(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】穀物ハスクが含有された喫煙物質ラッパーとこれを含む喫煙物品、および前記喫煙物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A24D 1/02 20060101AFI20221121BHJP
A24D 3/00 20200101ALI20221121BHJP
【FI】
A24D1/02
A24D3/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517382
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(85)【翻訳文提出日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 KR2020003575
(87)【国際公開番号】W WO2021137352
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0000675
(32)【優先日】2020-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、チュル ヒー
(72)【発明者】
【氏名】アン、キ ジン
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ナエ オ
(72)【発明者】
【氏名】カン、クワン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ハン ジン
(72)【発明者】
【氏名】チャ、クワン ホ
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA41
4B045AB11
4B045BB07
4B045BD31
4B045BD54
4B045BD55
(57)【要約】
本発明の一実施形態によれば、穀物ハスクが20%~40%含有された喫煙物質ラッパーと、前記喫煙物質ラッパーを含む喫煙物品およびその製造方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物質部を包む喫煙物質ラッパーであって、
前記喫煙物質ラッパーには穀物ハスクが含有され、
前記喫煙物質ラッパーの総重量に対して前記穀物ハスクの重量比は20%~40%である、穀物ハスクが含有された喫煙物質ラッパー。
【請求項2】
前記喫煙物質ラッパーの総重量に対して前記穀物ハスクの重量比は、25%~35%である請求項1に記載の喫煙物質ラッパー。
【請求項3】
前記穀物ハスクは、カカオハスクである請求項1または2に記載の喫煙物質ラッパー。
【請求項4】
前記喫煙物質ラッパーは、K-citrateだけで構成される助燃剤と、炭酸カルシウムを含む充填剤を含み、
前記喫煙物質ラッパーの総重量に対して前記助燃剤の重量比は0.6%~0.8%、前記充填剤の重量比は4.5%~8.5%である請求項1から3のいずれか一項に記載の喫煙物質ラッパー。
【請求項5】
前記喫煙物質ラッパーの坪量は44.5gsm~47.5gsm、気孔度は35CU~65CU、前記喫煙物質ラッパーの総重量に対して前記喫煙物質ラッパー内に含まれた水分の重量比は7.3%~9.5%、引張強度は2.0kgf/26.5mm~3.5kgf/26.5mm、伸び率は1.0%~1.8%である請求項1から4のいずれか一項に記載の喫煙物質ラッパー。
【請求項6】
前記喫煙物質ラッパーの第1面は、1s/2.5kpa~40s/2.5kpaの平滑度、50um~200umの粗度、40~80の摩擦係数を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の喫煙物質ラッパー。
【請求項7】
前記喫煙物質ラッパーの前記第1面に対向する第2面は、0.5s/2.5kpa~20.0s/2.5kpaの平滑度、200um~1000umの粗度、50~90の摩擦係数を有する請求項6に記載の喫煙物質ラッパー。
【請求項8】
前記喫煙物質ラッパーは、CIELAB色空間で55~80のL*値、0.5~9のa*値、5.0~13.0のb*値を有する請求項1から7のいずれか一項に記載の喫煙物質ラッパー。
【請求項9】
喫煙物品であって、
喫煙物質ラッパーで包まれた喫煙物質部と、
上流末端が前記喫煙物質部に結合され、フィルターラッパーで包まれたフィルター部と、
前記喫煙物質部と前記フィルター部が結合するように前記喫煙物質部の少なくとも一部領域と前記フィルター部を包むチップペーパーと、を含み、
前記喫煙物質ラッパーには穀物ハスクが含有され、
前記喫煙物質ラッパーの総重量に対して前記穀物ハスクの重量比は20%~40%である、穀物ハスクが含有された喫煙物質ラッパーを含む喫煙物品。
【請求項10】
前記喫煙物品の燃焼速度は105s/150mm~140s/150mmであり、前記喫煙物品の総パフ(puff)数は10回~13回であり、
前記喫煙物品の燃焼中に発生する主流煙に含まれた一酸化炭素の総量は1.7mg/cig~1.9mg/cigであり、パフ当たりタールの量は0.15mg/puff~0.17mg/puffであり、前記タールの総重量に対して前記一酸化炭素の総重量の比は0.99~1.09である請求項9に記載の喫煙物質ラッパーを含む喫煙物品。
【請求項11】
前記喫煙物品は、前記喫煙物質ラッパーの周りを包み、バンド形状を有する第1のLIP(Low Ignition Propensity)バンドと、前記第1のLIPバンドから離隔し、前記第1のLIPバンドより下流で前記喫煙物質ラッパーの周りを包み、バンド形状を有する第2のLIPバンドと、をさらに含み、
前記第1のLIPバンドおよび前記第2のLIPバンドそれぞれの幅は6.5mm~7.5mmであり、厚さは26um~30umである請求項9または10に記載の喫煙物質ラッパーを含む喫煙物品。
【請求項12】
喫煙物品の製造方法において、
穀物ハスクが含有された喫煙物質ラッパーが喫煙物質部を包むように接着させる接着段階と、
前記喫煙物質部を包む前記喫煙物質ラッパーに少なくとも一つのLIPバンドをコーティングするコーティング段階と、を含み、
前記喫煙物質ラッパーの総重量に対して前記穀物ハスクの重量比は20%~40%である、穀物ハスクが含有された喫煙物質ラッパーを含む喫煙物品の製造方法。
【請求項13】
前記喫煙物品は、2500cpm(ciagrette per minute)~4500cpmの工程速度で製造され、
