(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】血栓溶解性ペプチド-テトラヒドロイソキノリン結合体を含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/06 20060101AFI20221121BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20221121BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20221121BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
A61K38/06
A61K47/54
A61K47/26
A61P7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517353
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 US2020052514
(87)【国際公開番号】W WO2021062003
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517413638
【氏名又は名称】ルモサ セラピューティクス カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】チョウ デイヴィッド チー-クアン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA30
4C076BB13
4C076CC41
4C076DD23Z
4C076DD26Z
4C076DD38
4C076DD41Z
4C076DD43Z
4C076DD49
4C076DD51
4C076DD60
4C076DD67
4C076EE59
4C076FF36
4C076FF61
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA15
4C084BA23
4C084DC50
4C084MA44
4C084MA66
4C084NA03
4C084ZA542
(57)【要約】
本発明は、血栓溶解性ペプチド(Pro-Ala-Lys)及び2つのC1-4アルキル基を有するテトラヒドロイソキノリン化合物のリジン連結アームを介した結合体である二元結合体DC009と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物を提供する。この組成物は、6.5未満のpHを有し、好ましくは約pH2~5.5のpHを有する。この組成物は、マンニトール、ソルビトール、スクロース、ラクトース、又はトレハロース等の薬学的に許容できる賦形剤を含んでもよい。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式の化合物又はその薬学的に許容できる塩と、
【化1】
薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物であって、6.5未満のpHを有する医薬組成物。
【請求項2】
約pH1~pH6のpHを有する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
約pH2~pH6のpHを有する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
約pH2~pH5.5のpHを有する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
約pH3.5~pH5.5のpHを有する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
約pH4.5のpHを有する請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記薬学的に許容できる塩が塩酸塩である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
下記式の化合物又はその薬学的に許容できる塩と、
【化2】
薬学的に許容できる賦形剤とを含む医薬組成物であって、前記組成物は6.5未満のpHを有し、前記薬学的に許容できる賦形剤がマンニトール、ソルビトール、スクロース、ラクトース、又はトレハロースである医薬組成物。
【請求項9】
前記薬学的に許容できる賦形剤がマンニトールである請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記化合物対前記薬学的に許容できる賦形剤の重量比が約1:1~1:9である請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記化合物対前記薬学的に許容できる賦形剤の重量比が約1:1~1:5である請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記薬学的に許容できる賦形剤がマンニトールである請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
約pH3.5~pH5.5のpHを有する請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
凍結乾燥配合物である請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記薬学的に許容できる塩が塩酸塩である請求項8に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血栓溶解性ペプチド-テトラヒドロイソキノリン結合体と、pH6.5未満のpHを有する薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
