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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】高フェニルアラニン血症の治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20221121BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20221121BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221121BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P3/00
A61P43/00 111
A61K9/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518780
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 US2020052871
(87)【国際公開番号】W WO2021062264
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】62/905,720
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519189843
【氏名又は名称】ピーティーシー セラピューティクス エムピー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ニール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA29
4C076BB01
4C076CC21
4C076FF16
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA23
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZC21
(57)【要約】
本発明は、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与する工程により、対象の血中フェニルアラニン濃度を低下させる方法を特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
120マイクロモル/リットルより大きい血中フェニルアラニン濃度を有する対象におけるフェニルケトン尿症の治療方法であって、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量を前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記対象がフェニルアラニン制限食を摂取している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象が600マイクロモル/リットルより大きい血中フェニルアラニン濃度を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象がサプロプテリン又はその薬学的に許容される塩による治療に反応しなかった対象である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記対象がペグバリアーゼ-pqpzによる治療に反応しなかった対象である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記対象が有害反応及び/又は忍容性のためにペグバリアーゼ-pqpzによる治療を中止した対象である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記投与する工程により、前記対象の血中フェニルアラニン濃度が360マイクロモル/リットル未満に低下する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記投与する工程により、前記対象の血中フェニルアラニン濃度が120マイクロモル/リットル未満に低下する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記投与する工程により、前記対象の血中フェニルアラニン濃度が、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の投与前の血中フェニルアラニン濃度と比較して少なくとも35%低下する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記投与する工程により、少なくとも約1500mg/日のフェニルアラニン摂取量で、前記対象の血中フェニルアラニン濃度が360マイクロモル/リットル未満に低減する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記投与する工程により、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の投与後10時間以内に、前記対象の血漿中に少なくとも50ng/mlのBH4濃度が生じる、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量が、1回当たり約20mg/kg~約60mg/kgである、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量が、1回当たり約20mg/kgである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量が、1回当たり約40mg/kgである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量が、1回当たり約60mg/kgである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量を1日1回投与する、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量を1日2回投与する、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量を2等量で投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量を食品と共に投与する、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象への投与が、食品を摂取する30分未満前又は食品を摂取した後に行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象への投与が、食品と実質的に同時である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記食品が高蛋白質及び/又は高脂肪食品である、請求項19~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記食品が高カロリー食品である、請求項19~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも10mg/kgのサプロプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与された対象に比べて、有害事象のリスクが低減される、請求項1乃至23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記投与する工程は、前記対象の神経認知機能の増加をもたらす、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象が子供である、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記子供が7歳未満である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記対象が7歳超である、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記対象が、テトラヒドロビオプテリン応答性フェニルケトン尿症と診断されている、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が、セピアプテリン応答性フェニルケトン尿症と診断されている、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩が、懸濁用経口粉末として製剤化されている、請求項1乃至30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩が、風味を有する懸濁ビヒクル中の懸濁液として投与される、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記対象が、1200マイクロモル/リットルより大きい血中フェニルアラニン濃度を有する、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
フェニルケトン尿症(PKU)は、主にフェニルアラニン水酸化酵素(PAH)遺伝子の変異によって生じる先天性代謝異常症である。PAHの遺伝子変異は、高フェニルアラニン血症(HPA)につながる触媒活性の低下をもたらす。PAH遺伝子には多くの変異があり(>400)、その結果、生産される酵素の量及び/又は酵素活性における表現型の差が生じる。重篤なPKUの対象では、PAH酵素活性が完全に欠如又は高度に欠損しており、典型的には、血中フェニルアラニン(Phe)濃度が非常に高い(>1200マイクロモル/リットル)。PAH活性の部分的な欠損は、血中フェニルアラニン上昇の程度を低くする(例えば、約360~1200マイクロモル/リットル)。高濃度のフェニルアラニンは脳に対して毒性がある。治療しないまま放置すると、重篤で回復不能な知的障害が発生する可能性がある。新生児スクリーニングがほぼ全世界で導入されたことにより、PKUは出生時に診断されるようになった。全ての民族で報告されており、約10,000人に1人の割合で発生すると推定されている。
【0002】
現在、PKUの治療法はない。初期治療は、特別に設計された医療用食品を補充したフェニルアラニン食制限の迅速な実施からなる。食事制限の遵守は、年長児、青年、及び成人にとって困難である場合がある。テトラヒドロビオプテリン(BH4)の補充は、PKU患者の約30%において、フェニルアラニン血漿濃度の臨床的に意味のある低下を実証している。BH4は、Pheからチロシン(Tyr)への変換におけるPAHの必須コファクターである。BH4補充の結果、細胞内のBH4が増加し、PAHの機能が向上し、血漿フェニルアラニンが減少することが示されている。BH4の合成製剤であるKuvan(登録商標)(サプロプテリン二塩酸塩)は、テトラヒドロビオプテリン反応性の成人及び小児PKU患者の高フェニルアラニン血症(HPA)の治療に使用するための医薬品として数カ国で承認されている。しかし、食事によるフェニルアラニン制限及び/又はBH4補充による制御は最適ではなく、大多数の患者はフェニルアラニン血漿濃度の上昇を維持している。PKUのもう一つの治療法であるペグバリアーゼ-pqpzは、成人患者に対してのみ承認されており、フェニルアラニン代謝酵素を毎日注射で投与する方法である。しかし、この方法は、アナフィラキシーなどの副作用による合併症の可能性があり、また、治療を行ってもフェニルアラニン値の上昇を維持する患者が多いという問題がある。従って、PKUを治療するための更なる方法が必要である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与することによる、それを必要とする対象の血中フェニルアラニン濃度を低下させる方法を特徴とする。本発明者らは、セピアプテリンが血中フェニルアラニン濃度の低減に有効であることを見出した。特に、本発明者らは、セピアプテリンが、血中フェニルアラニン濃度を健常者と同様のレベルまで低下させること、及び/又はサプロプテリン二塩酸塩及び/又はペグバリアーゼpqpzによる先行治療に反応しなかった(failed)対象における血中フェニルアラニン濃度を低下させることに有効であることを見出した。
【0004】
一態様において、本発明は、対象(例えば、高フェニルアラニン血症の対象、フェニルケトン尿症に起因する高フェニルアラニン血症の対象、フェニルケトン尿症の対象、テトラヒドロビオプテリン応答性フェニルケトン尿症の対象、又はセピアプテリン応答性フェニルケトン尿症の対象)におけるフェニルアラニンのレベル(例えば、血中フェニルアラニン濃度)を低下させる方法を特徴とする。この方法は、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む。
【0005】
一態様において、本発明は、それを必要とする対象における高フェニルアラニン血症(例えば、テトラヒドロビオプテリン応答性フェニルケトン尿症などのフェニルケトン尿症に起因する高フェニルアラニン血症、又はセピアプテリン応答性フェニルケトン尿症の対象)の治療方法を特徴とする。この方法は、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む。
【0006】
一態様において、本発明は、それを必要とする対象におけるフェニルケトン尿症(例えば、テトラヒドロビオプテリン応答性フェニルケトン尿症、又はセピアプテリン応答性フェニルケトン尿症、古典的フェニルケトン尿症、及び/又は非古典的フェニルケトン尿症の対象)の治療方法を特徴する。この方法は、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む。
【0007】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、対象は120マイクロモル/リットルより大きい(例えば、200マイクロモル/リットルより大きい、300マイクロモル/リットルより大きい、360マイクロモル/リットルより大きい、400マイクロモル/リットルより大きい、450マイクロモル/リットルより大きい、500マイクロモル/リットルより大きい、550マイクロモル/リットルより大きい、600マイクロモル/リットルより大きい、650マイクロモル/リットルより大きい、700マイクロモル/リットルより大きい、800マイクロモル/リットルより大きい、900マイクロモル/リットルより大きい、1000マイクロモル/リットルより大きい、1100マイクロモル/リットルより大きい、又は1200マイクロモル/リットルより大きい)血中フェニルアラニン濃度(例えば、非制御のフェニルアラニン血中濃度)を有する。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、対象は、120~360マイクロモル/リットル、360~600マイクロモル/リットル、600~1200マイクロモル/リットル、又は1200マイクロモル/リットルより大きい血中フェニルアラニン濃度(例えば、非制御のフェニルアラニン血中濃度)を有する。
【0008】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、対象は、フェニルアラニン制限食などの既存の管理及び/又はサプロプテリン若しくはその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)による治療において、400マイクロモル/リットルより大きい(例えば、450マイクロモル/リットルより大きい、500マイクロモル/リットルより大きい、550マイクロモル/リットルより大きい、600マイクロモル/リットルより大きい、650マイクロモル/リットルより大きい、700マイクロモル/リットルより大きい、800マイクロモル/リットルより大きい、900マイクロモル/リットルより大きい、1000マイクロモル/リットルより大きい、1100マイクロモル/リットルより大きい、又は1200マイクロモル/リットルより大きい)血液フェニルアラニン濃度(例えば、非制御フェニルアラニン血液濃度)を有する。いくつかの実施形態では、サプロプテリンによる治療は、5~20mg/kgのサプロプテリン又はその薬学的に許容される塩の投与を含む。
【0009】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、対象は、サプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)による治療に応答しなかった。いくつかの実施形態では、サプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)の投与により、対象の血漿濃度が15~30%未満減少した。いくつかの実施形態では、サプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)の投与により、対象の血漿濃度は30%未満減少した。いくつかの実施形態では、サプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)の投与により、対象の血漿濃度は20%未満減少した。いくつかの実施形態では、サプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)の投与により、対象の血漿濃度は15%未満減少した。例えば、少なくとも約10mg/kg(例えば、少なくとも約15mg/kg、少なくとも約20mg/kg)のサプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)を少なくとも8日間(例えば、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日間、少なくとも30日間)投与すると、対象の血漿濃度は30%未満減少した。いくつかの実施形態では、サプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)の投与後、被験者の血漿濃度は、120マイクロモルリットルより大きかった(例えば、200マイクロモル/リットルより大きい、300マイクロモル/リットルより大きい、360マイクロモル/リットルより大きい、400マイクロモル/リットルより大きい、450マイクロモル/リットルより大きい、500マイクロモル/リットルより大きい、550マイクロモル/リットルより大きい、600マイクロモル/リットルより大きい、650マイクロモル/リットルより大きい、700マイクロモル/リットルより大きい、800マイクロモル/リットルより大きい、900マイクロモル/リットルより大きい、1000マイクロモル/リットルより大きい、1100マイクロモル/リットルより大きい、又は1200マイクロモル/リットルより大きい)。例えば、少なくとも約10mg/kg(例えば、少なくとも約15mg/kg、少なくとも約20mg/kg)のサプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)を少なくとも8日間(例えば、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日間、少なくとも30日間)投与後、対象の血漿濃度は120マイクロモル/リットルより大きかった(例えば、200マイクロモル/リットルより大きい、300マイクロモル/リットルより大きい、360マイクロモル/リットルより大きい、400マイクロモル/リットルより大きい、450マイクロモル/リットルより大きい、500マイクロモル/リットルより大きい、550マイクロモル/リットルより大きい、600マイクロモル/リットルより大きい、650マイクロモル/リットルより大きい、700マイクロモル/リットルより大きい、800マイクロモル/リットルより大きい、900マイクロモル/リットルより大きい、1000マイクロモル/リットルより大きい、1100マイクロモル/リットルより大きい、又は1200マイクロモル/リットルより大きい)。
【0010】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、対象は、ペグバリアーゼ-pqpzによる治療に応答しなかった。いくつかの実施形態では、ペグバリアーゼ-pqpzの投与により、対象の血漿濃度は20%未満減少した。例えば、対象の血漿濃度は、少なくとも16週間(例えば、少なくとも18週間、少なくとも20週間、少なくとも22週間、少なくとも24週間)、1日1回少なくとも約20mg(例えば、1日1回少なくとも約30mg、1日1回少なくとも40mg)ペグバリアーゼ-pqpzを投与したときに、30%未満、又は20%未満減少した。いくつかの実施形態では、ペグバリアーゼ-pqpzの投与後、対象の血漿濃度は、120マイクロモル/リットルより大きい(例えば、200マイクロモル/リットルより大きい、300マイクロモル/リットルより大きい、360マイクロモル/リットルより大きい、400マイクロモル/リットルより大きい、450マイクロモル/リットルより大きい、500マイクロモル/リットルより大きい、550マイクロモル/リットルより大きい、600マイクロモル/リットルより大きい、650マイクロモル/リットルより大きい、700マイクロモル/リットルより大きい、800マイクロモル/リットルより大きい、900マイクロモル/リットルより大きい、1000マイクロモル/リットルより大きい、1100マイクロモル/リットルより大きい、又は1200マイクロモル/リットルより大きい)。例えば、少なくとも約20mg(例えば、少なくとも約30mg、少なくとも約40mg)のペグバリアーゼ-pqpzを少なくとも16週間(例えば、少なくとも18週間、少なくとも20週間、少なくとも22週間、少なくとも24週間)投与した後の対象の血漿濃度は120マイクロモル/リットルより大きかった(例えば、200マイクロモル/リットルより大きい、300マイクロモル/リットルより大きい、360マイクロモル/リットルより大きい、400マイクロモル/リットルより大きい、450マイクロモル/リットルより大きい、500マイクロモル/リットルより大きい、550マイクロモル/リットルより大きい、600マイクロモル/リットルより大きい、650マイクロモル/リットルより大きい、700マイクロモル/リットルより大きい、800マイクロモル/リットルより大きい、900マイクロモル/リットルより大きい、1000マイクロモル/リットルより大きい、1100マイクロモル/リットルより大きい、又は1200マイクロモル/リットルより大きい)。