前記接着段階は、15g/500m~21g/500mのグルー量および270℃~370℃の温度下で行われる請求項12に記載の喫煙物質ラッパーを含む喫煙物品の製造方法。
【請求項14】
前記コーティング段階は、2.0bar~5.0barの圧力および150℃~280℃の乾燥温度下で行われる請求項12または13に記載の喫煙物質ラッパーを含む喫煙物品の製造方法。
【請求項15】
前記コーティング段階は、
前記喫煙物品の周りが15mm~18mmであれば、2.0bar~3.0barの圧力および200℃~280℃の乾燥温度下で行われ、
前記喫煙物品の周りが23mm~26mmであれば、3.5bar~5.0barの圧力および150℃~200℃の乾燥温度下で行われる請求項12から14のいずれか一項に記載の喫煙物質ラッパーを含む喫煙物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙物質ラッパーと、これを含む喫煙物品およびその製造方法に関し、より詳細には、穀物ハスクが含有された喫煙物質ラッパーと、これを含む喫煙物品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、タバコを製造するためには、まず、多様な種類の葉タバコを所望の香りと味がするように配合して加工し、裁刻して、タバコ刻みを製造し、シガレットペーパーでタバコ刻みを巻いてシガレット部を製造した後、チップペーパーによりシガレット部とタバコフィルターを結合させる。
【0003】
シガレットペーパーは、麻(flax)、木材パルプ、助燃剤(citrate)、充填剤などの材料をベースに製造することができ、適切な気孔度と燃焼性により喫煙時に目標タールおよび目標ニコチンが移行し得るように、そして、タバコ固有の喫味が付与されるように製造することができる。
【0004】
タバコ刻みは、多様な種類の葉タバコを使用して多様な方式で製造することができ、タバコフィルターも、香味物質が含有されたカプセルを含んだり、多重フィルター、中空リセスフィルターなどの多様な構造および種類を有したりしていてもよいが、タバコ刻みを包むシガレットペーパーの場合、喫味感、燃焼性、消火性、主流煙および副流煙成分およびシガレットの製造作業性など多様な要求事項が存在し、その物性および製造方法に現実的な制約があった。
【0005】
これより、従来のシガレットとの差別化を付与すると同時に、シガレット製造作業性を確保し、喫味感を増大させることができるシガレットペーパーの開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、従来のシガレットとの差別化を付与すると同時に、シガレット製造作業性を確保し、喫味感を増大させることができる、穀物ハスクが含有された喫煙物質ラッパーとこれを含む喫煙物品およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、下記の記載から本発明の属する技術分野における通常の技術者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一部の実施形態によれば、穀物ハスクを20%~40%含有する喫煙物質ラッパーが提供される。好ましくは、前記喫煙物質ラッパー内前記穀物ハスクの重量比は25%~35%でありうる。一方、前記穀物ハスクは、カカオ(cacao)ハスクでありうる。
【0009】
一部の実施形態において、前記喫煙物質ラッパーは、K-citrateだけで構成された助燃剤と、炭酸カルシウムを含む充填剤を含み、前記喫煙物質ラッパーの総重量に対して前記助燃剤の重量は0.6%~0.8%、前記充填剤の重量は4.5%~8.5%でありうる。
【0010】
一部の実施形態において、前記喫煙物質ラッパーの坪量は44.5gsm~47.5gsm、気孔度は35CU~65CU、前記喫煙物質ラッパーの総重量に対して水分の重量は7.3%~9.5%、引張強度は2.0kgf/26.5mm~3.5kgf/26.5mm、伸び率は1.0%~1.8%でありうる。
【0011】
一部の実施形態において、前記喫煙物質ラッパーの第1面は、1s/2.5kpa~40s/2.5kpaの平滑度、50um~200umの粗度、40~80の摩擦係数を有していてもよい。また、前記喫煙物質ラッパーの前記第1面に対向する第2面は、0.5s/2.5kpa~20.0s/2.5kpaの平滑度、200um~1000umの粗度、50~90の摩擦係数を有していてもよい。
【0012】
一方、前記喫煙物質ラッパーは、CIELAB色空間で55~80のL*値、0.5~9のa*値、5.0~13.0のb*値を有していてもよい。
【0013】
本発明の一部の実施形態による喫煙物品は、喫煙物質ラッパーで包まれた喫煙物質部と、上流末端が前記喫煙物質部に結合され、フィルターラッパーで包まれたフィルター部と、前記喫煙物質部と前記フィルター部が結合するように前記喫煙物質部の少なくとも一部領域と前記フィルター部を包むチップペーパーと、を含み、前記喫煙物質ラッパーには穀物ハスクが含有され、前記喫煙物質ラッパー内前記穀物ハスクの重量比は20%~40%でありうる。
【0014】
一部の実施形態において、前記喫煙物品の燃焼速度は105s/150mm~140s/150mmであり、前記喫煙物品の総パフ(puff)数は10回~13回であり、前記喫煙物品の燃焼中に発生する主流煙に含まれた一酸化炭素の総量は1.7mg/cig~1.9mg/cigであり、パフ当たりタールの量は0.15mg/puff~0.17mg/puffであり、前記タールの総量に対して前記一酸化炭素の総量の比は0.99~1.09でありうる。
【0015】
一部の実施形態において、前記喫煙物品は、前記喫煙物質ラッパーの周りを包み、バンド形状を有する第1のLIP(Low Ignition Propensity)バンドと、前記第1のLIPバンドから離隔し、前記第1のLIPバンドより下流で前記喫煙物質ラッパーの周りを包み、バンド形状を有する第2のLIPバンドと、をさらに含み、前記第1のLIPバンドおよび前記第2のLIPバンドそれぞれの幅は6.5mm~7.5mmであり、厚さは26um~30umでありうる。
【0016】
本発明の一部の実施形態による喫煙物品の製造方法は、穀物ハスクが含有された喫煙物質ラッパーが喫煙物質部を包むように接着させる接着段階と、前記喫煙物質部を包む前記喫煙物質ラッパーに少なくとも一つのLIPバンドをコーティングするコーティング段階と、を含み、前記喫煙物質ラッパー内前記穀物ハスクの重量比は20%~40%でありうる。
【0017】
