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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】複素環化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20221121BHJP
   C07D 498/04 20060101ALI20221121BHJP
   C07D 513/04 20060101ALI20221121BHJP
   A61K 31/5383 20060101ALI20221121BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20221121BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20221121BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20221121BHJP
   A61K 31/542 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 1/06 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
C07D471/04 113
C07D498/04 112T
C07D498/04 CSP
C07D471/04 120
C07D513/04 383
A61K31/5383
A61K31/4545
A61K31/4375
A61K31/4985
A61K31/542
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/02 101
A61P25/04
A61P29/00
A61P35/00
A61P25/18
A61P1/04
A61P25/16
A61P21/00
A61P9/10
A61P25/08
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/06
A61P1/16
A61P15/00
A61P1/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518270
(86)(22)【出願日】2020-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2020076228
(87)【国際公開番号】W WO2021058416
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】19198974.8
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/109184
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ベンツ,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ゴッビ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】グレター,ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ハンロン,スティーブン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ホルンスペルガー,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】クロール,カールステン
(72)【発明者】
【氏名】クーン,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】クラトリ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,グゥオフー
(72)【発明者】
【氏名】オハラ,フィオン
(72)【発明者】
【氏名】リヒター,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】リッター,マルティン
【テーマコード(参考)】
4C065
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA05
4C065BB09
4C065BB10
4C065CC01
4C065DD02
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH09
4C065JJ01
4C065KK01
4C065LL04
4C065LL05
4C065PP03
4C065PP08
4C065PP12
4C065QQ04
4C072AA01
4C072BB02
4C072CC02
4C072CC11
4C072CC16
4C072DD10
4C072EE07
4C072EE17
4C072FF07
4C072GG06
4C072GG07
4C072GG09
4C072HH02
4C072HH07
4C072JJ03
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB09
4C086CB22
4C086CB29
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA21
4C086ZA29
4C086ZA36
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA94
4C086ZB11
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、一般式(I)を有する新規の複素環化合物

(式中、A、L、Q、U、V、W、X、Z、m、n、及びR~Rは、明細書に記載の通りである)、該化合物を含む組成物、該化合物を製造する方法、及び該化合物を使用する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

又はその薬学的に許容され得る塩
(式中、
(i)UはCHであり、
VはOであり、
W及びXはどちらもCHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
は、水素、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成するか、又は
(ii)UはCHであり、
VはOであり、
WはCRであり、
XはCHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成するか、又は
(iii)UはCHであり、
VはOであり、
W及びXは共に基C=Cを形成し、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成するか、又は
(iv)UはCHであり、
Vは、NH、CH、S、S=O、SO、CHOH、CHF、及びCFから選択され、
(a)WはCRであり、
XはCHであるか、若しくは
(b)W及びXは共に基C=Cを形成し、
は、水素、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成するか、又は
(v)U及びVは共に基C=Cを形成し、
W及びXは共に基C=Cを形成し、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成するか、又は
(vi)UはCHであり、
VはOであり、
WはCHであり、
XはC-OHであり、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成し、
m及びnは、どちらも0であるか、又は、
m及びnは、どちらも1であり、
ZはCH又はNであり、
QはCR又はNであり、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロ-C1~6-アルキル、及びC1~6-アルキルから選択され、
Lは、共有結合、-CHR-、-O-、-OCH-、-CHO-、-CHOCH-、-CFCH-、及び-CHCF-から選択され、
Aは、C~C14-アリール、5~14員ヘテロアリール、及び3~14員ヘテロシクリルから選択され、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、SF、シアノ、C1~6-アルキル、C1~6-アルコキシ、ハロ-C1~6-アルキル、ハロ-C1~6-アルコキシ、C~C14-アリール、C~C10-シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、C~C14-アリールオキシ、C~C10-シクロアルキルオキシ、及び5~14員ヘテロアリールオキシから選択され、前記C~C14-アリール、C~C10-シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、C~C14-アリールオキシ、C~C10-シクロアルキルオキシ、及び5~14員ヘテロアリールオキシは、ハロゲン、C1~6-アルキル、及びハロ-C1~6-アルキルから選択される1~2個の置換基で場合によって置換され、
は、水素及びC~C14-アリールから選択される)。
【請求項2】
(i)UはCHであり、
VはOであり、
W及びXはどちらもCHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択されるか、又は
(ii)UはCHであり、
VはOであり、
W及びXは共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)UはCHであり、
VはNH、S及びCHから選択され、
(a)W及びXはどちらもCHであるか、若しくは
(b)W及びXは共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であり、
(iv)U及びVは共に基C=Cを形成し、
W及びXは共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(v)UはCHであり、
VはOであり、
WはCHであり、
XはC-OHであり、
及びRは、どちらも水素である、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項3】
(i)UはCHであり、
VはOであり、
W及びXはどちらもCHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択されるか、又は
(ii)UはCHであり、
VはNHであり、
W及びXはどちらもCHであり、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)U及びVは共に基C=Cを形成し、
W及びXは共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素である、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項4】
(i)UはCHであり、
VはOであり、
W及びXはどちらもCHであり、
は、フルオロ及びメチルから選択され、
は、水素及びフルオロから選択されるか、又は
(ii)UはCHであり、
VはNHであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)U及びVは共に基C=Cを形成し、
W及びXは共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素である、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項5】
ZがNである、請求項1~4のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項6】
QがCHある、請求項1~5のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項7】
m及びnがどちらも0である、請求項1~6のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項8】
Lが、共有結合、-CHR-、及び-CHO-から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
Lが、共有結合及び-CHO-から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
AがC~C14-アリールである、請求項1~9のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項11】
Aがフェニルである、請求項1~9のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項12】
が水素及びハロ-C~C-アルキルから選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項13】
がハロ-C~C-アルキルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項14】
がCF及び2,2,2-トリフルオロエチルから選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項15】
が、水素及びハロゲンから選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項16】
が、水素及びフルオロから選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項17】
(i)UはCHであり、
VはOであり、
W及びXはどちらもCHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択されるか、又は
(ii)UはCHであり、
VはOであり、
W及びXは共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)UはCHであり、
VはNH、S及びCHから選択され、
(a)W及びXはどちらもCHであるか、若しくは
(b)W及びXは共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であり、
(iv)U及びVは共に基C=Cを形成し、
W及びXは共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(v)UはCHであり、
VはOであり、
WはCHであり、
XはC-OHであり、
及びRは、どちらも水素であり、
ZはNであり、
QはCHであり、
m及びnは、どちらも0であり、
Lは、共有結合、-CHR-、及び-CHO-から選択され、
AはC~C14-アリールであり、
は、水素及びハロ-C~C-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択され、
は、水素及びC~C14-アリールから選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項18】
(i)UはCHであり、
VはOであり、
W及びXはどちらもCHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択されるか、又は
(ii)UはCHであり、
VはNHであり、
W及びXはどちらもCHであり、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)U及びVは共に基C=Cを形成し、
W及びXは共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であり、
ZはNであり、
QはCHであり、
m及びnは、どちらも0であり、
Lは共有結合及び-CHO-から選択され、
AはC~C14-アリールであり、
はハロ-C~C-アルキルであり、
は、水素及びハロゲンから選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項19】
(i)UはCHであり、
VはOであり、
W及びXはどちらもCHであり、
は、フルオロ及びメチルから選択され、
は、水素及びフルオロから選択されるか、又は
(ii)UはCHであり、
VはNHであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)U及びVは共に基C=Cを形成し、
W及びXは共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であり、
ZはNであり、
QはCHであり、
m及びnは、どちらも0であり、
Lは共有結合及び-CHO-から選択され、
Aはフェニルであり、
はCF及び2,2,2-トリフルオロエチルから選択され、
は、水素及びフルオロから選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項20】
以下から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩:
rel-(4aR,8S,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-8-メチル-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
rel-(4aS,8R,8aR)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-8-メチル-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
rel-(4aS,8aS)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
rel-(4aR,8aR)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
rel-(4aS,8aS)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[4-(2,2,2-トリフルオロエチル)フェニル]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
rel-(4aR,8aR)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[4-(2,2,2-トリフルオロエチル)フェニル]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
6-[4-[[4-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]ピペリジン-1-カルボニル]-4,5,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
7-(4-ベンズヒドリルピペリジン-1-カルボニル)-1,5,6,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン、
7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,5,6,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン、
rac-(4aS,8aS)-7-(4-ベンズヒドリルピペリジン-1-カルボニル)-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン、
rac-(4aS,8aS)-7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン、
rac-(4aR,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,2,4,4a,5,7,8,8a-オクタヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン、
(4aR,8aS)-又は(4aS,8aR)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,2,4,4a,5,7,8,8a-オクタヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン、
(4aS,8aR)-又は(4aR,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,2,4,4a,5,7,8,8a-オクタヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン、及び
6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,2,4,5,7,8-ヘキサヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン。
【請求項21】
以下から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩:
(4aS,8aS)-又は(4aR,8aR)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[4-(2,2,2-トリフルオロエチル)フェニル]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
rac-(4aR,8aR)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
(4aR,8S,8aS)-又は(4aR,8R,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-8-メチル-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,5,6,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン、
rac-(4aR,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,2,4,4a,5,7,8,8a-オクタヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン、
(4aS,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4a-ヒドロキシ-5,7,8,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
rac-(4aS,8aS)-7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4-ヒドロキシ-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン、及び
6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4,5,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-b][1,4]チアジン-3-オン。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を製造する方法であって、
(a)式2(式中、m、n、Q、L、A、R及びRは請求項1~21のいずれか一項に定義される通りである)のアミンを、
【化2】

カルボン酸3a(式中、U、V、W、X、R及びRは請求項1から21のいずれか一項に定義される通りである)
【化3】

と、カップリング試薬の存在下、及び任意に塩基の存在下で反応させるか、又は
(b)式2(式中、m、n、Q、L、A、R及びRは請求項1~21のいずれか一項に定義される通りである)のアミンを、
【化4】

カルボン酸塩化物3b(式中、U、V、W、X、R及びRは請求項1~21のいずれか一項に定義される通りである)
【化5】

と、塩基の存在下で反応させるか、又は
(c)式1(式中、U、V、W、X、R及びRは請求項1~21のいずれか一項に定義される通りである)の第1のアミンを、
【化6】

第2のアミン2(式中、A、L、m、n、Q、R及びRは、請求項1~21のいずれか一項に定義される通りである)
【化7】

と、塩基及び尿素形成試薬の存在下で反応させて、
前記式(I)の化合物を形成することを含む、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法に従って製造した場合の、請求項1~21のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項24】
治療活性物質として使用するための、請求項1~21及び23のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項25】
請求項1~21及び23のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩と、治療的に不活性の担体とを含む、医薬組成物。
【請求項26】
哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防のための、請求項1~21、及び23のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩の、又は請求項25に記載の医薬組成物の使用。
【請求項27】
哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸発癌、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に伴う痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛、及び/又は内臓痛の処置又は予防のための、請求項1~21及び23のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩の、又は請求項25に記載の医薬組成物の使用。
【請求項28】
哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防に使用するための、請求項1~21、及び23のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項29】
哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸発癌、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に伴う痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛、及び/又は内臓痛の処置又は予防に使用するための、請求項1~21及び23のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項30】
哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防のための医薬を調製するための、請求項1~21及び23のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の使用。
【請求項31】
哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸発癌、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に伴う痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛、及び/又は内臓痛の処置又は予防のための医薬を調製するための、請求項1~21及び23のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の使用。
【請求項32】
哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防のための方法であって、有効量の請求項1~21及び23のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は請求項25に記載の医薬組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項33】
多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸発癌、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、哺乳動物における疼痛に伴う痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛、及び/又は内臓痛の処置又は予防のための方法であって、有効量の請求項1~21及び23のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩又は請求項25に記載の医薬組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項34】
本明細書中に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物における処置又は予防に有用な有機化合物に関し、特に、哺乳動物における、神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、片頭痛、鬱病、炎症性腸疾患、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛及び/又は内臓痛の処置又は予防のための、モノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
エンドカンナビノイド(EC)は、カンナビノイド受容体(CBR)であるCB1及びCB2と相互作用することによって生物学的作用を発揮する、シグナル伝達脂質である。これらは、神経炎症、神経変性及び組織再生を含む複数の生理的過程を調節する(Iannotti,F.A.,et al.,Progress in lipid research 2016,62,107-28.)。脳では、主なエンドカンナビノイドである2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)は、ジアシグリセロールリパーゼ(DAGL)により産生され、モノアシルグリセロールリパーゼであるMAGLにより加水分解される。MAGLは2-AGの85%を加水分解し、残りの15%は、ABHD6及びABDH12により加水分解される(Nomura,D.K.,et al.,Science2011,334,809.)。MAGLは脳全体、並びにニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト及びミクログリア細胞を含むほとんどの脳細胞型で発現する(Chanda,P.K.,et al.,Molecular pharmacology2010,78,996;Viader,A.,et al.,Cell reports2015,12,798.)。2-AGの加水分解はプロスタグランジン(PG)及びロイコトリエン(LT)の前駆体であるアラキドン酸(AA)の形成をもたらす。AAの酸化的代謝は、炎症組織で増加する。炎症過程に関与するアラキドン酸の酸化の2つの主要な酵素経路には、PGを産生するシクロオキシゲナーゼ、及びLTを産生する5-リポキシゲナーゼが存在する。炎症時に形成される種々のシクロオキシゲナーゼ産物の中で、PGE2は最も重要なものの1つである。これらの産物は、炎症部位、例えば神経変性障害に罹患している患者の脳脊髄液中で検出されており、炎症応答及び疾患進行に寄与すると考えられている。MAGLを欠くマウス(Mgll-/-)は、神経系で2-AGヒドロラーゼ活性の劇的な低下、及び2-AGレベルの劇的の上昇を示すが、一方でアナンダミド(AEA)を含む他のアラキドノイル含有リン脂質及び中性脂質種、並びに他の遊離脂肪酸は変化しなかった。逆に、AA及びAA由来プロスタグランジン、並びにプロスタグランジンE2(PGE2)、D2(PGD2)、F2(PGF2)を含む他のエイコサノイド、並びにトロンボキサンB2(TXB2)のレベルは大きく低下する。ホスホリパーゼA(PLA)酵素はAAの主要な供給源と考えられてきたが、cPLA欠損マウスはそれらの脳においてAAレベルを変化させず、AA産生及び脳炎症過程の調節に対する脳におけるMAGLの役割の重要性が高まっている。
【0003】
神経炎症は、以下に限定されるものではないが、神経変性疾患(例えば、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、並びに不安症及び片頭痛等の精神障害)を含む、脳の疾患の一般的な病理学的変化の特徴である。脳では、エイコサノイド及びプロスタグランジンの産生が神経炎症過程を制御する。炎症誘発物質リポ多糖(LPS)は、Mgll-/-マウスにおいて顕著に鈍化した脳エイコサノイドのロバストで時間依存的な増加を生じる。LPS処置はまた、Mgll-/-マウスで抑えられるインターロイキン-1-a(IL-1-a)、IL-1b、IL-6、及び腫瘍壊死因子-a(TNF-a)を含む炎症性サイトカインの広範な上昇も誘導する。
【0004】
神経炎症は、中枢神経系、ミクログリア及びアストロサイトの自然免疫細胞の活性化を特徴とする。抗炎症薬は、前臨床モデルにおいて、グリア細胞の活性化並びにアルツハイマー病及び多発性硬化症を含む疾患の進行を抑制し得ることが報告されている(Lleo A.,Cell Mol Life Sci.2007,64,1403.)。重要なことに、MAGL活性の遺伝的及び/又は薬理学的破壊はまた、脳におけるミクログリア細胞のLPS誘導活性化も阻害する(Nomura,D.K.,et al.,Science2011,334,809.)。
【0005】
その上、MAGL活性の遺伝的及び/又は薬理学的破壊は、以下に限定されるものではないが、アルツハイマー病、パーキンソン病及び多発性硬化症を含む神経変性のいくつかの動物モデルにおいて保護的であることが示された。例えば、不可逆的なMAGL阻害剤は、神経炎症及び神経変性の前臨床モデルにおいて広く使用されている(Long,J.Z.,et al.,Nature chemical biology2009,5,37.)。このような阻害剤の全身注射は、脳におけるMgll-/-マウス表現型を再現し、これは2-AGレベルの増加、AAレベル及び関連するエイコサノイド産生の減少、並びにLPS誘導神経炎症後のサイトカイン産生及びミクログリア活性化の抑制を含み(Nomura,D.K.,et al.,Science2011,334,809.)、MAGLが新薬につながるような標的であることを確認している。
【0006】
MAGL活性の遺伝的及び/又は薬理学的破壊に続き、脳においてMAGL天然基質、2-AGの内因性レベルが増加する。2-AGは、例えばマウスにおける抗侵害受容効果(Ignatowska-Jankowska B.et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.2015,353,424.)及び慢性ストレスモデルにおける鬱病等の精神障害(Zhong P.et al.,Neuropsychopharmacology2014,39,1763.)による疼痛に対して有益な効果を示すことが報告されている。
【0007】
さらに、中枢神経系のミエリン化細胞であるオリゴデンドロサイト(OL)及びその前駆体(OPC)は、その膜上にカンナビノイド受容体2(CB2)を発現する。2-AGは、CB1及びCB2受容体の内因性リガンドである。カンナビノイドとMAGLの薬理学的阻害との両方が、興奮毒性傷害に対するOL及びOPCの脆弱性を弱め、よって、神経保護的であり得ることが報告されている(Bernal-Chico,A.,et al.,Glia2015,63,163.)。加えて、MAGLの薬理学的阻害はマウスの脳におけるミエリン化OLの数を増加させ、MAGL阻害がin vivoでミエリン化OLにおけるOPCの分化を促進する可能性を示唆している(Alpar,A.,et al.,Nature communications2014,5,4421.)。MAGLの阻害はまた、進行型多発性硬化症のマウスモデルにおいて再ミエリン化及び機能回復を促進することも示された(Feliu A.et al.,Journal of Neuroscience2017,37(35),8385.)。
【0008】
さらに、近年では、代謝、特に脂質代謝ががん研究において非常に重要視されている。研究者らは、新規の脂肪酸合成が腫瘍の発生に重要な役割を果たすと考えている。多くの研究は、エンドカンナビノイドが、抗増殖、アポトーシス誘導及び抗転移効果を含む、抗腫瘍作用を有することを示した。脂質代謝及びエンドカンナビノイド系の両方に対する重要な分解酵素としてのMAGLは、更に、遺伝子発現特性の一部として、神経膠芽腫を含む腫瘍形成の様々な態様に寄与する(Qin,H.,et al.,Cell Biochem.Biophys.2014,70,33;Nomura DK et al.,Cell2009,140(1),49-61;Nomura DK et al.,Chem.Biol.2011,18(7),846-856,Jinlong Yin et al,Nature Communications2020,11,2978)。
【0009】
内在性カンナビノイド系はまた、多くの胃腸の生理学的作用及び生理病理学的作用に関与するMarquez L.et al.,PLoS One2009,4(9),e6893)。これらの効果は全て、主にカンナビノイド受容体(CBR)、CB1及びCB2を介して駆動される。CB1受容体は、動物及び健康なヒトの消化管全体、特に腸神経系(ENS)及び上皮内層、並びに結腸壁の血管の平滑筋細胞に存在する(Wright K.et al.,Gastroenterology 2005,129(2),437-453;Duncan,M.et al.,Aliment Pharmacol Ther2005,22(8),667-683)。CB1の活性化は、制吐作用、抗運動性及び抗炎症効果をもたらし、疼痛を調節するのに役立つ(Perisetti,A.et al.,Ann Gastroenterol 2020,33(2),134-144)。CB2受容体は、形質細胞及びマクロファージ等の免疫細胞、GI管の粘膜固有層(Wright K.et al.,Gastroenterology2005,129(2),437-453)、及び主に炎症性腸疾患(IBD)に関連するヒト結腸組織の上皮で発現される。CB2の活性化は、炎症促進性サイトカインを減少させることによって抗炎症効果を発揮する。MAGLの発現はUC患者の結腸組織で増加し(Marquez L.et al.,PLoS One2009,4(9),e6893)、2-AGレベルはIBD患者の血漿で増加する(Grill,M.et al.,Sci Rep2019,9(1),2358)。いくつかの動物研究は、IBDの対症療法のためのMAGL阻害剤の可能性を実証している。MAGL阻害は、TNBS誘発マウス大腸炎を予防し、CB1/CB2 MoAを介して局所及び循環炎症マーカーを減少させる(Marquez L.et al.,PLoS One2009,4(9),e6893)。さらに、MAGL阻害は、CB1駆動MoAを介して腸壁の完全性及び腸透過性を改善する(Wang,J.et al.,Biochem Biophys Res Commun2020,525(4),962-967)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
結論として、MAGLの作用及び/又は活性化を抑制することは、神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、炎症性腸疾患、腹痛及び過敏性腸症候群に伴う腹痛を処置又は予防するための有望な新たな治療戦略である。さらに、MAGLの作用及び/又は活性化の抑制は、神経保護及びミエリン再生をもたらすための有望な新たな治療戦略である。このように、新たなMAGL阻害剤に対する満たされていない医学的ニーズは高い。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様では、本発明は、式(I)の化合物
【化1】

