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特表2022-549877血管内超音波撮像およびカルシウム検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】血管内超音波撮像およびカルシウム検出方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519153
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 US2020052517
(87)【国際公開番号】W WO2021062006
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】62/906,546
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ、アンミン ホァ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェングアン
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601BB14
4C601DD14
4C601EE11
4C601FE04
4C601JC05
4C601JC06
4C601JC09
4C601KK25
4C601KK31
(57)【要約】
血管内超音波画像を処理するための方法を含む方法が開示される。例示的な方法は、血管の1つまたは複数の超音波画像を収集する工程と、プロセッサを用いて超音波画像をセグメント化する工程とを含み得る。セグメント化する工程は、血管の内腔境界と、血管内の中膜の中膜境界とのうちの1つまたは複数を識別する工程を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内超音波画像を処理するための方法であって、前記方法は、
血管の1つまたは複数の超音波画像を収集する工程と、
プロセッサを用いて前記超音波画像をセグメント化する工程と
を備え、
前記プロセッサは、深層ニューラル・ネットワークを含み、
セグメント化する工程は、前記血管の内腔境界と、前記血管内の中膜の中膜境界とのうちの1つまたは複数を識別する工程を含む、方法。
【請求項2】
セグメント化する工程は、前記内腔境界を識別する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
セグメント化する工程は、前記中膜境界を識別する工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記深層ニューラル・ネットワークは、前記内腔境界を識別するように訓練される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記深層ニューラル・ネットワークは、前記中膜境界を識別するように訓練される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記深層ニューラル・ネットワークは、前記内腔境界を識別するように訓練され、かつ、前記中膜境界を識別するように訓練される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数の超音波画像のうちの第1の画像を表示デバイス上に表示する工程をさらに備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の画像についての狭窄エリアの数値的表示を前記表示デバイス上に表示する工程をさらに備える、請求項7の方法。
【請求項9】
前記狭窄エリアの数値的表示は、前記第1の画像上に、または前記第1の画像に隣接して表示される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の画像についてのプラーク負荷の数値的表示を前記表示デバイス上に表示する工程をさらに備える、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
石灰化角度の視覚的な表現を前記表示デバイス上に表示する工程をさらに備える、請求項7乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記石灰化角度の前記視覚的な表現は、前記第1の画像の境界領域に沿って配設されるアークを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
石灰化アークの視覚的な表現を前記表示デバイス上に表示する工程をさらに備える、請求項7乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記石灰化アークの前記視覚的な表現は、前記第1の画像の境界領域に沿って配設されるアークを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
血管内超音波画像を処理するための方法であって、前記方法は、
血管の複数の超音波画像を収集する工程と、
プロセッサを用いて前記超音波画像をセグメント化する工程と
を備え、
前記プロセッサは、深層ニューラル・ネットワークを含み、
セグメント化する工程は、前記血管の内腔境界、前記血管の断面積、前記血管内の中膜の中膜境界、前記中膜の断面積、前記血管内の石灰化した病変の石灰化角度、側枝位置、または、これらの組み合わせを識別する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血管内超音波撮像に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な医療デバイスが、医療用途、例えば、血管内用途のために開発されてきた。これらのデバイスの中には、血管内超音波撮像デバイスを含むものがある。また、血管内超音波撮像のための方法が開発されてきた。これらのデバイスおよび方法のうち、各々が一定の利点および欠点を有する。代替的なデバイスおよび代替的な方法を提供する継続的な必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、医療デバイスおよび方法、例えば、血管内超音波撮像を含む方法に対する、設計および用途の代替案を提供する。血管内超音波画像を処理するための方法が開示される。本方法は、血管の1つまたは複数の超音波画像を収集する工程と、プロセッサを用いて超音波画像をセグメント化する工程とを備え、プロセッサは、深層ニューラル・ネットワークを含み、セグメント化する工程は、血管の内腔境界と、血管内の中膜の中膜境界とのうちの1つまたは複数を識別する工程を含む。
【0004】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、セグメント化する工程は、内腔境界を識別する工程を含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、セグメント化する工程は、中膜境界を識別する工程を含む。
【0005】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、深層ニューラル・ネットワークは、内腔境界を識別するように訓練される。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、深層ニューラル・ネットワークは、中膜境界を識別するように訓練される。