【0011】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、対象は、有害反応(例えば、アナフィラキシー、注射部位反応、関節痛、過敏性反応、頭痛、少なくとも14日間続く全身皮膚反応、そう痒、吐き気、腹痛、口腔咽頭痛、嘔吐、せき、下痢、及び/又は疲労)及び/又は忍容性のためにペグバリアーゼpqpzによる治療を中止した。
【0012】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与する工程により、対象の血中フェニルアラニン濃度が600マイクロモル/リットル未満に低下する。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与する工程により、対象の血中フェニルアラニン濃度が360マイクロモル/リットル未満に低下する。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与する工程により、対象の血中フェニルアラニン濃度が120マイクロモル/リットル未満に低下する。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与する工程により、対象の血中フェニルアラニン濃度が120~360マイクロモル/リットルに低下する。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与する工程により、対象の血中フェニルアラニン濃度が360~600マイクロモル/リットルに低下する。
【0013】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、対象の血中フェニルアラニン濃度を600マイクロモル/リットル未満に低下させるのに十分な量である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、対象の血中フェニルアラニン濃度を360マイクロモル/リットル未満に低下させるのに十分な量である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、対象の血中フェニルアラニン濃度を120マイクロモル/リットル未満に低下させるのに十分な量である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、対象の血中フェニルアラニン濃度を120~360マイクロモル/リットルに低下させるのに十分な量である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、対象の血中フェニルアラニン濃度を360~600マイクロモル/リットルに低下させるのに十分な量である。
【0014】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与する工程により、対象の血中フェニルアラニン濃度が少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は約10%~約30%、約20%~約40%、約30%~約50%、約40%~約60%、約50%~約70%、約60%~約80%、又は約70%~約90%)低下する。低下量は、少なくとも1週間(例えば、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間)にわたる投与後に測定してもよい。
【0015】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、対象の血中フェニルアラニン濃度を少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は約10%~約30%、約20%~約40%、約30%~約50%、約40%~約60%、約50%~約70%、約60%~約80%、又は約70%~約90%)低下させるのに十分な量である。
【0016】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、少なくとも約1000mg/日(例えば、少なくとも約1100mg/日、少なくとも約1200mg/日、少なくとも約1300mg/日、少なくとも約1400mg/日、少なくとも約1500mg/日、少なくとも約1600mg/日、少なくとも約1700mg/日、少なくとも約1800mg/日、少なくとも約1900mg/日、又は少なくとも約2000mg/日、又は1000mg/日~1400mg/日、1200mg/日~1600mg/日、1300mg/日~1700mg/日、1600mg/日~2000mg/日、1800mg/日~2400mg/日、2000mg/日~3000mg/日、3000mg/日~4000mg/日、4000~5000mg/日)のフェニルアラニン摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度が600マイクロモル/リットル未満に低下する。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、少なくとも約1000mg/日(例えば、少なくとも約1100mg/日、少なくとも約1200mg/日、少なくとも約1300mg/日、少なくとも約1400mg/日、少なくとも約1500mg/日、少なくとも約1600mg/日、少なくとも約1700mg/日、少なくとも約1800mg/日、少なくとも約1900mg/日、又は少なくとも約2000mg/日、又は1000mg/日~1400mg/日、1200mg/日~1600mg/日、1300mg/日~1700mg/日、1600mg/日~2000mg/日、1800mg/日~2400mg/日、2000mg/日~3000mg/日、3000mg/日~4000mg/日、4000~5000mg/日)のフェニルアラニン摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度が360マイクロモル/リットル未満に低下する。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、少なくとも約1000mg/日(例えば、少なくとも約1100mg/日、少なくとも約1200mg/日、少なくとも約1300mg/日、少なくとも約1400mg/日、少なくとも約1500mg/日、少なくとも約1600mg/日、少なくとも約1700mg/日、少なくとも約1800mg/日、少なくとも約1900mg/日、又は少なくとも約2000mg/日、又は1000mg/日~1400mg/日、1200mg/日~1600mg/日、1300mg/日~1700mg/日、1600mg/日~2000mg/日、1800mg/日~2400mg/日、2000mg/日~3000mg/日、3000mg/日~4000mg/日、4000~5000mg/日)のフェニルアラニン摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度が120マイクロモル/リットル未満に低下する。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、少なくとも約1000mg/日(例えば、少なくとも約1100mg/日、少なくとも約1200mg/日、少なくとも約1300mg/日、少なくとも約1400mg/日、少なくとも約1500mg/日、少なくとも約1600mg/日、少なくとも約1700mg/日、少なくとも約1800mg/日、少なくとも約1900mg/日、又は少なくとも約2000mg/日、又は1000mg/日~1400mg/日、1200mg/日~1600mg/日、1300mg/日~1700mg/日、1600mg/日~2000mg/日、1800mg/日~2400mg/日、2000mg/日~3000mg/日、3000mg/日~4000mg/日、4000~5000mg/日)のフェニルアラニン摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度が120~360マイクロモル/リットルに低下する。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、少なくとも約1000mg/日(例えば、少なくとも約1100mg/日、少なくとも約1200mg/日、少なくとも約1300mg/日、少なくとも約1400mg/日、少なくとも約1500mg/日、少なくとも約1600mg/日、少なくとも約1700mg/日、少なくとも約1800mg/日、少なくとも約1900mg/日、又は少なくとも約2000mg/日、又は1000mg/日~1400mg/日、1200mg/日~1600mg/日、1300mg/日~1700mg/日、1600mg/日~2000mg/日、1800mg/日~2400mg/日、2000mg/日~3000mg/日、3000mg/日~4000mg/日、4000~5000mg/日)のフェニルアラニン摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度が360~600マイクロモル/リットルに低下する。
【0017】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、10g/日より大きい(例えば、20g/日より大きい、30g/日より大きい、40g/日より大きい、50g/日より大きい、60g/日より大きい、70g/日より大きい、80g/日より大きい、又は約10g/日~約30g/日、約20g/日~約40g/日、約30g/日~約50g/日、約40g/日~約60g/日、約50g/日~約70g/日、約60g/日~約80g/日)自然蛋白質摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度が600マイクロモル/リットル未満に低下する。上述の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、セピアプテリン又は任意のその薬学的に許容される塩を投与することにより、10g/日より大きい(例えば、20g/日より大きい、30g/日より大きい、40g/日より大きい、50g/日より大きい、60g/日より大きい、70g/日より大きい、80g/日より大きい、又は約10g/日~約30g/日、約20g/日~約40g/日、約30g/日~約50g/日、約40g/日~約60g/日、約50g/日~約70g/日、約60g/日~約80g/日)自然蛋白質摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度が360マイクロモル/リットル未満に低下する。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又は任意のその薬学的に許容される塩を投与することにより、10g/日より大きい(例えば、20g/日より大きい、30g/日より大きい、40g/日より大きい、50g/日より大きい、60g/日より大きい、70g/日より大きい、80g/日より大きい、又は約10g/日~約30g/日、約20g/日~約40g/日、約30g/日~約50g/日、約40g/日~約60g/日、約50g/日~約70g/日、約60g/日~約80g/日)自然蛋白質摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度が120マイクロモル/リットル未満に低下する。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又は任意のその薬学的に許容される塩を投与することにより、10g/日より大きい(例えば、20g/日より大きい、30g/日より大きい、40g/日より大きい、50g/日より大きい、60g/日より大きい、70g/日より大きい、80g/日より大きい、又は約10g/日~約30g/日、約20g/日~約40g/日、約30g/日~約50g/日、約40g/日~約60g/日、約50g/日~約70g/日、約60g/日~約80g/日)自然蛋白質摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度が120~360マイクロモル/リットルに低下する。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又は任意のその薬学的に許容される塩を投与することにより、10g/日より大きい(例えば、20g/日より大きい、30g/日より大きい、40g/日より大きい、50g/日より大きい、60g/日より大きい、70g/日より大きい、80g/日より大きい、又は約10g/日~約30g/日、約20g/日~約40g/日、約30g/日~約50g/日、約40g/日~約60g/日、約50g/日~約70g/日、約60g/日~約80g/日)自然蛋白質摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度が360~600マイクロモル/リットルに低下する。
【0018】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の投与前の血中フェニルアラニン濃度から、少なくとも20%(例えば、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%)の対象の血中フェニルアラニン濃度の低下をもたらす。
【0019】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、投与後10時間以内に、対象の血漿中に少なくとも50ng/ml(例えば、少なくとも60ng/ml、少なくとも100ng/ml、少なくとも200ng/ml、少なくとも400ng/ml、少なくとも600ng/ml、少なくとも1000ng/ml、又は少なくとも2000ng/ml、又は50ng/ml~100ng/ml、60ng/ml~400ng/ml、及び 200ng/ml~600ng/ml、400ng/ml~1000ng/ml、又は600ng/ml~1500ng/ml)のBH4濃度が生じる。
【0020】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、少なくとも約1000mg/日(例えば、少なくとも約1100mg/日、少なくとも約1200mg/日、少なくとも約1300mg/日、少なくとも約1400mg/日、少なくとも約1500mg/日、少なくとも約1600mg/日、少なくとも約1700mg/日、少なくとも約1800mg/日、少なくとも約1900mg/日、又は少なくとも約2000mg/日、又は1000mg/日~1400mg/日、1200mg/日~1600mg/日、1300mg/日~1700mg/日、1600mg/日~2000mg/日、1800mg/日~2400mg/日、2000mg/日~3000mg/日、3000mg/日~4000mg/日、4000~5000mg/日)のフェニルアラニン摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度を600マイクロモル/リットル未満に低下させるのに十分な量である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、少なくとも約1000mg/日(例えば、少なくとも約1100mg/日、少なくとも約1200mg/日、少なくとも約1300mg/日、少なくとも約1400mg/日、少なくとも約1500mg/日、少なくとも約1600mg/日、少なくとも約1700mg/日、少なくとも約1800mg/日、少なくとも約1900mg/日、又は少なくとも約2000mg/日、又は1000mg/日~1400mg/日、1200mg/日~1600mg/日、1300mg/日~1700mg/日、1600mg/日~2000mg/日、1800mg/日~2400mg/日、2000mg/日~3000mg/日、3000mg/日~4000mg/日、4000~5000mg/日)のフェニルアラニン摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度を360マイクロモル/リットル未満に低下させるのに十分な量である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、少なくとも約1000mg/日(例えば、少なくとも約1100mg/日、少なくとも約1200mg/日、少なくとも約1300mg/日、少なくとも約1400mg/日、少なくとも約1500mg/日、少なくとも約1600mg/日、少なくとも約1700mg/日、少なくとも約1800mg/日、少なくとも約1900mg/日、又は少なくとも約2000mg/日、又は1000mg/日~1400mg/日、1200mg/日~1600mg/日、1300mg/日~1700mg/日、1600mg/日~2000mg/日、1800mg/日~2400mg/日、2000mg/日~3000mg/日、3000mg/日~4000mg/日、4000~5000mg/日)のフェニルアラニン摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度を120マイクロモル/リットル未満に低下させるのに十分な量である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、少なくとも約1000mg/日(例えば、少なくとも約1100mg/日、少なくとも約1200mg/日、少なくとも約1300mg/日、少なくとも約1400mg/日、少なくとも約1500mg/日、少なくとも約1600mg/日、少なくとも約1700mg/日、少なくとも約1800mg/日、少なくとも約1900mg/日、又は少なくとも約2000mg/日、又は1000mg/日~1400mg/日、1200mg/日~1600mg/日、1300mg/日~1700mg/日、1600mg/日~2000mg/日、1800mg/日~2400mg/日、2000mg/日~3000mg/日、3000mg/日~4000mg/日、4000~5000mg/日)のフェニルアラニン摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度を120~360マイクロモル/リットルに低下させるのに十分な量である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、少なくとも約1000mg/日(例えば、少なくとも約1100mg/日、少なくとも約1200mg/日、少なくとも約1300mg/日、少なくとも約1400mg/日、少なくとも約1500mg/日、少なくとも約1600mg/日、少なくとも約1700mg/日、少なくとも約1800mg/日、少なくとも約1900mg/日、又は少なくとも約2000mg/日、又は1000mg/日~1400mg/日、1200mg/日~1600mg/日、1300mg/日~1700mg/日、1600mg/日~2000mg/日、1800mg/日~2400mg/日、2000mg/日~3000mg/日、3000mg/日~4000mg/日、4000~5000mg/日)のフェニルアラニン摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度を360~600マイクロモル/リットルに低下させるのに十分な量である。
【0021】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、10g/日より大きい(例えば、20g/日より大きい、30g/日より大きい、40g/日より大きい、50g/日より大きい、60g/日より大きい、70g/日より大きい、80g/日より大きい、又は約10g/日~約30g/日、約20g/日~約40g/日、約30g/日~約50g/日、約40g/日~約60g/日、約50g/日~約70g/日、約60g/日~約80g/日)自然蛋白質摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度を600マイクロモル/リットル未満に低下させるのに十分な量である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、10g/日より大きい(例えば、20g/日より大きい、30g/日より大きい、40g/日より大きい、50g/日より大きい、60g/日より大きい、70g/日より大きい、80g/日より大きい、又は約10g/日~約30g/日、約20g/日~約40g/日、約30g/日~約50g/日、約40g/日~約60g/日、約50g/日~約70g/日、約60g/日~約80g/日)自然蛋白質摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度を360マイクロモル/リットル未満に低下させるのに十分な量である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、10g/日より大きい(例えば、20g/日より大きい、30g/日より大きい、40g/日より大きい、50g/日より大きい、60g/日より大きい、70g/日より大きい、80g/日より大きい、又は約10g/日~約30g/日、約20g/日~約40g/日、約30g/日~約50g/日、約40g/日~約60g/日、約50g/日~約70g/日、約60g/日~約80g/日)自然蛋白質摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度を120マイクロモル/リットル未満に低下させるのに十分な量である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、10g/日より大きい(例えば、20g/日より大きい、30g/日より大きい、40g/日より大きい、50g/日より大きい、60g/日より大きい、70g/日より大きい、80g/日より大きい、又は約10g/日~約30g/日、約20g/日~約40g/日、約30g/日~約50g/日、約40g/日~約60g/日、約50g/日~約70g/日、約60g/日~約80g/日)自然蛋白質摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度を120~360マイクロモル/リットルに低下させるのに十分な量である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、10g/日より大きい(例えば、20g/日より大きい、30g/日より大きい、40g/日より大きい、50g/日より大きい、60g/日より大きい、70g/日より大きい、80g/日より大きい、又は約10g/日~約30g/日、約20g/日~約40g/日、約30g/日~約50g/日、約40g/日~約60g/日、約50g/日~約70g/日、約60g/日~約80g/日)自然蛋白質摂取量で、対象の血中フェニルアラニン濃度を360~600マイクロモル/リットルに低下させるのに十分な量である。