又はその薬学的に許容され得る塩
(式中、A、L、Q、U、V、W、X、Z、m、n、及びR~Rは、本明細書に記載される通りである)を提供する。
【0012】
一態様では、本発明は、本明細書に記載されている式(I)の化合物を製造する方法であって、
(a)式2(式中、m、n、Q、L、A、R及びRは本明細書に記載の通りである)のアミンを、
【化2】

カルボン酸3a(式中、U、V、W、X、R及びRは本明細書中に記載の通りである)
【化3】

と、カップリング試薬の存在下、及び任意に塩基の存在下で反応させるか、又は
(b)式2(式中、m、n、Q、L、A、R及びRは本明細書に記載の通りである)のアミンを、
【化4】

カルボン酸塩化物3b(式中、U、V、W、X、R及びRは本明細書中に記載の通りである)
【化5】

と、塩基の存在下で反応させるか、又は
(c)式1(式中、U、V、W、X、R及びRは本明細書に記載の通りである)の第1のアミンを、
【化6】

第2のアミン2(式中、A、L、m、n、Q、R及びRは本明細書に記載の通りである)
【化7】

と、塩基及び尿素形成試薬の存在下で反応させて、
上記式(I)の化合物を形成することを含む、方法を提供する。
【0013】
更なる態様では、本発明は、本明細書に記載の方法に従って製造される場合の、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0014】
更なる態様では、本発明は、治療活性物質としての使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0015】
更なる態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物と治療上の不活性担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0016】
更なる態様では、本発明は、哺乳動物におけるモノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)を阻害するための、本明細書に記載される式(I)の化合物又は本明細書に記載される医薬組成物の使用を提供する。
更なる態様では、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物又は本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する
【0017】
更なる態様では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸がん発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に関連する痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛、及び/又は内臓痛の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又は本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
本発明の特定の態様、実施形態又は実施例に関連して記載される特徴、整数、特色、化合物、化学的部分又は基は、それらと両立しない場合を除き、本明細書に記載の任意の他の態様、実施形態又は実施例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)に開示された特徴の全て、及び/又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスの工程の全ては、そのような特徴及び/又は工程の少なくとも一部が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。本発明は、前述のいずれの実施形態の詳細にも限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規なもの若しくは任意の新規な組合せ、又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスの工程の任意の新規なもの若しくは任意の新規な組合せに及ぶ。
【0019】
「アルキル」という用語は、一価又は多価、例えば、1~12個の炭素原子を有する一価又は二価の直鎖又は分岐飽和炭化水素基を指す。いくつかの好ましい実施形態では、アルキル基は、1~6個の炭素原子(「C1~6-アルキル」)、例えば、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子を含む。他の実施態様では、アルキル基は、1~3個の炭素原子、例えば、1、2、又は3個の炭素原子を含む。アルキルのいくつかの非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、2-プロピル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び2,2-ジメチルプロピルが挙げられる。アルキルの特に好ましいが非限定的な例は、メチルである。
【0020】
「アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に結合した、上で定義されたアルキル基を指す。アルコキシ基は、特に指示されない限り、1~12個の炭素原子を含む。いくつかの好ましい実施形態では、アルコキシ基は、1~6個の炭素原子(「C1~6-アルコキシ」)を含む。他の実施形態では、アルコキシ基は、1~4個の炭素原子を含む。更に他の実施形態では、アルコキシ基は、1~3個の炭素原子を含む。アルコキシ基のいくつかの非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ及びtert-ブトキシが挙げられる。アルコキシの特に好ましいが非限定的な例は、メトキシである。
【0021】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、又はヨード(I)を指す。好ましくは、「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)又はブロモ(Br)を指す。「ハロゲン」又は「ハロ」の特に好ましいが非限定的な例は、フルオロ(F)及びクロロ(Cl)である。
【0022】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、3~10個の環炭素原子の、飽和又は部分不飽和の、単環式又は二環式の炭化水素基を指す(「C~C10-シクロアルキル」)。いくつかの好ましい実施形態では、シクロアルキル基は、3~8個の環炭素原子の飽和単環式炭化水素基である。「二環式シクロアルキル」とは、共通した2個の炭素原子を有する2つの飽和炭素環からなるシクロアルキル部分、すなわち、2つの環を分離する架橋が、単結合であるか、又は1個若しくは2個の環原子の鎖であるかのいずれかであり、スピロ環部分、すなわち、2つの環が1個の共通の環原子を介して結合されているシクロアルキル部分を指す。好ましくは、シクロアルキル基は、3~6個の環炭素原子、例えば、3、4、5又は6個の炭素原子の飽和単環式炭化水素基である。シクロアルキルのいくつかの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられる。「シクロアルキル」の具体的な好ましい例は、シクロプロピルである。
【0023】
「ヘテロシクリル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、3~10個の環原子、好ましくは3~8個の環原子からなる飽和又は部分的に不飽和な単環式又は二環式、好ましくは単環式の環系を指し、1、2、又は3個の当該環原子は、N、O、及びSから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素である。好ましくは、前記環原子の1~2個はN及びOから選択され、残りの環原子は炭素である。「二環式ヘテロシクリル」とは、共通した2個の環原子を有する2つの環からなる複素環部分、すなわち、2つの環を分離する架橋が、単結合であるか、又は1個若しくは2個の環原子の鎖であるかのいずれかであり、スピロ環部分、すなわち、2つの環が1個の共通の環原子を介して結合されている複素環部分を指す。単環式ヘテロシクリル基のいくつかの非限定的な例としては、アゼチジン-3-イル、アゼチジン-2-イル、オキセタン-3-イル、オキセタン-2-イル、1-ピペリジル、2-ピペリジル、3-ピペリジル、4-ピペリジル、2-オキソピロリジン-1-イル、2-オキソピロリジン-3-イル、5-オキソピロリジン-2-イル、5-オキソピロリジン-3-イル、2-オキソ-1-ピペリジル、2-オキソ-3-ピペリジル、2-オキソ-4-ピペリジル、6-オキソ-2-ピペリジル、6-オキソ-3-ピペリジル、モルホリノ、モルホリン-2-イル、及びモルホリン-3-イルが挙げられる。
【0024】
「アリール」という用語は、合計6~14環員(「C~C14-アリール」)、好ましくは6~12環員、より好ましくは6~10環員を有する単環式、二環式、又は三環式の炭素環式環系であり、この系の少なくとも1つの環は芳香族である。アリールのいくつかの非限定的な例としては、フェニル及び9H-フルオレニル(例えば、9H-フルオレン-9-イル)が挙げられる。アリールの特に好ましい。但し非限定的な例はフェニルである。
【0025】
「ヘテロアリール」という用語は、合計5~14個の環員、好ましくは5~12個の環員、より好ましくは5~10個の環員を有する多価の単環式又は二環式の環系を指し、この系の少なくとも1つの環は芳香族であり、系の少なくとも1つの環は1つ以上のヘテロ原子を含む。好ましくは、「ヘテロアリール」は、O、S及びNから独立して選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む5~10員のヘテロアリールを指す。最も好ましくは、「ヘテロアリール」は、O、S及びNから独立して選択される1~2個のヘテロ原子を含む5~10員のヘテロアリールを指す。ヘテロアリールのいくつかの好ましいが非限定的な例としては、チアゾリル(例えば、チアゾール-2-イル)、オキサゾリル(例えば、オキサゾール-2-イル)、5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[d]チアゾール-2-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル、ピリジル(例えば2-ピリジル)、ピラゾリル(例えばピラゾール-1-イル)、イミダゾリル(例えばイミダゾール-1-イル)、ベンゾオキサゾリル(例えばベンゾオキサゾール-2-イル)及びオキサゾロ[5,4-c]ピリジン-2-イルが挙げられる。
【0026】
「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
【0027】
「シアノ」という用語は、-CN(ニトリル)基を指す。
【0028】
「ハロアルキル」という用語は、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、ハロゲン原子、好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルキル基を指す。好ましくは、「ハロアルキル」とは、アルキル基の1、2又は3個の水素原子が、ハロゲン原子、最も好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルキル基を指す。ハロアルキルの特に好ましいが非限定的な例は、トリフルオロメチル(CF)及びトリフルオロエチル(例えば、2,2,2-トリフルオロエチル)である。
【0029】
「ハロアルコキシ」という用語は、アルコキシ基の少なくとも1個の水素原子が、ハロゲン原子、好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルコキシ基を指す。好ましくは、「ハロアルコキシ」とは、アルコキシ基の1、2又は3個の水素原子が、ハロゲン原子、最も好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルコキシ基を指す。ハロアルコキシの特に好ましいが非限定的な例は、トリフルオロメトキシ(-OCF)である。
【0030】
「アリールオキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に結合した、上で定義されたアリール基を指す。アリールオキシの好ましいが非限定的な例は、フェノキシである。
【0031】
「シクロアルキルオキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に結合した、先に定義されたシクロアルキル基を指す。シクロアルキルオキシの好ましいが非限定的な例は、シクロプロポキシである。
【0032】
「ヘテロアリールオキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に結合した、先に定義されたヘテロアリール基を指す。ヘテロアリールオキシの好ましいが非限定的な例は、ピリジルオキシ(例えば、2-ピリジルオキシ、3-ピリジルオキシ又は4-ピリジルオキシ)である。
【0033】
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、生物学的に又は別様に望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等、特に塩酸、並びに有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステイン等により形成される。加えて、これらの塩は、無機塩基又は有機塩基を遊離酸に添加することにより調製され得る。無機塩基に由来する塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩等が含まれるがこれらに限定されない。有機塩基に由来する塩には、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環式アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂等の塩が含まれるがこれらに限定されない。式(I)の化合物の特定の薬学的に許容され得る塩は、塩酸塩である。
【0034】
「薬学的に許容され得るエステル」という用語は、in vivoで加水分解するエステルを指し、人体において容易に分解して親化合物又はその塩を残すエステルを含む。好適なエステル基としては、例えば、薬学的に許容され得る脂肪族カルボン酸、特に、アルキル又はアルケニル部分が有利には6個以下の炭素原子を有するアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸、及びアルカン二酸から誘導されるエステル基が挙げられる。特定のエステルの代表的な例としては、限定されるものではないが、ホルメート、アセテート、プロピオナート、ブチレート、アクリレート、及びエチルスクシネートが挙げられる。薬学的に許容され得るプロドラッグの種類の例は、Higuchi and Stella,Pro-drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series、及びin Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に記載されている。
【0035】
「保護基」(PG)という用語は、化学反応が、合成化学の関連する慣用的な意味において、別の保護されていない反応性部位で選択的に行われ得るように、多官能性化合物中の反応部位を選択的にブロックする基を意味する。保護基は適切な時に除去され得る。例示的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基又はヒドロキシ保護基である。特定の保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)及びベンジル(Bn)である。更なる特定の保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)及びフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)である。より特定の保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)である。例示的な保護基及び有機合成におけるそれらの用途は、例えば、‘‘Protective Groups in Organic Chemistry’’by T.W.Greene and P.G.M.Wutts,5th Ed.,2014,John Wiley&Sons,N.Y.に記載されている。
【0036】
「尿素形成試薬」という用語は、第1のアミンを第2のアミンと反応させ、それによって尿素誘導体を形成する種にすることができる化合物を指す。尿素形成試薬の非限定的な例としては、ビス(トリクロロメチル)カーボネート、ホスゲン、クロロ蟻酸トリクロロメチル、(4-ニトロフェニル)カーボネート、及び1,1’-カルボニルジイミダゾールが挙げられる。G.Sartori et al.,Green Chemistry2000,2,140に記載されている尿素形成試薬は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
式(I)の化合物は、数個の不斉中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体等のエナンチオマーの混合物、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性のラセミ体又はジアステレオ異性のラセミ体の混合物として存在することができる。好ましい実施形態では、本発明にかかる式(I)の化合物は、本明細書に記載されるように、それぞれ、式(Ia)又は(Ib)のシス-エナンチオマーである。
【0038】
Cahn-Ingold-Prelog則により、不斉炭素原子は、「R」又は「S」配置のものであり得る。
【0039】
略語「MAGL」とは、酵素モノアシルグリセロールリパーゼを指す。「MAGL」及び「モノアシルグリセロールリパーゼ」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0040】
「処置」という用語は、本明細書で使用される場合、以下を含む:(1)状態、障害又は状況を抑制すること(例えば、維持処置の場合、その少なくとも1つの臨床的症状又は無症状の疾患の発症又は再発の停止、低減又は遅延させること)、及び/又は(2)状況を緩和すること(すなわち、状態、障害若しくは状況、又はその臨床的症状若しくは無症状のうちの少なくとも1つの退行を引き起こすこと)。処置されるべき患者に対する利益は、統計的に有意であるか、又は少なくとも患者若しくは医師にとって認識可能であるかのいずれかである。しかしながら、疾患を処置するために患者に医薬が投与される場合、転帰は必ずしも有効な処置でなくともよいことが理解されるであろう。
【0041】
「予防」という用語は、本明細書で使用される場合、哺乳動物において、特に、状態、障害若しくは状況に罹患しているか又は罹患しやすいが、その状態、障害若しくは状況の臨床的症状又は無症状をまだ経験していないか又は示していないヒトにおいて発症する状態、障害又は状況の臨床的症状の出現を防止又は遅延させることを含む。
【0042】
「神経炎症」という用語は、本明細書で使用される場合、神経系の2つの部分(中枢神経系(CNS)の脳及び脊髄、及び末梢神経系(PNS)の分岐末梢神経)の主要な組織成分である神経組織の急性及び慢性炎症に関する。慢性神経炎症は、アルツハイマー病、パーキンソン病及び多発性硬化症等の神経変性疾患と関連している。急性神経炎症は、通常、例えば外傷性脳損傷(TBI)の結果として、中枢神経系の損傷直後に起こる。
【0043】
「外傷性脳損傷」(「TBI」、「頭蓋内損傷」としても公知)という用語は、急速な加速若しくは減速、衝撃、爆風、又は発射体による貫通等の外部の機械的力に起因する、脳の損傷に関する。
【0044】
「神経変性疾患」という用語は、ニューロンの死を含む、ニューロンの構造又は機能の進行性喪失に関連する疾患に関連する。神経変性疾患の例としては、以下に限定されるものではないが、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病及び筋萎縮性側索硬化症が挙げられる。
【0045】
「精神障害」(精神疾病又は精神系障害とも呼ばれる)という用語は、生活において苦痛又は機能不良を引き起こす可能性のある行動又は精神パターンに関する。このような特徴は、持続性、再発性及び寛解性、又は単回エピソードとして生じることがある。精神障害の例としては、不安症及び鬱病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「疼痛」という用語は、実際の又は潜在的な組織損傷に関連する不快な感覚的及び感情的経験に関する。疼痛の例としては、侵害受容性疼痛、慢性疼痛(特発性疼痛を含む)、化学療法誘発性神経障害を含む神経障害性疼痛、幻肢痛及び心因性疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。疼痛の特定の例は、神経障害性疼痛であり、これは、身体的感情(すなわち、体性感覚系)に関与する神経系のいずれかの部分に影響を及ぼす損傷又は疾患によって引き起こされる。一実施形態では、「疼痛」は、切断術又は開胸術から生じる神経障害性疼痛である。一実施形態では、「疼痛」は、化学療法誘発性神経障害である。
【0047】
「神経毒性」という用語は、神経系における毒性に関連する。これは、天然又は人工の毒性物質(神経毒)に曝されると、神経系の正常な活動が変化して、神経組織に損傷が生じることで発生する。神経毒性の例としては、化学療法、放射線処置、薬物療法、薬物乱用、及び臓器移植に使用される物質への曝露、並びに重金属、ある特定の食品及び食品添加物、農薬、工業用及び/又は洗浄用溶媒、化粧品、及びいくつかの天然に存在する物質への曝露から生じる神経毒性が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
「がん」という用語は、新生物又は腫瘍の存在を特徴とする疾患であって、細胞の異常で制御不能な増殖に起因する疾患を指す(そのような細胞は「がん細胞」である)。本明細書で使用される場合、がんという用語は、明示的に、肝細胞癌腫、結腸発癌及び卵巣がんを含むが、これらに限定されない。
【0049】
「哺乳動物」という用語には、本明細書で使用される場合、ヒト及び非ヒトの両方が含まれ、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ネズミ、ウシ、ウマ、及びブタが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい実施形態では、「哺乳動物」という用語は、ヒトを指す。
本発明の化合物
【0050】
第1の態様(A1)では、本発明は、式(I)
【化8】

