(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】ケトレダクターゼポリペプチドおよびポリヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/53 20060101AFI20221121BHJP
C12N 9/02 20060101ALI20221121BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221121BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221121BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221121BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20221121BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
C12N15/53
C12N9/02 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518961
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 US2020052396
(87)【国際公開番号】W WO2021061915
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502427921
【氏名又は名称】コデクシス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】リャン, ジャック
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン, ナンディタ
(72)【発明者】
【氏名】チン, シャーリーン
(72)【発明者】
【氏名】ホーマン, デイビッド ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン, ケイティ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ, マシュー ブレイク
【テーマコード(参考)】
4B050
4B065
【Fターム(参考)】
4B050CC04
4B050CC07
4B050LL05
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA28
4B065CA60
(57)【要約】
本発明は、天然に存在する野生型ケトレダクターゼ酵素と比較して改善された特性を有する操作されたケトレダクターゼ酵素、ならびに操作されたケトレダクターゼ酵素をコードするポリヌクレオチド、操作されたケトレダクターゼ酵素を発現することができる宿主細胞、および操作されたケトレダクターゼ酵素を使用してキラルアルコールを合成する方法を提供する。本発明は、操作された酵素を使用する方法をさらに提供する。本発明は、例えば、配列番号4、6、80、104、172、186、194、252、270、272、286、328、および/または330と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有する操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号4、6、80、104、172、186、194、252、270、272、286、328、および/または330と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有する操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項2】
配列番号4と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置12、21、87、93、97、110、145、148、152、153、194、196、197、200、206、212、および226から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、前記位置が、配列番号4に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項3】
配列番号6と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに12/110/145/152、12/145、87/110/145、87/110/145/194、87/145/194、110、110/145/152/197、110/145/194、145、145/152、145/197/226、および152から選択される少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号6に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項4】
配列番号80と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに17、21、46、56、72、79、95、101、110、152、162、190、198、210、211、および227から選択される少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号80に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項5】
配列番号80と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに17、79、157、159、190/191/194、190/194、191/194、194、198、および211から選択される少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号80に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項6】
配列番号104と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに17/46/190、17/46/198/211、17/96/194/198、17/190/198、46/190/194/198、および46/194/198から選択される少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号104に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項7】
配列番号172と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに45、101、179、194、204、226、および231から選択される少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号172に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項8】
配列番号186と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに95/96/97/150/153/205、95/96/150/153/205/206/211/249、95/97/143/145/150/153/202/205、95/97/143/145/150/153/249、95/97/150/153、95/97/150/153/202/205/206、95/150/153/205/206/211、95/150/153/205/211、95/150/153/206/249、96/150/153、96/150/153/206、97/150/153、97/150/153/205、97/150/153/205/211、97/150/153/206、143/144/145/150/153/202/205/249、143/145/150/153、144/145/150/153/205/206、144/150/153、144/150/153/202/205/206、145/150/153/206/249、145/153/211、150/153/202/206/249、150/153/205/211、150/153/206/211、150/153/211、および150/153/249から選択される少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号186に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項9】
配列番号186と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに7/147、103/147、110、110/179/194、147、および249から選択される少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号186に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項10】
配列番号194と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに7/12/54/110/150/153/194/205/211/249、12/54/72/110/150/152/153/194/205/211/249、12/72/101/103/110/152/249、12/72/110/147/152/204、45/54/72/110/152/194/204、72/110/147/150/152/153/194/205/211/249、および110/150/153/179/194/205/211/249から選択される少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号194に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項11】
配列番号252と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに7/12/54/179/249、7/152、12/54/72/152/179/249、40、54/72、72/147/152/179/249、および249から選択される少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号252に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項12】
配列番号270と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに92/93、150/152、150/152/153、および194/195から選択される少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号270に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項13】
配列番号272と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに92/93/95、93、93/95、93/95/109、93/95/109/114、93/95/114、93/109/114、および114から選択される少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号272に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項14】
配列番号286と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに12/45/72/109/249、12/45/93/249、12/45/249、12/109/249、45/72/249、45/109/249、45/249、96、および145/150から選択される少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号286に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項15】
配列番号328と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに150、150/151、150/195、および195から選択される少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号328に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項16】
配列番号330と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに12/72/109/195、17/73/200、17/115、68/72/101/152/205、68/72/124、68/72/124/152、68/101/124/152/205、68/124/205、72/109/152/195、72/109/195、72/152、72/152/195、72/195、73、73/147、79、93、93/95/145/195、93/109/114/145/195、93/195、95/195、96/108/147/200、96/194/200、101/205、145/195、147、147/200、192、194、194/200、195、198、および200から選択される少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号330に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項17】
配列番号4、6、80、104、172、186、194、252、270、272、286、328、および/または330と少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項1から16のいずれかに記載の操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項18】
配列番号4、6、80、104、172、186、194、252、270、272、286、328、および/または330と少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項1から17のいずれかに記載の操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項19】
配列番号6、80、104、172、186、194、252、270、272、286、328、および/または330に示されるポリペプチド配列を含む、請求項1から18のいずれかに記載の操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項20】
前記操作されたケトレダクターゼが、表5-1、6-1、7-1、8-1、10-1、11-1、16-1、17-2、18-1、19-1、19-2、20-1、20-2、21-1、22-1および/または24-1に与えられるバリアントをコードするポリペプチド配列を含む、請求項1から19のいずれかに記載の操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項21】
前記操作されたケトレダクターゼが、配列番号6から412に示される偶数番号の配列から選択されるポリペプチド配列を含む、請求項1から20のいずれかに記載の操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項22】
1つまたは複数のイソα酸基質を1つまたは複数の対応するジヒドロ-(rho)-イソα酸生成物に変換することができる、請求項1に記載の操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項23】
配列番号4の参照ポリペプチドの少なくとも10倍の活性で、1つまたは複数のイソα酸基質を1つまたは複数の対応するジヒドロ-(rho)-イソα酸生成物に変換することができる、請求項1に記載の操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項24】
配列番号4のケトレダクターゼと比較して改善された特性を含む、請求項1から23のいずれかに記載の操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項25】
前記改善された特性が、配列番号4のケトレダクターゼと比較して、イソα酸を対応するジヒドロ-(rho)-イソα酸に変換する改善された活性を含む、請求項24に記載の操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項26】
前記改善された特性が、高い基質濃度での、配列番号4のケトレダクターゼと比較して改善された活性を含む、請求項24に記載の操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項27】
前記改善された特性が、低い補因子濃度での、配列番号4のケトレダクターゼと比較して改善された活性を含む、請求項24に記載の操作されたケトレダクターゼバリアント。
【請求項28】
請求項1から27のいずれかに記載の操作されたケトレダクターゼバリアントをコードする操作されたポリヌクレオチド配列。
【請求項29】
配列番号5から411に示される奇数番号の配列から選択される配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるポリヌクレオチド配列を含む、請求項28に記載の操作されたポリヌクレオチド配列。
【請求項30】
請求項28および/または29に記載の操作されたポリヌクレオチド配列を含むベクター。
【請求項31】
少なくとも1つの制御配列をさらに含む、請求項30に記載のベクター。
【請求項32】
配列番号413または414を含む、請求項30および/または31に記載のベクター。
【請求項33】
請求項30、31および/または32のいずれかに記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項34】
請求項1から27のいずれかに記載の操作されたケトレダクターゼバリアントを生成するための方法であって、請求項33に記載の宿主細胞を、前記操作されたケトレダクターゼバリアントが前記宿主細胞によって産生される条件下で培養するステップを含む、方法。
【請求項35】
前記宿主細胞によって産生された前記操作されたケトレダクターゼバリアントを回収するステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記操作されたケトレダクターゼバリアントが、配列番号413および/または414のベクターを含む宿主細胞によって産生される、請求項34および/または35に記載の方法。
【請求項37】
請求項1から27のいずれかに記載の少なくとも1つの操作されたケトレダクターゼバリアントを含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年9月26日に出願した米国特許仮出願第62/906,268号の優先権を主張するものであり、前記仮出願は、その全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表、表またはコンピュータープログラムの参照
ファイル名CX8-195WO2_ST25.txtとして、EFS-Webを介して、コンピューター可読形態(CRF)で、37 C.F.R.§1.821により本明細書と同時に提出した配列表は、参照により本明細書に組み込まれる。この配列表の電子コピーは、2020年9月23日に作成され、ファイルサイズは664キロバイトであった。
【0003】
発明の分野
本発明は、天然に存在する野生型ケトレダクターゼ酵素と比較して改善された特性を有する操作されたケトレダクターゼ酵素、ならびに操作されたケトレダクターゼ酵素をコードするポリヌクレオチド、操作されたケトレダクターゼ酵素を発現することができる宿主細胞、および操作されたケトレダクターゼ酵素を使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
背景
ケトレダクターゼ(KRED)またはカルボニルレダクターゼクラス(EC1.1.1.184)に属する酵素は、対応するプロキラルケトン基質からの、および対応するラセミ体アルデヒド基質の立体選択的還元による光学活性アルコールの合成に有用である。KREDは、典型的には、ケトンおよびアルデヒド基質を対応するアルコール生成物に変換するが、逆反応、すなわちアルコール基質の対応するケトン/アルデヒド生成物への酸化も触媒し得る。KREDなどの酵素によるケトンおよびアルデヒドの還元ならびにアルコールの酸化は、補因子、最も一般的には還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)または還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)、および酸化反応にはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)を必要とする。NADHおよびNADPHは、電子供与体としての役割を果たし、その一方でNAD+およびNADP+は、電子受容体としての役割を果たす。ケトレダクターゼおよびアルコールデヒドロゲナーゼが、リン酸化された補因子またはリン酸化されていない補因子のいずれか(その酸化および還元状態)を受容することが観察されることが多いが、両方の補因子を受容することが観察されることはほとんどない。
【0005】
重要な化合物の生産のための多くの化学合成手順を回避するために、異なるケトおよびアルデヒド基質のキラルアルコール生成物への酵素変換にケトレダクターゼがますます用いられている。これらの適用は、ケトレダクターゼを発現する全細胞を、生体触媒的ケトンおよびアルデヒド還元もしくは生体触媒的アルコール酸化に用いることができ、または全細胞中の多数のケトレダクターゼの存在が所望の生成物の立体純度および収量に悪影響を及ぼす場合には、精製された酵素の使用によって用いることができる。
【0006】
「苦味」は、ホップ(植物Humulus lupulus L.の花)の添加から典型的に生じるビールの重要な味覚特性である。イソα酸は、醸造プロセス中に、ホップ植物のルプリン腺に天然に存在する化合物であるフムロンの異性化によって形成される。具体的には、6つの主要なイソα酸が苦い味の原因となる:cis-イソフムロン、trans-イソフムロン、cis-イソ-co-フムロン、trans-イソ-co-フムロン、cis-イソ-ad-フムロン、およびtrans-イソ-ad-フムロン。
【0007】
しかし、イソα酸は、光安定性でなく、3-メチル-2-ブテン-1-チオール(3-MBT)の光誘起形成は、ビールに顕著な光に誘発されたまたは嫌な風味および匂いを付ける。このためビールを褐色瓶または缶に詰める必要がある。もう1つの解決策は、イソα酸のカルボニル基を還元して対応するジヒドロ-(rho)-イソα酸を生じさせることによって十分に光安定性のビールを作ることである。これらの還元型ジヒドロ-(rho)-イソα酸は、安定しており、透明なまたは緑色の瓶に詰めることができる。
【0008】
しかし、今のところ、毒性の危険な非食品等級の化学物質(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)を使用しなければイソα酸をジヒドロ-(rho)-イソα酸に変換することができない。それ故、イソα酸のジヒドロ-(rho)-イソα酸への安全な食品等級の変換には、かなりの商業的価値がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明は、天然に存在する野生型ケトレダクターゼ酵素と比較して改善された特性を有する操作されたケトレダクターゼ酵素、ならびに操作されたケトレダクターゼ酵素をコードするポリヌクレオチド、操作されたケトレダクターゼ酵素を発現することができる宿主細胞、および操作されたケトレダクターゼ酵素を使用する方法を提供する。
【0010】
本発明は、Lactobacillus kefirからの天然に存在する野生型ケトレダクターゼ(配列番号2)と比較して、または配列番号4、6、80、104、172、186、194、252、270、272、286、328および/もしくは330の操作されたケトレダクターゼポリペプチドを含む、他の操作されたケトレダクターゼ酵素と比較した場合、イソα酸の対応するジヒドロ-(rho)-イソα酸への変換において改善された酵素活性を有する操作されたケトレダクターゼ(「KRED」)酵素を提供する。
【0011】
一部のさらなる実施形態では、操作された酵素は、改善された酵素活性に加えて1つまたは複数の改善された特性を有する。酵素特性の改善には、これらに限定されないが、様々な基質にわたっての改善された活性、高い基質濃度での改善された活性、および低い補因子濃度での改善された活性が挙げられる。
【0012】
本発明は、配列番号4、6、80、104、172、186、194、252、270、272、286、328、および/または330と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有する操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。
【0013】