【0022】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、有効量は、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の投与前の血中フェニルアラニン濃度から、対象の血中フェニルアラニン濃度を少なくとも20%(例えば、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%)低下させるのに十分な量である。
【0023】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、有効量は、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の投与から10時間以内に、対象の血漿中に少なくとも50ng/ml(例えば、少なくとも60ng/ml、少なくとも100ng/ml、少なくとも200ng/ml、少なくとも400ng/ml、少なくとも600ng/ml、少なくとも1000ng/ml、又は少なくとも2000ng/ml、又は50ng/ml~100ng/ml、60ng/ml~400ng/ml。200ng/ml~600ng/ml、400ng/ml~1000ng/ml、又は600ng/ml~1500ng/ml)のBH4濃度を生じさせるのに十分な量(例えば、1回の投与当たり2.5mg/kg~100mg/kg)である。
【0024】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、1回の投与当たり約2.5mg/kg~約100mg/kg(例えば、約20mg/kg~約60mg/kg、又は、約20mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、約50mg/kg、約60mg/kg)である。
【0025】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量が、食品と共に投与される。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、有効量は、食品と共に投与してから10時間以内に対象の血漿中に少なくとも50ng/ml(例えば、少なくとも60ng/ml、少なくとも100ng/ml、少なくとも200ng/ml、少なくとも400ng/ml、少なくとも600ng/ml、少なくとも1000ng/ml、又は少なくとも2000ng/ml、又は50ng/ml~100ng/ml、60ng/ml~400ng/ml、200ng/ml~600ng/ml、400ng/ml~1000ng/ml、又は600ng/ml~1500ng/ml)のBH4濃度を生じさせるのに十分な量(例えば、1回の投与当たり2.5mg/kg~100mg/kg)である。いくつかの実施形態では、有効量は、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を食品を伴わずに投与してから10時間以内に、対象の血漿中に少なくとも50ng/mlの最大BH4血漿濃度(Cmax)をもたらすのに十分な用量よりも少なくとも5%(例えば、少なくとも60ng/ml、少なくとも100ng/ml、少なくとも200ng/ml、少なくとも400ng/ml、少なくとも600ng/ml、少なくとも1000ng/ml、又は少なくとも2000ng/ml、又は50ng/ml~100ng/ml、60ng/ml~400ng/ml、200ng/ml~600ng/ml、400ng/ml~1000ng/ml、又は600ng/ml~1500ng/ml)低い用量を含む。
【0026】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象への投与は、食品を摂取する30分未満前、又は食品を摂取した後、例えば、食品の摂取直前又は摂取後1時間までに行われる。いくつかの実施形態では、対象への投与は、食品と実質的に同時である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、食品は高蛋白質食品である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、食品は高脂肪食品である(例えば、カロリーの少なくとも25、30、40、又は50%が脂肪からである)。本明細書に記載される方法のいずれかの実施形態では、食品は、高蛋白質及び高脂肪食品である。いくつかの実施形態では、食品は高カロリー食品である(例えば、食品は少なくとも100カロリー、例えば、少なくとも200カロリー、少なくとも300カロリー、少なくとも400カロリー、少なくとも500カロリー、例えば、500~1500又は800~1000カロリーを含む)。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、食品は、食事、例えば、朝食、昼食、又は夕食である。
【0027】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、食品と共に投与すること(例えば、食品を摂取する30分未満前に実施、又は食品を摂取した後、例えば、食品の摂取直前から摂取後1時間までの間に実施する)により、食品を伴わない投与(例えば、食品を摂取した後2時間以上経過し、さらに食品を摂取する30分前までに実施する)と比較して、BH4のCmaxの増加(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、又は少なくとも150%)をもたらす。
【0028】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態において、食品と共に投与すること(例えば、食品を摂取する30分未満前に実施、又は食品を摂取した後、例えば、食品の摂取直前から摂取後1時間までの間に実施する)により、食品を伴わない投与(例えば、食品を摂取する30分未満前に実施、又は食品を摂取した後、例えば、食品の摂取直前から摂取後1時間までの間に実施する)と比較して、BH4の生産の程度及び得られる血漿曝露(AUC0-last)の増加(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、又は少なくとも150%)をもたらす。
【0029】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩は、摂取された食品とは別の組成物で提供される(例えば、セピアプテリンは食品製品に組み込まれない)。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、食品の摂取は、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の投与前に実施される(例えば、食品の摂取は、セピアプテリンの投与の1時間前から直前までの間に実施される)。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、食品の摂取は、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の投与後に実施される(例えば、食品の摂取は、投与直後から投与後30分までの間に実施される)。
【0030】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、2等量(例えば、1日の異なる時間に2回の用量)で投与される。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、2回の60mg/kg用量(例えば、朝(morning)に1回の60mg/kg用量及び夜(evening)に1回の60mg/kg用量)で投与される。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、2回の40mg/kg用量(例えば、朝に1回の40mg/kg用量、夜に1回の40mg/kg用量)で投与される。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、2回の30mg/kg用量(例えば、朝に1回の30mg/kg用量、夜に1回の30mg/kg用量)で投与される。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、2回の20mg/kg用量(例えば、朝に1回の20mg/kg用量、夜に1回の20mg/kg用量)で投与される。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、2回の10mg/kg用量(例えば、朝に1回の10mg/kg用量、夜に1回の10mg/kg用量)で投与される。
【0031】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、有害事象(例えば、頭痛、鼻漏、咽喉頭痛、下痢、嘔吐、咳、及び/又は鼻づまり)のリスクは、少なくとも10mg/kg(例えば、少なくとも15mg/kg、少なくとも20mg/kg)のサプロプテリン又はその薬学的に許容できる塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)を投与した対象に比べて低減される。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、有害事象(例えば、頭痛、鼻漏、咽喉頭痛、下痢、嘔吐、咳、及び/又は鼻づまり)のリスクは、少なくとも20mg/kgのサプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)を投与した対象に比べて低減される。
【0032】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、子供(例えば、対象は、18歳未満、17歳未満、16歳未満、15歳未満、14歳未満、13歳未満、12歳未満、11歳未満、10歳未満、9歳未満、8歳未満、7歳未満、6歳未満、5歳未満、4歳未満、3歳未満、2歳未満、1歳未満)である。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は成人である(例えば、対象は18歳超である)。
【0033】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、テトラヒドロビオプテリン応答性フェニルケトン尿症と診断されている。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、セピアプテリン応答性PKUに起因する高フェニルアラニン血症と診断されている。
【0034】
本明細書に記載の方法のいずれかの実施形態において、対象は、フェニルアラニン制限食下(例えば、対象は、Phenyl-Free 2などの牛乳代替物又は配合物、及び測定量の果物、野菜、パン、パスタ、及びシリアルを含む食事下)である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、3000mg/日未満(例えば、2500mg/日未満、2000mg/日未満、1500mg/日未満、1000mg/日未満、500mg/日未満)のフェニルアラニン摂取量の中央値を有する。
【0035】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、フェニルアラニン制限食下ではない(例えば、対象は、1000mg/日より大きい(例えば、1500mg/日より大きい、2000mg/日より大きい、2500mg/日より大きい、3000mg/日より大きい)フェニルアラニン摂取量の中央値を有する)。
【0036】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象の食事中の蛋白質の25%未満(例えば、20%未満、15%未満、10%未満、又は5%未満)が、天然蛋白質である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象の食事中の蛋白質の25%超(例えば、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、99%超)が、天然蛋白質である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、10g/日未満(例えば、5g/日未満、又は約5g/日~約10g/日)の天然蛋白質摂取量を有する。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、10g/日超(例えば、20g/日超、30g/日超、40g/日超、50g/日超、60g/日超、70g/日超、80g/日超、又は約10g/日~約30g/日、約20g/日~約40g/日、約30g/日~約50g/日、約40g/日~約60g/日、約50g/日~約70g/日、約60g/日~約80g/日)の天然蛋白質摂取量を有する。
【0037】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を、懸濁用経口粉末として製剤化する。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態において、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩は、風味を有する懸濁用ビヒクル(例えば、MEDISCA(登録商標)Oral Mix)中の懸濁液として投与される。
【0038】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態において、投与する工程は、対象の神経認知機能の増加(例えば、実行機能の増加、不安の減少、注意欠陥/多動性障害症状の減少、及び/又は脳霧のインスタンスの減少)を生じさせる。いくつかの実施形態では、投与する工程は、(例えば、遂行機能障害症候群の行動評価(BADS)、実行機能の行動評価目録(BRIEF又はMini-BRIEF)、実行機能尺度におけるバークレー欠陥(BDEFS)、行動障害尺度(BDS)、ASEBA児童行動チェックリスト(CBLC)、包括的実行機能目録(CEFI)、CogScreen、継続的パフォーマンスタスク(CPT)、コントロールド口頭単語連想テスト(COWAT)、注意のd2テスト、デリス-キャプラン実行機能システム(D-KEFS)、ディジットヴィジランステスト、フィギュラルフルエンシーテスト、ハルステッドカテゴリーテスト、ヘイリングテスト及びブリクストンテスト、アイオワギャンブリングタスク、カプランベイクレスト ニューロコグニティブアセスメント(KBNA)、カウフマンショートニューロサイコロジカルアセスメント、メンタルクラッタースケール、ペースド聴覚連続加算テスト(PASAT)、フェニルケトン尿症-生活の質(PKU-QOL)、レイ-オステリエスコンプレックスフィギュア、ラフフィギュラルフルエンシーテスト、ストループタスク、実行制御のタスク、注意の変数テスト(T.O.V.A.)、ロンドン塔テスト、トレイルメイキングテスト(TMT)又はトレイルA & B、ウィスコンシンカードソーティングテスト(WCST)、又はシンボルディジットモダリティテストなどの評価によって測定されるような)実行機能の増加を生じさせる。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、投与する工程は、(例えば、(例えば、反応速度、空間スパン、空間ワーキングメモリー、高速デジタル情報処理、持続的注意力、及び/又はストップシグナルタスクの測定による)ケンブリッジニューロサイコロジカルテストオートメーテッドバッテリー(CANTAB)アセスメントによって測定されるような)実行機能の増加を生じさせる。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、投与する工程は、(例えば、ADHD-RS 5スケール(又はその不注意評価)及び/又はプロフィール ムードステイツ(POMS)スケールによって測定されるような)注意及び/又は気分の向上を生じさせる。
【0039】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、有効量は、対象の神経認知機能の増加(例えば、実行機能の増加、不安の減少、注意欠陥/多動性障害症状の減少、及び/又は脳霧のインスタンスの減少)を生じさせるのに十分な量である。いくつかの実施形態では、有効量は、(例えば、遂行機能障害症候群の行動評価(BADS)、実行機能の行動評価目録(BRIEF又はMini-BRIEF)、実行機能尺度におけるバークレー欠陥(BDEFS)、行動障害尺度(BDS)、ASEBA児童行動チェックリスト(CBLC)、包括的実行機能目録(CEFI)、CogScreen、継続的パフォーマンスタスク(CPT)、コントロールド口頭単語連想テスト(COWAT)、注意のd2テスト、デリス-キャプラン実行機能システム(D-KEFS)、ディジットヴィジランステスト、フィギュラルフルエンシーテスト、ハルステッドカテゴリーテスト、ヘイリングテスト及びブリクストンテスト、アイオワギャンブリングタスク、カプランベイクレスト ニューロコグニティブアセスメント(KBNA)、カウフマンショートニューロサイコロジカルアセスメント、メンタルクラッタースケール、ペースド聴覚連続加算テスト(PASAT)、フェニルケトン尿症-生活の質(PKU-QOL)、レイ-オステリエスコンプレックスフィギュア、ラフフィギュラルフルエンシーテスト、ストループタスク、実行制御のタスク、注意の変数テスト(T.O.V.A.)、ロンドン塔テスト、トレイルメイキングテスト(TMT)又はトレイルA & B、ウィスコンシンカードソーティングテスト(WCST)、又はシンボルディジットモダリティテストなどの評価によって測定されるような)実行機能の増加をもたらすのに十分な量である。いくつかの実施形態では、有効量は、(例えば、(例えば、反応速度、空間スパン、空間ワーキングメモリー、高速デジタル情報処理、持続的注意力、及び/又はストップシグナルタスクの測定による)ケンブリッジニューロサイコロジカルテストオートメーテッドバッテリー(CANTAB)アセスメントによって測定されるような)実行機能の増加をもたらすのに十分な量である。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、有効量は、(例えば、ADHD-RS 5スケール(又はその不注意評価)及び/又はプロフィールムードステイツ(POMS)スケールによって測定されるような)注意及び/又は気分の向上を生じさせるのに十分な量である。
【0040】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、投与する工程により、睡眠の質の増加及び/又は睡眠不足に関連する症状の減少がもたらされる。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、有効量は、睡眠の質の増加及び/又は睡眠不足に関連する症状の減少をもたらすのに十分な量である。
【0041】
定義
本出願において、文脈から他に明らかでない限り、(i)用語「a」は、「少なくとも1つ」を意味すると理解してもよく、(ii)用語「又は」は、「及び/又は」を意味すると理解してもよく、(iii)用語「含む」及び「包含する」という用語は、それ自体で提示されるか又は1つ以上の追加の構成要素もしくは工程と共に提示されるかにかかわらず、箇条書きされた構成要素又は工程を包含するものと理解してもよく、且つ(iv)「約」という用語は、当業者によって理解されるように標準的な変形を可能にすると理解してもよく、且つ(v)範囲が提供されている場合は、終点が含まれる。
【0042】
本明細書中に記載の化合物、組成物、製剤、及び治療方法についての記載は、実施形態「含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」ことを含むと理解すべきである。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の全ての組成物及び本明細書中に記載の組成物を使用する全ての方法について、組成物は、列挙した成分又は工程を含むことができるか、列挙した成分又は工程「から本質的になる」ことができる。組成物が列挙した成分「から本質的になる」と記載する場合、組成物は列挙した成分を含み、且つ、治療される状態に実質的に影響を及ぼさない他の成分を含んでいてもよいが、明確に列挙した成分以外の、治療される状態に実質的に影響を及ぼすいかなる他の成分も含まないか;又は、組成物が、列挙した成分以外の、治療される状態に実質的に影響を及ぼす追加成分を実際に含む場合、組成物は、治療される状態に実質的に影響を及ぼすのに十分な濃度又は量の追加成分を含まない。方法が列挙した工程「から本質的になる」と記載する場合、方法は列挙した工程を含み、且つ、治療される状態に実質的に影響を及ぼさない他の工程を含んでいてもよいが、方法は、明確に列挙した工程以外の、治療される状態に実質的に影響を及ぼすいかなる他の工程も含まない。非限定的な具体例として、組成物がある成分「から本質的になる」と記載する場合、組成物は、任意の量の薬学的に許容され得るキャリア、ビヒクル、又は希釈剤及び治療される状態に実質的に影響を及ぼさない他のかかる成分をさらに含み得る。