の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供し、
(式中、
(i)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
は、水素、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成するか、又は
(ii)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
Wは、CRであり、
Xは、CHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成するか、又は
(iii)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成するか、又は
(iv)Uは、CHであり、
Vは、NH、CH、S、S=O、SO、CHOH、CHF、及びCFから選択され、
(a)Wは、CRであり、
Xは、CHであるか、若しくは
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
は、水素、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成するか、又は
(v)U及びVは、共に基C=Cを形成し、
W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成するか、又は
(vi)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
Wは、CHであり、
Xは、C-OHであり、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成し、
m及びnは、どちらも0であるか、又は、
m及びnは、どちらも1であり、
Zは、CH又はNであり、
Qは、CR又はNであり、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロ-C1~6-アルキル、及びC1~6-アルキルから選択され、
Lは、共有結合、-CHR-、-O-、-OCH-、-CHO-、-CHOCH-、-CFCH-、及び-CHCF-から選択され、
Aは、C~C14-アリール、5~14員ヘテロアリール、及び3~14員ヘテロシクリルから選択され、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、SF、シアノ、C1~6-アルキル、C1~6-アルコキシ、ハロ-C1~6-アルキル、ハロ-C1~6-アルコキシ、C~C14-アリール、C~C10-シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、C~C14-アリールオキシ、C~C10-シクロアルキルオキシ、及び5~14員ヘテロアリールオキシから選択され、当該C~C14-アリール、C~C10-シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、C~C14-アリールオキシ、C~C10-シクロアルキルオキシ、及び5~14員ヘテロアリールオキシは、ハロゲン、C1~6-アルキル、及びハロ-C1~6-アルキルから選択される1~2個の置換基で場合によって置換され、
は、水素及びC~C14-アリールから選択される。
【0051】
第2の態様(A2)では、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を提供し、式中:
(i)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
は、水素、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成するか、又は
(ii)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
Wは、CRであり、
Xは、CHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成するか、又は
(iii)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成するか、又は
(iv)Uは、CHであり、
Vは、NH、CH、S、S=O、SO、CHOH、CHF、及びCFから選択され、
(c)Wは、CRであり、
XはCHであるか、若しくは
(d)W及びXは共に基C=Cを形成し、
は、水素、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成するか、又は
(v)U及びVは、共に基C=Cを形成し、
W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン及びC1~6-アルキルから選択されるか、若しくは
及びRは、それらが結合している炭素原子と共に、C~C10-シクロアルキルを形成し、
m及びnは、どちらも0であるか、又は、
m及びnは、どちらも1であり、
Zは、CH又はNであり、
Qは、CR又はNであり、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロ-C1~6-アルキル、及びC1~6-アルキルから選択され、
Lは、共有結合、-CHR-、-O-、-OCH-、-CHO-、-CHOCH-、-CFCH-、及び-CHCF-から選択され、
Aは、C~C14-アリール、5~14員ヘテロアリール、及び3~14員ヘテロシクリルから選択され、
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、SF、シアノ、C1~6-アルキル、C1~6-アルコキシ、ハロ-C1~6-アルキル、ハロ-C1~6-アルコキシ、C~C14-アリール、C~C10-シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、C~C14-アリールオキシ、C~C10-シクロアルキルオキシ、及び5~14員ヘテロアリールオキシから選択され、当該C~C14-アリール、C~C10-シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、C~C14-アリールオキシ、C~C10-シクロアルキルオキシ、及び5~14員ヘテロアリールオキシは、ハロゲン、C1~6-アルキル、及びハロ-C1~6-アルキルから選択される1~2個の置換基で場合によって置換され、
は、水素及びC~C14-アリールから選択される。
【0052】
本発明はまた、本発明の第1及び第2の態様(A1及びA2)の以下の列挙された実施形態(E)を提供する。
【0053】
E1.A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
(i)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択されるか、又は
(ii)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)Uは、CHであり、
Vは、NH、S及びCHから選択され、
(a)W及びXは、どちらもCHであるか、若しくは
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iv)U及びVは、共に基C=Cを形成し、
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(v)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
Wは、CHであり、
Xは、C-OHであり、
及びRは、どちらも水素である、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0054】
E2.A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
(i)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択されるか、又は
(ii)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)Uは、CHであり、
Vは、NH及びCHから選択され、
(a)W及びXは、どちらもCHであるか、若しくは
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)U及びVは、共に基C=Cを形成し、
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素である、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0055】
E3.A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
(i)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択されるか、又は
(ii)Uは、CHであり、
Vは、NHであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)U及びVは、共に基C=Cを形成し、
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素である、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0056】
E4.A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
(i)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
は、フルオロ及びメチルから選択され、
は、水素及びフルオロから選択されるか、又は
(ii)Uは、CHであり、
Vは、NHであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)U及びVは、共に基C=Cを形成し、
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素である、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0057】
E5.ZがNである、A1、A2及びE1~E4のいずれか1つに記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0058】
E6.QがCHである、A1、A2及びE1~E5のいずれか1つに記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0059】
E7.m及びnがどちらも0である、A1、A2及びE1~E6のいずれか1つに記載の式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0060】
E8.L1が、共有結合、-CHR-、及び-CHO-から選択されるA1、A2及びE1~E7のいずれか1つによる式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0061】
E9.L1が、共有結合及び-CHO-から選択されるA1、A2及びE1~E7のいずれか1つによる式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0062】
E10.AがC~C14-アリールである、A1、A2及びE1~E9のいずれか1つによる式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0063】
E11.Aがフェニルである、A1、A2及びE1~E9のいずれか1つによる式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0064】
E12.Rが、水素、ハロゲン、及びハロ-C~C-アルキルから選択される、A1、A2及びE1~E11のいずれか1つによる式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0065】
E13.Rが、水素、ハロゲン、及びハロ-C~C-アルキルである、A1、A2及びE1~E11のいずれか1つによる式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0066】
E14.RがCF及び2,2,2-トリフルオロエチルから選択される、A1、A2及びE1~E11のいずれか1つによる式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0067】
E15.Rが、水素及びハロゲンから選択される、A1、A2及びE1~E14のいずれか1つによる式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0068】
E16.Rが、水素及びフルオロから選択される、A1、A2及びE1~E14のいずれか1つによる式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0069】
E17.A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
(i)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択されるか、又は
(ii)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)Uは、CHであり、
Vは、NH、S及びCHから選択され、
(a)W及びXは、どちらもCHであるか、若しくは
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iv)U及びVは、共に基C=Cを形成し、
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(v)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
Wは、CHであり、
Xは、C-OHであり、
及びRは、どちらも水素であり、
Zは、Nであり、
Qは、CHであり、
m及びnは、どちらも0であり、
Lは、共有結合、-CHR-、及び-CHO-から選択され、
Aは、C~C14-アリールであり、
は、水素及びハロ-C~C-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択され、
は、水素及びC~C14-アリールから選択される、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0070】
E18.A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
(i)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択されるか、又は
(ii)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)Uは、CHであり、
Vは、NH及びCHから選択され、
(a)W及びXは、どちらもCHであるか、若しくは
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iv)U及びVは、共に基C=Cを形成し、
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であり、
Zは、Nであり、
Qは、CHであり、
m及びnは、どちらも0であり、
Lは、共有結合、-CHR-、及び-CHO-から選択され、
Aは、C~C14-アリールであり、
は、水素及びハロ-C~C-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択され、
は、水素及びC~C14-アリールから選択される、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0071】
E19.A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
(i)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択されるか、又は
(ii)Uは、CHであり、
Vは、NHであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)U及びVは、共に基C=Cを形成し、
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であり、
Zは、Nであり、
Qは、CHであり、
m及びnは、どちらも0であり、
Lは、共有結合及び-CHO-から選択され、
Aは、C~C14-アリールであり、
は、ハロ-C~C-アルキルであり、
は、水素及びハロゲンから選択される、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0072】
E20.A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
(i)Uは、CHであり、
Vは、Oであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
は、フルオロ及びメチルから選択され、
は、水素及びフルオロから選択されるか、又は
(ii)Uは、CHであり、
Vは、NHであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
及びRは、どちらも水素であるか、又は
(iii)U及びVは、共に基C=Cを形成し、
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
及びRは、どちらも水素であり、
Zは、Nであり、
Qは、CHであり、
m及びnは、どちらも0であり、
Lは、共有結合及び-CHO-から選択され、
Aは、フェニルであり、
は、CF及び2,2,2-トリフルオロエチルから選択され、
は、水素及びフルオロから選択される、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0073】
E21.以下から選択される、A1、A2及びE1~E20のいずれか1つによる式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩:
rel-(4aR,8S,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-8-メチル-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
rel-(4aS,8R,8aR)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-8-メチル-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
rel-(4aS,8aS)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
rel-(4aR,8aR)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
rel-(4aS,8aS)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[4-(2,2,2-トリフルオロエチル)フェニル]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
rel-(4aR,8aR)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[4-(2,2,2-トリフルオロエチル)フェニル]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
6-[4-[[4-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]ピペリジン-1-カルボニル]-4,5,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
7-(4-ベンズヒドリルピペリジン-1-カルボニル)-1,5,6,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン、
7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,5,6,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン、
rac-(4aS,8aS)-7-(4-ベンズヒドリルピペリジン-1-カルボニル)-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン、
rac-(4aS,8aS)-7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン、
rac-(4aR,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,2,4,4a,5,7,8,8a-オクタヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン、
(4aR,8aS)-又は(4aS,8aR)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,2,4,4a,5,7,8,8a-オクタヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン、
(4aS,8aR)-又は(4aR,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,2,4,4a,5,7,8,8a-オクタヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン、
6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,2,4,5,7,8-ヘキサヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン、
(4aS,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4a-ヒドロキシ-5,7,8,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
rac-(4aS,8aS)-7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4-ヒドロキシ-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン、及び
6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4,5,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-b][1,4]チアジン-3-オン。
【0074】
E22.以下から選択される、A1、A2及びE1~E20のいずれか1つによる式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩:
(4aS,8aS)-又は(4aR,8aR)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[4-(2,2,2-トリフルオロエチル)フェニル]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
rac-(4aR,8aR)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
(4aR,8S,8aS)-又は(4aR,8R,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-8-メチル-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン、
7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,5,6,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン、及び
rac-(4aR,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,2,4,4a,5,7,8,8a-オクタヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン。
【0075】
E23.A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
Lは、共有結合、-CHR-、及び-CHO-から選択され、
Aは、C~C14-アリールであり、
は、水素及びハロ-C~C-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択され、
は、水素及びC~C14-アリールから選択される、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0076】
E24.A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
Lは、共有結合及び-CHO-から選択され、
Aは、C~C14-アリールであり、
は、ハロ-C~C-アルキルであり、
は、水素及びハロゲンから選択される、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0077】
E25.A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
Lは、共有結合及び-CHO-から選択され、
Aは、フェニルであり、
は、CF及び2,2,2-トリフルオロエチルから選択され、
は、水素及びフルオロから選択される、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0078】
A3.更なる態様では、本発明は、A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供し、式(I)の化合物は、式(II)の化合物である:
【化9】

式中、
Aは、C~C14-アリールであり、
Lは、共有結合又は-CHOであり、
は、ハロゲン、及びC1~6-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択され、
は、ハロ-C1~6-アルキルであり、
は、水素及びハロゲンから選択される。
【0079】
E26.A3による式(II)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
Aは、フェニルであり、
Lは、共有結合又は-CHOであり、
は、フルオロ及びメチルから選択され、
は、水素及びフルオロから選択され、
は、CF及び2,2,2-トリフルオロエチルから選択され、
は、水素及びフルオロから選択される、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0080】
A4.更なる態様では、本発明は、A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供し、式(I)の化合物は、式(III)の化合物である:
【化10】

(式中、
Aは、C~C14-アリールであり、
及びRは、独立して、水素及びハロ-C1~6-アルキルから選択される。
【0081】
E27.A4による式(III)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
Aは、C~C14-アリールであり、
は、ハロ-C1~6-アルキルであり、
は、水素である、式(III)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0082】
E28.A4による式(III)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
Aは、フェニルであり、
は、CFであり、
は、水素である、式(III)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0083】
A5.更なる態様では、本発明は、A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供し、式(I)の化合物は、式(IV)の化合物である:
【化11】

(式中、
Vは、NH、S及びCHから選択され、
(a)W及びXは、どちらもCHであるか、若しくは
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
Aは、C~C14-アリールであり、
Lは、-CHR-及び-CHO-から選択され、
は、水素及びハロ-1~6-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択され、
は、C~C14-アリールである。
【0084】
E29.A5による式(IV)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
Vは、NH及びCHから選択され、
(a)W及びXは、どちらもCHであるか、若しくは
(b)W及びXは、共に基C=Cを形成し、
Aは、C~C14-アリールであり、
Lは、-CHR-及び-CHO-から選択され、
は、水素及びハロ-C1~6-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択され、
は、C~C14-アリールである、式(IV)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0085】
E30.A5による式(IV)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
Vは、NHであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
Aは、C~C14-アリールであり、
Lは、-CHO-であり、
は、ハロ-C1~6-アルキルであり、
は、ハロゲンである、式(IV)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0086】
E31.A5による式(IV)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
Vは、NHであり、
W及びXは、どちらもCHであり、
Aは、フェニルであり、
Lは、-CHO-であり、
は、CFであり、
は、フルオロである、式(IV)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0087】
A6.更なる態様では、本発明は、A1又はA2による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供し、式(I)の化合物は、式(V)の化合物である:
【化12】