【0006】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、深層ニューラル・ネットワークは、内腔境界を識別するように訓練され、かつ、中膜境界を識別するように訓練される。
【0007】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、1つまたは複数の超音波画像の第1の画像を表示デバイス上に表示する工程をさらに備える。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、第1の画像についての狭窄エリアの数値的表示を表示デバイス上に表示する工程をさらに備える。
【0008】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、狭窄エリアの数値的表示は、第1の画像上に、または第1の画像上に隣接して表示される。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、第1の画像についてのプラーク負荷の数値的表示を表示デバイス上に表示する工程をさらに備える。
【0009】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、プラーク負荷の数値的表示は、第1の画像上に、または第1の画像に隣接して表示される。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化角度の視覚的な表現を表示デバイス上に表示する工程をさらに備える。
【0010】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化角度の視覚的な表現は、第1の画像の境界領域に沿って配設されるアークを含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化アークの視覚的な表現を表示デバイス上に表示する工程をさらに備える。
【0011】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化アークの視覚的な表現は、第1の画像の境界領域に沿って配設されるアークを含む。
血管内超音波画像を処理するための方法が開示される。本方法は、血管の複数の超音波画像を収集する工程と、プロセッサを用いて超音波画像をセグメント化する工程とを備え、プロセッサは、深層ニューラル・ネットワークを含み、セグメント化する工程は、血管の内腔境界、血管の断面積、血管内の中膜の中膜境界、中膜の断面積、血管内の石灰化した病変の石灰化角度、側枝位置、または、これらの組み合わせを識別する工程を含む。
【0012】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、血管の複数の超音波画像を収集する工程は、血管内超音波カテーテル・システムを用いて複数の超音波画像を収集する工程を含む。
【0013】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、血管の複数の超音波画像を収集する工程は、血管の断面画像を収集する工程を含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、プロセッサを用いて超音波画像をセグメント化する工程は、人工知能を用いてセグメント化する工程を含む。
【0014】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、プロセッサを用いて超音波画像をセグメント化する工程は、深層ニューラル・ネットワークを用いてセグメント化する工程を含む。
【0015】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、プロセッサを用いて超音波画像をセグメント化する工程は、定量分析を含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、プロセッサを用いて超音波画像をセグメント化する工程は、画像分類を含む。
【0016】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、プロセッサを用いて超音波画像をセグメント化する工程は、血管内の病変の識別を含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、プロセッサを用いて超音波画像をセグメント化する工程は、ステント検出を含む。
【0017】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、セグメント化する工程は、血管の内腔境界を識別する工程を含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、セグメント化する工程は、血管の断面積を識別する工程を含む。
【0018】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、セグメント化する工程は、血管内の中膜の中膜境界を識別する工程を含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、セグメント化する工程は、中膜の横断面積を識別する工程を含む。
【0019】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、セグメント化する工程は、血管内の石灰化した病変の石灰化角度を識別する工程を含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、セグメント化する工程は、側枝位置を識別する工程を含む。
【0020】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、血管の第1の断面画像をディスプレイ上に表示する工程をさらに備える。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、血管の第2の断面画像をディスプレイ上に表示する工程をさらに備える。
【0021】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、第1の断面画像、第2の断面画像、または両方についての狭窄エリアの数値的表示をディスプレイ上に表示する工程をさらに備える。
【0022】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、第1の断面画像、第2の断面画像、または両方についてのプラーク負荷の数値的表示をディスプレイ上に表示する工程をさらに備える。
【0023】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化角度の視覚的な表現を表示する工程をさらに備える。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化角度の視覚的な表現は、第1の断面画像の境界領域に沿って配設されるアークを含む。
【0024】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化アークの視覚的な表現を表示する工程をさらに備える。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化角度の視覚的な表現は、第1の断面画像の境界領域に沿って配設されるアークを含む。