【0043】
文脈から他に明らかでない限り、本明細書に含まれるセピアプテリンへの全ての言及は、セピアプテリン又はセピアプテリンの薬学的に許容される塩を指す。
【0044】
本明細書で使用される用語「約」は、用語「約」に続く値の±10%の範囲にある値を表す。本明細書において、値又はパラメータに「約」と言及することは、その値又はパラメータ自体に向けられた変形を含む(及び説明する)。例えば、「約X」に言及する記述は、「X」の記述を含む。本明細書で使用される用語「投与」は、対象又は系への組成物(例えば、本明細書に記載の化合物又はそれを含む調製物)の投与を指す。動物対象への投与(例えば、ヒトへの投与)は、任意の適切な経路によるものであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、投与は気管支(気管支点滴注入を含む)、口腔内、経腸、インターダーマル、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、髄腔内、静脈内、脳室内、粘膜、経鼻、経口、直腸、皮下、舌下、局所、気管内(気管内点滴注入を含む)、経皮、膣内及び硝子体を含む。
【0045】
「フェニルアラニンのレベルを測定する」は、直接的又は間接的に当該技術分野で知られている方法によって、フェニルアラニンを検出することを意味する。「直接的に測定する」とは、物理的実体又は値を得るための処理(例えば、サンプルに対してアッセイ又はテストを行うこと、又はその用語が本明細書で定義されるように「サンプルを分析すること」)を実行することを意味する。「間接的に測定する」とは、別の当事者又はソース(例えば、物理的実体又は値を直接取得した第三者実験室)から物理的実体又は値を受け取ることを指す。フェニルアラニンレベルを測定する方法は、典型的には、フェニルアラニンの反応の副生成物が蛍光プローブと反応する蛍光アッセイを含むが、これらに限定されるものではない。
【0046】
化合物の「有効量」は、個々の病状、年齢、性別、及び体重、並びに所望の反応を誘発するための化合物の能力等の要因によって異なっていてもよい。治療上有効量は、治療上有益な効果が化合物の任意の毒性又は有害な効果を上回っている量を包含する。有効量はまた、利益、例えば、臨床的利益を与えるのに十分な量も包含する。
【0047】
本明細書で使用する場合、「先行療法に反応しなかった」という用語は、特定の療法(例えば、その療法のFDA承認ラベルに記載されているような療法)で治療したにもかかわらず、その状態が安定したままであるか、悪化したか、又はその療法で許容される標準よりも少なく改善した対象を意味する。
【0048】
本明細書で使用される「食品」という用語は、胃で急速に溶解及び吸収されないような十分な嵩高さ及び脂肪含有量を有する固体食品を指す。例えば、朝食、昼食、又は夕食のような食事である。本明細書で使用される「食品と共に(with food)」という用語は、(例えば、食べ物を)食べる前約30分から食後約2時間までの間に組成物を投与することを指す。用語「食品を伴わない(without food)」、「絶食」、又は「空腹」は、さらに固体食品を摂取するより約30分前までで、少なくとも約2時間の間、固体食品を摂取していない状態を指す。
【0049】
本明細書で使用される用語「高フェニルアラニン血症」は、対象が、健康な対象と比較して、血中のフェニルアラニンのレベルが上昇している医学的状態を指す。例えば、いくつかの実施形態では、対象は、その血中のフェニルアラニンの濃度が60マイクロモル/リットルより大きい場合、高フェニルアラニン血症を有すると見なされる。いくつかの実施形態では、対象は、その血液中のフェニルアラニンの濃度が120マイクロモル/リットルより大きい場合(例えば、120マイクロモル/リットル~2400マイクロモル/リットルまで)、高フェニルアラニン血症を有すると見なされる。
【0050】
「レベル」は、参照と比較した場合の、フェニルアラニンのレベルを意味する。参照は、本明細書で定義されるような任意の有用な参照、例えば、投与前の対象におけるレベル、即ち、ベースラインレベルであり得る。フェニルアラニンの「低下したレベル」又は「増加したレベル」は、参照と比較したときのフェニルアラニンレベルの低下又は増加(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約150%、約200%、約300%、約400%、約500%、又はそれらより大きい低下又は増加;参照と比較したときの約10%、約15%、約20%、約50%、約75%、約100%、又は約200%より大きい低下又は増加;約0.01倍、約0.02倍、約0.1倍、約0.3倍、約0.5倍、約0.8倍、又はそれら未満の減少又は増加;又は約1.2倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.8倍、約2倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.5倍、約5.0倍、約10倍、約15倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約100倍、約1000倍、又はそれら以上の増加)を意味する。フェニルアラニンのレベルは、mass/vol(例えば、g/dL、mg/mL、μg/mL、ng/mL)、濃度/vol(例えば、ナノモル/リットル、マイクロモル/リットル、マイクロモル/ミリリットル)、又はサンプル中の全アミノ酸に対する割合で表されることがある。
【0051】
「天然蛋白質」は、Pheを含む天然源(例えば、動物、植物、又は菌類)由来の蛋白質を意味する。
【0052】
本明細書で使用される「医薬組成物」という用語は、薬学的に許容される賦形剤と共に製剤化された本明細書に記載の化合物を含む組成物を表す。医薬組成物は、例えば、単位製剤の経口投与用(例えば、錠剤、カプセル、カプレット、ゲルキャップ、懸濁液、溶液、又はシロップ)、局所投与用(例えば、クリーム、ゲル、ローション、又は軟膏剤として)、静脈内投与用(例えば、粒状塞栓フリーで、静脈内使用に適した溶媒系の滅菌溶液として)、又は任意の他の薬学的に許容される製剤中で製剤化することができる。
【0053】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応なしにヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適しており、合理的な利益/リスク比に相応する任意の塩を意味する。薬学的に許容される塩は当技術分野において周知である。例えば、薬学的に許容される塩は、Berge et al., J. Pharmaceutical Sciences 66:1-19, 1977、及びPharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, (Eds. P.H. Stahl and C.G. Wermuth), Wiley-VCH, 2008に記載されている。塩は、本明細書に記載の化合物の最終的な単離及び精製の間にin situで調製することができ、あるいはフリー塩基グループを適切な有機酸と反応させることによって別々に調製することができる。
【0054】
多くの場合、化合物は、薬学的に許容される酸の付加生成物として調製される薬学的に許容される塩として調製又は使用される。適切な薬学的に許容される酸、並びに適切な塩の調製方法は当技術分野において周知である。塩は、無機及び有機の酸を含む薬学的に許容される無毒性の酸から調製されてもよい。
【0055】
代表的な酸付加塩としては、アセテート、アジペート、アルギネート、アスコルベート、アスパテート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエート、ベシレート、ビサルフェート、ボレート、ブチレート、カンフォレート、カンファースルホネート、シトレート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルサウルフェート、エタンスルホネート、フマレート、ゲンチセート、グルコヘプトネート、グリセロフォスフェイト、グリコレート、ヘミサルフェート、ヘプトネート、ヘキサネート、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、ヒドロイオディド、2-ヒドロキシ-エタンスルホネート、ラクトビオネート、ラクテート、ラウレート、ラウリルサルフェート、マレート、マレエート、マロネート、メタンスルホネート、2-ナフタレンスルホネート、ニコチネート、ニトレート、オレエート、オキサレート、パルミテート、パモエート、ペクチネート、パーサルフェート、3-フェニルプロピオネート、ホスフェート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、ステアレート、サクシネート、サルフェート、ターレート、チオシアネート、トルエンスルホネート、ウンデカノエート、及びバレラート塩を含む。
【0056】
「血中フェニルアラニン濃度が低下する」は、対象の血液及び/又は血漿中のフェニルアラニンのレベルが低下することを意味する。フェニルアラニンのレベルは、当該技術分野において公知の任意の方法を用いて測定することができ、例えば、対象の血液中のフェニルアラニンの濃度は、乾燥血液スポット又は血漿分析によって測定できる。
【0057】
「セピアプテリン応答性フェニルケトン尿症」は、対象が、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を1ヶ月まで投与した後、ベースラインからの血中フェニルアラニンの低下を示すフェニルケトン尿症を意味する。
【0058】
本明細書で使用する用語「実質的にフリー」は、全て又はほぼ全ての範囲又は程度の目的の化合物又は化合物の種類が存在しないことを示す定性的状態を意味する。生物学分野の通常の技術者であれば、生物学的及び化学的現象は、例えば、あらゆる測定における固有の誤差のために、間違いなくゼロであると決定されることは、ほとんどないことを理解するであろう。従って、本明細書では、多くの生物学的及び化学的測定に固有の完全性の潜在的な欠如を捕らえるために、「実質的にフリー」という用語が使用される。
【0059】
本明細書中で使用される用語「対象」又は「患者」は、例えば、実験、診断、予防、及び/又は治療目的のために、本発明に係る化合物又は組成物が投与され得る任意の生物をいう。典型的な対象は、任意の動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒトなどの哺乳動物)を含む。対象は、治療を必要としていてもよく、治療を受けていてもよく、将来治療を受けてもよく、又は特定の疾患又は状態について訓練を受けた専門家によってケアされているヒト又は動物であってもよい
【0060】
本明細書で使用される用語「治療する」、「治療された」、又は「治療する工程」は、治療的処置及び予防又は抑制手段の両方を意味し、その目的は、望ましくない生理学的状態、障害、又は疾患を抑制又は減速(軽減)すること、あるいは有益又は望ましい臨床結果を得ることである。有益又は望ましい臨床結果は、症状の軽減、状態、障害、又は疾患の程度の減少、状態、障害、又は疾患の安定した(即ち悪化していない)様子、状態、障害、又は疾患の進行の発症又は遅延、検出可能であるか検出不可能であるかにかかわらず、状態、障害、又は病状又は寛解(部分的又は全体的)の改善、対象によって識別できることが必須ではない、少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善、又は状態、障害、又は疾患の改善又は向上が含まれるが、これらに限定されない。治療は、過度のレベルの副作用なしに臨床的に有意な反応を引き出すことを含む。治療はまた、治療を受けていない場合の予想生存期間と比較して生存期間を延長することを含む。
【0061】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、この発明が属する技術分野の通常の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。方法及び材料は、本明細書の開示で使用するために本明細書に記載され、当技術分野で知られている他の、適切な方法及び材料もまた使用できる。材料、方法、及び実施例は、例示に過ぎず、限定することを意図していない。本明細書で言及される全ての出版物、特許出願、特許、配列、データベースエントリ、及び他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。矛盾がある場合、定義を含む本明細書が支配することになる。
【0062】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1図1は、PTC923低用量及びPTC923による治療後の血漿フェニルアラニン濃度の平均絶対低下量を例示するグラフである。
図2図2は、患者が無作為化された6つの治療順序を例示するチャートである。
図3図3は、サプロプテリン、PTC923低用量、及びPTC923による治療後のベースラインからの血中フェニルアラニン濃度の平均絶対変化量を示すグラフである。
図4図4は、サプロプテリン、PTC923低用量、及びPTC923による治療後の3日後の血中フェニルアラニン濃度のベースラインからの平均絶対変化量を示すグラフである。
図5図5は、サプロプテリン及びPTC923による治療後の各対象の血中フェニルアラニン濃度の絶対変化量を示すグラフである。
図6図6は、サプロプテリン及びPTC923による治療後の古典的PKU対象の血中フェニルアラニン濃度の平均絶対変化量を示すグラフである。
図7図7は、サプロプテリン、PTC923低用量、及びPTC923による治療後の感度分析集団における血中フェニルアラニン濃度の平均絶対変化量を示すグラフである。
図8図8は、サプロプテリンによる治療と比較した、PTC923による治療に対するレスポンダーの増加割合を示すグラフである。
【詳細な説明】
【0064】
本発明者らは、セピアプテリンが、驚くべきことに、血中フェニルアラニン濃度の低下に有効であることを見出した。特に、本発明者らは、セピアプテリンが、血中フェニルアラニン濃度を健常者の濃度と同様のレベルまで低下させるのに有効であること、及び/又はサプロプテリン二塩酸塩及び/又はペグバリアーゼ-pqpzによる先行治療に反応しなかった対象において有効なことを見出した。従って、本発明は、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与することによる、対象の血中フェニルアラニン濃度の低下のための方法を特徴とする。
【0065】
セピアプテリン
セピアプテリンは細胞内へ通過し、セピアプテリン還元酵素により7,8-ジヒドロビオプテリンに変換される。その後、7,8-ジヒドロビオプテリンは、ジヒドロ葉酸還元酵素による還元を経てBH4に変換される。
【0066】
セピアプテリンは、以下の構造を有する。
セピアプテリン
【0067】
セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩は、医薬組成物中に配合できる。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、セピアプテリン又はその塩を総重量に対して20~30%、例えば、約20%、22%、25%、27%、又は30%含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、セピアプテリンを総重量に対して20%超、例えば、25%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、又は90%超含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、セピアプテリンを総重量に対して20%未満、例えば、20%未満、15%未満、10%未満、又は5%未満含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明は、セピアプテリン又はその塩、及び総重量に対して10%未満(例えば、約9%、7%、5%、3%、1%、0.5%、0.25%、0.1%、又は抗酸化剤を含まない)の抗酸化剤を含む医薬組成物を特徴とする。抗酸化剤は、アスコルビン酸であってもよい。いくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩と抗酸化剤との比率は、重量で1:1、又は1:1より大きい、例えば、2:1、5:1、7:1、又は10:1である。医薬組成物は、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を総重量に対して20~30%、例えば、約20%、22%、25%、27%、又は30%含んでもよい。医薬組成物は、分散剤、例えば、クロスカメロースナトリウムをさらに含んでもよい。医薬組成物は、分散剤を総重量に対して0.1~1.5%、例えば、0.1%、0.5%、1%又は1.5%含んでもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つのアンチケーキング剤、例えば、コロイダル二酸化ケイ素又は微結晶セルロースを含む。医薬組成物は、アンチケーキング剤を総重量に対して65~75%、例えば、約65%、67%、70%、73%、又は75%含んでもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、コロイダル二酸化ケイ素及び微結晶セルロースの両方を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、総重量に対して60~65%の微結晶セルロース、及び総重量に対して5~7%のコロイダル二酸化ケイ素を含む。いくつかの実施形態では、セピアプテリン結晶形は、140μm未満(例えば、約120μm、110μm、100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm、又は5μm)の粒子として製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ラクトイルプテリンのような不純物を総重量に対して1%未満、例えば、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、又は0.2%未満を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、セピアプテリンは、セピアプテリンの塩、例えば、硫酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、酒石酸(例えば、L-酒石酸)、リン酸、ゲンチシン酸、フマル酸、グリコール酸、酢酸、又はニコチン酸との塩である。
【0070】
いくつかの実施形態では、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩は、結晶形である。結晶性セピアプテリンフリー塩基又はセピアプテリンの塩の結晶形は、無水物(例えば、任意の結合水又は溶媒又は水和又は溶媒和を持たない)として、又は水和物、部分水和物(例えば、半水和物、セスキ水和物など)として、二水和物、三水和物などとして生じ得る。ここで、結晶形は、セピアプテリン結晶形又はその塩に関連する水和水又は溶媒分子を結合する。一実施形態では、結晶性セピアプテリンは、一水和物又は半水和物として生じる。
【0071】
いくつかの実施形態では、セピオアプテリンは、例えば、WO 2018/102314及びWO 2018/102315に記載されているように、結晶形で存在し、その結晶形は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0072】
いくつかの実施形態では、セピアプテリン結晶形は、少なくとも9.7°±0.5、例えば、9.7°±0.2、10.2°±0.5、例えば、10.2°±0.2、及び11.3°±0.5、例えば、11.3°±0.2の2θで表されるピークを有するCuKαX線の照射によって得られる粉末X線回折パターンによって特徴付けられる。他の実施形態では、セピアプテリン結晶形は、少なくとも9.7°±0.5、例えば、9.7°±0.2、10.2°±0.5、例えば、10.2°±0.2、11.3°±0.5、例えば、11.3°±0.2、14.0°±0.5、例えば、14.0°±0.2、14.6°±0.5、例えば、14.6°±0.2、19.9°±0.5、例えば、19.9°±0.2、22.2°±0.5、例えば、22.2°±0.2、25.3°±0.5、例えば、25.3°±0.2、及び32.4°±0.5、例えば、32.4°±0.2の2θで表されるピークを有するCuKαX線の照射によって得られる粉末X線回折パターンによって特徴付けられる。この結晶形の本質的に純粋な形態では、表1に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、この結晶形は、71.6°C及び233.4°Cで2つの吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0073】
【表1】