(式中、
Aは、C~C14-アリールであり、
Lは、-CHR-及び-CHO-から選択され、
は、水素及びハロ-C1~6-アルキルから選択され、
は、水素及びハロゲンから選択され、
は、C~C14-アリールである。
【0088】
E32.A6に記載の式(V)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
Aは、C~C14-アリールであり、
Lは、-CHO-であり、
は、ハロ-C1~6-アルキルであり、
は、ハロゲンである、式(V)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0089】
E33.A6に記載の式(V)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩であって、式中、
Aは、フェニルであり、
Lは、-CHO-であり、
は、CFであり、
は、フルオロである、式(V)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【0090】
特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)に係る化合物の薬学的に許容され得る塩、特に塩酸塩を提供する。更に特定の実施形態では、本発明は、遊離塩基として本明細書に記載の式(I)にかかる化合物を提供する。
【0091】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられる1個以上の原子をその中に有することにより同位体標識される。このような同位体標識された(すなわち、放射性標識された)式(I)の化合物は、本開示の範囲内であると考えられる。式(I)の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体、それぞれ、例えばH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、及び125Iが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の同位体標識された式(I)の化合物、例えば、放射性同位体を組み込んでいるものは、薬物及び/又は基質の組織分布研究に有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち、H及び炭素-14、すなわち、14Cは、それらの組込みの容易さ及び即時検出手段を考慮すると、この目的に対して特に有用である。例えば、式(I)の化合物は、所与の同位体の1、2、5、10、25、50、75、90、95、又は99%で濃縮することができる。
【0092】
重水素、即ちHのようなより重い同位体による置換は、より高い代謝安定性から生じるある種の治療上の利点、例えばin vivo半減期の延長又は必要投与量の低減をもたらしうる。
【0093】
11C、18F、15O及び13N等の陽電子放出同位体での置換は、基質の受容体占有を検査するための陽電子放出断層撮影(PET)研究において有用であり得る。同位体標識された式(I)の化合物は、一般的に、当業者に公知の従来の技法により、又は前に用いられた同位体標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を使用して、以下に記述される実施例に記載されるものに類似する方法により調製され得る。
製造方法
【0094】
本発明の式(I)の化合物の調製は、逐次的又は収束的な合成経路で行うことができる。本発明の合成を以下の一般的なスキームに示す。得られる生成物の反応及び精製を行うために必要な技能は、当業者に公知である。以下の方法の説明において使用される置換基及びインデックスは、正反対に示されない限り、本明細書で与えられる意義を有する。
【0095】
出発物質、中間体又は式(I)の化合物のうちの1つが、1つ以上の反応工程の反応条件下で安定でないか又は反応性である1つ以上の官能基を含む場合、適切な保護基(「Protective Groups in Organic Chemistry」、T.W.Greene及びP.G.M.Wutts著、第5版、2014、John Wiley&Sons、N.Y.に記載されているような)を、重要な工程の前に、当該技術分野で周知の方法を適用して導入することができる。このような保護基は、文献に記載の標準的な方法を使用して、合成の後の段階で除去することができる。
【0096】
出発物質又は中間体が立体中心を含む場合、式(I)の化合物はジアステレオマー又はエナンチオマーの混合物として得ることができ、これは、当該技術分野で周知の方法、例えばキラルHPLC、キラルSFC又はキラル結晶化によって分離することができる。ラセミ化合物は、例えば、光学的に純粋な酸との結晶化によって、又はキラル吸着剤若しくはキラル溶出剤のいずれかを使用する特異的なクロマトグラフ方法により対掌体を分離することによって、ジアステレオマー塩を介してそれらの対掌体に分離することができる。立体中心を含む出発物質及び中間体を分離して、ジアステレオマー的/エナンチオマー的に濃縮された出発物質及び中間体を得ることも、同様に可能である。式(I)の化合物の合成において、このようなジアステレオマー的/エナンチオマー的に濃縮された出発物質及び中間体を使用すると、一般的には、式(I)のそれぞれのジアステレオマー的/エナンチオマー的に濃縮された化合物が得られる。
【0097】
当業者は、式(I)の化合物の合成において(そうでなければ望まない限り)、「直交保護基戦略(orthogonal protection group strategy)」を適用することで、分子中の他の保護基に影響を与えることなく、いくつかの保護基を一度に1つずつ切断することができることを認識するであろう。直交保護の原理は当該技術分野で周知であり、また、文献にも記載されている(例えば、Barany and R.B.Merrifield,J.Am.Chem.Soc.1977,99,7363;H.Waldmann et al.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1996,35,2056)。
【0098】
当業者は、反応の順序が中間体の反応性及び性質に応じて変化し得ることを認識するであろう。
【0099】
より詳細には、式(I)の化合物は、以下に示す方法、実施例に示す方法、又は類似の方法によって製造することができる。個々の反応工程のための適切な反応条件は、当業者に公知である。また、記載された反応に影響を及ぼす文献に記載の反応条件については、例えば、以下を参照されたい:Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations,2nd Edition,Richard C.Larock.John Wiley&Sons,New York,NY.1999)。溶媒の有無にかかわらず、反応は容易に行うことができた。用いた溶媒の性質に関しては、それが反応又は関与する試薬に悪影響を及ぼさず、かつそれが試薬を少なくともある程度溶解することができるならば、特に制限はない。記載された反応は広範囲の温度にわたって起こる可能性があり、正確な反応温度は本発明にとって重要ではない。-78℃~還流までの温度範囲で、記載された反応を行うのが好都合である。反応に要する時間もまた、多くの要因、特に反応温度及び試薬の性質に依存して、大きく変動し得る。しかしながら、記載された中間体及び化合物を得るには、通常、0.5時間~数日の期間で十分である。反応順序はスキームに示された順序に限定されないが、出発物質及びそれらそれぞれの反応性に応じて、反応工程の順序を自由に変更することができる。
【0100】
出発物質若しくは中間体が市販されていない場合、又はそれらの合成が文献に記載されていない場合には、類似のアナログについての既存の手順と同様に、又は実験の項目で概説されているように、調製することができる。
本明細書では以下の略語が使用される:
【0101】
AcOH=酢酸、ACN=アセトニトリル、Bn=ベンジル、Boc=tert-ブチルオキシカルボニル、CAS RN=Chemical Abstracts登録番号、Cbz=ベンジルオキシカルボニル、CPME=シクロペンチルメチルエーテル、CsCO3=炭酸セシウム、CO=一酸化炭素、CuCl=塩化銅(I)、CuCN=シアン化銅(I)、CuI=ヨウ化銅(I)、DAST=三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄、DBU=1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク-7-エン、DEAD=アゾジカルボン酸ジエチル、DIAD=アゾジカルボン酸ジイソプロピル、DMAP=4-ジメチルアミノピリジン、DME=ジメトキシエタン、DMEDA=N,N’-ジメチルエチレンジアミン、DMF=N,N-ジメチルホルムアミド、DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン、dppf=1,1ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、EDC.HCl=N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、EI=電子衝撃、ESI=エレクトロスプレイイオン化、EtOAc=酢酸エチル、EtOH=エタノール、h=時間、FA=ギ酸、HO=水、HSO=硫酸、HATU=1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム-3-オキシドヘキサフルオロホスファート、HBTU=O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチル-ウロニウム-ヘキサフルオロ-ホスファート、HCl=塩化水素、HOBt=1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、iPrMgCl=イソプロピルマグネシウムクロリド、I=ヨウ素、IPA=2-プロパノール、ISP=正イオンスプレー(モード)、ISN=負イオンスプレー(モード)、KCO=炭酸カリウム、KHCO=炭酸水素カリウム、KI=ヨウ化カリウム、KOH=水酸化カリウム、KPO=リン酸三カリウム、LiAlH又はLAH=水素化アルミニウムリチウム、LiHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、LiOH=水酸化リチウム、mCPBA=メタクロロ過安息香酸、MgSO=硫酸マグネシウム、min=分、mL=ミリリットル、MPLC=中圧液体クロマトグラフィー、MS=質量スペクトル、nBuLi=n-ブチルリチウム、NaBHCN=シアノ水素化ホウ素ナトリウム、NaH=水素化ナトリウム、NaHCO=炭酸水素ナトリウム、NaNO=亜硝酸ナトリウム、NaBH(OAc)=トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、NaOH=水酸化ナトリウム、NaCO=炭酸ナトリウム、NaSO=硫酸ナトリウム、Na=チオ硫酸ナトリウム、NBS=N-ブロモスクシンイミド、nBuLi=n-ブチルリチウム、NEt=トリエチルアミン(TEA)、NHCl=塩化アンモニウム、NMP=N-メチル-2-ピロリドン、OAc=アセトキシ、TP=プロピルホスホン酸無水物、PE=石油エーテル、PG=保護基、Pd-C=パラジウム-活性炭素、PdCl(dppf)-CHCl=1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体、Pd(dba)=トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、Pd(OAc)=酢酸パラジウム(II)、Pd(OH)=水酸化パラジウム、Pd(PPh=テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、PTSA=p-トルエンスルホン酸、R=任意の基、RT=室温、SFC=超臨界流体クロマトグラフィー、S-PHOS=2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、TBAI=テトラブチルアンモニウムヨージド、TBME=tert-ブチルメチルエーテル、TEA=トリエチルアミン、TFA=トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン、TMEDA=N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、ZnCl=塩化亜鉛、Hal=ハロゲン。
【0102】
U、V、W、X、Q、L、A、m、n及びR~Rが本明細書に記載の通りである式Iの化合物は、文献手順と同様に、及び/又は例えばスキーム1aに示されるように合成することができる。
【化13】
【0103】
したがって、二環式ピペラジン1を、ビス(トリクロロメチル)カーボネートのような尿素形成試薬の存在下において、好適な塩基、及び、例えばDCM中の炭酸水素ナトリウム等の溶媒を用いて中間体2と反応させて、式IAの化合物を得る(工程a)。更なる尿素形成試薬としては、ホスゲン、クロロ蟻酸トリクロロメチル、(4-ニトロフェニル)カーボネート、又は1,1’-カルボニルジイミダゾールが挙げられるが、これらに限定されない。この種の反応及びこれらの試薬の使用は、文献に広く記載されている(例えば、G.Sartori et al.,Green Chemistry 2000,2,140)。当業者は、中間体として形成された塩化カルバモイルの反応性及び安定性のために、並びに望ましくない対称的な尿素副産物の形成を回避するために、試薬の添加順序がこの種の反応において重要であり得ることを認識するであろう。
【0104】
U、V、W、X、Q、L、A、m、n及びR~Rが本明細書に記載の通りである式IBの化合物は、文献手順と同様に、及び/又は例えばスキーム1bに示されるように合成することができる。
【化14】
【0105】
したがって、中間体2を活性化形態の二環式カルボン酸3a(G=OH)又はカルボン酸塩化物3b(G=Cl)とカップリングさせて、化合物IBを得ることができる(工程a)。このタイプのアミドカップリングは、文献に広く記載されており、好適な溶媒、例えばDMF、DMA、DCM又はジオキサン中、任意に塩基(例えば、TEA、DIPEA(Huenig塩基)又はDMAP)の存在下で、CDI、DCC、HATU、HBTU、HOBT、TBTU、T3P又は向山試薬(Mukaiyama T.Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.1979,18,707)等のカップリング試薬を使用することによって達成することができる。
【0106】
あるいは、カルボン酸3aは、無溶媒又は任意にDCM等の溶媒中で、例えば塩化チオニル又は塩化オキサリルで処理することによって、それらの酸塩化物3bに変換することができる。0℃から溶媒又は溶媒混合物の還流温度の範囲の温度で、DCM又はDMF等の適切な溶媒及び塩基(例えばTEA、ヒューニッヒ塩基、ピリジン、DMAP又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミド)中で酸塩化物と中間体2とを反応させて、化合物IBを得る(工程a)。
【0107】
いくつかの実施形態において、二環式ピペラジン中間体1は、タイプ1aの中間体である。RがC1~6アルキルであるタイプ1aの中間体は、当業者に周知の方法によって、スキーム2に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化15】
【0108】
市販の3-アミノ-5-ブロモ-ピリジン-4-オール4は、例えばクロロ-又はブロモアセチルクロリド5でアシル化することができ、「LG」は好適な脱離基(例えば、Cl又はBr)を示し、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム、水酸化ナトリウム又は酢酸ナトリウム等の好適な塩基を、THF、水、アセトン、又はそれらの混合物等の適切な溶媒中で使用して、中間体6を提供する(工程a)。
【0109】
中間体6は、当該技術分野で周知の方法を用いて、例えば、7をTHF中の水素化ナトリウム又はIPA及び水中のカリウムtert-ブトキシドで処理することによって、中間体6に環化することができる(工程b)。そのタイプの反応は、文献(例えば、Z.Rafinski et al.,J.Org.Chem.2015,80,7468;S.Dugar et al.,Synthesis 2015,47(5),712;国際公開第2005/066187号)に記載されている。
【0110】
中間体7を、室温と溶媒又は溶媒混合物の沸点の間の温度で、適切な溶媒(例えば、ジオキサン、ジメトキシエタン、水、トルエン、DMF又はそれらの混合物)及び適切な塩基(例えば、NaCO、NaHCO、KF、KCO又はTEA)中、好適な触媒(例えば、トリフェニルホスフィンとのジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)又は酢酸パラジウム(II))を使用して、市販されているか、例えば、‘‘Boronic Acids-Preparation and Applications in Organic Synthesis and Medicine’’by Dennis G.Hall(ed.)1st Ed.,2005,John Wiley&Sons,New Yorkに記載される文献の手順を使用して調製された、タイプRB(OH)のC1~6-アルキルボロン酸又はタイプRB(OR)のボロン酸エステル(例えば4,4,5,5-テトラメチル-2-フェニル-1,3,2-ジオキサボロラン(ピナコール)エステル)と反応させて、中間体7中の臭素をC1~6-アルキルに変換して、中間体8(工程c)を得ることができる。このタイプの鈴木反応は文献(例えば、A.Suzuki,Pure Appl.Chem.1991,63,419-422;A.Suzuki,N.Miyaura,Chem.Rev.1995,95,2457-2483;A.Suzuki,J.Organomet.Chem.1999,576,147-168;V.Polshettiwar et al.,Chem.Sus.Chem.2010,3,502-522)に広く記載されており、当業者に周知である。
【0111】
例えば、THF、MeOH、EtOH、EtOAc又はそれらの混合物のような溶媒中、任意に硫酸等の酸の存在下、大気圧又は高圧の水素で、室温から溶媒の沸点までの範囲の温度にて、Pd(OH)、Pd/C又はRh/C等の触媒を使用した不均一接触水素化を適用することで、中間体8を二環式ピペラジン1aに還元することができる(工程d)。
【0112】
いくつかの実施形態では、二環式ピペラジン中間体1は、タイプ1bの中間体である。R=R=Fであるタイプ1bの中間体は、当業者に周知の方法によって、スキーム3に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化16】
【0113】
PGがBoc保護基等の好適保護基であり、Rが例えばメチルであるタイプ9の市販の5,5-ジフルオロ-4-オキソピペリジン中のケトンは、例えば0℃から溶媒の沸点の範囲の温度でMeOH又はEtOH等の好適な溶媒中の水素化ホウ素ナトリウム又はカリウムを使用することによってアルコール官能基に還元して、中間体10を得ることができる(工程a)。あるいは、ケトン官能性は、当該技術分野で公知であり、文献(例えば、Acc.Chem.Res.2007,40,12,1412-1419)に公開されている酵素的手段によって還元することができる(工程a)。
【0114】
当該技術分野で周知の方法、例えばMeOH、EtOH、THF又はそれらの混合物等の溶媒中でのLiOH又はNaOH等の塩基との反応によるメチルエステルを用いた中間体10中のエステル基の切断により、中間体11が得られる(工程b)。
【0115】
中間体11中のカルボン酸官能基を、トルエン等の溶媒中、例えばTEA等の塩基の存在下、溶媒の沸点までの高温でジフェニルホスホリルアジド等のアジド源と反応させることができる。中間に形成されたアシルアジドからのイソシアネートへのアルコール基のその後の分子内付加により、中間体12が得られる(工程c)。
【0116】
高温でシクロペンチルメチルエーテル等の好適な溶媒中、水酸化ナトリウム等の塩基を使用して中間体12のオキサゾリジノン環を開環すると、中間体13が得られる(工程d)。
【0117】
中間体13を、例えば、スキーム2、工程a)に記載の条件を適用して、例えばクロロ又はブロモアセチルクロリド4でアシル化して、中間体14を得ることができる(工程e)。
【0118】
中間体14を、例えばスキーム2、工程b)に記載の条件を用いて環化して、中間体15を得ることができる(工程f)。
【0119】
当該技術分野で周知の条件、例えば0℃から室温の間の温度でDCM中のTFA又はEtOH若しくはEtOAc中のHClを使用するBoc基を使用して中間体15から保護基を除去すると、中間体1bが得られる(工程g)。
【0120】
いくつかの実施形態では、二環式ピペラジン中間体1は、タイプ1cの中間体である。タイプ1cの中間体は、当業者に周知の方法によって、スキーム4に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化17】
【0121】
市販の2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3(4h)-オン16を、メタノール等の好適な溶媒中で臭化ベンジルと反応させて中間体17を得ることができる(工程a)。
【0122】
例えば、EtOH等の適切な溶媒中で水素化ホウ素ナトリウムを用いて中間体17を還元すると、中間体18が得られる(工程b)。
【0123】
当該技術分野で公知の方法による、例えば、任意に塩化アセチルの存在下で、MeOH中Pd/C等の好適な触媒及び溶媒を使用する水素化による中間体18中のベンジル基の除去によって、中間体1cが得られる(工程c)。
【0124】
いくつかの実施形態では、二環式ピペラジン中間体1は、タイプ1dの中間体である。タイプ1dの中間体は、当業者に周知の方法によって、スキーム5に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化18】
【0125】
市販の4-ブロモピリジン-3-アミン19を、好適な触媒及び塩基、例えば1,1-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリド及びKCOの存在下、DMF等の適切な溶媒中、室温から溶媒の沸点の範囲の温度で、市販されているか又は当該技術分野で公知の方法によって調製されたボロン酸エステル20と反応させて、中間体21を得ることができる(工程a)。
【0126】
中間体21を、例えばMeOH等の好適な溶媒中でナトリウムメタノラート等の好適な塩基と反応させ、続いてヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させ、その後加熱して中間体22を得ることができる(工程)。
【0127】
中間体22は、例えばスキーム4、工程aに記載の条件を用いて中間体23に変換することができる(工程c)。
【0128】
中間体23を、例えばスキーム4、工程bに記載の条件を適用して中間体24に更に変換することができる(工程d)。
【0129】
例えばスキーム4、工程cに記載の条件を用いて中間体24からベンジル基を除去すると、化合物1dが得られる(工程e)。
【0130】
いくつかの実施形態では、二環式ピペラジン中間体1は、タイプ1eの中間体である。タイプ1eの中間体は、当業者に周知の方法によって、スキーム6に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化19】
【0131】
中間体21中の二重結合(スキーム5、工程aに従って調製)を、当該技術分野で公知の方法によって、例えばMeOH中のPd/C等の好適な触媒及び溶媒を使用した水素化によって還元して中間体25を得ることができる(工程a)。
【0132】
中間体25を、任意に高温で、AcOHとHClの混合物を使用して、例えば酸性条件下で中間体26に環化することができる(工程b)。
【0133】
中間体26を、例えばスキーム4、工程aに記載の条件を用いて中間体27に変換することができる(工程c)。
【0134】
スキーム4、工程bに記載の条件を適用して中間体27を還元すると、中間体28が得られる(工程d)。
【0135】
例えばスキーム4、工程cに記載の条件を適用して、中間体28中のベンジル基の除去と架橋二重結合の還元を同時に行うと、中間体1eが得られる(工程e)。
【0136】
いくつかの実施形態では、二環式ピペラジン中間体1は、タイプ1f及び1gの中間体である。タイプ1f及び1gの中間体は、当業者に周知の方法によって、スキーム7に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化20】
【0137】
市販の4-クロロ-3-ニトロ-ピリジン29を、好適な溶媒、例えば1,4-ジオキサン中、TEA等の好適な塩基の存在下で、例えばグリシンメチルエステル塩酸塩(30、HCl塩、R=Me)と反応させて、中間体31を得ることができる(工程a)。
【0138】
例えば、MeOHのような好適な溶媒中のPd/C等の好適な触媒の存在下で水素化を使用して、得られたアミンをエステル官能基上にin situで閉環して、中間体31中のニトロ基を還元すると、中間体32が得られる(工程b)。
【0139】
例えば、好適な塩基及び溶媒、例えばDMF中のTEA及びDMAPを用いたジ-tert-ブチルジカーボネートとの反応による、当該技術分野で周知の方法を適用するBoc基等の好適な保護基による中間体32の第二級塩基性窒素の保護は、中間体33をもたらす(工程c)。
【0140】
中間体33を、例えばスキーム4、工程aに記載の条件を用いてピリジン窒素でベンジル化して、中間体34を得ることができる(工程d)。
【0141】
中間体34を、例えばスキーム4、工程aに記載の条件を用いて還元して、中間体35を得ることができる(工程e)。
【0142】
例えばスキーム4、工程cで概説した条件を適用して中間体35からベンジル基を除去すると、中間体36が得られる(工程f)。
【0143】
当該技術分野で周知の方法を使用して、例えばスキーム3、工程gに記載の条件を使用して、中間体36から保護基、Bocを除去すると、中間体1fが得られる(工程g)。
【0144】
中間体36中の二重結合を、例えばスキーム6、工程eに記載の条件を用いて還元して、中間体37を得ることができる(工程h)。
【0145】
文献の方法によって中間体37中の保護基を除去するか、又は中間体36に対して記載される条件を適用すると、中間体1gが得られる(工程i)。
【0146】
当業者は、一連の反応工程f及びg並びにh及びiが、使用される保護基に応じて逆転され得ることを認識するであろう。
【0147】
いくつかの実施形態では、化合物Iは、タイプIC及びIDの化合物である。Q、L、A、m、n、R及びRが本明細書で定義される通りであるタイプIC及びIDの化合物は、当業者に周知の方法によって、スキーム8に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化21】
【0148】
中間体36(スキーム7、工程fに記載されているように調製)を、当該技術分野で公知の方法を用い、スキーム1に記載されるように、中間体2とカップリングさせて、中間体38を得ることができる(工程a)。
【0149】
例えばスキーム3、工程gに記載の条件を用いて中間体38から保護基を除去すると、化合物ICが得られる(工程b)。
【0150】
中間体37(スキーム7、工程hに記載されているように調製)を、当該技術分野で公知の方法を用い、スキーム1に記載されるように、中間体2とカップリングさせて、中間体39を得ることができる(工程a)。
【0151】
例えばスキーム3、工程gに記載の条件を用いて中間体39から保護基を除去すると、化合物IDが得られる(工程b)。
【0152】
いくつかの実施形態では、中間体2は、タイプ2aの中間体である。R、m、n、A、R及びRが本明細書に記載の通りであり、Rq’が水素、ハロゲン、ハロ-C1~6-アルキル又はC1~6-アルキルである中間体2aは、当該技術分野で周知の方法によって、スキーム9に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化22】
【0153】
中間体42は、0℃から溶媒の沸点の間の温度で、好適な溶媒中(例えば、DMF又はTHF中)、好適な塩基、例えば水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシドを使用する、LGが塩素、臭素、ヨウ素、OSOアルキル(例えばメタンスルホネート)、OSOフルオロアルキル(例えばトリフルオロメタンスルホネート)又はOSOアリール(例えば、p-トルエンスルホネート)等の適切な脱離基である化合物41を用いるアルキル化によって、市販されているか、又は当業者に公知の方法によって調製され、PGがCbz、Boc又はBn等の好適な保護基であるアルコール40から調製され得る(工程a)。
【0154】
当該技術分野で公知の方法(例えば、0℃~室温の温度でDCM中のTFAを用いるBoc基、MeOH、EtOH、EtOAc、又はそれらの混合物等の好適な溶媒中の木炭上のPd又はPd(OH)といった好適な触媒の存在下で水素を用いるCbz基、及び、例えば“Protective Groups in Organic Chemistry”by T.W.Greene and P.G.M.Wuts,4th Ed.,2006,Wiley N.Y.に記載のような基)を適用して、中間体42から保護基を除去すると、中間体2aが得られる(工程b)。
【0155】
いくつかの実施形態では、中間体2は、タイプ2bの中間体である。R、m、n、R及びAが本明細書で定義される通りであり、Rが水素である中間体2bは、スキーム10に概説される一般的な合成手順によって例示することができる様々な条件によって調製することができる。
【化23】
【0156】
FGがCl、Br又はIから選択されるハロゲン化アリール又はヘテロアリール43から出発して、リチウムハロゲン交換反応を、THF、ジエチルエーテル、n-ペンタン、n-ヘキサン又はそれらの混合物のような溶媒、好ましくはTHF中、-20℃~-78℃の温度範囲、好ましくは-78℃で、LiHMDS又はn-BuLi、好ましくはn-BuLiの溶液を使用して実施して、対応するリチウム化アリール又はヘテロアリール中間体を生成することができる。in situで調製したリチウム化アリール又はヘテロアリール中間体を、THF等の溶媒中、好ましくは-78℃の温度で、PGがBoc基等の好適な保護基であるタイプ44のケトンに求核付加させて、対応する第三級アルコール45を得る(工程a)。
【0157】
MeOHのような溶媒中のジオキサン中4M HCl、又は好ましくはDCM中のTFA等の酸性条件を使用してBoc保護基を同時に除去することによる三級ヒドロキシ基のその後の脱離により、対応するオレフィン中間体46が得られる(工程b)。
【0158】
例えば水素の大気圧下で、THF、MeOH、EtOH、EtOAc又はそれらの混合物のような溶媒中、好ましくはTHF中のPd(OH)又はPd/C等の触媒を使用して、オレフィン46の不均一接触水素化により、タイプ2bの中間体が得られる(工程c)。
【0159】
中間体44は市販されており、及び/又は文献、例えばBioorg.Med.Chem.Lett.2011,21(18),5191、国際公開第2012/155199号、国際公開第2016/180536号、Bioorg.Med.Chem.Lett.2008,18(18),5087、国際公開第2007/117557号、J.Am.Chem.Soc.2017,139(33),11353,J.Med.Chem.2017,60(13),5507に記載されている。
【0160】
いくつかの実施形態では、中間体2は、タイプ2cの中間体である。R、m、n、R、R及びAが本明細書に記載の通りである中間体2cは、当該技術分野で公知の方法によって、及びスキーム11に概説される一般的な合成手順によって例示されるように調製することができる。
【化24】
【0161】
市販されているか又は当該技術分野で公知の方法によって調製された、PGが好適な保護基を示し、Xが臭化物又はヨウ化物を示す、中間体47は、市販されているか又は当該技術分野で公知の方法によって調製された、FGが、例えばクロロ、ブロモ、ヨード、-OSOアルキル(例えば、メシレート(メタンスルホネート))、-OSOフルオロアルキル(例えば、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート))又は-OSOアリール(例えば、トシレート(p-トルエンスルホネート))等の好適な官能基を示す、化合物48との根岸、ヘック、スティル、鈴木、薗頭又はバックワルド・ハートウィッグ(Buchwald-Hartwig)のカップリング反応等のクロスカップリング反応に供することができる。このタイプの反応は文献に広く記載されており、当業者に周知である(工程a)。
【0162】
例えば、室温から溶媒又は溶媒混合物の沸点の間の温度で、適切な溶媒(例えば、ジオキサン、ジメトキシエタン、水、トルエン、DMF又はそれらの混合物)及び適切な塩基(例えば、NaCO、NaHCO、KF、KCO又はTEA)中、好適な触媒(例えば、トリフェニルホスフィンとのジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)又は酢酸パラジウム(II))を使用して、中間体47を、市販されているか、又は例えば“Boronic Acids-Preparation and Applications in Organic Synthesis and Medicine”by Dennis G.Hall(ed.),1st Ed.,2005,John Wiley&Sons,New Yorkに記載される文献の手順を使用して調製された、アリール又はヘテロアリールボロン酸48a(FG=B(OH))又はボロン酸エステル48b(FG=例えば、4,4,5,5-テトラメチル-2-フェニル-1,3,2-ジオキサボロラン(ピナコール)エステル)と反応させて、中間体48を得ることができる(工程a)。
【0163】
このタイプの鈴木反応は文献(例えば、A.Suzuki,Pure Appl.Chem.1991,63,419-422;A.Suzuki,N.Miyaura,Chem.Rev.1995,95,2457-2483;A.Suzuki,J.Organomet.Chem.1999,576,147-168;V.Polshettiwar et al.,Chem.Sus.Chem.2010,3,502-522)に広く記載されており、当業者に周知である。あるいは、アリール-又はヘテロアリール-トリフルオロボレート48c(FG=BF)を、室温から溶媒又は溶媒混合物の沸点の間の温度で、トルエン、THF、ジオキサン、水又はそれらの混合物等の溶媒中、炭酸セシウム又はリン酸カリウム等の好適な塩基の存在下で、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)又はジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]-パラジウム(II)ジクロロメタン付加物等のパラジウム触媒を適用して、クロスカップリング反応に使用することができる(工程a)。
【0164】
あるいは中間体47を、室温から溶媒又は溶媒混合物の沸点の間の温度で、好適な触媒及び溶媒、例えばDMF中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(0)を用いて、アリール又はヘテロアリールスタンナン48d(FGはSn(アルキル)であり、アルキルが置換可能なn-ブチル又はメチルである)と反応させて、中間体49を得ることができる(工程a)。そのタイプのスティル反応は当該技術分野で周知であり、文献、例えばOrg.React.1997,50,1-652,ACS Catal.2015,5,3040-3053に記載される。
【0165】
さらに、中間体47を、室温から溶媒の沸点の間の温度で、適切な触媒及び溶媒系、例えば、DMA中の[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)及びヨウ化銅(I)、又はTHF若しくはDMF中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を使用して、商業的に入手可能であるか、又は文献の方法によって調製されるかのいずれかの、アリール又はヘテロアリール亜鉛ハロゲン化物48e(FGはZnHal及びHal、好ましくは臭化物又はヨウ化物である)と反応させて、中間体49を得ることができる(工程a)。そのタイプの根岸反応は当該技術分野で周知であり、文献、例えばOrg.Lett.,2005,7,4871,ACS Catal.2016,6(3),1540-1552.Acc.Chem.Res.1982,15(11),pp340-348にも記載されている。あるいは、中間体49は、文献の方法(例えば、DMA等の好適な溶媒中のクロロトリメチルシラン及び1,2-ジブロモエタンの存在下での47とZn粉末との反応)を適用することによって、Xが例えばヨージドである中間体47を対応する亜鉛種に変換し、亜鉛種をアリール-又はヘテロアリールブロミド-又はヨージドと前に述べた条件下でカップリングすることによって調製し得る。
【0166】
あるいは、Xが好ましくは臭化物である中間体47を、DMEのような溶媒中の無水炭酸ナトリウム等の好適な塩基の存在下で、[Ir{dF(CF)ppy}2(dtbpy)]PF([4,4’-ビス(1,1-ジメチルエチル)-2,2’-ビピリジン-N1,N1’]ビス[3,5-ジフルオ-2-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル-N]フェニル-C]イリジウム(III)ヘキサフルオロホスフェート)、NiClグライム(ジクロロ(ジメトキシエタン)ニッケル)、4,4’-ジ-tert-ブチル-2,2’-ジピリジル及びトリス(トリメチルシリル)シランのようなニッケル触媒等の適切な光触媒を使用して、420nmの青色光ランプの照射下でFGが臭化物を表すアリール-又はヘテロアリールブロミド48fとの交差求電子カップリングに供することができる。このタイプの反応は、文献、例えばJ.Am.Chem.Soc.2016,138,8084に記載されている。(工程a)。
【0167】
さらに、LGが好ましくはヨウ素である中間体47を、室温と溶媒の沸点の間の温度で、任意にマイクロ波加熱を適用して、iPrOH、ジオキサン、THF又はDME、好ましくはiPrOHのような適切な溶媒中、rac-(1R,2R)-2-アミノシクロヘキサン-1-オール及びナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド等の好適な塩基の存在下で、ヨウ化ニッケル(II)等の好適なニッケル触媒を使用して、アリールボロン酸50(FG=B(OH))と鈴木-宮浦クロスカップリング反応させて、中間体51を得ることができる。このタイプの反応は、文献、例えば、ChemistrySelect.2017,2,8841に記載されている(工程c)。
【0168】
中間体51を、前述のクロスカップリング法のうちの1つを適用して化合物R-FG 52と反応させて、中間体49を得ることができる(工程d)。
【0169】
中間体51中のブロモ又はヨード置換基を、文献に記載されている方法に従って、又は工程aで概説されているようにボロン酸又はボロン酸エステル(例えばピナコールエステル)に変換して中間体53を得ることができる(工程e)。
【0170】
中間体53を、例えば、FGが例えば臭素又はヨウ素である化合物R-FG52との鈴木カップリングを使用し、工程aに記載される条件を適用して、中間体49に変換することができる(工程f)。
【0171】
当該技術分野で周知の方法を適用し、例えばスキーム9、工程bに記載されるように中間体49から保護基を除去すると、中間体2cが得られる(工程b)。
【0172】
一態様では、本発明は、本明細書に記載されている式(I)の化合物を製造する方法であって、
(a)式2(式中、m、n、Q、L、A、R及びRは本明細書に記載の通りである)のアミン
【化25】