一部の実施形態において、前記喫煙物品は、2500cpm(ciagrette per minute)~4500cpmの工程速度で製造され、前記接着段階は、15g/500m~21g/500mのグルー量および270℃~370℃の温度下で行われてもよい。
【0018】
一部の実施形態において、前記コーティング段階は、2.0bar~5.0barの圧力および150℃~280℃の乾燥温度下で行われてもよい。
【0019】
一部の実施形態において、前記コーティング段階は、前記喫煙物品の周りが15mm~18mmであれば、2.0bar~3.0barの圧力および200℃~280℃の乾燥温度下で行われ、前記喫煙物品の周りが23mm~26mmであれば、3.5bar~5.0barの圧力および150℃~200℃の乾燥温度下で行われてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施形態によれば、喫煙物質ラッパーに適正量の穀物ハスクが含有されることによって、喫煙物品の喫煙時に発生する一酸化炭素の総量、パフ当たりタール量、タール量対比一酸化炭素量を減少させるなど主流煙を改質することができ、従来のシガレットとの視覚的および嗅覚的差別化を付与することができ、また、喫煙物品の喫味感、燃焼性、消火性および喫煙物品の製造作業性をも確保することができる。
【0021】
また、本発明の喫煙物質ラッパーには、穀物の種子または穀実でなく、穀物ハスクが含有されることによって、タンパク質によるかびの発生などを予防して、喫煙物品の流通および保管に必須的に要求される貯蔵性を確保することができる。
【0022】
また、本発明の喫煙物品の製造方法によれば、穀物ハスク含有量の設定、シガレットペーパー物性条件の設定、シガレットペーパー接着条件の設定および低延焼性コーティングバンド形成条件の設定等を通してシガレット製造工程中に発生するシガレットペーパーの接着不良および工程性を改善すると同時に、製造されたシガレットの優れた消火率を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一部の実施形態による喫煙物質ラッパーが適用された喫煙物品の概略的な構成を示す図である。
【
図2】実施例1、比較例1および比較例8によって製造された後、常温で4週間保管されたシガレットに対する喫煙官能評価の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して本開示の好ましい実施形態を詳細に説明する。本開示の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すると明確になるだろう。しかしながら、本開示の技術的思想は、以下の実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現され得、単に本実施形態は、本開示を完全にし、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示の技術的思想は、請求項の範疇によって定義されるのみである。明細書全般において同一の参照符号は、同一の構成要素を指す。
【0025】
別途の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味として使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
【0026】
また、本明細書において、単数型は、文章において特に言及しない限り、複数型も含む。 明細書において使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、1つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0027】
本明細書において使用される「第1」または「第2」などのように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は、前記用語により限定されるものではない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけで使用される。
【0028】
明細書全般において「喫煙物品」は、タバコ(シガレット)、シガーなどのように、エアロゾルを発生させることができる物を意味し得る。喫煙物品は、エアロゾル発生物質またはエアロゾル形成基質を含んでもよい。また、喫煙物品は、板状葉タバコ、刻み、再構成タバコなどタバコ原料を基礎とする固体物質を含んでもよい。喫煙物質は、揮発性化合物を含んでもよい。
【0029】
また、明細書全体において「上流」または「上流方向」は、喫煙物品100を喫煙するユーザの口部から遠ざかる方向を意味し、「下流」または「下流方向」は、喫煙物品100を喫煙するユーザの口部から近づく方向を意味する。例えば、
図1に示された喫煙物品100において、喫煙物質部120は、フィルター部110の上流または上流方向に位置する。
【0030】
また、本明細書では、喫煙物品100が燃焼型シガレットである場合を例に取って説明したが、これに限定されず、喫煙物品100は、電子タバコ機器などのエアロゾル生成装置(不図示)とともに使用される加熱式シガレットなどでありうることはもちろんである。
【0031】
図1は、本発明の一部の実施形態によるチップペーパーが適用された喫煙物品の概略的な構成を示す図である。
【0032】
図1を参照すると、喫煙物品100は、フィルターラッパー110aで包まれたフィルター部110と、喫煙物質ラッパー120aで包まれた喫煙物質部120と、前記フィルター部110および喫煙物質部120を結合させるチップペーパー130と、を含んでもよい。
【0033】
フィルター部110は、喫煙物質部120の下流に配置されて、喫煙物質部120から発生したエアロゾル物質をユーザが吸入する直前に通過する領域でありうる。
【0034】
フィルター部110は、多様な材質で形成でき、例えばフィルター部110は、セルロースアセテートフィルターであってもよい。
【0035】
一部の実施形態において、フィルター部110は、香料物質が加香処理されていないセルロースアセテートフィルターであってもよく、これに限定されず、フィルター部110は、香料物質が加香処理されたTJNS(transfer jet nozzle system)フィルターであってもよい。
【0036】
一部の実施形態において、フィルター部110は、内部に中空を含むチューブ形態の構造物であってもよい。また、フィルター部110は、内部(例えば、中空)に同じあるいは異なる材質のフィルム、チューブなどの構造物を挿入して製造することもできる。
【0037】