【0074】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形は、CuKαX線の照射によるX線回折により測定される、又はX線回折から計算される、8.4°±0.5、例えば、8.4°±0.2、16.9°±0.5、例えば、16.9°±0.2、又は25.4°±0.5、例えば、25.4°±0.2の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピーク(例えば、1、2、又は3つのピーク)を有する。いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形は、CuKαX線の照射によるX線回折により測定される、又はX線回折から計算される、8.4°±0.5、例えば、8.4°±0.2、14.9°±0.5、例えば、14.9°±0.2、16.9°±0.5、例えば、16.9°±0.2、25.4°±0.5、例えば、25.4°±0.2、及び34.1°±0.5、例えば、34.1°±0.2の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピーク(例えば、1、2、3、4又は5つのピーク)を有する。この結晶形の本質的に純粋な材料では、表2に示されるような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、この結晶形は、195.2℃での融解イベントを示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0075】
【表2】
【0076】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形は、CuKαX線の照射によるX線回折により測定される、又はX線回折から計算される、5.7°±0.5、例えば、5.7°±0.2、7.8°±0.5、例えば、7.8°±0.2、又は25.4°±0.5、例えば、25.4°±0.2の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピーク(例えば、1、2、又は3つのピーク)を有する。いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形は、CuKαX線の照射によるX線回折により測定される、又はX線回折から計算される、5.7°±0.5、例えば、5.7°±0.2、7.8°±0.5、例えば、7.8°±0.2、9.1°±0.5、例えば、9.1°±0.2、11.5°±0.5、例えば、11.5°±0.2、15.3°±0.5、例えば、15.3°±0.2、16.0°±0.5、例えば、16.0°±0.2、20.1°±0.5、例えば、20.1°±0.2、25.4°±0.5、例えば、25.4°±0.2、及び26.6°±0.5、例えば、26.6°±0.2の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピーク(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9つのピーク)を有する。この結晶形の本質的に純粋な材料では、表3に示されるような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、この結晶形は、58.3°C、101.8°C、129.8°C、156.5°C、及び168.3°Cの5つの吸熱ピークを示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0077】
【表3】
【0078】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形は、CuKαX線の照射によるX線回折により測定される、又はX線回折から計算される、8.9°±0.5、例えば、8.9°±0.2、10.3°±0.5、例えば、10.3°±0.2、又は26.0°±0.5、例えば、26.0°±0.2の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピーク(例えば、1、2、又は3つのピーク)を有する。いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形は、CuKαX線の照射によるX線回折により測定される、又はX線回折から計算される、8.9°±0.5、例えば、8.9°±0.2、10.3°±0.5、例えば、10.3°±0.2、10.9°±0.5、例えば、10.9°±0.2、17.8°±0.5、例えば、17.8°±0.2、24.9°±0.5、例えば、24.9°±0.2、26.0°±0.5、例えば、26.0°±0.2、26.7°±0.5、例えば、26.7°±0.2、26.8°±0.5、例えば、26.8°±0.2、及び28.3°±0.5、例えば、28.3°±0.2の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピーク(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9つのピーク)を有する。この結晶形の本質的に純粋な材料では、表4に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、この結晶形態は、42.7℃、66.3℃、及び232.9℃の3つの吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0079】
【表4】
【0080】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形は、CuKαX線の照射によるX線回折により測定される、又はX線回折から計算される、4.7°±0.5、例えば、4.7°±0.2、7.4°±0.5、例えば、7.4°±0.2、又は26.2°±0.5、例えば、26.2°±0.2の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピーク(例えば、1、2、又は3つのピーク)を有する。いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形は、CuKαX線の照射によるX線回折により測定される、又はX線回折から計算される、4.7°±0.5、例えば、4.7°±0.2、7.4°±0.5、例えば、7.4°±0.2、9.5°±0.5、例えば、9.5°±0.2、11.3°±0.5、例えば、11.3°±0.2、15.6°±0.5、例えば、15.6°±0.2、16.4°±0.5、例えば、16.4°±0.2、26.2°±0.5、例えば、26.2°±0.2、又は27.2°±0.5、例えば、27.2°±0.2の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピーク(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8つのピーク)を有する。この結晶形の本質的に純粋な材料では、表5に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、この結晶形は、82.8℃及び179.8℃の吸熱ピークを示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0081】
【表5】
【0082】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形は、CuKαX線の照射によるX線回折により測定される、又はX線回折から計算される、6.0°±0.5、6.0°±0.210.6°±0.5、10.6°±0.2、12.1°±0.5、例えば、12.1°±0.2、15.9°±0.5、例えば、15.9°±0.2、20.9°±0.5、例えば、20.9°±0.2、又は24.6°±0.5、例えば、24.6°±0.2の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピーク(例えば、1、2、3、4、5又は6ピーク)を有する。いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形は、CuKαX線の照射によるX線回折により測定される、又はX線回折から計算される、6.0°±0.5、例えば、6.0°±0.2、10.6°±0.5、例えば、10.6°±0.2、12.1°±0.5、例えば、12.1°±0.2、15.9°±0.5、例えば、15.9°±0.2、18.1°±0.5、例えば、18.1°±0.2、20.9°±0.5、例えば、20.9°±0.2、22.1°±0.5、例えば、22.1°±0.2、24.6°±0.5、例えば、24.6°±0.2、26.1°±0.5、例えば、26.1°±0.2、28.1°±0.5、例えば、28.1°±0.2、28.9°±0.5、例えば、28.9°±0.2、32.1°±0.5、例えば、32.1°±0.2、又は37.0°±0.5、例えば、37.0°±0.2の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピーク(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13のピーク)を有する。この結晶形の本質的に純粋な形態では、表6に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、この結晶形は、112.9℃及び195.8℃の2つの吸熱ピークを示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0083】
【表6】
【0084】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形は、CuKαX線の照射によるX線回折により測定される、又はX線回折から計算される、10.0°±0.5、例えば、10.0°±0.2、10.6°±0.5、例えば、10.6°±0.2、又は25.7°±0.5、例えば、25.7°±0.2の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピーク(例えば、1、2、又は3つのピーク)を有する。いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形は、CuKαX線の照射によるX線回折により測定される、又はX線回折から計算される、10.0°±0.5、例えば、10.0°±0.2、10.6°±0.5、例えば、10.6°±0.2、11.2°±0.5、例えば、11.2°±0.2、15.3°±0.5、例えば、15.3°±0.2、15.9°±0.5、例えば、15.9°±0.2、22.8°±0.5、例えば、22.8°±0.2、24.4°±0.5、例えば、24.4°±0.2、25.0°±0.5、例えば、25.0°±0.2、25.7°±0.5、例えば、25.7°±0.2、又は26.6°±0.5、例えば、26.6°±0.2の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピーク(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のピーク)を有する。この結晶形の本質的に純粋な材料では、表7に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。
【0085】
【表7】
【0086】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの塩酸塩の結晶形は、CuKαX線の照射によるX線回折により測定される、又はX線回折から計算される、7.8°±0.5、例えば、7.8°±0.2、12.9°±0.5、例えば、12.9°±0.2、又は26.2°±0.5、例えば、26.2°±0.2の回折角2θ(°)に少なくとも1つのピーク(例えば、1、2、又は3つのピーク)を有する。いくつかの実施形態では、セピアプテリンの塩酸塩の結晶形のX線回折図における最も強いピークは、7.8°±0.5、例えば、7.8°±0.2の屈折角2θにおいて観察される。このセピアプテリンの塩酸塩の結晶の本質的に純粋な材料は、表8に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶性塩酸塩は、225.9°Cで吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0087】
【表8】
【0088】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形1メタンスルホン酸塩は、少なくとも7.8°±0.5、例えば、7.8°±0.5、例えば、7.8°±0.2、23.5°±0.5、例えば、23.5°±0.2、及び29.0°±0.5、例えば、29.0°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、23.5°±0.5、例えば、23.5°±0.2の屈折角2θで観察される。セピアプテリンの結晶形1メタンスルホン酸塩の本質的に純粋な材料では、表9に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶形1メタンスルホン酸塩は、186.0℃及び229.1℃の2つの吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0089】
【表9】
【0090】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形2メタンスルホン酸塩は、少なくとも7.8°±0.5、例えば、7.9°±0.5、例えば、7.9°±0.2、23.4°±0.5、例えば、23.4°±0.2、及び28.9°±0.5、例えば、28.9°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、23.5°±0.5、例えば、23.5°±0.2の屈折角度2θで観察される。セピアプテリンの結晶形2メタンスルホン酸塩の本質的に純粋な材料では、表10に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶形2メタンスルホン酸塩は、75.5℃、182.6℃及び234.9℃の3つの吸熱を示すDSC曲線によって特徴づけられる。
【0091】
【表10】
【0092】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形3メタンスルホン酸塩は、少なくとも7.8°±0.5、例えば、21.7°±0.5、例えば、21.7°±0.2、26.0°±0.5、例えば、26.0°±0.2、及び28.9°±0.5、例えば、28.9°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、26.0°±0.5、例えば、26.0°±0.2の屈折角2θで観察される。セピアプテリンの結晶形3メタンスルホン酸塩の本質的に純粋な材料では、表11に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶形3メタンスルホン酸塩は、195.1℃及び240.1℃の2つの吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0093】
【表11】
【0094】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶性ニコチン酸塩は、少なくとも9.5°±0.5、例えば、9.5°±0.2、9.9°±0.5、例えば、9.9°±0.2、及び24.5°±0.5、例えば、24.5°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、24.5°±0.5、例えば、24.5°±0.2の屈折角度2θで観察される。セピアプテリンの結晶性ニコチン酸塩の本質的に純粋な材料では、表12に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶性ニコチン酸塩は、221.9°Cで吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0095】
【表12】
【0096】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶性p-トルエンスルホン酸塩は、少なくとも6.5°±0.5、例えば、6.5°±0.2、15.1°±0.5、例えば、15.1°±0.2、及び23.4°±0.5、例えば、23.4°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、6.5°±0.5、例えば、6.5°±0.2の屈折角2θで観察される。セピアプテリンのp-トルエンスルホン酸塩の本質的に純粋な材料では、表13に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶性p-トルエンスルホン酸塩は、77.2℃、202.4℃及び260.2℃の3つの吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0097】
【表13】
【0098】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶性ベンゼンスルホン酸塩は、少なくとも6.5°±0.5、例えば、6.5°±0.2、14.8°±0.5、例えば、14.8°±0.2、及び19.6°±0.5、例えば、19.6°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、6.5°±0.5、例えば、6.5°±0.2の屈折角2θで観察される。セピアプテリンのベンゼンスルホン酸塩の本質的に純粋な材料では、表14に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶性ベンゼンスルホン酸塩は、202.3°C及び265.5°Cの2つの吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0099】
【表14】
【0100】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶性リン酸塩は、少なくとも16.6°±0.5、例えば、16.6°±0.2、22.2°±0.5、例えば、22.2°±0.2、及び25.6°±0.5、例えば、25.6°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、25.6°±0.5、例えば、25.6°±0.2の屈折角2θで観察される。セピアプテリンの結晶性リン酸塩の本質的に純粋な材料では、表15に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶性リン酸塩は、125.9°C、152.1°C、及び157.6°Cの3つの吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0101】
【表15】
【0102】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶性マロン酸塩は、少なくとも6.9°±0.5、例えば、6.9°±0.2、22.7°±0.5、例えば、22.7°±0.2、及び23.8°±0.5、例えば、23.8°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、6.9°±0.5、例えば、6.9°±0.2の屈折角2θで観察される。セピアプテリンの結晶性マロン酸塩の本質的に純粋な材料では、表16に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶性マロン酸塩は、115.8°Cでの融解イベントを示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0103】
【表16】
【0104】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶性L-酒石酸塩は、少なくとも7.3°±0.5、例えば、7.3°±0.2、14.2°±0.5、例えば、14.2°±0.2、及び21.8°±0.5、例えば、21.8°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、6.9°±0.5、例えば、6.9°±0.2の屈折角2θで観察される。セピアプテリンの結晶性L-酒石酸塩の本質的に純粋な材料では、表17に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶性L-酒石酸塩は、97.2℃及び160.6℃の2つの吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0105】
【表17】
【0106】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶性ゲンチジン酸塩は、少なくとも7.1°±0.5、例えば、7.1°±0.2、8.7°±0.5、例えば、8.7°±0.2、及び26.7°±0.5、例えば、26.7°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、7.1°±0.5、例えば、7.1°±0.2の屈折角2θで観察される。セピアプテリンの結晶性ゲンチジン酸塩の本質的に純粋な材料では、表18に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶性ゲンチジン酸塩は、70.5℃、128.2℃、及び184.7℃の3つの吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0107】
【表18】