DC009又はその薬学的に許容できる塩と薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物が本明細書に開示される。DC009は、LT3001とも略称され、化学名は、3S-6,7-ジヒドロキシ-1,1-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-3-アシル-Lys(Pro-Ala-Lys)又はL-リジンN6-(L-プロリル-L-アラニル-L-リジル)-N2-[[(3S)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6,7-ジヒドロキシ-1,1-ジメチル-3-イソキノリニル]カルボニル](CAS登録番号:1639303-73-3)である。DC009の構造を
図1Aに示し、リジン連結アームとPro-Ala-Lysペプチド間のアミド結合を
図1Bに示す。DC009は、血栓溶解性ペプチド(Pro-Ala-Lys)と2つのC1-4アルキル基を有するテトラヒドロイソキノリン化合物とをリジン連結アームを介して結合することにより形成されてもよい二元結合体である。DC009化合物の調製は、米国特許出願公開第2016-0083423号明細書の実施例63に開示されており、この特許文献は参照により本明細書に組み込まれる。DC009の薬学的に許容できる塩としては、薬学的に許容できる任意の塩が挙げられ、例えば、塩酸塩、すなわちL-リジンN6-(L-プロリル-L-アラニル-L-リジル)-N2-[[(3S)-1,2,3,4-テトラヒドロ-6,7-ジヒドロキシ-1,1-ジメチル-3-イソキノリニル]カルボニル]-塩酸塩(1:3)(CAS登録番号:2419930-71-3)が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1B】
図1Bは、NH-Lys-Ala-Proを詳細に示したDC009の化学構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
用語「薬学的に許容できる」は、動物又はヒトにおけるインビボでの使用に対して生物学的又は薬学的に適合することを意味する。いくつかの実施形態では、「薬学的に許容できる」は、連邦政府又は州政府の規制機関によって承認されているか、又は動物、より詳細にはヒトでの使用について米国薬局方又は他の一般に認められた薬局方に記載されていることを意味する。
【0005】
一般に、医薬組成物は、活性成分を液体担体又は微粉化された固体担体又はその両方と均一かつ密接に会合(関連)させ、次いで、必要に応じて、生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。医薬組成物において、活性対象化合物は、疾患の過程又は状態に対して所望の効果をもたらすのに十分な量で含有される。従って、いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、0.1~50%の活性成分を薬学的に許容できる担体と混和することによって作られた任意の組成物を包含する。さらに他の実施形態では、本発明の医薬組成物は、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の活性成分を薬学的に許容できる担体と混和することにより作られた任意の組成物を包含する。特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、0.2%~5%の活性成分を薬学的に許容できる担体と混和することによって作られた任意の組成物を包含する。他の実施形態では、本発明の医薬組成物は、0.5%~5%の活性成分を薬学的に許容できる担体と混和することによって作られた任意の組成物を包含する。
【0006】
不活性成分である薬学的に許容できる担体は、当業者であれば従来の基準で選択することが可能である。薬学的に許容できる担体としては、非水性ベースの溶液、懸濁液、エマルション、マイクロエマルション、ミセル溶液、ゲル、及び軟膏が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容できる担体は、生理食塩水及び電解質水溶液;塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセロール、及びデキストロース等のイオン性及び非イオン性の浸透圧剤;水酸化物、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩の塩等のpH調節剤及び緩衝液(バッファ);トロラミン;重亜硫酸、亜硫酸、メタ重亜硫酸、チオ亜硫酸、アスコルビン酸、アセチルシステイン、システイン、グルタチオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、パルミチン酸アスコルビルの塩、酸及び/又は塩基等の抗酸化剤;レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルイノシトール等(これらに限らない)のリン脂等の界面活性剤;ポロキサマー及びポロキサミン、ポリソルベート80、ポリソルベート60及びポリソルベート20等のポリソルベート、ポリビニルアルコール及びポビドン等のポリビニル類;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース並びにこれらの塩類等のセルロース誘導体;鉱油、白色ワセリン等の石油誘導体;ラノリン、ピーナッツ油、パーム油、大豆油等の脂肪;モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリド;カルボキシポリメチレンゲル、及び疎水性変性架橋アクリレートコポリマー等のアクリル酸ポリマー;ヒアルロン酸ナトリウム等の多糖類及びグリコサミノグリカン、を含む成分(これらに限られるわけではない)も含んでよい。このような薬学的に許容できる担体は、周知の保存剤を用いて細菌汚染に対して保存されてもよく、これらには、塩化ベンザルコニウム、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、チメロサール及びフェニルエチルアルコールが含まれるがこれらに限定されず、単回又は複数回の使用のために非保存の製剤として配合されてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、当該医薬組成物は、DC009と薬学的に許容できる担体とを含み、当該組成物は、pH<7又はpH<6を有する。いくつかの実施形態では、当該組成物は、約pH1~pH6のpHを有する。いくつかの実施形態では、当該組成物は、約pH2~pH5.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、当該組成物は、約pH3~pH6のpHを有する。いくつかの実施形態では、当該組成物は、約pH3.5~pH5.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、当該組成物は、約pH3.5、pH4、pH4.5、pH5、又はpH5.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、当該組成物は、pH約4.5を有する。
