横断タイロッドに出会うまで開口部の側部に沿って垂直方向に続く。好ましくは、非限定的な方法ではあるが、それぞれの側部ロープは、下部横断タイロッドを超えて曲げられることによって延長されている。特に、それぞれの側部ロープは、ステーのようにして水底に固定されるまで、下向きに傾斜する方向に曲げられている。この構造は、耐性があり、さらに構築が簡単であるため、新しい石積みや既存の石積み構築物の改造を伴う建設作業をまったく必要とせずに、指定された寸法でネットの下部に開口部を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
追加の特徴および利点は、非限定的な例として与えられた添付の図面を参照した好適な実施形態の以下の詳細な説明から理解されるであろう。
【
図1】上述の既知の様式の流送土砂堰き止め構造の正面図である。
【
図2】本発明の特徴を組み込んだ流送土砂堰き止め構造の正面図である。
【
図3】
図2の堰き止め構造の下側部の構造の詳細の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、例えば、WO2014/141096公報に記載されている既知の様式の流送土砂堰き止め構造の正面図である。従来技術のこの構造は、実質的に台形の形態を有し、その水平範囲が側壁11によって定められている、水路の放流セクションを提供する。放流セクションは、金属ネット13によって覆われた上部と、水平スロット12の範囲を定める開いた下部とを含む。金属ネット13は、一方の側壁11から他方の側壁11まで横方向に延びる上部結合ロープ14によって支持されている。水平スロット12は、側壁11によって横方向の範囲が定められている。水平スロット12は、ネット13の下端と水路の水底15との間で垂直方向に延びている。水平スロット12の高さは、堰き止め構造の上流で取得しようとしている流送土砂堆積物、流体力学的特性、ならびに流れの流れ容量に応じた寸法を有している。
【0019】
ここで
図2を参照すると、本発明の態様を組み込んだ水路における流送土砂堰き止め構造20が示されている。このような構造は、洪水波の初期段階および最終段階の間に固体の流れを通過させるように構成され、固体の流れの積層作用を働かせることにより、洪水のピーク時に固体物質を堰き止めることができるとともに、固体物質を初期段階と最終段階で通過させることにより、そのピーク値を下げることができ、また、セルフクリーニングとみなされる可能性のある構築を実施することを可能にすることもできる。固体物質を遮断するメカニズムは、フィルターや機械的な仕切りの類型ではなく、流体力学の類型であることを理解することが重要である。
【0020】
堰き止め構造20は、水路の水底22を横断して配置されている。堰き止め構造20は、水路の2つの土手23から延びている。土手23には、例えば、土手23の地面に打ち込まれたりセメントで固められたりした固定部材25が配置されている。対向する土手23上の固定部材25は、同じ高さで2つずつ配置されている。対応するタイロッド27は、2つの土手23上で同じ高さに配置された固定部材25のそれぞれの対に固定されている。タイロッド27は、例えば、ストランドを有する金属ロープまたはらせんロープを用いて構築された、または金属棒またはその様式のほかの細長い要素によって構築された、異なる様式のものであってもよい。タイロッド27の端部は、例えば、ケーブルタイ、張力部材、クランプ、クリップおよび同様の装置を備えた、一般に知られている様式のシステムによって、それぞれの固定部材25に固定されている。タイロッド27は、概して水平方向に進行しているが、上部タイロッド27’は、異なる構成をとることができる。特に、上部タイロッド27’は、その中央部分27aが直下のタイロッド27に隣接するように構築されてもよい。これにより、上部タイロッド27’は、中央部分27aが水平であり、それに隣接する側方部分27bが、中央から土手23およびタイロッド27’の固定部材25’に向かって上向きに傾斜している構成をとる。この構成を得る1つの方法は、構築物のオーバーフローの場合の流送土砂の輸送によって引き起こされる損傷から保護するために、堰き止め構造20の中央の領域に2つのタイロッド27、27’をまとめるように、上部タイロッド27'の中央部分27aと等しい長さを有し、上部タイロッド27'とその直下のタイロッド27の両方を通過させるチューブ29を提供することである。好ましくは、上部タイロッド27’の側方部分27bもまた、対応するチューブ31またはチューブ部分に挿入される。上部タイロッド27’の中央部分27aおよびその直下のタイロッド27はまた、例えば、リング、クリップ、タイ、コイル状部材などによって、チューブ29以外の手段でまとめることができる。
【0021】
1つまたは複数のタイロッドの端部に、一般に知られている様式のエネルギー散逸部材(図示せず)を適用してもよい。エネルギー散逸部材は、例えば、それに加えられる力に従って変形し、構造の全体的な変形をもたらすことによって、堰き止め構造への衝撃のエネルギーを吸収することを可能にする。
【0022】
水路の放流セクションのほぼ全体を占めるネット33は、上部タイロッド27’から、土手23に沿って、水底22の底部まで、所定の寸法を有する底部開口部35を除いて、タイロッド27に固定されている。開口部35の寸法は、堰き止め構造20の設計中に計算される。本発明の堰き止め構造20の特定の形態は、水路の水底22および土手23の形態、特にその傾斜および相互の間隔とはほとんど無関係な、特定の寸法を有する開口部35の構築を可能にし、したがって、従来技術の堰き止め構造のように、壁または側方の翼壁を構築する必要がなくなる。
【0023】