一方、フィルター部110の製造時に可塑剤の含有量を調節することによって、フィルター部110の硬度を調整することができる。可塑剤としては、トリアセチンが適用できるが、可塑剤の種類および含有量は、これに限定されず、必要に応じて適切に調節することができる。
【0038】
本実施形態のフィルター部110は、単一フィルターからなるモノフィルターであると図示されたが、これに限定されない。例えば、フィルター部110は、フィルター効率を高めるために2個のアセテートフィルターを具備するデュアルフィルターまたは三重フィルターなどで用意してもよいことは当然である。
【0039】
また、図示してはいないが、フィルター部110の内部には、カプセル(不図示)が含まれてもよい。カプセルは、香料を含む内用液を被膜で包まれた構造であってもよく、例えば、カプセルは、球形または円筒形の形状を有していてもよい。カプセルの被膜を形成する材料は、天然素材、デンプンおよび/またはゲル化剤であってもよい。例えば、天然素材の被膜の場合、寒天、ペクチン、ソジウムアルギネートおよびグリセリンなどで組成することができる。ゲル化剤としては、ジェランガムやゼラチンが使用できる。また、カプセルの被膜を形成する材料としてゲル化助剤をさらに利用してもよい。ゲル化助剤としては、例えば塩化カルシウムが使用できる。また、カプセルの被膜を形成する材料として可塑剤をさらに利用してもよい。ここで、可塑剤としては、グリセリンおよび/またはソルビトールを用いてもよい。また、カプセル112cの被膜を形成する材料として着色料をさらに利用してもよい。
【0040】
一部の実施形態において、カプセルの内用液に含まれる香料の溶媒としては、例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド(medium chain fatty acid triglyceride;MCTG)が利用できる。また、内用液は、色素、乳化剤、増粘剤などの他の添加剤を含有することもできる。
【0041】
カプセルの内用液には、メントール、植物の精油などの香料が含まれてもよいが、これらに限定されない。
【0042】
フィルター部110は、フィルターラッパー110aにより包装されてもよい。一部の実施形態において、フィルターラッパー110aは、耐油性を有する巻紙で製作できる。フィルターラッパー110aは、喫煙者によりフィルター部110に含まれるカプセルが破砕されることによって、カプセル外部に放出されるカプセル内用液がフィルターラッパー110aを通過しないようにするために、耐油巻紙で製作できる。一部の実施形態において、フィルターラッパー110aの内側面には、アルミホイルがさらに含まれてもよい。
【0043】
上述したフィルター部110は、喫煙物質部120の下流に配置されて、喫煙物質部120から発生したエアロゾル物質をユーザが吸入する直前に通過するフィルターとしての役割を行うことになる。
【0044】
喫煙物質部120は、エアロゾル発生物質を含有できる。例えば、喫煙物質部120は、タバコストランドを含んでもよい。喫煙物質部120は、長く延びたロッド形態を有していてもよく、その長さ、周りおよび直径は多様になり得る。
【0045】
一部の実施形態において、エアロゾル発生物質は、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0046】
一部の実施形態において、喫煙物質部120は、風味剤、湿潤剤および/またはアセテート化合物のような他の添加物質を含有できる。例えば、風味剤は、甘草、ショ糖、果糖シロップ、イソ甘味剤(isosweet)、ココア、ラベンダー、シナモン、カルダモム、セロリ、コロハ、カスカリラ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、バラオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、ケイヒ、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、カモミール、メントール、ケイヒ、イランイラン、サルビア、スペアミント、ショウガ、コエンドロまたはコーヒーなどを含んでもよい。また、湿潤剤は、グリセリンまたはプロピレングリコールなどを含んでもよい。
【0047】
一部の実施形態において、喫煙物質部120は、タバコ原料を粉砕した後、溶媒および多様な添加物を混合してスラリー形態に製造後、乾燥させて、シートを形成した後、このようなシートを加工して棒などのような断片の形態に形成された再構成タバコ物質を含んでもよい。例えば、喫煙物質部120は、複数個のタバコ物質ストランドを含み、このようなストランド1個は、長さが略10mm~14mm(例えば、12mm)、幅が略0.8mm~1.2mm(例えば、1mm)および厚さが略0.08mm~0.12mm(例えば、0.1mm)であってもよいが、これに限定されない。
【0048】
喫煙物質部120が広いタバコシート形態を加工した複数のストランド物質を含むようにすることによって、喫煙物質部120に充填されたタバコ物質の密度が増加し、これによって、エアロゾル発生量が増加することができ、喫煙物質部120の喫煙特性が向上することができる。
【0049】
喫煙物質部120は、喫煙物質ラッパー120aにより包装されてもよい。
【0050】
一方、本発明の実施例による喫煙物質ラッパー120aには、穀物ハスク(husk)が含まれてもよく、これによって、喫煙物質ラッパー120aは、従来のシガレットペーパーとは異なって、薄茶色(light Brown Color)の色相を有し、不均一なサイズの穀物ハスク粒子120aHを観察することができる。また、シガレットペーパーの製造時、別途の加香処理をしなくても、喫煙物質ラッパー120a本来の外香が発現することができる。
【0051】
前記穀物ハスクは、例えばカカオハスクであってもよく、喫煙物質ラッパー120aの外香は、薄いミルクチョコレート(Milk chocolate)のにおいがする。前記穀物ハスクは、これらに限定されず、例えば米ハスク(米ぬか)、オオムギハスク、マメハスク、アワハスク、キビハスク、小麦ハスク、ライ麦ハスク、モロコシハスク、トウモロコシハスク、エンバクハスク、ヒエグサハスク、ソバハスク、ハトムギハスクなどであってもよい。
【0052】
本発明は、このように穀物の種子または穀実を使用する代わりに、穀物ハスクを使用することによって、タンパク質によるかびの発生などを予防して、シガレットの流通および保管に必須的に要求される貯蔵性を確保した。
【0053】