を、カルボン酸3a(式中、U、V、W、X、R及びRは本明細書中に記載の通りである)
【化26】

と、CDI、DCC、HATU、HBTU、HOBT、TBTU、T3P又は向山試薬等のカップリング試薬の存在下、及び任意にTEA、DIPEA(Huenig塩基)又はDMAP等の塩基の存在下で反応させるか;又は
(b)式2(式中、m、n、Q、L、A、R及びRは本明細書に記載の通りである)のアミン
【化27】

を、カルボン酸塩化物3b(式中、U、V、W、X、R及びRは本明細書中に記載の通りである)
【化28】

と、TEA、ヒューニッヒ塩基、ピリジン、DMAP又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミド等の塩基の存在下で反応させるか、又は
(c)式1(式中、U、V、W、X、R及びRは本明細書に記載の通りである)の第1のアミン
【化29】

を、第2のアミン2(式中、A、L、m、n、Q、R及びRは本明細書に記載の通りである)
【化30】

重炭酸ナトリウム等の塩基、及びビス(トリクロロメチル)カーボネート、ホスゲン、クロロギ酸トリクロロメチル、(4-ニトロフェニル)カーボネート又は1,1’-カルボニルジイミダゾール等の尿素形成試薬の存在下で反応させて、
前記式(I)の化合物を形成することを含む、方法。
【0173】
一態様では、本発明は、本明細書に記載の方法のいずれか1つに従って製造される場合、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
MAGL阻害活性
【0174】
本発明の化合物は、MAGL阻害剤である。したがって、一態様では、本発明は、哺乳動物におけるMAGLを阻害するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0175】
更なる態様では、本発明は、哺乳動物におけるMAGLを阻害する方法で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0176】
更なる態様では、本発明は、哺乳動物におけるMAGLを阻害する医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0177】
更なる態様では、本発明は、哺乳動物におけるMAGLを阻害するための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0178】
アラキドン酸を生じる天然基質である2-アラキドノイルグリセロールの加水分解に続いて酵素活性を決定することで、MAGL阻害活性について化合物をプロファイリングした。続いて、質量分析を行ってもよい。このアッセイを、以下「2-AGアッセイ」と略記する。
【0179】
2-AGアッセイを、384ウェルのアッセイプレート(PP、Greiner、カタログ番号784201)中で、総体積20μLで実施した。化合物希釈物を、ポリプロピレンプレート中、100%DMSO(VWR Chemicals 23500.297)中にて3倍希釈ステップで作成して、アッセイにおける最終濃度範囲を12.5μM~0.8pMとした。0.25μLの化合物希釈物(100%DMSO)を、アッセイ緩衝液(50mM TRIS(GIBCO、15567-027)、1mM EDTA(Fluka、03690-100ml)、0.01%(体積/体積)Tween)中の9μLのMAGLに加えた。振盪後、プレートを室温で15分間インキュベートした。反応を開始するために、アッセイ緩衝液中の10μLの2-アラキドノイルグリセロールを添加した。アッセイにおける最終濃度は、50pM MAGL及び8μM 2-アラキドノイルグリエロール(arachidonoylglyerol)であった。振盪後、室温で30分間インキュベーションした後、4μMのd8-アラキドン酸を含有する40μLのアセトニトリルを添加して、反応をクエンチした。アラキドン酸の量を、オンラインSPEシステム(Agilent Rapidfire)をトリプル四重極質量分析計(Agilent 6460)と組み合わせて追跡した。C18 SPEカートリッジ(G9205A)を、アセトニトリル/水液体セットアップで使用した。質量分析計は、アラキドン酸について303.1→259.1、d8-アラキドン酸について311.1→267.0の質量遷移に従って、負エレクトロスプレーモードで操作した。化合物の活性は、強度比[アラキドン酸/d8-アラキドン酸]に基づいて算出した。
【表1】
【0180】
一態様では、本発明は、式(I)の化合物、及び本明細書に記載のそれらの薬学的に許容され得る塩又はエステルを提供し、当該式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容され得る塩又はエステルは、本明細書に記載のMAGLアッセイで測定した場合、MAGL阻害に対するIC50が25μM未満、好ましくは10μM未満、より好ましくは5μM未満である。
【0181】
一実施形態では、本明細書に記載の式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容され得る塩又はエステルは、本明細書に記載のMAGLアッセイで測定した場合、IC50(MAGL阻害)値が0.000001μM~25μMの間であり、特定の化合物は、IC50値が0.000005μM~10μMの間であり、更に特定の化合物は、IC50値が0.00005μM~5μMの間である。
本発明の化合物の使用
【0182】
一態様では、本発明は、治療活性物質として使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0183】
更なる態様では、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0184】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経炎症及び/又は神経変性疾患の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0185】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経変性疾患の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0186】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物におけるがんの処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0187】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における炎症性腸疾患の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0188】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における疼痛の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0189】
一態様では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸がん発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に伴う痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛、及び/又は内臓痛の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0190】
好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病及び/又はパーキンソン病の処置又は予防のための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0191】
特に好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症を処置又は予防するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0192】
一態様では、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0193】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経炎症及び/又は神経変性疾患の処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0194】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物におけるがんの処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0195】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経変性疾患の処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0196】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における炎症性腸疾患の処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0197】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における疼痛の処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0198】
一態様では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸がん発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に伴う痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛、及び/又は内臓痛の処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0199】
好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、及び/又はパーキンソン病の処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0200】
特に好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症の処置又は予防で使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0201】
一態様では、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0202】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経炎症及び/又は神経変性疾患の処置又は予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0203】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経変性疾患の処置又は予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0204】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物におけるがんの処置又は予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0205】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における炎症性腸疾患の処置又は予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0206】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における疼痛の処置又は予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0207】
更なる態様では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸がん発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に伴う痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛、及び/又は内臓痛の処置又は予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0208】
好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病及び/又はパーキンソン病の処置又は予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0209】
特に好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症の処置又は予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0210】
一態様では、本発明は、哺乳動物における神経炎症、神経変性疾患、疼痛、がん、精神障害、及び/又は炎症性腸疾患の処置又は予防のための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0211】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経炎症及び/又は神経変性疾患の処置又は予防のための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0212】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における神経変性疾患の処置又は予防のための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0213】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物におけるがんの処置又は予防のための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0214】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における炎症性腸疾患の処置又は予防のための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0215】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物における疼痛の処置又は予防のための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0216】
更なる態様では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、神経毒性、脳卒中、てんかん、不安症、偏頭痛、鬱病、肝細胞癌腫、結腸がん発生、卵巣がん、神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、急性疼痛、慢性疼痛、疼痛に伴う痙縮、腹痛、過敏性腸症候群に伴う腹痛、及び/又は内臓痛の処置又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を該哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。
【0217】
好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症、アルツハイマー病及び/又はパーキンソン病の処置又は予防のための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0218】
特に好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における多発性硬化症の処置又は予防のための方法を提供し、この方法は、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
医薬組成物及び投与
【0219】
一態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物及び治療上の不活性担体を含む医薬組成物を提供する。
【0220】
一実施形態では、本発明は、実施例19及び20に開示される医薬組成物を提供する。
【0221】
式(I)の化合物並びにそれらの薬学的に許容され得る塩及びエステルは、医薬として(例えば、医薬製剤の形態で)使用することができる。医薬製剤は、経口(例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセル剤及び軟質ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の形態)、経鼻(例えば、点鼻スプレー剤の形態)、又は直腸(例えば、坐剤の形態)等で、体内に投与することができる。しかしながら、投与は、筋肉内又は静脈内(例えば、注射液の形態)等で親的に行うこともできる。
【0222】
式(I)の化合物並びにそれらの薬学的に許容され得る塩及びエステルを、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、及び硬質ゼラチンカプセル剤の生産のために薬学的に不活性な無機又は有機アジュバントで処理することができる。ラクトース、コーンスターチ又はそれらの誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等は、例えば、錠剤、糖衣錠及び硬質ゼラチンカプセル剤のアジュバントとして使用することができる。
【0223】
軟質ゼラチンカプセルに好適なアジュバントは、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体物質及び液体ポリオール等である。
【0224】
液剤及びシロップ剤の生産に好適なアジュバントは、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、グルコース等である。
【0225】
注射液に好適なアジュバントは、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等である。
【0226】
座剤に好適なアジュバントは、例えば、天然又は硬化油、ワックス、脂肪、半固体又は液体ポリオール等である。
【0227】
さらに、医薬製剤は、防腐剤、可溶化剤、粘度増加物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、又は酸化防止剤を含むことができる。また、更に他の治療上有用な物質を含有することもできる。
【0228】
投与量は広範に変化させることができ、当然、各特定の症例における個々の要件に適合させる。一般に、経口投与の場合、約0.1mg~20mg/kg体重、好ましくは約0.5mg~4mg/kg体重(例えば、約300mg/人)の毎日の投与量を、好ましくは1~3の個々の投与量に分けて、例えば同じ量で構成し得るのが適切であろう。しかしながら、示されている場合には、本明細書で与えられる上限を超えることができることは明らかである。
【実施例
【0229】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解されるであろう。しかしながら、特許請求の範囲は、本実施例の範囲に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0230】
調製例がエナンチオマーの混合物として得られる場合、純粋なエナンチオマーは、本明細書に記載の方法によって、又は当業者に公知の方法、例えばキラルクロマトグラフィー(例えば、キラルSFC)若しくは結晶化等によって、分離することができる。
【0231】
特に記載のない場合、全ての反応例及び中間体は、アルゴン雰囲気下で調製した。
実施例1
【0232】
rel-(4aR,8S,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-8-メチル-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
【化31】

DCM(2mL)中のビス(トリクロロメチル)カーボネート(34.2mg、115μmol)の氷冷溶液に、重炭酸ナトリウム(55.3mg、658μmol)及びrel-(4aR,8S,8aS)-8-メチルヘキサヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オン(35mg、165μmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。懸濁液に3-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)アゼチジン4-メチルベンゼンスルホネート(69.3mg、165μmol)及びDIPEA(85mg、115μL、658μmol)を添加した。懸濁液を室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を水及びDCM上に注ぎ、層を分離した。水層をDCMで3回抽出した。有機層を水で2回洗浄し、MgSO上で乾燥し、フィルタにかけ、蒸発させた。化合物を分取HPLCによって精製して、所望の化合物を白色固体として得た。M/Z(ESI)446.3[M+H]
中間体
【0233】
3-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)アゼチジン4-メチルベンゼンスルホネート
【化32】

EtOAc(130mL)中のtert-ブチル3-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)アゼチジン-1-カルボキシレート(7.8g、22.3mmol)の氷冷溶液に、4-メチルベンゼンスルホン酸一水和物(4.61g、26.8mmol)を添加し、混合物を還流で3時間加熱した。急速に形成された懸濁液を室温まで一晩冷却した。懸濁液をフィルタにかけ、濾過ケークをEtOAc(20mL)で洗浄して、所望の生成物を無色固体として得た(7.3g;81.2%)。MS(ESI):m/z=250.2[M+H]
工程a)tert-ブチル3-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)アゼチジン-1-カルボキシレート
【0234】
DMF(25mL)中のtert-ブチル3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボキシレート(2.02g、11.7mmol、CAS RN 141699-55-0)の氷冷溶液に、NaH(鉱油中55%分散液;560mg、12.8mmol)を少しずつ添加し、混合物を0℃で30分間撹拌した。DMF(5mL)中の1-(ブロモメチル)-2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(3g、11.7mmol、CAS RN 239087-07-1)の溶液を混合物に滴下した。スラリーの撹拌を室温で3時間続けた。次いで、反応混合物を飽和NHCl水溶液(70mL)及びEtOAc(70mL)に注ぎ、層を分離した。水層をEtOAcで1回抽出した(50mL)。有機層を水で2回洗浄し、MgSO上で乾燥し、フィルタにかけ、シリカゲルで処理し、蒸発させた。化合物を、n-ヘプタン:EtOAc(100:0~60:40)の勾配で溶出するMPLCシステムを使用する40gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物を淡黄色の油状物として得た(3.66g;89.8%)。MS(ESI):m/z=294.1[M-56+H]
実施例2
【0235】
rel-(4aS,8R,8aR)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-8-メチル-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
【化33】

DCM(2mL)中のビス(トリクロロメチル)カーボネート(34.2mg、115μmol)の氷冷溶液に、重炭酸ナトリウム(55.3mg、658μmol)及びrel-(4aS,8R,8aR)-8-メチルヘキサヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オン(35mg、165μmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。懸濁液に3-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)アゼチジン4-メチルベンゼンスルホネート(69.3mg、165μmol、実施例1、中間体)及びDIPEA(85mg、115μL、658μmol)を添加した。懸濁液を室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を水及びDCM上に注ぎ、層を分離した。水層をDCMで3回抽出した。有機層を水で2回洗浄し、MgSO上で乾燥し、フィルタにかけ、蒸発させた。化合物を分取HPLCによって精製して、所望の化合物を白色固体として得た。MS(ESI):m/z=446.3[M+H]
【0236】
工程a)N-(5-ブロモ-4-ヒドロキシ-3-ピリジル)-2-クロロ-アセトアミド
【化34】

アセトン(80mL)及び水(6mL)中の3-アミノ-5-ブロモピリジン-4-オール(2g、10.6mmol)及び酢酸ナトリウム三水和物(2.88g、21.2mmol)の氷冷懸濁液に、アセトン(5mL)中の2-クロロアセチルクロリド(1.25g、885μL、11.1mmol)の溶液を滴下した。混合物を室温で18時間撹拌し、次いで、アセトン及び水を高真空下で除去した。粗物質を、DCM:MeOH(100:0~85:15)の勾配を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物を淡褐色固体として得た(82%)。MS(ESI)=267.1[M+H]
【0237】
工程b)8-ブロモ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
【化35】