【0008】
本願で使用される場合、「約」は、言及された値の±5%を指す。
【0009】
いくつかの実施形態では、当該医薬組成物は、DC009と薬学的に許容できる賦形剤とを含み、この薬学的に許容できる賦形剤は、二糖類又は糖アルコールである。
【0010】
いくつかの実施形態では、糖アルコールは、マンニトール、ソルビトール、エチレングリコール、グリセロール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール、イソマルト、マルチトール又はラクチトールである。いくつかの実施形態では、糖アルコールは、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、又はイノシトールである。いくつかの実施形態では、糖アルコールは、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、又はイノシトールである。好ましい糖アルコールは、マンニトール又はソルビトールである。
【0011】
いくつかの実施形態では、二糖類は、スクロース、ラクトース、トレハロース(β,β-トレハロース、α,β-トレハロース)、ラクツロース、マルトース、セロビオース、キトビオース、コージビオース、ニゲロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ツラノース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース(gentiobiulose)、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、ルチノース、ルチヌロース又はキシロビオースである。いくつかの実施形態では、二糖類は、スクロース、ラクツロース、ラクトース、トレハロース、セロビオース、又はキトビオースである。好ましい二糖類は、スクロース、ラクトース、又はトレハロースである。
【0012】
本願において、DC009対薬学的に許容できる賦形剤の重量比(DC009/賦形剤比)は、例えば、9:1又は9のいずれかで表されてもよい。例えば、0.5:1と表されるDC009/賦形剤比は、0.5と表されるDC009/賦形剤比と同じである。DC009/賦形剤比の範囲は、例えば、1:1~9:1として表されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、当該医薬組成物は、DC009と薬学的に許容できる賦形剤とを含み、この薬学的に許容できる賦形剤は、マンニトール、ソルビトール、スクロース、ラクトース又はトレハロースであり、DC009対薬学的に許容できる賦形剤の重量比は、1:1~1:9である。この比が1:1より小さい場合、体積が小さすぎて凍結乾燥できず、比が1:9より大きい場合、浸透圧(浸透圧モル濃度)が高すぎて静脈内用に適さない。
【0014】
いくつかの実施形態では、DC009対薬学的に許容できる賦形剤の比は、1:9である。1つの実施形態では、当該医薬組成物は、約1%のDC009と、約9%の薬学的に許容できる賦形剤とを含む。例えば、薬学的に許容できる賦形剤は、スクロース、ラクトース、ソルビトール、又はトレハロースである。
【0015】
いくつかの実施形態では、当該医薬組成物は、DC009と薬学的に許容できる賦形剤とを含み、この薬学的に許容できる賦形剤はマンニトールであり、DC009対マンニトールの重量比は1:1~1:7であり、好ましくは1:1~1:5である。例えば、DC009対マンニトールの重量比は、約1:1、1:1.3、1:3.8、又は1:5である。様々な実施形態では、DC009対マンニトールの重量比は1:5である。1つの実施形態では、当該医薬組成物は、約1%のDC009と約5%のマンニトールとを含む。
【0016】
様々な実施形態では、DC009対薬学的に許容できる賦形剤の比は、約1:3.8である。1つの実施形態では、当該医薬組成物は、約1%のDC009と約3.8%のマンニトールとを含む。1つの実施形態では、当該医薬組成物は、約4%のDC009と約14.8%のマンニトールとを含む。
【0017】
様々な実施形態では、DC009対薬学的に許容できる賦形剤の比は、約1:1.3である。いくつかの実施形態では、当該医薬組成物は、約2%のDC009と約2.6%のマンニトールとを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、当該医薬組成物は、約1%のDC009と約3.8%のマンニトールとを含み、当該組成物は、約pH3.5~pH5.5のpHを有し、より好ましくは、当該組成物は、約pH4.5のpHを有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、当該医薬組成物は、約2%のDC009と約2.6%のマンニトールとを含み、当該組成物は、約pH3.5~pH5.5のpHを有し、より好ましくは、当該組成物は、約pH4.5を有する。
【0020】
以下の実施例は、本発明をさらに説明する。これらの実施例は、単に本発明を例示することを意図しており、限定的であると解釈されることはない。
【実施例】
【0021】
実施例1.DC009の調製と純度測定
米国特許出願公開第2016-0083423号明細書に準じてDC009を調製した。最終生成物の純度を高めるために、DCM、THF、及びエチルエーテルによって数回反復して洗浄した。溶液中のDC009の濃度及び純度は、以下の条件のHPLCによって決定する。
カラム:アルキル逆相固定相カラム