【0025】
血管の画像を表示するための方法が開示される。本方法は、トランスデューサが回転し、血管の内腔に沿って長手方向に移動するにつれて、カテーテルに対して結合されるトランスデューサからの電気的信号を処理ユニットを用いて受信する工程と、一連の断面画像を形成するために、受信された電気的信号を処理する工程であって、断面画像は、内腔に沿って互いに長手方向にオフセットされる、工程と、断面画像のうちの1つまたは複数をディスプレイ上に表示する工程と、内腔径輪郭、血管径輪郭、または両方をディスプレイ上に表示する工程とを備える。
【0026】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、内腔径輪郭は、血管内の最小内腔エリアを臨床医が識別することを可能にするように構成される。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、血管径輪郭は、血管から延在する側枝を臨床医が識別することを可能にするように構成される。
【0027】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、血管内のカルシウム・カバレッジの2次元表現をディスプレイ上に表示する工程をさらに備える。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、2次元カルシウム・マップをディスプレイ上に表示する工程をさらに備える。
【0028】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、血管内のカルシウム・カバレッジの3次元表現をディスプレイ上に表示する工程をさらに備える。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、3次元カルシウム・マップをディスプレイ上に表示する工程をさらに備える。
【0029】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化角度の視覚的な表現をディスプレイ上に表示する工程をさらに備える。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化角度の視覚的な表現は、断面画像のうちの1つの境界領域に沿って配設されるアークを含む。
【0030】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化アークの視覚的な表現をディスプレイ上に表示する工程をさらに備える。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化アークの視覚的な表現は、断面画像のうちの1つの境界領域に沿って配設されるアークを含む。
【0031】
血管の石灰化をグラフィカルに表示するための方法が開示される。本方法は、血管の複数の超音波画像を収集する工程と、複数の超音波画像の各々について石灰化角度を生成するために、画像をセグメント化する工程と、石灰化角度の視覚的な表現を表示する工程とを備える。
【0032】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化角度の視覚的な表現は、画像のうちの1つの境界領域に沿って配設されるアークを含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化角度の視覚的な表現は、2次元カルシウム・マップを含む。
【0033】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化角度の視覚的な表現は、3次元カルシウム・マップを含む。
血管における血管内病変を処置するための処置戦略を決定するための方法が開示される。本方法は、血管内病変のカルシウム・アークの視覚的な表現、血管の2次元カルシウム・マップ、血管の3次元カルシウム・マップ、または、これらの組み合わせを観察することによって、第1の数値的なカルシウム・スコアを決定する工程と、血管の透視画像を観察することによって、第2の数値的なカルシウム・スコアを決定する工程と、血管内病変の長さを測定することによって、第3の数値的なカルシウム・スコアを決定する工程と、第1の数値的なカルシウム・スコアと、第2の数値的なカルシウム・スコアと、第3のカルシウム・スコアとの和を計算する工程と、この和に基づいて、処置モダリティを選択する工程とを備える。
【0034】
血管内超音波画像を処理するために人工知能を使用するための方法が開示される。
本願明細書において開示されているように、および/または特許請求されているように、血管内超音波画像を処理するために人工知能を使用するための方法が開示される。
【0035】
血管における石灰化の量についてアーク・サイズを決定するための方法が開示される。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化の量を表示デバイス上に表示する工程をさらに備える。
【0036】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化の量を表示デバイス上に表示する工程は、血管の断面超音波画像の境界領域に沿ったアークを表示する工程を含む。
【0037】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化の量を表示デバイス上に表示する工程は、2次元カルシウム・マップを含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、石灰化の量を表示デバイス上に表示する工程は、3次元カルシウム・マップを含む。
【0038】
血管内超音波画像を処理するための方法が開示される。本方法は、血管の1つまたは複数の超音波画像を収集する工程と、プロセッサを用いて超音波画像をセグメント化する工程とを備え、セグメント化する工程は、血管の内腔境界と、血管内の中膜の中膜境界とのうちの1つまたは複数を識別する工程を含む。
【0039】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、セグメント化する工程は、内腔境界を識別する工程を含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、セグメント化する工程は、中膜境界を識別する工程を含む。
【0040】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、プロセッサは、深層ニューラル・ネットワークを含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、深層ニューラル・ネットワークは、内腔境界を識別するように訓練される。
【0041】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、深層ニューラル・ネットワークは、中膜境界を識別するように訓練される。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、深層ニューラル・ネットワークは、内腔境界を識別するように訓練され、かつ、中膜境界を識別するように訓練される。