本発明はまた、配列番号4と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置12、21、87、93、97、110、145、148、152、153、194、196、197、200、206、212、および226から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号4に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、12I、21R、87L、93D、93M、93T、93V、97G、110I、145C、145G、145M、145S、148I、152G、152S、153C、153R、153V、194H、194N、194R、196H、196K、196R、197G、197R、200L、200Q、200R、206V、212S、および226Lから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号4に関して番号付けされている。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、V12I、L21R、V87L、I93D、I93M、I93T、I93V、K97G、L110I、L145C、L145G、L145M、L145S、V148I、T152G、T152S、L153C、L153R、L153V、P194H、P194N、P194R、L196H、L196K、L196R、D197G、D197R、E200L、E200Q、E200R、M206V、T212S、およびI226Lから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号4に関して番号付けされている。
【0014】
本発明はまた、配列番号6と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置12/110/145/152、12/145、87/110/145、87/110/145/194、87/145/194、110、110/145/152/197、110/145/194、145、145/152、145/197/226、および152から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号6に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、12I/110I/145M/152G、12I/145M、87L/110I/145M、87L/110I/145M/194H、87L/110I/145M/194N、87L/145M/194H、110I、110I/145M/152G/197G、110I/145M/194H、145M、145M/152G、145M/197G/226L、および152Sから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号6に関して番号付けされている。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、V12I/L110I/L145M/T152G、V12I/L145M、V87L/L110I/L145M、V87L/L110I/L145M/P194H、V87L/L110I/L145M/P194N、V87L/L145M/P194H、L110I、L110I/L145M/T152G/D197G、L110I/L145M/P194H、L145M、L145M/T152G、L145M/D197G/I226L、およびT152Sから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号6に関して番号付けされている。
【0015】
本発明はまた、配列番号80と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置17、21、46、56、72、79、95、101、110、152、162、190、198、210、211、および227から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号80に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、17Q、17S、21A、46V、56C、72A、79L、95I、101C、101L、101T、110V、152K、152L、162G、190A、198A、198Q、210F、210W、211R、および227Vから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号80に関して番号付けされている。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、L17Q、L17S、L21A、K46V、V56C、K72A、E79L、V95I、D101C、D101L、D101T、I110V、T152K、T152L、A162G、P190A、D198A、D198Q、T210F、T210W、L211R、およびC227Vから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号80に関して番号付けされている。
【0016】
本発明はまた、配列番号80と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置17、79、157、159、190/191/194、190/194、191/194、194、198、および211から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号80に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、17M、17Q、17S、79L、157C、159T、190A/191T/194E、190A/194E、191T/194E、194E、198A、198Q、および211Rから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号80に関して番号付けされている。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、L17M、L17Q、L17S、E79L、N157C、S159T、P190A/I191T/P194E、P190A/P194E、I191T/P194E、P194E、D198A、D198Q、およびL211Rから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号80に関して番号付けされている。
【0017】
本発明はまた、配列番号104と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置17/46/190、17/46/198/211、17/96/194/198、17/190/198、46/190/194/198、および46/194/198から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号104に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、17M/46V/190A、17M/46V/198A/211R、17M/96V/194E/198Q、17M/190A/198A、17M/190A/198Q、46V/190A/194E/198Q、および46V/194E/198Qから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号104に関して番号付けされている。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、Q17M/K46V/P190A、Q17M/K46V/D198A/L211R、Q17M/I96V/P194E/D198Q、Q17M/P190A/D198A、Q17M/P190A/D198Q、K46V/P190A/P194E/D198Q、およびK46V/P194E/D198Qから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号104に関して番号付けされている。
【0018】
本発明はまた、配列番号172と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置45、101、179、194、204、226、および231から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号172に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、45L、101R、101Y、179M、194E、204Q、226V、および231Gから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号172に関して番号付けされている。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、E45L、D101R、D101Y、Y179M、P194E、E204Q、I226V、およびA231Gから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号172に関して番号付けされている。
【0019】
本発明はまた、配列番号186と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置95/96/97/150/153/205、95/96/150/153/205/206/211/249、95/97/143/145/150/153/202/205、95/97/143/145/150/153/249、95/97/150/153、95/97/150/153/202/205/206、95/150/153/205/206/211、95/150/153/205/211、95/150/153/206/249、96/150/153、96/150/153/206、97/150/153、97/150/153/205、97/150/153/205/211、97/150/153/206、143/144/145/150/153/202/205/249、143/145/150/153、144/145/150/153/205/206、144/150/153、144/150/153/202/205/206、145/150/153/206/249、145/153/211、150/153/202/206/249、150/153/205/211、150/153/206/211、150/153/211、および150/153/249から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号186に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、95A/96A/97A/150A/153A/205A、95A/96A/150A/153A/205A/206A/211A/249A、95A/97A/143A/145A/150A/153A/202A/205A、95A/97A/143A/145A/150A/153A/249A、95A/97A/150A/153A、95A/97A/150A/153A/202A/205A/206A、95A/150A/153A/205A/206A/211A、95A/150A/153A/205A/211A、95A/150A/153A/206A/249A、96A/150A/153A、96A/150A/153A/206A、97A/150A/153A、97A/150A/153A/205A、97A/150A/153A/205A/211A、97A/150A/153A/206A、143A/144A/145A/150A/153A/202A/205A/249A、143A/145A/150A/153A、144A/145A/150A/153A/205A/206A、144A/150A/153A、144A/150A/153A/202A/205A/206A、145A/150A/153A/206A/249A、145A/153A/211A、150A/153A/202A/206A/249A、150A/153A/205A/211A、150A/153A/206A/211A、150A/153A/211A、および150A/153A/249Aから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号186に関して番号付けされている。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、V95A/I96A/K97A/D150A/L153A/M205A、V95A/I96A/D150A/L153A/M205A/M206A/L211A/W249A、V95A/K97A/S143A/M145A/D150A/L153A/W202A/M205A、V95A/K97A/S143A/M145A/D150A/L153A/W249A、V95A/K97A/D150A/L153A、V95A/K97A/D150A/L153A/W202A/M205A/M206A、V95A/D150A/L153A/M205A/M206A/L211A、V95A/D150A/L153A/M205A/L211A、V95A/D150A/L153A/M206A/W249A、I96A/D150A/L153A、I96A/D150A/L153A/M206A、K97A/D150A/L153A、K97A/D150A/L153A/M205A、K97A/D150A/L153A/M205A/L211A、K97A/D150A/L153A/M206A、S143A/I144A/M145A/D150A/L153A/W202A/M205A/W249A、S143A/M145A/D150A/L153A、I144A/M145A/D150A/L153A/M205A/M206A、I144A/D150A/L153A、I144A/D150A/L153A/W202A/M205A/M206A、M145A/D150A/L153A/M206A/W249A、M145A/L153A/L211A、D150A/L153A/W202A/M206A/W249A、D150A/L153A/M205A/L211A、D150A/L153A/M206A/L211A、D150A/L153A/L211A、およびD150A/L153A/W249Aから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号186に関して番号付けされている。
【0020】
本発明はまた、配列番号186と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置7/147、103/147、110、110/179/194、147、および249から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号186に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、7Q/147I、103R/147I、110V、110V/179M/194E、147I、および249Yから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号186に関して番号付けされている。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、H7Q/L147I、T103R/L147I、I110V、I110V/Y179M/P194E、L147I、およびW249Yから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号186に関して番号付けされている。
【0021】
本発明はまた、配列番号194と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置7/12/54/110/150/153/194/205/211/249、12/54/72/110/150/152/153/194/205/211/249、12/72/101/103/110/152/249、12/72/110/147/152/204、45/54/72/110/152/194/204、72/110/147/150/152/153/194/205/211/249、および110/150/153/179/194/205/211/249から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号194に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、7Q/12I/54S/110V/150D/153L/194E/205M/211L/249Y、12I/54S/72T/110V/150D/152M/153L/194E/205M/211L/249Y、12I/72S/101Y/103Q/110V/152M/249Y、12I/72S/110V/147I/152M/204Q、45L/54S/72S/110V/152M/194E/204Q、72S/110V/147M/150D/152M/153L/194E/205M/211L/249Y、および110V/150D/153L/179M/194E/205M/211L/249Yから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号194に関して番号付けされている。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、H7Q/V12I/T54S/I110V/A150D/A153L/P194E/A205M/A211L/W249Y、V12I/T54S/K72T/I110V/A150D/T152M/A153L/P194E/A205M/A211L/W249Y、V12I/K72S/R101Y/T103Q/I110V/T152M/W249Y、V12I/K72S/I110V/L147I/T152M/E204Q、E45L/T54S/K72S/I110V/T152M/P194E/E204Q、K72S/I110V/L147M/A150D/T152M/A153L/P194E/A205M/A211L/W249Y、およびI110V/A150D/A153L/Y179M/P194E/A205M/A211L/W249Yから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号194に関して番号付けされている。
【0022】
本発明はまた、配列番号252と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置7/12/54/179/249、7/152、12/54/72/152/179/249、40、54/72、72/147/152/179/249、および249から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号252に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、7Q/12I/54S/179Y/249Y、7Q/152M、12I/54S/72T/152M/179Y/249Y、40E、54S/72S、72S/147M/152M/179Y/249Y、および249Yから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号252に関して番号付けされている。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、H7Q/V12I/T54S/M179Y/W249Y、H7Q/T152M、V12I/T54S/K72T/T152M/M179Y/W249Y、H40E、T54S/K72S、K72S/L147M/T152M/M179Y/W249Y、およびW249Yから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号252に関して番号付けされている。
【0023】
本発明はまた、配列番号270と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置92/93、150/152、150/152/153、および194/195から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号270に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、92A/93E、150D/152A/153L、150Y/152A、150Y/152S、および194S/195Aから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号270に関して番号付けされている。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、G92A/I93E、A150D/M152A/A153L、A150Y/M152A、A150Y/M152S、およびE194S/R195Aから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号270に関して番号付けされている。
【0024】
本発明はまた、配列番号272と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置92/93/95、93、93/95、93/95/109、93/95/109/114、93/95/114、93/109/114、および114から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号272に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、92A/93D/95R、93A/95K/109R、93A/95R/109D/114T、93D/95R、93E/109R/114A、93M、93R/95A/114T、および114Aから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号272に関して番号付けされている。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、G92A/I93D/V95R、I93A/V95K/K109R、I93A/V95R/K109D/N114T、I93D/V95R、I93E/K109R/N114A、I93M、I93R/V95A/N114T、およびN114Aから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号272に関して番号付けされている。
【0025】
本発明はまた、配列番号286と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置12/45/72/109/249、12/45/93/249、12/45/249、12/109/249、45/72/249、45/109/249、45/249、96、および145/150から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号286に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、12I/45E/72T/109D/249Y、12I/45E/93A/249Y、12I/45E/249Y、12I/109D/249Y、45E/72T/249Y、45E/109D/249Y、45E/249Y、96A、および145A/150Aから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号286に関して番号付けされている。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、V12I/L45E/S72T/K109D/W249Y、V12I/L45E/I93A/W249Y、V12I/L45E/W249Y、V12I/K109D/W249Y、L45E/S72T/W249Y、L45E/K109D/W249Y、L45E/W249Y、I96A、およびM145A/Y150Aから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号286に関して番号付けされている。
【0026】
本発明はまた、配列番号328と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置150、150/151、150/195、および195から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号328に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、150A、150A/151A、150A/195S、195A、および195Sから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号328に関して番号付けされている。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、Y150A、Y150A/P151A、Y150A/R195S、R195A、およびR195Sから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号328に関して番号付けされている。
【0027】