一部の実施形態において、喫煙物質ラッパー120aの総重量に対して、喫煙物質ラッパー120a内穀物ハスクの重量比は略10%~50%であってもよい。好ましくは、前記穀物ハスクの重量比は略20%~40%であってもよい。より好ましくは、前記穀物ハスクの重量比は略25%~35%(例えば、約30%)であってもよい。
【0054】
上記した重量比より多い量の穀物ハスクが喫煙物質ラッパー120aに含有される場合、喫煙物質ラッパー120aを用いたシガレットの製造過程あるいはシガレットの保管状態で喫煙物質ラッパー120aの切れなどが発生し、シガレットの製造作業性および保管容易性が減少することになる。
【0055】
上記した重量比より少ない量の穀物ハスクが喫煙物質ラッパー120aに含有される場合、本発明の実施例によって発生する主流煙改質性能が減少し、また、有意味な視覚的/嗅覚的シガレット差別性を確保することができない。
【0056】
一部の実施形態において、喫煙物質ラッパー120aには、グリセリンと、触媒作用などによって喫煙物質の完全燃焼を促進させるためのK-citrateおよび/または、NA-citrateなどの助燃剤が添加されてもよい。
【0057】
また、喫煙物質ラッパー120aには、充填剤(filler)が含まれてもよい。これによって、喫煙物質ラッパー120aの不透明度を高めたり、気孔度を付与したりすることができ、シガレットペーパーの灰固結性が改善できる。前記充填剤としては、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化マグネシウムなどの物質が使用できるが、これらに限定されない。
【0058】
穀物ハスクの重量比が略25%~35%の喫煙物質ラッパー120aは、CIELAB色空間で略55~80のL*値、略0.5~9のa*値、略5.0~13.0のb*値を有していてもよい。好ましくは、前記L*値は、略60~75(例えば、68)、a*値は、略1.5~7.5(例えば、4.5)、b*値は、略7.0~11.0(例えば、9.0)であってもよい。
【0059】
一方、多様な実験例を通じて後述するように、本発明の喫煙物質ラッパー120aにより主流煙を改質し、従来のシガレットとの差別化を付与すると同時に、シガレットの喫味感、燃焼性、消火性およびシガレットの製造作業性をも確保するために、本発明の喫煙物質ラッパー120aの、K-citrateだけで構成された助燃剤の重量比は、喫煙物質ラッパーの総重量に対して略0.6%~0.8%、充填剤の重量比は、喫煙物質ラッパーの総重量に対して略4.5%~8.5%、燃焼速度は略105s/150mm~140s/150mm、坪量は略44.5gsm~47.5gsm、気孔度は略35CU~65CU、水分の重量比は、喫煙物質ラッパーの総重量に対して略7.3%~9.5%であってもよい。好ましくは、本発明の喫煙物質ラッパー120aの助燃剤の重量比は、略0.65%~0.75%(例えば、約7%)、充填剤の重量比は、略6.0%~7.0%(例えば、約6.5%)、燃焼速度は略120s/150mm~140s/150mm(例えば、約130s/150mm)、坪量は略46.0gsm~47.0gsm(例えば、約46.4gsm)、気孔度は略45CU~55CU(例えば、約49CU)、水分の重量比は略8.5%~9.4%(例えば、約9.1%)であってもよい。
【0060】
また、上記した本発明の効果を確保するために、喫煙物質ラッパー120aの引張強度は略2.0kgf/26.5mm~3.5kgf/26.5mmであり、伸び率は略1.0%~1.8%であってもよい。好ましくは、喫煙物質ラッパー120aの引張強度は略2.5kgf/26.5mm~3.0kgf/26.5mm(例えば、約2.8kgf/26.5mm)であり、伸び率は略1.3%~1.5%(例えば、約1.4%)であってもよい。
【0061】
一部の実施形態において、穀物ハスクの重量比が略25%~35%の喫煙物質ラッパー120aの表面(すなわち、シガレットの外部に露出する面)の平滑度(smoothness)は略1sec/2.5kpa~40sec/2.5kpaであり、粗度(Roughness)は略50um~200umであり、摩擦係数は略40~80であってもよい。好ましくは、前記表面平滑度は略5sec/2.5kpa~15sec/2.5kpaであり、表面粗度は略100um~150umであり、表面摩擦係数は略50~70であってもよい。
【0062】
また、穀物ハスクの重量比が略25%~35%の喫煙物質ラッパー120aの前記表面に対向する裏面(すなわち、シガレットの喫煙物質部に当接する面)の平滑度は略0.5sec/2.5kpa~20.0sec/2.5kpaであり、表面粗度は略200um~1000umであり、摩擦係数は略50~90であってもよい。好ましくは、前記裏面平滑度は略1.0sec/2.5kpa~2.0sec/2.5kpaであり、裏面表面粗度は略500um~800umであり、裏面摩擦係数は略60~80であってもよい。
【0063】
喫煙物質ラッパー120aが上記のような平滑度、粗度および摩擦係数を有する場合、優れたシガレット製造作業性を確保すると同時に、適正の燃焼性と適正の消火率を確保することができる。
【0064】
一方、喫煙物質ラッパー120aが上記のような表面/裏面平滑度、表面/裏面粗度および表面/裏面摩擦係数を有する場合、優れたシガレット製造作業性を確保し、製造されたシガレットの移送/保管中にシガレットペーパーの拡開などを防止するための工程速度は略2500cpm(ciagrette per minute)~4500cpmであり、シガレットペーパー接着工程でのグルー量は15g/500m~21g/500m、温度は270℃~370℃であってもよい。好ましくは、前記工程速度は略3000~4000cpmであり、シガレットペーパー接着工程でのグルー量は17g/500m~19g/500m、温度は290℃~340℃であってもよい。
【0065】
一部の実施形態において、喫煙物質ラッパー120aは、二重巻紙構造を有していてもよい。具体的に、喫煙物質ラッパー120aは、喫煙物質部120に当接し、喫煙物質部120を包むインナーラッパー(inner wrapper、不図示)と、前記インナーラッパーに当接し、前記インナーラッパーの外部を包むアウターラッパー(outer wrapper)とを含んでもよい。この場合、前記インナーラッパーは、穀物ハスクが含有されない一般シガレットペーパーであり、前記アウターラッパーは、上述した穀物ハスクが含有されたシガレットペーパーで構成されることもできる。
【0066】