【0042】
血管内超音波画像を処理するための方法が開示される。本方法は、血管の複数の超音波画像を収集する工程と、プロセッサを用いて超音波画像をセグメント化する工程とを備え、セグメント化する工程は、血管の内腔境界、血管の断面積、血管内の中膜の中膜境界、中膜の断面積、血管内の石灰化した病変の石灰化角度、側枝位置、または、これらの組み合わせを識別する工程を含む。
【0043】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、プロセッサは、深層ニューラル・ネットワークを含む。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、深層ニューラル・ネットワークは、内腔境界を識別するように訓練される。
【0044】
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、深層ニューラル・ネットワークは、中膜境界を識別するように訓練される。
上記実施形態のいずれかに対して代替的にまたは付加的に、深層ニューラル・ネットワークは、内腔境界を識別するように訓練され、かつ、中膜境界を識別するように訓練される。
【0045】
いくつかの実施形態の上記の概要は、本開示の開示されている各実施形態またはすべての実装を説明するようには意図されていない。以下の図および詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例証する。
【0046】
本開示は、添付の図面に関連して、以下の詳細な説明を考慮すれば、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】例示的な血管内超音波システムを概略的に描写する図。
図2】例示的な血管内超音波カテーテル・システムの斜視図。
図3】例示的な血管内超音波カテーテル・システムの一部の側面図。
図4】画像を処理するための例示的な方法を例示するフロー・チャート。
図5】画像を処理するための例示的な方法を例示するフロー・チャート。
図6】画像セグメント化のためのプロセスを概略的に例示する図。
図7】ディスプレイ出力の一例を例示する図。
図8】ディスプレイ出力の一例を例示する図。
図9】ディスプレイ出力の一例を例示する図。
図10】ディスプレイ出力のいくつかの例を例示する図。
図11】ディスプレイ出力のいくつかの例を例示する図。
図12】ディスプレイ出力のいくつかの例を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本開示は、様々な変形例および代替的な形態に適用可能であるが、それらの詳細は、図面において例として示されており、詳細に説明されることになる。しかしながら、その意図は、説明されている特定の実施形態に本発明を限定することでないことが理解されるべきである。それどころか、その意図は、本開示の趣旨および範囲内に収まるあらゆる変形例、均等物、および代替案を網羅することにある。
【0049】
以下に定義される用語については、特許請求の範囲または本願明細書のどこかの箇所において異なる定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
あらゆる数値は、明示的に示されているか否かに関わらず、「約」という用語によって修正されるべきものと本願明細書において仮定される。「約」という用語は、一般に、記載された値と均等である(例えば、同じ機能または結果を有する)と当業者が考慮するであろう、ある範囲の数を指す。多くの場合において、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入される数を含み得る。
【0050】
端点による数的範囲の記載は、その範囲内のあらゆる数を含む(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
本願明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「a(ある)」、「an(一つの)」、および「the(前記)」という単数形態は、内容が明確に別の意味を指示しない限り、複数の指示物を含む。本願明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「または」という用語は、内容が明確に別の意味を指示しない限り、「および/または」を含むその意味において一般に採用される。
【0051】
「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への本願明細書における言及は、説明されている実施形態が、1つまたは複数の特定の特徴、構造、および/または特性を含み得ることを示すことが留意される。しかしながら、そのような記載は、必ずしもすべての実施形態が特定の特徴、構造、および/または特性を含むことを意味するとは限らない。付加的に、特定の特徴、構造、および/または特性が、1つの実施形態に関連して説明される場合、別段の定めがない限り、明示的に説明されているか否かに関わらず、そのような特徴、構造、および/または特性が他の実施形態との関連においても使用され得ることが理解されるべきである。
【0052】
以下の詳細な説明は、異なる図面における同様の要素に同じ番号が振られている図面を参照しつつ、読まれるべきである。必ずしも縮尺通りとであるとは限らない図面は、例示的な実施形態を描写しており、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。
【0053】
患者への挿入可能な超音波デバイスは、多様な病気および障害についての診断能力を証明してきた。例えば、血管内超音波(「IVUS(intravascular ultrasound)」)撮像システムは、医師がステントおよび他のデバイスを選択および設置して、血流を回復または増加させることを支援するために、閉塞された血管を診断し、情報を提供するための撮像モダリティとして使用され得る。IVUS撮像システムは、血管内の特定の位置において形成されるアテローム性プラークを診断するためにも使用され得る。IVUS撮像システムは、血管内の障害または狭窄の存在、ならびにその障害または狭窄の性質および程度を決定するためにも使用され得る。IVUS撮像システムは、例えば、1つまたは複数の構造(例えば、撮像されることが望まれない1つまたは複数の血管)による動き(例えば、鼓動する心臓)または妨害に起因して、血管造影法などの他の血管内撮像技法を使用して視覚化することが困難であり得る脈管系のセグメントを視覚化するためにも使用され得る。IVUS撮像システムは、進行中の血管内処置、例えば、リアル(またはほぼリアル)タイムでの血管造影法およびステント設置などを監視または評価するためにも使用され得る。さらに、IVUS撮像システムは、1つまたは複数の心腔を監視するために使用されてもよい。
【0054】
IVUS撮像システムは、多様な病気または障害を視覚化するための診断ツールを提供するために開発されてきた。IVUS撮像システムは、制御モジュール(パルス生成器、画像プロセッサ、およびモニタを有する)と、カテーテルと、カテーテル内に配設される1つまたは複数のトランスデューサとを含み得る。トランスデューサを含有するカテーテルは、血管壁または血管壁に近接した患者組織などの、撮像対象の領域の内部またはこの領域に近接した、内腔または空胴に設置され得る。制御モジュール内のパルス生成器は、1つまたは複数のトランスデューサに対して送られ、患者組織を通して送信される音響パルスへ変換される電気的パルスを生成し得る。送信された音響パルスの反射パルスは、1つまたは複数のトランスデューサによって吸収され、電気パルスへ変換され得る。変換された電気パルスは、画像プロセッサへ送られ、モニタ上に表示可能な画像へ変換され得る。