本発明はまた、配列番号330と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性、ならびに位置12/72/109/195、17/73/200、17/115、68/72/101/152/205、68/72/124、68/72/124/152、68/101/124/152/205、68/124/205、72/109/152/195、72/109/195、72/152、72/152/195、72/195、73、73/147、79、93、93/95/145/195、93/109/114/145/195、93/195、95/195、96/108/147/200、96/194/200、101/205、145/195、147、147/200、192、194、194/200、195、198、および200から選択される1つまたは複数の位置における少なくとも1つの置換または置換セットを有する操作されたケトレダクターゼバリアントであって、位置が、配列番号330に関して番号付けされている、操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、12V/72S/109K/195R、17A/73V/200P、17A/115Q、68E/72D/101K/152Q/205L、68R/72D/101Q/152Q/205L、68R/72R/124E、68R/72R/124E/152Q、68R/101Q/124E/152Q/205L、68R/124E/205L、72D/152Q、72K/152M/195R、72K/195R、72S/109K/152M/195R、72S/109K/195R、73V、73V/147I、79A、93A、93A/95R/145A/195R、93A/109K/114T/145A/195R、93A/195R、95R/195R、96P/108S/147I/200P、96P/194N/200P、101M/205L、145A/195A、147I、147I/200P、192R、194N、194N/200P、195R、198G、198R、および200Pから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号330に関して番号付けされている。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、I12V/T72S/D109K/S195R、M17A/L73V/E200P、M17A/L115Q、A68E/T72D/R101K/A152Q/A205L、A68R/T72D/R101Q/A152Q/A205L、A68R/T72R/L124E、A68R/T72R/L124E/A152Q、A68R/R101Q/L124E/A152Q/A205L、A68R/L124E/A205L、T72D/A152Q、T72K/A152M/S195R、T72K/S195R、T72S/D109K/A152M/S195R、T72S/D109K/S195R、L73V、L73V/L147I、E79A、I93A、I93A/V95R/M145A/S195R、I93A/D109K/N114T/M145A/S195R、I93A/S195R、V95R/S195R、I96P/R108S/L147I/E200P、I96P/E194N/E200P、R101M/A205L、M145A/S195A、L147I、L147I/E200P、K192R、E194N、E194N/E200P、S195R、Q198G、Q198R、およびE200Pから選択される少なくとも1つの置換または置換セットを含み、位置は、配列番号330に関して番号付けされている。
【0028】
本発明はまた、配列番号4、6、80、104、172、186、194、252、270、272、286、328、および/または330と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド配列を含む操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、配列番号4、6、80、104、172、186、194、252、270、272、286、328、および/または330と少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含むポリペプチド配列を含む。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、配列番号4、6、80、104、172、186、194、252、270、272、286、328および/または330に示されるポリペプチド配列を含む。一部の追加の実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、表5-1、6-1、7-1、8-1、17-2、18-1、19-1、19-2、20-1、20-2、21-1、22-1および/または24-1に与えられるバリアントをコードするポリペプチド配列を含む。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントは、配列番号6から412に示される偶数番号の配列から選択されるポリペプチド配列を含む。
【0029】
本発明はまた、本明細書において提供される操作されたケトレダクターゼバリアントをコードする操作されたポリヌクレオチド配列を提供する。一部の実施形態では、操作されたポリヌクレオチド配列は、配列番号5から411に示される奇数番号の配列から選択される配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるポリヌクレオチド配列を含む。本発明はまた、本明細書において提供される操作されたケトレダクターゼバリアントをコードする操作されたポリヌクレオチド配列を含むベクターを提供する。一部の実施形態では、ベクターは、少なくとも1つの制御配列をさらに含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号413および/または414を含む。
【0030】
本発明はまた、本明細書において提供される操作されたケトレダクターゼバリアントをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0031】
本発明はまた、本明細書において提供される操作されたケトレダクターゼバリアントを生成する方法であって、操作されたケトレダクターゼバリアントが宿主細胞によって産生される条件下で、本明細書において提供される宿主細胞を培養するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、宿主細胞によって産生される操作されたケトレダクターゼバリアントを回収するステップをさらに含む。一部のさらなる実施形態では、操作されたケトレダクターゼバリアントを生成する方法は、配列番号413および/または414のベクターを含む宿主細胞を培養するステップを含む。
【0032】
本発明はまた、固定された操作されたケトレダクターゼバリアントを提供する。
【0033】
本発明は、少なくとも1つの、本明細書において提供される操作されたケトレダクターゼバリアントを含む組成物をさらに提供する。一部の実施形態では、組成物は、本明細書において提供される少なくとも1つの固定された操作されたケトレダクターゼバリアントを含む。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、高い基質濃度での配列番号6および配列番号80のポリペプチドのKRED活性を比較する典型的なHPLC反応プロファイルを提供する。
【0035】
【
図2】
図2は、実施例11に記載の実験の結果、高い基質および低いNADP濃度での選択されたバリアントのKRED活性(変換%)を提供する。
【0036】
【
図3】
図3は、配列番号194のポリペプチドによって生成されるRho種を描示する典型的なHPLC反応プロファイルを提供する。
【0037】
【
図4】
図4は、高い基質および低いNADP濃度での配列番号328および配列番号330のポリペプチドのKRED活性を比較する典型的なHPLC反応プロファイルを提供する。
図4について、実線=4g/Lの酵素;破線=1g/Lの酵素;菱形=配列番号328;白抜きの四角=配列番号330。
【0038】
【
図5】
図5は、高い基質および低いNADP濃度での配列番号270、配列番号328、配列番号330、配列番号348、配列番号346、および配列番号356のポリペプチドのKRED活性を比較する典型的なHPLC反応プロファイルを提供する。
図5について、白抜きの三角=配列番号270;黒塗りの三角=配列番号328;白抜きの丸=配列番号348;黒塗りの丸=配列番号356;白抜きの四角=配列番号330;黒塗りの四角=配列番号346。
【発明を実施するための形態】
【0039】
発明の説明
本発明は、天然に存在する野生型ケトレダクターゼと比較して改善された特性を有する操作されたケトレダクターゼ酵素、ならびに操作されたケトレダクターゼ酵素をコードするポリヌクレオチド、操作されたケトレダクターゼ酵素を発現することができる宿主細胞、および操作されたケトレダクターゼ酵素を使用する方法を提供する。
【0040】
定義
本発明に関して、この明細書で使用される技術用語および科学用語は、別段具体的に定義されていなければ、当業者によって通常理解される意味を有する。したがって、以下の用語は、以下の意味を有することを意図する。本明細書において言及されるすべての特許および刊行物は、このような特許および刊行物に開示されるすべての配列も含めて、参照により明示的に組み込まれる。別段示されていなければ、本発明の実践は、当業者に公知の分子生物学、発酵、微生物学、および関連する分野で通常使用されている従来の技法に関与する。本明細書で別段定義されていなければ、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、この発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様のまたは同等の任意の方法および材料は、本発明の実践または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料が記載されている。実際に、本発明は、これらが、使用される文脈に応じて変化し得るため、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコール、および試薬に限定されるものではないことが意図される。本明細書で与えられる見出しは、本発明の種々の態様または実施形態の限定ではない。
【0041】
それにもかかわらず、本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。数値範囲は、範囲を定義する数値を包括する。よって、本明細書に開示されるすべての数値範囲は、すべてのより狭い数値範囲がすべて本明細書に明示的に記載されているかのように、このようなより広い数値範囲内になるこのようなすべてのより狭い数値範囲を包含することを意図する。本明細書に開示されるすべての最大(または最小)の数値限定は、このようなすべてのより小さい(またはより大きい)数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように、このようなより小さい(または大きい)数値限定を含むことも意図する。
【0042】
本明細書で使用する場合、「含む(comprising)」という用語およびその同族言語は、これらの包括的意味(すなわち、「含む(including)」およびその対応する同族言語に等価な意味)において使用される。
【0043】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈において別段明確に示されていなければ、複数の対象を含む。よって、例えば、「宿主細胞」への言及は、複数のこのような宿主細胞を含む。
【0044】
別段示されていなければ、それぞれ、核酸は、5’から3’の方向に左から右に記載され、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシの方向に左から右に記載されている。
【0045】
本明細書で与えられる見出しは、全体として本明細書を参照して有され得る、本発明の種々の態様または実施形態の限定ではない。よって、以下に定義される用語は、全体として本明細書を参照してより十分に定義される。
【0046】
「ケトレダクターゼ」および「KRED」は、カルボニル基をその対応するアルコールに還元する酵素能力を有するポリペプチドを指すために、本明細書で互換的に使用される。より具体的には、本発明のケトレダクターゼポリペプチドは、スキーム1に示されるように、イソα酸の混合物を対応するジヒドロ-(rho)-イソα酸に還元することができる。本発明のケトレダクターゼ酵素は、L.kefirの天然に存在するKRED(配列番号2)に由来する。しかし、KREDおよびケトレダクターゼという用語は、かように限定されず、天然に存在する酵素、または細菌、植物、藻類および/もしくは動物種の種々の種に由来する酵素を指すことができる。酵素は、合成のものであっても、人工のものであっても、または当業者に公知の種々の方法によって産生されたものであってもよい。
【0047】
「イソα酸」または「iso」は、ホップ、ホップ植物Humulus lupulus L.の花、に由来する化合物である、イソフムロンの異性体、エピマー、ジアステレオマー、互変異性体およびエナンチオマーを指すために、本明細書で互換的に使用される。「イソα酸」または「iso」は、これらに限定されないが、cis-イソフムロン、trans-イソフムロン、cis-イソ-co-フムロン、trans-イソ-co-フムロン、cis-イソ-ad-フムロン、およびtrans-イソ-ad-フムロンを含む。「イソα酸」または「iso」はまた、同様の化学特性、特に、ビールまたは他のアルコール飲料もしくは同様の飲料に苦い味または苦味を付与する特性を有する、任意の天然に存在するまたは合成の異性体、エピマー、ジアステレオマー、互変異性体、エナンチオマーまたは他の誘導体もしくは同様の化合物を含む。これは、イソフムロンテトロン酸コアの任意の異性体、エピマー、ジアステレオマー、エナンチオマーまたは互変異性体を含む。
【0048】
「ジヒドロ-(rho)-イソα酸」または「rho」は、本明細書で定義される通りの「イソα酸」または「iso」のカルボニル基の還元によって生成される化合物を指すために、本明細書で互換的に使用される。「ジヒドロ-(rho)-イソα酸」または「rho」は、本明細書に記載されているように、1つまたは複数のKREDポリペプチドによる変換によって「イソα酸」または「iso」から生成することができる。
【0049】
本明細書で使用する場合、「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」という用語は、長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化、脂質化、ミリスチル化、ユビキチン化など)にかかわらず、アミド結合によって共有結合的に連結された少なくとも2つのアミノ酸のポリマーを示すために、本明細書で互換的に使用される。D-アミノ酸およびL-アミノ酸、ならびにD-アミノ酸とL-アミノ酸との混合物は、この定義に含まれる。
【0050】
本明細書で使用する場合、「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、共有結合的に一緒に連結された2つまたはそれより多いヌクレオシドを指す。ポリヌクレオチドは、リボヌクレオシドから完全に構成され得るか(すなわち、RNA)、2’デオキシリボヌクレオチドから完全に構成され得るか(すなわち、DNA)、またはリボヌクレオシドと2’デオキシリボヌクレオシドとの混合物であり得る。ヌクレオシドは、典型的には、標準的なホスホジエステル連結を介して一緒に連結されるが、ポリヌクレオチドは、1つまたは複数の非標準的な連結を含み得る。ポリヌクレオチドは、一本鎖もしくは二本鎖であってもよく、または一本鎖領域と二本鎖領域の両方を含んでもよい。さらに、ポリヌクレオチドは、典型的には、天然に存在するコード核酸塩基(すなわち、アデニン、グアニン、ウラシル、チミン、およびシトシン)から構成されるが、1つまたは複数の改変核酸塩基および/または合成核酸塩基(例えば、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンなど)を含み得る。好ましくは、このような改変核酸塩基または合成核酸塩基は、コード核酸塩基である。
【0051】
本明細書で使用する場合、「コード配列」は、タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸(例えば、遺伝子)の部分を指す。
【0052】
本明細書で使用する場合、「天然に存在する」または「野生型」は、天然に見られる形態を指す。例えば、天然に存在するかまたは野生型のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、生物中に存在する配列であって、天然の供給源から単離することができ、人為的操作によって意図的に改変されていない配列である。
【0053】
本明細書で使用する場合、「天然に存在しない」または「操作された」または「組換え」は、(例えば、細胞、核酸、またはポリペプチド)に関して本発明において使用される場合、普通なら天然に存在しない様式で改変されたか、またはそれと同一であるが合成材料からおよび/もしくは組換え技法を使用する操作によって生産もしくは導出された、材料またはその材料の天然の形態もしくはネイティブな形態に対応する材料を指す。非限定的な例として、とりわけ、ネイティブな(非組換え)形態の細胞内に見られない遺伝子を発現するかまたは普通なら異なるレベルで発現されるネイティブな遺伝子を発現する組換え細胞が挙げられる。
【0054】
本明細書で使用する場合、「配列同一性のパーセンテージ」、「パーセント同一性」および「パーセント同一な」は、ポリヌクレオチド配列間またはポリペプチド配列間の比較を指し、比較ウインドウにわたって最適にアライメントされた2つの配列を比較することによって決定され、比較ウインドウ内のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の一部は、2つの配列の最適なアライメントの参照配列と比較して、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。両配列において同一の核酸塩基もしくはアミノ酸残基のいずれかが生じるかまたは核酸塩基もしくはアミノ酸残基がギャップと共にアライメントされる位置の数を決定し、マッチ位置の数を得て、マッチ位置の数を比較のウインドウ内の位置の総数で割り、その結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを得ることによって、このパーセンテージを計算することができる。最適なアライメントおよびパーセント配列同一性の決定は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムを使用して実施される(例えば、Altschul et al., J. Mol. Biol. 215: 403-410 [1990];およびAltschul et al., Nucleic Acids Res. 3389-3402 [1977]を参照のこと)。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイトを通じて公的に利用可能である。
【0055】
簡潔に言えば、BLAST分析は、データベース配列内の同じ長さのワードとアライメントした場合に、ある正の値の閾値スコアTとマッチするかまたはそれを満たす、クエリ配列中の長さWの短いワードを特定することによって、高いスコアになる配列の対(HSP)を最初に特定することに関与する。Tは、隣接ワードスコア閾値と称される(Altschul et al.、上掲)。これらの初期の隣接ワードヒットは、それらを含有するより長いHSPを見つける検索を開始するためのシードとしての役割を果たす。次いで、累積アライメントスコアを増加することができる限り、そのワードヒットをそれぞれの配列に沿って両方向に伸長する。累積スコアは、ヌクレオチド配列については、パラメーターM(1対のマッチ残基に対する報酬スコア;常に、>0)およびN(ミスマッチ残基に対するペナルティスコア;常に、<0)を使用して計算される。アミノ酸配列については、スコアリング行列を使用して、累積スコアを計算する。それぞれの方向におけるワードヒットの伸長は、累積アライメントスコアがその最大達成値から量Xだけ低下するか;累積スコアが1つもしくは複数の負のスコアの残基アライメントの累積に起因してゼロまたはそれ未満になるか;またはいずれかの配列の末端に達する場合に、停止される。BLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXによって、アライメントの感度および速度が決定される。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、デフォルトとして、11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、3のワード長(W)、10の期待値(E)、およびBLOSUM62スコアリング行列を使用する(例えば、Henikoff and Henikoff, Proc Natl Acad Sci USA 89:10915 [1989]を参照のこと)。
【0056】
2つの配列に対してパーセント同一性を与える際に、BLASTと同様に機能する多数の他のアルゴリズムが利用可能であり、当技術分野で公知である。比較のための配列の最適なアライメントは、当技術分野で公知の任意の好適な方法を使用するか(例えば、Smith and Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482 [1981]の局所相同性アルゴリズムによる;Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 [1970]の相同性アライメントアルゴリズムによる;Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444 [1988]の類似性調査法による;ならびに/またはこれらのアルゴリズムのコンピューター制御による実行による[GCG Wisconsin Software Package中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA])、または当技術分野で一般に公知の方法を使用して、目視検査によって行うことができる。さらに、配列アライメントおよびパーセント配列同一性の決定は、提供されたデフォルトのパラメーターを使用して、GCG Wisconsin Softwareパッケージ(Accelrys、Madison、WI)中のBESTFITまたはGAPプログラムを用いることができる。
【0057】
本明細書で使用する場合、「参照配列」は、別の配列が比較される規定の配列を指す。参照配列は、より大きい配列のサブセット、例えば、全長遺伝子またはポリペプチド配列のセグメントであり得る。一般的に、参照配列は、長さが少なくとも20のヌクレオチドもしくはアミノ酸残基、長さが少なくとも25残基、長さが少なくとも50残基、または核酸もしくはポリペプチドの全長である。2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドはそれぞれ、(1)2つの配列間で類似している配列(すなわち、完全な配列の部分)を含むことができ、(2)2つの配列間で異なる配列をさらに含むことができるので、典型的には、比較ウインドウにわたる2つのポリヌクレオチドの配列を比較して、局所領域の配列類似性を同定および比較することによって、2つの(またはそれより多い)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの間の配列比較を実施する。「参照配列」という用語は、野生型配列に限定されることを意図するものではなく、操作されたかまたは変更された配列を含むことができる。例えば、一部の実施形態では、「参照配列」は、以前に操作されたかまたは変更されたアミノ酸配列であり得る。
【0058】
本明細書で使用する場合、「比較ウインドウ」は、少なくとも約20の連続したヌクレオチド位置またはアミノ酸残基の概念上のセグメントを指し、配列は、少なくとも20の連続したヌクレオチドまたはアミノ酸の参照配列と比較することができ、比較ウインドウ中の配列の部分は、2つの配列の最適なアライメントに関して、参照配列(付加も欠失も含まない)と比較した場合に、20パーセントまたはそれより低い付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。比較ウインドウは、20より長い連続した残基であり得、必要に応じて30、40、50、100またはそれより長いウインドウを含む。
【0059】
本明細書で使用する場合、「に対応する」、「を参照して」または「に対して」は、所与のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列の番号付けとの関連で使用される場合、所与のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列が参照配列と比較される場合の、指定の参照配列の残基の番号付けを指す。換言すれば、所与のポリマーの残基番号または残基位置は、所与のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列内の残基の実際の数値的な位置によってではなく、参照配列に対して指定される。例えば、操作されたケトレダクターゼのアミノ酸配列などの所与のアミノ酸配列は、2つの配列間の残基マッチを最適化するためにギャップを導入することによって、参照配列に対してアライメントさせることができる。これらの場合には、ギャップが存在するが、所与のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列における残基の番号付けは、この配列がアライメントされている参照配列に対してなされる。本明細書で使用する場合、以下でさらに記載されるように、「Xn」などの残基位置への言及は、別段具体的に表示されていなければ、「に対応する残基」に言及するものとして解釈されるべきである。よって、例えば、「X94」は、ポリペプチド配列の位置94における任意のアミノ酸を指す。
【0060】
本明細書で使用する場合、「立体選択性」は、化学反応または酵素反応における一方の立体異性体の別の立体異性体または別の立体異性体のセットに勝る優先的形成を指す。立体選択性は、立体異性体の形成が別のものより好ましい場合には部分的である場合があり、または一方の立体異性体しか形成されない場合には完全である場合がある。立体異性体がエナンチオマーである場合、その立体選択性はエナンチオ選択性と称され、一方のエナンチオマーの両方のエナンチオマーの合計中の分率である(典型的には、パーセンテージとして報告される)。これは、当技術分野では、通常、代替的に、式[主エナンチオマー-副エナンチオマー]/[主エナンチオマー+副エナンチオマー]に従ってそれから算出されるエナンチオマー過剰率(e.e.)として(典型的には、パーセンテージとして)報告される。立体異性体が、ジアステレオ異性体である場合、立体選択性は、ジアステレオ選択性とも称され、2つのジアステレオマーの混合物中の一方のジアステレオマーの分率であり(典型的には、パーセンテージとして報告される)、通常、代替的に、ジアステレオマー過剰率(d.e.)として報告される。エナンチオマー過剰率およびジアステレオマー過剰率は、立体異性体過剰率(stereomeric excess)の種類である。立体選択性が、単一の立体異性体に限定されないことおよび立体異性体のセットについて記載され得ることも理解されるべきである。