移動相(MP):MP A:脱イオン(DI)水中の0.1体積%TFA/MP B:アセトニトリル中の0.1体積%TFA
検出波長:214nm及び280nm
カラム温度:20~25℃
試料温度:10~15℃
インジェクション量:10~20μL
グラジェント:MP A及びMP B
【0022】
実施例2~6では、各配合物の安定性を「アッセイ回収率」又は「相対的純度レベル」として示している。各時間点の試料は、上述したようにHPLCで分析した。アッセイ回収率」については、%数値は、その時点のDC009濃度をT=0でのDC009濃度で割って算出する。「相対的純度レベル」については、%数値は、(TnでのDC009のピーク面積%/T0でのDC009のピーク面積%)×100%で算出する。
【0023】
実施例2.異なるpH溶液における配合物の安定性
10mg/mLのDC009を含有する表1に示す7種の配合物を調製し、DC009を各緩衝液に溶解し、NaOH及びHClにより表示pHに調整した。
【0024】
【0025】
これらの配合物を40℃及び60℃で保存し、アッセイ回収率及び総不純物量を評価した。各保存条件における外観及び安定性を表2及び表3に記録した。いずれの試料も沈殿物は観察されなかった。
【0026】
【0027】
【0028】
加速安定性試験では、T-1(pH4)及びT-2(pH5)のアッセイ回収率は、40℃4日目で98%以上、60℃では95%であった。7日目のT-1及びT-2のアッセイ回収率は40℃で95%及び96%であり、60℃ではともに90%であった(データは示さず)。一方、pH7~8の配合物(T-4~T-7)のアッセイ回収率は、60℃で4日間の保存後に90%未満に低下し、これは不純物%が大きく上昇したことを示す。これらのデータは、DC009は酸性条件でも安定であり、pH4~5で非常に安定であったことを示唆する。10mg/mL DC-009溶液をpH4~pH5のpHで安定に維持するためには、5mM酢酸ナトリウムで十分である。
【0029】
実施例3.異なるpHの溶液における配合物の安定性
別の独立した実験では、10mg/mLのDC009を含有する表4に示す9種の配合物を調製し、DC009を各緩衝液に溶解し、NaOH及びHClにより表示pHに調整した。
【0030】
【0031】
これらの配合物を60℃で保存し、異なるpHにおける試料の安定性を評価した。全配合物におけるDC009の相対的純度レベルは表5に記録され、DC009の純度は、T=0において100%と定義される。データは、DC009がすべての酸性条件(pH<7)において安定であり、60℃で10日間、95%を超える純度レベルを維持していたことを示唆する。60℃で1ヶ月間保存した後(38日目)、DC009はpH1~pH6で安定であり、86%を超える純度レベルを維持した。最良の安定性は、pH2.0~5.5で示された。
【0032】
【0033】
実施例4A.異なる賦形剤における配合物の安定性
10mg/mL DC009及び異なる量の賦形剤(単位:mg/g)を含有する表6に示す6種の配合物を調製し、各配合物をNaOH及びHClによりpH4.5に調整した。これらの配合物を40℃及び60℃で保存し、アッセイ回収率及び総不純物量を評価した。安定性データを表7にまとめる。
【0034】
【0035】
【0036】
加速安定性試験において、E2~E5のアッセイ回収率は、60℃、2週間で90%以上であった(表7)。E1グリシン賦形剤は対照E6と比較して安定性を著しく低下させたが、マンニトール、トレハロース、スクロース及びラクトースは対照E6と比較して安定性を向上させた。
【0037】
実施例4B.異なる賦形剤における配合物の安定性
別の実験では、表8に示す異なる賦形剤を、DC009の安定化に及ぼす効果について試験した。配合物S1~S10について、10mg/mLのDC009を5mM酢酸ナトリウム緩衝液中で調製し、各賦形剤の濃度は3.8%であり、配合物のpHはpH4.5に調整した。これらの配合物を60℃で2週間保存する。全配合物におけるDC009の相対的純度レベルは表8に記録され、DC009の純度は、T=0において100%と定義した。S1及びS3の純度レベルは、60℃、2週間で80%超であった。この結果は、マンニトール及びソルビトールが、他の賦形剤よりも優れた安定性を提供したことを示す。
【0038】
【0039】
実施例5.マンニトールを含む配合物における安定性
10mg/mL DC009を含有する表9に示す4種の配合物を調製し、各配合物をNaOH及びHClによりpH4.5に調整した。M1~M3は50mg/gのD-マンニトールを含有し、M4はD-マンニトールを含有しなかった。これらの配合物を40℃及び60℃で保存し、アッセイ回収率を評価した。各保存条件における安定性の結果を表10に記録する。
【0040】
【0041】
【0042】
加速安定性試験において、M1~M3のアッセイ回収率は、60℃、2週間で90以上であった。データは、マンニトールの添加により、マンニトール無添加のM4配合物と比較して、配合物の安定性が向上したことを示唆する。
【0043】
実施例6.配合物安定性試験 脂質性配合物
表11に示す2種の配合物を調製した。各配合物を凍結乾燥機で凍結乾燥し、25℃及び40℃で保存し、アッセイ回収率を評価した。各保存条件における安定性の結果を表12にまとめる。
【0044】
【0045】
【0046】
2種の安定溶液型静脈用凍結乾燥配合物(F-1及びF-1H)を、DC009についてそれぞれ10mg/mL及び20mg/mLで開発した。行った安定性試験基づくと、F-1及びF-1Hは、25℃及び40℃で3ヶ月間、物理的及び化学的に安定であった。上記凍結乾燥配合物は、静脈内注射の前に通常の生理食塩水で再構成できる。
【0047】
本発明、並びにそれを製造及び使用する方法及びプロセスを、それが関係する技術分野の当業者であれば誰でも、それを製造及び使用することができるように、完全、明確、簡潔かつ正確な用語で、ここで説明する。上記のことは、本発明の好ましい実施形態を説明するものであり、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱しない範囲で、その実施形態に変更を加えてもよいことを理解されたい。発明とみなされる主題を特に指摘し、明確に主張するために、以下の請求項が本明細書を締めくくる。
【国際調査報告】