一部の実施形態において、喫煙物質ラッパー120aは、一つ以上の低延焼性(Low Ignition Propensity,LIP)バンド(不図示)が形成された低延焼性シガレットペーパーであってもよい。例えば、喫煙物質ラッパー120aは、喫煙物質ラッパー120aの周りを包み、バンド形状を有する第1のLIPバンドと、前記第1のLIPバンドより下流で前記第1のLIPバンドと離隔するように形成された第2のLIPバンドと、を含んでもよい。
【0067】
LIPバンドは、喫煙物質ラッパー120aの気孔度を低減することができ、これによって、タバコの燃焼がLIPバンドに到達すると、喫煙物質部120に流入する酸素量が減少して、燃焼中の喫煙物品100が消火される。例えば、喫煙物質ラッパー120aの気孔度は略35CU~65CUであってもよく、LIPバンドの気孔度は略5CU~20CUであってもよい。
【0068】
前記LIPバンドは、喫煙物質ラッパー120aの前記裏面に形成されるコーティング層であってもよい。前記コーティング層の表面エネルギーは略75mN/m~85mN/mであってもよい。前記範囲内で、コーティング層による酸素流入が減少して燃焼強度が向上することができる。
【0069】
前記LIPバンドが形成された喫煙物質ラッパー120aの全体重量に対する前記コーティング層の形成に使用されるコーティング組成物の重量比は略10重量%~40重量%であってもよい。LIPバンド1個当たりコーティング組成物の質量は略0.5mg~2.5mgであってもよい。前記コーティング組成物は、デンプン、デンプン誘導体、ガム(gum)、ガム誘導体、または高分子のうち1種以上を含む固形分、エタノール(ethanol)、および水を含んでもよい。例えば、固形分は、アルファデンプン(pregelatinized starch)およびマルトデキストリン(maltodextrin)を含んでもよい。アルファデンプンは、アルファトウモロコシデンプン(pregelatinized corn starch)であってもよい。他の例として、固形分は、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、グアーガム、ダンマーガム、ポリ乳酸(polylatic acid,PLA)樹脂、またはアクリル樹脂のうち1種以上を含んでもよい。
【0070】
アルファデンプンは、生デンプン(raw starch)を高温で急速乾燥することによって製造することができ、アルファデンプンは、約40%の生デンプン溶液を約100℃以上に加熱した後、急速に乾燥することによって製造することができる。アルファデンプンは、例えばアミロペクチン(amylopectin)であってもよい。
【0071】
アルファデンプンは、コーティング組成物全体に対して約3重量%~20重量%が使用でき、マルトデキストリンは、コーティング組成物全体に対して約5重量%~約40重量%が使用でき、エタノールは、コーティング組成物全体に対して約10重量%~約40重量%が使用できる。エタノールは、喫煙物質ラッパー120aの製造工程で気化して、LIPバンドには含まれないことがある。また、コーティング組成物は、水を含む。例えば、水は、約30重量%~80重量%が使用できる。水は、シガレットペーパーの製造工程で気化して、LIPバンドには含まれないことがある。コーティング組成物において固形分の含有量は略27超過~38未満重量%であってもよい。
【0072】
上述した効果を確保すると同時に、適正消火率を達成するために、本発明の喫煙物質ラッパー120aに形成された少なくとも一つのLIPバンドは、約6.5mm~7.5mm(例えば、約7mm)の幅を有し、前記LIPバンドの形成工程、すなわちコーティング工程に使用されるローラーの凹凸の深さは、約26um~30um(例えば、約28um)であってもよい。
【0073】
一方、LIPバンドの個数、形態および複数個のLIPバンド間の間隔は、多様に変形可能である。
【0074】
また、喫煙物質ラッパー120aが上記のような表面/裏面平滑度、表面/裏面粗度および表面/裏面摩擦係数を有する場合、適正の消火率を達成するために、LIPバンド形成工程は、略2.0bar~5.0barの圧力および略150℃~280℃の乾燥温度下で行われてもよい。より具体的に、LIPバンド形成工程の前記圧力および乾燥温度は、喫煙物品100の周りまたは直径によって異なる。例えば、前記喫煙物品100の周りが15mm~18mmである場合におけるLIPバンド形成工程は、略2.0bar~3.0barの圧力および略200℃~280℃の乾燥温度下で行われてもよく、前記喫煙物品100の周りが23mm~26mmである場合におけるLIPバンド形成工程は、略3.5bar~5.0barの圧力および略150℃~200℃の乾燥温度下で行われてもよい。好ましくは、前記喫煙物品100の周りが15mm~18mmである場合におけるLIPバンド形成工程は、略2.3bar~2.7barの圧力および略230℃~250℃の乾燥温度下で行われてもよく、前記喫煙物品100の周りが23mm~26mmである場合におけるLIPバンド形成工程は、略3.8bar~4.2barの圧力および略170℃~190℃の乾燥温度下で行われてもよい。
【0075】
フィルターラッパー110aにより包装されたフィルター部110および喫煙物質ラッパー120aにより包装された喫煙物質部120は、チップペーパー130により結合包装されてもよい。すなわち、チップペーパー130は、喫煙物質ラッパー120aの少なくとも一部分(例えば、下流の一部領域)およびフィルターラッパー110aの外郭に取り囲まれてもよい。換言すれば、喫煙物質部120の少なくとも一部分およびフィルター部110は、チップペーパー130によりさらに包装され、物理的に結合されてもよい。
【0076】
一部の実施形態において、チップペーパー130は、耐油処理されない非多孔性巻紙で製作できるが、これに限定されない。
【0077】
チップペーパー130には、スクラロース、クエン酸などの甘味料がコーティングされていてもよい。
【0078】
チップペーパー130は、フィルター部110が燃焼する現象を防止することもできる。例えば、喫煙物質部120がフィルター部110に隣接する部分まで燃焼していく場合、フィルター部110まで燃焼する可能性がある。このような場合にも、チップペーパー130は、不燃性物質を含むので、フィルター部110が燃焼する現象を防止することができる。
【0079】
一方、前記喫煙物品100の総パフ(puff)数は、10回~13回、好ましくは、11回~12回であってもよい。また、前記喫煙物品100の燃焼中に発生する主流煙に含まれた一酸化炭素の総量は1.7mg/cig~1.9mg/cigであり、パフ当たりタールの量は0.15mg/puff~0.17mg/puffであり、タールの総量に対して前記一酸化炭素の総量の比は0.99~1.09であってもよい。