ネット33は、非限定的な例として、リング、または正方形または菱形のメッシュを備えた様式の、または再び非限定的な例として、六角形のメッシュを備えたダブルツイストネットの、金属ネットであってもよい。ネット33の上側は、例えば、クリップ、タイ、コイル、または目的に適した別の方法によって、上部タイロッド27’に固定されている。ネット33はまた、その中間位置で他の固定可能なタイロッド27に固定されてもよい。堰き止め構造20の特定の構造で使用されるタイロッド27の数は、水路の特性、土手23の高さおよび傾斜、ならびに放流セクション、つまり洪水条件下で水路になり洪水時の水底の範囲を定めるセクション、の高さおよび形態に依存する。
【0024】
図3は、開口部35の構成の詳細の拡大図である。水底22の底部では、ネット33は、開口部35の2つの側部からセクションの側方の土手まで延びている。したがって、開口部35は、ネット33によって横方向の範囲が定められている。下部タイロッド27’’は、水底22の底部から所定の高さに設けられ、堰き止め構造20の開口部35の上限を定めている。特に、下部タイロッド27’’は、剛性バー36または好ましくは可撓性ではない他の構造要素を含んでいてもよい。その端部36aのそれぞれにおいて、剛性バー36は、リング39または他のコネクタを含むか、またはそれらに接続され、それに、下部タイロッド27''の側方部分43の一端部43aが固定されており、クランプ41等の介在があってもよいが不必要である。端部43aは、例えば、リング状に曲げられ、ケーブルクリップ45によってそれ自体の周りで閉じられていてもよい。他端部43bでは、タイロッド27’’の側方部分43は、対応する固定部材25’’と同様に、特にそこから突出するリング37’’に固定されている。その一方端または両方の端部36aにおいて、剛性バー36は、好ましくは、ねじ切りされている。この場合、リング39は、例えば、剛性バー36の対応する端部36aにねじ止めされたナット40を用いて、一体に溶接または構築されて固定されてもよい。このようにして、1つまたは2つの張力部材が、剛性バー36の端部に構築される。下部タイロッド27''の側方部分36aをリング39に固定した後、剛性バー36の端部36aにナット36をねじ込むことにより、土手から土手に大きな張力を加えることが可能であり、その利点は開口部35の上側と、以下に説明するように、開口部35の側部を定めるとともに補強部材を構築するロープの構造に、最適な張力を生じさせることである。
【0025】
水路の側部23の領域にネット33の側部を固定するために、2本のロープ47が堰き止め構造20のそれぞれの側部に設けられている。この目的のために、2本のロープ47のそれぞれの端部は、上部固定部材25’に固定され、ここでは上部タイロッド27’が固定されている。ロープ47は、水路の側部23上を走り、それぞれの固定部材25のリング37を通過することによってそこに保持される。下部タイロッド27''が固定されている固定部材25''のリング37''を通過した後、ロープ47は、水路の側部23が水底22の底部の領域に接する領域にほぼ位置する固定部材25aのリング37aに入るまで、水底22の底部に向かって続く。水底22が不規則であるか、または移行領域が明確に定められていない場合、ロープ47が過度に離れることなく地面の進行に追随できるような位置に様々な固定部材25aが提供される。ロープ47の目的は、実際には、所定の寸法を有するともに水底22の底部に配置されている開口部35を除いて、ネットと地面との間に広すぎるスペースおよび開口部がないように、輪郭全体および放流セクションの基部にわたって、ネット33を横方向に固定することである。ネット33は、リング、クリップ、タイ、クランプまたは他の同様の手段によって、多かれ少なかれ規則的に間隔を空けられた位置48でロープ47に固定されてもよい。
【0026】
それぞれのロープ47はまた、開口部35の横方向の広がりを定める横方向の位置で、水底22の底部に配置された固定部材25bのリング37bを通過する。言い換えれば、固定部材25bおよび/または水底22の底部のリング37bとの間の間隔は、開口部35の所定の幅を定める。リング37bを通過した後、ロープ47は、開口部35の側部の範囲を定めるとともに地面に対するその高さを定める、実質的に垂直部分47’上を移動する。この場合、ネット33はまた、リング、クリップ、タイ、クランプまたは他の同様の手段によって、開口部35の側部の位置48でロープ47の垂直部分47’に固定されている。
【0027】
つぎに、ロープ47は、中央バー36の端部に配置されたリング39を通過して、その傾斜部分47’’とともにリング37aに向かって戻される。このようにして、傾斜部分47’’は、推力が洪水の流れによってネット33に加えられている間に、中央バー36を所定の位置に固定する補強部材として実質的に機能する。ロープ47の端部49は、例えば、ケーブルクリップまたは同様の方法でロープ47の端部をそれ自体の周りに把持する端部アイレットを形成することによって、リング37aに固定されてもよい。
【0028】
当然のことながら、上記に記載されたものに関して多くの変形が可能であり、すべてが本発明の範囲および思想に含まれる。例えば、幅と高さの両方の点で同一または異なる寸法を有する、ネットの底部に複数の開口部を構築することが可能である。これらの開口部は、周囲を有するロープおよび/またはタイロッドによって範囲が定められており、そこへネットが固定されている。別の変形例は、開口部の片側とその上側の範囲を定めるネットを提供する。この場合、水路の水底によって開口部の基部とその他側の両方の範囲が定められる。別の変形例は、例えば、沈下する土手を安定させるために、または非常に不規則な土手の場合に、水路の一方または両方の土手に石積み構築物を構築する。この場合、固定部材の少なくとも一部、特に横断タイロッドの固定部材は、石積み構築物に固定することができる。ネットの底部の開口部は、いずれにせよ、石積み構築物間の間隔よりも小さく、すなわち、水路の水底の幅よりも小さい。
【0029】
当然のことながら、本発明の原理はそのままで、実施形態の態様および構造の詳細は、本発明の範囲から逸脱することなく、説明および図示されたものから大きく変形することができる。
【国際調査報告】