【0061】
本明細書で使用する場合、「高度に立体選択的」は、少なくとも約75%の立体異性体過剰率で、基質をその対応するキラルアルコール生成物に変換することができる化学反応または酵素反応を指す。
【0062】
本明細書で使用する場合、「増加した酵素活性」および「増加した活性」は、操作された酵素の改善された特性を指し、参照酵素と比較して比活性(例えば、生成される生成物/時間/タンパク質重量)の増加または基質の生成物への変換パーセント(例えば、指定量のケトレダクターゼを使用する指定時間内の生成物への基質の出発量の変換パーセント)の増加によって示され得る。酵素活性を決定するための例示的な方法を、実施例に提供する。Km、Vmaxまたはkcatの古典的酵素特性を含む、その変化によって酵素活性の増加が導かれ得る、酵素活性に関する任意の特性が影響を受ける可能性がある。ケトレダクターゼ活性は、ケトレダクターゼを測定するために使用される標準的なアッセイのいずれか1つ、例えば、基質もしくは生成物の濃度の変化、または補因子(補因子再生系が存在しない場合)の濃度の変化によって、測定することができる。酵素活性の比較は、本明細書中で詳細にさらに説明するような、酵素の規定された調製、設定条件下での規定されたアッセイ、および1つまたは複数の規定された基質を使用してなされる。一般的に、細胞溶解物中の酵素を比較する場合、宿主細胞によって産生され、溶解物中に存在する酵素の量の変動を最小にするために同一の発現系および同一の宿主細胞を使用するのと同様に、アッセイされる細胞の数およびタンパク質の量を決定する。
【0063】
本明細書で使用する場合、「変換」は、基質の対応する生成物への酵素的変換を指す。
【0064】
本明細書で使用する場合、「変換パーセント」は、ある期間内に、指定の条件下で、生成物に変換される基質のパーセントを指す。よって、例えば、ケトレダクターゼポリペプチドの「酵素活性」または「活性」は、基質の生成物への「変換パーセント」として表現され得る。
【0065】
本明細書で使用する場合、「熱安定性(thermostable)」または「熱安定性の(thermal stable)」は、未処理の酵素と比較して、ある期間(例えば、0.5~24時間)、温度条件のセット(例えば、40~80℃)に曝露した際に不活性化に耐性であり、よって、高温への曝露後にある特定のレベルの残存活性(例として、60%を超えて、例えば80%まで)を保持するポリペプチドを指す。
【0066】
本明細書で使用する場合、「溶媒安定な(solvent stable)」は、様々な濃度(例えば、5~99%)の溶媒への曝露後に、未処理の酵素と比較して同様の活性(例として、例えば60%を超えて、80%まで)を維持するポリペプチドの能力を指す。
【0067】
本明細書で使用する場合、「アミノ酸差異」または「残基差異」は、参照配列中の対応する位置のアミノ酸残基に対するポリペプチド配列の位置でのアミノ酸残基の差異を指す。アミノ酸差異の位置は、一般的に、本明細書では「Xn」(nは、残基差異が基づく参照配列における対応する位置を指す)と称される。例えば、「配列番号2と比較した位置X40の残基差異」は、配列番号2の位置40に対応するポリペプチド位置のアミノ酸残基の差異を指す。したがって、配列番号2の参照ポリペプチドが位置40でヒスチジンを有する場合、「配列番号2と比較した位置X40の残基差異」は、配列番号2の位置40に対応するポリペプチドの位置でのヒスチジン以外の任意の残基のアミノ酸置換を指す。本明細書のほとんどの場合には、ある位置における特定のアミノ酸残基差異は、「XnY」(「Xn」は、上記のように対応する位置を指定し、「Y」は、操作されたポリペプチドに見られるアミノ酸(すなわち、参照ポリペプチド中と異なる残基)の一文字識別子である)として示される。一部の場合には、本発明はまた、従来の表記「AnB」(Aは、参照配列中の残基の一文字識別子であり、「n」は、参照配列中の残基位置の番号であり、Bは、操作されたポリペプチドの配列中の残基置換の一文字識別子である)によって表される特定のアミノ酸差異を提供する。一部の場合には、本発明のポリペプチドは、参照配列に対する1つまたは複数のアミノ酸残基差異を含むことができ、これは、残基差異が参照配列に対して存在する指定の位置のリストによって示される。一部の実施形態では、ポリペプチドの特定の残基位置に1つより多くのアミノ酸を使用することができる場合、使用することができる種々のアミノ酸残基は、「/」によって区切られる(例えば、X192A/G)。本発明は、保存的アミノ酸置換および非保存的アミノ酸置換のいずれかまたは両方を含む1つまたは複数のアミノ酸差異を含む操作されたポリペプチド配列を包含する。本発明の配列表に含まれる特定の組換えケトレダクターゼポリペプチドのアミノ酸配列は、開始メチオニン(M)残基を含む(すなわち、Mは残基位置1を表す)。しかし、この開始メチオニン残基は、開始メチオニン残基を欠くが他の点では酵素の特性を保持する成熟タンパク質を生成するために、例えば宿主細胞またはin vitro翻訳系においてなど、生物学的プロセシング機構によって除去することができることが当業者に理解される。結果として、「位置Xnにおける配列番号2に対するアミノ酸残基差異」という用語は、本明細書で使用する場合、開始メチオニンを欠くようにプロセシングされた参照配列内の位置「Xn」または対応する位置(例えば、位置(X-1)n)を指す場合がある。
【0068】
本明細書で使用する場合、「保存的アミノ酸置換」という語句は、類似側鎖を有する残基の互換性を指し、よって、典型的には、ポリペプチド中のアミノ酸を、同一または類似の規定アミノ酸クラス内のアミノ酸で置換することを伴う。一例として限定されないが、一部の実施形態では、脂肪族側鎖を有するアミノ酸は、別の脂肪族アミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン)で置換され;ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸は、ヒドロキシル側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、セリンおよびトレオニン)と置換され;芳香族側鎖を有するアミノ酸は、芳香族側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、およびヒスチジン)と置換され;塩基性側鎖を有するアミノ酸は、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、リシンおよびアルギニン)と置換され;酸性側鎖を有するアミノ酸は、酸性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)と置換され;および/または、疎水性もしくは親水性アミノ酸は、それぞれ別の疎水性もしくは親水性アミノ酸と置き換えられる。例示的な保存的置換を表1に提供する。
【表1】
【0069】
本明細書で使用する場合、「非保存的置換」という語句は、ポリペプチド中のアミノ酸を、側鎖特性が顕著に異なるアミノ酸に置換することを指す。非保存的置換は、規定のグループ内ではなく規定のグループ間のアミノ酸を使用してもよく、(a)置換(例えば、グリシンからプロリン)の領域内のペプチド骨格の構造、(b)電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のかさに影響を及ぼす。一例として限定されないが、例示的な非保存的置換は、塩基性または脂肪族アミノ酸と置換された酸性アミノ酸;小さいアミノ酸と置換された芳香族アミノ酸;および疎水性アミノ酸と置換された親水性アミノ酸であり得る。
【0070】
当業者によって認識されるように、上記で定義したカテゴリーの一部は、特段指定されていなければ、相互に排他的ではない。よって、2つまたはそれより多い物理化学特性を示す側鎖を有するアミノ酸は、複数のカテゴリーに含まれ得る。任意のアミノ酸または残基の適切な分類は、特に、本明細書で提供される詳細な発明を鑑みて、当業者に明らかであろう。
【0071】
本明細書で使用する場合、「欠失」は、参照ポリペプチドから1つまたは複数のアミノ酸を除去することによる、ポリペプチドの改変を指す。欠失は、酵素活性を保持し、および/または操作された酵素の改善された特性を保持する一方で、1もしくはそれより多いアミノ酸、2もしくはそれより多いアミノ酸、5もしくはそれより多いアミノ酸、10もしくはそれより多いアミノ酸、15もしくはそれより多いアミノ酸または20もしくはそれより多いアミノ酸の除去であって、ポリペプチドを構成する全アミノ酸数の10%まで、またはその全アミノ酸数の20%までの除去を含み得る。欠失は、ポリペプチドの内部部分および/または末端部分を対象とするものであり得る。種々の実施形態では、欠失は連続的なセグメントを含み得るか、または不連続であり得る。
【0072】
本明細書で使用する場合、「挿入」は、参照ポリペプチドへと1つまたは複数のアミノ酸を付加することによる、ポリペプチドの改変を指す。一部の実施形態では、改善された操作されたケトレダクターゼ酵素は、天然に存在するケトレダクターゼポリペプチドへの1または複数のアミノ酸の挿入、および操作されたケトレダクターゼポリペプチドへの1または複数のアミノ酸の挿入を含む。挿入は、ポリペプチドの内部部分にあり得るか、またはカルボキシ末端もしくはアミノ末端に対するものであり得る。当技術分野で公知であるように、本明細書で使用される挿入は、融合タンパク質を含む。天然に存在するポリペプチドにおいて、挿入は、連続的なアミノ酸セグメントであり得るか、または1つもしくは複数のアミノ酸によって隔てられ得る。
【0073】
「アミノ酸置換セット」または「置換セット」という用語は、参照配列と比較した、ポリペプチド配列内のアミノ酸置換の群を指す。置換セットは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、またはそれを超えるアミノ酸置換を有し得る。一部の実施形態では、置換セットは、実施例において提供される表に列挙されているバリアントKREDのいずれかに存在するアミノ酸置換のセットを指す。
【0074】
本明細書で使用する場合、「断片」は、アミノ末端および/またはカルボキシ末端の欠失を有するが、残りのアミノ酸配列は、配列中の対応する位置と同一である、ポリペプチドを指す。断片は、典型的には、全長ケトレダクターゼポリペプチド、例えば、配列番号4のポリペプチドの約80%、約90%、約95%、約98%または約99%を有し得る。一部の実施形態では、断片は、「生物学的に活性」である(すなわち、全長配列と同一の酵素活性を示す)。
【0075】
本明細書で使用する場合、「単離されたポリペプチド」は、天然でそれに付随する他の夾雑物、例えば、タンパク質、脂質、およびポリヌクレオチドから実質的に分離されたポリペプチドを指す。この用語は、それらの天然に存在する環境または発現系(例えば、宿主細胞またはin vitro合成)から除去または精製されたポリペプチドを包含する。改善されたケトレダクターゼ酵素は、細胞内に存在し得るか、細胞培地中に存在し得るか、または種々の形態、例えば、溶解物または単離された調製物中で調製され得る。したがって、一部の実施形態では、本発明の操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、単離されたポリペプチドであり得る。
【0076】
本明細書で使用する場合、「実質的に純粋なポリペプチド」は、そのポリペプチド種が存在する優勢種である(すなわち、モルまたは重量基準で、これが、組成物中の任意の他の個々の高分子種よりも豊富である)組成物を指し、一般的に、目的種が、存在する高分子種の少なくとも約50モルパーセントまたは約50重量%を構成する場合、実質的に精製された組成物である。一般的に、実質的に純粋な操作されたケトレダクターゼポリペプチド組成物は、この組成物中に存在するすべての高分子種の約60モル%もしくは60重量%またはそれを超える割合、約70モル%もしくは70重量%またはそれを超える割合、約80モル%もしくは80重量%またはそれを超える割合、約90モル%もしくは90重量%またはそれを超える割合、約91モル%もしくは91重量%またはそれを超える割合、約92モル%もしくは92重量%またはそれを超える割合、約93モル%もしくは93重量%またはそれを超える割合、約94モル%もしくは94重量%またはそれを超える割合、約95モル%もしくは95重量%またはそれを超える割合、約96モル%もしくは96重量%またはそれを超える割合、約97モル%もしくは97重量%またはそれを超える割合、約98モル%もしくは98重量%またはそれを超える割合、あるいは約99モル%もしくは99重量%を構成する。溶媒種、小分子(500ダルトン未満)、および元素イオン種は、高分子種と見なされない。一部の実施形態では、単離された改善されたケトレダクターゼポリペプチドは、実質的に純粋なポリペプチド組成物である。
【0077】
本明細書で使用する場合、核酸またはポリペプチドに関して使用される場合、「異種」という用語は、生物(例えば、野生型生物)によって通常発現および分泌されない配列を指す。一部の実施形態では、この用語は、通常天然に見られるものと互いに同じ関係では見られない、あるいは組換え操作されており、その結果、発現のレベル、または細胞内の他の核酸もしくは他の分子との物理的関係、または構造が通常天然に見られない、2つまたはそれを超える部分配列を含む配列を包含する。例えば、異種核酸は、典型的には、組換えによって生成され、天然に見られない様式で配置された無関係の遺伝子に由来する2つまたはそれを超える配列を有する(例えば、ベクターなどの発現カセットに挿入されたプロモーター配列に作動的に連結した本発明の核酸オープンリーディングフレーム(ORF))。一部の実施形態では、「異種ポリヌクレオチド」は、実験室での技法によって宿主細胞中に導入される任意のポリヌクレオチドを指し、宿主細胞から取り出され、実験室操作に供され、次いで、宿主細胞中に再導入されるポリヌクレオチドを含む。
【0078】
本明細書で使用する場合、「コドン最適化された」は、コードされたタンパク質が目的の生物内で効率的に発現されるように、タンパク質をコードするポリヌクレオチドのコドンの、特定の生物内で優先的に使用されるものへの変化を指す。一部の実施形態では、ケトレダクターゼ酵素をコードするポリヌクレオチドを、発現のために選択された宿主生物からの最適な産生のためにコドン最適化することができる。
【0079】
本明細書で使用する場合、「制御配列」は、本明細書では、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現に必要または有利なすべての成分を含むように定義される。各制御配列は、目的のポリヌクレオチドにとってネイティブのものであっても、外来のものであってもよい。このような制御配列として、これらに限定されないが、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、および転写ターミネーターが挙げられる。
【0080】
本明細書で使用する場合、「作動可能に連結した」は、本明細書では、制御配列が、目的のポリヌクレオチドに対してある位置で適切に配置され(すなわち、機能的な関係で)、その結果、制御配列が、目的のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現を指示または調節する構成として定義される。
【0081】
本明細書で使用する場合、「補因子再生系」および「補因子リサイクル系」という語句は、補因子の酸化形態を還元する反応(例えば、NADP+からNADPH)に関与する1セットの反応物を指す。ケト基質のケトレダクターゼ触媒還元によって酸化された補因子は、補因子再生系によって還元形態に再生される。補因子再生系は、還元性水素等価物の源であり、かつ、その補因子の酸化形態を還元することができる、化学量論量の還元剤を含む。補因子再生系は、還元剤による補因子の酸化形態の還元を触媒する触媒、例えば、酵素触媒をさらに含んでもよい。それぞれ、NAD+またはNADP+からNADHまたはNADPHを再生するための補因子再生系は、当技術分野において公知であり、本明細書に記載の方法において使用することができる。
【0082】
本明細書で使用する場合、「好適な反応条件」は、本発明のケトレダクターゼポリペプチドが基質化合物を生成物化合物に立体選択的に還元することができる下での生体触媒反応溶液の条件(例えば、酵素負荷、基質負荷、補因子負荷、温度、pH、緩衝液、共溶媒などの範囲)を指す。例示的な「好適な反応条件」は本発明において提供されており、実施例によって例示されている。
【0083】
本明細書で使用する場合、「化合物負荷」、「酵素負荷」、または「補因子負荷」などの「負荷」は、反応開始時における反応混合物中の成分の濃度または量を指す。
【0084】
本明細書で使用する場合、生体触媒媒介プロセスとの関連における「基質」は、生体触媒が作用する化合物または分子を指す。例えば、本明細書に開示されるプロセスにおけるケトレダクターゼ生体触媒の例示的な基質は、イソα酸である。
【0085】
本明細書で使用する場合、生体触媒媒介プロセスとの関連における「生成物」は、生体触媒が作用した結果生じる化合物または分子を指す。
【0086】
本明細書で使用する場合、本明細書で使用される「平衡」は、化学反応または酵素反応の順方向速度定数および逆方向速度定数によって決定される、立体異性体の相互変換を含む化学反応または酵素反応(例えば、2つの種AおよびBの相互変換)において化学種の定常状態の濃度をもたらすプロセスを指す。
【0087】
本明細書で使用する場合、「オキソ」は=Oを指す。
【0088】
本明細書で使用する場合、「オキシ」は、エーテルおよびエステルを含む、異なるオキシ基を形成するための種々の置換を有してもよい、二価の基-O-を指す。
【0089】
本明細書で使用する場合、「カルボキシ」は、-COOHを指す。
【0090】
本明細書で使用する場合、「カルボニル」は、-C(O)-を指し、これは、酸、酸ハロゲン化物、アルデヒド、アミド、エステル、およびケトンを含む異なるカルボニル基を形成するための様々な置換基を有してもよい。
【0091】
本明細書で使用する場合、「ヒドロキシ」は、-OHを指す。
【0092】
本明細書で使用する場合、「必要に応じた(optional)」および「必要に応じて(optionally)」は、次に記載される事象または状況が起こっても起こらなくてもよく、本明細書には、事象または状況が起こる場合および起こらない場合が含まれることを意味する。当業者は、1つまたは複数の必要に応じた置換基を含有することが記載された任意の分子に対して、立体的に実用的なおよび/または合成により実行できる化合物のみが含まれることを意味することを理解するであろう。
【0093】
本明細書で使用する場合、「必要に応じて置換された」は、化学基の用語または一連の化学基において、すべての次の修飾形態を指す。例えば、「必要に応じて置換されたアリールアルキル」という用語において、分子の「アルキル」部分と「アリール」部分は置換されていても置換されていなくてもよく、一連の「必要に応じて置換されたアルキル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール」では、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリール基は、他のものと独立して、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0094】
操作された酵素ポリペプチド
ケトレダクターゼ(KRED)またはカルボニルレダクターゼ生体触媒(EC1.1.1.184)は、アルデヒドおよびケトンからのアルコール、ならびに対応するプロ立体異性体ケトン基質からの光学活性第二級アルコールの合成に有用である。KREDは、逆反応(すなわち、アルコール基質の対応するアルデヒド/ケトン生成物への酸化)も触媒し得る。KREDによるアルデヒドおよびケトンの還元ならびにアルコールの酸化には、補因子、最も一般的には、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)または還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)、および酸化反応にはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)が使用される。NADHおよびNADPHは、電子供与体としての役割を果たし、その一方でNAD+およびNADP+は、電子受容体としての役割を果たす。
【0095】
KREDは、当技術分野で公知のように、広範にわたる細菌および酵母において見られ得る(例えば、Hummel and Kula Eur. J. Biochem., 184:1-13 [1989]を参照のこと)。Candida magnoliae(Genbank受託番号JC7338;GI:11360538);Candida parapsilosis(Genbank受託番号BAA24528.1;GI:2815409)、Sporobolomyces salmonicolor(Genbank受託番号AF160799;GI:6539734)、Lactobacillus kefir(Genbank受託番号AAP94029.1;GI:33112056)、Lactobacillus brevis(Genbank受託番号1NXQ_A;GI:30749782)、およびThermoanaerobium brockii(Genbank受託番号P14941;GI:1771790)のものを含む、多数のKRED遺伝子および酵素配列が報告されている。
【0096】
ケトレダクターゼの立体選択性は、重要な薬学的構成要素の調製に適用されてきた(例えば、Broussy et al., Org. Lett., 11:305-308 [2009]を参照のこと)。有用な化学化合物を生成するための生体触媒プロセスにおける天然に存在するKREDまたは操作されたKREDの具体的適用は、4-クロロアセトアセテートエステルの還元(例えば、Zhou, J. Am. Chem. Soc.,105:5925-5926 [1983];Santaniello, J. Chem. Res., (S)132-133 [1984];米国特許第5,559,030号;米国特許第5,700,670号;および米国特許第5,891,685号を参照のこと)、ジオキソカルボン酸の還元(例えば、米国特許第6,399,339号を参照のこと)、tert-ブチル(S)-クロロ-5-ヒドロキシ-3-オキソヘキサノエートの還元(例えば、米国特許第6,645,746号;およびWO01/40450を参照のこと)、ピロロトリアジン系化合物の還元(例えば、米国出願公開第2006/0286646号を参照のこと);置換アセトフェノンの還元(例えば、米国特許第6,800,477号および同第8,748,143号を参照のこと);およびケトチオランの還元(WO2005/054491)に関して実証されてきた。
【0097】
イソα酸(「iso」)は、cisエピマーとtransエピマーの複合混合物として存在する。すべての場合、3つの異なる側鎖(iso上の「R」)があり、これらは、一般に、n-、ad-およびco-(それぞれ、iBu、sBu、およびiPr)と呼ばれる。加えて、ad-iso(R=s-Bu)は、1対のエナンチオマーとして存在することが予想される。n-、ad-およびco-isoの各々はまた、対応するcis-/trans-異性体対として存在し、還元されるケトンに隣接するC4第三級アルコールに由来するエナンチオマー対として存在する可能性もある。すべての場合、テトロン酸コアの互変異性体を考慮しなければ、イソα酸には最大16の異性体(4つのR、cis/transおよびエナンチオマー)がある。
【0098】
酵素は、典型的に、それらが作用する基質に対して非常に選択的である。よって、単一の酵素またはさらには2つの酵素の単純混合物がイソα酸の16すべての異性体を対応するジヒドロ-(rho)-イソα酸に完全に変換することができるというのは予想外である。驚くべきことに、本発明は、酵素と補因子の単純混合物を使用してイソα酸をジヒドロ-(rho)-イソα酸に変換するためのプロセスを含む。加えて、酵素(KRED)を使用する生体内変換によって、「天然」として分類/認定されるイソα酸からジヒドロ-(rho)-イソα酸を製造することが可能になる。
【0099】
本発明は、スキーム1に描示するように第三級アルコールに隣接するイソプレニル側鎖上のケトンのみを位置選択的に還元することによってイソα酸の16の主要異性体を対応するジヒドロ-(rho)-イソα酸に無差別に還元することができる、操作されたケトレダクターゼを提供する。
【化1】
【0100】
配列番号4のケトレダクターゼポリペプチドは、本発明によって提供される改善された酵素の開発のための初期骨格として選択された。配列番号4の酵素は、Lactobacillus kefirからの野生型ケトレダクターゼ(配列番号2)に由来する。配列番号4のポリペプチドは、イソα酸を対応するジヒドロ-(rho)-イソα酸に変換するその高い活性、ならびにその相対的な基質多様性(substrate promiscuity)および様々なイソフムロン異性体およびエピマーを対応するジヒドロ-(rho)-イソα酸生成物に変換する能力のため、出発骨格として選択された。加えて、配列番号4のポリペプチドは、様々な反応条件下で活性を示した。配列番号2の野生型配列は、イソα酸を対応するジヒドロ-(rho)-イソα酸に変換することにおいて検出可能な活性を有さないことが判明した。
【0101】