DMF(45mL)中のN-(5-ブロモ-4-ヒドロキシピリジン-3-イル)-2-クロロアセトアミド(2.3g、8.66mmol)の溶液に、KCO(2.39g、17.3 mmol)を添加し、懸濁液を100℃に加熱し、1時間撹拌した。混合物をフィルタにかけたKCOを除去し、濾液を蒸発させた。残りの固体にEtOAc(50mL)及び水(20mL)を添加した。溶液を数回振盪し、沈殿した生成物を濾別した。水相がもはや生成物の痕跡を示さなくなるまで、濾液を抽出した。有機相を合わせ、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮して、所望の生成物を灰白色の固体として得た(72%)。MS(ESI):m/z=231.0[M+H]
【0238】
工程c)8-メチル-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
【化36】

25mLチューブに、8-ブロモ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オン(350mg、1.53mmol)、KCO(317mg、2.29mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(88.3mg、76.4μmol)を入れ、アルゴンを流した。脱気ジオキサン(8.2mL)及びトリメチルボロキシン(269mg、299μL、2.14mmol)を添加し、混合物を超音波浴中で2分間保持し、次いで、水(2.7mL)を添加し、混合物を超音波浴中でさらに2分間保持した。黄色懸濁液を135℃で24時間撹拌すると、透明な黄色溶液が形成された。20℃に冷却した後(撹拌せずに)、固体材料を濾別し、5mLのEtOAcで洗浄して、100mgの白色針状物を得た。母液を真空下で除去し、残渣をDCM:MeOH(9:1)30mLの混合物中で20分間撹拌し、フィルタにかけ、有機溶媒を真空下で除去した。残渣を熱ジオキサンから結晶化させて30mgの生成物を得た。生成物バッチを合わせて、130mgの所望の生成物を灰白色固体として得た。MS(ESI):m/z=165.1[M+H]
【0239】
工程d)(4aR,8S又は8R,8aS)-8-メチル-4a,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン及び(4aS,8R又は8S,8aR)-8-メチル-4a,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
【化37】

【化38】

高圧反応器内で、350mgの8-メチル-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オン(2.13mmol)を7mLのMeOHに懸濁した。114Lの硫酸(2.13mmol)及び350mg(68mmol)のRh/C(5%湿潤;水59.4%)Noblyst P3053 # 2514を添加した。装置を閉じ、反応混合物を50barの水素圧下、50℃で18時間水素化した。懸濁液をフィルタにかけ、濾液を蒸発させて230mgの黄色残渣を得た。残渣をキラル分離(Chiralcel OD、流量:40mL/分)によってさらに精製し、207nm、(70%n-ヘプタン/30%EtOH+0.05%NHOAc)によって精製して、所望の化合物の2つのエナンチオマーを得た。
エナンチオマーA(1回目の溶出):70mgの黄色固体、MS(ESI):m/z=170.1[M+H]
エナンチオマーB(2回目の溶出):68mgの黄色固体、MS(ESI):m/z=170.1[M+H]
実施例3
【0240】
rel-(4aS,8aS)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
【化39】

アルゴン下、乾燥DCM(2mL)中のtert-ブチルrel-(4aS,8aS)-8,8-ジフルオロ-3-オキソヘキサヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-6(5H)-カルボキシレート(エナンチオマーA、38mg、130μmol)の溶液に、TFA(119mg、80.1μL、1.04mmol)を添加し、反応物を室温で4時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をACN 2mLに溶解し、TEA(92.1mg、127μL、910μmol)を添加した。次いで、1,1’-カルボニル-ジ(1,2,4トリアゾール)(21.3mg、130μmol)を添加し、反応混合物を60分間撹拌した。次いで、3-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)アゼチジン4-メチルベンゼンスルホネート(65.7mg、156μmol、実施例1、中間体)を添加し、反応物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を水2mLでクエンチし、EtOAc(各10mL)、5%NaHCO水溶液4mL、0.5N HCl 4mL及びブラインで2回抽出した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、蒸発させた。残渣を分取HPLC(Gemini NXカラム、12nm、5μm、100×30mm、ACN/水+0.1%HCOOH)によって精製し、生成物を含有するプール画分を凍結乾燥させて所望の化合物(43%)を得た。MS(ESI):m/z=468.2[M-56+H]
実施例4
【0241】
rel-(4aR,8aR)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
【化40】

アルゴン下の20mLのガラス管において、rel-(4aR,8aR)-8,8-ジフルオロ-3-オキソヘキサヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-6(5H)-カルボキシレート(エナンチオマーB、38mg、130μmol)を乾燥DCM(2mL)に溶解した。TFA(119mg、80.1μL、1.04mmol)を添加し、溶液を室温で4時間撹拌した後、揮物質を除去した。残渣をACN 2mLに溶解し、TEA(92.1mg、127μL、910μmol)を添加した。次いで、1,1’-カルボニル-ジ(1,2,4トリアゾール)(21.3mg、130μmol)を添加し、反応混合物を60分間撹拌した。次いで、3-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)アゼチジン4-メチルベンゼンスルホネート(65.7mg、156μmol、実施例1、中間体)を添加し、撹拌を4時間続けた。反応混合物を水2mLでクエンチし、EtOAc(各10mL)、5%NaHCO水溶液4mL、0.5N HCl 4mL及びブラインで2回抽出した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、蒸発させた。粗生成物を分取HPLC(Gemini NXカラム、12nm、5μm、100×30mm、ACN/水+0.1%HCOOH)によって精製し、生成物含有画分をプールし、凍結乾燥させて、表題化合物(43%)を得た。MS(ESI):m/z=468.2[M-56+H]
【0242】
工程a)1-tert-ブチル3-エチルrac-(3R,4R)-5,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1,3-ジカルボキシレート
【化41】

スルホン化フラスコ内で、イソプロパノール(19.6g、25mL、325.9mmol)に溶解した1-(tert-ブチル)3-エチル-5,5-ジフルオロ-4-オキソピペリジン-1,3-ジカルボキシレート(5g、15.8mmol)、リン酸カリウム緩衝液1M、pH7.0(50mL、50mmol)、水(310g、310mL、17.21mol)、dH2O(100mL、100mmol)中の1Mストック溶液からのD(+)-グルコース一水和物、dH2O(10mL、1mmol)中の100mMストック溶液からのMgCl×6HO及びNADP+二ナトリウム塩(50mg、63.5μmol)を連続的に添加した。混合物を室温で5分間撹拌した。グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH-105、Codexis)(50mg)及びケトレダクターゼ130(KRED 130、Codexia)(500mg)を添加した。
【0243】
NaOH(1M、15.78mL、15.78mmol)を添加したpH Stat(902 Titrando、Metrohm)を使用して、反応時間にわたってpHを一定に維持した(開始時pH7.05)。18時間後、250mLのEtOAcを添加することによって反応を停止させ、5分間激しく撹拌し、次いで、2相混合物をショット(Schott)瓶ですすいだ。Dicalite(30g)を反応混合物に添加し、15分間撹拌し、次いで、dicaliteケーキ(30g)上でフィルタにかけた。2相混合物を分液漏斗で分離し、水相をEtOAc(それぞれ250mL)で3回抽出した。EtOAc層をMgSOで乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を真空下、40℃で完全に濃縮し、残渣を40℃/5mbar未満で1時間乾燥させた。淡黄色の粘性油状物(4.37g、89%)。MS(ESI):m/z=254.2[M-56+H]
【0244】
工程b)rac-(3R,4R)-1-tert-ブトキシカルボニル-5,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-ピペリジン-3-カルボン酸
【化42】

1-(tert-ブチル)3-エチル5,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシピペリジン-1,3-ジカルボキシレート(500mg、1.62mmol)をMTBE(1.04g、1.41mL、11.8mmol)に溶解した。無色透明の溶液にNaOH(3.23mL、6.47mmol)を10分間にわたって添加し、二相混合物を室温で90分間激しく撹拌した。反応混合物を分液漏斗に移し、水層を分離して、2mLの25%HCl(pH=1、氷浴冷却)で酸性化し、分液漏斗に移した。次いで、水層をTBME(各10mL)で2回抽出し、有機層を真空中で濃縮して、所望の化合物を白色泡状物として得た(94%)。MS(ESI):m/z=280.2[M-H]
【0245】
工程c)tert-ブチルrac-(3aS,7aS)-7,7-ジフルオロ-2-オキソ-3a,4,6,7a-テトラヒドロ-3H-オキサゾロ[4,5-c]ピリジン-5-カルボキシレート
【化43】

1-(tert-ブトキシカルボニル)-5,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシピペリジン-3-カルボン酸(1300mg、4.62mmol)を乾燥トルエン(3.83g、4.43mL、41.6mmol)に懸濁し、TEA(1.4g、1.93mL、13.9mmol)を添加した。得られた無色透明溶液を撹拌しながら82℃まで加熱した。次いで、97%ジフェニルホスホリルアジド(1.44g、1.13mL、5.08mmol)を10分間にわたって滴下した。反応混合物を80℃で1.5時間撹拌した。淡黄色反応混合物を室温に冷却し、2.5mLの1M NaOHを添加した。室温で10分間撹拌した後、反応混合物をEtOAc及び水で抽出し、有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を真空下で除去した。残渣を、EtOAc:n-ヘプタン(0:100~100:0)の勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物を淡黄色固体として得た(22%)。MS(ESI):m/z=277.2[M-H]
【0246】
工程d)tert-ブチルrac-(4R,5R)-5-アミノ-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシレート
【化44】

tert-ブチルrac-7,7-ジフルオロ-2-オキソヘキサヒドロオキサゾロ[4,5-c]ピリジン-5(4H)-カルボキシレート(275mg、988μmol)をシクロペンチルメチルエーテル(1.48g、1.73mL、14.8mmol)に懸濁し、NaOH(1.88mL、3.76mmol)を22℃で添加した。二層懸濁液を70℃に加熱し、6時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、分離漏斗に移した(5mLのCPMEを移送に使用した)。層を分離し、水層をCPME(各6mL)で2回抽出した後、ブラインで抽出した。有機層を蒸発させて、化合物を白色固体(57%)として得た。MS(ESI):m/z=253.2[M-H]
【0247】
工程e)tert-ブチルrac-(4R,5R)-5-[(2-クロロアセチル)アミノ]-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシレート
【化45】

tert-ブチル5-アミノ-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(142mg、563μmol)を50℃で酢酸イソプロピル(1.74g、2mL、17mmol)に溶解し、次いで、室温に冷却し、水(1g、1mL、55.5mmol)中のNaCO(89.5mg、844μmol)の溶液を添加した。得られた透明な二相性溶液を0℃に冷却し、クロロアセチルクロリド(80.7mg、56.9μL、715μmol)を0~4℃でゆっくり滴下した。反応混合物を0℃で15分間撹拌し、室温に加温し、水5mLでクエンチし、分離漏斗に移した。層を分離し、水層をEtOAc(各10mL)で2回再抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、蒸発させると、標記化合物が淡黄色油状物(97%)として得られた。MS(ESI):m/z=273.1[M-56+H]
【0248】
工程f)tert-ブチルrel-(4aS,8aS)-8,8-ジフルオロ-3-オキソ-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-6-カルボキシレート及びtert-ブチルrel-(4aR,8aR)-8,8-ジフルオロ-3-オキソ-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-6-カルボキシレート
【化46】

【化47】

カリウムtert-ブトキシド(246 mg、2.19 mmol)を2.5 mLの2-プロパノールに0~5℃で少しずつ溶解した。溶液を30℃に加温し、tert-ブチルrac-5-(2-クロロアセトアミド)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(180mg、548μmol)を含む1.6mLの2-プロパノールを一度に添加した。反応混合物を-30~35℃で30分間撹拌した。反応混合物を18~20℃に冷却し、1mLの水でクエンチし、0.9mLの2M HCl(pH=6)で中和し、次いで、真空中で濃縮した。残渣をEtOAc(それぞれ10mL)で3回抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、蒸発させた。残渣を精製し、エナンチオマーをSFC(OD-Hカラム、12nm、5μm、250×20mm、10%EtOH)によって分離して、表題化合物を得た。
エナンチオマーA(第1の溶出):38mg(24%)、無色の粘性油状物、MS(ESI)m/z=237.2[M-56+H]
エナンチオマーB(2回目の溶出):37mg(23%)、白色泡状物、MS(ESI)m/z=237.2[M-56+H]
実施例5
【0249】
rel-(4aS,8aS)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[4-(2,2,2-トリフルオロエチル)フェニル]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
【化48】

アルゴン下のガラス管中で、tert-ブチルrel-(4aS,8aS)-8,8-ジフルオロ-3-オキソヘキサヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-6(5H)-カルボキシレート(エナンチオマーA、0.025g、85.5μmol)をDCM(1.5mL)に溶解し、TFA(78mg、52.7μL、684μmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、溶媒を除去した。残渣をACN(1.5mL)に溶解し、TEA(60.6mg、83.5μL、599μmol)を添加した後、1,1’-カルボニル-ジ(1,2,4トリアゾール)(16.8mg、103μmol)を添加した。反応混合物を室温で撹拌し、3-(4-(2,2,2トリフルオロエチル)フェニル)アゼチジン4-メチルベンゼンスルホネート(39.8mg、103μmol)を添加し、撹拌を室温で3時間続けた。反応混合物を水でクエンチし、EtOAcで2回抽出した。有機層を合わせ、5% NaHCO水溶液、続いてHCl 0.5Mで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、10g、勾配MeOH:DCM 0:100~10:90)によって精製すると、所望の生成物が白色泡状物(73%)として得られた。MS(ESI):m/z=434.3[M+H]
中間体
【0250】
3-(4-(2,2,2-トリフルオロエチル)フェニル)アゼチジン4-メチルベンゼンスルホネート
【化49】

EtOAc(12mL)中のtert-ブチル3-(4-(2,2,2トリフルオロエチル)フェニル)アゼチジン-1-カルボキシレート(975mg、3.09mmol)の溶液に、4-メチルベンゼンスルホン酸(639mg、3.71mmol)を添加した。反応混合物を加熱還流し、撹拌を2時間続けた。室温に冷却した後、形成した懸濁液を真空中で濃縮し、表題化合物を無色固体(540.3mg;45.1%)として得た。MS(ESI):m/z=216.1[M+H]
【0251】
工程a)tert-ブチル3-(4-(2,2,2-トリフルオロエチル)フェニル)アゼチジン-1-カルボキシレート
【化50】

撹拌棒を装備した20mLバイアルに、(Ir[dF(CF3)ppy]2(dtbpy))PF6(23.8mg、21.2μmol)、1-ブロモ-4-(2,2,2トリフルオロエチル)ベンゼン(506mg、2.12mmol)、tert-ブチル3-ブロモアゼチジン-1-カルボキシレート(500mg、2.12mmol)、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-(トリメチルシリル)トリシラン(527mg、653μL、2.12mmol)及び無水炭酸ナトリウム(449mg、4.24mmol)を添加した。バイアルを密封し、アルゴン下に置いた後、DME(9mL)を添加した。
【0252】
別のバイアルに、塩化ニッケル(II)エチレングリコールジメチルエーテル錯体(4.65mg、21.2μmol)及び4,4’-ジ-tert-ブチル-2,2’-ビピリジン(5.68mg、21.2μmol)を添加した。プレ触媒バイアルを密封し、アルゴンでパージし、次いで、DME(4mL)を添加した。プレ触媒バイアルを5分間超音波処理し、その後、そのうち2mLを20mLバイアルに注入した。
【0253】
懸濁液をアルゴンで脱気し、反応物を撹拌し、420nmランプで1時間照射した。次いで、反応混合物をフィルタにかけ、濾液をシリカゲルで処理し、蒸発させた。化合物を、最初にn-ヘプタン:EtOAc(100:0~70:30)の勾配で溶出するMPLC(ISCO)システムを使用する12gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィー、続いてn-ヘプタン:EtOAc(100:0~70:30)の定組成混合物で溶出するMPLC(ISCO)システムを使用する40gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物を無色の液体として得た(0.297g;42.3%)。MS(ESI):m/z=260.1[M-56+H]
実施例6
【0254】
rel-(4aR,8aR)-8,8-ジフルオロ-6-[3-[4-(2,2,2-トリフルオロエチル)フェニル]アゼチジン-1-カルボニル]-4a,5,7,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
【化51】

アルゴン下のガラス管中で、tert-ブチルrel-(4aR,8aR)-8,8-ジフルオロ-3-オキソヘキサヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-6(5H)-カルボキシレート(エナンチオマーB、0.032g、109μmol)をDCM(2mL)に溶解し、TFA(99.9mg、67.5μL、876μmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣をACN(2mL)に溶解した。TEA(77.6mg、107μL、766μmol)を加えた後、1,1’-カルボニル-ジ(1,2,4トリアゾール)(21.6mg、131μmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、3-(4-(2,2,2トリフルオロエチル)フェニル)アゼチジン4-メチルベンゼンスルホネート(50.9mg、131μmol、実施例5、中間体)を添加し、撹拌を室温で3時間続けた。反応混合物を水でクエンチし、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を5%NaHCO水溶液、引き続いてHCl 0.5Mで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、フィルタにかけて、濃縮した。粗生成物を、ACN:水(0.1%TEAを含有)(15:85~100:0)の勾配を使用する分取HPLC(Gemini NXカラム)によって精製して、所望の化合物を白色粉末として得た(16.6mg;35%)。MS(ESI):m/z=424.3[M+H]
実施例7
【0255】
6-[4-[[4-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]ピペリジン-1-カルボニル]-4,5,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
【化52】

DCM(1.5mL)中のビス(トリクロロメチル)カーボネート(84.7mg、286μmol)の氷冷溶液に、重炭酸ナトリウム(137mg、1.63mmol)及び4-[[4-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]ピペリジン;塩酸塩(114mg、408μmol、CAS RN 192990-03-7)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。懸濁液に、DCM(1.5mL)中の5,6,7,8-テトラヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オン(74mg、408μmol)の溶液及びDIPEA(211mg、285μL、1.63mmol)を添加した。懸濁液を室温で1.75時間撹拌した。反応混合物を水及びDCM上に注ぎ、層を分離した。水層をDCMで3回抽出した。有機層を水で2回洗浄し、MgSO上で乾燥し、フィルタにかけ、シリカゲルで処理し、蒸発させた。化合物を、n-ヘプタン:EtOAc(100:0~0:100)の勾配で溶出するMPLCシステムを使用する4gカラムでのシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、粗生成物を得た。生成物を、ACN:水(0.1%TEAを含有)(15:85~100:0)の勾配を用いて分取HPLC(Gemini NXカラム)で精製して、所望の化合物を無色固体として得た(0.041g;23.7%)。MS(ESI):m/z=424.3[M+H]
【0256】
工程a)6-ベンジル-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-6-イウム-3-オン;臭化物
【化53】

DCM(42mL)中の2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オン(4.0g、26.6mmol)の懸濁液を(ブロモメチル)ベンゼン(5.47g、3.8mL、32mmol)及びMeOH(10.4mL)で処理し、混合物を室温で60時間撹拌した。懸濁液が形成され、これを4℃に冷却し、次いでフィルタにかけた。濾液を冷DCM/n-ヘキサンで洗浄して、所望の化合物を無色固体として得た(7.63g;89%)。MS(ESI):m/z=241.1[M+H]
【0257】
工程b)6-ベンジル-4,5,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
【化54】

EtOH(41mL)中の6-ベンジル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-6-イウムブロミド(7.6g、23.7mmol)の懸濁液に、NaBH(1.25g、33.1mmol)(発熱性、22℃~45℃、黄色の懸濁物が形成された)を少しずつ加えた。混合物を2時間かけて22℃まで冷却した。次いで、反応混合物を蒸発させ、水とEtOAcとに分け、層を分離した。水層をEtOAcで1回抽出した。有機層を水で2回洗浄し、MgSO上で乾燥し、フィルタにかけ、シリカゲルで処理し、蒸発させた。化合物を、n-ヘプタン:EtOAc(25分で50:50~0:100)の勾配で溶出するMPLCシステムを使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物を灰白色の固体として得た(3.6g;62.3%)。MS(ESI):m/z=245.2[M+H]
【0258】
工程c)5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
【化55】