【0108】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶性フマル酸塩は、少なくとも11.3°±0.5、例えば、11.3°±0.2、24.0°±0.5、例えば、24.0°±0.2、及び28.2°±0.5、例えば、28.2°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、少なくとも24.0°±0.5、例えば、24.0°±0.2の屈折角2θで観察される。セピアプテリンの結晶性フマル酸塩の本質的に純粋な材料では、表19に示すような屈折角2θでピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶性フマル酸塩は、114.3℃及び229.7℃の2つの吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けることができる。
【0109】
【表19】
【0110】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶性グリコール酸塩は、少なくとも7.6°±0.5、例えば、7.6°±0.2、10.7°±0.5、例えば、10.7°±0.2、及び24.0°±0.5、例えば、24.0°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、7.6°±0.5、例えば、7.6°±0.2の屈折角2θで観察される。セピアプテリンの結晶性グリコール酸塩の本質的に純粋な材料では、表20に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶性グリコール酸塩は、133.9°C及び147.7°Cに2つの吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0111】
【表20】
【0112】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶性酢酸塩は、少なくとも6.2°±0.5、例えば、6.2°±0.2、12.0°±0.5、例えば、12.0°±0.2、及び18.1°±0.5、例えば、18.1°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、少なくとも6.2°±0.5、例えば、6.2°±0.2の屈折角2θで観察される。セピアプテリンの結晶性酢酸塩の本質的に純粋な材料では、表21に示すような屈折角2θでピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶性酢酸塩は、146.1°C及び175.4°Cの2つの吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0113】
【表21】
【0114】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶性1硫酸塩は、少なくとも5.1°±0.5、例えば、5.1°±0.2、7.8°±0.5、例えば、7.8°±0.2、及び23.0°±0.5、例えば、23.0°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、5.1°±0.5、例えば、5.1°±0.2の屈折角2θで観察される。セピアプテリンの結晶形1硫酸塩の本質的に純粋な材料では、表22に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。代替的に又は追加的に、セピアプテリンの結晶形1硫酸塩は、94.5℃、158.3℃、及び209.9℃の3つの吸熱を示すDSC曲線によって特徴付けられる。
【0115】
【表22】
【0116】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶性2硫酸塩は、少なくとも7.8°±0.5、例えば、7.8°±0.2、8.8°±0.5、例えば、8.8°±0.2、及び24.1°±0.5、例えば、24.1°±0.2の屈折角2θで観察されるX線回折図のピークによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、X線回折図の最も強いピークは、8.8°±0.5、例えば、8.8°±0.2の屈折角2θで観察される。セピアプテリンの結晶形2硫酸塩の本質的に純粋な材料では、表23に示すような屈折角2θにピークが観察され得る。
【0117】
【表23】
【0118】
本発明は、薬学的に許容される賦形剤と、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量とを含む医薬組成物を採用できる。セピアプテリン及びその塩の医薬組成物の例は、WO 2019/046849及びWO 2019/232120に見出すことができ、その組成物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0119】
薬学的に許容される賦形剤は、従来使用されてきたもののいずれであってもよく、溶解性や投与経路などの物理化学的な考慮事項によってのみ制限される。当業者であれば、以下に説明する医薬組成物に加えて、セピアプテリンは、シクロデキストリン包接複合体のような包接複合体、又はリポソームとして製剤化できることが理解されるであろう。
【0120】
本明細書に記載の薬学的に許容される賦形剤、例えば、ビヒクル、アジュバント、賦形剤、又は希釈剤は、当業者にはよく知られており、容易に入手可能である。薬学的に許容される賦形剤は、セピアプテリンに対して化学的に不活性であり、使用条件下で有害な副作用又は毒性を有さないものであることが好ましい。
【0121】
胃及び/又は前腸滞留時間を増加させる製剤
胃保持性薬物送達は、薬物放出が完了するまで、薬物製剤がより長く胃内に留まるように設計されているアプローチである。
【0122】
生体接着性製剤は、表面に接着することができ、薬剤の制御された放出をもたらすポリマーを利用する。生体接着性ポリマーは、アニオン性(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ポリアクリル酸、ペクチン、カラギーナン、ポリカルボフィル、又はカルボマー)、カチオン性(例えば、キトサン、ポリリシン、又はポリブレン)、又は非イオン性(例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、デキストラン、又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)であってもよい。
【0123】
高密度製剤は、幽門括約筋よりも低いレベルで胃の中に存在するように設計されており、従って、空になることを避けることができる。高密度製剤に適した賦形剤としては、鉄粉、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどを含む。
【0124】
膨張性製剤は、胃の中で幽門括約筋よりも大きくなるように膨張し、従って、空腹を回避できるように設計されている。例えば、薬剤コア、膨潤性ハイドロコロイド、及び外側半透性ポリマーを含む製剤は、膨張性製剤に適している。
【0125】
超多孔性ヒドロゲル製剤は、膨張性製剤と同様に、胃の中で幽門括約筋よりも大きく膨張するように設計されている。超多孔性ヒドロゲル製剤は、クロスカルメロースナトリウムのようなポリマーを含んでもよい。
【0126】
浮遊性製剤は、胃液よりも低い密度を有するように設計されている。浮遊性製剤は、イオン交換樹脂、ラフトシステム、インフラタブルチャンバー、発泡性混合物、膨潤性ヒドロコロイド、又はマルチ粒子システムを含む組成物を含んでもよい。
【0127】
抗酸化剤
セピアプテリンは、空気にさらされると急速に酸化する傾向がある。従って、本発明の医薬組成物は、抗酸化剤を含んでもよい。抗酸化剤は、セピアプテリンの酸化的分解を最小限に抑えてもよい。抗酸化剤の例としては、限定されないが、アスコルビン酸、トコフェロール、レチノール、アスコルビルパルミテート、N-アセチルシステイン、グルタチオン、エチレンジアミン四酢酸、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオウレア、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、及びビタミンEを含む。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、抗酸化剤として、アスコルビン酸、トコフェロール、レチノール、アスコルビルパルミテート、N-アセチルシステイン、グルタチオン、ブチル化ヒドロキシトルエン、及び/又はブチル化ヒドロキシアニソールを含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗酸化剤を10重量%未満、例えば、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は実質的に抗酸化剤を含まないものを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗酸化剤を総重量に対して2~9%、例えば、2~4%、3~5%、4~6%、5~7%、6~8%、又は7~9%を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗酸化剤のUSP最大1日投与量の5~100%を含み、例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗酸化剤のUSP最大1日投与量の約5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%を含む。いくつかの実施形態では、セピアプテリンと抗酸化剤の比率は、重量で少なくとも1:1、例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、又は10:1である。
【0129】
分散剤
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの分散剤を含む。分散剤は、製剤中の粒子を分離させてもよく、例えば、水分との接触でその薬効物質を放出させてもよい。分散剤の例としては、架橋ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース(例えば、クロスカルメロース塩、例えば、クロスカルメロースナトリウム)、澱粉(例えば、澱粉グリコール酸ナトリウム)、又はアルギン酸を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の分散剤は、クロスカルメロースの薬学的に許容される塩のようなカルボキシメチルセルロースである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、総重量に対して0.1~1.5%(例えば、約0.1%、0.5%、1%、又は1.5%)の分散剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、総重量に対して1.5%未満(例えば、1%未満、0.5%未満、又は0.1%未満)の分散剤を含む。
【0130】
アンチケーキング剤
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも1つのアンチケーキング剤を含む。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも2つのアンチケーキング剤を含む。例示的なアンチケーキング剤には、コロイダル二酸化ケイ素、微結晶セルロース、リン酸三カルシウム、微結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、コロイダル二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルカムパウダー、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムカリウム、アルミノケイ酸カルシウム、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸、及びポリジメチルシロキサンを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアンチケーキング剤は、コロイダル二酸化ケイ素又は微結晶セルロースである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、総重量に対して65~75%(例えば、約65%、67%、70%、73%、又は75%)のアンチケーキング剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、コロイダル二酸化ケイ素及び微結晶セルロースの両方を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、総重量に対して60~65%の微結晶セルロース、及び総重量に対して5~7%のコロイダル二酸化ケイ素を含む。
【0131】
投与ビヒクル
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、投与前に投与用ビヒクルと組み合わされる(例えば、約50~1750センチポイズ(cP)の粘度を有する投与ビヒクル)。使用することができる懸濁剤の1つのタイプは、水中のグリセリンとショ糖の組み合わせである(例えば、2.5%のグリセリン及び27%のショ糖を水中に含むMEDISCA(R) oral mix)。適切な量の組成物を投与ビヒクル混合物に添加し、投与直前に組成物を懸濁させるために撹拌できる。
【0132】
また、他の懸濁剤を投与ビヒクルとして使用してもよい。例示的な懸濁剤としては、アガー、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ハイプロメロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポビドン、トラガカンス、キサンタンガム、又は当技術分野で知られている他の懸濁剤を含む。
【0133】
用量
セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩は、任意の適切な用量で使用できる。適切な用量及び用量レジメンは、従来技術の範囲で決定できる。一般に、治療は、最適な用量よりも小さい用量で開始される。その後、状況下で最適な効果が得られるまで、投与量を小刻みに増加させる。便宜上、1日の総投与量は、所望であれば、1日の間に分割して投与できる。適切な用量及び特定の化合物の適切な投与では、本発明は広い範囲の応答を提供する。典型的には、投与量は、治療される対象の約2.5~約150mg/kg体重/日の範囲(例えば、60 mg/kg/日)である。例えば、実施形態では、セピアプテリン、又はその薬学的に許容される塩を、所望の治療効果を得るために、約20mg/kg~約150mg/kg、約20mg/kg~約60mg/kg、約40mg/kg~約100mg/kg、約100mg/kg~約150mg/kg、約60mg/kg~約120mg/kg、約80mg/kg~約100mg/kg、約40mg/kg~約60mg/kg、約2.5mg/kg~約20mg/kg、約2.5mg/kg~約10mg/kg、又は約2.5mg/kg~約5mg/kg対象体重/日で、1日に1回以上投与できる。
【0134】
いくつかの実施形態において、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩は、粒子のような単位固形経口投与製剤として製剤化できる。これらの実施形態において、各単位固形経口投与製剤、例えば、サシェは、任意の適当な量のセピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を含むことができる。例えば、各固形経口投与製剤は、約2. 5mg、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約750mg、約1g、約1.25g、又は約1.5gを含み得る。
【0135】
セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩は、溶液、懸濁液又はエマルションの形態のような液体製剤の調製に使用できる。経口投与に適した製剤は、限定されないが、(a)カプセル、サシェ、錠剤、ロゼンジ、及びトローチのような、それぞれが所定量の活性成分を含む、固形又は顆粒、(b)粉末、(c)水、生理食塩水、又はオレンジジュースのような希釈剤に溶解した有効量の化合物のような液剤、(d)適当な液体中の懸濁液、及び(e)適当なエマルションを含む。好ましくは、カプセル形態、錠剤形態、及び粉末形態のような固形経口製剤である。カプセル形態は、例えば、界面活性剤、滑沢剤、及び不活性充填剤、例えば、乳糖、ショ糖、リン酸カルシウム、及びコーンスターチを含む、通常の硬い又は軟らかい殻状ゼラチンタイプのものであり得る。錠剤形態は、ラクトース、ショ糖、マンニトール、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸、微結晶セルロース、アカシア、ゼラチン、グアーガム、コロイダル二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、防腐剤、香料、及び薬理学的に適合する賦形剤のうちの1種以上を含むことができる。ロゼンジ形態は、活性成分に加えて、フレーバー(通常はショ糖及びアカシア又はトラガカンス)内に活性成分を含むことができ、同様にパスティールはゼラチン及びグリセリン、又はショ糖及びアカシア、エマルション、ゲル等の不活性基剤内に活性成分を含むことができ、そのような賦形剤は当技術分野で知られている。
【0136】
経口及び/又は非経口投与に適した製剤は、水性及び非水性の等張性無菌注射液を含み、これらは抗酸化剤、緩衝剤、バクテリオスタッツ、及び製剤を対象のレシピエントの血液と等張性にする溶質、及び懸濁剤を含むことができる水性及び非水性の無菌懸濁液、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び防腐剤を含むことができる。本発明の化合物は、水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液及び関連する糖液、エタノール、ベンジルアルコール、又はヘキサデシルアルコール等のアルコール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール及びポリエチレンアルコール等のグリコール類、2,2-ジメチルl-1,3-ジオキソラン-4-メタノール等のグリセロールケタール類、ポリ(エチレングリコール)400等のエーテル類、油、脂肪酸、脂肪酸エステル又はグリセリド、又はソープ又はデタージェント等の薬学的に許容される界面活性剤の添加又は無添加のアセチル化脂肪酸グリセリド、ペクチン等の懸濁化剤、カーボマー類、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロース、又は乳化剤、及びその他の製薬アジュバントを含む無菌液体又は液体の混合物などの製薬用賦形剤中の生理学的に許容される希釈剤中で投与できる。
【0137】
本発明は、治療上有効な量のセピアプテリン及び10%未満の抗酸化剤を含む、経口許容可能な処方の医薬組成物を特徴とする。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤に分散された顆粒製剤であり、例えば、組成物は、水に混合され、対象に摂取され得る(例えば、5分から10分の間に)。本発明で使用するための好適な製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Philadelphia, PA 22nd ed., 2010に記載されている。任意の従来の賦形剤が活性成分と適合しない場合を除き、本発明の医薬組成物におけるその使用が企図される。さらに、動物(例えば、ヒト)投与のために、製剤は、FDAオフィスの生物学的基準によって要求されるように、無菌性、発熱性、一般的な安全性及び純度の基準を満たすべきであることが理解されるであろう。
【0138】
経口投与用固形製剤
経口使用のための製剤は、非毒性の薬剤学的に許容される賦形剤との混合物中に活性成分を含む粒子を含み、そのような製剤は当業者に知られている(例えば、U.S. Patent Nos.: 5,817,307, 5,824,300, 5,830,456, 5,846,526, 5,882,640, 5,910,304, 6,036,949, 6,036,949, 6,372,218。これらは参照として本明細書に組み込まれる。)。賦形剤は、例えば、不活性希釈剤又は充填剤(例えば、ショ糖、ソルビトール、砂糖、マンニトール、微結晶セルロース、ポテトスターチを含む澱粉、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム)、造粒・崩壊剤(例えば、微結晶セルロースを含むセルロース誘導体、ポテトスターチを含む澱粉、クロスカルメロースナトリウム、アルギネート類又はアルギン酸)、結合剤(例えば、ショ糖、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、澱粉、プレゼラチン化澱粉、微結晶セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はポリエチレングリコール)、及び潤滑剤、滑剤、付着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、水添植物油、又はタルク)、及びアンチケーキング剤(例えば、コロイダル二酸化ケイ素、微結晶セルロース、リン酸三カルシウム、微結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、コロイダル二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルカムパウダー、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムカリウム、アルミノケイ酸カルシウム、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸、ポリジメチルシロキサン)であってもよい。他の薬学的に許容される賦形剤は、着色剤、香料、可塑剤、腐植剤、及び緩衝剤であり得る。いくつかの実施形態では、賦形剤(例えば、香料)は、組成物と共に包装される。いくつかの実施形態では、賦形剤(例えば、香料)は、組成物とは別に包装される(例えば、投与前に組成物と組み合わされる)。