【0080】
以下、実施例と比較例を通じて本発明の構成およびそれによる効果をより詳細に説明することとする。しかし、本実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0081】
<比較例1>
実施例のために試験用に製造されたレギュラーシガレットの刻み部を囲んでいるシガレットペーパーを除去し、K-citrateを含む助燃剤1.2%、炭酸カルシウムを含む充填剤22%、水分10.5%を含む、穀物ハスクが含有されないシガレットペーパーを使用してシガレットを製造した。
【0082】
<実施例1>
カカオハスクを30%含有し、K-citrateだけからなる助燃剤0.7%、炭酸カルシウムを含む充填剤6.47%、水分9.1%を含むシガレットペーパーを使用した点を除いて、比較例1と同じシガレットを製造した。
【0083】
<実施例2>
助燃剤1.4%、充填剤12.2%、水分8.2%を含むシガレットペーパーを使用した点を除いて、実施例1と同じシガレットを製造した。
【0084】
<実施例3>
助燃剤1.2%、充填剤19.0%、水分7.3%を含むシガレットペーパーを使用した点を除いて、実施例1と同じシガレットを製造した。
【0085】
<実施例4>
助燃剤1.3%、充填剤6.39%、水分7.5%を含むシガレットペーパーを使用した点を除いて、実施例1と同じシガレットを製造した。
【0086】
<実験例1:比較例1および実施例1~4によるシガレットの物理的特性の評価>
本発明の実施例によるシガレットペーパーを適用した場合のシガレットの物理的特性を確認するために、シガレットペーパーの気孔度、坪量、引張強度、伸び率およびシガレットの燃焼速度を分析して、表1に示した。
【0087】
【0088】
表1に示されたように、比較例および実施例別の気孔度および坪量において有意味な物理的特性の変化がないことを確認し、これによって、シガレットペーパー内カカオハスクが含有されても、気孔度および坪量の観点から物理的特性が劣化しないことを確認できる。カカオハスクを含有する実施例1~4では、カカオハスクを含有しない比較例1と比較して引張強度および伸び率が増加したことを確認できる。また、カカオハスクを含有する実施例1~4では、カカオハスクを含有しない比較例1と比較して燃焼速度が増加したことが分かり、これと関連して比較例1によるシガレットの総パフ数は8回~9回、実施例1~4によるシガレットの総パフ数は10回~12回であることを確認した。
【0089】
<比較例2>
比較例1のシガレットのシガレットペーパーの代わりにホワイトシガレットペーパーを使用した点を除いて、比較例1と同じシガレットを製造した。
【0090】
<実験例2:実施例1および比較例1~2によるシガレットの主流煙成分分析>
本発明の実施例によるカカオラッパーの適用による主流煙改質効果を確認するために、喫煙時に発生するタール量、ニコチン量および一酸化炭素量などの主流煙成分を分析して、表2に示した。
【0091】
【0092】
表2の結果を通じて、カカオラッパーの適用によって喫煙中に発生する一酸化炭素(CO)量が減少したことを確認でき、特にパフ当たりタール量と総タール量対比一酸化炭素量がいずれも有意味な減少数値を示して、カカオハスクを含有する実施例1において比較例と比較して主流煙改質効果があることを確認できた。
【0093】
<実験例3:実施例1および比較例1によるシガレットペーパーの表面/裏面特性の評価>
本発明の実施例によるカカオラッパーの表面および裏面特性の変化を確認するために、表面と裏面それぞれの平滑度(smoothness)、粗度(Roughness)および摩擦係数を分析して、表3に示した。
【0094】
【0095】
表3の結果を通じて、シガレットペーパーにカカオハスクが含有されることによって、シガレットペーパーの表面および裏面の両方で平滑度が低くなり、粗度が高くなったことを確認でき、これによって、シガレットの工程条件が従来と異なる必要があることを予測できる。
【0096】
<比較例3>
比較例1と同じ物性を有するシガレットの周りが略24.6mmのレギュラーシガレット用シガレットペーパーを使用し、且つ、工程速度は3500cpm、シガレットペーパー接着工程はグルー量13g/500mおよび温度250℃の条件下で、LIPバンド工程は、圧力4.0barおよび乾燥温度240℃の条件下で行った。シガレットには、それぞれ7mmの幅と28umの厚さを有する、シガレットの上下流方向に相互離隔した第1および第2のLIPバンドが形成された。
【0097】
<実施例5>
実施例1と同じ物性を有するレギュラーシガレット用シガレットペーパーを使用した点を除いて、比較例3と同じ工程でシガレットを製造した。
【0098】
<実施例6>
グルー量を18g/500mに変更したことを除いて、実施例5と同じ工程でシガレットを製造した。
【0099】
<実施例7>
実施例3と同じ物性を有するシガレットの周りが略17mmの超スリムシガレット用シガレットペーパーを使用し、且つ、工程速度は3500cpm、シガレットペーパー接着工程はグルー量18g/500mおよび温度330℃の条件下で、LIPバンド工程は圧力2.5barおよび乾燥温度240℃の条件下で行った。比較例3と同じ規格の第1および第2のLIPバンドが形成された。
【0100】
<実施例8>
圧力を4.0barに変更したことを除いて、実施例7と同じ工程でシガレットを製造した。
【0101】
<実施例9>
乾燥温度を180℃に変更したことを除いて、実施例8と同じ工程でシガレットを製造した。
【0102】
<実施例10>
実施例1と同じ物性を有するレギュラーシガレット用シガレットペーパーを使用したことを除いて、実施例9と同じ工程でシガレットを製造した。
【0103】
<実施例11>
実施例1と同じ物性を有する超スリムシガレット用シガレットペーパーを使用したことを除いて、実施例7と同じ工程でシガレットを製造した。
【0104】
<実験例4:工程条件による消火率の評価>
比較例および実施例それぞれによるシガレット20本の消火率を測定して、表4に示した。表4で、1次消火は、前記第1のLIPバンドにおけるシガレットの燃焼が消火した場合を、2次消火は、前記第1のLIPバンドより下流に位置する前記第2のLIPバンドにおけるシガレットの燃焼が消火した場合を示す。
【0105】
【0106】