本発明の操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、配列番号4の操作されたケトレダクターゼと比較して改善された特性を有するように操作されたケトレダクターゼである。一部の実施形態では、本発明の操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、配列番号4の操作されたポリペプチドと比較して、イソα酸を対応するジヒドロ-(rho)-イソα酸に変換する改善された活性を有する。一部の他の実施形態では、本発明の操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、様々なイソα酸基質に対して、配列番号4の操作されたポリペプチドと比較して改善された活性を有する。一部の他の実施形態では、本発明の操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、様々な基質および補因子濃度において、配列番号4の操作されたポリペプチドと比較して改善された活性を有する。一部の他の実施形態では、本発明の操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、高い基質濃度で、配列番号4の操作されたポリペプチドと比較して改善された活性を有する。一部の他の実施形態では、本発明の操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、低い補因子濃度で、配列番号4の操作されたポリペプチドと比較して改善された活性を有する。
【0102】
一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、1つまたは複数の基質に対して改善された活性を有する。一部の実施形態では、基質は、イソα酸の混合物を含む。一部の実施形態では、基質は、cis-イソフムロンを含む。一部の実施形態では、基質は、trans-イソフムロンを含む。一部の実施形態では、基質は、cis-イソ-co-フムロンを含む。一部の実施形態では、基質は、trans-イソ-co-フムロンを含む。一部の実施形態では、基質は、cis-イソ-ad-フムロンを含む。一部の実施形態では、基質は、trans-イソ-ad-フムロンを含む。
【0103】
一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、1つまたは複数の基質に対して改善された活性を有する。一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、イソα酸の混合物に対して改善された活性を有する。一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、cis-イソフムロンに対して改善された活性を有する。一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、trans-イソフムロンに対して改善された活性を有する。一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、cis-イソ-co-フムロンに対して改善された活性を有する。一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、trans-イソ-co-フムロンに対して改善された活性を有する。一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、cis-イソ-ad-フムロンに対して改善された活性を有する。一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、trans-イソ-ad-フムロンに対して改善された活性を有する。
【0104】
一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、補因子リサイクル系の存在下で基質化合物を生成物化合物に変換する。一部の実施形態では、補因子リサイクル系は、第2の酵素、例えばグルコースデヒドロゲナーゼを損なわせる。一部の実施形態では、補因子リサイクル系は、イソプロパノールを含む。
【0105】
一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、好適な反応条件下で、配列番号4、6、80、104、172、186、194、252、270、272、286、328、および/または330の参照ポリペプチドの活性に対して少なくとも約1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、または100倍増加した活性で、基質化合物を生成物化合物に変換することができる。一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼポリペプチドは、好適な反応条件下で、約48時間、約36時間、約24時間、またはさらに短い時間の反応時間で、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の変換パーセントで、基質化合物を生成物化合物に変換することができる。
【0106】
好適な反応条件は、基質化合物の対応する生成物化合物への生体触媒変換について提供する反応パラメーターの組合せを含み得る。したがって、プロセスの一部の実施形態では、反応パラメーターの組合せは、(a)約0.1~220g/Lの基質化合物;(b)約0.5~50g/Lの操作されたポリペプチド;(c)約10~60%のイソプロパノール中の約0.01~10g/LのNADP+;(d)約5~200mMのトリエタノールアミン*H2SO4;(e)約0~5mMのMgSO4またはMgCl2;(f)約25℃~60℃の温度;および(g)6~10のpHを含む。したがって、プロセスの一部の実施形態では、反応パラメーターの組合せは、(a)約10~220g/Lの基質化合物;(b)約0.5~50g/Lの操作されたポリペプチド;(c)約10~60%のイソプロパノール中の約0.01~10g/LのNADP+;(d)約5~200mMのリン酸カリウムまたはナトリウム;(e)約0~5mMのMgSO4またはMgCl2;(f)約25℃~60℃の温度;および(g)約6~10のpHを含む。
【0107】
一部の実施形態では、反応パラメーターの組合せは、(a)約80g/Lの基質化合物;(b)約20g/Lの操作されたポリペプチド;(c)40%のイソプロパノール中の約0.01g/LのNADP+;(d)約100mMのトリエタノールアミン*H2SO4;(e)約2mMのMgSO4;(f)約40℃;および(g)約8のpHを含む。一部の実施形態では、反応パラメーターの組合せは、(a)約160g/Lの基質化合物;(b)約20g/Lの操作されたポリペプチド;(c)40%のイソプロパノール中の約0.01g/LのNADP+;(d)約100mMのリン酸カリウム;(e)約2mMのMgSO4;(f)約40℃;および(g)約8のpHを含む。
【0108】
さらなる例示的な反応条件は、実施例において提供されるアッセイ条件を含む。
【0109】
一部の実施形態では、改善された操作されたケトレダクターゼ酵素は、天然に存在するケトレダクターゼポリペプチドにおけるアミノ酸残基の欠失、または他の操作されたケトレダクターゼポリペプチドにおけるアミノ酸残基の欠失を含む。よって、本発明の一部の実施形態では、欠失は、ケトレダクターゼの機能的活性が維持される限り、1個または複数のアミノ酸、2個もしくはそれより多いアミノ酸、3個もしくはそれより多いアミノ酸、4個もしくはそれより多いアミノ酸、5個もしくはそれより多いアミノ酸、6個もしくはそれより多いアミノ酸、8個もしくはそれより多いアミノ酸、10個もしくはそれより多いアミノ酸、15個もしくはそれより多いアミノ酸、または20個もしくはそれより多いアミノ酸、ケトレダクターゼポリペプチドのアミノ酸の総数の最大10%、アミノ酸の総数の最大10%、アミノ酸の総数の最大20%またはアミノ酸の総数の最大30%を含む。一部の実施形態では、欠失は、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、1~14、1~15、1~16、1~18、1~20、1~22、1~24、1~25、1~30、1~35または約1~40個のアミノ酸残基を含み得る。一部の実施形態では、欠失の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、18、20、22、24、26、30、35または約40アミノ酸であり得る。一部の実施形態では、欠失は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、または20個のアミノ酸残基の欠失を含み得る。
【0110】
本明細書に記載されているように、本発明のケトレダクターゼポリペプチドは、ケトレダクターゼが、他のポリペプチド、例えば、抗体タグ(例えば、mycエピトープ)または精製配列(例えば、Hisタグ)に融合した融合ポリペプチドの形態であり得る。よって、一部の実施形態では、ケトレダクターゼポリペプチドは、他のポリペプチドへの融合を伴ってまたはそれを伴わずに使用される。
【0111】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、遺伝子コード化されたアミノ酸に限定されない。遺伝子コード化されたアミノ酸に加えて、本明細書に記載のポリペプチドは、全部または一部、天然に存在するおよび/または合成の非コード化アミノ酸から構成され得る。本明細書に記載のポリペプチドを構成し得る、ある特定の一般に見かける非コード化アミノ酸として、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:遺伝子コード化されたアミノ酸のD立体異性体;2,3-ジアミノプロピオン酸(Dpr);α-アミノイソ酪酸(Aib);ε-アミノヘキサン酸(Aha);δ-アミノ吉草酸(Ava);N-メチルグリシンまたはサルコシン(MeGlyまたはSar);オルニチン(Orn);シトルリン(Cit);t-ブチルアラニン(Bua);t-ブチルグリシン(Bug);N-メチルイソロイシン(MeIle);フェニルグリシン(Phg);シクロヘキシルアラニン(Cha);ノルロイシン(Nle);ナフチルアラニン(Nal);2-クロロフェニルアラニン(Ocf);3-クロロフェニルアラニン(Mcf);4-クロロフェニルアラニン(Pcf);2-フルオロフェニルアラニン(Off);3-フルオロフェニルアラニン(Mff);4-フルオロフェニルアラニン(Pff);2-ブロモフェニルアラニン(Obf);3-ブロモフェニルアラニン(Mbf);4-ブロモフェニルアラニン(Pbf);2-メチルフェニルアラニン(Omf);3-メチルフェニルアラニン(Mmf);4-メチルフェニルアラニン(Pmf);2-ニトロフェニルアラニン(Onf);3-ニトロフェニルアラニン(Mnf);4-ニトロフェニルアラニン(Pnf);2-シアノフェニルアラニン(Ocf);3-シアノフェニルアラニン(Mcf);4-シアノフェニルアラニン(Pcf);2-トリフルオロメチルフェニルアラニン(Otf);3-トリフルオロメチルフェニルアラニン(Mtf);4-トリフルオロメチルフェニルアラニン(Ptf);4-アミノフェニルアラニン(Paf);4-ヨードフェニルアラニン(Pif);4-アミノメチルフェニルアラニン(Pamf);2,4-ジクロロフェニルアラニン(Opef);3,4-ジクロロフェニルアラニン(Mpcf);2,4-ジフルオロフェニルアラニン(Opff);3,4-ジフルオロフェニルアラニン(Mpff);ピリド-2-イルアラニン(2pAla);ピリド-3-イルアラニン(3pAla);ピリド-4-イルアラニン(4pAla);ナフト-1-イルアラニン(1nAla);ナフト-2-イルアラニン(2nAla);チアゾリルアラニン(taAla);ベンゾチエニルアラニン(bAla);チエニルアラニン(tAla);フリルアラニン(fAla);ホモフェニルアラニン(hPhe);ホモチロシン(hTyr);ホモトリプトファン(hTrp);ペンタフルオロフェニルアラニン(5ff);スチリルアラニン(styrylkalanine)(sAla);アントリルアラニン(authrylalanine)(aAla);3,3-ジフェニルアラニン(Dfa);3-アミノ-5-フェニルペンタン酸(phenypentanoic acid)(Afp);ペニシラミン(Pen);1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic);β-2-チエニルアラニン(Thi);メチオニンスルホキシド(Mso);N(w)-ニトロアルギニン(nArg);ホモリシン(hLys);ホスホノメチルフェニルアラニン(pmPhe);ホスホセリン(pSer);ホスホトレオニン(pThr);ホモアスパラギン酸(hAsp);ホモグルタミン酸(homoglutanic acid)(hGlu);1-アミノシクロペンタ-(2または3)-エン-4カルボン酸(4 carboxylic acid);ピペコリン酸(PA)、アゼチジン-3-カルボン酸(ACA);1-アミノシクロペンタン-3-カルボン酸;アリルグリシン(aOly);プロパルギルグリシン(pgGly);ホモアラニン(hAla);ノルバリン(nVal);ホモロイシン(hLeu)、ホモバリン(hVal);ホモイソロイシン(homoisolencine)(hIle);ホモアルギニン(hArg);N-アセチルリシン(AcLys);2,4-ジアミノ酪酸(Dbu);2,3-ジアミノ酪酸(Dab);N-メチルバリン(MeVal);ホモシステイン(hCys);ホモセリン(hSer);ヒドロキシプロリン(Hyp)およびホモプロリン(hPro)。本明細書に記載のポリペプチドを構成し得る追加の非コード化アミノ酸は、当業者に明らかである。これらのアミノ酸は、L立体配置またはD立体配置のいずれかであり得る。
【0112】
側鎖保護基を有するアミノ酸または残基はまた、本明細書に記載のポリペプチドを構成する場合があることは、当業者に理解される。このような保護されたアミノ酸(この場合、これらは芳香族カテゴリーに属する)の非限定的な例として、これらに限定されないが、以下(括弧内に保護基を列挙する)が挙げられる:Arg(tos)、Cys(メチルベンジル)、Cys(ニトロピリジンスルフェニル)、Glu(δ-ベンジルエステル)、Gln(キサンチル)、Asn(N-δ-キサンチル)、His(bom)、His(ベンジル)、His(tos)、Lys(fmoc)、Lys(tos)、Ser(O-ベンジル)、Thr(O-ベンジル)およびTyr(O-ベンジル)。
【0113】
本明細書に記載のポリペプチドを構成し得る、コンフォメーションにおいて拘束されている非コード化アミノ酸として、これらに限定されないが、N-メチルアミノ酸(L立体配置);1-アミノシクロペンタ-(2または3)-エン-4-カルボン酸;ピペコリン酸;アゼチジン-3-カルボン酸;ホモプロリン(hPro);および1-アミノシクロペンタン-3-カルボン酸が挙げられる。
【0114】
上述のように、操作されたケトレダクターゼ酵素を生成するために天然に存在するポリペプチドに導入された種々の改変は、酵素の特定の特性を標的にし得る。
【0115】
操作された酵素をコードするポリヌクレオチド
別の態様では、本発明は、操作されたケトレダクターゼをコードするポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、ポリペプチドを発現することができる組換えポリヌクレオチドを生じさせるために遺伝子発現を制御する1つまたは複数の異種調節配列に作動的に連結させることができる。操作されたケトレダクターゼをコードする異種ポリヌクレオチドを含有する発現構築物を適切な宿主細胞に導入して、対応するケトレダクターゼポリペプチドを発現させることができる。
【0116】
種々のアミノ酸に対応するコドンが知られているため、タンパク質配列を利用できることで、対象をコードできるすべてのポリヌクレオチドの説明が得られる。同じアミノ酸が代替または同義コドンによってコードされる遺伝子コードの縮重は、極めて多数の核酸(これらのすべてが、本明細書に開示されている改善されたケトレダクターゼ酵素をコードする)の作製を可能にする。よって、特定のアミノ酸配列が同定されていれば、当業者は、そのタンパク質のアミノ酸配列を変えないような方法で1つまたは複数のコドンの配列を単に改変することによって、任意の数の異なる核酸を作製することができる。これに関して、本発明は、可能なコドン選択肢に基づいて組合せを選択することによって作製することができるポリヌクレオチドのそれぞれおよびすべての可能なバリエーションを具体的に企図しており、すべてのこのようなバリエーションは、表および実施例に提示するアミノ酸配列を含む本明細書に開示されている任意のポリペプチドについても具体的に開示されていると考えられるべきである。種々の実施形態では、好ましくは、コドンは、タンパク質が産生されている宿主細胞に適合するように選択される。例えば、細菌において使用される好ましいコドンを使用し、細菌において遺伝子を発現させ;酵母において使用される好ましいコドンを酵母での発現に使用し;哺乳動物において使用される好ましいコドンを哺乳動物細胞での発現に使用する。
【0117】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号1によって表されるような、天然に存在するケトレダクターゼポリペプチドアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、各々が、配列番号4、6、80、104、172、186、194、252、270、272、286、328および/または330の同一のポリペプチド配列をそれぞれコードする、配列番号3、5、79、103、171、185、193、251、269、271、285、327および/または329の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える同一性を含む核酸配列を有する。
【0118】
一部の実施形態では、酵素ポリヌクレオチドは、酵素活性と本明細書で開示される特性を有する操作されたポリペプチドをコードし、ポリペプチドは、本明細書において提供される配列番号から選択される参照配列、または任意のバリアント(例えば、実施例において提供されるもの)のアミノ酸配列と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれを超える同一性を有するアミノ酸配列を含み、参照ポリヌクレオチド、または実施例に開示される任意のバリアントのアミノ酸配列(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10カ所もしくはそれより多いアミノ酸残基位置)と比較して、1つまたは複数の残基差異を含む。一部の実施形態では、参照ポリペプチド配列は、配列番号4、6、80、104、172、186、194、252、270、272、286、328、および/または330から選択される。
【0119】
一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼをコードするポリヌクレオチドは、配列番号3、5、79、103、171、185、193、251、269、271、285、327および/または329から選択される配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼをコードするポリヌクレオチドは、配列番号5、79、103、171、185、193、251、269、271、285、327および/または329を含む。一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼをコードするポリヌクレオチドは、配列番号5~411から選択される配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼをコードするポリヌクレオチドは、配列番号5~411から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。
【0120】
一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼ配列は、実施例に記載されているように、有益であると特定された位置を含む配列を含む。
【0121】
一部の実施形態では、改善されたケトレダクターゼポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを、そのポリペプチドの改善された発現および/または産生をもたらすために、様々な方法で操作する。使用される発現ベクターによって、ベクターへと挿入する前に単離されたポリヌクレオチドを操作することが望ましいかまたは必要である場合がある。組換えDNA方法を利用してポリヌクレオチドおよび核酸配列を修飾する技法は、当技術分野において周知である。
【0122】
細菌宿主細胞のための、本発明の核酸構築物の転写を指示するのに好適なプロモーターとして、E.coli lacオペロン、Streptomyces coelicolorアガラーゼ遺伝子(dagA)、Bacillus subtilisレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、Bacillus licheniformisアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyL)、Bacillus stearothermophilusマルトース生成性アミラーゼ遺伝子(amyM)、Bacillus amyloliquefaciensアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、Bacillus licheniformisペニシリナーゼ遺伝子(penP)、Bacillus subtilis xylAおよびxylB遺伝子、ならびに原核生物ベータ-ラクタマーゼ遺伝子から得られるプロモーター(例えば、Villa-Kamaroff et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75: 3727-3731 [1978]を参照のこと)、ならびにtacプロモーター(例えば、DeBoer et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 80: 21-25 [1983]を参照のこと)が挙げられる。追加の好適なプロモーターは、当業者に公知である。
【0123】
糸状菌宿主細胞のための、本発明の核酸構築物の転写を指示するのに好適なプロモーターとして、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Aspergillus niger中性アルファ-アミラーゼ、Aspergillus niger酸安定性アルファ-アミラーゼ、Aspergillus nigerまたはAspergillus awamoriグルコアミラーゼ(glaA)、Rhizomucor mieheiリパーゼ、Aspergillus oryzaeアルカリプロテアーゼ、Aspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼ、Aspergillus nidulansアセトアミダーゼ、およびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼ(WO96/00787)についての遺伝子から得られるプロモーター、ならびにNA2-tpiプロモーター(Aspergillus niger中性アルファ-アミラーゼについての遺伝子からのプロモーターおよびAspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼについての遺伝子からのプロモーターのハイブリッド)、ならびにそれらの変異体プロモーター、短縮型プロモーターおよびハイブリッドプロモーターが挙げられる。
【0124】
酵母宿主において、有用なプロモーターとして、これらに限定されないが、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(ENO-1)、Saccharomyces cerevisiaeガラクトキナーゼ(GAL1)、Saccharomyces cerevisiaeアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)、およびSaccharomyces cerevisiae 3-ホスホグリセリン酸キナーゼについての遺伝子からのもの、ならびに酵母宿主細胞のための他の有用なプロモーターが挙げられる(例えば、Romanos et al., Yeast 8:423-488 [1992]を参照のこと)。
【0125】
制御配列は、好適な転写ターミネーター配列、すなわち、宿主細胞によって認識されて転写を終結させる配列である場合もある。ポリペプチドをコードする核酸配列の3’末端にそのターミネーター配列を作動可能に連結させる。選択された宿主細胞において機能できる任意のターミネーターを本発明において使用することができる。
【0126】
例えば、糸状菌宿主細胞のための例示的な転写ターミネーターは、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸シンターゼ、Aspergillus nigerアルファ-グルコシダーゼ、およびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼについての遺伝子から得ることができる。
【0127】
酵母宿主細胞のための例示的なターミネーターは、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ、Saccharomyces cerevisiaeシトクロムC(CYC1)、およびSaccharomyces cerevisiaeグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼについての遺伝子から得ることができ、さらに当技術分野で公知の酵母宿主細胞のための他の有用なターミネーターであり得る(例えば、Romanos et al.、上掲を参照のこと)。
【0128】
制御配列は、好適なリーダー配列、すなわち、宿主細胞による翻訳のために重要であるmRNAの非翻訳領域である場合もある。ポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端にそのリーダー配列を作動可能に連結させる。選択された宿主細胞において機能できる任意のリーダー配列を使用することができる。糸状菌宿主細胞のための例示的なリーダーは、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼおよびAspergillus nidulansトリオースリン酸イソメラーゼについての遺伝子から得られる。酵母宿主細胞のための好適なリーダーは、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(ENO-1)、Saccharomyces cerevisiae 3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、Saccharomyces cerevisiaeアルファ因子、およびSaccharomyces cerevisiaeアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)についての遺伝子から得られる。