【0139】
本発明の固体組成物は、組成物を望ましくない化学変化(例えば、活性物質の放出前の化学的分解)から保護するように適合されたコーティングを含んでもよい。コーティングは、上記のEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されているのと同様の方法で固体投与形態に適用されてもよい。
【0140】
上記成分を用いて、従来の方法で、例えば、ミキサー、流動層装置、溶融凝固装置、ローター造粒機、押出/球状化装置、又は噴霧乾燥装置等を用いて、粉体、顆粒を調製してもよい。
【0141】
治療方法(Methods of Treatment)
セピアプテリンは、高フェニルアラニン血症又はフェニルケトン尿症などの血中フェニルアラニン濃度の上昇に関連する疾患に対する有用な治療薬として機能し得る。本明細書に記載するように、これらの疾患の様々な形態、例えば、フェニルケトン尿症、テトラヒドロビオプテリン応答性フェニルケトン尿症、セピアプテリン応答性フェニルケトン尿症、古典的フェニルケトン尿症、又は非古典的フェニルケトン尿症に起因する高フェニルアラニン血症を治療できる。従って、本発明によるセピアプテリン又はその塩の様々な形態は、疾患、障害又は状態の治療又は改善を得るために有効な量で対象に投与され得る。
【0142】
本明細書の方法によって治療される対象は、典型的には、120マイクロモル/リットルより大きい、(例えば、200マイクロモル/リットルより大きい、300マイクロモル/リットルより大きい、360マイクロモル/リットルより大きい、400マイクロモル/リットルより大きい、450マイクロモル/リットルより大きい、500マイクロモル/リットルより大きい、550マイクロモル/リットルより大きい、600マイクロモル/リットルより大きい、650マイクロモル/リットルより大きい、700マイクロモル/リットルより大きい、800マイクロモル/リットルより大きい、900マイクロモル/リットルより大きい、1000マイクロモル/リットルより大きい、1100マイクロモル/リットルより大きい、または、1200マイクロモル/リットルより大きい)血中フェニルアラニン濃度(例えば、非制御フェニルアラニン血中濃度)を有する。また、対象は、120~360マイクロモル/リットル、360~600マイクロモル/リットル、600~1200マイクロモル/リットル、又は1200マイクロモル/リットルより大きい血中フェニルアラニン濃度(例えば、非制御フェニルアラニン血中濃度)を有することによって層別化されてもよい。
【0143】
既存の療法(例えば、フェニルアラニン制限食、サプロプテリン、又はペグバリアーゼ-pqpz)下で血中フェニルアラニンの低下が不十分な対象も、本明細書に記載の方法によって治療できる。例えば、セピアプテリン以外の療法で治療を受けている被験者の血中フェニルアラニン濃度は、既存の管理では120マイクロモル/リットルより大きい(例えば、200マイクロモル/リットルより大きい、300マイクロモル/リットルより大きい、360マイクロモル/リットルより大きい、400マイクロモル/リットルより大きい、450マイクロモル/リットルより大きい、500マイクロモル/リットルより大きい、550マイクロモル/リットルより大きい、600マイクロモル/リットルより大きい、650マイクロモル/リットルより大きい、700マイクロモル/リットルより大きい、800マイクロモル/リットルより大きい、900マイクロモル/リットルより大きい、1000マイクロモル/リットルより大きい、1100マイクロモル/リットルより大きい、又は1200マイクロモル/リットルより大きい)ことがある。
【0144】
セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、対象の血中フェニルアラニン濃度を600マイクロモル/リットル未満、例えば、360マイクロモル/リットル未満又は120マイクロモル/リットル未満、例えば、120~360マイクロモル/リットル又は360~600マイクロモル/リットルに低下させることができる。代替的に又は追加的に、セピアプテリンを投与することにより、例えば、セピアプテリンの投与前の、対象の血中フェニルアラニン濃度を少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は約10%~約30%、約20%~約40%、約30%~約50%、約40%~約60%、約50%~約70%、約60%~約80%、又は約70%~約90%)低下させることができる。低下は、少なくとも1週間(例えば、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間)にわたる投与後に測定できる。また、セピアプテリン投与により、投与後10時間以内に対象の血漿中に少なくとも50ng/ml(例えば、少なくとも60ng/ml、少なくとも100ng/ml、少なくとも200ng/ml、少なくとも400ng/ml、少なくとも600ng/ml、少なくとも1000ng/ml、又は少なくとも2000ng/ml、又は50ng/ml~100ng/ml、60ng/ml~400ng/ml、200ng/ml~600ng/ml、400ng/ml~1000ng/ml、又は600ng/ml~1500ng/ml)のBH4濃度を生じさせることができる。
【0145】
対象は、サプロプテリンもしくはその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)又はペグバリアーゼ-pqpzによる治療に反応しなかった対象でもよい。例えば、ペグバリアーゼ-pqpzの投与により、対象の血漿中濃度は20%未満低下していてもよい。例えば、少なくとも約10mg/kg(例えば、少なくとも約15mg/kg、少なくとも約20mg/kg)のサプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)の投与により、対象の血漿中濃度は30%未満低下し、又は少なくとも約20mgのペグバリアーゼpqpzの1日1回、少なくとも8日間(例えば、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日間、少なくとも30日間)投与により20%未満低下した。いくつかの実施形態では、サプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)の投与、例えば、少なくとも約10mg/kg(例えば、少なくとも約15mg/kg、少なくとも約20mg/kg)の投与により、対象の血漿濃度は15~30%未満低下した。いくつかの実施形態では、サプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)の投与、例えば、少なくとも約10mg/kg(例えば、少なくとも約15mg/kg、少なくとも約20mg/kg)の投与により、対象の血漿濃度は30%未満低下した。いくつかの実施形態では、サプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)の投与、例えば、少なくとも約10mg/kg(例えば、少なくとも約15mg/kg、少なくとも約20mg/kg)の投与により、対象の血漿濃度は20%未満低下した。いくつかの実施形態では、サプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)の投与、例えば、少なくとも約10mg/kg(例えば、少なくとも約15mg/kg、少なくとも約20mg/kg)の投与により、対象の血漿濃度は15%未満低下した。いくつかの実施形態では、サプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)を少なくとも8日間(例えば、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日間、少なくとも30日間)、又はペグバリアーゼ-pqpzを少なくとも約20mg 1日1回少なくとも16週間(例えば、少なくとも18週間、少なくとも20週間、少なくとも22週間、少なくとも24週間)投与した後の対象の血漿中濃度が120マイクロメートル/リットルより大きかった(例えば、200マイクロモル/リットルより大きい、300マイクロモル/リットルより大きい、360マイクロモル/リットルより大きい、400マイクロモル/リットルより大きい、450マイクロモル/リットルより大きい、500マイクロモル/リットルより大きい、550マイクロモル/リットルより大きい、600マイクロモル/リットルより大きい、650マイクロモル/リットルより大きい、700マイクロモル/リットルより大きい、800マイクロモル/リットルより大きい、900マイクロモル/リットルより大きい、1000マイクロモル/リットルより大きい、1100マイクロモル/リットルより大きい、又は1200マイクロモル/リットルより大きい)。例えば、サプロプテリン又はその薬学的に許容される塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)を少なくとも10 mg/kg(例えば、少なくとも約15mg/kg、少なくとも約20mg/kg)少なくとも8日間(例えば、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日間、少なくとも30日間)、又はペグバリアーゼ-pqpzを少なくとも約20mg 1日1回少なくとも16週間(例えば、少なくとも18週間、少なくとも20週間、少なくとも22週間、少なくとも24週間)投与した後の対象の血漿中濃度が120マイクロメートル/リットルより大きかった(例えば、200マイクロモル/リットルより大きい、300マイクロモル/リットルより大きい、360マイクロモル/リットルより大きい、400マイクロモル/リットルより大きい、450マイクロモル/リットルより大きい、500マイクロモル/リットルより大きい、550マイクロモル/リットルより大きい、600マイクロモル/リットルより大きい、650マイクロモル/リットルより大きい、700マイクロモル/リットルより大きい、800マイクロモル/リットルより大きい、900マイクロモル/リットルより大きい、1000マイクロモル/リットルより大きい、1100マイクロモル/リットルより大きい、又は1200マイクロモル/リットルより大きい)。
【0146】
対象は、有害反応(例えば、アナフィラキシー、注射部位反応、関節痛、過敏性反応、頭痛、少なくとも14日間続く全身皮膚反応、そう痒、吐き気、腹痛、口腔咽頭痛、嘔吐、せき、下痢、及び/又は疲労)及び/又は忍容性のためにペグバリアーゼpqpzによる治療を中止した後にもセピアプテリン投与され得る。有害事象(例えば、頭痛、鼻漏、咽喉頭痛、下痢、嘔吐、咳、及び/又は鼻づまり)のリスクは、少なくとも10mg/kg(例えば、少なくとも15mg/kg、少なくとも20mg/kg)のサプロプテリン又はその薬学的に許容できる塩(例えば、サプロプテリン二塩酸塩)を投与した対象に比べて低減され得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、対象は、フェニルアラニン制限食下(例えば、対象は、Phenyl-Free 2などの牛乳代替物又は配合物、及び測定量の果物、野菜、パン、パスタ、及びシリアルを含む食事下)である。いくつかの実施形態では、対象は、フェニルアラニン制限食下ではない(例えば、対象は、Phenyl-Free 2などの牛乳代替物又は配合物、及び測定量の果物、野菜、パン、パスタ、及びシリアルを含む食事下ではない)。いくつかの実施形態では、対象は、3000mg/日未満(例えば、2500mg/日未満、2000mg/日未満、1500mg/日未満、1000mg/日未満、500mg/日未満)のフェニルアラニン摂取量の中央値を有する。セピアプテリンによる治療により、フェニルアラニンの摂取又は天然蛋白質の摂取と併せて、血中フェニルアラニン濃度の低下(例えば、600、360、又は120マイクロモル/リットル未満)が可能になり得る。例えば、対象は、少なくとも約1000mg/日(例えば、少なくとも約1100mg/日、少なくとも約1200mg/日、少なくとも約1300mg/日、少なくとも約1400mg/日、少なくとも約1500mg/日、少なくとも約1600mg/日、少なくとも約1700mg/日、少なくとも約1800mg/日、少なくとも約1900mg/日、又は少なくとも約2000mg/日、又は1000mg/日~1400mg/日、1200mg/日~1600mg/日、1300mg/日~1700mg/日、1600mg/日~2000mg/日、1800mg/日~2400mg/日、2000mg/日~3000mg/日、3000mg/日~4000mg/日、4000~5000mg/日)のフェニルアラニンを摂取してもよい。いくつかの実施形態では、対象の食事中の蛋白質の25%未満(例えば、20%未満、15%未満、10%未満、又は5%未満)が天然蛋白質であるか、又は対象の食事中の蛋白質の25%超(例えば、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、99%超)が天然蛋白質である。いくつかの実施形態では、対象は、10g/日超(例えば、20g/日超、30g/日超、40g/日超、50g/日超、60g/日超、70g/日超、80g/日超、又は約10g/日~約30g/日、約20g/日~約40g/日、約30g/日~約50g/日、約40g/日~約60g/日、約50g/日~約70g/日、約60g/日~約80g/日)の天然蛋白質摂取量を有する。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、10g/日未満(例えば、5g/日未満又は約5g/日~約10g/日)の自然蛋白質摂取量を有する。
【0148】
いくつかの実施形態では、対象は、任意の以前の血中Phe測定値>360μmol/Lに加えて少なくとも1つの測定値>450μmol/L、又は直近の3つの血中Phe測定値の平均値>450μmol/Lとして定義されるPKUを有している。いくつかの実施形態では、対象は、任意の以前の血中Phe測定値>360μmol/Lに加えて少なくとも1つの測定値>450μmol/L、又は直近の3つの血中Phe測定値の平均値>450μmol/Lとして定義されるPKUを有さない。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1,200μmol/Lの血中Pheの任意の文書化された過去の測定値として定義される古典的PKUを有する。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1、200μmol/Lの血中Pheの任意の文書化された過去の測定値として定義される古典的PKUを有さない。
【0149】
いくつかの実施形態では、対象は、子供(例えば、対象は、18歳未満、17歳未満、16歳未満、15歳未満、14歳未満、13歳未満、12歳未満、11歳未満、10歳未満、9歳未満、8歳未満、7歳未満、6歳未満、5歳未満、4歳未満、3歳未満、2歳未満、1歳未満)である。いくつかの実施形態では、対象は成人である(例えば、対象は18歳超である)。
【0150】
いくつかの実施形態では、治療は、対象の神経認知機能の増加(例えば、実行機能の増加、不安の減少、注意欠陥/多動性障害症状の減少、及び/又は脳霧のインスタンスの減少)を増加させる。実行機能の変化は、遂行機能障害症候群の行動評価(BADS)、実行機能の行動評価目録(BRIEF又はMini-BRIEF)、実行機能尺度におけるバークレー欠陥(BDEFS)、行動障害尺度(BDS)、ASEBA児童行動チェックリスト(CBLC)、包括的実行機能目録(CEFI)、CogScreen、継続的パフォーマンスタスク(CPT)、コントロールド口頭単語連想テスト(COWAT)、注意のd2テスト、デリス-キャプラン実行機能システム(D-KEFS)、ディジットヴィジランステスト、フィギュラルフルエンシーテスト、ハルステッドカテゴリーテスト、ヘイリングテスト及びブリクストンテスト、アイオワギャンブリングタスク、カプランベイクレスト ニューロコグニティブアセスメント(KBNA)、カウフマンショートニューロサイコロジカルアセスメント、メンタルクラッタースケール、ペースド聴覚連続加算テスト(PASAT)、フェニルケトン尿症-生活の質(PKU-QOL)、レイ-オステリエスコンプレックスフィギュア、ラフフィギュラルフルエンシーテスト、ストループタスク、実行制御のタスク、注意の変数テスト(T.O.V.A.)、ロンドン塔テスト、トレイルメイキングテスト(TMT)又はトレイルA & B、ウィスコンシンカードソーティングテスト(WCST)、シンボルディジットモダリティテスト、又は(例えば、反応速度、空間スパン、空間ワーキングメモリー、高速デジタル情報処理、持続的注意力、及び/又はストップシグナルタスクの測定による)ケンブリッジニューロサイコロジカルテストオートメーテッドバッテリー(CANTAB)アセスメントなどの評価によって測定してもよい。治療は、(例えば、ADHD-RS 5スケール(又はその不注意評価)及び/又はプロフィールムードステイツ(POMS)スケールによって測定されるような)注意及び/又は気分の向上をもたらすことができる。治療は、睡眠の質の増加及び/又は睡眠不足に関連する症状の減少をもたらし得る。
【0151】
セピアプテリンは、食品と共に投与してもよいし、投与しなくてもよい。理論に束縛されるものではないが、食品と共にセピアプテリンを投与すると、(例えば、セピアプテリンの吸収速度を低下させることにより)BH4の血漿露出が増加する。投与されたセピアプテリンが、例えば、空腹時に投与されることにより迅速に吸収される場合、細胞内のセピアプテリン還元酵素及び/又はジヒドロ葉酸還元酵素は、Vmaxを超えて飽和し、結果として投与されたセピアプテリンの少なくとも一部が7,8-ジヒドロビオプテリンと続くBH4に還元されずに細胞外に出ることが考えられる。この過剰なセピアプテリンは、その後、BH4に変換されることなく排泄され、その結果、セピアプテリンの吸収速度を低下又は延長させ、セピアプテン還元酵素及び/又はジヒドロ葉酸還元酵素の基質飽和のVmax以下、Vmaxあるいはそれをわずかに超える反応速度をもたらす食品と一緒にセピアプテリンを投与する場合と比較して血漿中のBH4レベルが低くなり得る。食品を伴うセピアプテリン投与は、予想外に、食品なしの投与と比較して、最大BH4血漿濃度(Cmax)及びBH4の時間ゼロから最終濃度までの濃度時間曲線下面積(AUC0-last)により測定した曝露の程度を増加させる結果をもたらす。例えば、セピアプテリンの有効量は、食品と共に投与の10時間以内に、対象の血漿中に少なくとも50ng/ml(例えば、少なくとも60ng/ml、少なくとも100ng/ml、少なくとも200ng/ml、少なくとも400ng/ml、少なくとも600ng/ml、少なくとも1000ng/ml、又は少なくとも2000ng/ml、又は50ng/ml~100ng/ml、60ng/ml~400ng/ml。200ng/ml~600ng/ml、400ng/ml~1000ng/ml、又は600ng/ml~1500ng/ml)のBH4濃度を生じさせるのに十分な量(例えば、1回の投与当たり2.5mg/kg~100mg/kg)である。有効量は、セピアプテリンを食品を伴わずに投与してから10時間以内に、対象の血漿中に少なくとも50ng/mlの最大BH4血漿濃度(Cmax)をもたらすのに十分な用量よりも少なくとも5%(例えば、少なくとも60ng/ml、少なくとも100ng/ml、少なくとも200ng/ml、少なくとも400ng/ml、少なくとも600ng/ml、少なくとも1000ng/ml、又は少なくとも2000ng/ml、又は50ng/ml~100ng/ml、60ng/ml~400ng/ml、200ng/ml~600ng/ml、400ng/ml~1000ng/ml、又は600ng/ml~1500ng/ml)低い用量を含み得る。
【0152】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、食品は、高蛋白質食品である。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、食品は高脂肪食品である(例えば、カロリーの少なくとも25、30、40、又は50%が脂肪からである)。本明細書に記載の方法のいずれかの実施形態では、食品は、高蛋白質及び高脂肪食品である。いくつかの実施形態では、食品は高カロリー食品である(例えば、食品は少なくとも100カロリー、例えば、少なくとも200カロリー、少なくとも300カロリー、少なくとも400カロリー、少なくとも500カロリー、例えば、500~1500又は800~1000カロリーを含む)。本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、食品は、食事、例えば、朝食、昼食、又は夕食である。セピアプテリンは、摂取された食品とは別の組成物で提供されてもよい(例えば、セピアプテリンは食品製品に組み込まれない)。
【0153】