【0055】
図1は、例示的なIVUS撮像システム100を概略的に例示する。IVUS撮像システム100は、処理ユニットまたは制御モジュール104に対して結合可能なカテーテル102を含む。制御モジュール104は、例えば、プロセッサ106と、パルス生成器108と、駆動ユニット110と、1つまたは複数のディスプレイ112とを含み得る。いくつかの例において、パルス生成器108は、カテーテル102内に配設される1つまたは複数のトランスデューサ(図3における312)に対して入力され得る電気パルスを形成する。
【0056】
いくつかの例において、駆動ユニット110からの機械エネルギーは、カテーテル102内に配設される撮像コア(図3における306)を駆動するために使用され得る。いくつかの例において、1つまたは複数のトランスデューサ(図3における312)から送信される電気信号は、処理のためにプロセッサ106に対して入力され得る。いくつかの例において、1つまたは複数のトランスデューサ(図3における312)からの処理済みの電気信号は、1つまたは複数のディスプレイ112上に、1つまたは複数の画像として表示されることが可能である。例えば、1つまたは複数のディスプレイ112上に、1つまたは複数の画像を表示するために、走査線サンプル(例えば、ラジアル走査線サンプル等)を2次元デカルト格子に対してマッピングするべく、走査変換器が使用されることが可能である。
【0057】
いくつかの例において、プロセッサ106は、制御モジュール104のその他の構成要素のうちの1つまたは複数の機能を制御するためにも使用され得る。例えば、プロセッサ106は、パルス生成器108から送信される電気的パルスの周波数もしくは持続時間、駆動ユニット110による撮像コア(図3における306)の回転レート、駆動ユニット110による撮像コア(図3における306)の引き戻しの速度もしくは長さ、または、1つもしくは複数のディスプレイ112上に形成される1つもしくは複数の画像の1つもしくは複数の特性のうちの少なくとも1つを制御するために使用されてもよい。
【0058】
図2は、IVUS撮像システム(図1における100)のカテーテル102の1つの実施形態の概略的な側面図である。カテーテル102は、長尺状部材202と、ハブ204とを含む。長尺状部材202は、近位端部206と、遠位端部208とを含む。図2において、長尺状部材202の近位端部206は、カテーテル・ハブ204に対して結合され、長尺状部材の遠位端部208は、患者内への経皮的な挿入のために構成および配置される。任意選択で、カテーテル102は、少なくとも1つのフラッシュ・ポート、例えば、フラッシュ・ポート210などを画定してもよい。フラッシュ・ポート210は、ハブ204において画定され得る。ハブ204は、制御モジュール(図1における104)に対して結合するために構成および配置され得る。いくつかの例において、長尺状部材202およびハブ204は、単一の本体として形成される。他の例において、長尺状部材202およびカテーテル・ハブ204は、別々に形成され、その後に一緒に組み立てられる。
【0059】
図3は、カテーテル102の長尺状部材202の遠位端部208の1つの実施形態の概略的な斜視図である。長尺状部材202は、長手方向軸303と内腔304とを有するシース302を含む。撮像コア306は、内腔304内に配設される。撮像コア306は、手動で、またはコンピュータ制御される駆動機構を使用して回転可能な駆動軸310の遠位端部に対して結合される撮像デバイス308を含む。1つまたは複数のトランスデューサ312が、撮像デバイス308に対して取り付けられ、音響信号を送信および受信するために採用され得る。シース302は、患者内への挿入に適した任意の柔軟な生体適合性材料から形成され得る。適切な材料の例は、例えば、ポリエチレン、ポリウレタン、プラスチック、スパイラルカット・ステンレス鋼、ニチノール・ハイポチューブ等、または、これらの組み合わせを含む。
【0060】
いくつかの例において、例えば、図3に示されるように、トランスデューサ312の配列が、撮像デバイス308に対して取り付けられる。代替的に、単一のトランスデューサが採用されてもよい。任意の適切な数のトランスデューサ312が使用されることが可能である。例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、15個、16個、20個、25個、50個、100個、500個、1000個、または、これ以上のトランスデューサがあってもよい。認識されるように、他の数のトランスデューサも使用され得る。複数のトランスデューサ312が採用される場合、トランスデューサ312は、例えば、環状配置、矩形配置等を含む、任意の適切な配置へと構成されることが可能である。
【0061】
1つまたは複数のトランスデューサ312は、印加される電気的パルスを、1つまたは複数のトランスデューサ312の表面上で圧力歪みへ変換すること、およびこの逆を行うことが可能な材料から形成され得る。適切な材料の例は、圧電セラミック材料、圧電複合材料、圧電プラスチック、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン等を含む。他のトランスデューサ技術は、複合材料、単結晶複合体、および半導体デバイス(例えば、静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(「cMUT(capacitive micromachined ultrasound transducers)」)、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(「pMUT(piezoelectric micromachined ultrasound transducers)」等)を含む。
【0062】
1つまたは複数のトランスデューサ312の表面上の圧力歪みは、1つまたは複数のトランスデューサ312の共振振動数に基づいて、ある周波数の音響パルスを形成する。1つまたは複数のトランスデューサ312の共振振動数は、1つまたは複数のトランスデューサ312を形成するために使用されるサイズ、形状、および材料によって影響を受け得る。1つまたは複数のトランスデューサ312は、カテーテル102内での設置に適した、および1つまたは複数の選択された方向における所望の周波数の音響パルスを伝播することに適した任意の形状で形成され得る。例えば、トランスデューサは、ディスク型、ブロック形、矩形、楕円形等であってもよい。1つまたは複数のトランスデューサは、例えば、ダイシング、ダイス・アンド・フィル、マシニング、マイクロ加工等を含む任意のプロセスによって所望の形状に形成され得る。
【0063】
一例として、1つまたは複数のトランスデューサ312の各々は、マッチング層と、吸音材料(例えば、タングステン粒子を有するエポキシ基板)から形成された導電性バッキング材料との間に挟まれた圧電材料の層を含んでも良い。動作期間中に、圧電層は、電気的に励起されて、音響パルスの放出を引き起こし得る。