【0129】
制御配列は、ポリアデニル化配列、すなわち、核酸配列の3’末端に作動可能に連結した配列であって、転写されると宿主細胞にシグナルとして認識されて、転写されたmRNAにポリアデノシン残基を付加させる配列である場合もある。本発明では、選択された宿主細胞において機能できる任意のポリアデニル化配列を使用することができる。糸状菌宿主細胞のための例示的なポリアデニル化配列は、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸シンターゼ、Fusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼ、およびAspergillus nigerアルファ-グルコシダーゼについての遺伝子からのもの、ならびに当技術分野で公知の酵母宿主細胞のための追加の有用なポリアデニル化配列であり得る(例えば、Guo et al., Mol. Cell. Biol., 15:5983-5990 [1995]を参照のこと)。
【0130】
制御配列は、ポリペプチドのアミノ末端に連結されたアミノ酸配列をコードし、そのコードされたポリペプチドを細胞の分泌経路に向ける、シグナルペプチドコード領域であってもよい。核酸配列のコード配列の5’末端は、翻訳リーディングフレームで、分泌されるポリペプチドをコードするコード領域のセグメントと天然で連結されているシグナルペプチドコード領域を固有に含有し得る。あるいは、コード配列の5’末端は、そのコード配列にとって外来であるシグナルペプチドコード領域を含有してもよい。外来シグナルペプチドコード領域は、コード配列がシグナルペプチドコード領域を天然で含有しない場合に必要とされ得る。
【0131】
あるいは、外来シグナルペプチドコード領域で、天然シグナルペプチドコード領域を単に置き換えて、そのポリペプチドの分泌を増強することができる。しかし、発現されたポリペプチドを選択された宿主細胞の分泌経路へと向ける任意のシグナルペプチドコード領域を本発明において使用することができる。
【0132】
細菌宿主細胞のための有効なシグナルペプチドコード領域は、Bacillus NClB 11837マルトース生成性アミラーゼ、Bacillus stearothermophilusアルファ-アミラーゼ、Bacillus licheniformisサブチリシン、Bacillus licheniformisベータ-ラクタマーゼ、Bacillus stearothermophilus中性プロテアーゼ(nprT、nprS、nprM)、およびBacillus subtilis prsAについての遺伝子から得られるシグナルペプチドコード領域、ならびに当技術分野で公知の追加のシグナルペプチドである(例えば、Simonen et al., Microbiol. Rev., 57: 109-137 [1993]を参照のこと)。
【0133】
糸状菌宿主細胞のための有効なシグナルペプチドコード領域として、これらに限定されないが、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus niger中性アミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Humicola insolensセルラーゼ、およびHumicola lanuginosaリパーゼについての遺伝子から得られるシグナルペプチドコード領域が挙げられる。酵母宿主細胞のための有用なシグナルペプチドは、Saccharomyces cerevisiaeアルファ因子およびSaccharomyces cerevisiae転化酵素についての遺伝子からのもの、ならびに追加の有用なシグナルペプチドコード領域であり得る(例えば、Romanos et al., 1992、上掲を参照のこと)。
【0134】
制御配列は、ポリペプチドのアミノ末端に位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドコード領域であってもよい。結果として得られるポリペプチドは、プロ酵素またはプロポリペプチド(または一部の場合には酵素原)として公知である。プロポリペプチドは、一般的に、不活性であり、プロポリペプチドからのプロペプチドの触媒的または自触反応的開裂によって成熟活性ポリペプチドへと変換され得る。プロペプチドコード領域は、Bacillus subtilisアルカリプロテアーゼ(aprE)、Bacillus subtilis中性プロテアーゼ(nprT)、Saccharomyces cerevisiaeアルファ因子、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、およびMyceliophthora thermophilaラクターゼ(WO95/33836)についての遺伝子から得ることができる。
【0135】
シグナルペプチド領域とプロペプチド領域の両方がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、プロペプチド領域は、ポリペプチドのアミノ末端の隣に位置し、シグナルペプチド領域は、プロペプチド領域のアミノ末端の隣に位置する。
【0136】
宿主細胞の増殖に対してポリペプチドの発現を調節することを可能にする調節配列を付加させることが望ましい場合もある。調節系の例は、調節化合物の存在を含めて、化学的または物理的刺激に応答して遺伝子の発現をオンまたはオフにさせるものである。原核宿主細胞では、好適な調節配列として、lac、tacおよびtrpオペレーター系が挙げられる。酵母宿主細胞では、好適な調節系として、例として、ADH2系またはGAL1系が挙げられる。糸状菌では、好適な調節配列として、TAKAアルファ-アミラーゼプロモーター、Aspergillus nigerグルコアミラーゼプロモーター、およびAspergillus oryzaeグルコアミラーゼプロモーターが挙げられる。
【0137】
調節配列の他の例は、遺伝子増幅を可能にするものである。真核生物系では、これらとして、メトトレキサートの存在下で増幅されるジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、および重金属で増幅されるメタロチオネイン遺伝子が挙げられる。これらの場合には、本発明のKREDポリペプチドをコードする核酸配列をその調節配列に作動可能に連結させることとなる。
【0138】
よって、一部の実施形態では、本発明は、組換え発現ベクターが導入されることとなる宿主のタイプに応じて、操作されたケトレダクターゼポリペプチドまたはそのバリアントをコードするポリヌクレオチド、ならびに1つまたは複数の発現調節領域、例えば、プロモーターおよびターミネーター、複製起点などを含む、組換え発現ベクターも対象とする。上記の種々の核酸および制御配列を互いに接合させて、組換え発現ベクター(これは、1つまたは複数の好都合な制限部位を含んで、ポリペプチドをコードする核酸配列のそのような部位での挿入または置換を可能にする場合がある)を生じさせ得る。あるいは、本発明の核酸配列を、発現のための適切なベクターに核酸配列またはこの配列を含む核酸構築物を挿入することによって、発現させることができる。発現ベクターを作製する場合には、コード配列をそのベクター内に配置して、そのコード配列を発現のための適切な制御配列と作動可能に連結させる。
【0139】
組換え発現ベクターは、好都合に、組換えDNA手順に供することができ、ポリヌクレオチド配列の発現をもたらすことができる、任意のベクター(例えば、プラスミドまたはウイルス)であってもよい。ベクターの選択は、典型的には、そのベクターを導入することとなる宿主細胞とそのベクターの適合性に依存する。ベクターは、線状プラスミドであっても、閉環状プラスミドであってもよい。
【0140】
発現ベクターは、自律複製ベクター(すなわち、染色体外実体として存在するベクター)であって、その複製が染色体の複製とは独立しているベクター(例えば、プラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体、または人工染色体)であってもよい。ベクターは、自己複製を確実にするための任意の手段を含有してもよい。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入された場合に、そのゲノムに組み込まれ、それが組み込まれた染色体(複数可)と一緒に複製されるものであってもよい。さらに、単一のベクターもしくはプラスミドまたは2つもしくはそれより多いベクターもしくはプラスミド(これらは、一緒に、宿主細胞のゲノムに導入されるべき全DNAを含有する)、あるいはトランスポゾンを使用してもよい。
【0141】
本発明の発現ベクターは、形質転換された細胞の容易な選択を可能にする1つまたは複数の選択マーカーを好ましくは含有する。選択マーカーは、その生成物が、殺生物剤またはウイルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求体への原栄養性などをもたらす遺伝子であり得る。細菌選択マーカーの例は、Bacillus subtilisもしくはBacillus licheniformisからのdal遺伝子、または抗生物質耐性、例えばアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、もしくはテトラサイクリン耐性を付与するマーカーである。酵母宿主細胞のための好適なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、およびURA3である。
【0142】
糸状菌宿主細胞において使用するための選択マーカーとして、これらに限定されないが、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hph(ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸レダクターゼ)、pyrG(オロチジン-5’-リン酸デカルボキシラーゼ)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)、およびtrpC(アントラニル酸シンターゼ)、ならびにこれらの等価物が挙げられる。Aspergillus細胞において使用するための実施形態として、Aspergillus nidulansまたはAspergillus oryzaeのamdSおよびpyrG遺伝子ならびにStreptomyces hygroscopicusのbar遺伝子が挙げられる。
【0143】
本発明の発現ベクターは、宿主細胞のゲノムへのベクターの組込みを可能にするかまたはそのゲノムとは無関係に細胞におけるベクターの自律複製を可能にするエレメント(複数可)を含有し得る。宿主細胞ゲノムへの組込みのために、ベクターは、ポリペプチドをコードする核酸配列に依存する場合もあり、または相同もしくは非相同組換えによるベクターのゲノムへの組込みのためにベクターの任意の他のエレメントに依存する場合もある。
【0144】
あるいは、発現ベクターは、宿主細胞のゲノムへの相同組換えによる組込みを指示するための追加の核酸配列を含有してもよい。これらの追加の核酸配列は、宿主細胞ゲノムのその(それらの)染色体(複数可)内の正確な位置(複数可)にベクターを組み込むことができる。正確な位置での組込みの尤度を増加させるために、組込みエレメントは、対応する標的配列と高度に相同である核酸の、相同組換えの確率を増すために十分な数、例えば、100から10,000塩基対、好ましくは400から10,000塩基対、最も好ましくは800から10,000塩基対を好ましくは含有すべきである。組込みエレメントは、宿主細胞のゲノム内の標的配列と相同である任意の配列であってもよい。さらに、組込みエレメントは、非コード化核酸配列またはコード化核酸配列であってもよい。一方、ベクターを非相同組換えによって宿主細胞のゲノムに組み込んでもよい。
【0145】
自律複製のために、ベクターは、問題の宿主細胞におけるベクターの自律複製を可能にする複製起点をさらに含んでもよい。細菌の複製起点の例は、P15A oriまたはE.coliにおける複製を可能にするプラスミドpBR322、pUC19、pACYC177(このプラスミドはP15A oriを有する)、もしくはpACYC184の複製起点、およびBacillusにおける複製を可能にするpUB110、pE194、pTA1060もしくはpAMβ1の複製起点である。酵母宿主細胞において使用するための複製起点の例は、2ミクロン複製起点、ARS1、ARS4、ARS1とCEN3の組合せ、およびARS4とCEN6の組合せである。複製起点は、宿主細胞におけるその機能化を温度感受性にする変異を有するものであってもよい(例えば、Ehrlich, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:1433 [1978]を参照のこと)。
【0146】
本発明の核酸配列の1つより多くのコピーを宿主細胞に挿入して、遺伝子産物の産生を増加させてもよい。核酸配列のコピー数の増加は、配列の少なくとも1つの追加のコピーを宿主細胞のゲノムに組み込むことによって達成することができるか、または増幅可能な選択マーカー遺伝子をその核酸配列と共に含めることによって達成することができる(この場合、選択マーカー遺伝子の増幅されたコピーを含有し、その結果、追加の核酸配列コピーを含有する細胞は、細胞を適切な選択可能な作用物質の存在下で培養することによって選択することができる)。
【0147】
本発明が本明細書に開示される発現ベクターに限定されることは意図されない。任意の好適な発現ベクターを本発明で使用することができることは、当業者には理解されるであろう。本発明において使用するための発現ベクターの多くは市販されている。好適な市販の発現ベクターとして、これらに限定されないが、哺乳動物宿主細胞における発現のためのCMVプロモーターおよびhGHポリアデニル化部位、ならびにE.coliにおける増幅のためのpBR322複製起点およびアンピシリン耐性マーカーを含む、p3xFLAGTM(商標)発現ベクター(Sigma-Aldrich)が挙げられる。他の市販の好適な発現ベクターとして、これらに限定されないが、pBluescriptII SK(-)およびpBK-CMVベクター(Stratagene)、ならびにpBR322(Gibco BRL)、pUC(Gibco BRL)、pREP4、pCEP4(Invitrogen)またはpPolyから誘導されるプラスミドが挙げられる(Lathe et al., Gene 57:193-201 [1987]を参照のこと)。
【0148】
操作されたポリペプチドの発現のための宿主細胞
本発明はまた、本発明の改善されたケトレダクターゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞であって、ポリヌクレオチドが、宿主細胞におけるケトレダクターゼ酵素の発現のために1つまたは複数の制御配列に作動的に連結されている、宿主細胞を提供する。本発明の発現ベクターによってコードされるKREDポリペプチドを発現させる際に使用される宿主細胞は、当技術分野において周知であり、これらとして、これらに限定されないが、細菌細胞、例えば、E.coli、Lactobacillus kefir、Lactobacillus brevis、Lactobacillus minor、StreptomycesおよびSalmonella typhimurium細胞;真菌細胞、例えば、酵母細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastoris(ATCC受託番号201178));昆虫細胞、例えば、Drosophila S2およびSpodoptera Sf9細胞;動物細胞、例えば、CHO、COS、BHK、293、およびBowes黒色腫細胞;ならびに植物細胞が挙げられる。上記宿主細胞のための適切な培養培地および増殖条件は、当技術分野において周知である。
【0149】
ケトレダクターゼの発現のためのポリヌクレオチドは、当技術分野において公知の種々の方法によって細胞に導入されてもよい。技法として、とりわけ、エレクトロポレーション、遺伝子銃(biolistic particle bombardment)、リポソーム媒介トランスフェクション、塩化カルシウムトランスフェクション、およびプロトプラスト融合が挙げられる。細胞にポリヌクレオチドを導入するための種々の方法は、当業者に明らかであろう。
【0150】
Escherichia coli W3110は、本発明がこの特定の宿主株に限定されることを意図するものではないが、本発明における使用が見出される宿主株である。lacIリプレッサーの制御下で、lacプロモーターに作動的に連結したプラスミドpCK110900に、改善された酵素をコードするポリヌクレオチドを作動的に連結させることによって、発現ベクターを作製した。この発現ベクターは、P15a複製起点およびクロラムフェニコール耐性遺伝子も含有した。Escherichia coli W3110中の対象ポリヌクレオチドを含有する細胞は、細胞をクロラムフェニコール選択に供することによって単離され得る。
【0151】
操作されたケトレダクターゼポリペプチドの生成方法
一部の実施形態では、本発明の改善されたKREDポリヌクレオチドおよびポリペプチドを作製するために、還元反応を触媒する天然に存在するケトレダクターゼ酵素を、Lactobacillus kefirから得る(または誘導する)。一部の実施形態では、親ポリヌクレオチド配列をコドン最適化して、指定宿主細胞におけるケトレダクターゼの発現を増強させる。実例として、Genbankデータベースから入手できるLactobacillus kefir KRED配列の公知ポリペプチド配列に基づいて調製したオリゴヌクレオチドから、Lactobacillus kefirの野生型KREDポリペプチドをコードする親ポリヌクレオチド配列を構築した。親ポリヌクレオチド配列をE.coliでの発現のためにコドン最適化し、コドン最適化されたポリヌクレオチドを発現ベクターへとクローニングし、lacプロモーターおよびlacIリプレッサー遺伝子の制御下でケトレダクターゼ遺伝子を発現させた。E.coliにおいて活性ケトレダクターゼを発現するクローンを同定し、遺伝子をシークエンシングして、それらの正体を確認した。
【0152】
一部の実施形態では、操作されたケトレダクターゼは、上で論じたように、天然に存在するケトレダクターゼをコードするポリヌクレオチドを変異誘発および/または定向進化方法に供することによって得られる。変異誘発は、ランダム変異誘発および部位特異的変異誘発を含む、当技術分野で公知の技法のいずれかに従って実施することができる。定向進化法は、シャッフリングを含む、改善されたプロモーターバリアントについてスクリーニングするための当技術分野で公知の技法のいずれかを用いて実施することができる。変異誘発および定向進化方法は、当技術分野で周知である(例えば、米国特許第5,605,793号、同第5,811,238号、同第5,830,721号、同第5,834,252号、同第5,837,458号、同第5,928,905号、同第6,096,548号、同第6,117,679号、同第6,132,970号、同第6,165,793号、同第6,180,406号、同第6,251,674号、同第6,265,201号、同第6,277,638号、同第6,287,861号、同第6,287,862号、同第6,291,242号、同第6,297,053号、同第6,303,344号、同第6,309,883号、同第6,319,713号、同第6,319,714号、同第6,323,030号、同第6,326,204号、同第6,335,160号、同第6,335,198号、同第6,344,356号、同第6,352,859号、同第6,355,484号、同第6,358,740号、同第6,358,742号、同第6,365,377号、同第6,365,408号、同第6,368,861号、同第6,372,497号、同第6,337,186号、同第6,376,246号、同第6,379,964号、同第6,387,702号、同第6,391,552号、同第6,391,640号、同第6,395,547号、同第6,406,855号、同第6,406,910号、同第6,413,745号、同第6,413,774号、同第6,420,175号、同第6,423,542号、同第6,426,224号、同第6,436,675号、同第6,444,468号、同第6,455,253号、同第6,479,652号、同第6,482,647号、同第6,483,011号、同第6,484,105号、同第6,489,146号、同第6,500,617号、同第6,500,639号、同第6,506,602号、同第6,506,603号、同第6,518,065号、同第6,519,065号、同第6,521,453号、同第6,528,311号、同第6,537,746号、同第6,573,098号、同第6,576,467号、同第6,579,678号、同第6,586,182号、同第6,602,986号、同第6,605,430号、同第6,613,514号、同第6,653,072号、同第6,686,515号、同第6,703,240号、同第6,716,631号、同第6,825,001号、同第6,902,922号、同第6,917,882号、同第6,946,296号、同第6,961,664号、同第6,995,017号、同第7,024,312号、同第7,058,515号、同第7,105,297号、同第7,148,054号、同第7,220,566号、同第7,288,375号、同第7,384,387号、同第7,421,347号、同第7,430,477号、同第7,462,469号、同第7,534,564号、同第7,620,500号、同第7,620,502号、同第7,629,170号、同第7,702,464号、同第7,747,391号、同第7,747,393号、同第7,751,986号、同第7,776,598号、同第7,783,428号、同第7,795,030号、同第7,853,410号、同第7,868,138号、同第7,783,428号、同第7,873,477号、同第7,873,499号、同第7,904,249号、同第7,957,912号、同第7,981,614号、同第8,014,961号、同第8,029,988号、同第8,048,674号、同第8,058,001号、同第8,076,138号、同第8,108,150号、同第8,170,806号、同第8,224,580号、同第8,377,681号、同第8,383,346号、同第8,457,903号、同第8,504,498号、同第8,589,085号、同第8,762,066号、同第8,768,871号、同第9,593,326号およびすべての関連する米国以外の対応特許;Ling et al., Anal. Biochem., 254(2):157-78 [1997]; Dale et al., Meth. Mol. Biol., 57:369-74 [1996]; Smith, Ann. Rev. Genet., 19:423-462 [1985]; Botstein et al., Science, 229:1193-1201 [1985]; Carter, Biochem. J., 237:1-7 [1986]; Kramer et al., Cell, 38:879-887 [1984]; Wells et al., Gene, 34:315-323 [1985]; Minshull et al., Curr. Op. Chem. Biol., 3: 284-290 [1999]; Christians et al., Nat. Biotechnol., 17: 259-264 [1999]; Crameri et al., Nature, 391: 288-291 [1998]; Crameri, et al., Nat. Biotechnol., 15:436-438 [1997]; Zhang et al., Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A., 94:4504-4509 [1997]; Crameri et al., Nat. Biotechnol., 14:315-319 [1996]; Stemmer, Nature, 370:389-391 [1994]; Stemmer, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 91:10747-10751 [1994];WO95/22625;WO97/0078;WO97/35966;WO98/27230;WO00/42651;WO01/75767;およびWO2009/152336(これらのすべては参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
【0153】
変異誘発処理後に得られたクローンを、所望の改善された酵素特性を有する操作されたケトレダクターゼについてスクリーニングする。発現ライブラリーからの酵素活性の測定は、NADHまたはNADPH濃度が減少する(これらは、NAD+またはNADP+に変換されるので)速度を(吸光度または蛍光の減少によって)モニタリングする標準的な生化学技法を使用して実施することができる。この反応では、ケトレダクターゼがケトン基質を対応するヒドロキシル基に還元するので、そのケトレダクターゼによってNADHまたはNADPHが消費(酸化)される。単位時間当たりの、吸光度または蛍光の減少によって測定されるような、NADHまたはNADPH濃度の減少速度は、固定量の溶解物(またはそれから作製された凍結乾燥粉末)中のKREDポリペプチドの相対(酵素)活性を示す。生成物の立体化学は、種々の公知の技法によって、および実施例に提供されるように、確認することができる。所望される改善された酵素特性が熱安定性である場合、酵素活性は、酵素調製物を規定された温度に供し、熱処理後に残存する酵素活性の量を測定した後、測定することができる。次いで、ケトレダクターゼをコードするポリヌクレオチドを含有するクローンを単離し、シークエンシングして(もしあれば)ヌクレオチド配列の変化を特定し、これらを使用して宿主細胞においてその酵素を発現させる。
【0154】