対象への投与は、食品を摂取する30分未満前に、又は食品を摂取した後に、例えば、食品の摂取直前から摂取後1時間まで、例えば、食品と実質的に同時に行われてもよい。食品と共に投与すること(例えば、食品を摂取する30分未満前に実施、又は食品を摂取した後、例えば、食品の摂取直前から摂取後1時間までの間に実施する)により、食品を伴わない投与(例えば、食品を摂取した後2時間以上経過し、さらに食品を摂取する30分前までに実施する)と比較して、BH4のCmax又はBH4の生成の程度及び得られる血漿曝露(AUC0-last)の増加(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、又は少なくとも150%)をもたらし得る。
【0154】
対象に投与される本発明の組成物の実際の投与量は、体重、状態の重症度、治療される疾患の種類、以前の又は同時の治療介入、対象の特質、及び投与経路などの物理的及び生理学的要因によって決定できる。投与量及び投与経路に応じて、好ましい投与量及び/又は有効量の投与回数は、対象の反応に応じて変化し得る。投与に責任を負う医師は、いずれのイベントにおいても、組成物中の有効成分の濃度及び個々の対象に対する適切な投与量を決定する。
【0155】
いくつかの実施形態では、対象は、1回当たり約2.5mg/kg~120mg/kg(例えば、約20mg/kg~約60mg/kg、又は約20mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、約50mg/kg、約60mg/kg)投与される。対象は、治療中、セピアプテリンを含む医薬組成物を1日1回、1日2回、又は1日3回投与され得る。いくつかの実施形態では、対象は、BH4補給(BH4を摂取している場合)を除いて、高フェニルアラニン血中濃度に対する他の現在の治療(例えば、フェニルアラニン制限食)を継続する。いくつかの実施形態では、対象は、葉酸合成を阻害することが知られている薬物(例えば、メトトレキサート、ペメトレキサート、又はトリメトレキサート)を服用することが許可されない場合がある。セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩は、2等量(例えば、1日の異なる時間に2回の用量)で投与してもよく、例えば、2回の60mg/kg用量(例えば、朝に1回の60mg/kg用量、及び夜に1回の60mg/kg用量)、2回の40mg/kg用量(例えば、朝に1回の40mg/kg用量、及び夜に1回の40mg/kg用量)、2回の30mg/kg用量(例えば、朝に1回の30mg/kg用量、及び夜に1回の30mg/kg用量)、2回の20mg/kg用量(例えば、朝に1回の20mg/kg用量、及び夜に1回の20mg/kg用量)、又は2回の10mg/kg用量(例えば、朝に1回の10mg/kg用量、及び夜に1回の10mg/kg用量)であってもよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、BH4を服用している対象は、BH4の投与を中止する(即ち、BH4ウォッシュアウト、例えば、セピアプテリン治療の開始の前又はそれと同時に)。Phe濃度のための血液サンプルは、本発明の医薬組成物による治療の7、5、3、及び1日前のBH4ウォッシュアウト期間中、又はBH4ウォッシュアウト期間中の任意の時点で血中Phe濃度が>360μmol/Lまで得てもよい。いくつかの実施形態では、投与前の血液サンプルは、セピアプテリン、Phe、BH4、及びチロシン(Tyr)についてテストされる。
【0157】
同等物及び範囲
当業者は、本明細書に記載の本発明に基づく特定の実施形態と同等のものを多く認識し、又はルーティン実験のみを使用して確認できる。本発明の範囲は、上記の説明に限定されることを意図したものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲に記載されている通りである。
【0158】
さらに、先行技術に該当する本発明の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲のいずれか1つ以上から明示的に除外され得ることが理解される。そのような実施形態は、当該技術における当業者に知られているものとみなされるので、除外が本明細書に明示的に規定されていなくても、除外できる。本発明の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、任意の化合物、任意の生産方法、任意の使用方法など)は、先行技術の存在に関連するか否かにかかわらず、任意の理由で、1つ以上の請求項から除外できる。
【実施例
【0159】
実施例1. セピアプテリン投与時の食品効果の評価
方法
対象に、絶食状態及び摂食状態で、1週間を隔てて2回のセピアプテリン(10mg/kg)を経口投与した。対象に、8日目にセピアプテリンの2回目の経口投与を受ける30分前から、標準的な高脂肪(食事の総カロリー量の約50%)及び高カロリー(約800~1000カロリー)の食事を摂食させた。
【0160】
PK分析のためのサンプリングを1及び8日目の投与前(投与前30分以内)及び1及び8日目の投与後0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間及び24時間後に行った。
【0161】
セピアプテリン及びBH4の血中濃度をMNG Labsで分析した。
【0162】
選択した対象の脳脊髄液(CSF)を、1日目(投与前)及び7日目(即ち、7日間の毎日の投与後)に、血液分析で測定する最大観察血漿BH4濃度(Tmax)のときから約30分後に腰椎穿刺により採取する。
【0163】
脳脊髄液(CSF)をMNG Labsで分析した。記述統計が1日目及び7日目のサンプル結果の間の神経伝達物質代謝における任意の変化を特徴付けるために提供される。
【0164】
結果
以下の表24及び25並びに図1に示すように、驚くべきことに、血漿中のBH4のCmaxは、投与前に絶食した対象と比較して、投与前に摂食したときの対象においてはるかに高かった。さらに、セピアプテリンを摂食状態対絶食状態で投与したとき、血漿セピアプテリン濃度の減少が見られたが、BH4濃度の増加が見られた(図1)。血漿中セピアプテリン濃度の幾何平均比(絶食/絶食、90%CI)は、AUClastが1.29(0.84~2.00)、Cmaxが1.57(1.21~2.0)であった。血漿中BH4の対応する比率(90%CI)は、AUC0-infが0.58(0.47~0.71)、Cmaxが0.55(0.45~0.68)であった。AUC0-inf及びAUClastによって測定されるBH4の全体的な曝露は、セピアプテリンを摂食状態で投与した場合、絶食状態と比較して1.7倍増加した。
【0165】
【表24】
【0166】
【表25】
【0167】
さらに、以下の表26及び27に示すように、驚くべきことに、血漿中のセピアプテリンのCmaxは、投与前に絶食した対象と比較して、投与前に摂食した対象においてはるかに低かった。
【0168】
【表26】
【0169】
【表27】
【0170】
実施例2. 摂食対象と絶食対象における有害事象の比較
方法
12人の対象に、絶食条件下でセピアプテリン単回投与(10mg/kg)を行い、その後7日後に摂食条件下で投与した。有害事象(AE)の標準的な定義を使用した。全原因AEは随時発生するもの、治療起因性有害事象(TEAE)は試験薬投与時又はその後に発生するものとした。試験薬に関連するTEAEはインベスティゲーターの見解に基づくものとした。重篤なAEは、生命を脅かすか、死亡、入院又は既存の入院の延長、又は持続的又は重大な障害/無能力、又は通常の生活機能を行う能力の実質的破壊、又は先天異常/出生異常として定義した。
【0171】
結果
表28に示すように、驚くべきことに、絶食した対象に比べて、給餌した対象にセピアプテリンを投与した場合に有害事象の発生率が減少していた。
【0172】
【表28】
【0173】
実施例3. セピアプテリンの複数回投与による薬物動態の解析
方法
8人の摂食対象を含む3つのコホートを、6:2の割合で、1日1回セピアプテリン又はプラセボの7日間投与について無作為に割り付けた。センチネル投与戦略も最高用量のセピアプテリン投与のために使用した。
【0174】
結果
セピアプテリン及びBH4の血漿中時間濃度は、セピアプテリンによる1日及び7日間の治療後において類似し、薬物の蓄積はなかった。薬物動態データを以下の表29に示す。
【0175】
【表29】
【0176】
実施例4. セピアプテリン投与によるPKU患者におけるフェニルアラニン血中濃度の低下
適格性のスクリーニングの後、7日間のラン-イン期間を開始した。その後、患者にPTC923 20mg/kg/日(「低用量」)、又はPTC923 60mg/kg/日若しくはサプロプテリン二塩酸塩のいずれかを無作為の順序で7日間、1日1回経口投与した。PTC923(旧CNSA-001)は経口セピアプテリンである。各患者は、6つの治療順序のいずれかに無作為に割り付けられた(図2)。6つの異なる治療順序での無作為化は、キャリーオーバー効果、治療期間効果、患者の疲労、及び血中Pheレベルの自然な変動を最小限に抑えることを意図したものである。各活動的治療期間の間に7日間のウォッシュアウト期間が設けた。患者は、処方された場合にはアミノ酸混合物の摂取を含め、試験前の通常の食事を維持するよう求められ、試験期間中、栄養士によってモニターされた。
【0177】
Pheの測定のための血液サンプルを無作為化の7、5、3、及び1日前に採取した。治療期間中、1日目は投与前、3、5、7日目は投与後に採血を行った。ウォッシュアウト期間中は、1、3、5、7日目にPheの測定のための採血を行った。全てのサンプルは、空腹時又は食後3時間以降に、1日の同じ時間に採取した。血液中のPheは、中央バイオ分析研究所(Agilex Biolabs Pty Ltd)で、Mitra(登録商標) 4サンプラークラムシェルを用いたVolumetric Absorptive Microsampling(VAMS(登録商標))による乾燥血液サンプリングの有効なLC-MS-MS技術を使って測定した。
【0178】
24人の患者が無作為化され、全員が試験を完了し、有効性及び安全性の両集団に含めた。患者の平均年齢は26歳であり、平均体重は69kgであった(表30)。患者の2/3は女性であった(67%)。全ての患者はサプロプテリン治療による治療歴がなかった。24人の患者のうち11人(46%)は、少なくとも1,200 μmol/Lの血中Pheの任意の文書化された過去の測定値として定義された古典的なPKUを有していた。PKUの管理のためのアミノ酸を含むサプリメントは、試験前に13の患者(54%)、試験中に14の患者(58%)が受け取ったと記載されていた。
【0179】
【表30】
【0180】
全ての患者は、低蛋白質、Phe制限食で試験に入り、試験中、毎日の蛋白質摂取量を変えないように指示された。平均[SD]の1日の食事性Phe摂取量は、ベースライン時の3群について類似していた(PTC923 60 mg/kg 2,550 [1,371]mg;PTC923 20 mg/kg 2,265 [946] mg;サプロプテリン二塩酸塩20 mg/kg 2,510 [1,395] mg)。7日目までの1日の食事性Phe摂取量の変化の平均値は、全ての群で増加し、それぞれ19 [1,260]mg、650 [1,262]mg、523 [1,132]mgであった。
【0181】
PTC923の安全性をモニターし、有害事象(AE)をMedDRA(登録商標) (Medical Dictionary for Regulatory Activities)バージョン21.0を用いてコード化した。治療起因性有害事象(TEAE)は、試験薬初回投与時又は投与後に発現したAEと定義した。TEAEは、現在受けている試験治療、又は発症前の最後の試験治療に関連するものとした。治療関連TEAEは、インベスティゲーターの判断により、治療に関連する可能性がある、おそらく、又は確実に関連するとされたものである。重篤なAE(SAE)は、死亡、生命を脅かすAE、入院又は既存の入院の延長、持続的又は重大な障害/無能力、通常の生活機能を行う能力の実質的破壊、又は先天異常/出生異常をもたらすものとして定義された。
【0182】
結果
PTC923は、いずれの用量においても、血中Pheをベースラインから有意に低下させた(表31)。PTC923の60mg/kgは、サプロプテリン二塩酸塩の20mg/kgよりも血中Pheを低下させる効果が有意に高かった(p=0.0098)。PTC923の20mg/kgの血中Pheに対する効果は、サプロプテリン二塩酸塩の20mg/kgのそれよりも数値的に大きく、図1に示すように、PTC923低用量は、約100マイクロモル/リットルの血漿フェニルアラニンにおける平均絶対減少をもたらし、PTC923は、200マイクロモル/リットル超の血漿フェニルアラニンの平均絶対減少をもたらすこととなった。
【0183】
【表31】
【0184】
ベースライン血中Pheレベルからの最小二乗平均(LSM)変化(SE)は、PTC923 60mg/kgで-206.4 (41.8) μmol/L(p<0.0001)、PTC923 20mg/kgで-146.9 (41.8) μmol/L(p=0.0010) 及びサプロプテリン二塩酸塩で-91.5 (41.7) μmol/L (p=0.0339)であった(図3)。PTC923の効果は用量に関連しているようであった。
【0185】
血中Phe<360μmol/Lを達成した患者の割合は、PTC923 60mg/kgに無作為化された患者について12/24(50%)、PTC923 20mg/kgに無作為化された患者について11/24(46%)、及びサプロプテリン二塩酸塩に無作為化された患者について10/24(42%)であった。PTC923のいずれかの用量で血中Phe<360μmol/Lを達成した患者の比率は13/24(54%)であった。
【0186】
血中Pheは試験治療で急速に低下した。血中Pheのベースラインから治療開始後(3日目)の最初のPhe測定までの最小二乗平均変化量(SE; p値)は、PTC923 60mg/kgで-206.6 (36.6; p<0.0001)μmol/L、PTC923 20mg/kgで-167.5 (36.6; p<0.0001)μmol/L、及びサプロプテリン二塩酸塩で-72.3 (36.6; p=0.0543) μmol/Lであった。血中Phe低下の平均変化は、3日目において、両方のPTC923用量対サプロプテリン二塩酸塩で有意に大きかった(PTC923 60mg/kg及びPTC923 20mg/kgについてそれぞれLSM差-131.3 [SE 33.8; p=0.0007]及び-95.2 [SE 33.7; p=0.0135])(図4)。
【0187】
図5に示すように、PTC923は本試験において、サプロプテリン二塩酸塩と比較して、優れた血中フェニルアラニン濃度の低下をもたらした。
【0188】
11人の古典的PKU患者の血中Pheの最小二乗平均変化量(SE; p値)は、PTC923 60mg/kgで-150.8 (63.1; p=0.0287) μmol/L、PTC923 20mg/kgで-71.5 (61.8; p=0.2629) μmol/L、サプロプテリン二塩酸塩で-2.8 (62.0; p=0.9640) μmol/Lであった(表31)。PTC923 60mg/kg対サプロプテリン二塩酸塩の比較では、統計的有意差に近づいた(LSM差は-148.0 [SE 63.0; p=0.0566] μmol/L)(図6)。
【0189】
ベースライン血中Phe <300μmol/Lの患者の治療期間を除外した感度解析を実施した。感度解析集団におけるベースラインからの血中Pheの最小二乗平均変化量(SE; p値)は、PTC923 60mg/kgで-226.9 (44.2; p<0.0001) μmol/L、PTC923 20mg/kgで-167.8 (45.2; p=0.0007) μmol/L、サプロプテリン二塩酸塩20mg/kgで-105.5 (43.7; p=0.0211) μmol/Lであった。平均血中Phe低下量は、PTC923 60mg/kg対サプロプテリン二塩酸塩で有意に大きかった(LSM差は-121.4 [SE 42.9] mol/L, p=0.0146)(図7).
【0190】
コファクターレスポンダー分析も、その全ての治療期間においてベースラインPhe ≧300μmol/Lの19の患者において実施した。19人のうち12人の患者(いずれの治療群でも)が、≧20%の血中Pheの低下を示した。この12人のレスポンダーのグループの血中Pheのベースラインからの最小二乗平均変化量(SE; p値)は、PTC923 60mg/kgで-322.2 (60.0; p<0.0001)μmol/L、PTC923 20mg/kgで-234.8 (61.2; p=0.0011)μmol/L、サプロプテリン二塩酸塩で-139.70 (58.6; p=0.0277) μmol/Lであった。血中Phe低下量の平均変化量は、PTC923 60 mg/kg対サプロプテリン二塩酸塩で有意に大きかった(LSM差は-182.5 [SE 62.0] μmol/L, p=0.0158)(図8)。≧20%の血中Pheの低下を示したPTC923で治療した患者の数は、サプロプテリンで治療した患者の数より50%超多かった。PTC923 60mg/kgで治療され、ベースラインから少なくとも30%のPheの低下を示した患者の絶対平均変化率と絶対Phe低下量は、それぞれ-72.5%と-485.3μmol/Lであった。
【0191】
類似数の患者(PTC923 60 mg/kg/PTC923 20 mg/kg/サプロプテリン二塩酸塩)から、何らかの有害事象(AE; 29%/25%/21%)、重篤なAE(0%/4%/0%)、治療関連AE(13%/0%/0%)が報告された。頭痛は最も一般的な全原因AE(17%/4%/4%)であり、全ての症例で一過性であった。
【0192】
その他の個別AEは≧1の患者で発生しなかった。ほとんどのAEは重症度がマイルドであった(19/22、全AEの86%)。2人の患者が中等度の重篤なAE(結膜炎、月経困難症)を報告し、1の患者が重篤なAE(胃腸逆流症)を報告した。これら3人の中等度から重篤なAEはいずれも治療との関連はなかった。SAEはなく、AEのために中止された患者はいなかった。バイタルサイン及びECGパラメータの変化は概して小さく、治療群間で同等であった。
【0193】
本試験の主目的は、ベースラインからの平均血中Phe変化として測定されるPTC923の有効性を評価することであった。有効性集団は、無作為化され、治療前及び少なくとも1つの治療期間からの治療の3、5及び7日目に血中Pheの測定値を得た全ての患者から構成された。安全性集団は、無作為化され、任意の用量の試験治療を受けた全患者で構成された。サンプルサイズの計算は、血中Pheの観察された平均低下量99μmol/L及び標準偏差220μmol/Lのサプロプテリンの全例プラセボコントロール規制試験に基づいており、両側α0.05を用いて80%の検出力で血中Pheの真の平均低下量300μmol/Lを見積もった。
【0194】
PTC923に対する反応性は、血中Pheのベースラインからの変化量の平均値(各治療期間の3、5及び7日目の測定値の平均値として算出)を測定することにより評価した。各治療期間の1日目の投与前血中Phe濃度は、その期間の個々の患者固有のベースラインとして機能した。
【0195】
各治療期間の血中Pheのベースラインからの変化は、反復測定のための線形混合モデル(MMRM)を用いてモデル化した。有効性モデルは、各治療期間のベースラインに対する固定効果、治療グループ、シーケンス、期間、及び各シーケンス内のランダム対象効果を含み、1次の自己回帰AR(1)共分散構造を有する。計画外の共変量は含まれなかった。
【0196】
Pheのベースラインからの変化におけるペアワイズ比較は、マルチプル比較のためのDunnet's調整法を用いて最小二乗平均を計算することにより、各PTC923治療とサプロプテリン治療の間で実施された。血中Phe値の推定変化量、その標準誤差(SE)及び関連するp値を、各ペアワイズ比較について算出した。Dunnet's調整法はコントロール群に対する試験群のマルチプル比較を考慮するために使用した。この調整により、複数の試験群が単一のコントロール群と比較されているにもかかわらず、帰無仮説の下での全体的なタイプIエラー率が維持されることが確認された。
【0197】
各治療の血中Pheの全体的な平均変化を計算し、標準偏差(SD)を決定した。
【0198】
事前に規定した感度分析では、ベースラインPheが< 300μmol/Lである治療期間を除外し、レスポンダー分析では、ベースラインが≧300μmol/Lで、サプロプテリン及び/又はPTC923治療に≧20%の低下で応答した患者を調べた。
【0199】
データはSAS v.9.4を用いて分析した。
【0200】
サマリー
PTC923は、驚くべきことに、24人のみの対象を含む試験であるにもかかわらず、サプロプテリン二塩酸塩に対して血中フェニルアラニン濃度の低下において統計的に有意な優越性を示した。さらに、古典的PKUの対象の約45%がPTC923に反応し、フェニルアラニン濃度を20%以上低下させた。これは、歴史的に見て古典的PKUの対象のうち、サプロプテリン二塩酸塩の治療に反応するのは10%程度であったことを考えると、驚くべきことである。また、PTC923では、サプロプテリン二塩酸塩と比較して、全体的に驚くほど高いレベルのレスポンダーが示された。サプロプテリン二塩酸塩による治療と比較して、60%の対象がPTC923に反応し、3-4倍の対象が正常化(即ち、第7日の血中フェニルアラニン濃度が120マイクロモル/リットル未満)した。実際、PTC923を投与された対象は、サプロプテリン二塩酸塩を投与された対象と比較して、13.45倍の確率で血中フェニルアラニンが正常な濃度(即ち120マイクロモル/リットル未満)に到達した。特に、PTC923で治療した非古典的対象の46%が正常化したのに対し、サプロプテリン二塩酸塩では15.4%であった。また、PTC923を投与された対象からは、睡眠の質の向上と集中力の向上が報告された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】