アルゴン下、MeOH(1mL)中の6-ベンジル-5,6,7,8-テトラヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オン(100mg、409μmol)の溶液に、塩化アセチル(32.1mg、29.1μL、409μmol)を添加し、続いてPd/C10%(10mg、409μmol)を添加した。懸濁液を1.5barの水素雰囲気下、室温で2.5時間撹拌した。混合物をフィルタにかけ、フィルタケーキをMeOHで洗浄した。濾液を蒸発させて、所望の化合物を灰白色固体(0.074g;99.7%)として得た。MS(ESI):m/z=155.1[M+H]
実施例8
【0259】
7-(4-ベンズヒドリルピペリジン-1-カルボニル)-1,5,6,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン
【化56】

DCM(3mL)中の5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-2-オン2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(100.0mg、0.380mmol)及びDIEA(97.8mg、0.760mmol)の混合物に、4-ベンズヒドリルピペリジン-1-カルボニルクロリド(120.0mg、0.380mmol、実施例10、工程h)を加えた。混合物を20℃で12時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(水及びMeCN中0.5%v/vアンモニア)によって精製し、表題化合物を灰白色固体として得た(20mg、0.050mmol、12.1%)。MS(ESI):m/z=428.3[M+H]
【0260】
工程a)エチル(E)-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)プロパ-2-エノエート
【化57】

THF(65mL)中の塩化銅(l)(158.71mg、1.6mmol)ナトリウムt-ブタノレート(462.2mg、4.81mmol)及び(5-ジフェニルホスファニル-9,9-ジメチル-キサンテン-4-イル)-ジフェニル-ホスファン(927.62mg、1.6mmol)の溶液をNでパージし、25℃で30分間撹拌した。次いで、THF(33mL)中のビス(ピナコラト)ジボロン(13.6g、53.4mmol)を添加し、反応物をさらに10分間撹拌した。プロピオル酸エチル(5.4mL、53.4mmol、CAS RN 623-47-2)を加え、続いてMeOH(4mL)を加えた。反応混合物を25℃で11時間撹拌した。反応物を水(50mL)でクエンチし、MeOHを除去した後、EtOAc(それぞれ100mL)で3回抽出した。合わせた有機層を水(各40mL)及びブライン(40mL)で2回洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=1:0~5:1)によって精製して、所望の化合物を淡黄色油状物として得た(10.3g、45.56mmol、85.3%)。プロトンNMR:H NMR(300 MHz,CHLOROFORM-d)δ=6.69-6.60(m,1H),6.55-6.44(m,1H),4.09(q,J=7.2 Hz,2H),1.16(s,12H),1.15(s,3H).
【0261】
工程b)エチル(E)-3-(3-アミノ-4-ピリジル)プロパ-2-エノエート
【化58】

DMF(25mL)中の2-エトキシカルボニルビニルボロン酸ピナコールエステル(9.0g、39.8mmol)の溶液に、3-アミノ-4-ブロモピリジン(6.89g、39.81mmol、CAS RN 239137-39-4)、KCO(11g、79.6mmol)及び1,1-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリド(2594mg、3.98mmol)を添加した。混合物をNで3回パージした。反応混合物を80℃に12時間加熱した。室温に冷却した後、反応物を水(10mL)でクエンチし、次いで、減圧下で蒸発させた。残渣を逆カラムクロマトグラフィー(水及びMeCN中0.1%v/vアンモニア)によって精製して、所望の生成物を黒色固体として得た(2.3g、12.0mmol、30.1%)。MS(ESI):m/z=193.1[M+H]
【0262】
工程c)1H-1,7-ナフチリジン-2-オン
【化59】

MeOH(15mL)中のエチル(E)-3-(3-アミノ-4-ピリジル)プロパ-2-エノエート(1800.0mg、9.36mmol)の溶液に、MeONa(6.94mL、37.5mmol)を25℃で添加した。次いで、ヒドロキシルアミン塩酸塩(2603mg、37.46mmol)を混合物に添加し、混合物を12時間80℃に加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を逆カラムクロマトグラフィー(水及びMeCN中の0.1%v/v FA)によって精製して、所望の化合物を黄色固体として得て(1000mg、6.84mmol、73.1%)、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0263】
工程d)7-ベンジル-1,5,6,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン
【化60】

EtOH(15mL)中の1H-1,7-ナフチリジン-2-オン(900.0mg、6.16mmol)の溶液に、臭化ベンジル(2106.5mg、12.32mmol)を添加し、反応混合物を80℃で12時間撹拌した。次いで、混合物を0℃に冷却し、NaBH(2340mg、61.6mmol)を慎重に添加した。反応混合物を1M HCl水溶液に注ぎ(30mL)、EtOAc(それぞれ30mL)で3回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧下で蒸発させた。残渣を逆カラムクロマトグラフィー(水及びMeCN中0.1%v/v FA)によって精製して、生成物を黄色油状物として得て(600mg、2.5mmol、40.6%)、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0264】
工程e)5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-2-オン2,2,2-トリフルオロアセテート
【化61】

MeOH(10mL)中の7-ベンジル-1,5,6,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン(600.0mg、2.5mmol)の溶液に、湿式Pd/C(60.0mg、重量10%)及びTFA(1.0mL)を加えた。反応混合物をHで3回パージし、次いで、H雰囲気(バルーン)下、25℃で4時間撹拌した。反応混合物をフィルタにかけ、濾液を真空中で濃縮して粗生成物を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した(500mg、1.89mmol、75.8%)。
実施例9
【0265】
7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,5,6,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン
【化62】

MeCN(5mL)中の(4-ニトロフェニル)3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボキシレート(235.23mg、0.570mmol、実施例9、工程c)及びTEA(114.7mg、1.14mmol)の溶液に、5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-2-オン2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(100.0mg、0.380mmol、実施例8、工程e)を添加し、混合物を80℃で16時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(0.225%v/v FA)によって精製し、凍結乾燥させ、表題化合物を白色固体(19.9mg、0.050mmol、12.2%)として得た。MS(ESI):m/z=426.2[M+H]
【0266】
工程a)tert-ブチル3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボキシレート
【化63】

トルエン(15mL)中の[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メタノール(1500.0mg、7.73mmol CAS RN 197239-49-9)及びtert-ブチル3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボキシレート(1405.3mg、8.11mmol、CAS RN 141699-55-0)の溶液に、シアノメチルトリブチルホスホラン(2797.3mg、11.6mmol)を添加し、混合物をマイクロ波加熱下100℃で1時間撹拌した。室温に冷却した後、混合物を濃縮し、残渣を逆カラムクロマトグラフィー(水及びMeCN中0.1%v/v FA)によって精製して、表題化合物(1000mg、2.86mmol、37.1%)を淡黄色油状物として得た。MS(ESI):m/z=294.1[M-C+H]
【0267】
工程b)3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン(2,2,2-トリフルオロアセテート)
【化64】

DCM(35mL)中のtert-ブチル3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボキシレート(2.8g、8.02mmol)の溶液に、TFA(7.0mL)を加え、混合物を20℃で12時間撹拌した。反応混合物を蒸発させて、表題化合物(2.9g、7.98mmol、99.6%)を淡黄色油状物して得た。MS(ESI):m/z=250.1[M+H]
【0268】
工程c)(4-ニトロフェニル)3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボキシレート
【化65】

DCM(30mL)中の3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン(2,2,2-トリフルオロ酢酸塩)(1.0g、2.75mmol)の溶液に、DIPEA(1065.44mg、8.26mmol)及び4-ニトロフェニルクロロホルメート(554.91mg、2.75mmol)を添加し、反応混合物を25℃で12時間撹拌した。反応混合物を水及びブラインで洗浄し、有機相を真空中で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=1:0~2:1)によって精製して、表題化合物を黄色油状物として得た(900mg、2.17mmol、78.9%)。MS(ESI):m/z=415.1[M+H]
実施例10
【0269】
rac-(4aS,8aS)-7-(4-ベンズヒドリルピペリジン-1-カルボニル)オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-2(1H)-オン
【化66】

DCM(3mL)中のrac-(4aS,8aS)-3、4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-2-オン(80.0mg、0.520mmol)及びDIEA(134.0mg、1.04mmol)の混合物に、4-ベンズヒドリルピペリジン-1-カルボニルクロリド(164.47mg、0.520mmol)を添加し、混合物を20℃で12時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(水及びMeCN中0.5%v/vアンモニア)によって精製し、所望の化合物を桃色固体として得た(49.3mg、0.110mmol、22%)。MS(ESI):m/z=432.3[M+H]
【0270】
工程a)エチル(E)-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)プロパ-2-エノエート
【化67】

THF(65mL)中の塩化銅(I)(158.7mg、1.6mmol)、ナトリウムt-ブタノレート(462.2mg、4.81mmol)及び(5-ジフェニルホスファニル-9,9-ジメチル-キサンテン-4-イル)-ジフェニル-ホスファン(927.6mg、1.6mmol)の溶液をNでパージし、25℃で30分間撹拌し、次いで、THF(33mL)中のビス(ピナコラト)ジボロン(13.6g、53.44mmol)を添加した。さらに10分間撹拌した後、プロピオル酸エチル(5.4mL、53.4mmol、CAS RN 623-47-2)を加えた後、MeOH(4mL)を加えた。反応混合物を25℃で11.4時間撹拌した。真空中でMeOHを除去した後、反応物を水(50mL)でクエンチした。混合物をEtOAc(各100mL)で3回抽出し、合わせた有機層を水(各40mL)及びブライン(40mL)で2回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:0~5:1)によって精製して、所望の化合物を淡黄色油状物として得た(10.3g、45.6mmol、85.3%)。H NMR(300 MHz,CHLOROFORM-d)δ=6.69-6.60(m,1H),6.55-6.44(m,1H),4.09(q,J=7.2 Hz,2H),1.16(s,12H),1.15(s,3H).
【0271】
工程b)エチル(E)-3-(3-アミノ-4-ピリジル)プロパ-2-エノエート
【化68】

DMF(25mL)中の2-エトキシカルボニルビニルボロン酸ピナコールエステル(9.0g、39.8mmol)の溶液に、3-アミノ-4-ブロモピリジン(6.89g、39.8mmol、CAS RN 239137-39-4)、KCO(11004mg、79.6mmol)及び1,1-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリド(2595mg、3.98mmol)を添加し、混合物をNで3回パージした。反応混合物を80℃に12時間加熱した。反応物を水(10mL)でクエンチし、次いで、混合物を蒸発させた。残渣を逆カラムクロマトグラフィー(水及びMeCN中0.1%v/vアンモニア)によって精製して、表題化合物を黒色固体として得た(2.3g、12.0mmol、30.1%)。MS(ESI):m/z=193.1[M+H]
【0272】
工程c)エチル3-(3-アミノピリジン-4-イル)プロパノエート
【化69】

MeOH(10mL)中のエチル(E)-3-(3-アミノ-4-ピリジル)プロパ-2-エノエート(500.0mg、2.6mmol)を、湿式Pd/C(50.0mg、重量10%)と共に25Cで添加した。混合物をHで3回パージし、次いで、H雰囲気(バルーン)下で12時間撹拌した。反応混合物をフィルタにかけ、濾液を真空中で濃縮して、所望の化合物を暗褐色固体として得た(400mg、2.06mmol、79.2%)。
【0273】
工程d)3,4-ジヒドロ-1,7-ナフチリジン-2(1H)-オン
【化70】

エチル3-(3-アミノ-4-ピリジル)プロパノエート(250.0mg、1.29mmol)をAcOH(5.0mL、83.3mmol)及び11M HCl水溶液(6.94mL)を添加し、混合物を90℃で12時間撹拌した。反応混合物をMeOH(2mL)で希釈し、逆カラムクロマトグラフィー(水及びMeCN中0.5%v/vアンモニア)によって直接精製して、所望の化合物を白色固体として得、これはさらに精製しなくても次の工程に十分に純粋であった。MS(ESI):m/z=147.2[M+H]
【0274】
工程e)7-ベンジル-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1,7-ナフチリジン-2(1H)-オン
【化71】

3,4-ジヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-2-オン(200.0mg、1.35mmol)のEtOH(10mL)中溶液に、臭化ベンジル(692.6mg、4.1mmol)を添加し、反応混合物を90Cで16時間撹拌した。次いで、反応混合物を0Cに冷却し、NaBH(513.0mg、13.5mmol)を慎重に添加した。0.5時間撹拌した後、反応混合物を飽和NHCl水溶液(10mL)に注ぎ、EtOAc(50mL)で抽出し、有機層をNaSO上で乾燥させ、フィルタにかけ、濃縮した。残渣を逆カラムクロマトグラフィー(水及びMeCN中0.1%v/vアンモニア)によって精製して、生成物を白色固体として得、これはさらに精製しなくても次の工程に十分に純粋であった。
【0275】
工程f)rac-(4aS,8aS)-3,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-2-オン2,2,2-トリフルオロアセテート
【化72】

MeOH(5mL)中の7-ベンジル-1,3,4,5,6,8-ヘキサヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン(250.0mg、1.03mmol)の溶液に、湿式Pd/C(50mg、重量10%)及びTFA(117.6mg)を加えた。反応混合物をHでパージし、次いで、H(バルーン)の雰囲気下、25Cで12時間撹拌した。反応混合物をフィルタにかけ、濾液を真空中で濃縮して、生成物を淡黄色油状物として得た(100mg、0.370mmol、62.9%)。
【0276】
工程g)4-ベンズヒドリルピペリジン
【化73】

氷酢酸(50.0mL、20.4mmol)中の4-ベンズヒドリルピリジン(5.0 g、20.4 mmol)の混合物に、PtO(462.56 mg、2.04 mmol)をN下で添加した。混合物を真空下で脱気し、Hで3回パージした。反応混合物をH雰囲気(45psi)下、85℃で12時間撹拌した。混合物を次にフィルタにかけ、濃縮した。残渣をPE:EtOAc(10:1;30 mL)でトリチュレートし、フィルタにかけた。濾過ケークを真空中で乾燥させて、所望の化合物を灰白色固体(4.8g、19.1mmol、93.7%)として得た。MS(ESI):m/z=252.1[M+H]
【0277】
工程h)4-ベンズヒドリルピペリジン-1-カルボニルクロリド
【化74】

DCM(5mL)中のトリホスゲン(117.5mg、0.400mmol)及び重炭酸ナトリウム(150.3mg、1.79mmol)の混合物に、4-ベンズヒドリルピペリジン(150.0mg、0.600mmol)を含むDCM(5mL)の溶液を0Cで滴下した。混合物を20Cで3時間撹拌し、フィルタにかけ、濃縮して、表題化合物を淡黄色固体として得た(170mg、0.540mmol、90.8%)。MS(ESI)(MeOHでクエンチ):m/z=310.1[M-Cl+CHOH]
実施例11
【0278】
rac-(4aS,8aS)-7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン
【化75】

MeCN(4mL)中の(4-ニトロフェニル)3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボキシレート(162.2mg、0.390mmol、実施例9、工程c)及びTEA(79.07mg、0.780mmol)の溶液に、3,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-2-オン2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(70.0mg、0.260mmol、実施例10、工程f)を添加し、混合物を80℃で16時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(水及びMeCN中0.225%v/v FA)によって精製し、表題化合物(15.3mg、0.040mmol、13.3%)を白色固体として得た。MS(ESI):m/z=430.1[M+H]
実施例12
【0279】
rac-(4aR,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,2,4,4a,5,7,8,8a-オクタヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン
【化76】

DCM(2mL)中のtert-ブチル(4aR,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-3-オキソ-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[3,4-b]ピラジン-1-カルボキシレート(30.0mg、0.060mmol)の溶液に、TFA(0.4mL)を加え、混合物を25℃で2時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(水及びMeCNの0.225% v/vFA)によって精製し、所望の生成物(2.5mg、0.010mmol、10.2%、純度99.5%)を白色固体として得た。MS(ESI):m/z=431.3[M+H]
【0280】
工程a)メチル2-[(3-ニトロ-4-ピリジル)アミノ]アセテート
【化77】

1,4-ジオキサン(75mL)中の4-クロロ-3-ニトロピリジン(5.0g、31.5mmol、CAS RN 13091-23-1)、グリシンメチルエステル塩酸塩(5.94g、47.3mmol、CAS RN 5680-79-5)及びTEA(13.2mL、94.6mmol)の混合物を25℃で12時間撹拌した。混合物を水(100mL)で希釈し、EtOAc(各150mL)で3回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=1:1)によって精製して、所望の生成物(5185mg、24.6mmol、77.9%)を黄色固体として得た。
【0281】
工程b)2,4-ジヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン
【化78】

MeOH(80mL)中のメチル2-[(3-ニトロ-4-ピリジル)アミノ]アセテート(2000.0mg、9.47mmol)の溶液に、湿式Pd/C(400.0mg、重量10%)を添加し、混合物をH雰囲気下(バルーン)にて25℃で12時間撹拌した。混合物をフィルタにかけ、濾過ケークをDCM:MeOH(3:1,200 mL)で洗浄し、合わせた濾液を蒸発させると、黄色固体として所望の生成物(1000mg、6.7mmol、70.8%)が得られた。MS(ESI):m/z=150.1[M+H]
【0282】
工程c)tert-ブチル3-オキソ-2,4-ジヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-1-カルボキシレート
【化79】

ジ-tert-ブチルジカーボネート(2195g、10.1mmol)を、DMF(50mL)中の2,4-ジヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン(1000mg、6.7mmol)、TEA(1.9mL、13.4mmol)及びDMAP(163.8mg、1.34mmol)の溶液に0℃で添加し、反応混合物を25℃で12時間撹拌した。混合物を水(200mL)で希釈し、EtOAc(各50mL)で3回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=5:1~0:1)によって精製して、所望の生成物(1000mg、4.01mmol、59.8%)を淡黄色固体として得た。MS(ESI):m/z=194.0[M-C+H]
【0283】
工程d)tert-ブチル6-ベンジル-3-オキソ-2,4-ジヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-6-イウム-1-カルボキシレート臭化物
【化80】

DCM(30mL)中のtert-ブチル3-オキソ-2,4-ジヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-1-カルボキシレート(800.0mg、3.21mmol)の溶液に、臭化ベンジル(0.76mL、6.42mmol)を添加し、混合物を20℃で12時間撹拌した。次いで、混合物をフィルタにかけ、フィルタケーキをDCM(5mL)で洗浄した。淡黄色固体(900mg、2.14mmol、66.7%)。MS(ESI):m/z=284.3[M-C-Br+H]
【0284】
工程e)tert-ブチル6-ベンジル-3-オキソ-4,5,7,8-テトラヒドロ-2H-ピリド[3,4-b]ピラジン-1-カルボキシレート
【化81】

MeOH(30mL)中のtert-ブチル6-ベンジル-3-オキソ-2,4-ジヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-6-イウム-1-カルボキシレートブロミド(850.0mg、2.02mmol)の溶液に、NaBH(765.1mg、20.2mmol)を0℃で少しずつ添加し、混合物を0℃で2時間撹拌した。別のバッチのNaBH(229.5mg、6.07mmol)を0℃で少しずつ添加し、撹拌を0℃でさらに2時間続けた。次いで、混合物をNHCl水溶液(50mL)に注ぎ、EtOAc(各30mL)で3回抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して、所望の生成物を淡黄色固体として得た(500mg、1.5mmol、72%)。MS(ESI):m/z=344.3[M+H]
【0285】
工程f)tert-ブチル3-オキソ-2,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-1-カルボキシレート
【化82】