その操作されたポリペプチドの配列が知られている場合、公知の合成方法に従って、標準的な固相方法により、酵素をコードするポリヌクレオチドを調製することができる。一部の実施形態では、約100塩基までの断片を個々に合成し、次いで、(例えば、酵素的もしくは化学的ライゲーション方法、またはポリメラーゼ媒介方法によって)接合させて、任意の所望される連続配列を形成することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドは、化学合成により(例えば、Beaucage et al., Tet. Lett., 22:1859-69 [1981]により説明された古典的ホスホルアミダイト方法、または、それを、典型的には、自動合成方法で実施する場合には、Matthes et al., EMBO J., 3:801-05 [1984]により説明された方法を使用して)調製することができる。ホスホルアミダイト方法によれば、オリゴヌクレオチドが合成され(例えば、自動DNA合成装置で)、精製され、アニールされ、ライゲーションされ、適切なベクターにクローニングされる。さらに、本質的に、様々な商業的な供給業者(例えば、Midland Certified Reagent Company、Midland、TX;Great American Gene Company、Ramona、CA;ExpressGen Inc.、Chicago、IL;Operon Technologies Inc.、Alameda、CAおよび多くの他の業者)のいずれかから任意の核酸を入手することができる。
【0155】
宿主細胞において発現された操作されたケトレダクターゼ酵素は、とりわけ、リゾチーム処理、超音波処理、濾過、塩析、超遠心分離、およびクロマトグラフィーを含む、周知のタンパク質精製技法のいずれか1つまたは複数を使用して、細胞およびまたは培養培地から回収することができる。E.coliなどの細菌の溶解およびそれからのタンパク質の高効率抽出に好適な溶液は、商品名CelLytic B(商標)(Sigma-Aldrich)で市販されている。
【0156】
ケトレダクターゼポリペプチドの単離のためのクロマトグラフ技法として、とりわけ、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動法、およびアフィニティークロマトグラフィーが挙げられる。特定の酵素を精製するための条件は、正味電荷、疎水性、親水性、分子量、分子形状などの因子に部分的に依存し、当業者に明らかであろう。
【0157】
一部の実施形態では、アフィニティー技法を使用して、改善されたケトレダクターゼ酵素を単離する。アフィニティークロマトグラフィー精製には、ケトレダクターゼポリペプチドに特異的に結合する任意の抗体を使用することができる。抗体の産生のために、ケトレダクターゼを注射することによって、ウサギ、マウス、ラットなどが挙げられるが、これらに限定されない種々の宿主動物を免疫することができる。ケトレダクターゼポリペプチドは、側鎖官能基または側鎖官能基に付着されたリンカーによって、BSAなどの好適な担体に付着させてもよい。宿主種に応じて、フロイント(完全または不完全)アジュバント、鉱物ゲル、例えば、水酸化アルミニウム、界面活性物質、例えばリゾレシチン、プルロニック(登録商標)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびに潜在的に有用なヒトアジュバント、例えば、BCG(Bacillus Calmette Guerin)およびCorynebacterium parvumが挙げられるが、これらに限定されない種々のアジュバントを使用してその免疫応答を増加させることができる。
【0158】
ケトレダクターゼを、酵素を発現する細胞の形態で、粗抽出物として、または単離もしくは精製された調製物として、調製し、使用することができる。ケトレダクターゼを、粉末の形態(例えば、アセトン粉末)での凍結乾燥物として調製することができ、または酵素溶液として調製することができる。一部の実施形態では、ケトレダクターゼは、実質的に純粋な調製物の形態であり得る。
【0159】
一部の実施形態では、ケトレダクターゼポリペプチドは、固体基材に付着され得る。この基材は、固相、表面、および/または膜であり得る。固体支持体は、有機ポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシ、およびポリアクリルアミド、ならびにそのコポリマーおよびグラフトから構成され得る。固体支持体はまた、無機、例えば、ガラス、シリカ、細孔制御ガラス(controlled pore glass)(CPG)、逆相シリカまたは金もしくは白金などの金属でもあり得る。基材の構成は、ビーズ、球、粒子、顆粒、ゲル、膜または表面の形態であり得る。表面は、平面、実質的に平面、または非平面であり得る。固体支持体は、多孔性または非多孔性であり得、膨潤するまたは膨潤しない特徴を有し得る。固体支持体は、ウェル、くぼみ、もしくは他のコンテナ、容器、特色、または場所の形態で構成され得る。複数の支持体が、試薬のロボット送達のためにアドレス指定できる種々の場所に、または検出方法および/もしくは検出装置によって種々の場所に、アレイに構成され得る。
【0160】
当業者に公知であるように、ケトレダクターゼ触媒還元反応は、典型的には、補因子を必要とする。操作されたケトレダクターゼの多くの実施形態は、野生型ケトレダクターゼ酵素により触媒される反応よりもはるかに少ない補因子を必要とするが、本明細書に記載の操作されたケトレダクターゼ酵素によって触媒される還元反応はまた、典型的には、補因子を必要とする。本明細書で使用する場合、「補因子」という用語は、ケトレダクターゼ酵素との組合せで動作する非タンパク質化合物を指す。本明細書に記載の操作されたケトレダクターゼ酵素と共に使用するために好適な補因子として、これらに限定されないが、NADP+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)、NADPH(NADP+の還元形態)、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)およびNADH(NAD+の還元形態)が挙げられる。一般的に、補因子の還元形態を反応混合物に添加する。還元NAD(P)H形態は、必要に応じて、補因子再生系を使用してその酸化NAD(P)+形態から再生させることができる。「補因子再生系」という用語は、補因子の酸化形態を還元する反応(例えば、NADP+からNADPH)に関与する1セットの反応物を指す。ケト基質のケトレダクターゼ触媒還元によって酸化された補因子は、補因子再生系によって還元形態に再生される。補因子再生系は、還元性水素等価物の供給源であり、その補因子の酸化形態を還元できる、化学量論量の還元剤を含む。補因子再生系は、還元剤による補因子の酸化形態の還元を触媒する触媒、例えば、酵素触媒をさらに含んでもよい。補因子再生系はまた、補基質、例えば、イソプロパノールを含んでもよい。それぞれ、NAD+またはNADP+からNADHまたはNADPHを再生するための補因子再生系は、当技術分野において公知であり、本明細書に記載の方法において使用することができる。
【実施例】
【0161】
本発明の種々の特色および実施形態は以下の代表的な実施例において例証され、これらは、例証を意図するものであり、限定を意図するものではない。
【0162】
以下の実験の開示では、以下の略語が適用される:ppm(百万分率);M(モル濃度);mM(ミリモル濃度)、uMおよびμM(マイクロモル濃度);nM(ナノモル濃度);mol(モル);gmおよびg(グラム);mg(ミリグラム);ugおよびμg(マイクログラム);Lおよびl(リットル);mlおよびmL(ミリリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);umおよびμm(マイクロメートル);sec.(秒);min(分);hおよびhr(時間);U(単位);MW(分子量);rpm(毎分回転数);℃(摂氏度);RT(室温);CDS(コード配列);DNA(デオキシリボ核酸);RNA(リボ核酸);HPLC(高速液体クロマトグラフィー);FIOPC(陽性対照に対する倍数改善(fold improvement));HTP(ハイスループット);LB(ルリアブロス);KPO4(リン酸カリウム);KPO3(亜リン酸カリウム);TEoA(トリエタノールアミン);PMBS(硫酸ポリミキシンB);Sigma-Aldrich(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO);Millipore(Millipore,Corp.、Billerica MA);Difco(Difco Laboratories、BD Diagnostic Systems、Detroit、MI);Daicel(Daicel、West Chester、PA);Genetix(Genetix USA,Inc.、Beaverton、OR);Molecular Devices(Molecular Devices,LLC、Sunnyvale、CA);Applied Biosystems(Applied Biosystems、Life Technologies,Corp.の一部門、Grand Island、NY)、Agilent(Agilent Technologies,Inc.、Santa Clara、CA);Thermo Scientific(Thermo Fisher Scientificの一部門、Waltham、MA);Corning(Corning,Inc.、Palo Alto、CA);およびBio-Rad(Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA)。
【0163】
以下の配列を、本発明の開発において使用した。
配列番号413:
【化2-1】
【化2-2】
【化2-3】
配列番号414:
【化3-1】
【化3-2】
【0164】
(実施例1)
組換えKRED遺伝子を含有するE.coli発現宿主
本発明のバリアントを生成するために使用した最初のKRED酵素は、Codexisの市販のKRED酵素パネル収集物から得た。最初のスクリーニング中に、配列番号4のバリアントは、LC/MSによって決定して最も多くの生成物を生成した。KREDコード遺伝子を、laclリプレッサーの制御下にあるlacプロモーターに作動的に連結した、pCK110900(米国特許出願公開第2006/0195947号の
図3を参照のこと)、配列番号413、または配列番号414を含む、発現ベクター系にクローニングした。発現ベクター系はまた、P15a複製起点およびクロラムフェニコール耐性遺伝子を含有する。本発明が本明細書に開示される発現ベクターに限定されることを意図していない。これらに限定されないが、p3xFLAGTM(商標)発現ベクター(Sigma-Aldrich)、pBluescriptII SK(-)およびpBK-CMVベクター(Stratagene)、ならびにpBR322(Gibco BRL)、pUC(Gibco BRL)、pREP4、pCEP4(Invitrogen)またはpPoly(Lathe et al., Gene 57:193-201 [1987]を参照のこと)に由来するプラスミドを含む、任意の好適な発現ベクターを、本発明において使用することができることは、当業者に理解されるであろう。
【0165】
得られたプラスミドを、当技術分野において公知の標準的な方法を使用してE.coli W3110に形質転換した。形質転換体を、当技術分野において公知であるようにクロラムフェニコール選択に細胞を供することによって単離した(例えば、米国特許第8,383,346号およびWO2010/144103を参照のこと)。
【0166】
(実施例2)
HTP KRED含有湿潤細胞ペレットの調製
モノクローナルコロニーからの組換えKREDコード遺伝子を含有するE.coli細胞を、96ウェルシャローウェルマイクロタイタープレートのウェル内の1%のグルコースおよび30μg/mLのクロラムフェニコールを含有する190μlのLBに接種した。プレートをO2透過性シールで密封し、培養物を一晩、20℃、200rpmおよび湿度85%で増殖させた。次いで、細胞培養物の各々の20μlを、380μLのTBおよび30μg/mLのCAMを含有する96ウェルディープウェルプレートのウェルに移した。ディープウェルプレートをO2透過性シールで密封し、0.6~0.8のOD600に達するまで30℃、250rpmおよび湿度85%でインキュベートした。次いで、細胞培養物を1mMの最終濃度までのIPTGによって誘導し、最初に使用したのと同じ条件下で一晩インキュベートした。次いで、4℃、4000rpmで10分間の遠心分離を使用して細胞をペレット化した。上清を廃棄し、ペレットを溶解の前に-80℃で凍結させた。
【0167】
(実施例3)
HTP KRED含有細胞溶解物の調製
先ず、実施例2に記載したように産生した細胞ペレットを、2mMのMgSO4を伴う100mM pH8のトリエタノールアミン*H2SO4と、または2mMのMgSO4を伴う100mM pH8のリン酸カリウムと、1g/Lのリゾチームと、0.5g/LのPMBSとを含有する150μLの溶解緩衝液を添加することによって溶解した。次いで、ベンチトップシェーカーを用いて、細胞ペレットを室温で2時間、振盪させた。プレートを4℃で15分間、4000rpmで遠心分離して、細胞デブリを除去した。次いで、上清を生体触媒反応に使用して、活性レベルを決定した。
【0168】
(実施例4)
振盪フラスコ(SF)培養物からの凍結乾燥溶解物の調製
振盪フラスコ手順を使用して、二次スクリーニングアッセイに有用である、および/または本明細書に記載の生体触媒プロセスにおける使用に有用である、操作されたKREDポリペプチド振盪フラスコ粉末(SFP)を生成することができる。酵素の振盪フラスコ粉末(SFP)調製によって、HTPアッセイで使用される細胞溶解物と比較して、操作された酵素のより精製された調製物(例えば、総タンパク質の30%まで)が得られ、より濃縮された酵素溶液の使用も可能になる。これを開始するために、上述のように増殖させた選択されたHTP培養物を1%のグルコースおよび30μg/mlのクロラムフェニコール(CAM)を含むLB寒天プレートに播種し、一晩、37℃で増殖させた。各培養物からの単一コロニーを、1%のグルコースおよび30μg/mlのCAMを含む6mlのLBに移した。培養物を30℃で18時間、250rpmで増殖させ、30μg/mlのCAMを含有する250mlのTBへのおおよそ1:50の継代培養を行って0.05の最終OD600にした。培養物を30℃でおおよそ3時間、250rpmで増殖させて0.8~1.0の間のOD600にし、1mMのIPTGで誘導した。次いで、培養物を30℃で20時間、250rpmで増殖させた。培養物を遠心分離した(4℃で20分間4000rpm)。上清を廃棄し、ペレットを、2mMのMgSO4を伴う35mlの50mM pH8のリン酸カリウムに再懸濁させた。再懸濁した細胞を遠心分離した(4℃で20分間4000rpm)。上清を廃棄し、ペレットを、2mMのMgSO4を伴う6mLの50mM pH8のリン酸カリウムに再懸濁させ、Constant Systemsからの細胞破砕装置(One Shot)を使用して細胞を溶解した。溶解物をペレット化し(4℃で60分間10,000rpm)、上清を凍結させ、凍結乾燥させて、振盪フラスコ(SF)酵素を生成した。
【0169】
(実施例5)
配列番号4から誘導した操作されたポリペプチドの進化および前記ポリペプチドの改善されたKRED活性についてのスクリーニング
イソα酸基質の還元についてのバリアントのスクリーニングの結果に基づいて、配列番号4を親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立されている技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して産生した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで産生し、可溶性溶解物を、実施例3に記載したように生成した。
【0170】
配列番号4のKRED活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(すなわち、配列番号3)を使用して、表5-1のさらなる操作されたポリペプチドを生成した。これらのポリペプチドは、出発ポリペプチドと比較して、イソα酸からジヒドロ-(rho)-イソα酸の改善された形成を示した。操作されたポリペプチドを、上述のような定向進化方法を下の表5-2に記載するHTPアッセイおよび分析法と共に使用して配列番号4の「骨格」アミノ酸配列から生成した。
【0171】
定向進化は、配列番号3に示されるポリヌクレオチドを用いて開始した。操作されたポリペプチドを、次に、出発「骨格」遺伝子配列として選択した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、種々の周知の技法(例えば、飽和変異誘発、以前に同定された有益なアミノ酸差異の組換え)を使用して生成し、イソα酸基質を所望のジヒドロ-(rho)-イソα酸生成物に変換するポリペプチドの能力を測定するHTPアッセイおよび分析方法を使用して、スクリーニングした。
【0172】
酵素アッセイは、96ウェル形式で、2mMのMgSO4を伴う100mM pH8のトリエタノールアミン*H2SO4中の、50%v/vのHTP酵素溶解物と、8g/Lのイソα酸基質(Isolone(登録商標)Isomerized Hop Extract Solution、Kalsec)と、40体積%のイソプロパノール(IPA)中0.1g/LのNADPとを含む、総体積200μL/ウェルで行った。プレートを密封し、600rpmで振盪しながら20~24時間、40℃でインキュベートした。
【0173】
20~24時間後、0.1%の酢酸を伴う1000μLのアセトニトリルを添加した。プレートを密封し、4℃で10分間、4000rpmで遠心分離した。クエンチした試料をHPLC分析の前に50:50のアセトニトリル:水混合物でさらに4~5倍希釈した。HPLC実行パラメーターを下の表5-2に記載する。
【表5-1-1】
【表5-1-2】
【表5-2-1】
【表5-2-2】
【0174】
(実施例6)
配列番号6から誘導した操作されたポリペプチドの進化および前記ポリペプチドの改善されたKRED活性についてのスクリーニング
操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立されている技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して産生した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで産生し、可溶性溶解物を、実施例3に記載したように生成した。
【0175】
配列番号6のKRED活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(すなわち、配列番号5)を使用して、表6-1のさらなる操作されたポリペプチドを生成した。これらのポリペプチドは、出発ポリペプチドと比較して、イソα酸からジヒドロ-(rho)-イソα酸の改善された形成を示した。操作されたポリペプチドを、上述のような定向進化方法を下の表5-2に記載するHTPアッセイおよび分析法と共に使用して、配列番号6の「骨格」アミノ酸配列から生成した。
【0176】
定向進化は、配列番号5に示されるポリヌクレオチドを用いて開始した。操作されたポリペプチドを、次に、出発「骨格」遺伝子配列として選択した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、種々の周知の技法(例えば、飽和変異誘発、以前に同定された有益なアミノ酸差異の組換え)を使用して生成し、イソα酸基質を所望のジヒドロ-(rho)-イソα酸生成物に変換するポリペプチドの能力を測定するHTPアッセイおよび分析方法を使用して、スクリーニングした。
【0177】
酵素アッセイは、96ウェル形式で、2mMのMgSO4を伴う100mM pH8のトリエタノールアミン*H2SO4中の、50%v/vのHTP酵素溶解物と、16または40g/Lのイソα酸基質(Isolone(登録商標)Isomerized Hop Extract Solution、Kalsec)と、40体積%のイソプロパノール(IPA)中0.1g/LのNADPとを含む、総体積200μL/ウェルで行った。プレートを密封し、600rpmで振盪しながら20~24時間、40℃でインキュベートした。
【0178】
20~24時間後、0.1%の酢酸を伴う1000μLのアセトニトリルを添加した。プレートを密封し、4℃で10分間、4000rpmで遠心分離した。クエンチした試料をHPLC分析の前に50:50のアセトニトリル:水混合物でさらに10~20倍希釈した。HPLC実行パラメーターを表5-2に記載する。
【表6-1】
【0179】
(実施例7)
配列番号80から誘導した操作されたポリペプチドの進化および前記ポリペプチドの改善されたKRED活性についてのスクリーニング
操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立されている技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して産生した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで産生し、可溶性溶解物を、実施例3に記載したように生成した。
【0180】
配列番号80のKRED活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(すなわち、配列番号79)を使用して、表7-1のさらなる操作されたポリペプチドを生成した。これらのポリペプチドは、出発ポリペプチドと比較して、イソα酸からジヒドロ-(rho)-イソα酸の改善された形成を示した。操作されたポリペプチドを、上述のような定向進化方法を下の表5-2に記載するHTPアッセイおよび分析法と共に使用して、配列番号80の「骨格」アミノ酸配列から生成した。
【0181】
定向進化は、配列番号79に示されるポリヌクレオチドを用いて開始した。操作されたポリペプチドを、次に、出発「骨格」遺伝子配列として選択した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、種々の周知の技法(例えば、飽和変異誘発、以前に同定された有益なアミノ酸差異の組換え)を使用して生成し、イソα酸基質を所望のジヒドロ-(rho)-イソα酸生成物に変換するポリペプチドの能力を測定するHTPアッセイおよび分析方法を使用して、スクリーニングした。
【0182】
酵素アッセイは、96ウェル形式で、2mMのMgSO4を伴う100mM pH8のリン酸カリウム中の、25%v/vのHTP酵素溶解物と、60または80g/Lのイソα酸基質(Isolone(登録商標)Isomerized Hop Extract Solution、Kalsec)と、40体積%のイソプロパノール(IPA)中0.02g/LのNADPとを含む、総体積200μL/ウェルで行った。プレートを密封し、600rpmで振盪しながら20~24時間、45℃でインキュベートした。
【0183】
20~24時間後、0.1%の酢酸を伴う1000μLのアセトニトリルを添加した。プレートを密封し、4℃で10分間、4000rpmで遠心分離した。クエンチした試料をHPLC分析の前に50:50のアセトニトリル:水混合物でさらに20~40倍希釈した。HPLC実行パラメーターを表5-2に記載する。
【表7-1-1】
【表7-1-2】
【0184】
(実施例8)
配列番号80から誘導した操作されたポリペプチドの進化および前記ポリペプチドの改善されたKRED活性についてのスクリーニング
操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立されている技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して産生した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで産生し、可溶性溶解物を、実施例3に記載したように生成した。
【0185】
配列番号80のKRED活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(すなわち、配列番号79)を使用して、表8-1のさらなる操作されたポリペプチドを生成した。これらのポリペプチドは、出発ポリペプチドと比較して、イソα酸からジヒドロ-(rho)-イソα酸の改善された形成を示した。操作されたポリペプチドを、上述のような定向進化方法を下の表5-2に記載するHTPアッセイおよび分析法と共に使用して、配列番号80の「骨格」アミノ酸配列から生成した。
【0186】
定向進化は、配列番号79に示されるポリヌクレオチドを用いて開始した。操作されたポリペプチドを、次に、出発「骨格」遺伝子配列として選択した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、種々の周知の技法(例えば、飽和変異誘発、以前に同定された有益なアミノ酸差異の組換え)を使用して生成し、イソα酸基質を所望のジヒドロ-(rho)-イソα酸生成物に変換するポリペプチドの能力を測定するHTPアッセイおよび分析方法を使用して、スクリーニングした。
【0187】
酵素アッセイは、96ウェル形式で、2mMのMgSO4を伴う100mM pH8のリン酸カリウム中の、10~20%v/vのHTP酵素溶解物と、80または160g/Lのイソα酸基質(Isolone(登録商標)Isomerized Hop Extract Solution、Kalsec)と、40体積%のイソプロパノール(IPA)中0.02g/LのNADPとを含む、総体積200μL/ウェルで行った。プレートを密封し、600rpmで振盪しながら20~24時間、45℃でインキュベートした。
【0188】
20~24時間後、0.1%の酢酸を伴う1000μLのアセトニトリルを添加した。プレートを密封し、4℃で10分間、4000rpmで遠心分離した。クエンチした試料をHPLC分析の前に50:50のアセトニトリル:水混合物でさらに20~40倍希釈した。HPLC実行パラメーターを表5-2に記載する。
【表8-1】
【0189】
(実施例9)