【0064】
1つまたは複数のトランスデューサ312は、周辺空間の半径方向の断面画像を形成するために使用されることが可能である。したがって、例えば、1つまたは複数のトランスデューサ312が、カテーテル102内に配設され、患者の血管内へ挿入される場合、1つまたは複数のトランスデューサ312は、血管の壁および血管の周囲の組織の画像を形成するために使用され得る。
【0065】
撮像コア306は、カテーテル102の長手方向軸303を中心に回転される。撮像コア306が回転するにつれて、1つまたは複数のトランスデューサ312は、異なる半径方向において(例えば、異なるラジアル走査線に沿って)音響信号を放出する。例えば、1つまたは複数のトランスデューサ312は、1回転あたり256本のラジアル走査線等などの規則的な(または不規則な)増分で音響信号を放出することができる。代わりに、1回転あたりに他の数のラジアル走査線が放出されることが可能であることが理解されるであろう。
【0066】
十分なエネルギーを有する放出された音響パルスが、1つまたは複数の中膜境界、例えば、1つまたは複数の組織境界などに遭遇した場合、放出された音響パルスの一部は、放出側トランスデューサへエコーパルスとして反射される。検出対象の十分なエネルギーを有する、トランスデューサに到達する各エコーパルスは、受信側トランスデューサにおいて電気的信号へ変換される。1つまたは複数の変換された電気的信号は、制御モジュール(図1における104)へ送信され、制御モジュールにおいて、プロセッサ106は、送信された音響パルスおよび受信されたエコーパルスの各々からの情報の集合に少なくとも部分的に基づいて、撮像された領域の表示可能な画像を形成するために、電気的信号特性を処理する。いくつかの例において、撮像コア306の回転は、制御モジュール(図1における104)内に配設された駆動ユニット110によって駆動される。代替的な実施形態において、1つまたは複数のトランスデューサ312は、適所に固定され、回転しない。その場合において、駆動軸310は、代わりに、固定された1つまたは複数のトランスデューサ312への音響信号、および固定された1つまたは複数のトランスデューサ312からの音響信号を反射する鏡を回転させ得る。
【0067】
1つまたは複数のトランスデューサ312が、音響パルスを放出するカテーテル102の長手方向軸303を中心に回転される場合、1つまたは複数のトランスデューサ312の周囲の領域の一部、例えば、興味のある血管の壁およびその血管の周囲の組織などの半径方向の断面画像(例えば、断層画像)を集合的に形成する、複数の画像が形成されることが可能である。半径方向の断面画像は、任意選択で、1つまたは複数のディスプレイ112上に表示されることが可能である。撮像コア306のうちの少なくとも1つは、手動で回転されること、またはコンピュータ制御される機構を使用して回転されることができる。
【0068】
撮像コア306は、カテーテル102が挿入される血管に沿って長手方向にも移動してもよく、その結果、複数の断面画像が、血管の長手方向の長さに沿って形成され得る。撮像手順の期間中に、1つまたは複数のトランスデューサ312は、カテーテル102の長手方向の長さに沿って収縮させられ(例えば、引き戻され)得る。カテーテル102は、1つまたは複数のトランスデューサ312の引き戻し期間中に収縮させられることが可能である、少なくとも1つの伸縮自在なセクションを含むことができる。いくつかの例において、駆動ユニット110は、カテーテル102内への撮像コア306の引き戻しを駆動する。撮像コアの駆動ユニット110による引き戻し距離は、例えば、少なくとも5cm、10cm、15cm、20cm、25cm、またはこれ以上を含む、任意の適切な距離とすることができる。撮像コア306が、カテーテル102から独立して長手方向に移動していても、または移動していなくても、カテーテル102全体が、撮像手順の期間中に収縮させられることが可能である。
【0069】
撮像コア306を引き戻すために、ステッパモータが、任意選択で使用されてもよい。ステッパモータは、撮像コア306を短距離引き戻し、撮像コア306をまた短距離引き戻す前に、1つまたは複数のトランスデューサ306が1つの画像または一連の画像を捕捉するのに十分なだけ長く停止し、別の画像または一連の画像を再び捕捉することなどができる。
【0070】
1つまたは複数のトランスデューサ312からの異なる深さにおいて生み出される画像の品質は、例えば、帯域幅、トランスデューサの焦点、ビーム・パターン、ならびに音響パルスの周波数を含む、1つまたは複数の要因によって影響を受け得る。1つまたは複数のトランスデューサ312から出力される音響パルスの周波数は、1つまたは複数のトランスデューサ312から出力される音響パルスの侵入深さにも影響を与え得る。一般に、音響パルスの周波数が下げられるにつれて、患者組織内での音響パルスの侵入の深さが増加する。いくつかの例において、IVUS撮像システム100は、5MHzから100MHzの周波数範囲内で動作する。
【0071】
1つまたは複数のコンダクタ314は、トランスデューサ312を制御モジュール104(例えば、図1を参照)に対して電気的に結合することができる。その場合において、1つまたは複数のコンダクタ314は、回転可能な駆動軸310の長手方向の長さに沿って延在し得る。
【0072】
撮像コア308の遠位端部208に対して取り付けられる1つまたは複数のトランスデューサ312を有するカテーテル102は、撮像対象の選択された領域の選択された部分から離れた部位、例えば、血管などにおいて、アクセス可能な血管、例えば、大腿動脈、大腿静脈、または頚静脈などを介して、患者内へ経皮的に挿入され得る。カテーテル102は、次いで、患者の血管を通じて、選択された撮像部位、例えば、選択された血管の一部などへ前進させられ得る。
【0073】
画像または画像フレーム(「フレーム」)は、1つまたは複数の音響信号が周囲の組織へ出力される度に生成されることが可能であり、1つまたは複数の対応するエコー信号は、イメージャ308によって受信され、プロセッサ106に対して送信される。代替的に、画像または画像フレームは、撮像コアまたはデバイスの完全な回転または部分的な回転からの走査線の複合物とすることができる。複数のフレーム(例えば、フレームのシーケンス)が、撮像デバイス308の任意のタイプの移動期間中に経時的に得られる。例えば、フレームは、ターゲット撮像位置に沿った撮像デバイス308の回転および引き戻し期間中に得られることが可能である。フレームは、撮像デバイス308の回転があっても、または回転がなくても、および引き戻しがあっても、または引き戻しがなくても得られることが理解されるであろう。さらに、フレームは、撮像デバイス308の回転または引き戻しのうちの少なくとも1つに加えて、またはその代わりに、他のタイプの移動手順を使用して得られてもよいことが理解されるであろう。
【0074】
いくつかの例において、引き戻しが実行される場合、引き戻しは、一定の速さであってもよく、したがって、長手方向の血管/プラーク測定値を計算することができる潜在的な用途のためのツールを提供する。いくつかの例において、撮像デバイス308は、少なくとも0.3mm/sの一定の速さで引き戻される。いくつかの例において、撮像デバイス308は、少なくとも0.4mm/sの一定の速さで引き戻される。いくつかの例において、撮像デバイス308は、少なくとも0.5mm/sの一定の速さで引き戻される。いくつかの例において、撮像デバイス308は、少なくとも0.6mm/sの一定の速さで引き戻される。いくつかの例において、撮像デバイス308は、少なくとも0.7mm/sの一定の速さで引き戻される。いくつかの例において、撮像デバイス308は、少なくとも0.8mm/sの一定の速さで引き戻される。