表4に示されたように、カカオハスクを含有しないシガレットペーパーが適用された比較例3の場合、比較的に少ないグルー量および低い接着温度、高い乾燥温度にもかかわらず、75%の消火率が確保された一方で、カカオハスクを含有する実施例5~9では、比較例3と同じ条件またはより苛酷な条件でシガレットを製造しても、消火率の確保に困難が存在することを確認できる。具体的に、助燃剤1.2%および充填剤19%を含む実施例3の超スリム規格シガレットペーパーを適用した実施例7~9の全部において、多様な工程条件の適用にもかかわらず、消火率の上向きが不可能であることを確認することができる。
【0107】
これとは異なって、助燃剤0.7%および充填剤6.47%を含む実施例1のシガレットペーパーを適用した実施例のうち、工程速度が3500cpmであり、シガレットペーパー接着工程のグルー量が18g/500mであり、温度が330℃である実施例10および11では、消火率が100%達成されたことを確認できる。
【0108】
また、実施例10および11間の比較を通じて、LIPバンド工程の圧力および乾燥温度条件は、シガレットの周りによって異なることを確認できた。レギュラー規格の実施例1によるシガレットペーパーが適用された場合には、LIPバンド工程圧力が4.0barであり、乾燥温度が180℃である条件下だけで優れた消火率が現れたが、超スリム規格の実施例1によるシガレットペーパーが適用された場合には、LIPバンド工程圧力が2.5barであり、乾燥温度が240℃である条件下でも優れた消火率が現れた。
【0109】
<比較例4>
第1のLIPバンドが7mmの幅と17umの厚さを有し、第2のLIPバンドが8mmの幅と24umの厚さを有するという点を除いて、実施例1と同じシガレットを製造した。
【0110】
<比較例5>
第1のLIPバンドが7mmの幅と17umの厚さを有し、第2のLIPバンドが8mmの幅と24umの厚さを有するという点を除いて、実施例4と同じシガレットを製造した。
【0111】
<比較例6>
第1のLIPバンドおよび第2のLIPバンドがいずれも7mmの幅と22umの厚さを有するという点を除いて、実施例1と同じシガレットを製造した。
【0112】
<比較例7>
第1のLIPバンドおよび第2のLIPバンドがいずれも7mmの幅と22umの厚さを有するという点を除いて、実施例4と同じシガレットを製造した。
【0113】
<実験例5:LIPバンド規格による消火率の評価>
比較例および実施例それぞれによるシガレット20本の消火率を測定して、表5に示した。
【0114】
【0115】
表5に示されたように、実施例1および4の物性を有するシガレットペーパーがいずれも第1および第2のLIPバンドそれぞれが7mmの幅と28umの厚さを有する場合にのみ優れた消火率が現れたことを確認できる。上記した比較例4~7のLIPバンド規格をカカオハスクが適用されないシガレットペーパーに適用時、優れた消火率が確保されるという点を勘案して、シガレットペーパーにカカオハスクが含有されることによって、LIPバンドの規格も、本実施例のように、新しい設計が要求されたことを確認できた。
【0116】
<実験例6:実施例1および比較例1によるシガレットの色相の評価>
実施例1および比較例1それぞれによるシガレットを10本ずつCIELAB色空間データ測定後、平均値を算定して、表6に示した。
【0117】
【0118】
表6に示されたように、カカオハスクを含有しない比較例1によるシガレット10本それぞれは、L*値が略44~50、a*値が略7~13、b*値が略13~19であると分析された。これとは異なって、カカオハスクを含有する実施例1によるシガレット10本それぞれは、前記L*値が略60~75、a*値が略1.5~7.5、b*値が略7.0~11.0であると分析され、これによって、カカオハスクがシガレットペーパー内で
図1に示されたハスク粒子(120aH)だけで含有されるものではなく、シガレットペーパー紙自体に染み込んで、シガレットペーパーの色相特性およびその他上述した物理的特性の変化を惹起させたことを確認できる。
【0119】
<比較例8>
比較例1によるシガレットの加香処理されないフィルター部を除去し、青リンゴハーブ香が加香処理されたTJNSフィルターを使用してシガレットを製造した。
【0120】
<実験例8:比較例1および8、実施例1によるシガレットの喫煙官能の評価>
本発明のカカオハスクを含有するシガレットペーパーが採用されたシガレットの官能特性を確認するために、実施例1、比較例1および比較例8による喫煙物品の喫煙中の香り強度、喫煙中の香り満足度、喫煙中の打撃感、喫煙中の喫味感および喫煙後の満足度に対する官能評価を実施した。
【0121】
官能特性の評価は、実施例1、比較例1および比較例8の喫煙物品を用いて20人の評価パネルを対象に実施し、合計8点満点を基準とした。
【0122】
図2は、実施例1、比較例1および比較例8によって製造された後、常温で4週間保管されたシガレットに対する喫煙官能評価の結果である。
【0123】
図2を参照すると、加香処理されないフィルターを使用した比較例1によるシガレットと比較してTJNSフィルターを採用した比較例8によるシガレットにおける喫煙中の香り強度および香り満足度が高いことを確認できる。一方、カカオハスクを含有する実施例1は、加香処理されないフィルターを採用するにもかかわらず、比較例1と比較して喫煙中の香り強度に対する数値において有意味な増加が現れ、特に喫煙中の香り満足度は、TJNSフィルターを採用した比較例8と比較してさらに高い点数が現れた。これは、フィルター自体に香液が処理されることによって、強いメントール香が直接的に喫煙者に伝達される比較例8と比較して、シガレットペーパーの燃焼によってシガレットペーパーから発現したカカオ香が喫煙者に優しく伝達されることによって、満足度がさらに高くなったと推測される。
【0124】
喫煙中の打撃感では、有意味な差異点が導き出されなかったが、喫煙後の満足度は、カカオラッパーが採用された実施例1において少し増加し、喫煙中の喫味感も、比較例1および8と比較して増加したことを確認した。これは、実験例2を通じて記述した主流煙改質による効果であると推測される。
【0125】
本実施形態と関連した技術分野における通常の知識を有する者は、前述した記載の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態で具現できることを理解できる。したがって、開示された方法は、限定的な観点でなく、説明的な観点から考慮しなければならない。本発明の範囲は、前述した説明でなく、特許請求範囲に示されており、それと同等な範囲内にあるすべての差異点は、本発明に含まれたのと解すべきである。
【国際調査報告】