MeOH(10mL)及びアンモニア(0.05mL)中のtert-ブチル6-ベンジル-3-オキソ-4,5,7,8-テトラヒドロ-2H-ピリド[3,4-b]ピラジン-1-カルボキシレート(100.0mg、0.290mmol)の溶液に、湿式Pd/C(20.0mg、重量10%)を添加し、混合物をH雰囲気下(バルーン)にて20℃で12時間撹拌した。反応混合物をフィルタにかけ、濾液を濃縮した。残渣をEtOAc(10mL)に溶解し、別のバッチの湿ったPd/C(20.0mg、重量10%)を添加し、混合物をH雰囲気(バルーン)下、20℃でさらに24時間撹拌した。濾液の濾過及び蒸発により、所望の生成物を無色の油状物として得た(70mg、0.28mmol、94.9%)。MS(ESI):m/z=507.2 [2M+H]
【0286】
工程g)tert-ブチル6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-3-オキソ-4,5,7,8-テトラヒドロ-2H-ピリド[3,4-b]ピラジン-1-カルボキシレート
【化83】

ACN(2mL)中のtert-ブチル3-オキソ-2,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-1-カルボキシレート(70.0mg、0.280mmol)、(4-ニトロフェニル)3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボキシレート(114.5mg、0.280mmol)及びTEA(0.12mL、0.830mmol)の溶液を80℃で16時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を逆相フラッシュクロマトグラフィー(0.1%v/v FA水溶液及びMeCN)によって精製して、所望の生成物を淡黄色油状物として得た(40mg、0.080mmol、27.4%)。MS(ESI):m/z=473.2[M-C+H]
【0287】
工程h)tert-ブチルrac-(4aR,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-3-オキソ-4,4a,5,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[3,4-b]ピラジン-1-カルボキシレート
【化84】

MeOH(5mL)中のtert-ブチル6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-3-オキソ-4,5,7,8-テトラヒドロ-2H-ピリド[3,4-b]ピラジン-1-カルボキシレート(40.0mg、0.080mmol)の溶液に、湿式Pd/C(10.0mg、重量10%)を添加し、次いで、混合物をH雰囲気下(バルーン)にて30℃で24時間撹拌した。混合物をフィルタにかけ、濾液を濃縮して粗生成物(30mg、0.06mmol、74.7%)を無色油状物として得た。MS(ESI):m/z=531.2[M+H]
実施例13及び
実施例14
【0288】
(4aR,8aS)-又は(4aR,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,2,4,4a,5,7,8,8a-オクタヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン
及び
(4aS,8aR)-又は(4aS,8aR)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,2,4,4a,5,7,8,8a-オクタヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン
【化85】

【化86】

実施例12のエナンチオマーを分取キラルHPLC(DAICEL CHIRALCEL(登録商標)OD(250mm*30mm、10m))、溶離液:30%EtOH(超臨界CO中0.1%アンモニアを含有)によって分離すると、所望のエナンチオマーが淡黄色油状物して得られた。
エナンチオマーA(第1の溶出エナンチオマー):MS(ESI):m/z=431.2[M+H]
エナンチオマーB(第2の溶出エナンチオマー):MS(ESI):m/z=431.1[M+H]
実施例15
【0289】
6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,2,4,5,7,8-ヘキサヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-3-オン
【化87】

DCM(1mL)中のtert-ブチル6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-3-オキソ-4,5,7,8-テトラヒドロ-2H-ピリド[3,4-b]ピラジン-1-カルボキシレート(20.0mg、0.040mmol、実施例12、工程g)の溶液に、TFA(0.2mL)を添加し、混合物を20℃で12時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(水及びMeCN中0.225%v/v FA)によって精製して、所望の生成物を淡黄色固体として得た(1mg、5.7%)。MS(ESI):m/z=429.2[M+H]
実施例16
【0290】
(4aS,8aS)-6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4a-ヒドロキシ-5,7,8,8a-テトラヒドロ-4H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3-オン
【化88】

大腸菌(E.coli)発現CYP3A4による生体内変換(インタクト細胞OD 10.0)。反応組成物:100ml中、100mlのガラスバッフル付きフラスコにおいて、0.1M Kリン酸緩衝液 pH7.4、27度、200rpm。(4aR,8aS)-6-(3-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)アゼチジン-1-カルボニル)ヘキサヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オンを0.1mMの最終濃度まで添加した。3時間のインキュベーション後、洗浄した細胞懸濁液のさらに3mlのアリコート及び0.5 mlの0.1mM NADPを添加し、インキュベーションをさらに2時間継続した。次いで、ブロスを遠心分離し、上清を10gのC18カートリッジに適用し、これを水中アセトニトリルの段階勾配で溶出した。凍結乾燥後、分析HPLC;XDB C18、150×4.6mm、0.05%TFA/HO中のMeCNの勾配で精製した。生成物を凍結乾燥粉末として得た。MS(ESI):m/z=476.4[M+H]
実施例17
【0291】
6-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4,5,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-b][1,4]チアジン-3-オン
【化89】

5,6,7,8-テトラヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]チアジン-3(4H)-オン塩酸塩(22mg、106μmol)をアセトニトリル(1ml)に溶解し、TEA(75.4mg、104μl、745μmol7)を添加した。次いで、1,1’-カルボニル-ジ(1,2,4トリアゾール)(17.5mg、106μmol)を添加し、反応物を40分間撹拌して活性エステルを形成した。次いで、3-((2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)アゼチジン4-メチルベンゼンスルホネート(53.8mg、128μmol)を添加し、25℃で2時間撹拌した。反応混合物を水2mlでクエンチし、酢酸エチル2×20ml、5%NaHCO 2×10ml、0.5 N HCl 5 ml、ブラインで抽出し、MgSOで乾燥させ、溶媒を真空下で除去した。粗生成物を分取HPLC Gemini NX、12nm、5μm、100×30mm、ACN/水+0.1%HCOOHによって精製し、プールした画分を凍結乾燥して、生成物(37mg、74%)を淡黄色の凍結乾燥固体として得た。MS(ESI):m/z=446.3[M+H]
【0292】
工程a)6-ベンジル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]チアジン-6-イウム臭化物
キャップ付きバイアルに、2H-ピリド[4,3-b][1,4]チアジン-3(4H)-オン(750mg、4.51mmol)を添加し、続いてDCM(7.8ml)を添加して懸濁液を形成した。MeOH(1.95ml)中の(ブロモメチル)ベンゼン(926mg、644μl、5.42mmol)の溶液を添加し、懸濁液を室温で4日間撹拌した。懸濁液を4℃に冷却し、次いでフィルタにかけた。灰白色の固体をDCM/n-ヘキサン(1:3)で3回洗浄し、乾燥させて、6-ベンジル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]チアジン-6-イウムブロミド(1.32g、収率86.7%)を灰白色の固体として得た。MS(ESI):m/z=257.2[M-H-Br]
【0293】
工程b)6-ベンジル-5,6,7,8-テトラヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]チアジン-3(4H)-オン
メタノール(20ml)中の6-ベンジル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]チアジン-6-イウムブロミド(500mg、1.48mmol)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(67.3mg、1.78mmol)を20℃で少しずつ添加した(気体の発生)。黄色溶液を20℃で1時間撹拌した。反応混合物を水0.5ml及び飽和NHCl 0.5mlでクエンチし、真空中で溶媒を除去した。残渣をEtOAc、水及びブラインで抽出し、MgSOで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。粗残渣(390mg)を分取HPLC、Gemini NX、12nm、5μm、100×30mm、ACN/水+0.1%TEAによって精製し、回収した分画を凍結乾燥すると、予測される生成物(70mg、18%)が得られた。MS(ESI):m/z=261.1[M+H]
工程c)5,6,7,8-テトラヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]チアジン-3(4H)-オン塩酸塩
【0294】
DCM(2ml)中の6-ベンジル-5,6,7,8-テトラヒドロ-2H-ピリド[4,3-b][1,4]チアジン-3(4H)-オン(60mg、230μmol)の0~4℃の溶液に、クロロギ酸1-クロロエチル(39.5mg、30μl、277μmol)を添加し、10分間撹拌し、次いで、5~20℃で10分間撹拌し、溶媒を真空中で除去した。残渣をメタノール(2ml)に再び溶解し、75℃で40分間加熱した。黄色溶液を濃縮し、残渣をMeOH 1mlに溶解し、生成物を20℃でジエチルエーテルで沈殿させ、有機相を2回デカントし、ジエチルエーテルで洗浄した。所望の生成物を淡黄色固体22mg(42%)として得たMS(ESI):m/z=171.1[M+H]
実施例18
【0295】
rac-(4aS,8aS)-7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4-ヒドロキシ-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン
【化90】

メタノール(2mL)中の(4aS,8aS)-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン(20.0mg、0.030mmol)の溶液に、フッ化アンモニウム(21.67mg、0.580mmol)を添加し、50℃で12時間撹拌した。LCMSは、反応物質が消費され、標的生成物の所望の質量が検出されたことを示し、反応混合物をフィルタにかけ、濾液を分取HPLC(0.225%v/vギ酸)で精製し、凍結乾燥させると、(4aS,8aS)-7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-4-ヒドロキシ-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン(2.8mg、0.010mmol、収率21%)が白色固体として得られた。MS(ESI):m/z=446.2[M+H]
【0296】
工程a)tert-ブチルN-(4-メチル-3-ピリジル)カルバメート
をパージした火炎乾燥した500mL丸底フラスコに、3-アミノ-4-メチルピリジン(15.0g、138.71mmol)及びTHF(150mL)を添加し、NaHMDS(166.0mL、166mmol)を0℃で1時間にわたって滴下し、得られた赤色溶液を30分間撹拌した。ジ-t-ブチルジカーボネート(34.47mL、152.58mmol、1.1当量)を5分間にわたって滴下し、次いで、混合物を25℃で12時間ストリリングした。TLCは、反応物質が部分的に消費され、新たなスポットが検出されたことを示し、残渣を水(200ml)に溶解し、EtOAc(100ml、3回)で洗浄し、次いで、有機物に50mlのブラインを注いだ。次いで、有機物を分離し、乾燥させた後(MgSO)、濃縮して乾燥させた。次いで、粗生成物をシリカゲルカラム(ペンタン:EA=10:1~3:1)によって精製して、tert-ブチルN-(4-メチル-3-ピリジル)カルバメート(6g、収率20.8%)を黄色油状物として得、tert-ブチルN-tert-ブトキシカルボニル-N-(4-メチル-3-ピリジル)カルバメート(10g、収率23.4%)を黄色固体として得た。
【0297】
工程b)tert-ブチルN-(4-ホルミル-3-ピリジル)カルバメート
1,4-ジオキサン(50mL)中のtert-ブチルN-(4-メチル-3-ピリジル)カルバメート(5000mg、24.01mmol)の溶液に、SeO(4030mg、36.01mmol)を添加し、105℃で3時間撹拌した。TLC(ペンタン/EA=1/1)は、反応物質が部分的に消費され、新たなスポットが検出されたことを示した。反応混合物をフィルタにかけ、濾液をシリカカラムクロマトグラフィー(ペンタン/EA=20/1~3/1)で精製して、tert-ブチルN-(4-ホルミル-3-ピリジル)カルバメート(1800mg、8.1mmol、収率33.74%)を黄色油状物として得た。
【0298】
工程c)エチル3-[3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-ピリジル]-3-ヒドロキシ-プロパノエート
THF(54mL)中のtert-ブチルN-(4-ホルミル-3-ピリジル)カルバメート(2700mg、12.15mmol)及びエチル(トリメチルシリル)アセテート(2434.21mg、15.19mmol)の溶液をテトラブチルアンモニウムアセテート(366.05mg、1.21mmol)で処理し、得られた溶液を25℃で2時間撹拌し、HCl水溶液(2N、5mL)を添加し、30分間撹拌したところ、LCMSは、反応物が完全に消費され、標的生成物の所望の質量が検出されたことを示し、反応混合物を飽和NaHCO水溶液で中和し、EtOAc(50mL*3)で抽出し、有機層をシリカカラムクロマトグラフィー(PE/EA=20/1~3/1)で精製して、エチル3-[3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-ピリジル]-3-ヒドロキシ-プロパノエート(3100mg、9.99mmol、収率85.38%)を黄色油状物として得た。MS(ESI):m/z=311.1[M+H]+(十分な最大ピーク)
【0299】
工程d)エチル3-[3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-ピリジル]-3-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-プロパノエート
DCM(75mL)中のエチル3-[3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-ピリジル]-3-ヒドロキシ-プロパノエート(3100.0mg、9.05mmol、1当量)及びイミダゾール(1232.6mg、18.11mmol、2当量)の溶液に、TBDPSCl(3722mg、13.58mmol、1.5当量)を添加し、20℃で12時間撹拌した。LCMSは、反応物質が消費され、所望の質量の標的生成物が検出されたことを示し、反応混合物をHO(20mL)に注ぎ、DCM(20mL*3)で抽出し、有機層を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、次いで、これをMPLC(ペンタン/EA=3/1)で精製し、蒸発させて、エチル3-[3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-ピリジル]-3-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-プロパノエート(4700mg、収率94.6%)を無色油状物として得た。MS(ESI):m/z=549.2[M+H]
【0300】
工程e)4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-3,4-ジヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-2-オン
DCM(20mL)中のエチル3-[3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-ピリジル]-3-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-プロパノエート(1900mg、3.46mmol)の溶液に、TFA(4.0mL、3.46mmol)を添加し、混合物を20℃で12時間撹拌すると、LCMSは、反応物が完全に消費されたことを示し、標的生成物の所望の質量が検出された。TEAをPH7超になるまで反応混合物にゆっくり添加し、次いで、減圧下で蒸発させて粗生成物を得、次いで、これを逆相カラム(NH3・H2O)で精製し、凍結乾燥させて、4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-3,4-ジヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-2-オン(800mg、収率57.4%)を白色固体として得た。MS(ESI):m/z=403.1[M+H]
【0301】
工程f)7-ベンジル-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-3,4-ジヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-7-イウム-2-オン臭化物
DCM(12mL)中の4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-3,4-ジヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-2-オン(800.0mg、1.99mmol)の溶液に、別のDCM中の臭化ベンジル(0.71mL、5.96mmol)の溶液を添加し、混合物を20℃で12時間撹拌すると、LCMSは、反応物が完全に消費され、標的生成物の所望の質量が検出されたことを示し、反応が終了した後、白色固体が観察され、反応混合物をフィルタにかけ、MTBE(20mL)で洗浄し、濾過ケーキ7-ベンジル-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-3,4-ジヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-7-イウム-2-オン臭化物(1600mg、2.79mmol、収率140.36%)を白色固体として回収した。MS(ESI):m/z=493.1[M+H]
【0302】
工程g)7-ベンジル-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-1,3,4,5,6,8-ヘキサヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン
メタノール(27.54mL)中の7-ベンジル-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-3,4-ジヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-7-イウム-2-オンブロミド(1600mg、2.79mmol)の溶液を0℃で撹拌し、NaBH(2120mg、55.79mmol)をバッチで添加し、混合物を室温まで加温し、20℃で12時間撹拌したところ、LCMSは、反応物質が完全に消費されたことを示し、標的生成物の所望の質量が検出された。反応混合物に飽和NHCl溶液をゆっくり添加し、次いで、HO(5mL)を添加し、次いで、EtOAc(5mL×3)で抽出し、有機層を減圧下(25℃)で蒸発させて粗生成物を得、これを逆相カラム(FA 0.25%)で精製し、凍結乾燥させて、7-ベンジル-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-1,3,4,5,6,8-ヘキサヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン(600mg、収率37.27%)を白色固体として得た。MS(ESI):m/z=497.3[M+H]
【0303】
工程h):tert-ブチル(4aS,8aS)-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-2-オキソ-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-7-カルボキシレート
メタノール(9mL)中の7-ベンジル-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-1,3,4,5,6,8-ヘキサヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン(150.0mg、0.300mmol)、ジ-tert-ブチルジカーボネート(90mg、0.4mmol)及び湿式Pd/C(200.0mg、0.300mmol)の溶液をHで3回パージし、次いで、25℃で24時間撹拌した。LCMSは、反応物質が完全に消費され、標的生成物の所望の質量が検出されたことを示し、反応混合物をフィルタにかけ、濾液を減圧下で蒸発させると、tert-ブチル4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-2-オキソ-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-7-カルボキシレート(150mg、0.290mmol、収率97.64%)が黄色友情物として得られた。MS(ESI):m/z=453.1[M-56+H]
【0304】
工程i):(4aS,8aS)-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-3,4,4a,5,6,7,8,8aオクタヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-2-オン
DCM(25mL)中のTFA(1.0mL、6.37mmol)、tert-ブチル(4aS,8aS)-4-オキシ-2-オキソ-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-7-カルボキシレート(150.0mg、0.290mmol)の混合物を、25℃で12時間撹拌した。TLCは、反応物質が完全に消費され、新たなスポットが検出されたことを示し、PH8超になるまでTEAを反応混合物に添加し、次いで、HO を溶液に添加し、DCM(10mL*3)で抽出し、有機層を減圧下(25℃)で蒸発させると、(4aS,8aS)-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-3,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-2-オン(30mg、0.070mmol、収率24.9%)が黄色油状物として得られた。
【0305】
工程j):(4-ニトロフェニル)(4aS,8aS)-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-2-オキソ-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-7-カルボキシレート
DCM(1mL)中の(4aS,8aS)-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-3,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-1H-1,7-ナフチリジン-2-オン(30.0mg、0.070mmol)の溶液に、DIPEA(23.71mg、0.180mmol)を添加し、温度を0℃に維持し、次いで、4-ニトロフェニルクロロホルメート(16.28mg、0.080mmol)を添加した。反応混合物を25℃で12時間撹拌した。LCMSは、所望の生成物が検出されたことを示し、反応混合物を減圧下で蒸発させて粗生成物を得て、次いで、これを分取HPLC(0.225%v/v FA)で精製し、凍結乾燥させて、(4-ニトロフェニル)(4aS,8aS)-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-2-オキソ-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-7-カルボキシレート(20mg、収率47.48%)を白色固体として得た。MS(ESI):m/z=574.1[M+H]
【0306】
工程k)(4aS,8aS)-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン
ACN(1mL)中の3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジントリフルオロアセテート(15.19mg、0.040mmol)及びDIEA(0.2mL、0.030mmol)の溶液に(4-ニトロフェニル)(4aS,8aS)-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-2-オキソ-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-7-カルボキシレート(20.0mg、0.030mmol)を添加し、80℃で12時間撹拌した。TLCは、反応物質が完全に消費され、標的生成物の所望の質量が検出されたことを示し、反応混合物をHO(5mL)に注ぎ、EtOAc(5mL*3)で抽出し、有機層をシリカカラムクロマトグラフィー(ペンタン/EA=10/1から純粋なEA)で精製すると、(4aS,8aS)-4-[tert-ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ-7-[3-[[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]アゼチジン-1-カルボニル]-1,3,4,4a,5,6,8,8a-オクタヒドロ-1,7-ナフチリジン-2-オン(20mg、収率83.9%)が黄色固体として得られた。
実施例19
【0307】
式(I)の化合物は、以下の組成の錠剤を生産するために、有効成分として、それ自体公知の様式で使用することができる。
錠剤あたり
有効成分 200mg
微結晶セルロース 155mg
コーンスターチ 25mg
タルク 25mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 20mg
425mg
実施例20
【0308】
式(I)の化合物は、以下の組成のカプセル剤を生産するために、有効成分として、それ自体公知の様式で使用することができる。
カプセル剤あたり
有効成分 100.0mg
コーンスターチ 20.0mg
ラクトース 95.0mg
タルク 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
220.0mg
【国際調査報告】