【0075】
いくつかの例において、1つまたは複数の音響信号は、一定の時間間隔で周囲の組織へ出力される。いくつかの例において、1つまたは複数の対応するエコー信号は、イメージャ308によって受信され、一定の時間間隔でプロセッサ106に対して送信される。いくつかの例において、結果として得られるフレームは、一定の時間間隔で生成される。
【0076】
少なくともいくつかの従来のIVUS撮像システムは、引き戻し手順などのIVUS手順の期間中に、またはその後に、単一の(例えば、断面の、長手方向等の)画像のみを表示する。しかしながら、少なくとも2つの画像、例えば、直前に処理された画像と、何らかの特定のまたは選択された画像特性(例えば、最大または最小の内腔エリアまたは直径)を有する、以前に取得された画像とを、IVUS手順(例えば、引き戻し手順)期間中にリアルタイムで同時に表示することは、有益であり得る。
【0077】
いくつかの診断的介入および/または治療的介入は、IVUS撮像システムによって生成される画像の分析を含むことがある。ただし、この分析は、画像を効率的に解釈するために、かなりの量の訓練/経験を必要とし得る。さらに、IVUS画像上の斑点の存在の多さに起因して、自動解析および/または評価も困難となり得る。IVUS撮像システムを用いて/によって生成される画像などの画像を処理および/または分析するための方法が、本願明細書において開示される。そのような方法は、機械学習、人工知能、深層ニューラル・ネットワーク等を利用して、IVUS撮像システムを用いて/によって生成される画像の処理および/または分析を改善し得る。
【0078】
図4は、例示的なプロセスの概観またはフレームワークを例示するフロー・チャートである。本プロセスは、ボックス401において、血管の画像(例えば、IVUS引き戻し手順を介して生成されるIVUS画像、断面画像等)の生成および/または収集を含み得る。生成された/収集された画像は、ボックス403において、断面分析を受け得る。断面分析は、病変タイプ、ステント検出等の自動識別のために定量分析および画像分類のための画像セグメント化を取得するために、深層学習ネットワーク(例えば、Uネット深層ニューラル・ネットワークなどの深層ニューラル・ネットワーク)を使用した、画像の処理および/またはセグメント化を含み得る。例えば、ボックス405において記される、断面分析からの出力は、内腔境界の識別、内腔寸法の識別、中膜境界の識別(例えば、血管内の中膜の中膜境界の識別)、中膜寸法の識別、石灰化角度/アークの識別、石灰化カバレッジの識別、病変タイプの識別等を含み得る。そのような境界/寸法の識別に加えて、出力は、適切なフォーマットで(例えば、単語または記号と共に、実際の画像または概略的な画像として、グラフィカルに、数値的に等)、ディスプレイ・ユニット上に表示され得る。いくつかの例において、IVUS引き戻しまたは「実行(run)」の複数の画像が、ボックス407において分析され得る。ボックス409において記される、この実行分析の出力は、内腔輪郭(例えば、長手方向の断面または「ロング・ビュー」を例えば含む)、血管輪郭(例えば、長手方向の断面または「ロング・ビュー」を例えば含む)、石灰化長さの表現(例えば、視覚化または画像、数値的な視覚化、グラフィカルな視覚化等)、参照フレームの描写/表示(例えば、最小内腔エリアすなわち「MLA(minimal lumen area)」、最小ステントエリアすなわち「MSA(minimal stent area)」等)、側枝位置の表現(例えば、視覚化または画像、数値的な視覚化、グラフィカルな視覚化等)、興味のある2つのフレーム間の距離の表現(例えば、視覚化または画像、数値的な視覚化、グラフィカルな視覚化等)、ステント延在の表現(例えば、視覚化または画像、数値的な視覚化、グラフィカルな視覚化等)、これらの組み合わせ等を含み得る。これは、深層ニューラル・ネットワーク(例えば、Uネット深層ニューラル・ネットワークなど)および/または機械学習および/または人工知能を用いて画像を分析することも含んでもよい。
【0079】
図5は、画像(例えば、IVUS引き戻し手順を介して生成されるIVUS画像、断面画像等)が処理/セグメント化され得る例示的なプロセスを描写するフロー・チャートである。例えば、(例えば、ボックス501における)例示的な断面画像または画像のグループ/集合は、例えば、(例えば、ボックス505において)病変のタイプを識別するために、(例えば、ボックス503における)画像分類を受け得る。いくつかの例において、出力は、適切なフォーマットで(例えば、単語または記号と共に、実際の画像または概略的な画像として、グラフィカルに、数値的に等)、ディスプレイ・ユニット上に表示され得る。いくつかの例において、(例えば、ボックス501における)画像は、(例えば、ボックス509において)カルシウム/石灰化角度またはアーク・カバレッジを識別するために、(例えばボックス507において)石灰化検出を受け得る。
【0080】
いくつかの例において、(例えば、ボックス501における)画像は、(例えば、ボックス511において)画像セグメント化を受け得る。これは、(例えば、ボックス515において)内腔境界を識別し、内腔の寸法を識別し、中膜境界を識別し、中膜の寸法を識別する等のために、(例えば、ボックス513における)境界の抽出を含み得る。画像セグメント化の(例えば、ディスプレイ・ユニット上に表示され得る)いくつかの例示的な出力が、図6に示される。血管の画像517は、画像セグメント化を受け得る。これは、深層ニューラル・ネットワーク(例えば、Uネット深層ニューラル・ネットワーク、および/もしくは、内腔境界、中膜境界、もしくは両方を識別するように訓練された他のネットワークなど)ならびに/または機械学習ならびに/または人工知能を用いて画像を分析することを含み得る。これは、内腔境界521と中膜境界523とが識別される視覚化519をもたらし得る。
【0081】
図7は、ディスプレイ・ユニット上に示され得る例示的なディスプレイ出力601である。複数の特徴が示され得る。ある血管の断面の1つまたは複数の代表的な画像603a、603bが示され得る。いくつかの例において、狭窄エリアの数値的表示605a、605bおよび/またはプラーク負荷の数値的表示607a、607bは、画像603a、603bの隣に、または隣接して示されてもよい。いくつかの例において、血管609の長手方向の断面の表現/視覚化が示され得る。いくつかの例において、石灰化角度/アークの視覚的な表現が、ディスプレイ出力601上に示されてもよい。例えば、石灰化角度/アークの視覚的な表現は、画像603a、603bの境界領域に沿って配設されるアークまたはアーク線を含んでもよい。いくつかの例において、ディスプレイは、血管径輪郭611および/または内腔径輪郭613の表現/視覚化を含んでもよい。これらの輪郭611、613は、最小のエリア(例えば、MLA)および/または血管内の興味のある他のエリアを有する血管の領域を臨床医が識別することをより効率的にし得る。
【0082】