配列番号6および配列番号80から誘導した操作されたポリペプチドの進化ならびに前記ポリペプチドの高い基質濃度での改善されたKRED活性についてのスクリーニング
2mMのMgSO
4を伴う5mLの100mM pH8のトリエタノールアミン
*H
2SO
4に、200mgの酵素粉末を溶解することによって、40g/Lの酵素ストック溶液を調製した。2mLのアリコートを取り、2回の逐次的な1:1v/v希釈に供して、各々20および10g/Lにした。500μLの酵素ストック溶液(10、20または40g/L)を、空気下で撹拌棒を用いてバイアルに添加した。撹拌酵素ストック溶液に、緩衝液中の1g/LのNADPの100μLのアリコート、およびイソプロパノール(IPA)中25g/Lのイソα酸400μLを添加した。最終反応組成は、5、10または20g/Lの酵素、10g/Lのイソα酸、および40%のIPA中0.1g/LのNADPであった。バイアルを25℃または40℃の加熱ブロック内に配置し、1、2、4、8および24時間後に試料採取し、HPLC-UVによって分析した。配列番号6および配列番号80を比較する典型的な反応プロファイルを
図1に示す。
【0190】
(実施例10)
配列番号80、104、100、136、116、132、162、150、152、144および146から誘導した操作されたポリペプチドの進化ならびに前記ポリペプチドの高い基質および低いNADP濃度での改善されたKRED活性についてのスクリーニング
2mMのMgSO
4および0.1g/LのNADPを伴う500μLの100mM pH8のリン酸カリウム緩衝液に100mgの酵素粉末を溶解することによって、200g/Lの酵素ストック溶液を調製した。96ディープウェルプレート内のウェルに、40μLの酵素/NADPストック溶液、80μLのイソプロパノール、および80μLの40重量%のイソα酸水溶液を添加した。最終反応組成は、40g/Lの酵素、160g/Lのイソα酸、および40%のIPA中0.02g/LのNADPであった。プレートを密封し、40℃で24時間インキュベートし、次いでクエンチし、HPLC-UVによって分析した。データを表11-1に示し、
図2に描示する。
【表10-1】
【0191】
(実施例11)
配列番号104から誘導した操作されたポリペプチドの進化および前記ポリペプチドの改善されたKRED活性についてのスクリーニング
実施例8に記載したように、操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立されている技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して産生した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで産生し、可溶性溶解物を、実施例3に記載したように生成した。
【0192】
配列番号104のKRED活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(すなわち、配列番号103)を使用して、表11-1のさらなる改善された、操作されたポリペプチドを生成した。
【表11-1】
【0193】
(実施例12)
組換えKRED遺伝子を含有するE.coli発現宿主
本発明のバリアントを生成するために使用した最初のKRED酵素は、Codexisの市販のKRED酵素パネル収集物から得た。最初のスクリーニング中に、配列番号172のポリペプチドまたは配列番号270のポリペプチドは、LC/MSによって決定して最も多くの生成物を生成した。KREDコード遺伝子を、laclリプレッサーの制御下にあるlacプロモーターに作動的に連結した配列番号413または配列番号414の発現ベクターにクローニングした。発現ベクターはまた、P15a複製起点およびクロラムフェニコール耐性遺伝子を含有する。得られたプラスミドを、当技術分野において公知の標準的な方法を使用してE.coli W3110に形質転換した。形質転換体を、当技術分野において公知であるようなトリクロサン選択に細胞を供することによって単離した(例えば、米国特許第8,383,346号およびWO2010/144103を参照のこと)。
【0194】
(実施例13)
HTP KRED含有湿潤細胞ペレットの調製
モノクローナルコロニーからの組換えKREDコード遺伝子を含有するE.coli細胞を、96ウェルシャローウェルマイクロタイタープレートのウェル内の1%のグルコースおよび0.12μg/mLのトリクロサンを含有する190μlのLBに接種した。プレートをO2透過性シールで密封し、培養物を一晩、20℃、200rpmおよび湿度85%で増殖させた。次いで、細胞培養物の各々の20μlを、380μLのTBおよび30μg/mLのCAMを含有する96ウェルディープウェルプレートのウェルに移した。ディープウェルプレートをO2透過性シールで密封し、0.6~0.8のOD600に達するまで30℃、250rpmおよび湿度85%でインキュベートした。次いで、細胞培養物を1mMの最終濃度までのIPTGによって誘導し、最初に使用したのと同じ条件下で一晩インキュベートした。次いで、4℃、4000rpmで10分間の遠心分離を使用して細胞をペレット化した。上清を廃棄し、ペレットを溶解の前に-80℃で凍結させた。
【0195】
(実施例14)
HTP KRED含有細胞溶解物の調製
先ず、実施例2に記載したように産生した細胞ペレットを、2mMのMgSO4を伴う100mM、pH8のリン酸カリウムと、または2mMのMgSO4を伴う100mM、pH8のリン酸カリウムと、1g/Lのリゾチームと、0.5g/LのPMBSとを含有する150μLの溶解緩衝液を添加することによって溶解した。次いで、ベンチトップシェーカーを用いて、細胞ペレットを室温で2時間、振盪させた。プレートを4℃で15分間、4,000rpmで遠心分離して、細胞デブリを除去した。次いで、上清を生体触媒反応に使用して、活性レベルを決定した。
【0196】
(実施例15)
振盪フラスコ(SF)培養物からの凍結乾燥溶解物の調製
振盪フラスコ手順を使用して、二次スクリーニングアッセイに有用である、および/または本明細書に記載の生体触媒プロセスにおける使用に有用である、操作されたKREDポリペプチド振盪フラスコ粉末(SFP)を生成することができる。酵素の振盪フラスコ粉末(SFP)調製によって、HTPアッセイで使用される細胞溶解物と比較して、操作された酵素のより精製された調製物(例えば、総タンパク質の30%まで)が得られ、より濃縮された酵素溶液の使用も可能になる。これを開始するために、上述のように増殖させた選択されたHTP培養物を、1%のグルコースおよび0.12μg/mLのトリクロサンを含むLB寒天プレートに播種し、一晩、37℃で増殖させた。各培養物からの単一コロニーを、1%のグルコースおよび30μg/mlのCAMを含む6mlのLBに移した。培養物を30℃で18時間、250rpmで増殖させ、0.12μg/mLのトリクロサンを含有する250mlのTBへのおおよそ1:50の継代培養を行って、0.05の最終OD600にした。培養物を30℃でおおよそ3時間、250rpmで増殖させて0.8~1.0の間のOD600にし、1mMのIPTGで誘導した。次いで、培養物を30℃で20時間、250rpmで増殖させた。培養物を遠心分離した(4℃で20分間4,000rpm)。上清を廃棄し、ペレットを、2mMのMgSO4を伴う35mlの50mM、pH8のリン酸カリウムに再懸濁させた。再懸濁した細胞を遠心分離した(4℃で20分間4,000rpm)。上清を廃棄し、ペレットを、2mMのMgSO4を伴う6mlの50mM、pH8のリン酸カリウムに再懸濁させ、Constant Systemsからの細胞破砕装置(One Shot)を使用して細胞を溶解した。溶解物をペレット化し(4℃で60分間10,000rpm)、上清を凍結させ、凍結乾燥させて、振盪フラスコ(SF)酵素を生成した。
【0197】
(実施例16)
配列番号172から誘導した操作されたポリペプチドの進化および前記ポリペプチドの改善されたKRED活性についてのスクリーニング
イソα酸基質の還元についてのバリアントのスクリーニングの結果に基づいて、配列番号172のポリペプチドを親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立されている技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して産生した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで産生し、可溶性溶解物を、実施例3に記載したように生成した。
【0198】
配列番号172のKRED活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチドを使用して、表16-1のさらなる操作されたポリペプチドを生成した。これらのポリペプチドは、出発ポリペプチドと比較して、イソα酸からジヒドロ-(rho)-イソα酸の改善された形成を示した。操作されたポリペプチドを、上述のような定向進化方法を下の表16-1に記載するHTPアッセイおよび分析法と共に使用して、配列番号172の「骨格」アミノ酸配列から生成した。
【0199】
定向進化は、配列番号171に示されるポリヌクレオチドを用いて開始した。操作されたポリペプチドを、次に、出発「骨格」遺伝子配列として選択した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、種々の周知の技法(例えば、飽和変異誘発、以前に同定された有益なアミノ酸差異の組換え)を使用して生成し、イソα酸基質を所望のジヒドロ-(rho)-イソα酸生成物に変換するポリペプチドの能力を測定するHTPアッセイおよび分析方法を使用して、スクリーニングした。
【0200】
酵素アッセイは、96ディープウェルプレート形式で、2mMのMgSO4を伴う100mM、pH8のリン酸カリウム中の、20%v/vのHTP酵素溶解物と、40%v/vの40重量%のイソα酸基質水溶液(Isolone(登録商標)Isomerized Hop Extract Solution、Kalsec)と、40体積%のイソプロパノール(IPA)中0.02g/LのNADPとを含む、総体積100μL/ウェルで行った。プレートを密封し、600rpmで振盪しながら20~24時間、45℃でインキュベートした。
【0201】
20~24時間後、0.1%の酢酸を伴う1000μLのアセトニトリルを添加した。プレートを密封し、4℃で10分間、4,000rpmで遠心分離した。クエンチした試料をHPLC分析の前に50:50のアセトニトリル:水混合物でさらに4~5倍希釈した。HPLC実行パラメーターは、下の表5-2にある。
【表16-1-1】
【表16-1-2】
【0202】
(実施例17)
配列番号186から誘導した操作されたポリペプチドの進化および前記ポリペプチドのTrans-ISOに対する改善されたKRED活性についてのスクリーニング
イソα酸基質の還元についてのバリアントのスクリーニングの結果に基づいて、配列番号186を親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立されている技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して産生した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで産生し、可溶性溶解物を、実施例3に記載したように生成した。
【0203】
配列番号185のKRED活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチドを使用して、表17-2のさらなる操作されたポリペプチドを生成した。これらのポリペプチドは、出発ポリペプチドと比較して、イソα酸からジヒドロ-(rho)-イソα酸の改善された形成を示した。操作されたポリペプチドを、上述のような定向進化方法を表5-2に記載のHTPアッセイおよび分析法と共に使用して、配列番号186の「骨格」アミノ酸配列から生成した。
【0204】
定向進化は、配列番号185に示されるポリヌクレオチドを用いて開始した。操作されたポリペプチドを、次に、出発「骨格」遺伝子配列として選択した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、種々の周知の技法(例えば、飽和変異誘発、以前に同定された有益なアミノ酸差異の組換え)を使用して生成し、イソα酸基質を所望のジヒドロ-(rho)-イソα酸生成物に変換するポリペプチドの能力を測定するHTPアッセイおよび分析方法を使用して、スクリーニングした。
【0205】
酵素アッセイは、96ディープウェルプレート形式で、2mMのMgSO4を伴う100mM、pH8のリン酸カリウム中の、50%v/vのHTP酵素溶解物と、10%v/vの10g/Lの配列番号186と、1g/Lのイソα酸基質(Isolone(登録商標)Isomerized Hop Extract Solution、Kalsec)と、40体積%のイソプロパノール(IPA)中0.1g/LのNADPとを含む、総体積100μL/ウェルで行った。プレートを密封し、600rpmで振盪しながら44~48時間、30℃でインキュベートした。
【0206】
20~24時間後、0.1%の酢酸を伴う1000μLのアセトニトリルを添加した。プレートを密封し、4℃で10分間、4,000rpmで遠心分離した。クエンチした試料をHPLC分析の前に50:50のアセトニトリル:水混合物でさらに4~5倍希釈した。HPLC実行パラメーターを下の表17-1に記載する。
図3を参照のこと。Trans-ISOに対して改善された活性を示したバリアントを表17-2に示す。
【表17-1】
【表17-2-1】
【表17-2-2】
【0207】
(実施例18)
配列番号186から誘導した操作されたポリペプチドの進化および前記ポリペプチドの改善されたKRED活性についてのスクリーニング
実施例16に記載したように、操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立されている技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して産生した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで産生し、可溶性溶解物を、実施例3に記載したように生成した。
【0208】
配列番号186のKRED活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(すなわち、配列番号185)を使用して、表18-1のさらなる改善された、操作されたポリペプチドを生成した。
【表18-1】
【0209】
(実施例19)
配列番号194、配列番号252から誘導した操作されたポリペプチドの進化ならびに前記ポリペプチドの高い基質および低いNADP濃度での改善されたKRED活性についてのスクリーニング
2mMのMgSO4および0.1g/LのNADPを伴う500μLの100mM、pH8のリン酸カリウム緩衝液に100mgの酵素粉末を溶解することによって、200g/Lの酵素ストック溶液を調製した。96ディープウェルプレート内のウェルに、酵素/NADPストック溶液の40μLのアリコート、80μLのイソプロパノール、および80μLの40重量%のイソα酸水溶液を添加した。最終反応組成は、40g/Lの酵素、160g/Lのイソα酸、および40%のIPA中0.02g/LのNADPであった。プレートを密封し、40℃で24時間インキュベートし、次いでクエンチし、HPLC-UVによって分析した。データを表19-1、19-2および19-3に示す。
【表19-1】
【表19-2】
【表19-3-1】
【表19-3-2】
【0210】
(実施例20)
配列番号270および配列番号272から誘導した操作されたポリペプチドの進化ならびに前記ポリペプチドの高い基質および低いNADP濃度での改善されたKRED活性についてのスクリーニング
実施例18に記載したように、操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立されている技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して産生した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで産生し、可溶性溶解物を、実施例3に記載したように生成した。
【0211】
配列番号270のKRED活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(すなわち、配列番号269)および配列番号272のKRED活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(すなわち、配列番号271)を使用して、表20-1および20-2のさらなる改善された、操作されたポリペプチドを生成した。
【表20-1】
【表20-2-1】
【表20-2-2】
【0212】
(実施例21)
配列番号286から誘導した操作されたポリペプチドの進化ならびに前記ポリペプチドの高い基質および低いNADP濃度での改善されたKRED活性についてのスクリーニング
実施例18に記載したように、操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立されている技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して産生した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで産生し、可溶性溶解物を、実施例3に記載したように生成した。
【0213】
配列番号286のKRED活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチド(すなわち、配列番号285)を使用して、表21-1のさらなる改善された、操作されたポリペプチドを生成した。
【表21-1】
【0214】
(実施例22)
配列番号328から誘導した操作されたポリペプチドの進化および前記ポリペプチドの改善されたKRED活性についてのスクリーニング
イソα酸基質の還元についてのバリアントのスクリーニングの結果に基づいて、配列番号328を親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立されている技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して産生した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで産生し、可溶性溶解物を、実施例3に記載したように生成した。
【0215】
配列番号327のKRED活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチドを使用して、表22-1のさらなる操作されたポリペプチドを生成した。これらのポリペプチドは、出発ポリペプチドと比較して、イソα酸からジヒドロ-(rho)-イソα酸の改善された形成を示した。操作されたポリペプチドを、上述のような定向進化方法を表5-2に記載のHTPアッセイおよび分析法と共に使用して、配列番号328の「骨格」アミノ酸配列から生成した。
【0216】
定向進化は、配列番号327に示されるポリヌクレオチドを用いて開始した。操作されたポリペプチドを、次に、出発「骨格」遺伝子配列として選択した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、種々の周知の技法(例えば、飽和変異誘発、以前に同定された有益なアミノ酸差異の組換え)を使用して生成し、イソα酸基質を所望のジヒドロ-(rho)-イソα酸生成物に変換するポリペプチドの能力を測定するHTPアッセイおよび分析方法を使用して、スクリーニングした。
【0217】
酵素アッセイは、96ウェル丸底プレートで、2mMのMgSO4を伴う100mM、pH8のリン酸カリウム中の、20%v/vのHTP酵素溶解物と、40%v/vの40重量%のイソα酸基質水溶液(Isolone(登録商標)Isomerized Hop Extract Solution、Kalsec)と、40体積%のイソプロパノール(IPA)中0.02g/LのNADPとを含む、総体積200μL/ウェルで行った。プレートを密封し、600rpmで振盪しながら20~24時間、45℃でインキュベートした。
【0218】
20~24時間後、0.1%の酢酸を伴う1000μLのアセトニトリルを添加した。プレートを密封し、4℃で10分間、4,000rpmで遠心分離した。クエンチした試料をHPLC分析の前に50:50のアセトニトリル:水混合物でさらに4~5倍希釈した。HPLC実行パラメーターを表5-2および表17-1に記載する。改善されたバリアントを表22-1に示す。
【表22-1-1】
【表22-1-2】
【0219】
(実施例23)
高い基質および低いNADP負荷での配列番号328および配列番号330の性能
8gの40重量%のISO水溶液の試料を、8mLのイソプロパノール(IPA)および2mLの100mM、pH8のリン酸カリウム緩衝液に溶解した。4N NaOHおよび/または10%のH
3PO
4を用いて、pHを8に調整した。4.5mLのpH調整したISO/IPA/緩衝溶液を、撹拌棒を用いて窒素ブランケット下、40℃の加熱ブロック内で、セプタムキャップ付バイアルに添加した。10mMのMgSO4および0.2g/LのNADPを伴う100mM、pH8のリン酸カリウム緩衝液中の10または40g/LのKREDの0.5mLを溶液に添加した(最終KREDおよびNADP負荷は、それぞれ、1または4g/LのKRED、および0.02g/LのNADPである)。種々の時間間隔で、20μLのアリコートを注射器によって反応から取り出し、0.1%の酢酸を伴う1000μLの1:1のアセトニトリル/水でクエンチした。20℃で5分間、4,000rpmでの遠心分離後、HPLC分析(表5-2および表17-1)のために、20μLの上清を、0.1%の酢酸を伴う180μLの1:1のアセトニトリル/水で希釈した。
図4を参照のこと。
【0220】
(実施例24)
配列番号330から誘導した操作されたポリペプチドの進化および前記ポリペプチドの改善されたKRED活性についてのスクリーニング
イソα酸基質の還元についてのバリアントのスクリーニングの結果に基づいて、配列番号330を親酵素として選択した。操作された遺伝子のライブラリーを、十分に確立されている技法(例えば、飽和変異誘発、および以前に同定された有益な変異の組換え)を使用して産生した。各遺伝子によってコードされるポリペプチドを、実施例2に記載したようにHTPで産生し、可溶性溶解物を、実施例3に記載したように生成した。
【0221】
配列番号329のKRED活性を有するポリペプチドをコードする操作されたポリヌクレオチドを使用して、表24-1のさらなる操作されたポリペプチドを生成した。これらのポリペプチドは、出発ポリペプチドと比較して、イソα酸からジヒドロ-(rho)-イソα酸の改善された形成を示した。操作されたポリペプチドを、上述のような定向進化方法を下の表24-1に記載するHTPアッセイおよび分析法と共に使用して、配列番号330の「骨格」アミノ酸配列から生成した。
【0222】
定向進化は、配列番号329に示されるポリヌクレオチドを用いて開始した。操作されたポリペプチドを、次に、出発「骨格」遺伝子配列として選択した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、種々の周知の技法(例えば、飽和変異誘発、以前に同定された有益なアミノ酸差異の組換え)を使用して生成し、イソα酸基質を所望のジヒドロ-(rho)-イソα酸生成物に変換するポリペプチドの能力を測定するHTPアッセイおよび分析方法を使用して、スクリーニングした。
【0223】
酵素アッセイは、96丸底プレート形式で、2mMのMgSO
4を伴う100mM、pH8のリン酸カリウム中の、50%v/vのHTP酵素溶解物と、10%v/vの40重量%のイソα酸基質水溶液(Isolone(登録商標)Isomerized Hop Extract Solution、Kalsec)と、40体積%のイソプロパノール(IPA)中0.02g/LのNADPとを含む、総体積200μL/ウェルで行った。プレートを密封し、600rpmで振盪しながら20~24時間、45℃でインキュベートした。
【表24-1-1】
【表24-1-2】
【0224】
(実施例25)
高い基質および低いNADP負荷での配列番号270、配列番号328、配列番号330、配列番号348、配列番号346および配列番号356の性能
80mgの各バリアントの試料を、100mLの100mM、pH9のリン酸カリウムおよび10mMのMgSO
4中の10mgのNADPで構成されているNADPストック溶液の1mLに溶解した。ストック溶液を、5回の逐次的な1:1希釈に供して、NADPストック溶液中の80、40、20、10および5g/Lの酵素のストック溶液を得た。ストック溶液の20uLのアリコートを、丸底プレート内の40uLの40重量%のISO溶液および40uLのIPAに添加して、0.02g/LのNADPと、20mM、pH8のリン酸カリウムおよび2mMのMgSO
4中の40体積%のIPA中の160g/LのISOの最終組成を得た。最終酵素濃度は、それぞれ、16、8、4、2および1g/Lであった。プレートを密封し、40°および600rpmのシェーカーに24時間、入れておいた。24時間後、プレートを20℃で10分間、4,000rpmで遠心分離し、100ulの上清を、ディープウェルプレート内の0.1%の酢酸を伴う1mLの_:1のアセトニトリル/水に移した。クエンチした反応混合物を有するディープウェルプレートを20℃で10分間、4,000rpmで遠心分離し、5uLの上清を、表5-2および17-1によるHPLC分析のために、0.1%の酢酸を伴う200uLの1:1のアセトニトリル/水に移した。
図5を参照のこと。
【0225】
この出願で引用されるすべての刊行物、特許、特許出願および他の文書は、それぞれ個々の刊行物、特許、特許出願または他の文書が、すべての目的のために参照により組み込まれることを個別に示されているのと同程度に、すべての目的のためにそれらの全体として、参照により本明細書に組み込まれる。
【0226】
種々の具体的な実施形態を例証し、記載したが、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく種々の変化を加えることができることは理解されるであろう。
【配列表】
【国際調査報告】