図8は、ディスプレイ・ユニット上に示され得る別の例示的なディスプレイ出力701である。このディスプレイ出力701は、カルシウム・マップ(例えば、石灰化角度/アークを描写する2次元カルシウム・マップ)の形態を取ってもよい。この例において、長手方向の位置は、X軸に沿って示され、石灰化角度/アークは、Y軸に沿って示される。石灰化の存在を示す、いくつかの明るいスポットが、カルシウム・マップ上に示されている。例えば、第1の石灰化スポット703および第2の石灰化スポット705が示されている。第1の石灰化スポット703は、より小さい/より短い石灰化角度/アークを有するが、比較的長い長手方向の成分を有し得るのに対して、第2の石灰化スポット705は、長手方向のセクション707a、707b(例えば、比較的長い長手方向の成分を有する)と、円周セクション709(例えば、より大きく、より円周方向の石灰化角度/アークを有する)とを含み得る。
【0083】
図9は、ディスプレイ・ユニット上に示され得る別の例示的なディスプレイ出力801である。このディスプレイ出力801は、カルシウム・マップ(例えば、石灰化角度/アークを描写する2次元カルシウム・マップ)の形態を取ってもよい。この例において、長手方向の位置は、X軸に沿って示され、石灰化角度/アークは、可変の輝度および/または色/グレイスケールにおける差異を使用して示される。この例において、石灰化の存在を示す、複数の明るいスポットは、カルシウム・マップ上に示されている。例えば、第1の石灰化スポット803および第2の石灰化スポット805が示されている。第1の石灰化スポット803は、第1の輝度を有し得るのに対して、第2の石灰化スポット805は、第1の輝度よりも明るい第2の輝度を有し得る。
【0084】
図10図12は、ディスプレイ・ユニット上に示され得る例示的なディスプレイ出力901を描写する。各部分/ディスプレイ出力は、別々の図として示され、ラベリングされているが、描写されている様々なディスプレイ出力のうちの1つまたは複数(または全部)を、同じディスプレイ上にあっても、または異なるディスプレイ上にあってもよい。言いかえれば、図10図12の全部が、同じディスプレイ上に示されることが可能であり、または、図10図12に示されるディスプレイ出力が、1つまたは複数の異なるディスプレイからのディスプレイ出力であってもよい。ディスプレイ出力901は、血管905の一部を描写する透視画像903を含み得る。同じディスプレイ・ユニット上に、または別々に、血管909と石灰化角度/アークの表現911とを例示するカルシウム・マップ907が表示され得る。いくつかの例において、超音波線は、石灰化された病変を通過する超音波線を識別するために、(例えば、内腔と中膜境界との間の病変セグメントにおける最大輝度が、中膜境界を超えた最大輝度よりもはるかに高い場合)石灰化角度/アークの表現911に含まれてもよい。言いかえれば、超音波線は、石灰化された病変を識別することを助けるために、石灰化角度/アークの表現911に対して含まれ/追加されてもよい。同じディスプレイ・ユニット上に、または別々に、カルシウム・スコアリング913が示されてもよい。ここで、2次元カルシウム・マップ915および/または3次元カルシウム・マップ917が示されてもよい。内腔長さの表現919も示されてもよい。最後に、石灰化/カルシウム・スコアの計算を表すディスプレイ921が示され得る。
【0085】
いくつかの例において、ディスプレイ出力901は、血管における血管内病変を治療するための処置戦略を決定するために使用され得る。例えば、第1の数値的なカルシウム・スコアは、血管内病変のカルシウム/石灰化アークの視覚的な表現911、血管915の2次元カルシウム・マップ、血管917の3次元カルシウム・マップ、または、これらの組み合わせを観察することによって決定され得る。いくつかの例において、180度よりも大きい石灰化角度/アークは、2ポイントまたは3ポイントのスコアを得てもよく、180度以下の石灰化角度/アークは、0ポイントまたは1ポイントのスコアを得てもよい。血管の透視画像903を観察することによる第2の数値的なカルシウム・スコアが取得され得る。例えば、透視画像903は、石灰化した病変が0.5mm以下の厚さを有するかを決定するために使用され得る。石灰化した病変が、(例えば、透視画像903上で観察されるように)0.5mmよりも大きい厚さを有する場合、第2の数値的なカルシウム・スコアは、1ポイントまたは2ポイントとなり得る。石灰化した病変が、(例えば、透視画像903上で観察されるように)0.5mm以下の厚さを有する場合、第2の数値的なカルシウム・スコアは、0ポイントとなり得る。さらに、第3の数値的なカルシウム・スコアが、(例えば、表現919を使用して)血管内病変の長さを測定することによって決定され得る。石灰化した病変が、5mmよりも大きい長さを有する場合、第3の数値的なカルシウム・スコアは、1ポイントまたは2ポイントとなり得る。石灰化した病変が、5mm以下の長さを有する場合、第3の数値的なカルシウム・スコアは、0ポイントまたは1ポイントとなり得る。これらは単なる例である。他のカルシウム・スコアリング・パラメータが想定される。第1の数値的なカルシウム・スコアと、第2の数値的なカルシウム・スコアと、第3のカルシウム・スコアとの和が決定され得る。処置モダリティが、この和に基づいて選択され得る。いくつかの例において、処置モダリティは、ノン・コンプライアント・バルーンを使用する処置(例えば、血管形成)、高圧バルーンを使用する処置(例えば、血管形成)、スコアリング・バルーンを使用する処置(例えば、血管形成)、切断バルーンを使用する処置(例えば、血管形成)、回転式アテレクトミー・デバイスを用いる処置、オービタルアテレクトミー・デバイスを用いる処置、レーザ・アテレクトミー・デバイスを用いる処置、血管内砕石術を用いる処置、これらの組み合わせ等を含んでもよい。
【0086】
プロセスおよび/またはディスプレイ出力は、臨床的に関連するIVUS特徴を抽出し、カルシウム管理などの処置戦略を導き、直観的なマップを提示し、および/または、単一のディスプレイ・ユニットもしくはディスプレイ・ユニットのセット上で情報を組み合わせるために使用され得る。
【0087】
例えば、本願明細書において開示されている方法と共に使用され得る、いくつかの例示的なIVUS撮像システムは、例えば、米国特許第7,246,959号、第7,306,561号、および第6,945,938号、ならびに米国特許出願公開第US2006/0100522号、第US2006/0106320号、第US2006/0173350号、第US2006/0253028号、第US2007/0016054号、および第US2007/0038111号において開示されているものを含むが、これらに限定されず、これらの全部を本願明細書に援用する。
【0088】
米国特許出願公開第US2015/0073279号は、本願明細書に援用する。
本開示は、多くの点において、例示的であるに過ぎないことが理解されるべきである。変更が、詳細において、特に、形状、サイズ、および工程の配置において、本開示の範囲を越えることなく行なわれてもよい。これは、適当である範囲内で、1つの例示的な実施形態の特徴のうちのいずれかの使用が、他の実施形態において使用されることを含み得る。本発明の範囲は、当然ながら、添付の特許請求の範囲が述べられている文言において定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】